(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】噛合ランニングギアにおけるギア摩耗検出法
(51)【国際特許分類】
F16H 55/06 20060101AFI20240311BHJP
F16H 55/12 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F16H55/06
F16H55/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559799
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022058187
(87)【国際公開番号】W WO2022207587
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507102296
【氏名又は名称】ライボルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leybold GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Str. 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】シラー ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シェーンヴァルト フレディ
【テーマコード(参考)】
3J030
【Fターム(参考)】
3J030BA01
3J030BB03
3J030BB07
3J030BC01
3J030BC02
3J030BD09
(57)【要約】
第1のランニングギア及び第2のランニングギアを備えた、特にデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアが提供され、少なくとも第1のランニングギアは第1のギアホイール及び第2のギアホイールをそれぞれ含む。第1ギアホイール及び第2ギアホイールは軸方向に直接接触して配置され、第1ギアホイールは同一寸法の所定数の第1の歯を含み、第2ギアホイールは所定数の第2の歯を備え、所定数の第2の歯は少なくとも1つである。所定数の第1の歯の全てが、所定数の第2の歯の寸法よりも所定量だけ大きい寸法を有する。第1のギアホイールは、第1の弾性率を有する材料で作られている。第2のギアホイールは、第2の弾性率を有する材料で作られており、第1の弾性率及び第2の弾性率は異なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のランニングギア(10)及び第2のランニングギア(20)を備えた、特にデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアであって、
少なくとも前記第1のランニングギア(10)が、第1のギアホイール(11)及び第2のギアホイール(12)を含み、
前記第1のギアホイール(11)及び前記第2のギアホイール(12)は軸方向に配置されており、
前記第1のギアホイール(11)は、同一寸法の所定数の第1の歯(n11)を備え、前記第2のギアホイール(12)は、所定数の第2の歯(n12)を備え、前記所定数の第2の歯(n12)は、少なくとも1つであり、
前記所定数の第2の歯(n12)は、前記所定数の第1の歯(n11)の寸法よりも所定量(w)だけ小さい寸法を有し、
前記第1のギアホイール(11)は、第1の弾性率(E)を有する材料で作られ、前記第2のギアホイール(12)は、第2の弾性率(E’)を有する材料で作られ、前記第1の弾性率(E)及び前記第2の弾性率(E’)は異なる、
ことを特徴とする、噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペア。
【請求項2】
前記所定量(w)は、最大許容摩耗量に対応する、請求項1に記載の噛合ランニングギアのペア。
【請求項3】
前記第1ギアホイール(11)及び前記第2ギアホイール(12)が、同一シャフト上に軸方向に離間して配置されているか、又は互いに直接接触して配置されている、請求項1又は2に記載の噛合ランニングのペア。
【請求項4】
前記第1の弾性率(E)を有する材料が、ポリマー材料であり、前記第2の弾性率(E’)を有する材料が、金属材料である、請求項1に記載の噛合ランニングギアのペア。
【請求項5】
前記第2の歯の所定数(n12)は、1よりも大きく、前記第1の歯の所定数(n11)より小さい、請求項1~4の何れか一項に記載の噛合ランニングギアのペア。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の、デュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアとを備えた真空ポンプシステムであって、
前記デュアル又はマルチシャフト真空ポンプ(30)は、
モータ(31)と、
第1のシャフト(32)及び少なくとも1つの第2のシャフト(33)と、
を備え、
前記第1のシャフト(32)及び前記第2のシャフト(33)は、好ましくは共通の駆動ベルト(34)を介して前記モータ(31)によって同期駆動され、
前記第1のシャフト(32)がポンプ要素(321)を有し、前記第2のシャフト(33)が、前記第1のシャフト(32)の前記ポンプ要素(321)と協働して気体媒体を入口(35)から出口へ搬送するようにするポンプ要素(331)を有し、
前記第1のシャフト(32)は前記第1のランニングギア(10)を含み、前記第2のシャフト(33)は前記第2のランニングギア(20)を含む、
ことを特徴とする真空ポンプシステム。
【請求項7】
第1の動作モード(m1)において、前記第2のランニングギア(20)が前記第1のギアホイール(11)とのみ直接接触しており、
第2の動作モード(m2)において、前記第1のギアホイール(11)の寸法が材料摩耗に起因して所定量(w)だけ減少した場合に、前記第2のランニングギア(20)が前記第2のギアホイール(12)と直接接触しており、
前記第1の動作モード(m1)中に前記第1のランニングギア(10)及び前記第2のランニングギア(20)によって生成されるサウンドの第1の周波数スペクトル(f1)は、前記第2の動作モード(m2)中に前記第1のランニングギア(10)及び前記第2のランニングギア(20)によって生成されるサウンドの第2の周波数スペクトル(f2)とは異なる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
通常運転中、前記ランニングギア(10,20)は互いに接触しない、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
請求項6~8の何れか一項に記載の真空ポンプシステムを備え、ギア摩耗検出デバイスを更に備えた装置であって、
前記ギア摩耗検出デバイス(40)は、前記ランニングギア(10、20)によって生成されるサウンドを検出するように構成された検出モジュール(41)を備え、
検出された前記サウンドの周波数スペクトルを分析するように構成された分析モジュール(42)を更に備え、
分析された前記周波数スペクトルの変化に応じて、前記ランニングギア(10、20)の摩耗を判定するように構成された判定モジュール(43)を更に備える、
装置。
【請求項10】
前記判定モジュール(43)は、前記分析された周波数スペクトルが、前記第2の動作モード(m2)において前記ランニングギア(10、20)によって生成される前記周波数スペクトル(f2)と等しいか否かを判定するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ギア摩耗検出デバイス(40)は更に、前記分析された周波数スペクトルが、前記第2の動作モード(m2)において前記ランニングギア(10、20)によって生成された前記第2の周波数スペクトル(f2)と等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するように構成されたディスプレイモジュール(44)を備える、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記ギア摩耗検出デバイス(40)は、携帯端末(50)である、請求項9~11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
好ましくは請求項1~5の何れかに記載の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのギア摩耗検出方法であって、
前記方法は、
ランニングギア(10、20)から発生するサウンドを検出するステップ(S1)と、
検出された前記サウンドの周波数スペクトルを分析するステップ(S2)と、
分析された前記周波数スペクトルの変化に応じて前記ランニングギア(10、20)の摩耗を判定するステップ(S3)と、
を含む、方法。
【請求項14】
前記決定するステップ(S3)は、
分析された前記周波数スペクトルが、前記第2の動作モード(m2)において前記ランニングギア(10、20)によって生成された周波数スペクトル(f2)と等しいかどうかを判定するステップを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は更に、
前記周波数スペクトルが、前記第2の動作モード(m2)において前記ランニングギア(10、20)によって生成される前記周波数スペクトル(f2)と等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するステップ(S4)を含む、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の、噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアに関する。更に、本発明は、噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアを備えた真空ポンプシステム、及びこのような真空ポンプシステムを備え、更にギア摩耗検出デバイスを備えた装置に関する。更に、本発明は、好ましくはデュアル又はマルチシャフト真空ポンプの、噛合ランニングギアにおけるギア摩耗検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
噛合オイルフリーランニングギアにおける公知のギア摩耗検出は、ギア構成要素の検査及びギア摩耗パラメータの測定を含み、これは通常、運転の中断と、ランニングギアを含む機械の部分的な分解とを必要とする。
【0003】
ギア摩耗検出のための既知の解決策の1つの欠点は、運転の中断及びランニングギアを含む機械の検査によって引き起こされる高コストである。他の欠点としては、機械部品の複雑な分解及び再組立て、及びギアの摩耗が時間内に検出されない場合の噛合オイルフリーランニングギアを備えた機械の潜在的な故障が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、噛合ランニングギアにおけるギア摩耗検出のための効率的で信頼性の高い解決策を提供することで、従来技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、請求項1に記載された、特にデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペア、請求項7に記載のデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ及び噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアを備えた真空ポンプシステム、請求項10に記載の真空ポンプシステム及びギア摩耗検出デバイスを備える装置、並びに請求項14に記載の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのギア摩耗検出方法によって達成される。
【0006】
本発明による好ましくはデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合ランニングギアのペアは、互いに噛合する第1のランニングギア及び第2のランニングギアを備え、少なくとも第1のランニングギアは、第1のギアホイール及び第2のギアホイールを含む。第1のランニングギアの第1のギアホイール及び第2のギアホイールは、軸方向に配置されている。このようにして、第1のランニングギアの2つのギアホイールは、第2のランニングギアと噛み合うように構成された単一のランニングギアを構築する。ここでは、好ましくは、噛合ランニングギアはオイルフリーで運転される。
【0007】
本発明によれば、第1のギアホイールは、同一寸法の所定数の第1の歯を備え、第2のギアホイールは、少なくとも1つの第2の歯を備え、第2の歯は、第1の歯の寸法よりも所定量だけ小さい寸法を有する。第1のランニングギア及び第2のランニングギアが噛み合うように設計されているので、第1の歯及び第2の歯は、第2のランニングギアに接触面を提供する。好ましくは、第1の歯及び第2の歯の所定量wの寸法差は、第1のランニングギア及び第2のランニングギアが噛み合っているときに、第1の歯及び第2の歯の直接接触している部分に関係する。
【0008】
更に、本発明によれば、第1のギアホイールは、第2のギアホイールの材料の弾性率とは異なる弾性率を有する材料で作られている。第1のギアホイールが、第2のギアホイールの材料の弾性率とは異なる弾性率を有する材料で作られているので、第1のギアホイール及び第2のギアホイールのそれぞれの音響特性は異なるものとなる。特に、第1のギアホイールと接触する第2のランニングギアによって生じるサウンドの音響周波数スペクトルは、第2のギアホイールと接触する第2のランニングギアによって生じるサウンドの音響周波数スペクトルとは異なる。これにより、検出された音響周波数スペクトルの差異を介してギアの摩耗を検出できるという利点がある。
【0009】
好ましくは、第2の歯の寸法が第1の歯に対する寸法よりも小さい所定量は、最大許容摩耗量に対応する。このことは、最大許容摩耗に達したときにのみ、第2の歯が第2のランニングギアの歯と接触し、最大許容摩耗に達する前には、第1のギアホイールの第1の歯のみが第2のランニングギアの歯と接触するという利点を有することができる。両方の状況において、ギアの摩耗を判定するのに適した特徴的なサウンドが発生する。
【0010】
好ましくは、第1のギアホイール及び第2のギアホイールは、同一シャフト上に軸方向に離隔して配置されるか、又は互いに直接接触して配置される。好ましくは、第1のギアホイール及び第2のギアホイールは、第2のギアホイールが第1のギアホイールに永久的に固着するように、サンドイッチ構造で設計される。
【0011】
好ましくは、第1の弾性率を有する材料は、ポリマー材料であり、第2の弾性率を有する材料は、金属材料である。これは、これらの材料が異なる弾性率を有し、異なる音響特性を有するという利点を有することができる。このことは、ポリマーから作られたギアホイールが、金属から作られた嵌め合いのギアホイールと組み合わせて無潤滑で運転できるという追加の利点を有することができる。
【0012】
好ましくは、第2のランニングギアは、第1のランニングギアの第2のギアホイールの材料と同じ弾性率E’を有する材料で作られる。このことは、第2のランニングギアが第1のギアホイール又は第2のギアホイールにそれぞれ接触していることに応じて、2つの異なる周波数スペクトルを生成するために、2つの異なる材料のみを使用すればよいという利点がある。更に、摩耗は主に第1のギアホイールに存在する。更に、これは、第1のギアホイールが第2のランニングギアと直接接触する場合に、低い摩耗率を達成できるという利点を有することができる。
【0013】
好ましくは、第2の歯の所定数は、1よりも大きく且つ第1の歯の所定数以下である。これにより、最大許容摩耗量に達する前及び達したときに発生するサウンドの周波数の区別を改善できるという利点を有することができる。第2の歯の数を選択することにより、指示周波数を、真空ポンプなどの装置の固有周波数から離れた下側の周波数にシフトさせることができる。
【0014】
本発明によれば、デュアル又はマルチシャフト真空ポンプと、上述した噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペアとを備えた真空ポンプシステムが提供される。デュアル又はマルチシャフト真空ポンプは、モータ、第1のシャフト及び少なくとも1つの第2のシャフトを備え、第1のシャフト及び第2のシャフトは、モータによって同期して駆動される。第1のシャフトはポンプ要素を有し、第2のシャフトはポンプ要素を有し、これらのポンプ要素は、第1のシャフトのポンプ要素と協働して気体媒体を入口から出口まで搬送する。
【0015】
本発明によれば、第1シャフトは第1のランニングギアを含み、第2シャフトは第2のランニングギアを含む。最大許容摩耗量に達する前及び達したときに第1及び第2のランニングギアによって生成される異なる音響周波数スペクトルにより、それぞれのギアの摩耗は、運転を中断したり分解したりすることなく、適時に検出することができる。従って、ギア摩耗によって引き起こされるポンプ又はポンプ部品の重大な損傷を防止することができる。
【0016】
好ましくは、第1のシャフト及び少なくとも1つの第2のシャフトは、共通の駆動ベルトを介して駆動される。ここでは、第1のランニングギア及び第2のランニングギアは、真空ポンプの非常ランニングギアとして機能することができる。
【0017】
好ましくは、第1のシャフト及び第2のシャフトの一方のみが、駆動ベルトを介してモータによって駆動され、第1のシャフト及び第2のシャフトは、第1のランニングギア及び第2のランニングギアによって同期される。これにより、第1のランニングギア及び第2のランニングギアは、第1シャフト及び第2シャフトを同期させる真空ポンプのランニングギアとして機能することができるという利点がある。最大許容摩耗に達する前及び達したときに第1及び第2のランニングギアから発生する異なる音響周波数スペクトルに起因して、それぞれのギアの摩耗は、運転の中断又は何らかの分解なしで、適時に検出することができる。従って、ギア摩耗によって引き起こされるポンプ又はポンプの部品の重大な損傷を防止することができる。好ましくは、第1シャフト又は第2シャフトの一方を駆動する駆動ベルトはVベルトである。
【0018】
好ましくは、システムは、2つの動作モードを含む。第1の動作モードでは、第2のランニングギアは、第1のギアホイールとのみ直接接触する。第2の動作モードでは、材料の摩耗により第1のギアホイールの寸法が所定量減少した場合に、第2のランニングギアが第2のギアホイールと直接接触する。更に、第1の動作モード中に第1のランニングギア及び第2のランニングギアによって生成されるサウンドの第1の周波数スペクトルは、第2の動作モード中に第1のランニングギア及び第2のランニングギアによって生成されるサウンドの第2の周波数スペクトルと異なる。このことは、第1の動作モードにおいて、真空ポンプが深刻な損傷を受ける危険性なしに、真空ポンプが依然として運転を継続できるという利点を有する可能性がある。第2の周波数スペクトルが検出された場合、真空ポンプ及びその構成要素の保護を確実にするために、必要な保守措置を講じることができる。
【0019】
好ましくは、通常運転中、ランニングギアは互いに接触していない。この場合、ランニングギアは、非常動作モードにおいてのみ互いに接触する非常ランニングギアとして機能する。これには次の利点がある。すなわち、本発明による真空ポンプシステムでは、第1のシャフトが第1のランニングギアを含み、第2のシャフトが第2のランニングギアを含む。第1シャフト及び第2シャフトは、それぞれ、好ましくは共通の駆動ベルトを介してモータによって同期的に駆動又は回転される。ここで、駆動ベルトは、特に歯付きベルトである。駆動ベルトが2つのシャフトの回転の同期を維持することができない場合、ポンプ要素が互いに接触して損傷するのを防ぐために、備え付けの非常用ランニングギアがシャフトの必要な同期を実行する。駆動ベルトの故障は、例えば断裂、もしくは駆動ベルトが歯付きベルトとして設計されている場合は、例えば摩耗に起因する歯の損失もしくは摩耗又は駆動ベルトの伸びによって発生する可能性がある。駆動ベルトは、その寿命の過程で本質的に一定の摩耗を生じるので、駆動ベルトによってシャフトの同期が行われるデュアル又はマルチシャフト真空ポンプの確実な運転は、駆動ベルトが故障した場合に必要な同期を確保する非常ランニングギアを設けることによって実施可能である。
【0020】
本発明によれば、上述のような真空ポンプシステムを備え、更にギア摩耗検出装置を備えた装置が提供される。本発明によるギア摩耗検出デバイスは、ランニングギアによって生成されるサウンドを検出するように構成される検出モジュールを備え、更に、検出されたサウンドの周波数スペクトルを分析するように構成される分析モジュールを備える。ギア摩耗検出デバイスは、分析された周波数スペクトルの変化に応じてランニングギアの摩耗を判定するように構成された判定モジュールを更に備える。これにより、真空ポンプシステムの運転の中断又は分解を必要とすることなく、音響周波数スペクトルを検出及び分析するように構成されたギア摩耗検出デバイスを介して、ギアの摩耗を容易で確実に且つ自動的に検出することができるという利点を有することができる。
【0021】
好ましくは、装置の判定モジュールは、第2の動作モードにおいてランニングギアによって生成される検出周波数スペクトルの偏差を判定するように構成される。これにより、ギア検出デバイスが、第1の非常動作モードと第2の非常動作モードとを区別することができ、分析された周波数スペクトルの変化に基づいてギアの摩耗を適時に判定することができ、真空ポンプシステムの更なる動作を保証するために必要な保守措置を講じることができるという利点を有することができる。
【0022】
好ましくは、ギア摩耗検出デバイスは更に、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードにおいてランニングギアによって生成される第2の周波数スペクトルと等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するように構成されるディスプレイモジュールを備える。これは、ギア摩耗検出デバイスによってギアの摩耗が検出された場合に、ギア摩耗検出デバイスを操作するユーザが、ユーザによる検出信号の手動分析及び/又は連続的な観察を必要とせずに、関連する情報を受け取るという利点を有することができる。従って、ギア摩耗が検出されたというディスプレイ情報により、ユーザは、分析周波数スペクトル及び/又はギア摩耗を示す周波数変化の判定に熟練する必要がない。
【0023】
好ましくは、ギア摩耗検出デバイスは携帯端末である。これは、ギア摩耗検出を操作するユーザが特定の場所又は現場に拘束されないという利点を有することができる。ギア摩耗検出デバイスとして構成されたモバイル端末は、異なる運用現場の異なる真空ポンプシステムに使用することができる。更に、携帯端末は、コンパクトであり、使用が容易である。
【0024】
本発明によれば、噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアにおけるギア摩耗検出方法が提供される。本方法は、ランニングギアから発生するサウンドを検出するステップ及び検出されたサウンドの周波数スペクトルを分析するステップを含む。本方法は更に、分析された周波数スペクトルの変化に応じて、ランニングギアの摩耗を判定するステップを含む。これにより、真空ポンプシステムの運転中断又は分解を必要とすることなく、ギアの摩耗を容易且つ確実に検出できるという利点がある。従って、コストを削減でき、連続運転を保証することができる。
【0025】
好ましくは、判定するステップは、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードにおいてランニングギアによって生成される周波数スペクトルと等しいか否かを判定するステップを含む。これにより、安全な運転が依然として確保される第1の非常動作モードと、真空ポンプシステムへの深刻な損傷が予想される第2の非常動作モードとを区別できるという利点がある。従って、分析された周波数スペクトルの変化に基づいてギアの摩耗を適時判定することができ、真空ポンプシステムの故障のない運転を更に確実にするために必要な保守措置を講じることができる。
【0026】
好ましくは、本方法は更に、周波数スペクトルが、第2の動作モードにおいてランニングギアによって生成される周波数スペクトルと等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するステップを含む。これは、ギアの摩耗が検出された場合に、手動による分析及び/又は検出された信号の継続的な観測を必要とすることなく、ユーザが対応する情報を受け取ることになるという利点を有することができる。従って、表示されたギア摩耗の通知によって、ユーザは問題を解決するための適切な措置をとることができる。ここで、ユーザは、分析周波数スペクトル及び/又はギア摩耗を示す周波数変化の判定に熟練している必要はない。従って、ギア摩耗検出の複雑さが軽減され、ギア摩耗検出プロセスの効率を向上させることができる。
【0027】
好ましくは、本方法は、上述したような装置を用いて実施される。装置の特徴は、方法の具体的な詳細を更に提供するために使用することができる。
【0028】
以下において、本発明について、添付図面を参照しながら、好ましい実施形態によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による噛合ランニングギアのペアを示す図である。
【
図2】本発明による、
図1に示す第1のランニングギアの分解図である。
【
図3】
図1の第1のランニングギアの詳細図である。
【
図4】本発明による真空ポンプシステムを示す図である。
【
図5】本発明によるギア摩耗検出デバイスを示す図である。
【
図6】好ましい実施形態による真空ポンプシステム及びギア摩耗検出デバイスの概略図である。
【
図7】本発明による噛合ランニングギアにおけるギア摩耗検出方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示されるような、好ましくはデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合ランニングギアのペアは、互いに噛み合うように設計された2つのランニングギア10、20を含む。
【0031】
図1に示すように、少なくとも第1のランニングギア10は、2つの構成要素、すなわち、軸方向に配置されて互いに直接接触している第1のギアホイール11及び第2のギアホイール12を含む。
【0032】
更に、第1のランニングギア10は、所定数の歯n10を含み、第2のランニングギア20は、所定数の歯n20を含む。ここで、第1のランニングギア10は、第1のギアホイール11の所定数の第1の歯n11と、第2のギアホイール12の所定数の第2の歯n12を含む。ここで、第2ギアホイール12の所定数の第2の歯n12は、少なくとも1つである。
【0033】
図1の例では、第2の歯の所定数n12は、第1の歯の所定数n11と等しい。
【0034】
更に、第1ギアホイール11の第1の歯n11は同一寸法である。換言すれば、第1ギアホイール11の第1の歯n11は全て同じ大きさ及び形状を有している。
図3に詳細に示すように、第2ギアホイール12の第2の歯n12は、第1ギアホイール11の第1の歯n11の寸法よりも所定量wだけ小さい寸法を有している。ここで、所定量wは、最大許容摩耗量に相当する。
図1~
図3に示される実施例では、第1及び第2のギアホイール11,12は、最大許容摩耗量に対応する所定量wまでの寸法の相違を除いて、同じ数の歯n11,n12を有し、また実質的に同じ形状を有するように設計されている。ここで、最大許容摩耗量は、以下により詳細に説明されるように、2つのシャフトのポンプ要素間の互いに接触することなく相対移動する最大量に対応する。
【0035】
図1~
図3に示す実施例では、第1のギアホイール11は、第1の弾性率Eを有する材料で作られ、第2のギアホイール12は、異なる第2の弾性率E’を有する材料で作られている。更に、実施例では、第2のランニングギア20は、第1のランニングギア10の第2のギアホイール12の材料と同じ弾性率E’を有する材料で作ることができる。
【0036】
図1~
図3に示す例では、第1の弾性率Eは、第2の弾性率E’よりも小さい。好ましい実施形態では、第1の弾性率Eを有する材料は、ポリマー材料であり、第2の弾性率E’を有する材料は金属材料である。
【0037】
異なる弾性率を有する材料は、それらの音響特性に差異を示す。更に、異なる弾性率を有する材料から作られた物体が互いに接触することによって発生する音響サウンドの周波数スペクトルは、同じ弾性率を有する材料から作られた物体が互いに接触することによって発生する音響サウンドの周波数スペクトルとは異なる。
【0038】
第1の動作モードm1では、材料の摩耗に起因して、第1のギアホイール11の寸法が所定量wだけ小さくなるまで、第2のランニングギア20は第1のギアホイール11にのみ直接接触している。この第1の動作モードm1では、弾性率Eを有する第1のギアホイール11及び異なる弾性率E’を有する第2のランニングギア20の接触に起因して、第1の音響周波数スペクトルf1が生成される。
【0039】
第2の動作モードm2では、材料の摩耗に起因して第1のギアホイール11の寸法が量wだけ減少すると、第2のランニングギア20は、第2のギアホイール12と直接接触する。この第2の動作モードm2では、弾性率E’を有する第1のギアホイール12と同じ弾性率E’を有する第2のランニングギア20との接触に起因して、第1の周波数スペクトルf1とは異なる第2の音響周波数スペクトルf2が生成される。
【0040】
従って、上記の例において、第2のランニングギア20及び第1のランニングギアが互いに接触する場合、第2のランニングギア20は、最初に、第1のランニングギア10の第1のギアホイール11にのみ接触することになる。材料の摩耗に起因して、第1のギアホイールの寸法が小さくなると、第2のランニングギア20は、第1のランニングギア10の第2のギアホイール12と接触するようになる。ここで、検出されたサウンドの周波数スペクトルに変化が生じることになり、これを連続的に検出及び分析することができる。第2のランニングギア20が第1及び第2のギアホイール11,12にそれぞれ接触することによって生じる周波数スペクトルの差異に応じて、ギア摩耗の兆候が提供される。
【0041】
このように、異なる動作モードm1,m2においてランニングギア10,20によって生成される音響周波数スペクトルの変化の検出を通じて、ランニングギア10,20を備えた機械の動作の中断又は分解を必要とすることなく、ギアの摩耗を判定することができる。
【0042】
別の好ましい実施形態では、第2のギアホイール12の第2の歯の所定数n12は、第1のギアホイール11の第1の歯の所定数n11よりも小さい。ここで、異なる動作モードm1,m2中の2つの周波数スペクトルf1,f2の更に良好な差別化を達成することができる。
【0043】
図4は、デュアル又はマルチシャフト真空ポンプ30及び上記の何れかによる噛合ランニングギア10,20のペアを備えた、本発明による真空ポンプシステムを示している。ここでは、真空ポンプは、スクリューポンプ、クローポンプ、ルーツポンプ又は同様のものとして構築することができる。好ましくは、噛合ランニングギアは、オイルフリーランニングギアとして構築される。
【0044】
図4に示すデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ30は、モータ31、第1のシャフト32及び少なくとも1つの第2のシャフト33を備える。第1のシャフト32及び第2のシャフト33は、好ましくは共通の駆動ベルト34を介してモータ31により同期駆動される。更に、第1のシャフト32はポンプ要素321を有し、第2のシャフト33はポンプ要素331を有し、これらのポンプ要素は、第1のシャフト32のポンプ要素321と協働して、気体媒体を入口35から出口まで搬送する。
【0045】
本発明によれば、第1シャフト32は第1のランニングギア10を含み、第2シャフト33は第2のランニングギア20を含む。
【0046】
ここでは、通常運転中、第1シャフト32の第1のランニングギア10及び第2シャフト33の第2のランニングギア20は互いに接触していない。換言すれば、ランニングギア10,20は、非常用ランニングギアとして設計されており、例えば摩耗、歯抜け又は駆動ベルト34の断裂による駆動ベルト34の伸びが生じた場合に、ポンプ要素321,331が互いに接触しないようにし、ポンプ要素321,331の重大な損傷を防止する。
【0047】
更に、第1の動作モードm1において
図4に示す実施例では、第2のランニングギア20は、第1のギアホイール11にのみ直接接触している。ここで、第1の動作モードm1は、真空ポンプシステムの第1の非常動作モードに対応する。この第1の動作モードm1では、第2のギアホイール12の所定数の第2の歯n12の寸法は、第1ギアホイール11の所定数の第1の歯n11の寸法よりも小さい。
【0048】
第2の非常動作に対応する第2の動作モードm2では、材料の摩耗に起因して、第1のギアホイール11の寸法が所定量wだけ小さくなると、第2のランニングギア20が第2のギアホイール12に直接接触する。摩耗は、第1の歯n11の形状を第2の歯の形状にし、又は少なくとも第2の歯の形状に近づける。ここでは、第2の歯n12の寸法によって、ポンプ要素321、331の非接触動作が保証される。
【0049】
第1の動作モードm1の間に第1のランニングギア10及び第2のランニングギア20によって生成されるサウンドの第1の周波数スペクトルf1は、第2の動作モードm2の間に第1のランニングギア10及び第2のランニングギア20によって生成されるサウンドの第2の周波数スペクトルf2と異なっており、この差異は、ランニングギア10、20の摩耗を判定するために検出及び使用することができる。
【0050】
このように、
図4に示される真空ポンプシステムにおいて、非常用ランニングギア10、20は、第1の非常動作モードm1において既に検出することができる異なる周波数スペクトルを生成するように構成され、従って、真空ポンプ30の最適且つ安全な運転を保証するために、最適な時間ウィンドウにおいて適切な措置を講じるか又は講じる計画をすることができる。
【0051】
図5は、本発明によるギア摩耗検出デバイス40の概略図であり、ランニングギア10、20によって生じるサウンドを検出するように構成された検出モジュール41を備える。
【0052】
ギア摩耗検出デバイス40は更に、検出されたサウンドの周波数スペクトルを分析するように構成された分析モジュール42を備え、また、分析された周波数スペクトルの変化に応じてランニングギア10、20の摩耗を判定するように構成された判定モジュール43を備える。
【0053】
ここで、ユーザは、ギア摩耗が生じたか否かをチェックするため、検出デバイスを能動的に又は計画された間隔で始動させるか、又は代替的にギア摩耗検出デバイスを連続的に作動させることができる。
【0054】
このように、図示されたギア摩耗検出デバイス40を介して、ランニングギア10、20によって発生するサウンドを検出し、ギア摩耗が発生したか否かを判定することができる。
【0055】
図5に例示された実施例における判定モジュール43は更に、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10,20によって生成される周波数スペクトルf2と等しいか、又は第1の動作モードm1の周波数スペクトルから少なくとも偏差が生じるか否かを判定するように構成することができる。
【0056】
実施例において、ギア摩耗検出デバイス40は更に、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10、20によって生成される第2の周波数スペクトルf2と等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するように構成されたディスプレイモジュール44を備える。
【0057】
図6は、本発明の実施形態を示し、ここでギア摩耗検出デバイスは携帯端末50である。携帯端末50は、何れかの動作モードにおいてランニングギア10,20によって生成されるサウンドを検出するように構成された検出モジュール51を備える。一例では、携帯端末50の検出モジュール51は、内蔵マイク又は他の内部音声信号受信モジュールに相当する。別の実施例では、検出モジュール51は、真空ポンプに直接取り付けることができる有線又は無線接続構成を介して携帯端末50に接続される何れかの外部音声信号受信機とすることができる。更に、携帯端末50は、検出モジュールによって検出されたサウンドの周波数スペクトルを分析するように構成された分析モジュール52を備える。一例では、分析モジュール52は、携帯端末50にインストールされ実行される、音響信号の周波数スペクトルを分析するように構成された携帯端末アプリケーションである。代替的に、分析モジュール52は、分析アプリケーションを含むサーバーデバイス上に構成され、インターネット接続を介して携帯端末50によってアクセス可能である。更に、携帯端末50は、分析された周波数スペクトルの変化に応じてランニングギア10、20の摩耗を判定するように構成された判定モジュール53を備える。一例では、判定モジュール53は、モバイルデバイス50にインストールされたアプリケーションとすることができる。別の例では、判定モジュール53は、携帯端末50によってアクセスされるように構成された外部アプリケーションとすることができる。好ましくは、携帯端末50の内部及び/又は外部の判定モジュール53は、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10、20によって生成される周波数スペクトルf2と等しいか、又は少なくとも第1の動作モードm1の周波数スペクトルから偏差が生じるか否かを判定するように構成される。
【0058】
図示された実施例において、携帯端末50は、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10、20によって生成された第2の周波数スペクトルf2と等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するように構成されたディスプレイモジュール54を更に備える。一例において、ギア摩耗通知は、記述及び/又は発話されたテキストベースの通知、ランニングギア10、20によって生成されたサウンドの検出及び分析された周波数スペクトルを示す図及び/又はランニングギア10、20の検出されたギアを示すサウンド又は色ベースの情報の形とすることができる。一実施例では、ディスプレイモジュール54は、携帯端末50の内蔵ディスプレイに対応する。別の実施例では、ディスプレイモジュール54は、ギア摩耗通知をユーザに表示するために携帯端末50によってアクセスされるように構成された何れかの他の外部ディスプレイデバイスに対応する。
【0059】
一実施例によれば、携帯端末50は、ランニングギア10、20によって生成されるサウンドの検出、検出されたサウンドの周波数スペクトルの分析、分析された周波数スペクトルの変化に応じたランニングギア10、20の摩耗の判定、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10,20によって生成される第2の周波数スペクトルf2に等しい場合、又は第1の動作モードm1の周波数スペクトルから少なくとも偏差が生じた場合のギア摩耗通知のユーザへの表示、を開始するためにユーザによって操作されるように構成される。
【0060】
別の実施例によれば、携帯端末は、ランニングギア10,20によって生成されるサウンドの検出、検出されたサウンドの周波数スペクトルの分析、分析された周波数スペクトルの変化に応じたランニングギア10,20の摩耗の判定、及び分析された周波数スペクトルが第2の動作モードm2においてランニングギア10,20によって生成される第2の周波数スペクトルf2と等しい場合に、ユーザへのギア摩耗通知の表示、を自律的に開始するように構成される。ここで、携帯端末50の自律運転は、連続運転又は何れかの所定間隔内の運転とすることができる。
【0061】
図7は、本発明による噛合ランニングギアにおけるギア摩耗検出方法のフロー図である。ここでは、本方法は、ギア摩耗検出デバイス40、すなわち携帯端末50において実施することができる。
【0062】
本方法の第1のステップは、ランニングギア10、20によって発生するサウンドを検出するステップS1を含む。第2のステップでは、本方法は、検出されたサウンドの周波数スペクトルを分析するステップS2を含み、第3のステップでは、本方法は、分析された周波数スペクトルの変化に応じて、ランニングギア10、20の摩耗を判定するステップS3を含む。
【0063】
好ましくは、判定するステップS3は、分析された周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10、20によって生成される周波数スペクトルf2に等しいか否かを判定するステップを含む。
【0064】
好ましい実施形態において、本方法は更に、周波数スペクトルが、第2の動作モードm2においてランニングギア10、20によって生成される周波数スペクトルf2と等しい場合に、ギア摩耗通知をユーザに表示するステップS4を含む。
【0065】
従って、特にデュアル又はマルチシャフト真空ポンプ用の噛合、好ましくはオイルフリーランニングギアのペア、デュアル又はマルチシャフト真空ポンプと噛合ランニングギアのペアとを備えた真空ポンプシステム、真空ポンプシステムを備え、更にギア摩耗検出デバイスを備えた装置、噛合ランニングギアを備えた機械の運転の中断及び分解をすることなく、噛合好ましくはオイルフリーランニングギアにおけるギア摩耗を簡単で効率的且つ確実に検出するための、上記噛合ランニングギアのペアのギア摩耗検出方法が提供される。従って、ギア摩耗検出のコスト及び複雑さが効果的に低減され、後にギア摩耗によって引き起こされる深刻な損害が防止される。
【国際調査報告】