(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】骨の遠位端にスクリューを挿入するターゲティングデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/90 20060101AFI20240312BHJP
A61B 17/17 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B17/90
A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545290
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2022021106
(87)【国際公開番号】W WO2022204002
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】プライエン,オーレ
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】コンリ―,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンヴリート,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL21
4C160LL44
(57)【要約】
本出願は、患者の骨(例えば、上腕骨)に挿入されたネイルの遠位端を通したスクリューの挿入を補助する新規の革新的なデバイスを提供する。ネイルの遠位端は、ネイルの骨への挿入位置から離間して配置される。ターゲティングデバイスは、外側フレーム、外側フレームに接続された可撓性部材、複数の孔を有し、可撓性部材の可撓性によって自身が外側フレームの側面に向かって並進できるように可撓性部材に接続されたターゲティングブロック、および外側フレームの側面に対するターゲティングブロックの位置を調整して維持する調整アセンブリを有するターゲティング本体を備える。ターゲティングデバイスは、ターゲティング本体に取外し可能に連結されたベースプレートをさらに備える。ターゲティングデバイスは、ベースプレートでネイルに連結されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の骨に挿入されるネイルの遠位端を通したスクリューの挿入を補助するターゲティンデバイスであって、前記ネイルの近位端は、前記骨に前記ネイルが挿入される挿入位置の近傍に配置され、前記ネイルの前記遠位端は、前記挿入位置から離間して配置され、前記ターゲティングデバイスは、
外側フレーム、
前記外側フレームに接続された可撓性部材、
前記可撓性部材の可撓性によって自身が前記外側フレームの第1の側面および前記外側フレームの第2の側面に向かって並進できるように前記可撓性部材に接続されたターゲティングブロックであって、前記第1の側面は前記第2の側面に対向しており、前記ターゲティングブロックは複数の孔を有する、ターゲティングブロック、および
前記外側フレームの前記第1および第2の側面に対する前記ターゲティングブロックの位置を調整して維持するように構成された調整アセンブリを有するターゲティング本体と、
前記ターゲティング本体に取外し可能に連結されたベースプレートであって、前記ターゲティングデバイスは、前記ベースプレートが前記ネイルに連結され得るように構成されている、ベースプレートと、を備える、
ターゲティングデバイス。
【請求項2】
湾曲した接続ボウであって、前記湾曲した接続ボウを介して前記ベースプレートが前記ターゲティング本体に取外し可能に連結されることにより、前記湾曲した接続ボウの中心面が前記ターゲティング本体の中心面に対して実質的に垂直になり、前記ベースプレートの中心面が前記湾曲した接続ボウの前記中心面に対して実質的に垂直になる、湾曲した接続ボウをさらに備える、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項3】
前記ネイルが、前記ベースプレートに連結されたときに前記ターゲティング本体と実質的に平行になる、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項4】
前記調整アセンブリが、第1のねじ切り部を有するロッドであって、前記ロッドが、前記ロッドの回転によって前記ターゲティングブロックの位置を調整するように、第2のねじ切り部と係合するよう構成されている、ロッドを含む、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項5】
前記調整アセンブリが、前記ターゲティングブロックの第1の開口部に配置された構成要素であって、前記構成要素が、前記第2のねじ切り部を含む第2の開口部を有する、構成要素をさらに含み、前記ロッドが、前記ターゲティングブロックの第3の開口部および前記構成要素の前記第2の開口部を通して配置されている、請求項4に記載のターゲティングデバイス。
【請求項6】
前記ターゲティング本体の孔を通して配置されるように構成された取外し可能なターゲティングカニューレであって、前記取外し可能なターゲティングカニューレが、ドリルビットを案内するように構成されている、取外し可能なターゲティングカニューレをさらに備える、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項7】
取外し可能なインサートであって、前記取外し可能なインサートが前記ターゲティングブロックの前記複数の孔のうちのいくつかへのアクセスを阻止する一方で、残りの阻止されていない孔へのアクセスを可能にするように、前記ターゲティングブロックに対して配置されるよう構成された、取外し可能なインサートをさらに備える、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項8】
前記複数の孔のうちの少なくとも1つに隣接して配置された磁石をさらに備える、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項9】
前記磁石が前記ターゲティングブロック内に埋め込まれている、請求項8に記載のターゲティングデバイス。
【請求項10】
前記可撓性部材が板ばねである、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項11】
前記ターゲティングブロック内に埋め込まれたX線不透過性構成要素をさらに備える、請求項1に記載のターゲティングデバイス。
【請求項12】
前記X線不透過性構成要素が、第1のラインに配置されたX線不透過性構成要素の第1のセットと、前記第1のラインに平行な第2のラインに配置されたX線不透過性構成要素の第2のセットと、前記第1および第2のラインに平行に配置された第3のX線不透過性構成要素とを含む、請求項11に記載のターゲティングデバイス。
【請求項13】
前記X線不透過性構成要素の第1および第2のセットが第1の平面に配置されており、前記第3のX線不透過性構成要素が、前記第1の平面から離間した第2の平面に配置されている、請求項12に記載のターゲティングデバイス。
【請求項14】
患者の骨に挿入されるネイルの遠位端を通してスクリューを挿入するシステムであって、前記ネイルの近位端は、前記骨に前記ネイルが挿入される挿入位置の近傍に配置され、前記ネイルの前記遠位端は、前記挿入位置から離間して配置され、前記システムは、
自身の前記遠位端にスクリュー孔を含む前記ネイルと、
ターゲティングデバイスであって、
外側フレーム、
前記外側フレームに接続された可撓性部材、
前記可撓性部材の可撓性によって自身が前記外側フレームの第1の側面および前記外側フレームの第2の側面に向かって並進できるように前記可撓性部材に接続されたターゲティングブロックであって、前記第1の側面は前記第2の側面に対向しており、前記ターゲティングブロックは複数の孔を有する、ターゲティングブロック、および
前記外側フレームの前記第1および第2の側面に対する前記ターゲティングブロックの位置を調整して維持するように構成された調整アセンブリを有するターゲティング本体、ならびに
前記ターゲティング本体に取外し可能に連結されたベースプレートであって、前記ターゲティングデバイスは、前記ベースプレートが前記ネイルに連結され得るように構成されている、ベースプレートを含む、ターゲティングデバイスと、を備える、
システム。
【請求項15】
直線構成要素をさらに備え、前記ターゲティングデバイスが、前記直線構成要素を前記ターゲティングデバイスに連結するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ターゲティングデバイスが、前記ターゲティングブロックの前記複数の孔のうちの少なくとも1つの中に部分的に挿入されるように構成された取外し可能なインサートをさらに備え、前記取外し可能なインサートが、前記直線構成要素を前記取外し可能なインサートに連結するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
患者の骨に挿入されたネイルの遠位端を通してスクリューを挿入する方法であって、前記ネイルの近位端は、前記骨に前記ネイルが挿入される挿入位置の近傍に配置され、前記ネイルの前記遠位端は、前記挿入位置から離間して配置され、前記方法は、
前記患者の前記骨に前記ネイルを挿入することであって、前記ネイルは前記ネイルの前記遠位端にスクリュー孔を含む、ネイルを挿入することと、
ターゲティングデバイスを前記ネイルの前記近位端に連結することであって、前記ターゲティングデバイスは、
外側フレーム、
前記外側フレームに接続された可撓性部材、
前記可撓性部材の可撓性によって自身が前記外側フレームの第1の側面および前記外側フレームの第2の側面に向かって並進できるように前記可撓性部材に接続されたターゲティングブロックであって、前記第1の側面は前記第2の側面に対向しており、前記ターゲティングブロックは複数の孔を有する、ターゲティングブロック、および
前記外側フレームの前記第1および第2の側面に対する前記ターゲティングブロックの位置を調整して維持するように構成されたターゲティングブロック調整アセンブリを有するターゲティング本体と、
前記ターゲティング本体に取外し可能に連結されたベースプレートであって、前記ターゲティングデバイスは、前記ベースプレートが前記ネイルの前記近位端に連結され得るように構成されている、ベースプレートと、を備える、ターゲティングデバイスを前記ネイルの前記近位端に連結することと、
前記ターゲティングブロックの前記孔のうちの1つが前記ネイルの前記遠位端の前記スクリュー孔にターゲティングされるように、X線透視法を用いて前記連結されたターゲティングデバイスを位置合わせすることと、
前記骨内に骨孔を穿孔することにより、前記穿孔された骨孔を前記ネイルの前記遠位端の前記スクリュー孔と位置合わせすることと、
前記スクリュー孔にスクリューを挿入することと、を含む、
方法。
【請求項18】
前記ターゲティングデバイスを位置合わせすることが、前記ターゲティングブロックの前記孔のうちの1つにターゲティングマーカを挿入することにより、前記ターゲティングマーカの末端を前記骨に隣接させることを含み、前記ターゲティングマーカの前記末端がX線不透過である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
直線状のX線不透過性構成要素を前記ターゲティングデバイスに連結することをさらに含み、前記ターゲティングデバイスを位置合わせすることが、前記連結された直線状のX線不透過性構成要素と前記挿入されたネイルとがX線透視画像上で実質的に平行になるまで、前記ターゲティングデバイスを調整することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ターゲティングブロックが、X線不透過性構成要素の第1の列と、前記第1の列に平行なX線不透過性構成要素の第2の列と、前記第1および第2の列に平行に配置された第3のX線不透過性構成要素とを含み、前記ターゲティングデバイスを位置合わせすることが、前記第3のX線不透過性構成要素がX線透視画像上で、前記X線不透過性構成要素の第1の列と第2の列とから等距離離間するようになるまで、前記ターゲティングデバイスを調整することを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年3月22に出願された米国仮出願第63/164,272号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
Acumed(登録商標)社によって市販されているPolarus 3 Solution外科手術システムなどの上腕骨近位端骨折を治療する典型的なシステムおよび方法は、骨片同士の圧着と、治癒の促進とを補助する一連のプレートおよびネイルからなる治療器具を上腕骨に挿入することを含む。上腕骨にネイルを挿入することの一部として、骨にネイルの孔を通してスクリューが挿入される。このプロセスは、スクリューが上腕骨内に打ち込まれるときに、スクリューがネイルの孔を通過するようにスクリューをターゲティングすることを含む。典型的には、上腕骨の近位端(例えば、肩部の近傍)に挿入されるスクリューは、ターゲティング器具を使用してターゲティングされ、かつターゲティング器具を通して挿入される。また一方で、上腕骨の遠位端(例えば、肘部の近傍)に挿入されるスクリューは、典型的には「フリーハンド法」を用いてターゲティングされ、この方法は、術者がX線透視法を用いて、X線透視画像上で視認可能なネイル孔にドリルビットを手動で位置合わせすることを含む。次いでスクリューは、穿孔内に打ち込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
「フリーハンド法」は、骨内に挿入されたネイルの孔を示すX線透視画像を目視するのと同時に、ドリルビットがネイル孔を通って移動するように、X線透視画像に基づいて骨に対してドリルビットを配置するのが困難であり得るので、一部の術者にとっては難易度が高くなる場合がある。換言すれば、術者の腕、ドリルビット、およびCアームなどの多くの変動要素があり、ドリルビットを正確にターゲティングするためにこれらすべてを安定させる必要があるが、そうすることは困難であり得る。患者間に解剖学的構造の差があることで、他の患者と比較して一部の患者での「フリーハンド法」の実施がより難易度の高いものになる可能性がある。したがって、上腕骨の遠位端にネイルおよびスクリューを挿入する典型的なシステムおよび手順に関する上記の欠点への対処を補助するデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、概して骨折固定に関する。より具体的には、本出願は、上腕骨などの骨に挿入されるネイルの遠位端を通したスクリューの挿入を補助するターゲティングガイド/デバイスを提供する。骨にネイルが挿入されるとき、ネイルの近位端は、骨にネイルが挿入された挿入位置の近傍に配置され、ネイルの遠位端は、挿入位置から離間して配置される。例えば、上腕骨にネイルが挿入される場合、ネイルの近位端は患者の肩部の近傍に配置され、ネイルの遠位端は肩部から離間して配置される。
【0005】
本明細書に記載の技術的特徴に照らして、かつこれに限定されずに、別段の指定がない限り、他の任意の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第1の態様では、ターゲティングデバイスは、外側フレーム、外側フレームに接続された可撓性部材、複数の孔を有し、可撓性部材の可撓性によって自身が外側フレームの側面に向かって並進できるように可撓性部材に接続されたターゲティングブロック、および外側フレームの側面に対するターゲティングブロックの位置を調整して維持する調整アセンブリを有するターゲティング本体を備える。ターゲティングデバイスは、ターゲティング本体に取外し可能に連結されたベースプレートをさらに備える。ターゲティングデバイスは、ベースプレートでネイルに連結されてもよい。
【0006】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第2の態様では、ターゲティングデバイスは湾曲した接続ボウをさらに備える。ベースプレートは、湾曲した接続ボウを介してターゲティング本体に取外し可能に連結されることにより、湾曲した接続ボウの中心面がターゲティング本体の中心面に対して実質的に垂直になり、ベースプレートの中心面が湾曲した接続ボウの中心面に対して実質的に垂直になる。
【0007】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様または第2の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第3の態様では、ネイルは、ベースプレートに連結されたときにターゲティング本体と実質的に平行になる。
【0008】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第3の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第4の態様では、調整アセンブリは、第1のねじ切り部を有するロッドであって、当該ロッドは、ロッドの回転によってターゲティングブロックの位置を調整するように、第2のねじ切り部と係合するよう構成されている、ロッドを含む。
【0009】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第4の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第5の態様では、調整アセンブリは、ターゲティングブロックの第1の開口部に配置された構成要素であって、当該構成要素は、第2のねじ切り部を含む第2の開口部を有する、構成要素をさらに含む。ロッドは、ターゲティングブロックの第3の開口部および構成要素の第2の開口部を通して配置されている。
【0010】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第5の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第6の態様では、ターゲティングデバイスは、ターゲティング本体の孔を通して配置されるように構成された取外し可能なターゲティングカニューレであって、取外し可能なターゲティングカニューレは、ドリルビットを案内するように構成されている、取外し可能なターゲティングカニューレをさらに備える。
【0011】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第6の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第7の態様では、ターゲティングデバイスは、取外し可能なインサートであって、取外し可能なインサートがターゲティングブロックの複数の孔のうちのいくつかへのアクセスを阻止する一方で、残りの阻止されていない孔へのアクセスを可能にするように、ターゲティングブロックに対して配置されるよう構成された、取外し可能なインサートをさらに備える。
【0012】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第7の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第8の態様では、ターゲティングデバイスは、複数の孔のうちの少なくとも1つに隣接して配置された磁石をさらに備える。
【0013】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第8の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第9の態様では、磁石はターゲティングブロック内に埋め込まれている。
【0014】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第9の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第10の態様では、可撓性部材は板ばねである。
【0015】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第9の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第11の態様では、ターゲティングデバイスは、ターゲティングブロック内に埋め込まれたX線不透過性構成要素をさらに備える。
【0016】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第11の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第12の態様では、X線不透過性構成要素は、第1のラインに配置されたX線不透過性構成要素の第1のセットと、第1のラインに平行な第2のラインに配置されたX線不透過性構成要素の第2のセットと、第1および第2のラインに平行に配置された第3のX線不透過性構成要素とを含む。
【0017】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第12の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第13の態様では、X線不透過性構成要素の第1および第2のセットは第1の平面に配置されており、第3のX線不透過性構成要素は、第1の平面から離間した第2の平面に配置されている。
【0018】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第13の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第14の態様では、患者の骨に挿入されたネイルの遠位端を通してスクリューを挿入するシステムは、ネイルと、ターゲティングデバイス(例えば、第1の態様のターゲティングデバイス)とを備える。ネイルは、ネイルの遠位端にスクリュー孔を含む。
【0019】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば第14の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第15の態様では、システムは直線構成要素をさらに備え、ターゲティングデバイスは、直線構成要素をターゲティングデバイスに連結するように構成されている。
【0020】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第15の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第16の態様では、ターゲティングデバイスは、ターゲティングブロックの複数の孔のうちの少なくとも1つの中に部分的に挿入されるように構成された取外し可能なインサートをさらに備え、取外し可能なインサートは、直線構成要素を取外し可能なインサートに連結するように構成されている。
【0021】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第1の態様から第16の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第17の態様では、患者の骨に挿入されたネイルの遠位端を通してスクリューを挿入する方法は、患者の骨にネイルを挿入することであって、ネイルはネイルの遠位端にスクリュー孔を含む、ネイルを挿入することを含む。ネイルの近位端にターゲティングデバイス(例えば、第1の態様のターゲティングデバイス)が連結されてもよい。ターゲティングブロックの孔のうちの1つがネイルの遠位端のスクリュー孔にターゲティングされるように、連結されたターゲティングデバイスはX線透視法を用いて位置合わせされてもよい。骨内に骨孔が穿孔されることにより、穿孔された骨孔がネイルの遠位端のスクリュー孔と位置合わせされてもよい。次いで、スクリュー孔にスクリューが挿入されてもよい。
【0022】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第17の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第18の態様では、ターゲティングデバイスを位置合わせすることは、ターゲティングブロックの孔のうちの1つにターゲティングマーカを挿入することにより、ターゲティングマーカの末端を骨に隣接させることを含む。ターゲティングマーカの末端はX線不透過である。
【0023】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第17の態様または第18の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第19の態様では、本方法は、直線状のX線不透過性構成要素をターゲティングデバイスに連結することをさらに含み、ターゲティングデバイスを位置合わせすることは、連結された直線状のX線不透過性構成要素と挿入されたネイルとがX線透視画像上で実質的に平行になるまで、ターゲティングデバイスを調整することを含む。
【0024】
別段の指定がない限り、他の任意の態様(例えば、第17の態様から第19の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第20の態様では、ターゲティングブロックは、X線不透過性構成要素の第1の列と、第1の列に平行なX線不透過性構成要素の第2の列と、第1および第2の列に平行に配置された第3のX線不透過性構成要素とを含み、ターゲティングデバイスを位置合わせすることは、第3のX線不透過性構成要素がX線透視画像上で、X線不透過性構成要素の第1の列と第2の列とから等距離離間するようになるまで、ターゲティングデバイスを調整することを含む。
【0025】
開示している方法および装置の更なる特徴ならびに利点は、以下の発明を実施するための形態および図に記載され、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点はすべてを包含するものではなく、とりわけ多くの更なる特徴および利点が、図および説明を踏まえれば当業者には明らかになるであろう。さらに、本明細書で使用される言語が、主として可読性および説明の目的で選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】本開示の一態様による、上腕骨に挿入されたネイルの遠位端で内側面/外側面に骨スクリューをターゲティングするときに、術者を補助するターゲティングデバイスの斜視図を示す。
【0027】
【
図1B】本開示の一態様による、上腕骨に挿入されたネイルの遠位端で前面/近位面に骨スクリューをターゲティングするときに、術者を補助する
図1Aのターゲティングデバイスを示す斜視図である。
【0028】
【
図2】本開示の一態様による、
図1Aおよび
図1Bのターゲティングデバイスのターゲティング本体を示す斜視図である。
【0029】
【
図3A】本開示の一態様による、
図2のターゲティング本体の調整アセンブリを示す斜視図である。
【0030】
【
図3B】本開示の一態様による、
図3Aの調整アセンブリの構成要素を示す斜視図である。
【0031】
【
図4】本開示の一態様による、
図2のターゲティング本体のターゲティングブロックを示す斜視図である。
【0032】
【
図5】本開示の一態様による、
図1Aおよび
図1Bのターゲティングデバイスの構成要素を示す斜視図である。
【0033】
【
図6】本開示の一態様による、例示の取外し可能なインサートを示す斜視図である。
【0034】
【
図7A】本開示の一態様による、
図1Aおよび
図1Bのターゲティングブロックのカニューレ孔内にターゲティングカニューレを保持するのを補助する、例示的な磁石配置を示す斜視図である。
【
図7B】本開示の一態様による、
図1Aおよび
図1Bのターゲティングブロックのカニューレ孔内にターゲティングカニューレを保持するのを補助する、例示的な磁石配置を示す斜視図である。
【
図7C】本開示の一態様による、
図1Aおよび
図1Bのターゲティングブロックのカニューレ孔内にターゲティングカニューレを保持するのを補助する、例示的な磁石配置を示す斜視図である。
【
図7D】本開示の一態様による、
図1Aおよび
図1Bのターゲティングブロックのカニューレ孔内にターゲティングカニューレを保持するのを補助する、例示的な磁石配置を示す斜視図である。
【0035】
【
図8】本開示の一態様による、複数のスロットを有する本体を含む、例示の取外し可能なインサートを示す斜視図である。
【0036】
【
図9】本開示の一態様による、取外し可能なインサートが
図2のターゲティングブロックと共に使用されている一方で、
図8の取外し可能なインサートのそれぞれのスロットにkワイヤがスナップインされている状態を示す斜視図である。
【0037】
【
図10】本開示の一態様による、例示の取外し可能なインサートのスロットにスナップインされたkワイヤと、kワイヤをX線透視画像上で位置合わせするのを補助する例示のマークとを示す斜視図である。
【0038】
【
図11】本開示の一態様による、ターゲティングブロック内に埋め込まれたX線不透過性球体およびX線不透過性ロッドを示す、透明状の
図2のターゲティング本体を示す斜視図である。
【0039】
【
図12】本開示の一態様による、ターゲティングマーカを示す斜視図である。
【0040】
【
図13】本開示の一態様による、スクリューをターゲティングするために患者に対して位置決めされた、
図1Aのターゲティングデバイスを示す斜視図である。
【0041】
【
図14】本開示の一態様による、スクリューをターゲティングするために患者に対して位置決めされた、
図1Bのターゲティングデバイスを示す斜視図である。
【0042】
【
図15A】本開示の一態様による、
図9のkワイヤを挿入されたネイルとX線透視画像上で位置合わせする方法の一部を示す図である。
【
図15B】本開示の一態様による、
図9のkワイヤを挿入されたネイルとX線透視画像上で位置合わせする方法の一部を示す図である。
【0043】
【
図16A】本開示の一態様による、
図11のX線不透過性ロッドを
図11のX線不透過性球体と位置合わせする方法の一部を示す図である。
【
図16B】本開示の一態様による、
図11のX線不透過性ロッドを
図11のX線不透過性球体と位置合わせする方法の一部を示す図である。
【0044】
【
図17A】本開示の一態様による、
図4のカニューレ孔を
図1Bのネイルのスクリュー孔と位置合わせする方法の一部を示す図である。
【
図17B】本開示の一態様による、
図4のカニューレ孔を
図1Bのネイルのスクリュー孔と位置合わせする方法の一部を示す図である。
【0045】
【
図18】本開示の一態様による、上腕骨の近傍に配置された
図12のターゲティングマーカを示す斜視図である。
【0046】
【
図19】本開示の一態様による、
図12のターゲティングマーカにおけるX線不透過性ロッドおよびX線不透過性リングを表示したX線透視画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本出願は、術者が骨(例えば、上腕骨)の遠位端に骨に挿入されたネイルの孔を通してスクリューをターゲティングするのを補助する新規の革新的なデバイスおよび方法を提供する。術者は、最初に患者の骨にネイルを挿入してもよい。次いで、提供されるターゲティングデバイスが、挿入されたネイルの近位端に連結され得る。この時点から、術者は、連結されたターゲティングデバイスを挿入されたネイルと位置合わせすることができ、これにより、術者はターゲティングデバイスをガイドとして使用して、挿入されたネイルの遠位端に位置するスクリュー受容孔と同心の骨孔を穿孔することができる。例えば、提供されるターゲティングデバイスは、ドリルビットを案内するカニューレをそれぞれ受容するように構成された、複数の孔を有するブロックを備える。術者は、ターゲティングデバイスの向きを調整することにより、ブロック内の少なくとも1つの孔、したがって受容されたドリルビットを案内するカニューレが、挿入されたネイルのスクリュー受容孔にターゲティングされるようにすることができる。このようにして、術者がカニューレを通してドリルビットを前進させて、骨内に到達させると、ドリルビットは、挿入されたネイルの遠位端のスクリュー受容孔へと通じる骨孔を生成する。
【0048】
提供されるターゲティングデバイスは、術者がスクリューを正確かつ確実にターゲティングするのを補助する、本明細書に記載の様々な特徴を任意に組み合わせたものを備えてもよい。一例では、スクリューは典型的には、内側面/外側面と前面/後面との両方において、挿入されたネイルの遠位端に挿入される。術者が内側面/外側面と前面/後面とを誤るなど、面に関して生じる潜在的な誤りを術者が回避するのを補助するために、提供されるターゲティングデバイスは、術者がどの面をターゲティングしているかを術者に示す、取外し可能なインサートを備えてもよい。
【0049】
別の例では、提供されるターゲティングデバイスは、円形手法を改良する構成要素を有してもよい。術者は通常、ターゲティング器具をX線不透過性マーカと位置合わせするときに、円形手法を使用するが、この円形手法は、3D空間内で6つの軸を通してCアーム(例えば、X線透視装置)を移動させる必要があり、この移動は困難で時間がかかる可能性がある。一態様では、提供されるターゲティングデバイスおよび方法により、術者が挿入されたネイルをX線透視画像上の1つまたは複数の直線と位置合わせできるようになり、その結果、正確にCアームの位置合わせを行うための2つの自由軸が排除される。別の態様では、提供されるターゲティングデバイスおよび方法により、術者がターゲティングデバイス内に埋め込まれたX線不透過性構成要素を位置合わせできるようになり、このことは、より正確なCアームの位置合わせに寄与する。いくつかの態様では、X線不透過部分を有するターゲティングマーカは、Cアームに固有の視差効果の低減に寄与するために、提供されるターゲティングデバイスと共に位置合わせ中に使用されてもよい。以下の図面の説明から、更なる利点が明らかになるであろう。さらに、以下の図面の説明は上腕骨に関連して述べられるが、この説明は単なる例示であり、提供されるターゲティングデバイスを使用して、任意の適切な骨(例えば、長骨)に挿入されるネイルを通してスクリューをターゲティングしてもよい。
【0050】
図1Aおよび
図1Bは、術者がドリルビットを骨(例えば、上腕骨)内に挿入されたネイルの遠位端のスクリュー孔と位置合わせし、これにより、ネイルのスクリュー孔に挿入する骨スクリューをターゲティングするために使用することができる、例示的なターゲティングデバイス100を示す斜視図である。上腕骨に挿入されたネイルの遠位端に挿入される骨スクリューは、通常、互いに対して垂直な2つの異なる面、すなわち前面/後面および内側面/外側面に挿入される。
図1Aは、内側面/外側面に骨スクリューをターゲティングするときに術者を補助する、ターゲティングデバイス100の例示的な配置を示す斜視図であり、
図1Bは、前面/後面に骨スクリューをターゲティングするときに術者を補助する、ターゲティングデバイス100の例示的な配置を示す斜視図である。
【0051】
図1Aでは、例示的なターゲティングデバイス100は、ターゲティング本体102を備える。ベースプレート104は、ターゲティング本体102に取外し可能に連結されてもよい。例えば、ベースプレート104の本体506(
図5)は、ターゲティング本体102の接続孔206(
図2)で、ねじ付きノブ120Aおよびボルト(図示せず)を介してターゲティング本体102に連結されてもよい。ベースプレート104は、異なるネイル長を調整するために、接続孔206のうちのいずれかでターゲティング本体102に連結されてもよい。様々な態様では、ベースプレート104は、ネイルをベースプレート104に取外し可能に連結する接続管114を含んでもよい。少なくともいくつかの態様では、ターゲティングデバイス100は、インサート110Aおよび/またはインサート110B(
図1B)などの取外し可能なインサートを備えてもよい。インサート110Aおよび/またはインサート110Bは、以下でより詳細に説明するように、内側面/外側面(例えば、インサート110A)または前面/後面(例えば、インサート110B)のいずれにスクリューをターゲティングするためにターゲティングデバイス100が使用されているかどうかに対応することができる。
【0052】
少なくともいくつかの態様では、ターゲティングデバイス100は、1つまたは複数の取外し可能なターゲティングカニューレ112A、112Bを備えてもよい。1つまたは複数のターゲティングカニューレ112A、112Bは、ターゲティング本体102のカニューレ孔400~406(
図4)を通して、場合によってはインサート110Aまたは110Bを通して配置されてもよい。そのように配置された場合、1つまたは複数のターゲティングカニューレ112A、112Bは、ターゲティングデバイス100が所望の位置に位置合わせされるとすぐにドリルビットを案内するのを補助する。
【0053】
図1Bに示すように、例示的なターゲティングデバイス100を使用して、前面/後面に骨スクリューをターゲティングする場合、ベースプレート104は、湾曲した接続ボウ106を介してターゲティング本体102に連結されてもよい。例えば、接続ボウ106の本体500(
図5)の一端部508(
図5)は、ターゲティング本体102に取外し可能に連結されてもよく、接続ボウ106の本体500の第2の端部510は、ベースプレート104に取外し可能に連結されてもよい。一例では、接続ボウ106の端部508は、ターゲティング本体102の接続孔206(
図2)において、ねじ付きノブ120Aを介してターゲティング本体102に連結されてもよい。接続ボウ106は、異なるネイル長を調整するために、接続孔206のうちのいずれかでターゲティング本体102に連結されてもよい。一例では、接続ボウ106の端部510は、ねじ付きノブ120Bおよびボルト(図示せず)を介してベースプレート104に連結されてもよい。
図1Bの図示の例では、ターゲティングデバイス100は、患者の右側の上腕骨(例えば、
図14)の前面/後面に骨スクリューをターゲティングするように構成されている。別の例では、ターゲティングデバイス100は、
図1Bに示すように接続ボウ106とベースプレート104とが鏡像位置になるように配置されることにより、患者左側の上腕骨の前面/後面に骨スクリューをターゲティングしてもよい。
【0054】
例示を目的として、
図1Bは、ベースプレート104の接続管114に連結されたネイル108をさらに示す。少なくともいくつかの態様では、ネイル108は、ラグボルト122を介して接続管114に連結されてもよい。例えば、ラグボルト122が接続管114を通して配置されてもよく、ラグボルト122のねじ付き端部512(
図5)がネイル108の内側ねじ切り部に連結されてもよい。ネイル108は、
図1Aに示すターゲティングデバイス100の接続管114に同様に連結されてもよい。
【0055】
少なくともいくつかの態様では、ネイル108の遠位端は、スクリュー孔124Aおよび124Bを含む。スクリュー孔124Aおよび124Bは、ネイル108が上腕骨に挿入されたときにスクリュー孔124Aおよび124Bが内側面/外側面にあるように、ネイル108上に配置されてもよい。少なくともいくつかの態様では、ネイル108の遠位端は、スクリュー孔126Aおよび126Bを含む。スクリュー孔126Aおよび126Bは、ネイル108が上腕骨に挿入されたときにスクリュー孔126Aおよび126Bが前面/後面にあるように、ネイル108上に配置されてもよい。図示のように、内側スクリュー孔/外側スクリュー孔124A、124Bおよび前方スクリュー孔/後方スクリュー孔126A、126Bは、スクリューが必要に応じて、スクリュー孔124A、124B、および126A、126Bの各々を同時に通って挿入され得るように、ネイル108の長さに沿って互いからオフセットされている。図示されているようないくつかの態様では、内側スクリュー孔/外側スクリュー孔124A、124Bは、前方スクリュー孔/後方スクリュー孔126A、126Bと交互に配置されてもよい。換言すれば、スクリュー孔126Aは、ネイル108の長さに沿ってスクリュー孔124Aとスクリュー孔124Bとの間にあり、スクリュー孔124Bは、ネイル108の長さに沿ってスクリュー孔126Aとスクリュー孔126Bとの間にある。他の態様では、内側スクリュー孔/外側スクリュー孔124A、124Bがグループ化され、前方スクリュー孔/後方スクリュー孔126A、126Bがグループ化されることで、これらのスクリュー孔が交互に配置されないようにしてもよい。
【0056】
図5は、ターゲティングデバイス100の様々な構成要素を示す。接続管114および先端部507を備える本体506を有する、例示的なベースプレート104が示されている。ベースプレート104の先端部507は、ターゲティング本体102(例えば、
図1A)または接続ボウ106(例えば、
図1B)に連結されてもよい。第1の端部508および第2の端部510を備える本体500を有する、例示的な接続ボウ106が示されている。接続ボウ106の本体500は、湾曲していてもよい。いくつかの態様では、接続ボウ106の本体500は、本体500の使用材料を低減しながら、本体500の構造的完全性を維持するのに寄与する複数のクロスバー509を含んでもよい。他の態様では、本体500は、別の適切な湾曲構造を有してもよい。
図5は、チューブ502およびヘッド504を有する例示的なターゲティングカニューレ112Aをさらに示す。ターゲティングカニューレ112Aのヘッド504は、ヘッド504がそれぞれのカニューレ孔400~406を通って並進しないように、ターゲティング本体102のカニューレ孔400~406の各々よりも大きい断面幅/断面直径を有する。ターゲティングカニューレ112Bは、ターゲティングカニューレ112Aと同一であってもよい。ねじ付き端部512およびヘッド514を備えるシャフトを有する、例示的なラグボルト122も示されている。さらに、ねじ付き端部516およびヘッド518を備えるシャフトを有する、例示的なねじ付きノブ120Aが示されている。ねじ付きノブ120Bは、ねじ付きノブ120Aと同一であってもよい。
【0057】
図2は、例示的なターゲティングデバイス100のターゲティング本体102を示す斜視図である。ターゲティング本体102は、第2の端部204に対向する第1の端部202と、第2の側面208に対向する第1の側面206とを有する外側フレーム200を含む。ターゲティング本体102は、第1の端部202に隣接して複数の接続孔206を含む。図の説明を明確にするためにのみ、1つの接続孔206のみが図中に参照符号で示されており、接続孔206の説明が、図示されている接続孔206の各々に等しく適用されることを理解されたい。少なくともいくつかの態様では、各接続孔206は、ターゲティングデバイス100と共に使用され得るネイル108を異なる長さにする選択肢に対応する。例えば、第1の端部202に近接した接続孔206は、第1の端部202から遠隔した接続孔よりもネイル108の長さを長くする選択肢に対応してもよい。
【0058】
例示的なターゲティング本体102は、ターゲティングブロック210をさらに含む。少なくともいくつかの態様では、ターゲティングブロック210は、可撓性部材212によって外側フレーム200に接続されている。一例では、可撓性部材212は板ばねであってもよいが、他の例では、可撓性部材212は別の適切な可撓性の構成要素であってもよい。可撓性部材212により、双方向矢印216によって示される円弧運動で、外側フレーム200の第1の側面206または第2の側面208のいずれかに向かってターゲティングブロック210が並進できるようになる。少なくともいくつかの態様では、ターゲティング本体102は、外側フレーム200の第1の側面206および第2の側面208に対するターゲティングブロック210の位置を調整して維持する、調整アセンブリ(例えば、
図3Aおよび
図3Bの調整アセンブリ300)を含んでもよい。ターゲティングブロック210は、調整アセンブリの一部を収容することができる開口部214を含んでもよい。ターゲティングブロック210は、以下の
図4に関連してより詳細に説明する、複数のカニューレ孔を含んでもよい。
【0059】
図3Aは、ターゲティング本体102の例示的な調整アセンブリ300を示す図であり、
図3Bは、例示的な調整アセンブリ300の構成要素をより詳細に示す。いくつかの態様では、調整アセンブリ300は、ターゲティングブロック210の開口部214内に配置されたコネクタ306を含む。コネクタ306は、内側ねじ切り部を有する開口部316を含んでもよい。駆動ロッド304は、開口部316、ターゲティングブロック210の開口部、および外側フレーム200の側面206および208の開口部を通して配置されてもよく、これらはすべて開口部316と同軸である。駆動ロッド304は、第2の端部312に対向する第1の端部310と、ねじ部314とを含む。ねじ部314は、開口部316の内側ねじ切り部と係合してもよい。回転ノブ302Aおよび302Bは、駆動ロッド304の第1の端部310および第2の端部312の各々にそれぞれ恒久的に、または取外し可能に取り付けられてもよい。いくつかの態様では、ターゲティングブロック210自体は、別個のコネクタ306ではなく、駆動ロッド304のねじ部314と係合する内側ねじ切り部を含んでもよい。
【0060】
回転ノブ302Aおよび/または回転ノブ302Bが一方向に回転すると、駆動ロッド304のねじ部314とコネクタ306の開口部316の内側ねじ切り部との間の係合により、ターゲティングブロック210が第1の側面206または第2の側面208のいずれかに向かって駆動される。回転ノブ302Aおよび/または回転ノブ302Bは反対方向に回転して、ターゲティングブロック210を第1の側面206および第2の側面208の他方に向かって駆動してもよい。さらに、駆動ロッド304のねじ部314とコネクタ306の開口部316の内側ねじ切り部との間の係合により、回転ノブ302Aおよび/または回転ノブ302Bが回転していないときは、ターゲティングブロック210の位置が維持される。
【0061】
図4は、ターゲティングブロック210のカニューレ孔400~406を示すターゲティングブロック210を図示する斜視図である。カニューレ孔400~406はそれぞれ、ターゲティングカニューレ112Aまたは112Bがカニューレ孔400~406を通して配置されるようなサイズであってもよい。さらに、各カニューレ孔400~406は、各カニューレ孔400~406がターゲティングデバイス100に連結されたネイル108の特定のスクリュー孔124A、124B、126A、または126Bに対応するように、ターゲティングブロック210上に配置されてもよい。例えば、上述したように、スクリュー孔124Aおよび124Bならびにスクリュー孔126Aおよび126Bは、ネイル108の長さに沿って互いからオフセットされ得る。一例では、カニューレ孔400はスクリュー孔124Aに対応してもよく、カニューレ孔402はスクリュー孔126Aに対応してもよく、カニューレ孔404はスクリュー孔124Bに対応してもよく、カニューレ孔406はスクリュー孔126Bに対応してもよい。換言すれば、本例では、カニューレ孔400および404はそれぞれ、内側面/外側面にスクリューをターゲティングするときに使用されてもよく、カニューレ孔402および406はそれぞれ、前面/後面にスクリューをターゲティングするときに使用されてもよい。
【0062】
術者は、内側面/外側面に骨スクリューを挿入するときと、前面/後面に骨スクリューを挿入するときとで、どのカニューレ孔400~406が使用されるべきかを場合によっては失念する可能性がある。術者が混乱するのを回避し、正しいターゲティングを行う際の信頼性を高めるのに寄与するために、いくつかの態様では、例示的なターゲティングデバイス100は、ターゲティングブロック210と共に使用されると、骨スクリューが挿入されている面に必要なカニューレ孔400~406のみにアクセスできるようにする1つまたは複数の取外し可能なインサートを備えてもよい。例えば、取外し可能なインサートにより、カニューレ孔400および404(例えば、内側面/外側面の場合)のみにアクセスできるようになるか、またはカニューレ孔402および406(例えば、前面/後面の場合)のみにアクセスできるようになる。取外し可能なインサートは、種々の適切な形状およびサイズを有してもよく、その例は本明細書に記載されている。いくつかの態様では、ターゲティングブロック210はスロット410を含んでもよい。スロット410は、本明細書に記載されるような種々の適切な目的を有してもよい。例えば、スロット410は、取外し可能なインサートをターゲティングブロック210と接触させて維持するのを補助するため、カニューレ孔400~406内にターゲティングカニューレ112A、112Bを保持するのを補助するため、または他の適切な目的のために利用されてもよい。
【0063】
図6は、例示的なインサート110Bおよび例示的なインサート600を示す。例示的なインサート600は、
図1Aに示すインサート110Aの代替バージョンであってもよい。インサート110Bは、前面/後面にスクリューをターゲティングするように構成されている。例えば、インサート110Bは、開口部606および開口部608を有する本体610を含む。本体610からは、脚部602および脚部604がそれぞれ延在している。インサート110Bが
図6に示すようにターゲティングブロック210と共に使用される場合、脚部602がカニューレ孔400内に配置され、脚部604がカニューレ孔404内に配置されることにより、カニューレ孔400および404にターゲティングカニューレ112A、112Bが進入するのが阻止される。反対に、開口部606および開口部608はそれぞれ、カニューレ孔402および406にターゲティングカニューレ112A、112Bが進入できるようにしている。
【0064】
インサート600は、内側面/外側面にスクリューをターゲティングするように構成されている。例えば、インサート600は、開口部616および開口部618を有する本体620を含む。本体620からは、脚部612および脚部614がそれぞれ延在している。インサート600がターゲティングブロック210と共に使用される場合、脚部612がカニューレ孔402内に配置され、脚部614がカニューレ孔406内に配置されることにより、カニューレ孔402および406にターゲティングカニューレ112A、112Bが進入するのが阻止される。反対に、開口部616および開口部618はそれぞれ、カニューレ孔400および404にターゲティングカニューレ112A、112Bが進入できるようにしている。したがって、術者は、前面/後面に骨スクリューをターゲティングするときにインサート110Bを使用し、内側面/外側面に骨スクリューをターゲティングするときにインサート600を使用することにより、ターゲティングカニューレ112A、112Bが確実に適切なカニューレ孔400~406に挿入されるようにすることができる。
【0065】
術中に起こる潜在的な問題の1つは、ターゲティングカニューレ112A、112Bがターゲティングブロック210から抜け落ちて床に落下する場合である。いくつかの態様では、この潜在的な問題を回避するのに寄与するために、ターゲティングデバイス100は、それぞれのカニューレ孔400~406内にターゲティングカニューレ112A、112Bを保持するのを補助するように配置された、1つまたは複数の磁石を備えてもよい。例えば、ターゲティングブロック210および/または取外し可能なインサート内に1つまたは複数の磁石が配置されてもよい。1つまたは複数の磁石の磁力は、それぞれのカニューレ孔400~406内に配置されたターゲティングカニューレ112A、112Bを1つまたは複数の磁石に向かって引き寄せることにより、ターゲティングカニューレ112A、112Bとそれぞれのカニューレ孔400~406との間の摩擦を増大させて、ターゲティングカニューレ112A、112Bをそれぞれのカニューレ孔400~406内に保持するのを補助する。
【0066】
図7A~
図7Dは、1つまたは複数の磁石の例示的な配置を示す。
図7Aの例では、磁石702、704、および706は、ターゲティングブロック210に直接埋め込まれている。別の例では、磁石は、本開示の取外し可能なインサートに埋め込まれるか、あるいは内蔵されてもよい。
図7Bは、取外し可能なインサート710の脚部716に埋め込まれた磁石712および714を有する、例示の取外し可能なインサート710を示す。脚部716は、ターゲティングブロック210のスロット410内に挿入されてもよい。
図7Cは、1つまたは複数のポケット722を有する(例えば、例示の取外し可能なインサート720は、2つのポケット722を有する状態で示されている)、例示の取外し可能なインサート720を示す。磁石724、または磁石724を含む構成要素726は、ポケット722内に挿入されてもよい。
図7Dの例では、複数の磁石732~740を含むカセット730が、ターゲティングブロック210のスロット410に挿入されてもよい。複数の磁石732~740は、カセット730がスロット410に挿入されると、各磁石732~740がそれぞれのカニューレ孔400~406と並ぶように、カセット730に配置されてもよい。
【0067】
少なくともいくつかの態様では、提供されるターゲティングデバイス100は、ドリルビットをターゲティングしてネイル孔を穿孔するときに、術者がターゲティングデバイス100を正確に位置合わせするのを補助する特徴を備えてもよい。術者は、典型的なターゲティング器具を位置合わせするときに円形手法を使用するのが一般的であり、典型的なターゲティング器具は、同心に、かつX線画像上で視認可能なネイル孔の上に位置合わせされたX線不透過性マーカを有する。この円形手法は、髄内管の内側に位置するネイルに取り付けられた典型的なターゲティング器具を、X線透視装置と位置合わせすることを要する。術者は、6つの軸すべてを使用してCアーム(例えば、X線透視装置)を3D空間内で移動させて、Cアームを適切に位置合わせする必要がある。この位置合わせは困難であり得、特に経験の浅い術者の場合、時間がかかる(例えば、数分)場合がある。その上、正しい位置が求められると、Cアームは通常、術者がフリーハンドで骨の中に、好ましくはネイル孔を通して穿孔する間に、手で定位置に保持される必要がある。
【0068】
術者による例示的なターゲティングデバイス100の位置合わせを補助するために、いくつかの態様では、ターゲティングデバイス100は、術者が挿入されたネイルをX線透視画像上の1つまたは複数の直線と位置合わせすることにより、ネイルが1つまたは複数の直線と等距離にあるようにする構成要素(単数または複数)を備えてもよい。一態様では、1つまたは複数の直線を生成するこの構成要素は、X線透視画像上で視認可能なX線不透過性ガイドワイヤ(例えば、kワイヤ)であってもよい。kワイヤは、例示的なターゲティングデバイス100と一体であってもよく、またはこれに取り付けられてもよい。例えば、
図8は、複数のスロット804、806を有する本体802を含む、例示の取外し可能なインサート800を示す。本例では、取外し可能なインサート800は、開口部808および810の両側に5つのスロット804、806を含むように示されているが、他の例では他の適切な数のスロット804、806を含んでもよい。kワイヤは、取外し可能なインサート800のスロット804、806のいずれかの中に挿入(例えば、スナップイン)されてもよい。例えば、術者は、kワイヤを挿入すべきスロット804、806を選択して、X線透視画像上でのkワイヤと挿入されたネイルとの間の等距離の位置合わせに関して最良な判定を行うことができる。
図9は、取外し可能なインサート800がターゲティングブロック210と共に使用されている一方で、取外し可能なインサート800のスロット804にkワイヤ900がスナップインされており、スロット806にkワイヤ902がスナップインされている状態を示す。他の例では、ターゲティング本体102またはターゲティングブロック210は、kワイヤまたは他の適切な直線構成要素が、取外し可能なインサートではなくターゲティング本体102またはターゲティングブロック210と直接連結され得るように、1つまたは複数のスロットを含んでもよい。
【0069】
図10は、例示の取外し可能なインサート1000のスロット1002および1004にスナップインされたkワイヤ900を示す。スロット1002および1004は、取外し可能なインサート800のスロット804および806と比較して、例示の取外し可能なインサート1000の長さを延長しない。
図10は、ターゲティング本体102の外側フレーム200およびターゲティングブロック210上のマークのセット1010をさらに示す。例えば、マークのセット1010は、ターゲティングブロック210上の単一のマークと、外側フレーム200上の複数のマークとを含んでもよい。外側フレーム200上の複数のマークに対してターゲティングブロック210上の単一のマークを位置合わせすることで、X線透視画像上でkワイヤ900が挿入されたネイルとその長さに沿って等距離になるように(例えば、調整アセンブリ300を介して)ターゲティングブロック210を調整するときに、術者を補助することができる。X線透視画像上でkワイヤを挿入されたネイルと位置合わせするプロセスは、以下の
図15に関連してより詳細に説明される。
【0070】
他の態様では、術者による例示的なターゲティングデバイス100の位置合わせを補助するために、ターゲティングデバイス100は、ターゲティングデバイス100内に埋め込まれたX線不透過性マーカ(単数または複数)を備えてもよい。例えば、
図11に示すように、複数のX線不透過性球体1104およびX線不透過性ロッド1102がターゲティングブロック210内に埋め込まれてもよい。他の例では、X線不透過性マーカは、球体およびロッド以外の適切な形状を有してもよい。複数のX線不透過性球体1104は、ターゲティングブロック210内のX線不透過性ロッド1102とは異なる高さ(例えば、異なる平面上)にある。例えば、
図11は、X線不透過性ロッド1102の平面1106と、X線不透過性球体1104の平面1108とを示す。複数のX線不透過性球体1104は、2つの別個のカラム1110および1120内に配置されてもよい。X線不透過性ロッド1102は、カラム1110内のX線不透過性球体1104の各々を通って延在する仮想直線と平行であり、カラム1120内のX線不透過性球体1104の各々を通って延在する仮想直線と平行である。上面側から見ると(例えば、ターゲティングブロック210の上面に垂直な軸を見下ろす)、X線不透過性ロッド1102はカラム1110とカラム1120との間にあり、カラム1110内のX線不透過性球体1104の各々を通って延在する仮想直線と、カラム1120内のX線不透過性球体1104の各々を通って延在する仮想直線とから等距離にある(例えば、
図16Bを参照されたい)。X線不透過性球体1104およびX線不透過性ロッド1102の配置は、術者がCアーム(例えば、X線透視装置)をターゲティングデバイス100に対して垂直に位置合わせするのを補助するが、これについては以下の
図16Aおよび
図16Bに関連してより詳細に説明する。
【0071】
ドリルビットをCアームで対象スクリューと位置合わせするときに術者が直面する困難の1つは、Cアームに固有の視差効果が生じることであり、この効果は、歪んだX線透視画像を生成する可能性がある。Cアームの設計により、X線源およびコリメータに対する被撮像対象物の距離は、それらの対象物のX線透視画像上での見え方に影響を及ぼす。加えて、対象物(例えば、骨)から物体(例えば、X線不透過性マーカ)が離間するほど、視差効果に起因したX線透視画像上の歪みが大きくなる。ネイル108が患者の上腕骨内に挿入されている間、ターゲティングデバイス100のターゲティング本体102は撮像中、患者の外側にあるため、ネイル108に対するターゲティング本体102の拡大像は、X線透視画像上で歪んで見える可能性がある。例えば、X線透視画像上の特定のインジケータ(例えば、kワイヤ902およびネイル108、またはX線不透過性ロッド1102およびX線不透過性球体1104)は、それらのインジケータに対応する物理的な物体が実際に位置合わせされているときに、位置ずれしているように見える場合がある。
【0072】
いくつかの態様では、視差効果の低減に寄与し、術者による例示的なターゲティングデバイス100の位置合わせを補助するために、ターゲティングデバイス100は、
図12に示す1つまたは複数の取外し可能なターゲティングマーカ1200を備えてもよい。ターゲティングマーカ1200は、X線透過性本体1202と、X線透過性本体1202の外側に延在するX線不透過性コア1204とを含んでもよい。X線不透過性コア1204は、X線透過性本体1202内部の全長にわたって延在してもよく、またはその一部のみに延在してもよい。X線不透過性コア1204は、任意の適切な程度までX線透過性本体1202から外側に延在してもよい。ターゲティングマーカ1200は、位置合わせ中にターゲティングデバイス100のカニューレ孔400~406を通して配置されてもよい。ターゲティングマーカ1200がそのように配置されると、X線不透過性コア1204の先端は患者の上腕骨の近傍にあるか、または患者の上腕骨に接触する。したがって、X線不透過性コア1204の先端と上腕骨との間の距離が最小化され、その結果、X線不透過性コア1204の先端および上腕骨へのX線透視画像に対する視差効果が最小化される。このようにして、ターゲティングマーカ1200は、ターゲティングデバイス100をネイル108のスクリュー孔124A、124B、126A、126Bと正確に位置合わせできているかを術者が容易に判定できるようにすることができる。
【0073】
いくつかの態様では、X線不透過性コア1204の先端は鈍であってもよい。他の態様では、X線不透過性コア1204の先端は、術者が骨に刻み目をつけられるように、鋭利であってもよい。最終調整後に骨に刻み目をつけることにより、骨の剥離を防止しながら、その後の穿孔が補助され得る。いくつかの態様では、ターゲティングマーカ1200は、X線透過性本体1202の後端にX線不透過性リング1206を含んでもよい。X線不透過性リング1206は、X線透視画像上のターゲティングマーカ1200の個々の端部を識別するのを補助することができ、これにより、X線透視画像上のどの端部が上腕骨の近傍にあるか、または上腕骨に接触しているX線不透過性コア1204の先端であるかを術者が識別するのが補助され得る。位置合わせ手順中にターゲティングマーカ1200を使用することについては、
図18および
図19に関連して以下でさらに述べられる。
【0074】
次に、例示的なターゲティングデバイス100を使用してスクリューをターゲティングする方法を説明する。術者は、最初に患者の上腕骨にネイル(例えば、ネイル108)を挿入してもよく、この作業は、ネイル108の挿入に備えて上腕骨に穿孔することを含んでもよい。ターゲティングデバイス100は、例えば、ラグボルト122を介して、挿入されたネイル108に連結されてもよい。上述したように、スクリューは通常、内側面/外側面および前面/後面の両方にターゲティングされる。
図13は、内側面/外側面にスクリューをターゲティングするように患者1300に対して構成かつ位置決めされた、ターゲティングデバイス100を示す斜視図である。
図14は、前面/後面にスクリューをターゲティングするように患者1300に対して構成かつ位置決めされた、ターゲティングデバイス100を示す斜視図である。
図13または
図14のいずれかの位置にあるターゲティングデバイス100は、患者1300の上腕骨内の挿入されたネイル108(図示せず)に連結される。本例では、術者は最初に内側面/外側面にスクリューをターゲティングするが、他の例では、術者は最初に前面/後面にスクリューをターゲティングしてもよい。
【0075】
いくつかの態様では、術者は、自身がスクリューをターゲティングしている面に対応する取外し可能なインサートを選択して、挿入してもよい。取外し可能なインサートが使用されるか否かにかかわらず、術者は次いで、カニューレ孔400および404が挿入されたネイル108のスクリュー孔124Aおよび124Bと位置合わせされるように、X線透視法を用いてターゲティングデバイス100を位置合わせしてもよい。
【0076】
いくつかの態様では、ターゲティングデバイス100を位置合わせすることは、kワイヤ108がネイル108とその長さに沿って等距離になるように、X線透視画像上でkワイヤ(例えば、kワイヤ904)を挿入されたネイル108と位置合わせすることを含む。
図15Aは、kワイヤ904がネイル108と位置ずれしている様子を示す。したがって、術者はターゲティングデバイス100の位置を調整してもよい。例えば、術者は、調整アセンブリ300の回転ノブ302Aおよび/または回転ノブ302Bを回転させて、kワイヤ904に連結されたターゲティングブロック210の位置決めを調整してもよい。
図15Bは、調整後にkワイヤ904がネイル108と適切に位置合わせされている様子を示す。そのような態様では、kワイヤ904がネイル108と適切に位置合わせされると、ターゲティングブロック210は、ネイル108のスクリュー孔124Aおよび124Bと位置合わせされる。直線kワイヤ904をネイル108の直線縁と位置合わせするこの技法を用いると、Cアーム(例えば、X線透視装置)をターゲティングデバイス100と正確に位置合わせする必要がなくなり、その結果2つの自由軸が排除される。
【0077】
他の態様では、ターゲティングデバイス100を位置合わせすることは、X線透視画像上でX線不透過性マーカ(例えば、X線不透過性ロッド1102およびX線不透過性球体1104)が位置合わせされるように、ターゲティングデバイス100を調整することを含む。X線不透過性マーカは、上述したようにターゲティングデバイス100内に埋め込まれてもよい。
図16Aは、X線不透過性ロッド1102がX線不透過性球体1104と位置ずれしている様子を示す。したがって、術者は、球体1104の2つのカラム1110と1120との間にX線不透過性ロッド1102が等距離に配置されるまで、Cアーム、または患者1300の腕をターゲティングデバイス100で移動かつ回転させてもよい。
図16Bは、X線不透過性ロッド1102が球体1104の2つのカラム1110および1120と適切に位置合わせされている様子を示す。この時点で、Cアームはターゲティングデバイス100に対して垂直に位置合わせされた状態になる。
【0078】
少なくともいくつかの例では、
図17Aに図示する描写に示すように、カニューレ孔400および404が、スクリュー孔124Aおよび124Bと位置合わせされていない場合がある。そのような場合、術者は、カニューレ孔400および404がスクリュー孔124Aおよび124Bと位置合わせされるように、ターゲティングブロック210を調整してもよい。例えば、術者は、カニューレ孔400および404がスクリュー孔124Aおよび124Bと同心になるように、調整アセンブリ300の回転ノブ302Aおよび/または回転ノブ302Bを回転させて、ターゲティングブロック210の位置決めを調整してもよい。この方法は、上述の円形手法と同様である。
図17Bは、カニューレ孔400および404がスクリュー孔124Aおよび124Bと適切に位置合わせされている様子を示す。X線不透過性マーカが位置合わせに使用される態様では、X線不透過性ロッド1102およびX線不透過性球体1104が適切に位置合わせされ、カニューレ孔400および404が適切に位置合わせされると、ターゲティングブロック210はネイル108のスクリュー孔124Aおよび124Bと位置合わせされる。
【0079】
いくつかの態様では、ターゲティングデバイス100を位置合わせすることは、ターゲティングデバイス100を調整するときにターゲティングマーカ(単数または複数)(例えば、1つまたは複数のターゲティングマーカ1200)を使用することを含む。術者は、カニューレ孔400および404の一方または両方にターゲティングマーカ1200を挿入してもよい。
図18は、ターゲティングマーカ1200が、上腕骨1800の近傍にあるX線不透過性コア1204の先端でターゲティングデバイス100のカニューレ孔400に挿入された様子を示す。
図19は、ターゲティングマーカ1200のX線不透過性コア1204およびX線不透過性リング1206を表示するX線透視画像を示す。術者は、X線透視画像上でX線不透過性リング1206を使用することにより、X線不透過性コア1204のどの端部がどこにあるかを把握することができる。1つまたは複数のターゲティングマーカ1200を使用するこのような態様では、ターゲティングブロック210がネイル108のスクリュー孔124Aおよび124Bと位置合わせされると、1つまたは複数のターゲティングマーカ1200をターゲティングブロック210から取り外すことができ、ターゲティングカニューレ112Aおよび112Bを穿孔のために挿入することができる。
【0080】
使用される位置合わせ方法にかかわらず、ターゲティングブロック210が適切に位置合わせされているのであれば、ターゲティングカニューレ112Aおよび112Bがまだ挿入されていない場合、術者は、カニューレ孔400および404にターゲティングカニューレ112Aおよび112Bを挿入することができる。場合によっては、術者は、ターゲティングブロック210が最終位置合わせされる前に、ターゲティングカニューレ112Aおよび112Bを挿入することができる。次いで、術者は、ターゲティングカニューレ112Aまたは112Bを通して患者1300の上腕骨に骨孔を穿孔してもよい。穿孔された各骨孔は、対応するスクリュー孔124Aまたは124Bと同軸であるか、または実質的に同軸である。
【0081】
いくつかの態様では、骨孔が内側面/外側面に対して作成されると、術者は、作成された骨孔と、挿入されたネイル108の対応するスクリュー孔124Aおよび124Bとに骨スクリューを挿入することができる。他の態様では、術者は、任意の骨スクリューを挿入する前に、前面/後面用の骨孔を作成してもよい。前面/後面用の骨孔を作成するために、術者はターゲティングデバイス100を調整することができる。例えば、いくつかの態様では、術者は、挿入されたネイル108からターゲティングデバイス100を切り離すことができる(例えば、ラグボルト122を取り外すことによって)。ターゲティングデバイス100が切り離された状態で、術者は接続ボウ106を追加することができる。例えば、術者は、ベースプレート104をターゲティング本体102から切り離し、接続ボウ106をターゲティング本体102に連結し、ベースプレート104を接続ボウ106に連結することができる。次いで、術者は、ターゲティングデバイス100を挿入されたネイル108に再度連結することができる。
【0082】
ターゲティングデバイス100が前面/後面に骨孔を作成するための位置にある状態で、術者は、内側面/外側面について上述したのと同様の方法でターゲティングデバイス100を位置合わせし、スクリュー孔126Aおよび126Bとそれぞれ同軸の骨孔を患者1300の上腕骨に穿孔してもよい。この時点で、術者は、内側面/外側面および前面/後面において、または前面/後面においてのみ、作成された骨孔の各々に骨スクリューを挿入することができる。ネイルのスクリュー孔124A、124B、126A、および126Bの各々を骨スクリューが通る状態でネイル108が挿入されると、術者は、任意の最終ステップを完了して処置を完遂する(例えば、患者の切開部を閉鎖する)ことができる。
【0083】
さらに詳述することなく、当業者であれば、特許請求される発明を最大限に利用するために前述の説明を使用することができると考えられる。本明細書に開示された例および態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の例の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示された例の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な例の特徴の任意の適切な組み合わせが企図される。
【国際調査報告】