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特表2024-512115可変コンプライアンスフィンガアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】可変コンプライアンスフィンガアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B25J15/08 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560118
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2022058665
(87)【国際公開番号】W WO2022207845
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】2104612.3
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラス、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ソティロポロス、パナギオティス
(72)【発明者】
【氏名】ミニュシワラ、フセイン
(72)【発明者】
【氏名】デルソル・アセロ、エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】トリアンタフィロー、パブロス
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES03
3C707EV02
3C707EV04
3C707EV10
3C707EV12
3C707KV15
3C707LV22
(57)【要約】
本開示は、アパーチャを有する剛体と剛体内に受け入れられる膨張可能要素とを備えるフィンガアセンブリを備える、操作装置に関する。膨張可能要素が膨張されたとき、膨張可能要素の領域がアパーチャを貫通する突起を形成する。操作装置は、目標圧力に従って膨張可能要素を加圧するための膨張制御信号を出力するように構成されたコントローラをさらに備え、ここにおいて、目標圧力は、操作される物体の特性に依存する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作装置であって、
物体に係合するように構成された表面を有する剛体、及び前記剛体内に受け入れられた膨張可能要素を備えるフィンガアセンブリであって、前記表面が1つ又は複数のアパーチャを備え、前記膨張可能要素が膨張されたとき、前記膨張可能要素の領域が、前記1つ又は複数のアパーチャを貫通して突出することによって1つ又は複数の突起を形成する、フィンガアセンブリと、
目標圧力に従って前記膨張可能要素を加圧するための膨張制御信号を出力するように構成されたコントローラであって、前記目標圧力が前記物体の特性に依存する、コントローラと、
前記膨張制御信号を受信し、前記膨張制御信号に応じて前記膨張可能要素を加圧するように構成された圧力調整手段と
を備える、操作装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記膨張可能要素内の圧力を1から5バールの範囲内で変化させるように構成されている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
物体に係合するように構成された前記表面は第1の摩擦係数を有し、前記膨張可能要素の表面は第2の摩擦係数を有し、前記第1の摩擦係数は前記第2の摩擦係数よりも低い、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
メッシュが前記膨張可能要素の表面に形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記剛体は、物体に係合するように構成された前記表面の反対側にある裏面を備え、前記フィンガアセンブリは、前記裏面と、物体に係合するように構成された前記表面との間に延びている1つ又は複数の補強要素をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数のアパーチャのうちの少なくとも1つが、実質的に円形である、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数のアパーチャのうちの少なくとも1つが、実質的に細長い、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項8】
前記フィンガアセンブリは、アクチュエータをさらに備え、前記コントローラは、前記フィンガアセンブリを動かすための作動制御信号を出力するようにさらに構成され、前記アクチュエータは、前記作動制御信号を受信し、前記作動制御信号に応じて前記フィンガアセンブリを動かすように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項9】
前記コントローラは、物体に対する前記フィンガアセンブリの位置に従って、前記膨張可能要素を膨張させるように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記フィンガアセンブリが物体に近接するように動かされたときに、前記膨張可能要素を膨張させるように構成されている、請求項9に記載の操作装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記フィンガアセンブリが物体に接触するように動かされたときに、前記膨張可能要素を膨張させるように構成されている、請求項9に記載の操作装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の操作装置を使用して物体を操作する方法であって、
a)前記物体に係合するために、第1のフィンガアセンブリを第2のフィンガアセンブリに対して動かすステップと、
b)前記第1及び第2のフィンガアセンブリの前記膨張可能要素を膨張させるステップと、
c)前記物体の特性に従って前記膨張可能要素内の目標圧力を決定するステップと、
d)前記膨張可能要素内の圧力を前記目標圧力に従って変化させるステップと、
e)前記物体を前記第1及び第2のフィンガアセンブリと係合させるステップと、
f)前記物体を操作するステップと
を備える方法。
【請求項13】
g)前記第1及び第2のフィンガアセンブリの前記膨張可能要素を収縮させるステップと、
h)前記物体から前記第1及び第2のフィンガアセンブリを係合解除するステップと
をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、装置を操作するためのフィンガアセンブリの分野に関し、より具体的には、可変コンプライアンスを有する把持面を持つフィンガアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ピッキングシステムは、トートまたは他の保管ユニットなどの第1の容器からアイテムを選択し、アイテムを把持し、次いで、バッグなどの第2の容器内へアイテムを移動させることができるロボットピッキングステーションを必要とする。アイテムを操作する場合、堅固なアイテムまたは脆弱なアイテムが損傷のリスクなしに把持され得るように、操作装置のフィンガアセンブリの1つまたは複数の部品が可変コンプライアンスを有することは有益である。
【0003】
本発明は、このような背景から考案されている。
【発明の概要】
【0004】
したがって、第1の態様では、本発明は、操作装置であって、物体に係合するように構成された表面を有する剛体、および剛体内に受け入れられた膨張可能要素を備えるフィンガアセンブリと、表面は、1つまたは複数のアパーチャを備え、ここにおいて、膨張可能要素が膨張されたとき、膨張可能要素の領域が、1つまたは複数のアパーチャを貫通して突出することによって1つまたは複数の突起を形成する;目標圧力に従って膨張可能要素を加圧するための膨張制御信号を出力するように構成されたコントローラと、目標圧力は、物体の特性に依存する;膨張制御信号を受信し、膨張制御信号に応じて膨張可能要素を加圧するように構成された圧力調整手段とを備える、操作装置を提供する。
【0005】
好ましくは、コントローラは、膨張可能要素内の圧力を1から5バールの範囲内で変化させるように構成される。
【0006】
好ましくは、物体に係合するように構成された表面は、第1の摩擦係数を有し、膨張可能要素の表面は、第2の摩擦係数を有し、ここにおいて、第1の摩擦係数は、第2の摩擦係数よりも低い。
【0007】
メッシュが、膨張可能要素の表面に形成され得る。メッシュは、1つまたは複数の突起を形成する膨張可能要素の表面に形成され得る。メッシュの適用は、膨張可能要素が膨張されるときに突起の安定性を増大させ、膨張可能要素の物理的耐久性および弾力性を増大させ得る。
【0008】
剛体は、物体に係合するように構成された表面の反対側にある裏面と、物体に係合するように構成された表面に裏面を連結する1つまたは複数の補強要素とを備え得る。補強要素は、フィンガアセンブリの剛性を増大させ、膨張可能要素の膨張が、たとえば把持面を屈曲させることにより、フィンガアセンブリを歪めるリスクを低減させる。
【0009】
1つまたは複数のアパーチャのうちの少なくとも1つは、実質的に円形である。代替的には、1つまたは複数のアパーチャのうちの少なくとも1つは、実質的に細長くてよい。代替的には、複数のアパーチャを備える実施形態では、複数のアパーチャのうちの1つが、実質的に円形であってよく、複数のアパーチャのうちの別の1つは、実質的に細長くてよい。代替的には、フィンガアセンブリは、異なる形状および/またはサイズのアパーチャを備え得る。
【0010】
操作装置は、使用時にフィンガアセンブリを動かすように作動され得るアクチュエータを備えてよい。アクチュエータは、複数の移動軸でフィンガアセンブリを動かしてよく、複数の回転軸でアクチュエータを回転させるために使用されてよい。コントローラは、フィンガアセンブリを動かすための作動制御信号を出力するように構成され、ここにおいて、アクチュエータは、作動制御信号を受信し、作動制御信号に応じてフィンガアセンブリを動かすように構成される。
【0011】
コントローラは、物体に対するフィンガアセンブリの位置に従って、フィンガアセンブリの膨張可能要素を膨張させ得る。コントローラは、フィンガアセンブリが物体に近接するように動かされたときに、膨張可能要素を膨張させ得る。代替的には、コントローラは、フィンガアセンブリが物体に接触するように動かされたときに、フィンガアセンブリの膨張可能要素を膨張させ得る。
【0012】
第2の態様では、第1の態様による操作装置を使用して物体を操作する方法が提供され、この方法は、物体に係合するために、第1のフィンガアセンブリを第2のフィンガアセンブリに対して動かすステップと、第1および第2のフィンガアセンブリの膨張可能要素を膨張させるステップと、物体の特性に従って膨張可能要素内の目標圧力を決定するステップと、膨張可能要素内の圧力を目標圧力に従って変化させるステップと、物体を第1および第2のフィンガアセンブリと係合させるステップと、物体を操作するステップとを備える。
【0013】
好ましくは、この方法は、第1および第2のフィンガアセンブリの膨張可能要素を収縮させるステップと、物体から第1および第2のフィンガアセンブリを係合解除するステップとをさらに備える。
【0014】
ここで、本発明の上記および他の態様は、添付の図面を参照して単に例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による操作装置の概略図。
図2図1の操作装置で使用するフィンガアセンブリの実施形態の概略図。
図3図2のフィンガアセンブリの把持面の概略図。
図4図2のフィンガアセンブリの膨張可能要素の概略図。
図5】把持面に平行な図2のフィンガアセンブリの断面の概略図。
図6】把持面に直交する図2のフィンガアセンブリの断面の概略図。
図7】把持面に直交する図2のフィンガアセンブリの断面の概略図。
図8】把持面に直交する図2のフィンガアセンブリの断面の概略図。
図9図2のフィンガアセンブリの概略側面図。
図10図2のフィンガアセンブリの概略側面図。
図11】膨張可能要素内の圧力が高い場合の膨張可能要素が物体と係合されている図2のフィンガアセンブリの概略図。
図12】膨張可能要素内の圧力が比較的低い場合の膨張可能要素が物体と係合されている図2のフィンガアセンブリの概略図。
図13図1の操作装置で使用するフィンガアセンブリの代替実施形態の把持面に平行な断面の概略図。
図14図13のフィンガアセンブリの膨張可能要素の概略図。
図15図13のフィンガアセンブリの把持面の概略図。
図16図13のフィンガアセンブリの概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面において、同様の特徴は、適宜に同様の参照符号によって示される。
【0017】
以下の説明では、開示された例の完全な理解を提供するために、いくつかの具体的な詳細が含まれる。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の詳細の1つまたは複数なしに、または他の構成要素、材料などを用いて他の例が実施されてもよく、また、構造的変化が、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを認識するであろう。さらに、以下の説明における暗黙の向きを有する用語に対する参照は、限定するように意図されたものではなく、添付の図面に示されるような特徴の向きを単に参照するものである。いくつかの例では、プロセッサ、センサ、ストレージデバイス、ネットワークインターフェース、ファスナ、電気コネクタなどの周知の特徴またはシステムは、開示された実施形態の不必要に不明瞭な説明を避けるために、詳細に図示または説明されていない。
【0018】
文脈で別段の必要がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、「comprise(備える)」およびその変形、たとえば「comprises」および「comprising」などは、「含むが、それに限定されない」というような開かれた包括的な意味で解釈される。
【0019】
本明細書を通して、「実施形態」、「例」に適用される「one(1つ)」、「an」、または「another(別の)」への言及は、実施形態、例、または実装に関連して説明される特定の参照特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態、例、または実装に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所における「一実施形態では」などの語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態、例、または実装において任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、ユーザの形式「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の対象を含むことに留意されたい。「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、一般に「および/または」を含む意味で使用されることにも留意されたい。
【0021】
図1は、第2のフィンガアセンブリ12bに対向する第1のフィンガアセンブリ12aと、コントローラ14とを備える、本発明の実施形態による操作装置10の概略図を示す。第1および第2のフィンガアセンブリ12a、12bの各々は、(図1には示されていない)膨張可能要素を含み、その外面は、操作される物体16を把持するように配置された把持面を備える。操作装置10は、いずれも第1のフィンガアセンブリ12aに関連付けられた第1のアクチュエータ18aおよび第1の圧力調整手段20aと、第2のフィンガアセンブリ12bに関連付けられた第2のアクチュエータ18bおよび第2の圧力調整手段20bとをさらに備える。第1および第2の圧力調整手段20a、20bは、それぞれの圧力ライン27a、27bおよび他の適切なコネクタによって、それらの関連付けられたフィンガアセンブリ12a、12bに接続されている。コントローラ14は、たとえば、操作装置10の一部を形成する光学センサ26からの視覚データ入力信号23のような、入力信号を受信するための1つまたは複数の電気的入力と、視覚データ入力信号23に応じて第1および第2のアクチュエータならびに圧力調整手段18a、18b、20a、20bに対して1つまたは複数の制御信号22a、22b、24a、24bを出力するための1つまたは複数の電気的出力とを有する、電子プロセッサ21を備える。たとえば、コントローラ14は、視覚データ入力信号23に基づいて第1のフィンガアセンブリ12aを動かすための第1の作動制御信号22aを出力するように構成される。第1のアクチュエータ18aは、第1の作動制御信号22aを受信し、第1の作動制御信号22aに応じて、第1のフィンガアセンブリ12aを第2のフィンガアセンブリ12bに対して動かすように構成される。同様に、コントローラ14は、視覚データ入力信号23に基づいて第2のフィンガアセンブリ12bを動かすための第2の作動制御信号22bを出力することもできる。第2のアクチュエータ18bは、第2の作動制御信号22bを受信し、第2の作動制御信号22bに応じて、第2のフィンガアセンブリ12bを第1のフィンガアセンブリ12aに対して動かすように構成される。これらの動きは、複数の移動軸に関して、第1または第2のフィンガアセンブリ12a、12bの一方が第1または第2のフィンガアセンブリ12a、12bの他方に対して回転することを含んでよい。そのような動きは、第1のフィンガアセンブリ12aと第2のフィンガアセンブリ12bとの間に物体16が把持されることを可能にし得る。第1および第2のフィンガアセンブリ12a、12bは、それらの間に把持された物体16が第1の位置から第2の位置に動かされることが可能なように、一緒に移動可能であってもよい。コントローラ14は、それぞれの膨張可能要素のコンプライアンスを変更するように、第1または第2のフィンガ要素12a、12bの内部の圧力を変化させるために、第1または第2の圧力調整手段20a、20bを制御するために、視覚データ入力信号23に応じて、膨張制御信号24a、24bを出力するように構成される。具体的には、コントローラ14は、視覚データ入力信号23に基づいて第1の膨張制御信号24aを出力するように配置され、第1の圧力調整手段20aは、第1の膨張制御信号24aを受信し、第1の膨張制御信号24aに応じて第1のフィンガアセンブリ12aを加圧するように構成される。同様に、コントローラ14は、視覚データ入力信号23に基づいて第2の膨張制御信号24bを出力するように配置され、第2の圧力調整手段20bは、第2の膨張制御信号24bを受信し、その膨張可能要素のコンプライアンスを変化させるために、第2の膨張制御信号24bに応じて第2のフィンガアセンブリ12bを加圧するように構成される。制御信号22a、22b、24a、24bを生成するために、コントローラ14は、電子プロセッサ21に電気的に結合され、そこに記憶された命令を有するメモリデバイス28をさらに備える。電子プロセッサ21は、メモリデバイス28にアクセスし、上述のプロセスを実行するために、そこに記憶された命令を実行するように構成される。
【0022】
図2から図10は、操作装置10での使用に適した、本発明の実施形態によるフィンガアセンブリ12’の概略図を示す。フィンガアセンブリ12’は、膨張可能要素32を受け入れる剛体30を備える。
【0023】
フィンガアセンブリ12’の概略の斜視図である図2を参照すると、剛体30は実質的に立方形であり、アクチュエータ18’が受け入れられる裏面34を備えている。剛体30は、裏面34に対向する把持面36(図2には示されていない)をさらに備える。把持面36は、操作される物体16に係合するように構成され、2つの側面38および2つの端面40によって裏面34に連結されている。図3は、1つまたは複数のアパーチャ42を備える把持面36の図を示す。この実施形態では、把持面36は複数のアパーチャ42を備える。
【0024】
図4および図5は、剛体30の断面の概略図を示す。図4は、裏面および把持面34、36に平行でそれらの間にある面における、剛体30の断面を示す。この図から、剛体30は複数の補強要素44を備え、この実施形態では、それらは複数の柱44を備えることが分かる。複数の柱44は、裏面34と把持面36との間に延び、これらを連結して剛体30の剛性を増大させる。図4は、複数の柱44のポジションに対する、把持面36内に形成された複数のアパーチャ42のポジションを示しており、複数のアパーチャ42は点線で示されている。複数の柱44は、複数のアパーチャ42の1つの下に位置しないように配置されていることが分かる。図5は、把持面36(およびさらに裏面34)に直交する平面におけるフィンガアセンブリ12’の断面を示し、複数の柱44による裏面34と把持面36の連結を示している。
【0025】
図6は、複数の開口46を備える膨張可能要素32の概略図を示す。複数の開口46は、膨張可能要素32が剛体30内に受け入れられたときに剛体30内に形成された複数の柱44と揃うように配置される。剛体30を備える材料は第1の摩擦係数を有し、膨張可能要素32を備える材料は第2の摩擦係数を有し、第2の摩擦係数は第1の摩擦係数よりも高い。
【0026】
図7は、複数の柱44の各々が膨張可能要素32内に形成された複数の開口46のそれぞれの開口内に受け入れられるように、膨張可能要素32が剛体30内に受け入れられる図5の断面図の概略を図示する。開口46のサイズは、膨張可能要素32が複数の柱44に対して動くことが可能なように、柱44のサイズよりも大きい。図7は、膨張されていない状態または不活性状態にあるときの膨張可能要素32を示し、図8は、膨張可能要素32が膨張されていない状態にあるときのフィンガアセンブリ12’の外側面図を示す。代替実施形態では、膨張可能要素32は、膨張されていない状態で剛体30の体積全体を実質的に占め、複数の開口46のポジションと一致するように配置された複数の押出部を備えてよい。押出部は、膨張可能要素32が膨張されていないとき、それらの端面と剛体30の把持面36とが実質的に同一平面に揃うように配置されている。この配置は、膨張可能要素32の変形をほとんどなしに押出部が物体16に係合することを可能にし、現在の実施形態と比較して膨張可能要素32の加圧を小さくできることを意味する。
【0027】
使用時に、膨張可能要素32は、膨張制御信号24’に従って圧力調整手段20’によって膨張され、したがって、膨張可能要素32は膨張して、膨張可能要素32の一部が、把持面36内に形成された複数の開口42を貫通して延び、物体16に適合して適度に大きな摩擦接触面積を集合的に構成する多数の接触点を提供する。図9は、膨張可能要素32が剛体30の内部において膨張状態(または能動状態)にあるときのフィンガアセンブリ12’の断面図を示す。膨張可能要素32がこの状態にあるとき、複数の突起48が形成され、突起48の直径および位置は、把持面36内に形成されたアパーチャ42のサイズおよび位置によって制限される。図10は、膨張可能要素32が膨張状態にあるときのフィンガアセンブリ12’の外側面図を示し、把持面36の上の膨張可能要素32の複数の突起48を示す。
【0028】
図1に関連して上述されたように、コントローラ14は、膨張制御信号24’を出力するように構成され、膨張制御信号24’は、それらに応じて関連付けられた膨張可能要素32を加圧するためにそれぞれの圧力調整手段20’によって受信される。膨張制御信号24’は、目標圧力に従ってコントローラ14によって生成され、膨張可能要素32が加圧されるべきレベルを規定する。目標圧力は、操作される物体16の1つまたは複数の特性、たとえば、その形状、重量、剛性、脆弱性などに基づいて選択され、そのうちの1つまたは複数は、光学センサ26からの視覚データ入力信号23に基づいて決定され、および/または電子プロセッサ21によってメモリデバイス28から利用され得る。それらの圧力を変化させることによって、膨張可能要素32のコンプライアンス、および操作される物体16に対してそれらにより加えられる力が、選ばれた特性に従って増大または低減され得る。
【0029】
目標圧力は、1から5バールの範囲内とすることができ、膨張可能要素32のコンプライアンスを変更するためにこの範囲内で変化される。すなわち、たとえば、膨張可能要素32が4バールに加圧されたとき、図11に示されるように、突起48は実質的に堅固であり、物体16を操作しているときに、かなりの大きな変形に抵抗することができる。そのような配置は、操作される物体16が重いが剛性が高いと決定されたときに使用されることがあり、それにより、比較的小さな接触領域にわたって突起48によって加えられる法線力50に耐えることができるようになり、物体16が大きな力で保持されることが可能になる。
【0030】
逆に、たとえば、膨張可能要素32が1.5バールに加圧されたときは、図12に示されるように、突起48は比較的堅くないので、それらが係合された物体16の部分に従って変形する可能性がはるかに高くなる。この配置では、突起48のコンプライアンスがより大きいため、図11に示される配置と比べて比較的大きな接触面積が形成され、物体16と変形された突起48との間に形成される摩擦接触が増大し、物体16に作用する法線力50が低減する。そのような配置は、操作される物体16が脆弱であり、および/または低剛性を有する場合に望ましいことがある。
【0031】
図13から図16は、操作装置10での使用に適したフィンガアセンブリ12’の代替例の概略図を示す。剛体30の把持面36が3つの細長いアパーチャ42を備え、補強要素44が2つの細長い支持体を備えることを除いて、フィンガアセンブリ12’は、図2から図10を参照して上述された通りである。結果として、膨張可能要素32は、膨張可能要素32が剛体30内に受け入れられることを可能にするように膨張可能要素32内のサイズおよび位置を有する2つの細長いアパーチャ46を備える。上述のように、膨張可能要素32が膨張されていない状態にあるとき、膨張可能要素32は剛体30の内部に完全に受け入れられる。膨張可能要素32が膨張されたとき、膨張可能要素32の一部は、把持面36の細長い開口42を貫通して突出し、複数の突起48を形成し得る。この例では、突起48は、把持面36の長さの一部に沿って延びる3つの直線状の突起を備える。
【0032】
剛体30は、付加製造、射出成形、または他の従来の機械加工技術によって形成され得る。上述のように、補強要素44は、裏面および把持面34、36を連結して、剛体30の剛性を増大させ、膨張可能要素32が膨張されたときの把持面36の変形を低減させる。補強要素44はまた、膨張時に膨張可能要素32の動きを制限するように作用する。剛体30は、膨張可能要素32を囲むように互いに連結され得る2つの半体に形成されてもよい。膨張可能要素32は、好ましくは、膨張可能要素32の内部と該当する圧力ライン27’との流体接続を提供する、単一の入口を備え、それを介して膨張され得る。膨張可能要素32は、可撓性シリコン材料から形成され得る。膨張可能要素32は、2つの層または可撓性シリコン材料から形成されてよく、これらは、たとえば接着剤の使用によって、しっかりと互いに連結され得る。入口は、加圧空気供給を受け入れることができる硬質シリコーン材料から形成され得る。圧力調整手段20’は、膨張されていない状態で膨張可能要素32内に部分的な真空が存在するように膨張可能要素32を収縮させて、膨張可能要素32のすべてが剛体30内に格納されることを確実にするように構成され得る。メッシュが、膨張されたときに突起48を形成する膨張可能要素32の面に適用され得る。メッシュは、膨張可能要素32を補強し、それをより弾性的にする。また、メッシュのパターニングが、膨張可能要素32が膨張されるときに形成される突起48の摩擦係数をさらに増大させ得る。メッシュはまた、膨張可能要素32が膨張され得る量を減少させ、より高い圧力が加えられることを可能にし、したがって、より大きい把持力、およびより小さいコンプライアンスを可能にする。代替実施形態では、メッシュは膨張可能要素32に埋め込まれてよい。
【0033】
把持される物体16にフィンガアセンブリ12’を接触させるようにフィンガアセンブリ12’が操作される場合、フィンガアセンブリ12’は、それらが物体16に対して位置決めされている間は、低い摩擦を有することが好ましい。その後、フィンガアセンブリ12’は、たとえば物体16を取り上げて第1の位置から第2の位置に動かすことによって、物体16が効果的に把持されて操作されることが可能であるように、高い摩擦を有することが好ましい。フィンガアセンブリ12’は、膨張可能要素32が膨張されていない状態にあるとき、物体16と係合するためにフィンガアセンブリ12’の下側の摩擦面が使用され得るので、この問題に対処していることが分かる。いったん接触がなされると、膨張可能要素32が膨張され、したがって、より摩擦が高い膨張された突起48が、物体16をそれが操作され得るように把持することができる。膨張された突起48のより高い摩擦が、より大きな摩擦力を物体16に加えることを可能にする。上述のように、突起48は、物体16がしっかりと握られすぎて損傷されるのを防止し得る程度の柔軟性を有し得る。いったん物体16が操作されると、たとえば、物体16が第1の位置から第2の位置に動かされてよく、次いで、膨張可能要素32が非膨張化され、フィンガアセンブリ12’が物体16から係合解除されてよい。
【0034】
操作装置10は、光学センサ26に代えてまたは加えて、接触センサ(図1には示されていない)を備えてもよい。接触センサは、第1および第2のフィンガアセンブリ12a、12bの把持面36が物体16に接触しているときに検出し、コントローラ14の電子プロセッサ21により入力信号として受信される1つまたは複数の信号を出力する。次いで、電子プロセッサ21が、第1のフィンガアセンブリ12aと第2のフィンガアセンブリ12bの両方が物体16に接触しているときに、膨張可能要素32を膨張させるために、入力信号に応じて圧力調整手段20’に1つまたは複数の膨張制御信号24’を出力する。代替的または追加的に、操作装置10は、第1および第2のフィンガアセンブリ12a、12bの把持面36が物体16から指定された距離内にあるときを検出する近接センサ(図1には示されていない)を備えてもよい。次いで、近接センサの出力信号が、コントローラ14の電子プロセッサ21によって入力信号として受信され、コントローラ14は、第1および第2のフィンガアセンブリ12a、12bが把持されるべき物体16に十分に近接しているときに、膨張可能要素32を膨張させるために、入力信号に基づいて1つまたは複数の膨張制御信号24’を圧力調整手段20’に出力する。近接センサと接触センサの両方からの出力が、膨張可能要素32の膨張を決定するために使用され得る。
【0035】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述された実施形態に対して多くの修正および変形が行われ得る。たとえば、把持面36に形成されるアパーチャ42の数、サイズ、および形状が変化され得る。たとえば、フィンガアセンブリ12’のいくつかの実施形態は、複数のアパーチャ42を備えるフィンガアセンブリ12’で使用されるものよりも比較的大きい、把持表面36内の単一のアパーチャ42を備え得る。用途によっては、突起48が把持面36の異なる領域で作動されるのが好ましい場合がある。そのような場合、フィンガアセンブリ12’は、複数の膨張可能要素32を備えてよく、それらの各々は、制御可能な方法で独立して膨張または非膨張化され得る。
【0036】
上記の説明は、単に例示の目的で提示されたものであり、網羅的であること、または開示された正確な実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に修正および変更が行われ得ることは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】