IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リカーボン,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-512243補助反応チャンバを有するプラズマチャンバ
<>
  • 特表-補助反応チャンバを有するプラズマチャンバ 図1
  • 特表-補助反応チャンバを有するプラズマチャンバ 図2
  • 特表-補助反応チャンバを有するプラズマチャンバ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】補助反応チャンバを有するプラズマチャンバ
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/08 20060101AFI20240312BHJP
   H05H 1/24 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
B01J19/08 E
H05H1/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549917
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022071115
(87)【国際公開番号】W WO2022192918
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,300
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド, ジョージ スティーブン, ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド, ステファン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】レーハゲン, ジョン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クー, ジェ モ
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA18
2G084BB31
2G084CC14
2G084CC32
2G084DD44
2G084FF01
2G084FF33
2G084FF38
4G075AA03
4G075BA05
4G075BA06
4G075BA10
4G075CA47
4G075CA51
4G075DA02
4G075DA13
4G075EA05
4G075EB01
4G075EB41
4G075FB01
4G075FB02
4G075FB03
4G075FB04
4G075FB06
(57)【要約】
プラズマ反応システムは、プラズマチャンバおよび補助反応チャンバを含んでもよい。プラズマチャンバは、反応ガスをプラズマチャンバへ導入するためのプラズマチャンバ入口と、反応ガス間の化学反応が生じる内部空間を形成するプラズマチャンバ壁と、プラズマチャンバ内で生成されたプラズマと、プラズマチャンバ内で生成されたプラズマに向けてエネルギーを方向付ける導波路と、プラズマチャンバから第1の出口ガスを搬送するためのプラズマチャンバ出口とを含んでもよい。補助反応チャンバは、プラズマチャンバから第1の出口ガスを得るように構成された補助反応チャンバ入口と、出口ガス間の第2の化学反応が生じる補助反応チャンバの内部空間を形成する補助反応チャンバ壁と、補助反応チャンバから第2の出口ガスを搬送するための補助反応チャンバ出口とを含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマチャンバであって、
1つまたは複数の反応ガスをプラズマチャンバへ導入するための1つまたは複数のプラズマチャンバ入口、
プラズマチャンバの内部空間を形成する1つまたは複数のプラズマチャンバ壁であって、反応ガス間の1つまたは複数の第1の化学反応がプラズマチャンバの内部空間内で生じる、1つまたは複数のプラズマチャンバ壁、
プラズマチャンバ内で生成されたプラズマ、
プラズマチャンバ内で生成されたプラズマに向けてエネルギーを方向付ける導波路、および
プラズマチャンバから1つまたは複数の第1の出口ガスを搬送するためのプラズマチャンバ出口
を含むプラズマチャンバと、
補助反応チャンバであって、
プラズマチャンバから第1の出口ガスを得るように構成された補助反応チャンバ入口、
補助反応チャンバの内部空間を形成する1つまたは複数の補助反応チャンバ壁であって、第1の出口ガス間の1つまたは複数の第2の化学反応が補助反応チャンバの内部空間内で生じる、1つまたは複数の補助反応チャンバ壁、および
補助反応チャンバから1つまたは複数の第2の出口ガスを搬送するための補助反応チャンバ出口と
を含む補助反応チャンバと
を含むプラズマ反応システム。
【請求項2】
プラズマチャンバの容積が補助反応チャンバの容積未満である、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項3】
補助反応チャンバは熱源を含まず、補助反応チャンバの内部空間で生じる第2の化学反応のための熱が第1の出口ガスに対応する余熱によって提供される、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項4】
プラズマチャンバ壁が第1の材料で構成され、
補助反応チャンバ壁が第2の材料で構成されている、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項5】
第1の材料、または第2の材料、または第1の材料と第2の材料との両方は、熱膨張係数または熱抵抗のうちの少なくとも一方に、少なくとも部分的に基づいて選択される、請求項4に記載のプラズマ反応システム。
【請求項6】
第1の材料が、石英、窒化ホウ素、アルミニウム、セラミック、炭化ケイ素、タングステン、およびモリブデンのうちの少なくとも1つを含み、
第2の材料が、炭素鋼、ニッケル合金、航空宇宙グレードのアルミニウム、チタン、セラミック、石英、タングステン、およびモリブデンのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のプラズマ反応システム。
【請求項7】
補助反応チャンバが、1つまたは複数の補足的なチャンバ入口をさらに含み、補足的なチャンバ入口の各々が、プラズマチャンバ入口に含まれる反応ガスのうちの1つまたは複数と排ガスのうちの少なくとも1つを補助反応チャンバへ導入するように構成されている、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項8】
補助反応チャンバに直列に接続された第2の補助反応チャンバをさらに含み、第2の補助反応チャンバは、補助反応チャンバから第2の出口ガスを得て、1つまたは複数の第3の出口ガスを出力するように構成されている、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項9】
補助反応チャンバと並列にプラズマチャンバに接続された第2の補助反応チャンバをさらに含み、それにより、プラズマチャンバからの第1の出口ガスが、補助反応チャンバに向けて方向付けられた第1の平行な入口ストリームと第2の補助反応チャンバに向けて方向付けられた第2の平行な入口ストリームとに分割される、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項10】
第1の平行な入口ストリームは、第2の平行な入口ストリームよりも大きい流量を含む、請求項9に記載のプラズマ反応システム。
【請求項11】
補助反応チャンバからの第2の出口ガスは、第2の出口ガスの処理のために、1つまたは複数の補助反応器ユニットに向けて方向付けられた、請求項1に記載のプラズマ反応システム。
【請求項12】
プラズマチャンバによって出力される1つまたは複数のガスを得るように構成されている補助反応チャンバ入口と、
1つまたは複数の補足的なチャンバ入口であって、補足的なチャンバ入口のそれぞれが、プラズマチャンバに投入される1つまたは複数の反応ガスと排ガスとのうちの少なくとも1つを補助反応チャンバへ導入するように構成されている、1つまたは複数の補足的なチャンバ入口と、
補助反応チャンバの内部空間を形成する1つまたは複数の補助反応チャンバ壁であって、プラズマチャンバと補足的なチャンバ入口とから得られるガス間の1つまたは複数の化学反応が補助反応チャンバの内部空間内で生じる、1つまたは複数の補助反応チャンバ壁と、
補助反応チャンバから1つまたは複数の出口ガスを搬送するための補助反応チャンバ出口と
を含む、補助反応チャンバ。
【請求項13】
補助反応チャンバに直列に接続された第2の補助反応チャンバをさらに含み、第2の補助反応チャンバは、補助反応チャンバから出口ガスを得て、1つまたは複数の第2の出口ガスを出力するように構成されている、請求項12に記載の補助反応チャンバ。
【請求項14】
補助反応チャンバと並列にプラズマチャンバに接続された第2の補助反応チャンバをさらに含み、それにより、プラズマチャンバからの出口ガスが補助反応チャンバに向けて方向付けられた第1の平行な入口ストリームと第2の補助反応チャンバに向けて方向付けられた第2の平行な入口ストリームとに分割される、請求項12に記載の補助反応チャンバ。
【請求項15】
補助反応チャンバが熱源を含まず、補助反応チャンバの内部空間で生じる化学反応のための熱がプラズマチャンバによって出力されたガスに対応する余熱によって提供される、請求項12に記載の補助反応チャンバ。
【請求項16】
補助反応チャンバによって、プラズマチャンバ内で生成されたプラズマからの熱を使って1つまたは複数の反応ガス間の第1の化学反応に影響を与えるように構成されたプラズマチャンバによって出力された1つまたは複数のガスを得ることと、
プラズマチャンバ内で生成されたプラズマからの余熱を使ってプラズマチャンバによって出力されたガス間の第2の化学反応に影響を与えることと、
第2の化学反応によって生じた1つまたは複数の生成ガスを出力することと
を含む方法。
【請求項17】
第1の化学反応または第2の化学反応が、天然ガス改質反応、炭化水素生成反応、部分酸化反応、および燃焼反応のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第2の化学反応によって生じた生成ガスが、生成ガスを処理するために、1つまたは複数の補助反応器ユニットに向けて方向付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
補助反応チャンバによって、プラズマチャンバによって出力されたガスを得ることが、ガスを1つまたは複数の残留ガスと混合し、プラズマチャンバによって出力されたガスと残留ガスとの混合物を得ることを含み、残留ガスは、プラズマチャンバからの未反応の反応ガス、排ガス、または酸化剤ガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
補助反応チャンバに接続された第2の補助反応チャンバによって、第2の化学反応によって生じた生成ガスを得ることと、
補助反応チャンバからの余熱およびプラズマチャンバで生成されたプラズマを使って生成ガス間の第3の化学反応に影響を与えることと、
第3の化学反応によって生じた1つまたは複数の第2の生成ガスを出力することと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月12日に出願された米国特許出願第63/160,300号の優先権を主張するものであり、その開示内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、プラズマチャンバおよび1つまたは複数の補助反応チャンバを有するプラズマ反応システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガス反応は、ガスの入口および出口の流れのために構成されたガス反応器の反応器チャンバ内で影響を受ける場合がある。ガスの入口の流れは、1つまたは複数のガス反応物を含んでもよく、出口の流れは、入口の流れに含まれるガス反応物に基づいて生成された1つまたは複数のガス生成物を含んでもよい。いくつかの状況では、ガス反応は反応プロセス中に熱を発生する発熱反応であってもよいが、他の状況では、ガス反応は反応プロセスを駆動するために熱の投入を使用する吸熱反応であってもよい。そのため、ガス反応が生じる反応器チャンバは、ガス反応器の動作中に高温に達する場合がある。
【0004】
本開示で特許請求される主題は、いかなる欠点も解決し、または上述のような環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本開示で説明されるいくつかの実施形態が実施される1つの例示的な技術分野を例示するためにのみ提供される。
【発明の概要】
【0005】
ガスを処理または改質するために使用されるプラズマシステムは、少なくとも1つの導波路と、1つまたは複数のガス入口および出口と、典型的には円筒状で、電磁波に対しては透過性であり、ガスに対しては不透過性である少なくとも1つのプラズマチャンバとを含んでもよい。ガスはプラズマチャンバ内へ注入されてもよく、そこでエネルギー源と相互作用してプラズマを形成する。プラズマチャンバにおいて処理できるガスの量は、エネルギー源の動力によって決めてもよい。具体的には、臨界値を超える高い流量により、プラズマチャンバにおけるプラズマは消滅する、または最適ではないモードで動作する可能性がある。
【0006】
実施形態の一態様によれば、プラズマ反応システムは、プラズマチャンバおよび補助反応チャンバを含んでもよい。プラズマチャンバは、反応ガスをプラズマチャンバへ導入するためのプラズマチャンバ入口と、反応ガス間の化学反応が生じる内部空間を形成するプラズマチャンバ壁と、プラズマチャンバ内で生成されたプラズマと、プラズマチャンバ内で生成されたプラズマに向けてエネルギーを方向付ける導波路と、プラズマチャンバから第1の出口ガスを搬送するためのプラズマチャンバ出口とを含んでもよい。補助反応チャンバは、プラズマチャンバから第1の出口ガスを得るように構成された補助反応チャンバ入口と、出口ガス間の第2の化学反応が生じる補助反応チャンバの内部空間を形成する補助反応チャンバ壁と、補助反応チャンバから第2の出口ガスを搬送するための補助反応チャンバ出口とを含んでもよい。
【0007】
実施形態の目的および利点は、少なくとも、特許請求において特に指摘された要素、特徴、および組み合わせによって実現且つ達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が説明であり、特許請求されるように本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0008】
例示的な実施形態は、添付の図面によって追加の特異性で且つ詳細に記載および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の少なくとも1つの実施形態によるプラズマチャンバおよび補助反応チャンバを含むプラズマ反応システムの例示的実施形態の図である。
図2】本開示の少なくとも1つの実施形態による直列に接続された2つの補助反応チャンバを含むプラズマ反応システムの例示的実施形態の図である。
図3】本開示の少なくとも1つの実施形態による1つまたは複数の補助反応チャンバが並列に接続された4つの補助反応チャンバを含むプラズマ反応システムの例示的実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示によるプラズマ反応システムは、プラズマ反応システムに含まれるプラズマチャンバの後に未反応ガスを注入することによって、ガスの処理または改質(すなわち、ガスに含まれる炭化水素の分子構造の再配列)を可能にすることができる。プラズマチャンバの後に注入された未反応ガスは、プラズマチャンバからの処理されたストリームに含まれる「廃物」の残留エネルギーと反応する場合がある。これは、追加のガスストリームをプラズマチャンバ後のストリームへ導入し、2つのガスストリーム間の混合を実施するように設計された1つまたは複数の入口で達成される。プラズマチャンバ後のストリームの改質が発熱性である場合、混合ストリームの温度は改質が生じるのに十分高くてもよい。
【0011】
混合後、補助反応チャンバは、混合ガスストリームで改質が生じるのに十分な滞留時間を提供できる。追加または代替として、補助反応チャンバは、回復させ、または外部冷却されてもよい。ガスストリームは補助反応チャンバを出て、ガスをさらに処理または貯蔵するために配管または管類へ流入する。
【0012】
次に、本発明の例示的実施形態の様々な態様を説明するために図面を参照する。図面は、そのような例示的実施形態の図表による、および概略的な表現であり、本発明を限定するものではなく、必ずしも縮尺通りに描かれないことを理解されたい。
【0013】
図1は、本開示の少なくとも1つの実施形態によるプラズマチャンバ120および補助反応チャンバ130を含むプラズマ反応システム100の例示的実施形態の断面図を示す。プラズマチャンバ120は、1つまたは複数のガス102が通って流れてプラズマチャンバ120に入る第1の入口110および第2の入口112を含む任意の数の入口を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の入口110および第2の入口112は、プラズマチャンバ120の両側または実質的に両側に配置されてもよく、それにより、第1の入口110に対応するガス流および第2の入口112に対応するガス流が、プラズマチャンバ120内でガス102の混合および反応を促進する順方向および逆方向の渦配置をプラズマチャンバ120内に生成する。いくつかの実施形態では、第1の入口110および/または第2の入口112は、第1の入口110と第2の入口112との間の異なる渦配置でプラズマチャンバ120内へのガス102の流れを促進するように、プラズマチャンバ120の任意の表面または他の部分に沿って配置され、任意の方向に配向されてもよい。例えば、第1の入口110は、ガス102がプラズマチャンバ120の上部から入るようにプラズマチャンバ120の上面に配置されてもよく、一方で、第2の入口115aは、図1に例示されるように、ガス102がプラズマチャンバ120の底部から入るように、プラズマチャンバ120の底面に配置されてもよい。別の例として、第1の入口110および第2の入口112は、両方とも、プラズマチャンバ120の側面に沿い、第1の入口110および第2の入口112は互いに反対にまたは実質的に反対に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ120は、第1の入口110または第2の入口112のうちの1つを含む。
【0014】
複数の入口は、順方向の渦配置(すなわち、第1の入口110に対応する)および/または逆方向の渦配置(すなわち、第2の入口112に対応する)が複数の入口ポートを含むように、特定の方向に配向されてもよい。図1に例示されるように、例えば、逆方向の渦配置は、第2の入口112および/または第2の入口112と同じもしくは類似の流れ方向に配向された第3の入口114を通って流れるガス102によって形成されてもよい。追加または代替として、順方向の渦配置は、第1の入口110に隣接する1つまたは複数の入口ポートなどの、第1の入口110よりも多くの入口ポートを含んでもよい。これらおよび他の実施形態では、順方向および/または逆方向の渦配置に寄与する複数の入口ポートを介してプラズマチャンバ120に入るガス102は、同じ方向に移動する単一のガスストリームを形成するために一緒に混合してもよいし、しなくてもよい。図1に例示されるように、第2の入口112および第3の入口114を通って流れるガス102は、それぞれ、ガス流ストリーム104および106を形成してもよく、ガス流ストリーム104、106は、プラズマチャンバ120の上面によって方向転換された後など、プラズマチャンバ120内で混合する離散的ストリームとしてプラズマチャンバ120に入る。
【0015】
1つまたは複数のチャンバ壁125は、プラズマチャンバ120を囲み、プラズマチャンバ120へ流入するガス間の化学反応が生じるプラズマチャンバ120の内部空間の境界を定めてもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ壁125は、ガスに対して不透明であり、プラズマチャンバ120内で生じる化学反応に対して不活性であり、高い溶融温度を有し、および/または低い熱膨張係数を含んでもよい。例えば、チャンバ壁125は、石英、窒化ホウ素、アルミニウム、セラミックス、炭化ケイ素、タングステン、モリブデン、任意の他の耐火性材料、またはそれらの混合物で構成されてもよい。追加または代替として、チャンバ壁125は、1つまたは複数の導波路140によって導かれるエネルギーを、プラズマチャンバ120の内側で、プラズマ150に供給できる高周波透過性材料で作られてもよい。そのため、マイクロ波、電気、または他の源からのエネルギーは、プラズマ150およびプラズマチャンバ120にエネルギーを供給するように、導波路140によってチャンバ壁125を通して導かれてもよい。
【0016】
これらおよび他の実施形態では、プラズマチャンバ120の平均温度は、一般に、約1,000ケルビン(K)から約3,500Kの範囲であるが、プラズマ150のピーク温度は、約50,000K以上に達してもよい。プラズマチャンバ120内の特定の場所(例えば、プラズマチャンバ120の中心)での温度は、場合によっては、チャンバ壁125および/または導波路140の融点を超えてもよい。しかしながら、ガス102の順方向渦配置および/または逆方向渦配置は絶縁効果をもたらすので、プラズマチャンバ120の特定の場所での温度がそれらの融点を超えているにもかかわらず、チャンバ壁125および/または導波路140はそれらのそれぞれの融点に達しない場合がある。
【0017】
プラズマチャンバ120におけるガス102は、天然ガス改質、炭化水素生成、反応物燃焼に関連する化学反応、あるいはプラズマ150からの熱が分子結合の破壊および/または特定の化学反応の開始に十分なエネルギーを供給できるプラズマチャンバ120によって提供される高温反応環境において促進される任意の他の化学反応に関与する反応ガスを含んでもよい。出口ガスストリーム160は、プラズマチャンバ120において生じる化学反応によって形成された化学生成物、およびプラズマチャンバ120に入ったガス102に含まれる未反応の反応物質を含んでもよい。
【0018】
出口ガスストリーム160は、1つまたは複数の補助反応チャンバガス流162、164と混合されて補助反応チャンバ入口流170を形成してもよい。いくつかの実施形態では、補助反応チャンバガス流162、164は、プラズマチャンバ120へ注入されるガス102と同じまたは類似のガスを含んでもよい。追加または代替として、補助反応チャンバガス流162、164は、ガス102に存在しなかった反応物質および/または補助反応チャンバ130における1つまたは複数の化学反応の発生を促進する材料を含んでもよい。例えば、関連する化学プロセスまたは他のプラズマ反応器からの排ガスおよび/または液体は、補助反応チャンバガス流162、164に含まれて排ガスおよび/または液体の廃棄物対生成物改質比を増加できる。さらに、廃棄物からエネルギーへの改質は、補助反応チャンバガス流162、164に廃棄物を含めることによって改良できる。
【0019】
別の例として、特定の化学反応を駆動し且つ特定の化学生成物の生成を促進するように、空気、酸素、一酸化窒素などの酸化剤ガスが補助反応チャンバガス流162、164に含まれてもよい。出口ガスストリーム160および様々な他のガスを得る補助反応チャンバ130を含むことによって、1つまたは複数の化学反応物質の反応度を増加させて、プラズマ反応システム100の効率を高めることができる。追加または代替として、プラズマ反応システム100に補助反応チャンバ130を含めることにより、補助反応チャンバ130が化学反応物質の変換速度を増加させるので、より小さなプラズマチャンバ120を可能にすることができる。これらおよび他の実施形態では、補助反応チャンバガスストリーム162、164は、プラズマチャンバ120を出る出口ガスストリーム160の流量の約50%から約5000%までの範囲の総流量を含み、化学反応が補助反応チャンバ130で起こるようにガスおよび/または液体を供給できる。
【0020】
補助反応チャンバガス流162、164は、プラズマチャンバ120の出口ガスストリーム160と混合するように、1つまたは複数の補助反応チャンバ入口134、136を介して導かれてもよい。いくつかの実施形態では、補助反応チャンバ入口134、136は、補助反応チャンバガス流162、164が出口ガスストリーム160に対してほぼ垂直になるように、出口ガスストリーム160に対して約90°に配向されてもよい。追加または代替として、補助反応チャンバ入口134、136は、出口ガスストリーム160に対して約90°(すなわち、垂直)から約180°(すなわち、対向流)の範囲の角度でほぼ配向されてもよい。追加または代替として、いくつかの補助反応チャンバ入口および/または各補助反応チャンバ入口の配向は、図1に例示されるように、出口ガスストリーム160に対して同じまたは類似の配向を目標とした2つの補助反応チャンバ入口134、136および2つの補助反応チャンバガス流162、164と異なってもよい。例えば、出口ガスストリーム160に対して180°を目標とした単一の補助反応チャンバ入口が使用されてもよい。別の例として、出口ガスストリーム160に対して様々な角度を目標とした3つの補助反応チャンバ入口が使用されてもよい。これらおよび他の実施形態では、プラズマチャンバ120および/または補助反応チャンバ130を通る所望の流量に基づいて、補助反応チャンバ入口のサイズおよび/または数が設定されてもよい。
【0021】
補助反応チャンバ入口流170は、補助反応チャンバ入口流170に含まれるガスのうちの1つまたは複数をさらに処理するために、補助反応チャンバ130に向けて導かれてもよい。いくつかの実施形態では、補助反応チャンバ130の1つまたは複数の壁132は、高い熱抵抗および/または低い熱膨張係数を有する材料で作られてもよい。例えば、壁132は、炭素鋼もしくは他の炭素複合物、ニッケル合金、航空宇宙グレードのアルミニウム、チタン、石英、セラミックス、タングステン、モリブデン、または任意の耐火性材料を含む任意の他の材料で作られてもよい。
【0022】
補助反応チャンバ入口流170に含まれるガスは、補助反応チャンバ130において反応して、1つまたは複数の化学生成物を生じさせてもよい。補助反応チャンバ130における化学反応によって生じた化学生成物は、プラズマチャンバ120において生じた化学反応によって生じたものと同じ化学生成物を含んでもよい。追加または代替として、補助反応チャンバ130において形成された化学生成物は、プラズマチャンバ120に入ったガス102に存在しなかった補助反応チャンバガス流162、164に含まれる材料によって促進される異なる化学反応に基づいて、プラズマチャンバ120において形成されない様々な化学物質を含んでもよい。
【0023】
これらおよび他の実施形態では、補助反応チャンバ130で生じる化学反応は、プラズマチャンバ120から持ち越される熱によって促進できる。そのため、補助反応チャンバ130はプラズマを全く含まなくてもよく、プラズマ150を加熱するためのエネルギー源は補助反応チャンバ130へ向けられなくてもよい。プラズマおよび/または向けられたエネルギー源がないことにより、補助反応チャンバ130はプラズマチャンバ120よりも低い温度で動作し、補助反応チャンバ130は、化学反応の発生を促進するように、プラズマチャンバ120よりも大きい容積を含み、および/またはプラズマチャンバ120と同じまたは異なる(例えば、より高いまたはより低い)圧力で動作してもよい。追加または代替として、補助反応チャンバ130は、補助反応チャンバ130がプラズマチャンバ120よりも低い温度で動作できるので、プラズマチャンバ120の耐熱性未満の耐熱性を有する材料で作られてもよい。例えば、プラズマチャンバ120は、航空宇宙グレードのアルミニウムで構成されてもよく、一方、補助反応チャンバ130は、モリブデン金属で構成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、補助反応チャンバ130で生じる化学反応中に形成された化学生成物、任意の未反応の化学反応物質、および補助反応チャンバ130に含まれる任意の他のガスは、出口ガス流180において補助反応チャンバ130から外へ導かれてもよい。出口ガス流180は、プラズマ反応システム100の補助反応器ユニット、例えば、スクラバー、圧力変動吸着ユニット、アミンユニット、および/または圧縮器へ送られてもよい。
【0025】
追加または代替として、出口ガス流180は、生成物、未反応化学物質、および/または出口ガス流180に含まれる任意の他のガスのさらなる処理のために、第2段の補助反応チャンバに送られてもよい。
【0026】
図2は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、第1の補助反応チャンバ230および第2の補助反応チャンバ250などの2つ以上の補助反応チャンバと直列に接続されたプラズマチャンバ210を含むプラズマ反応システム200の例示的実施形態の図である。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ210は、図1に関連して説明したプラズマチャンバ120と同じまたは類似であってもよい。そのため、プラズマチャンバ210は、各入口流が1つまたは複数のガスおよび特定の渦配置を含む1つまたは複数の入口流を得るように構成されてもよい。追加または代替として、プラズマチャンバ210は、マイクロ波源または電気源などのエネルギー源によって加熱されるプラズマを含んでもよい。これらおよび他の実施形態では、第1の補助反応チャンバ230は、図1に関連して説明した補助反応チャンバ130と同じまたは類似であってもよい。そのため、第1の補助反応チャンバ230は、プラズマチャンバ210のサイズもしくは容積よりも大きいサイズもしくは容積を有してもよく、および/または、プラズマチャンバ210の圧力と同じもしくは異なる圧力で動作してもよい。
【0027】
第2の補助反応チャンバ250は、第1の補助反応チャンバ230の出口流234を1つまたは複数の第1の補助反応チャンバガス流236と混合し且つ第2の補助反応チャンバ250内へ第2の補助反応入口流252として供給することによって、第1の補助反応チャンバ230に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の補助反応チャンバ250は、プラズマチャンバ210を加熱するために使用されるプラズマ212などの熱源に接続されなくてもよい。そのため、第2の補助反応チャンバ入口流252に含まれるガス間で第2補助反応チャンバ250に生じる化学反応は、第1の補助反応チャンバ230からの熱によって促進されてもよく、第1の補助反応チャンバ230の出口流234におけるガスと共に第2の補助反応チャンバ250によって受けてもよい。
【0028】
これらおよび他の実施形態では、第2の補助反応チャンバ250の温度は、第1の補助反応チャンバ230の温度未満であってもよい。そのため、第2の補助反応チャンバ250は、第1の補助反応チャンバ230および/またはプラズマチャンバ210に使用される材料よりも低い耐熱性および/または大きい熱膨張係数を含む材料で作られてもよい。追加または代替として、第2の補助反応チャンバ250は、第2の補助反応チャンバ250において生じる化学反応を促進するように、第1の補助反応チャンバ230よりも大きい容積を含み、および/または、同じもしくは異なる圧力で動作してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の補助反応チャンバ250の出口流254は、出口流254に含まれるガスのさらなる処理のために、スクラバー、圧力変動吸着ユニット、アミンユニット、および/または圧縮器などの、プラズマ反応システム100の補助反応器ユニットへ送られてもよい。出口流254は、直列の第3の補助反応チャンバ、直列の第3および第4の補助反応チャンバなど、1つまたは複数の追加の補助反応チャンバに向けて導かれてもよい。これらおよび他の実施形態では、一連の補助反応チャンバにおける各後続の補助反応チャンバの動作温度は、一連の補助反応チャンバにおいて直前の補助反応チャンバの動作温度未満であってもよい。そのため、各後続の補助反応チャンバは、一連の補助反応チャンバにおいて直前の補助反応チャンバよりも大きいサイズおよび/または大きい容積および/または同じもしくは異なる圧力を有してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2の補助反応チャンバの出口流254、第1の補助反応チャンバ230の出口流234、および/またはプラズマチャンバ210の出口流214は、互いに並列に構成された1つまたは複数の補助反応チャンバに向けて導かれてもよい。
【0031】
図3は、第1の補助反応チャンバ330に接続されたプラズマチャンバ310を含むプラズマ反応システム300の例示的実施形態の図であり、第1の補助反応チャンバ330は、本開示の少なくとも1つの実施形態により互いに並列にそれぞれが接続される第2の補助反応チャンバ350、第3の補助反応チャンバ352、および第4の補助反応チャンバ354に接続される。プラズマ反応システム300は、並列である第2の補助反応チャンバ350、第3の補助反応チャンバ352、および第4の補助反応チャンバ354の前に、直列に第1の補助反応チャンバ330を有するものとして例示されているが、プラズマチャンバ310の出口流は、単一の連続段において並列である第1の補助反応チャンバ330、第2の補助反応チャンバ350、第3の補助反応チャンバ352、および/または第4の補助反応チャンバ354によって最初に得られてもよい。追加または代替として、1つまたは複数の補助反応チャンバが、第1の連続段において互いに並列に構成されてもよく、1つまたは複数の補助反応チャンバが第1の連続段の後の第2の連続段において並列に構成され、それにより各連続段において並列に構成される任意の数の補助反応チャンバを有する任意の数の連続段が企図される。追加または代替として、特定の連続段において並列に構成された各補助反応チャンバは、後続の連続段において1つまたは複数の補助反応チャンバに同時に接続され、同じ後続の連続段において1つまたは複数の他の補助反応チャンバから外されてもよい。これらおよび他の実施形態では、様々な補助反応器ユニットが、プラズマ反応システム300を要する化学プロセスに含まれる1つまたは複数の補助反応チャンバ間に挿入されてもよい。例えば、非プラズマ熱源は、補助反応チャンバのうちの1つまたは複数に補充的な熱エネルギーを供給するように、2つの連続段の間に挿入されてもよい。別の例として、化学プロセスからの材料の追加および/または除去を促進するように、統合改質器、圧力変動吸着ユニット、空気分離ユニット、および/または任意の他の補助反応器ユニットが実装されてもよい。
【0032】
これらおよび他の実施形態では、並列に構成された補助反応チャンバは、同じまたは類似の組成物で同じまたは類似の流量で流れるガスを受けてもよい。その結果、並列に構成された補助反応チャンバは、同じまたは類似の温度で動作し、同じもしくは類似の容積および/または動作圧力を含むことができる。追加または代替として、特定の連続段において並列に構成された補助反応チャンバのうちの1つまたは複数は、同じ特定の連続段において他の補助反応チャンバによって受けたガスとは異なる流量および/または組成物でガスを受けてもよい。例えば、ガスを特定の連続段の第1の補助反応チャンバに方向付ける第1のパイプは、ガスを特定の連続段の第2の補助反応チャンバに方向付ける第2のパイプよりも大きい直径を含んでもよく、それにより、第1の補助反応チャンバは、第2の補助反応チャンバよりも大きい流量のガスを受ける。
【0033】
本開示、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)において使用される用語は、一般に「オープン用語」として意図される(例えば、用語「含む」は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである)。
【0034】
さらに、導入された請求項の列挙の指定の数が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」の使用を含んでもよい。しかしながら、そのような語句の使用は、同じ請求項が導入句「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の列挙の導入が、そのような導入された請求項の列挙を含む任意の特定の請求項を、そのような列挙を1つだけ含む実施形態に限定することを暗示するものと解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。
【0035】
加えて、導入された請求項の列挙の指定数が明示的に列挙される場合でも、当業者は、そのような列挙が、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(例えば、他の修飾語のない「2つの列挙」の冠詞のない列挙は、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)。さらに、「A、B、C等のうちの少なくとも1つ」または「A、B、C等のうちの1つまたは複数」に類似する慣例が使用される例では、一般に、そのような構成は、A単独、B単独、C単独、AとBを合わせて、AとCを合わせて、BとCを合わせて、またはAとBとCを合わせてなどを含むことが意図される。
【0036】
さらに、2つ以上の代替用語に先行する任意の選言的な単語または句は、説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきである。例えば、「AまたはB」という語句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0037】
本開示において列挙される全ての例および条件付き言語は、読者が本開示、および本技術分野を促進するために発明者によって貢献された概念を理解するのを助ける教育的対象に対して意図され、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態を詳細に説明したが、様々な変化、置換、および変更は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に対して行うことができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】