(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】パルス整形器回路
(51)【国際特許分類】
G01T 1/24 20060101AFI20240311BHJP
G01T 1/17 20060101ALI20240311BHJP
H04N 25/30 20230101ALI20240311BHJP
H04N 25/773 20230101ALI20240311BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20240311BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G01T1/24
G01T1/17 F
G01T1/17 A
G01T1/17 H
H04N25/30
H04N25/773
A61B6/42 530Z
A61B6/42 530R
A61B6/03 573
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558172
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022056954
(87)【国際公開番号】W WO2022200161
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン クリストフ
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
5C024
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188BB15
2G188CC28
2G188CC29
2G188CC37
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2G188EE36
2G188EE37
4C093AA22
4C093CA13
4C093EA07
4C093FD01
4C093FD09
5C024AX11
5C024CX11
5C024GX02
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5C024GY39
5C024GY41
5C024GY45
5C024HX27
5C024HX29
(57)【要約】
スペクトル光子計数検出器120での使用のためのパルス整形器回路200は、積分器210とリセット回路230とを備える。積分器210は、検出された光子のエネルギーを示す振幅Vpeakを有する出力パルスV(t)を発生するように構成された出力220を備える。リセット回路230は、積分器210の出力220が第1のしきい値V1を超えてから第1の時間期間DT1後に積分器210を放電する。リセット回路230はまた、積分器210の出力220が、第1のしきい値V1よりも低い初期しきい値V0を超え、その後、初期しきい値V0を超えてから所定の時間間隔DT0内に第1のしきい値V1を超えなかった場合に、積分器210を放電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された光子のエネルギーを示す振幅を有する出力パルスを発生するための出力を備える積分器と、
前記積分器の前記出力が第1のしきい値を超えてから第1の時間期間後に前記積分器を放電するためのリセット回路と
を備える、スペクトル光子計数検出器での使用のためのパルス整形器回路であって、
前記リセット回路は、さらに、前記積分器の前記出力が、前記第1のしきい値よりも低い初期しきい値を超え、その後、前記初期しきい値を超えてから所定の時間間隔内で前記第1のしきい値を超えなかった場合に、前記積分器を放電する、パルス整形器回路。
【請求項2】
前記リセット回路が、さらに、前記積分器の前記出力を周期的にサンプリングし、
前記リセット回路は、さらに、前記積分器の前記出力が前記初期しきい値を超え、前記積分器の前記出力が、その後、前記初期しきい値を超えてから前記所定の時間間隔内に前記第1のしきい値を超えなかったことに応答して、前記積分器の前記出力が、前記所定の時間間隔内に少なくとも所定の数のサンプルについて前記初期しきい値を超え、前記積分器の前記出力が前記所定の時間間隔内に前記第1のしきい値を超えなかった場合にのみ、前記積分器を放電する、請求項1に記載のパルス整形器回路。
【請求項3】
前記サンプルが連続サンプルである、請求項2に記載のパルス整形器回路。
【請求項4】
前記リセット回路は、さらに、前記積分器の前記出力が前記初期しきい値を超え、前記積分器の前記出力が、その後、前記初期しきい値を超えてから前記所定の時間間隔内に前記第1のしきい値を超えなかったことに応答して、前記積分器の前記出力が前記第1のしきい値に達する予想時間の満了後にのみ、前記積分器を放電し、
前記積分器の前記出力が前記第1のしきい値に達する前記予想時間は、前記積分器の前記出力が、前記第1のしきい値を超えさせるエネルギーを有する検出された光子についての前記第1のしきい値に達する時間を表す、請求項1から3のいずれか一項に記載のパルス整形器回路。
【請求項5】
前記第1のしきい値が前記スペクトル光子計数検出器の最低エネルギービンの最低エネルギー限界を表す、請求項1から4のいずれか一項に記載のパルス整形器回路。
【請求項6】
前記第1の時間期間は、前記積分器の前記出力が最大値に達する時間を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載のパルス整形器回路。
【請求項7】
比較器回路とカウンタ回路とを備え、
前記比較器回路が前記積分器の前記出力を複数のしきい値と比較し、前記カウンタ回路が、前記それぞれの複数のしきい値の各々を超えた回数を表すカウント値を決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載のパルス整形器回路。
【請求項8】
前記カウンタ回路が、X線画像フレームに対応する周期内に前記それぞれの複数のしきい値の各々を超えた回数を表す前記カウント値を決定する、請求項7に記載のパルス整形器回路。
【請求項9】
前記積分器がフィードバックキャパシタを備え、前記フィードバックキャパシタが前記積分器の前記出力と前記積分器の入力との間に結合された、請求項1から8のいずれか一項に記載のパルス整形器回路。
【請求項10】
前記リセット回路が、前記積分器を放電するために前記積分器の前記出力を前記積分器の前記入力に結合するためのスイッチを備える、請求項1に記載のパルス整形器回路。
【請求項11】
前記リセット回路が、前記積分器を放電するために前記フィードバックキャパシタ中に電荷を注入するための電流源を備える、請求項9に記載のパルス整形器回路。
【請求項12】
受光されたX線光子に応答して電気パルスを生成するためのX線検出器要素のピクセル化されたアレイを備える、スペクトル光子計数検出器であって、
各X線検出器要素が、前記X線検出器要素によって生成された前記電気パルスを積分するために、請求項1から11のいずれか一項に記載のパルス整形器回路に電気的に結合された、スペクトル光子計数検出器。
【請求項13】
請求項12に記載のスペクトル光子計数検出器と、X線源とを備えるコンピュータ断層撮影又はX線撮像システムであって、
前記X線源と前記スペクトル光子計数検出器とが、前記X線源と前記スペクトル光子計数検出器との間の撮像領域中の物体を通るX線の減衰を表すX線画像データを生成するために前記撮像領域によって分離された、コンピュータ断層撮影又はX線撮像システム。
【請求項14】
積分出力値を生成するために、検出された光子を表す電気パルスを積分するステップと、
前記積分出力値が第1のしきい値を超えてから第1の時間期間後に前記積分出力値をリセットするステップと
を有する、スペクトル光子計数検出器において使用するためのパルス整形方法であって、
前記リセットするステップは、前記積分出力値が、前記第1のしきい値よりも低い初期しきい値を超え、その後、前記初期しきい値を超えてから所定の時間間隔内に前記第1のしきい値を超えなかった場合に、前記積分出力値をリセットするステップをさらに有する、パルス整形方法。
【請求項15】
1つ又は複数のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ又は複数のプロセッサに請求項14に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スペクトル光子計数検出器での使用のためのパルス整形器回路に関する。パルス整形器回路を含むスペクトル光子計数検出器、スペクトル光子計数検出器を含むコンピュータ断層撮影及びX線撮像システム、並びにパルス整形方法も開示されている。
【背景技術】
【0002】
スペクトル光子計数検出器は、検出されたX線光子、又は「量子」のエネルギーを区別するために、コンピュータ断層撮影「CT」システム及びX線撮像システムの両方において使用される。スペクトル光子計数検出器を採用する撮像システムを使用して生成された画像は、同様のX線減衰値を有し、単一のエネルギー間隔内でのみX線光子を検出する従来の検出器を使用して、又はX線画像フレーム中に観測されたすべての光子の光子エネルギーをただ積分することによって測定されたときには区別できないことがある、材料間の区別を行うことを可能にする。スペクトル光子計数検出器は、医療分野において、材料分析分野において、及び手荷物走査など、他の応用分野において、CTシステム及びX線撮像システムの両方においてすでに使用されているか、又は使用されることが予想される。
【0003】
スペクトル光子計数検出器は、複数のX線エネルギー間隔内で、受光されたX線光子の数の計数を決定することによって動作する。テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛「CZT」、及びシリコンなど、直接変換材料に基づくスペクトル光子計数検出器は、一般に、受光されたX線光子に応答して直接変換材料中に生成された電荷を検出するパルス整形器回路を採用する。パルス整形器回路は、一般に、各受光されたX線光子によって生成された電荷を積分する積分器を採用する。積分の結果は、X線光子のエネルギーを示す振幅を有する出力パルスである。パルス整形器回路の出力に結合されたエネルギー弁別器回路は出力パルスの高さを1つ又は複数のX線エネルギーしきい値と比較し、光子カウンタ回路は、各エネルギーしきい値について、出力パルスの立上りエッジがそのしきい値を超える回数を計数する。エネルギービニング回路が光子計数をエネルギー範囲にビニングし、それによって、検出されたX線放射をスペクトル分解する。
【0004】
X線光子のエネルギーの正確な測定値を得るためには、パルス整形器回路中の積分器が、光子によって生成された電荷を積分する前に完全に放電されることが重要である。このことは、積分器中の積分又は「フィードバック」キャパシタを放電することによって達成される。光子によって生成された電荷を積分する前に存在する、積分器の出力におけるオフセットは、測定されるX線エネルギー中の対応するオフセットを他の形で生じる。そのようなオフセットの存在は、しばしば「ペデスタル効果」と呼ばれる。また、検出器要素のピクセル化されたアレイにわたるオフセット値の空間的変動はX線画像アーティファクトにつながる。
【0005】
WO2008/155680A2には、検出された光子のエネルギーを示すピーク振幅を有するパルスを生成する積分器を含む装置が開示されている。第1の放電回路が第1の放電速度において積分器を放電し、第2の放電回路が第2の放電速度において積分器を放電する。第1の放電速度は第2の放電速度よりも小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原則として、パルス整形器回路の出力における一定のオフセット値を補償することは可能である。しかしながら、このオフセットの値は予測することが困難である。したがって、スペクトル光子計数検出器中でパルス整形器回路をリセットする方法を改善する余地が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、スペクトル光子計数検出器での使用のためのパルス整形器回路が提供される。パルス整形器回路は積分器とリセット回路とを含む。積分器は、検出された光子のエネルギーを示す振幅を有する出力パルスを発生するための出力を備える。リセット回路は、積分器の出力が第1のしきい値を超えてから第1の時間期間後に積分器を放電する。リセット回路は、さらに、積分器の出力が、第1のしきい値よりも低い初期しきい値を超え、その後、初期しきい値を超えてから所定の時間間隔内に第1のしきい値を超えなかった場合に、積分器を放電する。
【0008】
本開示の他の態様によれば、スペクトル光子計数検出器と、コンピュータ断層撮影撮像システムと、X線撮像システムと、パルス整形方法とが提供される。
【0009】
本開示のさらなる態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら行う、例についての以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】スペクトル光子計数検出器120を含むコンピュータ断層撮影撮像システム100を示す概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの態様による、パルス整形器回路200の第1の例を示す概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの態様による、パルス整形器回路200の積分器210によって生成された出力パルスV(t)を示すグラフである。
【
図4】本開示のいくつかの態様による、パルス整形器回路200の第2の例を示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの態様による、スペクトル光子計数検出器120において使用するためのパルス整形方法300の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の例は、以下の説明及び図を参照しながら与えられる。この説明では、説明の目的で、いくつかの例の多数の具体的な詳細を記載する。「例」、「実装形態」又は同様の文言への本明細書での言及は、例に関して説明される特徴、構造、又は特性が少なくともその1つの例中に含まれることを意味する。また、1つの例に関して説明される特徴は別の例においても使用されることがあること、及び、簡潔のために各例において必ずしもすべての特徴が繰り返されるとは限らないことを理解されたい。例えば、パルス整形器回路の例に関して説明される特徴は、スペクトル光子計数検出器においても、又はコンピュータ断層撮影若しくはX線撮像システムにおいても、又はパルス整形方法においても、対応するように与えられることがある。
【0012】
本説明では、スペクトル光子計数検出器において使用するためのパルス整形器回路に言及する。医療分野におけるX線及びコンピュータ断層撮影撮像システムにおけるパルス整形器回路及びスペクトル光子計数検出器の使用に言及する。しかしながら、本明細書で説明するパルス整形器回路、スペクトル光子計数検出器、並びにX線及びコンピュータ断層撮影撮像システムは医療分野以外の他の分野においても適用されることを理解されたい。例えば、それらは、材料分析分野、手荷物走査分野においても、また他の応用分野においても使用されることがある。
【0013】
図1は、スペクトル光子計数検出器120を含むコンピュータ断層撮影撮像システム100を示す概略図である。コンピュータ断層撮影撮像システム100はX線源110を含む。
図1において、X線源110とスペクトル光子計数検出器120とは、X線源110とスペクトル光子計数検出器120との間の撮像領域130を通るX線の減衰を表すX線画像データを生成するために、撮像領域130によって分離されている。物体、例えば人間対象者の一部分が、撮像領域130中の物体を通るX線の減衰を決定するために撮像領域中に配設される。
【0014】
使用中に、X線源110及びスペクトル光子計数検出器120は、複数のX線エネルギー間隔における撮像領域130中のX線の減衰を表すスペクトル画像データを生成する間に、撮像領域130の周りを(図示せず)様々なモータによって回転される。X線源110及びスペクトル光子計数検出器120の回転、並びにX線源110によるX線の生成は撮像システムコントローラ140によって制御される。スペクトル画像データは画像再構成コントローラ150に送信され、画像再構成コントローラ150は、撮像領域130中のX線の減衰を表す3次元又は2次元スペクトル画像を再構成するために様々な画像再構成技法をスペクトル画像データに適用する。撮像システムコントローラ140及び画像再構成コントローラ150の動作は1つ又は複数のプロセッサによって与えられる。スペクトル画像は、次いで、(図示せず)ディスプレイ上に表示される。コンピュータ断層撮影撮像システム100によって生成されたスペクトル画像は、医学的調査の一部として患者の領域を撮像するために使用される。
【0015】
スペクトル光子計数検出器は、複数のX線エネルギー間隔内で、検出されたX線光子の数の計数を決定することによって動作する。X線光子は、(
図1に図示せず)X線検出器要素のピクセル化されたアレイによって検出される。ピクセル化されたアレイは1次元又は2次元である。スペクトル光子計数検出器は、一般に、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛「CZT」、及びシリコンなど、直接変換材料から形成されたX線検出器要素を含む。いくつかの適用例では、GaAが考えられる。これらの材料など、直接変換材料は、受光されたX線光子に応答して電気パルスを生成する。スペクトル光子計数検出器は、一般に、各受光されたX線光子に応答して直接変換材料によって生成された電荷の量を決定するパルス整形器回路を採用する。パルス整形器回路は、一般に、各受光されたX線光子によって生成された電荷を積分する積分器を採用する。そうすることで、積分器は、X線光子のエネルギーを示す振幅を有する出力パルスを生成する。パルス整形器回路の出力に結合されたエネルギー弁別器回路は比較器回路とカウンタ回路とを含む。比較器回路は出力パルスの高さを1つ又は複数のX線エネルギーしきい値と比較し、カウンタ回路は、各エネルギーしきい値について、出力パルスの立上りエッジがしきい値を超える回数を計数する。そうすることで、エネルギー弁別器回路は、検出されたX線放射をスペクトル分解する。
【0016】
パルス整形器回路を採用するスペクトル光子計数検出器は、上記で説明したCT撮像システム100と同様にしてX線撮像システム中に組み込まれ得る。CT撮像システムとは対照的に、X線撮像システムは平面画像を生成する。X線撮像システムでは、X線源と検出器とは撮像領域130によって同様に分離される。しかしながら、X線撮像システムでは、X線源及び検出器は、一般に、画像データが生成される間、静止したままである。医療用X線撮像システムでは、X線源及び検出器は一般に支持構造に機械的に結合され、それの方位は、所望の方位から身体のスペクトルX線画像を得るために、X線画像データの生成前に調整される。Cアーム、Oアーム、及び他の形状の形態の支持構造を含む医療用X線撮像システムが知られている。
【0017】
本発明者は、スペクトル光子計数検出器において使用される既存のパルス整形器回路にはオフセットの問題があることを確認した。これらのオフセットは、X線光子のエネルギーを測定することの精度を低下させ、したがって、得られたスペクトルX線画像の品質に影響を及ぼす。
【0018】
図2は、本開示のいくつかの態様による、パルス整形器回路200の第1の例を示す概略図である。パルス整形器回路200は、スペクトル光子計数検出器120において使用され、
検出された光子のエネルギーを示す振幅V
peakを有する出力パルスV(t)を発生するように構成された出力220を備える積分器210と、
積分器210の出力220が第1のしきい値V
1を超えてから第1の時間期間DT
1後に積分器210を放電するためのリセット回路230とを備え、
リセット回路230は、さらに、積分器210の出力220が、第1のしきい値V
1よりも低い初期しきい値V
0を超え、その後、初期しきい値V
0を超えてから所定の時間間隔DT
0内に第1のしきい値V
1を超えなかった場合に、積分器210を放電する。
【0019】
図2を参照すると、図示の例では、積分器210は、「out」と標示されている演算増幅器の出力と、「-」と標示されている演算増幅器の反転入力との間に結合されたフィードバックキャパシタCfを有する演算増幅器によって与えられる。演算増幅器の反転入力は、積分器への入力として働き、「in」と標示されている。演算増幅器の出力は積分器210の出力220として働く。フィードバックキャパシタCfは、したがって、積分器210の出力220と積分器210の入力との間に結合される。「+」と標示されている演算増幅器の非反転入力は基準電圧、V
refに結合される。積分器への入力は、
図2の左側にX線感受性フォトダイオードシンボルによって示されているように、X線検出器要素に結合される。
【0020】
図2に示されているX線検出器要素は直接変換材料を含む。X線光子が直接変換材料中で受光されたとき、電荷雲が生成される。電荷雲中の電荷量は、受光されたX線光子のエネルギーに依存する。電荷雲中の電荷は、材料上に配設された電気端子の両端間にバイアス電圧を印加することによって収集され、電気パルスとして検出される。
図2に示されているX線検出器要素は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛「CZT」、シリコンなどの直接変換材料、又は受光されたX線光子に応答して電気パルスを生成する別の直接変換材料を含む。
図2中のX線検出器要素によって生成された電気パルスは積分器210によって積分される。積分器210は、したがって、それの出力220において出力パルスV(t)を発生し、出力パルスV(t)の振幅は、検出された光子のエネルギーを示す。
【0021】
図3は、本開示のいくつかの態様による、パルス整形器回路200の積分器210によって生成された出力パルスV(t)を示すグラフである。
図3を参照すると、グラフの原点に対応する時間においてX線光子がX線検出器要素によって受光される。X線検出器要素によって生成された得られた電気パルス、すなわち、直接変換材料中に生成された電荷雲から生じた電流パルスが積分器210によって積分され、それの出力パルスV(t)は、電荷雲からの実質的にすべての電荷が積分されるまで値が増加する。この時間t
1において、出力パルスV(t)は最大値V
peakを有する。この最大値V
peakは、受光されたX線光子のエネルギーを表す。受光されたX線光子のエネルギーは、例えば、
図2に示されている比較器回路240とカウンタ回路250とを使用することによって、以下でより詳細に説明するように、時間t
1において決定される。
【0022】
図2において、シンボルDT
1と、しきい値V
1をもつ比較器シンボルと、スイッチSW
1とによって概略的に示されているように、リセット回路230は、積分器210の出力220が第1のしきい値V
1を超えてから第1の時間期間DT
1後に積分器210を放電する。このことを本明細書では、条件i)の下で積分器210を放電すると呼ぶ。積分器が放電される比率、すなわち、
図3中の出力パルスV(t)が減衰する比率はスイッチSW
1のオン状態直列抵抗によって部分的に決定される。その後に受光されたX線光子からの電気パルスを積分するために積分器210を迅速に準備し、それによってパイルアップ(pile-up)の機会を低減するためには、この減衰率を高くすることが望ましい。
【0023】
いくつかの例では、第1の時間期間DT
1は出力パルスV(t)のピークに対応する。言い換えれば、リセット回路230は
図3中の時間t
1において積分器210を放電する。他の例では、第1の時間期間DT
1は、事前決定され、出力パルスV(t)のピークにほぼ対応する。ピークの時間は変動し得ることに留意されたい。例えば、ピークの時間は、受光されたX線光子のエネルギーに依存する。前者の例、すなわち、第1の時間期間DT
1が出力パルスV(t)のピークに対応する例では、ピーク検出回路を使用して、出力パルスV(t)のピークを検出し、ピークの時間において
図2中のスイッチSW
1を閉じるリセットパルスを生成し、それによりフィードバックキャパシタC
fの端子が互いに結合され、積分器220が放電される。前者の例では、第1の時間期間DT
1は、積分器210の出力220が最大値V
peakに達する時間を表す。
図3中の積分器210のこのような放電は時間t
1後の信号V(t)の減衰として
図3に示されている。この目的で使用されるピーク検出回路の一例が文書WO2018/185118A1の
図2に示されている。
【0024】
後者の例、すなわち、第1の時間期間DT
1が事前決定される例では、第1のしきい値V
1を超えてから所定の時間期間DT
1後にリセットパルスを生成するために、単安定回路(monostable)などのタイマ回路が使用される。リセットパルスは
図2中のスイッチSW
1を閉じ、それによりフィードバックキャパシタC
fの端子が互いに結合され、積分器220が放電される。
図2中のリセット回路230に示されているように、一例では、第1のしきい値V
1に等しいしきい値をもつ比較器を使用して、積分器210の出力220を監視し、第1のしきい値V
1を超えてから所定の時間期間DT
1後にリセットパルスを生成するように単安定回路をトリガする。所定の時間期間DT
1は、X線検出器要素によるX線光子の検出から生じる電流パルスの予想される持続時間を包含するのに十分に長い値に設定される。これにより、積分器は、受光されたX線光子によって生成された実質的にすべての電荷を積分することによって、ピーク振幅V
peakに達することが可能になる。
【0025】
図2に示されているように、リセット回路230は、積分器210を放電するために、積分器210の出力220を積分器210の入力に結合するためのスイッチSW
1を含む。スイッチSW
1の閉鎖は、上記の例において説明したリセットパルスによって制御される。スイッチSW
1は1つ又は複数のトランジスタによって与えられる。例えば、スイッチSW
1は、MOSFET又はJFETなど、1つ又は複数の電界効果トランジスタ「FET」によって、或いは1つ又は複数のバイポーラトランジスタによって与えられる。代替実装形態では、リセット回路230は電流源を含む。
【0026】
積分器を放電するために電流源を使用する代替実装形態について、本開示のいくつかの態様による、パルス整形器回路200の第2の例を示す概略図である
図4を参照しながら説明する。
図4において、積分器210を放電するために電流源I
dがフィードバックキャパシタC
f中に電荷を注入する。この実装形態について
図4を参照しながら説明する。
図4において同じラベルで標示されている特徴は、
図2を参照しながら上記で説明した特徴に対応する。
図2の場合と同様に、
図4の実装形態はスイッチSW
1を含み、スイッチSW
1の動作は、上記で説明したようにリセットパルスによって制御される。スイッチSW
1が閉じると、積分器210を放電するために電流源I
dからの電流がフィードバックキャパシタC
f中に注入される。電流源I
dは、制御された形で積分器210を放電するように作用する。例えば、電流源I
dは定電流源を含む。
図4に示されている電流源の代替の切替え可能な電流源も使用され、同様にしてリセットパルスによって制御される。
【0027】
図2及び
図4においてシンボルDT
0と、しきい値V
0をもつ比較器シンボルとによって概略的に示されているように、リセット回路230はまた、積分器210の出力220が、第1のしきい値V
1よりも低い初期しきい値V
0を超え、積分器210の出力220が、その後、初期しきい値V
0を超えてから所定の時間間隔DT
0内に第1のしきい値V
1を超えなかった場合に、積分器210を放電する。このことを本明細書では、条件ii)の下で積分器210を放電すると呼び、このことの効果は、積分器が、受光されたX線光子からの電流パルスを積分する前に、積分器の出力に存在するオフセットの値を低減することである。そのようなオフセットの例示的な理由を以下で与える。そのようなオフセットは、X線光子のエネルギーを測定することの精度を低下させ、したがって、得られたスペクトルX線画像の品質に影響を及ぼす。
【0028】
一例では、条件ii)の下での積分器210の放電は、初期しきい値V
0に等しいしきい値をもつ比較器を使用して、積分器210の出力220を監視し、所定の時間間隔DT
0に等しい遅延の後に論理高値をもつ出力パルスを生成するように単安定回路をトリガすることによって実施される。この出力パルスと、第1のしきい値V1に等しいしきい値をもつ上記で説明した比較器の出力の論理INVERSEとの間の論理AND演算を使用して信号が生成され、その信号により、上記で説明した(第1のしきい値V
1を超えてから所定の時間期間DT
1に対応する時間において生成された)リセットパルスの論理値を用いて論理OR演算されると、
図2中のスイッチSW
1が閉じる。これの結果は、条件i)の下で、すなわち、積分器210の出力220が第1のしきい値V
1を超えてから第1の時間期間DT
1後に、積分器210を放電することである。それはまた、条件ii)の下で、すなわち、積分器210の出力220が初期しきい値V
0を超え、その後、初期しきい値V
0を超えてから所定の時間間隔DT
0内に第1のしきい値V
1を超えなかった場合に、所定の時間間隔DT
0の終了時の条件の下で積分器210を放電する。
【0029】
したがって、リセット回路230は、所定の時間間隔DT0の終了時に、初期しきい値V0と第1のしきい値V1との間にある、積分器210の出力においてオフセットがある場合に、条件ii)の下で積分器210を放電させる。そのようなオフセットの発生源は、ノイズ、又は第1のしきい値V1を超えさせなかった低エネルギーX線光子である可能性がある。第1のしきい値V1を超えさせないそのようなオフセットは、第1のしきい値V1を超えさせる、その後に検出されたX線光子の測定されたエネルギーに影響を及ぼす。したがって、リセット回路230は、改善されたX線エネルギー測定精度を有するパルス整形器回路を与える。
【0030】
上記で説明した回路の代替の回路も、条件ii)の機能を実施するために使用される。これらは1つ又は複数の比較器及び/又は単安定回路及び/又は論理ゲートを使用する。
【0031】
所定の時間間隔DT0は任意の所望の値に設定される。いくつかの例では、検出されたX線光子からの電気パルスが十分に大きくなった場合に、その電気パルスが積分器210の出力220に第1のしきい値V1を超えさせるのに十分な時間を与えるために、所定の時間間隔DT0は所定の時間期間DT1を上回ることがある。
【0032】
いくつかの例では、積分器210は、積分器210の出力220が第1のしきい値V1に達する予想時間の満了後にのみ、条件ii)の下で放電される、すなわち、その予想時間の満了前には、条件ii)の下で放電されない。条件ii)の下での放電は、したがって、積分器210の出力220が第1のしきい値V1に達する予想時間の満了後の任意の時間において行われる。これらの例では、リセット回路230は、積分器210の出力220が初期しきい値V0を超え、積分器210の出力220が、その後、初期しきい値V0を超えてから所定の時間間隔DT0内に第1のしきい値V1を超えなかったことに応答して、積分器210の出力220が第1のしきい値V1に達する予想時間の満了後にのみ、積分器210を放電する。積分器210の出力220が第1のしきい値V1に達する予想時間は、積分器210の出力220が、第1のしきい値V1を超えさせるエネルギーを有する検出された光子についての第1のしきい値V1に達する時間を表す。これにより、電気パルスが積分器の出力に第1のしきい値V1を超えさせたであろう場合には、積分器は放電されない。したがって、それにより積分器210の早すぎる放電が回避される。
【0033】
一例として、初期しきい値V0は1keVのX線エネルギーを表し、第1のしきい値V1は10keVのX線エネルギーを表す。いくつかの例では、第1のしきい値V1はスペクトル光子計数検出器120の最も低いエネルギービンVET1の最も低いエネルギー限界を表す。これにより、第1のしきい値V1を超えたかどうかを決定する比較器を、X線光子エネルギーがスペクトル光子計数検出器における特定のしきい値を超えたかどうかを決定する比較器回路240においても使用することが可能になる。
【0034】
別の例では、リセット回路230は、条件ii)が満たされたかどうかを決定するために、積分器210の出力220を周期的にサンプリングする。この実装形態では、条件i)の下での積分器210の放電に加えて、リセット回路は、さらに、積分器210の出力220を周期的にサンプリングし、リセット回路230は、さらに、積分器210の出力220が初期しきい値V0を超え、積分器210の出力220が、その後、初期しきい値V0を超えてから所定の時間間隔DT0内に第1のしきい値V1を超えなかったことに応答して、積分器210の出力220が、所定の時間間隔DT0内に少なくとも所定の数のサンプルについての初期しきい値V0を超え、積分器210の出力220が所定の時間間隔DT0内に第1のしきい値V1を超えなかった場合にのみ、積分器210を放電する。
【0035】
この例では、条件i)の下での積分器210の放電は、
図2中のシンボルDT
1と、しきい値V
1をもつ比較器シンボルとに関して上記で説明したように行われる。条件ii)の下での積分器210の出力220の周期的サンプリングは、比較器を使用して積分器210の出力220を監視することと、比較器の出力における論理値をシフトレジスタ中に周期的にクロックすることとによって実施される。この比較器は、それのしきい値を初期しきい値V
0に設定し、初期しきい値V
0を超えた場合に、論理1を生成する。この比較器の出力は、クロックを使用して、それの値を、長さN0のサンプル値、例えばN0=10をもつシフトレジスタ中に入力することによってサンプリングされる。シフトレジスタのサンプル値はN0ビット加算器に入力され、N0ビット加算器の出力は、所定の数のサンプルを表す整数しきい値、すなわち、N0以下であるN1と比較される。この後者の比較の結果は、積分器210の出力220が、少なくとも所定の数のサンプル、すなわちN1個以上のサンプルについての初期しきい値V
0を超えた場合に、所定の時間間隔DT
0の満了時に積分器210の放電をトリガする。積分器は、
図2中のスイッチSW
1を閉じさせることによって放電される。一例として、第1の時間期間DT
1は20ナノ秒であり、周期的サンプリングは、4ナノ秒ごとにサンプルを取ることによって実行される。N0とN1との組合せを選択することによって、リセット回路230は、積分器210の誤放電の比率が低くなるように最適化される。例えば、N0を10に設定した場合、積分器210の出力220のN1=7個以上のサンプルが初期しきい値V
0を超えた場合にのみ、放電が行われる。この例のさらなる改良では、連続サンプルで少なくとも所定の数を超えた場合にのみ、放電が開始される。例えば、積分器210の出力220の少なくとも7つ、すなわち7つ以上の連続サンプルが初期しきい値V
0を超えた場合にのみ、リセットが開始される。連続サンプルの決定は、シフトレジスタ中の値を監視する論理ゲートを使用することによって実行される。
【0036】
リセット回路230が積分器210の出力220を周期的にサンプリングする例は、条件ii)の下での積分器210の誤放電の比率が低下するという利益を有する。上述のように、積分器210の出力におけるオフセットは、ノイズ、並びに低エネルギーX線光子から生じる。ノイズは交流の性質を有する傾向があり、積分器の出力の周期的サンプリングは、積分器210の出力220が、ノイズにより一時的にのみ初期しきい値V0と第1のしきい値V1との間にあるときに、積分器210を放電する比率を低下させる。
【0037】
いくつかの例では、積分器210の出力220が比較器回路240に結合され、比較器回路240の出力がカウンタ回路250に結合される。
図2に示されているように、比較器回路240は積分器210の出力220を複数のしきい値V
ET1..ETNと比較する。カウンタ回路250は、それぞれの複数のしきい値V
ET1..ETNの各々を超えた回数を表す計数値C
ET1..ETNを決定する。計数値C
ET1..ETNは、受光されたX線光子のスペクトルを表す。
【0038】
一例では、計数値CET1..ETNがそれにわたって決定される時間期間が、1つのX線画像フレームの周期に設定される。したがって、この例では、カウンタ回路は、X線画像フレームに対応する周期内でそれぞれの複数のしきい値VET1..ETNの各々を超えた回数を表す計数値CET1..ETNを決定する。そうすることで、X線画像フレームを表すX線エネルギースペクトルが与えられる。
【0039】
いくつかの例では、上記で説明したパルス整形器回路200はスペクトル光子計数検出器中に含まれる。例えば、パルス整形器回路200は、
図1に示されているスペクトル光子計数検出器200中に含まれる。スペクトル光子計数検出器120は、受光されたX線光子に応答して電気パルスを生成するためのX線検出器要素のピクセル化されたアレイを含み、各X線検出器要素は、そのX線検出器要素によって生成された電気パルスを積分するために、パルス整形器回路200に電気的に結合される。X線検出器要素のピクセル化されたアレイは、受光されたX線光子に応答して電気パルスを生成する直接変換材料を含む。好適な直接変換材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛「CZT」、シリコンなどを含むが、これらの材料は例として与えられているにすぎない。パルス整形器回路200の出力は、X線検出器要素によって検出されたX線光子のスペクトルを決定するために、
図2に関して説明したように、1つ又は複数の比較器回路240及び1つ又は複数のカウンタ回路250に結合される。
【0040】
一例では、上記で説明したスペクトル光子計数検出器120はコンピュータ断層撮影又はX線撮像システム内に含まれる。スペクトル光子計数検出器120を含むコンピュータ断層撮影撮像システム100の一例が
図1に示されている。それに加えて、コンピュータ断層撮影又はX線撮像システム100はスペクトル光子計数検出器120とX線源110とを含む。X線源110とスペクトル光子計数検出器120との間の撮像領域130中の物体を通るX線の減衰を表すX線画像データを生成するために、X線源110とスペクトル光子計数検出器120とは撮像領域130によって分離される。
【0041】
別の例では、スペクトル光子計数検出器120において使用するためのパルス整形方法300が提供される。
図5は、本開示のいくつかの態様による、スペクトル光子計数検出器120において使用するためのパルス整形方法300の一例を示すフローチャートである。
図5を参照すると、パルス整形方法300は、
積分出力値V(t)を生成するために、検出された光子を表す電気パルスを積分するステップS310と、
積分出力値V(t)が第1のしきい値V
1を超えてから第1の時間期間DT
1後に積分出力値V(t)をリセットするステップS320と
を有し、
リセットするステップS320は、積分出力値V(t)が、第1のしきい値V
1よりも低い初期しきい値V
0を超え、その後、初期しきい値V
0を超えてから所定の時間間隔DT
0内に第1のしきい値V
1を超えなかった場合に、積分出力値V(t)をリセットするステップをさらに有する。
【0042】
パルス整形方法は、パルス整形器回路200と、スペクトル光子計数検出器120と、コンピュータ断層撮影又はX線撮像システムとに関して説明される他の特徴を実施する動作をも有し得る。例えば、本方法は、積分出力値V(t)をX線エネルギーしきい値を表す複数のしきい値(VET1..ETN)と比較する動作、及びそれぞれの複数のしきい値(VET1..ETN)の各々を超えた回数を表す計数値(CET1..ETN)を決定する動作などの動作をも有し得る。パルス整形方法は、X線検出器要素のピクセル化されたアレイから生成された計数値に基づいてスペクトル画像を生成する動作をも有し得る。簡潔のために、パルス整形方法と、スペクトル光子計数検出器と、コンピュータ断層撮影及びX線撮像システムとについて、パルス整形器回路のすべての詳細が繰り返されるとは限らない。
【0043】
パルス整形方法はコンピュータによって実施され得る。パルス整形方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、その少なくとも1つのプロセッサに本方法を実行させる、それの上に記憶されたコンピュータ可読命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体として与えられ得る。言い換えれば、上記で説明したパルス整形方法はコンピュータプログラム製品中に実装され得る。コンピュータプログラム製品は、専用ハードウェア、又は適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを動作させることが可能なハードウェアによって与えられ得る。プロセッサによって与えられるとき、本方法特徴の機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はそれらのうちのいくつかが共有され得る複数の個々のプロセッサによって与えられ得る。「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを動作させることが可能なハードウェアを排他的に指すものとして解釈されるべきでなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読出し専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性記憶デバイスなどを暗黙的に含むことができる。さらに、本開示の例は、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ることができ、そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、或いはコンピュータ又は任意の命令実行システムとともに使用するためのプログラムコードを与える。この説明の目的で、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、或いはそれらとともに使用するためのプログラムを含み、記憶し、通信し、伝搬し、又はトランスポートすることができる任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外、又は半導体システム又はデバイス又は伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読出し専用メモリ「ROM」、剛性磁気ディスク、及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例としては、コンパクトディスク読出し専用メモリ「CD-ROM」、光ディスク読取り/書込み「CD-R/W」、Blu-Ray(商標)、及びDVDがある。
【0044】
上記の例は、本開示を例示するものであり、限定的でないものとして理解されたい。さらなる例も企図される。例えば、パルス整形器回路の例に関して説明した特徴は、スペクトル光子計数検出器においても、コンピュータ断層撮影又はX線撮像システムにおいても、パルス整形方法においても、対応するように与えられ得る。いずれか1つの例に関して説明した特徴は、単独で、又は他の説明した特徴と組み合わせて使用されることもあり、別の例の1つ又は複数の特徴、或いは他の例の組合せと組み合わせて使用されることもあることを理解されたい。さらに、上記で説明しなかった等価物及び改変も、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく採用され得る。特許請求の範囲において、「備える」及び「有する」という単語は他の要素又は動作を除外せず、単数形の要素は複数を除外しない。相互に異なる従属請求項においていくつかの特徴が具陳されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せを有利に使用することができないことを示さない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、それらの範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【国際調査報告】