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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ゾルミトリプタンを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/422 20060101AFI20240311BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240311BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240311BHJP
【FI】
A61K31/422
A61P25/28
A61K9/14
A61K9/20
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558740
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022021738
(87)【国際公開番号】W WO2022204399
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/165,938
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/306,377
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522156210
【氏名又は名称】マップライト セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リリー,ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA32
4C076AA36
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC01
4C076EE09
4C076EE15
4C076EE16
4C076EE22
4C076EE23
4C076EE25
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE37
4C076EE38
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC69
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA10
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA15
(57)【要約】
本明細書には、ゾルミトリプタンを含む経口組成物、及び例えば、自閉症スペクトラム障害の症状の治療、及び認知症のある患者の攻撃性の治療のためのその使用方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自閉症スペクトラム障害の症状の治療用経口組成物であって、前記組成物が約7.5mg~約90mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、前記組成物の経口投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも8時間の間提供される、組成物。
【請求項2】
約10mg~約30mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
即放性部分と徐放性部分とを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記即放性部分が前記組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約20%~40%を含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記徐放性部分が前記組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約60%~80%を含有する、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記即放性部分が前記組成物中の総ゾルミトリプタンの約25%を含有し、前記徐放性部分が前記組成物中の総ゾルミトリプタンの約75%を含有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記即放性部分が約1mg~約10mgのゾルミトリプタンを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記即放性部分が約3mgのゾルミトリプタンを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記即放性部分が約6mgのゾルミトリプタンを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記徐放性部分が約5mg~約25mgのゾルミトリプタンを含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記徐放性部分が9mgのゾルミトリプタンを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記徐放性部分が約18mgのゾルミトリプタンを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約3ng/mL~約30ng/mLのCmaxが提供される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後少なくとも約10ng/mLの血漿濃度が少なくとも8時間提供される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約50ng・h/mL~約250ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約150ng・h/mL~約250ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物の経口投与 前記組成物の単回投与後約50ng・h/mL~約150ng・h/mLのAUC0-24h、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約18時間の間提供される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物の経口投与 前記組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約24時間の間、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
多粒子製剤である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記徐放性部分が、徐放性コーティングでコートされた薬物含有粒子を含む、請求項3~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
胃内保持性(gastrorentive)錠剤である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記徐放性部分が胃内保持性(gastrorentive)層である、請求項3~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記胃内保持性層が水膨潤性ポリマーを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記水膨潤性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド類、セルロースポリマー及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン及びデンプン系ポリマー;マルトデキストリン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ヒドロゲル類、架橋ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記水膨潤性ポリマーが、高分子量ポリエチレンオキシド、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
前記水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
約35~55重量%のポリエチレンオキシドを含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
経口投与後少なくとも2時間胃内に保持される、請求項24~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
経口投与後少なくとも8時間胃内に保持される、請求項24~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
修飾された放出プロファイルを提供する自閉症スペクトラム障害の症状の治療用のゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩の経口組成物であって、
前記組成物が、米国薬局方装置II(パドル法、50rpm)を使用して900mLの0.1N HCl中37℃で溶解試験を行ったとき、実質的に以下のパターンに対応するゾルミトリプタン放出プロファイルを呈する:
総ゾルミトリプタンの約20%~40%が約15分後に放出され;
4時間後に総ゾルミトリプタンの約40%~75%が放出され;及び
8時間後に総ゾルミトリプタンの約75%~90%が放出される、組成物。
【請求項34】
総ゾルミトリプタンの約85%が9~10時間以内に放出される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
約10mg~約30mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項33又は34に記載の組成物。
【請求項36】
即放性部分及び徐放性部分を含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記即放性部分が前記組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約20%~40%を含有する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記徐放性部分が前記組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約60%~80%を含有する、請求項36又は37に記載の組成物。
【請求項39】
前記即放性部分が約1mg~約10mgのゾルミトリプタンを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記徐放性部分が約5mg~約25mgのゾルミトリプタンを含む、請求項36~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約3ng/mL~約30ng/mLのCmaxが提供される、請求項33~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項33~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
胃内保持性錠剤である、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記徐放性部分が胃内保持性(gastrorentive)層である、請求項33~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記胃内保持性層が水膨潤性ポリマーを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記水膨潤性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド類、セルロースポリマー及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン及びデンプン系ポリマー;マルトデキストリン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ヒドロゲル類、架橋ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記水膨潤性ポリマーが、高分子量ポリエチレンオキシド、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
前記水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項45に記載の組成物。
【請求項49】
約35~55重量%のポリエチレンオキシドを含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項33~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
多粒子製剤である、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記徐放性部分が、徐放性コーティングでコートされた薬物含有粒子を含む、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
自閉症スペクトラム障害の症状の治療用組成物であって、前記組成物がゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、前記組成物の経口投与により、約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供されて、自閉症スペクトラム障害の症状が治療される、組成物。
【請求項54】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約110ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後約150ng・h/mL~約450ng・h/mLのAUC0-24h,ssが提供される、請求項53に記載の組成物。
【請求項56】
前記組成物の経口投与により、前記組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項53~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
自閉症スペクトラム障害の症状を治療する方法であって、請求項1~56のいずれか一項に記載の組成物の医薬組成物をそれを必要としている患者に経口投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本願は、2022年2月3日に出願された米国仮特許出願第63/306,377号、及び2021年3月25日に出願された米国仮特許出願第63/165,938号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示はあらゆる目的から本明細書によって全体として参照により援用される。
【0002】
本開示の分野
[002] 本開示は、ゾルミトリプタンの医薬組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示の背景
[003] ゾルミトリプタンは、頭蓋内動脈に発現するセロトニン(5-HT)1B受容体並びに髄膜の末梢三叉神経感覚神経終末及び脳幹感覚核の中枢終末に位置する5-HT 1D受容体を分子標的とするトリプタンである。ゾルミトリプタンの化学名は、(4S)-4-[[3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-1H-インドール-5-イル]メチル]-1,3-オキサゾリジン-2-オンであり、その構造式は以下に示す。
【化1】
【0004】
[004] ゾルミトリプタンは、米国及び他の市場では、片頭痛などの頭痛の治療用にZOMIG(登録商標)として販売されている。
【0005】
[005] ゾルミトリプタンは、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連する症状の治療に使用することができる。ASD患者は、感覚処理異常を呈することがよく見られ、食品又は医薬品の色、味、臭い、及び/又は質感に嫌悪感を示し得る。従って、ASD患者の服薬アドヒアランスを維持することは、難題となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006] このように、1日1回、1日2回、又は1日3回投与したときに治療有効性を提供するゾルミトリプタンの医薬組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の概要
一態様において、本開示は、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、本開示は、1日1回又は1日2回を基本として投与したときに治療上有効な血漿ゾルミトリプタンレベルを提供する医薬組成物を提供する。
【0008】
[008] 一部の実施形態において、本組成物は、ゾルミトリプタンを約7.5mg~約150mgの量で含む。一部の実施形態において、本組成物は、ゾルミトリプタンを約60mg~約120mgの量で含む。一部の実施形態において、本医薬組成物は、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、又は約150mgのゾルミトリプタンを含む。
【0009】
[009] 一部の実施形態において、本開示は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用組成物であって、約7.5mg~約150mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供し、ここで本組成物の投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも約12時間の間提供される。
【0010】
[010] 一部の実施形態において、本開示は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用組成物であって、ゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供し、ここで本組成物の経口投与により、約10ng・h/mL~約1150ng・h/mLのAUC0-24h,ssが約12~24時間の間にわたって提供されて、自閉症スペクトラム障害の症状が治療される。
【0011】
[011] 一部の実施形態において、本開示は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用組成物であって、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供し、ここで組成物の注射により、約10ng・h/mL~約1150ng・h/mLのAUC0-24h,ssが約1日~約1ヵ月の間にわたって提供されて、自閉症スペクトラム障害の症状が治療される。
【0012】
[012] 一部の実施形態において、本開示は、自閉症スペクトラム障害の症状を治療する方法であって、医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む方法を提供し、ここで医薬組成物は、約2mg~約150mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、ここでこの投与により、治療上有効な血漿濃度が少なくとも約12時間の間提供される。
【0013】
[013] 一部の実施形態において、本開示は、認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性の治療用組成物であって、約7.5mg~約150mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供し、ここでこの組成物の投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも約12時間の間提供される。
【0014】
[014] 一部の実施形態において、本開示は、認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性の治療用組成物であって、ゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供し、ここで組成物の経口投与により、約10ng・h/mL~約1150ng・h/mLのAUC0-24h,ssが約12~24時間の間にわたって提供されて、自閉症スペクトラム障害の症状が治療される。
【0015】
[015] 一部の実施形態において、本開示は、認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性の治療用組成物であって、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩含む組成物を提供し、ここで組成物の注射により、約10ng・h/mL~約1150ng・h/mLのAUC0-24h,ssが約1日~約1ヵ月の間にわたって提供されて、自閉症スペクトラム障害の症状が治療される。
【0016】
[016] 一部の実施形態において、本開示は、認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性を治療する方法であって、医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む方法を提供し、ここで医薬組成物は、約2mg~約150mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、ここでこの投与により、治療上有効な血漿濃度が少なくとも約12時間の間提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な説明
図1】[017]居住者CD-1マウスを媒体対照、10mg/kgゾルミトリプタン又は0.03mg/kgリスペリドンで治療したクロスオーバー居住者-侵入者(RI)試験からの成体雄CD-1マウスの攻撃時間(秒)を示す。攻撃時間はクロスオーバーデザインとして5分間にわたって測定した。データは平均値±平均値の標準誤差として表す。
図2】[018]媒体対照又は10mg/kgゾルミトリプタンで治療したマウスにおけるバルプロ酸(VPA)誘発性自閉症スペクトラム障害c57/Bl6マウスモデルにおける社会性指数を示す。
図3】[019]5mg、10mg、20mg、及び30mg用量をヒト対象に経口投与した後のゾルミトリプタン及びその代謝産物N-デスメチルゾルミトリプタン(NDMZ)の平均CSFレベルを示す。
図4】[020]徐放性錠剤(15mg ERゾルミトリプタン)及び即放性/徐放性25mg(10mg IRゾルミトリプタン/15mg ERゾルミトリプタン)二層錠剤のゾルミトリプタン溶解プロファイルを示す。
図5】[021]12mg(3mg IR/9mg ER)及び24mg(6mg IR/18mg ER)ゾルミトリプタン即放性/徐放性経口二層錠剤のゾルミトリプタン溶解プロファイルを示す(n=6)
図6】[022]実施例10に記載する研究の研究デザイン概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
[023] 用語「約」は、数値の直前に置かれているとき、ある範囲(例えば、その値から±10%)を意味する。例えば、本開示の文脈上特に指示されない限り、又はかかる解釈と矛盾しない限り、「約50」は45~55を意味することができ、「約25,000」は22,500~27,500を意味することができる等である。例えば「約49、約50、約55、……」などの数値のリスト中、「約50」は、前後の値の間の1つ又は複数の間隔の半分未満にまで及ぶ範囲、例えば、50.5より大きく52.5より小さい範囲を意味する。更に、語句「約(ある値)より小さい」又は「約(ある値)より大きい」とは、本明細書に提供される用語「約」の定義に鑑みて理解されなければならない。同様に、用語「約」は、一続きの数値又は値の範囲の前に置かれているとき(例えば、「約10、20、30」又は「約10~30」)、その一続きの中にある全ての値、又はその範囲の端点のそれぞれに言及する。
【0019】
[024] 本開示全体を通じて、様々な特許、特許出願及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願及び刊行物の開示は、本開示の日付現在で当業者に公知のとおりの技術水準をより十全に説明するため、その全体があらゆる目的から本開示に参照により援用される。引用される特許、特許出願及び刊行物と本開示との間に矛盾がある場合には、本開示が優先するものとする。
【0020】
[025] 便宜上、本明細書、例及び特許請求の範囲において用いられる特定の用語をここに集める。特に定義されない限り、本開示で使用される科学技術用語は全て、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。
【0021】
[026] 用語「投与する」、「投与すること」又は「投与」は、本明細書で使用されるとき、化合物又はその化合物の薬学的に許容可能な塩若しくはエステル、又は化合物又はその化合物の薬学的に許容可能な塩若しくはエステルを含む組成物を患者に直接投与することのいずれかを指す。
【0022】
[027] 用語「担体」は、本明細書で使用されるとき、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、つまり、薬学的作用物質を担持し、又はそれをある一つの臓器、又は身体の一部位から別の臓器又は身体の一部位へと輸送することに関わる液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料など、材料、組成物又は媒体を意味する。
【0023】
[028] 用語「障害」は、本開示では、特に指示されない限り、用語の疾患、病態、又は病気を意味して使用され、且つそれと同義的に使用される。
【0024】
[029] 用語「有効量」及び「治療有効量」は、本開示では同義的に使用され、化合物、又はその塩、溶媒和物若しくはエステルが、患者への投与時に、意図した結果を達成することが可能な量を指す。例えば、一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの有効量とは、患者のASDの少なくとも1つの症状を低減するのに必要となる量である。「有効量」又は「治療有効量」を含む実際の量は、限定はされないが、障害の重症度、患者のサイズ及び健康、並びに投与経路を含め、幾つもの条件に応じて変わることになる。熟練した医師は、医学分野で公知の方法を用いて適切な量を容易に決定することができる。
【0025】
[030] 語句「薬学的に許容可能」は、本明細書で使用されるとき、妥当な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症のない、妥当なリスク対効果比に見合った化合物、材料、組成物、及び/又は投薬形態を指す。
【0026】
[031] 用語「塩」は、本明細書で使用されるとき、遊離塩基の付加塩の形成に一般的に使用される薬学的に許容可能な塩を包含する。塩がどのような性質かは、それが薬学的に許容可能であるならば、決定的に重要というわけではない。用語「塩」にはまた、水和物など、付加塩の溶媒和物、並びに付加塩の多型も含まれる。好適な薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸から、又は有機酸から調製することができる。
【0027】
[032] 用語「薬学的に許容可能な塩」には、塩基として機能する活性化合物を無機酸又は有機酸と反応させて、塩、例えば、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸(+)、樟脳-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-L)マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、及びウンデシレン酸の塩を形成することによって得られるものが含まれる。当業者は、幾つもの公知の方法のいずれかで化合物を適切な無機酸又は有機酸と反応させることによって酸付加塩を調製し得ることを更に認識するであろう。
【0028】
[033] 用語「治療すること」は、本明細書で患者に関連して使用されるとき、患者の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。治療することは、障害を改善すること、又は少なくとも部分的に良くなるようにすることであり得る。
【0029】
[034] 用語「治療効果」は、本明細書で使用されるとき、本方法及び/又は本組成物によって提供される所望の又は有益な効果を指す。例えば、一部の実施形態において、自閉症スペクトラム障害の治療方法は、本方法が患者のASDの少なくとも1つの症状を改善するとき(例えば、ASDに関連する被刺激性の改善又は社会性の増加)、治療効果を提供する。一部の実施形態において、認知症患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性の治療方法は、本方法が患者における患者の攻撃性の少なくとも1つの症状を改善するとき、治療効果を提供する。
【0030】
本開示の詳細な説明
[035] 本開示は、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として投与したときに治療上有効な血漿レベルを提供する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、基準収載製剤(ZOMIG(登録商標))と同様の治療有効性を実現するが、改善された安全性プロファイルを有する。
【0031】
ゾルミトリプタン
[036] 本方法で用いられるとおりのゾルミトリプタンは、ゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容可能な担体と共に組み合わせることにより、医薬組成物の一部を形成し得る。加えて、本組成物は、補助剤、賦形剤、希釈剤、放出修飾剤及び安定剤からなる群から選択される添加剤を含み得る。
【0032】
[037] ゾルミトリプタンは、トリプタンの一種である。トリプタンは、セロトニン受容体サブタイプ選択的薬物クラスに属する。トリプタンは、セロトニン(5-HT)系に属する5-HT1B、5-HT1D、及び5-HT1F受容体に対して選択的な活性を有する。トリプタンは血管収縮特性を呈し、これは動脈平滑筋の5-HT1Bに対する作用によって媒介される。トリプタンによる血管収縮は、中大脳血管の血流速度の用量依存的増加につながる。トリプタンは末梢侵害受容器の異常な活性化を阻害すると考えられている。トリプタンは、侵害受容器の活性化を阻害し、サブスタンスP及びカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を含めた血管作動性ペプチドの末梢放出を妨げることによって血漿タンパク質溢出(PPE)を低減すると推定される。トリプタン結合部位は中枢神経系内にも存在する。従って、トリプタンが中枢神経系に対して効果を呈する可能性がある。本開示時点では、トリプタンは片頭痛の治療用にFDAの承認が下りている。
【0033】
[038] 50年余り前にこの障害の最初のバイオマーカーとして血中5-HTレベルの異常が見付かって以来、セロトニン系は自閉症の病態生理に関係があるとされている(Schain et al. J Pediatr. 1961 Mar;58:315-20)。脳内の主な5-HT供給源は中脳背側縫線核(DRN)に端を発し、皮質、扁桃、視床下部を越えて、感情処理及び社会的行動に関連する他の皮質下構造まで広く投射する。DRNからの濃密なセロトニン作動性投射は、行動行為の選択に先行する動機付けシグナルの統合装置として働く良く保存された前脳基底部構造である側坐核(NAc)を神経支配する(Kravitz et al. Physiology (Bethesda). 2012 Jun;27(3):167-77.)。社会的相互作用の文脈では、NAcの報酬処理は、社会的アプローチと社会的回避行動との対比での選択を司ると考えられている(Pfaff. Trends Neurosci. 2019 Jul;42(7):448-457.)。前臨床試験からのエビデンスは、社会的行動及び社会的報酬における5-HTシグナル伝達の決定的な役割を裏付けている(Kane et al. PLoS One. 2012;7(11):e48975.;Challis et al. J Neurosci. 2013 Aug 28;33(35):13978-88, 13988a.;Li et al. Nat Commun. 2016 Jan 28;7:10503.)。更に、ASD小児のfMRIイメージング研究において、NAcにおける報酬の異常な処理が観察されている(Clements et al. JAMA Psychiatry. 2018 Aug 1;75(8):797-808. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2018.1100.)。
【0034】
[039] ヒト脳内では、5-HT1BはNAcに高発現する(Garcia-Alloza et al. Neuropsychologia. 2005;43(3):442-9.;Varnas et al. Hum Brain Mapp. 2004 Jul;22(3):246-60.;Varnas et al. Synapse. 56: 21-8.)。これは軸索終末に局在する阻害性Gタンパク質共役受容体であり、神経伝達物質放出を抑制する働きをする(Sari. Neurosci Biobehav Rev. 2004 Oct;28(6):565-82.)。自己受容体として、5-HT1Bは5-HTの放出を阻害し、しかしこれはまた、グルタミン酸、GABA、ドーパミン及びアセチルコリンを含めた他の神経伝達物質の放出を阻害するヘテロ受容体としても重要な役割を果たす(Boscher et al. (1994) Neuroscience 58:167-182.)。本開示によれば、本明細書に記載されるトリプタンの5-HT1Bアゴニスト性が、ASDの行動症状を調節する。
【0035】
[040] ゾルミトリプタンの合成については、米国特許第9,006,453号(これは本明細書によってあらゆる目的から全体として参照により援用される)に記載されている。光学的に純粋なゾルミトリプタンの合成については、米国特許出願公開第2005/105792号(これは本明細書によってあらゆる目的から全体として参照により援用される)に記載されている。
【0036】
[041] 一部の実施形態において、本開示の組成物及び方法で使用されるゾルミトリプタンは、ゾルミトリプタンの薬学的に許容可能な塩である。一部の実施形態において、本開示の製剤及び方法で使用されるゾルミトリプタンの薬学的に許容可能な塩は、シュウ酸塩、カンファースルホン酸塩、スルホン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸水素塩、メシル酸塩、コハク酸塩及び酒石酸塩からなる群から選択される。
【0037】
医薬組成物
[042] 一態様において、本開示は、ゾルミトリプタンを含む医薬組成物を提供する。
【0038】
[043] 一部の実施形態において、本開示は、1日1回、1日2回又は1日3回を基本として投与したときにASDに関連する症状の1つ以上を治療するための治療効果を提供する医薬組成物を提供する。
【0039】
[044] 一部の実施形態において、本開示は、1日1回、1日2回又は1日3回を基本として投与したときに認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性を治療するための治療効果を提供する医薬組成物を提供する。
【0040】
[045] 一部の実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物は、絶食状態の対象に投与される。一部の実施形態において、本医薬組成物は、食後状態の対象に投与される。
【0041】
[046] 一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、ゾルミトリプタンを約1mg~約200mg、例えば、約1mg、約3mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約12mg 約20mg、約24mg、約30mg、約36mg、約40mg、約48mg、約50mg、約60mg、約70mg、約72mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、又は約200mg(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)の量で含む。一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、ゾルミトリプタンを約50mg~約200mgの量で含む。一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg又は約200mgのゾルミトリプタンを含む。一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を約7.5mg~約50mgの量で含む。一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を約10mg~約30mgの量で含む。一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、約12mg、約24mg、約36mg、又は約48mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、約12mg、約24mg、約36mg、約48、又は約72mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0042】
[047] 一部の実施形態において、本医薬組成物は、ゾルミトリプタンを2回以上のパルス、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10回又はそれ以上のパルスで放出する。パルスのタイミングは、薬物が胃腸管の所望の範囲に放出されるように修飾することができる。例えば、一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、胃で1回以上のパルスを放出し、及び腸で1回以上のパルスを放出するように製剤化される。
【0043】
[048] 一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、(i)即放性構成成分及び(ii)遅延放出性構成成分を含み、これらは各々が、医薬組成物中のゾルミトリプタン総量の一部分を占める。
【0044】
[049] 一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、(i)即放性構成成分及び(ii)徐放性構成成分を含み、これらは各々が、医薬組成物中のゾルミトリプタン総量の一部分を占める。
【0045】
[050] 一部の実施形態において、即放性構成成分中のゾルミトリプタンを遅延放出性又は徐放性構成成分中のゾルミトリプタンと比較した比は、約1:99~約99:1、例えば、約1:99、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、約40:60、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20、約85:15、約90:10、約95:5、及び約99:1(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)の範囲である。一部の実施形態において、即放性構成成分中のゾルミトリプタンを遅延放出性又は徐放性構成成分中のゾルミトリプタンと比較した比は、約25:75である。一部の実施形態において、即放性構成成分は、医薬組成物中のゾルミトリプタン総量の約75%以下(例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、及び約74%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))を占め、遅延放出性又は徐放性構成成分は、医薬組成物中のゾルミトリプタン総量の約25%以上(例えば、約25%、約20%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び約99%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))を占める。一部の実施形態において、即放性構成成分は、組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約20%、約25%、約30%、約35%~約40%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約20%~40%を占める。一部の実施形態において、徐放性構成成分は、組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約60%、約65%、約70%、約75%~約80%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約60%~80%を含有する。一部の実施形態において、即放性構成成分は、組成物中の総ゾルミトリプタンの約25%を含有し、徐放性構成成分は、組成物中の総ゾルミトリプタンの約75%を含有する。
【0046】
[051] 一部の実施形態において、即放性構成成分は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg~約20mg(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1mg~約20mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、即放性構成成分は、約1mg~約10mg、又は約3mg~約10mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、即放性構成成分は、約3mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、即放性構成成分は、約6mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0047】
[052] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、及び約50mg(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1mg~約50mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、徐放性構成成分は、約5mg~約25mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、徐放性構成成分は、約9mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、徐放性構成成分は、約18mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0048】
[053] 一部の実施形態において、即放性構成成分は、組成物の総重量を基準として、約0.01%w/w、約0.02%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1%w/w、約1.5%、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/w、約5%w/w、約5.5%w/w、約6%w/w、約6.5%w/w、約7%w/w、約7.5%w/w、約8%w/w、約8.5%w/w、約9%w/w、約9.5%w/w及び約10%w/wのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、組成物(例えば、二層錠剤)の総重量を基準として、約0.01~10%w/wのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、即放性構成成分は、組成物の総重量を基準として、約0.01~5%w/w、又は約0.1~2.5%w/wのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、徐放性構成成分は、組成物の総重量の約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1%w/w、約1.5%、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/w、約5%w/w、約5.5%w/w、約6%w/w、約6.5%w/w、約7%w/w、約7.5%w/w、約8%w/w、約8.5%w/w、約9%w/w、約9.5%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、及び約20%w/w(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、組成物(例えば、二層錠剤)の総重量を基準として、約0.05~20%w/wのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、徐放性構成成分は、組成物の総重量を基準として、約1~10%w/w、又は0.05~5%w/w、又は0.01~2.5%w/wのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0049】
[054] 好適な即放性構成成分の非限定的な例としては、錠剤、液体組成物(例えば、懸濁液及びエマルション)、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤、薬物含有ビーズ及び粒子などの形態であることができる剤形の一部分又は複数部分として取り込まれる1つ以上の即放性構成成分が挙げられる。一部の実施形態において、即放性構成成分は、遅延放出性又は徐放性構成成分の上を覆って置かれてもよく、又は即放性構成成分は、遅延放出性又は徐放性構成成分とは別個であってもよい。例えば、即放性構成成分は、浸透圧送達システム又はカプセル剤を覆って置くことのできるコーティングの形態であってもよく、又は即放性ビーズが、カプセル剤又は錠剤中の遅延放出性又は徐放性ビーズと組み合わされてもよい。他の実施形態において、即放性構成成分は、二層又は多層錠剤の層として提供されてもよい。一部の実施形態において即放性構成成分は、二層錠剤の層として提供される。遅延放出性構成成分は、医薬組成物中のゾルミトリプタンの総量の一部分(例えば、約25~99%)の放出を少なくとも30分間実質的に妨げる任意の製剤であることができる。好適な遅延放出性構成成分の非限定的な例としては、薬物含有錠剤、粒子、ビーズなどの一部分又は複数部分として取り込まれる1つ以上の遅延放出性構成成分、遅延放出性ポリマーでコートされるもの、ゾルミトリプタンを含む遅延放出性マトリックス、及びゾルミトリプタンを含む浸透圧ポンプが挙げられる。
【0050】
[055] 一部の実施形態において、本組成物は、1つ以上の即放性構成成分を1つ以上の徐放性構成成分との組み合わせで含み、ここで徐放性構成成分は、ゾルミトリプタンを長時間にわたって放出する。
【0051】
[056] 一部の実施形態において、本組成物は、多粒子製剤である。一部の実施形態において、本組成物は、胃内保持性(gastrorentive)錠剤である。
【0052】
[057] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は、胃内保持性(gastrorentive)層である。一部の実施形態において、本組成物は、経口投与後少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、又は少なくとも約12時間胃内に保持される。一部の実施形態において、本組成物は、経口投与後少なくとも約2時間胃内に保持される。一部の実施形態において、本組成物は、経口投与後少なくとも約8時間胃内に保持される。
【0053】
[058] 本開示は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用組成物及び方法を開示する列挙される実施形態を提供する。本明細書に記載される組成物及び方法はまた、攻撃性(例えば、アルツハイマー病患者などの認知症患者における攻撃性)を特徴とする他の病態の治療にも好適である。このように、自閉症スペクトラム障害の症状の組成物及び治療についての本明細書に記載される列挙される実施形態は、攻撃性(例えば、アルツハイマー病患者などの認知症患者における攻撃性)を特徴とする病態の治療にも等しく適用される。
【0054】
[059] 一部の実施形態において、本明細書には、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用経口組成物であって、約7.5mg~約90mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物が提供され、本組成物の経口投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも8時間の間提供される。
【0055】
[060] 一部の実施形態において、本明細書には、認知症のある患者の攻撃性の治療用経口組成物であって、約7.5mg~約90mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物が提供され、本組成物の経口投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも8時間の間提供される。
【0056】
[061] 一部の実施形態において、本明細書には、アルツハイマー病患者の攻撃性の治療用経口組成物であって、約7.5mg~約90mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物が提供され、本組成物の経口投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも8時間の間提供される。
【0057】
[062] 一部の実施形態において、本開示の医薬組成物は、米国薬局方装置II(パドル法、50rpm)を使用して900mLの0.1N HCl(又は好適な媒体)中約37℃で溶解試験を行ったとき、実質的に以下のパターンに対応するゾルミトリプタン放出プロファイルを呈する:
総ゾルミトリプタンの約20%~40%が約15分後に放出され;
約4時間後に総ゾルミトリプタンの約40%~75%が放出され;及び
約8時間後に総ゾルミトリプタンの約75%~90%が放出される。
【0058】
[063] 一部の実施形態において、溶解は、模擬絶食条件下で試験される。一部の実施形態において、溶解は、模擬食後条件下で試験される。
【0059】
[064] 一部の実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物の溶解が米国薬局方装置II(パドル法、50rpm)を使用して900mLの0.1N HCl(又は好適な媒体)中約37℃で試験されるとき、総ゾルミトリプタンの約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、及び約40%が約15分後に放出される(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)ことを含め、総ゾルミトリプタンの約5%~40%が約15分後に放出される。
【0060】
[065] 一部の実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物の溶解が米国薬局方装置II(パドル法、50rpm)を使用して900mLの0.1N HCl(又は好適な媒体)中約37℃で試験されるとき、総ゾルミトリプタンの約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、及び約75%が約4時間後に放出される(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)ことを含め、約4時間後に総ゾルミトリプタンの約40%~75%が放出される。
【0061】
[066] 一部の実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物の溶解が米国薬局方装置II(パドル法、50rpm)を使用して900mLの0.1N HCl(又は好適な媒体)中約37℃で試験されるとき、約75%、約80%、約85%、及び約90%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約8時間後に総ゾルミトリプタンの約75%~90%が放出される。一部の実施形態において、総ゾルミトリプタンの約85%が9~10時間以内に放出される。一部の実施形態において、溶解は、模擬食後条件下で試験される。
【0062】
[067] 実施形態において、従って本医薬組成物は、治療上有効な血漿濃度を長時間にわたって、典型的には約6~24時間(例えば、約8時間、又は約12時間、又は約16時間)の間にわたって提供して、ヒトの自閉症スペクトラム障害の症状を治療する。
【0063】
[068] 実施形態において、従って本医薬組成物は、治療上有効な血漿濃度を長時間にわたって、典型的には少なくとも約6~24時間(例えば、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、又は少なくとも約16時間)の間にわたって提供して、ヒトの自閉症スペクトラム障害の症状を治療する。
【0064】
[069] 実施形態において、従って本医薬組成物は、治療上有効な血漿濃度を長時間にわたって、典型的には約6~24時間(例えば、約8時間、又は約12時間、又は約16時間)の間にわたって提供して、認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性を治療する。
【0065】
[070] 実施形態において、従って本医薬組成物は、治療上有効な血漿濃度を長時間にわたって、典型的には少なくとも約6~24時間(例えば、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、又は少なくとも約16時間)の間にわたって提供して、認知症のある患者(例えば、アルツハイマー病患者)の攻撃性を治療する。
【0066】
[071] 一部の実施形態において、1つ以上の即放性構成成分及び/又は遅延放出性又は徐放性構成成分を含む本開示の医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び/又は賦形剤を含む。薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤としては、限定なしに、任意の補助剤、担体、賦形剤、流動化剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色料、風味強化剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、又は乳化剤が挙げられる。
【0067】
[072] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は胃内保持性層であり、この胃内保持性層は、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩、薬物放出調整剤、及び任意選択で、滑沢剤、及び結合剤及び/又は希釈剤、並びに他の賦形剤など、本明細書に記載される1つ以上の賦形剤を含む。一部の実施形態において、胃内保持性層は1つ以上の薬物放出調整剤を含み、水膨潤性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド)など、本明細書に開示される任意の膨潤性で浸食性の親水性ポリマーが挙げられる。一部の実施形態において、胃内保持性層は、薬物放出調整剤(例えば、水膨潤性ポリマー)を、全組成物の約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、及び約75%w/w(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、全組成物(例えば、二層錠剤)の約15%~約75%w/wで含む。一部の実施形態において、胃内保持性層は、薬物放出調整剤(例えば、ポリエチレンオキシドなどの水膨潤性ポリマー)を全組成物(例えば、二層錠剤)の約35~55%w/w含む。胃内保持性層に好適な滑沢剤としては、ステアリン酸、及びステアリン酸塩、例えばステアリン酸マグネシウムなど、本明細書に挙げられる任意の滑沢剤が挙げられる。一部の実施形態において、胃内保持性層は、組成物(例えば、二層錠剤)の総重量を基準として、例えば、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w。約0.5%w/w、約1.0%w/w、約1.5%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、及び約5%w/w(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、0.05~5%w/wの滑沢剤を含む。胃内保持性層に好適な結合剤としては、Avicel(商標)PH101、又はCeolus(商標)KG802など、微結晶性セルロースを含め、本明細書に挙げられる任意の結合剤が挙げられる。胃内保持性層中の結合剤の量は、組成物(例えば、二層錠剤)の総重量を基準として、例えば、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、及び約45%w/w(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約10~約50%w/wの範囲であってもよい。
【0068】
[073] 一部の実施形態において、好適な薬学的に許容可能な担体としては、限定はされないが、不活性な固体充填剤又は希釈剤及び滅菌水溶液又は有機溶液が挙げられる。薬学的に許容可能な担体は当業者に周知であり、限定はされないが、水性及び非水性溶液が挙げられる。薬学的に許容可能な担体は水性又は非水性溶液、懸濁液及びエマルションであってもよい。本願での使用に好適な非水性溶媒の例としては、限定はされないが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステル類が挙げられる。本願での使用に好適な水性担体としては、生理食塩水及び緩衝媒体を含め、限定はされないが、水、エタノール、アルコール溶液/水溶液、グリセロール、エマルション又は懸濁液が挙げられる。
【0069】
[074] 本願における使用に好適な液体担体としては、限定はされないが、水(添加剤を部分的に含有する、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液)、アルコール類(一価アルコール類及び多価アルコール類、例えばグリコール類を含む)及びその誘導体、及び油(例えば分留ヤシ油及びラッカセイ油)が挙げられる。
【0070】
[075] 本願での使用に好適な液体担体は、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ剤、エリキシル剤及び加圧下の化合物の調製に使用することができる。一部の実施形態において、活性成分は、水、有機溶媒、両方の混合物又は薬学的に許容可能な油若しくは脂肪などの薬学的に許容可能な液体担体に溶解又は懸濁される。一部の実施形態において、液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味料、香味剤、懸濁剤、増粘剤、着色料、粘性調節剤、安定剤又は浸透圧調節剤など、他の好適な医薬添加剤を含有する。
【0071】
[076] 本願での使用に好適な固体担体としては、限定はされないが、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトールなどの不活性物質が挙げられる。固体担体としては、香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁剤、充填剤、流動化剤、圧縮助剤、結合剤又は錠剤崩壊剤として作用する1つ以上の物質を更に挙げることができる;これはまた、封入材料であってもよい。散剤では、担体は、微粉化された活性化合物と混和した状態にある微粉化された固体であってもよい。錠剤では、活性化合物は、必要な圧縮特性を有する担体と好適な比率で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。散剤及び錠剤は、最高99%までの活性化合物を含有し得る。好適な固体担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス及びイオン交換樹脂が挙げられる。錠剤は、任意選択で1つ以上の補助成分と共に、圧縮又は成形により作られてもよい。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒などの易流動性の形態にある活性成分を、任意選択で、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)表面活性剤又は分散剤と混合して、好適な機械で圧縮することにより調製されてもよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することにより作られてもよい。錠剤は、任意選択でコートされ、又は割線が入れられてもよく、所望の放出プロファイルを提供するため例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な比率で使用して、その中にある活性成分の遅延又は制御放出が提供されるように製剤化されてもよい。錠剤は、任意選択で腸溶性コーティングを備えて提供することにより、胃以外の腸内部位における放出を提供してもよい。
【0072】
[077] 本願での使用に好適な担体は、必要に応じて崩壊剤、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤などと共に、当該技術分野において公知の従来技法を用いて混合することができる。担体はまた、当該技術分野において概して公知のとおりの、化合物と有害な反応を起こさない方法を用いて滅菌することもできる。
【0073】
[078] 本明細書に記載される製剤には、希釈剤を加えてもよい。希釈剤は、固体医薬組成物及び/又は組み合わせのバルク性を増加させるものであり、それにより組成物及び/又は組み合わせを含有する医薬剤形の取り扱いが患者及び看護者にとって容易になり得る。様々な実施形態において、固体組成物用の希釈剤としては、例えば、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL)、超微粒セルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート類、デキストリン、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート類(例えば、EUDRAGIT(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、及びタルク、及び/又は前述のいずれかの混合物が挙げられる。微結晶性セルロースの具体的な例としては、商標Avicel(FMC Corp.、Philadelphia, Pa.)で販売されているもの、例えば、Avicel(商標)pH101、Avicel(商標)pH102及びAvicel(商標)pH112が挙げられ;ラクトースとしては、ラクトース一水和物、無水ラクトース及びPharmatose DCL21が挙げられ;二塩基性リン酸カルシウムとしては、Emcompressが挙げられる。
【0074】
[079] 滑沢剤は、錠剤製造を容易にするために使用され、粉体の流動を促進し、及び圧力が解除されたときの粒子のキャッピング(即ち、粒子の破砕)を防止する。有用な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルク、Aerosil(商標)200などのコロイド状二酸化ケイ素、鉱油(PEG中)、硬化植物油(例えば、ステアリン酸及びパルミチン酸の水素化及び精製トリグリセリド類で構成される)、これらの組み合わせである。
【0075】
[080] 結合剤は、錠剤に凝集力のある質を付与し、ひいては圧縮後に錠剤又は錠剤層がインタクトなままであることを確実にするために使用される。好適な結合剤材料としては、限定はされないが、デンプン(コーンスターチ及びアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロース及びラクトースを含む)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ワックス、並びに天然及び合成ゴム、例えば、アカシアアルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを含む)、及びVeegum、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリビニルピロリドンの例としては、ポビドン、コポビドン及びクロスポビドンが挙げられる。
【0076】
[081] 充填剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、微結晶性セルロース、尿素、塩化ナトリウム、並びにサッカライド類などの材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。本開示の組成物には、任意の好適なサッカライドを使用し得る。本明細書で使用されるとき、本発明において使用される「サッカライド類」としては、糖アルコール類、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類が挙げられる。例示的糖アルコール類としては、限定はされないが、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、ペンチトール、及びヘキシトールが挙げられる。例示的単糖類としては、限定はされないが、グルコース、フルクトース、アルドース及びケトースが挙げられる。例示的二糖類としては、限定はされないが、スクロース、イソマルト、ラクトース、トレハロース、及びマルトースが挙げられる。例示的オリゴ糖類としては、限定はされないが、フラクトオリゴ糖類、イヌリン、ガラクトオリゴ糖類、及びマンナンオリゴ糖類が挙げられる。一部の実施形態において、サッカライドは、ソルビトール、マンニトール、又はキシリトールである。一部の実施形態において、サッカライドは、ソルビトールである。一部の実施形態において、サッカライドは、スクロースである。
【0077】
[082] 崩壊剤は、錠剤の崩壊を容易にし、それによって溶解速度に対する浸食速度を増加させるために使用され、概して、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、又は架橋ポリマー(例えば、架橋ポリビニルピロリドン)である。好適な崩壊剤の他の非限定的な例としては、例えば、軽く架橋されたポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン及び加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。
【0078】
[083] 本開示の医薬製剤は、混合、溶解、造粒、糖衣形成、水簸、乳化、封入、捕捉、又は凍結乾燥処理など、当業者に公知の方法により調製し得る。上述のとおり、本開示のゾルミトリプタン組成物は、賦形剤及び補助剤など、活性分子を医薬使用向けの調製剤に処理するのを容易にする1つ以上の薬学的に許容可能な担体を含み得る。
【0079】
[084] 一部の実施形態において、本開示の医薬組成物は、経口製剤に調製される。経口投与用には、化合物は、活性化合物を当該技術分野において公知の薬学的に許容可能な担体と組み合わせることにより容易に製剤化することができる。かかる担体により、ゾルミトリプタンを対象による経口摂取用に、錠剤、丸薬、糖衣剤、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁液などとして製剤化することが可能となる。経口使用向けの医薬組成物は固体賦形剤として入手されてもよく、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、その顆粒の混合物を、必要であれば好適な補助剤を加えた後に処理すると、錠剤又は糖衣剤コアを入手し得る。かかる経口医薬組成物はまた、ミリング又は溶融押出によっても調製し得る。好適な賦形剤は、本明細書に開示されるもののいずれか、詳細には、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含めた糖類などの充填剤;トウモロコシデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)製剤などのセルロース製剤であってもよい。また、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩など、崩壊剤が用いられてもよい。ドデシル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤が加えられてもよい。
【0080】
[085] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタンを賦形剤と組み合わせて、ゾルミトリプタンを含むコア(即ち、活性コア)が形成される。一部の実施形態において、活性コアは、適切な平均粒径を有する糖スフェアなどの不活性粒子を含む。一実施形態において、この不活性コアは、糖スフェア、セルローススフェア、スフェア状二酸化ケイ素ビーズ、緩衝結晶又は封入された緩衝結晶、例えば、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸等などであってもよい。緩衝結晶は、微小環境を変えるのに有用である。或いは他の実施形態によれば、薬物含有微粒剤又はペレットが、薬物(ミニ錠剤として、例えば、約2mm以上の直径を有する)、ポリマー結合剤及び任意選択で充填剤/希釈剤の回転造粒、高剪断造粒及び押出-スフェア化又は圧縮によって調製されてもよい。
【0081】
[086] 一部の実施形態において、糖衣剤コアには、好適なコーティングが提供されてもよい。このためには濃縮糖液が使用され、これは、任意選択で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る。錠剤又は糖衣コーティングには、識別用の、又は活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるための染料又は色素が加えられてもよい。
【0082】
[087] 本開示の一部の実施形態において、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内等)による投与用に調製される。かかる実施形態の幾つかでは、医薬組成物は担体を含み、水又は生理的に適合性のある緩衝液、例えば、ハンクス液、リンゲル液、若しくは生理食塩緩衝液など、水溶液中に製剤化される。幾つかの実施形態において、他の成分(例えば、溶解性に役立つ又は保存剤として働く成分)が含まれる。幾つかの実施形態において、注射用懸濁液は、適切な液体担体、懸濁剤などを使用して調製される。ある種の注射用医薬組成物は、単位投薬形態で、例えば、アンプル又は複数回用量容器に提供される。ある種の注射用医薬組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルションであり、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有し得る。注射用医薬組成物における使用に好適なある種の溶媒としては、限定はされないが、植物油(例えばゴマ油等)などの脂溶性溶媒及び脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリド類などの合成脂肪酸エステル類が挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなど、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選択で、かかる懸濁液はまた、好適な安定剤又は医薬品の溶解度を増加させる薬剤を含有してもよく、高濃縮溶液の調製を可能にし得る。
【0083】
[088] 滅菌注射用製剤はまた、1,3-ブタンジオール中の溶液など、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であってもよく、又は凍結乾燥粉末として調製されてもよい。用いることのできる許容可能な媒体及び溶媒の中でも、水、リンゲル液及び等張食塩水が挙げられる。加えて、従来、溶媒又は懸濁媒として滅菌固定油を用いることができる。この目的では、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含め、任意の無刺激固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も、同様に注射液の調製に用いることができる。静脈内投与用の製剤は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液を含み得る。必要に応じて、製剤はまた、注射部位の痛みを和らげるための可溶化剤及び局所麻酔薬も含み得る。概して、これらの成分は、例えば、アンプル又はサシェなど、活性薬剤の分量を指示するハーメチックシールされた容器内にある乾燥した凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、別個に供給されるか、又は単位投薬形態に一緒に混合して供給されるかのいずれかである。化合物が注入によって投与されることになる場合、滅菌医薬品グレード水、生理食塩水又はデキストロース/水が入った注入ボトルで製剤中にある化合物が分注されてもよい。化合物が注射によって投与される場合、投与前に成分を混合することができるように滅菌注射用水又は生理食塩水のアンプルが提供されてもよい。
【0084】
[089] 好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、殺菌性抗生物質及び製剤を意図される被投与者の体液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射溶液;並びに懸濁剤及び増粘剤を含むものであり得る水性及び非水性滅菌懸濁液が更に含まれる。好適な製剤中には、組織を標的化するリポソームを含有するリポソーム懸濁液が存在してもよい。
【0085】
[090] 本発明の製剤の非経口投与には、本明細書に記載される医薬組成物の静脈内、皮下及び筋肉内投与が含まれる。非経口投与用の調製剤としては、即時注射可能な滅菌溶液、皮下注射用錠剤を含めた、使用直前に溶媒と合わせることが即時可能な滅菌乾燥可溶性製剤、即時注射可能な滅菌懸濁液、使用直前に媒体と合わせることが即時可能な滅菌乾燥不溶性製剤及び滅菌エマルションが挙げられる。これらの溶液は、水性又は非水性のいずれであってもよい。非経口調製剤に使用される薬学的に許容可能な担体としては、水性媒体、非水性媒体、抗微生物剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、増粘剤、乳化剤、金属イオン遮閉剤又はキレート剤及び他の薬学的に許容可能な物質が挙げられる。リポソーム懸濁液もまた、薬学的に許容可能な担体として好適である。
【0086】
[091] 本開示の、一部の実施形態において、医薬組成物はデポー調製剤として製剤化される。かかるデポー調製剤は、典型的には非デポー調製剤と比べて長時間作用型である。一部の実施形態において、かかる調製剤は、(例えば、注射又は植え込みによって)非経口投与される。例えば、ゾルミトリプタンを含有する滅菌溶液の皮下又は筋肉内デポー注射は、有効な投与様式である。一部の実施形態において、デポー調製剤は、好適なポリマー又は疎水性材料(例えば許容可能な油中のエマルション)又はイオン交換樹脂を使用して、又は難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として調製される。このように、例えば、ゾルミトリプタンは、好適なポリマー又は疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルション)又はイオン交換樹脂と共に、又は難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化されてもよい。一部の実施形態において、デポー調製剤は、1日、7日又は30日のデポー放出プロファイルを提供する。一部の実施形態において、かかる調製剤は、1日1回、週1回又は月1回の注射スケジュールで投与される。
【0087】
[092] 薬学的に活性な化合物の濃度は、注射が所望の薬理効果を生み出すための有効量を提供するように調整することができる。正確な用量は、当該技術分野において公知のとおり、患者又は動物の年齢、体重及び状態に依存する。一部の実施形態において、単位用量非経口調製剤は、アンプル又は針を備えたシリンジにパッケージングされる。非経口投与用の調製剤は全て、当該技術分野において公知で、且つ実践されているとおり、無菌でなければならない。例示的には、ゾルミトリプタンを含有する滅菌水溶液の静脈内又は動脈内注入が、有効な投与様式である。
【0088】
[093] 遅延放出性構成成分
[094] 一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、1つ以上の即放性構成成分と1つ以上の遅延放出性構成成分とを含む。一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、1つ以上の遅延放出性構成成分(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10個又はそれ以上)を含み、その各々が異なる放出プロファイルを提供し得る。一部の実施形態において、遅延放出性部分は、胃内保持性(gastrorentive)層である。一部の実施形態において、各遅延放出性構成成分は、ゾルミトリプタンを所望の遅延後に起こるパルスで放出するように製剤化され、第1の遅延放出性構成成分がゾルミトリプタンをパルスで放出し、第2の遅延放出性構成成分が徐放を提供するか、又は両方の遅延放出性構成成分がゾルミトリプタンの徐放を提供する。
【0089】
[095] 本明細書で使用されるとき、「遅延放出」とは、経口投与後決まった時間の間は遅延放出性構成成分に含まれる活性分(例えば、ゾルミトリプタン)が実質的に放出されないようにする(つまり、放出が約5~10%を超えないことを意味する)医薬製剤を指す。一部の実施形態において、遅延放出は、活性分が経口投与後少なくとも30分間、例えば、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、65分間、70分間、75分間、80分間、85分間、90分間、95分間、100分間、105分間、110分間、115分間、120分間、又はそれ以上実質的に放出されないようにするものである。遅延放出にはまた、ある特定の時間の間は活性分(例えば、ゾルミトリプタン)の一部が製剤から放出されない製剤も包含される。
【0090】
[096] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、医薬製剤中にあるゾルミトリプタン総量の少なくとも約40%(例えば、約40%~約60%)が経口投与後少なくとも約30分間、例えば、35分間間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、65分間、70分間、75分間、80分間、85分間、90分間、95分間、100分間、105分間、110分間、115分間、120分間、又はそれ以上実質的に放出されないようにすることができる。
【0091】
[097] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分からのゾルミトリプタンの実質的に完全な放出(例えば、少なくとも約90~95%)は、医薬組成物が胃の酸性環境にある間に実現する。このように、一部の実施形態において、遅延放出性構成成分からのゾルミトリプタンの実質的に完全な放出は、医薬組成物が腸の比較的酸性度の低い環境に達する前に実現する。
【0092】
[098] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、胃の酸性環境でゾルミトリプタンのパルス放出を提供して、それが経口投与の少なくとも30分後に(例えば、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、又は約120分後又はそれ以上後に)起こるように適切に製剤化される。
【0093】
[099] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、ゾルミトリプタンをある時間にわたってゆっくりと放出するように(例えば、徐放性製剤として)適切に製剤化され、ここで遅延放出性構成成分からのゾルミトリプタンの初期放出は経口投与の少なくとも30分後に起こり、約30分間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間又はそれ以上続く。特定の他の実施形態において、遅延放出性構成成分からのゾルミトリプタンの初期放出は経口投与の少なくとも30分後に起こり、約0.5時間~約4時間の範囲の長さの時間、例えば、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、及び約3.5時間(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)にわたって起こる。
【0094】
[100] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、ゾルミトリプタンをある時間にわたってゆっくりと放出するように(例えば、徐放性製剤として)適切に製剤化され、ここで遅延放出性構成成分からのゾルミトリプタンの初期放出は経口投与の少なくとも30分後に起こり、少なくとも約30分間、少なくとも約1時間、少なくとも約1.5時間、少なくとも約2時間、少なくとも約2.5時間、少なくとも約3時間、少なくとも約3.5時間、少なくとも約4時間、少なくとも約4.5時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、又は少なくとも約10時間又はそれ以上続く。
【0095】
[101] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、2つ以上の遅延放出性構成成分を含む。一部の実施形態において、第1の遅延放出性構成成分は、ゾルミトリプタンの第1の一部分を胃の酸性環境で放出するように適切に製剤化され、第2の遅延放出性構成成分は、ゾルミトリプタンの第2の一部分を腸の下部の酸性度の低い環境で放出するように適切に製剤化される。胃で放出されるゾルミトリプタンを腸下部での放出と比較した比は、約99:1~約1:99の範囲、例えば、約95:1、約90:10、約85:1、約80:1、約75:1、約70:1、約65:1、約60:1、約55:1、約50:1、約45:1、約40:1、約35:1、約30:1、約25:1、約20:1、約15:1、約10:1、及び約5:1(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)であってもよい。一部の実施形態において、胃で放出されるゾルミトリプタンを腸下部での放出と比較した比は、約70:30~約40:60、例えば、約60:40~約50:50の範囲である。胃及び腸下部で放出されるゾルミトリプタンの相対量は、基準収載製剤に対して最高血漿ゾルミトリプタンレベルが低下し、そのAUCの80~125%であるAUCが実現するように選択することができる。一部の実施形態において、遅延放出は、薬物含有構成成分を1つ以上の好適な遅延放出性ポリマー(制御放出性ポリマー又は律速性ポリマーとも称される)で適切にコートするか、又は薬物を1つ以上の好適な遅延放出性ポリマーを含むマトリックスに包埋することによって実現される。好適な遅延放出性ポリマーとしては、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマー(疎水性ポリマーとも称される)、薬学的に許容可能な水溶性ポリマー(親水性ポリマーとも称される)、薬学的に許容可能な胃溶性ポリマー、薬学的に許容可能な腸溶性ポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0096】
[102] 一部の実施形態において、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドン(PVP)のホモポリマー及びコポリマーを含めたN-ビニルラクタム類のホモポリマー及びコポリマー、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルとのコポリマー、セルロースエステル類及びセルロースエーテル類、詳細にはメチルセルロース及びエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、詳細にはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロース、酪酸セルロース、又はトリメリット酸セルロース、詳細には酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドなどの高分子ポリアルキレンオキシド類及びエチレンオキシドと酸化プロピレンとのコポリマー、ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類、例えば、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルコポリマー、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)類、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)類、ポリアクリルアミド類、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマーなどの酢酸ビニルポリマー、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル(部分的に鹸化された「ポリビニルアルコール」とも称される)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールオリゴ糖類及び多糖類、例えば、カラギーナン、ガラクトマンナン及びキサンタンガム、又は1つ以上のこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
[103] 胃溶性ポリマーの非限定的な例としては、マルトリン、EUDRAGIT(登録商標)(タイプE100又はEPO)の商標名で入手可能なメタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、例えば、三共株式会社、東京(日本)から入手可能なAEA(登録商標)などが挙げられる。
【0098】
[104] 腸溶性ポリマーの非限定的な例としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸コハク酸セルロース、メチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、ポリビニルアルコールフタレート、ポリ酪酸ビニルフタレート、ポリビニルアセタールフタレート(PVAP)、酢酸ビニル/無水マレイン酸コポリマー、ビニルブチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、スチレン/マレイン酸モノエステルコポリマー、アクリル酸メチル/メタクリル酸コポリマー、スチレン/アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸オクチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、酢酸ヘキサヒドロフタル酸セルロース、ヘキサヒドロフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸マレイン酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、メタクリル酸/メタクリル酸ポリマー(酸価300~330及び別名EUDRAGIT L)、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマーなど、及び前述の腸溶性ポリマーの1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。他の例としては、シェラック、サンダラック、コーパル コロホニウム(collophorium)などの天然樹脂、及び前述のポリマーの1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。腸溶性ポリマーのなおも他の例としては、カルボキシル基を担持する合成樹脂が挙げられる。用語「腸溶性ポリマー」は、本明細書で使用されるとき、腸溶性コーティング製剤で使用されるとき、約5未満のpHの酸性条件下では実質的に不溶性であって、及び/又は実質的に安定しており、且つ約5以上のpHを呈する条件下では実質的に可溶性であるか、又は分解し得るポリマー物質を意味すると定義される。
【0099】
[105] 親水性ポリマーの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
[106] 一部の実施形態において、遅延放出性コーティングは、ポリマーコーティングの総重量を基準として上記に挙げた薬学的に許容可能なポリマーのいずれかを約40wt%~約95wt%(例えば、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))含み、及び約5wt%~約60wt%の可塑剤(例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))を含む。成分の相対的比率、特に腸溶性ポリマーの可塑剤に対する比は、医薬製剤分野の当業者に公知の方法に従い変えることができる。
【0101】
徐放性構成成分
[107] 一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、1つ以上の即放性構成成分と1つ以上の徐放性構成成分とを含み、ここで徐放性構成成分は、ゾルミトリプタンを長時間にわたって放出する。長時間とは、本明細書に記載されるとおりの即放性構成成分よりも長く、徐放性構成成分中の活性薬剤の総量が約1~24時間の間にわたって、例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間(これらの間にある全ての範囲を含む)にわたって放出されるようなものである。医薬組成物に組み合わされると、医薬組成物中の即放性構成成分と徐放性構成成分との組み合わせは、例えば、本明細書に記載される溶解試験を用いて測定したとき、約30分以内にゾルミトリプタン総用量の約75%未満を放出する。一部の実施形態において、かかる医薬組成物は、例えば、本明細書に記載される溶解試験を用いて測定したとき、約30分以内にゾルミトリプタン総用量の約74%、約73%、約72%、約71%、約70%、約69%、約68%、約67%、約66%、約65%、約64%、約63%、約62%、約61%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、及び約5%又はそれ以下を放出する。有利には、かかる医薬組成物は、本明細書に記載されるとおりの基準収載製剤(即ち、ZOMIG)と比較して最大曝露レベルが低下しながらも等価な治療有効性を実現する。
【0102】
[108] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は1つ以上の徐放性構成成分(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10個又はそれ以上)を含み、その各々が異なる放出プロファイルを提供し得る。一部の実施形態において、徐放性部分は、胃内保持性層である。
【0103】
[109] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は、1つ以上の好適な徐放性ポリマー(胃内保持性製剤についての水膨潤性ポリマーなど)を含むマトリックスに薬物を包埋することによって調製される。
【0104】
[110] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は、胃内保持性組成物である。かかる組成物は、胃内での滞留時間が長く、そのためゾルミトリプタンの胃排出遅延をもたらす。例としては、浮遊薬物送達システム、別名、流体力学的に平衡したシステム、膨潤・拡大システム、形状変化システム、高密度システム、及び他の胃排出遅延システム(米国特許第9,000,046号、本明細書において全体として参照により援用される)が挙げられる。胃内保持性組成物はまた、生体接着剤(例えば、粘膜接着剤)、薬物含有粒子が胃を経て腸下部へと通過するのを実質的に妨げる粒子直径、及び浮遊薬物送達システムで製剤化されてもよい。一部の実施形態において、生体接着剤は、ポリカルボフィル、レクチン類、カルボポール、キトサン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、グリアジン、ポリエチレングリコール、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、コレスチラミン、ポリアクリル酸、及びスクラルファートからなる群から選択される(Madal, U. K., et al. “Gastro-retentive drug delivery systems and their in vivo success: A recent update” Asian J. of Pharm. Sci. 2016, 11, 575-584;及びSharma, A. R.; et al. “Gastroretentive Drug Delivery System: An Approach to Enhance Gastric Retention for Prolonged Drug Release” International J. of Pharm. Sci. and Res. 2014, 5, 1095-1106(これらの各々は、全体として参照により本明細書に援用される)を参照のこと)。
【0105】
[111] 一部の実施形態において、徐放性構成成分は、水膨潤性ポリマーマトリックス中にゾルミトリプタンを有する胃内保持性(gastrorentive)組成物である。本明細書における使用に好適な水膨潤性ポリマーは、水との接触時に寸法が無制限に膨潤するものである。かかるポリマーはまた、時間とともに徐々に浸食を起こし得る。かかるポリマーの例としては、ポリアルキレンオキシド類、例えば、ポリエチレングリコール類など、特に高分子量ポリエチレングリコール類;セルロースポリマー及びその誘導体、限定はされないが、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロースを含めたもの;多糖類及びその誘導体;キトサン;ポリ(ビニルアルコール);キサンタンガム;無水マレイン酸コポリマー;ポリ(ビニルピロリドン);デンプン及びデンプン系ポリマー;マルトデキストリン類;ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ポリ(エチレンイミン);ポリウレタン;ヒドロゲル;架橋ポリアクリル酸;及び前述のいずれかの組み合わせ又はブレンドが挙げられる。
【0106】
[112] 更なる例は、ブロックコポリマー及びグラフトポリマーを含めたコポリマーである。コポリマーの具体的な例は、PLURONIC(登録商標)及びTECTONIC(登録商標)であり、これらは、BASF Corporation、Chemicals Div.、Wyandotte, Mich., USAから入手可能なポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーである。更なる例は、「Super Slurper」の一般名で知られる、Illinois Corn Growers Association、Bloomington, Ill., USAから入手可能な加水分解デンプンポリアクリロニトリルグラフトコポリマーである。
【0107】
[113] 一部の実施形態において、本明細書に記載される剤形の胃内保持性部分を形成するのに好適な膨潤性で浸食性の親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリ(エチレンオキシド)とヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせである。ポリ(エチレンオキシド)は、本明細書では、非置換型エチレンオキシドの線状ポリマーを指して使用される。ポリ(エチレンオキシド)ポリマーの分子量は、約9×105ダルトン~約8×106ダルトンの範囲であり得る。例示的分子量ポリ(エチレンオキシド)ポリマーには、約9×105ダルトン(例えば、SENTRY(商標)POLYOX(商標)WSR 1105)が含まれる。一部の実施形態において、湿潤、膨潤及び浸食速度は、分子量Polyox(商標)を変更することによって修飾し得る。
【0108】
[114] 一部の実施形態において、水膨潤性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド類、セルロースポリマー及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン及びデンプン系ポリマー;マルトデキストリン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ヒドロゲル類、架橋ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0109】
[115] 一部の実施形態において、水膨潤性ポリマーは、高分子量ポリエチレンオキシド、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶性セルロースからなる群から選択される。
【0110】
[116] 一部の実施形態において、水膨潤性ポリマーは、ポリエチレンオキシドである。
【0111】
[117] 一部の実施形態において、本組成物は、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%~約75%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約15%~約75%(重量基準)の水膨潤性ポリマーを含む。一部の実施形態において、本組成物は、重量基準で約35~55%の水膨潤性ポリマーを含む。一部の実施形態において、水膨潤性ポリマーは、ポリエチレンオキシドである。一部の実施形態において、本組成物は、重量基準で約35~55%のポリエチレンオキシドを含む。一部の実施形態において、徐放性は、薬物含有構成成分を1つ以上の好適な徐放性ポリマー(律速ポリマーとも称される)で適切にコートすることによって実現する。好適な徐放性ポリマーとしては、例えば、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマー(疎水性ポリマーとも称される)、及び薬学的に許容可能な水膨潤性ポリマーが挙げられる。
【0112】
[118] 一部の実施形態において、徐放性部分は、徐放性コーティングでコートされた薬物含有粒子を含む。一部の実施形態において、多粒子製剤。
【0113】
[119] 薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーの非限定的な例としては、アクリル系ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリル系コポリマー、例えば、EUDRAGIT(登録商標)(タイプL、RL、RS及びNE30D)の商標名で入手可能なメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマーなど、及びこれらのそれぞれのエステル類、ゼイン、ワックス、シェラック及び硬化植物油、セルロース誘導体、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどが挙げられる。
【0114】
[120] 一部の実施形態において、徐放性コーティングは、ポリマーコーティングの総重量を基準として上記に挙げた薬学的に許容可能なポリマーのいずれかを約40wt%~約95wt%(例えば、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))含み、及び約5wt%~約60wt%の可塑剤(例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))を含む。
【0115】
[121] 浸透圧放出システム
[122] 一部の実施形態において、遅延放出は、浸透圧システムである。浸透圧システムは、半透性の外膜及び1つ以上の開口を備えたコアである。半透膜は、ゾルミトリプタンに対しては不透過性であるが、外部から浸透圧システム内への浸透による水の侵入は許容する。このコアが体内を通過するにつれ、水が浸透によって半透膜を通って吸収され、結果として生じる浸透圧を用いて活性薬物がコアの1つ又は複数の開口に押し通される。ゾルミトリプタン放出総量及び放出速度は、半透膜の厚さ及び空隙率、コアの組成並びに1つ又は複数の開口の数及びサイズを適切に選択することによって制御し得る。製剤化の態様、投与形態及び調製プロセスに関する情報は、例えば、以下の文献に記載されている:
Santus, G., Baker, R. W.,“Osmotic drug delivery: a review of the patent literature”, Journal of Controlled Release 35 (1995), 1-21;
Verma, R. K., Mishra, B., Garg, S., “Osmotically controlled oral drug delivery”, Drug Development and Industrial Pharmacy 26 (2000), 695-708;
Verma, R. K., Krishna, D. M., Garg, S., “Formulation aspects in the development of osmotically controlled oral drug delivery systems”, Journal of Controlled Release 79 (2002), 7-27;
Verma, R. K., Arora, S., Garg, S., “Osmotic Pumps in drug delivery”, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 21 (2004), 477-520
Malaterre, V., Ogorka, J., Loggia, N., Gurny, R., “Oral osmotically driven systems: 30 years of development and clinical use”, European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 73 (2009), 311-323;及び
米国特許第4,327,725号、米国特許第4,765,989号;
これらの各々は、あらゆる目的から全体として参照により本明細書に援用される。
【0116】
[123] シングルチャンバシステム(基本の浸透圧ポンプ)及び2チャンバシステム(プッシュプルシステム)の両方が、本明細書に記載される遅延放出性構成成分に好適である。
【0117】
[124] 一部の実施形態において、浸透圧放出システムのシェルは、半透膜のシングルチャンバシステム又は2チャンバシステムのいずれかを含む。シェル材料の非限定的な例としては、酢酸セルロース又は酢酸セルロースとポリエチレングリコールとの混合物が挙げられる。
【0118】
[125] 一部の実施形態において、シェルに、コーティング、例えば光防護及び/又は着色コーティングを塗布することができる。この目的で好適な材料は、例えば、ポリビニルアルコールなどのポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、適切な場合には好適な可塑剤、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなど、及び色素、例えば、二酸化チタン又は酸化鉄などと組み合わせる。
【0119】
[126] 一部の実施形態において、浸透圧シングルチャンバシステムにおけるコアは、(i)2~30wt%ゾルミトリプタン;(ii)20~50wt%キサンタン、及び(iii)10~30wt%のビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーを含み、ここで100%との差は、適切な場合には、更なる親水性で膨潤性のポリマー、浸透圧活性のある添加剤及び薬学的に許容可能な賦形剤の群から選択される1つ以上の追加成分によって形成される。
【0120】
[127] 一部の実施形態において、浸透圧シングルチャンバシステムのコアは、親水性水膨潤性ポリマー、例えば、キサンタンを含む。キサンタンは、アニオン性ヘテロ多糖であり、例えば商品名Rhodigel(登録商標)(製造者Rhodia)で市販されている。一部の実施形態において、親水性水膨潤性ポリマーは、コア成分の全質量を基準として約20~約50%(例えば、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))の量で存在する。
【0121】
[128] コアの別の成分は、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーであってもよい。このコポリマーは当該技術分野において公知であり、任意の所望の単量体混合比で作製することができる。かかるコポリマーの非限定的な例は、Kollidon(登録商標)VA64(製造者BASF)である。これは、光散乱測定法によって決定して、概して約45000~約70000の重量平均分子量(Mw)を有する。一部の実施形態において、コア中のビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーの量は、コア成分の全質量を基準として、約10%~約30%(例えば、約15%、約20%、約25%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む))である。
【0122】
[129] 一部の実施形態において、親水性膨潤性ポリマーはコアに存在する。親水性膨潤性ポリマーの非限定的な例としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポリアクリル酸及びその塩が挙げられる。
【0123】
[130] 一部の実施形態において、浸透圧放出システムは、水膨潤性物質を含む。好適な水膨潤性物質としては、胃腸液などの水溶液に曝露されたときに拡大することが可能な化合物が挙げられる。コア材料には、1つ以上の水膨潤性物質が一緒に存在し得る。或いは、1つ以上の水膨潤性物質は、コア材料上に塗布される膨潤層に含まれてもよい。
【0124】
[131] 好適な水膨潤性物質としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、例えば、L-HPC;架橋ポリビニルピロリドン(PVP-XL)、例えば、Kollidon(登録商標)CL及びPoly-plasdone(登録商標)XL;架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、例えば、Ac-di-sol、Primellose(登録商標);デンプングリコール酸ナトリウム、例えば、Primojel(登録商標);カルボキシメチルセルロースナトリウム、例えば、Nym-cel ZSBlO(登録商標);カルボキシメチルデンプンナトリウム、例えば、Explotab(登録商標);イオン交換樹脂、例えば、Dowex(登録商標)又はAmber-lite(登録商標);微結晶性セルロース、例えば、Avicel(登録商標);デンプン及びアルファ化デンプン、例えば、Starch 1500(登録商標)、Sepistab ST200(登録商標);ホルマリン-カゼイン、例えば、Plas-Vita(登録商標)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0125】
[132] 一部の実施形態において、浸透圧ポンプ組成物は、コアに1つ以上の浸透圧活性のある添加剤、例えば、薬局方又は“Remington Pharmaceutical Science,” (1985) 17th ed. Edited by Alfonso R. Gennaro. Mack Publishing Co., Easton, PA.(これは本明細書にあらゆる目的から全体として参照により援用される)に記載される水溶性賦形剤など、薬学的に許容可能な水溶性物質を含む。一部の実施形態において、浸透圧活性のある添加剤は、無機酸若しくは有機酸の水溶性塩又は水への溶解度が高い非イオン性有機物質、例えば、炭水化物、特に糖、糖アルコール又はアミノ酸などから選択される。一部の実施形態において、浸透圧活性のある添加剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、炭酸塩及び重炭酸塩などの無機塩類、並びにそのリン酸塩、リン酸水素塩若しくはリン酸二水素塩、酢酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩又はアスコルビン酸塩から選択される。一部の実施形態において、浸透圧活性のある添加剤は、アラビノース、リボース若しくはキシロースなどのペントース類、グルコース、フルクトース、ガラクトース若しくはマンノースなどのヘキソース類、スクロース、マルトース若しくはラクトースなどの二糖類又はラフィノースなどの三糖類から選択される。水溶性アミノ酸としては、グリシン、ロイシン、アラニン又はメチオニンが挙げられる。本発明によれば、特に好ましくは塩化ナトリウムが使用される。一部の実施形態において、浸透圧活性のある添加剤は、コア成分の全質量を基準として10~30%の量で存在する。
【0126】
[133] 一部の実施形態において、浸透圧ポンプ組成物コアのコアは、緩衝物質(重炭酸ナトリウムなど)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリビニルピロリドン、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)及び/又は流動調整剤(コロイド状二酸化ケイ素など)を含む。
【0127】
[134] 本開示は更に、浸透圧シングルチャンバシステムを作製する方法に関し、ここではコアの構成成分が一緒に混合され、適切な場合には湿式又は乾式造粒と、続く打錠に供され、このようにして作製されたコアがシェルでコートされ、次に、適切な場合、光防護及び/又は着色コーティングで被覆され、そしてそれに1つ以上のオリフィスが提供される。
【0128】
[135] 浸透圧2チャンバシステムでは、コアは、1つが活性成分層及び1つが浸透圧層である2層からなる。この種の浸透圧2チャンバシステムについては、例えば、米国特許第4,612,008号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0129】
[136] 浸透圧2チャンバシステムのコアに使用される浸透圧活性のある添加剤は、上記に記載するシングルチャンバシステムの場合と同じであってもよい。
【0130】
[137] 浸透圧2チャンバシステムのコアに使用される薬学的に許容可能な賦形剤は、上記に記載するシングルチャンバシステムの場合と同じであってもよい。一部の実施形態において、活性成分層と浸透層とを識別するため、2層のうちの一方に、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリビニルピロリドン、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)及び/又は流動調整剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、及び着色用色素(酸化鉄など)が使用される。
【0131】
[138] マトリックス
[139] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、マトリックスである。本明細書で使用されるとき、用語「マトリックス」は、薬物の遅延放出を実現するための、水溶性、水不溶性、若しくは親水性ポリマー、又は親油性材料中に薬物を包埋した又は分散させた組成物を意味する。薬物放出機構には、概して、粘性ゲル層又は蛇行したチャネルを通じた薬物拡散;及び/又は1つ又は複数のポリマーが徐々に浸食又は分解されることによる薬物溶解が関わる。一部の実施形態において、マトリックスは、膨潤性/浸食性ポリマー、例えば水との接触で高粘度ゲルを形成する親水性ポリマーを含む。一部の実施形態において、マトリックスは、水不溶性ポリマー又は親油性ポリマーを含む。
【0132】
[140] 一部の実施形態において、マトリックスは、1つ以上の親水性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド)、1つ以上の親油性材料(例えば、カルナウバ蝋、硬化ヒマシ油、硬化ナタネ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、及び/又は1つ以上の遅延放出性ポリマー(例えば、エチルセルロースなどのセルロースポリマー;メタクリル酸アミノアルキルコポリマーRS[Eudragit RS(商標名、Degussa Co.)]、アクリル酸エチル-メタクリル酸メチルコポリマー懸濁液[Eudragit NE(商標名、Degussa Co.)]などのアクリル酸コポリマー)によるコート錠又はコート顆粒を使用して調製される。
【0133】
[141] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、1つ以上の親水性ポリマーを含むマトリックスである。本明細書では、親水性ポリマーとは、水を吸収することによってヒドロゲルになり、マトリックス中に含まれるゾルミトリプタンのその外部への拡散を可能にすることによってゾルミトリプタンの放出を制御できるポリマーを意味する。
【0134】
[142] 一部の実施形態において、親水性ポリマーの粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して2重量%水溶液中20℃で測定したとき、例えば、約1mPa・s~約200000mPa・s、又は約4mPa・s~約120000mPa・s、又は約4mPa・s~約5000mPa・sである。マトリックスからのゾルミトリプタンの放出持続時間は、親水性ポリマーの粘度を適切に選択することによって修飾し得る。
【0135】
[143] 好適な親水性ポリマーの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、例えば、HPC-SSL(商標名、製造者日本曹達株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:2.0~2.9mPa・s)、HPC-SL(商標名、製造者日本曹達株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:3.0~5.9mPa・s)、HPC-L(商標名、製造者日本曹達株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:6.0~10.0mPa・s)、HPC-M(商標名、製造者日本曹達株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:150~400mPa・s)、HPC-H(商標名、製造者日本曹達株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:1000~4000mPa・s);ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、Metolose SB-4(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約4mPa・s)、TC-5RW(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約6mPa・s)、TC-5S(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約15mPa・s)、Metolose 60SH-50(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約50mPa・s)、Metolose 65SH-50(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約50mPa・s)、Metolose 90SH-100(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約100mPa・s)、Metolose 90SH-100SR(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約100mPa・s)、Metolose 65SH-400(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約400mPa・s)、Metolose 90SH-400(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約400mPa・s)、Metolose 65SH-1500(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約1500mPa・s)、Metolose 60SH-4000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約4000mPa・s)、Metolose 65SH-4000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約4000mPa・s)、Metolose 90SH-4000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約4000mPa・s)、Metolose 90SH-4000SR(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約4000mPa・s)、Metolose 90SH-30000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約30000mPa・s)、Metolose 90SH-100000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約100000mPa・s)、Metolose 90SH-100000SR(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約100000mPa・s);メチルセルロース、例えば、Metolose SM15(商標名、製造者信越化学工業株式会社;粘度:約15mPa・s、2重量%水溶液中、20℃)、Metolose SM25(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約25mPa・s)、Metolose SM100(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約100mPa・s)、Metolose SM400(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約400mPa・s)、Metolose SM1500(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約1500mPa・s)、Metolose SM4000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約4000mPa・s)、Metolose SM8000(商標名、製造者信越化学工業株式会社、2重量%水溶液中20℃での粘度:約8000mPa・s);ポリエチレンオキシド、例えば、WSR N-12K(商標名、製造者Union Carbide Co.、2重量%水溶液中20℃での粘度:400~800mPa・s)、WSR N-60K(商標名、製造者Union Carbide Co.、2重量%水溶液中20℃での粘度:2000~4000mPa・s)、WSR 301(商標名、製造者Union Carbide Co.、1重量%水溶液中25℃での粘度:1500~4500mPa・s)、WSR Coagulant(商標名、製造者Union Carbide Co.、1重量%水溶液中25℃での粘度:4500~7500mPa・s)、WSR 303(商標名、製造者Union Carbide Co.、1重量%水溶液中25℃での粘度:7500~10000mPa・s)、WSR 308(商標名、製造者Union Carbide Co.、1重量%水溶液中25℃での粘度:10000~15000mPa・s);カルボキシメチルセルロースナトリウム、例えば、Sunrose F-150MC(商標名、製造者日本製紙株式会社、1重量%水溶液中25℃での粘度:1200~1800mPa・s)、Sunrose F-300MC(商標名、製造者日本製紙株式会社、1重量%水溶液中25℃での粘度:2500~3000mPa・s)、Sunrose F-1000MC(商標名、製造者日本製紙株式会社、1重量%水溶液中25℃での粘度:8000~12000mPa・s)など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
[144] 一部の実施形態において、親水性マトリックスは、pH依存性ポリマーを更に含む。マトリックスからのゾルミトリプタンの放出持続時間は、pH依存性ポリマーの量を適切に選択することによって修飾し得る。
【0137】
[145] 用語「pH依存性」は、ある特定のpHでゾルミトリプタンを放出するポリマーを指す。好適なpH依存性ポリマーの非限定的な例としては、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-トリメチルアンモニウムエチルクロリド)コポリマー、メタクリル酸メチル-アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸-アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルコポリマー、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアセテートフタレートなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
[146] マトリックス製剤に好適な薬学的に許容可能な担体としては、様々な有機又は無機担体物質、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。更に、抗酸化剤、着色料、甘味料などの薬学的に許容可能な添加剤を使用することができる。
【0139】
[147] 好適な賦形剤の非限定的な例としては、ラクトース、D-マンニトール、D-ソルビトール、デンプン、デンプンのデキストリン、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0140】
[148] 好適な滑沢剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイド状シリカなどが挙げられる。
【0141】
[149] 好適な結合剤の非限定的な例としては、デンプン、スクロース、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、精製糖、D-マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0142】
[150] 好適な崩壊剤の非限定的な例としては、ラクトース、精製糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【0143】
[151] 好適な消毒薬の非限定的な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
【0144】
[152] 好適な抗酸化剤の非限定的な例としては、重硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
【0145】
[153] 好適な着色料の非限定的な例としては、水溶性食用タール色素(例えば、食用赤色2号及び3号、食用黄色4号及び5号、食用青色1号及び2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例えば、上述の水溶性食用タール色素のアルミニウム塩)、天然色素(例えば、β-カロチン、クロロフィル、ベンガラ、黄色三二酸化鉄)などが挙げられる。
【0146】
[154] 好適な甘味料の非限定的な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
【0147】
[155] 遅延放出性錠剤
[156] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、コア、及び1つ以上のコーティングを含む遅延放出性錠剤である。一部の実施形態において、コアは、ゾルミトリプタン、及び本明細書に記載される賦形剤のいずれか、例えば、滑沢剤、及び結合剤及び/又は充填剤、及び流動化剤並びに他の賦形剤などを含む。1つ以上のコーティングは、例えば、薬物の遅延放出又は徐放を実現する半透性コーティングであってもよい。一部の実施形態において、コーティングは、水不溶性ポリマー、可塑剤及び水溶性ポリマー(本明細書に記載されるものなどの)を含む。一部の実施形態において、水不溶性ポリマーは、セルロースエーテル(エチルセルロースなど)、セルロースエステル(酢酸セルロースなど)、ポリビニルアルコールなどから選択される。任意選択でまた、コーティングには他の賦形剤が、例えばアクリル酸誘導体(EUDRAGITなど)、色素等として存在してもよい。複数のコーティングが使用される場合、それらは同じであっても、又は異なってもよい。
【0148】
[157] 成分の相対的比率、特に水不溶性ポリマー対水溶性ポリマーの比は、達成しようとする放出プロファイルに応じて変わり得る(ここで放出の遅延を大きくするには、水不溶性ポリマーの量を多くすることで達成される)。一部の実施形態において、水不溶性ポリマー対水溶性ポリマーの比は、約99:1~約1:1の範囲、例えば、約95:1、約90:10、約85:1、約80:1、約75:1、約70:1、約65:1、約60:1、約55:1、約50:1、約45:1、約40:1、約35:1、約30:1、約25:1、約20:1、約15:1、約10:1、及び約5:1(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)である。
【0149】
[158] ミニ錠剤
[159] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、胃の酸性環境でゾルミトリプタンを放出させるのに適切な時間にわたって胃内に残り、腸下部への移動を回避するのに十分な投薬量単位サイズを有するように製剤化される。
【0150】
[160] 一部の実施形態において、本医薬組成物は、複数のミニ錠剤(「ミニタブ」としても知られる)を含み、前記ミニ錠剤は直径が約5mm以下である。他の実施形態において、ミニ錠剤は、1つ又は複数のポリマーのマトリックス内にゾルミトリプタンを含むか、又は任意選択で遅延放出性ポリマーでコートされているミニ錠剤を含む。一部の実施形態において、マトリックスポリマーは、本明細書に記載される親水性ポリマーのうちの1つ又は組み合わせである。一部の実施形態において、本医薬組成物は、複数の腸溶性コートミニ錠剤を含む。
【0151】
[161] 一部の実施形態において、ミニ錠剤は、充填剤、滑沢剤、及び/又は流動化剤を更に含む。例えば、一部の実施形態において、ミニ錠剤は、組成物の総重量を基準として、5~50%のゾルミトリプタン、20~50%のマトリックスポリマー、20~50%の充填剤、0.1~5%の滑沢剤、及び0.1~5%の流動化剤を含む。一部の実施形態において、マトリックスポリマーは、ヒプロメロース(別名ヒドロキシプロピルメチルセルロース又は「HPMC」)であり、充填剤は微結晶性セルロースであり、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムであり、及び流動化剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0152】
[162] 一部の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、複数のミニ錠剤、例えば、2~30個の範囲のミニ錠剤、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、及び29個のミニ錠剤(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含む。一部の実施形態において、ミニ錠剤は、経口投与用のカプセル剤又はサシェに入っている。一部の実施形態において、カプセル剤は、ハードゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル剤である。一部の実施形態において、カプセル剤には、オーバーフィルの粉末状物質、例えば微結晶性セルロースなどが入っている。一部の実施形態において、カプセル剤は、2~30個のミニ錠剤、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、及び29個のミニ錠剤(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含む。
【0153】
[163] 一部の実施形態において、ミニ錠剤は、直径が約5mm以下、例えば、約4.5mm以下、約4mm以下、約3.5mm以下、約3.0mm以下、約2.5mm以下、又は約2mmである。一部の実施形態において、ミニ錠剤は、直径が、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、約3.9mm、約4.0mm、約4.1mm、約4.2mm、約4.3mm、約4.4mm、約4.5mm、約4.6mm、約4.7mm、約4.8mm、及び約4.9mm(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約2mm~約5mmの範囲である。ミニ錠剤は、当業者に好都合な任意の形状、例えば、球状又は円柱状であり得る。一実施形態において、ミニ錠剤は、丸形及び凸形である(当該技術分野において「丸形標準凸形(round standard convex)」として知られる)。
【0154】
[164] 一部の実施形態において、ミニ錠剤は、例えば、ミニ錠剤を本明細書に開示されるポリマーでコーティングすることにより、ゾルミトリプタンの放出が修飾されるように製剤化される。他の実施形態において、ゾルミトリプタンは、ミニ錠剤として製剤化されるマトリックスポリマーに包埋されるか、又は分散される。一部の実施形態において、ミニ錠剤は、充填剤、滑沢剤、又は流動化剤(1つ以上のかかる構成成分を利用し得る)、又はこれらの組み合わせを更に含む。
【0155】
[165] 好適なマトリックスポリマーには、親水性水溶性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含めた本明細書に挙げられる親水性ポリマーのいずれかが含まれ、一部の実施形態において、親水性水溶性ポリマーは、Methocel(商標)、例えば、Methocel(商標)K100M、Methocel(商標)K15M、又はMethocel(商標)K4M、好適にはMethocel(商標)K15Mなどの商標で販売されているヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(別名HPMC又はヒプロメロース)など、高分子量ポリマー(即ち、100,000~800,000ダルトン)である。一部の実施形態において、マトリックスを含有するミニ錠剤は、約20~約60wt%、例えば、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、又は約55%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)のマトリックスポリマーを含む。
【0156】
[166] ミニ錠剤に好適な充填剤には、Avicel(商標)PH101など、微結晶性セルロースを含め、本明細書に挙げられる任意の充填剤が含まれる。ミニ錠剤中の充填剤の量は、約20~約50%の充填剤の範囲、例えば、約25%、約30%、約35%、約40%、及び約45%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)であってもよい。
【0157】
[167] ミニ錠剤に好適な流動化剤には、コロイド状二酸化ケイ素及びタルクなど、本明細書に挙げられる任意の流動化剤が含まれる。一部の実施形態において、ミニ錠剤は、組成物の総重量を基準として、約0.1~約5wt%の流動化剤、例えば、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.5wt%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含む。
【0158】
[168] ミニ錠剤に好適な滑沢剤には、ステアリン酸、及びステアリン酸塩、例えばステアリン酸マグネシウムなど、本明細書に挙げられる任意の滑沢剤が含まれる。一部の実施形態において、ミニ錠剤は、組成物の総重量を基準として、0.1~5%の滑沢剤、例えば、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.5%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含む。
【0159】
[169] ミニ錠剤はコートされなくてもよく、又は1つ以上のコーティング層でコートされてもよい。一部の実施形態において、ミニ錠剤は、少なくとも部分的に腸溶性コーティングを有する。一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、pH依存性ポリマー、例えばメタクリル酸コポリマーなどのメタクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、例えばEudragit、例えばpH5.5を上回ると溶解を示すEudragit L30D55を含む。他のEudragitポリマーとしては、Eudragit L100-55(pH5.5を上回ると溶解)、Eudragit L100(pH6.0を上回ると溶解)及びEudragit S100(pH7.0を上回ると溶解)が挙げられる。一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、組成物の総重量(乾燥ポリマー重量)を基準として5~10%を占める。腸溶性コーティングは、腸溶性ポリマーを上述のコアミニ錠剤の上に噴霧することによって作製し得る。
【0160】
[170] 腸溶性コーティングは、アセチルクエン酸トリエチル又はクエン酸トリエチルなどの可塑剤、例えばクエン酸トリエチル(Citroflex)を更に含み得る。一部の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、組成物の総重量を基準として、約0.1~約5%の可塑剤、例えば、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.5%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含む。
【0161】
[171] 一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、タルク、カオリン、又はモノステアリン酸グリセロール、例えばモノステアリン酸グリセロール(Imwitor 900K)など、フィルムコーティング処理で付着を取り除くための流動化剤を更に含む。一部の実施形態において、流動化剤は、組成物の総重量を基準として、約0.1~約5wt%、例えば、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.5%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を占める。
【0162】
[172] 一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、又はポリソルベート、例えばポリソルベート80(Crillet 4HP)など、均一なフィルム混合物を提供するための界面活性剤を更に含む。一部の実施形態において、界面活性剤は、組成物の総重量を基準として約0.1~約5wt%、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.5%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を占める。
【0163】
[173] ミニ錠剤は、必要であれば、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を更に含み得る。好適な薬学的に許容可能な賦形剤としては、色、香味(メントールなど)、甘味料(マンニトールなど)、保存剤、安定剤、抗酸化剤及び当業者に公知の任意の他の賦形剤を挙げることができる。
【0164】
[174] 時限パルス放出
[175] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、ゾルミトリプタンを経口投与の少なくとも30分後にパルスで放出するように製剤化される。本明細書に記載される時限式のパルス放出システムは、ゾルミトリプタンの即放性パルスを所定の遅延時間の後に、又は特定の部位において1回以上提供して、薬物の吸収を改善する能力を有する。
【0165】
[176] 一部の実施形態において、時限パルス放出システムは、例えば、米国特許第4,871,549号(これは全体として参照により本明細書に援用される)に開示されるとおりの、活性コアを取り囲む膜であって、膨潤剤(例えば、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム)を含む膜を含む。
【0166】
[177] 他の実施形態において、時限パルス放出システムは、例えば、米国特許第6,531,152号(これは全体として参照により本明細書に援用される)に開示されるとおりの、コア材料(体液又は水への曝露時に膨潤する多糖又は架橋タンパク質及び崩壊剤など)と、コアを取り囲む、コアが膨潤すると急速に破裂して活性分を放出する疎水性及び親水性ポリマーを含む硬質膜とを含む。
【0167】
[178] 一部の実施形態において、時限パルス放出性構成成分は、内側バリアコーティングと外側ラグタイム(即ち、遅延放出性)コーティングとを含む。一部の実施形態において、内側バリアコーティングは、水溶性/ポア形成ポリマーとの組み合わせの水不溶性ポリマーを含む。一部の実施形態において、外側ラグタイムコーティングは、腸溶性ポリマーとの組み合わせの水不溶性ポリマーを含む。
【0168】
[179] 内側バリアコーティングに好適な水不溶性ポリマーの非限定的な例としては、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル(例えば、BASFからのKollicoat SR#30D)、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、アクリル酸エチルとメタクリル酸メチルとをベースとする中性コポリマー、Eudragit NE、RS及びRS30D、RL又はRL30Dなど、第4級アンモニウム基を含むアクリル酸及びメタクリル酸エステルのコポリマーが挙げられる。
【0169】
[180] 内側バリアコーティングに好適な水溶性/ポア形成ポリマーの非限定的な例としては、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0170】
[181] 一部の実施形態において、内側バリアについての水不溶性ポリマーと水溶性/ポア形成ポリマーとの比は、約90:10、約80:20、約70:30、約60:40、約50:50、約40:60、約30:70、約20:80、約10:90(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約99:1~約1:99である。
【0171】
[182] 一部の実施形態において、内側バリアコーティングは、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、及び約19wt%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1wt%~約20wt%を占める。
【0172】
[183] 外側ラグタイムコーティングに好適な腸溶性ポリマーの非限定的な例としては、セルロースのエステル類及びその誘導体(酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルアセテートフタレート、pH感受性メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー及びシェラックが挙げられる。これらのポリマーは、乾燥粉末又は分散水溶液として使用されてもよい。使用し得る一部の市販材料は、Rohm Pharma製造の商標Eudragit(L100、S100、L30D)で販売されているメタクリル酸コポリマー、Eastman Chemical Co.からのCellacefate(酢酸フタル酸セルロース)、FMC Corp.からのAquateric(酢酸フタル酸セルロース分散水溶液)及びShin Etsu K.K.からのAqoat(酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース分散水溶液)である。
【0173】
[184] 一部の実施形態において、外側ラグタイム膜は、水不溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとの可塑化混合物を含み、ここで水不溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとは、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、及び約1:1(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約10:1~約1:2の範囲の重量比、典型的には約3:1~約1:1で存在し得る。他の実施形態において、水不溶性ポリマーは、水不溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとの可塑化混合物の約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約10%~約99%を占める。ラグコーティングの総重量は、コートされたビーズの総重量を基準として、約35%、約40%、約45%、約50%、及び約55%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、重量基準で約30%~約60%まで変わり得る。
【0174】
[185] 外側ラグタイムコーティングを形成するのに使用される腸溶性ポリマー及び水不溶性ポリマーは、両方とも可塑化されてもよい。外側ラグタイムコーティングを可塑化するために使用し得る可塑剤の代表的な例としては、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ-n-ブチル、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド類、アセチル化ジグリセリド類など又はこれらの混合物が挙げられる。可塑剤は、存在するとき、ポリマーwtの約3%~30wt.%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を占める。可塑剤の種類及びその含有量は、1つ又は複数のポリマー及びコーティングシステムの性質(例えば、水性又は溶媒ベース、溶液又は分散液ベース及び全固形物)に依存する。
【0175】
[186] 内側バリアコーティング及び外側ラグタイムコーティング中の構成成分の量及び比は、例えば、約1時間以内、約2時間以内、又は約3時間以内など、所望の放出時間が提供されるように修飾することができる。更に、時間パルス放出システムは、胃内での十分な滞留時間を提供するように、少なくとも2mmの直径を有する粒子として(例えば、約2mm~約5mmの直径を有する上記に記載されるミニ錠剤として)製剤化されてもよい。
【0176】
[187] 時限パルス放出システムの例については、例えば、米国特許第4,871,549号、米国特許第6,531,152号、米国特許第6,287,599号、米国特許第6,627,223号、米国特許第6,663,888号、米国特許第9,161,918号、及び米国特許第9,161,919号(これらの各々は、本明細書において全体として参照により援用される)を参照することができる。
【0177】
[188] ソフトゲルカプセル剤
[189] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、ソフトゲルカプセル剤として製剤化される。ソフトゲルカプセル剤は当該技術分野において公知であり、ゼラチン及びその誘導体から調製し得る。一部の実施形態において、ソフトゲルカプセル剤は、胃の酸性pHで溶解するように製剤化される。
【0178】
[190] 一部の実施形態において、ソフトゲルカプセル剤には、中に溶解又は懸濁された薬物粒子を含む薬学的に許容可能な液体が充填される。
【0179】
[191] 好適な薬学的に許容可能な液体の非限定的な例としては、油又はグリセリン及びそのホモログな多価アルコール類などのポリオール類、及びそのエステル類、及びポリカーボネート類又はシロップ剤;室温で液体のワックス、例えばLabrafac Lipophile、Labrafil M1944CS、Labrasol、Transcutol、Peceol、及びPlurol、製造者Gatefosse、Elmsford, N.Y., USA;クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリ-n-ブチル、又はアセチルクエン酸トリ-n-ブチル、製造者Morflex、Greensboro, N.C., USA;グリセリルトリアセテート;又はゼラチンを可溶化しない他の液体が挙げられる。これらの混合物も同様に使用することができる。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な液体は、植物油又は鉱油である。一部の実施形態において、植物油は、トウゴマ油、ヤシ油、ピーナッツ油、パーム核油、キャノーラ油、アボカド油、月見草油、米糠油、ルリヂサ油、ヒマワリ油、ダイズ油、パーム油、コーン油、及びベニバナ油及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0180】
[192] デポー製剤
[193] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、水性環境で制御放出性液晶ゲルマトリックスを(例えば、それがそれを必要としている患者に皮下注射された後に)自然に形成するゾルミトリプタンが溶解した注射用脂質ベースの液体を含む。いかなる理論によっても拘束されることなく、かかる脂質溶液は、注射部位における流体との接触時にインサイチューで液晶ゲルに変わり、それがゾルミトリプタンを有効に封入している。本開示のデポー製剤では、ゾルミトリプタンは、水性環境(例えば、組織又は体液)で液晶マトリックスが分解するにつれゆっくりと放出される。注射用脂質ベースの液体デポー製剤については、米国特許第8,236,292号、米国特許第8,097,239号、及び米国特許第9,585,959号(これらの内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されている。
【0181】
[194] デポーからのゾルミトリプタンの放出速度は、当業者に公知の、例えば、米国特許第8,236,292号、及び米国特許第9,585,959号に記載される方法を用いることにより、組成に応じて数時間、数日間、又は数週間の間にわたって制御し得る。一部の実施形態において、好適な脂質ベースの液体は、適切な中性脂質、及び/又は両親媒性脂質及び/又は極性脂質又はこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、好適な脂質ベースの液体は、米国特許第8,097,239号、及び米国特許第9,585,959号に記載されるものなど、中性ジアシル脂質及び/又はリン脂質を含む。一部の実施形態において、かかる調製剤は、皮下投与される(例えば、シリンジによって注射される)。本開示の一部の実施形態において、デポー製剤は、例えば、米国特許第8,236,292号、米国特許第8,097,239号、及び米国特許第9,585,959号(これらの内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されるFluidCrystal(登録商標)注射デポーを使用する。このように、一部の実施形態において、デポー製剤は、ゾルミトリプタンのFluidCrystal(登録商標)徐放性製剤である。
【0182】
[195] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、多胞体リポソーム(MVL)の注射用懸濁水溶液を含む。MVLの注射用懸濁水溶液については、米国特許第5,723,147号、米国特許第5,766,627号、米国特許第5,891,467号、米国特許第5,997,899号、米国特許第6,793,938号、及び米国特許第9,585,838号(これらの内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されている。非経口投与用のMVLを含む医薬組成物は、例えば、水中油中水型エマルションを形成するダブルエマルション処理により入手し得る。リポソーム粒子は、概して10~30μmの直径サイズ範囲である。一部の実施形態において、多胞体リポソームは、中性脂質及び両親媒性脂質を含む。一部の実施形態において、多胞体リポソームは、リン脂質、コレステロール、及びトリグリセリドを含む。一部の実施形態において、ジオレイルホスファチジルコリンなどのリン脂質が、脂質二層膜の主成分を占める。一部の実施形態において、脂質二層膜には、電荷斥力によってリポソームの凝集の防止を助ける荷電リン脂質(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール)が含まれる。一部の実施形態において、コレステロールが使用され、例えば、脂質二層膜の機械的安定を提供する。非経口投与には、原薬をMVLと共に製剤化して、封入されたゾルミトリプタンを含有するハニカム状の多数の中心のない内部水性腔で構成される顕微鏡的な球状の脂質ベースの粒子の担体マトリックスを提供することができる。一部の実施形態において、各腔は、隣接する腔と脂質膜によって分離されている。注射後、かかる調製剤は、例えば、脂質膜の浸食及び/又は再構成に起因して、ゾルミトリプタンを長時間にわたって放出する。MVLからのゾルミトリプタンの放出速度は、当業者に公知の、例えば、米国特許第5,723,147号、米国特許第5,766,627号、米国特許第5,891,467号、米国特許第6,793,938号及び米国特許第9,585,838号に記載される方法を用いて制御することができる。一部の実施形態において、かかる組成物は、その組成に応じて、例えば、即放性の用量を提供し、続いて持続的送達を提供する。一部の実施形態において、かかる調製剤は、静脈内、皮下、筋肉内、又は髄腔内投与される(例えば、ペンシステムによるか、又はシリンジによって(例えば、リポソームの構造的完全性が維持されるように25G針以上を使用して)注射される)。例示的には、ゾルミトリプタンを間質腔を介して血流中に放出することによる全身送達は、有効な投与様式である。本開示の一部の実施形態において、デポー製剤は、例えば、米国特許第5,723,147号、米国特許第5,766,627号、米国特許第5,891,467号、米国特許第5,997,899号、米国特許第6,793,938号、及び米国特許第9,585,838号に記載されるDepoFoam(登録商標)技術プラットフォームを使用して調製される。このように、一部の実施形態において、デポー製剤は、ゾルミトリプタンMVL注射用懸濁液である。
【0183】
[196] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、注射用ヒドロゲルデポーを含む。ヒドロゲルデポーについては、例えば、米国特許第8,084,045号、米国再発行特許第RE46686号、米国特許第7,659,365号、及び米国特許第8,206,744号(これらの内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されている。非経口投与には、適切なヒドロゲル組成物としては、ゾルミトリプタンの非共有結合性の捕捉及び水中(例えば、等張性条件下)での安定ナノ粒子(例えば10~50nm)のコロイド懸濁液の自然発生的な形成を可能にする両親媒性ポリマーを含むものが挙げられる。一部の実施形態において、ポリマーは、本明細書、又は米国特許第8,084,045号、米国再発行特許第RE46686号、米国特許第7,659,365号、及び米国特許第8,206,744号に記載される任意のポリマーである。一部の実施形態において、ポリマーは、水溶性生分解性両親媒性コポリマーである。いかなる理論によっても拘束されることなく、持続的薬物放出は、疎水性ナノドメインとの可逆的な薬物相互作用に基づく。一部の実施形態において、非経口ヒドロゲルデポー注射は、ゾルミトリプタンの放出速度の修飾を提供する。ヒドロゲルデポー調製剤は、当業者に公知の、例えば、米国特許第8,084,045号、及び米国再発行特許第RE46686E1号に記載される方法を用いて、例えば、疎水性α-トコフェロール分子がグラフト化されたポリ-Glu骨格でできている自己集合性のポリアミノ酸ナノ粒子から入手し得る。一部の実施形態において、ヒドロゲルデポー注射は皮下投与される。本開示の一部の実施形態において、デポー製剤は、例えば、以下の図、及び米国特許第8,084,045号、米国再発行特許第RE46686E1号、米国特許第7,659,365号、及び米国特許第8,206,744号(これらの内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されるMedusa(登録商標)Platform技術プラットフォームを使用して調製される。このように、一部の実施形態において、デポー製剤は、ゾルミトリプタンの注射用ヒドロゲル徐放性製剤である。
【0184】
[197] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、ポリマーデポーシステムを含む。注射用ポリマーデポーについては、例えば、米国特許第10,300,019号、米国特許第8,674,033号、及び米国特許第8,481,651号(これらの内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されている。かかる調製剤は、好適な単量体を使用することにより、ゾルミトリプタンが閉じ込められた生分解性ポリマーマトリックスを形成して入手し得る。例示的単量体については、米国特許第10,300,019号、米国特許第8,674,033号、及び米国特許第8,481,651号に記載されている。再水和すると、ポリマーが膨潤し、ゾルミトリプタンが拡散によって放出される。放出時間は、当業者に公知の、例えば、米国特許第10,300,019号、米国特許第8,674,033号、及び米国特許第8,481,651号に記載される方法により、数時間から数日、最長数ヵ月の間まで調節することができる。一部の実施形態において、ポリマーマトリックスは、ポリ(乳酸)(PLA)及び/又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、又はラクチド、グリコリド、ε-カプロラクトン及びポリエチレングリコールのビルディングブロックで構成されるマルチブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ポリマーマトリックスでは、ほぼ中性のpHが維持される。一部の実施形態においてブロックコポリマーは、以下によって表される:
【化2】

本開示の一部の実施形態において、デポー製剤は、例えば、米国特許第10,300,019号、米国特許第8,674,033号、及び米国特許第8,481,651号に記載されるSynBiosys(登録商標)Platform技術プラットフォームを使用して調製される。このように、一部の実施形態において、デポー製剤は、ゾルミトリプタンのポリマー徐放性デポー製剤である。
【0185】
[198] 一部の実施形態において、遅延放出性構成成分は、リン脂質デポー組成物を含む。注射用リン脂質デポーについては、米国特許第9,517,202号(この内容は、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されている。一部の実施形態において、適切なリン脂質をゾルミトリプタンと共に製剤化することにより、非経口注射時にインサイチューでゲル化する製剤を提供し得る。一部の実施形態において、かかる製剤はまた、マイクロスフェア用の懸濁剤としても使用することができる。一部の実施形態において、ゲルは、実質的に一様であるか、又は単相であり得る。例示的リン脂質組成については、米国特許第9,517,202号に記載されており、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、又は60重量%のリン脂質又はリン脂質混合物(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)など、20~80重量%、25~70重量%、又は30~60重量%のリン脂質を含むことができる。一部の実施形態において、リン脂質は、非リポソーム性リン脂質である。一部の実施形態において、リン脂質デポー製剤は、当業者に公知の、及び米国特許第9,517,202号に記載される方法により、組成に応じて数日間、又は数週間にわたってカスタマイズ可能な放出プロファイルが提供されるように調整される。一部の実施形態において、デポー製剤は、(例えば、皮下若しくは筋肉内注射によるか、又は生体組織、血管若しくは腔内への注射若しくは点滴により)非経口投与される。本開示の一部の実施形態において、デポー製剤は、例えば、米国特許第9,517,202号に記載されるPG Depot(商標)注射用デポーを使用して調製される。このように、一部の実施形態において、デポー製剤は、ゾルミトリプタンのリン脂質デポー徐放性製剤である。
【0186】
[199] 投与及び用量設定
[200] 本開示は、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物をそれを必要としている患者に投与することによる、自閉症に関連する症状の治療方法を提供する。
【0187】
[201] 本開示は、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物をそれを必要としている患者に投与することによる、認知症のある患者の攻撃性の治療方法を提供する。
【0188】
[203] 本開示は、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物をそれを必要としている患者に投与することによる、アルツハイマー病患者の攻撃性の治療方法を提供する。
【0189】
[204] 一態様において、本開示は、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物をそれを必要としている患者に投与(経口投与によるなど)することによる治療方法を提供する。有効量は、治療される病態に依存し、病態の少なくとも1つの症状を取り除く、若しくは大幅に低減するのに十分な、又はそれらの症状(例えば、自閉症スペクトラム障害の症状、又はアルツハイマー病患者など、認知症のある患者の攻撃性)を緩和するのに十分な量である。
【0190】
[205] 以下に列挙する実施形態は、ADの症状の治療方法を開示する。これらの列挙される方法はまた、攻撃性(例えば、アルツハイマー病患者など、認知症のある患者の攻撃性)を特徴とする他の病態の治療にも好適である。自閉症スペクトラム障害の症状の治療のための本明細書に記載される列挙される実施形態(例えば、用量、PKパラメータ及び投与)は、攻撃性(例えば、アルツハイマー病患者の攻撃性)を特徴とする病態の治療にも等しく適用される。このように、本開示は、以下の用量、PKパラメータ及び投与を用いてアルツハイマー病患者など、認知症のある患者の攻撃性を治療する実施形態を企図する。
【0191】
[206] 本開示の一部の実施形態によれば、本開示のゾルミトリプタン組成物を投与すると、統計的に有意な治療効果が提供される。一実施形態において、統計的に有意な治療効果は、米国、例えば、FDA又は他の国の1つ以上の規制当局が提供する1つ以上の規格又は基準に基づき決定される。別の実施形態において、統計的に有意な治療効果は、規制当局が承認した臨床試験セットアップ及び/又は手順から得られる結果に基づき決定される。
【0192】
[207] 一部の実施形態において、統計的に有意な治療効果は、少なくとも20、50、60、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000又は2000例の患者集団に基づき決定される。一部の実施形態において、統計的に有意な治療効果は、無作為化二重盲検臨床試験セットアップから得られるデータに基づき決定される。一部の実施形態において、統計的に有意な治療効果は、p値が約0.05、0.04、0.03、0.02又は0.01以下であるデータに基づき決定される。一部の実施形態において、統計的に有意な治療効果は、信頼区間が95%、96%、97%、98%又は99%以上であるデータに基づき決定される。
【0193】
[208] 一部の実施形態において、統計的に有意な治療効果は、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩で、及び任意選択で標準治療と組み合わせて治療される患者の無作為化二重盲検臨床試験によって決定される。治療効果の決定方法は、治療される病態に依存することになる。
【0194】
[209] 一般に、統計的分析には、米国又は欧州又は任意の他の国の規制当局、例えば、FDAが許可している任意の好適な方法が含まれ得る。一部の実施形態において、統計的分析には、非層別化分析、ログ・ランク分析、例えば、カプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)、ヤコブソン・トルアックス(Jacobson-Truax)、グリケン・ロード・ノビック(Gulliken-Lord-Novick)、エドワーズ・ナナリー(Edwards-Nunnally)、ハーゲマン・アリンデル(Hageman-Arrindel)及び階層線形モデル構築(HLM)によるもの及びコックス回帰分析が含まれる。
【0195】
[210] 本開示によれば、本開示の組成物は、治療下の病態の症状(例えば、自閉症スペクトラム障害の症状又はアルツハイマー病患者など、認知症のある患者の攻撃性)の有効な軽減を提供するため、1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として投与される。
【0196】
[211] 一部の実施形態において、本明細書に提供される用量とは、自閉症スペクトラム障害の症状を治療するため1日当たりに投与されるゾルミトリプタンの量を指す。一部の実施形態において、本明細書に提供される用量とは、認知症のある患者の攻撃性を治療するため1日当たりに投与されるゾルミトリプタンの量を指す。一部の実施形態において、本明細書に提供される用量とは、アルツハイマー病患者の攻撃性を治療するため1日当たりに投与されるゾルミトリプタンの量を指す。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約7.5mg、約10mg、約12mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、及び約150mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの1日用量は、約12mg、約24mg、約36mg、又は約48mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの1日用量は、約12mg、約24mg、約36mg、約48mg、又は約72mgである。
【0197】
[212] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約7.5mg、10mg、約12mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、及び約150mg(これらの間にある全ての範囲を含む)を含め、約7.5mg~約150mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、及び約120mg(これらの間にある全ての範囲を含む)を含め、約60mg~約120mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約7.5mg~約90mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約7.5mg~約50mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約10mg~約30mgである。実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約12mg~約72mgである。実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約24mg~約72mgである。実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、約48mg~約72mgである。
【0198】
[213] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約2.5mgである。一部の実施形態において、総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約5mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約7.5mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約10mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約12mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約15mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約20mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約24mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約25mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約30mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約35mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約40mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約45mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約48mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約50mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約55mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約60mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約65mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約70mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約72mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約75mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約80mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約85mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約90mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約95mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約100mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約105mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約110mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約115mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約120mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約125mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約130mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約135mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約140mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約145mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、自閉症スペクトラム障害の症状の治療用には1日少なくとも約150mgである。
【0199】
[214] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約12mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約24mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約36mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約48mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約60mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約65mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約70mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約72mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約75mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約80mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約85mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約90mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約95mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約100mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約105mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約110mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約115mgである。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンの総1日用量は、ASDの症状の治療用には1日約120mgである。
【0200】
[215] 一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約12mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約24mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約36mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約48mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約60mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約65mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約70mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約72mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約75mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約80mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約85mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約90mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約95mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約100mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約105mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約110mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約115mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。一部の実施形態において、ASDの症状の治療には、約120mgのゾルミトリプタン1日1回(又は1日2回又は1日3回)が選択される。
【0201】
[216] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩は、1日1回又は1日2回又は1日3回を基本として少なくとも1日間、例えば、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約12日間、約13日間及び約14日間投与される。
【0202】
[217] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩は、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約18週間、約24週間、及び約50週間投与される。
【0203】
[218] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩は、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、少なくとも約18週間、少なくとも約24週間、及び少なくとも約50週間投与される。
【0204】
[219] 一部の実施形態において、少なくとも約7.5mg又は約7.5mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約12mg又は約12mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約24mg又は約24mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約36mg又は約36mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約48mg又は約48mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約60mg又は約60mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約65mg又は約65mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約70mg又は約70mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約72mg又は約72mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約75mg又は約75mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約80mg又は約80mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約85mg又は約85mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約90mg又は約90mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約95mg又は約95mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約100mg又は約100mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約105mg又は約105mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約110mg又は約110mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約115mg又は約115mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約120mg又は約120mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約125mg又は約125mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回又は1日2回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約130mg又は約130mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約135mg又は約135mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約140mg又は約140mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約145mg又は約145mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。一部の実施形態において、少なくとも約150mg又は約150mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が、1日1回を基本として少なくとも1週間投与される。
【0205】
[220] 一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、ゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩の用量を最大安全及び有効用量になるまで少なくとも約1週間用量調節するステップ(用量調節期間)を更に含む。一部の実施形態において、用量調節期間は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日~約14日(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)である。一部の実施形態において、用量調節期間は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日、少なくとも約11日、少なくとも約12日、少なくとも約13日、又は少なくとも約14日である。実施形態において、用量調節は、ゾルミトリプタンの1日用量を増量することを含む。実施形態において、用量調節は、ゾルミトリプタンの1日用量を、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約5mg~約20mg増量することを含む。実施形態において、用量調節は、ゾルミトリプタンの1日用量を1日約12mg増量することを含む。
【0206】
[221] 本明細書に記載される方法の実施形態において、ゾルミトリプタンの用量を減量調節するステップを更に含む。実施形態において、用量調節は、ゾルミトリプタンの1日用量を、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約5mg~約20mg減量することを含む。実施形態において、用量調節は、ゾルミトリプタンの1日用量を1日約12mg減量することを含む。
【0207】
[222] 実施形態において、本明細書に記載される方法は、ゾルミトリプタンの用量を治療有効用量になるまで用量調節すること、及び治療有効用量を約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間又はそれ以上(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1日~約20週間又はそれ以上投与することを含む。
【0208】
[223] 実施形態において、本明細書に記載される方法は、ゾルミトリプタンの用量を治療有効用量になるまで用量調節すること、及び治療有効用量を少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、少なくとも約16週間、少なくとも約17週間、少なくとも約18週間、少なくとも約19週間、又は少なくとも約20週間又はそれ以上投与することを含む。
【0209】
[224] 実施形態において、本明細書に記載される方法は、ゾルミトリプタンの用量を最大安全及び有効用量になるまで用量調節すること、及び最大安全及び有効用量を約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約13週間、約14週間、約15週間、約又は16週間、約17週間、約18週間、約19週間、又は約20週間又はそれ以上(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1日間~約20週間又はそれ以上投与することを含む。
【0210】
[225] 実施形態において、本明細書に記載される方法は、ゾルミトリプタンの用量を最大安全及び有効用量になるまで用量調節すること、及び最大安全及び有効用量を少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、最小約15週間、少なくとも約16週間、少なくとも約17週間、少なくとも約18週間、少なくとも約19週間、又は少なくとも約20週間又はそれ以上投与することを含む。
【0211】
[226] 本開示の方法の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、それを必要としている患者(例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある患者又は攻撃性を伴うアルツハイマー病患者)に約12mgゾルミトリプタンの初期1日用量として投与され、次にゾルミトリプタン用量は、治療有効用量になるまで用量調節される。実施形態において、最大1日用量は、約72mg以下のゾルミトリプタンである。
【0212】
[227] 本開示の方法の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、それを必要としている患者(例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある患者又は攻撃性を伴うアルツハイマー病患者)に少なくとも約12mgゾルミトリプタンの初期1日用量として投与され、次にゾルミトリプタン用量は、治療有効用量になるまで用量調節される。実施形態において、最大1日用量は、約72mg以下のゾルミトリプタンである。
【0213】
[228] 本開示の方法の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、それを必要としている患者(例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある患者又は攻撃性を伴うアルツハイマー病患者)に約12mgゾルミトリプタンの初期1日用量として投与され、次にゾルミトリプタンの用量は、最大安全及び有効用量になるまで用量調節される。実施形態において、最大1日用量は、約72mg以下のゾルミトリプタンである。
【0214】
[229] 本開示の方法の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、それを必要としている患者(例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある患者又は攻撃性を伴うアルツハイマー病患者)に少なくとも約12mgゾルミトリプタンの初期1日用量として投与され、次にゾルミトリプタンの用量は、最大安全及び有効用量になるまで用量調節される。実施形態において、最大1日用量は、約72mg以下のゾルミトリプタンである。
【0215】
[230] 一部の実施形態において、本開示は、組成物をそれを必要としている患者に経口投与した後に観察される薬物動態(又はPK)パラメータに基づいて特徴付けられるゾルミトリプタン組成物を提供する。しかしながら、本出願人は、ゾルミトリプタンの経口投与後に実現される同じPKパラメータを、限定はされないが、静脈内、筋肉内、鼻腔内、及び経皮を含めた非経口経路など、他の薬物投与経路を用いて実現し得ることを企図する。本明細書に記載されるPKパラメータは、本明細書に記載される徐放性組成物のいずれを使用しても実現し得る。
【0216】
[231] 一部の実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物は、1つ以上の統計的に有意な治療効果と相関する血漿ゾルミトリプタンレベルを長時間にわたって、典型的には少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約16時間、少なくとも約18時間、少なくとも約20時間、少なくとも約22時間、又は少なくとも約24時間の間にわたって提供して、ヒトの自閉症スペクトラム障害の症状を治療する。一部の実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物は、1つ以上の統計的に有意な治療効果と相関する血漿ゾルミトリプタンレベルを、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間~約24時間(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)の間を含め、約4~24時間の間にわたって提供する。一部の実施形態において、血漿レベルは、定常状態血漿レベルである。一部の実施形態において、それを必要としている患者に経口投与したとき、本開示の組成物は、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度を組成物の単回投与後約8時間、約10時間、約12時間、又は約16時間提供する。一部の実施形態において、それを必要としている患者に経口投与したとき、本開示の組成物は、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度を組成物の単回投与後約10時間、約12時間、又は約16時間提供する。一部の実施形態において、それを必要としている患者に経口投与したとき、本開示の組成物は、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度を組成物の単回投与後少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、又は少なくとも約16時間提供する。
【0217】
[232] 一部の実施形態において、本組成物は、1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として投与したときに、1つ以上の統計的に有意な治療効果と相関する定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルを提供する。一部の実施形態において、それを必要としている患者に経口投与したとき、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルを、経口投与後少なくとも約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27日間、約28日間、約29日間、約30日間、及び約31日間を含め、少なくとも約12時間提供する。統計的に有意な効果を測定する方法は、治療下の病態に依存することになり、当業者に公知である。
【0218】
[233] 一部の実施形態において、それを必要としている患者に1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として経口投与したとき、本開示のゾルミトリプタン組成物は、約3ng/ml、約5ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約31ng/mL、約32ng/mL、約33ng/mL、約34ng/mL、約35ng/mL、約36ng/mL、約37ng/mL、約37ng/mL、約38ng/mL、約29ng/mL、約40ng/mL、約41ng/mL、約42ng/mL、約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL、約46ng/mL、約47ng/mL、約48ng/mL、約49ng/mL、約50ng/mL、約51ng/mL、約52ng/mL、約53ng/mL、約54ng/mL、約55ng/mL、約56ng/mL、約57ng/mL、約58ng/mL、約59ng/mL、約60ng/mL、約61ng/mL、約62ng/mL、約63ng/mL、約64ng/mL、約65ng/mL、約66ng/mL、約67ng/mL、約68ng/mL、約69ng/mL、約70ng/mL、約71ng/mL、約72ng/mL、約73ng/mL、約74ng/mL、約75ng/mL、約76ng/mL、約77ng/mL、約78ng/mL、約80ng/mL、約81ng/mL、約82ng/mL、約83ng/mL、約84ng/mL、及び約85ng/mL(これらの間にある全ての範囲を含む)を含め、約3ng/mL~約85ng/mLの範囲の治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルを提供する。一部の実施形態において、それを必要としている患者に1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として経口投与したとき、本開示のゾルミトリプタン組成物は、約3ng/ml~85ng/mlの範囲の治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルを提供する。
【0219】
[234] 一部の実施形態において、それを必要としている患者に経口投与したとき、本開示の組成物は、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/ml、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL~少なくとも約15ng/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を長時間、典型的には組成物の単回投与後少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、又は少なくとも約12時間提供することを含め、少なくとも約8~15ng/mLの血漿濃度を長時間提供する。一部の実施形態において、それを必要としている患者に経口投与したとき、本開示の組成物は、少なくとも約10ng/mLの血漿濃度を少なくとも約8時間提供する。
【0220】
[235] 本方法の実施形態において、本開示の約24mgゾルミトリプタン組成物を投与することにより、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL~約25ng/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約10ng/mL~約25ng/mLの血漿レベルが提供される。本方法の実施形態において、約48mgのゾルミトリプタンを投与することにより、約25ng/mL~約60ng/mLの血漿レベルが提供される。本方法の実施形態において、約48mgのゾルミトリプタンを投与することにより、約25ng/mL~約50ng/mLの血漿レベルが提供される。本方法の実施形態において、本開示の約48mgゾルミトリプタン組成物を投与することにより、約25ng/mL、約26ng/mL、約27g/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約31ng/mL、約32ng/mL、約33ng/mL、約33ng/mL、約34ng/mL、約35ng/mL、約36ng/mL、約37ng/mL、約38ng/mL、約39ng/mL、約40ng/mL、約41ng/mL、約42ng/mL、約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約25ng/mL~約45ng/mLの血漿レベルが提供される。本方法の実施形態において、本開示の約72mgゾルミトリプタン組成物を投与することにより、約40ng/mL、約41ng/mL、約42ng/mL 約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL、約46ng/mL、約47ng/mL、約48ng/mL、約49ng/mL、約50ng/mL、約51ng/mL、約52ng/mL、約53ng/mL、約54ng/mL、約55ng/mL、約56ng/mL、約57ng/mL、約58ng/mL、約59ng/mL~約60ng/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約40ng/mL~約65ng/mLの血漿レベルが提供される。
【0221】
[236] 一部の実施形態において、それを必要としている患者に1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として経口投与したとき、本開示のゾルミトリプタン組成物は、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/ml、約5ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約31ng/mL、約32ng/mL、約33ng/mL、約34ng/mL、約35ng/mL、約36ng/mL、約37ng/mL、約37ng/mL、約38ng/mL、約29ng/mL、約40ng/mL、約41ng/mL、約42ng/mL、約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL、約46ng/mL、約47ng/mL、約48ng/mL、約49ng/mL、約50ng/mL、約51ng/mL、約52ng/mL、約53ng/mL、約54ng/mL、約55ng/mL、約56ng/mL、約57ng/mL、約58ng/mL、約59ng/mL、約60ng/mL、約61ng/mL、約62ng/mL、約63ng/mL、約64ng/mL、約65ng/mL、約66ng/mL、約67ng/mL、約68ng/mL、約69ng/mL、約70ng/mL、約71ng/mL、約72ng/mL、約73ng/mL、約74ng/mL、約75ng/mL、約76ng/mL、約77ng/mL、約78ng/mL、約80ng/mL、約81ng/mL、約82ng/mL、約83ng/mL、約84ng/mL、約85ng/mL、約86ng/mL、約87ng/mL、約88ng/mL、約89ng/mL、約90ng/mL、約91ng/mL、約92ng/mL、約93ng/mL、約94ng/mL、約95ng/mL、約96ng/mL、約97ng/mL、約98ng/mL、約99ng/mL、及び約100ng/mL(これらの間にある全ての範囲を含む)を含め、約1ng/mL~約100ng/mLの範囲の(例えば、ゾルミトリプタン組成物の単回投与後の)血漿レベルを提供する。実施形態において、それを必要としている患者に1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として経口投与したとき、本開示のゾルミトリプタン組成物は、約40ng/mL~約60ng/mLの範囲の血漿レベルを提供する。実施形態において、それを必要としている患者に1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として経口投与したとき、本開示のゾルミトリプタン組成物は、約40ng/mL~約50ng/mLの範囲の血漿レベルを提供する。
【0222】
[237] 一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、本開示の1つ以上の組成物を投与して約7.5mg~150mgの間の1日用量のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を提供することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約7.5mg~約90mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約12mg~約72mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約7.5mg~約50mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約2.5mg~約50mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約2.5mg~約50mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日2回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約2.5mg~約50mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日3回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿ゾルミトリプタンレベルは、約10mg~約30mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。
【0223】
[238] 一部の実施形態において、組成物の投与は、1つ以上の統計的に有意な治療効果と相関するゾルミトリプタンのCSFレベルをもたらす。一部の実施形態において、本開示の方法によってもたらされるゾルミトリプタンの治療上有効なCSFレベルは、約0.05ng/mL、約0.075ng/mL、約0.1ng/mL、約0.125ng/mL、約0.15ng/mL、約0.175ng/mL、約0.2ng/mL、約0.25ng/mL、約0.3ng/mL、約0.35ng/mL、約0.4ng/mL、約0.45ng/mL、約0.5ng/mL、約0.55ng/mL、約0.6ng/mL、約0.65ng/mL、約0.7ng/mL、約0.75ng/mL、約0.8ng/mL、約0.85ng/mL、約0.9ng/mL、約0.95ng/mL、約1ng/mL、約1.1ng/mL、約1.15ng/mL、約1.2ng/mL、約1.25ng/mL、約1.3ng/mL、約1.35ng/mL、約1.4ng/mL、約1.45ng/mL、約1.5ng/mL、約1.55ng/mL、約1.6ng/mL、約1.65ng/mL、約1.7ng/mL、約1.75ng/mL、約1.8ng/mL、約1.85ng/mL、約1.9ng/mL、約1.95ng/mL、及び約2ng/mLを含めた、約0.05ng/mL~約2ng/mL(これらの間にある全ての値及び範囲を含む)の範囲である。一部の実施形態において、本開示の方法によってもたらされるゾルミトリプタンの治療上有効なCSFレベルは、約0.078ng/mL~約1.24ng/mLの範囲である。一部の実施形態において、本開示の方法によってもたらされるゾルミトリプタンの治療上有効なCSFレベルは、約0.103ng/mL~約0.93ng/mLの範囲である。
【0224】
[239] 一部の実施形態において、本組成物は、1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として投与したときに1つ以上の統計的に有意な治療効果と相関する平均定常状態AUC0-24h(ng・hr/mL単位で表す)ゾルミトリプタンレベルを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルをそれを必要としている患者への経口投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27日間、約28日間、約29日間、約30日間、及び約31日間又はそれ以上(これらの間にある全ての値及び範囲を含む)を含め、少なくとも約1時間提供する。実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルをそれを必要としている患者への経口投与後少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、少なくとも約24時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、少なくとも約20日間、少なくとも約21日間、少なくとも約22日間、少なくとも約23日間、少なくとも約24日間、少なくとも約25日間、少なくとも約26日間、少なくとも約27日間、少なくとも約28日間、少なくとも約29日間、少なくとも約30日間、又は少なくとも約31日間又はそれ以上提供する。一部の実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルをそれを必要としている患者への経口投与後少なくとも約12時間提供する。
【0225】
[240] 一部の実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルをそれを必要としている患者への投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間及び約24時間を含め、約又は少なくとも約1~24時間の間提供する。一部の実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルをそれを必要としている患者への投与後約12時間~約24時間の間提供する。一部の実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルを少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、又は少なくとも約24時間の間提供する。一部の実施形態において、本組成物は、統計的に有意な効果を提供する平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルをそれを必要としている患者への投与後少なくとも約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、及び約5週間を含め、約1日~約1ヵ月の間提供する。
【0226】
[241] 一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物によって提供される治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約15ng・hr/mL、20ng・hr/mL、25ng・hr/mL、30ng・hr/mL、35ng・hr/mL、40ng・hr/mL、50ng・hr/mL、100ng・hr/mL、150ng・hr/mL、200ng・hr/mL、250ng・hr/mL、300ng・hr/mL、約400ng・hr/mL、約500ng・hr/mL、約600ng・hr/mL、約700ng・hr/mL、約800ng・hr/mL、約900ng・hr/mL、約1000ng・hr/mL、約1100ng・hr/mL、及び約1150ng・hr/mL(これらの間にある全ての範囲及び値を含む)を含め、約15ng・hr/mL~約1150ng・hr/mLの範囲である。一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物によって提供される治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約40ng・hr/mL、約50ng・hr/mL、約60ng・hr/mL、約70ng・hr/mL、約80ng・hr/mL、約90ng・hr/mL、約100ng・hr/mL、及び約110ng・hr/mL(これらの間にある全ての範囲及び値を含む)を含め、約40ng・hr/mL~約110ng・hr/mLの範囲である。一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物によって提供される治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約150ng・hr/mL、約175ng・hr/mL、約200ng・hr/mL、約225ng・hr/mL、約250ng・hr/mL、約275ng・hr/mL、約300ng・hr/mL、約325ng・hr/mL、約350ng・hr/mL、約375ng・hr/mL、約400ng・hr/mL、約425ng・hr/mL、及び約450ng・hr/mL(これらの間にある全ての範囲及び値を含む)を含め、約150ng・hr/mL~約450ng・hr/mLの範囲である。一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物によって提供される治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約600ng・hr/mL、約650ng・hr/mL、約700ng・hr/mL、約750ng・hr/mL、約800ng・hr/mL、約850ng・hr/mL、約900ng・hr/mL、約950ng・hr/mL、約1000ng・hr/mL、約1050ng・hr/mL、約1100ng・hr/mL、及び約1150ng・hr/mL(これらの間にある全ての範囲及び値を含む)を含め、約600ng・hr/mL~約1150ng・hr/mLの範囲である。
【0227】
[242] 一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約20ng・h/mL、約30ng・h/mL、約40ng・h/mL、約50ng・h/mL、約60ng・h/mL、約70ng・h/mL、約80ng・h/mL、約90ng・h/mL、約100ng・h/mL、約110ng・h/mL、約120ng・h/mL、約130ng・h/mL、約140ng・h/mL、約150ng・h/mL、約160ng・h/mL、約170ng・h/mL、約180ng・h/mL、約190ng・h/mL、約200ng・h/mL、約210ng・h/mL、約220ng・h/mL、約230ng・h/mL、約240ng・h/mL、約250ng・h/mL、約260ng・h/mL、約270ng・h/mL、約280ng・h/mL、約290ng・h/mL、約300ng・h/mL、約310ng・h/mL、約320ng・h/mL、約330ng・h/mL、約340ng・h/mL、約350ng・h/mL、約360ng・h/mL、約370ng・h/mL、約380ng・h/mL、約390ng・h/mL、約400ng・h/mL、約410ng・h/mL、約420ng・h/mL、約430ng・h/mL、約440ng・h/mL、約450ng・h/mL、約460ng・h/mL、約470ng・h/mL、約480ng・h/mL、約490ng・h/mL、約500ng・h/mL、約510ng・h/mL、約520ng・h/mL、約530ng・h/mL、約540ng・h/mL、約550ng・h/mL、約560ng・h/mL、約570ng・h/mL、約580ng・h/mL、約590ng・h/mL、約600ng・h/mL、約610ng・h/mL、約620ng・h/mL、約630ng・h/mL、約640ng・h/mL、約650ng・h/mL、約660ng・h/mL、約670ng・h/mL、約680ng・h/mL、約690ng・h/mL、約700ng・h/mL、約710ng・h/mL、約720ng・h/mL、約730ng・h/mL、約740ng・h/mL、約750ng・h/mL、約760ng・h/mL、約770ng・h/mL、約780ng・h/mL、約790ng・h/mL、約800ng・h/mL、約810ng・h/mL、約820ng・h/mL、約830ng・h/mL、約840ng・h/mL、約850ng・h/mL、約860ng・h/mL、約870ng・h/mL、約890ng・h/mL、約900ng・h/mL、約910ng・h/mL、約920ng・h/mL、約930ng・h/mL、約940ng・h/mL、約950ng・h/mL、約960ng・h/mL、約970ng・h/mL、約980ng・h/mL、約990ng・h/mL、約1000ng・h/mL、約1010ng・h/mL、約1020ng・h/mL、約1030ng・h/mL、約1040ng・h/mL、約1050ng・h/mL、約1060ng・h/mL、約1070ng・h/mL、約1080ng・h/mL、約1090ng・h/mL、約1100ng・h/mL、約1110ng・h/mL、約1120ng・h/mL、約1130ng・h/mL、約1140ng・h/mL、約1150ng・h/mL、約1160ng・h/mL、約1170ng・h/mL、約1180ng・h/mL、約1190ng・h/mL、約1200ng・h/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約20ng・h/mL~約1200ng・h/mLのAUC0-24h(ng・hr/mL単位で表す)を提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約20ng・h/mL~約500ng・h/mLのAUC0-24hを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約80ng・h/mL~約750ng・h/mLのAUC0-24hを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約50ng・h/mL~約250ng・h/mLのAUC0-24hを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約300ng・h/mL、又は約150ng・h/mL~約250ng・h/mL、又は約50ng・h/mL~約150ng・h/mLのAUC0-24hを提供する。実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約20ng・h/mL~約500ng・h/mLのAUC0-24h(ng・hr/mL単位で表す)を提供する。実施形態において、本組成物は食後状態で投薬される。実施形態において、本組成物は絶食状態で投薬される。
【0228】
[243] 一部の実施形態において、治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約7.5mg~約150mgの間の1日用量のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が提供されるように本開示の1つ以上の組成物を投与することにより提供される。一部の更なる実施形態において、治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約7.5mg~約150mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。他の更なる実施形態において、治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約3.75mg~約75mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日2回投与することにより提供される。他の更なる実施形態において、治療上有効な平均定常状態AUC0-24hゾルミトリプタンレベルは、約2.5mg~約50mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日3回投与することにより提供される。
【0229】
[244] 一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約20ng・h/mL、約30ng・h/mL、約40ng・h/mL、約50ng・h/mL、約60ng・h/mL、約70ng・h/mL、約80ng・h/mL、約90ng・h/mL、約100ng・h/mL、約110ng・h/mL、約120ng・h/mL、約130ng・h/mL、約140ng・h/mL、約150ng・h/mL、約160ng・h/mL、約170ng・h/mL、約180ng・h/mL、約190ng・h/mL、約200ng・h/mL、約210ng・h/mL、約220ng・h/mL、約230ng・h/mL、約240ng・h/mL、約250ng・h/mL、約260ng・h/mL、約270ng・h/mL、約280ng・h/mL、約290ng・h/mL、約300ng・h/mL、約310ng・h/mL、約320ng・h/mL、約330ng・h/mL、約340ng・h/mL、約350ng・h/mL、約360ng・h/mL、約370ng・h/mL、約380ng・h/mL、約390ng・h/mL、約400ng・h/mL、約410ng・h/mL、約420ng・h/mL、約430ng・h/mL、約440ng・h/mL、約450ng・h/mL、約460ng・h/mL、約470ng・h/mL、約480ng・h/mL、約490ng・h/mL、約500ng・h/mL、約510ng・h/mL、約520ng・h/mL、約530ng・h/mL、約540ng・h/mL、約550ng・h/mL、約560ng・h/mL、約570ng・h/mL、約580ng・h/mL、約590ng・h/mL、約600ng・h/mL、約610ng・h/mL、約620ng・h/mL、約630ng・h/mL、約640ng・h/mL、約650ng・h/mL、約660ng・h/mL、約670ng・h/mL、約680ng・h/mL、約690ng・h/mL、約700ng・h/mL、約710ng・h/mL、約720ng・h/mL、約730ng・h/mL、約740ng・h/mL、約750ng・h/mL、約760ng・h/mL、約770ng・h/mL、約780ng・h/mL、約790ng・h/mL、約800ng・h/mL、約810ng・h/mL、約820ng・h/mL、約830ng・h/mL、約840ng・h/mL、約850ng・h/mL、約860ng・h/mL、約870ng・h/mL、約880ng・h/mL、約890ng・h/mL、約900ng・h/mL、約910ng・h/mL、約920ng・h/mL、約930ng・h/mL、約940ng・h/mL、約950ng・h/mL、約960ng・h/mL、約970ng・h/mL、約980ng・h/mL、約990ng・h/mL、約1000ng・h/mL、約1010ng・h/mL、約1020ng・h/mL、約1030ng・h/mL、約1040ng・h/mL、約1050ng・h/mL、約1060ng・h/mL、約1070ng・h/mL、約1080ng・h/mL、約1090ng・h/mL、約1100ng・h/mL、約1110ng・h/mL、約1120ng・h/mL、約1130ng・h/mL、約1140ng・h/mL、約1150ng・h/mL、約1160ng・h/mL、約1170ng・h/mL、約1180ng・h/mL、約1190ng・h/mL~約1200ng・h/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約20ng・h/mL~約1200ng・h/mLのAUClast(ng・hr/mL単位で表す)を提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約50ng・h/mL~約250ng・h/mLのAUClastを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約300ng・h/mL、又は約150ng・h/mL~約250ng・h/mL、又は約50ng・h/mL~約150ng・h/mLのAUClastを提供する。実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約20ng・h/mL~約500ng・h/mLのAUClast(ng・hr/mL単位で表す)を提供する。実施形態において、本組成物は食後状態で投薬される。実施形態において、本組成物は絶食状態で投薬される。
【0230】
[245] 一部の実施形態において、本組成物は、1日1回、1日2回、又は1日3回を基本として投与したときに1つ以上の統計的に有意な治療効果と相関する定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルを提供する。一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物によって提供される治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約1.5ng/mL、約2ng/mL、約2.5ng/mL、約3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、約60ng/mL 約65ng/mL、約70ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/ml、及び約100ng/mL(これらの間にある全ての値及び範囲を含む)を含め、約0.05ng/mL~約100ng/mLの範囲である。一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物によって提供される治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約3ng/mL~約85ng/mLの範囲である。実施形態において、本組成物は食後状態で投薬される。実施形態において、本組成物は絶食状態で投薬される。
【0231】
[246] 一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約31ng/mL、約32ng/mL、約33ng/mL、約34ng/mL、約35ng/mL、約36ng/mL、約37ng/mL、約38ng/mL、約39ng/mL、約40ng/mL、41ng/mL、約42ng/mL、約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL、約46ng/mL、約47ng/mL、約48ng/mL、約49ng/mL、約50ng/mL、約51ng/mL、約52ng/mL、約53ng/mL、約54ng/mL、約55ng/mL、約56ng/mL、約57ng/mL、約58ng/mL、約59ng/mL、約60ng/mL、約61ng/mL、約62ng/mL、約63ng/mL、約64ng/mL、約65ng/mL、約66ng/mL、約67ng/mL、約68ng/mL、約69ng/mL、約70ng/mL、約71ng/mL、約72ng/mL、約73ng/mL、約74ng/mL、約75ng/mL、約76ng/mL、約77ng/mL、約78ng/mL、約79ng/mL、約80ng/mL、約81ng/mL、約82ng/mL、約83ng/mL、約84ng/mL、約85ng/mL、約86ng/mL、約87ng/mL、約88ng/mL、約89ng/mL、約90ng/mL、約91ng/mL、約92ng/mL、約93ng/mL、約94ng/mL、約95ng/mL、約96ng/mL、約97ng/mL、約98ng/mL、約99ng/mL~約100ng/mL(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1ng/mL~約100ng/mLのCmaxを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、約1ng/mL~約80ng/mLのCmaxを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約3ng/mL~約30ng/mLのCmaxを提供する。実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約5ng/mL~約60ng/mLのCmaxを提供する。実施形態において、本組成物は食後状態で投薬される。実施形態において、本組成物は絶食状態で投薬される。
【0232】
[247] 一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約7.5mg~約150mgの間の1日用量のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が提供されるように本開示の1つ以上の組成物を投与することにより提供される。一部の更なる実施形態において、治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約7.5mg~約150mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日1回投与することにより提供される。他の更なる実施形態において、治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約3.75mg~75mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日2回投与することにより提供される。他の更なる実施形態において、治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約2.5mg~50mgの間のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含有する本開示の組成物を1日3回投与することにより提供される。一部の実施形態において、治療上有効な定常状態血漿Cmaxゾルミトリプタンレベルは、約12mg、約24mg、約36mg、約48mg~約72mg(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約12mg~約78mgの1日用量のゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩が提供されるように本開示の1つ以上の組成物を投与することにより提供される。
【0233】
[248] 一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間~約24時間(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1時間~約24時間のt1/2を提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約5時間~約18時間のt1/2を提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約8.5時間~約15時間の血漿中半減期(t1/2)を提供する。
【0234】
[249] 一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間~約10時間(これらの間にある全ての値及び部分的な範囲を含む)を含め、約1時間~約10時間のTmaxを提供する。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の単回投与後約2時間~約5時間のTmaxを提供する。
【0235】
[250] 本開示の適切な医薬組成物は、組成物の任意の臨床的に許容可能な投与経路により対象に投与することができる。組成物を投与する方法は、一部には、原因及び/又は部位に依存する。当業者は、ある種の投与経路の利点を認識するであろう。本方法は、薬剤又は化合物(又は薬剤若しくは化合物を含む組成物)の有効量、例えば、治療しようとする病態の症状、例えば、自閉症スペクトラム障害に関連する症状を全体的又は部分的に緩和する、改善する、又は予防するのに有効な量を投与して所望の生物学的反応を実現することを含む。様々な態様において、投与経路は全身性であり、例えば、経口であるか、又は注射による。一部の実施形態において、ゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩は、経口的に、鼻腔内に、経皮的に、肺内に、吸入により、頬側的に、舌下に、腹腔内に(intraperintoneally)、皮下に、筋肉内に、静脈内に、経直腸的に、胸膜内に、髄腔内に、門脈内に、又は非経口的に投与される。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンは、経口投与される。一部の実施形態において、ゾルミトリプタンは、非経口投与される。
【0236】
ASDの症状を治療する方法
[251] 一部の実施形態において、本開示は、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連する症状を治療する方法であって、本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、本方法は、ASDの症状の治療に使用される唯一の組成物として本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む。一部の実施形態において、本方法は、本開示のゾルミトリプタン組成物を、ASDの症状の治療に使用される1つ以上の活性成分と併せて用いる。一部の実施形態において、本開示のゾルミトリプタン組成物は、ASDの治療に使用される追加の活性成分と組み合わせて投与され、例えば、共製剤化されるか、又は別個に投与される。
【0237】
[252] ASD症状の非限定的な例としては、易刺激性、コミュニケーションの困難、社会的相互作用の困難、強迫神経症的関心、反復行動、不適切な社会的相互作用、アイコンタクトが乏しい、強迫行動、衝動性、動きを繰り返す、自傷、言葉又は行為を執拗に繰り返す、学習障害、言葉の遅れ、限られた数の事柄への強い関心、注意を払うことに問題がある、他者の感情への認識の欠如、抑欝、不安、声の変化、音に対する敏感さ、及びチックが挙げられる。一部の実施形態において、必要としている患者には、前記治療前と比較してASDに関連する易刺激性の実質的な低下が見られる。一部の実施形態において、必要としている患者には、前記治療前と比較して社会性の実質的な改善が見られる。
【0238】
[253] 一部の実施形態において、本開示は、ASDの症状を治療する方法であって、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、単剤療法として投与される。一部の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、患者の既存の療法(例えば、現行の標準治療)の補助療法として投与される。一部の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、リスペリドンの補助療法として投与される。一部の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物は、アリピプラゾールの補助療法として投与される。
【0239】
[254] 実施形態において、本開示は、自閉症に関連する被刺激性を治療する方法であって、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む方法を提供する。実施形態において、本開示は、自閉症に関連する攻撃性を治療する方法であって、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む方法を提供する。実施形態において、本開示は、自閉症に関連する嗜眠を治療する方法であって、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む方法を提供する。実施形態において、本開示は、自閉症に関連する社会的欠陥を治療する方法であって、社会化を改善するのに有効な量の本開示のゾルミトリプタン組成物を投与することを含む方法を提供する。実施形態において、本開示は、自閉症に関連する社会性欠損を低減する方法であって、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。
【0240】
[255] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、バインランド適応行動評価尺度(Vineland Adaptive Behavior Scales)、ADOS-2、CGI-C社会的欠陥下位評価尺度、異常行動チェックリスト、自閉症治療評価チェックリスト(Autism Treatment Evaluation Checklist:ATEC)、対人応答性尺度第2版(Social Responsiveness Scale, 2nd Edition:SRS-2)、又はこれらの任意の組み合わせによるときの改善を特徴とするASDの症状の実質的な減少が見られる。
【0241】
[256] 実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して自閉症行動インベントリー(Autism Behavior Inventory:ABI)-社会的コミュニケーションドメインスコア(Social Communication Domain Score)によるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0242】
[257] ABI-社会的コミュニケーションドメインスコアは、ASDと診断された対象(年齢:3歳~成人期)の行動を報告するための62項目の質問票である。このツールは、ASDを持つ人の親又はケア/研究パートナーによる記入に好適である。各項目が、特定の行動の質(全く問題ない~助けを借りなければならない)又は頻度(一度もない~非常によくある)のいずれかを評価する。社会的コミュニケーションドメインスコアは、社会的コミュニケーションドメインのスコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0243】
[258] 実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して、ABI-社会的コミュニケーションドメインスコアの治療前と比較した約20%の改善、約25%の改善、約30%の改善、約35%の改善、約40%の改善、約45%の改善、約50%の改善、約55%の改善、約60%の改善、約65%の改善、約70%の改善、約80%の改善、約90%の改善、又は約95%の改善を特徴とするASDに関連する症状の改善が見られる。
【0244】
[259] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して、ABI-社会的コミュニケーションドメインスコアの治療前と比較した少なくとも約20%の改善、少なくとも約25%の改善、少なくとも約30%の改善、少なくとも約35%の改善、少なくとも約40%の改善、少なくとも約45%の改善、少なくとも約50%の改善、少なくとも約55%の改善、少なくとも約60%の改善、少なくとも約65%の改善、少なくとも約70%の改善、少なくとも約80%の改善、少なくとも約90%の改善、又は少なくとも約95%の改善を特徴とするASDに関連する症状の改善が見られる。
【0245】
[260] 実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して担当医による改善度の全般的印象(Clinician Global Impression of Improvement:CGI-I)スコアによるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0246】
[261] CGI-Iスコアは、反応に関する治験責任医師の全般的印象を把握するために使用される7段階評価に基づく単一項目のインスツルメントである。治験責任医師又は指名された者が、観察される改善に1~7の評点を付ける(1=非常に大きく改善した;2=大きく改善した;3=僅かに改善した;4=変化なし;5=僅かに悪化した;6=大きく悪化した;7=非常に大きく悪化した)。
【0247】
[262] 実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してASDに関連する症状の改善が見られ、治療後のCGI-Iスコアは約1、約2、約3、約4、又は約5である。実施形態において、前記治療後、患者には、ASDに関連する症状の改善が見られ、CGI-Iスコアは約1、約2、又は約3である。実施形態において、前記治療後、患者には、ASDに関連する症状の改善が見られ、CGI-Iスコアは約1又は2である。
【0248】
[263] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して自閉症行動インベントリー-担当医(Autism Behavior Inventory-Clinician:ABI-C)スコアによるときの改善を特徴とするASDに関連する症状の改善が見られる。
【0249】
[264] ABI-担当医(ABI-C)は、ASDを持つ人の評価前1週間の間に起こった行動に関する担当医の評価を把握する。これには、コアの及び関連する自閉症行動ドメイン、即ち、社会的コミュニケーション、限定的行動、気分及び不安、自己制御、及びチャレンジング行動を反映した14項目が含まれる。各項目が、1点(全くない;何ら症状が見られない)から7点(非常に深刻;絶えず機能又は適応に支障を来している)までの7段階評価で評点を付ける。
【0250】
[265] 一部の実施形態において、患者には、治療前と比較して、ABI-Cスコアの治療前と比較した約20%の改善、約25%の改善、約30%の改善、約35%の改善、約40%の改善、約45%の改善、約50%の改善、約55%の改善、約60%の改善、約65%の改善、約70%の改善、約80%の改善、約90%の改善、又は約95%の改善を特徴とする症状の改善が見られる。
【0251】
[266] 一部の実施形態において、患者には、治療前と比較して、ABI-Cスコアの治療前と比較した少なくとも約20%の改善、少なくとも約25%の改善、少なくとも約30%の改善、少なくとも約35%の改善、少なくとも約40%の改善、少なくとも約45%の改善、少なくとも約50%の改善、少なくとも約55%の改善、少なくとも約60%の改善、少なくとも約65%の改善、少なくとも約70%の改善、少なくとも約80%の改善、少なくとも約90%の改善、又は少なくとも約95%の改善を特徴とする症状の改善が見られる。
【0252】
[267] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してABI反復的/限定的行動ドメインスコアによるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0253】
[268] ABI-反復的/限定的行動ドメインの各項目は、頻度(0=一度もない~3=非常によくある)によって評点が付けられる。ドメインスコアは、全てのドメイン項目スコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0254】
[269] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してABIチャレンジング行動ドメインスコアによるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0255】
[270] ABI-チャレンジング行動ドメインの各項目は、頻度(0=一度もない~3=非常によくある)によって評点が付けられる。ドメインスコアは、全てのドメイン項目スコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0256】
[271] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してABI-短縮版(ABI-Short Form:ABI-S)スコアによるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0257】
[272] ABI-Sは、24項目の短縮版ABIであり、5つのドメインの各々からの項目が含まれる。各ドメインのドメインスコアは、全てのドメイン項目のスコアの合計をこのドメインの項目数で除したものとして計算される。
【0258】
[273] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してABC-引きこもり(ABC-Social Withdrawal:ABC-SW)下位評価尺度スコアによるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0259】
[274] ABC-SW下位評価尺度は、0(問題ない)~3(問題の度合いは深刻である)の評点が付けられるABC-2の16項目からなる。
【0260】
[275] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してバインランド-3(Vineland-3)(ドメインレベル版(Domain Level Version))スコア:コミュニケーション、社会化、及び不適応行動ドメインの合計によるときの改善を特徴とするASDの症状の改善が見られる。
【0261】
[276] バインランド-3(Vineland-3)ドメインレベル版には5つのドメインが含まれる。各項目の回答に0(全くしない)~2(いつもする)の評点が付けられる。
【0262】
[277] バインランド適応行動評価尺度(Vineland Adaptive Behavior Scales)(VABS)、第3版は、生まれてから成人するまでの個人の個人的及び社会的技能を判定するために用いられる適応行動の標準化された尺度である。教師又は介護者のいずれかによって個人がVABS基準で判定され得る。VABSによれば、個人にVABS適応行動複合スコアが割り当てられ、このスコアは、その年齢の他の人と比較した個人の機能性を測るものである。個人にはまた、コミュニケーション、日常生活技能、社会化、及び運動技能におけるドメインスコアも割り当てられ、個人の適応行動の強さ及び弱さが評価される。個人には、ドメインスコアの各々及びVABS適応行動複合スコアに20~140のスコアが付けられる。20~70のスコアは、低い適応レベルを表す。71~85のスコアは、やや低い適応レベルを表す。86~114のスコアは、やや十分な適応レベルを表す。115~129のスコアは、やや高い適応レベルを表す。130~140のスコアは、高い適応レベルを表す。
【0263】
[278] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較したVABS適応行動複合スコアの少なくとも1点の増加を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、VABS適応行動スコアの増加は、前記治療前と比較して約1点、約2点、約3点、約4点、約5点、約6点、約7点、約8点、約9点、約10点、約11点、約12点、約13点、約14点、約15点、約16点、約17点、約18点、約19点、約20点、約21点、約22点、約23点、約24点、約25点、約26点、約27点、約28点、約29点、約30点、約31点、約32点、約33点、約34点、約35点、約36点、約37点、約38点、約39点、約40点、約41点、約42点、約43点、約44点、約45点、約46点、約47点、約48点、約49点、約50点、約51点、約52点、約53点、約54点、約55点、約56点、約57点、約58点、約59点、約60点、約61点、約62点、約63点、約64点、約65点、約66点、約67点、約68点、約69点、又は約70点である。
【0264】
[279] 一部の実施形態において、VABS適応行動複合スコアの増加は、前記治療前と比較して少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は少なくとも約60%である。
【0265】
[280] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較したVABS適応行動社会化ドメインスコアの増加を特徴とする社会性の増加が見られる。一部の実施形態において、VABS適応行動社会化ドメインスコアの増加は、前記治療前と比較して約1点、約2点、約3点、約4点、約5点、約6点、約7点、約8点、約9点、約10点、約11点、約12点、約13点、約14点、約15点、約16点、約17点、約18点、約19点、約20点、約21点、約22点、約23点、約24点、約25点、約26点、約27点、約28点、約29点、約30点、約31点、約32点、約33点、約34点、約35点、約36点、約37点、約38点、約39点、約40点、約41点、約42点、約43点、約44点、約45点、約46点、約47点、約48点、約49点、約50点、約51点、約52点、約53点、約54点、約55点、約56点、約57点、約58点、約59点、約60点、約61点、約62点、約63点、約64点、約65点、約66点、約67点、約68点、約69点、又は約70点である。
【0266】
[281] 一部の実施形態において、VABS適応行動社会化ドメインスコアの増加は、前記治療前と比較して少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は少なくとも約60%である。一部の実施形態において、患者には、治療後にVABSの社会化ドメインスコア上で少なくとも10%の改善が見られる。一部の実施形態において、患者には、治療後にVABSの社会化ドメインスコア上で少なくとも35%の改善が見られる。
【0267】
[282] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較したVABS適応行動コミュニケーションドメインスコアの増加を特徴とするコミュニケーションの改善が見られる。一部の実施形態において、VABS適応行動コミュニケーションドメインの増加は、治療前と比較して約1点、約2点、約3点、約4点、約5点、約6点、約7点、約8点、約9点、約10点、約11点、約12点、約13点、約14点、約15点、約16点、約17点、約18点、約19点、約20点、約21点、約22点、約23点、約24点、約25点、約26点、約27点、約28点、約29点、約30点、約31点、約32点、約33点、約34点、約35点、約36点、約37点、約38点、約39点、約40点、約41点、約42点、約43点、約44点、約45点、約46点、約47点、約48点、約49点、約50点、約51点、約52点、約53点、約54点、約55点、約56点、約57点、約58点、約59点、約60点、約61点、約62点、約63点、約64点、約65点、約66点、約67点、約68点、約69点、又は約70点である。
【0268】
[283] 一部の実施形態において、VABS適応行動コミュニケーションドメインスコアの増加は、前記治療前と比較して少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は少なくとも約60%である。
【0269】
[284] 自閉症診断観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule)、第2版(ADOS-2)は、全年齢層、発達レベル、及び言語技能にわたるASDの正確な評価及び診断が可能なインスツルメントである。ADOS-2は、2つの行動ドメイン:社会的感情(SA)及び限定的な反復行動(RRB)を含む、臨床医が施行する観察評価である。個人に対し、5つのADOS-2モジュールのうち、個人の表出性言語レベル及び暦年齢に基づき選択される1つが施行される。よちよち歩きのモジュールは、一貫したフレーズ発語の使用がない生後12~30ヵ月の小児向けである。モジュール1は、一貫したフレーズ発語の使用がない生後31ヵ月以上の小児向けである。モジュール2は、フレーズ発語を用いるが、発話が流暢でない任意の年齢の小児向けである。モジュール3は、発話が流暢な小児及び青年期若年者向けである。モジュール4は、発話が流暢な後期青年及び成人向けである。個人に1~10の範囲のADOS-2複合合計スコアが割り当てられる。ASDを有する個人は、6~10のADOS-2複合合計スコアを特徴とする。
【0270】
[285] 一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較したADOS-2複合合計スコアの少なくとも1点の低下に関連するASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してADOS-2複合合計スコア上で少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、少なくとも4点、又は少なくとも5点の低下を特徴とする、ASDの症状の改善が見られる。
【0271】
[286] 一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してADOS-2複合スコアの少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約35%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約45%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約65%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%の改善を特徴とする、ASDの症状の改善が見られる。
【0272】
[287] 一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してADOS-2モジュール4社会的感情スコアの少なくとも1点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、ADOS-2モジュール4社会的感情スコアの低下は、社会性の改善と相関する。一部の実施形態において、社会性の改善は、前記治療前と比較してADOS-2モジュール4上の社会的感情スコアの少なくとも1点、又は少なくとも2点、又は少なくとも3点、又は少なくとも4点、又は少なくとも5点、又は少なくとも6点の低下を特徴とする。
【0273】
[288] 一部の実施形態において、社会性の改善は、前記治療前と比較してADOS-2モジュール4上の社会的感情尺度の少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%の低下を特徴とする。一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較して自閉症診断観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule)モジュール4上の社会的相互関係スコアの少なくとも10%の低下を特徴とする、社会性の改善が見られる。
【0274】
[289] 臨床全般印象-重症度(CGI-S)尺度は、臨床医がASD患者の症状の重症度を評定するために利用する。個人に1~7のスコアが割り当てられる。スコア1が正常な患者に相当する。スコア7がASD患者のスコアに相当する。
【0275】
[290] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較してCGI-Sスコアの少なくとも1点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してCGI-S尺度の少なくとも1点、又は少なくとも2点、又は少なくとも3点、又は少なくとも4点、又は少なくとも5点の低下が見られる。
【0276】
[291] 一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してCGI-S尺度の少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%の低減が見られる。
【0277】
[292] 臨床全般印象-重症度(CGI-C)尺度は、臨床医がASD患者の症状の変化を判定するために利用する。個人に1(非常に大きく改善した)~7(非常に大きく悪化した)のスコアが割り当てられる。
【0278】
[293] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、CGI-C尺度の少なくとも1点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、患者には、前記治療後に、1以下、2以下、3以下、又は4以下のCGI-Cスコアを特徴とする易刺激性の改善が見られる。一部の実施形態において、前記治療後における3以下の臨床全般印象-変化(CGI-C)スコアを特徴とする患者の易刺激性の改善。一部の実施形態において、患者には、前記治療後に、1以下、2以下、3以下、又は4以下のCGI-Cスコアを特徴とする社会性の改善が見られる。一部の実施形態において、患者には、前記治療後に、3以下のCGI-Cスコアを特徴とする、社会性の改善が見られる。
【0279】
[294] 自閉症行動インベントリー(ABI)社会的欠陥下位評価尺度は、ASDの中核及び随伴症状の変化を評価するために用いられる尺度である。個人に対し、ABI-全項目(93項目)又はABI-縮約版(36項目)評価尺度が施行される。この評価尺度の各項目について、個人に0点~6点のスコアが付けられ、ここでは0が症状なしであり、6が最大の症状である。スコア0を得点する個人は、症状を呈しない。スコア6が割り当てられる個人には、重篤なASD症状が見られる。
【0280】
[295] 一部の実施形態において、患者には、ABIスコアの少なくとも1点の低下を特徴とする症状の改善が見られる。一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してABIスコアの少なくとも1点、又は少なくとも2点、又は少なくとも3点、又は少なくとも4点の低下を特徴とする、症状の改善が見られる。
【0281】
[296] 一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較してABIスコアの少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%の低減を特徴とする、症状の改善が見られる。
【0282】
[297] 小児自閉症評定尺度(CARS)は、ASDを有する2歳以上の小児を同定するために用いられる。CARSは、ASDに関連する行動を評価する14ドメインからなり、15番目のドメインが自閉症の全般的な印象を評定する。各ドメインが1~4の範囲の尺度でスコア化される;高いスコアほど、高い障害レベルに関連する。合計スコアは、15の低から60の高までの範囲であり得る;30未満のスコアは、その個人が自閉症の範囲に入らないことを示し、30~36.5のスコアは軽度から中等度の自閉症を示し、37~60のスコアは重度の自閉症を示す。
【0283】
[298] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して約1点、約2点、約3点、約4点、約5点、約6点、約7点、約8点、約9点、約10点、約11点、約12点、約13点、約14点、約15点、約16点、約17点、約18点、約19点、約20点、約21点、約22点、約23点、約24点、約25点、約26点、約27点、約28点、約29点、又は約30点のCARS合計スコアの低下を特徴とする、ASDに関連する症状の低減が見られる。
【0284】
[299] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%のCARS合計スコアの低下を特徴とする、ASDに関連する症状の低減が見られる。
【0285】
[300] 対人応答性尺度、第2版(SRS-2)は、ASDに関連する様々なディメンションの対人行動、コミュニケーション、及び反復/常同行動の効率的な定量的尺度を入手するために利用される。SRS-2によれば、個人にSRS-2に基づいた代理者版合計t-スコアが割り当てられる。個人に代理者版t-スコアが割り当てられ、このスコアは、65項目の対人応答性尺度の質問に対する回答の合計を反映するものであり、これが全自閉症スペクトラムにわたる社会的技能の重症度の指標となる。76より高い代理者版t-スコアを得点する個人は、重度のASD臨床診断を受ける。個人に66~75の代理者版t-スコアが割り当てられる場合、それは、臨床的に有意な、日常の社会的相互作用に実質的な支障を来すことにつながる相互的社会行動上の中等度の障害に関連する。個人に60~65の代理者版t-スコアが割り当てられる場合、その個人は、社会的相互作用の軽度から中等度の障害を呈する。患者が59以下の代理者版t-スコアを呈する場合、その患者は、正常な社会的相互作用を呈する。
【0286】
[301] 一部の実施形態において、ゾルミトリプタン組成物をそれを必要としている患者に投与する前、それを必要としている患者は、66以上の代理者版合計t-スコアを呈する。
【0287】
[302] 一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較して少なくとも1点、又は少なくとも2点、又は少なくとも3点、又は少なくとも4点、又は少なくとも5点、又は少なくとも6点、又は少なくとも7点、又は少なくとも8点、又は少なくとも9点、又は少なくとも10点、又は少なくとも11点、又は少なくとも12点、又は少なくとも13点、又は少なくとも14点、又は少なくとも15点、又は少なくとも16点、又は少なくとも17点、又は少なくとも18点、又は少なくとも20点、又は少なくとも21点、又は少なくとも22点、又は少なくとも23点、又は少なくとも24点、又は少なくとも25点の代理者版合計t-スコアの低下を特徴とする症状の改善が見られる。一部の実施形態において、患者には、前記治療前と比較して少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%のSRS-2の代理者版合計t-スコアの低下を特徴とする症状の改善が見られる。
【0288】
[303] 成人用の対人応答性尺度(SRS-A)は、成人の対人応答性を判定するツールである。SRS-Aには、0~3にスコア化される65項目が含まれる。個人がスコア0を得点する場合、その個人は症状を有しない。個人がスコア3を得点する場合、その個人は重度の症状を有する。SRS-A合計スコア67は、個人がASDを有することを示している。SRS-A合計スコアの最高点は195である。
【0289】
[304] 一部の実施形態において、前記治療後、患者は、前記治療前と比較して、SRS-Aスコアの約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減を呈する。一部の実施形態において、前記治療後、患者は、前記治療前と比較してSRS-Aスコアの少なくとも10%の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減を呈する。
【0290】
[305] 一部の実施形態において、社会性の改善は、前記治療前と比較したSRS-Aスコアの約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、又は約50%の低下に関連する。
【0291】
[306] 異常行動チェックリスト(ABC)は、5つの下位評価尺度:(1)易刺激性、激越、及び泣き、(2)無気力、引きこもり、(3)常同行動、(4)多動及び不服従、及び(5)不適切な発語による個人の評定に利用される行動評定尺度である。個人は、その個人を良く知る任意の成人によってABCで判定されることができる。ABCには、5つの下位評価尺度の評価に利用される58項目の質問票が含まれる。58項目質問票の各項目は、0~3で評定される。スコア0は、症状がないことを意味する。スコア3は、個人に高い重症度の症状が見られることを意味する。各下位評価尺度内の項目が足し合わされて、下位評価尺度スコアが求められる。ABCで可能な下位評価尺度スコアは0~48の範囲であり、高いサブスコアが行動障害を示す。
【0292】
[307] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、ABCの易刺激性、激越及び泣き(ABC-I)サブスコアの少なくとも1点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して、ABC-Iコミュニケーションドメインスコアの低下を特徴とする易刺激性の低減が見られる。
【0293】
[308] 一部の実施形態において、患者は治療前に18以上のABC-Iスコアを呈する。
【0294】
[309] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較してABC-Iドメインスコアの約2点、約4点、約6点、約8点、約10点、約15点、約20点、約25点、又は約30点の低下を特徴とする易刺激性の低減が見られる。一部の実施形態において、ABC-Iドメインスコアの低下は、前記治療前と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%である。一部の実施形態において、前記治療前と比較したABC-Iドメインスコアの低下は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は約少なくとも95%である。
【0295】
[310] 実施形態において、前記治療後、患者には、被刺激性下位評価尺度で25%の低減を特徴とする被刺激性の低減が見られ、及びここで患者は、CGI改善尺度で大きく改善した又は非常に大きく改善した(即ち、それぞれ2又は1)と評価される。
【0296】
[311] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較してABC-無気力及び引きこもり(ABC-LSW)サブスコアの少なくとも1点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して、ABC-LSWコミュニケーションドメインスコアの低下を特徴とする、無気力及び引きこもりの低減が見られる。
【0297】
[312] 一部の実施形態において、ABC-LSWコミュニケーションドメインスコアの低下は、前記治療前と比較して約2点、約4点、約6点、約8点、約10点、約15点、約20点、約25点、又は約30点である。
【0298】
[313] 一部の実施形態において、ABC-LSWコミュニケーションドメインスコアの低下は、前記治療前と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%である。
【0299】
[314] 社会的コミュニケーション質問票は、医師がASD患者をスクリーニングするために使用するツールである。個人の介護者が、言葉を使う個人をスコア0~39で評定するか、又は言葉を使わない個人を0~33のスケールで評定する。ASDを有する個人は、社会的コミュニケーション質問票が15を上回ることを特徴とする。
【0300】
[315] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して社会的コミュニケーション質問票尺度の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の低下を特徴とする、ASDに関連する症状の低減が見られる。
【0301】
[316] 広汎性発達障害行動インベントリー(PDDBI)は、ASD治療の有効性を判定するために利用される。PDDBIは、問題行動と、適切な社会、言語、及び学習/記憶技能との両方を評価する。PDDBIは、2つの行動ディメンション:(a)不適応行動を評価する接近-回避問題、及び(b)社会的コミュニケーション能力を評価する受容性/表出性社会的コミュニケーション能力に分けられる。接近-回避問題ディメンションは、感覚/知覚接近行動、儀式的行為/変化に対する抵抗(resistance to chain)(RITUAL)、社会的実践上の問題(SOCPP)、意味論的/語用論的問題(SEMPP)、覚醒制御問題(AROUSE)、特異的恐怖(FEARS)、及び攻撃性(AGG)ドメインを含む行動ドメインに細分される。社会的コミュニケーション能力を評価する受容性/表出性社会的コミュニケーション能力(REXSCA)は、社会的接近行動(SOCAPP)、表出性言語(EXPRESS)、並びに学習記憶及び受容性言語(LMRL)ドメインを含む行動ドメインに細分される。個人は各ドメインについてのTスコア及び各ドメインのスコアの合計である複合スコアを得点する。ASDを有する個人には、50より高いTスコアが割り当てられる。
【0302】
[317] 一部の実施形態において、広汎性発達障害行動インベントリー(PDDBI)は、本開示の方法によって提供されるASDに関連する症状の低減を特徴付けるために利用される。一部の実施形態において、患者は、前記治療前に50より高いTスコアを呈する。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較してPDDBIの約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、又は約65%、又は約70%、又は約75%、又は約80%、又は約85%、又は約90%、又は約95%の低下を特徴とする、ASDに関連する症状の低減が見られる。
【0303】
[318] ATECは、ASD治療の有効性を判定するために利用される尺度である。ATECは、親、教師、又は介護者が記入するように設計された1頁の用紙である。ATECは、4つの下位検査:発話/言語コミュニケーション、社会性、感覚的/認知的認識、及び健康/身体/行動からなる。個人に0~28の発話/言語コミュニケーション下位検査評定が割り当てられる。個人に0~40の社会性下位検査評定が割り当てられる。個人に0~36の感覚的/認知的認識下位検査評定が割り当てられる。個人に0~75の健康/身体/行動下位検査評定が割り当てられる。個々のサブセットが合計され、個人は最高で180点のスコアを得点することができる。
【0304】
[319] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較して平均ATECスコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して発話/言語コミュニケーション下位検査評定の低下を特徴とする発話/言語コミュニケーションの改善が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して社会性下位検査評定の低下を特徴とする社会性の改善が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して感覚的/認知的認識下位検査評定の低下を特徴とする感覚的/認知的認識の改善が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、前記治療前と比較して健康/身体/行動評定の低下を特徴とする健康/身体/行動の改善が見られる。
【0305】
[320] 一部の実施形態において、患者は、ATECの社会性サブセクション上で、前記治療前と比較して少なくとも1点、又は約2点、又は約3点、又は約4点、又は約5点、又は約6点、又は約7点、又は約8点、又は約9点、又は約10点、又は約11点、又は約12点、又は約13点、又は約14点、又は約15点、又は約16点、又は約17点、又は約18点、又は約19点、又は約20点の低下を呈する。一部の実施形態において、患者は、ATECの社会性サブセクション上で、前記治療前と比較して少なくとも1点の低下を呈する。
【0306】
[321] 一部の実施形態において、患者は、ATECの社会性サブセクション上で、前記治療前と比較して少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%の低下を呈する。一部の実施形態において、患者は、ATECの社会性サブセクション上で、前記治療前と比較して少なくとも10%の低下を呈する。
【0307】
[322] 客観的/パフォーマンスベースの評価は、治療有効量のトリプタンをそれを必要としている患者に投与した後のASDに関連する症状の低減を測定するために利用される。一部の実施形態において、客観的/パフォーマンスベースの評価は、社会的刺激の視線追跡(アイトラッキング)、親の関与の評定インベントリー(JERI)、及びNoldus Ethovision分析からなる群から選択される。一部の実施形態において、本開示の方法によってもたらされるASDに関連する症状の低減を特徴付けるために、社会的刺激の視線追跡が利用される。ASD患者は、ASDを有しない同等者と比較したとき、人の目を見る時間(アイコンタクト)の有意な短さを呈する。ASD患者は、刺激が速く提示されるほど、関与する社会的情報を見つけたり、処理したりするのに一層の困難を覚える。
【0308】
[323] PCITは、成人がその育児及び言語技能を改善する助けとなり、並びに小児がどのように感情をより上手くコントロールするかを学習する助けとなるように設計された訓練方法を提供する。一部の実施形態において、介護者とASD患者との間の関係を改善するために、この親子相互交流課題(parent child interaction task:PCIT)が利用される。一部の実施形態において、PCITは、小児行動問題を低減し、家族間のコミュニケーション及び相互交流技能を高める助けとなる。一部の実施形態において、CPTに参加する小児は、高い自尊心が発達し、怒り及びフラストレーションを覚えることが少なくなり、社会的技能、物事をまとめる技能、及び遊技技能に改善が見られ、安心感及び平穏感が増し、より効果的に意思疎通を図るようになる。
【0309】
[324] 共同関与順位付けインベントリー(Joint Engagement Ranking Inventory:JERI)は、ASDなど、発達障害及び発達遅延の初期介入(invention)の目標を測定するために利用されるツールである。JERIは、非関与、物体関与、共同関与、定型化した限定的反復行動、介護者への関心、コミュニケーションの開始、表出性言語レベル及び使用、足場かけ、追従、介護者の感情、流暢さ及びつながり、並びに習慣的行動及び儀式的行為の共有など、関連性のある介入目標を測定するために開発された18項目インベントリーである。JERI尺度で判定される個人は、JERIインベントリーの各項目について1~7のスコアを得点する。スコア7は、ほとんどの共同関与を有する個人に割り当てられる。共同関与エピソードのない個人には、ある項目で1のスコアが割り当てられる。JERI尺度が低いほど、ASDに相関する。
【0310】
[325] 一部の実施形態において、ASDにおける症状の低減は、本開示の方法による治療の前と比較して低いJERIスコアに関連する。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してJERIスコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、JERIスコアは、治療前と比較して約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、又は約70%低減される。
【0311】
[326] オハイオ州立大学自閉症評定尺度(Ohio State University Autism Rating Scale:OARS-5)は、持続的な社会的相互作用障害、限定的な関心/活動及び行動の反復、並びに社会的、学術的、及び地域的支援レベルを測定する(Hollway, J.A., Arnold, L.E., & Aman, M.G. (2017, September). OSU Autism Rating Scale - DSM-5 (OARS-5).)。OARS-5は、3種類の要約スコアを提供するように開発された:(A)臨床面接に基づく、自閉症症状カウント(OARS-5合計スコア);(b)臨床面接から得られた、自閉症症状の重症度に基づく重み付き平均重症度スコア;(c)及び重症度に起因して必要な支援レベルに基づく、0~9の範囲の障害指標。OARS-5合計スコアは、OARS-5社会的欠陥下位評価尺度スコア+OARS-5限定的関心パターン下位評価尺度スコアに等しい。
【0312】
[327] OARS-5は、以下の下位評価尺度を含む:
[328] セクションA:複数のセッティングにわたる持続的社会的相互作用障害(OARS-5社会的欠陥下位評価尺度スコア);
[329] セクションB:限定的関心/活動及び反復的行動パターン(OARS-5限定的関心パターン下位評価尺度スコア)及び
[330] セクションC:セクションA(社会的相互作用/コミュニケーション)及びB(限定的反復行動)についての支援レベル。
【0313】
[331] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOARS-5合計スコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOARS-5合計スコアの約1点、約2点、約3点、又は約4点、約5点、約6点、約7点、約8点、約9点又は約10点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。
【0314】
[332] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOARS-5社会的欠陥下位評価尺度スコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOARS-5社会的欠陥下位評価尺度スコアの約1点、約2点、約3点、又は約4点、約5点、約6点、約7点、約8点又は約9点の低下を特徴とする、ASDに関連する症状の低減が見られる。
【0315】
[333] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してオハイオ州立大学自閉症臨床全般印象(OSU自閉症CGI)合計スコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。OSU自閉症CGI-S合計スコアは、OSU自閉症CGI-重症度尺度(OSU自閉症CGI-S)スコア+OSU自閉症CGI-改善尺度(OSU自閉症CGI-I)スコアに等しい。
【0316】
[334] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOSU自閉症CGI合計スコアの約1点、約2点、約3点、又は約4点、約5点、約6点、又は約7点の低下を特徴とする、ASDに関連する症状の低減が見られる。
【0317】
[335] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してオハイオ州立大学自閉症臨床全般印象-改善尺度(OSU自閉症CGI-I)スコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOSU自閉症CGI-Iの約1点、約2点、約3点、又は約4点、約5点、約6点、又は約7点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。
【0318】
[336] 一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してオハイオ州立大学自閉症臨床全般印象-重症度尺度(OSU自閉症CGI-S)スコアの低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。一部の実施形態において、前記治療後、患者には、治療前と比較してOSU自閉症CGI-Sの約1点、約2点、約3点、又は約4点、約5点、約6点、又は約7点の低下を特徴とするASDに関連する症状の低減が見られる。
【0319】
[337] 患者集団
[338] 一部の実施形態において、本開示は、ASDの症状を治療する方法であって、有効量の本開示のゾルミトリプタン組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む方法を提供する。
【0320】
[339] 実施形態において、患者は、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある青年又は成人である。実施形態において、患者は少なくとも12歳である。実施形態において、患者は12~45歳である。
【0321】
[340] 一部の実施形態において、それを必要としている患者とは、DSM-5診断基準によりASDと診断された患者である。
【0322】
[341] 一部の実施形態において、本開示の方法に従い治療する前、それを必要としているASD患者は、ウェクスラー短縮知能検査(Weschsler Abbreviated Scale of Intelligence)(WASI(登録商標))-II上のフルスケールIQスコアが70以上である。
【0323】
[342] 一部の実施形態において、本開示は、既存のASD治療による治療に不応性のASDに関連する症状を治療する方法を提供する。一部の実施形態において、ASDに関連する症状は、アリピプラゾールによる治療に不応性である。一部の実施形態において、ASDに関連する症状は、リスペリドンによる治療に不応性である。
【0324】
[343] 一部の実施形態において、治療されるASD患者は、非定型感覚処理を呈する。感覚処理とは、感覚情報を記銘し、処理し、及び整理する能力、並びに環境要求に対して適切な反応を実行する能力を指し、これは、刺激に対する過敏さ又は鈍感さとして現れる。必要としている患者で、非定型感覚処理を有する者は、食品又は薬の色、味、臭い、及び/又は食感に嫌悪を有し得る。一部の実施形態において、非定型感覚処理は、必要としている患者では、処方薬の服薬不履行として現れる。一部の実施形態において、治療されるASD患者は、処方薬を嚥下することを拒む。一部の実施形態において、前記処方薬は、液体製剤又は丸薬である。
【0325】
[344] 一部の実施形態において、治療されるASD患者は乳児である。一部の実施形態において、治療されるASD患者は小児である。一部の実施形態において、治療されるASD患者は青年である。一部の実施形態において、治療されるASD患者は成人である。一部の実施形態において、治療されるASD患者は高齢患者である。
【実施例
【0326】
実施例
[345] 本開示は、以下の実施例を参照することにより更に例示される。しかしながら、これらの実施例は、上記に記載される実施形態と同様に例示であり、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならないことが注記される。
【0327】
実施例1.ゾルミトリプタン投与の薬物動態シミュレーション
[346] 様々な用量設定レジメンでのゾルミトリプタンヒト血漿濃度時間データの定常状態シミュレーションをノンパラメトリックな重ね合わせを用いて実施した。ノンパラメトリックな重ね合わせの薬物動態プロファイルは、Seaber et al., The absolute bioavailability and effect of food on the pharmacokinetics of zolmitriptan in healthy volunteers., Br J Clin Pharmacol. 1998 Nov;46(5):433-9(Seaber)に記載される男性健常ボランティアへの2.5mgの単回経口投与後の血漿ゾルミトリプタン濃度中央値から導出した。定常状態シミュレーション濃度-時間データをノンコンパートメント法を用いて分析して、Cmax,ss及びAUC0-24h,ssを決定した薬物動態パラメータ及びノンパラメトリックな重ね合わせは、Phoenix WinNonlin version 8.1(Certara Inc.、Princeton, NJ, USA)を使用して計算した。
【0328】
[347] ノンパラメトリックな重ね合わせ手法は、定常状態での複数回投与後の薬物濃度の予測に用いられ、単回投与データを記述するノンコンパートメント結果に基づく。この予測は、終末相消失速度定数から導出される蓄積比に基づく。ある薬物についてのノンパラメトリックな重ね合わせの基本的な仮定は、平均全身クリアランスが一定であり、吸収の速度及び大きさが各用量とも同じであり、線形的な薬物動態が適用され、及び単回投与後の薬物の動態が後続の用量投与後も変化しないというものである。
【0329】
[348] ゾルミトリプタンのヒト薬物動態プロファイルは、既報告の男性健常ボランティアへの2.5mgの単回経口投与後の血漿濃度中央値(Seaber, 1998)から導出した。
【0330】
【表1】
【0331】
[349] 以下の表は、QD、BID及びTID経口投与レジメン後のゾルミトリプタンの定常状態ヒト血漿薬物動態パラメータのシミュレーションを示す。
【0332】
【表2】
【0333】
実施例2.攻撃性マウスモデルにおけるゾルミトリプタンのインビボ判定
[350] げっ歯類居住者-侵入者アッセイ(RI)を用いて、縄張りの確立及び防御において呈する行動パターンに関する攻撃的行動をモニタした(Miczek et al., 1984)。対応して、このRIアッセイを臨床前に用いて、薬物がげっ歯類攻撃性に及ぼす効果を研究した(Miczek et al., 2001)。RIアッセイは、典型的には、攻撃的(居住者動物)行動パターンの解釈及びスコア化に頼るものであり、また、防御的(侵入者動物)行動パターンの分析も同様に含み得る。
【0334】
[351] CD-1-C57BL/6の組み合わせを使用して、CD-1マウスにおいてゾルミトリプタン(10mg/kg)が攻撃的行動に及ぼす効果をげっ歯類RIアッセイを用いて判定した。リスペリドン(0.3mg/kg)を対照薬化合物として使用した。クロスオーバーデザインとして攻撃時間を5分間にわたって測定した。
【0335】
[352] ゾルミトリプタンを3及び10mg/kg(i.p.)で投与すると、成体雄CD-1マウスのCSF中で、それぞれ、5.40ng/ml及び34.42ng/mlのCmax値が生じた。N-デスメチルゾルミトリプタン(「NDMZ」、ヒトに見られるゾルミトリプタンの一次代謝産物である)は、3及び10mg/kg(i.p.)を投与した雄CD-1マウスにおいて定量下限未満であった。
【0336】
[353] 結果:図1(及び以下の表2)に示されるとおり、ゾルミトリプタンを10mg/kgで投与したCD-1マウスは、リスペリドン(0.03mg/kg)及び媒体対照と比較して攻撃時間(秒)の大幅な低減を示した。
【0337】
【表3】
【0338】
実施例3.ASDマウスモデルにおけるゾルミトリプタンのインビボ判定
[354] バルプロ酸誘発性自閉症スペクトラム障害のマウスモデルでゾルミトリプタンの効果を調べた(Nicolini C et al., 2018 Exp. Neurol., 2018, 217-227;Bey A. L., and Jiang J. H, Current Protocols in Pharmacology, 01 Sep 2014, 66:5.66.1-26)。具体的には、妊娠中の母親に対する受精後13日目の胚への500mg/kgのi.p.送達によってバルプロ酸(VPA)に予め曝露した雄c57/Bl6マウスで社会性を判定した。
【0339】
[355] この研究では、ゾルミトリプタンを生理食塩水中の10%(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンに溶解し、腹腔内(i.p.)投与し、15分後にマウスを試験室に置いた。自動ビデオトラッキングシステム(Noldus EthoVision v14)を使用して行動記録を測定し、GraphPad Prismソフトウェアv8を使用して分析し、グラフ化した。3チャンバー社会的相互作用アッセイで10分間にわたって社会性を評価した。空の相互作用ゾーン(EIZ)と若齢の新規C57/BL6の前にある社会的相互作用ゾーン(SIZ)の滞在時間(秒)を用いて、個々のマウスの社会性スコアを計算した。SIZ/EIZ比を用いて社会性指数を計算した。(SIZ)/(SIZ+EIZ)×100を用いて社会的相互作用優先度を計算した。この社会的相互作用アッセイについては、最大4アリーナの同時記録を行った。対応のある及び対応のないt検定を統計的検定として使用した。
【0340】
[356] 10mg/kg(i.p.)で投与したゾルミトリプタンは、成体雄c57/Bl6マウス(即ち、Tg2576バックグラウンド系統及びVPA治療に使用した系統)のCSF中で17.83ng/mlのCmax値(投与後15分)を生じた。NDMZは、10mg/kg(i.p.)を投与した雄c57/Bl6マウスのCSF中で定量下限未満であった。
【0341】
[357] 図2に示されるとおり、ゾルミトリプタンを10mg/kg(i.p.)で投与すると、バルプロ酸(VPA)に予め曝露した成体雄c57/Bl6マウスで社会性指数が増加した。ゾルミトリプタンで治療したマウスの社会性の改善は、媒体治療群と比較して統計的に有意であった。
【0342】
実施例4.臨床試験
[358] 成人健常ボランティア対象における経口ゾルミトリプタンの複数回漸増投与後の安全性、忍容性及び薬物動態学的反応の調査を実施した。
【0343】
[359] 1錠当たりゾルミトリプタン2.5mg又はプラセボ錠を1日3回(TID)、増量調節期間、7日間の治療期間、及び減量調節期間に投与した。投与レジメンを表3に示す。
【0344】
【表4】
【0345】
[360] 各対象について腰椎穿刺を達成して、CSF中のゾルミトリプタンの濃度を決定した。CSF試料は、コホート1については治療5日目、コホート2及び3については治療7日目、コホート4及び5については治療8日目に採取した。CSF採取は、朝の投与の2時間後(±30分)であった。CSF濃度は、バリデートされたバイオアナリシス方法を用いて測定した。
【0346】
[361] 結果:図5に示されるとおり、ヒトで測定されたCSFレベルは、ゾルミトリプタン:NDMZ=1.0:0.75の比で存在する。総じて、ゾルミトリプタンは安全であり、全てのコホートで良好に忍容された。
【0347】
実施例5.用量試験
[362] ゾルミトリプタン経口用量投与をCSF濃度と(実施例4、即ち、投与したゾルミトリプタンのmg数を達成されたCSF Cmaxと)相関付けるヒトPK研究、バルプロ酸ASDマウスモデルから決定された有効CSF濃度(実施例3)及び種特異的結合アッセイデータ(ヒト及びマウス)を用いて、ASDの症状をゾルミトリプタンで治療するのに有効なヒト用量を推定した。
【0348】
[363] 具体的には、5-HT1b受容体占有率及び有効性モデルで5-HT1b受容体におけるゾルミトリプタン及びNMDZの効力及びヒトCSF中のゾルミトリプタン:NDMZの比を測定した。5-HT1b受容体有効性モデルを使用して、CSF中のゾルミトリプタンの濃度に基づきゾルミトリプタン及びNDMZの両方による5-HT1b活性化(即ち、有効性)レベルを予測した。これにより、ヒトにおける有効なCSF曝露を達成するのに必要な目標ゾルミトリプタン用量範囲を計算した。
【0349】
35S-GTPγS結合アッセイ
[364] この研究では、インビトロ結合アッセイを行うことにより、ゾルミトリプタン及びその活性代謝産物NDMZのラット及びヒト5-HT1B受容体に対する親和性を測定した。
【0350】
[365] ゾルミトリプタンについて、10段階の濃度のヒト5-HT1b(h5-HT1b)受容体又はラット組換え5-HT1b(r5-HT1b)受容体を発現する細胞におけるSPAベースの35S-GTPγS結合アッセイでデュプリケートで試験した。EC50値を表4に示す。
【0351】
【表5】
【0352】
[366] ゾルミトリプタンが、ヒト5-HT1b受容体よりもラット5-HT1b受容体において低い見かけの親和性(即ち、EC50)を呈した。ゾルミトリプタンの場合、種間の差は8.3倍である。
【0353】
[367] 5-HT1bのマウス及びラットオルソログは98%同一である。それらは僅か2アミノ酸が異なるに過ぎず、その両方が保存的変化であり、アゴニスト結合ポケットから外れている(即ち、細胞内ループ1におけるマウス/ラットE152D及び細胞外ループ2におけるマウス/ラットM192V)。
【0354】
[368] このデータに基づけば、ゾルミトリプタンがヒトにおいて治療効果をもたらすのに必要なCSFレベルは、マウスにおいて同程度の活性をもたらすのに必要なCSFレベルの約8.3分の1である。
【0355】
[369] CSF値が脳内の遊離薬物濃度を反映していると仮定すれば、推定される有効Cmax CSF値は、以下のとおり表すことができる。
【0356】
[370] CD-1(マウス攻撃性モデル、実施例2);3mg/Kg(i.p.);CSF Cmax=18.8nM又はEC36(GTPgS中36%活性)。
【0357】
[371] c57/Bl6(ASDマウスモデル、実施例3);10mg/Kg(i.p.);CSF Cmax=62nM EC65(GTPgS中65%活性)。
【0358】
放射性リガンド結合競合アッセイ
[372] ゾルミトリプタン及びNDMZ(ヒトにおけるゾルミトリプタンの活性代謝産物)について、10段階の濃度の3H-5-CT及び組換えヒト5-HT1B受容体による放射性リガンド結合競合アッセイを用いてヒト5-HT1B受容体に対する親和性をデュプリケートで判定した。h5-HT1b受容体に対する試験化合物の親和性を表5に示す。IC50値から、チェン-プルソフ式を用いてKi値を求めた。
【0359】
【表6】
【0360】
5-HT1b受容体占有率及び有効性モデル
[373] 古典的受容体理論を用いると、2つのリガンド(即ち、実体)を考慮するときの受容体占有率は、以下の関係を用いて予測することができる:
【0361】
[373] 総占有率=(Aによる%占有率)+{[100%-(Aによる%占有率)]×(Bによる%占有率)}、但し、A及びBは両方とも一定濃度と見なすものとする。
【0362】
[374] ヒトにおけるゾルミトリプタン:NDMZの比がヒトCSF中で1.0:0.75であること(図3)、及びNDMZの効力がゾルミトリプタンの2.83倍高いことを所与として、上記の%総占有率の式を基礎として用いて5-HT1b占有率のモデルを構築した。このモデルを変換して、ゾルミトリプタン及びNDMZの両方についてクラークの式{有効性=[L]/([L]+Ki);[L]=リガンド濃度}によって予測されるとおりの有効性を占有率の代わりに用いることにより、CSF中のゾルミトリプタン濃度に基づきゾルミトリプタン及びNDMZの両方による5-HT1b活性化(即ち、有効性)のレベルを予測した:
【0363】
[376] %総有効性={[ゾルミトリプタン]/([ゾルミトリプタン]+Ki,Z)}+(100-{[ゾルミトリプタン]/([ゾルミトリプタン]+Ki,Z)}×{[NDMZ]/([NDMZ]+Ki,N)}
【0364】
[377] GTPgSアッセイでのゾルミトリプタンの測定されたEC50値、ヒト5-HT1b受容体に対するNMDZの2.83倍高い親和性、及びゾルミトリプタン:NDMZ=1.0:0.75の測定された関係を用いて、ある範囲のゾルミトリプタン濃度についての%総有効性を計算し、得られた%総有効性予測値をロジスティック方程式で当てはめた:
【0365】
[378] %総有効性=100/(1+10^((LogEC50-[ゾルミトリプタン])))及びLog EC50は-8.963と計算される。ゾルミトリプタン及びNDMZによる5-HT1bの50%の有効性を生じさせると予測されるヒトCSF中のゾルミトリプタン濃度(即ち、EC50)は、1.09nM又は0.31ng/mlである。
【0366】
[379] 50%総有効性を達成するのに必要なゾルミトリプタン濃度は、強力な代謝産物の複合効果があるため、ゾルミトリプタンEC50の3.7倍である。
【0367】
[380] ゾルミトリプタンヒト用量範囲 表6に示すある範囲の5-HT1b活性にわたり、ヒトにおける予測される有効CSF濃度範囲を達成するのに必要な用量が求まる。
【0368】
【表7】
【0369】
実施例6.ゾルミトリプタン錠剤の製造
[381] ゾルミトリプタン原薬をジェットミルで粉砕して、微粉化した原薬乾燥粉末を作製した。
【0370】
[382] 即放性層ブレンド配合:微粉化したゾルミトリプタン及び以下の表に開示する賦形剤を秤量し、篩過してブレンドした。微粉化したゾルミトリプタン、無水ラクトース(Duralac(登録商標)Hなど)、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH102など)、デンプングリコール酸ナトリウム(Explotabなど)、コロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil(登録商標)M5Pなど)、及びステアリン酸マグネシウム(Hyqual(登録商標)植物性など)を混合し、拡散式ブレンダーでブレンドした。ブレンダーから降ろし、続く打錠作業のため、ブレンド物を室温でHDPE製ペール容器内に入ったポリエチレン袋に保存した。
【0371】
[383] 徐放性層ブレンド配合:微粉化したゾルミトリプタン、ポリエチレンオキシド(Polyox(商標)WSR-303 LEOなど)及び以下の表に開示する他の賦形剤を秤量し、篩過してブレンドした。微粉化したゾルミトリプタン、ポリエチレンオキシド(Polyox(商標)WSR-303 LEOなど)、微結晶性セルロース(Ceolus(商標)KG-802など)、及びステアリン酸マグネシウム(Hyqual(登録商標)植物性など)を混合し、拡散式ブレンダーでブレンドした。ブレンダーから降ろし、続く打錠作業のため、ブレンド物を室温でHDPE製ペール容器内に入ったポリエチレン袋に保存した。
【0372】
[384] 打錠:二層錠剤プレス機を使用してER層ブレンド及びIR層ブレンドを圧縮し、錠剤を製造した。
【0373】
【表8】
【0374】
【表9】
【0375】
実施例7.溶解測定
[385] 溶解試験を表9に記載のとおり実施し、Pion Rainbow溶解モニタリングシステムを使用して評価した。Pionは、定量化のためのスペクトルを最初の1時間は5分毎に、続いて次の17時間は20分毎に収集するように設定した。
【0376】
【表10】
【0377】
[386] 図4は、15mgゾルミトリプタン徐放性錠剤及び25mgゾルミトリプタン即放性/徐放性経口二層錠剤(10mg IRゾルミトリプタン/15mg ERゾルミトリプタン)の溶解プロファイルの比較を提供する。図4に示されるとおり、5分の時点までにIR層からのほぼ完全なゾルミトリプタン放出が見られる。二層錠剤のER層に残るゾルミトリプタンの放出は、ER層のみの錠剤のプロファイルに対応した。
【0378】
[387] 実施例6に記載される12mg(3mg IR/9mg ER)及び24mg(6mg IR/18mg ER)ゾルミトリプタンIR/ER経口二層錠剤の溶解曲線を図5に示す。
【0379】
実施例8.絶食及び食後条件下でのゾルミトリプタンIR/ER経口二層錠剤の薬物動態シミュレーション
[388] 即放性(IR)及び徐放性(ER)胃内保持性構成成分の組み合わせであるゾルミトリプタン二層錠剤製剤の開発を容易にするため、生理学ベースの薬物動態(PBPK)モデル化及びシミュレーションを適用した。1日1回(QD)経口投与時のゾルミトリプタン12mg(3mg IR/9mg ER)及び24mg(6mg IR/18mg ER)錠剤のPKプロファイルを、精緻化したPBPK GP9.7モデル及びインビトロ溶解データ(USP装置2、50RPM、900mL 01N HCl)を入力として使用して予想した。絶食条件並びに少量の食事後及び多量の食事後条件について、それぞれ、2時間及び8時間の胃内保持時間(GRT)を指定した。異なる食事条件下での予想を以下の表10に比較する。
【0380】
【表11】
【0381】
実施例9.非盲検クロスオーバー比較バイオアベイラビリティ薬物動態研究
[389] この研究は、非盲検クロスオーバー比較バイオアベイラビリティ薬物動態研究であり、合計12例の健康成人ボランティア対象で絶食及び食後条件下に実施例6に記載されるゾルミトリプタン二層即放性/徐放性胃内保持性24mg経口錠剤製剤(6mg即放性/18mg徐放性)を判定した。対象は全て、研究施設に住込みとして6日目に退所し、11日目及び18日目に電話によるフォローアップを受けた。投与レジメンには、以下が含まれた:
1日目:絶食条件下で朝にゾルミトリプタン即放性20mg
2日目:絶食条件下で朝にゾルミトリプタン二層即放性/徐放性胃内保持性24mg経口錠剤(6mg IR/18mg ER)
4日目:食後条件下で朝にゾルミトリプタン二層即放性/徐放性胃内保持性24mg経口錠剤(6mg IR/18mg ER)
【0382】
[390] 全対象が本研究を完了し、有害事象が原因で研究治療を中止した対象はいなかった。
【0383】
[391] 1日目絶食状態でゾルミトリプタン即放性投与、2日目-絶食状態で24mgゾルミトリプタン二層錠剤投与、及び4日目-食後状態でゾルミトリプタン二層即放性/徐放性胃内保持性24mg経口錠剤投与について、12例の研究対象の予備的薬物動態パラメータの概要を表11に提示する。
【0384】
【表12】
【0385】
[392] ゾルミトリプタンの血漿濃度を表12に要約する。
【0386】
【表13】
【0387】
【表14】
【0388】
実施例10.多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究
[394] この研究は、約150例のASDのある青年及び成人対象が登録することになる第2相、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究である。本研究の主要目的は、ASD患者におけるケア/研究パートナーの報告による社会的コミュニケーション欠陥の治療に関するプラセボと比較したゾルミトリプタン二層即放性(IR)/徐放性(ER、胃内保持性)経口錠剤製剤の有効性を判定することとなる。対象は、1:1比のゾルミトリプタン二層即放性(IR)/徐放性(ER、胃内保持性)経口錠剤製剤:プラセボで研究治療に無作為化されることになる。
【0389】
[395] 用量/投与:ゾルミトリプタン二層即放性(IR)/徐放性(ER、胃内保持性)経口錠剤製剤は1日1回朝に食事と共に経口服用され、これは錠剤として12mg(3mg IR/9mg ER)及び24mg錠剤(6mg IR/18mg ER)の2つの用量強度で提供される。この研究の用量レベルは12mgである(1錠の12mgとして提供される)。
【0390】
[396] 本研究デザインを図6に示す。治療は、2週間にわたるゾルミトリプタン二層即放性(IR)/徐放性(ER、胃内保持性)経口錠剤製剤又はプラセボの1日1回投与から開始され、その後9~12日間の用量調節期間が最大許容耐用量(対象の体重を基準とする)に達するまで続くことになる。例えば、用量漸増は、3日毎に以下のとおり行われることになる:12mg(開始用量)、24mg、48mg、72mg、又は対応するプラセボから、48mg(スクリーニング時体重が55kg以下の場合、又は女性で経口避妊薬を服用している場合)又は72mg(スクリーニング時体重が55kg超であり、且つ女性で経口避妊薬を服用していない場合)のいずれかの目標用量に達するまで(それを超えないこと)。漸増用量を忍容できない場合、その対象は、最後の耐用量が24mg又は48mgである場合、その用量にまで減量することができる。
【0391】
[397] 用量調節の間に忍容された最高用量が、その対象の維持量(MD)となることになり、対象はその用量を12週間続け、その後減量調節することになる。独立したDSMCによって試験の進行が監視され、治験対象の安全性が損なわれないよう確実にされることになる。
【0392】
[398] ゾルミトリプタン二層即放性(IR)/徐放性(ER、胃内保持性)経口錠剤製剤は1日1回、最長16週間まで経口服用され、これは錠剤として12mg(3mg IR/9mg ER)及び24mg錠剤(6mg IR/18mg ER)の2つの用量強度で提供される。この研究の用量レベルは、12mg(1錠の12mg錠剤として提供される)、24mg(1錠の24mg錠剤)、48mg(2錠の24mg錠剤)、及び72mg(3錠の24mg錠剤)である。
【0393】
[399] 主要アウトカム測定値:
[400] 自閉症行動インベントリー(Autism Behavior Inventory:ABI)-社会的コミュニケーションドメインスコア(Social Communication Domain Score)のベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[401] ABI-社会的コミュニケーションドメインスコアのベースラインからの変化が報告されることになる。ABIは、ASDと診断された対象(年齢:3歳~成人期)の行動を報告するための62項目の質問票である。このツールは、ASDを持つ人の親又はケア/研究パートナーによる記入に好適である。各項目が、特定の行動の質(全く問題ない~助けを借りなければならない)又は頻度(一度もない~非常によくある)のいずれかを評価する。社会的コミュニケーションドメインスコアは、社会的コミュニケーションドメインのスコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0394】
[402] 副次的アウトカム測定値:
[403] 担当医による改善度の全般的印象(Clinician Global Impression of Improvement:CGI-I)のベースラインからの変化[時間フレーム:110日目]
[404] CGI-Iスコアは、反応に関する治験責任医師の全般的印象を把握するため臨床試験で日常的に使用されている7段階評価に基づく単一項目のインスツルメントである。治験責任医師又は指名された者が、観察される改善に1(非常に大きく改善した)から7(非常に大きく悪化した)までの評点を付ける。
【0395】
[405] 自閉症行動インベントリー-担当医(Autism Behavior Inventory-Clinician:ABI-C)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[406] ABI-担当医(ABI-C)は、ASDを持つ人の評価前1週間の間に起こった行動に関する担当医の評価を把握する。これには、コアの及び関連する自閉症行動ドメイン、即ち、社会的コミュニケーション、限定的行動、気分及び不安、自己制御、及びチャレンジング行動を反映した14項目が含まれる。各項目が、1点(全くない;何ら症状が見られない)から7点(非常に深刻;絶えず機能又は適応に支障を来している)までの7段階評価で評点を付ける。
【0396】
[407] 異常行動チェックリスト2-被刺激性(Aberrant Behavior Checklist 2-Irritability:ABC-I)下位評価尺度スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[408] ABCは、5ドメイン及び58項目の親又はケア/研究パートナーが報告する行動評価判定であり、各項目が0(問題ない)から3(問題の度合いは深刻である)までの尺度で評点が付けられる。被刺激性ドメインは15項目からなる。
【0397】
[409] 担当医による重症度の全般的印象(Clinician Global Impression of Severity:CGI-S)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[410] CGI-Sは、参加者の病気の重症度に関する評価者である担当医の印象についての全般的な評価である。これは、1(正常、全く病気ではない)から7(中でも最高度に極度に病気である)までの尺度で評点が付けられる。
【0398】
[411] ABI反復的/限定的行動ドメイン(Repetitive/Restrictive Behavior Domain)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[412] ABI-反復的/限定的行動ドメインの各項目は、頻度(0=一度もない~3=非常によくある)によって評点が付けられる。ドメインスコアは、全てのドメイン項目スコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0399】
[413] ABI気分及び不安ドメイン(Mood and Anxiety Domain)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[414] ABI-気分及び不安ドメインの各項目は、頻度(0=一度もない~3=非常によくある)によって評点が付けられる。ドメインスコアは、全てのドメイン項目スコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0400】
[415] ABIチャレンジング行動ドメイン(Challenging Behavior Domain)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[416] ABI-チャレンジング行動ドメインの各項目は、頻度(0=一度もない~3=非常によくある)によって評点が付けられる。ドメインスコアは、全てのドメイン項目スコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0401】
[417] ABI自己制御ドメイン(Self-regulation Domain)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[418] ABI-自己制御ドメインの各項目は、頻度(0=一度もない~3=非常によくある)によって評点が付けられる。ドメインスコアは、全てのドメイン項目スコアの合計をこのドメインの項目数で除したものである。
【0402】
[419] ABI-短縮版(ABI-Short Form:ABI-S)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[420] ABI-Sは、24項目の短縮版ABIであり、5つのドメインの各々からの項目が含まれる。各ドメインのドメインスコアは、全てのドメイン項目のスコアの合計をこのドメインの項目数で除したものとして計算される。
【0403】
[421] ABC-引きこもり(ABC-Social Withdrawal:ABC-SW)下位評価尺度スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[422] ABC-SW下位評価尺度は、0(問題ない)~3(問題の度合いは深刻である)の評点が付けられるABC-2の16項目からなる。
【0404】
[423] 対人応答性尺度2(Social Responsiveness Scale 2:SRS-2)スコアのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[424] SRS-2は、5つの下位評価尺度にわたる65項目からなる。回答は、1(当てはまらない)から4(ほぼ必ず当てはまる)までの範囲である。
【0405】
[425] バインランド-3(Vineland-3)(ドメインレベル版)スコア:コミュニケーション、社会化、及び不適応行動ドメインの合計のベースラインからの変化[時間フレーム:ベースラインから最長110日目まで]
[426] バインランド-3(Vineland-3)ドメインレベル版には5つのドメインが含まれる。各項目の回答に0(全くしない)~2(いつもする)の評点が付けられる。
【0406】
[427] 適格性基準
[428] 12歳~45歳(小児、成人)
[429] 組入れ基準:
[430] スクリーニング時年齢12~45歳
[431] ボディ・マス・インデックス(BMI)18kg/m以上34kg/m以下
[432] 症状に関して信頼できる報告を行うことのできる指名されたケア/研究パートナーがいる
[433] アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)(APA 2013)Diagnostic and Statistical Manual, 5th ed (DSM-5)及び/又は世界保健機関(World Health Organization:WHO)International Classification of Diseases External 10th Revision, 2nd ed (ICD-10, WHO 2004)に基づく自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断を受けており、過去3年以内に得られた自閉症診断観察尺度(Autism Diagnostic Observation Scale)(ADOS, Lord 1999;又はADOS-2, Lord 2012)又は自閉症診断問診改訂版(Autism Diagnostic Interview-Revised)(ADI-R, Lord 1994)、又はスクリーニング時に実施されたADOS-2によって診断が確定している。全検査知能指数(Full scale IQ)(又は等価な検査)のスコアが70以上。
【0407】
[434] スクリーニング時の異常行動チェックリスト2-引きこもり(ABC-SW)下位評価尺度スコアが11以上である。
【0408】
[435] スクリーニング前の4週間について向精神薬療法及び補助療法が安定している。
【0409】
[436] 治験薬を嚥下できなければならない。
【0410】
[437] 性的活動のある男性対象及び女性対象で妊娠の可能性がある者は、スクリーニング時点からその最終回の治験薬投与後30日まで有効な避妊法を実践しなければならない。有効な避妊法とは、コンドームの使用(男性用及び/又は女性用)、ホルモン避妊(女性)又は子宮内避妊器具(IUD)として定義される避妊方法を2つ用いることである。これは、両側卵管結紮術、両側卵巣摘出術、又は子宮摘出術による不妊手術を受けた対象;又は本研究の研究対象である間は禁欲を実践する対象;又は同性間の関係を持つ対象には適用されない。
【0411】
[438] 除外基準:
[439] レット症候群又は小児期崩壊性障害がある
[440] スクリーニング前の60日以内に他の何らかの研究に参加していて、他の何らかの試験中の薬剤(COVID-19ワクチン接種を除く)又は器具を受けた
[441] てんかん歴があり、現在適切なコントロールがなされていないか、又はスクリーニング前の6ヵ月間に発作があった
[442] 過去12ヵ月間に自殺念慮歴若しくは自殺行動歴があるか、又はC-SSRSの設問4及び/又は5に対する回答が「はい」である
[443] 収縮期血圧160mmHg以上、又は拡張期血圧100以上、又はコントロール不良又は重症の高血圧症の病歴
[444] 女性の場合に、妊娠中又は授乳中である
[445] 単盲検ベースライン(来院2)から2週間以内(又は5半減期以内、いずれか長い方)に、以下のいずれかを服用した:
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)
三環系抗鬱薬(TCA)
任意のモノアミンオキシダーゼA型(MAO-A)阻害薬
別の5-HT1作動薬又は拮抗薬(例えば、リスペリドン)、部分作動薬/拮抗薬(例えば、アリピプラゾール)
セイヨウオトギリソウを含めた、任意のエルゴタミン含有薬又は麦角系薬(例えば、ジヒドロエルゴタミン又はメチセルジド)
[446] シメチジンを服用中であり、スクリーニング中及び研究終了までシメチジンの使用を中止することができない
[447] 冠動脈疾患、冠攣縮、プリンツメタル型狭心症、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、末梢血管疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作、虚血性腸疾患、又は他の重大な心疾患又は脳血管疾患3の診断又は病歴がある
[448] 脳底動脈型及び/又は片麻痺性片頭痛を含め、前兆性の又は前兆のない片頭痛の診断がある、又はそれを示す病歴がある
[449] ガラクトース不耐症歴(即ち、Lappラクターゼ欠乏症又はグルコース-ガラクトース吸収不良)がある
[450] スクリーニング前の60日以内に他の何らかの研究に参加していて、他の何らかの試験中の薬剤(COVID-19ワクチン接種を除く)又は器具を受けたか、又は治験責任医師の意見によれば、本研究において評価を解釈する際の妨げとなるであろう非薬物研究に参加中である
[451] 過去12ヵ月間に自殺念慮歴若しくは自殺行動歴があるか、又はスクリーニング時又は単盲検ベースライン(来院2)評価時にC-SSRSの設問4及び/又は5(現在又は過去6ヵ月間)に対する回答が「はい」である、及び/又は治験責任医師の意見によれば、自殺行動の重大なリスクがある
[452] スクリーニング又は単盲検ベースライン(来院2)の収縮期血圧が140mmHg以上(成人の場合)若しくは135mmHg超(青年の場合)、又は拡張期血圧が90mmHg以上(成人の場合)若しくは85mmHg超(青年の場合)又はコントロール不良若しくは重症の高血圧症の病歴がある。自動又は手動血圧で、より緩い異常範囲にある(成人についてSBP 140~159mmHg、DBP 90~99mmHg及び青年についてSBP 135~140mmHg、DBP 85~89mmHg)対象については、本プロトコル上絶対的除外は要求されないが、適格性の決定に際して対象の血圧状態を正確に決定するため、メディカルモニターが更なるデータ(ガイドラインに従う)を要求し得る。そのような場合、高血圧症が除外されるか、又は原因が特定されて適切に治療し得るか、いずれかであれば、メディカルモニターが精査してそうすることの許可を与えた場合には、対象は参加が適格となり得る。
【0412】
[453] 治験責任医師の臨床的判断で、スクリーニング時又は単盲検ベースライン時(来院2)に臨床的に重大なECG異常がある
[454] 以下のスクリーニング時臨床検査結果のうち1つが認められる:a.血小板≦75,000/mm3
b.好中球、絶対値、≦1000/mm3
c.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>正常上限2倍及び/又は総ビリルビン>正常上限1倍
d.クレアチニン≧2mg/dL及び/又はeGFR<60mL/分/1.73m2(成人)又は<75mL/分/1.73m2(青年)
e.遊離サイロキシン(T4)異常
[455] 臨床検査は、スクリーニング中、メディカルモニターの裁量により繰り返し行われ得る。
【0413】
[456] スクリーニングから12ヵ月以内のアルコール使用又は物質使用障害歴(DSM-5判定基準による)がある、又はスクリーニング時に乱用薬物スクリーニング陽性である(現行の医学的状態に対する処方と一致しない限り)。
【0414】
[457] スクリーニング時にヒト免疫不全ウイルス抗体、B型肝炎表面抗原、又はC型肝炎ウイルス抗体のスクリーニング陽性
[458] 女性の場合に、妊娠中又は授乳中である
[459] 治験責任医師又はメディカルモニターの意見によれば、対象が安全性/忍容性問題の高いリスクに曝されることになり得るか、及び/又は自主的な同意を得る妨げとなり得るか、及び/又は本研究の主要アウトカム測定の解釈を混乱させることになり得るような、統合失調症、双極性障害、又は他の医学的若しくは精神医学的病態と一致する診断又は病歴
[460] 何らかの理由で研究プロトコルを遵守しようとしない又は遵守することができない(治験製品を嚥下する能力がないことを含む)。
【0415】
[461] 主要な評価の完了における参加の妨げとなり得る重大な視覚的、聴覚的、又は運動機能障害がある。
【0416】
[462] 治験責任医師又はメディカルモニターにより何らかの理由で研究に不適切と判断される。
【0417】
実施形態:
1.自閉症スペクトラム障害又はアルツハイマー病患者の攻撃性の症状の治療用経口組成物であって、組成物が、約7.5mg~約90mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、及び組成物の経口投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも8時間の間提供される、組成物。
【0418】
1a.認知症患者の攻撃性の症状の治療用経口組成物であって、組成物が、約7.5mg~約90mgのゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、及び組成物の経口投与により、治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が少なくとも8時間の間提供される、組成物。
【0419】
2.約10mg~約30mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項1又は1aに記載の組成物。
【0420】
3.即放性部分と徐放性部分とを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【0421】
4.即放性部分が組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約20%~40%を含有する、請求項3に記載の組成物。
【0422】
5.徐放性部分が組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約60%~80%を含有する、請求項3又は4に記載の組成物。
【0423】
6.即放性部分が組成物中の総ゾルミトリプタンの約25%を含有し、徐放性部分が組成物中の総ゾルミトリプタンの約75%を含有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【0424】
7.即放性部分が約1mg~約10mgのゾルミトリプタンを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【0425】
8.即放性部分が約3mgのゾルミトリプタンを含む、請求項7に記載の組成物。
【0426】
9.即放性部分が約6mgのゾルミトリプタンを含む、請求項7に記載の組成物。
【0427】
10.徐放性部分が約5mg~約25mgのゾルミトリプタンを含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物。
【0428】
11.徐放性部分が9mgのゾルミトリプタンを含む、請求項10に記載の組成物。
【0429】
12.徐放性部分が約18mgのゾルミトリプタンを含む、請求項10に記載の組成物。
【0430】
13.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約3ng/mL~約30ng/mLのCmaxが提供される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【0431】
14.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後少なくとも約10ng/mLの血漿濃度が少なくとも8時間提供される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【0432】
15.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【0433】
16.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約50ng・h/mL~約250ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【0434】
17.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約150ng・h/mL~約250ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【0435】
18.組成物の経口投与 組成物の単回投与後約50ng・h/mL~約150ng・h/mLのAUC0-24h、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【0436】
19.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【0437】
20.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約18時間の間提供される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【0438】
21.組成物の経口投与 組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約24時間の間、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【0439】
22.多粒子製剤である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【0440】
23.徐放性部分が、徐放性コーティングでコートされた薬物含有粒子を含む、請求項3~21のいずれか一項に記載の組成物。
【0441】
24.胃内保持性(gastrorentive)錠剤である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【0442】
25.徐放性部分が胃内保持性(gastrorentive)層である、請求項3~21のいずれか一項に記載の組成物。
【0443】
26.胃内保持性層が水膨潤性ポリマーを含む、請求項25に記載の組成物。
【0444】
27.水膨潤性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド類、セルロースポリマー及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン及びデンプン系ポリマー;マルトデキストリン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ヒドロゲル類、架橋ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【0445】
28.水膨潤性ポリマーが、高分子量ポリエチレンオキシド、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【0446】
29.水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項28に記載の組成物。
【0447】
30.約35~55重量%のポリエチレンオキシドを含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の組成物。
【0448】
31.経口投与後少なくとも2時間胃内に保持される、請求項24~30のいずれか一項に記載の組成物。
【0449】
32.経口投与後少なくとも8時間胃内に保持される、請求項24~31のいずれか一項に記載の組成物。
【0450】
33.修飾された放出プロファイルを提供する自閉症スペクトラム障害の症状(又はアルツハイマー病患者の攻撃性)の治療用のゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩の経口組成物であって、
米国薬局方装置II(パドル法、50rpm)を使用して900mLの0.1N HCl中37℃で溶解試験を行ったとき、実質的に以下のパターンに対応するゾルミトリプタン放出プロファイルを呈する:
総ゾルミトリプタンの約20%~40%が約15分後に放出され;
4時間後に総ゾルミトリプタンの約40%~75%が放出され;及び
8時間後に総ゾルミトリプタンの約75%~90%が放出される、組成物。
【0451】
34.総ゾルミトリプタンの約85%が9~10時間以内に放出される、請求項33に記載の組成物。
【0452】
35.約10mg~約30mgのゾルミトリプタン又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項33又は34に記載の組成物。
【0453】
36.即放性部分と徐放性部分とを含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の組成物。
【0454】
37.即放性部分が組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約20%~40%を含有する、請求項36に記載の組成物。
【0455】
38.徐放性部分が組成物中の総ゾルミトリプタンの重量基準で約60%~80%を含有する、請求項36又は37に記載の組成物。
【0456】
39.即放性部分が約1mg~約10mgのゾルミトリプタンを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の組成物。
【0457】
40.徐放性部分が約5mg~約25mgのゾルミトリプタンを含む、請求項36~39のいずれか一項に記載の組成物。
【0458】
41.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約3ng/mL~約30ng/mLのCmaxが提供される、請求項33~40のいずれか一項に記載の組成物。
【0459】
42.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項33~40のいずれか一項に記載の組成物。
【0460】
43.胃内保持性錠剤である、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【0461】
44.徐放性部分が胃内保持性(gastrorentive)層である、請求項33~43のいずれか一項に記載の組成物。
【0462】
45.胃内保持性層が水膨潤性ポリマーを含む、請求項44に記載の組成物。
【0463】
46.水膨潤性ポリマーが、ポリアルキレンオキシド類、セルロースポリマー及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン及びデンプン系ポリマー;マルトデキストリン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ヒドロゲル類、架橋ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【0464】
47.水膨潤性ポリマーが、高分子量ポリエチレンオキシド、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【0465】
48.水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項45に記載の組成物。
【0466】
49.約35~55重量%のポリエチレンオキシドを含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の組成物。
【0467】
50.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項33~49のいずれか一項に記載の組成物。
【0468】
51.多粒子製剤である、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【0469】
52.徐放性部分が、徐放性コーティングでコートされた薬物含有粒子を含む、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【0470】
53.自閉症スペクトラム障害の症状の治療用組成物であって、組成物がゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、組成物の経口投与により約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供されて、自閉症スペクトラム障害の症状が治療される、組成物。
【0471】
54.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約110ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項53に記載の組成物。
【0472】
55.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約150ng・h/mL~約450ng・h/mLのAUC0-24h,ssが提供される、請求項53に記載の組成物。
【0473】
56.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項53~55のいずれか一項に記載の組成物。
【0474】
57.自閉症スペクトラム障害の症状を治療する方法であって、請求項1~56のいずれか一項に記載の組成物の医薬組成物をそれを必要としている患者に経口投与することを含む方法。
【0475】
58.アルツハイマー病患者の攻撃性の治療用組成物であって、組成物がゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、組成物の経口投与により、約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供されて、患者の攻撃性が治療される、組成物。
【0476】
59.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約110ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項58に記載の組成物。
【0477】
60.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約150ng・h/mL~約450ng・h/mLのAUC0-24h,ssが提供される、請求項58に記載の組成物。
【0478】
61.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項58~60のいずれか一項に記載の組成物。
【0479】
62.アルツハイマー病患者の攻撃性を治療する方法であって、請求項1~56のいずれか一項に記載の組成物の医薬組成物をそれを必要としている患者に経口投与することを含む方法。
【0480】
63.認知症患者の攻撃性の治療用組成物であって、組成物がゾルミトリプタン、又はその薬学的に許容可能な塩を含み、組成物の経口投与により、約40ng・h/mL~約300ng・h/mLのAUC0-24hが提供されて、患者の攻撃性が治療される、組成物。
【0481】
64.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約40ng・h/mL~約110ng・h/mLのAUC0-24hが提供される、請求項63に記載の組成物。
【0482】
65.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後約150ng・h/mL~約450ng・h/mLのAUC0-24h,ssが提供される、請求項63に記載の組成物。
【0483】
66.組成物の経口投与により、組成物の単回投与後治療上有効な血漿ゾルミトリプタン濃度が約12時間の間提供される、請求項63~65のいずれか一項に記載の組成物。
【0484】
67.認知症患者の攻撃性を治療する方法であって、請求項1~56のいずれか一項に記載の組成物の医薬組成物をそれを必要としている患者に経口投与することを含む方法。
【0485】
参照による援用
[463] 本明細書に引用される全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、あらゆる目的から全体として参照により援用される。しかしながら、本明細書に引用される任意の参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願への言及は、それらが世界のいずれかの国において有効な先行技術を構成する又は周知の一般知識の一部を形成するという承認又はいずれかの形式の示唆ではなく、及びそのように解釈されてはならない。
図1
図2
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図4
図5
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【国際調査報告】