(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】浮体式風力タービンの動作を制御する方法および装置
(51)【国際特許分類】
F03D 7/04 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
F03D7/04 E
F03D7/04 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558184
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2022055720
(87)【国際公開番号】W WO2022200025
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カルロス アルベルト カヴィチオリ ゴンザガ
(72)【発明者】
【氏名】カスパー ラウゲーセン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク ステフェンセン
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178BB04
3H178BB31
3H178BB37
3H178DD54X
3H178EE07
3H178EE13
3H178EE15
(57)【要約】
ヨー回転、ロール回転、およびピッチ回転を実行する浮体式風力タービン(1)の動作を制御する方法について説明する。方法は、ピッチ回転(b)を決定することと、ロール回転(c)を決定することと、決定されたピッチ回転(b)と風力タービンピッチ基準値(f)との間のピッチ差(d)を計算することと、決定されたロール回転(c)と風力タービンロール基準値(h)との間のロール差(g)を計算することと、ピッチ差(d)およびロール差(g)に基づいてピッチアンドロール衝撃値(i)を決定することと、パラメータ(a)の予め定められた基準値(k)とピッチアンドロール衝撃値(i)とに基づいて、パラメータ(a)の基準値(j)を決定することと、パラメータ(a)の基準値(j)に基づいて、風力タービン(1)のパラメータ(a)を制御することとによって、風力タービン(1)の動作のパラメータ(a)を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式風力タービン(1)の動作を制御する方法であって、前記浮体式風力タービン(1)は、タワー(2)と、前記タワー(2)にナセルヨー軸(9)を中心として回転可能に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)にハブ回転軸線(8)を中心として回転可能に取り付けられたハブ(4)と、前記ハブ(4)に取り付けられたブレード(6)とを備え、
前記浮体式風力タービン(1)は浮遊しており、これにより、前記風力タービン(1)は、前記ナセルヨー軸(9)に対して平行な風力タービンヨー軸(z)を中心とした風力タービンヨー回転を実行し、前記風力タービンヨー軸(z)に対して垂直かつ前記ハブ回転軸線(8)に対して平行な風力タービンロール軸(x)を中心とした風力タービンロール回転を実行し、前記風力タービンロール軸(x)と前記風力タービンヨー軸(z)とに対して垂直な風力タービンピッチ軸(y)を中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができ、
前記方法は、前記浮体式風力タービン(1)の動作の少なくとも1つのパラメータ(a)を次のステップによって制御する、すなわち、
前記風力タービン(l)のピッチ回転(b)を決定するステップと、
前記風力タービン(1)のロール回転(c)を決定するステップと、
決定された前記ピッチ回転(b)と風力タービンピッチ基準値(f)との間のピッチ差(d)を計算するステップと、
決定された前記ロール回転(c)と風力タービンロール基準値(h)との間のロール差(g)を計算するステップと、
前記ピッチ差(d)および前記ロール差(g)に基づいてピッチアンドロール衝撃値(i)を決定するステップと、
前記パラメータ(a)の予め定められた基準値(k)と前記ピッチアンドロール衝撃値(i)とに基づいて、前記パラメータ(a)の基準値(j)を決定するステップと、
前記パラメータ(a)の基準値(j)に基づいて、前記風力タービン(1)のパラメータ(a)を制御するステップと
によって制御する、方法。
【請求項2】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記風力タービン(1)の目標出力電力である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記風力タービン(1)の出力電力が、ブレードピッチ角の変動および/または空力減衰の変動を最小限に抑える速度調整のための前記目標出力電力に基づいて制御される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記風力タービン(1)の出力電力が、前記風力タービンロール回転(c)を減衰させる逆トルクを生成するための前記目標出力電力に基づいて制御される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、少なくとも1つの前記ブレード(6)上に配置された、該ブレード(6)の空力特性を変化させる付加部材の目標位置である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ブレード(6)上の前記付加部材の位置が、前記ブレード(6)上の前記付加部材の目標位置に基づいて制御されて、速度ピッチコントローラからの負の減衰を相殺するために前記風力タービン(1)への正の減衰が実行され、これにより風力タービンピッチ回転が減衰される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ブレード(6)上の前記付加部材の位置が、前記ブレード(6)上の前記付加部材の目標位置に基づいて前記ブレード(6)ごとに個別に制御されて、前記風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクが実行される、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記ハブ(4)の目標回転速度または前記ブレード(6)のブレードピッチ角である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記風力タービン(1)のピッチ回転(b)が、Gセンサによって測定される前記タワー(2)の頂部(12)でのタワー頂部加速度に基づいて決定され、
前記風力タービン(1)のロール回転(c)が、前記Gセンサによって測定されるタワー頂部加速度に基づいて決定され、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、前記Gセンサによって測定されるピッチ座標での加速度および/またはロール座標での加速度から決定され、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、ジャイロスコープによって測定されるピッチ座標での速度および/またはロール座標での速度から決定され、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、傾斜計によって測定されるピッチ座標での角度および/またはロール座標での角度から決定され、かつ/または、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、少なくとも1つの前記ブレード(6)の負荷を測定するブレード負荷センサによって測定される前記ブレード(6)の負荷から決定される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記方法がさらに、
前記風力タービンロール回転の固有振動数および/または前記風力タービンピッチ回転の固有振動数を推定するステップと、
一方の風力タービンロール回転の周波数および/または風力タービンピッチ回転の周波数と他方の入力センサ信号の周波数との間の信号対雑音比を提供するフィルタリングを行うステップと、特に、前記フィルタリングを行うステップが予想される周波数を目標にしていることを検証するパラメータ更新を行うステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記ピッチアンドロール衝撃値(i)は、前記ピッチ差(d)の値と前記ロール差(g)の値とが引数として記憶されたルックアップテーブルから決定される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記予め定められた基準値(k)の値と前記ピッチアンドロール衝撃値(i)の値とが引数として記憶されたルックアップテーブルから決定される、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記風力タービン(1)のパラメータ(a)が、前記浮体式風力タービン(1)のロール運動および/またはピッチ運動の速度、加速度および振幅のうちの少なくとも1つを制御するために制御される、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
浮体式風力タービン(1)の動作を制御するための制御装置であって、前記浮体式風力タービン(1)は、タワー(2)と、前記タワー(2)にナセルヨー軸(9)を中心として回転可能に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)にハブ回転軸線(8)を中心として回転可能に取り付けられたハブ(4)と、前記ハブ(4)に取り付けられたブレード(6)とを備え、
前記風力タービン(1)は、浮遊しており、これにより、前記風力タービン(1)は、前記ナセルヨー軸(9)に対して平行な風力タービンヨー軸(z)を中心とした風力タービンヨー回転を実行し、前記風力タービンヨー軸(z)に対して垂直かつ前記ハブ回転軸線(8)に対して平行な風力タービンロール軸(x)を中心とした風力タービンロール回転を実行し、前記風力タービンロール軸(x)と前記風力タービンヨー軸(z)とに対して垂直な風力タービンピッチ軸(y)を中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができ、
前記制御装置は、前記浮体式風力タービン(1)の動作の少なくとも1つのパラメータ(a)を次のことによって制御するように、すなわち、
前記風力タービン(1)のピッチ回転(b)を決定することと、
前記風力タービン(1)のロール回転(c)を決定することと、
決定された前記ピッチ回転(b)と風力タービンピッチ基準値(f)との間のピッチ差(d)を計算することと、
決定された前記ロール回転(c)と風力タービンロール基準値(h)との間のロール差(g)を計算することと、
前記ピッチ差(d)および前記ロール差(g)に基づいてピッチアンドロール衝撃値(i)を決定することと、
前記パラメータ(a)の予め定められた基準値(k)と前記ピッチアンドロール衝撃値(i)とに基づいて、前記パラメータ(a)の基準値(j)を決定することと、
前記パラメータ(a)の基準値(j)に基づいて、前記風力タービン(1)のパラメータ(a)を制御することと
によって制御するように構成されている、制御装置。
【請求項15】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記風力タービン(1)の目標出力電力であり、特に、前記制御装置は、
ブレードピッチ角の変動および/または空力減衰の変動を最小限に抑える速度調整のための前記目標出力電力に基づいて、前記風力タービン(1)の出力電力を制御し、かつ/または、
前記風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクを生成するための前記目標出力電力に基づいて、前記風力タービン(1)の前記出力電力を制御する
ように構成されている、請求項14記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、浮体式風力タービンのロール運動およびピッチ運動の速度、加速度もしくは振幅に関連する回転条件を制御するまたは保護するために浮体式風力タービンの動作を制御する方法および装置に関する。
【0002】
浮体式風力タービン(FWT)は、底部で固定された従来のタービンと比較して、付加的な自由度(DOF)のために付加的な運動を受けることが周知である。例えば、FWTは、ブレードピッチ角を作動させることによる標準のロータ速度制御との結合に起因して増幅されうる浮体ピッチ回転運動を受ける。
【0003】
したがって、高いロータ速度、大きなブレードピッチの作動、およびタワー底部/浮体への過負荷が生じ、タワー/基礎の設計に関する材料コストが増大することがわかる。
【0004】
したがって、コントローラの性能を最大化し、浮体ピッチ運動を最小限に抑えるという目的は、産業界と学術界との両方で注目を集めているきわめて興味深い課題である。
【0005】
浮体ピッチ運動により、ハブの加速度とタワーの加速度の他の成分とから回転速度を決定する際などの既存の推定の際に、さらに課題が生じる。例えば、ヒーブ運動が加速度計およびジャイロスコープに干渉し、誤った推定値が形成されてコントローラで使用される可能性がある。さらに、他の浮体構造のモード、例えばロール運動がタービンの動作中に励起されることもある。コントローラは、増幅されることが望ましくない任意の浮体の固有運動にも対処可能でなければならない。
【0006】
浮体ピッチ運動の不安定性は、コントローラの基準値が浮体式システムに干渉しないように付加的な基準速度信号を速度ピッチ制御に加算することによって、従前から解決されてきた。入力は、傾斜角速度/角速度を測定するジャイロスコープ、および/またはタワーおよび/またはナセルの加速度を測定する加速度計から得られる。また、他の解決手段として、スピードピッチコントローラを離調させることで帯域幅(周波数)を低減し、スピードピッチコントローラが浮体ピッチ周波数に応答しないようにもしている。しかし、このようにすると、回転速度の追跡機能が不十分となる。離調は、安定性と制御性能との間のトレードオフである。にもかかわらず、浮体のロールの固有モード減衰を導入することにはあまり焦点が当てられていない。
【0007】
浮体ピッチ運動による空力トルクの変化によって引き起こされるロータ速度の変動は、依然として問題となっており、よって、依然として速度調整が必要である。
【0008】
発明の概要
ここでの目的は、浮体式風力タービンの動作を制御する改善された方法および改善された装置を提供することである。この目的は、各独立請求項に記載された主題によって達成することができる。本発明は、各従属請求項に記載されているようにさらに発展される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、浮体式風力タービンの動作を制御する方法が提供される。浮体式風力タービンは、タワーと、タワーにナセルヨー軸を中心として回転可能に取り付けられたナセルと、ナセルにハブ回転軸線を中心として回転可能に取り付けられたハブと、ハブに取り付けられたブレードとを備える。
【0010】
風力タービンは浮遊しており、これにより、風力タービンは、ナセルヨー軸に対して実質的に平行な風力タービンヨー軸を中心とした風力タービンヨー回転を実行し、風力タービンヨー軸に対して実質的に垂直かつハブ回転軸線に対して実質的に平行な風力タービンロール軸を中心とした風力タービンロール回転を実行し、風力タービンロール軸と風力タービンヨー軸とに対して実質的に垂直な風力タービンピッチ軸を中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができる。
【0011】
方法は、浮体式風力タービンの動作の少なくとも1つのパラメータを次のステップによって制御する、すなわち、風力タービンのピッチ回転を決定するステップと、風力タービンのロール回転を決定するステップと、決定されたピッチ回転と風力タービンピッチ基準値との間のピッチ差を計算するステップと、決定されたロール回転と風力タービンロール基準値との間のロール差を計算するステップと、ピッチ差およびロール差に基づいてピッチアンドロール衝撃値を決定するステップと、パラメータの予め定められた基準値とピッチアンドロール衝撃値とに基づいてパラメータの基準値を決定するステップと、パラメータの基準値に基づいて、風力タービンのパラメータを制御するステップとによって制御する。少なくとも1つのパラメータは、浮体式風力タービンの動作に使用される任意のパラメータであってよい。
【0012】
従来の速度ピッチコントローラによってブレードピッチ角を修正してロータ速度をロータ速度基準値付近に維持することに代えて、本発明は、目的を達成するための改善された制御処理を提案する。有利には、浮体式風力タービンのロール運動およびピッチ運動の速度、加速度もしくは振幅に関する回転条件を制御するまたは保護することができる。
【0013】
一実施形態では、パラメータの基準値は、風力タービンの目標出力電力である。一実施形態では、風力タービンの出力電力が、ブレードピッチ角の変動および/または空力減衰の変動を最小限に抑える速度調整のための目標出力電力に基づいて制御され、かつ/または風力タービンの出力電力が、風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクを生成するための目標出力電力に基づいて制御される。
【0014】
一実施形態では、パラメータの基準値は、少なくとも1つのブレード上に配置された、このブレードの空力特性を変化させる付加部材の目標位置である。一実施形態では、ブレード上の付加部材の位置がブレード上の付加部材の目標位置に基づいて制御されて、速度ピッチコントローラからの負の減衰を相殺するために風力タービンへの正の減衰が実行され、これにより風力タービンピッチ回転が減衰され、かつ/またはブレード上の付加部材の位置がブレード上の付加部材の目標位置に基づいてブレードごとに個別に制御されて、風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクが実行される。
【0015】
一実施形態では、パラメータの基準値は、ハブの目標回転速度またはブレードのブレードピッチ角である。
【0016】
一実施形態では、風力タービンのピッチ回転は、Gセンサによって測定されるタワー頂部加速度に基づいて決定され、風力タービンロール回転は、Gセンサによって測定されるタワー頂部加速度に基づいて決定され、ピッチ回転および/またはロール回転は、Gセンサによって測定されるピッチ座標での加速度および/またはロール座標での加速度から決定され、ピッチ回転および/またはロール回転は、ジャイロスコープによって測定されるピッチ座標での速度および/またはロール座標での速度から決定され、ピッチ回転および/またはロール回転は、傾斜計によって測定されるピッチ座標での角度および/またはロール座標での角度から決定され、かつ/またはピッチ回転および/またはロール回転は、例えば適切な座標変換および迎え角を用いて少なくとも1つのブレードの負荷を測定するブレード負荷センサによって測定されるブレードの負荷から決定される。
【0017】
一実施形態では、方法はさらに、風力タービンロール回転の固有振動数および/または風力タービンピッチ回転の固有振動数を推定するステップと、風力タービンロール回転の周波数および/または風力タービンピッチ回転の周波数と入力センサ信号の周波数との間の信号対雑音比を提供するフィルタリングを行うステップと、当該フィルタリングを行うステップが予想される周波数を目標にしていることを検証するパラメータ更新を行うステップとのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
一実施形態では、ピッチアンドロール衝撃値は、ピッチ差の値とロール差の値とが引数として記憶されたルックアップテーブルから決定される。
【0019】
一実施形態では、パラメータの基準値は、予め定められた基準値の値とピッチアンドロール衝撃値の値とが引数として記憶されたルックアップテーブルから決定される。
【0020】
一実施形態では、風力タービンのパラメータは、浮体式風力タービンのロール運動および/またはピッチ運動の速度、加速度および振幅のうちの少なくとも1つを制御するために制御される。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、浮体式風力タービンの動作を制御するための制御装置が提供される。浮体式風力タービンは、タワーと、タワーにナセルヨー軸を中心として回転可能に取り付けられたナセルと、ナセルにハブ回転軸線を中心として回転可能に取り付けられたハブと、ハブに取り付けられたブレードとを備える。風力タービンは浮遊しており、これにより、風力タービンは、ナセルヨー軸に対して平行な風力タービンヨー軸を中心とした風力タービンヨー回転を実行し、風力タービンヨー軸に対して垂直かつハブ回転軸線に対して平行な風力タービンロール軸を中心とした風力タービンロール回転を実行し、風力タービンロール軸と風力タービンヨー軸とに対して垂直な風力タービンピッチ軸を中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができる。制御装置は、浮体式風力タービンの動作の少なくとも1つのパラメータを次のことによって制御するように、すなわち、風力タービンピッチ回転を決定することと、風力タービンロール回転を決定することと、決定されたピッチ回転と風力タービンピッチ基準値との間のピッチ差を計算することと、決定されたロール回転と風力タービンロール基準値との間のロール差を計算することと、ピッチ差およびロール差に基づいてピッチアンドロール衝撃値を決定することと、パラメータの予め定められた基準値とピッチアンドロール衝撃値とに基づいてパラメータの基準値を決定することと、パラメータの基準値に基づいて風力タービンのパラメータを制御することとによって制御するように構成されている。
【0022】
従来の速度ピッチコントローラによってブレードピッチ角を修正してロータ速度をロータ速度基準値付近に維持することに代えて、本発明は、ピッチアンドロール衝撃値に基づくいわゆる統合運動制御(UMC)を使用して目標を達成する。
【0023】
したがって、コントローラは、ロータ全体にわたる空力減衰の変動を最小限に抑え、ロール方向の浮体の運動を減衰させることができる。UMCコントローラが、多変数制御ストラテジを特徴付ける2つの誤差信号に基づいて(出力電力またはブレード上の能動的な付加部材の動作に関する)必要な制御アクションを取得できることは、注目に値する。
【0024】
有利には、本発明は、ロール方向とピッチ方向との両方を共に取り扱うUMC制御によって浮体の運動の不安定性を最小限に抑えることができる。
【0025】
加えて、タワーおよび浮体の構成要素に伴う機械的疲労負荷が軽減されるため、これらの設計、製造などにかかるコストを削減することができる。また、本発明は、従来技術と比較してブレード軸受寿命を延長することができる。なぜなら、本発明の主制御入力は、ブレードピッチ角の作動を軽減させる発電トルクでありうるからである。
【0026】
また、(ブレードピッチ角の代わりに)操作変数として電気トルクを使用して、浮体ピッチ運動とロータ速度との間の結合を除去すると共に、サイド-ツー-サイドのタワー頂部運動に直接に関係する浮体ロール運動を低減することができる。
【0027】
本発明の更なる態様によれば、前述の実施形態のいずれかによる浮体式風力タービンの動作を制御するための制御装置を有する浮体式風力タービンが提供される。
【0028】
本発明の実施形態はそれぞれ異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、幾つかの実施形態は装置発明のタイプの請求項を参照して説明されており、一方、他の実施形態は方法発明のタイプの請求項を参照して説明されている。なお、当業者であれば、上記のおよび以下の説明から、特に断りがない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴同士の任意の組み合わせ、特に、装置発明のタイプの請求項の特徴と方法発明のタイプの請求項の特徴との間の任意の組み合わせも、本出願で開示されているものと見なされることを理解するであろう。
【0029】
本発明の上記の態様および更なる態様は、以下に説明する実施形態の例から明らかであり、実施形態の例を参照して説明される。本発明につき実施形態の例を参照して以下により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】風力タービンおよび風力タービンの様々な要素を示す図である。
【
図2】浮体式風力タービンの横方向の運動を示す図である。
【
図3】浮体式風力タービンの回転方向の運動を示す図である。
【
図4】風力タービンの動作の制御を示すためのブロック図である。
【0031】
詳細な説明
図面中の図示は概略的なものである。異なる図でも、類似または同一の要素には同じ参照符号が与えられていることに留意されたい。
【0032】
図1には、風力タービン1が示されている。風力タービン1は、ナセル3とタワー2とを備える。ナセル3は、タワー2の頂部に取り付けられている。ナセル3は、ヨー軸受によってタワー2に対して回転可能に取り付けられている。タワー2に対するナセル3の回転軸線は、ナセルヨー軸9と称される。
【0033】
風力タービン1はまた、3本のロータブレード6(そのうちの2本のロータブレード6が
図1に示されている)を備えたハブ4を備える。ハブ4は、主軸受7によってナセル3に対して回転可能に取り付けられている。ハブ4は、ロータの回転軸線8を中心として回転可能に取り付けられている。
【0034】
風力タービン1はさらに発電機5を備えている。発電機5は、この発電機5をハブ4に接続するロータをさらに備えている。ハブ4が発電機5に直接に接続されている場合、風力タービン1は、ギヤレス直接駆動風力タービンと称される。このような発電機5は、直接駆動発電機5と称される。代替的に、ハブ4が変速機を介して発電機5に接続されていることもある。このタイプの風力タービン1は、変速機付き風力タービンと称される。本発明は、両方のタイプの風力タービン1に適している。
【0035】
発電機5は、ナセル3内に収容されている。発電機5は、ハブ4からの回転エネルギを交流電力の形態の電気エネルギに変換するように配置および調整されている。
【0036】
浮体式風力タービン1は、水面に浮遊する浮体式基礎10を備えている。浮体式基礎10は、ロープ11によって海底に固定されている。一実施形態では、ロープ11の長さは可変に制御することができ、強風または高波の時に浮体式風力タービン1が安定化される。
【0037】
図2には浮体式風力タービン1の横方向の運動が示されており、
図3には浮体式風力タービン1の回転方向の運動が示されている。浮体式風力タービン1は、複数の変数と複数の自由度(DOF)とを有する複雑系のシステムである。風、波、潮流の負荷はすべて本質的には不規則であり、空力的、構造力学的、流体力学的な結合および制御作動もすべて、きわめて複雑な動的挙動に寄与する。
【0038】
x軸、y軸およびz軸を有するグローバル座標系では、浮体の運動は、6つの個別の自由度、すなわち、3つの並進としての、x軸に沿ったサージ、y軸に沿ったスウェイおよびz軸に沿ったヒーブと、3つの回転としての、x軸を中心とした浮体ロール、y軸を中心とした浮体ピッチおよびz軸を中心とした浮体ヨーとに分割することができる。ブレード6のピッチと風力タービン1のピッチとは名称が類似しているため、風力タービンピッチとブレードピッチとに区分することにより、明確に区別される。すなわち、風力タービンピッチは、浮体式風力タービン1の回転点を中心とした回転であり、一方、ブレードピッチは、ブレード6の制御されたピッチングを定義するものである。同様に、風力タービンヨーは、風力タービン1の垂直軸zを中心とした回転を定義するものであり、一方、ロータヨーは、ロータナセルアセンブリ(RNA)のナセルヨー軸9を中心とした回転を定義するものである。
【0039】
一般的には、風力タービン1は浮遊しており、これにより、風力タービン1は、ナセルヨー軸9に対して平行な風力タービンヨー軸zを中心とした風力タービンヨー回転を実行し、風力タービンヨー軸zに対して垂直かつハブ回転軸線8に対して平行な風力タービンロール軸xを中心とした風力タービンロール回転を実行し、風力タービンロール軸xと風力タービンヨー軸zとに対して垂直な風力タービンピッチ軸yを中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができる。
【0040】
図4には、風力タービン1の動作を制御するためのブロック図が示されている。風力タービン1は、以下のステップによって浮体式風力タービン1の動作のパラメータaを制御する制御装置(図示せず)を備えており、制御処理として電力基準値を使用することによってUMCが適用される。
【0041】
風力タービン1のピッチ回転bと風力タービン1のロール回転cとが決定される。決定されたピッチ回転bと風力タービンピッチ基準値fとのピッチ差dが計算され、決定されたロール回転cと風力タービンロール基準値hとのロール差gが計算される。
【0042】
ブロック20において、ピッチ差dおよびロール差gに基づいてピッチアンドロール衝撃値iが決定される。ブロック20は、ピッチ差dとロール差gとの組み合わせを考慮する際に、統合運動制御(UMC)を使用する。ブロック21では、パラメータaの基準値jが、パラメータaの予め定められた(例えば電力の)基準値kとピッチアンドロール衝撃値iとに基づいて決定される。ブロック21は、パラメータaの公称基準値kと統合運動コントローラによって計算されたピッチアンドロール衝撃値iとを調整/結合することを目的とするコントローラであってよい。ブロック21は、パラメータaの基準値jが非相克の目的の結果でありかつ/または最高優先順位が目標とされるという意味で、これら2つの信号が互換性を有することを保証するコントローラでありうる。最も単純なケースでは、これは、基準値の合計として説明することができる。
【0043】
最終的に、風力タービン1のパラメータaが、パラメータaの基準値jに基づいて制御される。例えば、浮体式風力タービン1のロール運動およびピッチ運動の速度、加速度および振幅のうちの少なくとも1つが予め定められた閾値を超えないように、風力タービンのパラメータaを制御することができる。
【0044】
ブロック23およびブロック24は、それぞれピッチのイベントスケジューラおよびロールのイベントスケジューラを指定している。スケジューラは、監視制御層と同様に、所望の基準値を決定する一般的なブロックとして説明することができる。幾つかの例を次に示す。すなわち、
-イベントトリガ型スケジューラは、タービンの動作条件および動作状態(例えば負荷測定値/負荷推定値など)または風/波の条件を入力として使用して、基準値を決定することができる。簡単な例としては、ルックアップテーブルであってよい。
-時間トリガ型スケジューラは、特定時点を変数として様々な所望の基準値のレベルを定義することができる。
-手動トリガ型スケジューラは、値を手動で設定することができる。
【0045】
図1の実施形態では、パラメータaの基準値jは、風力タービン1の目標出力電力である。風力タービン1の出力電力は、ブレードピッチ角の変動および/または空力減衰の変動を最小限に抑える速度調整のための目標出力電力に基づいて制御される。付加的にもしくは代替的に、風力タービン1の出力電力は、風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクを生成するための目標出力に基づいて、制御することができる。
【0046】
別の実施形態では、パラメータaの基準値jは、少なくとも1つのブレード6上に配置された、このブレード6の空力特性を変化させる付加部材の目標位置でありうる。ブレード6上の付加部材の位置を、ブレード6上の付加部材の目標位置に基づいて制御することができ、速度ピッチコントローラからの負の減衰を相殺するために風力タービン1への正の減衰が実行され、これにより、風力タービンピッチ回転が減衰される。付加的にもしくは代替的に、ブレード6上の付加部材の位置を、ブレード6上の付加部材の目標位置に基づいてブレード6ごとに個別に制御することができ、風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクが実行される。
【0047】
別の実施形態では、パラメータaの基準値jは、ハブ4の目標回転速度またはブレード6のブレードピッチ角であってよい。
【0048】
物理的パラメータは、次のような手法に基づいて測定または決定することができる。風力タービン1のピッチ回転は、Gセンサによって測定されるタワー頂部加速度に基づいて決定することができ、風力タービン1のロール回転は、Gセンサによって測定されるタワー頂部加速度に基づいて決定することができ、ピッチ回転および/またはロール回転は、Gセンサによって測定されるピッチ座標での加速度および/またはロール座標での加速度から決定することができ、ピッチ回転および/またはロール回転は、ジャイロスコープによって測定されるピッチ座標での速度および/またはロール座標での速度から決定することができ、ピッチ回転および/またはロール回転は、傾斜計によって測定されるピッチ座標での角度および/またはロール座標での角度から決定することができ、かつ/またはピッチ回転は、ブレード負荷センサによって測定されるブレード6の負荷から決定することができる。
【0049】
図3によれば、タワー頂部加速度は、タワー2の頂部12での加速度である。タワー頂部加速度は、Gセンサで測定することができる力F
gx,F
gy,F
gzによって引き起こされる。
図3では、ピッチ回転および/またはロール回転は、「オフセット」なる用語で示されており、傾斜計、Gセンサまたはジャイロスコープによって、例えば測定されたピッチ座標および/またはロール座標から決定することができる。
【0050】
一実装形態では、ピッチアンドロール衝撃値iは、ピッチ差dの値とロール差gの値とが引数として事前に記憶されたルックアップテーブルから決定することができる。ピッチアンドロール衝撃値iは、ブロック20の制御アルゴリズムによって決定される制御動作として考慮することができる。同様に、パラメータaの基準値jは、予め定められた基準値kの値とピッチアンドロール衝撃値iの値とが引数として事前に記憶されたルックアップテーブルから決定することができる。ピッチアンドロール衝撃値iとパラメータの基準値jとは、PI、PIDなどの古典的な制御ストラテジ、および/またはMPC、スライディングモード、状態フィードバック、LQRなどの高度な制御ストラテジなど、様々な制御ストラテジを採用することによって決定することができる。
【0051】
本発明はさらに、風力タービンロール回転の固有振動数、例えばロール回転cの固有振動数および/または風力タービンピッチ回転の固有振動数、例えばピッチ回転bの固有振動数を推定するステップと、一方の風力タービンロール回転の周波数、例えばロール回転cの周波数および/または風力タービンピッチ回転の周波数、例えばピッチ回転bの周波数と他方の入力センサ信号の周波数との間の信号対雑音比を提供するフィルタリングを行うステップと、当該フィルタリングを行うステップが予想される周波数を目標にしていることを検証するパラメータ更新を行うステップと、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
「備える(comprising)」なる用語は他の要素および他のステップを排除するものではなく、「1つの(a,an)」は複数を排除するものではないことに留意すべきである。また、異なる実施形態に関連付けて記載された要素を組み合わせることもできる。特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことにも留意すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式風力タービン(1)の動作を制御する方法であって、前記浮体式風力タービン(1)は、タワー(2)と、前記タワー(2)にナセルヨー軸(9)を中心として回転可能に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)にハブ回転軸線(8)を中心として回転可能に取り付けられたハブ(4)と、前記ハブ(4)に取り付けられたブレード(6)とを備え、
前記浮体式風力タービン(1)は浮遊しており、これにより、前記風力タービン(1)は、前記ナセルヨー軸(9)に対して平行な風力タービンヨー軸(z)を中心とした風力タービンヨー回転を実行し、前記風力タービンヨー軸(z)に対して垂直かつ前記ハブ回転軸線(8)に対して平行な風力タービンロール軸(x)を中心とした風力タービンロール回転を実行し、前記風力タービンロール軸(x)と前記風力タービンヨー軸(z)とに対して垂直な風力タービンピッチ軸(y)を中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができ、
前記方法は、前記浮体式風力タービン(1)の動作の少なくとも1つのパラメータ(a)を次のステップによって制御する、すなわち、
前記風力タービン(l)のピッチ回転(b)を決定するステップと、
前記風力タービン(1)のロール回転(c)を決定するステップと、
決定された前記ピッチ回転(b)と風力タービンピッチ基準値(f)との間のピッチ差(d)を計算するステップと、
決定された前記ロール回転(c)と風力タービンロール基準値(h)との間のロール差(g)を計算するステップと、
前記ピッチ差(d)および前記ロール差(g)に基づいてピッチアンドロール衝撃値(i)を決定するステップと、
前記パラメータ(a)の予め定められた基準値(k)と前記ピッチアンドロール衝撃値(i)とに基づいて、前記パラメータ(a)の基準値(j)を決定するステップと、
前記パラメータ(a)の基準値(j)に基づいて、前記風力タービン(1)のパラメータ(a)を制御するステップと
によって制御する、方法。
【請求項2】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記風力タービン(1)の目標出力電力である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記風力タービン(1)の出力電力が、ブレードピッチ角の変動および/または空力減衰の変動を最小限に抑える速度調整のための前記目標出力電力に基づいて制御される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記風力タービン(1)の出力電力が、前記風力タービンロール回転(c)を減衰させる逆トルクを生成するための前記目標出力電力に基づいて制御される、請求項
2記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、少なくとも1つの前記ブレード(6)上に配置された、該ブレード(6)の空力特性を変化させる付加部材の目標位置である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ブレード(6)上の前記付加部材の位置が、前記ブレード(6)上の前記付加部材の目標位置に基づいて制御されて、速度ピッチコントローラからの負の減衰を相殺するために前記風力タービン(1)への正の減衰が実行され、これにより風力タービンピッチ回転が減衰される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ブレード(6)上の前記付加部材の位置が、前記ブレード(6)上の前記付加部材の目標位置に基づいて前記ブレード(6)ごとに個別に制御されて、前記風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクが実行される、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記ハブ(4)の目標回転速度または前記ブレード(6)のブレードピッチ角である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記風力タービン(1)のピッチ回転(b)が、Gセンサによって測定される前記タワー(2)の頂部(12)でのタワー頂部加速度に基づいて決定され、
前記風力タービン(1)のロール回転(c)が、前記Gセンサによって測定されるタワー頂部加速度に基づいて決定され、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、前記Gセンサによって測定されるピッチ座標での加速度および/またはロール座標での加速度から決定され、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、ジャイロスコープによって測定されるピッチ座標での速度および/またはロール座標での速度から決定され、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、傾斜計によって測定されるピッチ座標での角度および/またはロール座標での角度から決定され、かつ/または、
前記ピッチ回転(b)および/または前記ロール回転(c)が、少なくとも1つの前記ブレード(6)の負荷を測定するブレード負荷センサによって測定される前記ブレード(6)の負荷から決定される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記方法がさらに、
前記風力タービンロール回転の固有振動数および/または前記風力タービンピッチ回転の固有振動数を推定するステップと、
一方の風力タービンロール回転の周波数および/または風力タービンピッチ回転の周波数と他方の入力センサ信号の周波数との間の信号対雑音比を提供するフィルタリングを行うステップ
と、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記フィルタリングを行うステップが予想される周波数を目標にしていることを検証するパラメータ更新を行うステップをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ピッチアンドロール衝撃値(i)は、前記ピッチ差(d)の値と前記ロール差(g)の値とが引数として記憶されたルックアップテーブルから決定される、請求項1から
11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記予め定められた基準値(k)の値と前記ピッチアンドロール衝撃値(i)の値とが引数として記憶されたルックアップテーブルから決定される、請求項1から
12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記風力タービン(1)のパラメータ(a)が、前記浮体式風力タービン(1)のロール運動および/またはピッチ運動の速度、加速度および振幅のうちの少なくとも1つを制御するために制御される、請求項1から
13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
浮体式風力タービン(1)の動作を制御するための制御装置であって、前記浮体式風力タービン(1)は、タワー(2)と、前記タワー(2)にナセルヨー軸(9)を中心として回転可能に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)にハブ回転軸線(8)を中心として回転可能に取り付けられたハブ(4)と、前記ハブ(4)に取り付けられたブレード(6)とを備え、
前記風力タービン(1)は、浮遊しており、これにより、前記風力タービン(1)は、前記ナセルヨー軸(9)に対して平行な風力タービンヨー軸(z)を中心とした風力タービンヨー回転を実行し、前記風力タービンヨー軸(z)に対して垂直かつ前記ハブ回転軸線(8)に対して平行な風力タービンロール軸(x)を中心とした風力タービンロール回転を実行し、前記風力タービンロール軸(x)と前記風力タービンヨー軸(z)とに対して垂直な風力タービンピッチ軸(y)を中心とした風力タービンピッチ回転を実行することができ、
前記制御装置は、前記浮体式風力タービン(1)の動作の少なくとも1つのパラメータ(a)を次のことによって制御するように、すなわち、
前記風力タービン(1)のピッチ回転(b)を決定することと、
前記風力タービン(1)のロール回転(c)を決定することと、
決定された前記ピッチ回転(b)と風力タービンピッチ基準値(f)との間のピッチ差(d)を計算することと、
決定された前記ロール回転(c)と風力タービンロール基準値(h)との間のロール差(g)を計算することと、
前記ピッチ差(d)および前記ロール差(g)に基づいてピッチアンドロール衝撃値(i)を決定することと、
前記パラメータ(a)の予め定められた基準値(k)と前記ピッチアンドロール衝撃値(i)とに基づいて、前記パラメータ(a)の基準値(j)を決定することと、
前記パラメータ(a)の基準値(j)に基づいて、前記風力タービン(1)のパラメータ(a)を制御することと
によって制御するように構成されている、制御装置。
【請求項16】
前記パラメータ(a)の基準値(j)は、前記風力タービン(1)の目標出力電力で
ある、請求項
15記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御装置は、
ブレードピッチ角の変動および/または空力減衰の変動を最小限に抑える速度調整のための前記目標出力電力に基づいて、前記風力タービン(1)の出力電力を制御し、または、
前記風力タービンロール回転を減衰させる逆トルクを生成するための前記目標出力電力に基づいて、前記風力タービン(1)の前記出力電力を制御する
ように構成されている、請求項16記載の制御装置。
【請求項18】
タワー(2)と、前記タワー(2)にナセルヨー軸(9)を中心として回転可能に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)にハブ回転軸線(8)を中心として回転可能に取り付けられたハブ(4)と、前記ハブ(4)に取り付けられたブレード(6)とを備える浮体式風力タービン(1)であって、
前記浮体式風力タービン(1)の動作の少なくとも1つのパラメータ(a)の基準値(j)は、前記ハブ(4)の目標回転速度または前記ブレード(6)のブレードピッチ角である、
浮体式風力タービン(1)。
【国際調査報告】