(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/48 20100101AFI20240311BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240311BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01M4/48
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553449
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 CN2022137453
(87)【国際公開番号】W WO2023124871
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111673916.X
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417045
【氏名又は名称】貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BTR NEW MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7A, 7B, and 8, High-Tech Industrial Park, Xitian Community, Gongming Office, Guangming New District Shenzhen, Guangdong 518106 China
(71)【出願人】
【識別番号】521520935
【氏名又は名称】惠州市鼎元新能源科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 曦
(72)【発明者】
【氏名】▲パン▼ 春雷
(72)【発明者】
【氏名】梁 ▲騰▼宇
(72)【発明者】
【氏名】任 建国
(72)【発明者】
【氏名】▲賀▼ 雪琴
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA16
5H050CB02
5H050CB11
5H050EA01
5H050EA08
5H050EA12
5H050EA15
5H050FA16
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】本出願は、負極材料及びその製造方法と応用に関する。
【解決手段】前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、そのうち、前記緩衝層は、前記活物質の表面に形成され、前記炭素層は、前記緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料を含む。上記負極材料の粒子構造において、緩衝層は一定の靭性を有し、負極材料の体積膨張を効果的に緩衝することができ、同時にカーボンナノ材料の延在も一定の緩衝効果を提供し、負極材料の体積膨張をさらに緩衝することができ、充放電過程における負極材料粒子間の応力を減少させ、それにより負極材料構造の安定性を向上させることができ、さらに電池のサイクル容量保持率を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極材料であって、前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、そのうち、前記緩衝層は、前記活物質の表面に形成され、前記炭素層は、前記緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料を含む、ことを特徴とする負極材料。
【請求項2】
以下の特徴(1)~(16)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
(1)前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって緩衝層まで延在する。
(2)前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって延在しかつ前記緩衝層を貫通して前記活物質まで延在する。
(3)前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に接続される。
(4)前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層を貫通しかつ前記アモルファスカーボン材料及び前記活物質に接続される。
(5)前記カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
(6)前記カーボンナノ材料の形態は、線状、管状、フレーク状、及び短冊状のうちの少なくとも1種を含む。
(7)前記カーボンナノ材料の直径は、1nm~100nmである。
(8)前記カーボンナノ材料のアスペクト比は、10以上である。
(9)前記負極材料において、前記カーボンナノ材料の面密度は、20本/mm
2~10000本/mm
2である。
(10)前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
(11)前記緩衝層は、LiF、NaF及びLi
3Nのうちの少なくとも1種を含む。
(12)前記緩衝層は、Li
2О、Al
2О
3、MgО、TiО
2、ZnО、CuО、Ag
2О及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
(13)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(14)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(15)前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
(16)前記緩衝層は、LiF、Li
2О、Li
3N、Al
2О
3、TiО
2、ZnО及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
【請求項3】
以下の特徴(1)~(12)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の負極材料。
(1)前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2である。
(2)前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦x≦1.5である。
(3)前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
(4)前記活物質は、SiОx材料を含み、前記SiОx材料粒子の球形度係数は、0.4以上である。
(5)前記緩衝層が前記負極材料に占める質量百分率は、0.05%~20%である。
(6)前記炭素層が前記負極材料に占める質量百分率は、0.5%~20%である。
(7)前記炭素層の厚さは、10nm~1500nmである。
(8)前記負極材料のD
50は、1μm~20μmである。
(9)前記負極材料の粒径分布である(D
90-D
50)/(D
50-D
10)は、1.2~1.6である。
(10)前記活物質は、Si結晶粒を含む。
(11)前記活物質は、Si結晶粒を含み、前記Si結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。
(12)前記負極材料の比表面積は、1m
2/g~20m
2/gである。
【請求項4】
負極材料の製造方法であって、
活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含むステップ、
保護雰囲気において前記固体複合物に炭素被覆処理を行って、負極材料を取得し、前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、前記炭素層は、アモルファスカーボン材料及びカーボンナノ材料を含み、前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料から前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するステップを含む負極材料の製造方法。
【請求項5】
以下の特徴(1)~(6)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
(1)前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2である。
(2)前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦x≦1.5である。
(3)前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
(4)前記活物質は、SiОx材料を含み、前記SiОx材料粒子の球形度係数は、0.4以上である。
(5)前記活物質はSi結晶粒を含む。
(6)前記活物質はSi結晶粒子を含み、前記Si結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。
【請求項6】
以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
(1)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(2)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(3)前記緩衝層は、LiF、NaF及びLi
3Nのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記緩衝層は、Li
2О、Al
2О
3、MgО、TiО
2、ZnО、CuО、Ag
2О及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
(5)前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
(6)前記緩衝層は、LiF、Li
2О、Li
3N、Al
2О
3、TiО
2、ZnО及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
(7)前記活物質表面に緩衝層が形成される方式は、液相被覆である。
【請求項7】
以下の特徴(1)~(6)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記活物質の表面には、緩衝層が形成され、固体複合物を取得するステップは、緩衝層材料と活物質を溶媒中で混合して、混合スラリーを調製し、かつ混合スラリーに固液分離処理を行い、固体複合体を得ることを含む。
(2)前記混合スラリーにおける緩衝層材料の粒径は、1nm~1μmである。
(3)前記溶媒は、水、エタノールのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記緩衝層材料が前記混合スラリーに占める質量百分率は、0.05%~0.2%である。
(5)前記活物質が前記混合スラリーに占める質量百分率は、2%~20%である。
(6)前記固液分離処理は、吸引ろ過処理、遠心処理及び噴霧乾燥処理の少なくとも1種を含む。
【請求項8】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記活物質の表面には、緩衝層が形成され、固体複合物を取得するステップは、緩衝層前駆体材料を溶媒に混合し、緩衝層材料を含有する分散液を調製し、分散液に活物質を添加して混合して固液分離処理を行って、固体複合体を得ることを含む。
(2)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含む。
(3)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記リチウム源は、硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム及びシュウ酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記フッ素源は、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム及びフッ化カルシウムのうちの少なくとも1種を含む。
(5)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記リチウム源が前記分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%であり、前記フッ素源が前記分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%である。
【請求項9】
以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
(1)前記方法は、前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
(2)前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
(3)前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行い、そのうち、前記保護雰囲気の予熱温度は、100℃~300℃であることをさらに含む。
(4)前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行い、そのうち、前記保護雰囲気の昇温速度は、1℃/min~50℃/minであることを含む。
【請求項10】
以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の製造方法。
(1)前記炭素被覆処理は、固相炭素被覆処理、液相炭素被覆処理及び気相炭素被覆処理のうちの少なくとも1種を含む。
(2)前記炭素被覆処理は、前記固体複合体と炭素源を混合し、前記炭素源の熱分解を制御して前記固体複合体の粒子表面に炭素層を形成するステップを含む。
(3)前記固体複合物に炭素被覆処理を行った後、炭素被覆処理を行った後の固体複合物に熱処理を行うステップを含む。
(4)前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【請求項11】
以下の特徴(1)~(14)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
(1)前記炭素源は、気相炭素源を含む。
(2)前記炭素源は、気相炭素源を含み、前記気相炭素源は、気相炭化水素系炭素源を含む。
(3)前記炭素源は、気相炭素源を含み、前記気相炭素源は、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記炭素源は、液相炭素源を含む。
(5)前記炭素源は、液相炭素源を含み、前記液相炭素源は、液相有機炭素源を含む。
(6)前記炭素源は、液相炭素源を含み、前記液相炭素源は、n-ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、アセトン、ブチルケトン、2-ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル以及酢酸アミルのうちの少なくとも1種を含む。
(7)前記炭素源は、固相相炭素源を含む。
(8)前記炭素源は、固相炭素源を含み、前記固相炭素源は、固相有機炭素源を含む。
(9)前記炭素源は、固相炭素源を含み、前記固相炭素源は、クエン酸、グルコース、アスファルト、フェノール樹脂及びフルフラール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
(10)前記熱分解の温度は、600℃~1200℃である。
(10)前記熱分解の昇温速度は、0.1℃/min~10℃/minである。
(12)前記熱処理の温度は、600℃~1200℃である。
(13)前記熱処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。
(14)前記熱処理の時間は、1h~48hである。
【請求項12】
前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2であり、活物質の表面に緩衝層を形成する前に、前記方法は、前記SiОx材料に熱不均化処理を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項に記載12の製造方法。
(1)前記熱不均化処理の温度は、800℃~1400℃である。
(2)前記熱不均化処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。
(3)前記熱不均化処理の時間は、2h~50hである。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載の負極材料又は請求項4~13のいずれか一項に記載の負極材料の製造方法で製造された負極材料を含む、ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項15】
請求項14に記載のリチウムイオン電池を含む、ことを特徴とする充電可能な電気製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月31日まで中国特許庁に提出された出願番号が202111673916X及び出願の名称が「負極材料及びその製造方法と用途」の中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容を本明細書に援用する。
本出願は、リチウムイオン電池の分野に関し、負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー技術の発展に伴い、リチウムイオン電池の使用範囲がますます大きくなり、従来の負極炭素材料は低い理論比容量(372mAh/g)を有するため、それが広く使用されることを制限する。非炭素材料において、Si系材料は、高い比容量(4200mAh/g)及び適切なリチウム吸蔵電位(0~0.3V)を有しかつ由来源が幅広いことにより、負極材料としてより人気のある研究対象となっている。しかしながら、従来のSi系材料は、リチウムを放出・吸蔵する時に深刻な体積膨張という問題が存在し、それにより材料の構造崩壊及び電極材料の剥がれを引き起こす可能性があり、さらに電池のサイクル容量保持率が好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術に存在する上記問題に対して、本出願の目的は、負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池を提供することであり、本出願の負極材料は、負極材料の体積膨張を効果的に緩衝することができ、負極材料構造の安定性を向上させ、さらに電池のサイクル容量保持率を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記出願の目的を達成するために、第1態様において、本出願は、負極材料を提供し、前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、そのうち、前記緩衝層は、前記活物質の表面に形成され、前記炭素層は、前記緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料を含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって緩衝層まで延在する。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって延在しかつ前記緩衝層を貫通して前記活物質まで延在する。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に接続される。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層を貫通しかつ前記アモルファスカーボン材料及び前記活物質に接続される。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料の形態は、線状、管状、フレーク状、及び短冊状のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料の直径は、1nm~100nmである。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料のアスペクト比は、10以上である。
いくつかの実施形態において、前記負極材料において、前記カーボンナノ材料の面密度は、20本/mm2~10000本/mm2である。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、LiF及びLi3Nのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、Li2О、Al2О3、TiО2、ZnО及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、LiF、Li2О、Li3N、Al2О3、TiО2、ZnО及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0<X<2である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦X≦1.5である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子の球形度係数は0.4以上である。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層が前記負極材料を占める質量百分率は、0.05質量%~20質量%である。
いくつかの実施形態において、前記炭素層が前記負極材料を占める質量百分率は、0.5%~20%である。
いくつかの実施形態において、前記炭素層の厚さは、10~1500nmである。
いくつかの実施形態において、前記負極材料のD50が1μm~20μmである。
いくつかの実施形態において、前記負極材料の粒径分布(D90-D50)/(D50-D10)は、1.2~1.6である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、Si結晶粒を含む。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、Si結晶粒を含み、前記Si結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。
いくつかの実施形態において、前記負極材料の比表面積は、1m2/g~20m2/gである。
【0007】
第2態様において、本出願は、負極材料の製造方法を提供し、
活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含み、
保護雰囲気において前記固体複合物に炭素被覆処理を行って、負極材料を取得し、前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、前記炭素層は、アモルファスカーボン材料及びカーボンナノ材料を含み、前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料から前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するステップを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦x≦1.5である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子の球形度係数は0.4以上である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、Si結晶粒を含む。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、Si結晶粒を含み、前記Si結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、LiF、NaF及びLi3Nのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、Li2О、Al2О3、MgО、TiО2、ZnО、CuО、Ag2О及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、LiF、Li2О、Li3N、Al2О3、TiО2、ZnО及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記活物質の表面に緩衝層を形成する方式は、液相被覆である。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記活物質の表面に緩衝層を形成して、固体複合物を取得するステップは、緩衝層材料と活物質を溶媒中で混合し、混合スラリーを調製し、かつ混合スラリーに固液分離処理を行い、固体複合物を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、前記混合スラリーにおける緩衝層材料の粒径は、1nm~1μmである。
いくつかの実施形態において、前記溶媒は、水、エタノールのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層材料が前記混合スラリーを占める質量百分率は、0.05%~0.2%である。
いくつかの実施形態において、前記活物質が前記混合スラリーを占める質量百分率は、2%~20%である。
いくつかの実施形態において、前記固液分離処理は、吸引ろ過処理、遠心処理、及び噴霧乾燥からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記活物質の表面に緩衝層を形成して、固体複合物を取得するステップは、緩衝層前駆体材料を溶媒に混合し、緩衝層材料を含有する分散液を調製することと、分散液に活物質を加えて混合して固液分離処理を行って,固体複合体を得ることとを含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記リチウム源は、硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム及びシュウ酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記フッ素源は、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム及びフッ化カルシウムのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記リチウム源が前記分散液を占める質量百分率は、0.01%~0.5%であり、前記フッ素源が前記分散液を占める質量百分率は、0.01%~0.5%である。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行い、そのうち、前記保護雰囲気の予熱温度は、100℃~300℃である。
いくつかの実施形態において、前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行い、そのうち、前記保護雰囲気の昇温速度は、1℃/min~50℃/minである。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記炭素被覆処理は、固相炭素被覆処理、液相炭素被覆処理及び気相炭素被覆処理のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素被覆処理は、前記固体複合体と炭素源を混合し、前記炭素源の熱分解を制御して前記固体複合体の粒子表面に炭素層を形成するステップを含む。
いくつかの実施形態において、前記固体複合物に炭素被覆処理を行った後に、炭素被覆処理を行った後の固体複合体を熱処理するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、気相炭素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、気相炭素源を含み、前記気相炭素源は、気相炭化水素系炭素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、気相炭素源を含み、前記気相炭素源は、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、液相炭素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、液相炭素源を含み、前記液相炭素源は、液相有機炭素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、液相炭素源を含み、前記液相炭素源は、n-ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、アセトン、ブチルケトン、2-ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル以及酢酸アミルのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、固相炭素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、固相炭素源を含み、前記固相炭素源は、固相有機炭素源を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素源は、固相炭素源を含み、前記固相炭素源は、クエン酸、グルコース、アスファルト、フェノール樹脂及びフルフラール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記熱分解の温度は、600℃~1200℃である。
いくつかの実施形態において、前記熱分解の昇温速度は、0.1℃/min~10℃/minである。
いくつかの実施形態において、前記熱処理の温度は、600℃~1200℃である。
いくつかの実施形態において、前記熱処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。
いくつかの実施形態において、前記熱処理の時間は、1h~48hである。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2である。活物質の表面に緩衝層を形成する前に、前記方法は、
前記SiОx材料に熱不均化処理を行うステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記熱不均化処理の温度は、800℃~1400℃である。
いくつかの実施形態において、前記熱不均化処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。
いくつかの実施形態において、前記熱不均化処理の時間は、2h~50hである。
【0017】
第3態様において、本出願は、リチウムイオン電池を提供し、上記負極材料又は上記負極材料の製造方法で製造される負極材料を含む。
【0018】
第4態様において、本出願は、充電可能な電気製品を提供し、上述したリチウムイオン電池を含む。
【発明の効果】
【0019】
従来の技術に比べて、本出願は、下記のような有益な効果を奏する。
本出願が提供する負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、そのうち、前記緩衝層は、前記活物質の表面に形成され、前記炭素層は、前記緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料を含む。
【0020】
上記負極材料の粒子構造において、緩衝層は一定の靭性を有し、負極材料の体積膨張を効果的に緩衝することができ、同時にカーボンナノ材料の延在も一定の緩衝効果を提供し、負極材料の体積膨張をさらに緩衝することができ、充放電過程における負極材料粒子間の応力を減少させ、それにより負極材料構造の安定性を向上させることができ、さらに電池のサイクル容量保持率を向上させることができる。
【0021】
また、カーボンナノ材料は、一方では、電子及びイオンの導通率を向上させ、導電性能を改善することができ、他方では、緩衝層の電気絶縁性による電子電気伝導に対する悪影響を効果的に回避しかつ弱めることができ、さらに負極材料が高いイオン電気伝導と電子電気伝導を有し、電池のサイクル容量保持率をさらに向上させる。
【0022】
上記負極材料の製造方法において、活物質の表面に緩衝層を形成して、固体複合物を取得し、さらに固体複合物に炭素被覆処理を行いって、負極材料を製造する。炭素被覆処理で炭素層を形成する場合、炭素原子が緩衝層の表面における蒸着に伴い、緩衝層における金属化合物の触媒作用で、炭素層のアモルファスカーボン材料の表面にIn-situ生成してカーボンナノ材料を形成し、負極材料の製造工程を簡略化することに有利である。そのうち、カーボンナノ材料の存在は、負極材料のイオン電気伝導及び電子電気伝導を高め、電池のサイクル容量保持率を高めるだけでなく、負極材料の体積膨張を効果的に緩衝することができ、負極材料が安定した構造及び性能を保持させることができる。本実施例における製造方法は、簡単で実行しやすく、大規模な普及に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本出願の実施例における負極材料の構成模式図である。
【
図2】本出願の実施例における負極材料の製造方法のフローチャートである。
【
図3b】それぞれ本出願の実施例1で製造される負極材料の電子ミラー構造図である。
【
図4b】それぞれ本出願の実施例2で製造される負極材料の電子ミラー構造図である。
【
図5a】本出願の実施例2で製造される負極材料におけるナノワイヤの別の電子ミラー構造図である。
【
図5b】本出願の実施例2で製造される負極材料におけるナノワイヤのEDS(Energy Dispersive Spectroscopy、EDS)スペクトル図である。
【
図6b】それぞれ本出願の比較例1で製造される負極材料の電子ミラー構造図である。
【
図7】実施例1、比較例1における負極材料で製造されたリチウムイオン電池のサイクル膨張試験結果図であり、そのうち、横軸は比容量(specific capacity、単位:mAh/g)を示し、縦軸は電圧(Voltage、単位:V)を示す。
【
図8】実施例1、比較例1における負極材料で製造されたリチウムイオン電池のサイクル容量保持率試験結果図であり、そのうち、横軸はサイクル回数(cycloms、単位:回)を示し、縦軸はサイクル容量保持率(representative capacity retention、単位:%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願の上記目的、特徴及び利点をより明らかにするために、以下では、本出願の具体的な実施形態を詳細的に説明する。以下の説明では、本出願を十分に理解するために、多くの具体的な詳細を説明する。しかしながら、本出願は、ここで説明したものとは異なる他の方法で実施することができ、当業者は本出願の内容に反しない状況で類似する改善を行うことができ、したがって本出願は、以下に開示される具体的な実施例に限定されるものではない。
【0025】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術及び科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者が一般的に理解する意味と同じである。本願において、本出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明する目的のためだけに使用され、本出願を制限することは意図されていない。本願で使用される用語“及び/又は"は、1つ又は複数の関連する列挙される項目の任意又は全ての組み合わせを含む。
【0026】
本出願の一実施例は、負極材料を提供し、
図1に示すように、負極材料は、活物質10、活物質10の表面に位置する緩衝層20及び炭素層30を含み、そのうち、前記緩衝層20は、前記活物質の表面に形成され、前記炭素層30は、前記緩衝層20の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料31を含む。
【0027】
本実施例の負極材料の粒子構造において、緩衝層は一定の靭性を有し、負極材料の体積膨張を効果的に緩衝することができ、同時にカーボンナノ材料の延在も一定の緩衝効果を提供し、負極材料の体積膨張をさらに緩衝することができ、充放電過程における負極材料粒子間の応力を減少させ、それにより負極材料構造の安定性を向上させることができ、さらに電池のサイクル容量保持率を向上させることができる。
【0028】
また、カーボンナノ材料は、一方では、電子及びイオンの導通率を向上させ、導電性能を改善することができ、他方では、緩衝層の電気絶縁性による電子電気伝導に対する悪影響を効果的に回避しかつ弱めることができ、さらに負極材料が高いイオン電気伝導と電子電気伝導を有し、電池のサイクル容量保持率をさらに向上させる。
【0029】
理解されるように、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料を含む。そのうち、緩衝層に近い方向に向かって延在することは、カーボンナノ材料がアモルファスカーボン材料から活物質に近づく方向に向かって延在することを示し、緩衝層から離れる方向に延伸することは、カーボンナノ材料がアモルファスカーボン材料から活物質から離れる方向に向かって延在することを示す。
【0030】
一具体的な例示において、カーボンナノ材料は、緩衝層に近づく方向に向かって緩衝層まで延在する。この時、カーボンナノ材料は、アモルファスカーボン材料と緩衝層とを接続することができ、3D導電性ネットワークを増加させることができ、導電性能を改善し、電池のサイクル容量保持率を向上させることができる。理解されるように、カーボンナノ材料は、緩衝層に近づく方向に向かって緩衝層まで延在する場合、他のカーボンナノ材料が緩衝層から離れる方向に向かって延在する場合も存在する。
【0031】
別の具体的な例示において、カーボンナノ材料は、緩衝層に近づく方向に向かって延伸しかつ緩衝層を貫通して活物質まで延在する。この時、カーボンナノ材料は、前記緩衝層を貫通しかつ前記アモルファスカーボン材料と前記活物質とを接続することができ、即ち、カーボンナノ材料は、アモルファスカーボン材料、緩衝層及び活物質を接続し、二重可撓性被覆層構造を形成することができ、負極材料の膨張効果に緩衝をより良好に提供する。同時に、カーボンナノ材料が活物質の表面に貫通するため、二重可撓性被覆層構造の間に一定の接着力が発生し、炭素層、緩衝層及び活物質がより高い結合力を有することができ、このように負極材料の体積膨張をさらに抑制し、負極材料が安定した構造及び性能を保持することができる。同様に理解されるように、カーボンナノ材料は、緩衝層に近づく方向に向かって延在しかつ緩衝層を貫通して活物質まで延在する場合、他のカーボンナノ材料が緩衝層から離れる方向に向かって延在する状況も存在する。
【0032】
一具体的な例示において、緩衝層は、炭素材料を触媒反応させてカーボンナノ材料を形成することができる。さらに、緩衝層は、アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて、カーボンナノ材料を形成することができる。
【0033】
一具体的な例示において、緩衝層厚さは、0.01μm~2μm。好ましくは、緩衝層の厚さは、0.01μm、0.015μm、0.03μm、0.05μm、0.08μm、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、1.2μm、1.5μm、1.8μm又は2μmである。
【0034】
一具体的な例示において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2であり、xは0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、1.99等であってもよく、ここで限定しない。
【0035】
一具体的な例示において、前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦x≦1.5である。好ましくは、xは0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5等である。さらに、x=1である。好ましくは、SiОx材料は、SiOである。さらに、SiОx材料はSiО粒子である。
【0036】
一具体的な例示において、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
【0037】
一具体的な例示において、前記SiОx材料粒子の球形度係数は、0.4以上である。好ましくは、SiОxコア粒子の球形度係数は0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95等である。好ましくは、SiОxコア粒子の球形度係数は、0.95以上である。
【0038】
一具体的な例示において、カーボンナノ材料は、アモルファスカーボン材料の表面がIn-situ成長したものである。In-situ成長されたカーボンナノ材料は、より高い結合力を提供することができ、カーボンナノ材料が緩衝層まで延在するか又は緩衝層を貫通して活物質まで延在する時、炭素層と緩衝層又は炭素層、緩衝層及びSiОxコアとの間により良好な結合力を形成させ、さらに負極材料の膨張を抑制し、負極材料の構造安定性を保持することができる。
【0039】
本実施例の負極材料の粒子構造において、カーボンナノ材料は、安定する延在環境を備え、延在過程において安定する直径を保持することができる。カーボンナノ材料がアモルファスカーボン材料から緩衝層に近接する方向に向かって緩衝層まで延在する場合、緩衝層に最も近い炭素原子には、ダングリングボンドが存在し、緩衝層と炭素原子との間に一定の結合力が存在し、該結合力は、炭素原子のダングリングボンドが自動的に閉じる作用力と平衡することができ、カーボンナノ材料と緩衝層が接続される開口を安定的に存在させることができ、このようにしてカーボンナノ材料が突出する時に直径を変えずに長さを増加させ、長径が比較的大きく、かつ直径が均一なカーボンナノ材料を形成することができる。
【0040】
一具体的な例示において、カーボンナノ材料の直径は、1nm~100nmである。好ましくは、カーボンナノ材料の直径は、5nm、10nm、15nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm又は90nmである。さらに、カーボンナノ材料のアスペクト比は、10以上である。カーボンナノ材料は長径が高く,緩衝層まで延在するか又は緩衝層を貫通してSiОxコアまで延在するのに有利であり,異なるカーボンナノ材料の間に巻回を形成することにも有利であり,これにより負極材料の体積膨張に対する緩衝作用を促進し,負極材料構造の安定性を向上させることができる。カーボンナノ材料のアスペクト比のいくつかの例として、カーボンナノ材料のアスペクト比は、10、11、12、13、14、15等に限定されない。
【0041】
一具体的な例示において、負極材料において、カーボンナノ材料の面密度は、20本/mm2~10000本/mm2である。カーボンナノ材料は、電子の移動にチャネルを提供することができ、カーボンナノ材料の面密度がこの範囲内にある場合、カーボンナノ材料の表面および隣接するカーボンナノ材料の隙間に大量の電子およびイオンを吸着させることができ、このように高い放電容量および良好なサイクル性能を得ることができる。カーボンナノ材料の面密度が低すぎると、電子の移動チャネルが減少し、特に大電流の充放電に不利となる。カーボンナノ材料の面密度が高すぎると、対応して活物質の相対含有量を低下し、電池の容量を低下させ、また、カーボンナノ材料の含有量が高すぎると、電解液の電極材料における浸透能力を増加させ、電解液の副反応が多くなり、SEI膜の厚さが持続的に増大し、電池の電気的性能の向上に不利となる可能性がある。
【0042】
好ましくは、炭素ナノ材料の面密度は、20本/mm2、50本/mm2、100本/mm2、200本/mm2、300本/mm2、400本/mm2、500本/mm2、600本/mm2、800本/mm2、1000本/mm2、2000本/mm2、3000本/mm2、4000本/mm2、5000本/mm2、6000本/mm2、7000本/mm2、8000本/mm2、9000本/mm2、10000本/mm2、12000本/mm2、15000本/mm2、18000本/mm2等である。好ましくは、カーボンナノ材料の面密度は、20本/mm2~2000本/mm2である。
【0043】
一具体的な例示において、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
【0044】
一具体的な例示において、カーボンナノ材料の形状は、線状、管状、フレーク状及び短冊状のうちの少なくとも1種を含む。
【0045】
一具体的な例示において、緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
【0046】
具体的には、アルカリ金属ハロゲン化物は、LiF、NaFのうちの少なくとも1種を含み、アルカリ金属窒素化合物は、Li3N、KN3のうちの少なくとも1種を含み、
アルカリ金属酸化物は、Li2О、K2Oを含み、遷移金属酸化物は、Al2О3、MgО、TiО2、ZnО、CuО、Ag2О及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
【0047】
この時、緩衝層は、イオン伝導を実現することができるが、緩衝層は、電子絶縁層と類似する機能を実現することができ、緩衝層を通過して電解質と反応する高活性電子を低減し、緩衝層の導入は、一層の人工SEI膜(SEI膜とは固体電解質界面膜を表す)を導入することと等価であり、放電過程でSEI膜が形成される時のリチウムイオン消費を減少させ、それにより充放電の不可逆容量を低下させ、さらに電池のサイクル容量保持率を改善する。
【0048】
一具体的な例示において、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、0.05%~20%である。緩衝層の含有量が高すぎると、カーボンナノ材料が分散しにくく、かつ厚い緩衝層が電子電気伝導と比容量に一定の悪影響を与える。緩衝層の含有量が低すぎると、カーボンナノ材料が均一に付着しにくくかつカーボンナノ材料の量が少なく、導電性能に対する改善度合いが小さく、かつ緩衝層が少なすぎると、SiОxコアの表面に完全かつ効果的な被覆層を形成することは難しく、緩衝層の役割を十分に発揮されにくい。好ましくは、緩衝層の質量が負極材料の質量に占める百分率は、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%等であってもよい。理解されるように、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、さらに0.05%~20%の範囲内の他の値であってもよい。好ましくは、製造過程において、緩衝層の配合量により緩衝層の質量が負極材料の質量に占める百分率を制御することができる。
【0049】
一具体的な例示において、炭素層の質量が負極材料の質量に占める百分率は、0.5%~20%である。炭素層の割合が大きすぎると、炭素層の厚さが大きすぎて、このようにして、リチウムイオンの伝送距離が長くなりすぎて、電気的性能の向上が良好でなくなるとともに、厚さが大きすぎる炭素層は、タップ密度及びプレス密度が低下するという問題が発生し、それにより比容量が低下する。炭素層の割合が小さすぎると、炭素層の厚さが小さすぎて、その内層の緩衝層に対して完全かつ効果的な被覆を行うことが困難であり、活物質が電解液と接触する機会を増加させ、このようにして、電池のサイクル性能の向上に悪影響を与え、さらに二重可撓性被覆層構造が良好な効果を発揮しにくくなる可能性がある。
【0050】
好ましくは、負極材料中の炭素層の質量百分率は、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%等であってもよい。理解されるように、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、0.5%~20%の他の値であってもよい。好ましくは、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、1%~10%である。好ましくは、製造過程において、炭素源の蒸着量により炭素層の質量が負極材料の質量に占める百分率を制御することができる。
【0051】
一具体的な例示において、炭素層の厚さは、10nm~1500nmであり、具体的には10nm、20nm、50nm、80nm、100nm、200nm、500nm、800nm、1000nm、1500nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0052】
一具体的な例示において、負極材料のD50は、1μm~20μmである。好ましくは、負極材料のD50は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm又は20μmである。理解されるように、負極材料のD50は、1μm~20μmの範囲内の他の値であってもよい。負極材料のD50が該範囲にある場合、粒子の粒径が適切であり、高い初回クーロン効率を得ることができる。負極材料の粒子が小さすぎると、単位体積で、粒子間の隙間体積が多くなり、材料体積の割合が減少し、プレス密度が損なわれやすい。また、負極材料の粒子が小さすぎ、負極材料が電解液と接触する比表面積が大きすぎることにより、初回充放電過程で形成されるSEI膜により多くの電荷が消費され、不可逆容量の損失が大きく、初回クーロン効率の低下につながりやすい。負極材料の粒子が大きすぎると、リチウムイオンの拡散路が大きくなり、リチウムイオンの挿入及び脱出のチャネルの数が少なくなり、かつ挿入する時に克服する必要があるファンデルワールス力が大きくなることにより、リチウムイオンの挿入が困難であり、リチウム吸蔵状態を形成することに不利であり、初回の放電比容量の低下をもたらす。
【0053】
好ましくは、負極材料の粒径分布(D90-D50)/(D50-D10)は1.2~1.6である。例えば、負極材料の(D90-D50)/(D50-D10)の値は、1.2、1.3、1.4、1.5、または1.6であってもよいが、これらに限定されない。負極材料が(D90-D50)/(D50-D10)を1.2~1.6と満たす場合、負極材料の粒径は、高い正規分布を形成することができ、かつ粒子の分布が広く、このように体系中の小さな粒子が大きな粒子の間の空隙に充填することができ、材料のプレス密度を向上させ、電池のエネルギー密度を向上させることに有利である。また、粒径分布が広く、塗布する時にスラリーの粘度が小さく、固形分を向上させ、塗布の難度を低下させることに有利である。
【0054】
一具体的な例示において、活物質は、Si結晶粒をさらに含み、負極材料のSi結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。好ましくは、負極材料のSi結晶粒のサイズは、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm又は10nmである。理解されるように、負極材料のSi結晶粒のサイズは、2nm~10nmの範囲内の他の値であってもよい。
【0055】
一具体的な例示において、負極材料の比表面積は、1m2/g~20m2/gである。好ましくは、負極材料の比表面積は、1m2/g、2m2/g、3m2/g、4m2/g、5m2/g、6m2/g、7m2/g、8m2/g、9m2/g、10m2/g、11m2/g、12m2/g、13m2/g、14m2/g、15m2/g、16m2/g、17m2/g、18m2/g、19m2/g又は20m2/gである。理解されるように、負極材料の比表面積は、1m2/g~20m2/gの範囲内の他の値であってもよい。
【0056】
図2を参照すると、本出願の別の実施例が負極材料の製造方法をさらに提供し、該負極材料の製造方法は、
活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含むステップS101と、
保護雰囲気で前記固体複合物に炭素被覆処理を行い、負極材料を得るステップS102とを含む。
【0057】
本実施例の製造方法において、活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、さらに固体複合物に炭素被覆処理を行い、負極材料を製造する。炭素被覆処理で炭素層を形成する場合、炭素原子が緩衝層の表面における蒸着に伴い、緩衝層における金属化合物の触媒作用で、炭素層のアモルファスカーボン材料の表面にIn-situ生成してカーボンナノ材料を形成し、負極材料の製造工程を簡略化することに有利である。そのうち、カーボンナノ材料の存在は、負極材料のイオン電気伝導及び電子電気伝導を高め、電池のサイクル容量保持率を高めるだけでなく、負極材料の体積膨張を効果的に緩衝することができ、負極材料を安定した構造を保持させ、それによって、優れたサイクル性能を表示する。本実施例における製造方法は、簡単で実行しやすく、大規模な普及に便利である。
【0058】
一具体的な例示において、製造方法において磁性材料を導入する必要がない。即ち、本例示は、磁性材料を導入する必要がない負極材料の製造方法を提供し、該磁性材料を導入する必要がない負極材料の製造方法は、SiОx表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、そのうち、0<x<2であり、固体複合物に炭素被覆処理を行うというステップを含む。従来の方法では、鉄ニッケルコバルトなどの金属を用いて触媒反応させてカーボンナノ材料を形成し、このようにして、磁性物質を導入するだけでなく、同時に、カーボンナノ材料の生成を制御しにくく、本例示の製造方法において、磁性材料を導入する必要がなく、磁性材料の導入による微小短絡問題を効果的に回避し、電池の安全性能及び使用寿命を効果的に向上させることができる。また、負極材料を製造した後、別途な消磁操作を行うことで、製造過程で導入される磁性材料を除去する必要がなく、加工プロセスを効果的に簡略化する。
【0059】
一具体的な例示において、製造方法において消磁処理を行う必要がなく、製造フローをさらに簡略化し、製造効率を向上させることに有利である。
【0060】
S101:活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
【0061】
一具体的な例示において、アルカリ金属ハロゲン化物は、LiF、NaFのうちの少なくとも1種を含み、アルカリ金属窒素化合物は、Li3N、KN3のうちの少なくとも1種を含み、
アルカリ金属酸化物は、Li2О、K2O、Na2О、遷移金属酸化物Li2О、Al2О3、MgО、TiО2、ZnО、CuО、Ag2О及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。なお、鉄、コバルト及びニッケル等の磁性金属酸化物の使用を回避し、磁性材料の導入による微小短絡の問題を回避すべきである。
【0062】
さらに好ましくは、緩衝層は、LiF、Li2О、Li3N、Al2О3、TiО2、ZnО及びZrО2のうちの少なくとも1種であるが、これらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、緩衝層は、緩衝層原料を直接採用して液相被覆を行うことができ、例示的に、緩衝層材料は、Li2О、Li3N、Al2О3、TiО2、ZnО及びZrО2のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0064】
一具体的な例示において、前記活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を得るステップは、緩衝層材料と活物質を溶媒中で混合し、混合スラリーを調製することと、混合スラリーに固液分離処理を行い、固体複合物を得るステップを含む。
【0065】
一具体的な例示において、緩衝層材料と活物質を溶媒中で混合することは、緩衝層材料分散液を調製することと、活物質と緩衝層材料分散液を混合するステップを含む。
【0066】
一具体的な例示において、緩衝層材料と活性物質を溶媒中で混合する過程において、超音波及び/又は撹拌の方式により混合を促進することができる。緩衝層材料分散液を製造する過程において、超音波及び/又は撹拌の方式により分散を促進することができる。緩衝層材料を溶媒に分散する過程において、超音波及び/又は撹拌の方式により分散を促進することができる。活物質と緩衝層材料分散液を混合する過程において、超音波及び/又は撹拌の方式により分散を促進することができる。
【0067】
好ましくは、超音波及び/又は撹拌の時間は、20min~120minである。
【0068】
一具体的な例示において、混合スラリー中の緩衝層材料の粒径は、1nm~1μmである。まず緩衝層材料を溶媒に分散させる場合、分散液における緩衝層材料の粒径は、1nm~1μmである。好ましくは、混合スラリーにおける緩衝層材料の粒径又は分散液における緩衝層材料の粒径は、1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm等であってもよい。理解されるように、混合スラリー中の緩衝層材料の粒径又は分散液中の緩衝層の粒径は、1nm~1μmの範囲内の他の値であってもよい。緩衝層材料が混合スラリー又は分散液における粒径が大きすぎると、活物質の表面に分散しにくく、緩衝層の被覆を実現することができない。緩衝層材料が混合スラリー又は分散液における粒径が小さすぎると、緩衝層粒子に凝集問題を起こしやすく、カーボンナノ材料の分散が不均一になる。
【0069】
一具体的な例示において、溶媒は、水を含む。溶媒を選択する時、緩衝層材料及び活物質をその中で良好な分散及び混合を行うことができる。
【0070】
一具体的な例示において、緩衝層材料が混合スラリーに占める質量百分率は、0.05%~0.2%であり、SiОxが混合スラリーに占める質量百分率は、2%~20%である。好ましくは、緩衝層材料が混合スラリーに占める質量百分率は、0.05%、0.08%、0.1%、0.12%、0.15%、0.18%又は0.2%である。SiОxが混合スラリーに占める質量百分率は、2%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%又は20%である。
【0071】
固液分離処理のいくつかのタイプとして例を挙げると、固液分離処理は、吸引ろ過処理、遠心処理及び噴霧乾燥処理のうちの少なくとも1種を含む。
【0072】
固液分離処理のいくつかのタイプとして例を挙げると、固液分離処理は、噴霧乾燥処理を含み、噴霧乾燥処理において、入口温度は、150℃~220℃であり、出口温度は、60℃~110℃である。好ましくは、噴霧乾燥の時間は、30min~60minである。具体的には、噴霧乾燥処理において、入口温度は、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃又は220℃であり、出口温度は、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃又は110℃であり、噴霧乾燥の時間は、30min、35min、40min、45min、50min、55min又は60minである。理解されるように、噴霧乾燥処理時に、入口温度、出口温度及び噴霧乾燥時間は、以上に列挙した範囲及び数値内で独立的に対応して選択することができる。
【0073】
固液分離処理のいくつかのタイプとして例を挙げると、吸引ろ過処理、遠心処理を採用して固液分離処理を行った後、固液分離により得られる固体材料に乾燥処理を行い、さらに固体複合物を得る。好ましくは、乾燥温度は、50℃~100℃であり、乾燥時間は、10h~30hである。例えば、乾燥温度は、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃又は100℃であり、乾燥時間は、10h、15h、18h、20h、24h、28h又は30hである。
【0074】
別の実施形態において、化学反応合成の方式を採用して緩衝層を製造することができ、例示的に、緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源であってもよい。
【0075】
一具体的な例示において、前記化学反応合成の方式を採用して活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合体を得るステップは、緩衝層前駆体材料を溶媒に混合し、緩衝層材料を含有するスラリーを調製することと、スラリーに活物質を添加して混合した後に固液分離処理を行い、固体複合物を得ることとを含む。
【0076】
一具体的な例示において、緩衝層材料は、LiFである。そのうち、LiF分散液を調製することは、リチウム源とフッ素源を溶媒中で混合し、LiF分散液を得るというステップを含む。緩衝層原料を直接採用して被覆する場合、LiFを溶媒に分散させ、LiF分散液を得ることができる。
【0077】
好ましくは、リチウム源は、硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム及びシュウ酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む。フッ素源は、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム及びフッ化カルシウムのうちの少なくとも1種を含む。
【0078】
さらに、リチウム源とフッ素源を溶媒中で混合し、LiF分散液を得る場合、リチウム源が分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%であり、フッ素源が分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%である。好ましくは、リチウム源が分散液に占める質量百分率は、0.01%、0.02%、0.05%、0.08%、0.1%、0.12%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%又は0.5%である。フッ素源が分散液に占める質量百分率は、0.01%、0.02%、0.05%、0.08%、0.1%、0.12%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%又は0.5%である。理解されるように、リチウム源が分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5範囲内の他の値であってもよく、フッ素源が分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%の範囲内の他の値であってもよい。
【0079】
さらに、LiFが炭素原子を触媒反応させてカーボンナノ材料をIn-situ生成する場合、LiFの触媒作用は、金属触媒に対して弱く、例えば、LiFの触媒作用は、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属触媒に対して弱く、カーボンナノ材料の生成及び成長をより便利に制御することができる。
【0080】
一具体的な例示において、活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2であり、熱処理によってSiОx材料の一部を不均化させてSi及びSiО2を生成することができ、その内部の緩衝基質を強化し、初回のリチウム吸蔵ステージを徐々に単体Siに接近させ、SiОxの電気化学特性を向上させることができる。
【0081】
一具体的な例示において、熱処理は、保護雰囲気下で行われ、保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。理解されるように、熱処理の装置は、管状炉又は箱型炉などであってもよい。
【0082】
S102:保護雰囲気下で固体複合物に炭素被覆処理を行い、負極材料を得る。
【0083】
具体的に、保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。さらに、炭素被覆処理過程において、保護雰囲気を導入する流量は、2mL/min~1000mL/minである。例示的に、保護雰囲気に導入する流量は、2mL/min、8mL/min、10mL/min、15mL/min、20mL/min、30mL/min、40mL/min、50mL/min、80mL/min、100mL/min、150mL/min、200mL/min、300mL/min、400mL/min、500mL/min、600mL/min、700mL/min、800mL/min、900mL/min又は1000 mL/min等である理解されるように、保護雰囲気を導入する流量は、2mL/min~1000mL/minの範囲内の他の値であってもよい。
【0084】
一具体的な例示において、S102は、前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
【0085】
一具体的な例示において、固体複合物を予熱することは、予熱される保護雰囲気を採用して固体複合物を予熱することができ、このようにして、固体複合物中の金属化合物の触媒活性を事前に活性化することができ、その後の炭素被覆処理において炭素材料を触媒反応させてカーボンナノ材料を形成することに有利である。
【0086】
具体的には、予熱される保護雰囲気を用いて固体複合物に予熱処理を行う場合、保護雰囲気を100℃~300℃に予熱する。保護雰囲気の予熱温度は、炭素被覆処理を行う前に保護雰囲気の温度を示す。該予熱温度範囲内で、保護雰囲気の温度を効果的に利用して固体複合物を予熱することができ、さらに真空予熱等の条件下での固体複合物中の物質構造への破壊を回避することができ、予熱した後の固体複合体中の金属化合物(アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物又は遷移金属酸化物)は、触媒作用を十分に発揮し、カーボンナノ材料の生成を促進することができる。
【0087】
さらに、保護雰囲気に予熱処理を行う場合、1℃/min~50℃/minの昇温速度で保護雰囲気を設定温度に予熱する。好ましくは、設定温度は、100℃~300℃である。保護雰囲気を1℃/min~50℃/minで100℃~300℃に昇温する。例えば、1℃/min、2℃/min、3℃/min、4℃/min、5℃/min、6℃/min、7℃/min、8℃/min、9℃/min、10℃/min、15℃/min、20℃/min、25℃/min、30℃/min、35℃/min、40℃/min、45℃/min又は50℃/minで、保護雰囲気を100℃~300℃に昇温する。
【0088】
炭素被覆処理を行う場合、まず、1℃/min~50℃/minで保護雰囲気を100℃~300℃の予熱温度まで昇温し、次に固体複合物と炭素源を混合し、さらに0.1℃/min~10℃/minで前記炭素源の熱分解温度である600℃~1200℃まで昇温する。炭素被覆処理の場合、炭素源の熱分解温度が低すぎると、完全に分解して炭素層を得ることが困難であり、炭素源の熱分解温度が高すぎると、SiОxコアに深刻な不均化が発生し、SiОxコアの活性に影響を及ぼし、負極材料の性能の向上に不利であり、かつ温度が高すぎると、炭素被覆のエネルギー消費及びコストもそれに伴って増加する。炭素被覆処理の場合、炭素源の熱分解温度まで昇温する昇温速度及び炭素源の熱分解の温度を制御することにより、SiОxコアの不均化程度を効果的に制御することができ、SiОxコアの活性を保持し、さらに負極材料の電気化学特性の向上に有利である。
【0089】
一具体的な例示において、炭素源が液相炭素源及び固相炭素源を含む場合、炭素被覆処理を行った後の固体複合体に熱処理を行う。
【0090】
炭素被覆処理のいくつかのタイプとして例を挙げると、炭素被覆処理は、固相炭素被覆処理、液相炭素被覆処理及び気相炭素被覆処理のうちの少なくとも1種を含む。
【0091】
一具体的な例示において、炭素被覆処理は、保護雰囲気下で、固体複合物と炭素源を混合し、炭素源の熱分解を制御して固体複合物の粒子表面に炭素層を形成するというステップを含む。
【0092】
具体的には、炭素源熱分解の温度は、600℃~1200℃である。例えば、炭素源熱分解の温度は、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃又は1200℃である。理解されるように、炭素源熱分解の温度は、600℃~1200℃の範囲内の他の値であってもよい。
【0093】
具体的には、炭素源熱分解の昇温速度は、0.1℃/min~10℃/minであり、即ち、0.1℃/min~10℃/minの昇温速度で炭素源の熱分解温度まで昇温する。この時、昇温速度は、固体複合物と炭素源が位置する温度を初期温度から熱処理温度まで上昇させる昇温速度を示す。例えば、昇温速度は、0.1℃/min、0.2℃/min、0.5℃/min、0.8℃/min、1℃/min、1.5℃/min、2℃/min、2.5℃/min、3℃/min、3.5℃/min、4℃/min、4.5℃/min、5℃/min、5.5℃/min、6℃/min、6.5℃/min、7℃/min、7.5℃/min、8℃/min、8.5℃/min、9℃/min、9.5℃/min又は10℃/minである。理解されるように、炭素源熱分解の昇温速度は、0.1℃/min~10℃/minの範囲内の他の値であってもよい。
【0094】
具体的には、炭素源熱分解の時間は、1h~50hである。好ましくは、熱分解の時間は、1h~10hである。いくつかの好ましい例示において、熱分解の時間は、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h又は10hである。理解されるように、熱分解の時間は、さらに1h~10hの範囲内の他の値であってもよい。
【0095】
一具体的な例示において、SiОx表面に緩衝層を形成する前には、SiОxに熱不均化処理を行うことをさらに含む。最初にSiОxに熱不均化処理を行うことにより、まずSi結晶粒のサイズを制御し、次に炭素被覆を行うことができ、最初のリチウム吸蔵ステージを単体Siに徐々に接近させ、SiОxの電気化学特性を向上させることもできる。さらに、熱不均化処理の温度は、800℃~1400℃であり、例えば、熱不均化処理の温度は、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃、1350℃又は1400℃である。理解されるように、熱不均化処理の温度は、800℃~1400℃の範囲内の他の値であってもよい。またさらに、熱不均化処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。例えば、熱不均化処理の昇温速度は、1℃/min、1.5℃/min、2℃/min、2.5℃/min、3℃/min、3.5℃/min、4℃/min、4.5℃/min、または5℃/minとすることができる。好ましくは、熱不均化処理の温度は、熱分解の温度よりも高くなるように選択される。
【0096】
理解されるように、炭素被覆処理を行う場合、炭素被覆処理の装置は、回転炉、箱型炉、ローラーハースキルン、トンネルキルン、プッシャーキルンなどであってもよい。
【0097】
さらに理解されるように、固体複合物と炭素源を混合する場合、まず固体複合体を冷却し、次にそれを炭素源と混合する。
【0098】
一具体的な例示において、炭素源は、気相炭素源を含む。さらに、炭素源は、気相炭化水素炭素源を含む。またさらに、炭素源は、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。この時、炭素被覆処理を行う場合、保護雰囲気下で気相炭素源を導入して、気相炭素源と固体複合物を混合させる。炭素源が熱分解される場合、アモルファスカーボンが固体複合物の表面に蒸着して炭素被覆を行う。好ましくは、炭素源が気相炭素源を含む場合、炭素被覆処理は、回転炉又は箱型炉で行う。
【0099】
別の具体的な例示において、炭素源は、液相炭素源を含む。さらに、炭素源は、液相有機炭素源を含む。さらに、炭素源は、n-ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、アセトン、ブチルケトン、2-ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル以及酢酸アミルのうちの少なくとも1種を含む。好ましくは、液相炭素源を採用する場合、液相炭素源の流量は、1mL/min~200mL/minである。例えば、液相炭素源の流量は、1mL/min、5mL/min、8mL/min、10mL/min、15mL/min、20mL/min、30mL/min、40mL/min、50mL/min、80mL/min、100mL/min、150mL/min、200mL/minである。好ましくは、炭素源は、ベンゼン及びトルエンのうちの少なくとも1種、又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びペンタノールのうちの少なくとも1種を含む。好ましくは、炭素源が液相炭素源を含む場合、炭素被覆処理は、回転炉、箱型炉、ローラーハースキルン、トンネルキルン又はプッシャーキルンで行われる。炭素源が液相炭素源を含む場合、固体複合体と炭素源の混合方式は、VC混合、融合、ボールミリング、吸引ろ過、加熱還流、三次元混合又は流動層混合などを採用することができる。
【0100】
別の具体的な例示において、炭素源は、固相炭素源を含む。さらに、炭素源は、固相有機炭素源を含む。またさらに、炭素源は、クエン酸、グルコース、アスファルト、フェノール樹脂及びフルフラール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。好ましくは、炭素源が固相炭素源を含む場合、炭素被覆処理は、回転炉、箱型炉、ローラーハースキルン、トンネルキルン又はプッシャーキルンで行われる。炭素源が固相炭素源を含む場合、固体複合体と炭素源の混合方式は、VC混合、融合、ボールミリング、吸引ろ過、加熱還流、三次元混合又は流動層混合などを採用することができる。
【0101】
さらに、固体複合物に炭素被覆処理を行った後には、炭素被覆処理を行った後の固体複合物を熱処理し、熱処理の温度は、600℃~1200℃であり、熱処理の時間は、1h~48hであり、熱処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。具体的には、熱処理の温度は、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃又は1200℃である。熱処理の時間は、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、3.5h又は4hであってもよい。熱処理の昇温速度は、1℃/min、1.5℃/min、2℃/min、2.5℃/min、3℃/min、3.5℃/min、4℃/min、4.5℃/min、又は5℃/minとすることができる。理解されるように、熱処理時に、熱処理の温度、熱処理の時間及び熱処理の昇温速度は、以上に列挙した範囲及び数値内で独立的に対応して選択することができる。また、理解されるように、熱処理の昇温速度は、熱処理の温度を初期温度から熱処理の温度まで上昇させる昇温速度を示す。
【0102】
上記負極材料及び負極材料の製造方法に加えて、本出願の別の実施例は、負極極片を提供する。該負極極片は、上記負極材料を含み、又は上記製造方法で製造された負極材料を含む。
【0103】
さらに、負極極片は、集電体及び上記負極材料を含み、又は集電体及び上記製造方法で製造された負極材料を含み、負極材料は、集電体の表面に位置する。好ましくは、集電体は、銅集電体又はアルミニウム集電体などである。
【0104】
本出願の別の実施例は、リチウムイオン電池を提供する。該リチウムイオン電池は、上記負極材料を含み、又は上記製造方法で製造された負極材料を含む。このリチウムイオン電池は、高いサイクル容量保持率を有する。
【0105】
本出願の別の実施例は、リチウムイオン電池を提供する。このリチウムイオン電池は、上記負極極片を含む。
【0106】
本出願の別の実施例は、充電可能な電気製品を提供する。該充電可能な電気製品は、上記負極材料、又は上記製造方法で製造された負極材料を含む。
【0107】
本出願の別の実施例は、充電可能な電気製品を提供する。該充電可能な電気製品は、上記負極極片を含む。
【0108】
本出願の別の実施例は、充電可能な電気製品を提供する。該充電可能な電気製品は、上記リチウムイオン電池を含む。
【0109】
本出願におけるパラメータ測定として、好ましくは、以下の装置及び方法を用いて測定する。
(1)走査電子顕微鏡(SEM)を用いて材料における粒子構造を確認し、同時にX線分光分析(EDS)を結合して材料におけるSi、O、C等の元素分布の均一性を特徴付ける。
(2)レーザ粒度計を用いて、D50、D90及びD10を測定し、さらにまた計算して(D90-D10)/D50の値を得て、同時にそれらには正規分布の対称分布が存在する。その体積基準分布において、10%を累積した時の直径がD10であり、50%を累積した時の直径がD50であり、90%を累積した時の直径がD90である。(D90-D50)/(D50-D10)の範囲が1.2~1.6である。
(3)米国マイクTristar 3000の比表面積と穴径分析装置を用いて比表面積を測定する。
(4)パナリティカルX'pert Pro X線回折装置を用いて、XRDピークを測定し、次にJade 6.5ソフトウェアを用いて、XRDにおけるSiピークにフィッティングを行い、それによりSi微結晶性サイズを取得する。
(5)カーボンナノ材料の面密度の測定方法:まず3つの面積が100mm*75mmの領域をランダムに選択して、SEM撮影を行い、次にProSEMソフトウェアを運用して、予め保存されるSEM画像を開き、次にこの2D画像において典型的な特徴(ナノワイヤ構造)を選択し、"Find Similar"キーをクリックして類似特徴を検索し、ProSEMは、画像において類似特徴を自動的に検索し、このようにして、該領域内のナノワイヤの数量を取得することができ、該数量をSEMの画像サイズで割り、カーボンナノ材料の面密度を取得し、3つの領域のカーボンナノ材料の面密度に対して平均値を取ることができる。
【0110】
以下は、具体的な実施例である。
【0111】
実施例1
本実施例における負極材料の製造方法は、以下のとおりであり:
(1)10gのLiFを10Lの脱イオン水に分散させ、撹拌しながら60min超音波処理して、分散液を得る。
(2)200gのSiО粉末(球形度係数が0.5である)を分散液に添加し、2時間撹拌して、混合スラリーを得る。
(3)混合スラリーを遠心処理し、かつ85℃で24h乾燥させて、固体複合物を得る。
(4)固体複合物に炭素被覆処理を行い、そのうち、メタンを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、25℃/minで保護雰囲気を5L/minの流速で200℃の予熱温度まで昇温し、30min保温し、予熱された保護雰囲気を利用して、固体複合物を予熱する。次に、予熱された固体複合物を炭素源と混合し、さらに5℃/minで前記炭素源の熱分解温度である900℃まで上昇させ、熱分解の時間は25hであり、負極材料を得る。
【0112】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は50nmであり、ナノ材料のアスペクト比は100であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、300本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.5μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0113】
実施例2
本実施例における負極材料の製造方法は、以下のとおりであり:
(1)硝酸リチウムとフッ化ナトリウムを脱イオン水で混合し、撹拌しながら120min超音波処理して、LiF分散液を得る。そのうち、硝酸リチウムが分散液に占める質量百分率は、2%であり、フッ化ナトリウムが分散液に占める質量百分率は、2%である。
(2)80gのSiО1.5粉末(球形度係数が0.45である)をLiF分散液に添加し、2h撹拌して、混合スラリーを得る。
(3)混合スラリーを吸引ろ過し、かつ90℃で18h乾燥させて、固体複合物を得る。
(4)固体複合物に炭素被覆処理を行う。そのうち、低温液相アスファルトを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、50℃/minで保護雰囲気を0.5L/minの流速で300℃の予熱温度まで昇温し、30min保温し、予熱された保護雰囲気を利用して固体複合物を予熱する。次に、予熱された固体複合物を炭素源と混合し、さらに0.1℃/minで前記炭素源の熱分解温度である800℃まで上昇させ、熱分解の時間は1hである。
(5)炭素被覆処理後の複合物をキルンに入れ、980℃で24h熱処理して、負極材料を得る。
【0114】
本実施例で製造された負極材料の粒子構造は、SiО1.5コアと、SiО1.5コア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiО1.5コア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブであり、カーボンナノ材料の直径は、20nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、500であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、1000本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.02μmであり、炭素層の厚さは、1000nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、15%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、8%である。
【0115】
実施例3
本実施例における負極材料の製造方法は、以下のとおりであり:
(1)10gのLiFを5Lの脱イオン水に分散させ、撹拌しながら90min超音波処理して、分散液を得る。
(2)50gのSiО0.8粉末(球形度係数が0.55である)を分散液に添加し、2h撹拌して、混合スラリーを得る。
(3)混合スラリーを噴霧乾燥処理し、噴霧乾燥の入口温度は、180℃であり、出口温度は、90℃であり、固体複合物を得る。
(4)固体複合物に炭素被覆処理を行う。そのうち、グルコースを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、ローラーハースキルンを用いて炭素被覆処理を行う。まず、1℃/minで保護雰囲気を予熱温度100℃まで昇温し、20min保温し、予熱された保護雰囲気を利用して固体複合物を予熱する。次に、予熱された固体複合物を炭素源VCと混合し、さらに10℃/minで前記炭素源の熱分解温度である600℃まで上昇させ、熱分解の時間は50hである。
(5)炭素被覆処理後の複合物をキルンに入れ、1000℃で18h熱処理して、負極材料を得る。
【0116】
本実施例で製造された負極材料は、SiО0.8コアと、SiО0.8コア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiО0.8コア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノファイバーであり、カーボンナノ材料の直径は、100nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、1000であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、5000本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、1.5μmであり、炭素層の厚さは、200nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、20%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、2%である。
【0117】
実施例4
実施例1と異なるのは、LiFをAl2О3に置き換えることである。
【0118】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するAl2О3緩衝層及び炭素層を含み、Al2О3緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は60nmであり、ナノ材料のアスペクト比は80であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、200本/mm2であり、
Al2О3緩衝層の厚さは、0.5μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0119】
実施例5
実施例1と異なるのは、LiFをLi2Оに置き換えることである。
【0120】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLi2О緩衝層及び炭素層を含み、Li2О緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は40nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、90であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、250本/mm2であり、
Li2О緩衝層の厚さは、0.9μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0121】
実施例6
実施例1と異なるのは、LiFをTiО2に置き換えることである。
【0122】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するTiО2緩衝層及び炭素層を含み、TiО2緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は70nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、150であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、500本/mm2であり、
TiО2緩衝層の厚さは、1μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0123】
実施例7
本実施例が実施例1と異なるのは、SiО粉末を分散液に添加する前に、SiО粉末に熱不均化処理を行うことをさらに含むことである。熱不均化処理の温度は、900℃である。
【0124】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は、50nmであり、カーボンナノ材料のアスペクト比は、100であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、300本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.5μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0125】
実施例8
本実施例が実施例1と異なるのは、炭素源の熱分解温度が600℃であることである。
【0126】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は50nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、160であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、200本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.5μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0127】
実施例9
本実施例が実施例1と異なるのは、炭素源の熱分解温度が1200℃であることである。
【0128】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は80nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、260であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、2000本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.4μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0129】
実施例10
本実施例が実施例2と異なるのは、炭素被覆処理後の熱処理温度が600℃であることである。
【0130】
本実施例で製造された負極材料は、SiО1.5コアと、SiО1.5コア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiО1.5コア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、
カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブであり、カーボンナノ材料の直径は、15nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、300であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、200本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.02μmであり、炭素層の厚さは、1000nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、15%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0131】
実施例11
本実施例が実施例2と異なるのは、炭素被覆処理後の熱処理温度が1200℃であることである。
【0132】
本実施例で製造された負極材料は、SiО1.5コアと、SiО1.5コア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiО1.5コア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブであり、カーボンナノ材料の直径は、50nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、600であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、4000本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.015μmであり、炭素層の厚さは、1000nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、15%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0133】
実施例12
(1)10gのLiFを10Lの脱イオン水に分散させ、撹拌しながら60min超音波処理して、分散液を得る。
(2)20gのSiО粉末(球形度係数が0.5である)を分散液に添加し、2h撹拌して、混合スラリーを得る。
(3)混合スラリーを遠心処理し、かつ85℃で24h乾燥させて、固体複合物を得る。
(4)固体複合物に炭素被覆処理を行う。そのうち、メタンを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、25℃/minで保護雰囲気を1L/minの流速で200℃の予熱温度まで昇温し、20min保温し、予熱された保護雰囲気を利用して固体複合物を予熱する。次に、予熱された固体複合材料を炭素源と混合し、さらに5℃/minで前記炭素源の熱分解温度である900℃まで上昇させ、熱分解の時間は25hである。
【0134】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、グラフェンであり、カーボンナノ材料の直径は、100nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、10000であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、40000本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、5μmであり、炭素層の厚さは、800nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、50%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0135】
実施例13
実施例1と異なることは、球形度係数が0.96であるSiОを原料として選択することである。
【0136】
本実施例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiОコア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は50nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、100であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、300本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.5μmであり、炭素層の厚さは、500nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、5%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0137】
実施例14
本実施例は実施例2と比較して、ステップ(4)で固体複合物に炭素被覆処理を行う時に、予熱された保護雰囲気を用いずに固体複合体に予熱処理を行う。
【0138】
本比較例で製造された負極材料は、SiО1.5コアと、SiО1.5コア表面に位置するLiF緩衝層及び炭素層を含み、LiF緩衝層は、SiО1.5コア表面に形成され、炭素層は、緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料と、緩衝層に近接する及び離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料とを含み、カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブであり、カーボンナノ材料の直径は、20nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、500であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、15本/mm2であり、
LiF緩衝層の厚さは、0.02μmであり、炭素層の厚さは、1000nmであり、そのうち、緩衝層が負極材料に占める質量百分率は、15%であり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、8%である。
【0139】
比較例1
本比較例における負極材料の製造方法は、
200gのSiО(球形度係数0.50)に炭素被覆処理を行うことである。そのうち、メタンを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、25℃/minで保護雰囲気を8L/minの流速で200℃の予熱温度まで昇温し、次にSiОを炭素源と混合し、さらに5℃/minで前記炭素源の熱分解温度である900℃まで昇温し、熱分解の時間は25hである。
【0140】
本比較例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置するアモルファスカーボン層を含み、ナノ構造がない。炭素層の厚さは、500nmであり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0141】
比較例2
本実施例における負極材料の製造方法は、以下のとおりであり:
(1)71.7gのフェロセンを10Lの脱イオン水に分散させ、撹拌しながら60min超音波処理して、分散液を得て、
(2)200gのSiО粉末(球形度係数が0.50である)を分散液に添加し、2h撹拌して、混合スラリーを得て、
(3)混合スラリーを遠心処理し、かつ85℃で24h乾燥させて、固体複合物を得る。
(4)固体複合物に炭素被覆処理を行い、負極材料を得ることである。そのうち、メタンを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、25℃/minで保護雰囲気を10L/minの流速で200℃の予熱温度まで昇温し、次に固体複合物を炭素源と混合し、さらに5℃/minで前記炭素源の熱分解温度である900℃まで昇温し、熱分解の時間は25hである。
【0142】
本比較例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置する炭素層を含み、炭素層は、SiОコア表面に位置するアモルファスカーボン材料及びカーボンナノ材料を含む。カーボンナノ材料は、カーボンナノワイヤであり、カーボンナノ材料の直径は、100nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、10000であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、100000本/mm2であり、炭素層の厚さは、500nmであり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0143】
本比較例において、負極材料は、強磁性材料をさらに含み、強磁性材料の存在は、電池の微小短絡問題をもたらす可能性があり、負極材料に対してさらなる消磁処理を行う必要がある。
【0144】
比較例3
本比較例における負極材料の製造方法は、
(1)カーボンナノチューブを秤量して脱イオン水に加えて、45min撹拌し、200gのSiО粉末(球形度係数が0.50である)を添加して、3h撹拌し、アルコールを添加して、30min撹拌し、吸引ろ過し、乾燥させて、カーボンナノチューブ複合SiО材料を取得し、そのうち、カーボンナノチューブの質量含有量は、0.10%であり、
(2)カーボンナノチューブ複合SiО材料に炭素被覆処理を行うことである。そのうち、メタンを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、25℃/minで保護雰囲気を0.5L/minの流速で220℃の予熱温度まで昇温し、30min保温する。次に、カーボンナノチューブ複合SiО材料を炭素源と混合し、さらに5℃/minで前記炭素源の熱分解温度である920℃まで上昇させ、熱分解の時間は25hであり、カーボンナノチューブ複合炭素被覆SiО材料を取得する。
【0145】
本比較例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置する炭素層を含み、炭素層は、SiОコア表面に位置するアモルファスカーボン材料及び炭素層にex-situ付着されるカーボンナノ材料を含む。カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブであり、カーボンナノ材料の直径は、1.8nmであり、ナノ材料のアスペクト比は、2500であり、前記カーボンナノ材料の面密度は、500本/mm2であり、炭素層の厚さは、500nmであり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0146】
比較例4
本比較例における負極材料の製造方法は、
(1)200gのSiО(球形度が0.50である)に炭素被覆処理を行い、そのうち、メタンを炭素源とし、窒素ガスを保護雰囲気とし、回転炉を用いて炭素被覆処理を行う。まず、25℃/minで保護雰囲気を7L/minの流速で200℃の予熱温度まで昇温し、次に固体複合物を炭素源と混合し、さらに5℃/minで前記炭素源の熱分解温度である900℃まで昇温し、熱分解の時間は25hであり、
(2)炭素被覆処理後の複合物をキルンに入れ、980℃で24h熱処理し、
(3)10gのLiFを10Lの脱イオン水に分散させ、撹拌しながら60min超音波処理して、分散液を得て、
(4)(2)で得られる粉末を分散液に添加し、2h撹拌して、混合スラリーを得て、
(5)混合スラリーを遠心処理し、かつ85℃で24h乾燥させて、固体複合物を得ることである。
【0147】
本比較例で製造された負極材料は、SiОコアと、SiОコア表面に位置する炭素層を含み、炭素層は、SiОコア表面に形成され、LiF層は、炭素層の表面に位置し、カーボンナノ構造は存在しない。炭素層の厚さは、500nmであり、炭素層が負極材料に占める質量百分率は、5%である。
【0148】
試験方法
実施例1~14(S1~S14)、比較例1~4(D1~D4)における負極材料でリチウムイオン電池を作製することで、可逆比容量、初回クーロン効率、50回をサイクルした後の体積膨張率及び容量保持率を試験する。
【0149】
(1)可逆比容量及び初回クーロン効率の試験方法は、負極材料、導電性カーボンブラック、ポリアクリル酸接着剤(PAA接着剤)を質量比が75:15:10である割合で負極スラリーを調製し、銅箔上に塗布し、乾燥して負極極片を製造する。金属リチウム片を対極とし、アルゴンガスを充填したグローブボックス中にボタン式電池を組み立てて完了する。0.1Cの電流密度で、0.01-1.5Vの充放電区間で充放電試験を行う。電池の初回可逆比容量及び初回クーロン効率を試験して得られる。
【0150】
(2)50回をサイクルした後の体積膨張率及び容量保持率の試験方法は、負極材料:導電性カーボンブラック(Super-P):導電性グラファイト(KS-6):カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレンブタジエンゴム(SBR)=92:2:2:2:2に応じて負極スラリーを調製し、銅箔上に塗布し、乾燥して負極極片を製造する。金属リチウム片を対極とし、アルゴンガスを充填したグローブボックス中にボタン式電池を組み立てて完了する。1Cの電流密度で、0.01-1.5Vの充放電区間で充放電試験を行う。電池の50回をサイクルした後の体積膨張率及び容量保持率を試験して得られる。
実施例1~14及び比較例1~4における負極材料の性能パラメータは、以下の表に示すとおりである。
【0151】
実施例1~14及び比較例1~4における負極材料の性能パラメータは、以下の表に示すとおりである。
【表1】
【表2】
【0152】
実施例1における負極材料の構造は、
図3a及び
図3bに示す通りであり、そのうち、
図3aは実施例1で製造される負極材料の表面構造図であり、
図3bは実施例1で製造される負極材料の断面図である。
図3a及び
図3bから分かるように、負極材料の表面にナノワイヤ構造があり、かつ粒径が100nm以下である。また、
図3bから分かるように、一部のナノワイヤは、負極材料の内部に向かって延びている。
【0153】
実施例2における負極材料の構造は、
図4a及び
図4bに示す通りであり、
図4a及び
図4bから分かるように、負極材料の表面にナノワイヤが存在し、かつナノワイヤが互いに絡み合っている。
図5aは、実施例2における負極材料のナノワイヤの表面構造図であり、
図5bは、実施例2における負極材料のナノワイヤのEDSパワースペクトルであり、
図5a及び
図5bから分かるように、ナノワイヤは、主に炭素元素で構成され、負極材料の表面にカーボンナノ材料が形成されることを示す。
【0154】
比較例1における負極材料の構造は、
図6a及び
図6bに示す通りであり、
図6a及び
図6bから分かるように、比較例1の負極材料にはナノワイヤ構造が生成しておらず、かつこの点を除いて、その表面形態が実施例1と実施例2と類似する。
【0155】
実施例1、比較例1における負極材料で製造されたリチウムイオン電池のサイクル膨張試験結果は、
図7に示す通りであり、サイクル容量保持率は、
図8に示す通りである。
【0156】
図7から分かるように、実施例1と比較例1における負極材料で製造されたリチウムイオン電池の充放電プラットフォームは近接しており、緩衝層の導入により材料を高い電気化学特性を保持することができることを示す。
【0157】
図8から分かるように、実施例1及び比較例1における負極材料で製造されたリチウムイオン電池は、前期でのサイクル保持率が近いが、25回サイクル以降では、実施例1における負極材料で製造されたリチウムイオン電池のサイクル保持率は、比較例1より明らかに高く、その原因は、負極材料における二層フレキシブル構造緩衝材料の体積膨張であり、かつSEI膜の生成を減少させることかもしれなく、また、カーボンナノ材料の存在は、電子電気伝導性能を改善し、電池サイクル性能の向上を促進する。
【0158】
表中の実施例1と実施例14を比較すると、固体複合物が予熱されないと、固体混合物中の金属化合物は、常温で反応炉に投入されるため、その触媒活性が低く、原料を徹底的に反応させることができず、カーボンナノチューブの生成に影響を与え、それにより得られたカーボンナノワイヤの面密度が小さく、材料がサイクル時の副反応が減少し、それにより比容量及び初回効率が向上するが、カーボンナノチューブの生成量が少ないため、そのサイクル容量保持率及びサイクル体積膨張率に影響を及ぼすことが分かる。
【0159】
表中の実施例1及び比較例1を比較すると、初回クーロン効率及び50回サイクルした後の容量保持率が高く、かつ50回サイクルした後の体積膨張率が小さい。その理由は、容量保持率及び膨張率の改善は、LiF人工SEI膜構造による被覆靭性の向上及び天然SEI膜の生成抑制に由来し、SiОx粒子の構造完全性を維持することに有利であるが、初回クーロン効率の向上は、その高い電気絶縁性及び広帯域幅のおかげであり、このような特性は、電解液の分解を阻止し、それにより別途なSEI生成を制限し、このようにして不可逆容量を減少させて、初回クーロン効率を向上させることになる。
【0160】
表中の実施例1と比較例2を比較すると、フェロセンを触媒として使用する主な欠点は、技術的にその後の消磁プロセスが必要であり、より煩雑になることである。また、フェロセンを触媒として使用する場合、同じモル濃度で表面のカーボンナノ材料の面密度がより大きく、過剰のカーボンナノ材料は、材料の比表面積の増加をもたらし、それにより材料が初回充放電過程において電解液と反応して、SEIを生成する厚さ(数)が増加し、反応によって得られる比容量及び初回クーロン効率を低下させ、電池の体積膨張率及びサイクル性能もわずかに劣化している。
【0161】
表中の実施例1及び比較例3を比較すると、その後に添加するCNTは、In-situ生成ではなく、かつ炭素被覆層を貫通して「籠状」構造を形成することができないため、サイクル過程において界面の安定性を維持する作用が実施例1より弱く、その結果、実施例1に比べて粒子が破壊・崩壊しやすくなるため、電解液の継続的な浸透により新たなSEI膜が継続的に生成され、サイクル中の不可逆比容量が増加し、それにより僅かに低下する容量保持率及びわずかに上昇する膨張率と反映される。また、実施例1における製造方法と比較すると、後期にCNTを添加する方が、より良いサイクル性能を有することを示す。
【0162】
表中の実施例1と比較例4を比較すると、C層がSiОxコアを被覆し、緩衝層がC層を被覆し、内側から外側までSiОxコア-C層-緩衝層の構造を形成し、該構造は、ある程度で初回クーロン効率を向上させることができるが、電気絶縁性の高いLiFを最外層に被覆するため、材料のサイクル性能に影響を及ぼし、かつC層を被覆することによる電子電気伝導に対する改善作用を発揮することができない。
【0163】
上述の実施例の各技術的特徴は、任意の組み合わせを行うことができ、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについて説明しないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載の範囲であると考えられるべきである。
【0164】
上述の実施例は、本出願のいくつかの実施形態を示すだけでなく、その説明は具体的で詳細であるが、特許出願の範囲を限定するものと理解されるべきではない。本出願が属する技術分野の当業者にとって、本出願の構想から逸脱することない前提で、いくつかの変形及び改善を行うことができ、これらはいずれも本出願の保護範囲に属すると指摘すべきである。したがって、本出願の特許請求の保護範囲は、添付の特許請求の範囲を基準とするべきであり、明細書及び図面は請求項の内容を説明するために用いられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極材料であって、前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、そのうち、前記緩衝層は、前記活物質の表面に形成され、前記炭素層は、前記緩衝層の表面に位置するアモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するカーボンナノ材料を含む、ことを特徴とする負極材料。
【請求項2】
以下の特徴(1)~(16)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
(1)前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって緩衝層まで延在する。
(2)前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって延在しかつ前記緩衝層を貫通して前記活物質まで延在する。
(3)前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に接続される。
(4)前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層を貫通しかつ前記アモルファスカーボン材料及び前記活物質に接続される。
(5)前記カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
(6)前記カーボンナノ材料の形態は、線状、管状、フレーク状、及び短冊状のうちの少なくとも1種を含む。
(7)前記カーボンナノ材料の直径は、1nm~100nmである。
(8)前記カーボンナノ材料のアスペクト比は、10以上である。
(9)前記負極材料において、前記カーボンナノ材料の面密度は、20本/mm
2~10000本/mm
2である。
(10)前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
(11)前記緩衝層は、LiF、NaF及びLi
3Nのうちの少なくとも1種を含む。
(12)前記緩衝層は、Li
2О、Al
2О
3、MgО、TiО
2、ZnО、CuО、Ag
2О及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
(13)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(14)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(15)前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
(16)前記緩衝層は、LiF、Li
2О、Li
3N、Al
2О
3、TiО
2、ZnО及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
【請求項3】
以下の特徴(1)~(12)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の負極材料。
(1)前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2である。
(2)前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦x≦1.5である。
(3)前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
(4)前記活物質は、SiОx材料を含み、前記SiОx材料粒子の球形度係数は、0.4以上である。
(5)前記緩衝層が前記負極材料に占める質量百分率は、0.05%~20%である。
(6)前記炭素層が前記負極材料に占める質量百分率は、0.5%~20%である。
(7)前記炭素層の厚さは、10nm~1500nmである。
(8)前記負極材料のD
50は、1μm~20μmである。
(9)前記負極材料の粒径分布である(D
90-D
50)/(D
50-D
10)は、1.2~1.6である。
(10)前記活物質は、Si結晶粒を含む。
(11)前記活物質は、Si結晶粒を含み、前記Si結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。
(12)前記負極材料の比表面積は、1m
2/g~20m
2/gである。
【請求項4】
負極材料の製造方法であって、
活物質の表面に緩衝層を形成し、固体複合物を取得し、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含むステップ、
保護雰囲気において前記固体複合物に炭素被覆処理を行って、負極材料を取得し、前記負極材料は、活物質、活物質の表面に位置する緩衝層及び炭素層を含み、前記炭素層は、アモルファスカーボン材料及びカーボンナノ材料を含み、前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料から前記緩衝層に近接する及び/又は離れる方向に向かって延在するステップを含む負極材料の製造方法。
【請求項5】
以下の特徴(1)~(6)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
(1)前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2である。
(2)前記活物質は、SiОx材料を含み、0.8≦x≦1.5である。
(3)前記活物質は、SiОx材料を含み、SiОx材料粒子は、球形又は略球形である。
(4)前記活物質は、SiОx材料を含み、前記SiОx材料粒子の球形度係数は、0.4以上である。
(5)前記活物質はSi結晶粒を含む。
(6)前記活物質はSi結晶粒子を含み、前記Si結晶粒のサイズは、2nm~10nmである。
【請求項6】
以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
(1)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(2)前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
(3)前記緩衝層は、LiF、NaF及びLi
3Nのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記緩衝層は、Li
2О、Al
2О
3、MgО、TiО
2、ZnО、CuО、Ag
2О及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
(5)前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
(6)前記緩衝層は、LiF、Li
2О、Li
3N、Al
2О
3、TiО
2、ZnО及びZrО
2のうちの少なくとも1種を含む。
(7)前記活物質表面に緩衝層が形成される方式は、液相被覆である。
【請求項7】
以下の特徴(1)~(6)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記活物質の表面には、緩衝層が形成され、固体複合物を取得するステップは、緩衝層材料と活物質を溶媒中で混合して、混合スラリーを調製し、かつ混合スラリーに固液分離処理を行い、固体複合体を得ることを含む。
(2)前記混合スラリーにおける緩衝層材料の粒径は、1nm~1μmである。
(3)前記溶媒は、水、エタノールのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記緩衝層材料が前記混合スラリーに占める質量百分率は、0.05%~0.2%である。
(5)前記活物質が前記混合スラリーに占める質量百分率は、2%~20%である。
(6)前記固液分離処理は、吸引ろ過処理、遠心処理及び噴霧乾燥処理の少なくとも1種を含む。
【請求項8】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記活物質の表面には、緩衝層が形成され、固体複合物を取得するステップは、緩衝層前駆体材料を溶媒に混合し、緩衝層材料を含有する分散液を調製し、分散液に活物質を添加して混合して固液分離処理を行って、固体複合体を得ることを含む。
(2)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含む。
(3)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記リチウム源は、硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム及びシュウ酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記フッ素源は、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム及びフッ化カルシウムのうちの少なくとも1種を含む。
(5)前記緩衝層前駆体材料は、リチウム源及びフッ素源を含み、前記リチウム源が前記分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%であり、前記フッ素源が前記分散液に占める質量百分率は、0.01%~0.5%である。
【請求項9】
以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
(1)前記方法は、前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
(2)前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行うことをさらに含む。
(3)前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行い、そのうち、前記保護雰囲気の予熱温度は、100℃~300℃であることをさらに含む。
(4)前記方法は、予熱される保護雰囲気を採用して前記固体複合物を予熱し、さらに炭素被覆処理を行い、そのうち、前記保護雰囲気の昇温速度は、1℃/min~50℃/minであることを含む。
【請求項10】
以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項
4に記載の製造方法。
(1)前記炭素被覆処理は、固相炭素被覆処理、液相炭素被覆処理及び気相炭素被覆処理のうちの少なくとも1種を含む。
(2)前記炭素被覆処理は、前記固体複合体と炭素源を混合し、前記炭素源の熱分解を制御して前記固体複合体の粒子表面に炭素層を形成するステップを含む。
(3)前記固体複合物に炭素被覆処理を行った後、炭素被覆処理を行った後の固体複合物に熱処理を行うステップを含む。
(4)前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【請求項11】
以下の特徴(1)~(14)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
(1)前記炭素源は、気相炭素源を含む。
(2)前記炭素源は、気相炭素源を含み、前記気相炭素源は、気相炭化水素系炭素源を含む。
(3)前記炭素源は、気相炭素源を含み、前記気相炭素源は、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
(4)前記炭素源は、液相炭素源を含む。
(5)前記炭素源は、液相炭素源を含み、前記液相炭素源は、液相有機炭素源を含む。
(6)前記炭素源は、液相炭素源を含み、前記液相炭素源は、n-ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、アセトン、ブチルケトン、2-ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル以及酢酸アミルのうちの少なくとも1種を含む。
(7)前記炭素源は、固相
炭素源を含む。
(8)前記炭素源は、固相炭素源を含み、前記固相炭素源は、固相有機炭素源を含む。
(9)前記炭素源は、固相炭素源を含み、前記固相炭素源は、クエン酸、グルコース、アスファルト、フェノール樹脂及びフルフラール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
(10)前記熱分解の温度は、600℃~1200℃である。
(1
1)前記熱分解の昇温速度は、0.1℃/min~10℃/minである。
(12)前記熱処理の温度は、600℃~1200℃である。
(13)前記熱処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。
(14)前記熱処理の時間は、1h~48hである。
【請求項12】
前記活物質は、SiОx材料を含み、0<x<2であり、活物質の表面に緩衝層を形成する前に、前記方法は、前記SiОx材料に熱不均化処理を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項
4に記載の製造方法。
【請求項13】
以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項に記載12の製造方法。
(1)前記熱不均化処理の温度は、800℃~1400℃である。
(2)前記熱不均化処理の昇温速度は、1℃/min~5℃/minである。
(3)前記熱不均化処理の時間は、2h~50hである。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載の負極材料又は請求項4~13のいずれか一項に記載の負極材料の製造方法で製造された負極材料を含む、ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項15】
請求項14に記載のリチウムイオン電池を含む、ことを特徴とする充電可能な電気製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって緩衝層まで延在する。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層に近接する方向に向かって延在しかつ前記緩衝層を貫通して前記活物質まで延在する。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記アモルファスカーボン材料及び前記緩衝層に接続される。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、前記緩衝層を貫通しかつ前記アモルファスカーボン材料及び前記活物質に接続される。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料の形態は、線状、管状、フレーク状、及び短冊状のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料の直径は、1nm~100nmである。
いくつかの実施形態において、前記カーボンナノ材料のアスペクト比は、10以上である。
いくつかの実施形態において、前記負極材料において、前記カーボンナノ材料の面密度は、20本/mm2~10000本/mm2である。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属窒素化合物、アルカリ金属酸化物及び遷移金属酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、LiF、NaF及びLi3Nのうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、Li2О、Al2О3、MgO、TiО2、ZnО、CuO、Ag
2
O及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、触媒として前記アモルファスカーボン材料のIn-situ成長を触媒反応させて前記カーボンナノ材料を形成することができる。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層の厚さは、0.01μm~2μmである。
いくつかの実施形態において、前記緩衝層は、LiF、Li2О、Li3N、Al2О3、TiО2、ZnО及びZrО2のうちの少なくとも1種を含む。
【国際調査報告】