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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/06 20060101AFI20240312BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20240312BHJP
   B01D 69/04 20060101ALI20240312BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
B01D63/06
B01D63/00
B01D69/04
C02F1/44 A
C02F1/44 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540903
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2022052990
(87)【国際公開番号】W WO2022171615
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】PA202100152
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523252571
【氏名又は名称】サニ メンブレンス エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】イェルムスマーク,エンリク
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA27
4D006JA13Z
4D006JA22Z
4D006JA25A
4D006JA25B
4D006JA25C
4D006JA30Z
4D006JA53Z
4D006JA70Z
4D006KA64
4D006KC02
4D006KC12
4D006KC16
4D006KC20
4D006KD17
4D006MA02
4D006MA21
4D006MA33
4D006MC02
4D006MC03
4D006MC23
4D006PA02
4D006PA05
4D006PB52
4D006PB53
4D006PB59
4D006PC17
4D006PC41
(57)【要約】
本発明は、連続的な振動および圧力駆動濾過に適合された濾過装置に関する。前記濾過装置は、少なくとも1つの管状半透性膜エレメントを備えるフィルタモジュールを備え、前記モジュールはさらに、透過液のためのドレーン領域、透過液のための出口、フィード液のための入口、および保持液のための出口を備え、前記モジュールはさらに、気体で充填され、フィルタモジュールの内部モジュールと密接に接触しているが、柔軟な壁を介してフィルタモジュールの内部モジュールから分離されている1つまたは複数の柔軟な容積チャンバを備え、前記濾過装置は、装置に振動運動を提供するように適合された振動モータを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の濾過に適合されたフィルタモジュール(2)を備える濾過装置(1)であって、前記フィルタモジュール(2)が1つまたは複数の管状膜エレメント(16)を備える、濾過装置(1)において、各フィルタモジュールが、モジュールの各端部に遠位側に位置決めされた2つ以上のガス充填された柔軟な容積チャンバ(8A、8B)と、濾過される媒体のための少なくとも1つの入口(6)と、保持液のための少なくとも1つの出口(7)とを備え、前記入口および出口は前記モジュールの遠位端に位置決めされ、少なくとも1つの半透性管状膜(11)が、入口と出口の間の経路を形成し、前記保持液をドレーン領域(10)から分離する半透性壁を形成し、前記ドレーン領域は透過液出口(9)を備えることを特徴とする、濾過装置(1)。
【請求項2】
任意選択的に請求項1に記載の濾過装置(1)であって、媒体の圧力および振動駆動濾過に適合されたフィルタモジュール(2)を備え、前記フィルタモジュール(2)は、1つまたは複数の管状膜エレメント(16)と、前記モジュールの各端部に遠位側に位置決めされた2つ以上のガス充填された柔軟な容積チャンバ(8A、8B)と、濾過される媒体のための少なくとも1つの入口(6)と、保持液のための少なくとも1つの出口(7)とを備え、前記入口および出口は、前記モジュールの遠位端に、および前記柔軟な容積チャンバ(8A、8B)の近位に位置決めされ、少なくとも1つの半透性管状膜(11)が入口と出口の間の経路を形成し、前記保持液をドレーン領域(10)から分離する半透性壁を形成し、前記ドレーン領域は透過液出口(9)を備え;前記濾過装置は、前記フィルタモジュール(2)を取り付けるためのレセプタクル(13)を有する振動モータ(12)をさらに備え、前記振動モータ(12)は、前記フィルタモジュール(2)に振動運動を提供するように適合されている、濾過装置(1)において、前記柔軟な容積チャンバ(8A、8B)が、前記保持液流と接触し、それらの容積を膨張および/または圧縮するように適合された少なくとも1つの柔軟なチャンバ壁(14)を有し、したがって、前記濾過装置(1)が振動運動を受けると、前記モジュール内の濾過される保持液が前記半透性膜(11)の表面に対して平行(前後)に移動することを可能にすることを特徴とする、濾過装置(1)。
【請求項3】
任意選択的に請求項1または2に記載の濾過装置(1)であって、媒体の連続的な圧力および振動駆動濾過に適合されたフィルタモジュール(2)を備え、前記フィルタモジュール(2)が、保持液チャネル(5c)と、1つまたは複数の管状膜エレメント(16)と、前記保持液チャネルの各端部に遠位側に位置決めされた2つ以上の柔軟な容積チャンバ(8A、8B)と、濾過される媒体用の少なくとも1つの入口(6)と、保持液用の少なくとも1つの出口(7)とを備え、前記入口および出口は、前記モジュールの遠位端に、および前記柔軟な容積チャンバ(8A、8B)の近位に位置決めされ、入口領域と出口領域の間にある少なくとも1つの半透性管状膜(11)が、前記保持液をドレーン領域(10)から分離する半透性壁を形成し、前記ドレーン領域は透過液出口(9)を備え;前記濾過装置は、前記フィルタモジュール(2)を取り付けるためのレセプタクル(13)を有する振動モータ(12)をさらに備え、前記振動モータ(12)は、前記フィルタモジュール(2)に振動運動を提供するように適合されている、濾過装置(1)において、前記柔軟な容積チャンバ(8A、8B)が、前記保持液流と接触し、それらの容積を膨張および/または圧縮するように適合された少なくとも1つの柔軟なチャンバ壁(14)を有し、したがって、前記濾過装置(1)が振動運動を受けると、前記モジュール内の濾過される保持液が前記半透性膜(11)の表面に対して平行(前後)に移動することを可能にすることを特徴とする、濾過装置(1)。
【請求項4】
前記2つの柔軟な容積チャンバ(8A、8B)のそれぞれが、前記モジュール(5)から前記柔軟な容積チャンバ(8A、8B)のガス容積を分離するように適合された柔軟なガスケット(14)を備え、前記柔軟な容積チャンバの残りの壁(15)が剛性である、請求項1又は2に記載の濾過装置(1)。
【請求項5】
前記管状膜エレメント(16)が円形または正方形または任意の他の形状であり、前記半透性膜(11)が前記管状エレメントの内側または外側に形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項6】
前記管状膜エレメント(16)が円形または正方形または任意の他の形状であり、前記半透性膜(11)が前記管状膜エレメントの1つまたは複数の管状キャビティの内側に形成され、前記管が半透性材料のものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項7】
前記2つの柔軟な容積チャンバ(8A、8B)のそれぞれが、前記柔軟な容積チャンバの容積を増減させるためのガス圧力源に接続可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項8】
前記2つの柔軟な容積チャンバ(8A、8B)が、前記モジュール(2)の両端部又は両端部の近位に位置決めされた柔軟なガス筐体を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項9】
前記振動モータ(12)が、直線的な性質の振動運動を提供するように適合されている、請求項2~8のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項10】
前記振動モータ(12)が、偏心軸(19)を介して前記フィルタモジュール(2)に振動運動を提供するか、または任意の他の手段によって振動運動を提供する、請求項2~9のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項11】
2つ以上のフィルタモジュール(2)を備え、前記2つ以上のフィルタモジュール(2)が1つまたは複数の振動モータに接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の濾過装置(1)。
【請求項12】
前記媒体の一部が前記モジュール(5)内で濃縮され、動作の終了時または断続的に排出される、振動駆動式全量濾過動作のための請求項1~11のいずれか一項に記載の濾過装置(1)の使用。
【請求項13】
前記媒体の一部が前記モジュール(5)内で濃縮され、振動作用によって前記半透性膜フィルタ領域の流束が安定化しない、連続的または断続的な振動駆動式濾過動作のための請求項1~12のいずれか一項に記載の濾過装置(1)の使用。
【請求項14】
入口(6)から前記装置に入る、固形分含量の高い、または粘度の高い、または衛生的要求の高い液体の媒体を連続的に分離するための、あるいは、出口(9)から前記装置を出る透過液相および出口(7)から前記装置を出る保持液相において、液体および/またはそれらの組合せ中のポリペプチド、酵素、タンパク質、酵母、または細胞などの溶液中の実体を濃縮または分離するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的な振動および圧力駆動濾過に適合した濾過装置に関する。前記濾過装置は、少なくとも1つの管状膜エレメントを備えるフィルタモジュールを備え、前記管状膜エレメントは、半透性膜、フィード流体用入口、透過液用出口および保持液(retentate)用出口を備え;前記モジュールは、さらに、気体で満たされ、フィルタモジュールの保持液部分と密接に接触しているが、柔軟な壁を介して分離されている2つ以上の柔軟な容積チャンバを備え;前記濾過装置は、管状エレメントの長さに沿って装置にほぼ直線的な振動運動を与えるように適合された振動モータを備える。柔軟な容積チャンバ内の気体は膨張および圧縮することができるので、本発明は、フィルタモジュールが振動されるにつれて、モジュールの保持液部分内の保持液が膜に対して移動することを可能にする。保持液の慣性はモジュールの移動に対抗し、保持液による膜表面の洗浄乱流を生じさせ、これにより膜を清浄に保ち、最小限のエネルギーで汚れのない連続濾過を確保することができる。
【0002】
本発明の濾過装置は、半透性膜を使用する液体の微細濾過(fine filtration)、精密濾過、および限外濾過などの動作に有用であり、通常、膜はフィード流体の接線流を受ける。この濾過装置は、堅牢で衛生的な、汚れを抑制した連続濾過が望ましい動作において有用であり、濾過装置は、約100mLの小さい体積などの広範囲の流体体積の濾過動作に構成可能であり、また100mなどのより大きな体積の濾過に拡張可能である。
【背景技術】
【0003】
公開された国際特許出願の国際公開第2018145714A1号パンフレットは、連続的な振動駆動濾過に適合されたフィルタプレートアセンブリの振動に適合された振動装置を開示しており、前記振動装置は、容器圧力チャンバを有する容器ハウジングを備え、前記フィルタプレートアセンブリは、追加の半透性膜を備えてもよく、1つまたは複数の透過液チャネルと、前記容器ハウジングを通って前記フィルタプレートアセンブリに対して垂直に延びる1つまたは複数の透過液出口とを含む複数のフィルタプレートを備え、前記フィルタプレートアセンブリは、前記容器圧力チャンバ内にしっかりと取り付けられ、前記振動装置は、前記容器ハウジングに流入する保持液流に適合された少なくとも1つの保持液入口と、前記容器ハウジングからの少なくとも1つの保持液出口とを備え、前記振動装置は、容器ハウジングに振動運動を提供する振動モータをさらに備え、前記振動装置は、気体で充填され、前記容器ハウジングが振動運動を受けると、モジュール内の保持液が前記フィルタプレートの表面に対して平行移動するように、容器ハウジング内の柔軟な容積チャンバの容積を膨張および/または圧縮するように適合された1つまたは複数の柔軟な容積チャンバを備える。この振動装置は、低減されたエネルギー消費で、液体の精密濾過または限外濾過などの濾過が可能である。しかしながら、フィルタプレートの使用は、柔軟な容積(クッション)チャンバの機能性を確保するためのチャンバの設計と同様に、得られるダウンスケーリングサイズ、温度などのプロセスパラメータ、材料に制約を課す。
【0004】
半透性膜などの膜がクロスフロー構成で使用される場合、濾過される媒体は、固形物が膜に蓄積して堆積するのを防ぎ、膜表面上の境界層をできるだけ小さく保つために、膜の表面を横切って1~5m/秒の速度で圧送され、これによって動作中膜をフリーで機能的な状態により長い時間維持する。同じ効果が、本発明で達成されるように、膜を媒体に対して移動することによって達成される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、最適化された自由流濾過能力を有する簡素化されたモジュール構造を有し、連続的な圧力および振動駆動濾過プロセスにおいて高い流束を維持することができる一方、同じ一般的な構造構成を使用して、非常に少量の流体だけでなく大量の流体の濾過のための広範囲のスケーリングサイズを有する濾過装置を提供することである。
【0006】
これは、管状エレメントの入口(3)および出口(4)端部において透過液収集チャンバ(10)内に固定された多数の管状膜エレメント(16)を備えるフィルタモジュール(2)を備える本発明の濾過装置によって達成され、前記管状膜エレメントは、通常、透過液が膜チューブを通過して透過液収集チャンバ(10)に至ることを可能にする半透性内面(11)を有し、前記チューブの内部は一端で濾過される媒体用の入口チャンバ(5a)と流体接触し、他端で濾過された媒体または保持液用の出口チャンバ(5b)と流体接触し、前記入口チャンバおよび出口チャンバはそれぞれ、気体で満たされた柔軟な容積チャンバ(8A、8B)と流体連通し、柔軟な容積チャンバは柔軟なチャンバ壁(14)を有し、前記フィルタモジュールが振動運動を受けると、モジュール内のフィード流体または保持液が半透性膜の表面に対して平行に(前後に)移動することを可能にするように、それらの容積を膨張および/または圧縮するように適合され、管表面に対する保持液の前記移動は、媒体の慣性によって引き起こされ、移動の両端の柔軟な容積チャンバを介して可能にされる。
【0007】
本発明は、流体の連続的な振動および圧力駆動濾過に適合された、フィルタモジュール(2)を含む自由に移動可能な濾過装置(1)であって、前記フィルタモジュール(2)が、少なくとも一端にフィード入口(6)を備え、反対端に保持液出口(7)を備え、さらに、気体で充填された少なくとも2つの柔軟な容積チャンバ(8A、8B)であって、モジュールの各端部に(遠位側に)位置決めされ、それぞれフィード入口(6)および保持液出口(7)の近位に位置決めされるなど、間隔をあけて配置された少なくとも2つの柔軟な容積チャンバ(8A、8B)を備え、透過液収集チャンバ(10)が透過液出口(9)を備え;前記フィルタモジュール(2)が、両端部(3、4)にシール式に固定された半透性管状膜エレメント(11)をさらに備え;前記濾過装置(1)が、振動運動を提供するための手段、例えば、前記フィルタモジュール(2)を取り付けるためのレセプタクル(13)を有する振動モータ(12)であって、フィルタモジュール(2)に振動運動を提供するように適合されている振動モータ(12)をさらに備える、濾過装置において、前記管状膜エレメントが、両端部において、それらの気体容積を膨張及び/又は圧縮するように適合された柔軟なチャンバ壁(14)を有する柔軟な容積チャンバ(8A、8B)に流体接触し、したがって、前記濾過モジュール(2)が振動運動を受けると、管内の濾過されるべき保持液又は流体が前記半透性膜表面(11)の表面に対して平行に(前後に)移動することを可能にすることを特徴とする、濾過装置(1)を提供する。
【0008】
これにより、限られた数の構成要素を使用する簡単な構造が得られ、非常に小さい体積のフィードからはるかにより大きい体積のフィードまで対応する広範囲の装置サイズに対して同じ構造構成を可能にする。顕著な利点は、本発明の濾過装置を用いて小さな試験体積で得られた濾過データを、濾過装置のアップスケールされたバージョンを用いてはるかにより大きな工業タイプの体積に容易にあてはめることができることである。
【0009】
本発明の装置を使用すると、濾過される液体媒体が半透性膜の表面に対して振動され、モジュール(5a、5b)内の圧力がドレーン領域(10)内の圧力よりも高く保たれるので、透過液がドレーン領域に通され、自由な流れの濾過が得られる。濾過される媒体は、媒体が装置を通る自由な流れの通路を塞がない限り、高粘度であることができ、より大きな粒子状不純物を含むことができる。
【0010】
膜表面の最適化された洗浄機能は、本発明の振動濾過装置を使用して、フィルタモジュール、したがって媒体が濾過される膜表面に対して媒体の相対的な移動を適用することによって達成され、この相対的な移動は、フィルタモジュールが振動され、流体媒体が、柔軟な容積チャンバによる媒体の慣性のために管と共に移動しない余地があるときに達成される。振動は、膜の表面を自由かつ清浄に保ち、連続濾過プロセスにおいて膜を通過する高い流束を維持することができる。濾過される媒体である保持液は、透過液が排出される際に媒体のフィード流が必要とされるように、装置内で濃縮されることができ、または濃縮されながら、媒体はゆっくりとしたクロスフローで入口から出口まで連続的に通過することができる。
【0011】
一実施形態において、フィルタモジュールの振動運動は、空気容積クッションへの振動空気供給によって達成され、それによって、媒体の慣性が外部駆動装置(12)によって運動が駆動されたかのようにフィルタモジュール2を動かすので、エアクッションは振動モータとしても働く。
モジュール全体に均一な保持液が望まれる場合、これは、濃縮されていない媒体を循環に加えながら、濃縮液を出口(7)から容器入口(6)側に戻して循環させることによって達成することができ、または媒体は、透過液が膜およびドレーン領域を通って循環から排出されるときに濃縮されながらタンクを介して循環することができる。
【0012】
一実施形態において、2つの柔軟な容積チャンバ(8A、8B)のそれぞれは、柔軟な容積チャンバ(8A、8B)のガス容積をモジュール入口及び出口チャンバ(5a、5b)から分離するように適合された柔軟なガスケット(14)を備え、柔軟な容積チャンバの残りの壁(15)は剛性である。代替的な柔軟な容積チャンバは、完全に柔軟なバルーン型クッションチャンバ、または図2に示すものなど入口および出口領域から遮断された管状に形成されたクッションチャンバとして形成することができる。
【0013】
一実施形態において、半透性壁は管状エレメントの外側にあり、外側のチャンバ(5c)は、フィルタエレメントのチャンバ(5c)内に遠位側に位置決めされた柔軟なガス封入体を備える1つまたは複数の柔軟な容積チャンバ(8A、8B)をさらに備え、保持液用の入口および出口をさらに備え、前記入口及び出口は遠位側に配置され、管の内部は少なくとも一端において透過液用の収集チャンバ(10)に流体接続している。
【0014】
一実施形態において、前記振動モータ(12)は、直線的な性質の振動運動を提供するように適合されている。この振動モータは、例えば、回転するアンバランスウェイトを備えた電気式であるか、またはモジュールが前記運動を可能にするように柔軟に支持されているときに濾過モジュール(2)の能動的または反動的な運動を生じさせる前後に動くカウンターウェイトを備えた空気圧式であることができる。
【0015】
一実施形態において、前記振動モータ(12)は、偏心軸(19)を介して前記フィルタモジュール(2)に振動を提供し、これにより、濾過モジュールは、駆動モータによって直接作動される。この設計は、装置の非常に単純な機械的解決策を提供する。
【0016】
一実施形態において、本発明の濾過装置は、偏心軸(19)を介して接続され、振動のバランスをとり、外部振動を回避するように構造的に適合された2つ以上のフィルタモジュール(2)を備える。
【0017】
一実施形態において、柔軟な容積チャンバのフィルタフィード圧力とエアクッション圧力は同じになるように調整され、エアクッションの効率を最大にする。すべての設計において、容器の設計で許容されるよりも高いフィード圧力を避けるように注意しなければならない。また、エアクッションは、モジュール内の慣性によって移動する液体に対して空気ばねとして最適に動作するように、サイズまたは圧力を調整する必要がある。
【0018】
一実施形態において、装置は、フィードをすすぎ水または洗浄媒体で代用し、振動によるすすぎ機能を維持しながら媒体を入口から出口まで循環させることによって膜上の流量を増加させることによって洗浄される。
【0019】
一実施形態において、フィードは、空気または(不活性)ガスを加圧したタンクによって提供され、加圧されたガスは、フィードポンプとして作用し、フィードを濾過装置に押し込む。このフィードシステムは、非常に低コストで、単純な既製のエレメントのみを使用して、安定したフィードを提供することができる。加圧されたガスは、ガスクッションの機能を最適化するために、エアクッション8A、8Bに接続することができる。
一実施形態において、フィードは、滅菌バッグが空気またはガスを加圧した状態でフィード媒体を収容するタンクによって提供され、加圧されたガスはフィードポンプとして働き、フィードを濾過装置に押し込む。このフィードシステムは、非常に低コストで、単純な既製のエレメントのみを使用して、安定した無菌のフィードを提供することができる。
【0020】
一実施形態において、振動モジュールはシースルー材料で形成されるか、またはシースルー検査ガラスで形成され、これにより半透性膜、ドレーン領域および媒体は、濾過プロセス中および洗浄中に視覚的に検査することができる。
【0021】
濾過装置に使用される材料は、重合体または共重合体の熱可塑性プラスチックまたはセラミックまたは金属または材料の組み合わせ、あるいは濾過される媒体、最大約5バールまたはそれ以上などの適用される圧力、約5℃~約130℃などの必要な温度スパン、およびフィルタモジュールの洗浄に使用される媒体に耐えることができる任意の他の適切な材料から選択することができる。装置のすべての部品は、3D印刷によって1つまたは複数の部品として製造することができる。
【0022】
材料の選択は、モジュールの熱膨張と剛性を予見し、圧力と振動に対して持続可能でなければならない。好ましい実行は、ステンレス鋼、ポリカーボネートまたはポリプロピレンの容器であり、濾過管状膜は、好ましくは、チャネル開口部が通常2~25mmの半透性膜セラミック、金属または高分子膜ロッドである。すべての材料は食品グレードのものが市販され、容易に入手可能である。
【0023】
定義
「透過液」という用語は、フィルタを通過した媒体に対して使用される。
【0024】
「保持液」または「フィード」または「媒体(media)」または「媒体(medium)」という用語は、本明細書において、濾過される媒体流に対して交換可能に使用され、前記媒体流は典型的には液体であるが、慣性抵抗性振動運動を有するのに十分な量を有するガスの形態である場合もある。
【0025】
本明細書で使用される際、「濃縮液」及び「保持液」という用語は、交換可能に、濾過プロセスを経て濃縮されたフィードを意味するものとする。
【0026】
「フィルタ」、「膜」および「半透性膜」という用語は、交換可能に使用される。
【0027】
「柔軟な容積チャンバ」、「エアクッション」および「ガスクッション」という用語は、すべて交換可能に使用される。
【0028】
「柔軟なガスケット膜」という用語は不透過性である。
【0029】
「管状膜エレメント」という用語は、1つまたは複数の内部チャネルを有する、より長く、剛性のある、管または棒状のエレメントに関し、前記チャネルは、通常、その断面寸法または直径の10倍から1000倍の長さを有し、前記エレメントは、通常、焼結セラミック、金属またはプラスチックなどの半透性材料のものであり、通常、チャネルの内面または管の外面は、分子、細胞または固体などを保持する一方で、水またはより小さな分子を有するより薄い媒体などを透過させることができる、規定された膜孔サイズを有する。本発明において、管状膜エレメントは、振動に耐えることのできる剛性材料のものでなければならない。
【0030】
「微細濾過」という用語は、5ミクロンから50ミクロンのフィルタプレートのスリットまたは穴を通した濾過に適用される一方、「精密濾過」という用語は、通常、数百分の一マイクロメートルから数十マイクロメートルの粒子サイズに適用され、ゼロバールの少し上から数バールの低差圧で行われる。精密濾過は、例えば牛乳の無菌濾過に使用される。「限外濾過」という用語は、例えば、大きな有機分子をミネラル分子または小さな有機分子から分離するために使用され、限外濾過プロセスでは、1~15バールのより高い差圧が必要とされる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態は、フィルタモジュール(2)が2つ以上の柔軟なガスケット(14)を含み、前記柔軟なガスケットは容器圧力チャンバ(5a、5b)の容積と柔軟な容積チャンバ(8A、8B)の容積とを分離するように適合されている、振動装置(1)に関する。柔軟なガスケットを使用する利点は、クッション効果を衛生的な設計で達成できることである。
【0032】
本発明の一実施形態は、1つ又は複数の柔軟な容積チャンバ(8A、8B)が、例えば(8A、8B)で示される領域のようにモジュール内又はキャビティ内に位置決めされたガス充填バルーンとして形成されている振動装置(1)に関する。ガス充填バルーンを使用する利点は、これらを容易にシールしてガスクッションを形成できることと、クッションに四方から圧力を作用させることができることである。
【0033】
本発明の一実施形態は、モジュール(2)が、柔軟な容積チャンバ(8A、8B)内の圧力を、容器内の濾過されるべき保持液又は媒体と均衡するように制御するように適合された1つ又は複数の接続部を備える、上述の振動装置(1)に関する。利点は、柔軟な容積チャンバの容積が大きい場合、クッションのばね効果が増大するため、媒体が平面膜に対して容易に移動できることである。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は、上述の振動装置(1)に関するものであり、振動装置(1)は、2つ以上のフィルタモジュール(2)を備え、前記2つ以上のフィルタモジュール(2)は接続され、振動のバランスをとり、外部振動を回避するように構造的に適合させることができる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態は、フィルタモジュール(2)がバックミックス接続部((6)および(7)のような)を備え、前記バックミックス接続部は、濾過される保持液をモジュールの1つの領域(5b、5c)からモジュールの別の領域(5a、5c)に移動させるための1つまたは複数のバックミックス接続部を通る循環を介して均質化できるように適合されている、上述の振動装置(1)に関する。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、上述した振動装置(1)に関するものであり、振動装置(1)は、少なくとも1つの柔軟な支持体を備え、装置(1)は、前記少なくとも1つの柔軟な支持体によって支持され、装置(1)の振動運動を可能にし、前記少なくとも1つの柔軟なサスペンションは、振動運動を案内することができる。柔軟なサスペンションの利点は、支持基盤の外部反応および振動なしに振動を実行できることである。
【0037】
本発明のさらなる実施形態は、上述の振動装置(1)に関するものであり、前記振動モータ(12)は、単純なサスペンション及び又は運動のための単純な振動駆動モータを可能にする直線性の振動運動を提供するように適合されている。
【0038】
本発明のさらなる実施形態は、上述の振動装置(1)に関するものであり、フィルタモジュール(2)内の柔軟な容積チャンバ(8A、8B)は、濾過される媒体または保持液に適合されたガス加圧フィードタンクに接続され、前記ガス圧はフィードをモジュール入口チャンバ(5a)に押し出し、前記ガス圧は、柔軟な容積チャンバ(8A、8B)内およびモジュール(5)内の保持液圧を平衡させる。この実施形態の利点は、柔軟な容積チャンバ内のガス圧力をモジュール内の流体圧力に等しくする簡単な手段を提供することである。一実施形態において、フィルタモジュール(2)は、フィルタ膜エレメント(11)の長さに沿った経路で管状膜エレメントを機械的に作動させるための作動手段(12)を備える。柔軟な容積チャンバは、保持液チャンバ(5a、5b)内の個々のバルーンとして形成することができるが、衛生性を向上させるために、また図1に示すように、ガス充填柔軟容積チャンバ(8A、8B)は、特定の実施形態では、モジュールの密閉された部分として形成され、柔軟なガスケット(14)はクッションガス容積(8A、8B)を保持液容積から分離する。クッションチャンバは、半透性膜表面領域(11)の反対側の両端部に最適に配置され、モジュールが振動されるときの運動方向に配置され、フィルタモジュール内の膜チューブの表面に対する保持液の最適な移動を可能にする。
【0039】
一実施形態において、フィルタモジュールアセンブリ(2)は、複数の管状フィルタ膜(11)を備え、管状チャネルは、有効な膜表面を有する円形または正方形の任意の他の形態として形成される。
【0040】
図1に示されるものなどのフィルタ装置は、複数の管状膜エレメントを備える。フィルタモジュール(2)は、5~50Hzの間の周波数で通常2~25mmの振幅で振動モータによりチューブと同じ方向に振動される。このモジュールは、振動方向の各端部及びフィルタチューブアセンブリの各端部に位置決めされた柔軟な容積チャンバ又はバルーンとして形成された2つ以上のエアクッションを含み、フィルタモジュールが振動モータ(12)で動かされ、エアクッションが圧搾され又は膨張されて保持液の相対運動を可能にすることにより、濾過される媒体がフィルタ表面に対して相対的に移動し、前記保持液の一部が膜チャネル内にそれぞれ出入りし、膜チャネル内を前後に移動することを可能にする。
【0041】
振動モータは、典型的には、モータ駆動偏心錘又は偏心ピストン接続又は空気圧ピストンであるが、他の手段も利用可能である。
透過液が透過液出口から無制限に流れることを考えると、内部圧力は透過膜圧力に相当するため、装置は振動を維持し、必要な内部圧力を維持できる堅牢な設計のものであるべきである。
【0042】
装置は、典型的には、振動運動を可能にするばねまたは弾性マウントに取り付けられるか、またはそれから吊り下げられる。モジュールの設計は、典型的には、容器内の死容積が大きくならないように、管状フィルタ膜アセンブリをしっかりと囲むように調整される。
【0043】
振動フィルタ装置(1)は、振動駆動式デッドエンド濾過動作に使用可能であり、この場合、媒体はモジュール(5)内に濃縮され、動作の終了時または断続的に排出される。
【0044】
振動フィルタ装置(1)は、媒体の1つの相がモジュール(5)内で濃縮され、振動作用によってフィルタ領域の流束が安定化されないようにする、連続的又は断続的な振動駆動式濾過動作に使用することができる。
【0045】
振動フィルタ装置(1)は、入口(6)から装置内に入る気体又は液体を連続的に分離するために使用可能であり、前記液体は高い固体含有量を有し(例えば最大1%wt、例えば最大5%wt、例えば最大10%wt、例えば最大15%wt、例えば最大20%wt、例えば最大25%wt、例えば最大30wt%、例えば最大40wt%、例えば最大50wt%)、または高い粘度を有し(例えば最大10cP以下、例えば最大50cP、例えば最大100cP、例えば最大500cP、例えば最大1000cP、例えば最大2000cP、例えば最大5000cP、例えば最大10000cP、例えば10000cP超)、または高い衛生的要求を有し(例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば最大10cfu/mLの細胞数、例えば10cfu/mL超の細胞数)、または液体および/またはそれらの組み合わせ中のポリペプチド、酵素、タンパク質、酵母、または細胞などを、出口(9)を通って装置を出る透過液相および出口(7)を通って装置を出る保持液相において濃縮または分離するために使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面の説明
図1は、多数の管状フィルタエレメントを有する1つのフィルタモジュールを有する濾過装置の一実施形態の断面図である。
図示の実施形態では、媒体または透過液入口(6)および透過液出口接続部(7)ならびにガスクッションチャンバ(8A)および(8B)は、長い典型的な円形モジュール(2)のいずれかの端部に配置されている。管状膜エレメント(16)は透過液回収チャンバ(10)内に位置決めされ、前記管状エレメントは、入口及び出口チャンバ(5a、5b)から透過液ドレーン領域をシールするシールおよび固定ポッティング(3、4)内に両端が固定されている。クッションチャンバ(8A、8B)は、エッジ方向にシールされている非常に柔軟なガスケット膜(14)によって保持液チャンバ(5a、5b)から遮断される。膜表面(11)は、管状フィルタエレメント(16)の内壁に形成されている。フィルタモジュールは、接続部(13)を介して駆動モータ(12)に接続され、適切なばねに吊り下げられた状態で、装置は前後または上下に振動することができる。媒体、透過液および保持液用の接続ホースまたはチューブ(6、7および9)は、装置の振動運動を可能にするために非常に柔軟でなければならない。
【0047】
図1はさらにフィルタモジュールの断面を示しており、透過液収集チャンバ(10)内に7つの管状フィルタエレメント(16)が見られる。
【0048】
図2は、多数の管状フィルタエレメントを有する1つのフィルタモジュールを有する濾過装置の実施形態の断面図である。
【0049】
示された実施形態では、媒体または保持液入口(6)および保持液出口接続部(7)ならびにガスクッションチャンバ(8A)および(8B)は、長い円形モジュール(2)のいずれかの端部に配置されている。管状膜エレメント(16)は、保持液チャネル(5c)内に位置決めされ、前記管状エレメントは、保持液チャネル(5c)から透過液ドレーン領域(10)をシールするシールおよび固定ポッティング(3、4)内に両端が固定されている。柔軟なクッション(8A、8B)は、非常に柔軟性の高い気密バルーン型膜(14)によって、保持液チャネル(c)から遮断されている。半透性膜表面(11)は、管状フィルタエレメント(16)の外壁に形成されている。フィルタモジュールは、接続部(13)を介して駆動モータ(12)に接続され、適切なばねで吊り下げられると、装置は前後または上下に振動することができる。媒体、透過液および保持液の接続部は、装置の振動運動を可能にするために非常に柔軟でなければならない。
【0050】
図2はさらにフィルタモジュールの断面を示しており、管状フィルタエレメント(16)が保持液チャネル(5c)内に見られる。
【0051】
図3は、偏心軸(19)を有する振動駆動モータ(12)にリスペクタブル(13)及びピストンアームを介して接続されたフィルタモジュール(2)を有する振動濾過装置(1)の一実施形態を示す。
【0052】
図4は、偏心軸(19)を有する振動駆動モータ(12)にレセプタクル(13)及びピストンアームを介して接続された2つのフィルタモジュール(2)を有する振動濾過装置(1)の一実施形態を示す。2つのフィルタモジュールは反対方向に動くので、外部振動を排除することができる。
【0053】
図5は、フィードタンクに接続された1つのフィルタモジュール(2)を有する振動濾過装置(1)の一実施形態を示し、フィードタンクからフィードが圧送され(フィードタンクに圧送される気体によって)、加圧された気体は、フィードまたは保持液入口(6)を介してモジュール保持液領域(5a)にフィードを押し込む。フィードを圧送する同じガスは、クッションチャンバ(8A、8B)に接続され、これにより、圧力は、保持液領域とクッションチャンバ内で同じであり、エアクッション(8A、8B)が圧搾されるか膨張されるフィルタモジュール(2)の振動運動の間、チャンバに対する保持液の改善された動きを可能にする。
【0054】
示されていない実施形態において、フィードは、適切なフィードポンプによって装置に圧送され、柔軟な容積チャンバ(8A、8B)内のガスは、他の手段によって調整することができる。示されていない実施形態において、フィード混合ポンプが、保持液出口(7)およびフィードまたは保持液バックミックス入口接続部(6)に接続され、この混合ポンプは、保持液を均質化するために、または装置の洗浄中に混合を確実にするために、動作中に使用することができる。
【0055】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、記載した例に異なる修正を加えることができることは言うまでもない。
【0056】
示された設計は、医薬品開発において要求される特徴のような、内部に死容積がほとんどない連続濾過のための非常に小さなフィルタユニットの製造を可能にする。しかしながら、全体的な設計は、1つのコンパクトな濾過ユニットに何平方メートルもの濾過面積を有するアップスケーリングの可能性を提供するものであることに留意されたい。
【0057】
すべての部品は、追跡可能な起源を持つ食品および医薬品グレードの材料のものとすることができ、これにより濾過ユニットをヒトの食品消耗品等に適したものとすることができる。使用する材料は、再溶解して再利用したり、クリーンな化石燃料として燃やしたりできるプラスチック材料のものであることができる。半透性膜エレメントは、セラミック、金属、プラスチック等のものであることができ、典型的には、表面処理のあるまたはない焼結材料である。ユニットの部品は、3D印刷または焼結、あるいは他の手段によって製造することができる。
【0058】
作動例
0.2ミクロンのポリプロピレン管状膜を持つ新しい350cmフィルタアセンブリをフィルタモジュールに取り付け、フィルタモジュールを振動駆動ユニットに取り付けた。振動ユニットは1バールの水で漏れがないかチェックした。
【0059】
50℃で1.25%Divos 120 CLを用いたpH11の30分間の苛性アルカリ液洗浄を、0.5バールの圧力と15Hzの振動モータで、保持液出口を一部開放した状態で行った。ユニットを排水し、水で徹底的に洗浄した。ユニットを排水し、水を媒体として使用して0.1バール、15Hzの振動モータで、保持液出口を閉じた状態で全量濾過を行った。10分後、5分間で420LMHの平均流束が測定された。
【0060】
ユニットを排水し、オレンジジュースを媒体として使用して、0.5バールで、15Hzの振動モータで、保持液出口を閉じた状態で全量濾過を行った。透過液が50ml生成されるごとに時間を記録し、測定点間の平均流束を計算した。結果を表1に示す。
【表1】
【0061】
ユニットを排水し、0.5バール、15Hzの振動モータ、保持液出口を部分的に開いた状態で15分間、水を使用して連続濾過で媒体を洗浄した。
【0062】
50℃でpH11の30分間の苛性アルカリ液洗浄を、0.5バールの圧力と15Hzの振動モータで、保持液出口を部分的に開いた状態で行った。ユニットを排水し、水で徹底的に洗浄した。
【0063】
ユニットを排水し、水を媒体として使用して、0.1バール、15Hzの振動モータで、保持液出口を閉じた状態で全量濾過を行った。10分後、1分間で410LMHの平均流束が測定された。
【0064】
ユニットを排水し、オレンジジュースを媒体として使用して、0.5バールで、振動モータを停止し、保持液出口を閉じた状態で全量濾過を行った。透過液が50ml生成されるごとに時間を記録し、測定点間の平均流束を計算した。結果を表2に示す。
【表2】
【0065】
ユニットを排水し、水を媒体として使用して、0.5バール、15Hzの振動モータで、保持液出口を部分的に開いた状態で、15分間ユニットを洗浄した。
【0066】
50℃でpH11の30分間の苛性アルカリ液洗浄を、0.5バールの圧力、15Hzの振動モータで、保持液出口を部分的に開いた状態で行った。ユニットを排水し、水で徹底的に洗浄した。
【0067】
ユニットを排水し、10分後、1分間で380LMHの平均水流束が測定された。
【0068】
結論:15Hzの振動は、オレンジジュースの濾過をより速くし、ユニットは同じ膜を使用したより大きなユニットと同等の性能を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】