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特表2024-511990障害の処置用の化合物ならびにその塩および多形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】障害の処置用の化合物ならびにその塩および多形体
(51)【国際特許分類】
   C07C 235/38 20060101AFI20240311BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
C07C235/38 CSP
A61P27/02
A61P27/14
A61P17/00
A61P13/12
A61P11/00
A61P9/00
A61P9/12
A61P9/04
A61P43/00 111
A61K31/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557231
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022020351
(87)【国際公開番号】W WO2022197681
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/162,425
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/316,652
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514221805
【氏名又は名称】オキュルクス プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ダレン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】パパディミトリウ,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ,エリック
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206GA07
4C206GA33
4C206KA01
4C206KA12
4C206KA13
4C206KA16
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA72
4C206MA78
4C206NA10
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZA36
4C206ZA42
4C206ZA59
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZB13
4C206ZC01
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006AB23
4H006AB27
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM71
4H006BR30
4H006BS30
4H006BS70
4H006BV25
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、式(I)の化合物の塩およびその多形体、それを製造する方法、ならびに眼疾患および障害、特には対象における炎症および/または血管増殖と関連付けられる眼疾患および障害の処置におけるそれらの使用方法である。方法は、治療有効量の式(I)の化合物の塩およびその多形形態をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物の医薬的に許容される塩の結晶形態。
【請求項2】
前記医薬的に許容される塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択される、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
前記医薬的に許容される塩が、コリン塩、L-リジン塩、tert-ブチルアミン塩、およびジエタノールアミン塩からなる群から選択される、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
前記医薬的に許容される塩がL-リジン塩である、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記結晶形態が、少なくとも3つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記3つの特徴的なピークが、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、請求項4に記載の結晶形態。
【請求項6】
前記結晶形態が、少なくとも4つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記4つの特徴的なピークが、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、請求項4に記載の結晶形態。
【請求項7】
前記結晶形態が、少なくとも5つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記5つの特徴的なピークが、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、請求項4に記載の結晶形態。
【請求項8】
図1において描写されているX線粉末回折パターンを呈する、請求項4に記載の結晶形態。
【請求項9】
約197~203℃の融点を有する、請求項4~8のいずれか1項に記載の結晶形態。
【請求項10】
前記医薬的に許容される塩がtert-ブチルアミン塩である、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項11】
前記結晶形態が、少なくとも3つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記3つの特徴的なピークが、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、請求項10に記載の結晶形態。
【請求項12】
前記結晶形態が、少なくとも4つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記4つの特徴的なピークが、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、請求項10に記載の結晶形態。
【請求項13】
前記結晶形態が、少なくとも5つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記5つの特徴的なピークが、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、請求項10に記載の結晶形態。
【請求項14】
図3において描写されているX線粉末回折パターンを呈する、請求項10に記載の結晶形態。
【請求項15】
約196~224℃の融点を有する、請求項10~14のいずれか1項に記載の結晶形態。
【請求項16】
請求項1~16のいずれか1項に記載の結晶形態および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
式(I):
【化2】

の化合物のL-リジン塩。
【請求項18】
式(I):
【化3】

の化合物のtert-ブチルアミン塩。
【請求項19】
対象に治療有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の結晶形態を投与することを含む、眼疾患を処置する方法。
【請求項20】
前記眼疾患が、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症 角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症ならびに目のフォンヒッペル-リンドウ病を含む群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象に治療有効量の請求項1~15のいずれか1項に記載の結晶形態または請求項16に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;前記対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および前記対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させる方法。
【請求項22】
対象に治療有効量の請求項1~15のいずれか1項に記載の結晶形態または請求項16に記載の医薬組成物を投与することを含む、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置する方法。
【請求項23】
線維症と関連付けられる前記疾患または障害が、線維性皮膚障害、肺疾患、心臓疾患、および腎臓疾患からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記線維性皮膚障害が、ケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記肺疾患が肺線維症である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記心臓疾患が、虚血性心臓疾患に起因する心不全、糖尿病性心臓疾患、心臓弁膜症、高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症、および高血圧からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記腎臓疾患が、進行性糸球体腎臓疾患および糖尿病性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記進行性腎臓疾患が原発性糸球体腎炎または二次性糸球体腎炎である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記原発性糸球体腎炎が、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、および膜性限局性分節性糸球体硬化症からなる群から選
択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記二次性糸球体腎炎が糖尿病性腎症または虚血性腎症である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記腎臓疾患が、尿細管間質を主な起源とする進行性腎臓疾患である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記腎臓疾患が、間質性腎炎、常染色体優性尿細管間質性線維症、または逆流性腎症である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記結晶形態または組成物が経口的に投与される、請求項19~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記結晶形態または組成物が目に投与される、請求項19~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
対象に治療有効量の請求項17および18のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、眼疾患を処置する方法。
【請求項36】
前記眼疾患が、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症 角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症ならびに目のフォンヒッペル-リンドウ病を含む群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
対象に治療有効量の請求項17または18に記載の化合物を投与することを含む、前記対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;前記対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および前記対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させる方法。
【請求項38】
対象に治療有効量の請求項17または18に記載の化合物を投与することを含む、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置する方法。
【請求項39】
線維症と関連付けられる前記疾患または障害が、線維性皮膚障害、肺疾患、心臓疾患、および腎臓疾患からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記線維性皮膚障害が、ケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記肺疾患が肺線維症である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記心臓疾患が、虚血性心臓疾患に起因する心不全、糖尿病性心臓疾患、心臓弁膜症、高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症、および高血圧からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記腎臓疾患が、進行性糸球体腎臓疾患および糖尿病性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記進行性糸球体腎臓疾患が原発性糸球体腎炎または二次性糸球体腎炎である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記原発性糸球体腎炎が、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、および膜性限局性分節性糸球体硬化症からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記二次性糸球体腎炎が糖尿病性腎症または虚血性腎症である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記腎臓疾患が、尿細管間質を主な起源とする進行性腎臓疾患である、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記腎臓疾患が、間質性腎炎、常染色体優性尿細管間質性線維症、または逆流性腎症である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が経口的に投与される、請求項35~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物が目に投与される、請求項35~48のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
開示の分野
本出願は、医薬品化学、製剤科学、および薬の分野に関する。特に、本出願は、式(I)の化合物の塩形態、その多形体、ならびに眼疾患および障害、特には炎症および/または血管増殖と関連付けられる眼疾患および障害を処置するためにそのような塩形態および多形体を製造および使用する方法に関する。本開示はまた、線維症と関連付けられる疾患または障害の処置のために本明細書に記載される塩形態を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
炎症および/または血管増殖を伴う眼疾患は、常にではないが通常は、前眼部および後眼部に関する。例えば、炎症および/または血管増殖に病因を有する眼障害は、角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、微小生物(microbes)または微生物(microorganisms)、例えば細菌、ウイルス、真菌、アメーバおよび寄生生物による感染症により引き起こされる角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症(DR)、加齢黄斑変性症(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)、網膜中の細血管増殖により特徴付けられる目のフォンヒッペル-リンドウ病、ならびに増殖性硝子体網膜症(PVR)であり得る。
【0003】
上記の眼疾患のうちの1つ、DRは、糖尿病の一般的な合併症であり、依然として視力低下の主な原因の1つとなっている。非特許文献4;非特許文献5を参照。DRにおける視力低下は、網膜微小血管系(周細胞および内皮細胞)に対する緩慢性および進行性の変化により発症し、血液網膜関門の破壊、病的な血管新生および瘢痕化に繋がる。血管異常の程度に基づいて、DRは、非増殖性DR(NPDR)および増殖性DR(PDR)に大まかにカテゴライズされ得る。非特許文献6を参照。NPDRの場合、高血糖症が、毛細血管基底膜の肥厚、周細胞のアポトーシスまたは「ドロップアウト」、毛細血管瘤および血管漏出を誘導する。網膜毛細血管の閉塞は、局在化された低酸素を引き起こし、これは血管新生増殖因子の産生を増加させる。一部の微小血管中で、内皮細胞はアポトーシス性となり、無細胞毛細血管(周細胞および内皮細胞の両方を欠いている)、毛細血管閉鎖および網膜非灌流の区画を結果としてもたらす。接着性白血球もまた、網膜毛細血管閉塞を引き起こすことにより病変に寄与し得る。非特許文献7を参照。多発性出血、軟性白斑、綿花状白斑、網膜内微小血管異常ならびに静脈ビーズ状変性(venous beading)およびループが発症する。組織非灌流の区画の増加は、血管の増殖に繋がる血管新生因子の産生を刺激し、血管の増殖はPDRのホールマークとなる特色である。網膜血管新生には、線維血管隆起を結果としてもたらす線維症が付随することがあり、線維血管隆起は硝子体腔中または網膜の表面上に広がる。線維血管隆起の収縮は、網膜剥離ならびに視力低下および失明を引き起こす。非特許文献8を参照。
【0004】
DRの病理発生は完全には理解されていない。しかしながら、代謝的および生化学的変化、例えばポリオール経路を通じたグルコースのフラックスの増加、プロテインキナーゼCの活性化、酸化的損傷および終末糖化産物形成の増加は、DRの発症における寄与因子である。非特許文献4を参照。血管内皮増殖因子(VEGF)はDRにおける血管新生において不可欠な役割を果たし(非特許文献9を参照)、細胞間接着分子(ICAM-1)媒介性白血球増加症は二次的な内皮損傷を結果としてもたらすことを蓄積する証拠は指し示している。非特許文献10;非特許文献11を参照。最近、DRは慢性炎症性疾患とし
ても認識されている。非特許文献12;非特許文献7を参照。この概念と共に、抗炎症療法は、DRの古典的な組織病理学的特色:無細胞毛細血管の形成、網膜出血の発症、毛細血管瘤の進行、および周細胞の喪失を予防することを研究は実証した。非特許文献12;非特許文献13を参照。
【0005】
現行のDRはレーザー光凝固術により処置され、これは新生性血管および周囲の低酸素性組織を破壊する手順である。非特許文献14を参照。レーザー光凝固術は有益であるが、健常な網膜を破壊することがあり、また集中的な処置にもかかわらず疾患は継続する。したがって、より低い侵襲性の療法が調べられており、傷害性分子、例えばVEGFおよびICAM-1の阻害に特に焦点が当てられている。非特許文献15;非特許文献9;非特許文献11を参照。炎症および/または血管増殖と関連付けられる眼疾患、例えば糖尿病性網膜症の他に、角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、微小生物または微生物、例えば細菌、ウイルス、真菌、アメーバおよび寄生生物による感染症により引き起こされる角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症ならびに目のフォンヒッペル-リンドウ病を処置するためのさらなる療法に対する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,522,811号明細書
【特許文献2】米国特許第6,596,298号明細書
【特許文献3】米国特許第7,067,116号明細書
【特許文献4】米国特許第7,182,964号明細書
【特許文献5】米国特許第7,241,411号明細書
【特許文献6】米国特許第4,328,245号明細書
【特許文献7】米国特許第4,409,239号明細書
【特許文献8】米国特許第4,410,545号明細書
【特許文献9】米国再発行特許第28,819号明細書
【特許文献10】米国特許第4,358,603号明細書
【特許文献11】米国特許第3,710,795号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kim et al.2001
【非特許文献2】A.M.Joussen et al.2004
【非特許文献3】S.C.Pflugfelder 2004
【非特許文献4】Cheung et al.2005
【非特許文献5】Santos et al.2005
【非特許文献6】Klein et al.2004
【非特許文献7】Joussen, et al.2004
【非特許文献8】Watkins 2003
【非特許文献9】Sarlos,et al.2003
【非特許文献10】Joussen, et al. 2002
【非特許文献11】Khalfaoui,et al.2009
【非特許文献12】Adamis 2002
【非特許文献13】Joussen,Poulaki et al.2002
【非特許文献14】Aiello 2003
【非特許文献15】Arita, et al.
【非特許文献16】Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.1995
【非特許文献17】Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,4th Edition(1985),126
【非特許文献18】Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,15th edition(1975)
【発明の概要】
【0008】
1つの態様において、本出願は、その結晶形態を含む、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩に方向付けられている。
【0009】
【化1】
【0010】
本開示のこの態様の一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩であってもよい。
【0011】
本開示の第1の態様の一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のコリン塩、L-リジン塩、tert-ブチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、またはメグルミン塩であってもよい。
【0012】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態であってもよい。この形態は、少なくとも3つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈してもよく、3つの特徴的なピークは、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される。
【0013】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態であってもよい。この形態は、少なくとも4つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈してもよく、4つの特徴的なピークは、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される。
【0014】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態であってもよい。この形態は、少なくとも5つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈してもよく、5つの特徴的なピークは、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態において、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態は、図1において描写されているX線粉末回折パターンを呈してもよい。
【0016】
本開示のこの態様の一部の実施形態において、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態は約197~203℃の融点を呈する。
【0017】
本開示のこの態様の一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態であってもよい。この形態は、少なくとも3つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈してもよく、3つの特徴的なピークは、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される。
【0018】
本開示の第1の態様の一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態であってもよい。この形態は、少なくとも4つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈してもよく、4つの特徴的なピークは、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される。
【0019】
本開示の第1の態様の一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態であってもよい。この形態は、少なくとも5つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈してもよく、5つの特徴的なピークは、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される。
【0020】
一部の実施形態において、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態は、図3において描写されているX線粉末回折パターンを呈してもよい。
【0021】
一部の実施形態において、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態は約196~224℃の融点を呈する。
【0022】
一部の実施形態において、上記に列記される式(I)の化合物の医薬的に許容される塩のいずれか1つおよびその結晶形態ならびに医薬的に許容される賦形剤。
【0023】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は式(I)の化合物のL-リジン塩である。他の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩である。
【0024】
本開示のこの態様の一部の実施形態において、本明細書において開示されるのは、対象に治療有効量の式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態を投与することを含む、眼疾患を処置する方法である。
【0025】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるのは、対象に治療有効量の本明細書に開示される式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態を投与すること
を含む、眼疾患を処置する方法であり、眼疾患は、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症
角膜浮腫(proliferative vitreoretinopathy corneal edema)、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症、または目のフォンヒッペル-リンドウ病であってもよい。
【0026】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるのは、対象に治療有効量の本明細書に開示される式(I)の化合物の塩のいずれか1つおよびその結晶形態、または本明細書に開示される式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態を含む医薬組成物を投与する、対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させる方法である。
【0027】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるのは、対象に治療有効量の本明細書に開示される式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態を投与することを含む、線維性皮膚障害、例えばケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症;肺疾患、例えば肺線維症;心臓疾患、例えば虚血性心臓疾患に起因する心不全、心臓弁膜症および高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症および高血圧;ならびに腎臓疾患、例えば、糸球体腎炎および糖尿病性腎症および肝臓の硬変に起因する、進行性腎臓疾患から選択される疾患を含むがそれに限定されない、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置する方法である。一部の実施形態において、疾患または状態は糖尿病性心臓疾患または糖尿病性腎臓疾患である。一部の実施形態において、疾患または状態は糖尿病性心筋症である。一部の実施形態において、腎臓疾患は、限定なく、糖尿病性腎症(例えば、I型もしくはIl型糖尿病もしくは全身性ループスの帰結であるもの)、原発性糸球体腎炎(例えば、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、膜性限局性分節性糸球体硬化症(membranous focal segmental glomerulosclerosis))または二次性糸球体腎炎(例えば、糖尿病性腎症、虚血性腎症)を含む進行性糸球体腎臓疾患を含み得る。一部の実施形態において(In some embo)
【0028】
本開示の第2の態様の一部の実施形態において、本明細書に開示される式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態が経口的に投与される、上記に列記される方法のいずれか1つ。
【0029】
本開示の第2の態様の一部の実施形態において、本明細書に開示される式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態、またはそれを含む組成物が目に投与される、上記に列記される方法のいずれか1つ。
【0030】
一部の実施形態において、対象に治療有効量の式(I)の化合物のL-リジン塩およびその結晶形態ならびに/もしくは式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩およびその結晶形態のいずれか1つ;またはその組合せを投与することを含む、眼疾患を処置する方法。
【0031】
本開示の第2の態様の一部の実施形態において、対象に治療有効量の式(I)の化合物のL-リジン塩およびその多形体ならびに式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩およびその多形体のいずれか1つを投与することを含む、眼疾患を処置する方法であり、眼疾患は、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症 角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症または目のフォンヒッペル-リンドウ病であってもよい。
【0032】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるのは、対象に治療有効量の式(I)の化合物のL-リジン塩のいずれか1つおよびその結晶形態;または治療有効量の式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩のいずれか1つおよびその結晶形態を投与することを含む、対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させる方法である。
【0033】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるのは、対象に治療有効量の式(I)の化合物のL-リジン塩のいずれか1つおよびその結晶形態;または治療有効量の式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩のいずれか1つおよびその結晶形態を投与することを含む、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置する方法である。一部の実施形態において、線維性疾患または障害は、例えば、ケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症から選択される線維性皮膚障害であってもよい。一部の実施形態において、線維症と関連付けられる疾患または障害は肺線維症であってもよい。一部の実施形態において、線維症と関連付けられる疾患または障害は心臓疾患であってもよい。一部の実施形態において、心臓疾患は、虚血性心臓疾患に起因する心不全、心臓弁膜症および高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症および高血圧であってもよい。一部の実施形態において、線維症と関連付けられる疾患または障害は心臓疾患であってもよい。一部の実施形態において、腎臓疾患は、糸球体腎炎および糖尿病性腎症および肝臓の硬変に起因する進行性腎臓疾患であってもよい。一部の実施形態において、腎臓疾患は、進行性糸球体腎臓疾患、糖尿病性腎症、原発性糸球体腎炎または二次性糸球体腎炎であってもよい。一部の実施形態において、原発性糸球体腎炎は、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、または膜性限局性分節性糸球体硬化症であってもよい。一部の実施形態において、二次性糸球体腎炎は糖尿病性腎症または虚血性腎症であってもよい。一部の実施形態において、腎臓疾患は、尿細管間質を主な起源とする進行性腎臓疾患を含んでもよい。一部の特有の実施形態において、腎臓疾患は、慢性間質性腎炎、常染色体優性尿細管間質性線維症、または逆流性腎症であってもよい。
【0034】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態は経口的に投与されてもよい。
【0035】
他の実施形態において、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態は目に投与されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態のX線粉末回折パターンの例を描写する。
図2図2は、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態についての示差熱分析および熱重量分析オーバーレイの例を描写する。
図3図3は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IのX線粉末回折パターンの例を描写する。
図4図4は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態Iについての示差熱分析および熱重量分析オーバーレイの例を描写する。
図5図5は、式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態についての動的蒸気収着結果の例を描写する。
図6図6は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態についての動的蒸気収着結果の例を描写する。
図7図7は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IIのX線粉末回折パターンの例を描写する。
図8図8は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IIIのX線粉末回折パターンの例を描写する。
図9図9は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IIIについての示差走査熱量測定(DSC)データの例を描写する。
図10図10は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IVのX線粉末回折パターンの例を描写する。
図11図11は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IVについての示差走査熱量測定(DSC)データの例を描写する。
図12図12は、絶食状態模擬腸液(Fasted Stated Simulated Intestinal Fluid;FaSSIF)培地中の式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態および式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態の溶解プロファイルの例を描写する。
図13図13は、リン酸緩衝食塩水(PBS)培地中の式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態および式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態の溶解プロファイルの例を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義
本明細書において、当業者に周知の多数の用語が使用される。それにもかかわらず、明確性の目的のため、多数の用語が定義される。
【0038】
用語「医薬的に許容される塩」は、本明細書において使用される場合、式(I)の化合物の所望される生物学的活性を保持する塩を指す。好適な式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその多形体は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛から作られる金属塩、ならびに有機塩基、例えばコリン、ジエタノールアミン、またはモルホリンから作られる有機塩を含む。有機塩の他の例は、アンモニウム塩、例えばtert-ブチルアミンおよびジエタノールアミン;四級塩、例えばテトラメチルアンモニウム塩およびコリン塩;アミノ酸付加塩、例えばグリシン、アルギニン、およびL-リジンとの塩である。医薬的に許容される塩に関する追加の情報は、非特許文献16において見出され得る。固体である剤の場合、開示される式(I)の化合物、剤および塩は、異なる結晶または多型形態において存在してもよいことが当業者により理解され、そのすべては本開示および指定される式の範囲内であることが意図される。
【0039】
用語「処置すること」、「処置する」、または「処置」は、本明細書において使用される場合、記載される状態が確立されてからの該状態の寛解または排除を一般に指す。用語「予防」は、本明細書において使用される場合、記載される状態もしくは該状態に繋がり得るプロセスの開始を予防するため(「一次」予防)、または状態の症状の再発を予防するための処置を一般に指す。
【0040】
用語「対象」は、本明細書において使用される場合、任意の温血動物、例えば、以下に限定されないが、マウス、モルモット、イヌ、ウマ、またはヒトを一般に指す。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0041】
用語「治療有効量」または「有効量」は、本明細書において使用される場合、有益なまたは所望される臨床結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1つ以上の投与において投与され得る。有効量は、典型的には、疾患状態を和らげるか、寛解させるか、安定化させるか、逆転させるか、その進行を緩慢化させるかまたは遅延させるために十分である。
【0042】
用語「医薬的に許容される」は、本明細書において使用される場合、製剤を含む他の成分、および/または処置されている対象と化学的におよび/または毒物学的に適合性である物質または組成物を一般に指す。
【0043】
用語「好適な溶媒」は、本明細書において使用される場合、単一の溶媒の他に、溶媒の混合物を一般に指す。溶媒は、所与の反応ステップのために適切なように、例えば、非プロトン性極性溶媒、例えばDMF、DMA、DMSO、ジメチルプロピレン尿素、N-メチルピロリドン(NMP)、およびヘキサメチルリン酸トリアミド;エーテル溶媒、例えばジエチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン、メチルt-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、およびエチレングリコールジメチルエーテル;アルコール溶媒、例えばMeOH、EtOH、およびイソプロパノール;ならびにハロゲン含有溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、および1,2-ジクロロエタンから選択されてもよい。溶媒の混合物はまた、二相混合物を含んでもよい。
【0044】
一般的概要
本明細書に開示されるのは、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその結晶形態である。式(I)の化合物は以下に示される:
【0045】
【化2】
【0046】
一部の実施形態は、式(I)の化合物の塩およびその結晶形態を含み、許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、コリン塩、L-リジン塩、tert-ブチルアミン塩、およびジエタノールアミン塩であってもよいが、それに限定されない。
【0047】
式(I)の他の塩形態は、本明細書に記載されるL-リジン塩およびその結晶形態ならびにtert-ブチルアミン塩およびその結晶形態を含む。
【0048】
本出願はまた、特には患者に治療有効量の式(I)の化合物の1つ以上の塩形態および1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む組成物を投与することにより疾患および障害を処置するための、式(I)の化合物の様々な塩およびその多形体を使用する方法に関する。
【0049】
本出願はまた、式(I)の化合物の様々な塩形態およびその結晶形態を結晶化させる方法に関する。塩形態は、有利には、向上した溶解性、バイオアベイラビリティ、安定性、加工性および生産の容易性を呈する。結果として、式(I)の化合物の塩形態およびその結晶形態は、式(I)の化合物の遊離酸形態と比較して長期安定性、水蒸気の低い吸着および脱着、ならびに優れた溶解特性を提供する。
【0050】
式(I)の化合物の塩および塩の結晶形態
本明細書に開示されるのは、式(I)の化合物の塩およびその結晶形態である。
【0051】
一部の実施形態は、式(I)の化合物の塩およびその多形体を含み、許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩であってもよいが、それに限定されない。
【0052】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のナトリウム塩およびその結晶形態を含む。
【0053】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のカリウム塩およびその結晶形態を含む。
【0054】
一部の実施形態は、式(I)の化合物の亜鉛塩およびその結晶形態を含む。
【0055】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のマグネシウム塩およびその結晶形態を含む。
【0056】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のカルシウム塩およびその結晶形態を含む。
【0057】
一部の実施形態は、式(I)の化合物の塩を含み、許容される塩は、コリン塩、L-リジン塩、tert-ブチルアミン塩、またはジエタノールアミン塩であってもよいが、それに限定されない。
【0058】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のコリン塩およびその結晶形態を含む。
【0059】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のL-リジン塩およびその結晶形態を含む。
【0060】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩およびその結晶形態を含む。
【0061】
一部の実施形態は、式(I)の化合物のジエタノールアミン塩およびその結晶形態を含む。
【0062】
式(I)の化合物の結晶形態
本明細書に開示されるのは、式(I)の化合物の塩およびその結晶形態である。他に記載されなければ、本明細書において提供されるX線粉末回折データは、Cu Kα放射線供給源を使用して決定された。
【0063】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の塩の結晶形態は溶媒和されていてもよい。一部の実施形態において、式(I)の化合物の塩の結晶形態は水和物であってもよい。一部の実施形態において、式(I)の化合物の塩の結晶形態は溶媒和されていなくてもよい。
【0064】
式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態(「結晶塩A」)
一部の実施形態は、式(I)の化合物の非溶媒和L-リジン塩形態を含み、これは任意選択的に本明細書において結晶塩Aとして参照される。結晶塩Aを形成させるための精密な条件は経験的に決定されてもよいが、本明細書に開示される例示的な方法は、結晶塩Aを形成させるために、実施上、好適であることが見出されている。
【0065】
結晶塩Aは、本明細書において、実験方法のセクションにおいてさらに詳細に記載される様々な技術を使用して特徴付けられる。図1は、結晶塩AについてのX線粉末回折(XRPD)パターンの例を描写する。図1に示されるように、本明細書に開示される方法により得られ得る結晶塩Aは、約4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24
.42、25.30、25.81、26.00度の2θにおいて顕著なピークを呈する。そのため、一部の実施形態において、式(I)の化合物の結晶形態は、約4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θから選択される少なくとも1つの特徴的なピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11個の特徴的なピーク)を有する。一部の実施形態において、式(I)の化合物の結晶形態は、約4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θから選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。
【0066】
当業者により理解されるように、X線回折パターンが異なる機器において測定される場合の実験的ばらつきのため、ピーク位置は、2シータ(2θ)値がある特定の程度のばらつき内で合致している場合に等しいと考えられる。例えば、10個の最も強い回折ピークの角度設定が参照材料の場合と±0.2度以内で合致しており、およびピークの相対強度が20%より大きく変動しない場合に、同一性が確認されると米国薬局方は記載している。よって、一部の実施形態において、本明細書において記載されるピーク位置は、±0.5度の2θ以内のばらつきを含む。他の実施形態において、本明細書において記載されるピーク位置は、±0.2度の2θ以内のばらつきを含む。本明細書に開示されるように、用語「約」は、2θの値を指す場合、±0.5度の2θとして定義される。
【0067】
図2は、結晶塩Aについての示差熱分析(DTA)および熱重量分析(TG)オーバーレイの例を描写する。1つの事例において、結晶塩Aは、25℃~300℃で実行された場合に2.3%の重量損失を呈した。DTA分析は、結晶塩Aについて約197~203℃の融解範囲を指し示す。
【0068】
図5は、結晶塩Aについての動的蒸気収着(DVS)分析の例を描写し、90%の相対湿度(RH)において4.2重量%の質量増加(1.3当量の水)を示す。
【0069】
結晶塩Aは、したがって、広範囲の湿度にかけて安定であるとして特徴付けられてもよい。結晶塩Aはまた良好な結晶化度を示し、融点は相対的に高く(約200℃)、および結晶塩Aは水和物形成のいかなる証拠も示さない。
【0070】
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態(「結晶塩B」)
一部の実施形態は、式(I)の化合物の非溶媒和tert-ブチルアミン塩を含み、これは本明細書において結晶塩Bとして参照される。結晶塩Bを形成させるための精密な条件は経験的に決定されてもよく、実施上好適であることが見出された多数の方法を与えることのみ可能である。
【0071】
結晶塩Bは、実験方法のセクションにおいてさらに詳細に記載される様々な技術を使用して特徴付けられた。図3は、結晶塩Bの形態Iの塩構造についてのX線粉末回折(XRPD)パターンの例を描写する。本明細書に開示される方法により得られ得る結晶塩Bは、約13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θにおいて顕著なピークを呈する。そのため、一部の実施形態において、式(I)の化合物の結晶形態は、約13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θから選択される少なくとも1つの特徴的なピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11個の特徴的なピーク)を有する。一部の実施形態において、式(I)の
化合物の結晶形態は、約13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θから選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。
【0072】
図4は、結晶塩Bの形態Iについての示差熱分析(DTA)および熱重量分析(TG)オーバーレイの例を描写する。1つの事例において、結晶塩Bは、熱分解の開始後まで有意な質量損失を呈さなかった。DTA分析は、結晶塩Bについて約196~224℃の融点範囲を指し示す。
【0073】
図6は、結晶塩Bの形態Iについての動的蒸気収着(DVS)分析の例を描写し、90%のRHにおけるごくわずかな水吸収を示す。
【0074】
結晶塩Bの形態Iは、したがって、広範囲の湿度にかけて非吸湿性および安定であるとして特徴付けられてもよい。結晶塩Bはまた良好な結晶化度を示し、融点は相対的に高く(約210℃)、結晶塩Bは水和物形成のいかなる証拠も示さない。
【0075】
式(I)の結晶形態を製造する方法
例えばL-リジン塩形態を含む、式(I)の化合物の塩形態は、以下に概説される手順により調製されてもよい。式(I)の化合物を、最小量の2-プロパノール、アセトニトリル、エタノール、酢酸エチル、メタノールおよび酢酸イソプロピルから選択される溶媒に溶解させる。L-リジン(1.05当量)を次に加え、試料温度を長期の持続期間、例えば72時間にわたる、固定時間サイクル、例えば、4時間サイクルにおいて、周囲温度と上昇温度、例えば、40℃との間でサイクルさせる。そのような時間の後に、ヘプタンまたはトルエンのリストから選択される貧溶媒を混合物に加え、試料を2~8℃で貯蔵して沈殿を促進する。式(I)の化合物のL-リジン塩は、特にメタノール/トルエンからなる溶媒混合物から、遠心分離濾過を介して結晶性材料として単離されてもよい。結晶性材料が得られない場合、溶媒を周囲条件下で蒸発させる。この時点において、式(I)の化合物の塩形態、例えばL-リジン塩形態は、特に2-プロパノール/ヘプタン、アセトニトリル/トルエン、およびエタノール/ヘプタンからなる溶媒混合物から、結晶性材料として得られ得る。観察された固体を、長期間、例えば、6時間にわたり、上昇温度、例えば、40℃において、真空下で乾燥させた。
【0076】
例えば式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩を含む、式(I)の化合物の代替的な塩形態は、以下に概説される手順により調製されてもよい。式(I)の化合物を、最小量の2-プロパノール、アセトニトリル、エタノール、酢酸エチル、メタノールおよび酢酸イソプロピルから選択される溶媒に溶解させる。tert-ブチルアミンを次に加え、試料温度を長期の持続期間、例えば72時間にわたり、固定時間サイクル、例えば4時間サイクルにおいて、周囲温度と上昇温度、例えば、40℃との間でサイクルさせる。そのような時間の後に、式(I)の化合物の塩形態、例えばtert-ブチルアミン塩形態は、特には2-プロパノール、アセトニトリル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルのリストから選択される溶媒を使用する場合に、濾過により結晶性材料として得られ得る。結晶性材料が得られない場合、ヘプタンまたはトルエンのリストから選択される貧溶媒を混合物に加え、溶媒を周囲条件下で蒸発させる。この時間の後に、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩は結晶性材料として得られ得る。観察される固体を長期の持続期間、例えば6時間にわたり、上昇温度、例えば、40℃において、真空下で乾燥させる。式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の他の結晶形態、例えば形態II、形態III、および形態IVは、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIPA)を溶媒として使用することにより調製されてもよい。
【0077】
式(I)の化合物の塩の様々な結晶形態を調製する非限定的な例は実施例において提供される。
【0078】
医薬組成物の製剤
式(I)の化合物の塩およびその結晶形態(例えば、本明細書に開示されている結晶塩A、結晶塩B)は、他の治療剤との組合せとしてまたは医薬組成物中で提供され得る。本明細書において提供される医薬組成物は、治療有効量の式(I)の化合物の塩形態およびその結晶形態を含む。
【0079】
本明細書において提供される組成物は、本明細書において提供される式(I)の化合物の1つ以上の塩形態およびその結晶形態を、単独でまたは組合せでまたは混合状態で含んでもよい。組成物は、好適な医薬調製物、例えば溶液、懸濁液、錠剤、分散錠、丸剤、カプセル、粉末、経口投与用のまたは非経口投与用の無菌溶液もしくは懸濁液中の、持続放出製剤またはエリキシルの他に、経皮パッチ調製物および乾燥粉末吸入剤に製剤化される。典型的には、上記される化合物は、当技術分野において周知の技術および手順を使用して医薬組成物に製剤化される(例えば、非特許文献17を参照)。
【0080】
一部の実施形態において、式(I)の化合物の塩およびその結晶形態を含む組成物は、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態を含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩およびその結晶形態の総量は、少なくとも約50%の重量の式(I)の化合物の塩形態を含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩およびその結晶形態の総量は、少なくとも約80%の重量の式(I)の化合物の塩形態を含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩および結晶形態の総量は、少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の重量の式(I)の化合物の塩形態を含んでもよい。
【0081】
一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約50%の重量の結晶塩Aを含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約80%の重量の結晶塩Aを含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約95%の重量の結晶塩Aを含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約96%、97%、98%、または99%の重量の結晶塩Aを含んでもよい。
【0082】
一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約50%の重量の結晶塩Bを含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約80%の重量の結晶塩Bを含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約95%の重量の結晶塩Bを含んでもよい。一部の実施形態において、組成物中の式(I)の化合物の塩の総量は、少なくとも約96%、97%、98%、または99%の重量の結晶塩Bを含んでもよい。
【0083】
組成物は、一部の実施形態において、結晶塩Aを含む。例えば、組成物中の式(I)の化合物の塩およびその多形体の総量は、少なくとも約20%;少なくとも約50%;少なくとも約90%;少なくとも約95%;または少なくとも約99%の結晶塩Aを含んでもよい。同様に、組成物はまた、例えば、結晶塩Bを含んでもよい。組成物中の式(I)の化合物の塩およびその多形体の総量の量は、少なくとも約20%;少なくとも約50%;少なくとも約90%;少なくとも約95%;または少なくとも約96%、97%、98%、または99%の結晶塩Bを含んでもよい。
【0084】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその多形体を含む医薬組成物は、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、研和(levigating)、乳化、被包、封入または錠剤化加工を含むが、それに限定されない、公知の技術を使用して調製される。
【0085】
組成物において、有効濃度の本明細書に記載される式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態は、好適な医薬的担体または媒体と混合される。組成物中の化合物の濃度は、投与において、本明細書に記載されるものを含む、線維性疾患または障害の症状の1つ以上を処置するか、予防するか、または寛解させる量の送達のために有効なものである。
【0086】
典型的には、組成物は、単一投薬量投与のために製剤化される。組成物を製剤化するために、重量比率の塩およびその結晶形態は、処置される状態が緩和または寛解されるような有効濃度において、選択された媒体中に溶解、懸濁、分散または他に混合される。本明細書において提供される化合物の投与のために好適な医薬的担体または媒体は、特定の投与のモードのために好適であることが当業者に公知であるような任意の担体を含む。
【0087】
追加的に、塩およびその多形体は、組成物中の単独の医薬的に活性な成分として製剤化され得るか、または他の活性成分と組み合わせられ得る。組織標的化リポソーム、例えば腫瘍標的化リポソームを含む、リポソーム懸濁液もまた、医薬的に許容される担体として好適であり得る。これらは、当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。例えば、リポソーム製剤は、特許文献1に記載されるように調製され得る。簡潔に述べれば、リポソーム、例えばマルチラメラ小胞(MLV)は、フラスコの内側で卵ホスファチジルコリンおよび脳ホスファチジルセリン(7:3のモル比)を乾燥させることにより形成され得る。二価陽イオンを欠いたリン酸緩衝食塩水(PBS)中の本明細書において提供される化合物の溶液を加え、脂質膜が分散されるまでフラスコを振盪する。結果としてもたらされる小胞を洗浄して、被包されていない化合物を除去し、遠心分離によりペレット化し、次にPBS中に再懸濁する。
【0088】
本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態は、処置される対象において望ましくない副作用なしで治療的に有用な効果を発揮するために十分な量で医薬的に許容される担体中に含まれる。
【0089】
医薬組成物中の本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態の濃度は、化合物の吸収、不活性化および排出速度、化合物の物理化学的特徴、投薬スケジュール、ならびに投与される量の他に、当業者に公知の他の要因に依存する。例えば、送達される量は、本明細書に記載されるものを含む、線維性疾患または障害の症状の1つ以上を寛解させるために十分なものである。
【0090】
本明細書において提供される塩またはその結晶形態の有効量は、当業者により決定可能であり、哺乳動物について1日当たりで体重1kg当たり約0.05~100mgの活性化合物の例示的な投薬量を含み、これは、単回用量で、または、例えば1日当たりで1~4回の、個々の分割された用量の形態において投与され得る。任意の特定の対象のための投薬の特有の用量レベルおよび頻度は変動可能であり、用いられる特有の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、対象の種、年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事、投与のモードおよび時間、排出の速度、薬物の組合せ、ならびに特定の状態の重症度を含む、様々な要因に依存することが理解されるであろう。一部の実施形態において、本明細書において提供される式(I)の化合物の塩およびその結晶形態の1日当たりの投薬量は、成人ヒト1日当たりで約0.01mgまたは0.01mgから約1000mgまたは1000mgまでの広い範囲にかけて変動し得る。例えば、投薬量は、1日
当たりで約0.1mgまたは0.1mgから約200mgまたは200mgまでの範囲に及び得る。一部の実施形態において、投薬量は、1日当たりで0.2mg~20mgの範囲に及び得る。一部の実施形態において、投薬量は、1日当たりで0.5mg~10mgの範囲に及び得る。小さい用量(1日当たりで0.01~1mg/kg)が最初に投与され、続いて1日当たりで約1000mg/kgまで用量を増加させてもよい。対象における応答がそのような用量で不十分である場合、よりいっそう高い用量(または異なるより局在化された送達経路による有効なより高い用量)が、患者忍容性が許容する程度まで用いられてもよい。より好ましい投薬量は、1日当たりで体重1キログラム当たり0.1~300mg、より好ましくは1日当たりで体重1キログラム当たり0.1~100mgの範囲内である。好適な用量は、1日当たりで複数の部分用量で投与され得る。一部の実施形態において、1日当たりの投薬量は、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、5mg、5.25mg、5.5mg、5.75mg、6mg、6.25mg、6.5mg、6.75mg、7mg、7.25mg、7.5mg、7.75mg、8mg、8.25mg、8.5mg、8.75mg、9mg、9.25mg、9.5mg、9.75mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mgであることができる。経口投与のために、組成物は、処置される対象に対する投薬量の症候による調整のために約0.01mgまたは0.01mgから約1000mgまたは1000mgまで、例えば、0.01、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、180、190、200、225、250、300、400、500、750、800、850、900、950および1000ミリグラムなどの活性成分を含む単位投薬量の形態、例えば錠剤またはカプセルまたは液体の形態において提供され得る。一部の実施形態において、組成物は、処置される対象に対する投薬量の症候による調整のために約0.01μgまたは0.01μgから約1000μgまたは1000μgまで、例えば、0.01、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、180、190、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950および1000マイクログラムなどの活性成分を含む単位投薬量の形態、例えば錠剤またはカプセルまたは液体の形態において提供され得る。
【0091】
本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態を含む医薬組成物は、一度に投与され得るか、または時間的間隔を置いて投与される多数のより小さい用量に分割され得る。精密な投薬量および処置の持続期間は、処置されている疾患の関数であり、公知の試験プロトコールを使用して経験的にまたはインビボもしくはインビトロ試験データからの外挿により決定され得ることが理解される。濃度および投薬量の値はまた、軽減されるべき状態の重症度と共に変動し得ることが留意されるべきである。任意の特定の対象のために、特有の投薬量レジメンは、個々の必要性および組成物を投与するかまたはその投与を監督する者の専門的判断にしたがって経時的に調整されるべきであること、ならびに本明細書において記載される濃度範囲は例示的なものに過ぎず、本明細書において提供される塩およびその多形体、組成物、方法および他の主題の範囲または実施を限定することは意図されないことがさらに理解されるべきである。
【0092】
そのため、有効濃度または量の、本明細書に記載される塩の1つ以上およびその結晶形態は、医薬組成物を形成させるために全身、外用または局所投与のための好適な医薬的担
体または媒体と混合される。本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態は、本明細書に記載される疾患もしくは障害の1つ以上の症状を寛解させるため、または該疾患もしくは障害を処置もしくは予防するために有効な量で含まれる。組成物中の1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化、排出速度、投薬スケジュール、投与される量、特定の製剤の他に、当業者に公知の他の要因に依存する。
【0093】
組成物は、好適な経路により投与されることが意図され、これは、カプセル、錠剤、顆粒、粉末またはシロップを含む液体製剤の形態における経口投与;非経口投与、例えば(無菌注射用水性(aq.)または非水性溶液または懸濁液として)胸骨間注射または注入技術を用いる、皮下、静脈内、筋肉内投与;例えば吸入スプレーによる、経鼻投与;例えばクリームまたは軟膏の形態における、外用投与;例えば坐剤の形態における、直腸内投与;リポソームによるもの;および局所投与を含む。組成物は、液体、半液体または固体形態であることができ、各々の投与の経路のために好適な方式において製剤化される。ある特定の実施形態において、製剤の投与は、非経口および経口の投与のモードを含む。1つの実施形態において、組成物は経口的に投与される。別の実施形態において、組成物は、注射を介して目に直接的に投与される。
【0094】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を含む本明細書において提供される医薬組成物は、固体(例えば、粉末、錠剤、および/またはカプセル)である。ある特定のそのような実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその多形体を含む固体医薬組成物は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、ガム、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤を含むが、それに限定されない、当技術分野において公知の成分を使用して調製される。
【0095】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を含む本明細書において提供される医薬組成物は液体または半液体である。ある特定のそのような実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩形態を含む液体医薬組成物は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、およびミリスチン酸イソプロピルを含むが、それに限定されない好適な溶媒または溶媒の混合物に式(I)の塩形態を溶解させることにより調製されてもよい。他のそのような実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩形態およびその結晶形態は、1つ以上の液体を含む液体分散媒体中に懸濁液として製剤化されてもよい。
【0096】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を含む医薬組成物は送達システムを含む。送達システムの例は、リポソームおよびエマルションを含むが、それに限定されない。ある特定の送達システムは、疎水性化合物を含むものを含むある特定の医薬組成物を調製するために有用である。ある特定の実施形態において、ある特定の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドが使用される。
【0097】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態(活性成分)を含む医薬組成物は、医薬組成物を特有の組織または細胞タイプに送達するために設計された1つ以上の組織特異的な送達分子を含む。例えば、ある特定の実施形態において、医薬組成物は、組織特異的な抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0098】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を含む医薬組成物は共溶媒システムを含む。ある特定のそのような共溶媒システムは、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水
性相を含む。ある特定の実施形態において、そのような共溶媒システムは疎水性化合物のために使用される。そのような共溶媒システムの非限定的な例はVPD共溶媒システムであり、これは、3%w/vのベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤Polysorbate 80(商標)、および65%w/vのポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒システムの割合は、溶解性および毒性の特徴を重大に変更することなくかなり変動可能である。さらには、共溶媒成分の素性は変動可能である。例えば、他の界面活性剤がPolysorbate 80(商標)の代わりに使用可能であり;ポリエチレングリコールの比率サイズは変動可能であり;他の生体適合性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンでポリエチレングリコールを置き換えることができ;他の糖または多糖でデキストロースを代用することができる。
【0099】
ある特定の実施形態において、非経口、皮内、皮下、または外用適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分のいずれかを含むことができる:無菌希釈剤、例えば注射用の水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗微生物剤、例えばベンジルアルコールおよびメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えばアセテート、シトレートおよびホスフェート;ならびに張度の調整のための剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口調製物は、ガラス、プラスチックまたは他の好適な材料で作られたアンプル、使い捨てシリンジまたは単回もしくは複数用量バイアル中に封入され得る。
【0100】
塩およびその結晶形態が不十分な溶解性を呈する場合、化合物を可溶化する方法が使用され得る。そのような方法は当業者に公知であり、共溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)の使用、界面活性剤、例えばモノラウリン酸ソルビタンのポリオキシエチレン誘導体、例えばTWEEN(登録商標)もしくはポリソルベート界面活性剤を含む界面活性剤の使用、または水性重炭酸ナトリウム中への溶解を含むが、それに限定されない。化合物の誘導体、例えば化合物のプロドラッグもまた、有効な医薬組成物の製剤化において使用され得る。
【0101】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩またはその結晶形態を含む医薬組成物は、持続放出システムを含む。そのような持続放出システムの非限定的な例は固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスである。ある特定の実施形態において、持続放出システムは、それらの化学的性質に依存して、時間、日、週または月の期間にかけて化合物を放出することができる。
【0102】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される塩およびその結晶形態の混合または追加で、結果としてもたらされる混合物は、溶液、懸濁液またはエマルションであることができる。結果としてもたらされる混合物の形態は、意図される投与のモードおよび選択された担体または媒体中の本明細書に記載される塩の溶解性を含む、多数の要因に依存する。有効濃度は、処置される疾患、障害または状態の症状を寛解させるために十分であり、経験的に決定され得る。
【0103】
医薬組成物は、好適な量の塩およびその多形体または医薬的に許容されるその誘導体を含む単位投薬形態、例えば錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、無菌非経口溶液または懸濁液、および経口溶液または懸濁液、および油-水エマルション中でヒトおよび動物への投与のために提供される。医薬的に活性の化合物およびその誘導体は、典型的には、単位投薬形態において製剤化および投与される。
【0104】
組成物は、本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態に加えて、他の成分、例えば、以下に限定されないが、希釈剤、例えばラクトース、ス
クロース、リン酸二カルシウム、またはカルボキシメチルセルロース;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク;ならびに結合剤、例えばデンプン、天然ゴム、例えばアカシアガム、ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドンおよび当業者に公知の他のそのような結合剤を含むことができる。液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば、本明細書に記載される塩またはその結晶形態および任意選択的な医薬的アジュバントを担体、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコールおよびエタノールなどに溶解、分散、または他に混合し、それにより溶液または懸濁液を形成させることにより調製され得る。所望される場合、投与される医薬組成物はまた、微量の非毒性助剤物質、例えば湿潤剤、乳化剤、または可溶化剤、またはpH緩衝化剤、例えば、アセテートもしくはクエン酸ナトリウム、もしくはシクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミンを含むことができる。そのような投薬形態を調製する実際の方法は公知であるか、または当業者に明らかである;例えば、非特許文献18を参照。投与される組成物または製剤は、いかなる場合においても、処置される対象の症状を軽減するために十分な量の活性化合物を含む。
【0105】
投薬形態または組成物は、0.005%~100%の範囲内の本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態を含み、残りは非毒性担体から構成されるように調製され得る。経口投与のために、医薬的に許容される非毒性組成物は、通常用いられる賦形剤のいずれか、例えば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムまたはサッカリンナトリウムなどの組込みにより形成される。そのような組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、粉末および持続放出製剤、例えば、以下に限定されないが、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システム、ならびに生分解性、生体適合性ポリマー、例えばコラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびその他を含む。これらの組成物の調製方法は当業者に公知である。想定される組成物は、0.001%~100%、1つの実施形態において0.1~85%、別の実施形態において75~95%の活性成分を含むことができる。一部の実施形態において、組成物は1~10%の活性成分を含む。一部の実施形態において、組成物は10~25%の活性成分を含む。一部の実施形態において、組成物は15~35%の活性成分を含む。一部の実施形態において、組成物は40~60%の活性成分を含む。一部の実施形態において、組成物は50~75%の活性成分を含む。一部の実施形態において、活性成分は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%で存在する。
【0106】
ある特定の実施形態において、塩およびその結晶形態は、即時放出または持続放出のために好適な形態で投与され得る。即時放出または持続放出は、好適な医薬組成物または、特には持続放出の場合、デバイス、例えば皮下インプラントもしくは浸透ポンプを用いて達成され得る。外用投与のための例示的な組成物は、外用担体、例えばポリエチレンを用いてゲル化された鉱油(例えば、PLASTIBASE(登録商標))を含む。
【0107】
ある特定の実施形態において、医薬的な塩およびその結晶形態は、本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその多形体を治療有効量で含む。ある特定の実施形態において、治療有効量は、疾患の症状を予防するか、軽減するかもしくは寛解させるか、または処置されている対象の生存を長期化させるために十分なものである。治療有効量の決定は十分に当業者の能力の範囲内である。
【0108】
組成物は、本明細書において提供される1つまたは1つより多くの塩およびその結晶形態に加えて、所望される特性の組合せを得るための他の活性化合物を含むことができる。本明細書において提供される塩およびその結晶形態はまた、本明細書において上記に言及される疾患、障害、または医学的状態の1つ以上、例えば、本明細書に記載されるものを含む、以下に限定されないが、本明細書に記載されている炎症および/もしくは血管増殖と関連付けられる、眼疾患、または線維性疾患もしくは障害の処置において価値があることが当技術分野において公知である別の薬理剤と共に治療または予防の目的のために有利に投与され得る。そのような併用療法は、本明細書において提供される組成物および処置方法のさらなる態様を構成することが理解されるべきである。
【0109】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を含む医薬組成物は、哺乳動物、特にはヒト対象において、状態または障害を処置するために有用である。好適な投与経路は、経口、直腸、経粘膜、腸内(intestinal)、経腸(enteral)、外用、坐剤、吸入を通じたもの、髄腔内、脳室内、腹腔内、鼻腔内、眼内ならびに非経口(例えば、静脈内、筋肉内、髄内、および皮下)を含むが、それに限定されない。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、全身性の曝露ではなく局所的な曝露を達成するために投与される。例えば、医薬組成物は、所望される効果の区画(例えば、目または角膜区画)中に直接的に注射され得る。医薬組成物が局所的に投与されるある特定の実施形態において、投薬量レジメンは、本明細書において提供される塩またはその結晶形態の所望される局所的な濃度を達成するために調整される。
【0110】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を含む医薬組成物は、投薬単位の形態(例えば、錠剤、カプセル、丸剤、注射、ボーラス)において投与される。
【0111】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、必要に応じて、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回以上投与される。投与の特定の用量、頻度、および持続期間は、限定なく、所望される生物学的活性、対象の条件、および医薬組成物に対する忍容性を含む、多数の要因に依存することが当業者により認識される。
【0112】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、連続的な治療の期間にわたり投与される。例えば、本明細書において提供される医薬組成物は、日、週、月、または年の期間にかけて投与され得る。
【0113】
投薬量、投薬の間の間隔、および処置の持続期間は、所望される効果を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、投薬量および投薬の間の間隔は、対象において化合物の所望される濃度を維持するために調整される。例えば、ある特定の実施形態において、投薬量および投薬の間の間隔は、所望される効果を達成するために十分な量で本明細書において提供される塩またはその結晶形態の血漿濃度を提供するために調整される。ある特定のそのような実施形態において、血漿濃度は最小有効濃度(MEC)を上回るように維持される。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、10~90%の時間、30~90%の時間、または50~90%の時間にわたりMECを上回る濃度を維持するために設計された投薬量レジメンを用いて投与される。
【0114】
経口投与用の組成物
ある特定の実施形態において、経口用医薬的投薬形態は、固体、ゲルまたは液体のいずれかである。固体投薬形態は、錠剤、カプセル、顆粒、およびバルク粉末である。経口錠剤のタイプは、腸溶性コーティング、糖コーティングまたはフィルムコーティングされ得る圧縮された、チュアブルのロゼンジおよび錠剤を含む。カプセルは硬質または軟質ゼラチンカプセルであることができ、顆粒および粉末は、当業者に公知の他の成分の組合せを用いて非起泡性または起泡性形態で提供され得る。
【0115】
ある特定の実施形態において、製剤は、固体投薬形態、例えばカプセルまたは錠剤である。錠剤、丸剤、カプセル、トローチおよび他の固体投薬形態は、以下の成分、または類似した性質の化合物のいずれかを含むことができる:結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;滑剤;甘味剤;および香味剤。
【0116】
ある特定の実施形態において、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチンで作られたプッシュフィット(push fit)カプセルである。ある特定のそのようなプッシュフィットカプセルは、1つ以上の充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または滑沢剤、例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウムおよび、任意選択的に、安定化剤との混合状態で本明細書において提供される1つ以上の化合物を含む。ある特定の実施形態において、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで作られた軟質の密閉されたカプセルである。ある特定の軟質カプセル中で、提供される1つ以上の化合物は、好適な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁している。追加的に、安定化剤が加えられ得る。
【0117】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は頬側投与のために調製される。ある特定のそのような医薬組成物は、従来の方式において製剤化された錠剤またはロゼンジである。一部の実施形態において、組成物は、分解性フィルム、例えばプルランを用いて作られているか、または当技術分野において記載されている分解性フィルムとして製剤化される(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5を参照)。
【0118】
本明細書において提供される組成物における使用のための結合剤の例は、微結晶セルロース、ガムトラガカント、グルコース溶液、アラビアゴム、ゼラチン溶液、スクロースおよびデンプンペーストを含む。滑沢剤は、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、リコポディウムおよびステアリン酸を含む。希釈剤は、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムを含む。滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含むが、それに限定されない。崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースを含む。着色剤は、例えば、承認された水溶性FDおよびC色素のいずれか、これらの混合物;ならびにアルミナ水和物上に懸濁された水不溶性FDおよびC色素を含む。甘味剤は、スクロース、ラクトース、マンニトール、キシリトールおよび人工甘味剤、例えばサッカリンを含む。香味剤は、植物、例えば果実から抽出される天然香味剤ならびに好ましい感覚を生じさせる化合物の、例えば、以下に限定されないが、ペパーミントおよびサリチル酸メチルの、合成ブレンド物を含み、噴霧乾燥された天然および人工香味剤を含む。湿潤剤は、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコールおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(polyoxyethylene laural ether)を含む。催吐性(Emetic)コーティングは、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア化シェラックおよび酢酸フタル酸セルロースを含む。フィルムコーテ
ィングは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースを含む。
【0119】
経口投与が所望される場合、化合物は、化合物を胃の酸性環境から保護する組成物中で提供され得る。例えば、組成物は、胃において完全性を維持し、腸において活性化合物を放出する腸溶性コーティング中に製剤化され得る。組成物はまた、制酸剤または他のそのような成分と組み合わせて製剤化され得る。
【0120】
投薬単位形態がカプセルである場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、液体担体、例えば脂肪油を含むことができる。追加的に、投薬単位形態は、投薬単位の物理的形態を修飾する様々な他の材料、例えば、糖および他の腸溶剤のコーティングを含むことができる。化合物はまた、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェーハ、スプリンクル(sprinkle)またはチューインガムの成分として投与され得る。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてのスクロースならびにある特定の防腐剤、色素および着色剤および香味剤を含むことができる。
【0121】
活性材料はまた、所望される作用を損なわない他の活性材料、または所望される作用を補充する材料、例えば制酸剤、H2遮断剤(胃酸抑制剤)、および利尿剤と混合され得る。
【0122】
錠剤中に含まれる医薬的に許容される担体は、結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、および湿潤剤である。腸溶性コーティングされた錠剤は、腸溶性コーティングのため、胃酸の作用に抵抗し、中性またはアルカリ性の腸において溶解または崩壊する。糖コーティングされた錠剤は、医薬的に許容される物質の異なる層が塗布された圧縮錠剤である。フィルムコーティングされた錠剤は、ポリマーまたは他の好適なコーティングを用いてコーティングされている圧縮錠剤である。複数圧縮錠剤は、以前に記載された医薬的に許容される物質を利用して1つより多くの圧縮サイクルにより作られる圧縮錠剤である。着色剤もまた、上記の投薬形態において使用され得る。香味剤および甘味剤は、圧縮錠剤、糖コーティングされた、複数圧縮されたおよびチュアブルの錠剤において使用される。香味剤および甘味剤は、チュアブルの錠剤およびロゼンジの形成において特に有用である。
【0123】
液体経口投薬形態は、非起泡性顆粒から再構成された水性溶液、エマルション、懸濁液、溶液および/または懸濁液ならびに起泡性顆粒から再構成された起泡性調製物を含む。水性溶液は、例えば、エリキシルおよびシロップを含む。エマルションは水中油または油中水のいずれかである。
【0124】
エリキシルは、透明な、加糖された、水アルコール調製物である。エリキシルにおいて使用される医薬的に許容される担体は溶媒を含む。シロップは、糖、例えば、スクロースの濃縮水性溶液であり、防腐剤を含むことができる。エマルションは、1つの液体が別の液体の全体を通じて小球の形態で分散された2相系である。エマルションにおいて使用される医薬的に許容される担体は、非水性液、乳化剤および防腐剤である。懸濁液は、医薬的に許容される懸濁化剤および防腐剤を使用する。液体経口投薬形態に再構成されるための非起泡性顆粒において使用される医薬的に許容される物質は、希釈剤、甘味剤および湿潤剤を含む。液体経口投薬形態に再構成されるための起泡性顆粒において使用される医薬的に許容される物質は、有機酸および二酸化炭素の供給源を含む。着色剤および香味剤は、上記の投薬形態のすべてにおいて使用される。
【0125】
溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップを含む。防腐剤の例は、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸(benzoic ad
d)、安息香酸ナトリウムならびにアルコールを含む。エマルションにおいて利用される非水性液の例は鉱油および綿実油を含む。乳化剤の例は、ゼラチン、アラビアゴム、ガムトラガカント、キサンタンガム、アルギン酸プロピレングリコール、ベントナイト、および界面活性剤、例えばポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタンを含む。懸濁化剤は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegum(登録商標)およびアカシアを含む。希釈剤はラクトースおよびスクロースを含む。甘味剤は、スクロース、シロップ、グリセリンおよび人工甘味剤、例えばサッカリンを含む。湿潤剤は、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコールおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。有機酸はクエン酸および酒石酸を含む。二酸化炭素の供給源は重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含む。着色剤は、承認された水溶性FDおよびC色素のいずれか、ならびにこれらの混合物を含む。香味剤は、植物、例えば果実から抽出される天然香味剤、および好ましい味覚を生じさせる化合物の合成ブレンド物を含む。
【0126】
固体投薬形態のために、例えば、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の、溶液または懸濁液は、ゼラチンカプセル中に被包され得る。そのような溶液、ならびにその調製および被包は、特許文献6;特許文献7;および特許文献8に開示されている。液体投薬形態のために、例えば、ポリエチレングリコール中の、溶液は、投与のために容易に測定されるために十分な量の医薬的に許容される液体担体、例えば、水を用いて希釈され得る。
【0127】
代替的に、液体または半固体経口製剤は、本明細書において提供される塩またはその結晶形態を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)および他のそのような担体に溶解または分散させること、ならびにこれらの溶液または懸濁液を硬質または軟質ゼラチンカプセルシェル中に被包することにより調製され得る。他の有用な製剤は、特許文献9および特許文献10に記載されるものを含む。簡潔に述べれば、そのような製剤は、本明細書において提供される化合物、1,2-ジメトキシ-メタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(350、550および750はポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を指す)を含むが、それに限定されない、ジアルキル化モノまたはポリアルキレングリコール、ならびに1つ以上の抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートを含むものを含むが、それに限定されない。
【0128】
他の製剤は、医薬的に許容されるアセタールを含む水性アルコール溶液を含むが、それに限定されない。これらの製剤において使用されるアルコールは、プロピレングリコールおよびエタノールを含むが、それに限定されない、1つ以上のヒドロキシル基を有する任意の医薬的に許容される水混和性溶媒である。アセタールは、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、例えばアセトアルデヒドジエチルアセタールを含むが、それに限定されない。
【0129】
すべての実施形態において、錠剤およびカプセル製剤は、本明細書に記載される塩またはその結晶形態の溶解を修飾するかまたは持続させるために当業者により公知のようにコーティングされ得る。そのため、例えば、それらは、従来の腸内で消化可能なコーティング、例えばフェニルサリチレート、ワックスおよび酢酸フタル酸セルロースを用いてコーティングされ得る。
【0130】
例示的な組成物は、急速溶解性希釈剤、例えばマンニトール、ラクトース、スクロース、および/またはシクロデキストリンを含むことができる。高分子量賦形剤、例えばセルロースおよび微結晶セルロース(AVICEL(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG);粘膜付着を補助するための賦形剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、および/またはマレイン酸無水物コポリマー(例えば、GANTREZ(登録商標));ならびに放出を制御するための剤、例えばポリアクリル酸コポリマー(例えば、CARBOPOL(登録商標) 934)もまたそのような製剤中に含まれ得る。滑沢剤、滑剤、香味剤、着色剤および安定化剤もまた、製作および使用の容易性のために加えられ得る。
【0131】
ある特定のそのような実施形態において、経口投与用の医薬組成物は、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態を1つ以上の医薬的に許容される担体と組み合わせることにより製剤化される。ある特定のそのような担体は、本明細書において提供される化合物が、対象による経口摂取のための投薬形態、例えば錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリーおよび懸濁液に製剤化されることを可能にする。ある特定の実施形態において、経口使用のための医薬組成物は、本明細書において提供される1つ以上の塩およびその結晶形態ならびに1つ以上の固体賦形剤を混合することにより得られる。好適な賦形剤は、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む、糖;セルロース調製物、例えば、メイズデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ガムトラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などを含むが、それに限定されない。ある特定の実施形態において、そのような混合物は、任意選択的に粉砕され、助剤が任意選択的に加えられる。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために形成される。ある特定の実施形態において、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム)が加えられる。
【0132】
ある特定の実施形態において、糖衣錠コアは、コーティングと共に提供される。ある特定のそのような実施形態において、濃縮された糖溶液が使用可能であり、これは、任意選択的に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含むことができる。染料または色素が錠剤または糖衣錠コーティングに加えられ得る。
【0133】
ある特定の実施形態において、対象のための1日当たりの投薬量レジメンは、0.1μg~2000mgの本明細書において提供される塩またはその結晶形態の経口用量を含む。ある特定の実施形態において、対象のための1日当たりの投薬量レジメンは、1μg~500mgの本明細書において提供される塩またはその結晶形態の経口用量を含む。ある特定の実施形態において、対象のための1日当たりの投薬量レジメンは、10μg~100mgの本明細書において提供される塩またはその結晶形態の経口用量を含む。ある特定の実施形態において、対象のための1日当たりの投薬量レジメンは、0.01、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、180、190、200、225、250、300、400、500、750、800、850、900、950および1000ミリグラムの中から選択される本明細書において提供される塩またはその結晶形態の経口用量を含む。ある特定の実施形態において、1日当たりの投薬量レジメンは、単一の1日当たりの用量として投与される。ある特定の実
施形態において、1日当たりの投薬量レジメンは、2、3、4、または4以上の用量として投与される。
【0134】
注射剤、溶液およびエマルション
ある特定の実施形態において、医薬組成物は経粘膜投与のために調製される。ある特定のそのような実施形態において、透過されるべき障壁にとって適切な浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は当技術分野において一般に公知である。
【0135】
皮下、筋肉内または静脈内のいずれかへの注射により一般に特徴付けられる非経口投与もまた本明細書において想定される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、注射に先立つ液体中への溶解もしくは懸濁のために好適な固体形態、またはエマルションのいずれかとして、従来の形態において調製され得る。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、マンニトール、1,3-ブタンジオール、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液またはエタノールである。追加的に、所望される場合、投与される医薬組成物はまた、微量の非毒性助剤物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝化剤、安定化剤、溶解性増強剤、ならびに他のそのような剤、例えば、モノまたはジグリセリド、脂肪酸、例えばオレイン酸、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどを含むことができる。一定のレベルの投薬量が維持されるような遅延放出または持続放出系の移植(例えば、特許文献11を参照)もまた本明細書において想定される。簡潔に述べれば、本明細書において提供される塩またはその結晶形態は、体液中に不溶性の外側ポリマー膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元コポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシ-エタノールコポリマーにより取り囲まれた固体内側マトリックス、例えば、ポリメチル-メタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレン-テレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチル-シロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えばアクリルおよびメタクリル酸のエステルのハイドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールならびに架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニル中に分散される。塩またはその結晶形態は、放出速度制御ステップにおいて外側ポリマー膜を通じて拡散する。そのような非経口組成物中に含まれる活性化合物のパーセンテージは、その特有の性質の他に、化合物の活性および対象の必要性に高度に依存する。
【0136】
組成物の非経口投与は、静脈内、皮下および筋肉内投与を含む。非経口投与用の調製物は、注射のために準備済みの無菌溶液、皮下錠剤を含む、使用の直前に溶媒と合わせられるために準備済みの無菌乾燥可溶性製造物、例えば凍結乾燥粉末、注射のために準備済みの無菌懸濁液、使用の直前に媒体と合わせられるために準備済みの無菌乾燥不溶性製造物および無菌エマルションを含む。溶液は水性または非水性のいずれかであることができる。
【0137】
静脈内に投与される場合、好適な担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに増粘および可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールならびにこれらの混合物を含む溶液を含む。
【0138】
非経口調製物において使用される医薬的に許容される担体は、水性媒体、非水性媒体、
抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁および分散剤、乳化剤、隔離またはキレート剤ならびに他の医薬的に許容される物質を含む。
【0139】
水性媒体の例は、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロースおよびラクトリンゲル注射液を含む。非水性非経口媒体は、植物起源の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油およびピーナッツ油を含む。静菌性または静真菌性濃度の抗微生物剤が、複数用量容器中に包装された非経口調製物に加えられなければならず、これは、フェノールまたはクレゾール、水銀剤(mercurials)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は塩化ナトリウムおよびデキストロースを含む。緩衝剤はホスフェートおよびシトレートを含む。抗酸化剤は硫酸水素ナトリウムを含む。局所麻酔剤は塩酸プロカインを含む。懸濁および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む。乳化剤はPolysorbate 80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの隔離またはキレート剤はEDTAを含む。医薬的担体はまた、水混和性媒体のためのエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を含む。
【0140】
医薬的に活性の化合物の濃度は、所望される薬理学的効果を生じさせるための有効量を注射が提供するように調整される。正確な用量は、当技術分野において公知のように、対象または動物の年齢、体重および条件に依存する。
【0141】
単位投薬量非経口調製物は、アンプル、バイアルまたは針を有するシリンジ中に包装される。当技術分野において公知であり、および実施されるように、非経口投与用のすべての調製物は無菌でなければならない。
【0142】
実例として、活性化合物を含む無菌水性溶液の静脈内または動脈内注入は有効な投与のモードである。別の実施形態は、所望される薬理学的効果を生じさせるために必要なように注射される活性材料を含む無菌水性または油性溶液または懸濁液である。
【0143】
注射剤は、局所および全身投与のために設計される。典型的には、治療的に有効な投薬量は、処理される組織に対して少なくとも約0.1%w/wから約90%w/wまでまたはより高い、一部の実施形態において1%w/wより高い濃度の活性化合物を含むように製剤化される。活性成分は一度に投与され得るか、または時間的間隔を置いて投与される多数のより小さい用量に分割され得る。精密な投薬量および処置の持続期間は、処置されている組織の関数であり、公知の試験プロトコールを使用して経験的にまたはインビボもしくはインビトロ試験データからの外挿により決定され得る。濃度および投薬量の値はまた、処置される個体の年齢と共に変動し得ることが留意されるべきである。任意の特定の対象のために、特有の投薬量レジメンは、個々の必要性および製剤を投与するかまたはその投与を監督する者の専門的判断にしたがって経時的に調整されるべきであること、ならびに本明細書において記載される濃度範囲は例示的なものに過ぎず、本明細書において記載される濃度範囲は例示的なものに過ぎず、本明細書において提供される製剤の範囲または実施を限定することは意図されないことがさらに理解されるべきである。
【0144】
塩およびその結晶形態は、任意の好適な媒体または形態において製剤化され得る。例えば、それらは、微粒子化されているかもしくは他の好適な形態であることができ、および/またはより可溶性の活性生成物を製造するためもしくはプロドラッグを製造するためもしくは他の目的のために誘導体化され得る。結果としてもたらされる混合物の形態は、例えば、意図される投与のモードならびに選択された担体または媒体中の塩およびその多形
体の溶解性を含む、多数の要因に依存する。有効濃度は、状態の症状を寛解させるために十分であり、経験的に決定され得る。
【0145】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、注射による投与のために調製され、医薬組成物は、担体を含み、水性溶液、例えば水または生理学的に適合性の緩衝剤、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、もしくは生理食塩緩衝液中に製剤化される。ある特定の実施形態において、他の成分(例えば、溶解性を補助するか、または防腐剤として役立つ成分)が含まれる。ある特定の実施形態において、注射可能な懸濁液は、適切な液体担体および/または懸濁化剤を使用して調製される。注射用のある特定の医薬組成物は、例えば、アンプルまたは複数用量容器中の、単位投薬形態において提示される。注射用のある特定の医薬組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液またはエマルションであり、製剤化剤(formulatory agents)、例えば懸濁、安定化および/または分散剤を含むことができる。注射用の医薬組成物における使用のために好適なある特定の溶媒は、親油性溶媒および脂肪油、例えばゴマ油、合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、およびリポソームを含むが、それに限定されない。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含むことができる。任意選択的に、そのような懸濁液はまた、好適な安定化剤または高度に濃縮された溶液の調製を可能とするために化合物の溶解性を増加させる剤を含むことができる。
【0146】
ある特定の実施形態において、提供される医薬組成物は、連続的な静脈内注入により投与される。ある特定のそのような実施形態において、1日当たりで0.01μg~500mgの組成物が投与される。
【0147】
凍結乾燥粉末
本明細書において関心対象となるのはまた、溶液、エマルションおよび他の混合物としての投与のために再構成され得る凍結乾燥粉末である。それらはまた、固体またはゲルとして再構成および製剤化され得る。
【0148】
無菌の凍結乾燥粉末は、本明細書において提供される塩またはその結晶形態を好適な溶媒に溶解させることにより調製される。溶媒は、粉末、または粉末から調製される再構成された溶液の安定性または他の薬理学的成分を向上させる賦形剤を含むことができる。使用され得る賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の好適な剤を含むが、それに限定されない。溶媒はまた、典型的には、おおよそ中性のpHの、緩衝剤、例えばシトレート、リン酸ナトリウムもしくはカリウムまたは当業者に公知の他のそのような緩衝剤を含むことができる。当業者に公知の標準的な条件下での溶液の引き続いての無菌濾過、続いて凍結乾燥は、所望される製剤を提供する。一般に、結果としてもたらされる溶液は、凍結乾燥のためにバイアル中に配分される。一部の実施形態において、各々のバイアルは、10μg~1000mgの単一の投薬量を含む。別の実施形態において、各々のバイアルは、100μg~500mgの単一の投薬量を含む。別の実施形態において、各々のバイアルは、0.1mg~50mgの単一の投薬量を含む。別の実施形態において、各々のバイアルは、0.5mg~20mgの単一の投薬量を含む。別の実施形態において、各々のバイアルは、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mgまたは10mgの単一の投薬量を含む。別の実施形態において、各々のバイアルは、本明細書に記載される化合物の塩またはその結晶形態の複数の投薬量を含む。凍結乾燥粉末は、例えば約4℃~室温の、適切な条件下で貯蔵され得る。
【0149】
注射用の水を用いるこの凍結乾燥粉末の再構成は、非経口投与における使用のための製剤を提供する。再構成のために、約1mg~50mgが1mLの無菌水または他の好適な
担体当たりで加えられる。一部の実施形態において、5mg~35mgが1mLの無菌水または他の好適な担体当たりで加えられる。他の実施形態において、10mg~30mgの凍結乾燥粉末が1mLの無菌水または他の好適な担体当たりで加えられる。精密な量は、選択された化合物に依存する。そのような量は経験的に決定され得る。
【0150】
式(I)の化合物の塩、その結晶形態およびその組成物を使用する処置方法
本明細書において提供される塩およびその結晶形態および組成物の使用方法もまた提供される。方法は、本明細書の上記において言及される疾患、障害、または医学的状態の1つ以上、例えば、本明細書に記載されているものを含む、以下に限定されないが、本明細書に記載されている炎症および/もしくは血管増殖と関連付けられる眼疾患、または線維性疾患および障害の処置、予防、または寛解を含む。ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるのは、本明細書において提供される塩およびその多形体を投与することにより対象を処置する方法である。ある特定の実施形態において、対象は、状態の発生を低減させるかまたは予防するために予防的に処置される。
【0151】
対象への式(I)の化合物の塩およびその結晶形態またはそれを含む任意の組成物の投与は、経腸投与、例えば経口もしくは直腸投与のための承認されるモードのいずれかにより、または非経口投与、例えば皮下、筋肉内、静脈内および皮内経路により為され得る。注射は、ボーラス、または一定のもしくは間欠的な注入を介するものであることができる。活性化合物は、典型的には、医薬的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤中に、患者に治療有効用量を送達するために十分な量で含まれる。
【0152】
式(I)の化合物の塩およびその結晶形態は、それを必要とする対象に投与するための組成物中に製剤化されてもよい。例えば、1つの実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態は、それを必要とする対象に投与するための固体製剤中に1つ以上の賦形剤と共に組み合わせられてもよい。他の実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態は、それを必要とする対象に投与するための液体組成物中に製剤化されてもよい。一部のそのような実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態は、それを必要とする対象に投与するための溶液を形成させるために1つ以上の液体溶媒中に溶解されてもよい。他のそのような実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態は、それを必要とする対象に投与するための懸濁液を形成させるために1つ以上の液体中に分散されてもよい。
【0153】
本明細書において提供される組成物は、様々な状態の処置において使用され得る。例えば、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態を含む組成物は、眼疾患または障害、例えば糖尿病性網膜症、角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症ならびに/または目のフォンヒッペル-リンドウ病を含むが、それに限定されない状態を処置するために使用され得る。
【0154】
別の実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態を含む組成物は、微小生物または微生物による感染症により引き起こされてもよい角膜疾患を含むが、それに限定されない状態を処置するために使用され得る。微小生物または微生物は、細菌、ウイルス、真菌、アメーバ、および寄生生物を含む群のいずれかから選択されてもよい。
【0155】
別の実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態を含む組成物は、炎症および/または血管増殖疾患と関連付けられる眼疾患を含むが、それに限定されない状態を処置するために使用され得る。
【0156】
別の実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態を含む組成物は、以下に限定されないが、対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させるために使用され得る。
【0157】
別の実施形態において、式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態を含む組成物は、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置するために使用され得る。そのような疾患は、例えば、線維性皮膚障害、例えばケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症;肺疾患、例えば肺線維症;心臓疾患、例えば虚血性心臓疾患に起因する心不全、心臓弁膜症および高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症および高血圧;ならびに腎臓疾患、例えば、糸球体腎炎および糖尿病性腎症および肝臓の硬変に起因する、進行性腎臓疾患を含んでもよい。好ましい実施形態において、疾患または状態は糖尿病性心臓疾患または糖尿病性腎臓疾患である。さらなる好ましい実施形態において疾患または状態は糖尿病性心筋症である。一部の実施形態において、腎臓疾患は、限定なく、糖尿病性腎症(例えば、I型もしくはII型糖尿病もしくは全身性ループスの帰結であるもの)、原発性糸球体腎炎(例えば、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、膜性限局性分節性糸球体硬化症)または二次性糸球体腎炎(例えば、糖尿病性腎症、虚血性腎症)を含む進行性糸球体腎臓疾患を含んでもよいが、それに限定されない。一部の実施形態において、腎臓疾患は、尿細管間質を主な起源とする進行性腎臓疾患を含んでもよい。一部の実施形態において、腎臓疾患は、例えば、慢性間質性腎炎、常染色体優性尿細管間質性線維症、または逆流性腎症を含んでもよい。
【0158】
別の実施形態において、式(I)の化合物の少なくとも1つの塩およびその結晶形態;ならびに眼疾患を処置するために対象にそれを投与するための指示書を含む、炎症および/または血管増殖と関連付けられる眼疾患を処置するためのキット。
【0159】
別の実施形態において、式(I)の化合物の少なくとも1つの塩およびその結晶形態;ならびに線維症と関連付けられる疾患または状態を処置するために対象にそれを投与するための指示書を含む、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置するためのキット。
【0160】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式(I)の化合物の少なくとも1つの塩またはその結晶形態を含む組成物を投与することにより対象を処置する方法である。
【0161】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させることによる、式(I)の化合物の塩およびその多形体を含む組成物を投与することにより対象を処置する方法である。
【0162】
式(I)の化合物の結晶形態およびその組成物の使用方法
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される式(I)の化合物の1つ以上の塩およびその結晶形態は、1つ以上の他の治療剤と併用投与され得る。ある特定の実施形態において、そのような1つ以上の他の治療剤は、本明細書において提供される1つ以上の化合物または医薬組成物と同じ疾患または状態を処置するために設計される。ある特定の実施形態において、そのような1つ以上の他の治療剤は、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物と異なる疾患または状態を処置するために設計される。ある特定の実施形態において、そのような1つ以上の他の治療剤は、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物の望ましくない効果を処置するために設計される。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物は、別の治療剤の望ましくない効果を処置するためにその別の剤と併用投与される。
【0163】
式(I)の化合物の塩およびその結晶形態の使用において、それらは、化合物を生体利用可能とする任意の形態またはモードにおいて投与され得る。製剤の調製の当業者は、選択される化合物の特定の特徴、処置される状態、処置される状態のステージおよび他の関連する状況に依存して投与の適正な形態およびモードを容易に選択することができる。さらなる情報のために非特許文献16を参照。
【0164】
式(I)の化合物の塩およびその結晶形態は、単独で、または医薬的に許容される担体、希釈剤、アジュバントおよび/もしくは賦形剤と組み合わせて医薬組成物の形態で投与され得る。
【0165】
式(I)の化合物の塩およびその結晶形態は、しかしながら、典型的には、所望される投与のモードに依存して製剤化される医薬組成物の形態で使用される。本開示の方法による使用のための好適な組成物は、当業者に公知の方法および手順にしたがって調製されてもよく、よって医薬的に許容される担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントを含んでもよい。そのためさらなる実施形態において、本開示は、式(I)の化合物の塩およびその結晶形態ならびに医薬的に許容される担体、希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0166】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される化合物または組成物および1つ以上の他の治療剤は同時に投与される。一部の実施形態において、本明細書において提供される化合物または組成物および1つ以上の他の治療剤は異なる時点に投与される。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される化合物または組成物および1つ以上の他の治療剤は、単一の製剤中に一緒に調製される。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される化合物または組成物および1つ以上の他の治療剤は別々に調製される。
【0167】
別の実施形態において、医薬組成物の成分の1つ以上で充填された1つ以上の容器を含む医薬的パックまたはキット。そのようなパックまたはキットにおいて剤の単位投薬量を有する容器が見出され得る。キットは、使用に先立ってさらに希釈され得る濃縮物として有効な剤を含む組成物(凍結乾燥された組成物を含む)を含むことができるか、またはそれらは使用の濃度において提供可能であり、その場合、バイアルは1つ以上の投薬量を含んでもよい。好都合には、キットにおいて、単一の投薬量が無菌バイアル中に提供可能であり、その結果、医師はバイアルを直接的に用いることができ、バイアルは所望される量および濃度の剤を有する。様々な文書、例えば使用のための指示書、または医薬品もしくは生物学的製造物の生産、使用もしくは販売を規制する政府機関により規定される形態の注意書きであって、ヒト投与のための生産、使用もしくは販売の機関による承認を反映した注意書きがそのような容器に付随し得る。
【0168】
本明細書に記載される塩および結晶形態は、記載される障害/疾患の処置のために1つ以上の追加の薬物と組み合わせて使用または投与されてもよい。成分は、同じ製剤中または別々の製剤もしくは組成物中で投与され得る。別々の製剤または組成物中で投与される場合、本開示の塩およびその結晶形態またはそれを含む製剤もしくは組成物は、他の薬物と逐次的にまたは同時に投与されてもよい。
【0169】
1つ以上の追加の薬物と組み合わせて投与可能なことに加えて、式(I)の化合物の塩およびその結晶形態は併用療法において使用されてもよい。これが行われる場合、化合物は、典型的には、互いと組み合わせて投与される。そのため、本開示の式(I)の化合物の塩の1つ以上およびその結晶形態は、所望される効果を達成するために同時に(組み合わせられた調製物として)または逐次的に投与されてもよい。式(I)の化合物の各々の
塩およびその結晶形態の治療的なプロファイルが、2つの薬物の組み合わせられた効果が向上した治療結果を提供するように異なる場合に、これは特に望ましい。投与は、全身的、局部的(regional)または局所的(local)であってもよい。
【0170】
式(I)の化合物の開示される塩およびその結晶形態の医薬組成物は、標準的な経路により投与されてもよい。一般に、組成物は、非経口(例えば、静脈内、脊髄内、皮下もしくは筋肉内)、経口または外用経路により投与されてもよい。任意の所与の状況において使用される特定の投与の経路は、処置される状態の性質、状態の重症度および程度、送達される特定の化合物の要求される投薬量ならびに化合物の潜在的な副作用を含む、多数の要因に依存する。
【0171】
非経口注射のための式(I)の化合物の開示される塩およびその結晶形態の医薬組成物は、医薬的に許容される無菌水性または非水性溶液、分散体、懸濁液またはエマルションの他に、使用の直前の無菌注射溶液または分散体中への再構成のための無菌粉末を含む。
【0172】
式(I)の化合物の塩およびその結晶形態の使用において、当業者は、非特許文献16を利用して医薬的な許容される賦形剤組成物を調製してもよい。
【0173】
本開示の外用組成物は、1つ以上の許容される担体、および任意選択的に任意の他の治療的な成分と共に活性成分を含む。外用投与のために好適な組成物は、処置が要求される部位への皮膚を通じた透過のために好適な液体または半液体調製物、例えばリニメント、ローション、クリーム、粉末、パッチ、スプレー、吸入剤、軟膏またはペースト、および目、耳または鼻への投与のために好適な液滴(drops)を含む。活性成分は、医薬的に許容される担体および任意の必要とされる防腐剤、緩衝剤、または要求され得る噴射剤と無菌条件下で混合される。
【0174】
本開示による液滴は、無菌水性または油性溶液または懸濁液を含んでもよい。これらは、表面活性剤を任意選択的に含む、殺菌および/もしくは殺真菌剤ならびに/または任意の他の好適な防腐剤の水性溶液に活性成分を溶解させることにより調製されてもよい。結果としてもたらされる溶液は次に、濾過により清澄化され、好適な容器に移され、滅菌されてもよい。滅菌は、90~100℃で半時間のオートクレーブもしくは維持、または濾過、続いて無菌化技術による容器への移動により達成されてもよい。液滴中に含めるために好適な殺菌および殺真菌剤の例は、硝酸または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製のための好適な溶媒は、グリセロール、希釈アルコールおよびプロピレングリコールを含む。
【0175】
本開示によるローションは、皮膚または目への適用のために好適なものを含む。眼用ローションは、殺菌剤を任意選択的に含有する無菌水性溶液を含んでもよく、液滴の調製に関して上記されるものに類似した方法により調製されてもよい。皮膚への適用のためのローションまたはリニメントはまた、乾燥を促進するためおよび皮膚を冷却するための剤、例えばアルコールもしくはアセトン、ならびに/またはモイスチャライザー、例えばグリセロール、または油、例えばヒマシ油もしくはラッカセイ油を含んでもよい。
【0176】
本開示によるクリーム、軟膏またはペーストは、外用塗布のための活性成分の半固体製剤である。それらは、単独のまたは水性もしくは非水性流体中の溶液もしくは懸濁液中の、微細に分割されているかまたは粉末化された形態の活性成分を、グリース状または非グリース状基剤と混合することにより作られてもよい。基剤は、炭化水素、例えば硬質、軟質または液体パラフィン、グリセロール、ミツロウ、金属石鹸;粘質物;天然起源の油、例えばアーモンド、トウモロコシ、ラッカセイ、ヒマシまたはオリーブ油;アルコール、
例えばプロピレングリコールまたはマクロゴールと共に羊毛脂もしくはその誘導体、または脂肪酸、例えばステアリン酸もしくはオレイン酸を含んでもよい
【0177】
組成物は、任意の好適な界面活性剤、例えば陰イオン性、陽イオン性または非イオン性界面活性剤、例えばソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体を組み込んでいてもよい。懸濁化剤、例えば天然ゴム、セルロース誘導体または無機材料、例えば珪質シリカ、および他の成分、例えばラノリンもまた含まれてもよい。
【0178】
投与される化合物の量は、好ましくは、状態を処置および低減または軽減する。治療有効量は、従来技術の使用によりおよび類似の状況下で得られた結果を観察することにより担当医により容易に決定され得る。治療有効量の決定において、動物の種、そのサイズ、年齢および全般的健康状態、関与する特有の条件、状態の重症度、処置に対する患者の応答、投与される特定の化合物、投与のモード、投与される調製物のバイオアベイラビリティ、選択される用量レジーム、他の医薬品の使用および他の関連する状況を含むがそれに限定されない多数の要因が考慮される。
【0179】
当業者は、応用可能な疾患および状態を処置するために要求される化合物の有効な、非毒性の量をルーチンの実験により決定することができる。一般に、典型的なおよび有効な投薬量は、1日当たりで体重1キログラム当たり約0.01~約1000mg、典型的には1日当たりで体重1キログラム当たり約0.1~約100mg、よりいっそう典型的には1日当たりで体重1キログラム当たり約1~約10mg、さらに1日当たりで体重1キログラム当たり約5mgの範囲内であることが予想される。小さい用量(1日当たりで0.01~1mg/kg)が最初に投与され、続いて1日当たりで約1000mg/kgまで用量を増加させてもよい。対象における応答がそのような用量で不十分な場合、よりいっそう高い用量(または異なるより局在化された送達経路による有効なより高い用量)が、患者忍容性が許容する程度まで用いられてもよい。より好ましい投薬量は、1日当たりで体重1キログラム当たり0.1~300mg、より好ましくは1日当たりで体重1キログラム当たり0.1~100mgの範囲内である。好適な用量は、1日当たりで複数の部分用量で投与され得る。
【0180】
典型的には、治療応用において、処置は疾患状態の持続期間にわたり為される。
【0181】
さらに、個々の投薬の最適な量および間隔、例えば定義される日数にわたり1日当たりで与えられる組成物の用量の数は、処置されている疾患状態の性質および程度、投与の形態、経路および部位、ならびに処置されている特定の個体の性質により決定されることは当業者に明らかである。
【0182】
以下の番号付けされた実施形態が本明細書において開示される。
【0183】
実施形態1:式(I):
【0184】
【化3】
【0185】
の化合物の医薬的に許容される塩の結晶形態。
【0186】
実施形態2:前記医薬的に許容される塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択される、実施形態1に記載の結晶形態。
【0187】
実施形態3:前記医薬的に許容される塩が、コリン塩、L-リジン塩、tert-ブチルアミン塩、およびジエタノールアミン塩からなる群から選択される、実施形態1に記載の結晶形態。
【0188】
実施形態4:前記医薬的に許容される塩がL-リジン塩である、実施形態3に記載の結晶形態。
【0189】
実施形態5:前記結晶形態が、少なくとも3つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記3つの特徴的なピークが、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、実施形態4に記載の結晶形態。
【0190】
実施形態6:前記結晶形態が、少なくとも4つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記4つの特徴的なピークが、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、実施形態4に記載の結晶形態。
【0191】
実施形態7:前記結晶形態が、少なくとも5つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記5つの特徴的なピークが、4.23、7.92、10.59、14.44、15.25、15.50、19.32、19.87、21.30、23.41、23.94、24.42、25.30、25.81、26.00度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、実施形態4に記載の結晶形態。
【0192】
実施形態8:図1において描写されているX線粉末回折パターンを呈する、実施形態4に記載の結晶形態。
【0193】
実施形態9:約197~203℃の融点を有する、実施形態4、5、6、7、および8のいずれか1つに記載の結晶形態。
【0194】
実施形態10:前記医薬的に許容される塩がtert-ブチルアミン塩である、実施形態3に記載の結晶形態。
【0195】
実施形態11:前記結晶形態が、少なくとも3つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記3つの特徴的なピークが、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、実施形態10に記載の結晶形態。
【0196】
実施形態12:前記結晶形態が、少なくとも4つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記4つの特徴的なピークが、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、実施形態10に記載の結晶形態。
【0197】
実施形態13:前記結晶形態が、少なくとも5つの特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを呈し、前記5つの特徴的なピークが、13.59、13.75、17.93、18.36、18.44、19.39、20.26、20.77、21.22、21.78、21.84、22.82、23.34、23.91、26.12度の2θ(±0.2度の2θ)におけるピークからなる群から選択される、実施形態10に記載の結晶形態。
【0198】
実施形態14:図3において描写されているX線粉末回折パターンを呈する、実施形態10に記載の結晶形態。
【0199】
実施形態15:約196~224℃の融点を有する、実施形態10、11、12、13、または14のいずれか1つに記載の結晶形態。
【0200】
実施形態16:実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、および16のいずれか1つに記載の結晶形態および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【0201】
実施形態17:式(I):
【0202】
【化4】
【0203】
の化合物のL-リジン塩。
【0204】
実施形態18:式(I):
【0205】
【化5】
【0206】
の化合物のtert-ブチルアミン塩。
【0207】
実施形態19:対象に治療有効量の実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、および16のいずれか1つに記載の結晶形態を投与することを含む、眼疾患を処置する方法。
【0208】
実施形態20:前記眼疾患が、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症 角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症ならびに目のフォンヒッペル-リンドウ病を含む群から選択される、実施形態19に記載の方法。
【0209】
実施形態21:対象に治療有効量の実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15のいずれか1つに記載の結晶形態または実施形態16に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;前記対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および前記対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させる方法。
【0210】
実施形態22:対象に治療有効量の実施形態1~16のいずれか1つに記載の結晶形態を投与することを含む、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置する方法。
【0211】
実施形態23:線維症と関連付けられる前記疾患または障害が、線維性皮膚障害、肺疾患、心臓疾患、および腎臓疾患からなる群から選択される、実施形態22に記載の方法。
【0212】
実施形態24:前記線維性皮膚障害が、ケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症からなる群から選択される、実施形態23に記載の方法。
【0213】
実施形態25:前記肺疾患が肺線維症である、実施形態23に記載の方法。
【0214】
実施形態26:前記心臓疾患が、虚血性心臓疾患に起因する心不全、糖尿病性心臓疾患、心臓弁膜症、高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症、および高血圧からなる群から選択される、実施形態23に記載の方法。
【0215】
実施形態27:前記腎臓疾患が、進行性糸球体腎臓疾患および糖尿病性腎臓疾患からなる群から選択される、実施形態23に記載の方法。
【0216】
実施形態28:前記進行性腎臓疾患が原発性糸球体腎炎または二次性糸球体腎炎である、実施形態27に記載の方法。
【0217】
実施形態29:前記原発性糸球体腎炎が、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性
増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、および膜性限局性分節性糸球体硬化症からなる群から選択される、実施形態28に記載の方法。
【0218】
実施形態30:前記二次性糸球体腎炎が糖尿病性腎症または虚血性腎症である、実施形態28に記載の方法。
【0219】
実施形態31:前記腎臓疾患が、尿細管間質を主な起源とする進行性腎臓疾患である、実施形態23に記載の方法。
【0220】
実施形態32:前記腎臓疾患が、間質性腎炎、常染色体優性尿細管間質性線維症、または逆流性腎症である、実施形態31に記載の方法。
【0221】
実施形態33:前記結晶形態または組成物が経口的に投与される、実施形態19、20、および21のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
実施形態34:前記結晶形態または組成物が目に投与される、実施形態19、20、および21のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
実施形態35:対象に治療有効量の実施形態17および18のいずれか1つに記載の化合物を投与することを含む、眼疾患を処置する方法。
【0224】
実施形態36:前記眼疾患が、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症 角膜浮腫、前部および後部ぶどう膜炎、翼状片、角膜疾患、ドライアイ、結膜炎、アレルギーおよびレーザー誘導性滲出、非加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症ならびに目のフォンヒッペル-リンドウ病を含む群から選択される、実施形態35に記載の方法。
【0225】
実施形態37:対象に治療有効量の実施形態17および18のいずれか1つに記載の化合物を投与することを含む、前記対象の網膜中のICAM-1 mRNAのレベル;前記対象の網膜中のVEGF mRNAのレベル;および前記対象の網膜中の白血球の数のうちの少なくとも1つを低減させる方法。
【0226】
実施形態38:対象に治療有効量の実施形態17または18に記載の化合物を投与することを含む、線維症と関連付けられる疾患または状態を処置する方法。
【0227】
実施形態39:線維症と関連付けられる前記疾患または障害が、線維性皮膚障害、肺疾患、心臓疾患、および腎臓疾患からなる群から選択される、実施形態38に記載の方法。
【0228】
実施形態40:前記線維性皮膚障害が、ケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症からなる群から選択される、実施形態39に記載の方法。
【0229】
実施形態41:前記肺疾患が肺線維症である、実施形態39に記載の方法。
【0230】
実施形態42:前記心臓疾患が、虚血性心臓疾患に起因する心不全、糖尿病性心臓疾患、心臓弁膜症、高血圧心臓疾患、糖尿病性心筋症、および高血圧からなる群から選択される、実施形態39に記載の方法。
【0231】
実施形態43:前記腎臓疾患が、進行性糸球体腎臓疾患および糖尿病性腎臓疾患からなる群から選択される、実施形態39に記載の方法。
【0232】
実施形態44:前記進行性糸球体腎臓疾患が原発性糸球体腎炎または二次性糸球体腎炎
である、実施形態42に記載の方法。
【0233】
実施形態45:前記原発性糸球体腎炎が、膜性腎症、限局性分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、びまん性増殖性糸球体腎炎、および膜性限局性分節性糸球体硬化症からなる群から選択される、実施形態44に記載の方法。
【0234】
実施形態46:前記二次性糸球体腎炎が糖尿病性腎症または虚血性腎症である、実施形態44に記載の方法。
【0235】
実施形態47:前記腎臓疾患が、尿細管間質を主な起源とする進行性腎臓疾患である、実施形態39に記載の方法。
【0236】
実施形態48:前記腎臓疾患が、間質性腎炎、常染色体優性尿細管間質性線維症、または逆流性腎症である、実施形態47に記載の方法。
【0237】
実施形態49:前記結晶形態または組成物が経口的に投与される、実施形態35~48のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
実施形態50:前記結晶形態または組成物が目に投与される、実施形態35~48のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0239】
追加の実施形態が以下の実施例においてさらに詳細に開示され、これらの実施例は、請求項の範囲を限定することは決して意図されない。
【0240】
X線粉末回折(XRPD)
XRPD分析を、PIXcel検出器(128チャンネル)を有するPANalytical X’pert pro上で実行し、試料を3~35° 2θでスキャンした。材料を穏やかに粉砕して任意の集塊物を放出させ、試料を支持するためのKaptonまたはMylarポリマーフィルムを有するマルチウェルプレート上にロードした。マルチウェルプレートを次に回折計に入れ、40kV/40mAの発電機の設定を使用する伝送モード(ステップサイズ 0.0130° 2θ、ステップ時間 18.87s)における実行でCu K放射線(α λ=1.54060Å;α=1.54443Å;β=1.39225Å;α:α比=0.5)を使用して分析した。HighScore Plus 4.7デスクトップアプリケーション(PANalytical、2017)を使用してデータを可視化し、画像を生成した。
【0241】
代替的に、試料を、D/tex検出器を有するRigaku MiniFlex 600上で分析した。光学部品は、1.25°のDS、8mmのSS、および0.15ミクロンのNi Kβフィルターと共に入射ビームおよび回折ビームの両方において5° Sollerスリットを備えていた。粉末について10° 2θ/分またはドロップキャストフィルムについて3° 2θ/分において0.02°/ステップと共に3~40° 2θでスキャンを取得した。熱重量分析(TG)
【0242】
おおよそ5~10mgの材料を、予めタール処理された(pre-tared)開放アルミニウム皿に加え、TA Instruments Discovery SDT 650 Auto - Simultaneous DSCにロードし、室温で保持した。試料を次に10℃/分の速度で30℃から400℃まで加熱し、その間に試料重量における変化をヒートフロー応答(DSC)と共に記録した。窒素を試料パージガスとして200cm/分の流速で使用した。
【0243】
示差熱分析(DTA)
おおよそ5mgの材料を計量して開放アルミニウム皿に入れ、同時的熱重量分析/示差熱分析装置(TG/DTA)にロードし、室温で保持した。試料を次に10℃/分の速度で20℃から300℃まで加熱し、その間に試料重量における変化を任意の示差熱事象(DTA)と共に記録した。窒素をパージガスとして300cm/分の流速で使用した。
【0244】
動的蒸気収着(DVS)
おおよそ10~20mgの試料をメッシュ蒸気収着天秤皿に入れ、Surface Measurement SystemsによるDVS Intrinsic動的蒸気収着天秤にロードした。試料を10%の増分での40~90%の相対湿度(RH)のランピングプロファイルに供し、安定な重量が25℃で達成されるまで各々のステップにおいて試料を維持した(dm/dt 0.004%、最小ステップ長さ 30分、最大ステップ長さ 500分)。収着サイクルの完了後に、同じ手順を使用して0%のRHまで試料を乾燥させ、次に第2の収着サイクルで40%のRHまで戻した。2回のサイクルを行った。収着/脱着サイクルの間の重量変化をプロットし、試料の吸湿性を決定した。XRPD分析を次に、保持された任意の固体に対して実行した。
【0245】
おおよその溶解度の測定
すべての試料を20mg/mLで調製した。各々の試料の初期pHを記録し、0.1MのNaOHおよび0.1MのHClを使用して要求されるように調整した。試料を37℃で3時間撹拌した。試料を収集し、pHを記録し、要求される場合に調整した。遠心分離を介して試料を濾過し、濾過された母液をHPLCにより分析した。
【0246】
HPLC条件は以下の通りであった:カラム:Waters Sunfire(登録商標) C18、150×4.6mm 3.5μm;カラム温度:25℃;オートサンプラー温度:Ambient;UV波長:220nm;注入体積:10μL;流速:1.0mL/分;移動相A:HO中の0.05%のTFA;移動相B:CAN中の0.05%のTFA。
【0247】
HPLC勾配プログラムは以下の通りであった:
【0248】
【表1】
【0249】
溶解研究
約175mgの各々のバッチを計量し、13mmのWoodダイ中で3分間、約3000lbsの力で小型液圧プレスを用いて圧縮することにより内因性溶解評価用のディスクを作製した。各々のディスクの表面を慎重に調べて、それが均一、滑らかであり、およびルースパウダーを含まないことを確実にした。
【0250】
ディスクを含有するWoodダイを、Erweka DT6溶解装置上のマッチするシャフトに取り付けることにより溶解実験を実行した。ディスクを媒体(500mL、37℃)中に降ろし、100rpmで直ちに回転させた。媒体の重複試料(0.2mL)をディスクの浸漬に先立って、ならびに実験が開始された後の2、5、10、15、20、25、30、60および90分時に取り出した。実質的な溶解が可視的であるか、またはディスクが媒体中で崩壊した場合に試料採取を中止した。
【0251】
各々の実験の終わりに、ディスクを媒体から取り出し、ディスクを調べてディスクの表面が均一なままであることを確実にし、および実験の経過にかけて溶解の程度を定性的に評価した。媒体試料を遠心分離(10000rpm×3分)し、小さいアリコート(50μL)を取り出し、HPLC分析に先立って50%の水性アセトニトリルを用いて5倍に希釈した。
【0252】
実施例1
式(I)の化合物のL-リジン塩の結晶形態(「結晶塩A」)の調製
式(I)の化合物を最小量のメタノール中に溶解させた。L-リジン(1.05当量)を次に加え、試料温度を約72時間にわたり4時間サイクルで周囲温度と40℃との間でサイクルさせた。この時間の後に、単一の貧溶媒、トルエンを混合物に加え、試料を2~8℃で貯蔵して沈殿を促進した。(i)2-プロパノール/ヘプタン、(ii)アセトニトリル/トルエン、および(iii)エタノール/ヘプタンを含む、他の溶媒/貧溶媒系を使用した。式(I)の化合物のL-リジン塩を結晶性材料として遠心分離濾過を介して単離した。結晶性材料が得られなかった場合、溶媒を周囲条件下で蒸発させた。式(I)
の化合物のL-リジン塩が結晶性材料として得られた。観察された固体を真空下40℃で約6時間乾燥させた。
【0253】
実施例2
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態(「結晶塩B」)の調製
式(I)の化合物を最小量の、2-プロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、および酢酸イソプロピルから選択される単一の溶媒中に溶解させた。tert-ブチルアミン(1.05当量)を次に加え、試料温度を約72時間にわたり4時間でサイクル周囲温度と40℃との間でサイクルさせた。この時間の後に、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩が結晶性材料として濾過により得られた。結晶性材料が得られなかった場合、ヘプタンおよびトルエンから選択される単一の貧溶媒を混合物に加え、溶媒を周囲条件下で蒸発させた。この時間の後に、式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩が結晶性材料として得られた。観察された固体を真空下40℃で約6時間乾燥させた。
【0254】
実施例2
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態Iの追加の調製
式(I)の化合物(0.83mmol)を40℃の7mLの酢酸エチルに撹拌と共に溶解させた。(0.87mmolの)tert-ブチルアミンを式(I)の化合物の溶液に加え、tert-ブチルアミン塩の即時の沈殿物を得た。混合物を25℃と40℃との間の温度サイクリングにより72時間アニーリングさせた。固体の真空濾過、続いて40℃での真空乾燥により、tert-ブチルアミン塩形態Iとして同定される結晶性白色粉末を得た。
【0255】
実施例3
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の形態Iの種添加再結晶化調製
80/20のメタノール/酢酸エチル中の結晶塩B(12.72重量%)を20℃で調製した。温度を次に60℃まで1℃/分で上昇させ、1時間保持した。次に、混合物を50℃まで0.3℃/分で冷却し、その温度で75分間保持した。混合物に2重量%の形態Iの種を種添加し、次に10℃まで0.08℃/分で冷却し、1時間保持した。メタノール対酢酸エチルの比が20/80に達するまで酢酸エチルを次に2時間の期間にかけて加えた。温度を10℃でさらに2時間保持した。固体を次に濾過により回収した。
【0256】
実施例4
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の形態Iの種添加反応性再結晶化調製
80/20のメタノール/酢酸エチル中の式(I)の化合物(12.8重量%)を20℃で調製して結晶化混合物を形成させた。温度を次に50℃まで1℃/分で上昇させ、75分間保持した。次に、1.5~1.6モル当量のtert-ブチルアミンを混合物に加えて7.8~8.2のpHを達成した。混合物を次に60℃まで1℃/分で上昇させ、1時間保持した。混合物を50℃まで0.3℃/分で冷却し、その温度で75分間保持した。混合物に2重量%の形態Iの種を種添加し、次に10℃まで0.08℃/分で冷却し、1時間保持した。メタノール対酢酸エチルの比が20/80に達するまで酢酸エチルを次に2時間の期間にかけて加えた。温度を10℃でさらに2時間保持した。固体を次に濾過により回収した。
【0257】
実施例5
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の形態IIの調製
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩を1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアルコール(HFIPA)に溶解させ、周囲温度で緩徐に蒸発させてtert-ブチルアミン塩の形態IIを製造した。
【0258】
実施例6
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IIIの調製
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IIを77℃~90℃で加熱し、次にさらに、真空下40℃で終夜乾燥させてtert-ブチルアミン塩の形態IIIを得た。
【0259】
実施例7
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IVの調製
式(I)の化合物のtert-ブチルアミン塩の結晶形態IVを実施例5の方法にしたがって調製した。さらなる遅い蒸発により形態IVを得た。
【0260】
実施例8
結晶塩Aおよび結晶塩Bの溶解プロファイル
結晶塩Aおよび結晶塩Bの溶解プロファイルを式(I)の化合物の遊離酸と比較した。
【0261】
FaSSIF培地中(図12)、結晶塩Aおよび結晶塩Bの両方は、式(I)の化合物の遊離酸の溶解性と比較して優れた溶解プロファイルを実証した。
【0262】
PBS培地中(図13)、結晶塩Aは、式(I)の化合物の遊離酸の溶解性と比較して優れた溶解プロファイルを実証し、結晶塩Bは、式(I)の化合物の遊離酸の溶解性と比較して、より良好でないとしても、同等の溶解プロファイルを実証した。
【0263】
実施例9
結晶試料の特徴付け
結晶性固体形態をXRPD、熱重量分析(TG)、およびDTAにより特徴付けた。
【0264】
結晶塩AのXRPDパターン(図1)は高い結晶化度を示す。約197~203℃の融解温度範囲が、示差熱分析を使用して観察された(図2)。結晶塩Aは、動的蒸気収着/脱着分析により90%のRHにおいて4.2重量%の質量増加(1.3当量の水)を示した(図5)。
【0265】
結晶塩B形態IのXRPDパターン(図3)は高い結晶化度を示す。約196~224℃の融解温度範囲が、示差熱分析を使用して観察された(図4)。結晶塩Bは動的蒸気収着/脱着分析により非吸湿性であった(図6)。
【0266】
結晶塩B形態IIのXRPDパターン(図7)は高い結晶化度を示す。
【0267】
結晶塩B形態IIIのXRPDパターン(図8)は高い結晶化度を示す。DSCデータ(図9)は、80~90℃の辺りでのHFIPAの損失、続いて155~165℃における2つの吸熱、および最後に、形態Iと合致して、約200℃における大きい融解吸熱を示す。
【0268】
結晶塩B形態IVのXRPDパターン(図10)は高い結晶化度を示す。DSCデータ(図11)は、形態IVは、40℃での真空乾燥において、HFIPAを損失し、形態IIIに変換されることを示す。80~100℃でのこの事象に続いて、155~165℃における2つの吸熱、および最後に、形態Iと合致して、約200℃における大きい融解吸熱がある。
【0269】
実施例10
結晶塩AのX線粉末回折(XRPD)測定
式(I)の化合物の結晶塩AのXRPD測定値を測定した。観察されたピークを表1に示す。顕著なピークを表2に列記する。この試料における好まれる配向状態は知られていないため、ピークのいずれもこの材料の代表的なまたは特徴的なものであることは知られていないことに留意されたい。
【0270】
収集されたデータの範囲は機器依存的であった可能性がある。ほとんどの状況下で、0゜ 2θから約30゜ 2θまでの範囲内の離散数のXRPDピークに依拠することにより多形形態を同定する目的のために十分である。丸め込みアルゴリズムを使用し、データを収集するために使用された機器および/または固有のピーク分解能に基づいて、各々のピークを最も近い0.01゜ 2θに丸め込んだ。図および表の両方におけるx軸に沿ったピークの位置(゜ 2θ)を、専有的なソフトウェアを使用して決定し、上記の基準に基づいて小数点後の1または2つの有意な数に丸め込んだ。ピーク位置のばらつきは±0.2゜ 2θ以内で与えられる。d-スペースの列記のために、d-スペーシングを算出するために使用された波長は1.54252Å(0.5:0.5、CuKα:CuKα)であった。
【0271】
【表2】
【0272】
【表3】
【0273】
表2は、ここで使用される用語として「顕著なピーク」として同定されたXRPDデー
タを提供する。顕著なピークは、観察されたピークリスト全体のサブセットである。顕著なピークは、強い強度を有する、好ましくはオーバーラップしない、低角度ピークを同定することにより、観察されたピークから選択される。
【0274】
【表4】
【0275】
実施例11
結晶塩B形態IのX線粉末回折(XRPD)測定
式(I)の化合物の結晶塩Bの形態IのXRPD測定値を測定した。観察されたピークを表3に示す。顕著なピークを表4に列記する。この試料における好まれる配向状態は知られていないため、ピークのいずれもこの材料の代表的なまたは特徴的なものであることは知られていないことに留意されたい。
【0276】
収集されたデータの範囲は機器依存的であった可能性がある。ほとんどの状況下で、0゜ 2θから約30゜ 2θまでの範囲内の離散数のXRPDの選択に依拠することにより多形形態を同定する目的のために十分である。丸め込みアルゴリズムを使用し、データを収集するために使用された機器および/または固有のピーク分解能に基づいて、各々のピークを最も近い0.01゜ 2θに丸め込んだ。図および表の両方におけるx軸に沿ったピークの位置(゜ 2θ)を、専有的なソフトウェアを使用して決定し、上記の基準に基づいて小数点後の1または2つの有意な数に丸め込んだ。ピーク位置のばらつきは±0.2゜ 2θ以内で与えられる。d-スペースの列記のために、d-スペーシングを算出するために使用された波長は、Cu-KαおよびCu-Kα波長の加重平均、1.54252Åであった。
【0277】
【表5】
【0278】
【表6】
【0279】
表4は、「顕著なピーク」として同定されたXRPDデータを提供する。顕著なピーク
は、観察されたピークリスト全体のサブセットである。顕著なピークは、強い強度を有する、好ましくはオーバーラップしない、低角度ピークを同定することにより、観察されたピークから選択される。
【0280】
【表7】
【0281】
実施例12
結晶塩B形態IIのX線粉末回折(XRPD)測定
式(I)の化合物の結晶塩Bの形態IIのXRPD測定値を測定した。観察されたピークを表5に示す。顕著なピークを表6に列記する。この試料における好まれる配向状態は知られていないため、ピークのいずれもこの材料の代表的なまたは特徴的なものであることは知られていないことに留意されたい。
【0282】
収集されたデータの範囲は機器依存的であった可能性がある。ほとんどの状況下で、0゜ 2θから約30゜ 2θまでの範囲内の離散数のXRPDの選択に依拠することにより多形形態を同定する目的のために十分である。丸め込みアルゴリズムを使用し、データを収集するために使用された機器および/または固有のピーク分解能に基づいて、各々のピークを最も近い0.01゜ 2θに丸め込んだ。図および表の両方におけるx軸に沿ったピークの位置(゜ 2θ)を、専有的なソフトウェアを使用して決定し、上記の基準に基づいて小数点後の1または2つの有意な数に丸め込んだ。ピーク位置のばらつきは±0.2゜ 2θ以内で与えられる。d-スペースの列記のために、d-スペーシングを算出するために使用された波長は、Cu-KαおよびCu-Kα波長の加重平均、1.54252Åであった。
【0283】
【表8】
【0284】
表6は、「顕著なピーク」として同定されたXRPDデータを提供する。顕著なピーク
は、観察されたピークリスト全体のサブセットである。顕著なピークは、強い強度を有する、好ましくはオーバーラップしない、低角度ピークを同定することにより、観察されたピークから選択される。
【0285】
【表9】
【0286】
実施例13
結晶塩B形態IIIのX線粉末回折(XRPD)測定
式(I)の化合物の結晶塩Bの形態IIIのXRPD測定値を測定した。観察されたピークを表7に示す。顕著なピークを表8に列記する。この試料における好まれる配向状態は知られていないため、ピークのいずれもこの材料の代表的なまたは特徴的なものであることは知られていないことに留意されたい。
【0287】
収集されたデータの範囲は機器依存的であった可能性がある。ほとんどの状況下で、0゜ 2θから約30゜ 2θまでの範囲内の離散数のXRPDの選択に依拠することにより多形形態を同定する目的のために十分である。丸め込みアルゴリズムを使用し、データを収集するために使用された機器および/または固有のピーク分解能に基づいて、各々のピークを最も近い0.01゜ 2θに丸め込んだ。図および表の両方におけるx軸に沿ったピークの位置(゜ 2θ)を、専有的なソフトウェアを使用して決定し、上記の基準に
基づいて小数点後の1または2つの有意な数に丸め込んだ。ピーク位置のばらつきは±0.2゜ 2θ以内で与えられる。d-スペースの列記のために、d-スペーシングを算出するために使用された波長は、Cu-KαおよびCu-Kα波長の加重平均、1.54252Åであった。
【0288】
【表10】
【0289】
表8は、「顕著なピーク」として同定されたXRPDデータを提供する。顕著なピークは、観察されたピークリスト全体のサブセットである。顕著なピークは、強い強度を有する、好ましくはオーバーラップしない、低角度ピークを同定することにより、観察されたピークから選択される。
【0290】
【表11】
【0291】
実施例14
結晶塩B形態IVのX線粉末回折(XRPD)測定
式(I)の化合物の結晶塩Bの形態IVのXRPD測定値を測定した。観察されたピークを表9に示す。顕著なピークを表10に列記する。この試料における好まれる配向状態は知られていないため、ピークのいずれもこの材料の代表的なまたは特徴的なものであることは知られていないことに留意されたい。
【0292】
収集されたデータの範囲は機器依存的であった可能性がある。ほとんどの状況下で、0゜ 2θから約30゜ 2θまでの範囲内の離散数のXRPDの選択に依拠することにより多形形態を同定する目的のために十分である。丸め込みアルゴリズムを使用し、データを収集するために使用された機器および/または固有のピーク分解能に基づいて、各々のピークを最も近い0.01゜ 2θに丸め込んだ。図および表の両方におけるx軸に沿っ
たピークの位置(゜ 2θ)を、専有的なソフトウェアを使用して決定し、上記の基準に基づいて小数点後の1または2つの有意な数に丸め込んだ。ピーク位置のばらつきは±0.2゜ 2θ以内で与えられる。d-スペースの列記のために、d-スペーシングを算出するために使用された波長は、Cu-KαおよびCu-Kα波長の加重平均、1.54252Åであった。
【0293】
【表12】
【0294】
表10は、「顕著なピーク」として同定されたXRPDデータを提供する。顕著なピー
クは、観察されたピークリスト全体のサブセットである。顕著なピークは、強い強度を有する、好ましくはオーバーラップしない、低角度ピークを同定することにより、観察されたピークから選択される。
【0295】
【表13】
【0296】
実施例15
代替的な結晶塩のX線粉末回折(XRPD)測定
式(I)の化合物の結晶塩形態のXRPD測定値を測定する。ピークが観察されるが、この試料における好まれる配向状態は知られていないため、ピークのいずれもこの材料の代表的なまたは特徴的なものであることは知られていないことに留意されたい。
【0297】
収集されたデータの範囲は機器依存的であった可能性がある。ほとんどの状況下で、0゜ 2θから約30゜ 2θまでの範囲内の離散数のXRPDピークに依拠することにより多形形態を同定する目的のために十分である。丸め込みアルゴリズムを使用し、データを収集するために使用された機器および/または固有のピーク分解能に基づいて、各々のピークを最も近い0.01゜ 2θに丸め込んだ。図および表の両方におけるx軸に沿ったピークの位置(゜ 2θ)を、専有的なソフトウェアを使用して決定し、上記の基準に基づいて小数点後の1または2つの有意な数に丸め込んだ。ピーク位置のばらつきは±0.2゜ 2θ以内で与えられる。d-スペースの列記のために、d-スペーシングを算出するために使用された波長は、Cu-KαおよびCu-Kα波長の加重平均、1.54252Åであった。
【0298】
以上は、明確性および理解の目的のために実例および例によってある程度詳細に記載されたが、多数のおよび様々な修飾が本開示の精神から離れることなく為され得ることが当業者により理解されるであろう。したがって、本明細書に開示される形態は実例的なものに過ぎず、本開示の範囲を限定することは意図されず、むしろ本出願の真の範囲および精神に入るすべての修飾および代替物もまたカバーすることが意図されることが明確に理解されるべきである。
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【国際調査報告】