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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】眼科手術中の角膜の温度制御
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240311BHJP
   A61B 34/00 20160101ALI20240311BHJP
【FI】
A61F9/008 120E
A61F9/008 120Z
A61B34/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555613
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IB2022052385
(87)【国際公開番号】W WO2022200930
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/164,600
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリオ アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ビットネベル
(57)【要約】
外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムは、流体管理システム及びコンピュータを備える。流体管理システムは、眼の角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理する。コンピュータは、制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に、角膜にチャネル構造を作成するように命令する。チャネル構造は、眼の内部と眼の外部との間に通路を提供し、治療部位の近傍にある。コンピュータは、眼の角膜の温度を制御するために、チャネル構造内の流体を管理するように流体管理システムに命令する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームを生成するよう構成されたレーザ源であって、前記レーザビームの伝播方向はz軸を規定する、レーザ源、
前記z軸に直交するxy平面に前記レーザビームの焦点を導くように構成されたスキャナ、及び
前記眼の前記角膜に向けて前記焦点を合わせるように構成された対物レンズ
を含む、複数の制御可能なコンポーネントと、
前記眼の前記角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理するように構成された流体管理システムと、
コンピュータであって、
前記角膜に前記チャネル構造を作成するように、前記制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令することであって、前記チャネル構造は前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は治療部位の近傍にある、命令すること、及び
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するために、前記チャネル構造内の流体を管理するように前記流体管理システムに命令すること
を行うように構成されたコンピュータと、
を備える眼科手術システム。
【請求項2】
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路と、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分と、
を備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項3】
前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、
前記第1の通路、前記内部部分、及び前記第2の通路は実質的に同じ断面積を有する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項4】
前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、
前記内部部分は、前記xy平面において実質的に楕円形を有する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項5】
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項6】
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供し、前記チャネルは前記治療部位の後方にある、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項7】
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供し、前記チャネルの少なくとも1つは、前記治療部位の少なくとも一部のz位置の近傍にある、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項8】
前記内部部分は、前記治療部位に関して設計された形状を有する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項9】
前記内部部分は前方側及び後方側を有し、
前記前方側は、1つ又は複数の位置で組織により前記後方側に接続される、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項10】
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路と、
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
を備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項11】
前記流体管理システムは、前記眼の前記前房から房水を除去するように構成される、請求項10に記載の眼科手術システム。
【請求項12】
前記流体管理システムは、流体を前記チャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサを備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項13】
前記流体管理システムは、前記チャネル構造から流体を吸引するように構成された流体吸引器を備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項14】
眼科外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための方法であって、
前記外科処置を記述する入力を受信することと、
前記外科処置に従ってチャネル構造の設計を決定することであって、前記チャネル構造は、前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は前記外科処置の治療部位の近傍にある、決定することと、
前記チャネル構造を前記眼の前記角膜に作成することと、
前記外科処置を実行することと、
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するように、前記チャネル構造内の流体を管理することであって、
流体を前記チャネル構造に分注すること、及び
前記チャネル構造から流体を吸引すること
を行うことにより、前記チャネル構造内の流体を管理することと、
を含む方法。
【請求項15】
前記流体を前記チャネル構造に分注することは、
流体管理システムの流体ディスペンサを用いて流体を前記チャネル構造に分注することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記チャネル構造から流体を吸引することは、
流体管理システムの流体吸引器を用いて前記チャネル構造から流体を吸引することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路と、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分と、
を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路と、
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記流体を前記チャネル構造から吸引することは、
前記眼の前記前房から房水を除去することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームを生成するよう構成されたレーザ源であって、前記レーザビームの伝播方向はz軸を規定する、レーザ源、
前記z軸に直交するxy平面に前記レーザビームの焦点を導くように構成されたスキャナ、及び
前記眼の前記角膜に向けて前記焦点を合わせるように構成された対物レンズ
を含む、複数の制御可能なコンポーネントと、
前記眼の前記角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理するように構成された流体管理システムであって、前記流体管理システムは、
流体を前記チャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサ、及び
流体を前記チャネル構造から吸引するように構成された流体吸引器
を備える、流体管理システムと、
コンピュータであって、
前記角膜に前記チャネル構造を作成するように、前記制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令することであって、前記チャネル構造は前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は治療部位の近傍にある、命令すること、及び
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するために、前記チャネル構造内の流体を管理するように前記流体管理システムに命令すること
を行うように構成されたコンピュータと、
を備え、前記チャネル構造は、
第1のチャネル構造であって、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路、及び
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分
を備え、前記第1のチャネル構造は、
第1の設計であって、前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、前記第1の通路、前記内部部分、及び前記第2の通路は実質的に同じ断面積を有する、第1の設計、
第2の設計であって、前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、前記内部部分は前記xy平面において実質的に楕円形を有する、第2の設計、
第3の設計であって、前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、第3の設計、
第4の設計であって、前記内部部分は、前記治療部位に関して設計された形状を有する、第4の設計、及び
第5の設計であって、前記内部部分は前方側及び後方側を有し、前記前方側は、1つ又は複数の位置で組織により前記後方側に接続される、第5の設計
からなる群から選択される設計に従った形状を有する、第1のチャネル構造と、
第2のチャネル構造であって、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路、及び
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路
を備える、第2のチャネル構造と、
からなる群から選択される、眼科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、眼科手術システム及び方法に関し、より詳細には、眼科手術中の角膜の温度制御に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科レーザシステムは、外科処置を眼組織に対して実行するために使用される。一般に、レーザはレーザパルスを眼組織に送達する。幾つかの処置では、パルスは、切り傷等の光切断領域を形成する光切断を生じさせる恐れがある。他の処置では、パルスは組織を焼灼し成形し得る。処置中、レーザパルスは組織の温度を上げる。この温度上昇は、治癒過程及び/又は治療結果に悪影響を及ぼすダメージを生じさせる恐れがある。
【0003】
そのようなダメージを回避するために、手術室の温度を下げ得、又は冷却溶液を眼の表面に適用し得る。しかしながら、これらの取り組みは、適切な冷却の提供に失敗することがある。レーザパルスは、より低いエネルギー、より小さなスポットサイズ、又はより低い周波数で印加されて、組織の温度上昇を減じ得る。しかしながら、これらの取り組みは処置の治療時間を延長させる恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態によれば、外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムは、制御可能なコンポーネント、流体管理システム、及びコンピュータを備える。制御可能なコンポーネントには、レーザ源、スキャナ、及び対物レンズが含まれる。レーザ源は、超短パルスを有するレーザビームを生成し、レーザビームの伝播方向はz軸を規定する。スキャナは、z軸に直交するxy平面にレーザビームの焦点を導く。対物レンズは眼の角膜に向けて焦点を合わせる。流体管理システムは、眼の角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理する。コンピュータは、制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に、角膜にチャネル構造を作成するように命令する。チャネル構造は、眼の内部と眼の外部との間に通路を提供し、チャネル構造は治療部位の近傍にある。コンピュータは、眼の角膜の温度を制御するために、チャネル構造内の流体を管理するように流体管理システムに命令する。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよいか、1つ、幾つか、又は全てを含んでもよい。チャネル構造は、眼の外部と眼の内部との間の第1の通路と、眼の内部と眼の外部との間の第2の通路と、第1の通路と第2の通路との間に流通を提供する、眼の内部を通る内部部分とを備える。内部部分は治療部位の後方にあり得、第1の通路、内部部分、及び第2の通路は実質的に同じ断面積を有し得る。内部部分は治療部位の後方にあり得、内部部分は、xy平面において実質的に楕円形を有し得る。内部部分は、治療部位に関して設計された形状を有し得る。内部部分は前方側及び後方側を有し得、前方側は、1つ又は複数の位置で組織により後方側に接続し得る。チャネル構造は、眼の外部と眼の内部との間の第1の通路と、眼の内部と眼の外部との間の第2の通路と、第1の通路と第2の通路との間に流通を提供する、眼の内部を通る内部部分とを備える。内部部分はチャネルを備え得る。チャネルの1つ又は複数は、第1の通路と第2の通路との間に流通を提供し得る。チャネルは治療部位の後方にあり得る。チャネルの少なくとも1つは、治療部位の少なくとも一部のz位置の近傍にあり得る。チャネル構造は、眼の外部と眼の前房との間の第1の通路と、眼の前房と眼の外部との間の第2の通路とを備える。流体管理システムは、眼の前房から房水を除去し得る。流体管理システムは、流体をチャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサを備える。流体管理システムは、チャネル構造から流体を吸引するように構成された流体吸引器を備える。
【0006】
特定の実施形態によれば、眼科外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための方法は、外科処置を記述する入力を受信することと、外科処置に従ってチャネル構造の設計を決定することであって、チャネル構造は、眼の内部と眼の外部との間に通路を提供し、チャネル構造は外科処置の治療部位の近傍にある、決定することと、チャネル構造を眼の角膜に作成することと、外科処置を実行することと、眼の角膜の温度を制御するように、チャネル構造内の流体を管理することであって、流体をチャネル構造に分注すること及びチャネル構造から流体を吸引することを行うことにより、チャネル構造内の流体を管理することとを含む。
【0007】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよいか、1つ、幾つか、又は全てを含んでもよい。流体をチャネル構造に分注することは、流体管理システムの流体ディスペンサを用いて流体をチャネル構造に分注することを含む。チャネル構造から流体を吸引することは、流体管理システムの流体吸引器を用いてチャネル構造から流体を吸引することを含む。チャネル構造は、眼の外部と眼の内部との間の第1の通路と、眼の内部と眼の外部との間の第2の通路と、第1の通路と第2の通路との間に流通を提供する、眼の内部を通る内部部分とを備える。チャネル構造は、眼の外部と眼の前房との間の第1の通路と、眼の前房と眼の外部との間の第2の通路とを備える。流体をチャネル構造から吸引することは、眼の前房から房水を除去することを含み得る。
【0008】
特定の実施形態によれば、外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムは、制御可能なコンポーネント、流体管理システム、及びコンピュータを備える。制御可能なコンポーネントには、レーザ源、スキャナ、対物レンズが含まれる。レーザ源は、超短パルスを有するレーザビームを生成し、レーザビームの伝播方向はz軸を規定する。スキャナは、z軸に直交するxy平面にレーザビームの焦点を導く。対物レンズは眼の方に焦点を合わせる。流体管理システムは、眼の角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理する。流体管理システムは、流体をチャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサ及び流体をチャネル構造から吸引するように構成された流体吸引器を備える。コンピュータは、角膜にチャネル構造を作成するように、制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令することであって、チャネル構造は眼の内部と眼の外部との間に通路を提供し、チャネル構造は治療部位の近傍にある、命令することと、眼の角膜の温度を制御するために、チャネル構造内の流体を管理するように流体管理システムに命令することとを行う。チャネル構造は、第1のチャネル構造及び第2のチャネル構造からなる群から選択される。第1のチャネル構造は、眼の外部と眼の内部との間の第1の通路、と、眼の内部と眼の外部との間の第2の通路と、第1の通路と第2の通路との間に流通を提供する、眼の内部を通る内部部分とを備える。第1のチャネル構造は、第1から第5の設計からなる群から選択される設計に従った形状を有する。第1の設計では、内部部分は治療部位の後方にあり、第1の通路、内部部分、及び第2の通路は実質的に同じ断面積を有する。第2の設計では、内部部分は治療部位の後方にあり、内部部分はxy平面において実質的に楕円形を有する。第3の設計において、内部部分は複数のチャネルを備え、チャネルの1つ又は複数は、第1の通路と第2の通路との間に流通を提供する。第4の設計において、内部部分は、治療部位に関して設計された形状を有する。第5の設計において、内部部分は前方側及び後方側を有し、前方側は、1つ又は複数の位置で組織により後方側に接続される。第2のチャネル構造は、眼の外部と眼の前房との間の第1の通路と、眼の前房と眼の外部との間の第2の通路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】特定の実施形態による、眼の角膜の温度を制御するように構成された眼科手術システムの一例を示す。
図2図1の眼科手術システムにより眼の角膜に作成し得るチャネル構造の一例を示す。
図3】簡単なチャネル構造の一例を示す。
図4A-4B】実質的に楕円形を有する楕円形内部部分の例を示す。
図5】チャネル構造の前方側及び後方側を接続する組織接続部を有する内部部分の一例を示す。
図6】複数のチャネルを有する内部部分の一例を示す。
図7】入口と出口との間に流通を提供する2つのチャネルを有する内部部分の一例を示す。
図8図1の眼科手術システムにより眼の角膜に作成し得るチャネル構造の別の例を示す。
図9図1の眼科手術システムによって実行し得る、眼科外科手術中、眼の角膜の温度を制御するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の実施形態例を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、或いは、特許請求の範囲を、図面において示され、説明において開示される特定の実施形態に限定することも意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0011】
一般に、眼科手術システムは、レーザ外科処置を角膜の治療部位で実行する。処置中、パルスは角膜組織の温度を上げる。手術システムは、治療時間を延ばすことなく、組織への熱ダメージを回避するように温度を制御し得る。
【0012】
図1は、特定の実施形態による、眼22の角膜の温度を制御するように構成された眼科手術システム10の一例を示す。実施形態では、レーザは、治療部位の近傍の角膜にチャネル構造を作成する。流体管理システムは、角膜の温度を制御するようにチャネル構造内の流体を管理する。手術システム10は、治療時間を最小化又は治療時間のいかなる延長も回避しながら、組織への熱ダメージを回避するように温度を制御し得る。
【0013】
図示の例において、システム10は、図示のように結合されるレーザデバイス15、患者インタフェース20、カメラ38、流体管理システム40、及び制御コンピュータ30を含む。レーザデバイス15は、図示のように結合された、コンピュータ30等のコンピュータによって制御可能なレーザ源12、スキャナ16、1つ又は複数の光学要素17、及び/又は集束対物レンズ18等の制御可能なコンポーネントを含む。患者インタフェース20は、図示のように結合された接触部分24(当接面26を有する)及びスリーブ28を含む。コンピュータ30は、図示のように結合されたロジック31、メモリ32(コンピュータプログラム34を記憶する)、及びディスプレイ36を含む。
【0014】
概説として、眼科手術システム10は、外科処置中、眼22の角膜の温度を制御する。眼科手術システム10は、角膜屈折手術又は他の眼科レーザ手術等の任意の適切な外科処置を実行することができる。外科処置は、角膜内のレーザパルスの標的位置を記述する治療パターンを有することができる。治療パターンは、治療部位、即ちレーザパルスにより治療される角膜の位置を規定する。
【0015】
概説によれば、レーザ源12は、超短パルスを有するレーザビームを生成することができ、ここでレーザビームの伝播方向は、z軸及び/又はz方向を規定する。スキャナ16は、z軸に直交するxy平面内にレーザビームの焦点を向ける。対物レンズ18は、眼22の角膜に向かって焦点を合わせる。流体管理システム40は、角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理することができる。コンピュータ30は、角膜にチャネル構造を作成するように制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令する。チャネル構造は、眼22の内部と外部との間に通路を提供し、治療部位の近傍にある。コンピュータ30は、角膜の温度を制御するために、チャネル構造内の流体を管理するように流体管理システムに命令する。
【0016】
システム10の部品に目を向けると、レーザ源12は、超短パルスを有するレーザビームを生成する。超短パルスとは、ピコ秒、フェムト秒、又はアト秒のオーダー等のナノ秒未満の持続時間を有する光パルスを指す。レーザビームは、300~1500ナノメートル(nm)の範囲の波長、例えば、300~650、650~1050、1050~1250、及び/又は1250~1500nm、例えば340~350nmの範囲の波長、例えば347nm±1nmの任意の適切な波長を有することができる。レーザビームの焦点は、組織(例えば、角膜)内にレーザ誘起光学破壊(LIOB)を生じさせて、組織内に光切断をもたらし得る。レーザビームは正確に焦点を合わせて、正確な光切断をもたらすことができ、他の組織の不必要な切断を低減又は回避できる。
【0017】
スキャナ16は、レーザビームの焦点を長手方向及び横方向に向ける。長手方向とは、レーザビーム伝播方向、即ちz方向を意味する。スキャナ16は、任意の適切な仕方でレーザビームを長手方向に向けてもよい。例えば、スキャナ16は、長手方向に調節可能なレンズ、可変屈折力レンズ、又は焦点のz位置を制御することができる変形可能なミラーを備えてもよい。
【0018】
横方向とは、ビーム伝播方向に直交する方向、即ちx、y方向を意味する。スキャナ16は、任意の適切な方法でレーザビームを横方向に向けることができる。例えば、スキャナ16は、互いに垂直な軸の周りでチルトすることができる、一対のガルバノメトリック駆動型スキャナミラーを含み得る。別の例として、スキャナ16は、レーザビームを電気光学的に操作することができる電気光学結晶を含んでもよい。
【0019】
1つ(又は複数)の光学要素17は、レーザビームを集束対物レンズ18の方に向ける。光学要素17は、レーザビームに作用する(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、成形、集束、変調、及び/又は作用する)ことができる。光学要素の例には、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(DOE)、ホログラフィック光学要素(HOE)、及び空間光変調器(SLM)が含まれる。この例では、光学要素17はミラーである。集束対物レンズ18は、患者インタフェース20を介して眼22のポイントの方にレーザビームの焦点を集束させる。この例では、集束対物レンズ18は対物レンズ、例えばfシータ対物レンズである。
【0020】
患者インタフェース20は、眼22の角膜とインタフェースして、眼22をレーザデバイス15に結合する。この例では、患者インタフェース20は、接触部分24に結合されたスリーブ28を有する。スリーブ28は、集束対物レンズ18に取り外し可能に結合する。接触部分24は、レーザビームに対して半透明又は透明であってもよく、角膜と接合する当接面26を有する。当接面26は、任意の好適な形状、例えば、平面、凸面、又は凹面を有していてもよい。
【0021】
流体管理システム40は、眼22の角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理する。特定の実施形態では、流体管理システム40は、流体をチャネル構造に分注する流体ディスペンサ及び/又は流体をチャネル構造から吸引する流体吸引器を含む。ディスペンサ及び吸引器は、異なるチャネル又は共通のチャネルにドッキングして、それぞれ流体を分注及び吸引し得る。ディスペンサ及び吸引器は、機械的圧力又は真空圧により1つ又は複数のチャネルにドッキングし得る。流体管理システム40は、システム10の任意の適した部分、例えば、反射鏡、レーザヘッド、吸引リング、又は患者インタフェースの錐体、カニューレの管システム、眼の近傍に配置された他の実施態様と一体化し得る。
【0022】
特定の実施形態では、流体管理システム40は、流体、例えば冷却材をチャネル構造に提供して、組織を冷却する。冷却材は高い比熱容量を有する。冷却材の例には、冷却された液体(例えば平衡塩類溶液(BSS))、ゲル、ガス、アルコール、又は適した流動性質及び熱伝導性を有する他の無害な流体がある。
【0023】
カメラ38は、眼22内に作成されたマーカの動きを含む、眼22の動きの画像を記録する。カメラ38の例には、ビデオ、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、又は視線追跡カメラがある。カメラ38は、眼22の記録された画像を表す画像データをコンピュータ30に出力する。コンピュータ30は、例えば、チャネル構造の作成を容易にするために、画像データを用いてもよい。
【0024】
コンピュータ30は、角膜にチャネルを生成するよう角膜組織を光切断する(コンピュータプログラム34に記憶されてもよい)命令に従って、制御可能なコンポーネント(例えば、レーザ源12、スキャナ16、光学要素17、及び/又は集束対物レンズ18)を制御する。チャネル構造は、眼22の内部と外部との間に通路を提供し、治療部位の近傍にある。「~の近傍」は、0~10、10~100、100~200、及び/又は200~400マイクロメートルの範囲の値を有する距離を指し得る。
【0025】
特定の実施形態では、チャネル構造は、第1の通路、第2の通路、及び内部部分を含む。第1の通路は、眼22の内部と外部との間にあり、外部から内部への入口であり得る。第2の通路は眼22の外部と内部との間にあり、内部から外部への出口であり得る。内部部分は、内部を通って延在し、第1の通路と第2の通廊との間に流通を提供する。内部部分は、治療部位の後方、治療部位のz深さの近傍、又は一部は後方及び一部はz深さの近傍にあり得る。チャネル構造の設計例について図3図8を参照してより詳細に説明する。
【0026】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、外科処置に従ってチャネル構造のサイズ及び/又は形状(「サイズ/形状」)を決める。例えば、コンピュータ30は、処置の治療パターンにより規定し得る治療部位に従って、チャネル構造の内部部分のサイズ/形状を設計し得る。これらの場合、内部部分のサイズ/形状は、治療部位のサイズ/形状に実質的に合致してもよく、治療部位よりもわずかに大きくてもよく(例えば、200マイクロメートル未満、部位の境界線を越えて延在する)、又は治療部位よりもわずかに小さくてもよい(例えば、200マイクロメートル未満で境界線に略達する)。又は、内部部分のサイズ/形状は、幾つかの部分では治療部位のサイズ/形状と合致してもよく、わずかに大きくてもよく、又はわずかに小さくてもよいが、他の部分ではそうでなくてよい。
【0027】
別の例として、コンピュータ30は、処置により発生すると予期される熱に基づいて設計を選択し得る。熱は、処置の治療パターンから予測し得る。一般に、レーザパルスの量が多いエリアほど熱くなる傾向がある。コンピュータ30は、熱の発生が大きいと予期される処置では、チャネル構造を通る流体の流れを多く及び/又は高速にすることができる設計を選択し得、熱の発生が小さいと予期される処置では、チャネル構造を通る流体の流れを少なく及び/又は低速にすることができる設計を選択し得る。くわえて、コンピュータ30は、熱の発生が大きいと予期される処置では、チャネル構造の部分を通る流体の流れを多く及び/又は高速にすることができる設計を選択し得、熱の発生が小さいと予期される処置では、チャネル構造の部分を通る流体の流れを少なく及び/又は低速にすることができる設計を選択し得る。
【0028】
コンピュータ30は、角膜の温度を制御するために、チャネル構造内の流体を管理するように流体管理システム40に命令する。コンピュータ30は、任意の適切な方法で流体を管理してもよい。特定の実施形態では、チャネル構造への低温流体の流れ及び/又は高温流体の除去は、角膜組織の温度を下げる。組織の温度を下げる必要がある場合、チャネル構造に流入する低温流体の量が上げられ(と場、組織への低温流体の流れを開始又は増大させることにより)、及び/又はチャネル構造から除去される高温流体の量が上げられる(例えば、組織からの高温流体の流れを開始又は増大させることにより)。くわえて、治療部位の特定の部分の温度を制御し得る。例えば、部位の特定の領域がより多くの熱を発生すると予期される場合、その領域での低温流体の流れ及び/又は高温流体の除去を増大させるように流体を管理し得る。
【0029】
図2は、図1の眼科手術システム10により眼22の角膜23に作成し得るチャネル構造50の一例を示す。レーザ放射線60が角膜23のレーザ治療部位56に適用されにつれて、熱62が治療部位56に発生する。例では、チャネル構造50は、眼22の内部52と外部54との間に、レーザ治療部位56の近傍の内部52を通して流体通路を提供する。例では、チャネル構造50は、外部54と内部52との間の第1の通路(例えば、外部54から内部52への入口70)、外部54と内部52との間の第2の通路(例えば、内部52から外部54への出口74)、及び内部52を通る第1の通路と第2の通路との間の内部部分72を含む。冷却材76が構造50を通って流れるにつれて、熱62は治療部位56から奪われる。
【0030】
図3図7は、内部部分72の種々の実施形態を有する例としてのチャネル構造50を示す。例では、チャネル構造50はxy平面において示されている。
【0031】
図3は、一例としての簡単なチャネル構造50を示している。例では、入口70、内部部分72、及び出口74は実質的に同じ断面積を有する。特定の場合、チャネル構造50全体を通して断面積に実質的な違いはない。内部部分72は、治療部位56の後方、即ち部位56の後方のz位置にあり得る。
【0032】
図4A及び図4Bは、xy平面において実質的に楕円形(例えば長円形又は円形)を有する、一例としての楕円形内部部分72を示す。内部部分72は、治療部位56の後方、即ち部位56の後方のz位置にあり得る。図5Aは、長円形内部部分72を示す。長円形内部部分72は、任意の適した寸法、例えば、数マイクロメートルから数ミリメートル(例えば100μmから10mm)の範囲の長軸及び数マイクロメートルから数ミリメートル(例えば100μmから10mm)の範囲の短軸を有し得る。
【0033】
図5Bは、円形内部部分72を示す。円形内部部分72は、任意の適した寸法、例えば数マイクロメートルから数ミリメートル(例えば100μmから10mm)の範囲の直径を有し得る。
図5は、チャネル構造50の前方側と後方側を接続する組織接続部80を有する、一例の内部部分72を示す。例では、内部部分72は、前方側82及び後方側84を有する。前方側82は、1つ又は複数の組織接続部80により後方側84に接続される。組織接続部は、前方側82、後方側84を光切断しない及び/又は相互に切り離さない位置に形成し得る。内部部分72は、治療部位56の後方又は治療部位56と実質的に同じz位置にあり得る。
【0034】
図6は、複数のチャネル86を有する、一例の内部部分72を示す。例では、内部部分72は複数のチャネル86を備える。チャネル86の1つ又は複数は、流通を入口70と出口74との間に提供する。例では、チャネル86は治療部位の後方(即ち、部位56の後方のz位置)にある。
【0035】
図7は、流通を入口70と出口74との間に提供する2つのチャネル86を有する、一例の内部部分72を示す。例では、チャネル86は治療部位56と実質的に同じz位置にあり、部位56を囲み得る。
【0036】
図8は、図1の眼科手術システム10により眼22の角膜23に作成し得る、別の例のチャネル構造50を示す。レーザ放射線60が角膜23のレーザ治療部位56に適用されるにつれて、熱62が部位56から離れて流れる。例では、チャネル構造50は、眼22の前房90とレーザ治療部位56の近傍の眼22の外部54との間に流体通路を提供する。例では、チャネル構造50は、第1の通路(例えば、外部54から前房90への入口70)及び第2の通路(例えば、前房90から外部54への出口74)を含む。流体管理システム40は、冷却材76をチャネル構造50に提供し並びに/或いは冷却材76及び房水を抽出して、組織を冷却する。
【0037】
図9は、図1の眼科手術システム10によって実行され得る、眼科外科処置中、眼22の角膜の温度を制御するための方法の一例を示す。方法はステップ110において開始され、ここでコンピュータ30は、外科処置を記述する入力を受信する。入力は、処置のタイプ及び治療パターンを含み得る。
【0038】
ステップ112において、チャネル構造の設計が決定される。設計は、外科処置、例えば治療部位のサイズ/形状及び/又は治療により発生すると予測される熱に従って決められ得る。特定の実施形態では、チャネル構造は第1の通路及び第2の通路を含む。第1の通路は、眼22の外部と内部との間にあり、外部から内部への入口であり得る。第2の通路は、眼22の外部と内部との間にあり、内部から外部への出口であり得る。特定の実施形態では、チャネル構造は内部部分も含む。内部部分は、内部を通って延在し、流通を第1の通路と第2の通路との間に提供する。ステップ114において、設計に従ってチャネル構造が作成される。
【0039】
コンピュータ30は、ステップ115において、治療パターンに従って外科処置を実行する。例えば、角膜屈折手術が実行される。ステップ116において、例えば流体ディスペンサにより流体がチャネル構造に分注される。流体は、例えば冷却材を含み得る。ステップ120において、例えば流体吸引器により、流体をチャネル構造から吸引する。
【0040】
処置は、ステップ124で終了し得る。処置が終わらなければ、方法はステップ115に戻り、コンピュータ30は外科処置を引き続き実行する。処置が最後に到達したら、方法はステップ124に進み、処置を終了する。その後、方法は終了する。
【0041】
本明細書に開示されるシステム及び装置の(コンピュータ30等)コンポーネントは、インタフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでもよく、これらのうちの任意のものがコンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでもよい。インタフェースは、コンポーネントへの入力を受信する、及び/又はコンポーネントからの出力を送信することができ、通常、ソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ、及びこれらの組合わせ等の間で情報を交換するために使用される。ユーザインタフェース(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI))は、ユーザがコンピュータと対話するために利用され得るインタフェースの一種である。ユーザインタフェースの例には、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイク及びスピーカが含まれる。
【0042】
ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する、1つ以上の電子装置を含んでもよい。かかる電子装置の例には、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが含まれる。ロジックは、動作を実行するよう電子装置によって実行できる命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含んでもよい。コンピュータソフトウェアの例には、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーティングシステムが含まれる。
【0043】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ読取可能及び/又はコンピュータ実行可能なストレージ媒体を含んでもよい。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージメディア(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージメディア(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ読取可能媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象としてもよい。
【0044】
特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)が、当業者には明らかになろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置のコンポーネントは、統合若しくは分離され得る、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他のコンポーネントによって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適当な順序で実行され得る。
【0045】
特許庁及び読者がクレームを解釈するのを助けるために、出願人は、特定のクレームにおいて「means for」又は「step for」という単語が明示的に使用されていない限り、クレーム又はクレーム要素のいずれもが、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していないことを言及しておく。請求項内の他の任意の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」)の使用は、本出願人により、関連する技術分野における当業者に既知の構造を指すと理解され、米国特許法第112条(f)の適用を受けることを意図しない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
特許庁及び読者がクレームを解釈するのを助けるために、出願人は、特定のクレームにおいて「means for」又は「step for」という単語が明示的に使用されていない限り、クレーム又はクレーム要素のいずれもが、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していないことを言及しておく。請求項内の他の任意の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」)の使用は、本出願人により、関連する技術分野における当業者に既知の構造を指すと理解され、米国特許法第112条(f)の適用を受けることを意図しない。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームを生成するよう構成されたレーザ源であって、前記レーザビームの伝播方向はz軸を規定する、レーザ源、
前記z軸に直交するxy平面に前記レーザビームの焦点を導くように構成されたスキャナ、及び
前記眼の前記角膜に向けて前記焦点を合わせるように構成された対物レンズ
を含む、複数の制御可能なコンポーネントと、
前記眼の前記角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理するように構成された流体管理システムと、
コンピュータであって、
前記角膜に前記チャネル構造を作成するように、前記制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令することであって、前記チャネル構造は前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は治療部位の近傍にある、命令すること、及び
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するために、前記チャネル構造内の流体を管理するように前記流体管理システムに命令すること
を行うように構成されたコンピュータと、
を備える眼科手術システムである。
第2の態様は、
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路と、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分と、
を備える、第1の態様における眼科手術システムである。
第3の態様は、
前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、
前記第1の通路、前記内部部分、及び前記第2の通路は実質的に同じ断面積を有する、第2の態様における眼科手術システムである。
第4の態様は、
前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、
前記内部部分は、前記xy平面において実質的に楕円形を有する、第2の態様における眼科手術システムである。
第5の態様は、
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、第2の態様における眼科手術システムである。
第6の態様は、
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供し、前記チャネルは前記治療部位の後方にある、第2の態様における眼科手術システムである。
第7の態様は、
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供し、前記チャネルの少なくとも1つは、前記治療部位の少なくとも一部のz位置の近傍にある、第2の態様における眼科手術システムである。
第8の態様は、
前記内部部分は、前記治療部位に関して設計された形状を有する、第2の態様における眼科手術システムである。
第9の態様は、
前記内部部分は前方側及び後方側を有し、
前記前方側は、1つ又は複数の位置で組織により前記後方側に接続される、第2の態様における眼科手術システムである。
第10の態様は、
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路と、
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
を備える、第1の態様における眼科手術システムである。
第11の態様は、
前記流体管理システムは、前記眼の前記前房から房水を除去するように構成される、第10の態様における眼科手術システムである。
第12の態様は、
前記流体管理システムは、流体を前記チャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサを備える、第1の態様における眼科手術システムである。
第13の態様は、
前記流体管理システムは、前記チャネル構造から流体を吸引するように構成された流体吸引器を備える、第1の態様における眼科手術システムである。
第14の態様は、
眼科外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための方法であって、
前記外科処置を記述する入力を受信することと、
前記外科処置に従ってチャネル構造の設計を決定することであって、前記チャネル構造は、前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は前記外科処置の治療部位の近傍にある、決定することと、
前記チャネル構造を前記眼の前記角膜に作成することと、
前記外科処置を実行することと、
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するように、前記チャネル構造内の流体を管理することであって、
流体を前記チャネル構造に分注すること、及び
前記チャネル構造から流体を吸引すること
を行うことにより、前記チャネル構造内の流体を管理することと、
を含む方法である。
第15の態様は、
前記流体を前記チャネル構造に分注することは、
流体管理システムの流体ディスペンサを用いて流体を前記チャネル構造に分注することを含む、第14の態様における方法である。
第16の態様は、
前記チャネル構造から流体を吸引することは、
流体管理システムの流体吸引器を用いて前記チャネル構造から流体を吸引することを含む、第14の態様における方法である。
第17の態様は、
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路と、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分と、
を備える、第14の態様における方法である。
第18の態様は、
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路と、
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
を備える、第14の態様における方法である。
第19の態様は、
前記流体を前記チャネル構造から吸引することは、
前記眼の前記前房から房水を除去することを含む、第18の態様における方法である。
第20の態様は、
外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームを生成するよう構成されたレーザ源であって、前記レーザビームの伝播方向はz軸を規定する、レーザ源、
前記z軸に直交するxy平面に前記レーザビームの焦点を導くように構成されたスキャナ、及び
前記眼の前記角膜に向けて前記焦点を合わせるように構成された対物レンズ
を含む、複数の制御可能なコンポーネントと、
前記眼の前記角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理するように構成された流体管理システムであって、前記流体管理システムは、
流体を前記チャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサ、及び
流体を前記チャネル構造から吸引するように構成された流体吸引器
を備える、流体管理システムと、
コンピュータであって、
前記角膜に前記チャネル構造を作成するように、前記制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令することであって、前記チャネル構造は前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は治療部位の近傍にある、命令すること、及び
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するために、前記チャネル構造内の流体を管理するように前記流体管理システムに命令すること
を行うように構成されたコンピュータと、
を備え、前記チャネル構造は、
第1のチャネル構造であって、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路、及び
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分
を備え、前記第1のチャネル構造は、
第1の設計であって、前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、前記第1の通路、前記内部部分、及び前記第2の通路は実質的に同じ断面積を有する、第1の設計、
第2の設計であって、前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、前記内部部分は前記xy平面において実質的に楕円形を有する、第2の設計、
第3の設計であって、前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、第3の設計、
第4の設計であって、前記内部部分は、前記治療部位に関して設計された形状を有する、第4の設計、及び
第5の設計であって、前記内部部分は前方側及び後方側を有し、前記前方側は、1つ又は複数の位置で組織により前記後方側に接続される、第5の設計
からなる群から選択される設計に従った形状を有する、第1のチャネル構造と、
第2のチャネル構造であって、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路、及び
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路
を備える、第2のチャネル構造と、
からなる群から選択される、眼科手術システムである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科処置のために眼の角膜の温度を制御するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームを生成するよう構成されたレーザ源であって、前記レーザビームの伝播方向はz軸を規定する、レーザ源、
前記z軸に直交するxy平面に前記レーザビームの焦点を導くように構成されたスキャナ、及び
前記眼の前記角膜に向けて前記焦点を合わせるように構成された対物レンズ
を含む、複数の制御可能なコンポーネントと、
前記眼の前記角膜に作成されたチャネル構造内の流体を管理するように構成された流体管理システムと、
コンピュータであって、
前記角膜に前記チャネル構造を作成するように、前記制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に命令することであって、前記チャネル構造は前記眼の内部と前記眼の外部との間に通路を提供し、前記チャネル構造は治療部位の近傍にある、命令すること、及び
前記眼の前記角膜の前記温度を制御するために、前記チャネル構造内の流体を管理するように前記流体管理システムに命令すること
を行うように構成されたコンピュータと、
を備える眼科手術システム。
【請求項2】
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前記内部との間の第1の通路と、
前記眼の前記内部と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、前記眼の前記内部を通る内部部分と、
を備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項3】
前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、
前記第1の通路、前記内部部分、及び前記第2の通路は実質的に同じ断面積を有する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項4】
前記内部部分は前記治療部位の後方にあり、
前記内部部分は、前記xy平面において実質的に楕円形を有する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項5】
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項6】
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供し、前記チャネルは前記治療部位の後方にある、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項7】
前記内部部分は複数のチャネルを備え、前記チャネルの1つ又は複数は、前記第1の通路と前記第2の通路との間に流通を提供し、前記チャネルの少なくとも1つは、前記治療部位の少なくとも一部のz位置の近傍にある、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項8】
前記内部部分は、前記治療部位に関して設計された形状を有する、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項9】
前記内部部分は前方側及び後方側を有し、
前記前方側は、1つ又は複数の位置で組織により前記後方側に接続される、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項10】
前記チャネル構造は、
前記眼の前記外部と前記眼の前房との間の第1の通路と、
前記眼の前記前房と前記眼の前記外部との間の第2の通路と、
を備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項11】
前記流体管理システムは、前記眼の前記前房から房水を除去するように構成される、請求項10に記載の眼科手術システム。
【請求項12】
前記流体管理システムは、流体を前記チャネル構造に分注するように構成された流体ディスペンサを備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項13】
前記流体管理システムは、前記チャネル構造から流体を吸引するように構成された流体吸引器を備える、請求項1に記載の眼科手術システム。
【国際調査報告】