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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】管継手用複合ロックリング
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
F16L21/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560502
(86)(22)【出願日】2022-03-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022022075
(87)【国際公開番号】W WO2022212221
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】17/220,623
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515255434
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・パイプ・アンド・ファンドリー・カンパニー・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーコラン,キャメロン・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】キー,ジェリー・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】キャストン,ジェイ・デレク
【テーマコード(参考)】
3H015
【Fターム(参考)】
3H015FA05
(57)【要約】
複合ロックリングを有する管継手が本明細書に開示される。管継手ベルは、第1の管のベル端部の面上または外側表面上のスロットを通ってリングセグメントが挿入され得るセグメントキャビティを有する。ロックリングは多数のリングセグメントを有し、各セグメントは円弧状の外側表面を有する。外側表面は、多数の円弧の複合表面であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管のスピゴット端部と第2の管のベルとによって画定される管継手に挿入するための複合ロックリングであって、スピゴット端部はスピゴットの外表面に溶接ビードを有し、ベルは狭い開口端部および長手方向に円弧状のベルの内部表面を有し、複合ロックリングは、
多数のリングセグメントを備え、リングセグメントは、溶接ビードに係合するように画定されたノッチと、ベルの内部表面に対応する長手方向に円弧状の外側表面とを有する、複合ロックリング。
【請求項2】
リングセグメントは周方向に円弧状の内側表面を有する、請求項1に記載の複合ロックリング。
【請求項3】
リングセグメントは左側面および右側面を有する、請求項1に記載の複合ロックリング。
【請求項4】
リングセグメントの左側面および右側面はそれぞれ半径方向に平行である、請求項3に記載の複合ロックリング。
【請求項5】
リングセグメントの長手方向に円弧状の外側表面は、少なくとも2つの固有の円弧セグメントから形成された複合表面を有する、請求項1に記載の複合ロックリング。
【請求項6】
管継手システムであって、
ベル端部を有する第1の管であって、ベル端部は、外側ベル表面と、内側ベル表面とを有し、内側ベル表面は、ラグ口と、セグメントキャビティと、スロートと、スロートのキャビティに面する側の突起と、セグメントキャビティへのアクセスを可能にするスロットとを画定する、第1の管と、
第2の管であって、外側スピゴット表面を有するスピゴット端部と、外側スピゴット表面の周りに周方向に延びる溶接ビードと、を有する第2の管と、
スロットに挿入可能な複数のリングセグメントであって、リングセグメントは、溶接ビードに係合するように画定されたノッチと、セグメントキャビティの内側ベル表面に対応する長手方向に円弧状の外側表面とを有する複数のリングセグメントと、
を備える、管継手システム。
【請求項7】
スロットはベル面上に配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
スロットはベルの外表面に配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
リングセグメントは周方向に円弧状の内側表面を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
複数のリングセグメントは3~30個のリングセグメントを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
複数のリングセグメントが15個のリングセグメントを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
リングセグメントの長手方向に円弧状の外側表面は、少なくとも2つの固有の円弧セグメントから形成された複合表面を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
管継手にロックリングを形成する方法であって、
ベル端部を有する第1の管であって、ベル端部は、セグメントキャビティと、スロートと、セグメントキャビティへのアクセスを可能にするスロットとを画定する内側ベル表面を有する第1の管を提供することと、
第2の管であって、外側スピゴット表面を有するスピゴット端部と、外側スピゴット表面の周りに周方向に延びる溶接ビードとを有する第2の管を提供することと、
溶接ビードがスロートに係合するまで、第2の管のスピゴット端部を第1の管のベル端部に挿入することと、
多数のリングセグメントをスロットに挿入することであって、リングセグメントが、溶接ビードに係合するためのノッチと、セグメントキャビティに対応する長手方向に円弧状の外側表面とを有し、その結果、挿入されると、多数のリングセグメントがスピゴット端部の周りに周方向に延びる複合リングを形成する、多数のリングセグメントをスロットに挿入することと、
スロットをシールすることと、
を備える、管継手にロックリングを形成する方法。
【請求項14】
管継手システムであって、
ベル端部を有する第1の管であって、ベル端部は、外側ベル表面と、ラグ口、セグメントキャビティ、およびスロートを画定する内側ベル表面とを有する、第1の管と、
第2の管であって、外側スピゴット表面を有する、第1の管のベル端部内に挿入されたスピゴット端部と、外側スピゴット表面の周りに周方向に延びる溶接ビードとを有する第2の管と、
スロートを通って挿入可能でありセグメントキャビティ内に拡張可能なロックリングであって、ロックリングは、第1の管の長手方向軸線と第2の管の長手方向軸線の角度変位に応じてねじれ、さらに、ロックリングは長手方向に円弧状の外側表面を有し、当該外側表面は、セグメントに対応し、少なくとも2つの固有の円弧状のセグメントから形成される複合表面である、ロックリングと、
を備える、管継手システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管継手、特にダクタイル鋳鉄管継手の分野にある。
【背景技術】
【0002】
ダクタイル鋳鉄管などの、建物、インフラストラクチャ、パイプラインプロジェクトで使用される管の1つの一般的な継手設計は、スピゴットベル管継手である。広義には、継手内の1つの管は、半径方向外側に広がり、かつソケットを有するベル端部を有し、第2の管は、ベルのソケット内に挿入されるスピゴット端部を有する。管をシールするために、ガスケットがベルとスピゴットとの間に挿入される。管に作用する斜めまたは長手方向の力に起因して管が分離するのを防止するために、ロックリングも継手に挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スピゴットベル継手は、高い管内圧力を伴う用途のために強力な継手を提供するが、1つの制限は、継手の周りに曲げモーメントを引き起こす可能性がある斜めまたは横方向の力が継手に作用する場合に継手が大きな撓み能力を提供しないことである。継手が斜めまたは横方向の力の下で撓むことを可能にする新しい継手設計が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
或る点において、本開示は、第1の管のスピゴット端部と第2の管のベルとによって画定される管継手に挿入するための、複合ロックリングであって、スピゴット端部がスピゴットの外表面に溶接ビードを有し、ベルは狭い開口端部および長手方向に円弧状のベルの内部表面を有し、複合ロックリングは、多数のリングセグメントを有し、各リングセグメントは、周方向に円弧状の内側表面と、溶接ビードに係合するように画定されたノッチと、ベルの内部表面に対応する長手方向に円弧状の外側表面とを有する、複合ロックリングに関する。
【0005】
さらなる点において、本開示は、第1の管のスピゴット端部の外側表面と第2の管のベルの内側表面とによって画定されるセグメントキャビティに挿入されるロックリングを形成するのに使用するための一組のロックリングセグメントに関し、各ロックリングセグメントは、スピゴットの外側表面に対応する周方向に円弧状の内側表面と、ベルの内側表面に対応する長手方向に円弧状の外側表面と、円弧状の内側表面と円弧状の外側表面との接合部によって形成される前縁と、背面と、内側表面と背面との間のノッチとを有する。
【0006】
さらなる点において、本開示の管継手システムは、ベル端部を有する第1の管であって、外側ベル表面と、内側ベル表面であって、ラグ口と、セグメントキャビティと、スロートと、スロートのキャビティに面する側の突起と、セグメントキャビティの上に位置決めされ、セグメントキャビティへのアクセスを可能にするスロットを画定する内側ベル表面と、を有する第1の管と、第2の管であって、外側スピゴット表面を有するスピゴット端部と、外側スピゴット表面の周りに周方向に延びる溶接ビードとを有する第2の管と、複数のリングセグメントであって、スロットに挿入可能であり、周方向に円弧状の内側表面と、溶接ビードに係合するように画定されたノッチと、セグメントキャビティの内側ベル表面に対応する長手方向に円弧状の外側表面とを有する複数のリングセグメントと、を有する。
【0007】
さらなる点において、本開示の、管継手にロックリングを形成する方法は、ベル端部を有する第1の管であって、外側ベル表面と、セグメントキャビティ、およびセグメントキャビティの上に位置決めされ、セグメントキャビティへのアクセスを可能にするスロットを画定する内側ベル表面とを有する第1の管を提供するステップと、第2の管であって、外側スピゴット表面を有するスピゴット端部と、外側スピゴット表面の周りに周方向に延びる溶接ビードと、を有する第2の管を提供するステップと、スロットが溶接ビードを長手方向に越える距離まで第2の管のスピゴット端部を第1の管のベル端部に挿入するステップと、多数のリングセグメントをスロットに挿入するステップであって、各リングセグメントは、外側スピゴット表面およびリテーナビードに対応する周方向に円弧状の内側表面と、セグメントキャビティに対応する長手方向に円弧状の外側表面と、を有し、その結果、多数のリングセグメントはスピゴットの周りに周方向に延びる複合リングを形成する、スロットに挿入するステップと、スロットをシールするステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による継手の断面切断図である。
図2A】本発明の一実施形態による継手の外観斜視図である。
図2B】本発明の別の実施形態による継手の外観斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態による単一のロックリングセグメントの相異なる図である。
図3B】本発明の一実施形態による単一のロックリングセグメントの相異なる図である。
図3C】本発明の一実施形態による単一のロックリングセグメントの相異なる図である。
図3D】本発明の一実施形態による単一のロックリングセグメントの相異なる図である。
図4】継手内に配置された複合ロックリングを示す継手の切断図である。
図5】従来技術のロックリング設計を示す図である。
図6】複合円弧状外側表面を有する一体的に形成されたロックリング設計を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による管のベル端部の外観図である。
図8】本発明の一実施形態による複合リングおよび管端部の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
すべての図において配向および方向を説明する目的で、長手方向の軸線または方向は、管の長さに沿って平行に通過する軸線または方向を指す。半径方向の軸線または方向は、管の中心線に沿って始まり、所与の方向に半径方向外側に延びる軸線または方向を指す。周方向は、管の周りを周方向に通過することを指す。
【0010】
図1は、スピゴットベル管継手の断面切断図を示す。このような管継手はダクタイル鋳鉄管継手によく使用されるが、他の管継手にも同様に使用されてもよい。スピゴットベル管継手は、広義には、第1の管10のベル端部12が第2の管50のスピゴット端部52を受容するものとして定義される。ベル12は、第2の管50のスピゴット端部52を受容するように形作られた受容端部を有する。ベル12の形成された内部部分は、ソケット14である。スピゴット端部52の傾斜した前縁54は、スピゴット54である。接合されると、ベル12はスピゴット端部12に重なり、スピゴット54はソケット14の基部16に着座する。各管は、外表面および内表面を有する。図1に示すように接合されると、第2の管50のスピゴット端部52の外表面56は、第1の管10のベル端部12の内表面18内に嵌合する。スピゴット端部52の外表面56は、典型的には滑らかであり、スピゴット14からある程度の距離を置いて配置される溶接ビード58の追加を除いて、均一な直径を有する。溶接ビード58は、スピゴット端部52の全体の周りに周方向に延在する。溶接ビード58は、スピゴット54が所望の距離を超えてベル12のソケット14に長手方向に移動するのを防止するために、ベル端部12のスロート20を押すように寸法決めされるが、これは、さらに移動するとスピゴット54をソケット14に接触させ、ベル12を破損させる可能性があるためである。
【0011】
第1の管10のベル端部12は、第1の管10の本体22より大径である。移行領域24は、本体22からベル端部12の最大直径まで拡張する。移行領域24は、図1に示すようにテーパ状であってもよく、またはベル端部直径まで急激に広がっていてもよい。ベル端部の内表面18は、内表面の周りに周方向に延びる多数の溝および隆起部を有する。ベル端部12の最端部には、長手方向に面し、ロック用ラグ28内に向かって下方に湾曲する面26がある。ロック用ラグ28の最小円周は、第2の管50のスピゴット端部52が挿入されるラグ口30を形成する。ラグ口30は、スピゴットの外側表面の直径よりもそれほど大きくない比較的小さい直径を有する。ラグ口30のすぐ内側で、ベル端部の内側表面18は、セグメントキャビティ32内に拡張する。セグメントキャビティ32は、以下でより完全に説明されるロックリングセグメント61を収容するように寸法決めされる。セグメントキャビティ32はまた、スピゴット54とベル12とが完全に接合されたときに、スピゴット端部52の溶接ビード58の上を通過する。次いで、ベル端部12の内側表面18は、再び狭くなり、スピゴット端部52の外側表面56に非常に近づく。この狭い部分がスロート20である。溶接ビード58は、管が完全に接合されたときにスロート20に当接する。また、図1には、セグメントキャビティ内に延びる内側ベル表面上の突起34が示されている。
【0012】
スロート20から、内側表面は再び拡張して、ガスケットヒール72のリテーナ74を受容するリテーナシート36を形成する。内側表面18は、狭くなり、リテーナビード38を形成した後、再び拡張してガスケットシート40を形成する。一方のスピゴット端部52の外側表面56と、リテーナシート36、リテーナビード38、およびガスケットシート40との間には、ガスケット70が挟まれている。ガスケット70は、ベル端部12の内側表面18とスピゴット端部52の外側表面56との間にシールを形成する。ガスケットリテーナ66はリテーナシート36に嵌合し、ガスケット70の残りの部分はリテーナビード38の周りおよびガスケットシート40内に嵌合する。ガスケットシートを越えて、ランド42と呼ばれるソケット14の基部16の上方で内側に延びるベル12の一部が存在してもよい。ソケット14の基部16において、内側表面18は、管本体22の内側表面44の均一な本体直径まで狭くなっている。
【0013】
継手が形成されると、内側ベル表面18と外側スピゴット表面54とは互いに直接接触しない。代わりに、複合ロックリング60およびガスケットリング70が、ベル端部12およびスピゴット端部52の両方に接触する。ガスケットリング70は、接合部における漏れを防止するために管をシールする。本開示に関連して使用されるガスケットリング70は、従来の、または接合部をシールするための使用に適した任意の材料または複合材料から形成されてもよい。複合ロックリング60は、管に長手方向の張力が作用した場合に管が外れるのを防止する。複合ロックリング60は、高い圧縮応力に耐えることができる金属または金属合金で形成されてもよい。
【0014】
複合ロックリング60は、セグメントキャビティ32内に位置する。複合ロックリング60は、内側ベル表面14、外側スピゴット表面56、および溶接ビード58と係合する。接合部内に設置されると、複合ロックリング60は、接合された管が分離するのを防止する。
【0015】
複合ロックリング60は、多数のリングセグメント61から構成される。これらのリングセグメント61は、スピゴット端部52がベル12に完全に挿入された後にセグメントキャビティ32に挿入されてもよい。
【0016】
リングセグメント61をセグメントキャビティ32に挿入するためのスロット46は、多数の方法で設けられてもよい。例えば、図2Aに示すように、スロット46は、ラグ口30とベルの外表面56との間で、ベルの面26に設けられてもよい。図7はまた、ベル12の面上にスロット46を有する第1の管10のベル12を分離して示している。図2Bに示す別の実施形態では、スロット46は、セグメントキャビティ32の半径方向外側に配置されてもよく、ベルの外表面48に直接接続することができる。スロット46は、ベル12の周りに周方向に所定の距離だけ延在する。スロット46は、第1の管10のベル端部12の完全性に実質的に影響を及ぼさないように、十分に小さくなるように寸法決めされるべきである。それ以外の場合、スロットの潜在的なサイズに対する特定の制限はないが、セグメントキャビティ32に挿入されるべきロックリングセグメント61の数が最小限に抑えられ得るようにスロットが(管の完全性によって必要とされる制約内である限り)可能な限り大きいことが好ましい場合がある。一般に、約20~25度の円弧寸法を有するスロット46は、管の完全性を備えずに、複合ロックリング60を形成するためのリングセグメント61の数を約15に減らすのに十分な大きさのスロットを提供することがわかっている。
【0017】
図3A図3Dは、個々のロックリングセグメント61に関する複数の図を示す。ロックリングセグメント61は、内側ベル表面18のセグメントキャビティ32と係合するように実質的に成形された外側セグメント表面62を有する。外側セグメント表面62は、円弧状であり、以下でさらに説明されるように、管が撓んだ場合に、セグメントキャビティ表面32と外側円弧表面62とが互いに通過して摺動することを可能にする。外側セグメント表面62は、ベル12のラグ口30に最も近い前縁63と、外側セグメント62の表面と背面65との間の縁部である後縁64とで終端する。前縁63および後縁64の両方は、図3A図3Dに示すように、面取りされていても丸みを帯びていてもよい。あるいは、前縁63および後縁64は、尖っていてもよく、または鋭い縁であってもよい。尖ったまたは鋭い縁部は、リングセグメント61とセグメントキャビティ32との間の摺動空間内に外向きに突出することができ、それによって許容される撓みの量が制限されるので、面取りされたまたは丸みを帯びた縁部が好ましい。
【0018】
内側セグメント表面66は、外側スピゴット表面56と平行である。右側面67および左側面68は、外側円弧表面をセグメントリング表面に接続している。図示のように、各側面は、周方向に対して略垂直であるが、隣接するロックリングセグメント61と接触しているときに、側面が垂直であるまたは互いに同一平面上にある必要はない。非限定的な例として、図3A図3Dに示す実施形態では、ロックリングセグメント61は、各側面の角に小さなノッチ59を有する。本発明者らは、小さなノッチ59により、オペレータが必要に応じてロックリングセグメント61を操作または再配向できることを見出した。小さなノッチ59はまた、組み立てプロセスとは逆に、ロックリングセグメント61を操作して、それを取り外すことによって、継手の分解を容易にする。背面65は、長手方向に対して略垂直である。内側リング表面66と背面65との間には、外側スピゴット表面の溶接ビード58と係合するように成形された大きなノッチ69がある。ロックリングセグメント61の本体は、2つの側面が周方向に垂直かつ径方向に平行になるように、周方向に湾曲またはアーチ状である。
【0019】
複合ロックリング60を設置するために、各リングセグメント61がスロット46に挿入される。リングセグメント61は、追加のリングセグメント61が挿入されることを可能にするために、セグメントキャビティ32の周りを摺動される。すべてのリングセグメント61が挿入されると、各リングセグメント61は隣接するセグメント61に当接し、セグメントキャビティ32内に完全な複合ロックリング60を形成する。この構成が図4に示されている。次いで、スロット46を通ってセグメント61が滑り落ちるのを防止するために、スロット46がシールされることができる。
【0020】
セグメントキャビティ32内の円弧状の外側セグメント表面62および同様の円弧状の内側ベル表面は、接合部に作用して接合部を破壊または分離させる力が作用した場合に、セグメントキャビティ32の外側リング表面62および内側ベル表面が互いに通過して摺動することを可能にするように鋳造される。例えば、接合部を形成する管に斜めの力が加えられると、力は接合部で管を座屈させる傾向があり、管の角度に撓みを引き起こす。複合ロックリング60およびセグメントキャビティ32は、シールを破壊したり管を破裂させたりすることなく、管が力の下である程度撓むことを許容するように湾曲している。複合ロックリングの幾何学的形状およびリングセグメントがキャビティに沿ってどのように摺動するかはまた、撓みの角度が増加するにつれて斜め荷重から長手方向荷重に変換される荷重の量を変化させる。
【0021】
或る実施形態では、円弧状の外側セグメント表面62は、多数の別個の円弧状のセグメントで形成された複合表面であってもよい。すなわち、多数の円弧状のセグメントが存在してもよい。これらの実施形態のいくつかについて、2つの隣接する円弧状セグメント間の接合線は、2つの隣接する円弧状セグメントが交わる連続的に湾曲した表面が存在するように、連続的であってもよい。図3A図3Dに示すような他の実施形態では、2つの隣接する円弧セグメント62Aおよび62Bが縁部で交わるように、曲線は不連続であってもよい。円弧状の外側セグメント表面62が複合表面を有することにより、ロックリングセグメント61は、セグメントキャビティ32内で撓むための追加の空間を有することができる。非限定的な例として、図3A図3Dに示す実施形態では、円弧状の外側セグメント表面62は、前縁63から外側セグメント表面62に沿ってほぼ中間まで延びる第1の円弧状表面62Aと、外側セグメント表面62に沿ってほぼ中間から後縁64まで延びる第2の円弧状表面62Bとを有する。第1の円弧状表面62Aは、半径2.37インチに基づく円弧である。第2の円弧状表面62Bも半径2.37インチに基づく円弧であるが、第1の円弧状表面とは異なる位置の径方向中心から取られている。その結果、第2の円弧状表面62Bは、表面が同じ円弧に沿って連続している場合に第1の円弧状表面62Aが存在するであろう場所からわずかに下方に押し下げられる。
【0022】
多数の別個の円弧状のセグメントから形成された複合表面は、多数の個々のリングセグメント61から形成された複合リング60と共に特に使用するために本明細書に記載および図示されている。しかしながら、複合表面はまた、本明細書の他の箇所に記載されているように多数の個々のリングセグメントを有するのではなく、一体的に形成されたロックリング80、すなわち、単一部品から形成されたロックリング80上で使用されてもよい。一体的に形成されたロックリングの一例は、米国特許第7,137,653号明細書に開示されている「Centroidally Twistable Compression Ring for Pipe Joints」であり、これは参照により本明細書に組み込まれる。中心方向にねじり可能な圧縮リングは、米国特許第7,137,653号明細書に記載されているように、セグメントキャビティ内の所定の位置に挿入されてロックされる、略リング形状の本体である。リング形状の本体は、セグメントキャビティ表面に係合可能なリングスラスト面を有する。しかしながら、米国特許第7,137,653号明細書に記載されているようなリングスラスト面は、半径方向に対して約30度の均一な面に設定されているが、リングスラスト面は、代わりに、上述のように多数の別個の円弧状のセグメントから形成された複合表面を有してもよい。半径方向に対して約30度の均一な面を有する従来技術のロックリングの例が図5に示されている。そのような複合表面を有する一体的に形成されたロックリングが図6に示されている。
【0023】
本明細書に開示された設計の利点は、セグメントキャビティ内の多数のリングセグメントの外側表面および内側ベル表面が、従来のロック設計よりも長い摺動距離を提供し、より大きな撓みを可能にするように形作られることができることである。従来のロックリングまたは機構は、破断前に接合部で大きな管の撓みが生じることを許容しない。例えば、図5に示す従来技術の設計は、最大約0.5度の撓みを提供する。いくつかの実施形態およびいくつかのサイズでは、本明細書に開示される複合ロックリングは、約2度の撓みを可能にする。
【0024】
複合ロックリングは追加の撓みを可能にするが、任意の個々のセグメントが隣接する独立したリングセグメントによって妨げられることなく外れる可能性があるため、個々のリングセグメントは、従来の一体型ロックリングよりも管撓みの過程でずれるまたは外れる可能性が高いことがわかった。この問題を解決するために、スロートの前端に突起が、スロートの前端をリングセグメントおよび溶接ビードに向かってセグメントキャビティ内に効果的に延ばすことができるように追加されてもよい。図1に示すように、突起は、ロックリングとは反対側の溶接ビードの背後の空間を除去し、ロックリングセグメントが溶接ビード上で外れるまたは溶接ビードを越えて通過するのを阻止するように作用する。
【0025】
本明細書に開示される実施形態は、ベルアンドスピゴット継手を使用する任意のサイズの管と共に使用されてもい。例えば、実施形態は、4”~64”の間、またはさらに大きなサイズの直径を有する管に使用されてもよい。特に、実施形態は、圧力または流体を破裂または漏出させることなく撓みを可能にするために高圧管の継手をロックするのに有用である。
【0026】
このようにして設けられるセグメントの数は、少なくとも3つのセグメントであってもよい。他の実施形態では、10~30セグメントまたはそれ以上のセグメントが使用されてもよい。或る実施形態では、セグメントはすべて均一であってもよく、スピゴットの円周の周りに等しい円弧測定値を有してもよい。非限定的な例として、25度のスロットと、スロットをぴったりと通過するように形成された均一なセグメントとを有する実施形態では、実施形態は15個のセグメントを利用する。他の実施形態では、セグメントのサイズは、スロットのサイズによってのみ制限される薄いセグメントからより厚いセグメントまで可変であってよい。図8は、第1の管10のベル端部12、第2の管50のスピゴット端部52、およびマルチセグメント複合ロックリング60の分解図を示す。この図に示すように、ロックリング60は、スピゴットの周りを実質的に完全に包む10個のセグメント61を有する。第11のセクションも挿入されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】