(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】中性子捕捉療法システム及びその中性子発生部の回収方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240311BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61N5/10 H
G21K5/02 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560368
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2022084324
(87)【国際公開番号】W WO2022206883
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110349074.6
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲貢▼秋平
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC05
4C082AC07
4C082AE01
4C082AG43
4C082AR01
4C082AR05
(57)【要約】
中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビームを発生させる加速器、荷電粒子ビームを輸送する輸送装置、荷電粒子ビームと反応して中性子ビームを発生させる中性子発生部、中性子ビームにエネルギースペクトル調整を行うビーム整形体及びガイド装置を含み、輸送装置は、第1輸送部と、第1輸送部に取り外し可能に接続された第2輸送部とを少なくとも含み、第1輸送部は、第1位置及び第2位置を含み、ガイド装置は、第1輸送部及び中性子発生部を第1位置から第2位置に移動させるようにガイドし、第1輸送部が第1位置にある場合、第1輸送部に設けられた中性子発生部は、ビーム整形体内に収容され、第1輸送部が第2位置にある場合、第1輸送部に設けられた中性子発生部は、ビーム整形体から分離される。このように、作業者と中性子発生部との安全距離を維持し、作業者と放射線との接触時間を減少させ、中性子発生部を回収するために安全で信頼性が高くかつ安定的な解決手段を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを発生させる加速器と、
荷電粒子ビームを輸送する輸送装置と、
荷電粒子ビームと反応して中性子ビームを発生させる中性子発生部と、
中性子ビームにエネルギースペクトル調整を行うビーム整形体と、
ガイド装置と、
を含み、
前記輸送装置は、第1輸送部及び第2輸送部を少なくとも含み、前記第1輸送部と前記第2輸送部とが取り外し可能に接続され、前記中性子発生部は、前記第1輸送部に設けられ、かつ、前記第1輸送部は、第1位置及び第2位置を含み、前記ガイド装置は、前記第1輸送部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるようにガイドすることができ、前記第1輸送部が前記第1位置にある場合、前記中性子発生部は、前記ビーム整形体内に収容され、荷電粒子ビームと反応して中性子を発生させることができ、前記第1輸送部が前記第2位置にある場合、前記中性子発生部と前記ビーム整形体とは、互いに分離する、ことを特徴とする中性子捕捉療法システム。
【請求項2】
前記ガイド装置は、第1ガイド部及び第2ガイド部を含み、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部のガイド方向が異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項3】
前記第1ガイド部の所在する、地面に平行な平面内に、前記第2ガイド部の第1端と第2端との接続線の投影は、前記第1ガイド部と第1角度を形成し、前記第1ガイド部の所在する、地面に垂直な平面内に、前記第2ガイド部の第1端と第2端との接続線の投影は、前記第1ガイド部と第2角度を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項4】
前記第2ガイド部は、2つのガイドレールを少なくとも含み、そのうちの1つの固定レールが前記第1ガイド部に取り外し可能に接続され、別の可動レールが前記固定レールに回転可能に接続される、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項5】
前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部を前記第1位置に外すことができ、
駆動フレーム及び動力構造を含む駆動装置をさらに含み、
前記駆動フレームは、前記第1輸送部及び前記中性子発生部を載置し、前記動力構造は、駆動力を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項6】
前記ガイド装置によりガイドされた前記第1輸送部及び前記中性子発生部を収容する移動可能な放射遮蔽装置をさらに含み、
前記ガイド装置は、前記移動可能な放射遮蔽装置内に固定的に収容された第3ガイド部をさらに含む、ことを特徴とする請求項2又は5に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項7】
前記移動可能な放射遮蔽装置は、前記放射遮蔽装置を予め設定された位置に移動させてロックすることにより、前記第2ガイド部と前記第3ガイド部との位置合わせ及び接続を実現することができる位置決めシステムをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項8】
前記放射遮蔽装置は、放射遮蔽材料で製造され、開閉可能な部材を含み、
前記開閉可能な部材が開かれる場合、前記放射遮蔽装置は、収容開口を形成し、前記輸送装置の前記第1輸送部が、まず前記収容開口から前記放射遮蔽装置内に入った後、前記中性子発生部は、前記収容開口から前記放射遮蔽装置内に入り、
前記開閉可能な部材が閉じる場合、前記放射遮蔽装置は、密閉された遮蔽空間を形成して前記中性子発生部の放射漏れを防止する、ことを特徴とする請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項9】
前記移動可能な放射遮蔽装置は、緩衝装置をさらに含み、
前記緩衝装置は、前記第1輸送部が前記緩衝装置と接触した後に弾性変形して前記第1輸送部及び/又は前記放射遮蔽装置の損傷を回避することができる、ことを特徴とする請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項10】
有線又は無線の接続により、駆動装置及び/又は移動可能な放射遮蔽装置を遠隔制御することができる制御部をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項11】
前記中性子発生部又は前記第1輸送部に接続された補助配管をさらに含む請求項1に記載の中性子捕捉療法システムの中性子発生部の回収方法であって、
前記第1輸送部と前記第2輸送部を分解するステップと、
前記補助配管と前記中性子発生部との接続を切断するステップと、
第1動力を前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部に印加することにより、前記第1輸送部が前記ガイド装置に沿って前記第1位置で前記ビーム整形体から分離するステップと、
第2動力を前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部に印加することにより、前記第1輸送部が、再び前記ガイド装置に沿って移動し、回収位置に到達するまで停止するステップと、を含む、ことを特徴とする中性子発生部の回収方法。
【請求項12】
前記中性子捕捉療法システムは、開口が設けられた遮蔽装置をさらに含み、前記遮蔽装置が閉状態にある場合で、前記第1輸送部は、前記開口を貫通する、ことを特徴とする請求項11に記載の中性子発生部の回収方法。
【請求項13】
前記遮蔽装置が閉状態にある場合で前記開口を介して行われる、ことを特徴とする請求項12に記載の中性子発生部の回収方法。
【請求項14】
前記遮蔽装置には補助ドアが設けられ、前記補助ドアは、閉じる時に前記遮蔽装置の前記開口を少なくとも部分的に遮蔽し、かつ前記遮蔽装置の前記開口の箇所に設けられた前記第1輸送部、前記ガイド装置及び前記補助配管の外形に合わせる開孔を有し、前記中性子発生部の回収方法は、前記遮蔽装置が閉状態にあるとともに前記補助ドアが開状態にある場合で、前記開口を介して行われる、ことを特徴とする請求項12に記載の中性子発生部の回収方法。
【請求項15】
前記中性子捕捉療法システムは、回収された前記中性子発生部を収容する放射遮蔽装置と、前記遮蔽装置によって仕切られた第1空間及び第2空間とをさらに含み、前記ガイド装置に放射防止保護カバーが設けられ、前記中性子発生部は、前記第1空間内に位置し、前記第2輸送部は、前記第2空間内に位置し、前記中性子発生部の回収方法は、
第1動力を前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部に印加する前に、
前記放射遮蔽装置を前記第2空間に移動させ、かつ予め設定された位置に応じて固定するステップと、
前記放射遮蔽装置の開閉部材を開くステップと、
前記ガイド装置上の前記放射防止保護カバーを取り外すステップと、をさらに含み、
第2動力を前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部に印加した後に、
前記第1輸送部を前記ガイド装置に沿って前記放射遮蔽装置の内部に移動させるステップと、
前記放射遮蔽装置の開閉部材を閉じるステップと、
前記放射防止保護カバーを前記ガイド装置に覆うステップと、
前記放射遮蔽装置を前記第2空間から押し出すステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の中性子発生部の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、放射性放射線照射システムに関し、特に中性子捕捉療法システムに関し、本発明の他の態様は、放射性放射線照射システムの放射性消耗品の回収方法に関し、特に中性子捕捉療法システムの中性子発生部の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビームなどの放射線療法は、既にがん治療の主な手段の1つとなった。しかしながら、従来の光子又は電子療法は、放射線そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路での数多くの正常組織に損傷を与える。また、腫瘍細胞の放射線に対する感受性の度合いが異なるため、従来の放射線療法は、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例えば、多形神経膠芽腫(glioblastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対する治療効果が高くない。
【0003】
腫瘍の周囲の正常組織への放射線損傷を軽減するすために、化学療法(chemotherapy)における標的療法の概念が、放射線療法に用いられ、また、放射線耐性の高い腫瘍細胞に対し、現在では、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法などの、生物学的効果比(relative biological effectiveness、RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている。このうち、中性子捕捉療法は、上記2つの概念を組み合わせたものであり、例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素含有薬剤が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、従来の放射線に比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
【0004】
加速器を用いる中性子捕捉療法システムでは、加速器により荷電粒子ビームを加速し、荷電粒子ビームは、ビーム整形体内の中性子発生部の原子核間クーロン斥力を克服するのに十分なエネルギーまで加速され、中性子発生部と核反応を発生させて中性子を発生させるため、中性子を発生させる過程において、中性子発生部は、ハイパワーの加速荷電粒子ビームの照射を受け、中性子発生部の温度が大幅に上昇するため、中性子発生部の耐用年数に影響を与える。中性子を安定的に発生させるために、古い中性子発生部を回収してメンテナンスし、新しい中性子発生部に取り替える必要があるため、中性子発生部を定期的に交換する必要がある。高エネルギーレベルの加速荷電粒子ビームに照射された中性子発生部に必然的に大量の放射線が存在するため、中性子発生部を近距離で交換する場合、十分な防護又は隔離措置がなければ、必然的に放射安全上の潜在的な危険が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様に係る中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビームを発生させる加速器、荷電粒子ビームを輸送する輸送装置、荷電粒子ビームと反応して中性子ビームを発生させる放射性消耗品を有する中性子発生部、中性子ビームにエネルギースペクトル調整を行うビーム整形体及びガイド装置を含み、輸送装置は、第1輸送部及び第2輸送部を少なくとも含み、第1輸送部と第2輸送部とが取り外し可能に接続され、中性子発生部は、第1輸送部の端部に設けられ、かつ、第1輸送部は、第1位置及び第2位置を含み、ガイド装置は、第1輸送部を第1位置から第2位置に移動させるようにガイドすることができ、第1輸送部が第1位置にある場合、第1輸送部の端部にある中性子発生部は、ビーム整形体内に収容され、荷電粒子ビームと反応して中性子を発生させることができ、第1輸送部が第2位置にある場合、中性子発生部とビーム整形体とは、互いに分離し、この場合、第1輸送部及び中性子発生部は、交換可能な状態にある。
【0006】
放射性消耗品を有する中性子発生部がビーム整形体内に位置する場合、ビーム整形体内の放射遮蔽は、中性子発生部から漏れた放射線を遮蔽して作業者への放射線照射を回避することができ、中性子発生部がビーム整形体から離脱した後、中性子発生部が作業空間に露出し、作業者の作業時間を短縮し、及び/又は作業者と中性子発生部との作業距離を延長することにより、中性子発生部が第1輸送部に連れて第1位置から第2位置に移動する過程において、中性子発生部から漏れた放射線が作業者に照射されることをできるだけ回避することを実現することができる。本発明の一態様に係る技術手段によれば、ガイド装置は、中性子発生部を第1作業位置から第2位置の放射遮蔽装置内に回収するように迅速で、安定的で、確実にガイドすることができ、中性子発生部を交換する操作過程において、作業者は、中性子発生部との間に十分な安全距離を維持し、さらには完全に隔離する作業条件を備えるため、過剰な放射傷害を効果的に回避する。
【0007】
好ましくは、ガイド装置は、第1ガイド部及び第2ガイド部を含み、第1ガイド部と第2ガイド部のガイド方向が異なる。本発明の1つの実施例によれば、操作室内の利用可能な空間が狭く、制限される場合、ガイド装置の第1ガイド部は、まず輸送装置の第1輸送部が輸送装置配置の第1方向に沿って移動し、次にガイド装置の第2ガイド部に入るようにガイドすることにより、第1方向に存在する可能性があるいくつかの施設及び障害を避け、このような配置は、操作室の小型化、コンパクト化に役立ち、空間の利用率を向上させ、敷地面積及び建築施工コストを低減する。
【0008】
好ましくは、第1ガイド部の所在する、地面に平行な平面内に、第2ガイド部の第1端と第2端との接続線の投影は、第1ガイド部と第1角度を形成し、第1ガイド部の所在する、地面に垂直な平面内に、第2ガイド部の第1端と第2端との接続線の投影は、第1ガイド部と第2角度を形成する。
【0009】
好ましくは、前記第2ガイド部は、2つのガイドレールを少なくとも含み、そのうちの1つの固定レールが第1ガイド部に取り外し可能に接続され、別の可動レールが前記固定レールに回転可能に接続される。
【0010】
好ましくは、前記可動レールは、ヒンジ接続構造により前記固定レールに接続され、かつ2つの位置を有し、可動レールが第1位置にある場合、可動レールは、固定レールとともに正常なガイド状態を維持し、可動レールが力を受けた後、可動レールが第2位置にある場合、可動レールは、固定レールに対して一定の角度を形成して移動し、その後に第1位置に自動的に戻ることができる。
【0011】
好ましくは、前記ガイド装置の材料の90%(重量パーセント)以上は、C、H、O、N、Si、Al、Mg、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種で構成される。
【0012】
好ましくは、前記第1ガイド部は、アルミニウム合金、マグネシウムアルミニウム合金、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料又はそれらの組み合わせを選択する。
【0013】
好ましくは、前記第2ガイド部の選択した材料は、第1ガイド部と同じであってもよく、第1ガイド部と異なる材料、例えば、ステンレス鋼、鉄質材料を選択してもよい。
【0014】
好ましくは、前記第2ガイド部の表面には、放射防止被膜を塗布してもよく、放射防止及び取り外し可能な保護カバーを増設してもよい。
【0015】
好ましくは、前記放射防止保護カバーの形状表面は、第2ガイド部の断面形状に合わせる。
【0016】
本発明の第2態様に係る中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビームを発生させる加速器、荷電粒子ビームを輸送する輸送装置、荷電粒子ビームと反応して中性子ビームを発生させる中性子発生部、中性子ビームにエネルギースペクトル調整を行うビーム整形体及びガイド装置を含み、前記輸送装置は、第1輸送部及び第2輸送部を少なくとも含み、第1輸送部と第2輸送部とが取り外し可能に接続され、中性子発生部は、第1輸送部に設けられ、前記中性子捕捉療法システムは、ガイド装置によりガイドされた第1輸送部及び中性子発生部を収容する移動可能な放射遮蔽装置をさらに含み、放射遮蔽装置は、ガイド装置に沿って移動する第1輸送部とその端部にある中性子発生部とを共に回収する。
【0017】
好ましくは、前記ガイド装置は、第1ガイド部及び第2ガイド部を含み、第1ガイド部と第2ガイド部のガイド方向が異なる。
【0018】
好ましくは、前記ガイド装置は、前記移動可能な放射遮蔽装置内に固定的に収容された第3ガイド部をさらに含む。
【0019】
好ましくは、前記第2ガイド部と第3ガイド部とは、取り外し可能に接続されるか、又は柔軟に位置合わせ接続することができ、輸送装置の第1輸送部を放射遮蔽装置内に入るようにガイドしやすい。
【0020】
好ましくは、前記放射遮蔽装置は、放射遮蔽材料で製造され、開閉可能な部材を含み、開閉可能な部材が開かれる場合、前記放射遮蔽装置は、収容開口を形成し、輸送装置の第1輸送部は、前記収容開口から前記放射遮蔽装置内に入り、開閉可能な部材が閉じる場合、前記放射遮蔽装置は、密閉された遮蔽空間を形成して中性子発生部の放射漏れを防止する。
【0021】
好ましくは、前記移動可能な放射遮蔽装置は、緩衝装置をさらに含み、前記緩衝装置は、第1輸送部が緩衝装置と接触した後に弾性変形し、弾性変形した後に第1輸送部の移動方向に逆の作用力を印加し、第1輸送部を放射遮蔽装置内に安全に停止させることにより、前記第1輸送部及び/又は前記放射遮蔽装置の損傷を回避することができる。さらに、中性子捕捉療法システムは、放射遮蔽装置を予め設定された位置に移動させて、ガイド装置との位置合わせ及び接続を実現することができる位置決めシステムを含む。位置決めシステムは、構造位置決め、三次元アルゴリズム位置決めなどの手段に基づいて位置を予めマークすることができることにより、放射遮蔽装置は、ガイド装置と位置合わせする理想的な位置に移動することができ、これにより、第1輸送部とその端部にある中性子発生部は、ガイド装置の末端に移動した後に放射遮蔽装置に確実に回収することができる。
【0022】
好ましくは、前記移動可能な放射遮蔽装置は、放射遮蔽装置を予め設定された位置に移動させることにより、第2ガイド部と第3ガイド部との位置合わせ及び接続を実現することができる位置決めシステムをさらに含む。
【0023】
好ましくは、前記中性子発生部は、ガイド装置に沿って第1輸送部よりも後で移動可能な放射遮蔽装置の収容開口に入り、中性子発生部が完全に移動可能な放射遮蔽装置に入った後、開閉可能な部材が閉じる。
【0024】
好ましくは、前記移動可能な放射遮蔽装置の開閉可能な部材が閉じた後、内部の真空引き環境又は不活性ガスの充填を実現するとともに、外部空気との物理的隔離を実現することができる。
【0025】
好ましくは、前記中性子捕捉療法システムは、有線又は無線の接続により、遠隔制御により移動可能な放射遮蔽装置の開閉可能な部材の開閉を実現することができる制御部をさらに含む。
【0026】
本発明の第3態様に係る中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビームを発生させる加速器、荷電粒子ビームを輸送する輸送装置、荷電粒子ビームと反応して中性子ビームを発生させる中性子発生部、中性子ビームにエネルギースペクトル調整を行うビーム整形体及びガイド装置を含み、前記輸送装置は、第1輸送部及び第2輸送部を少なくとも含み、第1輸送部と第2輸送部とが取り外し可能に接続され、中性子発生部は、第1輸送部に設けられ、かつ、前記第1輸送部は、第1位置及び第2位置を含み、前記ガイド装置は、第1輸送部を第1位置から第2位置に移動させるようにガイドすることができ、第1輸送部が第1位置にある場合、中性子発生部は、ビーム整形体内に収容され、荷電粒子ビームと反応して中性子を発生させることができ、第1輸送部が第2位置にある場合、中性子発生部とビーム整形体とは、互いに分離し、前記中性子捕捉療法システムは、動力を提供して第1輸送部をビーム整形体から分離させ、第1位置から外し、かつガイド装置に沿って移動させる駆動装置をさらに含む。
【0027】
好ましくは、前記中性子捕捉療法システムは、第1輸送部を輸送装置の配置方向に沿って安定的に支持する支持装置をさらに含む。
【0028】
好ましくは、前記ガイド装置は、第1ガイド部及び第2ガイド部を含み、第1ガイド部と第2ガイド部のガイド方向が異なる。
【0029】
好ましくは、前記駆動装置は、駆動フレーム及び動力構造を含み、駆動フレームは、第1輸送部及び中性子発生部を載置し、動力構造は、駆動力を提供する。
【0030】
好ましくは、前記中性子捕捉療法システムは、有線又は無線の接続により、遠隔制御により駆動装置の動力構造を実現することにより、第1輸送部と中性子発生部が第1位置と第2位置との間に移動するために動力を提供することができる制御部をさらに含む。
【0031】
好ましくは、前記駆動装置の駆動フレームは、少なくとも1組のローラ構造を含む。
【0032】
好ましくは、前記駆動装置の駆動フレームは、少なくとも2組のローラ構造を含み、かつ前記2組のローラの転動方向が異なる。
【0033】
好ましくは、前記駆動フレームの2組のローラの転動平面は、異なり、かつ互いに垂直である。
【0034】
好ましくは、前記駆動フレームの少なくとも2組のローラ構造は、ガイド装置の凹状及び/又は凸状スライドレールと組み合わせて輸送移動を実現し、かつ凹状及び/又は凸状スライドレールの構造と適合する1組又は2組のローラを任意に選択して転動輸送を実現することができる。
【0035】
さらに、中性子捕捉療法システムは、中性子発生部を冷却し、冷却管路を含む冷却装置をさらに含み、第1輸送部が第1位置にある場合、冷却管路は、連通状態にあり、冷却装置は、冷却作業を行い、第1輸送部が第2位置にある場合、冷却管路は、遮断状態にあり、冷却装置は、正常な作業を行うことができず、冷却装置は、第1輸送部とともに回収され取り替えられる。
【0036】
好ましくは、中性子捕捉療法システムは、検出回路を含む検出装置をさらに含み、第1輸送部が第1位置にある場合、検出装置は、接続状態にあることにより検出作業を行い、第1輸送部が第2位置にある場合、検出回路は、遮断状態にあることにより正常な作業を行うことができず、検出装置は、冷却装置、中性子発生部及び第1輸送部とともに回収され取り替えられる。ここでいう「検出装置」は、荷電粒子センサであってもよく、真空圧力センサ及び/又は中性子検出器などの、第1輸送部に取り付けられることに適する装置であってもよい。
【0037】
本願の第4態様に係る上記中性子捕捉療法システムの中性子発生部の回収方法では、前記中性子捕捉療法システムは、前記中性子発生部又は第1輸送部に接続された補助配管をさらに含み、前記中性子発生部の回収方法は、前記第1輸送部と前記第2輸送部を分解するステップと、前記補助配管と前記中性子発生部との接続を切断にするステップと、第1動力を中性子発生部が設けられた第1輸送部に印加することにより、前記第1輸送部がガイド装置に沿って第1位置で前記ビーム整形体から分離するステップと、第2動力を中性子発生部が設けられた第1輸送部に印加することにより、前記第1輸送部が、再び前記ガイド装置に沿って移動し、回収位置に到達するまで停止するステップと、を含む。
【0038】
好ましくは、前記中性子捕捉療法システムは、開口が設けられた遮蔽装置をさらに含み、前記遮蔽装置が閉状態にある場合で前記第1輸送部が前記開口を貫通する。
【0039】
さらに、前記中性子発生部の回収方法は、前記遮蔽装置が閉状態にある場合で前記開口を介して行われる。
【0040】
さらに、前記遮蔽装置には補助ドアが設けられ、前記補助ドアは、閉じる時に前記遮蔽装置の開口を少なくとも部分的に遮蔽し、かつ前記遮蔽装置の開口の箇所に設けられた前記第1輸送部、前記ガイド装置及び前記補助配管の外形に合わせる開孔を有し、前記中性子発生部の回収方法は、前記遮蔽装置が閉状態にあるとともに前記補助ドアが開状態にある場合で、前記開口を介して行われる。
【0041】
さらに、前記中性子捕捉療法システムは、回収された前記中性子発生部を収容する放射遮蔽装置と、前記遮蔽装置によって仕切られた第1空間及び第2空間とをさらに含み、前記ガイド装置に放射防止保護カバーが設けられ、前記中性子発生部は、前記第1空間内に位置し、前記第2輸送部は、前記第2空間内に位置し、前記中性子発生部の回収方法は、第1動力を前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部に印加する前に、前記放射遮蔽装置を前記第2空間に移動させ、かつ予め設定された位置に応じて固定するステップと、前記放射遮蔽装置の開閉部材を開くステップと、前記ガイド装置上の放射防止保護カバーを取り外すステップと、をさらに含み、第2動力を前記中性子発生部が設けられた前記第1輸送部に印加した後に、前記第1輸送部を前記ガイド装置に沿って前記放射遮蔽装置の内部に移動させるステップと、前記放射遮蔽装置の開閉部材を閉じるステップと、前記放射防止保護カバーを前記ガイド装置に覆うステップと、前記放射遮蔽装置を前記第2空間から押し出すステップと、をさらに含む。
【0042】
本出願の第5態様に係る上記中性子捕捉療法システムの中性子発生部の回収方法では、中性子捕捉療法システムは、回収作業時に閉じたままの遮蔽装置をさらに含み、遮蔽装置に開口が設けられ、該中性子発生部の回収方法は、遮蔽装置の開口を介して、中性子発生部に接続された冷却管路を遮断するステップと、第1動力を中性子発生部が設けられた第1輸送部に印加することにより、第1輸送部がガイド装置に沿って第1位置でビーム整形体から分離し、かつ遮蔽装置の開口に近接するように移動するステップと、第2動力を中性子発生部が設けられた第1輸送部に印加し、第1輸送部が、再びガイド装置に沿って移動し、回収位置に到達するまで停止するステップと、を含む。好ましくは、該中性子発生部の回収方法は、冷却管路を遮断するとともに、検出装置の検出回路及び他の接続路を遮断するステップをさらに含む。中性子発生部とビーム整形体とが分離する場合、中性子発生部の露出は、大きな放射をもたらし、回収時に遮蔽装置を閉じたままにし、作業者は、遮蔽装置上の開口のみにより中性子発生部の交換作業を行い、作業環境の放射漏れを大幅に低減し、作業の安全性を向上させる。
【0043】
本願の第6態様に係る上記中性子捕捉療法システムの中性子発生部の回収方法は、回収作業時に遮蔽装置を閉じたままにするステップと、遮蔽装置に補助ドアを設け、システムが運転する時に補助ドアを閉状態に維持するステップと、システムが中性子発生部を交換する必要があることを停止する場合、補助ドアを開き、補助ドア上の開口を介して、中性子発生部に接続された冷却管路を遮断するステップと、第1動力を中性子発生部が設けられた第1輸送部に印加することにより、第1輸送部がガイド装置に沿って第1位置でビーム整形体から分離し、かつ遮蔽装置の開口に近接するように移動するステップと、第2動力を中性子発生部が設けられた第1輸送部に印加することにより、第1輸送部が、再びガイド装置に沿って移動し、放射遮蔽装置内の回収位置に入るまで停止し、補助ドアを閉じるステップと、を含む。好ましくは、補助ドア上の開口の形状は、一般的に該開口の箇所に設けられた第1輸送部、ガイド装置及び付帯の管線路構造、真空弁などの形状に合わせ、形状は、楕円形、菱形、方形、さらには不規則形などの形状を含むが、これらに限定されない。
【0044】
本願の実施例では、作業者が放射性消耗品を交換する過程において強い放射物体環境に露出する時間を短縮し、作業者と中性子発生部に相対的に安全な操作距離を提供することにより、放射性消耗品を交換する操作過程において、作業者は、放射性消耗品との間に十分な安全距離を維持し、さらには完全に隔離する作業条件を備えることができ、これにより、作業者と放射線との接触を減少させ、放射安全上のリスクを減少させる。同時に、本願の実施例における放射性放射線照射システムに属する中性子捕捉療法システムは、構造がコンパクトであり、取り付けやすく、操作空間が制限される場合、実際の空間及び場所を効率的に利用し、敷地面積及び建築施工コストを低減し、中性子発生部に信頼性が高く、安定し、かつ安全な回収解決手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの平面概略図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの斜視図であり、第1位置にある輸送装置の第1輸送部及び閉状態にある放射遮蔽装置を示す。
【
図3】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの斜視図であり、第2位置にある輸送装置の第1輸送部及び開状態にある放射遮蔽装置を示す。
【
図4】
図1の実施例に係る中性子捕捉療法システムのガイド装置の上面概略図である。
【
図5】本発明の別の実施例に係る中性子捕捉療法システムの平面概略図である。
【
図6】
図5の別の実施例に係る中性子捕捉療法システムのガイド装置の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの駆動装置の駆動フレームのローラ群の断面概略図である。
【
図9a-9b】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムのガイド装置の放射防止保護カバーの使用概略図及び横断面概略図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの斜視図であり、遮蔽装置が閉状態にある場合、第1輸送部及び中性子発生部を回収する概略図を示す。
【
図11e】本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの放射遮蔽装置の補助ドア及びその開閉状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
中性子捕捉療法は、効果的ながん治療の手段として、近年ではその適用が増加しており、そのうち、ホウ素中性子捕捉療法が最も一般的なものとなった。ホウ素中性子捕捉療法に用いられる中性子は、原子炉又は加速器で供給することができる。本願の実施例は、加速器ホウ素中性子捕捉療法を例として、加速器ホウ素中性子捕捉療法のベースアセンブリは、一般的には、荷電粒子(例えば、陽子、デューテリウム核等)を加速する加速器、放射性消耗品を有する中性子発生部及び熱除去システムならびにビーム整形体を含む。加速荷電粒子と金属中性子発生部の作用により中性子を発生させ、必要な中性子収率及びエネルギー、提供可能な加速荷電粒子エネルギーと電流の大きさ、金属中性子発生部の物理化学などの特性に基づいて適切な核反応を選択する。常に検討されている核反応は7Li(p、n)7Beと9Be(p、n)9Bであり、この2つの反応は、いずれも吸熱反応であり、この2つの核反応のエネルギー閾値は、それぞれ1.881MeVと2.055MeVである。ホウ素中性子捕捉療法の理想的な中性子源は、keVエネルギーレベルの熱外中性子であるため、理論的には閾値を僅かに上回るエネルギーを持つ陽子を用いて金属リチウムの中性子発生部を衝撃すると、比較的低いエネルギーの中性子を発生させることができ、多くの減速処理を行わずに臨床的に使用することができるが、リチウム金属(Li)とベリリウム金属(Be)という2つの中性子発生部と閾値エネルギーの陽子との作用断面が高くなく、十分に大きな中性子束を発生させるために、一般的には、比較的高いエネルギー陽子を用いて核反応を開始させる。
【0047】
理想的な放射性消耗品を有する中性子発生部は、中性子収率が高く、発生した中性子のエネルギー分布が熱外中性子エネルギー領域(以下に詳細に説明する)近接し、あまり強い放射線の発生はなく、安全かつ安価で操作しやすく、かつ耐高温などの特性を有するが、実際には全ての要件を満たす核反応を見つけることは不可能である。本願の実施例では、リチウム金属で製造された中性子発生部を用いる。しかしながら、当業者によく知られているように、中性子発生部の材料は、上記で言及された金属材料以外の他の金属材料で製造することができる。
【0048】
熱除去システムに対する要件は、選択された核反応によって異なり、例えば7Li(p、n)7Beの場合、金属中性子発生部(リチウム金属)の低い融点と低い熱伝導率により、熱除去システムへの要件は9Be(p、n)9Bより厳しくなる。本願の実施例では、7Li(p、n)7Beの核反応を用いる。このことから分かるように、高エネルギーレベルの加速荷電粒子ビームの照射を受ける中性子発生部の温度は、必然的に大幅に上昇するため、中性子発生部の耐用年数に影響を与える。
【0049】
したがって、放射性放射線照射システムに属する中性子捕捉療法システムは、必然的に放射性消耗品を有する中性子発生部を交換するという問題がある。該問題を解決するとともに、作業者と放射線との接触をできるだけ減少させるために、本願の実施例に係る中性子捕捉療法システムは、中性子発生部を安定的で確実に回収し、輸送装置の方向及び中性子発生部の垂直方向に沿った操作空間が制限され、空間を効果的に利用し、輸送装置の方向の同じ水平高さの操作空間の干渉及び障害を回避し、輸送装置における陽子に対する加速装置を減少させ、操作空間の構造を縮小し、敷地面積及び建造コストを全体的に低減する。
【0050】
上記放射性消耗品を有する中性子発生部の交換問題を解決するとともに、作業者と放射線との接触をできるだけ減少させるために、本願の実施例は、中性子捕捉療法システムを提供する。
【0051】
作業者への主な放射は、荷電粒子ビームが放射性消耗品を有する中性子発生部に照射した後に核反応が発生することで発生した放射線に由来するため、本願の実施例の目的は、核反応が発生した後、耐用年数に達した後に回収する必要がある中性子発生部を取り外すことを説明し、新たな中性子発生部の取り付けに関しないことである。また、本発明の実施例に言及された上、下、水平及び垂直などの方位用語は、説明しやすいために、図示された方向に応じて部材間の位置関係を説明するものであり、その実質的な絶対方向を限定するものではない。
【0052】
以下、図面を参照して中性子捕捉療法システムの好ましい実施形態を説明する。
【0053】
図1及び
図2は、本発明の一実施例に係る中性子捕捉療法システムの平面概略図及び斜視図であり、
図1及び
図2に示すように、中性子捕捉療法システム100は、輸送装置10、放射性消耗品を有する中性子発生部20、ビーム整形体30、ガイド装置40、放射遮蔽装置50及び支持装置60を含む。中性子捕捉療法システム100は、第1空間R1及び第2空間R2を少なくとも含み、第1空間R1は、荷電粒子ビームPを発生させる加速器200、荷電粒子ビームPを輸送する輸送装置10の一部、輸送装置を支持する支持装置及び検出装置などを含む。荷電粒子ビームPの輸送方向は、輸送装置10の配置方向と一致し、輸送装置10は、第1空間R1及び第2空間R2を貫通し、第2空間R2は、システム全体のコア反応空間であり、相対放射量が大きく、第2空間R2は、遮蔽装置300により第1空間R1と物理的に遮断されるため、第1空間R1の放射量は、相対的に安全で制御可能な範囲内にある。遮蔽装置300は、1つの遮蔽ドア301及び/又は302を少なくとも含み、さらに、遮蔽装置300が閉状態にある場合で輸送装置10を貫通させる1つの開口303を少なくとも含む。示された実施例では、輸送装置10の内部は、真空状態であり、かつ第1輸送部11及び第2輸送部12を少なくとも含み、第1輸送部11と第2輸送部12とは、取り外し可能に接続される。第1輸送部と第2輸送部の形状は、好ましくは中空管状であり、それらの断面形状は、円形、楕円形、菱形、方形、不規則形などの形状を含むが、これらに限定されず、遮蔽装置300の少なくとも1つの開口形状は、開口を貫通する輸送部などの形状に合わせてもよく、円形、楕円形、菱形、方形、不規則形などの形状を含むが、これらに限定されない。放射性消耗品を交換し、輸送装置を分解する過程において、輸送装置の第1輸送部及び第2輸送部は、好ましくは、真空状態を維持することができる。第2空間R2は、輸送装置10の第1輸送部11と、輸送装置10の一端の端部に設けられ、荷電粒子ビームPと反応して中性子ビームNを発生させる中性子発生部20と、中性子ビームNにエネルギースペクトル調整を行うビーム整形体30と、を含む。輸送装置10は、加速器200により加速された荷電粒子Pを第1空間R1から第2空間R2の中性子発生部20に輸送し、加速器200は、荷電粒子Pをターゲットの原子核力を克服するのに十分なエネルギーまで加速し、中性子発生部20と
7Li(p、n)
7Be核反応を発生させて中性子を発生させ、中性子は、ビーム出口から出射する中性子ビームNを形成する。ビーム整形体30は、一般的に、体積が大きく、移動することに適せず、埋め込まれた形式で壁体の内部に固定的に設けられ、減速体、熱中性子吸収体、放射遮蔽など(図面にいずれも示されていない)を含み、減速体の主材料は、一般的にフッ化アルミニウム及び任意のフッ化リチウム、アルミニウム、フッ化鉛、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム又はフッ化マグネシウムのうちの1種又は複数種の混合材料を選択し、そのうちのいくつかの材料は、脆性が大きいため、添加、取付プロセスに対する要求が高い材料であり、減速体は、中性子発生部20から発生した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、ずれた中性子が反射体により減速体に伝導されて熱外中性子ビームの強度を向上させ、熱中性子吸収体は、熱中性子を吸収して、治療時に線量が多すぎて浅層の正常組織に不必要な傷害をもたらすことを回避し、放射遮蔽は、漏れた中性子及び光子を遮蔽して非照射領域の正常組織の線量を減少させる。中性子捕捉療法システム100は、さらに第3空間R3を照射室として含み、条件に合致する中性子ビームは、ビーム出口から出射し、照射室に入って使用に備えることができる。
【0054】
図2は、第1空間R1と第2空間R2との間の遮蔽装置300が開かれた状態を示し、遮蔽ドア301及び/又は遮蔽ドア302が開かれる場合、この場合に第1空間R1は、第2空間R2と連通する。
図1を参照し、中性子捕捉療法システム100は、輸送装置の配置方向に沿って輸送装置10を安定的に支持する支持装置60及び/又は61を含む。支持装置60は、第1輸送部11の下部に設けられ、中性子発生部10が設けられた第1輸送部11の一端は、ビーム整形体30内に収容され、第1輸送部11は、第1位置L1にある。代替の実施例では、支持装置60は、さらに第1輸送部11の上方及び側方などの異なる方位に設けられて支持することができる。
【0055】
図1及び
図2に示すように、ガイド装置40は、支持装置60と第1輸送部11との間に設けられ(
図4を参照)、中性子捕捉療法システム100は、駆動装置70(
図7を参照)をさらに含み、ガイド装置40は、第1レール(第1ガイド部)41及び第2レール(第2ガイド部)42を含んでもよい。第1レール41は、基本的に輸送装置配置の第1方向に沿って延在し、第1方向は、荷電粒子ビームPの移動方向と基本的に逆であるか又は同じであり、第2レール42の第1端は、接続部43により第1レール41に接続され、第2端は、第2方向に沿って延在し、第2方向は、第1方向と異なり、すなわち、ガイド装置40は、少なくとも2つのガイド方向を有し、第2レール42と第1レール41とは、ガイド方向が異なり、このような配置は、コンパクトな建築内に応用することに役立つ。
図4に示すように、実施例では、第1レールの所在する、地面に平行な平面内に、第2レール42の第1端と第2端との接続線の投影は、第1レール41と第1角度、例えば、10°~150°、好ましくは、30°~90°を形成し、第1レールの所在する、地面に垂直な平面に、第2レール42の第1端と第2端との接続線の投影は、第1レール41と第2角度を形成する。第2レール42の延在方向は、第2輸送部12及び/又は第3輸送部13の支持装置61又はビーム分流装置などの他の構造を避けることができ、第1空間R1の輸送装置10配置の水平方向及び地面に垂直な垂直方向に沿った操作空間が制限される場合、限られた操作可能な空間を効率的に利用する。代替の実施例では、第2レール42は、第1レール41の所在する、地面に垂直な平面内に位置してもよい。第1レール41と第2レール42とは、接続部43により取り外し可能に接続され、第1レール41又は第2レール42と一体成形された構造であってもよい。それらの間が取り外し可能な接続構造である場合、接続部43は、接続ロッド、ロックキャッチ、凹凸バックルなどの構造であってもよく、第1レール41と第2レール42とを堅固に係止することにより、第1輸送部11が第1レール41から第2レール42にスムーズにスライドすることを実現することができる。第1レール41の延在長さが一定の安全距離を限定することにより、作業者は、該安全距離以外に位置したままで分解及びデバッグなどの作業を実現する。第2レール42は、少なくとも部分的に第1空間R1に位置し、好ましくは、第2レール42は、少なくとも2つの部分のレール421及び422をさらに含んでもよく、そのうちレール421の一端は、接続部43により第1レール41に固定接続され、レール422は、好ましくはヒンジ接続構造45によりレール421の他端にヒンジ接続され、かつ2つの位置を有し、第1位置は、固定レール421と正常なガイド状態を維持する位置であり、第2位置は、輸送過程において力を受けた後に第1位置に対して1つの角度を形成できる緩衝位置であり、その後にレール422は、自動的に回転して第1位置に復帰することができ、該柔軟なレール部は、輸送装置全体の靭性及び柔軟性を向上させることに役立ち、輸送作業を実現する場合、システム及び装置全体を剛性損傷から保護し、かつ後続の位置合わせ作業に役立つ。下向きに延在する第2レール42の一端の下方は、放射遮蔽装置50に向き、第2レール42は、放射遮蔽装置に接続されなくてもよく、少なくとも部分的に接続されてもよく、好ましくは、第2レール42の可動レール422は、放射遮蔽装置に回転可能に位置合わせられる。中性子がビーム整形体30において発生するため、周辺の材料が最も深刻に活性化され、ガイド装置部分は、放射量が相対的に大きいコア反応空間R2に設けられるため、ガイド装置の材料選択も慎重であるべきであり、深刻な活性化による迅速な損失を回避するために、一般的に中性子作用断面が小さいか又は中性子により活性化された後に生成した放射性同位元素の半減期が短い(1年未満)元素で構成され、例えば、放射が大きい部分のガイド装置の材料の90%(重量パーセント)以上は、C、H、O、N、Si、Al、Mg、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種で構成される。本実施例では、ガイド材料は、アルミニウム合金を選択すれば、アルミニウムは、中性子により活性化された後、半減期が短くなり、2.2分間だけであり、従来の鋼材に豊富な鉄、コバルト、ニッケルなどの元素は、中性子により活性化された後、半減期が長くなり、例えば、コバルト60の半減期が5.27年であり、アルミニウム合金を用いると、限られた時間内に中性子の活性化により誘導された放射性が大幅に低下し、二次放射による線量を合理的に抑制する以外に、将来の装置の解体に一層有利となる。ガイド装置の材料は、さらにアルミニウムマグネシウム合金であってもよく、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料又はそれらの組み合わせであってもよい。放射遮蔽装置50は、開閉可能な遮蔽板51、開閉可能な遮蔽板51により開かれて形成された収容開口52、移動部材53、及び内部にある緩衝装置54を含む。放射遮蔽装置50は、放射遮蔽材料で製造され、鉛(Pb)で製造された放射遮蔽装置などを含むが、これらに限定されない。放射遮蔽装置50の底部には、ホイール式移動部材53を有し、頂部には、遮蔽材料で製造された一枚の開閉可能な遮蔽板51が開閉可能な部材としてカバーされる。開閉可能な遮蔽板の開閉は、回転、スライドなどの開き方式を含むが、これらに限定されない。中性子発生部の交換作業を行う場合、作業者は、放射遮蔽装置50が外部空間から第1空間R1に移動し、予め設定された位置に位置決めされ、第2レール42の下端に位置合わせられて接続されるように制御する。本実施例では、地面には、放射遮蔽装置50を止めて位置決めすることができる位置決め部材55がさらに予め設けられる。代替の実施例では、移動部材は、予め敷設されたレール又は台車などであってもよく、位置決め部材は、1つ又は複数のマーク、ストッパ又は凹み構造などであってもよく、駆動装置は、一定の距離を隔てて制御されたフック、ロープ又はシリンダ、リニアモータ、チェーン式伝動構造などの形式であってもよく、同時に有線信号又は無線信号により制御されてもよく、放射遮蔽装置50は、立方体、球体などの形式を含むが、これらに限定されない。
【0056】
図3の実施例は、端部に中性子発生部20を有する第1輸送部11に対して交換作業を行う状態を示し、遮蔽装置300が開かれ、遮蔽ドア301及び/又は遮蔽ドア302が開かれ、この場合に第1空間R1と第2空間R2とが連通する。作業者は、放射遮蔽装置50の開閉可能な遮蔽板51を手動又は自動的に開き、第1レール41、第2レール42及び放射遮蔽装置50の接続及び位置状況を検査し、交換作業を行う。
図1に示すように、輸送装置10は、第3輸送部13をさらに含み、第1輸送部11と第2輸送部12とが分解され、第2輸送部12と第3輸送部13とが分解され、第2輸送部12を外すことにより輸送装置10全体の長さを変更し、このように端部に中性子発生部20を有する第1輸送部11をレールに沿って外すために退避空間を保留する。分解過程において、第3輸送部は、好ましくは、真空状態を維持してもよい。代替の実施例では、第2輸送部12は、第3輸送部13の一端に固定接続されてもよく、波形管又は伸縮管のような構造(図示せず)に設計されて、交換の操作空間を保留する。駆動装置70(
図7を参照)からの動力は、端部に中性子発生部20を有する第1輸送部11とビーム整形体30とを分離し、第1輸送部11は、第1レール41に輸送装置10配置の第1方向に沿って遮蔽ドア301及び遮蔽ドア302が開かれて形成した開口を通過することにより、第2レール42に移動し、重力又はレール動力の作用で、第2レール42の方向に沿って移動し続け、第1輸送部11は、開閉可能な遮蔽板51が開かれて形成した収容開口52に入り、この場合に第1輸送部11は、第2位置L2にある。放射遮蔽装置50の内部は、下向きにスライドする第1輸送部11及び中性子発生部20に対して緩衝作用を果たすことができる少なくとも1つの緩衝装置54を含み、第1輸送部11は、放射遮蔽装置50のキャビティ内に入って緩衝装置54と接触した後、緩衝装置は、弾性変形することにより、第1輸送部11及び中性子発生部20は、放射遮蔽装置50内に停止して収容され、第1輸送部及び中性子発生部と放射遮蔽装置との急速な衝突による損傷を回避する。代替の実施例では、中性子捕捉療法システム100の第2レール42の長さが短い場合、さらに第3レール44を含んでもよく、第3レール44は、一端が同様に接続部43により第2レール42に続されてもよく、他端が放射遮蔽装置50の内側に取り付けられ、より好ましい解決手段において、第2レール42に柔軟に回転するレール422構造がヒンジ接続され、該構造は、放射遮蔽装置50の内部にある第3レール44と連動して位置合わせすることに役立ち、接続部43に剛性接続する必要がないため、取付ステップを省く。第3レール44の底部近傍には、第1輸送部11及び中性子発生部20の移動方向に変形を発生させて逆の作用力を印加することにより、第1輸送部11及び放射遮蔽装置50を止めて保護する作用を果たすことができる緩衝シリンダ54が設けられ、緩衝シリンダ54の作用で、第1輸送部11及び中性子発生部20は、放射遮蔽装置50内に安全に留まる。代替の実施例では、緩衝装置は、さらにバネなどの異なる機械的緩衝構造であってもよく、ゴムパッド、エアバッグなどの弾性材料であってもよい。なお、第1輸送部11及び中性子発生部20が放射遮蔽装置50に優先的に入る部分は、放射性消耗品を有する中性子発生部20と反対側にあり、すなわち、最終的に回収作業を完了する場合、放射性消耗品を有する中性子発生部20は、放射遮蔽装置50の収容開口52により近接し、緩衝装置の遠位端に留まる。このような回収方向の設計は、放射性消耗品を有する該中性子発生部20の循環利用率の向上を重視し、ビーム整形体30内に位置する中性子発生部20は、より活発なリチウム金属(Li)及び/又はベリリウム金属(Be)で製造され、自体のコーティング膜の厚さが100ミクロン程度だけであり、衝突を受けた後に破壊されやすいため、中性子発生部20が最後に収容開口に入り、かつ緩衝装置の遠位端に留まる回収方向は、他の回収方向より安全であり、かつ中性子発生部を損傷しにくく、放射性消耗品を有する中性子発生部の重複利用率を大幅に向上させ、衝突を受けた後に不必要な放射漏れを回避し、同時に、中性子発生部20の方向を切り替える必要がなく、複雑な方向切替構造などを必要とせず、空間をさらに節約し、切替構造の故障などによる放射漏れを回避する。放射遮蔽装置50の内部は、さらに真空引き環境又は不活性ガスの充填を実現し、外部空気との物理的隔離機能を実現することにより、第1輸送部11及び中性子発生部20など又は他の反応性の高い元素を輸送し保存する安全性及び信頼性を向上させることができる。
【0057】
図5及び6は、本発明の別の実施例のガイド装置40’を示し、該ガイド装置40’は、第1レール41’及び第2レール42’を含み、第1レール41’は、基本的に輸送装置配置の第1方向に沿って延在し、第2レール42’の一端は、接続部43’により第1レール41’に接続され、第2レール42’は、上向きに延在する第2方向を限定する。第1空間R1の頂部は、操作可能な移動機械構造53’を含み、該移動機械構造53’は、放射遮蔽装置50’を支持して三次元計算又は人工調整により空間的な位置決めを実現し、予め設定された三次元位置決めマークに移動し、第2レール42’に接続され、放射遮蔽装置50’の底部には、操作可能に開かれて収容開口52’を形成する開閉可能な遮蔽板51’を有し、放射遮蔽装置50’の内側には、接続部43’により第2レール42’の他端に操作可能に位置合わせて接続される第3レール44’を有する。駆動装置70(
図7を参照)は、レールにより動力を輸送し、第1輸送部11及び中性子発生部20を第1位置L1から外し、第1レール41’に沿って第2レール42’を介して、放射遮蔽装置50内の第3レール44’に輸送し、かつ第2位置(図示せず)に到達するまで止めて固定する。第2レール42’と第3レール44’での接続部43’とは、操作可能に離脱し、開閉可能な遮蔽板51’は、操作可能に閉じて第1輸送部11及び中性子発生部20の回収作業を完了する。代替の実施例では、移動機械構造53’は、第1空間R1の側壁などの異なる位置にあってもよく、かつ第2レールは、実際の状況に応じて、第1レールの延在方向(すなわち輸送装置の配置方向)と異なる任意の他の方向に配置されてもよい。
【0058】
図7は、輸送装置10の第1輸送部11の概略図を示し、中性子捕捉療法システム100は、駆動構造70を含む以外に、さらに中性子発生部20を冷却する冷却装置80及び検出装置90を含む。駆動構造70は、動力を有し、さらに第1輸送部11及び中性子発生部20を載置する駆動フレーム72と、動力構造71とを含み、動力構造71は、電子又は空気圧接続ロッド、ロボット及びその構造、ロボットアームなどを含むが、これらに限定されず、
図1及び
図2に示すように、本発明の目的は、中性子発生部20とビーム整形体30とを分離した後、第2空間R2の環境照射線量が高い場合、作業者が放射露出空間R2から離れて無人操作の状況になり、関連動力構造の駆動を、作業者が無放射の安全領域Rで全体制御パネル400を操作することにより遠隔操作することである。作業者は、無放射の安全領域Rで全体制御パネル400を操作することにより遠隔操作を実現し、駆動装置70の動力構造71は、第1輸送部11及び中性子発生部20を載置する駆動フレーム72が移動するように駆動することにより、駆動フレーム72は、第1輸送部11及び中性子発生部20がビーム整形体30から分離し、かつガイド装置に沿って移動するように駆動し、第1輸送部11及び中性子発生部20が放射遮蔽装置50に移動する場合に、全体制御パネル400により緩衝装置54の空気圧レバーを駆動し、安全な回収を実現し、さらに全体制御パネル400を操作することにより、放射遮蔽装置50の開閉可能な遮蔽板51が閉じることを実現することで、回収作業を完了する。
図3に示すように、代替の実施例では、遮蔽装置300及び遮蔽装置上の補助ドアは、全体制御パネル400により遠隔の有線又は無線制御を実現することもできる。冷却装置80は、輸送装置10の端部に位置して中性子発生部20の平面と接触する管路と、輸送装置の配置方向に沿って上下に配置された2本の冷却管路とを含み、上下に配置された2本の冷却管路は、減速体に部分的に設けられてもよく、冷却管路は、コ型構造を呈し、外部冷却システムと連通し、中性子発生部20は、高エネルギーレベルの加速照射を受けて温度が上昇し発熱し、冷却媒体が冷却管路を流れることにより中性子発生部20を効率的に冷却する。示された実施例では、検出装置90は、温度センサであってもよく、輸送装置10に沿って配置され、制御端に接続され、冷却装置のリアルタイムな温度を検出する検出回路を含む。代替の実施例では、検出装置は、第1輸送部11と中性子発生部20との反応が発生する前の荷電粒子ビームの状況を検出する荷電粒子センサであってもよく、第1輸送部11の真空度状況を検出する真空圧力センサであってもよく、核反応が発生した後に発生した中性子の状況を検出する中性子検出器であってもよい。検出装置90は、電子センサ、近接センサ、静電容量センサ、トランスジューサ又は他の形式のセンサを含むが、これらに限定されない。第1輸送部11が第1位置L1にある場合、冷却管路と外部冷却システムの管路とが連通し、冷却を実現できる状態にあり、検出回路と制御端の線路とが接続状態にあり、リアルタイムな監視とデータの伝送及びフィードバックを実現することができる。第1輸送部11が第2位置L2にある場合、冷却管路と外部冷却システムの冷却管路とが遮断され、検出回路と制御端の接続線とが遮断される。冷却装置及び部分的に遮断された管路、検出装置の部分的に遮断された線路は、いずれも第1輸送部に設けられ、第1輸送部11とともに第2位置に移動して回収されて取り替えられる。
【0059】
図8は、駆動構造70の駆動フレーム72が1組のローラを少なくとも含むことを示し、好ましい実施例では、2組のローラ73、74を少なくとも含む。
図1、
図4、
図6及び
図8に示すように、ガイド装置40は、レールベース46及び複数段のレールをさらに含み、好ましくは、第1レール、第2レール41、42は、レールベース46に敷設される。駆動フレーム72上の2組のローラ73及び74の転動平面が異なり、好ましくは、それらの転動方向も異なり、なお、単独の1組におけるローラの転動方向がいずれも一致するように維持される。ローラ群73とベース以上のレール部は、ローラと凸状レールとの組み合わせであり、ローラ群74とレールベース46は、ローラと凹状レールとの組み合わせであり、両者の異なる組み合わせモードは、異なる平面で転動し、かつ転動方向が互いに垂直であり、2つの次元でガイド作業全体の高度安定性を確実に保証することができることにより、後続のレールを切り替える場合、レールの整合性及び適応性、さらには1組又は2組のローラを任意に選択する柔軟性に大きく寄与する。好ましい実施例では、第2レール42の柔軟に回転可能なレール422構造部にレールベース46のみが設けられるため、レール422部に切り替える場合、ローラ群74のみがレール422部の凹状レールベース46のガイドと係合し、ローラ群73とレール422部の凸状レールのガイドとの係合が外れることにより、既に位置合わせされた放射遮蔽装置50の内部の第3レール44に入り、第3レール44がレール422部の凹状レールベース46と連動して位置合わせする。第1輸送部11及び中性子発生部20の重量が大きいことを考慮し、かつ本実施例におけるローラが凹状又は凸状レールと係合する方式を用いてガイド及び輸送を行うと、中性子により活性化されにくく、半減期が短い金属を考慮する以外に、ガイド装置の耐荷能力及び耐摩耗能力を総合的に考慮する必要があるため、アルミニウム合金又はアルミニウムマグネシウム合金を単一に選択する材料は、第1輸送部11及び中性子発生部20の大重量及びローラのガイドレールに対する摩耗に耐えることができない可能性がある。したがって、ガイド装置は、さらに剛性が大きい耐摩耗材料を選択し、その表面に、中性子活性化を防止し、かつローラ摩耗に耐えることができる被膜を被覆することにより、その活性化される確率を低下させるとともに、レールの耐用年数を延長することが考慮される。ガイドレールの複数の部分に断面応力分析を行うことにより分かるように、湾曲部分のレール断面が受ける荷重及び変形は、直線部分のレールよりはるかに大きく、第1レール41及び第2レール42の部分は、直線部分のレールであり、第2レール42の残りの部分は、ガイド方向の変更により湾曲部分を形成する必要があるため、材料の剛性、耐摩耗性に対する要求が高い。上記研究及び分析によれば、代替の実施例では、コア反応空間R2に位置し、ビーム整形体30に近接する直線ガイド部分は、アルミニウム合金、マグネシウムアルミニウム合金及び/又はその表面に耐摩耗性コーティングが被覆された材料を選択することが考慮されると、湾曲ガイド部分は、ステンレス鋼などの剛性が大きい材料を選択することが考慮され、表面に中性子活性化を防止し、かつローラ摩耗に耐えることができる被膜を被覆することが考慮され、又は
図9a及び9bに示すように、ホウ素含有PE及び/又はホウ素含有樹脂などの中性子又は光子の遮蔽材料のような放射防止材料を用いて形状が合わせるガイド構造の放射防止保護カバー47を製造し、放射性照射システムの運転過程において、該放射防止保護カバー47が常にガイド装置の活性化しやすい材料の表面に被覆されるように維持し、放射性消耗品を交換する場合、この場合に放射性照射システムの運転を停止すると、放射防止保護カバー47を取り外し、ガイドレールを正常に使用することができる。ガイド装置のレールには、需要に応じて複数の異なる材料を段階的に選択することにより、ガイド装置の耐用年数を大幅に延長し、その使用の信頼性を向上させることができる。
【0060】
図10は、中性子発生部を交換する別の実施例の概略図であり、該実施例は、第1空間R1と第2空間R2との間の遮蔽装置300が閉状態にある場合を示し、遮蔽ドア301及び/又は遮蔽ドア302が閉じた場合、第1空間R1と第2空間R2は、物理的に遮断され、ガイド装置40は、第1空間R1から遮蔽装置の開口303を通過して第2空間R2に貫入する。好ましくは、この状態で、作業者は、第1空間R1に位置し、より少ない放射の条件下で安全に操作して第1輸送部及び中性子発生部を回収することができる。
図3の実施例における同じステップのように、作業者は、交換作業の準備作業を行い、第2輸送部12の取り外しを完了し、第1レール41、第2レール42及び放射遮蔽装置50の接続及び位置状況の検査を完了する。本実施例では、好ましくは、作業者は、手又は他の物体により開口303のみを貫通して第1輸送部11上の冷却装置80及び検出装置90(
図7参照)に対応する配管を解体して切断し、好ましくは、第1輸送部11に他の空気圧装置(図示せず)の配管がある可能性もあり、同様に解体して切断された後、中性子発生部付きの第1輸送部11を遮蔽装置300の開口303に近接する第3位置(図示せず)に移動し、かつ中性子発生部が設けられた一端が常に第2空間R2内に位置するように維持する。駆動装置70(
図7を参照)からの動力又は作業者からの引張力などは、第1動力として第1輸送部11に印加されることにより、中性子発生部付きの第1輸送部11は、ストロークが小さい第1回移動を発生させ、ビーム整形体30から分離して離脱し、この場合に中性子発生部の露出により、第2空間R2の放射値が第1空間R1の放射値よりはるかに高く、注意すべきことは、人工方式で中性子発生部を分離すると、作業者が適切な防護措置を行い、かつ安全領域Rに迅速に退避すべきであることである。駆動装置70(
図7を参照)からの動力又は作業者からの引張力は、第2動力として再び印加されることにより、第1輸送部11は、第2動力の作用下で、第1レール41に輸送装置10配置の第1方向に沿ってストロークが相対的に大きい第2回移動を行い、閉状態に維持された遮蔽装置300上の開口303を支障なく完全に通過することにより、第1空間R1に位置する第2レール42に移動し、重力又はレール動力の作用下で、第2レール42の方向に沿って第2位置L2に移動し続ける。遮蔽装置300の開口303の形状は、円形、方形、さらには不規則形などであってもよく、好ましくは、中性子発生部付きの第1輸送部11及びガイド装置の断面に適合した形状であることにより、中性子発生部付きの第1輸送部11の水電気関連補助配管を遮断した後、遮蔽装置303をスムーズに通過し、かつ回収位置に移動し続けるとともに、放射の漏れを最大限低減することを保証することができる。遮蔽装置300の開口303に放射遮蔽材料で製造された遮蔽カバープレート(図示せず)がさらに設けられてもよく、正常に作業する場合、該遮蔽カバープレートは、開口303を遮蔽せず、上記ステップで中性子発生部を交換する場合、作業者は、補助配管を解体して遮断して、中性子発生部付きの第1輸送部11を外した後、移動可能な遮蔽カバープレートにより開口303を最大限遮蔽することにより、第2空間R2の放射の第1空間R1への漏れをさらに低減する。
【0061】
図11a~11eを参照し、第1空間R1と第2空間R2との間の遮蔽装置300は、閉状態にあり、遮蔽ドア301及び/又は遮蔽ドア302が閉じた場合、第1空間R1と第2空間R2は、物理的に遮断され、ガイド装置40は、第1空間R1から遮蔽装置の開口303を通過して第2空間R2に貫入する。
図10を参照し、好ましくは、遮蔽装置300の開口303に、補助ドア304が設けられ、上記移動可能な遮蔽カバープレートに類似し、補助ドア304は、固定部材305及び可動部材306を含み、可動部材306は、左右の2つの部分に分けられ、それぞれ遮蔽ドア301と302に固定された固定部材305に位置し、可動部材306を閉じる場合に中間に少なくとも1つの開口303’を有する。本実施例では、補助ドア304の少なくとも1つの開口303’の形状は、一般的に、該開口303’に設けられた第1輸送部11、ガイド装置40及び付帯の管線路構造、真空弁などの形状に合わせることにより、遮蔽装置300及び補助ドア304が閉じて中性子線の照射療法を行う場合、開口303’からの放射の漏れを低減し、形状は、楕円形、菱形、方形、さらには不規則形などの形状を含むが、これらに限定されない(
図11a~11e)。第1輸送部及び中性子発生部の回収作業を行う場合、補助ドア304のみを開き、遮蔽装置300を閉じたままにし、新たな第1輸送部及び中性子発生部を交換した後、補助ドア304を閉じ、或いは、第1輸送部及び中性子発生部の回収作業を行う場合、遮蔽装置300を開き、新たな第1輸送部及び中性子発生部を交換した後、遮蔽装置300及び補助ドア304を閉じる。上記補助ドア304は、遮蔽性能が高い材料で製造され、その可動部材306は、遮蔽ドア301及び302を閉じたままにする場合で、固定部材305の予め設定された経路に沿って開くか又は閉じることができ、このような柔軟で小型で、形状が合わせる補助ドアの設計は、中性子線の照射療法を行う場合、放射量をさらに低減することに役立ち、同時に、第1輸送部又はガイド装置に形状又は構造上の調整が現れる場合、人力と物力を消費して重くて大型の遮蔽ドアを改造する必要がなく、補助ドアを調整するか又はカスタマイズするだけでよいとともに、大型遮蔽ドアを移動するエネルギーを節約する。
【0062】
一実施例では、中性子発生部の回収方法は、具体的には、
放射遮蔽装置を第2空間に移動するステップS1と、
第1輸送部の真空維持状態で、第1輸送部と第3輸送部との間の第2輸送部を解体するステップS2と、
冷却管路、検出回路などの水電気関連補助配管を解体するステップS3と、
放射遮蔽装置を地面位置決め部材の位置に押し出し、止めてロックし、放射遮蔽装置を固定し、この場合に放射遮蔽装置の開閉部材を開くステップS4と、
ガイド装置上の放射防止保護カバーを取り外し、第2ガイド部を放射遮蔽装置内の第3ガイド部に接続し、かつ位置合わせするステップS5と、
作業者が第2空間から安全領域に退出するステップS6と、
全体制御パネル上の駆動装置のスイッチをトリガし、駆動動力構造により第1輸送部及び中性子発生部が取り付けられた駆動フレームを押し出し、ガイド装置に沿って放射遮蔽装置の内部に移動させるステップS7と、
全体制御パネル上の放射遮蔽装置の開閉部材の制御スイッチをトリガすることにより、開閉部材を閉じ、放射の漏れを防止するステップS8と、
放射防止保護カバーをガイド装置に覆うステップS9と、
地面位置決め部材をアンロックし、放射遮蔽装置を第2空間から押し出すステップS10と、
新たな中性子発生部を取り付け、第1、第2及び第3輸送部の接続を完了するステップS11と、
冷却管路、検出回路などの水電気関連補助配管を接続し、輸送装置をデバッグするステップS12と、を含む。
【0063】
本願に開示された中性子捕捉療法システムは、以上の実施例に記載の内容及び図面に示された構造に限定されず、例えば、
図5及び
図6の実施例は、いずれも遮蔽装置が開閉状態で中性子発生部を交換する操作ステップに適用され、輸送装置を取り外し可能に接続する構造は、高速クランプ構造により固定された構造であってもよく、ボルト及びナットにより固定された構造であってもよく、一部の輸送装置は、伸縮可能な波形管、折り畳み管及び伸縮管などに設けられる。また、第1輸送部をビーム整形体内から離脱して移動させるように駆動し、放射遮蔽装置を所定の位置に移動させるように制御し、開閉可能な遮蔽部材の開閉、レール突合わせ及び分離の方式は、手動又は重力による移動に限定されず、作業者の遠隔、近距離操作及び自動制御であってもよい。本願に基づいて、構成要素の材料、形状及び位置に対する明らかな変更、代替又は修正は、いずれも本願の特許請求の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】