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特表2024-512083温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクを製造するための方法および装置
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  • 特表-温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクを製造するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20240311BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A47J31/44 410
B67D1/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559144
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2022055022
(87)【国際公開番号】W WO2022207207
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21165867.9
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517452338
【氏名又は名称】カップ・ウント・チーノ カッフェーシステム-フェアトリーブ ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディット ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CUP&CINO Kaffeesystem-Vertrieb GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Paderborner Strasse 33,33161 Hovelhof,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エピング,フランク,ヨーゼフ,パウル
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD20
3E082EE01
3E082FF09
4B104AA27
4B104BA20
4B104BA23
4B104BA75
(57)【要約】
冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法であって、泡立てられるミルクを貯蔵するための少なくとも1つの容器(10)を提供する工程と、流体および流体ライン(22)を提供する工程と、少なくとも1つの容器(10)とポンプ(16)との間のミルク吸引ライン(14)と、ポンプ(16)と少なくとも1つの出口(32)との間の出口ライン(30)とを含むラインシステム(12)を通じて、予め決定可能な量の泡立てられるミルクを、ポンプ(16)により供給する工程と、ポンプ(16)の上流でミルク/空気混合物を生成するために、空気供給ライン(24)に配置可能なエアフロ―調整器(26)を介して、ミルク吸引ライン(14)に空気を潜在的に供給する工程と、ミルク/空気混合物またはミルクを、フローヒーターとして設計され、出口ライン(30)に配置され、厚膜加熱エレメント(40)の形式である、加熱エレメント(39)を通じて、ミルク/空気混合物またはミルクを搬送する工程と、絞り装置(50)により、ミルク/空気混合物からミルクフォームを生成する工程と、少なくとも1つの出口(32)で、ミルクフォームまたはミルクを吐出する工程とを有する。当該方法に従い、厚膜加熱エレメント(40)は、予め決定可能な温度まで恒久的に加熱され、ミルクフォームまたはミルクの吐出後に毎回、流体が、少なくとも部分的にラインシステム(12)に適用される。本発明は、上述した方法に従って冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置にも関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法であって、
泡立てられるミルクを貯蔵するための少なくとも1つの容器(10)を提供する工程と、
流体および流体ライン(22)を提供する工程と、
少なくとも1つの容器(10)とポンプ(16)との間のミルク吸引ライン(14)と、前記ポンプ(16)と少なくとも1つの出口(32)との間の出口ライン(30)とを含むラインシステム(12)を通じて、予め決定可能な量の泡立てられるミルクを、前記ポンプ(16)により供給する工程と、
前記ポンプ(16)の上流でミルク/空気混合物を生成するために、空気供給ライン(24)に配置可能なエアフロ―調整器(26)を介して、前記ミルク吸引ライン(14)に空気を潜在的に供給する工程と、
ミルク/空気混合物またはミルクを、フローヒーターとして設計され、前記出口ライン(30)に配置され、厚膜加熱エレメント(40)の形式である、加熱エレメント(39)を通じて、ミルク/空気混合物または前記ミルクを搬送する工程と、
絞り装置(50)により、前記ミルク/空気混合物からミルクフォームを生成する工程と、
前記少なくとも1つの出口(32)で、前記ミルクフォームまたはミルクを吐出する工程と
を備え、
前記厚膜加熱エレメント(40)は、予め決定可能な温度まで恒久的に加熱され、前記ミルクフォームまたは前記ミルクの吐出後に毎回、流体が、少なくとも部分的に前記ラインシステム(12)に適用されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
ミルクフォームまたはミルクが前記出口(32)で吐出される前に、前記流体がマニホールド弁(33)を介して前記ラインシステム(12)から搬送されることを特徴とする、請求項1に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項3】
前記流体が水であることを特徴とする、請求項1または2に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項4】
前記厚膜加熱エレメント(40)が、60℃から70℃の間の温度で恒久的に加熱されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項5】
ホットミルクフォームおよび/またはミルクを製造するために、前記厚膜加熱エレメント(40)の前記温度は約4℃~7℃だけ上昇される、ことを特徴とする、請求項4に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項6】
冷たいミルクフォームおよび/または冷たいミルクを製造するために、前記ラインシステム(12)および前記厚膜加熱エレメント(40)が流体でリンスされ、前記厚膜加熱エレメント(40)が10秒を超える時間中に、そこを流れる前記流体によって7℃以下の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項7】
前記供給可能な流体が7℃以下の温度を有することを特徴とする、請求項6に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項8】
前記供給可能な流体が、相変化材料を有する潜熱蓄熱器として設計された冷却ユニット(60)によって7℃以下の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項7に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項9】
制御ユニットが、ユーザーによって生成された指示に従って前記方法を制御することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造する方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法に従って、冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置(1)であって、
泡立てられるミルクが貯蔵される少なくとも1つの容器(10)と、
ポンプ(16)と、
ラインシステム(12)であって、
ミルク吸引ライン(14)であって、それを介して少なくとも1つの容器(10)が前記ポンプ(16)に接続可能である、ミルク吸引ライン(14)と、
出口ライン(30)であって、それを介して前記ポンプ(16)が少なくとも1つの出口(32)に接続される、出口ライン(30)と、
を有するラインシステム(12)と、
流体ライン(22)であって、それを介して流体が前記ラインシステム(12)に適用可能である、流体ライン(22)と、
エアフロ―調整器(26)であって、それによって、空気が、空気供給ライン(24)を介して入口ポイント(25)でミルク吸入ライン(14)内へ計量されて搬送される、エアフロ―調整器(26)と、
前記出口ライン(30)に配置され、厚膜加熱エレメント(40)として設計された、フローヒーターとして設計された加熱エレメント(39)と、
前記出口ライン(30)において前記ポンプ(16)の下流側に配置可能な絞り装置(50)と
を備える装置。
【請求項11】
前記厚膜加熱エレメント(40)が、サポートに取り付けられた電気抵抗器と、前記加熱エレメント(39)と接触する流体流路とを有することを特徴とする、請求項10に記載の、冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置(1)。
【請求項12】
前記装置(1)が、少なくとも部分的に冷却装置(2)内に配置され得ることを特徴とする、請求項10または11に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを製造するための装置(1)。
【請求項13】
前記ミルクおよび/または流体を7℃以下の温度に冷却するように配置された、相変化材料を有する潜熱蓄熱器が設けられることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置(1)。
【請求項14】
前記ラインシステム内の媒体のコンダクタンスを決定するためのコンダクタンスセンサ(18)が設けられることを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置(1)。
【請求項15】
前記出口ライン(30)にマニホールド弁(33)が設けられており、それが出口ライン(30)を、前記流体を排出するためのドレイン(35)、前記流体を前記回路中に導入するための回路ライン、またはミルクフォームもしくはミルクが吐出される少なくとも1つの出口(32)に選択的に接続することを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置(1)。
【請求項16】
第1の逆流防止弁(27)および第2の逆流防止弁(28)が、前記空気供給ライン(24)内で垂直方向に、かつ、流れがそれを上から下へ通過できるように配置されており、これらは、直接閉鎖する逆流防止弁として設計されており、流体はバルブR2を介して、前記第1の逆流防止弁(27)および前記第2の逆流防止弁(28)の間の前記空気供給ライン(24)に導入される、ことを特徴とする請求項10から15のいずれか一項に記載の冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクを製造するための方法および装置に関し、具体的には、冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームまたはミルクを選択的に製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷たい、温かい、またはホットなミルク及び/又はミルクフォームを選択的に製造するための方法及び装置が、特に飲料メーカー、例えばコーヒーマシンと組み合わせて知られている。選択された飲料及び/又はコーヒースペシャリティ、例えばカプチーノ、ラテマキアート、カフェラテ、チョコレート又はチャイに応じて、供給されるべきミルク及び/又はミルクフォームの量だけでなくその温度も異なる。ミルクフォームを製造するために、ミルクは一般的に、ポンプによって容器から吸い上げられ、出口までの流路の間に供給される空気またはガスと混合され、その後、ミルク/空気混合物として加熱エレメントで決定可能な温度まで温められ、フォームに加工される。保存性と衛生上の理由から、ミルクは涼しい場所、特に3℃~7℃で保存される。ミルクまたはミルクフォームが温度制御され、場合によっては製造される加熱エレメントは、フローヒーターとすることができ、さまざまなタイプが適している。
【0003】
一般に、ミルクフォームを作るにはさまざまな方法がある。例えば、空気、ガス、あるいは高温の蒸気をフォームユニット内でミルクと混合し、発生する乱流によってミルクを泡立たせ、多かれ少なかれ安定したフォームを形成することができる。泡立ては、機械的な攪拌や絞り装置によっても行うことができる。
【0004】
既知の方法および装置では、ミルクおよびミルク/空気混合物またはミルクフォームの選択された温度に応じて、異なる流路がしばしば並行して設けられる。冷たいミルクは第1の流路を経由して出口に搬送され、温かいミルクは、特に連続フロー加熱エレメントが配置された第2の流路を経由して搬送される。しかし、このような並列流路は、複雑なラインシステムと多数の切替可能な部品を意味するだけでなく、汚染や細菌の繁殖、洗浄の点でも問題となる。
【0005】
ミルクラインが1本しかない既知のシステムでは、セットするミルク、ミルクと空気の混合物、またはミルクフォームの温度に関係なく、常に加熱エレメントを通過させなければならない。このようなシステムの欠点は、ホットミルクまたはホットなミルクフォームが吐出された直後に冷たいミルクまたは冷たいミルクフォームが与えられる場合、加熱エレメントがオフに切替えられても、冷たいミルクまたは冷たいミルクフォームが加熱エレメントの余熱によって加熱されることである。従って、スイッチオフされたエアフロー加熱エレメントは、冷たいミルクまたはリンス液が流れ込むことによって少なくとも部分的に冷却され、場合によっては洗浄されることが知られている。
【0006】
国際公開2017/155403号には、比較的短時間に連続して提供することができる、ホットまたは冷たいミルクフォームの製造のための装置が記載されている。ここでは、フロースルー加熱ユニットが、アクティブ状態と非アクティブ状態とで切替可能であるよう与えられる。フロースルー加熱ユニットは、熱質量が小さい厚膜加熱エレメントとして設計されている。厚膜加熱エレメントは、厚膜加熱エレメントをオンまたはオフに切替えた直後の熱慣性を考慮するために、その熱挙動に関して正確に画定される。特に、スイッチオフ直後の熱挙動が画定される。すなわち、加熱ユニットをオンにして温かいまたはホットなミルクフォームを製造した直後に冷たいまたはわずかに加熱されただけのミルクフォームを提供するために加熱ユニットをオフにする場合である。このようにして、厚膜加熱エレメントは、泡立てられた状態で温度が約7℃未満の約40~60mlの少量のミルクが、10秒未満の非アクティブ状態のフロースルー加熱ユニットを流れるときに、密閉されたミルクラインの流体入口で20℃未満の温度に加熱されるように設定される。従って、最初の抽出時には、温度が10℃未満、特に7℃未満であるべきであるため、実際には冷たい飲料を提供することはできない。しかし、飲料を作るために60mlから80mlの多量のミルクが必要であっても、通常、最初の抽出は温かすぎ、冷たい飲料は2回目の抽出でしか提供できない。従って、ソフトドリンクと冷たいドリンクとの間の変更は、しばしば、冷たいミルクで広くすすぐことでしか達成できず、これは、システムを不採算にし、ミルクスキンの形成に関して問題がある。
【0007】
一般に、厚膜加熱エレメントとして設計されたフロースルー加熱ユニットのスイッチを入れると、加熱ユニットが最初に加熱され、その後、一定の遅れで密閉された流体流路内も所望の温度に達する。この温度は、流体流路内を流れるミルクフォームの加熱にとって決定的なものである。厚膜加熱エレメントの熱質量が小さく、加熱プロファイルが急峻であっても、ミルクフォームの加熱は平坦な加熱曲線に従う。いわゆるオーバーシュート流体システムの場合、加熱段階で局所的な過熱が発生する可能性があり、これは食品および過熱時に流体流路内に形成される堆積物にとって様々な点で有害である。
【0008】
温度制御されたミルクフォーム製造用の厚膜加熱エレメントとして設計されたフロースルー加熱ユニットは既に知られている。厚膜加熱エレメントは一般に、誘電体コーティング、例えばガラスセラミック層で覆われたキャリア基板、例えば金属エレメントからなる層状複合体であり、一方では絶縁体として機能し、他方ではアクティブ状態で熱を発生する導電性材料からなる導体トラックを担持している。発生した熱は、厚膜加熱エレメント上に形成された、例えば蛇行状または螺旋状の流体流路内を流れる流体に伝達することができる。特に、厚膜加熱エレメントのサイズ、形状および/または電気特性は、それぞれの作業または使用場所に適合させることができる。さらに、温度センサやその他の機能を組み込むことも可能である。厚膜加熱エレメントは、急峻な温度プロファイルまたは加熱プロファイルによって特徴付けられ、したがって非常に高速で短い応答動作によって特徴付けられ、厚膜加熱エレメントは何よりもスタンバイモードでは使用されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
周知の方法および装置とは対照的に、本発明によれば、冷たい、温かい、またはホットなミルクまたはミルクフォームの製造が、簡単な一連の工程および簡単な構造の装置で、すなわち、並列流路およびコンポーネントの複雑な切替え無く、また、加熱ユニットのオンまたはオフを選択的に切替えることによる遅延も無く、達成可能である。
【0010】
課題の解決は、独立項の特徴を通じて達成される。本発明の有利なさらなる発展的実施形態が、従属項および図に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従い、冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための方法が与えられ、当該方法は、
泡立てられるミルクを貯蔵するための少なくとも1つの容器を提供する工程と、
流体と流体ラインを提供する工程と、
少なくとも1つの容器とポンプとの間のミルク吸引ラインと、ポンプと少なくとも1つの出口との間の単一出口ラインとからなるラインシステムを通じて、ポンプにより、泡立てられるミルクの予め決定可能な量を供給する工程と、
ポンプ上流でミルクと空気の混合物を作るために、エアフロ―調整器を介してミルク吸引ラインに空気を供給する工程と、
出口ラインに配置され、厚膜加熱エレメントの形式のフローヒーターとして設計された加熱エレメントを通じて、ミルクと空気混合物またはミルクを供給する工程と、
少なくとも1つの出口でミルクフォームまたはミルクを吐出する工程とを有する。
【0012】
当該方法は、厚膜加熱エレメントが予め決定可能な温度まで恒久的に加熱され、ミルクフォームまたはミルクそれぞれの吐出後に、流体が少なくとも部分的にラインシステムに適用されるという事実によって特徴づけられる。特に、冷却エリアの外側にあるシステムに流体が適用される。水、特に濾過水が流体として適している。
【0013】
驚くべきことに、ポンプの下流に単一の流路、すなわち単純なラインシステムのみによって冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームを選択的に製造する既知の方法とは対照的に、厚膜加熱エレメントとして設計されたフローヒーターのスタンバイモードが非常に有利であることが示された。これは、厚膜加熱エレメントとして設計されたフローヒーターの従来の運転モードとは対照的である。これらは、アクティブ状態と非アクティブ状態を切替る際すなわちスタンバイモードでの応答時間の遅延および長引くことを避けるよう設計されている。スタンバイモードとは、温度制御されたミルクフォームまたはミルクを製造する装置が作動しているとき、厚膜加熱エレメントがあらかじめ決定された温度で恒久的に温度制御されていることを意味する。
【0014】
スタンバイモード、すなわち切替可能な加熱ユニットのアクティブ状態において、加熱段階が著しく短く、スイッチオフされ冷却された加熱ユニットの場合よりも、さらに温度上昇する場合に信頼性がより高いことは有利である。さらに、流体流路の温度設定における時間遅延は、ほとんど回避できる。熱質量が小さく、非常に急峻な加熱プロファイルを持つ厚膜加熱エレメントとして設計された加熱ユニットの場合でも、加熱段階は短縮されるが、それでも流れる流体が所望の温度に加熱されるまでには一定の時間がかかる。これは、ミルクやミルクフォームを少量しか加熱しない場合に特に不利である。ある種のスペシャルティコーヒーでは、温度制御されたミルクやミルクフォームが少量しか必要とされないため、加熱が遅れて少量のミルクやミルクフォームの必要温度に達しない。約80mlのミルクフォームを有する小さなカプチーノや、さらに少量のミルクフォームを有するいわゆるコルタードは、このため最終的に冷たすぎる可能性がある。ミルクおよび/またはミルクフォームを加熱するために使用される加熱装置の応答時間が遅くかつより長いことは、少量のミルクフォームまたはミルクを加熱する場合に特に不利である。
【0015】
本方法の一実施形態によれば、流体、好ましくは水が、この目的のために設けられた少なくとも1つの出口でミルクフォームおよび/またはミルクが吐出される前にのみ、マニホールド弁を介してラインシステムから排出されることが提供される。従って、ラインシステム、特に厚膜加熱エレメントとして設計された加熱エレメントは、2回のミルクフォームおよび/またはミルクの吐出の間に流体に曝される。このことは、後で説明するように、多くの点で有利であることが分かる。
【0016】
本発明によれば、厚膜加熱エレメントは恒久的にアクティブ状態のままであるため、必要に応じてスイッチを入れたり切ったりすることはない。好ましくは、厚膜加熱エレメントは60℃から70℃の間の温度に加熱される。これは、厚膜加熱エレメントに設けられた流体流路も恒久的に対応する高温であることを意味する。
【0017】
ホットミルクフォームまたはホットミルクを製造するために、厚膜加熱エレメントの温度をさらに上げる必要がある場合、比較的小さな温度差だけ上げればよい。この温度差は、例えば約4℃から7℃である。好適実施形態に従うこの小さな温度差は、迅速かつ安全に克服することができる。加熱ユニットの制御におけるオーバーシュート、ひいては厚膜加熱エレメントの温度に起因する局所的な過熱は、克服すべき小さな温度差によって回避することができる。
【0018】
本発明によれば、温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクを製造するために、特に3℃~7℃の温度の冷却ミルクを、ポンプによってミルク吸引ラインを介してラインシステムを通じて搬送可能である。分配点または出口におけるミルクフォームおよび/またはミルクの温度を約64℃~68℃にするためには、分配点までの流路におけるミルクフォームおよび/またはミルクの冷却も考慮しなければならないが、加熱エレメントの温度は約70℃~75℃であるべきである。
【0019】
これまでは、厚膜加熱エレメントの形式の加熱エレメントを、ミルクフォームまたはミルクの温度を制御するために、非アクティブ状態またはスイッチオフ状態からアクティブ状態またはスイッチオン状態に切替えなければならないシステムが知られており、これにより加熱エレメントは、低温から始まる加熱プロファイルに従って加熱される。この加熱段階中に、局部的な過熱が発生することがある。これは周知の加熱装置で観察され、入力変数の急激な変化の後、出力変数が最初に設定値を超え、その時だけ始まりの出力変数の所望の値を超える。厚膜加熱エレメントがスイッチオンされて加熱されると、温度が実際の設定温度よりわずかに上昇することがあり、それにより局所的な過熱が生じることがある。この過熱は加熱されるミルクフォームやミルクに悪影響を及ぼし、特にミルクタンパク質の対応する変性を引き起こし、その結果、沈殿物が発生する。
【0020】
ひとつの実施形態によれば、ミルクフォームおよび/またはミルクの吐出後に毎回、流体、例えば水道水をラインシステムに適用することにより、特にミルク吸引ラインに供給される流体の温度に応じて、ラインシステムおよびその上に配置されたコンポーネントの少なくともセクションを冷却または加熱することができる。しかし、供給される流体の温度とは無関係に、加熱エレメントによって伝達される熱によって加熱されるため、ラインシステムの少なくともセクション、特に出口ラインと少なくとも1つの出口自体も加熱される。加熱されたライン部分およびその上に配置されたコンポーネントは、大きく冷却することなく少なくとも1つの出口で、加熱エレメントで加熱されたミルクフォームまたは加熱されたミルクを供給することができるため、非常に有利であることが証明された。
【0021】
一方、冷たいミルクフォームまたは冷たいミルクが、例えばユーザーによって要求される場合、本発明のひとつの実施形態に従う方法は、ラインシステムおよび厚膜加熱エレメントの形式で設計された加熱エレメントが流体で洗い流され、厚膜加熱エレメントが流れる流体によって10秒を超える期間で冷却装置内の冷却温度に好ましくは対応する温度、すなわち7℃以下の温度まで冷却されるようにする。特に、流路およびその上に配置されたエレメント中の加熱を大いに補償するために、温度4℃以下まで流体を冷却することを目的とすることができる。一実施形態では、流体として水が使用され、これは例えば自治体の供給ネットワークによって供給され得る。いわゆる水道水は、環境や季節によって温度が異なることに留意すべきであり、これは、水入口温度として言及される。季節によっては、水道水の温度は10℃から25℃の間である。
【0022】
好ましい実施形態では、流体、例えば供給ネットワークを介して供給される水道水は、冷却ユニットによって冷却することができる。冷却装置で冷却され貯蔵されたミルクの温度は、設定される冷却温度のオリエンテーションとして機能することができる。ミルクまたは装置の一部の冷却は、流体も7℃以下に冷却するように設計することができる。あるいは、流体は、例えば流体ラインに取り付けられる別の冷却ユニットで冷却することもできる。従って、最初の冷たい飲料が、実際には所望の温度よりも高い温度になることを避けることができる。冷却された流体は、例えば、供給流体ラインに配置された冷却ユニットを介して冷却することができるので、例えば、流体ライン自体の流体が既に高い周囲温度で加熱されていても、ラインシステムを冷たい流体ですすぐことが可能である。流体の効率的な温度制御の可能性の一つは、相変化材料(PCM)を使用した潜熱蓄熱器の使用である。これは公知であり、様々な形態で使用することができる。相変化材料は、蓄熱や蓄冷、温度ピークの抑制に使用できる。相変化材料は高い貯蔵容積を持つため、相変化時に貯蔵される潜熱エネルギーを熱管理に利用することができる。PCM技術は、例えば固相から液相への相転移の際、両方の凝集状態が同時に存在する限り温度が一定に保たれるという効果を利用する。潜在的に蓄積されたエネルギーは、逆のプロセスで再び利用できる。PCM、特に材料の溶融温度は、使用条件に応じて選択することができる。例えば、水性塩溶液は冷却作業に適しており、これにより相変化材料は密閉容器内で、マトリックスおよび/または担体構造へ結合して、および/またはマイクロカプセル化して使用することができる。
【0023】
したがって、PCM技術を使用することで、流体または水道水のさらなる冷却を達成することができる。厚膜加熱エレメントとして設計された加熱エレメントは、水道水の温度、すなわち10℃から25℃の温度まで冷却することができるだけでなく、スイッチオン状態で、出口におけるミルクおよび/またはミルクフォームの温度が7℃未満に、より迅速に到達するような方法で冷却することもできる。冷却の対応する設計により、4℃から7℃の範囲の温度、特に4℃以下の温度を実現することができる。
【0024】
適用とすすぎに使用する流体または水道水も冷却するために、貯蔵されたミルクの冷却にPCM技術を使用することは、特に有利である。
【0025】
流体によるラインシステムのフラッシングは、出口ラインに配置され、かつ、好ましくはマニホールド弁として設計されたバルブ装置の1つの位置で生じ、ラインシステムから流体を排出することができる。マニホールド弁の別の位置では、流体を回路中に導入することができる。マニホールド弁は、制御ユニットによって切替えることができ、それによって制御ユニットは、さらなるコンポーネントを制御することができる。制御ユニットは、ユーザーからの指示に応じて、温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクを製造するためのプロセスを制御するように設計することができる。
【0026】
本発明によれば、本発明の方法に従う、冷たい、温かい、およびホットなミルクフォームおよび/またはミルクを製造するための装置が提案される。当該装置は、泡立てられるべきミルクが貯蔵される少なくとも1つの容器と、ポンプと、少なくとも1つの容器がそれを介してポンプに接続可能なミルク吸引ラインと、ポンプがそれを介して少なくとも1つの出口に接続可能な単一の出口ラインとからなるラインシステムとを備える。さらに、それを介してラインシステムに流体を供給できる流体ラインも設けられている。また、エアフロ―調整器も含まれており、このエアフロ―調整器によって、空気を入口点の空気供給ラインを介してミルク吸入ラインに計量して供給することができ、フローヒーターとして設計された加熱エレメントが出口ラインに配置され、厚膜加熱エレメントとして設計された、スロットル装置がポンプの下流側の出口ラインに配置されうる。
【0027】
ミルク/空気混合物からミルクフォームを製造するために、絞り装置を、ポンプの下流側、好ましくは厚膜加熱エレメントとして設計された加熱エレメントの下流側の出口ラインに配置することができる。絞り装置は、固定または調整可能なノズルまたはオリフィスとして設計することができ、特に、流れの断面積の調整可能な狭窄部からなる。絞り装置は、厚膜加熱エレメントとして設計された加熱エレメントにおいて有利に作用する逆圧を生成するように設定される。生成された逆圧は、温度上昇に伴って生じるミルクと空気の混合物中の気泡の膨張に対抗する。これにより、ミルクフォームの品質と安定性を低下させるだけでなく、空気は熱伝導率が低いため熱伝導にも悪影響を及ぼす、大きな気泡の生成が防止される。
【0028】
当該装置の一実施形態において、厚膜加熱エレメントの形式の加熱エレメントは、キャリアに搭載された電気抵抗器と、加熱エレメントと接触する流体流路とを有する。
【0029】
有利なことに、当該装置は少なくとも部分的に冷却装置内に配置することができる。
【0030】
さらに、当該装置はコンダクタンスセンサを含むことができ、このセンサはラインシステム内の媒体のコンダクタンスを決定するように設置される。コンダクタンス値は、特にミルク、ミルクと空気の混合物、流体、または空気のうち、どの媒体が関係しているかを判断するために使用することができる。
【0031】
一実施形態によれば、排出ラインにマニホールド弁が設けられ、このマニホールド弁は、選択的に、排出ラインを、流体を排出するための排出口、ラインシステムを通じて流体を循環させるための回路ライン、またはミルクフォームおよび/またはミルクが分配される少なくとも1つの出口に接続する。少なくとも1つの出口は、出口ノズルとして設計されてよい。マニホールド弁と少なくとも1つの出口との間のラインセクションは、例えば約2~3mlの小さな充填量しか有さないような寸法にすることができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、空気供給ラインに第1の逆流防止弁と第2の逆流防止弁がさらに与えられる。第1の逆流防止弁と第2の逆流防止弁との間で、第1の弁R1を介して流体が空気供給ラインに供給されうる。従って、制御部によって調整可能な第1バルブR1は、空気供給ラインへの流路において流体ラインに設けられる。第1の逆流防止弁と第2の逆流防止弁は、好ましくは、互いに独立して切替可能である。
【0033】
好ましくは、第一逆流防止弁と第二逆流防止弁は直閉式逆流防止弁として設計され、空気供給ラインに垂直方向に配置することができ、流れが上から下へ通過することができる。直閉式逆流防止弁は一般に、媒体によって、および/または重力によって、そのシートに押圧される閉鎖エレメントから構成される。閉鎖処理時の遅れおよび振動が低減されうる。従って、空気供給ラインにおける第一の逆流防止弁および第二の逆流防止弁の垂直配向により、空気供給ライン内に配置されたエアフロ―調整器によって、空気量の正確なドーズ量を達成することができる。この構成により、供給された流体は、必要に応じて、空気供給ラインの少なくとも一部を洗い流すためにも使用することができ、これは正確な空気量の計量に関して有利である。
【0034】
代替的または追加的に、ミルクまたはミルクと空気の混合物またはミルクフォームを運ぶラインシステムのセクションを、流体で大きく適用または洗い流すために、流体が流体ラインを介してミルク吸引ラインに供給されるように提供されてよい。制御装置によって調整可能な第二のバルブR2が流体ラインに設けられ、ミルク吸引ラインへの流体の導入を制御する。
【0035】
特に、流体は水であり、水道管を介して供給することができる。周囲温度と季節によって、水道管内に導入される水はすでに高い温度を有しうるので、例えば夏期には20℃以上の水が最初に水道管から引かれる。本発明の一実施形態では、冷却ユニットを設けることができ、それによって流体を低温、特に7℃以下の温度に冷却することができる。
【0036】
冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための本発明に従う方法および装置によって、厚膜加熱エレメントの形式の加熱エレメントは、少なくともそれに接続された飲料メーカーも作動しているときに、常にアクティブ状態に維持されることができる。ラインシステムと厚膜加熱エレメントの形式のフローヒーターは、2回のミルクまたはミルクフォームの分配の間に流体に曝されるため、厚膜加熱エレメントは常にスタンバイモードで高温に保たれ、必要に応じて厚膜加熱エレメントの短い加熱フェーズまたは冷却フェーズのみが考慮されればよい。
【0037】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを選択的に製造するための本発明に従う装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示す本発明による装置1の概略的な実施形態は、冷たい、温かい、またはホットなミルクフォームおよび/またはミルクを製造するように設計されている。泡立てられるミルクまたは泡立てられる他の液体は、好ましくは冷却装置2内に設けられる容器10内に貯蔵される。好ましくは、冷却装置2は、装置1を少なくとも部分的にその中に収容できるように設計することができる。今日、様々な種類のミルクが入手可能であるため、複数の貯蔵容器10を設けることができ、それぞれの容器に1種類のミルクを貯蔵することができる。対応して設けられた遮断弁11が流路を開くと、少なくとも1つの容器10からミルクを吸引するために、ラインシステム12に含まれるミルク吸引ライン14が、少なくとも1つの容器10からポンプ16の吸引側に通じている。
【0040】
図示の実施形態では、コンダクタンスセンサ18がミルク吸引ライン14に配置されており、それはコンダクタンスを測定することにより、ミルク吸引ライン14内に搬送される媒体の種類、すなわちミルク、流体、水、すすぎ液、または空気のいずれであるかを判定するように設定されている。
【0041】
さらに、ミルク吸引ライン14にはバルブ20が配置されており、それはミルク吸引ライン14をポンプ16の吸引側方向に開き、逆流防止弁として設計されている。
【0042】
バルブ20の上流側では、流体ライン22がミルク吸引ライン14に開口しており、これを介して流体を供給することができる。特に、流体は水であり、好ましくはラインシステム12に一定温度で適用される。適用によってまたは適用とは、充填および保持すること、すすぐことの両方を意味する。流体ライン22によってミルク吸引ライン14に導入することができ、第2のバルブR2によって遮断することができる流体は、好ましくは、ミルクおよび/またはミルクフォームの2回の分配の間に、制御ユニット(図示せず)によって調整された方法で装置1に導入することができ、特に、ミルクフォームおよび/またはミルクの新たな分配が要求されるまでそこに留まる。
【0043】
ポンプ16の吸引側では、ラインシステム12は、入口点25で、ミルク吸引ライン14に計量かつ制御された空気を導入するための空気供給ライン24も含む。この目的のために、例えば比例弁の形式のエアフロ―調整器26が設けられている。これにより、正確に決定可能な量の空気がラインシステム12に導入され、または、搬送されるミルクと混合することができ、ミルクと空気の混合物が、導入点25の下流のミルク吸引ライン14内に存在するようになり、その混合物がポンプ16によって搬送される。
【0044】
図1は、第1の逆流防止弁27と第2の逆流防止弁28が空気供給ライン24に設けられることを示している。第1の逆流防止弁27および/または第2の逆流防止弁28は、直閉式逆流防止弁として設計することができ、密閉された閉鎖エレメントに作用する重力の力が第1の逆流防止弁27および/または第2の逆流防止弁28の開放を支持するように、垂直方向に向いて配置される。従って、空気供給ライン24は、生成された負圧が空気の吸入に全く十分でなくても開く。
【0045】
流体ライン22の一部は、第1の逆流防止弁27と第2の逆流防止弁28との間で開口しており、この部分で第1の弁R1が開いているとき、流体が空気供給ライン24に導入され、したがって、ラインシステム12のこの部分も洗い流すことができる。流体ライン22によってラインシステムに導入可能な流体を冷却するように、冷却ユニット60を設けてもよい。冷却ユニット60は、相変化材料(PCM)を有する潜熱蓄熱器として設計されてもよい。使用されるPCM技術により、供給ネットワークによって供給される水道水を温度7℃以下まで冷却することができる。従って、流体、特に水道水の温度は、周囲温度および供給ネットワーク内の水道水の温度とは無関係に調節可能である。あるいは、流体をそうして冷却するために、ミルクおよび装置1の部品の冷却システム2は、PCMを用いた潜熱蓄熱器として設計することもできる。
【0046】
ポンプ16は、その圧力側で、単一の出口ライン30を介して、処理されたミルクおよび/または処理されたミルクフォームを吐出できる出口32に接続されている。吐出口32の上流には、吐出口32の方向またはドレイン35の方向に流れを選択的に供給するようにマニホールド弁33が配置されている。マニホールド弁33のさらなる位置では、回路の洗い流しも可能にできる。
【0047】
ポンプ16の下流側では、出口ライン30にフローヒーターが設けられており、これは厚膜加熱エレメント40として設計された加熱エレメント39である。加熱エレメント39は、キャリアに設置された電気加熱抵抗器と、加熱される流体が流れる流体流路とから構成される。本発明によれば、厚膜加熱エレメント40として設計された加熱エレメント39は、恒久的にアクティブ状態にあり、したがって、例えば、約60℃~70℃の温度に常に加熱される。さらに、ミルクフォームおよび/またはミルクの吐出口32での2回の吐出の間に、流体がラインシステム12に適用されることが提供される。流体の適用は、ラインシステム12を、2回のミルクフォームおよび/またはミルクの分配の間に流体で少なくとも部分的に充填される。ラインシステム12及び厚膜加熱エレメント40の充填は、過熱の危険性を低減し、厚膜加熱エレメント40から延びる出口ライン30の部分及びそれに接続されたコンポーネント、例えば出口32を加熱することを可能にする。
【0048】
さらに、絞り装置50が出口ライン30、特に厚膜加熱エレメント40の下流に配置され、この絞り装置は好ましくは制御ユニット(図示せず)によって調節可能である。絞り装置50により、製造されるミルクフォームの安定性と品質に良い影響を与えることができる。
【0049】
温度制御されたミルクフォームおよび/またはミルクが出口32から引き出される前に毎回、流体はマニホールド弁33を介してラインシステム12から排出される。温かいミルクフォームおよび/または温かいミルクを製造するために、ミルク/空気混合物またはミルクは、加熱された加熱エレメント39および出口ライン30の加熱された部分に通される。例えば、ホットミルクフォーム及び/又はミルクを製造するために、厚膜加熱エレメント40の温度を小さな温度差で上昇させ、そこを流れるミルク/空気混合物及び/又はミルクが、出口32で約64℃~68℃の範囲の温度を有するように加熱される。ラインシステム12内のミルクフォームおよび/またはミルクの冷却は、温度制御された流路によって著しく低減される。このようにして、少量のミルク/空気混合物またはミルクであっても、非常に短時間で適切な温度にすることができる。
【0050】
冷たいミルクフォームおよび/または冷たいミルクを製造するために、本発明による装置および方法では、厚膜加熱エレメント40として設計された加熱エレメント39のスイッチを切り、その熱挙動を考慮する必要はもはやない。その代わりに、マニホールド弁33が開いているときに、ラインシステム内に位置する流体が排出され、冷却ユニット60によって冷却された冷たい流体または流体が、ポンプ16によって流体ライン22を介してラインシステム12に吸引され、そこに搬送され、厚膜加熱エレメント40の流体流路内を流れる冷たい流体によって、厚膜加熱エレメント40がスイッチオンされているにもかかわらず、後続のミルク/空気混合物またはミルクが加熱されないか、またはわずかに加熱される程度に、この流体流路が冷却されることが与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】国際公開2017/155403号公報
図1
【国際調査報告】