(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】熱機関
(51)【国際特許分類】
F02G 1/043 20060101AFI20240311BHJP
F02G 1/055 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F02G1/043 D
F02G1/055 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555777
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022056726
(87)【国際公開番号】W WO2022194878
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523345736
【氏名又は名称】シックステン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルテレミー,ピエール-イブ
(57)【要約】
本発明は、熱機関であって、第1の熱源と、第2の熱源と、第1の熱源(1)に接続された低温部分(4)と第2の熱源(2)に接続された高温部分(5)との間で交互に熱力学的流体を変位させるためのモジュール(3’)であって、前記モジュール(3’)は、熱力学的流体を収容することができ、熱力学的流体を収容することが意図されたチャンバを備え、チャンバは、熱力学的流体(G)の供給出口に接続され、上記モジュール(3’)は、上記チャンバ内で低温部分(4)と高温部分(5)との間で交互に移動することのできるディスプレーサを更に備えるモジュール(3’)と、熱力学的流体の圧力差を機械エネルギーに変換するための第1の変換ユニット(6)であって、変換ユニット(6)は、少なくとも1つのモータ(8)を含んで熱力学的流体(G)の供給出口に接続される少なくとも1つの回路(7)を備える第1の変換ユニット(6)と、上記モジュール(3’)内の熱力学的サイクルの段階を制御するために第1の変換ユニット(6)内に配置された第1の制御ユニットと、高温部分(5)と低温部分(4)との間で交互に上記ディスプレーサの変位を制御するための上記モジュール(3’)の第2の制御ユニットと、を備える熱機関に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱力学的流体を含む熱エネルギーの機械エネルギーへの少なくとも1つの変換を行うように適合及び設計され、少なくとも1つの等容加熱段階、任意選択で等圧加熱段階、膨張段階、及び等圧冷却段階を含む熱力学的サイクルを実施するように適合及び設計された熱機関であって、前記熱機関は、少なくとも、
-熱エネルギーを収容し、少なくとも1つの伝熱流体に伝達するように構成された第1の温度T1の第1の熱源(1)と、
-熱エネルギーを収容し、少なくとも1つの伝熱流体に伝達するように構成された第2の温度T2の第2の熱源(2)であって、前記第1の温度T1と前記第2の温度T2とは異なる、第2の熱源(2)と、
-前記第1の熱源(1)に接続された低温部分(4)と前記第2の熱源(2)に接続された高温部分(5)との間で交互に前記熱力学的流体を移動させるための少なくとも1つのモジュール(3、3’)であって、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)は、少なくとも前記低温部分(4)を備え、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)は、前記第1の熱源(1)及び前記低温部分(4)に接続された第1の伝熱流体供給回路(A、B)を備え、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)は、少なくとも前記高温部分(5)を備え、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)は、前記第2の熱源(2)及び前記高温部分(5)に接続された第2の伝熱流体供給回路(C、D)を備え、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)は、前記少なくとも1つの熱力学的流体を収容するのに好適であり、かつ収容するように設計され、第1の圧力P1の少なくとも1つの熱力学的流体供給出口(G)又は第2の圧力P2の油圧流体供給出口(E)に接続された、少なくとも1つのチャンバを備える、少なくとも1つのモジュール(3、3’)と、
-前記熱力学的流体の圧力差を機械エネルギーに変換するための少なくとも1つの第1の変換ユニット(6)であって、少なくとも機械的変換手段、好ましくはモータ(8)を備える少なくとも1つの回路(7)を備え、前記第1の変換ユニット(6)は、前記熱力学的流体供給出口(G)又は前記油圧流体供給出口(E)に接続されている、少なくとも1つの第1の変換ユニット(6)と、を備え、
前記熱機関は、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)が、前記チャンバ内で前記低温部分(4)と前記高温部分(5)との間で交互に移動可能な少なくとも1つのディスプレーサを更に備え、
前記チャンバが、50バール~300バールの圧力を有し、超臨界状態にある前記少なくとも1つの高圧熱力学的流体を収容するのに好適であり、かつ収容するように意図されており、
前記熱機関が、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)における、前記熱力学的サイクルがある段階を少なくとも制御するように構成された、前記第1の変換ユニット(6)内に少なくとも部分的に配された少なくとも第1の制御ユニットを備え、
前記熱機関が、前記高温部分(5)と前記低温部分(4)との間での交互の前記少なくとも1つのディスプレーサの変位を制御するように構成された、前記少なくとも1つのモジュール(3、3’)の第2の制御ユニットを備えることを特徴とする、熱機関。
【請求項2】
前記第1の変換ユニット(6)が、好ましくは前記超臨界状態の熱力学的流体(14)を有する油圧モータ(12)又はタービンである機械的変換手段、好ましくは前記モータ(8)の下流に接続された少なくとも1つの蓄圧器(11)を備え、前記蓄圧器(11)が、前記回路(7)の圧力を前記熱力学的流体の臨界圧力以上に維持又は変化させることができ、かつ維持又は変化させるように意図されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱機関。
【請求項3】
前記第1の制御ユニットが、前記熱力学的サイクルがある段階を制御し、特に前記サイクルの各段階の完了を決定するように構成された少なくとも1つの圧力及び/又は流量測定部材(9)を備え、前記圧力及び/又は流量測定部材(9)が、前記チャンバと前記蓄圧器(11)との間に配され、好ましくは前記熱力学的流体供給出口(G)又は前記油圧流体供給出口(E)と前記蓄圧器(11)との間に配されていることを特徴とする、請求項2に記載の熱機関。
【請求項4】
前記第1の制御ユニットが、前記熱力学的サイクルの前記等圧加熱段階及び/又は前記膨張段階を少なくとも制御/案内するように構成された前記回路(7)の少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素(13)を備え、前記少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素(13)が、前記熱力学的流体供給出口(G)又は前記油圧流体供給出口(E)と前記蓄圧器(11)との間に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の熱機関。
【請求項5】
前記機械的変換手段、好ましくは前記モータ(8)の下流で前記第1の変換ユニット(6)に接続された第2の機械エネルギー電気エネルギー変換ユニット(18)を更に備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱機関。
【請求項6】
前記第2の変換ユニット(18)が、一方でカップリング(20)に接続され、他方で発電機(21)に接続された少なくとも1つの慣性(19)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の熱機関。
【請求項7】
前記モジュール(3、3’)が、シリンダ内に収容された少なくとも1つのピストンを備え、前記シリンダが、前記シリンダ内で移動可能な前記ピストンの変位を制御するために、前記シリンダの第1の端部及び第2の端部を介して作動流体供給回路(J、H)に接続されており、前記ディスプレーサ及び前記ピストンが互いに結合されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱機関。
【請求項8】
前記第2の制御ユニットが、前記少なくとも1つのディスプレーサを前記高温部分(5)と前記低温部分(4)との間で交互に変位させるように前記第1の端部と前記第2の端部との間の圧力差を維持又は変化させるために、前記シリンダの前記第1の端部に少なくとも1つの第1の圧力及び/又は流量調節部材と、前記シリンダの前記第2の端部に少なくとも1つの第2の圧力及び/又は流量調節部材と、を備えることを特徴とする、請求項7に記載の熱機関。
【請求項9】
前記作動流体供給回路(J、H)が、前記第1の伝熱流体供給回路(A、B)及び前記第2の伝熱流体供給回路(C、D)によって形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の熱機関。
【請求項10】
前記第2の制御ユニットが、少なくとも、前記第1の熱源(1)の圧力及び/又は流量を調節するための第1の部材と、前記第2の熱源(2)の圧力及び/又は流量を調節するための第2の部材とを備え、前記第1の圧力及び/又は流量調節器並びに前記第2の圧力及び/又は流量調節器が、前記少なくとも1つのディスプレーサを前記低温部分(4)と前記高温部分(5)との間で交互に変位させるように前記第1の熱源(1)と前記第2の熱源(2)との間の圧力差を維持又は変化させるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の熱機関。
【請求項11】
前記第1の熱源(1)が、前記第1の圧力及び/又は流量調節部材を形成する少なくとも1つの好ましくは油圧ポンプを備え、前記第2の熱源(2)が、前記第2の圧力及び/又は流量調節部材を形成する第2の好ましくは油圧ポンプを備えることを特徴とする、請求項10に記載の熱機関。
【請求項12】
前記第2の制御ユニットが、少なくとも、前記第1の供給回路(A、B)の圧力及び/又は流量を調節するための第3の部材と、前記第2の供給回路(C、D)の圧力及び/又は流量を調節するための第4の部材とを備え、前記第3の圧力及び/又は流量調節部材並びに前記第4の圧力及び/又は流量調節部材が、前記少なくとも1つのディスプレーサを前記低温部分(4)と前記高温部分(5)との間で交互に変位させるように、前記第1の供給回路(A、B)と前記第2の供給回路(C、D)との間の圧力差を維持又は変化させるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の熱機関。
【請求項13】
前記圧力及び/若しくは流量調節要素(13)、並びに/又は、前記第1の伝熱流体供給回路(A、B)の前記第1の圧力及び/若しくは流量調節部材、並びに/又は、前記第2の圧力及び/若しくは流量調節部材、並びに/又は、前記第3の圧力及び/若しくは流量調節部材と/あるいは、前記第2の伝熱流体供給回路(C、D)の前記第4の圧力調節器は、圧力リミッタ(16、26、27)、及び/又は、流量調節器(28、29)、及び/又は、油圧弁(15)、及び/又は、調節可能な流量リミッタ、及び/又は、可変絞りオリフィス(17)、又は、追加の蓄圧器(30)から選択されることを特徴とする、請求項3~12のいずれか一項に記載の熱機関。
【請求項14】
前記回路(7)の前記圧力及び/又は流量測定部材(9)が、少なくとも1つの圧力センサ(90)、又は流量計、又は回転速度センサ(10)、又は油圧ピストンの線形変位センサから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の熱機関。
【請求項15】
前記熱機関が、少なくとも、第1のモジュール(3、3’)及び第2のモジュール(3、3’)を備え、前記第1のモジュール(3、3’)及び前記第2のモジュール(3、3’)が、第1の相互接続ライン(31)によって、それらの熱力学的流体供給出口(G)又はそれらの油圧流体供給出口(E)において互いに直列に接続され、それらの第1の供給回路(A、B)において互いに直列に接続され、それらの第2の供給回路(C、D)において互いに直列に接続されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱機関。
【請求項16】
前記第1の制御ユニットは、前記第1のモジュール(3、3’)及び前記第2のモジュール(3、3’)において、前記熱力学的サイクルがある段階を少なくとも中央制御するように構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の熱機関。
【請求項17】
前記第2の制御ユニットが、前記第1のモジュール(3、3’)及び前記第2のモジュール(3、3’)に共通であり、前記第1のモジュール(3、3’)の前記少なくとも1つのディスプレーサ及び前記第2のモジュール(3、3’)の前記少なくとも1つのディスプレーサを中央制御するように構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の熱機関。
【請求項18】
前記熱機関が、少なくとも1つの第1のモジュール(32)及び少なくとも1つの第2のモジュール(33)を備え、前記第1のモジュール(31)及び前記第2のモジュール(33)が、それぞれ、それらの熱力学的流体供給出口(G)を介して、又はそれらの油圧流体供給出口(E)を介して、前記第1の変換ユニット(6)に接続され、前記第1のモジュール(31)及び前記第2のモジュール(33)が、前記第1のモジュール(31)の前記少なくとも1つのディスプレーサが前記低温部分(4)にあるとき、前記第2のモジュール(33)の前記少なくとも1つのディスプレーサが前記高温部分(5)にあるように構成されていることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の熱機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱機関の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
可動部品の機械的結合が存在する従来のスターリング機関などの熱機関の制御は、回転速度が主に高温源と低温源との間の温度差に依存するため複雑である。結果として、このタイプの熱機関の実際の熱力学的サイクルは、2つの等容変換及び2つの等温変換からなる理想的なスターリングサイクルからはるかにかけ離れている。したがって、効率は理論レベルよりもかなり低い。
【0003】
サイクルを改善し、理論サイクルにできるだけ近づけるために、改良がなされてきた。例えば、国際公開第2010/043469(A1)号は、流体ピストンスターリングサイクル熱機関を制御する方法を提案している。このプロセスは、スターリングサイクルに基づいており、熱力学的流体が、作動流体管理に取って代わられている。この論理の主な欠点は、作動流体が高温部分と低温部分との間を流れ、結果として著しい熱損失をもたらすことである。加えて、等温圧縮では、油圧圧縮機による調節を必要とする。
【0004】
国際公開第84/00399(A1)号は、外部燃焼によって熱が供給されるスターリング機関のためのディスプレーサ位置と作動ピストン位置との間の機械的分離の例を開示している。しかしながら、このシステムは、作動ピストンに加えて油圧ピストンを用いて作動し、特に、空気を燃料と混合する前に空気を圧縮するためにポンプがピストン間に組み込まれているので、機関及びその制御がより複雑になる。
【0005】
低温熱-電気変換プロセスの別の分野は、有機流体の相変化を利用するORC(Organic Rankine Cycle、有機ランキンサイクル)システムである。これらのシステムは、理論的には非常に低温の供給源からエネルギーを回収することができるが、現在、100℃未満の温度では経済的に実行可能ではない。加えて、これらは、流体が膨張及び圧縮構成要素を通過する際に実際に単相、すなわち気体又は液体のいずれかであることを保証するため、低温源及び高温源の温度に基づく連続サイクル管理を必要とする。圧縮機もまた、低圧部分と高圧部分との間の圧縮に不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点の少なくとも1つを克服し、代替的な熱機関の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、少なくとも1つの熱力学的流体を含む熱エネルギーの機械エネルギーへの少なくとも1つの変換を行うように適合及び意図され、少なくとも1つの等容加熱段階、任意選択で等圧加熱段階、膨張段階、及び等圧冷却段階を含む熱力学的サイクルを実施するように適合及び意図された熱機関であって、
熱機関は、少なくとも
熱エネルギーを収容し、少なくとも1つの伝熱流体に伝達するように構成された第1の温度の第1の熱源と、
熱エネルギーを収容し、少なくとも1つの伝熱流体に伝達するように構成された第2の温度の第2の熱源であって、第1の温度と第2の温度とは異なる、第2の熱源と、
第1の熱源に接続された低温部分と第2の熱源に接続された高温部分との間で交互に熱力学的流体を移動させるための少なくとも1つのモジュールであって、
上記少なくとも1つのモジュールは、少なくとも低温部分を備え、
上記少なくとも1つのモジュールは、第1の熱源及び低温部分に接続された第1の伝熱流体供給回路を備え、
上記少なくとも1つのモジュールは、少なくとも高温部分を備え、
上記少なくとも1つのモジュールは、第2の熱源及び高温部分に接続された第2の伝熱流体供給回路を備え、
上記少なくとも1つのモジュールは、少なくとも1つの熱力学的流体を好ましくは高圧及び超臨界状態で収容するように適合及び設計され、第1の圧力の少なくとも1つの熱力学的流体供給出口又は第2の圧力の油圧流体供給出口に接続された、少なくとも1つのチャンバを備える、少なくとも1つのモジュールと、
-熱力学的流体の圧力差を機械エネルギーに変換するための少なくとも1つの第1のユニットであって、少なくとも機械的変換手段、好ましくはモータを備える少なくとも1つの回路を備え、上記第1の変換ユニットは、熱力学的流体供給出口又は油圧流体供給出口に接続されている、少なくとも1つの第1の変換ユニットと、を備え、
上記熱機関は、
上記少なくとも1つのモジュールが、上記チャンバ内で低温部分と高温部分との間で交互に移動可能な少なくとも1つのディスプレーサを更に備え、
上記チャンバが、50バール~300バールの圧力を有し、超臨界状態にある上記少なくとも1つの高圧熱力学的流体を収容するのに好適であり、収容するように設計されており、
熱機関が、少なくとも1つのモジュールにおける、熱力学的サイクルがある段階を少なくとも制御するように構成された、第1の変換ユニット内に少なくとも部分的に配された少なくとも第1の制御ユニットを備え、
熱機関が、高温部分と低温部分との間での交互の上記少なくとも1つのディスプレーサの変位を制御するように構成された、少なくとも1つのモジュールの第2の制御ユニットを備えることを特徴とする、熱機関に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、非限定的な例として与えられて添付の概略図を参照して説明される、いくつかの好ましい実施形態を参照した以下の説明からより良く理解されるであろう。
【
図1】モジュールタイプの機能としての熱機関の概略図を示す。
【
図2】二酸化炭素熱機関の熱力学的サイクルの温度T-エントロピーS図を示す。
【
図3】本発明の第1の変形例による熱機関の概略図を示し、第1の制御ユニットを示す。
【
図4】本発明の第2の変形例による熱機関の概略図を示し、第1の制御ユニットを示す。
【
図5】第1の可能性による第2の制御ユニットを示す熱機関モジュールの概略図を示す。
【
図6】第2の可能性による第2の制御ユニットを示す熱機関モジュールの概略図を示す。
【
図7】第2の制御ユニットを示す熱機関モジュールの概略図を示す。
【
図8】第1の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示す。
【
図9】第2の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示す。
【
図10】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示す。
【
図11】第4の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示す。
【
図12】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示し、その動作を示す。
【
図13】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示し、その動作を示す。
【
図14】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示し、その動作を示す。
【
図15】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示し、その動作を示す。
【
図16】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示し、その動作を示す。
【
図17】第3の例による逆段階アーキテクチャを有する熱機関の概略図を示し、その動作を示す。
【
図18】本発明の第1の変形例による熱機関の概略図を示し、圧力リミッタが追加の蓄圧器に置き換えられている。
【
図19】カートリッジを備えたモジュールの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
熱機関は、少なくとも1つの熱力学的流体を含む熱エネルギーの機械エネルギーへの少なくとも1つの変換を行うように適合及び設計され、少なくとも1つの等容加熱段階1-2、任意選択で等圧加熱段階2-3、膨張段階3-4、及び等圧冷却段階4-1(
図2)を含む熱力学的サイクルを実施するように適合及び設計される。
【0010】
熱機関は、少なくとも、
熱エネルギーを収容し、少なくとも1つの伝熱流体に伝達するように構成された第1の温度T1の第1の熱源1(
図1)と、
熱エネルギーを収容し、少なくとも1つの伝熱流体に伝達するように構成された第2の温度T2の第2の熱源2であって、第1の温度T1と第2の温度T2とは異なる、第2の熱源2(
図1)と、
第1の熱源1に接続された低温部分4と第2の熱源2に接続された高温部分5との間で交互に熱力学的流体を移動させるための少なくとも1つのモジュール3、3’(
図3~
図16)であって、
上記少なくとも1つのモジュール3、3’は、少なくとも低温部分4を備え、
上記少なくとも1つのモジュール3、3’は、第1の熱源1及び低温部分4に接続された第1の伝熱流体供給回路A、Bを備え、
上記少なくとも1つのモジュール3、3’は、少なくとも高温部分5を備え、
上記少なくとも1つのモジュール3、3’は、第2の熱源2及び高温部分5に接続された第2の伝熱流体供給回路C、Dを備え、
上記少なくとも1つのモジュール3、3’は、上記少なくとも1つの熱力学的流体を収容するのに好適であり、かつ収容するように設計され、第1の圧力P1の少なくとも1つの熱力学的流体供給出口G又は第2の圧力P2の油圧流体供給出口Eに接続された、少なくとも1つのチャンバを備える、少なくとも1つのモジュール3、3’と、
熱力学的流体の圧力差を機械エネルギーに変換するための少なくとも1つの第1の変換ユニット6であって、少なくとも機械的変換手段、好ましくはモータ8を備える少なくとも1つの回路7を備え、上記第1の変換ユニット6は、熱力学的流体供給出口G(
図4及び
図11)又は油圧流体供給出口E(
図3、
図8~
図10)に接続されている、少なくとも1つの第1の変換ユニット6と、を備える。
【0011】
本発明によれば、熱機関は、上記少なくとも1つのモジュール3、3’が、上記チャンバ内で低温部分4と高温部分5との間で交互に移動可能な少なくとも1つのディスプレーサを更に備え、
上記チャンバが、50バール~300バールの圧力を有し、超臨界状態にある上記少なくとも1つの高圧熱力学的流体を収容するのに好適であり、収容するように設計されており、
熱機関が、上記少なくとも1つのモジュール3、3’において、熱力学的サイクルがある段階を少なくとも制御するように構成された第1の変換ユニット6内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの第1の制御ユニットを備え、
熱機関が、高温部分5と低温部分4との間での交互の上記少なくとも1つのディスプレーサの変位を制御するように構成された、少なくとも1つのモジュール3、3’の第2の制御ユニットを備えることを特徴とする。
【0012】
有利なことに、本発明による熱機関は、好ましくは低温で、すなわち温度T1、T2が150℃を超えない第1及び第2の熱源1、2について、熱の機械エネルギーへの変換を可能にする。この変換は、第1の熱源1及び第2の熱源2を介して交互に加熱及び冷却される、好ましくは超臨界段階の熱力学的流体を使用する閉じた熱力学的サイクルで行われる。
図2に示されるように、熱力学的サイクルは、少なくとも1つの等容加熱段階1-2、任意選択で等圧加熱段階2-3、好ましくはポリトロープ膨張段階3-4、及び等圧冷却段階4-1を含む。超臨界熱力学的サイクルは、等容加熱1-2を含み、これは、加熱中の圧力が100バール~200バールの設定限界値を超える場合、等圧加熱2-3によって完了される。熱力学的流体が二酸化炭素であるとき、熱力学的流体の圧力範囲は、典型的には74バール~350バール、好ましくは74バール~250バールであり、温度範囲は、0℃~150℃、好ましくは10℃~100℃である。熱力学的サイクルのこれらの異なる段階は、熱力学的流体が従う実際の熱力学的サイクルを加減するように制御され得る。これにより、効率及び平均出力に連続的に影響を与えることを可能にする。有利には、第1の変換ユニット6は、熱力学的流体供給出口Gにおける熱力学的流体又は油圧流体供給出口Eにおける油圧流体の圧力を機械的運動に変換する。したがって、第1の変換ユニット6によるエネルギー回収は、熱力学的流体とは異なる油圧流体を使用して(
図3、
図8~
図10)、又は熱力学的流体によって直接的に(
図4及び
図11)行うことができる。第1の制御ユニットは、各熱力学的変換段階と、ひいては熱力学的サイクルの完了状態を、特に熱力学的サイクルのポイントを検出することによって、例えば以下で説明するように圧力及び/又は流量を検出することによって監視する。第2の制御ユニットは、チャンバ内の熱力学的流体を低温部分4から高温部分5に交互に移動させ、モジュール3、3’への熱入力を加減する。例えば、第2の制御ユニットは、以下で説明するように、第1及び第2の熱源1、2からの圧力及び/又は流量を制御することができる。結果として、熱機関の効率及びその平均出力密度は、随意に加減されることができ、第1及び第2の熱源1、2の利用可能性に応じて一方又は他方を最適化する可能性を提供する。
【0013】
ディスプレーサは、1つ以上の機械部品である。
【0014】
好ましくは、膨張3、4はポリトロピックであり、すなわち等温的でも断熱的でもない。したがって、膨張は可変であり、等温膨張3、4’又は断熱膨張3、4”(
図2)のいずれかに近づき得る。
【0015】
好ましくは、等容性1-2加熱段階は、理想的/理論的等容性加熱に対応しないが、加熱段階は、好ましくは0~20パーセントである偏差値で、この理想的又は理論的等容性に近づく。
【0016】
好ましくは、2-3等圧加熱段階及び/又は4-1冷却段階は、理想的/理論的等圧線に対応しないが、好ましくは0~20パーセントの偏差値でこれらに近づく。
【0017】
モジュール3が、好ましくは高圧の、すなわち好ましくは50バール~300バールの間、好ましくは80バール~250バールの間の圧力の、超臨界状態の熱力学的流体のみを収容するのに好適であり、収容するように意図され、熱力学的流体供給出口Gに接続された、少なくとも1つのチャンバを備える場合、このモジュール3は、基本であると言われる。これは特に、
図4及び
図11に記載されたモジュール3の場合である。
【0018】
モジュール3’が油圧流体供給出口Eに接続された油圧ピストン36も含む場合、モジュール3’はハイブリッドと呼ばれる。これは、特に、
図3、
図8~
図10に記載された3’モジュールの場合である。
【0019】
代替的に、いわゆる基本モジュール3は、モジュール3の外側で油圧ピストン36に接続され得る。各基本モジュール3又は基本モジュール3の組み合わせは、モジュール3の外側の1つ以上の高圧油圧ピストン36に結合され、第1/第2の熱源1、2のうちの1つによって温度を維持することができる。したがって、油圧ピストン36は、超臨界流体の圧力が油圧流体に伝達されることを可能にする。油圧減速比は、図示されていないが、油圧減速比も、変位される油の圧力及び体積の特性を変更するように油圧ピストン36内で実現され得る。これは、いくつかの場合において、負荷システムのサイジングを容易にし、特に油圧モータ12の圧力/流量特性に合致させるのにいくつかの利点を有し得る。減速比が必要とされない場合、油圧ピストン36は、いわゆる「液体ピストン」の形態とすることができ、すなわち、2つの流体が不混和性であり、互いに不溶性である場合、2つの流体間に固体界面がない形態とすることができる。これにより、シール摩擦による損失が回避される。
【0020】
図3に示されるように、本発明の第1の実施形態によれば、上記第1の変換ユニット6は、機械的変換手段、好ましくは油圧モータ12であるモータ8の下流に接続された少なくとも1つの油圧蓄圧器11を備え、上記蓄圧器11は、回路7の圧力を熱力学的流体の臨界圧力以上に維持するのに好適であり、維持するように設計される。
【0021】
有利には、蓄圧器11は、回路7内の油圧流体の圧力が、熱力学的サイクル全体にわたって、特に等圧冷却段階中に、熱力学的流体の臨界圧力以上に維持されることを保証する。二酸化炭素であれば、この臨界圧力は約73.77バールに等しい。したがって、蓄圧器11の事前充填圧力は、好ましくは73~85バール、好ましくは80バールである。この構成では、1つ以上のいわゆるハイブリッドモジュール3’に含まれる熱力学的流体は、交互に加熱され、次いで冷却され、蓄圧器11の準一定同化圧力に対抗して作用する。熱力学的流体、ひいては油圧流体の圧力差は、油圧モータ12によって機械エネルギーに変換される。
【0022】
図4に示されるように、本発明の第2の実施形態によれば、上記第1の変換ユニット6は、機械的変換手段、好ましくは超臨界状態の熱力学的流体14を有するタービンである好ましくはモータ8の下流に接続された少なくとも1つの蓄圧器11を備え、上記蓄圧器11は、回路7の圧力を熱力学的流体の臨界圧力以上に維持するのに好適であり、維持するように設計されている。
【0023】
有利には、蓄圧器11は、回路7内の熱力学的流体の圧力が、熱力学的サイクル全体にわたって、特に等圧冷却段階中に、熱力学的流体の臨界圧力以上に維持されることを保証する。二酸化炭素であれば、この臨界圧力は約73.77バールに等しい。したがって、蓄圧器11の事前充填圧力は、好ましくは73~85バール、好ましくは80バールである。この構成では、1つ以上のいわゆる基本モジュール3に含まれる熱力学的流体は、交互に加熱され、次いで冷却され、蓄圧器11の準一定同化圧力に対抗して作用する。熱力学的流体の圧力差のみが、熱力学的流体タービン14によって機械エネルギーに変換される。
【0024】
好ましくは、上記第1の制御ユニットは、熱力学的サイクルがある段階を監視し、特にサイクルの各段階の完了を決定するように構成された少なくとも1つの圧力及び/又は流量測定部材9を備える。上記圧力及び/又は流量測定装置9は、好ましくは、チャンバと上記蓄圧器11との間に配置される。
【0025】
有利には、上記第1の制御ユニットは、チャンバ内又は回路7内の熱力学的又は油圧流体の圧力を測定することによって、及び/又は、回路7内の油圧流体の流量を測定することによって、回路7内又はチャンバ内に配置された少なくとも1つの圧力及び/又は流量測定装置9で、熱力学的サイクルの様々な段階を監視することを可能にする。この圧力及び/又は流量測定装置9は、モータ8の上流又はモータ8の高さに配置される。この構成により、特に、熱力学的流体又は油圧流体の圧力及び/又は流量を検出及び監視することでサイクル内のポイントを検出することによって、各熱力学的変換、ひいては熱力学的サイクルの完了状態を監視することを可能にする。
【0026】
好ましくは、
図3及び
図4に示されるように、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、上記第1の制御ユニットは、圧力センサ90及び回転速度センサ10の形態で回路7の2つの圧力及び/又は流量測定要素9を備える。
【0027】
回転速度センサ10は、モータ8に配置され、回路7内の流量の間接的な測定を可能にする。例えば、回転速度センサ10は、回路7内の油圧流体の流量を測定することによって、システムが等圧加熱段階の終了時に平衡状態にあると結論付けるのに使用することができる。
【0028】
圧力センサ90は、回路7(
図3)内の油圧流体圧力の直接測定、又は回路7(
図4)内の熱力学的流体圧力の直接測定を可能にする。
【0029】
図3に示される第1の実施形態によれば、上記圧力及び/又は流量計9は、油圧流体供給出口Eと上記蓄圧器11との間に配置される。上記圧力及び/又は流量計9は、回路7に配置される。
【0030】
図4に示される第2の実施形態によれば、上記圧力及び/又は流量計9は、熱力学的流体供給出口Gと上記蓄圧器11との間に配置される。上記圧力及び/又は流量計9は、回路7に配置される。
【0031】
好ましくは、
図3及び
図4に示されるように、上記第1の制御ユニットは、熱力学的サイクルの等圧加熱段階及び/又は膨張段階を少なくとも制御/案内するように配置された回路7の少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13を備え、上記少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13は、熱力学的流体供給出口G又は油圧流体供給出口Eと上記蓄圧器11との間に配される。
【0032】
有利には、上記第1の制御ユニットは、特に少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13によって、モータ8への供給又は非供給を可能にする。上記第1の制御ユニットはまた、少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13のおかげで、熱力学的サイクルの等圧加熱段階及び/又は膨張段階を制御/案内するために、回路7内の熱力学的流体(
図4)又は油圧流体(
図3)の移動を制御することを可能にする。
【0033】
好ましくは、上記少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13は、圧力リミッタ16(
図3)及び/又は流量調節器、及び/又は、油圧弁15(
図3)及び/又は調節可能な流量リミッタ及び/又は可変絞りオリフィス17(
図4)又は追加の蓄圧器30(
図18)から選択される。
【0034】
図3に示される第1の実施形態によれば、上記少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13は、油圧流体供給出口Eと上記蓄圧器11との間に配置される。
【0035】
図3に示される第1の実施形態によれば、上記第1の制御ユニットは、調整可能な圧力リミッタ16及び油圧弁15の形態の2つの圧力及び/又は流量調節要素13を備える。
【0036】
有利には、調整可能な圧力リミッタ16は、所与の圧力での等容加熱段階から等圧加熱段階への移行を保証する。等圧加熱の終わりに、システムが平衡状態にあるとき、油圧弁15が開かれてポリトロープ膨張を行い、続いてモジュール3’内のディスプレーサの反転後に流体冷却を行う。
【0037】
図18に示されるように、調整可能な圧力逃がし弁16は、好ましくは等圧加熱圧力に事前充填された追加の蓄圧器30によって置き換えることができる。
【0038】
この構成は、等温加熱段階中に追加の蓄圧器30にエネルギーを貯蔵することを可能にする。
【0039】
図4に示される第2の実施形態によれば、上記少なくとも1つの圧力及び/又は流量調節要素13は、熱力学的流体供給出口Gと上記蓄圧器11との間に配置される。
【0040】
図4に示される第2の実施形態によれば、上記第1の制御ユニットは、可変絞りオリフィス17の形態の圧力及び/又は流量調節要素13を備える。
【0041】
有利には、この第2の変形例では、第1の変形例の調節可能な圧力逃がし弁16及び油圧弁15は、等圧加熱段階及び好ましくはポリトロープ膨張段階を能動的に制御することができるように、単一の可変絞りオリフィス17によって置き換えることができる。
【0042】
第1の変換ユニットにおいて、回路7は、特に、熱力学的流体供給出口G又は油圧流体供給出口Eを蓄圧器11、及び/又は、圧力及び/又は流量測定装置9、及び/又は、圧力及び/又は流量調節要素13、及び/又は、モータ8に接続する、1つ以上の好ましくは断熱されたラインを備え得る。
【0043】
好ましくは、
図3及び
図4に示されるように、機械は、上記モータ8の下流で上記第1の変換ユニット6に接続された第2の機械エネルギー電気エネルギー変換ユニット18を更に備える。
【0044】
有利には、第2の変換ユニット18は、モータ8からの機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0045】
好ましくは、
図3及び
図4に示されるように、第2の変換ユニット18は、一方でカップリング20に接続され、他方で発電機21に接続された少なくとも1つのイナーシャ(inertia)19を備える。
【0046】
好ましくは、モジュール3、3’は、シリンダ(図示せず)内に収容された少なくとも1つのピストン(図示せず)を備え、シリンダは、シリンダ内の可動ピストンの変位を駆動するために、シリンダの第1の端部及び第2の端部を介して作動流体供給回路J、Hに接続されており、ディスプレーサ及びピストンは互いに結合される。
【0047】
有利には、ピストンの変位は、高温部分5と低温部分4との間のチャンバ内のディスプレーサの変位を引き起こす。ディスプレーサとピストンとの間の結合は、特に摩擦損失を制限する磁気結合であることが好ましい。
【0048】
好ましくは、
図5に示されるように、第1の可能性によれば、第2の制御ユニットは、少なくとも1つのディスプレーサを高温部分5と低温部分4との間で交互に変位させるように第1の端部と第2の端部との間の圧力差を維持又は変化させるために、シリンダの第1の端部に少なくとも1つの第1の圧力及び/又は流量調節部材と、シリンダの第2の端部に少なくとも1つの第2の圧力及び/又は流量調節部材とを備える。
【0049】
有利には、第2の制御ユニットは、少なくとも1つのモジュール3、3’内の高温部分5と低温部分4との間の熱力学的流体の位置を制御する。各モジュール3、3’は、好ましくは超臨界段階にある特定の質量の熱力学的流体を含み、熱力学的流体は、1つ以上のディスプレーサを介して第1の熱源1と、次いで第2の熱源2と交互に接触させられる。ディスプレーサは自由ピストンとして機能し、その停止型位置は第1のシリンダ端部と第2のシリンダ端部との間の圧力差によってのみ決定される。この場合、作動流体供給回路J、Hは、上記第1の伝熱流体供給回路A、B及び上記第2の伝熱流体供給回路C、Dの圧力調節から独立している。
【0050】
好ましくは、
図6及び
図7に示されるように、作動流体供給回路J、Hは、上記第1の伝熱流体供給回路A、B及び上記第2の伝熱流体供給回路C、Dによって形成される。
【0051】
好ましくは、図示されていない可能性によれば、第2の制御ユニットは、少なくとも、第1の熱源1のための第1の圧力及び/又は流量調節部材と、第2の熱源2のための第2の圧力及び/又は流量調節部材とを備え、第1の圧力及び/又は流量調節部材及び第2の圧力及び/又は流量調節部材は、第1の熱源1と第2の熱源2との間の圧力差を維持又は変化させるように構成され、第1の圧力及び/又は流量調節部材及び第2の圧力及び/又は流量調節部材は、少なくとも1つのディスプレーサを低温部分4と高温部分5との間で交互に変位させるように、第1の熱源1と第2の熱源2との間の圧力差を維持又は変化させるように構成される。
【0052】
好ましくは、第1の熱源1は、第1の圧力及び/又は流量調節器を形成する少なくとも1つの好ましくは油圧ポンプを備え、第2の熱源2は、第2の圧力及び/又は流量調節器を形成する第2の好ましくは油圧ポンプを備える。
【0053】
したがって、モジュール3、3’内の好ましくは超臨界油圧流体の変位の制御は、ディスプレーサの変位に必要な第1及び第2の伝熱流体供給回路A、B及びC、D間の差圧を生成/維持するために、第1及び第2の熱源1、2の好ましくは油圧ポンプ(図示せず)の好適な調節によって可能な限り簡易に達成される。
【0054】
好ましくは油圧ポンプの制御が選択肢にない場合、第1/第2の伝熱流体供給回路A、B及びC、Dの制御は、第2の可能性(圧力逃がし弁26、27及び/又は流量調節器28、29)において以下に説明されるアドオン要素を用いて、モジュール3、3’の各部分における流量及び圧力の正確な制御を可能にする。
【0055】
好ましくは、
図6に示されるように、第2の可能性によれば、第2の制御ユニットは、少なくとも、第1の供給回路A、Bの圧力及び/又は流量を調節するための第3の部材と、第2の供給回路C、Dの圧力及び/又は流量を調節するための第4の部材とを備え、第3の圧力及び/又は流量調節部材及び第4の圧力及び/又は流量調節部材は、上記少なくとも1つのディスプレーサを低温部分4と高温部分5との間で交互に変位させるように、第1の供給回路A、Bと第2の供給回路C、Dとの間の圧力差を維持又は変化させるように構成される。
【0056】
有利には、第2の制御ユニットは、少なくとも1つのモジュール3、3’内の高温部分5と低温部分4との間の熱力学的流体の位置を制御する。各モジュール3、3’は、好ましくは超臨界段階にある特定の質量の熱力学的流体を含み、熱力学的流体は、1つ以上のディスプレーサを介して第1の熱源1と、次いで第2の熱源2と交互に接触させられる。これらのディスプレーサは、自由ピストンとして機能し、その停止型位置は、第1及び第2の伝熱流体供給回路A、B及びC、Dの間の圧力差によってのみ決定される。
【0057】
好ましくは、第1の伝熱流体供給回路A、Bの上記第1の圧力及び/又は流量調節器及び/又は上記第2の圧力及び/又は流量調節器及び/又は上記第3の圧力及び/又は流量調節器及び/又は第2の伝熱流体供給回路C、Dの第4の圧力調節器は、圧力リミッタ26、27及び/又は流量調節器28、29及び/又は油圧弁及び/又は調整可能な流量リミッタ及び/又は可変絞りオリフィス又は追加の蓄圧器から選択される。
【0058】
第2の制御ユニットは、好ましくは、少なくとも1つの圧力センサ22、23、24、25を備える。圧力センサ22、23は、作動流体供給回路J、Hに接続することができる。代替的に、圧力センサ24、25は、第1の供給回路A、B又は第2の供給回路C、Dに接続することができる。第2の制御ユニットはまた、第1の供給回路A、B又は第2の供給回路C、Dに接続することができる温度センサ37、38を含むことができる。
【0059】
好ましくは、
図3及び
図4に示されるように、上記熱機関は、少なくとも第1のモジュール3、3’及び第2のモジュール3、3’を備え、第1のモジュール3、3’及び第2のモジュール3、3’は、それらの熱力学的流体供給出口G又はそれらの油圧流体供給出口Eにおいて、第1の相互接続ライン31によって互いに直列に接続され、それらの第1の供給回路A、Bにおいて互いに直列に接続され、それらの第2の供給回路C、Dにおいて互いに直列に接続される。
【0060】
好ましくは、上記第1の制御ユニットは、上記第1のモジュール3、3’及び上記第2のモジュール3、3’において熱力学的サイクルがある段階を少なくとも中央制御するように構成される。
【0061】
代替的に、上記第2の制御ユニットは、第1のモジュール3、3’及び第2のモジュール3、3’の両方に共通であり、第1のモジュール3、3’の上記少なくとも1つのディスプレーサ及び第2のモジュール3、3’の上記少なくとも1つのディスプレーサを中央制御するように構成される。
【0062】
図8~
図11に示されるように、上記熱機関は、少なくとも1つの第1のモジュール32及び少なくとも1つの第2のモジュール33を備え、第1のモジュール32及び第2のモジュール33はそれぞれ、それらの熱力学的流体供給出口Gを介して、又はそれらの油圧流体供給出口Eを介して第1の変換ユニット6に接続され、第1のモジュール32及び第2のモジュール33は、第1のモジュール32の上記少なくとも1つのディスプレーサが低温部分4にあるとき、第2のモジュール33の上記少なくとも1つのディスプレーサが高温部分5にあるように構成される。
【0063】
有利なことに、この構成は段階逆行と呼ばれる。
図8~
図11に示される例は、2-3等圧加熱段階からのエネルギーを管理する方法が異なる。この管理は、設置された変換システム(油圧モータマッピング、イナーシャサイズ)に依存する。したがって、このエネルギーを加減して油圧モータ12にその最も効率的なゾーンで供給できることは興味深い。
【0064】
図8に示される第1の例では、第1の変換ユニット6及び第2の変換ユニット18は、
図3に示される第1の実施形態のものと実質的に同一である。熱機関は、アセンブリAを形成する少なくとも1つの第1のモジュール32を加熱する一方で、アセンブリBを形成する少なくとも1つの第2のモジュール33を冷却して、過大な油圧蓄圧器11との作用を回避する。したがって、油圧流体は、上記少なくとも1つの第1のモジュール32から上記少なくとも1つの第2のモジュール33に移動する。この場合、熱力学的流体は必ずしも反対側で膨張するのと同じ速度で収縮するわけではないので、蓄圧器11は緩衝貯蔵器としてのみ作用する。上記少なくとも1つの第2のモジュール33の平衡検出は、例えば流量計34によって達成される。4つの不還弁35は、上記少なくとも1つの第1のモジュール32と上記少なくとも1つの第2のモジュール33との間に受動的な流動管理システムを形成する。
【0065】
有利なことに、
図8に示される第1の例では、2-3等圧加熱段階のエネルギーは貯蔵されず、調整可能な圧力リミッタ16がサイクルポイント2の圧力まで開かれるときに油圧モータ12に直接供給される。油圧モータ12の流量制御はない。
【0066】
図9に示される第2の例では、油圧弁15の後の高圧セクションに追加の蓄圧器30を追加することにより、ポリトロープ膨張中にモータ8に供給される流体の流れを平滑化することができ、モータ8をその最も効率的な範囲で動作させることができる。蓄圧器11は、少なくとも熱力学的流体の臨界圧力まで予め充填されている。
【0067】
有利なことに、
図9の第2の例では、2-3等圧加熱段階のエネルギーは、この段階中に油圧モータ12に供給する流れを平滑化するために、追加の蓄圧器30に部分的に貯蔵される。
【0068】
図10に示される第3の例では、追加の蓄圧器30が選択され、2-3等圧加熱段階中に全てのエネルギーを貯蔵するような大きさにされる。この場合、油圧弁15の前に追加の蓄圧器30を配置することで、ひいては調整可能な圧力リミッタ16を不要にすることにより、問題を簡略化することが可能である。油圧弁15が開かれると、等圧加熱及び好ましくはポリトロープ膨張によって生成されたエネルギーが放出される。次いでイナーシャ19が膨張時間を決定する。
【0069】
逆止弁35は、単純なもの(
図8及び
図9)とすることができ、又は風袋計量されたもの(
図10)とすることができる。
【0070】
有利には、
図10に示される第3の例では、2-3等圧加熱段階のエネルギーは、追加の蓄圧器30に完全に貯蔵され、次いで、3-4膨張段階の開始時に放出される。
【0071】
この2-3等圧段階からのエネルギーの管理は、主要な利点である。実際、熱力学的サイクルのエネルギーは、等圧加熱段階及び好ましくはポリトロープ膨張段階の2つの段階中に回収される。これらの2つの段階の時間は非常に異なる可能性があり、膨張段階は等圧加熱段階よりも速い。結果として、モータ8に供給される流量は、ある段階から次の段階へと大幅に変化し得る。しかしながら、油圧モータ12は、例えば、サイクルの実際の流量変動よりも低い場合のある、規定の流量範囲内で良好な効率を維持する。これが、
図9及び
図10に示される例において、等圧加熱段階のエネルギーを、圧力及び/又は流量制御要素13(油圧弁15)の前又は後に配置された追加の蓄圧器30に部分的又は全体的に貯蔵することによって、このエネルギーを「平滑化」することを提案する理由である。このようにして、モータ8への供給速度をその高効率範囲内に留まるように加減することが可能である。熱力学的サイクルを完了するのに必要な時間の長さのオーダは、第1及び第2の熱源1、2の間の温度差に依存して大きく変化するが、数秒から数十秒の範囲である。熱力学的サイクルは、機械的圧縮機なしで行われる。
【0072】
図11に示される第4の例では、構成は
図4と同様である。4/2方弁36はまた、異なるアセンブリAとBとの間の流れを管理する役割も果たすことができるが、上述の4つの不還弁35とは異なり、案内される必要がある(能動システム)。
【0073】
図10に示される第3の例の動作は、
図12~
図17に関連して以下に説明される。
図12に示されるように、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32は、等温加熱段階1-2において加熱され、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33は、膨張段階4-1において冷却される。カップリング20が、切り離される。油圧弁15が、閉じられる。追加の蓄圧器30は、圧力が追加の蓄圧器30の事前充填圧力を下回る限り、閉じられる。この段階は、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32内の圧力が追加の蓄圧器30の事前充填圧力に等しいときに完了する。
【0074】
図13に示されるように、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32は、等圧加熱段階2-3において加熱され、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33は、膨張段階4-1において冷却される。油圧弁15が、閉じられる。追加の蓄圧器30は開いており、等圧加熱段階2-3からのエネルギーを貯蔵する。流量計341が、この加熱段階の終了を検出する。
【0075】
図14に示されるように、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32は膨張段階3-4にあり、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33は膨張段階4-1で冷却される。油圧弁15が、開いている。追加の蓄圧器30が、貯蔵されたエネルギーを放出する。回転速度センサ10が、膨張段階の終了を検出する。流量計342が、冷却段階の終了を検出する。カップリング20が連結され、機械エネルギーが電気に変換される。膨張及び冷却が完了すると、油圧弁15が閉じられ、上記少なくとも1つの第1のモジュール32の上記少なくとも1つのディスプレーサ及び上記少なくとも1つの第2のモジュール33の上記少なくとも1つのディスプレーサは、第2の制御モジュールを使用して前述したように、差圧反転によって反転される。
【0076】
図15に示されるように、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32は、膨張段階4-1において冷却され、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33は、等容加熱段階1-2において加熱される。油圧弁15が、閉じられる。カップリング20が、切り離される。追加の蓄圧器30は、圧力が追加の蓄圧器30の事前充填圧力を下回る限り、閉じられる。この段階は、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33内の圧力が追加の蓄圧器30の事前充填圧力に等しいときに完了する。
【0077】
図16に示されるように、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32は、膨張段階4-1において冷却され、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33は、等圧加熱段階2-3において加熱される。油圧弁15が、閉じられる。追加の蓄圧器30は開いており、等圧加熱段階2-3からのエネルギーを貯蔵する。流量計341が、この加熱段階の終了を検出する。
【0078】
図17に示されるように、アセンブリAの上記少なくとも1つの第1のモジュール32は膨張段階4-1において冷却され、アセンブリBの上記少なくとも1つの第2のモジュール33は膨張段階3-4にある。油圧弁15が、開いている。追加の蓄圧器30は、貯蔵されたエネルギーを放出する。アセンブリBに関連付けられた回転速度センサ10及び/又は圧力センサ9、90は、膨張段階の終了を検出する。アセンブリAに関連付けられた流量計342及び/又は圧力センサ9、90は、この冷却段階の終了を検出する。カップリング20が連結され、機械エネルギーが電気に変換される。膨張及び冷却が完了すると、油圧弁15が閉じられ、上記少なくとも1つの第1のモジュール32の上記少なくとも1つのディスプレーサ及び上記少なくとも1つの第2のモジュール33の上記少なくとも1つのディスプレーサは、第2の制御モジュールを使用して前述したように、差圧反転によって反転される。
【0079】
有利なことに、
図12~
図17に関連して提案及び説明された順序付けにより、段階展開がいわゆる段階逆行アーキテクチャにおいて追従されることを可能にする。すなわち、アセンブリAが加熱され、アセンブリBが冷却されるか、又はその逆であり、熱力学的流体の2つの体積が各瞬間に逆段階に追従する。
【0080】
モジュール内のディスプレーサは、
図5~
図7に関連して説明したように反転される。
【0081】
多数の要素が「受動的に」動作するため、熱機関の制御を可能な限り簡略化する。例えば、不還弁35により、油圧モータ12が常に同じ方向に供給され、誘起された圧力差によってのみ管理される回路を形成することを保証する。カップリング20は、理想的にはフリーホイールタイプであり、特別なアクションを必要とせず、油圧モータ12がイナーシャ19よりも遅く回転する場合には切り離されたままで維持しつつ、油圧モータ12の回転方向にのみイナーシャにエネルギーを伝達する。追加の蓄圧器30は、サイクルポイント2の開放圧力に設定され、圧力がサイクルポイント2の圧力よりも低い限り、等容加熱を可能にする。
【0082】
第1の制御ユニットは、加熱及び冷却段階の終了を決定するために、2つの流量計34、341、342及び/又は2つの圧力センサ9、90の使用のみを必要とする。
【0083】
図9に示されるような段階逆行アーキテクチャの特徴のうちの1つは、一方のセットA、Bが、冷却段階[4-1]のみにある他方のセットB、Aから独立してサイクルの最初の3つの段階[1-2、2-3、3-4]を、順序付けることができるということである。ディスプレーサ反転は、一方で[1-2、2-3、3-4]、他方で[4-1]の両方のシーケンスが完了したものの、冷却[4-1]が一連の段階[1-2、2-3、3-4]よりも系統的に長いか短いかは決定されていないときにのみ発生する。しかしながら、2つのシーケンスに必要とされる時間の長さのオーダは、目標温度及び圧力範囲内でかなり近く、機械のダウンタイムを回避する。
【0084】
この最適化ロジックは、逆位相アーキテクチャにのみ適用される。
図3に示されるような単純なアーキテクチャでは、サイクル最適化のみが可能である。
【0085】
図19は、熱力学的サイクルの熱機関のために、熱力学的流体を第1の熱源1に接続された低温部分4と第2の熱源2に接続された高温部分5との間で交互に移動させるための本発明によるモジュール3の例を示す。
【0086】
このモジュール3は、一般に、少なくとも1つのカートリッジ101又は複数のカートリッジ101を備え、
図19の例では、以下に説明する単一のカートリッジ101が含まれ、
第1の循環手段103の少なくとも1つの第1の供給ポート135及び少なくとも1つの第2の供給ポート136を介して、上記少なくとも1つのカートリッジ101の第1の循環手段103に接続された第1の伝熱流体供給回路A、Bと、
第2の循環手段109の少なくとも1つの第3の供給ポート137及び少なくとも1つの第4の供給ポート138を介して、上記少なくとも1つのカートリッジ101の第2の循環手段109に接続された第2の伝熱流体供給回路C、Dと、
カートリッジ101の接合のための手段114を少なくとも備える接合プレート139と、
第3のプロファイル115に含まれる少なくとも1つの第5の供給ポート140及び第3のプロファイル115に含まれる少なくとも1つの第6の供給ポート141によって、上記少なくとも1つのカートリッジ101の第3のプロファイル115に接続され、ピストン126の変位を案内するように構成された作動流体供給回路H、Jと、
上記少なくとも1つのカートリッジ101のチャンバ124に接続された熱力学的流体供給出口G、又は上記チャンバ124の第1の充填空間121若しくは第2の充填空間123に接続された油圧流体供給出口Eと、を更に備える。
【0087】
好ましくは、
図19に示されるように、作動流体供給回路H、Jは、上記第1の伝熱流体供給回路A、B及び上記第2の伝熱流体供給回路C、Dによって形成される。
【0088】
好ましくは、
図19に示されるように、モジュール3は、第1の循環手段103の上記少なくとも1つの第1の供給ポート135が導入される少なくとも1つの第1の区画144と、第1の循環手段103の上記少なくとも1つの第2の供給ポート136が導入される少なくとも1つの第2の区画145と、を含む第1の絶縁ケーシング143を備える。
【0089】
好ましくは、追加的又は代替的に、
図19に示されるように、モジュール3は、第2の循環手段109の上記少なくとも1つの第3の供給ポート137が導入される少なくとも1つの第3の区画146と、第2の循環手段109の上記少なくとも1つの第4の供給ポート138が導入される少なくとも1つの第4の区画147と、を備える第2の絶縁ケーシング143’を備える。
【0090】
第1の区画144及び第2の区画145は、好ましくは、少なくとも第1の分割壁148によって画定される。
【0091】
第3の区画146及び第4の区画147は、好ましくは、少なくとも1つの第2の分割壁149によって画定される。
【0092】
図19に示されるように、熱力学的サイクルの熱機関のための、第1の熱源1に接続された低温部分4と第2の熱源2に接続された高温部分5との間で熱力学的流体を移動させるためのカートリッジ101は、少なくとも、
第1の熱源に接続された第1の伝熱流体供給回路A、Bに接続するのに好適であり、接続するように意図された少なくとも1つの伝熱流体のための第1の循環手段103を備える第1の中空セクション102を備える、いわゆる低温部分4を形成する第1の熱交換器であって、上記第1のセクション102が内壁及び外壁を備える、第1の熱交換器と、
第2の熱源に接続された第2の伝熱流体供給回路C、Dに接続するのに好適であり、接続するように意図された少なくとも1つの伝熱流体のための第2の循環手段109を備える第2の中空セクション108を備える、いわゆる高温部分を形成する第2の交換器であって、上記第2のセクション108が内壁及び外壁を備える、第2の交換器と、
少なくとも1つの作動流体J、Hのための少なくとも1つの供給回路に接続するのに好適であり、接続するように意図された第3の中空セクション115であって、上記第3のセクション115は、第1のセクション102及び第2のセクション108の内側に配され、上記第3のセクション115は、内壁及び外壁を備え、
第1のセクション102の内壁の少なくとも一部及び第3のセクション115の外壁の第1の部分は、第1の充填空間121を形成するように互いに離隔して対向し、
第2のプロファイル108の内壁の少なくとも一部及び第3のプロファイル115の外壁の第2の部分は、第2の充填空間123を形成するように互いに離隔して対向する、第3の中空セクションと、
好ましくは高圧かつ超臨界状態の少なくとも1つの熱力学的流体を収容するように適合及び設計された少なくとも1つのチャンバ124であって、上記チャンバ124は、連通している少なくとも第1の充填空間121及び第2の充填空間123を備える、チャンバ124と、
上記チャンバ124の内部に配され、上記第3のプロファイル115の外壁に対して摺動可能に取り付けられ、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、上記少なくとも1つの熱力学的流体を第1の充填空間121と第2の充填空間123との間で交互に変位させるように構成された、少なくとも1つのディスプレーサ125と、
上記第3のプロファイル115の内側に配され、上記第3のプロファイル115の内壁に対して摺動可能に取り付けられ、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、上記少なくとも1つの作動流体J、Hによって第1の位置と第2の位置との間で移動されるように適合及び意図されたピストン126であって、
ディスプレーサ125とピストン126とは互いに連結されている、ピストン126を備える。
【0093】
好ましくは、第3のセクション115は、好ましくは非磁性材料で作られ、ディスプレーサ125及びピストン126は、磁気接続手段127によって第3のセクション115を介して互いに磁気的に結合される。
【0094】
有利なことに、この構成により、ディスプレーサ125がピストン126とディスプレーサ125との間の磁気結合を介してチャンバ124の外側から制御されることを可能にする。この磁気結合により、機械的接触なしに、ひいては摩擦なしに、軸方向の力がディスプレーサ125に伝達されることを可能にする。したがって、摩擦損失及び摩耗が回避される。この構成は、損失を制限するのにも役立つ。
【0095】
非磁性とは、磁気特性を有さないか、又は透磁率が低い、すなわち1に近く、一般に50未満である材料を意味する。
【0096】
好ましくは、
図19に示されるように、上記第3のプロファイル115、上記第1のプロファイル102、及び上記第2のプロファイル108、ディスプレーサ125、及びピストン126は同軸である。
【0097】
当然のことながら、本発明は、添付図面において説明及び図示された実施形態に限定されない。しかしながら、本発明の保護の分野から逸脱することなく、特に様々な要素の構成に関して、又は技術的等価物の置換によって、修正は依然として可能である。
【国際調査報告】