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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】環状ケトン系化合物の新たな使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20240311BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 31/125 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20240311BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240311BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61K31/122
A61K31/19
A61K31/125
A61K31/22
A61P25/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/14
A61K9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560832
(86)(22)【出願日】2022-04-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2022084968
(87)【国際公開番号】W WO2022206985
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110362273.0
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516175537
【氏名又は名称】ウェストチャイナホスピタル、スーチョワンユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コー ボーウェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ジン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC01
4C076GG47
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB24
4C206DA11
4C206DA13
4C206DB56
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA36
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA02
(57)【要約】
本発明は、環状ケトン系化合物の新たな使用を提供し、製薬分野に属する。本発明は、該環状ケトン系化合物の、周術期医学分野における製薬への新たな使用を初めて見出したものであり、応用の将来性は明るい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示す化合物、又はその立体異性体、又はその重水素化誘導体、又はそのトリチウム化誘導体、又はその代謝産物、又はそのプロドラッグ、又はその塩、又はその溶媒和物の、麻酔及び/又は鎮静拮抗薬の製造における使用
(ただし、nは0又は1であり、
mは0又は1であり、mが1である場合、R10は無しであり、
はLx1から選択され、
、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基、置換又は未置換のC2~4アルケニレン基、置換又は未置換のC2~4アルキニレン基から選択され、
x1は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、Lx2、=NLx2、=C(Lx3)(Lx4)から選択されるか、又はR、Rが結合して環を形成し、
、L、L、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x2、Rx3、Rx4は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、R10は、それぞれ独立して、L10x5から選択され、
、L、L10は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x5は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、L111213x6、=NL13x6、=C(L14x7)(L15x8)から選択され、L11、L12、L13、L14、L15は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x6、Rx7、Rx8は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
又は、R10とRとが結合して環を形成し、
、Rは、それぞれ独立して、L161718x9から選択され、
16、L17、L18は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x9は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択される。)。
【請求項2】
前記化合物が式IIに示す化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の使用
(ただし、Rは、Lx1から選択され、
、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基、置換又は未置換のC2~4アルケニレン基、置換又は未置換のC2~4アルキニレン基から選択され、
x1は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、Lx2、=NLx2、=C(Lx3)(Lx4)から選択されるか、又はR、Rが結合して環を形成し、
、L、L、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x2、Rx3、Rx4は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
は、L10x5から選択され、
、L、L10は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x5は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、L111213x6、=NL13x6、=C(L14x7)(L15x8)から選択され、L11、L12、L13、L14、L15は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x6、Rx7、Rx8は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、L161718x9から選択され、
16、L17、L18は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x9は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択される。)。
【請求項3】
前記化合物が式IIIに示す化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の使用
(ただし、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基、1~3個のRで置換されたC1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、1~3個のRで置換されたC1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、それぞれ独立して、重水素、トリチウム、ハロゲン、ヒドロキシ基から選択され、
は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、COOR、SR、OR、C1~5アルキル基、=NRh1、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択され、Rh1は、ヒドロキシ基、C1~5アルキル基から選択され、
は、水素、重水素、トリチウム、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1~5アルキル基、LCOOR、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Lは、無し又はC1~3アルキレン基であり、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択され、
は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、ヒドロキシ基、OCOR、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、RはC1~5アルキル基であり、
、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、C1~5アルキル基、COOR、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基、1~3個のRで置換されたC1~6アルキル基、C1~5アルコキシ基、1~3個のRで置換されたC1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、COOR、ヒドロキシ基、C1~5アルキル基、重水素、トリチウムから選択され、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択される。)。
【請求項4】
前記化合物が式IVに示す化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の使用
(ただし、Rは、メチル基、1~3個のRで置換されたメチル基から選択され、各Rは、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基から選択され、
は、水素、ハロゲン、COOH、SCH、メチル基、=N-OHから選択され、
は、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1~3アルキル基、LCOOHから選択され、Lはメチレンであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、OCORから選択され、Rはメチル基であり、
は、水素、ハロゲン、メチル基、COOHから選択され、
、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル基、1~3個のRで置換されたメチル基から選択され、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、COOH、ヒドロキシ基、メチル基、重水素から選択される。)。
【請求項5】
前記化合物が、
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記化合物が、
から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物が、
から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬が、麻酔薬物の拮抗剤及び/又は鎮静薬物の拮抗剤であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1つに記載の使用。
【請求項9】
前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬が、麻酔薬物及び/又は鎮静薬物によって誘導又は維持される麻酔及び/又は鎮静状態を逆転させることができることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬が、麻酔及び/又は鎮静時間を減少させることができることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記麻酔薬物がGABA受容体アゴニストを含むことを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬が、GABA受容体高親和性リガンドであり、競合的拮抗剤としてGABA受容体アゴニストに拮抗可能であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記麻酔薬物が全身麻酔薬物であることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項14】
前記全身麻酔薬物が、ベンゾジアゼピン系薬物、置換フェノール系薬物、イミダゾール系薬物、GABA模倣薬物、フェニルシクロヘキシルアミン系薬物を含むことを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記ベンゾジアゼピン系薬物が、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパム、レミマゾラムを含み、
前記置換フェノール系薬物が、プロポフォール、シプロフォールを含み、
前記イミダゾール系薬物が、エトミデート又はその誘導体を含み、
前記GABA模倣薬物が、γ-アミノ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸を含み、
前記フェニルシクロヘキシルアミン系薬物が、ケタミン、フルオロケタミンを含むことを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬が、前記化合物、又はその立体異性体、又はその重水素化誘導体、又はその代謝産物、又はそのプロドラッグ、又はその塩、又はその溶媒和物を活性成分とし、薬学的に許容可能な補助材料を加えて製造される製剤であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1つに記載の使用。
【請求項17】
前記製剤が、錠剤、カプセル剤、内服液、顆粒剤、丸剤、散剤、注射液又は粉末注射剤であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製薬分野に属し、具体的には、環状ケトン系化合物の周術期医学分野における新たな使用に関する。
【背景技術】
【0002】
全身麻酔薬物は全麻薬と略称され、中枢神経系機能を抑制できる薬物であり、意識、感覚及び反射の消失、骨格筋の弛緩を可逆的に引き起こすことができ、主に外科手術の麻酔に使用されている。術後の麻酔覚醒時間は、臨床において常に注目されている課題の1つであり、複数の要因と密接に関係するものである。術後の麻酔覚醒時間が長引くと、患者の気管挿管・チューブ装着の時間、及び患者が全身麻酔のリスクにさらされる時間が長くなり、心血管や肺合併症の発生率が上昇して、手術患者の予後に影響を及ぼしてしまう。また、麻酔覚醒時間が長引いた場合、手術室の利用効率が大幅に低下し、手術室の空室率が上昇することにより、患者及び医療スタッフのコストが増加してしまう。さらに、日帰り手術の概念が刷新されるに伴い、麻酔からの迅速且つ質の良い覚醒は、日帰り手術の普及と、日帰り手術の安全確保の基盤となっている。
【0003】
手術の安全性と制御性への要求が高まるにつれて、一部の麻酔薬物に対する拮抗剤が出現している。例えば、オピオイド薬物の拮抗薬物であるナロキソン、広域スペクトルの筋弛緩薬拮抗薬であるネオスチグミン、筋弛緩薬物である臭化ロクロニウムの特異的拮抗薬であるスガマデクス等であり、これら拮抗剤は、オピオイド薬物又は筋弛緩薬物の麻酔作用を速やかに逆転させることができ、患者の覚醒と緊急時の麻酔の逆転を容易にするものである。しかし、全身麻酔薬物については、長時間注入時の覚醒遅延を解決する、或いは緊急時に全身麻酔薬物の作用を逆転させる手段や方法が、今なお不足している。
【0004】
現在、臨床において使用されている明確な拮抗作用を有する薬物は、フルマゼニルである。フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン系薬物の特異的な拮抗剤であり、ベンゾジアゼピン系薬物により誘導される麻酔効果を逆転させることができる。しかし、フルマゼニルは、プロポフォールにより誘導される麻酔効果に対しては有意な拮抗作用を示さないことが、研究により証明されている。ベンゾジアゼピン系薬物が臨床麻酔において日常的に使用されなくなったことを考慮すると、より広域なスペクトルの、特にプロポフォール、エトミデートなどの一般的な全身麻酔薬物をカバーする全身麻酔作用拮抗薬を開発することが、緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、環状ケトン系化合物の周術期医学分野における新たな使用を提供する。
【0006】
本発明は、式Iに示す化合物、又はその立体異性体、又はその重水素化誘導体、又はそのトリチウム化誘導体、又はその代謝産物、又はそのプロドラッグ、又はその塩、又はその溶媒和物の、麻酔及び/又は鎮静拮抗薬の製造における使用を提供する。
【0007】
ただし、nは0又は1であり、
mは0又は1であり、mが1である場合、R10は無しであり、
はLx1から選択され、
、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基、置換又は未置換のC2~4アルケニレン基、置換又は未置換のC2~4アルキニレン基から選択され、
x1は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、Lx2、=NLx2、=C(Lx3)(Lx4)から選択されるか、又はR、Rが結合して環を形成し、
、L、L、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x2、Rx3、Rx4は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、R10は、それぞれ独立して、L10x5から選択され、
、L、L10は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x5は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、L111213x6、=NL13x6、=C(L14x7)(L15x8)から選択され、L11、L12、L13、L14、L15は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x6、Rx7、Rx8は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
又は、R10とRとが結合して環を形成し、
、Rは、それぞれ独立して、L161718x9から選択され、
16、L17、L18は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x9は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択される。
【0008】
さらに、前記化合物は式IIに示す化合物である。
【0009】
ただし、Rは、Lx1から選択され、
、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基、置換又は未置換のC2~4アルケニレン基、置換又は未置換のC2~4アルキニレン基から選択され、
x1は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、Lx2、=NLx2、=C(Lx3)(Lx4)から選択されるか、又はR、Rが結合して環を形成し、
、L、L、L、Lは、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x2、Rx3、Rx4は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
は、L10x5から選択され、
、L、L10は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x5は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、L111213x6、=NL13x6、=C(L14x7)(L15x8)から選択され、L11、L12、L13、L14、L15は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x6、Rx7、Rx8は、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、L161718x9から選択され、
16、L17、L18は、それぞれ独立して、無し、置換又は未置換のNHCO、置換又は未置換のNHCS、置換又は未置換のCO、置換又は未置換のCOO、置換又は未置換のOCO、置換又は未置換のOCOO、置換又は未置換のC(SO)、置換又は未置換のO、置換又は未置換のS、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のSO、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCH=N、置換又は未置換のCONH、置換又は未置換のNH(CS)S(CH)、置換又は未置換のC1~3アルキレン基から選択され、
x9は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、アルデヒド基、CN、N、NO、OAc、置換又は未置換のOSiH、置換又は未置換のOOSiH、置換又は未置換のSOH、置換又は未置換のSiH、置換又は未置換のCSH、置換又は未置換のCSNH、置換又は未置換のNH、置換又は未置換のCOOH、置換又は未置換のSH、置換又は未置換のSeOH、置換又は未置換のOH、置換又は未置換のN=NH、置換又は未置換の=O、置換又は未置換のCH=NH、置換又は未置換のC1~5アルキル基、置換又は未置換のC1~5アルコキシ基、置換又は未置換のC2~6アルケニル基、置換又は未置換のC2~6アルキニル基、置換又は未置換の飽和又は不飽和の複素環基、置換又は未置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換又は未置換の縮合シクロアルキル基、置換又は未置換の縮合複素環基から選択される。
【0010】
さらに、前記化合物は式IIIに示す化合物である。
【0011】
ただし、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基、1~3個のRで置換されたC1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、1~3個のRで置換されたC1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、それぞれ独立して、重水素、トリチウム、ハロゲン、ヒドロキシ基から選択され、
は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、COOR、SR、OR、C1~5アルキル基、=NRh1、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択され、Rh1は、ヒドロキシ基、C1~5アルキル基から選択され、
は、水素、重水素、トリチウム、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1~5アルキル基、LCOOR、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Lは、無し又はC1~3アルキレン基であり、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択され、
は、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、ヒドロキシ基、OCOR、C1~5アルキル基、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、RはC1~5アルキル基であり、
、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、ハロゲン、C1~5アルキル基、COOR、C1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基、1~3個のRで置換されたC1~6アルキル基、C1~5アルコキシ基、1~3個のRで置換されたC1~5アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、飽和又は不飽和の複素環基、飽和又は不飽和のシクロアルキル基、縮合シクロアルキル基、縮合複素環基から選択され、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、COOR、ヒドロキシ基、C1~5アルキル基、重水素、トリチウムから選択され、Rは、水素、重水素、トリチウム、C1~5アルキル基から選択される。
【0012】
さらに、Rは、水素、重水素、C1~3アルキル基、1~3個のRで置換されたC1~3アルキル基から選択され、Rは、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基から選択され、
は、水素、重水素、ハロゲン、COOR、SR、OR、C1~3アルキル基、=NRh1から選択され、Rは、水素、重水素、C1~3アルキル基から選択され、Rh1は、ヒドロキシ基、C1~3アルキル基から選択され、
は、水素、重水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1~3アルキル基、LCOORから選択され、Lは、無し又はC1~3アルキレン基であり、Rは、水素、重水素、C1~3アルキル基から選択され、
は、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、OCORから選択され、RはC1~3アルキル基であり、
、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、C1~3アルキル基、COORから選択され、Rは、水素、重水素、C1~3アルキル基から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1~3アルキル基、1~3個のRで置換されたC1~3アルキル基から選択され、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、COOR、ヒドロキシ基、C1~3アルキル基、重水素から選択され、Rは、水素、重水素、C1~3アルキル基から選択される。
【0013】
さらに、前記化合物は式IVに示す化合物である。
【0014】
ただし、Rは、メチル基、1~3個のRで置換されたメチル基から選択され、各Rは、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基から選択され、
は、水素、ハロゲン、COOH、SCH、メチル基、=N-OHから選択され、
は、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1~3アルキル基、LCOOHから選択され、Lはメチレンであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、OCORから選択され、Rはメチル基であり、
は、水素、ハロゲン、メチル基、COOHから選択され、
、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル基、1~3個のRで置換されたメチル基から選択され、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、COOH、ヒドロキシ基、メチル基、重水素から選択される。
【0015】
さらに、前記化合物は、
から選択される。
【0016】
さらに、前記化合物は、
から選択される。
【0017】
さらに、前記化合物は、
から選択される。
【0018】
さらに、前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬は、麻酔薬物の拮抗剤及び/又は鎮静薬物の拮抗剤である。
【0019】
さらに、前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬は、麻酔薬物及び/又は鎮静薬物によって誘導又は維持される麻酔及び/又は鎮静状態を逆転させることができる。
【0020】
さらに、前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬は、麻酔及び/又は鎮静時間を減少させることができる。
【0021】
さらに、前記麻酔薬物はGABA受容体アゴニストを含む。
【0022】
さらに、前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬は、GABA受容体高親和性リガンドであり、競合的拮抗剤としてGABA受容体アゴニストに拮抗可能である。
【0023】
さらに、前記麻酔薬物は全身麻酔薬物である。
【0024】
さらに、前記全身麻酔薬物は、ベンゾジアゼピン系薬物、置換フェノール系薬物、イミダゾール系薬物、GABA模倣薬物、フェニルシクロヘキシルアミン系薬物を含む。
【0025】
さらに、前記ベンゾジアゼピン系薬物は、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパム、レミマゾラムを含み、
前記置換フェノール系薬物は、プロポフォール、シプロフォールを含み、
前記イミダゾール系薬物は、エトミデート又はその誘導体を含み、
前記GABA模倣薬物は、γ-アミノ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸を含み、
前記フェニルシクロヘキシルアミン系薬物は、ケタミン、フルオロケタミンを含む。
【0026】
さらに、前記麻酔及び/又は鎮静拮抗薬は、前記化合物、又はその立体異性体、又はその重水素化誘導体、又はその代謝産物、又はそのプロドラッグ、又はその塩、又はその溶媒和物を活性成分とし、薬学的に許容可能な補助材料を加えて製造される製剤である。
【0027】
さらに、前記製剤は、錠剤、カプセル剤、内服液、顆粒剤、丸剤、散剤、注射液又は粉末注射剤である。
【0028】
本発明において使用する用語の定義は以下のとおりである。特に説明がない限り、本文中の基(group、radical)又は用語によって提供される最初の定義は、明細書全編にわたって当該の基又は用語に適用され、また、本文中で具体的に定義されていない用語については、開示内容及び文脈に基づいて、当業者が考え得る意味を表すものとする。
【0029】
炭化水素基中の炭素原子含有量の最小値及び最大値は、接頭辞によって表される。例えば、接頭辞Ca~bアルキル基は、任意の「a」から「b」個の炭素原子を含むアルキル基を表す。例えば、C1~5アルキル基は、1~5個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0030】
本文において、「置換」とは、分子中の1つ、2つ又は複数の水素原子が他の異なる原子又は分子で置き換えられていることを意味し、該分子中の同位体又は異性体上の1つ、2つ又は複数の置換を含む。
【0031】
「置換又は未置換」の基とは、該基がさらに置換されていなくてもよいし、又は1つ若しくは2つ以上の置換基でさらに置換されていてもよいことを意味し、該置換基は、特に明記しない限り、最終化合物の構造を安定化する任意の置換基であってよい。
【0032】
「縮合シクロアルキル基」とは、2つの環が2つの隣接する炭素原子を共有する多環式シクロアルキル基を意味する。
【0033】
「縮合複素環基」とは、2つの環が2つの隣接する炭素原子又はヘテロ原子を共有する多環式複素環基を意味する。
【0034】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0035】
「重水素化誘導体」とは、化合物中の1つ又は2つ以上の水素原子が重水素で置き換えられた化合物を意味する。
【0036】
「トリチウム化誘導体」とは、化合物中の1つ又は2つ以上の水素原子がトリチウムで置き換えられた化合物を意味する。
【0037】
「塩」は、化合物又はその立体異性体を、無機及び/又は有機の酸及び/又は塩基と形成する酸性及び/又は塩基性塩であり、両性イオン塩(内塩)も含み、更に第四級アンモニウム塩、例えばアルキルアンモニウム塩も含む。これらの塩は、化合物の最終的な分離及び精製において直接得てもよい。化合物又はその立体異性体を、一定量の酸又は塩基と適切に(例えば、等しい当量)混合することによって得てもよい。これらの塩は、溶液中で沈殿を形成して濾過により収集するか、又は溶媒の蒸発後に回収して得るか、若しくは水性媒体中で反応させた後に凍結乾燥させて得ることもできる。
【0038】
本発明に記載される塩は、化合物の塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン二酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩又はトリフルオロ酢酸塩であってよい。
【0039】
本発明は、式Iに示す環状ケトン系化合物が、全身麻酔及び鎮静に対する良好な拮抗作用を有することを初めて見出したものである。実験結果は、本発明の化合物が、複数種の全身麻酔薬物(プロポフォール、エトミデート、レミマゾラム等を含む)により誘導される全身麻酔に対して良好な拮抗作用を有し、マウスの全身麻酔後の立ち直り反射回復時間を有意に短縮し、マウスの正常な歩行の回復時間を有意に短縮することを示している。さらに、本発明の化合物は、全身麻酔薬物プロポフォールの連続注入により維持される全身麻酔に対しても、有効な拮抗作用を発揮することができる。
【0040】
本発明は、麻酔及び/又は鎮静薬物の拮抗剤であり、特に全身麻酔薬物の拮抗剤として新たな選択を提供するものであり、将来性が見込まれる。
【0041】
当然ながら、本発明の上記内容に基づき、当分野の一般的な技術的知識や慣用的手段に照らし、本発明の上記基本的な技術的思想を逸脱しないという前提において、他の様々な形態の修正、置換又は変更を行うことができる。
【0042】
以下、実施例という形の具体的な実施形態によって、本発明の上記内容を更に詳細に説明する。但し、これをもって、本発明の上記主題の範囲が以下の実施例に限定されると理解してはならない。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、いずれも本発明の範囲に属する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に使用される原料及び機器はすべて従来の製品であり、市販の製品を購入したものである。
【0044】
以下の実施例で使用する化合物は、いずれも市販の製品を購入して入手するか、又は当技術分野で公知の方法により合成することができるも。
【0045】
実施例1 異なる全身麻酔薬物に対する各化合物の拮抗作用
1.主な試薬及び薬物
(1)主な試薬
プロポフォール注射液(ロット番号:2010083、西安力邦)、エトミデート注射液(純度>98%)、レミマゾラム(純度>98%)、中・長鎖脂肪乳剤注射液。
(2)被験薬物
調製方法:試験対象の化合物をそれぞれ適量秤量し、ピペットで適量の中・長鎖脂肪乳剤注射液を加えて、50mmol/Lの試験対象化合物溶液として調製し、0.22μmの微孔濾過膜で濾過した後、直ちに使用した。
【0046】
2.実験方法
体重25g±1gの雄のICRマウスを、各群8匹として無作為に8群に分け、プロポフォール22.11mg/kg(1.5倍ED50)、エトミデート4.48mg/kg(2倍ED50)、レミマゾラム57.34mg/kg(1.5倍ED50)をそれぞれ尾静脈に単回注射して麻酔の誘導を行い、注射時間を15秒とし、マウスが立ち直り反射の消失を30s維持した後に、それぞれ50mg/kgの試験対象化合物溶液(中・長鎖脂肪乳剤注射液を溶媒とする)又は等体積の中・長鎖脂肪乳剤注射液を注射し、マウスの麻酔総時間を観察して記録した。ここで、麻酔総時間とは、マウスの立ち直り反射が消失してからマウスの立ち直り反射が回復するまでの時間を指す。
【0047】
3.実験結果
結果を表1に示す。
表1 全身麻酔薬物の麻酔効果に対する被験薬物の拮抗効果
【0048】
【表1】
【0049】
実験により、全身麻酔薬物であるプロポフォール、エトミデート、レミマゾラムに対して、脂肪乳剤はいずれも麻酔拮抗効果を生じないことが示されたが、表に列挙した化合物はいずれも全身麻酔に拮抗する作用を発揮することができ、マウスの総麻酔時間を有意に短縮するという薬効が示された。これは、本発明が提供する化合物が全身麻酔薬物の麻酔効果に拮抗して、覚醒速度をより速くできる、ということを表している。
【0050】
実施例2 全身麻酔薬物の連続注入に対する化合物の拮抗作用
1.主な試薬及び薬物
(1)主な試薬
プロポフォール注射液(ロット番号:2010083、西安力邦)、中・長鎖脂肪乳剤注射液。
(2)被験薬物
調製方法:実施例1と同じ。
【0051】
2.実験方法
体重が250~300グラムの範囲の24匹の雄のSDラットを、各群6匹として無作為に4群に分け、22.11mg/kg(1.5倍ED50)のプロポフォールを使用して連続の麻酔誘導を行い、1mg/(kg・min)の速度で30分間麻酔を維持し、薬物を停止した後、直ちにそれぞれ10mg/kg、20mg/kg、50mg/kgの85、及び50mg/kgの被験化合物溶液(中・長鎖脂肪乳剤注射液を溶媒とする)又は等体積の中・長鎖脂肪乳剤注射液を注射し、薬物を停止した後のマウスの麻酔覚醒時間を観察して記録した。ここで、麻酔覚醒時間とは、プロポフォールの注入を停止してからマウスの立ち直り反射が回復するまでの時間を指す。
【0052】
3.実験結果
結果を表2に示す。
表2 プロポフォールの連続注入による全身麻酔の維持に対する被験薬物の拮抗効果
【0053】
【表2】
【0054】
実験結果から分かるように、本発明が提供する化合物85は、プロポフォールの連続注入による麻酔維持作用を効果的に逆転させることができ、ラットの麻酔覚醒時間を用量依存的に短縮することができる。また、表に列挙した化合物は、いずれもプロポフォールの連続注入の麻酔維持作用を逆転させることができ、マウスの平均覚醒時間を短縮する。
【0055】
以上のように、本発明は、式Iに示す環状ケトン系化合物の、麻酔及び/又は鎮静拮抗薬の製造における使用を提供する。本発明は、この環状ケトン系化合物が、全身麻酔及び鎮静に対する良好な拮抗作用を有することを初めて見出したものである。実験結果は、本発明の化合物が、複数種の全身麻酔薬物(プロポフォール、エトミデート、レミマゾラム等を含む)により誘導される全身麻酔に対して良好な拮抗作用を有し、マウスの全身麻酔後の立ち直り反射回復時間を有意に短縮し、マウスの正常な歩行の回復時間を有意に短縮することを示している。さらに、本発明の化合物は、全身麻酔薬物プロポフォールの連続注入により維持される全身麻酔に対して、有効な拮抗作用を発揮することができる。本発明は、麻酔及び/又は鎮静薬物の拮抗剤であり、特に全身麻酔薬物の拮抗剤として新たな選択を提供するものであり、将来性が見込まれる。
【国際調査報告】