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特表2024-511951結合剤として微生物セルロースを組み込む成形された茶組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】結合剤として微生物セルロースを組み込む成形された茶組成物
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/14 20060101AFI20240311BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20240311BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240311BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240311BHJP
   A23F 3/32 20060101ALI20240311BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240311BHJP
【FI】
A23F3/14
A23L29/262
A23L29/269
A23L33/135
A23F3/32
A23L5/00 J
A23L5/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555714
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 CA2022050333
(87)【国際公開番号】W WO2022192989
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/205,986
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523345769
【氏名又は名称】イロラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,ス-マリ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,ティモシー ピーター
【テーマコード(参考)】
4B018
4B027
4B035
4B041
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018MD35
4B018MD59
4B018MD85
4B018MF01
4B027FB08
4B027FC06
4B027FE01
4B027FK04
4B027FK08
4B027FK19
4B027FP70
4B027FP72
4B027FP74
4B035LC06
4B035LG19
4B035LG26
4B035LG27
4B035LG37
4B035LK03
4B035LP42
4B041LC03
4B041LD01
4B041LE01
4B041LH16
4B041LK32
4B041LK42
4B041LP15
(57)【要約】
成形された茶組成物が提供される。成形された茶組成物は、結合剤としての微生物セルロース及び脱水された植物材料から調製される。微生物セルロースは、コンブチャ膜であり得、脱水された植物材料は、茶葉であり得る。成形された茶組成物は、他の成分を含み得、そのような成分には、プロバイオティクス及び抽出物が含まれ得る。成形された茶組成物を調製するための方法もまた、提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された茶組成物を作製する方法であって、
微生物セルロースを脱水された植物材料と合わせて、混合物を生成することと、
前記混合物を所望の形状に成形することと、
成形された前記混合物を乾燥させて、前記成形された茶組成物を作製することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記微生物セルロースが、前記脱水された植物材料を結合させて、前記脱水された植物材料を前記所望の形状に保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物セルロースが、コンブチャ膜を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記成形された茶組成物が、プロバイオティクスを含み、
前記プロバイオティクスの少なくとも一部が、前記コンブチャ膜によって提供される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コンブチャ膜を洗浄することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記コンブチャ膜を前記脱水された植物材料と合わせる前に、前記コンブチャ膜の平均粒径を低減させることを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記コンブチャ膜の前記平均粒径が、機械的剪断を使用することによって低減される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コンブチャ膜の前記平均粒径が、10μm~100μmに低減される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粒径が低減された前記コンブチャ膜を乾燥させることを更に含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を型に入れて、前記混合物を前記所望の形状に成形することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を前記型内で圧縮することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物に抽出物を添加することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記微生物セルロースに抽出物を添加することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記脱水された植物材料に抽出物を添加することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記成形された茶組成物上に抽出物を噴霧することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを前記混合物に添加することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを前記微生物セルロースに添加することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを前記脱水された植物材料に添加することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記脱水された植物材料を均一に混合することを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物中の前記微生物セルロースと前記脱水された植物材料との比が、湿潤基準で、かつ前記混合物が乾燥される前に、0.5:1~10:1である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記成形された茶組成物中の前記微生物セルロースの量が、乾燥物質基準で、0.1%~20%の範囲内である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記成形された混合物が、20℃~55℃の乾燥温度で6時間~15時間乾燥される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
成形された茶組成物であって、
脱水された植物材料と、
前記脱水された植物材料のための結合剤としての微生物セルロースと、を含む、成形された茶組成物。
【請求項24】
前記微生物セルロースが、コンブチャ膜を含む、請求項23に記載の成形された茶組成物。
【請求項25】
前記成形された茶組成物が、プロバイオティクスを含み、
前記プロバイオティクスの少なくとも一部が、前記コンブチャ膜によって提供される、請求項24に記載の成形された茶組成物。
【請求項26】
前記脱水された植物材料が、茶葉を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項27】
前記成形された茶組成物が、1杯の茶を煎出するための1回分のサイズを提供するように予め小分けされている、請求項23~26のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項28】
抽出物を更に含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項29】
前記成形された茶組成物中の前記微生物セルロースの量が、乾燥物質基準で、0.1%~20%の範囲内である、請求項23~28のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項30】
主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを更に含む、請求項23~29のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項31】
前記成形された茶組成物が、円柱状ディスク、円錐、球、立方体又は直角プリズムとして成形される、請求項23~30のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項32】
前記成形された茶組成物が、分離可能な正方形を含む棒として成形される、請求項23~30のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項33】
前記正方形の各々が、1杯の茶を煎出するための1回分の分量を提供する、請求項32に記載の成形された茶組成物。
【請求項34】
前記成形された茶組成物を煎出するとき、前記微生物セルロースが分散し、それによって前記脱水された植物材料をともに結合した状態から解放する、請求項23~33のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項35】
前記微生物セルロースの平均粒径が10μm~1000μmである、請求項23~34のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項36】
前記脱水された植物材料が、前記成形された茶組成物中の成分として肉眼で見えて識別可能である、請求項23~35のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項37】
耐酸化コーティングを更に含む、請求項23~36のいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
【請求項38】
前記耐酸化コーティングが、香味抽出物を含む、請求項37に記載の成形された茶組成物。
【請求項39】
脱水された植物材料を望ましい形状に保持するための結合剤としての、微生物セルロースの使用。
【請求項40】
前記微生物セルロースが、コンブチャ膜を含む、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記脱水された植物材料が、茶葉を含む、請求項39又は40に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形された茶組成物及びその作製方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、茶葉を含む脱水された植物材料のための結合剤として微生物セルロースを組み込んでいる、成形された茶組成物に関する。いくつかの実施形態において、微生物セルロースは、コンブチャ膜である。いくつかの実施形態は、成形された茶組成物を作製する方法であって、茶葉を含む脱水された植物材料のための結合剤として微生物セルロースが使用される、方法に関する。いくつかの実施形態は、コンブチャ茶発酵プロセスの廃棄副産物とみなされることが多いコンブチャ膜を、別の目的で再利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国疾病予防管理センターの米国国立衛生統計センターは、2015~2018年の間に、茶が、成人の総非アルコール飲料消費の主要部分を占めたと報告した。National Geographic誌は、茶が、世界で水に次いで2番目に最も多く消費されている非アルコール飲料であることを報告した。国際連合食糧農業機関の2014年のデータは、約60億杯の茶が毎日消費されていることを示した。茶の世界的消費は上昇し続けており、この増加の1つの理由は、人々が茶の摂取に関連付けられる潜在的な健康上の利益をより認識するようになったことであるかもしれない。
【0003】
茶は、ルーズリーフ形態又はティーバッグで供給され得る。一般的に、ルーズリーフ茶は、ティーバッグよりも優れた品質を有すると考えられる。ルーズリーフ茶は、砕けた茶葉のものよりも小さい表面積対体積比を有する完全で無傷の茶葉を含む。煎出プロセスの間、ルーズリーフ茶のより小さい表面積は、お湯と接触する表面積がより小さく、したがって、異なる茶化合物がお湯の中にゆっくりと放出されることを意味する。ルーズリーフ茶は、苦味又は渋味を引き出すことなく複雑な香味及び芳香を発生させる複数回の浸出を可能にする。より小さい表面積はまた、空気に曝露される表面積がより少なく、したがって、保管中の酸化に関連する品質劣化がより少ないことを意味する。更に、ティーバッグは、煎出プロセス中に茶葉が広がるのに十分な空間を提供しないため、ルーズリーフ茶は、加工又はティーバッグ中に包装されることがほとんどない。換言すれば、ティーバッグは、煎出プロセス中にルーズリーフ茶がその完全な香味特性を放出することを可能にしない。
【0004】
ティーバッグは、予め小分けされた量の茶葉をその中に収容する小さな多孔性パウチである。ティーバッグは、茶を煎出するための便利で散らからない選択肢を提供する。ティーバッグをカップ、ポット又はマグカップに入れて茶を煎出するのは便利であり、また、煎出されたティーバッグをその簡便な付属のひもを持ち上げることによって取り出すのもまた便利である。他の茶煎出器具、例えば、茶杓及び/若しくは(煎出されるルーズリーフ茶の量を測定するための)計量器、又は浸出器及び/若しくは(煎出されたルーズリーフ茶葉を除去するため)茶濾過器は必要ない。
【0005】
ティーバッグの利便性は、品質の犠牲を伴い得る。ティーバッグから煎出された茶は、ルーズリーフ茶から煎出された茶よりも、品質、香味の複雑さ及び芳香が低いと茶通によって考えられることが多い。これは、製造業者が、ティーバッグにより高級な茶の加工からの副産物を充填することが多いためである。そのような副産物には、最低級の茶と考えられる茶の粉、ファニング又は砕けた茶葉が含まれる。ティーバッグは、良好な保管がきかない場合があり、煎出する/浸すときに多量のタンニンを放出し、煎出された茶が、それらに対応するルーズリーフ茶よりも苦く、渋いものになり得る。
【0006】
いくつかのティーバッグは、プラスチック材料で作製され得る。一例は、ピラミッド形状のナイロンティーバッグである。これらのプラスチックティーバッグは、茶葉が広がるのに十分な空間を提供するために開発された。しかしながら、それらは、1杯中に何十億もの微小プラスチックを落とす可能性がある。また、ティーバッグがプラスチック材料で作製されているか否かに関わらず、プラスチック及び石油接着剤が、ティーバッグを密封するために使用される一般的な材料である。消費者には知られていないが、ティーバッグは、消費者を望ましくないプラスチック及び/又は化学物質に曝露する可能性がある。ティーバッグに含まれるプラスチックは、汚染の原因にもなり得る。
【0007】
ルーズリーフ茶及びティーバッグの異なる特徴に照らして、ルーズリーフ茶によって典型的に提供される高い官能的品質と、ティーバッグに通常関連する利便性との統合を許容する茶組成物(又は製品)に対する一般的な要望が存在する。また、消費者を望ましくないプラスチック及び化学物質に曝露することなく、ティーバッグに通常関連する利便性を提供する茶組成物(又は製品)に対する一般的な要望も存在する。
【0008】
圧縮茶、磚茶、餅茶、沱茶及び小沱茶としても知られる成形された茶は、ティーバッグの代替物であり得る。成形された茶は、現代ではあまり一般的に生産されていないものの、古代中国で最も一般的に生産及び消費される形態の茶であった。成形された茶を生産するためには、粉砕した茶葉又は茶葉全体を蒸し、次いで押圧して固体形態にする。次いで、押圧された固体形態を、所望の程度の水分に達するまで乾燥させる。従来技術の成形された茶は、大きなサイズで成形されることが多く、茶を煎出するのに不便であり得る。成形された茶を手で砕くことは推奨されないため、大きなサイズの緊密に押圧された成形された茶から小片を引き離すためには、茶針が必要とされ得る。成形された茶を手で砕くことは、茶葉を引き裂いて損傷し、成形された茶の内部構造を望ましくない酸化に曝露することになる。茶針の操作は、経験の浅い使用者にとっては危険であり得る。
【0009】
消費者を望ましくないプラスチック及び化学物質に曝露することなく、ティーバッグに通常関連する利便性を提供する成形された茶組成物(又は製品)に対する一般的な要望が存在する。成形された茶組成物は、各成形された茶組成物が1杯又は1ポットの茶を煎出するための1回分の量を含有するように、予め小分けされることが望ましくあり得る。また、食品製造及び消費における健康促進の傾向に照らして、向上した健康上の利益を提供する成形された茶組成物に対する一般的な要望も存在し得る。
【0010】
コンブチャ茶ドリンクは発酵飲料であり、その健康上の利益のために機能性飲料として市販されていることが多い。コンブチャ茶の官能的プロファイルは、わずかな甘味及び軽い酸味がある爽快なものとして説明される。それは、コンブチャ膜、紅茶キノコ及び茶真菌としても知られる細菌と酵母菌の共生培養(symbiotic culture of bacteria and yeast、「SCOBY」)によって発酵される。いくつかの研究は、インビトロ及びインビボでの動物研究において、コンブチャ茶及びコンブチャ膜の潜在的な健康上の利益を示している。例えば、コンブチャ茶は、コンブチャ膜によって代謝される生理活性化合物を含有することが報告されている。コンブチャ膜は、プロバイオティクス細菌を含むことが報告されている。コンブチャ膜は、単糖類の重合によって形成されるセルロース性バイオフィルムであり、細菌及び酵母菌を含む。コンブチャ膜は、コンブチャ茶の製造のための種菌培養物として使用される。種菌培養物としてのその使用以外では、コンブチャ膜は、主にコンブチャ茶発酵プロセスの廃棄副産物と考えられてきた。
【0011】
コンブチャ膜を有用な製品へと別の目的で再利用する方法に対する一般的な要望が存在する。
【0012】
関連技術の前述の例及びそれに関連する限定は、例示を意図するものであり、排他的ではない。関連技術の他の限定は、明細書を閲読し、図面を検討することにより、当業者にとって明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0013】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ説明的であることを意味するシステム、ツール、及び方法と併せて説明及び図示される。様々な実施形態において、上述の問題のうちの1つ以上が低減又は排除されている一方で、他の実施形態は、他の改善を対象とする。
【0014】
本発明は、いくつかの態様を有する。これらには、以下が含まれる。
・成形された茶組成物、
・成形された茶組成物を作製する方法及び
・コンブチャ膜を茶組成物へと別の目的で再利用する方法。
【0015】
本発明の第1の態様は、新規で有用な成形された茶組成物を対象とする。拘束されるものではないが、成形された茶のいくつかの実施形態によって提供され得るいくつかの利点には、以下が挙げられる。
・成形された茶組成物は、ルーズリーフ茶によって典型的に提供されるような高い官能的品質と、ティーバッグに通常関連する利便性との統合を許容し得ること、
・成形された茶組成物は、消費者を望ましくないプラスチック及び化学物質に曝露することなく、ティーバッグに通常関連する利便性を提供し得ること、
・成形された茶組成物は、煎出プロセス中に茶葉が完全に広がることを可能にし得ること、
・成形された茶組成物は、1回分のサイズを提供するように予め小分けされ得ること、並びに/又は
・成形された茶組成物は、向上した健康上の利益を提供し得ること。
【0016】
成形された茶組成物は、脱水された植物材料のための結合剤として微生物セルロースを含有する。
【0017】
微生物セルロースは、コンブチャ膜であり得る。コンブチャ膜は、プロバイオティクスを含有し得、したがって、コンブチャ膜が結合剤として使用される場合、成形された茶組成物は、プロバイオティクスを含有し得る。
【0018】
脱水された植物材料は、茶葉を含み得る。
【0019】
成形された茶組成物は、1杯又は1ポットの茶を煎出するための1回分のサイズを提供するように予め小分けされ得る。
【0020】
本発明の別の態様は、成形された茶組成物を作製する方法を対象とする。
【0021】
本方法は、微生物セルロースを脱水された植物材料と合わせて、混合物を生成することを含む。次いで、混合物を所望の形状に成形する。次いで、成形された混合物を乾燥させて、成形された茶組成物を作製する。微生物セルロースは、脱水された植物材料を結合させて、脱水された植物材料を所望の形状に保持し得る。
【0022】
本発明の別の態様は、コンブチャ茶醸造プロセスの廃棄副産物とみなされることが多いコンブチャ膜を別の目的で再利用する方法を対象とする。本方法は、脱水された植物材料のための結合剤としてコンブチャ膜を使用する。
【0023】
上述した例示的な態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態は、図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
例示的な実施形態は、図面の参照された図に示されている。本明細書に開示の実施形態及び図面は、限定ではなく例示と考えられるべきであることが意図される。
図1】成形された茶組成物を作製する方法の例示的な実施形態のフロー図である。
図2図1の方法に従って作製された成形された茶組成物を煎出する方法の例示的な実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明を通じて、当業者により完全な理解を提供するために、具体的な詳細を示す。しかしながら、周知の要素は、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に図示又は説明されていない場合がある。したがって、説明及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきである。
【0026】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、別段の指定がない限り、述べられた値の+/-10%以内の値を意味する。これらの用語「約」又は「およそ」のいずれか1つは、列挙された数値の厳密な遵守が重要ではないことを暗示する。いくつかの変形が許容可能であり、依然として本明細書に記載の様々な実施形態の範囲内である。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「植物材料」という用語は、葉、茎、塊茎、根、花、花粉、種子、果実などを含む、任意の植物組織、器官又は部分を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「脱水された」及び「乾燥した」という用語は、「新鮮な」とは対照的に使用される。例えば、「脱水された植物材料」は、利用可能な遊離水の一部又は全部を除去するための乾燥工程を受けた植物材料を指す。
【0029】
脱水された植物材料には、「茶葉」が含まれる。本明細書で使用される場合、「茶葉」という用語は、発酵又は酸化の程度に関わらず、茶樹(Camellia sinensis)の脱水された茎、葉、芽及び/又は花を含む。「茶葉」はまた、Aspalathus lineari、Cyclopia intermedia、Cyclopia genistoides、Cyclopia maculate、Cyclopia sessiliflora、Cyclopia subternata、Cyclopia longifolia、ミント及びカモミールなどの他の植物の脱水された茎、葉、芽及び/又は花を含む。茶葉は、全体のものであっても、砕けたものであってもよい。茶葉は、紅茶、緑茶、ハーブ茶、ハイビスカス茶、抹茶、ウーロン茶、プーアル茶、ルイボス茶、トリュフ茶、黄茶、イエルバマテ茶及び白茶を含む、全ての異なる種類の茶ドリンクを煎出するために使用され得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「茶」及び「茶組成物」という用語は、紅茶、緑茶、ハーブ茶、ハイビスカス茶、抹茶、ウーロン茶、プーアル茶、ルイボス茶、トリュフ茶、黄茶、イエルバマテ茶及び白茶などの脱水された植物材料を含み、かつ茶ドリンクを作製するために煎出され得る任意の製品を指す。「茶」を、「茶」から調製されるドリンクと区別するために、ドリンクは、茶ドリンク、茶飲料又は煎出された茶と称され得る。いくつかの茶組成物は、茶葉と、スパイス、ドライフルーツ、種子及び/又は抽出物などの他の添加物との組み合わせを含んでもよい。いくつかの茶組成物は、茶葉のみを含んでもよい。いくつかの茶組成物は、茶葉を含まなくてもよい。例えば、そのような茶組成物は、茶葉ではない脱水された植物材料、例えば、果実茶ドリンクを煎出するためのドライフルーツ及び抽出物のみを含んでもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「茶をブレンドすること」又はその名詞形「茶のブレンド」若しくは「茶ブレンド」という表現は、特定の味及び/又は芳香プロファイルを有する茶組成物を作り出すために異なる成分をブレンドすることを指す。茶ブレンドは、茶の専門家によって配合され得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「抽出物」という用語は、「香味抽出物」及び/又は「植物抽出物」を意味する。
【0033】
「香味抽出物」という用語は、所望の香味プロファイルを作り出すために添加され得る任意の物質を指す。香味抽出物は、いくらかの栄養価を有し得るが、これは必須ではない。香味抽出物は、米国食品医薬品局連邦規則集(U.S FDA Code of Federal Regulations)(Title21,Vol.2,Sec.101.22.3)に該当する天然香味料であり得る。香味抽出物は、任意の好適な形態、例えば、液体又は粉末であり得る。いくつかの例示的な香味抽出物には、コーヒー香味料、チョコレート香味料、チャイ香味料、ブルーベリー香味料、カラメル香味料、モモ香味料、オレンジ香味料、ラズベリー香味料、バラ香味料、イチゴ香味料、レモン香味料、バニラエッセンス、パッションフルーツ香味料、ペパーミント香味料、マンゴー香味料及びメープル抽出物が含まれる。
【0034】
「植物抽出物」という用語は、薬用植物の栄養材料を含む植物から抽出された任意の物質を指す。植物抽出物は、任意の好適な形態、例えば、液体又は粉末であり得る。いくつかの例示的な植物抽出物には、アルカロイド、フラボノイド、グリコシド、サポニン、テルペン及び植物ステロイドなどの植物代謝産物が含まれる。植物抽出物のいくつかの例には、緑茶抽出物、イワベンケイからのロザビン、イチョウ抽出物及びオタネニンジン抽出物が含まれる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「プロバイオティクス」(プロ(pro)及び「生命」を意味するバイオタ(biota)に由来)という用語は、適切な量の消費時に健康上の利益を付与することができる生きた微生物を指す。プロバイオティクスの例には、Lactobacillus、Lactococcus、Streptococcus、Oenococcus、Pediococcus、Leuconostoc、
Enterococcus及びBifidobacteriumなどの乳酸菌(lactic acid bacteria、「LAB」)が含まれる。例示的なプロバイオティクスには、Saccharomyces cerevisiaeなどの特定の酵母株が含まれる。例示的なプロバイオティクスには、Aspergillus oryzae及びAspergillus nigerなどの特定のカビ株が含まれる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「コンブチャ茶」又は「コンブチャ茶ドリンク」という用語は、わずかな甘味及び軽い酸味がある爽快な発酵飲料を指す。コンブチャ茶は、甘味茶溶液の発酵産物である。甘味茶の溶液は、糖で甘味付けした煎出された茶であり得る。煎出された茶は、根、ハーブ、果実並びに/又は(ルイボス及びハニーブッシュのような)低木を含むハーブ茶から調製され得る。煎出された茶は、白茶、黄茶、紅茶、緑茶、ウーロン茶又はプーアル茶から調製され得る。煎出された茶は、任意の好適な茶品種のブレンドから調製され得る。煎出された茶は、ヒトの消費に安全な任意の植物変種から調製され得、これには、低木Camellia sinensisの乾燥した葉又は芽が含まれ得る。糖は、スクロース、グルコース及び/又はフルクトースを含む任意の好適な糖であり得る。好適な糖には、高フルクトースコーンシロップ、リュウゼツラン属、てんさい糖、廃糖蜜、黒砂糖、バターシロップ(buttered syrup)、サトウキビジュース結晶、サトウキビ糖、カラメル、イナゴマメシロップ、上白糖、ココナッツ糖、粉砂糖(粉糖)、デーツ糖、デメララ糖、Florida crystals、果実ジュース、果実ジュース濃縮液、ゴールデン糖、ゴールデンシロップ、ブドウ糖、蜂蜜、アイシングシュガー、転化糖、メープルシロップ、糖蜜、マスコバド糖、パネラ糖、ラパデュラ、粗糖、リファイナシロップ、モロコシシロップ、スカナット、糖蜜糖、タービナド糖、黄糖、オオムギ麦芽、玄米シロップ、コーンシロップ、コーンシロップ固形分、デキストリン、デキストロース、糖化麦芽、エチルマルトール、グルコース、グルコース固形分、ラクトース、麦芽シロップ、マルトデキストリン、マルトース、米シロップ、結晶フルクトース、フルクトース、D-リボース、ガラクトース及び/又はヤーコンシロップが含まれる。発酵プロセスは、(成功したコンブチャ茶のより古いバッチであり得る)発酵種菌及び細菌と酵母菌の共生培養(「SCOBY」)によって行われる。発酵プロセスは、典型的には、数週間続く。
【0037】
SCOBYは、巨視的なキノコの結実キャップと形状及び外観が類似しているため、コンブチャ膜、紅茶キノコ、茶真菌及び満州マッシュルームとしても知られる。「コンブチャ膜」という用語は、本出願において、他の同等の用語と比較してより頻繁に使用され、この優先性について特定の理由はない。説明したように、コンブチャ膜は、コンブチャ茶の製造のための種菌培養物として使用される。種菌培養物としてのその使用以外では、コンブチャ膜は、主にコンブチャ茶発酵プロセスの廃棄副産物と考えられてきた。コンブチャ膜は、単糖類の重合によって形成されるセルロース性バイオフィルムであり、酢酸菌(acetic acid bacteria、「AAB」)、LAB及びビフィズス菌などの細菌並びに酵母菌を含み得る、細菌叢に属する。コンブチャ膜は、発酵しているコンブチャ茶ブロスの表面又は表面付近に形成されることが多い。典型的には、コンブチャ膜は、厚い白色のゼラチン質様菌膜であるように見える。Acetobacter微生物は、コンブチャ膜の形成に寄与すると考えられている。コンブチャ膜は、有機性であり、高い引張強度及び高い保水能力を有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「微生物由来セルロース」及び「微生物セルロース」という用語は、微生物によって産生されるセルロースを指す。例示的な微生物セルロースには、炭素原子間のβ-1,4グルコシド結合の連鎖によって形成される細菌セルロースが含まれ、これは、Acetobacterium(例えば、Acetobacter xylinum及びGluconacetobacter xylinum)、Rhizobium、Alcaligenes、Agrobacterium並びにPseudomonas型の細菌によって産生され得る。例示的な微生物セルロースには、コンブチャ膜が含まれる。
【0039】
本発明者らは、コンブチャ膜を含む微生物セルロースが、茶葉を含む脱水された植物材料を結合させて、成形された茶組成物を形成するための結合剤として機能し得ることを見出した。これに基づいて、本発明者らは、茶葉を含む脱水された植物材料のための結合剤として微生物セルロースを組み込む成形された茶組成物を発明した。本発明者らはまた、成形された茶組成物を作製する方法を発明した。
【0040】
いくつかの実施形態において、成形された茶組成物は、ルーズリーフ茶によって典型的に提供されるような高い官能的品質と、ティーバッグに通常関連する利便性との統合を許容する。いくつかの実施形態において、成形された茶組成物は、消費者を望ましくないプラスチック及び化学物質に曝露することなく、ティーバッグに通常関連する利便性を提供する。例えば、成形された茶組成物は、1杯又は1ポットのいずれかの茶を煎出するための1回分のサイズを提供するように予め小分けされ得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、成形された茶組成物は、茶葉を含み、成形された茶組成物は、煎出プロセス中に茶葉が完全に広がることを可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態において、微生物セルロースは、コンブチャ膜である。したがって、成形された茶組成物は、主にコンブチャ茶発酵プロセスの廃棄副産物であると考えられてきたコンブチャ膜を、有用な製品へと別の目的で再利用する。コンブチャ膜が、成形された茶組成物を作製するための結合剤として使用される場合、LAB、ビフィズス菌などのプロバイオティクスを含むコンブチャ膜細菌叢が、成形された茶組成物中に存在し得、向上した健康上の利益を提供し得る。
【0043】
本発明の第1の実施形態による成形された茶組成物は、脱水された植物材料のための結合剤として微生物セルロースを含む。
【0044】
成形された茶組成物中の結合剤として機能する微生物セルロースの量は、約0.1%~20%(乾燥物質基準でw/w)の範囲内であり、その間の任意の値、例えば0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%及び19%を含む。微生物セルロースと成形された茶組成物中に存在する脱水された植物材料との比は、所望の茶ブレンド、微生物セルロースの特徴及び成形された茶組成物を調製するために使用される条件に応じて変化し得る。例えば、いくつかの脱水された植物材料は、より高い部分の微細及び多孔性成分を含有し得、そのような脱水された植物材料は、微生物セルロースと脱水された植物材料とのより高い比を必要とし得る。これは、そのような脱水された植物材料が、より多くの量の水/水分を吸収し、より少ない部分の微細及び多孔性成分を含有する脱水された植物材料よりも多くの量の微生物セルロースを必要とするためである。不十分な量の微生物セルロースが脱水された植物材料と合わされた場合、又は微生物セルロースが脱水された植物材料と合わされた後に早期乾燥が起こった場合、最終的に形成される成形された茶組成物は、その形状を保持しない場合があり、砕ける場合がある。全体として、(例えば、所望の形状を保持するための)適度な機械的安定性を有する成形された茶組成物を提供するために、結合剤として十分な割合の微生物セルロースが存在するべきである。更に、成形された茶組成物から煎出された茶ドリンクの官能的品質に悪影響を与える過剰な割合の微生物セルロースが存在してはならない。
【0045】
微生物セルロースは、比較的高い保水能力を有することが報告されている。例えば、Rebeloらは、Dehydration of bacterial cellulose and the water content effects on its viscoelastic and electrochemical properties in Science and Technology of Advanced Materials,19(1),203-211で、微生物セルロースが、湿潤基準で約98%及び99%の大量の水を保持し得ることを報告した。
【0046】
Hussainらは、Production of bacterial cellulose from industrial wastes:a review.Cellulose,26(5),2895-291で、微生物発酵から産生された微生物セルロースを研究した。彼らは、微生物発酵から産生された微生物セルロースが、使用される発酵及び増殖培地に関わらず、同様の物理化学的特性を有することを報告した。したがって、彼らは、微生物セルロースが同様に機能する可能性があり、類似の産業用途を有する可能性があると結論付けた。
【0047】
微生物セルロースは、酢酸菌を含有するセルロース物質である酢母であり得る。酢母は、酢発酵プロセス中に発生する。酢には、りんご酢が含まれ得る。
【0048】
微生物セルロースは、コンブチャ膜であり得、これは、コンブチャ茶発酵プロセスの廃棄副産物であり得る。本発明者らは、コンブチャ膜が高い保水能力(湿潤基準で約98%及び99%)を有することを見出した。コンブチャ膜は、LAB及びビフィズス菌などのプロバイオティクスを含む細菌叢を含有し得る。SCOBY細菌叢の組成は様々であり得るが、通常、酢酸菌及び酵母菌を含む。コンブチャ膜に見出され得るいくつかの細菌属には、Gluconacetobacter、Acetobacter、Lactobacillus(この属内のいくつかの種はプロバイオティクスとして分類され得る)、Bifidobacterium(この属内のいくつかの種はプロバイオティクスとして分類され得る)、Lactococcus(この属内のいくつかの種はプロバイオティクスとして分類され得る)及びLeuconostocが含まれる。コンブチャ膜に見出され得るいくつかの酵母菌属には、Schizosaccharomyces、Brettanomyces、Saccharomyces(この属内のいくつかの種は、プロバイオティクスとして分類され得る)及びZygosaccharomyceが含まれる。
【0049】
コンブチャ茶膜は、洗浄、サイズ低減及び/又は乾燥を含む前処理工程に供され得る。サイズ低減工程は、機械的剪断に関与し得、コンブチャ膜をピューレ形態又はペースト形態などの成形可能な形態に変え得る。サイズ低減工程の後、コンブチャ膜の平均粒径は、約10μm~約1000μmに低減され得る。
【0050】
成形された茶組成物中に存在する脱水された植物材料の量は、約80%~約99.9%(乾燥物質基準でw/w)であり、その間の任意の値、例えば、約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び99.5%を含む。
【0051】
脱水された植物材料は、茶葉を含み得る。脱水された植物材料は、いかなる茶葉も含まなくてもよい。
【0052】
特定の香味及び/又は官能的プロファイルを有する茶ブレンドを作り出すために、抽出物が添加され得る。例えば、脱水された植物材料を微生物セルロースと合わせる前に、香味抽出物及び/又は植物抽出物を脱水された植物材料に添加し、それと混合してもよい。微生物セルロースを脱水された植物材料と合わせる前に、香味抽出物及び/又は植物抽出物を微生物セルロースに添加し、それと混合してもよい。脱水された植物材料を微生物セルロースと合わせた後に、香味抽出物及び/又は植物抽出物を添加してもよい。脱水された植物材料を微生物セルロースと合わせているときに、香味抽出物及び/又は植物抽出物を添加してもよい。
【0053】
成形された茶組成物が所望の栄養プロファイルを有し得るように、成形された茶組成物は、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルなどの他の成分を含み得る。
【0054】
成形された茶組成物は、プロバイオティクスを含み得る。プロバイオティクスは、コンブチャ膜が脱水された植物材料を結合させるための結合剤として使用される場合、コンブチャ膜によって提供され得る。コンブチャ膜が結合剤として使用され、コンブチャ膜細菌叢が成形された茶組成物中にプロバイオティクスとして存在する場合であっても、追加のプロバイオティクスが添加されてもよい。
【0055】
成形された茶組成物は、1杯又は1ポットのいずれかの茶を煎出するための1回分のサイズを提供するように予め小分けされ得る。
【0056】
成形された茶組成物は、円柱形ディスク、円錐、球、立方体、直角プリズムなどを含む任意の所望の形状であり得る。成形された茶組成物は、正方形を切断し取ることを可能にするように構成された棒状形態であり得る。各正方形は、1杯の茶を煎出するための1回分の分量を提供し得る。
【0057】
成形された茶組成物が茶葉を含む場合、成形された茶組成物は、煎出プロセス中に茶葉が完全に広がることを可能にし得る。成形された茶組成物を約75℃~約105℃のお湯に浸すと、微生物セルロースがお湯の中に分散し得る。これは、微生物セルロースによって互いに結合した状態から茶葉を解放する。したがって、微生物セルロースがお湯の中に分散すると、次いで、茶葉は、煎出プロセス中に完全に広がることができる。
【0058】
成形された茶組成物を作製する方法100を、図1に示す。方法100は、脱水された植物材料を結合させるための結合剤として微生物セルロースを使用する。
【0059】
工程102において、必要であるか又は望ましい場合、微生物セルロースは、前処理工程、例えば、洗浄、粒径低減、乾燥などに供される。
【0060】
コンブチャ膜が微生物セルロースとして使用される場合、コンブチャ膜を水で濯いで、その表面から任意の酵母菌凝集体を除去してもよい。
【0061】
コンブチャ膜の平均粒径が、約10μm~約1000μm(これらの間の任意の値を含む)、例えば、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、95μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm及び950μmに低減されるように、コンブチャ膜は、粒径低減工程に供され得る。サイズ低減工程は、機械的力を利用して、粒子をより小さいサイズに砕くことができる。例えば、機械的剪断を使用して、コンブチャ膜を砕いてピューレ又はペースト形態などの成形可能な形態にすることができる。機械的剪断は、ホモジナイザ(例えば、高圧ホモジナイザ)、インペラ(例えば、フードプロセッサ)又はブレンダによって作り出すことができる。サイズ低減工程は、任意の他の好適な器具を使用し得、かつ/又は任意の他の好適なプロセスを採用し得る。
【0062】
サイズ低減工程は、ブレンダを利用し得る。コンブチャ膜は、ブレンダ内に入りやすくするために小さく切っておくと、ブレンドプロセスに便利である。水をブレンダに添加して、ブレンドプロセスの効率を改善し得る。例えば、水とコンブチャ膜との重量比が約1:1~1:5であれば、ブレンドされたコンブチャ膜の粘度を低下させ得る。これは、ブレンドプロセス中のコンブチャ膜とブレンダ刃との間のエアポケットの形成を防止するのに役立ち得る。エアポケットが形成されると、コンブチャ膜がブレンダの刃の上に浮遊し、ブレンドプロセスが停止することがある。
【0063】
サイズ低減工程中に水を添加する場合、乾燥工程が望ましくあり得る。例えば、水がブレンダに添加される場合、ブレンドされたコンブチャ膜は、メッシュフィルタ上に注がれ得、ブレンドされたコンブチャ中に存在する少なくともいくらかの水が除去される。微細な二重メッシュフィルタが、使用され得る。排水/乾燥プロセスの持続時間は、約15分~約1時間であり得る。いくつかの実施形態において、メッシュフィルタサイズは、水のみがフィルタを通過し得るように、ブレンドされたコンブチャ膜の平均的な特定サイズより小さくすることができる。
【0064】
前処理工程に供された微生物セルロースは、前処理された微生物セルロースと称され得る。同様に、前処理工程に供されたコンブチャ膜は、前処理されたコンブチャ膜と称され得る。
【0065】
工程104において、結合剤として作用する微生物セルロース(又は、該当する場合、前処理された微生物セルロース)は、脱水された植物材料と合わされる。
【0066】
脱水された植物材料は、特定の香味、外観及び/又は官能的プロファイルを提供するように選択され得る。脱水された植物材料は、茶葉を含み得る。例えば、脱水された植物材料は、緑茶(葉茶)、ショウガ(ハーブ)、ゴボウ(ハーブ)、レモングラス(ハーブ)、タンポポ根(ハーブ)及びウコン(ハーブ)を含み得る。脱水された植物材料は、いかなる茶葉も含まなくてもよい。
【0067】
異なる脱水された植物成分を秤量し、それらが比較的均一に分布するまで混合して、一般的に均質な茶ブレンドを提供する。「均一に分布する」という表現は、厳密な意味で理解されるべきではない。代わりに、それは、消費者が、理論上の1回分の分量の茶ブレンドから煎出された茶ドリンクと、別の理論上の1回分の分量の茶ブレンドから煎出された茶ドリンクとの香味の差異を検知しないであろうことを意味すると理解され得る。
【0068】
脱水された植物材料の量に対する結合剤として機能する微生物セルロースの量は、最終的に形成される成形された茶組成物に(例えば、所望の形状を保持するための)適度な機械的安定性を提供するのに十分であるべきである。しかしながら、微生物セルロースの量は、最終的に形成される成形された茶組成物から煎出された茶ドリンクの官能的品質に悪影響を及ぼすような過剰量であってはならない。
【0069】
微生物セルロースと脱水された植物材料との比は、湿量基準で、かつ混合物を乾燥させて成形された茶組成物を形成する前に、0.5:1~10:1であり得る。比は、脱水された植物材料の特徴、微生物セルロースの含水量及び成形された茶組成物を調製するために使用される条件に応じて変化し得る。例えば、いくつかの脱水された植物材料は、より高い部分の微細及び多孔性成分を含有し得、そのような脱水された植物材料は、脱水された植物材料をともに所望の形状に保持するために、より高い比の微生物セルロースを必要とし得る。これは、そのような脱水された植物材料が、より多くの量の水/水分を吸収し、より少ない部分の微細及び多孔性成分を含有する脱水された植物材料よりも多くの量の微生物セルロースを必要とするためであり得る。不十分な量の微生物セルロースが脱水された植物材料と合わされた場合、又は微生物セルロースが脱水された植物材料と合わされた後に早期乾燥が起こった場合、最終的に形成される成形された茶組成物は、砕ける場合があり、かつ/又は所望の形状を保持するための適度な機械的安定性を有さない場合がある。いくつかの実施形態において、微生物セルロースと脱水された植物材料との0.25:1の比は、脱水された植物材料をともに所望の形状に保持するための十分な量の微生物セルロースを提供しない場合がある。
【0070】
一方、微生物セルロースの量は、過剰であってはならない。いくつかの実施形態において、微生物セルロースと脱水された植物材料との5:1の比は、最終的に形成される成形された茶組成物から煎出された茶ドリンクの官能的品質に悪影響を与えない可能性がある。しかしながら、5:1以上の比は、最終的に形成される成形された茶組成物のいくつかの望ましくない美的特徴をもたらし得る。例えば、5:1以上の比は、最終的に形成される成形された茶組成物のプラスチックのような外観及び感触をもたらす場合があり、これは、茶製品にとって魅力的な特徴とはならない可能性がある。
【0071】
微生物セルロース(又は、該当する場合、前処理された微生物セルロース)及び脱水された植物材料を混合して、セルロース-植物-材料混合物と称される一般的に均質な混合物を提供する。
【0072】
工程106において、香味抽出物、植物抽出物、プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルなどの追加の成分を添加してもよい。工程106は、工程104と同時に、その後に又はその前に起こってもよい。例えば、特定の香味及び/又は官能的プロファイルを有する茶ブレンドを作り出すために、抽出物を、(a)脱水された植物材料を微生物セルロースと合わせる前に、脱水された植物材料に添加し、それと混合しても、(b)微生物セルロース及び脱水された植物材料を混合する前に、微生物セルロースに添加し、それと混合しても、(c)セルロース-植物-材料混合物に添加しても、又は(d)脱水された植物材料を微生物セルロースと混合しているときに、脱水された植物材料及び微生物セルロースと混合してもよい。後に説明するように、工程106(又は追加の成分を添加するための別の工程)は、方法100のより後の段階で起こってもよい。例えば、工程106(又は追加の成分を添加するための別の工程)は、成形された茶組成物が形成された後に起こってもよい。例えば、抽出物を、成形された茶組成物上に噴霧してもよい。
【0073】
工程108において、セルロース-植物-材料混合物を、所望の形状に成形する。
【0074】
工程108は、セルロース-植物-材料混合物を型内に充填する/入れることによって行われ得る。型の形状は、最終的に形成される成形された茶組成物の寸法及び形状を決定する。型は、円柱形ディスク、円柱形、球、立方体、直角プリズム、ハート形、星形などを含む、様々な三次元の幾何学的構成に形作られ得る。型は、最終的に形成される成形された茶組成物が正方形を切断し取ることを可能にするように構成されるように、切断線を有する棒状形態を有し得る。各正方形は、1杯の茶を煎出するための1回分の分量を提供し得る。型は、シリコンを含む任意の好適な材料から作製され得る。
【0075】
セルロース-植物-材料混合物は、早期乾燥が最小限に抑えられるように、工程106の直後に型に充填され得る。
【0076】
セルロース-植物-材料混合物は、圧縮され、型内に緊密に充填され得る。圧縮工程は、セルロース-植物-材料からガス(例えば、気泡)を除去し得る。圧縮工程なしでは、ガスは、最終的に形成される成形された茶組成物中に空隙の形成をもたらし得る。そのような空隙は、構造的統合性を弱め、成形された茶組成物の脆弱性をもたらし得る。
【0077】
工程110において、型内に収容されたセルロース-植物-材料混合物を十分な程度まで乾燥させて、混合物の含水量を低減させ、かつ微生物セルロースが脱水された植物材料を結合させることを可能にする。低い含水量は、望ましくない微生物の増殖を阻害し、脱水された植物材料の香味及び芳香を保つことができる。
【0078】
乾燥工程110の後、成形された茶組成物(又は複数の成形された茶組成物)が形成され、成形された茶組成物は、その形状を保持するための適度な機械的安定性を有する。成形された茶組成物は、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満又は2%未満の含水量を含む、約2%~約25%w/wの範囲内の含水量を有し得る。成形された茶組成物は、0.45未満、0.40未満、0.35未満、0.30未満、0.25未満、0.20未満及び0.15未満の水分活性レベルを含む、約0.10~0.50の範囲内の水分活性レベルを有し得る。
【0079】
工程110は、対流乾燥、マイクロ波真空乾燥、赤外線乾燥、商業用の食品脱水機などを含む、任意の好適な乾燥方法によって行われ得る。
【0080】
例えば、商業用の食品脱水機を使用して、型内に収容されたセルロース-植物-材料混合物を乾燥させ得る。混合物を収容する型を、脱水機内に入れてもよい。乾燥温度は、約20℃~約55℃(その間の任意の値又は部分範囲、例えば、25℃、30℃、35℃、40℃及び45℃を含む)に設定され得る。乾燥持続時間は、約6時間~約15時間の範囲であり得る。乾燥プロセス中に、半乾燥混合物を型から取り出し、脱水機内に戻して、更に乾燥させてもよい。半乾燥混合物を型から取り出すことにより、最初に型内に入れた部分を熱風に曝露することが可能になり、これにより、より効率的かつ均一な乾燥プロセスが可能になる。
【0081】
過剰に高い乾燥温度及び/又は過剰に長い乾燥持続時間は、茶ブレンドに望ましくない変化を引き起こす可能性がある。例えば、過剰に高い乾燥温度が使用された場合、望ましくない褐変が起こり得る。過剰に高い乾燥温度及び/又は過剰に長い乾燥持続時間が使用された場合、プロバイオティクスの望ましくない個体群低減が起こり得る。
【0082】
乾燥工程110の後、成形された茶組成物(又は複数の茶組成物)が形成され、成形された茶組成物は、その形状を保持するための適度な機械的安定性を有する。脱水された植物材料は、成形された茶組成物中の成分として肉眼で見えて識別可能であり得る。
【0083】
抽出物などの追加の成分を、成形された茶組成物に添加してもよい。例えば、香味抽出物を成形された茶組成物上に噴霧して、コーティングを提供してもよい。コーティングは、成形された茶組成物とその周囲環境との間にバリアを作り出すことができる。バリアは、保管中の酸化に関連する品質劣化から成形された茶組成物を保護することができる。成形された茶組成物は、抽出物中に浸漬されてもよい。これは、成形された茶組成物が形成された後に工程106(又は追加の成分を添加するための別の工程)が起こる例である。
【0084】
図2を参照すると、成形された茶組成物を煎出する方法200が示されている。工程202において、成形された茶組成物を、水、例えば過熱水(通常の沸点100℃と臨界温度374℃との間の温度にある加圧下の液体水)、お湯(43℃~100℃の温度の水)、室温の水(20℃~43℃の温度の水)及び冷水(4℃~20℃の温度の水)中に浸潤させ(又は浸し)て、香味、芳香及び栄養素を浸出させる。成形された茶組成物を水に浸すと、成形された茶組成物中の微生物セルロースは、お湯の中で分散し、脱水された植物材料を結合しなくなる。成形された茶組成物を、茶濾過器又はバスケットに入れてもよく、これを転じて、カップ又はポットに入れる。次いで、成形された茶の上、かつカップ又はポット内に水を注ぐ。工程202は、任意の他の好適な煎出方法で行われ得る。
【0085】
工程204において、脱水された植物材料を水和させる。成形された茶組成物が茶葉を含む場合、茶葉は、煎出プロセス中に完全に広がることができる。
【0086】
煎出プロセスの後、水和した植物材料は、煎出されたドリンクが消費される前に除去され得る。
【0087】
成形された茶組成物は、1杯又は1ポットの茶を煎出するための1回分のサイズを提供するように予め小分けされ得る。そのような実施形態において、成形された茶組成物は、消費者を望ましくないプラスチック及び化学物質に曝露することなく、ティーバッグに通常関連する利便性を提供することができる。また、煎じられる茶葉の量を測定するために、煎出される茶葉の量を測定するためのいかなる特殊な茶器具、例えば、茶杓又は茶計量器なども使用する必要はない。
【実施例
【0088】
具体的な実施例を以下に記載し、これらは例示的なものであり、本質的に限定的なものではない。
【0089】
実施例1.0-コンブチャ膜の調製
約10グラムのルーズリーフ紅茶(1837紅茶、TWG Tea Company)を、約90℃で15分間、1Lの水道水中に煎出した。
【0090】
約100グラムのスクロース(Rogers)を、煎出された茶に添加した。
【0091】
煎出された茶が約22℃の室温まで冷却されたとき、約60mlのスターターの茶(Pure+ Kombucha)及び約50gのコンブチャ膜(Pure+ Kombucha)を、煎出された茶に添加した。
【0092】
発酵を、約22℃の室温で10日間行った。
【0093】
発酵後、コンブチャ膜を得た。
【0094】
実施例2.0-コンブチャ膜の前処理
実施例1.0から得たコンブチャ膜を水道水で濯いで、その表面からあらゆる褐色酵母菌凝集体を除去し、滑らかな白色(オフホワイト色)のコンブチャ膜を残した。
【0095】
濯いだコンブチャ膜を、より小さなサイズ(直径約20cm以下)に分割した。
【0096】
コンブチャ膜小片を、機械的ブレンダ(Hamilton Beach 53601C)内に入れた。コンブチャ膜1g当たり1mlの量の水道水を、ブレンダに添加した。
【0097】
コンブチャ膜小片を速度5で1分間ブレンドし、コンブチャ膜ピューレを得た。
【0098】
コンブチャ膜ピューレを、微細二重メッシュフィルタ(Update International SDF-10/SS、10-1/4インチ)上に注いで、ピューレ中に存在する水の少なくとも一部を排水した。排水持続時間は、約15分であった。
【0099】
コンブチャ膜ピューレの平均粒径を、150uM~840uMであると決定した。
【0100】
レモン香味料抽出物(Flavor Dynamics,Aromatics & Flavors)を、排水したコンブチャピューレ10g当たり1mlの量で添加した。
【0101】
実施例3.0-茶ブレンドの調製
茶ブレンドを調製した。茶ブレンドは、以下の成分、ルーズリーフ緑茶、乾燥ショウガ、乾燥ゴボウ、乾燥レモングラス、乾燥タンポポ根及びウコン粉末を含んだ。
【0102】
成分を秤量し、十分に混合した。
【0103】
緑茶抽出物及びレモン香味料抽出物を、混合した成分上に噴霧した。
【0104】
実施例4.1-成形された茶組成物の製造
実施例3.0から得た茶ブレンド及び実施例2.0から得たコンブチャ膜ピューレを、1:1の重量比で混合し、合わせた。
【0105】
茶-コンブチャ-ピューレ混合物を、ディスク形状のシリコン型内に充填した。茶-コンブチャ-ピューレ混合物を圧縮し、コーヒータンパーを使用して、ディスク形状のシリコン型内に充填した。
【0106】
茶-コンブチャ-ピューレ混合物を収容する型を、商業用等級のトレイ食品脱水機(Cabela 160L Commercial Food Dehydrator、Model 541650.1)内に入れた。脱水機内の温度を、120°F(約49℃)に設定した。
【0107】
脱水機内に2時間放置した後、茶-コンブチャ-ピューレ混合物を収容する型を、脱水機から取り出した。茶-コンブチャ-ピューレ混合物は、固化したものとなって、型によって画定されたディスク形状の成形された茶組成物をもたらした。成形された茶組成物を型から取り出し、脱水機内に戻し入れて、更に乾燥させた。成形された茶組成物を、120°Fに設定した食品脱水機内に更に6時間放置した。
【0108】
更に乾燥させた後、成形された茶組成物を、食品脱水機から取り出した。
【0109】
レモン香味料抽出物(Flavor Dynamics,Aromatics & Flavors)を、成形された茶組成物上に噴霧した。
【0110】
実施例4.2-成形された茶組成物の製造
実施例3.0から得た茶ブレンド及び実施例2.0から得たコンブチャ膜ピューレを、1:2の体積比で混合し、合わせた。
【0111】
茶-コンブチャ-ピューレ混合物を、ディスク形状のシリコン型内に充填した。茶-コンブチャ-ピューレ混合物を圧縮し、コーヒータンパーを使用して、ディスク形状のシリコン型内に充填した。
【0112】
茶-コンブチャ-ピューレ混合物を収容する型を、商業用等級のトレイ食品脱水機(Cabela 160L Commercial Food Dehydrator、Model 541650.1)内に入れた。食品脱水機内の温度を、120°Fに設定した。
【0113】
脱水機内に2時間放置した後、茶-コンブチャ-ピューレ混合物を収容する型を、脱水機から取り出した。茶-コンブチャ-ピューレ混合物は、固化したものとなって、型によって画定されたディスク形状の成形された茶組成物をもたらした。成形された茶組成物を型から取り出し、脱水機内に戻し入れて、更に乾燥させた。成形された茶組成物を、100°Fに設定した食品脱水機内に更に6時間放置した。
【0114】
更に、更に乾燥させ、成形された茶組成物を、食品脱水機から取り出した。
【0115】
レモン香味料抽出物(Flavor Dynamics,Aromatics & Flavors)を、成形された茶組成物上に噴霧した。
【0116】
実施例5-水分分析
含水量は、公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists、AOAC)によって採用された分析方法を使用して決定し、実験は、FoodAssure Laboratory Ltd.(所在地Vancouver,British Columbia)が行った。
【0117】
実施例4.1及び4.2から得た成形された茶組成物の含水量を、約5%であると決定した。
【0118】
3つの追加の成形された茶組成物の含水量もまた、決定した。Red Earl茶組成物の含水量を、約3.3%であると決定した。ルイボス茶組成物の含水量を、約7.1%であると決定した。アールグレイ茶組成物の含水量を、約5.3%であると決定した。
【0119】
実施例2.0から得たコンブチャ膜ピューレの含水量を、約98~98.5%であると決定した。
【0120】
実施例5.1-水分活性分析
水分活性レベルは、MFLP-66プロトコルに従い、かつAqualab Instrumentを使用して決定した。実施例4.1及び4.2から得た成形された茶組成物の水分活性を、約0.35と測定した。
【0121】
3つの追加の成形された茶組成物、すなわち、Red Earl茶組成物、ルイボス茶組成物及びアールグレイ茶組成物もまた、MFLP-66プロトコルに従い、かつAqualab Instrumentを使用して試験した。水分活性を、Red Earl茶組成物について約0.25未満、ルイボス茶組成物について約0.38及びアールグレイ茶組成物について0.34であると決定した。
【0122】
実施例5.2-微生物分析
実施例2.0から得たコンブチャ膜ピューレの3つの試料(重量各約1g)を調製した。試料を、汎用寒天培地上にプレーティングした。微生物負荷を、約51CFU、70CFU及び60CFUであると決定した。グラム陽性細菌を単離し、桿状細菌を顕微鏡下で観察した。
【0123】
実施例2.0で得たコンブチャ膜ピューレの試料(重量約6.6g)を回収した。試料を、約150mL、約78℃のお湯の中に2~3分間浸した。100uLの浸したピューレを、三連で汎用寒天培地上にプレーティングした。微生物負荷を、約4CFU及び1CFUであると決定した。
【0124】
実施例6-成形された茶組成物の煎出
実施例4.1及び4.2から得た成形された茶組成物を煎出した。
【0125】
単一の成形された茶組成物を、茶濾過器に直接入れ、茶濾過器をカップ内に入れた。約90℃のお湯を、茶組成物上かつカップ内に直接注いだ。
【0126】
成形された茶組成物を、お湯の中に約3分間浸した。成形された茶組成物は、水和し、分散した。成形された茶組成物中に含有された茶葉は、カップ内で完全に広がることが観察された。
【0127】
実施例7.0-微生物セルロースの調製
実施例7及び8は、他の微生物セルロース(コンブチャ膜以外)もまた機能することを示すことを目的とする。
【0128】
約30g/Lのグルコース(Sigma Aldrich)及び約10g/Lの酵母抽出物粉末(Sigma Aldrich)を使用して、種培養培地をもたらした。Acetobacter xylinum(ATCC23769)を種培養培地内で30℃で培養し、5日間通気して、種培養物をもたらした。
【0129】
培養培地は、30g/Lのグルコース(Sigma Aldrich)、10/Lの年抽出物粉末(Sigma Aldrich)、10g/LのNaHPO(Sigma Aldrich)及び5g/Lのクエン酸(Sigma Aldrich)で調製した。次いで、培養培地を、121℃で30分間滅菌した。
【0130】
培養培地に種培養物を播種し、各100mlの培養培地に、約10mlの種培養物を添加した。
【0131】
Acetobacter xylinumを、25℃で10日間静置発酵させた。
【0132】
発酵プロセスの後、微生物セルロースフィルムを回収し、水で洗浄した。
【0133】
微生物セルロースフィルムを、機械的ブレンダ(Hamilton Beach 53601C)内に入れた。微生物セルロースフィルム1g当たり1mlの量の水道水を、ブレンダに添加した。
【0134】
微生物セルロースフィルムを速度5で1分間ブレンドし、微生物セルロースピューレを得た。
【0135】
微生物セルロースピューレを、微細二重メッシュフィルタ(Update International SDF-10/SS、10-1/4インチ)上に注いで、ピューレ中に存在する水の少なくとも一部を排水した。排水持続時間は、20分であった。
【0136】
実施例8.0-成形された茶組成物の製造
実施例3.0から得た茶ブレンド及び実施例7.0から得た微生物セルロースピューレを、1:1の比で混合し、合わせた。
【0137】
混合物を、ディスク形状のシリコン型内に充填した。混合物を圧縮し、手でディスク形状のシリコン型内に充填した。
【0138】
茶-セルロース-ピューレ混合物を収容する型を、商業用等級のトレイ食品脱水機(Cabela 160L Commercial Food Dehydrator、Model 541650.1)内に入れた。食品脱水機内の温度を、120°Fに設定した。
【0139】
脱水機内に2時間放置した後、混合物を収容する型を脱水機から取り出した。この段階で、混合物は、固化したものとなって、型によって画定されたディスク形状の成形された茶組成物をもたらした。成形された茶組成物を型から取り出し、脱水機内に戻して、更に乾燥させた。成形された茶組成物を、食品脱水機内に更に6時間放置した。
【0140】
更に乾燥させ、成形された茶組成物を、食品脱水機から取り出した。
【0141】
レモン香味料抽出物(Flavor Dynamics,Aromatics & Flavors)を、成形された茶組成物上に噴霧した。
【0142】
実施例9.0-微生物セルロース及び植物ベースのセルロースの比較検討
Hussainらは、Production of bacterial cellulose from industrial wastes:a review.Cellulose,26(5),2895-291で、微生物セルロース及び植物ベースのセルロースが、異なる物理的及び機械的特性を有することを報告した。例えば、Hussainらは、微生物セルロースが、植物ベースのセルロースと比較して、化学的により純粋であることを報告している。植物ベースのセルロースとは対照的に、微生物セルロースは、リグニン、ヘミセルロース又はペクチンを含有しない。微生物セルロースは、天然に非毒性であることが多く、食物としてのヒト消費の比較的長い歴史を有する。また、Reiらは、Plant and bacterial cellulose:production,chemical structure,derivatives and applications.Orbital:The Electronic Journal of Chemistry,11(5),321-329で、微生物セルロースの原線維が、植物ベースのセルロースの原線維よりも約100倍小さいことを報告した。この小さいサイズの原線維は、微生物セルロースが、植物ベースのセルロースよりも高いレベルの可撓性及び成形性、より高い保水能力、より高い多孔性並びに高い表面積対体積比を有することを可能にする。
【0143】
いくつかの例示的な態様及び実施形態を上記に説明したが、当業者は、特定の修正、置換、追加及びそれらの部分組み合わせを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び今後導入される特許請求の範囲は、全体として本明細書の最も広い解釈と一致するような全ての修正、置換、追加及び部分組み合わせを含むように解釈されることが意図される。
【0144】
前述のものを限定するものではないが、本発明のいくつかの実施形態は、以下の態様を包含する。
A.成形された茶組成物を作製する方法であって、
微生物セルロースを脱水された植物材料と合わせて、混合物を生成することと、
混合物を所望の形状に成形することと、
成形された混合物を乾燥させて、成形された茶組成物を作製することと、を含む、方法。
B.微生物セルロースが、脱水された植物材料を結合させて、脱水された植物材料を所望の形状に保持する、態様Aに記載の方法。
C.微生物セルロースが、コンブチャ膜を含む、態様Bに記載の方法。
D.
成形された茶組成物が、プロバイオティクスを含み、
プロバイオティクスの少なくとも一部が、コンブチャ膜によって提供される、態様Cに記載の方法。
E.コンブチャ膜を洗浄することを更に含む、態様Cに記載の方法。
F.コンブチャ膜を脱水された植物材料と合わせる前に、コンブチャ膜の平均粒径を低減させることを更に含む、態様Cに記載の方法。
G.
コンブチャ膜の平均粒径が、機械的剪断を使用することによって低減される、態様Eに記載の方法。
H.
コンブチャ膜の平均粒径が、10μm~100μmに低減される、態様Gに記載の方法。
I.粒径が低減されたコンブチャ膜を乾燥させることを更に含む、態様FからHのいずれか一項に記載の方法。
J.混合物を型に入れて、混合物を所望の形状に成形することを更に含む、態様Bに記載の方法。
K.混合物を型内で圧縮することを更に含む、態様Jに記載の方法。
L.混合物に抽出物を添加することを更に含む、態様Bに記載の方法。
M.微生物セルロースに抽出物を添加することを更に含む、態様Bに記載の方法。
N.脱水された植物材料に抽出物を添加することを更に含む、態様Bに記載の方法。
O.成形された茶組成物上に抽出物を噴霧することを更に含む、態様Bに記載の方法。
P.プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを混合物に添加することを更に含む、態様Bに記載の方法。
Q.プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを微生物セルロースに添加することを更に含む、態様Bに記載の方法。
R.プロバイオティクス、主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを脱水された植物材料に添加することを更に含む、態様Bに記載の方法。
S.脱水された植物材料を均一に混合することを更に含む、態様AからRのいずれか一項に記載の方法。
T.混合物中の微生物セルロースと脱水された植物材料との比が、湿潤基準で、かつ混合物が乾燥される前に、0.5:1~10:1である、態様AからSのいずれか一項に記載の方法。
U.成形された茶組成物中の微生物セルロースの量が、乾燥物質基準で、0.1%~20%の範囲内である、態様AからTのいずれか一項に記載の方法。
V.成形された混合物が、20℃~55℃の乾燥温度で6時間~15時間乾燥される、態様AからTのいずれか一項に記載の方法。
W.成形された茶組成物であって、
脱水された植物材料と、
脱水された植物材料のための結合剤としての微生物セルロースと、を含む、成形された茶組成物。
X.微生物セルロースが、コンブチャ膜を含む、態様Wに記載の成形された茶組成物。
Y.
成形された茶組成物が、プロバイオティクスを含み、
プロバイオティクスの少なくとも一部が、コンブチャ膜によって提供される、態様Xに記載の成形された茶組成物。
Z.脱水された植物材料が、茶葉を含む、態様WからYのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
AA.成形された茶組成物が、1杯の茶を煎出するための1回分のサイズを提供するように予め小分けされている、態様WからZのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
BB.抽出物を更に含む、態様WからAAのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
CC.成形された茶組成物中の微生物セルロースの量が、乾燥物質基準で、0.1%~20%の範囲内である、態様WからBBのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
DD.主要栄養素、微量栄養素及び/又は微量ミネラルを更に含む、態様WからCCのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
EE.成形された茶組成物が、円柱状ディスク、円錐、球、立方体又は直角プリズムとして成形される、態様WからDDのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
FF.成形された茶組成物が、分離可能な正方形を含む棒として成形される、態様WからDDのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
GG.正方形の各々が、1杯の茶を煎出するための1回分の分量を提供する、態様FFに記載の成形された茶組成物。
HH.成形された茶組成物を煎出するとき、微生物セルロースが分散し、それによって脱水された植物材料をともに結合した状態から解放する、態様WからGGのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
II.微生物セルロースの平均粒径が10μm~1000μmである、態様WからHHのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
JJ.脱水された植物材料が、成形された茶組成物中の成分として肉眼で見えて識別可能である、態様WからIIのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
KK.耐酸化コーティングを更に含む、態様WからJJのいずれか一項に記載の成形された茶組成物。
LL.耐酸化コーティングが、香味抽出物を含む、態様KKに記載の成形された茶組成物。
MM.脱水された植物材料を望ましい形状に保持するための結合剤としての、微生物セルロースの使用。
NN.微生物セルロースが、コンブチャ膜を含む、態様MMに記載の使用。
OO.脱水された植物材料が、茶葉を含む、態様MM又はNNのいずれか一項に記載の使用。
図1
図2
【国際調査報告】