(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び酸化生成物を含む組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
C09K5/04 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555131
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 US2022019276
(87)【国際公開番号】W WO2022192205
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ション ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン サン-ブランクス
(57)【要約】
HFO-1234yfと、阻害剤と、阻害剤から誘導される酸化生成物と、を含む組成物が開示される。そのような組成物は、他の用途の中でもとりわけ、冷蔵、空調及びヒートポンプシステムで使用するための熱伝達組成物として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物であって、前記酸化生成物が、テルペン阻害剤の酸化生成物である、組成物。
【請求項2】
前記テルペン阻害剤が、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンのうちの1種以上から選択され得る、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸化生成物が、カルボン、カルベオール、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン、ピノカルベオール、ミルテノール及びプロパンのうちの1種以上から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記阻害剤が、リモネンであり、前記酸化生成物が、カルボン、カルベオール及びリモネンオキシドのうちの少なくとも1種であり得る、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記阻害剤が、α-テルピネンであり、前記酸化生成物が、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン及びプロパンのうちの少なくとも1種であり得る、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記阻害剤が、α-ピネンであり、前記酸化生成物が、α-ピネンオキシドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記阻害剤が、β-ピネンであり、前記酸化生成物が、ピノカルベオール及びミルテノールのうちの少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、HCC-40、CFC-12、HFC-23、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-244bb、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFO-1123、HFO-1243zf、HFO-1225ye(E-及び/又はZ-異性体)、HFO-1225zc、HFO-1234ze(E-及び/又はZ-異性体)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO-1233xf、HCFO-1122、HCO-1140、HCFO-1131(E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a、HCFC-124、HCFC-124a及びHCFC-142bのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、CHF(CF
3)CH
2CH=CF(CF
3)、CHF(CF
3)CH=CHCHF(CF
3)、CF(CF
3)=CHCH
2CF(CF
3)CH
2CHF(CF
3)、CF
3C(=O)CH
3、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリオキサン及びトリフルオロ酢酸のうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、E-HFO-1233zd、Z-HFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、HCFO-1112、HFO-1234zc、HFO-1234ye及びHFO-1234ycのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、HFC-134a、HFC-244bb、HFC-245cb、HFO-1243zf、HFO-1225ye、HFO-1225zc、HFO-1234ze、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン及びHCFO-1233xfから選択される追加の化合物を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記テルペン阻害剤が、前記組成物中に、少なくとも0.001重量%(10ppm)の量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記テルペン阻害剤が、少なくとも0.01重量%(100ppm)の量で前記組成物中に存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、HFO-1243zf、HFC-134a、HFC-143a、HCFO-1122、HFC-254eb、HCFC-124及びHFC-23のうちの1種以上から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記追加の化合物が、HFO-1243zf、HFC-134a及びHFC-143aの組合せである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記追加の化合物が、HFO-1243zf、HFC-134a、HFC-143a、HCFO-1122及びHFC-254ebの組合せである、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、HFC-152a、HFO-1234ze(E)、HCFO-1131a、HCO-1140、CFC-12、HFC-244bb及びHCFO-1233xfのうちの1種以上から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、HFO-1225ye(Z)、HC-40、HFO-1123、及びHFC-263fbのうちの1種以上から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記追加の化合物の総量が、0重量%超かつ1重量%未満であり得る、請求項7に記載の組成物。
【請求項20】
存在する追加の化合物の総量が、組成物の総重量の0.1ppm超かつ0.5重量%未満である、請求項7に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、4-メトキシフェノール及びベンゼン-1,4-ジオールから選択される追加の阻害剤を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記テルペン阻害剤が、リモネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記テルペン阻害剤が、α-テルピネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記テルペン阻害剤が、α-ピネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記テルペン阻害剤が、β-ピネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒組成物。
【請求項27】
添加冷媒を更に含む、請求項26に記載の冷媒組成物。
【請求項28】
前記添加冷媒が、ハイドロフルオロカーボンである、請求項27に記載の冷媒。
【請求項29】
前記ハイドロフルオロカーボンが、HFC-32、HFC-125、HFC-134a、HFC-152a、236fa及びHFC-227eaから選択される、請求項28に記載の冷媒組成物。
【請求項30】
前記添加冷媒が、HFO-1234zeである、請求項28に記載の冷媒。
【請求項31】
前記添加冷媒が、二酸化炭素である、請求項27に記載の冷媒。
【請求項32】
熱伝達のためのプロセスであって、請求項1に記載の組成物を含む組成物を熱源からヒートシンクへ輸送することを含む、プロセス。
【請求項33】
冷媒を凝縮させることと、その後に冷却対象の物体の近傍で前記組成物を蒸発させることと、を含み、前記冷媒が、請求項26、27、28、29、30又は31のいずれか一項に記載の冷媒組成物である、冷却を生じさせるための方法。
【請求項34】
冷媒を蒸発させることと、その後に加熱対象の物体の近傍で前記組成物を凝縮させることとを含み、前記冷媒が、請求項26、27、28、29、30、又は31のいずれか一項に記載の冷媒組成物である、加熱を生じさせるための方法。
【請求項35】
冷蔵、空調又はヒートポンプ装置において加熱又は冷却を生じさせるための方法であって、前記方法が、冷媒を、(a)遠心圧縮機、(b)多段遠心圧縮機又は(c)単一スラブ/単一パス熱交換器、を有する前記装置に導入することを含み、前記冷媒が、請求項26、27、28、29、30又は31のいずれか一項に記載の冷媒組成物である、方法。
【請求項36】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物を含む熱伝達システムであって、前記酸化生成物がテルペン阻害剤の酸化生成物である、熱伝達システム。
【請求項37】
前記熱伝達システムが、冷蔵、空調又はヒートポンプ装置から選択される固定式システムである、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記熱伝達システムが、移動式空調システムである移動式システムである、請求項36に記載の熱伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月8日出願の米国特許仮出願第63/158,103号に対する優先権を主張し、当該出願は参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び阻害剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
冷媒に対する新たな環境規制によって、冷蔵及び空調産業は、地球温暖化係数(global warming potential、GWP)の低い新規冷媒を探さなければならなくなっている。
【0004】
低GWP、低毒性、低燃焼性又は不燃性、合理的なコスト及び優れた冷蔵性能を有する代替冷媒が求められている。フルオロオレフィンは、これらの基準を満たしている。更に、冷媒における所望の特性としては、漏れが起こった場合の検出の容易さ、冷媒用途における効率及び容量などの性能、そのような用途において使用される潤滑剤への溶解性、及びそのような用途において使用される成分との適合性が挙げられる。
【0005】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf、R-1234yf、又は1234yf)は、低い地球温暖化係数(GWP)を有するフルオロオレフィンの一例であり、冷蔵、空調、加熱及び冷却、動力サイクルなどの多くの用途において、高GWPハイドロフルオロカーボン及び/又はオゾン層破壊性ハイドロクロロフルオロカーボンの代替物である。1234yfを含む組成物の特性の改善が望まれている。
【0006】
(関連技術の説明)
1234yfは、冷蔵及び空調などの熱伝達用途において使用される場合、安定な分子である。しかしながら、1234yfは、意図せず導入され得る空気などのラジカル開始剤の存在下で、オリゴマー化又はホモポリマー化し得る。
【0007】
国際公開第2019/213004号は、フルオロオレフィンと、包装中及び貯蔵中、並びに冷蔵システム又は空調システムでの使用中に、フルオロオレフィンの安定性を増加させるための特定の阻害剤とを含む組成物を開示している。テルペン、例えばリモネン、α-テルピネン及びα-ピネンは、これらの列挙されたテルペンで処理された1234yf試料の目視検査によって決定されるように、重合反応を防止するのに有効であると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願第63/158,103号
【特許文献2】国際公開第2019/213004号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物であって、酸化生成物は、テルペン阻害剤の酸化生成物である組成物を提供する。テルペン阻害剤は、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンのうちの1種以上から選択され得る。
【0010】
酸化生成物は、以下に示す、カルボン、カルベオール(Z-及びE-)及びリモネンオキシド(Z-及びE-)の少なくとも1種から選択されるリモネンの酸化生成物であり得る。
【0011】
【0012】
阻害剤がリモネンを含む場合、組成物は、α-テルペン、シメン、1-オクタノール、γ-テルピネン、テルピノレン及びβ-テルピネンのうちの1種以上を更に含み得る。
【0013】
酸化生成物は、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン及びプロパンのうちの少なくとも1種から選択されるα-テルピネンの酸化生成物であり得る。なお、これらは、プロパンを除いて全てが以下に示されるとおりのものである。
【0014】
【0015】
阻害剤がα-テルピネンを含む場合、組成物は、カンフェン、イソカンフェン、テルピノレン、メントメンテン、フェランドレン、サビネン、β-テルピネン、1,4-シネオール、カルボメンテンオキシド、d-リモネン、1,8-シネオール、γ-テルピネンのうちの1種以上を更に含み得る。
【0016】
酸化生成物は、α-ピネンの酸化生成物であってもよく、ここで、酸化生成物は、以下に示すように、α-ピネンオキシドである。
【0017】
【0018】
阻害剤がα-ピネンを含む場合、組成物は、5-メチル-4-ノネン、α-ツジェン、トリシクレン(1,7,7-トリメチルトリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタン)、α-フェンケン、カンフェン、シメン、d-リモネン、α-カンフォレナールのうちの1種以上を更に含み得る。
【0019】
酸化生成物は、以下に示すように、ピノカルベオール及びミルテノールのうちの少なくとも1種から選択される、β-ピネンの酸化生成物であり得る。
【0020】
【0021】
阻害剤がβ-ピネンを含む場合、組成物は、α-ピネン、α-フェンケン、カンフェン、ベルベネン、ミルセン、フェランドレン、カンファン、シメン及び2-メンテンのうちの1種以上を更に含み得る。
【0022】
酸化生成物は、2種以上のテルペン阻害剤の酸化生成物を含み得る。
【0023】
組成物は、HCC-40、CFC-12、HFC-23、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-244bb、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFO-1123、HFO-1243zf、HFO-1225ye(E-及び/又はZ-異性体)、HFO-1225zc、HFO-1234ze(E-及び/又はZ-異性体)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO-1233xf、HCFO-1122、HCO-1140、HCFO-1131(E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a、HCFC-124、HCFC-124a及びHCFC-142bのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含み得る。
【0024】
組成物は、CHF(CF3)CH2CH=CF(CF3)、CHF(CF3)CH=CHCHF(CF3)、CF(CF3)=CHCH2CF(CF3)CH2CHF(CF3)、CF3C(=O)CH3、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリオキサン及びトリフルオロ酢酸のうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含み得る。
【0025】
組成物は、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、E-HFO-1233zd、Z-HFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、HCFO-1112、HFO-1234zc、HFO-1234ye及びHFO-1234ycのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含み得る。
【0026】
それらの追加の化合物は、商業的供給業者から入手可能である、又は公知の方法によって調製され得る。追加の化合物は、所望の量で添加され得る。あるいは、追加の化合物のうちのあるものは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1種以上のオリゴマーを含む組成物を製造する方法において同時に製造され得る。その場合、1種以上の追加の化合物の総量は、精製方法によって望ましく制御され得る。
【0027】
本明細書に開示される組成物は、熱伝達組成物、エアロゾル噴射剤、起泡剤、発泡剤、溶媒、洗浄剤、分散媒、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィン及びポリウレタン用の膨張剤、気体誘電体、消火剤及び液体又は気体形態の火災鎮静剤として有用であり得る。
【0028】
特に、本明細書に開示される組成物は、熱伝達組成物としての用途において有用である。このような用途には、冷媒組成物としての使用が含まれる。冷媒組成物は、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)及び合成炭化水素油などの潤滑剤を更に含み得る。本明細書に開示される組成物は、そのような用途において、潤滑剤を有する熱伝達組成物の性能を改善し得る。
【0029】
驚くべきことに、テルペン安定剤の酸化生成物を添加すると、得られる組成物の冷媒又は熱伝達組成物としての性能が向上することが本明細書において見出された。上に列挙した酸化生成物が存在すると、潤滑剤中の1234yfの溶解度が改善する。特定の例において、p-シメンは、開示される組成物に抗酸化特性を提供する。プロパンは、ポリマー鎖成長を停止させることができるテロゲンである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
組成物
テトラフルオロプロペン
組成物のテトラフルオロプロペン成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)であり、これは市販されている、又は様々な既知の方法によって製造することができる。1234yfの好適な供給源は、少なくとも99.95重量%、又は少なくとも99.9重量%、又は少なくとも99.8重量%、又は少なくとも99.5重量%、又は少なくとも99重量%の純度(他の成分に対する1234yfの濃度)を有する。
【0031】
阻害剤
本明細書に開示される組成物は、テルペン阻害剤を含む。阻害剤化合物の具体例は、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンから選択することができる。
【0032】
α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、4-メトキシフェノール及びベンゼン-1,4-ジオールのうちの1種以上を含み得る、追加の阻害剤が存在してもよい。一実施形態では、阻害剤は、α-テルピネンを含む。一実施形態では、阻害剤はリモネンを含む。一実施形態では、阻害剤はα-ピネンを含む。一実施形態では、阻害剤はβ-ピネンを含む。
【0033】
一実施形態では、組成物は、数ppmレベルであっても独特の芳香を有する抗酸化剤を任意選択的に含む、リモネン又はα-テルピネンを含む。この心地よい匂いは、熱伝達用途において、例えば組成物の漏れ検出に利用することができる。これは、家庭用空調装置又は移動式空調装置における冷媒漏れを早期に検出するのに特に有益であるが、それは、パラプロフェッショナルな電子的漏れ検出器がいずれの場所でも利用できないことが多いためである。
【0034】
任意の好適な量のテルペン阻害剤を使用することができるが、テルペン阻害剤の有効量としては、組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、0.3重量%~4重量%、0.3重量%~1重量%が含まれる。一実施形態では、有効量は、10~2000ppm、又は10~1000ppm、又は10~500ppmの少なくとも1種のテルペン阻害剤を含む。
【0035】
追加の阻害剤が存在する場合、阻害剤(テルペン阻害剤及び追加の阻害剤を含む)の総量は、組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、0.3重量%~4重量%、0.3重量%~1重量%の範囲であり得る。
【0036】
酸化生成物
本明細書に開示される組成物は、テルペン阻害剤の1種以上の酸化生成物を含む。酸化生成物は、カルボン、カルベオール、リモネンオキシド、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン、プロパン、α-ピネンオキシド、ピノカルベオール及びミルテノールのうちの1種以上から選択され得る。
【0037】
阻害剤がリモネンである場合、酸化生成物は、上に示したような、カルボン、カルベオール及びリモネンオキシドのうちの少なくとも1種であってよい。一実施形態では、阻害剤がリモネンである場合、酸化生成物は、リモネンオキシドである。一実施形態では、阻害剤がリモネンである場合、酸化生成物は、カルボンである。一実施形態では、阻害剤がリモネンである場合、酸化生成物は、カルベオールである。一実施形態では、阻害剤がリモネンである場合、酸化生成物は、リモネンオキシド、カルボン及びカルベオールのうちの2種以上である。
【0038】
阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン、及びプロパンのうちの少なくとも1種である。なお、プロパンを除き全ては、上に例示されたとおりのものである。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エンである。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エンである。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオールである。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナールを含む。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、p-シメンを含む。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、プロパンを含む。一実施形態では、阻害剤がα-テルピネンである場合、酸化生成物は、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン及びプロパンのうちの2種以上を組み合わせたものを含む。
【0039】
阻害剤がα-ピネンである場合、酸化生成物は、上で説明したようなα-ピネンオキシドを含む。
【0040】
阻害剤がβ-ピネンである場合、酸化生成物は、上に示すように、ピノカルベオール及びミルテノールのうちの少なくとも1種を含む。一実施形態では、阻害剤がβ-ピネンである場合、酸化生成物は、ピノカルベオールを含む。一実施形態では、阻害剤がβ-ピネンである場合、酸化生成物は、ミルテノールを含む。一実施形態では、阻害剤がβ-ピネンである場合、酸化生成物は、ピノカルベオール及びミルテノールを含む。
【0041】
任意の好適な量の酸化生成物を使用することができるが、酸化生成物の有効量としては、組成物の総重量に基づいて、0.0001重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、0.3重量%~4重量%、0.3重量%~1重量%が含まれる。一実施形態では、有効量は、10~2000ppm、又は10~1000ppm、又は10~500ppmの少なくとも1種の酸化生成物を含む。
【0042】
2種以上の酸化生成物が存在する場合、酸化生成物の総量は、組成物の総重量に基づいて、0.0001重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、0.3重量%~4重量%、0.3重量%~1重量%の範囲であり得る。
【0043】
追加の化合物
組成物は、1種以上の追加の化合物を更に含んでもよい。追加の化合物は、冷媒性能の改善、又は潤滑剤などの添加剤との適合性の改善などの、いくつかの他の利益を提供し得る。冷媒性能の改善としては、より高い容量又はより良好な効率性が挙げられ得る。
【0044】
追加の化合物は、HCC-40、CFC-12、HFC-23、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-244bb、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFO-1123、HFO-1243zf、HFO-1225ye(E-及び/又はZ-異性体)、HFO-1225zc、HFO-1234ze(E-及び/又はZ-異性体)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO-1233xf、HCFO-1122、HCO-1140、HCFO-1131(E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a、HCFC-124、HCFC-124a及びHCFC-142bから選択され得る。これら及び他の追加の化合物を、表1に列挙する。
【0045】
追加の化合物は、CHF(CF3)CH2CH=CF(CF3)、CHF(CF3)CH=CHCHF(CF3)、CF(CF3)=CHCH2CF(CF3)CH2CHF(CF3)、CF3C(=O)CH3、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリオキサン及びトリフルオロ酢酸のうちの少なくとも1種から選択され得る。これらの化合物のあるものを表1に列挙する。
【0046】
組成物は、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、E-HFO-1233zd、Z-HFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、HCFO-1112、HFO-1234zc、HFO-1234ye及びHFO-1234ycのうちの少なくとも1種から選択される、追加の化合物を更に含み得る。これらの化合物を表1に列挙する。
【0047】
【0048】
【0049】
追加の化合物は、組成物の地球温暖化係数(GWP)を1500未満、又は750未満、又は150未満に維持することが望ましい。追加の化合物は、組成物のGWPを4未満に低下させ得る。これは、1234yfのGWPである。例えば、特定のハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、1未満のGWPを有するHFO-1243zfなど、4未満のGWPを有する。
【0050】
本開示の一実施形態では、追加の化合物は、HFO-1243zf、HFC-134a、HCFO-1122、HFC-254eb、HCFC-124及びHFC-23のうちの1種以上から選択され得る。一実施形態では、追加の化合物は、HFO-1243zf、HFC-134a及びHFC-143aの組合せである。一実施形態では、追加の化合物は、HFO-1243zf、HFC-134a、HFC-143a、HCFO-1122及びHFC-254ebの組合せである。
【0051】
本開示の一実施形態では、追加の化合物は、HFC-152a、HFO-1234ze(E)、HCFO-1131a、HCO-1140、CFC-12、HFC-244bb及びHCFO-1233xfのうちの1種以上から選択され得る。一実施形態では、追加の化合物は、HFC-152a及びHFO-1234ze(E)の組合せである。一実施形態では、追加の化合物は、HFC-152a、HFO-1234ze(E)、HCFO-1131a、HCO-1140、HFC-244bb及びHCFO-1233xfの組合せである。
【0052】
本開示の一実施形態では、追加の化合物は、HFO-1225ye(Z)、HC-40、HFO-1123及びHFC-263fbのうちの1種以上から選択され得る。一実施形態では、追加の化合物は、HFO-1225ye(Z)、HFO-1123及びHFC-263fbの組合せから選択される。
【0053】
一実施形態では、追加の化合物は、組成物の微量成分である。そのような実施形態では、追加の化合物の量は、0重量%超かつ1重量%未満であり得る。存在する追加の化合物の総量は、組成物の総重量の0.1ppm超かつ0.5重量%未満であり得る。存在する追加の化合物の総量は、組成物の総重量の1ppm超かつ0.1重量%未満であり得る。存在する追加の化合物の総量は、10ppm超、又は100ppm超、又は1000ppm超であり得る。追加の化合物の総量は、1重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満であり得る。一実施形態では、追加の化合物の総量は、1重量%未満で、その結果、1234yfの量が少なくとも99%であるようになっている、又は追加の化合物の総量は、0.5%未満で、1234yfの量が少なくとも99.5%であるようになっている。
【0054】
抗酸化剤
本発明の一実施形態は、少なくとも1種の抗酸化剤を更に含む組成物に関する。任意の好適な酸化剤を用いることができるが、好適な酸化剤の例は、数あるフェノールの中でも、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、三級ブチルヒドロキノン、没食子酸塩、2-フェニル-2-プロパノール、1-(2,4,5-トリヒドロキシフェニル)-1-ブタノン、ビスフェノールメタン誘導体、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の構成要素を含む。
【0055】
組成物の調製
本開示は、1234yf、テルペン阻害剤、及び1つ以上の酸化生成物を含む組成物であって、酸化生成物が、テルペン阻害剤の酸化生成物であり、テルペン阻害剤が、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンのうちの1種以上から選択され得る組成物を提供する。
【0056】
組成物は、1234yfと、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンのうちの1種以上から選択されるテルペン阻害剤とを含む組成物を、ある接触時間及びある接触温度で、酸素源と接触させることによって調製され得る。任意選択的に、1種以上の追加の化合物が、接触工程中に存在してもよい。本明細書に開示される組成物を調製するための酸素源として使用され得るものの例としては、酸素(100%)及び空気などの酸素含有ガスが挙げられる。あるいは、酸素源は、過酸化化合物、例えば、フルオロオレフィンポリペルオキシド、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルスルフェート、ペルカーボネート、ペルボレート及びヒドロペルスルフェートであってもよい。ヒドロペルオキシドの例は、クメンヒドロペルオキシドである。容易に入手可能な酸素源は空気である。
【0057】
組成物の調製において、酸素源は、少なくとも0.01重量%の酸素、又は少なくとも21重量%の酸素、又は純粋な(100重量%の)酸素の、酸素(O2)濃度を有する。接触時間は、少なくとも3日間又は少なくとも14日間である。接触温度は-25~150℃の範囲内である。当業者であれば、酸素濃度、接触時間及び接触温度は、相互に依存するということを理解するであろう。すなわち、酸素濃度、接触時間及び/又は接触温度のうちの1つが増加するにつれて、他の2つは減少する。
【0058】
空気は、その入手可能性及びコストのために、好ましい酸素源である。酸素源は、組成物が調製された後に、0重量%超から3000ppmまでの量で、組成物中に存在したままであってもよい。
【0059】
同様に、抗酸化剤は、上述の接触工程の前に、1234yf及び任意選択的に1種以上の追加の化合物を含む組成物中に存在し得る。抗酸化剤は、上記の接触工程の後に添加されてもよい。
【0060】
あるいは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤、及び1種以上の酸化生成物(酸化生成物は、テルペン阻害剤の酸化生成物である)、並びに任意選択的に、1種以上の追加の冷媒化合物、及び任意選択的に抗酸化剤を含む組成物は、1234yfを、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンのうちの1種以上から選択されるテルペン阻害剤及び選択されたテルペン阻害剤の酸化生成物、並びに任意選択的に1種以上の追加の化合物及び任意選択的に抗酸化剤と組み合わせることによって調製され得るが、これは、これらのそれぞれ、すなわち1234yf、テルペン阻害剤及び酸化生成物並びに追加の冷媒化合物及び抗酸化剤が、市販されている、又は既知の方法に従って調製され得る、既知の化合物であるからである。
【0061】
用途
本明細書に開示の組成物は、特に、発泡剤、エアロゾル噴射剤、滅菌剤、又は熱伝達媒体(冷蔵システム、冷蔵庫、空調システム、ヒートポンプ、冷却機などで使用するための熱伝達流体及び冷媒など)を含む作動流体を含む様々な有用性を有する。この組成物は、移動式の空調及び加熱システムにおいて使用するために特に適し、また固定式の、冷蔵システム、空調システム及びヒートポンプシステムにおいて使用するための冷媒ブレンドを製造するための成分として特に適している。
【0062】
発泡剤は、ポリマーマトリックスを膨張させて気泡構造を形成する揮発性組成物である。
【0063】
エアロゾル噴射剤は、容器から材料を排出させるために1気圧を超える圧力を及ぼす、1種以上の成分の揮発性組成物である。
【0064】
滅菌剤は、生物学的活性物質などを破壊する、揮発性殺菌流体又は揮発性殺菌流体を含有するブレンドである。
【0065】
熱伝達用途
熱伝達媒体(本明細書では熱伝達流体、熱伝達組成物、又は熱伝達流体組成物とも呼ばれる)は、熱源からヒートシンクに熱を運ぶために使用される作動流体である。
【0066】
本開示は更に、熱源からヒートシンクへの熱伝達のためのプロセスであって、本明細書に開示される組成物が熱伝達流体として機能するプロセスに関する。熱伝達のための当該方法は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物を熱源からヒートシンクへ輸送することを含み、その酸化生成物は、テルペン阻害剤の酸化生成物である。
【0067】
熱源は、そこから熱を加える、伝達する、移動させる又は除去することが望ましい任意の空間、場所、対象、又は物体として定義される。一実施形態では、熱源は冷却される物体である。一実施形態では、熱源は、加熱される物体である。
【0068】
いくつかの実施形態では、熱伝達組成物は、伝達プロセスを通して、一定の状態を維持していてもよい(すなわち、蒸発又は凝縮しない)。他の実施形態では、蒸気冷却プロセスにも熱伝達組成物を用いてもよい。
【0069】
ヒートシンクは、熱を吸収することができる任意の空間、場所、対象、又は物体として定義され得る。蒸気圧縮式冷蔵システムは、そのようなヒートシンクの一例である。
【0070】
冷却される物体は、冷蔵又は冷却を必要とする任意の空間位置又は対象であってもよい(空間位置又は対象は、開放されていても、又は閉鎖されていてもよい)。固定式用途では、物体は、空調、工業用水冷却装置、又はスーパーマーケットの冷蔵庫又は冷凍庫ケース、輸送冷蔵コンテナなどの貯蔵場所、食品又は医薬品などの生鮮食品用のその他の貯蔵場所を必要とする、住宅又は商業用構造物などの構造物の内部であり得る。移動式用途では、物体は、空調を必要とする自動車の客室などの、道路、鉄道、船舶又は航空用の輸送ユニットに組み込まれ得る。
【0071】
特定の冷蔵システムは、任意の可動キャリアに対して独立して動作し、これらは「インターモーダル」システムとして知られている。かかる複合一貫輸送システムとしては、「コンテナ」(海上/陸上複合輸送)、並びに「スワップボディ」(道路及び鉄道複合輸送)が挙げられる。
【0072】
加熱される物体は、熱を必要とする任意の空間、場所、又は対象であってよい。これらは、冷却される物体と同様の方法で、加熱を必要とする住宅又は商業用のいずれかの構造の内部に存在していてよい。更に、冷却について説明したような移動式ユニットは、加熱を必要とするものと同様であってよい。特定の輸送ユニットは、輸送される材料が輸送コンテナ内で固化するのを防止するために加熱を必要とする。
【0073】
熱伝達システムは、特定の空間において加熱効果又は冷却効果を生じるために使用されるシステム(又は装置)である。熱伝達システムは、移動式システム又は固定式システムであり得る。本明細書の開示によれば、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物を含む熱伝達システムであって、酸化生成物がテルペン阻害剤の酸化生成物である、熱伝達システムが提供される。一実施形態では、熱伝達システムは、冷蔵、空調、又はヒートポンプ装置から選択される固定式システムである。一実施形態では、熱伝達システムは、移動式空調システムである移動式システムである。
【0074】
冷媒は、熱の伝達に使用されるサイクル中に、液体から気体への相変化が行われ、再び液体に戻る熱伝達流体として、本明細書において定義される。2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む冷媒であって、その酸化生成物が、テルペン阻害剤の酸化生成物である冷媒が、本明細書において提供される。1つの実施形態では、冷媒組成物は、潤滑剤を更に含む。一実施形態では、冷媒は、1つ以上の添加冷媒(以下に定義される)を含む。
【0075】
本開示は更に、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、テルペン阻害剤と、テルペン阻害剤の酸化生成物である1つ以上の酸化生成物とを含む冷媒を蒸発させることと、その後、加熱される物体の近傍で当該組成物を凝縮させることとを含む、加熱を生じさせるための方法に関する。この方法の一実施形態では、冷媒は、潤滑剤を更に含む。
【0076】
本開示は更に、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、テルペン阻害剤と、テルペン阻害剤の酸化生成物である1つ以上の酸化生成物とを含む冷媒を凝縮させることと、その後、冷却される物体の近傍で当該組成物を蒸発させることとを含む、冷却を生じさせるための方法を提供する。この方法の一実施形態では、冷媒は、潤滑剤を更に含む。
【0077】
本開示は更に、冷蔵、空調又はヒートポンプ装置において加熱又は冷却を生じさせるための方法を提供し、当該方法は、冷媒を、(a)遠心圧縮機、(b)多段遠心圧縮機又は(c)単一スラブ/単一パス熱交換器、を有する当該装置に導入することを含み、当該冷媒又は当該熱伝達流体組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及びテルペン阻害剤の酸化生成物である1種以上の酸化生成物を含む組成物を含む。この方法の一実施形態では、冷媒は、潤滑剤を更に含む。
【0078】
潤滑剤
冷媒組成物の潤滑剤成分は、冷蔵又は空調装置と共に使用するのに好適なものを含むことができる。これらの潤滑剤の中でも、クロロフルオロカーボン冷媒を利用する圧縮冷蔵装置において従来用いられているものである。このような潤滑剤及びその特性は、参照により本明細書に援用される1990 ASHRAE Handbook,Refrigeration Systems and Applications、第8章、表題「Lubricants in Refrigeration Systems」、8.1~8.21頁で論じられている。これらの潤滑剤には、鉱油及び合成油が含まれる。
【0079】
鉱油は、パラフィン(すなわち、直鎖状及び分枝状炭素鎖の飽和炭化水素)、ナフテン(すなわち、環状又は環構造飽和炭化水素、パラフィンであってもよい)、並びに芳香族(すなわち、交互二重結合を特徴とする1つ以上の環を含有する不飽和環状炭化水素)を含む。
【0080】
合成油は、アルキルアリール(すなわち、直鎖状及び分枝状アルキルアルキルベンゼン)、合成パラフィン及びナフテン、シリコーン、並びにポリ-アルファ-オレフィンを含む。
【0081】
潤滑剤成分は、ハイドロフルオロカーボン冷媒と共に用いるように設計されたもの、及び圧縮冷蔵及び空調装置の運転条件下で、本明細書に開示の組成物と混和可能なものも含まれ得る。このような潤滑剤及びその特性は、「Synthetic Lubricants and High-Performance Fluids」、R.L.Shubkin、Marcel Dekker編、1993年で論じられている。このような潤滑剤としては、Castrol(登録商標)100(Castrol社(英国)製)などのポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemicals社(ミシガン州ミッドランド)製のRL-488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)及びポリビニルエーテル(PVE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書に開示される用途のための潤滑剤は、所与の圧縮機の要件、及び潤滑剤が曝されるであろう環境を考慮することによって選択される。具体的な一実施形態では、前述の冷媒組成物は、内燃機関を有する自動車用空調(A/C)システムで使用するためのPAG潤滑剤と組み合わされる。別の具体的な一実施形態では、前述の冷媒組成物は、電気又はハイブリッド電気ドライブトレインを有する自動車用A/Cシステムで使用するためのPOE潤滑剤と組み合わされる。
【0083】
添加冷媒
他の実施形態において、冷媒組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、その酸化生成物は、テルペン阻害剤の酸化生成物及び1種以上の添加冷媒である。一実施形態では、添加冷媒は、ハイドロフルオロカーボンを含む。好適なハイドロフルオロカーボンの例としては、ジフルオロメタン(HFC-32)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び1,1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)が挙げられる。冷媒組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤、テルペン阻害剤の酸化生成物である1種以上の酸化生成物、1種以上の添加冷媒及び潤滑剤を含み得る。
【0084】
特定の一実施形態では、添加冷媒は、HFO-1234zeを含む。別の一実施形態では、添加冷媒は、二酸化炭素を含む。
【0085】
添加冷媒の量は、10~90重量%、25~75重量%、30~60重量%、又は30~50重量%の範囲であり得る。
【0086】
冷媒添加剤
冷媒及びA/Cの寿命並びに圧縮機の耐久性を改善することができる添加剤が望ましい。本発明の一態様では、本発明の冷媒組成物を使用して、A/Cシステムの中に潤滑剤、及び他の添加剤、例えば、a)酸掃去剤及びb)火炎抑制剤、を導入する。
【0087】
酸掃去剤
酸掃去剤は、シロキサン、活性化芳香族化合物、又は両方の組合せを含んでもよい。Serranoら(米国特許出願公開第2011/0272624(A1)号のパラグラフ38を参照)は、シロキサンはシロキシ官能性を有する任意の分子であってよいということを開示している。シロキサンは、アルキルシロキサン、アリールシロキサン、又はアリール及びアルキル置換基の混合物を含有するシロキサンを含んでもよい。例えば、シロキサンは、ジアルキルシロキサン又はポリジアルキルシロキサンなどの、アルキルシロキサンであってよい。好ましいシロキサンとしては、2つのケイ素原子と結合した酸素原子、すなわち構造:SiOSiを有する基を含む。好ましいシロキサンとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基のうちの1つ以上を有するシロキサンが挙げられる。
【0088】
本発明の一態様では、シロキサンは、約1~約12個の炭素原子を含有するアルキルシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサンである。また、シロキサンはまた、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はこれらの任意の組合せであるポリジアルキルシロキサンなどのポリマーであってもよい。好適なポリジアルキルシロキサンは、約100~約10,000の分子量を有する。非常に好ましいシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組合せが挙げられる。シロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、又はこれらの組合せから本質的になっていてよい。
【0089】
活性化芳香族化合物は、フリーデル・クラフツ付加反応のために活性化された任意の芳香族分子、又はその混合物であってよい。フリーデル・クラフツ付加反応のために活性化された芳香族分子とは、鉱酸と付加反応することができる任意の芳香族分子であると定義される。特に、適用環境(ACシステム)において又はASHRAE 97:2007「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」の熱安定化試験中のいずれかに鉱酸と付加反応することができる任意の芳香族分子である。
【0090】
酸掃去剤(例えば、活性化された芳香族化合物、シロキサン、又は両方)は、結果として、全酸価が比較的低くなる、全ハロゲン化物濃度が比較的低くなる、全有機酸濃度が比較的低くなる、又はこれらの任意の組合せになる、任意の濃度で存在してよい。酸掃去剤は、冷媒組成物の全重量に基づいて、好ましくは約0.0050重量%超、より好ましくは約0.05重量%超、更により好ましくは約0.1重量%超(例えば約0.5重量%超)の濃度で存在する。酸掃去剤は、冷媒組成物の総重量に基づいて、好ましくは約3重量%未満、より好ましくは約2.5重量%未満、最もより好ましくは約2重量%未満(例えば、約1.8重量%未満)の濃度で存在する。
【0091】
火炎抑制剤
好ましい火炎抑制剤としては、カナダ特許出願公開第2557873(A1)号「Refrigerant compositions containing fluorine substituted olefins」(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものと、HFC-125及び/又はKrytox(登録商標)潤滑剤などのフッ素化製品と共に含むもの、また、国際公開第2009018117(A1)号「Refrigerant compositions comprising fluoroolefins and uses thereof」(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0092】
冷媒組成物の調製
本発明の冷媒組成物は、所望の量の個々の成分を合わせるための任意の簡便な方法によって調製することができる。好ましい方法は、所望の成分量を計量し、その後、適切な槽内で成分を組み合わせることである。所望の場合、撹拌を使用してもよい。
【0093】
一部の選ばれた実施形態
実施形態1.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、テルペン阻害剤の酸化生成物である組成物が提供される。
実施形態2.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、リモネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、カルボン、カルベオール(Z-及びE-)及びリモネンオキシド(Z-及びE-)のうちの1種以上を含む組成物が提供される。
実施形態3.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、リモネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化組成物は、カルボンを含む組成物が提供される。
実施形態4.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、リモネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、カルベオール(Z-及びE-)を含む組成物が提供される。
実施形態5.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、リモネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、リモネンオキシド(Z-及びE-)を含む組成物が提供される。
実施形態6.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物であって、酸化生成物は、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン及びプロパンのうちの1種以上を含む組成物が提供される。
実施形態7.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エンを含む組成物が提供される。
実施形態8.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1つ以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、6-イソプロピル-3-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エンを含む組成物が提供される。
実施形態9.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオールを含む組成物が提供される。
実施形態10.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナールを含む組成物が提供される。
実施形態11.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、p-シメンを含む組成物が提供される。
実施形態12.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-テルピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、プロパンを含む組成物が提供される。
実施形態13.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、α-ピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、α-ピネンオキシドを含む組成物が提供される。
実施形態14.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、β-ピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、ピノカルベオール及びミルテノールのうちの1種以上を含む組成物が提供される。
実施形態15.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、β-ピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、ピノカルベオールを含む組成物が提供される。
実施形態16.一実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、β-ピネンであるテルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含み、酸化生成物は、ミルテノールを含む組成物が提供される。
実施形態17.一実施形態では、実施形態3に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態18.一実施形態では、実施形態4に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態19.一実施形態では、実施形態5に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態20.一実施形態では、実施形態7に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態21.一実施形態では、実施形態8に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態22.一実施形態では、実施形態9に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態23.一実施形態では、実施形態10に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態24.一実施形態では、実施形態11に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態25.一実施形態では、実施形態12に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態26.一実施形態では、実施形態13に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態27.一実施形態では、実施形態15に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態28.一実施形態では、実施形態16に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒が提供される。
実施形態29.一実施形態では、実施形態3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、15又は16のいずれかに記載の組成物を、熱源からヒートシンクへ輸送することを含む熱伝達のためのプロセスが提供される。
実施形態30.一実施形態では、実施形態17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のいずれかに記載の冷媒を凝縮させることと、その後、冷却される物体の近傍で当該冷媒を蒸発させることと、を含む、冷却を生じさせるための方法が提供される。
実施形態31.一実施形態では、実施形態17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28のいずれかに記載の冷媒を蒸発させることと、その後、加熱される物体の近傍で当該冷媒を凝縮させることと、を含む、加熱を生じさせるための方法が提供される。
実施形態32.一実施形態では、冷蔵、空調又はヒートポンプ装置において加熱又は冷却を生じさせるための方法が提供され、当該方法は、冷媒を、(a)遠心圧縮機、(b)多段遠心圧縮機又は(c)単一スラブ/単一パス熱交換器と、を有する当該装置に導入することを含み、当該冷媒は、実施形態17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28のいずれかに記載の冷媒である、方法が提供される。
実施形態33.一実施形態では、HCC-40、CFC-12、HFC-23、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-244bb、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFO-1123、HFO-1243zf、HFO-1225ye(E-及び/又はZ-異性体)、HFO-1225zc、HFO-1234ze(E-及び/又はZ-異性体)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO-1233xf、HCFO-1122、HCO-1140、HCFO-1131(E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a、HCFC-124、HCFC-124a及びHCFC-142bのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、実施形態1~16のいずれかに記載の組成物が提供される。
実施形態34.一実施形態では、CHF(CF3)CH2CH=CF(CF3)、CHF(CF3)CH=CHCHF(CF3)、CF(CF3)=CHCH2CF(CF3)CH2CHF(CF3)、CF3C(=O)CH3、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリオキサン及びトリフルオロ酢酸のうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、実施形態1~16のいずれかに記載の組成物が提供される。
実施形態35.一実施形態では、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、E-HFO-1233zd、Z-HFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、HCFO-1112、HFO-1234zc、HFO-1234ye及びHFO-1234ycのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、実施形態1~16のいずれかに記載の組成物が提供される。
実施形態36.一実施形態では、HCC-40、CFC-12、HFC-23、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-244bb、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFO-1123、HFO-1243zf、HFO-1225ye(E-及び/又はZ-異性体)、HFO-1225zc、HFO-1234ze(E-及び/又はZ-異性体)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO-1233xf、HCFO-1122、HCO-1140、HCFO-1131(E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a、HCFC-124、HCFC-124a及びHCFC-142bのうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、実施形態17~28のいずれかに記載の組成物が提供される。
実施形態37.一実施形態では、CHF(CF3)CH2CH=CF(CF3)、CHF(CF3)CH=CHCHF(CF3)、CF(CF3)=CHCH2CF(CF3)CH2CHF(CF3)、CF3C(=O)CH3、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリオキサン及びトリフルオロ酢酸のうちの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、実施形態17~28のいずれかに記載の組成物が提供される。
実施形態38.一実施形態では、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、E-HFO-1233zd、Z-HFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、HCFO-1112、HFO-1234zc、HFO-1234ye及びHFO-1234ycの少なくとも1種から選択される追加の化合物を更に含む、実施形態17~28のいずれかに記載の組成物が提供される。
【実施例】
【0094】
(実施例1)
HFO-1234zf、HFO-1243ze(E)及びHFC-152aを含有する、99.5重量%の純度を有する60gの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの試料を、200ppmのテルペン阻害剤と、12,000ppmの空気とを含有する500mLシリンダに添加した。シリンダを、約-5℃から約35℃までの室温で、6ヶ月間放置した。ガスクロマトグラフィーによって測定されるように(200ppm未満)、シリンダ中の生成物を試験したところ、ポリマーを含まず、リモネン及びその酸化生成物を更に含む組成物であることが分かった。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、テルペン阻害剤及び1種以上の酸化生成物を含む組成物であって、前記酸化生成物が、テルペン阻害剤の酸化生成物であり、前記テルペン阻害剤が、リモネン、α-テルピネン、α-ピネン及びβ-ピネンのうちの1種以上から選択され、
前記阻害剤がリモネンである場合には、前記酸化生成物が、カルボン、カルベオール及びリモネンオキシドのうちの少なくとも1つであり、
前記阻害剤がα-テルピネンである場合には、前記酸化生成物が、3-イソプロピル-6-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、6-イソプロピル-3-メチル-7オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-2-エン、1-イソプロピル-4-メチル-シクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオール、E-3-イソプロピル-6-メチルヘプタ-2,6-ジエナール、p-シメン及びプロパンのうちの少なくとも1つであり、
前記阻害剤がα-ピネンである場合には、前記酸化生成物が、α-ピネンオキシドであり、
前記阻害剤がβ-ピネンである場合には、前記酸化生成物が、ピノカルベオール及びミルテノールのうちの少なくとも1つである、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、HCC-40、CFC-12、HFC-23、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-244bb、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFO-1123、HFO-1243zf、HFO-1225ye(E-及び/又はZ-異性体)、HFO-1225zc、HFO-1234ze(E-及び/又はZ-異性体)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、HCFO-1233xf、HCFO-1122、HCO-1140、HCFO-1131(E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a、HCFC-124、HCFC-124a及びHCFC-142bのうちの少なくとも1つから選択される追加の化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、Z-HFO-1336mzz、E-HFO-1336mzz、HFO-1327mz、HCFO-1122、HCFO-1122a、HFO-1123、E-HFO-1233zd、Z-HFO-1224yd、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1132a、HCFO-1112、HFO-1234zc、HFO-1234ye及びHFO-1234ycのうちの少なくとも1つから選択される追加の化合物を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記テルペン阻害剤が、前記組成物中に、少なくとも0.001重量%(10ppm)の量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
存在する追加の化合物の総量が、組成物の総重量の0.1ppm超かつ0.5重量%未満である、請求項7に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、4-メトキシフェノール、及びベンゼン-1,4-ジオールから選択される追加の阻害剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記テルペン阻害剤が、リモネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記テルペン阻害剤が、α-テルピネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記テルペン阻害剤が、α-ピネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記テルペン阻害剤が、β-ピネンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物と、潤滑剤と、を含む、冷媒組成物。
【請求項12】
熱伝達のためのプロセスであって、請求項1に記載の組成物を含む組成物を熱源からヒートシンクへ輸送することを含む、プロセス。
【請求項13】
冷蔵、空調又はヒートポンプ装置において加熱又は冷却を生じさせるための方法であって、前記方法が、冷媒を、(a)遠心圧縮機、(b)多段遠心圧縮機、又は(c)単一スラブ/単一パス熱交換器、を有する前記装置に導入することを含み、前記冷媒が、請求項11又は12に記載の冷媒組成物である、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物を含む、熱伝達システム。
【国際調査報告】