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特表2024-511952電気水中ポンプのための高効率電力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電気水中ポンプのための高効率電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555719
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022019712
(87)【国際公開番号】W WO2022192516
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,026
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523345895
【氏名又は名称】ノスト,ジョージ
(71)【出願人】
【識別番号】523345909
【氏名又は名称】ギャラガー,マイケル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノスト,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー,マイケル
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015FA16
5G015GA05
5G015JA27
5G015JA37
5G015JA52
(57)【要約】
電気水中ポンプに電力を供給するためのシステムが提供される。システムは、モータに接続された可変周波数ドライブを含む。モータは、電気水中ポンプに機械的に接続される。発電機およびバッテリが、可変周波数ドライブに接続される。バッテリは、電気水中ポンプの始動動作中、および発電機のメンテナンス期間中に、可変周波数ドライブに電力を供給できるように、適切にサイズ設定される。システムは、発電機からの電力が、電気水中ポンプの負荷需要を満たすのに不十分であるときを検出するための手段を含む。これが発生すると、バッテリは、可変周波数ドライブに電力を送って、電気水中ポンプの負荷需要を満たす。このシステムはまた、バッテリがしきい値レベルより下に降下したときに、発電機を使用してバッテリを充電するための手段も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気水中ポンプに電力を供給するためのシステムであって、
a.モータに電気的に接続された可変周波数ドライブと、
b.前記モータに機械的に接続された前記電気水中ポンプと、
c.前記可変周波数ドライブに電気的に接続された発電機と、
d.前記可変周波数ドライブに電気的に接続されたバッテリであって、前記バッテリは、前記電気水中ポンプの始動動作中、および発電機のメンテナンス期間中に、前記可変周波数ドライブに電力を供給するようにサイズ設定された、バッテリと、
e.前記発電機からの電力が前記電気水中ポンプの負荷需要を満たすのに不十分であるときを検出し、その後、前記バッテリから前記可変周波数ドライブに電力を送って、前記電気水中ポンプの前記負荷需要を満たすための手段と、
f.前記バッテリがしきい値レベルより下に降下したときに、前記発電機を使用して前記バッテリを充電するための手段と
を備える、システム。
【請求項2】
前記電気水中ポンプが、ダウンホール石油生産動作において使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バッテリと前記可変周波数ドライブとの中間に電気的に接続されたインバータをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記発電機が、150kVAの発電機であり、前記バッテリが、最大電力672kWのバッテリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
電気水中ポンプに電力を供給するための方法であって、
a.
i.モータに電気的に接続された可変周波数ドライブと、
ii.前記モータに機械的に接続された前記電気水中ポンプと、
iii.前記可変周波数ドライブに電気的に接続された発電機と、
iv.前記可変周波数ドライブに電気的に接続されたバッテリであって、前記バッテリは、前記電気水中ポンプの始動動作中、および発電機のメンテナンス期間中に、前記可変周波数ドライブに電力を供給するようにサイズ設定された、バッテリと、
v.前記発電機からの電力が前記電気水中ポンプの負荷需要を満たすのに不十分であるときを検出し、その後、前記バッテリから前記可変周波数ドライブに電力を送って、前記電気水中ポンプの前記負荷需要を満たすための手段と、
vi.前記バッテリがしきい値レベルより下に降下したときに、前記発電機を使用して前記バッテリを充電するための手段と
を備える、システムを提供することと、
b.前記発電機からの電力が前記電気水中ポンプの負荷需要を満たすのに不十分であるときを検出し、その後、前記バッテリから前記可変周波数ドライブに電力を送って、前記電気水中ポンプの前記負荷需要を満たすことと、
c.前記バッテリが、しきい値レベルより下に降下したときに、前記発電機を使用して前記バッテリを充電することと
を含む、方法。
【請求項6】
前記電気水中ポンプが、ダウンホール石油生産動作において使用される、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年3月12日に出願された米国特許出願第63/160,026号に対する優先権を主張する。
【0002】
連邦政府支援研究または開発に関する声明
該当なし。
【0003】
「シーケンスリスト」、表、またはコンピュータプログラムへの参照
該当なし。
【背景技術】
【0004】
石油生産井は、生産流体を地表まで持ち上げるために電気水中ポンプ(electric submersible pumps)(ESP)を使用する。坑井が配電公共事業網(electric utility grid)から電力を利用できるエリアに位置する場合、ESPは配電網から電力を供給される。しかしながら、陸上の石油生産井の多くは、配電網(electric grid)が実用的な選択肢ではない遠隔のエリアに位置する。同様に、海洋石油生産井では、配電網は利用できない。このような状況では、ESPに電力を供給するために他のデバイスや方法を使用する必要がある。
【0005】
生産流体を地表に汲み上げるために、ESPが好ましいことが当業者に知られている。ESPは、ガス/油比が低い、抗底圧が低い、バブルポイントが低い、API(アメリカ石油協会)重力流体が低い、または減水量(water cut)が多い状況において、特に効果的である。ESPは、メンテナンスの要件も低い。
【0006】
ESPは、多種多様な流量およびリフト(lift)要件に対処できるため、多用途である。ESPはサイズが小さいため、より小さな坑井ケーシングに設置できる。ESPは、バレルあたりのコストベースでも非常に経済的であると考えられている。ESPは、坑井自体のダウンホールに設置され、地表に露出する機器の量を低減する。これは審美的に魅力があり、ノイズの低減にも効果的である。それに加えて、ケーシング内に配置することで、ESPを天候や侵入者による外部損傷から保護する。
【0007】
ESPは、可変周波数ドライブ(VFD)または可変速ドライブ(VSD)のいずれかによって駆動することができる。本願の目的上、VFDという用語が使用される場合、それはVSDも包含することが意図される。
【0008】
遠隔の場所で動作するとき、VFDの電力は、通常、ディーゼル発電機によって供給される。現在の先行技術の構成では、ディーゼル発電機は、ESPを起動するために必要なすべての電力を供給できるようにサイズ設定される必要がある。典型的なESPの場合、始動時に必要な突入電流は、通常の負荷の下でモータを稼働させるのに必要な電流の6-8倍になる。先行技術のディーゼル発電機は、通常の動作において坑井流状態が揺動するのに従って、VFD、さらにはESPへの電力を瞬時に増減する機能も備えている必要がある。ESPの動作中は、ディーゼル発電機が常に稼働している必要がある。ESPからの電力需要が低減したときでも、ディーゼル発電機は起動後、より低い負荷で稼働し続ける必要があるため、これは本質的な非効率につながる。より低負荷で稼働すると、また、排出量が増加し、メンテナンスが追加され、電力品質パフォーマンスが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要とされているものは、低負荷時に電力を効率的に供給し、ディーゼル発電機が停止した場合に電力を供給し続け、起動時および他の高負荷要件に必要なときに、より高レベルの電力を供給できる、ESPに電力を供給するためのシステムである。本発明は、これらのニーズを満たす。
【0010】
図面は、本明細書の一部を構成し、様々な形態で具現化され得る電気水中ポンプのための高効率電力システムの例示的な実施形態を含む。場合によっては、本発明の理解を容易にするために、本発明の様々な態様が誇張または拡大されて示される場合があることを理解されたい。したがって、図面は縮尺通りではない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、石油生産井における電気水中ポンプに電力を供給するために通常使用される先行技術システムを示す概略図である。
図2図2は、石油生産井における電気水中ポンプに電力を供給するための新しいシステムを示し、本発明の1つの好ましい実施形態を示す図である。
図3A図3Aは、先行技術システムと本発明との比較を提供するチャートである。
図3B図3Bは、先行技術システムと本発明との比較を提供するチャートである。
図4図4は、先行技術システムと比較して、本発明によって提供される節約に関する情報を提供するチャートである。
図5図5は、先行技術システムと比較して、本発明によって提供される主要な利点に関する情報を提供するチャートである。
図6図6は、先行技術システムと比較して、本発明によって提供される他の利点に関する情報を提供するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2に示すように、電気水中ポンプのための新しい高効率電力システムは、VFD2に電気的に接続されたバッテリ1を含む。図2の特定の実施形態では、バッテリ1はインバータ3を含む。バッテリ1およびインバータ3は、発電機4とともに、VFD2の負荷に電気的に接続されている。この新規なシステムの鍵は、通常の負荷でESPを稼働させるために、より小型のディーゼル発電機4が使用されることである。たとえば始動時など、ESPの負荷要件が高いときに、バッテリ1が追加の電力を供給する。
【0013】
通常の負荷で稼働しているとき、発電機4は必要に応じてバッテリ1を再充電もする。このシステムは、バッテリ1が、必要な電力のしきい値レベルを下回ったときを検出するための手段を含み、そのとき、システムは、発電機4からバッテリ1に電力を向かわせて、バッテリ1を充電する。
【0014】
VFD2は、次にモータ5に電気的に接続され、モータ5はESP6に機械的に接続される。特に好ましい実施形態では、システムは緊急接続7も含む。緊急接続7は、バッテリ1と発電機4との両方が利用できない場合に電力を供給できる接続である。
【0015】
好ましい実施形態では、バッテリ1は、最大電力672kW、および毎時110kWで3時間、電力を供給することができる。発電機4は、150kVAの電力を供給できる発電機となる。それに加えて、発電機4は、バッテリ1に適切な電圧を提供できるようになる。システムの電圧は、ESPモータおよび変圧器のニーズによって決定される。バッテリ1および発電機4は、発電機4とバッテリ1との両方の電力を用いてモータ5を起動し、その後、ESP6のために通常必要な負荷で、発電機4を効率的に稼働させるようにサイズ設定される。
【0016】
次に、システムの動作が説明される。動作の初期段階では、ESP6を起動すると、発電機4がオンになる。始動時には、より高い突入電流が必要となるため、バッテリ1および発電機4は両方とも、ESP6の動作を開始するためにVFD2に電力を供給する。ESP6の負荷をサポートするためにバッテリ1が不要になったことを電力管理システムが検出すると、システムは、ESP6に供給されていたバッテリ1からの電力をオフにする。システムは、発電機4からバッテリ1に電力を向かわせて、バッテリ1を必要な電圧レベルまで充電し戻す。通常の持続動作では、発電機4は、先行技術システムよりも高い効率の負荷で稼働し、ESPに電力を供給し続けるので、したがって、燃料を節約し、全体の排出量を低下させる。
【0017】
バッテリ1は、ESP始動要件または他の負荷変動をサポートするために、必要に応じてオンとオフとを循環し続ける。それに加えて、発電機4がメンテナンスのためにオフラインになったときに、バッテリ1からの電力を使用してESP6に電力を供給することができる。ESP6のために、連続的で、中断のない、持続的な電源があることで、ESP6のより連続的な動作が可能になる。これにより、ESPの稼働時間が増加し、したがって、坑井の生産量が増加し、起動と停止はESPにとってストレスとなるため、これはESPの耐用期間にとって有益である。
【0018】
本発明は、先行技術システムに対するいくつかの利点を提供する。図5に示すように、本発明は、ディーゼル発電機がより小さく、設計に近い、より効率的な負荷で稼働するため、排出量が少ない。それに加えて、バッテリは、発電機のメンテナンス中の通常の負荷をサポートするようにサイズ設定される。1つの好ましい実施形態では、本発明を使用して、掘削リグの再配置と、恒久的な電力設置との間の時間を埋めるために必要な生産電力のギャップを解消することができる。最後に、本発明は、耐用年数が終了した生産現場での柔軟な動作を提供する、モバイルでスケーラブルなアプリケーションである。
【0019】
先行技術システムに対する本発明のさらなる利点が、図3に並べて比較されて示されている。新しいシステムで使用される150kVA発電機は、現在のシステムで使用されている650kVA発電機によって燃焼される70ガロン/時間であるのに対し、15ガロン/時間を燃焼する。図4に示すように、これは、一般的な燃料費で、年間約700,000ドルの燃料費の節約をもたらす。図6で論じられるように、本発明は、ロードタンカー給油に関連付けられた危険性およびコストを、80%低減し、配送コストを節約し、道路交通安全への危険度を、80%低減する。これはまた、本発明が、坑井現場における潜在的に危険な燃料の取り扱いを、以前の技術と比較して20%しか必要としないことによって、人員の安全性が向上することも明らかにする。
【0020】
新しいシステムにおけるディーゼル発電機はより小型であり、通常動作中にESPの負荷を供給しながら、その効率的な範囲で稼働しているため、O&Mコストが低くなる。それに加えて、本システムは、より効率的に動作し、ウェットスタッキングなどのパフォーマンスやメンテナンスの問題を引き起こす状況または低負荷では動作しないため、新しいシステムに対するO&Mコストが、より低くなる。発電機の日常メンテナンス中のコンポーネントのシャットダウンが、発電機のみである場合は、必要な動作人員およびセキュリティが、より少なくなるので、ESPをシャットダウンおよび再起動するための現在の要件に対して、マンパワー要件も、より少なくなる。
【0021】
図3に示すように、新しいシステムはまた、約50%延長されたESP寿命につながる。このより長い寿命により、3年間で約500,000ドルのコスト節約がもたらされ得る。
【0022】
新しいシステムは、より少ない高調波、およびより長い延長されたメンテナンス間隔を有する。発電機4が、適切な負荷で、より効率的に稼働し、バッテリシステムが、電力品質を向上させるため、高調波が減少する。先行技術システムでは、ディーゼル発電機がより大きく、より低い負荷で稼働するため、より多くの高調波を作り出す傾向がある。結果として生じる高調波振動は、システムにおいて使用されるすべての機器でより多くの磨耗を引き起こす。
【0023】
バッテリの価格は減少し続けており、これは、新しいシステムが、将来において、よりさらに経済的に有利になることを意味する。新しいシステムは、より良い作業環境および清潔さを提供し;メンテナンスのリスクも限定的である。遠隔のエリアや政情が不安定な地域で掘削や生産動作を行うとき、人員のセキュリティが懸念される。メンテナンス人員を現場に派遣するときは、警備員の同伴が必要である。したがって、いかなるメンテナンス要件のの減少も、メンテナンスコストに組み込まれているセキュリティコストゆえに、二重の利点となる。
【0024】
新しいシステムはまた、必要に応じて遠隔監視および制御にさらに適応できる。最後に、より低い全体的なコストは、大幅に低減される全体的な運転コストによって、生産曲線の下降を平坦にし、経済的な坑井生産寿命を延長する可能性がある。
【0025】
本発明の主題は、法的要件を満たすために、本明細書において具体的に説明される。しかしながら、この説明自体は、必ずしも特許請求の範囲を限定するように意図されていない。むしろ、特許請求される主題は、他の現在または将来の技術と組み合わせて、本文書で説明されているものと同様の異なる要素または要素の組合せを含めるために、他の手法で具現化される可能性がある。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
【国際調査報告】