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特表2024-511931櫛形電極を有するエアロゾル発生デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】櫛形電極を有するエアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240311BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240311BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552000
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2022058476
(87)【国際公開番号】W WO2022207743
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21165864.6
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】ポール,サミュエル・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC01
4B162AC04
4B162AC06
4B162AC22
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル基材と、導電性材料を含む加熱要素とを含む消耗品からエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生デバイス。エアロゾル発生デバイスは、消耗品を保持するように適合されたチャンバを含むハウジングと、チャンバ内に配置されている、第1及び第2の櫛形電極を含む給電面とを含み、加熱要素が給電面に対して配置されると、第1及び第2の櫛形電極は、エアロゾル基材を加熱するために、導電性材料を通して電気を供給するように構成される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル基材を含む消耗品からエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生デバイスであって、前記消耗品は、導電性材料を含む加熱要素をさらに含み、前記エアロゾル発生デバイスは、
前記消耗品を保持するように適合されたチャンバを含むハウジングと、
前記チャンバ内に配置されている、第1及び第2の櫛形電極を含む給電面と
を含み、前記加熱要素が前記給電面に対して配置されると、前記第1及び第2の櫛形電極は、前記エアロゾル基材を加熱するために、前記導電性材料を通して電気を供給するように構成される、エアロゾル発生デバイス。
【請求項2】
前記給電面において、前記第1の櫛形電極の複数の歯は、前記第2の櫛形電極の複数の歯と噛み合う、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項3】
前記給電面は、前記第1の電極から隔離され、且つ前記導電性材料及び前記第2の電極を通して電気を供給するように構成された第3の電極をさらに含み、前記第1の電極及び第3の電極は、前記導電性材料を通して電気を供給するために個別に作動されるように構成される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項4】
前記チャンバは、前記消耗品が挿入及び除去され得る開位置と、前記消耗品が前記チャンバによって取り囲まれる閉位置との間で移動するように構成されたベースハウジング部分及び蓋ハウジング部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項5】
前記チャンバは、空気が前記チャンバを通して流れることを可能にするように構成された空気入口及び空気出口を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項6】
前記給電面は、前記空気入口又は前記空気出口にわたって延びる、請求項5に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項7】
前記チャンバは、前記消耗品の前記加熱要素の異なる領域を通して電気を供給するように構成された複数の給電面を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項8】
前記チャンバは、前記消耗品を前記給電面に対して圧縮するように構成された圧縮要素を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイスと、エアロゾル基材を含む消耗品とを含むエアロゾル発生システムであって、前記消耗品は、導電性材料を含む加熱要素をさらに含む、エアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記消耗品は、エアロゾル基材の本体を含み、及び前記加熱要素は、前記本体に隣接して配置された外側加熱層である、請求項9に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記エアロゾル基材の本体は、軸の周りで前記加熱層によって取り囲まれる、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記加熱層は、前記エアロゾル基材の本体を完全に包み込む、請求項10又は11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記導電性材料は、少なくとも10-5Ω/mの抵抗率を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル基材は、ばら材料を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記導電性材料は、カイノールなどのカーボンフィラメント糸、熱分解グラファイトシート並びに/又はグラファイト及び/若しくは木炭の粒子を含む、請求項9~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生デバイス及びエアロゾル発生デバイスのための消耗品に関する。消耗品は、燃焼されるのではなく、加熱されて、吸入のためのエアロゾルを発生させるタバコ又は他の好適なエアロゾル基材材料を含み得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱型エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能な材料を含むエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。さらに、タバコ又は他のエアロゾル化可能な材料を加熱することにより生成されるエアロゾルは、典型的には、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まず、そのため、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするために、そのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
向上したエネルギー効率又は短縮された加熱時間でエアロゾルを発生させることができる消耗品又はエアロゾル発生デバイスを提供することが望ましい。
【0005】
加えて、消耗品及びエアロゾル発生デバイスの一般的な例では、加熱要素は、エアロゾル発生デバイスの使用可能な寿命の制限要因である。寿命が改善された加熱要素又は必要な資源を最小限に抑えながら容易に交換できる加熱要素を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本開示は、エアロゾル基材を含む消耗品からエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生デバイスを提供し、消耗品は、導電性材料を含む加熱要素をさらに含み、エアロゾル発生デバイスは、消耗品を保持するように適合されたチャンバを含むハウジングと、チャンバ内に配置されている、第1及び第2の櫛形電極を含む給電面とを含み、加熱要素が給電面に対して配置されると、第1及び第2の櫛形電極は、エアロゾル基材を加熱するために、導電性材料を通して電気を供給するように構成される。
【0007】
エアロゾル発生デバイスにおける電極及び消耗品における導電性材料を設けることにより、加熱層などの加熱要素は、それぞれの消耗品に置き換えられ、加熱要素に電力を供給するための簡単なインタフェースが提供される。加えて、櫛形電極を設けることにより、加熱要素を通る複数の電流経路を作成し、より低い電圧で加熱要素に必要な電力を供給することができる。
【0008】
任意選択で、給電面において、第1の櫛形電極の複数の歯は、第2の櫛形電極の複数の歯と噛み合う。櫛形電極を噛み合わせることにより、導電性材料を通る複数の短い電流経路が作成され、各電流経路をさらに低い電圧で駆動することができる。
【0009】
任意選択で、給電面は、第1の電極から隔離され、且つ導電性材料及び第2の電極を通して電気を供給するように構成された第3の電極をさらに含み、第1の電極及び第3の電極は、導電性材料を通して電気を供給するために個別に作動されるように構成される。個別に作動される電極を設けることにより、任意の1つ又は複数の電極の対を使用することによって加熱出力を変えることができる。
【0010】
任意選択で、チャンバは、消耗品が挿入及び除去され得る開位置と、消耗品がチャンバによって取り囲まれる閉位置との間で移動するように構成されたベースハウジング部分及び蓋ハウジング部分を含む。ベース及び蓋を設けることにより、閉じたチャンバ環境での効果的なエアロゾル発生を可能にしながら、開位置で消耗品をエアロゾル発生デバイスに便利に追加し、且つエアロゾル発生デバイスから除去することができる。
【0011】
任意選択で、給電面は、ベースハウジング部分に取り付けられた第1の部分と、蓋ハウジング部分に取り付けられた第2の部分とに分割され、給電面の第1及び第2の部分は、閉位置で接続される。閉位置で接続する給電面の2つの部分を設けることにより、エアロゾル発生デバイスは、開位置で加熱を無効にするように構成され、且つベース及び蓋ハウジング部分が閉位置に移動すると、自動的に加熱を開始するように自動的に構成され得る。
【0012】
任意選択で、チャンバは、空気がチャンバを通して流れることを可能にするように構成された空気入口及び空気出口を含む。チャンバを通して空気が流れることを可能にすることにより、エアロゾルを、それが発生したときに消耗品から能動的に引き出すことができる。
【0013】
任意選択で、給電面は、空気入口又は空気出口にわたって延びる。この構成により、空気が熱源の近くを流れ、エアロゾル発生の効率が向上され得る。
【0014】
任意選択で、チャンバは、消耗品の加熱層の異なる領域を通して電気を供給するように構成された複数の給電面を含む。これは、消耗品内でのエアロゾル発生の均一性及び速度を向上させるために使用され得る。
【0015】
任意選択で、チャンバは、消耗品を給電面に対して圧縮するように構成された圧縮要素を含む。消耗品を圧縮すると、給電面と加熱層の間の電気的接触を改善することができ、エアロゾル発生の効率を改善することができる。
【0016】
第2の態様によれば、エアロゾル基材を含む消耗品が提供され、消耗品は、導電性材料を含む加熱要素を含む。
【0017】
ある態様では、消耗品は、エアロゾル基材の本体を含み、及び加熱要素は、本体に隣接して配置された外側加熱層である。
【0018】
任意選択で、エアロゾル基材の本体は、軸の周りで加熱層によって取り囲まれる。
【0019】
任意選択で、加熱層は、エアロゾル基材の本体を完全に包み込む。
【0020】
任意選択で、導電性材料は、少なくとも10-5Ω/mの抵抗率を有する。
【0021】
任意選択で、導電性材料は、約10-2Ω/mの抵抗率を有する。
【0022】
任意選択で、導電性材料は、少なくとも300S/m(20℃において)の導電率を有する。
【0023】
任意選択で、エアロゾル基材は、ばら材料を含む。
【0024】
任意選択で、消耗品の導電性材料は、カイノールなどのカーボンフィラメント糸、熱分解グラファイトシート並びに/又はグラファイト及び/若しくは木炭の粒子を含む。
【0025】
別の態様では、加熱要素は、エアロゾル基材に埋め込まれた粒子の形態である。
【0026】
任意選択で、エアロゾル基材は、エアロゾル形成剤を含み、導電性材料は、2つの電極間に電流を流し、エアロゾル形成剤をエアロゾル化するのに十分な温度までエアロゾル基材を加熱するためにエアロゾル基材内に配置される。
【0027】
任意選択で、エアロゾル基材の厚さは、0.5~3mm、好ましくは0.5~2mmに含まれ得る。
【0028】
任意選択で、加熱要素の粒子は、エアロゾル基材の厚さを通して2つの電極間を電気が流れることができる量でエアロゾル基材内及びエアロゾル基材上に分布させることができる。
【0029】
任意選択で、導電性材料は、エアロゾル基材の内部及びエアロゾル基材の表面領域上にランダムに分布することができる。
【0030】
任意選択で、導電性材料は、エアロゾル基材の2.5~50重量%、好ましくは2.5~25重量%である。
【0031】
任意選択で、エアロゾル基材は、結合剤、好ましくはCMC(カルボキシメチルセルロース)をエアロゾル基材の0.5~2.5重量%の量でさらに含む。
【0032】
任意選択で、エアロゾル形成剤は、グリセリン及び/又はプロピレングリコールである。
【0033】
任意選択で、エアロゾル形成剤は、エアロゾル基材の25重量%未満である。
【0034】
任意選択で、エアロゾル基材は、10~49.5重量%の量の水分をさらに含む。
【0035】
任意選択で、エアロゾル基材は、最大で47.5重量%の量のタバコを含む。
【0036】
第3の態様によれば、第1の態様によるエアロゾル発生デバイスと、第2の態様による消耗品とを含むエアロゾル発生システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】本発明の一実施形態によるエアロゾル発生システムの概略断面図である。
図1B】本発明の一実施形態によるエアロゾル発生システムの概略断面図である。
図2A】本発明の実施形態における給電面及びその使用法の概略図である。
図2B】本発明の実施形態における給電面及びその使用法の概略図である。
図3】一実施形態による代替的な給電面の概略図である。
図4A】本発明の一実施形態による代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。
図4B】本発明の一実施形態による代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。
図5A】本発明の一実施形態による別の代替的なエアロゾル発生システムのさらなる概略図である。
図5B】本発明の一実施形態による別の代替的なエアロゾル発生システムのさらなる概略図である。
図5C】本発明の一実施形態による別の代替的なエアロゾル発生システムのさらなる概略図である。
図6】本発明の別の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1A及び1Bは、エアロゾル発生デバイス1及び消耗品2を含むエアロゾル発生システムの概略断面図である。図1Aは、エアロゾル発生のために消耗品2が追加されている装填状態のシステムを示す。図1Bは、消耗品2がエアロゾル発生のための位置にある準備完了状態のシステムを示す。
【0039】
エアロゾル発生デバイス1は、ハウジング11を含む。多くの実施形態では、ハウジング11は、手持ち式に構成される。ハウジング11は、例えば、断熱材料を含み得る。例えば、ハウジング11は、エアロゾル発生デバイス1から漏れる無駄な熱を最小限に抑え、デバイスを手持ちで使用する場合の安全性を向上させ、エアロゾルを発生させるのに必要な時間及びエネルギーを削減するために、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックを含み得る。
【0040】
ハウジング11は、消耗品2を受け入れて保持するように適合された内部チャンバ12を画定する。ハウジング11は、例えば、ヒンジ又は紐などの可撓性取り付け具を介して蓋13に接続することができ、蓋は、消耗品2がチャンバ12に対して挿入及び除去され得る開位置と、消耗品2がチャンバ12によって取り囲まれる閉位置との間で移動するように構成される。その結果、チャンバ12は、ハウジング11に形成されるベースハウジング部分と、蓋13によって形成される蓋ハウジング部分とを含む。
【0041】
エアロゾル発生デバイス1は、チャンバ12内に配置された給電面14も含む。具体的には、この実施形態では、給電面14は、チャンバ12内に消耗品2を受け入れるための開口部とは反対側のチャンバ12の底面に配置される。より一般的には、給電面14は、蓋13の内面を含むチャンバ12の任意の表面上に配置され得る。
【0042】
消耗品2は、エアロゾル基材21及び加熱要素22を含む。この実施形態では、加熱要素22は、エアロゾル基材の本体に隣接する加熱層22である。消耗品2がチャンバ12内に挿入されると、加熱要素22は、給電面14に対して配置される。
【0043】
エアロゾル基材21は、エアロゾルを発生及び放出するのに適した任意の多孔質固体基材であり得る。基材は、例えば、発泡体、粉末、充填されたストランド又は繊維であり得る。基材は、典型的には、例えばニコチン又はタバコ(例えば、乾燥葉又は粉末形態)などの香味物質とエアロゾル形成剤とを含む。
【0044】
タバコは、粒子サイズが1000ミクロン未満のタバコ粉末を含み得る。タバコ材料は、エアロゾル基材21の重量の1~47.5%の量の黄色種タバコ(FCT)を含み得る。
【0045】
好適なエアロゾル形成剤には、ポリオール(ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコールなど)、非ポリオール(一価アルコール、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチルなどのエステル、グリセリン又は植物性グリセリンなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり得る。エアロゾル形成剤は、好適には、エアロゾル基材21の重量の25%未満を構成し得る。エアロゾル形成剤は、好適には、エアロゾル基材の重量の5%超を構成し得る。
【0046】
エアロゾル基材21は、CMC(カルボキシメチルセルロース)などの結合剤をさらに含み得る。結合剤は、好適には、エアロゾル基材の重量の0.5%~2.5%を構成し得る。
【0047】
エアロゾル基材21は、水分をさらに含み得る。水分は、好適には、エアロゾル基材の重量の10%~49.5%を構成する。
【0048】
エアロゾル基材21の厚さは、0.5~3mm又はより好ましくは0.5~2mmであり得る。
【0049】
加熱要素22は、導電性材料を含む。導電性材料は、金などの金属であり得る。導電性材料は、少なくとも300S/m(20℃で)の導電率を有することが好ましい。しかしながら、加熱要素は、熱を放散するためにある程度の実質的な抵抗を有することが好ましい。例えば、導電性材料は、材料を通る伝導方向に少なくとも10-5Ω/mの抵抗率を有する材料であり得る。これは、カーボンフィラメント糸(例えば、カイノール)、熱分解グラファイトシート又はグラファイト及び/若しくは木炭のカーボン粒子などの導電性形態のカーボンを使用して達成することができる。加熱要素22が別個の加熱層22である実施形態では、加熱層22は、連続プレート若しくはフォイルの形態を取り得、且つ/又は導電性材料の個別のストリップ若しくはメッシュを含み得る。
【0050】
図2Bにさらに示されるように(後述)、加熱要素22は、給電面14との電気回路を完成させ、エアロゾル基材21に熱を供給するように構成される。エアロゾル基材21を加熱すると、エアロゾル基材21の揮発性成分(エアロゾル形成剤など)が蒸発してエアロゾルを形成する。
【0051】
消耗品2及びチャンバ12のサイズは、いくつかの実施形態では、蓋13が閉位置にあるとき、蓋13が圧縮要素として機能し、消耗品2を給電面14に対して圧縮するように構成され得る。この圧縮により、給電面14と加熱層22との間の電気的接触を改善することができ、且つエアロゾル基材21におけるエアロゾルの発生も改善することができる。
【0052】
エアロゾル発生デバイスは、入口151で空気を取り込み、チャンバ12を通して空気を出口152に導くように構成された空気流路15をさらに含む。空気がチャンバ12を通して流れると、エアロゾルが空気に加えられ、出口152に移送され、そこで、ユーザは、エアロゾルを吸入することができる。
【0053】
空気流路15は、空気がチャンバ12を通して流れることを可能にするように構成されるチャンバ12の内部空気入口及び空気出口でチャンバ12と交差する。エアロゾル基材21は、通常、消耗品がチャンバ12内の所定の位置にあるときに空気が消耗品2を通して流れることができるように多孔質である。加えて又は代わりに、空気は、チャンバ12内の消耗品2の周りを流れ得る。
【0054】
出口152は、いくつかの実施形態では、マウスピースとして構成され得る。空気は、ユーザが吸入することによって空気流路15を通して駆動され得るか、又はポンプを使用して能動的に駆動され得る。チャンバ12は、エアロゾルが輸送される流路の長さを短縮し、それによりエアロゾル発生デバイス1内でのエアロゾルの凝結を低減するために、出口152の近くに配置されることが好ましい。
【0055】
エアロゾル発生デバイス1は、給電面14への電力の供給を制御するための制御電子機器(図示せず)も含む。エアロゾル発生デバイス1は、内部電源(バッテリなど)又は外部電源のためのコネクタも含み得る。エアロゾル発生デバイス1は、チャンバ12内の温度を測定するように構成された温度センサ、空気流路15を通る空気流を測定するように構成された空気流センサ及び/又はエアロゾル発生デバイス1のステータスを表示し、且つ/若しくはユーザがエアロゾル発生システム1を制御することを可能にするように構成されたユーザインタフェースのいずれかも含み得る。
【0056】
図2A及び2Bは、一例における給電面14のさらなる詳細を示す概略図である。図2Aは、チャンバ12の表面上の平面構成の給電面14を示す上面図である。図2Bは、図2Aにラベルを付けた線xに沿った、図2Aに垂直な断面図であり、給電面14に対して配置された消耗品2の加熱層22をさらに示す。
【0057】
給電面14は、第1の櫛形電極141及び第2の櫛形電極142を含む。第1及び第2の櫛形電極は、消耗品2の加熱要素22が給電面14に対して配置されると閉じる電気回路ギャップを画定する。第1及び第2の櫛形電極のそれぞれは、電力を受け取るために制御電子機器に接続される。第1の櫛形電極141と第2の櫛形電極142との間に電位差が印加されると、例えば図2Bに示す矢印に沿って加熱要素22を通して電流が流される。
【0058】
第1及び第2の櫛形電極は、図2Aに示すように、第1の櫛形電極の複数の歯が第2の櫛形電極の複数の歯と噛み合うように配置されることが好ましい。このように、電極141、142間の加熱要素22の伝導距離は、短いが、加熱要素22の伝導領域は、給電面14によって覆われる領域にわたって広がる。加熱要素22内の伝導距離を短くすることにより、第1の櫛形電極141と第2の櫛形電極142との間に必要な電位差を他の設計に比べて小さくすることができ、例えば3~4Vの小さい電圧を使用することができる。比較対象の設計では、電極は、加熱層の両端にのみ配置され、約30Vの電圧が必要であった。
【0059】
櫛形電極141、142は、チャンバ12の内面によって支持された薄い導電性トラックであり得る。代わりに、給電面14は、導電性トラックが配置されるベース面を含むか、又はそれ自体が自立する厚い導電性トラックを有する自立型モジュールであり得る。櫛形電極141、142は、例えば、銅又は金のトラックを含み得る。
【0060】
図3は、代替的な給電面14の概略図である。上記の給電面との相違点のみが説明されており、他の点では、給電面は、同様であると考え得る。
【0061】
この実施形態では、給電面14は、第1の電極141から隔離された第3の電極143をさらに含む。第3の電極143は、第1の電極141と同様に構成され、加熱層22及び第2の電極142を通して電気を供給する。しかしながら、第1の電極141及び第3の電極143は、制御電子機器への別個の電気接続を通して独立して駆動することができる。これは、第1及び第2の電極141、143のそれぞれを独立して作動させることにより、加熱要素22の加熱速度を制御できることを意味する。
【0062】
より一般的には、給電面14は、加熱要素22を通して独立して電力を供給するように構成された任意の数の櫛形電極を含み得る。
【0063】
図4A及び4Bは、代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。上記のエアロゾル発生システムとの相違点のみが説明されており、他の点では、システムは、同様であると考え得る。図4Aは、チャンバ12を通る空気流の方向に垂直な断面図である。図4Bは、図4Aの断面図に示される湾曲した内面に対応する平らにした描写である。
【0064】
図4A及び4Bのこの代替的なエアロゾル発生システムでは、給電面14は、チャンバ12の2つの面にわたって分割される。より具体的には、給電面14の第1の部分は、ベースハウジング部分11に取り付けられ、給電面14の第2の部分は、蓋ハウジング部分13に取り付けられる。図4Bに示すように、開位置では、第1及び第2の櫛形電極141、142が分割される。蓋13が閉じられると、給電面14の第1の部分と第2の部分とが互いに接続して、図2Aと同様の構造を形成する。
【0065】
加えて、図4A及び4Bは、給電面14が平坦である必要はなく、消耗品2が挿入されるチャンバ12の周囲に延びる曲面であり得ることを示す。
【0066】
さらに、図4A及び4Bの代替的なエアロゾル発生システムでは、加熱層22は、軸の周りでエアロゾル基材21を取り囲む。この構成により、閉位置では、加熱層22及び給電面14をエアロゾル基材21の周りに同心円状に配置して、エアロゾル基材21に熱をより効率的に送達することができる。
【0067】
図5A、5B及び5Cは、別の代替的なエアロゾル発生システムのさらなる概略図である。図5Aは、図1A及び図1Bの断面図と同様であるが、以下に説明するような給電面14及び加熱層22の異なる配置を示す。図5B及び5Cは、別の代替的なエアロゾル発生システムにおけるチャンバ12の空気入口又は空気出口153の概略図である。
【0068】
図1Aでは、空気流路15は、空気がチャンバ12を通して流れることを可能にするように構成された内部空気入口及び空気出口でチャンバ12と交差する。図5A、5B及び5Cのエアロゾル発生システムでは、加熱構成要素は、チャンバ12の空気入口又は空気出口にわたって接続される。
【0069】
より具体的には、第1及び第2の櫛形電極141、142は、図5Bに示すように、開口部153(内部空気入口又は空気出口)にわたって延びる。空気流は、第1及び第2の櫛形電極141、142を通過し、加熱層22(多孔質、メッシュ状又はストリップ構造であり得る)を通過する。
【0070】
ハウジング11は、図5Bに示すように、第1及び第2の櫛形電極141、142を支持するために、開口部153にわたるグリル構造を含み得る。代わりに、第1及び第2の櫛形電極141、142は、開口部153にわたって自立し得る。いずれの場合にも、第1の櫛形電極141と第2の櫛形電極142との間のギャップは、空気の流れを可能にする。(電極141、142によって駆動されるように)加熱層22内の加熱部のすぐ近くに空気流を向けることにより、発生したエアロゾルのより大きい割合がエアロゾル発生デバイス1から引き出されるように、エアロゾル発生を空気流の近くに局所的に集中させることができる。
【0071】
上で説明したように、図4A図5Cは、給電面14及び加熱層22を使用して加熱の表面積を増加させる方法を示す。加熱効率をさらに高めるために、各給電面14が加熱層22の異なる領域を通して電気を供給するように、1つ又は複数の給電面14は、消耗品2と接触するチャンバ12のすべての表面を覆い得る。この目的のために、加熱層22は、エアロゾル基材21の本体を完全に包み込むことができる。
【0072】
エアロゾル基材21の本体を完全に包み込む加熱層22は、消耗品2の挿入の利便性を向上させるために他の実施形態でも使用され得、なぜなら、加熱層22が消耗品2のすべての外面上に存在する場合、方向は、もはや関係ないためである。
【0073】
エアロゾル基材21の本体を完全に包み込む加熱層22は、エアロゾル基材21が粉末などのばら材料である実施形態でも、同時にエアロゾル基材21のための袋を提供するために使用され得る。
【0074】
図6は、さらなる代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。代替的なエアロゾル発生システムは、上述の例とほぼ同様であり、相違点のみを説明する。
【0075】
図6に示すように、加熱要素は、エアロゾル基材の本体から分離した加熱層である必要はない。代わりに、この実施形態では、加熱要素は、エアロゾル基材に埋め込まれた粒子の形態である。例えば、粒子は、グラファイト又は木炭を含み得る。粒子は、第1の櫛形電極141と第2の櫛形電極142との間で粒子を介して電気が流れることを可能にするのに十分な量及び/又はサイズで提供される。好ましくは、粒子間の接触は、電極間に電流を流すのに十分であり、且つ/又は粒子が電極と接触するように基材の表面に配置される。さらに、粒子の量により、エアロゾル基材の導電率が増加する。この電気の流れは、エアロゾル基材の抵抗に起因する熱を放散し、エアロゾル形成剤をエアロゾル化するのに十分な程度にエアロゾル基材の温度を上昇させる。この例では、消耗品1は、「Electrically conductive consumable」という名称の同時係属中の欧州特許出願欧州特許出願公開第21161783.2号明細書に記載される消耗品と同様のものであり得る。粒子がエアロゾル基材の導電性に全体的に均一な効果を及ぼし、基材を流れる電流が合理的に予測可能となるように、(図6の概略図と異なって)粒子が小さく均一に分布していることが好ましい。
【0076】
導電性材料は、エアロゾル基材の内側及びエアロゾル基材の表面領域にランダムに分布し得る。導電性材料は、エアロゾル基材21の重量の2.5%~50%であり得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
【国際調査報告】