(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20240311BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527732
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2022012948
(87)【国際公開番号】W WO2022202732
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021053044
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507114521
【氏名又は名称】テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広孝
(72)【発明者】
【氏名】グロア、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029BB01
4B029CC12
4B029DG08
4B029GB03
(57)【要約】
細胞培養システム(10)は、細胞を培養する複数の処理部(24)と、複数の処理部(24)をそれぞれ設置可能な複数のリアクタ設置装置(68)と、複数の処理部(24)にそれぞれ接続された複数の接続回路(26)と、複数の接続回路(26)をそれぞれ着脱可能な複数の回路制御装置(66)と、センサ装置(70)とを備える。センサ装置(70)は、複数の処理部(24)に導かれた培地の成分を測定するために、複数の処理部(24)に対して共用される。複数の処理部(24)の各々は、複数のバイオリアクタ(30)を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を培養する複数の処理部と、
前記複数の処理部をそれぞれ設置可能な複数のリアクタ設置装置と、
前記複数の処理部にそれぞれ接続された複数の接続回路と、
前記複数の接続回路をそれぞれ着脱可能であり、前記細胞及び培地の前記複数の接続回路から前記複数の処理部への供給と、培養された細胞の前記複数の処理部から前記複数の接続回路への回収と、を行うための複数の回路制御装置と、
前記複数の処理部に導かれた前記培地の成分を測定するために、前記複数の処理部に対して共用されるセンサ装置と、を備え、
前記複数の処理部の各々は、複数のバイオリアクタを有する、細胞培養システム。
【請求項2】
請求項1記載の細胞培養システムであって、
前記センサ装置は、前記複数の処理部がそれぞれ前記複数のリアクタ設置装置に設置されたセット状態で、前記複数の処理部又は前記複数の接続回路に接続されている、細胞培養システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の細胞培養システムであって、
前記培地を収容するための培地収容部を有するタンク装置を備え、
前記培地収容部は、当該培地収容部から前記複数の接続回路を介して前記複数の処理部に前記培地を供給するために、前記複数の処理部に対して共用される、細胞培養システム。
【請求項4】
請求項3記載の細胞培養システムであって、
前記培地収容部は、前記複数の処理部において細胞を培養するのに必要な量の前記培地を収容可能である、細胞培養システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の細胞培養システムであって、
前記タンク装置は、廃液を収容するための廃液収容部を有し、
前記廃液収容部は、前記複数の処理部から前記複数の接続回路を介して前記廃液収容部に前記廃液を排出するために、前記複数の処理部に対して共用される、細胞培養システム。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載の細胞培養システムであって、
前記タンク装置は、洗浄液を収容するための洗浄液収容部を有し、
前記洗浄液収容部は、当該洗浄液収容部から前記複数の接続回路を介して前記複数の処理部に前記洗浄液を供給するために、前記複数の処理部に対して共用される、細胞培養システム。
【請求項7】
請求項6記載の細胞培養システムであって、
前記洗浄液収容部には、前記複数の処理部を洗浄するのに必要な量の前記洗浄液を収容可能である、細胞培養システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞培養システムであって、
前記センサ装置は、
前記培地の成分を測定するためのセンサ部と、
前記複数の処理部を流通した前記培地を前記センサ部に導くための複数のポンプと、を有する、細胞培養システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養システムであって、
前記複数の回路制御装置の動作を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記センサ装置の測定結果に基づいて前記複数の回路制御装置の動作をフィードバック制御する、細胞培養システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の細胞培養システムであって、
前記複数のバイオリアクタの各々は、複数の中空糸を含む、細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特表2019-517247号公報には、細胞を培養する1つのバイオリアクタを設置可能なリアクタ設置部と、当該バイオリアクタに接続された接続回路を着脱可能な回路制御部とを備えた細胞培養装置が開示されている。回路制御部は、細胞及び培地の接続回路からバイオリアクタへの供給と培養された細胞のバイオリアクタから接続回路への回収を行うためのものである。
【発明の概要】
【0003】
一般的に、細胞培養装置は、リアクタ設置部と回路制御部とが一体的に設けられて形成されている。そのため、細胞培養の量を増大したい場合には、複数の細胞培養装置を用意する必要がある。換言すれば、バイオリアクタの数と同じ数の回路制御部が必要となる。従って、コストが高騰化するという問題がある。
【0004】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、コストの高騰化を抑えつつ細胞培養の量を効率的に増大させることができる細胞培養システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様は、細胞を培養する複数の処理部と、前記複数の処理部をそれぞれ設置可能な複数のリアクタ設置装置と、前記複数の処理部にそれぞれ接続された複数の接続回路と、前記複数の接続回路をそれぞれ着脱可能であり、前記細胞及び培地の前記複数の接続回路から前記複数の処理部への供給と、培養された細胞の前記複数の処理部から前記複数の接続回路への回収と、を行うための複数の回路制御装置と、前記複数の処理部に導かれた前記培地の成分を測定するために、前記複数の処理部に対して共用されるセンサ装置と、を備え、前記複数の処理部の各々は、複数のバイオリアクタを有する、細胞培養システムである。
【0006】
本発明によれば、処理部毎に回路制御装置を用意すればよいため、回路制御装置の数がバイオリアクタの数よりも少なくなる。よって、コストの高騰化を抑えつつ細胞培養の量を効率的に増大させることができる。また、センサ装置が複数の処理部によって共用されるため、複数の処理部毎にセンサ装置を設ける場合と比較して、センサ装置の数を削減することができる。従って、細胞培養システムのコストの高騰化をさらに抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る細胞培養システムの概略構成図である。
【
図2】
図1の細胞培養システムの回路構成図である。
【
図3】
図2の処理部とその周囲の回路構成図である。
【
図6】
図1の細胞培養システムの一部省略斜視図である。
【
図8】
図1の細胞培養システムを用いた細胞培養方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る細胞培養システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る細胞培養システム10は、生体組織から分離した細胞を培養(増殖)するものである。
【0010】
図1及び
図2に示すように、細胞培養システム10は、液体を流動可能な2つの細胞培養キット12と、2つの細胞培養キット12がセットされる細胞培養装置14と、コントローラ16とを備える。細胞培養システム10は、2つの細胞培養キット12として、第1細胞培養キット12aと第2細胞培養キット12bとを有する。なお、第1細胞培養キット12aと第2細胞培養キット12bとは、互いに同一に構成されている。以下の説明では、第1細胞培養キット12aと第2細胞培養キット12bとを特に区別しない場合には、単に細胞培養キット12という。
【0011】
細胞培養キット12内を流動する液体としては、細胞を含む溶液(以下、細胞液という)、細胞を増殖させるための培地(培養液)、細胞培養キット12内を洗浄する洗浄液及び細胞を剥離するための剥離液等が挙げられる。
【0012】
細胞としては、例えば、血液に含まれる細胞(T細胞等)、幹細胞(ES細胞、iPS細胞、間葉系幹細胞等)が用いられる。培地としては、生体の細胞に応じて適切なものが選択されればよく、例えば、緩衝塩類溶液(Balanced Salt Solution:BSS)を基本溶液として、種々のアミノ酸、ビタミン類及び血清等を加えて調製されたものが用いられる。洗浄液としては、緩衝液又は生理食塩水が用いられる。なお、緩衝液としては、PBS(Phosphate Buffered Salts)及びTBS(Tris-Buffered Saline)等が挙げられる。剥離液としては、例えば、トリプシン又はEDTA液等が用いられる。ただし、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液は、上述したものに限定されない。
【0013】
図2に示すように、細胞培養キット12は、細胞液バッグ18、剥離液バッグ20、回収バッグ22、処理部24、接続回路26及びガス交換器28を備える。
【0014】
細胞液バッグ18、剥離液バッグ20及び回収バッグ22のそれぞれは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有する材料により袋状に構成されたものである。
【0015】
細胞液バッグ18には、細胞液が収容されている。剥離液バッグ20には、剥離液が収容されている。回収バッグ22は、培養した細胞を収容するためのものである。回収バッグ22は、細胞培養キット12の使用前の状態で、内部に液体が収容されていない空バッグである。
【0016】
図3に示すように、処理部24は、並列に配置された5つのバイオリアクタ30を含む。5つのバイオリアクタ30は、互いに同一の構成を有する。ただし、5つのバイオリアクタ30は、大きさ及び形状等が互いに異なっていてもよい。バイオリアクタ30は、いわゆる中空糸型バイオリアクタとして構成されている。バイオリアクタ30は、多数(複数)の中空糸32と、これら中空糸32を収容する円筒状のハウジング34とを備える。
【0017】
中空糸32は、ハウジング34の長手方向に沿って延在している。中空糸32は、その両端が開口している。中空糸32の一端部は、ハウジング34の一端部に固着されている。中空糸32の他端部は、ハウジング34の他端部に固着されている。中空糸32を構成する壁部には、図示しない複数の細孔が形成されている。細孔は、中空糸32の内腔であるIC(intra capillary)領域とハウジング34内における中空糸32の外側に位置するEC(extra capillary)領域とを連通する。細孔の直径は、高分子(細胞等)の通過を阻止する一方で低分子(例えば、水、イオン、酸素、乳酸塩等)を通過させることができるような大きさに設定されている。細孔の直径は、例えば0.005μm~10μm程度に設定される。
【0018】
中空糸32の構成材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、再生セルロース等の高分子材料が挙げられる。ただし、中空糸32の構成材料は、上述したものに限定されない。
【0019】
ハウジング34には、IC入口ポート36a、IC出口ポート36b、EC入口ポート38a、EC出口ポート38bが設けられている。IC入口ポート36aは、ハウジング34の一端に設けられている。IC入口ポート36aは、接続回路26(IC循環回路44)から導かれた液体(細胞液、培地、洗浄液及び剥離液)をバイオリアクタ30のIC領域に導入する。IC出口ポート36bは、ハウジング34の他端に設けられている。IC出口ポート36bは、バイオリアクタ30のIC領域を流通した液体を接続回路26(IC循環回路44)に導出させる。
【0020】
EC入口ポート38a及びEC出口ポート38bは、ハウジング34の外周面に設けられている。EC入口ポート38aは、接続回路26(EC循環回路48)から導かれた液体(培地及び洗浄液)をバイオリアクタ30のEC領域に導入する。EC出口ポート38bは、バイオリアクタ30のEC領域を流通した液体を接続回路26(EC循環回路48)に導出させる。
【0021】
図2において、接続回路26は、線状に延在している。接続回路26は、軟質な樹脂材料によってチューブ状に形成されている。ただし、接続回路26は、例えば、2枚のシートを互いに厚さ方向に重ねて流路となる部分以外の箇所を接合(融着、シール)することにより形成してもよい。この際、接続回路26を形成する壁部(非シール部)は、接続回路26が自然状態で開いた流路となるようにシールされている部分に対して外側に突出するように形成するのが好ましい。また、この場合、接続回路26の流路両側の余分なシートを切除してもよい。接続回路26は、IC供給流路40、培地供給ライン42、IC循環回路44、EC供給流路46、EC循環回路48、連結ライン50、サンプリングライン52、回収ライン54及び廃液流路56を有する。
【0022】
IC供給流路40は、第1IC供給ライン40a、第2IC供給ライン40b及び第3IC供給ライン40cを含む。第1IC供給ライン40aの一端は、細胞液バッグ18に対して無菌接合されている。第1IC供給ライン40aの他端は、IC循環回路44に連結されている。第2IC供給ライン40bの一端は、剥離液バッグ20に対して無菌接合されている。第2IC供給ライン40bの他端は、第1IC供給ライン40aの途中部位に連結されている。第3IC供給ライン40cの一端は、培地供給ライン42に連結されている。第3IC供給ライン40cの他端は、第2IC供給ライン40bの途中部位に連結されている。
【0023】
培地供給ライン42一端は、細胞培養キット12を細胞培養装置14にセットする際に、細胞培養装置14の後述する培地収容部74の接続チューブに対して無菌接合される。培地供給ライン42の他端は、第3IC供給ライン40cに連結されている。培地供給ライン42には、培地収容部74から導かれた培地(冷却されている培地)を所望の温度に昇温するための培地中間流路58が設けられている。培地中間流路58は、培地収容部74から処理部24までの間に設けられている。
【0024】
図2及び
図3に示すように、IC循環回路44は、IC供給流路40からIC循環回路44に導入された液体を各バイオリアクタ30のIC領域に循環させる。
図3において、IC循環回路44は、5つのIC導入ライン44aと、5つのIC導出ライン44bと、IC循環ライン44cとを含む。
【0025】
5つのIC導入ライン44aは、5つのバイオリアクタ30のIC入口ポート36aに連結されている。5つのIC導出ライン44bは、5つのバイオリアクタ30のIC出口ポート36bに連結されている。IC循環ライン44cの一端部は、5つのIC導入ライン44aに連結されている。IC循環ライン44cの他端部は、5つのIC導出ライン44bに連結されている。IC循環ライン44cには、IC循環ライン44cを流通する液体を所望の温度に昇温するためのIC中間流路60が設けられている。
【0026】
図2に示すように、EC供給流路46は、第1EC供給ライン46a及び第2EC供給ライン46bを含む。第1EC供給ライン46aの一端は、培地供給ライン42に対して連結されている。第1EC供給ライン46aの他端は、EC循環回路48に連結されている。第2EC供給ライン46bの一端は、細胞培養キット12を細胞培養装置14にセットする際に、細胞培養装置14の後述する洗浄液収容部76の接続チューブに対して無菌接合される。第2EC供給ライン46bの他端は、第1EC供給ライン46aの途中部分に連結されている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、EC循環回路48は、EC供給流路46からEC循環回路48に導かれた液体を各バイオリアクタ30のEC領域に循環させる。
図3において、EC循環回路48は、5つのEC導入ライン48aと、5つのEC導出ライン48bと、EC循環ライン48cとを含む。
【0028】
5つのEC導入ライン48aは、5つのバイオリアクタ30のEC入口ポート38aに連結されている。5つのEC導出ライン48bは、5つのバイオリアクタ30のEC出口ポート38bに連結されている。EC循環ライン48cの一端部は、5つのEC導入ライン48aに連結されている。EC循環ライン48cの他端部は、5つのEC導出ライン48bに連結されている。EC循環ライン48cには、EC循環ライン48cを流通する液体を所望の温度に昇温するためのEC中間流路62が設けられている。
【0029】
図2に示すように、連結ライン50は、IC供給流路40とEC供給流路46とを互いに連結する。具体的に、連結ライン50の一端は、第2IC供給ライン40bにおける第3IC供給ライン40cとの連結部分よりも下流側に連結している。連結ライン50の他端は、第1EC供給ライン46aにおける第2EC供給ライン46bとの連結部分よりも下流側に連結している。
【0030】
サンプリングライン52は、各バイオリアクタ30のEC領域を流通した培地の一部を取得するための流路である。サンプリングライン52の一端は、EC循環ライン48cにおける処理部24よりも下流側に連結されている。サンプリングライン52の他端は、細胞培養キット12を細胞培養装置14にセットする際に、細胞培養装置14の後述するセンサ装置70の接続チューブに対して無菌接合される。本実施形態において、サンプリングライン52の一端部は、セット状態で回路制御装置66に設けられている(
図1参照)。ただし、サンプリングライン52の一端部は、セット状態でリアクタ設置装置68に設けられてもよい。
【0031】
回収ライン54は、培養された細胞をIC循環回路44から回収バッグ22に導くための流路である。回収ライン54の一端は、IC循環ライン44cにおける処理部24よりも下流側に連結している。回収ライン54の他端は、回収バッグ22に対して無菌接合されている。
【0032】
廃液流路56は、使用済みの液体(廃液)を細胞培養装置14の後述する廃液収容部78に導くための流路である。廃液流路56は、IC廃液ライン56aとEC廃液ライン56bとを含む。IC廃液ライン56aの一端は、IC循環ライン44cにおける処理部24から回収ライン54との連結部までの間の区間に連結されている。IC廃液ライン56aの他端は、細胞培養キット12を細胞培養システム10にセットする際に、廃液収容部78の接続チューブに対して無菌接合される。EC廃液ライン56bの一端は、EC循環ライン48cにおけるサンプリングライン52との連結部から第1EC供給ライン46aとの連結部までの間の区間に連結されている。EC廃液ライン56bの他端は、IC廃液ライン56aに連結されている。
【0033】
ガス交換器28は、EC循環ライン48cにおける第1EC供給ライン46aとの連結部とEC中間流路62との間に設けられている。ガス交換器28は、EC循環ライン48cを流通する液体(培地)に所定のガス成分を混合する。混合するガス成分としては、例えば、自然界の空気に近い成分(窒素N2:75%、酸素O2:20%、二酸化炭素CO2:5%)が挙げられる。
【0034】
ガス交換器28の構造は、特に限定されず、バイオリアクタ30と同様に、複数の中空糸32をハウジング34内に設けたものを適用することができる。
【0035】
図1及び
図2に示すように、細胞培養装置14は、1つのタンク装置64、2つの回路制御装置66、2つのリアクタ設置装置68及び1つのセンサ装置70を備える。細胞培養装置14は、2つの回路制御装置66として、第1回路制御装置66aと第2回路制御装置66bとを有する。細胞培養装置14は、2つのリアクタ設置装置68として、第1リアクタ設置装置68aと第2リアクタ設置装置68bとを有する。以下の説明では、第1回路制御装置66aと第2回路制御装置66bとを特に区別しない場合には、単に回路制御装置66という。また、第1リアクタ設置装置68aと第2リアクタ設置装置68bとを特に区別しない場合には、単にリアクタ設置装置68という。
【0036】
図1及び
図4に示すように、タンク装置64は、床面等に設置される箱型の基台72と、培地が収容された培地収容部74と、洗浄液が収容された洗浄液収容部76と、廃液を収容可能な廃液収容部78とを備える。基台72は、第1ケース部77及び第2ケース部80を有する。第1ケース部77は、培地収容部74を配置可能な第1ケース本体82と、第1ケース本体82の前面に開閉可能に設けられた第1扉部84(
図1及び
図5参照)とを含む。
【0037】
第1ケース部77は、培地を所望の温度(例えば、4℃以上8℃以下)に冷却する冷却部である。第2ケース部80は、洗浄液収容部76及び廃液収容部78を配置可能な第2ケース本体86と、第2ケース本体86の前面に開閉可能に設けられた第2扉部88(
図1参照)とを含む。第2ケース部80は、冷却機能を有していない。
【0038】
図4及び
図5において、培地収容部74は、硬質樹脂により箱型に成形された培地タンク90と、培地タンク90を収容可能な培地設置部材92とを有する。培地タンク90は、使い捨て品(ディスポーザブル品)であることが好ましい。ただし、培地タンク90は、再利用可能なリユース品であってもよい。培地タンク90には、細胞培養キット12を細胞培養装置14にセットした状態(以下、「セット状態」という)で、各細胞培養キット12の培地供給ライン42が接続されている。すなわち、培地収容部74(培地タンク90)は、培地収容部74から2つの接続回路26を介して2つの処理部24に培地を供給するために、2つの処理部24(2つの細胞培養キット12)に対して共用される。
【0039】
培地タンク90は、2つの処理部24(2つの細胞培養キット12)において細胞を培養するのに必要な量の培地を収容可能である。培地タンク90には、培地タンク90に連結された2つの細胞培養キット12(10個のバイオリアクタ30)によって細胞を培養するのに必要な量の培地が収容されている。具体的に、培地タンク90には、例えば、1つのバイオリアクタ30に対して20Lの培地が必要である場合には、200Lの培地が収容される。このように、細胞培養の開始から終了までに必要な量の培地が予め培地タンク90に収容されていると、培地収容部74の交換が不要であり効率的である。なお、培地は、クリーンベンチにおいて培地タンク90に収容される。
【0040】
また、培地は、細胞の培養期間(例えば、7日以上)継続して室温(例えば、22℃)又は明所で保管すると、培地の成分(タンパク質及びグルタミン等)が変性するリスクがある。しかしながら、本実施形態では、低温且つ暗所である第1ケース部77に培地を保管するため、培地の成分の変性が効果的に抑えられる。
【0041】
培地設置部材92は、硬質樹脂により成形されている。培地設置部材92は、再利用可能なリユース品である。培地設置部材92は、上方が開口している。培地設置部材92の底面には、複数のローラ94(車輪)が設けられている。これにより、培地設置部材92の内側に培地タンク90を配置した状態で、比較的重い培地収容部74を複数のローラ94によって円滑に移動させることができる。よって、第1ケース部77に対する培地収容部74の出し入れを簡単且つ効率的に行うことができる。培地設置部材92は、上述した構成に限定されず、台車であってもよい。
【0042】
図4において、洗浄液収容部76は、硬質樹脂により箱型に成形された洗浄液タンク96と、洗浄液タンク96を収容可能な洗浄液設置部材98とを有する。洗浄液タンク96は、使い捨て品(ディスポーザブル品)であることが好ましい。ただし、洗浄液タンク96は、再利用可能なリユース品であってもよい。洗浄液タンク96には、セット状態で、各細胞培養キット12の第2EC供給ライン46bが接続されている。すなわち、洗浄液収容部76(洗浄液タンク96)は、洗浄液収容部76から2つの接続回路26を介して2つの処理部24に洗浄液を供給するために、2つの処理部24(2つの細胞培養キット12)に対して共用される。
【0043】
洗浄液タンク96は、2つの処理部24(2つの細胞培養キット12)を洗浄するのに必要な量の培地を収容可能である。洗浄液タンク96は、洗浄液タンク96に連結された2つの細胞培養キット12の洗浄に必要な量の洗浄液が収容されている。この場合、細胞培養中に洗浄液タンク96の交換が不要であり効率的である。
【0044】
洗浄液設置部材98は、硬質樹脂により成形されている。洗浄液設置部材98は、再利用可能なリユース品である。洗浄液設置部材98は、上方が開口している。洗浄液設置部材98の底面には、複数のローラ100(車輪)が設けられている。これにより、洗浄液設置部材98の内側に洗浄液タンク96を配置した状態で、比較的重い洗浄液収容部76を複数のローラ100によって円滑に移動させることができる。よって、第2ケース部80に対する洗浄液収容部76の出し入れを簡単且つ効率的に行うことができる。洗浄液設置部材98は、上述した構成に限定されず、台車であってもよい。
【0045】
廃液収容部78は、硬質樹脂により箱型に成形されている。廃液収容部78は、再利用可能なリユース品である。ただし、廃液収容部78は、使い捨て品(ディスポーザブル品)であってもよい。廃液収容部78には、セット状態で、各細胞培養キット12の廃液流路56(IC廃液ライン56a)が接続されている。すなわち、廃液収容部78は、2つの処理部24から2つの接続回路26を介して廃液収容部78に廃液を排出するために、2つの処理部24(2つの細胞培養キット12)に対して共用される。
【0046】
廃液収容部78は、2つの処理部24(2つの細胞培養キット12)から排出される廃液を収容可能である。つまり、廃液収容部78は、廃液収容部78に連結された2つの細胞培養キット12で使用された廃液(液体)を収容可能な大きさに形成されている。この場合、細胞培養中に廃液収容部78の交換が不要であり効率的である。
【0047】
廃液収容部78の底面には、複数のローラ102(車輪)が設けられている。これにより、廃液収容部78を複数のローラ102によって円滑に移動させることができる。よって、第2ケース部80に対する廃液収容部78の出し入れを簡単且つ効率的に行うことができる。
【0048】
培地タンク90及び洗浄液タンク96は、硬質樹脂により形成された例に限定されず、例えば、軟質樹脂によって袋状に形成された大容量のバッグであってもよい。
【0049】
図1に示すように、第1回路制御装置66a、第1リアクタ設置装置68a、第2回路制御装置66b、第2リアクタ設置装置68b及びセンサ装置70は、基台72の上面72aに配置されている。第1回路制御装置66a及び第1リアクタ設置装置68aは、互いに隣接している。第2回路制御装置66b及び第2リアクタ設置装置68bは、互いに隣接している。
【0050】
第1回路制御装置66aには、第1細胞培養キット12aの接続回路26が着脱可能である。第1回路制御装置66aは、細胞及び培地の接続回路26から処理部24への供給と培養された細胞の処理部24から接続回路26への回収とを行うためのものである。
【0051】
図2及び
図6に示すように、第1回路制御装置66aは、箱型の筐体104、複数のクランプ106、複数のポンプ108及び第1保持部110を備える。
図6において、筐体104は、接続回路26を設置可能な内部空間105を有する。筐体104は、筐体本体112と、筐体本体112の前面に開閉可能に設けられた筐体扉部114とを含む。
【0052】
筐体104は、筐体104の内部空間105を所望の温度(例えば、37℃)に保持する調温機能を有している。すなわち、筐体104は、培地中間流路58を昇温するための昇温機構107として機能する。
図1において、筐体104の上面には、複数のバッグ(細胞液バッグ18、剥離液バッグ20、回収バッグ22)を吊り下げるためのバッグ支持部116が設けられている。筐体扉部114の外表面には、細胞培養の現在の工程等を表示する表示部118が設けられている(
図1参照)。
【0053】
図2に示すように、複数のクランプ106は、接続回路26のライン(チューブ)を構成する壁部を外側から押圧することにより当該ラインの内部流路を開閉する開閉弁である。第1回路制御装置66aは、複数のクランプ106として、第1クランプ106a、第2クランプ106b、第3クランプ106c、第4クランプ106d、第5クランプ106e、第6クランプ106f、第7クランプ106g、第8クランプ106h及び第9クランプ106iを有する。
【0054】
第1クランプ106aは、セット状態で第1IC供給ライン40aに対向するように配置され、第1IC供給ライン40aの内部流路を開閉する。第2クランプ106bは、セット状態で第2IC供給ライン40bに対向するように配置され、第2IC供給ライン40bの内部流路を開閉する。第3クランプ106cは、セット状態で第3IC供給ライン40cに対向するように配置され、第3IC供給ライン40cの内部流路を開閉する。
【0055】
第4クランプ106dは、セット状態で第1EC供給ライン46aに対向するように配置され、第1EC供給ライン46aの内部流路を開閉する。第5クランプ106eは、セット状態で第2EC供給ライン46bに対向するように配置され、第2EC供給ライン46bの内部流路を開閉する。第6クランプ106fは、セット状態で連結ライン50に対向するように配置され、連結ライン50の内部流路を開閉する。
【0056】
第7クランプ106gは、セット状態で回収ライン54に対向するように配置され、回収ライン54の内部流路を開閉する。第8クランプ106hは、セット状態でIC廃液ライン56aに対向するように配置され、IC廃液ライン56aの内部流路を開閉する。第9クランプ106iは、セット状態でEC廃液ライン56bに対向するように配置され、EC廃液ライン56bの内部流路を開閉する。
【0057】
複数のポンプ108は、接続回路26のライン(チューブ)を構成する壁部をしごくように回転することにより、内部の液体に流動力を付与する。回路制御装置66は、複数のポンプ108として、IC供給ポンプ108a及びEC供給ポンプ108bを有する。
【0058】
IC供給ポンプ108aは、セット状態で第1IC供給ライン40aにおける第2IC供給ライン40bとの連結部よりも下流側に接触するように配置され、第1IC供給ライン40aを流通する液体にIC循環回路44に向かう方向の流動力を付与する。
【0059】
EC供給ポンプ108bは、セット状態で第1EC供給ライン46aにおける第2EC供給ライン46bよりも下流側に接触するように配置され、第2EC供給ライン46bを流通する液体にEC循環回路48に向かう方向の流動力を付与する。
【0060】
図2及び
図6に示すように、第1保持部110は、培地供給ライン42の培地中間流路58を所定形状(蛇行形状)に保持する。第1保持部110は、筐体104の内部空間105に設けられている。具体的に、
図6及び
図7において、第1保持部110は、四角形状の第1枠状フレーム120と、第1枠状フレーム120に設けられた第1内側フレーム122と、取付部124とを含む。
【0061】
第1内側フレーム122は、十字状に形成されている。第1内側フレーム122は、第1枠状フレーム120の各辺の中央部に連結している。
図6において、培地中間流路58は、蛇行した形状で第1枠状フレーム120及び第1内側フレーム122に対して図示しない係止部材によって係止される。
図7に示すように、取付部124は、第1内側フレーム122の中央部から突出した円柱部である。取付部124は、筐体104内に設けられた装着部126に取り付けられる。取付部124の位置、形状、大きさ、数は、適宜変更可能である。
【0062】
図2において、第1保持部110に保持される培地中間流路58の長さは、第1昇温時間だけ培地を流通させることができるような長さに設定されている。ここで、第1昇温時間とは、培地収容部74で冷却されている培地の温度(例えば、5℃)が所望の温度(例えば、37℃)まで昇温される時間をいう。第1回路制御装置66aは、上述した構成の他、図示しない圧力センサや液位センサ等を備えている。
【0063】
本実施形態では、装着部126(
図7参照)がバイオリアクタ30を回転可能に支持できるように形成されるとともに第1回路制御装置66aがIC循環ポンプ127aとEC循環ポンプ127bとをさらに有することが好ましい(
図2参照)。
【0064】
このように構成すれば、例えば、1つのバイオリアクタを用いた細胞培養を実施すればよい場合(少量の細胞培養を実施すればよい場合)に、バイオリアクタを1つだけ有する細胞培養キットを第1回路制御装置66aにセットして細胞培養を行うことができる。この際、当該バイオリアクタは、装着部126にセットされる。
【0065】
また、IC循環ポンプ127aは、当該細胞培養キットのIC循環ラインを流通する液体をバイオリアクタに向かう方向の流動力を付与する。さらに、EC循環ポンプ127bは、当該細胞培養キットのEC循環ラインを流通する液体をバイオリアクタに向かう方向の流動力を付与する。なお、本実施形態のように複数(5つ)のバイオリアクタ30を有する細胞培養キット12を用いた細胞培養では、IC循環ポンプ127a及びEC循環ポンプ127bは、使用されない。
【0066】
図2に示すように、第2回路制御装置66bには、第2細胞培養キット12bの接続回路26がセットされる。第2回路制御装置66bの構成は、第1回路制御装置66aの構成と同一である。そのため、第2回路制御装置66bの構成の説明については省略する。
【0067】
図3及び
図6に示すように、第1リアクタ設置装置68aには、第1細胞培養キット12aの処理部24がセットされる。第1リアクタ設置装置68aは、箱型のリアクタケース部128、5つのリアクタ支持部130、複数のポンプ132及び第2保持部134を備える。
図6において、リアクタケース部128は、処理部24(5つのバイオリアクタ30)を設置可能な内部空間129を有する。リアクタケース部128は、リアクタケース本体136と、リアクタケース本体136の前面に開閉可能に設けられた扉部138とを含む。リアクタケース部128は、リアクタケース部128の内部空間129を所望の温度(例えば、37℃)に保持する調温機能を有している。すなわち、リアクタケース部128は、IC中間流路60を昇温するための昇温機構131として機能する。
【0068】
図3において、リアクタ支持部130は、リアクタケース部128の内部空間129に設けられている。リアクタ支持部130は、バイオリアクタ30を着脱可能に形成されている。リアクタ支持部130は、回転軸Axを中心にバイオリアクタ30を回転可能に支持する。回転軸Axは、バイオリアクタ30の延在方向の中心に位置する。回転軸Axは、バイオリアクタ30の延在方向と直交する方向に延在している。
【0069】
第1リアクタ設置装置68aは、複数のポンプ132として、5つのIC循環ポンプ132aと5つのEC循環ポンプ132bとを有する。IC循環ポンプ132aは、セット状態でIC導入ライン44aに接触するように配置され、IC導入ライン44aを流通する液体にバイオリアクタ30に向かう方向の流動力を付与する。EC循環ポンプ132bは、セット状態でEC導入ライン48aに接触するように配置され、EC導入ライン48aを流通する液体にバイオリアクタ30に向かう方向の流動力を付与する。
【0070】
図3及び
図6に示すように、第2保持部134は、IC導入ライン44aのIC中間流路60とEC循環ライン48cのEC中間流路62とのそれぞれを所定形状(蛇行形状)に保持する。第2保持部134は、リアクタケース部128の内部空間129に設けられている。具体的に、
図6において、第2保持部134は、四角形状の第2枠状フレーム140と、第2枠状フレーム140の内側に設けられた第2内側フレーム142とを含む。
【0071】
第2内側フレーム142は、十字状に形成されている。第2内側フレーム142は、第2枠状フレーム140の各辺の中央部に連結している。IC中間流路60及びEC中間流路62のそれぞれは、蛇行した形状で第2枠状フレーム140及び第2内側フレーム142に対して図示しない係止部材によって係止される。第2保持部134は、扉部138の内面に固定される。
【0072】
図1、
図2及び
図6に示すように、第1リアクタ設置装置68aは、第1回路制御装置66aに対して別体に設けられている。そのため、
図2及び
図6において、第1細胞培養キット12aは、セット状態で、第1回路制御装置66a及び第1リアクタ設置装置68aの外側に位置するIC外側流路45とEC外側流路49とを有する。本実施形態に係る第1細胞培養キット12aは、IC外側流路45として、第1IC外側流路45aと第2IC外側流路45bとを含む。
図2に示すように、第1IC外側流路45aは、IC循環ライン44cにおける第1IC供給ライン40aとの連結部からIC中間流路60までの間の区間に位置する。第2IC外側流路45bは、IC循環ライン44cにおける処理部24からIC廃液ライン56aとの連結部までの間の区間に位置する。
【0073】
IC循環ライン44cを流通する液体は、第1IC外側流路45a及び第2IC外側流路45bの位置で冷却される。換言すれば、IC循環ライン44cを流通する液体は、第1IC外側流路45a及び第2IC外側流路45bの位置で室温(例えば、30℃)まで冷却されることがある。
【0074】
第2保持部134に保持されるIC中間流路60の長さは、第2昇温時間だけ液体を流通させることができるような長さに設定されている。ここで、第2昇温時間とは、IC循環ライン44cを流通する際に第1IC外側流路45a又は第2IC外側流路45bで冷却された液体の温度(例えば、30℃)が所望の温度(リアクタケース部128の内部空間129の温度)まで昇温される時間をいう。
【0075】
また、第1細胞培養キット12aは、EC外側流路49として、第1EC外側流路49aと第2EC外側流路49bとを含む。第1EC外側流路49aは、EC循環ライン48cにおけるガス交換器28からEC中間流路62までの間の区間に位置する。第2EC外側流路49bは、EC循環ライン48cにおける処理部24からEC廃液ライン56bとの連結部までの間の区間に位置する。
【0076】
EC循環ライン48cを流通する液体は、第1EC外側流路49a及び第2EC外側流路49bの位置で冷却される。換言すれば、EC循環ライン48cを流通する液体(培地)は、第1EC外側流路49a及び第2EC外側流路49bの位置で室温(例えば、30℃)まで冷却されることがある。
【0077】
第2保持部134に保持されるEC中間流路62の長さは、第3昇温時間だけ液体を流通させることができるような長さに設定されている。ここで、第3昇温時間とは、EC循環ライン48cを流通する際に第1EC外側流路49a又は第2EC外側流路49bで冷却された液体の温度(例えば、30℃)が所望の温度(リアクタケース部128の内部空間129の温度)まで昇温される時間をいう。
【0078】
第2リアクタ設置装置68bには、第2細胞培養キット12bの処理部24が設置(セット)される。第2リアクタ設置装置68bの構成は、第1リアクタ設置装置68aの構成と同一である。そのため、第2リアクタ設置装置68bの構成の説明については省略する。
【0079】
図2に示すように、センサ装置70は、セット状態で第1細胞培養キット12a及び第2細胞培養キット12bに接続されている。センサ装置70は、箱型のセンサケース部144(
図1及び
図6参照)と、2つのポンプ146と、センサ部148と、廃液バッグ150とを有する。センサケース部144の上面には、廃液バッグ150を吊り下げるためのバッグ支持部152が設けられている(
図1及び
図6参照)。2つのポンプ146とセンサ部148とは、センサケース部144内に配置されている。
【0080】
ポンプ146は、上述したポンプ108と同様に構成されている。センサ装置70は、2つのポンプ146として、第1サンプリングポンプ146aと第2サンプリングポンプ146bとを有する。第1サンプリングポンプ146aは、セット状態で第1細胞培養キット12aのサンプリングライン52に接触するように配置され、当該サンプリングライン52を流通する液体(培地)にセンサ部148に向かう方向の流動力を付与する。第2サンプリングポンプ146bは、セット状態で第2細胞培養キット12bのサンプリングライン52に接触するように配置され、当該サンプリングライン52を流通する液体(培地)にセンサ部148に向かう方向の流動力を付与する。
【0081】
センサ部148は、サンプリングライン52によって導かれた培地の成分(PH、O2、CO2、グルコース及び乳酸等の濃度)を測定する。廃液バッグ150には、センサ部148による測定が完了した後の培地が排出される。
【0082】
細胞培養装置14において、センサ装置70(センサ部148及び廃液バッグ150)は、第1細胞培養キット12aと第2細胞培養キット12bとによって共用される。また、タンク装置64は、第1細胞培養キット12aと第2細胞培養キット12bとによって共用される。
【0083】
図1に示すように、コントローラ16は、図示しないプロセッサ、メモリ、入出力インターフェースを有するコンピュータである。コントローラ16は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することで、システム全体の総合的な制御を行う。コントローラ16は、有線、無線、ネットワーク又はこれらの組み合わせからなる通信手段によって、第1回路制御装置66a、第1リアクタ設置装置68a、第2回路制御装置66b、第2リアクタ設置装置68b及びセンサ装置70に接続されている。
【0084】
すなわち、第1回路制御装置66a及び第2回路制御装置66bのそれぞれは、コントローラ16からの制御信号に基づいて、複数のクランプ106と複数のポンプ108との動作を制御する。第1リアクタ設置装置68a及び第2リアクタ設置装置68bのそれぞれは、コントローラ16からの制御信号に基づいて、複数のIC循環ポンプ132a及び複数のEC循環ポンプ132bの動作を制御するとともに各バイオリアクタ30の回転動作を制御する。
【0085】
センサ部148は、コントローラ16からの制御信号に基づき、第1細胞培養キット12a又は第2細胞培養キット12bを流通する培地を取得(サンプリング)し、取得された培地の成分を測定する。また、センサ部148は、測定結果をコントローラ16に送信する。コントローラ16は、測定結果に基づいて、第1細胞培養キット12a及び第2細胞培養キット12bで培養された細胞の数を推定してもよい。コントローラ16は、センサ装置70からの測定結果に基づいて第1回路制御装置66a、第1リアクタ設置装置68a、第2回路制御装置66b及び第2リアクタ設置装置68bのそれぞれの動作をフィードバック制御する。
【0086】
次に、細胞培養システム10を用いた細胞培養方法について説明する。
【0087】
図8に示すように、細胞培養方法は、準備工程、プライミング工程、培地置き換え工程、播種工程、培養工程、剥離工程及び回収工程を含む。
【0088】
まず、
図2及び
図8において、準備工程(ステップS1)において、培地収容部74を第1ケース部77に配置するとともに洗浄液収容部76及び廃液収容部78を第2ケース部80に配置する。そして、第1細胞培養キット12aの処理部24(5つのバイオリアクタ30)を第1リアクタ設置装置68aに設置するとともに第1細胞培養キット12aの接続回路26を第1回路制御装置66aにセットする。この際、第1細胞培養キット12aの複数のバッグ(細胞液バッグ18、剥離液バッグ20及び回収バッグ22)を第1回路制御装置66aのバッグ支持部116に吊り下げる。また、第1細胞培養キット12aの接続回路26を培地収容部74、洗浄液収容部76、廃液収容部78及びセンサ部148のそれぞれに無菌接合する。
【0089】
続いて、第2細胞培養キット12bの処理部24(5つのバイオリアクタ30)を第2リアクタ設置装置68bに設置するとともに第2細胞培養キット12bの接続回路26を第2回路制御装置66bにセットする。この際、第2細胞培養キット12bの複数のバッグ(細胞液バッグ18、剥離液バッグ20及び回収バッグ22)を第2回路制御装置66bのバッグ支持部116に吊り下げる。また、第2細胞培養キット12bの接続回路26を培地収容部74、洗浄液収容部76、廃液収容部78及びセンサ部148のそれぞれに無菌接合する。
【0090】
その後、プライミング工程(ステップS2)において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68は、所定のクランプ106及びポンプ108、132を駆動することにより、洗浄液収容部76の洗浄液を接続回路26と各バイオリアクタ30とに導く。これにより、接続回路26内と各バイオリアクタ30内(IC領域及びEC領域)とが洗浄液で満たされる。この際、接続回路26内及びバイオリアクタ30内に存在していた空気は、洗浄液とともに廃液収容部78に排出される。
【0091】
そして、培地置き換え工程(ステップS3)において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68は、所定のクランプ106及びポンプ108、132を駆動することにより、培地収容部74の培地を接続回路26と各バイオリアクタ30とに導く。これにより、接続回路26内と各バイオリアクタ30内(IC領域及びEC領域)とに存在していた洗浄液が培地に置き換えられる。
【0092】
次に、播種工程(ステップS4)において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68は、所定のクランプ106及びポンプ108、132を駆動することにより、細胞液バッグ18の細胞液を、各バイオリアクタ30のIC領域に供給する。具体的に、細胞液バッグ18から第1IC供給ライン40aを介してIC循環ライン44cに導かれた細胞液は、5つのIC導入ライン44aに分かれて各バイオリアクタ30のIC領域に導かれる(
図3参照)。この際、5つのIC循環ポンプ132aが5つのIC導入ライン44aを流れる液体(細胞液)に流動力を付与するため、5つのバイオリアクタ30に略均等に細胞液が供給される。
【0093】
その後、培養工程(ステップS5)において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68は、所定のクランプ106及びポンプ108、132を駆動することにより、培地収容部74の培地を各バイオリアクタ30のIC領域及びEC領域に供給してバイオリアクタ30の中空糸32内で細胞を培養(増殖)する。各バイオリアクタ30のIC領域への培地の供給と各バイオリアクタ30のEC領域への培地の供給は、同時に行われてもよいし別々に行われてもよい。また、培養工程では、各バイオリアクタ30のIC領域に培地を供給せず、各バイオリアクタ30のEC領域にのみ培地を供給してもよい。
【0094】
具体的に、培養工程において、培地収容部74内の低温(例えば、5℃)の培地は、培地供給ライン42を流通してタンク装置64から回路制御装置66の筐体104の内部空間105に設けられた培地中間流路58に導かれる。培地中間流路58を流通する培地は、所望の温度(例えば、37℃)まで昇温される。
【0095】
そして、各バイオリアクタ30のIC領域に培地を供給する場合、培地中間流路58で昇温された培地は、第3IC供給ライン40c、第2IC供給ライン40b、第1IC供給ライン40aを介してIC循環ライン44cに導入される。IC循環ライン44cに導入された培地は、第1IC外側流路45aを流通する際に温度が低下する(例えば、30℃まで低下する)。
【0096】
その後、温度が低下した培地は、リアクタケース部128の内部空間129に設けられたIC中間流路60に導かれる。IC中間流路60を流通する培地は、所望の温度(例えば、37℃)まで昇温される。IC中間流路60を流通した培地は、5つのIC導入ライン44aに分岐して各バイオリアクタ30のIC領域に導かれることにより各バイオリアクタ30のIC領域の培地が新しいものに交換される。これにより、各バイオリアクタ30に中空糸32の内面に播種されている細胞に酸素等の栄養が効率的に供給される。
【0097】
また、培養工程において、培地は、IC循環回路44内を循環する。この際、培地は、第1IC外側流路45aと第2IC外側流路45bを流通する際に温度が低下するが、IC中間流路60で昇温されるため、各バイオリアクタ30のIC領域に供給される培地の温度は所望の温度に維持される。
【0098】
また、各バイオリアクタ30のEC領域に培地を供給する場合、培地中間流路58で昇温された培地は、第1EC供給ライン46aを介してEC循環ライン48cに導入される。EC循環ライン48cに導入された培地は、ガス交換器28を通過した後で、第1EC外側流路49aを流通する際に温度が低下する(例えば、30℃まで低下する)。
【0099】
その後、温度が低下した培地は、リアクタケース部128の内部空間129に設けられたEC中間流路62に導かれる。EC中間流路62を流通する培地は、所望の温度(例えば、37℃)まで昇温される。EC中間流路62を流通した培地は、5つのEC導入ライン48aに分岐して各バイオリアクタ30のEC領域に導かれる。各バイオリアクタ30では、IC領域の培地とEC領域の培地との間で栄養分等の交換が行われる。これにより、各バイオリアクタ30に中空糸32の内面に播種されている細胞に酸素等の栄養が効率的に供給される。
【0100】
また、培養工程において、培地は、EC循環回路48内を循環する。この際、培地は、第1EC外側流路49aと第2EC外側流路49bを流通する際に温度が低下するが、EC中間流路62で昇温されるため、各バイオリアクタ30のEC領域に供給される培地の温度は所望の温度に維持される。また、EC循環回路48を循環する培地は、ガス交換器28を流通する際にガス交換が行われる。そのため、各バイオリアクタ30のEC領域には、所望のガス成分を含む培地が供給されることになる。
【0101】
さらに、培養工程は、測定工程(ステップS5a)を含む。測定工程において、センサ装置70は、ポンプ146を駆動することにより、EC循環ライン48cのうち処理部24の下流側の部分を流通する培地をセンサ部148に導く。センサ部148は、培地(処理部24内の培地)の成分を測定する。センサ部148の測定結果は、コントローラ16に送信される。コントローラ16は、測定結果に基づいて培地交換の時期(タイミング)、期間、回数等を決定する。センサ部148による測定が完了した後の培地は、廃液バッグ150に排出される。培養工程中に実施される測定工程の時期(タイミング)及び回数等は、適宜設定可能である。
【0102】
培養工程が終了すると、剥離工程(ステップS6)において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68は、所定のクランプ106及びポンプ108、132を駆動することにより、剥離液を各バイオリアクタ30のIC領域に導く。これにより、各バイオリアクタ30のIC領域で培養された(増殖した)細胞を中空糸32の内面から剥離することができる。
【0103】
続いて、回収工程(ステップS7)において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68は、所定のクランプ106及びポンプ108、132を駆動することにより、各バイオリアクタ30のIC領域に培地を供給しながら剥離工程で剥離した細胞を各バイオリアクタ30から回収バッグ22に導く。回収工程の完了後、今回の細胞培養方法の動作が終了する。
【0104】
本実施形態に係る細胞培養システム10は、以下の効果を奏する。
【0105】
細胞培養システム10は、細胞を培養する複数の処理部24と、複数の処理部24をそれぞれ設置可能な複数のリアクタ設置装置68と、複数の処理部24にそれぞれ接続された複数の接続回路26と、複数の接続回路26をそれぞれ着脱可能であり、細胞及び培地の複数の接続回路26から複数の処理部24への供給と、培養された細胞の複数の処理部24から複数の接続回路26への回収と、を行うための複数の回路制御装置66と、処理部24に導かれた培地の成分を測定するために、複数の処理部24に対して共用されるセンサ装置70とを備える。複数の処理部24の各々は、複数のバイオリアクタ30を有する。
【0106】
このような構成によれば、処理部24(複数のバイオリアクタ30)毎に回路制御装置66を用意すればよいため、回路制御装置66の数がバイオリアクタ30の数よりも少なくなる。よって、コストの高騰化を抑えつつ細胞培養の量を効率的に増大させることができる。また、センサ装置70が複数の処理部24によって共用されるため、複数の処理部24毎にセンサ装置70を設ける場合と比較して、センサ装置70の数を削減することができる。従って、細胞培養システム10のコストの高騰化をさらに抑えることができる。
【0107】
センサ装置70は、複数の処理部24がそれぞれ複数のリアクタ設置装置68に設置されたセット状態で、複数の接続回路26に接続されている。
【0108】
細胞培養装置14は、培地を収容するための培地収容部74を有するタンク装置64を備える。培地収容部74は、培地収容部74から複数の接続回路26を介して複数の処理部24に培地を供給するために、複数の処理部24に対して共用される。
【0109】
このような構成によれば、培地収容部74が複数の処理部24(複数の細胞培養キット12)によって共用されるため、複数の処理部24毎に培地収容部74を設ける場合と比較して、培地収容部74の数を削減することができる。
【0110】
培地収容部74は、複数の処理部24において細胞を培養するのに必要な量の培地が収容可能である。
【0111】
このような構成によれば、複数の処理部24(複数のバイオリアクタ30)を用いた細胞培養の際に多量の培地が必要になっても、細胞培養中に培地収容部74を交換しなくてもよくなる。そのため、細胞培養を円滑且つ効率的に行うことができる。
【0112】
タンク装置64は、廃液を収容するための廃液収容部78を有する。廃液収容部78は、複数の処理部24から複数の接続回路26を介して廃液収容部78に廃液を排出するために、複数の処理部24に対して共用される。
【0113】
このような構成によれば、廃液収容部78が複数の処理部24(複数の細胞培養キット12)によって共用されるため、複数の処理部24毎に廃液収容部78を設ける場合と比較して、廃液収容部78の数を削減することができる。
【0114】
タンク装置64は、洗浄液を収容するための洗浄液収容部76を有する。洗浄液収容部76は、洗浄液収容部76から複数の接続回路26を介して複数の処理部24に洗浄液を供給するために、複数の処理部24に対して共用される。
【0115】
このような構成によれば、洗浄液収容部76が複数の処理部24(細胞培養キット12)によって共用されるため、複数の処理部24毎に洗浄液収容部76を設ける場合と比較して、洗浄液収容部76の数を削減することができる。
【0116】
洗浄液収容部76には、複数の処理部24を洗浄するのに必要な量の洗浄液を収容可能である。
【0117】
このような構成によれば、複数の処理部24(複数の細胞培養キット12)を用いた細胞培養の際に多量の洗浄液が必要になっても、細胞培養中に洗浄液収容部76を交換しなくてもよくなる。そのため、細胞培養を円滑且つ効率的に行うことができる。
【0118】
センサ装置70は、培地の成分を測定するためのセンサ部148と、複数の処理部24を流通した培地をセンサ部148に導くための複数のポンプ146と、を有する。
【0119】
このような構成によれば、複数の処理部24を流通した培地をセンサ部148に効率的に導くことができる。
【0120】
細胞培養システム10は、複数の回路制御装置66の動作を制御するコントローラ16を備える。コントローラ16は、センサ装置70の測定結果に基づいて複数の回路制御装置66の動作をフィードバック制御する。
【0121】
このような構成によれば、細胞培養を効果的に行うことができる。
【0122】
複数のバイオリアクタ30の各々は、複数の中空糸32を含む。
【0123】
このような構成によれば、各バイオリアクタ30において細胞培養を効率的に行うことができる。
【0124】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0125】
リアクタ設置装置68が設置可能なバイオリアクタ30の数は、5個に限定されず、2個、3個又は4個であってもよいし、6個以上であってもよい。細胞培養システム10において、回路制御装置66及びリアクタ設置装置68のそれぞれは、3つ以上設けられてもよい。この場合、タンク装置64及びセンサ装置70のそれぞれは、2つ以上設けられてもよい。
【0126】
細胞培養システム10において、IC中間流路60又はEC中間流路62が省略されてもよい。また、細胞培養システム10において、IC中間流路60及びEC中間流路62の両方が省略されるとともに第2保持部134が省略されてもよい。さらに、細胞培養システム10において、培地中間流路58及び第1保持部110は、省略されてもよい。
【0127】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0128】
上記実施形態は、細胞を培養する複数の処理部(24)と、前記複数の処理部をそれぞれ設置可能な複数のリアクタ設置装置(68)と、前記複数の処理部にそれぞれ接続された複数の接続回路(26)と、前記複数の接続回路をそれぞれ着脱可能であり、前記細胞及び培地の前記複数の接続回路から前記複数の処理部への供給と、培養された細胞の前記複数の処理部から前記複数の接続回路への回収と、を行うための複数の回路制御装置(66)と、前記複数の処理部に導かれた前記培地の成分を測定するために、前記複数の処理部に対して共用されるセンサ装置(70)と、を備え、前記複数の処理部の各々は、複数のバイオリアクタ(30)を有する、細胞培養システム(10)を開示している。
【0129】
上記の細胞培養システムにおいて、前記センサ装置は、前記複数の処理部がそれぞれ前記複数のリアクタ設置装置に設置されたセット状態で、前記複数の処理部又は前記複数の接続回路に接続されてもよい。
【0130】
上記の細胞培養システムにおいて、前記培地を収容するための培地収容部(74)を有するタンク装置(64)を備え、前記培地収容部は、当該培地収容部から前記複数の接続回路を介して前記複数の処理部に前記培地を供給するために、前記複数の処理部に対して共用されてもよい。
【0131】
上記の細胞培養システムにおいて、前記培地収容部は、前記複数の処理部において細胞を培養するのに必要な量の前記培地を収容可能であってもよい。
【0132】
上記の細胞培養システムにおいて、前記タンク装置は、廃液を収容するための廃液収容部(78)を有し、前記廃液収容部は、前記複数の処理部から前記複数の接続回路を介して前記廃液収容部に前記廃液を排出するために、前記複数の処理部に対して共用されてもよい。
【0133】
上記の細胞培養システムにおいて、前記タンク装置は、洗浄液を収容するための洗浄液収容部(76)を有し、前記洗浄液収容部は、当該洗浄液収容部から前記複数の接続回路を介して前記複数の処理部に前記洗浄液を供給するために、前記複数の処理部に対して共用されてもよい。
【0134】
上記の細胞培養システムにおいて、前記洗浄液収容部には、前記複数の処理部を洗浄するのに必要な量の前記洗浄液を収容可能であってもよい。
【0135】
上記の細胞培養システムにおいて、前記センサ装置は、前記培地の成分を測定するためのセンサ部(148)と、前記複数の処理部を流通した前記培地を前記センサ部に導くための複数のポンプ(146)と、を有してもよい。
【0136】
上記の細胞培養システムにおいて、前記複数の回路制御装置の動作を制御するコントローラ(16)を備え、前記コントローラは、前記センサ装置の測定結果に基づいて前記複数の回路制御装置の動作をフィードバック制御してもよい。
【0137】
上記の細胞培養システムにおいて、前記複数のバイオリアクタの各々は、複数の中空糸(32)を含んでもよい。
【国際調査報告】