(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】コンパクトな芳香送出装置およびコンパクトな芳香送出システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240312BHJP
A45D 34/02 20060101ALI20240312BHJP
F24F 8/50 20210101ALI20240312BHJP
G01N 33/00 20060101ALN20240312BHJP
A61L 9/12 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
G01N1/00 F
A45D34/02 510D
F24F8/50
G01N33/00 C
A61L9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542845
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022052718
(87)【国際公開番号】W WO2022167588
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス シュチェルバコフ
(72)【発明者】
【氏名】アーテム キルション
(72)【発明者】
【氏名】アディ ファデル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス オレーリー
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ カッシーリ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ イナウエン
(72)【発明者】
【氏名】ロニー ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ブラニスラフ バラツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ズィーバー
【テーマコード(参考)】
2G052
4C180
【Fターム(参考)】
2G052AA39
2G052AB25
2G052FD01
2G052HC04
2G052HC28
4C180AA03
4C180CA06
4C180HH05
(57)【要約】
コンパクトな芳香送出システム(300)であって、
-コンパクトな芳香送出装置(100,200)と、
-空気流混合ユニット(400)と、
を含み、
-空気流混合ユニット(400)は、
-コンパクトな芳香送出装置の香り付けされた空気の出口(125)に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口(405)、
-嗅ぎ取りポート(415)に向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口(410)、
-香り付けされた空気用の入口と混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管(420)、および
-以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口(425)および/または
-空気流回収装置および/または廃棄空気排出部に接続されるように構成されており、後の希釈または関連する嗅ぎ取りポート(415)のいずれかまたは両方について空気流量を減少させるために、香り付けされた空気用の入口と混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口(430)
のうちの少なくとも1つの要素を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクトな芳香送出装置(100,200)であって、前記芳香送出装置(100,200)は、
-動的空気流チャンバ(105)を含み、前記動的空気流チャンバ(105)は、
-新鮮空気用の入口(110)と、
-フレグランス供給源支持体(120,220)と、
-香り付けされた空気用の出口(125)と、
を含み、
-前記フレグランス供給源支持体は、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間に、前記チャンバを通過する空気流に沿って配置されたフレグランス供給源支持体である、
コンパクトな芳香送出装置(100,200)。
【請求項2】
前記チャンバ(105)は、
-空気を前記入口から前記フレグランス供給源支持体(120,220)に向かって分散させかつ反射するように構成された反射面(115)に面した前記新鮮空気用の入口(110)と、
-前記反射面と、
-前記香り付けされた空気用の出口(125)と、
-前記チャンバを通過する空気流に沿って前記フレグランス供給源支持体と前記出口との間に配置された狭小化空気流ガイド(130)と、
を含む、
請求項1記載のコンパクトな芳香送出装置(100,200)。
【請求項3】
前記フレグランス供給源支持体(120,220)は、空気流ガイド(135)を含む、
請求項2記載の装置(100,200)。
【請求項4】
前記フレグランス供給源支持体(120,220)は、穿孔された表面(121,221)を含み、前記表面の孔は、前記空気流ガイド(135)を形成している、
請求項3記載の装置(100,200)。
【請求項5】
前記穿孔された表面(121)は、前記チャンバ(105)の断面にわたっている、
請求項4記載の装置(100)。
【請求項6】
前記装置(100)は、前記表面の少なくとも1つの孔を閉鎖/開放するように構成された孔適合手段(135)を含む、
請求項4または5記載の装置(100)。
【請求項7】
前記チャンバ(105)内に配置された前記入口(110)の開口は、前記反射面(115)から、前記開口の幅の3倍以下の距離に配置されている、
請求項2から6までのいずれか1項記載の装置(100,200)。
【請求項8】
前記入口(110)は、前記チャンバ(105)内で長手方向に延びており、前記入口は、前記フレグランス供給源支持用の取付具(240)を有している、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(200)。
【請求項9】
コンパクトな芳香送出システム(300)であって、
-請求項1から8までのいずれか1項記載のコンパクトな芳香送出装置(200)と、
-空気流混合ユニット(400)と、
を含み、
-前記空気流混合ユニット(400)は、
-前記コンパクトな芳香送出装置の前記香り付けされた空気の出口(125)に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口(405)と、
-嗅ぎ取りポート(415)に向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口(410)と、
-前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管(420)と、
を含み、前記空気流混合ユニット(400)は、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口(425)
および/または
-空気流回収装置および/または廃棄空気排出部に接続されるように構成されており、後の希釈および/または関連する前記嗅ぎ取りポート(415)のいずれについても空気流量を減少させるために、前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の前記香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口(430)
のうちの少なくとも1つの要素を含む、
コンパクトな芳香送出システム(300)。
【請求項10】
前記導管(420)は、少なくとも1つのエルボ(435)または流れ変更手段を含む、
請求項9記載のシステム(300)。
【請求項11】
前記システム(300)は、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の前記香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口(425,426)
および/または
-空気流回収装置および/または排気空気排出部に接続されるように構成されており、前記コンパクトな芳香送出装置からの前記香り付けされた空気用の入口と前記嗅ぎ取り/評価ポートへの前記混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の前記香り付けされた空気流から、香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口(430,431)
のうちの少なくとも2つの要素をさらに含み、
前記エルボ(435)または前記流れ変更手段は、2つの前記要素の間に配置されている、
請求項10記載のシステム(300)。
【請求項12】
前記システム(300)は、
前記導管(420)は前記空気流内に、前記導管内での混合を強めるように構成されたニードル(440)または他の任意の幾何学的障害物を有している、
請求項9から11までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項13】
少なくとも1つの新鮮空気用の入口(425)または廃棄される香り付けされた空気用の出口(430)は、少なくとも1つの前記新鮮空気用の入口(425)または前記廃棄される香り付けされた空気用の出口(430)と相互作用する空気流に対して垂直に向けられている、
請求項9から12までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項14】
前記システム(300)は、加熱装置(445)をさらに含み、前記加熱装置は、前記入口(405)から前記出口(410)へ空気を流すように構成されている、
請求項9から13までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項15】
前記システム(300)は、前記混合済みの香り付けされた空気用の出口(410)の上流側に、空気流制限器(450)をさらに含む、
請求項9から14までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項16】
前記システム(300)は、
-新鮮空気用の1つの入口(110,425,426)または廃棄される香り付けされた空気用の1つの出口(430,431)に接続された少なくとも1つのポンプ(305)、または、新鮮空気用の1つの入口(110,425,426)に接続された圧縮空気供給源(805,808)のうちの1つをさらに含む、
請求項9から15までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項17】
前記システム(300)は、命令ユニット(310)をさらに含み、前記命令ユニット(310)は、
-希釈率および/または廃棄率決定手段(315)と、
-少なくとも1つの質量流量制御装置(306)と、
-命令手段(320)と、
を含み、
前記少なくとも1つの質量流量制御装置(306)は、
-前記ポンプ(305)を前記新鮮空気用の入口(110,425,426)または前記廃棄される香り付けされた空気用の出口(430,431)に接続する、または
-圧縮空気供給源(805,808)を前記新鮮空気用の入口(110,425,426)に接続する、または
-前記出口(430,431)を廃棄する香り付けされた空気の処理手段(816)に接続する
のうちの少なくとも1つを実行し、
前記命令手段(320)は、決定された希釈率および/または廃棄率に応じて少なくとも1つの前記質量流量制御装置に作動命令を送信するように構成される、
請求項16記載のシステム(300)。
【請求項18】
前記命令ユニット(310)は、芳香残香シミュレーション手段(325)をさらに含み、作動命令は、シミュレートされた芳香残香のパラメータに応じて前記命令手段(320)により送信される、
請求項17記載のシステム(300)。
【請求項19】
前記システム(300)は、バーチャルリアリティヘッドセット(330)または電子ディスプレイを含み、前記希釈率および/または廃棄率は、前記バーチャルリアリティヘッドセットまたは電子ディスプレイの実行パラメータに応じて決定される、
請求項17または18記載のシステム(300)。
【請求項20】
前記希釈率は、時間の経過と共に減少または増大する、
請求項17から19までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項21】
前記コンパクトな芳香送出装置(200)は、前記香り付けされた空気の出口(125)が、鉛直方向上向きに沿って、前記装置の前記新鮮空気用の入口(110)よりも高くなるように配置されている、
請求項9から20までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項22】
前記システム(300)は、前記システムを通過する空気流に沿って配置された湿分捕捉手段(355)および/または活性炭捕捉手段(356)を含む、
請求項9から21までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項23】
香り付けされた空気にさらされる前記システム(300)のコンポーネントは、化学的に不動態化されている、
請求項9から22までのいずれか1項記載のシステム(300)。
【請求項24】
大気圧を超えて加圧された条件下で動作するように構成された、請求項9から23までのいずれか1項記載のシステム(300,700,800)。
【請求項25】
請求項9から24までのいずれか1項記載のシステムを形成するアセンブリ(500)であって、
-請求項1から8までのいずれか1項記載のコンパクトな芳香送出装置(100,200)と、
-空気流混合ユニット(400)と、
を含み、
-前記空気流混合ユニット(400)は、
-前記コンパクトな芳香送出装置の前記香り付けされた空気の出口(125)に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口(405)と、
-嗅ぎ取りポート(415)に向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口(410)と、
-前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管(420)と、
を含み、前記空気流混合ユニット(400)は、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口(425)
および/または
-空気流回収装置および/または廃棄空気排出部に接続されるように構成されており、後の希釈および/または関連する前記嗅ぎ取りポート(415)のいずれについても空気流量を減少させるために、前記香り付けされた空気用の入口と前記混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の前記香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口(430)
のうちの少なくとも1つの要素を含む、
アセンブリ(500)。
【請求項26】
芳香を送出する方法(600)であって、前記方法(600)は、
-請求項1から8までのいずれか1項記載のコンパクトな芳香送出装置(100,200)内に新鮮空気を注入するステップ(605)と、
-香り付けされた空気を、前記コンパクトな芳香送出装置の前記出口から空気流混合ユニット(400)内に注入するステップ(610)と、
-前記混合ユニット内の前記香り付けされた空気流内に新鮮空気を供給するステップ(620)および/または廃棄される香り付けされた空気を前記混合ユニットから回収するステップ(625)と、
を含む方法(600)。
【請求項27】
前記方法(600)は、香り付けされた空気の希釈率を決定するステップ(615)を含み、前記供給するステップ(620)および/または前記回収するステップ(625)のうちの少なくとも1つのステップは、決定された前記率に応じて操作される、
請求項26記載の方法(600)。
【請求項28】
前記決定するステップ(615)の最中に決定される前記率は、芳香供給源と前記芳香の知覚位置との間の距離のシミュレーションパラメータに応じて決定され、前記距離は、前記芳香送出装置の前記出口における香り付けされた空気の強度、知覚性および/または認識性に影響を及ぼす、
請求項27記載の方法(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトな芳香送出装置およびコンパクトな芳香送出システムに関する。これは特に、嗅覚検査、香料製造、ファインフレグランス香料製造、フレグランスデザインおよびフレーバーデザインの分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
官能性能評価は、フレグランス製品またはフレーバー製品、例えば、限定はしないがエアフレッシュナー、芳香付き洗濯洗剤、芳香付きまたはフレーバー付き粉末、ヘアケア製品、ファインフレグランス、表面クリーナーおよびキャンドルの開発の不可欠な部分である。
【0003】
香料製造において、官能評価は、典型的には、人間の被験者のパネルで実施され、「フリーオイル」(フレグランス濃縮物)または香料が開発された消費者製品カテゴリを代表する基材のいずれかから放出されるフレグランスの感覚的な強度およびその他の特性を記録する。ファインフレグランスの場合、このような基材の例は、限定はしないが吸取紙、スライドガラスおよび皮膚を含み得る。洗濯洗剤の場合、対象の基材は、芳香付き洗剤で洗われたタオルであってよい。ヘアケア製品の場合、官能評価は、基材として、芳香付きシャンプーおよび/またはコンディショナーで洗われた毛髪を使用して実施され得る。エアフレッシュナーの場合、基材は、限定はしないが紙製品、木材を基礎としたまたは木材に類似した材料、ゲル、織布または不織布およびプラスチック等のポリマーを基礎とした製品を含み得る。
【0004】
このような評価は、容積が約2立方メートル以上のキャビンまたは部屋等の、通気された大きな空間内で実施することができ、フレグランス供給源、例えばフレグランス製品または基材またはフリーオイルをキャビン内のどこかに配置し、所定の空気流量または空気交換速度(通気速度)で所定の時間にわたりキャビン内の通気を可能にしてキャビンの空気を香り付け、次いでキャビンのドアに設けられた窓を介して匂いを嗅ぐか、またはキャビンの空間に入ることにより、評価する。
【0005】
官能評価のためにキャビンおよび部屋を使用することに関連する多くの制限および欠点がある。第1に、並列的な製品開発や評価に必要なこのような専用設備の規模および数は、かなりの床面積と建設投資とを必要とする。第2に、このような設備は運搬可能ではなく、官能評価のための場所のフレキシビリティを許容しない。最後に、大きな固定された寸法と、有効な空気通気速度に関して制限された通気能力とにより、このような設備が可能にする、特に空気中のフレグランスの希釈の程度に関する官能評価を行うための条件の設定は限定的であり、このことは、多くの用途における消費者フレグランス製品の開発および試験にとって問題である。
【0006】
特に、ファインフレグランスに関する(フランス語で「シヤージュ」(sillage)としても知られる)フレグランス残香の評価は、上述した技術的問題に関連している。残香性能は、世界中の消費者に求められているファインフレグランスの重要な特性および販売ポイントである。優れた消費者製品の開発には、ファインフレグランスの残香性能に関する丈夫でフレキシブルな、差別化を図る評価手段が不可欠であるが、評価のために実際の人間のフレグランス残香を生成することができる、空気流の希釈、コンパクトな設置面積および運搬可能な形態に関する設定がフレキシブルな装置の必要性は、フレグランス工業において依然として満たされないままである。フレグランス残香は1つの特定の例であり、この必要性は残香に限定されず、消費者の実際の使用条件下でのフレグランス性能の評価が優れた製品の開発に必要な他のカテゴリのフレグランス製品も含む。
【0007】
フレグランス残香の特定の例では、先行技術でこの必要性を満たすための試みが行われてきたが、フレグランス残香の評価用の装置の基礎を成す工学設計原理が実際の人間の残香を正確に表現しないため、これらの試みは不十分であった。例えば、フレグランスユーザと評価者との間の距離を再現しようとして、チューブまたはチャネルを介してフレグランス供給源と評価ポイントとの間の距離を提供するためにさまざまな空気対流のプロトタイプが提案されたが、回転ファンを介してフレグランス供給源に新鮮空気が送られると、香り付けされた空気は急速に十分に混合されることになり、これにより、このような装置内の距離に対する空気希釈度の依存性が大幅に低下するかまたは完全に除去されるため、人間のフレグランス残香に関連する条件の範囲全体をシミュレートするためには不適切である。シヤージュ評価の構想を導入するその他の試みは、装置を運搬不能にすると共に、評価されるフレグランスの気相希釈の程度の正確な制御を不可能にするフレグランス放出装置の全体の寸法および下流側の香り付けされた空気のチャネルの開放設計により、制限されていた。これらの試みは、上述した制限、すなわち、評価手段の寸法および設置面積、再現性の欠如、特に、実際のフレグランス残香条件をコピーすることができないという欠点を有している。
【0008】
他の多くの芳香性能特性とは異なり、残香は動きに関連する。これは、フレグランスを使用している人の動き(歩行)であるか、または人の周りの空気の動き(風または通気)であるか、またはその両方(通りを歩行し、自然な風の流れにさらされた人)である。動きは、供給源(フレグランスを使用している人)からフレグランスを移動させ、他の人がフレグランスの香りを嗅ぐことができるようにする、ある程度の空気の対流を生ぜしめる。ファインフレグランスの残香性能は、一般に、フレグランスが少なくとも知覚可能、好適には認識可能であり続ける、供給源から他の人までの最大距離により判断される。重要なのは、無香の空気により包囲されている場合のように、大幅な気相の濃度勾配が存在する場合には常に、空気中のフレグランスの希釈の程度は、評価が行われるフレグランス供給源からの距離と強く相関する、という点に留意することである。
【0009】
目下、複数の消費者製品カテゴリ、エアフレッシュナー、クリーニング製品、洗濯製品、キャンドル、リードおよびボディケア製品に適しているであろう、フレグランス性能の官能評価のための現実的、迅速、再現可能、コンパクト、かつ運搬可能な解決手段を可能にする申し分ないシステムは、従来技術には存在しない。さらに、ファインフレグランス等のフレグランスの残香性能の官能評価のための、現実的、迅速、再現可能、コンパクト、かつ運搬可能な解決手段を可能にする申し分ないシステムは存在しない。
【0010】
米国特許出願公開第20190128782号明細書に開示されているような従来のシステムが知られている。この文献には、フレグランスの「シヤージュ」(残香)性能特性を明確に評価するための装置および関連する方法が開示されている。この装置は実質的に、フレグランス供給源からそれぞれ異なる距離に配置された、いくつかの嗅ぎ取りポートを備える、長い直線的なチューブである。チューブの一方の端部において、フレグランス試料がファンの正面に配置され、ファンは、フレグランス試料に新鮮空気を約0.7m/秒で吹き付ける。次いで、香り付けされた空気が、ファンからの対流により供給源から運ばれ、管の長さに沿った1つまたは複数の嗅ぎ取りポートにおいて評価される。
【0011】
このようなシステムは、多くのスペースを必要とし、動作条件のフレキシビリティが低く、かつ残香現象の再現精度も低い。特に、ファンからの回転空気流がフレグランスを空気中に急速に混合し、フレグランス供給源と嗅ぎ取りポートとの間に追加の新鮮空気は導入されないため、チューブ内に運ばれたフレグランスヘッドスペースは、第1の嗅ぎ取りポートの上流側の供給源から極短い距離を経た後は距離不変となり、このことは、装置が定常状態動作モードに達した後には、装置の下流側の後続ポートに送られた空気中のフレグランス濃度が実質的に同一であることを意味する。
【0012】
米国特許出願公開第6067842号明細書に開示されているような従来のシステムも知られている。この文献には、嗅ぎ取りポートと、キャリアガスおよび試料ヘッドスペースにより構成された試料流を生成し、試料流を飽和チャンバから嗅ぎ取りポートに供給するための試料供給手段と、キャリアガス供給手段と、試料流の所定の希釈のためのミキサとを有する嗅覚計が開示されている。キャリアガス供給手段は、飽和チャンバに可変のキャリアガス流を提供するために飽和チャンバの手前に配置された、流量が可変のマスフロー制御手段を含む。直径が異なる複数の毛細管が、個々のインジェクタを介して混合手段を嗅ぎ取りポートに接続している。コンピュータが嗅覚計にインタフェースされ、試料および/または試料流中のキャリアガスの量を調整することができる。
【0013】
しかしながら、このようなシステムは、小量の臭気物質試料の嗅覚検査のために最適化されている一方で、製品の実際の使用条件において消費者製品のフレグランス性能を評価するという目的については重大な欠点を示す。最も明白な欠点は、飽和チャンバの設計にあり、香り付けされた空気を生成するためのユニット内に配置される、ほとんどのフルサイズのフレグランス消費者製品を収容することができない。第2の欠点は、フレグランス供給源を飽和チャンバ内で空気流(通気)にさらす方法にあり、フレグランス製品をチャンバ内で程度が可変の直接空気対流にさらすための設計および動作パラメータのフレキシビリティが欠如しており、動作パラメータは、フレグランス製品の気化および経時変化の動態を制御するために重要である。
【0014】
米国特許出願公開第20090320559号明細書に開示されているような従来のシステムも知られている。このようなシステムは、物質のフレグランス特性を評価するための装置を目的としたものであり、この装置は、評価される物質、例えばフレグランスを支持するブロックが配置された円筒形のチャンバを有している。ファンにより生成された空気の流れが、チャンバを通って物質の周りを通過し、主出口と、対応する鼻用マスクへ空気流を導く絞り弁がそれぞれに設けられた複数の検出出口とを介してチャンバから流出する。個人が、それぞれマスクから空気流の匂いを2~3回嗅ぎ取り、それらの所見を予め用意された用紙に記録する。
【0015】
このようなシステムは、複数の欠点ももたらす。すなわち:(1)ファンにより生成された入口空気流が、回転流をチャンバ内に導入して、芳香生成チャンバ内の空気混合を高め、チャンバ内に配置された空気流シールドの機能を低下させる;(2)主チャンバから流出する香り付けされた空気の補助希釈が設計に含まれておらず、このことは、フレグランス製品の実際の使用条件を模倣する装置の能力を大幅に低下させると共に、前記製品の気化動態と、人間のパネリストに与えられる芳香強度とを別個に制御することを不可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、これらの欠点の全部または一部を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この効果を得るために、第1の態様によれば、本発明が目指すコンパクトな芳香送出装置は、
-動的空気流チャンバを含み、動的空気流チャンバは、
-新鮮空気用の入口と、
-フレグランス供給源支持体と、
-香り付けされた空気用の出口と、
を含み、
-フレグランス供給源支持体は、チャンバ内で入口と出口との間に、チャンバを通過する空気流に沿って配置されたフレグランス供給源支持体である。
【0018】
このような手段は、連続的な空気流を受ける動的システムの使用を可能にし、ひいては(装置の内部に配置されたフレグランス製品の特徴に加えて)入口における空気流の特徴に応じて香り付けされた空気を提供する。
【0019】
1つの特定の実施形態では、チャンバは、
-空気をフレグランス供給源支持体に向かって分散させかつ反射するように構成された反射面に面した新鮮空気用の入口と、
-前記反射面と、
-チャンバ内で、チャンバを通過する空気流に沿って入口と出口との間に配置された、本発明の特定の実施形態では穿孔されていてよいフレグランス供給源支持体と、
-香り付けされた空気用の出口と、
-チャンバを通過する空気流に沿ってフレグランス供給源支持体と出口との間に配置された狭小化空気流ガイドと、
を含む。
【0020】
これらの手段は、さまざまな消費者製品フォーマットについてのフレグランス性能を評価するための、フレグランス産業において典型的に使用されているテストキャビンの代替を目的とした、規模が縮小された装置を提供することにより、上述した制限を回避することを可能にする。
【0021】
設置面積が小さいにもかかわらず、本発明の対象である装置は、フルサイズの消費者製品に適応することができ、かつ知覚キャビン、部屋およびその他の消費者最終使用環境において観察される嗅覚性能を再現することができる。本装置は、変化するビジネスニーズ、クライアント要件およびさまざまな地理的な場所に適合され得る調整可能な動作パラメータでもって設計され得る。
【0022】
さらにこれらの手段は、
-官能試験の帯域幅を拡大し、フルサイズのテストキャビンが適さない場所で評価者に官能試験能力をもたらし、
-より良好で、より厳しい評価条件と方法とを早期に開発プロセスに組み込む(例えば異なるサイズの部屋、フレグランス供給源からの異なる距離等)ことにより、フレグランス設計の改良を支援し、
-製品の性能を実証する優れた能力を提供し、
-クロスカテゴリーのフレグランス(皮膚、ヘアフレグランス、織布への付着等)の衛生的な評価を提供する。
【0023】
複数の特定の実施形態では、フレグランス供給源支持体は、空気流ガイドを含む。
【0024】
このような実施形態は、より大きな空気体積が大気中に配置された等量のフレグランス試料に与えるであろう影響の正確な再現を可能にする。
【0025】
複数の特定の実施形態では、フレグランス供給源支持体は、穿孔された表面を含み、表面の孔が、空気流ガイドを形成している。
【0026】
このような実施形態は、単一のアイテムでフレグランス支持体と空気流ガイドとを提供するという、2重の利点を可能にする。
【0027】
複数の特定の態様では、(フレグランス支持体としても用いられる)穿孔された表面は、チャンバの断面にわたっている。
【0028】
このような実施形態は、空気流を押し込んで孔に流入させ、これにより、チャンバ内の空気流プロファイルに対する追加的な制御を提供する。
【0029】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象である装置は、表面の少なくとも1つの孔を閉鎖/開放するように構成された孔適合手段を含む。
【0030】
このような実施形態は、チャンバ内に配置されたフレグランス製品の気化動態等の、装置の動作パラメータの動的な調整を可能にする。
【0031】
複数の特定の実施形態では、チャンバ内に配置された空気入口の開口は、反射面から、前記開口の幅の3倍以下の距離に配置されている。
【0032】
このような実施形態は、チャンバ内の空気の最適な循環を可能にする。
【0033】
複数の特定の実施形態では、入口は、チャンバ内で長手方向に延びており、前記入口は、フレグランス供給源支持体用の取付具を有している。
【0034】
第2の態様によれば、本発明が目指すコンパクトな芳香送出システムは、
-本発明の対象であるコンパクトな芳香送出装置と、
-空気流混合ユニットと、
を含み、
-空気流混合ユニットは、
-コンパクトな芳香送出装置の香り付けされた空気の出口に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口、
-嗅ぎ取りポートに向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口、
-香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管、および
-以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口および/または
-空気流回収装置に接続されるように構成されており、空気流量を減少させるために、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口
のうちの少なくとも1つの要素を含む。
【0035】
これらの手段は、本発明の対象であるコンパクトな芳香送出装置と同様の利点をもたらし、加えて、嗅ぎ取りポートに供給される空気流の動的な調整および嗅ぎ取りポートに送出される芳香の濃度(強度)に対する追加的な制御を可能にする追加的な改良をももたらす。これにより、標準的なバイアルでも、新鮮空気の入口における空気流量、廃棄される香り付けされた空気の出口流量および芳香送出装置の下流側における追加的な新鮮空気による補助希釈を調整することにより、消費者が、フレグランス供給源から異なる距離においてどのように香りを知覚するのか、ということをシミュレートすることができる。
【0036】
複数の特定の実施形態では、導管は、空気混合を強める少なくとも1つのエルボまたは流れ変更手段を含む。
【0037】
このような実施形態は、空気流内での混合の改良を可能にする。
【0038】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口および/または
-空気流回収装置に接続されるように構成されており、コンパクトな芳香送出装置からの香り付けされた空気用の入口と、嗅ぎ取り/評価ポートへの混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から、香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口
のうちの少なくとも2つの要素を含み、
空気混合を強めるエルボまたはその他の流れ変更手段は、2つの前記要素の間に配置されている。
【0039】
このような実施形態は、サイズ、騒音および空気流ポンプ需要の減少を可能にし、これにより、小さなスペースでより大きな動的希釈範囲が可能になる。
【0040】
複数の特定の実施形態では、導管は空気流路内に、導管内での混合を強めるように構成されたニードルまたは他の任意の幾何学的障害物を有している。
【0041】
このような実施形態は、空気流導管内での混合の改良を可能にする。
【0042】
複数の特定の実施形態では、少なくとも1つの新鮮空気用の入口または廃棄される香り付けされた空気用の出口は、少なくとも1つの前記新鮮空気用の入口または廃棄される香り付けされた空気用の出口と相互作用する空気流に対して垂直に向けられている。
【0043】
このような実施形態は、空気流内での小さな乱流または流れの乱れの形成を可能にする。
【0044】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、加熱装置を含み、前記加熱装置は、入口から出口へ空気を流すように構成されている。
【0045】
このような実施形態は、システムの導管のクリーニングを容易にする。
【0046】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、混合済みの香り付けされた空気用の出口または嗅ぎ取り/評価ポートの上流側に、空気流制限器を含む。
【0047】
このような実施形態は、空気流の速度の追加的な制御を可能にする。
【0048】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、新鮮空気用の入口または廃棄される香り付けされた空気用の出口に接続された少なくとも1つのポンプまたは圧縮空気供給源を含む。
【0049】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、電子命令ユニットを含み、電子命令ユニットは、
-希釈率および/または廃棄率決定手段と、
-少なくとも1つの前記ポンプまたは圧縮空気供給源を、新鮮空気用の入口または廃棄される香り付けされた空気用の出口に接続する、少なくとも1つの質量流量制御装置と、
-決定された希釈率および/または廃棄率に応じて少なくとも1つの前記質量流量制御装置に作動命令を送信するように構成された命令手段と、
を含む。
【0050】
このような実施形態は、システムの動的な作動および制御を可能にする。
【0051】
複数の特定の実施形態では、命令ユニットはさらに、芳香残香シミュレーション手段、シミュレートされた芳香残香のパラメータに応じて命令手段により送信される作動命令を含む。
【0052】
このような実施形態は、実際の残香条件のユーザ知覚に適合させるために、空気流および希釈に関する芳香残香のシミュレーションを可能にする。
【0053】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、バーチャルリアリティヘッドセットまたは電子ディスプレイを含み、希釈率および/または廃棄率は、前記バーチャルリアリティヘッドセットまたは電子ディスプレイの実行パラメータに応じて決定される。
【0054】
このような実施形態は、芳香送出システムにより送出される芳香の希釈度を、仮想環境におけるユーザと仮想フレグランス供給源との間の仮想距離に合わせることを可能にする。
【0055】
複数の特定の実施形態では、芳香送出システムにより達成される空気希釈率は、時間の経過と共に減少または増大する。
【0056】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、本発明の対象である少なくとも2つのコンパクトな芳香送出装置と、コンパクトな芳香送出装置毎に1つの混合ユニットとを含み、前記システムはさらに、各前記混合ユニットの混合済みの香り付けされた空気用の出口に接続された、香り付けされた空気用のミキサを含み、前記香り付けされた空気用のミキサはさらに、嗅ぎ取りポートに向けられる混合済みの香り付けされた空気用の出口を含む。
【0057】
このような実施形態は、フレグランスの混合を可能にする。
【0058】
複数の特定の実施形態では、コンパクトな芳香送出装置は、香り付けされた空気の出口が、前記装置の新鮮空気用の入口よりも高くなるように配置されている。
【0059】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、少なくとも2つのコンパクトな芳香送出装置を含み、前記システムはさらに、香り付けされた空気用の入口を1つのコンパクトな芳香送出装置に択一的に接続するように構成されたフレグランス供給源を含む。
【0060】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象であるシステムは、システムを通過する空気流に沿って配置された湿分捕捉手段および/または活性炭捕捉手段を含む。
【0061】
このような実施形態は、システムの最適な動作を可能にし、システム内に望ましくない湿分または化合物が存在することによる非作動化を回避する。
【0062】
第3の態様によれば、本発明が目指す、本発明の第2の態様の対象であるシステムを形成するアセンブリは、
-本発明の第1の態様によるコンパクトな芳香送出装置と、
-空気流混合ユニットと、
を含み、
-空気流混合ユニットは、
-コンパクトな芳香送出装置の香り付けされた空気の出口に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口、
-嗅ぎ取りポートに向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口、
-香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管、および
-以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口および/または
-空気流回収装置に接続されるように構成されており、嗅ぎ取りポートにおいて空気流量を減少させるために、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口
のうちの少なくとも1つの要素を含む。
【0063】
この態様の利点は、上で先に開示した態様と同じである。
【0064】
第4の態様によれば、本発明が目指す、芳香を送出する方法は、
-本発明の第1の態様によるコンパクトな芳香送出装置内に空気を注入するステップと、
-香り付けされた空気を、コンパクトな芳香送出装置の出口から空気流混合ユニット内に注入するステップと、
-混合ユニット内の香り付けされた空気流内に新鮮空気を供給するステップおよび/または廃棄される香り付けされた空気を混合ユニットから回収するステップと、
を含む。
【0065】
このような態様は、本発明の対象であるシステムと同様の利点をもたらす。
【0066】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象である方法は、香り付けされた空気の希釈率を決定するステップを含み、供給ステップおよび/または回収ステップのうちの少なくとも1つのステップは、決定された比率に応じて操作される。
【0067】
このような態様は、本発明の対象であるシステムと同様の利点をもたらす。
【0068】
複数の特定の実施形態では、決定ステップの最中に決定される比率は、芳香供給源と、前記芳香の知覚位置との間の距離のシミュレーションパラメータに応じて決定され、前記距離は、芳香送出装置の出口における香り付けされた空気の強度、知覚性および/または認識性に影響を及ぼす。
【0069】
このような態様は、本発明の対象であるシステムと同様の利点をもたらす。
本発明のその他の利点、目的および特定の特徴は、本明細書に添付された図面に関連する、本発明の対象である少なくとも1つの特定の装置またはシステムの以下の非排他的な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の対象である装置の第1の実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の対象である装置の第2の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の対象であるシステムの第1の特定の実施形態を概略的に示す第1の図である。
【
図4】本発明の対象であるシステムの第1の特定の実施形態を概略的に示す第2の図である。
【
図5】本発明の対象であるシステムの第1の特定の実施形態を概略的に示す第3の図である。
【
図6】本発明の対象である方法の1つの特定の実施形態の一連のステップを概略的に示す図である。
【
図7】本発明の対象であるシステムの第2の特定の実施形態を概略的に示す図である。
【
図8】本発明の対象であるシステムの第3の特定の実施形態を概略的に示す図である。
【
図9】本発明の対象である、香り付けされた空気流の回路の1つの特定の実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
1つの実施形態の各特徴は、任意の他の実施形態の任意の他の特徴と有利に組み合わせることができるため、この説明は非排他的である。
【0072】
この点において、図面は縮尺通りではないことに留意されたい。
【0073】
「新鮮空気」という用語は、少なくとも、いずれの所定のフレグランスも欠如していることを意図している。好適には、このような新鮮空気は、コンパクトな芳香送出装置100内に収容されたフレグランスのより実際的な体験をユーザに提供するいずれの種類のフレグランスも欠如していることを意図している。このような新鮮空気は、例えば周囲空気であってよいか、または所定の組成を示し、装置100にアクセス可能な貯蔵ユニット内に位置する空気であってもよい。
【0074】
「フレグランス供給源」という用語は、任意の種類の芳香成分または複数の成分の組合せ、例えばエアフレッシュナー製品、フレグランスで処理されたさまざまな基材(紙、タイル、タオル、毛髪等)、粉末、液体および/またはキャンドル等を示していてよい。
【0075】
図1および
図2は両方共、本発明の対象である装置100および200の1つの特定の実施形態を示している。このコンパクトな芳香送出装置100または200は、
-動的空気流チャンバ105を含み、動的空気流チャンバ105は、
-好適には(例えば湿分捕捉手段355を介して)乾燥されかつ(例えば活性炭フィルタ356を介して)汚染物質が濾過された新鮮空気用の入口110と、
-フレグランス供給源支持体120または220と、
-香り付けされた空気用の出口125と、
を含み、
-フレグランス供給源支持体120または220は、チャンバ内で入口と出口との間に、チャンバを通過する空気流に沿って配置されたフレグランス供給源支持体である。
【0076】
チャンバ105は、平衡状態にならないように構成されている。換言すると、チャンバ105は、連続的に通気されるように構成されており、これにより、動的ヘッドスペースチャンバを形成することができる。
【0077】
図1には、本発明の対象である装置100の1つの特定の実施形態が示されている。このコンパクトな芳香送出装置100において、チャンバ105は、
-空気をフレグランス供給源支持体120または220に向かって分散させかつ反射するように構成された反射面115に面した新鮮空気用の入口110と、
-前記反射面と、
-香り付けされた空気用の出口125と、
-チャンバを通過する空気流に沿ってフレグランス供給源支持体と出口との間に配置された狭小化空気流ガイド130と、
を含む。
【0078】
チャンバ105は、シェル内に封入された所定のサイズの容積と定義され得る。シェルは、好適にはチャンバ105を通過する化学成分を通さない任意の材料から形成され得る。前記シェルは、好適には、装置100に関して意図された動作圧力では膨張能力を示さない剛性材料で形成されており、したがって、新鮮空気用の入口110の圧力により加えられる一定の圧力で空気流を押し込む。
【0079】
チャンバ105は、いくつかの相互に連結可能なパーツから形成され得る。1つの特定の例では、チャンバ105は、チャンバ105の断面で接合された2つのパーツから形成されている。
【0080】
新鮮空気用の入口110は、チャンバ105に設けられた開口により形成され得る。この入口110は、新鮮空気を入口110に運ぶ導管を取り付けるように構成された、任意の形式の一時的または永続的な取付具と関連付けられてよい。この導管も同様に、例えばポンプまたは圧縮空気貯蔵部等の新鮮空気供給手段に接続され得る。
【0081】
入口110は、好適には装置100の反射面115の近くに開口を提供する。このような変化形では、入口110の開口から反射面115までの距離は、チャンバ105の高さの20%未満、または10%未満に相当し得る。チャンバの高さは、一般的な軸線、例えばチャンバの円筒対称軸線により規定され、このような幾何学的な対称性が存在するところでは、空気流はチャンバ105内でこの幾何学的な対称性に追従する。好適には、装置100は、鉛直方向に配置されるように構成されており、入口110の開口は下向きであり、出口125は、前記開口の上方に配置されており、これにより、チャンバ105の高さは一般に、出口125または出口125と同等の開口に通じる入口110の開口により規定される軸線に対して平行な軸線として定義され得る。
【0082】
好適には、チャンバ105内に配置された入口110の開口は、反射面115から、前記開口の直径の3倍以下の距離に配置されている。
【0083】
空気流を鉛直方向に、すなわち、重力の力とは反対の少なくとも1つの成分を含むベクトルに沿って流すように押し込むことにより、蓄積を回避しながら、香り付けされた空気を均一に一貫して通気させることができる。
【0084】
好適には、装置100は、鉛直方向に配置されるように構成されており、反射面115は、装置100の基部にある。
【0085】
同様に、香り付けされた空気用の出口125も、チャンバ105に設けられた開口により形成され得る。この出口125は、香り付けされた新鮮空気を出口125から嗅ぎ取りポートまたは
図3~
図5に示すような混合ユニット400に運ぶ導管を取り付けるように構成された、任意の形式の一時的または永続的な取付具と関連付けられてよい。
【0086】
チャンバ内で、空気流の循環は、大体積の空気中に配置されたフレグランス供給源の状況と同様のフレグランス移動・希釈パラメータを示す空気流を提供するように最適化されており、このことは、フレグランスの知覚を意図した使用事例に相応する。
【0087】
チャンバ105を通過する空気流を最適化するために、このチャンバ105は、反射面115を有しており、入口110に流入する空気流は、反射面115に向かって方向付けられる。
【0088】
この反射面115は、チャンバ105の内部容積を取り囲むシェルの一部であってもよいし、チャンバ内に固定された固有の面であってもよい。この反射面115の目的は、チャンバ105に流入する空気流をチャンバの断面全体に拡散(分散、分布、発散)させることである。したがって、チャンバ105に流入する空気流は、フレグランス供給源に間接的に接触する。
【0089】
反射面115は、空気流をチャンバ105内で所定の方向に向けるように形成され得る。このような変化形は
図2に示されており、反射面115は、凸形状である。反射面は、凹状湾曲部または凸状湾曲部と凹状湾曲部との組合せから成っていてもよい。
【0090】
チャンバ105内の空気流の循環をさらに最適化するために、前記チャンバ105は、狭小化空気流ガイド130を有している。この文脈において「狭小化」という用語は、円形または楕円形または円錐形の断面に限定されない。この空気流ガイド130は、好適には、断面の形状にかかわらず、空気流の流れに沿って減少する横断面を示す。換言すると、チャンバ105の上部は先細になっていてよい。
【0091】
チャンバ105は、フレグランス供給源の近くに空気流の循環を形成するように設計されている。このフレグランス供給源は、フレグランス供給源支持体120により支持されており、フレグランス供給源支持体120は、装置100が静止していて動作条件にある場合にフレグランスが支持体120に残留する限りは、さまざまな形態をとることができる。
【0092】
図1に示すような1つの変化形では、支持体120はチャンバ105の断面全体にわたっている。
図2に示すような別の変化形では、支持体220はチャンバ105の断面の一部のみにわたっている。
【0093】
図1および
図2に示すような特定の実施形態では、支持体120および220は、穿孔された表面121を有している。このような実施形態では、複数の孔135が、空気流の全体的な方向に対して概ね垂直な、チャンバの断面全体(表面121の断面幅)にわたり設けられていてよく、前記孔135は、空気が押し込まれて流れるチューブと同様に機能する。このような変化形では、孔は、空気流ガイド135を形成する。複数の変化形では、複数の孔が表面121の幅の一部のみにわたり設けられている。
【0094】
複数の特定の実施形態では、穿孔された表面121は、チャンバ105の断面全体にわたっている。
【0095】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象である装置100は、表面の少なくとも1つの孔を閉鎖/開放するように構成された孔適合手段135を含む。
【0096】
前記孔適合手段135は、簡単な実施形態では、穿孔された表面121の孔の全部または一部を遮断するように構成された表面であってよい。より複雑な実施形態では、少なくとも1つの孔は、受信した作動/非作動コマンドに応じて、動的に開放または閉鎖され得る。このような動的な開放/閉鎖は、例えばマイクロフルードシステムにおいて使用されるような機械的なアクチュエータを介して達成され得る。このようなアクチュエータは、対応するマイクロ弁の作動時に膨張して孔を遮断するように構成された膨張可能ポケットに流体を供給するマイクロ弁により達成され得る。
【0097】
フレグランス製品またはフレグランス供給源は、装置100または200の底部から持ち上げられ、装置100または200の底部から持ち上がる上述した穿孔された支持体と同じであってよい高さ調節可能なスタンド/台に配置され得、その結果、流れのプロファイルが、フレグランス供給源に到達する前に良好に確立され、一貫している。1つの実施形態によれば、台/スタンドは、空気を透過させるための1列の孔を有していてよい。
【0098】
好適には、支持体120または220は、狭小化空気流ガイド130の手前に、チャンバ105を通過する空気の流れに沿って配置されている。
【0099】
複数の特定の実施形態では、支持体120または220は、チャンバ105の高さの3分の1の底部に位置している。
【0100】
図2には、本発明の対象である装置200の1つの特定の実施形態が示されている。このコンパクトな芳香送出装置200において、チャンバ105は、
-空気をフレグランス供給源支持体220に向かって分散させかつ反射するように構成された反射面115に面した新鮮空気用の入口110と、
-前記反射面と、
-香り付けされた空気用の出口125と、
-チャンバ内で、チャンバを通過する空気流に沿って入口と出口との間に配置されたフレグランス供給源支持体220と、
-チャンバを通過する空気流に沿ってフレグランス供給源支持体と出口との間に配置された狭小化空気流ガイド130と、
を含む。
【0101】
この実施形態では、入口110は、チャンバ105内で長手方向に延びており、前記入口は、フレグランス供給源支持体用の取付具240を有している。このような実施形態は、より正確な空気流の流れ設計を可能にする。
【0102】
取付具240は、例えばチャンバ105内の入口110の外面に配置された隆起部であり、前記隆起部は、フレグランス供給源支持体220の対応する環状グリップに関連するように構成されている。
【0103】
図2には、本発明の対象である装置200の1つの特定の実施形態が示されている。この装置200は、複数の個々の成分から成るフレグランスを液相で混合し、液体フレグランスを、フレグランスをフレグランス支持体に分配するロボットピペット等の基材に送出するように構成されたマイクロコンパウンダー101または任意の類似の液相ミキサを含む。
【0104】
図3に示すような複数の特定の実施形態では、装置200は、システムを通過する空気流に沿って配置された凝縮器等の湿分捕捉手段355を含む。
【0105】
図3に示すような複数の特定の実施形態では、装置200は、システムを通過する空気流に沿って配置された活性炭フィルタまたはカートリッジ等の匂い捕捉手段356を含む。
【0106】
図3には、本発明の対象であるシステム300の1つの特定の実施形態が示されている。このコンパクトな芳香送出システム300は、
-
図1または
図2に関して開示した装置100または200の任意の変化形に対応するコンパクトな芳香送出装置100または200と、
-空気流混合ユニット400と、
を含み、
-空気流混合ユニット400は、
-コンパクトな芳香送出装置200の香り付けされた空気の出口125に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口405、
-嗅ぎ取りポート415または416に向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口410、
-香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管420、および
-以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口425および/または
-空気流回収装置に接続されるように構成されており、嗅ぎ取りポートにおける空気流を調節するために、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口430
のうちの少なくとも1つの要素を含み、好適には各要素を少なくとも1つ含む。
【0107】
好適には、コンパクトな芳香送出装置200は、香り付けされた空気の出口125が、鉛直方向に沿って、前記装置の新鮮空気用の入口110よりも高くなるように配置されている。
【0108】
香り付けされた空気用の入口405は、導管420の開口により形成され得る。この入口405は、香り付けされた空気を装置200の出口125から混合ユニット400の入口405に運ぶ導管を取り付けるように構成された、任意の形式の一時的または永続的な取付具と関連付けられてよい。
【0109】
混合済みの香り付けされた空気用の出口410は、導管420の開口により形成され得る。この出口410は、混合ユニット400の出口410から混合済みの香り付けされた空気を受け取る嗅ぎ取りポート415または416を取り付けるように構成された、任意の形式の一時的または永続的な取付具と関連付けられてよい。
【0110】
このような嗅ぎ取りポートは、嗅覚検査用の円錐体415、鼻用カニューレ、またはその他の任意のカスタマイズされた形状であってよい。1つの特定の実施形態では、嗅ぎ取りポートは、選択的に鉛直方向に配置された細長い容積416を含んでいてもよく、前記容積は、容積包囲体内に通気孔417を有しており、任意には、ユーザに向かって空気流を方向転換させることを可能にするキャップ418を有している。
【0111】
複数の特定の実施形態では、少なくとも1つの新鮮空気用の入口425または廃棄される香り付けされた空気用の出口430は、少なくとも1つの前記新鮮空気用の入口425または前記廃棄される香り付けされた空気用の出口430と相互作用する空気流に対して垂直に向けられている。
【0112】
導管420は、例えば鋼等の一体の材料のブロック内に穿孔することにより形成され得る。複数の変化形において、導管420はフレキシブルであるが、このような変化形は、意図した空気流への影響に関してほとんど設計予測精度を提供せず、クリーニングのためのユニットの加熱に関して不利である。
【0113】
他の複数の変化形では、導管420は、例えばアルミニウムブロック等の材料ブロック内に導管を機械加工し、この導管を機械加工したブロックに取り付けられてシールされる別の相補的な材料ブロックにより前記導管を覆うことにより形成され得る。
【0114】
【0115】
混合ユニット400は、以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口425および/または
-香り付けされた空気の連続希釈を制御しかつ嗅ぎ取りポートにおける空気流を調整する手段として、空気流回収装置および/または廃棄空気排出部に接続されるように構成されており、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から、香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口430
のうちの少なくとも1つの要素を含み、好適には各要素を少なくとも1つ含む。
【0116】
新鮮空気用のこのような入口425は、導管420の開口により形成され得る。この入口425は、新鮮空気を、新鮮空気供給源から混合ユニット400の入口425に運ぶ導管を取り付けるように構成された、任意の形式の一時的または永続的な取付具と関連付けられてよい。
【0117】
好適には、新鮮空気用の入口425は、ポンプ、または別の新鮮空気供給源、例えば圧縮空気供給源と、流量制御装置とに接続されており、流量制御装置は、入口425に所定量の新鮮空気を注入して、嗅ぎ取りポート415に向けられた空気流内のフレグランスの量を希釈し、これにより、空気流内のフレグランスの濃度を低下させるように構成されている。
【0118】
香り付けされた空気用の出口430は、導管420の開口により形成され得る。この出口430は、混合ユニット400の出口430から香り付けされた空気を受け取る導管を取り付けるように構成された、任意の形式の一時的または永続的な取付具と関連付けられてよい。
【0119】
好適には、香り付けされた空気用の出口430は、ポンプと、流量制御装置とに接続されており、流量制御装置は、香り付けされた空気の連続希釈を制御し、嗅ぎ取りポート415における空気流を調整するために、香り付けされた空気を導管420から導出するように構成されている。好適には、香り付けされた空気用の入口405における流量は一定に維持される。好適には、混合済みの香り付けされた空気用の出口410における流量は一定に維持される。出口410におけるこのような流量は、入口405における流量に相応していてよい。このような変化形では、新鮮空気用の入口425が作動させられ、装置200(または同等の装置100)から生じる流れに注入された所定の量または流量の新鮮空気が、香り付けされた空気の一定量の希釈を生ぜしめると、流れの流量を一定に維持するために、出口430は、同じ量または流量の、廃棄される香り付けされた空気を導出する。
【0120】
複数の別の実施形態では、出口430は、廃棄される香り付けされた空気の排出手段に接続されている。
【0121】
複数の別の実施形態では、出口410における流量は、例えば計算システムを介して自動的に、あるいは機械的または論理的なユーザ選択手段を介して手動で決定され、入口425および出口430の作動は、決定された流量に応じて決定される。
【0122】
図3に示すような複数の特定の実施形態では、導管420は、少なくとも1つのエルボ435またはその他の流れ変更手段を含む。
【0123】
エルボ435は、導管420の角度により生ぜしめられる空気流の方向の急な変化により画定される。このような角度は、ほぼ90度であってよい。空気流内の乱流の量が混合ユニット400の設計の意図と一致していれば、別の値が使用されてもよい。このような別の値は、例えば30度、45度または60度であってよい。
【0124】
図3に示すような複数の特定の実施形態では、システム300は、以下の、
-新鮮空気送出装置、例えばポンプまたは圧縮空気供給源に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口405と、混合済みの香り付けされた空気用の出口410との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口425および426、および/または
-空気流回収装置、例えばポンプおよび/または廃棄空気排出部に接続されるように構成されており、コンパクトな芳香送出装置から到来する香り付けされた空気用の入口405と、嗅ぎ取り/評価ポートに通じる混合済みの香り付けされた空気用の出口410との間の香り付けされた空気流から、香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口430および431
のうちの少なくとも2つの要素を含む。
【0125】
任意の数の入口425および426および/または任意の数の出口430および431の任意の組合せが実行され得る。
【0126】
図5に示すような複数の特定の実施形態では、システム300はさらに、命令ユニット310を含み、命令ユニット310は、
-希釈率および/または廃棄率決定手段315と、
-少なくとも1つの前記ポンプ305または圧縮空気供給源を、新鮮空気用の入口425および/または426あるいは廃棄または放棄される香り付けされた空気用の出口430および/または431に接続する、少なくとも1つの質量流量制御装置306と、
-決定された希釈率および/または廃棄率に応じて少なくとも1つの前記質量流量制御装置に作動命令を送るように構成された命令手段320と、
を含む。
【0127】
命令ユニット310は、例えばコンピュータ、タブレットまたは電話である。より広義には、命令ユニット310は、希釈率および/または廃棄率決定手段315として働くコンピュータプログラムを計算ユニット上で実行するように構成されたマイクロコントローラであってよい。
【0128】
希釈率および/または廃棄率決定手段315は、好適には前記比率を、芳香送出装置の出口125における空気流量および/または気相フレグランス濃度と、嗅ぎ取りポートにおいて達成されるべき空気流量および/または目標気相フレグランス濃度とに応じて決定するように構成されている。気相フレグランス濃度は、予め規定され、命令ユニット310内の電子メモリに記憶され得るか、またはユーザから、キーボード、マウスまたはタッチスクリーン等のコンピュータインタフェースを介して取得され、前記電子メモリに記憶され得る。複数の進歩的な実施形態では、この気相フレグランス濃度は、装置200の出口125と混合ユニット400の入口405との間に配置されたフレグランス濃度センサを介して測定される。
【0129】
目標フレグランス濃度は、ユーザによりコンピュータインタフェースを介して設定され得るか、または命令ユニット310により決定され得る。このような変化形では、外部パラメータ値が、決定された目標フレグランス濃度を担っていてよい。
【0130】
例えば、目標濃度が、芳香送出装置の出口125における濃度よりも10倍低い場合には、希釈率を10に設定することができる。このことはまた、空気入口425または426に関連するポンプ305と、関連する質量流量制御装置306とが、装置200の新鮮空気入口110に新鮮空気を供給するポンプまたは圧縮空気供給源(図示せず)よりも10倍多い新鮮空気を注入するように構成されていることを意味する。
【0131】
好適には、ポンプ305は、質量流量制御装置306に関連付けられた一定の空気流を提供し、質量流量制御装置306は、前記空気流を使用して少なくとも1つの入口425および/または426に新鮮空気を供給するか、または廃棄流を少なくとも1つの出口430および/または431へ押し進めるように構成されている。
【0132】
空気流の圧力および速度が、ユーザにとって適切でない可能性があるため、香り付けされた空気出口430または431に関連したポンプは、空気入口425または426に新鮮空気を供給するポンプ305と同じ比率で空気流を除去することができる。最終的に、このシナリオでは、空気流量は、前記空気流内のフレグランスの濃度の変化にもかかわらず、変化しないままである。
【0133】
希釈率の決定を可能にする式は、
【数1】
であってよく、
式中、
-Δは、希釈率を表し、
-ρ
inは、混合ユニット400の入口405におけるフレグランス気相濃度を表し、かつ
-ρ
outは、混合ユニット400の出口410におけるフレグランス気相濃度を表す。
【0134】
新鮮空気用の入口425および/または426の作動の決定を可能にする式は、
【数2】
であってよく、
式中、
-Q
Σinletは、新鮮空気用の1つの入口の流量または入口425および/または426の流量の和を表し、
-Q
inは、混合ユニット400の入口405における流量を表す。
【0135】
廃棄される香り付けされた空気用の出口430および/または431の作動の決定を可能にする式は、
【数3】
であってよく、
式中、
-Q
Σoutletは、新鮮空気用の1つの出口の流量または出口430および/または431の流量の和を表し、
-Q
outは、混合ユニット400の出口410における流量を表す。
【0136】
システム300による評価の対象となるフレグランスヘッドスペースの総希釈度は、特定の製品の重要な使用条件に関連する。例えば、システム300による評価のために再現されるべき1つのシナリオは、1時間あたり2回の空気交換で換気される特定のサイズの室内に配置された(典型的な製品使用環境)所定のサイズのエアフレッシュナー(市販の消費者製品)に適用することができる。システム300による評価のために再現されるべき別のシナリオは、フレグランス残香であり、毛髪、皮膚および/または衣服にフレグランスを使用している人が歩くと、後に、周囲空気中でのフレグランスの移動と対流移送とにより生ぜしめられる芳香残香が残る。
【0137】
嗅ぎ取りポートにおいて所望される流量は、例えば、システム300のユーザの鼻に香り付けされた空気を提供するために、鼻用カニューレ等の減じられた断面積を有する取付具が使用される場合には、最小0.8L/分であってよい。開いた嗅覚検査用の円錐体が使用される場合には、嗅ぎ取りポートにおいて所望される流量範囲は2~20L/分である。これらの流量設定は円錐体の設計に依存しており、一般的なガイダンスは、評価者に提供するための香り付けされた空気を0.2m/秒~1m/秒の速度で送出することである。システム300の1つの持ち運び可能/運搬可能な実施形態では、嗅ぎ取りポートにおける目標流量は、好適には0.8~3L/分の範囲に設定することができ、この目標流量に基づき嗅ぎ取りポートの寸法が選択される。
【0138】
装置100または200を通る空気流量は、使用される容器のサイズ/規模および対象となる用途に基づいて設定される。約30mLの内部空洞容積の装置100または200を利用する、フレグランス残香評価用のシステム300の1つの持ち運び可能な実施形態では、20mL/分~200mL/分の流量が選択され、これはそれぞれ、装置内の40ACH(1時間当たりの空気交換(air changes per hour))~400ACHの範囲に相応する。より最適には、30mLの装置100または200における流量は、50mL/分~150mL/分の範囲に設定されることが望ましい。約10Lの容積の芳香送出装置100または200を利用する、(フルサイズのエアフレッシュナー、キャンドル、フレグランス残香等を含む)より汎用の評価範囲を有するシステム300の1つの持ち運び不能な実施形態では、0.3L/分~12L/分の流量が選択され、これはそれぞれ、装置内の1.8ACH~72ACHの範囲に相応する。より最適には、10Lの装置100または200における流量は、0.5L/分~7L/分の範囲に設定されることが望ましく、これはそれぞれ、3ACH~42ACHに相応する。
【0139】
フレグランス供給源から発せられる濃縮フレグランスヘッドスペースの空気希釈の第1段階は、芳香送出装置100または200内で行われる。この第1段階の希釈度は、フレグランス供給源からのフレグランス放出速度、装置100または200を通る空気の流量、装置100または200の幾何学形状、フレグランス供給源支持体の幾何学形状および空気流の主方向に対するフレグランス面の向きに依存するが、列挙されない別の要因も存在し得る。装置100または200におけるフレグランスヘッドスペース希釈を説明するためには、装置100または200の出口におけるヘッドスペース濃度が、希釈度を規定する比率の分母に使用される。試験設定および動作条件と一致する、装置100または200における希釈率は、例えば数値流体力学(CFD)から予測され得るか、またはガスクロマトグラフィー質量分析法等の分析化学技術を介して実験に基づき測定され得る。
【0140】
供給源からそれぞれ異なる距離において所定のフレグランス残香の範囲内で芳香フレグランスを再現することを目的としたシステム300の1つの持ち運び可能な実施形態に関して、以下は、装置100または200内の第1段階の希釈を考慮しない、装置100または200からの出口と嗅ぎ取りポートとの間の所望の希釈を達成するために選択され得るさまざまな動作条件の一例である:
【表1】
【0141】
装置により生ぜしめられるフレグランスヘッドスペースの総希釈度は、芳香送出装置100または200内での第1段階の希釈度と、上記の表の「流量の比」の列との積であり、後者は、希釈流における流量(「分流」と称される)および廃棄される流れにおける流量(「廃棄流」と称される)の動作設定を表す。
【0142】
例えば、装置100または200が希釈率40で動作し、システム300により達成されるべき総希釈度が2000である場合、中間ステップ(芳香送出装置の下流)における希釈率は2000/40=50であることが望ましい。この設定は、嗅ぎ取りポートにおける1.5L/分の流量に関する上記の表の行2に対応する。希釈率50は、特に嗅ぎ取りポートにおいて異なる流量が所望された場合には、希釈流および廃棄流の設定の別の組合せによっても達成され得る。
【0143】
装置100または200が4~40の希釈度の範囲で動作する場合に、上記の表に例示された10~2000の達成可能な中間希釈度の範囲が与えられると、本発明の持ち運び可能な実施形態は、フレグランス気相の40~80000の範囲の(全体的な)総希釈度を達成することができる。CFDシミュレーションによる我々のフレグランス残香調査に基づき、上述した希釈度の範囲で動作するシステム300は、フレグランスユーザから0.5メートル~9メートルの距離における、ユーザの身体(皮膚、衣服および/または毛髪)上の80cm2~400cm2のフレグランス付着面積に対応する、フレグランスユーザからの実際のフレグランス残香を再現することができるが、上述した条件設定により装置の有用性が制限されることはない。
【0144】
同様の動作上の考察が、10Lの装置100または200を利用する、このシステム300の1つの持ち運び不能な実施形態にも適用される。達成可能な希釈度の範囲が与えられると、システム300はそのさまざまな実施形態において、2m3(例えば1m×1m×2m)~100m3(6m×5.5m×3m)の空間内でのエアフレッシュナーおよび他の消費者製品の消費者使用を再現することができるが、フレグランス製品のサイズおよび種類に基づき、システム300が上述の範囲外で動作することが望ましい場合もあり、前記システム300は、このようなフレキシビリティを有している。
【0145】
以下の表は、本発明の対象であるシステム300に関する最適な動作条件を表す:
【表2】
【0146】
命令手段320は例えば、質量流量制御装置、ポンプおよび/または圧縮空気供給源に制御命令(作動、非作動および関連する動作パラメータ)を送るように構成されたコンピュータプログラムである。
【0147】
図5に示すような複数の特定の実施形態では、命令ユニット310はさらに、芳香残香シミュレーション手段325を含み、作動命令は、シミュレートされた芳香残香のパラメータに応じて命令手段320により送信される。
【0148】
前記残香シミュレーション手段325は、例えば距離の値に希釈率を関連付けるように構成されたコンピュータソフトウェアである。前記希釈率は、距離の値に対して線形または非線形であってよい。1つのこのような実施形態では、希釈率は、フレグランス供給源から1メートル毎に10倍にされてよい。
【0149】
このような実施形態では、距離の値は、ユーザによりコンピュータインタフェースを介して予め規定または設定され得る。考慮した距離の値に応じて、残香シミュレーション手段325は希釈率を計算し、次いでその希釈率が命令手段320により用いられる。
【0150】
図5に示すような複数の特定の実施形態では、システム300は、バーチャルリアリティヘッドセット330または電子ディスプレイ(図示せず)を含み、希釈率および/または廃棄率は、前記バーチャルリアリティヘッドセット330または電子ディスプレイの実行パラメータに応じて決定される。
【0151】
バーチャルリアリティヘッドセット330は、当業者に周知の任意の形式のOcculus Rift(商標)またはHTC Vive(商標)等であってよい。実質的に、バーチャルリアリティヘッドセット330は、ユーザの経験を高める手段として前記ユーザを仮想環境に没入させるためにユーザの頭部に装着されるように構成された電子ディスプレイである。
【0152】
電子ディスプレイは、例えば、好適にはユーザインタラクションを可能にするユーザインタフェースを表示するように構成されたコンピュータ画面である。
【0153】
バーチャルリアリティヘッドセット330または電子ディスプレイのいずれかの実行パラメータの一例は、前記バーチャルリアリティヘッドセット330または電子ディスプレイのユーザを仮想環境に配置された仮想フレグランス供給源から隔てる仮想距離である。このような実行パラメータは、上述したように距離の値として、残香シミュレーション手段325に供給され得る。
【0154】
複数の特定の実施形態では、希釈率は、時間の経過と共に減少または増大する。
【0155】
このような実施形態は、フレグランス供給源に接近するかまたはフレグランス供給源から離れるユーザの感覚の再現を可能にする。
【0156】
エルボ435を備えた複数の実施形態では、前記エルボ435を、入口425および出口431の第1のセットと、入口426および出口430の第2のセットとの間に配置することができる。
【0157】
エルボ435はさらに、任意の2つの前記要素の間に配置することができる。例えば、エルボ435を入口425と出口431との間に配置することができる。
【0158】
図3に示したような複数の特定の実施形態では、導管420は空気流路内に、導管420内での混合を強めるように構成されたニードル440または他の任意の幾何学的障害物、例えば突出リングまたはフィンを有している。より一般的に言えば、ニードルは、前記導管内の空気混合を強める目的で、導管420を通る流れを部分的に妨害する特定の幾何学形状を有する物体の一例である。
【0159】
ニードル440は、任意の材料から形成され得る。好適には、選択された材料は、空気流から芳香を吸収しないようにまたは芳香を空気流中に放出しないように構成されている。前記ニードル440は、撹拌するように設計されている。ニードル440は、導管420に沿って長手方向にまたは横方向に配置され得る。
【0160】
図3および
図5に示したような複数の特定の実施形態では、システム300はさらに、加熱装置445を含み、前記加熱装置445は、入口405から出口410までの空気流路の温度を変化させるように構成されている。複数の変化形では、加熱装置445は、装置100または200を加熱するように構成されてもいる。複数の変化形では、加熱装置445は、システム300の一部のみを加熱するように構成されている。
【0161】
このような加熱装置445は、例えば抵抗型(オーム型)であり、システム300の一部または前記システム300の外部の電気エネルギ供給源により給電される。好適には、前記加熱装置445は、マイクロコントローラ等の命令システムにより作動・非作動状態にさせられる。
【0162】
複数の特定の実施形態では、システム300は、廃棄される香り付けされた空気用の出口430および/または431に接続されたチャコールフィルタまたはその他のスクラバ手段を含む。
【0163】
図3に示したような複数の特定の実施形態では、システム300はさらに、混合済みの香り付けされた空気用の出口410の上流側に、空気流制限器450を含む。
【0164】
このような制限器450は、当業者に周知の任意の形式であってよい。前記制限器450は、嗅ぎ取りポートを介してユーザに提供される空気の流量を制限すると共に、前記制限器450の上流側でシステム300内の空気圧を増大させるように構成されている。
【0165】
図3には、本発明の対象であるアセンブリの1つの特定の実施形態も示されている。
図3~
図5のいずれかによるシステム300を形成するこのアセンブリは、
-
図1または
図2に関して開示したような、コンパクトな芳香送出装置200と、
-空気流混合ユニット400と、
を含み、
-空気流混合ユニット400は、
-コンパクトな芳香送出装置の香り付けされた空気の出口125に接続されるように構成された、香り付けされた空気用の入口405、
-嗅ぎ取りポート415に向けられた、混合済みの香り付けされた空気用の出口410、
-香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口とを接続する導管420、および
-以下の、
-新鮮空気送出装置に接続されるように構成されており、新鮮空気を、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流内に送出する、新鮮空気用の入口425および/または
-空気流回収装置または廃棄空気処理手段に接続されるように構成されており、空気流量を減少させるために、香り付けされた空気用の入口と、混合済みの香り付けされた空気用の出口との間の香り付けされた空気流から香り付けされた空気を回収する、廃棄される香り付けされた空気用の出口430
のうちの少なくとも1つの要素を含み、好適には各要素を1つ含む。
【0166】
図3および
図5に示したような複数の特定の実施形態では、システム300は、
図1または
図2のいずれかに関して開示したような少なくとも2つのコンパクトな芳香送出装置200と、コンパクトな芳香送出装置200毎に独立した混合ユニット400および401とを含み、前記システムはさらに、各前記混合ユニットの混合済みの香り付けされた空気用の出口410に接続された、香り付けされた空気用のミキサ335を含み、前記香り付けされた空気用のミキサはさらに、それ自体の専用の嗅ぎ取りポートに向けられる混合済みの香り付けされた空気用の出口340を含む。
【0167】
香り付けされた空気用のミキサ335は、例えば送出装置200の出口410に接続された単一のチャンバであってよく、出口410と前記チャンバとの間の接続は、各送出装置200からチャンバに流入する空気流の相対量を命じる弁により制御される。このような実施形態は、生ぜしめられた混合空気流内の比の動的変化を可能にする。
【0168】
図5に示したような複数の特定の実施形態では、システム300は、
-混合済みの香り付けされた空気の比率決定手段345と、
-決定された、混合済みの香り付けされた空気の比率に応じて少なくとも1つのポンプまたは圧縮空気供給源に作動命令を送るように構成された命令手段350と、
を含む。
【0169】
図5に示したように、命令ユニット310が、混合済みの香り付けされた空気の比率決定手段345と命令手段350とを含んでいてもよい。
【0170】
混合済みの香り付けされた空気の比率決定手段345は、例えば計算システムを実行するように構成されたコンピュータプログラムであり、このようなプログラムは、ユーザ入力を受信するように構成されたユーザインタフェースにより作動させられる。このインタフェースにおいて、ユーザは、命令手段350により用いられる比率を直接設定することができる。
【0171】
混合済みの香り付けされた空気の比率は、論理センサまたは物理センサにより捕捉された値に応じて自動的に決定され得る。例えば、システム300が1つのバーチャルリアリティヘッドセットを含む場合には、2つの仮想フレグランス供給源が仮想環境内に配置され得、各仮想フレグランス供給源は、特定の装置200と、対応する混合ユニット、例えば400および401とにそれぞれ関連付けられている。
【0172】
ユーザが仮想環境内を移動すると、前記ユーザの位置がいずれの供給源にも接近するか、または距離の比率に応じて、対応する香り付けされた各空気流の混合の比率を決定することができる。他のパラメータ、例えばユーザが仮想環境内で向いている方向等も使用され得る。
【0173】
命令手段350は、コマンド手段325と同様である。
【0174】
図3~
図5に示したシステム300は、持ち運び可能または据置型であってよい。このようなシステム300は、前記システム300の電気コンポーネントに給電する自律的な電気エネルギ供給源、例えばバッテリを含んでいてよい。
【0175】
複数の特定の実施形態では、システム300は、いくつかのフレグランスを一度にテストする能力を有する多重チャネル動作を提供するために使用され得る。このような実施形態では、システム300は、複数の装置100および/または200を含んでおり、各装置100および/または200は、専用の混合ユニット400と、専用の嗅ぎ取りポートとに関連付けられている。複数の変化形では、いくつかの装置100および/または200が、1つの共通の混合ユニット400に関連付けられており、システム300は、自動または手動で作動させられる、香り付けされた空気用の入力セレクタを含む。このセレクタは、装置100および/または200のうちの1つのみの空気流を混合ユニット400へ方向付けるように構成されている。いくつかの混合ユニットを並列に設置して、生ぜしめられた香り付けされた空気流を選択的に混合することができる。同様に、いくつかの装置100および/200は、前記装置100および/または200から生じた空気流を選択的に混合するように構成された1つの混合ユニットに供給することができる。
【0176】
図4に示すような複数の特定の実施形態では、システム300は、空気流供給部403および除去管路402のネットワークを含む。
【0177】
複数の簡単な変化形では、1つの廃棄される香り付けされた空気用のポンプを、少なくとも1つの混合ユニット400および/または401の廃棄される香り付けされた空気の1つ以上の出口430および/または431に接続することができる。複数のより複雑な実施形態では、1つの廃棄される香り付けされた空気用のポンプが、少なくとも1つの混合ユニット400および/または401の廃棄される香り付けされた空気の1つの出口430または431に接続されている。
図4に示すような複数のより複雑な実施形態では、システム300は、2つの廃棄される香り付けされた空気用のポンプを含み、各ポンプは、4つの別個の混合ユニットの廃棄される香り付けされた空気の1つの出口430または431に接続されている。
【0178】
複数の簡単な変化形では、1つの新鮮空気用のポンプを、少なくとも1つの混合ユニット400および/または401の新鮮空気の1つ以上の入口425および/または426に接続することができる。複数のより複雑な実施形態では、1つの新鮮空気用のポンプが、少なくとも1つの混合ユニット400および/または401の新鮮空気の1つの入口425または426に接続されている。
図4に示すような複数のより複雑な実施形態では、システム300は、2つの新鮮空気用のポンプを含み、各ポンプは、4つの別個の混合ユニットの新鮮空気の1つの入口425または426に接続されている。
【0179】
複数の特定の実施形態では、システム300のコンポーネントに、化学的な不動態化処理を施すことができる。
【0180】
システム300の典型的な使用事例は、
-装置100または200の蓋を開け、
-フレグランス供給源(フレグランスを含有する製品または基材等)を、装置100または200内の高さ調節可能な支持体(台)に配置し、
-装置100または200の蓋を閉じ、
-装置100または200を通る所望の空気流量を設定し、
-装置100または200から流出する香り付けされた空気のその後の連続希釈に関して所望の空気希釈率を設定し、
-嗅ぎ取りポートにおいて評価者に提供するための香り付けされた空気の分配に関して所望の空気流量を設定し、
-システム300内の空気流を活性化させ、
-(実施形態およびシステム設定に応じて)システム300が定常動作を達成するために5~30分間を見込み、かつ
-装置からの出口において、流出する香り付けされた空気の匂いを嗅ぐことにより、前記動作条件におけるフレグランスの嗅覚的性能を評価する
ことであり得る。
【0181】
図6には、本発明の対象である方法600の1つの特定の実施形態の一連のステップが概略的に示されている。芳香を送出するこの方法600は、
-
図1または
図2に関して開示したようなコンパクトな芳香送出装置200内に空気を注入するステップ605と、
-香り付けされた空気を、コンパクトな芳香送出装置の出口から空気流混合ユニット400内に注入するステップ610と、
-混合ユニット内の香り付けされた空気流内に新鮮空気を供給するステップ620および/または廃棄される香り付けされた空気を混合ユニットから回収するステップ625と、
-適切に希釈された香り付けされた空気をシステムの嗅ぎ取りポートに送出するステップ630と、
を含む。
【0182】
複数の特定の実施形態では、本発明の対象である方法600は、香り付けされた空気の希釈率を決定するステップ615を含み、供給ステップ620および/または回収ステップ625のうちの少なくとも1つのステップは、決定された比率に応じて操作される。
【0183】
複数の特定の実施形態では、決定ステップ615の最中に決定される比率は、芳香送出装置の出口における香り付けされた空気により表される芳香供給源と、前記芳香の知覚位置または距離との間の距離のシミュレーションパラメータに応じて決定される。
【0184】
前記距離は、例えばデジタル画面上に表示されるシミュレートされた環境における仮想距離に相応し得る。
【0185】
このようなステップの実施形態の例は、対応する、
図1~
図5の機能的な説明に関して開示されている。
【0186】
図7には、本発明の対象であるシステム700の1つの特定の簡略化された実施形態が概略的に示されている。
図3に例示したシステム300の1つの変化形であるシステム700は、
-
図1に例示した芳香送出装置100の1つの変化形であるコンパクトな芳香送出装置709と、
-システム700により必要とされる香り付けされた空気の空気流量に応じて入口706からの新鮮空気を放出するように構成された質量流量制御装置708を介してコンパクトな芳香送出装置709に接続された新鮮空気用の入口706と、
-弁712に接続された質量流量計713に関連付けられた、廃棄される香り付けされた空気用の出口と、
-弁710および質量流量計711に関連付けられ、コンパクトな芳香送出装置709から空気を移送するように構成された、香り付けされた空気用の出口と、
-質量流量制御装置707に関連付けられ、弁710により通された香り付けされた空気流を希釈するように構成された空気入口705と、
-弁714および質量流量計(図示せず)に関連付けられた、廃棄される香り付けされた空気用の出口715と、
-嗅ぎ取りポート716と、
を含む。
【0187】
このようなシステム700は、香り付けされた空気の量(または流量)を、質量流量制御装置708を介して制御することができるように動作し、この香り付けされた空気は、希釈前に廃棄部に送られるか、希釈されるか、希釈後に廃棄部に送られるか、または希釈後に嗅ぎ取りポートに向かって送られてよい。これらの各選択肢の固有の比率は、嗅ぎ取りポートにおいてユーザにより匂いを嗅がれる香り付けされた空気の決定された所望の濃度に依存すると共に、芳香送出装置709内に配置されたフレグランス供給源の仕様(サイズ、種類、活性)にも依存する。
【0188】
図8には、本発明の対象であるシステム800の1つの特定の実施形態が概略的に示されている。
図3に例示したシステム300の1つの加圧式の変化形であるこのシステム800は、
-コンパクトな芳香送出装置806に連続的に新鮮空気を供給するように構成された圧縮空気供給源805と、
-コンパクトな芳香送出装置806の香り付けされた空気用の出口に連続的に配置されていて、共に、
図3に例示した空気流混合ユニット400または
図9に例示した空気流混合ユニット900の1つの変形例を含む2つの混合チャンバ809および810と、
-各混合チャンバ809および810にそれぞれ関連付けられた質量流量制御装置812および814に関連付けられた圧縮空気供給源808と、
-任意の炭素繊維フィルタ807と、各混合チャンバ809および810にそれぞれ関連付けられた質量流量制御装置813および815とに関連付けられた廃棄される香り付けされた空気用の出口816と、
-ユーザによる評価用に希釈された香り付けされた空気(廃棄部へは送られない)を受け取るように構成された嗅ぎ取りポート811と、
を含む。
【0189】
この変化形では、
図5に関して開示したシステムにおいて使用される任意の手段も同様に使用され得る。
【0190】
この変化形では、システム800が全体的に加圧され、芳香送出装置806への入口、混合チャンバ809および810への入口、廃棄される香り付けされた空気用の出口および嗅ぎ取りポート811を含む、システム800内に存在する流路全体に沿って、香り付けされた空気および新鮮空気の流れを駆動することができる圧力勾配を形成する。このような変化形では、システム800の加圧は、入口用ポンプおよび廃棄用ポンプの代わりに働く。
【0191】
上で開示した任意のシステムの別の変化形では、香り付けされた空気の流れは、希釈の前または後に、空気流を、香り付けされた空気と新鮮空気の流れとの間の混合度を高める経路に沿って押し込むように構成された、部分的に妨害された受動的な混合チャンバに流入してよい。
【0192】
言うまでもなく、いくつかの変化形では、システムは、加圧条件下で動作するように構成されている。「加圧」という用語は、この例では、システムの全部または一部が大気(周囲)よりも高い圧力で動作し、装置内に圧力勾配が確立され、廃棄される香り付けされた空気用の出口および嗅ぎ取りポートにおいて放出されることを意味する。
【国際調査報告】