(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ユーザ機器、スケジューリングノード、ユーザ機器の方法、およびスケジューリングノードの方法
(51)【国際特許分類】
H04W 74/02 20090101AFI20240311BHJP
H04W 74/0833 20240101ALI20240311BHJP
H04W 76/27 20180101ALI20240311BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20240311BHJP
【FI】
H04W74/02
H04W74/0833
H04W76/27
H04W72/1268
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560173
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022058049
(87)【国際公開番号】W WO2022207527
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】タオ ミン-フン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067JJ16
(57)【要約】
UEは、送受信機および回路を備える。回路は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する。待機するべき送信機会とは、i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがないと判定されたとき、回路は、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する。一方、待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、回路は、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように送受信機を制御する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)であって、
送受信機と、
回路であって、
非アクティブ状態において第1のデータを送信するための手順中に、接続状態において第2のデータが送信されることを検出し、
待機するべき送信機会が存在するか否かを判定し、前記待機するべき送信機会が、
- 前記第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、かつ、
- 前記第1のデータを送信するための前記手順の一部として発生すると予期され、
前記待機するべき送信機会が存在しない、または前記待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始し、
前記待機するべき送信機会が存在すると判定され、前記送信機会が発生したとき、前記送信機会を使用して、前記第2のデータの前記検出を示すトラフィック指示を送信するように、前記送受信機を制御する、
前記回路と、
を備える、ユーザ機器(UE)。
【請求項2】
前記第1のデータを送信するための前記手順が、RACH手順において開始される手順であり、
前記待機するべき送信機会が、
- 前記RACH手順の最初の送信である、
- 前記RACH手順の一部として受信されたアップリンクグラントによって示されている、または、
- 前記RACH手順の完了後に前記第1のデータを送信するために受信されたアップリンクグラントによって示されている、
請求項1に記載のユーザ機器(UE)。
【請求項3】
前記第1のデータを送信するための前記手順が、RACH手順において開始される手順であり、
- 前記回路が、前記第1のデータを送信するように前記送受信機を制御した後、前記待機するべき送信機会が存在しないと判定する、または、
- 前記待機するべき送信機会が、アップリンクグラントによって示されることが予期され、前記アップリンクグラントが、
〇 前記RACH手順の一部として、または、
〇 前記RACH手順の完了後に前記第1のデータの一部を送信するために、
受信されることが予期される、
請求項1に記載のユーザ機器(UE)。
【請求項4】
前記アップリンクグラントが、前記回路が前記送受信機を制御して、
- 前記RACH手順の最初の送信を送信した後、
- さらに送信される前記第1のデータの量を示すバッファ状態報告(BSR)を送信した後、および/または、
- 前記BSRを送信した後に前記第1のデータの一部を送信した後、このとき前記第1のデータの前記一部の量が、前記BSRによって示された量よりも小さい、
に受信されることが予期される、
請求項3に記載のユーザ機器(UE)。
【請求項5】
前記予期されるアップリンクグラントが受信されておらず、かつ、もはや受信される見込みがないとき、前記待機するべき送信機会が、もはや発生する見込みがなく、
- 前記送受信機が、前記第1のデータを送信するための前記手順の終了を示す指示を受信した場合、および/または、
- 前記第1のデータの少なくとも一部の最初の送信または前の送信から所定の時間が経過した場合、
前記予期されるアップリンクグラントが、もはや受信される見込みがない、
請求項3または請求項4に記載のユーザ機器(UE)。
【請求項6】
前記トラフィック指示が、
- 前記アップリンクグラントによって示される前記リソースを使用する、前記第1のデータの少なくとも一部、および/または、
- 前記第1のデータの量を示すバッファ状態報告(BSR)、
と一緒に送信される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のUE。
【請求項7】
前記RACH手順が、4ステップRACH手順または2ステップRACH手順である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のUE。
【請求項8】
前記第1のデータを送信するための前記手順が、前記第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順であり、
前記回路が、
前記CG手順の次のリソースが次のRACHリソースよりも早い場合、待機するべき送信機会が存在すると判定し、前記送信機会を使用して前記トラフィック指示を送信するように前記送受信機を制御し、
前記CG手順の前記次のリソースが前記次のRACHリソースよりも遅い場合、待機するべき送信機会が存在しないと判定し、前記接続状態に入るために前記RACH手順を開始する、
請求項1に記載のユーザ機器(UE)。
【請求項9】
前記トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、
前記LCIDの前記事前定義値が、前記第2のデータが検出されたことを示す、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のUE。
【請求項10】
前記LCIDの前記事前定義値が、MAC制御要素CEが前記MACサブヘッダに付加されていないことを示す、
請求項9に記載のUE。
【請求項11】
前記LCIDが、BSR MAC制御要素(CE)が前記MACサブヘッダに付加されていることを示し、
前記BSR MAC CEが、さらに送信される前記第1のデータの量を示す、
請求項9に記載のUE。
【請求項12】
前記トラフィック指示が、MAC制御要素(CE)の一部であり、
- 前記MAC CEの1ビットが、前記第2のデータが検出されたか否かを示し、
- 前記MAC CEの2ビットが、前記非アクティブ状態におけるデータの送信をサポートするLCGのうち、前記第1のデータの論理チャネルグループ(LCG)を示し、
- 前記MAC CEの5ビットが、前記示されたLCGに対応する前記第1のデータの、さらに送信される量を示す、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のUE。
【請求項13】
前記トラフィック指示が、無線リソース制御(RRC)レベルの指示である、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のUE。
【請求項14】
ユーザ機器(UE)のための方法であって、前記方法が、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態において第1のデータを送信するための手順中に、接続状態において第2のデータが送信されることを検出するステップと、
- 待機するべき送信機会が存在するか否かを判定するステップであって、前記待機するべき送信機会が、
- 前記第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、かつ、
- 前記第1のデータを送信するための前記手順の一部として発生すると予期される、
ステップと、
前記待機するべき送信機会が存在しない、または前記待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始するステップと、
前記待機するべき送信機会が存在すると判定され、前記送信機会が発生したとき、前記送信機会を使用して、前記第2のデータの前記検出を示すトラフィック指示を送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
スケジューリングデバイスであって、
送受信機と、
回路であって、
非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するように、前記送受信機を制御し、
前記第1のデータを含む前記送信から、前記UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得し、
前記第2のデータが、接続状態にある前記UEによって送信されるデータであり、
前記トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、
前記LCIDの前記事前定義値が、前記第2のデータが検出されたことを示す、
前記回路と、
を備える、スケジューリングデバイス。
【請求項16】
スケジューリングデバイスのための方法であって、前記方法が、以下のステップ、すなわち、
非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するステップと、
前記第1のデータを含む前記送信から、前記UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップであって、
前記第2のデータが、接続状態にある前記UEによって送信されるデータであり、
前記トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、
前記LCIDの前記事前定義値が、前記第2のデータが検出されたことを示す、
ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
ユーザ機器(UE)のプロセスを制御する集積回路であって、前記プロセスが、以下のステップ、すなわち、
非アクティブ状態において第1のデータを送信するための手順中に、接続状態において第2のデータが送信されることを検出するステップと、
待機するべき送信機会が存在するか否かを判定するステップであって、前記待機するべき送信機会が、
- 前記第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、かつ、
- 前記第1のデータを送信するための前記手順の一部として発生すると予期される、
ステップと、
前記待機するべき送信機会が存在しない、または前記待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始するステップと、
前記待機するべき送信機会が存在すると判定され、前記送信機会が発生したとき、前記送信機会を使用して、前記第2のデータの前記検出を示すトラフィック指示を送信するステップと、
を含む、
集積回路。
【請求項18】
スケジューリングデバイスのプロセスを制御する集積回路であって、前記プロセスが、以下のステップ、すなわち、
非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するステップと、
前記第1のデータを含む前記送信から、前記UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップであって、
前記第2のデータが、接続状態にある前記UEによって送信されるデータであり、
前記トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、
前記LCIDの前記事前定義値が、前記第2のデータが検出されたことを示す、
ステップと、
を含む、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システムにおける信号の送信および受信に関する。特に、本開示は、そのような送信および受信のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標):The 3rd Generation Partnership Project)は、最大100GHzの周波数範囲で動作する「新無線」(NR:New Radio)無線アクセス技術(RAT:radio access technology)を含む、第5世代(5G)とも呼ばれる次世代携帯電話技術の技術仕様を策定している。NRは、LTE(Long Term Evolution)およびLTE Advanced(LTE-A)に代表される技術の後継技術である。
【0003】
LTEやNRなどのシステムでは、さらなる改良およびオプションによって、通信システムだけでなくシステムに関連する特定のデバイスの効率的な動作を促進することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300 v15.6.0
【非特許文献2】3GPP TS 38.211 v15.6.0
【非特許文献3】3GPP TS 38.211, v 15.7.0
【非特許文献4】ITU-R M.2083
【非特許文献5】TR 38.913
【非特許文献6】TS 23.501 v16.1.0
【非特許文献7】TS 38.212 v15.6.0
【非特許文献8】3GPP TS 38.321 v15.8.0
【非特許文献9】TS 38.331 v15.8.0
【非特許文献10】3GPP TS 38.321, v16.1.0
【非特許文献11】3GPP TS 38.211 V16.2.0
【非特許文献12】TS 38.331 v16.1.0
【非特許文献13】TS 38.331, v15.12.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非限定的かつ例示的な一実施形態は、非アクティブ状態においてデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG:configured grant)手順の間に、RA-SDTデータが到着した場合の効率的な処理を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本明細書に開示される技術は、装置(例えばユーザ機器(UE))を特徴とする。本装置は、送受信機および回路を備える。回路は、非アクティブ状態において、第1の論理チャネルの第1のデータを送信するための手順中に、第2の論理チャネルの第2のデータが非アクティブ状態において送信されることを検出する。第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順である。第2の論理チャネルには、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。さらに、回路は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定し、待機するべき送信機会は、i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。
【0007】
さらに、待機するべき送信機会が存在しない、または、待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路は、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する。さらに、待機するべき送信機会が存在すると判定され、かつその送信機会が発生したとき、回路は、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように、送受信機を制御する。
【0008】
なお、一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実施できることに留意されたい。
【0009】
開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下では、例示的な実施形態について、添付の図および図面を参照しながらより詳細に説明する。
【
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示している。
【
図2】NG-RANと5GCとの間の機能の分離を示した概略図である。
【
図3】RRC接続確立/再設定手順のシーケンス図である。
【
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB:Enhanced mobile broadband)、大規模マシンタイプ通信(mMTC:Massive Machine Type Communications)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communications)の使用シナリオを示した概略図である。
【
図5】非ローミングの場合の例示的な5Gシステムのアーキテクチャを示したブロック図である。
【
図6】競合ベースのRACH手順および競合なしのRACH手順を示している。
【
図7】競合ベースのRACH手順および競合なしのRACH手順を示している。
【
図9】RRC再開(RRC Resume)手順におけるメッセージ交換を示している。
【
図10】RRC解放(RRC Release)手順におけるメッセージ交換を示している。
【
図11】RRC解放(RRC Release)手順におけるメッセージ交換を示している。
【
図12】非アクティブ状態から接続状態へのUEの状態変化を含む、アップリンクデータ送信のための先行技術のメッセージ交換を示している。
【
図13】それぞれ、RRC_INACTIVE UEがスモールデータをアップリンク送信するのに使用可能な例示的な4ステップRACHおよび2ステップRACHを示している。
【
図14】それぞれ、RRC_INACTIVE UEがスモールデータをアップリンク送信するのに使用可能な例示的な4ステップRACHおよび2ステップRACHを示している。
【
図15】RACH手順中にスモールデータの1回の送信を含む、例示的なSDT手順を示している。
【
図16】RACH手順中にスモールデータの複数回の送信を含む、例示的なSDT手順を示している。
【
図17】RACH手順中および終了後のスモールデータの送信を含む、例示的なSDT手順を示している。
【
図18】ネットワークノードおよびユーザ機器の例示的な機能構造を示したブロック図である。
【
図19】
図18の例示的なユーザ機器に含めることのできる、非SDT DRBデータの到着を処理する回路の例示的な機能構造を示したブロック図である。
【
図20】
図18の例示的なスケジューリングデバイスに含めることのできる、トラフィック指示処理回路の例示的な機能構造を示したブロック図である。
【
図21】ユーザ機器によって実行される例示的なステップを示したフローチャートである。
【
図22】ネットワークノードによって実行される例示的なステップを示したフローチャートである。
【
図23】SDT手順中に非SDTデータが到着する異なるタイミングを示している。
【
図24】ユーザ機器によって実行される例示的なステップを示したフローチャートである。
【
図25】非SDT DRBの到着を示すサブヘッダを有しかつCEを有さないMACサブフレームを含む、Msg3メッセージの例示的な構造を示している。
【
図26】非SDT DRBの到着を示すサブヘッダと、SDT DRBデータのバッファサイズを示すCEとを含むMACサブフレームを含む、Msg3メッセージの例示的な構造を示している。
【
図27】論理チャネルグループのバッファサイズを示すためのMAC CEの例示的な構造(上段)と、論理チャネルグループのバッファサイズを示し、かつ非SDT DRBデータの到着を示すためのMAC CEの例示的な構造(下段)を示している。
【
図28】ネットワークノードおよびユーザ機器の例示的な機能構造を示したブロック図である。
【
図29】
図28の例示的なユーザ機器に含めることのできる、非SDT DRBデータの到着を処理する回路の例示的な機能構造を示したブロック図である。
【
図30】
図28の例示的なスケジューリングデバイスに含めることのできる、トラフィック指示処理回路の例示的な機能構造を示したブロック図である。
【
図31】ユーザ機器によって実行される例示的なステップを示したフローチャートである。
【
図32】ネットワークノードによって実行される例示的なステップを示したフローチャートである。
【
図33】UEの例示的な論理チャネル設定を示している。
【
図34】RA-SDTトラフィックの到着を示した概略図である。
【
図35】RA-SDTトラフィックの到着の例示的な処理を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<5G NRシステムのアーキテクチャおよびプロトコルスタック>
3GPPは、最大100GHzの周波数で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に5Gと呼ばれる)の次のリリースに取り組んでいる。5G標準の最初のバージョンは、2017年の終わりに完了し、これにより、5G NR標準に準拠したスマートフォンの試験および商用展開に進むことができる。
【0012】
特に、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを備えるNG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク:Next Generation - Radio Access Network)を想定しており、gNBは、UEに向かうNG無線アクセスユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルを終端させる。gNBは、Xnインターフェイスによって互いに相互接続されている。さらにgNBは、次世代(NG)インターフェイスによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に接続され、より具体的には、NG-CインターフェイスによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)(例:AMFを実行する特定のコアエンティティ)に接続され、NG-UインターフェイスによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)(例:UPFを実行する特定のコアエンティティ)に接続される。
図1はNG-RANのアーキテクチャを示している(例えば非特許文献1の4節を参照)。
【0013】
NRにおけるユーザプレーンプロトコルスタック(例えば非特許文献1の4.4.1節を参照)は、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol、非特許文献1の6.4節を参照)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control、非特許文献1の6.3節を参照)サブレイヤ、およびMAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control、非特許文献1の6.2節を参照)サブレイヤを含み、これらのサブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、PDCPの上に、アクセス層(AS)の新しいサブレイヤ(SDAP:サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される(例えば非特許文献1の6.5節を参照)。NRにおいても制御プレーンプロトコルスタックが定義されている(例えば非特許文献1の4.4.2節を参照)。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献1の6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、それぞれ非特許文献1の6.4節、6.3節、および6.2節に記載されている。RRC層の機能は、非特許文献1の7節に記載されている。
【0014】
媒体アクセス制御(MAC)層は、例えば、論理チャネルの多重化と、スケジューリングおよびスケジューリング関連機能(様々なヌメロロジーの処理を含む)を扱う。
【0015】
物理層(PHY)は、例えば、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、適切な物理的時間-周波数リソースへの信号のマッピングの責務を担う。さらに物理層(PHY)は、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングを処理する。物理層(PHY)は、トランスポートチャネルの形でMAC層にサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルが、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルは、アップリンク用として、PRACH(物理ランダムアクセスチャネル:Physical Random Access Channel)、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)、およびPUCCH(物理アップリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel)があり、ダウンリンク用として、PDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)、およびPBCH(物理ブロードキャストチャネル:Physical Broadcast Channel)がある。
【0016】
NRのユースケース/配置シナリオには、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関して多様な要件を有する。例えばeMBBは、IMT-Advancedによって提供される3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ体感データレートをサポートすることが期待される。これに対してURLLCの場合、より厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシはアップリンクおよびダウンリンクそれぞれで0.5ms)および高い信頼性(1ms内で1~10-5)が課せられる。さらにmMTCでは、高い接続密度(都市環境では1km2あたり1,000,000個のデバイス)、過酷な環境における広いカバレッジ、デバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が好ましくは要求されうる。
【0017】
したがって、あるユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例:サブキャリア間隔、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースではうまく機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも短いシンボル持続時間(したがってより大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボル、が好ましくは要求されうる。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いサイクリックプレフィックス(CP)持続時間が好ましくは要求されうる。同程度のサイクリックプレフィックス(CP)オーバーヘッドを維持するため、遅延スプレッドに応じてサブキャリア間隔を最適化するべきである。NRでは、サブキャリア間隔の2つ以上の値がサポートされうる。したがって現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、...のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル持続時間Tuとサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tuにより、直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、用語「リソースエレメント」を使用することができる。
【0018】
新無線システム5G NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(非特許文献2を参照)。例えば、ダウンリンクおよびアップリンクの送信は、持続時間10msのフレームに編成され、各フレームは、それぞれ持続時間1msの10個のサブフレームから構成される。5G NRの実装では、サブフレームあたりの連続するOFDMシンボルの数は、サブキャリア間隔の設定に依存する。例えば、サブキャリア間隔が15kHzの場合、1サブフレームは14個のOFDMシンボルを有する(通常のサイクリックプレフィックスを想定したLTE準拠の実装に類似する)。一方、サブキャリア間隔が30kHzの場合、サブフレームは2つのスロットを有し、各スロットが14個のOFDMシンボルを含む。
【0019】
LTEのヌメロロジー(サブキャリア間隔およびシンボル長)と比較すると、NRでは、パラメータμによってラベル付けされる複数の異なるタイプのサブキャリア間隔がサポートされる(LTEでは15kHzのサブキャリア間隔のみが存在し、これはNRではμ=0に相当する)。NRのヌメロロジーのタイプは、非特許文献3にまとめられている。
【0020】
<NG-RANと5GCとの間の5G NR機能の分割>
図2は、NG-RANと5GCとの間での機能の分割を示している。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCの論理ノードは、AMF、UPF、およびSMFである。
【0021】
gNBおよびng-eNBは、特に次の主要機能を処理する。
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、アップリンクおよびダウンリンクの両方向におけるUEへの動的なリソース割当て(スケジューリング)など、無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能
- IPヘッダ圧縮、暗号化、およびデータの完全性保護
- UEによって提供される情報からAMFへのルーティングを決定できないときのUEのアタッチ時のAMFの選択
- UPFへのユーザプレーンデータのルーティング
- AMFへの制御プレーン情報のルーティング
- 接続の確立および解放
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信
- (AMFまたはOAMから送られる)システムブロードキャスト情報のスケジューリングおよび送信
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定
- アップリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング
- セッション管理
- ネットワークスライシングのサポート
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラへのマッピング
- RRC_INACTIVE状態にあるUEのサポート
- NASメッセージの配信機能
- 無線アクセスネットワークシェアリング
- 二重接続
- NRとE-UTRA間の緊密なインターワーキング
【0022】
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、次の主要機能を処理する。
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングの終端
- NASシグナリングのセキュリティ
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御
- 3GPPアクセスネットワーク間のモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング
- アイドルモードUEの到達可能性(ページング再送の制御および実行を含む)
- レジストレーションエリア(Registration Area)管理
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート
- アクセス認証
- ローミング権のチェックを含むアクセス認証
- モビリティ管理制御(サプスクリプションおよびポリシー)
- ネットワークスライシングのサポート
- セッション管理機能(SMF:Session Management Function)の選択
【0023】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)は、次の主要機能を処理する。
- RAT内/RAT間モビリティのためのアンカーポイント(適用可能時)
- データネットワークとの相互接続の外部PDUセッションポイント
- パケットのルーティングおよび転送
- パケット検査およびポリシー規則施行のユーザプレーン部分
- トラフィック使用報告
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするためのアップリンク分類器
- マルチホームPDUセッションをサポートするためのブランチングポイント
- ユーザプレーンのQoS処理(例:パケットフィルタリング、ゲーティング、UL/DLレート強制)
- アップリンクトラフィックの検証(SDFからQoSフローへのマッピング)
- ダウンリンクパケットのバッファリングおよびダウンリンクデータ通知のトリガーリング
【0024】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、次の主要機能を処理する。
- セッション管理
- UE IPアドレスの割当ておよび管理
- UP機能の選択および制御
- トラフィックを正しい宛先にルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリングの設定
- ポリシー施行およびQoSの制御部分
- ダウンリンクデータ通知
【0025】
<RRC接続の確立および再構成の手順>
図3は、UEがNAS部分においてRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに遷移するときの、UE、gNB、およびAMF(5GCエンティティ)の間のいくつかのインタラクションを示している(非特許文献1を参照)。
【0026】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位層シグナリング(プロトコル)である。特に、この遷移では、AMFがUEのコンテキストデータ(例:PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力などを含む)を作成し、それを初期コンテキスト設定要求(INITIAL CONTEXT SETUP REQUEST)によってgNBに送る。次にgNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにし、これはgNBがSecurityModeCommandメッセージをUEに送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって実行される。その後gNBは、再設定を実行してシグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer)を確立し、これは、gNBがRRCReconfigurationメッセージをUEに送信し、これに応答してUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによる。シグナリングのみの接続の場合、SRB2およびDRBが確立されないため、RRCReconfigurationに関連するこれらのステップはスキップされる。最後にgNBは、確立手順が完了したことを、初期コンテキスト設定応答(INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSE)によってAMFに通知する。
【0027】
したがって本開示では、第5世代コア(5GC:5th Generation Core)のエンティティ(例えばAMF、SMFなど)であって、動作時に、gNodeBとの次世代(NG)接続を確立する制御回路と、動作時に、gNodeBとユーザ機器(UE)との間のシグナリング無線ベアラを確立させるために、NG接続を介して初期コンテキスト設定メッセージをgNodeBに送信する送信器と、を備える、第5世代コアのエンティティ、が提供される。具体的には、gNodeBは、リソース割当て設定の情報要素を含むRRC(無線リソース制御:Radio Resource Control)シグナリングを、シグナリング無線ベアラを介してUEに送信する。UEは、リソース割当て設定に基づいて、アップリンク送信またはダウンリンク受信を実行する。
【0028】
<2020年以降のIMTの使用シナリオ>
図4は、5G NRのユースケースのいくつかを示している。3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)の新無線(3GPP NR)では、IMT-2020による様々なサービスおよびアプリケーションをサポートするために想定される3つのユースケースが考慮されている。拡張モバイルブロードバンド(eMBB)のフェーズ1の仕様は決定された。現在および今後の作業としては、eMBBのサポートをさらに拡張することに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信の標準化が含まれる。
図4は、2020年以降のIMTの想定される使用シナリオのいくつかの例を示している(例えば非特許文献4の
図2を参照)。
【0029】
URLLCのユースケースは、スループット、レイテンシ、可用性などの能力に関する厳しい要件を有し、産業製造や生産工程のワイヤレス制御、リモート医療手術、スマートグリッドにおける配電自動化、輸送の安全性など、将来の垂直アプリケーションを実現する手段の1つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献5によって設定される要件を満たすための技術を特定することによってサポートされる。リリース15のNR URLLCでは、主な要件として、UL(アップリンク)で0.5ms、DL(ダウンリンク)で0.5msの目標ユーザプレーンレイテンシが含まれる。パケットの1回の送信における一般的なURLLCの要件は、1msのユーザプレーンレイテンシでパケットサイズ32バイトの場合にBLER(ブロック誤り率)1E-5である。
【0030】
物理層の観点から、信頼性を向上させる方法はいくつか考えられる。信頼性を向上させるための現在の範囲には、URLLC用の個別のCQIテーブルの定義、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返しなどが含まれる。しかしながら、(NR URLLCの重要な要件について)NRがさらに安定し、開発が進むにつれて、超高信頼性を実現するための範囲が広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースとしては、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、eヘルス、eセーフティ、ミッションクリティカルなアプリケーションが挙げられる。
【0031】
さらに、NR URLLCが対象とする技術強化は、レイテンシの改良および信頼性の向上を目標としている。レイテンシを改良するための技術強化としては、設定可能なヌメロロジー、柔軟なマッピングを使用する非スロットベースのスケジューリング、グラントフリー(コンフィギュアドグラント(configured grant))のアップリンク、データチャネルのスロットレベルの繰り返し、およびダウンリンクのプリエンプションが挙げられる。プリエンプションとは、リソースがすでに割り当てられている送信が中止され、すでに割り当てられているリソースが、後から要求された、より小さいレイテンシ/より高い優先度要件を有する別の送信に使用されることを意味する。したがって、すでに許可された送信が、より後の送信によってプリエンプトされる。プリエンプションは、サービスタイプに関係なく適用される。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信を、サービスタイプB(eMBBなど)の送信によってプリエンプトすることができる。信頼性の向上に関連する技術強化としては、1E-5の目標BLERのための専用CQI/MCSテーブルが挙げられる。
【0032】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースは、非常に多数の接続されたデバイスが、一般には遅延の影響が小さい比較的少量のデータを送信することを特徴とする。デバイスは、低コストでありかつ極めて長いバッテリ寿命を有することが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することは、UEの観点からの省電力を達成して長いバッテリ寿命を可能にするための1つの可能な解決策である。
【0033】
上に述べたように、NRにおける信頼性の範囲が広がることが予測される。あらゆるケース、特にURLLCおよびmMTCの場合に必要な1つの重要な要件は、高信頼性または超高信頼性である。無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを考えることができる。一般には、信頼性の向上に役立つ可能性のある重要な領域がいくつか存在する。これらの領域としては、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関連するダイバーシティが挙げられる。これらの領域は、特定の通信シナリオには関係なく、一般的に信頼性に適用可能である。
【0034】
NR URLLCの場合、ファクトリーオートメーション、運輸業、配電など、より厳しい要件のさらなるユースケースが特定されている。より厳しい要件とは、ユースケースに応じて、より高い信頼性(最大10-6レベル)、より高い可用性、最大256バイトのパケットサイズ、数μsオーダーまでの時刻同期(値は周波数範囲に応じて1μsないし数μs)、0.5~1msオーダーの短いレイテンシ、特に0.5msの目標ユーザプレーンレイテンシである。
【0035】
さらに、NR URLLCの場合、物理層の観点からいくつかの技術的強化が確認されている。特に、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル)に関連する強化として、コンパクトなDCI、PDCCHの繰り返し、PDCCH監視の増加などが挙げられる。また、UCI(アップリンク制御情報:Uplink Control Information)に関連する強化として、HARQ(ハイブリッド自動再送要求)の強化およびCSIフィードバックの強化が挙げられる。また、ミニスロットレベルのホッピングや再送/繰り返しの強化に関連するPUSCHの強化も認識されている。用語「ミニスロット」は、スロットよりも少ない数のシンボルを含むTTI(送信時間間隔:Transmission Time Interval)を意味する(スロットは14個のシンボルを含む)。
【0036】
<QoS制御>
5G QoS(サービス品質)モデルは、QoSフローに基づいており、保証フロービットレートを必要とするQoSフロー(GBR QoSフロー)と、保証フロービットレートを必要としないQoSフロー(非GBR QoSフロー)の両方をサポートする。したがってNASレベルでは、QoSフローはPDUセッションにおけるQoS差別化の最も細かい粒度である。QoSフローは、PDUセッション内では、NG-Uインターフェイスを通じてカプセル化ヘッダ内で伝えられるQoSフローID(QFI)によって識別される。
【0037】
5GCは、UEごとに1つ以上のPDUセッションを確立する。NG-RANは、UEごとに、PDUセッションと一緒に少なくとも1つのデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、次にそのPDUセッションのQoSフローのための追加のDRBを、例えば
図3を参照しながら上述したように設定することができる(いつ設定するかはNG-RANが決定する)。NG-RANは、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルのパケットフィルタによって、ULおよびDLのパケットがQoSフローに関連付けられ、UEおよびNG-RANにおけるASレベルのマッピング規則によって、ULおよびDLのQoSフローがDRBに関連付けられる。
【0038】
図5は、5G NRの非ローミング基準アーキテクチャを示している(非特許文献6の4.23節を参照)。アプリケーション機能(AF:Application Function)(例えば
図4に例示的に記載されている5Gサービスを処理する外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供する目的で、3GPPコアネットワークと対話する。例えば、トラフィックのルーティングに対するアプリケーションの影響をサポートしたり、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスしたり、ポリシー制御(例:QoS制御)のためのポリシーフレームワーク(ポリシー制御機能(PCF)を参照)と対話する。事業者の配備に基づいて、事業者によって信頼されるものとみなされるアプリケーション機能(AF)を、関連するネットワーク機能(Network Function)と直接対話できるようにすることができる。ネットワーク機能に直接アクセスすることが事業者によって許可されていないアプリケーション機能(AF)は、NEFを介して外部の公開フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能と対話する。
【0039】
図5は、5Gアーキテクチャのさらなる機能ユニット、すなわち、ネットワークスライス選択機能(NSSF:Network Slice Selection Function)、ネットワークリポジトリ機能(NRF:Network Repository Function)、統一データ管理(UDM:Unified Data Management)、認証サーバ機能(AUSF:Authentication Server Function)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、セッション管理機能(SMF:Session Management Function)、およびデータネットワーク(DN:Data Network)(例:事業者のサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティのサービス)を示している。コアネットワーク機能およびアプリケーションサービスのすべてまたは一部を、クラウドコンピューティング環境に配置して実行してもよい。
【0040】
したがって本開示では、アプリケーションサーバ(例えば5GアーキテクチャのAF)が提供され、このアプリケーションサーバは、動作時に、URLLCサービス、eMBBサービス、およびmMTCサービスの少なくとも1つに対するQoS要件を含む要求を5GCの機能(例えばNEF、AMF、SMF、PCF、UPFなど)の少なくとも1つに送信して、QoS要件に従ってgNodeBとUEとの間に無線ベアラを含むPDUセッションを確立する送信機と、動作時に、確立されたPDUセッションを使用してサービスを実行する制御回路と、を備える。
【0041】
<制御信号>
本開示では、本開示に関連するダウンリンク制御信号(情報)は、物理層のPDCCHを介して送信される信号(情報)とすることができる、または、上位層のMAC制御要素(CE)またはRRCを介して送信される信号(情報)とすることができる。ダウンリンク制御信号は、事前定義される信号(情報)とすることができる。
【0042】
本開示に関連するアップリンク制御信号(情報)は、物理層のPUCCHを介して送信される信号(情報)とすることができる、または、上位層のMAC CEもしくはRRCを介して送信される信号(情報)とすることができる。さらに、アップリンク制御信号は、事前定義される信号(情報)とすることができる。アップリンク制御信号は、アップリンク制御情報(UCI)、第1段サイドリンク制御情報(SCI)(1st stage sildelink control information (SCI))、または第2段SCI(2nd stage SCI)に置き換えることができる。
【0043】
<端末>
端末またはユーザ端末またはユーザデバイスまたは移動局または移動ノードは、LTEおよびNRではユーザ機器(UE:user equipment)と呼ばれる。ユーザ機器(UE)は、無線電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはユーザ機器の機能を備えたUSB(ユニバーサルシリアルバス)スティックなど、モバイルデバイスまたは通信装置であってもよい。ただし、モバイルデバイスという用語はこれに限定されるものではなく、一般に、中継機もこのようなモバイルデバイスの機能を有することがあり、モバイルデバイスが中継機として機能することもある。例えば、端末は、通信ネットワーク内の物理的なエンティティ(物理ノード)である。さらに、通信デバイスは、IoTデバイス等のような任意のマシンタイプの通信デバイスであってもよい。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の機能セットを実装する、および/または、所定の機能セットを同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの他の機能エンティティに提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを指す。ノードは、自身を通信設備または通信媒体にアタッチする1つ以上のインターフェイスを有することができ、ノードは、これら通信設備または通信媒体を通じて通信することができる。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティを通信設備または通信媒体にアタッチする論理インターフェイスを有することができ、機能エンティティは、これら通信設備または通信媒体を通じて別の機能エンティティまたは対応するノードと通信することができる。
【0044】
<基地局>
本開示において、基地局は、例えば、送受信点(TRP:Transmission Reception Point)、クラスタヘッド、アクセスポイント、遠隔無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、基地局(BS)、ベース送受信機ステーション(BTS:Base Transceiver Station)、ベースユニット、またはゲートウェイとすることができる。さらに、サイドリンク通信では、基地局の代わりに端末を採用することができる。基地局は、上位ノードと端末との間の通信を中継する中継装置であってもよい。基地局は、路側機(roadside unit)であってもよい。基地局は、例えば、端末にサービスを提供するためのネットワークの一部を形成するスケジューリングノードまたはネットワークノードであってもよい。特に、基地局は端末に無線アクセスを提供することができる。端末と基地局との間の通信は一般的に標準化されており、PHY、MAC、RRCなどの異なる層によって定義することができる。LTEおよびNRでは、無線インターフェイスプロトコルスタックには、物理層、媒体アクセス層(MAC)、および上位層が含まれる。制御プレーンには、上位層プロトコルである無線リソース制御プロトコルが提供される。RRCを介して、基地局は端末の設定を制御することができ、端末は基地局と通信して、接続およびベアラの確立、変更などの制御タスク、測定、その他の機能を実行することができる。LTEで使用される専門用語はeNB(またはeNodeB)であり、5G NRで現在使用されている専門用語はgNBである。ここでの基地局または無線基地局という用語は、通信ネットワーク内の物理的なエンティティを指す。移動局と同様に、基地局はいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の機能セットを実装する、および/または、所定の機能セットを同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの他の機能エンティティに提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを指す。物理エンティティは、スケジューリングおよび設定の1つ以上を含む、通信デバイスに関するいくつかの制御タスクを実行する。なお基地局の機能と通信デバイスの機能は、単一のデバイス内に統合されてもよいことに留意されたい。例えば、移動端末が、他の端末のために基地局の機能も実施することができる。LTEで使用される専門用語はeNB(またはeNodeB)であり、5G NRで現在使用されている専門用語はgNBである。
【0045】
<アップリンク/ダウンリンク/サイドリンク>
本開示は、アップリンク、ダウンリンク、およびサイドリンクのいずれにも適用することができる。
【0046】
本開示は、例えば、PUSCH、PUCCH、およびPRACHなどのアップリンクチャネル、PDSCH、PDCCH、およびPBCHなどのダウンリンクチャネル、ならびに物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical Sidelink Shared Channel)、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical Sidelink Control Channel)、および物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH:Physical Sidelink Broadcast Channel)などのサイドリンクチャネルに適用することができる。
【0047】
PDCCH、PDSCH、PUSCH、PUCCHは、それぞれ、ダウンリンク制御チャネル、ダウンリンクデータチャネル、アップリンクデータチャネル、アップリンク制御チャネルの一例である。PSCCHおよびPSSCHは、それぞれ、サイドリンク制御チャネルおよびサイドリンクデータチャネルの一例である。PBCHおよびPSBCHは、それぞれブロードキャストチャネルの一例であり、PRACHは、ランダムアクセスチャネルの一例である。
【0048】
<データチャネル/制御チャネル>
本開示は、データチャネルおよび制御チャネルのいずれにも適用することができる。本開示におけるチャネルは、PDSCH、PUSCH、およびPSSCHを含むデータチャネル、および/または、PDCCH、PUCCH、PBCH、PSCCH、およびPSBCHを含む制御チャネルに置き換えることができる。
【0049】
<参照信号>
本開示において、参照信号は、基地局および移動局の両方に既知である信号であり、各参照信号は、基準信号(RS)または場合によりパイロット信号と呼ばれることがある。参照信号は、DMRS、チャネル状態情報-参照信号(CSI-RS:Channel State Information - Reference Signal)、追跡参照信号(TRS:Tracking Reference Signal)、位相追跡参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、およびサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)のいずれであってもよい。
【0050】
<時間間隔>
本開示において、時間リソースの単位は、スロットおよびシンボルの一方または組合せに限定されず、フレーム、スーパーフレーム、サブフレーム、スロット、時間スロットサブスロット、ミニスロットなどの時間リソース単位、または、シンボル、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、シングルキャリア-周波数分割多重アクセス(SC-FDMA:Single Carrier-Frequency Division Multiplexing Access)シンボルなどの時間リソース単位、または他の時間リソース単位であってもよい。1スロットに含まれるシンボルの数は、上述した実施形態において例示した数に限定されず、別のシンボル数であってもよい。
【0051】
<周波数帯域>
本開示は、ライセンスバンドおよびアンライセンスバンドのいずれにも適用することができる。
【0052】
<通信>
本開示は、基地局と端末との間の通信(Uuリンク通信)、端末と端末の間の通信(サイドリンク通信)、および、車両と何らかのエンティティとの通信(V2X:Vehicle to Everything)のいずれにも適用することができる。本開示におけるチャネルは、PSCCH、PSSCH、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH:Physical Sidelink Feedback Channel)、PSBCH、PDCCH、PUCCH、PDSCH、PUSCH、およびPBCHに置き換えることができる。
【0053】
さらに、本開示は、地上ネットワーク、または、衛星もしくは高高度疑似衛星(HAPS:High Altitude Pseudo Satellite)を使用する地上ネットワーク以外のネットワーク(NTN:非地上系ネットワーク:Non-Terrestrial Network)のいずれにも適用することができる。さらに、本開示は、大きいセルサイズを有するネットワーク、または超広帯域伝送ネットワークのようにシンボル長やスロット長に比べて遅延が大きい地上ネットワークに適用してもよい。
【0054】
<アンテナポート>
アンテナポートとは、1つ以上の物理アンテナから形成される論理アンテナ(アンテナ群)のことを指す。すなわち、アンテナポートは、必ずしも1つの物理アンテナを指すものではなく、複数のアンテナから形成されるアレイアンテナ等を指す場合もある。例えば、アンテナポートを形成する物理アンテナの数は定義されておらず、代わりに、端末が参照信号を送信することのできる最小単位をアンテナポートと定義する。また、アンテナポートは、プリコーディングベクトル重み付けの乗算のための最小単位として定義されることもある。
【0055】
<ダウンリンク制御チャネルの監視、PDCCH、DCI>
UEによって動作する機能の多くは、例えばUE宛の特定の制御情報またはデータを受信するためにダウンリンク制御チャネル(例えばPDCCH、非特許文献1の5.2.3節を参照)を監視することを含む。
【0056】
以下は、このような機能のリスト(すべてを網羅していない)を示す。
- ページングメッセージ監視機能、
- システム情報取得機能、
- 不連続受信(DRX)機能におけるシグナリング監視動作、
- 不連続受信(DRX)機能における非アクティブ性(inactivity)監視動作、
- ランダムアクセス機能におけるランダムアクセス応答の受信、
- パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)レイヤのリオーダリング機能
【0057】
上述したように、PDCCHの監視は、制御情報およびユーザトラフィック(例えばPDCCH上のDCI、PDCCHによって示されるPDSCH上のユーザデータ)など、UEを対象とする情報を識別して受信するために、UEによって行われる。
【0058】
ダウンリンクにおける制御情報(ダウンリンク制御情報、DCIと呼ぶことができる)は、5G NRではLTEのDCIと同じ目的を有し、すなわち、例えばダウンリンクデータチャネル(例:PDSCH)またはアップリンクデータチャネル(例:PUSCH)をスケジューリングする特別な制御情報のセットである。5G NRでは、すでに多くの異なるDCIフォーマットが定義されている(非特許文献7の7.3.1節を参照)。
【0059】
これらのDCIフォーマットは、それぞれの情報が形成されて送信される所定のフォーマットを表している。特に、DCIフォーマット0_1および1_1は、それぞれ、1つのセルにおいてPUSCHおよびPDSCHをスケジューリングするために使用される。
【0060】
これらの機能それぞれにおけるPDCCH監視は、特定の目的を果たし、したがってその目的のために開始される。PDCCH監視は、一般に、UEが動作させるタイマーに少なくとも基づいて制御される。タイマーはPDCCH監視を制御する目的を有し、例えば、UEがPDCCHを監視する最大時間長を制限する。例えば、UEはPDCCHを無期限に監視する必要はなく、電力を節約できるように、ある時間後に監視を停止することができる。
【0061】
上述したように、PDCCHにおけるDCIの目的の1つは、ダウンリンクまたはアップリンク、あるいはサイドリンクにおけるリソースを動的にスケジューリングすることである。特に、DCIのいくつかのフォーマットは、特定のユーザのためにデータチャネルに割り当てられるリソースの指示(リソース割当て、RA)を伝えるために提供されている。リソース割当ては、周波数領域および/または時間領域におけるリソースの指定を含むことができる。
【0062】
<UEの識別>
RNTIは、無線ネットワーク一時識別子(Radio Network Temporary Identifier)の略である。例えば、RNTIは、無線セル内のUEを区別して識別するために使用することができる。さらに、RNTIは、特定の無線チャネル、ページングの場合のUEのグループ、eNBによって電力制御が発行される対象のUEのグループ、5G gNBによってすべてのUEに対して送信されるシステム情報も、識別することができる。5G NRでは、UEのための多くの異なる識別情報が定義されており、その一部を次の表に示す(非特許文献8の7.1節を参照)。
【表1】
【0063】
上に示されているRNTI以外に、Inactive-RNTI(I-RNTI)などのさらなるIDが存在し得る(非特許文献9の例えば6.3.2節を参照)。Inactive-RNTIは、RRC_INACTIVE状態にあるUEに使用され、例えば、そのUEのサスペンドされたUEコンテキストを識別および特定するプロセスにおいて使用される。一実装形態によれば、ネットワークは、UEが(例えばRRC_CONNECTEDから)RRC_INACTIVE状態に移行するときに、(例えばSuspendConfig内のRRCReleaseメッセージの一部として)I-RNTIを割り当てる。I-RNTIには2つのタイプがあり、すなわち完全なI-RNTIおよびショートI-RNTIである。ネットワークは、接続を再開するときにどちらのI-RNTIを使用するかを、(例えばSIB1(システム情報ブロック1:System Information Block 1)の一部として)UEに通知することができる。完全なI-RNTIは、長さ40ビットのビット列であり、ショートI-RNTIは、長さ24ビットのビット列である。
【0064】
<ランダムアクセス手順>
LTEと同様に、5G NRではRACH(ランダムアクセスチャネル:Random Access Channel)手順(または単にランダムアクセス手順)が提供される。例えば、RACH手順は、UEが、発見したセルにアクセスするために使用することができる。またRACH手順は、例えば以下のように、NR内の他のコンテキストでも使用することができる。
・ ハンドオーバーにおいて、新しいセルへの同期を確立するとき
・ デバイスからのアップリンク送信がない期間が長すぎるために同期が失われた場合に、現在のセルへのアップリンク同期を再確立する
・ 専用のスケジューリング要求リソースがデバイスに設定されていない場合、アップリンクのスケジューリングを要求する
【0065】
ランダムアクセス手順(非特許文献1の9.2.6節を参照)を実行するようにUEをトリガーし得るイベントは、以下を含む多数がある。ランダムアクセス手順は、多くのイベントによってトリガーされる。
- RRC_IDLEからの最初のアクセス
- RRC接続再確立手順
- UL同期状態が「非同期」であるときRRC_CONNECTED時にDLデータまたはULデータが到着する
- SR用のPUCCHリソースが利用可能ではないときRRC_CONNECTED時にULデータが到着する
- SRの失敗
- 同期再設定(例:ハンドオーバー)時にRRCによって要求される
- RRC_INACTIVEから遷移する
- セカンダリTAGのタイムアライメントを確立する
- その他のSIの要求(7.3節を参照)
- ビームの障害回復
- SpCellでUL LBTが連続的に失敗する
【0066】
移動端末のアップリンク送信が時刻同期している場合には、アップリンク送信のために移動端末をスケジューリングすることができる。したがって、ランダムアクセスチャネル(RACH)手順は、同期していない移動端末(UE)とアップリンク無線アクセスの直交伝送の間のインターフェイスとしての役割を果たす。ランダムアクセスは、例えば、アップリンクの同期をまだ獲得していない、あるいは失ったユーザ機器のアップリンク時刻同期を達成するために使用される。ユーザ機器がアップリンク同期を獲得すると、基地局はそのユーザ機器のためにアップリンク送信リソースをスケジューリングすることができる。ランダムアクセスに関連する1つのシナリオは、RRC_CONNECTED状態にあるユーザ機器が、現在のサービングセルから新しいターゲットセルにハンドオーバーし、ターゲットセルにおいてアップリンク時刻同期を達成するためにランダムアクセス手順を実行する場合である。
【0067】
ランダムアクセス手順には少なくとも2つのタイプがあり、競合ベースで(すなわち本質的に衝突のリスクを伴う)アクセスを可能にする手順と、競合なしで(非競合ベースで)アクセスを可能にする手順である。ランダムアクセス手順の例示的な定義は、非特許文献10の5.1節に記載されている。
【0068】
次に、
図6および
図7を参照しながら、RACH手順についてより詳細に説明する。以下では、
図6を参照しながら、競合ベースのランダムアクセス手順についてより詳細に説明する。この手順は、4つの「ステップ」から構成され、したがって例えば4ステップRACH手順と称することができる。最初に、ユーザ機器は、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)上でランダムアクセスプリアンブルを基地局に送信する(すなわちRACH手順のメッセージ1)。基地局は、RACHプリアンブルを検出した後、プリアンブルが検出された時間周波数およびスロットを特定する(ランダムアクセス)RA-RNTIを使用してPDCCH上でアドレッシングされるPDSCH(物理ダウンリンクリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)上で、ランダムアクセス応答(RAR:Random Access Response)メッセージ(RACH手順のメッセージ2)を送信する。複数のユーザ機器が同じPRACHリソースで同じRACHプリアンブルを送信した場合(これは衝突とも呼ばれる)、それらのユーザ機器は同じランダムアクセス応答メッセージを受信する。RARメッセージは、検出されたRACHプリアンブルと、受信したプリアンブルのタイミングに基づくその後のアップリンク送信の同期のためのタイミングアライメントコマンド(TAコマンド)と、最初のスケジューリングされた送信を送るための最初のアップリンクリソース割当て(グラント)と、T-CRNTI(一時セル無線ネットワーク一時識別子:Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier)の割当て、を伝えることができる。このT-CRNTIは、RACH手順が終了するまで、RACHプリアンブルが検出された移動体にアドレッシングする目的に基地局によって使用され、なぜならこの時点で基地局は、移動体の「本当の」識別情報を認識していないためである。
【0069】
ユーザ機器は、基地局によって設定され得る所定の時間ウィンドウ(例えばRAR受信ウィンドウと呼ばれる)内で、ランダムアクセス応答メッセージを受信するためにPDCCHを監視する。基地局から受信したRARメッセージに応答して、ユーザ機器は、最初のスケジューリングされたアップリンク送信を、ランダムアクセス応答内のグラントによって割り当てられた無線リソース上で送信する。このスケジューリングされたアップリンク送信は、RRC接続要求、RRC再開要求、またはバッファ状態報告などの特定の機能を有する実際のメッセージを伝える。
【0070】
RACH手順の最初のメッセージにおいてプリアンブルの衝突が発生した場合(すなわち複数のユーザ機器が同じPRACHリソース上で同じプリアンブルを送信した場合)、衝突したユーザ機器はランダムアクセス応答内で同じT-CRNTIを受信し、RACH手順の第3のステップにおいて自身のスケジューリングされた送信を送信するときにも同じアップリンクリソースにおいて衝突する。1基のユーザ機器からのスケジューリングされた送信が基地局によって正常に復号された場合、他のユーザ機器については競合が未解決のままである。このタイプの競合を解決するために、基地局はC-RNTIまたは一時C-RNTI宛にアドレッシングされた競合解決メッセージ(第4のメッセージ)を送信する。これで手順は終了する。
【0071】
図7は、競合なしのランダムアクセス手順を示しており、この手順は、競合ベースのランダムアクセス手順と比較して簡略化されている。基地局は、衝突(すなわち複数のユーザ機器が同じプリアンブルを送信する)の危険性がないように、最初のステップで、ランダムアクセスに使用する専用のプリアンブルをユーザ機器に提供する。したがってユーザ機器は、基地局によってシグナリングされたプリアンブルを、その後、PRACHリソース上でアップリンクにおいて送信する。競合なしのランダムアクセスでは、複数のUEが同じプリアンブルを送信するケースが回避されるため、競合なしのランダムアクセス手順は、本質的には、ランダムアクセス応答がUEによって正常に受信された後に終了する。
【0072】
3GPPは、5G NR用の2ステップ(競合ベース)RACH手順も定義しており、この手順では、4ステップのLTE/NR RACH手順におけるメッセージ1およびメッセージ3に対応するメッセージ1(MsgAと呼ばれる)が、最初に送信される。この2ステップRACHタイプのMsgAは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)上のプリアンブルと、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)上のペイロードを含む。MsgAを送信した後、UEは、設定された時間ウィンドウ内で、gNBからの応答を監視する。次に、gNBは、4ステップLTE/NR RACH手順のメッセージ2およびメッセージ4に対応するメッセージ2(MsgBと呼ばれる)で応答する。このMsgBは、例えば成功ランダムアクセス応答(RAR)、フォールバックRAR、およびオプションとしてバックオフ指示を含むことができる。成功RARを受信して競合の解決に成功した場合、UEはランダムアクセス手順を終了する。一方、MsgBにおいてフォールバックRARを受信した場合、UEは(4ステップRACH手順と同様に)メッセージ3の送信を実行し、競合解決を監視する。2ステップRACH手順ではさらにいくつかの例示的な想定がなされ、例えばUEは、RACHタイプ(例えば2ステップRACH)を決定した後、失敗するまで同じRACHタイプを再試行し続ける。しかしながら、UEがMsgAの送信を特定の回数だけ再試行した後に4ステップRACH手順に切り替えることを可能としてもよい。
【0073】
さらに、2ステップRACH手順および4ステップRACH手順を実行するために使用される、互いに排他的である無線リソースを、ネットワークが半静的に決定することができる。RACH手順における最初のメッセージの送信に使用される無線リソースは、少なくともRACH機会およびプリアンブルを含む。例えば2ステップRACH手順では、最初のメッセージMsgAは、PRACHリソース(例えばRACH機会およびプリアンブル)のみならず、関連するPUSCHリソースも使用する。
【0074】
一般に、RACHプリアンブルについては、例えば非特許文献11の「表6.3.3.2-2: FR1およびペアスペクトル/補足アップリンクのランダムアクセス設定(Random access configurations for FR1 and paired spectrum/supplementary uplink)」および6.3.3.2節「物理リソースへのマッピング(Mapping to physical resources)」を参照されたい。
【0075】
<RRC状態(RRC_Connected、RRC_Inactive、RRC Idle)>
LTEでは、RRC状態機械は、RRCアイドル状態(主として、高い省電力化、UE自律モビリティ、コアネットワークとのUE接続が確立されていない、ことを特徴とする)と、RRC接続状態の2つの状態のみから構成されており、RRC接続状態では、ロスレスサービス継続をサポートするためにモビリティがネットワークによって制御されている間、UEはユーザプレーンデータを送信することができる。5G NRでは、LTEに関連するRRC状態機械を、以下で説明するように、非アクティブ状態(例えば非特許文献12の
図4.2.1-1および
図4.2.1-2を参照)によって拡張することができる。
【0076】
NR 5GにおけるRRC(非特許文献12の4節を参照)では、次の3つの状態、すなわちRRC Idle、RRC Inactive、およびRRC Connectedがサポートされる。UEは、RRC接続が確立されているときには、RRC_CONNECTED状態またはRRC_INACTIVE状態のいずれかである。そうでない場合、すなわちRRC接続が確立されていない場合、UEはRRC_IDLE状態である。
図8に示したように、以下の状態遷移が可能である。
・ 例えば「接続確立」手順に従って、RRC_IDLEからRRC_CONNECTED
・ 例えば「接続解放」手順に従って、RRC_CONNECTEDからRRC_IDLE
・ 例えば「サスペンドによる接続解放」手順に従って、RRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVE
・ 例えば「接続再開」手順に従って、RRC_INACTIVEからRRC_CONNECTED
・ 例えば「接続解放」手順に従って、RRC_INACTIVEからRRC_IDLE(単方向)
【0077】
新しいRRC状態であるRRC Inactiveは、eMBB(拡張モバイルブロードバンド)、mMTC(大規模マシンタイプ通信)、URLLC(超高信頼・低遅延通信)など、シグナリング、省電力、レイテンシなどに関して極めて異なる要件を有する幅広いサービスをサポートするときに恩恵が提供されるように、5G 3GPPの新しい無線技術を対象に定義されたものである。したがって新しいRRC Inactive状態は、無線アクセスネットワークおよびコアネットワークにおけるシグナリング、消費電力、リソースコストを最小限に抑えることができる一方で、例えば低遅延でデータ転送を開始できるように設計される。
【0078】
5G NRの例示的な実装によれば、これらの異なる状態は以下のように特徴付けられる(非特許文献12の4.2.1節を参照)。
「RRC_IDLE」
- UE固有のDRXを上位層によって設定することができる
- ネットワーク設定に基づいてUEが制御するモビリティ
- UEは、
- DCIを通じてP-RNTIを使用して送信されるショートメッセージを監視する(6.5節を参照)
- 5G-S-TMSIを使用するCNページングにおいてページングチャネルを監視する
- 隣接するセルの測定およびセルの(再)選択を実行する
- システム情報を取得し、SI要求を送信することができる(設定されている場合)。
- ログに記録された測定設定済みUEの位置および時刻とともに、利用可能な測定のロギングを実行する
- RRC_INACTIVE
- UE固有のDRXを、上位層またはRRC層によって設定することができる
- ネットワーク設定に基づいてUEが制御するモビリティ
- UEは、UE Inactive ASコンテキストを格納する
- RANベースの通知領域がRRC層によって設定される
UEは、
- DCIを通じてP-RNTIを使用して送信されるショートメッセージを監視する(6.5節を参照)
- 5G-S-TMSIを使用するCNページングおよび完全なI-RNTIを使用するRANページングにおいてページングチャネルを監視する
- 隣接するセルの測定およびセルの(再)選択を実行する
- RANベースの通知領域の更新を、定期的に、および設定されたRANベースの通知領域の外側に移動したときに、実行する
- システム情報を取得し、SI要求を送信することができる(設定されている場合)
- ログに記録された測定設定済みUEの位置および時刻とともに、利用可能な測定のロギングを実行する
- RRC_CONNECTED:
- UEはASコンテキストを格納する
- UEとの間でのユニキャストデータの転送
- 下位層において、UEにUE固有のDRXを設定することができる
- CAをサポートするUEの場合、帯域幅を広げるためにSpCellとアグリゲートされた1つ以上のSCellを使用する
- DCをサポートするUEの場合、帯域幅を広げるためにMCGとアグリゲートされた1つのSCGを使用する
- NR内およびE-UTRAとの間での、ネットワークが制御するモビリティ
- UEは、
- 設定されている場合、DCIを通じてP-RNTIを使用して送信されるショートメッセージを監視する(6.5節を参照)
- 共有データチャネルに関連付けられる制御チャネルを監視し、共有データチャネルにデータがスケジューリングされているかどうかを判定する
- チャネル品質およびフィードバック情報を提供する
- 隣接セルの測定および測定報告を実行する
- システム情報を取得する
- 利用可能な位置の報告とともに、ただちにMDT測定を行う
【0079】
RRC Inactive状態の特徴によれば、Inactive UEの場合、RANおよびコアネットワークとの接続(ユーザプレーンおよび制御プレーンの両方)が維持される。より具体的には、RRC Inactiveでは、接続は依然として存在するがサスペンドされている、言い換えれば、接続はもはや有効ではない。これに対してRRC Connected状態では、接続は存在し、例えばデータ送信に使用されるという意味でアクティブである。RRC Idle状態では、UEはRANおよびコアネットワークとのRRC接続を有さず、このことは、例えば、無線基地局がUEのコンテキストを有さず、例えばUEの識別情報を認識しておらず、UEによって送信されたデータを正しく復号できるようにするためのUEに関するセキュリティパラメータを有さない(セキュリティは例えば送信されたデータの完全性を保証する)ことも意味する。UEコンテキストはコアネットワークにおいて利用可能であり得るが、最初に無線基地局によって取得されなければならない。
【0080】
さらに、無線セル内のユーザ機器のためのページングメカニズム(例えば通知メカニズムとも呼ばれる)は、いわゆる無線アクセスネットワーク(RAN)ベースの通知領域(略してRNA)に基づく。無線アクセスネットワークは、ユーザ機器が位置している現在のRNAを認識しているべきであり、ユーザ機器は、様々なRNAの間を移動するUEを追跡するようにgNBを支援することができる。RNAはUE固有とすることができる。
【0081】
以下では、UEがRRC_Inactive状態からRRC_Connected状態に移行するためのRRC再開手順の一例(非特許文献12の5.3.13節を参照)について、
図9を参照しながら説明する。この手順の目的は、サスペンドされたRRC接続を再開することである(シグナリング無線ベアラおよびデータ無線ベアラの再開を含みうる)。
【0082】
この手順では、RRCResumeRequestメッセージまたはRRCResumeRequest1メッセージのいずれかを送信することができる。RRCResumeRequestメッセージを送信するときには、UEの識別情報(例示的に「resumeIdentity」と呼ばれる)としてショートI-RNTI(例えば省略型(truncated)I-RNTI)が使用される。RRCResumeRequest1メッセージを送信するときには、UEの識別情報(例示的に「resumeIdentity」と呼ばれる)として完全なI-RNTIが使用される。UEは、SIB1における指示「useFullResumeID」を確認し、RRCResumeRequestメッセージまたはRRCResumeRequest1メッセージのいずれかを送信するように決定する。「useFullResumeID」が「true」を示している場合、UEは完全なI-RNTIを使用してRRCResumeRequest1を送信し、そうでない場合、UEはショートI-RNTIを使用してRRCResumeRequestを送信する。UEがRRC再開手順において実行するアクションには(非特許文献12の5.3.13.4節を参照)、SRB2およびすべてのDRB(これらはRRC Inactive状態に移行したときにサスペンドされた(以下の解放手順を参照))を再開することが含まれる。
【0083】
RRCResume手順は、UEが、設定されたRNAの外に移動するときにRNAの更新を実行するために使用することもできる。この場合にネットワークは、
図10に示したように、RRCResumeRequest/RRCResumeRequest1メッセージに対する応答として、RRCResumeの代わりにRRCReleaseを送信する。UEは、RRCReleaseメッセージを受信した後、RRC_INACTIVEのままである。
【0084】
以下では、UEをRRC_Connected状態からRRC Inactive状態に遷移させるためのその後のRRC接続解放手順の一例について(非特許文献12の5.3.8節を参照)、
図11を参照しながら説明する。この手順の目的は、RRC接続を解放すること、またはRRC接続をサスペンドすることである。例えば、ネットワークは、RRC_CONNECTEDにあるUEをRRC_IDLEまたはRRC_INACTIVEに遷移させるためにRRC接続解放手順を開始する。RRC接続解放手順においてUEが実行するアクションには(非特許文献12の5.3.8.3節を参照)、サスペンドによって解放が行われる場合(例:RRCReleaseがsuspendConfigを含む)、SRB0を除くすべてのSRB(シグナリング無線ベアラ:Signaling Radio Bearer)およびDRB(データ無線ベアラ:Data Radio Bearer)をサスペンドすることが含まれる。したがって、RRC Inactive状態にあるUEは、サスペンドされていないDRBまたはアクティブなDRBを有さない(UEはサスペンドされたDRBのみを有する)。SRB0は、RRC Inactive状態であってもアクティブに維持され、例えばRRCResumeRequest、RRCResumeRequest1、RRCSetupRequestなどのRRCメッセージを伝えるときに、RACH手順を実行するためにUEによって使用することができる。
【0085】
本出願において使用される非アクティブ状態という用語は、UEと基地局との間の定期的かつ大規模なデータ交換が不可能である状態、または一般的ではない状態として広義に理解されるものとする。例えば、UEは、非アクティブ状態にあるとき(例えば「非アクティブUE」と呼ばれる)、アクティブに使用されるデータ接続を有さないが、最初にデータ接続を再開する必要なしに(少量の)データの送信を可能にする1つ以上の非アクティブなデータ接続(例えば、存在するが現在使用されていないデータ接続と呼ぶこともできる)を依然として有する。完全を期すために説明すると、アイドル状態にあるUEは、UEが基地局にデータを送信することのできるデータ接続を有さないが、接続状態にあるUEは、基地局にデータを伝えるためにただちに使用することのできる1つ以上のアクティブなデータ接続を有する。
【0086】
<RRC非アクティブ状態にあるUEによるデータ送信-SDT手順>
より詳細には、5G NRではRRC_INACTIVE状態がサポートされており、低頻度の(定期的および/または非定期的な)データ送信を有するUEは、一般に、ネットワークによってRRC_INACTIVE状態に維持される。リリース16までは、RRC_INACTIVE状態ではデータ送信がサポートされない。したがって、UEは、いかなるDL(MobileTerminated)データおよびUL(MobileOriginated)データについても、接続を再開(例えばRRC_CONNECTED状態に移行)しなければならない。データパケットがどれだけ小さく低頻度であっても、データ送信のたびに、接続のセットアップ(または再開)、およびその後のRRC_INACTIVE状態への解放を行わなければならない。その結果として、不必要な電力消費およびシグナリングオーバーヘッドが発生する。
【0087】
小さくかつ低頻度のデータトラフィックの具体例としては、以下のユースケースが挙げられる。
- スマートフォンのアプリケーション:
〇 インスタントメッセージングサービス(whatsapp、QQ、wechatなど)からのトラフィック
〇 IM/メールクライアントおよび他のアプリからのハートビート/キープアライブトラフィック
〇 様々なアプリケーションからのプッシュ通知
- スマートフォン以外のアプリケーション:
〇 ウェアラブルデバイスからのトラフィック(定期的な位置情報など)
〇 センサー(温度、圧力の測定値を定期的またはイベントトリガー方式で送信する産業用無線センサーネットワークなど)。
〇 定期的な検針値を送信するスマートメーターおよびスマートメーターネットワーク
【0088】
RRC Inactive状態にあるUEが、RRC Connected状態に遷移した後に(少量の)データを送信できるようにするための先行技術の例示的な手順(この場合には5G-NR準拠の先行技術の解決策)について、
図12を参照しながら以下に簡潔に説明する。図から明らかなように、UEはRRC_Inactive状態にあると想定し、この状態では例えば、UE(およびgNB)はすべてのデータ無線ベアラをサスペンドしており、gNBにデータを送信することができない。UEがデータを送信できるようにするためには、最初にUEがRRC Connected状態に遷移しなければならず、これは、UEがRACH手順(
図12では例えば4ステップRACH手順を使用する)の一部としてRRC接続の再開を要求する(ここではRRCResumeRequestを送信する)ことによって、行うことができる。
【0089】
詳細には、UEは現在のgNBにプリアンブルを送信することができ、その後、無線リソースの(少量の)ULグラントを含む対応するランダムアクセス応答を受信し、UEはこの無線リソースを使用して、RACH手順のmsg3としてRRCResumeRequestメッセージを送信する。最後に、新しいgNBがUEにRRCResumeメッセージを提供し、UEはRRC Connected状態に遷移する(すべてのデータ無線ベアラの再開を含む)。RRC_Connected状態では、UEはULデータを送信することができる。
【0090】
gNBは、このULスモールデータの送信の後、UEを実際にRRC_CONNECTED状態に遷移させるべきであることを決定することができる。UEはRRC接続の再開を要求することができるが、この点に関する制御はgNBに委ねることができる。1つの例示的な可能性は、UEがRRC_CONNECTED状態に遷移するべきか否かを決定するために、UEが例えばMsg3またはMsgAにおいて送信することのできるバッファ状態報告をgNBが考慮に入れることである。バッファ状態報告は、UEのバッファ内の実際のデータ量を示す。例えば、バッファ状態報告が、UEのバッファ内の大量のデータを示している場合、gNBはUEをRRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移させることを決定することができる(例えばgNBがRRCResumeメッセージを送信することによる)。一方、バッファ状態報告が、UEのバッファ内の少量のみのデータを示している場合、gNBはUEをRRC_INACTIVE状態に維持することを決定することができる(例えばgNBがRRCReleaseメッセージを送信することによる)。さらに、Msg3/MsgAにバッファ状態報告が含まれないことによって、例えばUEのバッファにそれ以上のデータが存在しないことをgNBに示すこともでき、UEはRRC_INACTIVEにとどまることができる。
【0091】
図12の説明から理解できるように、UEがアップリンクでユーザデータを送信できるように、UEが最初に非アクティブ状態から接続状態に遷移する必要がある上記のプロセスでは、レイテンシが発生するうえに、ユーザデータを送信するたびにUEのかなりの電力が消費される。さらに、スモールデータパケットを送信するときにINACTIVE状態のUEに発生するシグナリングオーバーヘッドは一般的な問題であり、5G NRでUEの数が増えれば、さらに悪化する。
【0092】
したがって3GPPは、UEの状態をRRC Connectedに変更することなく、RRC_Inactive UEがアップリンクで(スモール)データを送信できるようにすることを意図している。一般に、INACTIVE状態にあるときに断続的な(スモール)データパケットを有するデバイスは、INACTIVE状態での(スモール)データの送信を可能にすることから恩恵を受ける。
【0093】
図13および
図14に関して、ならびに、本発明のコンセプト、解決策、および変形形態についてその後に説明するためになされた以下の想定は、例示的にすぎないものとみなされるべきであり、RACHベースのスモールデータアップリンク送信を限定するものではない。
【0094】
さらに、一例としてRACHベースのスモールデータアップリンク送信を想定するとき、UEは、2ステップRACHまたは4ステップRACHのいずれかを使用して、アップリンクでスモールデータを送信することができ(MsgAまたはMsg3を参照)、
図13および
図14は、簡略化された例示的なRACHベースのスモールデータアップリンク送信手順を示している。
図13および
図14の両方において、UEはすでにRRC_INACTIVE状態にあり、送信可能なスモールデータを有するものと例示的に想定する。
図13では、4ステップのRACH手順を想定しており、UEがMsg3を使用してスモールデータをどのように送信するかを示している。
図14では、2ステップのRACH手順を想定しており、UEがMsgAを使用してスモールデータをどのように送信するかを示している。
【0095】
一例によれば、制御メッセージおよびスモールデータは、一緒に、例えば同じトランスポートブロック内で一緒に基地局に送信され、この場合、UEは、リソースを使用してトランスポートブロックを構築し、MAC層の同じトランスポートブロック内にデータおよびシグナリングを一緒に多重化する。4ステップRACHの場合、スモールデータは、例えばMsg2でgNBから受信されたアップリンクグラントを通じて付与される無線リソースに基づいて、Msg3の中で送信される。2ステップRACHの場合、スモールデータは、例えば、選択されたRACHプリアンブルに関連して、例えば以前に設定されたいいくつかの無線リソースからUEによって選択される無線リソースを使用して、MsgAの中で送信される。
【0096】
さらに
図13および
図14は、それぞれ、Msg3およびMsgAにバッファ状態報告を含めることができることを示しており、ただしBSRを含めることが単に例示的な可能性であることを反映するために、BSRは括弧内に示してあるのみである。例えば、
図13では、例えばBSRが存在しない、またはBSRがUEのバッファ内の少量のみのアップリンクスモールデータを示しているため、gNBがUEをRRC_Inactive状態に維持することを決定するものと例示的に想定している。これに対応して、Msg4においてRRCReleaseメッセージが送信される。一方、
図14では、例えばBSRが、UEによって送信されなければならないUEバッファ内のかなりの量のアップリンクデータを示しているため、gNBがUEをRRC_Connected状態に遷移させることを決定するものと例示的に想定している。これに対応して、MsgAに対してRRCResumeメッセージが送信される。
【0097】
さらに、
図13では、アップリンクグラントは、Msg2のランダムアクセス応答とは別に示されているが、
図13および以下の類似する実装形態では、アップリンクグラントは、これと同等に、ランダムアクセス応答に属しており、ランダムアクセス応答の一部であると見なすことができる。
【0098】
要約すると、RRC_INACTIVE UEのためのスモールデータアップリンク送信の例示的な実装形態が可能であり、例えばRACH手順、すなわち2ステップRACH手順または4ステップRACH手順(
図13および
図14を参照)に基づくことができる。
【0099】
上記では、(例えばRACHのMsg3/MsgAを使用する)1回のスモールデータアップリンク送信について説明した。さらに、3GPPでは、RRC_INACTIVE状態にあるUEが、RRC_CONNECTED状態に遷移することなく、同じ手順を使用して複数回のUL(および場合によってはDL)送信を送る(および受信する)ことが可能であるべきであることが合意された。
【0100】
図15は、
図13の簡略化された例示的な図解よりも詳細な、シングルSDT送信手順の例示的な実装形態を示している。図解および以降の説明を容易にするために、例示的に、マルチSDT送信手順は4ステップRACHに基づいているものと想定する。
【0101】
さらに、RRC_INACTIVE状態にある間に、UEが以前のgNB(アンカーgNB)から現在のgNB(したがって現在のサービングgNB)に移行したものと例示的に想定する。このため、例えばサービングgNBが(サービングgNBにとっては未知の)UEを認証することができるように、サービングgNBがRACH手順の一部として、アンカーgNBからUEコンテキストを取得することが必要であり得る。
【0102】
これに関連して、UEのRRCResumeRequestメッセージに対する応答(
図15の例ではRRCReleaseメッセージ)とは別に、競合解決識別情報MAC制御要素(CR MAC CE)(Contention Resolution Identity MAC Control Element)が送信されることも例示的に想定する。このMsg4および対応するCR MAC CEの主な目的は、競合ベースのRACHで起こり得る競合を解決することであり、したがってサービングgNBがUEコンテキストを取得するのを待機する必要がない。したがって、サービングgNBは、できる限り早く(例えばサービングgNBにおいて競合解決の結果が判定されたときに)CR MAC CEを送信することができ、一方、UEからのRRCResumeRequestメッセージに対する応答メッセージの送信は、UEコンテキストを受信して処理した後にサービングgNBによって実行することができる。一方、別のシナリオでは、競合解決識別情報MAC制御要素をRRC応答メッセージ(例えばRRCReleaseまたはRRCResume)と一緒に送信することができる。
【0103】
図15に示したシングルSDT手順の一連のステップは以下のとおりである。
【0104】
1.送信可能なスモールデータを有するUEが、スモールデータの送信を実行するためにRACHを開始する。したがってUEは、サービングgNBにプリアンブルを送信する。
【0105】
2.次にUEは、サービングgNBから、UEの一時的な識別子(例えば一時C-RNTI)およびアップリンクリソースグラントを、RARとして受信する。
【0106】
3.次にUEは、前に受信したULグラントに基づいて、ULスモールデータと一緒にRRCResumeRequestメッセージを送信する。さらにUEは、実質的にその時点において、RRC再開要求手順を制御する役割を担うタイマー(T319と呼ばれる)を開始させる。タイマーT319に関するさらなる詳細について以下に説明する。
【0107】
より詳細には、5Gに準拠する例示的な実装形態によれば、T319タイマーは、RRC再開要求手順の最大継続時間を調整する。タイマーT319は、RRCResumeRequestメッセージを送信したときに開始され、それに対応する応答(RRCReleaseまたはRRCResumeメッセージなど)を受信したときに停止される。停止される前にT319が切れた場合、UEは、そのRRC再開要求手順が失敗したと判定し、RRC_IDLE状態に遷移する。
【0108】
例示的に、T319に適用される値は、gNBが、別のアンカーgNBからUEコンテキストを取得するために必要な時間を考慮に入れて決定する。T319が長いほど、サービングgNBは応答メッセージ(例えばRRCReleaseまたはRRCResume)をより遅いタイミングでUEに送信することができる。T319の値は、例えばgNBがシステム情報(SIB)を使用して自身のセル内でブロードキャストすることができ、したがってT319タイマーはセルに固有であり、UEに固有ではない。
【0109】
4.サービングgNBは、RRCResumeRequestメッセージの情報コンテンツに基づいて、アンカーgNBからUEのコンテキストの取得を試みる。RRCResumeRequestメッセージには、例えばコンテキストを取得するための対応するUE ID(Inactive-RNTI、I-RNTIなど)が含まれている。
【0110】
5.サービングgNBは、UEコンテキスト取得の完了を待たずに、競合解決識別情報MAC CEをUEに送信し、これによりRACH手順が完了する。UEはこのCR MAC CEを受信し、その中の競合解決識別情報と、前にRRCResumeRequestメッセージにおいてサービングgNBに送信したUE ID(例えばI-RNTI)とを比較する。2つのIDが一致した場合、競合は肯定的に解決される(positively resolved)。
【0111】
6.RACH競合が肯定的に解決した結果として、UEは、前に受信した一時C-RNTIをC-RNTIとして使用する。
【0112】
7.次に、サービングgNBがアンカーgNBからUEのコンテキストを正常に取得すると想定する。
【0113】
8.次に、サービングgNBは、RRCResumeRequestメッセージに対してどのように応答するかを決定し、
図15のこの例示的なケースでは、UEをRRC_Inactiveに維持するために、RRCReleaseメッセージをUEに送信する。UE側では、このRRCReleaseメッセージを受信したときに、T319タイマーを停止させる。
【0114】
9.さらに、RRCReleaseメッセージの結果として、UEはRRC_INACTIVEにとどまり、したがってC-RNTIを解放する(破棄すると称することもできる)。これに対して、例えば、上のステップ3における前のRRCResumeRequestメッセージに対する応答としてRRCResumeメッセージを受信したときには、UEはC-RNTIを保持する。
【0115】
マルチSDT送信をサポートするためには、ステップ3における1回のスモールデータ送信のみを含む上記の一連のステップを拡張する必要があり得る。例えばUEは、追加の適切なUL無線リソースを取得し、それに対応して1回以上のULスモールデータ送信を実行することができる。
【0116】
しかしながら、UEがサービングgNBからアップリンクリソースグラントを受信できるようにするためには、アップリンクリソースグラント(フォーマット0_0、0_1、または0_2のDCIなど)がアドレッシングされる先の有効なC-RNTI(すなわち一時C-RNTIがC-RNTIに変換された後)をUEが有することが有利である。言い換えれば、C-RNTIが有効であることは、マルチSDT手順を実施するために重要である。しかしながら、UEがC-RNTIを保持するか否かは、上記から明らかなように、開始されたRRCResumeRequestに関連してUEが受信する応答と、タイマーT319の動作とによって決まる。
【0117】
より具体的には、UEがRRCReleaseメッセージを受信した場合(上記のステップ8を参照)、または(例えばRRCReleaseメッセージを受信する前に)T319が切れた場合には、UEのC-RNTIが解放される。例えば、非特許文献12の現在の規格には、その5.3.8.3節に、RRCReleaseメッセージを受信したときのUEの動作が定義されており、それによると、UEの動作には、(例えばMACリセットの一部として)C-RNTIを解放することが含まれる。さらに、非特許文献12の現在の規格には、その5.3.13.5節に、例えばT319タイマーが切れたときのUEの動作も定義されており、それによると、UEの動作には、RRC_IDLEに遷移することが含まれ、この動作には(非特許文献12の5.3.11節を参照)、(例えばRLCエンティティ、MAC設定など、すべてのリソースの解放の一部として)C-RNTIを解放することが含まれる。
【0118】
要約すると、UEのC-RNTIは、T319タイマーが動作している間、かつRRCReleaseメッセージが受信されるまで、UE内で有効に保持される。その結果、C-RNTIは特定の時間長のみにわたり利用可能であり、この時間長は、UEがマルチSDT手順を実行するには不十分であることがある。
【0119】
1つの可能な解決策は、正当に可能である最も早いタイミング、例えばUEがMsg4の競合解決を受信した後(
図15およびステップ5の説明を参照)、ただしRRCReleaseメッセージを受信する前に、追加の1回以上のスモールデータ送信を実施することであり得る。
図16はこのような解決策を示しており、この図は
図15に類似しており、対応する想定がなされている。
【0120】
このような解決策では、サービングgNBは、C-RNTIにアドレッシングされたアップリンクグラントをUEに送信し、UEは、サービングgNBによってRRCReleaseメッセージが送信される前に、割り当てられたアップリンク無線リソースを使用して、対応するスモールデータアップリンク送信を実行する。
【0121】
オプションとして、スモールデータ送信をバッファ状態報告と一緒に送信することができ、したがってサービングgNBは、UEのバッファにさらにどれだけのデータが存在するかを認識し、さらなるスモールデータ送信が必要であるかどうかを決定して、必要な場合、それに応じて次のULグラントを作成することができる。
【0122】
このように、
図16の解決策によれば、スモールデータ送信を効率的かつ迅速に実施することができる。
【0123】
しかしながら、このような解決策には、サービングgNBがまだアンカーgNBからUEコンテキストを受信していないため、UEがまだサービングgNBによって認証されていないという欠点があり得る。一般的には、UEが最初に(UEコンテキストに基づいて)サービングgNBによって認証された後に、UL無線リソースが実際に予約され、そのような新しいUEに割り当てられることが好ましい。例えば、UEコンテキストの取得に失敗する、あるいはUEが不正または偽物であることが判明することがあり、したがってUL SDT用に意図されている割り当てられた無線リソースが無駄になることがある。
【0124】
さらに、
図16の例示的なシナリオでは、UEコンテキストが取得され、gNBがUEにRRCReleaseメッセージを送信する前に、2回の追加のスモールデータ送信(合計で3回のSDT)が可能であるものと想定している。その後、UEは、T319タイマーを停止させ、C-RNTIを解放する。その後、さらなるULスモールデータの送信はもはや不可能になる。ただし、利用可能な時間の長さは、UEコンテキストの取得に必要な時間によって決まり、取得に必要な時間は大きく変動する可能性があり、実際には極めて短いこともある。
【0125】
説明した解決策の可能なバリエーションとして、UEがC-RNTIを破棄することを避けるために、gNBがRRCReleaseメッセージの送信を待機することが考えられる。例えば、UEがRRCReleaseメッセージを受信してT319タイマーを停止させ、したがってRRCResumeRequest手順の失敗、および起こり得るRRC_IDLE状態への遷移を回避できるちょうどのタイミングまで、gNBが待機することができる。これにより、サービングgNBがUEコンテキストを実際に受信するタイミングとは多少独立して、スモールデータ送信に利用可能な時間が最大化される。しかしながら、サービングgNBによる待機時間は、T319タイマーの値によって制限され、なぜならサービングgNBは、T319タイマーが切れる前にUEが受信できる時間内にRRCReleaseを送信する必要があるためである。したがって、必要な回数のスモールデータ送信を実行するための十分な時間がない可能性がある。現在の3GPP 5G準拠の実装では、T319タイマーは最大2000msに設定することができる(非特許文献12の6.3.2節、情報要素「UE-TimersAndConstants」の「ENUMERATED{ms100、ms200、ms300、ms400、ms600、ms1000、ms1500、ms2000}」を参照)。この2000msという最大値は、非アクティブUEのUEコンテキストを保持するアンカーgNBとサービングgNBとの間のバックホールリンクに起因して発生し得る遅延を含めて、別のgNBからのUEコンテキスト取得に対応できるように定義されたものである。T319タイマーの最大値は、マルチSDT手順に対応するようには設計されておらず、したがって小さすぎる可能性が高い。
【0126】
(
図16に基づく)上記の解決策のさらなるオプションの変形形態として、T319タイマーの長さを延長する、すなわち長くすることができる。この点において、T319タイマーを定義することのできる最大値を、ずっと高く設定することができる(例えば8000ms)。これによる恩恵として、改良されたマルチSDT手順によって、UEはC-RNTIをより長く有効な状態に維持することができ、したがってRRCReleaseメッセージを受信する前に複数のスモールデータ送信のためのより多くの時間を確保することができる。
【0127】
しかしながら、T319タイマーをより高い値に設定することにはデメリットもあり、なぜなら複数回のスモールデータ送信を実行しない、あるいはサポートすらしていない他のUEが悪影響を受けるためである。T319タイマーの値は、システム情報の一部としてサービングgNBによってそのセル内でブロードキャストされ、マルチスモールデータ送信を実行しないUEまたはサポートしないUEを含めて、さらには、RNA(RANベースの通知領域更新)の実行のみを予定しているUE、RRC接続の再開を予定しているUEも含めて、すべてのUEによって採用される。したがって、延長されたT319タイマー値は、これらのUEのRRCResumeRequest手順に悪影響を及ぼし、なぜならUEは、RRCResumeRequest手順が失敗した場合、そのことを検出するのはより後の、T319タイマーが切れた時点であるためである。
【0128】
マルチSDT手順は、シングルSDT送信手順よりもずっと長い時間にわたることがある。特に、マルチSDT送信手順は、最初のUL SDT送信の後に、いくつかの後続のULグラントの送信を伴うことがある(
図13および
図14も参照)。これにより、例えば上述したシングルSDT送信手順と比較すると、マルチSDT手順が大幅に長くなる可能性が高い。
【0129】
RAN2#111_e会合では、スモールデータ送信(SDT)はデータ無線ベアラ(DRB)ごとにネットワークによって設定されることが合意された。より具体的には、RRC_INACTIVEにおいてSDT DRBトラフィックが到着すると、SDT手順がトリガーされ、一方、RRC_INACTIVEにおいて非SDT DRBトラフィックが到着すると、レガシーRRC再開手順(RRC_CONNECTEDに戻るように要求する)がトリガーされる。言い換えれば、非アクティブ状態でのデータの送信が許可されるようにネットワークによって(例えば基地局によって)設定されているDRBにデータが到着すると、SDT手順がトリガーされ、一方、ネットワークによって設定されていないDRBにデータが到着すると、UEは接続状態に入るために(レガシー)RRC再開手順を開始するようにトリガーされる。RAN2#112_e会合では、UEはRRC_INACTIVEに入ったときにすべてのDRBをサスペンドし、SDT手順の開始時にはSDT DRBのみが(UEによって)再開されることがさらに合意された。
【0130】
したがって、SDT手順、またはSDT DRBデータを送信する手順という用語は、非アクティブ状態(例えばRRC_INACTIVE)においてデータを送信する手順を意味し、必ずしもSDT手順によって送信されるデータの量を意味するものではない。したがって、スモールデータおよびSDT DRBデータという用語は、(UEの)非アクティブ状態において送信することのできるデータを意味し、必ずしもこのデータのサイズを意味するものではない。特に、スモールデータまたはSDT DRBデータは、非アクティブ状態での送信用に設定されているDRB(このようなDRBを本明細書ではSDT DRBとも呼ぶ)の任意のデータとすることができる。同様に、非SDT DRBデータという用語は、(UEの)非アクティブ状態において送信することのできないデータ、および/または、(UEの)接続状態においてのみ送信することのできるデータ、を意味する。特に、非SDT DRBデータは、非アクティブ状態での送信用に設定されていないDRB(このようなDRBを本明細書では非SDT DRBとも呼ぶ)の任意のデータとすることができる。
【0131】
SDT DRBデータを送信する手順は、RACH手順に基づく、および/またはRACH手順において開始される手順とすることができる。特に、このRACH手順は、4ステップRACH手順または2ステップRACH手順とすることができる。より具体的には、本明細書における、RACH手順に基づくSDT手順とは、RACH手順中に開始されるSDT手順を意味する。これには、例えば
図13~
図15に示したように、RACH手順中にスモールデータの送信が1回だけ実行されるSDT手順のみならず、
図16に示したように、RACH手順中および/またはRACH手順に続いてスモールデータの送信が2回以上実行されるSDT手順も含まれる。さらに、
図17に示したように、SDT手順が開始されたRACH手順と一緒に終了しないSDT手順も含まれる。
【0132】
より具体的には、
図17は、マルチSDT手順、すなわち、4ステップRACH手順に基づく、スモールデータの2回以上の送信を含むSDT手順を示している。図から理解できるように、
図17のSDT手順は、RACH手順とともに終了せず、Msg4の受信後も継続する。より具体的には、UEは、Msg4を受信した後にULグラント1700を受信し、ULグラント1700を使用してスモールデータの送信を実行する。
図17では、RACH手順の終了前に1回のみのスモールデータ送信があり、RACH手順の終了後に1回のみのスモールデータ送信がある。しかしながら、一般的には、RACH手順の終了前および/または終了後に、スモールデータの複数回の送信を行うことができる。
【0133】
要約すると、RACH手順に基づくSDT手順、またはRACH手順中に開始されるSDT手順は、非アクティブ状態において1回以上のデータ送信が実行される手順とすることができ、i)これら1回以上の送信のうちの少なくとも1回が、UEによって、RACH手順のメッセージと一緒に実行される、および/または、ii)RACH手順のメッセージと一緒にUEによって指示が送信され、この指示は、スモールデータ送信のためのリソースグラントの要求を示す。
【0134】
しかしながら、SDT手順という用語は、RACHベースのSDT手順に限定されず、なぜならこの用語は、コンフィギュアドグラント(CG)を使用する、非アクティブ状態におけるデータ送信も含むためである。より具体的には、UEは、コンフィギュアドCGリソースを使用して、対応する指示をスケジューリングデバイスに送信することにより、CGベースのSDT手順を開始することができる。UEは、SDT DRBデータの送信を、指示の送信と一緒に、または、より後の送信(これもCGリソースを使用することができる)と一緒に、開始することができる。例えばUEは、SDT DRBデータが到着すると、そのSDT DRBデータをRRCResumeRequestメッセージと一緒に多重化して、最も近いCGリソースにおいてこれらを送信することができる。CGリソースは、周期的に現れるULグラントであり、UEが非アクティブ状態に入る前/入ったときにスケジューリングデバイスによってUEに設定される。
【0135】
<データ接続>
本明細書で使用される「データ接続」という用語は、例えばUEと無線基地局との間で、データ(例えばスモールデータ)の送信が可能である接続と理解することができる。より詳細には、データ接続を有さないUEは、例えばシグナリング接続に基づいて無線基地局と接続されていても、データをただちに送信することはできない。この文脈におけるデータとは、例えばシグナリング接続を使用して送信される制御情報とは対照的に、例えばUE上で実行されているアプリケーションからのユーザデータとして広義に理解することができる。
【0136】
例示的な一実装形態において、5G NR規格によれば、データ接続はデータ無線ベアラ(DRB)として理解することができ、シグナリング接続はシグナリング無線ベアラ(SRB)として理解することができる。
【0137】
場合によっては、本出願では、データ接続の異なる状態、例えば、存在しない、存在するがサスペンドされている、存在するが使用されていない(サスペンドされていない、または非アクティブと呼ぶこともできる)、存在しており現在データの送信に使用されている(アクティブと呼ぶこともできる)、をさらに区別する。データ接続のこの分類に従うと、サスペンドされているデータ接続は、データ接続が存在するが、(例えばアップリンクにおいて)データを送信するためにただちに使用することはできず、なぜならデータ接続が両方のエンドポイント(例えばUEおよび無線基地局)によってサスペンドされており、最初に再開する必要があるためである。一方、サスペンドされていないデータ接続では、(例えばデータ接続を再開するなどのさらなる手順なしに)ただちにデータを送信することができる。例えば、3GPP規格に現在定義されている例示的な5G NR実装を参照すると、RRC非アクティブ状態にあるUEは、1つ以上のサスペンドされたデータ接続を有する(DRBがサスペンドされている)。RRC接続状態にあるUEは、1つ以上のアクティブなデータ接続と、場合によっては他のサスペンドされていないデータ接続(現在アクティブに使用されていない)を有することができる。RRCアイドル状態にあるUEは、データ接続(サスペンドされたデータ接続およびアクティブなデータ接続)を有さない。一方、以下に説明する改良されたデータ送信手順によれば、3GPP規格に現在定義されている5G NR実装とは異なり、RRC非アクティブ状態にあるUEは、1つ以上の利用可能なサスペンドされていないデータ接続を有する(これらのデータ接続は、スモールデータ送信まではデータが交換されないため非アクティブである)。
【0138】
このコンテキストにおいて、本出願では、例えばUEがデータ接続を使用してスモールデータを送信することを説明する。本シナリオでは、データ接続はUEと基地局との間に確立されている。例示的な一実装形態では、データ接続は、符号化、セキュリティ、暗号化などに関連する特定のパラメータに関連付けられるものとして広義に理解されるものとする。したがって、送信側の観点から見ると、UEは、そのデータ接続に関連付けられるこれらのパラメータを、そのデータ接続を使用して送信される(スモール)データに適用する。この適用は、例えば特定のサービス品質を保証するために行うことができる。これに対応して、受信側の観点から見ると、受信機は、データ接続を介して送信されるデータを正常に復号するために、送信側とは逆の処理(例えば符号化、セキュリティ、暗号化などに関する処理)を適用する必要があり得る。
【0139】
<専門用語>
以下では、5G移動通信システムにおいて想定される新しい無線アクセス技術のためのUE、基地局、および手順について説明する(ただしこれらはLTE移動通信システムでも使用することができる)。複数の異なる実装形態および変形形態も説明する。以下の開示は、上述した議論および発見事項によって促進され、例えば、その少なくとも一部に基づくことができる。
【0140】
一般に、本開示の基礎となる原理を明確かつ理解しやすい方法で説明できるように、本明細書では多くの想定がなされていることに留意されたい。しかしながら、これらの想定は、本明細書において説明を目的としてなされた単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0141】
さらに、次の3GPP 5G通信システムのための新しい無線アクセス技術のコンテキストで使用される特定の専門用語は、まだ完全に決定されていない、または最終的に変更される可能性があるが、以下で使用されている手順、エンティティ、層などの用語のいくつかは、LTE/LTE-Aシステムに、または現在の3GPP 5G標準化において使用されている専門用語に、密接に関連している。したがって、用語は将来的に変更されうるが、実施形態の機能に影響を与えることはない。したがって、実施形態およびその保護範囲は、より新しいまたは最終的に合意された専門用語が存在しないために本明細書で例示的に使用されている特定の用語に制限されるものではなく、本開示の機能および原理の基礎をなす機能およびコンセプトの観点においてより広義に理解されるべきであることが、当業者には認識されるであろう。
【0142】
<実施形態>
一般に、SDT手順中に非SDTデータが到着すると、RRC_INACTIVEにあるUEは、i)他の状況に関係なく、接続状態に入るためにRACH手順をトリガーすることができ、これはシステム全体のパフォーマンスを低下させる非効率的なアプローチであり得る、および/または、ii)現在の仕様にはまだ存在しない要因または条件に基づいて、非SDTデータの到着を示すためにRACH手順をトリガーすることができ、この場合、仕様を変更するための多大な労力が必要となり得る。
【0143】
これに鑑みて、本開示は、SDT手順中に非SDT DRBデータが到着した場合の効率的な処理を可能にする技術を提供する。特に、開示される手順は、スモールデータの送信のためにすでに発生している送信機会を、非SDT DRBデータの到着を示すトラフィック指示を送信する目的にも使用することを可能にする。すでに発生している送信機会を使用することで、UEが非SDTデータの到着の指示を送信するために別のULグラントを必要とすること、および/または、接続状態に入るために追加のRACH手順を開始すること、を回避することができ、したがってUEの電力を節約し、オーバーヘッドを減らし、他のUEとの衝突を回避することができる。
【0144】
本開示は、基地局およびユーザ機器を提供する。
図18に示したように、ユーザ機器1810および基地局1860は、無線通信システムにおいて無線チャネルを介して互いに通信することができる。例えば、ユーザ機器は、NRユーザ機器とすることができ、基地局は、eNB、またはNR gNB、特に非地上系ネットワーク(NTN)NRシステムにおけるgNBなどのネットワークノードまたはスケジューリングノードとすることができる。本開示はさらに、スケジューリングされる側のデバイスおよびスケジューリングする側のデバイスを含むシステム、ならびに対応する方法およびプログラムを提供する。このような通信システムの一例を
図18に示す。通信システム1800は、5Gの技術仕様に従った無線通信システム、特にNR通信システムとすることができる。しかしながら、本開示は、3GPP NRに限定されるものではなく、NTNなどの他の無線システムまたはセルラーシステムに適用することもできる。
図18は、ユーザ機器1810(通信デバイスとも称する)と、ここでは例示的に基地局(ネットワークノード)に配置されると想定されるスケジューリングデバイス1860の、簡略化された一般的かつ例示的なブロック図を示している。しかしながら、一般に、スケジューリングデバイスは、2つの端末間のサイドリンク接続の場合には、端末であってもよい。さらに、特にURLLC、eMBB、およびmMTCのユースケースに関して、通信デバイス1810は、センサーデバイス、ウェアラブルデバイス、または接続された車両、または産業工場における自動機械のコントローラであってもよい。さらに、通信デバイス1810は、基地局1860とは別の通信デバイスとの間の中継機として機能することもできる(例えば本開示は、通信「端末」またはユーザ「端末」に限定されない)。
【0145】
UEおよびeNB/gNBは、それぞれ送受信機1820(UE側)および1870(基地局側)を使用して、(無線)物理チャネル1850を介して互いに通信する。基地局1860および端末1810は、共に通信システム1800を形成する。通信システム1800は、
図1に示したような他のエンティティをさらに含むことができる。
【0146】
図18(左側)に示したように、例示的な実施形態によれば、ユーザ機器(UE)1810が提供される。UE 1810は、送受信機1820および回路1830を備える。回路1830は、動作時、非アクティブ状態においてSDT DRBデータを送信する手順中に、非SDT DRBデータが接続状態において送信されることを検出する。回路1830は、動作時、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路は、動作時、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始する。待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、回路は、動作時、その送信機会を使用して、非SDT DRBデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように送受信機を制御する。
【0147】
図19は、回路1830、すなわち、非SDT DRBデータの到着を処理する回路の例示的な機能構造を示している。図示したように、非SDT DRBデータ到着処理トラフィック指示処理回路1830は、非SDT DRBデータ検出回路1936および送信機会判定回路1937を含むことができる。より具体的には、回路1936は、例えば、送信される非SDT DRBデータが存在するか否かを検出または判定することによって、非SDT DRBデータを検出する。また、回路1936は、非SDT DRBの到着が予期されるか否かを判定することもできる。送信機会判定回路1937は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定することができる。さらに、待機するべき送信機会が存在すると判定された場合、回路1937は、待機するべき送信機会(例えばその送信機会のリソース)を求めることもできる。
【0148】
上述したUEに対応して、別の例示的な実施形態によれば、UEによって実行される通信方法が提供される。
図21に示したように、この方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態においてSDT DRBデータを送信する手順中に、非SDT DRBデータが接続状態において送信されることを検出するステップS2110と、
- 待機するべき送信機会が存在するか否かを判定するステップS2120と、
- S2120で、待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない(S2140で「いいえ」)、と判定されたとき、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始するステップS2130と、
- S2120で、待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生した場合(S2140で「はい」)、その送信機会を使用して、非SDT DRBデータの検出を示すトラフィック指示を送信するステップS2150と、
を含む。
【0149】
図18(右側)にも示したように、別の例示的な実施形態によれば、スケジューリングデバイス1860が提供される。スケジューリングデバイス1860は、送受信機1870および回路1880を備える。回路1880は、動作時、非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、SDT DRBデータを含む送信を受信するように、送受信機を制御する。回路1880は、動作時、SDT DRBデータを含む受信した送信から、トラフィック指示を取得する。トラフィック指示は、UEによって非SDT DRBデータが検出されたことを示す。非SDT DRBデータとは、接続状態にあるUEによって送信されるデータであり、トラフィック指示は、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、LCIDの事前定義値は、非SDT DRBデータが検出されたことを示す。
【0150】
図20は、トラフィック指示処理回路1885の例示的な機能構造を示している。特に、トラフィック指示処理回路1885は、トラフィック指示評価回路2036およびRRC状態遷移回路2037を含むことができる。回路2036は、スモールデータを含む送信からトラフィック指示を取得して解釈する役割を担うことができる。さらに、回路2036が、受信された送信からトラフィック指示を取得すると、回路2037は、UEを非アクティブ状態から接続状態に移行させるためのRRCメッセージをUEに送信する役割を担うことができる。
【0151】
さらに、上述した基地局に対応して、スケジューリングデバイスによって実行される通信方法が提供される。
図22に示したように、この方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、SDT DRBデータを含む送信を受信するステップS2210と、
- SDT DRBデータを含む送信から、UEによって非SDT DRBデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップS2220であって、i)非SDT DRBデータが、接続状態にあるUEによって送信されるデータであり、ii)トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、iii)LCIDの事前定義値が、非SDT DRBデータが検出されたことを示す、ステップS2220と、
を含む。
【0152】
通信デバイス1810は、送受信機1820および(処理)回路1830を備えることができ、スケジューリングデバイス1860は、送受信機1870および(処理)回路1880を備えることができる。送受信機1810は、受信機および/または送信機を備える、および/または、受信機および/または送信機として機能することができる。本開示では、言い換えれば、「送受信機」という用語は、通信デバイス1810または基地局1860が、無線チャネル1850を介して無線信号を送信および/または受信することを可能にするハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素に対して使用される。したがって、送受信機は、受信機、送信機、または受信機と送信機の組合せに対応する。一般に、基地局および通信デバイスは、無線信号を送信および受信することができるものと想定される。しかしながら、特に、eMBB、mMTC、およびURLLCの一部の用途(スマートホーム、スマートシティ、産業オートメーションなど)に関しては、センサーなどのデバイスが信号を受信するのみであるケースが考えられる。さらに、「回路」という用語は、1つ以上のプロセッサまたは処理ユニットなどによって形成される処理回路を含む。回路1830および1880(または処理回路)は、1つ以上のプロセッサまたは任意のLSIなどの1つ以上のハードウェアとすることができる。送受信機と処理回路との間には入出力点(またはノード)が存在しており、処理回路は動作時にこの入出力点(またはノード)を通じて送受信機を制御する、すなわち受信機および/または送信機を制御して、受信/送信データを交換することができる。送受信機は、送信機および受信機として、1つ以上のアンテナ、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)フロントを含むことができる。処理回路は、処理回路によって提供されるユーザデータおよび制御データを送信する、および/または処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信するように送受信機を制御するなどの制御タスクを実施することができる。処理回路はまた、判定、決定、計算、測定などの他の処理を実行する役割を担うこともできる。送信機は、送信の処理およびそれに関連する他の処理を実行する役割を担うことができる。受信機は、受信の処理およびそれに関連する他の処理(チャネルを監視するなど)を実行する役割を担うことができる。
【0153】
さらに、以下に説明するステップ/動作のいずれも、(UE側の)回路1830および/または(基地局側の)回路1880によって実行または制御することができることに留意されたい。
【0154】
さらなる説明において、詳細および実施形態は、明示的な記述または文脈がそうでないことを示さない限り、送受信機デバイス、スケジューリングデバイス(またはスケジューリングノード)、および方法のそれぞれに適用される。
【0155】
<非SDTデータの到着>
UEが非アクティブ状態にある、ある時点において、非SDT DRBデータが送信可能になり、したがってUEが、非SDT DRBの送信が実行されることを判定するものと想定する。非SDT DRBデータの到着を検出したときに、UEがSDT手順中でない場合、UEは接続状態に入るためにRACH手順を開始することができる。したがって、非SDT DRBデータの到着を検出したとき、UEはSDT手順中であると想定する。
【0156】
図23に示したように、UEがSDT手順中であるという記述は、必ずしも、UEがSDT手順に関連する送信をすでに実行したことを意味するものではなく、UEが非アクティブ状態において(スモール)データが送信されることを判定したことを意味する。したがって、SDT手順は、非アクティブ状態において(スモール)データが送信されると判定することから始まることができる、SDT手順を開始するRACH手順を含むことができる、および/または、そのRACH手順の後に継続することができる。
【0157】
本明細書における「到着」とは、上位層からの到着を意味する。したがって言い換えれば、非SDTデータが送信可能になる。さらに、「検出される」という用語は、データが実際に到着したことの検出のみならず、非SDT DRBデータが送信のために到着すると予期されることの検出/判定も含む。
【0158】
図23に示したように、非SDT DRBデータは、時間T
Aまたは時間T
Bに到着する、および/または検出することができる。より具体的には、非SDTトラフィックの到着のタイミングT
Aは、スモールデータ(例えばMsg3/MsgA)の最初の送信より前のタイミングを意味する。これに代えて、またはこれに加えて、タイミングT
Aは、UEが自身のRACH送信すべてを実行する前の期間とすることもできる。したがって、T
Aの期間内に非SDTトラフィックが到着した場合、スモールデータの送信のための少なくとも1つのULグラント(または送信機会)が存在し、UEはこのULグラント(または送信機会)を利用して、非SDTトラフィックの到着を示すことができる。特に、RACH手順の一部としての送信機会が存在する。例えば、
図23に示したように、T
Aは、UEがSDT手順をトリガーしたとき、またはその直後に始まることができ、UEがMsg3/MsgAを送信したとき、またはその直前に終了することができる。一方、タイミングT
Bは、スモールデータ(例えばMsg3/MsgA)の最初の送信後に非SDTトラフィックが到着することを意味する。したがって、T
Bの期間内に非SDTトラフィックが到着した場合、後続のデータ送信が存在するか否かに応じて、UEが非SDTトラフィックの到着を示すために利用できるULグラントが存在し得る、または存在し得ない。例えば、
図23に示したように、タイミングT
Bは、UEがMsg3を送信したときから始まり、UEがRRCReleaseメッセージ/MsgBを受信する前に終了することができる。さらに、
図23ではT
BがT
Aよりも短い期間であることが示されているが、ネットワークの決定によってはT
Bの方が長い期間となり得ることに留意されたい。
【0159】
非SDT DRBデータの到着が検出されたとき、UEは、例えばCCCHメッセージを使用する新しいRRC再開手順を開始することができる。したがって、(SDT DRBデータを送信するための)進行中のRRC再開手順が存在していても、UEは新しいRACH手順を開始し、Msg3においてRRC再開要求を再び送信することができる。しかしながら、やがて発生するULグラントまたは送信機会が存在するか否かに関係なく新しいRACHがトリガーされる場合、リソースの利用が非効率的となり、他のUEとのRACH衝突が増加する可能性がある。
【0160】
したがって、以下にさらに詳細に説明するRACHベースのSDT手順の場合の処理をまとめると、TAにおいて非SDTトラフィックが到着した場合、UEは残りの送信機会を利用してトラフィック指示を送信することができる。さらに、TBにおいて非SDTトラフィックが到着した場合、UEは、i)SDT手順の終了前に受信した(1つ以上の)専用ULリソースにおいて非SDTトラフィック指示をgNBに送信する、または、ii)(1つ以上の)専用ULリソースを受信していない、または受信する見込みがない場合、接続状態に入るために新しいRACH手順(RRC再開手順)を開始する、ことができる。さらに、UEは、予期されるULグラントをもはや受信する見込みがない、言い換えれば、専用ULグラントをもはや受信する見込みがないと(後から)判定した場合にも、新しいRACH手順を開始することができる。
【0161】
<送信機会>
一般に、送信機会という用語は、新しいRACH手順(例えば、SDT DRBデータ送信を開始するためのRACH手順、またはすでに開始しているRACH手順に加えて、それとは異なるRACH手順)を開始することなく、トラフィック指示を送信するための機会を意味する。したがって、送信機会は、UEがデータを送信するために使用することのできる(1つ以上の)リソースに関連付けられる。一般に、これらのリソースは、SDT手順の一部として受信される専用ULグラントによって示される、または示されると予期される専用リソース、および/または、RACH手順の送信に使用されるリソース(例えばMsg3またはMsgA)、ならびにコンフィギュアドグラント(CG)を介してUEに割り当てられるリソース、であり得る。特に、送信機会は、i)SDT DRBデータの少なくとも一部を送信するための送信機会、およびii)SDT DRBデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される送信機会、であり得る。
【0162】
1.すでに既知の送信機会
一般に、送信機会を待機するか否かを判定するとき、その送信機会のリソースがUEに既知である場合がある。
【0163】
一般に、SDT DRBデータを送信するための手順が、RACH手順において開始される手順である場合、待機するべき送信機会は、RACH手順の最初の送信とすることができる。例えば、SDT手順が2ステップRACH手順において開始され、UEが自身の最初の送信(例えばMsgA)をまだ送信していない場合、UEはこの最初の送信を使用してトラフィック指示を送信することができる。言い換えれば、UEは、RACHリソース(例えばRACH機会のリソース)を使用して、SDT DRBデータ(またはその一部)およびトラフィック指示を送信することができる。したがって、非SDT DRBデータは、UEがRACH手順をトリガーした(例えばRACH手順を開始すると決定した)後、かつ、そのRACH手順の最初の送信を送信する前に、UEによって検出されていることができる。例えば、UEが使用する予定の(例えば次の)RACHリソースを待機している間に、非SDTデータが到着することがある。この場合、(待機するべき、または待機しない)送信機会は、そのRACHリソースによって与えることができる。
【0164】
さらに、一般的に、SDT DRBデータを送信するための手順が、RACH手順において開始される手順である場合、送信機会は、RACH手順の一部として受信されるアップリンクグラントによって示されている機会とすることができる。例えば、SDT手順が、4ステップRACH手順において開始される(開始された、または開始される予定である)。この場合、UEは、ランダムアクセス応答を受信した後、かつ、そのランダムアクセス応答によって示されたリソースを使用してSDT DRBデータ(またはその一部)を送信する前に、非SDT DRBデータを検出していることができる。例えば、UEは、Msg2をすでに受信しているが、Msg3をまだ送信していない場合がある。したがって、一般的に、UEはRACH手順の間にULグラントを受信している可能性があり、このULグラントは、例えば、まだ過ぎ去っていない、SDTデータの送信のための送信機会(リソース)を示している。その場合、(待機するべき、または待機しない)送信機会は、ULグラントによって示されたその送信機会とすることができる。
【0165】
さらに、一般的に、SDT DRBデータを送信するための手順が、RACH手順において開始される手順である場合、待機するべき送信機会は、RACH手順の完了後にSDT DRBデータを送信するために受信されたアップリンクグラントによって示されている。例えば、SDT手順は、RACH手順(例えば2ステップまたは4ステップのRACH手順)において開始されている。このRACH手順は完了している(例えばUEが、スケジューリングデバイスから競合解決MAC CEをすでに受信している)が、このRACH手順において開始されたSDT手順が依然として進行中である場合がある。言い換えれば、UEは、SDT DRBデータの送信のためのULグラントをスケジューリングデバイスから依然として受信する可能性がある。非SDT DRBデータの到着を検出したとき、UEは、まだ過ぎ去っていない、SDTデータを送信するための送信機会を示すそのようなULグラントを受信していることがある。その場合、(待機するべき、または待機しない)送信機会は、ULグラントによって示されたその送信機会とすることができる。
【0166】
<既知の送信機会の監視-S2140>
待機するべき送信機会が存在すると判定した後、UEは、その送信機会を監視することができる(S2140)。その送信機会の(1つ以上の)リソースがUEにすでに既知である場合、このステップは、その送信機会が発生するのを待機する(S2140)ことを含むことができる。より具体的には、その送信機会のリソースは以降のどこかで発生し、したがってUEは、トラフィック指示の送信のためにそのリソースを使用できるまで待機しなければならない。しかしながら、監視は、その送信機会が発生する前に基地局によってキャンセルまたはプリエンプトされるかどうかを監視することも含むことができ、その場合、UEは、接続状態に入るために新たなRACH手順を開始することができる。
【0167】
2.予期されるアップリンク(UL)グラントによって示される送信機会
一般に、送信機会を待機するか否かを決定するとき、その送信機会のリソースがUEに既知ではないことがある。この場合、UEは、その送信機会のリソースを指定するULグラントをスケジューリングデバイスから受信することを予期することができる。以下でさらに説明するように、UEがスケジューリングデバイスからULグラントを受信することを予期することのできるいくつかのシナリオが存在する。
【0168】
一般に、待機するべき送信機会は、アップリンクグラントによって示されると予期することができる。さらに、一般的に、UEは、SDTデータを送信するためのリソースを示すそのULグラントをSDT手順の一部として受信することを予期することができる。以下にさらに説明するように、(予期される)アップリンクグラントは、SDT手順を開始するRACH手順の一部として受信されることが予期される場合もあれば、RACH手順の一部としてではなく(ただし依然としてSDT手順の一部として)受信されることが予期される場合もある。言い換えれば、ULグラントは、RACH手順の完了後に、SDT DRBデータまたはSDT DRBデータの一部を送信するために受信されることが予期されるULグラントである場合もある。
【0169】
例えば、回路が送受信機を制御してRACH手順の最初の送信を送信した後にアップリンクグラントが受信されることを予期することができる。特に、RACH手順は4ステップRACH手順とすることができ、Msg1を送信した後、UEはMsg2によってULグラントを受信することを予期する。
【0170】
これに代えて、またはこれに加えて、回路が送受信機を制御して、さらに送信されるSDT DRBデータの量(例えばゼロではない量)を示すバッファ状態報告(BSR)を送信した後に、アップリンクグラントが受信されることを予期することができる。このBSRは、RACH手順の一部として(例えばMsgAまたはMsg3において)送信されていることもあれば、RACH手順の完了後にSDT DRBデータの一部と一緒に送信されていることもある。例えば(
図17に示したように)、UEは、(例えばSDT DRBデータのサイズを考慮して)MsgA/Msg3においてSDT DRBデータ全体を送信しないことができる。したがって、UEは、SDT DRBデータをセグメント化し、SDT DRBデータの一部のみと、残りのSDT DRBデータのゼロでないサイズを示すBSRとを、MsgA/Msg3において送信することができる。次に、UEは、SDT DRBデータの残りの部分を送信するために、(もはやRACH手順の一部ではない)さらなるアップリンクグラントを待機する、および/または、予期することができる。
【0171】
さらに、これに代えて、またはこれに加えて、BSRを送信した後、回路が送受信機を制御してSDT DRBデータの一部を送信した後に、アップリンクグラントが受信されることを予期することができ、この場合にSDT DRBデータの一部の量は、BSRによって示した量よりも小さい。言い換えれば、SDT DRBデータに関するBSRを送信した後、UEは、そのBSRの送信以降、そのBSRによって示したサイズのSDT DRBデータを(正常に)送信するまで、ULグラントを予期することができる。
【0172】
<送信機会の監視-S2140>
待機するべき送信機会が存在すると判定した後、UEは、その送信機会を監視することができる(S2140)。その送信機会の(1つ以上の)リソースがULグラントによって示されることが予期される場合、このステップは、そのULグラントを待機する(S2140)ことを含むことができる。この待機は、ULグラントについてPDCCHを監視することを含むことができる。ULグラントが受信された場合、UEは、すでに上で説明したように、送信機会の待機を継続することができる。
【0173】
しかしながら、一般に、UEは、予期されるアップリンクグラントを受信しないことがある。これに対応して、UEは、送信機会が発生するかどうかを監視している(S2140)ときに、特定の条件下で、予期されるアップリンクグラントを受信する見込みがない、および/または、機会が発生する見込みがない、ものと判定することができる。特に、待機するべき送信機会は、予期されるアップリンクグラントが受信されておらず、受信されることがもはや予期されないときには、発生する見込みがないものとすることができる。これに対応して、UEは、送信機会が発生しないと判定する、および/または、接続状態に入るために(新しい)RACH手順を開始することができる。特に、UEがRRCReleaseメッセージの受信時にULグラントを受信していない場合、UEはRRC再開手順を開始することができる。特に、UEはその後、ただちに(例えば、SDT手順および/またはそのSDT手順を開始したRACH手順の終了を待たずに)レガシーRRC再開手順を開始することができる。
【0174】
例えば、SDT DRBデータを送信するための手順の終了を示す指示を送受信機が受信した場合、予期されるアップリンクグラントを受信する見込みがないものとすることができる。ここで、SDT手順の終了を示すこの指示は、Msg4またはMsgBの受信であり得ることに留意されたい。ただし、上述したように、RACH手順は、一般にSDT手順よりも早く終了することがある。より具体的には、
図17にも示したように、RACH手順は、一般に競合が解決されたときに終了するのに対し、SDT手順は、一般にRRCReleaseメッセージが受信されたときに終了する。したがって、SDT手順の終了を示す指示は、基地局から受信されるRRCReleaseメッセージであってもよい。
【0175】
一般には、これに代えて、またはこれに加えて、SDT DRBデータの少なくとも一部の最初の送信または前の送信から所定の時間が経過した場合、予期されるアップリンクグラントを受信する見込みがないものとすることができる。所定の時間は、例えば、上で説明したT319タイマーまたはT319に類似するタイマーによって与えることができる。しかしながら、ULグラントの受信が依然として予期されるかどうかを判定するためにUEによって使用される所定の時間は、ULグラントの受信をUEが待機する別の所定の期間であってもよい。
【0176】
<待機するべき送信機会が存在するか否かの判定(S2120)>
1.RACH手順
RACHベースのSDT手順中に非SDTトラフィックが到着した場合、UEは、RACH手順の最初の送信をまだ送信していないならば、待機するべき送信機会が存在すると判定することができる(言い換えれば、非SDTトラフィックがTAにおいて到着する)。その後、UEは送信機会を待機し(S2140)、その送信機会を使用してトラフィック指示を送信することができる。
【0177】
さらに、非SDTトラフィックがTBにおいて到着し、ULグラントがgNBによってまもなく割り当てられる(すなわちBSRを前に送信したが、gNBがSDT DRBのBSRに対するグラントを割り当てていない)とUEが予期する場合、UEは待機するべき送信機会が存在すると判定することができる。特に、UEは、待機するべきその送信機会のリソースが、その予期されるULグラントによって指定されるものと判定することができる。次いで、UEは、次のULグラントを待機することができ(S2140)、そのグラントにおいて非SDTトラフィック指示をgNBに送信する。
【0178】
しかしながら、一般的に、非SDTトラフィックがTBにおいて到着した場合に、UEはDCCHを送信するためのさらなるULグラントを有さないことがあり、したがってDCCHを送信するためだけに新しいRACHを開始する必要が生じることがある。したがって、SDT手順においてSDT DRBのみを送信できる場合、UEが指示を送信するには、別のULグラントが必要である。したがって、RACHベースのSDT手順中に非SDTトラフィックが到着した場合に、UEがRACH手順の最初の送信をすでに送信しており、かつULグラントを受信する見込みがない場合、UEは待機するべき送信機会が存在しないと判定することができる。特に、UEは、(すべての)SDT DRBデータを送信した後(例えば回路1830が送受信機1820を制御してSDT DRBデータをすでに送信したとき)、待機するべき送信機会が存在しないと判定することができる。言い換えれば、非SDTトラフィックがTBにおいて到着し、ULグラントがgNBによって割り当てられる予定であることをUEが予期しない場合(すなわち、BSRを前に送信していない、またはBSRがgNBによって解決されている場合)、UEは、待機するべき送信機会が存在しないと判定し、(例えば、SDT手順および/またはそのSDT手順を開始したRACH手順の終了を待たずにただちに)レガシーRRC再開手順を開始することができる。
【0179】
待機するべき送信機会が存在するかどうかの判定S2120を含む、RACHベースのSDT手順中の非SDTトラフィックの到着の処理について、この処理を例示的に示している
図24を参照しながらもう一度要約しておく。より具体的には、
図24では、UEがRRC_INACTIVEにあったときにSDTトラフィックが到着し、それに応じてUEがSDT手順をトリガーした(S2410)ものと、例示的に想定している。さらに、UEはSDT手順を開始するために4ステップRACH手順のRACHプリアンブルをすでに送信したものと想定する。ここで「トリガーした」という用語は、SDT手順を実行することをUEが内部的に決定/判定したことを意味するのに対し、「開始する」という用語は、SDT手順を実行するというUEの決定をスケジューリングデバイスに認識させることのできる、SDT手順の最初のメッセージを意味することに留意されたい。したがって、S2410の後、UEは、スモールデータを送信するためにRACHベースのSDT手順に入る。その後、非SDTトラフィックが到着する、および/またはUEによって検出されるものとさらに想定する。
【0180】
さらに理解できるように、非SDTトラフィックが到着すると、UEはまず、最初のRACHメッセージをすでに送信したか否か(S2420で「はい」または「いいえ」)を判定することができる。しかしながら、UEは最初に、進行中のSDT手順が依然として存在するか否か(S2430で「はい」または「いいえ」)、すなわち、SDT手順を終了させるメッセージ(例えばRRCReleaseメッセージ)をすでに受信したか否かを判定してもよく、このことは、S2420およびS2430の両方で「いいえ」を意味することに留意されたい。言い換えれば、UEは、S2420、S2430、S2440、およびS2450に関連付けられる個々の判定を実行することができるが、必ずしも実行しなくてもよく、特に、
図24に示した特定の順序でこれらの判定を実行しなくてもよい。
【0181】
図24に示したように、UEがRACH手順の自身のすべてのメッセージを送信する(例えばMsg3/MsgAを送信する)前に非SDTトラフィックが到着した場合(S2420で「はい」)、UEは、後続のRACHメッセージに、非SDT DRBデータの検出を示すトラフィック指示を含めることができる(S2421)。言い換えれば、非SDT DRBデータが期間T
A内に検出された場合、UEは、待機するべき送信機会(すなわち後続のRACHメッセージ)が存在すると判定することができる。
図24にさらに示したように、スケジューリングデバイスは、このトラフィック指示に応答して、非アクティブ状態に戻ることを示すメッセージ(例えばRRCReleaseメッセージ)ではなく、接続状態への遷移を示すメッセージ(例えばRRCResumeメッセージ)によってRACH手順を終了させることができる。したがって、UEは、接続状態への遷移を示すメッセージを受信し(S2422)、接続状態(例えばRRC_CONNECTED状態)に入ることができる(S2423)。その後、UEは非SDT DRBデータを送信することができる。
【0182】
さらに理解できるように、i)(S2420で「いいえ」)UEがRACH手順の自身のすべてのメッセージ(例えばMsg3/MsgA)を送信した後、かつii)(S2430で「いいえ」)UEが、SDT手順を終了するメッセージを受信した(S2431)後に、非SDTトラフィックが到着した場合、UEはRRC_INACTIVEにある/にとどまる(S2432)。言い換えれば、UEは、非SDT DRBデータが検出されたときに、SDT手順を終了するメッセージをすでに受信している場合、および/または、進行中のSDT手順が存在しない場合、待機するべき送信機会が存在しないと判定することができる。したがって、UEは、接続状態に入って非SDT DRBデータを送信できるようにするために、RACH手順(レガシーRRC再開手順)を開始することができる。
【0183】
さらに、i)UEがRACH手順の自身の送信すべてを実行した後に非SDTトラフィックが到着し(S2420で「いいえ」)、かつii)SDT手順の終了を示すメッセージを受信する前に非SDTトラフィックが到着し(S2430で「はい」)、かつiii)SDT DRBデータのゼロではないバッファサイズを示すバッファ状態報告をUEが送信していない(S2440で「いいえ」)場合、UEは、接続状態に入って(S2442)非SDT DRBデータを送信できるようにするために、RACH手順(レガシーRRC再開手順)を開始することができる(S2441)。特に、i)UEがRACH手順の自身のすべての送信を実行し、かつii)SDT DRBデータのゼロではないバッファサイズを示すバッファ状態報告をUEが送信していない場合、UEは、待機するべき送信機会が存在しないと判定することができる。同様に、UEがBSRを送信したが、対応するULグラントをすでに受信しており、それらのULグラントを使用してスモールデータを送信した(それらのULグラントを使用して、BSRに示したサイズのデータを送信した)場合、UEは、待機するべき送信機会が存在しないと判定することができる。
【0184】
一方、i)UEがRACH手順の自身の送信すべてを実行した後に非SDTトラフィックが到着し(S2420で「いいえ」)、かつii)SDT手順の終了を示すメッセージを受信する前に非SDTトラフィックが到着し(S2430で「はい」)、かつiii)SDT DRBデータのゼロではないバッファサイズを示すバッファ状態報告をUEが送信した(S2440で「はい」)場合、UEは、待機するべき送信機会(すなわち、そのBSRに応答して受信されることが予期されるULグラントによって示されると予期される送信)が存在すると判定することができる。したがって、UEは、そのULグラントを待機する、および/またはPDCCHを監視することができる。
【0185】
その予期されるULグラントを、基地局からの対応するメッセージによってSDT手順が終了する前に受信した場合(S2450で「はい」)、UEは、ULグラントによって示されたリソースを使用する送信に、非SDT DRBデータの検出を示すトラフィック指示を含めることができる(S2451)。ULグラントの受信は、待機するべき送信機会が発生することを意味し得る。トラフィック指示に応答して、スケジューリングデバイスは、非アクティブ状態に戻ることを示すメッセージ(例えばRRCReleaseメッセージ)ではなく、接続状態への遷移を示すメッセージ(例えばRRCResumeメッセージ)によってSDT手順を終了することができる。したがって、UEは、接続状態への遷移を示すメッセージを受信し(S2452)、接続状態(例えばRRC_CONNECTED状態)に入ることができる(S2453)。その後、UEは、非SDT DRBデータを送信することができる。
【0186】
一方、UEが、ULグラントを受信する前に、SDT手順を終了するメッセージ(例えばRRCReleaseメッセージ)を受信した場合(S2450で「いいえ」)、UEは、S2441およびS2442に関連して上にすでに説明したように、新しいRACH手順を開始することができる。これは、予期されるULグラントがもはや期待されないものと判定することを含むことができ、待機するべき送信機会が発生しないことを意味する。
【0187】
2.コンフィギュアドグラント(CG)手順
すでに上述したように、SDT DRBデータを送信するための手順は、SDT DRBデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順であってもよい。以下でさらに詳細に説明するように、CGベースのSDT手順中に非SDT DRBトラフィックが到着した場合、UEは、i)SDT手順の終了前に受信した専用ULリソースにおいて非SDTトラフィック指示をgNBに送信する、または、ii)レガシーRRC再開手順を開始する、ことができる。ここで、専用ULリソースとは、UEが非アクティブ状態に入る前/入ったときに、SDT DRBデータの送信用にUEに対して設定されているCGリソースとすることができる。
【0188】
UEが(例えば回路1830、1835、および/または1936によって)、CGベースのSDT手順中に非SDT DRBデータの到着を検出したとき、CG手順の次のリソースが(時間領域において)次のRACHリソースよりも早い場合、(例えばステップS2120の一部として回路1830、1835、または回路1937によって)待機するべき送信機会が存在すると判定することができる。特に、この判定ステップは、CG手順の(1つ以上の)次のリソースが、待機するべき送信機会であると判定することを含むことができる。その後、UE(例えば関連する回路)は、その(1つ以上の)次のCGリソースを使用してトラフィック指示を送信することができる。例えば、(上ですでに説明したように)その送信機会を待機した(S2140)後、UE(例えば回路1830)は、その送信機会を使用してトラフィック指示を送信するように送受信機を制御することができる。
【0189】
一方、CG手順の次のリソースが次のRACHリソースよりも遅い場合、(例えば同じくステップS2120の一部として)待機するべき送信機会が存在しないと判定することができる。この場合、UEは、上記次のRACHリソースを使用して、接続状態に入るためにRACH手順を開始する(S2130)ことができる。特に、このステップは、RACH手順の最初の送信(例えばMsg1またはMsgA)を送信するために上記次のRACHリソースを使用することを含むことができる。
【0190】
CGベースのSDT手順の場合、判定ステップS2120は、次のRACHリソースが次のCGリソースよりも早い(あるいは、次のCGリソースよりも遅くない)かどうかを判定すること、を含むことができることに留意されたい。
【0191】
言い換えれば、SDT送信のためのCGリソースがUEに設定されているときに非SDTトラフィックが到着した場合、UEは、どちらの遅延が短いかに応じて、CGリソース(の一部)において非SDTトラフィック指示をスケジューリングデバイスに送信する、またはレガシーRRC再開手順を開始することができる。
【0192】
これに代えて、遅延しきい値をUEにシグナリングすることができる。その場合、UEは、遅延しきい値と、次のCGリソースまでの時間とを比較し、それに応じて決定を行うことができる。例えば、UEは、次のCGリソースまでの時間が遅延しきい値よりも小さい(あるいは遅延しきい値よりも大きくない)場合(たとえ次のRACHリソースまでの遅延が次のCGリソースまでの遅延よりも小さい場合であっても)、次のCGリソースが、待機するべき送信機会であると判定することができる。言い換えれば、UEは、以下の条件、すなわち、i)次のCGリソースが次のRACHリソースよりも早い(あるいは次のRACHリソースよりも遅くない)、またはii)次のCGリソースまでの時間が遅延しきい値よりも小さい(あるいは遅延しきい値よりも大きくない)、のうちの少なくとも一方が該当する場合、次のCGリソースが、待機するべき送信機会であると判定することができる。したがって、UEは、以下の条件、すなわち、i)次のCGリソースが次のRACHリソースよりも遅い(あるいは次のRACHリソースよりも早くない)、およびii)次のCGリソースまでの時間が遅延しきい値よりも大きい(あるいは遅延しきい値よりも小さくない)、の両方が該当する場合、接続状態に入るためにRACH手順を開始するように決定することができる。
【0193】
このような遅延しきい値により、他のUEとのRACH衝突の確率などのトラフィック状況を考慮して、UEが許容する遅延を柔軟に調整することができる。
【0194】
次のCGリソースが次のRACHリソースと同じ遅延を有する場合(言い換えれば、次のCGリソースおよび次のRACHリソースのどちらも、より早くない)、UEはCGリソースを選択することができ、この選択は、他のUEとの競合が回避されるという利点がある。
【0195】
<非SDT DRBトラフィックの指示>
トラフィック指示は、UEが非SDT DRBデータを検出したこと、非SDT DRBデータが到着したこと、および/または、非SDT DRBデータが到着すると予期されること、をスケジューリングデバイスに示す。したがって、UEおよび基地局の両方は、以下でさらに説明するそれぞれのトラフィック指示を理解する。特に、UE(例えば回路1830および/または1835)は、それぞれのトラフィック指示を生成する、および/または、送信、特にスモールデータの送信に含めることができる。基地局(例えば回路1880、1885、および/または2036)は、送信、特にスモールデータの送信からトラフィック指示を取り出すことができる、および/または、取り出されたトラフィック指示を、UEが意図しているとおりに解釈することができる。
【0196】
一般に、トラフィック指示は、非SDT DRBが(例えば近い将来に)到着することをUEが予期していることを示すこともできる。言い換えれば、非SDTデータが実際に到着する前に、UEがそのような到着を予期している場合、UEは非SDTデータが到着するものと判定し、さらにトラフィック指示を使用して到着を基地局に示すことができる。
【0197】
一般に、トラフィック指示は、i)アップリンクグラントによって示されたリソースを使用するSDT DRBデータの少なくとも一部、および/または、ii)SDT DRBデータの量(例えばさらに送信される量)を示すバッファ状態報告(BSR)、と一緒に送信することができる。一般に、非SDT DRBデータのBSRを、トラフィック指示を含むメッセージに含めることもできる、あるいはトラフィック指示とすることもできる。ただし、SDT手順のトリガー時にUEが非SDT DRBを再開しない場合、非SDT DRBからのトラフィックがレイヤ2のバッファに到達し得ないため、UEは非SDT DRBのBSRを生成できない場合がある。
【0198】
非SDTトラフィック指示は、非SDTトラフィックの到着をgNBに伝えるためのものであり、以下にさらに説明するように、MACレベルの指示またはRRCレベルの指示のいずれかとすることができる。
【0199】
<非SDT DRBトラフィックのMACレベル指示>
1.MACサブヘッダによるトラフィック指示
一般に、トラフィック指示は、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングすることができ、LCIDの事前定義値は、非SDT DRBデータが検出されたことを示す。
【0200】
例えば、非SDTトラフィックの到着を示すLCIDの事前定義値は、MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていないことを(さらに)示すことができる。このことは
図25に示してあり、トラフィック指示は、LCIDインデックス=50を有する最後のMACサブヘッダに対応している。一般に、特定のLCIDインデックス(例えば
図25および以下の表1に示したようにインデックス#50)を有するMACサブヘッダを使用して、非SDTトラフィックの到着を示すことができ、このときサブヘッダの後ろにBSR MAC CEを付加しない。言い換えれば、トラフィック指示を含むMACサブフレーム(すなわち、その特定/所定のLCIDインデックスを有するMACサブヘッダ)は、MAC CEを伝えない。例えば、このMACサブフレームは、MACサブヘッダから構成することができる。
【0201】
非SDT DRBデータの到着を示すサブヘッダにBSR MAC CEを付加しないことで、UEは、SDT手順の開始時に非SDT DRBを再開しないことができる。より具体的には、上位層(例えばSDAP層)における非SDTデータの到着を認識する/検出すると、UEはその時点でそのようなMACサブヘッダを送信して、非SDTデータの到着を通知することができる。UEは非SDTデータのBSRを送信する必要がないため、UEは非SDT DRBを再開する必要がない。さらに、MACサブヘッダは通常8ビットのみを消費し、一方でBSR MAC CEは少なくとも16ビット(ショートBSRの8ビット+サブヘッダの8ビット)を消費するため、オーバーヘッドを減らすことができる。
【表2】
【0202】
あるいは、非SDTトラフィックの到着を示すLCIDは、BSR MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていることを(さらに)示すことができ、BSR MAC CEは、さらに送信されるSDT DRBデータの量を示す。
【0203】
したがって、非SDTトラフィックが到着したときに、UEがSDT DRBのいくつかの保留中のデータを依然として保持している場合、特定のLCIDインデックス番号(例えばインデックス#51)を有するMACサブヘッダを使用し、このサブヘッダの後に、残りのSDT DRBデータの量を示すショートBSR MAC CEを付加することによって、UEはスケジューリングデバイスにそのような状況を通知することができる。このことは
図26に示してあり、トラフィック指示は、LCIDインデックス=51を有する最後のMACサブヘッダに対応する。図から理解できるように、LCIDインデックス=51を有するこのMACサブヘッダに、残りのSDT DRBデータのサイズを示すショートBSR MAC CEが付加されている。
【0204】
非SDT DRBデータの到着を示すサブヘッダにBSR MAC CEを付加することにより、残りのSDT DRBデータのサイズを示すことが容易になり、非SDT DRBのバッファサイズは報告されないことが予期されるため、SDT手順の開始時にUEが非SDT DRBを再開しなくてよいようにすることができる。
【0205】
あるいは、SDT手順の開始時に非SDT DRBを再開する場合、BSR MAC CEを使用して、送信される非SDT DRBデータの量を示すこともできることに留意されたい。
【0206】
さらに、一般に、(MAC CEが付加されていないこと、および付加されていることを示す)MACサブヘッダの一方または両方を提供することができることに留意されたい。両方が提供される場合(例えば、規格に定義されている、またはスケジューリングデバイスによって設定される)、UEは、適切な場合には(例えばバッファサイズがゼロでない場合)、SDT DRBバッファサイズを示すためにCEが付加されている、トラフィック指示のためのMACサブヘッダを使用することができ、オーバーヘッドを削減するためには、CEが付加されていない、トラフィック指示のためのMACサブヘッダを使用することができる。
【0207】
2.MAC制御要素によるトラフィック指示
一般に、トラフィック指示を、MAC制御要素(CE)の一部とすることができる。例えば、MAC CEのうちの1ビットが、非SDT DRBデータが検出されたか否かを示し、MAC CEのうちの2ビットが、非アクティブ状態でのデータの送信をサポートするLCGのうち、SDT DRBデータの論理チャネルグループ(LCG)を示し、MAC CEのうちの5ビットが、示されたLCGに対応する、さらに送信されるSDT DRBデータ量を示す。
【0208】
言い換えれば、SDT DRBのバッファ状態を報告するときに、新しいBSR MAC CEを使用して、非SDT DRBデータの到着を示すことができる。
図27は、そのような例示的な新しいMAC CEを示している。より具体的には、
図27の上段は、レガシーショートBSRを示しており、下段は、トラフィック指示を含む例示的なMAC CEを示している。
図27から理解できるように、レガシーショートBSR MAC CEは8ビットを含み、そのうちの3ビット(
図27では最初の3ビット)が、LCG IDを示すために使用され、(それ以外の)5ビット(
図27では最後の5ビット)が、バッファサイズを示すために使用される。ここで、各SDT DRBは通常では1つのLCGにマッピングされ(多対1のマッピングも可能である)、そのようなマッピングはgNBによって設定されることに留意されたい。
【0209】
新しいBSR MAC CEは、UEがどのLCGを報告しているかを示すために2ビット(
図27では最初の2ビット)のみを使用するという点において、レガシーのショートBSR MAC CEとは異なる。例えば、いくつかのLCGはサスペンドされ、いくつかのLCGのみがアクティブである場合がある。言い換えれば、UEがRRC_INACTIVEにおいて有することのできるアクティブなLCGの最大数を4とすることができる。したがって、新しいBSR MAC CEは、非アクティブ状態でのデータの送信をサポートするLCGのバッファサイズを示すためにのみ使用することができる。言い換えれば、新しいBSR MAC CEでは、LCGを示すために使用されるビット数を減らし、空いたビットを再利用することによって、サスペンドされたLCG/DRBに関するBSRが不可能である(トラフィックがL2バッファに流れないため)ことを利用する。
【0210】
さらに、新しいBSR MAC CEでは、依然として5ビット(
図27では最後の5ビット)を使用してバッファサイズを報告し、残りの1ビット(
図27では3番目のビット)を使用して、非SDT DRBの到着を示す。
図27に示したビットの順序、特に非SDTトラフィックを示すビットの位置は例示に過ぎないことに留意されたい。例えば、非SDTトラフィックを示すビットの位置は、任意の他の位置、例えば最初または最後(8番目)の位置であってもよい。
【0211】
このような新しいBSR MAC CEを使用すると、新しいフォーマットではSDT DRBデータのBSRのみならず非SDTトラフィックの到着を報告できるため、シグナリングオーバーヘッドを減らすことができる。また、非アクティブなLCGのBSRが期待されないため、UEはSDT手順の開始時に非SDT DRBを再開しないことができる。
【0212】
<RRCレベルの指示>
一般に、トラフィック指示は無線リソース制御(RRC)レベルの指示であってもよい。このRRCレベルの指示は、例えば、新しいUL DCCHメッセージの中で伝えることができる。例えば、新しいDCCHメッセージは、ほとんど空のメッセージであるRRCReestablishmentCompleteに類似したものとすることができる。このような例示的なUL-DCCHメッセージを以下に示す(新しい情報要素は太字にして下線を引いてある)。非SDT DRBデータの到着の指示をシグナリングするために、メッセージタイプindNonSDTDRBArrivalが導入されている。
【表3】
【0213】
この例におけるINDNonSDTDRBArrivalメッセージは、以下の形式的な記述を除いて特定の情報要素を有さず、これは非特許文献13に規定されているRRCReestablishmentCompleteメッセージに極めて類似する。このメッセージが存在する(受信される)とき、それは以下を示す。
【表4】
【0214】
<多重化のためのUEの基準>
SDT手順の開始時に非SDT DRBも再開される場合、非SDTトラフィックのBSR報告も可能である。この場合、SDT DRBデータの送信のためのULグラントを受信すると、UEは、ULグラントによって示されるリソースを使用して、以下のうちの1つ以上を送信することを選択できる。
- SDT DRBのユーザデータ(例えばSDT DRBデータ)、
- SDTトラフィックのBSR(例えば、さらに送信されるSDT DRBデータのサイズ)、
- 非SDT DRBデータの検出/到着の場合、非SDT DRBの到着指示(例えばトラフィック指示)、
- 非SDT DRBデータの検出/到着の場合、非SDTトラフィックのBSR(例えば到着した/検出された非SDT DRBデータのサイズ)
【0215】
選択の基準は、(SDTトラフィックと非SDTトラフィックの間の)優先順位の比較と、グラントのサイズとに基づくことができる。なお、非SDTデータのBSRが送信される場合、非SDTデータの到着を示す追加のトラフィック指示は不要とすることができることに留意されたい。さらに、現在のULグラントによって示されるリソースを使用してすべてのSDT DRBデータが送信される場合、SDTデータのBSRは不要とすることができることに留意されたい。
【0216】
したがって、一般に、ULグラントによって示されるリソースが十分である場合、UEは、ユーザデータ全体と、非SDTデータのBSRとを送信することができる。一方、ULグラントによって示されたリソースが、ユーザデータ全体および非SDTデータのBSRを送信するのに十分ではない場合、以下のようにする。
- 非SDTデータの優先順位がSDTデータの優先順位よりも高い場合、UEは、ULグラントによって示されるリソースを使用して、非SDTデータのBSR、SDTデータのBSR、およびSDTの一部(この優先順位の順)を送信するように決定することができる。
- SDTデータの優先順位が非SDTデータの優先順位よりも高い場合、UEは、ULグラントによって示されたリソースを使用して、以下を送信するように決定することができる。
〇 トラフィック指示およびSDTデータ全体、または、
〇 リソースがトラフィック指示およびSDTデータ全体を送信するのに十分ではない場合、トラフィック指示、SDTデータのBSR、およびSDTデータの一部
【0217】
例えば、ユーザデータ(サブヘッダを含む)のサイズが88ビット、BSR(サブヘッダを含む)の各々のサイズが16ビット、非SDTトラフィックの到着指示が8ビットである場合、UEは以下を送信するように選択することができる。
- グラントが100ビットのサイズを有し、非SDTトラフィックがSDTトラフィックよりも高い優先順位を有する場合、UEは、SDTトラフィックのBSR(16ビット)と、非SDTトラフィックのBSR(16ビット)と、68ビットのユーザデータとを送信することができる(ユーザデータはセグメント化することができ、ユーザデータのうちの68ビットが送信される)。したがって、ULグラントを使用して100ビットを送信する。
- グラントが100ビットのサイズを有し、SDTトラフィックが非SDTトラフィックよりも高い優先順位を有する場合、UEは、ユーザデータ全体(88ビット)と、非SDT DRBの到着指示(8ビット)とを送信することができる。したがって、ULグラントを使用して96ビットを送信する。
- グラントのサイズが110ビットであり、SDTトラフィックが非SDTトラフィックよりも高い優先順位を有する場合、UEは、ユーザデータ全体と、非SDTトラフィックのBSRとを送信することができる。したがって、ULグラントを使用して104ビットを送信する。
【0218】
上に説明したように優先順位に従ってグラントを使用することによって、付与されたリソースの効率的な使用を促進することができる。
【0219】
<RA-SDTが設定されたSDTトラフィックの処理>
進行中のSDT手順中に非SDTトラフィックが到着した場合の上述した処理は、LCHの制限に関連付けられるトラフィックに適用することもできる。特に、上述した処理は、CG-SDTトラフィックの進行中の送信中にRA-SDTトラフィックが到着する/検出される場合に適用することができる。言い換えれば、進行中のSDT手順が、スモールデータを送信するための進行中のCG手順である場合、RA-SDTトラフィックの到着は、非SDTトラフィックの到着の場合に類似する方法で管理することができる。特に、UEは、RA-SDTトラフィックの到着/検出を示すトラフィック指示を、スケジューリングデバイスに送信することができる。例えば、UEは、CG-SDT手順に関連付けられていないLCHのSDTトラフィックの到着時に、トラフィック指示をgNBにシグナリングすることができる。このようなトラフィック指示は、RA-SDTのみが設定されたトラフィックの到着をgNBに伝えるためのものである。UEは、CG-SDTリソースを受信していない場合、または受信する見込みがない場合、RA-SDT手順を開始することができる。言い換えれば、RA-SDTトラフィックは、上述した実施形態における非SDTトラフィックの役割を担う。例えば、非SDTトラフィックの到着/検出は、RA-SDTトラフィックの到着/検出に対応し、UEによって送信されるトラフィック指示は、非SDTデータの到着ではなく、RA-SDTデータの到着を示す。
【0220】
主な違いは、両方のデータ(進行中の送信のデータと新たに検出されたデータ)が非アクティブ状態において送信されることである。その結果、待機するべき送信機会が存在しない場合、接続状態に入るためにRACH手順を開始する(S2130)代わりに、UEはRA手順を開始し、非アクティブ状態にとどまったままRAリソース(例えば第2の論理チャネルに関連付けられるRAリソース)を使用してRA-SDTトラフィックを送信する。さらに、スケジューリングデバイスは、トラフィック指示の受信に応答して、UEを接続状態に遷移させることなく、RA-SDTデータの送信のための1つ以上のグラントをUEに提供する。
【0221】
以下では、この手順についてさらに詳しく説明する。ただし、非SDTデータの場合について上述した説明のすべてが、RA-SDTデータの到着の場合にも適用されるわけではない。これに関して、いま説明した相違点を除けば、「非SDTデータ」の到着の処理に関して上で述べたすべてを、文脈が特にそうでないことを示さない限り、例えば「非SDTデータ」という用語を「RA-SDTデータ」という用語に置き換えることにより、「RA-SDTデータ」の到着の処理に適用することができることに留意されたい。
【0222】
特に、
図28(左側)に示したように、例示的な実施形態によれば、ユーザ機器(UE)2810が提供される。UE 2810は、送受信機2820および回路2830を備える。回路2830(例えば回路2835)は、動作時、第1の論理チャネルの第1のデータを非アクティブ状態において送信するための手順中に、第2の論理チャネルの第2のデータが非アクティブ状態において送信されることを検出する。第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順であり、第2の論理チャネルは、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。回路2830は、動作時、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する。この送信機会は、(i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、(ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路2830は、動作時、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためのRA手順を開始する。待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、回路2830は、動作時、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように、送受信機2820を制御する。
【0223】
図29は、回路2830、すなわちRA-SDTデータの到着を処理する回路、の例示的な機能構造を示している。図示したように、RA-SDTデータ到着処理トラフィック指示処理回路2830は、RA-SDTデータ検出回路2936および送信機会判定回路2937を含むことができる。より具体的には、回路2936は、例えば、送信されるRA-SDTデータが存在するか否かを検出または判定することによって、RA-SDTデータを検出する。また、回路2936は、RA-SDTの到着が予期されるか否かを判定することもできる。送信機会判定回路2937は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定することができる。さらに、回路2937は、待機するべき送信機会が存在すると判定した場合、待機するべき送信機会(例えばその送信機会のリソース)を求めることもできる。
【0224】
上述したUEに対応して、別の例示的な実施形態によれば、UEによって実行される通信方法が提供される。
図31に示したように、この方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態において第1の論理チャネルの第1のデータを送信するための手順中に、非アクティブ状態において第2の論理チャネルの第2のデータが送信されることを検出するステップS3110と、
- 待機するべき送信機会が存在するか否かを判定するステップS3120と、
- S3120で、待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない(S3140で「いいえ」)、と判定されたとき、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始するステップS3130と、
- 待機するべき送信機会が存在すると判定され(S3120)、その送信機会が発生したとき(S3140で「はい」)、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するステップS3150と、
を含む。
【0225】
図28(右側)にも示したように、別の例示的な実施形態によれば、スケジューリングデバイス2860が提供される。スケジューリングデバイス2860は、送受信機2870および回路2880を備える。回路2880は、動作時、非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1の論理チャネルの第1のデータを含む送信を受信するように、送受信機2870を制御する。回路2880は、動作時、第1のデータを含む受信された送信から、トラフィック指示を取得する。トラフィック指示は、第2の論理チャネルの第2のデータがUEによって検出されたことを示す。第2のデータは、非アクティブ状態にあるUEによって送信されるデータであり、トラフィック指示は、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、LCIDの事前定義値は、第2のデータが検出されたことを示す。
【0226】
図30は、トラフィック指示処理回路2885の例示的な機能構造を示している。特に、トラフィック指示処理回路2885は、トラフィック指示評価回路3036およびスケジューリング回路3037を含むことができる。回路3036は、スモールデータを含む送信からトラフィック指示を取得して解釈する役割を担うことができる。さらに、回路3036が、受信された送信からトラフィック指示を取得すると、回路3037は、RA-SDTデータ(すなわち「第2のデータ」)を送信するためのグラントをUEに送信する役割を担うことができる。
【0227】
さらに、上述した基地局に対応して、スケジューリングデバイスによって実行される通信方法が提供される。
図32に示したように、この方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態にあるUEから、第1の論理チャネルの第1のデータを含む送信を受信するステップS3210と、
- 第1のデータを含む送信から、第2の論理チャネルの第2のデータがUEによって検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップS3220であって、i)第2のデータが、非アクティブ状態にあるUEによって送信されるデータであり、ii)トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、iii)LCIDの事前定義値が、第2のデータが検出されたことを示す、ステップS3220と、
を含む。
【0228】
非SDTデータの到着の場合と同様に、待機するべき送信機会とは、(i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、(ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される送信機会、を意味することに留意されたい。
【0229】
ここで、RA-SDTトラフィックおよびRA-SDTデータという用語は、それぞれ、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている論理チャネル(本明細書では第2の論理チャネルとも呼ぶ)のトラフィックおよびデータ、を意味することに留意されたい。特に、第2の論理チャネル(LCH)には、非アクティブ状態において送信するためのRAリソースのみが設定されている、および/または関連付けられていることができる。RA-SDTデータは、第2のデータとも呼ばれることに留意されたい。非アクティブ状態においてデータを送信するためのRAリソースは、アクティブ状態に入るための(例えばmsg1を送信するための)RACHリソースと異なる、または同じであってもよいことに留意されたい。
【0230】
CG-SDTトラフィックおよびCG-SDTデータという用語は、それぞれ、非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されている論理チャネル(本明細書では第1の論理チャネルとも呼ぶ)のトラフィックおよびデータを意味する。RA-SDTデータは第1のデータとも呼ぶことに留意されたい。第1のLCHには、RAリソースが設定されていてもよいし、RAリソースが設定されていなくてもよいことに留意されたい。しかしながら、本実施形態は、第1のデータを送信するための手順が、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順である場合に関する。
【0231】
一般に、UEには、複数の論理チャネル(LCH)を設定することができる。LCHには、非アクティブ状態において送信するためのRA-SDTリソースおよび/または非アクティブ状態において送信するためのCG-SDTリソースを設定することができる。例えば、LCHには、(i)RA-SDT、または(ii)CG-SDTおよびRA-SDT、のいずれかを設定することができる。このことは
図33に示してあり、UEには、それぞれLCH1およびLCH2として表されている2つの論理チャネルが設定されている。図示したように、LCH1にはCG-SDTおよびRA-SDTが設定されており、LCH2にはRA-SDTのみが設定されている。LCH1のトラフィックが利用可能である場合、CG-SDT基準が満たされていれば、UEはCG-SDTを介してトラフィックを送信することができる。そうではなく基準が満たされていなければ、UEはRA-SDTを介してトラフィックを送信することができる。一方、LCH2のトラフィックが利用可能である場合、UEは、RA-SDTを介してのみトラフィックを送信することができる。一般に、既存のシグナリングを再利用して、LCHの制限を適用することもできる。制限がどのように設定されるかは、gNBに委ねることができる。言い換えれば、基地局は、各LCHにRA-SDTおよび/またはCG-SDTを設定することができる。
【0232】
すでに上述したように、トラフィック指示と、待機するべき送信が存在するか否かの判定と、進行中のCG-SDT手順中にRA-SDTトラフィックが到着した場合の処理の別の態様は、非SDTトラフィックの到着の処理について上述した対応する態様と実質的に同様である。特に以下のとおりである。
【0233】
一般に、CG手順の次のリソースが、RAリソースのうちの次のRAリソースよりも早い場合、待機するべき送信機会が存在すると判定する(S3120)ことができる。この場合、その送信機会を使用してトラフィック指示を送信することができる。さらに、CG手順の次のリソースが次のRAリソースよりも遅い場合、回路は、待機するべき送信機会が存在しないと判定し(S3120)、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する(S3130)ことができる。言い換えれば、UEは、どちらの遅延が短いかに応じて、CGリソースにおいてgNBにトラフィック指示を送信するか、またはRA-SDT手順を開始することができる。
【0234】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、一般に、UEは、CG手順の次のリソースまでの時間と遅延しきい値との比較に基づいて、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する(S3120)こともできる。言い換えれば、UEが次のCGリソースまでの時間と比較し、その比較の結果に基づいて決定を行うように、遅延しきい値をUEにシグナリングすることができる。例えば、UEは、送信機会までの時間がしきい値より小さいかまたは等しい場合、その送信機会を待機することを決定する、および/または、送信機会までの時間がしきい値より大きい場合、その送信機会を待機しないことを決定することができる。ただし、送信機会までの時間がしきい値に等しい場合、UEは待機しないと決定することもできる。さらに、一般に、UEは、送信機会を待機するか否かを決定する際に、他の基準も考慮に入れることができる。このようなしきい値は、gNBによってシグナリングする、事前に設定する、または所定の値とすることができる。
【0235】
特に、トラフィック指示は、第2のデータの量を示す指示、および/または、さらに送信される第1のデータの量を示す指示、を含むことができる。言い換えれば、非SDTデータの到着の処理についてすでに上述したように、トラフィック指示は、バッファ状態報告をさらに含むことができる。
【0236】
さらに、非SDTデータの到着の場合と同様に、RA-SDTデータの到着の場合にも、トラフィック指示は、無線リソース制御(RRC)レベルの指示、および/または媒体アクセス制御(MAC)レベルの指示とすることができる。特に、
図25~
図27に関してすでに説明したように、トラフィック指示は、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってMACサブヘッダ内でシグナリングすることができ、LCIDの事前定義値は、第2のデータが検出されたことを示す。例えば、特定のLCIDインデックス(例えばインデックス#49)を有するMACサブヘッダを使用して、BSR MAC CEを付加して/付加せずに、トラフィックの到着を示すことができる。
【0237】
これに関して、UE(例えば回路2830)は、(i)さらに送信される第1のデータの量、および/または(ii)第2のデータの量、を示すBSR MAC CEをMACサブヘッダに付加するか否かを決定することができることに留意されたい。この決定は、例えば、コンフィギュアドグラントのサイズに依存することができる。より具体的には、UEは、送信機会のCGリソースがしきい値より大きいかまたは等しい場合、BSRを付加することを決定する、および/または、送信機会のサイズがしきい値より小さい場合、BSRを付加しないことを決定することができる。特に、いま説明したしきい値は、BSRのサイズに対応することができる。言い換えれば、コンフィギュアドグラントの未使用部分のサイズが(1つ以上の)BSRより大きいかまたは等しい場合、(1つ以上の)BSRを含めることができる。より具体的には、UEは、コンフィギュアドグラントのサイズ(すなわちトラフィック指示の送信に使用される送信機会)が(1つ以上の)BSRを伝えるのに十分である場合、(1つ以上の)BSRを含めることができる。ここで「十分である」とは、例えば、コンフィギュアドグラントのサイズが、(i)送信される第1の論理チャネルのデータ、(ii)トラフィック指示、および(iii)第1のデータおよび/または第2のデータの(1つ以上の)BSR、を送信するのに十分であることを意味する。送信される第1の論理チャネルのデータとは、例えば、第1の論理チャネルの現在利用可能なデータ、UEがコンフィギュアドグラントを使用して送信することを決定した第1の論理チャネルのデータ、および/または、第1の論理チャネルに関連付けられるサービスの例えばQoSを考慮した結果として送信される第1の論理チャネルのデータ、とすることができる。
【0238】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、一般に、LCIDの事前定義値は、MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていないことを示すことができる。しかしながら、一般に、LCIDは、バッファ状態報告(BSR)MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていることを示すこともでき、BSR MAC CEは、さらに送信される第1のデータの量を示す。これに代えて、またはこれに加えて、LCIDは、第2のデータの量を示すBSR MAC CEがMACサブヘッダに付加されていることを示すことができる。
【0239】
また、RA-SDTデータの到着の場合にも、トラフィック指示は、媒体アクセス制御(MAC)制御要素(CE)の一部とすることができ、この場合、(i)MAC CEの1ビットが、第2のデータが検出されたか否かを示すことができる、(ii)MAC CEの2ビットが、非アクティブ状態におけるデータの送信をサポートするLCGのうち、第1のデータの論理チャネルグループ(LCG)を示すことができる、(iii)MAC CEの5ビットが、第2のデータの量を示すことができる、ことに留意されたい。これに代えて、非SDT DRBデータの到着の場合についてすでに上述したように、5ビットは、さらに送信される第1のデータの量を示すことができる。
【0240】
<RA-SDTトラフィック処理の利点>
進行中のCG-SDT手順中にRA-SDTデータが到着した場合の上述した処理では、オーバーヘッドを減らし、消費電力を低減し、LCH1に対して進行中のCG-SDT送信にRA-SDT手順が影響を及ぼすことを防止する、ことができる。より具体的には、
図34に示したように、CG-SDT手順がすでに進行している間にUEがRA-SDTをトリガーすると、UEのシグナリングオーバーヘッドが増加する可能性がある。図示したように、CGリソースを通じて周期的に送信する必要のあるLCH1のトラフィックが利用可能である。LCH1のその後の送信中に、LCH2のトラフィックが利用可能になる。しかしながら、LCH2はCG設定にマッピングされていない。UEが、CGリソースが設定されていないLCH2のデータを送信するためにRA-SDTをトリガーする場合、UEのシグナリングオーバーヘッドが増加するのみならず、LCH1の進行中のCG-SDT送信が影響を受ける可能性がある(例えばUEがCG-SDT手順とRA-SDT手順を同時に処理できないことがあるため)。しかしながら、上記の開示によれば、
図35に示したように、LCH2のトラフィックが利用可能になったときに、LCH2のトラフィックのトラフィック指示を次のCGリソースにおいて送信することができる(例えばLCH1のデータと多重化する)。このようにして、UEはRA-SDT手順をトリガーすることを回避することができ、このことは、UEのシグナリングオーバーヘッドのみならず消費電力の観点から有利であり得る。
【0241】
<ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施>
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。ここでLSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施されてもよい。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブル・プロセッサを使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、LSIが将来の集積回路技術に置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0242】
本開示は、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステム(通信装置と呼ばれる)によって実施することができる。
【0243】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つ以上のアンテナを含むことができる。
【0244】
このような通信装置の非限定的ないくつかの例としては、電話(例:携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例:ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例:デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例:ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)装置、通信機能を提供する車両(例:自動車、飛行機、船舶)、およびこれらのさまざまな組合せ、が挙げられる。
【0245】
通信装置は、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据置型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0246】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、その他、およびこれらのさまざまな組合せを通じてデータを交換するステップ、を含むことができる。
【0247】
通信装置は、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラやセンサーなどのデバイスを備えることができる。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサー、を備えていることができる。
【0248】
通信装置は、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地局、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0249】
さらに、様々な実施形態は、ソフトウェアモジュールによって実施されてもよく、これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行される、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。特に、別の実装形態によれば、非一過性のコンピュータ可読記録媒体が提供される。記録媒体はプログラムを格納しており、プログラムが1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサが本開示による方法のステップを実行する。
【0250】
一例として、本発明を限定するものではないが、このようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶装置、フラッシュメモリ、または、命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、かつコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体、を備えることができる。また、あらゆる接続はコンピュータ可読媒体と称することができる。例えば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL:digital subscriber line)、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。しかしながら、コンピュータ可読記憶媒体およびデータ記憶媒体には、接続、搬送波、信号、または他の一過性の媒体は含まれず、代わりに、非一過性の有形記憶媒体が対象となることを理解されたい。本明細書で使用される磁気ディスクおよび光ディスクには、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクが含まれ、磁気ディスクは通常では磁気的にデータを再生し、光ディスクはレーザーを使用して光学的にデータを再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
【0251】
さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個別に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。特定の実施形態に示した本開示には、多数の変更および/または修正を行い得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって本明細書における実施形態は、あらゆる点において説明を目的としており、本発明を制限するものではないとみなされたい。
【0252】
<さらなる態様>
第1の態様によれば、ユーザ機器(UE)が提供される。本UEは、送受信機および回路を備える。回路は、動作時、非アクティブ状態において第1のデータを送信するための手順中に、接続状態において第2のデータが送信されることを検出する。回路は、動作時、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定し、待機するべき送信機会は、i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路は、動作時、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始する。待機するべき送信機会が存在すると判定され、送信機会が発生したとき、回路は、動作時、送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように、送受信機を制御する。
【0253】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、第1のデータを送信するための手順は、RACH手順において開始される手順であり、待機するべき送信機会は、i)RACH手順の最初の送信である、ii)RACH手順の一部として受信されたアップリンクグラントによって示されている、またはiii)RACH手順の完了後に第1のデータを送信するために受信されたアップリンクグラントによって示されている。
【0254】
第1の態様に加えて提供される第3の態様によれば、第1のデータを送信するための手順は、RACH手順において開始される手順であり、i)回路が、動作時、第1のデータを送信するように送受信機を制御した後、待機するべき送信機会が存在しないと判定する、またはii)待機するべき送信機会が、アップリンクグラントによって示されることが予期され、このアップリンクグラントは、RACH手順の一部として、または、RACH手順の完了後に第1のデータの一部を送信するために、受信されることが予期される。
【0255】
第1の態様に加えて提供される第4の態様によれば、アップリンクグラントは、回路が送受信機を制御して、i)RACH手順の第1の送信を送信した後、ii)さらに送信される第1のデータの量を示すバッファ状態報告(BSR)を送信した後、および/またはiii)このBSRを送信した後に第1のデータの一部を送信した後、に受信されることが予期され、第1のデータの一部の量が、BSRによって示される量よりも小さい。
【0256】
第3の態様または第4の態様に加えて提供される第5の態様によれば、待機するべき送信機会は、予期されるアップリンクグラントが受信されておらず、かつ、もはや受信される見込みがないとき、もはや発生する見込みがなく、予期されるアップリンクグラントは、i)送受信機が、第1のデータを送信するための手順の終了を示す指示を受信した場合、および/またはii)第1のデータの少なくとも一部の最初の送信または前の送信から所定の時間が経過した場合、もはや受信される見込みがない。
【0257】
第1の態様から第5の態様のうちの一態様に加えて提供される第6の態様によれば、トラフィック指示は、i)アップリンクグラントによって示されるリソースを使用する、第1のデータの少なくとも一部、および/または、ii)第1のデータの量を示すバッファ状態報告(BSR)、と一緒に送信される。
【0258】
第1の態様から第6の態様のうちの一態様に加えて提供される第7の態様によれば、RACH手順は、4ステップRACH手順または2ステップRACH手順である。
【0259】
第1の態様に加えて提供される第8の態様によれば、第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順であり、回路は、動作時、i)CG手順の次のリソースが次のRACHリソースよりも早い場合、待機するべき送信機会が存在すると判定し、その送信機会を使用してトラフィック指示を送信するように送受信機を制御し、ii)CG手順の次のリソースが次のRACHリソースよりも遅い場合、待機するべき送信機会が存在しないと判定し、接続状態に入るためにRACH手順を開始する。
【0260】
第1の態様から第8の態様のうちの一態様に加えて提供される第9の態様によれば、トラフィック指示は、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、LCIDの事前定義値は、第2のデータが検出されたことを示す。
【0261】
第9の態様に加えて提供される第10の態様によれば、LCIDの事前定義値は、MAC制御要素CEがMACサブヘッダに付加されていないことを示す。
【0262】
第9の態様に加えて提供される第11の態様によれば、LCIDは、BSR MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていることを示し、BSR MAC CEは、さらに送信される第1のデータの量を示す。
【0263】
第1の態様から第8の態様のうちの一態様に加えて提供される第12の態様によれば、トラフィック指示は、MAC制御要素(CE)の一部であり、i)MAC CEの1ビットが、第2のデータが検出されたか否かを示し、ii)MAC CEの2ビットが、非アクティブ状態におけるデータの送信をサポートするLCGのうち、第1のデータの論理チャネルグループ(LCG)を示し、iii)MAC CEの5ビットが、示されたLCGに対応する第1のデータの、さらに送信される量を示す。
【0264】
第1の態様から第8の態様のうちの一態様に加えて提供される第13の態様によれば、トラフィック指示は、無線リソース制御(RRC)レベルの指示である。
【0265】
第14の態様によれば、ユーザ機器(UE)のための方法が提供される。本方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態において第1のデータを送信するための手順中に、接続状態において第2のデータが送信されることを検出するステップと、
- 待機するべき送信機会が存在するか否かを判定するステップであって、待機するべき送信機会が、i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される、ステップと、
- 待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始するステップと、
- 待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生したとき、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するステップと、
を含む。
【0266】
第15の態様によれば、スケジューリングデバイスが提供される。本スケジューリングデバイスは、送受信機と回路とを備えており、回路は、動作時、非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するように、送受信機を制御する。回路は、動作時、第1のデータを含む送信から、UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得し、i)第2のデータが、接続状態にあるUEによって送信されるデータであり、ii)トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、iii)LCIDの事前定義値が、第2のデータが検出されたことを示す。
【0267】
第16の態様によれば、スケジューリングデバイスのための方法が提供される。本方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するステップと、
- 第1のデータを含む送信から、UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップであって、i)第2のデータが、接続状態にあるUEによって送信されるデータであり、ii)トラフィック指示が、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、iii)LCIDの事前定義値が、第2のデータが検出されたことを示す、ステップと、
を含む。
【0268】
第15の態様または第16の態様に加えて提供される第17の態様によれば、第1のデータを含む送信は、RACH手順において開始される手順の一部として送信される。
【0269】
第17の態様に加えて提供される第18の態様によれば、RACH手順は、4ステップRACH手順または2ステップRACH手順である。
【0270】
第15の態様または第16の態様に加えて提供される第19の態様によれば、第1のデータを含む送信は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順の一部として送信される。
【0271】
第15の態様から第19の態様のうちの一態様に加えて提供される第20の態様によれば、LCIDの事前定義値は、MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていないことを示す。
【0272】
第15の態様から第19の態様のうちの一態様に加えて提供される第21の態様によれば、LCIDは、BSR MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていることを示し、BSR MAC CEは、さらに送信される第1のデータの量を示す。
【0273】
第22の態様によれば、スケジューリングデバイスが提供される。本スケジューリングデバイスは、送受信機と回路とを備えており、回路は、動作時、非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するように、送受信機を制御する。回路は、動作時、第1のデータを含む送信から、UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得し、i)第2のデータが、接続状態にあるUEによって送信されるデータであり、ii)トラフィック指示が、MAC制御要素(CE)の一部であり、MAC CEの1ビットが、第2のデータが検出されたか否かを示し、MAC CEの2ビットが、非アクティブ状態におけるデータの送信をサポートするLCGのうち、第1のデータの論理チャネルグループ(LCG)を示し、MAC CEの5ビットが、示されたLCGに対応する第1のデータの、さらに送信される量を示す。
【0274】
第23の態様によれば、スケジューリングデバイスのための方法が提供される。本方法は、以下のステップ、すなわち、
- 非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1のデータを含む送信を受信するステップと、
- 第1のデータを含む送信から、UEによって第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップであって、i)第2のデータが、接続状態にあるUEによって送信されるデータであり、ii)トラフィック指示が、MAC制御要素(CE)の一部であり、MAC CEの1ビットが、第2のデータが検出されたか否かを示し、MAC CEの2ビットが、非アクティブ状態におけるデータの送信をサポートするLCGのうち、第1のデータの論理チャネルグループ(LCG)を示し、MAC CEの5ビットが、示されたLCGに対応する第1のデータの、さらに送信される量を示す、ステップと、
を含む。
【0275】
第24の態様によれば、ユーザ機器(UE)が提供される。本UEは、送受信機と回路とを備える。回路は、動作時、非アクティブ状態において第1の論理チャネルの第1のデータを送信するための手順中に、第2の論理チャネルの第2のデータが非アクティブ状態において送信されることを検出する。
【0276】
第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順である。第2の論理チャネルには、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。回路は、動作時、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定し、待機するべき送信機会は、(i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、(ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路は、動作時、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する。待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、回路は、動作時、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように、送受信機を制御する。
【0277】
第24の態様に加えて提供される第25の態様によれば、回路は、動作時、(i)CG手順の次のリソースがRAリソースの次のRAリソースよりも早い場合、待機するべき送信機会が存在すると判定し、その送信機会を使用してトラフィック指示を送信するように送受信機を制御し、(ii)CG手順の次のリソースが次のRAリソースよりも遅い場合、待機するべき送信機会が存在しないと判定し、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する。
【0278】
第24の態様に加えて提供される第26の態様によれば、回路は、動作時、CG手順の次のリソースまでの時間と遅延しきい値との比較に基づいて、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する。
【0279】
第24の態様から第26の態様のうちの一態様に加えて提供される第27の態様によれば、トラフィック指示は、媒体アクセス制御(MAC)サブヘッダにおいて、MACサブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、LCIDの事前定義値が、第2のデータが検出されたことを示す。
【0280】
第27の態様に加えて提供される第28の態様によれば、回路は、動作時、(i)さらに送信される第1のデータの量、および/または(ii)第2のデータの量、を示すBSR MAC CEをMACサブヘッダに付加するか否かを決定する。
【0281】
第27の態様に加えて提供される第29の態様によれば、LCIDの事前定義値は、MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていないことを示す。
【0282】
第27の態様に加えて提供される第30の態様によれば、LCIDは、バッファ状態報告(BSR)MAC制御要素(CE)がMACサブヘッダに付加されていることを示し、BSR MAC CEは、さらに送信される第1のデータの量を示す。
【0283】
第24の態様から第30の態様のうちの一態様に加えて提供される第31の態様によれば、トラフィック指示は、第2のデータの量を示す指示を含む。
【0284】
第24の態様から第26の態様のうちの一態様に加えて提供される第32の態様によれば、トラフィック指示は、媒体アクセス制御(MAC)制御要素(CE)の一部であり、(i)MAC CEの1ビットが、第2のデータが検出されたか否かを示し、(ii)MAC CEの2ビットが、非アクティブ状態におけるデータの送信をサポートするLCGのうち、第1のデータの論理チャネルグループ(LCG)を示し、(iii)MAC CEの5ビットが、第2のデータの量を示す。
【0285】
第24の態様から第31の態様のうちの一態様に加えて提供される第33の態様によれば、トラフィック指示は、無線リソース制御(RRC)レベルの指示、および/または媒体アクセス制御(MAC)レベルの指示である。
【0286】
第34の態様によれば、ユーザ機器(UE)のための方法が提供される。本方法は、非アクティブ状態において第1の論理チャネルの第1のデータを送信するための手順中に、非アクティブ状態において第2の論理チャネルの第2のデータが送信されることを検出するステップ、を含む。第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順である。第2の論理チャネルには、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。本方法は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定するステップをさらに含み、待機するべき送信機会は、(i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、(ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する。待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信する。
【0287】
第35の態様によれば、スケジューリングデバイスが提供される。本スケジューリングデバイスは、送受信機と回路とを備える。回路は、動作時、(i)送受信機を制御して、非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1の論理チャネルの第1のデータを含む送信を受信し、(ii)第1のデータを含む送信から、UEによって第2の論理チャネルの第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得する。第2のデータは、非アクティブ状態にあるUEによって送信されるデータであり、第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順である。第2の論理チャネルには、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。トラフィック指示は、媒体アクセス制御(MAC)サブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、LCIDの事前定義値は、第2のデータが検出されたことを示す。
【0288】
第36の態様によれば、スケジューリングデバイスのための方法が提供される。本方法は、(i)非アクティブ状態にあるユーザ機器(UE)から、第1の論理チャネルの第1のデータを含む送信を受信するステップと、(ii)第1のデータを含む送信から、UEによって第2の論理チャネルの第2のデータが検出されたことを示すトラフィック指示を取得するステップと、を含む。第2のデータは、非アクティブ状態にあるUEによって送信されるデータであり、第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順である。第2の論理チャネルには、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。トラフィック指示は、媒体アクセス制御(MAC)サブヘッダ内の論理チャネルID(LCID)の事前定義値によってシグナリングされ、LCIDの事前定義値は、第2のデータが検出されたことを示す。
【0289】
要約すると、ユーザ機器(UE)、対応するスケジューリングデバイス、ならびにUEおよびスケジューリングデバイスのそれぞれの方法、が提供される。
【0290】
特に、本開示は、送受信機および回路を備えるUEを提供し、回路は、非アクティブ状態において第1のデータを送信するための手順中に、接続状態において第2のデータが送信されることを検出する。回路は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する。待機するべき送信機会は、i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路は、接続状態に入るためにランダムアクセスチャネル(RACH)手順を開始する。待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、回路は、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように送受信機を制御する。
【0291】
本開示はまた、送受信機と回路とを備えるUEを提供し、回路は、非アクティブ状態において第1の論理チャネルの第1のデータを送信するための手順中に、非アクティブ状態において第2の論理チャネルの第2のデータが送信されることを検出する。より具体的には、第1のデータを送信するための手順は、第1のデータを送信するためのコンフィギュアドグラント(CG)手順であり、第2の論理チャネルには、(i)非アクティブ状態において送信するためのCGリソースが設定されておらず、(ii)非アクティブ状態において送信するためのランダムアクセス(RA)リソースが設定されている。回路は、待機するべき送信機会が存在するか否かを判定する。待機するべき送信機会は、i)第1のデータの少なくとも一部を送信するための送信機会であり、ii)第1のデータを送信するための手順の一部として発生すると予期される。待機するべき送信機会が存在しない、または待機するべき送信機会がもはや発生する見込みがない、と判定されたとき、回路は、RAリソースを使用して第2のデータを送信するためにRA手順を開始する。一方、待機するべき送信機会が存在すると判定され、その送信機会が発生すると、回路は、その送信機会を使用して、第2のデータの検出を示すトラフィック指示を送信するように、送受信機を制御する。
【国際調査報告】