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特表2024-512133粒子によって安定化されたピッカリングエマルション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】粒子によって安定化されたピッカリングエマルション
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240311BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240311BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240311BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240311BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240311BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240311BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240311BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/37
A61Q19/00
A61K9/107
A61K47/14
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/02
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/18
A61K47/40
A61K47/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560260
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022057874
(87)【国際公開番号】W WO2022207477
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/167,186
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21172852.2
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング フィーバー
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ボスブル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD23
4C076DD28Q
4C076DD29Q
4C076DD34
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD47
4C076DD51
4C076DD63
4C076EE09G
4C076EE12G
4C076EE27
4C076EE27G
4C076EE30G
4C076EE31G
4C076EE31Q
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4C076EE36G
4C076EE38Q
4C076EE39
4C076EE41Q
4C076EE53
4C076FF43
4C083AA112
4C083AB051
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB241
4C083AB321
4C083AB432
4C083AB441
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC251
4C083AC341
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC421
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD041
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD161
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD251
4C083AD261
4C083AD281
4C083AD301
4C083AD351
4C083AD411
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB41
4C083CC03
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE01
(57)【要約】
本発明は、有機または無機粒子によって安定化された水中油型または油中水型のエマルションの形態での液体製品、前記エマルションを得るための方法、消費者製品、およびその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 水を含む水相、
(b) 香料油と油混和性溶剤とを含む油相、および
(c) 無機粒子、有機粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤
を含むエマルション。
【請求項2】
前記油混和性溶剤が、O-アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、カプリル酸トリグリセリド、トリアセチン、ヤシアルカン(および)(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル、ジカプリル酸プロパンジオール、オクタン酸 1,3-プロパンジイルエステル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、トリヘプタノイン、(カプリル/カプリン酸)グリセリズ、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
前記油混和性溶剤が、エマルションの総質量に対して1質量%~70質量%である、請求項1または2に記載のエマルション。
【請求項4】
前記油混和性溶剤が、エマルションの総質量に対して10質量%~60質量%である、請求項3に記載のエマルション。
【請求項5】
油混和性の補助溶剤をさらに含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項6】
前記油混和性の補助溶剤が、ウンデカンおよびトリデカン、C15~C19-アルカン、スクアレン、シリコーン油、グリコールエーテル、例えばトリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール n-プロピルエーテル、DIPGモノメチルエーテル、アジピン酸ジメチル/グルタル酸ジメチルエステル、安息香酸ベンジル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載のエマルション。
【請求項7】
前記油混和性の補助溶剤が、エマルションの総質量に対して1質量%~50質量%である、請求項5に記載のエマルション。
【請求項8】
前記油混和性の補助溶剤が、エマルションの総質量に対して5質量%~40質量%である、請求項7に記載のエマルション。
【請求項9】
前記安定剤が、親水性シリカ、親水性二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ナノ結晶セルロース、微結晶セルロースおよびセルロース誘導体、デンプン、粉末、粘土、ラテックス、非水溶性タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から8までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項10】
前記無機粒子、有機粒子、またはそれらの組み合わせが、エマルション全体の0.001%~10質量%である、請求項1から9までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項11】
前記無機粒子、有機粒子、またはそれらの組み合わせが、エマルションの0.001%~1質量%である、請求項1から10までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項12】
前記無機粒子、有機粒子、またはそれらの組み合わせが、エマルションの0.001質量%~0.5質量%である、請求項11に記載のエマルション。
【請求項13】
前記水相がC1~C4-アルコールを含まない、請求項1から12までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項14】
前記油相中に油混和性の増量剤をさらに含む、請求項1から13までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項15】
前記油混和性の増量剤が、ガム、エステルガム、ダマールガム、イソ酪酸酢酸スクロース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載のエマルション。
【請求項16】
前記油混和性の増量剤が、エマルションの総質量に対して5質量%~50質量%である、請求項15に記載のエマルション。
【請求項17】
前記油混和性の増量剤が、エマルションの総質量に対して5質量%~30質量%である、請求項16に記載のエマルション。
【請求項18】
前記水相が、油混和性の増粘剤をさらに含む、請求項1から17までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項19】
前記油混和性の増粘剤が、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ポリエチルメタクリレートポリマー、ビス-イソブチルPEG-24/PPG-7/ジメチコーンコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載のエマルション。
【請求項20】
前記油混和性の増粘剤が、油相の1質量%~30質量%である、請求項18に記載のエマルション。
【請求項21】
前記油混和性の増粘剤が、油相の2質量%~10質量%である、請求項20に記載のエマルション。
【請求項22】
前記水相が、水混和性の増粘剤をさらに含む、請求項1から21までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項23】
前記水混和性の増粘剤が、キサンタンガム、天然ガム(例えば寒天ガム、アルギン酸、ゲランガム、トラガカントガム)、グアーガム、セルロース誘導体、ポリアクリル酸、アクリレートコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載のエマルション。
【請求項24】
前記水混和性の増粘剤が、水相の0.05質量%~5質量%、0.05質量%~1質量%である、請求項22に記載のエマルション。
【請求項25】
前記水混和性の増粘剤が、水相の0.05質量%~1質量%である、請求項24に記載のエマルション。
【請求項26】
前記水混和性の増粘剤が、水相の0.05質量%~0.3質量%である、請求項25に記載のエマルション。
【請求項27】
水混和性の補助溶剤をさらに含む、請求項1から26までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項28】
前記水混和性の補助溶剤が、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、イソプロピリデングリセロール、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオール、およびイソプロパノール、乳酸エチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載のエマルション。
【請求項29】
前記水混和性の補助溶剤が、水相の1質量%~50質量%である、請求項27に記載のエマルション。
【請求項30】
前記水混和性の補助溶剤が、水相の2質量%~20質量%である、請求項29に記載のエマルション。
【請求項31】
前記エマルションが、油中水型または水中油型のエマルションである、請求項1から30までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項32】
前記水相が、前記油相中に分散された液滴であり且つエマルションの約10~約80質量%を構成する、請求項31に記載のエマルション。
【請求項33】
前記油相が、前記水相中に分散された液滴であり且つエマルションの約10~約80質量%を構成する、請求項31に記載のエマルション。
【請求項34】
前記油相中の香料油が、エマルションの1~50質量%である、請求項1から33までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項35】
前記油相中の香料油が、エマルションの5~20質量%である、請求項34に記載のエマルション。
【請求項36】
分散相の液滴が、直径約1マイクロメートル~8ミリメートルを有する、請求項1から35までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項37】
前記分散相の液滴が、直径0.1~5mmを有する、請求項36に記載のエマルション。
【請求項38】
前記分散相の液滴が、直径0.5~5mmを有する、請求項37に記載のエマルション。
【請求項39】
前記油相が、化粧品について認められている無極性溶剤、皮膚軟化剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1から38までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項40】
界面活性剤、アミノ酸、レシチン、酸、アルコール、塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される表面改質剤をさらに含む、請求項1から39までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項41】
前記表面改質剤が、アルギニン、リシン、オレイン酸、ステアリン酸、SDS、CaCl2、またはそれらの組み合わせである、請求項40に記載のエマルション。
【請求項42】
シクロデキストリンをさらに含む、請求項1から41までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項43】
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル修飾シクロデキストリン、メチル修飾シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項42に記載のエマルション。
【請求項44】
前記香料油が、2.5未満のlogPを有する成分を0.01%~50%含む、請求項1から43までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項45】
前記香料油が、2.0未満のlogPを有する成分を0.01%~50%含む、請求項44に記載のエマルション。
【請求項46】
前記香料油が、1.5未満のlogPを有する成分を0.01%~50%含む、請求項45に記載のエマルション。
【請求項47】
前記エマルションが、安定化粒子の量に対して1質量%以下の界面活性剤を含む、請求項1から46までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項48】
前記エマルションが、界面活性剤不含である、請求項1から46までのいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項49】
請求項1から48までのいずれか1項に記載のエマルションを含む消費者製品であって、ファインフレグランス製品、ボディケア製品、またはエアケア製品である、前記消費者製品。
【請求項50】
水および油のエマルションを安定化するための、請求項1から48までのいずれか1項に記載のエマルションの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は米国仮出願第63/167,186号(2021年3月29日提出)および欧州特許出願第21172852.2号(2021年5月7日提出)の優先権を主張する。それらの出願の全内容はこの参照をもって本願内に明示的に含まれるものとする。
【0002】
技術分野
本発明は、有機または無機粒子によって安定化されたエマルションの形態での液体製品、前記エマルションを得るための方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ファインフレグランスなどの用途において、エタノールが低減された、またはエタノール不含の製品についての需要が高まっている。この需要はCovid19の時期以降に増加した。過去において、そのような用途は皮膚刺激などの問題によって妨げられていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の概要
本発明は、固体粒子によって安定化されたエマルションを提供することにより、エタノール不含の形式について、産業で認められる需要を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、水を含む水相、香料油と油混和性溶剤とを含む油相、および無機粒子、有機粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含むエマルションを提供する。
【0006】
本発明による油混和性溶剤は例えば、O-アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、カプリル酸トリグリセリド、トリアセチン、ヤシアルカン(および)(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル(coco-caprylate/caprate)、ジカプリル酸プロパンジオール、オクタン酸 1,3-プロパンジイルエステル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、トリヘプタノイン、またはそれらの混合物であってよい。
【0007】
特定の態様において、油混和性溶剤はエマルションの総質量に対して1質量%~70質量%、またはエマルションの総質量に対して10質量%~60質量%である。
【0008】
本発明のエマルションは油混和性の補助溶剤をさらに含み得る。油混和性の補助溶剤は例えば、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ、ウンデカンおよびトリデカン、C15~C19-アルカン、スクアレン、シリコーン油、グリコールエーテル、例えばトリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール n-プロピルエーテル、DIPGモノメチルエーテル、アジピン酸ジメチル/グルタル酸ジメチルエステル、安息香酸ベンジル、またはそれらの混合物であってよい。
【0009】
油混和性の補助溶剤は、エマルションの総質量に対して1質量%~50質量%、またはエマルションの総質量に対して5質量%~40質量%であってよい。
【0010】
本発明の安定剤は例えば、親水性シリカ、親水性二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ナノ結晶セルロース、微結晶セルロースおよびセルロース誘導体、デンプン、粉末、粘土、ラテックス、非水溶性タンパク質、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0011】
本発明の態様において、無機粒子、有機粒子、またはそれらの組み合わせはエマルションの0.001~10質量%、0.001~1質量%、または0.001~0.5質量%である。
【0012】
本発明のいくつかの態様において、水相はC1~C4-アルコールを含まない。
【0013】
本発明のエマルションは、いくつかの態様において、油相中に油混和性の増量剤をさらに含み得る。油混和性の増量剤は例えば、ガム、エステルガム、ダマールガム、イソ酪酸酢酸スクロース、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0014】
いくつかの態様において、油混和性の増量剤は、エマルションの総質量に対して5質量%~50質量%、または5質量%~30質量%であってよい。
【0015】
本発明の態様において、水相は油混和性の増粘剤を含む。油混和性の増粘剤は例えば、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ポリエチルメタクリレートポリマー、ビス-イソブチルPEG-24/PPG-7/ジメチコーンコポリマー、およびそれらの混合物であってよい。いくつかの態様において、油混和性の増粘剤は、油相の1質量%~30質量%、または油相の2質量%~10質量%である。
【0016】
本発明のいくつかの態様において、水相は水混和性の増粘剤をさらに含む。水混和性の増粘剤は例えば、キサンタンガム、天然ガム(例えば寒天ガム、アルギン酸、ゲランガム、トラガカントガム)、グアーガム、セルロース誘導体、ポリアクリル酸、アクリレートコポリマー、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0017】
特定の態様において、水混和性の増粘剤は、水相の0.05質量%~5質量%、0.05質量%~1質量%、または水相の0.05質量%~0.3質量%である。
【0018】
本発明のエマルションは水混和性の補助溶剤をさらに含み得る。水混和性の補助溶剤は例えば、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、イソプロピリデングリセロール、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオール、およびイソプロパノール、乳酸エチル、またはそれらの混合物であってよい。いくつかの態様において、水混和性の補助溶剤は水相の1質量%~50質量%、または水相の2質量%~20質量%であってよい。水混和性の補助溶剤は合成由来または天然由来のものであってよい。
【0019】
本発明のエマルションは油中水型または水中油型のエマルションであってよい。
【0020】
本発明のエマルションは、油相中に分散され且つエマルションの約10質量%~約80質量%である水相の液滴を含み得る。
【0021】
本発明のエマルションの態様は、油相が水相中に分散された液滴であり且つエマルションの約10質量%~約80質量%を構成する。
【0022】
本発明の態様において、油相中の香料油はエマルションの1質量%~50質量%、またはエマルションの5質量%~20質量%である。
【0023】
本発明によれば、分散相の液滴は直径約1マイクロメートル~8ミリメートルを有し得る。他の態様において、分散相の液滴は直径0.1~5mmを有する。さらに他の態様において、分散相の液滴は直径0.5~5mmを有する。
【0024】
本発明のいくつかの態様において、油相は化粧品について認められている無極性溶剤、皮膚軟化剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0025】
本発明の態様において、エマルションは表面改質剤、例えば界面活性剤、アミノ酸、レシチン、酸、アルコール、塩、およびそれらの組み合わせを含む。本発明の表面改質剤は例えば、アルギニン、リシン、オレイン酸、ステアリン酸、SDS、CaCl2、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0026】
本発明のエマルションは、シクロデキストリン、例えばα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル修飾シクロデキストリン、メチル修飾シクロデキストリン、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0027】
本発明の1つの態様において、香料油は2.5未満のlogPを有する成分を0.01%~50%含む。さらなる態様において、香料油は2.0未満のlogPを有する成分を0.01%~50%含む。他の態様において、香料油は1.5未満のlogPを有する成分を0.01%~50%含む。
【0028】
本発明は、本発明のエマルションを含む消費者製品を包含する。前記消費者製品は例えば、ファインフレグランス製品、ボディケア製品、またはエアケア製品であってよい。
【0029】
本発明はさらに、水および油のエマルションを安定化するための本発明の使用を含む。
【0030】
詳細な説明
本発明は、水中油型エマルションおよび油中水型エマルションを提供することにより、エタノールが低減された、またはエタノール不含の形式について産業で認められる需要を満たす。本発明のエマルションは固体粒子によって安定化されている。本発明のエマルションは任意に界面活性剤または乳化剤を含まなくてよい。安定な二相のファインフレグランス系は、本発明に従って粒子を注意深く選択することによって提供され、前記粒子は無機または有機の性質であることができる。
【0031】
本発明の態様において、油滴が水相中で粒子によって安定化される(固体安定化「ピッカリング」エマルション)。本発明の他の態様において、水滴が油相中で安定化される。
【0032】
本発明の固体安定化エマルションは、
・ 任意に界面活性剤不含であることができ、
・ C1~C4-アルコール、例えばエタノール不含であることができ、
・ エマルションの80質量%までの分散相を含有でき、且つ
・ 50質量%までの香料を含むことができる。
【0033】
固体粒子によって安定化された、本発明によるO/Wエマルションは、5mmまでの油滴が水中に分散されることを可能にする。そのようなサイズの液滴はファインフレグランス、ボディケア製品、およびエアケア製品の消費者にとって魅力のある視覚的効果を溶液に与える。
【0034】
意外なことに、本発明によれば、水中の巨大な油滴を得ることができる。例えば、水中の巨大な油滴は、シリカ、炭酸カルシウム、粘土または粉末(例えばアマランサス粉)を用いて安定であることが判明した。
【0035】
特段示されない限り、「粒子」、「固体粒子」との用語、およびそれらの複数形は、固体状態において、油相中または水相中で分散性であるが可溶性ではない材料に関する。本開示内で使用される場合、固体粒子は安定剤として役立ち、それは2つの不混和性の液体(典型的には油相および水相として示される)間の界面に蓄積し、ピッカリングエマルション形成の間の合一に対して液滴を安定化する。本願内で使用される場合、「粒子」、「固体粒子」との用語、およびそれらの複数形は、コアシェル構造を含まない。
【0036】
本発明による「香料油」または「フレグランス油」は、フレグランス用途のために適した任意の合成油または天然油を包含する。
【0037】
「LogP」は、親油性の尺度として知られているオクタノール・水分配係数の対数である。
【0038】
油混和性溶剤: 本発明のエマルション組成物は油混和性溶剤を含み、それは例えばO-アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、カプリル酸トリグリセリド、トリアセチン、ヤシアルカン(および)(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル、ジカプリル酸プロパンジオール オクタン酸 1,3-プロパンジイルエステル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、トリヘプタノイン、(カプリル/カプリン酸)グリセリズ、およびそれらの混合物であってよい。1つの実施態様において、油混和性溶剤はクエン酸トリエチル、O-アセチルクエン酸トリブチル、およびそれらの混合物である。存在する場合、油混和性溶剤は、エマルションの総質量に対して5~70質量%、または10~60質量%で使用される。
【0039】
油混和性の補助溶剤: 本発明によれば、本発明のエマルション中の油相は補助溶剤、例えばウンデカンおよびトリデカン(CETIOL ULTIMATE)、C15~C19-アルカン、スクアレン、シリコーン油、グリコールエーテル、例えばトリプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol(商標) TPM)、ジプロピレングリコール n-プロピルエーテル(Dowanol(商標) DPnP)、DIPGモノメチルエーテル、アジピン酸ジメチル/グルタル酸ジメチル(FlexiSolv(登録商標) DBE(登録商標)-LVPエステル)、安息香酸ベンジル、およびそれらの混合物を含み得る。1つの実施態様において、油混和性の補助溶剤はウンデカンおよびトリデカン(CETIOL ULTIMATE)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol(商標) TPM)、ジプロピレングリコール n-プロピルエーテル(Dowanol(商標) DPnP)、安息香酸ベンジル、およびそれらの混合物である。存在する場合、油混和性の補助溶剤は、エマルションの総質量に対して1~50質量%、または5~40質量%で使用される。
【0040】
油混和性の増量剤: 本発明によれば、本発明のエマルション中の油相は増量剤、例えばガム(例えばエステルガム、ダマールガム)および/またはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)を含み得る。いくつかの態様において、油相中の増量剤はエステルガムまたはダマールガムである。存在する場合、油混和性の増量剤は、エマルションの総質量に対して5質量%~50質量%、または5質量%~30質量%で使用される。
【0041】
油混和性の増粘剤: 本発明によれば、本発明のエマルション中の油相は増粘剤、例えば、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ポリエチルメタクリレートポリマー、ビス-イソブチルPEG-24/PPG-7/ジメチコーンコポリマー、およびそれらの混合物を含み得る。いくつかの態様において、油増粘剤はエチルセルロースである。存在する場合、油混和性の増粘剤は、油相の1質量%~30質量%、または2質量%~10質量%で使用される。
【0042】
水混和性の補助溶剤: 本発明によれば、本発明のエマルション組成物は水混和性の補助溶剤、例えば一価および多価溶剤を含み得る。そのような溶剤の限定されない例は、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、イソプロピリデングリセロール、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオール、およびイソプロパノール、乳酸エチル、およびそれらの混合物を含む。いくつかの態様において、水混和性の補助溶剤は、グリセロール、1,2-ヘキサンジオール、およびそれらの混合物である。存在する場合、水混和性の補助溶剤は、水相の1質量%~50質量%、または2質量%~20質量%で使用される。
【0043】
水混和性の増粘剤: 本発明によれば、本発明におけるエマルションの水相は増粘剤、例えばキサンタンガム、天然ガム(例えば寒天ガム、アルギン酸、ゲランガム、トラガカントガム)、グアーガム、セルロース誘導体、ポリアクリル酸、および/またはアクリレートコポリマーを含み得る。いくつかの態様において、水中の増粘剤はキサンタンガム、ゲランガム、ポリアクリル酸、アクリレートコポリマー、またはそれらの混合物である。存在する場合、水中の増粘剤は、水相の0.05質量%~5質量%、0.05質量%~1質量%、または0.05質量%~0.3質量%で使用される。
【0044】
任意成分: 本発明によれば、エマルション組成物は任意成分、例えば着色剤、防腐剤、乳白剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、POV改善剤、冷却剤、ビタミン、防虫剤、固定剤、化粧効果剤、キレート化剤、機能性ポリマー、電解質およびpH調整剤をさらに含み得る。
【0045】
適した冷却剤は、例えばメントール、メントン、イソプレゴール、N-エチル-p-メンタンカルボキサミド、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド、エチル N-[[5-メチル-2-(イソプロピル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシネート、乳酸メンチル、メントングリセリンアセタール、モノメンチルスクシネート、モノメンチルグルタレート、O-メンチルグリセリン、2-sec-ブチルシクロヘキサノン、メンタン、樟脳、プレゴール、シネオール、ミント油、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、3-l-メントキシ-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-l-メントキシエタン-1-オール、3-l-メントキシプロパン-1-オール、4-l-メントキシブタン-1-オール、N-エチル-p-メンチル-3-カルボキサミド、イソプレゴール、クベボール、l-メントール、3-(L-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、シス/トランス-p-メンタン-3,8-ジオール、3-(L-メントキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、2-[2-(p-メンタン-3-イルオキシ)エトキシ]エタノール、メントキシエタノール、(1R,2R,4R)-1-(2-ヒドロキシ-4 メチルシクロヘキシル)エテノン、(1R,2R,5R)-N-エチル-5-メチル-2-(プロプ-1-エン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド、N-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチル-シクロヘキサンカルボキサミド、N-[4-(シアノメチル)フェニル]-2-イソプロピル-5,5-ジメチル-シクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチル-シクロヘキサン-1-カルボキサミド、L-メントールラクテート、(-)-メンチルエチレングリコールカーボネート、(-)-メントン 1,2-グリセロールケタール、D/L-メントン 1,2-グリセロールケタール、(-)-メンチル 1-プロピレングリコールカーボネート、(-)-メンチル 2-プロピレングリコールカーボネート、D/L-メンチル 1-プロピレングリコールカーボネート、D/L-メンチル 2-プロピレングリコールカーボネート、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド、シュウ酸メンチルエチルアミド、(E)-3-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-N,N-ジフェニル-2-プロペンアミド、3,4-メチレンジオキシケイ皮酸、N,N-ジフェニルアミド、N,N-ジメチル(-)-メンチルスクシンイミド、(1R,2S,5R)-N-(4-(カルバモイルメチル)フェニル)-メンチルカルボキサミド、(-)-メンチルピロリドンカルボキシレート、L-フェニレフリン p-メンタンカルボキサミド、(1R,2S,5R)-N-(4-(シアノメチル)-フェニル)メンチルカルボキサミド、(1R,2S,5R)-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)メンチルカルボキサミド、6-イソプロピル-3,9-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-2-オン、(1R,2R,4S)-ジヒドロウンベルロール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、エチル 3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジメチルブタンアミド、N-シクロプロピル-5-メチル-2-イソプロピル-シクロヘキサンカルボンカルボキサミド、(-)-メンチルアセトアセテート、(-)-メンチルスクシネート、(-)-メンチル(S)-3-ヒドロキシブチレート、(-)-メンチルグルタレート、1-[2-ヒドロキシフェニル]-4-[2-ニトロフェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-2-オン、ジ-(-)-メンチルグルタレート、およびN-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドを含む。
【0046】
適した固定剤は、例えばカプリリルアルコール、オクタノール、ブチルオクタノール、イソトリデシルアルコール、ヘキシルデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、テトラデシルオクタデカノール、ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート、PPG-3ミリスチルエーテル、およびPPG-20メチルグルコースエーテルを含む。
【0047】
適した防虫剤の限定されない例は、シトロネラ、フタル酸ジメチル、およびn,n-ジメチル-m-トルアミド(tolumide)を含む。
【0048】
本願内で使用される場合、「過酸化物価」または「POV」との用語は、材料1キログラムあたりの酸化電位の当量に関する。特定の理論に限定されることを意図するものではないが、材料のPOVは分析的に特定される。「POV」との用語は化学的化合物または化合物の群に関するのではなく、POV試験の間に応答を引き起こす試料内の自動酸化生成物と互換的に使用され得る。それらの自動酸化生成物は試験される具体的な材料に応じて異なる。限定されずに有機および無機ヒドロペルオキシド、有機および無機過酸化物、ペルオキシヘミアセタール、ペルオキシヘミケタール、および過酸化水素自体を含む、多くの部類の化学的化合物がPOV試験の間に応答を生じる。
【0049】
例として、1つのPOV試験はヨウ素滴定酸化還元滴定である。全てのPOV応答性化合物は、それらが試験のために特定された時間内でヨウ化物イオンを分子のヨウ素に酸化できる特性を共有し、実際に、ヨウ化物の酸化反応がその試験についての基礎である。従って、「POV」は特定の試料における全てのヨウ化物酸化種のモル合計を表す数値である。米国特許第10456339号明細書、米国特許出願公開第2020/0289388号明細書、国際公開第2020/089440号参照。
【0050】
本発明による「POV改善剤」は、試料中のPOVを低減する作用物質である。
【0051】
POV改善剤はα-オキソカルボン酸、例えばα-ケトグルタレート、ピルビン酸、2-オキソ吉草酸、フェニルグリオキシル酸、2-オキソ酪酸、2-オキソ-2-フラン酢酸、オキサル酢酸、α-ケトグルタル酸、2-オキソペンタンジオエート、インドール-3-ピルビン酸、2-チオフェングリオキシル酸、トリメチルピルビン酸、2-オキソアジピン酸、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸、フェニルピルビン酸、2-オキソオクタン酸、またはそれらの組み合わせであってよい。POV改善剤は2-ヒドロキシケトン、例えばα-ケトグルタル酸塩、α-ケトグルタレートジメチルドデシルアミン、アセトイン、エリトルロース、ジヒドロキシアセトン、2-ケト-D-グルコン酸ヘミカルシウム塩水和物、(1S,2S,5S)-(-)-2-ヒドロキシ-2-ピナノン、ベンゾイン、p-アニソイン、ベンジル、2-ヒドロキシ-3-オキソ-ヘキサデカン、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0052】
本発明によるエマルションは増量剤を含み得る。増量剤は油相の密度を増加し、溶液中の油滴のクリーミングまたは水滴の沈降を低減する。本発明による増量剤は例えばガム(例えばエステルガム、ダマールガム)および/またはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)であってよい。
【0053】
従って、例えば本発明のエマルションは、エマルションの1質量%~50質量%の増量剤(例えばダマールガム)、またはエマルションの3質量%~25質量%の増量剤(例えばダマールガム)を含み得る。
【0054】
本発明によるエマルションは保湿剤、例えばグリセロールを含み得る。他の態様において、本発明によるエマルションは調質剤、例えばキサンタンガム、天然ガム(例えば寒天、アルギン酸、ゲランガム、トラガカントガム)、ポリアクリル酸、および/またはアクリレートコポリマーを含み得る。本発明によるエマルションは改質剤、例えばリシンをさらに含み得る。
【0055】
本発明の粒子は例えば、親水性シリカ、親水性二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、セルロースナノ結晶および微結晶およびセルロース誘導体、デンプン、粉末(例えばアマランサス粉)、粘土(例えばラポナイト、タルク、マイカ、ゼオライトおよび誘導体)、ラテックス、および非水溶性タンパク質であってよい。非水溶性タンパク質は天然であっても、化学的に改質されていてもよい。例示的な非水溶性タンパク質は、限定されずに、グリアジンおよびグルテニンを含む。
【0056】
乳化前に油成分を油相に添加して、皮膚上へのエマルションの触感を改善することができる(ファインフレグランスおよびボディケア用途)。
【0057】
乳化前に保湿剤、例えばグリセロールを水に添加して、水相の粘度を高め(安定性を強化)且つ塗布に際する皮膚上の保湿効果を提供することができる(ファインフレグランスおよびボディケア用途)。従って、例えばグリセロールはエマルションの3質量%~40質量%、またはエマルションの3質量%~20質量%を構成し得る。
【0058】
乳化後に増粘剤、例えばキサンタンガムを水に添加して、エマルション中の油滴のクリーミングまたは沈降を低減することができる。例えば、増粘剤はエマルションの0.05質量%~5質量%、またはエマルションの0.1質量%~2質量%を構成し得る。
【0059】
改質剤、例えばリシンを任意に使用して、粒子表面で吸着させ、粒子に油/水の界面に対するより高い親和性をもたらす。特段示されない限り、「改質剤」および「表面改質剤」との用語は互換的に使用され、且つ粒子の表面を改質する作用物質に関する。粒子の表面を改質して、表面の極性、ひいては油/水の界面での吸着特性を調節できる。
【0060】
いくつかの態様において、エマルションは安定化粒子の量に対して1質量%以下の界面活性剤を含む。他の態様において、エマルションは界面活性剤不含である。
【0061】
本発明によれば、水はエマルションの10%~90% w/wである。1つの態様において、水はエマルションの10%~60% w/wである。
【0062】
本発明によれば、油はエマルションの10%~90% w/wである。1つの態様において、油はエマルションの20%~80% w/wである。
【0063】
香料油はエマルションの1%~50% w/wである。本発明の態様において、香料油はエマルションの5%~20% w/wである。
【0064】
本発明によれば、粒子はエマルションの0.01%~5% w/wである。1つの態様において、粒子はエマルションの0.01%~2% w/wである。
【0065】
本発明によれば、増量剤はエマルションの1%~70% w/wである。1つの態様において、増量剤はエマルションの1%~55% w/wである。
【0066】
任意の油成分はエマルションの1%~50% w/wを構成し得る。本発明の態様において、任意の油成分はエマルションの3%~25% w/wを構成する。
【0067】
プロセス
粒子は強い剪断(UltraTurrax 24000rpmまたは超音波プローブで30秒)を使用して水相中に分散される。油相成分は別途、共に混合される。次いで油相を水相に添加し、小さいサイズの液滴を目標とする場合は強い剪断(UltraTurrax 24000rpmで2分、または超音波プローブで30秒)下でエマルションが得られる。低い剪断(手動での振とうまたはボルテックスで1分)を使用して、水相中に懸濁される巨大な油滴(>0.5mm)が得られる。そのように得られたエマルションが本発明による最終製品であることができる。任意に、増粘剤(例えばキサンタンガム)の濃縮された水性ゲルを別途調製し、エマルションをこの濃縮ゲル中で希釈して、本発明による最終製品を製造する。
【0068】
粒子を水相中に強い剪断下で分散させた後、油を添加し、乳化を進めて直接的なO/Wエマルションの形成を支援する。油相を別途調製した後、水相に添加して乳化処理する。
【0069】
使用される粒子の平均サイズは20nm~5μmの範囲である。より具体的には、使用される粒子の平均サイズは100nm~5μmの範囲であってよい。より具体的には、使用される粒子の平均サイズは300nm~3μmの範囲であってよい。さらにより具体的には、使用される粒子は欧州の定義によるナノ材料として分類されない。
【0070】
最終製品中で得られる油滴の平均サイズは1μm~8mmの範囲であってよい。より具体的には、最終製品中の油滴の平均サイズは0.2mm~5mmの範囲である。本発明の態様において、最終製品中の油滴は肉眼で可視である。
【0071】
本発明のエマルションは、大きなサイズの液滴を迅速に得るために、低い剪断(手動または機械的な剪断)下で調製され得る。
【0072】
任意に、増粘剤を水または水相中で可溶化した後、低い剪断下でそれにエマルションを添加して最終製品を製造する。
【実施例
【0073】
例1: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表1】
【0074】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.2gのシリカ1.93μm(5%懸濁液)を3gの脱イオン水に添加した。HCl(0.1%)を使用して溶液のpHを3.5に調整し、水で3.5gまで満たした後に1.5gのフェネチロールを添加した。その混合物を手動で力強く30秒間振とうし、室温で静置した。
【0075】
c) 結果
約5mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部に沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0076】
例2: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表2】
【0077】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.2gのシリカ0.403μm(5%懸濁液)を計量した。0.1gのリシン(0.1%)を添加し、続いて3gの脱イオン水を添加した。NaOH(0.1%)を使用して溶液のpHを7に調整し、水で5gまで満たした後に5gのフェネチロールを添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0078】
c) 結果
約1mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部に沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0079】
例3: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表3】
【0080】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.2gのシリカ0.403μm(5%懸濁液)を計量した。0.05gのレシチンPC100(0.1%)を添加し、続いて2gの脱イオン水を添加した。NaOH(0.1%)を使用して溶液のpHを7に調整し、水で2.5gまで満たした後に2.5gのフェネチロールを添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0081】
c) 結果
約1mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部に沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0082】
例4: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表4】
【0083】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.2gのシリカ0.403μm(5%懸濁液)を計量した。0.05gのレシチンPC100(0.1%)を添加し、続いて2gの脱イオン水を添加した。NaOH(0.1%)を使用して溶液のpHを7に調整し、水で2.5gまで満たした後に2.5gのフレグランスAを添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0084】
c) 結果
約2mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の上部でクリーム状になり、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0085】
例5: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表5】
【0086】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.2gのシリカ0.403μm(5%懸濁液)を計量した。0.05gのレシチンPC100(0.1%)を添加し、続いて2gの脱イオン水を添加した。NaOH(0.1%)を使用して溶液のpHを7に調整し、水で2.5gまで満たした後に2.5gの混合フレグランスA/クエン酸トリエチル=50/50を添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0087】
c) 結果
約2mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0088】
例6: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表6】
【0089】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.2gのシリカ0.403μm(5%懸濁液)を計量する。0.5gのアルギニン(1%)を添加し、続いて1.5gの脱イオン水を添加する。HCl(0.1%)およびNaOH(0.1%)を使用して溶液のpHを5.7に調整し、水で2.5gまで満たした後に2.5gの混合フレグランスA/クエン酸トリエチル=35/15を添加する。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置する。
【0090】
c) 結果
約1mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られる。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られる。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0091】
例7: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表7】
【0092】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.02gのマイカ粒子を計量し、5gまで水で満たした。5gの混合フレグランスA/Cetiol Ultimate/O-アセチルクエン酸トリブチル=10/2/20を水相に添加し、その混合物を手動で30秒間振とうして、室温で静置した。
【0093】
c) 結果
約3mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の上部にクリーム状になり、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0094】
例8: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表8】
【0095】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.003gのLaponite(登録商標)RDを計量した。重量が2.5gになるまで脱イオン水で満たした。溶液のpHをHCl(0.1%)を使用して7に調整した。水相を5秒間音波処理した後、7.5gの混合フレグランスB/クエン酸トリエチル/O-アセチルクエン酸トリブチル/Cetiol(登録商標)Ultimate=26/30/34/10を添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0096】
c) 結果
約3mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0097】
例9: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表9】
【0098】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.002gのLaponite(登録商標)RDを計量した。重量が2.5gになるまで脱イオン水で満たした。溶液のpHをHCl(0.1%)を使用して7に調整した。水相を5秒間音波処理した後、7.5gの混合フレグランスB/クエン酸トリエチル/Cetiol(登録商標)Ultimate=26/64/10を添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0099】
c) 結果
約1mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0100】
例10: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表10】
【0101】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.05gのLaponite(登録商標)RDを計量した。重量が2.5gになるまで脱イオン水で満たした。溶液のpHをHCl(0.1%)を使用して7に調整した。水相を5秒間音波処理した後、7.5gの混合フレグランスB/クエン酸トリエチル/O-アセチルクエン酸トリブチル/Cetiol(登録商標)Ultimate=26/44/20/10を添加した。溶液を超音波プローブ(Hielscher UP400S)を使用して30秒間音波処理し、室温で静置した。
【0102】
c) 結果
約10mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。エマルションはそのままで噴霧できる。
【0103】
例11: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表11】
【0104】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.025gのCalofort(登録商標)Uを計量した。重量が2gになるまで脱イオン水で満たした。水相を5秒間音波処理した後、8gの混合フレグランスB/クエン酸トリエチル=26/74を添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0105】
c) 結果
約3mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0106】
例12: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表12】
【0107】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.02gのアマランサス粉を計量した。重量が3gになるまで脱イオン水で満たした。水相を5秒間音波処理した後、7gの混合フレグランスB/O-アセチルクエン酸トリブチル=26/74を添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0108】
c) 結果
約1mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0109】
例13: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表13】
【0110】
b) プロセス
20mlのガラスバイアル内で、0.04gのアマランサス粉を計量した。重量が2gになるまで脱イオン水で満たした。水相を5秒間音波処理した後、8gの混合フレグランスB/クエン酸トリエチル/Dowanol(商標)TPM=26/30/44を徐々に添加した。その混合物を30秒間ボルテックスし、室温で静置した。
【0111】
c) 結果
約1mmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。液滴が試料の底部にゆっくりと沈降し、魅力のある視覚的効果が得られた。エマルションはそのまま噴霧することができ、または使用前に手動で振とうして、振とう後に初期の外観に戻すことができる。
【0112】
例14: 本発明による組成およびプロセス
a) 組成
【表14】
【0113】
b) プロセス
100mlのガラスバイアル内で、1gのCalofort(登録商標)Uを計量した。重量が30gになるまで脱イオン水で満たした。水相を5秒間音波処理した後、20gの混合フレグランスB/O-アセチルクエン酸トリブチル=50/50を添加した。音波処理を再度30秒間行い、手動で10秒間振とうし、再度30秒間、最大周波数で音波処理した(H14プローブ、Hielscher UP400S)。次いでそのエマルションを、0.4%のSepimax(商標)ゲル50gに、ゆっくりと機械的に撹拌しながら穏やかに添加した。
【0114】
c) 結果
約10μmのサイズの油滴を有するエマルションが得られた。得られた乳状のエマルションはローションまたはバームとして使用でき、または噴霧することもできる。
【0115】
この文書内全体で引用される刊行物は、参照をもってその全文が含まれるものとする。本発明の様々な態様が上記で例および好ましい実施態様を参照することによって説明されたが、本発明の範囲は前述の説明によって定義されるのではなく、特許法の原則の下で適切に解釈される以下の特許請求の範囲によって定義されることが理解される。
【国際調査報告】