(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】pcLEDのための薄型コンパクト波長変換構造
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240311BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01L33/50
G02B5/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560382
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022019322
(87)【国際公開番号】W WO2022211989
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベクテル,ハンス-ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】デブ,パリジャット
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェーン,ニールス イェルン
【テーマコード(参考)】
2H148
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148AA07
2H148AA18
2H148AA19
5F142AA42
5F142BA32
5F142CB23
5F142DA14
5F142DA34
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB24
5F142DB33
5F142FA24
5F142GA01
5F142GA29
(57)【要約】
本明細書は、波長変換構造が透明基板上に高充填密度で配置された蛍光体粒子の1つ以上の層を含むpcLEDを開示する。粒子は、蛍光体粒子層を機械的に安定化し、蛍光体粒子間に熱伝導性接続を提供する無機非吸収層でコーティングされる。波長変換構造は、ダイの発光面を蛍光体粒子層に接合する薄い接着層によって、ダイから離れた方向を向いた波長変換構造の透明基板と共に、半導体LEDダイに取り付けられる。このようなpcLEDを製造する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長変換構造であって:
透明基板と;
50%より大きい充填密度で前記透明基板上に配置された1つ以上の蛍光体粒子の層と;
前記蛍光体粒子を相互に及び前記透明基板に機械的及び熱的に接続する前記蛍光体粒子の層上の非吸収性無機材料のコーティングと;
を有する、波長変換構造;
発光面を有するLEDダイであって、前記発光面は前記波長変換構造内の前記蛍光体粒子の1つ以上の層に隣接し、前記発光面は前記透明基板から前記1つ以上の蛍光体粒子の層の反対側に配置されたLEDダイ;及び
前記LEDダイの前記発光面上に配置されて前記発光面を濡らし、前記発光面を前記蛍光体粒子の1つ以上の層に機械的及び光学的に接合する透明接着層;
を有する、pcLED。
【請求項2】
前記透明基板は、透明ガラス基板である又は透明ガラス基板を含む、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項3】
前記透明基板は、約5ミクロンから約2ミリメートルの厚さを有する、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項4】
前記透明基板は、1つ以上の光学コーティングを有する、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項5】
前記蛍光体粒子は、55%を超える充填密度で前記透明基板上に配置される、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項6】
前記蛍光体粒子は、60%を超える充填密度で前記透明基板上に配置される、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項7】
前記蛍光体粒子は、1μm≦d50≦30μmの中央直径d50を有する、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項8】
2層以上の蛍光体粒子のスタックを有し;
各層は、異なる組成及び他の層とは異なるピーク又は重心発光波長の蛍光体粒子を含み;
前記層は、ピーク又は重心放射波長の順に積層され、最短のピーク又は重心放射波長を有する層は前記透明基板に最も近く、最長のピーク又は重心放射波長を有する層は前記透明基板から最も遠い、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項9】
前記非吸収性無機材料はAl
2O
3である又はAl
2O
3を含む、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項10】
前記透明接着層は、シリコーンである又はシリコーンを含む、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項11】
前記透明接着層が、前記蛍光体粒子の1つ以上の無機コーティング層の細孔に浸透する、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項12】
前記透明接着層によって浸透されない前記蛍光体粒子のコーティング層内の細孔の体積が、コーティングされた前記蛍光体粒子の1つ以上の層の体積の1%以下である、
請求項1に記載のpcLED。
【請求項13】
前記透明基板は、透明ガラス基板である又は透明ガラス基板を含み;
前記蛍光体粒子は、1μm≦d50≦30μmの中央直径d50を有し;
前記非吸収性無機材料は、Al
2O
3である又はAl
2O
3を含み;
前記透明接着層は、シリコーンである又はシリコーンを含み、前記蛍光体粒子の1つ以上のコーティング層内の細孔に浸透する。
請求項1に記載のpcLED。
【請求項14】
前記透明接着層によって浸透されない前記蛍光体粒子のコーティング層内の細孔の体積が、コーティングされた前記蛍光体粒子の1つ以上の層の体積の1%以下である、
請求項13に記載のpcLED。
【請求項15】
pcLEDを作る方法であって、前記方法は:
波長変換構造であって:
50%を超える充填密度で透明基板上に配置された蛍光体粒子の1つ以上の層と;
前記蛍光体粒子を相互に及び前記透明基板に機械的及び熱的に接続する前記蛍光体粒子の層上の非吸収性無機材料のコーティングと;
を有する、波長変換構造を得る又は提供するステップ;
発光面を有するLEDダイを配置するステップであって、前記発光面は前記波長変換構造内の前記蛍光体粒子の1つ以上の層に隣接し、前記発光面は前記透明基板から前記蛍光体粒子の1つ以上の層の反対側にある、ステップ;及び
前記LEDダイの前記発光面上に配置されて前記発光面を濡らし、前記発光面を前記蛍光体粒子の1つ以上の層に機械的及び光学的に接合する透明接着層を用いて前記LEDダイの前記発光面を前記波長変換構造に取り付けるステップ;
を含む、方法。
【請求項16】
前記波長変換構造を得る又は提供するステップは:
50%を超える充填密度で前記透明基板上に前記蛍光体粒子の1つ以上の層を堆積するステップ;及び
前記蛍光体粒子の1つ以上の層を非吸収性無機材料でコーティングするステップ;を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記蛍光体粒子の1つ以上の層を堆積するステップは、沈降、電気泳動堆積、静電ダスティング、スピンコーティング、ブレードコーティング、印刷、又はそれらの組み合わせによって前記蛍光体粒子を堆積するステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蛍光体粒子の1つ以上の層を前記非吸収性無機材料でコーティングするステップは、原子層堆積、化学蒸着、ゾル-ゲルプロセス、又はそれらの組み合わせによって前記無機材料を堆積するステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光体粒子の1つ以上の層は、有機バインダーを用いて前記透明基板に堆積され、
前記バインダーを除去するために前記透明基板及び前記蛍光体粒子の1つ以上の層を加熱するステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記透明基板は、ガラス基板である又はガラス基板を含み;
前記バインダーを除去するために前記透明基板及び前記蛍光体粒子の1つ以上の層を加熱するステップは、前記透明基板及び前記蛍光体粒子の1つ以上の層を400°C以上の温度に加熱するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年3月31日出願の米国特許出願第17/218,847号に対する優先権の利益を主張しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、蛍光体変換発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体発光ダイオード及びレーザダイオード(ここでは総称して「LED」と呼ぶ)は、現在利用可能な最も効率的な光源の1つである。LEDの発光スペクトルは、典型的には、デバイスの構造及びそれが構成される半導体材料の組成によって決定される波長において単一の狭いピークを示す。デバイス構造及び材料システムの適切な選択により、LEDは、紫外、可視、又は赤外波長で動作するように設計され得る。
【0004】
LEDは、LEDによって放出される光を吸収し、応答してより長い波長の光を放出する1つ又は複数の波長変換材料(本明細書では概して「蛍光体」と称する)と組み合わせることがある。このような蛍光体変換LED(「pcLED」)の場合、蛍光体によって吸収されるLEDによって放出される光の割合は、LEDによって放出される光の光路における蛍光体材料の量、例えば、LED上又はその周囲に配置される蛍光体層における蛍光体材料の濃度及び層の厚さに依存する。
【0005】
蛍光体変換LEDは、LEDによって放出されるすべての光が1つ以上の蛍光体によって吸収されるように設計されることがあり、この場合、pcLEDからの放出は完全に蛍光体からである。このような場合、蛍光体は、例えば、LEDによって直接効率的に生成されない狭いスペクトル領域の光を放出するように選択されることがある。
【0006】
代替的には、pcLEDは、LEDによって放出される光の一部のみが蛍光体によって吸収されるように設計されることがあり、この場合、pcLEDからの放出は、LEDによって放出される光と蛍光体によって放出される光との混合である。LED、蛍光体、及び蛍光体組成の適切な選択により、このようなpcLEDは、例えば、所望の色温度及び所望の演色性を有する白色光を放出するように設計されることがある。
【0007】
pcLEDでは、蛍光体層は、半導体ダイオードによって放出される光の一部を長波長発光に変換し、また、フォトンダウンコンバージョン(photon down conversion)プロセスで発生する熱を放散しなければならない。発光プロセスでは、無機蛍光体材料は、吸収された短波長光子当たり、最大で1つの長波長光子を放出する。その結果生じる光子エネルギーの損失はフォノンとして放出され、蛍光体層を加熱する。白色pcLEDの場合、熱に変換されるパワーの割合は、青色又はUVダイによって放出される光パワーの20%から30%と高い。
【0008】
ほとんどのpcLEDは、シリコーンマトリックスに溶解された蛍光体粉末材料で作られており、層内の蛍光体粉末材料の体積濃度は低い。シリコーンの熱伝導率が低いため、pcLED内の蛍光体層の温度は非常に高くなる可能性がある。高出力pcLED(HPLED)では、平方ミリメートル(mm2)あたりの光パワーは、シリコーンマトリックス中に分散した蛍光体粒子の放熱と信頼性の問題によって制限される。>2Amps/mm2(6W/mm2超)の動作条件では、pcLEDの光出力と信頼性は、蛍光体層の結果として生じる温度によって制限される。蛍光体材料の量子効率QEは温度の上昇と共に減少し、シリコーンは高温で変色する。
【発明の概要】
【0009】
本明細書は、波長変換構造が透明基板上に高充填密度で配置された蛍光体粒子の1つ以上の層を有するpcLEDを開示する。透明基板は、例えば、ガラス基板であり得る。粒子は、無機非吸収層(例えばAl2O3)でコーティングされ、これは、蛍光体粒子層を機械的に安定化し、蛍光体粒子間の熱伝導性接続を提供する。波長変換構造は、半導体LEDダイに、ダイの発光面を蛍光体粒子層に接合する薄い(例えば、シリコーン)接着層によって、ダイから離れた方向を向いた波長変換構造の透明基板と共に、取り付けられる。「非吸収性」という表現は、無機コーティングがLEDダイ又は蛍光体粒子から放出される光を吸収しないことを意味する。
【0010】
シリコーン層はダイを濡らし、ダイと非常に薄い光学的及び機械的結合を形成し、蛍光体粒子と光学的接合(optical bond)を形成する。これにより、無機マトリックス中の蛍光体層の優れた熱伝導及び熱安定性と組み合わせて、ダイ表面への蛍光体層の効率的な光学的接合を達成することができる。シリコーンは、無機コーティングされた蛍光体粒子層の細孔(pores)に浸透(penetrate)し得る。
【0011】
蛍光体粒子の充填密度は、蛍光体粒子で満たされた全蛍光体層の体積分率である。本明細書に開示する蛍光体層の高い充填密度は、蛍光体粒子のサイズに対して薄い蛍光体層と良好な熱特性をもたらす。50%以上の充填密度が望ましく、55%以上がより好ましく、60%以上が最も好ましい。
【0012】
蛍光体粒子層の充填密度の上限は、密着した粒子で充填できる最大体積によって与えられる。単一直径(モノサイズ)の球状粒子の場合、最大充填密度は六方及び立方最密充填配置で約74%である。球の単純な立方充填の場合、最大充填密度は約52%である。利用可能な蛍光体粒径分布を用いて、この範囲の充填密度を本明細書に開示したpcLEDで得ることができる。
【0013】
本明細書に開示されるpcLEDは、2ワット/mm2を優に超えるパワーレベルで信頼性よく動作することができる。波長変換のための蛍光体粒子の使用は、低コストでpcLEDのための広範囲のスペクトル分布の生成を可能にする。
【0014】
本明細書はまた、上述のようなpcLEDの製造方法を開示する。これらの方法では、蛍光体粒子の1つ以上の層が、高い充填密度で透明基板上に堆積される。粒子は、バインダー材料なしで堆積され得る。代替的には、蛍光体粒子は、粒子が堆積された後に除去されるバインダー材料を用いて堆積され得る。蛍光体粒子を堆積し、それらが堆積された任意のバインダーを除去した後、上記のような無機コーティングが、蛍光体粒子及び蛍光体粒子層上に堆積される。
【0015】
続いて、1つ以上の無機コーティングされた蛍光体層を持つ透明基板が、個々の波長変換構造にダイシングされる。得られた波長変換構造は、その後、LEDダイ発光表面に、ダイの表面を蛍光体粒子層に接合する透明(例えば、シリコーン)接着剤、及びLEDダイから蛍光体粒子層の反対側の透明基板を用いて、取り付けられる。接着剤は、蛍光体粒子層の細孔に浸透し得る。
【0016】
本発明の他の実施形態、特徴及び利点は、最初に簡潔に記載された添付図面と共に本発明の以下のより詳細な説明を参照すると、当業者にとってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【
図3A】pcLEDのアレイが取り付けられ得る電子基板の上面図を示す。
【0021】
【
図3B】
図3Aの電子基板に取り付けられたpcLEDのアレイを同様に示す。
【0022】
【
図4A】導波路及び投影レンズに対して配置されたpcLEDのアレイの概略断面図を示す。
【0023】
【0024】
【
図5A】本明細書に記載されるような薄いコンパクトな波長変換構造を有するpcLEDを製造する例示的な方法中のステージの断面図を概略的に示す。
【0025】
【
図5B】本明細書に記載されるような薄いコンパクトな波長変換構造を有するpcLEDを製造する例示的な方法中のステージの断面図を概略的に示す。
【0026】
【
図5C】本明細書に記載されるような薄いコンパクトな波長変換構造を有するpcLEDを製造する例示的な方法中のステージの断面図を概略的に示す。
【0027】
【
図5D】本明細書に記載されるような薄いコンパクトな波長変換構造を有するpcLEDを製造する例示的な方法中のステージの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面では、同一の参照番号は、異なる図全体にわたって同様の要素を参照する。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、選択的実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定するものではなく、例示するものである。
【0029】
図1は、基板104上に配置された発光半導体ダイオード構造102と、LED上に配置された蛍光体層106とを有する個々のpcLED100の一例を示す。発光半導体ダイオード構造102は、典型的には、n型層とp型層との間に配置された活性領域を有する。ダイオード構造にわたって適切な順方向バイアスを印加すると、活性領域からの発光が生じる。放出光の波長は、活性領域の組成と構造によって決定される。
【0030】
LEDは、例えば、青色、紫又は紫外光を発光するIII族窒化物LEDであり得る。他の任意の適切な材料系から形成され、他の任意の適切な波長の光を発光するLEDも使用され得る。他の適切な材料系は、例えば、III族リン化物材料、III族アルセニド材料及びII-VI族材料を含み得る。
【0031】
pcLEDからの所望の光出力に応じて、任意の適切な蛍光体材料が使用され得る。
【0032】
図2A-2Bは、それぞれ、基板202上に配置された蛍光体ピクセル106を含むpcLED100のアレイ200の断面図及び上面図を示す。このようなアレイは、任意の適切な方法で配置された任意の適切な数のpcLEDを含み得る。図示された例では、アレイは、共有基板上にモノリシックに形成されるように示されているが、代わりに、pcLEDのアレイは、別個の個々のpcLEDから形成されてもよい。基板202は、LEDを駆動するためのCMOS回路をオプションで有してもよく、任意の適切な材料から形成されてもよい。
【0033】
図2A-2Bは、9個のpcLEDの3×3のアレイを示しているが、このようなアレイは、例えば、数十個、数百個、又は数千個のLEDを含んでもよい。個々のLED(ピクセル)は、アレイの平面において、例えば、1ミリメートル(mm)以下、500ミクロン以下、100ミクロン以下、又は50ミクロン以下の幅(例えば、辺の長さ)を有し得る。このようなアレイ内のLEDは、アレイの平面において、例えば、数百ミクロン、100ミクロン以下、50ミクロン以下、10ミクロン以下、又は5ミクロン以下の幅を有するストリート又はレーンによって互いに離間され得る。図示された例は、対称マトリックス内に配置された矩形ピクセルを示しているが、ピクセル及びアレイは、任意の適切な形状を有してもよい。
【0034】
約50ミクロン以下のアレイの平面内の寸法(例えば、辺の長さ)を有するLEDは、典型的には、マイクロLEDと呼ばれ、このようなマイクロLEDのアレイは、マイクロLEDアレイと呼ばれ得る。LEDのアレイ、又はこのようなアレイの一部は、個々のLEDピクセルがトレンチ及び/又は絶縁材料によって互いに電気的に分離されているが、電気的に分離されたセグメントが半導体構造の一部によって互いに物理的に接続されたままである、セグメント化されたモノリシック構造として形成され得る。
【0035】
LEDアレイ内の個々のLEDは、個別にアドレス指定可能であってもよく、アレイ内のピクセルのグループ又はサブセットの一部としてアドレス指定可能であってもよく、又はアドレス指定不可能であってもよい。したがって、発光ピクセルアレイは、光分布の微細な強度、空間的及び時間的制御を必要とするか、又はその恩恵を受ける任意の用途に有用である。これらの用途は、限定されるものではないが、ピクセルブロック又は個々のピクセルからの放出光の正確な特殊パターン化を含み得る。用途に応じて、放出光は、スペクトル的に明確であり、経時的に適応し、及び/又は環境に応答し得る。このような発光ピクセルアレイは、様々な強度、空間的又は時間的パターンで事前にプログラムされた光分布を提供し得る。放出光は、少なくとも部分的に受信されたセンサデータに基づくことができ、光無線通信に使用され得る。関連する電子機器及び光学機器は、ピクセル、ピクセルブロック、又はデバイスレベルで異なり得る。
【0036】
図3A-3Bに示すように、pcLEDアレイ200は、パワー及び制御モジュール302、センサモジュール304、及びLED取り付け領域306を有する電子基板300上に取り付けられ得る。パワー及び制御モジュール302は、外部ソースからのパワー及び制御信号及びセンサモジュール304からの信号を受信し得、この信号に基づいて、パワー及び制御モジュール302はLEDの動作を制御する。センサモジュール304は、任意の適切なセンサ、例えば温度又は光センサからの信号を受信し得る。代替的には、pcLEDアレイ200は、パワー及び制御モジュール並びにセンサモジュールから独立したボード(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0037】
個々のpcLEDは、オプションで、蛍光体層に隣接して位置する又は蛍光体層上に配置されるレンズ又は他の光学素子を組み込み得る又は組み合わせて配置され得る。このような光学素子は、図に示されていないが、「一次光学素子」と呼ぶことができる。さらに、
図4A-4Bに示されるように、pcLEDアレイ200(例えば、電子基板300に取り付けられる)は、意図された用途で使用するために、導波路、レンズ、又はその両方のような二次光学素子と組み合わせて配置され得る。
図4Aでは、pcLED100によって放出された光は、導波路402によって集められ、投影レンズ404に向けられる。投影レンズ404は、例えばフレネルレンズであり得る。この配置は、例えば自動車のヘッドライトでの使用に適し得る。
図4Bでは、pcLED100によって放出された光は、間の導波路を使用せずに投影レンズ404によって直接収集される。この配置は、pcLEDを互いに十分に近い間隔で配置することができる場合に特に適し得、また、自動車のヘッドライトやカメラのフラッシュアプリケーションでも使用され得る。マイクロLEDディスプレイアプリケーションは、例えば、
図4A-4Bに示されているものと同様の光学配置を使用し得る。一般に、所望のアプリケーションに応じて、光学素子の任意の適切な配置が本明細書に記載されているpcLEDと組み合わせて使用され得る。
【0038】
独立して動作可能なLEDのアレイが、特定の目的に適応可能な照明を提供するために、レンズ、レンズシステム、又は他の光学システム(例えば、上述のように)と組み合わせて使用され得る。例えば、動作において、そのようなアダプティブライティングシステムは、照明されたシーン又は物体全体の色及び/又は強度によって変化する及び/又は所望の方向に向けられる照明を提供し得る。コントローラは、シーン内の物体又は人物の位置及び色特性を示すデータを受信し、その情報に基づいてシーンに適応した照明を提供するようにLEDアレイ内のLEDを制御するように構成することができる。このようなデータは、例えば、イメージセンサ、又は光学(例えばレーザー走査)又は非光学(例えばミリ波レーダー)センサによって提供することができる。このような適応照明は、自動車及び照明アプリケーションにとってますます重要である。
【0039】
上記で要約されたように、本明細書は、優れた熱伝導及び熱安定性と組み合わせて、LEDダイ発光表面への蛍光体粒子層の効率的な光結合を示す、蛍光体粒子の1つ以上の層を有する薄くコンパクトな波長変換構造を有するpcLEDを開示する。
図5Dは、そのようなpcLEDの一例の概略断面図である。
図5A-5Cは、
図5Dのデバイスを製造するための例示的な方法におけるステージの概略断面図である。
【0040】
ここで
図5Aを参照すると、本明細書に開示される波長変換構造を準備する第1のステップでは、蛍光体粒子500が高充填密度で透明基板510上に配置される。
【0041】
任意の適切な蛍光体粒子が使用され得る。蛍光体粒子は、すべて同じ組成を有し得る。代替的には、異なる蛍光体粒子は、異なる組成を有してもよく、その結果、異なる発光ピーク又は重心波長を有してもよい。例えば、1、2、3、4又は5つの異なる組成の蛍光体粒子は、1、2、3、4又は5つの異なる対応する発光ピーク又は重心波長を有して使用されてもよい。
図5A-5Dは、蛍光体粒子の単層のみを示しているが、蛍光体粒子の2つ以上の層が互いに積み重ねて堆積されてもよい。蛍光体粒子の層は、主に又は専ら同じ組成の蛍光体粒子を含み得る。代替的には、蛍光体粒子の層は、異なる組成を有する蛍光体粒子を含み得る。
【0042】
いくつかの変形では、蛍光体粒子の2つ以上の層が、異なる組成の蛍光体粒子を有する各層を持つ蛍光体層のスタックとして堆積される。そのような場合には、蛍光体粒子の層を、ピーク又は重心発光波長の順に堆積し、最も短いピーク又は重心発光波長を有する層を最初に堆積し、最も長いピーク又は重心発光波長を有する層を最後に堆積することが有利であり得る。
【0043】
他のいくつかの変形では、蛍光体粒子の単層のみが堆積されるが、その層は、2つ以上(例えば、2、3、4、又は5)の異なる組成及び対応するピーク又は重心波長を有する蛍光体粒子の混合物を含む。
【0044】
蛍光体粒子は、例えば、可視及び/又は赤外波長範囲の発光ピークを有し得る。蛍光体粒子は、例えば、1μm≦d50≦30μmの中央直径を有し得る。
【0045】
任意の適切な透明材料が透明基板に使用され得る。例えば、透明基板は、ガラス基板であり得る。透明基板は、蛍光体層に垂直な任意の適切な厚さを有し得る。例えば、透明基板は、20ミクロンから2ミリメートルの厚さを有し得る。基板の透過及び反射特性を変化させるために、基板のいずれか又は両側が光学コーティングでコーティングされてもよい。そのようなコーティングは、例えば、交互の高/低屈折率材料の層、又は光を吸収するが発光しない顔料粒子(例えば、直径中央値l<300nm)を含み得る。
【0046】
蛍光体粒子は、例えば、蛍光体堆積、電気泳動堆積、静電ダスティング、スピンコーティング、ブレードコーティング(例えば、ポリビニルアルコール/蛍光体粒子懸濁液を用いる)、又は印刷(例えばスクリーン印刷)により、高い充填密度を持つコンパクトな層として堆積され得る。任意の適切な堆積方法が使用され得る。
【0047】
蛍光体粒子は、バインダー材料なしで堆積され得る。代替的には、蛍光体粒子は、後に除去されるバインダー材料(例えば、有機バインダー材料)と共に堆積され得る。バインダーは、例えば、透明基板及び蛍光体粒子層を加熱して、バインダーを蒸発させる、燃焼させる、又はその他の方法で分解及び/又は追い出すことによって除去され得る。このようなベイクアウトプロセスは、例えば、250°C以上で起こり得る。このようなベイクアウトプロセスは、例えば約450°Cにおいて約2時間で起こり得る。同様に、バインダー粒子を堆積する際に使用される任意の溶媒は、その後、蒸発によって、例えば加熱により、除去され得る。
【0048】
透明ガラス基板を使用する利点は、蛍光体粒子の堆積後、透明基板と蛍光体粒子層を、基板を損傷することなくバインダーを熱的に除去するために400°C以上に加熱できることである。
【0049】
図5Bを参照すると、1つ以上の蛍光体粒子層が堆積され、任意のバインダーが除去された後、無機非吸収コーティング515(例えばAl
2O
3)が蛍光体粒子上に堆積される。無機コーティング層は、例えば、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、又は蛍光体層に浸透するゾルゲルプロセスによって堆積され得る。LED及び蛍光体材料の発光範囲内のコーティング材料の光吸収が低い限り、任意の適切な無機材料がコーティングに使用され得る。Al
2O
3に加えて、適切な材料は、例えば、他の酸化物、フッ化物、リン酸塩及びケイ酸塩を含み得る。
【0050】
無機コーティングを適用した後、透明基板、蛍光体粒子層及び無機コーティングが、無機コーティング堆積プロセスから残っている任意の前駆体残留物を除去するために加熱され得る。このようなベイクアウトプロセスは、例えば、250°C以上で起こり得る。このようなベイクアウトプロセスは、例えば、約450°Cにおいて約2時間で起こり得る。
【0051】
図5Cを参照すると、コーティングされた蛍光体粒子層を持つ透明基板は、2つ以上の個々の波長コンバータ520にダイシングされる。波長コンバータ520は、次に、LEDダイの発光面を波長変換構造内の蛍光体粒子層に結合する薄い接着層530を用いてLEDダイ525に取り付けられる。接着剤は、例えば、シリコーン(ポリ(オルガノ)シロキサン)又はシルセスキオキサンであり得る。接着層は、例えば、約0.1μmから約5μmの厚さを有し得る。波長変換構造520をダイ525に取り付けると、接着剤は、無機被覆蛍光体粒子層の細孔に浸透し得る。したがって、接着剤は、蛍光体粒子層のマトリックス材料に寄与し得る。結果として得られる構造において、接着剤によって浸透されない細孔の蛍光体粒子層における細孔体積は、蛍光体粒子層の体積の1%以下であり得る。
【0052】
LEDダイ525は、透明(例えば、パターンサファイア)基板上に配置された半導体ダイオード構造を有し得、この場合、波長変換構造520は、その透明基板に接合され得る。代替的には、LEDダイは、このような透明基板を欠く薄膜半導体ダイオード構造であってもよく、この場合、波長変換構造は、半導体ダイオード構造の外部エピタキシャル層に直接接合されてもよい。
【0053】
結果として得られる例示的なpcLED535を
図5Dに概略的に示す。反射性側面コーティングが、その後pcLED535の側面に適用され(applied(塗布され))得る。
【0054】
本開示は例示であり、限定するものではない。さらなる変更は、本開示に照らして当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【国際調査報告】