(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備を動作させるための方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
B21B 41/12 20060101AFI20240311BHJP
B21B 37/00 20060101ALI20240311BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B21B41/12
B21B37/00 241
B21C51/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560376
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2022054180
(87)【国際公開番号】W WO2022207184
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021203357.1
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ダウベ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】キュンメル・ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンス・ホルガー
【テーマコード(参考)】
4E124
【Fターム(参考)】
4E124EE14
4E124EE16
4E124FF01
4E124GG05
(57)【要約】
本発明は、ストリップ(2)が、搬送ローラ(3)上で搬送方向に沿ってストリップ操作設備(1)を経て案内され、ストリップ操作設備(1)が、搬送方向に沿って少なくとも2つの連続するストリップ走行制御装置(4,5,6)を有し、ストリップ走行制御装置(4,5,6)が、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を検出して適合させるために形成されている、ストリップ(2)、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備(1)を動作させるための方法であって、センサ、特にストリップ操作設備(1)のストリップ走行制御装置(4,5,6)のセンサによって搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を検出するステップと、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置に影響を与えるストリップ(2)の特性をセンサによって検知するステップと、対応するストリップ(2)の点又はセグメントにストリップ(2)の検知された特性を対応付けるステップと、上流のセンサ、特に上流のストリップ走行制御装置(4,5,6)によって検知された、対応するストリップ(2)の点又はセグメントに関する特性に基づいて、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)にて搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を積極的に適合させるステップと、を有すること、を特徴とする方法に関する。本発明は、ストリップ(2)、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備(1)を動作させるための制御装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップ(2)が、搬送ローラ(3)によって搬送方向に沿ってストリップ操作設備(1)を経て案内され、ストリップ操作設備(1)が、搬送方向に沿って少なくとも2つの連続するストリップ走行制御装置(4,5,6)を有し、ストリップ走行制御装置(4,5,6)が、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を検出して適合させるために形成されている、ストリップ(2)、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備(1)を動作させるための方法であって、
センサ、特にストリップ操作設備(1)のストリップ走行制御装置(4,5,6)のセンサによって搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を検出するステップと、
搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置に影響を与えるストリップ(2)の特性をセンサによって検知するステップと、
対応するストリップ(2)の点又はセグメントにストリップ(2)の検知された特性を対応付けるステップと、
上流のセンサ、特に上流のストリップ走行制御装置(4,5,6)によって検知された、対応するストリップ(2)の点又はセグメントに関する特性に基づいて、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)にて搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を積極的に適合させるステップと、
を有すること、を特徴とする方法。
【請求項2】
上流のストリップ走行制御装置(4,5,6)から少なくとも搬送方向で下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)、好ましくは複数の下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)に、対応するストリップ(2)の点又はセグメントに関する検知された特性を転送するプロセスを有すること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ストリップ走行制御装置(4,5,6)から計算装置(9)に、対応するストリップ(2)の点及びセグメントに関する検知された特性を伝達するプロセスを有し、計算装置(9)が、対応する点及びセグメントに関する伝達された特性に基づいて、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を、ストリップ操作設備(1)を経てストリップ(2)を搬送するために最適化すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
最適化が、特に、ストリップ損傷を最小化し、ストリップ操作設備(1)による不均一なストリップ操作を回避し、ストリップ操作設備(1)の幅を最小化し、ストリップ操作設備(1)、特に搬送装置及びストリップ走行制御装置(4,5,6)への損傷を回避し、例えば事故に基づくストリップ操作設備(1)の不必要なダウンタイムを回避する又は同等の最適化目標のための機械学習の方法又はシミュレーションに基づくこと、を特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
搬送方向で下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)での搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の積極的な適合が、計算装置(9)の最適化に基づいて行なわれること、を特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
更に、計算装置(9)によって最適化された、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を、ストリップ走行制御装置(4,5,6)での対応するストリップ(2)の点又はセグメントの実際の位置と比較し、必要に応じてストリップ走行制御装置(4,5,6)によって搬送方向に対して横のストリップ(2)の実際の位置を適合させるステップを有すること、を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
計算装置(9)によって最適化された、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置と、対応するストリップ(2)の点又はセグメントの実際の位置との間の偏差を、最適化を改善するために計算装置(9)にフィードバックするプロセスを有すること、を特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更に、計算装置(9)によって搬送方向に対して横の現在のストリップ(2)の位置を最適化する際に、ストリップ操作設備(1)による他のストリップ(2)の処理に関する過去の最適化を考慮するプロセスを有すること、を特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ストリップ操作設備(1)による他のストリップ(2)の処理に関する過去の最適化に基づいて最適化アルゴリズムをトレーニングするプロセスを有すること、を特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
搬送方向で下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)での搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の積極的な適合が、上流のストリップ走行制御装置(4,5,6)にて実行された、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の適合を考慮すること、を特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ストリップ走行制御装置(4,5,6)が、実行された搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の適合を計算装置(9)に伝達し、計算装置(9)が、伝達された適合を搬送方向に対して横の位置の最適化時に考慮すること、を特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、特にストリップ操作設備(1)の搬送方向で第1のストリップ操作設備(4)で搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の積極的な適合及び/又は最適化をするため、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の積極的な適合時及び/又は計算装置(9)による搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の最適化時に、ストリップ操作設備(1)の上流の設備からの情報及び/又はデータを考慮するステップを有すること、を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
上流の設備が、熱間圧延機、冷間圧延機、酸洗機、溶接機、特に溶接機の4点センサ又は品質監視システム、コイラ装置(7)等から選択されていること、を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
更に、特にストリップ操作設備(1)の追跡システムに基づいて、ストリップ操作設備(1)内でのストリップ(2)の点又はセグメントの位置を決定するステップを有すること、を特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
2つのストリップ走行制御装置(4,5,6)の間で搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を検出し、検出された位置を上流のストリップ走行制御装置(4,5,6)、下流のストリップ走行制御装置(4,5,6)及び/又は計算装置(9)に伝達するステップを有すること、を特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ストリップ操作設備(1)の始端部における2つの連続するストリップ走行制御装置(4,5,6)の間の間隔が、ストリップ操作設備(1)の終端部におけるよりも小さい、特に、2つの連続するストリップ走行制御装置(4,5,6)の間の間隔が、搬送方向に増加すること、を特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
方法が、連続的に実施されること、を特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
更に、ストリップ走行制御装置(4,5,6)の情報、特に搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置の適合に関する現在の情報を考慮するプロセスを有すること、を特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ストリップ(2)が、搬送ローラ(3)によって搬送方向に沿ってストリップ操作設備(1)を経て案内され、ストリップ操作設備(1)が、搬送方向に沿って複数の連続するストリップ走行制御装置(4,5,6)を有し、ストリップ走行制御装置(4,5,6)が、搬送方向に対して横のストリップ(2)の位置を検出して適合させるために形成されている、ストリップ(2)、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備(1)を動作させるための制御装置において、
制御装置が、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法を実施するために形成されていること、を特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備を動作させるための方法に関する。本発明は、更に、ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備を動作させるための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ストリップの製造、操作及び処理時に、ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材は、搬送方向に操作設備を経て案内される。必要に応じて、材料ロール、いわゆるコイルに供給されたストリップは、ストリップ操作設備の入口で巻き戻される。操作設備による処理の後、加工されたストリップは、搬送を容易にするため、再びコイルに巻き取ることができる。
【0003】
この場合、ストリップは、搬送ローラによって操作設備を経て案内される。ストリップは、幾何学的形状に基づいて、搬送ローラ、特に転向ローラから横に、即ち搬送方向に対して横に移動する傾向を有する。搬送ローラでのストリップの位置を保証するため、操作設備は、搬送方向に沿って複数の連続する互いに離間したストリップ走行制御装置を有する。操作設備のストリップ走行制御装置の間の間隔は、数百メートル、例えば300~500mであり得、ストリップ走行制御装置は、典型的に互いに自立している。
【0004】
ストリップ走行制御装置は、搬送方向に対して横の搬送ローラの中心又は搬送方向に対して横の他の固定位置にストリップを保持するために使用される。これにより、操作設備によるストリップの均一な操作が保証され、ストリップ又は操作設備への損傷が回避される。
【0005】
即ち、ストリップ走行制御装置は、搬送方向に対して横のストリップの位置を検出して適合させるために形成されている。このため、ストリップ走行制御装置は、それぞれ、搬送方向に対して横のストリップの位置を決定するためのセンサと、搬送方向に対して横のストリップの位置を適合させるためのアクチュエータを有する。
【0006】
センサは、例えばストリップの一方又は両方の側縁を検出する。更に、従来技術から、誘導測定フレーム又は画像評価装置を含む画像センサが知られている。
【0007】
アクチュエータは、例えば、主搬送方向に対して横の運動成分をストリップに伝達する旋回可能なローラとして形成されている。ストリップ走行制御装置のセンサ及びアクチュエータは、センサデータに基づいてアクチュエータを制御する制御ロジックと接続されている。
【0008】
即ち、ストリップ走行制御装置は、それぞれセンサによってストリップ操作装置内での、即ち搬送方向に対して横のストリップの位置を検出する。センサデータから、ロジックは、目標位置からの、通常は搬送方向に対して横の搬送ローラの中心からのストリップの偏差を計算し、アクチュエータによって、搬送方向に対して横のストリップの位置の修正を惹起する。
【0009】
相応のストリップ走行制御装置は、例えば国際公開第2009030388号パンフレットに開示されている。
【0010】
しかしながら、公知の従来技術の場合、例えば連続的に操作すべきストリップを溶接する際の溶接シーム領域内のいわゆるドッグレッグのようなストリップ形状の急速な変化には問題がある。この場合、ストリップ位置の急速な変化と、それに伴うストリップ目標位置からの大きな偏差と急速な変化が生じる。ストリップ走行制御装置のロジックは、アクチュエータによる著しい修正によってこれに反応する。ストリップ走行制御装置のセンサとアクチュエータが部分的に数メートル互いに離間していることによって、問題は先鋭化される。従って、全体として、ストリップ形状が急速に変化する領域内で、ストリップのストリップ操作、ストリップ自体及び/又はストリップの位置決めにマイナスの影響を及ぼし得る著しい制御介入又は誤介入が生じる。
【0011】
受来技術における別の問題は、ストリップサーベルとも呼ばれる、ストリップの縦方向に対して横に大きい誤差を有する圧延材にある。ストリップが、縦方向に対して横にこのような移動を備える場合、次のストリップ走行制御装置まで、ストリップ目標位置からの著しい偏差が生じる。ストリップ目標位置は、通常はストリップ搬送ローラの中心に位置するので、縦方向に対して横の誤差の方向に応じて、ストリップ搬送ローラの中心に対して横の両方向に生じ得る。このような誤差を補償し得るため、従来技術では、搬送ローラの幅と、必要に応じてストリップ操作設備の内法の通路幅が、相応に拡大される。ストリップ操作設備が数百メートルの長さであり得るので、これにより著しい追加コストが生じる。
【0012】
更に、ストリップ操作時には、ストリップが操作時に所望の位置、特に搬送ローラの中心に存在しない場合にエラーが生じ得る。これは、特にインライン調質設備、コーター、熱処理装置又はトリミングシャーの場合がそうである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2009030388号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、前記の従来技術に基づいて、本発明の根底にある課題は、例えば溶接シームの領域内のいわゆるドッグレッグのようなストリップ形状の急速な変化と、例えばいわゆるストリップサーベルのようなストリップの縦方向に対して横の大きい誤差の両方のマイナスの影響を低減し、これにより、ストリップ及びストリップ操作設備への損傷を防止し、事故を回避し、付加的にストリップ操作設備の製造コストを低減する、ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備を動作させるための方法及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
課題は、本発明によれば、ストリップが、搬送ローラによって搬送方向に沿ってストリップ操作設備を経て案内され、ストリップ操作設備が、搬送方向に沿って少なくとも2つの連続するストリップ走行制御装置を有し、ストリップ走行制御装置が、搬送方向に対して横のストリップの位置を検出して適合させるために形成されている、ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備を動作させるための方法であって、
センサ、特にストリップ操作設備のストリップ走行制御装置のセンサによって搬送方向に対して横のストリップの位置を検出するステップと、
搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与えるストリップの特性をセンサによって検知するステップと、
対応するストリップの点又はセグメントにストリップの検知された特性を対応付けるステップと、
上流のセンサ、特に上流のストリップ走行制御装置によって検知された、対応するストリップの点又はセグメントに関する特性に基づいて、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置にて搬送方向に対して横のストリップの位置を積極的に適合させるステップと、
を有すること、を特徴とする方法によって解決される。
【0016】
本発明の意味のストリップは、特に金属ストリップ又は圧延材に一致する。搬送方向に対して横は、ストリップ平面内で搬送方向に対して垂直な移動に一致する。
【0017】
本発明によれば、搬送方向に対して横のストリップの位置は、適当なセンサによって検出される。これは、特に、ストリップ操作設備のストリップ走行制御装置のセンサである。センサは、例えばストリップの一方又は両方の側縁を検出する。更に、従来技術から知られた誘導測定フレーム又は画像評価装置を含む画像センサも使用することができる。
【0018】
その後、センサデータに基づいて、本発明によれば、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与えるストリップの特性が決定される。これは、特に、溶接シームの領域内のいわゆるドッグレッグ、ストリップサーベル又は同等のストリップ特性である。例えば、センサデータによって、ストリップのドッグレッグに一致する搬送方向に対して横のストリップの垂直方向の位置が急速に変化する場合が検知される。搬送軸に対して横のストリップの位置の変化がゆっくりかつ一定である場合、いわゆるストリップサーベルが検知される。即ち、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与えるストリップの不規則性が検知される。
【0019】
センサデータに基づいて、第1のストリップ走行制御装置は、別の情報が使用可能でない場合でも、制御介入を行ない、ストリップ走行制御装置の関連するアクチュエータによって搬送軸に対して横のストリップの位置を修正する。これは、ドッグレッグの場合には、ストリップ及び/又はストリップ操作設備、特に対応するストリップ走行制御装置にマイナスに作用することもある急激な変化を生じさせる。ストリップ走行制御装置のセンサとアクチュエータの間に通常はある程度の間隔があり、ストリップサーベルの場合のような一定の変化が常に制御遅延と関連付けられているので、ストリップは、ストリップ走行制御装置がストリップ位置を再びストリップ目標位置に修正する前に、まず、ストリップ目標位置から、即ち搬送方向に対して横の方向に走り出る。従って、搬送ローラの幅は、ストリップの実際の幅よりも大きく設計されなければならず、これは、特にストリップ操作設備が非常に長い場合に著しい追加コストを生じさせ得る。本発明の意味の搬送ローラは、個々のローラばかりでなく、搬送面を構成するための複数のローラを有する搬送領域にも関係する。
【0020】
搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与える本発明により認められる特性は、対応するストリップの点又はセグメントに対応付けられる。即ち、センサによって検出されかつその後評価されるデータは、対応するストリップの点又はセグメントに対応付けられる。
【0021】
本発明によれば、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置にて、上流のセンサ、特に上流のストリップ走行制御装置によって検知された、対応するストリップの点又はセグメントに関する特性に基づいて、搬送方向に対して横のストリップの位置が積極的に適合される。本発明の意味の積極的な適合は、特に、搬送方向に対して横のストリップの位置の実行すべき適合の早期の準備に関するので、適合は、検知されたストリップの特性の発生と共に実施され得る。これにより、さもなければ通常は生じる制御遅延が、著しく低減される。更に、検知された特性は、搬送方向に対して横のストリップの位置の急速な変化に関するにもかかわらず、積極的な適合は、搬送方向に対して横のストリップの位置のより均一な適合も含むこともできる。これにより、静粛走行が著しく改善される。更に、積極的な適合は、特に、非常に限定的な領域のために搬送方向に対して横にストリップの位置に影響を与える特性が急速かつ短期である場合には、搬送方向に対して横のストリップの位置の適合の不実行にも関し得る。
【0022】
即ち、本発明によれば、不必要又は急激な制御介入を回避し、ストリップの搬送を全体的により静粛なかつより調和したものにするために、検出及び評価されたストリップ走行制御装置のセンサデータに基づいて、早期に、即ち積極的に検知されたストリップ特性に反応がなされる。積極的な適合は、ストリップ走行制御装置によって最適な時点で実施することができるが、それは、検知された特性が、対応するストリップの点又はセグメントに対応付けられたものであり、ストリップ操作設備内の点又はセグメントの位置が、いつでも容易に決定可能であるからである。
【0023】
本発明のバリエーションによれば、方法は、上流のストリップ走行制御装置から少なくとも搬送方向で下流のストリップ走行制御装置、好ましくは複数の下流のストリップ走行制御装置に、対応するストリップの点又はセグメントに関する検知された特性を転送するステップを有する。従って、本発明による方法は、ストリップ走行制御装置の制御装置内で実行され、対応するデータは、上流のストリップ走行制御装置から、1つ又は複数の下流のストリップ走行制御装置に伝達される。これは、好ましくは、既存の通信手段を介して、更には例えば中央制御装置のような他の構成要素又は設備部分を利用して、行なうことができる。
【0024】
本発明の選択的又は付加的なバリエーションでは、方法は、ストリップ走行制御装置から計算装置に、対応するストリップの点及びセグメントに関する検知された特性を伝達するプロセスを有し、計算装置が、対応する点及びセグメントに関する伝達された特性に基づいて、搬送方向に対して横のストリップの位置を、ストリップ操作設備を経てストリップを搬送するために最適化する。特に、計算装置は、ストリップ操作設備全体を経るストリップの搬送を最適化し、全てのストリップ走行制御装置のために、搬送方向に対して横のストリップの位置の相応の積極的な適合を実行することができる。計算装置は、ストリップ操作設備を経てストリップを搬送するための全体的な最適化を可能にする。
【0025】
本発明の合目的なバリエーションによれば、最適化が、特に、ストリップ損傷を最小化し、ストリップ操作設備による不均一なストリップ操作を回避し、ストリップ操作設備の幅を最小化し、ストリップ操作設備、特に搬送装置及びストリップ走行制御装置への損傷を回避し、例えば事故に基づくストリップ操作設備の不必要なダウンタイムを回避する又は同等の最適化目標のための機械学習の方法又はシミュレーションに基づく。即ち、特に、ストリップ操作設備を経る搬送全体のためにストリップのストリップ目標位置を最適化するために、データ駆動モデルが利用される。
【0026】
本発明によるバリエーションによれば、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置での搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合が、計算装置の最適化に基づいて行なわれる。このため、最適化の結果は、計算装置から下流のストリップ走行制御装置に伝達され、最適化は、合目的に、全ての上流のストリップ走行制御装置のデータを考慮する。
【0027】
本発明の有利なバリエーションでは、方法は、計算装置によって最適化された、搬送方向に対して横のストリップの位置を、ストリップ走行制御装置での対応するストリップの点又はセグメントの実際の位置と比較し、必要に応じてストリップ走行制御装置によって搬送方向に対して横のストリップの実際の位置を適合させるステップを有する。即ち、各ストリップ走行制御装置のために、ストリップの実際の位置が、計算装置によって決定された最適化されたストリップの位置と比較され、偏差がある場合には相応に修正される。
【0028】
1つのバリエーションによれば、本発明による方法は、計算装置によって最適化された、搬送方向に対して横のストリップの位置と、対応するストリップの点又はセグメントの実際の位置との間の偏差を、最適化を改善するために計算装置にフィードバックするプロセスを有する。これら情報に基づいて、対応する搬送方向で下流のストリップ走行制御装置での搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合が、更に改善、特により均一に実行され得る。また、計算装置は、これら情報によって、最適化の品質及び精度を評価及び改善することができる。特に、機械学習のアルゴリズムは、このフィードバックによって更にトレーニングすることができる。
【0029】
本発明によるバリエーションによれば、方法は、計算装置によって搬送方向に対して横の現在のストリップの位置を最適化する際に、ストリップ操作設備による他のストリップの処理に関する過去の最適化を考慮するプロセスを有する。即ち、以前の最適化の経験が、現在の最適化の際に考慮される。搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与える検知された以前の特性が決定されるときに、以前の積極的な適合が、有効であるとわかった場合、これら積極的な適合は、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与える検知された特性が同等である場合、必要に応じて現在のストリップの特殊性を考慮するために、相応に又は修正された形態で適用することができる。
【0030】
特に合目的なバリエーションでは、本発明による方法は、ストリップ操作設備による他のストリップの処理に関する過去の最適化に基づいて最適化アルゴリズムをトレーニングするプロセスを有する。最適化するため、即ち搬送方向で下流のストリップ走行制御装置での搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合を決定するために使用されるアルゴリズムは、過去の、更にまた他の同等のストリップ操作設備からのデータセットによってトレーニングされる。これにより、使用される最適化アルゴリズムの初期の精度が改善される。
【0031】
本発明の有利なバリエーションによれば、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置での搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合が、上流のストリップ走行制御装置にて実行された、搬送方向に対して横のストリップの位置の適合を考慮する。以前のストリップ走行制御装置において行われた積極的な適合が有利であるとわかった場合、下流のストリップ走行制御装置での積極的な適合は、これを採用すること又は少なくとも独自の積極的な適合の基礎として使用することができる。これにより、ストリップ操作設備に沿ったストリップ走行制御装置の積極的な適合が改善され得る。これは、特に、搬送方向に対して横のストリップの位置を最適化するための計算装置と関連して有利であるが、それは、計算装置は、これによりストリップ操作設備全体を経るストリップの搬送を良好に最適化することができるからである。このため、計算装置は、ストリップ操作設備に沿った連続するストリップ走行制御装置の積極的な適合を互いに比較及び評価することができる。このバリエーションにより、特に、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与える検知された特性の変化を、ストリップ操作設備に沿って特定し、最適化の際に考慮することができる。例えば、ストリップ操作設備は、ストレッチャーレベラー、炉又は、ストリップの特性を変える、即ち搬送方向に対して横の位置に影響を与えるストリップの特性も変える他の装置を含む。ストリップ操作設備に沿った連続するストリップ走行制御装置の積極的な適合の考慮により、このような変化を検知し最適化の際に考慮することができる。
【0032】
別の好ましい本発明によるバリエーションによれば、方法は、特にストリップ操作設備の搬送方向で第1のストリップ操作設備で搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合及び/又は最適化をするため、搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合時及び/又は計算装置による搬送方向に対して横のストリップの位置の最適化時に、ストリップ操作設備の上流の設備からの情報及び/又はデータを考慮するステップを有する。合目的なバリエーションによれば、上流の設備が、熱間圧延機、冷間圧延機、酸洗機、溶接機、特に溶接機の4点センサ又は品質監視システム、コイラ装置等から選択されている。これにより、本発明による方法では、最適化時に考慮することができる、ストリップ操作設備内での加工前のストリップに関する情報及び/又はデータが、既に使用可能である。特に、これは、ストリップ操作設備の第1のストリップ走行制御装置での搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合を既に可能にする。例えば、上流の設備の情報及び/又はデータから、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与えるストリップの特性を決定することができる。上流の設備の情報及び/又はデータは、例えば、圧延機からの非対称性(楔、荷重差、非対称な圧下力、平坦度測定ローラの信号)、圧下システムからの情報(平坦化装置、ストレッチャーレベラー、調質圧延機)等である。
【0033】
合目的なバリエーションでは、本発明による方法は、更に、特にストリップ操作設備の追跡システムに基づいて、ストリップ操作設備内でのストリップの点又はセグメントの位置を決定するステップを有する。これにより、下流のストリップ操作設備が、ストリップが、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与える相応の特性を備えるちょうどの時点もしくは時間窓で最適化をするための積極的な適合を行なうことを保証することができる。位置決定は、例えば、ストリップ操作設備の駆動ローラ等による搬送速度の監視に基づく。
【0034】
有利な本発明によるバリエーションによれば、方法は、2つのストリップ走行制御装置の間で搬送方向に対して横のストリップの位置を検出し、検出された位置を上流のストリップ走行制御装置、下流のストリップ走行制御装置及び/又は計算装置に伝達するステップを有する。これにより、例えば、行なわれた積極的な適合が所望の結果を得たかどうかをチェックすることができる。また、下流のストリップ走行制御装置又は計算ユニットは、新たに発生した搬送方向に対して相対的なストリップの位置変化を検知し、下流のストリップ操作設備において又は一般に最適化時に考慮することができる。
【0035】
本発明の別の好ましいバリエーションによれば、ストリップ操作設備の始端部における2つの連続するストリップ走行制御装置の間の間隔が、ストリップ操作設備の終端部におけるよりも小さい、特に、2つの連続するストリップ走行制御装置の間の間隔が、搬送方向に増加する。これにより、ストリップ操作設備の始端部では、多くの情報が最適化のために使用可能であり、搬送方向に対して横のストリップの位置は、ストリップ操作設備の始端部で、より正確に設定することができる。ストリップの変調を補償するため、搬送長さの増加と共に、特に搬送方向に対して横のストリップの最適化された位置決めに関して、多くの情報が使用可能である。
【0036】
本発明の合目的なバリエーションでは、方法が、連続的に実施される。
【0037】
本発明の特に有利なバリエーションによれば、方法は、ストリップ走行制御装置の情報、特に搬送方向に対して横のストリップの位置の適合に関する現在の情報を考慮するプロセスを有する。考慮すべき情報は、例えばストリップ走行制御装置の搬送ローラの現在の迎え角、ストリップ走行制御装置の一部又は全部の位置調整又は同等の情報である。情報は、特に、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与えるストリップの特性の検知時又は搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合時に考慮される。
【0038】
別の本発明によるバリエーションでは、搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合時にストリップ走行制御装置での適合が考慮される。ストリップ走行制御装置の特性は、例えば部品の整備作業又は交換によって又は時間の経過による摩耗、即ち一般に長期変化によって変化し得る。
【0039】
課題は、更に、ストリップが、搬送ローラによって搬送方向に沿ってストリップ操作設備を経て案内され、ストリップ操作設備が、搬送方向に沿って複数の連続するストリップ走行制御装置を有し、ストリップ走行制御装置が、搬送方向に対して横のストリップの位置を検出して適合させるために形成されている、ストリップ、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備を動作させるための制御装置において、制御装置が、本発明による方法を実施するために形成されていること、を特徴とする制御装置によって解決される。
【0040】
以下で、本発明を図に図示した実施例によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明による方法を実行する、ストリップを処理するためのストリップ操作設備の概略図
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、ストリップ2、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備1の概略図を示す。ストリップ操作設備1内で、ストリップ2は、搬送ローラ3によって搬送方向に沿ってストリップ操作設備1を経て案内される。
図1からの実施例では、搬送方向は、水平に左から右へである。更に、ストリップ操作設備は、搬送方向に沿って少なくとも2つの連続するストリップ走行制御装置4,5,6を有する。
図1からの実施例によれば、ストリップ操作設備1は、全部でn個のストリップ走行制御装置4,5,6を有する。ストリップ走行制御装置4,5,6は、それぞれ、搬送方向に対して横のストリップ2の位置を検出して適合させるために形成されている。
【0043】
ストリップ2は、しばしば材料ロール、いわゆるコイルの形態で供給されるので、ストリップ操作設備1の入口には、しばしばデコイラ7が存在する。更なる搬送を容易にするため、ストリップ操作設備1の終端部には、ストリップ2を再びコイルに巻き取るためにコイラ8を配置することができる。
【0044】
ストリップ2は、搬送ローラ3によってストリップ操作設備1を経て案内される。個々の搬送ローラ3は、それぞれ、ストリップ2のための支持及び搬送面を構成する複数の別個のローラを有し得る。ストリップ2は、幾何学的形状に基づいて、搬送ローラ3、奥に転向ローラから横に、即ち搬送方向に対して横に移動する傾向を有する。ストリップ走行制御装置4,5,6は、搬送ローラ3でのストリップ2の位置を保証するために使用される。特に、ストリップ走行制御装置4,5,6は、搬送方向に対して横の搬送ローラ3の中心又は搬送奉納に対して横の他の固定位置にストリップを保持する。
【0045】
ストリップ走行制御装置4,5,6は、それぞれ、搬送方向に対して横のストリップ2の位置を決定するためのセンサと、搬送方向に対して横のストリップ2の位置ウィ適合させるためのアクチュエータを有する。
【0046】
センサは、例えばストリップ2の一方又は両方の側縁を検出する。更に、従来技術から、誘導測定フレーム又は画像評価装置を含む画像センサが知られている。
【0047】
アクチュエータは、例えば、主搬送方向に対して横の運動成分をストリップ2に伝達する旋回可能なローラとして形成されている。
【0048】
図1からのストリップ操作設備1は、
センサ、特にストリップ操作設備1のストリップ走行制御装置4,5,6のセンサによって搬送方向に対して横のストリップ2の位置を検出するステップと、
搬送方向に対して横のストリップ2の位置に影響を与えるストリップ2の特性をセンサによって検知するステップと、
対応するストリップ2の点又はセグメントにストリップ2の検知された特性を対応付けるステップと、
上流のセンサ、特に上流のストリップ走行制御装置4,5,によって検知された、対応するストリップ2の点又はセグメントに関する特性に基づいて、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置5,6にて搬送方向に対して横のストリップ2の位置を積極的に適合させるステップと、
を有する、ストリップ2、特に金属ストリップ又は圧延材を処理するためのストリップ操作設備1を動作させるための本発明による方法を実行する。
【0049】
図1からの実施例によれば、第1のストリップ走行制御装置4にて、搬送方向に対して横のストリップ2の位置が、適当なセンサ、特に第1のストリップ走行制御装置4のセンサによって検出される。センサデータにより、搬送方向に対して横のストリップの位置に影響を与えるストリップの特性が検知される。検知されたストリップの特性は、対応するストリップ2の点又はセグメントに対応付けられる。
【0050】
搬送方向で下流のストリップ走行制御装置5,6、即ち第2のストリップ走行制御装置5から第nのストリップ走行制御装置6にて、搬送方向に対して横のストリップ2の位置が、対応するストリップ2の点又はセグメントに関する検知された特性に基づいて積極的に適合され得る。
【0051】
このため、例えば、対応するストリップ2の点又はセグメントに関する検知された特性は、第1のストリップ走行制御装置4から、少なくとも搬送方向で下流の第2のストリップ走行制御装置5に、好ましくは全ての下流のストリップ走行制御装置6に転送される。選択的又は付加的に、対応するストリップ2の点及びセグメントに関する検知された特性は、ストリップ走行制御装置4,5,6から計算装置9に伝達される。計算装置9は、対応する点及びセグメントに関する伝達された特性に基づいて、搬送に対して横のストリップ2の位置を、ストリップ操作設備1を経てストリップ2を搬送するため、特にストリップ操作設備1全体を経てストリップ2を搬送するために最適化する。
【0052】
最適化は、例えば、特に、ストリップ損傷を最小化し、ストリップ操作設備による不均一なストリップ操作を回避し、ストリップ操作設備の幅を最小化し、ストリップ操作設備、特に搬送装置及びストリップ走行制御装置への損傷を回避し、例えば事故に基づくストリップ操作設備の不必要なダウンタイムを回避する又は同等の最適化目標のための機械学習の方法又はシミュレーションに基づく。
【0053】
この場合、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置5,6での搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合は、好ましくは計算装置9の最適化に基づいて行なわれる。この場合、計算装置9によって最適化された搬送方向に対して横のストリップ9の位置は、下流のストリップ走行制御装置5,6での対応するストリップ9の点又はセグメントの実際の位置と比較され、必要に応じて搬送方向に対して横のストリップ2の実際の位置が、ストリップ走行制御装置5,6によって適合される。計算装置9によって最適化された搬送方向に対して横のストリップ2の位置と、対応するストリップ2の点又はセグメントの実際の位置との間の検知された偏差は、最適化を改善するために計算装置9にフィードバックされる。
【0054】
計算装置9による搬送方向に対して横の現在のストリップ2の位置の最適化を改善するため、本発明によれば、ストリップ操作設備1による他のストリップ2の処理に関する過去の最適化を考慮することができる。特に、最適化アルゴリズムは、ストリップ操作設備1による他のストリップ2の処理に関する過去の最適化に基づいてトレーニングすることができる。
【0055】
本発明の好ましいバリエーションによれば、搬送方向で下流のストリップ走行制御装置5,6での搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合は、上流のストリップ走行制御装置4,5にて実行された、搬送方向に対して横のストリップ2の位置の適合を考慮する。このため、ストリップ走行制御装置4,5,6は、実行された搬送方向に対して横のストリップ2の位置の適合を計算装置9に伝達することができ、計算装置9は、伝達された適合を搬送方向に対して横の位置の最適化時に考慮する。
【0056】
特に有利なバリエーションによれば、方法は、搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合時及び/又は計算装置9による搬送方向に対して横のストリップ2の位置の最適化時に、ストリップ操作設備1の上流の設備からの情報及び/又はデータを考慮するステップを有する。これは、特にストリップ操作設備1の搬送方向で第1のストリップ操作設備4で搬送方向に対して横のストリップの位置の積極的な適合及び/又は最適化をするために有利である。上流の設備は、例えば、熱間圧延機、冷間圧延機、酸洗機、溶接機、特に溶接機の4点センサ又は品質監視システム、デコイラ装置7等から選択されている。
図1からの実施例によれば、特に、デコイラ装置7の情報を考慮することができるので、第1のストリップ走行制御装置4で既に、搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合のための情報が使用可能である。
【0057】
本発明による方法は、更に、特にストリップ操作装置1の追跡システムに基づいて、ストリップ操作設備1内でのストリップ2の点又はセグメントの位置を決定する。
【0058】
本発明による方法は、更に、2つのストリップ走行制御装置4,5,6の間で搬送方向に対して横のストリップ2の位置を検出し、検出された位置を上流のストリップ走行制御装置4,5、下流のストリップ走行制御装置5,6及び/又は計算装置9に伝達するステップを有することができる。このため、好ましくは、搬送方向に対して横のストリップ2の位置を検出するための別個のセンサが使用される。特に、このようなセンサは、ストリップ操作設備1の始端部に配置することができるので、第1のストリップ走行制御装置4にて既に、搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合のための情報が使用可能である。
【0059】
本発明の有利な形態によれば、ストリップ操作設備1の始端部における2つの連続するストリップ走行制御装置4,5,6の間の間隔は、ストリップ操作設備1の終端部におけるよりも小さい、特に、2つの連続するストリップ走行制御装置4,5,6の間の間隔は、搬送方向に増加する。
【0060】
合目的に、本発明による方法は、連続的に実施される。
【0061】
更に、本発明による方法は、ストリップ走行制御装置4,5,6の情報、特に搬送方向に対して横のストリップ2の位置の適合に関する現在の情報を考慮するステップを有する。考慮すべき情報は、例えば、ストリップ走行制御装置4,5,6の搬送ローラの現在の迎え角、ストリップ走行制御装置の一部又は全部の位置調整又は同等の情報である。情報は、特に、搬送方向に対して横のストリップ2の位置に影響を与えるストリップ2の特性の検知時又は搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合時に考慮される。
【0062】
別の本発明によるバリエーションでは、搬送方向に対して横のストリップ2の位置の積極的な適合時にストリップ走行制御装置4,5,6での適合が考慮される。ストリップ走行制御装置4,5,6の特性は、例えば部品の整備作業又は交換によって又は時間の経過による摩耗、即ち一般に長期変化によって変化し得る。
【符号の説明】
【0063】
1 ストリップ操作設備
2 ストリップ
3 搬送ローラ
4 第1のストリップ走行制御装置
5 第2のストリップ走行制御装置
6 第nのストリップ走行制御装置
7 デコイラ
8 コイラ
9 計算装置
【国際調査報告】