(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】真空減衰リーク検出のための動的信号処理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/26 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G01M3/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545218
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 US2021054344
(87)【国際公開番号】W WO2022211846
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518272382
【氏名又は名称】パッケージング テクノロジーズ アンド インスペクション、エルエルシイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケネラー、ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】ハント、グエルネイ
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA01
2G067AA21
2G067DD02
2G067DD03
(57)【要約】
リーク検出装置は、試験チャンバと、空気圧ラインを介して試験チャンバに接続される真空源とを含む。第1の圧力トランスデューサは、試験チャンバと連通している。コントローラは、試験サイクル全体を通して、予め決定された頻度で第1の圧力トランスデューサにより生成されるデータを収集及び分析するように構成される。コントローラは、データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールに変換し、データの第1のセットに線形回帰を適用し、回帰パラメータを決定するようにも構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験チャンバと、
空気圧ラインを介して前記試験チャンバに接続される真空源と、
前記試験チャンバと連通している第1の圧力トランスデューサと、
コントローラであって、
試験サイクル全体を通して、予め決定された頻度で前記第1の圧力トランスデューサにより生成されるデータを収集及び分析すること、
データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールに変換すること、及び
データの前記第1のセットに線形回帰を適用し、回帰パラメータを決定することを行うように構成される、コントローラと
を備える、リーク検出装置。
【請求項2】
前記真空源を前記試験チャンバから選択的に切り離すために、前記空気圧ラインに接続されるセレクタ弁と、
前記セレクタ弁と前記試験チャンバとの間で、前記空気圧ラインに接続されるチャンバ弁と、
前記空気圧ラインに接続される周囲空気排出部と
をさらに備える、請求項1に記載のリーク検出装置。
【請求項3】
前記セレクタ弁は、第1の応答時間を有し、前記チャンバ弁は、第2の応答時間を有し、前記第1の圧力トランスデューサは、第3の応答時間を有し、前記コントローラは、データ獲得サンプリングの第4の応答時間を有し、前記第1、第2、第3、及び第4の応答時間はすべて、前記リーク検出システムの排気時間よりも約2桁高速である、請求項2に記載のリーク検出装置。
【請求項4】
前記空気圧ラインに接続される精密制限オリフィスをさらに備える、請求項2に記載のリーク検出装置。
【請求項5】
前記チャンバ弁と前記試験チャンバとの間で、前記空気圧ラインに接続されるバイパス空気圧ラインと、
前記バイパス空気圧ラインに接続されるバイパス弁と、
前記バイパス空気圧ラインに接続される差圧トランスデューサであって、前記バイパス弁は、前記差圧トランスデューサと前記試験チャンバとの中間にある、差圧トランスデューサと
をさらに備える、請求項2に記載のリーク検出装置。
【請求項6】
前記真空源に対応する圧力を測定するように構成される第2の圧力トランスデューサをさらに備える、請求項1に記載のリーク検出装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、リーク試験を継続すること又は打ち切ることを決定するように構成される、請求項1に記載のリーク検出装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、試験結果を決定するように構成される、請求項1に記載のリーク検出装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、試験条件を動的に決定するように構成される、請求項1に記載のリーク検出装置。
【請求項10】
センサを含むリーク検出システムを使用して、リーク試験を遂行するように構成されるコントローラであって、
前記センサにより生成されるデータを収集するように構成されるデータ獲得モジュールと、
データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールに変換し、データの前記第1のセットに基づいて、前記データの線形回帰パラメータを決定するように構成される統計的信号処理モジュールと
を備える、コントローラ。
【請求項11】
前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、前記リーク試験を継続すること又は打ち切ることを決定するように構成される帰無仮説モジュールを備える、請求項10に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記帰無仮説モジュールが、前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、試験条件を動的に決定するように構成される、請求項10に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記帰無仮説モジュールが、前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、試験結果を決定するように構成される、請求項10に記載のコントローラ。
【請求項14】
圧力トランスデューサを含むリーク検出システムを使用して、リーク試験を遂行する方法であって、前記方法は、
前記リーク試験を開始し、予め決定された排気期間、及び、予め決定された定常状態期間をセットするステップと、
試験サイクル全体を通して、予め決定された頻度で前記圧力トランスデューサからデータを収集するステップと、
前記収集されたデータに対して統計的信号処理を遂行するステップと、
試験条件を動的に更新するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記統計的信号処理は、
データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールへと変換することと、
データの前記第1のセットの線形回帰パラメータを決定することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記試験条件を動的に更新するステップは、前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に応答して、基本モードのもとで前記リーク試験を遂行するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記試験条件を動的に更新するステップは、前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に応答して、デュアル・センサ・モードのもとで前記リーク試験を遂行するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記試験条件を動的に更新するステップは、前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に応答して、反復性が改善されたモードのもとで前記リーク試験を遂行するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記試験条件を動的に更新するステップは、前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に応答して、再現性が改善されたモードのもとで前記リーク試験を遂行するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記線形回帰パラメータの帰無仮説評価に基づいて、前記リーク試験を継続すること又は打ち切ることを決定するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リーク検出のためのシステム及び方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ・リーク試験は、しばしば、試験チャンバ内のパッケージが真空引きされる真空減衰試験方法を使用する。試験チャンバ内の真空レベルが、パッケージにおけるリークの存在又は非存在を決定するために測定される。例えば、ネガティブ・コントロールを使用して確立された、予め決定された合格/不合格限度を上回る、指定された時点における圧力増大は、リークを指し示す。正確な測定及びデータ解釈が、正確な試験結果を達成するために重要である。しかしながら、圧力測定の信号対ノイズ比を改善することは難題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
所与の実例において、リーク検出装置は、試験チャンバと、空気圧ライン(pneumatic line)を介して試験チャンバに接続される真空源とを含む。リーク検出装置は、試験チャンバと連通している第1の圧力トランスデューサを含む。リーク検出装置は、コントローラも含む。コントローラは、試験サイクル全体を通して、予め決定された頻度で第1の圧力トランスデューサにより生成されるデータを収集及び分析するように構成される。コントローラは、データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールに変換し、データの第1のセットに線形回帰を適用し、回帰パラメータを決定するようにも構成される。
【0004】
コントローラは、センサを含むリーク検出システムを使用して、真空減衰リーク試験を遂行するように構成されてもよい。コントローラは、センサにより生成されるデータを収集するように構成されるデータ獲得モジュールを含む。コントローラは、データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールに変換することと、データの第1のセットに基づいてデータの線形回帰パラメータを決定することとを行うように構成される統計的信号処理モジュールを含む。
【0005】
圧力トランスデューサを含むリーク検出システムを使用して、真空減衰リーク試験を遂行する方法。方法は、真空減衰リーク試験を開始し、予め決定された排気(evacuation)期間、及び、予め決定された定常状態期間をセットするステップを含む。方法は、試験サイクル全体を通して、予め決定された頻度で圧力トランスデューサからデータを収集するステップを含む。方法は、さらには、収集されたデータに対して統計的信号処理を遂行するステップと、試験条件を動的に更新するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的な真空減衰リーク検出システムの図である。
【
図2】
図1の真空減衰リーク検出の例示的なコントローラの図である。
【
図3】
図1の真空減衰リーク検出システムにより遂行される例示的な統計的分析を示す図である。
【
図4】
図1の真空減衰リーク検出システムを使用する真空減衰リーク検出のための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面において概略的に示される装置は、システム請求項において記載される要素の実例である構成要素を有し、方法請求項において記載される要素の実例であるステップにおいて動作させられ得る。本明細書において説明されるものに加えて、本開示の範囲の中の機能的に均等な構成要素及びステップが、後に続く説明から、当業者には明らかであることになる。そのような修正及び変更は、特許請求の範囲の、範囲の中に該当することを意図される。
【0008】
本開示は、例えば、非多孔性バイアル、アンプル、注入カートリッジ、眼科用製品パッケージ、シリンジ、パウチ、ブリスタ・パッケージ、医薬及び/又は化学製品を内包する他のパッケージなどの、パッケージ又は容器を試験するためのシステム及び方法に向けられるものである。より詳しくは、本開示は、真空又は圧力減衰リーク試験のためのシステム及び方法に向けられるものであり、試験サイクル時間を低減し、信号対ノイズ比及び判断信頼度レベルを改善することを意図される。リーク試験サイクル全体は、排気期間及び定常状態期間の両方を含む。排気及び定常状態の両方の期間中、システム変数が、試験チャンバ内で生起する動的変化を観測するために、継続的に監視される。少なくとも試験チャンバの圧力を含む、監視される動的変数は、可能な限り迅速及び正確に測定され、各測定が遂行されるときの時間と併せて記録される。他の動的に変化する変数は、気体の温度、気体混合物内の異なる成分の濃度、湿度、試験チャンバの体積、その他を含むが、それらに限られず、さらには監視され得る。排気及び定常状態の両方の期間中、本明細書において説明されるリーク検出試験システムは、実験データが、1つ又はいくつかの期待される、適する分析関数と一致する程度を判定するための算出を遂行するように構成される。排気又は定常状態のいずれかの期間についての期待される関数は、ネガティブ・コントロール・サンプルの試験中に観測される、対応する圧力曲線に対応する。分析関数は、少なくとも、静的方程式パラメータ及び動的方程式パラメータを含む。リーク検出システムは、さらには、測定されたパラメータを記憶し、記憶されるパラメータの特定のセットを、較正された真空減衰リーク検出応答曲線(例えば、時間の関数としての圧力プロファイル)として識別する能力をもつ。少なくとも1つの知られている非リークのサンプル(例えば、ネガティブ・コントロール・サンプル)が、較正曲線を収集するために使用され、しかしながら、較正曲線は、さらには、ネガティブ・サンプルの多くの較正試験に及ぶ統計的計算から取得され得る。例えば、あるネガティブ・コントロール・サンプルに関する単一の較正試験、又は、1つ若しくは複数個のネガティブ・コントロール・サンプルに関する較正試験のセットが、較正曲線を生成するために遂行され得る。各測定の統計的分散若しくは統計的標準偏差の推定量、及び/又は、分析関数に関する各方程式パラメータの統計的分散の推定量が、記録され、リーク検出試験の動作及び/又は結果の動的決定のために使用され得る。加えて、較正値のセットのパラメータについての標準偏差及びアベレージ値が、リーク検出試験の結果を決定するために使用され得る。
【0009】
(排気期間及び定常状態期間の両方からの)較正された応答曲線、及び、関連付けられるパラメータが確立されると、知られていないサンプルの試験が、同一の算出によって遂行される。較正された応答曲線からの新しい測定量の偏差が、較正された統計的残差の標準偏差に基づいて、又は、較正読み取り量のセットについてのパラメータ値の標準偏差に基づいて評価され得る。統計的仮説が、リーク検出試験を打ち切るべきか、それとも継続すべきかを決定するために使用される。例えば、統計的仮説に基づいて、測定量と、対応する較正された応答曲線との間の偏差が、予め決定された値よりも大であるならば、試験システムは、試験を打ち切り、サンプルを落第にすることを決定することがある。統計的仮説は、さらには、試験条件を動的に決定及び更新するために使用され得る。
【0010】
リーク検出試験が完了されると、測定された応答曲線のパラメータが、算出され、(排気期間及び定常状態期間の両方からの)較正された応答曲線のパラメータと比較される。差が、試験サンプルの合格/不合格ステータスを決定するために、較正されたパラメータの標準偏差に基づいて評価される。静的方程式パラメータどうしの間の有意な差は、非標準的な試験条件について選別するために使用され得る。非標準的な試験条件の存在は、判断信頼度に影響を及ぼすことがあり、偽陰性又は偽陽性結果の増大される確率の警告として使用され得る。
【0011】
本明細書において開示される、真空又は圧力減衰リーク試験のためのシステム及び方法は、経時的に圧力の曲線の特性を把握し、対数領域上で圧力測定を解釈する能力をもち、そのことによって、(時間における点における測定された圧力と対照的に)動的圧力変化の正確な処理が可能となる。本明細書において開示されるシステム及び方法は、動的圧力挙動を分析するために、理想気体の法則と、通気(venting)チャンバからのマス・フローとの間の関係性から導出される数学モデルを使用する。圧縮性フロー・テキスト(例えば、等温及び断熱の気体膨脹)において導出される方程式と同様の方程式が、圧力経時的モデルについての期待される関数を発展させるために使用される。本明細書において開示されるシステム及び方法は、減衰、又は、試験チャンバの加圧中の圧力を迅速に測定し、挙動を、期待されるモデルにマッピングする。
【0012】
理想気体の法則は、体積、温度、及び、物質の量(質量)に比例する圧力を定義するので、すべての変数は、それゆえに、正規にではなく対数正規に分布させられる。本明細書において開示されるシステム及び方法は、それゆえに、分析を遂行するために対数正規領域変数を使用する。このことによって、試験データの線形回帰に関する真の正規分布分析が可能となる。本明細書において開示されるシステム及び方法は、圧力減衰曲線の動的挙動向けのものである、新しいモデルを提供し、試験結果の区別における増大される統計的正確度を達成する能力をもつ。
【0013】
図1は、パッケージ又は容器102を検査するように構成される実例試験システム(例えば、真空減衰リーク検出システム)100を示す。例解される実例において、パッケージ102は、例えば、化学物質及び/又は医薬品を内包する、バイアル、パウチ、ブリスタ・パック、アンプル、シリンジ、注入カートリッジ、又は眼科用パッケージなどの非多孔性容器である。試験システム100は、空気圧ライン108により接続される、真空供給部又は源104、及び試験チャンバ106を含む。セレクタ弁110が、真空供給部104とチャンバ弁116との間で、空気圧ライン108と連通して配置される。通気のための圧縮空気供給部112(例えば、清浄で乾燥した圧縮空気)、及び、周囲空気排出部(ambient air exhaust)114が、セレクタ弁110において空気圧ライン108と連通している。チャンバ弁116は、セレクタ弁110と試験チャンバ106との間で、空気圧ライン108と連通して配置される。セレクタ弁110は、チャンバ弁116に接続される空気圧ライン108に供給されている源を変化させるように構成される。例えば、セレクタ弁110は、チャンバ弁116への空気圧ライン108に、(真空供給部104から)真空、(圧縮空気供給部112から)圧縮空気、又は、(周囲空気114から)周囲空気を選択的に供給するために使用され得る。圧縮空気供給部112が省かれるという実施例において、周囲空気114が、通気のために使用される。
【0014】
バイパス又はバイパス空気圧ライン118が、バイパス118と連通して配置されるバイパス弁120を経由して、空気圧ライン108と連通している。精密制限オリフィス(precision restriction orifice)121が、チャンバ弁116と試験チャンバ106との間で、又は、チャンバ弁116とバイパス空気圧ライン118との間で、空気圧ライン108と連通して配置される。精密制限オリフィス121は、フロー特質をより一貫したものにするように構成され、そのことは、試験システムが、別の同様に構築された試験システムの結果に、より強力に対応するための正確度又は能を増大することがある。
【0015】
試験システム100は、第1の圧力トランスデューサ124と、差圧トランスデューサ126と、第2の圧力トランスデューサ128と、気象センサ130とを含むセンサ122を含む。第1の圧力トランスデューサ124は、試験チャンバ106の内側の圧力に対応する圧力を測定するように構成される。例えば、第1の圧力トランスデューサ124は、絶対圧力トランスデューサ又はゲージ圧力トランスデューサであることがある。第1の圧力トランスデューサ124は、試験チャンバ106と連通して配置される。第1の圧力トランスデューサ124は、チャンバ弁116と試験チャンバ106との間で、空気圧ライン108と連通していることがある。代替法として、第1の圧力トランスデューサ124は、空気圧ライン108を通して試験チャンバ106に接続することの代わりに、試験チャンバ106に直接的に接続されることがある。差圧トランスデューサ126は、バイパス118と連通して配置され、バイパス弁120は、チャンバ弁116と差圧トランスデューサ126との中間にある。気象センサ130は、周囲空気排出部114における圧力、温度、湿度、及び/又は、気体の組成を測定するために、周囲空気排出部114と連通して配置される。気象センサ130は、圧力センサ(例えば、気圧センサ)、温度センサ、湿度センサ、気体センサ(例えば、水蒸気センサ、酸素センサ、二酸化炭素センサ、ヘリウム又は他のトレーサブル気体分析器)、マス・フロー・メータ、又は、それらの組み合わせを含むことがある。
【0016】
試験システム100内のセンサ122の組み込みは、第1の圧力トランスデューサ124などの、リーク検出に不可欠である要素を含み、試験結果の正確度、反復性(repeatability)、及び/又は再現性(reproducibility)を増大する他の要素を含むことがある。1つの実例として、差圧トランスデューサ126は、10から100倍小さい圧力スパンを重点的に取り扱う能力をもち、以て、測定の分解能を増大する。このことは、電磁干渉ノイズ及びデジタル化誤差を効果的に低減する。
【0017】
別の実例として、真空供給部が定常でないならば、そのことは、試験システムのいくつかの同期されない要素が、同じ真空源について競合する、又は、空気を圧縮するときに起こり得るが、連続するリーク試験結果に関する良好な反復性を得ることは難題であることがある。第2の圧力トランスデューサ128の組み込みによって、真空供給部104における圧力の直接的な測定が可能となる。この情報は、試験結果の反復性を改善するために価値がある。例えば、第2の圧力トランスデューサ128は、絶対圧力トランスデューサ又はゲージ圧力トランスデューサであることがある。
【0018】
別の実例として、異なる周囲環境において遂行されるリーク試験が、試験結果の再現性に影響を及ぼすことがある。気象センサ130の組み込みは、周囲空気排出部114における圧力、温度、湿度、その他の直接的な測定量を入手する機会をもたらす。この情報は、試験結果の再現性を改善するために価値がある。
【0019】
試験システム100は、試験システム100を動作させ、試験システム100の動作を協調させるように構成されるコントローラ又は制御システム132を含む。コントローラ132は、そのコントローラ132の機能を可能にするために、コンピュータであることがあり、又は、任意の適するプロセッサ、マイクロプロセッサ、トランシーバ、メモリ、タイマ、アナログ・デジタル変換器(ADC:analog-to-digital convertor)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC:programmable logic controller)、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI:human machine interface)、その他を含むことがある。コントローラ132は、試験結果の出力を可能とし、ユーザが試験システム100の動作をプログラム又は制御することを可能とするために、任意の適するユーザ・インターフェース及び/又はディスプレイを含むことがある。コントローラ132は、あらかじめプログラムされた手順にしたがってリーク試験を遂行することがあり、及び/又は、インサイチュで試験手順を更新するために、動的分析を遂行することがある。特に、コントローラ132は、動的信号処理、及び、試験システム100の動作を更新することを遂行するために、特殊なモジュールを含む。
【0020】
代替的な実施例において、試験システム100の1つ又は複数の構成要素は省かれることがある。例えば、精密制限オリフィス121は省かれることがある。例えば、試験システム100は、バイパス118、バイパス弁120、差圧トランスデューサ126、及び第2の圧力トランスデューサ128を省くことがある。この事例において、試験システム100は、第1の圧力トランスデューサ124からの圧力信号に基づいて、基本モードのもとでリーク試験を遂行することがある。
【0021】
例えば、試験システム100は、第2の圧力トランスデューサ128を省くことがある。この事例において、試験システム100は、第1の圧力トランスデューサ124及び差圧トランスデューサ126からの圧力信号に基づいて、デュアル・センサ・モードのもとでリーク試験を遂行することがある。
【0022】
例えば、試験システム100は、バイパス118、バイパス弁120、及び差圧トランスデューサ126を省くことがあり、試験システム100は、第1の圧力トランスデューサ124及び第2の圧力トランスデューサ128からの圧力信号に基づいて、反復性が改善されたモードのもとでリーク試験を遂行することがある。1つの実施例において、試験システム100は、バイパス118、バイパス弁120、及び差圧トランスデューサ126を省くことがあり、試験システム100は、第1の圧力トランスデューサ124及び第2の圧力トランスデューサ128からの圧力信号に基づいて、並びに、気象センサ130からの信号(例えば、周囲空気排出部114における圧力、温度、湿度、及び/又は、気体の組成に対応する信号)に基づいて、再現性が改善されたモードのもとでリーク試験を遂行することがある。1つの実施例において、試験システム100は、上記で述べられた試験モード(例えば、基本モード、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、再現性が改善されたモード)のうちの2つ以上の組み合わせのもとでリーク試験を遂行することがある。
【0023】
図2は、真空減衰リーク検出試験のための動的信号処理を遂行するように構成される例示的なコントローラ132を示す。例解される実施例において、コントローラ132は、自動制御モジュール200と、データ獲得モジュール202と、統計的信号処理モジュール204と、統計的仮説評価モジュール又は帰無仮説モジュール206と、メモリ208とを含む。自動制御モジュール200は、試験システム100の様々な構成要素の動作を制御するための信号を送信する能力をもつ。
【0024】
データ獲得モジュール202は、センサ122からのデータ又は信号を受け取る能力をもつ。具体的には、データ獲得モジュール202は、ある決まった時点において(例えば、試験サイクルの開始において、試験サイクルの終了において、通気において、その他)のみでデータを収集することと対照的に、試験サイクル全体(例えば、排気期間及び定常状態期間の両方)中にデータを収集する。例えば、データ獲得モジュール202は、排気期間及び定常状態期間を含む試験サイクル全体にわたって、第1の圧力トランスデューサ124、差圧トランスデューサ126、又は両方からの信号全体を収集する。第1の圧力トランスデューサ124及び差圧トランスデューサ126は、ある決まった頻度においてデータをサンプリングするように設計される。排気期間及び定常状態期間を含む試験サイクル全体を通して、設計された頻度でサンプリングされるすべてのデータが、データ獲得モジュール202により収集される。収集された信号は、統計的信号処理モジュール204に伝達され、処理された信号は、帰無仮説モジュール206に伝達され、その帰無仮説モジュール206は、試験を継続すべきか、それとも打ち切るべきかを、試験結果(例えば、合格/不合格、信頼度レベル、その他)を、及び/又は、適する試験条件(例えば、基本モード、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、再現性が改善されたモード、調整された試験条件、又は、それらの組み合わせ)を決定する。好ましくは、弁(セレクタ弁110、チャンバ弁116、及びバイパス弁120)の応答時間、トランスデューサ(例えば、第1の圧力トランスデューサ124、差圧トランスデューサ126、及び第2の圧力トランスデューサ128)の応答時間、及び、データ獲得サンプリングの応答時間の各々は、排気時間よりも少なくとも2桁高速である。
【0025】
コントローラ132は、動的信号処理を遂行し、試験システム100の動作を動的に更新する能力をもつ。典型的な真空減衰リーク検出試験において、圧力は、気体のフローを指し示す指数変化を呈し、一方で、圧力読み取り量における揺動はノイズである。これらのノイズは、リーク検出試験と無関係の変数により原因が考えられ、試験結果の正確度を低下させることがある。統計的処理モジュール204は、気体のフローに比例する圧力読み取り量からのノイズをフィルタリングするために統計的技法を使用する。圧力読み取り量が、冪乗則若しくは方程式、又は、指数モデル若しくは方程式にしたがって近似され得るという利点を活かして、圧力読み取り量を近似する冪乗方程式又は指数方程式の自然対数をとることによって、ノイズ、半静的変数、及び、比例動的圧力変化を引き起こす変数の区別が可能となる。統計的処理モジュール204は、さらには、動的変数を、2つ以上の期待される圧力曲線にマッピングすることがある。そのような事例において、任意の所与のモデルの曲線についての自然対数は、正規分布させられるシステムを結果的に生じさせなければならない。
【0026】
特に、圧力読み取り量は、指数関数又は他の同様の関数として近似され得る、知られているステップ応答関数にしたがうことを期待される。式(1)は、指数関数を示す。
P(t)=Aetbξ 式(1)
ここで、p(t)は、時間の関数としての圧力であり、Aは、半静的変数を反映する係数であり、bは、比例動的圧力変化を引き起こす変数を反映する係数であり、ξは、ノイズである。
【0027】
式(1)の自然対数が、式(2)を与える。
ln(P(t))=ln(A)+bt+ln(ξ) 式(2)
y=ln(P)、α=ln(A)、x=t、β=b、及びε=ln(ξ)と置換することが、式(3)を与える。
y=α+βx+εi 式(3)
【0028】
式(3)は、それゆえに、圧力読み取り量の正規分布させられる回帰である。パラメータαは、Aに関係付けられ、静的又は準静的構成要素、例えば、真空供給部104における開始圧力条件、及び、通気されるチャンバ(例えば、圧縮空気供給部112)内の気圧と関連付けられる。パラメータβは、bと等価であり、システムの動的挙動に影響を及ぼす構成要素、例えば、試験チャンバ106内の空気体積、及び、パッケージ102におけるオリフィス(例えば、リーク)と関連付けられる。パラメータεiは、ノイズ又は誤差項である。単一のパラメータ、又は、パラメータの数学的組み合わせが、リーク試験サイクル評価のために使用されることがある。
【0029】
別の実例として、ステップ応答関数が、冪乗関数により近似され得る。式(4)は、冪乗関数を示す。
P(t)=Atbξ 式(4)
【0030】
n個のデータ対{(x
i,y
i)、i=1、…、n)}が、リーク試験サイクル中に生成されるならば、ノイズ又は誤差ε
i項を含む、y
iとx
iとの間の基礎的な関係性が、線形回帰モデルを使用して推定され得る。目途は、すべてのデータ点{(x
i,y
i)、i=1、…、n)}についての最も良好な適合をもたらす、式3の値α及びβである、パラメータa
1及びb
1を見いだすことである。交差、傾き、交差の標準偏差、傾きの標準偏差、及び、残差の標準偏差についての解が、それぞれ式(5)~(9)において列挙される。
a=(Σy-bΣx)/n 式(5)
b=(nΣxy-ΣxΣy)/(nΣx
2-(Σx)
2) 式(6)
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、aは、交差であり、bは、傾きであり、S
aは、交差の標準偏差であり、S
bは、傾きの標準偏差であり、S
eは、残差の標準偏差である。コントローラ132は、知られているネガティブ・コントロール・サンプル(例えば、リークを内包しない、知られているパッケージ)に基づいて、較正された回帰パラメータa
0及びb
0を決定するように構成される。コントローラ132は、基準サンプル(例えば、ネガティブ・コントロール・サンプル、及び/又は、ポジティブ・コントロール・サンプル、例えば、リークを内包する、知られているパッケージ)に関する較正試験をランさせ、式(1)~(6)に基づいて、較正された回帰パラメータa
0及びb
0を決定するために、収集された制御データを使用するように、試験システム100を動作させることがある。較正された回帰パラメータについて、a
0及びb
0は、単一の試験により、又は、較正試験のセットからのアベレージをとられた値により決定され得る。a
0及びb
0が試験のセットから決定されるという事例において、各試験についての最も良好な適合a
0及びb
0値の標準偏差が、計算され、後刻のスコア分析(例えば、t値又はtスコア分析)のために使用され得る。試験は排気期間及び定常状態期間を含むので、各試験期間に対応する較正パラメータa
0及びb
0の少なくとも2つのセットが存する。排気期間についての較正された回帰パラメータa
0及びb
0は、定常状態期間についてのa
0及びb
0とは異なる。
【0031】
ネガティブ・コントロール・サンプルからの、データ、較正された回帰パラメータa0及びb0、並びに、較正された応答関数又は曲線(y0=a0+b0x)が、メモリ208内に記憶される。一部の実施例において、(ネガティブ・コントロール・サンプルからの)較正データは、排気の初期段階中の圧力データを除外することがある。1つの実例において、較正された応答曲線のモデリング又は算出は、圧力が、予め決定された真空しきい値、例えば約800ミリバールに達する後に生起するのみであり、この点の前の圧力データは無視される。較正データ(例えば、較正された回帰パラメータa0及びb0、並びに、Sa、Sb、その他などの他の意味深い統計的値)が確立されると、コントローラ132は、試験を継続すべきか、それとも打ち切るべきかを決定するために、試験期間結果を決定するために、及び/又は、適する試験条件を決定するために、統計的方法を使用する。
【0032】
図3は、統計的信号処理モジュール204及び帰無仮説モジュール206により遂行される例示的な統計的分析300を示す。本明細書において論考されるデータは、センサ122からの任意のデータであることがある。論考の目的のために、経時的に収集される圧力データ(例えば、時間の関数としての圧力データ)が、統計的分析300を例解するために使用される。統計的分析300によって、帰無仮説評価に基づく、基本モードのもとでの試験結果(例えば、合格/不合格)の決定、及びさらには、適する試験モード(例えば、基本モード、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、調整された試験条件、及び、再現性が改善されたモード)の選択が可能になる。統計的分析300は、試験サイクルの排気期間及び定常状態期間に対して遂行され得る。
【0033】
統計的分析300が基本モードのもとで試験結果(例えば、合格/不合格)を決定するために遂行されるという事例において、統計的分析300は、基本モード試験データを受け取ること(ステップ302)と、データの第1のセットを蓄積するために、指定された収集されたデータを対数スケールへと変換すること(ステップ304)とを含む。指定された収集されたデータは、収集されたデータのすべて又は一部分を含むことがある。例えば、応答曲線(時間の関数としての圧力読み取り量)が指数関数(例えば、式(1))により近似されることになるならば、ステップ304において、圧力値のみが、対数スケールへと変換され、一方で、時間値は、通常スケールにおけるままである。代替で、応答曲線が冪乗関数(例えば、式(4))により近似されることになるならば、圧力及び時間の両方の値が、ステップ304において対数スケールへと変換される。
【0034】
統計的分析300は、回帰パラメータa1及びb1を決定するために、データの第1のセットに対して線形回帰を適用すること(ステップ306)を含む。データの第1のセットは、式(3)の線形関係性に全般的にしたがうことを期待される。異なるステップ応答関数が使用されるという事象において、データは、この代替のステップ関数の対数領域分析と関連付けられる適切な関係性にしたがうことを期待されることになる。
【0035】
統計的分析300は、較正データを記憶すること(ステップ308)を含む。試験されているサンプルがネガティブ・コントロール・サンプルであるならば、応答曲線、ステップ304において蓄積されたデータの第1のセット、並びに/又は、回帰パラメータa1及びb1を含むデータが、(排気期間及び有用(stead)状態期間のうちの少なくとも1つについての)較正データとして記憶される。例えば、ネガティブ・コントロール・サンプルの排気曲線応答からの回帰パラメータa1及びb1が、排気期間についての、較正された回帰パラメータ又はベースライン・パラメータa0及びb0として、メモリ208内に記憶される。ネガティブ・コントロール・サンプルの排気応答曲線は、さらには、試験サンプルについての適する排気時間又は排気時間カットオフを決定するための較正データとして記憶される。ネガティブ・コントロール・サンプルの定常状態応答曲線が、さらには、試験サンプルについての適する定常状態期間を決定するための較正データとして記憶され得る。較正データは、単一の試験ランからのデータを含むことがあり、例えば、残差の標準偏差が使用され、又は、較正データは、データのセットを含むことがあり、例えば、較正試験のセットが遂行され、標準偏差、並びに、アベレージをとられたa0及びb0が決定される。
【0036】
統計的分析300は、帰無仮説評価を遂行すること(ステップ310)を含む。帰無仮説評価は、試験サンプルに対して施されたリーク試験と、ネガティブ・コントロール・サンプル、又は、知られているサンプル、例えば、基本モードのもとで試験されたサンプルなどの、基準サンプルに対して遂行されたリーク試験との間に有意な統計的差が存するかどうかを決定するように、セットアップされ、又は構成される。帰無仮説評価は、コントローラ132の帰無仮説モジュール206により遂行される。帰無仮説モジュール206は、基準サンプルの試験データの平均、及び、試験サンプルの試験データの平均が等しいかどうかを試験するために、2サンプルt試験を使用することがある。帰無仮説評価は、試験及び基準サンプルの、個々の測定量、静的パラメータ、若しくは動的応答、又は、これらのパラメータの任意の適切な組み合わせ若しくは転換の比較に基づくことがある。
【0037】
ステップ310において、帰無仮説評価は、分析された試験データ(ステップ306の終了において取得されたデータ)と、(較正試験中にステップ308において記憶された)較正データとの間の比較に基づいて、試験を継続すること、又は打ち切ることを決定するようにセットアップされ得る。試験サンプルの測定量y1(x)と、較正された応答関数の測定量y0=a0+b0xとの間に有意な差が存しないならば、仮説は採択される。帰無仮説モジュール206は、式(10)に基づいてt値Teを算出し、Teを、応答曲線上の測定量の所与の数n、及び自由度n-2について、T統計値と比較することがある。
Te=(y1(x)-a0-b0x)/Se 式(10)
【0038】
帰無仮説が式(10)に基づいて採択されるならば、リーク試験は、ステップ312において、継続し、データを更新する。リーク試験が継続するので、試験データが、ステップ302乃至310において論考されたのと同じ様式において受け取られ、処理され、そのことによって、ステップ312において更新されるデータは、試験サイクル全体からのデータを含む。
【0039】
帰無仮説が棄却されるならば、試験は、ステップ314において打ち切られ、そのことはさらには、試験サンプルが不合格になる(例えば、リークがサンプルにおいて存在する)ということを指し示す。
【0040】
ステップ310における帰無仮説は、試験サイクルの完了の前の試験サイクル中の任意の時間において遂行され得る。例えば、試験を継続すべきか、それとも打ち切るべきかを決定するための、ステップ310における帰無仮説は、排気期間が満了するときに遂行され得る。他の実例において、ステップ310における帰無仮説は、排気期間の早期の段階(例えば、最初の1/3)において、排気期間の中頃の段階(例えば、中頃の1/3)において、排気期間の後期の段階(例えば、後期の1/3)において、定常状態期間の始まりの段階(例えば、最初の1/3)において、定常状態期間の中頃の段階(例えば、中頃の1/3)において、又は、定常状態期間の後期の段階(例えば、後期の1/3)において、及び、試験サイクルの終了の前に遂行され得る。サンプル応答がネガティブ・コントロール・サンプルの応答から有意に偏倚するときに、リーク試験を打ち切ることを早期に決定する能力は、時間節約を可能とし、リークからのチャンバ汚染の可能性を低減する。
【0041】
統計的分析300は、帰無仮説評価を遂行すること(ステップ316)と、指定された試験期間について基本モードのもとで試験結果を決定すること(ステップ318)とを含む。指定された試験期間は、排気期間、定常状態期間、又は両方を含むことがある。ステップ316及び318において、帰無仮説モジュール206は、試験サイクルの終了において収集及び分析されたデータと、ネガティブ・コントロール・サンプルからの較正データとの間の比較の帰無仮説評価に基づいて、試験サンプルの合格又は不合格を決定することがある。試験サンプル及びネガティブ・コントロール・サンプルの動的応答どうしの間に有意な統計的差が存するならば、帰無仮説モジュール206は、試験サンプルの不合格ステータスを決定することがあり、さもなければ、試験サンプルは合格する。
【0042】
応答曲線が指数関数(例えば、式(1))により近似されるという実施例において、帰無仮説モジュール206は、式(11)に基づいてt値Tbを算出し、Tbを、応答曲線上の測定量の所与の数n、及び自由度n-2について、T統計値と比較することがある。
Tb=(b1-b0)/Sb 式(11)
応答曲線が冪乗則関数(例えば、式(4))により近似されるという実施例において、帰無仮説モジュール206は、式(12)に基づいてt値Tを算出し、Tを、応答曲線上の測定量の所与の数n、及び自由度n-2について、T統計値と比較することがある。
T=[(a1-a0)+(b1-b0)ln(t)]/Sb 式(12)
仮説が棄却されるならば、試験サンプルは不合格になる(例えば、リークの存在)。帰無仮説が採択されるならば、試験サンプルは合格する(例えば、リークの非存在)。
【0043】
ステップ318からの試験結果、及び、統計的分析300によって決定される統計的値又はパラメータ(例えば、a0及びb0、a1及びb1、t値、並びに、Sa、Sb、その他などの他の意味深い統計的値)が、メモリ208内に較正データ(例えば、基本モードのもとで遂行される試験の較正データ)として記憶され得る。
【0044】
代替法として、ステップ310、312、及び314は省かれることがある。この事例において、統計的分析300は、ステップ302において、基本モードのもとでリーク試験を遂行することと、試験サイクルが完了されるときに試験データを受け取ることとを含む。指定された収集されたデータは、ステップ304及び306にしたがって処理/分析される。定常状態期間及び排気期間の両方についての、a1とa0との、及び、b1とb0との間の統計的比較が、基本モードのもとで試験されたサンプルの試験結果(例えば、合格/不合格)を決定する(例えば、ステップ316及び318)ために、有意な統計的差が存するかどうかを判定するために遂行される。
【0045】
統計的分析300が、適する試験モードを決定するために遂行されるという実施例において、統計的分析300は、ステップ303において、非基本モード試験データ(例えば、調整された試験条件、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、及び、再現性が改善されたモード)を受け取ることを含む。分析は、次いで、ステップ304乃至316において論考されたのと同じ様式において進行する。
【0046】
ステップ319において、帰無仮説モジュール206は、試験サイクルの終了において収集及び分析されたデータと、ネガティブ・コントロール・サンプルからの較正データとの間の比較の帰無仮説評価に基づいて、非基本モードのもとで試験された試験サンプルの合格又は不合格を決定する。この評価は、ステップ316及び318において論考された評価と同じ様式において行われることがある。試験サンプル及びネガティブ・コントロール・サンプルの動的応答どうしの間に有意な統計的差が存するならば、帰無仮説モジュール206は、試験サンプルの不合格ステータスを決定し、さもなければ、試験サンプルは合格する。
【0047】
ステップ303、304~316、及び319は、各モード(例えば、調整された試験条件、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、再現性が改善されたモード)のもとで遂行される試験のために反復され得る。各試験モード又は条件からの結果は、メモリ208内に較正データとして記憶され得る。
【0048】
ステップ320において、帰無仮説モジュール206は、帰無仮説評価に基づいて、試験サンプルについての適する試験モードを決定するために、異なるモード(例えば、基本モード、調整された試験条件、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、及び、再現性が改善されたモード)の試験結果を比較する。帰無仮説モジュール206は、より適する試験モードを決定するために、t値を算出及び比較することがある。
【0049】
例えば、帰無仮説モジュール206は、式(13)に基づいて、調整された試験条件のもとで遂行された試験についてt値Taを算出し、Taを、応答曲線上の測定量の所与の数n、及び自由度n-2について、基本モードのもとで試験されたT統計値と比較することがある。
Ta=(a1-a0)/Sa 式(13)
帰無仮説が式(13)に基づいて採択されるならば、帰無仮説モジュール206は、基本モードを適するモードとして決定する。帰無仮説が棄却されるならば、帰無仮説モジュール206は、試験条件を調整することがより適するということを決定する。
【0050】
例えば、帰無仮説モジュール206は、デュアル・センサ・モードのもとで遂行された試験について、式(11)に基づいてt値Tbを算出することがある。帰無仮説モジュール206は、Tbを、応答曲線上の測定量の所与の数n、及び自由度n-2について、基本モードのもとで取得されたT統計値と比較することがある。帰無仮説が採択されるならば、帰無仮説モジュール206は、基本モードを適するモードとして決定する。帰無仮説が棄却されるならば、帰無仮説モジュール206は、デュアル・センサ・モードを適するモードとして決定する。
【0051】
例えば、帰無仮説モジュール206は、反復性が改善されたモードのもとで遂行された試験についてTaを算出し、そのTaを、基本モードのもとで取得されたT統計値と比較することがある。帰無仮説が採択されるならば、帰無仮説モジュール206は、基本モードを適するモードとして決定する。帰無仮説が棄却されるならば、帰無仮説モジュール206は、反復性が改善されたモードを適するモードとして決定する。
【0052】
例えば、帰無仮説モジュール206は、再現性が改善されたモードのもとで遂行された試験についてTaを算出し、そのTaを、基本モードのもとで取得されたT統計値と比較することがある。帰無仮説が採択されるならば、帰無仮説モジュール206は、基本モードを適するモードとして決定する。帰無仮説が棄却されるならば、帰無仮説モジュール206は、再現性が改善されたモードを適するモードとして決定する。
【0053】
例えば、帰無仮説モジュール206は、試験サンプルについての適する試験モードを決定するために、(選択された試験モード、例えば、調整された試験条件、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、再現性が改善されたモードについて取得された)Ta、Tb、又は両方を、基本モードから取得されたT統計値と比較することがある。
【0054】
さらにまた、帰無仮説モジュール206は、気象センサ130からのデータによって、基本モード、デュアル・センサ・モード、又は、反復性が改善されたモードを、再現性が改善されたモードにアップグレードすることを決定することがある。帰無仮説評価に基づいて、帰無仮説モジュール206は、マス・フロー・センサ、変位センサ、(例えば、レーザ三角測量、マシン・ビジョン、その他を使用する)変形若しくは体積変化センサ、応力センサ、又は、それらの組み合わせを含むセンサ122からのデータによって、基本モード、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、再現性が改善されたモード、又は、それらの組み合わせのうちの任意のものをアップグレードすることを決定することがある。
【0055】
図4は、試験システム100を使用する真空減衰リーク検出のための方法400を示す。本明細書において論考されるステップは、コントローラ132により制御及び実行される。方法400は、試験システムを準備するステップ(ステップ402)を含む。ステップ402において、試験チャンバ106が、周囲空気排出部114によって通気され、試験サンプル(例えば、パッケージ102)が、試験チャンバ106の内側に配置され、試験チャンバ106は閉じられる。
【0056】
方法400は、真空減衰リーク試験を開始し、予め決定された排気期間、及び、予め決定された定常状態期間をセットするステップ(ステップ404)を含む。この予め決定された時間は、統計的評価較正において施される自動プロセスによりセットされ、較正データとして記憶されていることがある(
図3におけるステップ308)。ステップ404において、自動制御モジュール200が、セレクタ弁110を真空供給部104に接続し、チャンバ弁116を開くための制御信号を送出し、そのことによって、真空供給部104は、試験チャンバ106と連通しており、真空を試験チャンバ106に関して引くことを始める。真空が試験チャンバ106に関して引かれつつあると直ちに、試験システム100のタイマがトリガされる。このことが、排気期間の始まりである。
【0057】
方法400は、データ獲得及び統計的信号処理を遂行するステップ(ステップ406)を含む。ステップ406において、データ獲得モジュール202が、センサ122からの読み取り量又はデータを受け取る。例えば、データ獲得モジュール202は、時間測定量と併せて、第1の圧力トランスデューサ124、及び/又は、第2の圧力トランスデューサ128からの読み取り量を受け取る。統計的信号処理モジュール204が、次いで、
図3のステップ304において前に論考されたように、このデータのいくらか又はすべてを対数スケールへと変換し、回帰算出のためにこれらのデータを蓄積する。
【0058】
方法400は、予め決定された排気期間が満了するときに、試験を継続すべきかどうかを決定するステップ(ステップ408)を含む。ステップ408において、自動制御モジュール200は、チャンバ弁116を閉じるための、及び、セレクタ弁110を周囲空気排出部114に接続するための制御信号を送出する。一部の実施例において、自動制御モジュール200は、(試験がデュアル・センサ・モードのもとで進行することになるならば)バイパス弁120を閉じるための制御信号を送出する。統計的信号処理モジュール204は、排気期間中に受け取られる第1の圧力トランスデューサ124からのデータの統計的信号処理を完了し、帰無仮説モジュール206が、定常状態期間に進行すべきかどうかを決定する。
図3のステップ310、312、及び314において前に論考されたように、帰無仮説が棄却されるならば、帰無仮説モジュール206は、パッケージ102が排気試験期間に不合格になる(例えば、大きいリークが検出される)という決定をなし、方法400は、試験を終了するためにステップ416に進行する。ステップ416において、自動制御モジュール200は、リーク試験を打ち切り、通気を開始するための制御信号を送出する。帰無仮説が採択されるならば、帰無仮説モジュール206は、定常状態期間に進み続けることを決定する。ステップ408によって、試験サイクルを短縮し、リークするパッケージからのチャンバ汚染の変化又は広がりを実質的に低減することが可能となる。
【0059】
代替法として、ステップ408は、試験サイクル全体が完了する前の任意の時間において遂行され得る。例えば、試験を継続する、又は打ち切る決定は、排気期間の早期の段階(例えば、最初の1/3)において、排気期間の中頃の段階(例えば、中頃の1/3)において、排気期間の後期の段階(例えば、後期の1/3)において、定常状態期間の始まりの段階(例えば、最初の1/3)において、定常状態期間の中頃の段階(例えば、中頃の1/3)において、又は、定常状態期間の後期の段階(例えば、後期の1/3)において、及び、試験サイクルの終了の前に生起することがある。
【0060】
方法400は、予め決定された定常状態期間について、試験条件を動的に更新するステップ(ステップ410)を含む。
図3のステップ316、319、及び320において前に論考されたように、帰無仮説モジュール206は、基本モード(標準的な、又は調整された条件を伴う)、デュアル・センサ・モード、反復性が改善されたモード、再現性が改善されたモード、又は、それらの組み合わせのもとでリーク試験を継続することを決定することがある。決定に基づいて、コントローラ132は、試験条件を更新し、対応するセンサ122からデータを収集する。基本モード動作のもとで、ステップ410は、試験条件が同じままである(標準的な条件)ので、省かれることがあり、又は、ステップ410において、試験条件は、更新なしで更新される。
【0061】
方法は、データ獲得及び統計的信号処理を遂行するステップ(ステップ412)を含む。ステップ412において、データ獲得モジュール202は、センサ122からのデータを受け取る。試験サイクル全体中、データ獲得モジュール202は、常に、時間測定量と併せて、第1の圧力トランスデューサ124からのデータを受け取る。試験が、デュアル・センサ・モードのもとで継続するならば、第1の圧力トランスデューサ124からのデータに加えて、データ獲得モジュール202は、さらには、時間測定量と併せて、差圧トランスデューサ126からのデータを受け取る。試験が、反復性が改善されたモードのもとで継続するならば、第1の圧力トランスデューサ124からのデータに加えて、データ獲得モジュール202は、さらには、時間測定量と併せて、第2の圧力トランスデューサ128からのデータを受け取る。試験が、再現性が改善されたモードのもとで継続するならば、第1の圧力トランスデューサ124からのデータに加えて、データ獲得モジュール202は、さらには、時間測定量と併せて、第2の圧力トランスデューサ128からのデータを、並びに、気象センサ130、及び/或いは、マス・フロー・センサ、変位センサ、(例えば、レーザ三角測量、マシン・ビジョン、その他を使用する)変形若しくは体積変化センサ、応力センサ、又は、それらの組み合わせなどのセンサ122のうちの他のセンサからのデータを受け取る。ステップ412において、統計的信号処理モジュール204は、
図3のステップ304及び306において前に論考されたように、予め決定された試験期間中に収集された指定されたデータを対数スケールへと変換し、回帰算出のためにこれらのデータを蓄積する。
【0062】
方法400は、予め決定された定常状態期間が満了するときに、定常状態期間からの試験結果、例えば、合格/不合格を決定するステップ(ステップ414)を含む。ステップ414において、帰無仮説モジュール206は、
図3のステップ316及び318、又は、ステップ316、319、及び320において前に論考されたように、ステップ412から算出された回帰応答曲線、及び帰無仮説評価に基づいて、試験サンプル(例えば、パッケージ102)の合格又は不合格を決定する。合格/不合格ステータスに加えて、試験結果は、合格/不合格ステータスと関連付けられる信頼度レベルを含むことがある。
【0063】
最終的に、方法400は、試験サイクルを終了し、通気するステップ(ステップ416)を含む。自動制御モジュール200は、チャンバ弁116を開くための、及び、通気のためにセレクタ弁110を圧縮空気供給部112に接続するための制御信号を送出する。
【0064】
方法400は、基本モードのもとでサンプルを試験するために、ステップ402、404、406、412、414、及び416を含むことがあり(ステップ408及び410は省かれる)、試験チャンバ106は、定常状態試験を可能とするために、ステップ406と412との間で閉じられる。
【0065】
当業者は、本明細書において開示される、この及び他のプロセス及び方法について、プロセス及び方法において遂行される機能は、異なる順序において実現されてもよいということを察知することになる。さらにまた、概説されたステップ及び動作は、単に実例として提供され、ステップ及び動作のうちの一部は、開示される実施例の本質を損ねることなく、任意選択である、より少数のステップ及び動作へと組み合わされる、又は、追加的なステップ及び動作へと拡大されることがある。
【国際調査報告】