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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/00 20160101AFI20240311BHJP
【FI】
H02P21/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560828
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022022535
(87)【国際公開番号】W WO2022216496
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】17/222,489
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ,ステファン ビー.
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505CC05
5H505DD03
5H505DD05
5H505EE41
5H505HA03
5H505HA05
5H505HA06
5H505HA09
5H505HA10
5H505HA11
5H505HB01
5H505JJ26
5H505KK08
(57)【要約】
例示的なシステムには回転電機が含まれる。回転電機は、円筒状で回転するように構成されたロータと、ロータに対して配置されたステータとを含む。ステータは、ステータの第1の直径とステータの第2の直径を画定する階段状の構成を有する。第1の直径は第2の直径よりも大きい。第1の直径のステータのゾーンは直軸(D軸)巻線を保持し、第2の直径のステータのゾーンは横軸(Q軸)巻線を保持する。ロータとQ軸巻線との間のエアギャップは、ロータとD軸巻線との間のエアギャップよりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機を含むシステムであって、前記回転電機は、
円筒状であり、回転するように構成されたロータと、
前記ロータに対して配置されるステータであって、前記ステータは、前記ステータの第1の直径及び前記ステータの第2の直径を画定する階段状の構成を有し、前記第1の直径は前記第2の直径よりも大きい、前記ステータと、
を含み、
前記第1の直径での前記ステータのゾーンは、直軸(D軸)巻線を保持し、前記第2の直径での前記ステータのゾーンは横軸(Q軸)巻線を保持し、
前記ロータと前記Q軸巻線との間のエアギャップが前記ロータと前記D軸巻線との間のエアギャップよりも大きい、
システム。
【請求項2】
前記ステータが、
前記D軸巻線と前記Q軸巻線のセットの間の中和巻線であって、隣接するD軸巻線とQ軸巻線との間のエアギャップ半径方向磁束を変化させるように構成されている、前記中和巻線
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロータが外部電源から切断されているときに回転を可能とするように、前記D軸巻線に電力を供給する慣性エネルギーストレージデバイスをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記Q軸巻線が、負荷にエネルギーを出力するように構成されており、
前記回転電機は、前記ロータが所定の速度に達するまで外部電源を通じて前記D軸巻線に電力を供給し、その後、前記D軸巻線が前記慣性エネルギーストレージデバイスによって電力を供給されるように構成されており、
前記D軸巻線は前記慣性エネルギーストレージデバイスによって電力を供給されるが、前記回転電機は、前記Q軸巻線によって出力される前記エネルギーをブーストする前記D軸巻線からのエネルギーを出力するように構成される、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記D軸巻線からの前記エネルギーが、前記Q軸巻線によって出力される前記エネルギーに重畳される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記Q軸巻線によって出力される前記エネルギーをブーストすることは、前記D軸巻線によって出力される電流または電圧に、電流または電圧を追加することのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記Q軸巻線の電気リアクタンスが、前記Q軸巻線と前記D軸巻線に関連する半径方向エアギャップの差に基づいて、前記D軸巻線の電気リアクタンスよりも低い、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記Q軸巻線及び前記D軸巻線からの合成エネルギーがパルス化されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記Q軸巻線及び前記D軸巻線からの合成エネルギーが連続的である、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記Q軸巻線と前記D軸巻線からの合成エネルギーが、前記Q軸巻線の電力出力の上昇の終端にある、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からのエネルギーを出力するように構成されており、
前記システムは、前記回転電機と前記負荷との間に変圧器を含み、前記変圧器は、前記D軸巻線から、及び前記Q軸巻線から電流を受け取り、前記D軸巻線からの前記電流、及び前記Q軸巻線からの前記電流に基づいて前記負荷へ出力される、ブーストされたエネルギーを生成するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からのエネルギーを出力するように構成されており、
前記回転電機は、
前記回転電機と前記負荷との間の回路を遮断するように制御可能なスイッチであって、前記回路の遮断は前記D軸巻線からのエネルギーの注入と同時に発生し、前記遮断により、前記Q軸巻線から出力されたエネルギーをブーストする過渡電圧及び過渡電流が生成される、前記スイッチ
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記過渡電圧及び前記過渡電流が、前記Q軸巻線から出力された前記エネルギーの上昇率を増加させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記過渡電圧及び前記過渡電流が、前記負荷へ出力される総エネルギーを増加させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記過渡電圧及び前記過渡電流が、前記負荷へ出力されるパルス状のエネルギーを生成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記Q軸巻線、前記スイッチ、及び前記D軸巻線が、前記スイッチの制御された開放によって遮断される電流ループを生成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記D軸巻線からの出力電流が、前記電流が目標値に達するまで閉ループ内を循環し、その時点で、前記スイッチが前記回路を遮断するように制御可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記D軸巻線を多相入力から単相交流(AC)励磁に変更する回路をさらに含み、
前記D軸巻線のエアギャップ磁束の空間周辺シフトを引き起こし、その結果、前記Q軸巻線により出力されるエネルギーをブーストする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からのエネルギーを出力するように構成されており、
前記システムは、
前記エネルギーの電流成分をAC(交流)からDC(直流)に整流するための整流器と、
前記整流器から前記電流を受け取り、前記Q軸巻線からの前記出力エネルギーをブーストするための誘導性ストレージと、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からのエネルギーを出力するように構成されており、
前記負荷は、誘導性コンポーネント及び容量性コンポーネントを含むパルス形成ネットワーク(PFN)であって、整形されたパルスを生成するための前記PFNを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からの電流を出力するように構成されており、
前記システムは、
前記Q軸巻線の出力に従って、整流器から分数調波を抽出する分数調波フィルタと、
前記誘導機を外部電力から切り離す際に、無効電力を含む前記分数調波を前記D軸巻線に供給するサイリスタ変調器と、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からの電流を出力するように構成されており、
前記システムは、
前記D軸巻線と共振回路を形成し、前記D軸巻線からの出力電流ポートに接続されている、高調波フィルタと、
前記高調波フィルタから前記電流を受け取り、前記電流をブーストする、前記高調波フィルタと直列のブースト変圧器と、
前記ブーストされた電流を受け取り、前記ブーストされた電流に基づいて整流された出力を提供し、前記負荷へ出力された前記エネルギーをブーストする、多相整流器と、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からの電流を出力するように構成されており、
前記システムは、
前記D軸巻線から電流を受け取るための、前記D軸巻線の出力に従ったブースト変圧器と、
前記ブースト変圧器の出力を整流する整流器と、
パルス形成ネットワークであって、前記パルス形成ネットワークからの整流された出力に基づいて充電するストレージ素子を含む、前記パルス形成ネットワークと、
前記パルス形成ネットワークからエネルギーを出力し、前記Q軸巻線から出力された前記エネルギーと組み合わせるようにトリガ可能なスイッチと、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記スイッチがスパークギャップスイッチを含み、
前記システムは、
前記Q軸巻線から出力された前記エネルギーをストレージする容量性ストレージと、
前記誘導機の動作中に前記容量性ストレージ及び前記パルス形成ネットワークを使用してエネルギーを転送する慣性ストレージデバイスと、
を含む、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記D軸巻線が、多相入力を受け取るように構成されており、
前記多相入力が遮断されると、前記D軸巻線に逆相一次電流を生成し、
前記システムは、前記D軸巻線または前記Q軸巻線に過渡電圧を誘導する閉短絡ループに切り替え可能な中和巻線をさらに含み、前記逆相一次電流が前記Q軸巻線から負荷への出力電圧をブーストする前記過渡電圧を生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記誘導機が、多相入力を受け取るように構成された前記誘導機の多相巻線ロータを含み、
前記多相入力の大きさまたは位相変位が変化すると、前記D軸巻線に逆相一次電流を生成し、
前記システムは、前記D軸巻線及び前記Q軸巻線に過渡電圧を誘導する閉短絡ループに切り替え可能な中和巻線をさらに含み、前記ロータ誘導機によって開始される前記過渡電圧は、前記Q軸巻線から負荷への出力電圧をブーストする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記D軸巻線に励磁を提供する多相電源であって、前記D軸巻線にパルス化された単相励磁を提供するように制御可能である、前記多相電源をさらに含み、
前記D軸巻線への励磁が多相から単相に変化すると、前記D軸巻線を通る逆相電流が発生し、前記ロータと前記Q軸巻線との間のエアギャップ、及び前記ロータと前記D軸巻線との間のエアギャップの磁界内に磁束圧縮効果が生じ、前記磁束圧縮により前記D軸巻線と前記Q軸巻線とに関連する実効インピーダンスが変化する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記Q軸巻線が、パルス形成ネットワーク及びレーダーシステムを含む前記負荷にエネルギーを出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記回転電機が、前記Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストする前記D軸巻線からの電流を出力するように構成されており、
前記システムは、
電力の有効成分と無効成分を制御して前記負荷に印加される電力に影響を与えるサイリスタ変調器と、
前記Q軸巻線からの前記出力エネルギーをブーストするために前記サイリスタ変調器から電流を受け取る誘導性ストレージと、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ステータボアとロータボアの間に不均一なエアギャップを有する回転電機の例と、その応用について説明する。
【背景技術】
【0002】
誘導電動機などの高密度回転電機は、ステータのボアと関連するロータの外径との間に均一なエアギャップを有する一次部材またはステータ部材を使用する。したがって、この場合、機械の直軸と横軸の基本的な磁気抵抗は同一になり得る。このような機械では、巻数、コード化、または分配率などの直軸及び横軸の巻線パラメータを変更することによって、出力リアクタンスの違いを得ることができる。
【発明の概要】
【0003】
例示的なシステムには回転電機が含まれる。回転電機は、円筒状で回転するように構成されたロータと、ロータに対して配置されたステータとを含む。ステータは、ステータの第1の直径とステータの第2の直径を画定する階段状の構成を有する。第1の直径は第2の直径よりも大きい。第1の直径のステータのゾーンは直軸(D軸)巻線を保持し、第2の直径のステータのゾーンは横軸(Q軸)巻線を保持する。ロータとQ軸巻線との間のエアギャップは、ロータとD軸巻線との間のエアギャップよりも大きい。例示的なシステムは、以下の機能の1つまたは複数を単独で、または組み合わせて含むことができる。
【0004】
ステータは、D軸巻線とQ軸巻線のセットの間に中和巻線を含んでもよい。中和巻線は、隣接するD軸巻線とQ軸巻線との間のエアギャップ半径方向磁束を変化させるように構成され得る。このシステムには、ロータが外部電源から切断されているときに回転できるように、D軸巻線に電力を供給する慣性エネルギーストレージデバイスが含まれ得る。
【0005】
Q軸巻線は、エネルギーを負荷に出力するように構成され得る。回転電機は、ロータが所定の速度に達するまで外部電源を通じてD軸巻線に電力を供給し、その後、D軸巻線が慣性エネルギーストレージデバイスによって電力を供給され得るように構成され得る。D軸巻線は慣性エネルギーストレージデバイスによって電力を供給されるが、回転電機は、Q軸巻線によって出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からのエネルギーを出力するように構成されている。D軸巻線からのエネルギーは、Q軸巻線によって出力されるエネルギーに重畳され得る。Q軸巻線によって出力されるエネルギーをブーストすることは、D軸巻線によって出力される電流または電圧に、電流または電圧を追加することのうちの少なくとも1つを含むことができる。Q軸巻線の電気リアクタンスは、Q軸巻線とD軸巻線に関連する半径方向エアギャップの差に基づいて、D軸巻線の電気リアクタンスよりも低いものであり得る。Q軸巻線とD軸巻線からの合成エネルギーは、パルス状であっても連続的であってもよい。Q軸巻線とD軸巻線からの合成エネルギーは、Q軸巻線の電力出力の上昇の終端にあってもよい。
【0006】
回転電機は、Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からのエネルギーを出力するように構成され得る。このシステムは、回転電機と負荷との間に変圧器を含んでもよい。変圧器は、D軸巻線及びQ軸巻線から電流を受け取り、D軸巻線及びQ軸巻線からの電流に基づいて負荷へ出力される、ブーストされたエネルギーを生成するように構成され得る。
【0007】
前述のように、回転電機は、Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からのエネルギーを出力するように構成され得る。回転電機は、回転電機と負荷との間の回路を遮断するように制御可能なスイッチを含んでもよい。回路の遮断は、D軸巻線からのエネルギーの注入と同時に発生させることができる。回路の遮断により、Q軸巻線から出力されたエネルギーをブーストする過渡電圧と過渡電流を発生させることができる。過渡電圧と過渡電流により、Q軸巻線から出力されたエネルギーの上昇率を増加させることができる。過渡電圧と過渡電流により、負荷へ出力される総エネルギーを増加させることができる。過渡電圧と過渡電流により、負荷へ出力されるパルス状のエネルギーを生成することができる。Q軸巻線、スイッチ、及びD軸巻線は、スイッチの制御された開放によって遮断される電流ループを生成することができる。D軸巻線からの出力電流は、電流が目標値に達するまで閉ループ内を循環することができ、その時点で、スイッチが回転電機と負荷との間の回路を遮断するように制御可能である。
【0008】
システムには、D軸巻線を多相入力から単相交流(AC)励磁に変更する回路をさらに含み、これにより、D軸巻線のエアギャップ磁束の空間周辺シフトを引き起こし、その結果、Q軸巻線により出力されるエネルギーをブーストし得る。
【0009】
前述のように、回転電機は、Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からのエネルギーを出力するように構成される。このシステムは、エネルギーの電流成分をAC(交流)からDC(直流)に整流するための整流器を含んでもよい。このシステムには、整流器から電流を受け取り、Q軸巻線からの出力エネルギーをブーストするための誘導性ストレージも含まれ得る。負荷には、誘導性コンポーネントと容量性コンポーネントを備えたパルス形成ネットワーク(PFN)が含まれてもよい。PFNは整形されたパルスを生成するためのものであってもよい。このシステムには、Q軸巻線の出力に従って、整流器から分数調波を抽出する分数調波フィルタと、外部電力から誘導機が切り離されたときに分数調波をD軸巻線に供給するサイリスタ変調器とが含まれ得る。分数調波には無効電力が含まれる場合がある。
【0010】
前述のように、回転電機は、Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からの電流を出力するように構成され得る。このシステムは、D軸巻線と共振回路を形成する高調波フィルタを含むことができ、高調波フィルタは、D軸巻線からの出力電流ポート、高調波フィルタから電流を受け取って電流をブーストする高調波フィルタと直列のブースト変圧器、及び、ブーストされた電流を受け取ってブーストされた電流に基づいて整流された出力を提供し、負荷へ出力されるエネルギーをブーストする多相整流器に接続される。
【0011】
前述のように、回転電機は、Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からの電流を出力するように構成され得る。システムは、D軸巻線から電流を受け取るための、D軸巻線の出力に従ったブースト変圧器と、ブースト変圧器の出力を整流する整流器と、パルス形成ネットワークであって、パルス形成ネットワークからの整流された出力に基づいて充電するストレージ素子を有する、パルス形成ネットワークと、パルス形成ネットワークからエネルギーを出力し、Q軸巻線から出力されたエネルギーと組み合わせるようにトリガ可能なスイッチとを含むことができる。スイッチはスパークギャップスイッチを含むことができ、システムは、Q軸巻線から出力されたエネルギーをストレージする容量性ストレージデバイスと、誘導機の動作中に容量性ストレージ及びパルス形成ネットワークを使用してエネルギーを転送する慣性ストレージデバイスを含むことができる。
【0012】
D軸巻線は、多相入力を受け取るように構成され得る。多相入力が遮断されると、D軸巻線に逆相一次電流が生成され得る。このシステムは、D軸巻線またはQ軸巻線に過渡電圧を誘導する閉短絡ループに切り替え可能な中和巻線を含むことができる。逆相一次電流は、Q軸巻線からの負荷への出力電圧をブーストする過渡電圧を生成し得る。
【0013】
誘導機は、多相入力を受け取るように構成された多相巻線ロータ誘導機を含むことができる。多相入力の大きさまたは位相変位が変化すると、D軸巻線に逆相一次電流が生成され得る。このシステムは、D軸巻線、及びQ軸巻線に過渡電圧を誘導する閉短絡ループに切り替え可能な中和巻線を含むことができる。ロータ誘導機によって開始される過渡電圧により、Q軸巻線からの負荷への出力電圧をブーストすることができる。
【0014】
このシステムには、D軸巻線に励磁を提供する多相電源が含まれてもよい。多相電源は、D軸巻線にパルス化された単相励磁を提供するように制御可能であってもよい。D軸巻線への励磁が多相から単相に変化すると、D軸巻線を通る逆相電流が発生し得、その結果、ロータとQ軸巻線との間のエアギャップ、及びロータとD軸巻線との間のエアギャップの磁界内に磁束圧縮効果が生じる。磁束圧縮は、D軸巻線とQ軸巻線とに関連する実効インピーダンスの変化に影響を与え得る。
【0015】
Q軸巻線は、エネルギーを負荷に出力するように構成され得る。負荷には、パルス形成ネットワークやレーダーシステムが含まれ得る。
【0016】
前述のように、回転電機は、Q軸巻線から負荷へ出力されるエネルギーをブーストするD軸巻線からの電流を出力するように構成され得る。このシステムには、電力の有効成分と無効成分を制御して負荷に印加される電力に影響を与えるサイリスタ変調器と、Q軸巻線からの出力エネルギーをブーストするためにサイリスタ変調器から電流を受け取る誘導性ストレージが含まれ得る。
【0017】
この概要セクションを含め、本明細書に記載されている特徴の任意の2つ以上を組み合わせて、本明細書に特に記載されていない実装形態を形成することができる。
【0018】
本明細書に記載される装置、システム、及び/またはそのコンポーネントは、例えば、設計、構築、構成、配置、プログラミング、操作、アクティブ化、非アクティブ化、及び/または制御を通じて構成され得る。
【0019】
1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面及び下の説明において述べられる。他の特徴及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】例示的な誘導機の断面図である。
図2】ステータアセンブリとロータボアとの間に不均一なエアギャップを有する例示的な誘導機の断面図である。
図3A】Q軸巻線電流ピークに先立って発生する誘導機によって出力される例示的な電圧ブーストを示すグラフである。
図3B】Q軸巻線電流ピークの後に発生する誘導機によって出力される例示的な電圧ブーストを示すグラフである。
図3C】パルス全体の終了時の誘導機によって出力される例示的な電圧ブーストを示すグラフである。
図4】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む例示的なシステムの回路図である。
図5】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムのブロック図である。
図6】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムのブロック図である。
図7】本明細書に記載されるシステムのうちの1つまたは複数で使用され得る例示的な直列注入変圧器、フィルタ、及びサイリスタ変調器の回路図である。
図8】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムのブロック図である。
図9】本明細書に記載されるシステムのうちの1つまたは複数で使用され得るサイリスタ変調器の例示的な回路図である。
図10】本明細書に記載されるシステムのうちの1つまたは複数で使用され得る分数調波パスフィルタの例示的な回路図である。
図11】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムの回路図である。
図12】本明細書に記載されるシステムのうちの1つまたは複数で使用され得る例示的な双方向VVVF整流器インバータの回路図である。
図13】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムの回路図である。
図14】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムのブロック図である。
図15】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムの回路図である。
図16】負荷へ出力される電圧をブーストするための誘導機を含む別の例示的なシステムの回路図である。
図17A】例示的な4極誘導機の巻線レイアウト回路図である。
図17B】例示的な4極誘導機の巻線レイアウト回路図である。
図17C】例示的な4極誘導機の巻線レイアウト回路図である。
図18】ステータとロータボアとの間に不均一なエアギャップを有する別の例示的な誘導機の断面図である。
図19】3セットの多相ステータ巻線を有する例示的な8極誘導機の巻線図である。
図20】ステータボアとロータボアとの間に不均一なエアギャップを有する誘導機用の例示的なステータの設計レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
異なる図における同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【0022】
例示的な回転電機には、誘導電動機などの誘導機や界磁巻線同期機が含まれる。以下に示す例は誘導機に焦点を当てているが、本明細書で説明する構造及びシステムは、任意の適切な種類の回転電機で使用することができる。
【0023】
例示的な誘導機には、モータトルクを生成するロータ内の電流が、ステータ巻線によって生成される磁界からの電磁誘導によって生成される電気モータが含まれる。誘導機は、複数の独立した巻線を有するステータアセンブリを使用して負荷にパルス電力を供給するために使用することもできる。図1の誘導機10は、均一なボア直径を有する円筒状構造を含むステータアセンブリを有する。複数のステータスロットがこの均一なボア直径の周囲に配置され、入力巻線または出力巻線のいずれかを保持する。図1のもののようなステータアセンブリでは、円筒状ロータ積層体とステータボアとの間の磁気エアギャップ磁気抵抗は、小さな摂動を除いて、ステータボアの周りで実質的に均一である。例えば0.5テスラ(T)から2.0Tの範囲の磁束圧縮などの電磁原理をステータアセンブリに適用して、レーダーシステムを含むがこれに限定されない負荷にパルス電力を供給することができる。
【0024】
図2は、ステータアセンブリ13及び円筒状ロータ14を含む例示的な誘導機12の断面図である。誘導機12は、本明細書で説明するような発電機機能を有する誘導電動機であってもよい。図1のステータアセンブリとは対照的に、ステータアセンブリ12は、高磁気及び低磁気エアギャップ抵抗を有するゾーン及び巻線を形成するために、ステータまたは一次ボア直径の階段状の周期的変化を含む。これらのステータエアギャップにストレージされる磁気エネルギーは、半径方向エアギャップ寸法が変化すると変化し、より大きなエアギャップゾーンは、例えばより小さなエアギャップゾーンの4~5倍のエネルギーをストレージする。この文脈では、「高」磁気及び「低」磁気エアギャップ抵抗には特定の数値的な意味はなく、むしろ磁気エアギャップ磁気抵抗の相対的なレベルを示すために使用される。
【0025】
例示的なステータアセンブリ13は、少なくとも2つの異なる電気的に絶縁されたステータ巻線16、17のセットを含む4極構造である。両方のタイプの巻線がステータアセンブリ13の全周にわたって繰り返されるが、巻線16及び17への相対的な周囲の割り当ては設計変数である。この例では、電気角度30の各巻線位相は、機械角度15、例えば19や20などを占める。ステータアセンブリ13は、通常のスロット開口部とは別に、2つの異なるボア直径を含む。一次ボア直径Ds121は、一次ボア直径Ds1の結果として、半径方向エアギャップg22を有する電源入力巻線用である。これらの巻線は、例えば磁性積層鋼によって確立された磁性スロットに囲まれている。二次ボア直径Ds225は、一次ボア直径Ds2の結果として、半径方向エアギャップg26を有する出力または電力出力巻線用である。本明細書で説明するように、電力は入力巻線に入力され、入力巻線と出力巻線の両方から出力される。
【0026】
入力巻線は直(D)軸巻線17を含み、2つの半径方向エアギャップのうち小さい方を有する。この構成により、以下に説明する、出力巻線に対する高い磁気抵抗、高い漏れインダクタンス(Xl)、及び高い磁化リアクタンス(Xm)が生成される。これらのパラメータの相対値は、原動機やAC(交流)主伝送線などの電源からD軸巻線を動作させるのに有利であり得る。出力巻線は直交(Q)軸巻線16であり、2つの半径方向エアギャップのうち大きい方を有する。この構成により、入力巻線よりも高い磁気抵抗と低い漏れリアクタンスが生成される。比較的低い漏れリアクタンスは、D軸巻線よりも小さい時定数を有するQ軸巻線に高電流出力を生じさせることができる。Q軸巻線は、非磁性構造によって機械的に保持される導体を含むエアギャップ巻線を含むことができる。結果として、実効半径方向エアギャップは、g’27においてさらに大きくなり得、これは、本明細書に記載されるパルス電力出力負荷にとって有利となり得る。個々の巻線は、同心コイル巻線、二重層重ね巻線、またはそれらの組み合わせのいずれかであり得る。
【0027】
円筒状ロータ14は、均一な外径30と、ロータ14の周囲に規則的な間隔で配置されたロータ導体31とを有し得る。ロータ14は、かご型ロータであってもよいし、かご型ロータを含んでもよい。ロータ14は、多相巻線ACロータまたはDC(直流)巻線ロータであってもよいし、またはそれらを含んでもよく、それぞれが外部励磁を受けることができる。例示的な実装形態では、ロータ14は、ロータの外部励磁を可能にする巻線ロータ構造を有し、これにより、ロータの滑り周波数ωσを対象となる任意のシャフト速度に対して制御することが可能になる。滑り周波数とロータ電流振幅の組み合わせにより、誘導機の出力が最終的に制御される。例えば、図2の誘導機が慣性ストレージデバイスまたはパルス発電機(以下で説明する)として動作するように制御される場合、パルス放電に続いてシャフト速度が低下するにつれて、ロータ励磁コントローラは励磁適用周波数ωを連続的にブーストし、放電パルスの持続時間中ほぼ一定のステータ出力周波数が得られる。
【0028】
したがって、誘導機12の構成は、ステータ構造とロータ構造との間の磁気抵抗に空間的変化をもたらし、その結果、横軸出力リアクタンスを低下させる。例示的な誘導機12はまた、30または60電気角度ごとの中和ステータ巻線挿入(「中和巻線」)を含み、これは、磁束圧縮及びD軸巻線をQ軸巻線から磁気的に絶縁するのに役立ち得る。中和巻線は、D軸及びQ軸巻線から完全にガルバニック絶縁されており、別個の制御装置を備えている。D軸中和ステータ巻線を含む実装形態を図18に示す。
【0029】
このガルバニック絶縁により、誘導機12は、共通の磁気コア及び共通の構造を有する単一の機械内に入力(D軸)及び出力(Q軸)巻線を含むことができる。さらに、ステータアセンブリ13は、入力巻線及び出力巻線の主磁気抵抗をそれらのボア直径の関数として変化させるため、ステータ巻線の固有の漏れリアクタンス及び磁化リアクタンスは、ステータアセンブリ13内で2つ以上の値を有することができる。これにより磁束圧縮効果が生じ、エアギャップの半径方向磁束を連続的にシフトさせることができる。本明細書に記載される例では、パルス電力を生成するゾーンは、モータリング機能に使用されるゾーンのエアギャップに4倍の固有のストレージエネルギーを有することができる。
【0030】
これに関して、誘導機12の出力巻線及び本明細書で説明するその変形例は、多相電力または単相電力を含むパルス電力または連続電力を生成するために使用することができ、これを使用して、レーダーシステムを含むがこれに限定されない様々な負荷に電力を供給することができる。例えば、出力巻線は、時間とともに変化する負荷電力または時間の関数として変化する力率を有するパルス負荷に電力を供給するために使用することができる。本明細書に記載の誘導機12及びその変形例の入力巻線は、パルス電力または連続電力を生成するために使用することができ、この電力は多相電力または単相電力のいずれかであり、ロータのトルク生成を含むモータリング機能に電力を供給するために使用することができる。加えて、本明細書に記載の誘導機12及びその変形例の入力巻線は、パルス電力または連続電力を生成するために使用することができ、この電力は多相電力または単相電力のいずれかであり、出力巻線によって供給される電力をブーストする(つまり、増加または増強する)ために使用することができる。出力巻線によって生成される電力は、一般に入力巻線によって生成される電力よりも低いリアクタンスになる。出力巻線の出力リアクタンスが低いと、エネルギーと電力供給が向上され得る。
【0031】
出力巻線における比較的低い出力リアクタンスに加えて、例示的な誘導機12及び本明細書で説明されるその変形例は、比較的高い電圧及び比較的速い立ち上がり時間を有する時間変化する電圧パルスの反復可能なストリームを生成するように構成され得る。そのモータリングモードでは、ステータアセンブリ12のD軸巻線は、慣性エネルギーストレージデバイスに入力エネルギーを供給して、ロータ14を基本速度まで上昇させるか、または放電サイクルに先立って中程度または長期間にわたりその速度を維持する。D軸巻線がこの目的を果たした後、同じD軸巻線を構成して制御し、高電圧パルスを生成することができる。例示的な実装形態では、D軸巻線出力(電圧パルス)をQ軸巻線出力(電流パルス)に重畳して、本明細書に記載されているような負荷への高電流パルスと、同じ負荷への高電圧パルスの両方を提供することができる。重畳されたパルスは、まったく同時に発生する必要はない。例えば、最初にQ軸巻線のピークを設け、電流パルスを生成し、その後に制御されたD軸電圧パルスのピークを生成することには、動作上の利点があり得る。パルスを重ね合わせると、負荷へのエネルギー量がブーストされる。ブーストされたエネルギーには、ブーストされた電流、ブーストされた電圧、及び/またはブーストされた電力が含まれ得る。
【0032】
これに関して、一部のタイプのパルス電力負荷では、図3A、3B、または3Cに示すような電圧-電流特性が必要になる場合がある。図3Aは、Q軸巻線が電流パルスの遮断に先立って期間「ta」で主出力電流パルス28を供給する例を示す。D軸巻線出力はQ軸電圧29に重畳され、ブースト出力電圧30を生成する。このタイプのブースト出力電圧は、特定のタイプのパルス電力負荷で必要になる場合がある。図3Bは、Q軸巻線が、電流遮断後のピークから遅延された期間「tx」で出力電圧32を供給する例を示す。D軸巻線出力はQ軸電圧34に重畳され、ブースト出力電圧35を生成する。このタイプのブースト出力電圧は、特定のタイプのパルス電力負荷で必要になる場合がある。図3Cは、本明細書で説明されるように、Q軸巻線とD軸巻線からの出力を重畳することによって生成され得るブースト電圧36を示す。ブースト出力電圧は急峻で、パルス全体38の終わりに現れ、時刻t1で開始し、Q軸巻線からの初期エネルギーE1からの立ち上がり時間よりも速い立ち上がり時間を生み出すD軸巻線からのエネルギーE2を持つ。時刻t2でパルスは出力ゼロまで減衰し、時刻t3で繰り返しパターンが再び始まる。初期エネルギーE1は通常、エネルギーE2よりも大きくなるが、場合によっては、エネルギーE2がエネルギーE1よりも大きくなる場合もある。E1とE2のエネルギー上昇率または上昇勾配が大幅に異なる可能性があることは明らかである。図3A、3B、及び3Cの出力電流と電圧の例はAC量である。本明細書で説明する技術は、Q軸巻線及びD軸巻線からの機械出力がDC出力になるように整流される場合にも使用できる。
【0033】
図4は、負荷41にパルス電力を供給するために、図2に示されるタイプのものであり得る誘導機12を使用する例示的なシステム40の図である。始動モードでは、D軸巻線が機械のロータを動作速度まで引き上げるので、機械セットのロータには特定の量のストレージされたエネルギーまたは慣性エネルギーが存在する。図4の例では、誘導機には、主Q軸巻線出力への直列注入に使用されるブースト電力を提供するためのD軸巻線の二重機能が含まれている。この例では、2セットのステータアセンブリ巻線(前述のD軸巻線とQ軸巻線)が電気機械開閉装置または電子スイッチングネットワークによって制御され、図3Cに示す出力が生成される。システム40では、負荷41は、それ自体のエネルギーストレージ容量を有し、パルス出力を急峻にする働きもする多段パルス形成ネットワーク(PFN)を含む。PFNは、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)またはサイリスタなどの電子スイッチを含むことができる負荷スイッチVB3~VB7 46を含む。電気機械装置が使用される場合、スイッチング装置には、DC電流が大きいため、エアブラスト回路ブレーカが含まれてもよい。負荷には、追加回路47が含まれてもよく、次の、例えば、RL(抵抗-誘導)回路、RC(抵抗-容量)回路、LC(誘導-容量)回路、非線形誘導負荷、またはLCタンク回路のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0034】
例示的なシステム40では、Q軸巻線出力42はスイッチVB2 43を介してルーティングされ、これはバキュームブレーカまたはサイリスタまたはIGBTなどのソリッドステート多相スイッチを使用して実装され得る。図4の例では、をD軸巻線出力44はスイッチVB1 49を介してルーティングされ、これはバキュームブレーカまたはサイリスタまたはIGBTなどのソリッドステート多相スイッチを使用して実装され得る。直列注入変圧器50は、誘導機12を多相整流器51、伝送線52、及び負荷41から分離する。変圧器50は、その巻線上でD軸巻線及びQ軸巻線から電流を受け取り、Q軸巻線からの電流に、D軸巻線から重畳された電流に基づいて、負荷へのブーストされた電力出力を生成するように構成されている。
【0035】
AC電源54は、可変電圧可変周波数(VVVF)ドライブ55に電力を供給する多相電源を含んでもよい。VVVFドライブは、受け取った電力をより高い周波数f1に変換するように構成されており、これは位置1にあるセレクタスイッチ57を介して機械のD軸巻線44にルーティングされる。慣性ストレージユニット59は、AC電源からの直接電力入力がない限り、誘導機に入力されたエネルギーを維持するように構成されている。慣性ストレージユニット59のエネルギー能力は、各パルスの出力エネルギーの数倍であり、それによって、長期間にわたって出力パルスの連続ストリームを提供することができる。例えば、慣性ストレージユニット59は、AC電源からの直接電力入力が切断された後にストレージエネルギーが枯渇するため、ロータ速度が低下しても、誘導機へのエネルギー/電力入力を維持するように構成され得る。ロータが事前に定義された、または目標の上限速度に達した後、直接電力を切断することができる。放電モード中に目標の低速に達すると、直接電力入力を再印加することができる。慣性ストレージユニット59はまた、誘導機が目標の上限及び下限速度内にあるときに、本明細書で説明するようにD軸巻線がブースト電力を提供している間、誘導機へのエネルギー/電力入力を維持するように構成されている。スイッチVB1 49及びVB2 43は、例えば外部コントローラ(図示せず)によって制御され、それぞれD軸巻線及びQ軸巻線から上述の電流パルス及び電圧パルスを出力する。多相整流器51は、重畳された電流及び電圧をACからDCに整流し、その結果得られる整流出力を、伝送線52を介して負荷41に供給する。
【0036】
図5は、システム40と共通のコンポーネントを有する例示的なシステムを示す。図面において同じ参照番号が付された要素は、同じ構造及び機能の少なくとも一部または全部を有し得る。図5の例では、エアブラストブレーカ60を用いて、Q軸巻線からの電圧及び電流出力に、D軸巻線からの重畳された電圧(Vz)及び電流の出力を制御する。D軸巻線からの電流は、ブースト変圧器(Xformer)61、AC/DC整流器62、及び中間誘導性ストレージ63を通過する。Q軸巻線からの電圧は全波ブリッジ(FWB)整流器64を通過し、中間容量性ストレージ65にストレージされる。エアブラストブレーカ60は、外部コントローラ66によって制御可能であり、誘導性ストレージ63の両端の電圧出力Vzを容量性ストレージ65の電圧と組み合わせて、上述した負荷への重畳ブースト出力を生成する。電圧Vzは過渡電圧であり、好ましくは急峻な立ち上がり時間を有し、エアブラストブレーカ60が開くことによってのみ生じる。励磁ドライブ59は、可変電圧可変周波数電力を供給し、誘導機12のロータの動作を駆動する。
【0037】
図6は、図5のシステムと共通のコンポーネントを有する例示的システムを示す。図6のシステムでは、サイリスタ変調器70が、中間誘導性ストレージ63とともにD軸巻線出力42に接続されている。図7は、D軸巻線の出力に従って使用され得る例示的な6装置サイリスタ変調器70、中間誘導性ストレージ63、及び組み合わせLCフィルタ回路74の詳細を示す。この例では、D軸巻線の出力は、位置2のスイッチ57を通って出力され、その後、サイリスタスイッチT1~T6を備えたサイリスタ変調器70、誘導誘導性ストレージ63、バキュームブレーカ(VB)75、及び図7にデルタ結線対Y結線の組み合わせとして示されている直列注入変圧器77の高インピーダンス巻線に出力される。中間誘導性ストレージ63は、180Hz(ヘルツ)などの高調波に同調できる直列LCタンクフィルタとしても機能し、この周波数でのインピーダンスを増加させる。機械のインダクタンスと変圧器のインダクタンスも、このLCタンクフィルタの共振周波数に入り得る。
【0038】
図6のシステムでは、低インピーダンス変圧器巻線の変圧後の電圧が十分に高い場合、機械のD軸巻線は有効電力と無効電力の両方を多相整流器79の入力に供給することができる。サイリスタ変調器70の位相遅延角「アルファ」は、有効電力と無効電力の分割比を部分的に制御する。図7の回路では、1つの機械巻線(Q軸巻線)が、連続DC出力を生成するフライホイールエネルギーストレージ源を使用して出力有効電力の大部分を提供する。第2の「モータ」巻線(D軸巻線)は、最終出力電流のテールまたは中間形状を変更するためのプログラムされたブーストパルスを提供するか、追加の無効電力を提供する機能を備えた変調巻線として機能する。いくつかの実装形態では、サイリスタ変調器70は、高速高電圧ソリッドステートスイッチを含むことができ、したがって、重畳波が出力パルス上で10~100マイクロ秒(μs)の応答時間で実装されることを可能にする。図6はまた、多相整流器79と伝送線52との間に、二重モード重畳パルスを伝送線52に提供するための受動同調高調波フィルタ80を含む。この実装形態では、レーダーDC入力81は、負荷41に出力するために伝送線から電力を受け取る。サイリスタ変調器70は、以下に説明するように、システムによって提供されるブースト電力を変更するために、レーダーDC入力に基づいて制御され得る。
【0039】
2つ以上の電力出力を共通の負荷に重畳するシステムでは、高電圧電位や高電圧電源によって生じる過渡現象に耐えることができる電流供給用の絶縁システムが必要になる場合がある。本明細書に記載の誘導機の例では、機械の巻線は設計により電気的に絶縁されており、隣接する巻線グループ間の絶縁が強力なため、比較的良好な電圧遮断能力を有する。いくつかの実装形態では、誘導機12は、D軸パラメータからQ軸パラメータまでの端子インピーダンスの大きな変動(例えば、10:1を超える)と、磁束の空間的シフトに基づくD軸巻線電圧の急速な上昇を有する二重給電機である。
【0040】
図8は、図6のシステムの変形例を示しており、主に無効電力である分数周波またはリップル低調波が主DC多相整流器出力84から抽出される。この例では、低周波またはリップル分数調波は、多相整流器77に含まれ得る直列の3つの変流器によって抽出され、2つの独立したセットの分数調波パスフィルタ85に供給され、位置2のセレクタスイッチ57を介して、多相サイリスタ変調器70aによって、モータのD軸巻線にルーティングされる。多相サイリスタ変調器70aはデュアルモードであり、2つ以上の高調波電力フィルタの1つを選択し、誘導機が電力網入力から切り離されると、特定の高調波エネルギーを誘導機のD軸巻線に戻すように構成されている。この例では、スイッチ57が位置2にあるとき、D軸巻線には、主に60Hzシステムの場合7~35Hzの範囲の負荷電流の低周波脈動から生じる分数調波電流が供給される。図9は、フィルタ85を含むLCL(誘導-容量-誘導)素子を制御し、電流を制限する双方向位相角コントローラとしても機能する例示的な多相12素子サイリスタ変調器70aを示す。2段以上の独立したフィルタが存在し得るが、選択された2つの周波数は、予想される負荷パルスの典型的な上限と下限を処理できる。負荷への出力は、図8の受動同調高調波フィルタ88を介して供給され、DC出力を供給する。
【0041】
図10は、接続点84における図8の例示的な回路実装形態を示す。図10は、基本周波数同調LCLフィルタの1/6、または基本周波数同調LCLフィルタの1/2のいずれかを通ってルーティングされる変流器として設計された二次巻線89を示す。例えば、ベースが60Hzの場合、第1のフィルタは10Hzのノッチフィルタであり、第2のフィルタは30Hzのノッチフィルタである。回路がレーダーシステムで使用される場合、最終負荷がどのようなパルスを生成するかに応じてフィルタを順番に使用できる。レーダーシステムの場合、図9を参照すると、サイリスタ変調器70a内のサイリスタT1~T12は、3対のサイリスタをオンにゲーティングするよう指示するフィードバック信号をレーダー入力段81(図8)から受信する。例えば、レーダーが7~20Hzのレートでパルスしている場合、サイリスタT1、T4、T5、T8、T9、T12がアクティブになり、120度離れたペアをゲーティングする。レーダーが21~35Hzのレートでパルスしている場合、サイリスタT2、T3、T6、T7、T10、T11がアクティブになり、120度離れたペアをゲーティングする。図8の無効電力変調回路への変流器入力に続いて、機械出力が3相の場合、DC出力には、2つのインダクタセットを備えた出力DCバスの両側にLCLフィルタを含む5次高調波フィルタが含まれる。これら2つのインダクタセットを「ブルックスコイル」結合インダクタとして巻いて、インダクタンスを増加させ、空芯構造のフィルタを可能にすることができる。これにより、レーダー用途で主要な高調波となる可能性がある5次高調波に対して比較的高いインピーダンスが生成される。機械出力が6相の場合、フィルタは、同じ配置のデュアルブルックスコイルインダクタ(dual Brooks coil inductor)を備えた11次高調波フィルタであってもよい。
【0042】
図11は、図4及び5のシステムと共通のコンポーネントを有する例示的なシステムである。図11では、2セットのステータ巻線が電気機械開閉装置または電子スイッチングネットワークによって制御される。電源は、多相AC電源54によってVVVFドライブ90に供給され、その後、より高い周波数f1に変換され、位置1のセレクタスイッチ57を介して機械のD軸巻線にルーティングされる。このD軸巻線は、一般的な定トルクモードまたは定V/Hzモードでの、ゼロからフルスピードまでのモータフライホイール速度をもたらす。同時に、誘導機のロータは、同様の動力源からVVVFドライブ92を介して可変周波数f2で励起され、これは制御アーキテクチャにおいてシャフト速度にリンクされる。機械がフルまたはフルに近いシャフト速度に達し、フライホイールエネルギーストレージのフルエネルギーレベルがレベルE1に達すると、バキュームブレーカVB2 43及びバキュームブレーカAB3 94が順次閉じられる。これらの閉鎖が、周波数f3の電流i3のQ軸巻線出力44を主整流器95に接続し、したがって伝送線92に、そしてこの例では中間負荷である負荷41に接続する。負荷(この例ではPFN)のコンデンサC1~C5が最大DC電圧値まで充電されると、主サイリスタスイッチT1 97が閉じ、PFNは最終電気負荷(図示せず)に放電される。多段PFNは、ほぼ方形波の出力電流を生成するように構成され得る。これは、多くのパルス電力アプリケーションにとって望ましいものであり得る。PFNは、T1を介して点弧されると、急峻立ち上がり時間を有する実質的に電圧の方形波である出力パルスを生成し、これは一部の負荷にとって望ましいものであり得る。このシステムは、ブレーカVB2とVB3を繰り返し動作させることにより、連続点弧または出力パルスの連続ストリーム用にセットアップされる。
【0043】
出力特性を強化するために、PFNが充電の最終プロセスにあるときに、スイッチ57が位置2に配置されている間、バキュームブレーカVB3 94が開いてもよい。バキュームブレーカVB1 49が閉じており、これはD軸巻線、多相共振コンデンサC6 99、及び多相共振インダクタ100と直列である。この構成は、ブースト変圧器100を通ってブースト整流器ブリッジ101に流れる電流i2を生成し、したがってAB3の開接点にわたってDC過渡電流Iz及び過渡電圧Vzを生成する。主整流器95の出力ダイオードは、VzがQ軸巻線に悪影響を及ぼすのを阻止する。次に、電圧Vzが伝送線52と負荷41への入力との間に現れ、最終充電モードにあるPFN入力にブースト電圧またはステップ電圧を与える。コンデンサC6 99は、典型的には非線形であるD軸巻線の漏れインダクタンスと、典型的には線形であるインダクタ100からのインダクタンスとを有する共振回路を形成する。ブースト変圧器の漏れと磁化インダクタンスにより、コンデンサ99を流れる電流は、共振回路がない場合よりも高い値になる。
【0044】
図11の回路には、2つの機械出力ポート(D軸巻線用とQ軸巻線用)の組み合わせが含まれている。各ポートには異なる時定数と異なる過渡電力能力がある。図3Aから図3Cの電流と電圧の曲線では、Q軸巻線は、比較的遅いが高電流ランプを負荷に提供し、負荷を充電する電流の最後の時間セグメントで、D軸巻線からの階段状のブーストパルスが供給される。図11のブースト変圧器102は、多相ユニットを含むことができ、高速放電時間をサポートするために空芯巻線を使用して構築され得る昇圧変圧器または降圧変圧器のいずれかであり得る。一例では、ブースト変圧器の出力(二次)電圧がQ軸巻線のAC出力レベルよりも高くなる。したがって、この回路は、異なるリアクタンスを持ち、異なる空間軸にある2つのステータ巻線を使用して、電源電流の上に電源電圧を重畳する。
【0045】
図11の回路は次のように動作する。時刻T1において、AC電源54は両方のVVVFドライブ90、92に入力エネルギーを供給する。VVVFドライブ92が通電され、巻線ロータ機械へのロータ励磁電流が増加する。スイッチ57は、最初は位置1にある。次の時刻T2において、VVVFドライブ90は、慣性エネルギーストレージユニットに加速エネルギーを提供するように動作し、慣性エネルギーストレージが定格エネルギーレベルE1に達するまでオンのままである。時刻T3は、VVVFドライブ90がオフであり、AC電源54からの直接電力入力がなくても慣性ストレージユニットが速度/エネルギーを維持する「惰力」期間を開始する。次の時刻T4で、Q軸巻線の出力上のバキュームブレーカVB2 43が閉じられ、主整流器95の出力上のエアブレーカAB3 94が順次閉じられ、スイッチ57が位置2に再配置される。その後、伝送線と負荷はDC電圧と電流Idcによって充電される。出力サイリスタスイッチT1 97は開いている。次の時刻T5において、時間依存の電荷を有する負荷端子電圧が感知され、所望の電圧の90%などの中間閾値に達すると、ブースト回路が開始される。次の時刻T6において、バキュームブレーカVB1 49が閉じられ、D軸中和巻線、FWB整流器105、及びQ軸巻線を含む閉じた「短絡」ループ内でD軸電流i2の循環が開始される。次の時刻T7において、i2が閾値に達すると、ブレーカAB3が開く。これにより過渡電圧Vzが生成され、ブレーカAB3接点にわたって直接印加され、次いで主整流器95からQ軸DC出力に直列補助電圧として注入される。この動作により、高電流i3と高電圧Vzで2つの電源が重畳される。次の時刻T8において、ゆっくりと上昇する電圧と充電サイクルの最後尾の階段状またはピーク電圧の合成である得られた合計電圧が伝送線とPFN入力の両方にわたって現れる。この合計電圧は、シャント接続された直列のPFNコンデンサC1~C5と直列インダクタL1~L4を充電する。時刻T8が終了すると、VVVF92がオフになる。次の時刻T9において、最初にブレーカVB2 43が開かれ、続いてブレーカVB1 49が開かれ、すべての負荷充電電力が除去される。次の時刻T10において、負荷41は、サイリスタまたは同様の高電流スイッチT1 97の点弧によって最終電気負荷に放電される。次の時刻T11において、単一の負荷または直列の複数負荷の放電が完了する。休止期間の後、次のサイクルの準備が整う。次の時刻T12において、最初にセレクタスイッチ57を位置1に変更し、VVVFドライブ92に電源を投入することによって、繰り返しサイクルを再び開始することができる。
【0046】
図12は、本明細書で説明される回路によって使用することができる例示的な双方向VVVF整流器インバータ112駆動装置を示す。このVVVFタイプの駆動装置は、主D軸巻線の両方に給電し、別個の小型の整流器インバータユニットにおいて二重給電誘導機のロータ多相AC励磁回路(図5の励磁駆動装置59など)にも給電する。出力の上限電圧レベルは整流器によって設定され、周波数と最終電圧はインバータ段によって確立され得る。コンポーネント114は、一次/ステータロータ巻線または誘導機のいずれかを表す。
【0047】
整流器115は、すべての入力位相に3つの飽和入力インダクタ(Lxa、Lxb、Lxc)116を含む「アクティブ」フロントエンド用の6つのサイリスタを有する全波ブリッジ(FWB)制御整流器を含み得る。インバータ回路118は、6つのサイリスタ、6つのダイオード、6つの整流コンデンサ、及び6つの飽和制限リアクトルを含む自動順次ブリッジインバータを含む。DCバスのフィルタリングは、2つの平衡リアクトル119、120によって実行され、DC電力の流れを双方向にすることができる。図12の回路は、IGBT、IGCT、またはMOSFETなどの交互スイッチング装置を使用して実装できる。動作中、図12の回路は、必要に応じて、D軸巻線からの有効電力を誘導機のAC入力ラインにフィードバックできるようにする。
【0048】
図13は、図11のシステムの変形例を示す図である。図13において、ブロック120の回路は、図11の対応する回路と同一である。図13の回路では、磁束シフト機構が使用されて、2つの異なるタイプの出力負荷に電力が供給され、2つの異なるタイプのPFN121、122(出力負荷の一部であり得る)が共通の伝送線を使用する場合に出力パルス生成を向上させる。例示的な第1の負荷121は、準方形出力を有するPFNを含み、例示的な第2の負荷122は、三角波または鋸歯状波出力を有するPFNを含む。電源電力は多相電源によってVVVFドライブに供給され、より高い周波数f1に変換され、位置1のスイッチを介してD軸巻線にルーティングされる。スイッチを位置1に設定し、入力電力を印加すると、D軸巻線は、典型的な定トルクモードまたは定V/Hzモードで、機械のフライホイール速度をゼロから最高速度またはサービス速度(エネルギーレベルE1)に高める。機械が指定された速度に達し、フライホイールエネルギーストレージのエネルギーレベルがレベルE1になると、バキュームブレーカVB2が閉じられ、周波数f3でのQ軸巻線出力が主整流器とフィルタコンデンサCxに接続され、したがって、負荷121、122にも接続される。この例では、中間負荷には、主エアブラスト回路ブレーカAB3、伝送線(Lx、Rx)、及び2つの多段PFN121及び122が含まれる。スイッチが位置2に移動すると、システムはブレーカVB1を介してD軸巻線に接続された共振LC回路を使用する。D軸巻線は、もはや外部電源または電力網に接続されていない。ここで、D軸巻線の出力はブースト整流器によって整流され、その出力はインダクタL5を介して接続され、高電流または短絡レベルの電流であるDC電流Izを形成する。ブレーカAB3が開くように制御されると、AB3接点(またはソリッドステートスイッチが使用されている場合はアノード-カソード)間に高いブースト電圧が発生する。これは、コンデンサCxの両端の主整流器電圧の基本出力に役立ち、次に、システム出力に転送され、電流Idcの大きさが向上する。
【0049】
電流Idcが流れると、PFN121のコンデンサC1~C6が最大DC電圧値まで充電され、主サイリスタ負荷スイッチT1が閉じ、PFN121が最終電気負荷に放電される(図示せず)。C1~C5及びL1~L4に適切な回路パラメータを使用すると、PFN121の出力は準方形波になり、これは一部のパルス電力用途にとって望ましいものであり得る。PFN121の多段LC回路は、各放電サイクル後の反復パルスストリームのために誘導機12によって反復的に充電されるパルスストリームを生成する。このシステムは、繰り返し開閉するようにプログラムできるブレーカAB3を操作することで、連続点弧または出力パルスの連続ストリーム用に構成され得る。第1の負荷回路121とは異なってもよい第2の負荷回路122では、PFN122のコンデンサC7~C12及びインダクタL7~L12が最大DC電流値まで充電されると、最終出力サイリスタスイッチT2が閉じられ、PFN122は最終電気負荷に放電される(図示せず)。C7~C12及びL7~L12に適切な回路パラメータを使用すると、PFN122の出力は鋸歯状波または三角波になり得、これは一部のパルス電力用途にとって望ましいものであり得る。
【0050】
図13に示すように、分離ダイオードD1 124及びD2 125を適切に適用することによって、PFN121、122は、共通の伝送線及び共通の機械出力回路120を共有することができる。例示的な動作モードでは、2つの出力サイリスタの導通動作が交互に切り替わるように、T1が動作し、T2がそれに続く。
【0051】
図14は、図5のシステムと共通のコンポーネントを有する例示的なシステムを示している。図14のシステムには、15段のPFNとブースト変圧器を含むD軸回路出力上のエネルギーストレージ素子と、Q軸回路出力上の1つの容量性ストレージ素子とが含まれている。D軸回路とQ軸回路の両方の出力を重畳するとDCに整流される。図14のシステムでは、D軸エネルギーをQ軸エネルギーに注入する正確なタイミングは、エアブラストブレーカ60が開いたときにQ軸回路にエネルギーを注入するトリガトロンスイッチ129の組み合わせによって実現される。これにより、伝送線52と負荷41に最大の過渡パルスまたはブーストパルスが生成される。この目的のために、図14のシステムは、多相ブースト変圧器61、全波ブリッジ整流器62、高段数(例えば、15段)のPFN128、及びトリガトロン(トリガスパークギャップ)スイッチ129(高電圧ブースト回路が含まれているが、この例では共振回路は含まれていない)を含む。トリガトロンスイッチ129は、15段PFNのコンデンサバンクにストレージされた高電圧電荷の放電を実行するための正確な光学的またはレーザトリガを有するスパークギャップスイッチであってもよい。トリガトロンスイッチのトリガは、エアブラストブレーカ60の開度に合わせてタイミングを調整することができ、これにより、D軸出力からのブーストパルスを中間容量性ストレージ65からのQ軸DC出力上に最適に配置することができる。これに関して、図14のシステムは、3つのエネルギー源、すなわち、PFN128、容量性ストレージ65、及び誘導機にエネルギー入力を提供する慣性エネルギーストレージデバイスであるフライホイールエネルギーストレージデバイス67を含む。システムの動作中、フライホイール67からPFN128及び容量性ストレージ65への運動エネルギーの伝達が反復的に行われる。
【0052】
図15の回路は、図4のシステムと共通で巻線ロータ誘導機に特有のコンポーネントを有する代替システムを示す。図15のシステムは、磁気誘導によって、機械出力巻線に重畳される急峻過渡現象を繰り返し発生させ、出力パルスの生成を助けるように構成されている。この回路は、D軸巻線出力に逆相一次電流を生成するように構成されている。制御システムは、誘導機12が目標速度及び/または慣性エネルギーレベルに達すると、次の動作のうちの3つを連続して発生させるように構成されている。VVVFドライブによって制御されるD軸の励磁周波数は、半分の同期速度ポイントの上下で周期的に変調される。これは、D軸での最大過渡高電圧の発生が半分の速度ポイントのプラスまたはマイナス数パーセントで発生するためである。誘導機のロータ回路は、外部ロータリアクトル/インダクタバンク間の短絡ブレーカB1により、広い電流のエクスカーションが発生するように意図的に強制される。あるいは、誘導機のロータ回路は、それが巻線ロータ機の場合、短絡される。過渡電圧は、制御され周期的にQ軸出力巻線42内に生成され、その後、整流されて負荷に送られる。
【0053】
例示的な実装形態では、機械12が半分の速度になると、D軸巻線入力44は、電気機械スイッチ138、サイリスタ、または多相電力入力/電源からのIGBTスイッチングシステムによって充電されるが、単相交流励磁に限定される(つまり、多相入力は周期的に遮断される)。これにより、D軸巻線のエアギャップ磁束の空間周辺シフト、高い逆相電流、及び非対称な磁気コア磁束が発生する。最終的な結果は、D軸巻線の入力磁化リアクタンスの減少である。この電磁作用により、D軸ステータスロット上の半径方向エアギャップ磁束が減少し、また磁束シフトが発生し、Q軸スロット及び各極の巻線上の半径方向エアギャップ磁束が増加し、それによりQ軸巻き線から出力される電力をブーストする。いくつかの例では、1つの相が低リアクタンス/低抵抗回路を通じて短絡され、他の2つの相が開放回路のままであるか、高インピーダンス負荷があるが、短絡回路でないという条件で、ロータ巻線が部分的に短絡されてもよい。これにより、逆走の回転磁界も生成され、これは機械エネルギーの高いバーストを必要とする出力パルスの生成に望ましいものであり得る。
【0054】
図16は、図15のシステムと共通のコンポーネントを有し、それぞれがサイリスタT1~T4 132として表される別個の電子スイッチによって制御される4つの独立した負荷を有する例示的なシステムを示す。また、この実装形態では、誘導機のロータ回路は多相抵抗バンク134によって制御される。このバンクは回路ブレーカまたは電子スイッチによって定期的に短絡され、大きな逆相電流を生成し、外部コントローラを使用して大きな過渡ロータ電流を調整し、その結果Q軸巻線のブーストされた出力反復パルスストリームを調整する。
【0055】
図17a及び17bは、誘導機12などの例示的な4極機の例示的な巻線レイアウト図を示す。この例には、D軸の48個のステータコイル、Q軸の36個のステータコイル、及び中和巻線の12個のコイルが含まれており、図17aでは合計96個のステータコイルになる。図17bの例示的な4極誘導機では72個のロータコイルがあり、図17cの4極同期機の例では24個のロータコイルがあり得る。
【0056】
これに関して、ステータまたは一次フレーム内に一組の中和巻線コイルが存在してもよく、これはいくつかの電磁目的に役立ち得る。一例では、各D軸巻線と後続のQ軸巻線(極ごと)の間に、直径方向反対側のステータ位置から絶縁された2つ以上の巻線コイルのセットが介在する。これらの絶縁された巻線は、これら2つのセクション間のエアギャップ半径方向磁束を低減または無効にするように構成されている。これらの巻線を流れる電流は、外部制御システムの制御下にある複数の双方向サイリスタスイッチのシステムによって完全に制御できる。直列接続されたツインコイルの各セットを流れる電流が大きくてもよい。さらに、これらのコイルのアンペアターンの大きさは、D軸巻線のアンペアターンに近くてもよい。図17Aの例には、合計6セットの中和コイル対がある。例示的な中和コイル135の例示的な概略レイアウトを図18に示す。
【0057】
これに関して、図18の誘導機137は、中和コイル135とともに誘導機12の特徴を示す。誘導機137は、本明細書に記載の例を含め、任意の適切な用途に使用することができる。
【0058】
中和コイルは、断続的な使用のためにのみ作動させることができ、いくつかの例では、中和コイルは、モータリングモードから発電モードに移行するとき、またはパルス生成用のQ軸巻線を補助するためにD軸巻線がブースト巻線として使用されているときにのみ使用される。これらの電磁作用により、ステータの周囲及びすべての相内に間隔を置いて配置されている場合、D軸巻線をQ軸巻線から、これらの2つの主巻線が共通の一次コア(ステータ)に巻かれている場合でも効果的に分離する。
【0059】
中和コイルはまた、D軸ゾーンとQ軸ゾーンの間の境界でエアギャップ磁束の位相角をシフトするように構成されている。これに関して、いくつかの実装形態では、誘導機がモータリングモードから発電モードに移行し、出力パルスの生成のためにQ軸巻線に依存するときに、最大電圧出力を生成するために、各極のQ軸ゾーンに入る境界条件でのエアギャップ磁束は、ロータによって生成される固有エアギャップ磁束と同相である必要がある。中和コイルにより、このエアギャップ磁束の位相を揃えることができる。
【0060】
これに関して、機械がAC電源から電力を引き出しているとき、D軸巻線への多相入力は、図15及び16の実装形態のように、1つの相で遮断され得る。これにより、D軸巻線に大きな逆相一次電流が発生する。同時に、中和巻線が閉短絡ループに切り替わることがある。閉短絡ループは、Q軸巻線またはD軸巻線のいずれかに過渡電圧を誘導する。この過渡成分は、Q軸巻線の出力パルスエネルギーや負荷に供給される電圧の上昇率を増大させるために使用され得る。さらに、D軸巻線への多相入力をブースト変圧器への単相入力として接続することもできる。この接続により、大きな逆相一次電流が生成される。同時に、一組の中和巻線が閉短絡ループに切り替わる可能性があり、これによりQ軸巻線とD軸巻線の両方に過渡電圧が誘導される。この過渡成分は、第2のQ軸巻線の出力パルスエネルギーや負荷に供給される電圧の上昇率を増大させるために使用され得る。
【0061】
巻線ロータのスリップリング型誘導機では、抵抗性または誘導性の多相回路であるロータの外部電力回路が繰り返し短絡し、ロータ電流に過渡成分が発生することがある。この過渡成分は、繰り返し発生する有用な電圧及び電流過渡現象としてQ軸巻線に反映される。これらの過渡現象は、Q軸巻線によって負荷に供給される出力エネルギーを反復的または連続的に強化(つまりブースト)する可能性がある。
【0062】
図17Aに示す4極機の例示的な構成では、双方向サイリスタT1は直列閉ループ接続のコイル4Xと25Xを制御し、双方向サイリスタT2は直列閉ループ接続のコイル11Xと32Xを制御し、双方向サイリスタT3は直列閉ループ接続のコイル18Xと39Xを制御し、双方向サイリスタT4は直列閉ループ接続のコイル7Xと28Xを制御し、双方向サイリスタT5は直列閉ループ接続のコイル14Xと35Xを制御し、双方向サイリスタT6は、直列閉ループ接続のコイル21Xと42Xを制御する。
【0063】
図19は、本明細書に記載の誘導機で使用できる例示的な8極ステータ巻線レイアウトのコイル構成を示す。レイアウトには3セットの多相ステータ巻線が含まれており、D軸巻線とQ軸巻線は、コイルの数(24)とエアギャップに沿った周囲のアークの点で等しいものである。また、三次巻線にはセットの6つのコイルがあり、中和巻線の図17Aのようにサイリスタ140のセットを介して短絡することができ、または機械の全体の励磁を補助するために多相電源によって個別に励磁することができる。このタイプの巻線は、巻線ロータ機械だけでなく、かご形ロータ誘導機にも適用できる。
【0064】
表1は、例示的な誘導機、例えば、本明細書に記載されるタイプの誘導電動機/発電機の設計パラメータを提供する。この例では、D軸(駆動機能)セクターの半径方向エアギャップのサイズは0.025インチ、Q軸(モータリング機能)の半径方向エアギャップのサイズは0.100インチである。つまり、エアギャップには4:1の差がある。この空間次元の変化により、D軸とQ軸のリアクタンスに少なくとも4:1の明確な差が生じる。この機械には96個のスロットと4つの極があり、D軸巻線(合計48個のコイル)の4スロット/極/相、及びQ軸巻線の3スロット/極/相(合計36個のコイル)を示す。6対のコイルとして配置された12個のコイルの中和巻線が96個のスロットには含まれている。各極には個別のD軸及びQ軸巻線領域があるため、各極グループは2つのセグメントに分割される。両方の巻線セットは短くコード化されており、12個のステータスロットにまたがっているため、コード化は50%になる。Q軸巻線の出力リアクタンスは5.267オームと計算され、D軸の入力リアクタンスは31.6オームで、機械の磁気回路の設計によるリアクタンス比が6.00であることを示している。この機械は、選択されたエアギャップに基づいて、エアギャップ磁場にストレージされるエネルギーに基本的に4:1の差がある。
【表1】
【0065】
表1の仕様に従って構築された機械12の例示的な実装形態には、ステータボア内に周期的で交互の階段状の変化を有する円筒状ボア誘導機が含まれ、これにより空間的に可変のエアギャップが画定され、その結果、可変磁化リアクタンスXmが外周角の関数として規定される。この例では、エアギャップのステップ変化は少なくとも4:1であり、磁化リアクタンスは少なくとも4:1倍変化し、D軸巻線のXmdの値が大きくなり、Q軸巻線のXmqの値が小さくなる。またスロットとエアギャップの同じ物理的レイアウトにより、D軸のステータ漏れリアクタンスX1dがQ軸のスロット漏れリアクタンスX1qよりも高くなる。要するに、
Xmd > Xmqであり、同時に、
X1d > X1qである。
【0066】
この例では、Q軸巻線は出力巻線として使用するように構成されており、その低リアクタンスは結果的に高出力短絡電流または高パルス出力電流を生み出す設計パラメータである。この例では、Q軸巻線とD軸巻線の両方が共通のロータまたは二次電気部材を共有する。これは、対称スロットレイアウト及び均一なロータ直径を有するかご型ロータまたは巻線ロータのいずれかである。ロータは、フライホイールまたは同様の慣性エネルギーストレージ回転装置に直接結合されるか、または変速ギアボックスを介して結合され得る。
【0067】
ロータの漏れリアクタンスX2d及びX2qの等価回路パラメータは、X2d>X2qのように全体的なエアギャップのステップ変化ジオメトリにも影響される。これは、Q軸巻線に高出力電流を生成するために望ましいものであり得る。
【0068】
いくつかの実装形態では、放電モードの出力電流の大きさを高めることに加えて、新しいスロットとエアギャップの配置により、Q軸回路のL/R時定数がD軸回路よりも低くなる結果ももたらし、一連のパワーパルスで高速出力パルスを生成するのに有利である。
【0069】
図20は、例示的なステータまたは主な設計レイアウトを示している。いくつかの実装形態では、Q軸巻線は、ステータコイルの両側に低磁気抵抗経路を提供しないQ軸巻線の周辺ゾーン上の非磁性歯142を使用して構築される。逆に、D軸巻線は、スロットウェッジを使用して強磁性歯141によって所定の位置に保持される。いくつかの実装形態では、Q軸巻線は、ガラス繊維エポキシ材料などの非磁性構造歯142によって磁気コアに対して所定の位置に保持される。この設計特徴により、ステータスロットの漏れリアクタンスX1qがさらに低減され、高電流出力性能が向上され得る。中和巻線は、機械の磁気コアの背面を取り囲む単数(多巻または単巻)巻コイルとして構成され得る。この巻線レイアウト技術はグラムリング巻きとして知られている。各中和コイルは、直径方向に間隔を置いて配置された同様のコイルに直列に接続でき、ロータの回転方向にエアギャップ磁束をシフトするよう命令されたときに、電子スイッチによって制御されて電流とMMF(起磁力)をストレージできる。
【0070】
これに関して、図2も参照すると、図20は、D軸巻線17の第1相の例、Q軸巻線18の第1相の例、及びD軸巻線17の第2相の例、ならびに中和巻線136を示す。
【0071】
D軸またはQ軸巻線のいずれの励磁アンペアターン(AT)またはMMF電流も、標準的な教科書の公式から次のように計算できる。

AT=0.313*Bg*G*k (アンペアターン/極)、

ここで、Bgはエアギャップ半径方向磁束密度、Gは半径方向エアギャップの寸法、kはエアギャップの両側のスロット開口部または磁気フリンジ効果を考慮したエアギャップ係数である。磁化リアクタンスに反比例する磁化電流Imは、次のように計算できる。

Im=2.22*P*AT/(m*N*f*f) アンペア
ここで、Pは一次極の数、mは相の数、Nは相ごとの直列の直列導体の総数、fwは巻線分布率、fcはコード化率である。Bg、ks、P、ms、N、fw、fcのパラメータがD軸巻線とQ軸巻線で同じである場合、Gを4:1に増加させると、Q軸巻線にD軸巻線の励磁電流の4倍の磁化電流が生成される。例示的な実装形態では、Q軸巻線は、D軸よりも低くなるように設計された相ごとに合計N個の直列導体を有し、例えば、N(Q)は0.25N(Q)に等しい。次に、エアギャップと巻数の組み合わせの変化により、Q軸の励磁電流と励磁リアクタンスはそれぞれ次のようになる。
Im(Q)=Im(D)の16倍、したがって
Xm(Q)=Xm(D)の1/16。
【0072】
本明細書で使用される任意の「電気接続」には、直接の物理接続、または介在コンポーネントを含むかまたは含まないが、それにもかかわらず接続されたコンポーネント間で電気信号が流れることを可能にする、有線または無線接続が含まれ得る。信号の流れを可能にする電気回路が関与する「接続」は、特に明記されていない限り、電気接続であり、「接続」を修飾するために「電気」という言葉が使用されるかどうかに関係なく、必ずしも直接の物理的接続ではない。
【0073】
説明した異なる実装形態の要素を組み合わせて、前に特に説明していない他の実装形態を形成することもできる。要素は、その動作やシステム全体の動作に悪影響を与えることなく、前述のシステムから除外されてもよい。さらに、さまざまな別個の要素を1つまたは複数の個別の要素に組み合わせて、本明細書で説明する機能を実行することもできる。
【0074】
本明細書に特に記載されていない他の実装形態も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
【国際調査報告】