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特表2024-512017濃厚物質搬送システムのフェイルセーフ安定性監視機能
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】濃厚物質搬送システムのフェイルセーフ安定性監視機能
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
E04G21/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558214
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022057308
(87)【国際公開番号】W WO2022200253
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107140.2
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519044656
【氏名又は名称】プツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZMEISTER ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, アンスガル
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA33
2E172CA47
2E172CA51
(57)【要約】
本発明は、濃厚物質を搬送するための濃厚物質ポンプ(16)と、搬送される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配マスト(18)と、濃厚物質分配マスト(18)及び濃厚物質ポンプ(16)が配置される下部構造(30)と、1つの動作情報を検出するための少なくとも1つのセンサを備えるセンサユニット(11)と、少なくとも1つの検出された動作情報に基づいて、濃厚物質搬送システム(10)の安定性パラメータを決定し、少なくとも1つの動作情報を検出する、センサユニット(11)のセンサの意図された動作を確認するための処理ユニット(12)とを備える、濃厚物質搬送システム(10)に関する。処理ユニット(12)が、センサの意図された動作を確認しない場合、処理ユニット(12)は、検出された動作情報の代わりに、センサによって検出される動作情報の極値に基づいて安定性パラメータを決定するように設計される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃厚物質搬送システム(10)であって、
濃厚物質を搬送するための濃厚物質ポンプ(16)と、
搬送される前記濃厚物質を分配するための濃厚物質分配マスト(18)であって、前記濃厚物質分配マスト(18)が、鉛直軸線を中心に回転可能な旋回ギヤ(19)と、少なくとも2本のマストアーム(41)を備えるマストアセンブリ(40)と、を備える、濃厚物質分配マスト(18)と、
前記濃厚物質分配マスト(18)及び前記濃厚物質ポンプ(16)が配置される下部構造(30)であって、前記下部構造(30)が、水平方向及び/又は鉛直方向に変位可能である少なくとも1本の支持脚(32)によって前記下部構造(30)を支持するための支持構造体(31)を備える、下部構造(30)と、
動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つのセンサを有するセンサユニット(11)と、
前記少なくとも1つの取り込まれた動作情報の項目に応じて前記濃厚物質搬送システム(10)の安定性パラメータを決定し、前記少なくとも1つの動作情報の項目を取り込む前記センサユニット(11)の前記センサの規則に従った動作を確立するための処理ユニット(12)であって、前記処理ユニット(12)が前記センサの規則に従った動作を確立しない場合、前記処理ユニット(12)が、前記取り込まれた動作情報の項目の代わりに前記センサによって取り込まれる前記動作情報の項目の極値に応じて前記安定性パラメータを決定するように構成される、処理ユニット(12)と、
を備える、濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項2】
通信インターフェース、及び/又は
第1のユーザインターフェース
をさらに備え、
前記通信インターフェース及び前記ユーザインターフェースがそれぞれ、前記センサによって取り込まれる前記動作情報の項目の前記極値又は極値範囲を取り込むように構成される、請求項1に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項3】
前記センサによって取り込まれる前記動作情報の項目の瞬間値を示すための少なくとも第2のユーザインターフェースを備え、前記通信インターフェース又は前記第1のユーザインターフェースが、前記センサによって取り込まれる前記動作情報の項目の前記瞬間値を取り込むように構成され、前記処理ユニット(12)が、前記センサによって取り込まれる前記動作情報の項目の前記瞬間値に応じて前記安定性パラメータを決定するように構成される、請求項2に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項4】
前記センサユニット(11)が、前記複数のマストアーム(41)のうちの1本の位置を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの位置センサを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項5】
前記旋回ギヤ(19)及び前記マストアセンブリ(40)の第1のマストアーム(41)ならびに前記複数のマストアーム(41)のうちの2本が、それぞれ多関節ジョイントを介して互いに接続され、特に前記多関節ジョイントの開き角度を決定することによって、マストアーム(41)の近位端で前記マストアーム(41)の位置が連続的に検出可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項6】
前記センサユニット(11)が、前記支持脚(32)の位置を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの脚位置センサを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項7】
前記センサユニット(11)が、前記旋回ギヤ(19)の位置を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの角度センサを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項8】
前記センサユニット(11)が、前記濃厚物質搬送システム(10)の傾斜角度を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの位置センサを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項9】
前記センサユニット(11)が、前記濃厚物質搬送システム(10)の延長部を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの距離センサを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項10】
前記センサユニット(11)が、前記支持脚(32)の水平又は鉛直脚力を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの脚力センサを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項11】
前記センサユニット(11)が、1つの、複数の、又はすべてのマストアーム(41)の負荷トルクを示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つのセンサを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項12】
前記センサユニット(11)が、前記マストアセンブリ(40)のAシリンダの底部側又はロッド側にシリンダ圧力センサ及び/又はシリンダ力センサを備える、請求項11に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項13】
前記濃厚物質搬送システム(10)の前記決定された安定性パラメータが、前記濃厚物質搬送システム(10)の最大安定性パラメータよりも大きい場合、第1の制御信号を送信し、前記濃厚物質搬送システム(10)の前記決定された安定性パラメータが前記濃厚物質搬送システム(10)の前記最大安定性パラメータ以下である場合、第2の制御信号を送信する制御ユニット(13)をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項14】
前記制御ユニット(13)は、前記濃厚物質搬送システム(10)の前記決定された安定性パラメータが前記最大安定性パラメータよりも大きい場合、前記マストアセンブリ(40)の動作範囲を現在許容されている動作範囲に制限するようにさらに構成される、請求項13に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項15】
前記下部構造(30)が、車両(33)上に配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の濃厚物質搬送システム(10)。
【請求項16】
濃厚物質搬送システム(10)を動作させるための方法(100)であって、前記濃厚物質搬送システム(10)は、濃厚物質を搬送するための濃厚物質ポンプ(16)と、搬送される前記濃厚物質を分配するための濃厚物質分配マスト(18)と、前記濃厚物質分配マスト(18)及び前記濃厚物質ポンプ(16)が配置される下部構造(30)と、動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つのセンサを有するセンサユニットと、処理ユニット(12)と、を備え、前記濃厚物質分配マスト(18)が、鉛直軸線を中心に回転可能な旋回ギヤ(19)と、少なくとも2本のマストアーム(41)を備えるマストアセンブリ(40)とを有し、前記下部構造(30)が、水平方向及び/又は鉛直方向に変位可能な少なくとも1本の支持脚(32)によって前記下部構造(30)を支持するための支持構造体(31)を備え、前記方法は、
少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むステップ(101)と、
前記処理ユニット(12)によって、前記少なくとも1つの動作情報の項目を取り込む前記センサユニット(11)の前記センサの規則に従った動作を確立するステップ(102)と、
前記センサの規則に従った動作が取り込まれない場合に、前記処理ユニット(12)によって、前記取り込まれた動作情報の項目の代わりに前記センサによって取り込まれる前記動作情報の項目の極値に応じて前記濃厚物質搬送システム(10)の安定性パラメータを決定するステップ(104)と、
そうでない場合、前記処理ユニット(12)によって、前記1つの取り込まれた動作情報の項目に応じて前記安定性パラメータを決定するステップ(103)と、
を含む、方法(100)。
【請求項17】
前記濃厚物質搬送システム(10)の前記決定された安定性パラメータが前記濃厚物質搬送システム(10)の最大安定性パラメータよりも大きい場合に、前記濃厚物質搬送システム(10)の制御ユニット(13)により、第1の制御信号を送信するステップ(105)と、
前記濃厚物質搬送システム(10)の前記決定された安定性パラメータが前記濃厚物質搬送システム(10)の前記最大安定性パラメータ以下である場合に、前記制御ユニット(13)によって第2の制御信号を送信するステップ(106)と、
をさらに含む、請求項16に記載の方法(100)。
【請求項18】
前記第1の制御信号の出力(107)が、前記マストアセンブリ(40)の動作範囲を現在許容されている動作範囲に制限するステップ(107)を含む、請求項17に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、濃厚物質ポンプ、濃厚物質分配マスト、下部構造、センサユニット、及び処理ユニットを有する濃厚物質搬送システム、ならびに濃厚物質搬送システムを動作させるための方法に関する。
【0002】
従来技術から、一般的な濃厚物質又はスラリー搬送システムが知られている。後者の安定性監視のために、様々な動作パラメータが観察され、その結果、そのような動作パラメータの臨界値を超えると、それに応じて濃厚物質搬送システムを所定の方法で作動させることができ、典型的には、濃厚物質搬送システムの規則に従った全体的な動作が中断される。安定性監視に必要な動作パラメータの観測が不可能であるか、又は、例えば、取り込まれる動作パラメータのセンサに欠陥がある場合に、信頼できない方法でのみ可能である場合に問題となる。
【0003】
本発明は、上記のような課題を背景になされたものであり、改良された濃厚物質搬送システム及び濃厚物質搬送システムを動作する改良された方法を提供することを目的とする。
【0004】
本発明による達成は、独立請求項の特徴にある。有利な改良は、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明によれば、濃厚物質を搬送するための濃厚物質ポンプ又はスラリーポンプと、搬送される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配マストであって、濃厚物質分配マストは、鉛直軸線を中心に回転可能な旋回ギヤと、少なくとも2本のマストアームを備えるマストアセンブリとを有する、濃厚物質分配マストと、濃厚物質分配マスト及び濃厚物質ポンプが配置される下部構造であって、下部構造は、少なくとも1つの水平方向及び鉛直方向に変位可能な支持脚によって下部構造を支持するための支持構造体を備える、下部構造と、動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つのセンサを有するセンサユニットと、少なくとも1つの取り込まれた動作情報の項目に応じて濃厚物質搬送システムの安定性パラメータを決定し、少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むセンサユニットのセンサの規則に従った動作を確立するための処理ユニットとを有し、処理ユニットが、センサの規則に従った動作を確立しない場合、処理ユニットは取得された動作情報の項目の代わりにセンサによって取り込まれる動作情報の項目の極値に応じて安定性パラメータを決定するように構成される、濃厚物質又はスラリーを搬送するシステム。
【0006】
本発明による濃厚物質搬送システムは、例えば、トラック搭載型のコンクリートポンプである。
【0007】
本発明は、安定性パラメータによって安定性を決定するために、追加的に確立され、したがって、この場合に考慮される動作情報の項目が規則に従って動作するセンサからも発するかどうかが検証される、濃厚物質搬送システムの特に有利な設計実施形態に関する。動作情報の項目を取り込むセンサが実際には規則に従って動作していないと判定される場合、取り込まれた動作情報の項目の代わりに、実際には規則に従って動作していないセンサによって取り込まれる動作情報の項目の極値が、判定における保守的な推定の目的のために考慮されるものとし、極値は、処理ユニットが最大の安定性パラメータ、したがって最小の安定性を判定するそのような構成要素の位置を表す。したがって、特性が規則に従って動作していないセンサによって取り込まれる動作情報によって特徴付けられるべき濃厚物質搬送システムの構成要素の場合、安定性に対する前記構成要素の影響は、可能な限り軽減されると推測される。したがって、極値は、濃厚物質搬送システムの安定性に対する構成要素の「最悪の場合」の影響を特徴付けるべきである。
【0008】
本発明は、動作情報の項目を取り込むセンサが規則に従って動作しているかどうかを判定することによって、故障したセンサによって提供され、したがって信頼できないと見なされる動作情報の項目を安定性の判定に使用される可能性があることを回避することができることを認識した。この場合に必要とされ、上述されたように、考慮されるべき動作情報の項目の極値に対する安定性パラメータのその後の決定の依存性は、それにもかかわらず、濃厚物質搬送システムの安定性の有意かつ信頼性の高い決定を全体的に実行することができるようにし、したがって、濃厚物質搬送システムの個々の構成要素の最も効率的な継続動作を保証する。このようにして、構成要素、特に複雑なセンサの冗長性を必要とせずに、フェイルセーフ安定性監視を実装することができる。別の方法で、安定性の理由から濃厚物質搬送システム全体の通常の停止を回避することができる。この場合、ライン内のコンクリートを通常はポンプで戻す必要があり、コンクリートの急速な硬化による損傷をもたらすことが多いため、停止は一般に望ましくない。また、シャットダウンコンクリートポンプによって、コンクリート工事の現場へのアクセスがより困難になる。停止を回避する可能性はまた、一体に作られなければならないコンクリート作業にとって特に有利であり、そのため、さらにコンクリートポンプは、通常、重要なコンクリート作業を保護するために利用可能にされる必要がある。このようにして、不要な中断のないはるかに効率的な動作が可能になる。結果として、規則に従って動作することができないセンサを修理することも直ちに必要ではなく、通常の検査間隔の範囲内で実行されてもよく、これにより、濃厚物質搬送システムの潜在的な耐用年数が大幅に延びる。
【0009】
まず、いくつかの用語を以下に説明する。
【0010】
濃厚物質は、搬送の困難な媒体の総称である。濃厚物質は、例えば、粗粒子状の成分を有する物質、腐食性の成分を有する物質などであり得る。濃厚物質はバルク材料であってもよい。一実施形態では、濃厚物質は生コンクリートである。生コンクリートは、30mmを超えるサイズまでの粒子を含むことができ、結合し、空隙内に堆積物を形成し、これらの理由のため、搬送が困難である。例示的な濃厚物質は、800kg/mから2300kg/mまでの密度を有するコンクリート、又は2300kg/mを超える密度を有する重コンクリートである。
【0011】
濃厚物質ポンプは、2つ、例えば正確には2つの搬送シリンダを有するコアポンプを備えることができる。次いで、第1の供給シリンダから第2の供給シリンダへ、及び第2の供給シリンダから第1の供給シリンダへ交互に切り替えが行われる。供給シリンダ間でS字管を周期的に切り替えることができる。さらに、各移行部を橋渡しするように補助シリンダを構成することができる。
【0012】
S字管は、それによって供給シリンダが、濃厚物質ポンプの出口に交互に接続されるパイプの可動管部である。管部及び補助シリンダは、濃厚物質ポンプに解放可能に接続されたアセンブリの要素とすることができる。これにより、濃厚物質ポンプの保守及び洗浄を容易にすることができる。
【0013】
旋回ギヤは、鉛直軸線、例えば旋回ギヤの中心軸線を中心に、例えば360度回転可能である。旋回ギヤは、油圧若しくは空気圧シリンダ、又は電気機械式アクチュエータ、或いは複数の、さらには異なる種類のアクチュエータの組み合わせなどの少なくとも1つのアクチュエータを備えることができ、それによって前記旋回ギヤは下部構造に対してその位置を回転的に変更することができる。この目的のために、旋回ギヤは、典型的には、油圧モータと、遊星ギヤボックスを有するピニオンとを備える。
【0014】
マストアセンブリは、少なくとも2本のマストアームを備えるが、3本、4本、又は5本のマストアームを備えてもよい。典型的には、マストアセンブリは、3~7本のマストアームを備える。第1のマストアームは、その近位端において旋回ギヤに接続され、その遠位端において、隣接するマストアームの近位端に接続される。他のマストアーム(複数可)は連続しており、その近位端で隣接するマストアームの遠位端にそれぞれ接続されている。マストアセンブリの遠位端は、その遠位端にもさらなる接続部を有さない連続する最後のマストアームの遠位端に対応する。連続する最後のマストアームの遠位端は、可能な荷重取付け点を画定する。
【0015】
マストアームはそれぞれ、マストアームは、少なくとも、例えば、他のマストアームとは少なくとも独立して一次元にのみ移動することができるように、マストジョイントを介して互いに接続される。各マストアームには、その近位端にマストジョイントが割り当てられる。
【0016】
第1のマストアームは、そのマストジョイントによって、旋回ギヤがその鉛直軸線を中心に回転する場合、第1のマストアーム、及び実施形態ではマストアセンブリ全体もこの軸線を中心に回転するように旋回ギヤに接続される。例えば、マストアームは、前記マストアームが、例えば、旋回ギヤとは独立して鉛直方向にのみ移動することができ、例えば、そのマストジョイントによって回転され得るように、旋回ギヤに締結される。マストアームが伸縮機能を有し、その長手方向軸線に沿って伸縮式に連続的に伸長又は縮小することができることも考えられる。例えば、マストアームは、マストアームの少なくとも遠位端が3つの空間方向(x、y、及びz方向)のうちの少なくとも1方向に移動可能であるように調整可能である。
【0017】
代替的又は追加的に、マストアームは、その長手方向軸線を中心に回転可能であり得る。例えば、そのマストジョイント用のマストアームは、油圧若しくは空気圧シリンダ、電気機械式アクチュエータ、又は複数のさらに異なる種類のアクチュエータの組み合わせなどの少なくとも1つのアクチュエータを備え、それによって前記マストアームは、少なくとも別のマストアーム、特に近位端に接続されたマストアームに対してその位置を変更することができる。
【0018】
アクチュエータは、例えば、マストアームを水平軸線を中心に回転的に枢動させるように構成することができ、マストアームは、例えば、そのマストアーム接合部を通って延び、及び/又は前記マストアームを並進的に1つ、2つ、又はすべての空間方向に移動させるように構成することができる。
【0019】
代替的又は追加的に、マストアームは、それによってマストアームが、例えば伸縮式に、伸長、縮小又は回転することができるさらなるアクチュエータを有することができる。
【0020】
下部構造は、例えばシャーシなどの基本構造であり、その上に、濃厚物質分配マスト及び濃厚物質ポンプが配置される。例えば、濃厚物質分配マスト及び/又は濃厚物質ポンプは、下部構造に締結される。下部構造は、固定式(例えば、プラットフォームとして)又は可動式(例えば、車両として)に構成することができる。濃厚物質分配マスト及び濃厚物質ポンプが下部構造に配置される結果として、濃厚物質搬送システム全体は、ユニットとして特にコンパクトに、例えばトラック搭載型コンクリートポンプの形態で構成されることができる。
【0021】
下部構造は、水平方向及び/又は鉛直方向に変位可能な少なくとも1本の支持脚によって下部構造を支持するための支持構造体を備える。濃厚物質搬送システムの支持脚は、濃厚物質搬送システムの安定性を高めるのに役立つ支持構造体の構成要素である。安定性に対する支持構造体の影響は、特に支持脚の個々の配置及びセットアップに依存する。この目的のために、支持脚は、支持プレートによって地面に支持され得る。4本の支持脚が、通常、支持構造体用に設けられる。
【0022】
濃厚物質搬送システムは、本発明による方法を実行又は制御するための手段を備える。これらの手段は、特にセンサユニット及び処理ユニットを備えるが、濃厚物質搬送システムの制御ユニットを備えることもでき、それぞれ別個のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素として、又は異なる組み合わせで統合されたハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素として構成することができる。この手段は、例えば、コンピュータプログラムのプログラム命令を有する少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、後者は、少なくとも1つのメモリからのプログラム命令を実行するように構成される。
【0023】
センサユニットは、特に自動的に、かつユーザ入力とは無関係に、少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むように構成される。動作情報の項目は、定義された時間間隔で繰り返し取り込まれたと考えられる。例えば、動作情報の項目の取り込みは、この動作情報の項目の測定変数特性を測定することによって行うことができる。この目的のために、センサユニットは、同じ種類又は異なる種類の1つ又は複数のセンサを備えることができる。例示的なセンサは、角度センサ(例えば、旋回ギヤの位置を取り込むために)、力及び圧力センサ(例えば、マストジョイントのシリンダ力、マストアームのアクチュエータに作用する力、又は支持脚の脚力を取り込むために)、マストアームの位置又は支持脚の位置を取り込むための位置センサ(例えば、GPS、GLONASS又はGalileoなどの衛星ベースの位置システムのセンサ)、位置センサ(例えば、マストアームの傾斜角度を取り込むためのスピリットレベル又は傾斜センサ)、電気(例えば、誘導センサ)、光学センサ(例えば、光バリア、レーザセンサ又は2Dスキャナ)又は音響センサ(例えば、超音波又は振動センサ)を含む。同様に、センサユニットの複数のセンサの相互作用によって動作情報の項目を取り込むこともできる。
【0024】
代替的又は追加的に、センサユニットはまた、1つ又は複数の(例えば、無線)通信手段を備えることができ、それによって(例えば、外部から)取り込まれた又は定義された動作情報の項目をセンサユニットで受信することができる。
【0025】
処理ユニットは、濃厚物質搬送システムの安定性パラメータを決定するように構成されると理解されるべきである。これは、少なくとも1つ、特にすべての取り込まれた動作情報の項目に基づくものである。例えば、前記処理ユニットは、センサユニットによって収集された情報にアクセスすることができる。安定性パラメータの決定はまた、安定性パラメータが、それらの質量又はそれらの空間膨張などの一定であると仮定される濃厚物質搬送システムの構成要素の定義された特性を参照することによって計算されることを含むと理解されるべきである。
【0026】
構成要素の規則に従った動作は、原則として及び工業的実施において構成要素のために意図されるような動作を意味すると理解されるべきであり、構成要素は通常の一般的な条件下で設計される。例えば、構成要素への特定の電力供給は、構成要素の規則に従った動作中に提供される。
【0027】
処理ユニットは、少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むセンサユニットのセンサの規則に従った動作を確立するように構成されることが規定される。ここでの処理ユニットは、センサが規則に従って動作していることを検証するものである。規則に従った動作を確立するための手段は、当業者に知られている。例えば、この目的のために、処理ユニットは、規則に従った動作を除外する複数の基準を検証する。例えば、センサは、2つの測定システムを備えることができ、その取り込まれた値は、動作情報の項目を取り込むために互いに比較される。代替的又は追加的に、処理ユニットはまた、妥当性チェックを実行することができ、その間、処理ユニットは、センサによって取り込まれた動作情報の項目が物理的に意味があるかどうかを確立する。処理ユニットはまた、例えば、センサの電力供給を検証し、異常な変動が発生した場合に規則に従った動作を除外することができる。動作情報の項目が直接連続して2回取り込まれ、それぞれの取り込まれた動作情報の項目が示す測定値の分散の場合の処理ユニットは、定義可能な最大許容分散を超える規則に従った動作を除外することも考えられる。
【0028】
濃厚物質搬送システムの安定性は、接触面の傾斜縁部からの、濃厚物質搬送システムに作用するすべての力を考慮に入れる作用線の間隔が大きくなるほど増大する。しかしながら、安定性に関する信頼できる記述は、少なくとも濃厚物質搬送システムに作用する重量力を考慮に入れた作用線に基づいて既になされてもよい。作用線に実際に作用する力がより多く考慮されるほど、この記述をより正確に行うことができる。したがって、濃厚物質搬送システムの安定性は、接触面の傾斜縁部からの作用線の間隔を表す安定性パラメータによって特に好適に特徴付けることができる。安定性パラメータは、定義された、又は動的に決定可能な安定性範囲内に位置し、その範囲内で、傾斜縁部の各々からの作用線の間隔は0以上である。この場合、安全マージンも考慮されることが好ましい。濃厚物質搬送システムの安定性は、安定性範囲内に提供される。安定性範囲の上限は、最大安定性パラメータによって定義される。最大安定性パラメータは、傾斜縁部のうちの1つからの作用線の間隔が0であるときに存在する。したがって、傾斜縁部の少なくとも1つからの作用線の間隔は、安定性パラメータが増加すると減少する。上限を超えると、感覚は0未満であり、濃厚物質搬送システムの安定性はもはや提供されない。安定性範囲は、例えば、考慮される濃厚物質搬送システムの構成要素の一定であると仮定される特性を考慮に入れて、濃厚物質搬送システムの各動作状況に対して定義される、又は決定可能であることが考えられる。例えば、支持構造体の各可能な配置について、例えば、支持脚の特定のセットアップによって、この目的のために接触面を画定又は決定可能とすることができる。
【0029】
傾斜縁部のうちの1つからの作用線の間隔及び作用線の向きは、それぞれ少なくとも濃厚物質搬送システムの重量力に依存し、例えば処理ユニットによって計算することができる。作用線の向きは、鉛直方向成分及び水平方向成分を有してもよく、1つ又は複数の作用方向及び/或いは追加の力の値に依存してもよい。例えば、考慮される1つ又は複数の力は、ユーザ(例えば、適切なユーザインターフェースによる)によって定義され得る、又は選択可能であり得る。例えば、濃厚物質搬送システムの重量力のみが考慮される場合、作用線は、全体的な重心を通る鉛直線に対応する。この場合の作用線の向きは、鉛直線の位置と同一である。作用線の向きが、濃厚物質搬送システムの側面に作用する風力などの水平成分を有する力にさらに依存する場合、作用線の向きは少なくとも1つの水平成分も含み、その位置は鉛直線の位置と同一ではない。作用線の向きは、処理ユニットが、好ましくは、1つ又は複数の特定の条件、例えば、濃厚物質搬送システムの動作において一般的な風力より上の1つ又は複数の特定の条件の発生時にのみ、例えば定義された方向にそれぞれの定義された量だけ位置を徐々に適合させることができるように、1つ又は複数の追加の力に依存することが考えられる。また、作用線の向きは、作用の方向及び/又はセンサユニットによって取り込まれた、力を示す1つ又は複数の、好ましくはすべての動作情報の項目に依存することも考えられる。
【0030】
動作情報の項目は、濃厚物質搬送システムの構成要素の多数の可能な特性及び動作パラメータの特性又は動作パラメータを示し、その特性又は動作パラメータを表す。したがって、構成要素に動作情報の項目を割り当てることができることが可能であるべきである。そのような特性又は動作パラメータは、例えば、測定変数によって特徴付けることができる。これらは、搬送プロセスの開始前又は後に明らかになる特性及び動作パラメータであり得る。
【0031】
取り込まれた動作情報の項目の代わりに、場合によっては、センサによって取り込まれる動作情報の項目の極値が、安定性パラメータを決定するときに考慮されるべきである。この極値は、処理ユニットが最大の安定性パラメータ、したがって最小の安定性を決定する関連する構成要素の位置でセンサが取り込む、特に仮説的な動作情報の項目を意味すると理解されるべきである。極値は、最小値又は最大値であり得る。動作情報の項目の極値はまた、1つ又は複数の他の動作情報の項目に依存し得る。例えば、動作情報の項目に対して複数の極値が存在することができ、考慮される極値は、特に、さらなる動作情報の項目の瞬間値に依存する。例えば、このような極値は、センサユニットのセンサ毎に処理ユニットに格納される。
【0032】
一実施形態では、濃厚物質搬送システムは、通信インターフェース及び/又は第1のユーザインターフェースを備え、通信インターフェース及びユーザインターフェースは、センサによって取り込まれる動作情報の項目の極値又は極値範囲を取り込むようにそれぞれ構成される。
【0033】
そのような通信インターフェースは、1つ又は複数の(例えば、無線)通信手段を備えることができ、それによって、例えば、ユーザ端末でユーザによって入力された外部から取り込まれた極値が、当業者に知られている方法で、濃厚物質搬送システムによって受信される。極値範囲が取り込まれると規定することもできる。この場合、処理ユニットは、例えば定義された選択規則によって、取り込まれた極値範囲から安定性パラメータを決定するために極値を選択することができる。例えば、取り込まれる動作情報の項目について複数の可能な極値が存在する場合、処理ユニットは、特に1つ又は複数の他の動作情報の項目に応じて極値を選択することができる。
【0034】
センサによって取り込まれる動作情報の項目の極値を取り込むためのユーザインターフェースが提供される場合、このユーザインターフェースは、少なくとも1つのボタン、キーパッド、キーボード、マウス、ディスプレイユニット(例えば、ディスプレイ)、マイクロフォン、タッチセンサ式ディスプレイユニット(例えば、タッチスクリーン)、カメラ及び/又はタッチセンサ式表面(例えば、タッチパッド)として構成され得る。例えば、極値の取り込みは、ユーザインターフェースでユーザ入力を取り込むことによって行われる。
【0035】
これは、処理ユニットが任意選択で考慮する必要がある極値へのアクセスをどのように得ることができるかという点で、さらなる任意選択を表す。
【0036】
さらに、濃厚物質搬送システムは、センサによって取り込まれる動作情報の項目の瞬間値を示すための少なくとも第2のユーザインターフェースを有することができ、通信インターフェース又は第1のユーザインターフェースは、センサによって取り込まれる動作情報の項目の瞬間値を取り込むように構成され、処理ユニットは、センサによって取り込まれる動作情報の項目の瞬間値に応じて安定性パラメータを決定するように構成される。
【0037】
瞬間値は、測定時に規則に従った動作を想定した場合にセンサが取り込むような動作情報の項目を意味すると理解されるべきである。そのような瞬間値は、例えば、センサによって取り込まれるユーザ情報が示す現在の測定値又は測定値範囲に対応することができる。例えば、センサによって取り込まれる動作情報の項目の瞬間値は、センサに関連付けられた第2のユーザインターフェースによって示すことができる。
【0038】
第2のユーザインターフェースによって、ユーザは、センサとは無関係に瞬間値にアクセスし、例えばそれを読み取ることができる。したがって、第2のユーザインターフェースは、ディスプレイとして具現化することができる。例えば、濃厚物質搬送システムは、構成要素上に配置され、それぞれ瞬間値を表すスケールの形態の1つ又は複数の第2のユーザインターフェースを有する。その後、ユーザは瞬間値を読み取ることができる。次いで、瞬間値は、例えば適切なユーザ入力によって、通信インターフェース又は第1のユーザインターフェースを介して処理ユニットに利用可能にすることができる。次いで、処理ユニットは、安定性を決定するときに瞬間値を考慮に入れる。
【0039】
これは、例えば、処理ユニットがセンサの規則に従った動作を取り込んでいない場合に、安定性パラメータが、瞬間値が最大極値未満又は最小極値より大きい場合、極値ではなく瞬間値に応じて決定される形態で行うことができる。
【0040】
例として、センサユニットは、マストアームのうちの1つの位置を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの位置センサを備える。
【0041】
これは、絶対位置、すなわち位置及び/又は向き、そうでなければマストアームの相対位置とすることができる。位置は、例として、傾斜センサによって鉛直方向に対するマストアームの傾斜角度の形態で取り込むことができる。相対位置は、マストアームの近位端に接続された別のマストアームと比較して、マストアームの位置によって特徴付けることができる。旋回ギヤに接続された第1のマストアームの場合、これは旋回ギヤの鉛直軸線に対する位置であり得る。マストアームの寸法及び関連して設定されるマストアーム又は旋回ギヤの位置はそれぞれ既知であるため、マストアームの位置は、相対位置、例えば傾斜角度を取り込むことによって既に明確に決定することができる。
【0042】
好ましくは、旋回ギヤと、マストアセンブリの第1のマストアームとの両方、ならびに2本のマストアームは、多関節ジョイントによってそれぞれ接続され、特にマストアームの開き角度を決定することによって、マストアームの位置は連続的に検出可能である。例えば、開き角度は、多関節ジョイントを介して接続されたマストアームの傾斜角度を比較することによって確認することができる。さらに、制御ユニットは、マストアームの枢動能力を制限することによって、マストアセンブリの動作範囲を現在許容されている開き角度に制限するように構成することができる。さらに、すべての多関節ジョイントが互いに平行な関節軸線を有することが考えられる。さらに、多関節ジョイントは、それぞれ120度、好ましくは150度、特に好ましくは180度の最大開き角度を有することができる。しかしながら、180度~235度、270度まで、又は360度までの開き角度も考えられる。
【0043】
これは、マストアーム間、又はマストアームと旋回ギヤとの間の接続の、特に容易に実装可能で機能的な設計であり、濃厚物質分配マストのための広い作用範囲が依然として維持される。さらに、そのような実施形態では、センサユニットは、対応する傾斜角度を決定することによって、マストアームの位置を特に容易に取り込むことができる。マストアームの位置を取り込むための複雑で包括的なセンサシステムの使用を回避することができる。
【0044】
好ましくは、センサユニットは、支持脚の位置を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの脚位置センサを備える。
【0045】
支持脚のセットアップの助けを借りて、接触面を特に容易に増加させることができ、少なくとも1つの傾斜縁部に関して安定領域を増加させることができる。したがって、少なくとも1本の支持脚の位置は、安定性パラメータの決定にとって特に重要である。特に、格納状態のゼロ位置と比較して、それぞれの動作状態における接触面の水平間隔及び支持脚の水平間隔の方向が決定される。さらに、鉛直間隔も決定し、考慮することができる。脚位置センサは、GPSセンサとして具現化されることも考えられる。
【0046】
一実施形態によれば、センサユニットは、旋回ギヤの位置を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの角度センサを備える。
【0047】
この特性を考慮することは、支持構造体の非対称な配向又は傾斜した地面での動作、したがって接触面の非対称性を安定性パラメータの決定に含めることを可能にするのに役立つ。
【0048】
好ましくは、センサユニットは、濃厚物質搬送システムの傾斜角度を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの位置センサを備える。
【0049】
傾斜角度は、鉛直方向に対する、濃厚物質搬送システムの角度であるべきである。最大許容傾斜角度は、濃厚物質搬送システムについて特定することができる。濃厚物質搬送システムが傾斜面上で動作する場合、すなわち傾斜している場合、濃厚物質搬送システムに作用する少なくとも重量力を考慮する作用線のプロファイル、したがって、傾斜縁部からの作用線の間隔は変化し得る。したがって、安定性パラメータを決定する際に、濃厚物質搬送システムの傾斜角度を含めることは特に重要である。
【0050】
好適には、センサユニットは、濃厚物質搬送システムの延長部を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの距離センサを備える。
【0051】
濃厚物質搬送システムがその支持構造体、例えば支持構造体の支持脚によって支持されるとき、延長部が生じる。さらに、考慮中の延長部は、例えばその高さに基づいてさらに特徴付けることができる。これは、例えば、定義可能なゼロ位置に対する支持脚の接触面の鉛直間隔のサイズによって定義することができる。代替的又は追加的に、下部構造などの濃厚物質搬送システムの別の構成要素の鉛直間隔も利用することができる。同様に、取り込まれた鉛直脚力の定義された閾値を超えることによって延長部を確立することもできる。濃厚物質搬送システムがトラック搭載型コンクリートポンプとして構成される場合、延長部は、車両の車軸のばね移動を測定することによっても特徴付けることができる。延長部の存在は、全体的な重心の位置に影響を及ぼし、したがって、濃厚物質搬送システムの安定性に影響を及ぼす。延長部を取り込むことにより、とりわけ、考慮される濃厚物質搬送システムの質量成分が地面で懸架されず、該当する場合には釣り合い錘として考慮されなくてもよいことが保証され得る。したがって、安定性パラメータの決定における延長部の考慮は、安定性のさらに正確な決定を可能にする。
【0052】
任意選択で、センサユニットは、支持脚の水平又は鉛直脚力を示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つの脚力センサを備える。さらに、センサユニットは、1つの、複数の、又はすべてのマストアームの負荷トルクを示す動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つのセンサを備えることができる。
【0053】
水平又は鉛直脚力は、支持脚に作用する水平又は鉛直力を意味すると理解されるべきである。例えば、マストアームの負荷トルクを示すのは、その関節トルクである。マストアームの関節トルクは、そのマストジョイントに作用するモーメントである。これは、とりわけ、マストアセンブリの総重量、風荷重、現在搬送される濃厚物質の重量、又はマストピーク荷重に対応するマストアセンブリの第1のマストアームの遠位端に作用する重量にも依存するモーメントを表す。関節トルクに関する結論は、例えば、それぞれの関節角度の測定値などの1つ又は複数の他の測定値と併せて、マストアームのアクチュエータに作用するシリンダ力又はマストアームのアクチュエータに作用するシリンダ圧力を測定することによって導き出すことができる。例えば、マストアームの関節トルクは、それぞれのマストアームのマストジョイントのシリンダ力及び関節角度から伝達関数によって計算することができる。濃厚物質搬送システムの安定性パラメータは、これらの特性によって確実に決定することができる。これにより、ひいては、濃厚物質搬送システムの安定性に関する信頼できる記述を行うことが可能になる。
【0054】
さらに、処理ユニットは、すべてのマストアームの関節トルクを示す取り込まれた動作情報の項目に基づいて負荷トルクを計算し、計算された負荷トルクに応じて安定性パラメータを決定するように構成することができる。このようにして、処理ユニットは、例えば、それぞれのマストアームのシリンダ圧力及び傾斜角度を考慮しながら、リアルタイムで安定性パラメータの特に正確な決定を実行することができる。それにもかかわらず、この場合のセンサユニットは、すべてのマストアームのシリンダ力及び傾斜角度を示す動作情報の項目を取り込むように構成されなければならず、例えば、この目的に適した複数のセンサを含むように構成されなければならない。
【0055】
さらに、センサユニットは、マストアセンブリのAシリンダの底部側及び/又はロッド側にシリンダ圧力センサ及び/又はシリンダ力センサを備えることができる。
【0056】
Aシリンダは、第1のマストアームのアクチュエータであると理解され、シリンダを展開するために使用されるその圧力室は、底部側であり、シリンダを格納させるために使用されるその対向する圧力室は、ロッド側である。1つ又は複数のそのようなセンサによって、マストアームの1つ、複数、又はすべてのシリンダ力を示す動作情報の項目を特に容易に取り込むことができる。これにより、負荷トルクの計算が可能になり、それによって安定性パラメータを決定することが特に容易になる。
【0057】
さらなる例示的な動作情報の項目は、充填された及び/又は充填されていないコンベヤラインを有するすべてのマストアームの重量、すべてのマストアームの重心の位置、追加の負荷の重量、追加の重量取付け点の位置、マストアームに作用する風力、すべてのマストアームの風の重心の位置、下部構造の重量、下部構造の重心の位置、ならびに格納状態及び/又は拡張状態における支持脚の接触面の位置を示す。
【0058】
好ましくは、濃厚物質搬送システムは、濃厚物質搬送システムの決定された安定性パラメータが濃厚物質搬送システムの最大安定性パラメータよりも大きい場合に第1の制御信号を送信し、濃厚物質搬送システムの決定された安定性パラメータが濃厚物質搬送システムの最大安定性パラメータ以下である場合に第2の制御信号を送信する制御ユニットを備える。代替的又は追加的に、例えば、決定された安定性パラメータと最大安定性パラメータとの間の所定の最小間隔に達しない場合、制御ユニットによってさらなる制御信号の送信がもたらされ得る。
【0059】
制御ユニットは、例えば、有線又は無線信号出力などの制御信号を送信する対応する手段を備える。上述の方法での制御信号の送信により、制御ユニットは、濃厚物質搬送システムの少なくとも1つの構成要素を作動させ、構成要素の動作パラメータに作用させることができる。第2の制御信号を送信することにより、規則に従った動作が継続されるが、一方で、第1の制御信号を送信することにより、濃厚物質搬送システムの規則に従った動作の中断を引き起こすことが考えられる。さらなる制御信号を送信することにより、例えば、濃厚物質搬送システムの1つ又は複数の構成要素の動作を、規則に従った動作と比較して低速で行わせることができる。
【0060】
例えば、制御ユニットは、決定された濃厚物質搬送システムの安定性パラメータが最大安定性パラメータよりも大きい場合、マストアセンブリの動作範囲を現在許容されている動作範囲に制限するように構成することができ、その目的のために、制御ユニットは対応する手段を備える。
【0061】
濃厚物質搬送システムの1つ又は複数の構成要素の動作範囲を制限することは、それぞれの構成要素の動作パラメータを制限し、制限された動作パラメータに従って構成要素を動作させることを意味すると理解される。これは、それぞれの動作パラメータが、決定された安定性パラメータに応じて、構成要素の依然として許容可能な作用範囲又は依然として許容可能な作用強度に制限され得ることを意味する。特に、許容動作範囲外での構成要素の動作が排除される。限定すると、作用範囲又は作用強度は、原則として、例えば規に従った動作中に構成要素に提供されるそれぞれの最大作用範囲、及び原則として提供される最大作用強度よりも小さい。例えば、制御ユニットは、マストアセンブリの動作範囲の現在許容されている上限を決定することができ、マストアセンブリが決定された上限の下回ってのみ偏向されるように、濃厚物質搬送システムの動作を行うことができる。したがって、この場合、例えば、マストアセンブリのマストアームの開き角度又はアクチュエータ力が、対応して決定された限界を超えることを防止することができる。この目的のために、それぞれのアクチュエータは、例えば、制御ユニットによって送信される、適切な制御信号を受信することができる。したがって、例えば、制御ユニットは、アクチュエータによってマストアームの偏向を制限することができる。さらに、マストアセンブリの動作範囲を制限することは、旋回ギヤの回転角度範囲の追加の又は代替の制限としても理解されるべきである。
【0062】
本発明によれば、濃厚物質を搬送するための濃厚物質ポンプと、搬送される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配マストであって、濃厚物質分配マストは、鉛直軸線を中心に回転可能な旋回ギヤと、少なくとも2本のマストアームを備えるマストアセンブリとを有する、濃厚物質分配マストと、濃厚物質分配マスト及び濃厚物質ポンプが配置される下部構造であって、下部構造は、少なくとも1本の水平方向及び鉛直方向に変位可能な支持脚によって下部構造を支持するための支持構造体を備える、下部構造と、を有し、動作情報の項目を取り込むための少なくとも1つのセンサを有するセンサユニットを有し、処理ユニットを有する濃厚物質搬送システムを動作するための方法であって、少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むステップと、少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むセンサユニットのセンサの規則に従った動作を、処理ユニットによって確立するステップと、センサの規則に従った動作が取り込まれない場合、取り込まれた動作情報の項目の代わりにセンサによって取り込まれる動作情報の極値に応じて濃厚物質搬送システムの安定性パラメータを処理ユニットによって決定するステップと、そうでない場合、少なくとも1つの取り込まれた動作情報の項目に応じて安定性パラメータを処理ユニットによって決定するステップと、を含む、方法。
【0063】
一実施形態では、方法は、濃厚物質搬送システムの決定された安定性パラメータが濃厚物質搬送システムの最大安定性パラメータよりも大きい場合に、濃厚物質搬送システムの制御ユニットによって第1の制御信号を送信するステップと、濃厚物質搬送システムの決定された安定性パラメータが濃厚物質搬送システムの最大安定性パラメータ以下である場合に、制御ユニットによって第2の制御信号を送信するステップと、をさらに含む。
【0064】
追加で、第1の制御信号の送信は、マストアセンブリの動作範囲を現在許容されている動作範囲に制限することを含むことができる。
【0065】
本方法のさらに有利な発展に関するさらなる説明のために、濃厚物質搬送システムの上述の改良を参照する。
【0066】
本発明はまた、コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されるときに、プロセッサに本発明による方法を実行及び/又は制御させるためのプログラム命令を有するコンピュータプログラムを含む。本発明によるコンピュータプログラムは、例えば、コンピュータ可読データキャリアに格納される。
【0067】
上述の実施形態及び設計実施形態は、例示としてのみ理解されるべきであり、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【0068】
本発明は、添付の図面を参照して、有利な実施形態により例示的な方法で以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明による濃厚物質搬送システムの例示的な実施形態の概略図を側面図で示す。
図2】本発明による濃厚物質搬送システムの例示的な実施形態の概略図を背面図で示す。
図3】本発明による濃厚物質搬送システムの例示的な実施形態の概略図を上方からの図で示す。
図4】本発明による方法の例示的な実施形態の概略フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1には、濃厚物質を搬送するための濃厚物質ポンプ16と、搬送される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配マスト18とを備え、濃厚物質分配マスト18は、鉛直軸線(点線で示される)を中心に回転可能な旋回ギヤ19と、マストアーム41を有するマストアセンブリ40とを有する、濃厚物質搬送システム10が示される。さらに、マストアセンブリ40を横切って延在し、濃厚物質ポンプ16の出口に配置される濃厚物質ポンプ16のS字管の端部に接続される搬送ライン17も示される。
【0071】
さらに、濃厚物質搬送システム10は、その上に濃厚物質分配マスト18及び濃厚物質ポンプ16が配置される下部構造30を備える。下部構造30は、下部構造30を支持するため4本の支持脚32を有する支持構造体31を有する。下部構造30は、例として、車両33上に配置されているものとして示されている。
【0072】
さらに、センサユニット11及び処理ユニット12が設けられる。センサユニット11は、少なくとも1つのセンサによって動作情報の項目を取り込むように構成される。この目的のために、前記センサユニット11は、例えば、有線又は無線信号線を介して、1つ又は複数のセンサによって取り込まれた動作情報の項目にアクセスすることができる。
【0073】
処理ユニット12は、基本的に、少なくとも1つの取り込まれた動作情報の項目に応じて、濃厚物質搬送システム10の安定性パラメータを決定するように構成される。さらに、処理ユニットはまた、少なくとも1つの動作情報の項目を取り込むセンサユニット11のセンサの規則に従った動作を決定するように追加で構成される。この目的のために、必要なハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を有するセンサユニット11及び処理ユニット12の対応する設計の実施形態が、濃厚物質搬送システム10に提供される。このようにして、処理ユニット12は、例えば、センサユニットのセンサの十分な電力供給を検証することができ、又は、例えば、センサの規則に従った動作についての情報の項目を含む、センサユニット11のセンサによって格納されたメモリに格納されたデータにアクセスすることができる。本例では、処理ユニット12は、電力供給が不十分である場合、又はセンサによって取り込まれた動作情報の項目の異常な統計的ばらつきの場合に、センサの規則に従った動作を排除する。さらに、処理ユニット12は、信憑性チェックを行う。
【0074】
処理ユニット12は、センサの規則に従った動作を確立しない場合、取り込まれた動作情報の項目の代わりにセンサによって取り込まれる動作情報の項目の極値に応じて安定性パラメータを決定する。ここでの極値は、取り込まれる動作情報の項目が割り当てられる構成要素が、処理ユニット12が最大の安定性パラメータ、したがって最小の安定性を決定する位置にあるときにセンサが取り込むような動作情報の項目に対応する。この目的のために、センサユニット11の各センサの極値が処理ユニット12のメモリに格納される。しかしながら、極値は、モバイルユーザ装置からの濃厚物質搬送システム10の通信インターフェースによって、又は例えば、ユーザダイアログの形態で、濃厚物質搬送システム10のタッチスクリーンとして構成されたユーザインターフェースでのユーザ入力によって取り込まれることも考えられる。このプロセスにおいて、ユーザは、例えばモバイルユーザ端末によって、例えばオンラインで外部に提供される極値を要求し、それらを通信インターフェース又はユーザインターフェースによって処理ユニット12にアクセス可能にすることもできる。
【0075】
代替的又は追加的に、センサユニット11のセンサによって取り込まれる動作情報の項目の極値範囲が、通信インターフェース又はユーザインターフェースによって取り込まれると規定することができる。この場合、処理ユニット12は、取り込まれた極値範囲から安定性パラメータを決定するための極値を選択するために、定義された選択規則を有する。
【0076】
例えば、マストアセンブリ40のAシリンダの底部側のシリンダ力を示す動作情報の項目には、第1のより低い極値及び第2のより高い極値があり、2つの極値の一方は、風速を示す動作情報の項目に応じて選択される。したがって、所定の閾値を上回る風速の場合、第1の極値を選択することができ、所定の閾値を下回る場合、第2の極値を選択することができる。別の例では、処理ユニット12は、旋回ギヤ(19)の位置を示す動作情報の項目を取り込むための角度測定センサの不規則な動作を決定すると仮定する。極値として、旋回ギヤ(19)の位置について、安定性パラメータの決定のために0°~360°の任意の可能な回転が想定されると定義することができる。代替的又は追加的に、例えば安定性パラメータの決定に利用される適切なユーザインターフェースでのユーザ入力によって、極値範囲を取り込むこともできる。このようにして、ユーザは、例えば、0°~180°の極値範囲のみが旋回ギヤ(19)の可能な位置に考慮されると入力することができる。
【0077】
任意選択で、濃厚物質搬送システム10は、支持脚32上に配置されたスケールの形態でさらなるユーザインターフェースを有する。これらのスケールは、支持脚32の脚力を示す動作情報の項目を取り込むセンサユニット11のセンサにそれぞれ割り当てられ、センサによって取り込まれる動作情報の項目の瞬時値を示す。例えば、濃厚物質搬送システムが周辺状況で使用されるときに、ユーザが瞬間値を読み取り、この瞬間値を再び第1のユーザインターフェース、すなわちタッチスクリーンによって処理ユニット12にアクセス可能にすると規定することができる。次いで、処理ユニット12による安定性パラメータの決定は、センサによって取り込まれる動作情報の項目の瞬間値にさらに依存するように行われることが考えられる。例えば、処理ユニット12は、センサによって規則に従った動作の不在が確立されるとき、極値及び瞬間値の両方にアクセスし、例えば極値と瞬間値との差に応じて安定性パラメータを決定することができる。
【0078】
さらに、処理ユニット12は、濃厚物質搬送システム10のすべての構成要素のそれぞれの質量及び/又はそれぞれの空間的範囲に関する情報の項目を含む、データにアクセスすることができる。例として、処理ユニット12は、濃厚物質搬送システム10の全体的な重心の現在位置の計算に基づいて、濃厚物質搬送システム10の安定性パラメータを決定することができる。例えば、この目的のために、処理ユニット12は、接触面の傾斜縁部からの全体的な重心に作用する濃厚物質搬送システムの少なくとも重量力を考慮に入れた作用線のそれぞれの間隔を計算し、計算された間隔に応じて安定性パラメータを決定することができる。
【0079】
図2及び図3はそれぞれ、濃厚物質搬送システム10の図を、背面図(図2)及び上方から見た図(図3)で示す。図1で既に説明した構成要素に加えて、センサユニット11の様々な例示的なセンサも例示的な配置で示されている。
【0080】
角度センサ111は、旋回ギヤ19の位置を示す動作情報の項目を取り込むように構成される。取り込まれる位置は、現在、下部構造30に対する旋回ギヤ19の回転であるところである。
【0081】
位置センサ112は、それに割り当てられたマストアーム41の位置を表す動作情報の項目を取り込むそれぞれのセンサである。図示の例示的な実施形態では、この目的のためのセンサ112は、その傾斜角度によってそれぞれのマストアーム41の位置を確認する。すべての位置センサ112は、マストアーム41の位置を表す動作情報の項目を取り込む。したがって、これらは同じ種類の動作情報の項目である。
【0082】
支持脚32の位置を示す動作情報の項目のそれぞれの取り込みのため、脚位置センサ113が設けられる。このプロセスでは、現在の動作状態におけるそれぞれの支持脚32の接触面の水平方向及び鉛直方向の両方の間隔は、格納状態におけるそのゼロ位置と比較して確認される。図2には1つのそのような脚位置センサ113及び図3には2つのそのような脚位置センサ113が例として示されるが、センサユニット11は、便宜上、支持脚32の各々に対してそれぞれ少なくとも1つの対応するセンサを備え、その結果、同じ種類の複数の動作情報の項目がセンサユニット11によって取り込まれる。
【0083】
傾斜センサとして構成される方位センサ114は、鉛直方向に対する濃厚物質搬送システム10の傾斜角度を特徴付ける動作情報の項目を取り込む。
【0084】
センサ115は、光学センサとして構成され、濃厚物質搬送システム10の延長部を示す動作情報の項目を取り込むように構成される。ここで、例示的な方法での延長部は、支持脚32の接触面のそれぞれの鉛直間隔として、それらのゼロ位置と比較して確認される。
【0085】
図3に示す濃厚物質搬送システム10は、4つの傾斜縁部51、52、53、54を有する。傾斜縁部51、52、53、54は、特に支持脚32の位置によって画定される。接触面の傾斜縁部51、52、53、54からの濃厚物質搬送システム10の全体的な重心に作用する少なくとも重量力を考慮する作用線の間隔が大きいほど、その安定性が高くなる。傾斜縁部51、52、53、54によって区切られた面は、接触面を表す。全体的な重心が接触面の縁部、すなわち傾斜縁部51、52、53、54のうちの1つに接近する場合、例えば、濃厚物質分配マスト18の特に広範囲の水平方向の偏向の場合、又はマストアセンブリ40を横切って延在する搬送ライン17を介して特に重い濃厚物質を搬送するとき、濃厚物質搬送システム10の安定性が低下する。作用線がもはや接触面内に延びない場合、傾斜縁部51、52、53、54のうちの1つからの作用線の間隔は0未満であり、濃厚物質搬送システムの安定性はもはや提供されない。
【0086】
図4は、本発明による方法100の例示的な実施形態のフローチャートを示す。ステップ101では、センサユニット11のセンサが、濃厚物質搬送システム10の動作情報の項目を取り込む。この目的のために、センサは、取り込まれる動作情報の項目の測定変数特性、例えばマストアーム41の傾斜角度を測定する。したがって、センサはマストアーム41に割り当てられる。任意選択で、さらなる動作情報の項目を、ステップ111及び121ではセンサユニット11のセンサによってそれぞれ取り込むことができる。例えば、ステップ111及び121では、2つのさらなるマストアーム41の傾斜角度が測定される。
【0087】
ステップ102では、処理ユニット12は、ステップ101で動作情報の項目を取り込むセンサユニット11のセンサが規則に従って動作しているか否かを確立する。上記の例では、傾斜角度を取り込むセンサの規則に従った動作を検証する。この目的のために、処理ユニット12は、例えば、センサの電力供給を検証し、前記電力供給が十分であるか否かを判定することができる。同様に、ステップ112及び122において処理ユニット12は、ステップ111及び121で取り込むそれぞれのセンサについて同じ手順を実行することができる。
【0088】
ステップ102では、ステップ101で取り込まれたセンサの規則に従った動作が処理ユニット12によって確立されない場合、ステップ104において、処理ユニット12は、取り込まれた動作情報の項目の代わりにセンサによって取り込まれる動作情報の項目の極値に応じて、濃厚物質搬送システム10の安定性パラメータを決定する。ステップ101におけるマストアーム41の傾斜角度の測定の選択された例では、次いで、処理ユニット12は、例えば、割り当てられたマストアーム41の0度の傾斜角度、すなわちマストアーム41の水平位置を示す仮想的な動作情報の項目の項目を考慮に入れるが、これは、この仮想的な動作情報の項目が、処理ユニット12が最大の安定性パラメータ、したがって最小の安定性を決定する動作情報の項目に対応するためである。この目的のために、センサユニット11の各センサの極値が処理ユニット12のメモリに格納される。任意選択的に、ステップ112及び122においてそれぞれのセンサの規則に従った動作が確立されていない場合、ステップ104において同様の手順に従うことができる。
【0089】
そうでない場合、処理ユニット12は、ステップ103において、ステップ101、さらに任意選択でステップ111及びステップ112において取り込まれた動作情報の項目に応じて、濃厚物質搬送システム10の安定性パラメータを決定する。例えば、これは、すべてのマストアーム41の質量及び空間的範囲を考慮に入れて、取り込まれた動作情報の項目に基づいて、濃厚物質搬送システム10の全体的な重心の現在位置を計算することによって行われる。
【0090】
任意選択で、この後にステップ105及び106のうちの一方が続く。
【0091】
処理ユニット12によって決定された濃厚物質搬送システム10の安定性パラメータが、濃厚物質搬送システム10の最大安定性パラメータよりも大きい場合、ステップ105において、濃厚物質搬送システム10の制御ユニットは、第1の制御信号を送信する。そのような制御信号によって、制御ユニットは、濃厚物質搬送システム10の少なくとも1つの構成要素を作動させ、したがって構成要素の動作パラメータに作用する。これは、例えば、濃厚物質分配マスト18の動作範囲を現在許容されている動作範囲に制限する形態のさらなるステップ107を含むことができる。
【0092】
反対の場合、すなわち、処理ユニット12による濃厚物質搬送システム10の安定性パラメータが濃厚物質搬送システム10の最大安定性パラメータ以下であるという判定では、制御ユニットは、ステップ106において第2の制御信号を出力することができる。例えば、制御ユニットは、このようにして、コアポンプ15のポンプ周波数及び/又はS字管24のスイッチング周波数が増大又は低減されるように、濃厚物質ポンプ16を制御することができる。
【0093】
本明細書に記載された本発明の実施形態ならびにこれに関してそれぞれ列挙された任意の特徴及び特性はまた、互いにすべての組み合わせで開示されていると理解されるべきである。特に、明示的に別段の記載がない限り、実施形態に含まれる特徴の説明は、現在、その特徴が実施形態の機能に不可欠又は必須であるように理解されるべきでもない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】