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特表2024-512216ラマン分光プローブ、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置及び細長い組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ラマン分光プローブ、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置及び細長い組立体
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20240312BHJP
   G01N 21/65 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B1/01 511
G01N21/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548307
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022053420
(87)【国際公開番号】W WO2022171824
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】2101994.8
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
【テーマコード(参考)】
2G043
4C161
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043EA03
2G043FA02
2G043GA03
2G043GA28
2G043GB01
2G043HA05
2G043JA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA09
2G043LA03
4C161CC06
4C161GG22
4C161HH56
4C161JJ09
(57)【要約】
本発明はラマン分光プローブに関し、このラマン分光プローブは、遠位端部及び近位端部を有する細長い本体と、細長い本体内にあり、近位端部と遠位端部との間に光をガイドするための少なくとも1つのラマンファイバと、細長い本体内にあり、遠位端部と近位端部との間に延在する器具ルーメンとを含み、この器具ルーメンは、細長い器具を受け入れるように構成され、少なくとも1つのラマンファイバは器具ルーメンの外側に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部及び近位端部を有する細長い本体と、
前記細長い本体内にあり、前記近位端部と前記遠位端部との間で光をガイドするための少なくとも1つのラマンファイバと、
前記細長い本体内にあり、前記遠位端部と前記近位端部との間に延在する器具ルーメンと、
を含み、
前記器具ルーメンは細長い器具を受け入れるように構成され、
前記少なくとも1つのラマンファイバは前記器具ルーメンの外側に配置される、ラマン分光プローブ。
【請求項2】
請求項1及び請求項8から24のいずれか1項に記載の前記ラマン分光プローブと、
分光器、及び単色光を発生するためのラマン光源を有する分析装置と、
を含み、
前記少なくとも1つのラマンファイバは前記分析装置、特に前記ラマン光源及び/または前記分光器に結合される、ラマン分光装置。
【請求項3】
組織を改質するように構成された強度を有する光を発生するように構成された治療光源と、
前記細長い本体内の少なくとも1つの治療ファイバであって、前記器具ルーメンの外側に配置される前記少なくとも1つの治療ファイバと、
をさらに含み、
前記少なくとも1つの治療ファイバの近位端部は前記治療光源に結合され、
前記少なくとも1つの治療ファイバは前記治療光源からの光を前記遠位端部にガイドするように構成される、請求項2に記載のラマン分光装置。
【請求項4】
組織を改質するように構成された強度を有する光を発生するように構成された治療光源と、
光カプラコンポーネントと、
をさらに含み、
前記光カプラコンポーネントの入力は前記ラマン光源、前記照射源、及び/または前記治療光源に結合され、前記光カプラコンポーネントの出力は前記少なくとも1つのラマンファイバ、前記少なくとも1つの撮像ファイバ、及び/または前記少なくとも1つのカメラ照射ファイバに結合され、
好ましくは前記光カプラコンポーネントは、前記ラマン光源からの前記光及び前記治療光源からの前記光を前記少なくとも1つのラマンファイバに、及び/または前記照射源からの光及び前記治療光源からの前記光を前記少なくとも1つのカメラ照射ファイバ及び/または前記少なくとも1つの撮像ファイバに、選択的または永久的に結合するように構成される、請求項2または3に記載のラマン分光装置。
【請求項5】
前記ラマン光源及び/または前記照射源は、前記発生した光の強度を変動させるように構成され、
好ましくは前記ラマン分光装置は、前記ラマン光源及び/または前記照射源によって発生した前記光の前記強度を制御するためのコントローラをさらに含む、請求項2から4のいずれか1項に記載のラマン分光装置。
【請求項6】
前記分析装置は、光照射コンポーネント、及び非単色光を発生するための照射源をさらに含み、前記光照射コンポーネントは、前記少なくとも1つのラマンファイバ、前記ラマン光源及び前記照射源に結合され、前記光照射コンポーネントは、前記ラマン光源からの前記単色光及び/または前記照射源からの前記非単色光を前記少なくとも1つのラマンファイバに選択的または永久的に結合するように構成される、請求項2から5のいずれか1項に記載のラマン分光装置。
【請求項7】
前記分析装置は、光検出コンポーネントをさらに含み、前記光検出コンポーネントは、前記少なくとも1つのラマンファイバ、前記ラマン光源及び前記分光器に結合され、前記光検出コンポーネントは、前記ラマン光源の前記単色光を前記少なくとも1つのラマンファイバにルーティングし、前記少なくとも1つのラマンファイバからの前記光を前記分光器にルーティングするように構成される、請求項2から6のいずれか1項に記載のラマン分光装置。
【請求項8】
複数のラマンファイバをさらに含み、前記細長い本体の断面図では、前記複数のラマンファイバは、前記器具ルーメンの外周部の周囲に分布し、好ましくは前記複数のラマンファイバは、前記器具ルーメンの前記外周部の大部分または全体の周囲に分布し、さらに好ましくは前記複数のラマンファイバは、ファイバのリングを形成する、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項9】
複数の照射ファイバ及び複数の集光ファイバを有する複数のラマンファイバをさらに含み、前記細長い本体の断面図では、前記複数の照射ファイバはファイバの第一リング内に配置され、前記複数の集光ファイバは前記ファイバの第一リングと同軸に配置されたファイバの第二リング内に配置される、請求項1または8に記載のラマン分光プローブ。
【請求項10】
複数の照射ファイバ及び複数の集光ファイバを有する複数のラマンファイバをさらに含み、前記細長い本体の断面図では、前記照射ファイバ及び前記集光ファイバはファイバの1つのリング内に交互に配置され、または前記複数の集光ファイバの群は前記単一リングの第一セクション内に配置され、前記複数の照射ファイバの群は前記単一リングの第二セクション内に配置される、請求項1または8に記載のラマン分光プローブ。
【請求項11】
複数の集光ファイバ及び少なくとも1つの照射ファイバを有する複数のラマンファイバをさらに含み、前記細長い本体の断面図では、前記複数の集光ファイバはファイバの単一リング内に配置され、好ましくは前記少なくとも1つの照射ファイバは前記集光ファイバの単一リングの半径方向外側、または半径方向内側に配置される、請求項1または8に記載のラマン分光プローブ。
【請求項12】
前記細長い本体の長手方向軸は、前記器具ルーメンの長手方向軸と同軸である、請求項1及び請求項8から11のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項13】
前記器具ルーメンは、前記細長い器具を摺動可能に受け入れるように構成される、または
前記ラマン分光プローブは前記細長い器具を含み、前記細長い器具は前記器具ルーメン内に固定して配置される、請求項1及び請求項8から12のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項14】
前記細長い器具をさらに含み、前記細長い器具は、細長いカメラ、手術器具、組織を改質するための治療装置、及び/または組織治療用の電磁放射線を送達するための電気手術治療装置である、請求項1及び請求項8から13のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項15】
前記電気手術治療装置は、電磁エネルギーを伝達するように構成された伝送線路、及び前記伝送線路の遠位端部から突出してそこから前記電磁エネルギーを受信するように配置される放射素子を含み、前記放射素子は組織治療用の前記電磁エネルギーを放射するように構成される、請求項14に記載のラマン分光プローブ。
【請求項16】
前記伝送線路は、前記伝送線路の前記遠位端部が前記細長い本体の前記遠位端部と合致するように、前記器具ルーメン内に固定して配置される、請求項15に記載のラマン分光プローブ。
【請求項17】
前記伝送線路は中空の内部導体を含み、好ましくは前記放射素子は、前記中空の内部導体の遠位端部内に引き込み可能である、請求項15または16に記載のラマン分光プローブ。
【請求項18】
前記細長い本体の前記遠位端部に取り付けられたキャップ装置をさらに含み、及び/または前記少なくとも1つのラマンファイバに光学的に結合された光学構造体を含み、好ましくは前記光学構造体は少なくとも1つのレンズを含む、請求項1及び請求項8から17のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項19】
前記キャップ装置は前記器具ルーメンとアライメントされるアパーチャを含み、及び/または前記キャップ装置は前記細長い本体内に前記伝送線路の遠位端部を保定し、好ましくは前記キャップ装置はセントラライザを含む、請求項18に記載のラマン分光プローブ。
【請求項20】
複数の照射ファイバ及び複数の集光ファイバを有する複数のラマンファイバと、
前記器具ルーメン内に固定して配置される細長いカメラである、前記細長い器具と、
をさらに含み、
前記細長いカメラは、前記細長い本体の前記遠位端部にイメージキャプチャデバイス、特にCMOSセンサを含み、
好ましくは、前記細長い本体の断面図では、前記複数の照射ファイバはファイバの第一リング内に配置され、前記複数の集光ファイバは前記ファイバの第一リングと同軸に配置されたファイバの第二リング内に配置される、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項21】
前記細長い本体内にあり、光を前記遠位端部から前記近位端部までガイドするための少なくとも1つの撮像ファイバをさらに含み、前記少なくとも1つの撮像ファイバは前記器具ルーメンの外側に配置される、請求項1及び請求項8から20のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項22】
前記細長い本体の断面図では、前記器具ルーメンの外周部の周囲に分布する複数の撮像ファイバが設けられ、好ましくは前記複数の撮像ファイバは、前記器具ルーメンの前記外周部の大部分または全体の周囲に分布する、請求項21に記載のラマン分光プローブ。
【請求項23】
各撮像ファイバはその遠位端部にレンズ構造体を含み、前記レンズ構造体は光を前記撮像ファイバに結合するように構成される、請求項21または22のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項24】
前記撮像ファイバは前記光学構造体に結合される、請求項18または19に従属する場合の請求項22または23のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項25】
電磁エネルギーを伝達するための同軸フィードケーブルであって、内部導体、外部導体、ならびに前記内部導体及び前記外部導体を分離する誘電材料を有する、前記同軸フィードケーブルと、
前記同軸フィードケーブルの遠位端部に配置され、そこから前記電磁エネルギーを受信する放射先端部であって、組織治療用の前記電磁エネルギーを放射するように構成される、前記放射先端部と、
を含む、細長い組立体であって、
前記内部導体及び前記放射先端部は細長い器具を受け入れるように構成された通路を含み、
前記放射先端部は、
前記内部導体に電気接続され、長手方向に延在して電磁放射器を形成する細長い導体と、
前記細長い導体に電気接続される第一同調素子と、
前記細長い導体及び前記第一同調素子の周囲に配置された誘電体と、
を含み、
前記電磁放射器によって放射された電磁場は前記誘電体の周囲に整形される、前記細長い組立体。
【請求項26】
前記放射先端部の遠位領域内で前記細長い導体に電気接続された第二同調素子をさらに含み、
前記第一同調素子は前記放射先端部の近位領域内に位置決めされ、
前記誘電体は前記第二同調素子の周囲に配置され、
前記第一同調素子及び前記第二同調素子は前記長手方向内で離隔されることによって、前記マイクロ波放射器によって放射された前記マイクロ波場は前記誘電体の周囲に整形される、請求項25に記載の細長い組立体。
【請求項27】
前記細長い器具をさらに含み、前記細長い器具は、手術器具、細長いカメラ、組織を改質するための治療装置、及び/または細長いラマン分光器具であり、前記細長いラマン分光器具は、前記ラマン分光器具の遠位端部と前記ラマン分光器具の近位端部との間に延在する少なくとも1つのラマンファイバを含む、請求項25または26に記載の細長い組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラマン分光プローブに関し、さらに特に、細長い器具(例えば、カメラ、手術器具及び/または組織治療用の電磁放射線を送達するための電気手術治療装置)を受け入れるように構成されたルーメン、及びルーメンの外側に配置された少なくとも1つのラマンファイバを有するラマン分光プローブに関する。
【0002】
また本発明は、ラマン分光プローブ及び分析装置を含むラマン分光装置に関する。
さらに本発明は、細長い組立体に関し、この細長い組立体は、マイクロ波エネルギーを伝達するための同軸フィードケーブルと、同軸フィードケーブルの遠位端部に配置され、そこからマイクロ波エネルギーを受信し、組織治療のためにマイクロ波エネルギーを放射する放射先端部とを備える。同軸フィードケーブル及び放射先端部は、細長い器具(例えば、手術器具、細長いカメラまたは細長いラマン分光器具)を受け入れるように構成された通路を含む。
【背景技術】
【0003】
ラマン分光法を使用して、ヒトまたは哺乳動物の異なる種類の組織を特定することができる。加えて、ラマン分光法を使用して、癌組織または他の形態の組織変性を特定できることが実証されている。ラマン分光法のこの機能は、例えば治療対象の組織を特定するためなど、組織の内視鏡治療にも使用できる。
【0004】
US8,175,423及びUS8,702,321では、ラマン散乱光を集光するための複数の光ファイバを含む内視鏡ラマンプローブが開示されている。
【0005】
CMOSかCCDセルかいずれかを使用したLEDまたはハロゲン電球から照射されている状態での直視は、患部組織を目で診断するために内視鏡で使用され、一般に、内視鏡検査室及び気管支鏡検査室で使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は独立請求項によって定義される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0007】
ラマン分光プローブは、遠位端部及び近位端部を有する細長い本体、少なくとも1つのラマンファイバ、及び器具ルーメンを備える。少なくとも1つのラマンファイバは、近位端部と遠位端部との間に光をガイドするために細長い本体内に配置される。器具ルーメンは、細長い本体内に配置され、遠位端部と近位端部との間に延在する。器具ルーメンは、細長い器具を受け入れるように構成され、例えば、器具ルーメンは、内視鏡器具/操作/作業チャネルとして機能することができる。少なくとも1つのラマンファイバは、器具ルーメンの外側に配置される。
【0008】
ラマン分光装置(またはラマン分光ユニット)は、上述のラマン分光プローブと、単色光(赤外光と紫外光との間のEMスペクトル内の波長で発光するレーザなど)を発生するためのラマン光源及び分光器を含む分析装置とを備え、少なくとも1つのラマンファイバは、分析装置に接続され(例えば、それと光通信し)、特に、単色光源及び/または分光器に接続される(例えば、それらと光通信する)。特定の配置では、照射ファイバも使用して、可視領域に単一の波長または複数の波長で光を送達し、組織を照射し得ることで、CMOS(またはCCD)センサ/センサアレイを使用して、目で確認できる標的組織及び任意の欠損を可視化することができる。
【0009】
「接続された」及び「結合された」という用語は、本明細書では広い意味で使用され、一方の要素が別の要素に接続/結合されると言われるとき、2つの要素が、介在要素が存在しないように直接接続/結合され得ることがあることと、また、1つ以上の介在要素が存在するように、2つの要素が間接的に接続/結合され得ることと、を理解するべきである。しかしながら、2つの要素が互いに「直接接続される」または「直接結合される」と言われるとき、それらの間に介在要素が存在しないことを理解されたい。
【0010】
ラマン分光法をスコープ装置(例えば、内視鏡など)と共に使用するとき、十分なラマン散乱光がスコープ装置の遠位端部で集光されることを確保する必要がある。これは、スコープ装置の断面積と比較して、少なくとも1つのラマンファイバの断面積が大きくなることによって達成され得る。少なくとも1つのラマンファイバを器具ルーメンの外側に、従って、任意選択でスコープ装置の周囲長上またはその近くに配置することにより、器具ルーメン及びスコープ装置の直径を維持しながら、少なくとも1つのラマンファイバの断面積を大きくすることができる。集光ファイバの直径が大きいほど、及び/または集光ファイバの数が多いほど、できるだけ多くの散乱光を集光できるため、集光された光子が電子に変換されると、処理のために収集されることが可能な電気信号が最も多くなるように良くなる。
【0011】
ラマン分光法は、分子の振動モードを決定することによって組織を分析するために使用できる分光技法であるが、入射EMエネルギーが遠赤外、さらにはマイクロ波/ミリ波領域にあるとき、システムの回転モード及びその他の低周波モードも観察され得る。ラマン分光法は構造フィンガープリントを提供し、この構造フィンガープリントによって、例えば癌組織によって示される、特定のタイプの組織及び/または特定のタイプの組織変性と関連付けられることができる分子を同定することができる。
【0012】
ラマン分光法は、ラマン散乱として知られている光子の非弾性散乱に依存している。通常、可視、近赤外、または近紫外の範囲内のレーザからの単色光源を使用する。また、中赤外領域または遠赤外領域のより長い波長の光を使用することも好ましくなり得る。レーザ光は、組織の分子振動、音子、またはその他の励起と相互作用し、その結果、レーザ光子のエネルギーが上または下にシフトされる。エネルギーのシフトにより、システムの振動モードに関する情報が与えられる。
【0013】
分析される組織は、少なくとも1つのラマンファイバによって伝送される単色光で照射される。照射された組織からの電磁放射線は収集され、少なくとも1つのラマンファイバを介して分析装置に送信される。分析装置にはモノクロメータが設けられてもよい。レーザラインに対応する波長での弾性散乱放射線(レイリー散乱)は、ノッチフィルタ、エッジパスフィルタ、またはバンドパスフィルタのいずれかによって除去され、集光された光の残りは分析装置の検出器上に分散される。
【0014】
少なくとも1つのラマンファイバは、光を遠位端部から近位端部にガイドするための少なくとも1つの集光ファイバ、及び/または光を近位端部から遠位端部にガイドするための少なくとも1つの照射ファイバを含み得る。照射ファイバを使用して、直視だけでなくラマン分光法用に広帯域の白色光または狭帯域の光を送達することもできる。この構成では、光スイッチまたは光カプラを使用して、ラマン用の単色レーザ光か、直視用の例えばハロゲン電球からの広帯域光かいずれかを送達することができる。詳細については後述する。
【0015】
ラマン分光プローブは分析装置に接続され得る。分析装置は、分析される組織を照射するために、1つ以上のレーザ等の単色ラマン光源を含み得る。ラマン光源は、少なくとも1つのラマンファイバに接続され得(例えば、それと光通信し得)、特に少なくとも1つの照射ファイバに接続され得る(例えば、それと光通信し得る)。分析装置は、また、ラマン光源が発した光による照射を受けた組織が発したラマン散乱光を分析するためのコンポーネントを含み得る。例えば、分析装置は、少なくとも1つの集光ファイバを介した分析装置への光フィードバックからのレイリー散乱光をフィルタリングするための、ノッチフィルタ、エッジパスフィルタ、またはバンドパスフィルタなどのフィルタを含んでもよい。分析装置は、ラマン散乱光の強度及び/または波長を決定するための分光器を含み得る。分光器は、分析される光を分散するための手段と、CCD検出器など、光を検出するための光検出器とを含んでもよい。分析される光を分散するための手段は、波長に応じて光を空間分離し得、そして回折格子を含み得る。
【0016】
少なくとも1つの集光ファイバは分光器に結合されてもよく(例えば、それと光通信してもよく)、及び/または少なくとも1つの照射ファイバはラマンレーザ光源に結合される(例えば、それと光通信する)。
【0017】
ラマン分光プローブは、スコープ装置として、またはスコープ装置と併せて使用され得る。例えば、ラマン分光プローブは、カテーテル、または、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎盂鏡、関節鏡、結腸鏡、もしくは腹腔鏡等の他のタイプのスコープ装置に挿入され得る。加えて、ラマン分光プローブは、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎盂鏡、関節鏡、結腸鏡、または腹腔鏡として使用され得る。
【0018】
加えて、ラマン分光プローブは、小型、例えば0.65mm×0.65mmのCMOSセンサアレイ及び白色光源を備える直視系と統合され得る。この構成では、白色光源に使用されるのと同じファイバを使用して、ラマン分光法の標的組織にレーザ光を送達することもできる。また、内視鏡または気管支鏡の使用に代えて、統合されたラマンプローブ及び直視プローブを操縦可能なカテーテルに導入することも望ましくなり得る。例えば、直径1.8mmの挿入チューブを備えた3mmの操縦可能なカテーテルを使用して、ラマン分光プローブを気管支及び気管支樹内、例えば気管支樹の第六枝または第七枝まで操縦することができ、照射ファイバ及びCMOS/CCDセンサアレイを備えた、可撓性マイクロ波エネルギー治療装置及び/または統合ラマン/直視系プローブ及び/または個別のラマンプローブ及び直視系プローブの挿入も可能にする。ラマン分光プローブは、内視鏡器具、または内視鏡器具の一部であり得る。
【0019】
ラマン分光プローブの細長い本体は、ヒトまたは哺乳類の体腔、カテーテルまたは他のタイプのスコープ装置に挿入されるラマン分光プローブの部分の外形寸法を画定することができる。細長い本体は、ラマン分光プローブの内視鏡機能を提供し得る。
【0020】
細長い本体、及び細長い本体内に配置された全てのコンポーネントは、治療されるヒトまたは哺乳類の細長い体腔を通してガイドされるのに十分な可撓性があり得る。例えば、人体のこの細長い体腔は、曲がり及びねじれを含む胃腸管または肺の気管支樹であり得る。言い換えれば、細長い本体、及び細長い本体内に配置された全てのコンポーネントは可撓性であり得る。これは、小型CMOSカメラ及び複数のファイバリングも含み得るラマン分光プローブの遠位端部が身体を通り、ヒトまたは哺乳動物の身体の標的領域(標的部位)に移動するときに屈曲することを可能にするためである。標的部位は、分析、治療、及び/または撮像される体内の体腔(またはゾーンもしくは領域)または体腔(またはゾーンもしくは領域)の一部であり得る。
【0021】
さらに、細長い本体の外面は、滅菌できる、または外科手技に必要な洗浄ルーチンを受けることができるようなそのような材料から作られ得る。
【0022】
ラマン分光プローブは、細長い本体によって(単独で)構成できる細長い構造体を有する。細長い本体の遠位端部は、患者に挿入されるラマン分光プローブの細長い構造体の端部である。細長い本体の近位端部は、好ましくは、細長い器具が接続できる分析装置または他の装置に接続され、使用中、患者の体外に留まり得る。細長い本体は、ラマン分光プローブの遠位端部から近位端部まで画定し得る。
【0023】
ラマン分光プローブは棒状構造を有し得る。ラマン分光プローブは、(縦方向に対応する)その延在方向と垂直に可撓性があり、延在方向に剛性がある。
【0024】
細長い本体は管状構造を有し得、ラマン分光プローブの他のコンポーネントを外側から、例えば流体等から絶縁または遮蔽(例えば、保護)するためのシースを含み得る。シースは、例えばスコープ装置に挿入されるとき、及び/または周囲の組織との摩擦を減らすための潤滑性ポリマーシースであり得る。
【0025】
細長い本体は、さらに、少なくともラマンファイバの屈曲を制限するためにひずみ緩和層を含み得る。ひずみ緩和層は、上述のシースによって覆われてもよい。ひずみ緩和層には、ポリマーまたは金属ワイヤで作られた編組、コイル、及び/またはチューブが含まれ得る。
【0026】
器具ルーメンは、ラマン分光プローブの細長い本体内に配置された通路である。器具ルーメンは、好ましくは、遠位端部から近位端部まで完全に延在する。細長い器具の少なくとも一部は、器具ルーメン内に配置されてもよく、または設置されてもよい。細長い本体、ひいては器具ルーメンの細長い構造により、細長い器具の細長い部分を器具ルーメン内に設置する、または配置することができる。例えば、細長い器具の遠位端部は、細長い本体の遠位端部の領域と合致する、またはその近くに配置される。細長い器具の近位端部は、細長い本体の近位端部を越えて延出することができる。
【0027】
器具ルーメンは、器具ルーメンを遠位端部から近位端部まで囲む壁部または表面によって画定され得る。器具ルーメンは、流体封止方式で細長い本体内の残りの空間から分離され得る。壁部は、細長い本体内に配置された中空チューブによって構成され得る。
【0028】
器具ルーメンは、少なくとも1つの照射ファイバ、少なくとも1つの集光ファイバ、及びそれらのファイバ間に配置された充填材料など、細長い本体内に配置されたコンポーネントによって画定されることも可能である。この場合、器具ルーメンを提供するための別個の壁部が存在しなくてもよい。
【0029】
ラマンファイバは、シングルモードファイバまたはマルチモードファイバ等の光ファイバである。少なくとも1つの照射ファイバは、励起ファイバと呼ばれることがあり、光、特にレーザ光を近位端部から遠位端部まで伝送するように構成される。任意選択で、少なくとも1つの照射ファイバは、細長い本体の近位端部を越えて延出し、レーザなどのラマン光源に接続される。
【0030】
ラマン光源(または励起光源)は、ラマン分光法を使用して分析される分子の励起周波数と一致する波長/周波数を有する単色光を発生するように構成され得る。単色光は、単一の波長を有する光であってもよく、または波長範囲が狭い光であってもよい。例えば、波長は、100mWの出力で785nm等、可視スペクトル内にある。しかしながら、THZまたはミリ波帯にも属する遠赤外線周波数に至るまでのより長い波長(より低い周波数)も使用し得る。遠赤外線(FIR)は電磁放射線の赤外線スペクトル内の領域である。遠赤外線は、多くの場合、15マイクロメートル(μm)~1mm(約20THz~300GHzの範囲に相当)の波長を有するあらゆる放射線として定義される。
【0031】
少なくとも1つの照射ファイバの遠位端部は、少なくとも1つの照射ファイバの遠位端部から光を発することができるような方法で処理されてもよい。例えば、少なくとも1つの照射ファイバの遠位端部表面は、延在方向の延長線に対して傾斜してもよい。傾斜角度は90°以下であり得る。代替的または追加的に、少なくとも1つの照射ファイバの遠位端部表面はレンズ構造体に接続され得る。両方のオプションは、少なくとも1つの照射ファイバから発する光を標的領域の一部に指向させるために提供され得る。
【0032】
任意選択で、少なくとも1つの照射ファイバは、後方散乱を低減させるためのコーティングの塗布などの表面処理を施してもよい。
【0033】
少なくとも1つの集光ファイバは、光、特に標的部位からのラマン散乱光を遠位端部から近位端部まで伝送するように構成される。少なくとも1つの集光ファイバの遠位端部は、光を集光できるように、すなわち、少なくとも1つの集光ファイバの遠位端部に結合できるように処理され得る。例えば、少なくとも1つの集光ファイバの遠位端部表面は、延在方向の延長線に対して傾斜し得る。傾斜角度は90°以下であり得る。代替的または追加的に、少なくとも1つの集光ファイバの遠位端部表面はレンズ構造体に接続され得る。両方のオプションは、標的領域の照射部分からラマン散乱光をできるだけ多く集光し、ラマン散乱光を少なくとも1つの集光ファイバに結合するために提供され得る。少なくとも1つの集光ファイバは、分析装置、特に分光器に接続され得る。
【0034】
任意選択で、複数のラマンファイバ、特に複数の照射ファイバ及び/または複数の集光ファイバが提供されてもよい。少なくとも1つの集光ファイバ及び少なくとも1つの照射ファイバは互いに固定されてもよい。例えば、少なくとも1つの照射ファイバと少なくとも1つの集光ファイバとの間の空間は、接着剤及び/または他の充填材料で充填され得る。
【0035】
少なくとも1つのラマンファイバは、器具ルーメンと細長い本体との間に配置され得る。換言すれば、少なくとも1つのラマンファイバは、器具ルーメンの外面と細長い本体の内面との間に配置され得る。例えば、少なくとも1つのラマンファイバは、器具ルーメンを囲む壁部及び細長い本体によって画定される空間内に配置され得る。
【0036】
複数のラマンファイバの配置は、断面図では、複数のラマンファイバによって画定される空間が器具ルーメンに並んで配置されないようなものであってもよい。
【0037】
任意選択で、複数のラマンファイバの少なくとも一部は、器具ルーメンと接触している。したがって、残りのラマンファイバは、細長い本体と、器具ルーメンと接触する複数のラマンファイバとの間に配置される。例えば、断面図では、複数のラマンファイバは、器具ルーメンと細長い本体との間に配置される1つまたは複数のセクション内に配置され得る。特に、1つまたは複数のセクションは、器具ルーメンの形状に従う。換言すれば、断面図では、1つまたは複数のセクションの外側の形状は、器具ルーメンの形状とアライメントされる(例えば、各セクションは外周セクションであってもよく、ほぼ弧状の形を有してもよい)。
【0038】
任意選択で、ラマン分光プローブは、遠位端部と近位端部との間に延在する第二ルーメンを含んでもよい。少なくとも1つのラマンファイバは、第二ルーメン内に配置され得る。好ましくは、細長い本体の断面図では、器具ルーメンの外面のセクションに最も近い第二ルーメンの外面のセクションは、器具ルーメンの外面のセクションと平行に延在する。すなわち、2つのセクションの断面形状は、「()」または「)(」よりも「((」または「))」として図的に表す方が良くなり得る。
【0039】
第二ルーメンは、細長い本体内に配置され、遠位端部から近位端部まで延在するさらなる壁部または表面によって設けられ得る。器具ルーメンの壁部に最も近い第二ルーメンの壁部の外面のセクションは、器具ルーメンの外面の対応するセクションに対して平行に(すなわち、第二ルーメンの壁部の外面のセクションに沿って一定の距離を有して)延在することができる。したがって、少なくとも1つのラマンファイバが配置される第二ルーメンの外面は、器具ルーメンの外面に沿うことができる。例えば、器具ルーメンの外面及び第二ルーメンの外面は、それらの対応するセクションにおいて同じ曲率を有する。
【0040】
第二ルーメンは、器具ルーメンから離隔され得る。あるいは、第二ルーメンは器具ルーメンと直接接触している。器具ルーメンは、壁部または中空チューブによって第二ルーメンから分離されてもよい。したがって、壁部または中空チューブは、器具ルーメンと第二ルーメンとの両方の境界を画定する。
【0041】
複数のラマンファイバは、器具ルーメンと接触するような方法で配置され得る。例えば、複数の照射ファイバ及び集光ファイバは、細長い本体の断面図では、器具ルーメンの表面の1つまたは複数のセクション(例えば、外周セクション)を画定し得る。さらに、複数のラマンファイバは、器具ルーメンと細長い本体との間の扇形を完全に充填することができる。例えば、扇形は、器具ルーメンの外面の一部、細長い本体の内面の一部、及び器具ルーメンの外面の一部の端部を、細長い本体の内面の一部の端部と接続するラインによって画定される。
【0042】
任意選択で、器具ルーメンは、複数のラマンファイバの配置によって完全に画定されてもよい。あるいは、器具ルーメンの表面のセクションのみが複数のラマンファイバによって画定されてもよい。複数のラマンファイバは、器具ルーメンの表面の2つ以上のセクションを画定し得る。例えば、器具ルーメンの2つの対向するセクションは、複数のラマンファイバによって画定され得る。器具ルーメンの表面の残りのセクションは、細長い本体内に配置された充填材料によって画定され得る。例えば、細長い本体及び器具ルーメンが実質的に円形の断面を有する場合、各扇形は異なる弧形状部分であり、例えば、時計の文字盤に喩えると、第一セクションは、12時から3時の間の円弧を画定し得、第二セクションは3時から12時の間の円弧を画定することができる。あるいは、第一セクションは、1時から5時の間の円弧を画定し得、第二セクションは7時から11時の間の円弧を画定し得、充填材料は11時から1時の間、及び5時から7時の間に配置されてもよい。
【0043】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、複数のラマンファイバ、特に複数の照射ファイバ及び集光ファイバをさらに備え、細長い本体の断面図では、複数のラマンファイバは、器具ルーメンの外周部の周囲に分布し、好ましくは複数のラマンファイバは、器具ルーメンの外周部の大部分または全体の周囲に分布し、さらに好ましくは複数のラマンファイバは、ファイバのリングを形成する。
【0044】
複数の照射ファイバ及び集光ファイバは、照射ファイバ及び集光ファイバが互いに接触しないような方法で器具ルーメンの外周部の周囲に分布することができる。照射ファイバと集光ファイバとの間の空間は、器具ルーメンの画定に寄与する可能性のある接着剤または充填材料によって充填されることができる。あるいは、器具ルーメンは壁部によって画定されることにより、複数の照射ファイバ及び集光ファイバは壁部と接触していてもよい。これらの場合、上述の複数の集光ファイバ及び照射ファイバによって器具ルーメンから離隔され、器具ルーメンを画定する、またはその画定に関与するさらなる照射ファイバ及び/または集光ファイバが設けられてもよい。
【0045】
複数の照射ファイバ及び集光ファイバは、器具ルーメンの外周部の周囲の1つまたは複数のセクション内に配置されてもよく、または器具ルーメンの外周部を完全に取り囲むことができる。論じたように、複数の照射ファイバ及び集光ファイバは、それらが互いに接触するように、または例えば充填材料によって、互いに離隔できるように、密接に束ねられてもよい。
【0046】
互いに接触しない配置により、個々のファイバ間の光のクロスカップリングが減少する可能性がある。しかしながら、個々のファイバ間の光のクロスカップリングを減らす、または排除するために、複数のラマンファイバを光学的に不透過性の材料によって覆い得ることが可能である。この場合、複数の照射ファイバ及び集光ファイバは互いに接触していてもよく、特に任意選択で、ラマンファイバの光学的に不透過性の被覆材料は互いに接触していてもよい。
【0047】
断面図では、複数の照射ファイバ及び集光ファイバと交差するラインは、器具ルーメンの外周部の周囲に完全か、その少なくともセクションの周囲かいずれかに延在し得る。複数の照射ファイバ及び集光ファイバと交差するラインは、断面図では器具ルーメンと交差しなくてもよい。
【0048】
細長い本体及び/または器具ルーメンは、断面図では円形、矩形、卵形、または楕円形の形状を有し得る。器具ルーメンに接触して配置される複数の照射ファイバ及び集光ファイバは、細長い本体の断面図では、複数の照射ファイバ及び集光ファイバの少なくとも一部が円形、矩形、卵形または楕円形の形状に配置されるように、器具ルーメンの、円形、矩形、卵形または楕円形の形状に沿うことができる。したがって、複数の照射ファイバ及び集光ファイバの少なくとも一部は、細長い本体の断面図では、器具ルーメンの形状に対して平行に配置される。
【0049】
リング状の複数の照射ファイバ及び集光ファイバの配置は、複数の集光ファイバ及び照射ファイバが器具ルーメンの外周部に沿って互いに接触するように構成され得る。断面図における器具ルーメンの形状に応じて、集光ファイバ及び照射ファイバのリングは、器具ルーメンの形状と同一の断面図における形状を有し得る。好ましくは、器具ルーメンは断面では円形の形状を有し、集光ファイバ及び/または照射ファイバのリングは断面図では円形であり得る。
【0050】
器具ルーメンの外周部の周囲に複数の照射ファイバ及び集光ファイバを設けることは、複数のファイバが半径方向外側に配置されているため、多数の集光ファイバ及び照射ファイバを配置するのに十分な空間を与える細長い本体の周囲長の近くに複数の照射ファイバ及び集光ファイバが配置されるという有利な方法で、細長い本体の断面積を減少させることに役立つ。器具ルーメンは半径方向内側に配置される。このようにして、細長い本体及び器具ルーメンの半径方向の所与の直径について、器具ルーメン及び複数の集光ファイバ及び照射ファイバが並べて配置される方法と比較して、空間が有利に割り振られる。
【0051】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、複数の照射ファイバ及び複数の集光ファイバを有する複数のラマンファイバをさらに含み、細長い本体の断面図では、複数の照射ファイバはファイバの第一リング内に配置され、複数の集光ファイバはファイバの第一リングと同軸に配置されたファイバの第二リング内に配置される。
【0052】
第二リングの集光ファイバは第一リングの照射ファイバを囲むことができ、すなわち、複数の集光ファイバは複数の照射ファイバの半径方向外側に配置される。このようにして、照射ファイバの数と比較してより多くの集光ファイバを設けることができる。前述したように、集光ファイバの数が増加する場合、より多くのラマン散乱光を集光することができる。したがって、この配置は、集光ファイバ及び照射ファイバの密接に束ねられた配置を提供するため、照射ファイバ及び集光ファイバの数が多くなる。さらに、照射ファイバ及び集光ファイバは、細長い本体内に容易に配置されることができる。例えば、照射ファイバのリングが設けられると、続いて集光ファイバのリングが設けられる。
【0053】
複数の照射ファイバ及び集光ファイバは互いに接触していてもよい。第一リングの照射ファイバは、細長い本体内に配置された中間壁部または別の構造コンポーネントによって第二リングの集光ファイバから分離され得る。しかしながら、第一リングの照射ファイバは、第二リングの集光ファイバと接触し得る可能性もある。
【0054】
器具ルーメンは、第一リングの照射ファイバ内に配置され得る。細長い本体の断面図では、器具ルーメン、第一リングの照射ファイバ、第二リングの集光ファイバ、及び/または細長い本体は、同軸上に配置され得る。
【0055】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、複数の照射ファイバ及び複数の集光ファイバを有する複数のラマンファイバをさらに含み、細長い本体の断面図では、照射ファイバ及び集光ファイバはファイバの1つのリングに交互に配置され、または複数の集光ファイバの群は単一リングの第一セクション内に配置され、複数の照射ファイバの群は単一リングの第二セクション内に配置される。前述のように、照射ファイバよりも多くの集光ファイバを有することが望ましい場合があるため、交互に配置し、より小さい群の照射ファイバ(例えば、1または2本)を、より大きい群の集光ファイバ(例えば、4または6本)と交互に配置し得る。また、交互に配置されていない場合、照射ファイバの群(例えば、1時から3時の間のより小さいセクション内に位置する)は、集光ファイバの群(例えば、12時を介した3時から1時の間のより大きいセクションに位置する)よりも少ないファイバを含む可能性がある。
【0056】
1つまたは複数のさらなる単一リングの照射ファイバ及び/または集光ファイバが設けられ得ることによって、単一リングのそれぞれが上述の特性を有することが可能になる。上記で論じたように、複数の照射ファイバ及び集光ファイバは、それらが互いに接触するように、または互いに離隔されるように配置されてもよい。
【0057】
任意選択で、集光ファイバの第一セクションは照射ファイバの第二セクションよりも大きい。例えば、集光ファイバの第一セクションは単一リングの3分の2または4分の3を含み、照射ファイバの第二セクションは単一リングの3分の1または4分の1を含む。
【0058】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、複数の集光ファイバ及び少なくとも1つの照射ファイバを有する複数のラマンファイバをさらに含み、本体の断面図では、複数の集光ファイバはファイバの単一リング内に配置され、好ましくは少なくとも1つの照射ファイバは集光ファイバの単一リングの半径方向外側、または半径方向内側に配置される。
【0059】
好ましくは、2つ以上の照射ファイバは、照射ファイバの単一リングの半径方向内側または半径方向外側に配置される。例えば、2つ以上の照射ファイバは、集光ファイバの単一リングに沿ったセクション内に配置される、または集光ファイバの単一リングに沿って均等に分布する。
【0060】
任意選択の実施形態では、細長い本体の長手方向軸は、器具ルーメンの長手方向軸と同軸である。
【0061】
細長い本体の断面図では、細長い本体の中心は、器具ルーメンの中心と同軸に配置される。さらに、細長い本体の中心または器具ルーメンの中心は、ファイバの1つまたは複数のリングと同軸に配置され得る。
【0062】
長手方向軸は、細長い本体または器具ルーメンの中心に沿って延在することができる。中心は質量中心に対応し得る。例えば、器具ルーメン及び/または細長い本体が断面図では円形である場合、中心は円の中心であってもよい。
【0063】
任意選択の実施形態では、器具ルーメンは、細長い器具を摺動可能に受け入れるように構成される。すなわち、細長い器具は、ラマン分光プローブから分離可能であり、取り外し可能である。別の実施形態では、ラマン分光プローブは細長い器具を含み、細長い器具は、プローブから分離不可能または取り外し不可能であるように器具ルーメン内に固定して配置される。
【0064】
任意選択で、細長い本体の長手方向軸は、器具ルーメンの長手方向軸と一致する。
細長い器具は、器具ルーメンに挿入される、及び/またはそこから引き出されるように構成された内視鏡器具であってもよい。例えば、異なる細長い器具は、器具ルーメンに挿入され得る。特に、細長い器具を細長い本体の遠位端部から押し出すことが可能であり、例えば、ラマン分光プローブが標的部位にナビゲートされている限り、細長い器具が器具ルーメン内に留まりながら、標的部位に細長い器具を使用することが可能である。
【0065】
この場合、器具ルーメンは壁部または中空チューブによって画定され得、壁部または中空チューブは、ラマン分光プローブを流体密封するように構成され得る。器具ルーメンの内径は、細長い器具が器具ルーメン内で移動することができるように、細長い器具の外径よりわずかに大きくてもよい。
【0066】
別の実施形態では、細長い器具は器具ルーメンに固定される。この場合、細長い器具は細長い本体とユニタリコンポーネントである。したがって、ラマン分光プローブは、ラマン分光測定値を取得し、細長い器具の機能を利用するために使用され得る。したがって、ラマン分光プローブは追加の機能または能力を有する。
【0067】
任意選択の実施形態では、細長い器具は、カメラ(内視鏡カメラ)、手術器具、組織を改質するための治療装置、及び/または組織治療用の電磁放射線を送達するための電気手術治療装置である。
【0068】
組織を改質するための治療装置については以下に説明する。
細長いカメラは内視鏡カメラであってもよい。カメラは、標的領域の一部の光学情報を、電気情報またはデジタル情報に変換するように構成され得るイメージキャプチャデバイスを含み得る。例えば、イメージキャプチャデバイスは、標的部位の一部から発した光などの電磁放射線を、電気信号もしくはデジタル信号、または一連の電気信号もしくはデジタル信号に変換するように構成され、これらの信号を処理することができると、標的領域の一部の可視画像を作成することができる。電気信号もしくはデジタル信号、または一連の電気信号もしくはデジタル信号は、標的領域の電気画像またはデジタル画像と見なされ得る。電気画像またはデジタル画像の生成は、例えば、イメージキャプチャデバイスの遠位端部に近接してCMOSセンサ(アレイ)及び/またはCCDセンサ(アレイ)を提供することによって、電気手術器具の遠位端部の領域で実行され得る。電気信号もしくはデジタル信号の処理または一連の電気信号もしくはデジタル信号の処理は、標的領域のキャプチャした部分の可視画像を表示するためのディスプレイも備え得る表示装置によって実行され得る。
【0069】
イメージキャプチャデバイスは、遠位端部の領域において、標的領域の一部の光学画像を作成するように構成され得る。イメージキャプチャデバイスは、標的領域の一部の光学画像を、電気信号または一連の電気信号、例えばデジタル信号に変換するように構成され得、この変換から、標的領域の一部の画像は、ディスプレイスクリーンまたは表示装置を備えたコンピュータまたはプロセッサ等の処理装置によって再現できる。イメージキャプチャデバイスによって作成された光学画像を、電気画像またはデジタル画像(電気信号または一連の電気信号に対応する)に変換することは、遠位端部の領域で実行され得る。
【0070】
イメージキャプチャデバイスは、電気信号または一連の電気信号を生成するように構成され得、これらの信号を、標的部位の一部の2次元または3次元表示に変換できる。これは、カメラが必ずしも、光学情報を遠位端部から近位端部に伝送するわけではないが、遠位端部の領域で、光学情報を電気情報に変換することを意味する。この目的のために、イメージキャプチャデバイスの光センサは、電気手術器具の遠位端部の近くに、または遠位端部に近接して配置される。
【0071】
イメージキャプチャデバイスは、1つ以上のレンズデバイス及び/または1つ以上の光センサを含み得る。レンズデバイスを使用して、(光センサ上の標的部位の一部の光学画像を作成するために)標的部位の一部が起源である入射光線を光センサ上に投影し得る。レンズデバイスは、1つ以上の光学レンズ、及び/または(調節可能な)アパーチャを含み得る。しかしながら、レンズデバイスはピンホールである場合があり得る。光センサは、入射光を電気信号に変換するように構成され得る。例えば、光センサは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサまたは電荷結合デバイス(CCD)であり得る。CMOSセンサは、最大40.000ピクセルを有し得る。CMOSセンサは、それぞれ0.65mm以上の長さ、加えて幅を有する、四角形または正方形のチップであり得る。レンズデバイス及び/または光センサは、遠位端部の領域内に配置され得る。光センサによって発生した電気信号の処理は、イメージキャプチャデバイスを接続できる表示装置によって実行され得る。
【0072】
イメージキャプチャデバイスは、カメラ、または光学情報を、標的領域の一部を示す電気情報に変換するための任意の他の手段であり得る。細長いカメラは、可視光、紫外光、及び/または赤外光を撮像するように構成され得る。細長いカメラは、また、標的部位においてマーカーの場所を識別するように構成され得る。
【0073】
イメージキャプチャデバイスは、各々のレンズデバイス及び/またはピンホールにより画定される主光軸を有し得る。主光軸は、任意選択で、細長い本体の長手方向の延在方向に平行である。この場合、イメージキャプチャデバイス及び/または細長いカメラは前方に向くように構成される。あるいは、またはさらに、主光軸は、細長い本体の長手方向の延在方向に傾いていてよい。例えば、イメージキャプチャデバイスは横を向くように構成され、主光軸は、伸張の向きに対して90°、または、0°~90°の間の任意の他の角度傾いてよい。レンズデバイス及び/またはピンホールは、電気手術器具または本体の側面に配置されてよい。
【0074】
イメージキャプチャデバイスによって発生した電気信号を表示装置にフィードすることができる。この目的のために、細長いカメラは、イメージキャプチャデバイスによって生成された電気信号を細長い本体の遠位端部から近位端部まで伝送するように構成される1つ以上のケーブル、ワイヤ、及び/または他の導電性コンポーネントを含み得る。ケーブル、ワイヤ、及び/または他の導電性コンポーネントは、細長い本体の近位端部を越えて延在し得、表示装置に接続できる。ケーブル、ワイヤ及び/または他の導電性コンポーネントは、細長いカメラのカメラ本体内に配置され得る。
【0075】
表示装置は、プロセッサ及び/またはディスプレイを備えてよい。表示装置は、モニタまたはスクリーンを備えるコンピュータであってよい。イメージキャプチャデバイスにより生成した電気信号を、プロセッサにより処理し、ディスプレイにより表示する。
【0076】
細長いカメラは、代替的または追加的に、1つ以上のカメラファイバによって構成され得る。カメラファイバは、光を近位端部から遠位端部にガイドするように構成される少なくとも1つのカメラ照射ファイバ、及び/または光を遠位端部から近位端部にガイドするように構成される少なくとも1つの撮像ファイバを含み得る。特に、撮像ファイバは、細長い本体の近位端部を越えて延出し、表示装置に接続され得る。撮像ファイバは、集光ファイバと同様に、細長い本体の遠位端部に集められた光を、表示装置内に配置された光センサにガイドする。光センサは、上述のように構成され得る。表示装置は、イメージキャプチャデバイスを使用して撮像された標的領域の一部を表示するためのディスプレイを含み得る。
【0077】
カメラ照射ファイバは、カメラ光源を含み得る表示装置に接続されることもできる。カメラ光源は、可視スペクトルの光、すなわち白色光(例えば、400nm~700nm)、またはラマン光源によって生成された波長からオフセットされた波長範囲の光を提供し得る。例えば、カメラ光源は、狭帯域の光、例えば、緑色光(任意選択で520nmから560nmの間)または青色光(任意選択で450nmから490nmの間)を発生する。代替的または追加的に、カメラ光源は、白色光源と、青色光及び/または緑色光などの狭帯域内の光を発生する1つまたは複数の光学バンドパスフィルタとを含んでもよい。
【0078】
ラマン光源は、紫外スペクトル(例えば、244nm、257nm、325nm、364nm)、可視スペクトル(例えば、457nm、473nm、488nm、514nm、532nm、633nm、660nm)、近赤外スペクトル(例えば、785nm、830nm、980nm、1064nm)、または最大中赤外(IR)スペクトルもしくは遠赤外スペクトル内の波長を有する光を発生する。カメラ照射ファイバの遠位端部は、イメージキャプチャデバイス及び/または細長いカメラによって撮像される標的領域の一部を照光するように構成され得る。
【0079】
細長いカメラは、遠位端部の領域に配置される光照射器もまた備えてよい。光照射器は、照射装置、及び/または、照射ファイバの遠位端部、もしくは、複数のカメラ照射ファイバの遠位端部を備えることができる。光照射器は、標的領域、または標的領域の一部、特に、イメージキャプチャデバイス及び/または細長いカメラによりキャプチャされる標的領域の一部を照射するために備えられる。
【0080】
照射装置は、例えば、遠位端部の領域に配置される、1個以上のLEDを含んでよい1個以上の光源を備えてよい。照射装置、具体的には光源は、照射装置に接続され、近位端部に延在する照射ワイヤによって給電され得る。照射ワイヤは、別個の電源に接続されてよい、または、表示装置により給電されてよい。
【0081】
光照射器は、光ファイバ(複数可)-カメラ照射ファイバ(複数可)の遠位端部を備えてよい。カメラ照射ファイバ(複数可)の遠位端部は光を放出し、この光は他端、例えば、近位端部のカメラ照射ファイバ(複数可)に供給される。したがって、光照射器はカメラファイバ(複数可)の一部を形成する。例えば、光照射器は、照射ファイバの遠位端部に配置される、もしくは遠位端部に固定される、または、複数の照射ファイバに固定される、レンズまたはレンズ構造体である。照射ファイバの近位端部は、ランプまたはLEDなどの光源に接続されてよく、これらを表示装置に配置することができる。カメラ照射ファイバ(複数可)は、本体の近位端部から突き出ていてよい。
【0082】
細長いカメラは、細長いカメラの外面を画定するカメラ本体を含み得る。カメラ本体は、細長い本体と同じ特性及び/または特徴を有し得る。具体的には、細長いカメラが別個の器具である場合、細長いカメラの全てのコンポーネントはカメラ本体内に配置され得る。
【0083】
外径(または、最大外径)は、断面図での、細長い本体(または、外径が指す任意の他のコンポーネント)の外辺部上の任意の2箇所の間の、最大距離に対応する。
【0084】
手術器具は、針、メス、または標的部位における組織を治療するために必要な他の手術器具であり得る。手術器具は、器具ルーメンに挿入できるような外形寸法を有する。手術器具は内視鏡器具であってもよい。
【0085】
任意選択の実施形態では、電気手術治療装置は、電磁エネルギーを伝達するように構成された同軸伝送線路、及び伝送線路から突出してそこから電磁エネルギーを受信するように配置される放射素子を含み、放射素子は組織治療用の電磁エネルギーを放射するように構成される。
【0086】
電気手術治療装置は、高周波放射線、及び/または極超短波放射線を放出するように構成されてよい。高周波放射線は組織を切断するために使用することができる一方で、極超短波放射線は、標的部位において組織を切除する、凝固させる、及び/または刺激するために使用することができる。電気手術治療装置は、任意選択で、電磁放射線を放射するように構成された放射素子、及び/または電磁エネルギーを放射素子に送達するための伝送線路を含む。伝送線路は同軸ケーブルであってもよい。
【0087】
放射素子は1つ以上の導体素子を含み得る。特に、放射素子が高周波放射線を放射するように構成される場合、放射素子は、互いに近接して配置されるが、相互に絶縁される少なくとも2つの導体素子を含む。放射素子に供給される高周波電磁エネルギーによって2つの導体素子の間に生成される電磁場を使用して、組織を切断することができる。
【0088】
放射素子は、双極子構造体、または単極子構造体を有してよく、後者は、極超短波放射線を放出するために使用することができる。放射素子、好ましくは、全ての導体素子は、電気手術治療装置の本体内、及び/または本体上に配置される。
【0089】
放射素子は、細長い本体の遠位端部から突出することができる。あるいは、放射素子は、電磁放射線が標的組織に投与される場合、器具ルーメンから押し出され得るが、電磁放射線が標的組織に投与されない場合、器具ルーメン内に引き込み可能であり得る。
【0090】
治療装置の別の実施形態では、放射素子は、マイクロ波エネルギーを伝達するための近位同軸伝送線路と、この近位同軸伝送線路の遠位端部に取り付けられた遠位針先端部とを備える。遠位針先端部は、電磁エネルギーを生体組織に送達するように配置されている。
【0091】
電磁エネルギーを近位端部から放射素子に供給するために、伝送線路を放射素子に接続する。電磁エネルギーを伝送するために、伝送線路は任意の形状の導電材料を備えることができる。伝送線路は、近位端部で発電機に接続されることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、近位同軸伝送線路は、可撓性同軸ケーブルの遠位端部から延びる内部導体であって、可撓性同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続されている、内部導体と、内部導体の周りに取り付けられている近位誘電体スリーブと、近位誘電体の周りに取り付けられている外部導体とを備えることができ、遠位針先端部は内部導体の周りに取り付けられた遠位誘電体スリーブを備え、外部導体の遠位部は遠位誘電体スリーブの近位部に重なっている。
【0093】
外部導体は、標的組織を貫通することが可能である力を伝送するのに十分な長手方向の剛性を示す材料である、例えばニチノールから形成された導電性チューブであり得る。好ましくは、導電性チューブは、また、器具が外科用スコープ装置の器具チャネルを通って進むことを可能にするのに適切な横方向の屈曲も示す。有利に、ニチノールは、十二指腸壁部を貫通するのに十分な縦方向の剛性を提供し、さらに高度の横方向の柔軟性を提供しながら、膵臓の組織の治療を可能にし得る。遠位針先端部は、生体組織への挿入を容易にするために、実質的に剛性であり得る。
【0094】
内部導体は、高導電性の材料、例えば、銀から形成されてよい。内部導体は、可撓性同軸ケーブルの中心導体の直径よりも小さい直径を有し得る。これにより、放射先端部分の曲げが容易になり得る。例えば、内部導体の直径は、0.25mmであってよい。好ましい直径は、放射先端部分に沿った損失(及び加熱)を決定する主要なパラメータが、内部導体の直径の関数である導体損失であることを考慮に入れてよい。その他の関連パラメータは、遠位誘電体スリーブ及び近位誘電体スリーブの誘電率と、外部導体に使用される直径と材料とである。近位同軸伝送線路のコンポーネントの寸法は、可撓性同軸ケーブルのインピーダンスと同一か、またはそれに近いインピーダンス(例えば、約50Ω)を提供するように選択され得る。
【0095】
伝送線路の近位端部は、細長い本体の近位端部から突出し得、電磁エネルギーを発生するように構成された発電機に接続され得る。
【0096】
任意選択の実施形態では、伝送線路は、伝送線路の遠位端部が細長い本体の遠位端部と合致するように、器具ルーメン内に固定して配置される。
【0097】
この場合、治療装置の放射素子は、細長い本体の遠位端部から突出する。伝送線路は細長い本体内に配置され、細長い本体によって周囲から絶縁できる。
【0098】
例えば、伝送線路として同軸ケーブルを使用する場合、同軸ケーブルの外側絶縁シースは、器具ルーメンを画定する壁部またはチューブであってもよい。伝送線路は、器具ルーメンを画定する壁部またはチューブに固定されてもよく、または壁部またはチューブがない場合、伝送線路は、ファイバのリング及びまたは細長い本体内に配置された充填材料に固定されてもよい。接着剤を使用することによって、固定を達成し得る。
【0099】
任意選択の実施形態では、伝送線路は中空の内部導体を含み、好ましくは、放射素子は、中空の内部導体の遠位端部内に引き込み可能である。
【0100】
伝送線路は、中空の内部導体と、外部導体と、内部導体を外部導体から絶縁する誘電材料とを有する同軸ケーブルであってよい。ラマン分光プローブが標的領域にナビゲートされる場合、放射素子は中空の内部導体内に配置され得る。電磁放射線を放射するためにラマン分光プローブの遠位端部が標的部位に配置されると、放射素子は中空の内部導体から押し出される。
【0101】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、キャップ装置をさらに含み、このキャップ装置は、細長い本体の遠位端部に取り付けられ、少なくとも1つの照射ファイバ及び/または少なくとも1つの集光ファイバに光学的に結合された光学構造体を含み、好ましくは光学構造体は少なくとも1つのレンズを含む。
【0102】
キャップ装置の光学構造体は、窓であってもよく、この窓を通して、照射ファイバからの光は標的領域に到達することができる、及び/またはラマン散乱光は集光ファイバに結合することができる。少なくとも1つの照射ファイバ及び/または少なくとも1つの集光ファイバは、ファイバがキャップ装置に対して移動できないように、キャップ装置に固定され得る。キャップ装置は、さらに、細長い本体の遠位端部をシールするように構成され得る。キャップ装置はドーム形状であり得る。
【0103】
代替的または追加的に、光学構造体は、1つまたは複数のレンズまたはレンズ構造体を含み、これらは、照射ファイバから発した光を標的領域上に集束させる、及び/またはラマン散乱光を集光ファイバ内に集束させる。光学構造体は、光学フィルタをさらに含んでもよい。
【0104】
任意選択の実施形態では、キャップ装置は、器具ルーメンとアライメントされたアパーチャを含む。任意選択の実施形態では、キャップ装置は、細長い本体内に伝送線路の遠位端部を保定する。また、キャップ装置はセントラライザを含み得る。
【0105】
アパーチャは、細長い器具が細長い本体の遠位端部から突出し得るように設けられる。さらに、キャップ装置は、器具ルーメンの一部、特に断面図では器具ルーメンの外周部に接触するリングをさらに覆うことができる。例えば、放射素子は、キャップ装置のアパーチャを通って突出する。放射素子の外径は、伝送線路の外径よりも小さい。この場合、アパーチャの内径は放射素子の外径に相当するため、伝送線路の外径よりも小さくなる。したがって、キャップは、また、放射素子の直径を越えて半径方向に延出する伝送線路の部分も覆う。
【0106】
セントラライザは、放射素子を可撓性伝送線路(同軸ケーブル)に固定するための電気コンポーネントである。セントラライザは、それらの間の接合部の上に搭載されたカラーを含み得る。カラーは、導電性であってよく、例えば真ちゅうから形成されてよい。近位伝送線路の外部導体を、可撓性同軸ケーブル(伝送線路)の外部導体に電気的に接続し得る。
【0107】
したがって、キャップ装置は、少なくとも1つの集光ファイバ及び/または少なくとも1つの照射ファイバ用の光学コンポーネントを含むことと、放射素子の外部コネクタを伝送線路の外部導体に固定することという二重の機能を有し得る。
【0108】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、光を遠位端部から近位端部までガイドするための、細長い本体内の少なくとも1つの撮像ファイバをさらに含み、少なくとも1つの撮像ファイバは器具ルーメンの外側に配置される。
【0109】
撮像ファイバは、上述のように細長いカメラの一部であってもよい。カメラファイバは、少なくとも1つの撮像ファイバ及び/または少なくとも1つのカメラ照射ファイバを含む。撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバは、器具ルーメンの外面及び細長い本体の内面によって画定される空間内で照射ファイバ及び集光ファイバと混合され得る。例えば、少なくとも1つのカメラファイバ、特に少なくとも1つの撮像ファイバは、第二ルーメン内に配置される。これらの異なるタイプのファイバの配置及び数は、最適な撮像機能及びラマン分光機能を実現するために選択されることができる。
【0110】
一実施形態では、断面図ではリングに配置され得る、複数のカメラファイバが提供される。各カメラファイバは少なくとも、近位端部から細長い本体を通って遠位端部まで延在し得る。カメラファイバの複数のリングが設けられてよい。カメラファイバのリングは、照射ファイバ及び/または集光ファイバを取り囲むことができる。
【0111】
カメラ照射ファイバは、撮像ファイバのリングの半径方向外側、半径方向内側に位置決めされることができるファイバのリングを形成することができる。
【0112】
任意選択の実施形態では、ラマン分光プローブは、遠位端部と近位端部との間に延在する第三ルーメンをさらに備え、好ましくは、少なくとも1つのカメラファイバ、特に少なくとも1つの撮像ファイバは第三ルーメン内に配置される。
【0113】
第三ルーメンは、細長い本体内に配置され、遠位端部から近位端部まで延在する追加の壁部(例えば、中間壁部)によって器具ルーメン及び/または第二ルーメンから境界を定められ得る。この実施形態では、照射ファイバ及び集光ファイバは、第三ルーメンを画定する壁部によってカメラファイバ、特に撮像ファイバから分離される。
【0114】
例えば、第二ルーメン及び/または第三ルーメンは中空の円筒形であってもよい。換言すれば、第二ルーメン及び/または第三ルーメンは、細長い本体の断面図ではリングである。この場合、第三ルーメンを第二ルーメンから分離する壁部は中空チューブであってもよい。第三ルーメン及び第二ルーメンは同軸に配置されてもよい。
【0115】
任意選択の実施形態では、細長い本体の断面図では、器具ルーメンの外周部の周囲に分布し、好ましくは、複数のカメラファイバが器具ルーメンの外周部の大部分または全体の周囲に分布する場合、複数のカメラファイバが設けられる。
【0116】
例えば、複数の撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバは、器具ルーメンと同軸に配置されるリングまたはリングのセクションを形成することができる。任意選択の実施形態では、このリング、または撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバのリングのセクションは、上述のように第三ルーメン内に配置され得る。
【0117】
撮像ファイバは単一リング内に配置されてもよい。同様に、カメラ照射ファイバも単一リング内に配置されてもよい。さらに、撮像ファイバ及びカメラ照射ファイバは、単一リング内に配置されてもよい。基本的に、照射ファイバ及び集光ファイバの配置に関する同じ説明は、それぞれ撮像ファイバ及びカメライミグレーションファイバに等しく適用され得る。
【0118】
任意選択の実施形態では、各撮像ファイバはその遠位端部にレンズ構造体を含み、レンズ構造体は光を撮像ファイバ内に結合するように構成される。
【0119】
レンズ構造体は、撮像ファイバの遠位端部を研削することによって製造され得る。代替的または追加的に、レンズ構造体は撮像ファイバの遠位端部に取り付けられてもよい。
【0120】
任意選択の実施形態では、撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバは、キャップ装置の光学構造体に結合される。
【0121】
光学構造体は、撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバ用に、追加のレンズ及び/または他の光学コンポーネントを含んでもよい。換言すれば、レンズ構造体は、撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバに光学的に結合される。撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバ用のレンズ構造体は、光透過性の窓であってもよい。この場合、レンズ及び/または他の光学コンポーネントは、撮像ファイバ及び/またはカメラ照射ファイバの遠位端部に取り付けられてもよい。窓は、溶融シリカまたはフッ化マグネシウム(MgF)で作られ得る。
【0122】
任意選択の実施形態では、分析装置は、非単色光を発生するための照射源、及び光照射コンポーネントをさらに含み、光照射コンポーネントは、少なくとも1つのラマンファイバ、ラマン光源及び照射源に接続され、光照射コンポーネントは、ラマン光源からの単色光及び/または照射源からの非単色光を少なくとも1つのラマンファイバに選択的または永久的に結合するように構成される。
【0123】
照射源はカメラ光源に対応してもよいが、表示装置内には配置されず、分析装置内に配置される。これは、細長い器具が標的部位の照射を提供しない細長いカメラである場合に有益であり得る。標的部位の照射は、照射源と少なくとも1つのラマンファイバを使用することによって達成される。例えば、細長いカメラは光照射器を含まない、または表示装置の光センサに接続された撮像ファイバのみを含む。照射源は、少なくとも1つの照射ファイバに任意選択で結合される。照射源は、カメラ光源と同じ特性及び/または特徴を有してもよい。
【0124】
一実施形態では、光照射コンポーネントは光スイッチ、例えば単極二極スイッチであってもよい。光スイッチは、少なくとも1つのラマンファイバに入力される光源を選択的に切り替えるように構成され得る。例えば、ラマン分光測定を実行する場合、光スイッチはラマン光源の光を少なくとも1つのラマン(照射)ファイバに結合する。細長いカメラを使用して標的部位を撮像する場合、光スイッチは、照射源からの光を少なくとも1つのラマン(照射)ファイバに結合する。同じファイバが使用され、ソースが切り替えられる構成では、システムの視覚側が損なわれないように測定を十分に高速に行う必要がある。つまり、測定は毎秒10msのタイムスロットで行われる必要がある場合がある。
【0125】
また、例えば撮像及びラマン分光測定が同時に実行される場合、光スイッチは、ラマン光源からの光と照射源からの光との両方を同時に、または並行して少なくとも1つのラマン(照射)ファイバに結合することも可能であることがある。
【0126】
別の実施形態では、光照射コンポーネントは、ラマン光源と照射源との両方からの光を少なくとも1つのラマン(照射)ファイバに永久的に結合する光カプラであってもよい。光カプラはY分岐カプラであってもよい。実行される機能に応じて、ラマン光源及び/または照射源は、選択的にオンまたはオフに切り替えられる。
【0127】
任意選択の実施形態では、分析装置は、光検出コンポーネントをさらに含み、光検出コンポーネントは、少なくとも1つのラマンファイバ、ラマン光源及び分光器に接続され、検出コンポーネントは、ラマン光源の単色光を少なくとも1つのラマンファイバにルーティングし、少なくとも1つのラマンファイバからの光を分光器にルーティングするように構成される。
【0128】
光検出コンポーネントは、時分割スイッチ及び/またはマルチプレクサを含むことができる。光検出コンポーネントは、波長、偏光、及び/または位相に応じて光をルーティングするように構成され得る。これは、ラマン散乱光からレイリー散乱光を低減/フィルタで除去するのに役立ち得る。しかしながら、光検出コンポーネントは、カプラと、随意に、いくつかの光学フィルタとを含み得る。
【0129】
本実施形態では、1種類のラマンファイバだけ、例えば集光ファイバだけが提供される。近位端部から遠位端部に光を導くために、かつ遠位端部から近位端部に光を導くために、同じラマンファイバを使用する。
【0130】
光検出コンポーネントは、ラマン光源からの光をラマンファイバに結合する。加えて、光検出コンポーネントは、ラマン散乱光を分光器に向ける。この機能は、例えば時間的に分離して、または各々の波長に応じて、選択的に行われ得る。光検出コンポーネントは、ラマンファイバの数を減らすこと、または各ファイバが集光ファイバとして機能するため、集光ファイバとして機能するファイバの数を増加させることに役立つ場合がある。
【0131】
さらに、本発明は、ラマン分光プローブ及び直視カメラ、例えば、適切な白色光または狭帯域画像を備えた小型CMOSカメラを組み合わせたものに関する。このラマン分光法、及びEMスペクトルの可視領域で行われる直接視覚の組み合わせは、スタンドアロンデバイス、及び治療エネルギー源と統合されるデバイスを形成し得る。
【0132】
この目的を達成するために、上述の細長いカメラを器具ルーメンに永久的に固定することができる。細長いカメラは、上述のようなイメージキャプチャデバイスを含み得る。イメージキャプチャデバイスはCMOSセンサを含み得る。上述のように、撮像のための照射は、カメラ照射ファイバによって、及び/または標的部位を照射するための照射ファイバを使用することによって(上記のように)提供され得る。
【0133】
例えば、カメラ照射ファイバのリングは、細長いカメラ、従って、器具ルーメンを取り囲む。カメラ照射ファイバのリングは、照射ファイバのリングによって取り囲まれてもよく、照射ファイバのリングは、集光ファイバのリングによって取り囲まれてもよい。しかしながら、上述したように、異なるタイプのファイバの他の配置も可能である。
【0134】
別の実施形態では、照射ファイバのリングは、細長いカメラ、従って、器具ルーメンを取り囲む。照射ファイバのリングは、集光ファイバのリングによって囲まれてもよい。しかしながら、上述したように、異なるタイプのファイバの他の配置も可能である。本実施形態では、照射ファイバは、撮像及びラマン測定の両方のための照射を提供するために使用され得る(上記参照)。
【0135】
任意選択の実施形態では、ラマン分光装置は、組織を改質するように構成された強度を有する光を発生するように構成された治療光源、及び/または細長い本体内の少なくとも1つの治療ファイバをさらに備える。任意選択で、少なくとも1つの治療ファイバは、器具ルーメンの外側に配置される。少なくとも1つの治療ファイバの近位端部は治療光源に結合され得る。少なくとも1つの治療ファイバは治療光源からの光を遠位端部にガイドするように構成され得る。
【0136】
治療光源には、レーザ、特に半導体レーザが含まれてもよい。治療光源は、可視スペクトル内の波長、例えば380nmから700nmの間の波長を有する光を発生することができる。治療光源によって発生した(レーザ)光の強度は、ヒト体内の組織の改質、特に切断、凝固及び/または切除を行うのに十分である可能性がある。特に、治療光源によって発生した光の強度は、筋組織または臓器内の癌組織などの軟部組織を切断するのに十分である可能性がある。治療光源によって発生した光の強度は、レーザ光が小さい体積上に集束する焦点内の組織を改質するのに十分なだけ高い場合がある。
【0137】
治療光源によって発生した光は、連続波(CW)であってもよく、またはパルス化されてもよい。CWモード中の電力は約1Wから100Wであってもよい。パルスモード中、電力は、10%のデューティサイクルで10Wから1000Wのパルスにされてもよい。
【0138】
治療光源は、単一波長の光を発生するように構成されてもよく、または複数の波長の光を発生するように構成されることができる。この目的のために、治療光源は、1つ以上のレーザ、特に半導体レーザを含んでもよい。治療光源の出力は、1つまたは複数の治療ファイバに結合される。この目的のために、治療光源によって発生したレーザ光を治療ファイバに結合するために、1つ以上のレンズ、レンズ系(例えば、コリメートレンズ配置)及び/または他の光学コンポーネントが設けられてもよい。
【0139】
治療ファイバは、治療光源から発生した光を、ほとんどまたは全く吸収せずに伝播するように構成され得る。例えば、治療ファイバによるレーザ光の吸収は、5%未満、3%未満または1%未満であり得る。吸収は、0.1dB/m未満である可能性がある。治療ファイバは、0.2mmから2mmの外径を有する光ファイバであってもよい。治療ファイバは、ラマンファイバまたはカメラファイバと比べて直径が大きい場合がある。治療ファイバ、ラマンファイバ及び/またはカメラファイバの長さは最大2.5mであってもよい。
【0140】
ラマン分光プローブは、近位端部と遠位端部との間に光をガイドするための少なくとも1つの治療ファイバを含んでもよく、少なくとも1つの治療ファイバは器具ルーメンの外側に配置される。
【0141】
少なくとも1つの治療ファイバは、器具ルーメンの外側であるが、ラマン分光装置の細長い本体内に配置される。治療ファイバまたは複数の治療ファイバは、ラマンファイバ及び/またはカメラファイバと同様の構成で配置され得る。したがって、上記で論じたのと同じ定義、特徴及び/または特性を治療ファイバに適用する。治療ファイバ(複数可)は、ラマンファイバ及び/または照射ファイバの間に配置されてもよい。例えば、少なくとも1つの治療ファイバは、1つ以上のラマンファイバ及び/またはカメラファイバを1つ以上の治療ファイバで置き換えることによって、ラマンファイバ及び/またはカメラファイバの上述の構成に配置され得る。
【0142】
治療ファイバの遠位端部には、治療ファイバから発生した光を組織上に集束させ、集束した光の焦点における強度を高めるためのレンズまたはレンズ系が設けられてもよい。あるいは、レンズまたはレンズ系をキャップ装置に含めることもできる。したがって、治療ファイバから発した光を集束させるためのレンズまたはレンズ系は、キャップ装置の光学構造体の一部であってもよい。
【0143】
治療光源及び治療ファイバは、標的部位の組織を改質する、特に切断するために設けられ得る。例えば、癌組織は、ラマン分光法を使用して特定され得、治療光源から発生した光を使用して癌組織が切断される、及び/またはカメラ及びカメラファイバを使用して外科手技が監視される。このように、本実施形態のラマン分光装置は、標的部位の分析、治療及び監視を同時に行う手術器具である。さらに、ラマンファイバ、カメラファイバ、及び治療ファイバの遠位端部に配置された光学素子は、各ファイバで達成すべき所望の特性に特に適合されることができる。
【0144】
任意選択の実施形態では、ラマン分光装置は、組織を改質するように構成された強度を有する光を発生するように構成された治療光源、及び/または光カプラコンポーネントをさらに備える。光カプラコンポーネントの出力は、少なくとも1つのラマンファイバ及び/または少なくとも1つのカメラファイバに結合され得る。光カプラコンポーネントの入力は、ラマン光源、照射源、及び治療光源のうちの2つに結合され得る。光カプラコンポーネントは、ラマン光源からの光及び治療光源からの光を少なくとも1つのラマンファイバに、及び/または照射源からの光及び治療光源からの光を少なくとも1つのカメラファイバに、選択的または永久的に結合するように構成されてもよい。
【0145】
ラマン分光装置のこの実施形態では、治療光源から発した光は、特別な(追加の)治療ファイバを介して標的部位にガイドされない。代わりに、ラマンファイバ及び/またはカメラファイバは、治療光源から発生した光を標的部位にガイドするために使用されてもよい。この目的のために、治療光源から発生した光は、光カプラコンポーネントによってラマンファイバ及び/またはカメラファイバに結合され得る。例えば、ラマン光源及び/または照射源をオフに切り替える場合、治療光源から発生した光は、ラマンファイバ及び/またはカメラファイバに結合されてもよい。治療光源から発生した光がラマンファイバ及び/またはカメラファイバに結合され、ラマン光源及び/またはカメラ光源から発生した光がそれぞれのファイバに結合されることも可能である。これにより、光ファイバの数を減らすことが可能になり、従って、細長い本体の外径を小さくすることが可能になる。
【0146】
光カプラコンポーネントは、上述の照射コンポーネントと同様に構成されることができる。したがって、上述の特性及び定義は光カプラコンポーネントにも同様に当てはまる。
【0147】
一実施形態では、光カプラコンポーネントは、ラマン光源及び治療光源から発生した光をラマンファイバ、特に照射ファイバに選択的または永久的に結合するように配置される。したがって、光カプラコンポーネントの2つの入力は、それぞれラマン光源及び治療光源に結合される。光カプラコンポーネントの出力はラマンファイバに結合される。別の実施形態では、光カプラコンポーネントは、治療光源及びカメラ光源から発生した光をカメラファイバ、特にカメラ照射ファイバに選択的または永久的に結合するように配置される。したがって、光カプラコンポーネントの2つの入力は、それぞれカメラ光源及び治療光源に結合される。光カプラコンポーネントの出力はカメラファイバに結合される。
【0148】
任意選択の実施形態では、ラマン光源及び/または照射源は、変動する強度を有する光を発生するように構成され、好ましくは、ラマン分光装置は、ラマン光源及び/または照射源から発生した光の強度を制御するためのコントローラをさらに含む。
【0149】
この実施形態では、治療光源はラマン光源及び/または照射源によって提供される。この目的のために、ラマン光源及び/または照射源は、治療光源と組み合わせて説明されたような強度を有する光を発生するように構成される。例えば、ラマン光源及び/または照射源から発生する光の強度は、組織を改質する場合の最大強度である。処置(切断)機能が必要ない場合、ラマン光源及び/または照射源は、著しく低い強度を有する光を発生するように設定される。
【0150】
照射源及び/またはラマン光源を制御するためにコントローラが設けられる。特に、コントローラは、照射源及び/またはラマン光源によって発生した光の強度を調整するように構成される。
【0151】
この実施形態によれば、別個の治療光源を設ける必要がない。組織を改質するための光は、ラマン光源及び/または照射源によって発生した光と同じ波長を有する。
【0152】
本出願はまた、組織を改質するように構成された強度を有する光を発生するように構成された治療光源、及び/または遠位端部及び近位端部を有する少なくとも1つの治療ファイバを備える、組織を改質するための治療装置にも言及する。少なくとも1つの治療ファイバの近位端部は治療光源に結合され得る。少なくとも1つの治療ファイバは治療光源によって発生した光を近位端部から遠位端部にガイドするように構成され得る。
【0153】
治療装置は、別個の装置、特に上述のラマン分光装置とは別個の装置であってもよい。治療装置の治療ファイバは、ラマン分光装置の細長い本体の器具ルーメンに挿入されるように構成され得る。あるいは、治療装置の治療ファイバは、ラマン分光装置の細長い本体の器具ルーメンに永久的に固定されてもよい。
【0154】
治療装置は、気管支樹、膵臓、及び/または脳全体の治療に使用されることができる。治療光源及び/または治療ファイバは、上述のものと同じ特性及び特徴を有してもよい。
【0155】
細長い組立体は、同軸フィードケーブル及び放射先端部を含む。同軸フィードケーブルは、電磁エネルギーを伝達するように構成され、内部導体と、外部導体と、内部導体及び外部導体を分離する誘電材料とを含む。放射先端部は、同軸フィードケーブルの遠位端部に配置され、同軸フィードケーブルから電磁エネルギーを受信する。放射先端部は、組織治療のために電磁エネルギーを放射するように構成される。内部導体及び放射先端部は、細長い器具を受け入れるように構成された通路を含む。放射先端部は、内部導体に電気接続され、長手方向に延在して電磁放射器を形成する細長い導体と、細長い導体に電気接続された第一同調素子と、細長い導体及び第一同調素子の周囲に配置された誘電体とを備える。電磁放射器によって放射された電磁場は、誘電体の周囲で整形される。
【0156】
選択的な実施形態では、細長い器具は、手術器具、内視鏡、組織を改質するための治療装置、及び/またはラマン分光器具の遠位端部とラマン分光器具の近位端部との間に延在する少なくとも1つのラマンファイバを含む細長いカメラまたは細長いラマン分光器具であり、少なくとも1つのラマンファイバは、随意に、光を近位端部から遠位端部に導くための照射ファイバ及び/または光を遠位端部から近位端部に導くための少なくとも1つの集光ファイバを含む。
【0157】
手術器具、組織を改質するための治療装置、及び/または細長いカメラは、上述のような特性及び構成を有し得る。細長いラマン分光器具のラマンファイバ、照射ファイバ及び/または集光ファイバは、上述のような特性及び構成を有してもよい。ラマン分光器具は、上述のようなラマン分光プローブであってもよい。ラマン分光器具は、ラマン分光装置にあるラマン分光プローブの代わりに使用され得る。このように、ラマン分光装置は、ラマン分光器具及び分析装置を含む。
【0158】
ラマン分光器具の照射ファイバ及び集光ファイバは、上述のように細長い本体によって促進されて密接に束ねられたバンドルで配置され得る。特に、ラマン分光器具には器具ルーメンが含まれていない場合がある。
【0159】
細長い組立体は、電磁放射線、特に高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線の放射によって組織の切除、凝固、切断及び/または刺激を行うための器具であってもよい。通路を通して細長い器具を挿入することによって、さらなる機能を提供し得る。例えば、細長いカメラ及び/またはラマン分光器具は、放射先端部から放射された放射線によって治療される組織を撮像/分析するために使用され得る。
【0160】
細長い器具が通路内に摺動可能に挿入され得ることにより、電磁放射線で治療される組織を画像化/分析するために、放射先端部の遠位端部から押し出す、または引き出すことができる。したがって、組織を切除/切断するためのデバイスを撮像装置または分析装置と同時に挿入することが可能である。これにより、様々な機能を同時に挿入できるため、挿入プロセスが簡素化される。
【0161】
任意選択の実施形態では、細長いものは、放射素子の遠位領域内で細長い導体に電気接続された第二同調素子をさらに備え、第一同調素子は放射先端部の近位領域内に位置決めされ、誘電体は第二同調素子の周囲に配置され、第一同調素子及び第二同調素子は長手方向に離隔されることにより、マイクロ波放射器によって放射されるマイクロ波場は誘電体の周囲に整形される。
【0162】
細長い組立体は、体内の標的組織を切除するように動作することができる。デバイスは肺の組織の切除に特に適しているが、他の器官(例えば、子宮または胃腸管等)の組織の切除にも使用され得る。標的組織を効率的に切除するために、放射先端部が標的組織に可能な限り近接して(そして多くの場合、内側に)配置されることが望ましい。標的組織(例えば、肺の)に到達するために、装置は、通路(例えば、気道)を通って、障害物の周りを回って誘導される必要がある場合がある。これは、器具が理想的には可能な限りの可撓性があり、小さい断面積を有することを意味する。特に、装置は、その先端部近くで非常に可撓性である必要があり、そこで狭く屈曲している可能性がある細気管支などの狭い通路に沿って操舵される必要がある場合がある。
【0163】
同軸フィードケーブルは、1つの端部で電気手術用発電機に接続可能である従来の低損失同軸ケーブルであってよい。特に、内部導体は、同軸フィードケーブルの長手方向軸に沿って延在する細長い導体であることができる。誘電材料は、内部導体の周りに配置することができ、例えば、第一誘電材料は、内部導体が延出するチャネルを含むことができる。外部導体は、誘電材料の表面上に配置される導電材料から作製されるスリーブであることができる。同軸フィードケーブルは、ケーブルを絶縁して保護するための外部保護シースをさらに含むことができる。いくつかの例では、保護シースは、組織がケーブルに付着するのを防ぐために、非粘着材料から作製されてよい、または非粘着材料でコーティングされてよい。放射先端部は同軸フィードケーブルの遠位端部に配置され、同軸フィードケーブルに沿って伝達されたEMエネルギーを標的組織に送達するのに役立つ。放射先端部は、同軸フィードケーブルに恒久的に取り付けられてもよい、または同軸フィードケーブルに取り外し可能に取り付けられてもよい。例えば、コネクタは、同軸フィードケーブルの遠位端部に提供することができ、放射先端部を受容して必要な電気接続を形成するように配置される。
【0164】
放射先端部は、ほぼ円筒形であってもよい。誘電体は、同軸フィードケーブルの遠位端部に取り付けられてもよい。いくつかの例では、誘電体は、同軸フィードケーブルの遠位端部を越えて延出する同軸フィードケーブルの誘電材料の突出部を含んでもよい。これは、放射先端部の構成を単純化し、放射先端部と同軸フィードケーブルとの間の境界でEMエネルギーを反射しないようにすることができる。他の例では、同軸フィードケーブルの誘電材料とは異なる第二誘電材料を使用して誘電体を形成することができる。第二誘電材料は、マイクロ波エネルギーを標的組織に送達する効率を改善するために、標的組織とのインピーダンス整合を改善するように選択されることができる。また放射先端部は、放射線プロファイルを所望の方法で整形するように選択されて配置される、複数の異なる誘電材料部分を含むことができる。
【0165】
細長い導体は、同軸フィードケーブルの内部導体に電気接続され、マイクロ波放射器として機能するように誘電体内に延在する。換言すれば、同軸フィードケーブルから放射先端部に伝達されたマイクロ波エネルギーは、細長い導体から放出され得る。外部導体は、細長い導体が外部導体の遠位端部を越えて延出するように、同軸フィードケーブルの遠位端部で終端することができる。このように、放射先端部はマイクロ波モノポールアンテナとして機能し得る。したがって、放射先端部に伝達されたマイクロ波エネルギーは、細長い導体から周囲の標的組織に放出され得る。細長い導体は、例えば、誘電体のチャネル内に延在し得る。細長い導体は、細長い形状を有する任意の適切な導体であり得る。例えば、細長い導体は、誘電体の内部に延在する導電材料のワイヤ、ロッド、またはストリップであり得る。
【0166】
第一同調素子は、近位同調素子と呼ばれることがあり、放射先端部の近位端部の近くに位置する導電材料(例えば、金属)の一部であり得る。第二同調素子は、遠位同調素子と呼ばれることがあり、放射先端部の遠位端部の近くに位置する導電材料(例えば、金属)の一部であり得る。したがって、遠位同調素子は、近位同調素子よりも同軸フィードケーブルの遠位端部から遠く離れていてもよい。近位同調素子と遠位同調素子とは両方とも細長い導体に電気接続される。例えば、近位同調素子及び遠位同調素子はそれぞれ、細長い導体上またはその周囲に配置され得る。近位同調素子及び遠位同調素子は、任意の適切な手段によって細長い導体に電気接続され得る。例えば、近位同調素子及び遠位同調素子は、細長い導体に溶接されてもよく、またははんだ付けされてもよい。別の例では、近位同調素子及び遠位同調素子は、導電性接着剤(例えば、導電性エポキシ)を使用して細長い導体に接続され得る。あるいは、近位同調素子及び遠位同調素子の一方または両方を細長い導体と一体化して形成してもよい(例えば、それらを単一部品として合わせて製造してもよい)。近位同調素子及び遠位同調素子は、細長い導体の長さだけ長手方向に離隔される。換言すれば、細長い導体のセクションは、近位電極と遠位電極との間に配置される。近位同調素子及び遠位同調素子は、環境から絶縁/保護されるように、誘電体の一部によって覆われてもよい。
【0167】
発明者らは、上述のような構成を有する放射先端部が、放射先端部と周囲の標的組織との間のインピーダンス不整合を減らし得ることを発見している。これにより、放射先端部で反射して同軸フィードケーブルに下り戻る(放射先端部と標的組織との間のインピーダンス不整合により発生する)マイクロ波エネルギーの量が減少する可能性がある。結果として、マイクロ波エネルギーを標的組織に送達できる効率を改善し得る。これにより、標的組織を切除するために同軸フィードケーブルを下り伝達される必要があるエネルギー量が低減することが可能になる場合がある。これにより、今度は同軸フィードケーブルに沿ったマイクロ波エネルギーの伝送による加熱の影響が低減され得、電気手術器具を長期間使用できるようになる。
【0168】
また本発明者らは、近位同調素子及び遠位同調素子が放射先端部のより望ましい放射線プロファイルをもたらす可能性があることを発見した。特に、同調素子は、放射線プロファイルが放射先端部の周囲に集中するように放射線プロファイルを整形し得、同軸フィードケーブルに沿って後方に延在する放射線プロファイルのテールを減少させることができる。このように、放射先端部に搬送されたマイクロ波エネルギーは、放射先端部から放射され、放射先端部の周りの明確に画定された体積内の周りの標的組織を切除し得る。切除体積(すなわち、放射されたマイクロ波エネルギーによって切除される組織の体積)は、ほぼ球形であり得る。同調素子の形状、サイズ、及び場所は、所望のマイクロ波放射線プロファイルを得るために選択され得る。
【0169】
近位同調素子及び遠位同調素子は、長手方向に関して対称に配置され得る。例えば、近位同調素子及び遠位同調素子は、例えば細長い導体の長手方向軸と同一線上にある中心軸を有する、円筒形であってもよい。細長い導体の長手方向軸は、細長い導体の長さに沿った軸である。例えば、近位同調素子は、細長い導体の周囲で、かつそれと同軸に配置された導電材料の円筒形部分であってもよい。これにより、放射先端部の放射線プロファイルの軸対称性が改善される可能性がある。
【0170】
いくつかの実施形態では、近位同調素子は、同軸フィードケーブルの遠位端部から長手方向に離隔され得る。例えば、誘電体は、同軸フィードケーブルの遠位端部と近位同調素子との間に位置決めされるスペーサを含んでもよい。本発明者らは、近位同調素子を同軸フィードケーブルの遠位端部から離隔させると、器具内に位相シフトが導入される可能性があることを発見した。位相シフトは、放射先端部と標的組織との間のインピーダンス整合を改善し得、その結果、標的組織へのマイクロ波エネルギーの効率が改善され得る。位相シフトは、同軸フィードケーブルの遠位端部と近位同調素子の近位端部との間の距離に依存し得る。
【0171】
通路は、細長い組立体の遠位端部まで延在し、細長い組立体の遠位端部で開口する。したがって、通路の遠位端部から細長い器具を押し出すことができる。放射先端部の内部導体は、通路を提供するために中空であり得る。同軸ケーブルの内部導体及び放射先端部の内部導体は、通路を形成するようにアライメントされてもよい。
【0172】
通路は、1.5mm~2.3mm、好ましくは1.8mm~2.0mmの範囲の内径を有し得る。細長い器具の外径は通路の内径よりもわずかに小さい。
【0173】
本出願はまた、電磁放射線、特に高周波またはマイクロ波放射線を放射するように構成された放射素子または放射先端部を有する治療装置の使用にも言及する。治療装置は、好ましくは肺組織では、放射素子または放射先端部が癌性結節の近くに、またはそれと接触して配置され、その後、癌性結節の組織が絶えず損傷を受けないような方法で放射素子または放射先端部によって電磁放射線が放射されるように使用される。
【0174】
治療装置は、近位端部及び遠位端部を備えた細長い本体を有する内視鏡器具であり得る。放射素子は、遠位端部またはその近くに配置され得る。放射素子は、細長い本体内に配置された給電構造体を介して発電機に接続され得る。したがって、遠位端部は、それ自体で、または治療装置が挿入されるカテーテルを使用することによって、のいずれかで、癌性結節までナビゲートされる。
【0175】
電磁放射線はそのようなエネルギーレベルを有し得る、及び/または電磁放射線の適用時間は、癌性結節の組織が永久的に損傷を受けないように非常に短くなり得る。例えば、癌性結節の組織は、組織が損傷しない温度まで加熱される。癌性結節が加熱される温度は、癌組織内の分子の変性が起こる温度よりも低い。組織の温度は、組織が永久的に損傷を受けていないことを保証するために監視され得る。言い換えれば、しばらく後(例えば、治療された組織が体温に戻った後)、結節が電磁放射線に曝されたかどうかを判断できない。
【0176】
本発明者らは、癌組織が電磁放射線によって生理学的に改質されなかったが、例えば癌性結節の治癒プロセスが開始されることなど、癌性結節における変化を観察することができることを発見した。電磁放射線の適用は免疫系による反応を刺激すると考えられている。さらに、治療された癌性結節の近くにあるが、電磁放射線で治療されていない癌性結節自体も、癌組織の縮小をもたらす変化を受けることが発見されていた。この効果は、電磁放射線の適用によってもたされた免疫反応によって引き起こされると考えられている。
【0177】
治療装置は、上述のような電気手術治療装置または細長い組立体を含むラマン分光プローブであることができる。癌組織は、器具ルーメン内に配置された電気手術治療装置によって電磁エネルギーが放出されながら、ラマン分光プローブによって促進されるラマン分光法を使用することによって検出され得る。治療装置は、WO2020/011547またはWO2020/221749に記載されているように構成され得る。
【0178】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を指して広く使われてよいが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を指す。マイクロ波EMエネルギーの好ましいスポット周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzを含む。5.8GHzが好ましい場合がある。
【0179】
「電気手術」という用語は、手術中に使用され、マイクロ波及び/または無線周波数電磁(EM)エネルギーを利用する器具、装置、またはツールに関連して使用される。
【0180】
添付の図面と併せて、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0181】
図1】ラマン分光プローブを含むラマン分光装置の概略斜視図を示す。
図2図1によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図3図1によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図4】第二実施形態によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図5】第三実施形態による、ラマン分光プローブの断面図を示す。
図6図5によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図7】第四実施形態によるラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図8図7によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図9図7によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図10】第五実施形態による、ラマン分光プローブの断面図を示す。
図11】ラマン分光プローブを含むラマン分光装置の別の実施形態の概略斜視図を示す。
図12図11によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図13】第六実施形態による、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図14図13によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図15図13によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図16】第七実施形態による、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図17】第八実施形態による、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図18図17によるラマン分光プローブの断面図を示す。
図19図17によるラマン分光プローブの別の断面図を示す。
図20】第九実施形態による、ラマン分光プローブを含むラマン分光装置のさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
図21】治療装置の概略斜視図を示す。
図22】組立体のさらなる実施形態の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0182】
図1は、ラマン分光プローブ10、分析装置12、及び/または表示装置14を含むラマン分光装置100を示す。ラマン分光プローブ10は、遠位端部18から近位端部20まで延在する細長い本体16を含む。ラマン分光プローブ10、具体的には細長い本体16は、細長い構造を有し、身体の体腔に挿入されるように構成される。ラマン分光プローブ10は内視鏡デバイスであり得、遠位端部18を体腔内を通して標的部位または標的領域までナビゲートするために、曲げることができる、または屈曲できる。標的部位は、分析、監視、及び/または治療することを意向がある体腔(例えば肺)の内部の領域であり得る。
【0183】
細長い本体16は、ラマン分光プローブ10を遠位端部18から近位端部20まで覆う。具体的には、細長い本体16は、ラマン分光プローブ10の内側をその周囲、例えば流体等から絶縁する。図3でよくわかるように、細長い本体16は、外部シース22及びひずみ緩和層24を含む。外部シース22は、ラマン分光プローブ10を体腔またはカテーテル等のスコープ装置に挿入するときの摩擦を減らすために、潤滑性ポリマーから作られ得る。ひずみ緩和層24は、ポリマーまたは金属ワイヤで作られた編組、コイル、及び/またはチューブを含んでもよく、これらはそれぞれまたは組み合わせて、細長い本体16内に配置されたコンポーネント(後述)が屈曲または曲げ時に損傷を受けないようにラマン分光プローブ10の屈曲の角度を制限する。
【0184】
ラマン分光プローブ10は、器具ルーメン26と、少なくとも1つの照射ファイバ28及び/または少なくとも1つの集光ファイバ30を有し得るラマンファイバ27とをさらに含む。器具ルーメン26は、遠位端部18から近位端部20まで延在し、細長い本体16内に配置される。器具ルーメン26は、細長い器具32を摺動可能に配置することができる通路とみなされることができる。換言すれば、細長い器具32は、器具ルーメン26に挿入されること、または器具ルーメン26から引き出されることができる。器具ルーメン26の内径は、細長い器具32の外径よりわずかに大きい。
【0185】
器具ルーメン26は、中空チューブ34によって境界を定められることができ、この中空チューブは、遠位端部18から近位端部20まで延在し、例えばチューブ34と細長い本体16との間の空間に入る流体から、ラマン分光プローブ10を密閉する壁部として機能する。中空チューブ34は、プラスチック材料、例えばシース22と同じ材料から作られ得る。中空チューブ34を作り得る潤滑性ポリマーは、細長い器具32と中空チューブ34との間の摩擦の低減に寄与できる。
【0186】
図3でよくわかるように、器具ルーメン26、したがって中空チューブ34は、細長い本体16と同軸に配置される。任意選択で、器具ルーメン26及び/または中空チューブ34は、細長い本体16内の中央に配置される。しかしながら、本発明は本実施形態に限定されるものではない。器具ルーメン26は、細長い本体16の内側に配置され、少なくとも1つの照射ファイバ28及び少なくとも1つの集光ファイバ30は、器具ルーメン26の外側、特に器具ルーメン26と細長い本体16との間に配置される。
【0187】
図示の実施形態では、複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30は、器具ルーメン26を(完全に)取り囲む。図3及び図4に見えるように、複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30はファイバの単一リングを形成する。これにより、照射ファイバ28及び集光ファイバ30は互いに接触し、器具ルーメン26(中空チューブ34)及び/または細長い本体16、特にひずみ緩和層24と接触する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。照射ファイバ28及び/または集光ファイバ30は、互いに、または器具ルーメン26及び細長い本体16と接触していなくてもよいが、離隔されて配置されている。
【0188】
照射ファイバ28と集光ファイバ30との間の空間は、充填材料及び/またはエポキシなどの接着剤で充填されることができる。接着剤は、複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30を相互に固着するために使用され得る。
【0189】
図3の実施形態では、照射ファイバ28及び集光ファイバ30はファイバの単一リング内に交互に配置される。それとは対照的に、図4に示される実施形態は、図3に示される実施形態と同じ特徴及び特性を含むが、集光ファイバ30はファイバの単一リング内に第一セクションを形成し、照射ファイバ28はファイバの単一リング内に第二セクションを形成する。集光ファイバ30の数は、照射ファイバ28の数よりも多くてもよい。したがって、ファイバの単一リングの第一セクションは、ファイバの単一リングの第二セクションより大きくてもよい。例えば、ファイバの単一リング内の第二セクションは、ファイバのリングの4分の1または3分の1にわたって延在することができる。
【0190】
図2にみえるように、複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30は、細長い本体16の近位端部20を越えて延出してもよく、分析装置12に接続されることができる。集光ファイバ28及び集光ファイバ30の遠位端部は、細長い本体16の遠位端部18と合致し得る。遠位端部18をシールするために、キャップ装置36が遠位端部18に提供され得る。キャップ装置36は、アパーチャ38を含んでもよく、このアパーチャは、細長い器具32を器具ルーメン26から押し出し、キャップ装置36のアパーチャ38に通すことができるように、器具ルーメン26とアライメントされる。
【0191】
キャップ装置36はまた、照射ファイバ28及び/または集光ファイバ30に結合される光学構造体を含んでもよい。光学構造体は、照射ファイバ28からの光が通過できる、及び/または標的部位から来る光が集光ファイバ30に結合できる窓であってもよい。照射ファイバ28及び/または集光ファイバ30は、窓に接触してもよく、及び/または窓に対して離隔されることができる。照射ファイバ28及び/または集光ファイバ30は、光学構造体に対して固定して位置決めされることができる。
【0192】
光学構造体は、1つ以上のレンズ及び/または1つ以上の光学フィルタを含み得る。1つまたは複数のレンズは、照射ファイバ28から来る光を標的部位上に集束させるように構成され得る。また、1つまたは複数のレンズは、光が集光ファイバ30内に結合され得るように、標的部位から来る光を集光ファイバ30の遠位端面上に集束させるように構成されてもよい。1つまたは複数の光学フィルタは、集光ファイバ30の遠位端面より先に位置決めされてもよく、照射ファイバ28が発した光と同じ波長を有する光、すなわちレイリー散乱光または弾性散乱光をフィルタで取り除くように構成されることができる。
【0193】
複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30は、ラマン分光測定用のプローブを形成する。一般に知られているように、ラマン分光法には、例えば分光器を使用して、非弾性後方散乱光(またはラマン散乱光)を分析しながら、単色光でサンプルを照射することが含まれる。ラマン散乱光は、サンプルを照射する単色光と比較して異なる波長を有する。
【0194】
この場合、分析装置12は、照射ファイバ28が結合されるラマン光源40(1つ以上のレーザなど)を含む。したがって、単色光は照射ファイバ28を介して標的部位に向けられる。ラマン散乱光(標的部位によって非弾性で後方に散乱した光)は、集光ファイバ32に結合され、分析装置12内に配置された分光器42に供給される。ラマン散乱光は分光器42を用いて分析される。ラマン散乱光の強度及び/または波長は、標的部位内に存在する分子を示す。分光器42を使用して同定された分子の分析は、標的部位における癌組織または他の変性組織の存在を示し得る。また、ラマン分光測定を使用して、標的部位に存在する異なるタイプの組織を識別することも可能である。この分析ステップは、手動で、または分析装置12に含まれ得る各々のソフトウェアと組み合わせてプロセッサによって行われ得る。
【0195】
図1図6に示される実施形態の細長い器具32は内視鏡カメラ44である。内視鏡カメラまたは細長いカメラ44は、イメージキャプチャデバイス46を含み得る。イメージキャプチャデバイス46は、イメージキャプチャデバイス46内に配置された光センサ上に投影される光学画像に基づいて一連の電気信号を作成するように構成される。光センサは、細長いカメラ44の遠位端部またはそれに近接して配置され得る。ワイヤは、電気信号を伝送するために、細長いカメラ44内でイメージキャプチャデバイス46(具体的には光センサ)から細長いカメラ44の近位端部まで延在し得る。細長いカメラ44の近位端部は表示装置14に接続される。表示装置14は、イメージキャプチャデバイス46によって生成された一連の電気信号を処理するプロセッサを含み得る。具体的には、プロセッサは、表示装置14のディスプレイ48によって表示できる光学画像を生成し得る。
【0196】
したがって、図1から6に示される組立体では、ラマン分光測定を実行しながら、同時に標的部位を撮像することが可能である。これは、具体的には、ラマン分光測定を使用することによっては検出できるが、カメラを使用することによっては検出できない癌組織だけを検出できる場合に、癌性である標的部位のエリアを視覚的に識別するのに役立ち得る。
【0197】
図5及び図6は、以下の違いを除いて、図1図4に示された実施形態と同じ特徴及び特性を有するラマン分光プローブ10の別の実施形態に言及する。
【0198】
複数の照射ファイバ28はファイバの第一リング内に配置され、複数の集光ファイバ30はファイバの第二リング内に配置される。各リングでは、複数の集光ファイバ30及び照射ファイバ28は、密接に束ねられ、互いに接触してもよい。第一リングの集光ファイバ30は、第二リングの照射ファイバ28と同軸に配置され、任意選択で、器具ルーメン26及び/または細長い本体16と同軸に配置される。図6に示されるように、第二リングの集光ファイバ30は、中間壁部50によって第一リングの照射ファイバ28から分離される。しかしながら、中間壁部50は必須ではなく、省略できる(図5参照)。中間壁部50は中空チューブで構成されてもよく、プラスチック材料で作られることができる。中間壁部50は、器具ルーメン26、中空チューブ34、及び/または細長い本体16と同軸に配置され得る。
【0199】
第二リングの集光ファイバ30は第一リングの照射ファイバ28を取り囲む。したがって、集光ファイバ30によって覆われる断面積は、照射ファイバによって覆われる断面積よりも大きい。これは、標的部位からのレイリー散乱光と同程度の光の収集に寄与し得る。例えば、この配置により、集光ファイバ30の数が照射ファイバの数よりも多くなる。代替的または追加的に、集光ファイバ30の直径は照射ファイバ28の直径より大きくてもよい。
【0200】
図7から図9は、別の実施形態によるラマン分光プローブ10を含む別の組立体を示し、これは、以下の相違点を除いて、図1から図6に示される実施形態のラマン分光プローブと同一である。
【0201】
図8及び図9からわかるように、ラマン分光プローブ10は、少なくとも1つの撮像ファイバ52及び/または少なくとも1つのカメラ照射ファイバ54を含む。撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54は、標的部位を撮像するためのカメラ44の別の実施形態の一部であるため、カメラファイバと呼ばれることがある。
【0202】
撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54は、細長い本体16の近位端部20を越えて延出し、表示装置14に接続される。表示装置14は、白色光、特に非単色光などの光を発生するように構成されるカメラ光源56を含んでもよい。カメラ照射ファイバ54はカメラ光源56に接続される。カメラ照射ファイバ54は、カメラ光源56によって発生した光を、細長い本体16の遠位端部18と合致し得るカメラ照射ファイバ54の遠位端部にガイドする。
【0203】
カメラ照射ファイバ54は、キャップ装置36の光学構造体に結合され得る。例えば、キャップ装置36は、カメラ照射ファイバ54が発した光を標的部位上に集束させる(向ける)ための1つまたは複数の追加のレンズを含んでもよい。
【0204】
またキャップ装置56の光学構造体は、標的部位から来る光を撮像ファイバ52に結合するための1つまたは複数のレンズを含んでもよい。例えば、撮像ファイバに結合される光は、カメラ照射ファイバ54によって標的部位上に示される光であってもよい。撮像ファイバ52は、光を撮像ファイバ52の遠位端部から近位端部にガイドし、CCDセンサなどの光センサに結合することができる。特に、撮像ファイバ52によってガイドされた光は、標的部位の画像が光センサ上に投影されるような方法で光センサ上に投影される。光センサは、放出した衝突光を、プロセッサによって処理され得る一連の電気パルスに変換し、標的部位の画像がディスプレイ48上に見え得る。
【0205】
つまり、撮像ファイバ52は、表示装置14内に配置された光センサと協働して、標的部位を撮像するためのカメラを構成する。カメラ光源56に結合されたカメラ照射ファイバ54は、標的部位を照射するために使用され得る。しかしながら、標的部位が照射ファイバ28から発した光によって照射され得るため、カメラ照射ファイバ54及びカメラ光源56は必須ではない。単色光を照射ファイバ28が発したとしても、これは標的部位を撮像するのに十分である可能性がある。
【0206】
図9でよくわかるように、照射ファイバ28及び集光ファイバ30はファイバの単一リングを形成し、撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54はファイバの別の単一リングを形成する。単一リングの照射ファイバ28及び集光ファイバ30は、単一リングの撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54と同軸に配置され得る。図9に示される実施形態では、単一リングの撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54は、単一リングの照射ファイバ28及び集光ファイバ30を取り囲む。ただし、図9に示される実施形態と比較して、集光ファイバ30の数が増加するという利点を有し得る逆の配置も可能である。したがって、ラマン分光測定のためにより多くの光を集光することができる。
【0207】
撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54は、ファイバの単一リング内に交互に配置される。しかしながら、撮像ファイバ52はファイバの単一リング内にセクションを形成し得、カメラ照射ファイバ54はファイバの単一リング内に別のセクションを形成し、これは、図4に示される照射ファイバ28及び集光ファイバ30のセクション配置と同様である。また、照射ファイバ28及び集光ファイバ30は、図9に示される交互配置ステップではないが、図4に示されるように扇形配置であることも可能である。
【0208】
一方の撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54は、他方の照射ファイバ28及び集光ファイバ30から中間壁部50によって物理的に分離される。しかしながら、中間壁部50は必須ではなく、省略できる。
【0209】
中間壁部50は、細長い本体16内の空間を第二ルーメン58及び第三ルーメン60にさらに分割する。複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30は第二ルーメン内に配置され、複数の撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54は第三ルーメン内に配置される。図9に示される実施形態では、第二ルーメン58及び/または第三ルーメン60は、器具ルーメン26を完全に取り囲む。任意選択で、第二ルーメン58及び/または第三ルーメン60は、器具ルーメン26と同軸に配置される。
【0210】
表示装置12は、照射源61及び光照射コンポーネント63をさらに含んでもよい。照射源61は、非単色光、例えば白色光を発生するように構成され得る。照射源61は、カメラ光源56と同じ特徴及び/または特性を有し得る。照射源61は、照射ファイバ28に結合され得る。
【0211】
照射コンポーネント63は、一実施形態では、光スイッチ、例えば単極二極スイッチであり得る。照射コンポーネント63は、照射ファイバ28に入力される光源を選択的に切り替えるように構成され得る。例えば、ラマン分光測定を実行する場合、照射コンポーネント63は、ラマン光源40の光を照射ファイバ28に結合する。細長いカメラ44を使用して標的部位を撮像する場合、照射コンポーネント63は、照射源61からの光を照射ファイバ28に結合する。例えば撮像及びラマン分光測定が同時に実行される場合、照射コンポーネント63がラマン光源40からの光と照射源61からの光との両方を照射ファイバ28に結合することも可能であることがある。
【0212】
別の実施形態では、照射コンポーネント63がラマン光源40及び照射源61の両方からの光を照射ファイバ28に絶えず結合する光カプラであり得る。光カプラはY分岐カプラであってもよい。行われる機能に応じて、ラマン光源40及び/または照射源61のスイッチを選択的にオンまたはオフにする。
【0213】
照射コンポーネント63、ラマン光源40、及び照射源61は、導波路及び/または光ファイバによって相互に接続され得る。
【0214】
照射源61及び光照射コンポーネント63は、カメラ光源56に加えて、またはその代わりに設けられてもよい。特に、照射源61及び光照射コンポーネント63が設けられる場合、カメラ照射ファイバ54を省略することができる。したがって、照射源61及び光照射コンポーネント63は、照射ファイバ28を使用することによって、撮像のために標的部位に追加の照射または代替の照射を提供する。
【0215】
図7及び図8に示される細長い器具32は、標的部位における組織の切断、切除、刺激及び/または凝固に使用され得る高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線等の電磁放射線を放射する電気手術治療装置62である。
【0216】
治療装置62の近位端部は、無線周波数範囲及び/またはマイクロ波範囲の周波数を有する電磁エネルギーを生成することが可能である発電機64に接続され得る。
【0217】
治療装置62は、可撓性伝送線路66(同軸ケーブルなど)と、伝送線路66の遠位端部に接続される放射素子68とを含んでもよい。伝送線路66は、マイクロ波エネルギーを伝達するのに適した従来の可撓性50Ω同軸ケーブルであってもよい。伝送線路66は、誘電材料によって分離された中心導体と外部導体とを含み得る。伝送線路66は、電磁エネルギー、特にマイクロ波エネルギーを受信するために、近位端部で発電機に、例えば発電機64に接続可能である。
【0218】
放射素子68は、近位同軸伝送線路70と、近位同軸伝送線路70の遠位端部に形成された遠位針先端部72とを含む。近位同軸伝送線路70は、伝送線路66から電磁エネルギーを受信し、その電磁エネルギーを遠位針先端部72に伝達するように、伝送線路66の遠位端部に電気的に接続されている。遠位針先端部72は、受信した電磁エネルギーを標的部位の生体組織に送達するように構成されている。本実施例では、遠位針先端部72は、マイクロ波エネルギーを標的の生体組織に送達して、その標的組織を切除するための半波長変成器として構成されている。言い換えれば、遠位針先端部72の電気的長さは、マイクロ波エネルギーの半波長(例えば5.8GHz)に対応し得る。マイクロ波エネルギーが遠位針先端部72に送達されると、それは、マイクロ波エネルギーをその長さに沿って周囲の生体組織に放射することができる。
【0219】
近位同軸伝送線路70の内部導体は、伝送線路66の中心導体に電気的に接続されている。放射素子68は、伝送線路66と放射素子68との間の接合部上に搭載されたカラー74を介して伝送線路66に固定される。カラー74は、導電材料(例えば真ちゅう)で作られており、伝送線路66の外部導体を近位同軸伝送線路70の外部導体に電気的に接続する。外部導体は、可撓性があり、組織(例えば、十二指腸壁部)を貫通するのに十分な長手方向の剛性をもたらすニチノールの管で形成されている。例示の目的で、外部導体は図8から省略される。また、例示の目的で、図8では近位同軸伝送線路70の長さが省略されている。伝送線路66及び放射素子68の例示的な詳細はWO2020/221749から取得され得る。
【0220】
伝送線路66は、器具ルーメン26内に固定して配置される。例えば、伝送線路66は接着剤によって中空チューブ34に接着される。しかしながら、伝送線路66が細長い本体16内に配置されるため、器具ルーメン26の密閉が必要なくなることから、中空チューブ34は、図7~9に示される実施形態では省略されてもよい。例えば、伝送線路66の外部シースを中空チューブ34に置き換えることができる。複数の照射ファイバ28及び集光ファイバ30は、伝送線路66に固定されてもよい。
【0221】
カラー74は、キャップ装置36の一部を形成してもよい。そのような実施形態では、キャップ装置36は、上述のような光学構造体の機能と、伝送線路66と放射素子68との間の電気接続とを組み合わせたものである。さらに、アパーチャ38の直径は、放射素子68の外径よりもわずかに大きいが、伝送線路66の外径よりも小さい。したがって、キャップ装置36は、遠位端部18で伝送線路66の一部を覆い得る。随意に、伝送線路66の遠位端部は、細長い本体16の遠位端部18と合致する。したがって、放射素子68のみが細長い本体16の遠位端部18から突出する。
【0222】
図に示されない代替の実施形態では、伝送線路66は中空の内部導体を含む。放射素子68は、伝送線路66の中空の内部導体に挿入されるように構成され得る。
【0223】
代替的または追加的に、治療装置62は、器具ルーメン26内に絶えず固定されず、器具ルーメン26内で摺動可能であってもよい。したがって、ラマン分光プローブ10を標的部位にナビゲートする間、完全な治療装置62、特に放射素子68は、細長い本体16の遠位端部18から突出しなくてもよいが、器具ルーメン26内に配置される。電磁放射線を放射するために、放射素子68は細長い本体16の遠位端部18から押し出される。
【0224】
図7図9のラマン分光プローブ10は、カメラ、ラマン分光装置、及び手術治療装置の機能を組み合わせ得る。特に、カメラ44(撮像ファイバ52及びカメラ照射ファイバ54を含む)を使用して標的部位で治療すべき組織を特定し、照射ファイバ28及び集光ファイバ30によって提供されるラマン分光機能を使用して組織を分析することが可能である。標的部位の監視及び標的部位における組織の分析は、治療装置62による電磁エネルギーの印加中に継続し得る。したがって、標的部位における組織を切除しながら、標的部位を画像化し、癌組織を識別することが可能である。
【0225】
図10に示されるラマン分光プローブ10の実施形態は、以下の違いを除いて、図7図9に示されるラマン分光プローブ10の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0226】
集光ファイバ30は、器具ルーメン26の周囲に分布するファイバの完全なリングを形成することができる。特に、集光ファイバ30のみが第二ルーメン58内に配置される。第二ルーメン58には他のタイプのファイバは配置されない。少なくとも1つの照射ファイバ28は、第三ルーメン60内に配置されることができる。したがって、少なくとも1つの照射ファイバ28は、集光ファイバ30のリングの半径方向外側に配置される。撮像ファイバ52及び/またはカメラ照射ファイバ54は、第三ルーメン60内に配置され得る。しかしながら、第三ルーメン60を第二ルーメン58から分離する中間壁部50は、異なるタイプのファイバの配置を維持しながら省略されてもよい。照射ファイバ28、撮像ファイバ52、及び/またはカメラ照射ファイバ54は、複数の集光ファイバ30によって構成されるファイバのリングを取り囲むファイバの単一リングを形成することができる。
【0227】
図11及び図12によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図1図3に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0228】
ラマン分光プローブ10は、1つのタイプのラマンファイバ27のみ、例えば集光ファイバ30のみを含む。集光ファイバ30は、追加的に、近位端部20から遠位端部18に光を導くように構成され得る。ラマンファイバ27は、器具ルーメン26の周囲のファイバの単一リング内に配置される。したがって、近位端部20から遠位端部18に光を導くために、かつ遠位端部18から近位端部20に光を導くために、同じラマンファイバ27を使用する。
【0229】
分析装置12は、さらに、ラマンファイバ27が結合される光検出コンポーネント76を含む。光検出コンポーネント76は、例えば導波路及び/または光ファイバによって、ラマン光源40及び分光器の両方にさらに接続される。
【0230】
光検出コンポーネント76は、時分割スイッチ及び/またはマルチプレクサを含み得る。光検出コンポーネント76は、波長、偏光、及び/または位相に応じて、ラマン光源40からラマンファイバ27へ、及び/またはラマンファイバ27から分光器42へ光をルーティングするように構成される。この選択的ルーティングは、ラマン散乱光からレイリー散乱光を減らす/フィルタで除去するのに役立つ。しかしながら、光検出コンポーネント76は、カプラ、随意に、いくつかの光学フィルタを含み得る。
【0231】
光検出コンポーネント76は、ラマン光源40からの光をラマンファイバ27に結合する。加えて、光検出コンポーネント76は、ラマン散乱光を分光器72に向ける。この機能は、例えば、時間的に選択して、または各々の波長に応じて、選択的に行われ得る。光検出コンポーネント76は、ラマンファイバ27の数を減らすこと、または各ファイバが集光ファイバ30として機能するため、集光ファイバ30として機能するファイバの数を増加させることを可能にする。
【0232】
図13及び図15によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図7図9に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0233】
細長い器具32は、器具ルーメン26内に絶えず固定されるカメラ44である。カメラ44の遠位端部は、細長い本体16の遠位端部18と合致する。中空チューブ34は省略され得る。カメラ44の外面は、ラマンファイバ27と直接接触していてもよい。
【0234】
カメラ44はイメージキャプチャデバイス46を含む。カメラ44は、標的部位を照射するための手段を含まない。標的部位の照射は、照射源61によって提供される。照射源61によって発生した光は、光スイッチまたは光カプラであり得る照射コンポーネント63によって照射ファイバ28のリング内に結合される。照射ファイバ28は、ラマン光源40によって発生した光を標的部位にガイドするためにも使用される。
【0235】
照射ファイバ28のリングは、カメラ44を取り囲むことができる。照射ファイバ28のリングは、集光ファイバ30のリングによって囲まれる。図面に示されていない代替の実施形態では、カメラ44は、カメラ照射ファイバ54のリングによって取り囲まれ、カメラ照射ファイバ54のリングは、照射ファイバ28のリング及び集光ファイバ30のリングによって取り囲まれる。この実施形態では、照射源61及び照射コンポーネント63は省略されてもよい。代わりに、カメラ照射ファイバ54が結合されるカメラ光源56が提供される。
【0236】
図16によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図13図15に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0237】
ラマン分光装置100は、治療光源78及び光カプラコンポーネント80をさらに含む。照射源61及び照射コンポーネントは、図16のラマン分光装置100には存在しない。治療光源78及び光カプラコンポーネント80は、分析装置12内に(図示のように)、または分析装置12の外部に配置されることができる。
【0238】
治療光源78は、組織、特に軟部組織の改質、特に切断、切除及び/または凝固を行うのに十分に高い強度を有する光を発生するように構成される。治療光源78によって発生した光の強度は、例えば凸レンズまたは集束レンズ系を使用して、光が小さい体積に集束される場合、組織を改質するのに十分なだけ高くてもよい。治療光源78は、1つ以上のレーザ、特に半導体レーザを含んでもよい。
【0239】
治療光源78によって発生した光は、光カプラコンポーネント80の入力に結合される。光カプラコンポーネント80の別の入力は、ラマン光源40に結合される。光カプラコンポーネント80は、上述の照射コンポーネント63と同じ特性及び/または特徴を有してもよい。特に、光カプラコンポーネント80は、入力で受光した光を、ラマンファイバ(複数可)27、特に照射ファイバ(複数可)28に結合され得る単一出力に結合するように構成される。光カプラコンポーネント80により、ラマン光源40及び/または治療光源78によって発生した光は、ラマンファイバ27に結合されることが可能になり、遠位端部18、言い換えれば標的部位に伝播することができる。
【0240】
ラマン光源40によって発生した光は、上述のように癌組織を検出するために使用され得る。ラマン分光法を使用して癌組織を分析する場合、光カプラコンポーネント80は、ラマン光源40からの光をラマンファイバ27に結合するように構成される。ラマン分光測定が終了すると、光カプラコンポーネント80は、癌組織を改質するために、例えば健康な組織から癌組織を切断するために、治療光源78からの光をラマンファイバ27に結合するように切り替えられる。
【0241】
あるいは、光カプラコンポーネント80は、ラマン源40及び治療光源78からの光をラマンファイバ27に同時に結合するように構成されてもよい。この場合、ラマン分光測定は、組織を切断しながら実行されることができる。この実施形態は、治療光源78によって発生した光の波長がラマン分光測定に影響しない場合に適用されることができる。
【0242】
本来であればラマン光源40、治療光源78及び/または照射源61に衝突する後方散乱光を抑制するように構成される光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタまたは波長依存フィルタ)が設けられてもよい。そのような後方散乱光は、光源またはレーザの機能に影響する可能性がある。
【0243】
別の実施形態では(図7及び13の実施形態を考慮して)、光カプラコンポーネント80の一方の入力は照射源61に結合され得、光カプラコンポーネント80の他方の入力は治療光源78に結合され得る。図面に示されていないこの実施形態では、光カプラコンポーネント80の出力は、少なくとも1つのカメラファイバ、特に少なくとも1つのカメラ照射ファイバ54に結合される。
【0244】
図17~19によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図13図15に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0245】
ラマン分光装置100は、治療光源78(図16の実施形態と組み合わせて説明された特性及び/または特徴を任意選択で有する)と、治療光源78に結合される少なくとも1つの治療ファイバ82とをさらに含む。
【0246】
少なくとも1つの治療ファイバ82は、治療光源78から細長い本体16を通って細長い本体16の遠位端部18まで延在する。少なくとも1つの治療ファイバ82は、細長い本体16内であるが、器具ルーメン26の外側に配置される(図18を参照)。少なくとも1つの治療ファイバ82は、複数のラマンファイバ27とカメラファイバとの間に配置され得る。複数の治療ファイバ82の場合、それらは、ラマンファイバ27及び/またはカメラファイバと同様の構成で配置されることができる。
【0247】
図18及び19からわかるように、治療ファイバ82は、器具ルーメン26の周囲にファイバのリングを形成する。ラマンファイバ27は、治療ファイバ82のリングを取り囲むファイバの別のリングを形成する。治療ファイバ82は、遠位端部18に発した光を標的部位に集束させるためのレンズまたはレンズ系を遠位端部18に含んでもよい。あるいは、図18に示されるように、治療ファイバ82は、治療ファイバ82の遠位端部18に発した光を標的部位上に集束させるための光学系を含むキャップ装置36に結合される。
【0248】
図20によるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態は、以下の違いを除いて、図1図3に示されるラマン分光プローブ10を含むラマン分光装置100の実施形態と同じ特徴及び機能を有する。
【0249】
ラマン分光装置100は、少なくともこの実施形態では、異なる強度の光を発するように構成されるラマン光源40に接続されるコントローラ84をさらに含む。特に、ラマン光源40は、図16図19の実施形態で説明された治療光源78によって発生した光の強度に対応する最大強度を有する光を発生するように構成される。
【0250】
図20の実施形態では、ラマン光源40は、治療光源78の機能をさらに提供する。ラマン分光測定を実行する場合、コントローラ84は、ラマン光源40によって発生した光の強度をラマン測定に適しているようなレベルに制御する。標的部位の組織を改質(切断)する場合、コントローラ84は、ラマン光源40によって発生した光の強度を、組織の改質を容易にするようなレベルまで高める。特に、コントローラ84は、ラマン光源40によって発生した光の強度を最大レベルまで高める。例えば、ラマン分光法のための光の出力は、25mWであり得、組織を改質するには25Wに高める可能性がある。
【0251】
図21は、治療光源78及び治療プローブ88を含む治療装置86の実施形態を示す。治療光源78は、上述のものと同じ特性を有してもよい。治療プローブ88は、上述のものと同様であり得る、細長い本体16及び少なくとも1つの治療ファイバ82を含む。
【0252】
治療ファイバ82は、細長い本体16の遠位端部18から細長い本体16の近位端部20まで延在する。治療ファイバ82は、細長い本体16の近位端部20から突出し、治療光源78に結合される。細長い本体16は、シース22を含んでもよく、このシース内に治療ファイバ82が延在する。少なくとも1つの治療ファイバ82を除くさらなるコンポーネントは、上述のものと同じ特性を有し得るシース22内に配置されなくてもよい。例えば、治療プローブ88には、治療光源78に結合されていない器具ルーメンまたは光ファイバがない。治療レンズ90を遠位端部18に設けることができる。治療レンズ90は、遠位端部18で治療ファイバ82によって発した光を標的部位上に集束させるように構成され得る。治療レンズ90は、1つ以上のレンズ、特に凸レンズを含んでもよい。
【0253】
治療装置86の治療プローブ88は、ラマン分光プローブ10の器具ルーメン26に挿入され得る。あるいは、治療装置86は、ラマン分光プローブ10の器具ルーメン26に固定されてもよい。
【0254】
図22は、細長い組立体200の側断面図を示す。細長い組立体200は、マイクロ波エネルギーを搬送するために、その近位端部で発電機(発電機64等)に接続可能である同軸フィードケーブル202を含む。同軸フィードケーブル202は、誘電材料208によって分離される内部導体204及び外部導体206を含む。同軸フィードケーブル202は、マイクロ波エネルギーに対して好ましくは低損失である。チョーク(図示せず)を同軸フィードケーブル202に設けて、遠位端部から反射されるマイクロ波エネルギーの逆伝播を抑制することで、デバイスに沿った後方の加熱を制限することができる。同軸フィードケーブル202は、同軸フィードケーブル204を保護するために外部導体206の周りに配置される可撓性外部シース210をさらに含む。外部シース210は、外部導体206をその周囲から電気的に絶縁するために絶縁材料から作製することができる。外部シース210及び外部シース22は、摩擦を低減するためにPTFEなどの非粘着材料で作られてもよく、または非粘着材料でコーティングされてもよい。
【0255】
放射先端部212は、同軸フィードケーブル202の遠位端部214に形成される。図22の破線215は、同軸フィードケーブル202と放射先端部212との間の境界面を示す。放射先端部212は、同軸フィードケーブル202によって搬送されたマイクロ波エネルギーを受信し、そのエネルギーを生体組織、例えば標的部位に送達するように配置される。同軸フィードケーブル202の外部導体206は、同軸フィードケーブル202の遠位端部214で終端する。すなわち、外部導体206は放射先端部212内まで延出しない。放射先端部212は、同軸フィードケーブル202の遠位端部を越えて延出する内部導体204の遠位部216を含む。具体的には、内部導体204の遠位部216は、外部導体206の遠位端部を越えて延在する。
【0256】
同軸フィードケーブル202の内部導体204及び放射先端部212の内部導体216は中空であり、細長い器具32を挿入することができる通路217を形成する。通路217の内径は1.8mm~2.0mmであり得る一方、細長い器具32の外径は隙間を許容するためにわずかに小さい。
【0257】
導電材料(例えば、金属)で作られた近位同調素子218(または第一同調素子)は、放射先端部212の近位端部近くの内部導体204の遠位部216に電気的に接続される。近位同調素子218は円筒形状を有し、内部導体204の遠位部216が通過するチャネル220を含む。チャネル220の直径は、内部導体204がチャネル220の内側で近位同調素子218と接触するように、内部導体204の外径と実質的に同じである。さらに、近位同調素子218は、例えば、導電性接着剤(例えば、導電性エポキシ)を使用して、またははんだ付けもしくは溶接によって、内部導体204に固定され得る。近位同調素子218は、内部導体204の中心にある。換言すれば、円筒形の近位同調素子218の中心軸は、内部導体204の長手方向軸と同一線上にある。このようにして、近位同調素子218は、内部導体204の長手方向軸に関して対称となる方法で、内部導体204の遠位部216の周囲に配置される。
【0258】
導電材料(例えば、金属)で作られた任意選択の遠位同調素子222(または第二同調素子)は、放射先端部212の遠位端部近くの内部導体204の遠位部216に電気的に接続される。したがって、遠位同調素子222は、内部導体204に沿って近位同調素子218よりも遠くに配置される。遠位同調素子222は、内部導体204の遠位部216の長さだけ近位同調素子から離隔される。近位同調素子218と同様に、遠位同調素子は円筒形状を有し、チャネル224を含む。図22に確認できるように、内部導体204の遠位部216はチャネル224の中に延在する。内部導体204の遠位部216はチャネル224の遠位端部で終端し、すなわち、それは遠位同調素子222を越えて突出しない。このようにして、内部導体204の遠位端部は、遠位同調素子222の遠位面と同一平面上に位置する。チャネル224の直径は、内部導体204がチャネル224の内側の遠位同調素子222と接触するように、内部導体204の外径と実質的に同じである。さらに、遠位同調素子222は、例えば、導電性接着剤(例えば、導電性エポキシ)を使用して、またははんだ付けもしくは溶接によって、内部導体204に固定され得る。近位同調素子218と同様に、遠位同調素子222は、内部導体204の中心に位置するように取り付けられる。
【0259】
近位同調素子218と遠位同調素子222とは両方とも同じ外径を有する。近位同調素子218及び遠位同調素子222の外径は、電気手術器具200の外径よりわずかに小さくてもよい。示される例では、遠位同調素子222は、器具の長手方向において近位同調素子218よりも長い。換言すれば、遠位同調素子222のチャネル224内の内部導体204の長さは、近位同調素子218のチャネル220内の内部導体204の長さよりも長い。例えば、遠位同調素子222は、近位同調素子218の約2倍の長さであってもよい。遠位同調素子222を近位同調素子218より長くすることによって、放射先端部212の遠位端部の周囲にマイクロ波放射を集中させることが可能である。
【0260】
誘電材料208の遠位部226は、同軸フィードケーブル202の遠位端部214を越えて放射先端部212内に延出する。誘電材料208の遠位部226は、近位同調素子218と同軸フィードケーブル202の遠位端部214との間のスペーサとして機能する。いくつかの実施形態(図示せず)では、誘電材料208は、同軸フィードケーブル202の遠位端部214で終端することができ、同軸フィードケーブル202の遠位端部214と近位同調素子218との間に別個のスペーサを設けることができる。誘電性スペーサ228は、近位同調素子218と遠位同調素子222との間の放射先端部212内に設けられる。誘電性スペーサ228は誘電材料の円筒形部分であり、それを通って延在する中央チャネルを有する。したがって、誘電性スペーサ228は、誘電材料のチューブであってもよい。内部導体204の遠位部214は、誘電性スペーサ228内にチャネルを通って延出する。誘電性スペーサ228の近位面は近位同調素子218と接触しており、誘電性スペーサ228の遠位面は遠位同調素子222と接触している。誘電性スペーサ228は、近位同調素子218及び遠位同調素子222とほぼ同じ外径を有する。
【0261】
保護シース230は放射先端部212の外側の上に設けられる。保護シース230は、誘電性スペーサ228と近位及び遠位同調素子218、222を覆って、放射先端部212の外面を形成する。保護シース230は絶縁材料で作られたチューブであり得る。保護シース230は、放射先端部212を絶縁し、それを環境から保護するのに役立ち得る。保護シース230は、組織がそれに粘着するのを防ぐために、非粘着材料(例えば、PTFE)で作られている、またはコーティングされることが可能である。保護シース230の外径は、同軸フィードケーブル202の外径と実質的に同じであるため、器具は滑らかな外面を有する。すなわち、放射先端部212は、境界面215では同軸フィードケーブル202の外面と同一平面にある外面を有する。いくつかの実施形態(図示せず)では、保護シース230は、同軸フィードケーブル202の外部シース210の延長部分であってもよい。誘電材料208の遠位部226、誘電性スペーサ228、及び保護シース230を合わせて、放射先端部212の誘電体を形成する。
【0262】
放射先端部212は、さらに、その遠位端部に位置する遠位先端部232を含み得る。遠位先端部232は、放射先端部212の標的組織への挿入を容易にするために尖っていてもよい。しかしながら、他の実施形態(図示せず)では、遠位先端部は丸いまたは平坦であり得る。遠位先端部232は、例えば誘電材料208と同じ誘電材料で作られ得る。いくつかの実施形態では、遠位先端部232の材料は、EMエネルギーを標的組織に送達する効率を改善するために、標的組織とのインピーダンス整合を改善するように選択されてもよい。遠位先端部232は、組織がそれに粘着するのを防ぐために、非粘着材料(例えば、PTFE)で作られてもよく、または覆われてもよい。
【0263】
遠位先端部232は、通路217と位置合わせされ、通路217の方向に延在する貫通孔233を含み得る。貫通孔233は、通路217と同じ内径を有する。細長い器具32は、通路217及び貫通孔233を通って細長い器具200から押し出され得る。
【0264】
以下は、電気手術器具200の寸法例である:
-境界面215から内部導体204の遠位部216の遠位端部までの距離:9.1mm;
-近位同調素子218及び遠位同調素子222の外径:2.4mm;
-近位同調素子218の長さ:0.8mm;
-遠位同調素子222の長さ:1.6mm;
-近位同調素子218と遠位同調素子222との間の間隔:5.9mm;
-近位同調素子218と境界面215との間の間隔:0.8mm;ならびに
-電気手術器具200の外径:3.0mm。
【0265】
放射先端部212は、マイクロ波エネルギーが放射先端部212に搬送されるとき、マイクロ波モノポールアンテナとして機能し得る。具体的には、マイクロ波エネルギーは内部導体202の遠位部216から放射され得、その結果、マイクロ波エネルギーは周囲の生体組織に送達できる。近位同調素子218及び遠位同調素子222は、以下に説明されるように、放射先端部212の放射線プロファイルを整形するように機能し、器具と周囲の標的組織との間のインピーダンス整合を改善する。
【0266】
通路217に挿入できる細長い器具32は、(内視鏡)手術器具、内視鏡カメラ44、または細長いラマン分光器具であり得る。内視鏡カメラ44は、上述のように構成され得る。細長いラマン分光器具は、上述のような構成及び形状を有し得る、少なくとも1つの照射ファイバ28、少なくとも1つの集光ファイバ30、細長い本体16及び/またはキャップ装置36を含んでもよい。特に、細長いラマン分光器具は、器具ルーメン26のないラマン分光プローブ10として構成され得る。
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【国際調査報告】