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特表2024-511930変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法
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  • 特表-変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240311BHJP
   A61Q 3/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALN20240311BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q3/00
A61K8/9728
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551786
(86)(22)【出願日】2023-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 KR2023002846
(87)【国際公開番号】W WO2023167500
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0026806
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0025977
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523284893
【氏名又は名称】バンギジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BARNG KEE JUNG Corp.
【住所又は居所原語表記】2F, 2-dong, 665, Pyeongnam-ro, Pyeongtaek-si, Gyeonggi-do, 17899, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】バン、ギ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チョン
(72)【発明者】
【氏名】バン、ヒ ジョン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083CC28
4C083DD17
4C083FF01
(57)【要約】
変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、天然素材を用いて、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建に効き目を示す、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む原料から抽出した抽出物の発酵物を含む
ことを特徴とする変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項2】
前記発酵物は、乳酸菌により発酵された発酵物である
請求項1に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項3】
前記乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する
請求項2に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項4】
前記乳酸菌は、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)である
請求項3に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項5】
前記原料は、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ80~120重量部及び韓当帰80~120重量部を含む
請求項1に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項6】
前記原料は、蒸煮されたキキョウ、カンゾウ、及び韓当帰が混合・粉砕された混合粉末状である
請求項1に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項7】
前記抽出物は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む原料混合物を抽出溶媒である熱水、C1~C4の低級アルコール及び1,3-ブチレングリコールをそれぞれ用いて抽出した抽出物の混合物である
請求項1に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物。
【請求項8】
i)キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む原料を抽出して抽出物を製造する抽出工程と、
ii)前記抽出物を発酵させる発酵工程と、を含む
ことを特徴とする変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項9】
前記工程i)における前記原料は、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ80~120重量部及び韓当帰80~120重量部を含む
請求項8に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項10】
前記工程i)の抽出工程は、
原料の熱水抽出工程と、
C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程と、
1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程と、を含む
請求項8に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項11】
前記C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程及び1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程は、それぞれ2回行われる
請求項10に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項12】
前記工程i)の抽出工程の後に、抽出物を乾燥させて抽出粉末を製造する工程をさらに含む
請求項8に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項13】
前記工程ii)の発酵工程において、発酵は乳酸菌を用いて行う
請求項8に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項14】
前記乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する
請求項13に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【請求項15】
前記工程ii)の発酵工程の発酵は、20~50℃の温度条件下で12~72時間かけて行う
請求項8に記載の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、天然素材を用いて、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建に効き目を示す、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変形した手足の爪、中でも、足の嵌入爪(または、足の巻き爪)は、年間20万人以上の患者が発生すると言われる有り触れた手足の爪の病気の一つであり、足の爪または手の爪の変形によって足の爪または手の爪の先端がまわりの皮膚にくい込み、痛みを伴う病気のことをいう。
【0003】
足の嵌入爪・巻き爪は、足の爪が足の爪の外側の皮膚を押し付け続けてしまうあらゆる状況により引き起こされる可能性があり、主として足の第1趾(親指)の爪に生じ、まれに手の爪にも生じる場合もある。足の嵌入爪・巻き爪は、(1)深爪をしてしまう場合、(2)足の爪の水虫を長期間にわたって放置して足の爪の形状が変形した場合、(3)きつい靴を長時間に亘って履く場合または(4)肥満や老化が進むことにつれて、足の爪のうねりが自然に激しくなる場合などにおいて発病する。
【0004】
足の嵌入爪・巻き爪に悩んでいる患者は、足に圧迫を加えるようなあらゆる行動を抑制しなければならず、清浄な生理食塩水に足指を浸漬して消毒を行い、日頃から足の爪の管理に気を付けなければならない。しかしながら、足の嵌入爪・巻き爪は、このような煩らわしい管理法にも拘わらず、ともすれば、足の爪の管理を怠けてしまうことが多く、そうすると、足の嵌入爪・巻き爪が再発しがちであるため、常にきめ細かい管理と注意を心がける必要がある。
【0005】
足の嵌入爪・巻き爪の矯正は、足の嵌入爪・巻き爪の病気の管理に当たって最も普遍的でかつ重要な管理法であって、主として足の爪の両端を持ち上げて足の爪の形状を再建する。このような足の嵌入爪・巻き爪の矯正のための物理的な装置として、特許文献1-2:大韓民国公開特許第10-2021-0092603号公報及び大韓民国登録特許第10-2253306号公報に示されているように、足の嵌入爪・巻き爪を矯正するために関連する物理的な装置に関する研究が主として行われている。
【0006】
しかしながら、前記足の嵌入爪・巻き爪の矯正のための物理的な装置は、身に付け続けることを余儀なくされ、足の嵌入爪・巻き爪に悩んでいる患者が装置を身に付けてから靴を履いて外部の活動をする場合に不便さを招いたり、むしろ足の嵌入爪・巻き爪の症状を悪化させたりしてしまうという問題がある。足の嵌入爪・巻き爪の病気をはじめとする変形した手足の爪の病気は、手足の爪の矯正のみならず、手足の爪の日常的な管理が重要であると言われる病気であるため、別途の矯正装置を使わずとも変形した手足の爪のケアに役立つ化粧料組成物が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2021-0092603号公報
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-2253306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建することのできる手足の嵌入爪・巻き爪をはじめとする変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建することのできる手足の嵌入爪・巻き爪をはじめとする変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、人体に対して安全であり、しかも、皮膚への刺激性が少ない、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建に卓越した効果を発揮しながらも、人体に対して安全であり、しかも、皮膚への刺激性が少ない、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物を効率よく製造することのできる製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面によりなお一層明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一側面によれば、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む原料から抽出した抽出物の発酵物を含む、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物が提供される。
【0014】
一実施形態によれば、前記発酵物は、乳酸菌により発酵された発酵物であってもよい。
【0015】
一実施形態によれば、前記乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属していてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、前記乳酸菌は、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)であってもよい。
【0017】
一実施形態によれば、前記原料は、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ80~120重量部及び韓当帰80~120重量部を含んでいてもよい。
【0018】
一実施形態によれば、前記原料は、蒸煮されたキキョウ、カンゾウ、及び韓当帰が混合・粉砕された混合粉末状であってもよい。
【0019】
一実施形態によれば、前記抽出物は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む原料混合物を抽出溶媒である熱水、C1~C4の低級アルコール及び1,3-ブチレングリコールをそれぞれ用いて抽出した抽出物の混合物であってもよい。
【0020】
他の側面によれば、i)キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む原料を抽出して抽出物を製造する抽出工程と、ii)前記抽出物を発酵させる発酵工程と、を含む、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法が提供される。
【0021】
一実施形態によれば、前記工程i)における前記原料は、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ80~120重量部及び韓当帰80~120重量部を含んでいてもよい。
【0022】
一実施形態によれば、前記工程i)の抽出工程は、原料の熱水抽出工程と、C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程と、1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程と、を含んでいてもよい。
【0023】
一実施形態によれば、前記C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程及び1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程は、それぞれ2回行われてもよい。
【0024】
一実施形態によれば、前記変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法は、前記工程i)の抽出工程の後に、抽出物を乾燥させて抽出粉末を製造する工程をさらに含んでいてもよい。
【0025】
一実施形態によれば、前記工程ii)の発酵工程において、発酵は乳酸菌を用いて行ってもよい。
【0026】
一実施形態によれば、前記乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属していてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、前記工程ii)の発酵工程の発酵は、20~50℃の温度条件下で12~72時間かけて行われてもよい。
【発明の効果】
【0028】
一実施形態によれば、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、多種多様な原因により変形した手足の爪のうち、手足の嵌入爪・巻き爪に適用するとき、手足の嵌入爪・巻き爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建して健やかな手足の爪として伸びるように誘導する上で有効である。
【0029】
一実施形態によれば、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、周期的に足の爪及び足の爪の周りに塗布することにより、色々な物理化学的な環境により露出されて変形した手足の爪を有する使用者の日常生活の不便さを招かないつつも、手足の爪及び手足の爪の周りの日常的な管理が容易に行うことができ、手足の嵌入爪・巻き爪をはじめとする変形した手足の爪の病気が悪化したり、手足の嵌入爪・巻き爪の症状がさらに悪化してしまったりすることを予防することができる。
【0030】
一実施形態によれば、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰のような天然素材の抽出物を活用することから、人体に対して安全であり、しかも、皮膚刺激がほとんどない。
【0031】
一実施形態によれば、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む混合原料の抽出物を乳酸菌を用いて発酵させて製造して、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建に卓越した効果を発揮しながらも、人体に対して安全であり、しかも、皮膚への刺激性が極めて少ない変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に従い製造された変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物による変形した手足の爪の再生効果及びサイドウォールの再建効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この明細書において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。
【0034】
この明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、明細書に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しない。
【0035】
この明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに含んでいてもよいことを意味する。なお、本明細書の全般にわたって、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味するとは限らない。
【0036】
この明細書において、「例えば」などに付随する説明は、引用された特性、変数、または値のように提示した情報が正確に一致しない場合もあり、許容誤差、測定誤差、測定の正確度の限界と通常的に知られているその他の要因をはじめとする変形のような効果により本発明の様々な実施例に係る発明の実施形態を限定しない。
【0037】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明の欄において詳しく説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。なお、本発明について説明するにあたって、関連する公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0038】
一側面によれば、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む原料から抽出した抽出物の発酵物を含む。
【0039】
本発明の抽出物を製造するための原料は、キキョウ、カンゾウ及び韓当帰であり、3種類をいずれも含む混合原料を用いる場合に、最も効果的に本発明の目的及び効果を成し遂げることができる。
【0040】
前記キキョウ(桔梗、Platycodon grandiflorus)は、キキョウ科キキョウ属(Platycodon)に属する多年生草本植物であって、アサガオ(朝顔、昔)、バルーンフラワー(Balloon flower)、オカトトキ(岡止々岐)、チャイニーズベルフラワー(Chinese bellflower)とも呼ばれる。キキョウの草丈は40~100cmであり、根が太く、茎は1本が直立、または基部でのみ分枝し、茎を切ると中から白い液が出てくる。このようなキキョウは、健康食品または生薬剤として活用されており、最もよく知られている効能は、咳、気管支疾患に対する効果である。キキョウの主な機能的な成分には、サポニン(saponin)系成分であるフラチコディン(Platycodin)がある。キキョウのサポニン系成分は、鎮静、解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、血糖降下、コレステロール代謝の改善、抗コリン、抗がん作用及び胃酸分泌の抑制効果など色々な薬理効果があると知られている。一方、キキョウ抽出物は、抽出物の製造方法、キキョウの抽出部位などに応じて、抗酸化、抗炎及び皮膚鎮静などにも効き目があり、化粧品の原料としても使用可能である。本発明に係る変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建するキキョウ抽出物の効果は未だに知られていない。
【0041】
前記カンゾウ(甘草、Glycyrrhiza uralensis;ウラルカンゾウ種)は、双子葉植物であり、マメ目マメ科に属する多年草植物であって、甘い草である。カンゾウの草丈は約1.5メートルであり、肥大かつ真っ直ぐな根がある。葉は、奇数羽状複葉で互生し、7~8月に淡い青紫色の花が穂状に開花する。このようなカンゾウは、解毒作用、肝炎及び皮膚炎などに効き目があり、薬剤用または食用の材料として広く用いられる。一方、カンゾウ抽出物は、抽出物の製造方法、カンゾウの抽出部位などに応じて、抗酸化、皮膚炎症の緩和、皮膚鎮静、美白などにも効き目があり、化粧品の原料としても使用可能である。本発明に係る変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建するカンゾウ抽出物の効果は未だに知られていない。
【0042】
前記韓当帰(Angelica gigas)は、韓国産の当帰のことをいい、日本ではオニノタケと呼ばれ、セリ科に属する多年草植物であって、トウキ(当帰)は、文無(ブンブ)、オオゼリ(大芹)、乾帰(カンキ)とも呼ばれ、太い根と分枝した根を有しており、その大きさが大きく、香りが強い。このような韓当帰の主な機能的な成分は、デカルシン(decursin)であって、抗腫瘍、抗バクテリア、循環系疾患の改善、抗炎、抗酸化、認知の改善や増進などに効き目を発揮する。トウキは、これらの他に、鎮痛、抗がん、腎臓毒性の軽減、肝機能の改善、糖尿性高血圧の治療、血流の改善など様々な疾患に対する薬剤として用いられている。一方、韓当帰抽出物は、抽出物の製造方法、韓当帰の抽出部位などに応じて、抗酸化、美白などに効き目を示すことから、化粧品の原料としても使用可能である。本発明に係る変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建する韓当帰抽出物の効果は未だに知られていない。
【0043】
本発明の抽出物原料であるキキョウ、カンゾウ及び韓当帰は、水で洗浄した後、水気を切った乾燥した状態で、全体、根、葉及び茎からなる群から選択されたいずれか1種以上を原料として用いる。具体的には、一実施形態によれば、キキョウと韓当帰は根を用い、カンゾウは葉と根を用いることができるが、これは単なる好ましい一例として説明されたものに過ぎず、本発明がこれに制限されて解釈されるものではない。
【0044】
前記原料であるキキョウ、カンゾウ及び韓当帰の混合組成比は、本発明の作用効果が上手く実現できるほどであれば、適宜に調整可能である。これに何ら限定されるものではないが、前記原料は、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ80~120重量部、韓当帰80~120重量部を含むことが、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建効果に好適である場合があり、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ100~120重量部、韓当帰100~120重量部を含むことがより好適である場合があり、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ100重量部、韓当帰100重量部を含むことがさらに好適である場合がある。すなわち、前記原料は、キキョウ:カンゾウ:韓当帰=1:1:1の重量比で混合して用いることがさらに好適である場合がある。
【0045】
前記カンゾウは、キキョウ100重量部に対して80重量部未満で含まれる場合、本発明の変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建効果が微々たるものになる虞があり、120重量部超えで含まれる場合、キキョウ及び韓当帰の混合割合が低くなって混合抽出物の発酵による相乗効果が低下する虞がある。
【0046】
前記韓当帰は、100重量部に対して80重量部未満で含まれる場合、本発明の変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建効果が微々たるものになる虞があり、120重量部超えで含まれる場合、キキョウ及びカンゾウの混合割合が低くなって混合抽出物の発酵による相乗効果が低下する虞がある。
【0047】
これに何ら限定されるものではないが、前記原料は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰の混合粉砕された混合粉末状であることが、抽出物の抽出効率及び発酵効率を高めることができ、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールを再建する上で相乗効果を増進することができて好適である場合がある。
【0048】
これに何ら限定されるものではないが、前記抽出物は、キキョウ、カンゾウ、及び韓当帰を含む混合原料を抽出溶媒である熱水、C1~C4の低級アルコール及び1,3-ブチレングリコールをそれぞれ用いて抽出した抽出物であってもよいが、これに何ら限定されるものではない。これに何ら限定されるものではないが、上記のそれぞれの抽出溶媒により抽出された抽出物を混合した抽出物の混合物である場合、単一の抽出溶媒を用いて抽出された抽出物である場合よりも前述した作用効果を実現する有効成分を各抽出対象から高い含量にて抽出して含んでいることができるので、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建効果を著しく向上させることができる。
【0049】
本発明に係る変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の前記発酵物は、乳酸菌により発酵された発酵物であってもよい。
【0050】
これに何ら限定されるものではないが、前記乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する種(species)であってもよく、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、及びラクトバシラス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)からなる群から選択されるいずれか1種以上であってもよい。
【0051】
これに何ら限定されるものではないが、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)を主として含む乳酸菌により発酵された発酵物を有効成分として含むことが、変形した手足の爪に変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建にさらに好適である場合がある。
【0052】
本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、手足の嵌入爪、変形した手足の爪、食い込む手足の爪などといったように、手足の「爪トラブル」の全般にわたっていずれも適用可能である。
【0053】
これに何ら限定されるものではないが、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物は、足の爪及び手の爪の再建または管理のために塗布可能な形態として提供可能であり、手足の爪の強化剤、手足の爪の栄養剤、手足の爪用のゲルなどのネイル製品に適用可能である。
【0054】
他の側面によれば、変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法は、i)キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む原料を抽出して抽出物を製造する抽出工程と、ii)前記抽出物を発酵させる発酵工程と、を含む。
【0055】
前記工程i)の抽出工程は、キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む原料を抽出して抽出物を製造する工程である。
【0056】
前記原料であるキキョウ、カンゾウ及び韓当帰の混合組成比は、本発明の作用効果が上手く実現できるほどであれば、適切に調整可能である。これに何ら限定されるものではないが、前記原料は、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ80~120重量部、韓当帰80~120重量部を含むことが、変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建効果に好適である場合があり、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ100~120重量部、韓当帰100~120重量部を含むことがより好適である場合があり、キキョウ100重量部に対して、カンゾウ100重量部、韓当帰100重量部を含むことがさらに好適である場合がある。すなわち、前記原料は、キキョウ:カンゾウ:韓当帰=1:1:1の重量比にて混合して用いることがさらに好適である場合がある。
【0057】
前記カンゾウは、キキョウ100重量部に対して、80重量部未満で含まれる場合、本発明の変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建効果が微々たるものになる虞があり、120重量部超えで含まれる場合、キキョウ及び韓当帰の混合割合が低くなって混合抽出物の発酵による相乗効果が低下する虞がある。
【0058】
前記韓当帰は、100重量部に対して80重量部未満で含まれる場合、本発明の変形した手足の爪により変形した皮膚及び変形して弱くなったサイドウォールの再建効果が微々たるものになる虞があり、120重量部超えで含まれる場合、キキョウ及びカンゾウの混合割合が低くなって混合抽出物の発酵による相乗効果が低下する虞がある。
【0059】
これに何ら限定されるものではないが、本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法は、前記工程i)の抽出工程の前にキキョウ、カンゾウ及び韓当帰を混合して混合原料を製造して、これを蒸煮する蒸煮工程をさらに含んでいてもよい。さらに、前記蒸煮工程において蒸煮された混合原料を粉砕して粉末状の原料混合物を製造することができる。
【0060】
これに何ら限定されるものではないが、前記蒸煮工程においては、原料混合物の抽出の前に60~100℃において30~360分間蒸煮されてもよく、70~95℃において50~120分間蒸煮されることが好適である場合があり、80~95℃において50~70分間蒸煮されることがより好適である場合がある。前記原料混合物を蒸煮することにより、滅菌状態で抽出することができ、次いで、乳酸菌の接種の際に種菌として接種した乳酸菌のみが発酵されることが可能になるという長所がある。
【0061】
前記原料混合物は、抽出の効率及び発酵の効率を向上させるために粉砕されて抽出されてもよい。このとき、粉砕された各抽出対象の大きさは、抽出溶媒から抽出し易いほどであれば、特に制限されず、例えば、5~55メッシュ(mesh)に粉砕されたものであってもよく、10~45meshに粉砕されることが好適である場合があり、15~40meshに粉砕されることがより好適である場合がある。これは、単なる具体的な一例として説明されたものに過ぎず、本発明がこれに何ら制限されないということはいうまでもない。
【0062】
前記工程i)の抽出工程は、原料混合物の熱水抽出工程と、C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程、及び1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程を含んでいてもよい。これに何ら限定されるものではないが、上記のそれぞれの抽出工程において抽出された抽出物を混合して抽出物の混合物を製造する場合、単一の抽出溶媒を用いて抽出する場合よりも各抽出対象から前述した本発明の作用効果を実現する有効成分を高い含量にて抽出することにより、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建効果を著しく向上させることができる。
【0063】
これに何ら限定されるものではないが、前記C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程及び1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程は、それぞれ2回行われてもよい。前記溶媒抽出工程は、アルコールの濃度または1,3-ブチレングリコールの濃度を異ならせて2回ずつ行われることにより、各抽出対象から前述した本発明の作用効果を実現する有効成分を高い含量にて抽出することにより、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建効果を著しく向上させることができる。これに何ら限定されるものではないが、前記C1~C4の低級アルコール溶媒抽出工程及び1,3-ブチレングリコール溶媒抽出工程は、エタノール50%、95%にて2回行ってもよく、1,3-ブチレングリコール50%、100%にて2回行ってもよい。
【0064】
前記抽出溶媒の割合は、特に限定しないが、原料の乾燥重量に対して抽出溶媒を2倍~10倍の重量にて用いることができ、有効成分が抽出され易いほどであれば、調整可能である。
【0065】
前記熱水抽出は、公知の熱抽出条件であれば、特に制限されないが、熱水抽出は、抽出温度が50~98℃であってもよく、前記抽出時間は、1~10時間であってもよい。前記抽出温度は、70~98℃であり、抽出時間は、2~5時間であることが、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建に効き目を示す有効成分を抽出する上でさらに好適である場合がある。しかしながら、これは単なる好ましい一例として説明されたものに過ぎず、本発明がこれに制限されて解釈されるものではない。
【0066】
前記アルコール抽出の抽出溶媒は、C1~C4の低級アルコールを含み、メタノール、エタノール、プロピルアルコール及びブチルアルコールからなる群から選択されたいずれか1種以上を含んでいてもよい。これに何ら限定されるものではないが、C1~C4の低級アルコールは、エタノールであることが好適である場合がある。
【0067】
前記アルコール抽出条件は、公知のエタノール抽出条件であれば、特に制限されないが、抽出温度は、20~100℃であり、抽出時間は、1~10時間であってもよい。これに何ら限定されるものではないが、抽出温度は、65~75℃であり、抽出時間は、1~3時間であることが、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建に効き目を示す有効成分を抽出する上でさらに好適である場合がある。
【0068】
前記1,3-ブチレングリコールを抽出溶媒とする抽出は、10~100℃の温度条件下で1~15時間かけて行ってもよい。これに何ら限定されるものではないが、抽出温度は、20~50℃であり、抽出時間は、具体的には、1~10時間であることが、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建に効き目を示す有効成分を抽出する上でより好適である場合があり、抽出温度は、25~35℃であり、抽出時間は、1~5時間であることがさらに好適である場合がある。
【0069】
前記工程i)の抽出工程の後に、抽出物を乾燥させて抽出粉末を製造する工程をさらに含んでいてもよい。前記抽出物を乾燥させて粉末状に製造することにより、化粧料組成物への混合に際して製造工程の行い易さが向上することができ、正確な定量を行うことが可能になる。
【0070】
前記工程ii)の発酵工程は、前記工程i)の抽出工程により抽出された抽出物を発酵させる工程である。
【0071】
前記工程ii)の発酵工程において、発酵は、乳酸菌を用いて行ってもよい。これに何ら限定されるものではないが、前記乳酸菌は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する種(species)であってもよく、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、及びラクトバシラス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)からなる群から選択されるいずれか1種以上であってもよい。本発明の変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物の製造方法において、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)を主として含む乳酸菌により発酵されることが、変形した手足の爪に変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建にさらに好適である場合がある。
【0072】
前記工程ii)の発酵工程は、発酵培地の全重量に対して、前記本発明の抽出乾燥粉末0.1~3wt%を含む0.1~10wt%のグルコースの培地において前記乳酸菌を0.1~5wt%の濃度にて接種することを含んでいてもよい。本発明の一例によれば、抽出乾燥物0.1~1wt%を含む0.1~5wt%のグルコースの培地においてラクトバシラス・ペントサス(Lactobasillus pentosus)を含む乳酸菌を0.1~5wt%にて接種して液状に発酵させることであってもよい。
【0073】
これに何ら限定されるものではないが、前記工程ii)の発酵工程の発酵は、20~50℃の温度条件下で12~72時間かけて行われてもよく、35~40℃の温度条件下で55~65時間かけて発酵させることが、変形した手足の爪により変形した皮膚及び弱くなったサイドウォールの再建効果にさらに好適である場合がある。しかしながら、これは単なる好ましい一例として説明されたものに過ぎず、本発明がこれに何ら制限されないということはいうまでもない。
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明をさらに詳しく説明するためのものにすぎず、本発明の権利範囲が下記の実施例により限定されることはない。
【0075】
実施例
【0076】
実施例1.キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む抽出物の製造及び発酵-その1
【0077】
1-1.抽出物の製造
【0078】
キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を洗浄しかつ乾燥させてキキョウとカンゾウの根及び韓当帰の葉と根を分離した。キキョウの根、カンゾウの根及び韓当帰を1:1:1の重量部にて混合した後、90℃において1時間かけて蒸煮した。次いで、蒸煮された原料混合物を30メッシュ(mesh)の大きさに粉砕して原料混合粉末を得た。
【0079】
次いで、前記原料混合粉末をそれぞれ熱水、エタノール及び1,3-ブチレングリコールにて抽出し、熱水抽出物、エタノール抽出物及び1,3-ブチレングリコール抽出物を混合して抽出物の混合物を製造した。次いで、得られた混合抽出液をフィルターにてろ過し、減圧濃縮しかつ凍結乾燥させて最終的な混合抽出乾燥粉末を得た。
【0080】
1-2.抽出物の発酵
【0081】
発酵培地の全重量に対して前記キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む混合抽出乾燥粉末1wt%及び2wt%のグルコースを加えて発酵培地を用意した。次いで、ラクトバシラス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)を含む乳酸菌を培養液の3wt%になるように加えて接種し、37℃において60時間かけて液状に発酵させた。次いで、発酵液をろ過し、かつ凍結乾燥させて冷凍保管した。
【0082】
実施例2.キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む抽出物の製造及び発酵-その2
【0083】
熱水抽出及びエタノール抽出のみを行って抽出物を混合した以外は、実施例1の方法と同様にして混合抽出乾燥粉末を製造しかつ発酵させた。
【0084】
比較例
【0085】
比較例1.キキョウ及びカンゾウを含む抽出物の製造及び発酵
【0086】
抽出原料としてキキョウ及びカンゾウのみを含めて実施例1の方法と同様にして混合抽出乾燥粉末を製造しかつ発酵させた。
【0087】
比較例2.韓当帰及びカンゾウを含む抽出物の製造及び発酵
【0088】
抽出原料として韓当帰及びカンゾウのみを含めて実施例1の方法と同様にして混合抽出乾燥粉末を製造及び発酵させた。
【0089】
比較例3.韓当帰及びキキョウを含む抽出物の製造及び発酵
【0090】
抽出原料として韓当帰及びキキョウのみを含めて実施例1の方法と同様にして混合抽出乾燥粉末を製造及び発酵させた。
【0091】
比較例4.キキョウ、カンゾウ及び韓当帰を含む抽出物の製造
【0092】
1-2.抽出物の発酵工程のみが省略された実施例1の方法と同様にして混合抽出乾燥粉末を製造した。
【0093】
実験例
【0094】
実験例1.嵌入爪及び変形した足の爪の皮膚及びサイドウォールの再建効果
【0095】
前記実施例及び比較例に従って製造された発酵済みの抽出物を含む変形した手足の爪のケア用の化粧料組成物をそれぞれ被実験者5名の嵌入爪・巻き爪の足の爪または変形した足の爪に塗布した後、サイドウォールの高さの変化からサイドウォールの再建効果を確認した。
【0096】
具体的には、サイドウォールの高さは、足指を正面から観察したとき、足の爪の両端を基準として測定した。上記の実施例及び比較例の化粧料組成物を塗布する前に、被実験者の足の爪の両端においてサイドウォールの高さを測定し(h1)、組成物を1日につき1回以上塗布して60日が経過した後のサイドウォールの高さ(h2)を再び測定した。前記測定した測定値h1、h2からのサイドウォールの高さの変化(△h)を下記の表1に示し、高さの変化率を下記の式から計算し、下記の平均変化率は、被実験者5名の平均値を示す。
【0097】
【数1】
【0098】
【表1】
【0099】
上記の表1の実験結果を参照すると、実施例1のサイドウォールの高さの平均変化率は82~91%であり、実施例2は54~62%であって、比較例1~3に比べてさらに大きく測定された。特に、実施例1の組成物が、変形した手足の爪によって弱くなったサイドウォールの再建に非常に高い効果があるということが確認された。
【0100】
実験例2.皮膚安全性の評価
【0101】
前記実施例1の化粧料組成物に対する皮膚安全性(皮膚適合性及び無刺激性)を評価した。
【0102】
具体的には、被実験者20名に対して、ハヤテストチャンバー(Haya’s Test Chamber)を用いて皮膚への貼布試験(Patch Test)を実施した。このとき、乾癬、湿疹など皮膚病変保有者や妊娠・授乳婦、または抗ヒスタミン剤などを服用している者は実験から除外した。実験部位を70重量%のエタノール水溶液にて洗浄し、かつ乾燥させた後、各試料を25μgずつチャンバーに滴下した後、実験部位である上腕部位に載せて固定した。貼布は、24時間の間に行い、貼布したものを引き剥がした後には、マーキングペンにて実験部位に目印を付けてそれぞれ0.5時間、24時間及び48時間の後に実験部位を観察した。
【0103】
下記の表2は、国際接触皮膚炎研究班(International Contact Dermatitis Research Group;ICDRG)の定めを示す表である。実験の結果、表2を参照すると、本発明の実施例1の平均刺激の度合いは0.05であって、皮膚に刺激がない安全なものであり、高度の皮膚適合性を有するということを確認した。
【0104】
【表2】
【0105】
実験例3.抽出物の発酵有無に応じた嵌入爪・巻き爪の足の爪及び変形した足の爪の皮膚及びサイドウォールの再建効果
【0106】
前記実施例1の化粧料組成物及び発酵工程が省略された比較例4の化粧料組成物を被実験者2名にそれぞれ1日につき1回以上塗布して、30日及び60日の後の嵌入爪・巻き爪の足の爪及び変形した手足の爪の再建効果を確認し、その結果を図1に示す。
【0107】
すなわち、図1は、本発明の一実施例に従って製造された抽出物の発酵有無に応じた嵌入爪・巻き爪の足の爪及び変形した足の爪の皮膚及びサイドウォールの再建効果を示す図である。
【0108】
図1を参照すると、本発明の実施例1に従って製造された抽出物を発酵させて製造された化粧料組成物の場合、比較例4の発酵させていない化粧料組成物に比べて、60日後における変形した足の爪の再生または再建効果が遥かに卓越しているという結果を示している。
【0109】
以上、本発明の内容の特定の部分について詳しく記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は、単に好ましい実施の態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかであるといえる。よって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物により定義されるものと言いうる。
図1
【国際調査報告】