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▶ ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】抗原反応性T細胞受容体
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20240311BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240311BHJP
   C12Q 1/6809 20180101ALI20240311BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240311BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20240311BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240311BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240311BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240311BHJP
【FI】
C12Q1/04 ZNA
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6809 Z
C12N15/12
C07K14/725
C12N5/10
C12N5/0783
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558400
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022057672
(87)【国際公開番号】W WO2022200456
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21164371.3
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502227745
【氏名又は名称】ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン,チン レン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】プラッテン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リントナー,カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ブンセ,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】サンヴィ,クワブ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA08
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ53
4B063QR36
4B063QR56
4B063QR62
4B063QR66
4B063QR77
4B063QS03
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065BA03
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA28
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに(b) ステップ(a)の決定に基づいて、癌反応性T細胞を特定するステップを含む、T細胞活性化抗原を提示する細胞に対して反応性であるT細胞(癌反応性T細胞)を特定する方法に関する。本発明はまた、(A) 上記の方法に従って癌反応性T細胞を特定するステップ、(B) ステップ(A)で特定される癌反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;および、それにより、(C) 癌細胞に結合するTCRを特定するステップを含む、被験体の癌細胞に結合するTCRを特定する方法にも関する。本発明はさらに、それに関連するさらなる方法および癌反応性T細胞に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞活性化抗原を提示する被験体の細胞に対して反応性であるT細胞(反応性T細胞)を特定する方法であって、
(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL3L1、CCL4、CCL4L2、CCL3、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて反応性T細胞を特定するステップ
を含み、好ましくは、該T細胞活性化抗原が、癌抗原または自己免疫T細胞活性化抗原であり、より好ましくは癌抗原である、上記方法。
【請求項2】
ステップ(a)が、CCL3L1、CCL4、CCL4L2、CCL3、およびCXCL13のうちの少なくとも2種、好ましくは少なくとも3種、より好ましくは少なくとも4種の発現を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)が、IFNG、HAVCR2、FNBP1、CSRNP1、SPRY1、RHOH、FOXN2、HIF1A、TOB1、RILPL2、CD8B、GABARAPL1、TNFSF14、EGR1、EGR2、TAGAP、TNFSF9、ANXA1、MAP3K8、PIK3R1、DUSP2、DUSP4、DUSP6、CLIC3、RASGEF1B、LAG3、XCL2、NR4A2、DNAJB6、NFKBID、MCL1、EVI2A、SLC7A5、H3F3B、NR4A3、REL、IRF4、CST7、ATF3、TNF、GPR171、BCL2A1、ITGA1、TNFAIP3、NR4A1、RUNX3、HERPUD2、FASLG、CBLB、PTGER4、SLA、XCL1、BHLHE40、LYST、KLRD1、ZNF682、CTSW、SLC2A3、NLRP3、SCML4、VSIR、LINC01871、およびZFP36L1からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)が、LAG3、GABARAPL1、CBLB、SLA、KLRD1、およびCLEC2Bからなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含み、好ましくは請求項1および/または請求項4のすべてのバイオマーカーを決定することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)が、CTSD、CD7、CD3D、LSP1、SNAP47、GAPDH、KLRK1、TNS3、VCAM1、KLRC2、PMAIP1、FYN、CTLA4、GSTP1、AREG、FAM3C、SH3BGRL3、CD3E、SRGAP3、SRGN、SIRPG、SCPEP1、RHOB、ANKRD28、LINC02446、RABAC1、IKZF3、BCAS4、CD2、BLOC1S1、RHOA、EID1、MYL6、CLIC1、IQGAP1、ARPC2、PHYKPL、PRDM1、EVL、TPI1、ADGRE5、PAXX、RGS2、HERPUD1、IFI27L2、SEPTIN7、UBB、JUN、CFLAR、LITAF、ANXA5、STAT3、RSRP1、PRDX5、SEM1、SERPINB1、RNF19A、IL2RG、ENSA、SRP14、ATP6V0C、LY6E、BIN1、AKAP13、PDE4D、PELI1、PARK7、MSN、SERTAD1、RAC2、SELENOH、PSMB8、CKLF、KLRC1、RNASEK、MT2A、TXNIP、およびFOXP3からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)が、少なくともCCL3L1+CCL3;CCL3L1+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL3+KLRD1;CCL3L1+CCL3+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL3;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL3+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+KLRD1;CCL3L1+CCL4+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+LAG3;CCL3L1+CCL4L2+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CXCL13;CCL3L1+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+LAG3+KLRD1;CCL3+CXCL13;CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL3;CCL4+CCL3+CXCL13;CCL4+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL3+KLRD1;CCL4+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+LAG3;CCL4+CCL4L2+CXCL13;CCL4+CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+KLRD1;CCL4+CCL4L2+LAG3+KLRD1;CCL4+CXCL13;CCL4+CXCL13+KLRD1;CCL4+CXCL13+LAG3;CCL4+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+LAG3+KLRD1;CCL4L2+CCL3;CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL4L2+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL4L2+CXCL13;CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4L2+LAG3+KLRD1;CXCL13+LAG3;CXCL13+LAG3+KLRD1;KLRD1;KLRD1+CCL3;KLRD1+CCL3L1;KLRD1+CCL4L2;KLRD1+CXCL13;KLRD1+LAG3;表1のすべてのバイオマーカー;表5のすべてのバイオマーカー;または表6のすべてのバイオマーカーの発現を決定することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記T細胞活性化抗原が癌抗原であり、かつ好ましくは、前記サンプルが腫瘍サンプルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が、非脳原発腫瘍の脳転移であるか、肺癌であるか、または膠芽腫であり、好ましくは非脳原発腫瘍の脳転移であるかまたは肺癌である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(A) 請求項1~4のいずれか1項の方法に従って、反応性T細胞を特定するステップ、
(B) ステップ(A)で特定される反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;および、それにより、
(C) 細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定するステップ
を含む、被験体の細胞、好ましくは癌細胞上に提示されるT細胞活性化抗原に結合するTCRを特定する方法。
【請求項10】
ステップ(a)の少なくとも1種のバイオマーカーの発現および/またはステップ(B)のアミノ酸配列をコードする核酸配列が、単一細胞配列決定により、好ましくは単一細胞RNA配列決定により決定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
宿主細胞、好ましくはT細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRを発現させるさらなるステップ(B1)を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
好ましくは四量体アッセイで、好ましくは主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化されたT細胞活性化抗原に対するステップ(B1)で発現されるTCRの結合性を決定するさらなるステップ(B2)をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(B1)で発現されるTCRによるT細胞活性化抗原を提示する細胞の認識を決定するステップ(B3)をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(B4) ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含む可溶性TCRを生成するステップならびに癌細胞および/または主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化された癌抗原に対する該可溶性TCRの結合性を決定するステップをさらに含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供する方法であって、
(i) 請求項9~12のいずれか1項に記載の方法に従って、T細胞活性化抗原を提示する細胞に結合するTCRを特定するステップ、
(ii) T細胞で、ステップ(I)のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)を含むTCRを発現させるステップ、および、それにより、
(iii) T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供するステップ
を含む方法。
【請求項16】
医薬での使用のための、または被験体での癌の治療および/もしくは予防での使用のための、好ましくは、配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列を含むT細胞受容体を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法により特定され、かつ/または請求項9~14のいずれか1項に記載の方法により取得されるかもしくは取得可能である反応性T細胞。
【請求項17】
(I) 被験体のサンプル中のT細胞の複数のバイオマーカーの発現データを提供するステップ、
(II) ステップ(I)のバイオマーカーの発現に基づいて、該複数のT細胞のクラスタリングを提供するステップ、
(III) ステップ(II)のT細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;
(IV) T細胞活性化抗原を提示する細胞に対する、ステップ(III)のCDRを含むTCRを発現するT細胞の反応性を決定するステップ;
(V) そのTCRがステップ(IV)でT細胞活性化抗原を提示する細胞に対して反応性であることが決定されるT細胞とのさらなるT細胞クラスタリングのために、ステップ(III)および(IV)を少なくとも1回繰り返すステップであって、該さらなるT細胞のTCRがステップ(IV)のTCRと非同一である、ステップ;
(VI) T細胞活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞受容体を含むT細胞の最高割合を含むステップ(II)の少なくとも1つのクラスターを決定するステップ;ならびに
(VII) ステップ(VI)で決定されるクラスター中のT細胞の最高割合により発現される少なくとも1種のバイオマーカーを決定し、それにより、癌反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定するステップ
を含む、反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定する方法。
【請求項18】
前記T細胞が、CD8+T細胞またはCD4+T細胞であり、好ましくはCD8+T細胞である、請求項1~17のいずれか1項に記載の主題。
【請求項19】
前記TCRが、TCRα鎖およびTCRβ鎖を含み、好ましくはそれらからなる、請求項9~18のいずれか1項に記載の主題。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞活性化抗原を提示する被験体の細胞に対して反応性であるT細胞(反応性T細胞)を特定する方法であって、(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに(b) ステップ(a)の決定に基づいて反応性T細胞を特定するステップを含む方法に関する。本発明はまた、(A) 反応性T細胞を特定する方法に従って反応性T細胞を特定するステップ、(B) ステップ(A)で特定される反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;および、それにより、(C) 細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定するステップを含む、被験体の細胞、好ましくは癌細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定する方法にも関する。本発明はさらに、それに関連するさらなる方法および癌反応性T細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個別化養子細胞療法(ACT)のための抗原反応性T細胞受容体(TCR)を特定することへの関心が増大している。そのような療法では、血液中の患者の循環T細胞が採取され、腫瘍反応性TCRを発現させるためにトランスジェニックに改変され、続いて患者に点滴によって戻される。
【0003】
例えば、腫瘍反応性TCRを特定するためのT細胞の供給源として、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)が用いられてきた。TIL集団内の腫瘍反応性T細胞は、理論上は、CD69およびNur77などの公知のT細胞活性化バイオマーカーのそれらのアップレギュレーションにより特定することができるが、実際には、そのようなアプローチにより特定されるTCRの価値は限定されている。
【0004】
T細胞活性化のさらなるバイオマーカーが記載されており、Cano-Gamez et al. (2020), Nat Comm 11:, art. 1801(doi.org/10.1038/s41467-020-15543-y)、Magen et al. (2019), Cell Rep 29(10):3019(doi.org/10.1016/j.celrep.2019.10.131)、およびOh et al. (2020), Cell 181(7):1612(doi.org/10.1016/j.cell.2020.05.017)を参照されたい。さらに、例えば、免疫チェックポイント遮断に対する無反応を予測するバイオマーカー(国際公開第2018/209324号)および免疫療法抵抗性に関するバイオマーカー(国際公開第2019/070755号)が記載されている。近年、腫瘍浸潤性Tリンパ球由来の活性化マーカーが記載された(国際公開第2021/188954号A1、Lowery et al. (2022), Science 10.1126/science.abl5447)。
【0005】
T細胞活性化は、主要組織適合性複合体(MHC)の文脈での抗原、例えば、ポリペプチドのエピトープの提示を含むことが長らく認識されてきた。CD8+T細胞上のCD8タンパク質を含むTCR複合体と相互作用するMHCクラスIは、すべての有核細胞により発現されるが、一方で、CD4+T細胞上のCD4タンパク質を含むTCR複合体と相互作用するMHCクラスIIは、大部分がB細胞および樹状細胞であるプロフェッショナル抗原提示細胞によってのみ発現される。しかしながら、細胞の他の表面分子が、同様に、T細胞相互作用および活性化に関与することが見出されている(例えば、Iwabuchi & van Kaer (2019), Front Immunol 10:1837(doi: 10.3389/fimmu.2019.01837)を参照されたい)。
【0006】
それにもかかわらず、特定の抗原、例えば、癌抗原に対して反応性であるT細胞、および対応するTCRを提供するための改善された方法に対する必要性が未だにある。この課題は、特許請求の範囲で特徴付けられ、かつ以下で本明細書中に記載される実施形態により解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2018/209324号
【特許文献2】国際公開第2019/070755号
【特許文献3】国際公開第2021/188954号A1
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Cano-Gamez et al. (2020), Nat Comm 11:, art. 1801(doi.org/10.1038/s41467-020-15543-y)
【非特許文献2】Magen et al. (2019), Cell Rep 29(10):3019(doi.org/10.1016/j.celrep.2019.10.131)
【非特許文献3】Oh et al. (2020), Cell 181(7):1612(doi.org/10.1016/j.cell.2020.05.017)
【非特許文献4】Lowery et al. (2022), Science 10.1126/science.abl5447
【非特許文献5】Iwabuchi & van Kaer (2019), Front Immunol 10:1837(doi: 10.3389/fimmu.2019.01837)
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明は、T細胞活性化抗原を提示する被験体の細胞に対して反応性であるT細胞(反応性T細胞)を特定する方法であって、
(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて反応性T細胞を特定するステップ
を含む方法に関する。
【0010】
好ましくは、本発明は、被験体の癌細胞に対して反応性であるT細胞(癌反応性T細胞)を特定する方法であって、
(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて癌反応性T細胞を特定するステップ
を含む方法に関する。
【0011】
一般的に、本明細書中で用いられる用語は、当業者にとって通常かつ慣用的なそれらの意味を与えられるべきであり、別途示されない限り、具体的なまたは特化した意味に限定されるべきではない。以下で用いられる場合、用語「有する」、「含む」もしくは「挙げられる」またはそれらのいずれかの任意の文法的変形は、非排他的な様式で用いられる。つまり、これらの用語は、これらの用語により導入される特徴の他に、さらなる特徴がこの文脈で記載される実体中に存在しない状況および1種以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を意味することができる。例として、表現「AはBを有する」、「AはBを含む」および「AとしてはBが挙げられる」は、B以外に他の要素がA中に存在しない状況(すなわち、Aが単独で排他的にBからなる状況)およびB以外に要素C、要素CおよびDまたはまたさらなる要素などの1種以上のさらなる要素が実体A中に存在する状況の両方を意味することができる。また、当業者により理解される通り、表現「a~を含むこと」および「an~を含むこと」とは、好ましくは、「1以上の~を含むこと」を意味し、すなわち、「少なくとも1つの~を含むこと」と等価である。したがって、別途示されない限り、複数のうちの1つの項目に関する表現は、好ましくは少なくとも1つのそのような項目、より好ましくはその複数に関し:つまり、例えば、「a cell」の特定は、少なくとも1つの細胞の特定、好ましくは多数の細胞の特定に関する。
【0012】
さらに、以下で用いられる場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「最も好ましくは」、「特に」、「より詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」、または類似の用語は、さらなる可能性を制限することなく、任意的な特徴との関連で用いられる。つまり、これらの用語により導入される特徴は、任意的な特徴であり、かついかなる様式でも特許請求の範囲の範囲を制限することは意図されない。本発明は、当業者が認識するであろう通り、代替的な特徴を用いることにより実行することができる。同様に、「実施形態では」、「さらなる実施形態では」、または類似の表現により導入される特徴は、本発明のさらなる実施形態に関するいかなる制限も伴わずに、本発明の範囲に関するいかなる制限も伴わずに、かつ本発明の他の任意的または非任意的特徴とそのようにして導入される特徴とを組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わずに、任意的な特徴であることが意図される。
【0013】
本明細書中で用いる場合、用語「標準状態」は、別途注記されない場合、IUPAC標準環境温度と圧力(SATP)状態、すなわち、好ましくは、25℃の温度および100kPaの絶対圧力に関し;また好ましくは、標準状態は、7のpHを含む。さらに、別途示されない場合、用語「約」は、関連する分野での一般的に許容される技術的精度を伴う示される値に関し、好ましくは示される値±20%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%に関する。さらに、用語「本質的に」は、示される結果または使用に対して影響を有する逸脱が存在せず、すなわち、考えられる逸脱が示される結果を±20%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%を超えて逸脱させないことを示す。つまり、「本質的に~からなる」とは、明記される構成要素を含むが、不純物として存在する物質、構成要素を提供するために用いられるプロセスの結果として存在する不可避物質、および本発明の技術的作用を達成する以外の目的のために添加される構成要素を除いて、他の構成要素を除外することを意味する。例えば、語句「本質的に~からなる」を用いて規定される組成物は、いずれかの公知の許容可能な添加剤、賦形剤、希釈剤、担体などを包含する。好ましくは、本質的に構成要素のセットからなる組成物は、5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の明記されない構成要素を含むであろう。
【0014】
2つの生物学的配列、好ましくはDNA、RNA、またはアミノ酸配列間での同一性の程度(例えば、「%同一性」と表現される)は、当技術分野で周知のアルゴリズムにより決定することができる。好ましくは、同一性の程度は、比較ウインドウにわたって最適にアライメントされた2つの配列を比較することにより決定され、このとき、比較ウインドウ中の配列の断片は、最適アライメントのために、それが比較される配列と比較した場合に付加または欠失(例えば、ギャップまたはオーバーハング)を含むことができる。パーセンテージは、好ましくはポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長にわたって、同一残基が両方の配列中に存在する位置の個数を決定し、それによりマッチした位置の個数を得るステップ、比較ウインドウ中の位置の総数によりマッチした位置の個数を除算するステップ、および結果に100を乗算して配列同一性のパーセンテージを得るステップにより算出される。比較のための配列の最適アライメントは、Smith and Waterman(1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch(1970)の相同性アライメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman(1988)の類似性法のための検索により、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、およびTFASTA)により、または目視検査により、行なうことができる。2つの配列が比較のために特定されていると考えると、GAPおよびBESTFITが、それらの最適アライメントおよび、したがって、同一性の程度を決定するために好ましく用いられる。好ましくは、ギャップ重みに関して5.00およびギャップ重み長に関して0.30のデフォルト値が用いられる。本明細書中で参照される生物学的配列の文脈では、用語「本質的に同一な」は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%の%同一性値を示す。理解されるであろう通り、用語「本質的に同一な」は、100%の同一性を含む。上記のことは、用語「本質的に相補的な」に準用される。
【0015】
生物学的巨大分子の、好ましくはポリヌクレオチドまたはポリペプチドの用語「断片」は、示される配列、構造および/または機能を含むそれぞれの生物学的巨大分子のいずれかの下位部分、好ましくはサブドメインに関する広い意味で、本明細書中で用いられる。つまり、この用語は、生物学的巨大分子の実際の断片化により生成される下位部分を含むが、抽象的な様式で、例えば、in silicoでそれぞれの生物学的巨大分子から誘導される下位部分もまた含む。配列情報、特に核酸配列および/またはポリペプチド配列の文脈では、用語「部分配列」は、より長い配列の一部分のみを表わす配列に関して用いられる。
【0016】
本明細書中で別途具体的に示されない限り、特定される化合物、特に、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはその断片、例えば、T細胞受容体(TCR)の可変領域は、より大きな構造中に含められることができ、例えば、アクセサリー分子、担体分子、遅延剤、および他の賦形剤に共有的または非共有的に連結されることができる。特に、特定される通りのポリペプチドは、例えば、精製および/もしくは検出用のタグとして、リンカーとして、または化合物のin vivo半減期を延長するために機能し得るさらなるペプチドを含む融合ポリペプチド中に含められることができる。用語「検出可能タグ」とは、融合ポリペプチドへと付加または導入されるアミノ酸の伸長部を意味し;好ましくは、タグは、本発明の融合ポリペプチドへとC末端またはN末端に付加される。当該アミノ酸の伸長部は、好ましくは、タグを特異的に認識する抗体による融合ポリペプチドの検出を可能にするか;または好ましくは、キレート剤などの機能的コンホメーションの形成を可能にするか;または好ましくは、例えば、蛍光タグの場合、可視化を可能にする。好ましい検出可能タグは、Mycタグ、FLAGタグ、6-Hisタグ、HAタグ、GSTタグまたは蛍光タンパク質タグ、例えば、GFPタグである。これらのタグは、すべて当技術分野で周知である。融合ポリペプチド中に好ましく含められる他のさらなるペプチドは、分泌のメディエーターとして、血液脳関門通過のメディエーターとして、細胞浸透性ペプチドとして、かつ/または免疫刺激剤として機能し得るさらなるアミノ酸または他の修飾を含む。それに対してポリペプチドを融合させることができるさらなるポリペプチドまたはペプチドは、シグナルおよび/もしくは輸送配列および/またはリンカー配列である。TCRの可変領域は、好ましくは、以下に本明細書中で特定される通りのTCRαまたはβ鎖の骨格中に含められる。
【0017】
用語「ポリペプチド」とは、本明細書中で用いる場合、ペプチド結合により互いに共有結合している数個、典型的には少なくとも20個のアミノ酸からなる分子を意味する。ペプチド結合により共有結合した20個未満のアミノ酸からなる分子は、通常、「ペプチド」であると考えられる。好ましくは、ポリペプチドは、50~1000個、より好ましくは75~750個、さらにより好ましくは100~500個、最も好ましくは110~400個のアミノ酸を含む。好ましくは、ポリペプチドは、融合ポリペプチドおよび/またはポリペプチド複合体中に含まれる。
【0018】
本発明の反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、in vitro法である。方法は、本明細書中の上記に関連するものに加えて、さらなるステップを含むことができる。例えば、さらなるステップは、例えば、ステップ(a)のためのサンプルを提供するステップ、またはステップ(b)でさらなるバイオマーカーを決定するステップに関することができる。さらに、前記ステップのうちの1つ以上は、自動化装置により行なわれるかまたは支援されることができる。
【0019】
「TCR」と略される用語「T細胞受容体」は、本明細書中で用いる場合、好ましくはMHC分子またはMR1もしくはCD1などのMHC関連分子の文脈で、より好ましくはMHC分子の文脈で、さらにより好ましくはMHCクラスIまたはMHCクラスII分子の文脈で、最も好ましくはMHCクラスI分子の文脈で、標的細胞により提示される抗原性ペプチドの認識を媒介するT細胞の表面上のポリペプチド複合体に関する。典型的には、TCRは、1つのTCRα鎖および1つのTCRβ鎖を含み、すなわち、α/β鎖ヘテロ二量体である。しかしながら、TCRはまた、TCRαおよびβ鎖の代わりに、TCRγおよびTCRδ鎖を含むこともできる。TCRαおよびβまたはγおよびδ鎖は、抗原認識を媒介し、それぞれが、膜貫通領域、定常領域、連結領域、および可変領域を含み、TCRα、β、γ、またはδ鎖のそれぞれの可変領域は、それぞれ、CDR1、CDR2、およびCDR3と称される3つの相補性決定領域(CDR)を含む。通常の命名法に従えば、αおよびβ鎖またはγおよびδ鎖からなる複合体は、本明細書中で「T細胞受容体」または「TCR」と称され、αおよび/またはβ鎖ならびにγおよび/またはδ鎖は、共通してまたは個々に「TCRポリペプチド」または「TCRポリペプチド群」と称されるが、TCRならびにCD3およびCD247などのアクセサリーポリペプチドを含むポリペプチド複合体は、「T細胞受容体複合体」と称され、「TCR複合体」と略される。好ましくは、T細胞受容体は、疾患に寄与しかつ/または疾患に関連付けられる抗原、好ましくは癌抗原または自己免疫T細胞抗原、より好ましくは癌抗原、さらにより好ましくは癌特異的抗原のエピトープ、特に癌細胞のネオエピトープを提示する、主要組織適合性複合体(MHC)分子、好ましくはMHCクラスIまたはクラスII、より好ましくはMHCクラスI分子に結合する。抗原に対するT細胞受容体の結合性は、当業者に公知の方法により、例えば、実施例中で本明細書中に特定される通りの方法により、または、例えば、四量体アッセイで、決定することができる。好ましくは、MHC上に提示されるエピトープに対するTCRの結合性は、T細胞を活性化する。T細胞の様々なタイプの活性化バイオマーカーが当技術分野で公知であり、かつ特に、CD69、CD137、CD27、TRAP/CD40L、およびCD134を含む。TCRはまた、可溶性TCRでもあり得る。用語「可溶性TCR」は、原則として、膜貫通ドメインを欠損する上記で本明細書中に特定される通りのTCRに関することが当業者には公知である。つまり、好ましくは、可溶性TCRは、TCRのTCRポリペプチドの定常領域および可変領域を含む。より好ましくは、可溶性TCRは、好ましくは融合ポリペプチドの形態で、TCRのTCRポリペプチドの可変領域を含む。
【0020】
「CDR」と略される用語「相補性決定領域」は、当業者により理解される。当技術分野で公知である通り、TCRα、β、γ、およびδ鎖はそれぞれ、3つのCDRを含み、CDRは、本明細書中の別の箇所で特定される通り、MHC分子により提示されるペプチドへの、エピトープ特異性を決定するTCRの接触をもたらすペプチドである。
【0021】
用語「T細胞」は、上記で本明細書中に特定される通りのT細胞受容体の少なくとも1種のタイプを発現するリンパ球に関することが当業者により理解される。好ましくは、T細胞は、標的細胞の表面上のMHCクラスI分子を認識するCD8+T細胞であるか、または標的細胞の表面上のMHCクラスII分子を認識するCD4+T細胞であり、より好ましくはCD8+T細胞である。好ましくは、T細胞は、細胞傷害性T細胞、より好ましくは、「キラー細胞」とも称される場合があるCD8+細胞傷害性T細胞である。また好ましくは、T細胞は、調節またはヘルパーT細胞、より好ましくは調節T細胞である。好ましくは、T細胞は、α/βT細胞、すなわち、TCRα鎖およびTCRβ鎖を含むT細胞受容体を発現するT細胞である。好ましくは、T細胞は、T細胞活性化抗原を提示する細胞に対して反応性であり、すなわち、「反応性T細胞」であり、より好ましくは、T細胞活性化抗原を提示する細胞に対して特異的に反応性であり;つまり、T細胞は、好ましくは、T細胞活性化抗原を提示する細胞により活性化され、好ましくは、T細胞活性化抗原を提示する細胞により特異的に活性化され、用語「T細胞活性化抗原を提示する細胞により特異的に活性化される」および「T細胞活性化抗原を提示する細胞に対して特異的に反応性である」とは、好ましくはT細胞が、T細胞活性化抗原を提示する細胞により活性化されるが、特に同じ組織の、T細胞活性化抗原を提示しない細胞により活性化されないことを示す。T細胞の活性化は、当技術分野で公知の方法により、例えば、サイトカイン分泌、例えば、インターフェロンγ分泌を測定することにより、または実施例中で本明細書中に特定される通りの方法により、測定することができる。好ましくは、T細胞は、癌細胞に対して反応性であり、すなわち、「癌反応性T細胞」であるか、またはT細胞自己抗原を提示する細胞に対して反応性であり、すなわち、「自己免疫反応性T細胞」である。つまり、好ましくは、T細胞は、以下で本明細書中に特定される通りの、癌抗原、好ましくは癌特異的抗原を認識するTCRを発現する。上記に従えば、癌細胞に対して反応性であるT細胞は、癌抗原、好ましくは癌特異的抗原を認識するTCRを発現するT細胞である。また好ましくは、T細胞は、自己免疫T細胞抗原、好ましくは特異的自己免疫T細胞抗原を認識するTCRを発現する。
【0022】
それに関して表現「活性化抗原」を用いることもできる用語「T細胞活性化抗原」は、適切なTCRを発現するT細胞を活性化することができる、被験体の細胞の表面上に提示されるいずれかの構造に関する広い意味で、本明細書中で用いられる。好ましくは、抗原は、ポリペプチドもしくはその断片、多糖、または脂質である。より好ましくは、抗原は、好ましくは上記で本明細書中に特定される通りの、MHC分子の文脈で当該被験体の当該細胞により提示されるポリペプチドのエピトープである。当業者が理解する通り、反応性T細胞がサンプル中で本明細書中に特定される通りの方法により特定される場合、好ましくは、当該被験体にはT細胞活性化抗原を提示する細胞があると予測され;この特定は必ずしもT細胞活性化抗原を特定することを含まないので、特定される反応性T細胞および/またはそのTCRを、T細胞活性化抗原を特定するためにさらに用いることができる。好ましくは、T細胞活性化抗原は、癌抗原または自己免疫関連T細胞活性化抗原である。つまり、反応性T細胞は、特に、癌反応性T細胞または自己免疫反応性T細胞であり得る。
【0023】
用語「癌」は、本明細書中で用いる場合、身体細胞の群(「癌細胞」)による制御されない増殖により特徴付けられる、ヒトをはじめとする動物の疾患に関する。この制御されない増殖は、周囲組織への侵入および周囲組織の破壊ならびに身体中の他の箇所への癌細胞の考えられる拡散を伴う場合がある。好ましくは、再発が用語「癌」に含まれる。つまり、好ましくは、癌は、固形癌、転移、またはその再発である。癌は、感染性物質、好ましくはウイルス、より好ましくは発癌性ウイルス、より好ましくはエプスタイン・バーウイルス、肝炎ウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型、パピローマウイルス、またはヒトヘルペスウイルス8型により誘導される場合がある。しかしながら、癌は、化合物、例えば、発癌性物質により、または内因性に誘導され、例えば、自然突然変異により引き起こされる場合もある。
【0024】
好ましくは、癌は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、非定型奇形腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳幹グリオーマ、乳癌、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、小脳星細胞腫、子宮頸癌、脊索腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、子宮内膜癌、上衣芽細胞腫、上衣腫、食道癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、有毛細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部および視経路膠腫、眼内黒色腫、カポジ肉腫、喉頭癌、髄芽腫、髄様上皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、口腔癌(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌(oral cancer)、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、乳頭腫症、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、セザリー症候群、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺癌、尿道癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなるリストより選択される。より好ましくは、癌は、固形癌、転移、またはその再発である。より好ましくは、当該癌は、膠芽腫、膵管腺癌、骨肉腫、または非脳原発腫瘍の脳転移である。
【0025】
用語「癌抗原」は、癌細胞により発現される抗原、好ましくはポリペプチドに関する。好ましくは、癌抗原は、非癌細胞では少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも25倍低い比率で発現される。好ましくは、癌抗原は、被験体体内の同じ組織の非腫瘍細胞では発現されず、より好ましくは、被験体の非癌細胞では発現されず;つまり、癌抗原は、好ましくは癌特異的抗原である。より好ましくは、癌抗原は、癌細胞により発現されるネオ抗原であり、かつ/またはネオエピトープを含む。好ましくは、癌抗原の1種以上のペプチドが、好ましくは癌特異的エピトープまたは、上記で特定される通り、癌ネオエピトープである「癌エピトープ」として当該癌抗原を産生する宿主細胞の表面上に、MHC分子、より好ましくはMHCクラスI分子を介して提示される。本明細書中の別の箇所で特定される通り、癌は、好ましくは固形癌、すなわち、腫瘍形成性癌であり;つまり、癌抗原は、好ましくは腫瘍抗原、より好ましくは腫瘍特異的抗原であり、かつ癌エピトープは、好ましくは腫瘍エピトープ、より好ましくは腫瘍特異的エピトープである。
【0026】
用語「自己免疫T細胞活性化抗原」は、原則として、その認識が自己免疫疾患、好ましくはT細胞媒介型自己免疫疾患を引き起こすか、悪化させるか、またはそれに寄与する、被験体の細胞により提示されるいずれかの抗原に関することが当業者には公知である。T細胞媒介型自己免疫疾患は当技術分野で公知であり;好ましくは、T細胞媒介型自己免疫疾患は、多発性硬化症、セリアック病、関節リウマチ、1型糖尿病、甲状腺機能低下症、およびアジソン病からなるリストより選択される。当業者が理解する通り、本明細書中で提案される通りの自己免疫反応性T細胞および/またはそのTCRの特定は、好ましくは、T細胞媒介型自己免疫疾患を診断し、診断に寄与し、かつ/または予測するために特に好適である。しかしながら、自己免疫反応性T細胞および/またはそのTCRはまた、調節T細胞の生成のために用いることもでき、したがって、T細胞媒介型自己免疫疾患の治療で用いることもできる。さらに、自己免疫反応性T細胞および/またはそのTCRは、好ましくは、新規の自己免疫T細胞活性化抗原の特定で用いられる。
【0027】
本明細書中で用いる場合、用語「宿主細胞」は、好ましくはポリヌクレオチドおよび/またはベクターによりコードされる、本明細書中で特定される通りのTCRポリペプチドを発現し、好ましくはその表面上に提示することが可能であるいずれかの細胞に関する。好ましくは、細胞は、細菌細胞、より好ましくは当技術分野で公知の一般的な実験用細菌株、最も好ましくはエシェリキア属菌株、特に大腸菌株の細胞である。また好ましくは、宿主細胞は、真核細胞、好ましくは酵母細胞、例えば、パン酵母の菌株の細胞であるか、または動物細胞である。より好ましくは、宿主細胞は、昆虫細胞または哺乳動物細胞、特にマウスまたはラット細胞である。最も好ましくは、宿主細胞はヒト細胞である。好ましくは、宿主細胞は、T細胞、より好ましくはCD8+T細胞またはCD4+T細胞、より好ましくはCD8+T細胞である。当業者が理解する通り、CD4 TCRは好ましくはCD8+T細胞(CD8+ T-call)で発現され、CD4 TCRは好ましくはCD8 T細胞で発現される。
【0028】
用語「T細胞活性化抗原を提示する細胞に対して反応性であるT細胞を特定するステップ」および「反応性T細胞を特定するステップ」は、本明細書中で用いる場合、そのTCRの少なくともCDR配列の特定を可能にする反応性T細胞に関する情報を提供するいずれかおよびすべての手段ならびに方法を含む広い意味で用いられる。したがって、反応性T細胞は、物理的形態で提供される必要はないが、物理的形態で提供されることができる。つまり、反応性T細胞を特定するステップは、本明細書中の別の箇所で特定される通りの少なくとも1種のバイオマーカーを発現するT細胞を示すデータセットを特定すること、および、任意により、当該反応性T細胞のTCRの少なくともCDR配列を割り当てることを含むことができる。好ましくは、当該データセットは、遺伝子発現の単一細胞決定により、好ましくは単一細胞RNA配列決定により決定されるかまたは決定された。つまり、反応性T細胞を特定する方法のステップ(a)は、サンプル中のT細胞の遺伝子発現の単一細胞決定を行なうことを含むことができ、このとき、特定される通りのバイオマーカーのうちの少なくとも1種の発現が決定され、それにより、反応性T細胞が特定され;任意により、当該少なくとも1種のバイオマーカーを発現することが見出される当該T細胞のTCRの少なくともCDR配列が配列決定される。しかしながら、反応性T細胞を特定するステップはまた、当該反応性T細胞を物理的に提供することも含むことができる。つまり、反応性T細胞を特定する方法のステップ(a)は、T細胞上かつ/またはT細胞中の特定される通りのバイオマーカーのうちの少なくとも1種の発現を決定することを含むことができる。つまり、表面バイオマーカーの発現は、例えば、抗体染色、および任意によりそれに続くFACS測定および/またはソーティングにより決定することができる。また好ましくは、単一T細胞をクローン性に増殖させて、当該クローン性に増殖した細胞のアリコート中でバイオマーカー発現を決定する。T細胞、好ましくは生存T細胞でのバイオマーカー発現を決定する他の方法が、当技術分野で公知である。
【0029】
バイオマーカーの発現の決定は、当業者により適切であると見なされるいずれかのバイオマーカー遺伝子産物の量に基づいて行なうことができる。つまり、決定は、RNA、特にmRNA、および/またはポリペプチド遺伝子産物の量を決定することを含むことができる。しかしながら、発現はまた、代理バイオマーカー、例えば、それぞれのバイオマーカーのプロモーターの制御下にレポーター遺伝子が発現されるレポーター遺伝子構築物の発現を測定することにより決定することもできる。好ましくは、発現の決定は、mRNAおよび/またはポリペプチド遺伝子産物の量を決定することを含む。
【0030】
反応性T細胞を特定するステップは、本明細書中の別の箇所で特定される通りの少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。バイオマーカーの発現は、定性的に、半定量的に、または定量的に決定することができ、この用語は、原則として、当業者に公知である。定性的決定は、例えば、バイオマーカーがアッセイの検出レベルを超えて発現されるか否かを決定することによる、バイオマーカーがT細胞により発現されるかまたは発現されないことの2値的評価であり得る。半定量的決定は、低、中等度、または高発現などの発現の種類へと発現を分類することを含むことができる。定量的決定との用語は、細胞中のバイオマーカーの量ならびに、特に、濃度、平均、中央値、または算術平均の算出、標準化、および同様の計算をはじめとする少なくとも1種の標準的な数学演算によりそのような量から誘導されるすべての値に関する情報を提供するそれぞれおよびすべての決定を含むことが当業者により理解される。
【0031】
好ましくは、反応性T細胞を特定するステップは、参照に対してT細胞で決定されるバイオマーカー発現を比較することを含む。用語「参照」とは、本明細書中で用いる場合、参照細胞でのバイオマーカーの発現、例えば、参照細胞でのバイオマーカーの量を意味する。好ましくは、参照は、遺伝子産物に関する閾値(例えば、量または量の比率)である。しかしながら、参照はまた、当業者により適切であると見なされるいずれかの数学的手段、特に標準化により、量から誘導される値でもあり得る。上述の方法に従えば、参照は、好ましくは、反応性T細胞であることが既知であるT細胞のサンプルから取得される参照である。そのような場合、当該参照と本質的に同一であるサンプル中で見出されるバイオマーカー遺伝子産物に関する値が、反応性T細胞を示すものである。また好ましくは、参照は、反応性でないことが既知であるT細胞のサンプルに由来する。そのような場合、参照に対して増加しているT細胞中で見出されるバイオマーカー遺伝子産物に関する値が、T細胞が反応性であることを示すものである。同じことが、算出された参照、最も好ましくは平均または中央値に対して、未刺激T細胞の集団のバイオマーカー遺伝子産物の相対値または絶対値に対して、準用される。当業者が理解する通り、T細胞のいずれかの所与の天然集団のT細胞のうちの小さなパーセンテージのみが、同時に反応性であろう。したがって、活性化されていないことが既知であるT細胞の集団に関する上記の記載は、活性化状態が未知であるT細胞の天然集団に対して準用することができ;つまり、参照は、反応性状態が未知であるT細胞の天然サンプルであり得る。そのような場合、参照に対して増加しているT細胞で見出されるバイオマーカー遺伝子産物に関する値が、T細胞が反応性であることを示すものである。好適な参照値、好ましくは平均または中央値をどのようにして算出するかは、当技術分野で周知である。以前に参照された未刺激T細胞の集団は、複数のT細胞、好ましくは少なくとも10個、より好ましくは少なくとも100個、さらにより好ましくは少なくとも1,000個、最も好ましくは少なくとも10,000個の未刺激T細胞を含むであろう。対象となるT細胞のバイオマーカー遺伝子産物に関する値および参照値は、対応する値が本質的に同一である場合、本質的に同一である。本質的に同一とは、2つの値の間の差異が、好ましくは有意でないことを意味し、値が参照値の少なくとも1~99パーセンタイル、5~95パーセンタイル、10~90パーセンタイル、20~80パーセンタイル、30~70パーセンタイル、40~60パーセンタイルの間隔以内、好ましくは、参照値の50、60、70、80、90または95パーセンタイルであることにより特徴付けられるであろう。2つの量が本質的に同一であるか否かを決定するための統計的検定は、当技術分野で周知である。一方で、2つの値に関する観測上の差異は、好ましくは、統計学的に有意であろう。相対値または絶対値での差異は、好ましくは、参照値の45~55パーセンタイル、40~60パーセンタイル、30~70パーセンタイル、20~80パーセンタイル、10~90パーセンタイル、5~95パーセンタイル、1~99パーセンタイルの間隔の外側で有意である。好ましくは、参照は、データベースなどの好適なデータ記憶媒体に格納され、かつ、したがって、将来の評価に対しても利用可能である。
【0032】
反応性T細胞を特定するステップは、CCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種、好ましくは、CCL4、CCL4L2、CCL3、およびCCL3L1のうちの少なくとも1種の発現を決定することを含む。つまり、反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、CCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。つまり、反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、本明細書中、下記の表1から選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。上述のバイオマーカーは、「コアシグネチャー」のバイオマーカーであり、すなわち、各バイオマーカー単独またはそれらのいずれかの組み合わせが、反応性T細胞を示すものである。上述のバイオマーカーは、原則として、当業者に公知であり、かつそれらのアミノ酸配列およびコードポリヌクレオチドの配列は、公衆データベースから入手可能である。「CCL4」は、「ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド4」としても公知であり、ヒトCCL4のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_996890.1から入手可能である。「CCL4L2」は、「C-Cモチーフケモカイン4様2」としても公知であり、ヒトCCL4L2のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_001278397.1から入手可能である。「CCL3」は、「ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド3」としても公知であり、かつマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP-1α)とも称される場合があり;ヒトCCL3のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_002974.1から入手可能である。「CCL3L1」は、「ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド3様1」としても公知であり、ヒトCCL3L1のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_066286.1から入手可能である。「CXCL13」は、名称「Bリンパ球化学誘引因子」および「B細胞誘因性ケモカイン1」の下でも公知であり、ヒトCXCL13のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_006410.1から入手可能である。好ましくは、CCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現は、反応性T細胞を示すものである。より好ましくは、上述のバイオマーカーのうちの少なくとも2種、より好ましくは少なくとも3種、最も好ましくは全4種の発現は、反応性T細胞を示すものである。
【0033】
つまり、好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、CCL3L1;CCL3L1+CCL4;CCL3L1+CCL4L2;CCL3L1+CCL3;CCL3L1+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL4L2;CCL3L1+CCL4+CCL3;CCL3L1+CCL4+CXCL13;CCL3L1+CCL4L2+CCL3;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13;CCL3L1+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL4;CCL4+CCL4L2;CCL4+CCL3;CCL4+CXCL13;CCL4+CCL4L2+CCL3;CCL4+CCL4L2+CXCL13;CCL4+CCL3+CXCL13;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL4L2;CCL4L2+CCL3;CCL4L2+CXCL13;CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL3;CCL3+CXCL13;またはCXCL13を含み、好ましくはそれらからなるバイオマーカーの組み合わせの発現を決定することを含む。
【0034】
好ましくは、本明細書中で参照される反応性T細胞を特定する方法は、さらにIFNG、HAVCR2、FNBP1、CSRNP1、SPRY1、RHOH、FOXN2、HIF1A、TOB1、RILPL2、CD8B、GABARAPL1、TNFSF14、EGR1、EGR2、TAGAP、TNFSF9、ANXA1、MAP3K8、PIK3R1、DUSP2、DUSP4、DUSP6、CLIC3、RASGEF1B、LAG3、XCL2、NR4A2、DNAJB6、NFKBID、MCL1、EVI2A、SLC7A5、H3F3B、NR4A3、REL、IRF4、CST7、ATF3、TNF、GPR171、BCL2A1、ITGA1、TNFAIP3、NR4A1、RUNX3、HERPUD2、FASLG、CBLB、PTGER4、SLA、XCL1、BHLHE40、LYST、KLRD1、ZNF682、CTSW、SLC2A3、NLRP3、SCML4、VSIR、LINC01871、およびZFP36L1からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。つまり、反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、本明細書中、下記の表2から選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。このバイオマーカーは、「アクセサリー1シグネチャー」のバイオマーカーであり、すなわち、表2の各バイオマーカーは、単独でまたは表2の少なくとも1種のさらなるバイオマーカーと組み合わせて、表1の少なくとも1種のバイオマーカーと組み合わせて決定される場合に、反応性T細胞を示すものである。つまり、好ましくは、CCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種に加えて、表2の少なくとも1種のバイオマーカーの発現が、反応性T細胞を示すものである。
【0035】
好ましくは、本明細書中で参照される反応性T細胞を特定する方法は、さらにCCL5、GZMH、CLEC2B、GZMA、CD69、GZMK、およびCRTAMからなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。つまり、反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、本明細書中、下記の表3から選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。このバイオマーカーは、「アクセサリー2シグネチャー」のバイオマーカーであり、すなわち、表3の各バイオマーカーは、単独でまたは表2もしくは表3の少なくとも1種のさらなるバイオマーカーと組み合わせて、表1の少なくとも1種のバイオマーカーと組み合わせて決定される場合に、反応性T細胞を示すものである。つまり、好ましくは、CCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種に加えて、表3の少なくとも1種のバイオマーカーの発現が、反応性T細胞を示すものである。
【0036】
上記に鑑みて、T細胞で発現される場合、表1~3のすべてのバイオマーカーが、反応性T細胞を示すものであり、かつ/または反応性T細胞の特定に寄与し得る。好ましくは、方法は、少なくとも1種の除外バイオマーカー、すなわち、発現される場合に、T細胞が非反応性であることを示すバイオマーカーの決定をさらに含み:好ましくは、本明細書中で参照される反応性T細胞を特定する方法は、GNLYおよびFGFBP2(表4)からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含み、このとき、当該バイオマーカーのうちの少なくとも1種の発現が、非反応性T細胞を示すものである。つまり、バイオマーカーGNLYおよび/またはFGFBP2は、除外バイオマーカーとして用いることができる。好ましい実施形態では、FOXP3を、(さらなる)除外バイオマーカーとして用いることができる。
【0037】
好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、CCL3L1、LAG3、GABARAPL1、CBLB、SLA、KLRD1、およびCLEC2Bのうちの少なくとも1種の発現を決定することを含む。つまり、反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、CCL3L1、LAG3、GABARAPL1、CBLB、SLA、KLRD1、およびCLEC2Bからなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。つまり、反応性T細胞を特定する方法は、好ましくは、本明細書中、下記の表5から選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現を決定することを含む。上述のバイオマーカーは、「コア2シグネチャー」のバイオマーカーであり、すなわち、各バイオマーカー単独またはそれらのいずれかの組み合わせが、反応性T細胞を示すものであり、集合的に、本明細書中で「7種類の代替的コア遺伝子」とも称される場合がある。上述のバイオマーカーは、原則として、当業者に公知であり、かつそれらのアミノ酸配列およびコードポリヌクレオチドの配列は、公衆データベースから入手可能である。CCL3L1は、本明細書中の上記で説明された。「LAG3」は、リンパ球活性化3としても公知であり、ヒトLAG3のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_002277.4から入手可能である。「GABARAPL1」は、GABA A型受容体会合タンパク質様1としても公知であり、ヒトGABARAPL1のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_001350527.1から入手可能である。「CBLB」は、Cbl癌原遺伝子Bとしても公知であり、ヒトCBLBのアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_001308715.1から入手可能である。「SLA」は、Src様アダプターとしても公知であり、ヒトSLAのアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_001039021.1から入手可能である。「KLRD1」は、キラー細胞レクチン様受容体D1としても公知であり、ヒトKLRD1のアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_001107868.2から入手可能である。「CLEC2B」は、C型レクチンドメインファミリー2メンバーBとしても公知であり、ヒトCLEC2Bのアミノ酸配列は、例えば、Genbank登録番号NP_005118.2から入手可能である。好ましくは、CCL3L1、LAG3、GABARAPL1、CBLB、SLA、KLRD1、およびCLEC2Bのうちの少なくとも1種の発現は、反応性T細胞を示すものである。より好ましくは、上述のバイオマーカーのうちの少なくとも2種、より好ましくは少なくとも3種、またさらに好ましくは少なくとも4種、またさらに好ましくは少なくとも5種、さらにより好ましくは少なくとも6種、最も好ましくは全7種の発現は、反応性T細胞を示すものである。
【0038】
つまり、好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、CCL3L1;CCL3L1+LAG3;CCL3L1+GABARAPL1;CCL3L1+CBLB;CCL3L1+SLA;CCL3L1+KLRD1;CCL3L1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1;CCL3L1+LAG3+CBLB;CCL3L1+LAG3+SLA;CCL3L1+LAG3+KLRD1;CCL3L1+LAG3+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB;CCL3L1+GABARAPL1+SLA;CCL3L1+GABARAPL1+KLRD1;CCL3L1+GABARAPL1+CLEC2B;CCL3L1+CBLB+SLA;CCL3L1+CBLB+KLRD1;CCL3L1+CBLB+CLEC2B;CCL3L1+SLA+KLRD1;CCL3L1+SLA+CLEC2B;CCL3L1+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+SLA;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+KLRD1;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+CBLB+SLA;CCL3L1+LAG3+CBLB+KLRD1;CCL3L1+LAG3+CBLB+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+SLA+KLRD1;CCL3L1+LAG3+SLA+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+SLA;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+KLRD1;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+SLA+KLRD1;CCL3L1+GABARAPL1+SLA+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+CBLB+SLA+KLRD1;CCL3L1+CBLB+SLA+CLEC2B;CCL3L1+CBLB+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+KLRD1;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+SLA+KLRD1;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+SLA+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+CBLB+SLA+KLRD1;CCL3L1+LAG3+CBLB+SLA+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+CBLB+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+SLA+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;CCL3L1+LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;LAG3;LAG3+GABARAPL1;LAG3+CBLB;LAG3+SLA;LAG3+KLRD1;LAG3+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+CBLB;LAG3+GABARAPL1+SLA;LAG3+GABARAPL1+KLRD1;LAG3+GABARAPL1+CLEC2B;LAG3+CBLB+SLA;LAG3+CBLB+KLRD1;LAG3+CBLB+CLEC2B;LAG3+SLA+KLRD1;LAG3+SLA+CLEC2B;LAG3+KLRD1+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA;LAG3+GABARAPL1+CBLB+KLRD1;LAG3+GABARAPL1+CBLB+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+SLA+KLRD1;LAG3+GABARAPL1+SLA+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+KLRD1+CLEC2B;LAG3+CBLB+SLA+KLRD1;LAG3+CBLB+SLA+CLEC2B;LAG3+CBLB+KLRD1+CLEC2B;LAG3+SLA+KLRD1+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1;LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+CBLB+KLRD1+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+SLA+KLRD1+CLEC2B;LAG3+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;LAG3+GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;GABARAPL1;GABARAPL1+CBLB;GABARAPL1+SLA;GABARAPL1+KLRD1;GABARAPL1+CLEC2B;GABARAPL1+CBLB+SLA;GABARAPL1+CBLB+KLRD1;GABARAPL1+CBLB+CLEC2B;GABARAPL1+SLA+KLRD1;GABARAPL1+SLA+CLEC2B;GABARAPL1+KLRD1+CLEC2B;GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1;GABARAPL1+CBLB+SLA+CLEC2B;GABARAPL1+CBLB+KLRD1+CLEC2B;GABARAPL1+SLA+KLRD1+CLEC2B;GABARAPL1+CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;CBLB;CBLB+SLA;CBLB+KLRD1;CBLB+CLEC2B;CBLB+SLA+KLRD1;CBLB+SLA+CLEC2B;CBLB+KLRD1+CLEC2B;CBLB+SLA+KLRD1+CLEC2B;SLA;SLA+KLRD1;SLA+CLEC2B;SLA+KLRD1+CLEC2B;KLRD1;KLRD1+CLEC2B;またはCLEC2Bを含み、好ましくはそれらからなるバイオマーカーの組み合わせの発現を決定することを含む。
【0039】
好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、表7~10のうちのいずれか1つに開示される少なくとも1つのバイオマーカーの組み合わせ(「シグネチャー」)またはそれらのいずれかの組み合わせ、好ましくは表7に開示される少なくとも1つのバイオマーカーの組み合わせを含み、好ましくはそれからなるバイオマーカーの組み合わせの発現を決定することを含む。さらに好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、表7または8に開示される少なくとも1つのバイオマーカーの組み合わせを含み、好ましくはそれからなるバイオマーカーの組み合わせの発現を決定することを含み、かつ癌は非原発脳転移である。さらに好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、表7または9に開示される少なくとも1つのバイオマーカーの組み合わせを含み、好ましくはそれからなるバイオマーカーの組み合わせの発現を決定することを含み、かつ癌は肺癌である。さらに好ましい実施形態では、反応性T細胞を特定するステップは、表5のすべてのバイオマーカー+CD8B;表1および2のすべてのバイオマーカー+CD8B;表1のすべてのバイオマーカー+CD8B;表5および6のすべてのバイオマーカー+CD8Bを含み、好ましくはそれらからなるバイオマーカーの組み合わせの発現を決定することを含み、かつ癌は神経膠腫である。
【0040】
当業者は、本明細書中で参照されるバイオマーカーが、異なる対立遺伝子から複数のアイソフォームで発現される場合があり、かつ/または、例えば、細胞内輸送および/もしくは分泌中に細胞中でさらにプロセシングされることができる前駆体形態として発現される場合があることに気付く。また、当業者は、非ヒト生物種からの被験体が、好ましくは、本明細書中、上記で示される具体的配列のホモログを発現するであろうことに気付き、ホモログは、好ましくは、配列アライメントおよび/またはBLASTアルゴリズムなどのそれに基づく検索アルゴリズム、ならびに適切なデータベース、好ましくは公衆に利用可能なデータベースにより特定することができる。好ましくは、特定される通りのバイオマーカーのアミノ酸配列は、本明細書中で参照される通りの具体的バイオマーカー配列に対して少なくとも50%、より好ましくは75%、さらにより好ましくは85%、またさらに好ましくは少なくとも95%、またさらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0041】
用語「被験体」は、本明細書中で用いる場合、動物、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、好ましくはウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、もしくはヤギなどの家畜、ネコもしくはイヌなどのコンパニオンアニマル、またはラット、マウス、もしくはモルモットなどの実験動物に関する。好ましくは、哺乳動物は、霊長類、より好ましくはサル、最も好ましくはヒトである。好ましくは、被験体は、特に被験体の癌細胞に対して反応性であるT細胞を特定する方法の場合、癌に罹患している。しかしながら、被験体が、好ましくは少なくとも50歳、より好ましくは少なくとも60歳、より好ましくは少なくとも70歳、またさらに好ましくは少なくとも80歳の外見上は健康な被験体であることも想定される。
【0042】
用語「サンプル」とは、分離された細胞のサンプルまたは組織もしくは器官由来の、好ましくは腫瘍由来のサンプルを意味する。つまり、サンプルは、好ましくは、癌認識性リンパ球、好ましくはT細胞を含むかまたは含むことが推測される。より好ましくは、サンプルは、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を含むかまたは含むことが推測される。また好ましくは、サンプルは、癌細胞、より好ましくは腫瘍細胞を含む。つまり、サンプルは、好ましくは、TILおよび癌細胞を含み、好ましくは腫瘍サンプルである。しかしながら、サンプルはまた、非癌組織の、好ましくは癌隣接組織のサンプル、または末梢血単核細胞(PBMC)のサンプルでもあり得る。当業者に公知である通り、組織または器官サンプルは、例えば、生検、外科手術、または当業者により適切であると見なされるいずれかの他の方法により、いずれかの組織または器官から取得することができる。分離された細胞は、リンパ液、血液、血漿、血清、液(liquor)その他などの体液から、または遠心分離もしくは細胞ソーティングなどの分離技術により組織もしくは器官から取得することができる。好ましくは、サンプルは、細胞を含む組織または体液サンプルである。好ましくは、サンプルは、体液のサンプル、好ましくは血液サンプルである。体液サンプルは、当業者に周知である慣用の技術、例えば、静脈もしくは動脈穿刺、洗浄、または当業者により適切であると見なされるいずれかの他の方法により、被験体から取得することができる。
【0043】
有利なことに、任意によりさらなるバイオマーカーを含むバイオマーカーCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、および/またはCXCL13を用いることが、細胞により提示される抗原に対して反応性であり、したがって、培養によるかまたはT細胞中でそれぞれのTCRを発現させることによるかのいずれかにより、例えば、癌細胞を認識するT細胞を提供するために、例えば、癌の細胞療法に対して特に好適である、TCRを含むT細胞の特定を可能にすることが、本発明の基礎となる研究で見出された。
【0044】
上記でなされた定義は、下記に対して準用される。以下でさらになされる追加の定義および説明もまた、本明細書中に記載されるすべての実施形態に対して準用される。
【0045】
本発明はまた、T細胞活性化抗原を提示する被験体の細胞に対して反応性であるT細胞(反応性T細胞)を特定する方法であって、
(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのKLRD1およびLAG3のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて反応性T細胞を特定するステップ
を含む方法にも関し、好ましくは、このとき、当該T細胞活性化抗原は、癌抗原または自己免疫T細胞抗原であり、より好ましくは癌抗原である。
【0046】
本発明はさらに、被験体の細胞、好ましくは、癌細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定する方法であって、
(A) 反応性T細胞を特定する方法に従って反応性T細胞を特定するステップ、
(B) ステップ(A)で特定される反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;および、それにより、
(C) 細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定するステップ
を含む方法に関する。
【0047】
TCRを特定する方法は、好ましくは、in vitro法である。方法は、本明細書中の上記に関連するものに加えて、さらなるステップを含むことができる。例えば、さらなるステップは、さらなる核酸もしくはアミノ酸配列を決定すること、または当該反応性T細胞によるCD8および/もしくはCD4発現を決定することに関することができる。さらに、前記ステップのうちの1つ以上は、自動化装置により行なわれるかまたは支援されることができる。
【0048】
アミノ酸配列および/または核酸配列などの用語「配列を提供すること」は、当該配列に関する情報を提供するかまたは当該配列情報をアクセス可能にするいずれかおよびすべての手段ならびに方法を含む広い意味で、本明細書中で用いられる。つまり、配列は、好ましくはデータキャリアに有形に埋め込まれた配列情報として、提供することができる。しかしながら、配列はまた、好ましくは当該配列を含むTCRαおよびβ鎖を含むTCRとして、より好ましくはそれを含む宿主細胞として、当該配列を含む分子の形態でも提供することができる。当業者が理解する通り、上述の宿主細胞が提供される場合、配列情報は、当業者に公知の標準的な方法、例えば、当該宿主細胞またはその一部分により発現されるTCRの核酸配列決定により、提供することができる。
【0049】
用語「TCRを特定すること」は、少なくともそのCDR配列の決定を可能にするTCRに関する情報を提供するいずれかおよびすべての手段ならびに方法を含む広い意味で、本明細書中で用いられる。したがって、TCRは、物理的形態で提供される必要はないが、物理的形態で提供されることができる。つまり、TCRを特定することは、TCRの少なくともCDR配列または少なくとも当該CDRをコードするポリヌクレオチドを提供することを含むことができる。好ましくは、当該配列は、好ましくは上記で本明細書中に特定される通り、遺伝子発現の単一細胞決定により、好ましくは単一細胞RNA配列決定により、決定されるかまたは決定された。しかしながら、TCRを特定することはまた、例えば、当該TCRを発現する宿主細胞、好ましくはT細胞を提供することにより、または特定されるTCRポリペプチドの少なくともCDRをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチドを提供することにより、当該TCRを物理的に提供することを含むこともできる。理解されるであろう通り、TCRが宿主細胞などの自己複製性実体の文脈で提供される場合、TCRの少なくともCDRのアミノ酸および/またはそれをコードするポリヌクレオチドの核酸複合体を提供することは必ずしも必要でない場合がある。
【0050】
好ましくは、活性化抗原に結合するTCRを特定する方法は、ステップ(B1) 宿主細胞、好ましくはT細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRを発現させるステップをさらに含む。より好ましくは、当該方法は、さらなるステップ(B1) 宿主細胞、好ましくはT細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRを発現させるステップを含み、すなわち、好ましくは、宿主細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRおよび少なくとも1種のアクセサリーTCRポリペプチドを発現させるステップを含む。
【0051】
特定される通りの用語「少なくともCDRを含むTCR」は、本明細書中で用いる場合、少なくともCDRがステップ(B)で決定される通りのものであり、TCRポリペプチドの残余の配列が、1種以上の異なるαおよびβまたはγおよびδ鎖の配列、例えば、異種配列であり得るTCRに関する。より好ましくは、TCR分子の可変領域は、ステップ(B)で提供され、かつステップ(B1)でTCRポリペプチドの一部分として発現される。しかしながら、TCRポリペプチドのさらなる断片または完全なTCRポリペプチドの配列がステップ(B)で提供され、かつ任意によりステップ(B1)で発現されることもまた想定される。当業者が理解する通り、ステップ(B1)で発現されるものよりも長い配列がステップ(B)で提供されることもまた可能であり;例えば、好ましくは、TCRポリペプチドの可変領域のアミノ酸配列をステップ(B)で提供することができ、そのCDRのみが、ステップ(B1)で、例えば、異種TCRポリペプチドの文脈で発現されるか;またはTCRポリペプチドの可変領域のアミノ酸配列をステップ(B)で提供することができ、CDRを含む抗原結合性領域のアミノ酸配列が、ステップ(B1)で、例えば、異種TCRポリペプチドの文脈で発現されることができる。別途示されない場合、TCRポリペプチドは、好ましくは、完全な分子として、すなわち、それぞれが膜貫通領域、定常領域、連結領域、および可変領域を含んで発現される。
【0052】
好ましくは、T細胞活性化抗原を提示する細胞に結合するTCRを特定する方法は、さらなるステップ(B2) 主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化された、T細胞活性化抗原、好ましくは癌抗原を提示する細胞に対する、ステップ(B1)で発現されるTCRの結合性を決定するステップを含む。主要組織適合性複合体(MHC)分子中に複合体化されたT細胞活性化抗原に対する、好ましくはTCRに含められるTCRの結合性を決定する方法は、当技術分野で公知であり、かつ、好ましくは、例えば、宿主細胞の表面上に発現されることができるTCRに対する、検出可能な標識を担持するMHC分子に複合体化されたT細胞活性化抗原の結合性を決定することを含む。そのような方法の周知の例は、好ましくは、T細胞活性化抗原と複合体化された可溶性四量体MHC分子を用いる、四量体アッセイである。
【0053】
好ましくは、T細胞活性化抗原に結合するTCRを特定する方法は、さらなるステップ(B3) ステップ(B1)で発現されるTCRによる、当該T細胞活性化抗原を提示する細胞の認識を決定するステップを含む。そのような認識を決定するための(fur determining)アッセイは、当技術分野で公知であり、かつ、特に、結合性アッセイ、活性化アッセイ、および溶解アッセイを含む。これらのアッセイのすべてで、好ましくは、T細胞活性化抗原を提示する細胞が、特定される通りの少なくともCDRを含むTCRを発現するT細胞などの宿主細胞と共に共インキュベーションされる。結合性アッセイでは、癌細胞と上述の宿主細胞とが互いに結合し、好ましくはT細胞活性化抗原を提示する細胞の少なくともMHC分子およびTCRを含む免疫シナプスを形成するか否かが決定される。活性化アッセイでは、特定される通りの少なくともCDRを含むTCRを発現する宿主細胞、好ましくはT細胞が、免疫学的活性化、例えば、インターフェロンγ産生のバイオマーカーに関して、前記共インキュベーション後に試験される。溶解アッセイでは、特定される通りの少なくともCDRを含むTCRを発現する宿主細胞、好ましくはT細胞が、前記共インキュベーション中にT細胞活性化抗原を提示する細胞の少なくとも画分を溶解させたか否かが決定される。
【0054】
好ましくは、活性化抗原に結合するTCRを特定する方法は、さらなるステップ(B4) ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含む可溶性TCRを生成するステップならびに癌細胞および/または主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化された癌抗原に対する当該可溶性TCRの結合性を決定するステップを含む。可溶性TCRは、本明細書中、上記で説明されている。好ましくは、検出可能な標識を担持する可溶性TCRがステップ(B4)で用いられ;つまり、そのような標識された可溶性TCRの結合性は、例えば、蛍光活性化細胞選別装置により検出することができる。
【0055】
好ましくは、TCRを特定する方法では、前記少なくとも1種のバイオマーカーの発現が、好ましくは少なくとも100個のT細胞、より好ましくは少なくとも1000個のT細胞の遺伝子発現の単一細胞決定により決定される。そのような場合、ステップ(B)の反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を、遺伝子発現の単一細胞決定の一部分として提供することができ、すなわち、当該CDRをコードするmRNAを、遺伝子発現の前記単一細胞決定の一部分として配列決定することができる。好ましくは、遺伝子発現の単一細胞決定前に、対応する配列が事前増幅される。しかしながら、当該CDRをコードするmRNAはまた、好ましくは適切なバーコード化法を用いることにより、別個の配列決定ステップで決定することもできる。上述の場合にはまた、方法は、さらなるステップ(B*1) 当該少なくともCDR配列のアミノ酸配列を含む当該遺伝子発現データに基づいてT細胞をクラスタリングするステップおよびさらなるステップ(B*2) 前記少なくとも1種のバイオマーカーを発現しないクラスターと比較して前記少なくとも1種のバイオマーカーを発現するクラスターでの増加した相対頻度でクラスター化されるTCRまたはTCR群を選択するステップを含むことができる。
【0056】
本発明はまた、
(i) 本発明に従う方法にしたがってT細胞活性化抗原を提示する細胞に結合するTCRを特定するステップ、
(ii) T細胞で、ステップ(I)のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)を含むTCRを発現させるステップ、および、それにより、
(iii) T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供するステップ
を含む、T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供する方法にも関する。
【0057】
T細胞を提供する方法は、好ましくは、その1つ以上のステップが自動化装置により行なわれるかまたは支援されることができる、in vitro法である。
【0058】
方法は、本明細書中、上記に関連するものに加えて、さらなるステップを含むことができる。例えば、さらなるステップは、例えば、TCRα、β、γ、もしくはδ鎖骨格へとステップ(i)のTCRのCDRをコードする少なくともポリヌクレオチドをクローニングすること、または好ましくは少なくとも1つの発現ベクター上で、TCRαおよびβもしくはTCRγおよびδ鎖骨格へとステップ(i)のTCRポリペプチドの可変領域をコードするポリヌクレオチドをクローニングすること;あるいは1つ以上の発現ベクターへとTCRポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドをクローニングすることに関することができる。当業者により理解されるであろう通り、TCRα鎖のCDRおよび/または可変領域は、好ましくはTCRα鎖骨格へとクローニングされ;かつTCRβ鎖のCDRおよび/または可変領域は、好ましくはTCRβ鎖骨格へとクローニングされるであろう。上記のことは、γおよびδ鎖に準用される。方法はまた、癌細胞を認識するT細胞を拡大増殖させ、好ましくはクローン性に拡大増殖させて、癌細胞を認識する細胞、T細胞の調製物を提供するさらなるステップも含むことができる。つまり、癌細胞を認識するT細胞が、ステップ(i)で特定されるT細胞またはそのクローン性誘導体(すなわち、娘細胞)であり得ることが理解されるであろう。
【0059】
好ましくは、T細胞を提供する方法は、活性化剤を提示する細胞、例えば、癌細胞に対するステップ(ii)のT細胞の反応性を試験するステップをさらに含む。用語「T細胞の反応性を試験するステップ」は、本明細書中で用いる場合、特定される通りのT細胞が反応性であるか否かを決定するために当業者により好適であると見なされるそれぞれおよびすべての方法を含む。反応性を試験するための好ましい方法は、本明細書中、上記に記載されており、例えば、T細胞の結合性、活性化を決定すること、および/または活性化抗原を提示する細胞、例えば、癌細胞の溶解である。
【0060】
本発明はさらに、医薬での使用のための、特に、被験体での癌もしくは自己免疫疾患の治療および/または予防での使用のための、好ましくは、それぞれ、配列番号3および/または4を含むポリヌクレオチドによりコードされる、好ましくは配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列を含むT細胞受容体を含む、本明細書中、上記で特定される通りのT細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞に対して反応性であるT細胞を特定する方法により特定され、かつ/または本明細書中、上記で特定される通りのT細胞活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞を提供する方法により取得されるかもしくは取得可能である反応性T細胞に関する。
【0061】
用語「治療すること」および「治療」とは、本明細書中で参照される疾患もしくは障害またはそれに付随する症状の、顕著な程度までの改善を意味する。本明細書中で用いる場合、当該治療することはまた、本明細書中で参照される疾患または障害に関する健康の完全な回復も含む。この用語が本明細書中で用いられる場合、治療することは、治療対象のすべての被験体で有効でない可能性があることが理解されるべきである。しかしながら、この用語は、好ましくは、本明細書中で参照される疾患または障害に罹患している被験体の統計学的に有意な割合が成功裏に治療されることができることを必要とするであろう。割合が統計学的に有意であるか否かは、様々な周知の統計的評価ツール、例えば、信頼区間の決定、p値決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを用いて、当業者によりさらなる面倒なしに決定することができる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。好ましくは、治療は、所与のコホートまたは集団の被験体のうちの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%に対して有効であろう。好ましくは、癌を治療することは、被験体での腫瘍量を低減させることである。当業者により理解されるであろう通り、例えば、癌の治療の有効性は、例えば、癌のステージおよび癌の種類をはじめとする様々な因子に依存する。
【0062】
用語「予防すること」とは、被験体で、一定期間にわたって、本明細書中で参照される疾患または障害に関する健康を保持することを意味する。当該期間は、投与されてきた薬物化合物の量および本明細書中の別の箇所で議論される被験体の個別の因子に依存し得ることが理解されるであろう。予防は、本発明に従って化合物を用いて治療されるすべての被験体で有効でない可能性があることが理解されるべきである。しかしながら、この用語は、好ましくは、コホートまたは集団の被験体のうちの統計学的に有意な割合が、本明細書中で参照される疾患もしくは障害またはその付随する症状に見舞われることを有効に予防されることを必要とする。好ましくは、被験体のコホートまたは集団は、通常は、すなわち、本発明に従う予防手段なしでは、本明細書中で参照される通りの疾患または障害を発症するであろうことが、この文脈で想定される。割合が統計学的に有意であるか否かは、本明細書中の別の箇所で議論される様々な周知の統計的評価ツールを用いて、当業者によりさらなる面倒なしに決定することができる。
【0063】
本発明はまた、好ましくは、配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列を含むT細胞受容体を含む、上記で本明細書中に特定される通りの方法により特定され、かつ/または上記で本明細書中に特定される通りの活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞を提供する方法により取得されるかもしくは取得可能である反応性T細胞を含む医薬組成物にも関する。
【0064】
用語「医薬組成物」は、本明細書中で用いる場合、製薬上許容される形態での本明細書中に特定される通りの宿主細胞、特にT細胞を含む化合物または化合物群および製薬上許容される担体を含む組成物に関する。化合物および/または賦形剤は、製薬上許容される塩として製剤化することができる。許容される塩は、酢酸塩、メチルエステル、HCl、硫酸塩、塩化物などを含む。医薬組成物は、好ましくは、局所的または全身的に、好ましくは、静脈内的または腫瘍内的に投与される。化合物は、共通の医薬組成物中で、または別個の医薬組成物としてのいずれかで、他の薬物と組み合わせて投与することができ、このとき、別個の医薬組成物は、キットの形態で提供されることができる。特に、アジュバントの同時投与を想定することができる。
【0065】
好ましくは、化合物は、慣用の手順に従って、宿主細胞または薬物を標準的な医薬担体と組み合わせることにより調製される慣用の剤型で投与される。これらの手順は、所望の調製物に対して適切である通りの成分を混合すること、分散させること、または溶解させることを含むことができる。製薬上許容される担体または希釈剤の形態および性質は、それと組み合わせられる有効成分の量、投与経路および他の周知の変数により決定されることが理解されるであろう。
【0066】
担体は、製剤の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに対して有害でないという意味で許容可能でなければならない。利用される医薬担体は、例えば、固体、ゲルまたは、好ましくは液体のいずれかであり得る。液体担体の例は、リン酸緩衝生理食塩液、水、エマルジョン、様々なタイプの湿潤化剤、無菌溶液などである。好適な担体は、上記で言及されるものおよび当技術分野で周知の他のものを含み、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。希釈剤は、好ましくは、T細胞および考えられるさらなる製薬上活性な成分の生物学的活性に影響しないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩液、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。加えて、医薬組成物または製剤はまた、他の担体、アジュバント、または無毒、非治療的、非免疫原性安定化剤などを含むこともできる。
【0067】
治療上有効用量とは、本明細書中で参照される状態を予防、改善または治療する、本発明の医薬組成物中で用いられる対象である化合物の量を意味する。化合物の治療効力および毒性は、例えば、ED50(集団のうちの50%で治療上有効な用量)および/またはLD50(集団のうちの50%に対して致死的な用量)を決定することにより、細胞培養物または実験動物で標準的な製薬手順により決定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比が治療指数であり、比率LD50/ED50として表わすことができる。
【0068】
投与量レジメンは、好ましくは関連する臨床的因子を考慮して、かつ、好ましくは本明細書中の別の箇所に記載される方法のうちのいずれか1種に従って、担当医により決定されるであろう。医学分野で周知である通り、いずれかの1名の患者に対する投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与対象の特定の化合物、性別、投与時間および経路、全身健康状態、および同時に投与される他の薬物をはじめとする多数の因子に依存する場合がある。進行は、定期的評価によりモニタリングすることができる。典型的な用量は、例えば、104~109個の宿主細胞の範囲内であり得るが;しかしながら、特に、上述の因子を考慮して、この例示範囲未満またはそれを超える用量が想定される。本明細書中で参照される医薬組成物および製剤は、本明細書中に列挙される疾患または状態を治療または予防するために、少なくとも1回投与される。しかしながら、当該医薬組成物は、2回以上、例えば、好ましくは1~4回、より好ましくは2回または3回投与することができる。
【0069】
本発明はまた、本明細書中で特定される通りの活性化抗原に結合するTCRを特定する方法に従って提供されるかまたは特定可能である、活性化抗原に結合する少なくとも1つのTCRをコードするポリヌクレオチドにも関する。
【0070】
用語「ポリヌクレオチド」は、当業者に公知である。本明細書中で用いる場合、この用語は、本明細書中で特定される通りの核酸配列または核酸配列群を含むかまたはそれからなる核酸分子を含む。本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、単離されたポリヌクレオチドとして(すなわち、その天然の文脈から単離される)または遺伝学的に改変された形態のいずれかで提供されるであろう。ポリヌクレオチドは、好ましくは、cDNAをはじめとするDNAであるか、またはRNAである。この用語は、一本鎖ならびに二本鎖ポリヌクレオチドを包含する。好ましくは、ポリヌクレオチドは、キメラ分子であり、すなわち、好ましくは、残余の核酸配列に対して異種である、好ましくは少なくとも20bp、より好ましくは少なくとも100bpの少なくとも1つの核酸配列を含む。さらに、好ましくは、グリコシル化もしくはメチル化ポリヌクレオチドなどの天然に存在する修飾型ポリヌクレオチドをはじめとする化学的に修飾されたポリヌクレオチドまたはビオチン化ポリヌクレオチドなどの人工的に修飾されたものも含まれる。
【0071】
本発明はまた、
(I) 被験体のサンプル中のT細胞の複数のバイオマーカーの発現データを提供するステップ、
(II) ステップ(A)のバイオマーカーの発現に基づいて、当該複数のT細胞のクラスタリングを提供するステップ;
(III) ステップ(B)のT細胞のTCR鎖の少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;
(IV) ステップ(C)の相補性決定領域(CDR)を含むTCRによる癌細胞の認識を決定するステップ;
(V) そのTCRが、ステップ(D)でT細胞活性化抗原を提示する細胞を認識することが決定されるT細胞とのさらなるT細胞クラスタリングのために、ステップ(C)および(D)を少なくとも1回繰り返すステップであって、該さらなるT細胞のTCRがステップ(IV)のTCRと非同一である、ステップ;
(VI) T細胞活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞受容体を含むT細胞の最高割合を含むステップ(B)の少なくとも1つのクラスターを決定するステップ;ならびに
(VII) ステップ(F)で決定されるクラスター中のT細胞の最高割合により発現される少なくとも1種のバイオマーカーを決定し、それにより、反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定するステップ
を含む、反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定する方法にも関する。
【0072】
本発明の方法は、好ましくは、in vitro法である。さらに、方法は、上記で明示的に言及されるものに加えて、ステップを含むことができる。さらに、前記ステップのうちの1つ以上が、自動化装置により支援されるかまたは行なわれることができる。
【0073】
用語「発現データを提供すること」および「アミノ酸配列を提供すること」は、それぞれのデータを利用可能にするそれぞれおよびすべての手段を含むことが当業者により理解される。そのようなデータは、既存のデータベース、好ましくは、発現データベースから提供することができる。好ましくは、T細胞の複数のバイオマーカーの発現データを提供することは、例えば、当技術分野で公知の方法に従う、発現アレイへのバイオマーカーから誘導されるRNAまたはcDNAのハイブリダイゼーションにより、当該バイオマーカーの発現を決定することを含む。本明細書中で参照される場合、発現データを提供することは、単一細胞に関する発現データを提供すること、すなわち、それぞれの細胞に関して別個にバイオマーカーの発現データを提供し、それにより、T細胞により発現されるバイオマーカーのセットの特定を可能にすることである。つまり、発現データは、好ましくは、本明細書中の別の箇所で特定される通り、遺伝子発現の単一細胞決定により、より好ましくは単一細胞RNA配列決定により決定される。好ましくは、発現データは、当該T細胞により発現されるTCRの少なくともCDRの配列を含む。好ましくは、発現データは、T細胞活性化バイオマーカーおよび/または上記で本明細書中に特定されるバイオマーカーの発現データを含む。
【0074】
用語「クラスタリングを提供すること」は、類似のセットの発現バイオマーカーを共有するクラスターへの個別のT細胞の割り当てを提供することに関する。当該クラスタリングは、好ましくは、当技術分野で公知のアルゴリズム、例えば、グラフに基づくクラスタリングまたはk-平均クラスタリングにより、コンピュータ実装様式で行なわれる:MacQueen (1967), "Some methods for classification and analysis of multivariate observations", 5th Berkeley Symposium on Mathematical Statistics and Probability。クラスタリングは、これもまた当技術分野で公知の方法、例えば、tSNE(van der Maaten and Hinton (2008), J Machine Learning Res 9:2579)またはUMAP(McInnes et al. (2020), arXiv:1802.03426v3)、好ましくはUMAPにより、可視化することができる。しかしながら、他のクラスタリング法を、同様に用いることができる。好ましくは、多数のクラスター、すなわち、少なくとも2個、好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、さらにより好ましくは少なくとも25個のクラスターが提供される。好ましくは、クラスタリング、すなわち、クラスタリングステップの結果は、被験体特異的である。
【0075】
用語「少なくとも1つのクラスターを決定すること」は、当業者により理解される。方法のステップ(II)に従って、好ましくは、少なくとも2つのクラスターを提供するクラスタリングが提供され;ステップ(IV)に従って、少なくとも2つのクラスターのメンバーが、それらが反応性T細胞であるか否かを評価され、ステップ(VI)に従って、T細胞活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞受容体を含むT細胞の最高割合を含む少なくとも1つのクラスターが決定される。当業者が理解する通り、このステップは、好ましくは、どのバイオマーカーが反応性T細胞を示すものであるかを最初に知る必要なく、反応性T細胞を含むクラスターを特定する。クラスターが特定されたら、同じクラスターのさらなるT細胞メンバーは、好ましくは、癌反応性でもあることが推測されるであろう。これもまた理解されるであろう通り、ステップ(III)および(IV)を少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回、より好ましくは少なくとも3回繰り返すことは、クラスター定義のさらなる改善を可能にする。最終的に特定されるクラスターにおいて最高頻度で発現されるバイオマーカーは、好ましくは、癌反応性T細胞のバイオマーカーであることが推測されるであろう。
【0076】
本発明はさらに、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される場合、本明細書中に含まれる実施形態のうちの1つ以上で本発明に従う方法を行なうためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムを開示および提案する。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能データキャリア上に格納することができる。つまり、具体的には、上記で示される通りの方法ステップ(a)~(d)のうちの1つ、2つ以上またはすべてでさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることにより、好ましくはコンピュータプログラムを用いることにより、行なうことができる。
【0077】
本発明はさらに、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される場合、本明細書中に含まれる実施形態のうちの1つ以上で本発明に従う方法を行なうための、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラムを開示および提案する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ読み取り可能データキャリア上に格納することができる。
【0078】
さらに、本発明は、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリへとなど、コンピュータまたはコンピュータネットワークへとロードした後に、本明細書中に開示される実施形態のうちの1つ以上に従う方法を実行することができる、データ構造がそれに格納されたデータキャリアを開示および提案する。
【0079】
本発明はさらに、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される場合、本明細書中に開示される実施形態のうちの1つ以上に従う方法を行なうための、機械可読キャリア上に格納されたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を提案および開示する。本明細書中で用いる場合、コンピュータプログラム製品とは、取引可能な製品としてのプログラムを意味する。製品は、一般的に、紙形式での、またはコンピュータ読み取り可能データキャリア上などの、任意の形式で存在することができる。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを通じて頒布することができる。
【0080】
最後に、本発明は、本明細書中に開示される実施形態のうちの1つ以上に従う方法を行なうための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークにより読み取り可能な命令を含む変調型データシグナルを提案および開示する。
【0081】
好ましくは、本発明のコンピュータ実装された態様を参照して、本明細書中に開示される実施形態のうちの1つ以上に従う方法の方法ステップのうちの1つ以上または方法ステップのうちのすべてでさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることにより行なうことができる。つまり、一般的に、データの提供および/または操作をはじめとする方法ステップのうちのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることにより行なうことができる。一般的に、これらの方法ステップは、典型的には、サンプルを提供することおよび/または実際の測定を行なう特定の態様などの手動作業を必要とする方法ステップを除いて、方法ステップのうちのいずれでも含むことができる。
【0082】
具体的には、本発明は、以下の態様をさらに開示する:
・少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータまたはコンピュータネットワークであって、プロセッサは、本記載中に記載される実施形態のうちの1つに従う方法を行なうために構成されている、コンピュータまたはコンピュータネットワーク、
・データ構造がコンピュータ上で実行されている間、本記載中に記載される実施形態のうちの1つに従う方法を行なうために構成されている、コンピュータロード可能データ構造、
・コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータ上で実行されている間、本記載中に記載される実施形態のうちの1つに従う方法を行なうために構成されている、コンピュータプログラム、
・コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されている間、本記載中に記載される実施形態のうちの1つに従う方法を行なうためのプログラム手段を含む、コンピュータプログラム、
・先行する実施形態に従うプログラム手段を含むコンピュータプログラムであって、プログラム手段が、コンピュータに対して読み取り可能である記憶媒体に格納される、コンピュータプログラム、
・記憶媒体であって、データ構造が記憶媒体に格納され、かつデータ構造が、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶装置および/または作業記憶装置へとロードされた後に、本記載中に記載される実施形態のうちの1つに従う方法を行なうために構成されている、記憶媒体、ならびに
・プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される場合、本記載中に記載される実施形態のうちの1つに従う方法を行なうために、プログラムコード手段を記憶媒体に格納することができるかまたは格納される、コンピュータプログラム製品。
【0083】
上記に鑑みて、以下の実施形態が、特に想定される:
実施形態1:(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて反応性T細胞を特定するステップ
を含む、T細胞活性化抗原を提示する被験体の細胞に対して反応性であるT細胞(反応性T細胞)を特定する方法であって、
好ましくは、このとき、該T細胞活性化抗原は、癌抗原または自己免疫T細胞抗原であり、より好ましくは癌抗原である、上記方法。
【0084】
実施形態2:(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのCCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて癌反応性T細胞を特定するステップ
を含む、癌細胞に対して反応性であるT細胞(癌反応性T細胞)を特定する方法。
【0085】
実施形態2:ステップ(a)が、CCL4、CCL4L2、CCL3、CCL3L1、およびCXCL13のうちの少なくとも2種、好ましくは少なくとも3種、より好ましくは少なくとも4種の発現を決定することを含む、実施形態1または2の方法。
【0086】
実施形態4:ステップ(a)が、IFNG、HAVCR2、FNBP1、CSRNP1、SPRY1、RHOH、FOXN2、HIF1A、TOB1、RILPL2、CD8B、GABARAPL1、TNFSF14、EGR1、EGR2、TAGAP、TNFSF9、ANXA1、MAP3K8、PIK3R1、DUSP2、DUSP4、DUSP6、CLIC3、RASGEF1B、LAG3、XCL2、NR4A2、DNAJB6、NFKBID、MCL1、EVI2A、SLC7A5、H3F3B、NR4A3、REL、IRF4、CST7、ATF3、TNF、GPR171、BCL2A1、ITGA1、TNFAIP3、NR4A1、RUNX3、HERPUD2、FASLG、CBLB、PTGER4、SLA、XCL1、BHLHE40、LYST、KLRD1、ZNF682、CTSW、SLC2A3、NLRP3、SCML4、VSIR、LINC01871、およびZFP36L1からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0087】
実施形態5:遺伝子発現の単一細胞決定により、好ましくは単一細胞RNA配列決定によりステップ(a)で発現が決定され、かつ/または前記サンプルが腫瘍サンプルである、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0088】
実施形態6:(A) 実施形態1~5のいずれか1つの方法に従って反応性T細胞を特定するステップ、
(B) ステップ(A)で特定される反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;および、それにより、
(C) 細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定するステップ
を含む、被験体の細胞、好ましくは癌細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定する方法。
【0089】
実施形態7:ステップ(a)の少なくとも1種のバイオマーカーおよび/またはステップ(B)での核酸配列が、単一細胞配列決定により、好ましくは単一細胞RNA配列決定により決定される、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0090】
実施形態8:さらなるステップ(B1) 宿主細胞、好ましくはT細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRを発現させるステップを含む、実施形態6または7の方法。
【0091】
実施形態9:さらなるステップ(B1) 宿主細胞、好ましくはT細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRを発現させるステップを含む、実施形態6~8のいずれか1つの方法。
【0092】
実施形態10:さらなるステップ(B2) 好ましくは四量体アッセイで、主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化された、細胞上に提示される活性化抗原、好ましくは癌抗原に対する、ステップ(B1)で発現されるTCRの結合性を決定するステップを含む、実施形態9の方法。
【0093】
実施形態11:ステップ(B3) ステップ(B1)で発現されるTCRによる、T細胞活性化抗原を提示する細胞の認識を決定するステップをさらに含む、実施形態9または10の方法。
【0094】
実施形態12:さらなるステップ(B4) ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含む可溶性TCRを生成するステップおよび主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化されたT細胞活性化抗原に対する;好ましくは癌抗原に対する該可溶性TCRの結合性を決定するステップをさらに含む、実施形態6~11のいずれか1つの方法。
【0095】
実施形態13:(i) 実施形態6~12のいずれか1つに従う方法に従って、T細胞活性化抗原を提示する細胞に結合するTCRを特定するステップ、
(ii) T細胞で、ステップ(I)のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)を含むTCRを発現させるステップ、および、それにより、
(iii) T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供するステップ
を含む、T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供する方法。
【0096】
実施形態14:T細胞活性化抗原を提示する細胞に対するステップ(ii)のT細胞の反応性を試験するステップをさらに含む、実施形態13の方法。
実施形態15:前記サンプルが組織サンプルまたは体液サンプルである、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
実施形態16:前記サンプルが血液サンプルである、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
実施形態17:前記サンプルが癌サンプルである、実施形態1~16のいずれか1つの方法。
実施形態18:前記サンプルが、非癌組織、好ましくは癌隣接組織のサンプルである、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
【0097】
実施形態19:医薬での使用のための、好ましくは配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列を含むT細胞受容体を含む、実施形態1~5のいずれか1つに従う方法により特定され、かつ/または実施形態13もしくは14に従う方法により取得されるかもしくは取得可能である反応性T細胞。
【0098】
実施形態20:被験体での癌の治療および/または予防での使用のための、好ましくは配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列を含むT細胞受容体を含む、実施形態1~5のいずれか1つに従う方法により特定され、かつ/または実施形態13もしくは14に従う方法により取得されるかもしくは取得可能である反応性T細胞。
【0099】
実施形態21:前記被験体が外見上は健康な被験体である、実施形態1~20のいずれか1つの主題。
実施形態22:前記被験体が癌に罹患している被験体である、実施形態1~21のいずれか1つの主題。
実施形態23:T細胞活性化抗原を提示する前記細胞が、癌細胞、好ましくは腫瘍細胞である、実施形態1~22のいずれか1つの主題。
【0100】
実施形態24:(I) 被験体のサンプル中のT細胞の複数のバイオマーカーの発現データを提供するステップ、
(II) ステップ(I)のバイオマーカーの発現に基づいて、該複数のT細胞のクラスタリングを提供するステップ;
(III) ステップ(II)のT細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;
(IV) T細胞活性化抗原を提示する細胞に対する、ステップ(III)のCDRを含むTCRを発現するT細胞の反応性を決定するステップ;
(V) そのTCRが、ステップ(IV)でT細胞活性化抗原を提示する細胞に対して反応性であることが決定されるT細胞とのさらなるT細胞クラスタリングのために、ステップ(III)および(IV)を少なくとも1回繰り返すステップであって、該さらなるT細胞のTCRがステップ(IV)のTCRと非同一である、ステップ;
(VI) T細胞活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞受容体を含むT細胞の最高割合を含むステップ(II)の少なくとも1つのクラスターを決定するステップ;ならびに
(VII) ステップ(VI)で決定されるクラスター中のT細胞の最高割合により発現される少なくとも1種のバイオマーカーを決定し、それにより、癌反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定するステップ
を含む、反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定する方法。
【0101】
実施形態25:前記T細胞が、CD8+T細胞またはCD4+T細胞であり、好ましくはCD8+T細胞である、先行実施形態のうちのいずれかの主題。
実施形態26:前記TCRが、TCRα鎖およびTCRβ鎖またはTCRγ鎖およびTCRδ鎖を含み、好ましくはそれらからなり、好ましくは、TCRα鎖およびTCRβ鎖を含み、より好ましくはそれらからなる、先行実施形態のうちのいずれかの主題。
【0102】
実施形態27:実施形態6~12のいずれか1つに従う方法に従って提供されるかまたは特定可能である活性化抗原に結合する少なくとも1つのTCR TCRをコードするポリヌクレオチド。
実施形態28:前記反応性T細胞が癌反応性T細胞である、先行実施形態のうちのいずれかの主題。
【0103】
実施形態29:ステップ(a)が、LAG3、GABARAPL1、CBLB、SLA、KLRD1、およびCLEC2Bからなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含み、好ましくは実施形態1および/または実施形態29のすべてのバイオマーカーを決定することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0104】
実施形態30:ステップ(a)が、CTSD、CD7、CD3D、LSP1、SNAP47、GAPDH、KLRK1、TNS3、VCAM1、KLRC2、PMAIP1、FYN、CTLA4、GSTP1、AREG、FAM3C、SH3BGRL3、CD3E、SRGAP3、SRGN、SIRPG、SCPEP1、RHOB、ANKRD28、LINC02446、RABAC1、IKZF3、BCAS4、CD2、BLOC1S1、RHOA、EID1、MYL6、CLIC1、IQGAP1、ARPC2、PHYKPL、PRDM1、EVL、TPI1、ADGRE5、PAXX、RGS2、HERPUD1、IFI27L2、SEPTIN7、UBB、JUN、CFLAR、LITAF、ANXA5、STAT3、RSRP1、PRDX5、SEM1、SER-PINB1、RNF19A、IL2RG、ENSA、SRP14、ATP6V0C、LY6E、BIN1、AKAP13、PDE4D、PELI1、PARK7、MSN、SERTAD1、RAC2、SELENOH、PSMB8、CKLF、KLRC1、RNASEK、MT2A、TXNIP、およびFOXP3からなるリストより選択される少なくとも1種のバイオマーカーの発現をさらに決定することを含む、実施形態1~3および29のいずれか1つの方法。
【0105】
実施形態31:ステップ(a)が、少なくともCCL3L1+CCL3;CCL3L1+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL3+KLRD1;CCL3L1+CCL3+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL3;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL3+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3 ;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CCL4L2+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CXCL13;CCL3L1+CCL4+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4+KLRD1;CCL3L1+CCL4+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+KLRD1;CCL3L1+CCL4L2+LAG3;CCL3L1+CCL4L2+LAG3+KLRD1;CCL3L1+CXCL13;CCL3L1+CXCL13+KLRD1;CCL3L1+CXCL13+LAG3;CCL3L1+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3L1+LAG3+KLRD1;CCL3+CXCL13;CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL3+CXCL13+LAG3;CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL3+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL3;CCL4+CCL3+CXCL13;CCL4+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL4+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL3+KLRD1;CCL4+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL4+CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CCL3+LAG3;CCL4+CCL4L2+CXCL13;CCL4+CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL4+CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+CCL4L2+KLRD1;CCL4+CCL4L2+LAG3+KLRD1;CCL4+CXCL13;CCL4+CXCL13+KLRD1;CCL4+CXCL13+LAG3;CCL4+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4+LAG3+KLRD1;CCL4L2+CCL3;CCL4L2+CCL3+CXCL13;CCL4L2+CCL3+CXCL13+KLRD1;CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3;CCL4L2+CCL3+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4L2+CCL3+KLRD1;CCL4L2+CCL3+LAG3+KLRD1;CCL4L2+CXCL13;CCL4L2+CXCL13+KLRD1;CCL4L2+CXCL13+LAG3;CCL4L2+CXCL13+LAG3+KLRD1;CCL4L2+LAG3+KLRD1;CXCL13+LAG3;CXCL13+LAG3+KLRD1;KLRD1;KLRD1+CCL3;KLRD1+CCL3L1;KLRD1+CCL4L2;KLRD1+CXCL13;KLRD1+LAG3;表1のすべてのバイオマーカー;表5のすべてのバイオマーカー;または表6のすべてのバイオマーカーの発現を決定することを含む、実施形態1~3および29~30のいずれか1つの方法。
【0106】
実施形態32:前記T細胞活性化抗原が癌抗原であり、かつ好ましくは前記サンプルが腫瘍サンプルである、実施形態1~3および29~31のいずれか1つの方法。
実施形態33:前記癌が、非脳原発腫瘍の脳転移であるか、肺癌であるか、または膠芽腫であり、好ましくは、非脳原発腫瘍の脳転移であるかまたは肺癌である、実施形態32の方法。
【0107】
実施形態34:(A) 実施形態1~3および29~33のいずれか1つの方法に従って反応性T細胞を特定するステップ、
(B) ステップ(A)で特定される反応性T細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;および、それにより、
(C) 細胞上に提示される活性化抗原に結合するTCRを特定するステップ
を含む、被験体の細胞、好ましくは癌細胞上に提示されるT細胞活性化抗原に結合するTCRを特定する方法。
【0108】
実施形態35:ステップ(a)の少なくとも1種のバイオマーカーの発現および/またはステップ(B)のアミノ酸配列をコードする核酸配列が、単一細胞配列決定により、好ましくは単一細胞RNA配列決定により決定される、実施形態1~3および29~34のいずれか1つの方法。
【0109】
実施形態36:さらなるステップ(B1) 宿主細胞、好ましくはT細胞で、ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含むTCRを発現させるステップを含む、実施形態34または35の方法。
【0110】
実施形態37:さらなるステップ(B2) 好ましくは四量体アッセイで、好ましくは主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化されたT細胞活性化抗原に対するステップ(B1)で発現されるTCRの結合性を決定するステップをさらに含む、実施形態36の方法。
【0111】
実施形態38:ステップ(B3) ステップ(B1)で発現されるTCRによる、T細胞活性化抗原を提示する細胞の認識を決定するステップをさらに含む、実施形態36または37の方法。
【0112】
実施形態39:ステップ(B4) ステップ(B)で決定される少なくともCDRを含む可溶性TCRを生成するステップならびに癌細胞および/または主要組織適合性複合体(MHC)、好ましくはMHCクラスI分子中に複合体化された癌抗原に対する該可溶性TCRの結合性を決定するステップをさらに含む、実施形態34~38のいずれか1つの方法。
【0113】
実施形態40:(i) 実施形態34~36のいずれか1つに従う方法に従って、T細胞活性化抗原を提示する細胞に結合するTCRを特定するステップ、
(ii) T細胞で、ステップ(I)のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)を含むTCRを発現させるステップ、および、それにより、
(iii) T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供するステップ
を含む、T細胞活性化抗原を提示する細胞、好ましくは癌細胞を認識するT細胞を提供する方法。
【0114】
実施形態41:医薬での使用のための、または被験体での癌の治療および/もしくは予防での使用のための、好ましくは配列番号1および/または配列番号2のアミノ酸配列を含むT細胞受容体を含む、実施形態1~3および29~33のいずれか1つに従う方法により特定され、かつ/または実施形態34~40のいずれか1つに従う方法により取得されるかもしくは取得可能である反応性T細胞。
【0115】
実施形態42:(I) 被験体のサンプル中のT細胞の複数のバイオマーカーの発現データを提供するステップ、
(II) ステップ(I)のバイオマーカーの発現に基づいて、該複数のT細胞のクラスタリングを提供するステップ;
(III) ステップ(II)のT細胞のTCRの少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を提供するステップ;
(IV) T細胞活性化抗原を提示する細胞に対する、ステップ(III)のCDRを含むTCRを発現するT細胞の反応性を決定するステップ;
(V) そのTCRが、ステップ(IV)でT細胞活性化抗原を提示する細胞に対して反応性であることが決定されるT細胞とのさらなるT細胞クラスタリングのために、ステップ(III)および(IV)を少なくとも1回繰り返すステップであって、該さらなるT細胞のTCRがステップ(IV)のTCRと非同一である、ステップ;
(VI) T細胞活性化抗原を提示する細胞を認識するT細胞受容体を含むT細胞の最高割合を含むステップ(II)の少なくとも1つのクラスターを決定するステップ;ならびに
(VII) ステップ(VI)で決定されるクラスター中のT細胞の最高割合により発現される少なくとも1種のバイオマーカーを決定し、それにより、癌反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定するステップ
を含む、反応性T細胞の少なくとも1種のバイオマーカーを特定する方法。
【0116】
実施形態43:前記T細胞が、CD8+T細胞またはCD4+T細胞であり、好ましくはCD8+T細胞である、実施形態1~3および29~42のいずれか1つの主題。
実施形態44:前記TCRが、TCRα鎖およびTCRβ鎖を含み、好ましくはそれらからなる、実施形態34~43のいずれか1つの主題。
【0117】
実施形態44:(a) 被験体のサンプル由来のT細胞でのKLRD1およびLAG3のうちの少なくとも1種の発現を決定するステップ;ならびに
(b) ステップ(a)の決定に基づいて反応性T細胞を特定するステップ
を含む、T細胞活性化抗原を提示する被験体の細胞に対して反応性であるT細胞(反応性T細胞)を特定する方法であって、
好ましくは、該T細胞活性化抗原は、癌抗原または自己免疫T細胞抗原であり、より好ましくは癌抗原である、上記方法。
実施形態45:実施形態1~43のいずれか1つの少なくとも1つの特徴をさらに含む、実施形態44の主題。
【0118】
本明細書中で引用されるすべての参考文献は、それらの開示内容全体および本明細書中で具体的に言及される開示内容に関して、参照により本明細書中に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
図1-1】(A)および(B)は、2名の患者に関するT細胞のUMAPクラスタリングの結果を別個に示す。(D)~(F)および図(G)~(J)は、それぞれ、患者1((D)~(F))および患者2((G)~(J))に関するクラスター化された細胞でのコア遺伝子CCL3、CCL3L1、CCL4およびCCL4L2の発現を示し、(K)は、患者2でのコア遺伝子CXCL13の発現を示す。
図1-2】図1-1の続き。
図1-3】図1-2の続き。
図1-4】図1-3の続き。
図1-5】図1-4の続き。
図1-6】図1-5の続き。
図2-1】患者1(A)および患者2(B)に関するコア遺伝子CCL3、CCL3L1、CCL4およびCCL4L2の発現に基づいて規定される癌反応性T細胞のクラスターを示し、(C)は、患者2でのコア遺伝子CXCL13の発現に基づいて規定される癌反応性T細胞のクラスターを示す。
図2-2】図2-1の続き。
図3-1】(A)は、患者1に関するトランスクリプトームクラスター(Y軸)中の選択されたTCRクローン(X軸)の分布を示す。(B)は、反応性クラスター中のTCR割合に基づくTCRのクラスタリングを示し、(C)は、FACSベースのアッセイに基づくTCR試験結果を示す。
図3-2】図3-1の続き。
図4-1】(A)は、患者2に関するトランスクリプトームクラスター(Y軸)中の選択されたTCRクローン(X軸)の分布を示す。(B)は、反応性クラスター中のTCR割合に基づくTCRのクラスタリングを示し、(C)は、NFATレポーターアッセイに基づくTCR試験結果を示す:ペプチドをロードされた自家PBMCとのTCRトランスジェニックJurkat細胞の共培養は、TCR4が、腫瘍により発現されるIDH1.R132H突然変異体エピトープを認識することを確認する。データは、平均+3回の技術的複製のSDとして描写される。3回の独立した実験の代表。CD3+CD28刺激は、T細胞の最大の考えられる活性化を表わす。MOGは、アッセイ中でいずれのTCRにも結合しない陰性対照ペプチドである。
図4-2】図4-1の続き。
図5A】プロセスの概要;患者T細胞を腫瘍材料から単離し、それらのトランスクリプトームおよびVDJ配列を決定し;分類子を用いて、「反応性シグネチャー」を有するT細胞を、任意により、UMAP上で多数のマーカーを用いて特定する。
図5B図1B:in vitro試験結果の例。
図6-1】(A)患者3(非原発脳転移)の試験データ;黒色点は反応性T細胞を示し、明灰色点は未試験T細胞を示し、かつ暗灰色点は非反応性であると試験されたT細胞を示し;実線多角形は反応性T細胞クラスターと試験された領域を示し、点線多角形は非反応性T細胞クラスターと試験された比較領域を示す;(B)~(E) 5種類のコア遺伝子(B)、7種類の代替的コア遺伝子(C)、コアおよびアクセサリー遺伝子(D)、シグネチャー2の遺伝子(E)を用いる反応性TCRの予測;(F)および(G)は、それぞれ、Lowery et(2022)(F)および国際公開第2021/188954号A1(G)で特定されたバイオマーカーを用いる比較例である;(H)~(L):患者3に関するコア遺伝子(H) CCL3L1、(I) CCL3、(J) CCL4、(K) CCL4L2、および(L) CXCL13の発現。
図6-2】図6-1の続き。
図6-3】図6-2の続き。
図6-4】図6-3の続き。
図6-5】図6-4の続き。
図6-6】図6-5の続き。
図7-1】(A) 患者2(神経膠腫)の試験データ;黒色点は反応性T細胞を示し、明灰色点は未試験T細胞を示し、かつ暗灰色点は非反応性であると試験されたT細胞を示す;(B)~(E) 5種類のコア遺伝子(B)、7種類の代替的コア遺伝子(C)、コアおよびアクセサリー遺伝子(D)、ならびにシグネチャー2の遺伝子(E)を用いる反応性TCRの予測;(F)および(G)は、それぞれ、Lowery et(2022)(F)および国際公開第2021/188954号A1(G)で特定されたバイオマーカーを用いる比較例である。
図7-2】図7-1の続き。
図7-3】図7-2の続き。
図7-4】図7-3の続き。
図8-1】(A) 肺癌に対して反応性であるT細胞に関する外部データ;黒色点は反応性T細胞を示し、明灰色点は未試験T細胞を示す;(B)~(E)および(H) 5種類のコア遺伝子(B)、7種類の代替的コア遺伝子(C)、コアおよびアクセサリー遺伝子(D)、シグネチャー2の遺伝子(E)、ならびにCCL3L1単独(H)を用いる反応性TCRの予測;(F)および(G)は、それぞれ、Lowery et(2022)(F)および国際公開第2021/188954号A1(G)で特定されたバイオマーカーを用いる比較例である。
図8-2】図8-1の続き。
図8-3】図8-2の続き。
図8-4】図8-3の続き。
【発明を実施するための形態】
【0120】
以下の実施例は、単に本発明を例示するであろう。実施例は、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定すると解釈されるものではない。
【実施例
【0121】
実施例1:単一細胞ライブラリー調製
腫瘍の単一細胞懸濁物を、T細胞を富化するためにCD45+CD3+集団に関してFACSソーティングした。ソーティングされたT細胞の単一細胞ライブラリー構築を、製造業者のプロトコールに従って、Chromium単一細胞免疫プロファイリングキット(10X Chromium)を用いて行なった。続いて、構築されたscVDJおよびscRNAライブラリーを、それぞれ、Hiseq2500 Rapid/Nextseq550およびHiseq4000(Illumina社)上で配列決定した。
【0122】
実施例2:単一細胞RNA解析
配列決定生データを、遺伝子発現マトリックスを生成するために、デフォルト設定によって対応するGRCh38ゲノムアセンブリを用いてcellrangerパイプライン(v3.1.0)により処理した。マトリックスをRに取り込み、Seuratパッケージを用いて解析した。品質管理のために、UMI、遺伝子数およびミトコンドリア遺伝子発現のパーセンテージに基づいて、外れ値を除外した。続いて、遺伝子発現を変換および標準化し、その後、VDJ遺伝子を可変遺伝子から除外した。主成分分析に基づいて高度可変遺伝子を選択し、成分の数を、エルボープロットでの変曲点に基づいて選択した。続いて、教師なしのグラフに基づくクラスタリング法を用いて細胞をクラスター化し、可視化のためのUMAPをプロットした。MASTを用いて差次的遺伝子発現解析を行ない、アップレギュレーションされた遺伝子を、各クラスターを規定するために用いた。
【0123】
scVDJデータを、デフォルト設定によるcellrangerパイプラインを用いて同様に処理した。続いて、T細胞受容体データを遺伝子発現データ上にマッピングし、個別のTCRクローンの分布をトランスクリプトーム的に決定した。K-平均クラスタリングを行ない、トランスクリプトームクラスター中のその分布に基づいてTCRをクラスタリングした。
【0124】
実施例3:クローニング
TCRをクローニングするために、TCRの可変領域の合成αおよびβVDJ断片を、Twist Biosciences社から取得した。TCR可変断片を、S/MAR配列保持発現ベクター(pSMARTer)へと挿入し、このベクターは、単一ステップBsa-I媒介Golden Gate反応を用いて、真核細胞でのベクターの染色体外複製を可能にする。ネズミαおよびβ定常TCR領域ならびにTCRの別個のαおよびβポリペプチド鎖の生成を促進するためのp2a自己切断性ペプチドリンカーを保有するように、発現ベクターを設計した。その後、ベクターをNEB5αコンピテント大腸菌(NEB社)へと形質転換し;コロニーを抗生物質耐性により導入遺伝子に関してスクリーニングし;エンドトキシン不含プラスミドを、トランスフェクションのためにNucleoBond Extra Maxi EFキット(Macherey-Nagel社)を用いて調製した。
【0125】
実施例4:NFATアッセイ
クローニングされたTCR発現ベクターおよびnanoルシフェラーゼに基づくNFATレポーターベクター(pDONR、4×NFAT応答エレメントを含む)を、エレクトロポレーション(Neonトランスフェクションシステム、ThermoFisher Scientific社)を用いて、JurkatΔ76細胞へとトランスフェクションした。簡潔には、2×106細胞を、Neon 100μLチップ(8μg TCR発現ベクター+5μg NFATレポーターベクター)を用いるエレクトロポレーション毎に用いた。細胞を回収し、製造業者のプロトコールに基づいて洗浄し、続いて、1325V、10ms、3パルスを用いてエレクトロポレーションし、10%FCSを含有する抗生物質不含RPMI1640培地へと移した。患者自家PBMCを抗原提示細胞(APC)として用い、50U/mLベンゾナーゼ(Sigma-Aldrich社)を含有するX-VIVO 15培地(Lonza社)中での共培養の24時間前に解凍し、6~8時間静置し、続いて、1.5×105細胞/ウェルで96ウェル乳白色組織培養処理済みプレート(Falcon社)へと播種した。細胞に、16時間にわたって、150μLの合計体積中10μg/mLの最終濃度でペプチドをロードした。利用したペプチドは、等濃度でのヒトIDH1R132Hペプチド(p123-142)、MOG(p35-55)および陰性対照としての等体積のPBS+10%DMSO(ビヒクル)であった。エレクトロポレーションの48時間後、TCRトランスジェニックJurkatΔ76細胞を回収し、1:1比率で6時間、ペプチドをロードしたPBMCと共に共培養した。ヒトT細胞TransActビーズ(Miltenyi社)を、陽性対照として用いた。インフルエンザHAに対する公知のTCR(p307-319)を、アッセイ参照として用いた。TCR活性化を示すnanoルシフェラーゼ誘導を、製造業者のプロトコールに従ってNano-Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社)を用いてアッセイし、シグナルをPHERAstar FSプレートリーダー(BMG Labtech社)上で検出した。
【0126】
実施例5:FACSに基づくアッセイ
PCRによるT7プロモーターの付加を伴って、上記の通りにクローニングを行なった。続いて、DNA Clean & Concentrator-5(Zymo Research社)を用いてPCR産物を精製し、製造業者のプロトコールに従ってCellscriptキットを用いるin vitro転写のための鋳型として用いた。RNAの濃度および完全性を、それぞれ、NanodropおよびBioanalyzerにより評価した。続いて、RNAを、Lonza 4D nucleofactorデバイスを用いて、拡大増殖した自家PBMCへとエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後、細胞を室温で10分間インキュベートし、その後、1mLの培地(TexMACS+2%AB)を含む48ウェルプレートへとプレーティングし、一晩静置した。インキュベーションに先立って、150k個の細胞を、対照として用いるためにCD3、CD4、CD8a、mTCRβによって染色した。続いて、エレクトロポレーションされた細胞の残りを、1時間後のGolgistopおよびGolgiplugの添加を伴って、標的細胞(腫瘍細胞株/患者由来異種移植片)と共に5時間共インキュベーションした。共インキュベーション後、死滅細胞バイオマーカー、CD3、CD4、CD8a、mTCRβ、TNFα、およびIFNγについて細胞を染色し、続いて、FACSLyric(BD Biosciences社)を用いて測定した。FlowJoを用いて解析を行なった。図6Bの基礎となる例示的解析では、死滅細胞バイオマーカー、CD3、CD4、CD8a、mTCRβ、TNFα、およびCD107aについて細胞を染色し、続いて、FACSLyricを用いて測定した。
【0127】
実施例6:結果-1
6.1 遺伝子発現に基づくT細胞のクラスタリング
単一細胞RNA-seqデータセットを標準化し、変換し、グラフに基づく教師なしクラスタリングを用いてクラスター化した。2名の選択された患者のデータをここで示す。15クラスターおよび16クラスターが、それぞれ、患者1(図1A)および患者2(図1B)から特定された。
【0128】
6.2 シグネチャー遺伝子の発現
MASTを用いて差次的遺伝子発現を行ない、各クラスターに関するアップレギュレーションされた遺伝子発現を見出した。複数の患者で、本発明者らは、シグネチャー遺伝子CCL3、CCL3L1、CCL4およびCCL4L2を発現したクラスターを特定した。図1D~1Fおよび図1G~1Jは、2名の選択された患者のシグネチャー遺伝子の発現を示す。別のシグネチャー遺伝子CXCL13発現もまた、選択された患者で示される(図1K)。
【0129】
6.3 シグネチャー遺伝子に基づく反応性クラスターの規定
シグネチャー遺伝子CCL3、CCL3L1、CCL4およびCCL4L2の発現に基づいて、反応性クラスターを規定した(図2Aおよび2B)。シグネチャー遺伝子CXCL13の発現に基づいて規定された反応性クラスターを、図2Cに描写した。
【0130】
6.4 CCL3/CCL3L1/CCL4/CCL4L2シグネチャー
図3Aは、患者1での上位13種類の最高頻度TCRクローン型を描写する。以前に記載される通りに、シグネチャー遺伝子を発現したクラスター4は、シグネチャークラスターとして規定された。分布から、本発明者らは、TCR1、TCR12およびTCR13が、シグネチャークラスター中でT細胞の比較的高い分布を有することを明らかに見て取ることができる。
【0131】
図3Bは、シグネチャークラスター中のT細胞の割合に基づくk-平均クラスタリング結果を示す。3つのクラスターが、このクラスタリング結果に基づいて見出された。シグネチャークラスター中のT細胞の高い割合を有するクラスターは反応性であるはずであり、T細胞の中等度の割合を有するクラスターは反応性である可能性が高いはずであり、かつシグネチャークラスター中のT細胞の最低割合を有するクラスターは非反応性であるはずである。つまり、TCR1は反応性であることが予測され、TCR12およびTCR13は反応性である可能性が高いことが予測され、他のTCRは非反応性である。続いて、TCRを、これらのTCRの腫瘍反応性を試験し、かつシグネチャー遺伝子に基づくTCR予測を補強するためにクローニングした。
【0132】
図3Cは、FACSに基づくTCR試験の結果を示す。シグネチャー遺伝子により予測される通り、TCR1、TCR13のみおよびおそらくはTCR12が、対応する患者の腫瘍細胞との共培養に際してIFNγを分泌し、したがって、TCR1およびTCR13が実際に癌細胞に対して反応性であり、TCR12はおそらくは反応性であることを示す。
【0133】
6.5 CXCL13シグネチャー
図4Aは、患者2での上位5種類の最高頻度CD4 TCRを図示する。分布から、TCR4が、シグネチャークラスターでの比較的高い分布を有する唯一のTCRであったことが明らかである。さらなるk-平均クラスタリング(図4B)はまた、このシグネチャークラスター中でのT細胞割合に基づいて2つのクラスターがあったことも見出した。続いて、TCR4のみからなる比較的高い割合を有するクラスターを、反応性であると予測した。次に、このTCRをクローニングし、NFATアッセイを用いて試験した。遺伝子シグネチャーにより腫瘍反応性であると予測されたTCR4は、ペプチドをロードされたPBMCとの共培養時に、実際に反応性である(図4C)。このTCR4に対する正確な配列は、配列番号1および2に示される通りである。
【0134】
実施例7:シグネチャーに基づく反応性TCRの予測
単一細胞分析からのSeuratオブジェクトを、R中のMonocleパッケージから、「cell_data_set」オブジェクトへと変換した。続いて、分類子を、シグネチャー遺伝子を用いてR中のGarnettパッケージを使用して訓練した。次に、分類子により特定された反応性T細胞を、UMAPへとマッピングして、反応性クラスターを特定した。続いて、R中のcaretパッケージを用いて、Fスコア(precisionおよびrecallの組み合わせ)を算出した。
【0135】
実施例8:結果-2
8.1 脳転移患者での反応性TCRの予測
本発明者らが患者1および患者2で以前に特定したシグネチャー遺伝子を用いて、本発明者らは、別個の患者(患者3)で予測力を補強した。浸潤性CD8+T細胞(TIL)を、患者3の脳転移切除から抽出し、以前に記載された通りに(実施例1)配列決定のためのscRNAおよびscVDJライブラリーを生成するために加工した。得られたデータを処理し、次元削減の一種であるUMAPプロットを用いて2次元で可視化し(図6A)、このプロットでは、類似細胞が非類似細胞よりも近接して一緒にクラスター化される。プロット上の各点が1つの細胞を表わし、各細胞の遺伝子発現プロフィールおよびTCRが既知であった。患者1および患者2からの結果を補強して、コア遺伝子は、特異的領域内で同時発現される(図6H~L)。
【0136】
TILからクローニングされた多数のTCRクローン型を、FACSに基づくアッセイ(上記実施例5に記載される通り)を用いて、腫瘍に対する反応性に関して試験した。続いて、この反応性情報を、UMAPプロット上に重ね合わせることができ;腫瘍反応性TCRクローン型を発現するTILがUMAPプロット上の実線により囲まれた領域内に主にクラスター化されることが明らかである(図6A)。
【0137】
本発明者らは、所与のT細胞クローン型が腫瘍反応性であるか否かを予測するために最も重要な主要遺伝子である、本発明者らのTCR反応性「シグネチャー」の解明に着手した(実施例1)。シグネチャーの品質は、シグネチャーフォール(signature fall)により特定されるどれ程多くの細胞が腫瘍に対して反応性であることが既知であるTCRを発現するかを決定することにより、コンピュータ上で見積もることができる(UMAPプロットでの予測を用いて既知の腫瘍反応性TCRの位置を比較することにより、図形的に見積もることができる)。
【0138】
本発明者らは、5種類のコア遺伝子シグネチャー(図6B)、7種類の代替的コア遺伝子シグネチャー(図6C)、コアおよびアクセサリー遺伝子シグネチャー(図6D)ならびにシグネチャー2遺伝子シグネチャー(図6E)に基づく反応性予測を用いて、UMAPプロット上にどれほど異なるシグネチャーをマッピングできるかを例示する。シグネチャー遺伝子予測の堅牢性を示すために、予測された非反応性TCRクローン型もまたクローニングされ、真正の非反応性TCRクローン型を表わすことが確認された。
【0139】
Lowery et. al.は、それぞれがCD4またはCD8発現T細胞に対して特異的である、反応性T細胞に関する2つのシグネチャーを報告している(Science(2022、比較例A)および国際公開第2021/188954号A1(比較例B))。これらのシグネチャーの性能は、本明細書中に開示されるシグネチャー(表7)に対する基準となり、本明細書中に開示される新規シグネチャーは、顕著により良好な性能を有することが示された(すなわち、より高いFスコア、すなわち、腫瘍反応性TCRを発現する細胞の予測でのより高いprecisionおよびrecallを有する)。
【0140】
8.2 神経膠腫患者での反応性TCRの予測
浸潤性T細胞(TIL)を、IDH1.R132H突然変異体腫瘍を有する原発神経膠腫患者由来の偽性進行(pseudoprogression)サンプルから抽出し、単一細胞ライブラリーを作製し、以前に記載された通りに試験した。これらのTCRを、CD4+T細胞から誘導した。
【0141】
本発明者らは、CD4+細胞に関して特異的にLowery et. al.により開発された遺伝子シグネチャー(図7F、7G)が、腫瘍反応性T細胞の予測ではシグネチャー2遺伝子シグネチャーよりも良好な性能を示さなかったことを見出した。加えて、本発明者らは、CD8Bを発現する細胞に本発明者らの解析を限定することにより、本発明者らの遺伝子シグネチャーがLowery et. al.により報告されたシグネチャーよりもはるかに良好な性能を示したことを見出した(図7B~E、表9)。このことは、異なる腫瘍モダリティにわたる腫瘍反応性に関して、ならびにCD4+細胞およびCD8+細胞の両方に関して、本発明者らの遺伝子シグネチャーの広い適用可能性を示す。
【0142】
8.3 肺癌患者での反応性TCRの予測
抗腫瘍反応性のシグネチャーを、実験的に確認された腫瘍反応性TCRである、Caushi et. al.(2021)により公開された肺癌データセットを用いてさらに検証し;本発明者らは、腫瘍反応性クローン型を発現するTILを示すために、対応するUMAP上にこのデータをマッピングした(図8A)。脳転移で以前に示された通り、本発明者らのシグネチャーは、脳癌サンプルに対して訓練されたにもかかわらず、Lowery et. al.により開発されたシグネチャーよりも一貫して良好な性能を示した(図8B~8G、表8)。
【0143】
9. 実施例中で用いられる遺伝子リスト(シグネチャー)
9.1 「5種類のコア遺伝子」(「コア」):
CCL3L1、CCL4、CCL4L2、CCL3、およびCXCL13。
9.2 「7種類の代替的コア遺伝子」(「コア2」):
CCL3L1、LAG3、GABARAPL1、CBLB、SLA、KLRD1、およびCLEC2B。
9.3 本発明の他のシグネチャー:
それぞれ、以下の表1~10のすべてのバイオマーカーを参照されたい。
【0144】
9.4 比較シグネチャー:
Lowery et. al.(2022)で用いられた遺伝子(CD8):
ATP10D、GZMB、ENTPD1、KIR2DL4、LAYN、HTRA1、CD70、CXCR6、HMOX1、ADGRG1、LRRN3、ACP5、CTSW、GALNT2、LINC01480、CARS、LAG3、TOX、PTPRCAP、ASB2、ITGB7、PTMS、CD8A、GPR68、NSMCE1、ABI3、SLC1A4、PLEKHF1、CD8B、LINC01871、CCL4、NKG7、CLIC3、NDFIP2、PLPP1、PCED1B、CXCL13、PDCD1、PRF1、HLA-DMA、GPR25、CD9、TIGIT、HLA-DRB5、SYTL3、SLF1、NEK1、CASP1、SMC4、TSEN54、PLSCR1、GNPTAB、HLA-DPB1、PLEKHA1、ARHGAP9、ALOX5AP、SH3BP1、NCF4、NELL2、GATA3、PPM1M、TNFRSF1A、AC022706.1、MCM5、HLA-DRB1、TNFSF10、TRIM21、HDLBP、ERN1、CALHM2、SASH3、ACTA2、MAST4、CAPG、MPST、IGFLR1、GZMA、CD27、ITGAE、SLA2、RHOC、COMMD8、MYO1G、SP140、PHPT1、CD2BP2、PLEKHO1、STAM、MRPL16、IL2RB、ID2、TESPA1、GOLGA8B、MIS18BP1、VAMP5、DAPK2、HLA-DPA1、TSG101、IL4R、CCND2、CTSC、TRAF3IP3、NLRC3、ORAI3、GNLY、MIR155HG、CARD16、CD82、ECH1、JAML、EEF1G、ETFB、DAXX、RBM4、HCST、RAB27A、YPEL2、CHST12、ARPC1B、PDIA4、PDIA6、AC243960.1、TBC1D10C、PTPN6、PYCARD、BST2、BTN3A2、MTG1、MLEC、DUSP4、GSDMD、SLAMF1、IFI6、PCID2、GIMAP1、ITGA1、CSNK2B、CDK2AP2、MYO1F、AC004687.1、PTTG1、APOBEC3C、TSPAN14、MOB3A、STXBP2、LCP2、PLA2G16、LINC00649、CST7、TADA3、SIT1、APOBEC3G、SUSD3、CD3G、CCL5、CDC25B、TNFRSF1B、HMGN3、THEMIS、ASF1A、CTNNB1、FIBP、CCDC85B、POLR3GL、GIMAP6、ARL6IP1、CALCOCO2、CCPG1、KLRB1、ACAA2、ISG15、EIF4A1、CAT、MANF、XAB2、GRINA、GLO1、LSM2、SLFN5、FKBP1A、AKNA、TAP1、LMO4、APEH、C12orf75、TMEM14A、DNPH1、C17orf49、NUDT5、MGAT1、CCDC69、EIF4EBP1、PDHB、ARL3、UCP2、IFI35、HSBP1、LYST、MRFAP1L1、ITGAL、AIP、RASAL3、CAPN1、ITGB1、RBPJ、LBH、DYNLL1、NME2、MT1F、SYNGR2、ABTB1、ZGPAT、CD63、ILK、SKA2、TMEM204、ACO2、HOPX、CRIP1、OXNAD1、CCS、GRAP2、GSTO1、HADHB、IL16、PIN4、CUEDC2、CALM3、SAMSN1、HM13、SNAP23、LPCAT4、FAAP20、EFHD2、PRDX3、CCM2、C22orf39、SDHA、ARRDC1、MAP4K1、NDUFA13、IL27RA、およびC14orf119。これらの遺伝子は、実施例8.1および8.3に対して用いられた。
【0145】
Lowery et. al.(2022)で用いられた遺伝子(CD4):
CXCL13、HMOX1、ETV7、ADGRG1、PDCD1、ENTPD1、CCDC50、TOX、CD4、TIGIT、TNFRSF18、NMB、MYL6B、AHI1、MAF、IFNG、LAG3、CXCR6、IGFLR1、DUSP4、ACP5、LINC01943、LIMS1、BATF、PCED1B、ITGAL、YPEL2、MAL、PPT1、ELMO1、MIS18BP1、TMEM173、ADI1、SLA、GALM、LBH、SECISBP2L、CTSB、C17orf49、CORO1B、CARHSP1、SRPK2、ARL3、PTMS、CD82、HNRNPLL、CTSC、LINC01871、CCDC167、SMC3、PPM1G、ORMDL3、VPS25、BST2、TRAF3IP3、NAP1L4、HLA-DPA1、PIM2、SH2D1A、RILPL2、およびCCNDBP1。これらの遺伝子は、実施例8.2に対して用いられた。
【0146】
国際公開第2021/188954号A1で用いられた遺伝子(CD8):
AFAP11L2、ASB2、CXCL13、HMOX1、ITM2A、KLRB1、PDLIM4、TIGIT、AFAP11L2、ALOX5AP、ARHGAP9、ASB2、CARD16、CD3G、CD8A、CD8B、CLIC3、CTSW、CXCL13、CXCR6、GALNT2、GZMB、HLA-PDA1、HLA-DPB1、HLA-DRB1、HLA-DRB5、HMGN3、HMOX1、ITGAE、ITM2A、KLRB1、MPST、NAP1L4、NELL2、NSMCE1、PDLIM4、PTMS、RAB27A、RARRES3、RBPJ、TIGIT、CD39、CD74、CD103、CD106、CD137、HLA-DR、TIGIT、ABI3、AC243960.1、ACP5、ADGRG1、AHI1、ASB2、BST2、CARS、CCL4、CD27、CD2BP2、CD82、CTSW、CXCL13、CXCR6、DUSP4、ENTPD1、GALNT2、GATA3、GPR25、GZMB、HDLBP、HLA-DPA1、HLA-DRB1、HMOX1、ID2、IGFLR1、LINC01871、LINC01943、MIS18BP1、MPST、NCF4、NSMCE1、PCED1B、PDCD1、PHPT1、PLEKHF1、PRF1、PTMS、SLC1A4、SLF1、SMC4、SUPT3H、TIGIT、TNFRSF18、TOX、TRAF3IP3、YPEL2、AC243829.4、ACP5、APOBEC3C、APOBEC3G、CCL3、CCL4、CCL4L2、CCL5、CD27、CD8A、CD8B、CST7、CTSW、CXCL13、DUSP4、ENTPD1、FABP5、GALNT2、GNLY、GZMA、GZMB、GZMH、GZMK、HAVCR2、HCST、HLA-DMA、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DRB5、HMOX1、IFNG、IGFLR1、ITGAL、JAML、LINC01871、LYST、MIR155HG、NKG7、PLEKHF1、PRF1、PTMS、RGS1、SLF1、SMC4、SUPT3H、TIGIT、TOX、AHI1、CXCL13、FABP5、NAP1L4、ORMDL3、PPP1R116B、SH2D1A、TIGIT、TOX、TIGIT、CD39、PD-1、LTB、LYAR、RGCC、S100A10、CD39、CD74、CD103、CD106、CD137、HLA-DR、TIGIT、CCR7、CD8A、CD16、CD45RA、CD62L、およびIL7R。これらの遺伝子は、実施例8.1および8.3に対して用いられた。
【0147】
国際公開第2021/188954号A1で用いられた遺伝子(CD4):
AFAP11L2、ASB2、CXCL13、HMOX1、ITM2A、KLRB1、PDLIM4、TIGIT、BATF、CD247、DNPH1、DUSP4、GYPC、IFITM1、IGFLR1、LIMS1、NMB、NR3C1、SH2D1A、SPOCK2、SUPT3H、TNFRSF18、ADI1、AHI1、AR1D5B、CMTM7、CPM、CYTH1、ELMO1、ETV7、FABP5、FBLN7、FKBP5、GRAMD1A、HIF1A、IL6ST、ITGA4、ITK、JAK3、LEF1、MAF、MAL、MIR4435-2HG、MYL6B、NAP1L4、PASK、PGM2L1、PIM2、PPP1CC、SESN3、SOCS1、STAT1、SYNE2、TBC1D4、TLK1、TMEM123、TMEM70、TNIK、TOX、TSHZ2、UCP2、VOPP1、YPEL2、ABI3、AC243960.1、ACP5、ADGRG1、BST2、CARS、CCL4、CD27、CD2BP2、CD82、CTSW、CXCR6、ENTPD1、GALNT2、GATA3、GPR25、GZMB、HDLBP、HLA-DPA1、HLA-DRB1、ID2、LINC01871、LINC01943、MIS18BP1、MPST、NCF4、NSMCE1、PCED1B、PDCD1、PHPT1、PLEKHF1、PRF1、PTMS、SLC1A4、SLF1、SMC4、TRAF3IP3、ORMDL3、PPP1R116B、CD39、PD-1、LTB、LYAR、RGCC、S100A10、CCL5、CD52、GSTSP1、JUN、LGALS1、PLP2、VIM、およびZFP36。これらの遺伝子は、実施例8.2に対して用いられた。
【0148】
引用される参考文献:
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【表3】
【0152】
【表4】
【0153】
【表5】
【0154】
【表6】
【0155】
【表7】
【0156】
【表8】
【0157】
【表9】
【0158】
【表10】
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5A
図5B
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
【配列表】
2024512036000001.app
【国際調査報告】