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特表2024-512236細胞外ベシクル-NLRP3アンタゴニスト
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  • 特表-細胞外ベシクル-NLRP3アンタゴニスト 図3A
  • 特表-細胞外ベシクル-NLRP3アンタゴニスト 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】細胞外ベシクル-NLRP3アンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20240312BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240312BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240312BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240312BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20240312BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240312BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240312BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240312BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240312BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20240312BHJP
【FI】
A61K35/12
A61P25/02
A61K45/00
A61P43/00 111
A61K31/7105
A61K31/713
A61K31/7088
A61K48/00
A61K38/02
A61P29/00
A61K31/341
A61K47/42
A61K39/395 Y
A61K47/36
A61K47/54
A61K47/60
A61P3/10
A61P37/02
A61P1/16
A61P5/14
A61P9/00
A61P25/04
A61K31/7068
A61K33/24
A61K31/282
A61K31/337
A61P43/00 121
C12N5/10 ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/11 Z
C07K16/18
C12N15/115 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549581
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2022016828
(87)【国際公開番号】W WO2022178149
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,453
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522228126
【氏名又は名称】ロンザ セールス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LONZA SALES AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ, アジェイ
(72)【発明者】
【氏名】エコノミデス, キリアコス
(72)【発明者】
【氏名】カーウィン, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】リム, ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ス チュル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD53
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA19
4C084BA44
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZA20
4C084ZA36
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZB07
4C084ZB11
4C084ZC06
4C084ZC35
4C084ZC42
4C084ZC75
4C085AA25
4C085BB11
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BB02
4C086EA16
4C086EA17
4C086HA12
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA20
4C086ZA36
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZC06
4C086ZC35
4C086ZC42
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB70
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZA08
4C087ZA20
4C087ZA36
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZC06
4C087ZC35
4C087ZC42
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA08
4C206ZA20
4C206ZA36
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZB07
4C206ZB11
4C206ZC06
4C206ZC35
4C206ZC42
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクル、例えばエクソソームに関する。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。同様に本明細書において、エクソソームを産生する方法、並びに疾患又は障害、例えば末梢神経障害を処置及び/又は防止するためにエクソソームを使用する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において末梢神経障害を処置する方法であって、外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクルを前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
それを必要とする対象において末梢神経障害の1つ又は複数の症状を低減するか、改善するか、又は処置する方法であって、外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクルを前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項3】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、化学化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、又はこれらの任意の組合せである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞外ベシクルが、マクロファージ、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、単球、好塩基球、好中球、好酸球、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される細胞を標的とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ASOを含む細胞外ベシクル又は前記ASOが、前記対象においてM2マクロファージ極性化を誘導する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ASOを含む細胞外ベシクル又は前記ASOが、神経の骨髄性炎症、髄膜骨髄性炎症、神経鞘炎症、又はこれらの任意の組合せを低減させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ASOを含む細胞外ベシクルが、神経鞘の骨髄性炎症を低減させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ASOを含む細胞外ベシクルが、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ流入を低減させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ASOを含む細胞外ベシクルが、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ食作用を低減させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが小分子である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記小分子が、MCC950、トラニラスト、オリドニン、CY-09、Bay 11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、式(I):
【化1】

を含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、MCC950を含む、請求項10~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ASOが、NLRP3転写物内の核酸配列と相補的である10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記NLRP3転写物内の前記核酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%相補的である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ASOが、NLRP3タンパク質を発現するヒト細胞(例えば、免疫細胞)においてNLRP3タンパク質発現を低減させることが可能である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記NLRP3タンパク質発現が、前記ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3タンパク質発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%低減する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ASOが、NLRP3 mRNAを発現するヒト細胞(例えば、免疫細胞)におけるNLRP3 mRNAレベルを低減させることが可能である、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記NLRP3 mRNAレベルが、前記ASOに曝露されていないヒト細胞における前記NLRP3 mRNAレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%低減する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ASOが、ギャップマー、ミックスマー、又はトータルマーである、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ASOが、1つ又は複数のヌクレオシドアナログを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ヌクレオシドアナログの1つ又は複数が、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;又は二環式ヌクレオシドアナログを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ヌクレオシドアナログの1つ又は複数が、糖修飾ヌクレオシドである、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
糖修飾ヌクレオシドが、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシドである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヌクレオシドアナログの1つ又は複数が、二環糖を含むヌクレオシドを含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヌクレオシドアナログの1つ又は複数がLNAを含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ヌクレオチドアナログの1つ又は複数が、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ASOが、1つ又は複数の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む、請求項14~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記連続ヌクレオチド配列が、(i)5’非翻訳領域(UTR);(ii)コード領域;又は(iii)NLRP3転写物の3’UTR内の核酸配列と相補的である、請求項15~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記連続ヌクレオチド配列が、(i)配列番号3のヌクレオチド1~534;(ii)配列番号3のヌクレオチド448~2193;(iii)配列番号3のヌクレオチド2125~3036;(iv)配列番号3のヌクレオチド2987~3990;(v)配列番号3の3996~4456、(vi)配列番号3のヌクレオチド106~334;(vii)配列番号3のヌクレオチド648~2113;(viii)配列番号3のヌクレオチド2225~2956;(ix)配列番号3のヌクレオチド2987~3810;(x)配列番号3の3996~4376;(xi)配列番号3のヌクレオチド156~284;(xii)配列番号3のヌクレオチド698~2063;(xiii)配列番号3のヌクレオチド2275~2906;(xiv)配列番号3のヌクレオチド3037~3760;(xv)配列番号3の4046~4326;(xvi)配列番号3のヌクレオチド196~244;(xvii)配列番号3のヌクレオチド738~2003;(xviii)配列番号3のヌクレオチド2315~2866;(xix)配列番号3のヌクレオチド3077~3720;又は(xx)配列番号3の4086~4286を含む核酸配列と相補的である、請求項15~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記連続ヌクレオチド配列が、(i)配列番号3のヌクレオチド206~234;(ii)配列番号3のヌクレオチド748~2013;(iii)配列番号3のヌクレオチド2325~2856;(iv)配列番号3のヌクレオチド3087~3710;又は(v)配列番号3の4096~4276内の核酸配列と相補的である、請求項15~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記連続ヌクレオチド配列が、図1A及び1Bの配列から選択される配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、請求項15~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記連続ヌクレオチド配列が、前記NLRP3転写物内のヌクレオチド配列と完全に相補的である、請求項15~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ASOが、1つ又は2つのミスマッチを有する、配列番号101~200から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項14~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ASOが、配列番号101~200から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項14~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ASOが、14~20ヌクレオチド長である、請求項14~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記連続ヌクレオチド配列が、1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間連結を含む、請求項15~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエート連結である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ヌクレオシド間連結の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%が修飾されている、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記ASO中の前記ヌクレオシド間連結の各々が、ホスホロチオエート連結である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞外ベシクルが、アンカー部分を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記NLRP3アンタゴニストが、アンカー部分に連結されている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞外ベシクルが、外因性標的化部分を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記外因性標的化部分が、ペプチド、抗体若しくはその抗原結合断片、化学化合物、RNAアプタマー、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記外因性標的化部分がペプチドを含む、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記外因性標的化部分が、マイクロタンパク質、設計されたアンキリン反復タンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然のリガンド、ラクダ科のナノボディ、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記外因性標的化部分が、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみの抗体(VHH)、一本鎖抗体、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗体が一本鎖抗体である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記EVが、前記外因性標的化部分を前記EVに連結する足場部分を含む、請求項44~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記アンカー部分及び/又は前記足場部分が、Scaffold X又はScaffold Yである、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、EVの外部表面上のアンカー部分及び/又は足場部分に連結されている、請求項42~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、EVの内腔表面上のアンカー部分及び/又は足場部分に連結されている、請求項42~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記アンカー部分が、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はその組合せを含む、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記アンカー部分がコレステロールを含む、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記アンカー部分が、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えばビタミンD及び/又はビタミンE)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、リンカーによってアンカー部分及び/又は足場部分に連結されている、請求項42~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記外因性NLRP3アンタゴニストが、リンカーによって前記EVに連結されている、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記リンカーがポリペプチドである、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記リンカーが非ポリペプチド部分である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項61】
前記リンカーが、エチレングリコールを含む、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項62】
前記リンカーが、HEG、TEG、PEG、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記リンカーが、アクリル系ホスホロアミダイト(例えば、アクリダイト(Acrydite(商標)))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-リンカー(I-LINKER)(商標)、アミノ修飾剤(例えば、アミノ修飾剤C6、アミノ修飾剤C12、アミノ修飾剤C6 dT、又はUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、又はデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオール又はチオール修飾剤C6 S-S)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項64】
前記リンカーが切断性リンカーである、請求項57~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記リンカーが、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記リンカーが、(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む、請求項57~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記EVがエクソソームである、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記末梢神経障害が、糖尿病、外傷、自己免疫障害、腎障害、肝障害、甲状腺機能低下症、血管障害、異常なビタミンレベル、アルコールの使用、又はこれらの任意の組合せに関連している、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記末梢神経障害が、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象が、化学療法を以前に投与された、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記化学療法が、白金誘導体、ビンカアルカロイド、ボルデゾミブ、タキサン、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記化学療法が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、ビンクリスチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項70又は71に記載の方法。
【請求項73】
前記細胞外ベシクルが、うずき、疼痛、灼熱感、痺れ、暑さに敏感、寒さに敏感、細かい運動スキルが困難、及びこれらの任意の組合せから選択される、対象における1つ又は複数の症状の重症度又は発生を低減する、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年2月17日に出願された米国特許仮出願第63/150,453号の優先権の利益を主張する。
EFS-WEBを介して電子的に提出されている配列表に対する言及
【0002】
[0002]本出願において提出されている電子的に提出された配列表(名称:4000_124PC01_SEQLISTING_ST25.txt;サイズ:302,477バイト;及び作成日:2022年2月17日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本開示は、NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクル(EV)、例えばエクソソームを対象に投与することによって、それを必要とする対象において末梢神経障害を処置する方法に関する。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。本開示のある特定の態様では、細胞外ベシクルは、足場タンパク質をさらに含む。
【背景技術】
【0004】
[0004]エクソソームは、あらゆる真核細胞によって天然に産生される小さい細胞外ベシクルである。エクソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含む。薬物送達ビヒクルとして、EV、例えばエクソソームは、従来の薬物送達方法と比較して多くの治療分野において新規処置モダリティとして多くの利点を与える。特に、エクソソームは、異なる種に投与した場合であっても、本質的に低い免疫原性を有する。
【0005】
[0005]アンチセンスオリゴヌクレオチドは、in vitro又はin vivoで標的遺伝子発現を調節するための強力な手段として出現している。しかしながら、in vivoでのASOの安定性及び標的化を改善することが依然として必要である。
【0006】
[0006]したがって、新規のより有効な操作されたEV(例えばエクソソーム)、詳細には疾患(例えば、がん)に関連する遺伝子の発現を低減させることができる治療剤を送達するために使用することができるEVは、EVに基づく技術の治療的使用及び他の応用をより良好に可能にするために必要である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本開示の一部の態様は、それを必要とする対象において末梢神経障害を処置する方法であって、外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクルを対象に投与するステップを含む方法を対象とする。
【0008】
[0008]本開示の一部の態様は、それを必要とする対象において末梢神経障害の1つ又は複数の症状を低減するか、改善するか、又は処置する方法であって、外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクルを対象に投与するステップを含む方法を対象とする。
【0009】
[0009]一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、化学化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質、又はこれらの任意の組合せである。
【0010】
[0010]一部の態様では、細胞外ベシクルは、マクロファージ、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、単球、好塩基球、好中球、好酸球、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される細胞を標的とする。
【0011】
[0011]一部の態様では、ASOを含む細胞外ベシクル又はASOは、対象におけるM2マクロファージ極性化を誘導する。一部の態様では、ASOを含む細胞外ベシクル又はASOは、神経の骨髄性炎症、髄膜骨髄性炎症、神経鞘炎症、又はこれらの任意の組合せを低減させる。一部の態様では、ASOを含む細胞外ベシクルは、神経鞘の骨髄性炎症を低減させる。一部の態様では、ASOを含む細胞外ベシクルは、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ流入を低減させる。一部の態様では、ASOを含む細胞外ベシクルは、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ食作用を低減させる。
【0012】
[0012]一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは小分子である。一部の態様では、小分子は、MCC950、トラニラスト、オリドニン、CY-09、Bay11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、式(I):
【0013】
[0013]
【化1】

を含む。
【0014】
[0014]一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストはMCC950を含む。
【0015】
[0015]一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。一部の態様では、ASOは、NLRP3転写物内の核酸配列と相補的である10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、NLRP3転写物内の核酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%相補的である。
【0016】
[0016]一部の態様では、ASOは、NLRP3タンパク質を発現するヒト細胞(例えば、免疫細胞)におけるNLRP3タンパク質発現を低減させることが可能である。一部の態様では、NLRP3タンパク質発現は、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3タンパク質発現と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%低減する。一部の態様では、ASOは、NLRP3 mRNAを発現するヒト細胞(例えば、免疫細胞)におけるNLRP3 mRNAレベルを低減させることが可能である。一部の態様では、NLRP3 mRNAレベルは、ASOに曝露されていないヒト細胞におけるNLRP3 mRNAレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%低減する。
【0017】
[0017]一部の態様では、ASOは、ギャップマー、ミックスマー、又はトータルマーである。一部の態様では、ASOは、1つ又は複数のヌクレオシドアナログを含む。一部の態様では、ヌクレオシドアナログの1つ又は複数は、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;又は二環式ヌクレオシドアナログを含む。一部の態様では、ヌクレオシドアナログの1つ又は複数は、糖修飾ヌクレオシドである。一部の態様では、糖修飾ヌクレオシドは、親和性を増強する2’糖修飾ヌクレオシドである。一部の態様では、ヌクレオシドアナログの1つ又は複数は、二環糖を含むヌクレオシドを含む。一部の態様では、ヌクレオシドアナログの1つ又は複数はLNAを含む。一部の態様では、ヌクレオチドアナログの1つ又は複数は、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の態様では、ASOは、1つ又は複数の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0018】
[0018]一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、(i)5’非翻訳領域(UTR);(ii)コード領域;又は(iii)NLRP3転写物の3’UTR内の核酸配列と相補的である。一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド1~534;(ii)配列番号3のヌクレオチド448~2193;(iii)配列番号3のヌクレオチド2125~3036;(iv)配列番号3のヌクレオチド2987~3990;(v)配列番号3の3996~4456、(vi)配列番号3のヌクレオチド106~334;(vii)配列番号3のヌクレオチド648~2113;(viii)配列番号3のヌクレオチド2225~2956;(ix)配列番号3のヌクレオチド2987~3810;(x)配列番号3の3996~4376;(xi)配列番号3のヌクレオチド156~284;(xii)配列番号3のヌクレオチド698~2063;(xiii)配列番号3のヌクレオチド2275~2906;(xiv)配列番号3のヌクレオチド3037~3760;(xv)配列番号3の4046~4326;(xvi)配列番号3のヌクレオチド196~244;(xvii)配列番号3のヌクレオチド738~2003;(xviii)配列番号3のヌクレオチド2315~2866;(xix)配列番号3のヌクレオチド3077~3720;又は(xx)配列番号3の4086~4286を含む核酸配列と相補的である。
【0019】
[0019]一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド206~234;(ii)配列番号3のヌクレオチド748~2013;(iii)配列番号3のヌクレオチド2325~2856;(iv)配列番号3のヌクレオチド3087~3710;又は(v)配列番号3の4096~4276内の核酸配列と相補的である。
【0020】
[0020]一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、図1A及び1Bの配列から選択される配列と相補的なヌクレオチド配列を含む。一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、NLRP3転写物内のヌクレオチド配列と完全に相補的である。一部の態様では、ASOは、1つ又は2つのミスマッチを有する、配列番号101~200から選択されるヌクレオチド配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号101~200から選択されるヌクレオチド配列を含む。一部の態様では、ASOは、14~20ヌクレオチド長である。
【0021】
[0021]一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間連結を含む。一部の態様では、1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。一部の態様では、ヌクレオシド間連結の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%が修飾されている。一部の態様では、ASO中のヌクレオシド間連結の各々は、ホスホロチオエート連結である。
【0022】
[0022]一部の態様では、細胞外ベシクルは、アンカー部分を含む。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、アンカー部分に連結されている。
【0023】
[0023]一部の態様では、細胞外ベシクルは、外因性標的化部分を含む。一部の態様では、外因性標的化部分は、ペプチド、抗体若しくはその抗原結合断片、化学化合物、RNAアプタマー、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、外因性標的化部分はペプチドを含む。
【0024】
[0024]一部の態様では、外因性標的化部分は、マイクロタンパク質、設計されたアンキリン反復タンパク質(ダーピン(darpin))、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然のリガンド、ラクダ科のナノボディ、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、外因性標的化部分は、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみの抗体(VHH)、一本鎖抗体、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、抗体は一本鎖抗体である。
【0025】
[0025]一部の態様では、外因性標的化部分は、エクソソームを肝臓、心臓、肺、脳、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、関節、皮膚、腸、膀胱、膵臓、リンパ節、脾臓、血液、骨髄、又はこれらの任意の組合せに標的化する。
【0026】
[0026]一部の態様では、EVは、外因性標的化部分をEVに連結する足場部分を含む。一部の態様では、アンカー部分及び/又は足場部分は、Scaffold X又はScaffold Yである。一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、EVの外部表面上のアンカー部分及び/又は足場部分に連結されている。一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、EVの内腔表面上のアンカー部分及び/又は足場部分に連結されている。一部の態様では、アンカー部分は、ステロール、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はその組合せを含む。一部の態様では、アンカー部分はコレステロールを含む。一部の態様では、アンカー部分は、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、ビタミン(例えば、ビタミンD及び/又はビタミンE)、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0027】
[0027]一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、リンカーによってアンカー部分及び/又は足場部分に連結されている。一部の態様では、外因性NLRP3アンタゴニストは、リンカーによってEVに連結されている。一部の態様では、リンカーはポリペプチドである。一部の態様では、リンカーは非ポリペプチド部分である。一部の態様では、リンカーは、エチレングリコールを含む。一部の態様では、リンカーは、HEG、TEG、PEG、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、リンカーは、アクリル系ホスホロアミダイト(例えば、アクリダイト(Acrydite(商標)))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-リンカー(I-LINKER)(商標)、アミノ修飾剤(例えば、アミノ修飾剤C6、アミノ修飾剤C12、アミノ修飾剤C6 dT、又はユニリンク(Uni-Link)(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、又はデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオール又はチオール修飾剤C6 S-S)、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0028】
[0028]一部の態様では、リンカーは切断性リンカーである。一部の態様では、リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。一部の態様では、リンカーは、(i)マレイミド部分及び(ii)バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0029】
[0029]一部の態様では、EVはエクソソームである。
【0030】
[0030]一部の態様では、末梢神経障害は、糖尿病、外傷、自己免疫障害、腎障害、肝障害、甲状腺機能低下症、血管障害、異常なビタミンレベル、アルコールの使用、又はこれらの任意の組合せに関連している。一部の態様では、末梢神経障害は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を含む。
【0031】
[0031]一部の態様では、対象は、化学療法を以前に投与された。一部の態様では、化学療法は、白金誘導体、ビンカアルカロイド、ボルデゾミブ、タキサン、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、化学療法は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、ビンクリスチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0032】
[0032]一部の態様では、細胞外ベシクルは、うずき、疼痛、灼熱感、痺れ、暑さに敏感、寒さに敏感、細かい運動スキルが困難、及びこれらの任意の組合せから選択される、対象における1つ又は複数の症状の重症度又は発生を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】NLPR3転写物を標的とする様々なASO配列を記載する表である。表は、以下の情報(左から右に):(i)説明、(ii)いかなる特定の設計又は化学構造も含まないASO配列、(iii)ASO配列のみに関して指定された配列番号、(iv)ヌクレオチド(NT)の数でのASOの長さ、(ii)NLPR3転写物配列(配列番号3)における標的の開始及び終止位置を含む。ASOは、5’から3’である。化学構造における記号は以下の通りである:NbはLNAを意味する;dNはDNAを意味する;5MdCは5-メチル-dCを意味する;NmはMOEを意味する;及びsはホスホロチオエートを意味する。
図1B】NLPR3転写物を標的とする様々なASO配列を記載する表である。表は、以下の情報(左から右に):(i)説明、(ii)いかなる特定の設計又は化学構造も含まないASO配列、(iii)ASO配列のみに関して指定された配列番号、(iv)ヌクレオチド(NT)の数でのASOの長さ、(ii)NLPR3転写物配列(配列番号3)における標的の開始及び終止位置を含む。ASOは、5’から3’である。化学構造における記号は以下の通りである:NbはLNAを意味する;dNはDNAを意味する;5MdCは5-メチル-dCを意味する;NmはMOEを意味する;及びsはホスホロチオエートを意味する。
図1C】NLPR3転写物を標的とする様々なASO配列を記載する表である。表は、以下の情報(左から右に):(i)説明、(ii)いかなる特定の設計又は化学構造も含まないASO配列、(iii)ASO配列のみに関して指定された配列番号、(iv)ヌクレオチド(NT)の数でのASOの長さ、(ii)NLPR3転写物配列(配列番号3)における標的の開始及び終止位置を含む。ASOは、5’から3’である。化学構造における記号は以下の通りである:NbはLNAを意味する;dNはDNAを意味する;5MdCは5-メチル-dCを意味する;NmはMOEを意味する;及びsはホスホロチオエートを意味する。
図2】エクソソームを髄腔内に注射したマウスの画像であり、標識されたエクソソームのCNS全体の分布を示す。
図3A】陰性対照(偽処置;シスプラチンなし);シスプラチン及びPBS;シスプラチン及びMCC950(15~20日目);シスプラチン及び対照エクソソーム(ASOなし;15日目);シスプラチン及びASONLRP3(遊離のASO;15日目);シスプラチン及びexoASONLRP3(5日目);シスプラチン及びexoASONLRP3(15日目);又はシスプラチン及びガバペンチン(8日目及び21日目)を投与したマウスにおける、Von Frey試験を使用して測定した場合の疼痛を例証するグラフ表示である。図3Aは、経時的な測定としての疼痛レベルを示す。
図3B】陰性対照(偽処置;シスプラチンなし);シスプラチン及びPBS;シスプラチン及びMCC950(15~20日目);シスプラチン及び対照エクソソーム(ASOなし;15日目);シスプラチン及びASONLRP3(遊離のASO;15日目);シスプラチン及びexoASONLRP3(5日目);シスプラチン及びexoASONLRP3(15日目);又はシスプラチン及びガバペンチン(8日目及び21日目)を投与したマウスにおける、Von Frey試験を使用して測定した場合の疼痛を例証するグラフ表示である。図3Bは、21日目での各群の疼痛レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0036]本開示の一部の態様は、それを必要とする対象において末梢神経障害を処置する方法であって、NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクル(EV)、例えばエクソソームを対象に投与するステップを含む方法を対象とする。本開示の一部の態様は、それを必要とする対象において末梢神経障害の1つ又は複数の症状を低減するか、改善するか、又は処置する方法であって、外因性NLRP3アンタゴニストを含む細胞外ベシクルを対象に投与するステップを含む方法を対象とする。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。一部の態様では、ASOは、NLRP3転写物内の核酸配列と相補的である10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0035】
I.定義
[0037]本説明をより容易に理解することができるように、ある特定の用語を最初に定義する。追加の定義は、詳細な説明を通して記載されている。
【0036】
[0038]「1つの」又は「1つの(an)」は、その実体の1つ又は複数を指し、例えば「1つのヌクレオチド配列」は、1つ又は複数のヌクレオチド配列を表すと理解される。そのため、「1つの(又は1つの(an))、「1つ又は複数」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0037】
[0039]さらに、「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、他方があってもなくても2つの指定された特色又は構成要素の各々の具体的開示であると解釈すべきである。このように、本明細書において「A及び/又はB」などの語句で使用される場合の「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むと意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される場合の「及び/又は」という用語は、以下の態様:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)の各々を包含すると意図される。
【0038】
[0040]態様が、本明細書において「含む」という用語と共に説明されている場合は常に、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語に関連して説明されるそれ以外の類似の態様も同様に提供されると理解される。
【0039】
[0041]特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、Juo,Pei-Show、第2版,2002年,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology、第3版,1999年、Academic Press;及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,改訂版,2000年、Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する。
【0040】
[0042]単位、接頭辞、及び記号は、国際単位系(SI)に承認された形式で示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。特に示していない限り、ヌクレオチド配列は、左から右に5’から3’方向に書かれている。アミノ酸配列は左から右にアミノからカルボキシ方向に書かれている。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、それらは全体として本明細書を参照することができる。したがって、直後に定義される用語は、その全体が本明細書を参照することによってより十分に定義される。
【0041】
[0043]「約」という用語は、本明細書において、およそ、ほぼ、おおよそ、又はその領域を意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用される場合、これは、記載される数値範囲より上及び下に境界を伸長させることによってその範囲を修飾する。一般的に、「約」という用語は、数値を、記載される値より上及び下に例えば10パーセント上又は下(より高い又はより低い)の変動によって修飾することができる。例えば、「ASOは、ASOの投与後の細胞におけるNLRP3タンパク質の発現を少なくとも約60%低減させる」と記載されている場合、NLRP3レベルは、50%~70%の範囲で低減することを暗示している。
【0042】
[0044]「末梢神経障害」という用語は、本明細書で使用される場合、脳及び脊髄への並びに脳及び脊髄からのメッセージを、体の残りから及び体の残りへと伝える神経の損傷、炎症、傷害、又は疾患によって特徴付けられる疾患又は状態を指す。ある特定の態様では、末梢神経障害は、末梢神経の炎症又は末梢神経周囲の炎症を含む。一部の態様では、末梢神経障害は、糖尿病、外傷、自己免疫障害、腎障害、肝障害、甲状腺機能低下症、血管障害、異常なビタミンレベル、アルコールの使用、又はこれらの任意の組合せに関連している。一部の態様では、末梢神経障害は、化学療法誘発性末梢神経障害である。
【0043】
[0045]「化学療法誘発性末梢神経障害」又は「CIPN」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の化学療法を投与された対象に生じる神経障害を指す。CIPNは、抗新生物剤によって引き起こされる最も一般的な副作用の1つであり、化学療法を投与された患者の19%~85%より多くに起こる。CIPNの最も高い発生率は、白金に基づく薬物(70%~100%)、タキサン(11%~87%)、サリドマイド及びそのアナログ(20%~60%)、並びにイキサベピロン(60%~65%)を投与された患者である。CIPNは、様々な強度及び持続時間を呈し、症状は、急性、一過性の熱感から、慢性疼痛及び非可逆的神経損傷を伴う末梢神経の永続的な変化までの範囲であり得る。CIPNは、主に知覚神経障害であり、これは運動神経及び自律神経の変化を伴い得る。疼痛及び知覚異常は、化学療法の停止後数カ月又は数年持続し、一部の患者は、がんが消失したにもかかわらず、前回のがんの処置によって誘発される衰弱性の神経障害を有し得る。症状は通常、足及び手に最初に存在し、一般的に四肢の最も遠位部分が最も大きい欠陥を示す典型的な「手袋靴下型」神経障害として存在する。CIPNの症状としては、これらに限定されないが、痺れ、うずき、触覚の変化、感触の障害、感覚異常、触れること及び高温又は低温によって誘導される異常感覚、痛みを伴う知覚(自然発生の灼熱感、銃撃又は電気ショック様の疼痛を含む)、機械的又は熱による異痛症及び痛覚過敏、並びに知覚喪失(重度の症例)が挙げられる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるZajaczkowskaら,Int.J.Mol.Sci.20(6):1451(March 2019)を参照されたい。
【0044】
[0046]「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(ASO)という用語は、ヌクレオチド間連結を通して互いに共有結合により連結されているヌクレオシド、例えば天然に存在するヌクレオシド又はその修飾型のオリゴマー又はポリマーを指す。本開示にとって有用なASOは、少なくとも1つの天然に存在しないヌクレオシドを含む。ASOは、ASOが標的核酸配列にハイブリダイズするように、標的核酸と少なくとも部分的に相補的である。
【0045】
[0047]「核酸」又は「ヌクレオチド」という用語は、複数の核酸を含むと意図される。一部の態様では、「核酸」又は「ヌクレオチド」という用語は、in vivo又はin vitroでの標的配列、例えばpre-mRNA、mRNA、又はDNAを指す。用語が、標的配列中の核酸又はヌクレオチドを指す場合、核酸又はヌクレオチドは、細胞内の天然に存在する配列であり得る。他の態様では、「核酸」又は「ヌクレオチド」は、本開示のASO中の配列を指す。用語が、ASO中の配列を指す場合、核酸又はヌクレオチドは、天然に存在しない、すなわち化学合成された、酵素により産生された、組換えにより産生された、又はその組合せであり得る。一部の態様では、ASO中の核酸又はヌクレオチドは、合成又は組換えにより産生され、天然に存在する配列又はその断片ではない。一部の態様では、ASO中の核酸又はヌクレオチドは、本質的に天然に存在しない少なくとも1つのヌクレオシドアナログを含有することから、天然に存在しない。
【0046】
[0048]「ヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、糖部分、塩基部分、及び共有結合により連結された基(連結基)、例えばリン酸塩又はホスホロチオエートヌクレオチド間連結基を含むグリコシドを指し、天然に存在するヌクレオチド、例えばDNA又はRNA、及び本明細書において「ヌクレオチドアナログ」とも呼ばれる修飾された糖及び/又は塩基部分を含む天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む。本明細書において、単一のヌクレオチドは、モノマー又は単位と呼ばれ得る。ある特定の態様では、「ヌクレオチドアナログ」という用語は、修飾された糖部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された糖部分を有するヌクレオチド(例えば、LNA)の非限定的な例は、本明細書の他所で開示されている。他の態様では、「ヌクレオチドアナログ」という用語は、修飾された核酸塩基部分を有するヌクレオチドを指す。修飾された核酸塩基部分を有するヌクレオチドとしては、これらに限定されないが、5-メチル-シトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンが挙げられる。一部の態様では、「ヌクレオチド」、「単位」、及び「モノマー」という用語は互換的に使用される。ヌクレオチド又はモノマーの配列に言及する場合、言及されているのは、A、T、G、C、又はU、及びそのアナログなどの塩基の配列であることが認識される。
【0047】
[0049]「ヌクレオシド」という用語は、本明細書で使用される場合、糖部分及び塩基部分を含むグリコシドを指すために使用され、したがってASOのヌクレオチド間のヌクレオチド間連結によって共有結合により連結されたヌクレオチド単位について言及する場合に使用することができる。生物工学の分野では、「ヌクレオチド」という用語はしばしば、核酸のモノマー又は単位を指すために使用される。ASOの文脈では、「ヌクレオチド」という用語は、塩基のみ、すなわち糖骨格及びヌクレオチド間連結の存在が暗示される、シトシン(DNA及びRNA)、グアニン(DNA及びRNA)、アデニン(DNA及びRNA)、チミン(DNA)及びウラシル(RNA)を含む核酸塩基配列を指し得る。同様に、詳細には1つ又は複数のヌクレオチド間連結基が修飾されているオリゴヌクレオチドの場合、「ヌクレオチド」という用語は、「ヌクレオシド」を指し得る。例えば、「ヌクレオチド」という用語は、たとえヌクレオシド間の連結の存在又は性質を指定している場合であっても使用することができる。
【0048】
[0050]「ヌクレオチド長」という用語は、本明細書で使用される場合、所定の配列中のヌクレオチド(モノマー)の総数を意味する。例えば、ASO-NLRP3-206の配列(配列番号101)は、20個のヌクレオチドを有し;このように、配列のヌクレオチド長は20である。したがって、「ヌクレオチド長」という用語は、本明細書において「ヌクレオチド数」と互換的に使用される。
【0049】
[0051]当業者は、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドが、5’ヌクレオチド間連結基を含まないが、5’末端基を含み得ることを認識するであろう。
【0050】
[0052]本明細書に記載される化合物は、いくつかの不斉中心を含有することができ、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えばラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性ラセミ体、又はジアステレオ異性ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。一部の態様では、不斉中心は、不斉炭素原子であり得る。「不斉炭素原子」という用語は、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。カーン・インゴールド・プレローグ則に従って、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置であり得る。
【0051】
[0053]本明細書で使用される場合、「二環糖」という用語は、4~7員環の2つの原子を接続する架橋を含み、第2の環を形成して二環式構造をもたらす4~7員環を含む修飾された糖部分を指す。一部の態様では、架橋は、LNAヌクレオシドにおいて観察されるように、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを接続する(すなわち、2’-4’架橋)。
【0052】
[0054]本明細書で使用される場合、「コード領域」又は「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGA、又はTAA)は、典型的にアミノ酸に翻訳されないが、これはコード領域の一部であると考えることができるが、任意の隣接配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)、及びその他は、コード領域の一部ではない。コード領域の境界は典型的に、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドン、及び得られるポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンによって決定される。
【0053】
[0055]「非コード領域」という用語は、本明細書で使用される場合、コード領域ではないヌクレオチド配列を意味する。非コード領域の例としては、これらに限定されないが、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、非翻訳領域(「UTR」)、非コードエクソン、及びその他が挙げられる。エクソンの一部は、各転写物の5’非翻訳領域(5’UTR)又は3’非翻訳領域(3’UTR)の全体又は一部であり得る。非翻訳領域は、転写物を効率的に翻訳するために、並びに転写物の翻訳速度及び半減期を制御するために重要である。
【0054】
[0056]「領域」という用語は、ヌクレオチド配列の文脈で使用される場合、その配列の区分を指す。例えば、「ヌクレオチド配列内の領域」又は「ヌクレオチド配列の相補体内の領域」という語句はそれぞれ、特定のヌクレオチド配列内又はヌクレオチド配列の相補体内に位置する、ヌクレオチド配列より短いが少なくとも10ヌクレオチドより長い配列を指す。「部分-配列」又は「部分配列」という用語もまた、ヌクレオチド配列の領域を指し得る。
【0055】
[0057]「下流」という用語は、ヌクレオチド配列を参照する場合、ある核酸又はヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列に対して3’に位置することを意味する。ある特定の態様では、下流のヌクレオチド配列は、転写の開始点の後に続く配列に関連する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写物の開始部位の下流に位置する。
【0056】
[0058]「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列に対して5’に位置するヌクレオチド配列を指す。
【0057】
[0059]本明細書で使用される場合、「調節領域」という用語は、コード領域の上流(5’非コード配列)、コード領域内、又は下流(3’非コード配列)に位置し、関連するコード領域の転写、RNAプロセシング、安定性、又は翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節領域は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、UTR、及びステムループ構造を含み得る。コード領域が、真核細胞における発現に関して意図される場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終止配列は通常、コード配列の3’に位置する。
【0058】
[0060]「転写物」という用語は、本明細書で使用される場合、DNAの転写によって合成され、プロセシング後にメッセンジャーRNA(mRNA)、すなわち、前駆体メッセンジャーRNA(pre-mRNA)となる一次転写物、及びプロセシングされたmRNAそのものを指し得る。「転写物」という用語は、「pre-mRNA」及び「mRNA」と互換的に使用することができる。DNA鎖が一次転写物に転写された後、新たに合成された一次転写物は、いくつかの方法で修飾されて、成熟した機能的形態へと変換され、異なるタンパク質、並びにRNA、例えばmRNA、tRNA、rRNA、lncRNA、miRNA及びその他を産生する。このように、「転写物」という用語は、エクソン、イントロン、5’UTR、及び3’UTRを含み得る。
【0059】
[0061]「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えばRNA又はポリペプチドを産生するプロセスを指す。発現は、限定されないが、ポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)への転写及びmRNAのポリペプチドへの翻訳を含む。発現は「遺伝子産物」を産生する。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば遺伝子の転写によって産生されたメッセンジャーRNA、又は転写物から翻訳されたポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載される遺伝子産物は、転写後修飾、例えばポリアデニル化若しくはスプライシングを有する核酸、又は翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、若しくはタンパク質切断を有するポリペプチドをさらに含む。
【0060】
[0062]2つ又はそれより多くの核酸の文脈における「同一」又はパーセント「同一性」という用語は、配列同一性の一部としていかなる保存的アミノ酸置換も考慮することなく、最大に一致するように比較及び整列(必要に応じて、ギャップを導入して)させた場合に、同じであるか、又は同じであるヌクレオチド若しくはアミノ酸残基の指定されたパーセンテージを有する2つ又はそれより多くの配列を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェア若しくはアルゴリズムを使用して、又は目視での検分によって測定することができる。様々なアルゴリズム及びソフトウェアが当技術分野で公知であり、それらを使用してアミノ酸又はヌクレオチド配列のアライメントを得ることができる。
【0061】
[0063]配列アライメントアルゴリズムの1つのそのような非限定的な例は、Karlinら,1990年,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264-2268に記載され、Karlinら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873-5877において改変され、並びにNBLAST及びXBLASTプログラム(Altschulら,1991,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402)に組み込まれているアルゴリズムである。ある特定の態様では、Gapped BLASTを、Altschulら,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載されているように使用することができる。BLAST-2、WU-BLAST-2(Altschulら,1996,Methods in Enzymology,266:460-480)、ALIGN、ALIGN-2(Genentech、South San Francisco、California)、又はMegalign(DNASTAR)は、配列を整列させるために使用することができる追加の公開されているソフトウェアプログラムである。ある特定の態様では、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを使用して決定される(例えば、NWSgapdna.CMP行列及びギャップ重み40、50、60、70、又は90、及び長さ重み1、2、3、4、5、又は6を使用して)。ある特定の代替の態様では、Needleman and Wunsch(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))のアルゴリズムを組み込むGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを使用して、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を決定することができる(例えば、BLOSUM62行列又はPAM250行列のいずれか、及びギャップ重み16、14、12、10、8、6、又は4、及び長さ重み1、2、3、4、5を使用して)。或いは、ある特定の態様では、ヌクレオチド又はアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Myers and Miller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズムを使用して決定される。例えば、パーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用して、及びPAM120残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用して決定することができる。当業者は、特定のアライメントソフトウェアによる最大のアライメントのための適切なパラメーターを決定することができる。ある特定の態様では、アライメントソフトウェアのデフォルトパラメーターを使用する。
【0062】
[0064]ある特定の態様では、第1のヌクレオチド配列の第2のヌクレオチド配列に対するパーセンテージ同一性「X」は、100×(Y/Z)として計算され、式中Yは、第1及び第2の配列のアライメント(目視による検分又は特定の配列アライメントプログラムによって整列させた)における同一のマッチとしてスコアを付けられたアミノ酸残基の数であり、及びZは、第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列より長い場合、第1の配列の第2の配列に対するパーセント同一性は、第2の配列の第1の配列に対するパーセント同一性より高いであろう。
【0063】
[0065]ポリヌクレオチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチド標的配列内の異なる領域は、各々がその自身のパーセント配列同一性を有し得る。パーセント配列同一性の値は、小数第2位で四捨五入されることに注意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は80.1に切り捨てられるが、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。同様に、長さの値は常に整数であることにも注意されたい。
【0064】
[0066]本明細書で使用される場合、「相同な」及び「相同性」という用語は、「同一性」及び「同一な」という用語と互換的である。
【0065】
[0067]「天然に存在するそのバリアント」という用語は、哺乳動物、例えばマウス、サル、及びヒトなどの定義された分類群に天然に存在するNLRP3ポリペプチド配列又はNLRP3核酸配列(例えば、転写物)のバリアントを指す。典型的に、ポリヌクレオチドの「天然に存在するバリアント」に言及する場合、用語はまた、染色体の転座又は重複により、染色体の位置1q44の247、416、156~247、449、108で見出されるNLRP3コードゲノムDNAの任意の対立遺伝子バリアント(すなわち、GenBank受託番号NC_000001.11のヌクレオチド247、416、156~247、449、108)、及びそれに由来するmRNAなどのRNAを含み得る。「天然に存在するバリアント」はまた、NLRP3 mRNAの選択的スプライシングに由来するバリアントも含み得る。特定のポリペプチド配列に言及する場合、例えば用語は、タンパク質の天然に存在する形態も含み、したがってこれらを例えば、翻訳と同時の又は翻訳後修飾によって、例えばシグナルペプチド切断、タンパク質切断、グリコシル化等によって処理することができる。
【0066】
[0068]本開示のASOと、本明細書に記載されるものなどの哺乳動物NLRP3(例えば、NLRP3遺伝子)をコードする核酸の標的領域との間の「相補性」の程度を決定する場合、「相補性」(同様に、「相同性」又は「同一性」)の程度は、最善に整列させた場合のASO(又はその領域)の配列と標的領域(又は標的領域の逆相補体)の配列との間のパーセンテージ同一性(又はパーセンテージ相同性)として表記される。パーセンテージは、2つの配列間で同一である整列させた塩基の数を計数するステップ、ASOにおける連続するモノマーの総数で除算するステップ、及び100を乗算するステップによって計算される。そのような比較において、ギャップが存在する場合、そのようなギャップは、ギャップ内のモノマーの数が本開示のASOと標的領域との間で異なる領域ではなくて単なるミスマッチであることが好ましい。
【0067】
[0069]「相補体」という用語は、本明細書で使用される場合、参照配列と相補的である配列を示す。相補性は、2つのDNA又はRNA配列を互いに逆方向となるように整列させた場合に、配列における各位置のヌクレオチド塩基が、鏡を見るように、及び物事の逆を見るように相補的であるように、2つのDNA又はRNA配列間で共有される特性であることから、DNA複製及び転写の塩基本原理であることは周知である。したがって、例えば5’“ATGC”3’の配列の相補体は、3’“TACG”5’又は5’“GCAT”3’と書くことができる。「逆相補体」、「逆相補的」、及び「逆相補性」という用語は、本明細書で使用される場合、「相補体」、「相補的」、及び「相補性」という用語と互換的である。一部の態様では、「相補的な」という用語は、NLRP3転写物内の連続核酸配列と100%の一致又は相補性(すなわち、完全に相補的)を指す。一部の態様では、「相補的」という用語は、NLRP3転写物の連続核酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の一致又は相補性を指す。
【0068】
[0070]「対応している」及び「対応する」という用語は、2つの個別の核酸又はヌクレオチド配列を参照する場合、相同性及び/又は機能性に基づいて互いに対応するか又は類似である配列の領域を明らかにするために使用することができるが、特定の配列のヌクレオチドは、異なるように番号を付けることができる。例えば、遺伝子転写物の異なるアイソフォームは、そのナンバリングが選択的スプライシング及び/又は他の修飾に基づいてそれぞれのアイソフォームにおいて異なり得る、ヌクレオチド配列の類似の又は保存された部分を有し得る。加えて、核酸又はヌクレオチド配列を特徴付ける場合に、異なるナンバリングシステムを使用することができると認識される(例えば、遺伝子転写物及び翻訳開始コドンから配列のナンバリングを開始するか又は5’UTRを含めるか否か)。さらに、遺伝子又は遺伝子転写物の異なるバリアントの核酸又はヌクレオチド配列は異なり得ることが認識される。しかしながら、本明細書で使用される場合、核酸又はヌクレオチド配列相同性及び/又は機能性を共有するバリアントの領域は、互いに「対応する」と考えられる。例えば、配列番号1(「参照配列」)のヌクレオチドX~Y(ここで、Xは開始部位であり、Yは終止部位である(図1に示すように))に対応するNLRP3転写物のヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチドX~Yと同一の配列又は類似の配列を有するNLRP3転写物配列(例えば、NLRP3 pre-mRNA又はmRNA)を指す。当業者は、NLRP3転写物配列を配列番号1と整列させることによって、NLRP3転写物配列中の対応するX及びY残基を同定することができる。
【0069】
[0071]「対応するヌクレオチドアナログ」及び「対応するヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドアナログ及び天然に存在するヌクレオチド中の核酸塩基が同じ塩基対形成能力、又はハイブリダイズ能力を有することを示すと意図される。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボース単位がアデニンに連結されている場合、「対応するヌクレオチドアナログ」は、アデニンに連結された五炭糖単位(2-デオキシリボースとは異なる)を含有する。
【0070】
[0072]ASO化学の注釈は以下の通りである:ベータ-D-オキシLNAヌクレオチドは、オキシBと指定され、式中、Bは、チミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(MC)、アデニン(A)又はグアニン(G)などのヌクレオチド塩基を指定し、このようにオキシA、オキシT、オキシMC、オキシC及びオキシGを含む。DNAヌクレオチドは、DNAbによって指定され、式中、小文字のbは、チミン(T)、ウリジン(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン(Mc)、アデニン(A)、又はグアニン(G)などのヌクレオチド塩基を指定し、このようにDNAa、DNAt、DNA及びDNAgを含む。C又はcの前の文字Mは、5-メチルシトシンを示す。文字「s」は、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を示す。
【0071】
[0073]「ASO数」又は「ASO No.」という用語は、本明細書で使用される場合、構成要素の詳細な化学構造を有するヌクレオチド配列、例えば、ヌクレオシド(例えば、DNA)、ヌクレオシドアナログ(例えば、ベータ-D-オキシ-LNA)、核酸塩基(例えば、A、T、G、C、U、又はMC)、及び骨格構造(例えば、ホスホロチオエート又はホスホロジエステル)に与えられる独自の番号を指す。例えば、ASO-NLRP3-206は、NLRP3-206(配列番号101)を指し得る。
【0072】
[0074]「効力」は、通常、特に示していなければ、IC50又はEC50値として、μM、nM、又はpMで表記される。効力はまた、パーセント阻害に関しても表記され得る。IC50は、治療分子の阻害濃度の中央値である。EC50は、ビヒクル又は対照(例えば、食塩水)と比較した治療分子の有効濃度の中央値である。機能的アッセイでは、IC50は、生物応答、例えばmRNAの転写又はタンパク質発現を、治療分子によって達成される生物応答の50%低減させる治療分子の濃度である。機能的アッセイでは、EC50は、生物応答、例えばmRNAの転写又はタンパク質発現の50%を生じる治療分子の濃度である。IC50又はEC50は、当技術分野で公知の任意の数の手段によって計算することができる。
【0073】
[0075]本明細書で使用される場合、例えば、NLRP3遺伝子転写物及び/又はNLRP3タンパク質の発現を「阻害する」という用語は、ASOが細胞又は組織におけるNLRP3遺伝子転写物及び/又はNLRP3タンパク質の発現を低減させることを指す。一部の態様では、「阻害する」という用語は、NLRP3遺伝子転写物又はNLRP3タンパク質の完全な阻害(100%阻害又は検出不能レベル)を指す。他の態様では、「阻害する」という用語は、細胞又は組織におけるNLRP3遺伝子転写物及び/又はNLRP3タンパク質発現の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%阻害を指す。
【0074】
[0076]本明細書で使用される場合、「細胞外ベシクル」又は「EV」という用語は、内部空間を囲む膜を含む細胞由来ベシクルを指す。細胞外ベシクルは、それらが由来する細胞より小さい直径を有する全ての膜結合ベシクル(例えばエクソソーム、ナノベシクル)を含む。一部の態様では、細胞外ベシクルは、直径が20nm~1000nmの範囲であり、内部空間(すなわち、内腔)内に、細胞外ベシクルの外部表面上に示されて、及び/又は膜にまたがって様々な高分子ペイロードを含み得る。一部の態様では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/又はその組合せを含み得る。ある特定の態様では、細胞外ベシクルは、足場部分を含む。例として、及びこれらに限定されないが、細胞外ベシクルは、アポトーシス体、細胞の断片、直接又は間接的操作(例えば、連続的押し出し又はアルカリ溶液による処置)によって細胞に由来するベシクル、小胞化したオルガネラ、及び生細胞によって産生されたベシクル(例えば、直接の原形質膜の出芽、又は後期エンドソームと原形質膜との融合)を含む。細胞外ベシクルは、生きている若しくは死亡した生物、外植された組織若しくは臓器、原核細胞若しくは真核細胞、及び/又は培養細胞に由来し得る。一部の態様では、細胞外ベシクルは、1つ又は複数の導入遺伝子産物を発現する細胞によって産生される。
【0075】
[0077]本明細書で使用される場合、「エクソソーム」という用語は、直径20~300nmの間(例えば、40~200nmの間)の細胞外ベシクルを指す。エクソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含み、一部の態様では、直接原形質膜出芽によって、又は後期エンドソームと原形質膜との融合によって、細胞(例えば、産生細胞)から生成することができる。ある特定の態様では、エクソソームは足場部分を含む。以下に記載するように、エクソソームは、産生細胞に由来することができ、そのサイズ、密度、生化学パラメーター、又はその組合せに基づいて産生細胞から単離することができる。一部の態様では、本開示のEV、例えばエクソソームは、1つ又は複数の導入遺伝子産物を発現する細胞によって産生される。
【0076】
[0078]本明細書で使用される場合、「ナノベシクル」という用語は、直径20~250nmの間(例えば、30~150nmの間)の細胞外ベシクルを指し、操作しなければナノベシクルが細胞によって産生されない直接又は間接的操作によって細胞(例えば、産生細胞)から生成される。ナノベシクルを産生するための細胞の適切な操作としては、これらに限定されないが、連続的押し出し、アルカリ溶液による処置、超音波処理、又はその組合せが挙げられる。一部の態様では、ナノベシクルの産生は、産生細胞の破壊をもたらし得る。一部の態様では、本明細書に記載されるナノベシクルの集団は、原形質膜からの直接出芽、又は後期エンドソームと原形質膜との融合によって細胞に由来するベシクルを実質的に含まない。ある特定の態様では、ナノベシクルは足場部分を含む。ナノベシクルは、一旦産生細胞から誘導されると、そのサイズ、密度、生化学パラメーター、又はその組合せに基づいて産生細胞から単離することができる。
【0077】
[0079]本明細書で使用される場合、「表面を操作されたEV、例えばエクソソーム」(例えば、Scaffold Xで操作されたEV、例えばエクソソーム)という用語は、操作されたEV、例えばエクソソームの表面が、修飾前のEV、例えばエクソソーム、又は天然に存在するEV、例えばエクソソームの表面とは異なるように、EV、例えばエクソソームの膜又は表面の組成が修飾されたEV、例えばエクソソームを指す。操作は、EV、例えばエクソソームの表面が変化するように、EV、例えばエクソソームの表面上、又はEV、例えばエクソソームの膜内でなされ得る。例えば、膜は、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物等の組成が修飾されている。組成は、化学的、物理的、若しくは生物学的方法によって、又は化学的、物理的、若しくは生物的方法により事前に若しくは同時に修飾された細胞から産生されることによって変化させることができる。詳細には、組成は、遺伝子工学によって、又は遺伝子工学によって事前に修飾された細胞から産生されることによって変化させることができる。一部の態様では、表面を操作されたEV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面に露出され得るか、又はEV、例えばエクソソームの表面に露出した部分のアンカーポイント(結合)であり得る、外因性タンパク質(すなわち、EV、例えばエクソソームが天然に発現しないタンパク質)又はその断片若しくはバリアントを含む。他の態様では、表面を操作されたEV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面に露出され得るか、又はEV、例えばエクソソームの表面に露出した部分のアンカーポイント(結合)であり得る、天然のエクソソームタンパク質(例えば、Scaffold X)又はその断片若しくはバリアントの高い発現(例えば、多数の)を含む。
【0078】
[0080]本明細書で使用される場合、「内腔が操作されたエクソソーム」(例えば、Scaffold Yで操作されたエクソソーム)は、EV、例えばエクソソームの内腔が、修飾前のEV、例えばエクソソーム又は天然に存在するEV、例えばエクソソームの内腔とは異なるように、EV、例えばエクソソームの膜又は内腔の組成が修飾されているEV、例えばエクソソームを指す。操作は、EV、例えばエクソソームの内腔が変化するように、EV、例えばエクソソームの内腔又は膜での直接の操作であり得る。例えば、膜は、EV、例えばエクソソームの内腔が修飾されるように、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物等の組成が修飾されている。組成は、化学的、物理的、若しくは生物学的方法によって、又は化学的、物理的、若しくは生物的方法により事前に修飾された細胞から産生されることによって変化させることができる。詳細には、組成は、遺伝子工学によって、又は遺伝子工学によって事前に修飾された細胞から産生されることによって変化させることができる。一部の態様では、内腔が操作されたエクソソームは、EV、例えばエクソソームの内腔に露出され得るか、又はEV、例えばエクソソームの内層上に露出した部分のアンカーポイント(結合)であり得る、外因性タンパク質(すなわち、EV、例えばエクソソームが天然に発現しないタンパク質)又はその断片若しくはバリアントを含む。他の態様では、内腔が操作されたEV、例えばエクソソームは、エクソソームの内腔に露出され得るか、又はエクソソームの内腔に露出した部分のアンカーポイント(結合)であり得る、天然のエクソソームタンパク質(例えば、Scaffold X又はScaffold Y)又はその断片若しくはバリアントの高い発現を含む。
【0079】
[0081]「修飾された」という用語は、本明細書に記載されるEV、例えばエクソソームの文脈で使用される場合、修飾されたEV、例えばエクソソームが天然に存在するEV、例えばエクソソームとは異なるように、EV、例えばエクソソーム及び/又はその産生細胞を変更又は操作することを指す。一部の態様では、本明細書に記載される修飾されたEV、例えばエクソソームは、天然に存在するEV、例えばエクソソームの膜と比較してタンパク質、脂質、小分子、炭水化物等の組成が異なる膜を含む(例えば、膜は、高密度若しくは多数の天然のエクソソームタンパク質を含み、及び/又は膜は、エクソソームに天然では見出されないタンパク質(例えば、ASO)を含む)。ある特定の態様では、膜に対するそのような修飾は、EV、例えばエクソソームの外部表面を変化させる(例えば、本明細書に記載される表面が操作されたEV、例えばエクソソーム)。ある特定の態様では、膜に対するそのような修飾は、EV、例えばエクソソームの内腔を変化させる(例えば、本明細書に記載される内腔が操作されたEV、例えばエクソソーム)。
【0080】
[0082]本明細書で使用される場合、「足場部分」という用語は、目的のペイロード又は任意の他の化合物(例えば、ASO)をEV、例えばエクソソームの内腔表面又は外部表面のいずれかでEV、例えばエクソソームに係留させるために使用することができる分子を指す。ある特定の態様では、足場部分は合成分子を含む。一部の態様では、足場部分は非ポリペプチド部分を含む。他の態様では、足場部分は、EV、例えばエクソソームに天然に存在する脂質、炭水化物、又はタンパク質を含む。一部の態様では、足場部分は、EV、例えばエクソソームに天然に存在しない脂質、炭水化物、又はタンパク質を含む。ある特定の態様では、足場部分はScaffold Xである。一部の態様では、足場部分はScaffold Yである。さらなる態様では、足場部分はScaffold X及びScaffold Yの両方である。本開示と共に使用することができる他の足場部分の非限定的な例としては、アミノペプチダーゼN(CD13);ネプリリシン、別名膜メタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);ニューロピリン-1(NRP1);CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドへリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2Bが挙げられる。
【0081】
[0083]本明細書で使用される場合、「Scaffold X」という用語は、エクソソームの表面上で最近同定されているエクソソームタンパク質を指す。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,195,290号を参照されたい。Scaffold Xタンパク質の非限定的な例としては、プロスタグランジンF2受容体陰性調節因子(「PTGFRNタンパク質」);ベイシジン(「BSGタンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(「IGSF2タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(「IGSF8タンパク質」);インテグリンベータ-1(「ITGB1タンパク質);インテグリンアルファ-4(「ITGA4タンパク質」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2タンパク質」);ATP輸送体タンパク質のクラス(「ATP1A1タンパク質」、「ATP1A2タンパク質」、「ATP1A3タンパク質」、「ATP1A4タンパク質」、「ATP1B3タンパク質」、「ATP2B1タンパク質」、「ATP2B2タンパク質」、「ATP2B3タンパク質」、「ATP2Bタンパク質」);及びその機能的断片が挙げられる。一部の態様では、Scaffold Xタンパク質は、タンパク質全体又はその断片(例えば、機能的断片、例えば別の部分を、EV、例えばエクソソームの外部表面又は内腔表面に係留することが可能な最小の断片)であり得る。一部の態様では、Scaffold Xは、ある部分(例えば、ASO)を、エクソソームの外部表面又は内腔表面に係留することができる。
【0082】
[0084]本明細書で使用される場合、「Scaffold Y」という用語は、エクソソーム内腔内で新たに同定されたエクソソームタンパク質を指す。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/099942号を参照されたい。Scaffold Yタンパク質の非限定的な例としては、ミリストイル化アラニンリッチタンパク質キナーゼC基質(「MARCKSタンパク質」);ミリストイル化アラニンリッチタンパク質キナーゼC基質様タンパク質1(「MARCKSL1タンパク質」);及び脳酸可溶性タンパク質1(「BASP1タンパク質」)が挙げられる。一部の態様では、Scaffold Yタンパク質は、タンパク質全体又はその断片(例えば、機能的断片、例えば、ある部分をエクソソームの内腔表面に係留することが可能な最小の断片)であり得る。一部の態様では、Scaffold Yは、ある部分(例えば、ASO)をEV、例えばエクソソームの内腔表面に係留することができる。一部の態様では、Scaffold Yは、ある部分(例えば、ASO)を、EV、例えばエクソソームの外部表面に係留することができる。
【0083】
[0085]本明細書で使用される場合、タンパク質(例えば、治療用タンパク質、Scaffold X、又はScaffold Y)の「断片」という用語は、天然に存在する配列より短い、天然に存在するタンパク質と比較してN-及び/若しくはC末端が欠失している、又はタンパク質の任意の部分が欠失しているタンパク質のアミノ酸配列を指す。本明細書で使用される場合、「機能的断片」という用語は、タンパク質機能を保持するタンパク質断片を指す。したがって、一部の態様では、Scaffold Xタンパク質の機能的断片は、ある部分を、EV、例えばエクソソームの内腔表面又は外部表面に係留する能力を保持する。同様に、ある特定の態様では、Scaffold Yタンパク質の機能的断片は、ある部分を、EV、例えばエクソソームの内腔表面又は外部表面に係留する能力を保持する。断片が機能的断片であるか否かは、ウェスタンブロット、FACS解析、及び断片と自己蛍光タンパク質、例えばGFPとの融合を含む当技術分野で公知の任意の方法によって評価し、EV、例えばエクソソームのタンパク質含有量を決定することができる。ある特定の態様では、Scaffold Xタンパク質の機能的断片は、天然に存在するScaffold Xタンパク質の能力、例えばある部分を係留する能力の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約100%を保持する。一部の態様では、Scaffold Yタンパク質の機能的断片は、天然に存在するScaffold Yタンパク質の能力、例えば別の分子を係留する能力の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約100%を保持する。
【0084】
[0086]本明細書で使用される場合、分子(例えば、機能的分子、抗原、Scaffold X及び/又はScaffold Y)の「バリアント」という用語は、当技術分野で公知の方法によって比較した場合に、別の分子とある特定の構造及び機能的同一性を共有する分子を指す。例えば、タンパク質のバリアントは、別のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフト、又は再配列を含み得る。
【0085】
[0087]一部の態様では、Scaffold Xのバリアントは、全長の成熟PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、若しくはATPトランスポータータンパク質、又はPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、若しくはATPトランスポータータンパク質の断片(例えば、機能的断片)と少なくとも約70%の同一性を有するバリアントを含む。一部の態様では、PTGFRNのバリアント又は断片のバリアントは、配列番号301に記載のPTGFRN又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、BSGのバリアント又は断片のバリアントは、配列番号303に記載のBSG又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、IGSF2のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号308に記載のIGSF2又はその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、IGSF3のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号309に記載のIGSF3又はその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、IGSF8のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号304に記載のIGSF8又はその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ITGB1のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号305に記載のITGB1又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ITGA4のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号306に記載のITGA4又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、SLC3A2のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号307に記載のSLC3A2又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP1A1のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号310に記載のATP1A1又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP1A2のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号311に記載のATP1A2又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP1A3のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号312に記載のATP1A3又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP1A4のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号313に記載のATP1A4又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP1B3のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号314に記載のATP1B3又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP2B1のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号315に記載のATP2B1又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP2B2のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号316に記載のATP2B2又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP2B3のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号317に記載のATP2B3又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、ATP2B4のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号318に記載のATP2B4又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、本明細書に開示されるScaffold Xタンパク質のバリアント又は断片のバリアントは、EV、例えばエクソソームを特に標的化する能力を保持する。一部の態様では、Scaffold Xは、1つ又は複数の変異、例えば保存的アミノ酸置換を含む。
【0086】
[0088]一部の態様では、Scaffold Yのバリアントは、MARCKS、MARCKSL1、BASP1、又はMARCKS、MARCKSL1、若しくはBASP1の断片と少なくとも70%の同一性を有するバリアントを含む。一部の態様では、MARCKSのバリアント又は断片のバリアントは、配列番号401に記載のMARCKS又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、MARCKSL1のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号402に記載のMARCKSL1又はその機能的断片と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、BASP1のバリアント又は断片のバリアントは、配列番号403に記載のBASP1又はその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有する。一部の態様では、Scaffold Yタンパク質のバリアント又は断片のバリアントは、EV、例えばエクソソームの内腔表面に特に標的化される能力を保持している。一部の態様では、Scaffold Yは、1つ又は複数の変異、例えば保存的アミノ酸置換を含む。
【0087】
[0089]「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に交換されているアミノ酸置換である。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野で定義されている。このように、ポリペプチド中のアミノ酸が、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸に交換されている場合、置換は保存的であると考えられる。別の態様では、アミノ酸の列を、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/又は組成が異なる構造的に類似の列に保存的に交換することができる。
【0088】
[0090]2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列間の「パーセント配列同一性」又は「パーセント同一性」という用語は、2つの配列の最適なアライメントのために導入しなければならない付加又は欠失(すなわちギャップ)を考慮に入れて、比較ウィンドウにわたって配列が共有する同一の一致した位置の数を指す。一致した位置は、同一のヌクレオチド又はアミノ酸が、標的及び参照配列の両方に存在する任意の位置である。標的配列に示されるギャップは、ギャップがヌクレオチドでもアミノ酸でもないことから計数されない。同様に、参照配列に示されるギャップは、標的配列のヌクレオチド又はアミノ酸が計数されるが、参照配列からのヌクレオチド又はアミノ酸は計数されないことから計数されない。
【0089】
[0091]配列同一性のパーセンテージは、同一のアミノ酸残基又は核酸塩基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を生じるステップ、一致した位置の数を、比較ウィンドウにおける位置の総数で除算するステップ、及び結果に100を乗算して配列同一性のパーセンテージを生じるステップによって計算される。2つの配列間の配列の比較及びパーセント配列同一性の決定は、オンラインでの使用及びダウンロードの両方で容易に利用可能なソフトウェアを使用して達成され得る。タンパク質及びヌクレオチド配列の両方のアライメントのための好適なソフトウェアプログラムは、様々なソースから入手可能である。パーセント配列同一性を決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターのBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から利用可能なプログラムのBLASTスイートの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTN又はBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用され、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用されている。他の好適なプログラムは、例えば、Needle、Stretcher、Water、又はMatcher、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSスイートの一部であり、同様に欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)のwww.ebi.ac.uk/Tools/psaで入手可能である。
【0090】
[0092]ポリヌクレオチド又はポリペプチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチド又はポリペプチド標的配列内の異なる領域は、各々がその自身のパーセント配列同一性を有し得る。パーセント配列同一性の値は、小数第2位で四捨五入されることに注意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられるが、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。同様に、長さの値は常に整数であることにも注意されたい。
【0091】
[0093]当業者は、パーセント配列同一性の計算のための配列アライメントの作成が、一次配列データによって排他的に駆動されるバイナリ配列-配列比較に限定されないことを認識するであろう。配列アライメントは、複数の配列アライメントに由来し得る。複数の配列アライメントを作成するための他の好適なプログラムは、ClustalW2であり、www.clustal.orgから入手可能である。別の好適なプログラムは、MUSCLEであり、www.drive5.com/muscle/から入手可能である。ClustalW2及びMUSCLEは、例えばEBIから代替として利用可能である。
【0092】
[0094]配列アライメントは、配列データを、異種供給源からのデータ、例えば構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能的データ(例えば、変異の位置)、又は系統学的データと統合することによって作成することができることも認識されよう。異種供給源を統合して複数の配列アライメントを作成する好適なプログラムは、T-Coffeeであり、これはwww.tcoffee.orgで入手可能であり、或いは、例えばEBIから入手可能である。同様に、パーセント配列同一性を計算するために使用される最終のアライメントを、自動的に又は手作業によりキュレートしてもよいことも認識されよう。
【0093】
[0095]ポリヌクレオチドバリアントは、コード領域、非コード領域、又は両方に変更を含有し得る。一態様では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレント置換、付加、又は欠失を生じるが、コードされるポリペプチドの特性又は活性を変更しない変更を含有する。別の態様では、ヌクレオチドバリアントは、遺伝子コードの縮重によるサイレント置換によって産生される。他の態様では、バリアントは、5~10、1~5、又は1~2個のアミノ酸が、任意の組合せで置換、欠失、又は付加されている。ポリヌクレオチドバリアントは、多様な理由により、例えば特定の宿主のコドン発現を最適にするために(ヒトmRNAのコドンを他のコドン、例えば細菌宿主、例えば大腸菌(E.coli)に変化させるために)産生することができる。
【0094】
[0096]天然に存在するバリアントは、「対立遺伝子バリアント」と呼ばれ、生物の染色体の所定の座を占有する遺伝子のいくつかの代替形態の1つを指す(Genes II,Lewin,B.,編,John Wiley & Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子バリアントは、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドレベルのいずれかで変化することができ、本開示に含まれる。或いは、天然に存在しないバリアントを、突然変異誘発技法又は直接合成によって産生することができる。
【0095】
[0097]タンパク質操作及び組換えDNA技術の公知の方法を使用して、ポリペプチドの特徴を改善又は変更するためにバリアントを作製することができる。例えば、1つ又は複数のアミノ酸を、生物機能を実質的に失うことなく、分泌されたタンパク質のN末端又はC末端から欠失させることができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれるRonら,J.Biol.Chem.268:2984-2988(1993)は、3、8、又は27個のアミノ末端アミノ酸残基を欠失させた後であってもヘパリン結合活性を有するバリアントKGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンガンマは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10個のアミノ酸残基を欠失させた後に、最大10倍高い活性を示した(Dobeliら,J.Biotechnology 7:199-216(1988)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0096】
[0098]その上、バリアントがしばしば、天然に存在するタンパク質の生物活性と類似の生物活性を保持することは、十分な証拠から実証されている。例えば、Gayle及び共同研究者(J.Biol.Chem 268:22105-22111(1993)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、ヒトサイトカインIL-1aの広範な変異解析を実施した。彼らは、ランダム変異誘発を使用して、分子の全長にわたってバリアントあたり平均で2.5個のアミノ酸が変化している3,500個を超える個々のIL-1a変異を作製した。あらゆる起こり得るアミノ酸位置で複数の変異を調べた。試験者らは、「分子のほとんどを、[結合又は生物活性]のいずれにもほとんど効果を及ぼすことなく変更することができた」ことを見出した(要約書を参照されたい)。実際に、調べた3,500個を超えるヌクレオチド配列の中で23個のみの独自のアミノ酸配列が、野生型とは活性が有意に異なるタンパク質を産生した。
【0097】
[0099]上記のように、ポリペプチドバリアントは、例えば、修飾されたポリペプチドを含む。修飾は、例えばアセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合による架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、peg化(Meiら,Blood 116:270-79(2010)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などの転移RNAに媒介されるタンパク質へのアミノ酸付加、及びユビキチン化を含む。一部の態様では、Scaffold X及び/又はScaffold Yは、任意の簡便な位置で修飾される。
【0098】
[0100]本明細書で使用される場合、「連結された」又は「コンジュゲートされた」という用語は互換的に使用され、第1の部分と第2の部分、例えばそれぞれ、コレステロールとASO又はScaffold XとASO、例えば、細胞外ベシクル内又は細胞外ベシクル上で発現された足場部分とASO、例えば細胞外ベシクルの内腔表面内又は外部表面上でScaffold X(例えば、PTGFRNタンパク質)との間で形成された共有結合又は非共有結合を指す。
【0099】
[0101]「封入された」という用語又は用語の文法的に異なる形態(例えば、封入又は封入する)は、2つの部分を化学的又は物理的に連結することなく、第2の部分(例えば、EV、例えばエクソソーム)の内部に第1の部分(例えば、ASO)を有する状況又はプロセスを指す。一部の態様では、「封入された」という用語は、「内腔内」と互換的に使用することができる。第1の部分(例えば、ASO)を第2の部分(例えば、EV、例えばエクソソーム)に封入する非限定的な例は、本明細書の他所で開示されている。
【0100】
[0102]本明細書で使用される場合、「産生細胞」という用語は、EV、例えばエクソソームを作製するために使用される細胞を指す。産生細胞は、in vitroで培養された細胞、又はin vivoの細胞であり得る。産生細胞としては、これらに限定されないが、EV、例えばエクソソームを作製するために有効であることが公知の細胞、例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、間葉系幹細胞(MSC)、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞が挙げられる。ある特定の態様では、産生細胞は、抗原提示細胞ではない。一部の態様では、産生細胞は、樹状細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球、Kupffer-Browicz細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、又はこれらの任意の組合せではない。一部の態様では、本開示において有用なEV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に露出したMHCクラスI又はクラスII分子上に抗原を有しないが、代わりにScaffold X及び/又はScaffold Yとの結合によって、EV、例えばエクソソームの内腔内又はEV、例えばエクソソームの表面上に抗原を有し得る。
【0101】
[0103]本明細書で使用される場合、「単離する」、「単離された」、及び「単離している」、又は「精製する」、「精製した」、及び「精製している」という用語、並びに「抽出された」及び「抽出している」という用語は、互換的に使用され、1つ又は複数の精製プロセス、例えば所望のEV調製物の選択又は濃化を受けている所望のEVの調製状態(例えば、複数の既知又は未知の量及び/又は濃度)を指す。一部の態様では、本明細書で使用される単離する又は精製するステップは、EVを、産生細胞を含有する試料から除去する、部分的に(例えば、分画を)除去するプロセスである。一部の態様では、単離されたEV組成物は、検出可能な望ましくない活性を有しないか、或いは望ましくない活性のレベル若しくは量が、許容可能なレベル若しくは量であるか、若しくはそれ未満である。他の態様では、単離されたEV組成物は、許容される量及び/又は濃度の、又はそれより上の所望のEVの量及び/又は濃度を有する。他の態様では、単離されたEV組成物は、組成物が得られる出発材料(例えば、産生細胞調製物)と比較して濃化されている。この濃化は、出発材料と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、又は99.9999%より上であり得る。一部の態様では、単離されたEV調製物は、残存生物由来物質を実質的に含まない。一部の態様では、単離されたEV調製物は、任意の夾雑する生体物質を、100%含まない、99%含まない、98%含まない、97%含まない、96%含まない、95%含まない、94%含まない、93%含まない、92%含まない、91%含まない、又は90%含まない。残存生物由来物質は、アビオティック物質(化学物質を含む)又は望ましくない核酸、タンパク質、脂質、若しくは代謝物を含み得る。残存生物由来物質を実質的に含まないことはまた、EV組成物が、検出可能な産生細胞を含有しないこと、及びEVのみが検出可能であることも意味する。
【0102】
[0104]本明細書で使用される場合、「ペイロード」という用語は、EVと接触する標的(例えば標的細胞)に作用する作用剤を指す。EV、例えばエクソソーム上に含めることができるペイロードの非限定的な例は、ASOである。EV、例えばエクソソーム及び/又は産生細胞の中又は上に導入することができるペイロードは、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分若しくは毒素を含む、又は転写を破壊するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素などのポリペプチドをコードするDNA若しくはmRNA分子、又は調節機能を有するRNA分子、例えばmiRNA、dsDNA、lncRNA、及びsiRNA)、アミノ酸(例えば、検出可能な部分若しくは毒素を含む、又は翻訳を破壊するアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、及び小分子(例えば、小分子薬物又は毒素)などの作用剤を含む。ある特定の態様では、ペイロードはASOを含む、本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、天然であるか、又は部分的若しくは完全に合成により産生されるかによらず、免疫グロブリン及びその断片を包含する。用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインと相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質も含む。「抗体」は、抗原に特異的に結合して抗原を認識する免疫グロブリン遺伝子からのフレームワーク領域又はその断片を含むポリペプチドをさらに含む。本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、対象に導入した場合にそのものに対する免疫応答(細胞性又は液性)を誘発する任意の作用剤を指す。抗体という用語の使用は、全抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び組換え抗体、その断片を含むことを意味し、一本鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス-ヒト、マウス-霊長類、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ、並びに抗体関連ポリペプチドをさらに含む。抗体は、それらが所望の生物活性又は機能を示す限り、二特異性抗体及び多特異性抗体を含む。
【0103】
[0105]「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され、診断、処置、又は治療が望まれる任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載される組成物及び方法は、ヒトの治療及び獣医学応用に応用可能である。一部の態様では、対象は哺乳動物であり、他の態様では対象はヒトである。本明細書で使用される場合、「哺乳動物対象」は、これらに限定されないが、ヒト、家畜動物(例えば、イヌ、ネコ、及びその他)、農場動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びその他)、及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、及びその他)を含む全ての哺乳動物を含む。
【0104】
[0106]「医薬組成物」という用語は、活性成分の生物活性を有効にすることを可能にする形態にあり、組成物が投与される対象に対して許容不可能に毒性である追加の構成要素を含有しない調製物を指す。そのような組成物は無菌的であり得る。
【0105】
[0107]本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、EV、例えばエクソソームを含む試料が、質量/体積(m/v)パーセンテージ濃度で10%未満の高分子を含むことを意味する。一部の画分は、0.001質量/体積%未満、0.01質量/体積%未満、0.05質量/体積%未満、0.1質量/体積%未満、0.2質量/体積%未満、0.3質量/体積%未満、0.4質量/体積%未満、0.5質量/体積%未満、0.6質量/体積%未満、0.7質量/体積%未満、0.8質量/体積%未満、0.9質量/体積%未満、1質量/体積%未満、2質量/体積%未満、3質量/体積%未満、4質量/体積%未満、5質量/体積%未満、6質量/体積%未満、7質量/体積%未満、8質量/体積%未満、9質量/体積%未満、又は10質量/体積(m/v)%未満の高分子を含有し得る。
【0106】
[0108]本明細書で使用される場合、「高分子」という用語は、核酸、夾雑タンパク質、脂質、炭水化物、代謝物、又はその組合せを意味する。
【0107】
[0109]本明細書で使用される場合、「従来のエクソソームタンパク質」という用語は、これらに限定されないが、CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドへリン(MFGE8)、LAMP2、及びLAMP2B、その断片、又はそれらに結合するペプチドを含む、エクソソーム中で濃化されることが既知であるタンパク質を意味する。
【0108】
[0110]「投与する」とは、本明細書で使用される場合、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを含む組成物を、薬学的に許容できる経路を介して対象に与えることを意味する。投与経路は、静脈内、例えば静脈内注射及び静脈内注入であり得る。追加の投与経路は、例えば皮下、筋肉内、経口、鼻、及び肺投与を含む。EV、例えばエクソソームは、少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物の一部として投与され得る。
【0109】
[0111]例えば本明細書に開示されるASO又は細胞外ベシクルの「有効量」は、詳細に記載される目的を実行するために十分な量である。「有効量」は、記載される目的に関連して経験的に及び通例の方法で決定され得る。
【0110】
[0112]「処置する」、「処置」、又は「処置している」は、本明細書で使用される場合、例えば疾患又は状態の重症度の低減;疾患経過の持続時間の低減;疾患又は状態に関連する1つ又は複数の症状の改善又は除去;疾患又は状態を必ずしも治癒しないが、疾患又は状態を有する対象に対する有益な効果の提供を指す。用語はまた、疾患若しくは状態又はその症状の予防又は防止も含む。一態様では、「処置している」又は「処置」は、それを必要とする対象において造血を誘導することを含む。一部の態様では、疾患又は状態は、造血又はその欠損に関連する。ある特定の態様では、疾患又は状態はがんである。一部の態様では、処置することは、がんを有する対象における造血を増強し、増強された造血は、対象における1つ又は複数の免疫細胞の増殖及び/又は分化の増加を含む。
【0111】
[0113]「防止する」又は「防止している」は、本明細書で使用される場合、特定の転帰の発生又は重症度を減少又は低減させることを指す。一部の態様では、転帰を防止することは、予防的処置を通して達成される。一部の態様では、本明細書に記載されるASOを含むEV、例えばエクソソームは、対象に予防的に投与される。一部の態様では、対象は、がんを発症するリスクがある。一部の態様では、対象は、造血障害を発症するリスクがある。
【0112】
II.本開示の方法
[0114]本開示の一部の態様は、それを必要とする対象において末梢神経障害を防止及び/又は処置する方法であって、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVを投与するステップを含む方法を対象とする。本明細書で使用される場合、NLRP3アンタゴニストはASOである。本開示にとって有用なASOは、NLRP3転写物の1つ又は複数の領域(例えば、pre-mRNA又はmRNA)に特異的にハイブリダイズして、細胞におけるNLRP3タンパク質発現の低減及び/又は阻害をもたらすことができる。したがって、そのようなASOを含むEVは、NLRP3タンパク質の発現の増加に関連する末梢神経障害を防止及び/又は処置するために有用であり得る。
【0113】
[0115]一部の態様では、本方法によって処置することができる末梢神経障害は、炎症の増加によって特徴付けられる。一部の態様では、末梢神経障害は、糖尿病、外傷、自己免疫障害、腎障害、肝障害、甲状腺機能低下症、血管障害、異常なビタミンレベル、アルコールの使用、又はこれらの任意の組合せに関連する。一部の態様では、末梢神経障害は、1つ又は複数の末梢神経の炎症を含む。
【0114】
[0116]一部の態様では、末梢神経障害は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を含む。一部の態様では、対象は以前に化学療法を投与された。一部の態様では、対象は、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVを投与する少なくとも約1週間前、少なくとも約2週間前、少なくとも約3週間前、少なくとも約4週間前、少なくとも約6週間前、少なくとも約8週間前、少なくとも約10週間前、少なくとも約12週間前、少なくとも約16週間前、少なくとも約20週間前、少なくとも約24週間前、又は少なくとも約28週間前に化学療法を投与された。一部の態様では、対象は、同時の化学療法の間に本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVを投与される。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVは、化学療法と同じ日に投与される。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEV及び化学療法は同じ日に投与されない。一部の態様では、化学療法は、白金誘導体、ビンカアルカロイド、ボルテゾミブ、タキサン、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、化学療法は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、ビンクリスチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、又はこれらの任意の組合せを含む。ある特定の態様では、化学療法はシスプラチンを含む。
【0115】
[0117]一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVは、対象における末梢神経障害、例えばCIPNの1つ又は複数の症状の重症度及び/又は発生を低減させる。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEV、細胞外ベシクル又はASOは、対象におけるM2マクロファージ極性化を誘発する。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVは、神経の骨髄性炎症、髄膜骨髄性炎症、神経鞘炎症、又はこれらの任意の組合せを低減させる。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVは、神経鞘の骨髄性炎症を低減させる。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVは、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ流入を低減させる。一部の態様では、本明細書に開示されるNLRP3アンタゴニストを含むEVは、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージの食作用を低減させる。一部の態様では、細胞外ベシクルは、うずき、疼痛、灼熱感、痺れ、暑さに敏感、寒さに敏感、細かい運動スキルが困難、及びこれらの任意の組合せから選択される、対象における1つ又は複数の症状の重症度又は発生を低減させる。一部の態様では、細胞外ベシクルは、疼痛の重症度又は発生を低減させる。
【0116】
[0118]一部の態様では、EVは、対象の循環系に静脈内投与される。一部の態様では、EVは、好適な液体中に注入され、対象の静脈に投与される。一部の態様では、EVは、対象の循環系に動脈内投与される。一部の態様では、EVは、好適な液体中に注入され、対象の動脈に投与される。
【0117】
[0119]一部の態様では、EVは、髄腔内投与によって対象に投与される。一部の態様では、EVは、髄腔内投与の後に、胴体に機械的伝達力を適用することによって投与される。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるVermaら,Alzheimer’s Dement.12:e12030(2020)を参照されたい。そのため、本開示のある特定の態様は、それを必要とする対象にEV、例えばエクソソームを投与する方法であって、EV、例えばエクソソームを対象に髄腔内注射後、対象の胴体に機械的伝達力を適用することによって投与するステップを含む方法を対象とする。一部の態様では、機械的伝達力は、高頻度胸壁又は腰胸部振動呼吸クリアランスデバイス(例えば、Smart Vest又はSmart Wrap、ELECTROMED INC、New Prague、MN、USA)を使用して達成される。一部の態様では、機械的伝達力、例えば振動ベストは、髄腔内に投与されたEV、例えばエクソソームの拡散を促進し、神経をさらに末梢へと降下し、このようにより良好なEV、例えばエクソソームの神経への送達を可能にする。
【0118】
[0120]一部の態様では、エクソソームの体内分画内及び体内分画を超えた生体分布は、エクソソームの体内分画への送達後に、対象に作用する外因性の体外力によって操作され得る。これは、体の分画又は全身に機械的伝達、例えば衝撃、振動、振とう、又はマッサージを適用することによる機械的伝達の適用を含む。髄腔内投与後、例えば振動する機械的ジャケットを含むいくつかの手段による胸壁振動の適用は、エクソソームの生体分布を中枢神経軸に沿って又は頭蓋神経及び脊髄神経に沿って拡散させることができ、これは薬物を有するエクソソームによる神経障害の処置において役立ち得る。
【0119】
[0121]一部の態様では、振動ジャケット又は他の類似の手段を介した外部機械的伝達力の適用を使用して、エクソソーム及び他の材料を髄腔内腔の脳脊髄液から末梢循環へと除去することができる。この態様は、内因性の毒性のエクソソーム及び他の有害な高分子、例えばベータ-アミロイド、タウ、アルファ-シヌクレイン、TDP43、ニューロフィラメント、及び過剰な脳脊髄液を、髄腔内腔から排除のために末梢へと除去するために役立ち得る。
【0120】
[0122]一部の態様では、脳室内経路を介して送達されたエクソソームを、腰椎穿刺の組み込みと、脳室-腰椎灌流を可能にすることを同時に行うことによって中枢神経軸全体に移動させることができ、追加の流体はエクソソームの投与後脳室に注入されるが、腰椎穿刺によって既存の中枢神経軸柱のCSFを排出することが可能となる。脳室-腰椎灌流は、ICV投与したエクソソームが、中枢神経軸全体に沿って拡散することを可能にし、軟髄膜の炎症及び他の疾患を処置するためにくも膜下腔を完全に覆うことができる。
【0121】
[0123]一部の態様では、外部体外焦点式超音波、熱エネルギー(熱)、又は低温の適用を使用して、これらの現象に対して感受性となるように操作されたエクソソームの体内分画薬物動態及び薬物放出特性を操作することができる。
【0122】
[0124]一部の態様では、常磁性材料を含有するように操作されたエクソソームの体内分画内挙動及び生体分布は、磁石又は磁場の外部からの適用によって操作することができる。
【0123】
[0125]一部の態様では、EVは、脳脊髄液(CSF)に到達するように、脊柱管への注射、又はくも膜下腔への注射を介して投与される。一部の態様では、EVは、対象の1つ又は複数の腫瘍に腫瘍内投与される。一部の態様では、EVは鼻腔内投与によって対象に投与される。一部の態様では、EVは、局所投与又は全身投与のいずれかの形態で鼻を通して吸入することができる。ある特定の態様では、EVは鼻腔スプレーとして投与される。一部の態様では、EVは、腹腔内投与によって対象に投与される。一部の態様では、EVは、好適な液体中に注入され、対象の腹膜に注射される。一部の態様では、腹腔内投与は、リンパ系へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、胸腺、脾臓、及び/又は骨髄へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、1つ又は複数のリンパ節へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、頸部リンパ節、鼠径部リンパ節、縦隔リンパ節、又は胸骨リンパ節のうちの1つ又は複数へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、腹腔内投与は、膵臓へのEVの分布をもたらす。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、眼周囲投与によって対象に投与される。一部の態様では、EVは眼周囲組織に注射される。眼周囲の薬物投与は、結膜下、前部テノン嚢下、後部テノン嚢下、及び眼球後投与経路を含む。
【0124】
II.A.NLRP3アンタゴニスト
[0126]本開示のある特定の態様は、外因性NLRP3アンタゴニストを含むEVを対象に投与する方法を対象とする。本明細書で使用される場合、「NLRP3アンタゴニスト」は、NLRP3経路を阻害又は遮断する物質である。NLRP3アンタゴニストは、NLRP3の活性及び/又は発現に直接影響を及ぼし得る。或いは、NLRP3アンタゴニストは、NLRP3経路における別の因子の活性及び/又は発現に影響を及ぼすことを含む、NLRP3の活性及び/又は発現に間接的に影響を及ぼし得る。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、化学化合物、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド(例えば、タンパク質)、及びこれらの任意の組合せから選択される。ある特定の態様では、NLRP3アンタゴニストはASO、例えば本明細書に開示される任意のASOである。
【0125】
[0127]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、又はペプチドコンジュゲートホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PPMO)である。
【0126】
II.A.1.アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
[0128]一部の態様では、本開示は、NLRP3 pre-mRNA、及びNLRP3 mRNA、又は哺乳動物NLRP3をコードするそのような核酸分子の天然に存在するバリアントを含む、哺乳動物NLRP3をコードする核酸分子、例えばNLRP3核酸、例えばNLRP3転写物の機能をモジュレートすることによって、それを必要とする対象において末梢神経障害の処置に使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を使用する。本開示の文脈における「ASO」という用語は、2つ又はそれより多くのヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド)の共有結合による連結によって形成された分子を指す。
【0127】
[0129]ASOは、約10~約30、例えば10~20、14~20、16~20、又は15~25ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の態様では、ASOは20ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、18ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、19ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、17ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、16ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、15ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、14ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、13ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、12ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、11ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、10ヌクレオチド長である。
【0128】
[0130]一部の態様では、ASOは、約10~約50ヌクレオチド長、例えば、約10~約45、約10~約40、約10又は約35、又は約10~約30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の態様では、ASOは、21ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、22ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、23ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、24ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、25ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、26ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、27ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、28ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、29ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、30ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、31ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、32ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、33ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、34ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、35ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、36ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、37ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、38ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、39ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、40ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、41ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、42ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、43ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、44ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、45ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、46ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、47ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、48ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、49ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、ASOは、50ヌクレオチド長である。
【0129】
[0131]「アンチセンスASO」、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、及び「オリゴマー」という用語は、本明細書で使用される場合、「ASO」という用語と互換的である。
【0130】
[0132]配列番号に対する言及は、特定の核酸塩基配列を含むが、任意の設計又は完全な化学構造を含まない。さらに、本明細書の図面で開示されるASOは、代表的な設計を示しているが、特に示していない限り、図に示される特定の設計に限定されない。例えば、特許請求の範囲(又は本明細書)が、配列番号101に言及する場合、これは、配列番号101のみのヌクレオチド配列を含む。本明細書に開示される任意のASOの設計は、配列番号XXとして書くことができ、5’末端からの1番目のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド、3番目のヌクレオチド、1番目のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド、及びN番目のヌクレオチドの各々が修飾ヌクレオチド、例えばLNAであり、他のヌクレオチドの各々は非修飾ヌクレオチド(例えば、DNA)である。
【0131】
[0133]様々な態様では、本開示のASOは、RNA(単位)を含まない。一部の態様では、ASOは、1つ又は複数のDNA単位を含む。一態様では、本開示に従うASOは、直鎖の分子であるか、又は直鎖の分子として合成される。一部の態様では、ASOは、一本鎖分子であり、同じASO(すなわち、二本鎖)内の等価の領域と相補的である、例えば、少なくとも3、4、又は5つの連続するヌクレオチドの短い領域を含まない-この点において、ASOは、(本質的に)二本鎖である。一部の態様では、ASOは、本質的に二本鎖ではない。一部の態様では、ASOはsiRNAではない。様々な態様では、本開示のASOは、連続するヌクレオチド領域から完全になり得る。このように、一部の態様では、ASOは、実質的に自己相補性ではない。
【0132】
[0134]他の態様では、本開示は、ASOの断片を含む。例えば、本開示は、本明細書に開示されるASOの少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも2つの連続するヌクレオチド、少なくとも3つの連続するヌクレオチド、少なくとも4つの連続するヌクレオチド、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも6個の連続するヌクレオチド、少なくとも7個の連続するヌクレオチド、少なくとも8個の連続するヌクレオチド、又は少なくとも9個の連続するヌクレオチドを含む。本明細書に開示される配列のいずれかの断片は、本開示の一部であると企図される。
【0133】
II.A.1.a.標的
[0135]好適には、本開示のASOは、NLRP3 mRNA又はNLRP3タンパク質の発現を下方調節する(例えば、低減するか又は除去する)ことが可能である。この点において、本開示のASOは、典型的に哺乳動物細胞、例えばヒト細胞、例えば免疫細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、及び/又はT細胞)におけるNLRP3 mRNAレベルの低減を通してNLRP3インフラマソームの形成及びこのように活性を遮断することができる。特に、本開示は、NLRP3 pre-mRNAの1つ又は複数の領域(例えば、イントロン領域、エクソン領域、及び/又はエクソン-イントロン接合領域)を標的とするASOを対象とする。特に示していない限り、「NLRP3」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びクマ)からのNLRP3を指し得る。
【0134】
[0136]NLRP3(NLRP3)はまた、NLRファミリーピリンドメイン含有タンパク質3としても公知である。NLRP3/NLRP3の同義語は公知であり、NLRP3;C1orf7;CIAS1;NALP3;PYPAF1;ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン、ロイシンリッチリピート、及びピリンドメイン含有3;寒冷誘導性自己炎症症候群1タンパク質;クリオピリン;NACHT、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3;アンジオテンシン/バソプレッシン受容体AII/AVP様;キャタピラータンパク質1.1;CLR1.1;寒冷誘導性自己炎症症候群1タンパク質;及びPYRIN含有APAF1-様タンパク質1を含む。ヒトNLRP3遺伝子の配列は、公開されているGenBank受託番号NC_000001.11:247416156-247449108として見出され得る。ヒトNLRP3遺伝子は、染色体位置1q44の247、416、156~247、449、108で見出される。
【0135】
[0137]ヒトNLRP3 pre-mRNA転写物(配列番号1)の配列は、染色体1q44の残基247、416、156~247、449、108の逆相補体に対応する。NLRP3 mRNA配列(GenBank受託番号NM_001079821.2)を、配列番号3(表1)に示すが、但し、配列番号3におけるヌクレオチド「t」は、mRNAでは「u」として示される。ヒトNLRP3タンパク質の配列は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、公開されている受託番号:Q96P20(基準配列、配列番号1;表1)、Q96P20-2(配列番号4)、Q96P20-3(配列番号5)、Q96P20-4(配列番号6)、Q96P20-5(配列番号7)、及びQ96P20-6(配列番号8)において見出され得る。
【0136】
【表1】

【0137】
[0138]ASOの標的核酸配列の例は、NLRP3 pre-mRNAである。配列番号1は、ヒトNLRP3ゲノム配列(すなわち、染色体1q44のヌクレオチド247,416,156-247,449,108の逆相補体)である。配列番号1は、配列番号1におけるヌクレオチド「t」が、pre-mRNAでは「u」として示されることを除き、NLRP3 pre-mRNA配列と同一である。ある特定の態様では、「標的核酸」は、NLRP3タンパク質コード核酸又はその天然に存在するバリアントのイントロン、及びそれに由来するRNA核酸、例えば、pre-mRNAを含む。他の態様では、標的核酸は、NLRP3タンパク質コード核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン領域、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。なお別の態様では、標的核酸は、NLRP3タンパク質コード核酸又はその天然に存在するバリアントのエクソン-イントロン接合部、及びそれに由来するRNA核酸、例えばpre-mRNAを含む。一部の態様では、例えば研究又は診断に使用する場合、「標的核酸」は、cDNA、又は上記のDNA若しくはRNA核酸標的に由来する合成オリゴヌクレオチドであり得る。NLRP3 pre-mRNAによってコードされるヒトNLRP3タンパク質配列を配列番号3として示す。他の態様では、標的核酸は、NLRP3タンパク質コード核酸、又はその天然に存在するバリアントの非翻訳領域、例えば、5’UTR、3’UTR、又は両方を含む。
【0138】
[0139]一部の態様では、本開示のASOは、NLRP3転写物、例えば配列番号1のイントロン内の領域にハイブリダイズする。ある特定の態様では、本開示のASOは、NLRP3転写物、例えば配列番号1のエクソン内の領域にハイブリダイズする。他の態様では、本開示のASOは、NLRP3転写物、例えば、配列番号1のエクソン-イントロン接合部内の領域にハイブリダイズする。一部の態様では、本開示のASOは、NLRP3転写物、例えば、配列番号1(例えば、イントロン、エクソン、又はエクソン-イントロン接合部)内の領域にハイブリダイズし、ASOは、本明細書の他所で説明される式:5’A-B-C3’に従う設計を有する。
【0139】
[0140]一部の態様では、ASOは、NLRP3タンパク質の特定のアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1)をコードするmRNAを標的とする。一部の態様では、ASOは、NLRP3タンパク質の全てのアイソフォームを標的とする。他の態様では、ASOは、NLRP3タンパク質の2つのアイソフォーム(例えば、アイソフォーム1及びアイソフォーム2、アイソフォーム3及びアイソフォーム4、及びアイソフォーム5及びアイソフォーム6)を標的とする。
【0140】
[0141]一部の態様では、ASOは、NLRP3転写物内の核酸配列、例えば配列番号1に対応する領域と相補的である連続ヌクレオチド配列(例えば、10~30ヌクレオチド長、例えば、20ヌクレオチド長)を含む。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド206~225(例えば、ASO-NLRP3-206;配列番号101)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド208~227(例えば、ASO-NLRP3-208;配列番号102)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド214~233(例えば、ASO-NLRP3-214;配列番号103)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド748~767(例えば、ASO-NLRP3-748;配列番号104)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド825~844(例えば、ASO-NLRP3-825;配列番号105)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド892~911(例えば、ASO-NLRP3-892;配列番号106)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド898~917(例えば、ASO-NLRP3-898;配列番号107)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド899~918(例えば、ASO-NLRP3-899;配列番号108)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド900~919(例えば、ASO-NLRP3-900;配列番号109)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド902~921(例えば、ASO-NLRP3-902;配列番号110)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド903~922(例えば、ASO-NLRP3-903;配列番号111)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド954~973(例えば、ASO-NLRP3-954;配列番号112)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド960~979(例えば、ASO-NLRP3-960;配列番号113)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド964~983(例えば、ASO-NLRP3-964;配列番号114)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド966~985(例えば、ASO-NLRP3-966;配列番号115)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド969~988(例えば、ASO-NLRP3-969;配列番号116)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド970~989(例えば、ASO-NLRP3-970;配列番号117)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド971~990(例えば、ASO-NLRP3-971;配列番号118)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1016~1035(例えば、ASO-NLRP3-1016;配列番号119)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1021~1040(例えば、ASO-NLRP3-1021;配列番号120)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1028~1047(例えば、ASO-NLRP3-1028;配列番号121)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1103~1122(例えば、ASO-NLRP3-1103;配列番号122)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1108~1127(例えば、ASO-NLRP3-1108;配列番号123)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1113~1132(例えば、ASO-NLRP3-1113;配列番号124)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1159~1178(例えば、ASO-NLRP3-1159;配列番号125)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1173~1192(例えば、ASO-NLRP3-1173;配列番号126)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1197~1216(例えば、ASO-NLRP3-1197;配列番号127)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1204~1223(例えば、ASO-NLRP3-1204;配列番号128)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1227~1246(例えば、ASO-NLRP3-1227;配列番号129)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1232~1251(例えば、ASO-NLRP3-1232;配列番号130)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1239~1258(例えば、ASO-NLRP3-1239;配列番号131)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1240~1259(例えば、ASO-NLRP3-1240;配列番号132)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1241~1260(例えば、ASO-NLRP3-1241;配列番号133)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1242~1261(例えば、ASO-NLRP3-1242;配列番号134)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1313~1332(例えば、ASO-NLRP3-1313;配列番号135)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1314~1333(例えば、ASO-NLRP3-1314;配列番号136)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1341~1360(例えば、ASO-NLRP3-1341;配列番号137)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1343~1362(例えば、ASO-NLRP3-1343;配列番号138)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1346~1365(例えば、ASO-NLRP3-1346;配列番号139)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1491~1510(例えば、ASO-NLRP3-1491;配列番号140)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1561~1580(例えば、ASO-NLRP3-1561;配列番号141)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1568~1587(例えば、ASO-NLRP3-1568;配列番号142)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1664~1683(例えば、ASO-NLRP3-1664;配列番号143)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1670~1689(例えば、ASO-NLRP3-1670;配列番号144)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1676~1695(例えば、ASO-NLRP3-1676;配列番号145)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1678~1697(例えば、ASO-NLRP3-1678;配列番号146)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1680~1699(例えば、ASO-NLRP3-1680;配列番号147)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1681~1700(例えば、ASO-NLRP3-1681;配列番号148)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1682~1701(例えば、ASO-NLRP3-1682;配列番号149)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1688~1707(例えば、ASO-NLRP3-1688;配列番号150)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1693~1712(例えば、ASO-NLRP3-1693;配列番号151)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1704~1723(例えば、ASO-NLRP3-1704;配列番号152)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1718~1737(例えば、ASO-NLRP3-1718;配列番号153)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1720~1739(例えば、ASO-NLRP3-1720;配列番号154)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1723~1742(例えば、ASO-NLRP3-1723;配列番号155)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1837~1856(例えば、ASO-NLRP3-1837;配列番号156)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1932~1951(例えば、ASO-NLRP3-1932;配列番号157)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド1993~2012(例えば、ASO-NLRP3-1993;配列番号158)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2325~2344(例えば、ASO-NLRP3-2325;配列番号159)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2432~2451(例えば、ASO-NLRP3-2432;配列番号160)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2472~2491(例えば、ASO-NLRP3-2472;配列番号161)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2543~2562(例えば、ASO-NLRP3-2543;配列番号162)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2638~2657(例えば、ASO-NLRP3-2638;配列番号163)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2639~2658(例えば、ASO-NLRP3-2639;配列番号164)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2667~2686(例えば、ASO-NLRP3-2667;配列番号165)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2672~2691(例えば、ASO-NLRP3-2672;配列番号166)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2699~2718(例えば、ASO-NLRP3-2699;配列番号167)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2750~2769(例えば、ASO-NLRP3-2750;配列番号168)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2755~2774(例えば、ASO-NLRP3-2755;配列番号169)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2760~2779(例えば、ASO-NLRP3-2760;配列番号170)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2830~2849(例えば、ASO-NLRP3-2830;配列番号171)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド2836~2855(例えば、ASO-NLRP3-2836;配列番号172)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3087~3106(例えば、ASO-NLRP3-3087;配列番号173)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3094~3113(例え
ば、ASO-NLRP3-3094;配列番号174)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3109~3128(例えば、ASO-NLRP3-3109;配列番号175)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3120~3139(例えば、ASO-NLRP3-3120;配列番号176)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3212~3231(例えば、ASO-NLRP3-3212;配列番号177)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3476~3495(例えば、ASO-NLRP3-3476;配列番号178)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3481~3500(例えば、ASO-NLRP3-3481;配列番号179)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3488~3507(例えば、ASO-NLRP3-3488;配列番号180)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3489~3508(例えば、ASO-NLRP3-3489;配列番号181)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3493~3512(例えば、ASO-NLRP3-3493;配列番号182)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3498~3517(例えば、ASO-NLRP3-3498;配列番号183)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3500~3519(例えば、ASO-NLRP3-3500;配列番号184)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3502~3521(例えば、ASO-NLRP3-3502;配列番号185)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3503~3522(例えば、ASO-NLRP3-3503;配列番号186)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3504~3523(例えば、ASO-NLRP3-3504;配列番号187)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3508~3527(例えば、ASO-NLRP3-3508;配列番号188)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3514~3533(例えば、ASO-NLRP3-3514;配列番号189)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3561~3580(例えば、ASO-NLRP3-3561;配列番号190)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3580~3599(例えば、ASO-NLRP3-3580;配列番号191)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3585~3604(例えば、ASO-NLRP3-3585;配列番号192)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3593~3612(例えば、ASO-NLRP3-3593;配列番号193)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3598~3617(例えば、ASO-NLRP3-3598;配列番号194)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3652~3671(例えば、ASO-NLRP3-3652;配列番号195)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3676~3695(例えば、ASO-NLRP3-3676;配列番号196)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド3690~3709(例えば、ASO-NLRP3-3690;配列番号197)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド4096~4115(例えば、ASO-NLRP3-4096;配列番号198)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド4105~4124(例えば、ASO-NLRP3-4105;配列番号199)に対応する。一部の態様では、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド4256~4275(例えば、ASO-NLRP3-4256;配列番号200)に対応する。
【0141】
[0142]一部の態様では、本開示のASOは、NLRP3転写物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の複数の標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、ASOは、NLRP3転写物内の2つの異なる標的領域にハイブリダイズする。一部の態様では、ASOは、NLRP3転写物内の3つの異なる標的領域にハイブリダイズする。複数の標的領域にハイブリダイズする例示的なASOの配列、及び異なる標的領域の開始/終止部位を、図1に提供する。一部の態様では、NLRP3転写物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の複数の領域にハイブリダイズするASOは、NLRP3転写物(例えば、ゲノム配列、配列番号1)内の単一の領域にハイブリダイズするASOと比較して、NLRP3発現の低減においてより強力(例えば、より低いEC50を有する)である。
【0142】
II.A.1.b.ASO配列
[0143]本開示のASOは、NLRP3転写物、例えば配列番号1又は配列番号3に対応するヌクレオチド配列の領域の相補体に対応する連続ヌクレオチド配列を含む。
【0143】
[0144]ある特定の態様では、本開示は、10~30、例えば10~15ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド長、又は約20ヌクレオチド長のASOを提供し、連続ヌクレオチド配列は、NLRP3転写物、例えば配列番号1又は配列番号3又はその天然に存在するバリアントの相補体内の領域と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有する。このように、例えばASOは、配列番号1又は配列番号3又はその一部の配列を有する一本鎖核酸分子にハイブリダイズする。
【0144】
[0145]ASOは、哺乳動物NLPR3タンパク質(例えば、配列番号1又は配列番号3)をコードする核酸の等価の領域と十分に相補的(完全に相補的)である連続するヌクレオチド配列を含み得る。ASOは、X及びYがそれぞれ、図1に示されるように開始部位及び終止部位である、配列番号1又は配列番号3のヌクレオチドX-Yに対応する核酸配列又は配列内の領域と十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列領域を含み得る。
【0145】
[0146]ASOは、哺乳動物NLPR3タンパク質(例えば、配列番号3)をコードするmRNAの等価の領域と十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASOは、X及びYがそれぞれ、開始部位及び終止部位である、配列番号3のヌクレオチドX-Yに対応するmRNA配列又は配列内の領域と十分に相補的(完全に相補的)である連続ヌクレオチド配列を含み得る。
【0146】
[0147]一部の態様では、本開示のASOのヌクレオチド配列又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号101~200(すなわち、図1の配列)から選択される配列と少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、例えば約100%の配列同一性(相同)を有する。一部の態様では、ASOは、本明細書の他所で記載される設計又は本明細書の他所で示される化学構造(例えば、図1)を有する。
【0147】
[0148]一部の態様では、ASO(又はその連続するヌクレオチド部分)は、配列番号101~200からなる群から選択される配列のうちの1つ、又はその少なくとも10連続ヌクレオチドの領域から選択されるか、又はそれらを含み、ASO(又はその連続するヌクレオチド部分)は、対応するNLRP3転写物と比較した場合に、任意選択で1つ、2つ、3つ、又は4つのミスマッチを含み得る。
【0148】
[0149]一部の態様では、ASOは、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198、配列番号199、又は配列番号200からなる群から選択される配列を含む。
【0149】
[0150]一部の態様では、ASOは、配列番号101に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号102に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号103に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号104に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号105に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号106に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号107に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号108に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号109に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号110に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号111に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号112に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号113に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号114に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号115に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号116に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号117に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号118に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号119に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号120に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号121に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号122に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号123に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号124に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号125に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号126に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号127に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号128に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号129に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号130に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号131に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号132に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号133に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号134に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号135に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号136に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号137に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号138に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号139に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号140に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号141に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号142に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号143に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号144に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号145に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号146に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号147に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号148に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号149に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号150に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号151に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号152に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号153に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号154に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号155に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号156に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号157に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号158に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号159に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号160に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号161に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号162に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号163に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号164に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号165に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号166に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号167に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号168に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号169に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号170に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号171に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号172に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号173に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号174に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号175に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号176に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号177に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号178に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号179に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号180に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号181に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号182に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号183に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号184に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号185に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号186に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号187に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号188に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号189に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号190に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号191に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号192に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号193に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号194に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号195に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号196に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号197に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号198に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号199に記載の配列を含む。一部の態様では、ASOは、配列番号200に記載の配列を含む。
【0150】
[0151]一部の態様では、本開示のASOは、標的核酸配列(例えば、NLRP3転写物)に結合し、NLRP3転写物の発現を、細胞における正常な(すなわち、対照の)発現レベルと比較して少なくとも10%又は20%、例えば、正常な発現レベル(例えば、ASOに曝露されていない細胞における発現レベル)と比較して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%阻害するか又は低減することが可能である。
【0151】
[0152]一部の態様では、本開示のASOは、ASOに接触していない(例えば、食塩水と接触させた)細胞と比較して、細胞をASOと接触させた場合に標的細胞におけるNLRP3 mRNAのin vitroでの発現を、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%低減させることが可能である。
【0152】
[0153]一部の態様では、ASOは、標的配列にハイブリダイズする場合に1、2、3、又は4個(又はそれより多くの)ミスマッチを許容するが、それでもなお標的に十分に結合して、所望の効果、すなわち標的mRNA及び/又はタンパク質の下方調節を示すことができる。ミスマッチは、例えば、本明細書の他所で開示されるように、ASOヌクレオチド配列の長さの増加及び/又はヌクレオチドアナログの数の増加によって補完され得る。
【0153】
[0154]一部の態様では、本開示のASOは、標的配列にハイブリダイズする場合に3つ以下のミスマッチを含む。他の態様では、連続ヌクレオチド配列は、標的配列にハイブリダイズする場合に2つ以下のミスマッチを含む。他の態様では、連続ヌクレオチド配列は、標的配列にハイブリダイズする場合に、1つ以下のミスマッチを含む。
【0154】
II.A.1.c.ASO長
[0155]ASOは、全体で10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み得る。ASO又は連続ヌクレオチド配列長に関して範囲が与えられている場合、範囲は、範囲に提供される下限及び上限の長さを含み、例えば10~30(又は間の)の範囲は、10と30の両方を含むと理解すべきである。
【0155】
[0156]一部の態様では、ASOは、全体で約14~20、14、15、16、17、18、19、又は20連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の態様では、ASOは、全体で約20連続ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の態様では、本開示のASOは、14ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、本開示のASOは、15ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、本開示のASOは、16ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、本開示のASOは、17ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、本開示のASOは、18ヌクレオチド長である。ある特定の態様では、本開示のASOは、19ヌクレオチド長である。
II.A.1.d.ヌクレオシド及びヌクレオシドアナログ
【0156】
[0157]本開示の一態様では、ASOは、1つ又は複数の天然に存在しないヌクレオシドアナログを含む。「ヌクレオシドアナログ」は、本明細書で使用される場合、糖及び/又は塩基部分の修飾による、天然ヌクレオシド、例えばDNA又はRNAヌクレオシドのバリアントである。アナログは、原則としてオリゴヌクレオチドの文脈において単に「サイレント」であるか、又は天然のヌクレオシドと「等価」であり得て、すなわち、標的遺伝子発現を阻害するためにオリゴヌクレオチドが作用する方法に機能的効果を有しない。そのような「等価の」アナログは、例えばそれらが、製造がより容易であるか若しくは安価である場合、又は貯蔵若しくは製造条件に対してより安定である場合、又はタグ若しくはラベルを表す場合には、それにもかかわらず有用であり得る。しかしながら、一部の態様では、アナログは、例えば、標的に対する結合親和性の増加、及び/又は細胞内ヌクレアーゼに対する抵抗性の増加、及び/又は細胞への輸送の容易さの増加を生じることによって、ASOが発現を阻害するように作用する方法に対して機能的効果を有する。ヌクレオシドアナログの特定の例は、例えば Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、及びスキーム1に記載されている。本開示のASOは、1つより多く、2つより多く、3つより多く、4つより多く、5個より多く、6個より多く、7個より多く、8個より多く、9個より多く、10個より多く、11個より多く、12個より多く、13個より多く、14個より多く、15個より多く、16個より多く、18個より多く、19、又は20個より多くのヌクレオシドアナログを含有し得る。一部の態様では、ASO中のヌクレオシドアナログは同じである。他の態様では、ASO中のヌクレオシドアナログは異なる。ASO中のヌクレオチドアナログは、以下のヌクレオシドアナログのいずれか1つ又は組合せであり得る。
【0157】
[0158]一部の態様では、ヌクレオシドアナログは、2’-O-アルキル-RNA;2’-O-メチルRNA(2’-OMe);2’-アルコキシ-RNA;2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE);2’-アミノ-DNA;2’-フルオロ-RNA;2’-フルオロ-DNA;アラビノ核酸(ANA);2’-フルオロ-ANA;二環式ヌクレオシドアナログ;又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、ヌクレオシドアナログは、糖修飾ヌクレオシドを含む。一部の態様では、ヌクレオシドアナログは、二環糖を含むヌクレオシドを含む。一部の態様では、ヌクレオシドアナログはLNAを含む。
【0158】
[0159]一部の態様では、ヌクレオシドアナログは、拘束エチルヌクレオシド(cEt)、2’,4’-拘束2’-O-メトキシエチル(cMOE)、α-L-LNA、β-D-LNA、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、アミノ-LNA、オキシ-LNA、チオ-LNA、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の態様では、ASOは、1つ又は複数の5’-メチル-シトシン核酸塩基を含む。
【0159】
[0160]核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)部分を含む。本開示の文脈において、核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーションの際に機能的である修飾核酸塩基も包含する。一部の態様では、核酸塩基部分は、核酸塩基を修飾又は交換することによって修飾される。この文脈において、「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチン、並びに天然に存在しないバリアントの両方を指す。そのようなバリアントは、例えばHiraoら,(2012) Accounts of Chemical Research 45巻 2055頁及びBergstrom(2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0160】
[0161]一部の態様では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを、修飾されたプリン又はピリミジンに、例えば置換されたプリン又は置換されたピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチル-シトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変化させることによって修飾される。
【0161】
[0162]核酸塩基部分は、各々の対応する核酸塩基の一文字表記、例えば、A、T、G、C、又はUによって示され、各文字は、任意選択で等価の機能の修飾核酸塩基を含み得る。例えば、例示されたオリゴヌクレオチドでは、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチル-シトシンから選択される。任意選択で、LNAギャップマーの場合、5-メチル-シトシンLNAヌクレオシドを使用してもよい。
【0162】
[0163]本開示のASOは、修飾された糖部分、すなわちDNA及びRNAにおいて見出されるリボース糖部分と比較して糖部分の修飾を有する1つ又は複数のヌクレオシドを含み得る。リボース糖部分の修飾を有する複数のヌクレオシドが、主にオリゴヌクレオチドのある特定の特性、例えば親和性及び/又はヌクレアーゼ抵抗性を改善する目的で作製されている。
【0163】
[0164]そのような修飾は、例えば典型的にリボース環(LNA)上のC2’及びC4’炭素の間のビラジカル架橋を有する五炭糖環(HNA)又は二環との交換、又は典型的にC2’及びC3’炭素の間の結合を欠如する非結合リボース(例えば、UNA)との交換によって、リボース糖構造が修飾されている修飾を含む。他の糖修飾ヌクレオシドは、例えば、ビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)を含む。修飾ヌクレオシドはまた、例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合のように、糖部分が非糖部分に交換されているヌクレオシドも含む。
【0164】
[0165]糖の修飾はまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はRNAヌクレオシドに天然に見出される2’-OH基に変更することを介して作製される修飾も含む。置換は、例えば、2’、3’、4’、又は5’位で導入され得る。修飾された糖部分を有するヌクレオシドはまた、2’修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシドも含む。実際に、2’置換ヌクレオシドを開発するために多くの努力がなされており、多数の2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれる場合に有益な特性、例えばヌクレオシド抵抗性の増強及び親和性の増強を有することが見出されている。
【0165】
[0166]2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位置でH若しくは-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、又は2’結合ビラジカルを含み、並びに2’置換ヌクレオシド及びLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドを含むヌクレオシドである。例えば、2’修飾糖は、結合親和性の増強(例えば、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシド)及び/又はオリゴヌクレオチドに対するヌクレアーゼ抵抗性の増加を提供し得る。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシドである。さらなる例に関しては、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443;Uhlmann,Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213;及びDeleavey及びDamha,Chemistry及びBiology 2012,19,937を参照されたい。以下は、一部の2’置換修飾ヌクレオシドの例証である。
【化2】
【0166】
[0167]LNAヌクレオシドは、リボース環の立体構造を制限又はロックするヌクレオシド(すなわち、2’-4’架橋)のリボース糖環のC2’とC4’の間にリンカー基(ビラジカル又は架橋と呼ばれる)を含む修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドはまた、文献において架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。リボースの立体構造がロックされることは、LNAが相補的RNA又はDNA分子のためにオリゴヌクレオチドに組み込まれた場合にハイブリダイゼーション(二本鎖安定化)の親和性の増強に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補体二重鎖の融解温度を測定することによって通常決定することができる。
【0167】
[0168]非限定的な例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Moritaら,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76,Sethら,J.Org.Chem.2010,75(5)巻 1569頁-81頁、及びMitsuokaら,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0168】
[0169]一部の態様では、本開示のASOの修飾ヌクレオシド又はLNAヌクレオシドは、式I又はIIの一般的構造:
【化3】

(式中、
Wは、-O-、-S-、-N(R)-、-C(R)-から選択され、特に-O-であり;
Bは、核酸塩基又は修飾核酸塩基部分であり;
Zは、隣接するヌクレオシド又は5’末端基とのヌクレオシド間連結であり;
Z*は、隣接するヌクレオシド又は3’末端基とのヌクレオシド間連結であり;
、R、R、R及びR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アジド、ヘテロサイクル、及びアリールから独立的に選択され;並びに
X、Y、R及びRは、本明細書に定義される通りである)
を有する。
【0169】
[0170]-X-Y-の一部の態様では、Rは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。-X-Y-の一部の態様では、Rは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。-X-Y-の他の態様では、R及びRのうちの1つ又は両方は水素である。-X-Y-のさらなる態様では、R及びRのうちの1つのみが水素である。-X-Y-の一部の態様では、R及びRのうちの1つはメチルであり、他方は水素である。-X-Y-のある特定の態様では、R及びRの両方が、同時にメチルである。
【0170】
[0171]-X-の一部の態様では、Rは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。-X-の一部の態様では、Rは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。-X-の他の態様では、R及びRのうちの1つ又は両方が水素である。-X-のある特定の態様では、R及びRのうちの1つのみが水素である。-X-のある特定の態様では、R及びRのうちの1つはメチルであり、他方は水素である。-X-の他の態様では、R及びRの両方が、同時にメチルである。
【0171】
[0172]-Y-の一部の態様では、Rは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。-Y-のある特定の態様では、Rは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。-Y-の他の態様では、R及びRのうちの1つ又は両方が水素である。-Y-の一部の態様では、R及びRのうちの1つのみが水素である。-Y-の他の態様では、R及びRのうちの1つはメチルであり、他方は水素である。-Y-の一部の態様では、R及びRの両方が、同時にメチルである。
【0172】
[0173]一部の態様では、R、R、R、R及びR5*は、水素及びアルキルから独立的に選択され、特に水素及びメチルである。
【0173】
[0174]一部の態様では、R、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。
【0174】
[0175]一部の態様では、R、R、Rは全て同時に水素であり、R及びR5*のうちの1つは水素であり、他方は上記で定義された通りであり、特にアルキル、より詳細にはメチルである。
【0175】
[0176]一部の態様では、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*のうちの1つは水素であり、他方はアジドである。
【0176】
[0177]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、全てが参照により本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、及び国際公開第2004/046160号に開示されており、ベータ-D-オキシLNA及びアルファ-L-オキシLNAヌクレオシドとして当技術分野で一般的に公知であるものを含む。
【0177】
[0178]一部の態様では、-X-Y-は-S-CH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226号及び国際公開第2004/046160号に開示されている。
【0178】
[0179]一部の態様では、-X-Y-は、-NH-CH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226号及び国際公開第2004/046160号に開示されている。
【0179】
[0180]一部の態様では、-X-Y-は-O-CHCH-又は-OCHCHCH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は全て同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第00/047599号及びMoritaら,Bioorganic & Med.Chem.Lett.12,73-76に開示されており、2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として当技術分野で一般的に公知であるものを含む。
【0180】
[0181]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CH-であり、Wは酸素であり、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*のうちの1つは水素であり、他方は水素ではなく、例えばアルキル、例えばメチルである。そのような5’置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/134181号に開示されている。
【0181】
[0182]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CR-であり、式中、R及びRのうちの1つ又は両方は水素ではなく、特にアルキル、例えばメチルであり、Wは酸素であり、R、R、Rは、全て同時に水素であり、R及びR5*のうちの1つは水素であり、他方は水素ではなく、特にアルキル、例えばメチルである。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/077578号に開示されている。
【0182】
[0183]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH-O-CH)-(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Sethら,J.Org.Chem.2010,75(5)巻1569頁-81頁)である。
【0183】
[0184]一部の態様では、-X-Y-は-O-CHR-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのような6’-置換LNAヌクレオシドは、いずれも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/036698号及び国際公開第2007/090071号に開示されている。そのような6’-置換LNAヌクレオシドでは、Rは、特にC1-C6アルキル、例えばメチルである。
【0184】
[0185]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH-O-CH)-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのようなLNAヌクレオシドはまた、環状MOE(cMOE)として当技術分野で公知であり、国際公開第2007/090071号に開示されている。
【0185】
[0186]一部の態様では、-X-Y-は-O-CH(CH)-である。
【0186】
[0187]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CH2-O-CH-である(Sethら,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0187】
[0188]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH)-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのような6’-メチルLNAヌクレオシドはまた、cETヌクレオシドとして当技術分野で公知であり、いずれも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/090071号(ベータ-D)及び国際公開第2010/036698号(アルファ-L)に開示されているように、(S)-cET又は(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかであり得る。
【0188】
[0189]一部の態様では、-X-Y-は-O-CR-であり、R及びRのいずれも水素ではなく、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。ある特定の態様では、R及びRは、両方が同時にアルキルであり、特に両方が同時にメチルである。そのような6’-ジ-置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/006478号に開示されている。
【0189】
[0190]一部の態様では、-X-Y-は、-S-CHR-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのような6’-置換チオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/156202号に開示されている。そのような6’-置換チオLNAのある特定の態様では、Rはアルキル、特にメチルである。
【0190】
[0191]一部の態様では、-X-Y-は、-C(=CH)C(R)-であり、例えばWは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのようなビニルカーボLNAヌクレオシドは、両方が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/154401号及び国際公開第2009/067647号に開示されている。
【0191】
[0192]一部の態様では、-X-Y-は-N(OR)-CH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。一部の態様では、Rは、アルキル、例えばメチルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、N置換LNAとして公知であり、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/150729号に開示されている。
【0192】
[0193]一部の態様では、-X-Y-は-O-NCH-である(Sethら,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0193】
[0194]一部の態様では、-X-Y-は、ON(R)-、-N(R)-O-、-NR-CR-CR-、又は-NR-CR-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。ある特定の態様では、Rはアルキル、例えばメチルである(Sethら,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0194】
[0195]一部の態様では、R及びR5*は、両方が同時に水素である。他の態様では、R及びR5*のうちの1つは水素であり、他方はアルキル、例えばメチルである。そのような態様では、R、R及びRは特に水素であり得、-X-Y-は、特に-O-CH-又は-O-CHC(R-、例えば-O-CH(CH)-であり得る。
【0195】
[0196]一部の態様では、-X-Y-は、-CR-O-CR-、例えば-CH-O-CH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。そのような態様では、Rは、特にアルキル、例えばメチルである得る。そのようなLNAヌクレオシドはまた、立体構造拘束ヌクレオチド(CRNs)として知られ、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/036868号に開示されている。
【0196】
[0197]一部の態様では、-X-Y-は、-O-CR-O-CR-、例えば-O-CH-O-CH-であり、Wは酸素であり、並びにR、R、R、R及びR5*は、全て同時に水素である。ある特定の態様では、Rは特にアルキル、例えばメチルであり得る。そのようなLNAヌクレオシドはまた、COCヌクレオチドとして知られ、参照により本明細書に組み込まれるMitsuokaら,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238に開示されている。
【0197】
[0198]特に明記していない限り、LNAヌクレオシドは、ベータ-D又はアルファ-L立体アイソフォームにあり得る。
【0198】
[0199]LNAヌクレオシドのある特定の例をスキーム1に提示する。
【化4】
【0199】
[0200]本明細書の他所で例証されるように、本開示の一部の態様では、オリゴヌクレオチド中のLNAヌクレオシドは、ベータ-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0200】
II.A.1.e.ヌクレアーゼ媒介分解
[0201]ヌクレアーゼ媒介分解は、相補的ヌクレオチド配列との二重鎖を形成する際に相補的ヌクレオチド配列の分解を媒介することが可能なオリゴヌクレオチドを指す。
【0201】
[0202]一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼ媒介分解を介して機能し得て、本開示のオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはエンドリボヌクレアーゼ(RNase)、例えばRNaseHを動員することが可能である。ヌクレアーゼ媒介機構を介して操作するオリゴヌクレオチド設計の例は、典型的に少なくとも5又は6個のDNAヌクレオシドの領域を含み、親和性増強ヌクレオシド、例えばギャップマーが片側又は両側に隣接しているオリゴヌクレオチドである。
【0202】
II.A.1.f.RNaseHの活性及び動員
[0203]アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNaseH活性は、相補的RNA分子と二重鎖になっている場合にRNaseHを動員する能力及び相補的RNA分子の分解を誘導する能力を指す。国際公開第01/23613号は、RNaseH活性を決定するためのin vitroの方法を提供しており、これを使用してRNaseHを動員する能力を決定してもよい。典型的に、オリゴヌクレオチドは、相補的標的核酸配列と共に提供される場合、試験される修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNAモノマーのみを含有し、オリゴヌクレオチドにおける全てのモノマーの間がホスホロチオエート連結であるオリゴヌクレオチドを使用し、及び国際公開第01/23613号の実施例91~95に提供される方法論を使用した場合に決定される、pmol/l/分で測定される初速度の少なくとも5%、例えば少なくとも10%、又は20%より高い初速度をRNaseHが有する場合、RNaseHを動員することが可能であると考えられる。
【0203】
[0204]一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、相補的標的核酸と共に提供される場合、pmol/l/分で測定されるRNaseHの初速度が、試験されるオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、DNAモノマーのみを含有し、2’置換を有さず、オリゴヌクレオチドにおける全てのモノマーの間がホスホロチオエート連結であるオリゴヌクレオチドを使用し、及び国際公開第01/23613号の実施例91~95に提供される方法論を使用した場合に決定される初速度の20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満である場合、RNaseHを動員することが本質的に不可能であると考えられる。
【0204】
II.A.1.g.ASOの設計
[0205]本開示のASOは、ヌクレオシド及びヌクレオシドアナログの両方を含み、ギャップマーの形態にあり得るヌクレオチド配列を含み得る。本開示のASOと共に使用することができるギャップマーの立体配置の例は、米国特許出願公開第2012/0322851号に記載されている。
【0205】
[0206]「ギャップマー」という用語は、本明細書で使用される場合、5’及び3’で1つ又は複数の親和性増強修飾ヌクレオシド(flanks)が隣接するRNaseH動員オリゴヌクレオチド(gap)の領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。「LNAギャップマー」という用語は、親和性増強修飾ヌクレオシドの少なくとも1つがLNAヌクレオシドであるギャップマーオリゴヌクレオチドである。「混合型ウィングギャップマー」という用語は、隣接領域が少なくとも1つのLNAヌクレオチド、及び少なくとも1つのDNAヌクレオシド又は非LNA修飾ヌクレオシド、例えば少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、及び2’-フルオロ-ANAヌクレオシド(複数可)などを含むLNAギャップマーを指す。
【0206】
[0207]一部の態様では、本開示のASOは、ミックスマーの形態にあり得る。一部の態様では、本開示のASOは、トータルマーの形態にあり得る。一部の態様では、標的領域に対するASOの親和性の増強に加えて、一部のヌクレオシドアナログはまた、RNase(例えば、RNaseH)の結合及び切断も媒介する。α-L-LNAモノマーは、RNaseH活性をある特定の程度まで動員することから、一部の態様では、α-L-LNAモノマーを含有するASOのgap領域(例えば、本明細書で言及される領域B)は、RNaseHによって認識可能及び切断可能なより少ないモノマーからなり、ミックスマー構築物ではより多くの柔軟性が導入される。
【0207】
[0208]一部の態様では、本開示のASOはギャップマーであり、本明細書において領域B(B)と呼ばれる、RNase、例えばRNaseHを動員することが可能な連続するヌクレオチドの列(例えば、1つ又は複数のDNA)を含み、領域Bは、5’及び3’の両方で、領域Bの連続するヌクレオチドの列に対して5’及び3’のヌクレオシドアナログの領域が隣接し、これらの領域はそれぞれ、領域A(A)及びC(C)と呼ばれる。一部の態様では、ヌクレオシドアナログは、糖修飾ヌクレオシド(例えば、高親和性糖修飾ヌクレオシド)である。ある特定の態様では、領域A及び領域Cの糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に関するASOの親和性を増強する(すなわち、親和性増強2’糖修飾ヌクレオシド)。一部の態様では、糖修飾ヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性2’糖修飾、例えばLNA及び/又は2’-MOEである。
【0208】
[0209]ギャップマーでは、領域Bの最も5’及び3’側のヌクレオシドは、DNAヌクレオシドであり、それぞれ、領域A及び領域Cのヌクレオシドアナログ(例えば、高親和性糖修飾ヌクレオシド)に隣接して位置する。一部の態様では、領域A及びCは、領域Bの最も遠位末端(すなわち、領域Aの5’末端及び領域Cの3’末端)でヌクレオシドアナログを有することによってさらに定義することができる。
【0209】
[0210]一部の態様では、本開示のASOは、式(5’から3’)A-B-Cのヌクレオチド配列を含む:(A)(5’領域又は第1のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシドアナログ(例えば、3~5個のLNA単位)を含み;(B)は、RNaseを動員することが可能な(相補的RNA分子、例えばpre-mRNA又はmRNA標的と二重鎖を形成する場合)少なくとも4つの連続するヌクレオシド(例えば、4~24個のDNA単位)を含み;及び(C)(3’領域又は第2のウィング配列)は、少なくとも1つのヌクレオシドアナログ(例えば、3~5個のLNA単位)を含む。
【0210】
[0211]一部の態様では、領域Aは、3~5個のヌクレオシドアナログ、例えばLNAを含み、領域Bは、6~24(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14)個のDNA単位からなり、及び領域Cは、3又は4個のヌクレオシドアナログ、例えばLNAからなる。そのような設計は、(A-B-C)3-14-3、3-11-3、3-12-3、3-13-3、4-9-4、4-10-4、4-11-4、4-12-4、及び5-10-5を含む。一部の態様では、ASOは、LLLDLLL、LLLLDLLLL、又はLLLLLDLLLLLの設計を有し、式中、Lはヌクレオシドアナログであり、DはDNAであり、及びnは、4~24の間の任意の整数であり得る。一部の態様では、nは、6~14の間の任意の整数であり得る。一部の態様では、nは、8~12の間の任意の整数であり得る。一部の態様では、ASOは、LLLMMDnMMLLL、LLLMDnMLLL、LLLLMMDnMMLLLL、LLLLMDnMLLLL、LLLLLLMMDnMMLLLLL、又はLLLLLLMDnMLLLLLの設計を有し、式中、DはDNAであり、nは3~15の間の任意の整数であり得、LはLNAであり、及びMは2’MOEである。
【0211】
[0212]さらなるギャップマーの設計は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/046160号、国際公開第2007/146511号、及び国際公開第2008/113832号に開示されている。
【0212】
II.A.1.H.ヌクレオチド間連結
[0213]本明細書に記載されるASOのモノマーは、連結基を介して共にカップリングされる。好適には、各モノマーは、連結基を介して3’隣接モノマーに連結される。
【0213】
[0214]当業者は、本開示の文脈において、ASOの末端の5’モノマーが、5’連結基を含まないが、5’末端基を含んでも含まなくてもよいことを理解するであろう。
【0214】
[0215]一部の態様では、連続ヌクレオチド配列は、1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間連結を含む。「連結基」又は「ヌクレオシド間連結」という用語は、2つのヌクレオシドを共に共有結合によりカップリングすることが可能な基を意味すると意図される。非限定的な例は、リン酸基及びホスホロチオエート基を含む。
【0215】
[0216]本開示のASOのヌクレオシド又はその連続するヌクレオシド配列は、連結基を介して共にカップリングされる。好適には、各ヌクレオシドは、連結基を介して3’隣接ヌクレオシドに連結される。
【0216】
[0217]一部の態様では、ヌクレオシド間連結は、その通常のホスホジエステルからヌクレアーゼの攻撃に対してより抵抗性であり、同様に標的遺伝子の発現の低減におけるアンチセンス阻害のその経路を可能にする結合、例えばRNaseHによって切断可能であるホスホロチオエートへと修飾される。一部の態様では、ヌクレオシド間連結の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が修飾される。
【0217】
II.A.2.小分子NLRP3阻害剤
[0218]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、小分子である。一部の態様では、NLRP3は、MCC950、トラニラスト、オリドニン、CY-09、Bay 11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びこれらの任意の組合せから選択される(例えば、Cell Death and Disease 10:128(2019)を参照されたい)。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは式:
【化5】

を含む。
【0218】
[0219]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、MCC950(例えば、Nat.Med.21、248(2015)を参照されたい)を含む。
【0219】
[0220]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、式:
【化6】

を含む。
【0220】
[0221]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、トラニラスト(例えば、EMBO Mol.Med.10,e8689(2018)を参照されたい)を含む。
【0221】
[0222]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、式:
【化7】

を含む。
【0222】
[0223]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストはオリドニン(例えば、Nat.Commun.9,2550(2018)を参照されたい)を含む。
【0223】
[0224]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、式:
【化8】

を含む。
【0224】
[0225]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、CY-09(例えば、J.Exp.Med.214,3219-3238(2017)を参照されたい)を含む。
【0225】
[0226]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、式:
【化9】

を含む。
【0226】
[0227]一部の態様では、NLRP3経路のアンタゴニストは、Bay 11-7082(例えば、J.Biol.Chem.285,9792-9802(2010)を参照されたい)を含む。
【0227】
[0228]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、式:
【化10】

を含む。
【0228】
[0229]一部の態様では、NLRP3経路のアンタゴニストは、パルテノリド(例えば、J Biol Chem.285:9792-9802(2010)を参照されたい)を含む。
【0229】
[0230]一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、式:
【化11】

を含む。
【0230】
[0231]一部の態様では、NLRP3経路のアンタゴニストは、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)(例えば、J Biol Chem.289:1142-1150(2014)を参照されたい)を含む。
【0231】
III.細胞外ベシクル、例えばエクソソーム
[0232]本開示の一部の態様は、本明細書に開示される外因性NLRP3アンタゴニストを含むEVを対象に投与することを含む、それを必要とする対象において末梢神経障害を処置する方法を対象とする。そのため、本開示の一部の態様は、NLRP3アンタゴニストを含むEV、例えばエクソソームを対象とする。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、化学化合物、siRNA、shRNA、ASO、タンパク質、又はこれらの任意の組合せである。ASOは、本明細書に記載される任意のASO又はその機能的断片であり得る。ある特定の態様では、ASOは、標的細胞におけるNLRP3 mRNA又はNLRP3タンパク質のレベルを低減させる。一部の態様では、本明細書に記載されるEV、例えばエクソソームの投与は、標的細胞におけるNLRP3インフラマソームの形成を低減させるか、遮断するか、又は阻害する。
【0232】
[0233]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、少なくとも1つのASOを含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、少なくとも2つのASO、例えば第1のヌクレオチド配列を含む第1のASO、第2のヌクレオチド配列を含む第2のASOを含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、少なくとも3個のASO、少なくとも4個のASO、少なくとも5個のASO、少なくとも6個のASO、又は6個より多くのASOを含む。一部の態様では、第1のASO、第2のASO、第3のASO、第4のASO、第5のASO、第6のASO、及び/又は第NのASOの各々は異なる。
【0233】
[0234]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、第1のASO及び第2のASOを含み、第1のASOは、第1の転写物における第1の標的配列と相補的である第1のヌクレオチド配列を含み、第2のASOは、第1の転写物における第2の標的配列と相補的である第2のヌクレオチド配列を含む。一部の態様では、第1の標的配列は第2の標的配列と重複しない。一部の態様では、第1の標的配列は、転写物の5’UTR内である少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、5’UTR内であるヌクレオチドを含まない。一部の態様では、第1の標的配列は、転写物の3’UTR内である少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内であるヌクレオチドを含まない。一部の態様では、第1の標的配列は、転写物の5’UTR内である少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第2の標的配列は、3’UTR内である少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0234】
[0235]一部の態様では、第1のASOは、エクソン-イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOは、エクソン-イントロン接合部内の配列を標的とする。一部の態様では、第1のASOは、エクソン-イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOは、エクソン内の配列を標的とする。一部の態様では、第1のASOは、エクソン-イントロン接合部内の配列を標的とし、第2のASOは、イントロン内の配列を標的とする。一部の態様では、第1のASOは、エクソン内の配列を標的とし、第2のASOは、エクソン内の配列を標的とする。一部の態様では、第1のASOは、イントロン内の配列を標的とし、第2のASOはエクソン内の配列を標的とする。一部の態様では、第1のASOは、イントロン内の配列を標的とし、第2のASOはイントロン内の配列を標的とする。
【0235】
[0236]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、第1のASO及び第2のASOを含み、第1のASOは、第1の転写物中の第1の標的配列と相補的である第1のヌクレオチド配列を含み、第2のASOは、第2の転写物中の第2の標的配列と相補的である第2のヌクレオチド配列を含み、第1の転写物は、第2の転写物と同じ遺伝子の産物ではない。
【0236】
[0237]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは免疫細胞を標的とする。一部の態様では、免疫細胞は、マクロファージ、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞、及びこれらの任意の組合せから選択される。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、骨髄系列細胞(例えば、好中球、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC、例えば単球性MDSC又は顆粒球性MDSC)、単球、マクロファージ、造血幹細胞、好塩基球、好中球、又は好酸球)、又はこれらの任意の組合せを標的とする。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、マクロファージを標的とする。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、樹状細胞を標的とする。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、B細胞を標的とする。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、T細胞を標的とする。
【0237】
[0238]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、NLRP3インフラマソームによって上方調節されている1つ又は複数の遺伝子の発現を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、血清中のIL-1ベータ発現を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、対象における炎症を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、それを必要とする対象において慢性炎症を処置する。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、それを必要とする対象において自己炎症を処置する。
【0238】
[0239]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、それを必要とする対象において神経炎症性疾患を処置する。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、それを必要とする対象において炎症性神経障害を処置する。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、神経の骨髄性炎症を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、神経鞘の骨髄性炎症を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ流入を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、神経根、神経、及び/又は筋肉のうちの1つ又は複数におけるマクロファージ食作用を低減させる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、それを必要とする対象における化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を処置する。
【0239】
[0240]上記のように、本明細書に記載されるEV、例えばエクソソームは、約20~300nmの間の直径を有する細胞外ベシクルである。本明細書に記載されるEV、例えばエクソソームのサイズは、以下に記載される方法に従って測定することができる。
【0240】
[0241]一部の態様では、本開示のEV、例えばエクソソームは、内部(内腔)表面及び外部表面を含む脂質二重膜(「EV、例えばエクソソーム膜」)を含む。ある特定の態様では、内部(内腔)表面は、EV、例えばエクソソームの内部コア(すなわち、内腔)に面する。ある特定の態様では、外部表面は、エンドソーム、多小胞体、又は産生細胞若しくは標的細胞の膜/細胞質と接触することができる。
【0241】
[0242]一部の態様では、EV、例えばエクソソーム膜は、脂質及び脂肪酸を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソーム膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。
【0242】
[0243]一部の態様では、EV、例えばエクソソーム膜は、内層及び外層を含む。内層及び外層の組成は、当技術分野で公知の二重層間分布アッセイによって決定することができ、例えば、Kuypersら,Biohim Biophys Acta 1985 819:170を参照されたい。一部の態様では、外層の組成は、およそ70~90%の間のコリンリン脂質、およそ0~15%の間の酸性リン脂質、及びおよそ5~30%の間のホスファチジルエタノールアミンである。一部の態様では、内層の組成は、およそ15~40%の間のコリンリン脂質、およそ10~50%の間の酸性リン脂質、及びおよそ30~60%の間のホスファチジルエタノールアミンである。
【0243】
[0244]一部の態様では、EV、例えばエクソソーム膜は、1つ又は複数の多糖類、例えばグリカンを含む。
【0244】
[0245]一部の態様では、本開示のEV、例えばエクソソームは、ASOを含み、ASOは、EVの外部表面上又はEVの内腔表面上のいずれかの足場部分を介してEVに連結されている。
【0245】
[0246]一部の態様では、ASOを含むEV、例えばエクソソームは、任意選択でASOとエクソソーム膜との間にリンカーを含むアンカー部分を含む。リンカーの非限定的な例は、本明細書の他所で開示されている。
【0246】
III.A.アンカー部分(AM)
[0247]1つ又は複数のアンカー部分(AM)を使用して、ASOを本開示のEVに係留することができる。一部の態様ではASOは、直接又はリンカーを介してアンカー部分に連結される。一部の態様では、ASOは、「反応基」(RG;例えばアミン、チオール、ヒドロキシ、カルボン酸、又はアジド)と「反応部分」(RM;例えば、マレイミド、スクシネート、NHS)間の反応を介してアンカー部分又はリンカーの組合せに結合させることができる。いくつかの可能性がある合成経路、例えば:
[AM]-/反応部分/+/反応基/-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応部分/+/反応基/-[ASO]
[AM]-/反応部分/+/反応基/-[リンカー]n-[ASO]
[AM]-[リンカー]n-/反応部分/+/反応基/-[リンカー]n-[ASO]
が想定されている。
【0247】
[0248]アンカー部分を、EV、例えばエクソソームの脂質二重層に挿入して、エクソソームへのASOのローディングを可能にすることができる。現在、極性のASOの送達媒体としてのエクソソームの商業化に対する主な障害は、非常に非効率的なローディングである。この障害は、極性ASOをエクソソームにロードする前に極性ASOを修飾することによって克服することができる。このように、本明細書で記載されるように、ASOの修飾は、エクソソームへのASOのローディングを容易にする。
【0248】
[0249]本明細書に記載される修飾極性ASOをエクソソームにロードする方法は、例えば電気穿孔又はカチオン脂質トランスフェクションによって非修飾ASOをエクソソームに導入するために以前に報告されたローディング効率と比較して、ローディング効率を有意に改善する。
【0249】
[0250]一部の態様では、修飾は、ASOの疎水性を、天然の(非修飾)ASOと比較して少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10倍増加させる。一部の態様では、修飾は、ASOの疎水性を、天然の(非修飾)ASOと比較して少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10桁増加させる。
【0250】
[0251]一部の態様では、修飾は、ASOの疎水性を、天然の(非修飾)ASO、例えば対応する非修飾ASOと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、又は少なくとも約1000%増加させる。疎水性の増加は、任意の好適な方法を使用して評価することができる。例えば、疎水性は、水などの水性溶媒中の溶解度と比較して、オクタノールなどの有機溶媒中でのパーセンテージ溶解度を測定することによって決定することができる。
【0251】
[0252]一部の態様では、アンカー部分は、ASOの疎水性性質を増強するためにASOに化学的にコンジュゲートされ得る。例示的な態様では、アンカー部分は、ステロール(例えば、コレステロール)、GM1、脂質、ビタミン、小分子、ペプチド、又はその組合せである。一部の態様では、部分は脂質である。一部の態様では、アンカー部分はステロール、例えばコレステロールである。追加の疎水性部分は、例えばリン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、又はビタミン(例えば、ビタミンD又はビタミンE)を含む。
【0252】
[0253]一部の態様では、アンカー部分は、ASOの末端に直接又は1つ若しくは複数のリンカーを介してコンジュゲートされている(すなわち、「末端修飾」)。他の態様では、アンカー部分は、ASOの他の部分にコンジュゲートされている。
【0253】
[0254]一部の態様では、ASOは、検出可能な標識を含み得る。例示的な標識としては、蛍光標識及び/又は放射活性標識が挙げられる。一部の態様では、ASOが蛍光標識される場合、検出可能な標識は、例えばCy3であり得る。検出可能な標識をASOに付加することは、エクソソームを標識する方法として及びエクソソームの生体分布を追跡する方法として使用することができる。他の態様では、検出可能な標識は、例えばエクソソーム脂質及び/又はエクソソームペプチドを標識することによって、エクソソームに直接結合させることができる。
【0254】
[0255]ASOの異なる構成要素(すなわち、アンカー部分、リンカー、及びリンカーの組合せ、及びASO)は、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホロアミデート、ホスホトリエステル、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホジエステル、又はホスホロチオエート連結によって、或いは任意の若しくは他の連結によって連結され得る。
【0255】
[0256]一部の態様では、ASOの異なる構成要素は、二官能性リンカー(すなわち、2つの官能基を含有するリンカー)、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸、N-(5-アミノペンチル)-イミノ二酢酸、及びその他を使用するリンカーであり得る。
【0256】
III.A.1.アンカー部分
[0257]ASOを、EV、例えばエクソソームの表面に係留することが可能な好適なアンカー部分は、以下に詳細に記載されるように、例えばステロール(例えば、コレステロール)、脂質、リゾリン脂質、脂肪酸、又は脂溶性ビタミンを含む。
【0257】
[0258]一部の態様では、アンカー部分は脂質であり得る。脂質アンカー部分は、当技術分野で公知の任意の脂質、例えばパルミチン酸又はグリコシルホスファチジルイノシトールであり得る。一部の態様では、脂質は、脂肪酸、ホスファチド、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、又はホスファチジルエタノールアミン)、又はそのアナログ(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、セファリン、又はホスファチジルセリン、又はそのアナログ若しくは部分、例えば部分的に加水分解されたその一部)である。
【0258】
[0259]一般的には、アンカー部分は、化学的に結合される。しかしながら、アンカー部分は、酵素によってASOに結合させることができる。一部の態様では、細胞培養条件の改変を介してアンカー部分をASOに結合することが可能である。例えば、ミリスチン酸が限定的である培養培地を使用することによって、より短鎖で不飽和の脂肪酸を含む一部の他の脂肪酸を、N末端グリシンに結合させることができる。例えば、BKチャネルにおいて、ミリスチン酸は、ヒドロキシエステル連結を介して内部セリン/トレオニン、又はチロシン残基に翻訳後結合することが報告されている。
【0259】
[0260]アンカー部分を、任意の化学的に実現可能な位置で、例えばASOの5’及び/又は3’末端でASOに直接、又はリンカーの組合せを介して間接的にコンジュゲートすることができる。一態様では、アンカー部分は、ASOの3’末端のみにコンジュゲートされている。一態様では、アンカー部分は、ASOの5’末端のみにコンジュゲートされている。一態様では、アンカー部分は、ASOの3’末端でも5’末端でもない位置にコンジュゲートされている。
【0260】
[0261]本開示の方法を実践するために使用することができる膜アンカーのいくつかのタイプを以下の表に提示する:
【表2】
【0261】
[0262]一部の態様では、本開示のアンカー部分は、本明細書に開示されるアンカー部分の2つ又はそれより多くのタイプを含み得る。例えば、一部の態様では、アンカー部分は、2つの脂質、例えば、リン脂質及び脂肪酸、又は2つのリン脂質、又は2つの脂肪酸、又は脂質及びビタミン、又はコレステロール及びビタミン等を含み得て、これらは併せて6~80個の炭素原子(すなわち、6~80の炭素等量数(ECN))を有する。
【0262】
[0263]一部の態様では、アンカー部分の組合せ、例えば脂質(例えば、脂肪酸)の組合せは、6~80、8~80、10~80、12~80、14~80、16~80、18~80、20~80、22~80、24~80、26~80、28~80、30~80、4~76、6~76、8~76、10~76、12~76、14~76、16~76、18~76、20~76、22~76、24~76、26~76、28~76、30~76、6~72、8~72、10~72、12~72、14~72、16~72、18~72、20~72、22~72、24~72、26~72、28~72、30~72、6~68、8~68、10~68、12~68、14~68、16~68、18~68、20~68、22~68、24~68、26~68、28~68、30~68、6~64、8~64、10~64、12~64、14~64、16~64、18~64、20~64、22~64、24~64、26~64、28~64、30~64、6~60、8~60、10~60、12~56、14~56、16~56、18~56、20~56、22~56、24~56、26~56、28~56、30~56、6~52、8~52、10~52、12~52、14~52、16~52、18~52、20~52、22~52、24~52、26~52、28~52、30~52、6~48、8~48、10~48、12~48、14~48、16~48、18~48、20~48、22~48、24~48、26~48、28~48、30~48、6~44、8~44、10~44、12~44、14~44、16~44、18~44、20~44、22~44、24~44、26~44、28~44、30~44、6~40、8~40、10~40、12~40、14~40、16~40、18~40、20~40、22~40、24~40、26~40、28~40、30~40、6~36、8~36、10~36、12~36、14~36、16~36、18~36、20~36、22~36、24~36、26~36、28~36、30~36、6~32、8~32、10~32、12~32、14~32、16~32、18~32、20~32、22~32、24~32、26~32、28~32、又は30~32のECNを有する。
【0263】
III.A.1.a.コレステロール及び他のステロール
[0264]一部の態様では、アンカー部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、又は親油性特性を有するそのアナログを含む。一部の態様では、アンカー部分はステロール、例えばフィトステロール、ミコステロール、又は動物ステロールを含む。例示的な動物ステロールとしては、コレステロール及び24S-ヒドロキシコレステロールが挙げられる;例示的なフィトステロールとしては、エルゴステロール(ミコステロール)、カンペステロール、シトステロール、及びスチグマステロールが挙げられる。一部の態様では、ステロールは、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、又はスチグマステロールから選択される。ステロールは、遊離のステロール、アシル化(ステロールエステル)、アルキル化(ステリルアルキルエーテル)、硫酸化(硫酸ステロール)、又はそれ自身がアシル化され得るグリコシド部分(ステリルグリコシド)に連結された(アシル化ステロールグリコシド)いずれかの状態で見出され得る。
【0264】
[0265]一部の態様では、アンカー部分は、ステロイドを含む。一部の態様では、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、又はコルチゾルから選択される。
【0265】
[0266]例えば、ステロールは、ステロールの利用可能な-OH基で直接、又はリンカーの組合せを介してASOにコンジュゲートされ得る。例示的なステロールは、以下に示す一般的な骨格:
【化12】

を有する。
【0266】
[0267]さらなる例として、エルゴステロールは以下の構造:
【化13】

を有する。
【0267】
[0268]コレステロールは、以下の構造:
【化14】

を有する。
【0268】
[0269]したがって、一部の実施形態では、ステロール又はステロイドの遊離の-OH基を使用して、ASOを直接、又はリンカーの組合せを介してステロール(例えば、コレステロール)又はステロイドにコンジュゲートする。
【0269】
[0270]一部の態様では、ASOは、以下の構造
【化15】

によってEVにコンジュゲートされる。
【0270】
III.A.1.b.脂肪酸
[0271]一部の態様では、アンカー部分は脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、短鎖、中鎖、又は長鎖脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、飽和脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は、不飽和脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸はモノ不飽和脂肪酸である。一部の態様では、脂肪酸は多価不飽和脂肪酸、例えばω-3(オメガ-3)又はω-6(オメガ-6)脂肪酸である。
【0271】
[0272]一部の態様では、脂質、例えば脂肪酸は、C-C60鎖を有する。一部の実施形態では、脂質、例えば脂肪酸はC-C28鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸はC-C40鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸はC-C12又はC-C12鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸はC-C40鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C-C40、C~C38、C~C36、C~C34、C~C32、C~C30、C~C30、C~C28、C~C28、C~C26、C~C26、C~C24、C~C24、C~C24、C~C24、C10~C24、C~C22、C~C22、C~C22、C~C22、C10~C22、C~C20、C~C20、C~C20、C~C20、C10~C20、C~C18、C~C18、C~C18、C~C18、C10~C18、C12~C18、C14~C18、C16~C18、C~C16、C~C16、C~C16、C~C16、C10~C16、C12~C16、C14~C16、C~C15、C~C15、C~C15、C~C15、C~C15、C10~C15、C11~C15、C12~C15、C13~C15、C~C14、C~C14、C~C14、C~C14、C~C14、C10~C14、C11~C14、C12~C14、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C~C13、C10~C13、C10~C13、C11~C13、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C~C12、C10~C12、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C11、C~C10、C~C10、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C-C、又はC-C鎖を有する。一部の態様では、脂肪酸は、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49、C50、C51、C52、C53、C54、C55、C56、C57、C58、C59、又はC60鎖を有する。
【0272】
[0273]一部の態様では、アンカー部分は、その各々が炭素原子の前述の範囲又は数のいずれか1つを有する鎖を有する脂肪酸から独立的に選択される2つの脂肪酸を含む。一部の態様では、脂肪酸の1つは、独立的にC6-C21鎖を有する脂肪酸であり、他方は独立的にC12-C36鎖を有する脂肪酸である。一部の実施形態では、各脂肪酸は、独立的に11、12、13、14、15、16、又は17個の炭素原子の鎖を有する。
【0273】
[0274]好適な脂肪酸は、飽和直鎖脂肪酸、飽和分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、及びポリカルボン酸を含む。一部の態様では、そのような脂肪酸は、最大で32個の炭素原子を有する。
【0274】
[0275]有用な飽和直鎖脂肪酸の例としては、偶数の炭素原子を有する脂肪酸、例えば酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸及びn-ドトリアコンタン酸、並びに奇数の炭素原子を有する脂肪酸、例えばプロピオン酸、n-吉草酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ヘンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、トリコサン酸、ペンタコサン酸、及びヘプタコサン酸が挙げられる。
【0275】
[0276]好適な飽和分岐脂肪酸の例としては、イソ酪酸、イソカプロン酸、イソカプリル酸、イソカプリン酸、イソラウリン酸、11-メチルドデカン酸、イソミリスチン酸、13-メチル-テトラデカン酸、イソパルミチン酸、15-メチル-ヘキサデカン酸、イソステアリン酸、17-メチルオクタデカン酸、イソアラキン酸、19-メチル-エイコサン酸、α-エチル-ヘキサン酸、α-ヘキシルデカン酸、α-ヘプチルウンデカン酸、2-デシルテトラデカン酸、2-ウンデシルテトラデカン酸、2-デシルペンタデカン酸、2-ウンデシルペンタデカン酸、及びFine oxocol 1800酸(Nissan Chemical Industries、Ltd.の製品)が挙げられる。好適な飽和奇数炭素分岐脂肪酸としては、イソブチル基で終わるアンテイソ脂肪酸、例えば6-メチル-オクタン酸、8-メチル-デカン酸、10-メチル-ドデカン酸、12-メチル-テトラデカン酸、14-メチル-ヘキサデカン酸、16-メチル-オクタデカン酸、18-メチル-エイコサン酸、20-メチル-ドコサン酸、22-メチル-テトラコサン酸、24-メチル-ヘキサコサン酸、及び26-メチルオクタコサン酸が挙げられる。
【0276】
[0277]好適な不飽和脂肪酸の例としては、4-デセン酸、カプロレイン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、ラウロレイン酸、4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、パルミトレイン酸、6-オクタデセン酸、オレイン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、9-エイコセン酸、シス-11-エイコセン酸、セトレイン酸、13-ドコセン酸、15-テトラコセン酸、17-ヘキサコセン酸、6,9,12,15-ヘキサデカテトラエン酸、リノール酸、リノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、パリナリン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、及びその他が挙げられる。
【0277】
[0278]好適なヒドロキシ脂肪酸の例としては、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、ω-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシアラキン酸、9-ヒドロキシ-12-オクタデセン酸、リシノール酸、α-ヒドロキシベヘン酸、9-ヒドロキシ-トランス-10,12-オクタデカジエン酸、カモレン酸、イプロル酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びその他が挙げられる。
【0278】
[0279]好適なポリカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、D,L-リンゴ酸、及びその他が挙げられる。
【0279】
[0280]一部の態様では、各脂肪酸は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘネイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロ酸、オオバコ酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンタン酸、又はオクタトリアコンタン酸から独立的に選択される。
【0280】
[0281]一部の態様では、各脂肪酸は、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、ガンマ-リノール酸、ジホモ-ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、アドレニン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、ニシン酸、ドコサヘキサエン酸、又はテトラコサノールペンタエン酸、又は別のモノ不飽和又は多価不飽和脂肪酸から独立的に選択される。
【0281】
[0282]一部の態様では、脂肪酸の1つ又は両方は、必須脂肪酸である。ある特定の必須脂肪酸の健康上の有益な効果を考慮すると、本開示の治療薬をロードしたエクソソームの治療利益は、治療剤にそのような脂肪酸を含めることによって増加し得る。一部の態様では、必須脂肪酸は、リノレン酸、ガンマ-リノレン酸、ジホモ-ガンマ-リノレン酸、アラキドン酸、アドレン酸、ドコサペンタエンn-6酸、アルファ-リノレン酸、ステアリドン酸、20:4n-3酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエンn-3酸、又はドコサヘキサエン酸からなる群から選択されるn-6又はn-3必須脂肪酸である。
【0282】
[0283]一部の態様では、各脂肪酸は、オール-シス-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、又はリポ酸から独立的に選択される。他の態様では、脂肪酸は、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はリポ酸から選択される。脂肪酸の他の例としては、オール-シス-7,10,13-ヘキサデカトリエン酸、α-リノレン酸(ALA又はオール-シス-9,12,15-オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(STD又はオール-シス-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸)、エイコサトリエン酸(ETE又はオール-シス-11,14,17-エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETA又はオール-シス-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸又はオール-シス-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHA又はオール-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸(オール-シス-9,12,15,18,21-ドコサヘキサエン酸)、又はテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸又はオール-シス-6,9,12,15,18,21-テトラコセン酸)が挙げられる。一部の態様では、脂肪酸は、リポ酸などの中鎖脂肪酸である。
【0283】
[0284]脂肪酸鎖は、その鎖の長さが大きく異なり、鎖長に従って、例えば、短鎖から超長鎖として分類され得る。短鎖脂肪酸(SCFA)は、約5個以下の炭素を有する脂肪酸(例えば、酪酸)である。一部の態様では、脂肪酸はSCFAである。中鎖脂肪酸(MCFA)は、約6~12個の炭素の鎖を有する脂肪酸を含み、中鎖トリグリセリドを形成することができる。一部の態様では、脂肪酸はMCFAである。長鎖脂肪酸(LCFA)は、13~21個の炭素の鎖を有する脂肪酸を含む。一部の態様では、脂肪酸はLCFAである。一部の態様では、脂肪酸はLCFAである。超長鎖脂肪酸(VLCFA)は、22個又はそれより多くの炭素、例えば22~60、22~50、又は22~40個の炭素の鎖を有する脂肪酸を含む。一部の態様では、脂肪酸はVLCFAである。
【0284】
III.A.1.c.リン脂質
[0285]一部の態様では、アンカー部分はリン脂質を含む。リン脂質は、全ての細胞膜の主要な構成要素である脂質のクラスである。リン脂質は、その両親媒性特徴のために脂質二重層を形成することができる。リン脂質分子の構造は一般的に、2つの疎水性脂肪酸の「テール」、及びリン酸基からなる親水性の「ヘッド」からなる。例えば、リン脂質は、以下の式に従う脂質であり得る:
【化16】

式中、Rは、リン脂質部分を表し、R及びR同じであっても異なっていてもよい不飽和を有するか、又は有しない脂肪酸部分を表す。
【0285】
[0286]リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。
【0286】
[0287]特定のリン脂質は、脂質二重層、例えばエクソソーム膜の脂質二重層との融合を容易にし得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜の1つ又は複数の負に荷電したリン脂質と相互作用し得る。リン脂質と膜との融合は、脂質含有組成物の1つ又は複数のエレメントが膜に結合するのを、又は膜の中を通過するのを可能にし得る。
【0287】
[0288]脂肪酸部分は、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。
【0288】
[0289]本開示においてアンカー部分として使用するリン脂質は、天然又は非天然のリン脂質であり得る。修飾を有する天然種、並びに分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む置換を有する非天然のリン脂質種も同様に企図される。例えば、リン脂質は、1つ又は複数のアルキン(例えば、1つ又は複数の二重結合が三重結合に交換されているアルケニル基)によって官能化され得るか、又はアルキンに架橋され得る。適切な反応条件では、アルキン基は、アジドに曝露されると銅触媒環化付加を受け得る。
【0289】
III.A.2.リンカーの組合せ
[0290]一部の態様では、ASOは、切断性及び/又は非切断性リンカーの任意の組合せを含み得るリンカーの組合せを介して、本明細書に開示される疎水性の膜アンカー部分に連結される。リンカーの組合せの主な機能は、アンカー部分又は複数の部分とBAM標的との間の最適な間隔を提供することである。例えば、ASOの場合、リンカーの組合せは、ASOが標的核酸、例えばmRNA又はmiRNAと相互作用することができるように、ASOの立体妨害及び位置を低減させなければならない。
【0290】
[0291]リンカーは、切断に対して感受性であってもよく(「切断性リンカー」)、それによって生物学的に活性な分子の放出を容易にする。このように、一部の態様では、本明細書に開示されるリンカーの組合せは、切断性リンカーを含み得る。そのような切断性リンカーは、生物学的に活性な分子がなおも活性である条件下で、例えば酸誘導切断、光誘導切断、ペプチダーゼ誘導切断、エステラーゼ誘導切断、及びジスルフィド結合切断に対して感受性であり得る。或いは、リンカーは、切断に対して実質的に抵抗性であってもよい(「非切断性リンカー」)。一部の態様では、切断性リンカーは、スペーサーを含む。一部の態様では、スペーサーはPEGである。
【0291】
[0292]一部の態様では、リンカーの組合せは、本明細書に開示される少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は少なくとも6個又はそれより多くの異なるリンカーを含む。一部の態様では、リンカーの組合せ中のリンカーは、エステル連結(例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエートエステル)によって連結され得る。
【0292】
[0293]一部の態様では、リンカーは、アンカー部分と、BAM、例えばASOとの間の直接結合である。
【0293】
III.A.2.a.非切断性リンカー
[0294]一部の態様では、リンカーの組合せは、「非切断性リンカー」を含む。「非切断性リンカー」は、本開示の修飾された生物学的に活性な分子の2つ又はそれより多くの構成要素(例えば、生物学的に活性な分子とアンカー部分、生物学的に活性な分子と切断性リンカー、アンカー部分と切断性リンカー)を、安定な共有結合により連結することが可能であり、切断性リンカーに関する上記のカテゴリーに入らない任意の化学部分である。このように、非切断性リンカーは、酸誘導切断、光誘導切断、ペプチダーゼ誘導切断、エステラーゼ誘導切断、及びジスルフィド結合切断に対して実質的に抵抗性である。
【0294】
[0295]さらに、非切断性リンカーは、リンカー中の又はリンカーに隣接する化学結合が、環状ジヌクレオチド及び/又は抗体がその活性を失わない条件下で、酸、感光性の切断剤、ペプチダーゼ、エラスターゼ、又はジスルフィド結合を切断する化学的若しくは生理学的化合物によって誘導される切断に耐える能力を指す。一部の態様では、生物学的に活性な分子は、別のリンカー、例えば自己犠牲型リンカーを介してリンカーに結合する。
【0295】
[0296]一部の態様では、リンカーの組合せは、例えばテトラエチレングリコール(TEG)ヘキサエチレングリコール(HEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシンイミド、又はこれらの任意の組合せを含む非切断性リンカーを含む。一部の態様では、非切断性リンカーは、生物学的に活性な分子を非切断性リンカーに連結するためのスペーサー単位を含む。
【0296】
[0297]一部の態様では、1つ又は複数の非切断性リンカーは、共に連結されるより小さい単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、C2~C12アルキル、及びその他)を含む。一態様では、連結は、エステル連結(例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエートエステル)又は他の連結である。
【0297】
III.A.2.b.エチレングリコール(HEG、TEG、PEG)
[0298]一部の態様では、リンカーの組合せは、非切断性リンカーを含み、非切断性リンカーは、式R-(O-CH-CH-又はR-(0-CH-CH-O-(式中、Rは、水素、メチル、又はエチルであり、及びnは2~200の間の値を有する)によって特徴付けられるポリエチレングリコール(PEG)を含む。一部の態様では、リンカーは、PEGであるスペーサーを含む。
【0298】
[0299]一部の態様では、PEGリンカーは、オリゴエチレングリコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ペンタエチレングリコール、又はヘキサエチレングリコール(HEG)リンカーである。
【0299】
[0300]一部の態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200の値を有する。
【0300】
[0301]一部の態様では、nは、2~10の間、10~20の間、20~30の間、30~40の間、40~50の間、50~60の間、60~70の間、70~80の間、80~90の間、90~100の間、100~110の間、110~120の間、120~130の間、130~140の間、140~150の間、150~160の間、160~170の間、170~180の間、180~190の間、又は190~200の間である。
【0301】
[0302]一部の特定の態様では、nは、3~200、3~20、10~30、又は9~45の値を有する。
【0302】
[0303]一部の態様では、PEGは、分岐PEGである。分岐PEGは、中心のコア基から発散する3~10個のPEG鎖を有する。
【0303】
[0304]ある特定の実施形態では、PEG部分は、単分散ポリエチレングリコールである。本開示の文脈において、単分散ポリエチレングリコール(mdPEG)は、単一の定義された鎖長及び分子量を有するPEGである。mdPEGは、典型的にクロマトグラフィーによる重合混合物からの分離によって生成される。ある特定の処方では、単分散PEG部分には、mdPEGという略語が割り当てられる。
【0304】
[0305]一部の態様では、PEGは星型PEGである。星型PEGは、中心のコア基から発散する10~100個のPEG鎖を有する。
【0305】
[0306]一部の態様では、PEGは、Comb PEGである。Comb PEGは、ポリマー骨格に通常にグラフトされた複数のPEG鎖を有する。
【0306】
[0307]ある特定の態様では、PEGは、100g/mol~3000g/molの間、詳細には100g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ100g/mol~2000g/molの分子質量を有する。ある特定の態様では、PEGは、200g/mol~3000g/molの間、詳細には300g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ400g/mol~2000g/molの分子質量を有する。
【0307】
[0308]一部の態様では、PEGは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、又はPEG3000である。1つの特定の態様では、PEGはPEG400である。別の特定の態様では、PEGはPEG2000である。
【0308】
[0309]一部の態様では、本開示のリンカーの組合せは、いくつかのPEGリンカー、例えば、PEG、HEG、又はTEGリンカーが隣接する切断性リンカーを含み得る。
【0309】
[0310]一部の態様では、リンカーの組合せは、(HEG)n及び/又は(TEG)nを含み、nは、1~50の間の整数であり、各単位は、例えばリン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル連結、又はその組合せを介して接続される。
III.A.2.c.グリセロール及びポリグリセロール(PG)
【0310】
[0311]一部の態様では、リンカーの組合せは、式((R-O-(CH-CHOH-CHO)-)(式中、R3は、水素、メチル、又はエチルであり、及びnは3~200の値を有する)によって記載されるグリセロール単位又はポリグリセロール(PG)を含む非切断性リンカーを含む。一部の態様では、nは、3~20の値を有する。一部の態様では、nは10~30の値を有する。
【0311】
[0312]一部の態様では、PGリンカーは、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール(TG)、ペンタグリセロール、又はヘキサグリセロール(HG)リンカーである。
【0312】
[0313]一部の態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、189、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200の値を有する。
【0313】
[0314]一部の態様では、nは、2~10の間、10~20の間、20~30の間、30~40の間、40~50の間、50~60の間、60~70の間、70~80の間、80~90の間、90~100の間、100~110の間、110~120の間、120~130の間、130~140の間、140~150の間、150~160の間、160~170の間、170~180の間、180~190の間、又は190~200の間である。
【0314】
[0315]これらの実施形態の一部の代替では、nは、9~45の値を有する。一部の態様では、異種部分は、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記載され、式中Rが水素である分岐ポリグリセロールであるか、又は式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)によって記載され、式中Rが、水素、メチル、又はエチルである直鎖グリセロールである。一部の態様では、異種部分は、式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記載され、式中Rが水素であるハイパーブランチ型ポリグリセロールであるか、又は式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記載され、式中Rが水素であるグリセロール鎖であるか、又は式(R-O-(CH-CHOR-CH-O)-)によって記載され、式中Rが水素であるグリセロール鎖であるか、又は式(R-O-(CH-CHOH-CH-O)-)によって記載され、式中Rが、水素、メチル、又はエチルである直鎖グリセロール鎖である。ハイパーブランチ型グリセロール及びその合成方法は、Oudshornら、(2006)Biomaterials 27:5471-5479;Wilmsら、(20100 Acc.Chem.Res.43、129-41、及び引用されている参考文献に記載されている。
【0315】
[0316]ある特定の態様では、PGは、100g/mol~3000g/molの間、詳細には100g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ100g/mol~2000g/molの分子質量を有する。ある特定の態様では、PGは、200g/mol~3000g/molの間、詳細には300g/mol~2500g/molの間、より詳細にはおよそ400g/mol~2000g/molの分子質量を有する。
【0316】
[0317]一部の態様では、PGは、PG100、PG200、PG300、PG400、PG500、PG600、PG700、PG800、PG900、PG1000、PG1100、PG1200、PG1300、PG1400、PG1500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG1600、PG1700、PG1800、PG1900、PG2000、PG2100、PG2200、PG2300、PG2400、PG2500、PG2600、PG2700、PG2800、PG2900、又はPG3000.である。1つの特定の態様では、PGはPG400である。別の特定の態様では、PGはPG2000である。
【0317】
[0318]一部の態様では、リンカーの組合せは、(グリセロール)n、及び/又は(HG)n、及び/又は(TG)nを含み、式中nは、1~50の整数であり、各単位は、例えばリン酸エステルリンカー、ホスホロチオエートエステル連結、又はその組合せを介して接続されている。
【0318】
III.A.2.d.脂肪族(アルキル)リンカー
[0319]一部の態様では、リンカーの組合せは、少なくとも1つの脂肪族(アルキル)リンカー、例えばプロピル、ブチル、ヘキシル、又はC2-C12アルキル、例えばC2-C10アルキル又はC2-C6アルキルを含む。
【0319】
III.A.3.切断性リンカー
[0320]一部の態様では、本明細書に開示されるASOの異なる構成要素を、切断性リンカーによって連結することができる。切断性リンカーという用語は、破断又は切断することができる少なくとも1つの連結又は化学結合を含むリンカーを指す。本明細書で使用される場合、切断という用語は、比較的大きい分子における1つ又は複数の化学結合の、2つ又はそれより多くの比較的小さい分子を生じるような破断を指す。切断は、例えばヌクレアーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、オキシダーゼ、若しくはレダクターゼによって、又は特定の物理化学条件、例えば酸化還元環境、pH、反応性酸素種の存在、若しくは特定の波長の光によって媒介され得る。
【0320】
[0321]一部の態様では、「切断性」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば急速に分解するリンカー、例えばホスホジエステル及びジスルフィドを指すが、「非切断性」リンカーという用語は、例えばより安定な連結、例えばヌクレアーゼ抵抗性ホスホロチオエートを指す。
【0321】
[0322]一部の態様では、切断性リンカーは、ジヌクレオチド又はトリヌクレオチドリンカー、ジスルフィド、イミン、チオケタール、val-citジペプチド、又はこれらの任意の組合せである。
【0322】
[0323]一部の態様では、切断性リンカーは、バリン-アラニン-p-アミノベンジルカルバメート又はバリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
III.A.4.特定の例及び位相幾何学
【0323】
[0324]本開示の特定の態様では、リンカーの組合せは、式:
[アルキルリンカー]m-[PEG1]n-[PEG2]o
のリンカーからなり、
式中、m、n、及びoは、0又は1であり、並びにm、n、又はoのうちの少なくとも1つはゼロではない。そのような式に従う例示的なリンカーの組合せは、C6-TEG-HEG、C6-HEG、C6-TEG、C6、TEG-HEG、TEG、C8-TEG-HEG、C8-HEG、C8-TEG、及びC8である。
【0324】
[0325]一部の態様では、リンカーの組合せは、1つ又は複数の切断性リンカー、例えば酵素による切断性リンカー及び自己犠牲リンカーと組み合わせた非切断性リンカー(例えば、TEG又はHEG)を含む。
【0325】
[0326]特定の態様では、リンカーの組合せは、以下に示すように、リンカーの組合せTEG(非切断性リンカー)-Val-Cit(切断性リンカー)-pAB(自己犠牲リンカー)を含む。
【化17】
【0326】
[0327]アンカー部分とリンカーの組合せの特定の組合せを以下の表に例証する。
【0327】
【表3】
【0328】
【表4】
【0329】
[0328]本開示のASOなどの特定のオリゴヌクレオチドを以下に例証する。
[コレステロール]-[TEG]-[HEG]-[ASO]
【化18】

[コレステロール]-[SMal]-[Val-Cit]-[pAB]-[ASO]
【化19】

[コレステロール]-[TEG]-[Val-Cit]-[C6]-[ASO]
【化20】

[コレステロール]-[TEG]-[SS]-[C6]-[ASO]
【化21】

式中、[コレステロール]は、コレステロールアンカー部分であり、[TEG]は、TEG非切断性リンカーであり、[HEG]は、HEG非切断性リンカーであり、[SS]は、ジスルフィド酸化還元切断性リンカーであり、[C6]は、アルキル非切断性リンカーであり、[SMal]は、S-マレイミドであり、[Val-Cit]は、バリン-シトルリン切断性リンカーであり、[pAB]は、pAB自己犠牲リンカーである。一部の態様では、本開示のASOは、1つ又は複数の構成要素が、実施例で示されるクラスと同じクラスの構成要素に交換されている、上記で提供される例示的な構造に従う構造を有する。例えば、[コレステロール]アンカー部分を、本明細書に開示される別のアンカー部分に置換することができ、[TEG]を、本明細書に開示される別のポリマー非切断性リンカー(例えば、HEG、PEG、PG)に置換することができ、[Val-Cit]を、別のペプチダーゼ切断性リンカーに交換することができ、又は[pAB]を、別の自己犠牲リンカーに置換することができる。
【0330】
III.B.足場部分
[0329]1つ又は複数の足場部分をEVにおいて発現させることができる。一部の態様では、1つ又は複数の足場部分を使用してASOを本開示のEVに係留する。他の態様では、1つ又は複数の足場部分を使用して、ASOに加えてタンパク質又は分子をEVに係留する。したがって、本開示のEVは、ASOを連結するアンカー部分、及びタンパク質又は分子、例えば標的化部分を連結する足場部分を含む。一部の態様ではASOは、足場部分に連結される。一部の態様では、EVは、1つより多くの足場部分を含む。一部の態様では、第1のASOは、第1の足場部分に連結され、第2のASOは、第2の足場部分に連結される。一部の態様では、第1の足場部分及び第2の足場部分は、同じタイプの足場部分であり、例えば、第1及び第2の足場部分は、両方がScaffold Xタンパク質である。一部の態様では、第1の足場部分及び第2の足場部分は異なるタイプの足場部分であり、例えば、第1の足場部分はScaffold Yタンパク質であり、第2の足場部分はScaffold Xタンパク質である。一部の態様では、第1の足場部分は、本明細書に開示されるScaffold Yである。一部の態様では、第1の足場部分は、本明細書に開示されるScaffold Xである。一部の態様では、第2の足場部分は、本明細書に開示されるScaffold Yである。一部の態様では、第2の足場部分は、本明細書に開示されるScaffold Xである。
【0331】
[0330]一部の態様では、EVは、ASOをEV、例えばエクソソーム(例えば、内腔表面上又は外部表面上のいずれかで)に係留することが可能である1つ又は複数の足場部分を含む。ある特定の態様では、足場部分はポリペプチド(「足場タンパク質」)である。ある特定の態様では、足場タンパク質は、エクソソームタンパク質又はその断片を含む。他の態様では、足場部分は、非ポリペプチド部分である。一部の態様では、足場タンパク質は、エクソソーム膜において濃化された様々な膜タンパク質、例えば膜貫通タンパク質、内在性タンパク質、及び表在性タンパク質を含む。足場タンパク質は、様々なCDタンパク質、輸送体、インテグリン、レクチン、及びカドヘリンを含み得る。ある特定の態様では、足場部分(例えば、足場タンパク質)は、Scaffold Xを含む。他の態様では、足場部分(例えば、エクソソームタンパク質)はScaffold Yを含む。さらなる態様では、足場部分(例えばエクソソームタンパク質)は、Scaffold X及びScaffold Yの両方を含む。
【0332】
[0331]一部の態様では、本開示のEV、例えばエクソソームは、組成が修飾されている膜を含む。例えば、膜組成は、膜のタンパク質、脂質、又はグリカン内容物を変化させることによって修飾することができる。
【0333】
[0332]一部の態様では、表面を操作されたEV、例えばエクソソームは、化学的及び/又は物理的方法、例えばPEG誘導融合及び/又は超音波融合によって作製される。他の態様では、表面を操作されたEV、例えばエクソソームは、遺伝子工学によって作製される。遺伝子修飾された産生細胞又は遺伝子修飾細胞の子孫から産生されたEV、例えばエクソソームは、修飾された膜組成を含有し得る。一部の態様では、表面を操作されたEV、例えばエクソソームは、より高密度又は低密度(例えば、より大きい数)で足場部分(例えばエクソソームタンパク質、例えば、Scaffold X)を有するか、又は足場部分のバリアント若しくは断片を含む。
【0334】
[0333]例えば、表面(例えば、Scaffold X)が操作されたEVは、足場部分(例えばエクソソームタンパク質、例えばScaffold X)又はバリアント若しくはその断片をコードする外因性配列によって形質転換された細胞(例えば、HEK293細胞)から産生され得る。外因性配列から発現された足場部分を含むEVは、修飾された膜組成を含み得る。
【0335】
[0334]足場部分の様々な修飾又は断片を、本開示の態様のために使用することができる。例えば、結合剤に対して増強された親和性を有するように修飾された足場部分を、結合剤を使用して精製することができる表面を操作されたEVを作製するために使用することができる。EV及び/又は膜により有効に標的化されるように修飾された足場部分を使用することができる。エクソソーム膜に対する特異的及び有効な標的化にとって必要な最小の断片を含むように修飾された足場もまた、使用することができる。
【0336】
[0335]足場部分は、融合分子、例えばScaffold XとASOとの融合分子として発現されるように操作することができる。例えば、融合分子は、ASOに連結された本明細書に開示される足場部分(例えば、Scaffold X、例えば、PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、ATPトランスポーター、又はその断片若しくはバリアント)を含み得る。
【0337】
[0336]一部の態様では、Scaffold Xは、プロスタグランジンF2受容体陰性調節因子(PTGFRNポリペプチド)を含む。PTGFRNタンパク質はまた、CD9パートナー1(CD9P-1)、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質F(EWI-F)、プロスタグランジンF2-アルファ受容体調節タンパク質、プロスタグランジンF2-アルファ受容体関連タンパク質、又はCD315とも呼ばれ得る。ヒトPTGFRNタンパク質の全長のアミノ酸配列(Uniprot受託番号Q9P2B2)を、表2に配列番号301として示す。PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチド(配列番号301のアミノ酸1~25)、細胞外ドメイン(配列番号301のアミノ酸26~832)、膜貫通ドメイン(配列番号301のアミノ酸833~853)、及び細胞質ドメイン(配列番号301のアミノ酸854~879)を含有する。成熟PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチドを含まない配列番号301からなり、すなわち、配列番号301のアミノ酸26~879からなる。
【0338】
【表5】
【0339】
III.C.標的化部分
[0337]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、標的化部分、例えば外因性標的化部分を含む。一部の態様では、外因性標的化部分は、ペプチド、抗体若しくはその抗原結合断片、化学化合物、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、標的化部分は、マイクロタンパク質、設計されたアンキリン反復タンパク質(ダーピン)、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、ペプチド模倣分子、受容体の天然のリガンド、ラクダ科のナノボディ、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、外因性標的化部分は、全長抗体、単一ドメイン抗体、重鎖のみの抗体(VHH)、一本鎖抗体、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、scFv、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の態様では、抗体は一本鎖抗体である。
【0340】
[0338]一部の態様では、本開示の指向性部分は、トランスフェリン受容体(TfR)を標的とする。トランスフェリン受容体、例えば、TfR1又はTfR2は、トランスフェリンのキャリアタンパク質である。トランスフェリン受容体は、受容体媒介エンドサイトーシスを通してトランスフェリン-鉄錯体を内部移行させることによって鉄を輸送する。
【0341】
[0339]TfR1(例えば、UniProt P02786 TFR1_Humanを参照されたい)又はトランスフェリン受容体1(分化抗原群71又はCD71としても公知)は、血液脳関門(BBB)の内皮細胞上に発現される。一部の態様では、本開示の指向性部分は、TfRを標的とする、例えばTfR1を標的とすることができるリガンド、例えばトランスフェリン、又はTfRに特異的に結合することが可能な抗体若しくは他の結合分子を含み得る。一部の態様では、トランスフェリン受容体を標的とする抗体は、低親和性抗トランスフェリン受容体抗体である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第20190202936A1号を参照されたい)。
【0342】
[0340]一部の態様では、指向性部分は、トランスフェリン受容体のリガンドの全て又は一部(例えば、結合部分)、例えば中でも受託番号NM001063、XM002793、XM039847、NM002343、又はNM013900としてGenBankにおいて入手可能なヒトトランスフェリン、又はそのバリアント、断片、若しくは誘導体を含む。
【0343】
[0341]一部の態様では、指向性部分は、トランスフェリン-受容体-標的化部分、すなわちトランスフェリン受容体に対する標的化部分を含む。好適なトランスフェリン-受容体-標的化部分は、トランスフェリン又はトランスフェリンバリアント、例えばこれらに限定されないが、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、又はメラノトランスフェリンが挙げられる。トランスフェリンは、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、及びメラノトランスフェリンを含む、脊椎動物において見出される非ヘム鉄結合タンパク質ファミリーである。血清トランスフェリンは、分岐して各々が末端シアル酸残基を有する複数のアンテナで終わる2つのN結合多糖鎖を有する単一のポリペプチド鎖を含む、分子量が約80kDaの糖タンパク質である。2つの主なドメイン、すなわち約330アミノ酸のNドメイン及び約340アミノ酸のCドメインが存在し、その各々は2つのサブドメイン、N1及びN2、及びC1及びC2に分割される。トランスフェリンの受容体結合は、グリコシル化によらず、Cドメインを通して起こる。
【0344】
[0342]一部の態様では、指向性部分は、血清トランスフェリン又はトランスフェリンバリアント、例えばこれらに限定されないが、ヘキサシアロトランスフェリン、ペンタシアロトランスフェリン、テトラシアロトランスフェリン、トリシアロトランスフェリン、ジシアロトランスフェリン、モノシアロトランスフェリン、若しくはアシアロトランスフェリン、又は炭水化物欠損トランスフェリン(CDT)、例えばアシアロ、モノシアロ、若しくはジシアロトランスフェリン、又は炭水化物を含まないトランスフェリン(CFT)、例えばアシアロトランスフェリンである。一部の態様では、指向性部分は、トランスフェリンのN-末端ドメイン、トランスフェリンのC-末端ドメイン、天然トランスフェリンのグリコシル化、天然(野生型)トランスフェリンと比較して低減されたグリコシル化、グリコシル化なし、トランスフェリンの少なくとも2つのN末端小葉、トランスフェリンの少なくとも2つのC末端小葉、Nドメインにおける少なくとも1つの変異、Cドメインにおける少なくとも1つの変異、変異体がトランスフェリン受容体に対して天然のトランスフェリンより弱い結合アビディティを有する変異、及び/又は変異体がトランスフェリン受容体に対して天然のトランスフェリンより強い結合アビディティを有する変異、又は前記の組み合わせを有するトランスフェリンバリアントである。
【0345】
[0343]一部の態様では、トランスフェリン受容体を標的化する指向性部分は、抗トランスフェリン受容体可変新規抗原受容体(vNAR)、例えば一般的モチーフ構造(FW1-CDR1-FW2-3-CDR3-FW4)を有する結合ドメインを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017-0348416号を参照されたい。vNARは、サメの適応免疫系の重要な構成要素である。わずか11kDaであるが、これらの単一ドメイン構造は、動物界では最小のIgG様タンパク質であり、分子工学及び生物薬開発のための優れたプラットフォームを提供する。vNARの属性は、標的に対する高い親和性、発現の容易さ、安定性、溶解度、多重特異性、及び固形組織浸透能の増加を含む。Ubahら.Biochem.Soc.Trans.(2018)46(6):1559-1565を参照されたい。
【0346】
[0344]一部の態様では、指向性部分は、TfR1に特異的に結合することが可能なvNARドメインを含み、vNARドメインは、米国特許出願公開第2017-0348416号の表1の任意の1つのCDR3ペプチドと組み合わせて、米国特許出願公開第2017-0348416号の表1の任意の1つのCDR1ペプチドを有するvNAR足場を含むか又はから本質的になる。
【0347】
[0345]一部の態様では、標的化部分は、足場タンパク質によってEV、例えばエクソソームに連結される。一部の態様では、足場タンパク質は、本明細書に開示される任意の足場タンパク質である。一部の態様では、足場タンパク質はScaffold Xである。一部の態様では、足場タンパク質はScaffold Yである。
【0348】
III.D.リンカー
[0346]上記のように、本開示の細胞外ベシクル(EV)(例えばエクソソーム及びナノベシクル)は、目的の分子(例えば、ASO)をEV(例えば、外部表面に又は内腔表面上)に連結する1つ又は複数のリンカーを含み得る。一部の態様では、ASOは、EVに直接又は足場部分(例えば、Scaffold X又はScaffold Y)を介して連結される。ある特定の態様では、ASOは、リンカーによって足場部分に連結される。ある特定の態様では、ASOは、リンカーによって第2の足場部分に連結される。
【0349】
[0347]ある特定の態様では、ASOは、Scaffold Xを介してエクソソームの外部表面に連結される。さらなる態様では、ASOは、Scaffold X又はScaffold Yを介してエクソソームの内腔表面に連結される。リンカーは、当技術分野で公知の任意の化学部分であり得る。
【0350】
[0348]本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、ペプチド若しくはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチド又はポリペプチド配列)、又は非ポリペプチド、例えばアルキル鎖を指す。一部の態様では、2つ又はそれより多くのリンカーを縦列に連結することができる。複数のリンカーが存在する場合、リンカーの各々は、同じであっても異なっていてもよい。一般的には、リンカーは、柔軟性を提供するか、又は立体妨害を防止/改善する。リンカーは、典型的に切断されない;しかしながら、ある特定の態様では、そのような切断が望ましい場合がある。したがって、一部の態様では、リンカーは、リンカーの配列内に位置し得るか、又はリンカー配列のいずれかの末端でリンカーに隣接する1つ又は複数のプロテアーゼ切断性部位を含み得る。
【0351】
[0349]一部の態様では、リンカーはペプチドリンカーである。一部の態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、又は少なくとも約100個のアミノ酸を含み得る。
【0352】
[0350]一部の態様では、ペプチドリンカーは、合成であり、すなわち天然に存在しない。一態様では、ペプチドリンカーは、アミノ酸の第1の直鎖配列を、それが天然に連結されていない又は天然で遺伝的に融合されていないアミノ酸の第2の直鎖配列に連結するか又は遺伝的に融合するアミノ酸配列を含むペプチド(又はポリペプチド)(例えば、天然に存在する又は天然に存在しないペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの修飾型である天然に存在しないポリペプチド(例えば、付加、置換、又は欠失などの変異を含む)を含み得る。
【0353】
[0351]リンカーは、切断に対して感受性であり(「切断性リンカー」)、それによって生物学的に活性な分子(例えば、ASO)の放出を容易にし得る。
【0354】
[0352]一部の態様では、リンカーは、「還元感受性リンカー」である。一部の態様では、還元感受性リンカーは、ジスルフィド結合を含有する。一部の態様では、リンカーは、「酸不安定リンカー」である。一部の態様では、酸不安定リンカーは、ヒドラゾンを含有する。好適な酸不安定リンカーはまた、例えば、シス-アコニット酸リンカー、ヒドラジドリンカー、チオカルバモイルリンカー、又はこれらの任意の組合せも含む。
【0355】
[0353]一部の態様では、リンカーは非切断性リンカーを含む。
【0356】
[0354]一部の態様では、リンカーは、アクリル酸ホスホロアミダイト(例えば、アクリダイト(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-リンカー(商標)、アミノ修飾剤(例えば、アミノ修飾剤C6、アミノ修飾剤C12、アミノ修飾剤C6 dT、又はユニリンク(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、又はデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオール又はチオール修飾剤C6 S-S)、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0357】
[0355]一部の態様では、リンカーは、テルペン、例えばネロリドール、ファルネソール、リモネン、リナロール、ゲラニオール、カルボン、フェンコン又はメントール;脂質、例えばパルミチン酸又はミリスチン酸;コレステロール;オレイル;レチニル;コレステリル残基;コール酸;アダマンタン酢酸;1-ピレン酪酸;ジヒドロテストステロン;1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール;ゲラニルオキシヘキシル基;ヘキサデシルグリセロール;ボルネオール;1,3-プロパンジオール;ヘプタデシル基;O3-(オレオイル)リトコール酸;O3-(オレオイル)コレン酸;ジメトキシトリチル;フェノキサジン、マレイミド部分、グルコリニダーゼ型、CL2A-SN38型、葉酸;炭水化物;ビタミンA;ビタミンE;ビタミンK、又はこれらの任意の組合せを含む。
III.E.指向性部分を含む修飾されたEV
【0358】
[0356]一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームはその特性、例えば生体分布を、例えば免疫親和性リガンド又は同起源の受容体リガンドを組み込むことによって調整するように操作された表面であり得る。例えば、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームは、それらを特定の細胞タイプ、例えばシュワン細胞、知覚ニューロン、運動ニューロン、髄膜マクロファージ、若しくは腫瘍細胞に方向付けるように操作された表面であり得るか、又は特定の体内分画、例えばCNS(髄腔内分画の保持を改善するため)若しくは腫瘍微小環境への遊走を増強するように操作された表面であり得る。
【0359】
[0357]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、(i)本明細書に開示されるASO、及び(ii)生体分布修飾剤又は標的化部分を含む。一部の態様では、生体分布修飾剤又は標的化部分は、単一ドメイン抗原結合部分、例えばVHH及び/又はvNARを含む。本明細書で使用される場合、「生体分布修飾剤」及び「標的化部分」という用語は互換的に使用され、細胞外ベシクル(例えばエクソソーム、ナノベシクル)のin vivo又はin vitro(例えば、異なる種類の細胞の混合培養物)での分布を修飾することができる作用剤を指す。一部の態様では、標的化部分は、EV(例えばエクソソーム)の指向性を変更し、すなわち標的部分は、「指向性部分」である。本明細書で使用される場合、「指向性部分」という用語は、EV(例えばエクソソーム)上で発現された場合に、EVの天然の運動を変更する及び/又は増強する標的化部分を指す。例えば、一部の態様では、指向性部分は、EV(例えばエクソソーム)が特定の細胞、組織、又は臓器に取り込まれるのを促進することができる。
【0360】
[0358]EV、例えばエクソソームは、別個の細胞タイプ及び組織に優先的取り込みを示し、その指向性は、標的細胞の表面上の受容体と相互作用するタンパク質をその表面に付加することによって方向付けることができる。指向性部分は、生体分子、例えばタンパク質、ペプチド、脂質、又は炭水化物、又は合成分子を含み得る。例えば、一部の態様では、指向性部分は、親和性リガンド、例えば抗体(例えば、抗CD19ナノボディ、抗CD22ナノボディ、抗CLEC9Aナノボディ、又は抗CD3ナノボディ)、VHHドメイン、ファージディスプレイペプチド、フィブロネクチンドメイン、ラクダ科ナノボディ、及び/又はvNARを含み得る。一部の態様では、指向性部分は、例えば合成ポリマー(例えば、PEG)、天然のリガンド/分子(例えば、CD40L、アルブミン、CD47、CD24、CD55、CD59)、及び/又は組換えタンパク質(例えば、XTEN)を含み得る。
【0361】
[0359]一部の態様では、指向性部分は、細胞によるEV、例えばエクソソームの取り込みを増加させ得る。
【0362】
[0360]一部の態様では、中枢神経系に対する指向性が望ましい場合、本開示のEV、例えばエクソソームは、特定の中枢神経系の組織又は細胞に対するEV、例えばエクソソームの指向性を増加させる組織又は細胞特異的標的リガンドを含み得る。一部の態様では、細胞は、グリア細胞である。一部の態様では、グリア細胞は、希突起膠細胞、星細胞、上衣細胞、ミクログリア細胞、シュワン細胞、サテライトグリア細胞、嗅神経鞘細胞、又はその組合せである。一部の態様では、細胞は神経幹細胞である。一部の態様では、EV、例えばエクソソームのシュワン細胞に対する指向性を増加させる細胞特異的標的リガンドは、シュワン細胞表面マーカー、例えばミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンタンパク質ゼロ(P0)、P75NTR、NCAM、PMP22、又はこれらの任意の組合せに結合する。一部の態様では、細胞特異的指向性部分は、抗体又はその抗原結合性部分、アプタマー、又はシュワン細胞の表面上に発現される受容体のアゴニスト若しくはアンタゴニストを含む。
【0363】
[0361]原則として、EV、例えばエクソソームを特異的標的細胞又は組織(例えば、CNSにおける細胞又は末梢神経におけるシュワン細胞)へと方向付けることができる少なくとも1つの指向性部分を含む本開示のEV、例えばエクソソームは、指向性部分の存在(単独で、又はCD47などの抗食作用シグナルの存在及び特異的投与経路の使用と組み合わせて)が、EV、例えばエクソソームの、所望の標的細胞又は組織への指向性を誘導することから、当技術分野で公知の任意の好適な投与方法(例えば、静脈内注射又は注入)を使用して投与することができる。
【0364】
[0362]薬物動態、生体分布、並びに特に所望の組織又は解剖学的位置への指向性及び保持はまた、適切な投与経路(例えば、中枢神経系への指向性を改善するための髄腔内投与又は眼内投与)を選択することによって達成することができる。
【0365】
[0363]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、少なくとも2つの異なる指向性部分を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、3つの異なる指向性部分を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、4つの異なる指向性部分を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、5つ又はそれより多くの異なる指向性部分を含む。一部の態様では、指向性部分の1つ又は複数は、細胞によるEV、例えばエクソソームの取り込みを増加させる。一部の態様では、各指向性部分は、足場部分、例えばScaffold Xタンパク質又はその断片に結合されている。一部の態様では、複数の指向性部分を、同じ足場部分、例えばScaffold Xタンパク質又はその断片に結合させることができる。一部の態様では、いくつかの指向性部分を、足場部分、例えばScaffold Xタンパク質又はその断片に縦列で結合させることができる。一部の態様では、本明細書に開示される指向性部分又はその組合せは、リンカー又はスペーサーを介して足場部分、例えばScaffold Xタンパク質又はその断片に結合される。一部の態様では、リンカー又はスペーサー又はその組合せは、本明細書に開示される2つの指向性部分の間に介在している。
【0366】
[0364]本開示のEV、例えばエクソソームを異なる神経系の細胞タイプへと方向付けることが可能な指向性部分の非限定的な例を、以下に開示する。
【0367】
III.E.1.シュワン細胞を標的とする指向性部分
[0365]一部の態様では、指向性部分はシュワン細胞を標的とすることができる。一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームをシュワン細胞に方向付ける指向性部分は、例えば、トランスフェリン受容体(TfR)、アポリポタンパク質D(ApoD)、ガレクチン1(LGALS1)、ミエリンプロテオリピッドタンパク質(PLP)、グリピカン1、又はシンデカン3を標的とする。一部の態様では、本開示のEV、例えばエクソソームをシュワン細胞に方向付ける指向性部分は、トランスフェリン、又はその断片、バリアント、若しくはその誘導体である。
【0368】
[0366]一部の態様では、本開示の指向性部分は、トランスフェリン受容体(TfR)を標的とする。トランスフェリン受容体、例えば、TfR1又はTfR2は、トランスフェリンのキャリアタンパク質である。トランスフェリン受容体は、受容体媒介エンドサイトーシスを通してトランスフェリン-鉄錯体の内部移行によって鉄を取り込む。
【0369】
[0367]TfR1(例えば、UniProt P02786 TFR1_Humanを参照されたい)又はトランスフェリン受容体1(分化抗原群71又はCD71としても知られる)は、血液脳関門(BBB)の内皮細胞上で発現される。TfR1は、多様な細胞、例えば赤血球、単球、肝細胞、腸細胞、及び赤血球系細胞において発現されることが公知であり、腫瘍細胞(非小細胞肺がん、結腸がん、及び白血病)などの急速に分裂する細胞並びに急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの障害に罹患している組織において上方調節されている。TfR2は、肝臓及び赤血球系細胞において主に発現され、肺、脾臓、及び筋肉ではより低い程度に見出されており、TfR1と45%の同一性及び66%の類似性を有する。TfR1は、ジスルフィド結合によって760残基のホモ二量体を形成し、分子量が90kDaの膜貫通受容体である。トランスフェリンの親和性は、2つの受容体タイプの間で異なり、TfR1に対する親和性は、TfR2の親和性より少なくとも25~30倍高い。
【0370】
[0368]TfR1の結合は、大きい分子、例えば抗体の脳への移行を可能にする。一部のTfR1標的化抗体は、鉄の取り込みを妨害することなく、血液脳関門を通過することが示されている。それらは、マウス抗ラットTfR抗体OX26及びラット抗マウスTfR抗体8D3である。抗体-TfR相互作用の親和性は、BBBの内皮細胞を越える経細胞輸送の成功を決定するために重要である。一価のTfR相互作用は、変更された細胞内選別経路によりBBB輸送に好都合である。二価相互作用のアビディティ効果は、輸送をリソソームへと向け直す。同様に、TfR結合親和性を低減させることは、TfRからの解離を直接促進し、TfR結合抗体の脳実質の曝露を増加させる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,821,943号を参照されたい。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、標的TfRを標的とすることができる、例えばTfR1を標的とすることができるリガンド、例えばトランスフェリン、又はTfRに特異的に結合することが可能な抗体若しくは他の結合分子を含み得る。一部の態様では、トランスフェリン受容体を標的とする抗体は、低親和性抗トランスフェリン受容体抗体である(その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第20190202936A1号を参照されたい)。
【0371】
[0369]一部の態様では、指向性部分は、トランスフェリン受容体のリガンド、例えば中でもGenBankにおいて受託番号NM001063、XM002793、XM039847、NM002343、又はNM013900として入手可能なヒトトランスフェリン、又はそのバリアント、断片、若しくは誘導体の全て又は一部(例えば、結合部分)を含む。
【0372】
[0370]一部の態様では、指向性部分は、トランスフェリン-受容体-標的化部分、すなわちトランスフェリン受容体に方向付けられた標的化部分を含む。好適なトランスフェリン-受容体-標的化部分は、トランスフェリン又はトランスフェリンバリアント、例えばこれらに限定されないが、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、又はメラノトランスフェリンを含む。トランスフェリンは、血清トランスフェリン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、オボトランスフェリン、及びメラノトランスフェリンを含む脊椎動物において見出される非ヘム鉄結合タンパク質のファミリーである。血清トランスフェリンは、分岐して各々が末端シアル酸残基を有する複数のアンテナで終わる2つのN結合多糖鎖を有する単一のポリペプチド鎖を含む、分子量が約80kDaの糖タンパク質である。2つの主なドメイン、すなわち約330アミノ酸のNドメインと、約340アミノ酸のCドメインが存在し、その各々は2つのサブドメイン、N1及びN2、及びC1及びC2に分割される。トランスフェリンの受容体結合は、グリコシル化によらず、Cドメインを通して起こる。
【0373】
[0371]一部の態様では、指向性部分は、血清トランスフェリン又はトランスフェリンバリアント、例えばこれらに限定されないが、ヘキサシアロトランスフェリン、ペンタシアロトランスフェリン、テトラシアロトランスフェリン、トリシアロトランスフェリン、ジシアロトランスフェリン、モノシアロトランスフェリン、若しくはアシアロトランスフェリン、又は炭水化物欠損トランスフェリン(CDT)例えばアシアロ、モノシアロ、若しくはジシアロトランスフェリン、又は炭水化物を含まないトランスフェリン(CFT)、例えばアシアロトランスフェリンである。一部の態様では、指向性部分は、トランスフェリンのN-末端ドメイン、トランスフェリンのC-末端ドメイン、天然トランスフェリンのグリコシル化、天然(野生型)トランスフェリンと比較して低減されたグリコシル化、グリコシル化なし、トランスフェリンの少なくとも2つのN末端小葉、トランスフェリンの少なくとも2つのC末端小葉、Nドメインにおける少なくとも1つの変異、Cドメインにおける少なくとも1つの変異、変異体がトランスフェリン受容体に対して天然のトランスフェリンより弱い結合アビディティを有する変異、及び/又は変異体がトランスフェリン受容体に対して天然のトランスフェリンより強い結合アビディティを有する変異、又は前述の任意の組合せを有するトランスフェリンバリアントである。
【0374】
[0372]一部の態様では、トランスフェリン受容体を標的化する指向性部分は、抗トランスフェリン受容体可変新規抗原受容体(vNAR)、例えば一般的モチーフ構造(FW1-CDR1-FW2-3-CDR3-FW4)を有する結合ドメインを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2017-0348416号を参照されたい。vNARは、サメの適応免疫系の重要な構成要素である。わずか11kDaであるが、これらの単一ドメイン構造は、動物界では最小のIgG様タンパク質であり、分子工学及び生物薬開発のための優れたプラットフォームを提供する。vNARの属性は、標的に対する高い親和性、発現の容易さ、安定性、溶解度、多重特異性、及び固形組織浸透能の増加を含む。Ubahら.Biochem.Soc.Trans.(2018)46(6):1559-1565を参照されたい。
【0375】
[0373]一部の態様では、指向性部分は、TfR1に特異的に結合することが可能なvNARドメインを含み、米国特許出願公開第2017-0348416号の表1の任意の1つのCDR3ペプチドと組み合わせて米国特許出願公開第2017-0348416号の表1の任意の1つのCDR1ペプチドを有するvNAR足場を含むか又はから本質的になる。
【0376】
[0374]一部の態様では、本開示の指向性部分は、ApoDを標的とする。肝臓において主に産生される他のリポタンパク質とは異なり、アポリポタンパク質Dは、脳、小脳、及び末梢神経において主に産生される。ApoDは、20アミノ酸の分泌ペプチドシグナルを含む169アミノ酸長である。ApoDは、2つのグリコシル化部位(アスパラギン45及び78)を含有し、成熟タンパク質の分子量は、20~32kDaまで異なる。ApoDは、ステロイドホルモン、例えばプロゲステロン及びプレグネノロンに比較的強い親和性で結合し、エストロゲンにはより弱い親和性で結合する。アラキドン酸(AA)は、プロゲステロン又はプレグネノロンの親和性よりかなり良好な親和性を有するApoDリガンドである。他のApoDリガンドは、E-3-メチル-2-ヘキセン酸、レチノイン酸、スフィンゴミエリン及びスフィンゴ脂質を含む。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、ApoDを標的とすることができるリガンド、例えばApoDに特異的に結合することが可能な抗体又は他の結合分子を含む。
【0377】
[0375]一部の態様では、本開示の指向性部分は、ガレクチン1を標的とする。ガレクチン-1タンパク質は、135アミノ酸長である。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、ガレクチン1を標的とすることができるリガンド、例えばガレクチン1に特異的に結合することが可能な抗体又は他の結合分子を含む。
【0378】
[0376]一部の態様では、本開示の指向性部分は、PLPを標的とする。PLPは、CNSからの主要なミエリンタンパク質である。PLPは、ミエリンのマルチラメラ構造の形成又は維持において重要な役割を果たす。ミエリン鞘は、軸索のインパルス伝導効率を大きく増加させるための絶縁体として機能する神経系に独自の多層膜である。PLPは、4つの膜貫通セグメント、脂質(哺乳動物における少なくとも6個のパルミテート基)を共有結合する2つのジスルフィド結合を含有する276~280アミノ酸の高度に保存された疎水性のタンパク質である。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、PLPを標的とすることができるリガンド、例えばPLPに特異的に結合することが可能な抗体又は他の結合分子を含む。
【0379】
[0377]一部の態様では、本開示の指向性部分は、グリピカン1を標的とする。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、グリピカン1を標的とすることができるリガンド、例えば、グリピカン1に特異的に結合することが可能な抗体又は他の結合分子を含む。一部の態様では、本開示の指向性部分は、シンデカン3を標的とする。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、シンデカン3を標的とすることができるリガンド、例えばシンデカン3に特異的に結合することが可能な抗体又は他の結合分子を含む。
【0380】
III.E.2.知覚ニューロンを標的とする指向性部分
[0378]一部の態様では、本明細書に開示される指向性部分を、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを知覚ニューロンに方向付けることができる。一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを知覚ニューロンに方向付ける指向性部分は、Trk受容体、例えばTrkA、TrkB、TrkC、又はその組合せを標的とする。
【0381】
[0379]Trk(トロポミオシン受容体キナーゼ)受容体は、哺乳動物神経系におけるシナプスの強度及び可塑性を調節するチロシンキナーゼファミリーである。Trk受容体の共通のリガンドは、ニューロトロフィンであり、これは神経系の機能にとって極めて重要である増殖因子ファミリーである。これらの分子の結合は非常に特異的である。ニューロトロフィンの各タイプは、その対応するTrk受容体に対して異なる結合親和性を有する。したがって、一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを知覚ニューロンに方向付ける指向性部分は、ニューロトロフィンを含む。
【0382】
[0380]ニューロトロフィンはホモ二量体としてTrk受容体に結合する。したがって、一部の態様では、指向性部分は、本明細書に開示される少なくとも2つのニューロトロフィンを例えば縦列で含む。一部の態様では、指向性部分は、リンカーを介して足場タンパク質、例えばタンパク質Xに結合される本明細書に開示される少なくとも2つのニューロトロフィンを、例えば縦列で含む。一部の態様では、足場タンパク質、例えばタンパク質Xをニューロトロフィン(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)に接続するリンカーは、少なくとも10アミノ酸の長さを有する。一部の態様では、足場タンパク質、例えばタンパク質Xをニューロトロフィン(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)に接続するリンカーは、少なくとも約25アミノ酸、約30アミノ酸、約35アミノ酸、約40アミノ酸、約45アミノ酸、又は約50アミノ酸の長さを有する。
【0383】
[0381]一部の態様では、ニューロトロフィンは、ニューロトロフィン前駆体、すなわちプロニューロトロフィンであり、これは後に切断されて成熟タンパク質を生じる。
【0384】
[0382]神経成長因子(NGF)は、ニューロトロフィンファミリーの最初に同定され、おそらく最もよく特徴付けられたメンバーである。NGFは、末梢神経系の知覚ニューロン及び交感神経ニューロンの発達において顕著な効果を有する。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、NGFと類似の神経栄養活性を有し、主にCNSにおいて発現され、心臓、肺、骨格筋、及び末梢の座骨神経において検出されている(Leibrock,J.ら,Nature,341:149-152(1989))。ニューロトロフィン-3(NT-3)は、NGFファミリーの第3のメンバーであり、海馬の錐体ニューロン及び顆粒ニューロンのサブセットにおいて主に発現されており、小脳、大脳皮質、並びに肝臓及び骨格筋などの末梢組織において検出されている(Ernfors,P.ら,Neuron 1:983-996(1990))。ニューロトロフィン-4(NT-415とも呼ばれる)は、ニューロトロフィンファミリーの最も可変のメンバーである。ニューロトロフィン-6(NT-5)は、真骨類において見出され、p75受容体に結合する。
【0385】
[0383]一部の態様では、TrkBを標的とするニューロトロフィンは、例えばNT-4若しくはBDNF、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む。一部の態様では、TrkAを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NGF又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む。一部の態様では、TrkCを標的とするニューロトロフィンは、例えば、NT-3又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む。
【0386】
[0384]一部の態様では、指向性部分は、脳由来神経栄養因子(BDNF)を含む。一部の態様では、BDNFは、天然のBDNFのバリアント、例えば2アミノ酸カルボキシル切断バリアントである。一部の態様では、指向性部分は、BDNFの全長の119アミノ酸の配列(HSDPARRGELSVCDSISEWVTAADKKTAVDMSGGTVTVLEKVPVSKGQLKQYFYETKCNPMGYTKEGCRGIDKRHWNSQCRTTQSYVRALTMDSKKRIGWRFIRIDTSCVCTLTIKRGR;配列番号161)を含む。一部の態様では、BDNFの1アミノ酸カルボキシ切断バリアント(配列番号161のアミノ酸1~118)が利用される。
【0387】
[0385]一部の態様では、指向性部分は、天然のBDNFのカルボキシ切断バリアント、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又は10個より多くのアミノ酸がBDNFのカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。BDNFバリアントは、完全な119アミノ酸BDNF、カルボキシル末端が切断された117又は118アミノ酸バリアント、アミノ末端が切断されたバリアント、又はタンパク質バリアントが高親和性でTrkB受容体になおも結合する限り、アミノ酸組成の最大約20%、約30、若しくは約40%の変化を有するバリアントを含む。
【0388】
[0386]一部の態様では、指向性部分は、BDNFの2アミノ酸カルボキシ切断バリアント(配列番号161のアミノ酸1~117)を含む。一部の態様では、指向性部分は、BDNFの3アミノ酸カルボキシ切断バリアント(配列番号161のアミノ酸1~116)を含む。一部の態様では、指向性部分は、BDNFの4アミノ酸カルボキシ切断バリアント(配列番号161のアミノ酸1~115)を含む。一部の態様では、指向性部分は、5アミノ酸カルボキシ切断バリアント(配列番号161のアミノ酸1~114)を含む。一部の態様では、指向性部分は、配列番号161の配列、又はその切断型、例えば1アミノ酸若しくは2アミノ酸切断カルボキシル末端を有する117若しくは118アミノ酸バリアント、若しくはアミノ末端が切断されたバリアントと少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるBDNFを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,053,569B2号を参照されたい。
【0389】
[0387]一部の態様では、指向性部分は、神経成長因子(NGF)を含む。一部の態様では、NGFは、天然のNGFのバリアント、例えば切断型バリアントである。一部の態様では、指向性部分は、タンパク質の26kDaベータサブユニットを含み、これは生物活性である7S NGF複合体の唯一の構成要素である。一部の態様では、指向性部分は、ベータNGFの全長の120アミノ酸の配列(SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA;配列番号162)を含む。一部の態様では、指向性部分は、天然のNGFのカルボキシ切断バリアント、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又は10個より多くのアミノ酸が、NGFのカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。NGFバリアントは、完全な120アミノ酸NGF、カルボキシル末端が切断されたより短いアミノ酸バリアント、アミノ末端が切断されたバリアント、又は指向性部分が高親和性でTrkB受容体になおも結合する限り、アミノ酸組成の最大約20%、約30%、若しくは約40%の変化を有するバリアントを含む。一部の態様では、指向性部分は、配列番号162の配列又はその切断型と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるNGFを含む。
【0390】
[0388]一部の態様では、指向性部分は、ニューロトロフィン-3(NT-3)を含む。一部の態様では、NT-3は、天然のNT-3のバリアント、例えば切断型バリアントである。一部の態様では、指向性部分は、NT-3の全長の119アミノ酸の配列(YAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRALTSENNKLVGWRWIRIDTSCVCALSRKIGRT;配列番号163)を含む。一部の態様では、指向性部分は、天然のNT-3のカルボキシ切断バリアント、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又は10個より多くのアミノ酸が、NT-3のカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。NT-3バリアントは、完全な119アミノ酸のNT-3、カルボキシル末端が切断されたより短いアミノ酸バリアント、アミノ末端が切断されたバリアント、又は指向性部分が高親和性でTrkC受容体になおも結合する限り、アミノ酸組成の最大約20%、約30%、若しくは約40%の変化を有するバリアントを含む。一部の態様では、指向性部分は、配列番号163の配列、又はその切断型と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるNT-3を含む。
【0391】
[0389]一部の態様では、指向性部分は、ニューロトロフィン-4(NT-4)を含む。一部の態様では、NT-4は、天然のNT-4のバリアント、例えば切断型バリアントである。一部の態様では、指向性部分は、NT-4の全長の130アミノ酸の配列(GVSETAPASRRGELAVCDAVSGWVTDRRTAVDLRGREVEVLGEVPAAGGSPLRQYFFETRCKADNAEEGGPGAGGGGCRGVDRRHWVSECKAKQSYVRALTADAQGRVGWRWIRIDTACVCTLLSRTGRA;配列番号164)を含む。一部の態様では、指向性部分は、天然のNT-4のカルボキシ切断バリアント、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又は10個より多くのアミノ酸が、NT-4のカルボキシ末端に存在しないバリアントを含む。NT-4バリアントは、完全な130アミノ酸NT-4、カルボキシル末端が切断されたより短いアミノ酸バリアント、アミノ末端が切断されたバリアント、又は指向性部分が高親和性でTrkB受容体になおも結合する限り、アミノ酸組成の最大約20%、約30%、若しくは約40%の変化を有するバリアントを含む。一部の態様では、指向性部分は、配列番号164の配列、又はその切断型と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるNT-4を含む。
【0392】
[0390]NGF及びNGF関連組換え分子の構造/機能関係の研究から、NGF領域25~36における変異が他のβ-ヘアピンループ及び非ループ領域と共に、NGF/NGF-受容体相互作用に有意に影響を及ぼしたことが実証された(Ibanezら,EMBO J.,10,2105-2110,(1991))。この領域に由来する小さいペプチドは、Mock受容体との結合においてNGFを模倣し、生物応答に影響を及ぼすことが実証されている(LeSauteurら.J.Biol.Chem.270,6564-6569,1995)。NGFのβ-ループ領域に対応する環化ペプチドの二量体は、それらが生存促進及びNGF阻害活性の両方を有するがモノマー及び直鎖ペプチドは不活性であったことから、部分的NGFアゴニストとして作用することが見出された(Longoら,J.Neurosci.Res.,48,1-17,1997)。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、そのようなペプチドを含む。
【0393】
[0391]環状ペプチドはまた、NGF、BDNF、NT3及びNT-4/5のβ-ループ領域を模倣するように設計及び合成されている。これらの環状ペプチドのある特定のモノマー、二量体、又はポリマーは、生理的条件下でニューロトロフィン受容体に結合する三次元構造を有し得る。神経細胞表面受容体に結合し、内部移行するニューロトロフィンのこれらの構造アナログは全て、本開示に従う化合物の結合剤Bとして作用して、コンジュゲートされた治療部分TMを神経系へと送達することができる。したがって、一部の態様では、本開示の指向性部分は、そのような環状ペプチド又はその組合せを含む。
【0394】
[0392]一部の態様では、受容体に結合して内部移行することが可能な神経細胞表面受容体に対する抗体はまた、Trk受容体に結合する指向性部分としても作用し得る。例えば、モノクローナル抗体(MAb)5C3は、ヒトp140 TrkA受容体のNGFドッキング部位に対して特異的であり、ヒトTrkB受容体と交差反応しない。MAb 5C3及びそのFabは、in vitroでNGFの効果を模倣し、in vivoでヒトTrk-A陽性腫瘍を撮像する(Kramerら,Eur.J.Cancer,33,2090-2091,(1997))。Mab 5C3可変領域の分子クローニング、組換え、変異誘発、及びモデリング研究は、その相補性決定領域(CDR)の3つ又はそれ未満がTrkAに対する結合に関連していることを示した。組換えCDR及びCDR様合成ポリペプチドによるアッセイは、それらがインタクトMab 5C3と類似のアゴニスト性生物活性を有することを実証した。p75受容体に対するモノクローナル抗体MC192はまた、神経栄養効果を有することも実証されている。したがって、これらの抗体及びその機能的に等価な断片もまた、本開示の指向性部分として作用し得る。
【0395】
[0393]一部の態様では、非天然アミノ酸又は他の有機分子を組み入れることによって合成されたペプチド模倣体もまた、本開示の指向性部分を提供し得る。
【0396】
[0394]他のニューロトロフィンが、当技術分野で公知である。したがって、一部の態様では、標的部分は、線維芽細胞増殖因子(FGF)-2及び他のFGF、エリスロポエチン(EPO)、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-a、TGF-β、血管内皮増殖因子(VEGF)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-lra)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、ヘレグリン、ニューレグリン、アルテミン、ペルセフィン、インターロイキン、顆粒球コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球-マクロファージ-CSF、ネトリン、カルジオトロフィン-1、ヘッジホッグ、白血病阻止因子(LIF)、ミドルシン(midlcine)、プレイオトロフィン、骨形態形成タンパク質(BMP)、ネトリン、サポシン、セマフォリン、及び幹細胞因子(SCF)からなる群から選択されるニューロトロフィンを含む。
【0397】
[0395]一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを知覚神経に方向付ける指向性部分は、水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)ペプチドを含む。
【0398】
III.E.3.運動ニューロンを標的とする指向性部分
[0396]一部の態様では、本明細書に開示される指向性部分は、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを運動ニューロンに方向付けることができる。一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームを運動ニューロンに方向付ける指向性部分は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチド、標的化軸索輸送(TAxI)ペプチド、P75Rペプチド、又はTet-Cペプチドを含む。
【0399】
[0397]一部の態様では、指向性部分は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチドを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014-00294727号を参照されたい。一部の態様では、RVGペプチドは、RVGのアミノ酸残基173~202(YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG;配列番号601)又はそのバリアント、断片、若しくは誘導体を含む。一部の態様では、指向性部分は、配列番号601の断片である。配列番号601のそのような断片は、例えば、配列番号601のN末端及び/又はC末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸の欠失を有し得る。配列番号601に由来する機能的断片は、配列番号601からN末端及び/又はC末端アミノ酸を連続的に欠失させるステップ、並びに得られたペプチド断片の機能、例えばペプチド断片がアセチルコリン受容体に結合する機能及び/又は血液脳関門の中を通過する能力を評価するステップによって同定され得る。一部の態様では、指向性部分は、配列番号601の28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16又は15アミノ酸長の断片を含む。一部の態様では、指向性部分は、配列番号601の15ペプチド長未満の断片を含む。
【0400】
[0398]RVGペプチド、例えば配列番号601の「バリアント」は、実質的に類似の構造及び機能を有する分子を指すことを意味し、すなわち機能は、分子全体又はその断片のいずれかがBBBの中を通過するか又は通行する能力である。RVGペプチドのバリアントは、配列番号601の参照アミノ酸とは異なる変異又は修飾を含有し得る。一部の態様では、配列番号601のバリアントは、本明細書に開示される配列番号601の断片である。一部の態様では、RVGバリアントは、配列番号601の異なるアイソフォームであり得るか、又は異なる異性体アミノ酸を含み得る。バリアントは、当技術分野で周知の方法を使用して単離又は生成された、天然に存在する、合成、組換え、又は化学修飾されたポリヌクレオチド又はポリペプチドであり得る。RVGバリアントは、保存的又は非保存的アミノ酸変化を含み得る。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,757,470号を参照されたい。
【0401】
[0399]一部の態様では、指向性部分は、標的化軸索輸送(TAxI)ペプチドを含む。一部の態様では、TAxIペプチドは、配列SACQSQSQMRCGGG(配列番号602)の環状AxIペプチドである。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるSellersら.(2016)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 113:2514-2519、及び米国特許第9,056,892号を参照されたい。本明細書に記載されるTAxI輸送ペプチドは、任意の長さのペプチドであり得る。典型的に、輸送ペプチドは、6~50アミノ酸長の間であり、より典型的に10~20アミノ酸長の間である。一部の態様では、TAxI輸送ペプチドは、アミノ酸配列QSQSQMR(配列番号603)、ASGAQAR(配列番号604)、PF、又はTSTAPHLRLRLTSR(配列番号605)を含む。任意選択で、TAxI輸送ペプチドは、送達構築物又はキャリアへの取り込みを容易にするための隣接配列、例えばリンカーをさらに含む。一態様では、ペプチドには、システインが隣接する。一部の態様では、TAxI輸送ペプチドは、核への送達を容易にするように選択された追加の配列をさらに含む。例えば、核への送達を容易にするペプチドは、核局在化シグナル(NLS)である。典型的に、このシグナルは、正に荷電したリシン又はアルギニンのいくつかの短い配列、例えばPPKKRKV(配列番号606)からなる。一態様では、NLSは、アミノ酸配列PKKRKV(配列番号607)を有する。
【0402】
[0400]一部の態様では、本開示の指向性部分は、配列番号608~627及びこれらの任意の組合せから選択される配列を有するペプチドBBBシャトルを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるOller-Salviaら.(2016)Chem.Soc.Rev.45、4690-4707、及びJafariら.(2019)Expert Opinion on Drug Delivery 16:583-605を参照されたい。
【0403】
【表6】

環状ペプチドの命名法(&)は、Spenglerら.Pept.Res.,2005,65,550-555に記載される3文字アミノ酸表記に適応する。
[Dap]はジアミノプロピオン酸を意味する。
【0404】
III.F.抗食作用シグナル
[0401]投与されたEV、例えばエクソソームの体の免疫系によるクリアランスは、投与されたEV、例えばエクソソーム療法の有効性を低減させ得る。一部の態様では、EV、例えばエクソソームの表面は、免疫系の細胞、例えば、マクロファージによるEV、例えばエクソソームの取り込みを制限又は遮断するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームの表面は、マクロファージによるEV、例えばエクソソームの取り込みを阻害する1つ又は複数の表面抗原を発現するように修飾されている。一部の態様では、表面抗原は、EV、(例えばエクソソーム)の外部表面に会合している。
【0405】
[0402]本開示において有用な表面抗原としては、これらに限定されないが、細胞を「自己」細胞と標識する抗原が挙げられる。一部の態様では、表面抗原は、抗食作用シグナルを含む。一部の態様では、抗食作用シグナルは、CD47、CD24、その断片、及びこれらの任意の組合せから選択される。ある特定の態様では、抗食作用シグナルは、CD24、例えばヒトCD24を含む。一部の態様では、抗食作用シグナルは、CD24、例えばヒトCD24の断片を含む。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの外部表面上にCD47又はその断片を発現するように修飾されている。
【0406】
[0403]白血球表面抗原CD47及びインテグリン関連タンパク質(IAP)とも呼ばれるCD47は、本明細書で使用される場合、体における多くの細胞で見出される膜貫通タンパク質である。CD47は、免疫細胞、特に骨髄系の細胞にCD47を発現する特定の細胞が外来細胞ではないというシグナルを送ることから、しばしば、「食べないで」シグナルと呼ばれる。CD47は、未成熟な樹状細胞の成熟を防止し、成熟樹状細胞によるサイトカイン産生を阻害するSIRPA結合の受容体である。CD47とSIRPGとの相互作用は、細胞-細胞接着を媒介し、スーパー抗原依存的T細胞媒介増殖を増強し、T細胞活性化を同時刺激する。CD47はまた、血小板上のTHBS1の接着受容体として作用することにより細胞接着において、及びインテグリンのモジュレーションの両方において役割を有することが公知である。CD47はまた、海馬における記憶形成及びシナプス可塑性において重要な役割を果たす(類似性により)。加えて、CD47は、膜輸送及び/又はインテグリン依存的シグナル伝達において役割を果たし、赤血球の早期除去を防止し、及びウイルス感染後に誘導される膜透過性の変化に関係し得る。
【0407】
[0404]一部の態様では、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上にヒトCD47を発現するように修飾されている。ヒトCD47及び様々な公知のアイソフォーム(UniProtKB-Q08722)の基準アミノ酸配列を、本明細書において配列番号629~632として提供する。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、配列番号629に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、配列番号630に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、配列番号631に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、配列番号632に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を発現するように修飾されている。
【0408】
[0405]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に全長のCD47を発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上にCD47の断片を発現するように修飾されており、断片は、CD47、例えばヒトCD47の細胞外ドメインを含む。マクロファージによる食作用を遮断及び/又は阻害する能力を保持するCD47の任意の断片を、本明細書に開示されるEV、例えばエクソソームにおいて使用することができる。一部の態様では、断片は、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)を含む。一部の態様では、断片は、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)を含む。一部の態様では、断片は、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~約130)を含む。一部の態様では、断片は、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~約125)を含む。
【0409】
[0406]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約141(例えば、配列番号629のアミノ酸19~141)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約135(例えば、配列番号629のアミノ酸19~135)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約130(例えば、配列番号629のアミノ酸19~130)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、基準ヒトCD47配列のアミノ酸19~約125(例えば、配列番号629のアミノ酸19~125)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを発現するように修飾されている。
【0410】
[0407]一部の態様では、CD47又はその断片は、CD47及びそのリガンドSIRPαの親和性を増加させるように修飾されている。一部の態様では、CD47の断片は、Velcro-CD47を含む(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるHoら,JBC 290:12650-63(2015)を参照されたい)。一部の態様では、Velcro-CD47は、野生型ヒトCD47配列(配列番号629)と比較してC15S置換を含む。
【0411】
[0408]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、修飾されていないEV、例えばエクソソームより高いレベルでEV、例えばエクソソームの表面上に発現されたCD47又はその断片を含む。一部の態様では、CD47又はその断片は、足場タンパク質に融合されている。本明細書に開示される任意の足場タンパク質を使用して、EV、例えばエクソソームの表面上にCD47又はその断片を発現させることができる。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、Scaffold Xタンパク質のN末端に融合されたCD47の断片を発現するように修飾されている。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、PTGFRNのN末端に融合されたCD47の断片を発現するように修飾されている。
【0412】
[0409]一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約20分子、少なくとも約30分子、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約750、又は少なくとも約1000分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約20分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約30分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約40分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約50分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約100分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約200分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約300分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約400分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約500分子のCD47を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの表面上に少なくとも約1000分子のCD47を含む。
【0413】
[0410]一部の態様では、EV、例えばエクソソームの表面上でのCD47又はその断片の発現は、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームと比較して骨髄系細胞によるEV、例えばエクソソームの取り込みの減少をもたらす。一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームの骨髄系細胞による取り込みは、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームの骨髄系細胞による取り込みと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少する。
【0414】
[0411]一部の態様では、EV、例えばエクソソームの表面上でのCD47又はその断片の発現は、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームと比較してEV、例えばエクソソームの肝臓への局在化の減少をもたらす。一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームの肝臓への局在化は、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームの肝臓への局在化と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少する。
【0415】
[0412]一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームのin vivoでの半減期は、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームのin vivoでの半減期と比較して増加する。一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームのin vivoでの半減期は、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームのin vivoでの半減期と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍増加する。
【0416】
[0413]一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームは、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームの循環中、例えば血漿中での保持と比較して循環中、例えば血漿中での保持の増加を有する。一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームの循環中、例えば血漿中での保持は、CD47又はその断片を発現しないEV、例えばエクソソームの循環中、例えば血漿中での保持と比較して少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍増加する。
【0417】
[0414]一部の態様では、CD47又はその断片を発現するEV、例えばエクソソームは、CD47又はその断片を発現しないエクソソームと比較した場合に、変更された生体分布を有する。一部の態様では、変更された生体分布は、内皮細胞、T細胞への取り込みの増加、又はこれらに限定されないが、骨格筋、心筋、横隔膜、腎臓、骨髄、中枢神経系、肺、脳脊髄液(CSF)、若しくはこれらの任意の組合せを含む様々な組織における蓄積の増加をもたらす。
【0418】
IV.医薬組成物
[0415]本開示の一部の態様は、それを必要とする対象において末梢神経障害、例えばCIPNを処置する方法であって、本明細書に開示される外因性NLRP3アンタゴニストを含むEVを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を対象とする。そのため、本明細書において、対象への投与にとって好適な形態で、所望の程度の純度を有する本開示のEV、例えばエクソソーム、及び薬学的に許容できるキャリア又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。薬学的に許容できる賦形剤又はキャリアは、投与される特定の組成物によって、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定され得る。したがって、複数の細胞外ベシクルを含む医薬組成物の広く多様な好適な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.,Easton,Pa.21st ed.(2005)を参照されたい)。医薬組成物は一般的に無菌状態で、米国食品医薬品局(GMP)の全ての適正製造規範を完全に遵守して製剤化される。
【0419】
[0416]一部の態様では、医薬組成物は、1つ又は複数の治療剤及び本明細書に記載されるエクソソームを含む。ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームは、薬学的に許容できるキャリア中で1つ又は複数の追加の治療剤と同時投与される。一部の態様では、本開示のためのASO及び1つ又は複数の追加の治療剤は、同じEV中で投与され得る。他の態様では、本開示のためのASO及び1つ又は複数の追加の治療剤は、異なるEV中で投与される。例えば、本開示は、ASOを含むEV及び追加の治療剤を含むEVを含む医薬組成物を含む。一部の態様では、EV、例えばエクソソームを含む医薬組成物は、追加の治療剤(複数可)の投与前に投与される。他の態様では、EV、例えばエクソソームを含む医薬組成物は、追加の治療剤(複数可)の投与後に投与される。さらなる態様では、EV、例えばエクソソームを含む医薬組成物は、追加の治療剤(複数可)と同時に投与される。
【0420】
[0417]許容可能なキャリア、賦形剤、又は安定化剤は、使用される投薬量及び濃度でレシピエント(例えば、動物又はヒト)に対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール:及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンノース、トレハロース、又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0421】
[0418]キャリア又は希釈剤の例としては、これらに限定されないが、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び化合物の使用は、当技術分野で周知である。如何なる従来の媒体又は化合物も本明細書に記載される細胞外ベシクルと不適合性でない限り、組成物におけるその使用が企図される。補助治療剤もまた、組成物に組み入れることができる。典型的に、医薬組成物は、意図される投与経路と適合性であるように製剤化される。EV、例えばエクソソームは、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路、又は吸入によって投与することができる。ある特定の態様では、エクソソームを含む医薬組成物は、例えば注射によって静脈内投与される。EV、例えばエクソソームは、任意選択で、EV、例えばエクソソームが意図される疾患、障害、又は状態を処置するために少なくとも部分的に有効である他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0422】
[0419]溶液又は懸濁液は、以下の構成要素:無菌希釈剤、例えば水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒;抗菌化合物、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート化合物、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩、及び張性を調整するための化合物、例えば塩化ナトリウム又はデキストロースを含み得る。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムによって調整され得る。調製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、又は多用量バイアルに封入することができる。
【0423】
[0420]注射での使用にとって好適な医薬組成物は、無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末を含む。静脈内投与の場合、好適なキャリアは、生理食塩水、静菌水、クレモフォール(Cremophor)EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。組成物は、一般的に無菌的であり、容易なシリンジ作動性が存在する程度に流動性である。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール、及びその他)、及びその好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを使用することによって、分散剤の場合には必要な粒径を維持することによって、又は界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌化合物及び抗真菌化合物、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、及びその他によって達成され得る。望ましければ、等張化合物、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムを組成物に添加することができる。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる化合物、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。
【0424】
[0421]無菌注射用溶液は、EV、例えばエクソソームを有効量で、本明細書に列挙された又は当技術分野で公知の1つ又は複数の成分を有する適切な溶媒中に組み入れることによって調製され得る。一般的には、分散剤は、EV、例えばエクソソームを、基本分散媒体及び任意の所望の他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。無菌注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、調製方法は、事前に無菌濾過したその溶液から活性成分プラス追加の所望の成分の粉末を生じる真空乾燥及びフリーズドライである。EV、例えばエクソソームは、EV、例えばエクソソームの持続的又はパルス状の放出を可能にするように製剤化することができるデポー注射、又はインプラント調製物の形態で投与され得る。
【0425】
[0422]エクソソームを含む組成物の全身投与はまた、経粘膜手段による投与でもあり得る。経粘膜投与の場合、浸透される障壁にとって適切な浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、一般的に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与に関して洗浄剤、胆汁塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、例えば点鼻スプレーの使用を通して達成され得る。
【0426】
[0423]ある特定の態様では、EV、例えばエクソソームを含む医薬組成物は、医薬組成物によって利益が得られる対象に静脈内投与される。ある特定の他の態様では、組成物は、例えば、リンパ内注射若しくはリンパ節内注射によって(例えば、Sentiら,PNAS 105(46):17908(2008)を参照されたい)、又は筋肉内注射によって、皮下投与によって、腫瘍内注射によって、胸腺若しくは肝臓への直接注射によってリンパ系に投与される。
【0427】
[0424]ある特定の態様では、エクソソームを含む医薬組成物は、液体懸濁液として投与される。ある特定の態様では、医薬組成物は、投与後にデポーを形成することが可能な製剤として投与される。ある特定の好ましい態様では、デポーは、EV、例えばエクソソームを循環中に徐々に放出するか、又はデポーの形態で留まる。
【0428】
[0425]典型的に、医薬的に許容できる組成物は、夾雑物を含まないように高度に精製され、生体適合性で非毒性であり、対象への投与にとって好適である。水がキャリアの構成成分である場合、水は高度に精製され、夾雑物、例えばエンドトキシンを含まないように処理される。
【0429】
[0426]薬学的に許容できるキャリアは、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び/又は鉱油であり得るが、これらに限定されない。医薬組成物は、滑沢剤、湿潤剤、甘味料、風味増強剤、乳化剤、懸濁剤、及び/又は保存剤をさらに含み得る。
【0430】
[0427]一部の態様では、本明細書に記載される医薬組成物は、薬学的に許容できる塩を含む。一部の態様では、薬学的に許容できる塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0431】
[0428]本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書に記載されるEV、例えばエクソソームを含み、任意選択で追加の薬学的活性剤又は治療活性剤を含む。追加の治療剤は、生物学的作用剤、小分子剤、又は核酸剤であり得る。一部の態様では、追加の治療剤は、追加のNLRP3アンタゴニストである。一部の態様では、NLRP3アンタゴニストは、本明細書に開示される任意のNLRP3アンタゴニストである。一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは、抗NLRP3抗体である。一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは小分子である。一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは、本明細書に開示される小分子である。一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは、MCC950、トラニラスト、オリドニン、CY-09、Bay 11-7082、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン(MNB)、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、I型インターフェロン、及びこれらの任意の組合せから選択される。一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは、以下の式:
[0429]
【化22】

を含む。
【0432】
[0430]一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストはMCC950を含む。
【0433】
[0431]一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストはASOを含む。一部の態様では、追加のNLRP3アンタゴニストは本明細書に記載される任意のASOを含む。
【0434】
[0432]本明細書に記載されるEV、例えばエクソソームを含む医薬組成物を含む投薬剤形が提供される。一部の態様では、投薬剤形は、静脈内注射のための液体懸濁剤として製剤化される。一部の態様では、投薬剤形は、腫瘍内注射のための液体懸濁剤として製剤化される。
【0435】
[0433]ある特定の態様では、エクソソームの調製物は、残存している複製コンピテント核酸に損傷を与えるために、放射線照射、例えば、X線、ガンマ線、ベータ粒子、アルファ粒子、中性子、プロトン、元素核、UV線に供される。
【0436】
[0434]ある特定の態様では、エクソソームの調製物は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、又は100kGyより高い照射線量を使用するガンマ線照射に供される。
【0437】
[0435]ある特定の態様では、エクソソームの調製物は、0.1mSvより高い、0.5mSvより高い、1mSvより高い、5mSvより高い、10mSvより高い、15mSvより高い、20mSvより高い、25mSvより高い、30mSvより高い、35mSvより高い、40mSvより高い、50mSvより高い、60mSvより高い、70mSvより高い、80mSvより高い、90mSvより高い、100mSvより高い、200mSvより高い、300mSvより高い、400mSvより高い、500mSvより高い、600mSvより高い、700mSvより高い、800mSvより高い、900mSvより高い、1000mSvより高い、2000mSvより高い、3000mSvより高い、4000mSvより高い、5000mSvより高い、6000mSvより高い、7000mSvより高い、8000mSvより高い、9000mSvより高い、10000mSvより高い、又は10000mSvより高い照射線量を使用するX線照射に供される。
【0438】
V.キット
[0436]同様に、本明細書において、本明細書に記載される1つ又は複数のエクソソーム、及び本明細書に開示される方法に従って1つ又は複数のエクソソームを対象(例えば、末梢神経障害、例えば、CIPNを有する対象)に投与するための使用説明書を含むキットも提供される。一部の態様では、本明細書において、本明細書に記載される医薬組成物の成分の1つ又は複数、例えば本明細書に提供される1つ又は複数のエクソソームを充填した1つ又は複数の容器、及び本明細書に開示される任意の方法に従って使用するための(例えば、末梢神経障害、例えば、CIPNを有する対象に)使用説明書を含む薬学的パック又はキットが提供される。一部の態様では、キットは、本明細書に記載される医薬組成物及び任意の予防剤又は治療剤、例えば本明細書に記載される予防剤又は治療剤を含有する。一部の態様では、キットは、末梢神経障害に関連する疾患又は状態の処置における使用のためである。一部の態様では、キットは、CIPNの処置における使用のためである。一部の態様では、キットは診断キットである。
【0439】
[0437]本開示の実践は、特に示していない限り、当業者の範囲内である細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来の技術を使用する。そのような技術は文献に詳細に説明されている。例えば、Sambrookら,編(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrookら,編(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY);D.N.Glover 編,(1985)DNA Cloning, I巻及びII巻;Gait,編(1984)Oligonucleotide Synthesis;Mullisら.米国特許第4,683,195号;Hames及びHiggins,編(1984)Nucleic Acid Hybridization;Hames及びHiggins,編(1984)Transcription And Translation;Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Miller及びCalos 編(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory);Wuら,編 Methods In Enzymology,154巻及び155巻;Mayer及びWalker,編(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London);Weir及びBlackwell,編(1986)Handbook Of Experimental Immunology,I-IV巻;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986););Crooke,Antisense drug Technology:Principles,Strategies and Applications,第2版 CRC Press(2007),及びin Ausubelら.(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley及びSons,Baltimore,Md.)を参照されたい。
【0440】
[0438]上記で引用した参考文献、並びに本明細書で引用した参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0441】
[0439]以下の実施例は、例証のために提供され、限定するものではない。
【実施例
【0442】
実施例1:CIPNマウスモデルにおけるexoASONLRP3のin vivo解析
[0440]化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)マウスモデルを使用してin vivoでのexoASONLRP3の有効性を試験した。exoASONLRP3を含むエクソソームを、髄腔内注射によって投与した(図2)。CIPNは、図3Aに示されるように、0~5日及び10~15日にマウスにシスプラチンを投与することによってシミュレートされた。マウスに、表記のように(図3A~3B)、陰性対照(偽処置;シスプラチンなし);シスプラチン及びPBS;シスプラチン及びMCC950(15~20日);シスプラチン及び対照エクソソーム(ASOなし;15日);シスプラチン及びASONLRP3(遊離のASO;15日);シスプラチン及びexoASONLRP3(5日);シスプラチン及びexoASONLRP3(15日);又はシスプラチン及びガバペンチン(8及び21日)を投与した。Von Frey試験を使用して、処置したマウスの疼痛を測定した。シスプラチン後にNLRP3阻害剤によって処置したマウスは、疼痛の減少を示したが、exoASONLRP3を投与したマウスは、シスプラチンを投与しなかったマウスと同等の疼痛レベルを示した。
【0443】
[0441]これらの結果は、exoASONLRP3の投与を通してのNLRP3の阻害が、CIPNに関連する疼痛を低減することが可能であることを示している。
参照による組み込み
【0444】
[0442]本出願において引用した全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書は、各々の個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文書が全ての目的のために個々に参照により組み込まれることが示されるのと同程度に全ての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
均等物
【0445】
[0443]様々な特定の態様を例証及び記載してきたが、上記の明細書は限定的ではない。本発明(複数可)の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変化を行ってもよいと認識される。多くの変形形態が、本明細書を再検討することにより当業者に明らかとなるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
【配列表】
2024512236000001.app
【国際調査報告】