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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自動車照明
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20240312BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240312BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20240312BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240312BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240312BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240312BHJP
【FI】
F21V8/00 355
F21S2/00 414
F21V9/32
G02B5/20
F21V8/00 360
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548775
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2022053139
(87)【国際公開番号】W WO2022171678
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】LU102499
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523304375
【氏名又は名称】クリアビュー ヨーロップ ホールディング ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】CLEARVUE EUROPE HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】PLANTAGE KERKLAAN, 45 H 1018CV AMSTERDAM, NETHERLANDS
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェルン, タァ シプホルスト
(72)【発明者】
【氏名】ペンディアーラ, ラグー キショール
(72)【発明者】
【氏名】ワグニア, トゥーニス ジョート ルイジス
【テーマコード(参考)】
2H148
3K244
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA05
2H148AA19
2H148AA23
3K244AA05
3K244AA06
3K244BA21
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA02
3K244EA02
3K244EA16
3K244EA22
3K244EA26
3K244EA31
3K244EA34
3K244FA06
3K244HA01
(57)【要約】
本発明は、請求項1に記載の光学デバイスを提案する。光学デバイスは、第1の側方端面と第2の側方端面との間に延在する上部外表面および下部外表面を有するグレージングを備える。グレージングは、ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなる少なくとも1つの外側層からなる。グレージングは、1つ以上のフォトルミネセント領域を有するフォトルミネセント構造からなる。光学デバイスは、グレージングに励起光を入射するための光源を備え、励起光は、1つ以上のフォトルミネッセント領域を励起して、1つ以上のフォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導するのに適している。光源は、グレージングに光学的に結合され、グレージングの第1の側方端面において入射された光が、第1の側方端面から第2の側方端面までグレージングを通って伝搬するように光を入射し、グレージングは、上部外表面および下部外表面における光の全内部反射によって上部外表面と下部外表面との間に導波路を形成し、1つ以上のフォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側方端面と第2の側方端面との間に延在する上部外表面および下部外表面を有するグレージングを含み、
前記グレージングは、ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなる少なくとも1つの外層を含み、前記グレージングは、1つ以上のフォトルミネッセント領域を有するフォトルミネッセント構造を含み、
前記グレージングに励起光を入射するための光源を備え、前記励起光は、1つまたは複数の前記フォトルミネッセント領域を励起して、1つまたは複数の前記フォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導するのに適し、
前記光源は、前記グレージングに光学的に結合され、前記グレージングの前記第1の側方端面において光を入射し、前記光が前記第1の側方端面から前記第2の側方端面まで前記グレージングを通って伝搬するように誘導され、前記グレージングは前記上部外表面と前記下部外表面における前記光の全内部反射によって前記上部外表面と前記下部外表面との間に導波路を形成し、1つ以上の前記フォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導する、
光学デバイス。
【請求項2】
前記光は、前記上部外表面または前記下部外表面との入射角が80°以下、好ましくは42°から80°の範囲であり、少なくとも1つの外層は、1.48から1.60の間の屈折率を有する、
請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記入射角は、前記第1の側方端面から前記第2の側方端面まで前記グレージング全体を伝搬する間、80°以下、好ましくは42°から80°の範囲に留まる、
請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記光源は、好ましくは側方端面表面に対して、70°から80°の範囲の角度で配向される複数のLEDからなる、
請求項1または請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1の側方端面は、30°から50°の角度を有する研磨されたエッジを有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記光源は、前記グレージングに対するLEDの向きを変更し、側方入力端面に入射される前記光の向きを変更するために、向きを変更可能なアダプタに取り付けられている、
請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記光源が前記グレージングの上面または下面に配置され、光結合構造が前記第1の側方端面において光を入射するように適合され、例えば、前記光結合構造が傾斜したスライドガラスからなる、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記光源のオンとオフとを選択的に切り替えるコントローラを備え、特に、前記コントローラが、複数のLEDのうちの1つまたは複数の輝度を制御するように適合され、および/または、前記コントローラが、前記複数のLEDのうちの1つまたは複数のLEDのオンとオフとを選択的に切り替えるように適合される、
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
1つ以上の前記フォトルミネッセント領域が、1つ以上の有機色素を有する蛍光インク、および1つ以上の励起波長を有する量子ドットの少なくとも1つからなる、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記グレージングが、第1の外層、第1の内層、中央層、第2の内層および第2の外層からなる積層体からなり、前記第1の外層および前記第2の外層がガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなり、1.48から1.60の間で構成される外側屈折率を有し、前記第1の内層および前記第2の内層はポリビニルブチラール(PVB)または同等の材料、特に1,48の内屈折率を有し、前記中央層はポリエチレンテレフタレート(PET)、特に1,6の中央屈折率を有し、1つまたは複数の前記フォトルミネッセント領域が前記中央層に印刷されている、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記グレージングが、第1の外層、第1の内層、第2の任意の内層および第2の外層からなる積層体からなり、前記第1の外層および前記第2の外層が、ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなり、1,48から1,6の間で構成される屈折率を有し、前記第1の内層および前記第2の任意の内層が、ポリビニルブチラールまたは同等の材料からなるかまたはポリエチレンテレフタレートからなり、前記フォトルミネッセント領域が、前記第1の内層上に印刷される、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
ステッカーが、静電接着剤または感圧接着剤を介してガラス上の外層に設けられ、特に、前記ステッカーがポリエチレンテレフタレート製である、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記グレージングが、第1の外層、第1の内層からなる積層体からなり、前記第1の外層は、ガラス製または光学的に透明なポリマー材料製であり、1,48から1,60の間で構成される屈折率を有し、前記第1の内層はPET製であり、前記フォトルミネッセント領域が前記第1の内層の外表面に印刷されている、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記フォトルミネッセント領域は、前記ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料上に印刷されている、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の光学デバイスを備える照明パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年2月10日に出願されたルクセンブルク特許出願LU102499の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、光学デバイス、特に光る光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光とは、光や他の電磁放射線を吸収した物質が発光することである。例えば、吸収された放射線はスペクトルの紫外線領域にあるため人間の目には見えないが、放出された光は可視光線領域にあるため、蛍光物質には紫外線にさらされたときにだけ見えるはっきりとした色がつく。蛍光物質は放射源が停止するとほぼ直ちに発光を停止するが、燐光物質は停止後もしばらく発光を続ける。
【0004】
特定のルミネッセンス材料、すなわち光ルミネッセンス材料によるルミネッセンス光の放出は、電磁放射の波長、すなわちそれぞれのルミネッセンス材料に入射する光の波長に依存する。特定の波長、または特定の波長範囲の光によって励起されると、異なる画像を表す可視ルミネッセンス光を放出するルミネッセンス材料のルミネッセンス領域のパターンを構築することにより、光源によって放出される光の波長または波長を制御することによって、特定の画像に対応するそれぞれの領域を選択的に照射することで異なる画像を表示することができる。したがって、光源から放射される光の組成を適切に選択することにより、発光領域のパターンから異なる画像を表示することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0334342号明細書は、画像を作成し、この画像を光らせるための燐光層を備えるフロントガラスを教示している。米国特許出願公開第2019/0137679号明細書は、ガラスまたはポリマーの間に積層された層からなる機能層の形態の積層照明ユニットを教示している。1つまたは複数の光源が、放射がラミネート層に対して平行になるように、照明ユニットの端部に配置されている。米国特許出願公開第2009/278448号明細書は、構造的な光取り出し、光学的構造、または発光領域による光取り出しを介して、照明要素を備えた発光パネルを教示している。
【0006】
本発明の目的は、堅牢な光学デバイスを提案することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の光学デバイスを提案する。この光学デバイスは、第1の側方端面と第2の側方端面との間に延在する上部外表面および下部外表面を有するグレージングを備える。グレージングは、ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなる少なくとも1つの外側層からなる。グレージングは、1つ以上のフォトルミネセント領域を有するフォトルミネセント構造からなる。光学デバイスは、当該グレージングに励起光を入射するための光源を備え、当該励起光は、1つ以上のフォトルミネッセント領域を励起して、1つ以上のフォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導するのに適している。光源はグレージングに光学的に結合され、グレージングの第一の側方端面において入射された光が、第1の側方端面から第2の側方端面までグレージングを通って伝搬するように光を入射し、グレージングは、上部外表面と下部外表面における光の全内部反射により、上部外表面と下部外表面との間に導波路を形成し、1つ以上のフォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導する。
【0008】
言い換えれば、本発明は、周囲空気の屈折率より優れた屈折率を有するガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなる外層間の界面における回折を利用して、グレージング内への光の内部反射を引き起こすことを提案する。光はグレージング内に閉じ込められ、第一の端面から第二の端面まで伝播することができる。全内部反射により、当業者はグレージング内部で外側の表面/界面に入射した光の大部分が表面で跳ね返り、反射されることを理解する。全反射により、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の光が反射され、グレージング内に閉じ込められ、外層界面での光の回折によりグレージング内に残る。
【0009】
これにより、グレージング内に活性化光を伝播させ、グレージング内の蛍光物質を活性化させることができる。光を単に装置内に入射させる先行技術の装置とは対照的に、本教示は、界面での回折を利用するためにグレージング内部に光を入射させることを提案している。これは、光が単にグレージングの端に平行に入射されるのではなく、グレージング内部で光の回折をもたらす必要な入射角度を達成するために、光がグレージング内部で結合されることを意味する。これにより、デバイスの効率を向上させることができる。
【0010】
蛍光材料は印刷され、蛍光材料の層を作る。
【0011】
本発明は、グレージングガラスまたは合わせガラス全体を導波路として使用することを提案するものであり、これにより、光らせるために必要な染料層およびインク層により効率的に光を到達させることができる。この場合、光は染料層にほとんど到達せず、染料層は最初のガラスよりも深い層にあるためである。
【0012】
一実施形態では、光は、屈折率が1.48から1.60の間からなる少なくとも1つの外層を有する80°以下、好ましくは42°から80°の範囲内の上部外表面または下部外表面との入射角を有する。好ましくは、第1の側方端面から第2の側方端面へのグレージング全体の伝搬中、入射角は80°以下、好ましくは42°から80°の範囲に留まる。これらの入射角により、グレージングを通して第1の端面から第2の端面への光の導波が可能になる。
【0013】
光源は、複数の発光ダイオード(LED)からなり、好ましくは、側方端面表面に対して70°から80°の範囲の角度で配向される。第1の側方端面は、30°から50°の角度の研磨されたエッジを有する。光源を第1の側方端面に対して配向させ、および/または光を受ける縁を研磨することは、グレージング内部での光の導波も提供する。
【0014】
グレージングに対して平行ではなく、特定の角度でグレージングを照明することにより、グレージング内部に配置された1つ以上のフォトルミネッセント領域のフォトルミネッセンスを誘導するための、グレージング内部での光の導波性が改善される。その結果、デバイスの性能が向上する。
【0015】
一態様では、光源は、グレージングに対するLEDの向きを変更し、横方向の入力端面に入射する光の向きを変更するために、向きを変更できるアダプタに取り付けることができる。
【0016】
光は第1の側方端面の一方の縁または他方の縁に入射させることができ、光が最初にグレージングの外側または内側に向かって進むように入射させることができることに留意すべきである。
【0017】
別の態様では、光源はグレージングの上面または下面に配置され、光結合構造は第1の側方端面で光を入射するように適合され、例えば光結合構造は傾斜したスライドガラスからなる。
【0018】
光源のオン/オフを選択的に切り替えるコントローラを設けることができ、特に、コントローラは、複数のLEDのうちの1つまたは複数のLEDの輝度を制御するように適合され、および/または、コントローラは、複数のLEDのうちの1つまたは複数のLEDのオン/オフを選択的に切り替えるように適合される。
【0019】
1つ以上のフォトルミネセント領域は、1つ以上の有機色素を有する蛍光インク、および1つ以上の励起波長を有する量子ドットの少なくとも1つからなる。
【0020】
本発明は、散乱粒子ではなく、フォトルミネッセンス、最も好ましくは蛍光の使用を提案していることに留意すべきである。蛍光は簡単に制御でき、さまざまな光り輝く効果が得られる。散乱よりも蛍光の方が優れているもう一つの利点は、散乱層が光源と同じ色である場合、多色印刷が可能になることである。さらに、構造は透明なままである。
【0021】
特に、発光構造体は、内層の外面に公知の方法で印刷することができる蛍光インクのような有機色素、および/または、有機色素の隣の量子ドットであってもよい量子ドットで構成することができる。発光構造はまた、それぞれが異なる励起波長で活性化可能な複数のインクから構成されてもよい。
【0022】
一態様において、グレージングは、第1の外層、第1の内層、中央層、第2の内層および第2の外層からなる積層体からなり、第1の外層および第2の外層はガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなり、1.48から1.60の間で構成される外側の屈折率を有し、第1の内層および第2の内層はポリビニルブチラール(PVB)または同等の材料、特に1.48の内屈折率を有し、中央層はポリエチレンテレフタレート(PET)、特に1.6の中央屈折率を有し、1つまたは複数のフォトルミネセント領域が中央層に印刷されている。
【0023】
PVBに相当する他の材料としては、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アイオノマーなど、ガラスをラミネートするための材料が挙げられる。
【0024】
別の態様では、グレージングは、第1の外層、第1の内層、第2の任意の内層および第2の外層からなる積層体からなり、第1の外層および第2の外層は、ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料からなり、1.48と1.6の間で構成される屈折率を有し、第1の内側層および第2の任意の内側層は、ポリビニルブチラールまたは同等の材料からなるか、ポリエチレンテレフタレートからなり、フォトルミネセント領域は、第1の内側層上に印刷される。
【0025】
さらに別の態様では、ステッカーが静電接着剤または感圧接着剤を介してガラス上の外層に設けられ、特にステッカーがポリエチレンテレフタレート製である。
【0026】
さらに別の態様では、グレージングは、第1の外層、第1の内層からなる積層体を含み、第1の外層はガラスまたは光学的に透明なポリマー材料でできており、1.48から1.60の間で構成される屈折率を有し、第1の内層はPETでできており、フォトルミネセント領域は第1の内層の外表面に印刷されている。
【0027】
光輝性領域は、ガラスや光学的に透明なポリマー材料上に印刷することができる。ガラスまたはその他の層に直接印刷することで、単に自動車またはその他の分野だけでなく、さらなる応用のための照明も実現できる。
【0028】
したがって、本発明は、蛍光材料またはインクを印刷した合わせガラスを提供する。インクは、有機および量子ドットベースの染料を使用して、可視および不可視の両方であってもよい。
【0029】
特に、合わせガラスを一方の端面で照明して、インクの蛍光を誘発し、蛍光を利用してガラスに印刷された画像を光らせることができる。第1および第2の外側界面間で光を導波することにより、染料層がより多くの光を吸収したり、光を導く角度を利用してより均質に制御したりすることができる。
【0030】
異なる画像を表示するため、および/または同じ画像を異なる色で表示するために、異なる発光材料の領域を選択し、グループ内に配置することができることが理解されるであろう。画像という用語は、写真、アイコン、図、標識、ピクトグラムだけでなく、文字、図形、マークなどのテキストコンテンツまたはその他のタイプのグラフィック、情報、コンテンツも含む、最も一般的な形で解釈される。
【0031】
これは安価で強固な照明の可能性を提供する。
【0032】
本発明はさらに、上記のような光学デバイスからなる照明パネルを提案する。
【0033】
端面照明および導波路を利用したサインおよびファサードなど、自動車産業への応用が可能である。照明パネルとしてのウィンドウパネルは、建物または分離壁のファサード、サイン装置および船舶、飛行機または車両で使用されるスクリーンなどに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本開示の第1の実施形態による光学デバイスを示す。
図2図2は、ある入射角の例に対する図1の光学デバイス内の光路の例を示す。
図3図3は、本開示の第2の実施形態による光学デバイスを示す。
図4図4は、ある入射角の例に対する図3の光学デバイス内の光路の例を示す図である。
図5図5は、本開示の第3の実施形態による光学デバイスを示す。
図6図6は、図5の光学素子における入射角の一例に対する光路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、当業者にはその説明から明らかであるか、または特許請求の範囲および添付図面とともに以下の説明に記載された本発明を実施することによって認識されるであろう。
【0036】
図1は、本開示の第1の実施形態による光学デバイス1を示し、図2は、図1の光学デバイスにおける光路の一例を示す。
【0037】
光学デバイス1は、グレージング10に光学的に結合され、グレージング10に光を放出するように配置された光源2からなる。グレージング10は、光源2からの光によって発光が励起され得るフォトルミネッセント構造20からなる。
【0038】
光学的に結合されるという表現は、光源がグレージングに光を入射できることを意味する。光源は光学構造、例えばテープ、接着剤、光ファイバーなどを介して結合することができ、あるいは光はガラスからわずかな隙間を持って配置することができ、光源からの光はグレージングへの経路で吸収されない。例えば、光源はグレージングから約0.5mm離れた位置に配置することができる。
【0039】
以下の説明から理解されるように、本発明は、グレージング10の側方入力端面31に励起光を入射することを提案し、側方入力端面31と側方出口端面32との間に配置されたフォトルミネッセント構造20の発光を誘導するために、回折を使用して、側方入力端面31から側方出口端面32まで、グレージングを通して入射光を誘導する。
【0040】
第1の実施形態において、グレージング10は、第1の外層11、第1の内層12、中央層13、第2の内層14および第2の外層15からなる合わせガラスである。第1の外層11は、グレージングの上部外表面に対応する外表面を有する。第2の外層15はグレージングの底部外表面に対応する外表面を有する。
【0041】
第1および第2の外層はガラス製である。ガラス層には、反射防止コーティングまたは要求に応じて、断熱コーティング、遮音コーティングなどガラスよりも屈折率が高いか、または同様の屈折率を持つコーティングを施すことができる。
【0042】
第1および第2の外層は、光学的に透明なポリマー材料、例えばポリメチルメタクリレート、または他の光学的に透明なポリマーで作ることができる。
【0043】
第1および第2の内層は、ポリビニルブチラール(PVB)など、ガラスのラミネートに一般的に使用されるプラスチック材料でできている。PVBは有利なことに光の伝搬を妨げないが、引き裂きに対する抵抗力が非常に高い。ガラスとの接着性に優れているため、衝撃にも強い。エチレンビニルアセテート(EVA)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)のような他の同等の材料も使用できる。
【0044】
中心層はPET製である。
【0045】
発光構造20は、第1の内層12および第2の内層14の一方または両方の界面において、中央PET層上に配置される。
【0046】
発光構造20は、複数の発光領域から構成され得る。
【0047】
発光領域は、第1の波長の光による励起時に可視発光光を放出するように配置された発光材料からなる第1の発光領域群と、少なくとも1つのさらなる波長の光による励起時に可視発光光を放出するように配置された発光材料からなる少なくとも1つのさらなる発光領域群とからなることができる。
【0048】
発光構造は、量子ドットおよび/または蛍光インクのような有機色素から構成されてもよく、これらは内層の外面に印刷することができる。
【0049】
インクは、インクジェット印刷、スロットダイコーティングおよびスクリーン印刷の少なくとも1つによって堆積させることができる。
【0050】
インクは、アクリレート含有モノマー、蛍光染料、光開始剤および大気条件下でのインクの重合を可能にする添加剤の混合物から構成することができる。印刷可能な薄い発光層を実現するために、材料は、好ましくは、基板上に塗布された後に重合して薄膜を形成する間、流動性を有する。複数のインクを同時に印刷できるインクジェット印刷システムを使用することで、異なる色、グラデーションおよび組み合わせが可能になる。UV硬化インクを使用することで、多種多様な基材にインクを印刷することができ、インクジェット印刷プロセス中にインクを固化させることができるため、溶剤インクとは対照的に溶剤が蒸発する必要がなく、生産速度を向上させることができる。
【0051】
発光構造はまた、それぞれが異なる励起波長で活性化可能な、または異なる厚さを有する複数のインクから構成されてもよい。
【0052】
当業者は、用途に応じて、インクを可視、不可視、単色、多色から選択できることを理解している。どのような種類のパターンも考えられる。
【0053】
第1の外層11は周囲空気の屈折率より優れた第1の外層屈折率を有し、回折が起こり得るグレージングの第1の外層界面41を画定し、第2の外層15は第2の外層屈折率を有し、回折が起こり得るグレージングの第2の外層界面45を画定する。
【0054】
図1の実施形態では、各外層はガラス製で、屈折率は1.48から1.60で構成されている。内層はポリビニルブチラール(PVB)製で屈折率は1.48、中央層はポリエチレンテレフタレート(PET)製で屈折率は1.6である。
【0055】
インクは、中心層と内層の一方の界面に印刷される。
【0056】
図1の例では、外層は6mm、内層は0.76mm、中心層は0.05mmのポリエチレンテレフタレート(PET)でできている。層の厚さは非限定的な例として示した。外層(ガラスまたは光学的に透明なポリマー材料)の厚さは1mmから1.5cmの間であり、内層(PVB)の厚さは0.05mmから1mm、特に0.1mm、0.38mmまたは0.76mmであり、中央層(PET)の厚さは0.030mmから0.250mmである。
【0057】
発光構造は印刷され、5から50マイクロメートル、典型的には20マイクロメートルの厚さを持つことができる。
【0058】
発光構造はインクジェット印刷であるため、複数の層を重ね印刷することができ、所望の厚さと光吸収率に達することに留意すべきである。
【0059】
第一の実施形態では、第1の外層と第2の外層とは同じ材料でできている。これは一例であり、例えば一方の層を透明ガラス製とし、他方の層を半透明ガラス製とするなど、異なる材料を想定することも可能である。同様に、図1の例では第1および第2の外層の厚さは同じであるが、層の厚さを異ならせることも可能である。第1の外層の屈折率と第2の外層の屈折率は異なっていてもよい。
【0060】
上述した図1の光学デバイスでは、図2に見られるように、光はグレージング10の入力端面31から入射される。光学デバイス1は、グレージングに入射した光の大部分が、外気と外層との間の第1および第2の外層界面41での回折を利用してグレージング内部に留まるように設計されている。言い換えれば、光学デバイスは、グレージングの第1および第2の外層と外気との間の第1の外層界面41および第2の外層界面45での屈折特性を利用して、グレージング内に光を閉じ込めることにより、光源からグレージング内に入射された光がグレージングを通して導かれるように設計されている。
【0061】
グレージング内部の光は異なる層を伝搬し、さらに、異なる層の異なる屈折率により、各層の界面で回折を経験することに注意することが重要である。このことは、グレージングと外気との間の第1の外側41および第2の外側45の界面での入射角が、光が第1の入力端面31から第2の出口端面32へ伝播する間に、伝播中の光の様々な反射と屈折により変化することを意味する。
【0062】
外層部の光がグレージングから逃げることなくグレージング内部に閉じ込められるようにするため、外層部の界面41、45での光は、グレージング外層部内部で何度も反射した後でも、屈折により外層部内部で反射されるような角度で入射する必要がある。
【0063】
そのために、光源20は、外層が1.48から1.60の間で構成される屈折率を有するとき、入力光が42°から80°の範囲、好ましくは80°以下の入力角度で配向されるように配置される。ガラスの入射端面は、30°から50°、好ましくは40°の角度で研磨されたエッジ34を有する。このように70°から80°の角度で光を照射する光源の向きは、第1の外層11および第2の外層15の一方に光の大部分を入射させるのに役立ち、入射した光の大部分をグレージングに戻すのに適した入射角度で、グレージングを導波路にする。
【0064】
図1では、複数のLEDを有する光源は、グレージング10の横方向、入力端面31に設けられている。当業者は、光源2は、グレージングの上面/下面のような異なる位置に配置することができ、第1の端面に光を入射するように適合された光結合構造、例えば、光結合構造は傾斜したスライドガラスから構成されることを理解する。
【0065】
図2は、グレージング10内の光路、特に層間を進む光の量を示すパーセンテージと、各媒体における光の進む角度を示している。図2の光路の説明は、非限定的な例として、80°の初期入力入射角で与えられている。図2の光路は、外層が屈折率1.5のガラスでできたグレージングについて説明したものである。内層はポリビニルブチラール(PVB)製で屈折率1.48、中央層はポリエチレンテレフタレート(PET)製で屈折率1.6である。
【0066】
この例では、ガラスの外層と周囲の空気との界面での屈折により、光の80%以上がガラス内部に留まっている。
【0067】
光源2は、光が側方入力端面31から第1または第2の外層の一方、あるいは両方の層に入射するように、グレージング10に光学的に結合させることができるが、外層ではなく内層に向けて直接光を入射させることも可能であることを理解されたい。
【0068】
光源2または内層12、14からの光は、ガラス製の第1の外層11または第2の外層15内を進み、それぞれの外層のガラスと周囲空気との間の第1の外層界面41および第2の外層界面45に、表面に対して最大約80°の入射角で到達し、それぞれの外層に光を屈折させて戻す。これにより、フォトルミネッセント領域の照明効果を最大化することができる。
【0069】
光源2は、発光構造、特に蛍光インクまたは量子ドットを活性化するのに適した1つまたは複数の励起波長範囲の光を入射するように設けられている。
【0070】
特に、グレージングに注入され誘導された光は、励起波長範囲のインクまたは量子ドットに吸収され、蛍光の結果として再び発光する。インクからの放出光は好ましくは可視光であり、これによりグレージングが光る。
【0071】
光源2は、複数のLEDまたはレーザで構成され、コントローラ4によって制御され、LEDの1つまたは複数を選択的に、場合によってはその波長に応じてオン・オフすることができる。例えば、LEDの数は、必要な輝度に応じて選択することができる。
【0072】
同様に、光源を可動式アダプタ3に取り付けて、グレージングに対するLEDの向きを適合させ、入力端面31に入射する光の向きを変えることができる。
【0073】
光学デバイスは、側方出口端面32に図示されているように、アウトカップリング構造7をさらに含むことができる。この構造は、捕捉された光を抽出するためのマイクロレンズまたは任意のアウトカップリング構造から構成することができる。捕捉された光は、入射光と発光構造からの発光放射の両方で構成することができる。
【0074】
さらに、光学デバイスは、エネルギーハーベスティングが望まれないときに光を再び閉じ込めるために、反射面をさらに含むことができる。
【0075】
図3は、本開示の第2の実施形態による光学デバイス200を示す図であり、図4は、図3の光学デバイス200における光路の一例を示す図である。第2の実施形態による光学デバイス200は、主にグレージングによって第1の実施形態の光学デバイス200と異なる。
【0076】
第2の実施形態において、グレージング210は、第1の外層211、第1の内層212、第2の内層214および第2の外層215からなる積層体からなる合わせガラスである。言い換えれば、第1の実施形態のPETからなる中心層は、第2の実施形態のグレージングにはもはや存在しない。
【0077】
第1の外層211はグレージングの上部外表面に対応する外表面を有する。第2の外層215はグレージングの底部外表面に対応する外表面を有する。
【0078】
外層211、215は厚さ6mm、屈折率は1.48から1.9の間で構成され、内層212、214はPVB製である。
【0079】
この実施形態では、内層212、214は0.38mmの縮小された厚さを有するが、これは非限定的な例である。
【0080】
内層212を2層ではなく、1層だけにすることも可能である。
【0081】
発光構造220は、第1および第2の内層214、215の一方に印刷された蛍光性有機色素および/または量子ドットからなり、2つの内層214、215の間の界面にある。
【0082】
図3の上述の光学デバイスにおいて、また図4で見られるように、光はコーティング界面で光を屈折させ、ガラスの端面に向かって最大限の光を収穫するために、80°の角度でガラス内を進行しなければならない。図3の光路の説明は、外層211、215の屈折率が1.5で、PVBからなる内層212、214の屈折率が1.48のグレージングについて与えられている。
【0083】
図5は、本開示の第3の実施形態による光学デバイス310を示し、図6は、図5の光学デバイス310における光路の一例を示す。
【0084】
第3の実施形態では、図5および図6のグレージング310は、外層311、接着層313および内層312からなる積層体を形成する。
【0085】
外層311はガラス製で、屈折率は1.5である。内層312はプラスチック層で、例えばPET製である。インクは内層の外表面に印刷されている。外層11は12mmの厚さを有し、第1の内層12
【0086】
静電気や感圧接着剤のようなステッカーをグレージングに貼ることもできる。図5では、PET製の内層312がそのようなステッカーである可能性がある。この場合、PP、PEなどのポリオレフィンなどの他の屈折率材料を使用することもできる。
【0087】
本発明は、散乱粒子ではなく、蛍光の使用を提案していることに留意すべきである。蛍光は簡単に制御でき、さまざまな光り輝く効果が得られる。散乱よりも蛍光の方が優れているもう一つの利点は、散乱層がLEDと同じ色である場合、多色印刷が可能になることである。さらに、構造は透明なままである。
【0088】
特に、発光構造体は、内層の外面に公知の方法で印刷することができる蛍光インクのような有機色素、および/または、有機色素の隣の量子ドットであってもよい量子ドットで構成することができる。発光構造はまた、それぞれが異なる励起波長で活性化可能な複数のインクから構成されてもよい。
【0089】
上面と下面によって画定される第1および第2の外側界面間で光を導波することにより、色素層は、光を導く角度を利用して、より多くの光を吸収したり、より均質に制御したりすることができる。
【0090】
例えば、異なる画像を表示するため、および/または同じ画像を異なる色で表示するために、異なる発光材料の領域を選択し、グループ内に配置することができることが理解されるであろう。画像という用語は、写真、アイコン、図、標識、ピクトグラムだけでなく、文字、図形、マークなどのテキストコンテンツや、その他のタイプのグラフィック、情報、コンテンツも含む、最も一般的な形で解釈される。
【0091】
当業者は、グレージングが、自動車分野、信号分野、照明パネル、情報パネルの製造など、様々な用途に使用できることを理解している。実際、この光学デバイスは、建築物のファサードで使用される窓パネルの部品として、照明面または特定のディスプレイとして使用することができる。これにより、この光学デバイスは、端面から発光材料に向かって光を導く、照明/サイネージの両方の用途に適することになる。この光学デバイスを集光装置や太陽電池と組み合わせて、太陽エネルギーを収穫し、入射する太陽光を取り込み、1つまたは複数の光起電力太陽電池が取り付けられている端面に光子を再放出することも可能であろう。
【0092】
このようなデバイスの使用分野は、自動車、看板および建物一体型フォト・ボルタイクスなどであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】