(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスのための音検出ベースの注入時間測定システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61M5/315
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559755
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022022085
(87)【国際公開番号】W WO2022212227
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ホイシン
(72)【発明者】
【氏名】ジャザエリ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】バレンスエラ,セルジョ・ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】セルブ,ライアン・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】パラマーナンダン,シバクマール
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066FF04
4C066FF05
4C066LL21
4C066QQ43
4C066QQ51
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
リアルタイム薬物注入持続時間測定システムが、音響トランスデューサと、音響トランスデューサに動作可能に結合された波形整形回路と、波形整形回路に動作可能に結合されたパルスクランプ回路と、パルスクランプ回路に動作可能に結合されたタイマとを備える。音響トランスデューサは、薬物送達開始に関連する第1の音と薬物送達完了に関連する第2の音とを検出し、検出された第1の音及び第2の音をそれぞれ第1の電子波形及び第2の電子波形に更に変換する。波形整形回路は、第1の波形及び第2の波形をそれぞれ第1のパルス及び第2のパルスに変換する。パルスクランプ回路は、第1のパルスを受信すると作動され、再生パルスを生成する。タイマは、パルスクランプ回路を介して再生パルスを受信すると開始し、後続の再生パルスを受信すると停止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達開始に関連する第1の音と薬物送達完了に関連する第2の音とを検出するように適合された音響トランスデューサであって、前記音響トランスデューサが、検出された前記第1の音及び前記第2の音をそれぞれ第1の電子波形及び第2の電子波形に変換するように更に適合される、音響トランスデューサと、
前記音響トランスデューサに動作可能に結合された波形整形回路であって、前記波形整形回路が、前記第1の波形及び前記第2の波形をそれぞれ第1のパルス及び第2のパルスに変換するように適合される、波形整形回路と、
前記波形整形回路に動作可能に結合されたパルスクランプ回路であって、前記パルスクランプ回路が、前記第1のパルスを受信すると作動され、再生パルスを生成するように適合される、パルスクランプ回路と、
前記パルスクランプ回路に動作可能に結合されたタイマであって、前記タイマが、前記パルスクランプ回路を介して前記再生パルスを受信すると開始され、後続の再生パルスを受信すると停止するように適合される、タイマと
を備える、リアルタイム薬物注入持続時間測定システム。
【請求項2】
前記波形整形回路が、前記第1の電子波形及び前記第2の電子波形によって生成されたハイピッチ信号をフィルタリングするように更に適合される、請求項1に記載のリアルタイム薬物注入持続時間測定システム。
【請求項3】
前記パルスクランプ回路が、指定された持続時間に対応する指定された幅を有するパルス出力を生成して、前記指定された持続時間が経過するまで、前記タイマが前記後続の再生パルスを受信するのを防ぐように適合される、請求項1又は2に記載のリアルタイム薬物注入持続時間測定システム。
【請求項4】
前記指定された持続時間が約300ミリ秒である、請求項3に記載のリアルタイム薬物注入持続時間測定システム。
【請求項5】
前記パルスクランプ回路が、安定モードと非安定モードとを選択的に切り替えるように適合された単安定バイブレータを備え、前記非安定モードにおいて、前記パルスクランプ回路が、前記指定された持続時間が完了するまで後続の入力に応答しない、請求項3又は4に記載のリアルタイム薬物注入持続時間測定システム。
【請求項6】
前記指定された持続時間が、検出された前記第1の音の持続時間よりも長い持続時間を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載のリアルタイム薬物注入持続時間測定システム。
【請求項7】
薬物送達デバイスにおける注入持続時間測定値をリアルタイムで測定する方法であって、前記方法が、
音響トランスデューサを介して、前記薬物送達デバイスの開始に関連する第1の音を検出することと、
検出された前記第1の音を第1の電子波形に変換することと、
前記音響トランスデューサに動作可能に結合された波形整形回路を介して、前記第1の波形を第1のパルスに変換することと、
前記第1のパルスを受信すると、前記波形整形回路に動作可能に結合されたパルスクランプ回路を作動させることと、
前記パルスクランプ回路を介して、再生パルスを生成することと、
前記再生パルスを受信すると、前記パルスクランプ回路に動作可能に結合されたタイマを開始することと、
後続の再生パルスを受信すると前記タイマを終了することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記音響トランスデューサを介して、前記薬物送達デバイスの投与の完了に関連する第2の音を検出するステップと、
検出された前記第2の音を第2の電子波形に変換するステップと、
前記波形整形回路を介して、前記第2の波形を第2のパルスに変換するステップと、
前記パルスクランプ回路を介して、前記後続の再生パルスを生成するステップと
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記パルスクランプ回路によって生成された前記再生パルスが、指定された持続時間に対応する指定された幅を有して、前記指定された持続時間が経過するまで、前記タイマが前記後続の再生パルスを受信するのを防ぐ、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記指定された持続時間が約300ミリ秒である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パルスクランプ回路を作動させるステップが、単安定バイブレータを介して、安定モードと非安定モードとを選択的に切り替えることであって、前記非安定モードにおいて、前記パルスクランプ回路が、前記指定された持続時間が完了するまで後続の入力に応答しない、ことを更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記指定された持続時間が、検出された前記第1の音の持続時間よりも長い持続時間を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記波形整形回路を介して、前記第1の電子波形及び/又は前記第2の電子波形によって生成された少なくとも1つのハイピッチ信号をフィルタリングするステップを更に含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2021年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/168,491号明細書に対する優先権が主張され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、薬物送達デバイスに関し、より詳細には、薬物送達デバイスにおける注入持続時間を決定する音検出ベースの手法に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物は、オートインジェクタ又はオンボディ型インジェクタ(ウェアラブルインジェクタとも呼ばれる)などの薬物送達デバイスの使用によって投与され得る。オートインジェクタ及びオンボディ型インジェクタは、注入及び送達又は投与プロセスの自動化を補助するために使用することができ、これにより、生理的か心理的かの障害の理由を問わず、シリンジ/バイアルの組み合わせ又はプレフィルドシリンジシステムの使用が不利益となる特定の患者群又は部分群に対するプロセスを簡略化する。
【0004】
製造中に薬物送達オートインジェクタデバイスを試験する場合、注入時間は、オートインジェクタが内部に収容している量の薬物を送達するのに要する時間として測定されることが多い。患者は、注射中にオートインジェクタを早まって持ち上げる及び/又は取り外すことを防ぐために、注入時間が一貫していることを当てにしている。例えば、注入時間が予想される時間よりも長い場合、患者は、注射が完了したと思い、投与が完了する前にオートインジェクタデバイスを早まって取り外してしまうことがある。注入時間はまた、リリース試験に使用される重要なプロセス制御パラメータであり得る。この検証プロセスでは、検出回路が、測定システムのアーチファクトではなく、測定されたオートインジェクタの実際の変動を表すことが重要である。いくつかの例では、高速カメラベースのイメージングシステムがこの目的に使用される。これらのシステムは、注入プロセス中にオートインジェクタ全体の画像を取り込み得る。画像は、後でオペレータによってフレームごとに確認されて、全注入時間が特定及び測定される。しかしながら、このようなシステムは膨大な人間による解釈を必要とし、注入が実際に完了した時に関連するヒューマンエラー及び/又はバイアスの影響を受けやすいことがある。
【0005】
以下に更に詳述するように、本開示は、既存のシステム及び方法に対する有利な代替策を具現化した音検出ベースの注入時間測定のためのシステム及び方法を説明するものであり、本明細書で述べる課題又はニーズの1つ又は複数に対処するとともに他の利益及び利点も提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、音響トランスデューサと、音響トランスデューサに動作可能に結合された波形整形回路と、波形整形回路に動作可能に結合されたパルスクランプ回路と、パルスクランプ回路に動作可能に結合されたタイマとを備えるリアルタイム薬物注入持続時間測定システムが提供される。音響トランスデューサは、薬物送達開始に関連する第1の音と薬物送達完了に関連する第2の音とを検出するように適合され、検出された第1の音及び第2の音をそれぞれ第1の電子波形及び第2の電子波形に変換するように更に適合される。波形整形回路は、第1の波形及び第2の波形をそれぞれ第1のパルス及び第2のパルスに変換するように適合される。パルスクランプ回路は、第1のパルスを受信すると作動され、再生パルスを生成するように適合される。タイマは、パルスクランプ回路を介して再生パルスを受信すると開始し、後続の再生パルスを受信すると停止するように適合される。
【0007】
いくつかの例では、波形整形回路は、第1の電子波形及び第2の電子波形によって生成されたハイピッチ信号を更にフィルタリングし得る。更に、いくつかの例では、パルスクランプ回路は、指定された持続時間に対応する指定された幅を有するパルス出力を生成して、指定された持続時間が経過するまで、タイマが後続の再生パルスを受信するのを防ぎ得る。いくつかの例では、指定された持続時間は約300ミリ秒である。いくつかの例では、パルスクランプ回路は、安定モードと非安定モードとを選択的に切り替える単安定バイブレータを備える。これらの例では、非安定モードにおいて、パルスクランプ回路は、指定された持続時間が完了するまで後続の入力に応答しない。これら及び他の例では、指定された持続時間は、検出された第1の音の持続時間よりも長い持続時間を有し得る。
【0008】
第2の態様によれば、音響トランスデューサを介して、薬物送達デバイスの開始に関連する第1の音を検出することを含む、薬物送達デバイスにおける注入持続時間測定値をリアルタイムで測定する手法が提供される。検出された第1の音は第1の電子波形に変換される。音響トランスデューサに動作可能に結合された波形整形回路が、第1の波形を第1のパルスに変換する。波形整形回路に動作可能に結合されたパルスクランプ回路が、第1のパルスを受信すると作動される。次いで、パルスクランプ回路は再生パルスを生成し、パルスクランプ回路に動作可能に結合されたタイマが、再生パルスを受信すると開始される。タイマは、後続の再生パルスを受信すると終了する。
【0009】
上記のニーズは、以下の詳細な説明に記載される音検出ベースの注入持続時間測定のためのシステム及び手法の提供を通して、特に図面と併せて検討すれば、少なくとも部分的に満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】様々な実施形態による、例示的なリアルタイム音検出ベースの注入持続時間測定システムのブロック図を示す。
【
図2】様々な実施形態による、
図1の例示的なリアルタイム音検出ベースの注入持続時間測定システムの例示的な波形の取り込みを示す例示的な表示を示す。
【
図3】様々な実施形態による、例示的なリアルタイム音検出ベースの注入持続時間測定システムの例示的な後続の波形の取り込みを示す
図2の例示的な表示を示す。
【
図4】様々な実施形態による、
図1~
図3の例示的なリアルタイム音検出ベースの注入持続時間測定システムの回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者であれば、図中の要素は簡略化及び明確化のために描かれているものであり、必ずしも原寸に比例していないことを理解されよう。例えば、図中の要素のうちいくつかの寸法及び/又は相対位置は、本発明の様々な実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して誇張される場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要な、一般的ではあるが十分に理解されている要素は、これら様々な実施形態の図をあまり妨げないようにするために示されないことが多い。更に、特定の行為及び/又はステップは、特定の発生順序で記載される又は示される場合があることは認識されるであろうが、当業者であれば、順序に関するこのような特定性は実際には必要ないことを理解されよう。本明細書で使用される用語及び表現は、異なる特定の意味が本明細書で説明される場合を除き、上述のように、こうした用語及び表現に当業者が与えるような通常の技術的な意味を有することも理解されるであろう。
【0012】
一般的に言えば、これらの様々な実施形態にしたがって、音検出ベースの注入持続時間測定のためのリアルタイム手法が提供される。いくつかの例では、本システムは、トランスデューサと複数の回路とを使用して、ユーザに同調した注入時間を正確且つ確実に測定し得る。更に、本システムは、リアルタイムでサンプル薬物送達デバイスの注入時間を測定して、デバイスが患者及び/又は薬剤投与を担当する医療施設に配布する準備ができていることを検査及び確認するために使用される試験ワークフローへの自動化を可能にする。
【0013】
図1及び
図4に示すように、リアルタイム薬物注入持続時間測定システム100は、薬物送達デバイス101(例えば、オートインジェクタ)とともに使用するために提供される。システム100は、音響トランスデューサ110と、音響トランスデューサ110に動作可能に結合された波形整形回路120と、波形整形回路120に動作可能に結合されたパルスクランプ回路130と、パルスクランプ回路130に動作可能に結合されたタイマ/カウンタ140とを有するコンピューティングシステム108を備える。コンピューティングシステム108は、受信信号及び/又は受信信号に適用される処理の視覚的表現を提供するディスプレイの形態のインターフェース150を更に備え得る。システム100は、動作を補助するために、プロセッサ、メモリモジュール、プログラム、実行可能命令などの任意の数の追加の構成要素を備え得ることを理解されたい。更に、コンピューティングシステム108は、自律的又は半自律的に動作するために、任意の数の機械的及び電気機械的な構成要素、サブ構成要素、システム、電源、測定デバイス、プロセッサ、コントローラなどを備え得る。
【0014】
オートインジェクタ101は、リアルタイムで測定され得る適切な薬物送達デバイスの一例に過ぎないことを理解されたい。オートインジェクタ101は、オートインジェクタ101に注入及び薬物送達を開始させる作動機構102(例えば、ボタン)を備え得る。特に、オートインジェクタ101は、重要な動作状態の変化に関してユーザに通知する聴覚的通知機能を備える。例えば、オートインジェクタ101は、短い持続時間(例えば、約5ミリ秒~約50ミリ秒)続き、注入の開始及び終了の直前に発せられる短いクリック音の形態の音声信号を生成し得る。これらの音声信号は、任意の数の機械的及び/又は電気機械的構成要素を介して生成されてもよく、コンピューティングシステム108によって捕捉され、カウンタ140を制御するためのトリガとして使用されて、時間測定システムが注入時間を測定できるようにする。
【0015】
いくつかの例では、音響トランスデューサ110は、オートインジェクタ101によって生成された音声信号を検出し、音声信号を
図2及び
図3において線「A」で描かれた電子波形に変換することができるセンサの形態である。より具体的には、
図2では、注入の開始に対応する単一の検出された音声信号がディスプレイ150に示され、
図3では、注入の開始及び完了にそれぞれ対応する第1の音声信号及び第2の音声信号がディスプレイ150に示されている。
図2及び
図3において線「B」で描かれている波形整形回路120は、音響トランスデューサ110によって受信されたハイピッチのグリッチ又は望ましくない周波数をフィルタリングし、(連続的に変化している)波形を密接に辿る、一連の高値又は低値のパルス列(B’とラベル付与)に変換する。
【0016】
いくつかの例では、パルスクランプ回路130は、指定された設計パラメータによって決定される幅を有する再生パルス出力を生成するように作動される単安定バイブレータの形態であり得る。特に、単安定バイブレータは、特定の作動パルスに応じて、安定モードと非安定モードとの間で変わり得る。非安定モードに入ると、パルスクランプ回路130は「回復」段階に入り、これにより、指定された持続時間又は時定数が終了するまで、いかなる後続の入力に対しても応答しない(即ち、自動ロックされる)。時定数の完了後、パルスクランプ回路130は検知機能を再開し得る。
【0017】
いくつかの手法では、パルスクランプ回路130によって使用される時定数は、オートインジェクタ101の開始に対応する第1の音声信号を音響トランスデューサ110が感知したときに生成される受信入力パルス列よりも著しく長い。例えば、オートインジェクタ101によって生成される音声信号は、約5ミリ秒~約50ミリ秒の持続時間を有し得るが、パルスクランプ回路130によって使用される時定数は、パルスクランプ回路130が第1の到来するパルスにのみ応答し、後続の到来するパルスをクランプ(又はブロック)することを確保するために、約300ミリ秒の持続時間を有し得る。この動作により、各音声信号のパルス列から単一のパルスが生成されることが確実になる。
図2及び
図3に示すように、パルスクランプ回路130は、その作動に対応する「C’」で描かれたパルスを有する線「C」で描かれた安定な信号を生成する。
【0018】
タイマ140は、パルスクランプ回路130によって生成された再生パルスを受信し、持続時間測定を選択的に開始又は停止するための作動信号として使用する。したがって、タイマ140は、自動化され、音響トランスデューサ110によって生成された音声波形信号によって発生するアーチファクトの影響を受けない、注入時間の信頼できる正確な測定値を生成する。
【0019】
いくつかの例では、オートインジェクタ101における注入持続時間測定をリアルタイムで実施する手法は、まず、音響トランスデューサ110を使用して、オートインジェクタの開始に関連する第1の音を検出することを含む。検出された第1の音は第1の電子波形に変換される。波形整形回路120は第1の波形を第1のパルスに変換する。パルスクランプ回路130は、第1のパルスを受信すると作動される。次いで、パルスクランプ回路130は再生パルスを生成し、タイマ140は再生パルスを受信すると開始される。タイマ140は、後続の再生パルスを受信すると停止される。後続の再生パルスもまた、生成され、音響トランスデューサ110によって波形に変換され、その後、波形整形回路120によって第2のパルスに変換され得ることを理解されたい。
【0020】
図2を参照すると、コンピューティングシステム108の例示的な波形取り込み動作がディスプレイ150に示されている。線Aで描かれているように、音響トランスデューサは、オートインジェクタ101によって生成された音声信号の単一のクリックに対応するパルス列を受信する。本例では、1ディビジョンあたり2ミリ秒のタイムベースとなっているため、音声信号によって生成される単一のクリックは約8ディビジョン、即ち16ミリ秒の長さである。上記のように、パルスクランプ回路130は第1の入力パルスにのみ応答し、音響トランスデューサ110によって生成された後続のパルスには、その回復段階が完了するまで応答しない。
【0021】
図3を参照すると、コンピューティングシステム108の例示的な波形取り込み動作が1ディビジョンあたり200ミリ秒のタイムベースでディスプレイ150に示されており、連続したクリックと、オートインジェクタ101によって生成された対応する音声信号とを視覚化できるようになっている。本例では、第1の音声信号から第2の音声信号までの注入時間は6ディビジョンであり、これは約1.2秒に対応する。更に、本例では、パルスクランプ回路130の時定数は、約1.5ディビジョン、即ち約300ミリ秒となるように調整されるため、パルスクランプ回路130は、注入の完了に対応する第2の音声信号を受信する前に、完全に回復し、後続の音声信号を感知する準備が整う。
【0022】
タイマ140は、薬物送達の開始及び完了に対応する、パルスクランプ回路130によって生成された再生パルス間の経過時間を測定する。音声信号間の時間を測定することによって、ユーザが注入の開始及び終了に受け取るのと同じきっかけに測定が同調される。上記のように、この測定はリアルタイムで行うことができ、取り込まれた一連の場面を人間が遡及的に解釈する必要はない。本明細書で説明される手法は、薬物送達の開始及び/又は完了がいつ起こったかについてオペレータが判定することを必要とする従来のシステムと比較して、費用効率が高く、オペレータによるエラーが起こりにくい。更に、リアルタイムでこれらの信号を測定することによって、生産効率を把握でき、それによって自動化及び一連の検査との統合が可能になる。
【0023】
タイミングデータが許容値とは異なる、又は値の許容範囲から外れている場合は、追加の検査が必要になり得る。より具体的には、時間が異なるということは、オートインジェクタ101(及び/又は同じグループ又はロットで製造されたオートインジェクタ)が、期待されるパラメータに関して仕様から外れていることを示し得る。そのため、オートインジェクタ101(及び/又は同じグループ又はロットで組み立てられた他のオートインジェクタ)のすべての構成要素が公差内で製造及び組み立てられたことを確認するために、デバイス及び構成要素の検査が必要になり得る。いくつかの例では、システム100は「破壊」試験を行うことができ、つまり、試験される実際のオートインジェクタ101は、使用のために消費者に出荷されないことを理解されたい。このような例では、同じグループ又はロットの他のデバイスは、試験結果から推定され得る。
【0024】
このように構成されることにより、本明細書で説明されるシステムは、オートインジェクタが許容可能な時間枠内に薬物を送達することを確保する。オートインジェクタは、患者が開始及び終了を通知するクリック音を聞くべきであることを示す使用説明書を含むことができ、そのため、システムは、測定された注入時間が使用説明書に記載された時間に一致することの確認を提供し得る。
【0025】
上述の記載では、薬物送達デバイスに関連して使用するための様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー均等品を含むが、それらに限定されない薬物を更に含み得る、又はそれらとともに使用され得る。本明細書で使用する場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な薬剤、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的均等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子及びジェネリック薬剤を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注入可能材料も包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態又は凍結乾燥形態から再構成されたものであり得る。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0026】
薬物はリザーバ内に収容されることになる。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬物が充填されるか又は予め充填されるかのいずれかである、一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、かご巻瓶、バッグ、プレフィルドシリンジ又は任意の適切な薬物容器、薬物製品容器、原薬容器若しくは他の薬物関連容器であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスのリザーバは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子を充填され得る、又はそれらとともにデバイスが使用され得る。このようなG-CSF製剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルグラスチム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)が含まれるが、それらに限定されない。
【0028】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容し得る、又はこれとともに使用され得る。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用する場合、「赤血球造血刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体若しくは誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある:完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2 κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2 γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば146B7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド)、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、ペキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3 mAb、抗C.ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0030】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ又はBPS 804(Novartis)などであるが、それらに限定されないスクレロスチン抗体、他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容し得る、又はそれらとともに使用され得る。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、それらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブニリン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容し得る、又はこれらとともに使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填され得る、又はデバイスは、これらとともに使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容し得る、又はそれとともに使用され得る。エレヌマブ、並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体もまた、本開示の薬物送達デバイスを用いて送達され得る。加えて、抗体Fc領域を含む半減期延長二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるが、それらに限定されないBiTE抗体を本開示の薬物送達デバイスにおいて又はそれとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるが、それらに限定されない、APJ大分子作動薬を収容し得るか、又はそれとともに使用され得る。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用される。
【0031】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的実施形態の観点から説明してきたが、これらは例示的実施形態に限定されるものではない。詳細な説明は、単に例として解釈されるべきであり、本開示の考え得るすべての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許出願の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態は、本明細書に開示される本発明を定義する特許請求の範囲に記載された請求項の範囲内に依然として含まれる。
【0032】
当業者であれば、本明細書に開示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対する多様な修正形態、変更形態及び組み合わせがなされ得、そうした修正形態、変更形態及び組み合わせが本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
【国際調査報告】