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特表2024-512021加圧添加剤チャンバを備える容器を充填するための方法および充填ステーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】加圧添加剤チャンバを備える容器を充填するための方法および充填ステーション
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/04 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B65B3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558366
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 NL2022050143
(87)【国際公開番号】W WO2022203501
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2027832
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523359386
【氏名又は名称】ウィジェット ワールド ワイド ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】WIDGET WORLD WIDE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハイン, デニス
(72)【発明者】
【氏名】コッペル, カスパー アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA02
3E118AB01
3E118AB14
3E118AB17
3E118AB20
3E118BA06
3E118EA01
(57)【要約】
本発明は、容器(62)を充填する方法、ならびに第1および第2の加圧ステーション(64、75)を備える加圧ユニット(60)に関する。搬送部材(61)は、加圧ステーション(64、75)に沿って容器(62)を搬送する。アプリケータ(66)は、第1の加圧ステーション(64)において液体加圧用媒体を容器(62)内に供給する。供給ユニット(68)は、キャップ(70)で容器を閉鎖する。キャップは、弁を介して容器内部に流体連通する添加剤チャンバを有する。第2の加圧ステーション(75)におけるアプリケータ(77)は、キャップ(70)の添加剤チャンバに液体加圧用媒体を供給する。密封ステーション(80)は、添加剤チャンバ内部の圧力が容器内の圧力よりも低くなるように添加剤チャンバを密封する。消費者がキャップを開封すると、添加剤チャンバの内容物が容器内に注入される。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1、35、62)を充填する方法であって、
流出開口部を有し物質(36)を収容する容器(1、35、62)内に加圧用液化または固体ガス媒体(17、38)を置くステップと、
添加剤チャンバ(7、41)および弁(13、40)を備える閉鎖部材(4、39、52)で前記容器の前記流出開口部を閉鎖するステップであって、前記弁が前記容器内の圧力に接したときに閉鎖位置になるように、前記弁(13、40)を加圧された前記容器に流体連通させる、閉鎖するステップと、
を含む方法において、
添加剤物質(18、42)および加圧用液化または固体ガス媒体(20、43)を、前記添加剤チャンバ(7、41)内の圧力が前記容器(1、35、62)内部の前記圧力よりも小さく、かつ大気圧よりも大きくなるように、前記閉鎖部材(4、39、52)の前記添加剤チャンバ(7、41)内に置くステップと、
前記添加剤チャンバ(7、41)を密封するステップと、
により特徴付けられている、方法。
【請求項2】
容器(1、35、62)を充填する方法であって、
流出開口部を有し物質(36)を収容する容器(1、35、62)内に加圧用液化または固体ガス媒体(17、38)を置くステップと、
前記加圧用媒体を前記容器内に置く前または後に、前記容器の前記流出開口部を閉鎖部材(52)で閉鎖するステップと、
弁(40)を備える添加剤チャンバ(55)を用意し、前記弁が前記容器内の圧力に接したときに閉鎖位置になるように、前記弁を加圧された前記容器に流体連通させるステップと、
を含む方法において、
添加剤物質(42)および加圧用液化または固体ガス媒体(43)を、前記添加剤チャンバ内の圧力が前記容器内部の前記圧力よりも小さく、かつ大気圧よりも大きくなるように、前記添加剤チャンバ(55)内に置くステップと、
前記添加剤チャンバ(55)を密封するステップと、
により特徴付けられている、方法。
【請求項3】
前記加圧用媒体(17、38、43)が、前記容器(1、3、35、62)と前記添加剤チャンバ(7、41、55)に異なる量で加えられる同じガスを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧用液化または固体ガス媒体(17、38、43)を前記添加剤チャンバ(7、41、55)に加えた後、前記添加剤チャンバ内の前記圧力が前記容器(1、35、62)内の前記圧力を下回るまで、前記添加剤チャンバからガスを蒸発させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
容器(62)を充填する方法であって、
物質を保持する容器(62)を加圧ユニット(60)に送るステップと、
加圧用液体または固体媒体(17、38)を充填された前記容器(62)内に置くアプリケータ(66)を有する第1の加圧ステーション(64)に沿って前記容器を移動させるステップと、
充填された前記容器(62)に、弁(13、40)と、添加剤チャンバ(7、41)と、を備えるキャップ(70)を送るステップと、
前記容器内の圧力と接することによって前記弁が閉鎖位置になるように、前記弁(13、40)を加圧された前記容器に流体連通させながら、前記キャップ(70)で前記容器(62)を閉鎖するステップと、
組み立てられた前記容器(62)および前記キャップ(70)を第2の加圧ステーション(75)に沿って送るステップと、
前記添加剤チャンバ内の圧力が前記容器内の前記圧力よりも低くなるように、加圧用液体または固体媒体(20、43)を前記添加剤チャンバ(7、41)内に置くステップと、
組み立てられた前記容器(62)および前記キャップ(70)を密封ステーション(80)に沿って送るステップと、
前記キャップ(70)の前記添加剤チャンバ(7、41)上に密封材(22、46)を配置するステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記第1の加圧ステーション(64)におけるアプリケータ(66)が、第1の量の加圧用媒体(20、43)を供給し、前記第2の加圧ステーション(75)におけるアプリケータ(66、77)が、前記第1の量よりも少ない第2の量の前記加圧用媒体(20、43)を供給する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アプリケータ(66、77)および前記密封ステーション(80)が、回転する供給ステーション(61)に沿って位置する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
第1および第2の加圧ステーション(64、75)と、前記加圧ステーション(64、75)に沿って容器(62)を搬送するための搬送部材(61)と、前記第1の加圧ステーション(64)において前記容器(62)内に加圧用液体または固体媒体を供給するようになっているアプリケータ(66)と、添加剤チャンバを有するキャップ(70)を供給するようになっており、前記容器内部の圧力が第1の圧力値になるように、前記第1の加圧ステーション(64)の下流で、加圧された前記容器(62)を前記キャップ(70)で閉鎖する、供給ユニット(68)であって、前記第2の加圧ステーション(75)におけるアプリケータ(77)が、前記キャップ(70)の前記添加剤チャンバに加圧用液体または固体媒体を供給するようになっている、供給ユニット(68)と、前記添加剤チャンバ内部の圧力が前記容器内の前記圧力よりも低くなるように前記添加剤チャンバを密封するようになっている密封ステーション(80)と、を備える、加圧ユニット(60)。
【請求項9】
前記第2の加圧ステーション(75)における前記アプリケータ(77)が、前記第1の加圧ステーション(64)における前記アプリケータ(66)によって供給される第1の量の加圧用媒体とは異なる第2の量の加圧用液体または固体媒体を供給するようになっている、請求項8に記載の加圧ユニット(60)。
【請求項10】
前記第1の加圧ステーション(64)と第2の加圧ステーション(75)との間に、前記添加剤チャンバに添加剤製品を充填するための添加剤充填ステーション(71)を備える、請求項8または9に記載の加圧ユニット(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を充填する方法であって、流出開口部を有し物質を収容する容器内に加圧用液化または固体ガス媒体を置くステップと、
添加剤チャンバおよび弁を備える閉鎖部材で容器の流出開口部を閉鎖するステップであって、弁が容器内の圧力に接したときに閉鎖位置になるように、弁を加圧された容器に流体連通させる、閉鎖するステップと、
を含む方法に関する。
【0002】
本発明はまた、充填方法を実行するための充填ステーションに関する。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第1979253号明細書には、加圧飲料を含むボトルなどの容器が記載されている。既知のボトルは、ボトル詰めラインにおいて充填され、飲料は、ボトル内に液体窒素の小滴を導入し、続いてボトルをキャップですぐに閉鎖することによって、周囲に対して過圧状態でボトル内に置かれる。窒素はボトルのヘッドスペース内で沸騰し、結果として膨張する窒素ガスが過圧を生成する。キャップは、香味料、着色剤、ビタミン、および医薬組成物などの添加剤製品を有する密封および加圧された添加剤チャンバを備える。添加剤チャンバは、周囲圧力よりも高く、ボトルのヘッドスペース内の圧力よりも低い圧力で密封される。添加剤チャンバは、弁に作用するボトル内の過圧によって閉鎖されるダックビルまたは傘弁などの一方向弁を介してボトルの内部と流体連通するように配置される。ユーザがボトルを開封するためにキャップを回したとき、ボトル内の過圧が解放され、ボトルのヘッドスペース内の圧力が添加剤チャンバ内部の圧力を下回って降下し、その結果、内容物が添加剤チャンバからボトル内に放出される。
【0004】
国際公開第2017/207962号からは、ボトルのねじ山付き首部上にねじ込まれるキャップを有する容器クロージャが知られている。キャップは、プラグ部材によって閉鎖され、かつキャップがボトルから解放されボトルのヘッドスペース内の圧力が添加剤チャンバ内の圧力を下回って降下したときにボトル内に添加剤チャンバの内容物を放出する、予め充填され加圧された添加剤チャンバを有する。
【0005】
既知の充填方法は、異なる場所で充填および加圧され、次いで、ボトル詰めラインなどの組立現場に搬送されて、容器に製品を充填した直後に容器に加えられる、予め充填された添加剤カプセルを利用する。これは、比較的複雑な物流を伴い、損傷を防止しかつ適切な品質および安全基準を満たす正しい内容物が組立現場に存在することを確実にするために、予め充填されたカプセルの慎重な取扱いおよび搬送を必要とする。既知の容器は、比較的多数の構成要素、特に2つのダックビル弁を備える。本発明の目的は、充填されたボトルの加圧および添加剤物質を含むカプセルをボトルに連結するステップを正確に制御することができる、充填方法および充填ステーションを提供することである。さらなる目的は、容器および添加剤チャンバの構成要素の数を削減する充填方法および充填ステーションを提供することである。本発明の別の目的は、加圧ボトルおよび添加剤チャンバを組み立てるための汎用的かつ迅速な充填ステーションを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
ここで、本発明による方法は、添加剤物質および加圧用液化または固体ガス媒体を、添加剤チャンバ内の圧力が容器内部の圧力よりも小さく、かつ大気圧よりも大きくなるように、閉鎖部材の添加剤チャンバ内に置くステップと、添加剤チャンバを密封するステップと、を含む。
【0007】
容器内およびカプセル内の両方に加圧用液化または固体ガス媒体を導入することにより、ボトルおよび容器を同じ充填ステーション内で加圧することができ、加圧ステップ間の時間はほんのわずかである。これにより、周囲の温度および圧力、空気の含水量、および他の充填条件を安定した設定に維持することができ、容器内およびカプセル内の圧力を正確に制御することができる。ボトル内の圧力は、例えば2バールに設定され得、一方、添加剤チャンバ内の圧力は1バールに設定され得、各圧力は3%以下の変動を有する。
【0008】
添加剤チャンバを加圧用液化または固体ガス媒体で充填することにより、圧力が必要なレベルまで上昇している間に充填および加圧された添加剤チャンバを密封することができ、密封プロセス中に過剰な加圧ガスを逃がすことができる。加圧剤の量を調節することにより、溶接プロセス中のガスの漏出を考慮に入れることができ、その結果、密封された添加剤チャンバ内の必要な最終圧力に到達しながら、例えば超音波溶接または任意の他の好適な閉鎖方法を使用することによる使用される溶接技術に対して正確な閉鎖を得るのに十分な時間が得られる。
【0009】
ボトルの充填および加圧とカプセルの充填および加圧との間に存在する短い時間、ならびに容器内およびチャンバ内への同じ加圧用媒体の使用により、容器内の製品および添加剤チャンバ内の添加剤物質の品質および一貫性の正確な制御が可能になる。
【0010】
加えられる加圧用液化または固体ガス媒体の量を正確に投与することができる。「液化」および「固体」ガスという用語は、周囲温度および圧力では圧力媒体はガスである、加える時の加圧用媒体の状態を表すことを意図している。
【0011】
固体または液体加圧用媒体を製品チャンバ内または添加剤チャンバ内に加えた後、加圧用媒体は蒸発する。加圧用媒体が加えられた後の短時間で、密封材を製品チャンバおよび添加剤チャンバに加えることができ、その結果、密封されたヘッドスペースは加圧ガスで満たされる。加圧用媒体を加える時と密封材を加える時との間の時間間隔を設定することにより、蒸発して周囲に抜ける加圧用媒体の量を変化させることができ、ヘッドスペース内の圧力を制御することができる。
【0012】
添加剤物質を収容する添加剤チャンバは、容器の流出開口部を密封する閉鎖部材と一体化されてもよい。閉鎖部材は、容器の相補的なねじ山付き首部に螺合することができるプラグ、接着密封材、または例えばねじ付きキャップを備え得る。容器は、流出開口部を通じて液体加圧用媒体を導入し、その後、流出開口部の上に添加剤チャンバを有する閉鎖部材を適用することにより加圧された容器を密封することによって、加圧され得る。その後、添加剤物質および液体加圧用媒体は、次に密封され得る添加剤チャンバ内に導入され得る。
【0013】
好ましくは、閉鎖キャップ、プラグ、またはフィルムなどの弁機能を有さない密封部材が、添加剤チャンバの密封に使用される。このようにして、添加剤チャンバ内での高価で敏感な弁要素の使用が回避され、コストが削減され、かつ充填された容器および添加剤チャンバの正確な動作が改善される。
【0014】
一実施形態では、添加剤チャンバは、容器の閉鎖部材とは別個である。流出開口部を介して容器を充填して加圧し、閉鎖部材を流出開口部の上に配置した後、添加剤チャンバは、例えば容器壁内の凹部内に挿入されることによって容器と接触し得、その後、添加剤チャンバは充填され、加圧され、密封される。
【0015】
容器内の物質は、飲料もしくは医療用液体であり得るか、または、例えば塗料もしくは接着剤などの摂取を目的としていない化学物質であり得る。容器内の物質は自由流動性であり、液体形態またはペーストもしくは粉末の形態であり得る。
【0016】
添加剤チャンバ内の物質は、香味剤、着色剤、ビタミン、医療用組成物であり得、または、例えば2成分接着剤もしくは塗料系の成分などの摂取を目的としていない化学物質であり得る。添加剤チャンバ内の物質は自由流動性であり得、液体形態またはペーストもしくは粉末の形態であり得、それにより、添加剤チャンバ内の物質は添加剤チャンバから容易に排出され、容器内容物と容易に混合する。
【0017】
加圧用媒体は、液体窒素または固体COなどの液化または固体ガスを含む。
【0018】
容器のためのおよび添加剤チャンバのための加圧用媒体は、容器および添加剤チャンバのヘッドスペース内で蒸発するときに異なる圧力をもたらす異なる液化または固体ガスを含み得る。あるいは、加圧用媒体は、密封前に異なる量で容器および添加剤チャンバに加えられる単一タイプの液化または固体ガスを含み得る。
【0019】
加圧用液化または固体ガス媒体を添加剤チャンバに加えた後、添加剤チャンバ内の圧力が容器内の圧力を下回るまで、ガスを添加剤チャンバから蒸発させるようにしてもよい。
【0020】
本発明による容器に充填する方法の一実施形態は、
物質を保持する容器を加圧ユニットに送るステップと、
加圧用液体または固体媒体を充填された容器内に置くアプリケータ部材を有する第1の加圧ステーションに沿って容器を移動させるステップと、
一方向弁と、添加剤チャンバと、を備えるキャップを充填された容器に送るステップと、
容器内の圧力と接することによって弁が閉鎖位置になるように、弁を加圧された容器に流体連通させながら、キャップで容器を閉鎖するステップと、
キャップを充填ステーションに送り、添加剤チャンバ内に添加剤物質を置くステップと、
組み立てられた容器およびカプセルを第2の加圧ステーションに沿って送るステップと、
添加剤チャンバ内の圧力が容器内の圧力よりも低くなるように、加圧用液体または固体媒体を添加剤チャンバ内に置くステップと、
組み立てられた容器およびキャップを密封ステーションに沿って送るステップと、
キャップの添加剤チャンバ上に密封材を配置するステップと、
を含む。
【0021】
第1の加圧ステーションにおけるアプリケータは、第1の供給源から第1の量の液化または固体圧力媒体を供給し得る。第2の加圧ステーションでは、第2の量の加圧用媒体が同じ供給源から送られ、この第2の量は、第1の量よりも少量であり得るか、または同様であるが、添加剤チャンバ内の圧力が所望のより低い値になるように添加剤チャンバの密封前に蒸発させておく。
【0022】
アプリケータおよび密封ステーションは、カルーセルなどの回転供給ステーションに沿って位置し得る。
【0023】
本発明による充填ステーションの一実施形態は、第1および第2の加圧ステーションと、加圧ステーションに沿って容器を搬送するための搬送部材、第1の加圧ステーションにおいて容器内に加圧用液体または固体媒体を供給するようになっているアプリケータと、添加剤チャンバを有するキャップを供給するようになっており、容器内部の圧力が第1の圧力値になるように、第1の加圧ステーションの下流で、加圧された容器をキャップで閉鎖する、供給ユニットであって、第2の加圧ステーションにおけるアプリケータが、添加剤チャンバに加圧用液体または固体媒体を供給するようになっている、供給ユニットと、添加剤チャンバ内部の圧力が容器内の圧力よりも低くなるように添加剤チャンバを密封するようになっている密封ステーションと、を備える。
【0024】
添加剤チャンバは、充填ステーションに充填された状態で供給され得るか、または添加剤チャンバを添加剤製品で充填するための添加剤充填ステーションが、第1の加圧ステーションと第2の加圧ステーションとの間に位置し得る。
【0025】
充填ステーションの一実施形態では、第2の充填ステーションにおけるアプリケータが、第1の加圧ステーションにおいて供給される第1の量の加圧用媒体とは異なる第2の量の液体加圧用媒体を供給するようになっている。
【0026】
容器のためのおよび添加剤チャンバのための単一タイプの加圧用媒体の体積を調整することにより、比較的単純で正確な加圧ステーションが提供される。必要な圧力は、密封材がその後に適用されるタイミングを設定することによっても得ることができ、それにより、漏出するガスの量が密封の前に制御され、圧力が設定される。
【0027】
本発明による方法は、飲料、化粧品、医薬品、または化学薬品の分野に適用され得る。
【0028】
本発明による充填方法は、様々な用途を有し得るが、飲料を収容する容器の充填に特に適している。飲料用途では、容器内の添加剤はビタミンを含み得る。ビタミンを含有する製品は、液体製品と接触しているビタミンは例えば酸化により長期間安定しないこととなるため、通常腐敗しやすい。本発明によれば、添加剤チャンバ内のビタミンが最適な状態に保たれる。消費者が閉鎖部材を取り外した後、ビタミンは製品容器内に注入され、ビタミンは最も高い機能性をもって消費される。したがって、「新鮮な」添加されたビタミンを含有する飲料を調製することが非常に簡単である。例えば、ビタミンCは、水性およびアルコール液中で劣化することとなることが知られており、すなわち、ビタミンCを添加した水性および/またはアルコール飲料を保持することは困難である。本発明によれば、水性および/またはアルコール製品ならびにビタミンC添加剤は、容器内に別個に収容され得るが、それらは容器を開封することによって消費の直前にのみ混合される。
【0029】
本発明によれば、添加剤はタンパク質、および/またはカゼイン加水分解物などのペプチド、および/またはリコピンなどのカロテノイド、および/またはquercitinなどの酸化防止剤、および/または風味付き濃縮物もしくは香味抽出物などの香味料を含むことが可能である。タンパク質およびペプチドは、いくつかの機能性を有する。例えば、様々なタンパク質およびペプチドが「筋肉燃料補給」である。しかしながら、これらの化合物はアルコール中で劣化する。その結果、それらは苦味および/または機能性の低下を引き起こす可能性がある。本発明による方法によって充填された容器により、アルコール性スポーツ飲料を製造することが可能である。その場合、ビールなどのアルコール製品は、製品チャンバ内に充填されるが、添加剤チャンバは、カゼイン加水分解物または任意の他のタンパク質および/もしくはペプチドを含有する。そのような「スポーツビール」は、本発明によれば特に好適である。
【0030】
タンパク質およびペプチドはまた、酸性液体、すなわちpH<7を有する液体中で劣化する。コーラなどのほとんどの清涼飲料水は酸性である。本発明に従って充填される容器はまた、製品チャンバ内の酸性清涼飲料水と添加剤チャンバ内のタンパク質および/またはペプチドとの組合せを可能にし、「スポーツ清涼飲料水」をもたらす。この組合せも、本発明によれば好適である。
【0031】
リコピンなどのカロテノイドは、消費者の視界を改善する。pH値に応じて、それらは飲料の全体的な色に影響を及ぼすこととなる。同様に、酸化防止剤、例えばqeurcitinも、様々な機能性を有する。例えば、酸化防止剤は、しわの形成を減少させると考えられている。したがって、これらの添加剤はまた、本発明による容器の添加剤チャンバ内に受容されていることが特に好適である。本発明による充填方法は、これらの添加剤を水、ビール、牛乳、または任意の他の製品と組み合わせることを可能にし、これらの添加剤を製品から分離したままにすることができない既知の容器とは対照的である。
【0032】
風味付き濃縮物などの香味料の一例として、製品チャンバ内の製品は、炭酸抜きの水または炭酸水であるが、添加剤チャンバには液体シロップが充填されている。ある包装会社は、本発明による容器の製品チャンバを充填し得るが、別の会社は、添加剤チャンバに風味付き原材料を充填し、添加剤チャンバを容器に嵌合させ得る。したがって、炭酸製品および炭酸抜き製品の様々な風味を供給することが可能である。添加剤チャンバを設置する会社はまた、カウンタ越しに様々な風味付きドリンクまたは健康ドリンクを販売するケータリング業界であり得る。
【0033】
リコピンなどの多くのカロテノイド、quercitinなどの酸化防止剤、および香味料は、光の影響下で劣化することが知られている。この場合、本発明による容器の添加剤チャンバは透明性のないまたは不透明であるが、製品容器は透明であり得る。
【0034】
本発明による容器は、医療用途にも適している。この場合、本発明によれば、製品およびその混合後の添加剤が医薬組成物、特に医薬品を含むことが可能である。医薬組成物は、使用時にのみ異なる成分の混合を必要とする場合がある。本発明による容器は、医薬組成物の異なる成分の正確な投与を提供し、投与は自動的であるため、人間の間違いは排除される。さらに、異なる成分の混合は完全に衛生的である。
【0035】
本発明による充填方法は、化粧品用途での使用にも適している。容器は、混合後にスキンローションなどの化粧品組成物を含む製品および添加剤を収容し得る。化粧品業界は、使用時に2つ以上の成分の混合に依存するローションおよびスキンシステム用のパッケージ、例えばツインパックシステムを開発している。しかしながら、これらのパッケージは比較的高価であり、かつ自動混合を提供しない。本発明による容器は、そのような化粧品の包装のための安価な代替物を提供する。
【0036】
添加剤が2つ以上の組成物を含むことが望ましい場合がある。本発明の好ましい実施形態では、添加剤は、混合後に分離する少なくとも2つの液体組成物、例えば、異なる密度および/または不適合な化学的特性を有する組成物を含む。異なる密度および/または化学的不適合性のために、これらの2つの液体成分は、添加剤チャンバ内で互いに重なり合って浮遊する。製品チャンバを減圧した後、添加剤チャンバは液体成分を連続的に排出こととなる。液体成分が異なる色を有する場合、消費者は、製品チャンバ内に流入する異なる色の複数の噴出を見ることとなる。
【0037】
色注入は、色がクロージャの開封が行われたことを示す、不正開封防止クロージャとして機能し得る。
【0038】
容器内に収容される製品は、粉末、ペースト、または液体などの任意の流動性材料であり得る。
【0039】
本発明による充填方法の別の適用分野は、例えば粉末ベースの消火器またはガスタンク上の圧力インジケータの使途であり、ここでは容器内の圧力損失により添加剤チャンバが空になり、したがって圧力損失の表示が得られる。
【0040】
本発明による容器を充填する方法および充填ステーションの一実施形態は、非限定的な例として、添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明によるキャップおよび添加剤チャンバを有する容器の加圧を示す。
図2a】ボトルがボトルの首部を介して充填される、本発明による加圧する方法の一実施形態を概略的に示す。
図2b】ボトルがボトルの首部を介して充填される、本発明による加圧する方法の一実施形態を概略的に示す。
図2c】ボトルがボトルの首部を介して充填される、本発明による加圧する方法の一実施形態を概略的に示す。
図2d】ボトルがボトルの首部を介して充填される、本発明による加圧する方法の一実施形態を概略的に示す。
図3a】ボトルがボトルの底部を通じて充填される一実施形態を概略的に示す。
図3b】ボトルがボトルの底部を通じて充填される一実施形態を概略的に示す。
図4a】別個のキャップおよび添加剤チャンバを使用する一実施形態を概略的に示す。
図4b】別個のキャップおよび添加剤チャンバを使用する一実施形態を概略的に示す。
図4c】別個のキャップおよび添加剤チャンバを使用する一実施形態を概略的に示す。
図4d】別個のキャップおよび添加剤チャンバを使用する一実施形態を概略的に示す。
図5a】本発明による方法の別の実施形態を概略的に示す。
図5b】本発明による方法の別の実施形態を概略的に示す。
図5c】本発明による方法の別の実施形態を概略的に示す。
図5d】本発明による方法の別の実施形態を概略的に示す。
図6】本発明による加圧ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、ねじ山3を有する首部2を有するボトル1の形態の容器を示している。キャップ4は、めねじ5を介してねじ山付き首部2と係合する。キャップ4は、添加剤物質8を保持する添加剤チャンバ7を備える。キャップは、首部2の密封材9と密封係合する。チャンバ7の底面12には、弁13によって閉鎖される出口開口部14が設けられている。弁13は、製品チャンバ16の上に位置するヘッドスペース15内の過圧によって閉鎖される。過圧は、例えば2バールであり得、開口された首部2を介してボトル1の内部に液体窒素の滴17を導入することによってもたらされる。これは概略的に示されている。
【0043】
窒素の滴17をボトル1内に置いた後、キャップ4を首部2上に配置してボトルを密封する。液体窒素は沸騰して気体状態に戻り、弁13を閉鎖しながらヘッドスペース15を満たすこととなる。キャップ4を配置する直前または配置した後に、添加剤物質18が添加剤チャンバ7内に置かれる。液体窒素20の滴が添加剤チャンバ7内に導入され、例えば超音波溶接によって密封材22が適用されてチャンバ7を密封する。窒素20は窒素20の気体状態に戻り、ヘッドスペース19内に1バールの圧力をもたらす。
【0044】
キャップ4は、外側スリーブ25と、外側スリーブ25の内面28と摺動するように係合する壁27を有する内側リザーバ26と、を有する。壁27の上側部分29は、キャップ4の頂部から延在する内側環状隆起部30によって画定された環状空洞内に支持されている。
【0045】
ユーザがボトル1を開封するために外側スリーブを回したとき、外側スリーブ25が上方に移動する。ヘッドスペース15内の内圧が内側リザーバ26を上方に押圧し、その結果、内側リザーバ26が密封材9から離れ、ヘッドスペース15の圧力が周囲に解放される。これにより圧力が降下し、ヘッドスペース19内の圧力の影響下で弁13が開放されることとなり、添加剤チャンバ7の内容物がボトル1の製品チャンバ16内に注入されて、製品チャンバ16に収容された製品と混合することとなる。
【0046】
図2aから図2dは、ステップaにおいて容器首部37を通じて容器35に液体製品36を充填するステップと、ステップbにおいて首部37を通じて液体加圧用媒体38の小滴を導入するステップと、を示している。次いで、キャップ39が、弁40がヘッドスペース45に接した状態で首部37上に配置され、その結果、弁40はヘッドスペースの圧力によって閉鎖される。添加剤物質42が添加剤チャンバ41内に置かれ、加圧用媒体43の小滴43がチャンバ41内に導入される。ステップdにおいて、密封材46が超音波溶接によってキャップ39上に適用される。
【0047】
図3aおよび図3bでは、容器35が、迅速な充填を可能にする比較的大きな充填開口部を介して、容器の底部を通じ充填ノズル47を介して充填されることが示されている。首部37は、小さな開口部49を備え、ステップ3bにおいて加圧用物質38の滴が小さな開口部49を通じて導入される。密封材50が、加圧用物質38の導入を実行する前に底部48の充填開口部を閉鎖するために適用される。ステップ3bに続いて、添加剤チャンバ41を備えるキャップ39が首部37に適用され得、図2cおよび図2dに示すのと同じ方法で加圧され得る。
【0048】
図4aから図4dでは、容器35の首部37の流出開口部を閉鎖するキャップ52、および添加剤物質を収容するカプセル55が、別個の構成部品であることが示されている。キャップ52は、カプセル55が容器35の底部48内の凹部51に内に収容されている間、首部37内の流出開口部を閉鎖する。カプセル55には、カプセルを回し、それによって弁40が上方を向いたときに添加剤チャンバを空にすることを可能にする立ち上がり管53が設けられている。図4aに示すように、容器35は、首部37上のキャップ52を用いて、凹部51内の充填開口部56を通じて逆さまの向きで、製品36で充填される。図4bでは、加圧用媒体が充填開口部56を通じて導入される。図4cでは、カプセル55が凹部51内に配置され、弁40が加圧ヘッドスペース45と接していることが示されている。カプセル55は、添加剤物質42で充填されており、液化または固体または固体ガスの滴43が加えられる。図4dでは、凹部51を閉鎖しカプセル55を定位置に固定する密封材50が適用される。
【0049】
図5aから図5dでは、容器35が容器35の首部37を通じて製品36で充填される一実施形態が説明されている。加圧用媒体38を導入した後、首部37は、図5cに示すようにキャップ52で閉鎖される。カプセル55は、弁40が容器壁を通って突出し容器内部と接するように、凹部51内に挿入される。立ち上がり管53を有するカプセル55は、カプセルの底部を通じて充填および加圧され、ステップ5dにおいて密封材50が適用される。図5cに示すように、カプセル55を凹部51内に挿入する前に、キャップ52を所定の位置に有する容器35を上下逆にしてもよい。これにより、重力流条件下でのカプセル55の充填および加圧が容易になることとなる。
【0050】
図6は、矢印Rの方向に回転するカルーセル61を備える加圧ユニット60を示している。カルーセル61は、矢印Tの方向にコンベヤ63上で搬送される充填されたボトル62を受容する。加圧用ユニット60は、アーム65を有する第1の加圧ステーション64を備え、アーム65はアーム65の端部上にアプリケータ66を支持し、液体窒素の滴がアーム65を通じて中央供給源67から供給され、ボトルの開放された首部を介してボトル内に導入される。
【0051】
次に、ボトルは、空の添加剤チャンバを有するキャップ70をボトル上に連結するキャップ供給および配置ステーション68に沿って回転し、それにより、例えば2バールの圧力で密封される。
【0052】
充填ステーション71において、キャップ70の添加剤チャンバは、アーム72およびアプリケータ73を介して添加剤物質で充填される。
【0053】
第2の加圧用ステーション75において、アーム76の端部にあるアプリケータ77が、液体窒素の滴をキャップ70の充填された添加剤チャンバ内に導入する。アーム82上に超音波溶接ヘッド81を備える密封ステーション80において、密封材が充填された添加剤チャンバ上に配置される。
【0054】
第2の加圧ステーション75によって供給される液体窒素の量は、第1の加圧ステーション64で供給される量よりも少なくすることができ、その結果、添加剤チャンバ上に密封材を適用した後、添加剤チャンバのヘッドスペース内の圧力は容器内の圧力よりも低くなり、例えば1バールの大きさである。第1および第2の加圧ステーション64、75が等量の液体窒素を供給し、充填された添加剤チャンバを第2の加圧ステーション75から密封ステーション80に搬送する時間を調整して十分な窒素を周囲に蒸発させ、添加剤チャンバ内の圧力を所望の値に到達させることも可能である。
【0055】
別の実施形態では、容器および添加剤チャンバをそれぞれの圧力で加圧するために、加圧ステーション64および75において異なる液化または固体または固体ガスを採用してもよい。
【0056】
密封ステップが完了した後、充填されたボトルはコンベヤ63上に戻され、ラベリングのためにラベリングステーション85を通して搬送され、包装ユニットに送られる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
【国際調査報告】