(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】母乳の流れ検出用装置
(51)【国際特許分類】
A61J 13/00 20060101AFI20240312BHJP
A41D 13/12 20060101ALI20240312BHJP
A41C 3/12 20060101ALI20240312BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61J13/00 A
A41D13/12 181
A41C3/12 A
A41C3/12 Z
A61B5/00 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549620
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022051373
(87)【国際公開番号】W WO2022175833
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523310767
【氏名又は名称】カイゼン バイオ-テック (2011) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ダハン、 ハイム
(72)【発明者】
【氏名】カン、 アディール
(72)【発明者】
【氏名】ハドミ、 オデド
(72)【発明者】
【氏名】ザカイ、 アビ
(72)【発明者】
【氏名】メシアニ、 マリオ
【テーマコード(参考)】
3B131
3B211
4C047
4C117
【Fターム(参考)】
3B131AA17
3B131AB03
3B131BA43
3B131BB04
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3B211AB08
3B211AB09
3B211AC03
4C047BB24
4C047PP31
4C117XA02
4C117XC26
4C117XD22
4C117XE12
4C117XQ13
(57)【要約】
授乳中に乳児が母乳を摂取しているか否かの表示を授乳中の母親に提供するための新しい装置。母親の乳房から搾り出された母乳は、装置の乳首に供給され、装置の乳首から乳児が吸うことができるようになる前に、母親又は第三者から見える位置に配置された乳頭保護器の透明な通路部分を通って流れる。したがって、装置は乳児が母親の乳房から母乳を摂取している表示を提供する。通路の可視性は、授乳時に母親との視線が乳児によって覆い隠されない装置の領域を通って、例えば装置の基層の周縁に向かって、通路の経路を定めることによって達成される。装置通路はまた、弁を含むことができ、このような弁の詳細が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の乳房から乳児への母乳の流れの表示を提供するように構成された装置であって、
前記女性の乳房の少なくとも一部に適合するように構成された可撓性層を含み、
前記可撓性層は、
前記女性の乳房に面するように構成された内面、及び外面と、
前記可撓性層の中央領域に配置され、前記乳房の乳首の上に配置されるように構成された突起と、
前記突起の内面を前記突起の先端領域の外面の少なくとも1つの開口部と接続する少なくとも1つの流体連通通路であって、前記乳首と前記突起の内面との間の空間に集められた母乳が前記少なくとも1つの通路を通って前記先端領域の少なくとも1つの開口部から流れ出ることができるようになっており、前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は前記突起から距離を置いて配置され、前記装置の使用中に前記少なくとも1つの部分が前記装置の使用中に前記乳児の唇があると予想される領域の外側に配置されるようになっている、少なくとも1つの通路と
を含む装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの通路は、前記可撓性層内に埋め込まれるか、前記可撓性層内に部分的に埋め込まれるか、前記可撓性層の外面に配置されるか、又は前記可撓性層から部分的に切り離される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分における母乳の流れが見えるように透明又は半透明である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分に接続された、密閉された少なくとも部分的に透明な容器をさらに含み、前記少なくとも1つの通路を通過する母乳が前記少なくとも部分的に透明な容器内で波のように動くのが見えるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、母乳の流れの中で撓みを受ける機械要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、母乳の所定の流れが前記少なくとも1つの部分内に存在することを示す特性を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記特性は、色の変化又は発せられる音のいずれかである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分の前記突起からの距離は、前記少なくとも1つの部分が前記突起を吸う乳児の口があると予想される領域の外側に見えるように少なくとも3cmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの通路に沿って配置され、母乳が前記通路を通って前記空間から前記先端領域の少なくとも1つの開口部へのみ流れることを可能にするように構成された少なくとも1つの弁をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの弁は、前記先端領域の少なくとも1つの開口部に吸啜が加えられないときに本質的に閉じる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
容器内の流体を乳児に供給することができるように、少なくとも1つの通路に流体接続された前記容器をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記流体は薬剤である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記流体接続の通過性は、前記流体容器の内容物が、所定の流量に従って前記少なくとも1つの通路内の前記母乳の流れに移送されるようなものである、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は電子機器を含まないものである、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置の電子機器を含まない状態により、前記乳児の領域における電磁放射の危険性が低減される、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
女性の乳房の少なくとも乳首領域に装着されるように構成された、前記乳房からの母乳の流れの表示を提供するための装置であって、
内面及び外面を有する乳首形突起を有し、前記内面は前記女性の乳房の乳首領域に面するように構成され、前記外面は乳児の口に面するように構成される可撓性材料層と、
前記可撓性層内に形成された少なくとも1つの通路であって、前記乳首形突起の内面の第1の位置から前記乳首形突起の頂点又はその近傍の前記可撓性層の外面に延びる少なくとも1つの通路と
を含み、
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、前記乳児が前記乳首形突起を吸っているときに母乳の流れの表示を提供するように構成される、装置。
【請求項17】
前記経路の少なくとも1つの部分は、前記乳児の唇がそれを覆い隠す可能性のある領域の外側に前記経路の少なくとも1つの部分があるように、前記乳首形突起から半径方向に離れた領域に配置される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は透明又は半透明であり、前記少なくとも1つの部分を通して前記母乳の流れが見えるように、前記乳首形突起から半径方向に離れた領域に配置される、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、母乳にさらされると色を変化させる材料を含み、前記色の変化によって前記母乳の流れが可視化されるように、前記乳首形突起から半径方向に離れた領域に配置される、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、前記少なくとも1つの部分内に母乳の所定の流れが存在するときに音を発する要素を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記乳首形突起の基部領域の周囲に形成されたリングをさらに含み、前記リングは、前記乳児が吸啜をやめたときに前記装置がより容易に前記乳房に固定されたままになるように、前記可撓性材料層よりも低い可撓性を有する、請求項16から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は電子機器を含まないものである、請求項16から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
女性の乳房の少なくとも乳首領域に装着されるように構成された装置であって、
乳首形突起を有する可撓性材料層であって、前記女性の乳房に面するように構成された内面と、乳児の口に面するように構成された外面とを備える可撓性層を含み、
前記可撓性層は、
前記乳首形突起の内面から前記乳首形突起から離れた前記可撓性層の外側領域内の位置に至る第1の少なくとも1つの通路と、前記乳首形突起から離れた前記可撓性層の外側領域内の位置から前記乳首形突起の先端領域内の位置で前記乳首形突起の外面に至る第2の少なくとも1つの通路と、
前記第1の少なくとも1つの通路と前記第2の少なくとも1つの通路とに接続するように配置された流体接続開口部を有する、前記可撓性層の離れた外側領域にある流体コネクタポートと
を含み、
前記流体コネクタポートは、前記装置を通して前記女性の乳房から前記乳児に伝達される母乳供給に関する情報を提供するヘッドを前記流体コネクタポートに取り付けるように構成される、装置。
【請求項24】
前記ヘッドは、前記女性の乳房から前記乳児に流れる母乳の量に関する情報を提供する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ヘッドは小型の流量センサを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ヘッドは、前記母乳の流れに薬剤を加えることができるように、前記ヘッド内の母乳の流れの経路に流路によって接続された容器を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記ヘッドは、前記乳児の吸啜レベルを特定することができるように、真空インジケータを含む、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記ヘッドは、母乳の内容物を特定することができるように、分析センサを含む、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記ヘッドは、特定された情報を遠隔装置に送信するための送信ユニットを含む、請求項23から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
授乳中の女性が使用するための乳頭保護器であって、
前記女性の乳房の少なくとも一部に適合するように構成された可撓性層であって、内面及び外面と、前記女性の乳房の乳首の上に配置されるように構成された突起領域とを有する可撓性層と、
前記内面を前記外面と接続する少なくとも1つの通路が形成され、前記女性の乳房から前記乳頭保護器を吸っている乳児への母乳の流れを可能にするように、前記可撓性層の突起領域にある少なくとも1つの開口部と、
前記少なくとも1つの通路に配置された弁であって、前記少なくとも1つの通路を通る前記女性の乳房から前記乳児への母乳の流れを可能にするが、外部から前記内面への空気又は母乳の流入を制限する弁と
を含む、乳頭保護器。
【請求項31】
各弁は、空気又は母乳の流入を所定の大気圧未満の圧力に制限する開放圧レベルを有する、請求項30に記載の乳頭保護器。
【請求項32】
各弁は、前記内面と前記女性の乳房との間の空間における大気圧未満の圧力を維持するように構成される、請求項30に記載の乳頭保護器。
【請求項33】
前記大気圧未満の圧力は、前記乳児が吸啜をやめたときに前記乳頭保護器が前記女性の乳房に付着したままであることを可能にするように構成される、請求項31又は32に記載の乳頭保護器。
【請求項34】
前記大気圧未満の圧力は、前記乳児が母乳を得るのに必要とされる労力を軽減するように構成される、請求項31又は32に記載の乳頭保護器。
【請求項35】
前記大気圧未満の圧力は、前記女性の乳房からより多量の母乳を誘導するように構成される、請求項31又は32に記載の乳頭保護器。
【請求項36】
母乳の流れを示すための少なくとも1つの要素をさらに含み、前記少なくとも1つの要素のそれぞれが、前記乳児に母乳が供給されていることを前記授乳中の女性に知らせることができるように通路内に配置される、請求項30から35のいずれか一項に記載の乳頭保護器。
【請求項37】
容器内の流体を前記乳児に供給することができるように前記通路に流体接続された容器をさらに含む、請求項30から36のいずれか一項に記載の乳頭保護器。
【請求項38】
前記可撓性層の凹状領域の基部領域の周囲に形成されたリングをさらに含み、前記リングは、前記乳児が吸啜をやめたときに乳頭保護器がより容易に女性の乳房に固定されたままになるように、前記可撓性材料層よりも低い可撓性を有する、請求項30から37のいずれか一項に記載の乳頭保護器。
【請求項39】
女性が乳児に授乳するのを補助するための方法であって、
前記女性の乳房に乳頭保護器装置を装着することであって、前記乳頭保護器は前記女性の乳首に面する少なくとも1つの第1の開口部を有し、前記第1の開口部は前記女性の乳房とは反対を向く少なくとも1つの第2の開口部に通路によって流体接続されることと、
母乳が前記少なくとも1つの第1の開口部から流れて前記少なくとも1つの第2の開口部から流れ出るように、乳児が前記少なくとも1つの第2の開口部を吸うことを可能にすることと
を含み、
前記乳頭保護器装置は、それぞれが前記少なくとも1つの通路のうちの1つに配置され、前記女性の乳房から前記乳児への母乳の流れを可能にするが、外部からの前記乳頭保護器と前記女性の乳房との間の空間への空気又は母乳の流入を制限する少なくとも1つの弁を含む、方法。
【請求項40】
各弁は、空気又は母乳の流入を所定の大気圧未満の圧力に制限する開放圧を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記弁は、前記乳頭保護器と前記女性の乳房との間の空間における大気圧未満の圧力を維持するように構成される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記大気圧未満の圧力は、前記乳児が吸啜をやめたときに前記乳頭保護器が前記女性の乳房に付着したままであることを可能にするように構成される、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記大気圧未満の圧力は、前記乳児が母乳を得るのに必要とされる労力を軽減するように構成される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項44】
前記大気圧未満の圧力は、前記女性の乳房からより多量の母乳を誘導するように構成される、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項45】
前記乳頭保護器装置は、母乳の流れを示すための要素をさらに含み、前記要素は、前記乳児に母乳が供給されていることを前記授乳中の女性に知らせることができるように少なくとも1つの通路の間に配置される、請求項39から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
女性の乳房から授乳中の乳児への母乳の流れを示すように構成された装置であって、
前記女性の乳房の少なくとも一部に適合するように構成された可撓性層を含み、
前記可撓性層は、
前記女性の乳房の乳首の上に配置されるように構成されたドーム形部分であって、前記女性が前記装置を着用したときに前記女性の乳首と前記ドーム形部分の内面との間に空間を形成するように形成されたドーム形部分と、
前記ドーム形部分内に形成された空間を少なくとも1つの密閉容器と接続する少なくとも1つの流体連通通路であって、少なくとも1つの密閉容器は、ドーム形部分の外面で授乳する乳児の口によって隠れないと予想される装置の領域内に配置され、少なくとも1つの密閉容器内を移動する母乳が女性から乳児への母乳の流れの表示を提供するようにする、少なくとも1つの流体連通通路と
を含む装置。
【請求項47】
前記少なくとも1つの密閉容器は、前記少なくとも1つの密閉容器内の母乳の動きが見えるように透明又は半透明である、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記少なくとも1つの密閉容器内の母乳の存在の視覚的表示は、母乳に接触すると色を変化させる材料によって提供される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記ドーム形部分の基部領域の周囲に形成されたリングをさらに含み、前記リングは、前記乳児が吸啜をやめたときに前記装置がより容易に女性の乳房に固定されたままになるように、前記可撓性層よりも低い可撓性を有する、請求項46から48のいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
前記ドーム状部分の内面と外面との間の領域に配置された弁をさらに含み、前記弁は、前記女性の乳房から前記乳児への母乳の流れを可能にするように構成されるが、外部から前記内面への空気又は母乳の流入を制限する、請求項46から49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
前記装置は電子機器を含まないものである、請求項46から50のいずれか一項に記載の装置。
【請求項52】
前記装置の電子機器を含まない状態により、前記乳児の領域における電磁放射の危険性が低減される、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
二方弁であって、
それを通る流体流を可能にするように構成された軸方向流路を有する本体と、
その内側軸領域に開口部を有する可撓性ダイヤフラムであって、前記弁の意図された流れ軸を横切って配置されたダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの第1の側から第1の軸方向に配置され、前記第1の方向における前記ダイヤフラムの内側領域の曲げ運動を制限するように構成された第1の拘束要素と、
前記ダイヤフラムの第2の側から第2の軸方向に配置され、前記第2の方向における前記ダイヤフラムの周縁外側領域の曲げ運動を制限するように構成された第2の拘束要素と
を含む二方弁。
【請求項54】
前記本体の軸方向流路内に配置され、前記可撓性ダイヤフラムが取り付けられるポストをさらに含み、前記第1の拘束要素は、前記ポストの外径よりも大きい外径を有するポストの拡大部分であり、前記可撓性ダイヤフラムは、前記拡大部分の外径を超えた点からのみ前記第1の方向に自由に曲がることができる、請求項53に記載の二方弁。
【請求項55】
前記第2の拘束要素は、前記本体の軸方向流路の内径よりも小さい内径を有する前記本体の縮小部分であり、前記可撓性ダイヤフラムは、前記縮小部分の内径内の点からのみ第2の方向に自由に曲がることができる、請求項53又は54に記載の二方弁。
【請求項56】
前記ポストの拡大部分の外径と前記可撓性ダイヤフラムの外周縁との間の距離が、前記第1の軸方向の流れに対する前記弁の開放圧特性を決定する、請求項54に記載の二方弁。
【請求項57】
前記本体の縮小部分の内径と前記可撓性ダイヤフラムの内周縁との間の距離が、前記第2の軸方向の流れに対する前記弁の開放圧特性を決定する、請求項55に記載の二方弁。
【請求項58】
二方弁であって、
軸方向流路と、凹状の第1の端部に形成された段付き表面とを有する本体と、
前記弁本体の軸方向流路内に取り付けられ、前記弁本体の軸方向流路内に環状流路を形成するポストであって、前記ポストは段付き肩部を形成する拡幅された先端を有し、前記段付き肩部は前記弁本体の凹状の第1の端部の段付き表面とは反対の方向を向き、かつ前記弁本体の凹状の第1の端部の段付き表面と同じ軸方向領域に近い長手方向位置にあるポストと、
前記ポストの段付き肩部と前記弁本体の段付き表面との間に配置され、前記環状流路を横切るように前記ポストに取り付けられた可撓性ダイヤフラムと
を含む二方弁。
【請求項59】
前記可撓性ダイヤフラムの位置は、前記弁本体の凹状の第1の端部に向かう環状流路に沿った流体の流れが、前記凹状の第1の端部に向かう前記可撓性ダイヤフラムの外周縁の曲げ運動を生成するように動作し、一方、前記弁本体の凹状の第1の端部から遠ざかる前記環状流路に沿った流体の流れが、前記凹状の第1の端部から遠ざかる前記可撓性ダイヤフラムの内周縁の曲げ運動を生成するように動作するようなものである、請求項58に記載の二方弁。
【請求項60】
所与の流体流に対して、前記凹状の第1の端部に向かう可撓性ダイヤフラムの曲げ運動の程度は、前記中央ポストの段付き肩部の段部と前記可撓性ダイヤフラムの外周縁との間の半径方向の距離によって決まる、請求項59に記載の二方弁。
【請求項61】
前記所与の流体流に対して、前記凹状の第1の端部から遠ざかる可撓性ダイヤフラムの曲げ運動の程度は、前記凹状の第1の端部に形成された段付き表面の段部と前記可撓性ダイヤフラムの内周縁との間の半径方向の距離によって決まる、請求項59に記載の二方弁。
【請求項62】
前記ダイヤフラムの曲がることができる部分の自由径の長さの選択は、前記弁が開く弁前後の圧力の調整を可能にする、請求項59から61のいずれか一項に記載の二方弁。
【請求項63】
前記弁の開口部は、前記弁前後の圧力差によって自己作動する、請求項59から62のいずれか一項に記載の二方弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、授乳中の母親からの母乳の流れの検出の分野に関する技術、特にその流れの存在を母親に示すための技術について説明する。
【背景技術】
【0002】
授乳時間中に乳児が実際に母乳を摂取しているか否かの表示を受け取りたいという欲求は、特に乳児期の最初の数週間にしばしば生じる。乳児は気持ちが安らぐ方法として乳房を吸う傾向があり、実際には摂取していないに、乳児が母乳を摂取しているという印象を母親に与えることがある。また、一部の母親は、特に母乳育児が定着する前は、十分な母乳が出ないため、空腹の乳児が十分な母乳の供給を受けられずに長時間乳房を吸うことがある。さらに、一部の乳児は授乳中に眠ってしまうようであり、母親は自分たちがまだ授乳していることに気付かないことがある。
母乳が乳児に供給されているか否かの表示を与えるために、様々な複雑な測定システムが提案されている。使用されている1つの手法は、面倒で、時間がかかり、不正確な重量減算である。この手法では、授乳の前後に乳児の体重を測定し、2つの体重を差し引いて母乳の消費量を計算する。別の手法は、非特許文献1の論文に開示されている。この手法では、授乳前後の乳房のコンピュータ処理画像によって乳房体積の変化が追跡される。E.Kolbergらによる「母乳流量計装置及び方法」に関する特許文献1は、乳児が吸乳するシリコンニップルキャップの内部に体積流量センサを配置する手法を開示している。センサからの乳流データは、母親に表示される乳量データに変換される。このようなシステムは一般に、流体流を測定するために電子流量計又は電気機械流量計を流体流路に取り付けることを必要とする。乳流を測定するために、母親の乳房に適合する母乳収集装置の外部に取り付けられた、電子流量測定モジュールを使用する他のいくつかのシステムが提案されている。このようなシステムの1つは、乳流を測定するための電子センサを有するL.A.Drewへの「非侵入型母乳モニタリング」に関する特許文献2に示されている。しかしながら、上記のシステムはすべて、電子母乳感知ユニットのために高価で複雑であり、低コストで場合により使い捨て可能な装置に適している可能性が低くなっている。また、多くの母親は、一般に電磁放射の存在を恐れるため、乳児に又は乳児の近くで電子装置を使用することを躊躇するであろうし、このような外部に取り付けられた部品が装置から外れて何らかの形で乳児に飲み込まれる可能性があるという追加の危険性がある。乳頭保護器に似たより単純な装置が、「乳児への流体流を測定する装置及び方法」に関する、本出願人が共同所有する特許文献3に記載されており、この装置では、主要な乳流の一部が測定流路を通過し、授乳時間後に測定流路に集められた母乳の長さが、主要流路を通して取り出された母乳の尺度を提供する。母乳育児の利点が広く知られるようになるにつれて、以前よりも多くの母親が母乳を与えており、乳児の母乳摂取量を示す方法の必要性が強調されている。
本明細書のこのセクション及び他のセクションで言及される各刊行物の開示は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/054287号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0147124号明細書
【特許文献3】米国特許第7,896,835号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.E.J. Daly et al., “The Determination of Short-Term Breast Volume Changes and the Rate of Synthesis of Human Milk Using Computerized Breast Measurement”, Exp. Physiology, 77, 79-87 (1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、従来技術のシステム及び方法の欠点の少なくともいくつかを克服する新規の装置及び方法を提供することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、授乳時間中に乳児が母乳を摂取しているか否かに関する表示を授乳中の母親に提供するための新しい例示的な装置について説明する。装置は、典型的には現在入手可能な乳頭保護器と同様の形状及び設計を有する可撓性層で構成され、装置の流れ形状のレイアウトは、母親の乳房から搾り出された母乳が、乳児が吸っている装置の乳首に供給される前に、母乳の流れの表示を提供する領域を有する通路を通って流れるようにするようなものである。通路のインジケータ部分は、母親又は補助者がアクセスできる位置に配置するべきである。通路のインジケータ部分を実現する簡単な方法は、母乳の流れが母親に見えるように、その部分を透明又は半透明の材料で構成することであり、この実施形態は、装置を説明する際に以下で使用されるが、流れ表示を可視表示に限定することを意図するものではない。通路は、装置の内部に配置されるか、装置の表面に配置されるか、又は別の方法で装置に取り付けられる。したがって、装置は、母親又は第三者に、乳児が母親の乳房から母乳を摂取しているという表示を提供する。装置を構成する別の方法は、母親の乳房と装置の乳首との間の母乳の流れのための空間に流体接続された小さな表示容器を提供することによって、母乳が通路を通過する必要をなくし、乳児に直接流れる母乳の一部が表示容器への接続部を通り、表示容器で母乳の有無が母親に見えるようにする。母乳の流れは、母乳の流路内に機械的突起を使用することによっても示すことができ、母乳の流れにより機械的突起はその向きを変え、それにより母乳の流れが示される。さらに別の実施形態では、小さな密閉容器を、乳児と母親の乳首から離れた位置で母乳通路に短い接続管によって取り付けることができ、乳児が吸啜するときに母乳が通路を流れると、母乳は接続管に沿って密閉容器に押し寄せ、密閉容器で母乳を容易に見ることができる。
【0007】
装置は有利には、典型的には現在入手可能な乳頭保護器と同様の形状及び設計を有する可撓性層で構成される。可撓性層は典型的には、シリコーンなどの非吸収性で皮膚に対して刺激性がない材料から構成される。乳頭保護器と同様に、可撓性層は女性の乳房の一部に共形的に適合するように構成され、乳輪と乳首を覆い、母親の乳首の上に配置されるように構成された中央の突起(以下、装置乳首と呼ぶ)を有する。この突起は、外側から見たときの幾何学的形状からそのように呼ばれるが、母親の乳房の側から見ると凹状領域又はくぼみの機能的形状も有する。この特徴は、それが参照される状況に応じて、以下に明らかになるように、一般に装置の内側からの機能に関する名前又は装置の外側からの機能に関する名前で交互に呼ばれ得る。しかしながら、この慣習は、このような機能的な使用又は関係を限定するものとして理解されるべきではなく、両方の用語又は別の記述名を代替的に使用することができる。突起/凹状領域は、可撓性層の一体部分として構成されてもよく、可撓性層の中央領域に取り付けられてもよく、さらに別の材料で構成されてもよい。個々の使用者に合うように様々な形状及び様々なサイズの装置を提供し、装置の利用中に、可撓性層が使用者の乳房に共形的に適合するようにすることができる。
【0008】
授乳時間中に乳児が母乳を摂取しているか否かの表示を提供するために、装置は、母乳の流れ、特に乳児の吸啜パターンによく似る母乳の波(サージ)を視覚的に表示するために、円形の断面又は任意の他の適切な形状を有することができる1つ以上の通路を有することができる。通路は典型的には、装置が1部品から形成され得るように可撓性層の内部に埋め込まれるか、又は可撓性層の表面に形成され得るか、又は表面の上に固定され、その端部が取り付けられる。通路は2つの開口部を有し、第1の開口部は、装置が着用されたときに開口部が母親の乳房に面するように、装置の中央凹状領域からの開口部である。通路の1つ又は複数の第2の開口部も、授乳中に乳児に面するように可撓性層の外面への開口部として、装置の中央凹状領域内であるが、突起の先端領域に位置する。この外部への開口部は、中央の凹状中空の中空内部容積に流体接触すべきではない。2つの開口部の間で、通路は中央凹状くぼみ領域から半径方向外側に回り道を行い、母親が装置を着用したときに、通路の一部が、乳児の口によって視覚的に妨げられず、ひいては装置の使用中に母親又は第三者に見える必要がある領域に位置するようにする。可撓性層は、通路を通る流体流が使用者に見えるように、透明又は半透明の材料で形成されるべきである。そうでない場合、通路が埋め込まれている可撓性層の少なくとも一部は、授乳中に通路の一部が見えるように、透明又は半透明の材料から構成されるべきである。一般に、出口開口部として動作する第2の開口部は、母親の乳首の構造によく似る突起の頂点に配置される。通路は第2の開口部の領域で複数の分岐に枝分かれし得るので、第2の「開口部」は複数の別個の開口部から構成され得る。この配置は、単一の開口部の場合のように、乳児の舌又は唇のどの部分も開口部全体を塞ぐことがないので、乳児がより効率的に吸い込むことを可能にするはずである。同様に、凹状くぼみ内の通路の入口は、複数の開口部を有することができる。さらに、装置には、十分な母乳の流れが可能であることを確実にするために、2つ以上の平行な通路を設けることができる。これは、例えば、通路が装置の薄い可撓性層内に形成され、したがって単一の通路を通る流れが制限されるように断面が制限されている場合に必要であり得る。平行な通路の少なくとも1つは、母親が目に見える母乳の流れの表示を得ることができる領域を必要とする。説明を簡単にするために、任意の数の通路が以下で単一の通路と呼ばれるので、適用を限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載されるように複数の通路も含むものと理解されるべきである。
【0009】
装置が使用されるとき、可撓性層は女性の乳房に共形的に適合し、装置乳首である凹状領域は母親の乳首の上に配置される。通常、母親の乳首と装置の乳首との間には空洞がある。授乳中、乳児は突起の外側、すなわち装置乳首、を吸い、この結果として通路に負圧が生じる。負圧は通路に真空を生成し、母親の乳首から中空の凹状空間と通路に母乳を引き出し、中空の凹状空間と通路から母乳を引き出して乳児に母乳を供給するのに役立つ。負圧は、可撓性層を強制的に母親の乳房に付着させ、それにより凹状空間と装置の外縁から母乳が外部に漏れるのを防ぎ、また外縁からの空気の侵入及び母乳の流れにおける気泡の発生を減らす。
【0010】
乳児の口が可撓性層の大部分を塞ぐ可能性があるため、通路は、可撓性層の中心部が乳児によって視覚的に遮られても、少なくともその一部が見えるように配置されなければならない。通路はしたがって、典型的には、可撓性層の周縁領域の少なくとも一部の周りに延びるような位置で、又は少なくとも凹状くぼみ領域の外側の可撓性層の領域で、又は授乳時間中に見えるように外部の位置を通って、可撓性層の表面に埋め込まれるか、可撓性層の表面に取り付けられるか、又は他の方法で可撓性層に取り付けられる。
【0011】
通路には、有利には、中央凹状中空の開口部から装置乳首の先端の出口開口部に向かう方向に通路を通る乳児への母乳の流れが可能になるように、所定の圧力で開く弁を設けることができる。このような弁のいくつかの例が、本開示の詳細な説明のセクションに提供されている。このような弁は、乳児が吸啜をやめたときに通路内、したがって中空凹状領域内で負圧の維持を補助する効果を有し、この結果として母親の乳房への装置のより良好な付着を確実にする。また、このような弁の使用は、乳児が必要とする吸啜労力を減少させる。これは、乳児の吸啜における休止の合間に、乳児は、このような弁がなければ大気圧であり得る凹状空間から乳児の口に母乳を引き出すのに必要な負圧全体を生成する必要はなく、弁によって凹状空間で維持された負圧から生成するだけでよいからである。この弁はしたがって流量増幅器として機能し、授乳に必要な時間を短縮することができる。また、凹状の母乳収集空間内で維持された負圧は、母親の乳房からの母乳のより良い流れを誘導することによって母親を補助することができる。弁は通路の全長に沿って任意の場所に取り付けることができ、乳児が示す吸啜の強さに合わせて様々な開放圧のモデルを提供することができる。より発達した吸啜能力を有する乳児は、有利にはより高い絶対圧で開く弁を使用することができる。一方、代替的な考慮事項として、開弁圧は、乳児の吸啜によって発生する大気圧未満の圧力を、母親に過度の不快感を与えないように部分的に緩和するために選択することができる。選択されるレベルは、母親の乳首に加えられる負圧の許容レベルに応じて選択することができる。必要又は有利であると考えられる場合は、流量を制御するために流路に沿って2つ以上の弁を使用することができる。本開示における開放圧又は閉鎖圧への言及は、弁が負圧領域、すなわち部分真空領域に位置しているか、正圧領域、すなわち大気圧より上の領域に位置しているかとは無関係に、弁が開閉する弁前後の絶対圧力差に関連することを明確にすべきである。
【0012】
これらの流れ表示装置の更なる例示的な実施形態によれば、二方弁もこの目的のために使用することができ、このような二方弁は、乳児の激しい吸啜から母親の乳首に加えられる過剰な圧力を回避するように動作し、同時に、母親の乳房に装置を取り付けた状態にしておくために装置内で所定の負圧を維持するという付加的な特徴を有する。この使用のメカニズムは、乳児が吸啜をやめたときに、乳児が吸啜をやめると閉じる一方向弁のみを使用した場合、装置内で発生する高い負圧が維持され、この結果として母親の乳首に負圧をかけ続けることである。二方弁の使用は、乳児が吸啜をやめ、装置内での乳児による高い負圧の発生が止まると、二方弁の逆流方向により、空気及び/又は母乳は通路に逆流することができるが、弁が閉じるように設計された所定の圧力までしか逆流しないことを確実にする。弁が閉じると、この閉鎖値の負圧は維持されるが、それは乳児によって生成される負圧よりも小さく、それにより母親に与える不快感は軽減されるが、真空がすべて解除されるわけではないため、装置は母親の乳首に固定されたままである。
【0013】
本開示の様々な実施形態による上記の母乳検出装置のすべては、乳流を測定する装置のような従来の装置とは異なる1つの共通の特徴を有し、それは、今説明している装置が乳頭保護器構造への1つ以上の単純な母乳通路の追加を必要とするだけであるため、これらの装置は、追加の機械部品や電子部品を必要とせずに、従来のポリマー製造技術によって低コストで製造することができるということである。この特徴は、装置を、単回使用の使い捨て可能な乳流表示装置になるように製造コストが十分に低い、単一のコンパクトな自己完結型の装置として構成することができるので、非常に重要である。これは、前述の機械装置又は電子装置に対して重要な利点であり、授乳中の母親のための母乳表示装置のより普遍的な使用を可能にする。また、単一の一体型装置としての構造により、外付けの部品が外れて授乳中の乳児がこのような外れた部品を飲み込む恐れがある危険性が回避される。さらに、乳児への母乳の流れに関する情報を提供することができる、不活性ポリマー材料のみで構成された電子機器を含まない装置は、幼い赤ん坊のすぐ近くでの電子装置の動作に関する母親の不安を和らげるはずである。
【0014】
本開示の別の態様によれば、弁前後の圧力差によって自己作動する、このような二方差圧弁を製造する新規の方法がさらに記載されており、開放圧は流れの2方向に対して異なることができる。弁は、流れの2方向に対して異なる可撓性を有する、流体の流れの方向に沿って配置された可撓性ダイヤフラムを使用する。この可撓性の違いは、弁本体内のダイヤフラムの支持点とその自由に移動可能な内周縁又は外周縁との間に、ダイヤフラムの異なる曲げ長さを設けることによって生じる。ダイヤフラムは、ダイヤフラムがその外縁に向かって一方向に曲がることしかできないように、ダイヤフラムの内縁を拘束する環状肩部を有する内側ポストと、ダイヤフラムがその内縁に向かって逆方向に曲がることしかできないように、ダイヤフラムの外縁を拘束する外側肩部との間に拘束される。ダイヤフラムの曲がることができる部分の自由径の長さの調整は、弁を開かせる弁前後の圧力の調整を可能にする。弁の動作のより完全な説明は、
図5A~
図5Eの詳細な説明のセクションに示されている。
【0015】
本願のさらに別の実施形態によれば、乳首の穴から出る母乳の流れを制御する弁の記載された使用は、乳児が吸啜をやめたときに確実に乳頭保護器が母親の乳房の適所に留まるのを補助することができるという利点を有する、新しい乳頭保護器装置の提供を可能にする。弁は、母親から乳児への妨げられない母乳の流れを可能にするが、乳児が吸啜をやめると、弁は閉じて、空気が乳頭保護器の乳首の穴を通って逆流するのを防ぎ、それにより乳頭保護器を適所に保持している真空が解除され、乳頭保護器と母親の乳房との接触が緩められる。加えて有利には、弁は、それでもなお一定量の空気が乳首の穴に入ることを可能し、母親の乳首への負圧を減少させ、負圧が母親に与える不快感が少ないようにし、しかも装置が外れる原因となる装置内の真空レベルのすべてを解放しない、開放圧差を有することができる。例えば、授乳中の乳児は、第1のレベルで負の吸啜圧力を加えることができるが、ひとたび乳児が中断又は休止すると、弁は、母親の乳首への内圧を、母親に与える不快感が少ない、より小さい負のレベルに調整するために空気が入ることを可能にする。さらに、装置の乳首領域の基部は、材料を厚くしたり強くしたりすることなどによって、乳首の基部が母親の乳房により強固に付着したままで、曲がったり持ち上がったり、それにより真空が解放される傾向が減るように補強することができる。
【0016】
本願に記載された装置のいずれかへの更なる発明的な追加物は、薬剤ディスペンサとして有利に使用することができる、乳流検出器に組み込まれた流体ディスペンサの使用を含む。周知のように、乳児に薬剤を与えることは困難である。与える薬剤の量は正確でなければならず、通常のスプーンや注射器を使用して乳児に薬剤を与えることは、乳児に投与量を摂取させるという課題の他に、乳児が量の一部を吐き出す可能性もあるため、信頼性が低く、不正確である。本開示の本特徴によれば、薬剤容器リザーバが装置に取り付けられ、容器が正しい量の薬剤で満たされると、容器リザーバから母乳通路への薬剤の流量に応じて、母乳の流れが制御された方法で薬剤と混合されるように、母乳通路に流体接続されている。乳児はその結果、薬剤の味さえも隠されるように授乳中の母乳と混合された、薬剤投与量のすべて又は乳児に与えることが望まれる他の流体を摂取する。容器リザーバは、簡単に充填することができるように取り外し可能であり得る。本願の乳流検出器への組み込みに適用可能であることに加えて、このような特徴はまた、本願と共通の発明者を有する「乳児への流体流を測定する装置及び方法」に関する上記特許文献3のような、乳児が摂取する母乳のための流路を提供するあらゆる他の装置に組み込むことができる。また、このような特徴は、上記の改良された乳頭保護器に組み込むこともできる。
【0017】
上記の乳流検出器はすべて、乳児が母乳の流れを摂取しているという表示を母親に提供するための単一機能の単一装置である。また、追加された構成部品は、一般に、このような単独使用の装置の一部として記載されている。本願に記載された装置の更なる実装によれば、授乳中の母親のニーズの様々な側面に関連する多くの代替機能を実行するために使用することができる、新規のマルチタスク乳頭保護器が記載されている。乳頭保護器は、母親の乳房に装着され、乳首から離れた位置との間で母乳を運ぶ通路を用いて母親の乳首から乳児の口へ母乳の移動を行う汎用性のあるベースユニットを含む。この離れた位置には、複数の異なる動作ヘッドのいずれかを取り付けることができ、各タイプのヘッドは、母乳に関連する独自の専用機能を実行するように構成される。離れた位置は、標準化された一対の流体流接続端子を含み、様々な動作ヘッドは、ベースの乳頭保護器上のリモートコネクタに取り付けることができる、適合する標準化された流体流コネクタを有する。乳頭保護器のベースユニットはしたがって汎用性があり、装置の特定の使用は、乳頭保護器のリモート端子に取り付けられたヘッドによって決まる。ヘッドは、流量測定、流れ表示、薬剤添加、乳児の吸啜パターンの測定、乳質分析、母親の病気を示す母乳中のマーカーの検出、及び他の多くの機能的用途などの、様々な測定又は表示機能のために取り付けることができる。装置全体のコンセプトのマルチタスク使用に加えて、このような装置のもう1つの利点は、ブラシ又は機械を用いて容易に洗浄可能な流路及び部品を有するベースの乳頭保護器は複数回使用のために作成できるが、より複雑でしたがって洗浄がより困難なヘッドアタッチメントは1回使用の使い捨て可能なユニットであり得ることである。ただし、ヘッドアタッチメント、特に電子チップが組み込まれ、したがって使い捨て可能なアタッチメントと考えるには少々高価なヘッドアタッチメントは洗浄及び再使用できるように作成できることは実現可能である。
【0018】
本願全体及び特許請求の範囲において、乳児の母親が母乳の供給者であると言及されているが、これは通常の状況であり、母親への言及は、乳児の母親以外の女性を排除することを意図したものではなく、開示及び特許請求の範囲は、乳児に母乳を与えるために装置を使用する母親に限定されるように解釈されることを意図したものではないことを理解すべきである。
【0019】
本願に記載された装置は、母親の乳房から授乳するために最も有効に使用されるが、哺乳瓶に取り付けることができる形で製造することもできるので、哺乳瓶を直立状態に保って哺乳瓶の目盛りの母乳レベルを読み取るために授乳を中断するのではなく、乳児が飲んでいる間に母乳の流れの直接的な証拠が得られる。この実施形態はまた、不透明な哺乳瓶の使用を可能にする。
【0020】
したがって、本開示に記載された装置の例示的な実施形態に従って、女性の乳房から乳児への母乳の流れの表示を提供するように構成された装置が提供され、装置は、
女性の乳房の少なくとも一部に適合するように構成された可撓性層を含み、可撓性層は、
(i)女性の乳房に面するように構成された内面、及び外面と、
(ii)可撓性層の中央領域に配置され、乳房の乳首の上に配置されるように構成された突起と、
(iii)突起の内面を突起の先端領域の外面の少なくとも1つの開口部と接続する少なくとも1つの流体連通通路であって、乳首と突起の内面との間の空間に集められた母乳が少なくとも1つの通路を通って先端領域の少なくとも1つの開口部から流れ出ることができるようになっており、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は突起から距離を置いて配置され、装置の使用中に少なくとも1つの部分が装置の使用中に乳児の唇があると予想される領域の外側に配置されるようになっている、少なくとも1つの通路と
を含む。
【0021】
上記装置では、少なくとも1つの通路は、可撓性層内に埋め込まれてもよいし、可撓性層内に部分的に埋め込まれてもよく、可撓性層の外面に配置されてもよいし、又は可撓性層から部分的に切り離されてもよい。
【0022】
更なる実施形態によれば、上記のいずれの装置においても、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分における母乳の流れが見えるように透明又は半透明である。また、装置は、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分に接続された、密閉された少なくとも部分的に透明な容器を含み、少なくとも1つの通路を通過する母乳が少なくとも部分的に透明な容器内で波のように動くのが見えるようになっていることができる。さらに、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、母乳の流れの中で撓みを受ける機械要素を含み得る。さらに、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、母乳の所定の流れが少なくとも1つの部分内に存在することを示す特性を有し得る。このような特性は、色の変化又は発せられる音のいずれかであり得る。
【0023】
上記のいずれの装置においても、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの部分の突起からの距離は、少なくとも1つの部分が突起を吸う乳児の口があると予想される領域の外側に見えるように少なくとも3cmであることができる。
【0024】
さらに別の実施形態によれば、これらの装置のいずれも、少なくとも1つの通路に沿って配置され、母乳が通路を通って空間から先端領域の少なくとも1つの開口部へのみ流れることを可能にするように構成された少なくとも1つの弁をさらに含むことができる。このような場合、少なくとも1つの弁は、先端領域の少なくとも1つの開口部に吸引が加えられないときに本質的に閉じる。
【0025】
上記のいずれの装置も、容器内の流体を乳児に供給することができるように少なくとも1つの通路に流体接続された容器をさらに含むことができる。流体は薬剤であってもよい。また、流体接続の通過性は、流体容器の内容物が所定の流量に従って少なくとも1つの通路内の母乳の流れに移送されるようなものでなければならない。
【0026】
上記のいずれの装置も、電子機器を含まないものでなければならない。その結果として、装置の電子機器を含まない状態により、乳児の領域における電磁放射の危険性が低減される。
【0027】
本開示の更なる実施形態によれば、女性の乳房の少なくとも乳首領域に装着されるように構成された、乳房からの母乳の流れの表示を提供するための装置がさらに提供され、装置は、
(i)内面及び外面を有する乳首形突起を有し、内面は女性の乳房の乳首領域に面するように構成され、外面は乳児の口に面するように構成される可撓性材料層と、
(ii)可撓性層内に形成された少なくとも1つの通路であって、乳首形突起の内面の第1の位置から乳首形突起の頂点又はその近傍の可撓性層の外面に延びる少なくとも1つの通路と
を含み、
少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、乳児が乳首形突起を吸っているときに母乳の流れの表示を提供するように構成される。
【0028】
このような装置では、経路の少なくとも1つの部分は、乳児の唇が覆い隠す可能性のある領域の外側に経路の少なくとも1つの部分があるように、乳首形突起から半径方向に離れた領域に配置することができる。また、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は透明又は半透明であり、少なくとも1つの部分を通して母乳の流れが見えるように、乳首形突起から半径方向に離れた領域に配置することができする。さらに、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、母乳にさらされると色を変化させる材料を含むことができ、このような色の変化によって母乳の流れが可視化されるように、乳首形突起から半径方向に離れた領域に配置される。代替的な実施形態として、少なくとも1つの通路の少なくとも1つの部分は、少なくとも1つの部分内に母乳の所定の流れが存在するときに音を発する要素を含むことができる。
【0029】
さらに別の実施形態では、上記のいずれかの装置は、乳首形突起の基部領域の周囲に形成されたリングをさらに含むことができ、リングは、乳児が吸啜をやめたときに装置がより容易に乳房に固定されたままになるように、可撓性材料層よりも低い可撓性を有する。また、上記の装置は、乳児の領域における電磁放射の危険性が低減されるように、電子機器を含まないものでなければならない。
【0030】
本願の装置のさらに別の実施形態によれば、さらに、女性の乳房の少なくとも乳首領域に装着されるように構成された装置が提供され、装置は、
乳首形突起を有する可撓性材料層であって、女性の乳房に面するように構成された内面と、乳児の口に面するように構成された外面とを備える可撓性材料層
を含み、可撓性層は、
(i)乳首形突起の内面から乳首形突起から離れた可撓性層の外側領域内の位置に至る第1の少なくとも1つの通路と、乳首形突起から離れた可撓性層の外側領域内の位置から乳首形突起の先端領域内の位置で乳首形突起の外面に至る第2の少なくとも1つの通路と、
(ii)第1の少なくとも1つの通路と第2の少なくとも1つの通路とに接続するように配置された流体接続開口部を有する、可撓性層の離れた外側領域にある流体コネクタポートと
を含み、
流体コネクタポートは、装置を通して女性の乳房から乳児に送られる母乳供給に関する情報を提供するヘッドを流体コネクタポートに取り付けるように構成される。
【0031】
このような装置では、ヘッドは、女性の乳房から乳児に流れる母乳の量に関する情報を提供する。ヘッドは、小型の流量センサ、又は母乳の流れに薬剤を加えることができるようなヘッド内の母乳の流れの経路に流路によって接続された容器、又は乳児の吸啜レベルを特定することができるような真空インジケータ、又は母乳の内容物を特定することができるような分析センサを含むことができる。また、ヘッドは、特定された情報を遠隔装置に送信するための送信ユニットを含むことができる。
【0032】
本開示のさらに別の実施形態によれば、授乳中の女性が使用するための乳頭保護器が提供され、乳頭保護器は、
(i)女性の乳房の少なくとも一部に適合するように構成された可撓性層であって、内面及び外面と、女性の乳房の乳首の上に配置されるように構成された突起領域とを有する可撓性層と、
(ii)内面を外面と接続する少なくとも1つの通路が形成されて女性の乳房から乳頭保護器を吸っている乳児への母乳の流れを可能にするように、可撓性層の突起領域にある少なくとも1つの開口部と、
(iii)少なくとも1つの通路に配置された弁であって、少なくとも1つの通路を通る女性の乳房から乳児への母乳の流れを可能にするが、外部から内面への空気又は母乳の流入を制限する弁と
を含む。
【0033】
このような乳頭保護器では、各弁は、空気又は母乳の流入を所定の大気圧未満の圧力に制限する開放圧レベルを有することができる。また、各弁は、内面と女性の乳房との間の空間における大気圧未満の圧力を維持するように構成することができる。この大気圧未満の圧力は、乳児が吸啜をやめたときに乳頭保護器が女性の乳房に付着したままであることができるように構成することができる。代わりに及び加えて、大気圧未満の圧力は、乳児が母乳を得るのに必要とされる労力を軽減するように構成することができ、又は女性の乳房からより多量の母乳を誘導するように構成することができる。
【0034】
更なる実施形態では、このような乳頭保護器は、母乳の流れを示すための少なくとも1つの要素をさらに含むことができ、少なくとも1つの要素のそれぞれが、乳児に母乳が供給されていることを授乳中の女性に知らせることができるように通路内に配置される。乳頭保護器は、容器内の流体を乳児に供給することができるように通路に流体接続された容器をさらに含むことができる。上記のいずれの乳頭保護器も、可撓性層の凹状領域の基部領域の周囲に形成されたリングをさらに含むことができ、リングは、乳児が吸啜をやめたときに乳頭保護器がより容易に女性の乳房に固定されたままになるように、可撓性材料層よりも低い可撓性を有する。
【0035】
さらに別の実施形態によれば、女性が乳児に授乳するのを補助するための方法が提供され、方法は、
(i)女性の乳房に乳頭保護器装置を装着することであって、乳頭保護器は女性の乳首に面する少なくとも1つの第1の開口部を有し、第1の開口部は女性の乳房とは反対側を向く少なくとも1つの第2の開口部に通路によって流体接続されることと、
(ii)母乳が少なくとも1つの第1の開口部から流れて少なくとも1つの第2の開口部から流れ出るように、乳児が少なくとも1つの第2の開口部を吸うことを可能にすることと
を含み、
乳頭保護器装置は、それぞれが少なくとも1つの通路のうちの1つに配置され、女性の乳房から乳児への母乳の流れを可能にするが、外部から乳頭保護器と女性の乳房の間の空間への空気又は母乳の流入を制限する少なくとも1つの弁を含む。
【0036】
この方法では、各弁は、空気又は母乳の流入を所定の大気圧未満の圧力に制限する開放圧を有する。弁は、乳頭保護器と女性の乳房の間の空間における大気圧未満の圧力を維持するように構成することができる。この大気圧未満の圧力は、乳児が吸啜をやめたときに乳頭保護器が女性の乳房に付着したままであることができるように構成することができる。また、大気圧未満の圧力は、乳児が母乳を得るのに必要とされる労力を軽減するように構成することができ、女性の乳房からより多量の母乳を誘導するように構成することができる。さらに、方法は、乳児に母乳が供給されていることを授乳中の女性に知らせることができるように少なくとも1つの通路の間に配置される、母乳の流れを示すための要素を含む乳頭保護器装置を使用することによって実施することができる。
【0037】
本願に記載されたさらに別の実施形態によれば、女性の乳房から授乳中の乳児への母乳の流れの表示を提供するように構成された装置が提供され、装置は、
女性の乳房の少なくとも一部に適合するように構成された可撓性層を含み、可撓性層は、
(i)女性の乳房の乳首の上に配置されるように構成されたドーム形部分であって、女性が装置を着用したときに女性の乳首とドーム形部分の内面との間に空間を形成するように形成されたドーム形部分と、
(ii)ドーム形部分内に形成された空間を少なくとも1つの密閉容器と接続する少なくとも1つの流体連通通路であって、少なくとも1つの密閉容器は、ドーム形部分の外面で授乳する乳児の口によって隠されないと予想される装置の領域内に配置され、少なくとも1つの密閉容器内を移動する母乳が女性から乳児への母乳の流れの表示を提供するようにする、少なくとも1つの流体連通通路と
を含む。
【0038】
このような装置では、少なくとも1つの密閉容器は、少なくとも1つの密閉容器内の母乳の動きが見えるように透明又は半透明のいずれかであり得る。少なくとも1つの密閉容器内の母乳の存在のこの視覚的表示は、母乳に接触すると色を変化させる材料によって提供することができる。
【0039】
また、このような装置は、ドーム形部分の基部領域の周りに形成されたリングをさらに含むことができ、リングは、乳児が吸啜をやめたときに装置がより容易に女性の乳房に固定されたままになるように、可撓性層よりも低い可撓性を有する。このような装置は、ドーム状部分の内面と外面との間の領域に配置された弁をさらに含むことができ、弁は、女性の乳房から乳児への母乳の流れを可能にするように構成されるが、外部から内面への空気又は母乳の流入を制限する。
【0040】
上記のいずれの装置も、電子機器を含まないものでなければならない。したがって、装置の電子機器を含まない状態により、乳児の領域における電磁放射の危険性が低減される。
【0041】
本開示に記載されたさらに別の実施形態では、二方弁が提供され、二方弁は、
(i)それを通る流体流を可能にするように構成された軸方向流路を有する本体と、
(ii)その内側軸領域に開口部を有する可撓性ダイヤフラムであって、弁の意図された流れ軸を横切って配置されたダイヤフラムと、
(iii)ダイヤフラムの第1の側から第1の軸方向に配置され、第1の方向におけるダイヤフラムの内側領域の曲げ運動を制限するように構成された第1の拘束要素と、
(iv)ダイヤフラムの第2の側から第2の軸方向に配置され、第2の方向におけるダイヤフラムの周縁外側領域の曲げ運動を制限するように構成された第2の拘束要素と
を含む。
【0042】
このような二方弁は、本体の軸方向流路内に配置され、可撓性ダイヤフラムが取り付けられ得るポストをさらに含み、第1の拘束要素は、ポストの外径よりも大きい外径を有するポストの拡大部分であり、可撓性ダイヤフラムは、拡大部分の外径を超えた点からのみ第1の方向に自由に曲がることができる。この弁では、第2の拘束要素は、本体の軸方向流路の内径よりも小さい内径を有する本体の縮小部分であり、可撓性ダイヤフラムは、縮小部分の内径内の点からのみ第2の方向に自由に曲がることができる。また、ポストの拡大部分の外径と可撓性ダイヤフラムの外周縁との間の距離は、第1の軸方向の流れに対する弁の開放圧特性を決定することができる。さらに、本体の縮小部分の内径と可撓性ダイヤフラムの内周縁との間の距離は、第2の軸方向の流れに対する弁の開放圧特性を決定することができる。
【0043】
二方弁の別の実施形態は、
(i)軸方向流路と、凹状の第1の端部に形成された段付き表面とを有する本体と、
(ii)弁本体の軸方向流路内に取り付けられ、弁本体の軸方向流路内に環状流路を形成するポストであって、ポストは段付き肩部を形成する拡幅された先端を有し、段付き肩部は弁本体の凹状の第1の端部の段付き表面とは反対の方向を向き、かつ弁本体の凹状の第1の端部の段付き表面と同じ軸方向領域に近い長手方向位置にあるポストと、
(iii)ポストの段付き肩部と弁本体の段付き表面との間に配置されかつ環状流路を横切るようにポストに取り付けられた可撓性ダイヤフラムと
を含むことができる。
【0044】
このような二方弁では、可撓性ダイヤフラムの位置は、弁本体の凹状の第1の端部に向かう環状流路に沿った流体の流れが、凹状の第1の端部に向かう可撓性ダイヤフラムの外周縁の曲げ運動を生成するように動作し、一方、弁本体の凹状の第1の端部から遠ざかる環状流路に沿った流体の流れが、凹状の第1の端部から遠ざかる可撓性ダイヤフラムの内周縁の曲げ運動を生成するように動作するようなものであることができる。このような二方弁では、所与の流体流に対して、凹状の第1の端部に向かう可撓性ダイヤフラムの曲げ運動の程度は、中央ポストの段付き肩部の段部と可撓性ダイヤフラムの外周縁との間の半径方向の距離によって決まり得る。また、凹状の第1の端部から遠ざかる可撓性ダイヤフラムの曲げ運動の程度は、凹状の第1の端部に形成された段付き表面の段部と可撓性ダイヤフラムの内周縁との間の半径方向の距離によって決まり得る。
【0045】
これらの二方弁のいずれにおいても、ダイヤフラムの曲がることができる部分の自由径の長さの選択は、弁が開く弁前後の圧力の調整を可能にする。弁の開口部は、弁前後の圧力差によって自己作動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明は、図面と併せた以下の詳細な説明により、より完全に理解され、認識されるであろう。
【
図1】乳児に授乳中の母親の母乳の流れを表示するための例示的な装置の等角図を概略的に示す。
【
図2B】
図1の装置と同様の装置の平面図であるが、母乳の流れを示す別の方法として密閉空洞を使用している。
【
図2C】流れの中で撓むことによって母乳の流れを示すための機械的突起の使用を示す。
【
図2D】部分的に母乳で満たされ、その後、乳児が吸ったり休んだりすると部分的に空になる、母乳通路に取り付けられた補助収納容器を示す。
【
図3】
図1と
図2の装置の機能を改善するための通路への弁の追加を示す。
【
図4A】本開示による弁を組み込んだ乳頭保護器の概略図である。
【
図4A-4B】
図4B及び
図4Cは、弁が取り付けられた装置に使用される弁の構造の異なる例を示す。
【
図4D-4E】
図4D及び
図4Eは、乳頭保護器がより確実に母親の乳房に固定されたままであることができるように、ベルトの形態の乳頭保護器の追加の強化機能を示す。
【
図5A-5D】
図5Aから
図5Dは、特に本願の装置に使用することができる新規の差圧二方弁構造の一例を示す。
【
図5E】このような差圧二方弁から得られる開放特性の種類を示す。
【
図7】授乳中の母親のニーズの様々な側面に関連する多くの代替機能を実行するために使用することができる、本開示のマルチタスク乳頭保護器のベースユニットの一例の概略的な外観等角図である。
【
図8】
図7の装置の乳首突起の外側先端領域の拡大図である。
【
図10】本開示のマルチタスク乳頭保護器のベースユニットが母乳供給に関連する様々な異なるタスクのために利用可能な様々な取り付けヘッドと共にどのように使用されるかを示すモンタージュである。
【
図12】
図7から
図10のマルチタスク乳頭保護器のベースユニットに接続された母乳測定ヘッドの概略的な実施形態の外観を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本開示に従って構成された、乳児に授乳する母親の母乳の流れを視覚的に表示するための例示的な装置10の側面及び部分等角図を概略的に示す
図1を参照する。乳頭保護器の形状の装置10は、母乳の流れを示すための通路を有し、女性の乳房11の上に装着されて示されている。授乳中、通路を流れる母乳が母親又は授乳アドバイザーなどの第三者に見えるか、又はその存在が視覚的な方法以外の方法で示され、この結果として母親に、乳児が母親の乳房から母乳の流れを摂取していると安心させる。
【0048】
装置10の薄い本体は、典型的には可撓性材料から構成され、着用時に母親の乳房11に面する内面と、授乳中に外面が乳児の唇及び口19に面するように、母親とは反対側を向くように構成された外面とを有する。可撓性材料は、非吸収性でありかつ母親が快適に着用するのに十分な可撓性を有するシリコーン又は他の材料であり得る。可撓性材料又はその少なくとも一部は、以下に説明する理由により、典型的には透明又は半透明である。現在入手可能な乳頭保護器と同様に、装置10は、着用時に少なくとも母親の乳首12を覆い、乳輪全体ではないにしても、通常は少なくとも乳輪の大部分を覆う。装置は、乳房の乳輪よりもさらに大きな部分を覆うことができ、一般に円形又は楕円形を有するが、別の形状を有することもできる。装置10は、外側から見たときの形状に従ってドーム状突起13又は「装置乳首」としても現れる凹状領域を有する。この領域は、母親の乳首領域の上に配置されるように構成される。母親の乳首領域は、母親の乳首12を意味すると理解されるが、母親の乳首の周囲の領域の一部も含むことができる。装置の乳首13は、典型的には、装置が着用されたときに、装置の突起13と母親の乳首12との間に形成される空洞14が存在するように形成される。突起内の凹状領域は、市販の乳頭保護器の「シールドトンネル」として知られる領域と同様のトンネル形状であることができる。代わりに、
図1の例に示すように、半球状の形状であってもよいし、母親の乳首12の形状によく似ていてもよい。装置乳首13を囲む装置の外側領域は、外側領域が女性の乳房の近くにそれらの間に大きな空間がない状態で留まるように、女性の乳房に共形的に適合するように構成される。装置突起13と装置の外側領域との間のおおよその境界領域は、
図1に薄い破線18によって概略的に示されている。
【0049】
図1に示す装置の例示的な実施形態は、突起13の頂点で空洞領域14を外面と接続し、かつ通路の少なくとも1つの部分が装置の外側領域に位置するように経路を定められる通路15を含む。通路は、装置の薄い可撓性材料層内に形成することができ、又は装置の薄い可撓性材料層の表面に形成することができ、又は空洞端部と装置乳首端部との間で装置に接続された、薄い可撓性層の外側の管の別個の部分であることができる。
【0050】
授乳中、装置10は乳房11に装着される。通路15は、空洞14と連通した入口開口部16と、装置乳首13にある出口開口部17とを有する。装置乳首を吸う乳児の唇19の輪郭は、
図1に破線で示されている。装置への乳児の吸啜動作によって生じる負圧、又は乳児の舌の動きに対する母親の生理的反応により、母乳が母親の乳房から空洞14に搾り出され、空洞14から通路15を通って引き出され、出口開口部17を通って装置から出る。乳児に供給されるすべての母乳はしたがって、
図1の矢印で示すように通路15に沿って流れる。装置は、重力によって空洞14の下部に集められた母乳が効率的に集められるように、通路の入口16が下部にある状態で着用されるように意図されている。このため、装置は、母乳収集容積である空洞14を、通路15の入口開口部16の上の母親の乳首と装置の乳首との間の空間の下部領域に集中させて構成することができる。
【0051】
次に、
図1に示す装置の平面図であり、通路15の経路をより明確に示す
図2Aを参照する。
図2Aの特徴の符号は、
図1の符号と同じである。通路15は、突起内の空洞領域14から装置の外側領域への外向きの経路を通るように経路を定められる。これにより、通路は、母親の視界から隠れるであろう吸啜中の乳児の唇19及び口の下の領域から、乳児の唇又は口によって視界が妨げられず、母親又は補助者が通路内の母乳の流れを見ることができる領域に入る。通路は、
図2Aに示す例のように、装置の周縁に向かって半径方向外側に向けることができる。装置の外側領域からのその戻り経路で、通路は、空洞からの流体の隔離を維持しつつ、再び空洞に入り、乳児に母乳が供給される装置乳首の外側頂点の出口開口部で終わる。
【0052】
通路の壁は、母乳が通路を通って流れているとき、装置を見ている人が、母乳が実際に乳房から引き出されて乳児に供給されているか否かの表示を受け取るように、典型的には透明又は半透明である。可撓性材料が透明又は半透明でない場合、授乳中に乳児によって覆い隠されると予想されない領域の通路を囲む可撓性材料の少なくとも1つの部分は、透明又は半透明材料で作られなければならない。通路が可撓性材料内に形成されていない場合、通路自体の管の一部分は、通路内の流れを示すために透明又は半透明でなければならない。通路の壁を通る流れ自体を視覚的な観察の代わりに、他の例示的な実施形態によれば、通路は、母乳と接触したときに色の変化をもたらす材料などの、インジケータ材料で製造することができる。別の実施形態は、母乳が通路を通り過ぎるか又は通路を通って流れるときに音を発生させる、リード、フラップ、又はパドルホイールなどの通路内の特徴又は突起を使用することができる。
【0053】
通路を形成する最も簡単な方法は可撓性層内に通路を形成することであるが、装置は、装置の可撓性層の外側を通る管か、又は母親の乳房に対する装置の気密性を妨げないように、装置の表面、通常は外面に取り付けられた管を用いて構成することもできる。通路は、典型的には、概ね円形の断面を有するように管の形状を有するが、装置の有用性に影響を与えることなく他の断面を使用することができる。
【0054】
次に、
図1の乳流検出器10の代替構造を示す
図2Bを参照する。この構造では、インジケータ通路は、母乳の流れの存在を示すために、母乳の流れの全体又は一部がインジケータ通路を通る必要はない。
図2Bに示す実施形態では、装置10Aの通路は、空洞14内のその入口開口部16から、好ましくは透明又は半透明の、母乳が集まる小さな密閉容積15Bに至る短い突出部15Aの形態をとる。乳児が交互に吸ったり弛緩したりする動作により、母乳は、少なくとも部分的に密閉インジケータ要素15Bに出入りしたり、突出部15A内の母乳に作用する交互の圧力変動の影響下で密閉インジケータ要素15B内に飛び散ったりする。母親はその結果、母乳がインジケータチャンバ15Bに出入りするのを見ることができ、したがって乳児が彼又は彼女らの乳流を得ていることを知ることができる。母親は、母乳がインジケータチャンバ15B内で飛び散る様子又はインジケータチャンバ15Bに出入りする様子の異なる特徴を識別すること、及びその様子を乳児が母乳を飲む速度に関連付けることを習得することができる。母親の乳首から乳児の口19への母乳の実際の流れは、通常の乳頭保護器と同様に、装置の乳首の穴17Aを通して行われる。
【0055】
次に、通路を通る母乳の流れを示すことができる更なる方法を示す
図2Cを参照する。
図2Aの実施形態では、リード、フラップ、又はパドルホイールなどの通路内の特徴又は突起を、母乳が通路を通り過ぎるか又は通路を通って流れるときに特徴的な音を発する音発生要素としてどのように使用することができるかについて上述した。しかしながら、このような要素によって生成される聴覚出力に加えて、通路内の母乳の流れの存在の物理的な視覚的表示を提供することもできる。したがって例えば、
図2Cに概略的に示すように、通路15を横切って流れの中に延びるフラップ20は、フラップ20の上流側の面への母乳の流れによって撓ませられ、この撓みは通路の外側からはっきりと見ることができる。
【0056】
次に、通路を通る母乳の流れの表示を提供するためのさらに別の実施形態を示す
図2Dを参照する。
図2Dに概略的に示す実施形態では、通路は、短い接続管22を用いて通路15に取り付けられた小さな密閉収納容器21を含む。したがって、母乳が取り付けられた容器接続管22を流れ過ぎると、母乳は収納容器21に押し寄せ、通路内の母乳の流れの視覚的表示を提供する。乳児は、すべての吸啜期間中にパルス状に母乳を吸い、吸啜動作の合間に休むため、視覚的表示はさらに強く強調される。その結果、吸啜期間中に、通路に沿って流れている母乳が容器に押し寄せ、おそらく部分的にのみ容器を満たし、次いで乳児が彼/彼女の吸啜動作の間にリラックスすると、容器内の母乳の一部が通路内に逆流する。容器に出入りする母乳のこの繰り返される波は、おそらく波で発生する泡を含めて、乳児が吸啜するときの母乳の流れの良好な視覚的表示を提供する。
図2Dでは、収納容器が水平に示されているが、装置は、母乳が収納容器に充填され、収納容器から排出されるのがはっきりと見えるように、容器が垂直位置に配置されるように使用できることを理解すべきである。
【0057】
次に、上記の概要セクションで説明したように、装置が母親の乳房に取り付けられたままになるように、弁30が通路15に取り付けられて通路及び空洞内の負圧の維持を補助する更なる実施形態を示す
図3を参照する。このような実施形態の典型的な例を示す
図3では、弁30はこの例では、乳児によって吸啜が加えられないときに閉じるダイヤフラム弁又はフラップ弁の形態の一方向弁として示されている。断面図である
図3では、フラップ弁30は、母乳の前方への流れがフラップ弁30を通過すると開くが、乳児が吸啜するのをやめることにより母乳の流れが留まると閉じ、ひいては通路15内の負圧を維持する、中央開口31を有する円形のダイヤフラムとして示されている。しかしながら、装置の機能性に影響を与えることなく、他のいかなる形態の弁も使用できることを理解すべきである。同様に、
図3の弁は、装置乳首13において通路の出口17の近くに取り付けられているが、通路の経路の他のいかなる場所にも同様に形成することができる。
【0058】
次に、本願の別の例示的な実施形態に従って構成された新規の乳頭保護器40の概略図である
図4Aを参照する。乳頭保護器には、弁42が組み込まれている。この改良された乳頭保護器40は、乳頭保護器40を使用する母親の乳房の乳首12に取り付けられた状態で示されており、乳児は、この図では単一の開口部として示されている開口部41を通して母乳を摂取するが、それぞれが独自の弁を有する複数の開口部があってもよい。乳児が吸啜をやめると、弁42は閉じ、それにより乳頭保護器40と母親の乳房12との間のあらゆる空間への空気の流入を防ぎ、それにより確実に乳頭保護器が母親の乳房に固定されたままになるのを補助する。弁42は、単純なダイヤフラム又はフラップ弁として示されているが、必要とされる乳首通路41の封止を提供する他のあらゆるタイプの弁であり得る。この乳頭保護器にこのような弁を使用することにより、乳児が彼/彼女の吸啜動作から一時停止した場合でも、母親の乳房への乳頭保護器の固定を確実にすることによって、乳頭保護器の使用の容易さが改善される。また、前の実施形態で説明したように、また
図5Aから
図5Dに関連して以下でより詳細に説明するように、流入方向、すなわち、乳児から母親の乳房への方向に戻る流れでは、弁を開くために、弁を逆向きの流出方向で開いたままにするのに必要な圧力よりも高い圧力差を必要とするように弁を構成することができるように、弁は、2段階の開放パターンを有することができる。この二方弁は、母親の快適性を高めるために、閉じる前にいくらかの空気の流入を可能にする。
【0059】
また、改良された乳頭保護器は、
図4Aには示されていないが、
図6A及び6B、ならびに関連する段落[0068]に後述するように、流体投与アタッチメントを組み込むこともできる。この追加物は、乳児が母乳を飲んでいる間に乳児に薬剤を正確に投与することを可能にするために簡単な装置に使用することができる。
【0060】
図4Aの上記の改良された乳頭保護器の更なる実施形態によれば、装置の短い乳首通路41に流れ表示要素を組み込むことにより、装置は、母親が他の方法では確信しないであろう、乳児が母乳の供給を受けていることの表示を母親に提供することができる。流れ表示要素は、音を発生する構成要素であることができる。このような構成要素は、乳児の口の中に隠されていてもその表示を提供するからである。
【0061】
次に、本願に提示された改良点に従って、乳流検出装置であろうと弁を組み込んだ乳頭保護器であろうと、本願の装置のいずれかに使用することができる弁の他の例示的な形態を概略的に示す
図4B及び
図4Cを参照する。
図4Bは、本開示の弁付き乳頭保護器の乳首に又は本開示の乳流検出装置の母乳通路の出口又は全長に沿ったどこかに設置することができるボール弁の3つの異なる図を示す。この弁のボール44は、チャンバ49に沿って移動することができる。ボール44が乳首の穴の内部流体側に取り付けられた開口部45に載ると、ボール44は開口部45を閉じ、装置内への空気の逆流を防止し、それにより装置の母親の乳首との接触を維持する。乳児が乳首を吸うと、ボール44は母乳の流れによって開口部45を押し出され、それにより乳児は母乳の流れにアクセスすることができる。ボールは乳児に飲み込まれるのを防がなければならず、
図4Bの実施形態では、これはボールをその空洞49内に捕捉する一対のタング43によって達成される。
図4Cは、
図4Aの断面図に示されるものと同様の単純なダイヤフラム弁46の形態の代替的な弁を示しており、この弁では、フラップ47は、母乳の流れが生じると開き、母乳の流れが止まると閉位置に戻る。前述したように、あらゆる好適な弁をこれらの実施形態に使用することができる。
【0062】
次に、このような乳頭保護器400の更なる特徴を示す
図4D及び
図4Eを参照する。このような乳頭保護器では、より高い強度のバンド又はリングが、母親の乳首により確実に保持されるように乳頭保護器の乳首の基部に組み込まれている。
図4Dには、乳児が吸うための乳首ドーム内の開口部403と、母親の乳房に装着するための装置の薄い可撓性の外側領域401とを示す、装置の乳首領域の側面断面図が示されている。薄い可撓性の外側領域と乳首ドームとの接合部には、より厚い又は可撓性の低い材料からなる円形のバンド402が形成されており、バンド402は、装置が曲がったり母親の乳首から持ち上がったりする能力を低下させ、それにより乳児が吸啜をやめたときに装置を母親の乳首に取り付けられたままにするのを補助する。このような強化バンドは、
図1から
図4Aの乳流表示装置のいずれにも適用することができる。
図4Eは、強化バンド402の位置をより明確に示すために、
図4Dで4Eとマークされた方向から見た装置全体の部分等角図を示す。また、圧力調整弁を組み込んだ本開示に記載された装置のいずれも、乳児が彼/彼女の吸啜動作から一時停止するときの弁による真空の維持が上記のバンド又はリングの使用によって強化されるため、このような強化バンド又はリングの恩恵を受けることができる。
【0063】
次に、2つの流れ方向で異なる開放圧特性を有する新規の二方差圧弁64の一例を示す
図5Aから
図5Dを参照する。弁は、その開度が弁前後にかかる差圧によって決定されるという意味で、自己作動式である。このような弁は本願の装置に使用することができ、したがって、その動作について以下の段落で説明する。しかしながら、このような弁は、液体流量制御であろうと気体流量制御であろうと、他のいかなる用途にも使用することができ、このため、本明細書に記載された用途に限定されることは意図されておらず、産業及び医療全体にわたって幅広い用途を有することを理解すべきである。
【0064】
図5A及び
図5Cはこのような例示的な二方弁の切断図を示し、
図5B及び
図5Dは二方弁の等角図である。上述したように、このような二方弁は、乳児への母親の母乳の本質的に自由な流れを可能にすると同時に、母親の乳首に作用する負圧のレベルを低下させるために、所定の負圧まで、乳児が吸啜をやめたときに母親の乳首への空気の流入を可能にするように構成される。外向きの流れ方向の開弁圧は、内向きの流れ方向の閉弁圧よりも低い動作圧力で発生する必要がある。これにより、外向きの流れのために弁が開いた後、乳児は最小限の障害で乳を飲むことができ、一方、母親の乳首の負圧のレベルを低下させるための逆流は、装置が母親の乳房に保持されたままになるように、より高い差圧設定で行われる。
【0065】
図5Aから
図5Dに示される弁は、弁前後の圧力差によって自己作動する二方差圧弁であり、開放圧は、2つの流れ方向で異なり得る。弁は、流体流の方向を横切って、弁本体54の外側肩付き段差構造53と、弁の中央に取り付けられた軸受台50の内側段付き縁55との間の弁の流路に閉じ込められた可撓性ダイヤフラム51を使用する。ここで、「内側」と「外側」は、弁の中心軸からの半径方向の距離に関係する。可撓性ダイヤフラム51は、流体の流れ方向を横切って配置され、2つの流れ方向に対して異なる可撓性を有する。この可撓性の違いは、弁本体54におけるダイヤフラムの支持点とその自由に移動可能な内周縁又は外周縁との間にダイヤフラムの異なる曲げ長さを設けることによって生じる。ダイヤフラムは、ダイヤフラムの外縁が中央ポスト環状肩部55から離れて一方向に曲がることしかできないように、ダイヤフラムの内縁を拘束する環状肩部55を有する内側ポスト50と、ダイヤフラムが外側肩部52、 53から離れて逆方向に曲がることしかできないように、ダイヤフラムの外縁を拘束する外側肩部52、 53との間に拘束される。ダイヤフラムの曲がることができる部分の自由径の長さの調整は、弁を開かせる弁前後の圧力の制御を可能にする。
【0066】
図5Aと
図5Bに示すように、乳児が吸啜して負圧を発生させると、
図5Aの上向きの矢印で示すように、母乳の流れが生じる。この文脈では、「上向き」及び「下向き」という用語は、図面に示した方向に関するものであり、空間内の絶対方向とは何の関係もない。可撓性ダイヤフラム51の外縁は、その肩付き段差構造53から持ち上がり、母乳がその外縁の周りを流れることを可能にする。外縁の上向きの動きは、外縁の固有の可撓性と、その周りを外縁が曲がる中央軸受台50の内側肩部と段差角55とによって制限され、母乳の流れは、曲がったダイヤフラムの周縁の周りで生じる。一方、乳児が吸啜をやめて母乳の流れが止まると、乳児の吸啜によって発生する流路内の負圧により、可撓性ダイヤフラム51は、外部空気圧によって段差構造53上のその台座から内側に押され、段差構造の段差角52の周りで曲がる。弁通路又は乳児の口の中にまだある空気又は母乳はその結果、
図5Cの下向きの矢印で示すように、中央軸受台50と内側に曲がった可撓性ダイヤフラム51との間を流れることによって装置に入る。空気/母乳の内向きの流れは、ダイヤフラムが閉じるレベルまで装置内の負圧が上昇するまで続く。これは、弁前後の圧力差がダイヤフラム51を開いたままにするのに不十分だからである。
【0067】
図5Aから
図5Dに示す二方弁の構造は、弁の流れを開くのに必要な圧力が2つの流れ方向で異なる可能性があるようなものである。これは、弁を開き、
図5Aの上向きの矢印で示すような母親から乳児への母乳の流れを可能にするのに必要な圧力の差が、乳児の吸啜労力に過度な負担を与えないように低くなければならないため、望ましい場合がある。この圧力差は一般に、母乳流路内に形成される真空のレベルを低下させるために
図5Cの矢印で示すような空気又は母乳の侵入を許す逆方向に弁が開く圧力差よりも小さくなければならない。この異なる開放圧は、可撓性ダイヤフラム51の曲がりやすさが2つの方向で異なるように構成された弁の構造によって実現される。
【0068】
周知のように、可撓性ダイヤフラムの曲がりは3つの要因、
(a)ダイヤフラム材料のヤング率、
(b)曲げ方向の二次慣性モーメント、及び
(c)膜の曲がる部分の自由径
によって決まる。
特定のダイヤフラムの材料と形状について、要因(a)及び(b)が事前に定められているため、ダイヤフラムの曲げの自由度の違いは、段落[0066]で説明するように、曲げの自由径によって決まる。
【0069】
ここで
図5Aを参照すると、母乳の流れがダイヤフラムを外側に曲げているとき、曲げの自由径、すなわち曲げ長さD1は、中央軸受台50の角55の曲げ点からダイヤフラムの外縁まで延びている。一方、
図5Cでは、空気又は母乳の流入が望まれ、ダイヤフラムが内側に曲がるとき、曲げ長さD2は、弁本体の段差肩部53の角52の曲げ点からダイヤフラムの内縁まで延びている。
図5Aの外向きの流れ方向の曲げ長さD1は、
図5Cの内向きの流れ方向の曲げ長さD2よりも長いため、内向きの流れ方向よりも外向きの流れ方向の方が低い圧力差で弁が開閉するように、内向きの流れよりも外向きの流れの方が曲げに対する抵抗は小さい。ただし、二方弁が設計される特定の状況に応じて、選択された曲げ長さD1及びD2によって決定される特定の値を使用して、開放圧が等しくなるように又は逆になるように構成できることを理解すべきである。
【0070】
ここで、
図5Aから
図5Dに示すような二方向の自己作動差圧弁から得られる開放圧特性を示す例示的なグラフである
図5Eを参照する。グラフには、2つの反対方向における弁の流れ誘導特性が示され、一方は点線で、他方は実線で示されている。グラフの横座標は経過時間を公称単位で示し、縦座標は弁の流れ誘導特性を同じく公称単位で示す。圧力は正弦波の周期特性に従って弁に加えられる。流れが容易な方向、すなわち、弁前後の低い差圧まで弁が開いたままになる方向では、この特性は点線で示され、圧力がその最小値から最大値まで上昇及び下降するにつれて、流れは0から200単位の範囲になる。流れがより制限される方向、すなわち、弁を開くのにより高い差圧が必要とされる方向では、この特性は実線で示され、弁は圧力が100単位レベルで流れを提供し始める値に達するまで閉じたままになり、200単位レベルまで開いたままになる。
【0071】
次に、
図1及び
図2に示したタイプの装置のための例示的な薬剤ディスペンサの実施形態を概略的に示す
図6A及び
図6Bを参照する。
図6Aは装置の断面図/等角図を示し、
図6Bは平面図を示す。これらの装置のこの新規の特徴によれば、薬剤容器リザーバ60が、接続管を用いて母乳通路15に流体接続され、容器が適切な量の薬剤で満たされると、容器リザーバから母乳通路への薬剤の流量に応じて、制御された方法で母乳の流れが薬剤と混合されるようになっている。この流量は、弁によって制御することができ、又は接続管の断面積及び接続管の長さに応じた接続管の流体抵抗及び薬剤の粘度によって決定することができる。乳児の母乳に薬剤を加えるタイミングは、接続管の止め弁又は容器の上部の空気入口弁によって決定することができる。乳児はしたがって、薬剤の味さえも隠されるように授乳中の母乳と所望の速度で混合された、薬剤投与量のすべて又は乳児に与えることが望ましい他の液体を摂取する。容器リザーバ60は、バルーン形状の容積として概略的に示されているが、予め充填されたバイアル、又は閉鎖可能な蓋を有する容器など、この目的に適したあらゆる形態を有することができることが理解されるべきである。容器リザーバは、容易な補充のために取り外し可能であってもよいし、単回使用の使い捨て可能な装置の一部として、製造中に乳流検出装置に取り付けてもよい。
【0072】
次に、授乳中の母親のニーズの様々な側面に関連する多くの代替機能を実行するために使用することができる、本開示のマルチタスク乳頭保護器のベースユニットの一例の概略的な外部等角図である
図7を参照する。ベースユニット70は、従来の乳頭保護器と形状が類似の薄い可撓性層を含み、母親によって乳房に装着されるように構成される。中央領域は、母親の乳首に適合するように構成された突出した乳首ボリューム71を有する。乳頭保護器は、乳頭保護器の薄い可撓性層に埋め込まれた一対の通路72、73を組み込んでおり、各通路は、乳児が装置の乳首を吸っている間に母親又は補助者がアクセス可能な領域75に配置された離れた位置に乳首ボリュームの先端を接続する。これらの埋め込まれた通路の一方72は、突出した乳首ボリューム71の内面に流体接続され、他方の埋め込まれた通路73は、突出した乳首ボリューム71の外面に流体接続される。これらの通路の第1のもの72は、母親の乳首から排出された母乳と接触している突出した乳首ボリューム71の内面から、乳首突起から離れた位置75に母乳を運ぶように構成され、これらの通路の他方73は、その離れた位置75から、装置乳首の外側を吸っている乳児に母乳を供給することができる突出した乳首ボリューム71の外面に母乳を戻すように構成される。離れた位置では、各通路は、流体コネクタポート78の流体接続ポール76、77で終端し、2つのポールは既知の物理的寸法を有し、既知の距離を隔てて配置される。最も単純で費用対効果の高い構成は、一対の通路を使用することであるが、少なくとも1つの通路が離れた位置の流体接続要素に乳首突起の外面から接続され、少なくとも別の通路が離れた位置の流体接続要素に乳首突起の内面から接続される限り、装置は、一対より多い通路を用いて構成することもできる。
【0073】
以下で
図10にさらに示すように、各ヘッドが母乳又は母乳の流れに関連する別の機能を実行するように構成される、複数の異なる動作ヘッドを流体コネクタポートに取り付けることができる。乳頭保護器のベースユニット70はしたがって、普遍的な用途を有し、装置による特定の用途は、乳頭保護器の遠隔流体ポート78に取り付けられたヘッドによって決まる。
【0074】
次に、通路72、73がそれぞれ乳首領域71の内面及び乳首領域71の外面にどのように接続されているかを示す、
図7の装置の乳首突起の外側先端領域の拡大図である
図8を参照する。
図8に見られるように、第1の通路72の開口部82は内面に開いており、第2の通路73の開口部83は外面に開いている。流体流に対して低い抵抗を提供するために、各通路に3つの開口部が示されているが、これは単に例示的な実施形態であり、母乳の適切な流れを提供する他のあらゆる数及び形態の開口部を使用できることを理解すべきである。
【0075】
次に、
図7及び
図8のマルチタスク乳頭保護器のベースユニットの製造を容易にする方法を示す
図9A及び
図9Bを参照する。装置の通路を含む部分に要求される特性は、乳頭保護器装置の薄い可撓性層に要求される特性とは異なるため、通路部分を乳頭保護器自体の部分とは別に製造することが有利である。
図9Aは、遠隔端に流体接続ポート78を備えた、成形された通路72、73を含む材料90の細片部分を示す。
図9Bは、薄い可撓性本体の厚みの一部に形成され、成形された通路72、73を含む材料90の細片部分を受け入れるように構成された形状を有する浅い溝92を備えた、乳頭保護器装置の薄い可撓性本体91を示す。装置の乳首領域の先端領域は、先端領域に形成されて乳首突起の内面に接続する開口部を有し、開口部の位置は、離れた位置の流体ポート78に向かって乳首ボリュームの内側から母乳を運ぶように構成された第1の通路72の開口部と一致する。
【0076】
次に、本開示のマルチタスク乳頭保護器のベースユニット70が、母親の母乳供給に関連する様々な異なるタスクのために利用可能な様々な取り付けヘッドと共にどのように使用されるかを示すモンタージュである
図10を参照する。取り付けヘッドは、装置の乳首領域71から離れた位置にある流体接続ポート78に差し込むように構成される。複数の異なる取り付けヘッドを
図10に示す。すべてのヘッドは、1つの共通の特徴を有する。すなわち、ヘッドを流体接続ポートに接続することにより、乳児が母親の乳首から自由に母乳を吸うことができ、母乳が第1の通路72に沿って流体ポート78に取り付けられたヘッドに流れ、通路73を通って乳児の口に戻ることができるように、通路72と通路73との間の母乳のための回路が完成することである。流れ表示ヘッド101は、乳児が乳頭保護器を通して母乳の流れを摂取しているという表示を母親に提供する。流れ表示ヘッド101は、本開示の流れインジケータ装置のこれ以前の実施形態に記載された流れ表示機能のいずれかを使用することができる。流量測定ヘッド102は、母親から乳児に流れる母乳の量の定量的測定を行うことができ、この測定は、本出願人が共同所有する「乳児への流体流を測定する装置及び方法」に関する前述の特許文献3に記載された技術に基づくことができ、この技術では、主要な母乳の流れの一部が測定流路を通過し、測定流路に集められた母乳の量が主要流路を通して引き出された母乳の尺度を提供する。代わりに、ヘッド102は、主要な流れが流れるヘッドに形成されたループにマイクロテクノロジー流量センサを組み込むことができ、出力信号は、流量を表示する遠隔読取り器に送信することができ、流量を積分して供給される母乳の量を提供することができる。装置は家庭での使用向けであるため、例えばスマートフォンのアプリケーションと通信する伝送システムが有利である。
【0077】
乳児の母乳に薬剤を加えるためのヘッド103は、乳児の母乳の流れに薬剤をゆっくりと加えることができるように、流路によって母乳通路に接続された小さな薬剤エンクロージャを組み込むことができる。本開示で前述した装置の機能に加えて、このような汎用マルチタスク乳頭保護器の使用は、多くの更なる測定値及び特徴の特定を可能にする。したがって例えば、小型の化学分析又は分光分析ヘッド104は、母乳の品質又はその脂肪レベルや殺虫剤含有量などの母乳の様々な成分の測定、及び同様の分析を可能にする。更なるヘッド105は、例えば、ヘッド内に生成される真空のレベル、又は乳児の休息期間と比較した吸啜期間の長さ、又は乳児の吸啜能力を特徴づける他の特徴を測定することによって、乳児の吸啜効率を特定するために使用することができる。また、マイクロ分光分析又は生物化学分析ユニットを含む疾患検出ヘッド106での母乳の分析は、母親の乳房から供給される乳児の母乳に現れる可能性のある病気又は疾患の事前警告を提供することができる。このような分析ヘッドは、装置を用いて母親の乳癌を早期に検出する可能性がある。
図10のマルチタスク乳頭保護器装置の利点は、上記の提案された機能のすべてが、乳児に供給される母乳の流れに干渉することなく、それらの関連するヘッドアタッチメントを用いて実行できることである。
【0078】
次に、
図10のヘッド101を用いた流れ表示用途について
図7から
図10のマルチタスク乳頭保護器の例示的な使用をより詳細に示す
図11Aから
図11Dを参照する。
図11Aには、乳首突起の先端領域に乳首の穴111を備え、流体ポート接続部114に取り付けられた流れ表示ヘッドユニット101を備えた、マルチタスク乳頭保護器のベースユニット110が示されている。ヘッド101は、取り付けられた表示ヘッド101内の流れ表示を見ることを容易にするために透明である必要がある窓領域113を有するように示されている。
図11Bには、授乳中の母親又は補助者が容易に見ることができるように透明な観察窓113が乳首領域111から離れて配置される方法を示すために、その取り付けヘッド101を備えたベースユニット110の側面図が示されている。
【0079】
次に、ヘッド構造の詳細を示すために、流れ表示ヘッド101の2つの代替的な概略実施形態をより大きなスケールで概略的に示す
図11C及び
図11Dを参照する。2つの異なる図は、母乳の流れの表示を生成することができる別の方法を示す。
図11Cには、
図2Aに示すような流れを表示する方法を使用する流れ表示ヘッド101Cが示されている。乳首突起領域内の母乳収集ボリュームからベースユニット110内の通路を通って来る母乳の流れは、観察窓113内の管115の透明又は半透明のループの周りに向けられ、その後、乳児が吸うことができる乳首の穴に戻るために、観察ヘッドからベースユニットの通路に戻る。母親はしたがって、観察窓の内部の母乳の流れを直接見ることができる。
図11Cには、
図2Dに示した構造を使用する代替的な流れ表示ヘッド101Dが示されている。この実施形態では、表示用母乳チャンバ116は、表示用ヘッドユニット101D内の接合部で、母乳をベースユニットからベースユニットに運ぶ通路に流体接続されている。母乳がヘッド内の通路を通って流れるとき、母乳の一部は閉鎖されたチャンバ116に入り、そこで観察窓を通して見ることができ、通路内の母乳の流れの視覚的表示を提供する。特に、乳児が母親の乳房を繰り返し吸うとき、母乳は間欠的に通路を通り、乳児の吸啜動作に同期した波(サージ)で母乳チャンバ116に入る。母乳チャンバ116に出入りする母乳117のこれらの繰り返される波は、乳児が吸啜するときの母乳の流れの良好な視覚的表示を提供する。
【0080】
次に、マルチタスク乳頭保護器のベースユニット110に接続された母乳測定ヘッド102の概略的な実施形態の外観を概略的に示す
図12を参照する。ヘッドは、上記特許文献3に記載されているのと同じ発明概念を用いて動作することができる。このようなヘッドユニットの構造は、母乳のための2つの流路(
図12に示されていない)を含み、乳児用の母乳の主要な通路を提供する第1の流路は、第2の流路よりも母乳の流体流に対して実質的に低い抵抗を有する。第2の流路は、第1の流路と並列に接続され、第1の流路よりも母乳の流れに対して実質的に高い抵抗を有する。その結果として、母乳は、主要な流路よりも実質的に遅い速度で第2の流路に流れ込み、母乳の前進する前面が到達する位置は、定量的測定ヘッド102を通過した母乳の総量の尺度である。母乳充填の前面の位置は、乳児が摂取した母乳の総量に従って較正することができる、ヘッドの目盛り121に対して決定することができる。代替的な実施形態として、流量の出力信号を提供するための測定チップを用いて、測定ヘッド102内の母乳の流量を測定するために、又は流量を積分することによって、乳児が摂取した母乳の総量を測定するために、マイクロ流量計を使用することができる。
【0081】
例示的な実施形態は、本開示が完全なものとなり、範囲が当業者に完全に伝わるように提供されている。本開示の実施形態が完全に理解されるように、具体的な構成要素、装置、及び方法の例などの多くの具体的な詳細が記載されている。当業者には、具体的な詳細を採用する必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具現化され得ること、いずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことが明らかであろう。また、当業者には、本発明が特に以上に示し説明したものによって限定されないことが理解される。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせ合せ(サブコンビネーション)、ならびに当業者が上記の説明を読んだときに思いつくであろう従来技術にはないそれらの変形及び修正の両方を含む。
【国際調査報告】