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特表2024-512215メタニューモウイルス、抗原性メタニューモウイルスタンパク質に結合する抗体、及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】メタニューモウイルス、抗原性メタニューモウイルスタンパク質に結合する抗体、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240312BHJP
   C07K 16/10 20060101ALI20240312BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240312BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240312BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240312BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 15/40 20060101ALI20240312BHJP
   C07K 14/08 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240312BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/10 ZNA
C12P21/08
C07K16/46
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/04
C07K19/00
C12N15/40
C07K14/08
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P31/12
A61K39/395 N
A61K39/39
A61P37/04
A61K39/00 H
A61P11/00
A61K47/64
G01N33/569 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548242
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022015565
(87)【国際公開番号】W WO2022173714
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,920
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/276,172
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.BRIJ
3.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジフェン
(72)【発明者】
【氏名】コックス,カラ・エス.
(72)【発明者】
【氏名】フリッドマン,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ガリ,ジェニファー・ドーン
(72)【発明者】
【氏名】ス,フア-プー
(72)【発明者】
【氏名】タン,アイミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォラ,カルピット
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,シャオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ラン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA14
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ10
4B063QQ79
4B063QQ96
4B063QR48
4B063QS33
4B063QS38
4B063QX01
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC15
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B064DA15
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD14
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB15
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA19
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C084ZC75
4C085AA03
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD33
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG03
4C085GG05
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA53
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、抗ヒトメタニューモウイルス(hMPV)抗体、並びにウイルス感染症の治療におけるそのような抗体の使用に関する。本発明はまた、抗原性hMPVタンパク質及びそのような抗原性hMPVタンパク質を含む免疫原性組成物、並びに対象におけるウイルス感染を予防又は治療するためのそのような抗原性hMPVタンパク質及び関連組成物の使用を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
配列番号2~配列番号340からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2及びCDR3を含む可変領域並びに/あるいは配列番号341~配列番号649からなる群から選択される3つの軽鎖CDR CDR1、CDR2及びCDR3を含む可変領域を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、35、38、41、44、47、50、53、56、59、62、65、68、71、74、77、80、83、86、89、92、95、98、101、104、107、110、113、116、119、122、125、128、131、134、137、140、143、146、149、152、155、158、161、164、167、170、173、176、179、182、185、188、191、194、197、200、203、206、209、212、215、218、221、224、227、230、233、236、239、242、245、248、251、254、257、260、263、266、269、272、275、278、281、284、287、290、293、296、299、302、305、308、311、314、317、320、323、326、329、332、335及び338からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、78、81、84、87、90、93、96、99、102、105、108、111、114、117、120、123、126、129、132、135、138、141、144、147、150、153、156、159、162、165、168、171、174、177、180、183、186、189、192、195、198、201、204、207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、243、246、249、252、255、258、261、264、267、270、273、276、279、282、285、288、291、294、297、300、303、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336及び339からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号4、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、37、40、43、46、49、52、55、58、61、64、67、70、73、76、79、82、85、88、91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139、142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190、193、196、199、202、205、208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、244、247、250、253、256、259、262、265、268、271、274、277、280、283、286、289、292、295、298、301、304、307、310、313、316、319、322、325、328、331、334、337及び340からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
(a)それぞれ配列番号2、3、及び4のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(b)それぞれ配列番号5、6、及び7のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(c)それぞれ配列番号8、9、及び10のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(d)それぞれ配列番号11、12、及び13のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(e)それぞれ配列番号14、15、及び16のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(f)それぞれ配列番号17、18、及び19のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(g)それぞれ配列番号20、21、及び22のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(h)それぞれ配列番号23、24、及び25のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(i)それぞれ配列番号26、27、及び28のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(j)それぞれ配列番号29、30、及び31のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(k)それぞれ配列番号32、33、及び34のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(l)それぞれ配列番号35、36、及び37のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(m)それぞれ配列番号38、39、及び40のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(n)それぞれ配列番号41、42、及び43のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(o)それぞれ配列番号44、45、及び46のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(p)それぞれ配列番号47、48、及び49のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(q)それぞれ配列番号50、51、及び52のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(r)それぞれ配列番号53、54、及び55のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(s)それぞれ配列番号56、57、及び58のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(t)それぞれ配列番号59、60、及び61のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(u)それぞれ配列番号62、63、及び64のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(v)それぞれ配列番号65、66、及び67のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(w)それぞれ配列番号68、69、及び70のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(x)それぞれ配列番号71、72、及び73のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(y)それぞれ配列番号74、75、及び76のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(z)それぞれ配列番号77、78、及び79のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(aa)それぞれ配列番号80、81、及び82のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(bb)それぞれ配列番号83、84、及び85のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(cc)それぞれ配列番号86、87、及び88のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(dd)それぞれ配列番号89、90、及び91のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(ee)それぞれ配列番号92、93、及び94のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(ff)それぞれ配列番号95、96、及び97のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(gg)それぞれ配列番号98、99、及び100のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
(hh)それぞれ配列番号101、102及び103のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ii)それぞれ配列番号104、105及び106のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(jj)それぞれ配列番号107、108及び109のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(kk)それぞれ配列番号110、111及び112のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ll)それぞれ配列番号113、114及び115のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(mm)それぞれ配列番号116、117及び118のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(nn)それぞれ配列番号119、120及び121のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(oo)それぞれ配列番号122、123及び124のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(pp)それぞれ配列番号125、126及び127のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(qq)それぞれ配列番号128、129及び130のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(rr)それぞれ配列番号131、132及び133のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ss)それぞれ配列番号134、135及び136のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(tt)それぞれ配列番号137、138及び139のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(uu)それぞれ配列番号140、141及び142のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(vv)それぞれ配列番号143、144及び145のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ww)それぞれ配列番号146、147及び148のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(xx)それぞれ配列番号149、150及び151のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(yy)それぞれ配列番号152、153及び154のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(zz)それぞれ配列番号155、156及び157のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aaa)それぞれ配列番号158、159及び160のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bbb)それぞれ配列番号161、162及び163のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ccc)それぞれ配列番号164、165及び166のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ddd)それぞれ配列番号167、168及び169のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(eee)それぞれ配列番号170、171及び172のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(fff)それぞれ配列番号173、174及び175のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ggg)それぞれ配列番号176、177及び178のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hhh)それぞれ配列番号179、180及び181のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(iii)それぞれ配列番号182、183及び184のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(jjj)それぞれ配列番号185、186及び187のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(kkk)それぞれ配列番号188、189及び190のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(lll)それぞれ配列番号191、192及び193のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(mmm)それぞれ配列番号194、195及び196のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(nnn)それぞれ配列番号197、198及び199のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ooo)それぞれ配列番号200、201及び202のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ppp)それぞれ配列番号203、204及び205のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(qqq)それぞれ配列番号206、207及び208のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(rrr)それぞれ配列番号209、210及び211のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(sss)それぞれ配列番号212、213及び214のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ttt)それぞれ配列番号215、216及び217のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(uuu)それぞれ配列番号218、219及び220のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(vvv)それぞれ配列番号221、222及び223のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(www)それぞれ配列番号224、225及び226のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(xxx)それぞれ配列番号227、228及び229のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(yyy)それぞれ配列番号230、231及び232のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(zzz)それぞれ配列番号233、234及び235のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aaaa)それぞれ配列番号236、237及び238のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bbbb)それぞれ配列番号239、240及び241のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(cccc)それぞれ配列番号242、243及び244のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(dddd)それぞれ配列番号245、246及び247のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(eeee)それぞれ配列番号248、249及び250のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ffff)それぞれ配列番号251、252及び253のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(gggg)それぞれ配列番号254、255及び256のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hhhh)それぞれ配列番号257、258及び259のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(iiii)それぞれ配列番号260、261及び262のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(jjjj)それぞれ配列番号263、264及び265のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(kkkk)それぞれ配列番号266、267及び268のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(llll)それぞれ配列番号269、270及び271のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(mmmm)それぞれ配列番号272、273及び274のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(nnnn)それぞれ配列番号275、276及び277のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(oooo)それぞれ配列番号278、279及び280のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(pppp)それぞれ配列番号281、282及び283のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(qqqq)それぞれ配列番号284、285及び286のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(rrrr)それぞれ配列番号287、288及び289のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ssss)それぞれ配列番号290、291及び292のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(tttt)それぞれ配列番号293、294及び295のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(uuuu)それぞれ配列番号296、297及び298のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(vvvv)それぞれ配列番号299、300及び301のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(wwww)それぞれ配列番号302、303及び304のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(xxxx)それぞれ配列番号305、306及び307のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(yyyy)それぞれ配列番号308、309及び310のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(zzzz)それぞれ配列番号311、312及び313のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aaaaa)それぞれ配列番号314、315及び316のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bbbbb)それぞれ配列番号317、318及び319のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ccccc)それぞれ配列番号320、321及び322のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ddddd)それぞれ配列番号323、324及び325のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(eeeee)それぞれ配列番号326、327及び328のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(fffff)それぞれ配列番号329、330及び331のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ggggg)それぞれ配列番号332、333及び334のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hhhhh)それぞれ配列番号335、336及び337のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;並びに
(iiiii)それぞれ配列番号338、339及び340のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
からなる群から選択される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
(a)それぞれ配列番号341、342及び343のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(b)それぞれ配列番号344、345及び346のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(c)それぞれ配列番号347、348及び349のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(d)それぞれ配列番号350、351及び352のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(e)それぞれ配列番号353、354及び355のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(f)それぞれ配列番号356、357及び358のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(g)それぞれ配列番号359、360及び361のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(h)それぞれ配列番号362、363及び364のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(i)それぞれ配列番号365、366及び367のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(j)それぞれ配列番号368、369及び370のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(k)それぞれ配列番号371、372及び373のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(l)それぞれ配列番号374、375及び376のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(m)それぞれ配列番号377、378及び379のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(n)それぞれ配列番号380、381及び382のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(o)それぞれ配列番号383、384及び385のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(p)それぞれ配列番号386、387及び388のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(q)それぞれ配列番号389、390及び391のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(r)それぞれ配列番号392、393及び394のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(s)それぞれ配列番号395、396及び397のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(t)それぞれ配列番号398、399及び400のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(u)それぞれ配列番号401、402及び403のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(v)それぞれ配列番号404、405及び406のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(w)それぞれ配列番号407、408及び409のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(x)それぞれ配列番号410、411及び412のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(y)それぞれ配列番号413、414及び415のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(z)それぞれ配列番号416、417及び418のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aa)それぞれ配列番号419、420及び421のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bb)それぞれ配列番号422、423及び424のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(cc)それぞれ配列番号425、426及び427のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(dd)それぞれ配列番号428、429及び430のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ee)それぞれ配列番号431、432及び433のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ff)それぞれ配列番号434、435及び436のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(gg)それぞれ配列番号437、438及び439のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hh)それぞれ配列番号440、441及び442のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ii)それぞれ配列番号443、444及び445のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(jj)それぞれ配列番号446、447及び448のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(kk)それぞれ配列番号449、450及び451のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ll)それぞれ配列番号452、453及び454のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(mm)それぞれ配列番号455、456及び457のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(nn)それぞれ配列番号458、459及び460のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(oo)それぞれ配列番号461、462及び463のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(pp)それぞれ配列番号464、465及び466のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(qq)それぞれ配列番号467、468及び469のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(rr)それぞれ配列番号470、471及び472のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ss)それぞれ配列番号473、474及び475のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(tt)それぞれ配列番号476、477及び478のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(uu)それぞれ配列番号479、480及び481のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(vv)それぞれ配列番号482、483及び484のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ww)それぞれ配列番号485、486及び487のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(xx)それぞれ配列番号488、489及び490のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(yy)それぞれ配列番号491、492及び493のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(zz)それぞれ配列番号494、495及び496のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aaa)それぞれ配列番号497、498及び499のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bbb)それぞれ配列番号500、501及び502のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ccc)それぞれ配列番号503、504及び505のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ddd)それぞれ配列番号506、507及び508のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(eee)それぞれ配列番号509、510及び511のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(fff)それぞれ配列番号512、513及び514のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ggg)それぞれ配列番号515、516及び517のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hhh)それぞれ配列番号518、519及び520のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(iii)それぞれ配列番号521、522及び523のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(jjj)それぞれ配列番号524、525及び526のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(kkk)それぞれ配列番号527、528及び529のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(lll)それぞれ配列番号530、531及び532のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(mmm)それぞれ配列番号533、534及び535のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(nnn)それぞれ配列番号536、537及び538のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ooo)それぞれ配列番号539、540及び541のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ppp)それぞれ配列番号542、543及び544のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(qqq)それぞれ配列番号545、546及び547のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(rrr)それぞれ配列番号548、549及び550のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(sss)それぞれ配列番号551、552及び553のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ttt)それぞれ配列番号554、555及び556のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(uuu)それぞれ配列番号557、558及び559のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(vvv)それぞれ配列番号560、561及び562のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(www)それぞれ配列番号563、564及び565のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(xxx)それぞれ配列番号566、567及び568のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(yyy)それぞれ配列番号569、570及び571のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(zzz)それぞれ配列番号572、573及び574のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aaaa)それぞれ配列番号575、576及び577のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bbbb)それぞれ配列番号578、579及び580のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(cccc)それぞれ配列番号581、582及び583のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(dddd)それぞれ配列番号584、585及び586のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(eeee)それぞれ配列番号587、588及び589のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ffff)それぞれ配列番号590、591及び592のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(gggg)それぞれ配列番号593、594及び595のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hhhh)それぞれ配列番号596、597及び598のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(iiii)それぞれ配列番号599、600及び601のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(jjjj)それぞれ配列番号602、603及び604のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(kkkk)それぞれ配列番号605、606及び607のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(llll)それぞれ配列番号608、609及び610のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(mmmm)それぞれ配列番号611、612及び613のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(nnnn)それぞれ配列番号614、615及び616のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(oooo)それぞれ配列番号617、618及び619のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(pppp)それぞれ配列番号620、621及び622のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(qqqq)それぞれ配列番号623、624及び625のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(rrrr)それぞれ配列番号626、627及び628のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ssss)それぞれ配列番号629、630及び631のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(tttt)それぞれ配列番号632、633及び634のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(uuuu)それぞれ配列番号635、636及び637のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(vvvv)それぞれ配列番号638、639及び640のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(wwww)それぞれ配列番号641、642及び643のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(xxxx)それぞれ配列番号644、645及び646のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(yyyy)それぞれ配列番号647、648及び649のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(zzzz)それぞれ配列番号650、651及び652のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(aaaaa)それぞれ配列番号653、654及び655のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(bbbbb)それぞれ配列番号656、657及び658のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ccccc)それぞれ配列番号659、660及び661のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ddddd)それぞれ配列番号662、663及び664のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(eeeee)それぞれ配列番号665、666及び667のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(fffff)それぞれ配列番号668、669及び670のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(ggggg)それぞれ配列番号671、672及び673のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
(hhhhh)それぞれ配列番号674、675及び676のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;並びに
(iiiii)それぞれ配列番号677、678及び679のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
からなる群から選択される3つの軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1又は6に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
配列番号680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748、750、752、754、756、758、760、762、764、766、768、770、772、774、776、778、780、782、784、786、788、790、792、794、796、798、800、802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824、826、828、830、832、834、836、838、840、842、844、846、848、850、852、854、856、858、860、862、864、866、868、870、872、874、876、878、880、882、884、886、888、890、892、894、896、898、900、902及び904からなる群から選択される重鎖可変領域配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
配列番号680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748、750、752、754、756、758、760、762、764、766、768、770、772、774、776、778、780、782、784、786、788、790、792、794、796、798、800、802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824、826、828、830、832、834、836、838、840、842、844、846、848、850、852、854、856、858、860、862、864、866、868、870、872、874、876、878、880、882、884、886、888、890、892、894、896、898、900、902及び904からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%又は99%同一である可変領域配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
配列番号681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747、749、751、753、755、757、759、761、763、765、767、769、771、773、775、777、779、781、783、785、787、789、791、793、795、797、799、801、803、805、807、809、811、813、815、817、819、821、823、825、827、829、831、833、835、837、839、841、843、845、847、849、851、853、855、857、859、861、863、865、867、869、871、873、875、877、879、881、883、885、887、889、891、893、895、897、899、901、903及び905からなる群から選択される軽鎖可変領域配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
配列番号681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747、749、751、753、755、757、759、761、763、765、767、769、771、773、775、777、779、781、783、785、787、789、791、793、795、797、799、801、803、805、807、809、811、813、815、817、819、821、823、825、827、829、831、833、835、837、839、841、843、845、847、849、851、853、855、857、859、861、863、865、867、869、871、873、875、877、879、881、883、885、887、889、891、893、895、897、899、901、903及び905からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%又は99%同一である可変領域配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
配列番号680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748、750、752、754、756、758、760、762、764、766、768、770、772、774、776、778、780、782、784、786、788、790、792、794、796、798、800、802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824、826、828、830、832、834、836、838、840、842、844、846、848、850、852、854、856、858、860、862、864、866、868、870、872、874、876、878、880、882、884、886、888、890、892、894、896、898、900、902及び904からなる群から選択される重鎖可変領域配列を含み、
配列番号681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747、749、751、753、755、757、759、761、763、765、767、769、771、773、775、777、779、781、783、785、787、789、791、793、795、797、799、801、803、805、807、809、811、813、815、817、819、821、823、825、827、829、831、833、835、837、839、841、843、845、847、849、851、853、855、857、859、861、863、865、867、869、871、873、875、877、879、881、883、885、887、889、891、893、895、897、899、901、903及び905からなる群から選択される軽鎖可変領域配列を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
配列番号680のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号681のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
配列番号682のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号683のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
配列番号684のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号685のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
配列番号686のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号687のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
配列番号688のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号689のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
配列番号690のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号691のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項19】
配列番号692のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号693のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項20】
配列番号694のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号695のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項21】
配列番号696のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号697のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項22】
配列番号698のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号699のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項23】
配列番号700のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号701のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項24】
配列番号702のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号703のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項25】
配列番号704のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号705のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項26】
配列番号706のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号707のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項27】
配列番号708のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号709のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項28】
配列番号710のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号711のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項29】
配列番号712のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号713のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項30】
配列番号714のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号715のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項31】
配列番号716のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号717のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項32】
配列番号718のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号719のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項33】
配列番号720のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項34】
配列番号722のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号723のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項35】
配列番号724のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号725のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項36】
配列番号726のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号727のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項37】
配列番号728のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号729のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項38】
配列番号730のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号731のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項39】
配列番号732のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項40】
配列番号734のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号735のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項41】
配列番号736のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号737のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項42】
配列番号738のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号739のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項43】
配列番号740のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号741のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項44】
配列番号742のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号743のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項45】
配列番号744のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号745のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項46】
配列番号746のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号747のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項47】
配列番号748のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号749のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項48】
配列番号750のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号751のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項49】
配列番号752のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号753のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項50】
配列番号754のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号755のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項51】
配列番号756のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号757のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項52】
配列番号758のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号759のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項53】
配列番号760のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号761のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項54】
配列番号762のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号763のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項55】
配列番号764のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号765のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項56】
配列番号766のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号767のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項57】
配列番号768のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号769のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項58】
配列番号770のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号771のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項59】
配列番号772のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号773のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項60】
配列番号774のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号775のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項61】
配列番号776のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号777のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項62】
配列番号778のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号779のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項63】
配列番号780のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号781のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項64】
配列番号782のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号783のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項65】
配列番号784のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号785のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項66】
配列番号786のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号787のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項67】
配列番号788のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号789のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項68】
配列番号790のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号791のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項69】
配列番号792のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号793のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項70】
配列番号794のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号795のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項71】
配列番号796のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号797のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項72】
配列番号798のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号799のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項73】
配列番号800のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号801のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項74】
配列番号802のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号803のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項75】
配列番号804のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号805のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項76】
配列番号806のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号807のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項77】
配列番号808のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号809のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項78】
配列番号810のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号811のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項79】
配列番号812のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号813のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項80】
配列番号814のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号815のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項81】
配列番号816のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号817のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項82】
配列番号818のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号819のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項83】
配列番号820のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号821のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項84】
配列番号822のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号823のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項85】
配列番号824のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号825のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項86】
配列番号826のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号827のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項87】
配列番号828のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号829のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項88】
配列番号830のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号831のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項89】
配列番号832のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号833のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項90】
配列番号834のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号835のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項91】
配列番号836のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号837のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項92】
配列番号838のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号839のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項93】
配列番号840のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号841のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項94】
配列番号842のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号843のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項95】
配列番号844のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号845のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項96】
配列番号846のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号847のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項97】
配列番号848のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号849のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項98】
配列番号850のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号851のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項99】
配列番号852のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号853のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項100】
配列番号854のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号855のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項101】
配列番号856のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号857のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項102】
配列番号858のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号859のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項103】
配列番号860のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号861のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項104】
配列番号862のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号863のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項105】
配列番号864のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号865のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項106】
配列番号866のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号867のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項107】
配列番号868のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号869のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項108】
配列番号870のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号871のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項109】
配列番号872のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号873のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項110】
配列番号874のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号875のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項111】
配列番号876のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号877のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項112】
配列番号878のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号879のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項113】
配列番号880のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号881のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項114】
配列番号882のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号883のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項115】
配列番号884のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号885のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項116】
配列番号886のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号887のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項117】
配列番号888のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号889のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項118】
配列番号890のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号891のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項119】
配列番号892のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号893のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項120】
配列番号894のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号895のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項121】
配列番号896のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号897のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項122】
配列番号898のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号899のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項123】
配列番号900のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号901のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項124】
配列番号902のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号903のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項125】
配列番号904のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号905のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項126】
配列番号906のアミノ酸配列及び/又は配列番号907のアミノ酸配列を含む、請求項1~8、10又は12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項127】
hMPV A及び/又はhMPV Bを中和する、請求項1~126のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項128】
hMPV感染を阻害する、請求項1~127のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項129】
前記抗体若しくはその抗原結合断片が、hMPVを10マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)以下の中和効力(IC50)で中和する、及び/又は
前記抗体若しくはその抗原結合断片が、hMPVを表3Aに記載の中和効力(IC50)で中和する、
請求項1~128のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項130】
前記抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE(商標))又は同様の技術(例えば、KinExa(商標)又はOCTET(商標))によって決定される場合、約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でhMPV Fタンパク質又はhMPVプレフュージョンFタンパク質に結合する、請求項1~129のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項131】
前記抗体又はその抗原結合断片がインビトロでhMPVを中和する、請求項1~130のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項132】
前記抗体又はその抗原結合断片がインビボでhMPVを中和する、請求項1~131のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項133】
前記抗体又はその抗原結合断片が交差反応する、及び/又はRSVを中和する、請求項1~132のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項134】
前記抗体が、キメラ、ヒト又はヒト化抗体である、請求項1~133のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項135】
請求項1~133のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と同じhMPV上のエピトープに結合する、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項136】
配列番号1、配列番号910、配列番号911、配列番号912及び/又は配列番号913のhMPVのエピトープに結合する、請求項1~135のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項137】
hMPV(配列番号1)の1つ又は複数の部位?、I、II、III、III’、IV、IV’、V、α、βに結合する、請求項1~136のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項138】
請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と、第2の結合領域と、を含む二重特異性分子。
【請求項139】
前記第2の結合領域がhMPVに結合する、請求項138に記載の二重特異性分子。
【請求項140】
前記第2の結合領域が、ウイルス状態又はウイルス疾患に関連する抗原又はリガンドに結合する、請求項138に記載の二重特異性分子。
【請求項141】
請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項138~140のいずれか一項に記載の二重特異性分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項142】
請求項141に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項143】
請求項142に記載の発現ベクターで形質転換された細胞。
【請求項144】
ウイルスを予防、治療又は検出するための医薬組成物であって、
請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体若しくは抗原結合断片、又は請求項138~140のいずれか一項に記載の二重特異性分子;及び
薬学的に許容され得る担体
を含む、ウイルスを予防、治療又は検出するための医薬組成物。
【請求項145】
1又は複数の更なる治療剤を更に含む、請求項144に記載の医薬組成物。
【請求項146】
前記1又は複数の更なる治療剤が、免疫調節剤、ホルモン、細胞毒性剤、酵素、放射性核種、少なくとも1つの免疫調節剤にコンジュゲートされた第2の抗体、酵素、放射性標識、ホルモン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、細胞毒性剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項145に記載の医薬組成物。
【請求項147】
hMPVを予防、治療又は検出するためのキットであって、
請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項138~140のいずれか一項に記載の二重特異性分子、又は請求項144~146のいずれか一項に記載の医薬組成物;及び使用説明書
を含む、hMPVを予防、治療又は検出するためのキット。
【請求項148】
抗体又はその抗原結合断片の製造方法であって、
請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片のいずれか1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、前記ポリヌクレオチドの発現に好都合な条件下で培養することと、任意選択的に、前記抗体又はその抗原結合断片を前記宿主細胞及び/又は培養培地から回収することと、を含む、抗体又はその抗原結合断片の製造方法。
【請求項149】
請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を試料に投与することと、前記抗体又はその抗原結合断片の存在を検出することと、を含む、hMPVを選択的に検出する方法。
【請求項150】
前記試料が体液を含む、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記試料が対象由来の血清を含む、請求項149に記載の方法。
【請求項152】
ウイルス性疾患を有する対象を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項138~140のいずれか一項に記載の二重特異性分子又は請求項144~146のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、ウイルス性疾患を有する対象を治療するための方法。
【請求項153】
前記hMPVに関連するウイルス性疾患が、MPV感染(例えば、hMPV感染)、MPV感染に関連する臨床症状、細気管支炎を導く急性気道感染につながる下気道感染(LTRI)、及び肺炎からなる群から選択される、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
1又は複数の更なる療法を投与することを更に含む、請求項152又は153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
hMPVに結合させ、
hMPVを中和し、及び/又は
hMPVに関連する障害若しくは状態を、それを必要とする対象において治療するための、
医薬品の調製における使用のための、請求項1~137のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項138~140のいずれか一項に記載の二重特異性分子、又は請求項144~146のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項156】
配列番号1の残基491~539を含まず、配列番号911の残基1~490を含む単離されたhMPV Fポリペプチド、又はそのバリアント。
【請求項157】
前記バリアントが、配列番号911の残基1~490と95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項156に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項158】
配列番号911又はそのバリアントを含み、前記単離されたhMPV Fポリペプチドの前記バリアントアミノ酸配列が残基491~512において変化しない、請求項157に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項159】
配列番号911からなる、請求項158に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項160】
配列番号911の残基1~490、又はそのバリアントと、三量化ドメインとを含む単離されたhMPV Fポリペプチドであって、
前記単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号1の残基491~539を含まない、
配列番号911の残基1~490、又はそのバリアントと、三量化ドメインとを含む単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項161】
前記三量体化ドメインが、GCN4ドメイン、T4フォルドンドメイン、ヒトXV型コラーゲンドメイン又はヒトXVIII型コラーゲンドメインである、請求項160に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項162】
前記GCN4ドメインが配列番号1022のアミノ酸配列を有し、前記T4フォルドンドメインが配列番号1012のアミノ酸配列を有し、前記ヒトXV型コラーゲンドメインが配列番号1023のアミノ酸配列を有し、前記ヒトXVIII型コラーゲンドメインが配列番号1024のアミノ酸配列を有する、請求項161に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項163】
残基99~102におけるプロテアーゼ切断配列が、フーリン切断配列で置き換えられる、請求項160~162のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項164】
前記フーリン切断配列が配列番号1025又は1026である、請求項163に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項165】
前記フーリン切断配列が、配列番号1027、1028、1029、1030、1031、1032、1033、1034、1035、1036、1037、1038、1039、1040、1041、1042、1043、1044、1045、1046、1047、1048、1049、1050、1051、1052、1053、1054、1055、1056、1057、1058、1059、1060、1061、1062、1063、1064、1065又は1066である、請求項164に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項166】
前記フーリン切断配列が配列番号1033である、請求項165に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項167】
残基185に変異を有する、請求項160~163のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項168】
前記変異がA185Pである、請求項167に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項169】
配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、又は配列番号913の残基1~521、又はそれらのバリアントを含む単離されたhMPV Fポリペプチドであって、
前記配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化せず、
前記配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、
前記配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない、
配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、又は配列番号913の残基1~521、又はそれらのバリアントを含む単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項170】
前記バリアントが、配列番号910の残基1~521に対して95~99%の同一性、配列番号912の残基1~518に対して95~99%の同一性、又は配列番号913の残基1~521に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記配列番号910の残基1~521を含むバリアントは、残基486~517において変化せず、
前記配列番号912の残基1~518を含むバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、
前記配列番号913の残基1~521を含むバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない、
請求項161又は162に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項171】
配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、又は配列番号913の残基1~521からなる、請求項170に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項172】
切断配列及び少なくとも1つのアフィニティタグ配列を含む、請求項156~157及び169~170のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項173】
前記切断配列がトロンビン切断配列である、請求項172に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項174】
前記アフィニティタグ配列が、6xHis配列(配列番号1014)又はstrepタグII配列である、請求項172又は173に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項175】
配列番号910、配列番号912又は配列番号913のアミノ酸配列を含む、請求項163に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項176】
配列番号910、配列番号912又は配列番号913のアミノ酸配列からなる、請求項175に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項177】
請求項156~176のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項178】
前記単離された核酸がコドン最適化されている、請求項177に記載の単離された核酸。
【請求項179】
配列番号1006のヌクレオチド配列又はそのバリアントを含む単離された核酸であって、前記バリアントが配列番号911のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、前記単離された核酸が配列番号1003の残基1453~1600を含まない、配列番号1006のヌクレオチド配列又はそのバリアントを含む単離された核酸。
【請求項180】
前記バリアントが配列番号1007を含む、請求項179に記載の単離された核酸。
【請求項181】
配列番号1004若しくはそのバリアント、配列番号1008若しくはそのバリアント、又は配列番号1010若しくはそのバリアントのヌクレオチド配列を含む単離された核酸であって、
前記配列番号1004を含む単離された核酸のバリアントは、配列番号910のアミノ酸配列をコードし、
前記配列番号1008を含む単離された核酸のバリアントは、配列番号912のアミノ酸配列をコードし、
前記配列番号1010を含む単離された核酸のバリアントは、配列番号913のアミノ酸配列をコードする、
配列番号1004若しくはそのバリアント、配列番号1008若しくはそのバリアント、又は配列番号1010若しくはそのバリアントのヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
【請求項182】
前記配列番号1004を含む単離された核酸のバリアントが、配列番号1005を含み、
前記配列番号1008を含む単離された核酸のバリアントが、配列番号1009を含み、
前記配列番号1010を含む単離された核酸のバリアントが、配列番号1011を含む、
請求項181に記載の単離された核酸。
【請求項183】
前記バリアントが、配列番号1004、配列番号1008又は配列番号1010の核酸配列に対して95~99%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項182に記載の単離された核酸。
【請求項184】
単離された抗原性ポリペプチド、配列番号911の残基1~490からなる単離された抗原性ペプチド、又はそのバリアント、及び薬学的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
【請求項185】
前記バリアントが、配列番号911の残基1~490に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項184に記載の免疫原性組成物。
【請求項186】
単離された抗原性ポリペプチドを含む免疫原性組成物であって、前記単離された抗原性ペプチドが、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、若しくは配列番号913の残基1~521、又はそれらのバリアントを含み、
前記配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化せず、
前記配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、
前記配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない、
単離された抗原性ポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項187】
前記単離された抗原性ポリペプチドが、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、若しくは配列番号913の残基1~521、又はそれらのバリアントからなり、
前記配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントが、残基486~517において変化せず、
前記配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントが、残基102~105及び490~516において変化せず、
前記配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントが、残基99~102、185及び485~521において変化しない、
請求項186に記載の免疫原性組成物。
【請求項188】
前記バリアントが、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、又は配列番号913の残基1~521に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントが、残基486~517において変化せず、
前記配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントが、残基102~105及び490~516において変化せず、
前記配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントが、残基99~102、185及び485~521において変化しない、
請求項186又は187に記載の免疫原性組成物。
【請求項189】
前記免疫原性組成物が多価である、請求項184~188のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項190】
アジュバントを更に含む、請求項184~189のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項191】
アジュバントを含まない、請求項184~189のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項192】
対象において免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に抗原特異的免疫応答を生成するのに有効な量の請求項184~191のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、対象において免疫応答を誘導する方法。
【請求項193】
前記抗原特異的免疫応答がT細胞応答又はB細胞応答を含む、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記対象に単回用量の前記免疫原性組成物が投与される、請求項192又は193に記載の方法。
【請求項195】
前記対象にブースター用量の前記免疫原性組成物が投与される、請求項192又は193に記載の方法。
【請求項196】
前記免疫原性組成物が皮内注射又は筋肉内注射によって前記対象に投与される、請求項192~195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記対象がhMPVに曝露されているか、前記対象がhMPVに感染しているか、又は前記対象がhMPVからの感染のリスクがある、請求項192~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導する際に使用するための、請求項184~191のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項199】
対象におけるhMPV感染の予防又は治療に使用するための、請求項184~191のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項200】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導する際に使用するための、請求項156~176のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項201】
対象におけるヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染の予防又は治療に使用するための、請求項156~176のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド。
【請求項202】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導するための医薬品の製造における、請求項156~176のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド又は請求項177~183のいずれか一項に記載の単離された核酸の使用。
【請求項203】
対象におけるヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染を予防又は治療するための医薬品の製造における、請求項156~176のいずれか一項に記載の単離されたhMPV Fポリペプチド又は請求項177~183のいずれか一項に記載の単離された核酸の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトメタニューモウイルスに特異的に結合及び/又は中和する抗体又はその抗原結合断片に関する。本発明の別の態様は、抗体又はその抗原結合断片を含む組成物及びキットに関する。本発明の別の態様は、抗体又はその抗原結合断片を投与することによって、疾患、例えば呼吸器感染症を治療する方法に関する。本発明の別の態様は、抗原性ヒトメタニューモウイルスFタンパク質に関する。本発明の別の態様は、抗原性ヒトメタニューモウイルスFタンパク質を投与することによって、疾患、例えば呼吸器感染症を予防又は治療する方法に関する。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
【0003】
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年1月27日に作成された当該ASCIIコピーの名称は25170-WO-PCT_SL.txtであり、サイズは495,474バイトである。
【背景技術】
【0004】
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)はニューモウイルス科に属し、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)と密接に関連している。それは、小児、高齢者及び免疫無防備状態の成人において急性下気道感染症を引き起こす主要な病原体である。HMPVは、2つの主要な表面糖タンパク質、融合(F)タンパク質及び糖タンパク質(G)タンパク質をコードする。タンパク質分解切断プロセス後に成熟する表面F糖タンパク質は、構造再編成によってウイルス融合を媒介し、hMPVに対する中和抗体の主な標的である。自然感染によって誘導されるhMPV-F抗体応答の特異性及び機能性の現在の理解は、依然としてはっきりとしていない。hMPVに関連する疾患を治療するための治療的処置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、メタニューモウイルス(MPV)に結合し、及び/又はそれを中和することができる抗体及びその抗原結合断片、並びに抗体又はその抗原結合断片を使用してMPVに結合し、及び/又はそれを中和する方法、医薬組成物、使用及びキットを提供する。様々な実施形態では、MPVは哺乳動物である。例えば、哺乳動物MPVはヒトMPV(hMPV)を含む。様々な実施形態において、hMPVは表面糖タンパク質を含む。例えば、糖タンパク質は、F糖タンパク質及び/又はG糖タンパク質を含む。
【0006】
本開示は、表1~3に記載の少なくとも1つのCDR、3つのCDR又は6つのCDRを含むhMPVに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。本開示は、表1~3に記載される少なくとも1つの可変領域/ドメインを含むhMPVに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。例えば、hMPVに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、又は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0007】
本発明の一態様は、hMPVに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0008】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、3つの重鎖相補性決定領域(CDR)、すなわちCDR1、CDR2及びCDR3を含む可変領域を含む。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2~340のアミノ酸配列を含むいずれか1つのCDRを含む可変領域を含む。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号341~649からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む3つの軽鎖CDR CDR1、CDR2、及びCDR3を含む可変領域を含む。
【0009】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、35、38、41、44、47、50、53、56、59、62、65、68、71、74、77、80、83、86、89、92、95、98、101、104、107、110、113、116、119、122、125、128、131、134、137、140、143、146、149、152、155、158、161、164、167、170、173、176、179、182、185、188、191、194、197、200、203、206、209、212、215、218、221、224、227、230、233、236、239、242、245、248、251、254、257、260、263、266、269、272、275、278、281、284、287、290、293、296、299、302、305、308、311、314、317、320、323、326、329、332、335及び338からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1を含む。様々な実施形態では、CDR1は重鎖可変領域CDR1である。
【0010】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、78、81、84、87、90、93、96、99、102、105、108、111、114、117、120、123、126、129、132、135、138、141、144、147、150、153、156、159、162、165、168、171、174、177、180、183、186、189、192、195、198、201、204、207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、243、246、249、252、255、258、261、264、267、270、273、276、279、282、285、288、291、294、297、300、303、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336及び339からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2を含む。様々な実施形態では、CDR2は、重鎖可変領域CDR2である。
【0011】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号4、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、37、40、43、46、49、52、55、58、61、64、67、70、73、76、79、82、85、88、91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139、142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190、193、196、199、202、205、208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、244、247、250、253、256、259、262、265、268、271、274、277、280、283、286、289、292、295、298、301、304、307、310、313、316、319、322、325、328、331、334、337及び340からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む。様々な実施形態では、CDR3は重鎖可変領域CDR3である。
【0012】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの重鎖可変領域及び/又は少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
【0013】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、以下からなる群から選択される3つのCDRを含む重鎖可変領域を含む。
【0014】
(a)それぞれ配列番号2、3、及び4のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0015】
(b)それぞれ配列番号5、6、及び7のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0016】
(c)それぞれ配列番号8、9、及び10のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0017】
(d)それぞれ配列番号11、12、及び13のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0018】
(e)それぞれ配列番号14、15、及び16のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0019】
(f)それぞれ配列番号17、18、及び19のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0020】
(g)それぞれ配列番号20、21、及び22のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0021】
(h)それぞれ配列番号23、24、及び25のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0022】
(i)それぞれ配列番号26、27、及び28のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0023】
(j)それぞれ配列番号29、30、及び31のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0024】
(k)それぞれ配列番号32、33、及び34のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0025】
(l)それぞれ配列番号35、36、及び37のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0026】
(m)それぞれ配列番号38、39、及び40のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0027】
(n)それぞれ配列番号41、42、及び43のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0028】
(o)それぞれ配列番号44、45、及び46のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0029】
(p)それぞれ配列番号47、48、及び49のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0030】
(q)それぞれ配列番号50、51、及び52のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0031】
(r)それぞれ配列番号53、54、及び55のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0032】
(s)それぞれ配列番号56、57、及び58のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0033】
(t)それぞれ配列番号59、60、及び61のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0034】
(u)それぞれ配列番号62、63、及び64のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0035】
(v)それぞれ配列番号65、66、及び67のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0036】
(w)それぞれ配列番号68、69、及び70のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0037】
(x)それぞれ配列番号71、72、及び73のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0038】
(y)それぞれ配列番号74、75、及び76のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0039】
(z)それぞれ配列番号77、78、及び79のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0040】
(aa)それぞれ配列番号80、81、及び82のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0041】
(bb)それぞれ配列番号83、84、及び85のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0042】
(cc)それぞれ配列番号86、87、及び88のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0043】
(dd)それぞれ配列番号89、90、及び91のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0044】
(ee)それぞれ配列番号92、93、及び94のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0045】
(ff)それぞれ配列番号95、96、及び97のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0046】
(gg)それぞれ配列番号98、99、及び100のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を含む可変領域;
【0047】
(hh)それぞれ配列番号101、102及び103のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0048】
(ii)それぞれ配列番号104、105及び106のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0049】
(jj)それぞれ配列番号107、108及び109のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0050】
(kk)それぞれ配列番号110、111及び112のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0051】
(ll)それぞれ配列番号113、114及び115のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0052】
(mm)それぞれ配列番号116、117及び118のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0053】
(nn)それぞれ配列番号119、120及び121のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0054】
(oo)それぞれ配列番号122、123及び124のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0055】
(pp)それぞれ配列番号125、126及び127のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0056】
(qq)それぞれ配列番号128、129及び130のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0057】
(rr)それぞれ配列番号131、132及び133のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0058】
(ss)それぞれ配列番号134、135及び136のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0059】
(tt)それぞれ配列番号137、138及び139のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0060】
(uu)それぞれ配列番号140、141及び142のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0061】
(vv)それぞれ配列番号143、144及び145のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0062】
(ww)それぞれ配列番号146、147及び148のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0063】
(xx)それぞれ配列番号149、150及び151のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0064】
(yy)それぞれ配列番号152、153及び154のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0065】
(zz)それぞれ配列番号155、156及び157のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0066】
(aaa)それぞれ配列番号158、159及び160のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0067】
(bbb)それぞれ配列番号161、162及び163のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0068】
(ccc)それぞれ配列番号164、165及び166のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0069】
(ddd)それぞれ配列番号167、168及び169のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0070】
(eee)それぞれ配列番号170、171及び172のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0071】
(fff)それぞれ配列番号173、174及び175のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0072】
(ggg)それぞれ配列番号176、177及び178のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0073】
(hhh)それぞれ配列番号179、180及び181のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0074】
(iii)それぞれ配列番号182、183及び184のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0075】
(jjj)それぞれ配列番号185、186及び187のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0076】
(kkk)それぞれ配列番号188、189及び190のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0077】
(lll)それぞれ配列番号191、192及び193のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0078】
(mmm)それぞれ配列番号194、195及び196のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0079】
(nnn)それぞれ配列番号197、198及び199のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0080】
(ooo)それぞれ配列番号200、201及び202のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0081】
(ppp)それぞれ配列番号203、204及び205のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0082】
(qqq)それぞれ配列番号206、207及び208のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0083】
(rrr)それぞれ配列番号209、210及び211のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0084】
(sss)それぞれ配列番号212、213及び214のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0085】
(ttt)それぞれ配列番号215、216及び217のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0086】
(uuu)それぞれ配列番号218、219及び220のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0087】
(vvv)それぞれ配列番号221、222及び223のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0088】
(www)それぞれ配列番号224、225及び226のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0089】
(xxx)それぞれ配列番号227、228及び229のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0090】
(yyy)それぞれ配列番号230、231及び232のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0091】
(zzz)それぞれ配列番号233、234及び235のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0092】
(aaaa)それぞれ配列番号236、237及び238のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0093】
(bbbb)それぞれ配列番号239、240及び241のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0094】
(cccc)それぞれ配列番号242、243及び244のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0095】
(dddd)それぞれ配列番号245、246及び247のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0096】
(eeee)それぞれ配列番号248、249及び250のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0097】
(ffff)それぞれ配列番号251、252及び253のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0098】
(gggg)それぞれ配列番号254、255及び256のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0099】
(hhhh)それぞれ配列番号257、258及び259のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0100】
(iiii)それぞれ配列番号260、261及び262のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0101】
(jjjj)それぞれ配列番号263、264及び265のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0102】
(kkkk)それぞれ配列番号266、267及び268のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0103】
(llll)それぞれ配列番号269、270及び271のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0104】
(mmmm)それぞれ配列番号272、273及び274のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0105】
(nnnn)それぞれ配列番号275、276及び277のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0106】
(oooo)それぞれ配列番号278、279及び280のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0107】
(pppp)それぞれ配列番号281、282及び283のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0108】
(qqqq)それぞれ配列番号284、285及び286のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0109】
(rrrr)それぞれ配列番号287、288及び289のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0110】
(ssss)それぞれ配列番号290、291及び292のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0111】
(tttt)それぞれ配列番号293、294及び295のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0112】
(uuuu)それぞれ配列番号296、297及び298のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0113】
(vvvv)それぞれ配列番号299、300及び301のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0114】
(wwww)それぞれ配列番号302、303及び304のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0115】
(xxxx)それぞれ配列番号305、306及び307のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0116】
(yyyy)それぞれ配列番号308、309及び310のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0117】
(zzzz)それぞれ配列番号311、312及び313のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0118】
(aaaaa)それぞれ配列番号314、315及び316のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0119】
(bbbbb)それぞれ配列番号317、318及び319のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0120】
(ccccc)それぞれ配列番号320、321及び322のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0121】
(ddddd)それぞれ配列番号323、324及び325のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0122】
(eeeee)それぞれ配列番号326、327及び328のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0123】
(fffff)それぞれ配列番号329、330及び331のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0124】
(ggggg)それぞれ配列番号332、333及び334のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0125】
(hhhhh)それぞれ配列番号335、336及び337のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;及び;
【0126】
(iiiii)それぞれ配列番号338、339及び340のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域。
【0127】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号341、344、347、350、353、356、359、362、365、368、371、374、377、380、383、386.389、392、395、398、401、404、407、410、413、416、419、422、425、428、431、434、437、440、443、446、449、452、455、458、461、464、467、470、473、476、479、482、485、488、491、494、497、500、503、506、509、512、515、518、521、524、527、530、533、536、539、542、545、548、551、554、557、560、563、566、569、572、575、578、581、584、587、590、593、596、599、602、605、608、611、614、617、620、623、626、629、632、635、638、641、644、647、650、653、656、659、662、665、668、671、674、及び677からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1を含む。様々な実施形態では、CDR1は軽鎖可変領域CDR1である。
【0128】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号342、345、348、351、354、357、360、363、366、369、372、375、378、381、384、387、390、393、396、399、402、405、408、411、414、417、420、423、426、429、432、435、438、441、444、447、450、453、456、459、462、465、468、471、474、477、480、483、486、489、492、495、498、501、504、507、510、513、516、519、522、525、528、531、534、537、540、543、546、549、552、555、558、561、564、567、570、573、576、579、582、585、588、591、594、597、600、603、606、609、612、615、618、621、624、627、630、633、636、639、642、645、648、651、654、657、660、663、666、669、672、675、及び678からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2を含む。様々な実施形態では、CDR2は軽鎖可変領域CDR2である。
【0129】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号343、346、349、352、355、358、361、364、367、370、373、376、379、382、385、388、391、394、397、400、403、406、409、412、415、418、421、424、427、430、433、436、439、442、445、448、451、454、457、460、463、466、469、472、475、478、481、484、487、490、493、496、499、502、505、508、511、514、517、520、523、526、529、532、535、538、541、544、547、550、553、556、559、562、565、568、571、574、577、580、583、586、589、592、595、598、601、604、607、610、613、616、619、622、625、628、631、634、637、640、643、646、649、652、655、658、661、664、667、670、673、676及び679からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む。様々な実施形態では、CDR3は軽鎖可変領域CDR3である。
【0130】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、以下からなる群から選択される3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0131】
(a)それぞれ配列番号341、342及び343のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0132】
(b)それぞれ配列番号344、345及び346のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0133】
(c)それぞれ配列番号347、348及び349のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0134】
(d)それぞれ配列番号350、351及び352のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0135】
(e)それぞれ配列番号353、354及び355のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0136】
(f)それぞれ配列番号356、357及び358のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0137】
(g)それぞれ配列番号359、360及び361のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0138】
(h)それぞれ配列番号362、363及び364のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0139】
(i)それぞれ配列番号365、366及び367のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0140】
(j)それぞれ配列番号368、369及び370のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0141】
(k)それぞれ配列番号371、372及び373のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0142】
(l)それぞれ配列番号374、375及び376のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0143】
(m)それぞれ配列番号377、378及び379のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0144】
(n)それぞれ配列番号380、381及び382のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0145】
(o)それぞれ配列番号383、384及び385のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0146】
(p)それぞれ配列番号386、387及び388のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0147】
(q)それぞれ配列番号389、390及び391のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0148】
(r)それぞれ配列番号392、393及び394のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0149】
(s)それぞれ配列番号395、396及び397のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0150】
(t)それぞれ配列番号398、399及び400のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0151】
(u)それぞれ配列番号401、402及び403のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0152】
(v)それぞれ配列番号404、405及び406のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0153】
(w)それぞれ配列番号407、408及び409のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0154】
(x)それぞれ配列番号410、411及び412のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0155】
(y)それぞれ配列番号413、414及び415のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0156】
(z)それぞれ配列番号416、417及び418のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0157】
(aa)それぞれ配列番号419、420及び421のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0158】
(bb)それぞれ配列番号422、423及び424のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0159】
(cc)それぞれ配列番号425、426及び427のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0160】
(dd)それぞれ配列番号428、429及び430のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0161】
(ee)それぞれ配列番号431、432及び433のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0162】
(ff)それぞれ配列番号434、435及び436のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0163】
(gg)それぞれ配列番号437、438及び439のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0164】
(hh)それぞれ配列番号440、441及び442のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0165】
(ii)それぞれ配列番号443、444及び445のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0166】
(jj)それぞれ配列番号446、447及び448のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0167】
(kk)それぞれ配列番号449、450及び451のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0168】
(ll)それぞれ配列番号452、453及び454のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0169】
(mm)それぞれ配列番号455、456及び457のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0170】
(nn)それぞれ配列番号458、459及び460のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0171】
(oo)それぞれ配列番号461、462及び463のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0172】
(pp)それぞれ配列番号464、465及び466のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0173】
(qq)それぞれ配列番号467、468及び469のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0174】
(rr)それぞれ配列番号470、471及び472のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0175】
(ss)それぞれ配列番号473、474及び475のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0176】
(tt)それぞれ配列番号476、477及び478のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0177】
(uu)それぞれ配列番号479、480及び481のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0178】
(vv)それぞれ配列番号482、483及び484のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0179】
(ww)それぞれ配列番号485、486及び487のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0180】
(xx)それぞれ配列番号488、489及び490のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0181】
(yy)それぞれ配列番号491、492及び493のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0182】
(zz)それぞれ配列番号494、495及び496のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0183】
(aaa)それぞれ配列番号497、498及び499のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0184】
(bbb)それぞれ配列番号500、501及び502のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0185】
(ccc)それぞれ配列番号503、504及び505のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0186】
(ddd)それぞれ配列番号506、507及び508のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0187】
(eee)それぞれ配列番号509、510及び511のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0188】
(fff)それぞれ配列番号512、513及び514のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0189】
(ggg)それぞれ配列番号515、516及び517のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0190】
(hhh)それぞれ配列番号518、519及び520のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0191】
(iii)それぞれ配列番号521、522及び523のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0192】
(jjj)それぞれ配列番号524、525及び526のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0193】
(kkk)それぞれ配列番号527、528及び529のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0194】
(lll)それぞれ配列番号530、531及び532のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0195】
(mmm)それぞれ配列番号533、534及び535のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0196】
(nnn)それぞれ配列番号536、537及び538のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0197】
(ooo)それぞれ配列番号539、540及び541のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0198】
(ppp)それぞれ配列番号542、543及び544のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0199】
(qqq)それぞれ配列番号545、546及び547のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0200】
(rrr)それぞれ配列番号548、549及び550のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0201】
(sss)それぞれ配列番号551、552及び553のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0202】
(ttt)それぞれ配列番号554、555及び556のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0203】
(uuu)それぞれ配列番号557、558及び559のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0204】
(vvv)それぞれ配列番号560、561及び562のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0205】
(www)それぞれ配列番号563、564及び565のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0206】
(xxx)それぞれ配列番号566、567及び568のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0207】
(yyy)それぞれ配列番号569、570及び571のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0208】
(zzz)それぞれ配列番号572、573及び574のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0209】
(aaaa)それぞれ配列番号575、576及び577のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0210】
(bbbb)それぞれ配列番号578、579及び580のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0211】
(cccc)それぞれ配列番号581、582及び583のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0212】
(dddd)それぞれ配列番号584、585及び586のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0213】
(eeee)それぞれ配列番号587、588及び589のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0214】
(ffff)それぞれ配列番号590、591及び592のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0215】
(gggg)それぞれ配列番号593、594及び595のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0216】
(hhhh)それぞれ配列番号596、597及び598のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0217】
(iiii)それぞれ配列番号599、600及び601のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0218】
(jjjj)それぞれ配列番号602、603及び604のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0219】
(kkkk)それぞれ配列番号605、606及び607のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0220】
(llll)それぞれ配列番号608、609及び610のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0221】
(mmmm)それぞれ配列番号611、612及び613のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0222】
(nnnn)それぞれ配列番号614、615及び616のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0223】
(oooo)それぞれ配列番号617、618及び619のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0224】
(pppp)それぞれ配列番号620、621及び622のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0225】
(qqqq)それぞれ配列番号623、624及び625のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0226】
(rrrr)それぞれ配列番号626、627及び628のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0227】
(ssss)それぞれ配列番号629、630及び631のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0228】
(tttt)それぞれ配列番号632、633及び634のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0229】
(uuuu)それぞれ配列番号635、636及び637のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0230】
(vvvv)それぞれ配列番号638、639及び640のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0231】
(wwww)それぞれ配列番号641、642及び643のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0232】
(xxxx)それぞれ配列番号644、645及び646のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0233】
(yyyy)それぞれ配列番号647、648及び649のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0234】
(zzzz)それぞれ配列番号650、651及び652のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0235】
(aaaaa)それぞれ配列番号653、654及び655のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0236】
(bbbbb)それぞれ配列番号656、657及び658のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0237】
(ccccc)それぞれ配列番号659、660及び661のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0238】
(ddddd)それぞれ配列番号662、663及び664のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0239】
(eeeee)それぞれ配列番号665、666及び667のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0240】
(fffff)それぞれ配列番号668、669及び670のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0241】
(ggggg)それぞれ配列番号671、672及び673のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;
【0242】
(hhhhh)それぞれ配列番号674、675及び676のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域;及び
【0243】
(iiiii)それぞれ配列番号677、678及び679のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3領域を含む可変領域。
【0244】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748、750、752、754、756、758、760、762、764、766、768、770、772、774、776、778、780、782、784、786、788、790、792、794、796、798、800、802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824、826、828、830、832、834、836、838、840、842、844、846、848、850、852、854、856、858、860、862、864、866、868、870、872、874、876、878、880、882、884、886、888、890、892、894、896、898、900、902及び904からなる群から選択される重鎖可変領域配列を含む。
【0245】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748、750、752、754、756、758、760、762、764、766、768、770、772、774、776、778、780、782、784、786、788、790、792、794、796、798、800、802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824、826、828、830、832、834、836、838、840、842、844、846、848、850、852、854、856、858、860、862、864、866、868、870、872、874、876、878、880、882、884、886、888、890、892、894、896、898、900、902及び904からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%又は99%同一である重鎖可変領域配列を含む。
【0246】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747、749、751、753、755、757、759、761、763、765、767、769、771、773、775、777、779、781、783、785、787、789、791、793、795、797、799、801、803、805、807、809、811、813、815、817、819、821、823、825、827、829、831、833、835、837、839、841、843、845、847、849、851、853、855、857、859、861、863、865、867、869、871、873、875、877、879、881、883、885、887、889、891、893、895、897、899、901、903及び905からなる群から選択される軽鎖可変領域配列を含む。
【0247】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747、749、751、753、755、757、759、761、763、765、767、769、771、773、775、777、779、781、783、785、787、789、791、793、795、797、799、801、803、805、807、809、811、813、815、817、819、821、823、825、827、829、831、833、835、837、839、841、843、845、847、849、851、853、855、857、859、861、863、865、867、869、871、873、875、877、879、881、883、885、887、889、891、893、895、897、899、901、903及び905からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%又は99%同一である軽鎖可変領域配列を含む。
【0248】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号680、682、684、686、688、690、692、694、696、698、700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748、750、752、754、756、758、760、762、764、766、768、770、772、774、776、778、780、782、784、786、788、790、792、794、796、798、800、802、804、806、808、810、812、814、816、818、820、822、824、826、828、830、832、834、836、838、840、842、844、846、848、850、852、854、856、858、860、862、864、866、868、870、872、874、876、878、880、882、884、886、888、890、892、894、896、898、900、902及び904からなる群から選択される重鎖可変領域配列を含み、配列番号681、683、685、687、689、691、693、695、697、699、701、703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747、749、751、753、755、757、759、761、763、765、767、769、771、773、775、777、779、781、783、785、787、789、791、793、795、797、799、801、803、805、807、809、811、813、815、817、819、821、823、825、827、829、831、833、835、837、839、841、843、845、847、849、851、853、855、857、859、861、863、865、867、869、871、873、875、877、879、881、883、885、887、889、891、893、895、897、899、901、903及び905からなる群から選択される軽鎖可変領域配列を含む。
【0249】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号680のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号681のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0250】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号682のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号683のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0251】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号684のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号685のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0252】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号686のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号687のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0253】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号688のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号689のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0254】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号690のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号691のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0255】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号692のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号693のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0256】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号694のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号695のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0257】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号696のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号697のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0258】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号698のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号699のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0259】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号700のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号701のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0260】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号702のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号703のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0261】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号704のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号705のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0262】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号706のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号707のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0263】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号708のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号709のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0264】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号710のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号711のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0265】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号712のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号713のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0266】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号714のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号715のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0267】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号716のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号717のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0268】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号718のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号719のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0269】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号720のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0270】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号722のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号723のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0271】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号724のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号725のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0272】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号726のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号727のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0273】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号728のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号729のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0274】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号730のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号731のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0275】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号732のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0276】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号734のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号735のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0277】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号736のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号737のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0278】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号738のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号739のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0279】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号740のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号741のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0280】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号742のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号743のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0281】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号744のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号745のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0282】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号746のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号747のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0283】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号748のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号749のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0284】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号750のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号751のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0285】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号752のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号753のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0286】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号754のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号755のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0287】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号756のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号757のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0288】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号758のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号759のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0289】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号760のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号761のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0290】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号762のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号763のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0291】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号764のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号765のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0292】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号766のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号767のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0293】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号768のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号769のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0294】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号770のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号771のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0295】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号772のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号773のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0296】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号774のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号775のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0297】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号776のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号777のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0298】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号778のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号779のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0299】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号780のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号781のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0300】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号782のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号783のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0301】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号784のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号785のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0302】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号786のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号787のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0303】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号788のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号789のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0304】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号790のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号791のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0305】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号792のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号793のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0306】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号794のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号795のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0307】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号796のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号797のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0308】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号798のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号799のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0309】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号800のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号801のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0310】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号802のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号803のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0311】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号804のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号805のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0312】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号806のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号807のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0313】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号808のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号809のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0314】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号810のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号811のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0315】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号812のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号813のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0316】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号814のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号815のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0317】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号816のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号817のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0318】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号818のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号819のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0319】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号820のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号821のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0320】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号822のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号823のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0321】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号824のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号825のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0322】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号826のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号827のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0323】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号828のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号829のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0324】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号830のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号831のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0325】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号832のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号833のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0326】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号834のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号835のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0327】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号836のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号837のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0328】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号838のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号839のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0329】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号840のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号841のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0330】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号842のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号843のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0331】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号844のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号845のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0332】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号846のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号847のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0333】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号848のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号849のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0334】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号850のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号851のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0335】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号852のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号853のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0336】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号854のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号855のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0337】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号856のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号857のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0338】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号858のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号859のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0339】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号860のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号861のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0340】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号862のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号863のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0341】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号864のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号865のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0342】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号866のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号867のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0343】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号868のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号869のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0344】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号870のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号871のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0345】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号872のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号873のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0346】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号874のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号875のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0347】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号876のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号877のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0348】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号878のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号879のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0349】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号880のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号881のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0350】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号882のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号883のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0351】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号884のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号885のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0352】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号886のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号887のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0353】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号888のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号889のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0354】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号890のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号891のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0355】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号892のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号893のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0356】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号894のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号895のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0357】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号896のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号897のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0358】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号898のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号899のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0359】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号900のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号901のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0360】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号902のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号903のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0361】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号904のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号905のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0362】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号906のアミノ酸配列及び/又は配列番号907のアミノ酸配列を含む。
【0363】
様々な実施形態では、hMPV A及び/又はhMPV Bを中和する、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はhMPV Aを中和する。特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はhMPV Bを中和する。
【0364】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はhMPV感染を阻害する。
【0365】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPVを10マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)以下、9μg/mL以下、8μg/mL以下、7μg/mL以下、6μg/mL以下、5μg/mL以下、4μg/mL以下、3μg/mL以下、2μg/mL以下、又は1μg/mL以下の中和効力(IC50)で中和する。
【0366】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPVを本明細書に記載の中和効力(IC50)、例えば表3A~Cで中和する。
【0367】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、インビトロでhMPVに結合し、これを中和する。
【0368】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、インビボでhMPVを中和する。
【0369】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)又は同様の技術(例えば、KinExa及びOCTET)によって決定される場合、約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でhMPV Fタンパク質若しくは抗原又はhMPVプレフュージョンFタンパク質若しくは抗原に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、処理されたF抗原に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、非処理F抗原に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、処理されたPreF抗原に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、非処理PreF抗原に結合する。
【0370】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、RSV及び/又はRSV抗原に結合し、交差反応し、及び/又はこれを中和する。
【0371】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は抗体である。例えば、抗体は、キメラ、ヒト又はヒト化抗体である。
【0372】
本発明の一態様は、本明細書に記載の任意の抗体又はその抗原結合断片、例えば表1~4に記載の抗体又はその抗原断片と同じhMPV上のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0373】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1、配列番号910、配列番号911、配列番号912、及び/又は配列番号913のhMPVのエピトープに結合する。
【0374】
本発明の一態様は、hMPV(配列番号1)の1つ又は複数の部位:?、I、II、III、III’、IV、IV’、V、α及び/又はβに結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位?に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位Iに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IIに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IIIに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位III’に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IVに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IV’に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位Vに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位αに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位βに結合する。
【0375】
本発明の一態様は、hMPVを中和し、及び/又はhMPV(配列番号1)の1又は複数の部位:?、I、II、III、III’、IV、IV’、V、α及び/又はβ部位に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位?に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位Iに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IIに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IIIに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位III’に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IVに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位IV’に結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位Vに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位αに結合する。様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPV(配列番号1)の部位βに結合する。
【0376】
様々な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、上記の特定の抗原部位に結合し、本明細書中、例えば表3B、表3C又は表3Dに記載の開示の抗体又はその抗原結合断片のVH及び/又はVLと80%を超える同一性(すなわち、80、85、90、95、97、98、99、100%を超える同一性)を有する。
【0377】
本発明の一態様は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む第1の結合領域と、第2の結合領域とを含む多重特異性分子を提供する。様々な実施形態では、多重特異性は二重特異性分子を含む。例えば、第2の結合領域は、ウイルス関連抗原に結合する。様々な実施形態では、第2の結合領域は、ウイルス状態又はウイルス疾患に関連する抗原又はリガンドに結合する。
【0378】
本発明の一態様は、本明細書に記載の任意の抗体若しくはその抗原結合断片又は本明細書に記載の任意の二重特異性分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0379】
本発明の一態様は、本明細書に記載の任意の核酸を含む発現ベクターを提供する。一例では、発現ベクターは、表3Dのポリペプチド(配列番号680~905)の少なくとも1つをコードする核酸を含む。
【0380】
本発明の一態様は、本明細書に記載の任意の発現ベクターで形質転換された細胞を提供する。
【0381】
本発明の一態様は、本明細書に記載の任意の抗体若しくは抗原結合断片、又は記載の任意の二重特異性分子と、薬学的に許容される担体と、を含む、ウイルスを予防、治療又は検出するための医薬組成物を提供する。様々な実施形態では、医薬組成物は、1又は複数の追加の予防剤又は治療剤を含む。医薬組成物の様々な実施形態では、1又は複数の更なる治療剤は、免疫調節剤、ホルモン、細胞毒性剤、酵素、放射性核種、少なくとも1つの免疫調節剤にコンジュゲートされた第2の抗体、酵素、放射性標識、ホルモン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は細胞毒性剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0382】
本発明の一態様は、ウイルスを予防、治療又は検出するためのキットであって、記載される任意の抗体又はその抗原結合断片、記載される任意の多重特異性分子(例えば、二重特異性分子)、及び/又は本明細書に記載される任意の医薬組成物;並びに使用説明書を含むキットを提供する。
【0383】
本発明の一態様は、抗体又はその抗原結合断片を産生する方法であって、本明細書中に記載される任意の抗体又はその抗原結合断片のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、ポリヌクレオチドの発現に好都合な条件下で培養することと、任意選択的に、抗体又はその抗原結合断片を宿主細胞及び/又は培地から回収することと、を含む方法を提供する。
【0384】
本発明の一態様は、本明細書に記載の任意の抗体又はその抗原結合断片を試料に投与又は接触させることと、抗体又はその抗原結合断片の存在を検出することと、を含む、hMPVを選択的に検出する方法を提供する。本方法の様々な実施形態では、試料は体液を含む。例えば、試料は、対象由来の血清を含む。
【0385】
本発明の一態様は、ウイルス性疾患を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の任意の抗体又はその抗原結合断片、本明細書に記載の任意の多重特異性(例えば、二重特異性)分子、及び/又は本明細書に記載の任意の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0386】
本方法の様々な実施形態では、ウイルス性疾患は、MPV感染(例えば、hMPV感染)、呼吸器ウイルス)、MPV感染に関連する臨床症状、細気管支炎を導く急性気道感染につながる下気道感染(LTRI)、肺炎からなる群から選択される。本方法の様々な実施形態では、MPV感染は、肺及び/又は気道の感染を含む。本方法の様々な実施形態では、呼吸器ウイルスは上気道ウイルスである。本方法の様々な実施形態では、ウイルス疾患はhMPV A型に関連する。様々な実施形態では、ウイルス疾患はhMPV B型に関連する。様々な実施形態では、呼吸器ウイルスはヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)である。
【0387】
様々な実施形態では、方法は、1つ又は複数の追加の療法を投与することを更に含む。
【0388】
本発明の一態様は、本明細書中に記載の任意の抗体又はその抗原結合断片、本明細書中に記載の任意の多重特異性(例えば、二重特異性)分子、及び/又は本明細書中に記載の任意の医薬組成物を、hMPVに結合し、hMPVを中和し、及び/又はhMPVに関連する障害若しくは状態を、それを必要とする対象において治療するための医薬品の調製において使用するために提供する。
【0389】
本発明の一態様はまた、単離されたhMPV Fポリペプチド、そのような単離されたポリペプチドをコードする核酸、及びそのような単離されたhMPV Fポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。そのような単離されたhMPV Fポリペプチド及び免疫原性組成物は、対象を免疫し、hMPV感染を予防又は治療するために使用され得る。
【0390】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、本発明は、配列番号911の残基1~490を含む単離されたhMPV Fポリペプチド、又はそのバリアントを提供し、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号1の残基491~539を含まない。様々な実施形態では、バリアントは、配列番号911の残基1~490に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。配列番号911又はそのバリアントを含む単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントアミノ酸配列は、配列番号911の残基491~512において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号911から、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1個のアミノ酸だけ異なる。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号911から1~15個のアミノ酸だけ異なる。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号911から1~10個のアミノ酸だけ異なる。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号911から1~5個のアミノ酸だけ異なる。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号911から1~3個のアミノ酸だけ異なる。
【0391】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号911からなる。
【0392】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号911の残基1~490、又はそのバリアント、及び三量化ドメインを含み、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号1の残基491~539を含まない。様々な実施形態では、三量体化ドメインは、GCN4ドメイン、T4フォルドンドメイン、ヒトXV型コラーゲンドメイン、又はヒトXVIII型コラーゲンドメインである。様々な実施形態では、GCN4ドメインが配列番号1022のアミノ酸配列を有し、T4フォルドンドメインが配列番号1012のアミノ酸配列を有し、ヒトXV型コラーゲンドメインが配列番号1023のアミノ酸配列を有し、ヒトXVIII型コラーゲンドメインが配列番号1024のアミノ酸配列を有する。
【0393】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、残基99~102におけるプロテアーゼ切断配列は、フーリン切断配列で置き換えられる。様々な実施形態では、フーリン切断配列は、配列番号1025又は1026である。様々な実施形態では、フーリン切断配列は、配列番号1027、1028、1029、1030、1031、1032、1033、1034、1035、1036、1037、1038、1039、1040、1041、1042、1043、1044、1045、1046、1047、1048、1049、1050、1051、1052、1053、1054、1055、1056、1057、1058、1059、1060、1061、1062、1063、1064、1065又は1066である。様々な実施形態では、フーリン切断配列は、配列番号1033である。
【0394】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、本発明は、配列番号911の残基1~490を含む単離されたhMPV Fポリペプチド、又はそのバリアントを提供し、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号1の残基491~539を含まず、単離されたhMPV Fポリペプチドは、残基185に変異を有する。様々な実施形態では、変異はA185Pである。
【0395】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518又は配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチド、又はそのバリアントであって、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、配列番号910の残基486~517において変化せず、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、配列番号912の残基102~105及び490~516において変化せず、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、配列番号913の残基99~102、185及び485~521において変化しない。様々な実施形態では、バリアントは、配列番号910の残基1~521に対して95~99%の同一性、配列番号912の残基1~58に対して95~99%の同一性、又は配列番号91の残基1~521に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化せず、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。
【0396】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸だけ異なり、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号910から1~15個のアミノ酸だけ異なり、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号910から1~10個のアミノ酸だけ異なり、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号910から1~5個のアミノ酸だけ異なり、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号910から1~3個のアミノ酸だけ異なり、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化しない。
【0397】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号910の残基1~521からなる。
【0398】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸だけ異なり、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号912から1~15個のアミノ酸だけ異なり、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号912から1~10個のアミノ酸だけ異なり、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号912から1~5個のアミノ酸だけ異なり、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号912から1~3個のアミノ酸だけ異なり、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化しない。
【0399】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号912の残基1~518からなる。
【0400】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸だけ異なり、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185、及び485~521において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号913から1~15個のアミノ酸だけ異なり、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号913から1~10個のアミノ酸だけ異なり、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号913から1~5個のアミノ酸だけ異なり、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、バリアントアミノ酸配列は、配列番号913から1~3個のアミノ酸だけ異なり、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。
【0401】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号913の残基1~521からなる。
【0402】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518又は配列番号913の残基1~521からなる。
【0403】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、切断配列及び少なくとも1つのアフィニティタグ配列を含む。様々な実施形態では、切断配列は、トロンビン切断配列である。様々な実施形態では、アフィニティタグ配列は、6xHis配列(配列番号1014)又はstrepタグII配列である。
【0404】
単離されたhMPV Fポリペプチドの様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号910、配列番号912又は配列番号913のアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、単離されたhMPV Fポリペプチドは、配列番号910、配列番号912又は配列番号913のアミノ酸配列からなる。
【0405】
本発明の一態様はまた、単離されたhMPV Fポリペプチドをコードする核酸、単離されたhMPV Fポリペプチド、及びhMPV Fタンパク質のバリアントをコードするそのような単離されたhMPV Fポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。そのような単離されたhMPV Fポリペプチド及び免疫原性組成物は、対象を免疫し、hMPV感染を予防又は治療するために使用され得る。
【0406】
本発明の一態様はまた、上記のhMPV Fタンパク質をコードする単離されたhMPV Fポリペプチドのいずれか1つをコードする単離された核酸を提供する。いくつかの実施形態では、単離された核酸はコドン最適化されている。
【0407】
本発明の一態様は、配列番号1006のヌクレオチド配列又はそのバリアントを含む単離された核酸を提供し、単離された核酸のバリアントヌクレオチド配列は、配列番号911のアミノ酸配列をコードし、単離された核酸は、配列番号1003の残基1453~1600を含まない。様々な実施形態では、単離された核酸のバリアントヌクレオチド配列は、配列番号1007である。
【0408】
本発明の一態様はまた、配列番号1004若しくはそのバリアント、配列番号1008若しくはそのバリアント、又は配列番号1010若しくはそのバリアントのヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供し、配列番号1004を含む単離された核酸のバリアントは、配列番号910のアミノ酸配列をコードし、配列番号1008を含む単離された核酸のバリアントは、配列番号912のアミノ酸配列をコードし、配列番号1010を含む単離された核酸のバリアントが、配列番号913のアミノ酸配列をコードする。様々な実施形態では、配列番号1004を含む単離された核酸のバリアントは配列番号1005であり、配列番号1008を含む単離された核酸のバリアントは配列番号1009であり、配列番号1010を含む単離された核酸のバリアントは配列番号1011である。様々な実施形態では、バリアントは、配列番号1004、配列番号1008、又は配列番号1010の核酸配列に対して95~99%の同一性を有する核酸配列を含む。
【0409】
本発明の一態様はまた、単離された抗原性ポリペプチド、配列番号911の残基1~490からなる単離された抗原性ペプチド又はそのバリアント、及び薬学的に許容される担体を含む免疫原性組成物を提供する。様々な実施形態では、バリアントは、配列番号911の残基1~490に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0410】
本発明の一態様はまた、単離された抗原性ポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供し、単離された抗原性ペプチドは、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、若しくは配列番号913の残基1~521、又はそれらのバリアントを含み、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化せず、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。様々な実施形態では、単離された抗原性ポリペプチドは、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、若しくは配列番号913の残基1~521、又はそれらのバリアントからなり、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化せず、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。様々な実施形態では、バリアントは、配列番号910の残基1~521、配列番号912の残基1~518、又は配列番号913の残基1~521に対して95~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号910の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基486~517において変化せず、配列番号912の残基1~518を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基102~105及び490~516において変化せず、配列番号913の残基1~521を含む単離されたhMPV Fポリペプチドのバリアントは、残基99~102、185及び485~521において変化しない。
【0411】
免疫原性組成物の様々な実施形態では、免疫原性組成物は多価である。様々な実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントを更に含む。様々な実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントを含まない。
【0412】
本発明はまた、対象において免疫応答を誘導する方法であって、上記の免疫原性組成物のいずれか1つを、対象において抗原特異的免疫応答を生成するのに有効な量で対象に投与することを含む方法を提供する。様々な実施形態では、抗原特異的免疫応答は、T細胞応答又はB細胞応答を含む。様々な実施形態では、対象は、単回用量の免疫原性組成物を投与される。様々な実施形態では、対象は、ブースター用量の免疫原性組成物を投与される。様々な実施形態では、免疫原性組成物は、皮内注射又は筋肉内注射によって対象に投与される。様々な実施形態では、対象はhMPVに曝露されており、対象はhMPVに感染しているか、又は対象はhMPVからの感染のリスクがある。
【0413】
本発明はまた、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する際に使用するための上記免疫原性組成物のいずれか1つを提供する。本発明はまた、対象におけるhMPV感染の予防又は治療に使用するための上記免疫原性組成物のいずれか1つを提供する。
【0414】
本発明は、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する際に使用するための上記の単離されたhMPV Fポリペプチドのいずれか1つを提供する。
【0415】
本発明は、対象におけるヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染の予防又は治療に使用するための上記の単離されたhMPV Fポリペプチドのいずれか1つを提供する。
【0416】
本発明は、対象において抗原特異的免疫応答を誘導するための医薬品の製造における、単離されたhMPV Fポリペプチド又はかかるポリペプチドをコードする単離された核酸のいずれか1つの使用を提供する。
【0417】
本発明は、対象におけるヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染を予防又は治療するための医薬品の製造における、上記の単離されたhMPV Fポリペプチド、又はそのようなポリペプチドをコードする単離された核酸、又はそのようなポリペプチドを含む免疫原性組成物のいずれか1つの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0418】
図1A図1Aは単一メモリーB細胞の選別、培養及びクローニングによる抗体発見のワークフローを示す図である。
【0419】
図1B図1BはB細胞選別ゲーティング戦略を示す画像の代表的なセットである。濃縮されたB細胞を、光後方散乱(BSC)及び前方散乱(FSC)を使用してゲーティングし、引き続いて領域ごとの前方散乱高さ(FSC-H)を使用して破片及びダブレット細胞を除外した。次に、細胞をCD3でゲーティングし、続いてCD19+IgG+細胞でゲーティングした。次いで、これらの細胞を使用して抗原特異的細胞(hMPV F+)をゲーティングした。
【0420】
図2A図2AはhMPV非処理野生型PreF、非処理安定化PreF及び処理安定化PreFの概略図である。図2Aには、配列番号1000(ENPRQSRFVL)のアミノ酸配列及び配列番号1001(ENPRRRRFVL)のアミノ酸配列が、出現順にそれぞれ開示されている。配列番号1000(ENPRQSRFVL)は配列番号910に含まれる。配列番号1001(ENPRRRRFVL)は配列番号913に含まれる。
図2B図2B図2Aに記載される構築物の変性SDS-PAGEゲルの写真である。
【0421】
図3A図3A図3B及びず3Cは、hMPV F特異的mAbについてのCDRH3長及び体細胞高頻度変異(SHM)データを示す。図3Aは、表3A、表3B、表3C及び表3Dに記載のVH及びVK/VLの生殖細胞系列頻度を示す。
図3B図3Bは、VH中のCDRH3長さを示すグラフである。
図3C図3Cは、VH(CDRH3を除く)及びVK/VLにおけるヌクレオチド置換を示すグラフである。水平バー(矢印によって識別される)は中央値を示す。分析はKabat描写システム[1]に基づいた。
【0422】
図4A図4AはhMPV A及びB株についての抗体M4B06 IgG中和アッセイデータを示すグラフである。エラーバーは、3回の反復の標準偏差を示す。
図4B図4Bは非処理PreF三量体、処理されたPreF三量体及びPostF三量体に対するM4B06 IgGのバイオレイヤー干渉法(BLI)結合を示すグラフである。
図4C図4Cは発現された抗原を含有するExpi293細胞培養上清を用いたELISAによって決定される、非処理hMPV PreF WT及びPreF担持モノクローナル抗体耐性変異体(MARM)変異体へのM4B06 IgGの結合を示すグラフ及びIC50表のセットである。エラーバーは、2回の反復の標準偏差を示す。
図4D図4DはM4B06 IgG及びFab、並びに無関係な対照抗体(DD1L)のhMPV PreF及び3種類のMARMウイルスに対する中和アッセイデータを示すグラフ及びEC50表である。エラーバーは、3回の反復の標準偏差を示す。
図4E図4EはMARM及び水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)によって同定されたM4B06エピトープをhMPV PreF構造にマッピングし、エピトープ残基をシェーディングによって同定したことを示す図である。
図4F図4Fは3.75オングストローム(Å)で処理されたPreF三量体と複合体を形成した3つのM4B06 FabのCryoEMマップを示す図である。図4Eと同じ陰影を有するhMPV PreFモデルを密度に当てはめた。
【0423】
図5図5はHDX-MSによるhMPV PreF三量体タンパク質及びM4B06のエピトープマップである。図5は、配列番号1002を開示し、これは、配列番号913のアミノ酸19~542に対応する。
【0424】
図6A図6Aは抗原部位II及びVの多様なエピトープを示す図であり、図6Bはそのグラフのセットである。図6Aは、hMPV PreF三量体構造にマッピングされた異なる部位II及びVのmAbの接触残基を示すエピトープマップである[2]。
図6B図6Bは、発現された抗原を含有するExpi293細胞培養上清を用いたELISAによって決定される、非処理hMPV PreF及びエピトープノックアウト変異体に対する選択された部位II及びV mAbの結合を示すグラフである。エラーバーは、2回の反復の標準偏差を示す。
【0425】
図7A図7AはMARM変異体を担持する非処理hMPV PreF及びPreFに対する抗体M2D2(陽性対照)IgGの結合を示すグラフである。エラーバーは、2回の反復の標準偏差を示す。
図7B図7Bは非処理hMPV PreF及びエピトープノックアウト変異体に対するM1A04 IgGの結合を示すグラフである。
図7C図7Cは非処理hMPV PreF及びエピトープノックアウト変異体に対するM2A05 IgGの結合を示すグラフである。発現した抗原を含有するExpi293細胞培養上清を用いてELISAによって結合を決定した。
【0426】
図8A図8A図8B及び図8Cは、hMPV F特異的mAbのエピトープマッピングを示す図及びグラフのセットである。図8Aは、非処理hMPV PreF抗原を用いた選択されたmAbのエピトープビニングを示すヒートマップ図である。試験した抗原に対する見かけのBLI結合応答(>0.2nm)を示した73個の単離されたmAbを含めた。ヒートマップは、サンドイッチベースのBLI結合アッセイからのエピトープビニングを示し、マーカー/陰影は、第1の抗体と第2の抗体との間のより大きな競合を示す。上のサイドバーは、hMPV A、hMPV B、RSV A及びRSV Bウイルス株に対するmAbの中和効力(IC50)を示した。
図8B図8Bは、hMPV PreF三量体タンパク質構造上にマッピングされた主要抗原部位II、III、III’、IV、IV’、V(内部抗原部位αは見えず、抗原部位βはまだ明確に特性決定されていない)を示す図である。DS7部位も参照として標識した。
図8C図8Cは、中和効力によってグループ分けされた、各抗原部位を標的とする抗体の割合を示すグラフである。各mAbについて、hMPV A及びBのより強い中和効力をグループ化のために選択した。
【0427】
図9図9は操作されたhMPV postF三量体タンパク質のネガティブ染色EM及び2D平均を示す一連の写真である。ほとんどのクラス平均は、別個の頭部(上部領域)及び細長い尾部(中央部分)を有する粒子を示す。いくつかの平均値(底部/尾部)では、尾部がより長く見え、尾部の端部に小さな明確な部分がある。いくつかの平均では、粒子の「ヘッド」部分の窪みが見られた(矢印で識別される)。全ての図は縮尺通りである。
【0428】
図10A図10A図10B図10C図10D及び図10Eは、中和能、抗原部位及び異なるhMPV F立体配座に対する結合特異性の相関を示すグラフのセットである。図10A及び図10Bは、非処理hMPV PreF三量体及びPostF三量体に対するhMPV-F特異的mAbのBLI結合応答を示すグラフである。各ドットは、単離されたhMPV F特異的抗体を表し:中和効力(図10A)又は
図10B】マッピングされた抗原部位:V、II、III、III’、IV、IV’、部位α、部位β、又は特性決定されていない(図10B)によって区別される、
図10C図10C及び図10Dは、非処理hMPV PreF及び処理安定化hMPV PreF(115BV)抗原に対するhMPV-F特異的mAbのBLI結合応答を示すグラフである。各ドットは、中和効力(図10C)又は
図10D】マッピングされた抗原部位:V、II、III、III’、IV、IV’、部位α、部位β、又は特性決定されていない(図10D)によって陰影を付けた、単離されたhMPV F特異的抗体を表す。
図10E図10Eは、中和効力(Log10変換後)と、処理されたPreF/非処理PreF BLI結合の比との相関を示すグラフである。破線及びR二乗数は線形回帰を示す。各ドットは単離されたhMPV F特異的抗体を表し、これを影付けし、それが結合するマッピングされた抗原部位(V、II、III、III’、IV、IV’、部位α、部位β、又は特性決定されていない)を同定する。
【0429】
図11A図11Aは非処理hMPV PreF、処理hMPV PreF、hMPV PostF、及びRSV PreF三量体を分析するために使用された磁気ビーズベースの血清吸収アッセイのフォーマットを示す図である。
図11B図11Bは抗原枯渇後の4人のドナーからの平均ELISA力価を示すグラフであり、枯渇していない血清の力価によって正規化されている。エラーバーはSEMを示す。
【0430】
図12A図12A図12B及び図12Cは示差走査蛍光測定(DSF)スペクトルを示すグラフのセットであり:非処理hMPV PreFタンパク質(1.5mg/ml;図12A)のもの;
図12B図12Bはフーリンなしで発現された処理された安定化hMPV PreFタンパク質(2.5mg/ml)のもの;
図12C図12Cはフーリン切断なしで発現された非処理安定化hMPV PreFタンパク質(2.7mg/ml)のものである。スペクトルを1℃/分の走査速度にて2連で記録した。グラフは、350nmと330nmとの間の蛍光の比(上)並びにこの比の一次導関数(下)を示す。
【0431】
図13図13はドナーによってグループ分けされた、単離されたhMPV-F特異的mAb及びそれらのマッピングされた抗原部位(II、V、III、III’、IV、IV’、部位α、又は特性決定されていない)の分布を示すグラフである。左側のY軸は、各ドナーから発見されたmAbの数を示す。右側のY軸は、各ドナーの血清中和力価(倍数希釈)を示す。マーカー/ドットは、倍率希釈でのドナー血清の中和力価を示した。ただ1つのmAbがこのドナーから単離されたので、1つのドナーは含まれなかった。
【0432】
図14A図14Aは非処理hMPV PreFモノマーを示す図である。
図14B図14Bは処理された安定化hMPV PreF三量体を側面視及び上面視で示す図である。切断部位付近のF1のN末端セグメントが同定される。
【0433】
図15A図15AからEは、抗体M8C10とMPVとの相互作用を示す図面及び表のセットである。図15Aは、参照用の同じ視点(下)から示されたMPV-F三量体(PDB:コード5wb0)を有するMPV-F:M8C10複合体(上)の立体図/図面である。
図15B図15Bは、Fabの視点(左)、側面(中央)、及び上部(右)からのMPV-F:M8C10複合体(上部パネル)の個々の図/図面のセットである。MPV-F三量体の同じ視点を各パネルについて以下に示す。
図15C図15Cは、M8C10重鎖(HC)及び軽鎖(LC)の配列のリストであり、以下のように強調表示及び網掛け表示されたCDR領域、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、LC CDR3を示す。図15Cはまた、複合体の表面表示の図を右側に示し、CDRを配列として網掛けし、Fタンパク質、重鎖及び軽鎖を同定している。
図15D図15Dは、4つの相互作用CDR領域によって媒介される相互作用を示す図である。
図15E図15Eは、MPV-FとM8C10との間の相互作用に関与する残基のリストであり、CDR中の残基に影を付けている。
【0434】
図16A図16AはM8C10結合に対するエピトープ残基変異を示す一連のグラフであり、図16Bは、一連の図である。図16Aは、MPV-F変異のELISA結合分析を示すグラフのセットである。M8C10への結合は、ある濃度範囲にわたって青色で示されている。対照として、部位IV結合剤であるM2D2を赤色で示す。
図16B図16Bは、構造に基づく、R198、N202及びA216によって媒介される相互作用を示す図のセットである。
【0435】
図17図17はhMPV FモノマーについてのM8C10結合エピトープとMPV458結合エピトープとの比較を示す図のセットである。hMPV Fモノマーと複合体を形成した結晶構造M8C10(下)及びMPV458(上)をhMPV Fと重ね合わせたところ、それらの異なるエピトープが示された。示された領域は、hMPV FとM8C10との直接接触残基を示す。左の入口は、1つのプロトマー(左)及び他の2つのプロトマーを影付けした(右)hMPV F三量体構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0436】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)及びhMPVを含むニューモウイルスは、急性下気道感染症(ALRI)の一般的な原因である[1-6]。RSVと同様に、hMPVの感染は、咳、喘鳴、肺炎、及び細気管支炎を含む様々な症状をもたらす。乳児、幼児、高齢者、及び免疫無防備状態の患者を含む高リスク集団は、入院を必要とする可能性がある重度の症状を発症する可能性が高い[7-14]。他の呼吸器病原体との同時感染が一般的である。最近、SARS-CoV-2とhMPVの同時感染の症例も報告されており[15-17]、hMPVとのそのような同時感染は、単球に影響を及ぼし、重度のCOVID-19患者のインターフェロン応答を減衰させるようであった[15]。これらの医学的負担にもかかわらず、現在、治療目的又は予防目的に利用可能な承認されたhMPVワクチン又は中和抗体は存在しない。
【0437】
hMPVの表面糖タンパク質Fは、ウイルス膜と細胞膜とのその後の融合を媒介する[18,19]。Fタンパク質は、異なるhMPVサブタイプ間で配列が高度に保存されており、他の表面タンパク質G及びSHよりもウイルス感染にとってより重要であるようである[20,21]。Fは、hMPV感染に対する中和及び保護抗体を誘発するhMPVの一次ウイルス抗原であるが、G及びSHタンパク質によって誘発される抗体は保護的ではないことも報告されている[22-24]。したがって、Fタンパク質は、hMPV感染に対する中和抗体及びワクチン開発のための魅力的な標的である。
【0438】
hMPV Fタンパク質は、ウイルス表面並びに宿主細胞の膜上にホモ三量体として提示するクラスIウイルス融合タンパク質である。F(F)の前駆体は、無傷のポリペプチドとして合成され、続いてタンパク質分解処理を受けて機能的になる[19]。細胞膜への輸送中に細胞内で2回切断され得る2つのフーリン切断部位を有するRSVとは異なり[25]、hMPVは、TMPRSS2などの膜貫通プロテアーゼによって細胞表面又はウイルス様粒子内で切断されるプロテアーゼ切断部位を1つのみ有する[26]。RSV及びhMPV Fの両方の切断は、2つのジスルフィド結合鎖(F及びF)を生成する。プロテアーゼ切断部位の直後のFのN末端に位置する融合ペプチドは、疎水性空洞の内部に埋もれ、隣接するモノマーと相互作用し、おそらく三量体立体配座を安定化させる[27,28]。この球状「プレフュージョン」(PreF)形態のタンパク質分解的に処理されたF三量体は準安定的であり、一連の立体構造変化を介して、より安定な棒状「ポストフュージョン」(PostF)形態に誘発され得る[19]。更なる変異の導入又はプロテアーゼ切断部位の改変によって、PreF及びPostF立体配座でhMPV及びRSV Fを安定化するためのタンパク質工学的取り組みがなされている[27-32]。わずか約35%の配列同一性にもかかわらず、RSV FとhMPV Fとの間の安定化されたPreF及びPostFタンパク質の両方の構造は、顕著に保存されている[27-31,33,34]。
【0439】
過去数年にわたって、RSV F抗原を標的とする多数のモノクローナル抗体(mAb)がヒトB細胞レパートリーから単離され、様々なアプローチによって特性決定されている[33,35-47]。これらの結果によれば、RSV F上の6つの主要な抗原部位が定義されている(?、I、II、III、IV、V)。部位?及びVを標的とするPreF特異的抗体は、ヒト血清及び成人の抗原特異的メモリーB細胞レパートリーにおける中和活性の大部分について免疫優性であり説明可能であることが示されており[48,49]、PreFが、PostFよりも高い中和抗体(nAb)応答を誘発するRSVのより良いワクチン候補であることを示唆している。対照的に、安定化されたhMPV PreF及びPostFの免疫原性の可能性は、おそらくhMPV Fタンパク質の部位φでのみ観察される大きなグリカンシールドに起因して、同等であるようである[28]。限定された数のhMPV-F特異的mAbがマウス免疫化[50]、ファージディスプレイ[51]及びヒトB細胞[52]から発見されているが、自然感染中のhMPV Fに対するヒト抗体認識の包括的な理解は困難なままである。
【0440】
この研究では、本発明者らは、複数の健康なヒトドナーのメモリーB細胞から単離されたhMPV-F特異的mAbの大きなパネルを報告した。いくつかの単離されたmAbは、インビトロで超高中和効力を示した。研究者らは、部位V上のPreF特異的エピトープを認識する最も強力なmAbの1つを特性決定した。単離されたmAbの更に詳細な特性決定により、事前に定義された部位II及びV上の重複するが異なるエピトープ、並びに以前に報告されていない4つの新規抗原部位を含む、hMPV F抗原上の多様な抗原部位が明らかになった。Huang et al.,2019 Front.Immunol,pgs.1-8;Rossey et al.,2018 Trends in Microbiology,vol.26,issue 3,pgs.209-219.Antigenic sites of hMPVも参照されたい。
【0441】
部位φ-配列番号1のアミノ酸54~84;165~197
【0442】
部位I-配列番号1のアミノ酸19~36;283-289;347~358
【0443】
部位II-配列番号1のアミノ酸156及び224~247
【0444】
部位III-配列番号1のアミノ酸37~45;271-282;312-320;及び335~346;
【0445】
部位III’-部位III及びDS7部位抗体(M2B6、DS7)によるhMPV F抗原タンパク質への競合的結合は、部位II抗体(M1D2及びM1C7s)と競合しない。
【0446】
部位IV-配列番号1のアミノ酸386~439
【0447】
部位IV’-配列番号1のアミノ酸294~298
【0448】
部位V-配列番号1のアミノ酸46~53;116-164;233及び257~270
【0449】
部位α-配列番号1のアミノ酸82、198、202、207、211、214-216、218、219、220、224-229、233、257、258、261、262、338及び405
【0450】
部位β-十分に特性決定されていない。この群のmAbの大部分は、それ自体と競合するだけである
【0451】
DS7部位(参照DOI:10.1038/nsmb.2250):配列番号1のアミノ酸20~26、31、33~34、282、284、312、345、348~349、351、353、356、358、411、413及び414。
【0452】
RSVとは異なり、hMPV Fに対する抗体応答は、抗原の頂点に対してあまり優勢ではないようである。更に、切断されていないPreFに特異的に結合するmAbのパネルが同定されており、非処理F抗原と処理F抗原との間の潜在的な免疫原性の違いを示唆している。これは、自然感染から誘発されたhMPV F特異的mAbの包括的抗原性エピトープを明らかにする最初の開示である。
【0453】
定義
【0454】
本明細書で使用される場合、「ヒトメタニューモウイルス」又は「hMPV」は、約13kbのゲノムを有するニューモウイルス科の一本鎖ネガティブセンスリボ核酸(RNA)ウイルスを指す。本明細書中で使用されるとき、「hMPV Fタンパク質」とは、UniProtKB-G3KCK8(G3KCK8_9MONO;配列番号1)に示されるアミノ酸配列を有する融合糖タンパク質F0のことを指す。
【0455】
10 20 30 40 50
【0456】
MSWKVMIIIS LLITPQHGLK ESYLEESCST ITEGYLSVLR TGWYTNVFTL
【0457】
60 70 80 90 100
【0458】
EVGDVENLTC TDGPSLIKTE LDLTKSALRE LKTVSADQLA REEQIENPRQ
【0459】
110 120 130 140 150
【0460】
SRFVLGAIAL GVATAAAVTA GIAIAKTIRL ESEVNAIKGA LKTTNEAVST
【0461】
160 170 180 190 200
【0462】
LGNGVRVLAT AVRELKEFVS KNLTSAINKN KCDIADLKMA VSFSQFNRRF
【0463】
210 220 230 240 250
【0464】
LNVVRQFSDN AGITPAISLD LMTDAELARA VSYMPTSAGQ IKLMLENRAM
【0465】
260 270 280 290 300
【0466】
VRRKGFGILI GVYGSSVIYM VQLPIFGVID TPCWIIKAAP SCSEKDGNYA
【0467】
310 320 330 340 350
【0468】
CLLREDQGWY CKNAGSTVYY PNDKDCETRG DHVFCDTAAG INVAEQSREC
【0469】
360 370 380 390 400
【0470】
NINISTTNYP CKVSTGRHPI SMVALSPLGA LVACYKGVSC SIGSNRVGII
【0471】
410 420 430 440 450
【0472】
KQLPKGCSYI TNQDADTVTI DNTVYQLSKV EGEQHVIKGR PVSSSFDPIK
【0473】
460 470 480 490 500
【0474】
FPEDQFNVAL DQVFESIENS QALVDQSNKI LNSAEKGNTG FIIVIILIAV
【0475】
510 520 530
【0476】
LGLTMISVSI IIIIKKTRKP TGAPPELNGV TNGGFIPHS
【0477】
(配列番号1)
【0478】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、所望の生物学的活性又は結合活性を示す免疫グロブリン分子の任意の形態を指す。hMPVに「特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較してhMPVに優先的に結合するが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要としない抗体である。抗体は、その結合が試料中の標的タンパク質の存在を決定するものである場合、例えば偽陽性などの望ましくない結果を生じることなく、その意図された標的に対して「特異的」と見なされる。抗体又はその結合断片は、非標的タンパク質との親和性よりも少なくとも2倍大きい、好ましくは少なくとも10倍大きい、より好ましくは少なくとも20倍大きい、最も好ましくは少なくとも100倍大きい親和性で標的タンパク質に結合する。したがって、用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化完全ヒト抗体、及びキメラ抗体を包含するが、これらに限定されない。「親抗体」は、ヒト治療薬として使用するための抗体のヒト化などの意図された使用のための抗体の改変の前に免疫系を抗原に曝露することによって得られる抗体である。
【0479】
一般に、塩基性抗体構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、各対は、1つの「光」鎖(約25kDa)及び1つの「重い」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識を主に担う約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、インタクトな抗体は2つの結合部位を有する。重鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を画定し得る。典型的には、ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖として分類される。更に、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、又はイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は、典型的には約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖はまた、典型的には約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照されたい。
【0480】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD及びIgE抗体)を指す。
【0481】
抗体は、典型的には、10-5~10-12M以下の解離定数(K)によって反映される高い親和性でそれらの同族抗原に特異的に結合する。約10-4Mを超える任意のKは、一般に、非特異的結合を示すと考えられる。本明細書で使用される場合、抗原に「特異的に結合する」抗体は、抗原及び実質的に同一の抗原に高親和性で結合する抗体を指し、これは、10-7M以下、好ましくは10-8M以下、更により好ましくは5×10-9M以下、最も好ましくは10-8M~10-10M以下のKを有するが、無関係の抗原に高親和性で結合しないことを意味する。
【0482】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体だけでなく、特に明記しない限り、特異的結合について無傷の抗体と競合するその任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成も包含する。
【0483】
本明細書中で使用されるとき、別段示されない限り、「抗体断片」又は「抗原結合断片」又は「その抗原結合断片」とは、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の断片、例えば、1又は複数のCDR領域を保持する断片、及び抗原に特異的に結合する能力のことを指す。
【0484】
抗原結合部分には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、CDRを含む断片、及び一本鎖可変断片抗体(scFv)、並びに抗原(例えば、hMPV)に結合する特異的抗原を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが含まれる。
【0485】
抗体は、IgG、IgA、若しくはIgM(又はそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体を含み、抗体は特定のクラスである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分割され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ及びミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成は周知である。
【0486】
本発明の範囲内のその抗原結合断片には、例えばペプシンによるIgGの酵素的切断によって生成され得るF(ab’)2断片も含まれる。Fab断片は、例えば、ジチオスレイトール又はメルカプトエチルアミンによるF(ab’)2の還元によって生成され得る。Fab断片は、ジスルフィド架橋によってVH-CH1鎖に付加されたVL-CL鎖である。F(ab’)2断片は、2つのジスルフィド架橋によって付加される2つのFab断片である。F(ab’)2分子のFab部分は、ジスルフィド架橋が間に位置するFc領域の一部を含む。
【0487】
「アクセプターヒトフレームワーク」という用語は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(V)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(V)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークを指す。アクセプターヒトフレームワークに「由来する」、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークは、天然に存在するヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークと同じアミノ酸配列を有し得るか、又は野生型の天然に存在するヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークと比較してアミノ酸配列が変化し得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2、又は1である。いくつかの実施形態では、Vアクセプターヒトフレームワークは、Vヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。いくつかの実施形態では、Vアクセプターヒトフレームワークは、Vヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0488】
本明細書で使用される「結合タンパク質」という用語はまた、少なくとも1つの標的抗原に特異的に結合する非天然(又は組換え)タンパク質を指す。様々な実施形態では、結合タンパク質は、本明細書に記載の抗hMPV抗体又はその抗原結合断片を含む。例えば、結合タンパク質は、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片と、第2の分子(例えば、第2の抗体又はその抗原結合断片)とを含む多重特異性分子(例えば、多重特異性抗体)である。
【0489】
「多重特異性抗体」は、2つ以上の異なる抗原又はエピトープを認識する抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体)である。様々な実施形態では、多重特異性抗体は、通常、少なくとも2つの抗原若しくはエピトープ(すなわち、二重特異性抗体、BsAbs)又は3つ以上の抗原に結合する。様々な実施形態では、三重特異性抗体などの更なる特異性を有する多重特異性抗体が本明細書に包含される。BsAbの例としては、一方のアームがウイルス抗原#1に対して向けられ、他方のアームがウイルス抗原#2に対して向けられたものが挙げられる。例えば、BsAbsは、hMPV株A及びhMPV株Bに結合し得る。
【0490】
多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein,C.and Cuello,A.C.,Nature 305(1983)537-540、国際公開第93/08829号、及びTraunecker,A.et al.,EMBO J.10(1991)3655-3659)及び「knob-in-hole」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果を操作することによって(国際公開第2009/089004号)、2つ又はそれを超える抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan,M.et al.,Science 229(1985)81-83を参照されたい);二重特異性抗体を製造するためのロイシンジッパーを使用して(例えば、Kostelny,S.A.et al.,J.Immunol.148(1992)1547-1553を参照されたい)二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術を使用して(例えば、Holliger,P.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(1993)6444-6448を参照されたい);及び一本鎖Fv(scFv)二量体を使用して(例えば、Gruber,M et al.,J.Immunol.152(1994)5368-5374を参照されたい);及び、例えば、Tutt,A.et al.,J.Immunol.147(1991)60-69に記載されるような三重特異性抗体を調製することによって作製され得る。「タコ抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号明細書及びProc Natl Acad Sci USA.2011 Jul 5;108(27):11187-92を参照されたい)。
【0491】
「二重特異性」又は「二機能性抗体」は、2つの異なる重鎖/軽鎖対及び2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含む様々な方法によって産生され得る。例えば、Songsivilai&Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547-1553(1992)を参照されたい。二機能性抗体には、例えば、ヘテロ二量体抗体コンジュゲート(例えば、各々が異なる特異性を有する一緒に接合された2つの抗体又は抗体断片)、抗体/細胞表面結合分子コンジュゲート(例えば、受容体などの非抗体分子にコンジュゲートされた抗体)及びハイブリッド抗体(例えば、2つの異なる抗原に対する結合部位を有する抗体)が含まれる。二重特異性抗体には、とりわけ、クアドロマ技術(Milstein and Cuello(1983)Nature 305(5934):537-40)、2つの異なるモノクローナル抗体の化学的コンジュゲーション(Staerz et al.(1985)Nature 314(6012):628-31)、又はノブ・イントゥ・ホール若しくはFc領域に変異を導入する同様のアプローチ(Holliger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(14):6444-6448)によって生成されるものが含まれる。
【0492】
「組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製又は単離される抗体、例えば(a)免疫グロブリン遺伝子(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子)についてトランスジェニック若しくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウス)又はそれから調製されたハイブリドーマから単離される抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから単離される抗体、(c)ファージディスプレイを使用して組換えコンビナトリアル抗体ライブラリ(例えば、ヒト抗体配列を含有する)から単離される抗体、及び(d)免疫グロブリン遺伝子配列(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子)の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製又は単離される抗体を指す。そのような組換え抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有し得る。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発に供され得、したがって、組換え抗体のV領域及びV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系V配列及びV配列に由来し、ヒト生殖細胞系V配列及びヒト生殖細胞系V配列に関連するが、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0493】
「キメラ抗体」は、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種(例えば、ヒト)に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する配列を含み、(1又は複数の)鎖の残りが別の種(例えば、マウス)に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する配列、並びにそのような抗体の断片を指す。
【0494】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列又はその誘導体を含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、又はマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生される場合、マウス炭水化物鎖を含有し得る。同様に、「マウス抗体」又は「ラット抗体」は、それぞれマウス又はラットの免疫グロブリン配列又はその誘導体のみを含む抗体を指す。
【0495】
「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えば、マウス)抗体及びヒト抗体由来の配列を含む抗体の形態を指す。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体にはまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部が含まれていてもよい。ヒト化抗体を親齧歯動物抗体と区別する必要がある場合、接頭辞「hum」、「hu」又は「h」を抗体クローンの名称に付加することができる。齧歯類抗体のヒト化形態は、一般に、親齧歯類抗体の同じCDR配列を含むが、親和性を高めるため、ヒト化抗体の安定性を高めるため、又は他の理由のために、ある特定のアミノ酸置換が含まれ得る。
【0496】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」又は「mAb」又は「Mab」は、実質的に均一な抗体の集団を指し、すなわち、集団を含む抗体分子は、少量存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いてアミノ酸配列が同一である。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープに特異的であることが多いそれらの可変ドメイン、特にそれらのCDRに異なるアミノ酸配列を有する多数の異なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628 and Marks et al.(1991)J.Mol.Biol.222:581-597に記載の技術を使用してファージ抗体ライブラリから単離され得る。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0497】
そのような免疫グロブリンの抗原結合断片(scFvを含む)も、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語に包含される。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。更に、典型的には抗原上の異なるエピトープに対する異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は単一のエピトープに対するものである。モノクローナル抗体は、任意の当技術分野で認識されている技術及び本明細書に記載される技術、例えばハイブリドーマ法、トランスジェニック動物、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)を使用して、又は例えば米国特許第7,388,088号及びPCT公開国際公開第00/31246号に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリを使用して調製することができる。モノクローナル抗体には、キメラ抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体が含まれ、天然に存在してもよく、又は組換え生産されてもよい。
【0498】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域又は軽鎖の可変領域のみを含む免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。いくつかの例では、2つ以上のV領域をペプチドリンカーと共有結合させて、二価ドメイン抗体を作製する。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同じ又は異なる抗原を標的とし得る。
【0499】
「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。場合によっては、2つの結合部位は同じ抗原特異性を有する。しかしながら、二価抗体は二重特異性であり得る(下記参照)。
【0500】
本明細書で使用される場合、「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体という用語は、抗体のV及びVドメインを含む抗体断片を指し、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、ポリペプチドリンカーを更に含む。scFvの総説については、Pluckthun(1994)The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer-Verlag,New York,pp.269-315を参照されたい。
【0501】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、ラクダ化単一ドメイン抗体も含まれる。例えば、Muyldermans et al.(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmann et al.(1999)J.Immunol.Methods 231:25;国際公開第94/04678号;国際公開第94/25591号;米国特許第6,005,079号(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。一実施形態では、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような修飾を有する2つのVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0502】
本明細書中で使用されるとき、用語「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片のことを指し、その断片は、同じポリペプチド鎖(V-V又はV-V)中の軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成し、2つの抗原結合部位を作り出すことを強いられる。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号明細書;国際公開第93/11161号;及びHolliger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448に更に完全に記載されている。操作された抗体バリアントの総説については、一般に、Holliger and Hudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126-1136を参照されたい。
【0503】
本発明の抗体はまた、改変されたエフェクター機能を提供するために改変された(又はブロックされた)Fc領域を有する抗体を含む。例えば、米国特許第5,624,821号;国際公開第2003/086310号;国際公開第2005/120571号;国際公開第2006/0057702号;Presta(2006)Adv.Drug Delivery Rev.58:640-656を参照されたい。そのような修飾は、免疫系の様々な反応を増強又は抑制するために使用することができ、診断及び治療において有益な効果があり得る。Fc領域の変化には、置換、欠失及び挿入、グリコシル化又は脱グリコシル化、並びに複数のFcの付加などのアミノ酸変化が含まれる。Fcの変化は、治療用抗体における抗体の半減期を変化させるために利用され得、より長い半減期は、投与頻度の低下をもたらし、それに付随して利便性の向上及び材料の使用の減少をもたらす。734~35のPresta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731を参照されたい。
【0504】
「完全ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、又はマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生される場合、マウス炭水化物鎖を含有し得る。同様に、「マウス抗体」は、マウス免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
【0505】
本明細書で使用される「可変領域」又は「V領域」又は「V鎖」は、異なる抗体間で配列が可変であるIgG鎖のセグメントを意味する。抗体の「可変領域」は、単独で又は組み合わせて、抗体軽鎖の可変領域又は抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖の可変領域は、本開示において「重鎖可変領域」、「重鎖可変ドメイン」、「VH」又は「V」と呼ばれることもある。軽鎖の可変領域は、本開示において「軽鎖可変領域」、「重鎖可変ドメイン」、「VL」又は「V」と称され得る。典型的には、重鎖及び軽鎖の両方の可変領域は、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの超可変領域を含む。CDRは通常、フレームワーク領域によってアライメントされ、特定のエピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端に向かって、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方が、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat,et al.;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabat,et al.,(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothia,et al.,(1987)J Mol.Biol.196:901-917 又はChothia,et al.,(1989)Nature 342:878-883の定義に従う。
【0506】
「CDR」は、抗体VHβシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2、又はH3)のうちの1つ、又は抗体VLβシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2、又はL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は当業者に周知であり、抗体可変ドメイン内の最も超可変性の領域として、例えばKabatによって定義されている。CDR領域配列はまた、保存されたbシートフレームワークの一部ではなく、したがって異なる立体配座に適合することができる残基として、Chothiaによって構造的に定義されている。両方の用語は当技術分野でよく認識されている。CDR領域配列はまた、AbM、Contact及びIMGTによって定義されている。カノニカル抗体可変領域内のCDRの位置は、多数の構造の比較によって決定されている(Al-Lazikani et al.,1997,J.Mol.Biol.273:927-48;Morea et al.,2000,Methods 20:267-79)。超可変領域内の残基の数は様々な抗体で異なるため、カノニカル位置に対する追加の残基は、従来、カノニカル可変領域ナンバリングスキームにおける残基番号の隣にa、b、cなどでナンバリングされる(Al-Lazikani et al.、前出)。そのような命名法も同様に当業者に周知である。例えば、Kabatナンバリング及びIMGT固有のナンバリングシステムを含むナンバリングシステム間の対応は、当業者に周知であり、以下の表1に示される。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムによって定義される通りである。他の実施形態では、CDRはIMGTナンバリングシステムによって定義される通りである。更に他の実施形態では、CDRは、AbMナンバリングシステムによって定義される通りである。更に他の実施形態では、CDRは、Chothiaナンバリングシステムによって定義される通りである。更に他の実施形態では、CDRは、コンタクトナンバリングシステムによって定義される通りである。Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)and/or those residues from a ”hypervariable loop”(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の残基26~32(H1)、53~55(H2)及び96~101(H3);Chothia and Lesk,(1987)J.Mol.Biol.196:901-917)を参照されたい。
【0507】
抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。典型的には、重鎖定常ドメイン中のアミノ酸のナンバリングは、Euナンバリングスキームに従う番号118で始まる。Euナンバリングスキームは、ヒトIgG1(Eu)のアミノ酸配列に基づいており、これは、Edelman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.63:78-85(1969)に記載されるIgG1のアミノ酸配列のアミノ酸位置118で開始する定常ドメインを有し、また、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常ドメインについては、Beranger,et al.同書に示されている。
【0508】
重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用するCDRを含む結合ドメインを含む。抗体可変ドメインのCDR配列を定義するための多数の方法が当技術分野で利用可能である(Dondelinger et al.,Frontiers in Immunol.9:Article 2278(2018)を参照されたい。)。一般的なナンバリング方式は以下を含む。
【0509】
・Kabatナンバリングスキームは配列可変性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい(配列によって抗体のCDR領域を定義する);
【0510】
・Chothiaナンバリングスキームは、構造ループ領域の位置に基づく(Chothia&Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987);Al-Lazikani et al.,J.Mol.Biol.273:927-948(1997)を参照されたい);
【0511】
・AbMナンバリングスキームは、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される2つの間の補償である(Karu et al.,ILAR Journal 37:132-141(1995)を参照されたい);
【0512】
・コンタクトナンバリングスキームは、利用可能な複合結晶構造の分析に基づいている(www.bioinf.org.uk:Prof.Andrew C.R.Martin’s Group;Abhinandan&Martin,Mol.Immunol.45:3832-3839(2008)を参照されたい)。
【0513】
・IMGT(ImMunoGeneTics)ナンバリングスキームは、抗体軽鎖及び抗体重鎖由来の可変ドメイン並びに異なる種由来のT細胞受容体鎖を含む免疫グロブリンスーパーファミリーの全てのタンパク質配列に対する標準化されたナンバリングシステムであり、生殖系列V配列アラインメントに基づいて1~128まで連続して残基をカウントする(Giudicelli et al.,Nucleic Acids Res.25:206-11(1997);Lefranc,Immunol Today 18:509(1997);Lefranc et al.,Dev Comp Immunol.27:55-77(2003)を参照されたい)。
【0514】
以下のwww.bioinf.org.uk:Prof.Andrew C.R.Martin’s Groupに開示され、以下の表1に再現される一般規則を使用して、抗体が結合する抗原中のエピトープを含むアミノ酸と特異的に相互作用するアミノ酸を含む抗体配列中のCDRを定義することができる。これらの一般的に一定の特徴が発生しないまれな例があるが、Cys残基は最も保存された特徴である。
【0515】
【表1】
【0516】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク」又は「FR」残基という用語は、本明細書でCDR残基として定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を指す。上記の残基ナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに関するものであり、必ずしも添付の配列表の配列ナンバリングに詳細に対応するものではない。抗体中のアミノ酸残基は、Chothia、強化型Chothia、IMGT、Kabat/Chothia複合体、Honegger(AHo)、Contact、又は任意の他の従来の抗体ナンバリングスキームなどの他のナンバリングシステムを使用して定義することもできる。
【0517】
本明細書で使用される場合、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの文脈で使用される「単離」という用語は、それらが産生される細胞又は細胞培養物由来の他の生物学的分子を少なくとも部分的に含まないポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。そのような生物学的分子には、他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、又は細胞残屑及び増殖培地などの他の材料が含まれる。それは更に、宿主細胞又はその増殖培地からの生物学的分子などの発現系成分を少なくとも部分的に含まなくてもよい。一般に、「単離」という用語は、そのような生物学的分子が完全に存在しないこと、又は水、緩衝液若しくは塩が存在しないこと、又はポリペプチド若しくはポリヌクレオチドを含む医薬製剤の成分を指すことを意図しない。
【0518】
本明細書で使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する。
【0519】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」は、抗体の重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4を含む)、IgM、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgD、及びIgE抗体)を指す。
【0520】
「エフェクター機能」は、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドとの相互作用、又はそれに起因する生化学的事象を指す。例示的な「エフェクター機能」には、Clq結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、ADCC及び抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)などのFcγR媒介エフェクター機能、並びに細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションが含まれる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされることを必要とする。
【0521】
「Fc領域」、「Fcドメイン」又は「Fc」は、抗体の重鎖のC末端領域を指す。したがって、Fc領域は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1又はCL)を除く抗体の定常領域を含む。
【0522】
「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する抗原(例えば、hMPV)上の部位を指す。エピトープは、連続したアミノ酸(通常は線状エピトープ)又はタンパク質の三次折り畳みによって並置された不連続アミノ酸(通常は立体構造エピトープ)の両方から形成され得る。隣接するアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるが、常に保持されるわけではないのに対して、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理時に失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的立体配座の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又は22個のアミノ酸を含む。
【0523】
「エピトープマッピング」という用語は、抗体-抗原認識に関与する抗原上の分子決定基を同定するプロセスを指す。どのエピトープが所与の抗体によって結合しているかを決定するための方法は当技術分野で周知であり、例えば、免疫ブロット法及び免疫沈降アッセイ(例えば、hMPV由来の重複又は隣接ペプチドが所与の抗体との反応性について試験される(例えば、抗hMPV抗体));X線結晶学;抗原変異分析、二次元核磁気共鳴;酵母ディスプレイ;及び水素/重水素交換-質量分析(HDX-MS)(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい)が挙げられる。Champe et al.(1995)J.Biol.Chem.270:1388-1394も参照されたい。
【0524】
2つ以上の抗体に関連する「同じエピトープに結合する」という用語は、所与の方法によって決定される場合、抗体が同じセグメント又はアミノ酸残基の同じセグメントに結合することを意味する。本明細書中に記載される抗体を用いて抗体が「hMPV上の同じエピトープ」に結合するかどうかを決定するための技術としては、例えば、エピトープマッピング法、例えば、エピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のX線分析、及びHDX-MSが挙げられる。他の方法は、抗体のその抗原断片(例えばタンパク質分解断片)への結合、又は抗原配列内のアミノ酸残基の改変に起因する結合の喪失がエピトープ成分の指標と見なされることが多い抗原の変異型への結合、例えばアラニンスキャニング変異誘発(Cunningham&Wells(1985)Science 244:1081)、変異標的配列バリアントの酵母ディスプレイ、又はキメラの分析をモニタリングする。更に、エピトープマッピングのための計算組合せ方法も使用することができる。これらの方法は、目的の抗体が、コンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリから特異的な短いペプチドを親和性単離する能力に依存する。同じV及びV又は同じCDR1、2及び3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合すると予想される。
【0525】
「標的への結合について別の抗体と競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的又は完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的への結合について互いに競合するかどうか、すなわち一方の抗体が他方の抗体の標的への結合を阻害するかどうか及びどの程度阻害するかは、公知の結合競合実験、例えばBIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)分析を使用して決定することができる。一定の実施形態では、抗体は、別の抗体と競合し、別の抗体の標的への結合を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は100%阻害する。阻害又は競合のレベルは、どの抗体が「ブロッキング抗体」であるかに応じて異なり得る(すなわち、抗原と組み合わせた場合に抗原との別の免疫学的反応を阻止する抗体)。競合アッセイは、例えば、Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harb.Protoc.2006;doi:10.1101/pdb.prot4277 or in Chapter 11 of”Using Antibodies”by Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA 1999.に記載されているように行うことができる。競合抗体は、同じエピトープ、重複するエピトープ、又は隣接するエピトープ(例えば、立体障害によって証明されるように)に結合する。2つの抗体「交差競合」は、抗体が両方の方法で少なくとも50%、すなわち、一方の抗体又は他方の抗体が競合実験において最初に抗原と接触するかどうかにかかわらず、互いに遮断する場合である。
【0526】
2つの抗体が結合について競合するか又は交差競合するかを決定するための競合的結合アッセイとしては、例えばフローサイトメトリーによる、hMPVを発現する細胞への結合についての競合が挙げられる。他の方法としては、SPR(例えば、BIACORE(登録商標))、固相直接又は間接放射免疫測定法(RIA);バイオレイヤー干渉法(BLI)分析(例えば、BLIを用いたOCTET分析);固相直接又は間接酵素免疫測定法(EIA);サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al.,Methods in Enzymology 9:242(1983)を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,J.Immunol.137:3614(1986)を参照されたい);固相直接標識アッセイ;固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988)を参照されたい);1~125標識を使用した固相直接標識RIA(Morel et al.,Mol.Immunol.25(1):7(1988));固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al.,Virology 176:546(1990));及び直接標識されたRIA(Moldenhauer et al.,Scand.J.Immunol.32:77(1990))が挙げられる。
【0527】
本明細書で使用される場合、「特異的結合」、「選択的結合」、「選択的に結合する」及び「特異的に結合する」という用語は、所定の抗原上のエピトープに結合する抗体を指す。典型的には、抗体は、(i)例えば、所定の抗原を分析物として使用し、抗体をリガンドとして使用するSPR、又は抗原陽性細胞への抗体の結合のスキャッチャード分析によって決定される場合、約10-7M未満、例えば約10-8M、10-9M若しくは10-10M未満又は更に低い平衡解離定数(KD)で結合し、及び(ii)所定の抗原又は密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性よりも少なくとも2倍高い親和性で所定の抗原に結合する。約10-4Mを超える任意のKは、一般に、非特異的結合を示すと考えられる。
【0528】
本明細書で使用される「kassoc」又は「ka」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すのに対して、本明細書で使用される「kdis」又は「kd」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことを意図している。本明細書で使用される「K」という用語は、kd対k(すなわち、kd/ka)の比から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すことを意図している。抗体又はその抗原結合断片のK値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。抗体又はその抗原結合断片のKを決定するための好ましい方法は、SPRを使用すること、好ましくはBiacore(登録商標)システム又はフローサイトメトリー及びスキャッチャード解析又はバイオレイヤー干渉法などのバイオセンサーシステムを使用することによるものである。
【0529】
抗体又はその抗原結合断片を使用するインビトロ又はインビボアッセイの文脈における「EC50」という用語は、最大応答の50%、すなわち最大応答とベースラインとの中間の応答を誘導する抗体又はその抗原結合断片の濃度を指す。
【0530】
本明細書で使用される「交差反応する」という用語は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片が異なる種のメタニューモウイルスに結合する能力を指す。例えば、hMPVに結合する本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、ニューモウイルス科(例えば、ヒトRSV、ウシRSV、又はマウス肺炎ウイルス)の他のファミリーメンバー又はMPVの別の種(例えば、トリMPV)にも結合し得る。交差反応性は、結合アッセイ(例えば、SPR、ELISA、バイオレイヤー干渉法)において精製抗原との特異的反応性を検出すること、又は抗原を生理学的に発現する細胞(例えば、hMPVを過剰発現するHT1080細胞)に結合するか、そうでなければ機能的に相互作用することによって測定され得る。交差反応性を決定するための方法には、例えば、バイオレイヤー干渉法又はフローサイトメトリー技術による本明細書に記載の標準的な結合アッセイが含まれる。
【0531】
本明細書で使用される場合、「連結」という用語は、2つ以上の分子の会合を指す。結合は共有結合又は非共有結合であり得る。連鎖は遺伝的(すなわち、組換え融合された)であってもよい。そのような結合は、化学的コンジュゲーション及び組換えタンパク質産生などの多種多様な当技術分野で認識されている技術を使用して達成することができる。
【0532】
本明細書で使用される「核酸分子」という用語は、DNA分子及びRNA分子を含むことを意図している。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0533】
抗体又はその抗体結合断片(例えば、V、V、CDR3)をコードする核酸に関して本明細書で使用される「単離された核酸分子」という用語は、ヌクレオチド配列が他のゲノムヌクレオチド配列、例えばhMPV以外の抗原に結合する抗体又はその抗体結合断片をコードするものを本質的に含まない核酸分子を指すことを意図し、他の配列はヒトゲノムDNA中の核酸に天然に隣接し得る。
【0534】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことを意図している。ベクターの1つのタイプは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す「プラスミド」である。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。更に、特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(又は単純に、「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるので、交換可能に使用され得る。しかし、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などの他の形態の発現ベクターも含まれる。
【0535】
本明細書中に記載される配列の「保存的配列修飾」、すなわち、ヌクレオチド配列によってコードされるか又はアミノ酸配列を含有する抗体又はその抗原結合断片の抗原への結合を抑止しないアミノ酸配列修飾もまた提供される。そのような保存的配列修飾には、保存的ヌクレオチド及びアミノ酸置換、並びにヌクレオチド及びアミノ酸の付加及び欠失が含まれる。例えば、改変は、部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発などの当技術分野で公知の標準的な技術によって、本明細書の表の配列(例えば、表3B、表3C、表3D又は実施例1~6)に導入することができる。保存的アミノ酸置換には、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものが含まれる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。したがって、抗hMPV抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換えられる。抗原結合を排除しないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Brummell et al.,Biochem.32:1180-1187(1993);Kobayashi et al.Protein Eng.12(10):879-884(1999);及び Burks et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:412-417(1997)を参照されたい)。あるいは、別の実施形態では、例えば飽和変異誘発によって、抗hMPV抗体コード配列又はその抗hMPV抗原結合断片コード配列の全部又は一部に沿って変異をランダムに導入することができ、得られた修飾抗hMPV抗体を結合活性についてスクリーニングすることができる。
【0536】
核酸について、「実質的な相同性」という用語は、2つの核酸又はその指定された配列が、最適にアラインメントされ比較された場合、ヌクレオチドの少なくとも約80%、通常はヌクレオチドの少なくとも約80%~85%、85%~90%又は90%~95%、より好ましくは少なくとも約98%~99.5%において、適切なヌクレオチド挿入又は欠失を伴って同一であることを示す。あるいは、セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で鎖の相補体にハイブリダイズする場合、実質的な相同性が存在する。
【0537】
ポリペプチドの場合、「実質的な相同性」という用語は、2つのポリペプチド又はその指定配列が、最適にアラインメントされ比較された場合、アミノ酸の少なくとも約80%、通常はアミノ酸の少なくとも約80%~85%、85%~90%、90%~95%、より好ましくはアミノ酸の少なくとも約98%~99.5%、又はより好ましくはアミノ酸の少なくとも約98%~99.9%において、適切なアミノ酸の挿入又は欠失を伴って同一であることを示す。
【0538】
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、相同性%=同一位置の数/位置の総数×100)。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、以下の非限定的な例に記載されるように、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0539】
2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックス及び40、50、60、70、又は80のギャップ重み及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重みを使用する、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムを使用して決定することができる。2つのヌクレオチド又は2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers及びW.Miller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズムを使用して決定することもできる。更に、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Blosum 62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、及び16、14、12、10、8、6、又は4のギャップ重み及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重みを使用して、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman及びWunsch(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))アルゴリズムを使用して決定することができる。
【0540】
本明細書に記載の核酸及びタンパク質配列は、例えば関連配列を同定するために公開データベースに対して検索を実行するための「クエリ配列」として更に使用することができる。そのような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のNBLAST 及び XBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施され得る。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行うことができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施して、本明細書に記載のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップのあるアラインメントを得るために、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402に記載されているように、ギャップのあるBLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0541】
本明細書で使用される場合、組換えhMPV Fタンパク質の文脈における「バリアント」という用語は、ネイティブ配列又は参照配列と比較してそのアミノ酸配列又は核酸配列が異なる分子を指す。配列バリアントは、天然配列又は参照配列と比較して、配列内の特定の位置に、置換、欠失、挿入又は前述のいずれか2つ又は3つの組合せを有し得る。通常、バリアントは、天然配列又は参照配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、ネイティブ配列又は参照配列と少なくとも80%の同一性又は少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を共有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、ネイティブ配列又は参照配列と少なくとも90%~99%、91%~99%、92%~99%、93%~99%、94%~99%、95%~99%、96%~99%、97%~99%又は98%~99%の同一性を共有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸又は核酸が天然配列と異なる。
【0542】
本明細書で使用される場合、「類似体」という用語は、1又は複数のアミノ酸変化、例えば、親又は出発ポリペプチドの特性の1又は複数を依然として維持するアミノ酸残基の置換、付加又は欠失によって異なるポリペプチドバリアントを含むことを意味する。
【0543】
本開示は、バリアント及び誘導体を含む、ポリヌクレオチド又はポリペプチドベースのいくつかのタイプの組成物を提供する。これらには、例えば、置換型、挿入型、欠失型及び共有結合性のバリアント及び誘導体が含まれる。「誘導体」という用語は、「バリアント」という用語と同義であり、一般に、参照分子又は出発分子に対して何らかの方法で修飾及び/又は変更された分子を指す。
【0544】
したがって、参照配列に対する置換、挿入及び/又は付加、欠失及び共有結合修飾を含むペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特に、本明細書に開示されるポリペプチド配列は、本開示の範囲内に含まれる。例えば、1又は複数のリジンなどの配列タグ又はアミノ酸をペプチド配列(例えば、N末端又はC末端で)に付加することができる。配列タグは、ペプチドの検出、精製又は局在化に使用することができる。リジンは、ペプチド溶解度を増加させるために、又はビオチン化を可能にするために使用することができる。あるいは、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ末端領域及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基は、切断配列を提供するように欠失されてもよい。例えば、可溶性であるか又は固体支持体に連結されたより大きな配列の一部としての配列の発現など、配列の使用に応じて、特定のアミノ酸(例えば、C末端残基又はN末端残基)を代わりに欠失させてもよい。
【0545】
ポリペプチドに言及する場合の「置換バリアント」は、天然又は出発配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、異なるアミノ酸が同じ位置のその場所に挿入されているものである。置換は、分子中のただ1つのアミノ酸が置換されている単一であってもよく、又は2つ以上(例えば、3、4又は5)のアミノ酸が同じ分子中で置換されている複数であってもよい。
【0546】
本開示のポリペプチド又はポリヌクレオチド分子は、参照分子(例えば、参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチド)と、例えば、当技術分野で記載されている分子(例えば、操作又は設計された分子又は野生型分子)と、ある程度の配列類似性又は同一性を共有し得る。当該分野で公知の「同一性」という用語は、2つ以上のアミノ酸残基又は核酸残基のストリング間のマッチ数によって決定される、ポリヌクレオチド又はポリペプチド分子の2つの配列間の配列関連性の程度を指す。同一性は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(例えば、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアラインメント(存在する場合)を有する2つ以上の配列のうちの小さい方の配列間の同一のマッチのパーセントを測定する。関連ペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。
【0547】
ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列に適用される「パーセント同一性」又は「%同一性」という用語は、最大同一率を達成するために配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後の、第2の配列のアミノ酸配列又は核酸配列中の残基と同一である候補アミノ酸又は核酸配列中の残基(アミノ酸残基又は核酸残基)のパーセンテージとして定義される。アライメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当技術分野で周知である。同一性は、同一性パーセントの計算に依存するが、計算に導入されるギャップ及びペナルティのために値が異なり得る。一般に、特定のポリヌクレオチド又はポリペプチドのバリアントは、本明細書に記載され、当業者に公知の配列アラインメントプログラム及びパラメータによって決定される場合、その特定の参照ポリヌクレオチド又はポリペプチドと少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるが、100%未満の配列同一性を有する。2つのポリ核酸配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって行うことができる(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2の核酸配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非同一配列を無視することができる)。ある特定の実施形態では、比較目的のためにアラインメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチドによって占められている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、アライメントツール(例えば、オンラインツールのNeedleman-Wunschアルゴリズム)において数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0548】
本明細書中で使用されるとき、用語「グローバルアライメント」とは、最大のパーセント同一性を達成するために、2つの配列が同じ長さを有さない場合に必要に応じてギャップを導入する、それらの全長に沿った2つのアミノ酸又は核酸配列間の残基のアラインメントのことを指す。グローバルアライメントは、オンラインのEuropean Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS)(www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/を参照)からのグローバルアライメントツール「Needle」又はNational Center for Biotechnology Information(NCBI)からのグローバルアライメントツール「BLAST(登録商標)>>グローバルアライメント」(blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastn&PAGE_TYPE=BlastSearch&PROG_DEFAULTS=on&BLAST_INIT=GlobalAln&BLAST_SPEC=GlobalAln&BLAST_PROGRAMS=blastnを参照されたい)を使用して作成することができる。これらのグローバルアライメントツールの両方は、Needleman-Wunsch algorithm(Needleman,S.B.&Wunsch,C.D.(1970)”A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.”J.Mol.Biol.48:443-453)を組み込んでいる。好ましい実施形態では、BLASTグローバルアラインメントを使用したヌクレオチド配列のグローバルアラインメントは、以下のデフォルトパラメータを使用する:マッチスコア=2;ミスマッチスコア=-3;ギャップコスト伸長スコア=5;ギャップコスト伸長スコア=2。好ましい実施形態では、BLASTグローバルアラインメントを使用したタンパク質配列のグローバルアラインメントは、以下のデフォルトパラメータを使用する:ギャップコスト伸長=11;ギャップコスト伸長=1。
【0549】
本明細書で使用される「組換え宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)という用語は、細胞内に天然には存在しない核酸を含む細胞を指すことを意図し、組換え発現ベクターが導入された細胞であり得る。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すことが意図されていることを理解されたい。変異又は環境の影響のいずれかに起因して後続の世代で特定の改変が起こり得るので、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。
【0550】
本明細書で使用される「阻害」という用語は、活性の部分的及び完全な遮断を含む、生物学的活性の任意の統計的に有意な減少を指す。例えば、「阻害」は、生物学的活性(例えば、HMPVの阻害)の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の統計学的に有意な減少を指すことができる。
【0551】
例えば、本明細書で使用される場合、「hMPV活性を阻害する」という用語は、対照(例えば、コントロール抗体)と比較して、hMPV活性の任意の測定可能な減少、例えば、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約99%、又は約100%のhMPV活性の阻害を含む。阻害は、hMPV活性の単一の機構に特異的であり得るか、又はhMPV活性の全ての機構に一般化可能であり得る。
【0552】
本明細書の免疫原性組成物(例えば、「多価免疫原性組成物」)の文脈で使用される「多価」という用語は、2つ以上の病原体株によって引き起こされる疾患又は病理学的状態に活性免疫を提供する2つ以上の活性薬剤を含む医薬製剤を指す。例えば、hMPVに対する多価免疫原性組成物は、hMPVの2つ以上の株から保護し得る。
【0553】
本明細書で使用される「アジュバント」は、本開示の組成物の免疫原性を増強するのに役立つ物質である。アジュバントは、単独で投与された場合に弱い免疫原性である抗原に対する免疫応答を増強し、例えば、抗体価若しくは細胞媒介性免疫応答を誘導しないか若しくは弱い抗体価若しくは細胞媒介性免疫応答を誘導し、抗原に対する抗体価を増加させ、及び/又は個体において免疫応答を達成するのに有効な抗原の用量を低下させ得る。したがって、アジュバントは、免疫応答を高めるために与えられることが多く、当業者に周知である。
【0554】
本明細書で使用される場合、「防止する」又は「防止」という用語は、本発明のポリペプチドのいずれかを含有する組成物などの予防剤を、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)に感染するリスクがある対象又は患者に投与することを意味する。予防には、その後のhMPV感染の可能性又は重症度を低下させること、その後のhMPV感染に関連する症状を改善すること、及びhMPV感染から保護するために免疫を誘導することが含まれる。典型的には、薬剤は、感染を阻止するために体内のhMPVを中和するのに有効な量で投与される。任意の特定の疾患症状を改善するのに有効な予防剤の量は、患者の年齢及び体重、並びに対象において所望の応答を誘発する薬剤の能力などの要因に応じて変化し得る。疾患症状が改善されたかどうかは、その症状の重症度又は進行状態を評価するために医師又は他の熟練した医療提供者によって通常使用される任意の臨床測定によって評価することができ、又は特定の場合には入院の必要性を改善する。
【0555】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、本明細書に記載の治療的又は予防的手段を指す。「処理」の方法は、腫瘍若しくは癌を有する対象又はそのような疾患若しくは障害を有する素因を有する対象に、本明細書中に記載の抗hMPV抗体(例えば、抗ヒトhMPV抗体)又はその抗原結合断片の投与を、疾患若しくは障害又は再発性疾患若しくは障害の1又は複数の症状を予防するため、治癒するため、遅延させるため、その重症度を低下させるため、若しくは改善するために、又は対象の生存をそのような治療の非存在下で予想される生存よりも延長するために用いる。
【0556】
「免疫療法」は、免疫応答を誘導すること、増強すること、抑制すること、又は他の方法で修飾することを含む方法による、疾患に罹患しているか、又は疾患に接触するか、又は疾患の再発に罹患するリスクがある対象の治療を指す。
【0557】
「免疫刺激療法」又は「免疫賦活療法」は、例えば、hMPV又はhMPVに関連する状態を治療するために、対象において免疫応答を増加させる(誘導又は増強する)ことをもたらす療法を指す。
【0558】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」は、リンパ球、単球、マクロファージ、及び顆粒球などの単核細胞を含む、白血球として知られる血液細胞のサブセットを指す。
【0559】
本明細書で使用される場合、「投与」は、当業者に公知の様々な方法及び送達系のいずれかを使用した、対象への分子(例えば、hMPVに結合する抗体又はその抗原結合断片)又は治療剤(例えば、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片)を含む組成物の物理的導入を指す。本明細書中に記載される抗体のための好ましい投与経路には、例えば注射又は注入による静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用される場合、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入、並びにインビボ電気穿孔を含むが、これらに限定されない。あるいは、本明細書に記載の抗体は、非経口経路、例えば局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば鼻腔内、経口、膣内、直腸、舌下又は局所的に投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1又は複数の長期間にわたって行うこともできる。
【0560】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、疾患に関連する症状、合併症、状態又は生化学的徴候の進行、発症、重症度又は再発を逆転、緩和、改善、阻害又は減速又は予防する目的で、対象に対して行われる、又は対象に活性剤(例えば、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片)を投与する任意の種類の介入又はプロセスを指す。治療は、疾患を有する対象又は疾患を有さない対象(例えば、予防のために)の治療であり得る。
【0561】
本明細書で使用される場合、「補助的」又は「組み合わせ」投与(同時投与)は、同じ若しくは異なる剤形の薬剤及び/又は化合物の同時投与、又は化合物の別個の投与(例えば、逐次投与)を含む。例えば、少なくとも1つの薬剤は、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片を含む。したがって、第1の抗体又はその抗原結合断片、例えば抗hMPV抗体又はその抗原結合断片、及び第2、第3又はそれ以上の抗体又はその抗原結合断片は、単一の製剤で同時に投与することができる。あるいは、第1及び第2の(又はそれを超える)抗体又はその抗原結合断片は、別個の投与のために製剤化することができ、同時に又は逐次的に投与される。
【0562】
本明細書で使用される「組み合わせ」療法は、2つ以上の治療剤を協調して投与することを意味し、同時投与が含まれるが、これに限定されない。具体的には、併用療法は、ある治療剤の投与が別の治療剤の投与の何らかの方法で調整される限り、同時投与(例えば、共製剤の投与又は別々の治療用組成物の同時投与)及び連続又は逐次投与の両方を包含する。例えば、1つの治療剤は、異なる治療剤が投与され、所定の期間作用させられた後にのみ投与され得る。(例えば、Kohrt et al.(2011)Blood 117:2423を参照されたい)。例えば、抗hMPV抗体を最初に投与し、続いて(例えば、直後に)、第2の抗体(例えば、抗ウイルス抗体)又はその抗原結合断片を投与することができ、又はその逆も可能である。一実施形態では、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片は、第2の抗体又はその抗原結合断片の投与前に投与される。別の実施形態では、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片は、例えば、数分(例えば、約30分以内)又は少なくとも1時間の第2の抗体又はその抗原結合断片を投与される。そのような同時投与又は逐次投与は、好ましくは、両方の抗体又はその抗原結合断片が治療された患者に同時に存在することをもたらす。
【0563】
「有効量」又は「有効投与量」という用語は、所望の効果、例えばウイルス中和及びウイルス結合を達成するか又は少なくとも部分的に達成するのに十分な量として定義される。薬物(例えば、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片)の「治療有効量」又は「治療有効投与量」は、単独で又は別の治療剤と組み合わせて使用される場合、疾患症状の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度及び期間の増加若しくは治療剤、又は疾患の罹患に起因する障害若しくは能力障害の予防によって証明される疾患の退行を促進する任意の量の薬物又は治療剤である。薬物又は治療剤の治療有効量又は投与量には、「予防有効量」又は「予防有効投与量」が含まれ、これは、単独で、又は別の治療剤と組み合わせて、疾患を発症するリスク又は疾患の再発に罹患するリスクがある対象に投与された場合に、疾患の発症又は再発を阻害する任意の量の薬物又は治療剤である。疾患の退縮を促進するか、又は疾患の発症若しくは再発を阻害する治療剤の能力は、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、又はインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによってなど、当業者に公知の様々な方法を使用して評価することができる。
【0564】
例として、hMPVなどのウイルス感染症の治療のために、薬物又は治療剤(例えば、抗hMPV抗体又はその抗原結合断片)の治療有効量又は投与量は、未治療の対象と比較して、ウイルス活性、ウイルス量、又はウイルス疾患症状を少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも70%超、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%阻害する。いくつかの実施形態では、薬物又は治療剤の治療有効量又は投与量は、ウイルス活性を完全に阻害する。抗体を含む化合物又は治療剤がウイルス活性を阻害する能力は、本明細書に記載のアッセイを使用して評価することができる。あるいは、化合物又は治療剤を含む組成物のこの特性は、ウイルス活性を阻害する組成物の能力を調べることによって評価することができ、そのような阻害は、当業者に公知のアッセイによってインビトロで測定することができる。
【0565】
「患者」という用語は、予防的治療又は治療的処置のいずれかを受けるヒト及び他の哺乳動物対象を含む。
【0566】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。例えば、本明細書に記載の方法及び組成物は、がんを有する対象を治療するために使用することができる。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば哺乳動物及び非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。
【0567】
「試料」という用語は、患者又は対象から採取された組織、体液、又は細胞(又は前述のいずれかの画分)を指す。通常、組織又は細胞は患者から除去されるが、インビボ診断も考えられる。尿、涙、血清、血漿、脳脊髄液、糞便、痰、細胞抽出物などを含む他の試料もまた、特定の癌に有用であり得る。
【0568】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を排除しない。本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素で指定されていない要素、工程、又は成分を除外する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程を排除しない。本明細書の各例では、「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」という用語のいずれかは、他の2つの用語のいずれかで置き換えられていてもよく、したがって主題の範囲の代替的な態様を説明する。本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定がない状態で適切に実施され得る。
【0569】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。「又は(or)」又は「及び(and)」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は(and/or)」を意味する。更に、「含む(including)」という用語並びに「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は限定的ではない。
【0570】
量、持続時間などの測定可能な値を指す場合に本明細書で使用される「約」という用語は、指定された値から最大±10%の変動を包含する。特に明記しない限り、本明細書で使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数は、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。
【0571】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB、」、「A」のみ、及び「B」のみを含む。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A、B、及びCのそれぞれ;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A単独;B単独;及びC単独を包含する。
【0572】
本明細書で使用される場合、「ug」及び「マイクログラム」という用語は、以下のセクションで「μg」と互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「uM」及び「マイクロモル」という用語は、以下のセクションで「μM」と互換的に使用される。
【0573】
本明細書に記載の様々な態様は、以下のサブセクションで更に詳細に説明される。
【0574】
I.抗hMPV抗体
【0575】
一態様では、単離された抗hMPV抗体(すなわち、hMPVに結合する抗体)又はその抗原結合断片が本明細書で提供される。
【0576】
一態様では、以下を含む単離された抗hMPV抗体(例えば、組換えヒト化抗体、キメラ抗体又はヒト抗体)又はその抗原結合断片が本明細書で提供される。
【0577】
本明細書で提供される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片の機能的特徴を以下により詳細に記載する。
【0578】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片は、以下の実施例に記載されるKDでhMPVの一部(例えば、部位α、部位β、部位II、部位III、部位IV及び部位V)に結合する。
【0579】
当技術分野で公知であり、本明細書に記載される方法を使用して決定される、上記の機能的特性(例えば、生化学的、免疫化学的、細胞的、生理学的又は他の生物学的活性)の1つ又は複数を示す抗体又はその抗原結合断片は、抗体の非存在下で見られるもの(例えば、又は無関係な特異性の対照抗体が存在する場合)と比較して特定の活性の統計的に有意な差に関連すると理解される。好ましくは、抗hMPV抗体によって誘発される測定パラメータの増加は、測定パラメータの少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%(すなわち、2倍)、3倍、5倍又は10倍の統計学的に有意な増加をもたらす。逆に、測定されたパラメータ(例えば、hMPV活性)における抗hMPV抗体誘導性の減少は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の統計学的に有意な減少をもたらす。
【0580】
本明細書に記載の抗体のいずれかと同じhMPV上のエピトープに結合する抗hMPV抗体も本明細書で提供される。これらの抗体は、hMPVへの結合について本明細書中に記載される抗体のいずれかと交差競合する能力を有する。
【0581】
本明細書に開示される抗体は、全ての既知の形態の抗体及び抗体様特性を有する他のタンパク質足場を含む。例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、イムノコンジュゲート、キメラ抗体、又は抗体様特性を有するタンパク質骨格、例えばフィブロネクチン又はアンキリンリピートであり得る。
【0582】
いくつかの実施形態では、抗体は、第1及び第2の結合領域を含む二重特異性抗体であり、第1の結合領域は、本明細書中に記載される抗hMPV抗体の結合特異性(例えば、抗原結合領域)と、hMPVに結合しない第2の結合領域とを含む。いくつかの実施形態では、第2の結合領域は、血小板上に発現されないタンパク質に結合する。
【0583】
抗体はまた、Fab、F(ab’)、scFv、AFFIBODY、アビマー、ナノボディ、一本鎖抗体、又はドメイン抗体であり得る。抗体はまた、以下のアイソタイプ:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD及びIgEのいずれかを含む任意のアイソタイプを有することができる。全長抗体は、標準的な組換えDNA技術及び可変領域配列に作動可能に連結される所望の定常領域配列をコードする核酸を使用して、V及びV配列から調製することができる。
【0584】
ある特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体は、エフェクター機能を有する場合があり、又はエフェクター機能が低下している場合があり、又はエフェクター機能を有しない場合がある。一定の実施形態では、抗体は、エフェクターを含まない又はほとんどエフェクターを含まないFc、例えばIgG2又はIgG4を含む。一般に、本明細書に記載の可変領域は、典型的には、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞傷害性などの抗体の1つ又は複数の機能的特性を変化させるために、1つ又は複数の修飾を含むFcに連結され得る。更に、本明細書に記載の抗体は、抗体の1又は複数の機能的特性を変化させるために、化学的に修飾され得る(例えば、1又は複数の化学部分が抗体に結合され得る)か、又はそのグリコシル化を変化させるように修飾され得る。これらの実施形態の各々を以下で更に詳細に説明する。Fc領域中の残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのナンバリングである。
【0585】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、所望の構造的特徴及び/又は生物学的活性を提供するために、変異型Fc領域、例えば親Fc配列(例えば、後に改変されてバリアントを生成する未改変Fcポリペプチド)に対して改変(例えば、アミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入による)されたFc配列である。例えば、(a)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を増加又は減少させ、(b)補体媒介性細胞傷害(CDC)を増加又は減少させ、(c)C1qに対する親和性を増加又は減少させ、及び/又は(d)親Fcと比較してFc受容体に対する親和性を増加又は減少させたFcバリアントを生成するために、Fc領域に改変を行うことができる。そのようなFc領域バリアントは、一般に、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。アミノ酸修飾の組合せが特に望ましいと考えられる。例えば、バリアントFc領域は、その中に、例えば、本明細書で特定される特定のFc領域位置の、2、3、4、5などの置換を含み得る。
【0586】
バリアントFc領域はまた、ジスルフィド結合形成に関与するアミノ酸が除去されるか又は他のアミノ酸で置換される配列変化を含み得る。そのような除去は、本明細書中に記載される抗体を産生するために使用される宿主細胞中に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避し得る。システイン残基が除去されても、単鎖Fcドメインは、非共有結合的に一緒に保持された二量体Fcドメインを依然として形成することができる。他の実施形態では、Fc領域は、それを選択された宿主細胞とより適合性にするように改変され得る。例えば、プロリンイミノペプチダーゼなどの大腸菌の消化酵素によって認識され得る典型的な天然Fc領域のN末端付近のPA配列を除去することができる。他の実施形態では、Fcドメイン内の1又は複数のグリコシル化部位を除去することができる。典型的にはグリコシル化された残基(例えば、アスパラギン)は、細胞溶解性応答を付与し得る。そのような残基は、欠失され得るか、又は非グリコシル化残基(例えば、アラニン)で置換され得る。他の実施形態では、C1q結合部位などの補体との相互作用に関与する部位をFc領域から除去することができる。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失又は置換し得る。特定の実施形態では、Fc受容体への結合に影響を及ぼす部位、好ましくはサルベージ受容体結合部位以外の部位を除去することができる。他の実施形態では、Fc領域は、ADCC部位を除去するように修飾され得る。ADCC部位は当技術分野で公知であり、例えばIgG1のADCC部位に関して、Molec.Immunol.29(5):633-9(1992)を参照されたい。バリアントFcドメインの具体例は、例えば、PCT公開番号国際公開第97/34631及び国際公開第96/32478に開示されている。
【0587】
一実施形態では、Fcのヒンジ領域は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が変更される、例えば増加又は減少するように修飾される。このアプローチは、Bodmer et al.による米国特許第5,677,425号に更に記載されている。より具体的には、抗体がネイティブFc-ヒンジドメインSpA結合と比較して損なわれたブドウ球菌プロテインA(SpA)結合を有するように、そのFc-ヒンジ断片のCH2-CH3ドメイン界面領域に1又は複数のアミノ酸変異が導入される。このアプローチは、Ward et al.による米国特許第6,165,745号明細書に更に詳細に記載されている。
【0588】
更に他の実施形態では、Fc領域は、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換して抗体の(1又は複数の)エフェクター機能を変更することによって変更される。例えば、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320及び322から選択される1又は複数のアミノ酸は、抗体がエフェクターリガンドに対する変更された親和性を有するが、親抗体の抗原結合能を保持するように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。親和性が変化するエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体又は補体のC1成分であり得る。このアプローチは、Winter et al.による米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号に更に詳細に記載されている。別の例では、アミノ酸残基329、331及び322から選択される1つ又は複数のアミノ酸を、抗体がC1q結合を変化させ、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を低減若しくは廃止するように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。このアプローチは、Idusogie et al.による米国特許第6,194,551号に更に詳細に記載されている。別の例では、アミノ酸位置231及び239内の1又は複数のアミノ酸残基が変更され、それによって抗体が補体を固定する能力が変更される。このアプローチは、Bodmer et al.によるPCT公開番号WO 94/29351に更に記載されている。
【0589】
更に別の例において、Fc領域は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増大させるために、及び/又は、Fcγ受容体に対する親和性を増大させるために、以下の位置:234、235、236、238、239、240、241、243、244、245、247、248、249、252、254、255、256、258、262、263、264、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、299、301、303、305、307、309、312、313、315、320、322、324、325、326、327、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、433、434、435、436、437、438又は439における1又は複数のアミノ酸を改変することによって改変され得る。例示的な置換としては、236A、239D、239E、268D、267E、268E、268F、324T、332D及び332Eが挙げられる。例示的なバリアントには、239D/332E、236A/332E、236A/239D/332E、268F/324T、267E/268F、267E/324T、及び267E/268F/324Tが含まれる。Fc?R及び補体相互作用を増強するための他の改変には、置換298A、333A、334A、326A、247I、339D、339Q、280H、290S、298D、298V、243L、292P、300L、396L、305I及び396Lが含まれるが、これらに限定されない。これら及び他の改変は、Strohl,2009,Current Opinion in Biotechnology 20:685-691に概説されている。
【0590】
Fcγ受容体への結合を増加させるFc修飾には、Fc領域のアミノ酸位置238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、279、280、283、285、298、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、312、315、324、327、329、330、335、337、3338、340、360、373、376、379、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438又は439のいずれか1つ又は複数におけるアミノ酸修飾が含まれ、Fc領域中の残基のナンバリングは、Kabat(PCT特許公開番号国際公開第00/42072)のようなEUインデックスのナンバリングである。
【0591】
Fcに対して行うことができる他のFc修飾は、FcγR及び/又は補体タンパク質への結合を低減又は除去し、それにより、Fc媒介エフェクター機能、例えばADCC、ADCP及びCDCを低減又は除去するためのものである。例示的な改変には、位置234、235、236、237、267、269、325及び328における置換、挿入及び欠失が含まれるが、これらに限定されず、ナンバリングはEUインデックスに従う。例示的な置換には、234G、235G、236R、237K、267R、269R、325L、及び328Rが含まれるが、これらに限定されず、ナンバリングはEUインデックスに従う。Fcバリアントは、236R/328Rを含み得る。FcγR及び補体相互作用を減少させるための他の修飾としては、置換297A、234A、235A、237A、318A、228P、236E、268Q、309L、330S、331S、220S、226S、229S、238S、233P及び234V、並びに変異的若しくは酵素的手段又はタンパク質をグリコシル化しない細菌などの生物における産生による297位でのグリコシル化の除去が挙げられる。これら及び他の改変は、Strohl,2009,Current Opinion in Biotechnology 20:685-691に概説されている。
【0592】
Fc領域には、当業者に公知の更なる位置及び/又は代替の位置に非天然アミノ酸残基が含まれていてもよい(例えば、米国特許第5,624,821号;同第6,277,375号;同第6,737,056号;同第6,194,551号;7,317,091号;8,101,720;国際公開第00/42072号;国際公開第01/58957号;国際公開第02/06919号;国際公開第04/016750号;国際公開第04/029207号;国際公開第04/035752号;国際公開第04/074455号;国際公開第04/099249号;国際公開第04/063351号;国際公開第05/070963号;国際公開第05/040217号、国際公開第05/092925号及び国際公開第06/020114号を参照されたい)。
【0593】
阻害性受容体FcγRIIbに対する親和性を増強するFcバリアントも使用され得る。そのようなバリアントは、例えばB細胞及び単球を含むFcγRIIb細胞に関連する免疫調節活性を有するFc融合タンパク質を提供し得る。一実施形態では、Fcバリアントは、1又は複数の活性化受容体と比較して、FcγRIIbに対する選択的に増強された親和性を提供する。FcγRIIbへの結合を変化させるための改変は、EUインデックスに従って、234、235、236、237、239、266、267、268、325、326、327、328及び332からなる群から選択される位置における1又は複数の改変を含む。FcγRllb親和性を増強するための例示的な置換には、234D、234E、234F、234W、235D、235F、235R、235Y、236D、236N、237D、237N、239D、239E、266M、267D、267E、268D、268E、327D、327E、328F、328W、328Y、及び332Eが含まれるが、これらに限定されない。例示的な置換としては、235Y、236D、239D、266M、267E、268D、268E、328F、328W及び328Yが挙げられる。FcγRIIbへの結合を増強するための他のFcバリアントとしては、235Y/267E、236D/267E、239D/268D、239D/267E、267E/268D、267E/268E及び267E/328Fが挙げられる。
【0594】
特定の実施形態では、抗体は、その生物学的半減期を増加させるように修飾される。様々なアプローチが可能である。例えば、これは、FcRnに対するFc領域の結合親和性を増加させることによって行われ得る。例えば、米国特許第6,277,375号に記載されるように、以下の残基:252、254、256、433、435、436のうちの1又は複数の残基を変異させることができる。具体的な例示的置換としては、T252L、T254S及び/又はT256Fの1つ又は複数が挙げられる。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、Presta et al.による米国特許第5,869,046号及び第6,121,022号に記載されているように、抗体をCH1領域又はCL領域内で変化させて、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから得られるサルベージ受容体結合エピトープを含有させることができる。FcRnへの結合を増加させ、及び/又は薬物動態特性を改善する他の例示的なバリアントには、例えば259I、308F、428L、428M、434S、434H、434F、434Y、及び434Mを含む、位置259、308、428及び434における置換が含まれる。FcRnへのFc結合を増加させる他のバリアントとしては、250E、250Q、428L、428F、250Q/428L(Hinton et al.,2004,J.Biol.Chem.279(8):6213-6216,Hinton et al.2006 Journal of Immunology 176:346-356)、256A、272A、286A、305A、307A、307Q、31 1A、312A、376A、378Q、380A、382A、434A(Shields et al.,Journal of Biological Chemistry,2001,276(9):6591-6604を参照されたい)、252F、252T、252Y、252W、254T、256S、256R、256Q、256E、256D、256T、309P、311S、433R、433S、433I、433P、433Q、434H、434F、434Y、252Y/254T/256E、433K/434F/436H、308T/309P/311S(Dall Acqua et al.Journal of Immunology,2002,169:5171-5180,Dall’Acqua et al.,2006,Journal of Biological Chemistry 281:23514-23524)が挙げられる。FcRn結合を調節するための他の改変は、Yeung et al.,2010,J Immunol,182:7663-7671に記載されている。特定の実施形態では、特定の生物学的特徴を有するハイブリッドIgGアイソタイプを使用することができる。例えば、IgG1/IgG3ハイブリッドバリアントは、CH2及び/又はCH3領域のIgG1位置を、2つのアイソタイプが異なる位置のIgG3由来のアミノ酸で置換することによって構築され得る。したがって、1つ又は複数の置換、例えば、274Q、276K、300F、339T、356E、358M、384S、392N、397M、4221、435R及び436Fを含むハイブリッドバリアントIgG抗体を構築することができる。本明細書中に記載される他の実施形態では、IgG1/IgG2ハイブリッドバリアントは、CH2領域及び/又はCH3領域におけるIgG2位置を、2つのアイソタイプが異なる位置におけるIgG1由来のアミノ酸で置換することによって構築され得る。したがって、以下のアミノ酸置換:233E、234L、235L、-236G(位置236でのグリシンの挿入を指す)、及び327Aのうちの1つ又は複数を含むハイブリッドバリアントIgG抗体を構築することができる。
【0595】
更に、FcγR1、FcγRII、FcγRIII及びFcRnのヒトIgG1上の結合部位がマッピングされ、結合が改善されたバリアントが記載されている(Shields,R.L.et al.(2001)J.Biol.Chem.276:6591-6604を参照されたい)。位置256、290、298、333、334及び339における特異的変異は、FcγRIIIへの結合を改善することが示された。更に、増強されたFcγRIIIa結合及びADCC活性を提示することが示されている以下の組合せ変異体:T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224A及びS298A/E333A/K334AがFcγRIII結合を改善することが示された(Shields et al.,2001)。FcγRIIIaに対する親和性の最大の増加、FcγRIIb結合の減少、及びカニクイザルにおける強い細胞傷害活性を示したS239D/I332E及びS239D/I332E/A330L変異を有するバリアントを含む、FcγRIIIaに対する結合が強く増強された他のIgG1バリアントが同定されている(Lazar et al.,2006)。アレムツズマブ(CD52特異的)、トラスツズマブ(HER2/neu特異的)、リツキシマブ(CD20特異的)及びセツキシマブ(EGFR特異的)などの抗体への三重変異の導入は、インビトロで非常に増強されたADCC活性に翻訳され、S239D/I332Eバリアントは、サルにおいてB細胞を枯渇させる増強された能力を示した(Lazar et al.,2006)。更に、B細胞悪性腫瘍及び乳癌のモデルにおいて、FcγRIIIaに対する結合の増強及びそれに伴うADCC活性の増強をヒトFcγRIIIaを発現するトランスジェニックマウスにおいて示した、L235V、F243L、R292P、Y300L及びP396L変異を含むIgG1変異体が同定されている(Stavenhagen et al.,2007;Nordstrom et al.,2011)。使用され得る他のFc変異体としては、S298A/E333A/L334A、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、L235V/F243L/R292P/Y300L/P396L及びM428L/N434Sが挙げられる。
【0596】
IgG4定常ドメインを使用する場合、通常、IgG1のヒンジ配列を模倣し、それによってIgG4分子を安定化する置換S228Pを含むことが好ましい。
【0597】
更に別の実施形態では、抗体のグリコシル化が修飾される。例えば、非グリコシル化抗体を作製することができる(すなわち、抗体はグリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるように変更することができる。そのような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内のグリコシル化の1つ又は複数の部位を変化させることによって達成することができる。例えば、1又は複数の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除をもたらす1又は複数のアミノ酸置換を行って、それによりその部位でのグリコシル化を排除することができる。そのような非グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。そのようなアプローチは、Co et al.による米国特許第5,714,350号及び第6,350,861号に更に詳細に記載されている。N297上の定常領域のグリコシル化は、N297残基を別の残基、例えばN297Aに変異させることによって、及び/又は隣接アミノ酸、例えば298を変異させ、それによってN297上のグリコシル化を減少させることによって防止され得る。
【0598】
これに加えて、又はこれに代えて、グリコシル化のタイプが変化した抗体、例えばフコシル残基の量が減少した低フコシル化抗体又は二等分GlcNac構造が増加した抗体を作製することができる。このような変化したグリコシル化パターンは、抗体のADCC能力を増加させることが実証されている。そのような炭水化物修飾は、例えば、変化したグリコシル化機構を有する宿主細胞において抗体を発現させることによって達成することができる。変化したグリコシル化機構を有する細胞は当技術分野で記載されており、本明細書に記載の組換え抗体を発現し、それによって変化したグリコシル化を有する抗体を産生する宿主細胞として使用することができる。例えば、Hanai et al.による欧州特許第1,176,195号は、そのような細胞株で発現される抗体が低フコシル化を示すように、フコシルトランスフェラーゼをコードする機能的に破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞株を記載している。PrestaによるPCT公開番号国際公開第03/035835号は、バリアントCHO細胞株、Lec13細胞を記載しており、Asn(297)結合炭水化物にフコースを付着させる能力が低下しており、その宿主細胞で発現される抗体の低フコシル化ももたらす(Shields,R.L.et al.(2002)J.Biol.Chem.277:26733-26740も参照されたい)。Umana et al.によるPCT公開番号国際公開第99/54342号には、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株が記載されており、操作された細胞株で発現された抗体は、抗体のADCC活性の増加をもたらす二等分GlcNac構造の増加を示す(Umana et al.(1999)Nat.Biotech.17:176-180も参照されたい)。
【0599】
本明細書に記載の抗体の別の修飾はペグ化である。抗体をペグ化して、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させることができる。抗体をペグ化するために、抗体又はその断片は、典型的には、1つ又は複数のPEG基が抗体又はその抗体断片に結合するようになる条件下で、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体などのポリエチレングリコール(PEG)と反応する。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して行われる。本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1~C10)アルコキシ-若しくはアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドなどの他のタンパク質を誘導体化するために使用されている任意の形態のPEGを包含することを意図している。一定の実施形態では、ペグ化される抗体が非グリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化する方法は当技術分野で公知であり、本明細書に記載の抗体に適用することができる。例えば、Nishimura et al.による欧州特許第0 154 316号明細書及びIshikawa et al.による欧州特許第0 401 384号明細書を参照されたい。
【0600】
そのリガンドに対するFc領域の親和性及び結合特性は、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又はラジオイムノアッセイ(RIA))又は速度論(例えば、BIACORE分析)、並びに間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動及びクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)などの他の方法を含むがこれらに限定されない当技術分野で公知の様々なインビトロアッセイ法(生化学的又は免疫学的ベースのアッセイ)によって決定することができる。これら及び他の方法は、検査される成分の1つ又は複数の標識を利用することができ、及び/又は限定されないが、発色、蛍光、発光、又は同位体標識を含む様々な検出方法を使用することができる。結合親和性及び動態の詳細な説明は、Paul,W.E.,ed.,Fundamental Immunology,4th Ed.,Lippincott-Raven,Philadelphia(1999)に見出すことができ、これは抗体-免疫原相互作用に焦点を当てている。
【0601】
II.抗hMPV抗体と同じエピトープに結合するか、又は抗hMPV抗体と交差競合する抗体
【0602】
本明細書に開示される抗体と同じ又は類似のエピトープに結合する(したがって、本明細書に開示される抗体と交差競合する)抗hMPV抗体は、免疫化プロトコルを使用して産生され得る。得られた抗体を、hMPVへの高親和性結合についてスクリーニングすることができる。次いで、選択された抗体を、例えば、hMPVの配列バリアントが酵母細胞の表面に提示される酵母ディスプレイアッセイにおいて、又は抗体によって結合された正確なエピトープを決定するための水素-重水素交換実験によって研究することができる。
【0603】
抗体が結合するエピトープは、当技術分野で認識されている方法を使用して決定することができる。hMPV抗体は、例えば、hMPV上の参照抗体と同じ残基の1又は複数と接触する場合、参照抗hMPV抗体と同じエピトープに結合し、hMPVの少なくとも1つの領域内の1又は複数の参照抗体と同じ残基と接触し、参照抗体としてのhMPVの少なくとも1つの領域内の残基の大部分と接触しhMPVの各領域内の参照抗体と同じ残基の大部分と接触し、hMPVの全長に沿って参照抗体と同じ残基の大部分と接触し、参照抗体と同じhMPVの異なる領域の全てと接触し、hMPV上の任意の1つの領域において参照抗体と同じ残基の全てと接触し、又は、hMPVの参照抗体と同じ領域の全てにおいて同じ残基の全てと接触すると考えられる。
【0604】
本明細書中に記載されるhMPV抗体を用いて「hMPV上の同じエピトープ」に結合する抗体を決定するための技術には、エピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のX線分析が含まれる。他の方法は、抗原配列内のアミノ酸修飾に起因する結合の喪失がエピトープ成分を示す、抗体の抗原結合断片又は抗原の変異型への抗体の結合をモニタリングする。方法はまた、目的の抗体が、コンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリ又は標的タンパク質のプロテアーゼ消化物から特定の短いペプチド(天然の三次元形態又は変性形態のいずれか)を親和性単離する能力に依存し得る。次いで、ペプチドは、ペプチドライブラリをスクリーニングするために使用される抗体に対応するエピトープの定義のためのリードと見なされる。エピトープマッピングのために、立体配座不連続エピトープをマッピングすることが示されている計算アルゴリズムも開発されている。
【0605】
エピトープ又はエピトープを含む領域は、hMPVにまたがる一連の重複ペプチドへの結合についてスクリーニングすることによっても同定することができる。あるいは、Jespers et al.(1994)Biotechnology 12:899の方法を使用して、同じエピトープ、したがって本明細書に記載のhMPV抗体と同様の特性を有する抗体の選択を導くことができる。ファージディスプレイを使用して、最初に、抗hMPV抗体の重鎖を(例えば、ヒト)軽鎖のレパートリーとペアリングしてhMPV結合抗体を選択し、次いで、新しい軽鎖を(例えば、ヒト)重鎖のレパートリーとペアリングして、本明細書に記載の抗hMPV抗体と同じエピトープ又はエピトープ領域を有する(例えば、ヒト)hMPV結合抗体を選択する。あるいは、本明細書に記載の抗体のバリアントは、抗体の重鎖及び軽鎖をコードするcDNA配列の変異誘発によって得ることができる。
【0606】
Cunningham&Wells(1989)Science 244:1081に記載されているアラニンスキャニング変異誘発、又はhMPV中のアミノ酸残基の何らかの他の形態の点変異誘発もまた、抗hMPV抗体の機能的エピトープを決定するために使用され得る。
【0607】
特異的抗体によって結合されるエピトープ又はエピトープ領域(「エピトープ領域」はエピトープを含むか、又はエピトープと重複する領域である)はまた、hMPV断片を含むペプチドへの抗体の結合を評価することによって決定され得る。hMPV配列を包含する一連の重複ペプチドを合成し、例えば直接ELISA、競合ELISA(ペプチドがマイクロタイタープレートのウェルに結合したhMPVへの抗体の結合を防止する能力について評価される)、又はチップ上で結合についてスクリーニングすることができる。そのようなペプチドスクリーニング方法は、いくつかの不連続な機能的エピトープを検出することができない場合がある。
【0608】
エピトープはまた、MSベースのタンパク質フットプリンティング、例えばHDX-MS及びFast Photochemical Oxidation of Proteins(FPOP)、構造的方法、例えばX線結晶構造決定、分子モデリング及び核磁気共鳴分光法によって同定され得る。
【0609】
単一粒子低温電子顕微鏡法(SP-Cryo-EM)を使用して、抗体又はその抗原結合断片が結合するエピトープを同定することもできる。SP-Cryo-EMは、高強度電子ビームを使用して生体標本をそれらの生来の環境において極低温でイメージングする高分子構造解析のための技術である。近年、創薬への応用に適した原子レベルに近い構造を決定するための結晶学及びNMRの補完技術としてSP-クライオEMが登場した(Renaud et al.Nat Rev Drug Discov 2018;17:471-92;Scapin et al.Cell Chem Biol 2018;25:1318-25;Ceska et al.Biochemical Society Transactions 2019:p.BST20180267)。高解像度情報に加えて、SP-Cryo-EMは、より大きくより複雑な生物学的系へのアクセスを可能にするという更なる利点を有し、同じ試料からの複数の配座又は組成溶液状態を特性決定する可能性があり、高分子のより生物学的に関連する状態への洞察を提供する。イメージングのために、少量の試料(例えば、3マイクロリットル、3μl、一定分量)をグリッド上に適用し、液体エタン浴中で急速冷凍する。次いで、凍結グリッドを顕微鏡にロードし、グリッドの異なる領域の数百から数千の画像を収集する。これらの画像は、生物学的高分子(粒子)の二次元投影を含む:数学的ツール及びGPU駆動アルゴリズムを使用して、粒子が識別され、抽出され、分類され、後続の工程では、異なるクラスを使用して、同じ試料中に共存する場合の異なる立体配座、オリゴマー化又は結合状態に対応する1つ又は複数の3D再構築を計算する。次いで、個々の再構成を高分解能に精密化することができる。
【0610】
III.核酸分子
【0611】
抗hMPV抗体又はその抗原結合断片、並びに本明細書に記載のhMPV Fタンパク質及びそのバリアントをコードする核酸分子も本明細書で提供される。核酸は、全細胞、細胞溶解物、又は部分的に精製された形態若しくは実質的に純粋な形態で存在し得る。本明細書に記載の核酸は、例えばDNA又はRNAであり得、イントロン配列を含有しても含有しなくてもよい。特定の実施形態では、核酸はcDNA分子である。本明細書に記載の核酸は、標準的な分子生物学技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマによって発現される抗体(例えば、下記に更に記載されるようなヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから調製されるハイブリドーマ)の場合、ハイブリドーマによって作製された抗体の軽鎖及び重鎖をコードするcDNAは、標準的なPCR増幅又はcDNAクローニング技術によって得ることができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリ(例えば、ファージディスプレイ技術の使用)から得られた抗体については、抗体をコードする核酸をライブラリから回収することができる。
【0612】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の抗hMPV抗体又はその抗原結合断片のVH配列及び/若しくはVL配列、又は重鎖配列及び/若しくは軽鎖配列をコードする核酸分子が本明細書で提供される。本明細書に記載のヌクレオチド配列(例えば、核酸分子)を含む宿主細胞は、本明細書に包含される。VH及びVLセグメントをコードするDNA断片が得られると、これらのDNA断片は、例えば、可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技術によって更に操作することができる。これらの操作では、VL又はVHをコードするDNA断片は、抗体定常領域又は柔軟性リンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に動作可能に連結される。「作動可能に連結される」という用語は、この文脈で使用される場合、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように2つのDNA断片が連結されることを意味することを意図している。
【0613】
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHコードDNAを、重鎖定常領域(ヒンジ、CH1、CH2及び/又はCH3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、完全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。
【0614】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、完全長軽鎖遺伝子(並びにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、カッパ定常領域又はラムダ定常領域であり得る。
【0615】
核酸分子の翻訳時に得られるアミノ酸配列を変化させない保存的置換による核酸分子も本明細書で提供される。
【0616】
IV.製造方法
【0617】
hMPVに結合するモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え及びファージディスプレイ技術、又はそれらの組合せの使用を含む当技術分野で公知の多種多様な技術を用いて調製することができる。
【0618】
本明細書に記載のモノクローナル抗体を作製するための様々な方法が当技術分野で利用可能である。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法、又はその任意のその後の発展を使用して、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.,1988);Hammer-ling,et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981)に教示されているものを含むハイブリドーマ技術を用いて産生することができる(当該参考文献はそれらの全体が参照により組み込まれる)。ハイブリドーマ技術を使用して特異的抗体を産生及びスクリーニングする方法は、日常的であり、当技術分野で周知である。別の例において、本明細書中に記載される方法及び組成物において有用な抗体はまた、この技術分野で知られている様々なファージディスプレイ法(例えば、McCafferty et al.,Nature,348:552-554(1990)に記載される技術を使用して作製される抗体ファージライブラリからの単離)を使用して作製され得る。Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)and Marks et al.,J.Mol.Biol,222:581-597(1991)は、ファージライブラリを使用したマウス抗体及びヒト抗体のそれぞれの単離を記載する。その後の刊行物は、非常に大きなファージライブラリを構築するための戦略として、鎖シャッフリング(Marks et al.,Bio/Technology,10:779-783(1992))、並びにコンビナトリアル感染及びインビボ組換えによる高親和性(例えば、nM範囲)ヒト抗体の産生を記載している(Waterhouse et al.,Nuc.Acids.Res.,21:2265-2266(1993))。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体を単離するための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替法である。
【0619】
ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用する上記のファージディスプレイ法を含む、当技術分野で公知の様々な方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号及び同第4,716,111号;及び国際公開第98/46645号パンフレット、国際公開第98/50433号パンフレット、国際公開第98/24893号パンフレット、国際公開第98/16654号、国際公開第96/34096号、国際公開第96/33735号パンフレット及び国際公開第91/10741号パンフレットが挙げられ、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを使用して産生され得、免疫化すると、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができる。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要については、Lonberg and Huszar,1995,Int.Rev.Immunol.13:65-93を参照されたい。ファージディスプレイ技術(McCafferty et al.,Nature 348:552-553(1990))を使用して、非免疫化ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、ヒト抗体及びその抗体結合断片をインビトロで産生することもできる。ヒト抗体は、インビトロで活性化されたB細胞によっても生成され得る。(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,567,610号明細書及び米国特許第5,229,275号明細書を参照されたい)。選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択」と呼ばれる技術を使用して生成することができる。このアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体を使用して、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導する(Jespers et al.,1994,Bio/technology 12:899-903)。
【0620】
キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体の配列に基づいて調製することができる。重鎖及び軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAは、目的のマウスハイブリドーマから得られ、標準的な分子生物学技術を使用して非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含有するように操作することができる。例えば、キメラ抗体を作製するために、マウス可変領域を、当該分野で公知の方法(例えば、Cabilly et al.の米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)を使用してヒト定常領域に連結することができる。
【0621】
ヒト化形態の抗hMPV抗体(例えば、ヒト化形態のマウス抗hMPV抗体)は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、典型的には、レシピエントのCDR又は超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR又は超可変領域からの残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体には見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体の性能を更に改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体にはまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部が含まれていてもよい。更なる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);and Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
【0622】
ヒト化抗体のフレームワーク及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークは、その部位のCDR又はフレームワーク残基がドナー抗体又はコンセンサスフレームワークのいずれかに正確に対応しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失によって変異誘発することができる。本明細書中で使用されるとき、用語「コンセンサスフレームワーク」とは、コンセンサス免疫グロブリン配列におけるフレームワーク領域のことを指す。本明細書中で使用されるとき、用語「コンセンサス免疫グロブリン配列」とは、関連する免疫グロブリン配列のファミリーにおいて最も頻繁に生じるアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成される配列のことを指す(Winnaker,From Genes to Clones(Veriagsgesellschaft,Weinheim,Germany 1987)。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列中の各位置は、ファミリー中のその位置に最も頻繁に生じるアミノ酸によって占められる。2つのアミノ酸が等しい頻度で存在する場合、どちらもコンセンサス配列に含めることができる。本明細書で使用される場合、「バーニアゾーン」は、Foote and Winter(1992,J.Mol.Biol.224:487-499、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、CDR構造を調整し、抗原への適合を微調整し得るフレームワーク残基のサブセットを指す。バーニアゾーン残基は、CDRの下にある層を形成し、CDRの構造及び抗体の親和性に影響を及ぼし得る。レシピエントとして使用することができるヒト免疫グロブリン(Ig)配列は、当技術分野で周知である。
【0623】
ヒトフレームワーク領域中のフレームワーク残基をCDRドナー抗体由来の対応する残基で置換して、抗原結合を変化させる、好ましくは改善することができる。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデル化、及び特定の位置の異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較によって同定される。(例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Queen et al.,米国特許第5,585,089号;Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)を参照されたい)。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体配座構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらのディスプレイの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このようにして、FR残基をコンセンサス配列及びインポート配列から選択し、組み合わせて、(1又は複数の)標的抗原に対する親和性の増加などの所望の抗体特性を達成することができる。一般に、CDR残基は、抗原結合への影響に直接的かつ最も実質的に関与する。抗体は、限定されないが、それぞれ参照により本明細書に完全に組み込まれる、Jones et al.,Nature 321:522(1986);Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988),Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993),Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489-498(1991);Studnicka et al.,Protein Engineering 7(6):805-814(1994);Roguska.et al.,PNAS 91:969-973(1994);PCT公開番号国際公開第91/09967号、PCT/米国特許第98/16280号、米国特許第96/18978号、米国特許第91/09630号、米国特許第91/05939号、米国特許第94/01234号、英国特許第89/01334号、英国特許第91/01134号、英国特許第92/01755号、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、欧州特許第229246号、欧州特許第592,106号、欧州特許第519,596号、欧州特許第239,400号、米国特許第5,565,332号、同第5,723,323号、同第5,976,862号、同第5,824,514号、同第5,817,483号、同第5,814,476号、同第5,763,192号、同第5,723,323号、同第5,766,886号、同第5,714,352号、同第6,204,023号、同第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,225,539号、同第4,816,567を含む、当技術分野で公知の様々な技術を使用してヒト化され得る。
【0624】
上に記載される方法を使用して作製される抗hMPV抗体は、所望される機能(例えば、特定の結合特異性、結合親和性、標的化された細胞集団など)について、当該分野で公知であり、かつ、実施例に記載される方法(例えば、当該分野で認識されているタンパク質-タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ及び細胞に基づくアッセイ)を使用して試験され得る。本発明の一態様は、hMPVに結合する抗体又はその抗原結合断片をスクリーニングするために使用され得る分子を提供する。例示的なアッセイとしては、免疫沈降又はインビトロ結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioアッセイ)及びスキャッチャード分析が挙げられるが、これらに限定されない。
【0625】
抗体操作
【0626】
本明細書中に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片(例えば、実施例1~6における抗体又はその抗原結合断片)が、親モノクローナル抗体の可変ドメイン内のフレームワーク残基に対する修飾を含むように、例えば、抗体又はその抗原結合断片の特性を改善するように操作された抗体である実施形態が更に含まれる。典型的には、そのようなフレームワーク修飾は、抗体又はその抗原結合断片の免疫原性を低下させるために行われる。これは通常、親(例えば、げっ歯類)抗体又はその抗原結合断片中の可変ドメイン(すなわち、フレームワーク残基)中の非CDR残基を、抗体が使用される種の免疫レパートリー由来の類似残基、例えばヒト治療薬の場合はヒト残基で置換することによって達成される。そのような抗体又はその抗原結合断片は、「ヒト化」抗体又はその抗原結合断片と呼ばれる。いくつかの実施形態では、操作された(例えば、ヒト化)抗体の親和性を増加させるか、又は特異性を変化させることが望ましい。1つのアプローチは、1又は複数のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に「復帰変異(backmutate)」することである。より具体的には、体細胞変異を受けた抗体又はその抗原結合断片は、抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含み得る。そのような残基は、抗体又はその抗原結合断片のフレームワーク配列を、抗体又はその抗原結合断片が由来する生殖系列配列と比較することによって同定することができる。別のアプローチは、操作された(例えばヒト化)抗体の1つ又は複数の位置で元の親(例えば、げっ歯類)残基に戻すこと、例えば、フレームワーク残基を置換するプロセスで失われた可能性がある結合親和性を回復することである。(例えば、米国特許第5,693,762号、米国特許第5,585,089号及び米国特許第5,530,101号を参照されたい。)
【0627】
ある特定の実施形態では、抗hMPV抗体及びその抗原結合断片は、それらの特性を改善するために操作される(例えば、フレームワーク及び/又はCDRにおける修飾)。そのような操作された変化は、分子モデリングに基づくことができる。親(非ヒト)抗体配列の可変領域の分子モデルは、抗体の構造的特徴を理解するために構築することができ、抗原と相互作用することができる抗体上の潜在的領域を同定するために使用することができる。従来のCDRは、免疫グロブリン配列のアラインメント及び可変領域の同定に基づいている。Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat,et al.;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242;Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabat,et al.,(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616.Chothia及び共同研究者らは、抗体の結晶構造におけるループの立体配座を慎重に調べ、超可変ループを提案した。Chothia,et al.,(1987)J Mol.Biol.196:901-917 or Chothia,et al.,(1989)Nature 342:878-883.「CDR」及び「超可変ループ」に分類される領域の間にはばらつきがある。後の研究(Raghunathan et al.,(2012)J.Mol Recog.25,3,103-113)は、いくつかの抗体-抗原結晶複合体を分析し、抗体中の抗原結合領域が必ずしも「CDR」残基又は「超可変」ループに厳密に一致しないことを観察した。非ヒト抗体の可変領域の分子モデルを使用して、抗原に潜在的に結合し得る領域の選択を導くことができる。実際には、モデルに基づく潜在的な抗原結合領域は、従来の「CDR」又は「ハイパー変数」ループとは異なる。分子モデリングには、MOE(Chemical Computing Group)などの市販の科学ソフトウェアを使用することができる。ヒトフレームワークは、フレームワーク及びCDRの両方において非ヒト配列との最良一致に基づいて選択することができる。VH中のFR4(フレームワーク4)について、ヒト生殖系列のVJ領域を対応する非ヒト領域と比較する。VL中のFR4(フレームワーク4)の場合、ヒト生殖系列配列のJ-カッパ領域及びJ-ラムダ領域を、対応する非ヒト領域と比較する。適切なヒトフレームワークが同定されると、CDRは選択されたヒトフレームワークに移植される。いくつかの場合、VL-VH界面における特定の残基は、非ヒト(親)配列におけるように保持され得る。分子モデルはまた、CDR立体配座、したがって抗原への結合を潜在的に変化させ得る残基を同定するために使用され得る。いくつかの場合、これらの残基は、非ヒト(親)配列と同様に保持される。分子モデルを使用して、グリコシル化、脱アミド化及び酸化などの望ましくない効果をもたらし得る溶媒露出アミノ酸を同定することもできる。これらの潜在的な問題を排除/最小化するために、開発可能性フィルタを設計段階の早期に導入することができる。
【0628】
別のタイプのフレームワーク修飾は、T細胞エピトープを除去し、それによって抗体の潜在的な免疫原性を低下させるために、フレームワーク領域内、又は更には1又は複数のCDR領域内の1又は複数の残基を変異させることを含む。このアプローチは、「脱免疫」とも呼ばれ、米国特許第7,125,689号に更に詳細に記載されている。
【0629】
特定の実施形態では、脱アミド化又は異性化を回避するために、最終抗体のより大きな化学的安定性を提供するために、(1又は複数の)露出した側鎖を含む特定のアミノ酸を別のアミノ酸残基に変更することが望ましい。アスパラギンの脱アミド化は、NG、DG、NG、NS、NA、NT、QG又はQS配列で起こり得、キンクをポリペプチド鎖に導入し、その安定性を低下させるイソアスパラギン酸残基の生成をもたらし得る(イソアスパラギン酸効果)。異性化は、DG、DS、DA又はDT配列で起こり得る。ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、脱アミド化部位又はアスパラギン異性部位を含有しない。例えば、アスパラギン(Asn)残基をGln又はAlaに変化させて、特にCDR内の任意のAsn-Gly配列におけるイソアスパラギン酸の形成の可能性を低下させることができる。
【0630】
Asp-Gly配列でも同様の問題が起こり得る。Reissner and Aswad(2003)Cell.Mol.Life Sci.60:1281.イソアスパルタートの形成は、抗体のその標的抗原への結合を無効化又は完全に無効化し得る。734のPresta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731を参照されたい。様々な実施形態では、アスパラギンはグルタミン(Gln)に変更される。アスパラギン(Asn)残基又はグルタミン(Gln)残基に隣接するアミノ酸を変化させて、小さなアミノ酸がアスパラギン又はグルタミンに隣接して存在する場合に起こる脱アミドの可能性を低下させることも望ましい場合がある。Bischoff&Kolbe(1994)J.Chromatog.662:261を参照されたい。更に、CDR中の任意のメチオニン残基(典型的には溶媒露出Met)は、メチオニン硫黄が酸化する可能性を減らすために、Lys、Leu、Ala若しくはPhe又は他のアミノ酸に変更されてもよく、これは抗原結合親和性を低下させ、最終抗体調製物における分子不均一性にも寄与し得る。Id.更に、潜在的な切断性Asn-Proペプチド結合を防止又は最小化するために、CDRに見られる任意のAsn-Proの組合せをGln-Pro、Ala-Pro又はAsn-Alaに変更することが望ましい場合がある。そのような置換を有する抗体は、その後、置換がhMPVに対する抗体の親和性若しくは特異性、又は他の所望の生物学的活性を許容できないレベルまで低下させないことを確実にするためにスクリーニングされる。
【0631】
Fc領域の抗体操作
【0632】
本明細書中に開示される抗体(すなわち、抗hMPV抗体)及びその抗原結合断片はまた、典型的には、抗体の1つ又は複数の特性、例えば、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能(例えば、抗原依存性細胞傷害性)を変化させるために、Fc領域内に改変を含むように操作され得る。更に、本明細書中に開示される抗体及びその抗原結合断片は、化学的に改変され得る(例えば、1又は複数の化学部分が抗体に結合され得る)か、又はそのグリコシル化を変化させるように改変され得、この場合も、抗体又はその抗原結合断片の1又は複数の特性を変化させるために改変され得る。これらの実施形態の各々を以下で更に詳細に説明する。Fc領域中の残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのナンバリングである。
【0633】
本明細書中に開示される抗体及びその抗原結合断片はまた、改変されたエフェクター機能を提供するために改変された(又はブロックされた)Fc領域を有する抗体及びその抗原結合断片を含む。例えば、米国特許第5,624,821号;及びPCT公開番号公開第2003/086310号;国際公開第2005/120571号;国際公開第2006/0057702号パンフレットを参照されたい。そのような修飾は、免疫系の様々な反応を増強又は抑制するために使用することができ、診断及び治療において有益な効果があり得る。Fc領域の変化には、アミノ酸の変化(置換、欠失及び挿入)、グリコシル化又は脱グリコシル化、及び複数のFc領域の付加が含まれる。Fcの変化はまた、治療用抗体における抗体の半減期を変化させることができ、より少ない頻度の投与を可能にし、したがって、材料の利便性の向上及び使用の減少を可能にする。734~35のPresta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731を参照されたい。
【0634】
一実施形態において、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、重鎖定常領域のヒンジ領域内の228(S228P;EUインデックス)位に対応する位置にセリンからプロリンへの変異を含むIgG4アイソタイプ抗体又はその抗原結合断片である。この変異は、ヒンジ領域における重鎖間ジスルフィド架橋の不均一性を無効にすることが報告されている(Angal et al.前掲;位置241は、Kabatナンバリングシステムに基づく)。
【0635】
本発明の一実施形態では、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が増加又は減少するように修飾される。このアプローチは、米国特許第5,677,425号に更に記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖の組み立てを容易にするために、又は抗体の安定性を増加又は減少させるために変更される。
【0636】
別の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片のFcヒンジ領域は、抗体又はその抗原結合断片の生物学的半減期を減少させるように変異されている。より具体的には、抗体又はその抗原結合断片が天然のFc-ヒンジドメインSpA結合と比較して損なわれたブドウ球菌プロテインA(SpA)結合を有するように、Fc-ヒンジ断片のCH2-CH3ドメイン界面領域に1又は複数のアミノ酸変異を導入する。このアプローチは、米国特許第6,165,745号に更に詳細に記載されている。
【0637】
別の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、その生物学的半減期を延長するように改変される。様々なアプローチが可能である。例えば、米国特許第6,277,375号に記載されているように、以下の変異:T252L、T254S、T256Fのうちの1つ又は複数を導入することができる。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、抗体は、米国特許第5,869,046号及び第6,121,022号に記載されているように、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取られたサルベージ受容体結合エピトープを含有するようにCH1又はCL領域内で変更され得る。
【0638】
更に他の実施形態では、Fc領域は、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換して、抗体又はその抗原結合断片の(1又は複数の)エフェクター機能を変更することによって変更される。例えば、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320及び322から選択される1又は複数のアミノ酸は、抗体がエフェクターリガンドに対する変更された親和性を有するが、親抗体の抗原結合能を保持するように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。親和性が変化するエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体又は補体のC1成分であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号に更に詳細に記載されている。
【0639】
別の例では、アミノ酸残基329、331及び322から選択される1つ又は複数のアミノ酸を、抗体がC1q結合を変化させ、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を低減若しくは廃止するように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。このアプローチは、米国特許第6,194,551号に更に詳細に記載されている。
【0640】
別の例では、アミノ酸位置231及び239内の1又は複数のアミノ酸残基が変更され、それによって抗体が補体を固定する能力が変更される。このアプローチは、PCT公開番号国際公開第1994/29351号に更に記載されている。
【0641】
更に別の例では、Fc領域は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する本発明の抗体又はその抗原結合断片の能力を低下させるように、及び/又はFcγ受容体に対する抗体又はその抗原結合断片の親和性を以下の位置:238、239、243、248、249、252、254、255、256、258、264、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438若しくは439の1又は複数のアミノ酸を改変することによって低下させるように、改変される。このアプローチは、PCT公開番号国際公開第00/42072に更に記載されている。更に、FcγR1、FcγRII、FcγRIII及びFcRnのヒトIgG1上の結合部位がマッピングされ、結合が改善されたバリアントが記載されている(Shields et al.(2001)J.Biol.Chem.276:6591-6604を参照されたい)。
【0642】
本発明の一実施形態では、Fc領域は、残基243及び264を修飾することによって、エフェクター機能を媒介する本発明の抗体の能力を低下させ、及び/又は抗炎症特性を増加させるように修飾される。一実施形態において、抗体又はその抗原結合断片のFc領域は、位置243及び264の残基をアラニンに変更することによって修飾される。一実施形態では、Fc領域は、残基243、264、267及び328を修飾することによって、エフェクター機能を媒介する抗体又はその抗原結合断片の能力を低下させるように、並びに/あるいは抗炎症特性を増加させるように修飾される。
【0643】
変更されたエフェクター機能
【0644】
いくつかの実施形態では、抗hMPV抗体のFc領域は、エフェクター機能を媒介する抗体又はその抗原結合断片の能力を増加又は減少させるように、並びに/あるいはFcγ受容体(FcγR)へのそれらの結合を増加/減少させるように改変される。
【0645】
抗原結合タンパク質の定常領域と、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)を含む様々なFc受容体(FcR)との間の相互作用は、抗原結合タンパク質のADCC及びCDCなどのエフェクター機能を媒介すると考えられている。Fc受容体は、抗腫瘍免疫にとって重要であり得る抗体架橋にとっても重要である。
【0646】
エフェクター機能は、例えば、FcγRIIIのナチュラルキラー細胞への結合を介して、又はFcγRIの単球/マクロファージへの結合を介してADCCエフェクター機能を測定することを含む、多数の方法で測定することができる。例えば、本発明の抗原結合タンパク質は、ナチュラルキラー細胞アッセイにおいてADCCエフェクター機能について評価することができる。そのようなアッセイの例は、Shields et al.,2001 J.Biol.Chem.,Vol.276,p 6591-6604;Chappel et al.,1993 J.Biol.Chem.,Vol 268,p 25124-25131;Lazar et al.,2006 PNAS,103;4005-4010に見出される。
【0647】
残基Asn297上に特異的変異又は変化したグリコシル化を含むヒトIgG1定常領域は、Fc受容体への結合を減少させることが示されている。他の場合では、変異がADCC及びCDCを増強することも示されている(Lazar et al.PNAS 2006,103;4005-4010;Shields et al.J Biol Chem 2001,276;6591-6604;Nechansky et al.Mol Immunol,2007,44;1815-1817)。
【0648】
本発明の一実施形態では、そのような変異は、239、332及び330(IgG1)から選択される位置、又は他のIgGアイソタイプの同等の位置のうちの1つ又は複数にある。適切な変異の例は、S239D及びI332E及びA330Lである。一実施形態において、本明細書に記載する本発明の抗原結合タンパク質は、位置239及び332、例えばS239D及びI332Eにおいて変異しており、又は更なる実施形態においては、239及び332及び330から選択される3つ又はそれを超える位置、例えばS239D及びI332E及びA330Lにおいて変異している。(EUインデックスナンバリング)。
【0649】
本発明の代替的な実施形態では、抗原結合タンパク質がエフェクター機能を増強するようにグリコシル化プロファイルが変更された重鎖定常領域を含む抗体が提供される。例えば、抗体は、増強されたADCC若しくは増強されたCDCを有するか、又は増強されたADCC及びCDCエフェクター機能の両方を有する。変化したグリコシル化プロファイルを有する抗原結合タンパク質を作製するための好適な方法論の例は、PCT公開番号国際公開第2003011878号及び国際公開第2006014679並びに欧州特許第1229125号に記載されている。
【0650】
更なる態様において、本発明は、「非フコシル化」又は「フコシル化」抗体を提供する。非フコシル化抗体は、フコース残基を有さないFcの複合型N-グリカンのトリ-マンノシルコア構造を有する。Fc N-グリカンからのコアフコース残基を欠くこれらの糖鎖工学抗体は、FcγRIIIa結合能の増強のために、フコシル化等価物よりも強いADCCを示し得る。
【0651】
本発明はまた、a)本明細書に記載の単離された核酸を含む発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養する工程であって、組換え宿主細胞がアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼを含まない工程と、b)抗原結合タンパク質を回収する工程と、を含む、発明による抗体の産生のための方法を提供する。組換え宿主細胞は、通常、α-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(例えば、ピキア(Pichia)種などの酵母宿主細胞)をコードする遺伝子を含まないか、又はα-1,6-フコシルトランスフェラーゼを不活性化するように遺伝子改変されていてもよい。アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を不活性化するように遺伝子改変された組換え宿主細胞が利用可能である。例えば、BioWa,Inc.(Princeton,N.J.)から入手可能なPOTELLIGENT(商標)技術システムを参照されたく、FUT8遺伝子の機能的コピーを欠くCHOK1SV細胞は、機能的FUT8遺伝子を有する細胞において産生される同一のモノクローナル抗体と比較して増大した抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有するモノクローナル抗体を産生する。POTELLIGENT(商標)技術システムの態様は、米国特許第7214775号及び米国特許第6946292号、並びにPCT公開番号国際公開第0061739号及び国際公開第0231240号に記載されている。当業者は、他の適切なシステムも認識するであろう。
【0652】
そのような改変は、単独で使用されるだけでなく、エフェクター機能を更に増強又は減少させるために互いに組み合わせて使用され得ることが当業者には明らかであろう。
【0653】
修飾グリコシル化抗体の作製
【0654】
更に別の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、特定のグリコシル化パターンを含む。例えば、アフコシル化若しくは非グリコシル化抗体又はその抗原結合断片を作製することができる(すなわち、抗体は、それぞれフコース又はグリコシル化を欠く)。抗体又はその抗原結合断片のグリコシル化パターンは、例えば、hMPVに対する抗体又は断片の親和性又は結合活性を増加させるように変更され得る。そのような修飾は、例えば、抗体又はその抗原結合断片配列内の1又は複数のグリコシル化部位を変更することによって達成することができる。例えば、1又は複数の可変領域フレームワークグリコシル化部位の除去をもたらす1又は複数のアミノ酸置換を行って、それによりその部位でのグリコシル化を排除することができる。そのような非グリコシル化は、抗原に対する抗体又はその抗原結合断片の親和性又は結合活性を増加させ得る。例えば、米国特許第5,714,350号及び第6,350,861号を参照されたい。
【0655】
本明細書中に開示される抗体及びその抗原結合抗原結合断片には、下等真核生物宿主細胞において産生されるもの、特に、哺乳動物様又はヒト様のグリコシル化パターンを有する糖タンパク質を産生するように遺伝子操作されている酵母又は 糸状菌等の真菌宿主細胞において産生されるものが更に含まれ得る(例えば、Choi et al.,(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.100:5022-5027;Hamilton et al.,(2003)Science 301:1244-1246;Hamilton et al.,(2006)Science 313:1441-1443;Nett et al.,Yeast 28(3):237-52(2011);Hamilton et al.,Curr Opin Biotechnol.Oct;18(5):387-92(2007)を参照されたい)。現在使用されている哺乳動物細胞株に対するこれらの遺伝子組換え宿主細胞の特定の利点は、特定のN-グリカン構造が優勢である糖タンパク質の組成物を産生することができるように、細胞中で産生される糖タンパク質のグリコシル化プロファイルを制御する能力である(例えば、米国特許第7,029,872号及び米国特許第7,449,308号を参照されたい)。これらの遺伝子組換え宿主細胞は、主に特定のN-グリカン構造を有する抗体を産生するために使用されてきた(例えば、Li et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:210-215を参照されたい)。
【0656】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体及びその抗原結合断片には、更に、下等真核生物宿主細胞で産生されるものが挙げられ、これは、フコシル化及び非フコシル化ハイブリッド及び複合N-グリカン(バイセクト型及びマルチアンテナ型の種が含まれ、GlcNAc(1-4)ManGlcNAc;Gal(1-4)GlcNAc(1-4)ManGlcNAc;NANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(1-4)ManGlcNAc等のN-グリカンが含まれるが、これらに限定されない)を含む。
【0657】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体及びその抗原結合断片は、GlcNAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlcNAc;及びNANAGalGlcNAcManGlcNAcからなる群から選択される少なくとも1つのハイブリッドN-グリカンを有する抗体又はその抗原結合断片を含み得る。特定の態様では、ハイブリッドN-グリカンは、組成物中の優勢なN-グリカン種である。
【0658】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体及びその抗原結合断片は、GlcNAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlcNAc;NANAGalGlcNAcManGlcNAc;GlcNAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlcNAc;NANAGalGlcNAcManGlcNAc;及びNANAGalGlcNAcManGlcNAcからなる群から選択される少なくとも1つの複合体N-グリカンを有する抗体及びその抗原結合断片を含む。特定の態様では、複合体N-グリカンは、組成物中の優勢なN-グリカン種である。更なる態様において、複合体N-グリカンは、組成物中の複合体N-グリカンの約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%を構成する特定のN-グリカン種である。一実施形態において、本明細書において提供する抗体及びその抗原結合断片は複合体N-グリカンを含み、ここで複合体N-グリカンの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%は構造NANAGalGlcNAcManGlcNAcを含み、ここでそのような構造はフコシル化されている。そのような構造は、例えば、操作されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞において産生され得る。
【0659】
特定の実施形態において、N-グリカンはフコシル化されている。一般に、フコースは、N-グリカンの還元末端のGlcNAcとのα1,3-結合、N-グリカンの還元末端のGlcNAcとのα1,6-結合、N-グリカンの非還元末端のGalとのα1,2-結合、N-グリカンの非還元末端のGlcNacとのα1,3-結合、又はN-グリカンの非還元末端のGlcNAcとのα1,4-結合である。したがって、上記糖タンパク質組成物の特定の態様では、グリコフォームはα1,3結合又はα1,6結合フコースであり、ManGlcNAc(Fuc)、GlcNAcManGlcNAc(Fuc)、ManGlcNAc(Fuc)、GlcNAcManGlcNAc(Fuc)、GlcNAcManGlcNAc(Fuc)、GalGlcNAcManGlcNAc(Fuc)、GalGlcNAcManGlcNAc(Fuc)、NANAGalGlcNAcManGlcNAc(Fuc)、及びNANAGalGlcNAcManGlcNAc(Fuc)からなる群から選択されるグリコフォームを産生し、α1,3-結合又はα1,4-結合フコースは、GlcNAc(Fuc)ManGlcNAc、GlcNAc(Fuc)ManGlcNAc、GlcNAc(Fuc1-2)ManGlcNAc、GalGlcNAc(Fuc1-2)ManGlcNAc、GalGlcNAc(Fuc1-2)Man3GlcNAc2、NANAGal2GlcNAc2(Fuc1-2)ManGlcNAc、及びNANAGalGlcNAc(Fuc1-2)ManGlcNAcからなる群から選択されるグリコフォームを産生し、又はα1,2結合フコースは、Gal(Fuc)GlcNAcManGlcNAc、Gal(Fuc1-2)GlcNAcManGlcNAc、NANAGal(Fuc1-2)GlcNAcManGlcNAc、及びNANAGal(Fuc1-2)GlcNAcManGlcNAcからなる群から選択されるグリコフォームを産生する。
【0660】
更なる態様では、抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、高マンノースN-グリカン、例えば限定されないが、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc、又はMan3GlcNAc2 N-グリカン構造からなるN-グリカンを含む。
【0661】
上記の更なる態様では、複合体N-グリカンは、フコシル化及び非フコシル化二分岐及び多分岐種を更に含む。
【0662】
本明細書で使用される場合、「N-グリカン」及び「グリコフォーム」という用語は互換的に使用され、N結合オリゴ糖、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基にアスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合によって結合しているものを指す。N結合型糖タンパク質は、タンパク質中のアスパラギン残基のアミド窒素に結合したN-アセチルグルコサミン残基を含有する。糖タンパク質上に見られる主な糖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びシアル酸(例えば、N-アセチル-ノイラミン酸(NANA))である。糖基の処理は、ERの内腔で共翻訳的に起こり、N結合型糖タンパク質についてはゴルジ装置で翻訳後に続く。N-グリカンは、ManGlcNAcの共通の五糖コアを有する(「Man」は、マンノースを示し、「Glc」は、グルコースを示し、「NAc」は、N-アセチルを指し、GlcNAcは、N-アセチルグルコサミンを指す)。通常、N-グリカン構造は、非還元末端を左に、還元末端を右に提示される。N-グリカンの還元末端は、タンパク質上のグリコシル化部位を含むAsn残基に結合した末端である。N-グリカンは、「トリマンノースコア」、「五糖コア」又は「パウシマンノースコア」とも呼ばれるManGlcNAc(「Man3」)コア構造に付加される周辺糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコース及びシアル酸)を含む分枝(アンテナ)の数に関して異なる。N-グリカンは、それらの分枝構成要素に従って分類される(例えば、高マンノース、複合体又はハイブリッド)。「高マンノース」型N-グリカンは、5つ以上のマンノース残基を有する。「複合体」型N-グリカンは、典型的には、「トリマンノース」コアの、1,3マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcと、1,6マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcとを有する。複合N-グリカンはまた、シアル酸又は誘導体で修飾されていてもよいガラクトース(「Gal」)又はN-アセチルガラクトサミン(「GalNAc」)残基を有し得る(例えば、「NANA」又は「NeuAc」であり、ここで、「Neu」はノイラミン酸を指し、「Ac」はアセチルを指す)。複合体N-グリカンはまた、「二等分」GlcNAc及びコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内置換を有し得る。複合N-グリカンはまた、しばしば「複数のアンテナグリカン」と呼ばれる「トリマンノースコア」上に複数のアンテナを有し得る。「ハイブリッド」N-グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端に少なくとも1つのGlcNAcを有し、トリマンノースコアの1,6マンノースアームに0個以上のマンノースを有する。様々なN-グリカンは、「グリコフォーム」とも呼ばれる。
【0663】
複合N-グリカンに関して、用語「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」及び「A2」は、以下を意味する。「G-2」は、Man3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指し、「G-1」という用語は、GlcNAcMan3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指し、「G0」という用語は、GlcNAc2Man3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指し、「G1」という用語は、GalGlcNAc2Man3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指し、「G2」という用語は、Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指し、「A1」という用語は、NANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指し、「A2」という用語は、NANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2として特性決定され得るN-グリカン構造を指す。別段示されない限り、用語「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」及び「A2」は、N-グリカンの還元末端でGlcNAc残基に結合したフコースを欠くN-グリカン種をいう。この用語が「F」を含む場合、「F」は、N-グリカン種がN-グリカンの還元末端のGlcNAc残基上にフコース残基を含むことを示す。例えば、G0F、G1F、G2F、A1F及びA2Fは全て、N-グリカンが、N-グリカンの還元末端でGlcNAc残基に結合したフコース残基を更に含むことを示す。酵母及び糸状菌などの下等真核生物は、通常、フコースを産生するN-グリカンを産生しない。
【0664】
マルチアンテナN-グリカンに関して、「マルチアンテナN-グリカン」という用語は、N-グリカンの1,6アーム若しくは1,3アームの非還元末端を含むマンノース残基上のGlcNAc残基、又はN-グリカンの1,6アーム及び1,3アームの非還元末端を含む各マンノース残基上のGlcNAc残基を更に含むN-グリカンを指す。したがって、マルチアンテナN-グリカンは、式GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2、Gal(1-4)GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2、又はNANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(2-4)Man3GlcNAc2によって特性決定され得る。「1-4」という用語は、1、2、3又は4残基を指す。バイセクト型N-グリカンに関して、「バイセクト型N-グリカン」という用語は、GlcNAc残基がN-グリカンの還元末端のマンノース残基に結合しているN-グリカンを指す。バイセクト型N-グリカンは、式GlcNAc3Man3GlcNAc2によって特性決定することができ、式中、各マンノース残基はその非還元末端でGlcNAc残基に結合している。対照的に、マルチアンテナN-グリカンがGlcNAc3Man3GlcNAc2として特性決定される場合、式は、2つのGlcNAc残基がN-グリカンの2つのアームの一方の非還元末端でマンノース残基に連結され、1つのGlcNAc残基がN-グリカンの他方のアームの非還元末端でマンノース残基に連結されることを示す。
【0665】
抗体物性
【0666】
本明細書に開示される抗体及びその抗原結合断片は、軽鎖免疫グロブリン可変領域又は重鎖免疫グロブリン可変領域のいずれかに1又は複数のグリコシル化部位を更に含み得る。そのようなグリコシル化部位は、抗体若しくはその抗原結合断片の免疫原性の増加又は抗原結合の変化による抗体のPKの変化をもたらし得る(Marshall et al.(1972)Annu Rev Biochem 41:673-702;Gala and Morrison(2004)J Immunol 172:5489-94;Wallick et al(1988)J Exp Med 168:1099-109;Spiro(2002)Glycobiology 12:43R-56R;Parekh et al(1985)Nature 316:452-7;Mimura et al.(2000)Mol Immunol 37:697-706)。グリコシル化は、N-X-S/T配列を含有するモチーフで起こることが知られている。
【0667】
各抗体又はその抗原結合断片は特徴的な融解温度を有し、より高い融解温度はインビボでの全体的な安定性がより高いことを示す(Krishnamurthy R and Manning MC(2002)Curr Pharm Biotechnol 3:361-71)。一般に、TM1(初期展開温度)は、60℃超、65℃超、又は70℃超であり得る。抗体又はその抗原結合断片の融点は、示差走査熱量測定(Chen et al(2003)Pharm Res 20:1952-60;Ghirlando et al(1999)Immunol Lett 68:47-52)又は円二色性(Murray et al.(2002)J.Chromatogr Sci 40:343-9)を用いて測定することができる。更なる実施形態では、迅速に分解しない抗体及びその抗原結合断片が選択される。抗体又はその抗原結合断片の分解は、キャピラリー電気泳動(CE)及びMALDI-MS(Alexander AJ and Hughes DE(1995)Anal Chem 67:3626-32)を用いて測定することができる。
【0668】
更なる実施形態では、望ましくない免疫応答及び/又は変化した若しくは好ましくない薬物動態学的特性の誘発をもたらし得る最小の凝集効果を有する抗体及びその抗原結合断片が選択される。一般に、抗体及びその抗原結合断片は、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下の凝集で許容される。凝集は、サイズ排除カラム(SEC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及び光散乱を含むいくつかの技術によって測定することができる。
【0669】
V.多重特異性抗体
【0670】
本明細書で提供される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)は、本明細書に記載のhMPV上の特定のエピトープに対する少なくとも1つの結合領域、及び少なくとも1つの他の結合領域(例えば、ウイルス抗原)を含む。多重特異性抗体は、完全長抗体又はその抗原結合断片(例えばF(ab’)抗体)として調製することができる。
【0671】
多重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野で周知である(例えば、PCT公開番号国際公開第05117973号及び国際公開第06091209号を参照されたい。)。例えば、完全長多重特異性抗体の産生は、2つの対の免疫グロブリン重鎖-軽鎖の共発現に基づくことができ、2つの鎖は異なる特異性を有する。組換え細胞培養物から直接多重特異性抗体断片を作製及び単離するための様々な技術も記載されている。例えば、ロイシンジッパーを用いて多重特異性抗体を作製することができる。一本鎖Fv(scFv)二量体の使用によって多重特異性抗体断片を作製するための別の戦略も報告されている。
【0672】
適切な多重特異性分子プラットフォームの例としては、限定されないが、Dual Targeting(DT)-Ig(GSK/Domantis)、Two-in-one Antibody(Genentech)、交差連結Mabs(Karmanos Cancer Center)、Fcab及びmAb2(F-Star)、CovX-body(CovX/Pfizer)、Dual Variable Domain(DVD)-Ig(Abbott)、IgG-like Bispecific(ImClone/Eli Lilly)、Ts2Ab(Medlmmune/AZ)及びBsAb(Zymogenetics)、HERCULES(Biogen Idec)、TvAb(Roche)、ScFv/Fc Fusions、SCORPION(Emergent BioSolutions/Trubion,Zymogenetics/BMS)、Dual Affinity Retargeting Technology(Fc-DART)(MacroGenics)、Dual(ScFv)2-Fab(National Research Center for Antibody Medicine-China)、F(ab)2(Medarex/AMGEN)、Dual-Action又はBis-Fab(Genentech)、Dock-and-Lock(DNL)(ImmunoMedics)、Bivalent Bispecific(Biotecnol),SEED(EMD Serono)、mAb2(F-star)、Fab-Fv(UCB-Celltech)、Bispecific T Cell Engager(BiTE)(Micromet、Tandem Diabody(Tandab)(Affimed)、Dual Affinity Retargeting Technology(DART)(MacroGenics)、Single-chain Diabody(Academic)、TCR-like Antibodies(AIT,ReceptorLogics)、COMBODY(Epigen Biotech)、二重標的化ナノボディ(Ablynx)、及びFc-engineered IgGl(Xencor)が挙げられる。異なる二重特異性フォーマットは、Spiess et al.,2015 Molecular Immunology,vol.67,issue 2,Part A,pages 95-106に記載されている。
【0673】
特定の実施形態では、多重特異性抗体は、別の機能性分子、例えば別のペプチド又はタンパク質(例えば、受容体に対する別の抗体又はリガンド)に誘導体化又は連結されたhMPVに結合して、hMPV及び非hMPV標的分子に結合する多重特異性分子を生成する第1の抗体(又はその結合部分)を含む。抗体は、3つ以上の異なる結合部位及び/又は標的分子に結合する多重特異性分子を生成するために、2つ以上の他の機能性分子に誘導体化又は連結され得る。多重特異性分子を作製するために、本明細書に開示される抗体は、多重特異性分子が生じるように、1つ又は複数の他の結合分子、例えば別の抗体又はその抗原結合断片、抗体断片、ペプチド、受容体、又は結合模倣物に機能的に連結され得る(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合又は他の方法によって)。
【0674】
したがって、hMPV上の特定のエピトープに対する少なくとも1つの第1の結合特異性及び第2の標的に対する第2の結合特異性を含む多重特異性分子、例えば二重特異性抗体及び二機能性抗体が企図される。いくつかの実施形態において、第2の標的は、ウイルス関連抗原に特異的に結合する第2の結合領域である。ウイルス関連抗原は当技術分野で周知である。
【0675】
いくつかの実施形態において、抗体は、第1、第2及び第3の結合領域を含む三重特異性抗体であり、第1の結合領域は本明細書に記載の抗hMPV抗体の結合特異性(例えば、抗原結合領域)を含み、第2及び第3の結合領域は2つの異なる標的(又は同じ標的上の異なるエピトープ)、例えば上記の標的に結合する。
【0676】
一実施形態では、多重特異性分子は、結合特異性として、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fvを含む少なくとも1つの抗体又はその抗体断片を含む。抗体はまた、軽鎖若しくは重鎖二量体、又はLadner et al.の米国特許第4,946,778号に記載されているFv若しくは単鎖構築物などのその任意の最小断片であってもよい。
【0677】
多重特異性分子は、当該分野で公知の方法を使用して、構成成分結合特異性、例えば抗FcR及び抗hMPV結合特異性をコンジュゲートすることによって調製することができる。例えば、多重特異性分子の各結合特異性を別々に生成し、次いで互いにコンジュゲートさせることができる。結合特異性がタンパク質又はペプチドである場合、様々なカップリング剤又は架橋剤を共有結合コンジュゲーションに使用することができる。架橋剤の例としては、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、及びスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロハキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)が挙げられる。好ましいコンジュゲート化剤は、SATA及びスルホ-SMCCであり、両方ともPierce Chemical Co.(Rockford,IL)から入手可能である。
【0678】
結合特異性が抗体である場合、それらは、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合を介してコンジュゲート化され得る。特に好ましい実施形態では、ヒンジ領域は、コンジュゲーション前に、奇数のスルフヒドリル残基、好ましくは1つのスルフヒドリル残基を含有するように修飾される。
【0679】
あるいは、両方の結合特異性を同じベクター中にコードし、同じ宿主細胞中で発現させ、組み立てることができる。この方法は、多重特異性分子がmAb×mAb、mAb×Fab、Fab×F(ab’)2又はリガンド×Fab融合タンパク質である場合に特に有用である。多重特異性分子は、1つの一本鎖抗体及び結合決定基を含む一本鎖分子、又は2つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子であり得る。多重特異性分子は、少なくとも2つの一本鎖分子を含み得る。多重特異性分子を調製する方法は、例えば米国特許第5,260,203号;米国特許第5,455,030号;米国特許第4,881,175号;米国特許第5,132,405号;米国特許第5,091,513号;米国特許第5,476,786号;米国特許第5,013,653号;米国特許第5,258,498号;及び米国特許第5,482,858号に記載される。
【0680】
多重特異性分子のそれらの特異的標的への結合は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、バイオアッセイ(例えば、増殖阻害)、又はウエスタンブロット分析によって確認することができる。これらのアッセイの各々は、一般に、目的の複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体)を使用することによって、特定の目的のタンパク質-抗体複合体の存在を検出する。例えば、FcR-抗体複合体は、例えば、抗体-FcR複合体を認識して特異的に結合する酵素結合抗体又は抗体断片を使用して検出することができる。あるいは、複合体は、様々な他のイムノアッセイのいずれかを用いて検出することができる。例えば、抗体を放射性標識し、ラジオイムノアッセイ(RIA)に使用することができる。放射性同位体は、α γ-βカウンター又はシンチレーションカウンターを用いるか、又はオートラジオグラフィーにより検出することができる。
【0681】
VI.抗原/抗原性ポリペプチド
【0682】
一態様では、単離されたhMPV Fポリペプチド及びそのバリアントが本明細書で提供される。本明細書に記載のhMPV Fタンパク質ポリペプチド及びそのバリアントは、対象において活性な免疫原性応答を誘導するため、又はインビトロでB細胞から抗体を生成するために使用することができる。
【0683】
切断可能なアフィニティタグをhMPV Fポリペプチド及びそのバリアントの配列に付加することができる。本明細書で使用される場合、「切断可能なアフィニティタグ」という用語は、酵素的切断配列及びアフィニティクロマトグラフィーによって組換えhMPV Fタンパク質ポリペプチドを精製するために使用することができるポリペプチド配列についての本明細書に記載の組換えhMPV FポリペプチドのN又はC末端上のタンパク質配列を指す。そのようなタグ及び切断配列は、Kimple et al.,Current Protocols in Protein Science 9.9.1-9.9.23,August 2013に記載されている。例示的なアフィニティタグ配列としては、限定されないが、以下が挙げられる:プロテインA;lacZ;ポリヒスチジン(HHHHHH、配列番号1014;6xHis、His-tag、又はHisとも呼ばれる);グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST);マルトース結合タンパク質(MBP);カルモジュリン結合タンパク質(CBP);ビオチン系タグ(例えば、BCCP);ストレプトアビジン系タグ(例えば、strepタグII;SAWSHPQFEK;配列番号1015);変異型チオレドキシン(例えば、His-Patch ThioFusion(商標));FLAGタグ;赤血球凝集素(HA);c-myc;T7、Glu-Glu;ALFAタグ;V5タグ;Spot-tag(商標);新規エピトープタグ(NE-tag);β-ガラクトシダーゼ(β-gal);アルカリホスファターゼ(AP);クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT);セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP);変性ハロアルカンデハロゲナーゼ(HaloTag(商標));及び修飾セリンプロテアーゼサブチリシン(Profinity eXact(商標))。
【0684】
アフィニティタグを除去するための例示的な切断配列としては、限定されないが、トロンビンのプロテアーゼ切断配列(LVPRGS、配列番号1013);第Xa因子切断配列(配列番号1016、IEGR;又は配列番号1017、IDGR);PreScission(商標)プロテアーゼ切断部位(配列番号1018、LEVLFQGP);エンテロキナーゼ切断配列(配列番号1019、DDDDK);ジェネナーゼI切断配列(配列番号1020、TQLAYFTDSKNPGAAHYDTFADSLR);及びTEVプロテアーゼ切断配列(配列番号1021、ENLYFQ)が挙げられる。
【0685】
いくつかの実施形態では、タグはプロテアーゼによって直接認識され、ポリペプチドの残りの部分からアフィニティタグの切断をもたらし得る。例えば、タグ小ユビキチン様修飾因子(SUMO)は、SUMOタグの三次構造を介してSUMOプロテアーゼによって認識される。別の例では、サブチリシンプロドメインタグ(Profinity eXact(商標);BioRad Laboratories,Hercules CA)が、変異サブチリシンタンパク質によって認識され、切断される。別の例では、インテイン-キチン結合ドメインタグ(インテイン-CBD;IMPACT(商標)システム、New England Biolabs、Beverley MA)は、ジチオスレイトールなどの変性剤による活性化時に自己切断することができる。
【0686】
三量体化ドメイン配列は、本明細書に記載のhMPV Fポリペプチド及びバリアントに付加することもできる。そのような配列は、抗原性ポリペプチドの三量体化を可能にすることができる。例示的な三量化ドメイン配列としては、コイルドコイル三量化ドメイン、例えばGCN4ドメイン(ARMKQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLIGEAGSG;配列番号1022);T4フィブリチン由来のフォルドンドメイン(GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL;配列番号1012);ヒトXV型コラーゲンドメイン(配列番号1023);及びヒトXVIII型コラーゲンドメイン(配列番号1024)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0687】
ヒトXV型コラーゲンドメイン:GSRNLVTAFSNMDDMLQKAHLVIEGTFIYLRDSTEFFIRVRDGWKKLQLGELIPIPADS(配列番号1023)
【0688】
ヒトXVIII型コラーゲンドメイン(配列番号1024):
【0689】
GVRLWATRQAMLGQVHEVPEGWLIFVAEQEELYVRVQNGFRKVQLEARTPLPRGTDNE
【0690】
配列番号910及び911の残基99~102におけるプロテアーゼ切断部位は、フーリン切断配列で置き換えることができる。フーリン切断配列は、従来、コンセンサス配列RXRR(配列番号1025)又はRXKR(配列番号1026)によって記載され、ここで、Xは任意のアミノ酸である。様々な実施形態では、配列番号910の残基99~102は、配列番号1025又は1026で置換されている。様々な実施形態では、配列番号910の残基99~102は、配列番号1027(RGRR)、配列番号1028(RARR)、配列番号1029(RLRR)、配列番号1030(RMRR)、配列番号1031(RFRR)、配列番号1032(RWRR)、配列番号1033(RKRR)、配列番号1034(RQRR)、配列番号1035(RERR)、配列番号1036(RSRR)、配列番号1037(RPRR)、配列番号1038(RVRR)、配列番号1039(RIRR)、配列番号1040(RCRR)、配列番号1041(RYRR)、配列番号1042(RHRR)、配列番号1043(RRRR)、配列番号1044(RNRR)、配列番号1045(RDRR)、配列番号1046(RTRR)、配列番号1047(RGKR)、配列番号1048(RAKR)、配列番号1049(RLKR)、配列番号1050(RMKR)、配列番号1051(RFKR)、配列番号1052(RWKR)、配列番号1053(RKKR)、配列番号1054(RQKR)、配列番号1055(REKR)、配列番号1056(RSKR)、配列番号1057(RPKR)、配列番号1058(RVKR)、配列番号1059(RIKR)、配列番号1060(RCKR)、配列番号1061(RYKR)、配列番号1062(RHKR)、配列番号1063(RRKR)、配列番号1064(RNKR)、配列番号1065(RDKR)、又は配列番号1066(RTKR)で置き換えられる。
【0691】
VII.アッセイ
【0692】
本明細書に開示される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の様々なアッセイを使用して、所望の特性、例えば本明細書に記載される特性について試験することができる。
【0693】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片を、hMPVへの特異的結合について試験する。様々な抗hMPV抗体又はその抗原結合断片の結合親和性、交差反応性及び結合速度論を分析するための方法には、当技術分野で公知の標準的なアッセイ、例えば、実施例に記載されるように、Biacore(商標)2000 SPR装置(Biacore AB、Uppsala、Sweden)又はバイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioアッセイ)を使用するBiacore(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)分析が含まれる。
【0694】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片を、hMPVでトランスフェクトされた細胞に結合する能力について試験する。
【0695】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片を、hMPVでコーティングされたビーズの表面に結合する能力についてスクリーニングする。
【0696】
1つの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、hMPVに結合する能力又はhMPVに影響を及ぼす能力について試験される。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片を、hMPVに対するそれらの効果について試験する(例えば、阻害、又は効果なし)。
【0697】
VIII.組成物
【0698】
本明細書に記載の抗hMPV抗体又はその抗原結合断片、それを含む免疫抱合体、又はそれを含む二重特異性抗体、及び担体(例えば、薬学的に許容され得る担体)を含む組成物(例えば、医薬組成物)も本明細書で提供される。そのような組成物は、様々な治療用途に有用である。
【0699】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、様々な疾患(例えば、呼吸器疾患)の治療に使用される他の化合物、薬物、及び/又は薬剤を含むことができる。そのような化合物、薬物、及び/又は薬剤は、例えば、抗ウイルス剤、及び/又は抗炎症剤を含むことができる。本明細書中に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片と一緒に又は別々に製剤化され得る例示的な化合物、薬物及び作用物質。
【0700】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性のあるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与(例えば、注射又は注入によって)に適している。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち抗体、イムノコンジュゲート又は二重特異性分子は、化合物を、酸の作用及び化合物を不活性化し得る他の自然条件から保護するために材料でコーティングされ得る。
【0701】
本明細書中に記載される医薬化合物は、1又は複数の薬学的に許容され得る塩を含み得る。「薬学的に許容され得る塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、いかなる望ましくない毒物学的効果も付与しない塩を指す(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1-19を参照されたい)。そのような塩の例としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リンなどの非毒性無機酸、並びに脂肪族モノ-及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの非毒性有機酸から誘導されるものが含まれる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、並びにN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの非毒性有機アミンから誘導されるものが含まれる。
【0702】
本明細書中に記載される医薬組成物はまた、薬学的に許容され得る抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0703】
本明細書に記載の医薬組成物に使用され得る適切な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などのアジュバントを含有し得る。微生物の存在の防止は、上記の滅菌手順によって、及び様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによっての両方によって確実にすることができる。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを組成物に含めることも望ましい場合がある。更に、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによって、注射用医薬形態の長期吸収がもたらされ得る。
【0704】
薬学的に許容される担体には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本明細書に記載の医薬組成物におけるその使用が企図される。医薬組成物は、保存剤を含んでもよく、又は保存剤を欠いていてもよい。補助的な活性化合物を組成物に組み込むことができる。
【0705】
治療用組成物は、典型的には、製造及び貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール又は塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0706】
滅菌注射液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した成分の1つ又は組合せと共に適切な溶媒に組み込み、続いて滅菌精密濾過することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒体及び本明細書に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)であり、これにより、活性成分及び任意の更なる所望の成分の粉末が、予め滅菌濾過されたその溶液から得られる。
【0707】
単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される対象、及び特定の投与様式に応じて変化する。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる組成物の量である。一般に、100%のうち、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、有効成分の約0.01%~約99%、好ましくは約0.1%~約70%、最も好ましくは約1%~約30%の範囲である。
【0708】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少又は増加させてもよい。投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、非経口組成物を投薬単位形態で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される投薬単位形態は、治療される対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。本明細書中に記載される投与単位形態についての仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)個体における感受性の治療のためにそのような活性化合物を配合する技術分野に固有の制限によって決定され、それらに直接依存する。
【0709】
抗体又はその抗原結合断片の投与のために、投与量は、宿主体重の約0.0001~100mg/kg、より通常は0.01~5又は10mg/kgの範囲である。抗体又はその抗原結合断片の投与のために、投与量は約0.0001~100mgの範囲である。例示的な治療レジメンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回又は3~6ヶ月に1回の投与を必要とする。
【0710】
抗体は、持続放出製剤として投与することができ、その場合、必要とされる投与頻度は少ない。投与量及び頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。一般に、ヒト抗体は最も長い半減期を示し、次いでヒト化抗体、キメラ抗体、及び非ヒト抗体が続く。投与量及び投与頻度は、治療が予防的であるか治療的であるかに応じて変化し得る。予防用途では、比較的低用量が長期間にわたって比較的低頻度の間隔で投与される。一部の患者は、生涯にわたって治療を受け続ける。治療用途では、疾患の進行が軽減又は終了するまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投与量が必要とされることがある。その後、患者に予防的レジームを投与することができる。
【0711】
本明細書に記載される医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に有毒ではなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように変化し得る。選択された投与量レベルは、使用される本明細書に記載の特定の組成物、又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄速度、治療期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康状態及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の同様の因子を含む様々な薬物動態学的因子に依存する。
【0712】
様々な実施形態における抗hMPV抗体又はその抗原結合断片の治療有効投与量は、疾患症状の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度及び持続期間の増加、又は疾患の苦痛に起因する障害若しくは身体障害の予防をもたらす。癌との関連において、治療有効用量は、好ましくは生存率の増加及び/又は癌に関連する身体症状の更なる悪化の予防をもたらす。治療有効用量は、疾患の初期又は予備的徴候が存在する場合に所望され得るように、癌の発症を予防又は遅延させ得る。
【0713】
本明細書に記載の組成物は、当技術分野で公知の様々な方法の1つ又は複数を使用して、1つ又は複数の投与経路を介して投与することができる。当業者によって理解されるように、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変化する。本明細書中に記載される抗体のための好ましい投与経路には、例えば注射又は注入による静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が含まれる。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入が含まれる。
【0714】
あるいは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、非経口経路、例えば局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば鼻腔内、経口、膣内、直腸内、舌下又は局所的に投与することができる。
【0715】
活性化合物は、化合物を急速放出から保護する担体、例えばインプラント、経皮パッチ及びマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤を用いて調製することができる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤を調製するための多くの方法は、当業者に特許取得済みであるか又は一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。
【0716】
治療用組成物は、当技術分野で公知の医療機器と共に投与することができる。例えば、好ましい実施形態では、本明細書に記載の治療組成物は、米国特許第5,399,163号;同第5,383,851号;同第5,312,335号;同第5,064,413号;同第4,941,880号;同第4,790,824号;又は同第4,596,556号に開示されている装置などの無針皮下注射装置を用いて投与することができる。本明細書に記載の抗hMPV抗体と共に使用するための周知のインプラント及びモジュールの例としては、制御された速度で薬剤を分配するための埋め込み型微量注入ポンプを開示している米国特許第4,487,603号;皮膚を通して薬剤を投与するための治療装置を開示している米国特許第4,486,194号明細書;正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを開示している米国特許第4,447,233号明細書;連続薬物送達のための可変流量植込み型注入装置を開示している米国特許第4,447,224号;マルチチャンバ区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示している米国特許第4,439,196号明細書;浸透圧薬物送達システムを開示している米国特許第4,475,196号が挙げられる。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。他の多くのそのようなインプラント、送達システム、及びモジュールは、当業者に知られている。
【0717】
ある特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片は、インビボでの適切な分布を確実にするために製剤化され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を除外する。本明細書中に記載される治療化合物がBBB(所望であれば、例えば脳癌の場合)と交差することを確実にするために、例えば、リポソーム中に製剤化され得る。リポソームの製造方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;及び同第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞又は器官に選択的に輸送され、したがって標的薬物送達を増強する1つ又は複数の部分を含み得る(例えば、V.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685)。例示的な標的化部分には、ホレート又はビオチン(例えば、Low et al.の米国特許第5,416,016号明細書を参照されたい);マンノシド(Umezawa et al.,(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038);抗体(P.G.Bloeman et al.(1995)FEBS Lett.357:140;M.Owais et al.(1995)Antimicrob.Agents Chemother.39:180);サーファクタントプロテインA受容体(Briscoe et al.(1995)Am.J.Physiol.1233:134);p120(Schreierら(1994)J.Biol.化学269:9090)が挙げられ、K.Keinanen;M.L.Laukkanen(1994)FEBS Lett.346:123;J.J.Killion;I.J.Fidler(1994)Immunomethods 4:273も参照されたい。
【0718】
アジュバント
【0719】
hMPV免疫原性組成物は、単独で又は1又は複数の他の成分と組み合わせて製剤化又は投与され得る。例えば、hMPV免疫原性組成物は、限定されないが、アジュバントを含む他の成分を含み得る。
【0720】
いくつかの実施形態では、本開示のhMPV免疫原性組成物はアジュバントを含まない(それらはアジュバントを含まない)。
【0721】
本明細書に開示される免疫原性組成物の有効性を高めるのに適したアジュバントには、それだけに限らないが、以下が含まれる。
【0722】
(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩(ミョウバン);
【0723】
(2)例えば、(a)モデル110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)などのマイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に製剤化された5%スクアレン、0.5%Tween80及び0.5%Span85(様々な量のMTP-PEが含まれていてもよい)を含有するMF59(国際特許出願公開第WO90/14837号)、(b)10%スクアレン、0.4%Tween80、5%プルロニックブロックポリマーL121を含有するSAF、及びマイクロ流体化されてサブミクロンエマルジョンになるか又はボルテックスされてより大きな粒径のエマルジョンを生成するthr-MDP、(c)2%スクアレン、0.2%Tween80、及び米国特許第4,912,094号明細書に記載の3-O-脱アシル化モノホスホリリピドA(MPL)からなる群からの1又は複数の細菌細胞壁成分を含有するRIBIアジュバント系(RAS)、(Corixa,Hamilton,MT)、トレハロースジミコレート(TDM)、及び細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(DETOX);並びに(d)Montanide ISA;
【0724】
(3)Quil A又はSTIMULON QS-21(Antigenics、Framingham、MA)(例えば、米国特許第5,057,540号を参照されたい)などのサポニンアジュバントが使用され得、又はISCOM(コレステロール、サポニン、リン脂質及び両親媒性タンパク質の組合せによって形成される免疫刺激複合体)及びISCOMATRIX(ISCOMと本質的に同じ構造を有するがタンパク質を含まない)などのそれから生成された粒子が使用され得る;
【0725】
(4)細菌リポ多糖、合成脂質A類似体、例えばアミノアルキルグルコサミンリン酸化合物(AGP)、又はそれらの誘導体若しくは類似体(これらはCorixaから入手可能であり、米国特許第6,113,918号明細書に記載されている);そのようなAGPの1つは、2-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2-デオキシ-4-O-ホスホノ-3-O-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]-2-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-b-D-グルコピラノシドであり、これは529としても知られており(以前はRC529として知られていた)、水性形態又は安定なエマルジョンとして製剤化され;
【0726】
(5)(1又は複数の)CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドなどの合成ポリヌクレオチド(米国特許第6,207,646号);並びに
【0727】
(6)サイトカイン、例えばインターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18などである)、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、共刺激分子B7-1及びB7-2など;及び
【0728】
(7)補体成分C3dの三量体などの補体。
【0729】
別の実施形態では、アジュバントは、上記アジュバントの2、3又はそれ以上の混合物、例えばSBAS2(3-脱アシル化モノホスホリルリピドA及びQS21も含有する水中油型エマルジョン)である。
【0730】
ムラミルペプチドには、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニン-2-(1’-2’ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0731】
ある特定の実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩である。アルミニウム塩アジュバントは、ミョウバン沈殿免疫原性組成物又はミョウバン吸着免疫原性組成物であり得る。アルミニウム塩アジュバントは当技術分野で周知であり、例えばHarlow,E.and D.Lane(1988;Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory)and Nicklas,W.(1992;Aluminum salts.Research in Immunology 143:489-493)に記載されている。アルミニウム塩としては、水和アルミナ、アルミナ水和物、アルミナ三水和物(ATH)、アルミニウム水和物、アルミニウム三水和物、アルヒドロゲル、Superfos、Amphogel、水酸化アルミニウム(III)、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウム、リン酸アルミニウムアジュバント(APA)、非晶質アルミナ、三水和アルミナ又はトリヒドロキシアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0732】
APAは、アルミニウムヒドロキシホスフェートの水性懸濁液である。APAは、塩化アルミニウムとリン酸ナトリウムとを1:1の体積比で混合して、ヒドロキシリン酸アルミニウムを沈殿させることによって製造される。ブレンドプロセス後、材料を高剪断ミキサーでサイズ縮小して、単分散粒径分布を達成する。次いで、生成物を生理食塩水に対してダイアフィルターし、蒸気滅菌する。
【0733】
特定の実施形態では、市販のAl(OH)(例えばDenmark/Accurate Chemical and Scientific Co.,Westbury,NYのAlhydrogel又はSuperfos)を使用して、50~200μgタンパク質/mg水酸化アルミニウムの比でタンパク質を吸着する。タンパク質の吸着は、別の実施形態では、タンパク質のpI(等電pH)及び培地のpHに依存する。pIがより低いタンパク質は、pIがより高いタンパク質よりも強く正に帯電したアルミニウムイオンに吸着する。アルミニウム塩は、2~3週間にわたってゆっくり放出される抗原のデポーを確立し、マクロファージの非特異的活性化及び補体活性化に関与し、並びに/あるいは(おそらく尿酸の刺激を介して)自然免疫機構を刺激し得る。例えば、Lambrecht et al.,2009,Curr Opin Immunol 21:23.を参照されたい。
【0734】
一定の実施形態では、アジュバントは、CpG含有ヌクレオチド配列、例えばCpG含有オリゴヌクレオチド、特にCpG含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)である。別の実施形態では、アジュバントは、Coley Pharmaceutical Groupから入手することができるODN1826である。
【0735】
CpGオリゴヌクレオチドを使用するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Sur et al.,1999,J Immunol.162:6284-93;Verthelyi,2006,Methods Mol Med.127:139-58;及びYasuda et al.,2006,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.23:89-110に記載される。
【0736】
製剤
【0737】
hMPV免疫原性組成物は、1又は複数の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて製剤化又は投与され得る。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、少なくとも1つの追加の活性物質、例えば治療活性物質、予防活性物質、又は両方の組合せを含む。免疫原性組成物は、無菌、パイロジェンフリー、又は無菌及びパイロジェンフリーの両方であり得る。免疫原性組成物などの医薬品の製剤及び/又は製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態では、hMPV免疫原性組成物は、ヒト、ヒト患者、又は対象に投与される。
【0738】
本明細書に記載のhMPV免疫原性組成物の製剤は、薬理学の分野で公知の又は今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、そのような調製方法は、活性成分(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を賦形剤及び/又は1つ若しくは複数の他の補助成分と会合させ、次いで、必要及び/又は望ましい場合、製品を所望の単回又は複数回投与単位に分割、成形及び/又は包装する工程を含む。
【0739】
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、及び/又は状態に応じて、更に組成物が投与される経路に応じて変化する。例として、組成物は、0.1%~100%、例えば0.5~50%、1~30%、5~80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0740】
本開示の組成物は、単回投与バイアル、複数回投与バイアルとして、又は予め充填されたガラス若しくはプラスチックシリンジとして製剤化することができる。
【0741】
別の実施形態では、本開示の組成物は経口投与され、したがって経口投与に適した形態で、すなわち固体又は液体製剤として製剤化される。固体経口製剤には、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、ペレット剤などが含まれる。液体経口製剤には、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、油などが含まれる。
【0742】
液体製剤のための薬学的に許容され得る担体は、水溶液又は非水溶液、懸濁液、エマルジョン又は油である。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水溶液、エマルジョン又は懸濁液が含まれる。油の例は、動物、植物又は合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、別の海洋油、又は乳若しくは卵からの脂質である。
【0743】
医薬組成物は、等張性、低張性又は高張性であり得る。しかしながら、注入又は注射用の医薬組成物は、投与される場合、本質的に等張性であることがしばしば好ましい。したがって、保存のために、医薬組成物は、好ましくは等張性又は高張性であり得る。医薬組成物が保存のために高張性である場合、投与前に等張溶液になるように希釈することができる。
【0744】
等張剤は、塩などのイオン性等張剤であってもよいし、炭水化物などの非イオン性等張剤であってもよい。イオン性等張剤の例としては、NaCl、CaCl、KCl及びMgClが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性等張剤の例としては、マンニトール、ソルビトール及びグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0745】
少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤が緩衝剤であることも好ましい。いくつかの目的のために、例えば、医薬組成物が注入又は注射用である場合、組成物は、溶液を4~10、例えば5~9、例えば6~8の範囲のpHに緩衝することができる緩衝剤を含むことがしばしば望ましい。
【0746】
緩衝剤は、例えば、TRIS、アセタート、グルタマート、ラクテート、マレアート、タートラート、ホスファート、シトレート、カルボナート、グリシナート、ヒスチジン、グリシン、スクシナート及びトリエタノールアミン緩衝剤からなる群から選択され得る。
【0747】
緩衝液は、特に医薬製剤が非経口使用のためのものである場合、非経口使用のためのUSP適合緩衝液から選択され得る。例えば、緩衝剤は、酢酸、安息香酸、グルコン酸、グリセリン酸及び乳酸などの一塩基酸;アコニット酸、アジピン酸、アスコルビン酸、炭酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸などの二塩基酸;クエン酸及びリン酸などの多塩基酸;並びにアンモニア、ジエタノールアミン、グリシン、トリエタノールアミン、TRIS等の塩基が挙げられる。
【0748】
非経口ビヒクル(皮下、静脈内、動脈内、又は筋肉内注射用)としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液及び固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補充剤、リンゲルデキストロースに基づくものなどの電解質補充剤などが含まれる。例は、界面活性剤及び他の薬学的に許容されるアジュバントの添加の有無にかかわらず、水及び油などの滅菌液体である。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロース及び関連する糖溶液、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどのグリコール、ポリソルベート80(PS-80)、ポリソルベート20(PS-20)、及びポロキサマー188(P188)は、特に注射液に好ましい液体担体である。油の例は、動物、植物又は合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、別の海洋油、又は乳若しくは卵からの脂質である。
【0749】
本開示の製剤はまた、界面活性剤を含有し得る。好ましい界面活性剤には、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般にTweenと呼ばれる)、特にPS-20及びPS-80;直鎖EO/POブロックコポリマーなどの、DOWFAXの商標名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ-1,2-エタンジイル)基の数が異なり得、オクトキシノール-9(TritonX-100、又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に目的であるオクトキシノール;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);ホスファチジルコリン(レシチン)等のリン脂質;ノニルフェノールエトキシレート、例えばTERGITOL NPシリーズ;ラウリル、セチル、ステアリル及びオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(BRIJ界面活性剤として知られている)、例えばトリエチレングリコールモノラウリルエーテル(BRIJ30);及びソルビタントリオレエート(SPAN85)及びソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエステル(SPANとして一般的に知られている)が含まれるが、これらに限定されない。
【0750】
界面活性剤の混合物、例えばPS-80/Span85混合物を使用することができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(PS-80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX-100)などのオクトキシノールとの組合せも適している。別の有用な組合せは、ラウレス9+ポリオキシエチレンソルビタンエステル及び/又はオクトキシノールを含む。
【0751】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(PS-80など)0.01~1%、特に約0.1%;オクチル-又はノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えばTritonX-100、又はTritonシリーズの他の洗剤)0.001~0.1%、特に0.005~0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(ラウレス9など)0.1~20%、好ましくは0.1~10%、特に0.1~1%又は約0.5%である。
【0752】
投与様式
【0753】
hMPV免疫原性組成物は、治療上有効な転帰をもたらす任意の経路によって投与され得る。これらには、皮内、筋肉内、鼻腔内及び/又は皮下投与が含まれるが、これらに限定されない。本開示は、免疫原性組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢及び全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式などに応じて、対象ごとに異なるであろう。hMPV免疫原性組成物は、典型的には、投与の容易さ及び投薬量の均一性のために投薬単位形態で製剤化される。しかしながら、免疫原性組成物の1日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解されよう。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効用量レベル又は適切なイメージング用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;使用される特定の化合物の投与時間、投与経路及び排泄速度;治療期間;使用される特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物;及び医学分野で周知の同様の要因を含む様々な因子に依存するであろう。
【0754】
いくつかの実施形態では、hMPV免疫原性組成物は、所望の治療効果、診断効果、予防効果、又はイメージング効果を得るために、対象体重の0.0001mg/kg~100mg/kg、0.001mg/kg~0.05mg/kg、0.005mg/kg~0.05mg/kg、0.001mg/kg~0.005mg/kg、0.05mg/kg~0.5mg/kg、0.01mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~40mg/kg、0.5mg/kg~30mg/kg、0.01mg/kg~10mg/kg、0.1mg/kg~10mg/kg、又は1mg/kg~25mg/kgを1日当たり、1日1回又は複数回、週当たり、月当たり等送達するのに十分な用量レベルで投与され得る(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/078199号パンフレットに記載されている単位用量の範囲を参照されたい)。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに、3日毎に、毎週、2週間毎に、3週間毎に、4週間毎に、2ヶ月毎に、3ヶ月毎に、6ヶ月毎などに送達され得る。いくつかの実施形態では、所望の投与量は、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回又はそれを超える投与)を使用して送達され得る。複数回投与が使用される場合、本明細書に記載されるものなどの分割投与レジメンが使用され得る。例示的な実施形態では、hMPV免疫原性組成物は、0.0005mg/kg~0.01mg/kg、例えば約0.0005mg/kg~約0.0075mg/kg、例えば約0.0005mg/kg、約0.001mg/kg、約0.002mg/kg、約0.003mg/kg、約0.004mg/kg又は約0.005mg/kgを送達するのに十分な投与量レベルで投与され得る。
【0755】
いくつかの実施形態では、hMPV免疫原性組成物は、0.025mg/kg~0.250mg/kg、0.025mg/kg~0.500mg/kg、0.025mg/kg~0.750mg/kg、又は0.025mg/kg~1.0mg/kgを送達するのに十分な投与量レベルで1回又は2回(又はそれ以上)投与され得る。
【0756】
本明細書に記載されるhMPV免疫原性組成物のいずれも、鼻腔内、気管内、又は注射可能(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、心臓内、腹腔内、鼻腔内及び皮下)などの本明細書に記載される剤形に製剤化することができる。
【0757】
hMPV免疫原性組成物製剤及び使用方法
【0758】
本開示のいくつかの態様は、hMPV免疫原性組成物の製剤を提供し、免疫原性組成物は、対象において抗原特異的免疫応答を生成する(例えば、hMPV抗原性ポリペプチドに特異的な抗体の産生)有効量で製剤化される。「有効量」は、抗原特異的免疫応答を生じさせるのに有効な免疫原性組成物の用量である。対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法も本明細書で提供される。
【0759】
いくつかの実施形態では、抗原特異的免疫応答は、本明細書で提供されるhMPV免疫原性組成物を投与された対象において産生された抗hMPV抗原性ポリペプチド抗体価を測定することを特徴とする。抗体力価は、対象内の抗体、例えば、特定の抗原(例えば、hMPV抗原性ポリペプチド)又は抗原のエピトープに特異的な抗体の濃度の測定値である。抗体価は、典型的には、陽性結果をもたらす最大希釈の逆数として表される。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、例えば、抗体力価を決定するための一般的なアッセイである。
【0760】
いくつかの実施形態では、抗体価を使用して、対象が感染症を有していたかどうかを評価するか、又は免疫化が必要かどうかを決定する。いくつかの実施形態では、抗体価を使用して、自己免疫応答の強度を決定し、ブースター免疫が必要かどうかを決定し、以前の免疫原性組成物が有効であったかどうかを決定し、任意の最近又は以前の感染を同定する。本開示によれば、抗体価を使用して、hMPV免疫原性組成物によって対象において誘導される免疫応答の強度を決定することができる。
【0761】
IX.使用及び方法
【0762】
本明細書中に記載される抗体、抗体組成物及び方法は、多数のインビトロ及びインビボ有用性を有する。
【0763】
例えば、hMPVに関連するウイルス性疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の抗hMPV抗体又はその抗原結合断片を投与して、例えばウイルス量及び/又はウイルス活性が阻害又は低減されるように、及び/又はウイルス性疾患の治療が達成されるように、対象を治療することを含む方法が本明細書で提供される。
【0764】
一実施形態では、hMPVに関連するウイルス性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に有効量(例えば、治療有効量)の本明細書に記載の抗hMPV抗体(又は二重特異性抗体hMPV)を投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、対象には更なる治療剤が投与される。いくつかの実施形態において、更なる治療剤は抗ウイルス剤であり、例えば、別の抗ウイルス抗体又は抗ウイルス小分子である。
【0765】
試料(例えば、血液試料)中のhMPVの存在を検出する方法、又は試料中のhMPVの量を測定する方法であって、試料(例えば、組織)及び対照試料(例えば、対応する健康な組織)を、抗体又はその一部とhMPVとの複合体の形成又は結合を可能にする条件下で、hMPVに特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)又はその抗原結合断片と接触させることを含む方法も包含される。次いで、複合体の形成が検出され、対照試料と比較した試料間の複合体形成の差は、試料中のhMPVの存在を示す。本明細書中に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片はまた、免疫親和性精製を介してhMPVを精製するために使用され得る。
【0766】
本明細書中に記載される抗hMPV抗体の診断用途もまた企図される。
【0767】
一実施形態では、hMPVに関連するウイルス感染又はウイルス性疾患を診断する方法であって、ウイルス感染又はウイルス性疾患に罹患した患者からの生物学的試料を本明細書に記載の抗hMPV抗体又はその抗原結合断片と接触させることを含み、抗体による陽性染色が、ウイルス感染又はウイルス性疾患がhMPVに関連することを示す方法が本明細書で提供される。
【0768】
併用療法
【0769】
本明細書中に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片は、本明細書中に記載されるような感染症(例えば、ウイルス感染)及び/又は疾患(例えば、ウイルス性疾患)の予防又は治療のための当該分野で公知の様々な治療、予防剤又は治療剤と組み合わせて(又は多重特異性抗体若しくは二官能性パートナーとの関連で)使用され得る。一実施形態では、予防剤又は治療剤は、第2の抗体若しくはその断片、免疫調節剤、ホルモン、細胞傷害剤、酵素、放射性核種、少なくとも1つの免疫調節剤、酵素、放射性標識、ホルモン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、若しくは細胞傷害剤又はそれらの組合せにコンジュゲートされた第2の抗体を含む。様々な実施形態では、治療剤は、ホルモン療法、免疫療法、抗ウイルス剤、及び/又は抗炎症剤を含む。
【0770】
本明細書中に記載される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片との併用療法における使用のための好適な抗ウイルス剤には、抗ウイルス剤(例えば、小分子及び抗体)が含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は抗RSV抗体を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、DNA又はRNA合成を妨害又は停止するヌクレオチド類似体を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、DNA又はRNA合成に関与する酵素(例えば、ヘリカーゼ、レプリカーゼ)の阻害剤を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、その複製サイクル中にウイルス成熟工程を阻害する化合物を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、細胞膜結合又は宿主細胞へのウイルス侵入を妨げる化合物(例えば、融合阻害剤又は侵入阻害剤)を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、ウイルスが侵入後に宿主細胞内で発現されるのを防ぐ薬剤を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、細胞内でのウイルスの分解を遮断する化合物を含む。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、他の細胞へのウイルス増殖を制限する薬剤を含む。
【0771】
本明細書に列挙される組成物及び方法は、同じ抗原(すなわち、MPV)に対する、又は複数のウイルス若しくはウイルス剤/抗原(例えば、RSV及びMPV)及び/又は細菌剤/抗原に対する複数の抗体を含むことができる。本発明の様々な実施形態では、本明細書に開示される組成物及び方法は、MPV(例えば、hMPV)に対する抗体、並びに細菌因子/抗原に対する抗体、例えば呼吸器系に感染する抗体を含み得る。
【0772】
本明細書に記載の組成物及び方法は、本明細書に記載のMPVに結合する抗ウイルス抗体、及び/又はリバビリン、アマンタジン、リマンタジン、若しくはノイラミニダーゼ阻害剤などの非免疫学的抗ウイルス剤を含むことができる。
【0773】
本明細書に記載の組成物及び方法は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のいずれかを含む抗MPV抗体との組成物に使用される抗感染剤を含むことができ、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、若しくはテトラサイクリンを含むがこれらに限定されない抗菌剤であってもよく、又はアンホテリシンb、フルコナゾール、若しくはケトコナゾールを含むがこれらに限定されない抗真菌剤、又はトリメトプリム、ペンタミジン、若しくはスルホンアミドを含むがこれらに限定されない抗寄生虫剤であってもよい。抗感染剤は、リバビリン、アマンタジン、リマンタジン、又はノイラミニダーゼ阻害剤などの抗ウイルス剤であり得る。そのような更なる薬剤には、他のウイルスに対して有用な薬剤並びにMPVに対して有用な他の薬剤も含まれ得る。
【0774】
それらの組合せもまた、本明細書中に記載される方法について具体的に企図される。
【0775】
いくつかの実施形態では、本明細書で論じられる治療用抗体の組合せは、薬学的に許容される担体中の単一の組成物として同時に、又は薬学的に許容される担体中の各抗体と別個の組成物として同時に投与することができる。別の実施形態では、治療抗体の組合せを連続的に投与することができる。
【0776】
X.キット
【0777】
本明細書中に開示される抗hMPV抗体又はその抗原結合断片、多重特異性分子、又は免疫抱合体を含むキットも提供され、これらは単一のバイアル又は容器に含まれてもよく、かつ、例えば、疾患(例えば、ウイルス性呼吸器疾患)を治療すること又は診断することにおいて使用するための説明書を含む。キットは、キットの内容物の意図される用途を示すラベルを含み得る。ラベルという用語は、キット上又はキットと共に供給される、又はキットに付随する任意の書面、マーケティング資料又は記録資料を含む。そのようなキットは、単回用量バイアル又は単回用量の充填済シリンジなどの単位剤形で抗体、多重特異性分子又は免疫抱合体を含み得る。
【0778】
本開示は、以下の実施例によって更に説明されるが、これは更なる限定として解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての図及び全ての参考文献、Genbank配列、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0779】
以下の実施例で言及される市販の試薬は、特に指示がない限り、製造業者の指示に従って使用した。特に明記しない限り、本発明は、組換えDNA技術の標準的な手順、例えば、本明細書で上及び以下の教科書に記載される手順を使用する:Sambrook et al.,supra;Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.,1989);Innis et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press,Inc.:N.Y.,1990);Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press:Cold Spring Harbor,1988);Gait,Oligonucleotide Synthesis(IRL Press:Oxford,1984);Freshney,Animal Cell Culture,1987;Coligan et al.,Current Protocols in Immunology,1991.
【実施例
【0780】
[実施例1]
【0781】
材料及び方法
【0782】
組換えタンパク質の産生
【0783】
プラスミド構築及びRSV PreF(DS-Cav1)の産生を以前の記載のように行った[31,55]。非処理hMPV PreF三量体抗原は、PreF様構造(配列全体については以下の配列番号910を参照されたい)を採用したC末端GCN4三量体化ドメインを有するB2株の以前に公開されたF配列(ヌクレオチド配列は配列番号1003であり、タンパク質配列は配列番号1である)に由来した[34]。単量体hMPV F抗原は、同じB2株に由来したが、GCN4ドメインは含まなかった(配列全体については以下の配列番号911を参照されたい)。安定化hMPV PreF構築物(115BV)は、以前の報告[28]からのプレフュージョン安定化変異、並びにC末端GCN4ドメインを有する野生型B2株hMPV F三量体抗原の主鎖上のプロリン変異A185P及びフーリン切断部位の挿入を採用した(全配列について以下の図2A及び配列番号913を参照されたい)。hMPV postF配列はB2株由来であり、本来のF1/F2切断部位(RQSR;配列番号1067)にフーリン切断部位(RKRR;配列番号908)を導入し、F1のN末端の融合ペプチド配列FVLGAIAL(配列番号909)を欠失させ、C末端のフォルドン三量体化ドメイン(GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL;配列番号1012)を付加した(全タンパク質配列については配列番号912を参照されたい)。hMPV F変異体は、非処理hMPV F三量体抗原の主鎖上で作製した。全ての構築物は、C末端トロンビン切断部位(LVPRGS;配列番号1013)、続いて6ヒスチジンアミノ酸(6xHis)タグ(配列番号1014)及びstrepタグII(SAWSHPQFEK;配列番号1015)を有していた。配列を哺乳動物発現のためにコドン最適化し(Life Technologies及びGenewiz)、発現ベクターにクローニングし、Expi293懸濁細胞(Life Technologies)に一過性にトランスフェクトした。
【0784】
非処理hMPV PreF三量体抗原配列:
【0785】
MSWKVMIIISLLITPQHGLKESYLEESCSTITEGYLSVLRTGWYTNVFTLEVGDVENLTCTDGPSLIKTELDLTKSALRELKTVSADQLAREEQIENPRQSRFVLGAIALGVATAAAVTAGIAIAKTIRLESEVNAIKGALKTTNEAVSTLGNGVRVLATAVRELKEFVSKNLTSAINKNKCDIADLKMAVSFSQFNRRFLNVVRQFSDNAGITPAISLDLMTDAELARAVSYMPTSAGQIKLMLENRAMVRRKGFGILIGVYGSSVIYMVQLPIFGVIDTPCWIIKAAPSCSEKDGNYACLLREDQGWYCKNAGSTVYYPNDKDCETRGDHVFCDTAAGINVAEQSRECNINISTTNYPCKVSTGRHPISMVALSPLGALVACYKGVSCSIGSNRVGIIKQLPKGCSYITNQDADTVTIDNTVYQLSKVEGEQHVIKGRPVSSSFDPIKFPEDQFNVALDQVFESIENSQALVDQSNKILNSAARMKQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLIGEAGSGLVPRGSHHHHHHSAWSHPQFEK(配列番号910)
【0786】
非処理hMPV PreFモノマー抗原配列(上記の三量体構築物から改変):
【0787】
MSWKVMIIISLLITPQHGLKESYLEESCSTITEGYLSVLRTGWYTNVFTLEVGDVENLTCTDGPSLIKTELDLTKSALRELKTVSADQLAREEQIENPRQSRFVLGAIALGVATAAAVTAGIAIAKTIRLESEVNAIKGALKTTNEAVSTLGNGVRVLATAVRELKEFVSKNLTSAINKNKCDIADLKMAVSFSQFNRRFLNVVRQFSDNAGITPAISLDLMTDAELARAVSYMPTSAGQIKLMLENRAMVRRKGFGILIGVYGSSVIYMVQLPIFGVIDTPCWIIKAAPSCSEKDGNYACLLREDQGWYCKNAGSTVYYPNDKDCETRGDHVFCDTAAGINVAEQSRECNINISTTNYPCKVSTGRHPISMVALSPLGALVACYKGVSCSIGSNRVGIIKQLPKGCSYITNQDADTVTIDNTVYQLSKVEGEQHVIKGRPVSSSFDPIKFPEDQFNVALDQVFESIENSQALVDQSNKILNSAEKGNTGLVPRGSHHHHHHSAWSHPQFEK(配列番号911)
【0788】
hMPV postF配列:
【0789】
MSWKVMIIISLLITPQHGLKESYLEESCSTITEGYLSVLRTGWYTNVFTLEVGDVENLTCTDGPSLIKTELDLTKSALRELKTVSADQLAREEQIENPRQSRKRRGVATAAAVTAGIAIAKTIRLESEVNAIKGALKTTNEAVSTLGNGVRVLATAVRELKEFVSKNLTSAINKNKCDIADLKMAVSFSQFNRRFLNVVRQFSDNAGITPAISLDLMTDAELARAVSYMPTSAGQIKLMLENRAMVRRKGFGILIGVYGSSVIYMVQLPIFGVIDTPCWIIKAAPSCSEKDGNYACLLREDQGWYCKNAGSTVYYPNDKDCETRGDHVFCDTAAGINVAEQSRECNINISTTNYPCKVSTGRHPISMVALSPLGALVACYKGVSCSIGSNRVGIIKQLPKGCSYITNQDADTVTIDNTVYQLSKVEGEQHVIKGRPVSSSFDPIKFPEDQFNVALDQVFESIENSQALVDQSNKILNSAEKGNTGSAIGGYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFLGGLVPRGSHHHHHHSAWSHPQFEK(配列番号912)
【0790】
安定化されたhMPV PreF配列):
【0791】
MSWKVMIIISLLITPQHGLKESYLEESCSTITEGYLSVLRTGWYTNVFTLEVGDVENLTCTDGPSLIKTELDLTKSALRELKTVSADQLAREEQIENPRRRRFVLGAIALGVATAAAVTAGIAIAKTIRLESEVNAIKGALKTTNEAVSTLGNGVRVLATAVRELKEFVSKNLTSAINKNKCDIPDLKMAVSFSQFNRRFLNVVRQFSDNAGITPAISLDLMTDAELARAVSYMPTSAGQIKLMLENRAMVRRKGFGILIGVYGSSVIYMVQLPIFGVIDTPCWIIKAAPSCSEKDGNYACLLREDQGWYCKNAGSTVYYPNDKDCETRGDHVFCDTAAGINVAEQSRECNINISTTNYPCKVSTGRHPISMVALSPLGALVACYKGVSCSIGSNRVGIIKQLPKGCSYITNQDADTVTIDNTVYQLSKVEGEQHVIKGRPVSSSFDPIKFPEDQFNVALDQVFESIENSQALVDQSNKILNSAARMKQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLIGEAGSGLVPRGSHHHHHHSAWSHPQFEK(配列番号913)
【0792】
処理された安定化hMPV PreF構築物(115BV)を1:1の比でフーリンと同時トランスフェクトし、他のhMPV F構築物をフーリンなしでトランスフェクトした。トランスフェクション後3日目~7日目に、発現を確認するためのウエスタンブロット、直接ELISA結合アッセイ及び大規模精製のために上清を回収した。全ての抗原の精製を以前に記載されたように行った[55]。手短に言えば、hisタグ化タンパク質を有する上清をNi-Sepharoseクロマトグラフィー(GE Healthcare)によって捕捉し、高イミダゾール濃度によって溶出した。トロンビンの存在下で一晩透析した後、His-tagが切断され、イミダゾールの濃度が低下した。切断されなかったHisタグ生成物並びに最初のNi-Sepharose非特異的結合不純物を、負のNi-Sepharoseクロマトグラフィー(フロースルー中の生成物)によって除去した。タンパク質抗原をサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200,GE Healthcare)によって更に精製し、300mM塩化ナトリウム(NaCl)を含む50mMの4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)pH7.5の緩衝液に保存した。
【0793】
ヒト対象及びPBMC調製物
【0794】
健康な成人からの血液試料を、書面によるインフォームドコンセントの後、Biological Specialty Company(Colmar PA)から購入した。これらのドナーからの血漿又は血清試料を、hMPV微量中和アッセイにおいて活性についてスクリーニングした。末梢血単核細胞(PBMC)を、製造業者の指示に従ってAccuspin(商標)チューブ(Sigma Aldrich)上のHistopaque(商標)における密度勾配遠心分離によってEDTAチューブに採取した血液から精製した。次いで、PBMCを、10%ジメチルスルホキシドを補充した90%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)中で凍結し、アッセイに使用するために解凍するまで液体窒素中で保存した。
【0795】
抗原特異的単一メモリーB細胞の選別及び培養
【0796】
選択されたドナー由来のヒトメモリーB細胞を、軽微な改変を加えて以前に記載されたように特異的抗原を用いて単一に選別した[53,56]。精製された組換え非処理hMPV PreF三量体及び単量体タンパク質をビオチン化し(Thermo)、選別抗原として使用した。実験の一部では、ビオチン化された非処理hMPV PreFと、Alexa-647でタグ付けされたRSV PreF(DS-Cav1)との混合物を使用して、B細胞を選別した。凍結保存されたPBMCを選別の日に解凍し、B細胞集団を、EasySep(商標)ヒトB細胞濃縮キット(Stemcell Technologies)を使用して濃縮した。次に、B細胞をビオチン化F抗原又はAlexa647タグ付きF抗原で染色した後、抗CD3 mAb-PE-CyTm 7(BD Biosciences)、抗CD19-FITC(BD Biosciences)、抗ヒトIgG-APC又はBV421(BD Biosciences)、及びPE-ストレプトアビジンを含むモノクローナル抗体のパネルで染色した。CD3/CD19/IgG/F細胞を、単一細胞モードのBD FACS Jazz又はSONY800Sセルソーターで96ウェルプレートに選別した(図1B)。次いで、選別されたメモリーB細胞を、前述のようにIgG分泌細胞に変換するために37℃、5%二酸化炭素(CO)で14日間培養した[56]。培養終了時に、プレートを2,000rpmで10分間遠心分離した。次いで、培養上清を新しい96ウェルプレートに移し、hMPV PreF三量体へのELISA陽性結合についてスクリーニングした。細胞ペレットを、1%2-メルカプトエタノール(Sigma)を補充した50μlのRLT緩衝液(Qiagen)に溶解し、免疫グロブリン遺伝子配列決定のために-80℃で保存した。
【0797】
抗体配列の回収及び抗体産生
【0798】
hMPV Fに結合するELISAが陽性のウェルからの抗体配列を、以前に記載されたような通常のクローニング法[56]又はバーコードベースの次世代シーケンシング(NGS)によって更に回収した。具体的には、NGSクローニングのために、RNA抽出及び可変領域を増幅するための逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)の第1の工程の後、5’及び3’オーバーラップ配列を、マルチプレックスネステッドPCRの第2の工程によって結合させ、続いて、5’及び3’バーコード及びアダプター配列を付加するためのPCRの第3の工程を行った。各ウェルに固有の5’及び3’バーコードの組合せを含む最終アンプリコンを一緒にプールし、Illumina MiSeq(商標)によって配列決定した。プライマー配列を含め、表2に示す。
【0799】
FastQC v0.11.2(bioinformatics.babraham.ac.uk/projects/fastqc)によってNGS配列の品質をチェックし、10塩基対(bp)の最小オーバーラップ領域を有するPANDAseq v2.10[57]を使用してペアエンドリードをアセンブルした。組み立てられたB細胞受容体(BCR)リードを、IgBLAST v1.9.0[59]を使用してV(D)J生殖系列配列(IMGT v3.1.19)[58]に、及びBLAST+suite[60]の一部としてblastn(v2.2.29)を使用して免疫グロブリン重鎖定常(IGHC)配列にアラインメントした。IgBLASTの出力を、Change-O v0.3.12[61]からのコマンドを使用して処理した。V及びJ遺伝子のアラインメントのための0.001以下のE値を有する機能的配列のみを下流分析のために保持した。各ウェルから得られた最も豊富な配列は、ウェルから回収された抗体配列の代表であった。
【0800】
単一の選別されたヒトメモリーB細胞培養物から得られた天然に対になった重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を、エプスタイン・バーウイルス核抗原-1(EBNA1)の切断型であるが機能的な形態を発現する安定なチャイニーズハムスター卵巣(CHO)クローンであるCHO-3E7における発現のためにpTT5ベクターにサブクローニングした。CHO-3E7細胞(Genscriptで実施)。簡潔には、CHO-3E7細胞を、無血清FreeStyle(商標)CHO発現培地(Life Technologies)中で増殖させた。各抗体の重鎖及び軽鎖をコードする組換えプラスミドを、懸濁CHO-3E7細胞培養物に一過性に同時トランスフェクトした。回収した培養上清を、Protein A Cleaning-in-place(CIP)カラム(GenScript)による精製に使用した。精製した抗体を、SDS-PAGE及びウエスタンブロットによって品質管理(QC)試験した。
【0801】
hMPVプラーク減少中和アッセイ
【0802】
プラーク減少中和アッセイを、RSVについて以前に記載されたのと同様に、hMPVについて開発した[62]。簡潔には、OptiMEM(商標)培地(Gibco)で段階希釈した抗体を、最初にPoly-Dコーティングした96ウェル平底プレート(Corning Costar)に50μl/ウェルで添加した。最初のスクリーニングのために、2000pfu/mlのhMPV A1及びB2ウイルス(ZeptoMetrix Corp)を50μl/ウェルで抗体と混合し、5%COを用いて37℃で1時間インキュベートした。アカゲザル腎上皮細胞(LLC-MK2株)LLC-MK2は、6匹のアカゲザル(Macaca mulatta)から摘出した腎組織から調製したプール懸濁液から1950年代に樹立された上皮株である。次いで、LLC-MK2細胞(OptiMEM(商標)培地中0.8×10~1.2×10細胞/ml)をウェル当たり25μlで抗体/ウイルス混合物に添加した。5%COを含む37℃で1時間のインキュベーション後、プレートを1,200rpmで10分間遠心分離した。1%メチルセルロースを補充した体積(125μl)のOptiMEM(商標)培地を各ウェルに重層した。プレートを37℃、5%COで4日間インキュベートした。次いで、細胞を室温で30分間、100μl/ウェルで10%ホルマリン(Fisher Scientific)で固定した。プレートを20分間乾燥させた後、Tween(登録商標)洗剤を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBST)で洗浄した。固定細胞をブロッキング緩衝液(Odyssey)で30分間処理した後、50μl/ウェルのブロッキング緩衝液に希釈したマウス抗hMPV mAb(EMD Millipore、1:1000)と2時間インキュベートした。プレートをPBSTによって再度洗浄し、次いで、アッセイ希釈液中の抗マウスIgG Alexa488コンジュゲート二次抗体(Invitrogen、1:500)と共に50μl/ウェルで1時間インキュベートした。PBSTを使用して過剰な二次抗体を洗い流した後、EnSight(商標)プレートリーダー(PerkinElmer)を使用してプレートを分析した。Graph Pad Prismソフトウェアを使用して、4パラメータ非線形フィッティングアルゴリズムから抗体のIC50値を計算した。最初のスクリーニングでIC50<10μg/mlを示した抗体について、hMPV A2(Baylor製のRL_bx)及びB2(Peru6-2003)ウイルスを用いて、同じ手順で中和アッセイを広範囲の抗体濃度で繰り返した。
【0803】
プラーク減少中和アッセイ
【0804】
プラーク減少中和アッセイを研究者らが利用した[62]。手短に言えば、2%FBS及び2mMグルタミンを補足したEagle’s Minimum Essential Medium(EMEM)培地で段階希釈した抗体を、最初にPoly-Dコーティングした96ウェル平底プレート(Corning Costar)に50μl/ウェルで添加した。2000pfu/mlのRSV A Long及びB Washington株を50μl/ウェルで抗体と混合し、5%COを用いて37℃で1時間インキュベートした。次いで、2%FBS及び2mMグルタミンを補充したEMEM培地中0.8×10~1.2×10細胞/mlのHEp-2細胞(ATCC)を、ウェル当たり25μlで抗体/ウイルス混合物に添加した。5%COを含む37℃で1時間のインキュベーション後、プレートを1,200rpmで10分間遠心分離した。2%FBS、2mMグルタミン及び1%メチルセルロースを補充した125μlのEMEM培地を各ウェルに重層した。プレートを37℃、5%COで3日間インキュベートした。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中氷冷80%アセトン(Sigma)で100μl/ウェルで室温にて10~20分間固定した。プレートを20分間乾燥させ、次いでPBSTで洗浄した。固定細胞をマウス抗Fモノクローナル抗体(1.25μg/ml)とマウス抗N(核タンパク質)モノクローナル抗体(1.25μg/ml)の混合物で染色した。プレートをPBSTによって再度洗浄し、次いで、アッセイ希釈液中の抗マウスIgG Alexa488コンジュゲート二次抗体(Invitrogen、1:500)と共に50μl/ウェルで1時間インキュベートした。PBSTを使用して過剰な二次抗体を洗い流した後、EnSight(商標)プレートリーダー(PerkinElmer)を使用してプレートを分析した。GraphPad Prismソフトウェアを使用して、4パラメータ非線形フィッティングアルゴリズムからIC50値を計算した。
【0805】
M4B06及びhMPV-F複合体のCryo-EM研究
【0806】
試料調製のために、組換え精製M4B06 Fabを処理されたhMPV PreF(115BV)三量体(PreF三量体:Fab=1:3)と共に4℃で1時間インキュベートし、続いて緩衝液(25mMのHEPES pH7.5、150mMのNaCl)中のSuperdex200Increase10/300GLカラムを使用して精製することによって、M4B06-hMPV PreF複合体を調製した。画分試料を凍結フラッシュし、その後の低温EM研究のためにネガティブ染色で事前にチェックした。0.2mg/mlの3マイクロリットルの精製された試料を、Graphene Oxide(Quantifoil、300メッシュ、R2.0/1.0)を有するグロー放電された多孔質炭素フィルムグリッドに適用した。試料を6秒間ブロットし、Vitrobot(商標)Mark IV(Thermo Fischer Scientific)を使用して4℃及び湿度100%で液体窒素によって冷却した液体エタンに押し込むことによってガラス化した。
【0807】
Cryo-EMデータ取得のために、FEI Titan Krios(商標)300KV電子顕微鏡を使用して合計約1,800の動画顕微鏡写真(各動画について36フレーム)を取得した。データ取得には、Gatan K3(商標)Summit直接電子検出器を使用することも含まれ、3秒の曝露中に75e/Åの総線量を適用する超解像モードで動作した。3秒間の間、総線量は検出器のÅ2当たり75電子(オングストローム平方)である(Å2は検出器の面積サイズの単位である)。各顕微鏡写真を、-1.5μm~-3.0μmの公称デフォーカス範囲で、89,000倍の公称倍率(試料レベルで0.5225Å/ピクセル)で(SerialEMソフトウェアを用いて)取得した。
【0808】
画像処理及び3D再構成のために、全てのムービーフレームを位置合わせし、2倍でビニングし、MotionCor2[63]を使用し、それらのコントラスト伝達関数(CTF)パラメータをGctfコンピュータプログラムで推定した[64]。約1,000個の粒子を手動で箱詰めし、約30個の遠焦点顕微鏡写真から抽出し、それらの二次元(2D)平均クラスをテンプレートとして使用して、正規化尤度最適化(RELION)3.0コンピュータプログラムにおいてオートピックで全ての選択された顕微鏡写真から粒子を自動的に箱詰めした[65]。合計で約100万個の撮像粒子画像を抽出し(8倍でビニングして4.18Åのピクセルサイズを得た)、RELION3.0との参照なしの2Dアライメントに供した。2D分類の複数の反復後、良好なクラスに属する粒子(約218,000)は、初期モデルとして手動で選択された粒子から作成されたマップに対して三次元(3D)分類された。3D分類の2回の反復後、良好なクラスの粒子(約131,000)を再センタリングし、再抽出し(2.6Åのピクセルサイズを得るために5倍のビニング)、精密化して、5.2Å分解能のナイキスト周波数でマップを得た。このマップをモデルとして使用して、更に原点及び配向を決定することなく、粒子を6つのクラスに更に3D分類した(図AのS6)。より良好に識別可能な構造的特徴を示すこれら3つのクラスの粒子(87,876)を再抽出し(2倍でビニングして1.045Åのピクセルサイズを得た)、対称性を課すことなく3.75Åの解像度(FSC=0.143)で最終マップに更に精密化した。
【0809】
モデル構築のために、鋳型としてA株の結晶構造を用いてB株のhMPV PreF三量体のモデルを構築した[28]。モデルを、キメラ視覚化プログラムを使用してCryoEMマップにドッキングした[66]。構造図は、Chimeraプログラムを用いて作成した。
【0810】
透過型電子顕微鏡法及び画像解析
【0811】
透過型電子顕微鏡法及び2Dクラス平均化は、NanoImaging Services,Inc.(San Diego,CA)によって実施された。試料は、ニトロセルロースでコーティングされた400メッシュの銅グリッド(Ted Pella)によって支持された連続炭素フィルム上に調製した。2~8μg/mLの濃度の3μL滴の精製hMPV PostFタンパク質を、新たにプラズマ洗浄したグリッドに1分間適用した。次いで、濾紙を使用して液滴を薄膜にブロットし、続いて1%(w/v)ギ酸ウラニルで直ちに染色した。透過型電子顕微鏡法は、FEI Eagle 4k×4k電荷結合素子(CCD)カメラを備えた120キロボルト(kV)で動作するFEI Tecnai T12電子顕微鏡を使用して実行した。負染色グリッドを、室温ステージを使用して電子顕微鏡に移した。各グリッドの画像を複数のスケールで取得して、試料の全体的な分布を評価した。低倍率での撮像に適した潜在的な標的領域を特定した後、自動画像取得ソフトウェアパッケージLeginonを使用して、110,000倍(0.10nm/ピクセル)及び67,000倍(0.16nm/ピクセル)の公称倍率で高倍率画像のペアを取得した[67]。-2μm~-1μmの公称アンダーフォーカス及び約30~35e/Å2の電子線量で画像を取得した。
【0812】
Appionソフトウェアパッケージを用いて画像処理を行った[68]。CTFFIND4プログラムを使用して、画像のコントラスト伝達関数を推定した[69]。CTFFINDは、透過型電子顕微鏡写真から対物レンズのデフォーカスパラメータを推定するために広く使用されているプログラムである。自動ピッキングプロトコル[70]を使用して、67,000倍又は110,000倍の高倍率画像中の個々の粒子を選択し、続いてXウィンドウベースの顕微鏡法画像処理パッケージ(Xmipp)を使用して、参照なしのアライメント及び分類を数回行った。[71]を参照されたい。XMippは、選択された粒子を整列させ、それらをクラスの自己類似グループに分類するアルゴリズムを含む。
【0813】
M4B06に対するモノクローナル抗体耐性変異体(MARM)の作製
【0814】
Vero腎臓上皮細胞を、血清を含まない動物起源を含まない培養培地であるOptiPRO(商標)SFM培地(Gibco)中の6ウェルプレートに播種した。培地に、1%Pen Strep(Gibco)、2%L-グルタミン(Gibco)及び2%FBS(HyClone)を37℃、5%COで添加した。翌日、10プラーク形成単位/細胞(pfu/細胞)のhMPV A2ウイルス(Baylor製のRL_bx)と、2μg/mL、8μg/mL及び40μg/mLのM4B06 Fabとの混合物をそれぞれ3回感染させた。毎回、細胞を37℃、5%COで培養し、シンシチウムが出現したとき(6日目)に回収し、液体窒素中で3回の凍結/解凍によって溶解し、500gで10分間遠心分離した。ウイルスを含有する1ミリリットルの上清を使用して、新鮮な単層Vero細胞に感染させた。残りの上清を10xスクロース-ホスファート-グルタマート-アルブミン(SPGA)緩衝液(Biological Industries)と混合し、長期保存のために凍結した。3回の培養及び感染の後、最後の回からのウイルス上清を10倍段階希釈に分注し、0.5mLの上清を使用して新鮮な単層ベロ細胞と共に37℃、5%COでインキュベートした。1時間のインキュベーション後、3.5mL容量のオーバーレイ(1%メチルセルロースを補充したOptiMEM(商標)培地)を加え、細胞を37℃、5%COで1週間培養した。
【0815】
次いで、22個の単一プラークを別々に回収し、24ウェルプレートで調製した新鮮な単層Vero細胞に37℃、5%COで5日間接種した後、採取した。最終的に採取したMARMウイルスを、1%2-メルカプトエトナールを含むRLT緩衝液(Qiagen)中で溶解し、RNeasy市販キット(Qiagen)を使用してウイルスRNAを抽出した。個々のプラークからのF遺伝子を、ウイルスRNAを使用するRT-PCRによって増幅し、続いてF特異的プライマーを用いたPCR分析、ゲル抽出、及び配列決定を行った。
【0816】
バイオレイヤー干渉法(BLI)に基づく結合アッセイ及びエピトープビニング
【0817】
Octet Red 96e装置(ForteBio,Inc.)を使用して、BLIベースのアッセイを行った。全ての実験は、1,000rpmで振盪しながら30℃で実施した。結合アッセイのために、研究者らは、組換え非処理hMPV PreF三量体、処理安定化hMPV PreF三量体、及びhMPV PostF三量体を別個の抗原として利用した。抗体及び抗原タンパク質を、それぞれ0.5μg/mL及び2μg/mLの濃度で速度論緩衝液(ForteBio)に希釈した。抗体及び空の緩衝液を含む参照ウェルを最初に抗ヒトFc捕捉(AHC)バイオセンサー(ForteBio)に180秒間個別に固定化し、続いて抗原との会合工程を600秒間行った。ほとんどの抗体の会合曲線は、飽和を示すことなく線形範囲内にあった。データ処理のために、各抗体試料の絶対結合応答(nm)を、参照ウェルの結合応答(nm)を差し引くことによって計算した(表4)。GraphPad Prismソフトウェアを使用してプロットを生成した。
【0818】
エピトープビニング分析のために、明らかなBLI結合応答(>0.2nm)を示した73個の単離されたmAbを実験に含めた。組換え非処理hMPV PreF三量体タンパク質を抗原として使用した。全てのタンパク質試料をカイネティクス緩衝液(ForteBio)で希釈した。特性決定される抗体又は内部対照として使用される基準mAb(5μg/mL)を最初に抗ヒトFc捕捉(AHC)バイオセンサー(ForteBio)に600秒間個別に固定化した。次いで、試料及び抗体を有するセンサーを無関係のmAb(5μg/mL)で600秒間ブロックした。次いで、バイオセンサーをF抗原(2μg/mL)を含むウェルに浸漬した。最後に、抗原を負荷したバイオセンサーを、第2の参照mAb(5μg/mL)を含むウェルに浸漬した。正規化された二次mAb結合を、第2の参照mAb結合の結合応答を抗原負荷の結合応答で割ることによって計算した。次いで、正規化された数を、R Studio1.0.153のヒートマップ2パッケージによるクラスター化ヒートマップとしてプロットした。参照mAbと類似の競合プロファイルを有するMAbを同じカテゴリーにクラスター化した。hMPV A、B及びRSV A、Bの中和IC50値をヒートマップのトップバーとしてプロットした。
【0819】
ELISAアッセイ
【0820】
Expi293上清中の未精製抗原を用いたELISAアッセイのために、96ウェルNi-NTA被覆プレート(Thermo Scientific)を細胞培養上清で室温にて2時間被覆した。次いで、PBS中の2%(v/v)ウシ血清アルブミン(BSA)を添加することによってプレートをブロックした。ブロッキング工程の後、プレートを抗体の連続希釈物と共に室温で90分間インキュベートした。プレートをPBSTで洗浄し、次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgG(1:2,000、Southern Biotech)と45分間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、テトラメチルベンジジン(TMB)溶液(Virolabs)で展開した。プレートリーダー(Victor III;Perkin-Elmer)を使用して、450nmでの任意の吸光度を検出した。EC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用してヒル勾配曲線フィッティングを行うことによって計算した。
【0821】
HDX-MSによるM4B06のエピトープマッピング
【0822】
配列カバレッジを最適化するために、種々のクエンチ条件、消化、脱塩、液体クロマトグラフィー及び質量分析パラメータを用いたいくつかの予備実験を評価した。また、最適な抗原抗体比を別個の滴定実験で決定した。抗体濃度を変化させながら抗原濃度を一定に保つことによって比を最適化した。抗体の添加により重水素化レベルが低下したいくつかのペプチドを同定した。結合について等モル量の抗原(Ag)及び抗体(Ab)を表した重水素化レベルの更なる低下が観察されなかった場合、最適なAg:Ab比が同定された。
【0823】
以下は、水素-重水素交換実験に最適であると決定された条件を表す。等モル量のM4B06一価Fabを含む又は含まない2.6μMのhMPV前安定化処理PreF三量体(115BV)のストック溶液を1xPBS中で調製した。Ag:Ab複合体は、hMPV FをM4B06と共に周囲温度で1時間インキュベートした後、1℃に冷却することによって調製した。水素-重水素交換反応は、D2O中で調製した40μLのPBSを10μLのhMPV F及びhMPV F/M4B06溶液に添加することによって開始した。標識反応は、1℃で、15秒、50秒、150秒、500秒、及び5000秒の5つの時点で行った。これらの時点の後、40μLの標識溶液を20μLのクエンチ溶液(2M尿素、1Mトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、NaOHでpH3.0に調整)と1℃で混合することによって試料をクエンチした。クエンチした試料50μLを直ちに、水溶媒中0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)を流速200μL/分で使用してオンラインタンパク質分解のために10℃に保持した固定化ペプシンカラム(Waters Enzymate BEH Pepsinカラム、2.1×30mm)に注入した。消化物を伴う流れは、脱塩のために0℃に保持されたトラップカラム(Waters超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)エチレン架橋ハイブリッド(BEH)300 C18、1.7μm、2.1×5cm)上に同じ速度で継続した。合わせた消化及び脱塩工程を90秒間継続し、その後、トラップカラムの流れを反転させ、溶媒A:水中0.05%(v/v)TFA及び溶媒B:95%アセトニトリル/5%水中0.0025%(v/v)TFA(v/v)の勾配を用いて0℃に保持された分析カラム(Waters Acquity(商標)UPLC荷電表面ハイブリッド(CSH)炭素18(C18_、1.7μm、1.0×100mm)に溶出した。40μL/分の流速で9.5分間にわたって13%~40%Bの直線勾配を用いて、ペプチドを、分解能30,000でポジティブモードで操作されるThermoScientific LTQ-XL Orbitrap質量分析計(Thermo Fisher Scientific)に溶出させた。データは、以下のMSパラメータを使用して、プロファイルモードで350~2000のm/z範囲にわたって取得した:加熱エレクトロスプレーイオン化(HESI)源電圧4kV、キャピラリー電圧44V、チューブレンズ110V、キャピラリー温度250℃、及びシースガス流10。標識、クエンチ、注入、消化、脱塩及び溶出工程は、HDxDirectorソフトウェアによって制御されるHTC PALロボット(LEAP Technologies)を使用して行った。アイソクラティック及び勾配溶媒流は、Waters nano-Acquity(商標)UPLCポンプ(Waters)を使用して得た。交換実験の前に、非重水素化RSV F試料をデータ依存性MSMSモードで分析し、Proteome Discoverer 1.4ソフトウェア(Thermo Fisher Scientific)で処理することによって、各ペプチドの同一性を確認した。HDExaminerソフトウェア(Sierra Analytics)を使用して、標識実験における各ペプチドの同位体エンベロープの重心質量を決定し、重水素取り込みを定量した。
【0824】
非処理及び処理hMPV Fタンパク質の示差走査蛍光測定
【0825】
分析は、非処理hMPV PreFタンパク質と、-70℃で保存された、フーリンを用いて及び用いずに発現された処理された安定化hMPV PreFタンパク質とを用いて行った。pH7.5の50mMのHEPES、300mMのNaCl中のhMPV Fタンパク質の二倍連続希釈物を、それぞれ1.5mg/ml、2.5mg/ml及び2.7mg/mlの開始濃度から調製して、(3.125μM~50μM)の間の濃度範囲の試料を得た。Prometheus NT.48機器(NanoTemper Technologies GmbH,Munich,Germany)を使用して、示差走査蛍光法(DSF)測定を行った。簡単に記載すると、高感度キャピラリー(PR-C006)を用いて2連で実験を行った。各キャピラリーに10μlのタンパク質溶液を充填し、350nm及び330nmでの蛍光シグナルを20℃~95℃の温度で1℃/分の昇温速度で記録した。機器ソフトウェアを使用して、350nmと330nmのシグナルと一次導関数との比を計算した。一次導関数の最大値を使用して、タンパク質アンフォールディング事象の遷移中点を得た。
【0826】
血清吸収アッセイ
【0827】
4人のドナーの血清試料を吸収アッセイで試験した。各試料(50μL)をPBSで希釈して総体積を970μLにし、20μLの0.5mg/mL抗原又はPBS緩衝液対照と混合して、室温で2時間インキュベートする。次いで、試料を再構成Strep-tag II mAb(GenScript)10μlと0.5mg/mlで混合し、4℃の360°回転子上に2時間置いた。次いで、予備洗浄した80μLのヒツジ抗マウス免疫グロブリンG Dynabeads(商標)(2mg/ml、Life Technologies)を混合物に添加し、回転機上で4℃で1時間インキュベートした。抗原及び抗原結合抗体を担持するDynabeadsをDynaMag-2磁石(Life Technologies)によって分離し、F抗原を用いた更なるELISA結合アッセイのために吸収された上清を残した。ELISA力価を希釈倍率によって計算し、4人のドナーからの平均ELISA力価をプロットした。
【0828】
計算配列及び構造解析
【0829】
V遺伝子生殖系列の使用、クローン解析、及び体細胞高頻度変異(SHM)を、Kabat描写システム[72]に基づいてIgBlast[59]によって解析した。クローン型は、同じ生殖系列V(D)J遺伝子セグメント、同じ産生/非産生状態及び同じCDR3ヌクレオチド並びにアミノ配列を有する任意のV(D)J再編成を含むと定義された。構造の視覚化は、PyMOL 1.7.05(Schrodinger)によって生成された。GraphPad Prismソフトウェアによってプロットを生成した。
[実施例2]
【0830】
ヒトメモリーB細胞レパートリーからのhMPV F特異的mAbの大きなパネルの単離
【0831】
ヒト抗体認識部位をhMPV F抗原に対して包括的にプロファイリングするために、研究者らは、抗原特異的単一メモリーB細胞選別法によって複数のドナーのヒトメモリーB細胞レパートリーから100mAb超を単離した(図1A図1B及び表3)。F1とF2との間に明らかな切断を示さず(図2A及び図2B)、おそらくPreF立体配座を表す野生型(WT)hMPV F外部ドメイン三量体を、メモリーB細胞選別のための主要なベイト/標的として使用した[34]。場合によっては、WT単量体形態のhMPV F抗原又は上記のhMPV WT三量体とプレフュージョン安定化RSV F抗原DS-Cav1との混合物を使用した(表3A)。結果として、3名の主要ドナー由来の88個のmAbを含む7名のドナー由来の合計113個のmAbが首尾よくクローニングされ、発現され、hMPV F抗原へのそれらの結合を確認し(表3BのVH情報データ及び表3CのVL情報及びデータを参照)、3つの最近報告されたRSV/hMPV交差中和mAb(M1C7、M2B6、M2D2)も含まれた[53]。
【0832】
クローン系統分析を実施し、データは、hMPV F特異的B細胞レパートリーが非常に多様であり、113個の抗体のうち111個が独特であることを示した。表3Dを参照されたい。生殖系列の頻度も多様であり(図3A)、hMPV F誘導抗体応答ではクローン増殖が非常に稀であることを示した。HCDR3の長さは9~24(中央値15)(図3B)の範囲であり、これは最近報告された成人のRSV-F特異的レパートリーに類似している[36]。体細胞高頻度変異(SHM)の平均レベルは、ドナーのレパートリー間で異なり(図3B)、VH遺伝子当たり0~47(中央値21)のヌクレオチド置換及びVK/VL遺伝子当たり0~35(中央値11)のヌクレオチド置換(CDRH3を除く)にそれぞれ及んだ(図3C)。113個のmAbのうち85個が、試験した抗体濃度の下でプラーク減少アッセイにおいてhMPV A又はBサブタイプのいずれかを中和した。12個のmAbがhMPVサブタイプA及びBの両方に対して高い中和効力を示し、IC50は50ng/ml未満であった(表3A)。おそらくhMPVサブタイプBのF抗原を選別に使用したため、6つのmAbがhMPV Bサブタイプに対して中和活性を有することが観察された(表3A)。13個のhMPV中和mAbがRSV F抗原への交差結合並びにRSV A及びRSV B株への交差中和を有することが観察された(表3A)。
【0833】
【表2】
【0834】
【表3】
【0835】
【表4】
【0836】
【表5】
【0837】
【表6】
[実施例3]
【0838】
超強力なPreF特異的hMPV F中和mAb M4B06の特性評価
【0839】
単離されたmAbの中で、クローン番号M4B06は、試験されたhMPV A及びBサブタイプの両方に対して超高hMPV中和効力を示し、IC50はそれぞれ3.5ng/mL及び2.2ng/mLであった(図4A)。BLI結合アッセイは、M4B06がWT及び安定化されたPreFタンパク質のみに結合し、PostFタンパク質には結合しないことを示し、M4B06がPreF特異的エピトープを標的としたことを示した(図4B)。
【0840】
M4B06のエピトープを更に理解するために、hMPV A株のモノクローナル抗体耐性変異体(MARM)をM4B06の選択圧下で作製した。M4B06 Fabの濃度を増加させながら3回培養した後、hMPVウイルスは、野生型ウイルスのIC50の500倍を超える40μg/mLのFab濃度下で複製することができることが観察された。MARMの単一精製プラークの配列決定により、3種類のMARM:V231A/G264R、G264R/Q434H、及びK138Qが明らかになった。これらの3種類のMARMに対するM4B06 IgGの中和効力は、免疫グロブリンの効力をそれぞれ52倍、70倍及び49倍減少させた。M4B06 Fabは、hMPV A株のいずれのタイプのMARMも中和することができず、これらのMARMで生成された変異がM4B06の中和活性を損なったことが確認された(図4C)。
【0841】
更に、研究者らは、単一及び二重のMARM由来変異を有するhMPV Fバリアントを生成して、変異/バリエーションがM4B06結合を中断したかどうかを決定した。ELISA結合アッセイからのデータは、これらの変異が、異なるエピトープを標的とする対照抗体M2D2への結合に影響を及ぼさないことを示した[53]ので、変異タンパク質はWTタンパク質と同様に折り畳まれた(図7A)。しかし、K138Qは少なくとも100倍の結合を減少させ、G264Rを有する単一又は二重変異体はM4B06結合を完全に消失させ、K138及びG264がM4B06結合に重要であり、M4B06のエピトープ内に位置する可能性が高いことを示唆した(図4D)。K138及びG264は両方とも溶媒に曝露され、互いに近接しており、RSV Fで以前に定義された抗原部位Vと同等の領域に位置する(図4E)。水素-重水素交換質量分析(HDX-MS)による並行エピトープマッピング研究では、ペプチド131~146、137~146、260~266は、hMPV F-M4B06複合体とhMPV F単独との間で有意に低下した交換速度を示した。これらのペプチドはM4B06のエピトープ残基を含んでいた可能性があり、これはMARM研究の結果と一致する(図4E及び図5)。図5は、5つの時点(15、50、150、500、1500秒)でのM4B06一価Fabの存在下での抗原と比較した、処理されたhMPV PreF三量体タンパク質単独の重水素化レベルの差を示すヒートマッププロットである。より遅い重水素交換は、結合部位を含む領域を示した。白い領域は「隙間」であり、配列カバレッジがなかったため、HDX-MS情報は得られなかった。
【0842】
更に、同定されたM4B06のエピトープは、3.75Åの分解能でのM4B06-hMPV F複合体のCryoEMマップによって更に確認され、3つのM4B06 Fabがほぼ垂直な角度(図4F)でエピトープ領域に存在することが明確に示された。まとめると、研究者らは、RSV Fの先に定義された部位Vに類似するhMPV PreF特異的エピトープを標的とする非常に強力な中和mAb M4B06を同定した。
[実施例4]
【0843】
hMPV F特異的mAbのエピトープマッピング
【0844】
全ての単離されたhMPV F特異的mAbの標的抗原部位をマッピングするために、研究者らは、hMPV Fノックアウト変異体のパネルを設計し、単離されたhMPV-F特異的mAbとのELISA結合を試験した。mAbのパネル(M1D2、M1C7s、M3D04、M4A10、M3C06、M4B06)は、RSV F上に定義された抗原部位II及びVと同等の領域に位置する様々な残基上のPreF変異体への結合を減少させることが観察された(図6A及び図6B)。更に、M1A04は、部位IVにマッピングされている(図7B)。抗体M1D2、M1C7s、M1A04は、前述のM4B06(部位V)及び以前に報告されたmAbs DS7(DS7-site;Wen,X.,et al.,2012.Nat Struct Mol Biol 19,461-463)、M2B6(部位III、RSV/hMPVを交差中和する)、M2D2(IV部位、交差中和RSV/hMPV)、M1C7(部位V、交差中和RSV/hMPV)と共に、BLIに基づくエピトープビニングによって単離されたmAbをグループ分けするための参照mAbとして選択したXiao,X.,et al.,2019 mAbs,11:8,1415-1427 citing M2B6,M2D2,M1C7も参照されたい。予備的ビニング結果に基づいて、M4B11、M2A05、M8C10及びM1A08をエピトープビニングのための更なる参照mAbとして含めて、上記の参照mAbとの有意な競合を示さなかったmAbを特徴づけた(図8A)。
【0845】
エピトープビニングに基づいて、hMPV F特異的mAbを8つの群に分類した(図8A)。mAbの4つの群は、RSV Fの以前に定義された部位V、II、III、IVのmAbと同様の典型的な競合プロファイルを示したので、これらのmAbをそれぞれ部位V、II、III、IVにマッピングした。PreFタンパク質の異なるバリアントに対する結合分析により、mAbは、抗原部位II及びVと相互作用するために複数の結合様式を使用することが明らかにされたが、これは、これらの部位内の変異がそれらの結合に異なる影響を及ぼしたからである(図6A及び図6B)。mAbの他の4つの群は、報告されていない新規な競合プロファイルを示した。(1)mAbの第1の群は、部位IIIのmAb M2B6及びDS7と有意に競合し、部位IIのmAb M1C7及びM1D2との競合がより少なく、古典的部位IIIとDS-7部位との間の領域を標的としたことを示唆した。hMPVとRSVの両方を交差中和する古典的部位IIImAbとは異なり、mAbのこの群はhMPVのみを中和した。研究者らは、この抗原部位を部位III’と命名した(図8A図8B)。(2)mAbの第2の群は、それ自体の群内の2つのmAbとほとんど競合した。この群の代表的なmAbであるM2A05は、hMPV Bサブタイプのみを中和した。
【0846】
そのエピトープを更にマッピングするために、研究者らは、hMPV-A FにおいてサブタイプB特異的残基をそれらの対応物に変換したhMPV-B Fバリアントのパネルに結合するM2A05抗体を分析した。データは、F抗原の単一のD296K変異がM2A05の結合を有意に減少させたことを示しており(図7C)、D296がM2A05のエピトープ内にあることを示唆している。hMPV F構造上の古典的な部位IVの下に位置するこの抗原性部位を部位IV’と命名した(図8A及び図8B)。(3)mAbの第3の群は、抗体M8C10と競合し、抗体M8C10は、(部位αと命名された)内部三量体化界面でエピトープを標的とするmAbである。これらのデータは、これらのmAbが全て、hMPV Fの内部エピトープを標的とする可能性が高いことを示し得る。(4)部位βと命名された最後の群は、hMPV PreF表面にマッピングされたいずれの6つの群とも競合しなかった。ほとんどの部位βmAbは、抗体M8C10及び抗体M1A08の両方と競合したM2E11Lを除いて、その群内のmAb M1A08とのみ競合した。研究者らは、ノックアウト変異体によって部位βの詳細なエピトープ又は得られたその結晶構造を決定することができなかったため、部位βのエピトープは、更に詳細に調査されるべきままである。興味深いことに、研究者らは、mAb標的部位?を示す証拠を発見しなかった。高い中和効力を有するmAb群(IC50<50ng/mL)では、20%未満のmAbのみが部位Vを標的化し(図8C)、67%のmAbがhMPV F抗原側に位置する部位II、IV及びIII’を標的化した(図8B)。これは、部位?及びVの免疫優性を示唆したRSV Fの所見とは有意に異なる[48]。
[実施例5]
【0847】
抗原部位、中和効力、及び異なるhMPV F立体配座に対する結合特異性の間の相関
【0848】
hMPV F抗原の異なる立体配座に対する単離されたmAbの結合特異性を調べるために、研究者らは、BLIによって3つの形態のhMPV F抗原に対する単離されたmAbの結合親和性を分析した:(1)B細胞選別及びエピトープビニングに使用された非切断hMPV PreF三量体[34](非処理PreF、図2A参照);(2)フーリンとの共発現後にF1とF2との間で効率的な切断を示したプレフュージョン安定化hMPV F三量体115BV[28](処理済みPreF、図2B参照);及び(3)EMネガティブ染色(図9)によって確認されるhMPV PostF。表4も参照されたい。抗原三量体と二価抗体との間の高い結合活性のために、多くの抗体の解離は、Kdを決定するには遅すぎた。したがって、本発明者らは、見かけの結合親和性の指標として絶対結合応答(nm)を使用した。
【0849】
【表7】
【0850】
単離されたmAbと非処理PreFとPostFの結合を比較すると、3つの群のmAb:PreF特異的、PostF特異的、及びPre/Post-dual mAbが存在することが示された(図10A)。PreF特異的mAb及びPre/Post-dual mAbの群は、同様の数の強力な中和mAbを有するようである(図10A)。例えば、50ng/ml未満の中和IC50を有する28個のmAb及び50~500ng/mlの中和IC50を有する33個のmAbでは、14個及び15個のmAbがそれぞれPreF特異的(PostF結合応答<0.3と定義)であり、強力な中和mAbがPreF特異的エピトープ及びPreFとPostFの両方に提示されるエピトープの両方によって誘発され得ることを示唆した。このデータと一致して、研究者らはまた、PostFがこれらのヒトドナーの血清試料においてPreFに対する結合反応性の大部分を枯渇させることができることを決定した(図11A及び図11B並びに表5)。
【0851】
mAbのPreF/PostF結合特異性も、それらの抗原部位とよく相関していた:部位III’及び部位IV mAbは、ほとんどがPre/Post二重結合剤であり、部位II mAbは、同様の数のPreF特異的及びPre/Post二重mAbを有し、部位V、部位III、部位IV’、部位α及び部位βを含む他の部位の残りは、PreF特異的であった(図10B)。
【0852】
単離されたmAbの非処理PreFへの結合を、処理されたPreFと比較して、アッセイを用いて分析した。興味深いことに、mAbの2つの明らかな群が存在する-mAbの群は、PreFの両方の立体配座に対して同様の結合親和性を示し、他方、他の群は、非処理PreFよりも処理されたPreFへの結合を有意に減少させた(図10C及び図10D)。これらのデータは、2つのタイプのエピトープが存在することを示唆している-部位IIが濃縮された1つのタイプのエピトープが、処理されたPreF及び非処理PreFの両方に提示され(図10D)、部位IV’、部位α及び部位βが濃縮されたエピトープの他の群は、非処理PreFにおいてより良好に提示される(図10D)。部位II、III、III’及びIVは、エピトープが両方の群(図10D)に属すると思われる。興味深いことに、後者の群のmAbは、非処理PreFに対する優先的な結合を有することが観察され、前者の群のmAbよりも低い中和効力を示した(図10C)。mAbの中和効力は、処理されたPreF/非処理PreF結合の比と負の相関があり(図10E)、非処理hMPV F抗原と処理されたhMPV F抗原との間の免疫原性の潜在的差異が強調された。
【0853】
【表8】
[実施例6]
【0854】
非処理及び処理hMPV F抗原の熱安定性の特性決定
【0855】
非処理hMPV PreF抗原と処理されたhMPV PreF抗原との差を更に特性決定するために、研究者らは、示差走査蛍光定量法によって抗原の熱安定性を分析した。A185P安定化変異を含まない非処理hMPV PreF構築物(図2A)は、56.7℃での最初の転移及び83.9℃での更なる転移を有する2つのアンフォールディング転移を示した(図12A)。対照的に、A185P変異並びに82位のRRフーリン切断部位(図12A)を含有するフーリン処理安定化hMPV PreF 115BVの融解温度は、62.5℃と有意に高く(図12B)、後者のタンパク質の熱安定性の増加を示唆している。改善された熱安定性がA185P安定化変異の導入又はフーリン媒介タンパク質分解切断に起因するかどうかを決定するために、本発明者らは、共発現されたフーリンの非存在下で非処理安定化hMPV PreF 115BVタンパク質を更に生成した(図2A)。フーリンによって処理されていなかったこのA185P安定化構築物の融解温度は、55.5℃(図12C)であり、A185P変異を有さない非処理hMPV PreFタンパク質と同様であり、フーリン媒介タンパク質分解的切断がhMPV PreFタンパク質の熱安定性を有意に改善したことを示している。興味深いことに、第2の高温転移は、A185P安定化変異を含まないhMPV F構築物についてのみ観察することができた。いかなる特定の理論又は機構によっても制限されることなく、安定化A185P変異の添加は、この高温転移を95℃を超える温度にシフトさせ、これはこの実験の観察された温度範囲外であると考えられる。
【0856】
考察
【0857】
RSVとhMPV Fタンパク質との間の非常に類似した構造的折り畳み及びいくつかの保存されたエピトープにもかかわらず、hMPV Fの抗原性がRSV Fと類似しているかどうかは、今日まで不明のままである。この研究では、研究者らは、複数の健康な成人ドナーから100個を超えるmAbを単離し、特性決定し、自然感染から誘発されたhMPV-F特異的mAbの包括的抗原マップを提供した。研究者らは、複数の健康なヒトドナーのメモリーB細胞から単離された113個のhMPV-F特異的mAbを作製した。研究者らは、抗体の生殖系列使用、エピトープ、中和効力、及びF抗原の異なる形態に対する結合特異性:非処理(又は未切断)プレフュージョン(PreF)、処理(又は切断)PreF、及びポストフュージョン(PostF)を分析した。hMPV Aウイルス及びhMPV Bウイルスの両方に対する非常に高い中和効力を有するmAbが特性決定され、抗原部位Vにマッピングされた。データは、RSV-F特異的mAbとは異なり、hMPV Fに対する抗体応答は、おそらく追加のグリコシル化のために、抗原の頂点に対してあまり優勢ではないことを示した。強力な中和mAbの大部分はhMPV F側のエピトープを認識する。更に、RSV F上の以前に定義された抗原部位とは異なる新規な中和エピトープが同定され、部位V及びII mAbの複数の結合様式が発見された。興味深いことに、非処理PreFに優先的に結合するmAbは、低い中和効力を示し、タンパク質分解的に非処理F抗原と処理されたF抗原との間の免疫原性の潜在的差異を強調した。これらの結果は、hMPV感染の免疫認識を解明する。
【0858】
単離されたmAbのほとんどは生殖系列配列と比較して有意な体細胞高頻度変異を有し(図3C)、hMPV F中和力価で事前スクリーニングされたドナーが過去に繰り返しhMPV感染にさらされた可能性が高いことを示唆した。エピトープビニング及び部位ノックアウト変異体によるスクリーニングは、以前に報告されていない4つの部位を含む、hMPV PreFの8つの異なる抗原性部位があることを示唆した(図8A~Cを参照されたい)。データは、各部位の単離されたmAbの数が、おそらくそれらの免疫バックグラウンドの差に起因して、ドナーによって異なることを示した(図13)。それにもかかわらず、これは、研究者がそれらの標的抗原部位に関連するmAbの共通の特徴を特性決定する能力を妨げなかった。M4B06を含むmAbのパネルは、IC50<50ng/mlでインビトロ中和アッセイにおいて高い中和効力を示し、hMPV感染に対する予防的又は治療的介入としてのそれらの潜在的適用を強調した。これらのmAbを部位II、IV、V、III及び新たに同定された部位III’(表3A、表3B及び表3C)にマッピングした。所定の抗原部位II及びV内で、複数の結合様式も同定されている(図6A~C)。更に、4つの新しい抗原部位が同定された(図8A~C)。以前に定義された部位III及びIVに隣接する部位III’及びIV’は、抗体の異なる群を誘導した。
【0859】
1つは三量体界面に位置し、もう1つはまだ特性決定されていない他の2つの新規部位に対する抗体も、同定された全抗体のかなりの部分を含んでいた。別のmAb MPV458は、MPV F頭部領域の三量体界面付近に位置する66~87ヘリックスを標的とすることが報告されている[参照:doi.org/10.1371/journal.ppat.1008942]。MPV458のエピトープは、MPV F三量体内に完全に埋もれているM8C10のエピトープと重ならない。図17を参照されたい。このデータは、三量化界面内の抗体認識の幅を明らかにする。天然のRSV感染は、好ましくは部位?及びVなどのプレフュージョン-特異的頂点部位を標的とする抗体を誘発した[48]。対照的に、本発明者らの研究におけるヒトドナーの血清試料の分析は、PostFがPreFに対する結合反応性の大部分を枯渇させることができることを示唆した(図11A及び図11B)。更に、研究者らは、PreF/PostF二重メモリーB細胞と比較して同等の数のhMPV PreF特異的メモリーB細胞を決定し、hMPV Fの頂点がグリカンによって大きく遮蔽され、抗体認識にアクセスしにくいという以前の報告と一致して、部位?及びVの免疫優位性を観察しなかった(図8C)[28]。hMPV PreF抗原及びPostF抗原は、マウスにおいて同等の中和力価を誘発することが報告されており[28]、これはおそらく中和mAb(nAb)標的部位II、IV、及びIII’によって駆動され、これらは本研究で特性決定されるようなPreF/PostF二重結合剤であった。要約すると、本明細書のデータは、自然感染中のhMPV Fに対する多様な抗体応答を強調し、RSV Fに対する抗体の研究とは異なる新規な特徴を明らかにする。
【0860】
新生hMPV Fタンパク質は、細胞表面又はウイルス様粒子におけるTMPRSS2などの膜貫通プロテアーゼによるタンパク質分解活性化を必要とするので[26]、研究者らは、両方の形態のPreF抗原が体液性免疫にアクセス可能であり得ると仮定した。タンパク質分解的に非処理PreF形態及び処理されたPreF形態の両方に対する単離されたmAbの結合特異性を調べることによって、処理されたPreFよりも非処理PreFに対する明らかな結合優先性を有するmAbの大きな群が同定され、モノマー形態におけるそれらの非常に類似した構造にもかかわらず、2つのPreF形態間の免疫原性の潜在的差異を強調した。
【0861】
理論に拘束されることを望むものではないが、この観察に対する1つの可能な説明は、タンパク質分解的切断がFセグメントのN末端に疎水性末端を生成し、疎水性コアを形成し、Fタンパク質の三量体化を安定化することである(図14A及び図14B)。実際、DSFの結果は、タンパク質分解プロセスがhMPV PreF三量体の熱安定性を改善し得ることを示している(図12A~C)。非処理PreF三量体は、より動的な立体配座を提示する可能性があり、したがって、処理され、より安定化されたPreF三量体ではアクセスしにくいいくつかのエピトープを露出させる。例えば、非処理PreF優先mAbの群は、三量体化界面内の内部エピトープ部位αを認識することが示されたmAbであるM8C10と競合した。インフルエンザなどの他のウイルスについても同様のmAbが報告されている[54]。本発明者らの研究の1つの注意点は、非処理hMPV PreFのみを抗体単離のためのベイトとして使用したので、研究者らは、処理されたhMPV PreF上にのみ存在するエピトープを標的とするmAbを同定することができないであろうということである。この懸念に対処するために、異なるhMPV F立体配座の交差反応性を、血清吸収アッセイを使用して分析した。データは、非処理PreFが処理されたPreFに対する交差反応性を最も枯渇させ(図11A及び図11B並びに表3)、したがって、処理されたPreFのみに結合するmAbは、血清hMPV F特異的抗体の有意な部分を表さないことを示した。
【0862】
データは、処理されたPreFが血清中の非処理PreFに対する交差反応性を枯渇させることもできたことを示しており(図11A及び図11B並びに表3)、これはおそらく、抗原が過剰である場合、非処理PreF優先結合を有するmAbが依然として処理されたPreF抗原に対する弱い結合を保持していたためである(図10C及び図10D)。興味深いことに、データは、インビトロ中和効力と処理されたFよりも非処理Fへの結合優先性との間に負の相関があることを示し、処理されたPreF三量体が、より高い中和抗体応答を誘発するために、非処理PreFと共に有効な免疫原として機能し得ることを示唆した。しかしながら、ウイルス中和とは無関係に他の潜在的な抗ウイルス機構が存在し得ることは注目に値する。例えば、以前に報告されたFluA-20抗体は、インビトロ中和活性を示さなかったが、インビトロ細胞-細胞融合を阻害し、マウスにおいてインビボ保護を提供することができた[54]。したがって、このような非処理PreF優先mAbの保護的役割をよりよく理解するために、更なる調査が必要である。
[実施例7]
【0863】
MPV-F:M8C10 Fabタンパク質複合体の分析
【0864】
この実施例では、MPV-Fとの複合体中のM8C10の詳細な構造を分析し、研究者らは三量体界面内の新しいエピトープを同定した。RSVに対する抗体は以前にF三量体の先端を部分的に開くことが分かっていたが、発明者らの知る限りでは、三量体融合タンパク質を破壊することができる中和抗体はインフルエンザ赤血球凝集素でしか見られていない。
【0865】
結晶化及び構造溶液
【0866】
MPV-F:M8C10 Fabタンパク質複合体を、シッティングドロップ形式を使用して疎行列によってスクリーニングした。20%のPEG3350及び200mMのヨウ化ナトリウムの結晶化緩衝液を用いて結晶を得た。結晶を、20%PEG3350、10%PEG400及び100mMヨウ化ナトリウムを含有する凍結溶液を使用してガラス化した。データは、Argonne National LabsのAdvanced Photon Sourceでビームライン、17-IDで収集した。
【0867】
自動処理プロトコルを使用してXDSでデータを処理した。相は、MPV-F(PDBコード:4DAG)のモデル及びMOEの自動化抗体相同性モデラーを使用して構築したFabの相同性モデルを使用して分子置換によって決定した。Buster及びPhenixによるCoot及び改良を使用して、構造を反復的に構築した。Procheck及びMolprobityを使用してモデル形状を検証した。Pymol分子視覚化システムを使用して分子図を作成した。
【0868】
M8C10の同定及び特性評価
【0869】
抗体M8C10は、先の実施例に記載されるように、ヒトドナー血清からMPV-F反応性抗体を単離するためのキャンペーンから同定された。バイオレイヤー干渉法抗体競合アッセイに基づいて、研究者らは、以前に特性決定されたMPV-Fの結合部位、部位IIIについてはM2B6、部位IVについてはM2D2、及び部位VについてはM1C7と競合しない抗体を同定することができた。DS-7は、DS7部位と呼ばれる構造的に特性決定された別個の部位に結合する。抗体を特性決定する際に、M8C10は、バイオレイヤー干渉法競合研究を使用して、これらの参照抗体と競合しないと同定された(表6)。
【0870】
【表9】
【0871】
M8C10がMPV-Fに結合することを更に確認するために、結合を表面プラズモン共鳴によって試験した。MPV-Fをチップ上に捕捉し、M8C10 Fabを増加する分析物濃度で導入した。動的フィッティングに基づいて、解離定数は1.2nMであると計算された。
【0872】
M8C10を、ウイルス中和アッセイにおいてMPV感染を阻害する能力について試験した。A1及びB2サブグループからのMPVの2つの株を試験した。M8C10は、MPV株A1を370.7nMのIC50で阻害し、株B2を660.5nMのIC50で阻害した。多くの抗体はウイルスを中和しようとすることなくMPV-Fに結合することができるが、M8C10抗体はウイルスに対してマイクロモル以下の活性を有するようである。
【0873】
M8C10の構造
【0874】
M8C10抗体は参照抗体の1つと競合しないことが観察され、本発明者らは、MPV-FとM8C10のFab断片との複合体の結晶構造を決定しようとした。各成分を個別に精製し、モル過剰のFabと混合して抗原-抗体複合体を形成した。複合体をサイズ排除クロマトグラフィーによって未結合Fabから精製し、結晶化のために濃縮した。3.0Åに回折したデータセットを回収した(表7)。
【0875】
【表10】
【0876】
この構造は、非対称単位中のMPV-F:M8C10 Fab複合体の単一コピーを明らかにする。複合体の界面は、合計1901sqÅである。これまでのRSV又はMPVに対する全ての抗体構造は、Fタンパク質三量体の表面の外側にある結合部位を実証している。この構造は、M8C10がFの三量体界面を媒介する表面に結合することを実証している(図15A及び図15B)。
【0877】
データは、M8C10 Fabが6つの相補性決定領域(CDR)のうちの4つによって媒介される相互作用を介してMPV-Fに結合することを示す。重鎖CDR1及びCDR2は、構造中のMPV-Fと相互作用しない(図15C)。重鎖CDR3中のTyr100のヒドロキシル酸素はMPV-FのArg207との相互作用を媒介し、Tyr101はMPV-F上のLeu228とファンデルワールス相互作用を形成し、主鎖アミド窒素はMPV-F上のAsp233と塩橋を形成する。軽鎖CDR1ループからの相互作用は、主に、MPV-FのPro224、Ala225、Ile226、Arg261、及びArg262をパックするIle31及びTrp32によって行われる。軽鎖CDR2から、Asp50はMPV-F上のSer227と水素結合を形成し、Val52はファンデルワールス相互作用を形成する。軽鎖CDR3は、MPV-F上のArg262及びArg338との多数の荷電相互作用をAsn92の側鎖及び骨格カルボニルに対して行う(図15D)。CDRに加えて、軽鎖のフレームワーク領域は、MPV-Fと多数接触する(図15E)。相互作用する残基のリストを図15Eに示す。
【0878】
MPV-Fエピトープ変異
【0879】
構造中で同定されたMPV-Fエピトープ残基に基づいて、M8C10結合に重要な残基の構造結果及び同一性の両方を確認するように変異体を設計した。表8は、生成された変異を列挙している。
【0880】
【表11】
【0881】
これらのMPV-F構築物を一過性トランスフェクションによって発現させ、上清をELISAによってM8C10結合について試験した。部位IVに結合し、変異の影響を受けるべきではない抗体であるM2D2を使用して、発現の対照としてシグナルを正常化した。(図16A)。3つの変異がM8C10結合、R198A、N202A、A216Yに最も大きな影響を与えると思われた。図16Bに示されるように、Arg198残基は、軽鎖CDR2及びその周囲の残基に対して多数の相互作用を行う。Asn202残基は、軽鎖のLeu54の骨格に一対の水素結合を形成し、アラニンへの変異は両方の結合を破壊する。Ala216の側鎖はファンデルワールス相互作用を形成し、大きな側鎖の導入は結合を立体的に妨害する。
【0882】
他の変異もM8C10結合に影響を及ぼし得、例えば、残基A216Y、L219Y及びA249Yは、M8C10結合が減少しているようであるが、依然として結合することができる。S218Y、D220Y及びD224Aは、発現が低下しているように見えたが、M8C10結合も低下している可能性があった。D210Y、N210A、R253A及びR329Aは、M8C10結合を認識可能に妨害しなかった。
【0883】
本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は図面に示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されない。本明細書に開示される組成物及び方法は、他の実施形態を有することができ、様々な方法で実行又は実施することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定と見なされるべきではない。本明細書における「含むこと(including)」「を含むこと(comprising)」又は「有すること(having)」「含有すること(containing)」「関与することinvolving()」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0884】
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図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図17
【配列表】
2024512215000001.app
【国際調査報告】