(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】卵黄タンパク質由来の身長成長及び骨密度増加用組成物
(51)【国際特許分類】
C07K 14/465 20060101AFI20240311BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20240311BHJP
C12P 21/06 20060101ALI20240311BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240311BHJP
A61K 35/57 20150101ALI20240311BHJP
【FI】
C07K14/465
A23L33/18
C12P21/06
A61P19/10
A61K35/57
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567636
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 KR2022009026
(87)【国際公開番号】W WO2023167370
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0028117
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138084
【氏名又は名称】メディエンス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDIENCE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】301, 32, Soyanggang-ro, Chuncheon-si, Gangwon-do 24232, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン ハク
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビョン シク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒ ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジュン ヒ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B064
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B018MD72
4B018ME05
4B018MF12
4B064AG01
4B064CA10
4B064CB01
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4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
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4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA97
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045EA01
4H045EA28
4H045FA16
(57)【要約】
本発明は、卵黄タンパク質から由来する身長成長及び骨密度増加用組成物の製造方法及びその組成物に関する。本発明は、新規の組成を有する卵黄タンパク加水分解物を製造し、生理活性で身長の成長、骨密度の増加及び骨成長の促進などの効果を有する機能性組成物を得ることができ、これを機能性食品及び医薬品などの開発に活用することによって国民の健康増進に役立つことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱脂卵黄に、エンドペプチダーゼ酵素及びエキソペプチダーゼ酵素を併用処理して取得される脱脂卵黄加水分解物。
【請求項2】
前記エンドペプチダーゼ酵素とエキソペプチダーゼ酵素の処理の間に、
ろ過を通じて不溶性卵黄粕を除去することを特徴とする、請求項1に記載の脱脂卵黄加水分解物。
【請求項3】
前記加水分解物は、
アルギニン、フェニルアラニン、チロシン及びヒスチジンの含量の和が、全体の固形分を基準にして7%(w/w)以上であることを特徴とする、請求項1に記載の脱脂卵黄加水分解物。
【請求項4】
請求項1の脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む身長成長促進用食品組成物。
【請求項5】
請求項1の脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む骨密度改善用食品組成物。
【請求項6】
請求項1の脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む骨粗鬆症の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項7】
前記加水分解物は、
ALP(Alkaline phosphatase)の活性を増加させることを特徴とする、請求項6に記載の薬学組成物。
【請求項8】
(a)卵黄粉末に、脂質を溶解できる有機溶媒を加えた後、抽出及びろ過することによって脱脂卵黄を製造する段階;
(b)前記段階(a)で分離した後、残った卵黄粕を乾燥させることによって脱脂卵黄粉末を取得する段階;
(c)前記段階(b)で取得した脱脂卵黄粉末に加水を行うことによって脱脂卵黄粉末液を製造し、エンドペプチダーゼを処理することによって1次加水分解物を取得する段階;
(d)前記段階(c)で取得した1次加水分解物から不溶性の卵黄粕を除去する段階;及び
(e)前記段階(d)で取得した卵黄粕が除去された1次加水分解物に、エキソペプチダーゼを処理することによって2次加水分解物を取得する段階;
を含む脱脂卵黄加水分解物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵黄に存在するタンパク質を加水分解して得られる卵黄タンパク加水分解物であって、身長の成長を促進すると同時に、骨密度を増加させるという効果を有する組成物の製造方法及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、骨の量が減少し、骨の強度が弱くなり、小さい衝撃にも骨折が起こりやすくなる疾患である。骨粗鬆症は、その症状自体よりは、骨の弱化によってもたらされる各種の骨折、特に大腿骨の骨折又は脊椎の骨折などが長期間の活動を制限するので問題となり、老人層の死亡の15%を占めるものとして知られている。
【0003】
骨粗鬆症治療剤としては、ホルモン、アレンドロネート(alendronate)、カルシトニン(calcitonin)、ラロキシフェン(raloxifene)、Na-F、カルシトリオール(calcitriol)又はビスホスホネート(bisphosphonate)製剤がある。ただ、骨粗鬆症の治療は、長期的な治療期間を要する疾患であって、前記治療剤を長期服用する場合、尿路結石、子宮内膜癌、乳癌などの副作用がもたらされる可能性が高くなる。
【0004】
特に、エストロゲンやカルシトニンを含むホルモン療法の場合、乳癌、心筋梗塞、静脈血栓症などの副作用が報告されたことがある。また、ビスホスホネートは、破骨細胞を抑制する骨吸収抑制剤として用いられるが、吸収率が低いという問題を有し、正しくない経口投与時には上気道に病巣が観察されるなどの問題が報告されており、毒性及び副作用の少ない治療剤の開発が切実に要求される現実である。
【0005】
一方、卵黄は、多量の脂質及びタンパク質を含有しており、健康増進に非常に有効なものとして知られているが、乳化能力に優れたレシチン及び中性脂肪を含有しており、これを直接製品化することは安定性及び生理活性の面で好ましくない。
【0006】
そこで、本発明者は、上記のような卵黄の不安定性を解消しながら、卵黄が含有する有用物質を最適な状態で提供するために酵素加水分解工程を導入し、このように製造された卵黄加水分解物が骨密度の増加、骨成長の促進及び骨粗鬆症の改善において効果を有することを確認することによって、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、脱脂卵黄に、エンドペプチダーゼ(endo-peptidase)酵素及びエキソペプチダーゼ(exo-peptidase)酵素を併用処理して取得される脱脂卵黄加水分解物を提供することを一つの目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む身長成長促進用又は骨密度改善用食品組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む骨粗鬆症の予防又は治療用薬学組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、(a)卵黄粉末に、脂質を溶解できる有機溶媒を加えた後、抽出及びろ過することによって脱脂卵黄を製造する段階;(b)前記段階(a)で分離した後、残った卵黄粕を乾燥させることによって脱脂卵黄粉末を取得する段階;(c)前記段階(b)で取得した脱脂卵黄粉末に加水を行うことによって脱脂卵黄粉末液を製造し、エンドペプチダーゼを処理することによって1次加水分解物を取得する段階;(d)前記段階(c)で取得した1次加水分解物から不溶性の卵黄粕を除去する段階;及び(e)前記段階(d)で取得した卵黄粕が除去された1次加水分解物に、エキソペプチダーゼを処理することによって2次加水分解物を取得する段階;を含む脱脂卵黄加水分解物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、脱脂卵黄に、エンドペプチダーゼ酵素及びエキソペプチダーゼ酵素を併用処理して取得される脱脂卵黄加水分解物を提供する。
【0012】
このとき、前記加水分解物は、前記エンドペプチダーゼ酵素とエキソペプチダーゼ酵素の処理の間に、ろ過を通じて不溶性卵黄粕を除去することが好ましい。
【0013】
このとき、前記加水分解物は、アルギニン(Arginine)、フェニルアラニン(Phenylalanine)、チロシン(Tyrosine)及びヒスチジン(Histidine)の含量の和が、全体の固形分を基準にして7%(w/w)以上であることが好ましい。
【0014】
一方、本発明は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む身長成長促進用食品組成物を提供する。
【0015】
一方、本発明は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む骨密度改善用食品組成物を提供する。
【0016】
一方、本発明は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む骨粗鬆症の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0017】
このとき、前記加水分解物は、ALP(Alkaline phosphatase)の活性を増加させるという効果を有する。
【0018】
一方、本発明は、(a)卵黄粉末に、脂質を溶解できる有機溶媒を加えた後、抽出及びろ過することによって脱脂卵黄を製造する段階;(b)前記段階(a)で分離した後、残った卵黄粕を乾燥させることによって脱脂卵黄粉末を取得する段階;(c)前記段階(b)で取得した脱脂卵黄粉末に加水を行うことによって脱脂卵黄粉末液を製造し、エンドペプチダーゼを処理することによって1次加水分解物を取得する段階;(d)前記段階(c)で取得した1次加水分解物から不溶性の卵黄粕を除去する段階;及び(e)前記段階(d)で取得した卵黄粕が除去された1次加水分解物に、エキソペプチダーゼを処理することによって2次加水分解物を取得する段階;を含む脱脂卵黄加水分解物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、新規の組成を有する卵黄タンパク加水分解物を製造し、生理活性で身長の成長、骨密度の増加及び骨成長の促進などの効果を有する機能性組成物を得ることができ、これを機能性食品及び医薬品などの開発に活用することによって国民の健康増進に役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】卵黄加水分解物のアミノ酸分析クロマトグラム結果を示した図である。
【
図2】卵黄加水分解物のSDS-PAGE写真の結果を示した図である。
【
図3】細胞試験におけるALP活性増加効果の結果を示した図である。
【
図4】動物試験における骨の長さの成長効果の比較結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、(a)卵黄粉末に、脂質を溶解できる有機溶媒を加えた後、抽出及びろ過することによって脱脂卵黄を製造する段階;(b)前記段階(a)で分離した後、残った卵黄粕を乾燥させることによって脱脂卵黄粉末を取得する段階;(c)前記段階(b)で取得した脱脂卵黄粉末に加水を行うことによって脱脂卵黄粉末液を製造し、エンドペプチダーゼを処理することによって1次加水分解物を取得する段階;(d)前記段階(c)で取得した1次加水分解物から不溶性の卵黄粕を除去する段階;及び(e)前記段階(d)で取得した卵黄粕が除去された1次加水分解物に、エキソペプチダーゼを処理することによって2次加水分解物を取得する段階;を含む脱脂卵黄加水分解物の製造方法を提供する。
【0022】
以下、本発明の各段階を細分化して説明する。
【0023】
<段階(a):脱脂卵黄の製造>
【0024】
本段階は、卵黄粉末に、脂質を溶解できる有機溶媒を加えた後、50℃~70℃で3時間~5時間にわたって抽出及びろ過することによって脱脂卵黄を製造する段階である。
【0025】
前記溶媒としては、エタノール又はアセトン希釈液を使用することが好ましく、50%(v/v)~99.99%(v/v)のエタノールを用いることがさらに好ましい。このとき、前記溶媒は、重さ比で乾燥卵黄粉末の5倍数~10倍数を加えることが好ましい。該当の条件の溶媒を加水することによって、レシチンを含有する脂肪成分を効率的に除去することができる。
【0026】
前記卵黄抽出工程を50℃未満で行う場合は、有用成分の抽出収率が低くなることや、脂肪成分の除去が完全に行われないことがあるため、好ましくなく、前記卵黄抽出工程を70℃以上で行う場合は、有用成分が変性するので好ましくない。上記と同じ理由により、抽出時間も3時間~5時間であることが好ましい。
【0027】
<段階(b):脱脂卵黄粉末の取得>
【0028】
本段階は、前記段階(a)で分離した後、残った卵黄粕を40℃~60℃で乾燥させることによって脱脂卵黄粉末を取得する過程である。
【0029】
前記乾燥が40℃未満で行われる場合は、乾燥が完全に行われないので好ましくなく、前記乾燥が60℃を超えて行われる場合は、有用成分が変性するので好ましくない。本過程を通じて、溶媒の残存量を1%(w/w)以下に調整することができる。
【0030】
本発明の最初の原料は卵黄であるが、脱脂卵黄の状態で購入可能である場合、前記段階(a)及び(b)の過程を省略することができる。
【0031】
<段階(c):1次酵素加水分解>
【0032】
本段階は、前記段階(b)で取得した脱脂卵黄粉末に加水を行うことによって脱脂卵黄粉末液を製造し、エンドペプチダーゼを処理することによって1次加水分解物を取得する過程である。
【0033】
本段階のエンドペプチダーゼとしては、公知のいずれの酵素を用いても構わないが、アルカラーゼ(alcalase)を用いることがさらに好ましい。本過程を通じて不溶性成分を除去することができる。
【0034】
<段階(d):不溶性の卵黄粕除去>
【0035】
本過程は、前記段階(c)で取得した1次加水分解物から不溶性の卵黄粕を除去する過程である。段階(c)で取得した1次加水分解物から不溶性の卵黄粕を除去することによって、余液(いわゆる、「卵黄粕が除去された1次加水分解物」)が取得される。不溶性の卵黄粕の除去は、遠心分離よりはろ過を通じて行うことが好ましい。
【0036】
本段階(d)の卵黄粕の除去時に乳化が発生する場合、次の2次酵素加水分解反応が著しく阻害される。そこで、本過程では、脱脂卵黄に残留するレシチンによる余液の乳化が発生しないように不溶性の卵黄粕の除去を助ける過程を含む。
【0037】
乳化の発生を防止する方法では、一般的なモーターが付着した遠心ポンプの場合、1,800rpm以上の高速で回転するので、必然的に乳化をもたらすしかない。したがって、本過程では、高速回転するモーターが装着された遠心ポンプを使用することなく、ダイヤフラムポンプ、モーノポンプ又は圧力を用いた移送方式で乳化なしで移送する方式を適用することがより好ましい。これは、酵素反応の進行自体を良好にするだけでなく、反応完了後の分離段階で容易な分離を可能にするためである。
【0038】
<前記段階(e):2次酵素加水分解>
【0039】
本段階は、前記段階(d)で取得した卵黄粕が除去された1次加水分解物に、エキソペプチダーゼを処理することによって2次加水分解物を取得する過程である。
【0040】
本段階のエキソペプチダーゼとしては、公知のいずれの酵素を用いても構わないが、フレーバーザイム(flavourzyme)を用いることがさらに好ましい。本過程を通じて、さらに多くのペプチド及びアミノ酸に分解することができる。
【0041】
追加的な工程として、本発明は、下記の工程をさらに含むことができる。
【0042】
具体的には、(f)層分離及び濃縮工程をさらに行うことができる。
【0043】
層分離段階では、分離された水溶液層を回収し、これを濃縮する過程を経るようになるが、この過程で分離された水溶液層を、気孔サイズが5マイクロン以下であるマイクロフィルターを使用してろ過する。この段階は、層分離過程でオイル層に含まれた不溶性物質、卵黄の中性脂肪及び一部の汚染菌を除去するために適用される。
【0044】
一般に、本発明の層分離方法を使用しない場合、珪藻土などをろ過補助剤として添加し、フィルタープレスなどでろ過する方法を使用するようになる。しかし、この方法によると、反応液中の各脂肪成分がそのままろ過されて入り込むので、最終粉末中の粗脂肪の含量が高くなるという問題をもたらし、ろ過のための過程が複雑になり、2次酵素反応の進行を妨害し、高価な設備を要求するという決定的な製造工程上及び品質上の短所がある。
【0045】
粗脂肪の含量は、本発明の場合、最終的に1%(w/w)以下で製造が可能であるが、一般的な工程によると、2%(w/w)~3%(w/w)の粗脂肪の含量を有するようになる。高い粗脂肪の含量は、空気中に露出する場合、酸敗した油臭を発生させやすくする要因になり得る。
【0046】
その後、反応及びろ過が完了した余液は濃縮工程を経るようになる。濃縮工程では、減圧濃縮を、通常、真空度20Torr~100Torrの範囲で行い、固形分の含量を20%(w/v)~40%(w/v)にする。
【0047】
濃縮液の噴霧乾燥前に、濃縮液に存在する汚染菌体を除去するためにマイクロフィルターを使用することができる。使用するマイクロフィルターは、0.5マイクロン以下の気孔サイズを有しなければならない。その理由は、0.5マイクロンより大きい気孔サイズを有するマイクロフィルターでは汚染菌を除去しにくいためである。
【0048】
これによって、本発明は、脱脂卵黄に、エンドペプチダーゼ酵素及びエキソペプチダーゼ酵素を併用処理して取得される脱脂卵黄加水分解物を提供する。
【0049】
このとき、前記酵素は、エンドペプチダーゼ及びエキソペプチダーゼのそれぞれ又はこれらの組み合わせからなることが好ましい。本発明では、より好ましくは、エンドペプチダーゼ及びエキソペプチダーゼのそれぞれを順次処理することによって、さらに多くのペプチド及びアミノ酸を含む卵黄酵素加水分解物を取得できた。
【0050】
このとき、前記加水分解物は、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン及びヒスチジンの含量の和が、全体の固形分を基準にして7%(w/w)以上であることが好ましい。
【0051】
また、前記加水分解物は、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン及びヒスチジンの含量の和が、アミノ酸の総和の10%(w/w)以上であって、アミノ酸の総和の13%(w/w)~18%(w/w)であることがさらに好ましい。
【0052】
本発明の卵黄酵素加水分解物は、アミノ酸のうち、ロイシン(Leucine)、リシン(Lysine)、バリン(Valine)、アルギニン(Arginine)、グルタミン酸(Glutamic acid)、スレオニン(Threonine)、セリン(Serine)、イソロイシン(Isoleucine)、フェニルアラニン(Phenylalanine)、チロシン(Tyrosine)、アスパラジン(Asparagine)、アラニン(Alanine)、アスパラギン酸(Aspartic acid)、メチオニン(Methionine)、グルタミン(Glutamine)、ヒスチジン(Histidine)、トリプトファン(Tryptophane)、シスチン(Cystine)、グリシン(Glycine)及びプロリン(Proline)を含有する。
【0053】
そのうち、身長の成長、骨密度の向上、骨粗鬆症の予防などの効果を有するものとして知られているアルギニン、フェニルアラニン、チロシン及びヒスチジンの含量の和が、全体の固形分を基準にして7%(w/w)以上であって、優れた機能性を保有する。
【0054】
本発明の一実施例によると、本発明の卵黄酵素加水分解物がALP(Alkaline phosphatase)の活性を増加させることを確認し、動物モデルにおける骨成長の促進効果及び骨密度の増加効果を確認したことがある。
【0055】
そこで、本発明は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む身長成長促進用又は骨密度改善用食品組成物を提供する。
【0056】
本発明で使用される「改善」という用語は、本発明の組成物の投与で身長成長又は骨密度が好転することや、有利に変更される全ての行為を意味する。
【0057】
本発明の食品組成物において、前記脱脂卵黄加水分解物は、食品組成物の0.00001重量%~50重量%で含まれることが好ましい。0.00001重量%未満で含まれる場合は、その効果が微々たるものとなり、50重量%を超えて含まれる場合は、使用量に比べて効果の増加が微々たるものとなるので非経済的である。
【0058】
本発明の食品組成物は、一例として、麺類、ガム類、乳製品類、アイスクリーム類、肉類、穀類、カフェイン飲料、一般飲料、チョコレート、パン類、スナック類、お菓子類、キャンディー、ピザ、ゼリー、アルコール性飲料、お酒、ビタミン複合剤及びその他の健康補助食品類から選ばれるいずれか一つであり得るが、必ずしもこれに限定されることはない。
【0059】
本発明の食品組成物を食品添加物として使用する場合、これをそのまま添加することや、他の食品又は食品成分と共に使用することができ、通常の方法によって適宜使用することができる。
【0060】
本発明において、食品組成物は健康機能食品を含む。
【0061】
前記「健康機能食品」とは、健康機能食品に関する法律第6727号による人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節することや、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を得る目的で摂取することを意味する。
【0062】
本発明の食品組成物及び健康機能食品は、通常使用され、臭い、味、視覚などを向上できる追加成分を含むことができる。例えば、本発明の食品組成物及び健康機能食品は、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)などを含むことができ、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)などのミネラルを含むことができ、システイン、バリン、リシン、トリプトファンなどのアミノ酸を含むことができる。また、本発明の食品組成物及び健康機能食品には、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、殺菌剤(漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、膨張剤(明礬、D-スズ酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、調味料(MSGグルタミン酸ナトリウムなど)、甘味料(ズルチン、シクラメート、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を添加することができる。前記添加物は、食品の種類によって選別され、適切な量で使用され得る。
【0063】
本発明の健康機能食品において、脱脂卵黄加水分解物の含量は、特に制限されなく、投与対象の状態、具体的な病症の種類、進行程度などによって多様に変更可能であり、必要な場合、食品の全体の含量ともなり得る。
【0064】
一方、本発明は、前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む骨粗鬆症の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0065】
本発明で使用される「予防」という用語は、本発明に係る薬学的組成物の投与によって影響を受ける疾患、すなわち、骨粗鬆症を抑制することや、発病を遅延させる全ての行為を意味する。
【0066】
本発明で使用される「治療」という用語は、本発明に係る薬学的組成物の投与によって骨粗鬆症による症状が好転することや、有利に変更される全ての行為を意味する。
【0067】
本発明の前記脱脂卵黄加水分解物を有効成分として含む組成物は、前記成分に追加的に同一又は類似の機能を示す有効成分を1種以上含有することができる。
【0068】
本発明の薬学的組成物は、脱脂卵黄加水分解物以外に、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。
【0069】
本発明で使用され得る担体は、その種類が特に制限されなく、当該技術分野で通常使用される担体であればいずれも使用可能である。前記担体の非制限的な例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マルトデキストリン、グリセロール、エタノールなどを挙げることができる。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
【0070】
また、本発明の薬学的組成物は、必要な場合、抗酸化剤、賦形剤、希釈剤、緩衝液又は静菌剤など、その他の薬学的に許容可能な添加剤を添加して使用することができ、界面活性剤、結合剤、充填剤、増量剤、湿潤剤、崩壊剤、分散剤又は滑剤などを付加的に添加して使用することができる。
【0071】
本発明の薬学的組成物において、脱脂卵黄加水分解物は、薬学的組成物の全体の重量を基準にして0.00001重量%~99.99重量%で含まれてもよく、好ましくは0.1重量%~90重量%、より好ましくは0.1重量%~70重量%、さらに好ましくは0.1重量%~50重量%で含まれ得るが、これに限定されなく、投与対象の状態、具体的な病症の種類、進行程度などによって多様に変更可能であり、必要な場合、薬学的組成物の全体の含量としても含まれ得る。
【0072】
すなわち、本発明の薬学的組成物の薬学的有効量及び有効投与量は、薬学的組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/又は投与経路などによって多様になり得る。また、薬学的組成物の投与で達成しようとする反応の種類と程度、投与対象になる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食餌、排泄、該当の個体に同時又は異時に共に使用される薬物のその他の組成物の成分などを始めとした多くの因子、及び医薬分野でよく知られている類似因子によって多様になり得る。当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定して処方することができる。例えば、本発明の薬学的組成物は、その1日投与量が約0.01mg/kg~1,000mg/kgであって、150mg/kg~300mg/kgであることが好ましく、1日に1回投与することや、1日に数回に分けて投与することができる。
【0073】
本発明の薬学的組成物は、1日に1回投与されてもよく、1日に数回に分けて投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、個別治療剤として投与されてもよく、他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次的に又は同時に投与されてもよい。前記要素を全て考慮して、副作用なしで最小限の量で最大の効果が得られる量で投与することができ、これは、当業者によって容易に決定され得る。
【0074】
本発明の薬学的組成物は、骨粗鬆症を予防又は治療するために追加的にホルモン治療、薬物治療などの多様な方法と併用して使用され得る。
【0075】
本発明で使用される「投与」という用語は、何らかの適切な方法で患者に本発明の薬学的組成物を導入することを意味し、本発明の薬学的組成物の投与経路及び投与方式は、それぞれ独立的であってもよく、目的とする該当部位に前記薬学的組成物が到逹し得る限り、特別な制限なく任意の投与経路及び投与方式に従うことができる。
【0076】
前記薬学的組成物は、経口投与又は非経口投与方式で投与することができ、経口投与又は非経口投与のための適切且つ多様な剤形に製剤化されて使用され得る。
【0077】
本発明の薬学的組成物を用いた経口投与用製剤の非制限的な例としては、油性懸濁液、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、錠剤、水溶性懸濁液、調剤粉末、顆粒、エマルジョン、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップ又はエリクシール剤などを挙げることができる。
【0078】
本発明の薬学的組成物を経口投与用に製剤化するために、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロースラクトース、サッカロース又はゼラチンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム又はポリエチレングリコールワックスなどの潤滑油;第二リン酸カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシ澱粉又はサツマイモ澱粉などの崩壊剤などを使用することができ、芳香剤、シロップ剤、甘味剤なども使用することができる。さらに、カプセル剤の場合は、前記言及した物質以外にも、脂肪油などの液体担体などをさらに使用することができる。
【0079】
本発明の薬学的組成物の非経口投与方法としては、筋肉内投与、経皮投与、静脈内投与、腹腔内投与又は皮下投与などを用いることができ、前記組成物を疾患部位に塗布したり、噴霧及び吸入する方法も利用可能であるが、これに制限されない。
【0080】
本発明の薬学的組成物を用いた非経口用製剤の非制限的な例としては、注射液、坐剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、呼吸器吸入用粉末、スプレー用エアロゾル剤、クリームなどを挙げることができる。
【0081】
本発明の薬学的組成物を非経口投与用に製剤化するために、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤などを使用することができる。また、前記非水性溶剤及び懸濁剤としては、オリーブオイルなどの植物性油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用され得る。
【0082】
本発明の薬学的組成物を注射液に製剤化する場合、本発明の薬学的組成物を安定剤又は緩衝剤と共に水で混合することによって溶液又は懸濁液に製造し、これをアンプル(ampoule)又はバイアル(vial)の単位投与用に製剤化することができる。
【0083】
本発明の薬学的組成物をエアロゾル剤に製剤化する場合、水分散された濃縮物又は湿潤粉末が分散されるように推進剤などが添加剤と共に配合され得る。
【0084】
本発明の薬学的組成物を軟膏、オイル、クリーム、塗布用パウダー、皮膚外用剤などに製剤化する場合は、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、酸化亜鉛などを担体として使用して製剤化することができる。
【0085】
以下、本発明を次の実施例で詳細に説明する。ただ、下記の実施例によって本発明の範囲が限定されることはない。
【実施例】
【0086】
[実施例1:2次加水分解による脱脂卵黄加水分解物の製造]
【0087】
国産卵を購入して割卵し、卵黄を分離した後、これを噴霧乾燥することによって卵黄粉末を取得した。その後、卵黄粉末1,000gに酒精5,000Lを加えてから60℃で2時間にわたって抽出し、これをろ過することによって抽出液を分離した。その後、残った卵黄粕を50℃オーブンで乾燥させ、脱脂卵黄粉末550gを取得した。
【0088】
脱脂卵黄粉末100gを水600mlに十分に溶かしてから60℃で加温した後、これにタンパク加水分解酵素としてのノボ社のアルカラーゼを5g加えてから3時間にわたって加水分解した。反応が完了した後、反応液が乳化されないように不溶性の卵黄粕を除去し、1次酵素反応が完了した余液を410ml取得した。
【0089】
これに、2次反応でエキソペプチダーゼとしてのノボ社のフレーバーザイムを4ml加えてから55℃で4時間にわたって反応させた後、50Torrの真空度で真空濃縮し、固形分の含量が25%(w/v)である濃縮液82gを取得した。収率は、固形分の含量を基準にして20.5%であることが確認された。
【0090】
[比較例1:1次加水分解による脱脂卵黄加水分解物の製造]
【0091】
実施例1の脱脂卵黄100gに水600mlを加えてから、60℃でインペラーを3,000rpmで30分間回した後、これに加水分解酵素としてアルカラーゼを5g加えてから3時間にわたって酵素反応を行った。
【0092】
これに対して実施例1のように不溶性の固形分を除去し、酵素反応液を得ようとしたが、乳化によって酵素反応液が分離されないので取得が不可能であった。
【0093】
そこで、ろ過する方法によって余液320mlを取得した。固形分の含量を基準にして、収率は12.3%であることが確認された。
【0094】
[実施例2:アミノ酸構成成分の分析]
【0095】
前記実施例1及び比較例1で得られた酵素反応液を用いてアミノ酸構成成分の分析を行った。アミノ酸分析条件及び結果は、下記に記載した。
【0096】
アミノ酸分析条件:
【0097】
モデル:HITACH L-8900
【0098】
タイプ:反応後(Post-reaction)タイプ(ニンヒドリン試液(Ninhydrin reagent))
【0099】
検出器(Detector):光度計(Photometer)440、570nm
【0100】
注入量(Injection volume):20μl
【0101】
アミノ酸分析結果:下記の表1を参照。
【0102】
【0103】
前記表1及び
図1に示したように、実施例1の工程で製造した卵黄加水分解物は、乳化が発生する条件で製造した比較例1の試料と比較したとき、総アミノ酸の含量が約3倍に達することが確認され、水溶性成分の収率も1.7倍高いことが確認された。
図1は、卵黄加水分解物のアミノ酸分析クロマトグラム結果を示した図である。
【0104】
[実施例3:SDS-PAGEを用いたタンパク質分解程度の比較]
【0105】
実施例1の電気泳動法を用いてタンパク質分解試料中に分解されたタンパク質の分子量を比較し、その結果を
図2に示した。
図2は、卵黄加水分解物のSDS-PAGE写真の結果を示した図である。M2は、アルカラーゼを処理した後の試料を示し、M3は、追加的にフレーバーザイムまで処理した試料を示す。
【0106】
実施例1のように、2個の酵素を処理し、2段階にわたって加水分解を行った場合、ほとんどのタンパク質が分子量10kDa以下に分解されて低分子化され、電気泳動による分子量マーカーの大きさを逸脱したことを確認した。
【0107】
[実施例4:身長成長及び骨密度増加効能検証のための細胞試験]
【0108】
本発明の組成物が身長成長及び骨密度増加の効果を示すか否かを確認するために、ALP(Alkaline phosphatase)の活性に及ぼす影響を測定した。試料としては、実施例1の試料を処理した。
【0109】
マウスの骨から由来したMC3T3-E1骨形成細胞(osteoblastic cells)は、ATCC(American Type Culture Collection)で購入して使用し、MC3T3-E1細胞は、α-MEM培地(Gibco-Invitrogen)に10%(v/v)FBS(Fetal Bovine Serum)、100U/mlペニシリン(penicillin)、100U/mlストレプトマイシン(stereptomycin)を添加した培地を使用し、37℃、湿潤CO2培養器(5%CO2)で培養した。細胞が培養皿の80%程度になると、PBS(Phosphate-buffered saline)で細胞の断層を洗い出し、0.25%トリプシン-2.65mM EDTAを処理して継代培養し、培地は2日ごとに交換した。MC3T3-E1細胞が培養皿の90%程度になると、分化を誘導するためにα-MEM培地に10mM β-グリセロリン酸(β-glycerophosphate;Sigma-Aldrich Co.)及び50μg/mlアスコルビン酸(ascorbic acid;Sigma-Aldrich Co.)を添加した造骨細胞分化培養液に細胞培養液を交換して細胞を培養し、造骨細胞分化培養液は3日ごとに交換した。
【0110】
ALP(Alkaline phosphatase)の活性を測定するために、MC3T3-E1細胞を1*104cells/wellになるように96-ウェルプレートに分注してから24時間にわたって安定化させた。試料を多様な濃度で処理してから8日間培養した後、分化誘導された細胞のコラーゲン生成は、シリウスレッドコラーゲン検出キット(Sirius red collagen detection kit)(Chondrex)を使用し、製造会社で提示された方法によって測定した。
【0111】
その結果を
図3に示した。
図3は、細胞試験におけるALP活性増加効果の結果を示した図である。
【0112】
実施例1の組成物であるY-PEPの投与により、濃度依存的にALPの活性を増加させるという効果があることを確認した。このような結果は、実施例1の組成物が身長の成長及び骨密度の増加に効果があることを示す証拠になる。
【0113】
[実施例5:動物試験による身長成長及び骨成長効果の検証]
【0114】
特定の病原体がない3週齢SD(Sprague Dawley)ラットを(株)DooYeol Biotechで購入し、1週間の検疫及び適応過程を経た後、健康な動物を選別して使用した。試験の全期間にわたって、実験動物には、実験動物用固形飼料((株) Cargill Agri Purina)及び飲水を自由に摂取させた。
【0115】
1週間の適応期間が経過した後で性別に分類し、乱塊法によって雄雌をそれぞれ4個の群に分類し、対照群(AG1)、100mg/kg投与群(AG2)、300mg/kg投与群(AG3)、及び陽性対照群としての組換えヒト成長ホルモン200μg/kg投与群(AG4)に分類し、各試験群当たりに10匹の実験動物を使用した。試験物質(TM)は、実施例1で製造したものを飲水に溶かしてから14日間毎日一定の時間に経口投与し、陽性対照物質は1日に1回皮下注射した。
【0116】
身長成長評価では、試験開始日及び終了日にそれぞれ実験動物のNA-NT(鼻から尻尾)を測定し、実験動物の成長を評価した。
【0117】
硬骨の重さ、長さ及び骨密度の測定は、試験終了日に採血した後で硬骨を摘出し、骨格に付いている筋肉、靭帯及び脂肪を除去した後で硬骨の重さを測定し、硬骨の長さをデジタルキャリパス(Caliper)を使用して測定した後、DEXA(dual-energy X-ray absorptiometry)(PIXmus TM、GE Lunar)を使用して骨密度を測定した。その後、右側の硬骨に対しては、高解像度の微細電算断層撮映システム(micro-CT、Quantum GX、Perkinelmer、USA)を使用して断層撮映を施行し、左側の硬骨に対しては、組織形態学的観察及び免疫染色を施行した。
【0118】
【0119】
**P<0.01、***P<0.001対照群との有意な差があるという結論に対する誤差確率実験動物の長さは、対照群(AG1)に比べたとき、組換えヒト成長ホルモン投入群(AG4)と類似するレベルに成長促進効果があることを確認することができる。
【0120】
【0121】
硬骨の長さ促進及び骨密度が、対照群に比べて増加する傾向を確認することができる。このような結果により、今後、骨密度増加と骨粗鬆症予防用機能性素材及び医薬品として活用できると判断される。
【0122】
【0123】
AG1~4:雄の実験動物;AG5~8:雌の実験動物;AG1、5:陰性対照群;AG4、8:陽性対照群(組換えヒト成長ホルモン)。成長板の長さは、試験物質群(AG2、3、6、7)で対照群(AG1、5)に比べて著しく増加することを確認できた。
【0124】
図4には、骨の長さ成長を組織形態学的に染色して分析した結果を示した。本発明の脱脂卵黄加水分解物(AG2、AG3)は、対照群(AG1)と比較したとき、著しいレベルの骨の長さ成長効果を有することを確認した。
【国際調査報告】