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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】C末端ペプチド修飾
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/13 20060101AFI20240311BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240311BHJP
【FI】
C07K1/13
C07K7/06 ZNA
A61K47/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556476
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 NL2022050164
(87)【国際公開番号】W WO2022203512
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2027847
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511086559
【氏名又は名称】テクニシュ ユニベルシテイト デルフト
【氏名又は名称原語表記】TECHNISCHE UNIVERSITEIT DELFT
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】エルケマ リエンク
(72)【発明者】
【氏名】マッキオーネ マリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ボーランダー ペギー
【テーマコード(参考)】
4C076
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4H045BA13
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA50
4H045FA51
(57)【要約】
本発明では、ペプチド(110)のC末端(111)にカーゴを提供するための、第1の段階及び第2の段階を含む方法であって、第1の段階が、ペプチド(110)のC末端(111)を第1の触媒(130)及び第1の放射(140)の存在下で第1の反応体(120)と反応させて、第1の中間体(150)を提供するステップを含み、第1の触媒(130)が、第1の放射(140)の存在下でペプチド(110)のC末端(111)を脱炭酸化するように構成され、第2の段階が、第1の中間体(150)を第2の反応体(220)に曝露するステップを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド(110)のC末端(111)にカーゴを提供するための、第1の段階及び第2の段階を含む方法であって、前記第1の段階が、第1の触媒(130)及び第1の放射(140)の存在下で第1の反応体(120)と前記ペプチド(110)の前記C末端(111)を反応させて、第1の中間体(150)を提供するステップを含み、前記第1の触媒(130)が、前記第1の放射(140)の存在下で前記ペプチド(110)の前記C末端(111)を脱炭酸化するように構成され、前記第1の反応体(120)が、式Iによる第1の化学構造を有し、
【化1】

式中、Rが、H、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基、及びNR基からなる群から選択され、各RがH及びアルキル基から独立的に選択されるか、又はNRがピリジニウム若しくはこの誘導体を含み、
R’が、H、アリール基及びアルキル基からなる群から選択され、
R’’が、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル、アシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり;かつ
前記第2の段階が、前記第1の中間体(150)を第2の反応体(220)に曝露するステップを含み、前記第2の反応体(220)が、式IIIによる第2の化学構造を有し、
【化2】

式中、R’’’が、カーゴを含む、前記方法。
【請求項2】
各Rが、H、及び1~6のC原子を含むアルキル基から独立的に選択され、R’が、H、アリール基、及び1~6のC原子を含むアルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がHであり、R’がアルキル基であり、R’’がチオエステルであり、かつ第2の化学構造が、式IIIAによるものであり、
【化3】

式中、Xが、O又はNHであり、R1がカーゴを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
が、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基、及びNR基を含む群から選択され、かつR’がHである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
第1の触媒が、リボフラビンテトラブチラート及びIr[dF(CF)ppy](dtbbpy)PFを含む群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
第1の放射(140)が、375~525nmの範囲の第1の波長を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1の段階を第1の溶媒(101)を含む第1の混合物中で実行し、前記第1の溶媒(101)が、水、DMSO及びDMFのうちの1又は2以上を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
第1の混合物が、1ppm以下の溶存酸素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
中間段階をさらに含み、前記中間段階が、第1の反応体(120)から第1の中間体(150)を分離するステップを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第2の段階を不活性ガス下の脱気緩衝液中で実施する、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第2の段階において、ペプチドを6~10のpHを有する第2の環境に曝露する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
カーゴが第2のペプチド(110)を含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
カーゴが抗体を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の方法を使用して得られるペプチド-カーゴコンジュゲート(250)であって、
式IVAによる化学構造を有し、
【化4】

式中、Xが、O若しくはNHであり、R’がアルキル基であり、Rがカーゴを含み、Rがペプチドを指すか、又は
式IVBによる化学構造を有し、
【化5】

式中、R’’が、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル及びアシルヒドラジドからなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり、R’’’がカーゴを指し、Rがペプチドを含む、前記ペプチド-カーゴコンジュゲート(250)。
【請求項15】
式IVAによる化学構造を有する、請求項14に記載のペプチド-カーゴコンジュゲート(250)。
【請求項16】
式IVBによる化学構造を有する、請求項14に記載のペプチド-カーゴコンジュゲート(250)。
【請求項17】
抗体薬物コンジュゲートとしての使用のための、請求項14~16のいずれかに記載のペプチド-カーゴコンジュゲート(250)。
【請求項18】
請求項14~16のいずれかに記載のペプチド-カーゴコンジュゲート(250)を含むペプチドアレイ。
【請求項19】
ペプチドシーケンシングのための、請求項14~16のいずれかに記載のペプチド-カーゴコンジュゲート(250)の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドのC末端にカーゴを提供するための方法に関する。本発明は、ペプチド-カーゴコンジュゲートにさらに関する。本発明は、ペプチド-カーゴコンジュゲートを含むペプチドアレイにさらに関する。本発明は、ペプチド-カーゴコンジュゲートの使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質のC末端を修飾するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Bloom et al, "Decarboxylative Alkylation: An Approach to Site-Selective Bioconjugation of Native Proteins via Oxidation Potentials", Nature Chemistry, 2018では、可視光により媒介される単一電子移動について、部位及び化学選択的バイオコンジュゲーションを徐々に可能とする一機構として記載している。
【0003】
Malins, "decarboxylative couplings as versatile tools for late-stage peptide modifications", Peptide Science, 2018では、未変性ペプチド酸の標的機能化のための脱炭酸性共役戦略について総説が記載されている。
【0004】
国際公開第2016196931号では、脱炭酸機構を介するコンジュゲート付加により分子種を生成する合成方法について記載している。ここでは、ペプチドC末端残基の選択的機能化を含むペプチド残基機能化の方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016196931号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bloom et al, “Decarboxylative Alkylation: An Approach to Site-Selective Bioconjugation of Native Proteins via Oxidation Potentials”, Nature Chemistry, 2018
【非特許文献2】Malins, “decarboxylative couplings as versatile tools for late-stage peptide modifications”, Peptide Science, 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ペプチド、特に、タンパク質のC末端修飾は、センサー、アレイ、(基礎)研究、シーケンシングアプリケーション、並びにタンパク質-薬物コンジュゲートの合成に重要であり得る。しかし、未変性のペプチド又はタンパク質のC末端を選択的に修飾することは困難であり得る。
【0008】
例えば、C末端ペプチド修飾のための先行技術の方法は、小範囲のC末端残基に適合し得るのみである。
【0009】
先行技術の方法は、さらなる修飾のための官能基を有する(組換え)変異タンパク質の合成にさらに関し得る。しかし、このような方法は、(天然)生物学的試料由来のペプチドの修飾には適合しないことがある。
【0010】
さらに、先行技術の方法は、固相合成方法を必要とし得るか、又はカーゴをペプチドに結合させる非天然カップリング化学反応の使用を必要とし得る。
【0011】
先行技術の方法は、特定の溶媒をさらに必要とし得る。これは、このような溶媒に不溶性のペプチドに適合しないことがあり、相対的に大型のペプチド及びタンパク質に関して特に適切であり得る。
【0012】
加えて、先行技術の方法は、多くの種類のカーゴに適合しない可能性を有する。
【0013】
したがって、先行技術の方法は、ペプチドとの適合性、特に、C末端残基及び様々な種類のカーゴに関してかなり制限され得る。
【0014】
したがって、本発明の態様では、好ましくは、1又は2以上の上記の欠点を少なくとも部分的にさらに取り除く、C末端ペプチド修飾の代替方法を提供する。本発明は、先行技術の不利益の少なくとも1つを克服若しくは改善するか、又は有用な代替方法を提供する目的を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様では、本発明は、ペプチドのC末端にカーゴを提供するための方法、すなわち、ペプチド-カーゴコンジュゲートを提供するための方法を提供し得る。方法は、第1の段階及び第2の段階を含み得る。実施形態では、第1の段階は、ペプチドのC末端を第1の触媒及び第1の放射(radiation)の存在下で第1の反応体と反応させて、第1の中間体を提供するステップを含み得る。特に、第1の触媒は、第1の放射の存在下でペプチドのC末端を脱炭酸化するように構成され得る。実施形態では、第1の反応体は、式Iによる第1の化学構造を有してもよく、
【0016】
【化1】
【0017】
特に、式中、Rは、H、ハライド、例えば、Cl、Br及びI、O-アシル基、例えば、Rがアルキル又はアリールであるO(C=O)R基、炭酸基、例えば、Rがアルキル又はアリールであるO(C=O)OR基、並びにスルホン酸基、例えば、Rがアルキル又はアリールであるOS(O)-R基、並びにNR基からなる群から選択され、特に、各RがH及びアルキル基から独立的に選択され得るか、又は特に、NRがピリジニウム若しくはこの誘導体を含み;特に、R’は、H、アリール基及びアルキル基からなる群から選択され;特に、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル、アシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基である。実施形態では、第2の段階は、第1の中間体を第2の反応体に曝露するステップを含んでもよく、特に、第2の反応体は、式IIIによる第2の化学構造を有し、
【0018】
【化2】
【0019】
式中、R’’’は、カーゴを含む。
【0020】
本発明の方法は、ペプチドのC末端を選択的に脱炭酸化し、これによりラジカルを導入することができ、その後、ペプチドのC末端、特に、チオエステル基、又は特に、マイケル受容体基に反応基を結合させるステップに関する。次いで、反応基は、第2の段階において使用して、ペプチドにカーゴを結合し得る。特に、本発明の方法により、他のペプチドを含む多種多様なカーゴを、天然ペプチドのC末端に選択的に共有結合させることが可能であるという利点が提供され得る。例えば、これは、抗体薬物コンジュゲートの形成におけるペプチドシーケンシング、特に、タンパク質シーケンシングの文脈において、及びペプチドアレイ、特に、タンパク質アレイを提供するのに有益であり得る。
【0021】
特に、第1の段階では、ペプチドのC末端に配置するチオエステル官能基、及び/又はペプチドのC末端に配置するマイケル受容体基、特に、チオエステル基、又は特に、マイケル受容体基を有する第1の中間体を提供し得る。例えば、第1の中間体がC末端チオエステル官能基を含む実施形態では、第1の中間体は、式IIIA(以下参照)による第2の化学構造を有する第2の反応体、例えば、システイン官能基を有する第2の反応体と反応させて、カーゴをペプチドに結合させ得る。第1の中間体がC末端マイケル受容体基を含む実施形態では、第1の中間体は、式IIIによる第2の化学構造を有する第2の反応体と特に反応させて、カーゴをペプチドに結合させ得る。
【0022】
本発明の方法では、固相方法を必要とせずに、殆どどのようなカーゴをも殆どのペプチドのC末端に結合させる一般的手法を提供し得る。さらに方法は、天然ペプチドに適合し得る。
【0023】
したがって、特定の実施形態では、ペプチドのC末端にカーゴを提供するための方法であって、第1の段階及び第2の段階を含み、第1の段階が、第1の触媒及び第1の放射の存在下で第1の反応体とペプチドのC末端を反応させて、第1の中間体を提供するステップを含み、第1の触媒が、第1の放射の存在下でペプチドのC末端を脱炭酸化するように構成され、第1の反応体が、式Iによる第1の化学構造を有し、
【0024】
【化3】
【0025】
式中、Rは、H、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基及びNR基からなる群から選択され、R’は、H、アリール基及びアルキル基からなる群から選択され、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル、及びアシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり、第2の段階は、第1の中間体を第2の反応体に曝露するステップを含み、第2の反応体は、式IIIによる第2の化学構造を有し、
【0026】
【化4】
【0027】
式中、R’’’は、カーゴを含む、方法を本発明により提供する。
【0028】
したがって、本発明では、ペプチドのC末端にカーゴを提供するための方法を提供し得る。
【0029】
「カーゴ」の用語は、ペプチドに結合させるのに適切な任意の化合物を本明細書において指し得る。例えばカーゴは、第2のペプチド、抗体、薬物、転写因子、精製タグ、ナノ粒子、蛍光色素、及びアンカータグを含み得る。
【0030】
「ペプチド」の用語は、任意の長さのアミノ酸の鎖、特に、少なくとも2つのアミノ酸の鎖、より詳細には、10又はこれ以上のアミノ酸の鎖を本明細書において指し得る。したがって、ペプチドの用語は、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質をも指し得る。実施形態では、ペプチドは、天然ペプチド、特に、天然タンパク質、すなわち、天然に存在する生物により生成される未変性のペプチド(又はタンパク質)を含み得る。ペプチドは、2~4000、例えば、3~2500、特に、3~1000の範囲から選択される多くのアミノ酸を特に含み得る。さらなる実施形態では、ペプチドは、最大で500のアミノ酸、例えば、最大で100のアミノ酸、特に、最大で50のアミノ酸、例えば、最大で(約)40のアミノ酸を含み得る。さらなる実施形態では、ペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸、例えば、少なくとも3つのアミノ酸、特に、少なくとも5つのアミノ酸を含み得る。さらなる実施形態では、ペプチドは、2~60の範囲、特に、2~40の範囲、例えば、3~40の範囲から選択される多数のアミノ酸を特に含み得る。
【0031】
方法は、第1の段階及び第2の段階を特に含み得る。本明細書において使用する「段階」の用語及び類似の用語は、方法の(時間)期間(及び「相」)を指し得る。第1の段階及び第2の段階は、特に、時間的に分離してもよく、第2の段階は、第1の段階後に時間的に配置する。
【0032】
第1の段階は、ペプチドのC末端を第1の触媒及び第1の放射の存在下で第1の反応体と反応させて、特に、第1の中間体を提供するステップを含み得る。
【0033】
第1の触媒は、第1の放射の存在下でペプチドのC末端を脱炭酸化するように特に構成され得る。特に、第1の触媒は、リボフラビン誘導体、例えば、リボフラビンテトラブチラートを含む、リボフラビン触媒、及びイリジウム触媒、例えば、Ir[dF(CF)ppy](dtbbpy)PF、特に、リボフラビンテトラブチラートを含み得る。第1の触媒は、特に、第1の放射に曝露する場合にペプチドのC末端を脱炭酸化する光触媒であり得る。したがって、第1の触媒は、第1の放射の存在下でペプチドのC末端を脱炭酸化するように構成され得る。第1の放射は、250~600nmの範囲、特に、300~600nmからの範囲の第1の波長を特に含み得る。さらなる実施形態では、第1の放射は、375~525nmの範囲、例えば、400~525nmの範囲の第1の波長を含み得る。したがって、実施形態では、第1の放射は、250~600nmの範囲、特に、300~600nmの範囲の強度の第1の波長を有し得る。さらなる実施形態では、第1の放射は、375~525nmの範囲、例えば、400~525nmの範囲の強度の第1の波長を有し得る。第1の放射は、第1の放射に曝露する場合に第1の触媒によりタンパク質のC末端が脱炭酸化されるように選択される第1の波長を特に含み得る。すなわち、第1の波長は、第1の放射に曝露する場合に第1の触媒によりタンパク質のC末端が脱炭酸化されるのに適し得る。
【0034】
さらなる実施形態では、方法は、光源、特に、固体光源、例えば、LEDを用いて第1の放射を提供するステップを含み得る。光源は、250~600nmの範囲、特に、300~600nmの範囲のピーク波長を特に有し得る。さらなる実施形態では、光源は、375~525nmの範囲、例えば、400~525nmの範囲のピーク波長を有し得る。
【0035】
さらなる実施形態では、第1の溶媒が有機溶媒を含み、特に、これからなる場合、第1の触媒は、(Ir[dF(CF)ppy](dtbpy))PF(CAS番号870987-63-6)、[Ir(dtbbpy)(ppy)]PF(CAS番号676525-77-2)、[Ir(dFppy)(dtbbpy)]PF(CAS番号1072067-44-7)、[Ir(dFCFppy)-(5,5’-dCFbpy)]PF(CAS番号1973375-72-2)、[Ir(dF(Me)ppy)(dtbbpy)]PF(CAS番号1335047-34-1)、[Ir{dFCFppy}(bpy)]PF(CAS番号1092775-62-6)、[Ir(p-F(Me)ppy)-(4,4’-dtbbpy)]PF(CAS番号808142-88-3)、Ir(dFppy)(CAS番号387859-70-3)、Ir(dFFppy)(dtbbpy)PF(CAS番号2042201-18-1)及びIr[dFFppy]-(4,4’-dCFbpy)PF(CAS番号2030437-92-2)を含む群から選択されるイリジウム触媒を含み得る。このような実施形態では、第1の環境、特に、第1の溶媒は、0.005~2mM、例えば、0.01~1mMの第1の触媒を特に含み得る。
【0036】
さらなる実施形態では、第1の溶媒が水を含む場合、又は第1の溶媒が有機溶媒/水混合物を含む場合、第1の触媒は、リボフラビンテトラブチラート(CAS番号752-56-7)、ルミフラビン(CAS番号1088-56-8)、リボフラビン(CAS番号83-88-5)、リボフラビン5’-一リン酸ナトリウム塩(CAS番号130-40-5)、ルミクロム(CAS番号1086-80-2)、リボフラビンN-カルバミン酸エチル、4-[2-(7,8-ジメチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-ベンゾ[g]プテリジン-10(2H)-イル)エトキシ]-4-オキソブタン酸、10-エチル-3,7,8-トリメチル-ベンゾ[g]プテリジン-2,4(3H,10H)-ジオン、7,8-ジメチル-10-{2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチル}イソアロキサジン塩酸塩、及び7,8-ジエチル-10-(1’-d-リビチル)イソアロキサジンを含む群から選択されるリボフラビン触媒を含み得る。このような実施形態では、第1の環境、特に、第1の溶媒は、0.005~600mM、例えば、0.01~300mMの第1の触媒を特に含み得る。
【0037】
さらなる実施形態では、第1の触媒は、メシチルアクリジニウム触媒を含み得る。このような実施形態では、第1の環境、特に、第1の溶媒は、0.01~1mMの第1の触媒を特に含み得る。
【0038】
「イリジウム触媒」の用語は、本明細書において、イリジウムを含む触媒、すなわち、触媒を含むイリジウムを特に指し得る。
【0039】
実施形態では、第1の反応体は、式Iによる第1の化学構造を有し得る。
【0040】
【化5】
【0041】
実施形態では、Rは、H、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基及びNR基を含む群から選択され得る。さらなる実施形態では、Rは、Hを含み得る。さらなる実施形態では、Rは、ハライド、特に、Cl、Br又はIを含み得る。さらなる実施形態では、Rは、O-アシル基、すなわち、式中、Rがアルキル又はアリール基を含む、O(C=O)R基を含み得る。さらなる実施形態では、Rは、炭酸基、すなわち、式中、Rがアルキル又はアリール基を含む、O(C=O)OR基を含み得る。さらなる実施形態では、Rは、スルホン酸基、例えば、トシレート及びメシレート、特に、式中、Rがアルキル又はアリール基を含む、-OS(O)-Rを含み得る。さらなる実施形態では、Rは、NR基、特に、ピリジニウム若しくはこの誘導体を含み得るか、又は特に、各Rは、H及びアルキル基を含む群から独立的に選択される。
【0042】
さらなる実施形態では、R’は、H、アリール基及びアルキル基からなる群から選択され得る。さらなる実施形態では、R’は、Hであり得る。さらなる実施形態では、R’は、アリール基を含み得る。さらなる実施形態では、R’は、アルキル基を含み得る。
【0043】
さらなる実施形態では、R’’は、電子求引基、特に、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル、アシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり得る。特に、電子求引基は、式Iに示すC=C結合がペプチドの脱炭酸化C末端に関して(さらに)反応性であり得るように選択され得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、特に、エステル基及びチオエステル基からなる群から選択される官能基、特に、エステル基、又は特に、チオエステル基を含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、ケトン官能基を特に含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、ニトロ官能基を特に含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、スルホキシド官能基を特に含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、リン酸エステル官能基を特に含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、アシルヒドラジド官能基を特に含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、シアノ官能基を特に含み得る。さらなる実施形態では、電子求引基は、トリハロゲンメチル官能基を特に含んでもよく、特に、トリハロゲンメチル官能基は、F、Cl及びBrを含む群から選択されるハロゲンを含み、より詳細には、トリハロゲンメチル官能基は、同一の3つのハロゲンを含み、例えば、-CF、-CCl又はCBr、特に、-CFを含むトリハロゲンメチル官能基が挙げられる。
【0044】
さらなる実施形態では、R’’は、エステル、シアノ基、及び-CFからなる群から選択される官能基を含み得る。実施形態では、R’’がエステルを含む場合、R’’は、メチルエステルを特に含み得る。したがって、実施形態では、R’’は、メチルエステルを含み得る。
【0045】
「アルキル基」の用語は、1~10のC原子、特に、1~6のC原子、例えば、1~4のC原子を含むアルキル基を本明細書において特に指し得る。
【0046】
「アリール基」の用語は、芳香環内に5~10の要素を含む芳香環に由来する官能基又は置換基を本明細書において特に指し得る。
【0047】
実施形態では、第1の段階において、ペプチドは、第1の環境に曝露し得る。特に、ペプチド(及び第1の触媒)は、第1の溶媒を含む第1の混合物中に配置し得る。実施形態では、第1の溶媒は、水、ジメチルスルホキシド、(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びテトラヒドロフランを含む群から、特に、水、DMSO及びDMFを含む群から特に選択され得る。
【0048】
第1の混合物は、第1の溶媒、ペプチド、及び第1の反応体の1又は2以上を特に含み得る。実施形態では、第1の混合物は、さらなる添加物(以下参照)を含み得る。
【0049】
実施形態では、第1の溶媒は、水を含み得る。このような実施形態では、第1の溶媒は、1~11の範囲から、特に、1.5~8の範囲から、又は、7~10の範囲から選択されるpHを有し得る。したがって、実施形態では、第1の環境は、1~11の範囲から、特に、1.5~8の範囲から、例えば、7~10の範囲から選択されるpHを有し得る。特に、第1の反応体が式IAによる第1の化学構造を有する実施形態では、第1の段階が、5~10の範囲、例えば、約7のpHを有する第1の環境において発生することが特に有益であり得る。
【0050】
さらなる実施形態では、第1の溶媒は、少なくとも1、特に、少なくとも1.5、例えば、少なくとも2のpHを有し得る。さらなる実施形態では、第1の環境、特に、第1の溶媒は、少なくとも5、特に、少なくとも6、例えば、少なくとも7のpHを有し得る。さらなる実施形態では、第1の環境、特に、第1の溶媒は、最大で11、特に、最大で10.5、例えば、最大で10のpHを有し得る。さらなる実施形態では、第1の環境、特に、第1の溶媒は、最大で9、特に、最大で8.5、例えば、最大で8のpHを有し得る。
【0051】
実施形態では、第1の溶媒は、100vol.%を含んで少なくとも70vol.%、例えば、少なくとも80vol.%、特に、少なくとも90vol.%の水を含み得る。
【0052】
さらなる実施形態では、第1の溶媒は、有機溶媒、特に、DMSO、アセトニトリル及びDMFを含む群から選択される有機溶媒を含み得る。実施形態では、第1の溶媒は、100vol.%を含んで少なくとも70vol.%、例えば、少なくとも80vol.%、特に、少なくとも90vol.%の有機溶媒を含み得る。「有機溶媒」の用語は、本明細書において、複数の(異なる)有機溶媒をも指す。
【0053】
実施形態では、第1の環境、特に、第1の混合物、さらに詳細には、第1の溶媒は、5~45℃の範囲から、特に、10~40℃の範囲から選択される第1の温度を有し得る。さらなる実施形態では、方法は、特に、第1の段階において、第1の温度を最大で45℃、例えば、最大で40℃に制御するステップを含み得る。さらなる実施形態では、方法は、温度制御要素、特に、冷却要素を使用して第1の温度を制御するステップを含み得る。
【0054】
実施形態、特に、第1の溶媒が水を含む実施形態では、第1の混合物は、反応性酸素種のためのシーケンシング剤をさらに含み得る。特に、実施形態では、第1の混合物は、1~10vol.%のグリセリンを含み得る。
【0055】
さらに、実施形態では、第1の溶媒は、水及び有機溶媒、例えば、DMF又は1-ブタノールを含み得る。特に、第1の溶媒は、少なくとも50wt.%の水及び2~20wt.%、例えば、5~15wt.%の有機溶媒を含み得る。有機溶媒により、第1の触媒の溶解が促進され得る。さらなる実施形態では、第1の溶媒は、水相及び有機相を含み得る。
【0056】
実施形態では、第1の環境、特に、第1の混合物は、0.02~100mMのペプチド、特に、0.05~50mMのペプチドを含み得る。
【0057】
さらなる実施形態では、第1の環境、特に、第1の混合物は、0.05~1000mM、特に、0.1~500mMの第1の反応体を含み得る。
【0058】
実施形態では、第1の環境、特に、第1の混合物は、塩、特に、0.05~100mMの塩、例えば、1~50mMの塩、特に、2~10mMの塩を含み得る。実施形態では、特に、第1の溶媒が有機溶媒を含む実施形態では、塩は、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、フッ化物及び炭酸塩を含む群から、特に、KHPO、ギ酸セシウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、CsF、CsOAc、CsCO及びKCOを含む群から、より詳細には、KHPO及びギ酸セシウムを含む群から選択され得る。
【0059】
第1の段階後、第1の混合物中に残った第1の反応体が尚存在し得る。特定の場合では、例えば、第1の段階の終わりに第1の混合物を保存する場合、残った第1の反応体は、ペプチドと不必要に反応し得る。したがって、実施形態では、方法は、第1の段階の後(又は「終わり」)にチオール化合物、特に、3-メルカプト-N-メチルプロパンアミド、2-メルカプトエタノール及びエチル3-メルカプトプロピオン酸を含む群から選択されるチオール化合物を加えるステップを含み得る。チオール化合物を追加すると、副生成物の形成が減少、特に、除去され得る。
【0060】
第2の段階は、第1の中間体を第2の反応体に曝露するステップを含み得る。特に、第2の段階は、第1の中間体及び第2の反応体を反応させて、ペプチド-カーゴコンジュゲートを提供するステップを含み得る。第2の反応体は、式IIIによる第2の化学構造を特に有してもよく、
【0061】
【化6】
【0062】
式中、R’’’は、カーゴを含む。
【0063】
実施形態では、第2の段階において、第1の中間体は、第2の環境に曝露し得る。特に、第1の中間体(及び第2の反応体)は、第2の溶媒を含む第2の混合物中に配置し得る。実施形態では、第2の溶媒は、特に、水、DMSO、DMF、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びテトラヒドロフランを含む群、特に、水、DMSO、アセトニトリル及びDMFを含む群から選択され得る。
【0064】
第2の混合物は、第2の溶媒、第1の中間体、及び第2の反応体の1又は2以上を特に含み得る。実施形態では、第2の混合物は、さらなる添加物(以下参照)を含み得る。
【0065】
実施形態では、第2の溶媒は、水を含み得る。このような実施形態では、第2の溶媒は、5.5~10.5の範囲、特に、6~10の範囲、例えば、6.5~9.5の範囲から選択されるpHを有し得る。さらなる実施形態では、第2の溶媒は、少なくとも4.5、特に、少なくとも5、例えば、少なくとも5.5のpHを有し得る。さらなる実施形態では、第2の溶媒は、少なくとも6、特に、少なくとも6.5のpHを有し得る。さらなる実施形態では、第2の溶媒は、最大で11、特に、最大で10.5のpHを有し得る。さらなる実施形態では、第2の溶媒は、最大で10、特に、最大で9.5のpHを有し得る。
【0066】
式IIB(以下参照)による化学構造を有する第1の中間体に関しては、高pHでは、副生成物の形成が引き起こされ得る一方、低pHでは、反応率及び収率が低下し得る。特に、このような実施形態では、第2の溶媒は、6~10のpH範囲から選択されるpH、例えば、約8のpHを有し得る。第2の溶媒のこのようなpH値により、特に良好な結果が得られ得る。
【0067】
実施形態では、第2の段階において、第2の環境、特に、第2の混合物、より詳細には、第2の溶媒は、第2の温度を有し得る。第2の温度が低い場合、第1の中間体との間の反応は、緩徐に進行し得る。しかし、第2の温度が高いと、(さらなる)副生成物の形成が引き起こされ得る。したがって、実施形態では、第2の温度は、2~55℃の範囲、例えば、4~50℃の範囲から選択され得る。第1の中間体が式IIA(以下参照)による第1の化学構造を有する実施形態では、第2の温度は、30~50℃の範囲から特に選択され得る。第1の中間体が式IIB(以下参照)による第1の化学構造を有する実施形態では、第2の温度は、4~45℃の範囲から特に選択され得る。
【0068】
さらなる実施形態では、第2の溶媒は、有機溶媒、特に、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)を含む群から選択される有機溶媒を含み得る。
【0069】
実施形態では、第2の溶媒は、水及び有機溶媒を含んでもよく、特に、第2の溶媒は、最大で25vol.%、例えば、最大で20vol.%の有機溶媒を含む。さらなる実施形態では、第2の溶媒は、少なくとも70vol.%の水、例えば、少なくとも75vol.%の水、特に、少なくとも80vol.%の水を含み得る。
【0070】
実施形態では、第2の環境、特に、第2の混合物は、0.005~200mMの第1の中間体、特に、0.01~100mMの第1の中間体、例えば、0.1~100mMの第1の中間体を含み得る。
【0071】
さらなる実施形態では、第2の環境、特に、第2の混合物は、0.005~400mM、特に、0.01~200mM、例えば0.1~200mMの第2の反応体を含み得る。
【0072】
酸素の存在は、第1の段階において第1の中間体を提供するのに、及び/又は第2の段階においてタンパク質-カーゴコンジュゲートを提供するのに害を及ぼし得る。特に、酸素の存在は、第1の段階におけるペプチドの光触媒脱炭酸化に害を及ぼし得る。詳細には、第1の段階では、酸素の存在により、第1の中間体収率の低下が生じ得る。さらに、第2の段階では、酸素の存在により、第2の反応体又は還元剤(以下参照)に存在し得るSH基の酸化が生じることがあり、これによってジスルフィド形成が生じ得る。したがって、両方の段階では、酸素の存在により、本発明の方法が妨害され得る。
【0073】
したがって、実施形態では、第1の環境、特に、第1の混合物は、脱気緩衝液を含み得る。特に、第1の環境、特に、第1の混合物は、10ppm以下の溶存酸素、例えば、5ppm以下の溶存酸素、特に、2ppm以下の溶存酸素を含み得る。さらなる実施形態では、第1の環境、特に、第1の混合物は、1ppm以下の溶存酸素、例えば、0.8ppm以下の溶存酸素、特に、0.6ppm以下の溶存酸素、例えば、0.5ppm以下の溶存酸素を含み得る。さらなる実施形態では、第1の混合物は、最大で0.4ppmの溶存酸素、例えば、0.2~0.4ppmの溶存酸素を含み得る。
【0074】
実施形態では、方法は、第1の環境、特に、第1の混合物中の(溶存)酸素濃度を制御する、特に、低下させるステップを含み得る。特に、方法は、第1混合物、特に、第1の溶媒を不活性ガス、特に、Nによりスパージする(sparging)(又は「パージする(purging)」)ステップを含み得る。
【0075】
さらなる実施形態では、方法は、不活性ガス、特に、N、又は特に、Ar下の脱気緩衝液中で第1の段階を実行するステップを含み得る。アルゴンは、空気よりも重いため、特に適し得る。
【0076】
さらなる実施形態では、第2の環境、特に、第2の混合物は、脱気緩衝液を含み得る。特に、第2の環境、特に、第2の混合物は、10ppm以下の溶存酸素、例えば、5ppm以下の溶存酸素、特に、2ppm以下の溶存酸素を含み得る。さらなる実施形態では、第2の環境、特に、第2の混合物は、1ppm以下の溶存酸素、例えば、0.8ppm以下の溶存酸素、特に、0.6ppm以下の溶存酸素を含み得る。さらなる実施形態では、第2の混合物は、最大で0.4ppmの溶存酸素、例えば、0.2~0.4ppmの溶存酸素を含み得る。
【0077】
当業者に公知のように、溶存酸素は、ウィンクラー滴定を使用して特に決定し得る。特に、とりわけ水に関しては、溶存酸素に対してppm及びmg/Lを典型的に、互換的に使用し得る。したがって、実施形態では、第1の混合物(又は第2の混合物)は、10mg/L以下の溶存酸素、例えば、5mg/L以下の溶存酸素、特に、2mg/L以下の溶存酸素を含み得る。さらなる実施形態では、第1の混合物(又は第2の混合物)は、1mg/L以下の溶存酸素、例えば、0.8以下の溶存酸素、特に、0.6mg/L以下の溶存酸素、例えば、0.5mg/L以下の溶存酸素を含み得る。さらなる実施形態では、第1の混合物(又は第2の混合物)は、最大で0.4mg/Lの溶存酸素、例えば、0.2~0.4mg/Lの溶存酸素を含み得る。
【0078】
実施形態では、方法は、第2の環境、特に、第2の混合物中の(溶存)酸素濃度を制御する、特に、低下させるステップを含み得る。特に、方法は、第2の混合物、特に、第2の溶媒を不活性ガス、特に、Nによりスパージするステップを含み得る。
【0079】
さらなる実施形態では、方法は、不活性ガス、特に、N、又は特に、Ar下の脱気緩衝液中で第2の段階を実行するステップを含み得る。アルゴンは、空気よりも重いため、特に適し得る。
【0080】
第1の段階及び第2の段階は、(本質的に)同一の溶媒中で特に実施し得る。例えば、第1の段階及び第2の段階の両方は、水中で実行してもよい。しかし、実施形態では、第1の段階及び第2の段階は、種々の溶媒中で実行し得る。このような実施形態では、方法は、中間段階をさらに含み得る。中間段階は、特に、第1の反応体及び/又はペプチド及び/又は第1の触媒の残り、特に、第1の触媒、又は特に、第1の反応体(の残り)、又は特に、ペプチド(の残り)から第1の中間体を分離するステップを含み得る。中間段階は、第1の溶媒から第1の中間体を分離するステップをさらに含み得る。実施形態では、中間段階は、抽出、特に、有機溶媒による抽出、例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン又はエーテルの1又は2以上、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル及びジイソプロピルエーテルを含む群から選択されるエーテルによる抽出を含み得る。
【0081】
中間段階は、特に、第1の段階及び第2の段階の間に時間的に配置し得る。
【0082】
本発明の方法は、(天然)タンパク質原性アミノ酸、例えば、標準アミノ酸、並びにタンパク質に天然には組み込まれない天然アミノ酸、例えば、オルニチン、並びに非天然アミノ酸を含む多種多様なC末端残基と適合し得る。特に、実施形態では、ペプチドは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、トリプトファン、チロシン及びオルニチンを含む群、特に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン及びチロシンを含む群から選択されるC末端残基を含み得る。
【0083】
特に、第1の反応体が式IAによる第1の化学構造を有する実施形態では、ペプチドは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、トリプトファン、チロシン及びオルニチンを含む群、特に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン及びチロシンを含む群から選択されるC末端残基を含み得る。
【0084】
さらなる実施形態では、第1の反応体が式IBによる第1の化学構造を有する場合、ペプチドは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、トリプトファン、チロシン及びオルニチンを含む群、特に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン及びチロシンを含む群から選択されるC末端残基を含み得る。特に、カーゴは、本発明の方法及び式IIBによる第1の中間体を使用して、C末端残基であるアスパラギン、アルギニン及びプロリンを有するペプチドに良好に結合させた。したがって、さらなる実施形態では、ペプチドは、アスパラギン、アルギニン及びプロリンを含む群から選択されるC末端残基を含み得る。
【0085】
ペプチドにおける一部のアミノ酸、例えば、システイン及びセレノシステインでは、第1の段階前にアミノ酸を保護することが有益であり得る。したがって、実施形態では、方法は、第1の段階前に時間的に配置する準備段階をさらに含んでもよく、準備段階は、所定のアミノ酸型のアミノ酸、例えば、システイン及び/又はセレノシステインに保護基を提供するステップを含む。例えば、実施形態では、準備段階は、アクリルアミド、マレイミド、アルファ-ハロアセトアミドとペプチドを反応させるステップを含み得る。さらなる実施形態では、方法は、低分子活性化ジスルフィドによるジスルフィド形成によってシステイン及び/又はセレノシステインをキャッピングするステップを含み得る。
【0086】
実施形態では、第1の反応体は、式Iによる第1の化学構造を有してもよく、
【0087】
【化7】
【0088】
特に、式中、RはHであり、特に、R’はアルキル基であり、特に、R’’はチオエステルである。したがって、実施形態では、第1の反応体は、式IAによる第1の化学構造を有してもよく、
【0089】
【化8】
【0090】
特に、式中、R’は、アルキル基、例えば、メチル基であり、特に、Rは、アルキル基である。実施形態では、Rは、アルキル基を含み得る。さらなる実施形態では、Rは、鎖の下流にさらなる官能基、特に、アミド、エステル、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、アミン、芳香族を含む群から選択される官能基を有していてもよい。
【0091】
第1の反応体が式IAによる第1の化学構造を有する実施形態では、第1の触媒は、イリジウム触媒を特に含み得る。イリジウム触媒は、このような第1の反応体と組み合わせて特に良好に作用し得る。
【0092】
同様に、第1の反応体が式IAによる第1の化学構造を有する実施形態では、第1の溶媒は、DMSOを特に含んでもよく、第2の溶媒は、水を特に含み得る。
【0093】
このような実施形態は、ペプチドのC末端にチオエステル官能基を提供するのに特に適し得る。さらなる実施形態では、第1の中間体は、式IIAによる化学構造を有してもよく、
【0094】
【化9】
【0095】
特に、式中、R’は、アルキル基であり、特に、Rは、アルキル基であり、特に、Rは、ペプチドを指す。
【0096】
さらなる実施形態では、第1の溶媒は、無水溶媒、例えば、DMSO及びDMFの1又は2以上を特に含んでもよく、すなわち、実施形態では、第1の段階は、第1の溶媒中で特に実行してもよく、第1の溶媒は、無水溶媒、例えば、DMSO及びDMFの1又は2以上を含む。特に、無水溶媒により、第1の中間体の安定性が向上し得る。
【0097】
さらなる実施形態では、第2の反応体は、式IIIAによる第2の化学構造を特に有してもよく、
【0098】
【化10】
【0099】
特に、式中、Xは、O又はNHであり、特に、R1は、カーゴを含む。
【0100】
特に、実施形態では、方法、特に、第2の段階は、式IIAによる化学構造を有する第1の中間体を、式IIIAによる化学構造を有する第2の反応体と反応させるステップを含み得る。特に、第1の中間体及び第2の反応体は、トランスチオエステル化及び後続のS-Nアシル転換を含む第2の反応を介して反応し得る。
【0101】
第1の中間体が式IIAによる化学構造を有する実施形態では、第2の環境、特に、第2の溶媒は、0.1~100mMの第1の中間体を特に含み得る。さらに、このような実施形態では、第2の環境、特に、第2の溶媒は、0.1~200mMの第2の反応体を含み得る。
【0102】
第1の中間体が式IIAによる化学構造を有する実施形態では、第2の段階は、これによって参照により本明細書に組み込むAgouridas et al., "Native Chemical Ligation and Extended Methods: Mechanisms, Catalysis, Scope, and Limitations", 2019, Chemical Reviews及びBoll et al., "One-pot chemical synthesis of small ubiquitin-like modifier protein-peptide conjugates using bis(2-sulfanylethyl)amido peptide latent thioester surrogates", 2015, Nature Protocolsに記載のネイティブケミカルライゲーション(NCL)手順に従って本質的に実行し得る。したがって、実施形態では、第2の混合物は、4-メルカプトフェニル酢酸(MPAA)を含んでもよく、MPAAの存在により、第2の段階に有益に影響し得る反応性チオエステル中間体の形成が促進され得る。同様に、実施形態では、第2の混合物は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)を含んでもよく、TCEPの存在により、第2の段階に有益に影響し得る、第1の中間体及び/又は第2の反応体上での遊離SH基の維持が促進され得る。さらなる添加物を使用してNCL手順に有益に影響させてもよく、次いでこれにより本発明の方法の実施形態の第2の段階に有利に影響させ得ることは、当業者に明らかである。
【0103】
したがって、実施形態では、式IVAによる化学構造を有するペプチド-カーゴコンジュゲートを方法により提供してもよく、
【0104】
【化11】
【0105】
特に、式中、R’は、アルキル基であり、特に、Rは、ペプチドを指し、特に、Xは、O又はNRであり、式中、Rは、H又はアルキルであり、特に、Xは、O又はNHであり、特に、Rは、カーゴを含む。
【0106】
特に、式IIIAによる第2の化学構造は、N末端システイン残基に類似することがあり、アミドを介してカーゴに結合していてもよく(CONR)、特に、CONH、例えば、N末端システイン残基を有する天然タンパク質におけるものであるか、又はエステルを介してカーゴに結合していてもよい(COO)。このような実施形態は、N末端システイン残基を有する第2のペプチドを含むカーゴの結合に、特に好都合であり得る。
【0107】
したがって、実施形態では、カーゴは、第2のペプチドを含み得る。これによって、実施形態では、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、ペプチド-ペプチドコンジュゲート、すなわち、融合ペプチドを含み得る。さらなる実施形態では、第2のペプチドは、式IIIAによるN末端、特に、N末端システイン残基を有し得る。したがって、本発明の方法により、融合ペプチド(又はタンパク質)を提供することが容易となることがあり、特に、ペプチド及び任意により第2のペプチドは、天然に生成される。したがって、本発明の方法により、非組換え融合ペプチド(又はタンパク質)を提供することが容易となり得る。
【0108】
(例えば、式IBを参照)が「完全」ペプチドを含まず、Rが、このC末端カルボン酸基に事前に結合したペプチド部分を指し得ることは、当業者に明らかである。詳細には、Rは、段階1の光脱炭酸化を介して除去されたC末端カルボン酸基以外のペプチドを含み得る。したがって、Rは、ペプチド(又はコンジュゲートのペプチド部分)を実質的に指し得る。
【0109】
実施形態では、Rは、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基及びNRを含む群から選択されることがあり、R’は、特に、Hであり得る。特に、Rは、脱炭酸化ペプチドとの反応を促進する「脱離基」であり得る。したがって、実施形態では、第1の反応体は、式IBによる第1の化学構造を有してもよく、
【0110】
【化12】
【0111】
式中、Rは、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基及びNR基からなる群から選択され、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル、アシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基である。さらなる実施形態では、R’’は、エステル、例えば、メチルエステルを特に含み得る。
【0112】
特に良好な結果は、R’’がメチルエステル、特に、CHO(C=O)を含む第1の反応体により得られた。この場合、Rは、O-アシル基、特に、O(C=O)CHを含む。したがって、さらなる実施形態では、R’’は、メチルエステル、特に、CHO(C=O)を含み得る。さらなる実施形態では、Rは、O-アシル基、特に、O(C=O)CHを含み得る。
【0113】
第1の反応体が式IBによる第1の化学構造を有する実施形態では、第1の触媒は、リボフラビン又はこの誘導体を特に含み得る。リボフラビン系触媒は、このような第1の反応体と組み合わせて特に良好に作用し得る。
【0114】
同様に、第1の反応体が式IBによる第1の化学構造を有する実施形態では、第1の溶媒は、水を特に含んでもよく、第2の溶媒は、水を特に含み得る。
【0115】
さらに、第1の反応体が式IBによる第1の化学構造を有する実施形態は、ペプチドのC末端にマイケル受容体官能基を提供するのに特に適し得る。さらなる実施形態では、第1の中間体は、式IIBによる化学構造を有してもよく、
【0116】
【化13】
【0117】
特に、式中、Rは、ペプチドを指し、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル、アシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基である。
【0118】
特に、実施形態では、方法、特に、第2の段階は、式IIBによる化学構造を有する第1の中間体を、式IIIによる化学構造を有する第2の反応体と反応させるステップを含み得る。特に、第1の中間体及び第2の反応体は、マイケル反応を介して反応し得る。
【0119】
第1の中間体が式IIBによる化学構造を有する実施形態では、第2の環境、特に、第2の混合物は、0.01~100mMの第1の中間体を特に含み得る。さらに、このような実施形態では、第2の環境、特に、第2の混合物は、0.01~200mMの第2の反応体を含み得る。
【0120】
したがって、実施形態では、式IVBによる化学構造を有する、ペプチド-カーゴコンジュゲートであって、
【0121】
【化14】
【0122】
式中、Rが、ペプチドを指し、R’’が、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル及びアシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり、R’’’が、カーゴを含む、ペプチド-カーゴコンジュゲートを方法により提供し得る。
【0123】
さらなる実施形態では、カーゴは、抗体を含み得る。特に、当業者に公知のように、抗体は、複数のポリペプチドを含んでもよく、したがって、(他のペプチドと同様に)カーゴとしてこのペプチドに結合し得る。特に、抗体は、動物体内、特に、ヒト体内の(特定の)標的位置を標的とするように構成されていてもよく、ペプチドは、標的位置において(適切な)医学的又は治療的機能を有し得る。これによりペプチド-カーゴコンジュゲートによって、動物体内、特に、ヒト体内の特定の部位にペプチドを提供することが容易となり得る。したがって、本発明の方法により、ペプチド-抗体コンジュゲート、特に、抗体-薬物コンジュゲートを提供することが容易となり得る。
【0124】
実施形態では、カーゴは、(生じる)ペプチド-カーゴコンジュゲートを標的位置上に選択的に配置するのに適するタグを含み得る。
【0125】
カーゴの種々の特定の例を本明細書に記載する。しかし、本発明が、このような例に制限されず、多種多様な他のカーゴ化合物をさらに包含し得ることは、当業者に明らかである。
【0126】
さらなる態様では、ペプチド-カーゴコンジュゲート、特に、本発明の方法により得られるペプチド-カーゴコンジュゲートを本発明により提供し得る。特に、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、式IVA又は式IVBによる化学構造を有し得る。
【0127】
実施形態では、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、式IVAによる化学構造を有してもよく、
【0128】
【化15】
【0129】
特に、式中、R’はアルキル基であり、特に、Rはペプチドを指し、特に、Xは、O又はNHであり、特に、R1はカーゴを含む。
【0130】
さらなる実施形態では、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、式IVBによる化学構造を有してもよく、
【0131】
【化16】
【0132】
特に、式中、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル及びアシルヒドラジドからなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり、特に、R’’’は、カーゴを含み、特に、Rは、ペプチドを指す。
【0133】
実施形態では、カーゴは、抗体を含み得る。したがって、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、ペプチド-抗体コンジュゲートを含み得る。
【0134】
さらなる実施形態では、ペプチドは、抗体(の1又は2以上のポリペプチド)を含み得る。このような実施形態では、カーゴは、例えば、薬物、例えば、ペプチド薬物を含み得る。特に、抗体のC末端は、ゲスト結合には典型的に関与しないことがあり、このため、この機能化は、抗体結合に干渉しないことがある。抗体は4つのC末端を一般に有するため、十分に定義されたカーゴの充填が促進され得る。
【0135】
実施形態では、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、抗体薬物コンジュゲートとしての使用のためのものであり得る。特に、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、医薬としての使用のためのものであることがあり、特に、ペプチドは、医学的に適切な活性を有し、特に、カーゴは抗体を含む。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、特に、共有結合リンカーを介して、(細胞傷害性)薬物と結合する抗体の構築物である。抗体の目的は、(選択的)標的化であってもよく、薬物は、例えば、腫瘍(又は他の)細胞を殺傷するように作用し得る。リンカーは、抗体への薬物の結合を維持するように作用して、例えば、標的細胞又は組織の非存在下での薬物の放出を回避し得る。したがって、薬物が、安定な結合を介し、制御可能な抗体数で結合することが重要であり得る(これにより、不均一な混合物が生じることがあり、抗体の特性が変更され得るため、抗体の多数のアミン又はカルボン酸側鎖への結合が、それほど好ましくないものとなり得る。)したがって、抗体のC末端がゲスト結合には典型的に関与しないことがあり、このため、この機能化が抗体結合に干渉しないことがあることをも考慮すれば、本発明の方法は、抗体-薬物コンジュゲートを提供するのに特に適し得る。
【0136】
実施形態では、カーゴは、第2のペプチドを含み得る。したがって、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、融合ペプチド、特に、非組換え融合ペプチドを含み得る。
【0137】
さらなる実施形態では、カーゴは、標的位置上、例えば、表面上にペプチド-カーゴコンジュゲートを選択的に配置するのに適するタグを含み得る。さらなる実施形態では、タグは、抗体を含み得る。このような実施形態により、ペプチドのシーケンシングが促進されることがあり、ペプチドアレイを提供することが容易となり得る。
【0138】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本発明によるペプチド-カーゴコンジュゲートを含むペプチドアレイを提供し、特に、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、タグを含み得る。特に、ペプチドアレイは、固体表面、例えば、スライドガラスに結合するペプチドのライブラリーを含み得る。このようなアレイは、抗体をプロファイリングし、エピトープ及び受容体-リガンド相互作用をマッピングするためのペプチド薬物候補、酵素阻害物質、及び酵素基質の同定のために大規模に使用し得る。このようなアレイを生成するための最も一般的な方法は、信頼性及び選択的な結合化学反応を必要とし得る共有結合によるものであり、例えば、これにより参照によって本明細書に組み込むSzymczak et al., “Peptide Arrays: Development and Application”, Analytical Chemistry, 2018に記載のものが挙げられる。通常、適切な化学基をペプチド合成に導入するが、先行技術の方法によって未変性のペプチド(生物学的起源から単離したペプチド)に導入することは困難であり得る。しかし、本発明の方法により、ペプチドにおける適する化学基の選択的C末端導入が促進されて、ペプチドアレイを提供することが容易となり得る。したがって、実施形態では、カーゴは、標的位置上、特に、表面上へのペプチド-カーゴコンジュゲートの選択的配置に適するタグを含み得る。例えば、タグは、クリック化学に適し得る。実施形態では、タグは、ポリヌクレオチド(標的位置において相補性ポリヌクレオチドとハイブリダイズするように構成される)、ビオチンタグ(標的位置におけるアビジン又はストレプトアビジンとのハイブリダイズに適する)及びアジ化物含有ペプチド(シクロオクチン修飾表面上でのクリック化学による化学的固定化に適する)を含む群から選択され得る。ペプチドアレイの標的位置におけるペプチド-カーゴコンジュゲートの配置を可能とするために、カーゴに対して多くの特定の選択が行われ得ることは、当業者に明らかである。
【0139】
さらなる態様では、本発明は、ペプチドシーケンシングのためのペプチド-カーゴコンジュゲートの使用を提供し得る。特に、次世代ペプチド/タンパク質シーケンシング技術、例えば、これにより参照によって本明細書に組み込むAlfaro et al., “The emerging landscape of single-molecule protein sequencing technologies”, Nature Methods, 2021に記載のものは、表面上へのペプチドの固定化、又はナノポアを通して転位置が促進される分子単位へのペプチドの結合のいずれかを含み得る。両方のシナリオでは、表面上での信頼性の位置づけを提供するために、又はナノポアを通過する場合、ペプチド上の単一の特定の位置において結合が生じることが重要である。当業者に明らかとなるように、ペプチドのN末端又はC末端のいずれかへの結合は、特に好都合であり得る。本発明の方法により、ペプチドのC末端におけるペプチド及び表面又は分子単位の間の結合を提供することが容易となり、これによりペプチドのペプチドシーケンシングが促進され得る。特に、このような実施形態では、カーゴは、ポリヌクレオチド、特に、一本鎖ポリヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドは、例えば、表面に結合する(相補性)ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを介して、表面上にペプチドを配置するために構成され得る。ポリヌクレオチドは、ペプチド-カーゴコンジュゲートによるナノポアの通過が促進されるように、さらに構成され得る。
【0140】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の単一の態様に制限されない。例えば、方法を記載する実施形態は、(生じる)ペプチド-カーゴコンジュゲートにさらに関連し得る。同様に、ペプチド-カーゴコンジュゲートの実施形態は、方法の実施形態にさらに関連し得る。特に、特定の基(例えば、特異的に選択された潜在的R’’基)により構造式を記載する方法の実施形態は、ペプチド-カーゴコンジュゲートが、実施形態において、このような基(例えば、特異的に選択された潜在的R’’基)を有し得ることを示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0141】
ここで、対応する参照記号により対応する部分を示し、添付の模式図を参照して、単なる例として本発明の実施形態を記載する。
図1A】~
図1B】本発明の方法の実施形態を模式的に示す図である。模式図は、必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0142】
図1A~Bでは、ペプチド110のC末端111にカーゴを提供するため、すなわち、ペプチド-カーゴコンジュゲート250を提供するための方法の実施形態を模式的に示す。示す実施形態では、方法は、第1の段階及び第2の段階を含む。第1の段階は、ペプチド110のC末端111を第1の触媒130及び第1の放射140の存在下で第1の反応体120と反応させて、第1の中間体150を提供するステップを含み得る。特に、第1の触媒130は、第1の放射140の存在下でペプチド110のC末端111を脱炭酸化するように構成されることがあり、これによりペプチドのC末端に反応性ラジカル基が生じ得る。第1の反応体120は、式Iによる第1の化学構造を特に有し得る。
【0143】
【化17】
【0144】
特に、式中、Rは、H、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基及びNR基からなる群から選択され、各Rは、H及びアルキル基から独立的に選択されるか、又はNRは、ピリジニウム若しくはこの誘導体を含み、特に、R’は、H、アリール基、及びアルキル基からなる群から選択され、特に、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル及びアシルヒドラジド、シアノ基、及びトリハロゲンメチル基からなる群から選択される官能基を含む電子求引基である。実施形態では、第2の段階は、第1の中間体150を第2の反応体220に曝露するステップを含んでもよく、特に、第2の反応体220は、式IIIによる第2の化学構造を有し、
【0145】
【化18】
【0146】
式中、R’’’は、カーゴを含む。
【0147】
図1Aは、RがHであり、R’がアルキル基であり、R’’がチオエステルであり、Rが、アルキル基、例えば、メチル基であり、第2の化学構造が、式IIIAによるものであり、
【0148】
【化19】
【0149】
式中、Xが、O又はNHであり、R1がカーゴを含む、実施形態を示す。
【0150】
図1Bでは、Rが、ハライド、O-アシル基、炭酸基、スルホン酸基、及びNR基を含む群から選択され、R’が、Hである、実施形態を模式的に示す。
【0151】
実施形態では、第1の放射140は、375~525nmの範囲、例えば、400~525nmの範囲から選択され得る。特に、第1の放射140は、375~525nmの範囲、例えば、400~525nmの範囲の第1の波長を含み得る。このような波長を有する第1の放射は、第1の触媒130により触媒され得る、ペプチド110のC末端111の光活性化脱炭酸を促進するのに特に適し得る。
【0152】
実施形態では、第1の中間体150は、第2の段階において第2の環境200に曝露し得る。特に、第1の中間体150は、第2の段階において第2の溶媒201に曝露してもよく、特に、第2の溶媒201を含む第2の混合物中で第2の段階を実行する。第2の溶媒101は、水、DMSO及びDMFのうちの1又は2以上を特に含み得る。さらなる実施形態では、第2の環境200、特に、第2の混合物は、1ppm以下の溶存酸素を含む。さらなる実施形態では、第1の段階は、不活性ガス、例えば、N又はAr下で実施し得る。
【0153】
実施形態では、ペプチド110は、第1の段階において第1の環境100に曝露し得る。特に、ペプチド110は、第1の段階において第1の溶媒101に曝露してもよく、特に、第1の溶媒101を含む第1の混合物中で第1の段階を実行する。第1の溶媒101は、水、DMSO及びDMFのうちの1又は2以上を特に含み得る。さらなる実施形態では、第1の環境100、特に、第1の混合物は、1ppm以下の溶存酸素を含む。さらなる実施形態では、第2の段階は、不活性ガス、例えば、N又はAr下で実施し得る。
【0154】
図1A~Bでは、ペプチド-カーゴコンジュゲート250の実施形態をさらに模式的に示す。
【0155】
特に、図1Aでは、式IVAによる化学構造を有するペプチド-カーゴコンジュゲートを模式的に示し、
【0156】
【化20】
【0157】
特に、式中、R’は、アルキル基であり、特に、Rは、カーゴを含み、特に、Rは、ペプチドを指す。
【0158】
図1Bでは、式IVBによる化学構造を有するペプチド-カーゴコンジュゲートを模式的に示す。
【0159】
【化21】
【0160】
特に、式中、R’’は、エステル、チオエステル、アミド、ケトン、ニトロ、スルホキシド、スルホン、リン酸エステル及びアシルヒドラジドからなる群から選択される官能基を含む電子求引基であり、特に、R’’’は、カーゴを指し、特に、Rは、ペプチドを含む。
【0161】
実験1-チオエステル官能基を含む第1の中間体
第1の段階-KHPO保存液(HO中)2μL(10.0eq、2.5μmol、0.435mg)を4mLのドラムバイアルに加え、凍結乾燥させた。KHPO残留物を有するバイアルに、無水DMSO280μL、ペプチド110保存液(DMSO中)50μL(1.0eq、0.25μmol)、第1の溶媒130保存液、特に、Ir[dF(CF)ppy](dtbbpy)PF保存液(DMSO中)(0.12eq、0.03μmol)50μL、第1の反応体保存液(DMSO中)20μL(10.0eq、2.5μmol、0.50mg)を加え、窒素でスパージすることにより混合物を10分間脱気した。次いで、バイアルをアルゴンで洗い流し、パラフィルムを巻き、青色LED(40W、Kessil社、およそ4cmの距離)を使用して第1の放射140により16時間、混合物を照射した。
【0162】
特に、実験1は、化学構造1Aを有する2つの異なる第1の反応体であって、特に、式中、R’が、メチル基を含み、Rが、メチルアセトアミド又はメチルプロパンアミドのいずれかを含む、第1の反応体、すなわち、式IAによる第1の反応体であって、
【0163】
【化22】
【0164】
式中、nが、1又は2のいずれかである、第1の反応体を用いて実施した。
【0165】
次いで、副生成物の形成を減少、特に、回避するために、試料をチオール化合物、特に、3-メルカプト-N-メチルプロパンアミド0.57μL(20eq、5.0μmol、0.596mg)又は2-メルカプトエタノール20eq(5.0μmol、0.391mg、0.35μL)と混合し、混合物を液体窒素中で凍結させて一晩凍結乾燥させた。種々のチオール化合物により、類似の結果が提供された。
【0166】
中間段階-第1の段階の残留物を、超音波浴を使用してHO 500μL中に溶解し、2つの部分に分けた。次いで、各部分をジエチルエーテル800μLにより3回抽出した。次いで、アルゴン流下でジエチルエーテルから乾燥させた両方の水層を組合せ、混合し、200μL(最大0.1μmolの第1の中間体150)の2つの部分を2つの別々のチューブに移した。別々の画分を穿孔したキャップで閉じ、凍結乾燥させた。
【0167】
第2の段階-第2の段階では、次いでネイティブケミカルライゲーション手順を行った。詳細には、変性剤である塩酸グアニジン286.6mg(3mmol)を別々のチューブに加え、リン酸ナトリウム緩衝液250μL(100mMのNaHPO、pH9)中に可溶化した。次いで、この混合物を窒素で10~15分間脱気した。以下では、混合前に化合物を加えた場合はいつでも反応混合物をアルゴンで洗い流した。次いで、全溶液を、4-メルカプトフェニル酢酸16.82mg(100μmol)を含むチューブに移し、超音波浴を使用して、これを溶解した。次いで、この溶液209μLを、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩3.01mg(10.5μmol)を有するチューブに加え、溶解するまで混合した。この混合物に、6Mの水酸化ナトリウム20μLを加えて混合し、次いで全溶液を、第2の反応体を含むチューブに移し、溶解するまで混合した。この場合、第2の反応体は、N末端システイン残基を有する第2のペプチド(2eq、0.2μmol)を含む。次いで最終的に、全混合物を、第1の中間体150の一部分(最大0.1μmol)を含むチューブに移し、混合した。pHは、6MのNaOHを使用してpH7.5~7.7に調整した。反応混合物は、37℃で2~3日間振盪させた。
【0168】
したがって、ペプチド-カーゴコンジュゲートは、良好に得られた。特に、ペプチドに含まれるカーゴとして、融合ペプチドを良好に得た。
【0169】
第2の段階の代替手順-或いは、変性剤塩酸グアニジン573.2mg(6mmol)及びリン酸ナトリウム緩衝液500μLをバイアルに加えた。次いで、全溶液を、4-メルカプトフェニル酢酸33.64mg(200μmol)を含むチューブに移し、超音波浴を使用して、これを溶解した。次いで、この溶液840μLを、TCEP48.16mg(168.0μmol)を有するチューブに加え、溶解するまで混合した。この混合物を、6MのNaOHを使用してpH7.5に調整した。次いで、ライゲーション緩衝液を25分間脱気した。次いで、脱気したライゲーション緩衝液85.6μLを、N末端Cys残基を有するペプチドを含むチューブに移し、溶解するまで混合した。次いで、全混合物を、第1の中間体を含むチューブに移し、混合した。最終的には、全混合物を0.5mLの反応チューブ内に移し、アルゴンで洗い流し、アルゴン下で蓋を閉じて、密封したガラスバイアル内に充填し、37℃で3日撹拌した。
【0170】
したがって、ペプチド-カーゴコンジュゲートをも良好に得られた。特に、第2の段階の代替手順により(わずかに)高い収率が得られた。
【0171】
実験2-マイケル受容体を含む第1の中間体
実験2は、次の反応体:ペプチド110;KHPO緩衝液pH7.0、100mM;第1の触媒130、特に、リボフラビンテトラブチラート触媒;グリセリン10%v/v;第1の反応体120、特に、メトキシエステル酢酸アリル;DMF;及びHO、トリス-HCl緩衝液pH8.0、20mM、並びに第2の反応体220、特に、エチル3-メルカプトプロピオン酸を使用して実施した。特に、2つの異なるペプチド110:TRAP-6(ペプチド6のトロンビン受容体活性化因子6;CAS141136-83-6)及びACE I(アンジオテンシンI変換酵素阻害物質;CAS58-82-2;NCBI受託番号P0DM76)を実験2に使用した。
【0172】
調製:第1の触媒の保存液を、DMF1mL中2.46mgの溶解時に最初に調製した。第1の触媒保存液をNで10~15分間、別々に脱気した後、これを反応溶液に加えた。また、各ペプチドの保存液を調製し、-20℃で貯蔵した。TRAP-6は、DMF668μL中2.5mg、3.3μmol。ACE Iは、DMF472μL中2.5mg、2.4μmol。第2の反応体の保存液は、DMF1mL中に7.9μL(8.38mg)を溶解することにより調製した。
【0173】
第1の段階-小型の撹拌棒を備えた4mLのバイアルに、KHPO緩衝液40μL(16.0eq.、4.0μmol)をマイクロピペットにより加えた。次いで、10%v/vのHO中のグリセリン溶液200μLを加えた(最終濃度およそ4.5%)。第1の反応体120(0.4μL=395μg、10.0eq.、2.5μmol)を、DMF(30μL)及びmilliQHO(90μL)とともに混合物に加えた。後に、DMF中のペプチド保存液50μL(1.0eq、0.25μmol)を反応バイアル内で混合した。この時点では、反応バイアルをNで10~15分間脱気して、反応結果に干渉し得るOを取り除いた。脱気後、DMF中の第1の触媒保存液40μL(0.6eq.、0.098mg、0.150μmol)をAr流下でバイアル内に加えた。バイアルを閉じる前に、ねじ蓋にArで洗い流して、O夾雑を回避した。次いで、バイアルをパラフィルムで覆い、40Wの青色ledを使用して8時間、第1の放射を提供した。
【0174】
中間段階-8時間の照射後、粗製反応混合物を凍結乾燥させて第1の溶媒を除去した。次いで、残りをmilliQHO 500μL中に溶解し、2mLのエッペンドルフ内に移して、EtOで3回抽出した。
【0175】
第2の段階-(milliQ)HO 500μL中に事前に溶解した粗製反応混合物を、2つの部分に分割した。250μLのそれぞれは、およそ0.125μmolの第1の中間体150を含んだ。一方の部分を凍結乾燥させて、すべてのHOを除去し、新たに調製したトリス-HCl緩衝液90μLを残留物に加えた。最終的には、第2の反応体保存液10μL(5.0eq.、0.625μmol、83.8μg)を溶液に加えて、反応を引き起こした。撹拌開始前に、溶液をArで洗い流して、チア-マイケル付加に干渉し得るOを酸化により除去し、これによりチオールが不活性化されてジスルフィドを形成した。次いで、エッペンチューブ内の溶液を40℃で24時間、撹拌機内に配置した。
【0176】
その後、MALDI-TOF解析により、両方のペプチドにおいて、ペプチド-カーゴコンジュゲートが良好に得られたことが確認された。
【0177】
結論として、低分子アクリル酸リンカーによるC末端光脱炭酸アルキル化が、反応性部分をアミノ酸及び低分子ペプチド配列上に導入するための多目的な方法として示された。実験により、強力な求核試薬様チオールが、どのように関与して第1の中間体によるマイケル付加を受け、部位及び化学特異的修飾が促進され得るかが実証される。
【0178】
実験3-さらなる第1の反応体及び第2の反応体
本発明の方法は、以下の表に要約するように、他の多様な第1及び第2の反応体とともに、さらに適用した。
【0179】
【表1】
【0180】
第1の段階及び第2の段階に関しては、「+/-」は、機能性であるが不十分な結果を示し、「+」は、良好な結果を示し、「++」は、優れた結果を示し、「N.D.」は、未決定を示す。詳細には、実験3.2では、第2の段階は緩徐に進み、実験3.2~3.8の第1の反応体により、広範な種々のC末端残基を有するペプチドとの適合性が実証された。実験3.9~3.11では、C末端残基のサブセットについて優良に実施されたにもかかわらず、実験3.9~3.13では、第1の中間体の安定性は、ペプチドのC末端残基に応じて変動した。
【0181】
「複数」の用語は、2又は3以上を指す。その上、「複数の」及び「多数の」の用語は、互換的に使用し得る。
【0182】
本明細書における「実質的に」又は「本質的に」の用語及び類似の用語は、当業者に理解される。また、「実質的に」又は「本質的に」の用語は、実施形態を「全体的に」、「完全に」、「全て」等により含み得る。したがって、実施形態では、実質的又は本質的な形容詞も除去し得る。適用可能な場合、「実質的に」の用語又は「本質的に」の用語は、100%を含んで90%又はこれ以上、例えば、95%又はこれ以上、特に、99%又はこれ以上、さらにより詳細には、99.5%又はこれ以上にも関連し得る。その上、「約」及び「およそ」の用語も、100%を含んで90%又はこれ以上、例えば、95%又はこれ以上、特に、99%又はこれ以上、さらにより詳細には、99.5%又はこれ以上に関連し得る。数値では、「実質的に」、「本質的に」、「約」及び「およそ」の用語が、90%~110%、例えば、95%~105%、特に、99%~101%の範囲の、これが指す値(複数可)に関連し得ることも理解されるべきである。
【0183】
また、「~を含む(comprise)」の用語は、「~を含む(comprise)」の用語が「~からなる(consist of)」を意味する実施形態を含む。
【0184】
「及び/又は」の用語は、「及び/又は」の前後に言及する項目の1又は2以上に特に関連する。例えば、「項目1及び/又は項目2」の句及び類似の句は、項目1及び項目2の1又は2以上に関連し得る。ある実施形態では、「~を含む(comprising)」の用語は、「~からなる(consisting of)」を指し得るが、別の実施形態では、「少なくとも定義の種及び1又は2以上の他の任意の種を含む(containing)」ことをも指し得る。
【0185】
その上、第1の、第2の、第3の等の用語は、明細書及び特許請求の範囲において、類似の要素を区別するために使用し、連続的又は経時的順序を説明するために必ずしも使用しない。このように使用する用語が、適切な状況下で互換的であり、本明細書に記載する本発明の実施形態が、本明細書に記載又は例示する以外の順番で操作可能であることが理解されるべきである。
【0186】
操作における装置、器具、又は系を、とりわけ本明細書において記載し得る。当業者に明らかであるように、本発明は、操作の方法、又は操作における装置、器具、若しくは系に制限されない。
【0187】
「さらなる実施形態」の用語及び類似の用語は、これまでに考察した実施形態の特徴を含む実施形態を指し得るが、代替の実施形態をも指し得る。
【0188】
上記の実施形態によって本発明を制限ではなく、例示し、当業者が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの代替実施形態を設計可能であることに注意すべきである。
【0189】
特許請求の範囲では、括弧の間に配置する任意の参照記号は、特許請求の範囲の制限として解釈されないものとする。
【0190】
「~を含む(to comprise)」の動詞及びこの活用の使用により、特許請求の範囲に述べるもの以外の要素又はステップの存在は除外されない。文脈上明らかに他に必要としない限り、本記載及び特許請求の範囲にわたって、「~を含む(comprise、comprising、include、including、contain、containing等)」の単語は、排他的又は徹底的意味に対する包括的意味により、すなわち、「~を含むが、これらに制限されない」の意味により解釈されるべきである。
【0191】
要素に先行する「a」又は「an」の冠詞により、このような要素の複数の存在は除外されない。
【0192】
本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェア及び好適にプログラムしたコンピュータによって実行し得る。いくつかの手段を列挙する装置の請求項、又は器具の請求項、又は系の請求項では、このような手段のいくつかは、ハードウェアの全く同一の項目により具体化し得る。相互に異なる従属項において特定の尺度を列挙するという単なる事実は、このような尺度の組合せを都合よく使用することができないことを示すものではない。
【0193】
本発明はまた、装置、器具、若しくは系を制御し得るか又は本明細書に記載の方法若しくはプロセスを実行し得る、制御系を提供する。またさらに、本発明は、装置、器具、若しくは系と機能的に連結するか又はこれらに含まれるコンピュータ上での実行により、このような装置、器具、若しくは系の1又は2以上の制御可能な要素を制御する場合、コンピュータプログラム製品をも提供する。
【0194】
本発明は、本明細書に記載し及び/又は添付の図面に示す、特徴づけられる特徴の1又は2以上を含む、装置、器具、又は系にさらに適用する。本発明は、本明細書に記載し及び/又は添付の図面に示す、特徴づけられる特徴の1又は2以上を含む、方法又はプロセスにさらに関係する。その上、方法又はこの方法の実施形態を装置、器具、又は系において実行するものと記載する場合、装置、器具、又は系が、方法若しくはこの方法の実施形態のそれぞれに適するか又は(これらを実行するように)構成されることが理解される。
【0195】
本特許において考察する種々の態様は、さらなる利点を提供するために組み合わせることが可能である。さらに当業者は、実施形態を組み合わせることが可能であり、2つ以上の実施形態を組み合わせることも可能であることを理解する。その上、特徴の一部により、1又は2以上の分割出願の基礎を形成することが可能である。
図1A
図1B
【配列表】
2024511963000001.app
【国際調査報告】