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▶ エフエフテー プロドゥクツィオーンスズュステーメ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲーの特許一覧

特表2024-512085ロボットを用いて組立タスクを実行するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ロボットを用いて組立タスクを実行するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/02 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B25J17/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559692
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022057492
(87)【国際公開番号】W WO2022207409
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021108201.3
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523366867
【氏名又は名称】エフエフテー プロドゥクツィオーンスズュステーメ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キラー, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クラフト, マルティン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707BS12
3C707BT05
(57)【要約】
検証された方法において組立タスクまたは生産タスクを実行するためのシステムは、基部と、基部に接続され、基部に対してn個の機械軸において移動させられ得、第1の関節接合式アーム部分および第2の関節接合式アーム部分を備えている関節接合式アームとを有するn軸ロボットを備えている。システムは、第1の機能的要素と、第2の機能的要素とを有するツールも備えている。第1の機能的要素は、それが第1の関節接合式アーム部分によって実施され得る移動に関与するように、第1の関節接合式アーム部分に結合される。第2の機能的要素は、それがロボット関節において第1の関節接合式アーム部分および第1の機能的要素に対して第2の関節接合式アーム部分によって実施され得る移動に関与するように、第2の関節接合式アーム部分に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検証された方法において組立タスクまたは生産タスクを実行するためのシステムであって、前記システムは、
a.n軸ロボット(1)、好ましくは、産業用ロボットまたはユニバーサルロボットであって、前記n軸ロボットは、基部(B)と関節接合式アーム(20)とを有し、前記関節接合式アームは、前記基部(B)に接続されており、前記基部(B)に対してn個の機械軸(R-R)において移動させられることができ、ロボット関節において接続された第1の関節接合式アーム部分(26)と第2の関節接合式アーム部分(27)とを備え、それによって、前記第1の関節接合式アーム部分および前記第2の関節接合式アーム部分は、前記機械軸(R)のうちの1つの周りで回転して、および/または、前記機械軸(R)に沿って平行移動して軸方向に移動させられることができる、n軸ロボットと、
b.前記n個の機械軸(R-R)における前記関節接合式アーム(20)の移動を制御および/または調整するためのロボットコントローラと、
c.第1の機能的要素(91)と第2の機能的要素(92)とを有する前記組立タスクのためのツール(9)と
を備え、
d.前記第1の機能的要素(91)は、前記第1の関節接合式アーム部分(26)に結合されており、それによって、前記第1の機能的要素は、前記第1の関節接合式アーム部分(26)によって実施されることができる移動に関与し、
e.前記第2の機能的要素(92)は、前記第2の関節接合式アーム部分(27)に結合されており、それによって、前記第2の機能的要素は、前記組立タスクを実行するために、前記ロボット関節において、前記第1の関節接合式アーム部分(26)および前記第1の機能的要素(91)に対して前記第2の関節接合式アーム部分(27)によって実施されることができる移動に関与し、
f.前記ロボットコントローラは、前記ロボット関節において前記第1の関節接合式アーム部分(26)に対して前記第2の関節接合式アーム部分(27)によって実施されることができる移動の位置および/または速さを制御および/または調整し、検証された方法において前記第2の機能的要素(92)の移動および/または機能を活性化するように設計されている、システム。
【請求項2】
前記第1の関節接合式アーム部分(26)、または好ましくは前記第2の関節接合式アーム部分(27)のいずれかは、前記n個の機械軸(R-R)によって前記基部(B)から離された前記ロボット(1)の最後の関節接合式アーム部分(27)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の関節接合式アーム部分(27)が前記第1の関節接合式アーム部分(26)に対して移動させられることができる関連している前記機械軸(R)は、前記ロボット(1)のn番目の機械軸(R)であり、nは、2より大きく、好ましくは、6に等しい自然数である、請求項1-2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記n番目の機械軸(R)は、前記第2の関節接合式アーム部分(27)の回転軸、スライド軸、または回転スライド軸である、請求項1-3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ツール(9)は、処理ツール、例えば、溶接トング、研磨デバイス、例えば流体材料を分注するための塗布または分注ツール、または材料試験ツールである、請求項1-4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記n番目の機械軸(R)は、直接または結合要素を介して、前記第2の機能的要素(92)に接続されるか、または接続されることができる、請求項1-5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ツール(9)は、前記n番目の機械軸(R)のシステムが予め決定した移動、例えば、回転または線形移動を前記第2の機能的要素(92)の結果として生じる移動、例えば、線形または回転移動に変換するように設計され、前記結果として生じる移動は、前記予め決定した移動とは異なる、請求項1-6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の機能的要素(91)と前記第2の機能的要素(92)とは、ねじ山付き対、中間歯車系、スライドブロックガイド、または剛体鎖を形成する、請求項1-7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の機能的要素(91)は、前記第2の機能的要素(92)のためのガイド(10)を形成し、それは、例えば、前記第2の機能的要素(92)を線形に、および/またはそれが回転して移動させられることができるように誘導する、請求項1-8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の関節接合式アーム部分は、ロボットハンド(27)である、請求項1-9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記組立タスクは、ミサイル、陸上車両、および船舶のための製造、特に、本体製造の分野内の組立タスクである、請求項1-10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
ロボット(1)を使用して検証された方法において組立タスクまたは生産タスクを実行する方法であって、前記ロボットは、少なくとも1つの関節接合式アーム(20)と、移動軸において前記関節接合式アーム(20)に接続され、回転駆動される少なくとも1つのロボットハンド(27)とを有し、
第1の機能的要素(91)と、第2の機能的要素(92)とを備えているツール(9)が、前記第1の機能的要素(91)を介して、前記関節接合式アーム(20)に接続され、
前記第2の機能的要素(92)は、前記ロボットハンド(27)に結合され、
前記ロボットハンド(27)は、ロボットコントローラによって活性化および調整され、
前記ロボットコントローラによって予め決定された前記ロボットハンド(27)の移動は、前記ツール(9)によって前記結合された前記第2の機能的要素(92)の結果として生じる移動に変換され、
前記組立タスクまたは生産タスクは、前記第2の機能的要素(92)によって検証された方法において実施される、方法。
【請求項13】
前記ロボットハンド(27)の前記予め決定された移動は、線形移動および回転移動のうちの一方であり、前記第2の機能的要素(92)の結果として生じる移動は、線形移動および回転移動のうちの他方である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の機能的要素(92)は、前記第1の機能的要素(91)によって線形に、または回転して誘導される、請求項12-13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記産業用ロボット(1)は、基部と、k個の関節接合式アーム部分を有するロボットアーム(20)のためのn個の移動軸とを有し、前記k番目の関節接合式アーム部分は、前記ロボットハンド(27)を形成する、請求項12-14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検証された方法において組立タスクまたは生産タスクを実行するためのシステムおよび方法に関する。組立タスクは、特に、接着剤または糊等の流体媒体をワークピースに塗布することであり得る。これは、例えば、堆積または噴霧されることによって塗布されることができる。しかしながら、組立タスクは、代わりに、1つ以上のワークピースを把持すること、または再成形すること、または接合することでもあり得る。システムは、n軸ロボット、好ましくは、産業用ロボットまたはユニバーサルロボットを備え、それは、基部と関節接合式アームとを有し、関節接合式アームは、基部に接続され、ロボットのn個の機械軸において基部に対して移動させられることができる。システムは、n個の機械軸における関節接合式アームの移動を制御および/または調整するためのロボットコントローラも備えている。ロボットコントローラは、特に、ロボットの移動の自由度の全てにおいて、ロボットを制御および/または調整するように設計されることができる。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的のために好適である関節接合式アームロボット(例えば、ユニバーサルロボットまたは産業用ロボット等)は、典型的に、例として上で述べられるそれら等の組立タスクを実行するためのツールを収容するように設計された最後の関節接合式アーム部分を備えている。例えば、把持器、溶接ツール、ヘミングツール、および接着剤塗布ツール等の典型的なツールは、互いに対して移動させられ得る機能的要素を備え、1つ以上の回転および/または平行移動モータまたは作動要素を有するそれら自体の駆動部、または機能的要素のうちの1つ以上のための駆動部および/または1つ以上の駆動ユニットも備えている。そのようなツールの例は、第WO2014/126675 A1号(特許文献1)、第EP 2 307 167 B1号(特許文献2)、および第EP 2 117 745 B1号(特許文献3)から公知である。ツール自体の駆動部は、駆動部コントローラを要求し、駆動部コントローラは、本質的に提供されるロボットコントローラに適合される必要があり、それによって、ツールの機能的要素の移動と組立タスクを実行するためのロボットの移動とが、調整される。これに関与する労力および/または費用は、非常に大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/126675号
【特許文献2】欧州特許第2307167号明細書
【特許文献3】欧州特許第2117745号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
減らされた労力および/または費用を示す述べられたタイプのシステムを提供することが、本発明の目的である。
【0005】
1つの目的は、ツールを制御および/または調整することに関して、費やされる必要がある労力および/または費用を減らすことであり得る。
【0006】
構成要素の数を減らすこと、および/またはツールの1つ以上の構成要素を単純化することが望ましい。
【0007】
本発明の主題は、冒頭において説明されたタイプの関節接合式アームロボットを有するシステムである。ロボットのn軸関節接合式アームは、n個の機械軸のその合計の範囲内で、機械軸の1つの周りで回転し、および/または該機械軸に沿って平行移動して軸方向に移動させられ得るように、ロボット関節において接続された第1の関節接合式アーム部分と第2の関節接合式アーム部分とを備えている。システムはまた、組立タスクのためのツールを備え、第1の機能的要素と、第2の機能的要素とを有し、そのうちの少なくとも一方は、組立タスクを実施する目的のために調整される方法において、他方に対して移動させられることができる。第1の機能的要素は、それが第1の関節接合式アーム部分によって実施され得る移動に関与するように、第1の関節接合式アーム部分に結合される。第2の機能的要素は、組立タスクを実行するために、それがロボット関節において、第1の関節接合式アーム部分および第1の機能的要素に対して第2の関節接合式アーム部分によって実施され得る移動に関与するように、第2の関節接合式アーム部分に結合される。第1の機能的要素は、特に、第1の関節接合式アーム部分に固定して接続され得るおよび/または、第2の機能的要素は、特に、第2の関節接合式アーム部分に固定して接続され得る。
【0008】
第1の機能的要素は、例えば、それが第1の関節接合式アーム部分に適切に接続されるとき、第1の関節接合式アーム部分に対して移動させられることができない筐体、または溶接トングの一部、またはある他の要素であることができる。
【0009】
ロボットコントローラは、検証された方法において第2の機能的要素の移動および/または機能を活性化および実施するように、ロボット関節において第1の関節接合式アーム部分に対して第2の関節接合式アーム部分によって実施され得る移動の位置および/または速さを制御および/または調整するように設計される。
【0010】
本発明は、ロボットの機械軸の1つ、すなわち、ロボットが本質的に保有する機械軸の1つを使用し、ツールの機能を実施する。同時に、ロボットおよびツールを備えているシステムを制御および/または調整するために要求される労力および/または費用は、ロボット上にすでに提供されているロボットコントローラをツールの機能の中に直接統合することによって減らされる。第1の関節接合式アーム部分および第2の関節接合式アーム部分を接続するロボット関節のためのロボット駆動部、すなわち、関連する間接接合軸のためのロボット駆動部は、別様に、ツール上に提供される必要があるであろう駆動モータ、例えば、電気、空気圧、または水圧回転モータまたはリニアモータに取って代わることができる。
【0011】
所定の移動曲線を辿る移動の方向、第2の機能的要素がワークピース作用する圧力、1つの点においてワークピースに作用する期間、第2の機能的要素の回転角度位置および多数の他の移動パラメータ、第2の機能的要素の時間パラメータおよび圧力パラメータのうちの少なくとも1つが、例えば、実行されるべき組立タスクに従って、制御または調整されることができる。
【0012】
好ましくは、第1の関節接合式アーム部分、または、特に第2の関節接合式アーム部分のいずれかが、n個の機械軸によって基部から離されたロボットの最後の関節接合式アーム部分である。この関節接合式アーム部分は、ロボットハンドとも称され得る。
【0013】
第1の機能的要素は、第2の機能的要素を保護するためのデバイスを備えていることができ、該保護デバイスは、例えば、弾性的に伸縮可能であるか、または、側面に移動させられることができ、組立タスクを実行するためのツールがワークピースに誘導されるとき、第2の機能的要素を露出するために、第1の関節接合式アーム部分に対して移動させられる。その場合であっても、第1の機能的要素は、本願の意味の範囲内で、第1の関節接合式アーム部分に対して移動しない。保護デバイスは、例えば、機械加工プロセス中に集積するチップおよび/または供給されたクーラントが、それらの元々の点において除去され得るように、吸引デバイスを備えていることができる。保護デバイスは、処理空間を密閉することもでき、したがって、例えば、保護ガス雰囲気内で、または液状クーラントを使用して動作することが可能である。
【0014】
センサ、例えば、結像センサが、第1の機能的要素および/または第1の関節接合式アーム部分に接続されることもでき、それを使用して、特に、実施される作業の品質、処理に先立つ処理領域の状態、および/またはワークピースに対する第2の機能的要素の位置を点検または監視することが可能である。センサは、作業の品質を再現可能な方法で文書化するために使用されることもできる。
【0015】
好ましくは、第2の関節接合式アーム部分が第1の関節接合式アーム部分に対して移動させられ得る関連している機械軸は、ロボットのn番目の機械軸であり、nは、2より大きく、好ましくは、6に等しい自然数である。ロボットハンドまたは第2の関節接合式アーム部分は、それぞれ、次いで、例えば、第6の機械軸を備えていることができ、ロボットハンドは、第5の機械軸において、基部の方向において隣接する関節接合式アーム部分または第1の関節接合式アーム部分に、または第2の関節接合式アーム部分が、ロボットの関節接合式アームの最後の関節接合式アーム部分である場合、最後から2番目の関節接合式アーム部分に接続されることができる。
【0016】
n番目の機械軸またはロボットハンドの機械軸は、第2またはk番目の関節接合式アーム部分またはロボットハンドの回転軸、スライド軸、または回転スライド軸であることができ、機械軸の数であるnは、関節接合式アーム部分の数であるk以外の自然数を表すことができる。
【0017】
ツールは、処理ツール、例えば、溶接トング、中空リベット穴開けトング、研磨デバイス、例えば、流体材料を分注するための材料分注ツール、材料試験ツール、または検証された方法において組立タスクを実行するために使用され得るある他のツールであることができる。
【0018】
ツールおよび/またはツールの第2の機能的要素は、直接、または結合要素または歯車系等を介して、n番目の機械軸に接続されることができる。
【0019】
ツールは、特に、n番目の機械軸のシステムが予め決定した移動、例えば、回転または線形移動を、第2の機能的要素の結果として生じる移動、例えば、線形または回転移動に変換するように設計されることができ、結果として生じる移動は、該予め決定した移動とは異なる。
【0020】
第1の機能的要素および第2の機能的要素は、次いで、ねじ山付き対、中間歯車系、スライドブロックガイド、または剛体鎖を形成することができ、第1の機能的要素は、固定子を形成することができる一方、第2の機能的要素は、線形に移動させられ得る回転子またはツール部品を形成する。第1の機能的要素は、例えば、第2の機能的要素のためのガイドを形成することができ、それは、例えば、第2の機能的要素を線形に、および/またはそれが回転して移動させられ得るように誘導する。
【0021】
組立タスクまたは生産タスクは、特に、ミサイル、陸上車両、および船舶のための製造、特に、本体製造の分野内の組立タスクまたは生産タスクであることができる。組立タスクは、2つのワークピースを接続すること、例えば、不可避なアセンブリ間隙を充填すること、マーカを塗布すること、圧縮成型すること、開放調製された開口を破断すること、後続の処理ステップのために表面を調製すること、および多数の他のタスクを伴うことができる。
【0022】
本発明の第2の側面は、少なくとも1つの関節接合式アームと、移動軸において関節接合式アームに接続され、線形に、または回転して移動させられる機械軸を有する少なくとも1つのロボットハンドとを有するロボット、例えば、産業用ロボットを使用して、検証された方法において組立タスクまたは生産タスクを実行する方法に関し、第1の機能的要素と、第2の機能的要素とを備えているツールは、第1の機能的要素を介して、関節接合式アームに接続され、第2の機能的要素は、ロボットハンドに結合され、ロボットハンドは、ロボットコントローラによって活性化および調整され、ロボットコントローラによって予め決定されたロボットハンドの機械軸の移動は、ツールによって結合された第2の機能的要素の結果として生じる移動に変換され、組立タスクまたは生産タスクは、第2の機能的要素によって、検証された方法において実施される。タスクは、例えば、糊を塗布すること、フランジングまたはヘミングすること、溶接すること、またはある他の接合タスクを伴うことができる。
【0023】
ロボットハンドの機械軸の予め決定された移動は、例えば、線形移動および回転移動のうちの一方であることができる。第2の機能的要素の結果として生じる移動は、したがって、線形移動および回転移動のうちの他方である。結果として生じる移動はまた、予め決定された線形または回転移動を維持する間、その速さ、力等においてのみ、機械軸の予め決定された移動とは異なり得る。それは、好ましくは、予め定義された移動が、結果として生じる移動とは異なる場合であり得る。
【0024】
換言すると、最後の機械軸の移動は、使用される結合器、使用される歯車系、使用されるガイド、または力伝達(トグルレバー等)に従って、結果として生じる移動に変換されることができ、いくつかのみ例を挙げると、例えば、線形移動が回転移動に、回転移動が線形移動に、線形移動が線形移動に、回転移動が回転移動に、線形移動が線形および回転移動に、または回転移動が回転および線形移動に変換されることができ、結果として生じる移動は、好ましくは、例えば、その速さまたは力等の少なくとも1つのパラメータにおいて、接続された機械軸の移動とは異なる。
【0025】
第1の機能的要素は、次いで、第2の機能的要素のためのガイドを形成することができ、それは、線形に、および/または回転して第2の機能的要素を誘導する。第1の機能的要素は、互いに対して移動させられ得る2つ以上の要素、例えば、第2の機能的要素を保護するための伸縮可能デバイスを備えていることができる。
【0026】
例えば、ツールを使用して実施される作業の品質を監視するために、産業用ロボットは、処理の前、処理中、および処理の後、第2の機能的要素によって処理されているワークピース領域を監視および/または点検する結像センサ等のセンサデバイスを備えていることができる。
【0027】
センサデバイスは、ロボットに、または、例えば、第1の関節接合式アーム部分または第1の機能的要素に、それぞれ、取り付けられることができる。第2の関節接合式アーム部分および第1の機能的要素は、それぞれ、センサデバイスを備えていることもできる。最後に、センサはまた、例えば、それらが、それらのために意図される点検タスクを実施し得る限り、センサデバイスのみを支持する別個のロボット上、またはワークピースブラケット上の任意の場所に設置されることができる。
【0028】
システムは、ロボットのためのコントローラまたはレギュレータも備えている。これは、ロボットが、例えば、その基部内に備えている、またはロボットに隣接して配置されるロボットコントローラであることができる。コントローラまたはレギュレータは、記憶ユニットと、プログラムが記憶ユニットの中に読み込まれ、修正され得る、例えば、適合または更新されるインターフェースとを備えている。コントローラは、個々のプログラムステップをシステム、または、それぞれ、システムの個々の部品のためのアクションコマンドに変換するコンピュータユニットを備えていることもできる。コントローラは、好ましくは、例えば、ツールの弁を開放および/または閉鎖するための圧力媒体を供給すること、またはツールに直接接続されるツールに消耗品を供給することを行うため等、随意のセンサデバイスおよび/または必要とされるデバイスの機能も制御または調整する。
【0029】
方法のために使用される産業用ロボットは、基部と、k個の関節接合式アーム部分を有するロボットアームのためのn個の機械軸または移動軸とを備えていることができる。k番目の関節接合式アーム部分は、好ましくは、ロボットハンドを形成し、移動軸の数nは、関節接合式アーム部分の数kに等しいことも、異なることもできる。
【0030】
方法は、特に、ミサイル、陸上車両、および船舶のための製造、特に、本体製造の分野内の組立タスクのために使用されることができる。組立タスクは、2つのワークピースを接続すること、例えば、不可避なアセンブリ間隙を充填すること、マーカを塗布すること、圧縮成型すること、開放調製された開口を破断すること、後続の処理ステップのために表面を調製すること、および多数の他のタスクを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の例示的実施形態が、図に基づいて、下記により詳細に説明される。図は、以下を示す。
【0032】
図1図1は、n個の機械軸およびk個の関節接合式アーム部分を有するロボットの概略表現である。
図2図2は、n番目の機械軸およびk番目の関節接合式アーム部分に接続されるツールである。
図3図3は、検証された方法において糊等の流体材料を分注するためのツールである。
図4図4は、ツールとしての中空リベット穴開けトングまたは溶接トングである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、組立タスクのために産業上使用されるもの等の関節接合式アームロボット1の例を示す。関節接合式アームロボット1は、基部Bに接続されることができる。基部Bは、例えば、ホールの床、壁、または天井に固定して接続されることができ、したがって、関節接合式アームロボット1は、それが空間的に固定されるように据え付けられる。基部Bは、レール上または天井クレーン上で移動させられるように設計されることができ、したがって、関節接合式アームロボット1は、全体として、空間的に移動させられることができる。
【0034】
関節接合式アームロボット1は、k個の関節接合式アーム部分GAAと、n個の機械軸Aとを備えている。関節接合式アームに沿って直接連続する各2つの関節接合式アーム部分GAAは、互いにロボット関節において接続され、したがって、それらは、各々、機械軸Aの少なくとも1つの周りで移動させられることができる。例示的実施形態では、k=n=6である。原則として、関節接合式アーム部分GAAの数は、機械軸Aの数からはずれることもでき、例えば、ロボット関節の1つが1移動自由度以上を有する場合(例えば、球状関節等)、例えば、機械軸Aの数より少なくあり得る。しかしながら、例示的実施形態では、関節の各々は、1移動自由度のみを有する。それらの各々は、特に、例えば、産業用ロボットに一般的であるように、回転関節として形成されることができる。
【0035】
関節接合式アーム部分GAAは、GAA1、GAA2、GAA3、GAA4、GAA5、およびGAA6によって連続的に表され、基部Bからロボットアームの自由端まで進行する。機械軸Aは、A1、A2、A3、A4、A5、およびA6によって連続的に表され、基部Bからロボットアームの自由端まで進行する。関節接合式アーム部分GAA1は、関節接合式アーム部分GAA1の中心点を通して軸方向に延びている機械軸A1の周りで回転する。機械軸A2は、機械軸A1に対して横方向に延び、関節接合式アーム部分GAA2が、関節接合式アーム部分GAA1に対して旋回させられ得る旋回軸である。機械軸A3は、機械軸A2に対して横方向に延び、関節接合式アーム部分GAA3が、関節接合式アーム部分GAA2に対して旋回させられ得る旋回軸である。機械軸A4は、関節接合式アーム部分GAA3に対する関節接合式アーム部分GAA4の回転軸である。機械軸A5は、機械軸A4を横断する旋回軸であり、関節接合式アーム部分GAA5は、関節接合式アーム部分GAA4に対して旋回させられることができる。最後の機械軸A6は、最後の関節接合式アーム部分GAA6が、最後から2番目の関節接合式アーム部分GAA5に対して回転して移動させられ得る回転軸である。
【0036】
図2は、k個の関節接合式アーム部分を有するユニバーサルロボットまたは産業用ロボット1の関節接合式アーム20の第1の関節接合式アーム部分26および第2の関節接合式アーム部分27を示す。図1におけるロボット1は、例えば、該ユニバーサルロボットまたは産業用ロボットを形成することができる。第2の関節接合式アーム部分27は、次に、特に、例えば、図1における基部B等のロボット基部から最も遠いもの(この意味で、最後の関節接合式アーム部分GAA6)であることができ、第1の関節接合式アーム部分26は、ロボット1の最後から2番目の関節接合式アーム部分GAA5であることができる。
【0037】
第1の関節接合式アーム部分26は、ロボット関節において、他方、すなわち第2関節接合式アーム部分27に接続され、ロボット関節は、機械軸Rn-1の周りで旋回させられ得る。第2の関節接合式アーム部分27は、機械軸Rを有し、それは、示される例示的実施形態では、第2の関節接合式アーム部分27を回転駆動する第6の機械軸Rである。第2の関節接合式アーム部分27は、ロボットアーム20の最後の関節接合式アーム部分であり、したがって、多くの場合、ロボットハンド27とも称される。
【0038】
第1の機能的要素91と、第2の機能的要素92とを備えているツール9は、関節接合式アーム20に接続され、第1の機能的要素91は、特に、それが移動に対して抵抗力があるように、第1の関節接合式アーム部分26に接続され、すなわち、第1の機能的要素91は、特に、直接、第1の関節接合式アーム部分26の全ての移動に追従する。換言すると、第1の機能的要素91は、第1の関節接合式アーム部分26に固定して接続され、接続されているとき、第1の関節接合式アーム部分26に対して移動させられることができない。
【0039】
第2の機能的要素92は、第2の関節接合式アーム部分27に接続され、より具体的に、第2の機能的要素92は、第2の関節接合式アーム部分27の機械軸Rへの移動という観点において結合され、駆動された機械軸Rは、直接、または、好ましくは、結合デバイスを介して、第2の機能的要素92の上に出力する。
【0040】
結合デバイスは、それが機械軸Rの予め定義された移動を第2の機能的要素92の結果として生じる移動に変換するように、設計される。示される例示的実施形態では、所定の移動は、回転移動または回転であり、結果として生じる移動は、線形移動またはスライド移動であり、第1の機能的要素91は、スライド移動の移動方向において、第2の機能的要素92のためのガイド10を形成する。
【0041】
第1の機能的要素91は、所定の組立タスクを実施するために、例えば、流体材料で充填され得る材料チャンバ910を備えている。材料チャンバ910は、材料のための流入口911と、材料のための流出口912とを有する。示される例示的実施形態では、材料チャンバ910は、空気圧によって切り替えられ得る流入口弁VEを介して、使用される材料のための材料源に接続される。流出口912は、対応する流出口弁VAを備えている。流入口弁VEが、材料チャンバ910の中への材料を可能にするために開放されているとき、流出口弁VAは、好ましくは、閉鎖されている。材料チャンバ910から材料を排出するために、流出口弁VAが、開放されるとき、流入口弁VEは、好ましくは、閉鎖される。材料チャンバ910が、洗浄されるべきとき、流入口弁VEおよび流出口弁VAは、同時に開放されることができる。
【0042】
図2、3、および4は、ツール9が、説明されるようなロボット1に接続される、機能的原理の3つの例示的用途を示し、第2の機能的要素92に接続される、機械軸Rの所定の移動は、第2の機能的要素92の結果として生じる移動に変換され、それぞれの機械軸Rの所定の移動は、それぞれの第2の機能的要素92のそれぞれ結果として生じる移動とは異なる。
【0043】
図3において、ツール9は、流体材料が検証された方法においてワークピースに分注または塗布されることができるツールである。流体材料は、例えば、糊、塗料、粉末、洗浄剤等であることができ、それらは、正確な点において、ワークピースに塗布される必要がある。
【0044】
ツール9は、すでに説明されるように、それが移動に抵抗力があるように、第1の関節接合式アーム部分26に接続された第1の機能的要素91と、第2の関節接合式アーム部分27の機械軸Rに結合された第2の機能的要素92とを備えている。
【0045】
第1の機能的要素91は、流体材料のための容器910を備えている。材料は、容器910の中に導入される必要があるカートリッジ内に供給されることができる。これは、接続されたカートリッジマガジンから自動的にカートリッジを交換することを含む。
【0046】
容器910は、再充填可能であることができ、それは、材料が規則的にまたは必要に応じて、例えば、オペレータによって手動で補充される必要があることを意味し得るか、または、それが材料源に恒久的に接続され、材料が要件に従って容器910の中に自動的に補充されることを意味し得る。いずれが好ましい変型であるかは、組立タスクのタイプおよび消費される材料の量に依存する。
【0047】
容器910は、導管システムを介して材料源に接続され、材料を自動的に補充されることができる。この目的を達成するために、容器910は、材料源から流入する材料のための流入口911と、流出口912とを備え、材料は、流出口912を通して容器910から分注される。容器910はまた、2つ以上の材料源に接続されることもでき、これらの材料は、最初に、容器910内で混合され、組立タスクのための材料を形成する出発材料である。混合デバイスは、混合の目的のために、容器910内に配置されることができ、容器910は、加熱可能であり得るか、または、冷却システムを保有し得る。容器910が加熱可能である場合、ノズル913も、材料が塗布される前に材料が硬化することまたは濃縮することを阻止するために加熱可能であり得、材料は、ノズル913を介して分注される。
【0048】
流入口911および流出口912は、例えば、空気圧によって、開放および閉鎖されることができる。好ましくは、流入口911は、流出口912が開放されているとき、閉鎖されており、流出口912は、流入口911が開放されているとき、閉鎖されており、すなわち、材料は、材料源からワークピースに直接塗布されることができない。
【0049】
第1の機能的要素91は、ツール9の筐体を形成することができ、それは、特に、第2の機能的要素92を損傷および/または汚れから保護する。ガイド10は、第1の機能的要素91の内部円周壁上に形成され、第2の機能的要素92に作用するトラベリングナット13は、第2の機能的要素92を容器910の中に線形に移動させる効果を有する。
【0050】
第2の機能的要素92は、排出ピストン920を備え、排出ピストン920は、容器910の中に延び、流出口912を通して材料を容器910から分注するために、容器910の中に移動させられ得る。排出ピストン920は、心棒11を介して、第2の関節接合式アーム部分27の機械軸Rに結合される。心棒11は、軸受14によって搭載され、それによって、心棒11は、第1の機能的要素91内に回転して移動させられることができ、雄ねじを有する自由端12を備え、トラベリングナット13が、雄ねじ上でねじられることができる。トラベリングナット13は、第1の機能的要素91内のガイド10と協働する誘導要素15を備えている。
【0051】
心棒11が、次いで、第2の関節接合式アーム部分27の機械軸Rによって回転駆動される場合、これがガイド10と誘導要素15との間の接続によって阻止されるので、トラベリングナット13は、心棒11とともに回転することができない。トラベリングナット13は、代わりに、端部12に沿って線形に移動させられる。好ましくは、トラベリングナット13は、排出ピストン920に固定して接続されるか、または、鋳造または焼結プロセスにおいて排出ピストン920と一体化して成型され、それによって、トラベリングナット13の移動は、排出ピストン920の上に伝達され、すなわち、排出ピストン920は、機械軸Rの回転方向に応じて、容器910の内外へ移動させられることができる。
【0052】
図3に示されるツール9の実施形態では、心棒11の回転軸、第2の機能的要素92の中心縦軸、および第2の関節接合式アーム部分27の回転軸または機械軸Rは、一致している。
【0053】
図4は、別のツール9’を示す。該他のツール9’は、特に、抵抗溶接のための対の溶接トングである。本ツール9’の場合、第2の機能的要素92’は、移動電極アームを形成し、第1の機能的要素91’は、固定された対電極を形成する。
【0054】
このツール9’において、第1の機能的要素91’は、それが第1の関節接合式アーム部分26のあらゆる移動に関与するように、第1の関節接合式アーム部分26に接続されている。第2の機能的要素92’は、第2の関節接合式アーム部分27に結合され、第2の関節接合式アーム部27の機械軸Rによって駆動され、機械軸Rの回転移動は、第2の機能的要素92’の線形移動に変換される。この変換原理は、図3に対して説明される原理に対応し、したがって、再度、説明されない。
【0055】
類似する設計が、例えば、対の中空リベット穴開けトング(図示せず)のために使用されることができ、第2の機能的要素は、駆動されたリベット設定ユニットを形成することができ、鉄床は、第1の機能的要素によって形成される。
【0056】
(参照符号)
1 ロボット、関節接合式アームロボット、産業用ロボット
9、9’ ツール
10 ガイド
11 心棒
12 端部
13 トラベリングナット
14 軸受
15 誘導要素
20 関節接合式アーム、ロボットアーム
26 第1の関節接合式アーム部分
27 第2の関節接合式アーム部分、ロボットハンド
91、91’ 第1の機能的要素
910 材料チャンバ
911 流入口
912 流出口
913 ノズル
92、92’ 第2の機能的要素
A 機械軸
B 基部
GAA 関節接合式アーム部分
R 機械軸
VA 流出口弁
VE 流入口弁
k 関節接合式アーム部分の数
n 機械軸または移動軸の数
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】