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特表2024-511953哺乳動物においてダニの侵入を防除するための餌および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】哺乳動物においてダニの侵入を防除するための餌および方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/12 20160101AFI20240311BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20240311BHJP
【FI】
A23K10/12
A23K50/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555729
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022019870
(87)【国際公開番号】W WO2022192618
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,644
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523346157
【氏名又は名称】イン ザ ボウル アニマル ヘルス,インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523346168
【氏名又は名称】ロビン・エス・リドヌール
(71)【出願人】
【識別番号】523346179
【氏名又は名称】ケビン・イー・ウィラード
(71)【出願人】
【識別番号】523346180
【氏名又は名称】ジョゼフ・アール・ウィンクル
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・エス・リドヌール
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・イー・ウィラード
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・アール・ウィンクル
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA04
2B150AA06
2B150AB10
(57)【要約】
哺乳動物に、有効な量のスピノシンを有効な時間、経口投与して、それにより哺乳動物の血中におけるスピノシンの量を、ダニを防除するのに治療上有効なレベルに上昇させて、その治療上有効なレベルで維持させることによって、ダニの防除を必要とする哺乳動物においてダニを防除する経口用の動物の餌および方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダニの侵入の防除を必要とする哺乳動物においてダニの侵入を防除する方法であって、前記哺乳動物に、有効な量のスピノシンを有効な時間、1か月当たり少なくとも4回の頻度で経口投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記哺乳動物が、野生動物、家畜、コンパニオンアニマルおよびイヌからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スピノシンがスピノサドである、請求項に1記載の方法。
【請求項4】
前記スピノシンが、ドライフードおよびウェットフードからなる群から選択される餌に供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スピノシンが、餌の約0.005%~2%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スピノシンが、前記哺乳動物に、約0.625mg/kg~10mg/kg(前記哺乳動物の重量)の量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記頻度が、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有効な時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記投与が、前記スピノシンの最初の投与の1週間および前記スピノシンの最初の投与の2日間からなる群から選択される期間内に前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記投与が、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも180日間および少なくとも365日間からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記投与が、少なくとも30日間および少なくとも365日間からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において約300ng/mLを上回り、約6000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スピノシンが、30日のうち少なくとも15日および30日のうち少なくとも20日からなる群から選択される日数で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記スピノシンが、1つまたは複数の他の活性物質を含む餌の成分として供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも3日間および少なくとも7日間からなる群から選択される期間、スピノシンの投与を中断するステップをさらに含み、スピノシンの前記哺乳動物の血中濃度が、その期間中、治療上有効なレベルで維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
スピノシンの投与の前記中断後にスピノシンの投与を再開するステップ、およびそれによりスピノシンの前記哺乳動物の血中濃度を前記治療上有効なレベルで維持し続けるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スピノシンが、チューズの成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記経口投与が、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される給餌頻度を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の教示は概して、スピノシン、スピノシンを含む餌、および哺乳動物においてダニの侵入を防除するためにスピノシンを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ダニは、哺乳動物における多種多様の病原体の媒介生物である。ダニによって引き起こされる疾患の例として、ボレリア症(ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)によって引き起こされるライム病)、バベシア症(またはネズミバベシア(Babesia microti)によって引き起こされるピロプラズマ症)およびリケッチア症(ロッキー山紅斑熱)が挙げられる。ダニはまた、毒素を放出し、これが宿主において炎症または麻痺を引き起こす可能性がある。
【0003】
[0003]シカ、エルク、カリブー、ヘラジカなどの野生動物のダニの侵入は、群れから群れへ、または野生動物から飼育動物(例えば、ウシ、ネコおよびイヌ)およびヒトへの疾患の蔓延を引き起こし得る。
【0004】
[0004]家畜はまた、様々なダニの侵入、例えば、ダニ属のコイタマダニ属(Rhipicephalus)、特に種マイクロプラス(microplus)(ウシダニ)、デコロラトゥス(decoloratus)およびアヌラトゥス(annulatus)のダニの侵入を受けやすい。オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)などのダニは、家畜が放牧されている牧草地にそれらが生息するため、防除することが特に困難である。ウシの他に、コイタマダニ属種(Rhipicephalus spp.)および他のダニ属は、水牛、ウマ、ロバ、ヤギ、ヒツジ、シカ、ブタ、ネコおよびイヌに侵入する可能性がある。哺乳動物に対する大きなダニの負荷により、生産が減少し、皮革が損傷を受け、ならびにバベシア症(「牛熱」)および寄生原虫によって引き起こされるアナプラズマ症などの疾患が伝染され得る。
【0005】
[0005]家畜の他に、ダニは、例えばライム病、上行性麻痺、ロッキー山紅斑熱を含む疾患を、コンパニオンアニマルおよびヒトにも蔓延させる。
[0006]特に懸念されるのは、コンパニオンアニマルにおけるダニの侵入の健康関連のリスクがヒトにまで及ぶことである[Center for Disease Control and Prevention,Illnesses on the Rise,Vital Signs,2018年5月、https://www.cdc.gov/vitalsigns/vector-borne/で入手可能]。イヌおよびネコなどのコンパニオンアニマルは、世界的に見て家庭においてますます一般的になってきている。世界規模では約4億7,100万匹のイヌおよび3億7,300万匹のネコが家庭のペットとして飼われている。米国単独で、ペットを飼うことは、1970年代以来3倍になっている。残念なことに、ダニは、これらのコンパニオンアニマルに侵入し得る。侵入されたコンパニオンアニマルは、ヒト飼い主を病気のリスクの増加にさらす。ダニによるヒトのリスクを制御する方法の1つは、コンパニオンアニマルにおける侵入のリスクを制御することである。
【0006】
[0007]ダニの侵入を防除するのに現在利用可能な処置は、様々な成功度を達成している。多くの処置は、屋内および屋外の表面に、ならびに動物に塗布された化学物質を包含する。使用する化学物質として、各種カルバメート類、有機リン酸エステル類、ある特定の大環状ラクトン類、フィプロール類(fiproles)、ピレトリン類およびピレスロイド類が挙げられる。これらの化合物は多くの場合、動物および動物の飼い主の両方にとって問題となる有害な副作用を有する。さらに、ダニ駆除剤耐性および処置不足に起因して、これらの化学物質の使用が無効である可能性があるという証拠がみられる。
【0007】
[0008]局所処置は、ダニの侵入を防除するための周知の方法である。これらの治療剤を哺乳動物の毛および皮膚に送達する方法は数多くあるが、これらの方法の多くは無効であり、および/または分配動作中もしくは分配動作後に哺乳動物または使用者に安全性リスクをもたらす。より具体的には、アプリケーターの先端をアプリケーターに取り付ける場合、アプリケーターの先端と薬物送達デバイスとの間に物理的な接続が達成されなければならないため、接続が不十分であり、それにより治療剤の一部がデバイスから漏出し、使用者と物理的に接触させるというリスクが本質的に存在する。例えば、大型のイヌの場合、一方の手でディスペンサーを操作し、他方の手でイヌを適所に維持することは困難な場合があり、物質の全てではないが一部が、イヌの皮膚に到達する代わりに、床またはそれを塗布する人にこぼれることになる。この漏出は、無駄で厄介であるだけでなく、特に使用者が薬剤と直接接触する場合に、使用者が皮膚の炎症または他の健康上の懸念に苦しむリスクが高まる。
【0008】
[0009]経口処置もまた、コンパニオンアニマルに利用可能である。しかしながら、有効であるためには、飼い主は、例えば30日~90日毎に1回処置を施さなくてはならない。処置間の時間が長いと、飼い主が投薬するのを忘れる場合にコンプライアンス上の問題が発生する。
【0009】
[0010]有効な処置が利用可能であるにもかかわらず、Harris Pollによる最近の研究により、ペットの飼い主の33%がペットをダニから日常的に一切防御していないことがわかった。別の研究により、ペットは一年中ダニの予防処置を受ける必要があると言われているにもかかわらず、ペットの飼い主は、ペット1匹につき年間平均して4か月分のダニ予防製品しか購入していないことがわかった。したがって、飼い主が忘れずにより使用しやすい、コンパニオンアニマルへのダニの侵入を防除するための比較的安全で有効な薬剤が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
[0011]驚くべきことに、スピノサドなどのスピノシンは、より少量で、より高頻度/慢性用量で経口投与すると、ダニの侵入に対して改善された防除を提供し得ることが発明者らによって発見された。これまで、スピノシンは一般的に、月単位で投薬され、動物の血中のスピノシンの量が急速に低下して、ダニの侵入を防除することができないため、ペット、またはより一般的には哺乳動物におけるダニの防除には無効であると考えられていた。
【0011】
[0012]より少用量のスピノシンを、少なくともコンパニオンアニマルの場合には、いずれにしてもそのコンパニオンアニマルに与えられるであろう毎日の餌に組み込むことでき、飼い主が処置を施すのを忘れるか、または怠る可能性がより低くなるので、本明細書中で教示する方法および組成物は、コンプライアンスを高めるというさらなる利点を有する。したがって、本開示は、これまで既知の処置で達成された様式よりも安全で有効な様式で、ダニを長期間防除する方法を提供する。スピノシンの投与については、餌と組み合わせるものとして以下で説明する。しかしながら、また、スピノシンは、それ自体で、またはチューズ(chew)、錠剤、液体、ゲルまたは経口投与に適した他の形態などの餌以外の投薬形態で投与され得ると意図される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0013]スピノシンは、天然由来の発酵生成物である。スピノシンは、サッカロポリスポラ・スピノサ(Saccharopolyspora spinosa)の培養によって産生されたマクロライド類である。S.スピノサ(S.spinosa)の発酵により、スピノシンAおよびスピノシンD(A83543AおよびA8354Dとも呼ばれる)を含む多くの因子が産生される。スピノシンAおよびスピノシンDは、殺虫剤として最も活性のある2つのスピノシンである。主にこれらの2つのスピノシンからなる製品は、一般名「スピノサド」で市販されている。主要なスピノシン因子であるスピノシンAは特に、優れたヒトおよび哺乳動物の安全性ならびに毒性学的プロファイルを有することが知られている。
【0013】
[0014]スピノシンはそれぞれ、2つの異なる糖、アミノ糖フォロサミン(forosamine)および中性糖2N,3N,4N-(トリ-O-メチル)ラムノースが結合された稀な四環系の一部である大環状の12員環を有する。この特有の構造により、スピノシンは他の大環状化合物とは区別される。
【0014】
[0015]スピノシンAは、S.スピノサの発酵ブロスから単離および同定された最初のスピノシンであった。続く発酵ブロスの検討により、S.スピノサがスピノシンA~J(A83543A~J)と呼ばれているいくつかのスピノシンを産生することが明らかとなった。主成分は、スピノシンAおよびDである。KからWまでの文字が付けられたさらなるスピノシンが、S.スピノサの突然変異株から同定されている。各種スピノシンは、フォロサミンのアミノ基上の、四環系上の選択された部位での、および2N,3N,4N-(トリ-O-メチル)ラムノース基上の置換パターンの違いを特徴とする。
【0015】
[0016]Boeckらは、米国特許第5,362,634号(1994年11月8日に発行):同第5,496,932号(1996年3月5日に発行);および同第5,571,901号(1996年11月5日に発行)において、スピノシンA~HおよびJ(Boeckらは、これらをA83543因子A、B、C、D、E、F、G、HおよびJと呼んだ)ならびにそれらの塩について記載した。Mynderseらは、米国特許第5,202,242号(1993年4月13日に発行)において、スピノシンL~N(Mynderseらは、これらをA83543因子L、MおよびNと呼んだ)、それらのN-デメチル誘導体、ならびにそれらの塩について記載し、Turnerらは、米国特許第5,591,606号(1997年1月7日に発行)および同第5,631,155号(1997年5月29日に発行)において、スピノシンQ~T(Turnerらは、これらをA83543因子Q、R、SおよびTと呼んだ)、それらのN-デメチル誘導隊、ならびにそれらの塩について記載した。スピノシンK、O、P、U、V、WおよびYは、例えば、Carl V.DeAmicis、James E.Dripps、Chris J.HattonおよびLaura I.Karrによって、American Chemical Society’s Symposium Series:Phytochemicals for Pest Control,Chapter11,「Physical and Biological Properties of Spinosyns:Novel Macrolide Pest-Control Agents from Fermentation」,146~154頁(1997年)において記載されている。
【0016】
[0017]スピノシンは、反応して、本開示の方法および製剤においても有用である塩を形成し得る。塩は、塩調製に関する標準的な手順を使用して調製される。例えば、スピノシンAは、適切な酸で中和されて、酸付加塩を形成し得る。スピノシンの酸付加塩は特に有用である。代表的な適切な酸付加塩として、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コール酸、パモ酸、ムチン酸、グルタミン酸、ショウノウ酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸、ケイ皮酸などの有機酸または無機酸のいずれかとの反応によって形成される塩があげられる。
【0017】
[0018]「スピノシン」という用語は、本明細書で使用する場合、個々のスピノシン因子(スピノシンA、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WまたはY)、個々のスピノシン因子のN-デメチル誘導体、スピネトラムなどの化学的に修飾されたスピノシン、上述のいずれかの塩、上述のいずれかの代謝産物、それらの生理学的に許容可能な誘導体、またはそれらの組み合わせを指す。
【0018】
[0019]スピノシンはまた、本明細書中に記載する投与量が本明細書中に開示する方法に従って使用される場合に、それらが処置後の残存防御を伴ってダニに対して非常に有効であるため、利点を提供する。さらに、スピノシンは、既存の化合物に対する殺ダニ交差耐性を持たない。したがって、スピノシンは、現在使用されている殺ダニ製品に対して既存のレベルの耐性を有する哺乳動物のダニ集団に対して特に有用である。したがって、スピノシンは、耐性が十分に開発されていないか、またはいまだ開発されていない一般的に使用されている製品の生命線を延ばすための総合的病害虫管理(IPM)プログラムにおいて使用することができる。
【0019】
[0020]全身有効性(例えば、ダニによるスピノシンを含有する血液の摂取)は、皮膚表面でのダニとの接触が曝露様式である局所塗布製剤と比較して、異なる曝露様式を提供する。局所塗布および接触による死滅と比較して、経口全身処置およびそれらの血液摂取によるダニの死滅の利点として、
a)ヒトアプリケーターおよび子供ならびに哺乳動物の環境中の物体(例えば、床、カーペット、家具)への曝露の低減;
b)哺乳動物の、水(湖、水路、海水浴など)への曝露による損失、またはこすりつける動作(rubbing)に起因した損失に関して不安がないこと;
c)UV曝露および分解に関して懸念がないこと;
d)皮膚上の油などによる酸化に関する問題がないこと;および
e)確実に用量全体が投与される(用量の一部が垂れる可能性があり、こすり落とされる可能性があり、および/または処置の直後に分配チューブに残る可能性がある局所塗布と比較して)ことが挙げられる。
【0020】
[0021]本開示の製剤、または餌、および方法は、スピノシンと組み合わせて、1つまたは複数の治療上の有効性を有する他の活性物質をさらに含んでもよい。かかる活性物質として、ダニに対して有効な薬剤が挙げられる。活性物質として、例えば、イソキサゾリン類、ある特定の大環状ラクトン類、ダニ特異的なキチン合成阻害剤、ピリジン類およびピラゾール類またはフィプロール類が挙げられ得る。
【0021】
[0022]本開示の方法は、スピノシンを哺乳動物に、少量の高頻度用量で投与することによって実行される。日常的な投薬を容易にするために、スピノシン投与は、毎日の餌を使用して実行され得る。製造プロセス(複数可)および餌の組成が、スピノシンおよび該当する場合には他の活性物質に関する有効性、安全性ならびに安定性に関連した有害な影響はないという条件で、多種多様な餌が想定される。例えば、ドライフード、セミモイストフード、ウェットフード、レトルト缶詰フード、新鮮な冷蔵フード、ならびにおやつ、間食および他の補助フードを含む補助フードの幅広いカテゴリーのフードが、本開示とともに使用するのに順応され得る。哺乳動物は、週1回、週2回または毎日、フード製品を消費することによってスピノシンの維持量を受け取る。
【0022】
[0023]より少用量のスピノシンを動物の餌組成物に組み込み、それを有効な頻度で(最も可能性が高いのは毎日)投与することによって、スピノシンの血中レベルは、それが毎日または実質的に毎日の投薬によって維持することができる最適な定常状態に達するまで経時的に上昇する。対比して、スピノシンがより大用量でより低頻度で経口投与される場合、例えば30日間に1回「おやつ」を介して投与される大用量の単回処置の場合、血中のスピノシンのレベルは、投薬の時点で急上昇し、その後、次の用量が投与されるまで低下する。低頻度で大用量の投与は、スピノシンの血中レベルが次の投薬前に有効な防御に必要なレベルを下回らないように、動物が各投薬においてより多くのスピノシンを消費しなければならないことを意味する。スピノシンの血中レベルの急速で急激な低下のため、月1回の投薬戦略を使用してダニの侵入を防除するのに十分な血中レベルを維持することは不可能となっている。
【0023】
[0024]本明細書中に記載する割合、パーセント、および部は全て、別記しない限り、「重量に基づく」。
[0025]「ダニの侵入を防除する」という用語は、哺乳動物のダニによる侵入を予防するか、処置するか、最低限に抑えるか、または排除することを指す。
【0024】
[0026]「ダニ」という用語は、マダニ目(the order Ixodida)の任意の成員を指す。「ダニ」という用語は、発達の卵、幼虫、若虫、および成体段階を含む。より具体的には、ダニという用語は、マダニ科(Ixodidae)およびヒメダニ科(Argasidae)を含む。より具体的には、「ダニ」という用語は、アフリカニエラ属(Africaniella)、キララマダニ属(Amblyomma)、アノマロヒマラヤ属(Anomalohimalaya)、ボスリオクロトン属(Bothriocroton)、デルマセントル属(Dermacentor)、ヘマフィサリス属(Haemaphysalis)、ヒアロンマ属(Hyalomma)、イクソデス属(Ixodes)、マルガロプス属(Margaropus)、ノソンマ属(Nosomma)、リピセントル属(Rhipicentor)、コイタマダニ属(Rhipicephalus)、アントリコラ属(Antricola)、ナガヒメダニ属(Argas)、ノトアスピス属(Nothoaspis)、ヒメダニ属(Ornithodoros)、およびオトビウス属(Otobius)の種を含む。
【0025】
[0027]「哺乳動物」という用語は、哺乳網の任意の成員を指す。特に、「哺乳動物」という用語は、野生哺乳動物、例えば、オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、シカ、エルク、ヘラジカ、トナカイなどを指し得る。「哺乳動物」という用語はまた、家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、バイソン、ウマなどを指し得る。「哺乳動物」という用語はまた、コンパニオンアニマルを指し得る。「哺乳動物」という用語はまた、ヒトを指し得る。
【0026】
[0028]「コンパニオンアニマル」という用語は、ペットとして飼われ得る任意の飼育動物を指す。これは、ウマ、イヌ、オオカミ、コヨーテ、ネコ、ハムスター、スナネズミ、マウス、モルモット、フェレット、ウサギなどを包含するが、これらに限定されない。
【0027】
[0029]「イヌ」という用語は、イヌ属(the genus Canis)の任意の成員を指し、それは、オオカミ、イヌ、コヨーテおよびジャッカルなどの種を包含する。
[0030]「ネコ」という用語は、ネコ亜科(the subfamily Felidae)の任意の成員を指し、それは、飼いネコ、ボブキャット、ヤマネコ、オセロット、オオヤマネコ属(the genus lynx)の成員、マヌルネコおよびクーガーなどの種を包含する。
【0028】
[0031]本開示の方法を実行する際、「餌」は、毎日または実質的に毎日付与され得る動物の餌、間食、おやつまたは他の補助フードである。種々の形態のフード、例えば、キブルおよびおやつまたはチューズを使用することによって、1日用量のスピノシンを依然として利便性よく投与すると同時に、哺乳動物の食事および間食を時々変動させてもよい。
【0029】
[0032]「チューズ」という用語は、イヌにとって魅力的である香味料および芳香特性を有するおやつを指すが、通常は栄養価を持たない。本開示の方法を実行する際、「餌」および/または「チューズ」は、言い換え可能で使用され得る。
【0030】
[0033]本明細書中で「有効な持続期間」とも称される「有効な時間」という用語は、少なくとも、哺乳動物の血中のスピノシンのレベルを、ダニを防除するのに十分高いレベル、即ち、「治療上有効な」レベルにするのに必要とされる餌の付与の持続期間を含む。一部の実施形態では、有効な時間は、3日程度と少ない場合がある。他の例では、有効な時間は、7日または15日またはそれより長い場合がある。以下で記載するように、有効な時間は、餌またはスピノシンがどれくらいの頻度で投与されるかに基づいて変化する。
【0031】
[0034]先ほど触れたように、「有効な時間」は、餌が付与される頻度の関数として変化する。「有効な頻度」という用語は、本明細書中で使用する場合、哺乳動物の血中においてスピノシンの治療上有効な濃度をもたらす所与の時間にわたる給餌の数を意味する。いずれにしても、「有効な頻度」という用語は、本明細書中で使用する場合、1か月当たりのスピノシンを含む複数の給餌を意図する。餌は様々な頻度で付与され得ることは、当業者に理解されよう。例えば、スピノシンは、毎日、1日おき、3日おき、1週当たり1回の頻度で、またはさらには一貫性のない時間間隔で投与され得る。
【0032】
[0035]さらに、上述するように、有効な頻度は、哺乳動物の血中のスピノシンの治療上有効なレベルを得るのに要される持続期間に影響を及ぼす可能性がある。例として、哺乳動物が餌組成物を毎日給餌されている場合、哺乳動物の血中のスピノシンの治療上有効なレベルを達成するのに要される餌付与の持続期間、したがって、「有効な時間」は、哺乳動物が餌組成物を1週当たり1回または2回のみ給餌されている場合よりも比較的短くなるであろう。
【0033】
[0036]さらに、有効な頻度は、mg/kg(哺乳動物の体重)での1日用量の量に影響される。特に、わずかに高い、例えば、1.0mg/kgよりも多い1日用量では、忘れた用量は有効性に対する影響が少ない。
【0034】
[0037]さらに、有効な頻度は、処置の持続期間によって影響される。初期段階では、即ち、哺乳動物の血中のスピノシンの量が治療上有効なレベルに達する前では、動物の餌は、それがより長期間の使用後に付与される場合、即ち、ひとたび治療上有効なレベルが得られる際に必要な頻度よりも高頻度で付与される必要があり得る。
【0035】
[0038]本開示の目的で、「実質的に毎日」は、哺乳動物の血中のスピノシン濃度が治療上有効なレベルまで上昇し、そのレベルで保たれるような、十分に定期的であることを意味する。例えば、開示する餌組成物は、好ましくは、毎日無期限に哺乳動物に給餌することができる。しかしながら、実際問題として、日数を忘れたり、または定期的に飛ばしたりする理由が数多く存在する。例えば、哺乳動物が病気の可能性があり、または飼い主が餌組成物を切らす可能性がある。開示する方法は、スピノシンの投薬の偶発的な中断でさえも、哺乳動物がある程度はダニから防御されるのに十分に頑強である。本開示の方法を実行する際、「実質的に毎日」という用語は、1か月当たり少なくとも10日、より好ましくは1か月当たり少なくとも15日、さらに好ましくは1か月当たり少なくとも20日を含む。これらの給餌頻度は全て、それらが例えば1週当たり3回であろうと、1日おきであろうと、毎日であろうと、スピノシンが哺乳動物の血中でスピノシンの治療上有効なレベルに達することおよびそれを維持することを促進する限りは、本開示で使用される場合の「実質的に毎日」の保護下に収まる。
【0036】
[0039]「治療上有効な」という用語は、餌中のスピノシンの用量または血中のスピノシンの濃度が、薬物が存在しない場合よりも良好にダニの侵入を防除するのに十分であることを意味する。スピノシンは、例えば、餌、または哺乳動物の血液中に、単独であるいは1つまたは複数のさらなる活性物質とともに存在し得る。好ましくは、スピノシンは、薬物が存在しない場合よりも少なくともおよそ50%良好にダニの侵入を防除し、より好ましくは、スピノシンは、薬物が存在しない場合よりも少なくとも約90%良好にダニの侵入を防除する。
【0037】
[0040]本開示の方法を実行する際、有効な、または治療上有効な量のスピノシンが、哺乳動物に経口投与される。「有効な量」または「治療上有効な量」という用語は、ダニの侵入を防除するのに必要とされる量を指す。当業者に理解されるように、この量は、いくつかの要因に依存して変化する。これらの要因として、例えば、処置されている哺乳動物のタイプ、その体重および全身的な身体状態が挙げられる。
【0038】
[0041]本開示は、キブルなどの餌の観点でスピノシンの濃度について記載してきたが、本開示はまた、おやつまたはチューズなどの他の投薬形態を使用した投与も意図する。本開示はまた、スピノシンがそれ自体でまたは錠剤、液体、ゲルもしくは経口投与用の他の適切な形態で投与され得ることも意図する。スピノシンの濃度が、特定の投薬形態に従って変化することは、当業者に理解されよう。例えば、投薬形態がおやつまたはチューズである場合、おやつまたはチューズにおけるスピノシンの濃度は、例えば、キブルにおけるスピノシンの濃度よりも高い。例えば、イヌの重量に基づくスピノシンの1日用量が10mgである場合、通常5gのおやつまたはチューズは、約0.2パーセントのスピノシン(重量に基づく)を含有する。1日で消費されるキブルの量は5gよりも多いため、キブルにおけるスピノシンのパーセントはより低くなる。
【0039】
[0042]概して、有効な用量は、約0.625~約10mgのスピノシン/kg(哺乳動物の体重)の用量を指す。より好ましくは、有効な用量は、約1~約4.5mgのスピノシン/kg(哺乳動物の体重)の用量を指す。より一般的には、有効な量は、約1~約3.75mg/kg(哺乳動物の体重)である。
【0040】
[0043]動物の餌は通常、餌中に約0.005~約2パーセントのスピノシン(重量に基づく)、好ましくは餌中に約0.01~約0.5パーセントのスピノシン(重量に基づく)、最も好ましくは餌中に約0.03~約0.2パーセントのスピノシン(重量に基づく)を含有する。
【0041】
[0044]一態様では、本開示は、スピノシン、またはその生理学的に許容可能な誘導体もしくは塩と、動物の餌とを含む全身的に活性な経口組成物を、1週当たり少なくとも1回、より好ましくは1週当たり3回、最も好ましくは実質的に毎日投与することによって、哺乳動物においてダニの侵入を防除する方法に関する。
【0042】
[0045]別の態様では、本開示は、スピノシンと、動物の餌とを含む全身的に活性な経口組成物に関する。
[0046]本開示はまた、哺乳動物のダニの侵入を防除するための動物の餌の製造のためのスピノシンの使用に関する。
【0043】
[0047]本開示はまた、例えば餌中の有効な量のスピノシンの1日用量または実質的に1日用量を哺乳動物に経口投与することを含む、長時間哺乳動物のダニの侵入を防除する方法に関する。毎日の餌は、毎日付与されると意図されるが、本明細書中に記載するように毎日よりも低頻度で付与されてもよい餌である。この方法は、有効な量のスピノシンの実質的に1日用量を哺乳動物に経口投与することを含む、長時間哺乳動物のダニを防除するのに特に有用である。
【0044】
[0048]本開示の態様は、それ自体として、単回用量では、例えば1か月に1回、哺乳動物においてダニの侵入を防除するのに無効であるか、または最適以下であるスピノシンの量の経口投与であるが、本明細書中に記載するように、繰り返し投与で時間をかけると、ダニの侵入の効果的な防除をもたらす。無効であるか、または最適以下は、単回投薬、ならびに数回の投薬が、薬物投与全くなしと比較した場合に、低減なしまたは実質的に低減なしを含む、ダニの侵入の50%未満の低減をもたらすことを意味する。このことは、本明細書中に開示する急性の投与の態様ではなく慢性投与の態様を反映している。
【0045】
[0049]実施形態1:ダニの侵入の防除を必要とする哺乳動物においてダニの侵入を防除する方法であって、前記哺乳動物に、有効な量のスピノシンを有効な時間、1か月当たり少なくとも4回の頻度で経口投与するステップを含む、方法。
【0046】
[0050]実施形態2:前記哺乳動物が、野生動物、家畜、コンパニオンアニマルおよびイヌからなる群から選択される、実施形態1の方法。
[0051]実施形態3:前記スピノシンがスピノサドである、実施形態1または2の方法。
【0047】
[0052]実施形態4:前記スピノシンが、ドライフードおよびウェットフードからなる群から選択される餌に供給される、実施形態1~3のいずれかの方法。
[0053]実施形態5:前記スピノシンが、餌の約0.005%~2%の量で存在する、実施形態1~3のいずれかの方法。
【0048】
[0054]実施形態6:前記スピノシンが、前記哺乳動物に、約0.625mg/kg~10mg/kg(前記哺乳動物の重量)の量で投与される、実施形態1~5のいずれかの方法。
【0049】
[0055]実施形態7:前記頻度が、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される、実施形態1~6のいずれかの方法。
[0056]実施形態8:前記有効な時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される、実施形態1~7のいずれかの方法。
【0050】
[0057]実施形態9:前記投与が、前記スピノシンの最初の投与の1週間および前記スピノシンの最初の投与の2日間からなる群から選択される期間内に前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、実施形態1~8のいずれかの方法。
【0051】
[0058]実施形態10:前記投与が、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも180日間および少なくとも365日間からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、実施形態1~9のいずれかの方法。
【0052】
[0059]実施形態11:前記投与が、少なくとも30日間および少なくとも365日間からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において約300ng/mLを上回り、約6000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する、実施形態1~10のいずれかの方法。
【0053】
[0060]実施形態12:前記スピノシンが、30日のうち少なくとも15日および30日のうち少なくとも20日からなる群から選択される日数で投与される、実施形態1~11のいずれかの方法。
【0054】
[0061]実施形態13:前記スピノシンが、1つまたは複数の他の活性物質を含む餌の成分として供給される、実施形態1~12のいずれかの方法。
[0062]実施形態14:少なくとも3日間および少なくとも7日間からなる群から選択される期間、スピノシンの投与を中断するステップをさらに含み、スピノシンの哺乳動物の血中濃度が、その期間中、治療上有効なレベルで維持される、実施形態1~13のいずれかの方法。
【0055】
[0063]実施形態15:スピノシンの投与の中断後にスピノシンの投与を再開するステップ、およびそれによりスピノシンの哺乳動物の血中濃度を治療上有効なレベルで維持し続けるステップをさらに含む、実施形態14の方法。
【0056】
[0064]実施形態16:スピノシンが、チューズの成分である、実施形態1の方法。
[0065]実施形態17:経口投与が、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される給餌頻度を含む、実施形態16の方法。
【0057】
[0066]実施形態18:ダニの防除を必要とする哺乳動物においてダニを防除する際に使用するためのスピノシンであって、前記スピノシンが、前記哺乳動物に、有効な量で有効な時間、1か月当たり少なくとも4回の頻度で経口投与される、スピノシン。
【0058】
[0067]実施形態19:前記哺乳動物が、野生動物、家畜、コンパニオンアニマルおよびイヌからなる群から選択される、実施形態18のスピノシン。
[0068]実施形態20:前記スピノシンがスピノサドである、実施形態18~19のいずれかのスピノシン。
【0059】
[0069]実施形態21:ドライフードおよびウェットフードからなる群から選択される餌に供給される、実施形態18~20のいずれかのスピノシン。
[0070]実施形態22:餌の約0.005%~2%の量で存在する、実施形態18~21のいずれかのスピノシン。
【0060】
[0071]実施形態23:前記哺乳動物に、約0.625mg/kg~10mg/kg(前記哺乳動物の重量)の量で投与される、実施形態18~22のいずれかのスピノシン。
[0072]実施形態24:前記投与するステップが、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される給餌頻度を含む、実施形態18~23のいずれかのスピノシン。
【0061】
[0073]実施形態25:前記有効な時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される、実施形態18~24のいずれかのスピノシン。
[0074]実施形態26:前記投与が、前記スピノシンの最初の投与の1週間および前記スピノシンの最初の投与の2日間からなる群から選択される期間内に前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、実施形態18~25のいずれかのスピノシン。
【0062】
[0075]実施形態27:前記投与が、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも180日間および少なくとも365日間からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、実施形態18~26のいずれかのスピノシン。
【0063】
[0076]実施形態28:前記投与が、少なくとも30日間および少なくとも365日間からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において約300ng/mLを上回り、約6000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する、実施形態18~27のいずれかのスピノシン。
【0064】
[0077]実施形態29:前記餌が、少なくとも15日および少なくとも20日からなる群から選択される30日のうちの日数の間付与される、実施形態18~28のいずれかのスピノシン。
【0065】
[0078]実施形態30:1つまたは複数のさらなる活性物質を含む餌の成分である、実施形態18~29のいずれかのスピノシン。
[0079]実施形態31:少なくとも3日間および少なくとも7日間からなる群から選択される期間、スピノシンの投与を中断するステップをさらに含み、スピノシンの哺乳動物の血中濃度が、治療上有効なレベルで維持される、実施形態18~30のいずれかのスピノシン。
【0066】
[0080]実施形態32:スピノシンの投与の中断後にスピノシンの投与を再開するステップ、およびそれによりスピノシンの哺乳動物の血中濃度を治療上有効なレベルで維持するステップをさらに含む、実施形態31のスピノシン。
【0067】
[0081]実施形態33:チューズの成分である、実施形態18~32のスピノシン。
[0082]実施形態34:前記投与が、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される給餌頻度を含む、実施形態33のスピノシン。
【0068】
[0083]実施形態35:有効な時間、1か月当たり少なくとも4回の頻度で経口投与されるとダニの侵入を防除するのに有効量のスピノシンを含む、哺乳動物においてダニを防除するための餌またはチューズ。
【0069】
[0084]実施形態36:前記哺乳動物が、野生動物、家畜、コンパニオンアニマルおよびイヌからなる群から選択される、実施形態35の餌またはチューズ。
[0085]実施形態37:前記スピノシンがスピノサドである、実施形態35~36のいずれかの餌またはチューズ。
【0070】
[0086]実施形態38:前記餌またはチューズが、ドライフードおよびウェットフードからなる群から選択される餌である、実施形態35~37のいずれかの餌またはチューズ。
[0087]実施形態39:前記スピノシンが、餌の約0.005%~2%の量で存在する、実施形態35~38のいずれかの餌またはチューズ。
【0071】
[0088]実施形態40:前記スピノシンが、前記哺乳動物に、約0.625mg/kg~10mg/kg(前記哺乳動物の重量)の量で投与される、実施形態35~39のいずれかの餌またはチューズ。
【0072】
[0089]実施形態41:前記投与が、1週当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される給餌頻度を含む、実施形態35~40のいずれかの餌またはチューズ。
【0073】
[0090]実施形態42:前記有効な時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される期間、餌またはチューズを付与するステップを含む、実施形態35~41のいずれかの餌またはチューズ。
【0074】
[0091]実施形態43:前記投与が、前記餌またはチューズの最初の投与の1週間および前記餌またはチューズの最初の投与の2日間からなる群から選択される期間内に前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、実施形態35~42のいずれかの餌またはチューズ。
【0075】
[0092]実施形態44:前記投与が、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも180日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において治療上有効なレベルのスピノシンを提供する、実施形態35~43のいずれかの餌またはチューズ。
【0076】
[0093]実施形態45:前記投与が、少なくとも30日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記哺乳動物の血中において約300ng/mLを上回り、約6000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する、実施形態35~44のいずれかの餌またはチューズ。
【0077】
[0094]実施形態46:少なくとも15日および少なくとも20日からなる群から選択される30日のうちの日数の間付与される、実施形態35~45のいずれかの餌またはチューズ。
【0078】
[0095]実施形態47:1つまたは複数の他の活性物質を含む、実施形態35~46のいずれかの餌またはチューズ。
[0096]実施形態48:少なくとも3日および少なくとも7日からなる群から選択される期間、餌またはチューズの投与を中断するステップをさらに含み、スピノシンの哺乳動物の血中濃度が、治療上有効なレベルで維持される、実施形態35~47のいずれかの餌またはチューズ。
【0079】
[0097]実施形態49:餌またはチューズの投与の中断後に餌またはチューズの投与を再開するステップ、およびそれによりスピノシンの哺乳動物の血中濃度を治療上有効なレベルで維持するステップをさらに含む、実施形態48の餌またはチューズ。
【0080】
[0098]実施形態のいずれかの態様では、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも30日間、約300ng/mLを上回り、約6000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。より好ましくは、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも30日間、約300ng/mLを上回り、約2500ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。さらに好ましくは、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも30日間、約300ng/mLを上回り、約2000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。さらに好ましくは、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも30日間、約400ng/mLを上回り、約1500ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。
【0081】
[0099]実施形態のいずれかの態様では、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも365日間、約300ng/mLを上回り、約6000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。より好ましくは、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも365日間、約300ng/mLを上回り、約2500ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。さらに好ましくは、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも365日間、約300ng/mLを上回り、約2000ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。さらに好ましくは、投与は、上記哺乳動物の血中において少なくとも365日間、約400ng/mLを上回り、約1500ng/mL未満のスピノシンの濃度を提供する。
【実施例
【0082】
[0100]下記の実施例は、本開示の方法について説明する:
実施例1
[0101]クリイロコイダマダニ(Rhipicephalus sanguineus)の処置および防除のために経口で、即ち口により、イヌに投与されたスピノシンの有効性
[0102]方法:生きたノミのおよそ50%の信頼性の高い侵入の割合を48時間にわたって適切に維持することができるイヌのプールを生成するために、40匹のイヌのプールは、イヌにおよそ100匹の餌を与えていない成体ネコノミ(Ctenocephalides felis)を予備的に侵入させることによってこの実施例に組み入れる前にスクリーニングされ得る。最も高い生きたノミの計数のイヌは、実験的侵入由来のイヌの処置前のノミ計数に基づいて、2つの処置群(1群当たりイヌ6匹)に無作為に割り当てられる。第1の処置群は対照群であり、第2の処置群は、検査群である。
【0083】
[0103]イヌは、研究期間中、個々に収容され、市販のドライドッグフード食糧が給餌され、随時水にアクセスする。検査群のイヌはそれぞれ、スピノシン、好ましくはスピノサドの液体製剤を口で受け取る。2.5mg/kg(イヌの体重)の投与量が、0日目~29日目のそれぞれにイヌに投与され、5mg/kg(イヌの体重)の投与量が、30日目~50日目に投与される。
【0084】
[0104]対照群のイヌは、スピノシンもいかなる他のダニ防除処置も受け取っていない。検査群におけるイヌはそれぞれ、その1日食糧(ドライフード)が提供され、個々のイヌがその総1日食糧の少なくとも25%を食べた後に液体製剤の個々の用量が投与される。スピノシンの投薬を受け取った後、イヌに食べさせ続ける。このことは、餌にスピノシンを組み込むことを模倣している。検査群および対照群のイヌはそれぞれ、50匹の餌を与えていない成体ダニ(約50%オス/50%メス)で検査日12日目、19日目、28日目、35日目、42日目、49日目および56日目に実験的に侵入される。生きた成体ダニおよび瀕死の成体ダニの合わせたものの混合計数は、14日目、21日目、30日目、37日目、44日目、51日目および58日目に行われる。投与量は、30日目に増加されて、最終用量は50日目に投与されることに留意されたい。
【0085】
[0105]結果:対照群と比較した、検査群に関する生きた成体ダニおよび瀕死の成体ダニの計数の合わせたものの低減パーセントを、スピノサドを用いて以下のグラフに示す。
【0086】
【化1】
【0087】
[0106]上述するのと同じ研究方法を使用して、スピノシンの初回用量を投与した72時間後、120時間後、168時間後、336時間後、504時間後、720時間後および888時間後に血液を採取する。その後、種々の投薬レベルでの血液中のスピノシンの平均濃度を決定し得る。
【0088】
[0107]種々の投薬レベルでのイヌの血中のスピノサドの平均血漿濃度のサンプル結果を以下の表およびチャートに示す。比較として、月1回付与される単回用量の投与でのスピノサドの平均血漿濃度もまた、以下の表およびチャートに示す:
【0089】
【表1】
【0090】
【化2】
【0091】
[0108]本発明を例示的な設計を有するものとして記載してきたが、本発明は、本開示の主旨および範囲内でさらに変更されてもよい。したがって、本出願は、その一般原理を使用して、本発明の任意の変形、使用、または適応を網羅すると意図される。
【国際調査報告】