(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】飲料調製装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20240311BHJP
A47J 31/42 20060101ALI20240311BHJP
A47J 31/46 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A47J31/36 310
A47J31/42
A47J31/46 117
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560080
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022052159
(87)【国際公開番号】W WO2022207156
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021108202.1
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512218854
【氏名又は名称】フランケ・カフェーマシーネン・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】FRANKE KAFFEEMASCHINEN AG
【住所又は居所原語表記】FRANKE‐STRASSE 9, 4663 AARBURG, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ジモン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104AA23
4B104BA16
4B104BA39
4B104BA45
4B104CA07
4B104DA07
4B104DA08
4B104DA09
4B104DA11
4B104DA33
4B104EA30
4B104EA40
(57)【要約】
給湯器と、前記給湯器からお湯を供給することが可能である抽出装置と、前記抽出装置の方向に圧力下で水を供給するための水ポンプと、ホット飲料管を介して前記抽出装置と接続されている吐出装置と、飲料の選択後に選択された飲料の自動調製および供給を制御する制御装置とを備える、各ホット飲料、特に各コーヒー飲料を自動的に供給するための飲料調製装置において、前記制御装置は、お湯を前記抽出装置に供給する際の抽出圧力あるいはお湯が供給される際の流量を選択された飲料の調製プロセスに亘って予め設定されたあるいは予め設定可能なプロファイルにしたがって変化させるように形成されている。この目的のために前記飲料調製装置は、前記制御装置と接続された電気的ピックアップを有する機械的操作要素を有し、当該機械的操作要素を介してユーザが飲料調製プロセス中に前記プロファイルを予め設定することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器(12)と、前記給湯器(12)からお湯を供給することが可能である抽出装置(11)と、前記抽出装置(11)の方向に圧力下で水を供給するための水ポンプ(13)と、ホット飲料管を介して前記抽出装置(11)と接続されている吐出装置(3)と、飲料の選択後に選択された飲料の自動調製および供給を制御する制御装置(10)と、を備える、各ホット飲料、特に各コーヒー飲料を自動的に供給するための飲料調製装置であって、
前記制御装置(10)は、お湯を前記抽出装置(11)に供給する際の抽出圧力あるいはお湯が供給される際の流量を選択された飲料の調製プロセスに亘って予め設定されたあるいは予め設定可能なプロファイルにしたがって変化させるように形成されており、前記飲料調製装置(1)は、前記プロファイルを予め設定するために前記制御装置(10)と接続された電気的ピックアップ(5a)を有する機械的操作要素(5)を有することを特徴とする飲料調製装置。
【請求項2】
前記抽出圧力は、前記水ポンプ(13)の速度を調節することによって変化されることを特徴とする、請求項1に記載の飲料調製装置。
【請求項3】
流れ方向において前記抽出装置(11)の下流に配置された調節可能な逆圧弁(19)を有し、前記逆圧弁(19)の弁口を調整することによって抽出圧力または流量を変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の飲料調製装置。
【請求項4】
前記抽出装置(11)の上流または下流に配置された、抽出水の体積流量または既に通過したあるいはこれから通過する抽出水の量を決定するための測定装置(17)と、流れ方向において前記抽出装置(11)の下流に配置された、調節可能な逆圧弁(19)とを有し、前記制御装置(10)は、お湯が前記抽出装置(11)に供給される際の抽出圧力を前記機械的操作要素(5)を介して予め設定された圧力プロファイルにしたがって変化させ、調製プロセス中に前記機械的操作要素(5)を介して予め設定された圧力プロファイルに関係なく選択された飲料について予め設定された抽出水の総量が予め設定された総流下時間において通過するように前記測定装置(17)の各測定値に応じて抽出プロセス中に前記抽出水の流量を前記逆圧弁(19)を介して調節するように形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の飲料調製装置。
【請求項5】
逆圧弁(19)は、モータ駆動式ニードル弁として形成されており、前記制御装置(10)は、駆動モータを制御することにより前記ニードル弁をさらに開閉することを特徴とする、請求項2または3に記載の飲料調製装置。
【請求項6】
測定装置(17)は、流れ方向において前記水ポンプ(13)の上流あるいは前記水ポンプ(13)と前記抽出装置(11)との間に配置されている流量センサを含んでなることを特徴とする、請求項3に記載の飲料調製装置。
【請求項7】
前記制御装置(10)は、連続的または少なくとも複数回に亘って測定された各体積流量値から既に通過したあるいはこれから通過する抽出水の量を求め、予め設定された総流下時間に到達するまでの残りの時間において予め設定された総量に到達するまでどれだけの抽出水が前記抽出装置を通過する必要があるかに応じて体積流量を増加あるいは低減するために前記逆圧弁(19)をさらに開口するまたはさらに閉止するように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の飲料調製装置。
【請求項8】
前記機械的操作要素(5)は、中立位置から圧力または流量を増加させるために第一の方向へ、または圧力または流量を減少させるために第二の方向へと偏向され得る操作レバーとして形成されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項9】
前記機械的操作要素(5)を作動した場合に視覚的、聴覚的あるいは触覚的な確認信号を発することを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項10】
前記制御装置(10)は、前記機械的操作要素(5)を作動することによりプロファイルが入力され、入力された前記プロファイルが後の各自動製品購入時のために記憶されるトレーニングモードを有することを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項11】
別個の各フード管を介して前記吐出装置(3)に案内された、一つまたは複数の飲料成分を供給するための前記吐出装置(3)に固定可能である、少なくとも一つの吐出ヘッド(4,4’,4”)を有し、前記吐出装置(3)は、前記吐出ヘッド(4,4’,4”)を密閉連結するための機械的インターフェースを有することを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項12】
異なる各飲料または各飲料群のために前記吐出装置(3)に対して交互に連結可能な複数の吐出ヘッド(4,4’,4”)を含んでなることを特徴とする、請求項8に記載の飲料調製装置。
【請求項13】
前記各吐出ヘッド(4,4’,4”)は、自身の上面に各接続開口部(21,21a,21b,21d,21g)が設けられている以外は閉止された密閉面(20)によって形成されているポルタフィルタの形を有するように形成されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の飲料調製装置。
【請求項14】
前記抽出装置(11)と相互作用して前記抽出装置に分配された量の挽きたてのコーヒー粉を自動的に充填するコーヒー豆を挽くためのミルを有することを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の飲料調製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器と、前記給湯器からお湯を供給することが可能である抽出装置と、前記抽出装置の方向に圧力下で水を供給するための水ポンプと、ホット飲料管を介して前記抽出装置と接続されている吐出装置と、飲料の選択後に選択された飲料の自動調製および供給を制御する制御装置と、を備える、各ホット飲料、特に各コーヒー飲料を自動的に供給するための飲料調製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術においてコーヒーベースの各飲料をポーション毎に調製して供給するために使用される全自動コーヒーメーカーが公知である。ここで飲料の選択はユーザインターフェースを介して実施される。飲料バリエーションを選択した後に内蔵された抽出装置によってユーザの各仕様に応じてコーヒー飲料が調製されて飲料吐出部へと供給される。多くの場合、前述したホット飲料吐出部の他にミルク、ミルクフォームまたは各風味添加物などの他の各飲料成分のための各吐出部が設けられている。前記各吐出部は、前記全自動コーヒーメーカーに固定的に配置された吐出ヘッドにまとめられ得る。
【0003】
その他、先行技術においてはいわゆるポルタフィルタ装置が公知であり、当該ポルタフィルタ装置では吐出ヘッドの代わりに自身に取り付けられた吐出部を有するポルタフィルタが密閉するように固定される。コーヒーを調製するには前記ポルタフィルタを外してコーヒー粉を充填し、再び前記ポルタフィルタ装置に固定し、所定量のお湯が前記ポルタフィルタ内に含まれるコーヒーフィルタと前記コーヒーフィルタ内に含まれるコーヒー粉とを通過するまで当該ポルタフィルタ装置を介して加圧下でお湯が注がれる。ミルクまたはミルクフォームなどの他の各飲料添加物は、前記コーヒー飲料にバリスタによって手動で加えられる。
【0004】
最後に、同様にポルタフィルタが用いられるハイブリッド式システムも公知であるが、当該ポルタフィルタには内蔵されたコーヒーミルを介して挽いたコーヒー粉が自動的に充填される。この類のハイブリッド式コーヒーメーカーは、例えば国際公開第2010 08 58 50号において記載されている。
【0005】
ポルタフィルタ装置のコーヒーの味が今でも多くのコーヒー愛好家によって高く評価されるのは、特にバリスタが自身の職人技によって調製、ひいてはコーヒー飲料の味に影響を与えることが可能であるためである。
【0006】
これに対して全自動コーヒーメーカーは、ボタンを押すことで安定した味質の各コーヒー飲料の自動調製および供給を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010 08 58 50号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、各ホット飲料の自動調製および供給を可能にしながらも経験豊富なユーザが飲料の調製に影響を与えて品質を向上させることを可能にする飲料調製装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の各特徴によって解消される。有利な各実施形態は、各従属クレームより得られる。
【0010】
冒頭で述べた類の飲料調製装置において、本発明では前記制御装置がお湯を前記抽出装置に供給する際の抽出圧力あるいはお湯が供給される際の流量を選択された飲料の調製プロセスに亘って予め設定されたあるいは予め設定可能なプロファイルにしたがって変化させるように形成されており、前記飲料調製装置は、前記プロファイルを予め設定するために前記制御装置と接続された電気的ピックアップを有する機械的操作要素を有する。
【0011】
本発明の基本理念は、前記制御装置を用いて抽出圧力または流量を調製プロセスに亘って単に一定に保つだけではなく、ユーザによって予め設定可能であるプロファイルにしたがって時間経過ととともに変化させることにあり、前記プロファイルは、特定の調製プロセスのためあるいは同じ種類の飲料の将来的な各調製プロセスのために記憶可能であるものである。この目的のため前記飲料調製装置は、前記制御装置と接続されている電気的ピックアップを有する機械的操作要素を有する。よってユーザは、前記操作要素を用いて所望する抽出パラメータ、すなわち抽出圧力または流量を時間経過とともに変化させることが可能であり、よって特定の飲料または飲料の種類を調製するための極めて個別なプロファイルを予め設定することが可能である。
【0012】
前記水ポンプは、前記給湯器の上流、すなわち前記給湯器の冷水流に配されることが好ましい。当然、お湯に適したポンプであれば当該ポンプを給湯器と抽出装置との間に配置することも可能である。前記給湯器としてはそれ自体公知の方法でボイラーまたはフローヒータを用いることが可能である。
【0013】
好ましい実施形態において抽出圧力は、前記水ポンプの速度または出力を調節することによって変化される。よって前記操作要素を介して調製プロセス中にポンプ速度を増加または減少させ得ることで水が増加または減少された圧力において前記抽出装置へと供給される。
【0014】
別法としてまたは追加的に流れ方向において前記抽出装置の下流に調節可能な逆圧弁を配置することが可能である。この際、前記逆圧弁の弁口を調整することによって抽出圧力または流量を変化させることが可能である。よって調製プロセス中に前記操作要素を介して前記逆圧弁の弁口を拡大または縮小させることが可能であるため、前記逆圧要素においてより高いあるいはより低い逆圧が生じる。
【0015】
好ましい実施形態において前記飲料調製装置は、前記抽出装置の上流または下流に配置された、抽出水の体積流量または既に通過したあるいはこれから通過する抽出水の量を決定するための測定装置と、流れ方向において前記抽出装置の下流に配置された、調節可能な逆圧弁とを有する。前記制御装置は、お湯が前記抽出装置に供給される際の抽出圧力を前記操作要素を介して予め設定された圧力プロファイルにしたがって変化させ、調製プロセス中に前記操作要素を介して予め設定された圧力プロファイルに関係なく選択された飲料について予め設定された抽出水の総量が予め設定された総流下時間において通過するように、前記測定装置の各測定値に応じて抽出プロセス中に前記抽出水の流量を前記逆圧弁を介して調節するように形成されている。
【0016】
換言すれば、前記操作要素を介して抽出圧力が時間経過において変化させられるのに対して流量調節は、前記逆圧弁を用いることによって予め設定された総水量に対する実質的に一定である総流下時間を達成するように常に流量を適合するように務める。
【0017】
抽出圧力の変化は、ポンプの制御によって実施されることが合理的である。よって抽出圧力のプロファイルと総流下時間の両方を予め設定することが可能である。抽出時間と抽出圧力とは、コーヒー飲料の味を左右する最も重要な各パラメータであることがわかっているため、バリスタにはコーヒー調製において自身の職人技と自身の経験とによって飲料の品質に影響を与える幅広い可能性が与えられる。
【0018】
前記逆圧弁は、モータ駆動式ニードル弁として形成されていることが合理的であり、前記制御装置は、駆動モータを制御することにより前記ニードル弁を開閉する。ニードル弁によって流量を特に細かく調節することが可能であるため、フィードバック制御を介して流量を極めて正確に設定することが可能である。
【0019】
前記測定装置としては流量センサが用いられることが好ましく、当該流量センサは、流れ方向において前記水ポンプの上流あるいは前記水ポンプと前記抽出装置との間に配置されており、よって好ましくは冷水流内に配される。よって一方ではさもなければ製品購入の開始時にまず温める必要があるであろう流量センサを流れるお湯が冷却されない。加えて冷水での使用では温水流での使用に比べて流量センサにおける摩耗が減る。
【0020】
前記制御装置は、連続的または少なくとも複数回に亘って測定された各体積流量値から既に通過したあるいはこれから通過する抽出水の量を求め、予め設定された総流下時間に到達するまでの残りの時間において予め設定された総量に到達するまでどれだけの抽出水が前記抽出装置を通過させられる必要があるかに応じて体積流量を増加あるいは低減するために前記逆圧弁をさらに開口するまたはさらに閉止するように形成されていることが合理的である。
【0021】
好ましい実施形態において前記機械的操作要素は、操作レバーとして形成されており、当該操作レバーを中立位置から圧力または流量を増加させるために第一の方向へ、または圧力または流量を減少させるために第二の方向へと切り替えることが可能である。この類の操作レバーは、特に直感的な操作を可能にする。例えば前記操作レバーを抽出圧力または流量を増加させるために上方または前方に旋回させ、当該抽出圧力または流量を減少させるために下方または後方に旋回させることが可能である。前記操作レバーが前記吐出装置においてまたは当該吐出装置に隣接して配置される場合、特に人間工学的および直感的な操作性が得られる。
【0022】
この際、前記飲料調製装置は、前記操作要素を作動した場合に視覚的、聴覚的あるいは触覚的な確認信号を発するように形成されていることが特に有利である。例えば圧力または流量をグラフィックディスプレイ上に表示されたバーまたは三角形の形で図示することが可能であり、当該バー/当該三角形は、前記操作レバーの位置に応じてより大きくあるいはより小さく図示され得る。触覚的な確認信号は、例えば前記操作レバーの上に例えば戻り止め、または前記操作レバーの偏向に伴って連続的に増加する作動抵抗、あるいは前記操作レバーの偏向に伴って増加する、ユーザが体感できる復元性の形において直接出力することが可能である。
【0023】
本発明によると前記操作レバーの位置は、前記制御装置を介して読み込むことが可能である。このことは例えばポテンショメータを介した連続信号として、あるいは例えば複数の機械式接点スイッチを介したデジタル信号として実施され得る。
【0024】
好ましい実施形態において前記制御装置は、トレーニングモードを有し、当該トレーニングモードでは前記操作要素を作動することによりプロファイルが入力され、入力された前記プロファイルが後の各自動製品購入のために記憶される。よってバリスタは、個別のプロファイルを入力することが可能であり、当該プロファイルをその後の各製品購入時に繰り返し呼び出して実行する。
【0025】
別の実施形態において前記飲料調製装置は、別個の各フード管を介して前記吐出装置に案内された、一つまたは複数の飲料成分を供給するための前記吐出装置に固定可能である、少なくとも一つの吐出ヘッドを有し、前記吐出装置は、前記吐出ヘッドを密閉連結するための機械的インターフェースを有する。この際、異なる各飲料または各飲料群のために前記吐出装置に対して交互に連結可能な複数の吐出ヘッドが設けられることが特に有利である。例えば単一のエスプレッソのための第一の吐出ヘッドと、二つのエスプレッソカップにダブルエスプレッソを供給するためのダブル吐出部を有する第二の吐出ヘッドと、が設けられ得る。同様にミルク含有および/または風味付けされた各飲料のための別個の各吐出ヘッドが設けられ得る。
【0026】
前記各吐出ヘッドは、好ましくはポルタフィルタの形を有するように形成され得るが、当該吐出ヘッドの上面は各接続口が設けられている以外は閉止された密閉面によって形成されている。よって前記装置の操作は、従来のポルタフィルタ装置の操作と同様であるが、飲料調製が全自動飲料メーカーの方法で実施されるものの、圧力プロファイルあるいは流量プロファイルを手動で変化させることが可能であるという点において異なる。
【0027】
さらに好ましくは前記飲料調製装置は、本物の全自動コーヒーとして形成されてコーヒー豆を挽くためのミルを有し、当該ミルは、前記抽出装置と相互作用して当該抽出装置に分配された量の挽きたてのコーヒー粉を自動的に充填する。よって、例えばグラフィック・ユーザインターフェースを介して供給する飲料を容易に選択することで、コーヒー豆を挽くことと前記抽出装置への充填を含む飲料の調製および供給が全自動で実施される。
【0028】
しかしながら本発明は全自動コーヒーメーカーに限定されるものではなく、コーヒーカプセルまたはコーヒーパッドを用いて作動されるポーション・コーヒーメーカーにおいても使用され得る。
【0029】
本発明のさらなる各構成および各利点は、各図面に基づく以下の各実施形態例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ダブル装置として形成された飲料調製装置の図である。
【
図3a】本発明による飲料調製装置において使用可能で取り外し可能な、ダブル吐出部を有する吐出ヘッドを示す図である。
【
図3b】さらに二つの、本発明における飲料調製装置において交互に使用可能な吐出ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に図示されているコーヒーメーカー1は、二つの別個のコーヒー調製装置2a,2bを有するダブル装置として形成されている。前記各コーヒー調製装置2a,2bは、吐出装置3を有し、当該吐出装置は、当該吐出装置に受容された吐出部4を有し、当該吐出部を介して調製された各コーヒー飲料が当該吐出部の下に配置された飲用容器内に供給される。
【0032】
前記吐出装置3には中立位置から上方および下方に旋回可能な操作レバー5が取り付けられている。前記操作レバー5は、以下に詳述される方法において現在供給すべきあるいは将来的な飲料を調製する際の抽出圧力または流量のためのプロファイルを予め設定するために使用される。
【0033】
前記装置の上面には生のコーヒー豆のための二つの豆容器6が配されている。当該各豆容器は、それぞれ前記各豆容器6の下方に配置された電気コーヒーミルにつながっており、当該電気コーヒーミルは、個々のコーヒー飲料の調製のためにポーション毎にコーヒー粉を挽く。さらに前記コーヒーメーカー1は、チョコレートパウダーなどのインスタントパウダー用のパウダー容器6aを有し、当該パウダー容器を用いて付加的な各飲料成分としてインスタント飲料を調製することが可能である。
【0034】
前記吐出装置3の上方にはグラフィック・ユーザインターフェースとしてタッチ感応ディスプレイ9が配置されている。ユーザに対して当該ディスプレイ上に様々な利用可能な飲料バリエーションが表示されてユーザによって選択され得る。選択を実施した後、選択された飲料が自動的に調製および供給され、調製中に前記操作レバー5を介して抽出圧力または流量などの調製パラメータを変化させることが可能である。
【0035】
前記装置の中央にスチームランス7が配されており、操作レバー7aを作動することによって当該スチームランスを介してミルクを泡立てるためのスチームを供給することが可能である。隣接してお湯のための吐出コック8が配されている。別の操作レバー8aを作動することによって例えば紅茶を調製したり各カップをすすいだり予熱したりするために前記吐出コック8からお湯を供給することが可能である。
【0036】
図2において各コーヒー飲料を調製するための抽出装置の構造がいわゆる水流機構において図示されており、当該抽出装置は、例えば前記各飲料調製装置2a,2bにおいて使用され得る。前記抽出装置は、抽出集成体11、加熱カートリッジとして形成されているフローヒーターの形における給湯器12、入口側の水ポンプ13および抽出したての各コーヒー飲料を供給するための吐出ヘッド4を含んでなる。流れ方向において前記水ポンプ13の上流に主水弁15が配されており、当該主水弁を介して前記抽出装置が飲料水管16に接続されている。圧力側において前記ポンプ13は、流量センサ17(流量計)を介して前記加熱カートリッジ12の入口と接続されている。前記加熱カートリッジ12からのお湯は、前記抽出集成体11に供給される。
【0037】
前記抽出集成体11と前記吐出ヘッド4との間に調節可能な逆圧弁19が配されており、当該逆圧弁は、前記流量センサ17の各測定値に応じて制御装置10によって制御される。前記制御装置10は、マイクロプロセッサによって実現することが可能であり、当該マイクロプロセッサを前記飲料調製装置におけるその他の各制御プロセスおよび各調節プロセスを実施するためにも用いることが可能である。さらに前記制御装置10に対して前記操作レバー5または前記操作レバー5に配備された、前記操作レバー5の位置を読み取る電気的ピックアップが接続されている。
【0038】
さらに前記制御装置10は、前記水ポンプ13と接続されており、とりわけ前記水ポンプ13の速度、ひいては出力を制御する。さらに前記加熱カートリッジ12の冷水流に圧力センサ18が配されており、当該圧力センサの各測定値が前記制御装置10によって読み取られる。最後に前記制御装置10は、前記加熱カートリッジ12をも制御して当該加熱カートリッジの加熱出力、ひいてはお湯の温度を予め設定することが可能である。
【0039】
前記抽出集成体11は、それ自体公知である方法において前記抽出集成体を予熱して保温するためのヒーター11aと分配された挽きたてのコーヒー粉11cが充填される抽出チャンバ11bとを含んでなる。本発明の範囲内で使用することが可能である抽出集成体は、例えばEP 2561778 A1に記載されており、不要な繰り返しを避けるためにここに当該公報の全文を参照するものとする。
【0040】
前記抽出集成体11は、前記飲料調製装置の前記ミルにおいてポーション毎にその都度挽かれる、分配された量のコーヒー粉を充填するために当該抽出集成体が開口され得るように構成されている。さらに前記抽出集成体が開口した状態において抽出プロセスの後に残っているコーヒー粉が使用後コーヒー用容器に排出され得る。さらに前記抽出集成体11は、充填されたコーヒー粉を前記抽出集成体11内にある抽出フィルタに対して圧縮する可動ピストン(図示せず)を有する。前記ピストンを後退させた後、加圧下の抽出水がこうして圧縮されたコーヒー粉11cを通って流れることが可能である。
【0041】
前記抽出水が前記抽出チャンバ11bを通過する際の、前記ポンプ13によって生成される圧力は、本発明がこれに限定されるものではないものの典型的には約8から12バールである。前記抽出水の当該圧力は、従来のコーヒーメーカーの場合、前記抽出チャンバ11b内で圧縮されたコーヒー粉11cの上方では低下する。この際、抽出水がコーヒー豆11cを通過する速度は、明確にコーヒー豆の挽き具合、コーヒーの種類、量および圧縮度に左右される。これに対してここで説明される抽出装置においては、圧力低下が、とりわけ前記抽出チャンバ11bの下流に配置された、前記制御装置10を介して前記抽出チャンバを通過する抽出水の流下速度または流量を具体的には実際に測定された前記流量センサ17の流量に応じて制御することが可能である前記逆圧弁19において発生する。本実施形態例において前記逆圧弁19がステッピングモータを介して駆動されるニードル弁として形成されている。
【0042】
前記操作レバー5は、前記吐出装置3にヒンジ固定されており、前記操作レバー5の偏向に応じた信号を生成する電気的ピックアップ5aを有する。前記ピックアップは、アナログであってもデジタルであってもよい。例えば前記ピックアップとしてポテンショメータを使用することが可能であり、当該ポテンショメータにおいて偏向に比例した電圧が降下する。同様に前記レバー5の偏向に応じて前記レバーによって切り替えられる、複数の個別のマイクロスイッチを使用することも可能である。前述のとおり前記操作レバー5は、抽出パラメータのプロファイルをユーザが入力するための機械的操作要素として使用される。前記操作レバー5は、例えば自身の中央位置である中立位置から二つの方向へと偏向され得る。前記電気的ピックアップ5aは、前記操作レバー5の操作状況を読み取る前記制御装置と接続されている。前記操作レバー5の偏向に応じて前記制御装置10は、該当する抽出パラメータを変更する。
【0043】
本実施形態例においては前記操作レバー5を介して抽出圧力を増加または減少することが可能であるようにされている。前記制御装置10が前記操作レバー5の該当する偏向を検知した場合、抽出圧力を増加または減少させるために当該制御装置が前記水ポンプ13の速度を増加または減少させる。前記抽出圧力が減少されることで抽出集成体11を通過する流量も減少する。このことが前記流量計17によって検知されて前記制御装置10によって読み取られ、これに応じて当該制御装置は、再び流量を上げるために前記逆圧弁19の弁口を拡大することで予め設定された総流下時間が得られるようにする。これにより前記操作レバー5を適宜作動させることによって調製プロセス中にポンプ速度がどのように変化するかに関係なく、予め設定された総量のお湯が予め設定された総流下時間において前記抽出集成体11を通過するようになる。
【0044】
前記ユーザインターフェース9を介してユーザは、前記操作レバー5を介して抽出圧力ではなく、流量を直接増加または減少させることが可能である別の作動モードを選択することも可能である。この場合、前記制御装置10は、前記逆圧弁19を前記操作レバー5の偏向に応じて制御する。
【0045】
さらに、前記グラフィック・ユーザインターフェース9を介してトレーニングモードを開始することが可能である。当該トレーニングモードでは飲料の調製プロセス中、前記操作レバー5の偏向が記録されてこうして入力されたプロファイルが記憶される。その後、当該プロファイルを将来的な各飲料の調製および供給のために使用することが可能である。よって、前記コーヒーメーカー1を用いてバリスタがカスタマイズした各コーヒーバリエーションを自動的に調製して供給することが可能となる。
【0046】
これに対して従来の全自動コーヒーメーカーに相当する機能を有する前記コーヒーメーカー1のデザインは、業務用のポルタフィルタ装置のものを採用している。このため前記吐出ヘッド4は、ポルタフィルタの形状に適合されている。
図3aにおいて第一の吐出ヘッド4が図示されている。当該吐出ヘッドは、従来のポルタフィルタに類似した形状を有し、グリップ4bが設けられたキャリア4aを有する。前記グリップ4bは、任意であり、省略することも例えば
図1に図示されるように単に幅が狭く前方に突出したグリップ縁などの異なる形状において形成することも可能である。
【0047】
前記キャリア4aの上面に円形の密閉面20が形成されており、図示される実施形態例においては当該密閉面の中に開口部21が配されており、当該開口部は前記吐出ヘッドの下面におけるダブル吐出部22に対応する。前記ダブル吐出部22の下には二つのエスプレッソカップを配置して同時に充填することが可能である。前記吐出ヘッド4は、交換可能に構成されており、前記吐出装置3の受容部に挿入されてそこでロックされる。前記密閉面20を介して前記吐出ヘッド4と前記吐出装置3との間における密閉連結と流体接続とが得られる。前記吐出装置3において前記抽出集成体11から前記吐出装置3につながるコーヒー管が終端する。さらに例えばミルク、ミルクフォームまたは各風味添加物などの他の各飲料成分のための各管が前記吐出装置3へとつながっていてもよい。前記吐出装置の前記受容部における、相当する各吐出開口部は、前記吐出ヘッド4の前記密閉面20と相互作用する。
図3aに図示される吐出ヘッド4が用いられる場合、当該各付加的な吐出開口部は、前記密閉面20によって閉止されているため、エスプレッソコーヒー以外には他の各飲料成分を供給することが不可能である。
【0048】
図3bにおいてさらに別の二つの交互に挿入可能である吐出ヘッド4’,4”が図示されている。左側の吐出ヘッド4’では、例えば四つの吐出開口部21a,21b,21dおよび21gが設けられており、当該各吐出開口部は、前記吐出装置3の前記受容部における、相当する各吐出部に対応する。よって当該吐出ヘッド4’を用いて全部で四つの異なる飲料成分を供給して混合することが可能である。例えばミルクフォームならびに付加的な各液状風味添加物を加えた各コーヒー飲料を供給することが可能である。
【0049】
前記吐出ヘッド4”は、前記吐出ヘッド4”の下面における各吐出部22a,22bと対応する二つの開口部21a,21bを有する。当該各開口部21a,21bと関連する各吐出部22a,22bとを介して吐出装置3から二つの飲料成分を供給することが可能である。中央の吐出部21aは抽出したてのコーヒーを、前記吐出部21bはミルクフォームを供給するために使用される。
【0050】
よって相当する吐出ヘッド4,4’,4”の選択によって異なる各飲料を供給することが可能である。すなわちどの飲料を調製して供給するかによってバリスタは適切な吐出ヘッドを選択して当該吐出ヘッドを前記吐出装置3に連結する。前記各吐出ヘッド4,4’,4”には前記吐出装置3に配置されているRFIDリーダーによって読み取ることが可能であるRFIDタグが設けられていることが好ましい。前記RFIDタグを介して前記吐出ヘッドおよび当該吐出ヘッドから供給可能な各飲料成分を識別することが可能であるため、前記飲料調製装置における相当する制御を介して当該飲料調製装置における前記ユーザインターフェース9において該当する吐出ヘッド4,4’,4”によって供給可能である各飲料または各飲料バリエーションだけが利用可能となって選択のために表示される。よって吐出ヘッドを容易に交換することによって別の各飲料バリエーションが提供され得る。
【0051】
好ましい実施形態の範囲内において給湯器12として迅速な加熱を可能にする、低い熱式質量を有する加熱カートリッジが使用される。前記加熱カートリッジは、円筒状の内部体と当該内側体を取り囲む外部ケーシングとを有し、前記内部体のケーシング面と前記ケーシングの内面との間においてらせん状に延伸する、加熱すべき水のための流路が配置されている。低い熱式質量を有することに加えてこのような形状によって特にコンパクトな構造が可能になる。
【0052】
当該形状において電気ヒーターは、各加熱コイルとして形成されており、当該加熱コイルは、前記円筒形の内部体内において当該内部体の中心軸の周りをらせん状に延伸しつつ軸方向に隣接する前記内部体の各部分に配置されている。特に前記各加熱コイルは、軸方向に配置された耐熱コアの周りに巻きつけられていることも可能である。各加熱コイルと前記内部体の外皮との間における空間には例えば酸化マグネシウムまたはその他の酸化物のような、一方では電気絶縁性を有し他方では熱伝導性を有する、粉末状の材料を充填することが可能である。
【0053】
低い熱式質量を有するため、熱出力を調節または変化させることによって前記抽出温度を飲料調製プロセス中に変更することが可能であり、故に流量および圧力を変化させるだけではなく温度を変化させた上で抽出を実施することが可能である。
【国際調査報告】