(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
H01H50/54 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558380
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022052881
(87)【国際公開番号】W WO2022199921
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107381.2
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミンクヴィッツ, ロベルト
(57)【要約】
スイッチング装置(100)であって、スイッチングチャンバ(11)内に少なくとも2つの接点(1)を備え、前記少なくとも2つの接点は、固定接点(2)及び可動接点(4)を含み、前記接点の各々は、接触サイド(20,40)に、少なくとも1つの接触領域(22,42)を有する接触面(21,41)を有し、前記接点のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの凹部(50)を有するものが提示される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング装置(100)であって、スイッチングチャンバ(11)内に少なくとも2つの接点(1)を備え、
前記少なくとも2つの接点は、固定接点(2)及び可動接点(4)を含み、
前記接点の各々は、接触サイド(20,40)に、少なくとも1つの接触領域(22,42)を有する接触面(21,41)を有し、
前記接点のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの凹部(50)を有する、
スイッチング装置(100)。
【請求項2】
前記固定接点は、少なくとも1つの横方向において前記可動接点の前記接触面を越えて突出する接触面を有する、請求項1に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記可動接点(4)は、前記接触サイド(40)に少なくとも1つの凹部(50)を有する、請求項1又は2に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記固定接点(2)は、前記接触サイド(20)に少なくとも1つの凹部(50)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項5】
前記接点(1)の各々は、少なくとも1つの凹部(50)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記凹部(50)は、溝又は斜面によって形成されており、前記溝又は斜面は、前記接触面及び外面(23,43)によって形成され、前記溝又は斜面によりもはや存在しない仮想縁部に沿って、前記接触面と前記外面との間で延びる、請求項1~5のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項7】
前記凹部により、前記接触面に隣接する第1の外縁(51)及び外面に隣接する第2の外縁(52)が形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項8】
前記第1の外縁及び前記第2の外縁は、1つ又は複数の凹部面(53,54,56)により互いに接続されている、請求項7に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項9】
前記接触面は主延在平面を有し、前記主延在平面に対して平行な方向は横方向(90)であり、前記主延在平面に対して垂直な方向は垂直方向(91)であり、
前記第1の外縁及び前記第2の外縁の距離は、垂直方向においてはHで、横方向においてはBで示され、B/Hは0.2以上5以下である、
請求項7又は8に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項10】
垂直方向における前記接点の総厚さはDで示され、H/Dは0より大きく0.8以下である、請求項9に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項11】
前記凹部は、半径Rを有する円形断面に相当する断面を有する少なくとも1つの湾曲した凹部面を有し、R/Dは0.05以上2以下である、請求項9又は10に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項12】
前記凹部は、前記接触面と共に10°以上80°以下の角度を挟む少なくとも1つの凹部面を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項13】
前記凹部は、切り込み、面取り部、フィレット、又は、それらの組み合わせを有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項14】
種々の横方向において、前記接触サイドに凹部が形成されている、請求項1~13のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチング装置が提示される。
【背景技術】
【0002】
スイッチング装置は、特に、電流によって駆動可能で、電磁的に作動する、遠隔操作されるスイッチとして設計されている。スイッチング装置は、制御回路を介して作動させることができ、負荷回路を切り替えることができる。特に、スイッチング装置は、リレーとして又は接触器として、特に電力接触器として、設計され得る。特に好ましくは、スイッチング装置は、ガス充填された電力接触器として設計され得る。
【0003】
このようなスイッチング装置の、特に電力接触器の1つの可能な用途は、例えば電気的に又は一部電気的に駆動される原動機付き車両のような原動機付き車両における、あるいは、再生可能エネルギーの分野での用途における、バッテリ回路の開放及び切断である。
【0004】
安全部品としての機能において、接触器は、通常、例えばリチウムイオン電池のような電池と電気モータとの間のヒューズと組み合わせて使用され、誤動作の場合には、電源を負荷から切断することができなければならない。今日、そのようなシステムは、通常、約450Vの電圧で動作する。次世代のそのようなシステムでは、電圧は800Vまでであり得る。更に、例えば特殊な用途では、1500Vまでの直流電圧が必要とされている。
【0005】
適用対象の電圧が高ければ高いほど、故障の場合に上述した高電圧において大電流を遮断しなければならない接触器の構造に、大きな課題が課される。更に、高負荷から切断された後でも、スイッチング装置の電気的パラメータは、引き続き元の状態又は新しい状態に近いままであることも要求される。これは、特にスイッチング装置の接触抵抗に当てはまるが、当該接触抵抗は、通常動作中、装置全体の加熱にとって決定的であり、別の性能及び耐用年数に対して著しい影響を有する。
【0006】
スイッチング装置の接点が、負荷すなわち電流の下で切断される場合、溶融により接点の表面を損傷する可能性のあるアークが発生する。この損傷は、接点の表面がもはや互いに最適に配置され得ないこと、及び、再び閉じられる際に接触抵抗が増大することにつながる。
【0007】
アークをできるだけ迅速に接触領域から遠ざけ、アーク経路を長くするために、通常、電流の方向に応じてアークを特定の方向に偏向させることができる、いわゆるブローアウト磁石が使用される。例えば、適切なスイッチングチャンバの幾何学的形状及び磁石の配置により、アークが所定の方向に偏向されることが、達成され得る。設計に応じて、これは、電流の方向と無関係に行うことさえできる。そのようにして、アークは、磁気偏向構成に応じて、及び場合によっては電流の方向に応じて、接点から見て種々のサイドに押されるか、又は、接点の種々の領域に付着し得る。したがって、摩耗及び接触抵抗の増大につながる可能性のある起伏が、異なる部位にも生じる可能性がある。例えば、可動接点を、固定接点の約半分のみを覆うように、短く設計することも知られている。この設計は、再び閉じられた際に実際の接触領域にはない固定接点のはるか外側に、アークが損傷を引き起こす可能性がある、という結果をもたらし得る。しかしながら、この機構は、再び閉じられた際に接触抵抗に影響を及ぼす可能性の高い可動接点の損傷に対しては、効果がない。別の欠点は、接触面積の減少であり、これは、熱搬出の減少及び局所的な加熱の増大という結果をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、スイッチング装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項による主題によって解決される。当該主題の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項において述べられ、更に以下の記載及び図面から明らかになる。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によれば、スイッチング装置は、第1及び第2の接点とも称され得る少なくとも2つの接点を備え、接点のうちの一方は固定接点であり、接点のうちの他方は可動接点である。相応して、スイッチング装置は、少なくとも1つの固定接点と、少なくとも1つの可動接点とを備える。少なくとも1つの固定接点及び少なくとも1つの可動接点は、スイッチング装置に接続可能な負荷回路のオン・オフを切り替えるように意図され調整されている。
【0011】
少なくとも1つの更なる実施形態によれば、以下において第1の接点とも称され得る、接点のうちの1つは、少なくとも1つの接触領域を有する。第1の接点は、例えば、スイッチング装置の固定接点であり得る。これに代えて、第1の接点は、スイッチング装置の可動接点であり得る。第1の接点は、接点が適切な位置にある際に、以下において第2の接点とも称され得る更なる接点と互いに電気接点接続を形成するよう、意図され調整されている。特に、第2の接点も、接触領域を有する接触面を有することができ、その結果、第1の接点の接触領域と第2の接点の接触領域は、接点が互いに対して適切な位置にある際に、互いに機械的に接触し、したがって電気的に互いに接続されている。特に、接点の各々は、少なくとも1つの接触領域を有する接触サイドを有し得る。
【0012】
可動接点は、スイッチング装置内で、スイッチング装置の非接続状態においては、少なくとも1つの固定接点から隔てられ、したがって電気的に分離されており、接続状態においては、少なくとも1つの固定接点への機械的な接触を有し、したがって電気的に当該少なくとも1つの固定接点と接続されているように、スイッチング装置の非接続状態と接続状態との間で移動可能である。接続状態における可動接点と固定接点との間の機械的な接触は、特に可動接点の接触領域と固定接点の接触領域との間に存在し得る。特に好ましくは、スイッチング装置は少なくとも2つの固定接点を備え、当該固定接点は、スイッチング装置内で互いに別々に配置されており、このようにして、可動接点の状態に応じて、可動接点を介して互いに導電的に接続されるか又は互いに電気的に分離され得る。
【0013】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置はハウジングを備え、当該ハウジング内には、接点、すなわち少なくとも1つの可動接点及び少なくとも1つの固定接点、又は、少なくとも2つの固定接点が配置されている。可動接点は、特に、完全にハウジング内に配置され得る。固定接点がハウジング内に配置されているということは、特に、少なくとも、接続状態において可動接点と機械的に接触する固定接点の接触領域が、ハウジングの内部に配置されていることを意味し得る。スイッチング装置によって切り替えられるべき回路の導線の接続のために、ハウジング内に配置された固定接点は、外部から、すなわちハウジングの外側から、電気的に接触可能であり得る。このために、ハウジング内に配置された固定接点の一部はハウジングから突出することができ、ハウジングの外側において、導線のための接続の可能性を有し得る。
【0014】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置の接点は、ハウジング内のガス雰囲気中に配置されている。これは、特に、少なくとも1つの可動接点がハウジング内において完全にガス雰囲気中に配置されており、更に、固定接点の少なくとも一部、例えば固定接点の接触領域が、ハウジング内においてガス雰囲気中に配置されていることを意味し得る。それに応じて、スイッチング装置は、特に好ましくは、例えばガス充填接触器のようなガス充填されたスイッチング装置であり得る。
【0015】
更なる実施形態によれば、接点、すなわち少なくとも1つの可動接点の全体及び固定接点の少なくとも一部は、ガス、すなわちガス雰囲気の少なくとも一部が存在するハウジングの内側のスイッチングチャンバ内に配置されている。ガスは、好ましくは、少なくとも50%のH2を含み得る。水素に加えて、ガスは、不活性ガス、特に好ましくはN2及び/又は1つ又は複数の希ガスを含み得る。
【0016】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つの可動接点は、マグネットアーマチュアによって移動可能である。マグネットアーマチュアは、このために、特に軸を備えることができ、当該軸は、可動接点が軸によって移動可能であるように、すなわち軸の移動の際に当該軸によって同様に移動されるように、一端において可動接点と接続されている。軸は、特に、スイッチングチャンバ内の開口を通って、スイッチングチャンバ内へ突出し得る。マグネットアーマチュアは、上述したスイッチング動作をもたらすために、磁気回路によって移動可能であり得る。このために、磁気回路は、開口を有するヨークを備えることができ、当該開口を通じて、マグネットアーマチュアの軸が突出する。軸は、好ましくは、特殊鋼を含むか又はそれから成ることができる。ヨークは、好ましくは、純鉄又は低ドープ鉄合金を含むか又はそれらから成ることができる。
【0017】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置の接点の各々は、それぞれ、少なくとも1つの接触領域が配置された接触サイドを有する。接点の各々の接触領域は、特に、スイッチング装置が正常に機能している際に、スイッチング装置のスイッチオン状態において更なる接点と機械的に接触するように意図され調整された、関連する接点の接触サイドの表面の一部であり得る。接触領域を有する表面は、ここ及び以下においては、接触面とも称されるが、接触面の全ての領域が接触領域として形成されている必要はない。
【0018】
特に、可動接点は、細長い構成、特に長方形の形状の又は長方形に近似した形状の(例えば面取りされた若しくは丸みを帯びた角を有する長方形の)構成を有する、接触面を有し得る。接触サイドの表面の一部、すなわち接触面の一部は、接触領域を形成し得る。可動接点が、少なくとも2つの固定接点と接触するように意図され調整されている場合、接触面は、接触領域を形成しない1つ又は複数の表面領域によって分離され得る、少なくとも2つの接触領域を有する。少なくとも1つの固定接点は、例えば、円形のような丸い形状を有するか又はそれに近似しており、少なくとも部分的に又は好ましくは完全に接触領域を形成する、接触面を有し得る。例えば、固定接点の接触領域は、接触面の少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を構成し得る。
【0019】
特に、少なくとも1つの可動接点の接触サイドは、少なくとも1つの固定接点に対向し、少なくとも1つの固定接点の接触サイドは、少なくとも1つの可動接点に対向し得る。接点の接触サイド、すなわち特に接触面は、好ましくは、接触面がそれに沿って延びる主延在平面を有し得る。接触サイドに対して、したがって接触サイドの主延在平面に対して平行な方向は、ここ及び以下において、横方向とも称され得る。接触サイドに対して、したがって接触サイドの主延在平面に対して垂直な方向は、ここ及び以下において、垂直方向とも称され得る。接点は、横方向において、1つ又は複数の外面によって、取り囲まれ境界付けられ得る。
【0020】
例えば、接点の接触領域は、接触面の平坦な座面であり得る。更に、接触領域は、例えば隆起部又は陥没部のような特殊な幾何学的形状、及び/又は、接点の他の領域と比較して異なる材料を、有し若しくはそれらであり得る。
【0021】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置の少なくとも1つの接点は、接触サイドに、少なくとも1つの凹部を有する。これは、接触面が、横方向において接点を境界付ける外面まで達しておらず、例えば、段差又は斜面によって外面から分離されていることを意味する。少なくとも1つの凹部を有する少なくとも1つの接点は、好ましくは、可動接点であり得る。代替的に又は付加的に、固定接点も、少なくとも1つの凹部を有し得る。接点の接触面の接触領域は、1つ又は複数の方向において、直接的にそれぞれ凹部に隣接し得る。
【0022】
例えば、凹部は、溝又は斜面によって形成されることができ、当該溝又は斜面は、接触面及び外面によって形成され、溝又は斜面によりもはや存在しない仮想縁部に沿って、接触面と外面との間で延びる。凹部により2つの外縁が形成されることができ、そのうち、第1の外縁が接触面に隣接し、第2の外縁が外面に隣接する。第1及び第2の外縁は、1つ又は複数の凹部面を介して、互いに接続され得る。
【0023】
凹部の高さ、すなわち第1の外縁と第2の外縁との間の垂直方向における距離は、以下においてHで示される。凹部の幅、すなわち第1の外縁と第2の外縁との間の横方向における距離は、以下においてBで示される。垂直方向における接点の総厚さは、以下においてDとして示される。
【0024】
凹部は、例えば、切り込み(「ラベット」)、面取り部(「チャンファー」)、フィレット(「凹状フィレット」)又はそれらの組み合わせを有するか、あるいは、それらによって形成され得る。面取り部は、外部面取り部(「外部チャンファー」)又は内部面取り部(「内部チャンファー」)であり得る。
【0025】
例えば、凹部は、外部面取り部によって、すなわち、斜面によってもはや存在しない、接触面と外面との間の外縁の領域における、当該斜面によって形成され得る。この場合、第1及び第2の外縁は、接触面及び外面に対して傾斜して配向された平面状の凹部面によって互いに接続されており、当該凹部面は、接触サイドの主延在平面と共に、すなわち接触面と共に、10°以上80°以下、好ましくは45°の角度を挟み得る。比B/Hは、好ましくは0.2以上5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0026】
更に、凹部は、フィレットによって、すなわち、溝によってもはや存在しない、接触面と外面との間の外縁の領域における、丸い断面を有する当該溝によって形成され得る。この場合、第1及び第2の外縁は、好ましくは円形断面に対応する断面を有する湾曲した凹部面を介して、互いに接続されている。フィレットは、半径Rを有することができ、比R/Dは、好ましくは0.05以上2以下である。比B/Hは、好ましくは0.2以上10以下、又は5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0027】
更に、凹部は段差によって形成されることができ、その結果、接触面には、当該接触面と共に第1の角度を有する第1の外縁を形成する第1の凹部面が隣接し、外面には、当該外面と共に第2の角度を有する第2の外縁を形成する第2の凹部面が隣接する。第1及び第2の凹部面は、第3の角度を挟み得る。第1、第2及び第3の角度は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ90°以上180°未満であり、好ましくはそれぞれ90°である。特に好ましくは、第1の凹部面は、少なくとも部分的に又は完全に、外面に対して平行であり得る。更に、第2の凹部面は、少なくとも部分的に又は完全に、接触面に対して平行であり得る。第1及び第2の角度がそれぞれ90°である場合、寸法Hは、第2の凹部面と接触面との間の垂直方向における高さの差に、寸法Bは、外面と第1の側面との間の距離に、それぞれ対応し得る。
【0028】
例えば、凹部は、切り込みを有することができ、又は、切り込みによって形成され得る。この場合、第1の凹部面と第2の凹部面との間の移行部は、内縁によって形成されることができ、第3の角度は、好ましくは90°である。この場合、第1及び第2の角度は、好ましくは同様にそれぞれ90°であり得る。比B/Hは、好ましくは0.2以上5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0029】
更に、凹部は内部面取り部を有し得る。この場合、凹部は、切り込みと面取り部との組み合わせによって形成され得る。第1及び第2の凹部面の間の内縁を有する切り込みと比較して、第1及び第2の凹部面の間の移行部は、内縁によってではなく内部面取り部の形態の斜面によって形成され、その結果、第3の凹部面が、第1及び第2の凹部面の間に形成されている。この場合、第1及び第2の凹部面は、当該第1及び第2の凹部面に対して傾斜して配向された平面状の凹部面によって互いに接続されており、当該凹部面は、接触サイドの主延在平面と共に、すなわち接触面と共に、10°以上80°以下、好ましくは45°の角度を挟み得る。比B/Hは、好ましくは0.2以上5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0030】
更に、凹部は、切り込みとフィレットとの組み合わせによって形成され得る。換言すれば、第1の凹部面から第2の凹部面への移行部は、好ましくは円形断面に対応する断面を有する湾曲した凹部面によって形成され得る。フィレットは、半径Rを有することができ、比R/Dは、好ましくは0.05以上2以下である。比B/Hは、好ましくは0.2以上10以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0031】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置の少なくとも1つの接点は、接触サイドに、異なる領域、特に異なる横方向に、複数の凹部を有する。凹部は、互いに分離していてもよいし、互いに融合していてもよい。更に、例えば、異なる側面に、したがって接点の異なる外面に、異なる又は同一の凹部が存在し得る。そのようにして、異なる側面に凹部の異なる形状が形成されていることが可能である。更に、異なる接点が異なる凹部をも有し得る。
【0032】
更なる実施形態によれば、固定接点の接触面は、横方向において可動接点の接触面を越えて突出し、及び/又は、可動接点の少なくとも一部と一致する。例えば、固定接点の接触面は第1の幅を有し、可動接点の接触面は第2の幅を有し、第1及び第2の幅は同一の横方向に沿って測定され、第1の幅は、第2の幅と同一であるか又は好ましくはこれより大きい。スイッチング装置が、可動接点によって互いに電気的に接続され得る2つの固定接点を備える場合、それに沿って第1及び第2の幅が測定される横方向は、好ましくは、2つの固定接点の接触面の中心点間の接続線に対して垂直であり、この場合、固定接点の各々の第1の幅は、第2の幅と同一であるか又は好ましくはこれより大きい。特に好ましくは、固定接点の各々の接触面は、2つの固定接点の接触面の中心間点の接続線に対して平行な横方向において、可動接点の接触面をも越えて突出する。
【0033】
特に、固定接点の接触面が可動接点の接触面を越えて突出する1つ又は複数の領域において、1つ又は複数の凹部が、可動接点の接触サイドに形成され得る。
【0034】
ここに記載されたスイッチング装置においては、固定接点が横方向に可動接点を越えて突出し、及び/又は、1つ又は複数の凹部が1つ又は複数の接点の接触サイドに存在することにより、いわゆる犠牲領域が設けられ得る。接触面で発生するアークは、容易に犠牲領域上にジャンプし、犠牲領域におけるアークによる損傷は、有利には、接触領域間の接触抵抗の悪化をもたらさない。これは、アークが、接点の縁部の記載された形状に沿って及びそれを下って移動し、したがって接触面上で長時間燃焼し得ないことによって、達成され得る。
【0035】
更なる利点,有利な実施形態及び発展形態が、以下において図面と関連して記載される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】一実施例によるスイッチング装置の例の概略図である。
【
図2】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図3A】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図3B】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図4A】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図4B】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図5A】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図5B】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図5C】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6A】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6B】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6C】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6D】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6E】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6F】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【
図6G】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施例及び図面において、同一の、同様の、又は、同等に機能する要素には、それぞれ同一の参照符号が付されている可能性がある。図示された要素及びそれらの互いの大きさの比率は縮尺どおりではなく、むしろ、例えば層、部品、部材及び領域のような個々の要素は、より良好な図示の可能性及び/又はより良好な理解のために、誇張して大きく示されている可能性がある。
【0038】
図1には、例えば、大電流及び/又は高電圧のスイッチングのために使用することができ、リレー又は接触器、特に電力接触器であり得る、スイッチング装置100の一実施例が示されている。
図1には、垂直な切断面による3次元的な断面図が示されている。図示された幾何学的形状は、例示的なものにすぎず、限定的なものではないと理解されるべきであり、別の態様でも設計され得る。
【0039】
スイッチング装置100は、ハウジング(図示せず)内に、以下においてスイッチング接点とも呼ばれる接点1を備える。ハウジングは、主として、内部に配置された構成要素のための接触保護として用いられており、例えばPBT又はガラス繊維充填PBTのようなプラスチックを含むか又はそれから成っている。図示された実施例において、スイッチング装置100は、接点1として、2つの固定接点2と、絶縁体3上に取り付けられた可動接点4と、を備える。可動接点4は、接触プレートとして設計されている。固定接点2は、可動接点4と共に、スイッチング接点を形成している。図示された接点数に代えて、他の数の接点1、すなわち他の数の固定接点及び/又は可動接点も可能である。固定接点2及び/又は可動接点4は、例えば、Cu、Cu合金、例えばWo、Ni及び/又はCrのような1つ又は複数の高融点金属、あるいは、上述した材料の混合物、例えば、銅と、例えばWo、Ni及び/又はCrのような少なくとも1つの別の金属との混合物を含むか又はこれらから成ることができる。
【0040】
図1において、スイッチング装置100は、可動接点4が固定接点2から隔てられたスイッチオフ状態で示されており、したがって、接点2、4は電気的に互いに切断されている。スイッチング接点及び特にその幾何学的形状の図示された実施形態は、純粋に例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。代替的に、スイッチング接点を他の態様で設計することもできる。
【0041】
スイッチング装置100は、実質的にスイッチング運動を実行する可動のマグネットアーマチュア5を備えている。マグネットアーマチュア5は、例えば強磁性材料を含むか又はそれから成る磁心6を備えている。更に、マグネットアーマチュア5は、磁心6を貫いて導かれ、一方の軸端において強固に磁心6と接続された軸7を備えている。磁心6とは反対側の軸端において、マグネットアーマチュア5は、同様に軸7と接続された可動接点4を備えている。軸7は、好ましくは、特殊鋼を含んで又は特殊鋼から、製造され得る。
【0042】
可動接点4を軸7から電気的に絶縁するために、ブリッジ絶縁体とも呼ばれ得る絶縁体3が、それらの間に配置されている。絶縁体3上に可動接点4を取り付けるために、当該可動接点4は、軸7を中心として回転された位置で、可動接点4の開口内へ差し込まれ得る。可動接点4の開口及び絶縁体3の形状は、可動接点4が絶縁体3に対して正しい取り付け位置へ回転する際、可動接点4の絶縁体3における上方へのロックが達成され得る結果、可動接点4がもはや絶縁体3から滑り落ちないよう、選択されている。例えば、このために、絶縁体3に固定ラグが、及び相手部品として可動接点4の開口内に溝が、存在し得る。同時に、可動接点4の開口は、可動接点4が、取り付けられた状態において、依然として容易に軸7に対して傾けられ軸7に沿って移動され得るほどに大きくすることができ、その結果、場合によっては存在し得る高さの差が補償され得る。あり得る高さの差の補償を支援し、固定接点2とコンタクトブリッジ4との間の十分な機械的接触を保証するために、絶縁体3に支持され、固定接点2の方向の力を可動接点4に及ぼす接点バネ34が、可動接点4の下方に配置されている。
【0043】
磁心6は、コイル8によって取り囲まれている。制御回路を介して外部から接続可能なコイル8内の電流は、可動接点4が固定接点2と接触するまで、磁心6、したがってマグネットアーマチュア5全体の軸方向の運動を発生させる。図示された例では、マグネットアーマチュアは上方へ移動する。そのようにして、マグネットアーマチュア5は、第1の位置すなわち切断状態すなわち非接続状態したがってスイッチオフ状態に相当するアイドル位置から、アクティブ状態すなわち接続状態したがってスイッチオン状態に相当する第2の位置へ、移動する。アクティブ状態において、接点1は、電気的に互いに接続されている。
【0044】
軸7、ひいてはマグネットアーマチュア5を案内するために、スイッチング装置100はヨーク9を備えており、当該ヨークは、純鉄又は低ドープ鉄合金を含むか、又は、それらから成ることができ、磁気回路の一部を形成している。ヨーク9は、その内部を軸7が案内される開口を備えている。コイル8内の電流が遮断されると、マグネットアーマチュア5は、1つ又は複数のバネ10によって再び第1の位置へ移動される。したがって、図示された例では、マグネットアーマチュア5は再び下方へ移動する。スイッチング装置100は、その際、再び、接点1が開放されたアイドル状態にある。
【0045】
マグネットアーマチュア5、ひいては可動接点4の移動方向を、以下では、垂直方向91とも称する。垂直方向91に直交する固定接点2の配列方向を、以下では、長手方向92と称する。垂直方向91に直交し、かつ長手方向92に直交する方向を、以下では、横方向93と称する。説明されたスイッチング運動とは無関係に有効な方向91、92及び93が、いくつかの図において、方向の認識を容易にするために示されている。長手方向92及び横断方向93によって張られる平面に対して平行であり、したがって垂直方向91に対して垂直である方向は、横方向90とも呼ばれる。
【0046】
例えば接点1が開放されると、接点1の接触面に損傷を与える可能性のある少なくとも1つのアークが発生し得る。それにより、接点1が、アークによって引き起こされる溶着のために、互いに「固着」したままとなり、もはや互いに切断されない危険性が存在し得る。その際、スイッチング装置100は、コイル8内の電流がスイッチオフされ、したがって負荷回路が切断されなければならないにもかかわらず、依然としてスイッチオンされた状態にある。このようなアークの発生を防止するために、又は、少なくとも発生するアークの消滅を促進するために、接点1はガス雰囲気中に配置されることができ、その結果、スイッチング装置100は、ガス充填リレー又はガス充填接触器として設計され得る。このために、スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13によって形成されたスイッチングチャンバ11の内部の接点1は、気密に閉鎖された部分によって形成された気密領域14内に配置されており、スイッチングチャンバ11は気密領域14の一部であり得る。気密領域14は、固定接点2のうち外部接続のために設けられた部分を除いて、マグネットアーマチュア5及び接点1を完全に取り囲んでいる。気密領域14、したがってスイッチングチャンバ11の内部空間15も、ガスで充填されている。気密領域14は、実質的に、スイッチングチャンバ11、ヨーク9及び追加の壁の一部によって形成される。スイッチング装置100の製造の枠内でガス充填ノズルを通じて気密領域14内に充填され得るガスは、特に好ましくは、例えば不活性ガス中に20%以上のH2を含むか、あるいは、100%のH2を含む、水素含有ガスであることができる。というのは、水素含有ガスは、アークの消滅を促進し得るからである。
【0047】
スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13は、例えば、Al2O3のような金属酸化物で又はそれから製造され得る。更に、十分に高い温度安定性を有するプラスチック、例えばPEEK、PE及び/又はガラス繊維充填PBTも好適である。代替的に又は付加的に、スイッチングチャンバ11は、少なくとも部分的に、特に構造(CH2O)nを有するPOMも含むことができる。そのようなプラスチックは、比較的低い炭素含有量及び非常に小さなグラファイト形成傾向によって特徴付けられ得る。特に(CH2O)nの場合、炭素と酸素の含有量が同一であることにより、熱によって誘起された、特にアークによって誘起された分解の際、主にガス状のCO及びH2が発生する可能性がある。付加的な水素は、アーク消滅を強化する可能性がある。
【0048】
スイッチング装置100の前述の特徴は、純粋に例示的であり、限定的ではないと理解されるべきである。例えば、スイッチング装置100は、記載されたガス充填接触器としての実施形態に代えて、ガス充填なしでも具現され得る。例えば、以下に記載される接点1の設計により、一般的な部分にも記載されるように、1つ又は複数の接点1に、アークが接触面から離れるように移動することができる、いわゆる犠牲領域が形成されることが可能であり、その結果、とりわけ、アークによって引き起こされる接点の溶着の傾向が低減され得る。したがって、スイッチング装置100が気密領域なしで具現されることも可能である。
【0049】
図1において認識し得るように、接点1の各々は、それぞれ接触サイド20、40を有し、各固定接点2の接触サイド20は可動接点4に面し、可動接点4の接触サイド40は固定接点2の各々に面している。
図2には、固定接点2及び可動接点4が断面で示されている。接触サイド20、40のそれぞれの表面は、固定接点2及び可動接点4の接触面21、41を形成する。接触面21、41は、それぞれ接触領域22、42を有する。接点1の各々の接触領域22、42は、特に、スイッチング装置100が正常に機能している場合に、当該スイッチング装置100のスイッチオン状態において、更なる接点と機械的に接触するように企図され適合されている、それぞれの接触面21、41の一部であり得る。この場合、接触面の全ての領域が、接触領域として形成されている必要はない。更に、接点の接触面は、接触面41のうち接触領域として企図されていない領域によって互いに分離されている接触面41に、固定接点2の各々に対してそれぞれ割り当てられた接触領域42を有する、図示されたスイッチング装置100における可動接点4においてそうであるように、1つよりも多くの接触領域を有し得る。
図1においても認識可能であるように、可動接点4は、例えば、長手方向92に主延在方向を有する細長い構成、特に長方形の形状の又は長方形に近似した形状の(例えば面取りされた若しくは丸みを帯びた角を有する長方形の)構成を有する、接触面41を有し得る。
【0050】
固定接点2の各々の接触面21は、図示された実施例においては、完全に又は少なくとも実質的に完全に、それぞれの接触領域22を形成する。例えば、固定接点の接触領域22は、接触面21の少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を構成し得る。固定接点2の接触面21、したがって接触領域22は、好ましくは、丸い、例えば円形の形状を有するか又はそれに近似し得る。相応して、可動接点4の接点領域42は、丸い形状を有するか又はそれに近似し得る。
【0051】
例えば、接点1の接触領域22、42は、接触面21、41の平坦な座面であり得る。これに代えて、接触領域22、42は、例えば隆起部又は陥没部のような特殊な幾何学的形状、及び/又は、接点の他の領域と比較して異なる材料を、有し若しくはそれらであり得る。
【0052】
横方向90、すなわち例えば
図2において認識可能な長手方向92において、接点1は、外面23、43によって境界付けられている。横方向90において互いに対向する外面23、43間の距離は、特に好ましくは、この横方向90に沿った接点の最大の広がりを定義し得る。
【0053】
好ましくは、固定接点2の全接触面21は、可動接点4の接触面41の一部と一致しているか、又は、
図3A及び3Bにおいてスイッチング装置の断面図に示されているように、可動接点4の接触面41、したがって接触領域42は、複数の横方向90において突出している。例えば、固定接点2の各々の接触面21は第1の幅T2を有し、可動接点4の接触面41は第2の幅T4を有し、ここで、第1及び第2の幅T2、T4は、同一の横方向90に沿って測定される。
図3Aの図示された実施例において、幅T2及びT4は、横断方向93における接触面21、41の幅である。固定接点2の各々の接触面21の第1の幅T2は、可動接点4の接触面41の第2の幅T4と同一であるか、又は、好ましくは、
図3Aに示されているように、可動接点4の接触面41の第2の幅T4よりも大きい。
【0054】
更に、固定接点2の各々の接触面21は、好ましくは、
図3Bの実施例において認識し得るように、長手方向92においても、可動接点4の接触面41を越えて突出する。ここで、
図3Bにおいても認識し得るように、接点1の外面23、43は、少なくとも1つの横方向90において一致し得る。これは、横断方向93においても、そうであり得る。更に、例えば、
図3Aにおいて横断方向93において認識し得るように、可動接点4の外面43は、横方向90において、固定接点2の外面23を越えて突出し得る。代替的に、逆の実施形態も可能である。
【0055】
接点1の上述の設計に関して、スイッチング装置の少なくとも1つの接点1が、接触サイド20、40に少なくとも1つの凹部50を有すると、特に有利であり得る。これは、接触面21、41が、横方向において接点1を境界付ける外面23、43まで達しておらず、例えば、段差又は斜面によって外面23、43から分離されていることを意味する。少なくとも1つの凹部50を有する少なくとも1つの接点1は、好ましくは、
図4Aの実施例に示されているように、可動接点4であり得る。凹部50は、この場合、
図4Aにおいて認識可能であるように、外面43に、横方向90において対向する2つの外面43に、又は、少なくとも接触領域の領域において全ての外面43に、形成され得る。したがって、
図4Aに示された可動接点4は、破線によって示された接触領域42の各々のために、凹部によって形成された、3つのあり得るアークの偏向サイドの全てに存在する特殊な縁部形状を有する。
【0056】
代替的に又は付加的に、固定接点2も、
図4Bの実施例に示されているように、少なくとも1つの凹部50を有し得る。固定接点2の場合、凹部50は、好ましくは、全ての横方向90において外面23に形成され得る。
【0057】
図4A及び4Bにおいて認識可能であるように、凹部50は、接触面と、溝若しくは斜面を有さない外面との間に存在し、溝若しくは斜面のためにもはや存在しない仮想縁部に沿って、接触面21、41と外面23、43との間を延びる、溝若しくは斜面によって形成され得る。
【0058】
図5A~5C及び
図6A~6Gにおいても、純粋に例示的に、可動接点4に基づいて、長手方向92に境界付ける外面43に凹部50を有する接点1の断面が示されている。
図6A~6Gには、凹部のための種々の設計が示されている。凹部の種々の設計についての以下の説明は、固定接点についても明示的に同様に適用される。更に、種々のサイドにおいて、すなわち種々の横方向においても、同一の又は種々の凹部設計が可能である。例えば、可動接点4の場合、横断方向における外面に凹部の第1の構成が設けられ、長手方向における外面に、第1の構成とは異なる凹部の第2の構成が設けられ得る。
【0059】
図5A~5Cに示されているように、凹部50により2つの外縁51、52が形成され、それらのうち、第1の外縁51は接触面41に、第2の外縁52は外面43に、それぞれ隣接する。第1及び第2の外縁51、52は、1つ又は複数の凹部面53、54を介して、互いに接続され得る。
図5Bには、凹部50の寸法H、B及び接点1の厚さDが示されている。
図5Bに示された寸法H、Bは、それぞれが凹部50の形状にかかわらず常に存在する外縁51、52に関連するため、以下に示される凹部50の全ての設計に適用される。外縁51、52が尖った縁として示されていても、これらは丸みを帯びているか又は面取りされていてもよく、その場合、以下で提示される寸法が相応して適用される。
【0060】
凹部50の高さ、すなわち第1の外縁51と第2の外縁52との間の垂直方向91における距離は、以下においてHで示される。凹部50の幅、すなわち第1の外縁51と第2の外縁52との間の横方向90における距離は、以下においてBで示される。垂直方向91における接点の総厚さは、以下においてDで示される。
【0061】
図5Cに示されているように、接触面41は、第1の外縁51において、隣接する第1の凹部面53と共に第1の角度α1を挟み、一方、外面43は、第2の外縁52において、隣接する第2の凹部面54と共に第2の角度α2を挟む。第1の凹部面53と第2の凹部面54は、第3の角度α3を挟み得る。
【0062】
凹部は、例えば、特に
図5A及び5Bに示されているような段差、切り込み、あるいは、面取り部、フィレット又はそれらの組み合わせを有するか、あるいは、それらによって形成され得る。面取り部は、外部面取り部又は内部面取り部であり得る。
【0063】
以下で説明される寸法及び角度は、以下で説明される
図6A~6Gに示されていない限り、
図5A~5Cに関連して説明された寸法及び角度に適用される。
【0064】
図6A~6Cに関連して、凹部50を有する接点1の実施例が断面で示されており、凹部50は、切り込みの形態の段差によって形成されている。第1、第2及び第3の角度α1、α2、α3は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ90°以上180°未満であり、好ましくはそれぞれ90°である。特に好ましくは、第1の凹部面53は、少なくとも部分的に又は完全に、外面43に対して平行であり得る。更に、第2の凹部面54は、少なくとも部分的に又は完全に、接触面41に対して平行であり得る。第1及び第2の角度α1,α2がそれぞれ90°である場合、距離Hは、第2の凹部面54と接触面41との間の垂直方向における高さの差に対応し得る。一方、距離Bは、外面43と第1の凹部側面53との間の横方向90における距離に対応する。
【0065】
図6A~6Cに示される切り込みにおいて、第1の凹部面53と第2の凹部面54との間の移行部は、内縁55によって形成され、内縁55における第3の角度α3は、好ましくは90°である。この場合、第1及び第2の角度α1、α2は、好ましくは同様にそれぞれ90°であり得る。比B/Hは、好ましくは0.2以上5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
図6Aは、例示的にB/H=0.5の切り込みを示す。この場合、例えばB=0.5mm、H=1mmであり得る。
図6Bは、例示的に比B/H=2の切り込みを示す。この場合、例えばB=1mm、H=0.5mmであり得る。
図6Cは、例示的にB/H=1の切り込みを示す。この場合、例えばB=1mm、H=1mmであり得る。
【0066】
図6Dに示されているように、凹部50は、内部面取り部を有し得る。この場合、凹部50は、切り込みと面取り部との組み合わせによって形成され得る。
図6A~6Cに示されているように、第1及び第2の凹部面53、54の間の内縁55を有する切り込みと比較して、第1及び第2の凹部面53、54の間の移行部は、内縁によってではなく内部面取り部の形態の斜面によって形成され、その結果、第3の凹部面56が、第1及び第2の凹部面53、54の間に形成されている。この場合、第1及び第2の凹部面53、54は、第1及び第2の凹部面53、54に対して傾斜して配向された平面状の第3の凹部面56を介して、2つの内縁55を形成しつつ、互いに接続されている。第3の凹部面56は、接触面41の主延在平面と共に、好ましくは角度α4を挟み、それは、したがって内部面取り部の角度であり、10°以上80°以下、特に好ましくは45°である。比B/Hは、好ましくは0.2以上5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0067】
更に、
図6Eに示されているように、凹部50は、外部面取り部によって、すなわち、接触面41と外面43との間の斜面によってもはや存在しない外縁の領域における、当該斜面によって、形成され得る。この場合、第1及び第2の外縁51、52は、接触面41及び外面43に対して傾斜して配向された平面状の凹部面53によって互いに接続されており、当該凹部面53は、接触面41の主延在平面と共に、好ましくは、10°以上80°以下、特に好ましくは45°の角度α4、すなわち面取り角を、挟み得る。比B/Hは、好ましくは0.2以上5以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0068】
図6Fに示されているように、凹部50は、切り込みとフィレットとの組み合わせによっても形成され得る。換言すれば、第1の凹部面53から第2の凹部面54への移行部は、好ましくは円形断面に対応する断面を有する湾曲した凹部面56によって形成され得る。フィレットは、半径Rを有することができ、比R/Dは、好ましくは0.05以上2以下である。比B/Hは、好ましくは0.2以上10以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0069】
更に、
図6Gに示されているように、凹部50は、フィレットによって、すなわち、接触面41と外面43との間の溝によってもはや存在しない外縁の領域における、丸い断面を有する当該溝によって、形成され得る。この場合、第1及び第2の外縁51、52は、好ましくは円形断面に対応する断面を有する湾曲した凹部面53を介して、互いに接続されている。フィレットは、半径Rを有することができ、比R/Dは、好ましくは0.05以上2以下である。比B/Hは、好ましくは0.2以上10以下であり、特に好ましくは1である。更に、比H/Dは、好ましくは0より大きく0.8以下であり、特に好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0070】
凹部側面は、いわゆる犠牲領域を形成することができ、固定接点の接触面と可動接点の接触面との間に発生するアークは、当該犠牲領域上へ「ジャンプ」し得る。これは、特に、少なくとも1つの接触面が、凹部を有する対向接触面を横方向において越えて突出しているか、又は、少なくともこれと一致していることにより、容易にされ得る。そのようにして、アークを接触面から遠ざけておくことができ、その結果、アークによって引き起こされる接触面、特に接触領域の損傷、及び、それに伴う接触抵抗の悪化のリスクが低減され得る。
【0071】
図面に関連して記載された特徴及び実施例は、全ての組み合わせが明示的に記載されていなくても、更なる実施例に従って互いに組み合わせることができる。更に、図面に関連して記載された実施例は、代替的に又は付加的に、一般的な部分の記載による更なる特徴を有することができる。
【0072】
本発明は、実施例に基づく記載によって、これらに限定されない。むしろ、本発明は、全ての新しい特徴、及び、特に特許請求の範囲における全ての特徴の組み合わせを含む全ての特徴の組み合わせを、たとえ当該特徴又は組み合わせ自体が特許請求の範囲又は実施例において明示的に提示されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0073】
1 接点
2 固定接点
3 絶縁体
4 可動接点
5 マグネットアーマチュア
6 磁心
7 軸
8 コイル
9 ヨーク
10 バネ
11 スイッチングチャンバ
12 スイッチングチャンバ壁
13 スイッチングチャンバ底部
14 気密領域
15 内部空間
16 永久磁石
20,40 接触サイド
21,41 接触面
22,42 接触領域
23,43 外面
34 接触バネ
50 凹部
51,52 外縁
53,54 凹部面
55 内縁
56 凹部面
90 横方向
91 垂直方向
92 長手方向
93 横断方向
100 スイッチング装置
B 距離
D 厚さ
H 距離
T2,T4 幅
α1,α2,α3,α4 角度
【国際調査報告】