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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】容量性補償を伴う電流感知
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240311BHJP
   G05F 1/10 20060101ALI20240311BHJP
   G05F 3/26 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H02M3/155 H
G05F1/10 301B
G05F3/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557339
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022021075
(87)【国際公開番号】W WO2022198118
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/512,842
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/163,370
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/175,632
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ソン グオ
(72)【発明者】
【氏名】サウラヴ バンドヨパドヤイ
【テーマコード(参考)】
5H410
5H420
5H730
【Fターム(参考)】
5H410BB04
5H410CC02
5H410DD02
5H410DD10
5H410EA11
5H410EB09
5H410EB37
5H410FF03
5H410FF05
5H410FF25
5H420BB12
5H420CC02
5H420DD02
5H420DD10
5H420EA12
5H420EB09
5H420FF03
5H420FF04
5H420FF25
5H420NC02
5H420NC03
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
(57)【要約】
電流感知回路(300)は、感知増幅器(306)、電流ミラー回路(308)、抵抗器(316)、ローパスフィルタ(322)、及びコンデンサ(318)を含む。感知増幅器はDC-DCコンバータのスイッチングトランジスタ(204)に結合されるように適合される。電流ミラー回路は、感知増幅器(306)に結合されており、スイッチングトランジスタ(204)を介して流れる電流に比例する感知電流を生成するように構成される。抵抗器(316)は、電流ミラー回路(308)に結合されており、感知電流に基づいて感知電圧を生成するように構成される。ローパスフィルタ(322)は、抵抗器(316)に結合されており、平均化期間にわたって感知電圧を平均化するように構成される。コンデンサ(318)は、抵抗器(316)に結合されており、平均化期間に先行するブランキング期間に感知電圧を蓄え、平均化期間に補償電流を供給するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流感知回路であって、
感知増幅器と、
電流ミラー回路と、
バッファ増幅器と、
スイッチと、
補償コンデンサと、
を含み、
前記感知増幅器が、DC-DCコンバータのスイッチングトランジスタに結合されるように適合された入力と、出力とを含み、
前記電流ミラー回路が、前記感知増幅器の前記出力に結合され、
前記バッファ増幅器が、前記電流ミラー回路に結合される入力と、出力とを含み、
前記スイッチが、前記バッファ増幅器の前記出力に結合される第1の端子と、前記バッファ増幅器の前記入力に結合される第2の端子とを含み、
前記補償コンデンサが、前記スイッチの前記第2の端子に結合される、
電流感知回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電流感知回路であって、
前記スイッチが第1のスイッチであり、
前記電流感知回路が第2のスイッチを含み、
前記第2のスイッチが、
前記第1のスイッチの前記第2の端子に結合される第1の端子と、
前記バッファ増幅器の前記入力に結合される第2の端子と、
を含む、
電流感知回路。
【請求項3】
請求項2に記載の電流感知回路であって、
ローパスフィルタと、
第3のスイッチと、
を更に含み、
前記第3のスイッチが、前記バッファ増幅器の前記入力に結合される第1の端子と、前記ローパスフィルタに結合される第2の端子とを含み、
前記第2のスイッチが、前記第3のスイッチの前記第1の端子と前記補償コンデンサとの間に結合されている、
電流感知回路。
【請求項4】
請求項2に記載の電流感知回路であって、
ローパスフィルタと、
第3のスイッチと、
を更に含み、
前記第3のスイッチが、第1の端子と、前記ローパスフィルタに結合される第2の端子とを含み、
前記第2のスイッチが、前記第3のスイッチの前記第1の端子と前記バッファ増幅器の前記入力との間に結合されている、
電流感知回路。
【請求項5】
請求項1に記載の電流感知回路であって、前記バッファ増幅器の前記入力に結合される電流源を更に含む、電流感知回路。
【請求項6】
請求項1に記載の電流感知回路であって、抵抗器を更に含み、
前記抵抗器が、
前記バッファ増幅器の前記入力に結合される第1の端子と、
共通モード電圧端子に結合される第2の端子と、
を含む、電流感知回路。
【請求項7】
電流感知回路であって、
DC-DCコンバータのスイッチングトランジスタに結合されるように適合される感知増幅器と、
前記感知増幅器に結合され、前記スイッチングトランジスタを介して流れる電流に比例する感知電流を生成するように構成される電流ミラー回路と、
前記電流ミラー回路に結合され、前記感知電流に基づいて感知電圧を生成するように構成される抵抗器と、
前記抵抗器に結合され、平均化期間にわたって前記感知電圧を平均化するように構成されるローパスフィルタと、
前記抵抗器に結合されるコンデンサと、
を含み、
前記コンデンサが、
前記平均化期間に先行するブランキング期間において前記感知電圧を蓄え、
前記平均化期間において補償電流を供給する、
ように構成される、
電流感知回路。
【請求項8】
請求項7に記載の電流感知回路であって、前記抵抗器及び前記コンデンサに結合されるバッファ増幅器を更に含み、前記バッファ増幅器が、前記ブランキング期間の間に前記コンデンサを充電するように構成される、電流感知回路。
【請求項9】
請求項8に記載の電流感知回路であって、前記バッファ増幅器の出力を前記コンデンサに結合するように構成されるスイッチを更に含む、電流感知回路。
【請求項10】
請求項9に記載の電流感知回路であって、
前記スイッチが第1のスイッチであり、
前記電流感知回路が、前記バッファ増幅器の入力を前記コンデンサに結合するように構成される第2のスイッチを含む、
電流感知回路。
【請求項11】
請求項10に記載の電流感知回路であって、
前記コンデンサを前記ローパスフィルタに結合するように構成される第3のスイッチを更に含み、
前記第2のスイッチが、前記コンデンサを前記第3のスイッチに結合するように構成されている、
電流感知回路。
【請求項12】
請求項11に記載の電流感知回路であって、制御回路を更に含み、
前記制御回路が、
前記ブランキング期間の間、前記第1のスイッチを閉じて前記第2のスイッチを開き、
前記平均化期間の間 、前記第1のスイッチを開いて前記第2のスイッチを閉じる、
ように構成される、電流感知回路。
【請求項13】
請求項12に記載の電流感知回路であって、前記制御回路が、前記平均化期間の間、前記第3のスイッチを閉じるように構成されている、電流感知回路。
【請求項14】
DC-DCコンバータであって、
スイッチングトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタに結合される電流感知回路と、
を含み、
前記電流感知回路が、
前記スイッチングトランジスタにおける電流の流れを感知するように構成され、
前記電流感知回路が、
前記スイッチングトランジスタに結合される感知増幅器と、
前記感知増幅器に結合され、前記スイッチングトランジスタを介して流れる電流に比例する感知電流を生成するように構成される電流ミラー回路と、
前記電流ミラー回路に結合され、前記感知電流に基づいて感知電圧を生成するように構成される抵抗器と、
前記抵抗器に結合され、平均化期間にわたって前記感知電圧を平均化するように構成されるローパスフィルタと、
前記抵抗器に結合されるコンデンサであって、
前記平均化期間に先行するブランキング期間において前記感知電圧を蓄え、
前記平均化期間において補償電流を供給する、
ように構成される前記コンデンサと、
前記抵抗器及び前記コンデンサに結合され、前記ブランキング期間の間に前記コンデンサを充電するように構成されるバッファ増幅器と、
を含む、
DC-DCコンバータ。
【請求項15】
請求項14に記載のDC-DCコンバータであって、前記バッファ増幅器からの出力信号を前記コンデンサに結合するように構成されるスイッチを更に含む、DC-DCコンバータ。
【請求項16】
請求項15に記載のDC-DCコンバータであって、
前記スイッチが第1のスイッチであり、
前記電流感知回路が、前記バッファ増幅器の入力を前記コンデンサに結合するように構成される第2のスイッチを含む、
DC-DCコンバータ。
【請求項17】
請求項16に記載のDC-DCコンバータであって、
前記コンデンサを前記ローパスフィルタに結合するように構成される第3のスイッチを更に含み、
前記第2のスイッチが、前記コンデンサを前記第3のスイッチに結合するように構成されている、
DC-DCコンバータ。
【請求項18】
請求項17に記載のDC-DCコンバータであって、前記電流感知回路が、前記ブランキング期間の間、前記第1のスイッチを閉じて前記第2のスイッチを開くように構成される制御回路を含む、DC-DCコンバータ。
【請求項19】
請求項18に記載のDC-DCコンバータであって、前記制御回路が、前記平均化期間の間、前記第1のスイッチを開いて前記第2のスイッチを閉じるように構成されている、DC-DCコンバータ。
【請求項20】
請求項19に記載のDC-DCコンバータであって、前記制御回路が、前記平均化期間の間、前記第3のスイッチを閉じるように構成されている、DC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スイッチモード電源(switch-mode power supply)は、入力直流(DC)供給電圧を、入力DC供給電圧よりも大きさが大きいか又は小さい、一つ又は複数のDC出力電圧に変換する電子回路である。入力電圧よりも低い出力電圧を生成するスイッチモード電源は、バックコンバータ又は降圧コンバータと呼ばれている。入力電圧よりも高い出力電圧を生成するスイッチモード電源は、ブーストコンバータ又は昇圧コンバータと呼ばれている。電源から負荷回路に流れる電流を測定するために、電流感知回路要素が、スイッチモード電源に結合され得る。
【発明の概要】
【0002】
一例において、電流感知回路が、感知増幅器、電流ミラー回路、バッファ増幅器、スイッチ、及び補償コンデンサを含む。感知増幅器は、入力及び出力を含む。入力は、DC-DCコンバータのスイッチングトランジスタに結合されるように適合されている。電流ミラー回路は、感知増幅器の出力に結合されている。バッファ増幅器は、入力及び出力を含む。バッファ増幅器の入力は、電流ミラー回路に結合されている。スイッチは、第1の端子及び第2の端子を含む。第1の端子は、バッファ増幅器の出力に結合されている。第2の端子は、バッファ増幅器の入力に結合されている。補償コンデンサは、スイッチの第2の端子に結合されている。
【0003】
別の例において、電流感知回路が、感知増幅器、電流ミラー回路、抵抗器、ローパスフィルタ、及びコンデンサを含む。感知増幅器は、DC-DCコンバータのスイッチングトランジスタに結合されるように適合されている。電流ミラー回路は、感知増幅器に結合されており、スイッチングトランジスタを介して流れる電流に比例する感知電流を生成するように構成されている。抵抗器は、電流ミラー回路に結合されており、感知電流に基づいて感知電圧を生成するように構成されている。ローパスフィルタは、抵抗器に結合されており、平均化期間にわたって感知電圧を平均化するように構成されている。コンデンサは、抵抗器に結合されており、平均化期間に先行するブランキング期間において感知電圧を蓄え、平均化期間において補償電流を供給するように構成されている。
【0004】
更なる例において、DC-DCコンバータが、スイッチングトランジスタ及び電流感知回路を含む。電流感知回路は、スイッチングトランジスタに結合されており、スイッチングトランジスタにおける電流の流れを感知するように構成されている。電流感知回路は、感知増幅器、電流ミラー回路、抵抗器、ローパスフィルタ、コンデンサ、及びバッファ増幅器を含む。感知増幅器は、スイッチングトランジスタに結合されている。電流ミラー回路は、感知増幅器に結合されており、スイッチングトランジスタを介して流れる電流に比例する感知電流を生成するように構成されている。抵抗器は、電流ミラー回路に結合されており、感知電流に基づいて感知電圧を生成するように構成されている。ローパスフィルタは、抵抗器に結合されており、平均化期間にわたって感知電圧を平均化するように構成されている。コンデンサは、抵抗器に結合されており、平均化期間に先行するブランキング期間において感知電圧を蓄え、平均化期間において補償電流を供給するように構成されている。バッファ増幅器は、抵抗器及びコンデンサに結合されており、ブランキング期間の間にコンデンサを充電するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ブランキング期間によって引き起こされる誤差を伴う電流感知のグラフを示す。
【0006】
図2】ブランキングに対する補償を伴う電流感知を含む、例示のDC-DCコンバータのブロック図を示す。
【0007】
図3】ブランキングに対する補償を含む例示の電流感知回路に関する概略レベル図を示す。
【0008】
図4】ブランキングに対する補償を伴う電流感知のグラフを示す。
【0009】
図5】ブランキングに対する補償を含む例示の電流感知回路に関する概略レベル図を示す。
【0010】
図6】ブランキングに対する補償を含む例示の電流感知回路に関する概略レベル図を示す。
【0011】
図7】ブランキングに対する補償を伴う電流感知とスイッチ制御信号とのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
電流感知回路は、DC-DCコンバータのスイッチングトランジスタ(例えば、ローサイドスイッチングトランジスタ)に流れる電流を感知する(すなわち、DC-DCコンバータのインダクタに流れる電流を感知する)ことによって、負荷電流を測定し得る。スイッチングトランジスタに流れる電流に比例する感知電流が、感知電圧に変換されて、時間平均される。平均感知電圧は、以下のように表され得る。
式中、
Iavgは平均インダクタ電流(負荷電流)であり、
Irippleはリップル電流であり、
Gは感知利得であり、
Toffはオフ時間(ローサイドスイッチングトランジスタのオン時間)であり、
Tblankはブランキング期間の時間である。
【0013】
ローサイドスイッチングトランジスタがオンにされると、感知電圧の平均化は、感知された電流を落ち着かせる期間(ブランキング期間)において停止する。ブランキング期間が原因となり、感知された負荷電流は、実際の負荷電流よりも低くなる。感知誤差は、以下の通りである。
【0014】
図1は、ブランキング期間によって引き起こされる誤差を伴う、DC-DCコンバータにおける電流感知のグラフを示す。電流のグラフにおいて、インダクタ電流(IL)は、ハイサイドスイッチングトランジスタがオンにされており、ローサイドスイッチングトランジスタがオフにされているときに増大している。ローサイドスイッチングトランジスタがオンにされており、ハイサイドスイッチングトランジスタがオフにされているとき、ILは減少している。電圧のグラフにおいて、利得を与えられたインダクタ電流(IL×G)は、ILに追従している。ローサイドスイッチングトランジスタがオンにされると、ブランキング期間102が開始され、ブランキング期間102の後に(平均化期間104において)、感知電圧CSA_OUT_TELは、平均負荷電流に相当する電圧の生成のために、平均化フィルタに切り替えられる。ブランキング期間102は、平均感知電流の値を減少させ、感知誤差を引き起こす。感知誤差は、特に、Toff(ローサイドスイッチングトランジスタのオン時間)が短い、高周波数及び高デューティサイクルの用途に関して、大きな影響を与え得る。例えば、ブランキングに起因する感知誤差は、状況によっては10%を超過し得る。
【0015】
本明細書で説明される電流感知回路の例は、電流感知の精度を改善するためにブランキング期間を補償する回路要素を含む。例えば、電流感知誤差は、ブランキング期間の補償を伴う電流感知回路を含むDC-DCコンバータにおいて、1パーセント未満であり得る。
【0016】
図2は、ブランキングに対する補償を伴う電流感知を含む、例示のDC-DCコンバータ200のブロック図を示す。DC-DCコンバータ200は、バックコンバータとして示されているが、ブーストコンバータ、バックブーストコンバータ、又は他のタイプのDC-DCコンバータであってもよい。DC-DCコンバータ200は、ハイサイドスイッチングトランジスタ202、ローサイドスイッチングトランジスタ204、インダクタ206、分圧器208、出力コンデンサ210、及びコントローラ212を含む。DC-DCコンバータ200は、負荷211に給電し、いくつかの実装において電力管理システム216と通信する。
【0017】
コントローラ212は、インダクタ206を充電及び放電するように、ハイサイドスイッチングトランジスタ202及びローサイドスイッチングトランジスタ204を(制御信号HSGATE及び制御信号LSGATEを介して)制御する。ハイサイドスイッチングトランジスタ202がオンにされ、ローサイドスイッチングトランジスタ204がオフにされると、電流がVinからハイサイドスイッチングトランジスタ202を介して流れて、インダクタ206を充電する。ローサイドスイッチングトランジスタ204がオンにされ、ハイサイドスイッチングトランジスタ202がオフにされると、インダクタ206が放電される際に、ローサイドスイッチングトランジスタ204を介して電流が流れる。インダクタ206から流れる電流は、出力コンデンサ210を充電し、負荷211に給電する。
【0018】
分圧器208は、DC-DCコンバータ200の出力200Aに結合されている。分圧器208は、DC-DCコンバータ200の出力電圧(Vout)を分圧して、Voutに比例するフィードバック電圧(VFB)を生成する。コントローラ212は、VFBを基準電圧と比較して、ハイサイドスイッチングトランジスタ202及びローサイドスイッチングトランジスタ204を制御するために用いられる誤差信号を生成する。
【0019】
コントローラ212はまた、電流感知回路214も含む。電流感知回路214は、インダクタ206が放電される際にインダクタ206を介して(また、出力コンデンサ210及び負荷211へと)流れる電流の測定のために、ローサイドスイッチングトランジスタ204に結合されている。電流感知回路214は、ローサイドスイッチングトランジスタ204のターンオン時に適用されるブランキング期間を補償し、負荷電流感知の精度を改善するための、回路要素を含む。
【0020】
コントローラ212は、シリアルバス(例えば、電力管理バス)を介して、電力管理システム216と通信し得る。例えば、DC-DCコンバータ200におけるDC-DC変換に適用される種々のパラメータが、電力管理システム216から受信され得、電流感知回路214から導き出された測定負荷電流を含むステータスが、電力管理システム216に送信され得る。
【0021】
DC-DCコンバータ200の実装は、正確な電流感知から恩恵を受ける多種多様な用途において用いられ得る。例えば、DC-DCコンバータ200は、サーバ、又は、他のタイプのコンピュータ、ネットワーク接続型ストレージデバイス、若しくは他の電子システムにおいて用いられ得る。
【0022】
図3は、ブランキングに対する補償を含む例示の電流感知回路300に関する概略レベル図を示す。電流感知回路300は、感知抵抗器302、感知抵抗器304、感知増幅器306、電流ミラー回路308、抵抗器316、補償コンデンサ318、及びローパスフィルタ322を含む。感知抵抗器304は、ローサイドスイッチングトランジスタ204のソースに結合されており、感知抵抗器302は、ローサイドスイッチングトランジスタ204のドレインに結合されている。感知増幅器306の入力は、感知抵抗器302及び感知抵抗器304に結合されている。感知増幅器306の出力は、パストランジスタ307に結合されている。
【0023】
ローサイドスイッチングトランジスタ204がオンにされると、感知増幅器306は、ローサイドスイッチングトランジスタ204、感知抵抗器302、及び感知抵抗器304の両端の電圧を感知し、ローサイドスイッチングトランジスタ204を介して流れる電流に比例する電流(Ia)を通すようにパストランジスタ307を活性化する。電流源326が、ローサイドスイッチングトランジスタ204を通る正及び負の電流の流れの感知を可能にするために、オフセット電流(例えば、95.5マイクロアンペア)を注入する。PGND_SNSFET_PRCは、感知抵抗器304への電流の経路を表し、PGND_SNSFET_SNSは、感知抵抗器304から感知増幅器306への感知経路を表す。同様に、SW_SNSFET_FRCは、感知抵抗器302への電流の経路を表し、SW_SNSFET_SNSは、感知抵抗器302から感知増幅器306への感知経路を表す。ローサイドスイッチングトランジスタ204がオフにされると、感知抵抗器302は、接地(PGND)に結合される。
【0024】
電流ミラー回路308は、トランジスタ310、トランジスタ312、及びスイッチ314を含む。スイッチ314は、電流ミラー回路308のいくつかの例において、電界効果トランジスタ(FET)を用いて実装され得る。ローサイドスイッチングトランジスタ204がオンにされると、スイッチ314が閉じられ、電流Ibがトランジスタ312を介して流れる。IbはIaを反映しており、ローサイドスイッチングトランジスタ204を介して流れる電流に比例している。抵抗器316は、トランジスタ312と、共通モード電圧バッファ増幅器330の出力330A(共通モード電圧端子)とに結合されている。電流Ibは、抵抗器316を介して流れて、感知電圧(CSA_OUT_TEL)を生成する。
【0025】
電流源328が抵抗器316に結合されている。電流源328は、感知増幅器306の入力において電流源326によって注入された電流に対応する電流を引き込む。
【0026】
補償コンデンサ318は、抵抗器316に結合されており、感知電圧は、補償コンデンサ318を充電する。スイッチ320が、補償コンデンサ318及び抵抗器316に結合されており、ローパスフィルタ322は、スイッチ320に結合されている。スイッチ320は、電流感知回路300のいくつかの例において、FETを用いて実装され得る。スイッチ320は、ローサイドスイッチングトランジスタ204と接地との間の寄生インダクタンスによって引き起こされるリンギングに起因する電流感知誤差を無効にするために、ローサイドスイッチングトランジスタ204のターンオン時にもたらされるブランキング期間の間は開いている。スイッチ320はまた、ローサイドスイッチングトランジスタ204がオフにされているときも開いている。ブランキング期間が終了すると、スイッチ320が閉じられ、ローパスフィルタ322が、感知電圧をフィルタリングして、バッファ増幅器324によって出力される平均感知電圧(CSA_OUT_FLT_TEL)を生成する。
【0027】
スイッチ320が閉じられると、電流(Ic)が、補償コンデンサ318から抵抗器316を介して流れることにより、感知電圧を昇圧し、また、ブランキング期間によって引き起こされた誤差を補償する。補償コンデンサ318がない場合、平均感知電圧は、式(2)の通りである。補償コンデンサ318の追加は、以下の通りに補償電圧を追加する。
式中、
Ccは、補償コンデンサ318の静電容量であり、
R1は、抵抗器316の抵抗である。
【0028】
補償電圧(Vcompensate)は、式(2)における誤差を補償するように選択される。Vcompensateを誤差電圧に等しく設定することによって、Ccは、以下のように計算され得る。
【0029】
補償コンデンサ318は、Iripple及びToffの異なる値(異なる入力電圧、出力電圧、及びスイッチング周波数)を備えるブランキング期間によって引き起こされる誤差を追跡する補償電圧を供給し、様々な用途において電流感知回路300が良好な精度を提供することを可能にする。
【0030】
図4は、電流感知回路300における電流感知のグラフを示す。図4において、インダクタ電流及び感知された電圧(IL×G)は、図1に示されるものと同じである。しかしながら、図4では、補償コンデンサ318によって供給される補償電流(Ic)が、平均化期間の間(スイッチ320が閉じられているとき)に感知電圧を昇圧することにより、感知された電流における誤差を低減している。
【0031】
図5は、ブランキングに対する補償を含む例示の電流感知回路500に関する概略レベル図を示す。電流感知回路500は、電流感知回路300と同様であり、補償コンデンサ318の充電を促すために、バッファ増幅器502、スイッチ504、及びスイッチ506を含む。バッファ増幅器502の入力が、電流ミラー回路308及び抵抗器316に結合される。バッファ増幅器502の出力は、スイッチ506の第1の端子に結合される。スイッチ506の第2の端子が、補償コンデンサ318、及びスイッチ504の第1の端子に結合される。スイッチ504の第2の端子は、バッファ増幅器502の入力に結合される。スイッチ504及びスイッチ506は、電流感知回路500のいくつかの例においてFETを用いて実装され得る。
【0032】
ブランキング期間の間、スイッチ506が閉じられ、補償コンデンサ318は、バッファ増幅器502の出力から急速充電される。ブランキング期間が終了すると、スイッチ504が閉じられ、補償電流(Ic)が、補償コンデンサ318からスイッチ504及び抵抗器316を介して流れて感知電圧を昇圧する。
【0033】
電流感知回路500は、スイッチ504及びスイッチ506を制御するための、制御信号BL及び制御信号CSを生成する制御回路508を含む。制御信号BLは、(図4に示されるような)ブランキング期間を規定し、制御信号CSは、ブランキング期間後のローサイドスイッチングトランジスタ204の活性時間(図4に示される平均化期間)を規定する。
【0034】
図6は、ブランキングに対する補償を含む例示の電流感知回路600に関する概略レベル図を示す。電流感知回路600は、電流感知回路300及び電流感知回路500と同様である。電流感知回路500のように、電流感知回路600は、補償コンデンサ318の充電を促すために、バッファ増幅器602、スイッチ604、及びスイッチ606を含む。バッファ増幅器602の入力が、電流ミラー回路308及び抵抗器316に結合される。バッファ増幅器602の出力は、スイッチ606の第1の端子に結合される。スイッチ606の第2の端子が、補償コンデンサ318及びスイッチ604の第1の端子に結合される。スイッチ604の第2の端子が、バッファ増幅器602の入力及びスイッチ320の端子に結合される。スイッチ604及びスイッチ606は、電流感知回路600のいくつかの例においてFETを用いて実装され得る。
【0035】
ブランキング期間の間、スイッチ606が閉じられ、補償コンデンサ318は、バッファ増幅器602の出力から急速充電される。ブランキング期間が終了すると、スイッチ604が閉じられ、補償電流(Ic)が、補償コンデンサ318からスイッチ604及び抵抗器316を介して流れて感知電圧を昇圧する。
【0036】
図7は、ブランキングに対する補償を伴う電流感知と、制御回路508によって生成されるスイッチ制御信号BL及びスイッチ制御信号CSとのグラフを示す。スイッチ制御信号BL及びスイッチ制御信号CSは、電流感知回路500におけるスイッチ504及びスイッチ506、並びに、電流感知回路600におけるスイッチ604及びスイッチ606を制御する。
【0037】
本説明において、「結合する」という用語は、本説明と合致する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが、或るアクションを行なうようにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、(a)第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合されており、又は、(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの機能的関係を実質的に変更しない場合、デバイスAは、介在構成要素Cを介してデバイスBに結合され、デバイスBは、デバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御される。また、本説明において、「~に基づいて」という記述は、「~に少なくとも部分的に基づいて」を意味する。それゆえ、XがYに基づいている場合、Xは、Y、及び任意の数の他の因子の関数であり得る。
【0038】
特許請求の範囲内で、説明された実施例における改変が可能であり、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】