(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】消火装置およびその操作方法
(51)【国際特許分類】
A62C 31/03 20060101AFI20240311BHJP
B05B 1/34 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A62C31/03
B05B1/34
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023558707
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022056915
(87)【国際公開番号】W WO2022200153
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107241.7
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523362663
【氏名又は名称】プッツ・イノヴァ・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZ INNOVA GMBH
【住所又は居所原語表記】RAMSAU 3, 4822 BAD GOISERN, AUSTRIA
(71)【出願人】
【識別番号】523362674
【氏名又は名称】トラクスル,ルーカス
【氏名又は名称原語表記】TRAXL,LUKAS
【住所又は居所原語表記】LAHNSTRASSE 67, 4802 EBENSEE, AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】トラクスル,ルーカス
【テーマコード(参考)】
2E189
4F033
【Fターム(参考)】
2E189KB01
2E189KB04
4F033AA12
4F033BA04
4F033CA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033JA02
4F033NA01
(57)【要約】
本発明は、サポートチューブ(2)と、前記サポートチューブ(2)上で軸方向に移動可能であるケーシングチューブ(6)とを有する消火装置であって、分流器アセンブリ(27)が前記サポートチューブ(2)に設けられ、および分流器コーン(46)を備え、前記分流器アセンブリ(27)は、外向きの環状のオリフィス(45)を形成し、前記ケーシングチューブ(6)は、前記サポートチューブ(2)から前記分流器アセンブリ(27)に入る流体のフローが環状フローに分割されて前記オリフィス(45)の外側に向けられるように前記オリフィスを開閉するために、前縁(53、56、57)とともに前記オリフィス(45)上を移動可能である消火装置、および消火装置によって消火する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートチューブ(2)と、消火ジェットを開閉しおよび調節するための、前記サポートチューブ(2)上で軸方向に移動可能である単一のケーシングチューブ(6)とを有する消火装置であって、ハウジング(26)および分流器コーン(46)を備える分流器アセンブリ(27)が前記サポートチューブ(2)に設けられ、前記分流器アセンブリ(27)は、前記ハウジング(26)と前記分流器コーン(46)との間に、外向きの環状のオリフィス(45)を形成し、前記ケーシングチューブ(6)の前縁(53、56、57)は、前記サポートチューブ(2)から前記分流器アセンブリ(27)に入る流体のフローが、環状フローに分割されて、前記オリフィス(45)の外側に向けられるように前記オリフィスを開閉するために、前記オリフィス(45)上で移動可能である、消火装置。
【請求項2】
すべての流体導通構成要素(2、27)が、同軸円筒形状の断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
前記分流器コーン(45)は、前方から前記流体の流路内に軸方向に突出している先端(50)から放射状に広がるコーン壁(48)を有し、前記分流器コーン(46)は、案内翼(47)によって管状壁(41)に堅固に接続され、前記コーン壁(48)および前記管状壁(41)は、前記流路を画定し、前記案内翼(47)の領域内において、前記流路はさらに複数の流路(51)に分割されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の消火装置。
【請求項4】
前記分流器アセンブリ(27)の前記ハウジング(26)の壁(41)は、流路をノズル状に狭め、最大先細(42)、または狭小部の領域の後で、直径が再び増加して、前記オリフィス(45)の周囲を画定する漏斗状壁部(43)を形成することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項5】
前記分流器コーン(46)は、壁(43)によって画定されている前記ハウジング(26)の漏斗状領域または漏斗状オリフィス内に軸方向に突出し、および壁(41)によって画定された空間内に突出し、前記分流器コーン(46)は、先端(50)が前記壁(41)の最大先細(42)または狭小部の領域を越えて延在し、および前記ハウジング(26)の管状の内部まで及んでいることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項6】
前記周囲環状オリフィス(45)は、軸方向後方の領域内の前記ハウジング(26)の壁(43)により、および軸方向前方の領域内の前記分流器コーン(46)の壁(48)によって画定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項7】
その前縁において、前記ケーシングチューブ(6)は、前記ケーシングチューブの外周縁(53)から内周縁(57)まで内側および軸方向後方に延在する傾斜壁(56)の形態の円錐状密封面を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項8】
前記分流器アセンブリ(27)は、前記分流器コーン(46)の最大径方向サイズの領域(49)から周囲の円筒形状ステップ(58)まで延在する傾斜壁部(55)の形態の前記分流器コーン(46)上の対応する円錐状密封面と、同じ方向に延在する壁(56、55)とを有していることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項9】
同じ方向に延在している壁(55、56)は、勢いの変化を作り出せるように、前記オリフィス(45)を画定する壁(48、43)とは異なり、特に前記壁(48、43)よりも大きく傾斜されている傾斜角度を有することを特徴とする、請求項8に記載の消火装置。
【請求項10】
前記ケーシングチューブ(6)は、前記消火装置(1)の後端(4)と反対側の前端(16)に向かって直径方向または軸方向に広がるように具体化され、その結果生じる拡大領域(19)内に、周方向径方向連続スロット(18)が設けられ、前記拡大領域(19)の内部の拡大は、湾曲部(64)を形成し、前記分流器コーン(46)の壁(48)は、最大拡大の領域(49)まで放射状に広がって、凸曲面状に分岐し、前記湾曲部(64)および最大拡大(49)と壁(48)の前縁(23)との間の領域は、前記消火装置(1)の中空ジェットの位置において中空ジェット流路(25)を一緒に画定することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項11】
支柱(20)が前記スロット(18)に跨っている前記拡大領域(19)の前方部が前記ケーシングチューブ(6)上に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の消火装置。
【請求項12】
前記分流器コーン(46)の前記最大拡大の領域(49)は、前記オリフィス(45)を閉じるため、前記領域(49)を前記ケーシングチューブ(6)が横切ることができるように、具体的には、縁部(57)が横切ることができるように、直径に関して壁(36)と同一平面で終端し、同じ直径から成ることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の消火装置。
【請求項13】
壁部(61)は、パーティション20によって前記ケーシングチューブ(6)の円錐状に延びる傾斜壁(56)から離間されて配置され、前記壁部(61)は、径方向に延びてわずかに湾曲し、周方向壁部(62)は、内部で前記壁(61)から延び、前記拡大領域(19)は、領域(14、19)または前記壁(62)が、前記領域(49)において前記壁(48)に当たってフィットし、軸方向に移動可能な方法で滑動できるように、前記最大拡大の前記領域(49)の外周に対応する内周を有することを特徴とする、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項14】
前記壁(61)から離間されている内周縁(63)から、前記湾曲部(64)を有する前方部(19)は、前方向に向かって広がった後、周縁(34)まで狭小化し、前記湾曲部(64)の進路は、前記壁(48)の進路に本質的に沿い、その結果として、前記内周縁(63)と前記前方周縁(34)との間に位置する前記壁部、特に前記湾曲部(64)は、中空ジェット流路(25)の外壁を構成することを特徴とする、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項15】
前記ケーシングチューブ(6)の最も遠い後退位置において、前記中空ジェット流路(25)は、前記縁部(63)と、前記壁(48)の前記縁部(37)が互いに同一平面で終端することにより形成され、その結果として、前記湾曲部(64)および前記壁(48)によって形成される前記オリフィス(45)を前記分流器コーンによって広げ、前記流路を軸方向に環状に偏向させることを特徴とする、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項16】
前記中空ジェット位置は、ユーザの追加的な操作によって克服しなければならないバリアによってブロックされることを特徴とする、請求項10から請求項16のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項17】
消火剤搬送ホースに結合するための接続部(5)が、前記消火装置の後端(4)に設けられることを特徴とする、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項18】
前端(16)において、前記消火装置(1)は、前記分流器アセンブリ(27)内に配置された照明装置(22)を有することを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項19】
前記消火装置(1)の前記外向きの環状のオリフィス(45)の開閉、および前記消火ジェットの調節は、サポートチューブ(2)上で軸方向に移動可能な単一のケーシングチューブ(6)によってもたらされ、前記オリフィス(45)は、前記サポートチューブ(2)上に堅固に配置された分流器アセンブリ(27)によって形成され、前記サポートチューブ(2)から前記分流器アセンブリ(27)に入る流体フローは、環状フローに分割されて、前記オリフィス(45)に向かって外側に案内され、および前記オリフィス(45)がそれによって円滑に開閉されるように、前記ケーシングチューブ(6)の前縁(53、56、57)を横切ることができることを特徴とする、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の消火装置によって消火する方法。
【請求項20】
前記ケーシングチューブ(6)によって誘導される前記オリフィス(45)の断面の開口を通る消火剤の流量は、運動エネルギーの低減による拡大した配水漏斗に適応することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
シールド状の外側に広がる人員保護ジェットが、前記ケーシングチューブ(6)を用いた前記オリフィス(45)の最大開口によって確立されることを特徴とする、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ケーシングチューブ(6)を前方にスライドさせることによって、ジェットコーンは、調節、具体的には、狭小化されて前記前方に向けられることを特徴とする、請求項19から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ケーシングチューブ(6)の最大後退、特にバリアを越える後退は、径方向流路を、前方に向けられる環状の軸方向中空ジェットに偏向するのに用いられ、対応する中空ジェット流路(25)が、前記ケーシングチューブ(6)および前記分流器アセンブリ(27)によって形成されることを特徴とする、請求項19から請求項22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火装置およびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消火装置は、機能、消火剤、消火作用、用途および他の多くの特徴に関して異なる。しかしながら、基本的には、ほとんどの用途の場合、水が消火剤として使用されると言える。いずれの場合においても、消火装置の機能は、水を、それぞれの用途に対して理想的な消火作用を得るための適切な形態にすることから成る。燃焼の三要素によれば、消火は、三つの方法、
・可燃物の奪取
・酸素の奪取
・反応エネルギーの奪取
によって実行することができる。
【0003】
主要な消火剤として、水は、冷却作用、すなわち、気化の非常に高い潜熱による反応エネルギーの奪取を基本的に利用する。それらの莫大な量のエネルギーを消散させるためには、可能な限り効果的に気化させる必要がある。二つの物質間の熱伝達は、多くの要因に依存するが、修正するための最も容易で最も有効な熱伝達要因は、有効範囲である。そのため、燃えている物体を冷やすのに用いられる任意の消火方法において、有効範囲を最大化するように注意を払わなければならない。
【0004】
したがって、消火装置または方法は、水の気化と、関連する蒸気の広がりが、燃焼空気を二次消化作用として置換し、その結果、非常に急速な火災の封じ込めにつながる場合が特に効果的であると考えることができる。
【0005】
このことを実現するためには、十分なレベルの細かさ(液滴サイズ)によって、水の有効範囲を大きくして、もはや熱伝達の遅延が知覚できないように火災空間に完全に分散される水霧を生成しなければならない。その結果、気化が瞬間的に行われて、霧の急激な広がりが生じる。
1Lの水=1673リットルの水蒸気
【0006】
おおよそ100%の水が気化する場合、この広がりは、数立方メートルの水蒸気を即座に作り出す。屋内でのアタックに必要な一般的な水量は、毎分180リットルであり、したがって、この作業状態においては、火災空間内に毎秒3リットルを導入することが可能である。その結果、理想的な状況においては、毎秒約5m3の水蒸気が生成される。この急激な気化は、主に気化していない水粒子も空間全体に分散させ、このことは、結果として、蒸気および湿り蒸気による火災空間に均一な湿潤をもたらす。
【0007】
いわゆるソリッドストリームノズルが従来から長く知られている。その名称が意味するように、ソリッドストリームノズルは、ジェットノズルのアウトレットにおける流体粒子のベクトルを、集中させて同じ方向に向け、集中したソリッドストリームをノズル状形態で作り出す。この効果は、火災の発生源からの必要不可欠な安全距離をもたらす長距離に達する。
【0008】
残念ながら、集中されたストリームは、消火用水の湿潤範囲が最小サイズになるという重大な欠点がある。結果として、熱伝達は非常に少なく、制約により、必要な気化エネルギーを、火災の発生源から媒体へ伝達することができないため、消火用水を気化のために用いることはほとんど不可能である。この結果は、いわゆるウォーターダメージと呼ばれ、これは、消火用水が、火災の発生源の下の構造物に浸透して、実際には火災の影響を受けていない範囲にダメージを与えることを意味する。消火用水による建物の被害が、実際の火災によるダメージを越えることは珍しいことではない。
【0009】
長い間、消防士が、他の何らかの方法で火災の発生源に近づいて、異なる種類のストリームによって消火効果を得ることは技術的に可能ではなかった。個人用防護具のさらなる展開、特に呼吸装置と組合せは、それにより消防士が火災の発生源に近づくことを可能にした。
【0010】
その当時は、ソリッドストリームノズルに関する技術は、この用途にはあまり適しておらず、ストリームの大きな集中した勢いは、近距離での消防士にとって不便であった。
【0011】
そのため、より大きな冷却範囲が、より良好な冷却効果をもたらすことは当然であるため、技術開発はストリームを霧化しようとした。
【0012】
このことは、ボールバルブに一体化された案内翼装置によって実施された。案内翼は、翼がメリディアン(meridian)フローにほぼ直角に及ぶ状態で、フロー内に非常に強力な渦を生成する。この渦は、ノズルのアウトレットの中心から径方向の配水を生み出して、消火用水を円錐形状に配水する。
【0013】
この変化は、冷却能力において大きな改善をもたらし、そして、この種のジェットノズルは、現在も使用されている。
【0014】
第二のほぼ並行な開発は、高圧ジェットノズルの導入であった。従来の消火ホースは、PN16という圧力レベルを用いており、この規格は国際的に認められており、ホース径と接続技術とにわずかな違いがあることを除いて、どこでもほぼ同じである。
【0015】
一方で、高圧ホースは、PN40という圧力レベルを用い、油圧ホースと同様の寸法安定性のある圧縮ファブリックホースとして具体化されている。圧力レベルの準備は、遠心ポンプに一体的に内蔵された水を運ぶ消防車によってのみ実施される。
【0016】
この目的のために、水は、通常、いくつかのポンプホイールの直列接続から成る同じシャフト上に配設された主ステージから二次ステージに供給しなければならない。適用のさらなる制限は特別なホースシステムであり、すなわち、実装する場合に、高圧ホースは、一般的には、高圧ステージに近接して、消防車内に永続的に取付けられたホースリールに取付けられる。実際の適用においては、これは、消防車を火災の発生源に適切に近付けて配置しなければならないことを意味し、そして、通常のホースラインの長さは、60~90メートルである。このような構造は、一般的には、回転はしごまたは伸縮自在のマストプラットホーム等の航空救助設備には見当たらない。
【0017】
しかしながら、高圧ホースには、消火効果に関する利点がある。液体媒体の非常に有効な噴霧化は、高速の流出速度によって作り出すことができることが一般的に知られている。この場合、構造的ふるいは噴霧器として設けられず、そして、流体の分割は、空気の周囲媒体によって完全に実現される。空気抵抗と速度の関係も周知されており、すなわち、流速の二乗で増加する。二倍高い流出速度は、四倍の空気抵抗の増加をもたらす。
【0018】
恐らく、この関係は、液滴サイズには直接比例しないが、当業者にとって、高速の流出速度が効果的な噴霧化の鍵であることは、明らかである。そのため、空気抵抗は、一つの要因というよりむしろ消火ジェットの交互の増加する力よりも少なくなければならない。消火ジェットは、同じ方向を向いている速度ベクトルを伴う水粒子の量にすぎない。
【0019】
結果として、任意の位置への偏向力が水粒子に印加された場合、速度ベクトルの方向がわずかに変化する。このことは、液滴間の引力が解消するまで、連続的な摩擦効果を伴って流体粒子を互いに引き離す。そして、液滴は、乱流によって任意の方向に向けられた軌道に沿う。この効果は、軌道が継続する際に増加する噴霧化を生み出し、そして、一旦、一定の飛翔距離の後に起こる運動エネルギーが閾値まで低下すると、さらなる影響をほとんど及ぼさない。したがって、この形態での噴霧化に基づく消火ジェットは、一定の進行範囲を要する。これは、噴霧化を確立するのに必要な飛翔経路の一部である。
【0020】
大幅に増加した圧力エネルギーにより、高圧ノズルは、その結果として、適切なノズル形状を有するアウトレットにおいて、これを運動エネルギーに効果的に変換するより高い可能性を有する。そのため、高圧ソリッドストリームノズルは、上述した効果を活用し、実際に、効率的な消火技術を提供することができる。
【0021】
この技術は、PN16の圧力レベルにおける低圧中空ジェットノズルにすでに取って代われ、または取って代われつつある。この理由は、高圧システム全体の考慮すべき欠点である。
・多段遠心ポンプによる高価で複雑なポンプ構造
・硬いホースラインによる限定的な適用範囲
・高速の流速による大きな摩擦損失
・ジェット角度の調節の不可能性
・基本的な技術条件による水流の制限
【0022】
これらの理由によって、中空のジェットノズルが開発されている。噴霧化理論における本質的な要因がジェットの周方向面または周囲であるためである。基本的に、周囲にある各水粒子は、対向する空気粒子に接し、このことが摩擦力を生成する。そのため、関係は明白であり、すなわち、摩擦接触の数が大きければ大きいほど、より効果的で良好な噴霧化を、特にアウトレットに可能な限り近い箇所において実現することができる。
【0023】
したがって、高圧ソリッドストリームノズルは、高速の流出速度の効果を利用するが、可能な最大限のジェット周囲は利用しない。表1による計算の実施例は、一定の流出範囲の場合、その結果として一定の流出速度(導管損失を考慮しない継続率)の場合も、かなり大きな周囲および周囲範囲を、いくつかのノズルへの分割によって生成することができることを示している。計算の実施例は、より細かい口径ステージに分割された20mm口径(ソリッドストリームノズル規格)から始まる口径の変化を示す。いくつかの小さなノズルを用いることによって、(摩擦なしで見た)一定の流出速度を保持すると同時に、周囲の接点を何倍にも増加させることが比較的容易であることは明白である。
【0024】
この問題に関する解決策は、ジェットを、トータルの断面積が同じとなるように、いくつかのより小さなジェットに分割することである。例えば、貫通ノズルは、ジェットの生成に影響を与えるために、一定の穴が設けられている。穴は、ジェットを形成するために集中して収束しないが、火災空間内での可能な最良の展開を実現するために、一定のアウトレット角度で配置される。ただし、穴が小さすぎる場合、導管のインレット損失には悪影響がある。
【0025】
上記の考察に従って、理想的な消火装置は、以下の効果および機能を果たさなければならない。
・効果的な流出速度
・アウトレット面積の、最大のジェット周囲のための理想的な数のアウトレット開口への分割
・アウトレット導管の迎角を変えることによるフレキシブルなジェットの成形
公知の中空ジェットノズルは、既にこれらの考察に近づいている。中空ジェットノズルは、メリディアンフローの中間の調節可能なコーンによって、所定の角度でジェットを分割する。しかし、単なる環状領域以上のものを作り出すために、多くの場合、フロー分割翼の形態で用いられる追加的なフロー関連の形状構成がハウジングまたはコーン上に設けられる。このことは、オーバーラップによって生成された環状面を円のセクターに変換し、その結果として、ジェットの周囲領域を増加させる。
【0026】
コーンの軸方向位置を調節することにより、その結果として、ジェットの勢いまたは速度変化を調節することが可能である。したがって、オペレータは、ジェットの噴射角度も変えることができる。
【0027】
ジェット生成のこの形態は、現在、手持ち式のジェットノズルおよび固定式の放水銃にほぼ普遍的に用いられており、従来技術の典型である。
【0028】
しかし、極めて複雑な調節機構の実施には問題があり、コストがかかる。メリディアンフローの内部に調節機構を実装するためには、大量の内蔵構成要素が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】独国実用新案第202012012648号明細書
【特許文献2】欧州特許第2155401号明細書
【特許文献3】独国特許第602004003303号明細書
【特許文献4】米国特許第6039269号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1106212号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1498155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
特許文献1(独国実用新案第202012012648(U1)号明細書)は、分裂した中空ジェットノズルを開示しており、この解決策において、ジェットは、ノズル上の調節可能なコーンによって調節される。この構造は、極めて複雑でコストが高い。
【0031】
特許文献2(欧州特許第2155401(B1)号明細書)は、可変レンジ消防ノズルおよびそれに対応する方法を開示している。この解決策は、ソリッドストリームノズルと、周囲ストリームノズルの組合せであり、水容量の一部、少なくとも50%は、ソリッドストリームとして射出されるが、ソリッドストリームノズルは、周囲ストリームのための環状アウトレット開口によって包囲されている。環状アウトレット開口は、スリーブによって開閉することができる。二つの技術のこの混合は、フロー状況を十分に正確に制御することができないため、その実施形態において好ましくなく、また、ソリッドストリームの高い比率は、実際には有用ではない。
【0032】
特許文献3(独国特許第602004003303(T2)号明細書)は、主ノズル上に取付けられ、一つが他の一つのユニットの内部で移動可能である三つの異なるノズルユニットによって消火ジェットを調節することができる消火装置を開示している。この場合、消火装置の主ノズルは、消火剤を三つの調節可能なノズルユニットへ搬送し、流路内に中心コーンを有している。主ノズルは、マルチパート構造を有している。さらに、装置を遮断しなければならない場合には、追加的なボールバルブが必要である。この欠点は、これらの構造が複雑であり、シンプルで直感的な使用を可能にしない。
【0033】
特許文献4(米国特許第6039269号明細書)は、二つの位置で使用することができ、公知のコアンダ効果を利用する消火装置を開示している。この装置は、勢いの遮断または変化を可能にしていない。
【0034】
特許文献5(欧州特許出願公開第1106212(A1)号明細書)は、マルチパートの複雑な構造を有し、それ自体の遮断機能を有しておらず、二つの移動可能なケーシングチューブによって作動する従来の消火装置を開示している。
【0035】
特許文献6(欧州特許出願公開第1498155(A1)号明細書)は、シース上で移動することができる複数の管状要素によって調節を実行できる上述した種類の消火装置を開示しており、この構造も遮断を可能にしていない。直感的な安全操作も可能ではない。
【0036】
本発明の目的は、構造がシンプルであり、ユーザに高レベルの安全性をもたらし、消火が効果的である消火装置を生み出すことである。
【0037】
目的は、請求項1の特徴を有する装置によって実現される。有利な変形例は、請求項1の従属項に開示されている。
【0038】
別の目的は、シンプルで安全でかつ信頼性の高い操作を確保できる消火装置を操作する方法を生み出すことである。
【0039】
目的は、請求項19の特徴を有する方法によって実現される。有利な変形例は、請求項19の従属項に開示されている。
【0040】
本発明による装置は、消火するためにそのままで用いることができる全部揃った装置として用いることができる。しかし、それは、より複雑な装置の一部である可能性もあり、具体的には、侵入的または侵襲的な消火装置(壁を貫くための槍)の一部である可能性があり、すなわち、本発明による構造原理を用いて、さらに貫通ノズルを開発することができる。
【0041】
本発明による装置は、よりコンパクトでシンプルな構造を有し、それにより、重量およびコストを低減する。
【0042】
本発明によれば、公知の構造原理は放棄されており、勢いを変えるためのおよびジェットを展開するための通常移動可能なコーンが、固定された構成要素として設けられている。
【0043】
公知の解決策とは対照的に、コーンと相互に作用する装置のハウジングの縁部は、軸方向に移動可能なように具体化されている。
【0044】
このことは、本発明のいくつかの好ましい効果につながる。
【0045】
認められる第一の効果は、ジェットノズルのノズルセグメントにおける理想的なフロー実施形態の可能性である。固定された壁のおかげで、この形態は、内部調節機構により、中空ジェットノズルにおいて実施することが困難である低乱流流路を確保することができる。
【0046】
そのため、分流器は、構成要素の壁によって引き起こされる勢いの突然の変化が可能な限りないように具体化されており、アウトレットにおける円滑な流れを確保している。
【0047】
本発明によって実現される第二の主要な利点は、調節ハウジング要素の大幅なサイズの低減である。例えば、それは、ブッシングとして具体化することができ、円錐形密封面を有する。分流器のアウトレット角度に対して異なるように調節するのが比較的容易である円錐形密封面のおかげで、流出するジェットを、非常に円滑な方法で成形することができる。正しく実行された場合、流体は、滑らかなジェットによって鋭く分裂し、摩擦損失が実質的にない状態で火災空間に投入され得る。
【0048】
そのため、外部の調節装置は、流体と調節装置との間に追加的な可動部材が必要なく、それによって、よりシンプルな構造を可能にするという事実をもたらす。
【0049】
何よりもまず、調節機構を有する本発明による装置は、消火装置の具体的な利点に貫通機能を与えることができる。ケーシングチューブは、円筒形で小さく、スリムな構造として、侵襲的な消火技術とともに非常に効果的な噴霧化を実行することができる。
【0050】
したがって、ケーシングチューブ噴霧システムは、すべての種類の消火装置用の独立型噴霧ユニットとして、独立型の消火装置として、侵襲的な消火装置の噴霧装置の第一の選択肢として見ることができる。
【0051】
本発明によれば、ケーシングチューブの水圧成形は、管状流全体が環状流に分割されるように実行される。本発明の目的のために、乱流は、可能な限り低く保たれる。この分割は、流体を加速させる。好都合なことに、高速を伴う比例流路は、可能な限り短く保たれるが、フローが脈動を伴うことなく構造内を通過できないほど短くはない。上記の説明によれば、流出速度は、噴霧品質に直接比例するため、この過程において、フローは、結果として、目標の流出速度まで同時に加速される。
【0052】
フロー案内における次のステップは、フローを可能な限り連続的に軸方向から径方向にそらすことである。本発明によれば、フローを均一にそらすためには、放物線状の壁が特に適している。したがって、上述した領域は、摩擦低減という目的のためにできるだけ最短経路に沿うべきであり、そのため、構造に関しては重なる可能性がある。
【0053】
可能な最大アウトレット角度が生成される位置においては、最高流速も生成される。角度は、設計段階で当業者によって決められ、対向する側面に経験的に合わせなければならない。
【0054】
また、本発明には、最大設定開口は、作動機構を引くことによって実現されるものであるという利点がある。重要な利点は、最大設定開口において、ある種の「パニックポジション」が生成され、オペレータのための保護ジェットが生成されるということである。したがって、この広域ジェットは、ある種の「パーソナル保護スプリンクラー」であり、チューブが最大限開かれるとすぐに展開される。そのため、必要なのは、後方への手の動きだけであり、そして、どのような場合でも、オペレータの可能性のあるパニック反応が保護状況を生み出す。オペレータは、パニック状況においては、前進動作よりも引く動作を実行する可能性が高いため、結果として、高い信頼性でオペレータを保護する緊急時のロジックが存在する。オペレータが後に倒れた場合でも、結果として生じるジェットは、煤煙ガスおよび炎の影響を遮蔽するシールドとして作用する遮蔽ジェットをオペレータの周りに構成する。
【0055】
一方、公知の中空ジェットノズルにおいては、主操作要素における完全開口は、前方に向けられた比較的狭いジェット内に確保される最大フローを生じるのみである。この機構には、特にオペレータが煤煙ガスの発火を認識した場合、または、炎の舌および他の熱的作用等の煤煙ガス作用に基づいて、そのような発火が起きようとしているという結論に即座に達することが可能な場合に問題がある。したがって、既存の解決策は、救急隊員の労働安全性に関して不適切であり不十分である。残念ながら、そのようなケースが過去に起きていた。
【0056】
公知の実施形態の場合に、そのような状況において、特にパニック時に操作レバーが引かれた場合、レバーは、(浅いアウトレット角度を有する)敏感に設定された消火ジェットに切り換えられ、このことは、上述した状況において、煤煙ガスの発火からオペレータを保護しないだけではなく、(過去に起きたように)爆発が起きるという点で状況を劇的に悪化させる。これは、高濃度のジェットが、いわゆる「ハイドロリックベンチレーション作用(hydraulic ventilation effect)」を引き起こすという事実によるものである。この場合、ウォータージェットは、それ自体とともに大量の空気を吸い込む。その結果として、逸している周囲空気が火または煤煙ガスに正確に供給されて、それが過濃混合気から爆発限界に進むことを可能にし、すなわち、この結果は急激な発火であり、このことが既に進行中の場合には、それが加速される。
【0057】
対照的に、本発明による消火装置は直感的に操作することができ、制御要素が後に引かれた「パニックまたはディフェンス」位置になっている場合に、空間を取り囲んで、燃焼用空気の吸い込みを防いで、上述したように、救急隊員を熱および熱い煤煙ガスから守る幅広のシールド状ジェットを生成する。
【0058】
そのため、本発明による装置は、パニック位置において、この保護シールドが自動的に生成され、同時に、公知の中空ジェットノズルが、複数の反直感的な動きのみによってこれを確保するという作用を利用する。
【0059】
オペレータが、ケーシングチューブの重なり位置を設定する場合、このことは、最大開口角度から最小接触角度までの滑らかな調節を可能にするとともに、流出速度も増加するため、流量も変化する。
【0060】
流出速度および流量の大きさは、最低接触角度から始めて決められ、ジェット径が増加する場合に減少させることができるため、このことは有利である。運動エネルギーを減少させることにより、流量が増加され、そして、より大きなジェット径は、より大きな範囲がカバーされることも意味するため、この作用は非常に有利である。
【0061】
より大きな表面効果のため、したがって気化エネルギーの均衡を維持するために、より多くの水を導入しなければならない。低い流出エネルギーは、少ないジェット乱流を生じさせるが、霧形成は、ジェットのより大きな有効範囲によって実現される。したがって、コーンの湿潤範囲もまた、コーンの周囲面と見なすことができる。
【0062】
したがって、コーンの周囲面は、半径と弦の長さの積であるが、有効深さおよび半径は、迎角に伴って増加して、迎角に関して二次関係を生じる。この表面積の非常に大きな増加は、流体粒子の湿潤接触を増加させ、その結果として、低減された流出速度を補償する。
【0063】
したがって、正しい寸法であれば、本発明による装置は、最適な霧形成およびすべてのジェット角度における消火水量出力を有する、完全に機械的な自動調節を有利に有する。
【0064】
アウトレット領域の結果として生じる増加に関連するケーシングチューブの開口特性は、ステー羽根の導管幅によって決めることができる。このようにして、多数の構成要素を有する複雑な中空ジェットノズルは、二つのシンプルな構成要素によってほとんど完全に置換えられる。上記で概略説明したような湿潤範囲および流量の自動制御は、公知のどの消火装置にも実装されていない、本発明の利点である。
【0065】
最大迎角(人員保護ジェット)と最小接触角度との中間位置、本発明によれば、勢いの非線形の変化が起きる特に小さな開口角度において、偏向は、大きな開口角度の場合よりも大きい寸法と見なす。
【0066】
そのため、オペレータは、水量が開口角度の制御挙動に合わせて調節される間、同時にほとんど直線状の噴霧挙動を有する消火ジェットを直感的かつ円滑生成することが可能である。
【0067】
分流器をハウジングに接続するためには、ステー羽根を取り付けなければならない。一見すると、それらのステー羽根は、フローの挙動にとって不利であるように思われる。しかし、ノズルを貫通する際に用いられる種類の噴霧ノズルに関連する霧形成に関して上述したように、ジェットのカプセル化、または、流体が流出した後の流体の分割は非常に有利である。湿潤範囲は、消火媒体と周囲空気との間の摩擦も増加させる。
【0068】
その結果として、この作用は、ステー羽根の任意の変形例によって制御することができる。したがって、本発明による消火装置は、分流器とハウジングとの間に、少なくとも一つの静的接続を有していなければならず、すなわち、それらの数は、要望および実施形態により変えることができる。
【0069】
ステー羽根は、翼断面に関して有利に設計することができる。このことは、導管の摩擦を、穴を有する公知の噴霧ノズルと比較して非常に低い値まで低減できるようにする。その結果として、導管のインレット乱流および導管のアウトレット乱流を、一様な噴霧パターンが実現されるように大幅に抑えることが可能である。
【0070】
スライドバルブが閉じる直前に、残留フローが密封面を洗浄するため、ケーシングチューブが閉じられると、それは、汚染に敏感ではないスライドシート内で単純に静止する。一方、ボールバルブおよび調節機構を有する公知の中空ジェットノズルには、機構を塞ぐ消火水からの堆積という欠点が常にある。
【0071】
ケーシングチューブの形態で具体化される本発明による消火装置は、理想的には、火災源近くでの消火に適している。
【0072】
別の有利な実施形態は、ジェットノズル分野への適用も広げる。この目的のため、良好な範囲を得るために、追加的な切り換え位置と、対応する構造拡張が与えられる。
【0073】
上述した約40°~180°の出射ジェットの開口角度範囲に加えて、0~約40°の開口角度という低角度範囲を実施できるようにするためには、流体を、異なる構造を用いて案内しなければならない。この場合、本発明による消火装置の適用は、貫通ノズルには接続していない、むしろ長い範囲を実現するように意図されている消火技術における唯一の解決策と見なさなければならない。
【0074】
0~180度の開口角度のジェット角度が必要な中空ジェットノズルの分野において本発明によるケーシングチューブ噴霧を用いるために、本発明による消火装置は、拡大したジェットノズルアタッチメントとともに具体化される。
【0075】
分流器とは対照的に、フローは、このノズルを通る拡大した流路が必要なときだけ、ジェットノズルアタッチメントまで進む。この場合、流体は、分流器を介しておよびケーシングチューブ内のバイパス経路を通って拡大したジェットノズルアタッチメントに導入される。このノズルアタッチメント内で、流体は再び集中されて、軽い中空ジェットに形成される。ここで、炎の下方領域における範囲は、ケーシングチューブによって変更することができ、このことは、わずかな軸方向の動きによって、アウトレットノズルの偏向角度を再び変化させる。
【0076】
ケーシングチューブ噴霧ユニットの形態の本発明による装置は、取扱に関して中空ジェットノズルと同様であるように具体化することができる。しかし、主な利点は、調節および遮断の両方を、主操作レバーによって、より正確に言うと、ケーシングチューブの軸方向の動きによって実行できるため、その操作である。レバーが前方へ完全に移動されると、装置は遮断される。
【0077】
本発明においては、近い距離、および、より遠い距離の両方において確実に消火に当たるために用いることができ、オペレータにとって相当改善された労働安全性が実現され、取扱が改良されて直感的に設計された消火装置が形成されることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0078】
したがって、本発明は特に、サポートチューブと、前記サポートチューブ上で軸方向に移動可能であるケーシングチューブとを備える消火装置であって、分流器コーンを備える分流器アセンブリが前記サポートチューブ上に設けられ、前記分流器アセンブリは、外向きの環状のオリフィスを形成し、前記ケーシングチューブは、前記オリフィス上で前縁とともに移動することができ、その結果として、前記サポートチューブから前記分流器アセンブリに入る流体のフローが、環状フローに分割されて、前記オリフィスの外側に向けられるようにオリフィスを開閉する、消火装置に関する。
【0079】
一つの変更例によれば、すべての流体導通構成要素は、同軸円筒形状の断面を有する。
【0080】
一つの変更例によれば、前記分流器コーンは、前方から前記流体の流路内に軸方向に突出している先端から放射状に広がるコーン壁を有し、前記分流器コーンは、案内翼によって管状壁に堅固に接続され、前記コーン壁および前記管状壁は、前記流路を画定し、前記案内翼の領域内において、前記流路はさらに複数の流路に分割される。
【0081】
一つの変更例によれば、前記分流器アセンブリの壁は、前記流路をノズル状に狭め、最大先細、または狭小部の領域後で、直径が再び増加して、前記オリフィスの周囲を画定する漏斗状壁部を形成する。
【0082】
一つの変更例によれば、前記分流器コーンは、壁によって画定されている漏斗状領域または漏斗状オリフィス内に軸方向に突出し、および壁によって画定された空間内に突出し、前記分流器コーンは、先端が壁の最大先細の領域を越えて延在して、管状の内部まで及んでいる。
【0083】
一つの変更例によれば、前記周囲環状オリフィスは、軸方向後方の領域内の漏斗状壁部により、および軸方向前方の領域のコーン壁によって画定される。
【0084】
一つの変更例によれば、その前縁において、前記ケーシングチューブは、前記ケーシングチューブの外周縁から内周縁まで内側および軸方向後方に延在する傾斜壁の形態の円錐状密封面を有している。
【0085】
一つの変更例によれば、前記分流器アセンブリは、前記分流器コーンの最大径方向サイズの領域から周囲の円筒形状ステップまで延在する傾斜壁部の形態の前記分流器コーン上の対応する円錐状密封面と、同じ方向に延在している壁とを有している。
【0086】
一つの変更例によれば、同じ方向に延在している壁は、勢いの変化を作り出せるように、前記オリフィスを画定する壁とは異なり、特に壁よりも大きく傾斜されている傾斜角度を有する。
【0087】
一つの変更例によれば、ケーシングチューブは、消火装置の後端と反対側の前端に向かって直径方向または軸方向に広がるように具体化され、その結果生じる拡大領域内に、周方向径方向連続スロットが設けられ、前記拡大領域の内部の拡大は、湾曲部を形成し、分流器コーンの壁は、最大拡大の領域まで放射状に広がって、凸曲面状に分岐し、湾曲部および前記最大拡大と壁の前縁との間の領域は、消火装置の中空ジェットの位置において中空ジェット流路を一緒に画定する。
【0088】
一つの変更例によれば、支柱がスロット18に跨っている前記拡大領域の前方部が、ケーシングチューブ上に配置されている。
【0089】
一つの変更例によれば、分流器コーンの前記最大拡大の領域は、オリフィスを閉じるために、具体的には、縁部が横切ることができるように、直径に関して壁と同一平面で終端し、同じ直径から成る。
【0090】
一つの変更例によれば、壁部が、パーティションによって、前記ケーシングチューブの円錐状に延在する傾斜壁から離間して配置され、この壁部は、径方向に延在してわずかに湾曲し、周方向の壁部は内側の壁から延在し、前記拡大領域は、それとともに、領域または壁が、領域内の壁に当たって、フィットし、軸方向に移動可能な方法で滑動できるように、前記最大拡大の領域の外周に対応する内周を有する。
【0091】
一つの変更例によれば、壁から軸方向に離間されている内周縁から、前記湾曲部を有する前方部は、前方向に向かって広がった後、周縁まで狭小化し、湾曲部の進路は、壁の進路に本質的に沿い、その結果として、内周縁と前方周縁との間に位置する壁部、特に前記湾曲部は、中空ジェット流路の外壁を構成している。
【0092】
一つの変更例によれば、ケーシングチューブの最も遠い後退位置において、中空ジェット流路は、ケーシングチューブの前部の縁部と、漏斗状部の端部の壁の縁部が互いに同一平面で終端することにより形成され、その結果として、前記湾曲部および壁によって形成される前記オリフィスを前記分流器コーンによって広げ、断面流路を軸方向に環状に偏向させる。
【0093】
一つの変更例によれば、中空ジェットの位置は、ユーザの追加的な操作によって克服しなければならないバリアによってブロックされる。
【0094】
一つの変更例によれば、消火剤搬送ホースに結合する接続部が、前記消火装置の後端に設けられている。
【0095】
一つの変更例によれば、前端において、前記消火装置は、前記分流器アセンブリ内に配置された照明装置を有する。
【0096】
本発明の別の態様は、上述した消火装置によって消火する方法に関し、消火ジェットの開閉および調節は、可動ケーシングチューブによって生じさせられる。
【0097】
一つの変更例によれば、前記ケーシングチューブによって誘導される前記オリフィスの断面の開口を通る消火剤の流量は、運動エネルギーの低減による拡大した配水漏斗に適応する。
【0098】
一つの変更例によれば、シールド状の外側に広がる人員保護ジェットは、前記ケーシングチューブを用いた前記オリフィスの最大開口によって確立される。
【0099】
一つの変更例によれば、前記ケーシングチューブを前方にスライドさせることによって、ジェットコーンは、調節、具体的には、狭小化されて前方に向けられる。
【0100】
一つの変更例によれば、前記ケーシングチューブの最大後退、特にバリアを越える後退は、径方向流路を、前方に向けられる環状の軸方向中空ジェットの偏向に用いられ、対応する中空ジェット流路が、前記ケーシングチューブおよび前記分流器アセンブリによって形成される。
【0101】
本発明を、図面を用いて例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1a】本発明の一つの実施形態の消火装置を示す図である。
【
図1b】本発明の一つの実施形態の消火装置を示す図である。
【
図1c】本発明の一つの実施形態の消火装置を示す図である。
【
図1d】本発明の一つの実施形態の消火装置を示す図である。
【
図1e】本発明の一つの実施形態の消火装置を示す図である。
【
図2a】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図2b】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図2c】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図2d】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図2e】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図2f】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図2g】本発明の一つの実施形態の消火装置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図3】本発明の消火装置の人員保護位置における分流器アセンブリの領域の長手方向の部分断面図である。
【
図4】
図3に示す装置を、消火水コーンが前方に向けられている位置で示す図である。
【
図5】本発明の消火装置を、中空ジェットノズル位置で示す図である。
【
図6a】ケーシングチューブが開消火ジェット位置になっている分流器アセンブリを示す図である。
【
図6b】ケーシングチューブが開消火ジェット位置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図6c】ケーシングチューブが開消火ジェット位置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図7a】ケーシングチューブが人員保護位置になっている分流器アセンブリを示す図である。
【
図7b】ケーシングチューブが人員保護位置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図7c】ケーシングチューブが人員保護位置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図8a】ケーシングチューブが、消火ジェットがコーンの前方に向けられている位置にある分流器アセンブリを示す図である。
【
図8b】ケーシングチューブが、消火ジェットがコーンの前方に向けられている位置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図8c】ケーシングチューブが、消火ジェットがコーンの前方に向けられている位置の分流器アセンブリを示す図である。
【
図9a】分流器アセンブリおよびケーシングチューブを、さらに前方に向けられているジェット位置で示す図である。
【
図9b】分流器アセンブリおよびケーシングチューブを、さらに前方に向けられているジェット位置で示す図である。
【
図9c】分流器アセンブリおよびケーシングチューブを、さらに前方に向けられているジェット位置で示す図である。
【
図10a】分流器アセンブリおよびケーシングチューブを、分流器の縁部のほとんど閉じた同一平面位置で示す図である。
【
図10b】分流器アセンブリおよびケーシングチューブを、分流器の縁部のほとんど閉じた同一平面位置で示す図である。
【
図10c】分流器アセンブリおよびケーシングチューブを、分流器の縁部のほとんど閉じた同一平面位置で示す図である。
【
図12】閉位置の消火装置を、分流器アセンブリの領域における部分切取図である。
【
図13】本発明に係る消火装置を、流路および操作レバーを中空ジェットノズル操作のための位置で示す部分切取図である。
【
図14】本発明の消火装置を、円錐状の消火ジェットが生成される消火位置で示す図である。
【
図15】本発明に係る消火装置を人員保護位置で示す図である。
【
図16a】ケーシングチューブが開かれた分流器アセンブリの消火剤の流路を示す図である。
【
図16b】ケーシングチューブが開かれた分流器アセンブリの消火剤の流路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本発明による消火装置1は、中空円筒形のサポートチューブ2、及び、中空円筒形のサポートチューブ2上に配置されているハンドル3を有する。サポートチューブ2は、従来の消火ホースに結合するために、後端4にホース接続継手5を有する。
【0104】
また、消火装置1は、サポートチューブ2上で移動可能に配置され、サポートチューブ2の外径にほぼ一致する内径を有するケーシングチューブ6も有している。
【0105】
軸方向に移動可能なケーシングチューブ6は、ハンドル3が通るための長手方向の開口7を、端部4に隣接して下側に有している。作動レバー8も設けられている。作動レバー8は、上方の横方向支柱9と、垂直方向に延び、横方向支柱9によってその端部が接続されている二つの長手方向支柱10と、ハンドル3近傍の二つの短い横方向支柱11とを有する矩形状の輪郭を有している。ハンドル3の幅に相当する中間空間を支柱間に画定する短い横方向支柱11とともに、作動レバー8は、シャフト12によってハンドル3上に回動自在に配置される。ケーシングチューブ6の動作のため、シャフト支柱13がケーシングチューブ6から横方向に突出し、シャフト支柱13は、ケーシングチューブ6の外周面14から両側に径方向に延びて、長手方向の開口15内に載っており、これらのことはそれぞれ、互いに平行に延びている長手方向支柱10の図を見て分かる。その結果として、シャフト12周りのハンドル3の回動の動きは、ケーシングチューブ6を、シャフト支柱13によってサポートチューブ2上で軸方向に移動させ、すなわち、この過程で、シャフト支柱13は、長手方向の開口15に沿って滑動することができる。
【0106】
ケーシングチューブ6の外側面において、後端4と反対側の前端16に直径方向または軸方向に向かって、この実施形態は、ステップ17を有する延長部分を有している。ステップ17から端部16に向かって軸方向にずれて、周方向径方向連続スロット18が、ステップ17に隣接する拡大領域19において、ケーシングチューブ6に設けられ、スロットは、ケーシングチューブ6から前方部19を分けているが、前方部19とケーシングチューブ6は、スロット18に跨るパーティション20によって接続されている。
【0107】
消火装置1の自由端16の領域には、内側に延びているキャビティ21が設けられ、対応する光学システムを備えた照明装置22がキャビティ21内に配置されている。キャビティ21と照明装置22は、後で詳細に示す、分流器アセンブリ27の一部である径方向壁23によって包囲されている。消火剤の中空ジェットのための環状流路出口25が、壁23と周方向の自由縁24との間に形成されている。
【0108】
ケーシングチューブ6の内部には、分流器アセンブリ27が、サポートチューブ2の前端(
図3)に螺入されて配置されている。分流器アセンブリ27(
図2)は、円筒形壁29と、円筒形壁29上の雄ねじ30とを備えた中空円筒形接続領域28を有するハウジング26を有している。雄ねじ30は、サポートチューブ2の接続領域32の雌ねじ31(
図3)にねじ込むことができるように具体化されている。この目的のために、サポートチューブ2は、前方周方向縁33を備えた前方接続領域32を有している。
【0109】
分流器アセンブリ27またはそのハウジング26は、ステップ34で雄ねじ30の後を、サポートチューブ2の外径に一致する外径まで拡大している。ステップ34は、径方向外側に広がって、サポートチューブ2の前方周方向縁33のストップとして作用する。ステップ34に隣接して、シールを受け入れるための溝35を、ステップ34と雄ねじ30との間に設けることができる。
【0110】
ハウジング26は、円筒形外壁36によって前方周方向縁37まで続き、シールを受け入れるための周方向溝38が、前方周方向縁37に隣接して設けられている。溝38とステップ34との間において、壁36には開口39が設けられ、開口39は、長手方向に対して横方向に延びることができ、およびそれらの開口間にパーティション40を画定している。開口39とパーティション40は、結果として、ケージ状の構成を生じさせている。
【0111】
ステップ34の領域において、外郭壁29は、外側円筒形外郭壁36および内側ノズル壁41を形成するように分かれている。ノズル壁41は、ステップ34から、または、溝35から先細状に最大先細の領域42まで延びている。そこから、ノズル壁41の漏斗状壁部43が前方周方向縁27まで漏斗状に鋭く広がっており、そこでノズル壁41は、ほぼ周方向溝38の領域において、円筒形壁36に相応して再び合流する。漏斗状の拡大オリフィス45は、このようにして形成される。
【0112】
先細のノズル壁41の軸方向長さは、ノズル壁41の漏斗状壁部43の軸方向長さの約4~5倍に相当する。それに応じて、円筒形壁36とノズル壁41との間には、開口39を介してアクセス可能なキャビティ44があり、円筒形壁36は、ケーシングチューブ6を案内するように作用し、また、開口39と、円筒形壁36とノズル壁41との間のキャビティ44は、重量を低減するのに役に立つ。キャビティ44の代わりに、この領域を固形材料から機械加工することもできるであろう。
【0113】
分流器コーン46は、周方向縁37から、壁43によって画定されている、ハウジング26の漏斗状領域または漏斗状オリフィス45内に、および壁41によって画定されている空間内に突出し、分流器コーン46は、壁41の最大先細の領域42を越えて内部にまで延びている先端50を有している。
【0114】
壁41の最大先細または狭小の領域42において、分流器コーン46は、流路51がパーティション47間に形成されるように、案内翼47の形態で壁41または43に接続されているパーティションによってハウジング26に接続されている。
【0115】
分流器コーン46は中空であり、先端50から最大拡大の領域49まで外側に凹状または放物線状に広がるコーン壁48を有し、分流器コーン46は、壁36の外径に一致する外径を有している。分流器コーン46は、最大拡大の領域49から少し細くなり、その後、かなり小さな直径でわずかに広がって、前方周方向縁23まで再び延びている。分流器コーン46またはその壁48は、ノズル壁41の漏斗状壁43にほぼ平行な壁41の最大先細または狭小の領域42から続いている。このことが環状流路をノズルとして構成し、オリフィス45は、環状ギャップオリフィスとして形成されている。
【0116】
図6~
図11は、人員保護ジェットおよび前方に向けられる円錐状の消火ジェットの両方を確立する消火装置の実施形態を示し、実施形態は、侵襲的消火装置にも適しており、この場合、壁、屋根、ドア等を貫通するまたは通過するのに用いられる追加的な構成要素がその後分流器コーン46に接続される。
【0117】
この実施形態において、ケーシングチューブ6は、周方向スロットまたは延長ステップ17を有していないが、代わりに、周方向外側の鋭い縁部53で終端している。
【0118】
分流器コーン46は、短い円筒形壁部54を有する最大拡大の領域49において、短い円筒形壁部54の領域で終端し、分流器コーン46は、ケーシングチューブ6の外径と同一平面で終端する外径を有している。短い円筒形壁部54に隣接して内部へ向かう円錐状の傾斜周壁部55は、ケーシングチューブ6の傾斜端壁部56の鋭い外周縁53から内周縁57まで凹んでいる傾斜に相当する傾斜を有する。
【0119】
分流器コーン46の円錐状の傾斜周壁部55は、対応する放射線状に広がるコーン壁48までステップを形成している同心状の短い円筒形壁部58で終端している。周方向の円筒形壁58またはステップ58は、分流器アセンブリ27の壁36の外径に一致する外径を有する。
【0120】
図6a~
図11bは、以下で説明する、ケーシングチューブ6の異なる位置を示す。
【0121】
図6は、傾斜壁部56またはその内周縁57が、分流器アセンブリの前方周方向縁37で終端している、ケーシングチューブ6の位置を示す。この場合、消火剤、典型的には水は、(
図6~
図11では、明確にするために省略されている)サポートチューブ2を通ってフローアセンブリ27に入ることができる。ノズル壁41が、最大先細42の領域まで円錐状に先細になっているという事実は、流速を増加させ、流速は、分流器コーンの先端50が、ノズル壁41間の先細領域内まで突出しているという事実によってさらに増加される。案内翼47は、それらの間で流路51を画定し、このことは、一方で、利用可能な流路が制限され、および一方では、流路がこの領域で狭小化されるため、流速をさらに増加させる。
【0122】
案内翼47は、適切にフローに影響を与えるために、輪郭、例えば、翼型の輪郭をそれ自体が有することができる。既に述べたように、分流器コーンのコーン壁48は、フローが均一に偏向されるように、周方向放物線として有利に具体化されている。その結果として、分流器アセンブリ27において、サポートチューブ2から来る管状のフローは、分流器コーン46によって、オリフィス45の方向の環状フローに分割される。特に漏斗状壁部43の領域における、一方での分流器コーン46の放物線状壁48の調和した形と、ノズル壁41の壁の進路とにより、乱流は最小限になる。流体は、この分割によって加速され、高速を伴う比例流路は、完全に短く保たれる。この過程において、フローは、目標の流出速度まで加速される。
【0123】
図7は、ケーシングチューブ6が後退される構成を示す。これは、消火水のジェットが本質的に径方向外側に加速される人員保護ジェット位置である。ケーシングチューブ6の周方向外側の鋭い縁部53は、出てくるジェットがこの縁部と壁56とによって前方へ偏向しない程度まで後退される。
【0124】
対照的に(
図8)、壁56、具体的には、周方向内縁57と、ケーシングチューブ6の外縁53が、オリフィス45の領域内にある場合、壁56と縁部53、57は、出て来るジェットを、前方に向けられた円錐状ジェット形状に明確に調節する。
【0125】
オリフィス45が、ケーシングチューブ6を前方に押すことによってさらに閉じられると(
図9)、さらなる調節が行われ、流速が増加し、および流速は、この種の半分以上閉じた位置によって減少する。
【0126】
ケーシングチューブ6がさらに前方にスライドされると(
図10)、ケーシングチューブ6の前方壁56の内周縁57と、周方向円筒形壁58の領域におけるコーン壁48との間に、非常に狭小な間隙のみが残る洗浄位置に達する。これは、存在している何らかの不純物が、この間隙から洗い流される洗浄位置である。
【0127】
図11には、周縁57が壁56の共用縁部と周方向の円筒形部58に寄り掛かり、外周縁57が、分流器コーン46の外側の円筒形周壁部52と同一平面で終端している状態で、壁55、56が完全に互いにもたれ合っている、完全に閉じた位置が図示されている。
図6a~
図11bによる実施形態においては、当然のことながら、必要に応じて、暗闇において、または、視界が悪い場合に、オペレータが、消火方向に向けられた光円錐も利用することができるように、レンズを備えた、対応する懐中電灯またはランプ22もキャビティ21内に配置することができる。この照明構成の著しい利点は、結果として生じる、消火水による光ジェットの反射または伝導であり、これは、濃い火煙よりもかなり良好に光の粒子を伝導させる。
【0128】
図6a~
図11bによる上述した実施形態は、人員保護ジェットに加えて、それによって、前方に向けられた円錐状の消火ジェットを作り出すことも可能な実施形態である。既に説明したように、この同様の実施形態は、流体の可能な最大表面積が実現され、このことが、気化に利用することができる。この点に関して、一方において、火災空間の温度を非常に急速に低下させ、他方においては、消火剤の量を、ウォーターダメージを最小限にできる程度まで限定するようなジェットの強烈な噴霧化を実現する。加えて、本発明による流路に関する実施形態と、一方において固定分流器コーンと、他方においての案内翼47は、(可動分流器とは対照的に)長い範囲も実現できることも変えない明確なフローを伴う、このような調和した流路を実現する。
【0129】
既に上述したように、このような実施形態は、侵襲的消火機器における用途にも適しており、この場合、分流器コーン46は、前方に向けられ、および火災空間を画定する壁、ドア、屋根構造等を貫通することが可能である装置に隣接され、その結果、消火装置が、対応するジェットを火災空間内で展開することができるように火災空間内に十分に突き出ているという条件で、貫通が行われた瞬間に、本発明によるケーシングチューブ噴霧によって、火災空間内で消火を行うことができる。
【0130】
この装置は、当然のことながら、図面に示すようなケーシングチューブ噴霧を用いた本格的な消火装置としても用いることができる。
【0131】
図1a~
図1eによる実施形態はさらに、前方に向けられる中空ジェットを作り出すことが可能である。
図2a~
図2gによる分流器アセンブリ27は、この目的のために用いられる。
【0132】
ここでも、分流器コーン46の壁48は、最大拡大の領域49まで放物線状に延び、その後、湾曲状に分岐し、その後、もう一度、外側に分岐する。この実施形態の最大拡大49と、前縁23との間の領域は、中空ジェット位置の内周壁を形成する。
【0133】
既に説明したように、ケーシングチューブ6は、この場合、支柱20によってケーシングチューブ6の本体に配置される前方部19を有する。支柱20は、パーティション47と径方向に位置合わせされ、これは、分流器コーン46とノズル壁41との間で案内翼として具体化される。しかし、案内翼は、それらに対してずらすこともできる。
【0134】
この実施形態において、分流器コーン46の最大拡大の領域49は、領域49をケーシングチューブ6が横断できるように、具体的には、オリフィス45を閉じるために、縁部57が横断できるように、周方向に関して壁36と同一平面で終端している。径方向に延び、わずかに湾曲されている壁部61は、ケーシングチューブ6の傾斜壁56と反対側において、パーティション20によって離間され、周方向壁部62は内部の壁61から延び、前方部19は、それらの領域または壁62が、フィットするが軸方向に移動可能な方法で領域49内で壁48に当たってスライドできるように、最大拡大の領域49の外周に一致する内周を有する。壁61から少し離間されている内周縁63から、前方部19は、湾曲部64で広がり、その後、前方に向かって周縁34まで狭小化する。内周縁63と前方周縁34との間に位置する壁部、具体的には、湾曲部64は、中空ジェット流路の外壁を形成している。
【0135】
図3の人員保護ジェット位置で示すように、消火剤も、記載されている他の実施形態において流れるのと同様に流れ、それに応じて、分流器コーン46によって環状フローに分割され、環状フローは、この位置において、環状のオリフィス45から流出して、前方部19の壁61にぶつかって、径方向外側に向けられる。この人員保護位置において、操作レバー8は、パニック状況において、この人員保護ジェット位置を確実に実現するために、操作レバー8がさらに後退されることを防ぐようにロックされる。操作レバー8がさらに前方に動かされると、このことは、上述した他の実施形態に相当するジェット調節をもたらし、前方に向けられる円錐状ジェットを作り出す。この場合、壁56は、分流器アセンブリ27の漏斗状壁部43と同一平面で終端し、このことは、オリフィス45を外部に画定し、その結果として、オリフィス45を実質的に延ばす。分流器コーン46の最大拡大の領域49において、フローは、ジェットが前方に向かって外側に向けられるように、この側で分裂する。
【0136】
図5は、この実施形態によって実現することができる中空ジェット位置を示す。この位置において、操作レバー8ひいてはケーシングチューブ6は、パニック位置を越えて後方へ引かなければならず、このことは、好ましくは、パニック時または緊急時に、この位置が生じることを防ぐために、別様に克服できないバリアにわたって押し下げるかまたは押し上げることによって、レバーが動かされた場合にのみ可能である。中空ジェット位置において、前方部19の縁部63と、分流器アセンブリ27の縁部37は、互いに同一平面で終端している。
【0137】
一方においてコーン壁48と、前方部19の内壁、具体的には湾曲部64は、中空ジェット流路25を一緒に形成し、流路は、一方において前方部19の外周縁34によって外部に画定され、他方において分流器コーン46の外周縁23は、流速を増加させるために、前方領域で狭小化されている。
【0138】
このことは、前方に向けられる中空ジェットを生成する。
【0139】
閉位置(
図12)には、レバー8が前方へ完全に押されたときに達し、この場合、ケーシングチューブ6の縁部57は、最大拡大の領域49を越えて通り、それにより、オリフィス45を外部まで完全に遮断する。
【0140】
図13は、人員保護ジェット位置における流路の概略図である。環状フローが、一方において分流器アセンブリ27のノズル壁41によって、他方において分流器コーン46によってどのように生成されるかは即座に明らかであり、この場合、ジェットが径方向外側に向けられるように、壁61との衝突が発生する。
【0141】
図14は、ジェット位置を、前方に向けられた円錐状ジェットとして示し、ケーシングチューブ噴霧は、特に近距離での良好な消火を可能にし、良好な噴霧が良好な範囲で実現され、ここでの位置は、
図4の位置に相当する。
【0142】
図15は、消火水の適切な流出流路の中空ジェットが前方に向けられている位置を示す。
【0143】
図16aおよび
図16bは、分流器コーンの先端50を通り過ぎて、流路51を通ってオリフィス45までの、およびそこから外部へ向かう分流器アセンブリ27の流路を示す。フローの分割は、ここでもまた、
図16bに示す詳細な拡大において明らかである。
【0144】
本発明によれば、シンプルなデザインで信頼性の高い消火装置が作られることが有利である。消火装置は、少ない部材で構成され、最適なフロー結果は、分流器アセンブリが一体構成で形成され、具体的には、分流器コーンが可動ではないということによって確保することができる。本発明によるケーシングチューブを用いたジェット調節によって、完璧なケーシングチューブ噴霧を実現することができ、このことは、オペレータの考えられる最高の安全性を備えた、極めて効果的な消火を確実にする。基本的にシンプルなデザインは、メンテナンスおよび修理も容易にする。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートチューブ(2)と、消火ジェットを開閉しおよび調節するための、前記サポートチューブ(2)上で軸方向に移動可能である単一のケーシングチューブ(6)とを有する消火装置であって、ハウジング(26)および分流器コーン(46)を備える分流器アセンブリ(27)が前記サポートチューブ(2)に設けられ、前記分流器アセンブリ(27)は、前記ハウジング(26)と前記分流器コーン(46)との間に、外向きの環状のオリフィス(45)を形成し、前記ケーシングチューブ(6)の前縁(53、56、57)は、前記サポートチューブ(2)から前記分流器アセンブリ(27)に入る流体のフローが、環状フローに分割されて、前記オリフィス(45)の外側に向けられるように前記オリフィスを開閉するために、前記オリフィス(45)上で移動可能である、消火装置。
【請求項2】
すべての流体導通構成要素(2、27)が、同軸円筒形状の断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
前記分流器コーン(4
6)は、前方から前記流体の流路内に軸方向に突出している先端(50)から放射状に広がるコーン壁(48)を有し、前記分流器コーン(46)は、案内翼(47)によって管状壁(41)に堅固に接続され、前記コーン壁(48)および前記管状壁(41)は、前記流路を画定し、前記案内翼(47)の領域内において、前記流路はさらに複数の流路(51)に分割されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の消火装置。
【請求項4】
前記分流器アセンブリ(27)の前記ハウジング(26)の
前記管状壁(41)は、
前記流路をノズル状に狭め、最大先細(42)、または狭小部の領域の後で、直径が再び増加して、前記オリフィス(45)の周囲を画定する漏斗状壁部(43)を形成することを特徴とする、請求項
3に記載の消火装置。
【請求項5】
前記分流器コーン(46)は、
前記漏斗状壁部(43)によって画定されている前記ハウジング(26)の漏斗状領域または漏斗状オリフィス内に軸方向に突出し、および
前記管状壁(41)によって画定された空間内に突出し、前記分流器コーン(46)は、
前記先端(50)が前記
管状壁(41)の
前記最大先細(42)または狭小部の領域を越えて延在し、および前記ハウジング(26)の管状の内部まで及んでいることを特徴とする、請求項
4に記載の消火装置。
【請求項6】
周囲環状
の前記オリフィス(45)は、軸方向後方の領域内の前記ハウジング(26)の
前記漏斗状壁部(43)により、および軸方向前方の領域内の前記分流器コーン(46)の
前記コーン壁(48)によって画定されることを特徴とする、請求項
4または請求項5に記載の消火装置。
【請求項7】
その前縁において、前記ケーシングチューブ(6)は、前記ケーシングチューブの外周縁(53)から内周縁(57)まで内側および軸方向後方に延在する傾斜壁(56)の形態の円錐状密封面を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項8】
前記分流器アセンブリ(27)は、前記分流器コーン(46)の最大径方向サイズの領域(49)から周囲の円筒形状ステップ(58)まで延在する傾斜壁部(55)の形態の前記分流器コーン(46)上の対応する円錐状密封面と、同じ方向に延在する
前記傾斜壁部(55)及び前記傾斜壁(56)とを有していることを特徴とする、
請求項7に記載の消火装置。
【請求項9】
同じ方向に延在する
前記傾斜壁部(55)及び前記傾斜壁(56)は、勢いの変化を作り出せるように、前記オリフィス(45)を画定する
前記コーン壁(48)及び前記漏斗状壁部(43)とは異なり
、前記コーン壁(48)及び前記漏斗状壁部(43)よりも大きく傾斜されている傾斜角度を有することを特徴とする、
請求項4を直接又は間接的に引用する請求項8に記載の消火装置。
【請求項10】
前記ケーシングチューブ(6)は、前記消火装置(1)の後端(4)と反対側の前端(16)に向かって直径方向または軸方向に広がるように具体化され、その結果生じる拡大領域(19)内に、周方向径方向連続スロット(18)が設けられ、前記拡大領域(19)の内部の拡大は、湾曲部(64)を形成し、前記分流器コーン(46)の
前記コーン壁(48)は、最大拡大の
前記領域(49)まで放射状に広がって、凸曲面状に分岐し、前記湾曲部(64)および最大拡大
の前記領域(49)と
前記コーン壁(48)の前縁(23)との間の領域は、前記消火装置(1)の中空ジェットの位置において中空ジェット流路(25)を一緒に画定することを特徴とする、
請求項8または9に記載の消火装置。
【請求項11】
支
柱が前記
周方向径方向連続スロット(18)に跨っている前記拡大領域(19)の前方部が前記ケーシングチューブ(6)上に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の消火装置。
【請求項12】
前記分流器コーン(46)
の最大拡大の
前記領域(49)は、前記オリフィス(45)を閉じるため、前記領域(49)を前記ケーシングチューブ(6)
の縁部(57)が横切ることができるように、直径に関して壁(36)と同一平面で終端し、同じ直径から成ることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の消火装置。
【請求項13】
壁(61)は、パーティション20によって前記ケーシングチューブ(6)の円錐状に延びる傾斜壁(56)から離間されて配置され、前記
壁(61)は、径方向に延びてわずかに湾曲し、周方向壁部(62)は、内部で前記壁(61)から延び、前記拡大領域(19)は、領域(14、19)または前記
周方向壁部(62)が、前記領域(49)において前記
コーン壁(48)に当たってフィットし、軸方向に移動可能な方法で滑動できるように、
最大拡大の前記領域(49)の外周に対応する内周を有することを特徴とする、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項14】
前記壁(61)から離間されている内周縁(63)から、前記湾曲部(64)を有する前方部(19)は、前方向に向かって広がった後、周縁(34)まで狭小化し、前記湾曲部(64)の進路は、前記
コーン壁(48)の進路に本質的に沿い、その結果として、前記内周縁(63)と
前方
の前記周縁(34)との間に位置する前記壁部
の前記湾曲部(64)は、中空ジェット流路(25)の外壁を構成することを特徴とする、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項15】
前記ケーシングチューブ(6)の最も遠い後退位置において、前記中空ジェット流路(25)は、前記縁部(63)と、前記
コーン壁(48)の前記縁部(37)が互いに同一平面で終端することにより形成され、その結果として、前記湾曲部(64)および前記
コーン壁(48)によって形成される前記オリフィス(45)を前記分流器コーンによって広げ、前記流路を軸方向に環状に偏向させることを特徴とする、請求項
14に記載の消火装置。
【請求項16】
前記中空ジェット
の位置は、ユーザの追加的な操作によって克服しなければならないバリアによってブロックされることを特徴とする、請求項10から請求項1
5のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項17】
消火剤搬送ホースに結合するための接続部(5)が、前記消火装置の後端(4)に設けられることを特徴とする、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項18】
前端(16)において、前記消火装置(1)は、前記分流器アセンブリ(27)内に配置された照明装置(22)を有することを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の消火装置。
【請求項19】
前記消火装置(1)
の外向きの環状の
前記オリフィス(45)の開閉、および前記消火ジェットの調節は、
前記サポートチューブ(2)上で軸方向に移動可能な単一の
前記ケーシングチューブ(6)によってもたらされ、前記オリフィス(45)は、前記サポートチューブ(2)上に堅固に配置された
前記分流器アセンブリ(27)によって形成され、前記サポートチューブ(2)から前記分流器アセンブリ(27)に入る流体フローは、環状フローに分割されて、前記オリフィス(45)に向かって外側に案内され、および前記オリフィス(45)がそれによって円滑に開閉されるように、前記ケーシングチューブ(6)の
前記前縁(53、56、57)を横切ることができることを特徴とする、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の消火装置によって消火する方法。
【請求項20】
前記ケーシングチューブ(6)によって誘導される前記オリフィス(45)の断面の開口を通る消火剤の流量は、運動エネルギーの低減による拡大した配水漏斗に適応することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
シールド状の外側に広がる人員保護ジェットが、前記ケーシングチューブ(6)を用いた前記オリフィス(45)の最大開口によって確立されることを特徴とする、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ケーシングチューブ(6)を前方にスライドさせることによって、ジェットコーンは、調節
、及び狭小化されて前記前方に向けられることを特徴とする、請求項19から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ケーシングチューブ(6)の最大後退
であってバリアを越える後退は、径方向流路を、前方に向けられる環状の軸方向中空ジェットに偏向するのに用いられ、対応する中空ジェット流路(25)が、前記ケーシングチューブ(6)および前記分流器アセンブリ(27)によって形成されることを特徴とする、請求項19から請求項22のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
したがって、高圧ソリッドストリームノズルは、高速の流出速度の効果を利用するが、可能な最大限のジェット周囲は利用しない。発明者たちは、一定の流出範囲の場合、その結果として一定の流出速度(導管損失を考慮しない継続率)の場合も、かなり大きな周囲および周囲範囲を、いくつかのノズルへの分割によって生成することができると気づいた。発明者たちは、より細かい口径ステージに分割された20mm口径(ソリッドストリームノズル規格)から始まる口径の変化があると気づいた。いくつかの小さなノズルを用いることによって、(摩擦なしで見た)一定の流出速度を保持すると同時に、周囲の接点を何倍にも増加させることが比較的容易であることは明白である。
【国際調査報告】