(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】胃および腸の内視鏡吻合のための器具および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558821
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022057913
(87)【国際公開番号】W WO2022200566
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522358102
【氏名又は名称】バリアテク・メディカル
【氏名又は名称原語表記】BARIATEK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヨール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ビアディラー,ヨセフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC32
4C160MM43
(57)【要約】
患者の胃と腸とを内視鏡吻合して、食物が十二指腸および随意により空腸の一部をバイパスすることを可能にするための器具であって、チューブと、外科器具と、少なくとも1つの操作要素とを備える器具。チューブは、胃へと挿入可能であり、近位端および遠位端を有する。外科器具は、チューブを通って少なくとも部分的に、好ましくは完全に挿入可能である。外科器具を近位端から操作するための操作要素は、外科器具に接続され、あるいは接続可能である。外科器具は、胃の第1の領域と腸の第2の領域との間の吻合を確立させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胃(201)と腸(202)とを内視鏡吻合(301)して、食物が十二指腸および随意により空腸の一部をバイパスすることを可能にするための器具(101)であって、
前記胃(201)へと挿入可能であり、近位端(2)および遠位端(3)を有しているチューブ(1)と、
前記チューブ(1)の前記遠位端(3)において展開可能であり、前記チューブ(1)を通って少なくとも部分的に、好ましくは完全に挿入可能である外科器具(4)と、
前記外科器具(4)を前記近位端(2)から操作するために前記外科器具(4)に接続され、あるいは接続可能である少なくとも1つの操作要素(5)と
を備え、
前記外科器具(4)は、前記胃(201)の第1の領域と前記腸(202)の第2の領域との間の吻合(301)を確立させるように構成されている、器具(101)。
【請求項2】
前記外科器具(4)は、組織を切断するための切断装置(6)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記切断装置(6)は、前記チューブ(1)の周囲に沿った方向に回転可能であり、随意により、前記切断装置は、前記胃(201)の前記第1の領域および/または前記腸(202)の前記第2の領域から、前記チューブ(1)を通って組織を取り除くことを可能にする、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記切断装置(6)は、(i)前記第1の領域および/または前記第2の領域への導入のための畳まれた状態(7)であって、前記チューブ(1)の軸線を中心とする第1の横方向プロファイルを有する、畳まれた状態(7)と、(ii)組織を有効に切断するための展開された状態(8)であって、前記チューブ(1)の軸線を中心とする、前記第1の横方向プロファイルよりも大きい第2の横方向プロファイルを有する、展開された状態(8)と、の間を変換可能である、請求項2または3に記載の器具。
【請求項5】
前記第2の横方向プロファイルは、所定のサイズを有し、前記切断装置は、前記展開された状態にあるときに組織を切断するように構成されている、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記切断装置は、シャフト上に取り付けられ、前記切断装置は、組織に閉ループ形状の開き口を切断するように構成され、前記閉ループ形状は、前記シャフトの軸線の周りを延びる、請求項2~5のいずれかに記載の器具。
【請求項7】
前記切断装置は、切断のために展開されたとき、前記チューブの前記遠位端の方を向く切断要素および/または切断面を有する、請求項2~6のいずれかに記載の器具。
【請求項8】
前記切断装置は、展開されたとき、前記チューブの前記遠位端へと向かう切断方向に組織を切断するように構成されている、請求項2~7のいずれかに記載の器具。
【請求項9】
前記切断装置(6)は、組織を第1の側から切断するように構成され、前記器具(101)は、前記組織の反対側の第2の側に展開可能な対向要素(9)をさらに備える、請求項2~8のいずれかに記載の器具。
【請求項10】
前記切断装置は、少なくとも前記切断装置の前記展開された状態において、前記対向要素の遠位側に位置する、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記対向要素(9)は、(i)前記第2の側において周囲の組織を前記切断装置(6)から保護し、かつ/または(ii)前記切断装置(6)のための切断板を提供し、かつ/または(iii)切断された組織を前記チューブ(1)を通って取り除くために前記切断装置(6)と協働して捕捉する、ように構成されている、請求項8または9に記載の器具。
【請求項12】
前記対向要素(9)は、(i)前記第1の領域および/または前記第2の領域への導入のための畳まれた状態であって、前記チューブ(1)の軸線を中心とする第1の横方向プロファイルを有する、畳まれた状態と、(ii)前記チューブ(1)の軸線を中心とする、前記第1の横方向プロファイルよりも大きい第2の横方向プロファイルを有する、展開された状態と、の間を変換可能である、請求項9、10または11のいずれかに記載の器具。
【請求項13】
前記切断装置(6)は、ブレード要素(10)、穿刺要素(11)、電気または光アブレーション要素、から選択される少なくとも1つを備える、請求項2~12のいずれかに記載の器具。
【請求項14】
前記切断装置(6)は、切断の最中に、湾曲に従う回転運動にて可動、かつ/または軸方向に可動である、請求項2~13のいずれかに記載の器具。
【請求項15】
前記第1の領域および/または前記第2の領域の組織壁を通って挿入可能である少なくとも1つの挿入可能要素(12)を備え、前記挿入可能要素(12)は、前記組織壁を通って導入されるための畳まれた状態(13)を有し、前記組織壁の組織と少なくとも部分的に重なり合う展開された状態(14)へと拡大可能である、請求項9~14のいずれかに記載の器具(101)。
【請求項16】
前記挿入可能要素(12)は、前記チューブ(1)に対して、随意により(i)前記チューブ(1)の長手方向に、かつ/または(ii)前記操作要素(5)の回転または並進運動によって、前記チューブ(1)の遠位端(3)から最大20cmまで、好ましくは最大15cmまで移動可能である、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記畳まれた状態(13)の前記挿入可能要素(12)の遠位領域は、組織の穿刺および/または切断のための第2の切断装置を備える、ことを特徴とする請求項15または16に記載の器具。
【請求項18】
前記展開された状態(8)の前記挿入可能要素(12)、前記展開された状態(19)の前記対向要素(9)、または前記切断装置(6)、のうちの少なくとも2つが、組織を囲み、とくには前記第1の領域および/または前記第2の領域を囲むための界面(40)を形成するように適合されている、ことを特徴とする請求項15~17のいずれかに記載の器具。
【請求項19】
前記挿入可能要素(12)は、前記畳まれた状態(13)から前記展開された状態(14)へと、好ましくは傘の形状で、前記チューブ(1)の長手軸から半径方向外側に折り曲げ可能であり、とくに好ましくは、前記挿入可能要素(12)の前記遠位領域の固定点を中心にして折り曲げられる、ことを特徴とする請求項15~18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
開状態と閉状態との間を変換可能である逆止機構を備える埋め込み可能ステントを備え、前記閉状態は流体の通過を防ぎ、開状態は流体の横断を可能にし、あるいは逆止弁が一方向の流体の通過のみを可能にする、ことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の器具(101)。
【請求項21】
前記チューブ(1)内の少なくとも1つの領域に負圧を選択的に印加するための圧力装置、および/または前記器具の遠位端を組織へと保持するための前記器具の遠位端の領域内の保持要素を備える、ことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項22】
固定装置(15)を備え、前記固定装置(15)は、前記第1の領域および前記第2の領域の外縁部を、好ましくは所定の様相で、とくに好ましくは円形の様相で、縫合および/またはステープル留めするように設計されている、ことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の器具(101)。
【請求項23】
前記固定装置(15)は、融合手段(20)を備え、前記融合手段(20)は、前記胃(201)の前記第1の領域および前記腸(202)の前記第2の領域の組織の融合を、少なくとも前記第1の領域および前記第2の領域の縁部に圧力および加熱、好ましくは高周波加熱を加えることによって生じさせるように設計されている、ことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項24】
前記装置は、第2のチューブ(21)を備え、前記第2のチューブ(21)の遠位端(22)を、前記胃(201)から前記十二指腸を通って案内でき、前記第1の領域の胃壁および前記第2の領域の腸壁を横切って前記チューブ(1)の前記遠位端(3)と接続することができる、ことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項25】
ガイドワイヤ(24)を備え、前記チューブ(1)および/または前記第2のチューブ(21)を、前記第1の領域および/または前記第2の領域を囲むように前記ガイドワイヤ(24)に沿って案内することができる、ことを特徴とする請求項24に記載の器具(101)。
【請求項26】
前記器具は、前記器具を体内へとただ1つの開口部を介して挿入することによって前記吻合を生成するように構成され、前記開口部は、自然の身体開口部である、先行する請求項のいずれかに記載の器具。
【請求項27】
患者の胃(201)と腸(202)との内視鏡吻合(301)を実行して、食物が十二指腸および随意により空腸の一部をバイパスすることを可能にする方法であって、随意により請求項1~25に記載の器具(101)による器具を使用し、
- 器具(101)を前記胃(201)へと好ましくは食道を通って挿入し、随意により負圧を加えることによって、前記第1の領域において胃壁に取り付けるステップと、
- 前記胃壁を穿刺および/または切断し、挿入可能要素(12)を前記胃の外側に、好ましくは前記挿入可能要素(12)を広げることによって展開するステップと、
- 好ましくは切断装置(6)が接続された対向要素(9)を前記胃(201)の内部において前記第1の領域へと前進させるステップと、
- 前記第1の領域の前記胃壁を前記挿入可能要素(12)と前記対向要素(9)との間にクランプし、前記切断装置(6)で前記第1の領域の一部分に穴を切断するステップと、
- 随意により前記切断された胃(201)の組織を前記チューブ(1)を通って取り除くステップと、
- 前記器具(101)を前記穴を通って前進させ、前記吻合(301)のための前記第2の領域を構成するターゲット位置を位置特定するステップと、
- 好ましくは負圧を加えることにより、前記第2の領域において腸壁の外側に取り付けるステップと、
- 前記腸壁を穿刺および/または切断して、前記挿入可能要素(12)を前記腸(202)の内部に展開し、好ましくは前記第2の領域において前記挿入可能要素(12)を開き、かつ/または広げるステップと、
- 前記挿入可能要素(12)を引っ張って、前記第1の領域を前記第2の領域に密着させるステップと、
- 固定装置(15)を備える前記対向要素(9)を前進させ、前記対向要素(9)と前記挿入可能要素(12)との間に前記第1の領域および前記第2の領域をクランプするステップと、
- 前記切断装置(6)で前記第2の領域の一部分に穴を切断し、前記固定装置(15)で前記第1の領域および前記第2の領域の前記縁部を互いにステープル留め、および/または縫合するステップと、
- 好ましくは前記切断された組織を前記チューブ(1)を通って取り除くステップと
を特徴とする方法。
【請求項28】
体内へとただ1つの開口部、随意によりただ1つの自然の身体開口部を通って内視鏡によって実行される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば患者の肥満および/または糖尿病の治療に使用される胃および腸の吻合のための器具および方法に関する。いくつかの態様は、内視鏡器具および方法に関するが、そのような態様に限られるわけではない。
【0002】
肥満および糖尿病の治療のために、腸の一部、とくには十二指腸の栄養素の吸収を妨げる低侵襲の埋め込み型装置を使用することが、先行技術において知られている。
【0003】
多くの低侵襲インプラントは、胃および腸、とりわけ幽門が、消化管のうちのきわめて活発な領域であるという問題を抱えている。したがって、いくつかのインプラントは、移動または位置ずれの可能性があり、かつ/または短期間の解決策しか提供できない。
【0004】
肥満の治療のための低侵襲かつ恒久的な解決策が提案されている。可能な解決策は、栄養摂取に対処するために、十二指腸などの腸の一部をバイパスすることによって提供される。
【0005】
腹腔鏡手術によらずに腸の一部をバイパスすることにより、肥満患者は、外部および腹部の切開または傷ならびに創傷感染を伴わずに、より速い回復が可能になる。しかしながら、隣接する組織または重要な臓器を傷つけるリスクを伴わず、胃または腸の組織を引き裂くリスクを伴わず、かつ術後の胃腸管からの漏れのリスクを伴わずに、安全かつ効果的なやり方で低侵襲の手術を実施することには、重大な技術的課題が残っている。
【0006】
上記の問題のうちの1つ以上に対処することが望ましいと考えられる。
本発明の態様が、特許請求の範囲に定義される。
【0007】
第1の態様において、本発明は、患者の胃と腸とを内視鏡吻合して、食物が十二指腸および随意により空腸の一部をバイパスすることを可能にするための器具を提供する。器具は、随意により、ただ1つの(例えば、自然の)身体開口部のみによる内視鏡処置を容易にするように構成されてよい。
【0008】
器具は、胃へと挿入可能なチューブであって、近位端および遠位端を有するチューブ、チューブの遠位端において展開可能であり、チューブを通して少なくとも部分的に、好ましくは完全に挿入可能である外科器具、および/または近位端から外科器具を操作するために外科器具に接続され、あるいは接続可能である少なくとも1つの操作要素、のうちの1つ以上を備える。外科器具は、胃の第1の領域と腸の第2の領域との間の吻合を確立させるように構成されている。
【0009】
遠位端は、外科器具が展開可能である器具の挿入可能な端部を指す。
近位端は、外科医が低侵襲の吻合処置の際に操作する遠位端の反対側の端部を指す。
【0010】
器具は、好ましくは、患者の自然の身体開口部、好ましくは口腔を通って挿入可能である。
【0011】
操作要素は、好ましくは、チューブの内側に同心円状に配置することができる内側チューブを備える。
【0012】
チューブおよび/または内側チューブは、好ましくは、チャネルまたは空洞によって接続された遠位端の領域の開口および近位端の領域の開口を備える。
【0013】
外科器具は、好ましくは、チューブまたは内側チューブに部分的に挿入可能である。
とくに好ましくは、外科器具は、チューブまたは内側チューブを通って完全に移動可能である。
【0014】
操作要素は、好ましくは、チューブによって同心円状に囲まれる。
操作要素の少なくとも一部分が、好ましくは、チューブの長手方向に沿ってチューブに対して移動可能であり、あるいはチューブの長手方向を中心にして回転可能である。
【0015】
外科器具は、好ましくは、胃の第1の領域と腸の第2の領域との密接な接触を確立させるように設計される。
【0016】
器具は、好ましくはチューブおよび/または操作要素の遠位端に配置された少なくとも1つの画像化要素、とくには放射線不透過性および/または金属要素を備えることが好ましい。
【0017】
チューブおよび/または内側チューブは、チューブおよび/または内側チューブが曲がることによって空洞が塞がれることがないように、半径方向に本質的に不動であることが好ましい。
【0018】
チューブおよび/または内側チューブは、ステンレス鋼、チタン、白金、イリジウム、バリウム、タングステン、ならびに/あるいはプラスチック、とくにはシリコーン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリ塩化ビニル、および/またはポリウレタンなどの熱可塑性物質、などの材料を含むことができる。
【0019】
さらに、器具は、コーティングゆえに親水性であることが好ましい。これにより、身体通路への挿入がより容易かつ非外傷性になる。さらに、コーティングは、器具の摺動性を高める。
【0020】
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、外科器具は、組織を切断するための切断装置を備えることができ、随意により、チューブの周囲に沿った方向に回転可能であり、とくには随意により胃の第1の領域および/または腸の第2の領域から、チューブを通って組織を取り除くことを可能にする切断装置を備えることができる。
【0021】
好ましくは、切断装置は、チューブの長手軸の周りに同心円状に配置され、あるいは配置可能である。
【0022】
切断装置は、第1の領域および/または第2の領域の縁部を切断に好適であり得る。異なる横方向プロファイルのサイズでの切断のために、複数の切断装置を考えることができる。
【0023】
切断装置は、好ましくは、第1の領域および第2の領域の外縁部のみを切断することができる。縁部に沿った切断は、切断された組織をチューブを通ってより容易に取り除くことを可能にする。
【0024】
操作要素は、好ましくは、切断装置を操作するための制御要素を備える。
制御要素および/または操作要素は、好ましくはねじりに関して剛的である。
【0025】
ねじりに関して剛的とは、トルクの伝達が好ましくは実質的に1:1であることを意味する。したがって、制御要素は、好ましくは、近位端における制御要素の少なくとも一方向の或る角度の回転が、遠位端におけるその角度の実質的に同じ回転をもたらすように構成される。したがって、制御要素および/または操作要素を、近位端から回転させることができる。
【0026】
これに加え、あるいは代えて、操作要素は、軸方向に移動可能であってよい。器具は、回転運動を直線運動に、またはその逆に変換するための機構を備えることができる。
【0027】
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、切断装置は、(i)第1の領域および/または第2の領域への導入のための畳まれた状態であって、チューブの軸線を中心とする第1の横方向プロファイルを有する、畳まれた状態と、(ii)組織を有効に切断するための展開された状態であって、チューブの軸線を中心とする、第1の横方向プロファイルよりも大きい第2の横方向プロファイルを有する、展開された状態と、の間を変換可能であり得る。
【0028】
第2の横方向プロファイルは、所定のサイズ(例えば、固定されたサイズ)を有することができる。切断装置を、所定の(例えば、固定された)サイズの展開された状態にあるときに組織を切断するように構成することができる。
【0029】
切断装置(随意により、横方向により大きい展開された状態へと展開可能な形式である)を、例えば中空シャフトなどのシャフトに取り付けることができる。切断装置は、組織に閉ループ形状の開き口を切断するように構成されてよい。随意により、閉ループ形状は、シャフトの軸線の周り、および/またはチューブの軸線の周りを延びる。
【0030】
切断装置は、切断のために展開されたとき、チューブの遠位端の方を向く切断要素および/または切断面を有してよい。これに加え、あるいは代えて、切断装置は、展開されたとき、チューブの遠位端へと向かう切断方向に組織を切断するように構成されてよい。
【0031】
切断装置がどのように実装される場合でも、制御要素は、切断装置を展開された状態および畳まれた状態に変換するための手段と、ひとたび展開された切断装置を動作させるための別個の手段とを備えることができる。
【0032】
切断装置は、好ましくは、畳まれた状態から展開された状態へと可逆的に変換可能である。
【0033】
選択的に変換可能な切断装置を、好ましくは、畳まれた状態でチューブおよび/または内側チューブの内部に収容することができる。
【0034】
展開された状態の切断装置の横方向プロファイルによって囲まれる領域は、随意により、畳まれた状態における横方向プロファイルに囲まれる領域の少なくとも2倍、随意により少なくとも3倍、随意により少なくとも4倍である。
【0035】
切断装置の横方向プロファイルは、好ましくは、展開された状態においてチューブの長手軸から半径方向に広がり、畳まれた状態において半径方向につぶれる。
【0036】
展開可能な切断装置は、食道を通って挿入されるように充分に小さくなければならないチューブの横方向プロファイルよりも大きい横方向プロファイルの切断領域を可能にすることができる。
【0037】
切断装置は、好ましくは、閉ループ形状、とくに好ましくは円形または楕円形にて半径方向に広がることができる。
【0038】
切断装置は、随意により、広げられた状態と丸められた状態との間で変換可能な可逆的に丸めることができるブレード要素を備えてもよい。ブレード要素は、展開された状態においてチューブの外側で所定のサイズおよび/または形状、好ましくは円形の形状をとることができ、畳まれた状態においてチューブの断面に配置可能であってよい。畳まれた状態において、ブレード要素は、らせん状の横方向プロファイルを有することができる。切断装置は、ただ1つのブレード要素から形成されてよい。
【0039】
丸めることが可能な可能ブレード要素を、好ましくは、制御要素によって、畳まれた状態から展開された状態に、およびその逆に変換することができる。
【0040】
切断装置を、切断装置が展開された状態に変換されたときにのみ機能する少なくとも2つのセグメントで構成することも考えられる。例えば、切断装置は、重なり合った省スペース状態に畳まれ、横並びに展開されてより大きな形状となるセグメントを含むことができる。
【0041】
チューブの長手軸の周りの回転運動によってのみ第2の横方向プロファイルへと変換することができる切断装置が考えられる。例えば、切断装置は、らせんの形状へと巻くことによって畳むことが可能であり、らせんを広げることによって展開させることが可能であってよい。
【0042】
畳まれた状態から展開された状態に、およびその逆に変換されるとき、チューブに対して半径方向にのみ移動する切断装置が考えられる。
【0043】
切断装置の代案として、とくには胃の拡張のための拡張要素も考えられる。
切断装置は、少なくとも1つの保持装置を備えることができる。保持装置は、展開された状態へと移行するときに切断装置の半径方向の広がりを所定のサイズに制限および/または案内することができ、かつ/または切断装置をつぶれた状態へとつぶすときにこれを案内することができる。
【0044】
保持装置は、取り外し可能および/または解放可能なラッチを備えることができる。ラッチは、好ましくは、切断装置が広がって所定のサイズに達すると係止する。
【0045】
ラッチは、好ましくは、制御要素による回転および/または並進によって解放可能である。
【0046】
しかしながら、切断要素がどのように実現されても、切断装置を、組織を第1の側から切断するように構成でき、器具は、組織の反対側の第2の側に展開可能な対向要素をさらに備える。随意により、対向要素は、(i)第2の側において周囲の組織を切断装置から保護し、かつ/または(ii)切断装置のための切断板を提供し、かつ/または(iii)切断された組織をチューブを通って取り除くために切断装置と協働して捕捉するように機能でき、かつ/またはそのように構成されてよい。
【0047】
隣接組織を保護することで、患者に安全性に関して大いなる利点を提供することができる。組織を切断するときに、切断要素の作用部分を対向要素によって覆い、あるいは包むことができるので、負傷のリスクが小さくなる。
【0048】
組織を両側から固定することにより、切開が外科医の技能に依存せず、周囲の組織を保護することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、切断装置は、少なくとも切断装置の展開された状態において、対向要素の遠位側に位置する。
【0050】
チューブの横方向プロファイルを、切断装置による切断の横方向プロファイルよりも大きくすることができる。チューブを、好ましくは、第1の領域における切断装置による切開を保護的に覆うように設計することができる。流体の胃からの漏出および胃への漏出を、好ましく防止することができる。
【0051】
切断されるべき組織は、好ましくは、切断装置による切断運動のみが切断されるべき組織に接触するように、外科器具によってクランプされる。周囲の組織への力の伝達が、好ましくは、組織に圧力を加えることによって最適化される。
【0052】
対向要素は、(i)第1の領域および/または第2の領域への導入のための畳まれた状態であって、チューブの軸線を中心とする第1の横方向プロファイルを有する、畳まれた状態と、(ii)チューブの軸線を中心とする、第1の横方向プロファイルよりも大きい第2の横方向プロファイルを有する、展開された状態と、の間を変換可能であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、これは、組織を引き裂く恐れなく、対向要素を組織の反対側へと小さな開き口を通過させ、反対側において展開することを可能にする。
【0054】
対向要素は、好ましくは、チューブに対して同心円状に、好ましくはチューブの遠位端に配置されてよく、かつ/または配置可能である。展開された状態の対向要素は、好ましくは、切断装置の第2の横方向プロファイルと少なくとも同じ領域を囲む。
【0055】
対向要素は、切断装置に接続可能であり、あるいは接続可能であり得る。
対向要素は、チューブおよび/または操作要素の遠位端に接続可能であり、あるいは接続可能であり得る。
【0056】
対向要素を、好ましくは、操作要素によって、畳まれた状態から展開された状態に、およびその逆に変換することができる。
【0057】
変換を、操作要素の長手軸に沿った並進運動および/または操作要素の周囲またはプロファイルに沿った回転によって実行することができる。展開された状態の対向要素を開き、かつ/または広げることができ、畳まれた状態の対向要素を折り畳み、かつ/または縮めることができる。
【0058】
畳まれた状態の対向要素を、好ましくは、チューブおよび/または内側チューブを通って挿入し、行使することができる。
【0059】
切断装置は、ナイフ要素および/または穿刺要素ならびに/あるいは電気または光アブレーション要素を備えることができる。切断要素は、切断時に、湾曲に従う回転運動にて可動であってよく、かつ/または軸方向に可動であってよい。
【0060】
制御要素の回転が、随意により、切断装置の回転を可能にする。制御要素の回転は、とくに好ましくは、器具の長手軸に沿った切断装置のらせん回転を引き起こすことができる。
【0061】
点ごとに切断する切断装置も考えられる。
とくには、電気アブレーション、例えば高周波アブレーションを使用する切断装置が考えられる。高周波またはマイクロ波アブレーションを使用する切断装置は、好ましくは、より外傷性の低い処置を可能にする。
【0062】
点ごとの切断装置は、好ましくは、閉ループにて、とくに好ましくは円形または楕円形の様相で、制御要素の長手軸の周りを回転可能である。
【0063】
器具は、第1の領域を切断するための切断装置と、第2の領域を切断するための切断装置とを備えることができる。
【0064】
胃の第1の領域のための切断装置の周囲または横方向プロファイルは、好ましくは、第1の領域と第2の領域との間の吻合のための切断装置の周囲または横方向プロファイルよりも小さい。
【0065】
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、器具は、第1の領域および/または第2の領域の組織壁を通って挿入可能である少なくとも1つの挿入可能要素を備えることができ、挿入可能要素は、組織壁を通って導入されるための畳まれた状態を有し、組織壁の組織に少なくとも部分的に重なり合う展開された状態へと拡大可能である。
【0066】
外科器具は、挿入可能要素を備えることができる。
挿入可能要素の展開された状態および畳まれた状態は、操作要素によって互いに可逆的に変換可能である。
【0067】
展開された状態の挿入可能要素を、回転させ、開き、かつ/または広げることができる。畳まれた状態の挿入可能要素を、逆方向に回転させ、折り曲げ、かつ/または縮めることができる。少なくとも部分的に膨張可能かつ収縮可能な挿入可能要素も考えられる。
【0068】
展開された状態の挿入可能要素の断面は、好ましくは、切断装置の第2の横方向プロファイルと少なくとも同じ領域を囲む。
【0069】
畳まれた状態において、挿入可能要素を、組織のより小さい開口を通って挿入することができる。したがって、入口開口をより小さくすることができ、器具は、組織を引き裂く恐れをより少なくして、外傷性および/または侵襲性の低い外科的処置を可能にすることができる。
【0070】
挿入可能要素は、好ましくは、器具の近位端から操作要素の回転および/または並進運動によって展開された状態から畳まれた状態に変換可能である。
【0071】
展開された状態の挿入可能要素は、好ましくは、増大した半径方向または横方向寸法を有する。とくに好ましくは、挿入可能要素は、展開された状態においてより大きな断面積を有することができる。
【0072】
挿入可能要素は、好ましくは、展開された状態において穿刺された組織を保護的に覆い、漏れを防止することができる。
【0073】
操作要素は、挿入可能要素に取り付けられた延長要素を備えることができる。拡張要素が、挿入可能要素を展開された状態から畳まれた状態に、およびその逆に変換することができることが考えられる。
【0074】
1つの考えられる実施形態においては、延長要素を引っ込めることで、挿入可能要素が畳まれた状態となるように挿入可能要素を対向要素または操作要素に押し付けることができる。
【0075】
延長要素を伸ばすことで、挿入可能要素を展開された状態に変換することができる。
挿入可能要素は、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン、タングステン、フルオロポリマー層、熱可塑性物質、とくにはポリエーテルエーテルケトンを含んでよい。
【0076】
対向要素を、好ましくは、挿入可能要素の近位方向に配置することができる。
展開された状態における対向要素の断面プロファイル面積は、好ましくは、少なくとも展開された状態における挿入可能要素の断面プロファイル面積のそれに等しい。
【0077】
挿入可能要素は、チューブの遠位端から、好ましくはチューブの長手方向に、チューブに対して移動可能であってよい。挿入可能要素は、好ましくは、操作要素の回転または並進運動によって移動可能である。
【0078】
挿入可能要素は、好ましくは、操作要素によって器具の残りの部分に対して移動可能である。
【0079】
さらに、内側チューブまたは操作要素全体が、好ましくは、チューブの長手方向に相対的に移動可能である。
【0080】
操作要素を、胃の第1の領域を通って挿入することができる。
挿入可能要素を、好ましくは、組織壁を通って導入した後に展開された状態に変換することができる。
【0081】
挿入可能要素を、好ましくは、第2の領域を第1の領域に向かって引っ張って密着を確立させることができるように、展開された状態で引っ張ること、または引き戻すことが可能である。
【0082】
挿入可能要素を、畳まれた状態から展開された状態へと、好ましくは傘の形状で、チューブの長手軸から半径方向外側に折り曲げることが可能であり、とくに好ましくは、挿入可能要素の遠位領域の固定点を中心にして折り曲げることが可能である。
【0083】
畳まれた状態の挿入可能要素を、その遠位端から近位端まで横方向プロファイル幅が増加すると考えることができる。
【0084】
畳まれた状態の挿入可能要素の遠位領域は、組織を穿刺および/または切断するための第2の切断装置を備えることができる。
【0085】
第2の切断装置での穿刺による組織の切断面積は、切断装置による組織の切断面積よりも小さいことが好ましい。
【0086】
第2の切断装置を、好ましくは、器具の長手軸に平行な方向の並進運動による穿孔および/または切断に使用することができる。
【0087】
挿入可能要素は、チューブに対して移動可能であり、挿入可能要素が畳まれた状態において第2の切断装置で胃および/または腸の組織を穿刺することを可能にすることができる。
【0088】
さらに、挿入可能要素がその近位端に切断装置を備えることも考えられる。
挿入可能要素による切断が、好ましくは操作要素によって、挿入可能要素を引っ張り、かつ/または回転させることによって機械的に操作可能であることが考えられる。
【0089】
展開された状態の挿入可能要素、展開された状態の対向要素、および切断要素のうちの少なくとも2つからなる組み合わせが、組織を囲む界面を形成するように適合される。例えば、挿入可能要素および対向要素が、切断装置の横方向プロファイルよりも大きい横方向プロファイルを有することができる。
【0090】
対向要素と挿入可能要素とで組織を囲むことによって、組織を、好ましくは、第1の領域および/または第2の領域の一部分において切断することができる。
【0091】
切断装置は、対向要素と挿入可能要素との間に位置することができる。さらに、切断装置は、対向要素の遠位端および/または挿入可能要素の近位端に位置することができる。
【0092】
展開された状態の切断装置の横方向プロファイルは、得られる吻合の直径に本質的に対応することができる。得られる吻合は、好ましくは、幽門の機能を置換するように充分に大きい。したがって、吻合を確立させるための好ましくは円形の切断装置の直径は、好ましくは1cm~6cmである。
【0093】
食物をもっぱら吻合を通って排出することができるように、幽門を好ましくは処置後に縫合またはステープル留めによって閉じることができる。吻合において失われた幽門括約筋などの筋肉を考慮するために、吻合は、好ましくは幽門よりも大きい横方向面積を有する。
【0094】
挿入可能要素、対向要素、および/または切断装置を、取り除かれた組織を保持し、チューブを通って取り除くように設計することができる。
【0095】
挿入可能要素は、好ましくは、展開された状態にあるときに近位方向に切断部を覆うことができる。このために、挿入可能要素は、好ましくは、チューブの長手軸から半径方向外側に折り曲げ可能である。挿入可能要素は、好ましくは、流体が挿入可能要素の入口点を通過することを防止することができる。
【0096】
挿入可能要素は、好ましくは展開された状態において、凹状の湾曲を備えることができる。挿入要素は、好ましくは、組織上の凹状の湾曲によって組織内の入口開口を覆うことができる。
【0097】
操作要素は、折り畳み装置を備えることができる。
挿入可能要素は、好ましくは、ヒンジなどの折り畳み装置によって挿入可能要素の遠位領域の固定点の周りで折り畳み可能である。
【0098】
折り畳み装置を、好ましくは、器具の近位端から操作して、挿入可能要素を展開された状態から畳まれた状態に変換することができる。
【0099】
畳まれた状態の挿入可能要素を、好ましくは、操作要素または内側チューブの内側に配置することができる。
【0100】
器具は、開状態と閉状態との間で変換可能な逆止機構を備える埋め込み可能ステントを備えることができる。閉状態は流体の通過を防止することができ、開状態は流体の横断を可能にすることができる。埋め込み可能ステントは、流体の一方向のみの通過を可能にすることができる逆止弁を備えることができる。
【0101】
消化管の領域において、栄養素の吸収および消化のために多くの運動および拡張が必要である。逆止機構は、敏感な酵素および酸のバランスが、腸から胃への、およびその逆の流体の移動によって悪影響を受ける可能性がないため、好都合である。
【0102】
ステントを、好ましくは吻合開口の近傍に配置することができる。ステントを、吻合開口の内側に少なくとも部分的に配置することができる。ステントは、好ましくは、吻合開口の内側に配置され、胃および/または腸内に突出する。
【0103】
胃と腸との間の漏れを防止するための実施形態において、ステントは、吻合開口を閉じるために流体で満たすこと、および吻合開口を開くために空にすることが可能なバルーンを備えることができる。バルーン用の流体は、好ましくは、空にすることおよび満たすことが可逆的に可能な流体リザーバによって供給される。流体リザーバは、好ましくは胃または腸内に配置される。
【0104】
バルーンを、好ましくは外部装置の制御によって、流体で選択的に満たすことおよび空にすることが可能であると好ましい。
【0105】
逆止弁は、少なくとも1つのシール要素、好ましくはフラップを備えてよい。
逆止弁のシール要素は、好ましくは、腸から胃へと流れる流体の流れの圧力によってシール座に押し込まれ得る。代案の実施形態において、逆止弁は管状ポリマーを含む。
【0106】
管状ポリマーは、好ましくは消化経路の方向に向けて挿入可能である。管状ポリマーは、複数の封止要素を備えることができる。管状ポリマーの封止要素は、好ましくは管状ポリマーの内側横方向プロファイルに沿って位置できる。シール要素は、好ましくは円形および/またはらせん形である。
【0107】
管状ポリマーは、好ましくは流体を一方向にのみ通過させることができる。管状ポリマーは、好ましくは、胃から腸への通過時に流体によって通路を広げることができるように設計される。そうでない場合、通路は好ましくは閉じられる。
【0108】
腸から胃への管状ポリマーの通路を、好ましくは管状ポリマーの半径方向の狭窄によって閉じることができる。管状ポリマーの半径方向の狭窄は、好ましくは、材料、厚さ、長さ、および/または消化経路における配置の選択によって最適化される。管状ポリマーを、好ましくは、腸から胃への流体の通過を阻止するために、しわくちゃにすることができる。
【0109】
管状ポリマーは、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステルポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、および/またはポリアミドを含むことができる。
【0110】
器具は、チューブ内の少なくとも1つの領域に負圧を選択的に印加するための圧力装置、および/または器具の遠位端を組織へと保持するための器具の遠位端の領域内の保持要素を備えることができる。
【0111】
圧力装置は、チューブおよび/または操作要素の遠位端に吸引を生じさせる負圧を加えることができる。
【0112】
とくに、圧力装置は、好ましくは、とくに好ましくは内側チューブの開口において操作要素の空洞内に圧力を加えることができる。
【0113】
器具の遠位端は、圧力装置を介して第1の領域および/または第2の領域の標的組織に取り外し可能に取り付け可能であり得る。
【0114】
器具を取り付けることにより、切断をより正確にすることができ、負傷の恐れが最小限に抑えられる。
【0115】
チューブおよび/または内側チューブは、好ましくは、圧力装置によって変形することがないように半径方向に関して剛的である。
【0116】
保持要素は、好ましくは胃の粘膜および/または腸に付着することができる。
いくつかの実施形態において、チューブは、30cm~100cm、とくには45cm~60cmの長さ、および4mm~20mm、とくには6mm~14mmの直径を有することができる。
【0117】
器具の直径および/または長さは、最小限の侵襲での処置のために患者の口腔から腸の第2の領域まで延びるために少なくとも充分な大きさであることが好ましい。
【0118】
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、器具は、例えば縫合装置および/またはステープル留め装置などの固定装置を備えることができる。固定装置を、好ましくは所定の様相で、とくに好ましくは円形の様相で、第1の領域および第2の領域の外縁部を縫合および/またはステープル留めするように設計することができる。
【0119】
縫合され、かつ/またはステープル留めされた吻合は、消化器における運動を脱離の恐れなくより良好に受け入れることができるため、ステントよりも確実に漏出を防止し得る。固定装置を、第1の領域および/または第2の領域において、組織の表面に隣接して、切断される組織の両側で使用されるように設計することができる。
【0120】
固定装置を、好ましくは、組織の入口開口の後方で近位方向に、あるいは入口開口の前方で遠位方向に配置することができる。固定装置は、挿入可能要素、切断装置、および/または対向要素に接続されて配置可能または接続可能に配置可能であり得る。
【0121】
固定装置は、好ましくは、組織が対向要素および挿入可能要素によってクランプされている間に、縫合および/またはステープル留めを可能にすることができる。
【0122】
固定装置は、チューブの周りに同心円状に配置可能であり得る。
固定装置は、好ましくは、第1の領域の胃壁および第2の領域の腸壁の両方を、両方の領域を穿刺することによって縫合糸またはステープルと接続するように設計される。
【0123】
固定装置は、好ましくは、チューブおよび/または内側チューブを通って挿入可能および排出可能である。
【0124】
固定装置が、外科器具に対して周方向に回転可能であることが考えられる。
固定装置を、畳まれた状態と展開された状態との間で変換可能であり得ると考えることができる。固定装置は、畳まれた状態における第1の横方向プロファイルと比べ、展開された状態においてチューブの長手軸の周りにより大きい第2の横方向プロファイルを有することができる。
【0125】
吻合および/または切断形状および/または固定(例えば、縫合糸またはステープル)のパターンは、円形、または楕円形、あるいは対称または非対称にかかわらない任意の他の閉ループの形態であってよい閉ループ形状を有することができる。
【0126】
いくつかの実施形態において、固定装置は、融合手段を備えることができ、融合手段を、胃の第1の領域および腸の第2の領域の組織の融合を、少なくとも第1の領域および第2の領域の縁部に圧力および加熱、好ましくは高周波加熱を加えることによって生じさせるように設計することができる。
【0127】
融合手段を、胃と腸との間の連絡を開いた状態に保つために半径方向の力を加え、かつ/または保持するように設計することができる。半径方向の力を、バルーンなどの拡大可能要素および/またはスパイクなどの機械的要素によって加えることができる。さらに、融合手段は、好ましくは、囲まれた組織の両側から組織壁に圧力を加えるための手段を備える。
【0128】
融合手段は、好ましくは、融合した組織界面の漏れを防止することができる。
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、装置は第2のチューブを備えることができる。第2のチューブの遠位端が、胃から十二指腸を通って案内可能であり、第1の領域の胃壁および第2の領域の腸壁を横切ってチューブの遠位端と接続可能であり得る。
【0129】
器具は、ガイドワイヤを備えることができ、チューブおよび/または第2のチューブを、第1の領域および/または第2の領域を囲むようにガイドワイヤに沿って前進させることができる。
【0130】
チューブおよび/または第2のチューブを、好ましくは、ガイドワイヤの周りに同心円状に配置することによって、ガイドワイヤに沿って前進させることができる。
【0131】
代案の実施形態として、より低侵襲に第1の領域および第2の領域を貫いて穿刺され得るガイドワイヤが考えられる。ガイドワイヤは、好ましくは1mm未満の直径しか有さない。
【0132】
さらには、課題は、すでに説明したように患者の胃と腸とを内視鏡吻合して、食物が十二指腸および随意により空腸の一部をバイパスすることを可能にするための方法によって解決される。
【0133】
関連の態様において、本発明は、随意により上述の特徴のうちの任意の1つ以上を有する器具を使用する方法であって、
- 器具を胃へと好ましくは食道を通って挿入し、好ましくは負圧を加えることによって、第1の領域において胃壁に取り付けるステップと、
- 胃壁を穿刺および/または切断し、挿入可能要素を胃の外側に、好ましくは挿入可能要素を開き、かつ/または広げることによって展開するステップと、
- 好ましくは切断装置が接続された対向要素を胃の内部において第1の領域へと前進させるステップと、
- 第1の領域の胃壁を挿入可能要素と対向要素との間にクランプし、切断装置で第1の領域の一部分に穴を切断するステップと、
- 好ましくは対向要素と挿入可能要素との間の切断された胃の組織を取り除くステップと、
- 器具を穴を通って前進させ、吻合のための第2の領域を構成するターゲット位置を位置特定するステップと、
- 好ましくは負圧を加えることにより、第2の領域において腸壁の外側に取り付けるステップと、
- 腸壁を穿刺および/または切断して、挿入可能要素を腸の内部に展開し、好ましくは第2の領域において挿入可能要素を開き、かつ/または広げるステップと、
- 挿入可能要素を引っ張って、第1の領域を第2の領域に密着させるステップと、
- 固定装置を備える対向要素を前進させ、対向要素と挿入可能要素との間に第1の領域および第2の領域をクランプするステップと、
- 切断装置で第2の領域の一部分に穴を切断し、固定装置で第1の領域および第2の領域の縁部を互いに固定(随意により、ステープル留め、および/または縫合)するステップと、
- 好ましくは切断された胃および/または腸の組織をチューブを通って取り除くステップと
を含む。
【0134】
この処置の後で、対向要素、固定装置、および/または挿入可能要素を回収することができ、吻合をサイズ、形状、および/または漏れについて検査することができる。
【0135】
好ましい方法においては、もはや食物が幽門を通過できないように、幽門を閉じることができ、例えば縫合および/またはステープル留めで閉じることができる。摂取された食物はすべて、消化管、好ましくは吻合開口を通過しなければならない。
【0136】
最後に、器具を患者の開口部、好ましくは食道から取り出すことができる。
上記の態様のいずれにおいても、ただ1つの開口部を介して器具を体内に挿入することによって吻合を生成するように、器具を構成することができ、あるいは方法を実行することができる。ただ1つの開口部は、例えば口腔などの自然の身体開口部であってよい。処置を独自に内視鏡によって実行し、追加の開口部の必要性を回避することにより、腹腔鏡手術に使用される複数の開口部と比較して、処置をより低侵襲にすることができる。他の実施形態において、器具を他の腹腔鏡ツールと組み合わせて使用してもよい。
【0137】
次に、本発明の実施形態(ただし、これらに限定されるわけではない)を、あくまでも例として、添付の概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図2a】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2b】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2c】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2d】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2e】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2f】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2g】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2h】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2i】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2j】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2k】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2l】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2m】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2n】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2o】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図2p】挿入可能要素を有する器具の内視鏡吻合を示している。
【
図5a】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5b】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5c】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5d】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5e】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5f】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5g】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図5h】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の使用を示している。
【
図6a】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図6b】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図6c】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図6d】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図6e】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図6f】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図6g】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の代案の実施形態を示している。
【
図7a】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図7b】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図7c】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図7d】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図7e】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図7f】対向要素と共に組織を切断する展開された状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図7g】対向要素と共に組織を切断する畳まれた状態の挿入可能要素を有する器具の別の代案の実施形態を示している。
【
図8a】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図8b】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図8c】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図8d】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図8e】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図8f】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図8g】ガイドワイヤを使用する器具の外科的吻合を示している。
【
図9a】加熱および圧力によって組織を融合するためにガイドワイヤ上を進むことができる融合手段を示している。
【
図9b】加熱および圧力によって組織を融合するためにガイドワイヤ上を進むことができる融合手段を示している。
【
図10】胃の体積を減少させるための技術を示す概略の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0139】
図面を参照すると、
図1が、胃201と腸202との間の概略的な吻合301を示している。吻合301は、食物が十二指腸をバイパスし、したがって栄養素の取り込みを減少させることを可能にする。吻合直径は、1cm~6cmの範囲であり得る。
【0140】
図2aが、患者の口腔および食道を介した胃への器具101の挿入を示している。挿入後に、圧力装置(図には示されていない)でチューブ1に負圧を加え、チューブ1の遠位端3における器具101を、第1の領域において胃201の粘膜に取り付けることができる。
【0141】
図2bが、穿刺要素11による胃壁の穿刺を示している。穿刺要素11は、胃壁に穴を穿刺することができ、そのような穿刺を、
図2cに見て取ることができるように、畳まれた状態13の挿入可能要素12の形態の外科器具4を穿刺による開口へと挿入するために充分な横方向プロファイルで行うことができる。挿入可能要素12を、半径方向外側に広げることによって展開された状態14へと変換することができる。挿入可能要素12は、傘の形状の挿入可能要素12の遠位領域の固定点を中心にして半径方向外側に曲がることによって、横方向外側へと広がる。このようにして、挿入可能要素12の横方向プロファイルは、挿入可能要素12を導入した組織の切断部の横方向プロファイルと重なり合う。挿入可能要素12を、
図2dに見られるように、胃壁の外側に展開して、挿入可能要素12を導入するために作られた切断部を覆うことができる。
【0142】
図2eが、切断装置6を第1の領域の操作要素5の遠位端17まで前進させることができることを示している。切断装置6を、操作要素5の回転によって動作させることができるが、並進運動も考えることができる。
【0143】
図2fが、第1の領域の胃壁が、展開された挿入可能要素12および対向要素9によってクランプされることを示している。制御要素で切断装置6を動作させることによって、第1の領域に穴を切断することができる。切断装置6が、挿入可能要素12または対向要素9に取り付けられること、または取り付け可能であることが考えられる。切断装置6が、挿入可能要素12または対向要素9から独立して展開可能であることも考えられる。この実施形態において、切断装置6は、胃201の内面に配置される。
図2gにおいて穴が切断された後に、切断された組織26は、
図2hに見られるように、挿入可能要素12と切断装置6との間にクランプされる。切断された組織26を、畳まれた状態13の挿入可能装置によってチューブ1を通って取り除くことができる。
【0144】
図2iに示されるように、操作要素5を切断された組織を通って前進させ、
図2jに示されるように、腸202の第2の領域のターゲット位置を位置特定することができる。この目的のために、器具101は、随意によりカメラを備えてもよい。
【0145】
操作要素5は、チューブ1の遠位端3に対して、少なくとも胃201の第1の領域から腸202の第2の領域まで移動可能である。
【0146】
第2の領域が位置特定されると、操作要素5は、器具101を第2の領域に取り付け、穿刺要素11でそれを穿刺するために、負圧を加えることができる。
【0147】
図2lにおいて、挿入可能要素12は、畳まれた状態13で、穿刺による切断部を通って腸内に導入される。また、挿入可能要素12が、組織の穿刺と同時に挿入されるように、遠位端に穿刺要素11を備えることも考えられる。
【0148】
図2mにおいて、挿入可能要素12は、展開された状態14に変換される。
操作要素5および展開された状態14の挿入可能要素12を、第1の領域と第2の領域とを密着させるために引っ張り、あるいは引っ込めることができる。展開された状態14の挿入可能要素12は、囲まれた周囲の組織を保護するように機能し、漏れを防止することができる。
【0149】
切断装置6を使用して、挿入可能要素12と対向要素9との間のクランプされた組織を切断することができる。
図2nおよび
図2oが、固定装置15を前進させて、例えばステープルまたは縫合糸による固定など、腸壁および胃壁を固定して吻合301を生成できることを示している。この実施形態において、固定装置15は、操作要素5と同心であり、切断装置6に接続される。しかしながら、固定装置15を、その対向要素9、挿入可能要素12、および/または操作要素5に接続し、あるいは接続可能にすることも考えられる。
【0150】
図2oに見られるように、固定装置15、挿入可能要素12、および切断装置6を、チューブ1を通って回収することが可能である。切断された組織を、畳まれた状態13の挿入可能要素によってチューブ1を通って取り除くことができる。
【0151】
吻合301をサイズ、形状、および漏れについて検査することができ、その結果として、
図2pに見られるように、器具101を取り除くことができる。
【0152】
図3aが、胃201と腸202の空腸との恒久的な吻合301の作成に成功した後に閉鎖することができる幽門27を示している。幽門の閉鎖を、器具101を幽門27の近位開口に取り付け、固定装置(図示せず)を展開することによって実行することができる。
図3bに示されるように、幽門27は、複数の縫合糸および/またはステープル37によって閉じられる。幽門27を埋め込み可能ステントによって閉じることも考えられる。
【0153】
図4aおよび
図4cが、畳まれた状態7の切断装置6の一実施形態を示している。
図4bおよび
図4dは、展開された状態8の切断装置6を示している。切断装置6は、畳まれた状態7と展開された状態8との間で変換可能である可逆的に丸めることができ、あるいはらせん状に丸めることができるブレード要素10を備える。ブレード要素10の変換を、制御要素28の回転によって行うことができる。しかしながら、制御要素28の相対移動による切断装置6の変換も考えられる。展開された状態8のブレード要素10は、
図4bに示されるように、円形の横方向プロファイルを有する。ブレード要素10を、好ましくは、ねじりに関して剛的な制御要素28によって、チューブ1の近位端(
図4a~
図4dには示されていない)から回転させることができる。この実施形態におけるブレード要素10は、単一のセグメントのみからなる。制御要素28は、展開された状態8と畳まれた状態7との間の可逆的変換を制御要素28を使用して実行できるように、ブレード要素10の横方向の遠方領域39に接続される。
【0154】
図4eおよび
図4fは、丸めることが可能なブレード要素10を、完全に広げられた状態で示している。
図4eおよび
図4fに示されるように、切断装置6は、ブレード要素10を展開された状態(8)に係止するための1つ以上の解放可能なラッチ30の形態の保持装置29を備える。ラッチ30は、切断装置6が半径方向に広がることによって所定のサイズに達すると、ラッチ開口41に係止する。
【0155】
図5aが、操作要素5によって組織壁25を貫いて導入される畳まれた状態13の挿入可能要素12の一実施形態の概略図を示している。
図5bに矢印によって示されるように、挿入可能要素12は、より大きな横方向プロファイルを有する展開された状態14に変換することができる。横方向プロファイルは、入口開口31の横方向プロファイルよりも大きい。
図5cにおいて、挿入可能要素12は、展開された状態14にあり、組織壁25の他方の側から組織の保護カバーを形成することができる。組織壁25を、包囲界面40を形成する挿入可能要素12および対向要素9によって把持し、
図5eに概略的に示されるようなプロセスにおいて、切断装置(図示せず)によって切断することができる。
【0156】
切断プロセスに関係する前に組織壁25を把持することによって、切断を、周囲の組織に関して非外傷的に行うことができる。
【0157】
切断装置6を、展開された状態14の挿入可能要素12の近位側に配置することができ、あるいは展開された状態の対向要素9の遠位側に配置することができる(
図5a~
図5hには示されていない)。
【0158】
この実施形態において、固定(例えば、縫合および/またはステープル留め)装置15は、挿入可能要素12上に配置され、展開された状態14で組織壁25の縫合を可能にする。固定装置15を対向要素9の遠位端に配置することも考えられる。
図5fに示されるように、挿入可能要素12および対向要素9は、吻合301を切断および固定(例えば、縫合糸および/またはステープル)するために入口開口31の周りを回転可能であってよい。固定装置15のみが切断された組織壁25の周りを回転可能であることも考えられる。
【0159】
図5gおよび
図5hが、切断および固定の完了後に、挿入可能要素12を畳まれた状態13に変換できることを示している。最後の段階において、挿入可能要素12を、畳まれた状態13で、切断された組織(
図5hには示されていない)と一緒にチューブ1を通って取り出すことができる。
【0160】
図6a~
図6gが、対向要素9と共に組織を切断する畳まれた状態13および展開された状態14の挿入可能要素12の別の実施形態を示している。
図6aは、組織の入口開口31に対応する横方向プロファイルを有する畳まれた状態13の挿入可能要素12を示している。
図6bは、挿入可能要素12の横方向プロファイルが、機械的に半径方向外側に折り返すことによって大きくされることを示している。しかしながら、膨張式および/または回転式の挿入要素12も考えられる。
図6cおよび
図6dは、組織の近位側の対向要素9と組織の遠位側の展開された状態14の挿入可能要素12との間に、組織の囲まれた界面40が形成されることを示している。切り取られた組織を界面40に把持し、チューブ(
図6d~
図6gには示されていない)を通って取り除くことができる。挿入可能要素12および対向要素9は、入口開口31の周りを回転可能であってよい。組織壁25の一部分を切断することができ、界面40の縁部を固定装置15によって固定(例えば、縫合および/またはステープル留め)することができる。
図6e~
図6gは、畳まれた状態13の挿入可能要素12を結果的に取り除くことができることを示している。
図5a~
図5gおよび
図6a~
図6gには明示的に示されていないが、組織壁25は、実際には、胃201の第1の領域および腸202の第2の領域の組織壁を含むことができる。吻合301の形成後に、畳まれた状態13の挿入可能要素12を、操作要素5を引き戻すことによって取り除くことができる。
【0161】
図7a~
図7gが、対向要素9と共に組織を切断する畳まれた状態13および展開された状態14の挿入可能要素12を有する器具の別の実施形態を示している。
図7a~
図7gは、
図5a~
図5hおよび/または
図6a~
図6gにおおむね類似しており、同じ説明がそれぞれ当てはまる。
図7aに示されるように、対向要素9を、操作要素5に対して同心円状に配置することができる。
図7bが、畳まれた状態13の挿入可能要素12の遠位領域が、入口開口31に挿入可能な穿刺要素11を備えることを示している。操作要素5が、挿入可能要素12を展開された状態14に回転させることを可能にする挿入可能要素12への接続手段33を備える。展開された状態14において、挿入可能要素12の横方向プロファイルは、畳まれた状態13に対して大きくなる。挿入可能要素12は、組織表面の表面状態に適応するように自由に回転することができるが、固定角度の回転も考えられる。
【0162】
図7c~
図7fは、展開された状態14の挿入可能要素12と対向要素9との間に組織壁25を囲むために、接続手段33を対向要素9に対して移動させることができることを示している。
【0163】
対向要素9および挿入可能要素12は、入口開口31の周りで同心円状に組織を囲むように設計されている。
【0164】
切断装置は、囲まれた第1の領域および/または第2の領域の組織壁25の一部分を切断することができる(図示せず)。
【0165】
切断された組織26を、挿入可能要素12と操作要素5との間に把持し、チューブを通って取り除くことができる。
【0166】
図8a~
図8gが、ガイドワイヤ24を使用する器具101の外科的吻合301を示している。器具101は、胃201へと挿入することができる2つのガイドワイヤ24を備える。
図8bは、一方のガイドワイヤ24を胃201の第1の領域に挿入できることを示している。他方のガイドワイヤ24を、幽門27および十二指腸を通って腸202の内部の第2の領域へと挿入することができる。
図8cが、2つのガイドワイヤ24の遠位端を胃201および腸202の組織壁を横切って接続できることを示している。
図8dおよび
図8eは、チューブ1および第2のチューブ21をガイドワイヤ24に沿って前進させることができることを示している。
【0167】
図8eは、第2のチューブの遠位端22およびチューブ1の遠位端3を、第1の領域および第2の領域を横切って胃201および腸202の組織壁を横切って接続できることをさらに示している。
図8fは、吻合301を首尾よく形成した後に器具101を取り除くことができることを示している。
【0168】
図8gは、
図9aおよび
図9bに示される融合手段20をガイドワイヤ24に沿って前進させることができることを示している。融合手段20は、第1の領域と第2の領域との密着を確立するように設計される。密着を確立するために、融合手段20は、展開可能なバルーン34を備えることができる。しかしながら、展開可能なフランジ35(
図9aおよび
図9bに示される)を有する融合手段20も考えられる。融合手段20を、チューブ1または第2のチューブ21をガイドワイヤ24に沿って案内することによって、第1の領域の切断領域と第2の領域との間に配置することができる。
【0169】
融合手段20は、圧縮力および加熱を加えることによって組織の融合を引き起こすように設計される。
【0170】
図9aが、フランジ35が閉じた状態の融合手段20を示し、
図9bが、フランジ35が開いた状態の融合手段20を示している。
図9aおよび
図9bの実施形態において、組織をフランジ35によってクランプし、高周波加熱によって加熱することができる。しかしながら、他の加熱手段も考えることができる。融合手段20の遠位端38は、組織縁部を融合させることによって吻合301を形成するために、第1の領域および第2の領域の領域により容易に挿入できるように円錐形である。吻合301の横方向プロファイルは、フランジ35間の領域における融合手段20の横方向の幅36によって決定される。融合手段20を用いる吻合301は、胃201と腸202との間の恒久的な連絡を確立させることができる。処置後に、融合手段20を回収することができ、恒久的なインプラント、縫合糸、および/またはステープルは必要とされない。
【0171】
図10および
図11は、形成された吻合(
図10には明示的には示されていない)を補完するための随意による技術を示している。この技術は、胃壁に1つ以上のプリーツ82(または、人工的なひだ)を生成することによって胃の自然容積を減少させるために、少なくとも1つの組織貫通固定具80を適用することを含む。図示の例において、固定具80は、T字形の肢端部を備え、随意によりU字形の輪郭を有するステープルである。固定具を、例えば、内視鏡技術または腹腔鏡技術によって配置することができる。随意により、固定具は、吻合を形成するために使用される器具と同じ器具を使用して配置されてもよく、あるいは異なる器具が使用されてもよい。
【0172】
1つ以上のプリーツ82は、おおむね(i)胃の上部から下部へ、および/または(ii)食道から幽門への方向に延びてよい。そのようなプリーツ82は、胃内におおむねスリーブ形状の空洞または通路を形成することができる。
【0173】
以上の説明が、単に本発明の例示的な実施例の非限定的な説明にすぎず、保護の範囲を限定するものではないことが理解されよう。本明細書に記載され、かつ/または図面に示されたあらゆる新規な特徴および/または着想について、それらに重点が置かれているか否かにかかわらず、保護が主張される。
【国際調査報告】