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特表2024-512270ひずみ検知のために構成されたテキスタイル、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法及びその編成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ひずみ検知のために構成されたテキスタイル、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法及びその編成装置
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/14 20060101AFI20240312BHJP
   D04B 37/00 20060101ALI20240312BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20240312BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
D04B1/14
D04B37/00
D04B1/00 A
H01L29/84 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551716
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 SG2022050092
(87)【国際公開番号】W WO2022182297
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10202101960Y
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202111004S
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】515126721
【氏名又は名称】シンガポール・ユニバーシティ・オブ・テクノロジー・アンド・デザイン
【氏名又は名称原語表記】Singapore University of Technology and Design
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】ホン イー ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ウジジャヴァル グプタ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン リアン ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ギム ソン ソー
(72)【発明者】
【氏名】ペイ チー チア
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィー アハメド
【テーマコード(参考)】
4L002
4L054
4M112
【Fターム(参考)】
4L002AA05
4L002AA06
4L002AB02
4L002AC01
4L002AC03
4L002BA00
4L002BA01
4L002BA02
4L002BA05
4L002BB01
4L002EA00
4L002FA00
4L002FA01
4L054LA19
4L054NA07
4M112AA01
4M112BA01
4M112CA53
(57)【要約】
ひずみ検知のために構成されたテキスタイルが提供される。テキスタイルは、テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部を含む。ひずみ検知部は、複数の第1の糸のコースのグループを含み、それぞれの第1の糸のコースのグループは、複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、複数の編目を含む第2の誘電糸のコースと、複数の編目を含む第3の導電糸のコースとを含む。第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及びひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひずみ検知のために構成されたテキスタイルであって、
前記テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部であって、
複数の第1の糸のコースのグループであって、それぞれの第1の糸のコースのグループは、
複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、
複数の編目を含む第2の誘電糸のコースと、
複数の編目を含む第3の導電糸のコースと
を含み、
前記第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び
前記ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ
前記ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、複数の第1の糸のコースのグループ
を含むひずみ検知部
を含むテキスタイル。
【請求項2】
前記第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び更に、
前記ひずみ検知部が前記緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触され、且つ
前記ひずみ検知部が前記伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも前記高い弾性を有するように構成される、請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項3】
前記第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び更に、
前記ひずみ検知部が前記緩和状態にあるとき、
前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ
前記第1のコースの前記複数の編目の各連続編目対について、前記第1のコースの前記複数の編目の前記連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触され、及び
前記ひずみ検知部が前記伸張状態にあるとき、
前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ
前記第1のコースの前記複数の編目の各連続編目対について、前記第1のコースの前記複数の編目の前記連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも前記高い弾性を有するように構成される、請求項2に記載のテキスタイル。
【請求項4】
前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目、前記第3のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目及び前記第2のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目は、前記ひずみ検知部の同じウエールに沿っており、及び
前記第1のコースの前記複数の編目の前記連続編目対、前記第3のコースの前記複数の編目の前記対応する連続編目対及び前記第2のコースの前記複数の編目の前記対応する連続編目対は、前記ひずみ検知部の同じウエール対に沿っている、請求項2又は3に記載のテキスタイル。
【請求項5】
前記第2のコースのヤング率に対する前記第1のコース及び前記第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項6】
前記ひずみ検知部が前記伸張状態にあるとき、前記ひずみ検知部は、ウエールに沿った方向に伸張される、請求項1~5のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項7】
前記第1のコース、前記第2のコース及び前記第3のコースは、連続するコースである、請求項1~6のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項8】
前記第1のコース、前記第2のコース及び前記第3のコースのそれぞれは、表編み-裏編みのステッチングパターンに従って形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項9】
前記複数の第1の糸のコースのグループのそれぞれの中間の第1のグループは、直後の第1の糸のコースのグループ及び直前の第1の糸のコースのグループと重なり、前記中間の第1のグループの前記第1のコースは、前記直後の第1のグループの前記第3のコースであり、及び前記中間の第1のグループの前記第3の糸のコースは、前記直前の第1のグループの前記第1のコースである、請求項1~8のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項10】
前記テキスタイルに一体的に編成された抵抗器部であって、
複数の第2の糸のコースのグループであって、それぞれの第2の糸のコースのグループは、
複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、
複数の第2の誘電糸のコースであって、それぞれの第2のコースは、複数の編目を含む、複数の第2の誘電糸のコースと、
複数の編目を含む第3の導電糸のコースと
を含み、
前記第1の導電糸のコースの前記複数の編目の各連続編目対の編目は、それらの間を1つ以上の誘電糸のウエールによって分離され、
前記第3の導電糸のコースの前記複数の編目の各連続編目対の編目は、それらの間を1つ以上の誘電糸のウエールによって分離され、及び
前記複数の第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び前記それぞれの第2のコースは、
前記抵抗器部が緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ
前記抵抗器部が伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、複数の第2の糸のコースのグループ
を含む抵抗器部を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項11】
前記複数の第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び前記それぞれの第2のコースは、
前記抵抗器部が前記緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ
前記抵抗器部が前記伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、請求項10に記載のテキスタイル。
【請求項12】
前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目、前記第3のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目及び前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目は、前記抵抗器部の同じウエールに沿っている、請求項10又は11に記載のテキスタイル。
【請求項13】
前記複数の第2のコースのそれぞれのヤング率に対する前記第1のコース及び前記第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である、請求項10~12のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項14】
前記抵抗器部が前記伸張状態にあるとき、前記抵抗器部は、ウエールに沿った方向に伸張される、請求項10~13のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項15】
前記第1のコース、前記複数の第2のコース及び前記第3のコースは、連続するコースである、請求項10~14のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項16】
前記第1のコース及び前記第3のコースのそれぞれは、ニット-ミス-ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンに従って形成される、請求項10~15のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項17】
前記複数の第2の糸のコースのグループのそれぞれの中間の第2のグループは、直後の第2の糸のコースのグループ及び直前の第2の糸のコースのグループと重なり、前記中間の第2のグループの前記第1のコースは、前記直後の第2のグループの前記第3のコースであり、及び前記中間の第2のグループの前記第3の糸のコースは、前記直前の第2のグループの前記第1のコースである、請求項10~16のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項18】
前記テキスタイルに一体的に編成された第1の相互接続部であって、
複数の連続する導電糸のコースであって、導電糸の各コースは、ニット-ミスのステッチングパターンに従って形成された複数の編目を含む、複数の連続する導電糸のコース
を含む第1の相互接続部を更に含む、請求項10~17のいずれか一項に記載のテキスタイル。
【請求項19】
前記テキスタイルに一体的に編成された第2の相互接続部であって、
複数の連続する導電糸のコースであって、導電糸の各コースは、ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンに従って形成された複数の編目を含む、複数の連続する導電糸のコース
を含む第2の相互接続部を更に含む、請求項18に記載のテキスタイル。
【請求項20】
前記ひずみ検知部及び前記抵抗器部は、前記第1の相互接続部及び前記第2の相互接続部の少なくとも一方に基づいて通信可能に結合されて、前記ひずみ検知部上のひずみに応じて検出された前記ひずみ検知部の抵抗の変化に基づいて、前記ひずみ検知部上の前記ひずみを測定するための回路を形成する、請求項19に記載のテキスタイル。
【請求項21】
対象の運動検知のために前記対象によって着用されるように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載のテキスタイルを含む編成ウェアラブル。
【請求項22】
ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法であって、
前記テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部を形成することであって、
複数の第1の糸のコースのグループを編成することであって、それぞれの第1の糸のコースのグループは、
複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、
複数の編目を含む第2の誘電糸のコースと、
複数の編目を含む第3の導電糸のコースと
を含み、
前記第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び
前記ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ
前記ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、編成すること
を含む、形成すること
を含む方法。
【請求項23】
前記第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び更に、
前記ひずみ検知部が前記緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触され、且つ
前記ひずみ検知部が前記伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも前記高い弾性を有するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び更に、
前記ひずみ検知部が前記緩和状態にあるとき、
前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ
前記第1のコースの前記複数の編目の各連続編目対について、前記第1のコースの前記複数の編目の前記連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触され、及び
前記ひずみ検知部が前記伸張状態にあるとき、
前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ
前記第1のコースの前記複数の編目の各連続編目対について、前記第1のコースの前記複数の編目の前記連続編目対及び前記第3のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対が、前記第2のコースの前記複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも前記高い弾性を有するように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目、前記第3のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目及び前記第2のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目は、前記ひずみ検知部の同じウエールに沿っており、及び
前記第1のコースの前記複数の編目の前記連続編目対、前記第3のコースの前記複数の編目の前記対応する連続編目対及び前記第2のコースの前記複数の編目の前記対応する連続編目対は、前記ひずみ検知部の同じウエール対に沿っている、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2のコースのヤング率に対する前記第1のコース及び前記第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ひずみ検知部が前記伸張状態にあるとき、前記ひずみ検知部は、ウエールに沿った方向に伸張される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のコース、前記第2のコース及び前記第3のコースは、連続するコースである、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のコース、前記第2のコース及び前記第3のコースのそれぞれは、表編み-裏編みのステッチングパターンに従って形成される、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の第1の糸のコースのグループのそれぞれの中間の第1のグループは、直後の第1の糸のコースのグループ及び直前の第1の糸のコースのグループと重なり、前記中間の第1のグループの前記第1のコースは、前記直後の第1のグループの前記第3のコースであり、及び前記中間の第1のグループの前記第3の糸のコースは、前記直前の第1のグループの前記第1のコースである、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記テキスタイルに一体的に編成された抵抗器部を形成することであって、
複数の第2の糸のコースのグループを編成することであって、それぞれの第2の糸のコースのグループは、
複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、
複数の第2の誘電糸のコースであって、それぞれの第2のコースは、複数の編目を含む、複数の第2の誘電糸のコースと、
複数の編目を含む第3の導電糸のコースと
を含み、
前記第1の導電糸のコースの前記複数の編目の各連続編目対の編目は、それらの間を1つ以上の誘電糸のウエールによって分離され、
前記第3の導電糸のコースの前記複数の編目の各連続編目対の編目は、それらの間を1つ以上の誘電糸のウエールによって分離され、及び
前記複数の第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び前記それぞれの第2のコースは、
前記抵抗器部が緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ
前記抵抗器部が伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、編成すること
を含む、形成することを更に含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の第2のコースは、前記第1のコースと前記第3のコースとの間に配置され、及び前記それぞれの第2のコースは、
前記抵抗器部が前記緩和状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ
前記抵抗器部が前記伸張状態にあるとき、前記第1のコースの前記複数の編目の各編目について、前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目及び前記第3のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、前記第1のコース及び前記第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のコースの前記複数の編目のうちの前記編目、前記第3のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目及び前記それぞれの第2のコースの前記複数の編目のうちの前記対応する編目は、前記抵抗器部の同じウエールに沿っている、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記複数の第2のコースのそれぞれのヤング率に対する前記第1のコース及び前記第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抵抗器部が前記伸張状態にあるとき、前記抵抗器部は、ウエールに沿った方向に伸張される、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のコース、前記複数の第2のコース及び前記第3のコースは、連続するコースである、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のコース及び前記第3のコースのそれぞれは、ニット-ミス-ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンに従って形成される、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記複数の第2の糸のコースのグループのそれぞれの中間の第2のグループは、直後の第2の糸のコースのグループ及び直前の第2の糸のコースのグループと重なり、前記中間の第2のグループの前記第1のコースは、前記直後の第2のグループの前記第3のコースであり、及び前記中間の第2のグループの前記第3の糸のコースは、前記直前の第2のグループの前記第1のコースである、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記テキスタイルに一体的に編成された第1の相互接続部を形成することであって、
複数の連続する導電糸のコースを編成することであって、導電糸の各コースは、ニット-ミスのステッチングパターンに従って形成された複数の編目を含む、編成すること
を含む、形成することを更に含む、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記テキスタイルに一体的に編成された第2の相互接続部を形成することであって、
複数の連続する導電糸のコースを編成することであって、導電糸の各コースは、ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンに従って形成された複数の編目を含む、編成すること
を含む、形成することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ひずみ検知部及び前記抵抗器部は、前記第1の相互接続部及び前記第2の相互接続部の少なくとも一方に基づいて通信可能に結合されて、前記ひずみ検知部上のひずみに応じて検出された前記ひずみ検知部の抵抗の変化に基づいて、前記ひずみ検知部上の前記ひずみを測定するための回路を形成する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ひずみ検知のためのテキスタイルを製造するための編成装置であって、
編成を実施するために1つ以上の針を制御するように構成された針コントローラと、
メモリと、
前記メモリと前記針コントローラとに通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサであって、請求項1~20のいずれか一項に記載のひずみ検知のために構成されたテキスタイルを製造する方法を実施するように構成される少なくとも1つのプロセッサと
を含む編成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月25日に出願されたシンガポール特許出願第10202101960Y号明細書及び2021年10月1日に出願されたシンガポール特許出願第10202111004S号明細書の優先権の利益を主張するものであり、これらの内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、ひずみ検知のために構成されたテキスタイル、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法及びひずみ検知のためのテキスタイルを製造するための編成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
長期連続モニタリングは、様々なヘルスケア状態を追跡するために不可欠である。これは、現在市販されている様々なウェアラブルによって可能になる。しかしながら、これらのウェアラブルデバイスのほとんどは、金属及びプラスチックなどの剛性材料で作られ、嵩張り、人の身体部位に対する順応性が制限される。これらの制限を克服する代替的製品は、ソフトなウェアラブルデバイスの開発に使用されてきたeテキスタイルであろう。
【0004】
ソフトなウェアラブルデバイスの開発に使用されるeテキスタイルは、伸縮性、通気性、低自重及びソフトな手触りを有し得、日常的なニットウェアに組み込むことができるソフトロボティクス及びソフトセンサの開発のための優れた材料選択肢としての役割を果たし得る。
【0005】
テキスタイルベースのウェアラブルは、いくつかの重要な構成要素:(a)人体の特定のパラメータを測定するためのセンサ、及び(b)信号を往復させることができる伸縮可能な電気システムのネットワークを有する。文献では、これらのファブリックベースのウェアラブルのいくつかが呼吸モニタリング、関節運動検知等のために提案されている。これらの研究のほとんどでは、検知構成要素は、着用者の外衣に手作業で縫い付けられるか又は手作業のドロップキャスト法によって作製される市販の導電性生地で作製されるため、製造の観点におけるそのスケーラビリティが大きく制限される。その上、その感度は、上を覆う市販の導電性生地の均質なパッチによって制限されることが多い。更に、伸縮可能な電気システムのネットワークの必要性に対処する研究は、限定されている。現在、既存の文献では、刺繍又は縫製技術を用いて衣服内に相互接続部及び回路部品を組み込むいくつかの例のみが報告されている。これらの手法は、重要ではあるが、下地の衣服によって制限されることの多い基材の形状及び特性(伸縮性、通気性など)に対する制御が最小限になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ひずみ検知のために構成された従来のテキスタイルの欠点の1つ以上を克服又は少なくとも改善しようとする、ひずみ検知のために構成されたテキスタイルを提供すること、より具体的にはひずみ検知においてより効果的である(例えば、より感度が高く且つより広い動作範囲を有する)、ひずみ検知のために構成されたテキスタイルを提供することに対する必要性が存在する。本発明は、このような背景で開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ひずみ検知のために構成されたテキスタイルであって、
テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部であって、
複数の第1の糸のコースのグループであって、それぞれの第1の糸のコースのグループは、
複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、
複数の編目を含む第2の誘電糸のコースと、
複数の編目を含む第3の導電糸のコースと
を含み、
第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及び
ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ
ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、複数の第1の糸のコースのグループ
を含むひずみ検知部
を含むテキスタイルが提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法であって、
テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部を形成することであって、
複数の第1の糸のコースのグループを編成することであって、それぞれの第1の糸のコースのグループは、
複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、
複数の編目を含む第2の誘電糸のコースと、
複数の編目を含む第3の導電糸のコースと
を含み、
第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及び
ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ
ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、編成すること
を含む、形成すること
を含む方法が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造するための編成装置であって、
編成を実施するために1つ以上の針を制御するように構成された針コントローラと、
メモリと、
メモリと針コントローラとに通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサであって、本発明の上記の第1の態様に記載のひずみ検知のために構成されたテキスタイルを製造する方法を実施するように構成される少なくとも1つのプロセッサと
を含む編成装置が提供される。
【0010】
本発明の実施形態は、単なる例として図面と共に以下の記述から当業者によりよく理解され、容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の様々な実施形態による、ひずみ検知のために構成されたテキスタイルの概略図を示す。
図2】様々な実施形態による、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法の概略フロー図を示す。
図3】様々な実施形態による、図1を参照して本明細書に記載されるような、ひずみ検知のために構成されたテキスタイルなどのひずみ検知のためのテキスタイルを製造するための編成装置の概略ブロック図を示す。
図4A】様々な例示的実施形態による編目の概略図を示す。
図4B】様々な例示的実施形態による、ステッチパターン内の様々な接触点を示す。
図5】様々な例示的実施形態による、導電性ループを形成する基本的なステッチタイプを示す。
図6】様々な例示的実施形態による、相互接続部を介して接続された抵抗器及びセンサを示すソフトなウェアラブル膝装具の回路図を示す。
図7A】様々な例示的実施形態による編成指示の単位セルを示す。
図7B】様々な例示的実施形態による、交互する導電糸のコース及び非導電糸のコースを含む単位セルの編目のグラフィカルシミュレーションを示す。
図8A-8B】様々な例示的実施形態による、それぞれ編成中及び編成後の静止状態における導電性ニットの編目の概略図を示す。
図9A】様々な例示的実施形態による、交互する導電性ニット及び非導電性ニットの電圧対ひずみ応答のグラフを示す。
図9B-9D】様々な例示的実施形態による、それぞれ100%ひずみ及び125%ひずみにおける、静止状態の交互する導電性ニット及び非導電性ニットの顕微鏡画像を示す。
図9A-9B】様々な例示的実施形態による、方向制御のための矩形サイクリック制御の一般的な飛行経路を示す。
図10】様々な例示的実施形態による、異なる糸材料の組み合わせを有する導電性ニット間におけるセンサの性能の比較を示す。
図11A】様々な例示的実施形態による、ミスステッチによって分離された導電性ニットのステッチを有する単位セルを示す。
図11B】様々な例示的実施形態による、導電性ニットのステッチパターンのグラフィカルシミュレーションを示す。
図12A】様々な例示的実施形態による、ニット-ミスのステッチを有するコース方向の抵抗器の概略図を示す。
図12B-12E】様々な例示的実施形態による、非導電糸で編成されたコースによって各抵抗器コースが隣接する抵抗器コースから絶縁された、抵抗器のステッチパターンのいくつかのコースの顕微鏡画像を示す。
図13】様々な例示的実施形態による、コース方向の編成抵抗器の電圧対ひずみのグラフを示す。
図14A】別の編成指示の単位セルを示す。
図14B】様々な例示的実施形態による、単位セルにおける編目のグラフィカルシミュレーションを示す。
図15A】コース方向の相互接続部の概略図を示す。
図15B-15C】様々な例示的実施形態による、それぞれ静止状態及び50%ひずみにおけるコース方向の相互接続部の顕微鏡画像を示す。
図16】様々な例示的実施形態による、コース方向の編成相互接続部の電圧対ひずみのグラフを示す。
図17A】ウエール方向の相互接続部の単位セルを示す。
図17B】様々な例示的実施形態による、導電性ニットのステッチパターンのグラフィカルシミュレーションを示す。
図18A】接触点を示すウエール方向の相互接続部の単位セルの別の概略図を示す。
図18B】静止状態におけるウエール方向の編成相互接続部内の導電性ループを示す。
図18C-18D】様々な例示的実施形態による、それぞれ相互接続部が50%ひずみ及び75%ひずみで伸張したときのループを示す。
図19】様々な例示的実施形態による、ウエール方向の編成相互接続部の電圧対ひずみのグラフを示す。
図20A-20B】様々な例示的実施形態による、ウェアラブル内のセンサ、相互接続部及び抵抗器の分布を示す膝装具の左側面図及び右側面図を示す。
図21】様々な例示的実施形態による、電気構成要素を単一の全体的なデバイスとして組み込んだ全体が編成されたソフトなウェアラブル膝装具を示す。
図22】様々な例示的実施形態による、線形繰り返しひずみ試験セットアップに取り付けられた編成導電性サンプルを示す画像及び編目の拡大図を示す。
図23】様々な例示的実施形態による、1回の負荷サイクルに関する動作範囲がどのように決定されるかを示す、1つの1×1リブサンプルの電圧-ひずみグラフを示す。
図24】様々な例示的実施形態による、各ステッチパターンのゲージファクター、動作範囲及び抵抗の測定値の平均及び標準偏差を示す表Iを示す。
図25】様々な例示的実施形態による、群平均のペアの比較の結果を示す表IIを示す。
図26A-26C】様々な例示的実施形態による、それぞれウエール方向の編成センサ、導電性生地のシングルジャージステッチパターン及び周囲の生地のパールステッチパターンの概略図を示す。
図27】様々な例示的実施形態による、センサのゲージファクター及び動作範囲に対するループ長の影響を示す。
図28】様々な例示的実施形態による、様々なステッチパターンの編成センサを示す。
図29A】様々な例示的実施形態による、シングルジャージ編成センサのステッチパターンを示す。
図29B】様々な例示的実施形態による、パール編成センサのステッチパターンを示す。
図29C】様々な例示的実施形態による、両畦編成センサのステッチパターンを示す。
図29D】様々な例示的実施形態による、片畦編成センサのステッチパターンを示す。
図29E】様々な例示的実施形態による、メッシュステッチ編成センサのステッチパターンを示す。
図29F】様々な例示的実施形態による、ピケラコステ(Pique Lacoste)ステッチ編成センサのステッチパターンを示す。
図29G】様々な例示的実施形態による、図29Aのシングルジャージ編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
図29H】様々な例示的実施形態による、図29Bの編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
図29I】様々な例示的実施形態による、図29Cの編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
図29J】様々な例示的実施形態による、図29Dの編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
図29K】様々な例示的実施形態による、図29Eの編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
図29L】様々な例示的実施形態による、図29Fの編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
図30】様々な例示的実施形態による、様々なステッチパターンで編成されたセンサのゲージファクター及び動作範囲の比較を示す。
図31A-31B】それぞれ全て導電性コースのセンサの設計及び交互する導電性コースのセンサの設計の画像を示す。
図31C】全て導電性コースのセンサと、交互する導電性コースのセンサとの間の性能の比較を示すグラフを示す。
図32A-32B】様々な例示的実施形態による膝装具の画像を示す。
図32C】様々な例示的実施形態による、無線伝送のための電気回路を備えた膝装具を示す。
図33A】様々な例示的実施形態による、ソフトな編成膝装具及びViconモーションキャプチャシステムのマーカの分布を示す。
図33B】様々な例示的実施形態による、Viconシステムによって測定された膝角度と、ソフトな編成膝装具によって測定された膝角度との間の比較を示す。
図34A-34D】様々な例示的実施形態による、それぞれセンサの取付及び接続の分解図、組み立てられたセンサ、実験セットアップ及び実験セットアップのブロック図を示す。
図35A】ソフトな編成センサの感度及び動作範囲と文献との比較を示すグラフを示す。
図35B】文献の感度及び動作範囲を示す表を示す。
図36】様々な例示的実施形態による、編成センサを糸及びステッチパターンを示す拡大図と共に示す。
図37】様々な例示的実施形態による、センサの特性評価のための実験セットアップ及び組み立てられたひずみセンサを示す。
図38A】3番目のサイクル以降のセンサの応答を示す。
図38B】様々な例示的実施形態による、周期的負荷に曝されたときのセンサの応答を示す。
図39】様々な例示的実施形態による、正規化電圧-ひずみ関係のグラフを示す。
図40A-40C】様々な例示的実施形態による、それぞれ編成膝装具及び反射マーカ、電気回路概略図及びプーリモデル概略図を示す。
図41】様々な例示的実施形態による、屈曲-伸展、ウォーキング及びジョギングにおけるViconと中央の編成膝センサとの間の角度比較を示す。
図42】様々な例示的実施形態による、ステッチタイプの別の概略図を示す。
図43】様々な例示的実施形態による、シングル針床ステッチパターン及びダブル針床ステッチパターンの概略図を示す。
図44】様々な例示的実施形態による、線形繰り返しひずみ試験セットアップに取り付けられた編成導電性サンプルを示す別の画像及び糸の拡大図を示す。
図45】様々な例示的実施形態による、ウェアラブル内のセンサ及び相互接続部の分布を示す別の膝装具の概略図を示す。
図46】様々な例示的実施形態による、ウェアラブル内のセンサ及び相互接続部の分布を示す別の膝装具の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の様々な実施形態は、ひずみ検知のために構成されたテキスタイル、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法及びひずみ検知のためのテキスタイルを製造するための編成装置を提供する。
【0013】
図1は、本発明の様々な実施形態による、ひずみ検知のために構成されたテキスタイル100の概略図を示す。テキスタイル100は、テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部であって、複数の第1の糸のコースのグループ110を含むひずみ検知部を含む。特に、それぞれの第1の糸のコースのグループ110は、複数の編目を含む第1の導電糸のコース102と、複数の編目を含む第2の誘電糸のコース104(例えば、非導電糸)と、複数の編目を含む第3の導電糸のコース106とを含む。第2のコース104は、第1のコース102と第3のコース106との間に配置され、及びひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される。
【0014】
したがって、ひずみ検知のために構成されたテキスタイル100は、テキスタイルの伸張時などのテキスタイル(特にひずみ検知部)の状態(例えば、緩和状態又は伸張状態)に応じた導電糸の接触点の形成及び切断を有利に可能にする誘電糸を含むように構成され得る。この利点若しくは技術的効果又は他の利点若しくは技術的効果は、テキスタイル100を本発明の様々な実施形態及び例示的実施形態に従ってより詳細に説明するにつれて、当業者により明らかになるであろう。
【0015】
様々な実施形態において、第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及び更に、ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の連続編目対及び第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対が、第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触され、且つひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の連続編目対及び第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対が、第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも前記高い弾性を有するように構成される。
【0016】
様々な実施形態において、第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及び更に、ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の各編目について、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つ第1のコースの複数の編目の各連続編目対について、第1のコースの複数の編目の連続編目対及び第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対が、第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触され、及びひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の各編目について、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ第1のコースの複数の編目の各連続編目対について、第1のコースの複数の編目の連続編目対及び第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対が、第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも前記高い弾性を有するように構成される。
【0017】
様々な実施形態において、第1のコースの複数の編目のうちの編目、第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目及び第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目は、ひずみ検知部の同じウエールに沿っており、及び第1のコースの複数の編目の連続編目対、第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対及び第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対は、ひずみ検知部の同じウエール対に沿っている。
【0018】
様々な実施形態において、第2のコースのヤング率に対する第1のコース及び第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である。
【0019】
様々な実施形態において、ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、ひずみ検知部は、ウエールに沿った方向に伸張される(例えば、伸張の少なくとも成分は、ウエールに沿った方向にある)。
【0020】
様々な実施形態において、第1のコース、第2のコース及び第3のコースは、連続するコースである。
【0021】
様々な実施形態において、第1のコース、第2のコース及び第3のコースのそれぞれは、表編み-裏編みのステッチングパターンに従って形成される。
【0022】
様々な実施形態において、複数の第1の糸のコースのグループのそれぞれの中間の第1のグループは、直後の第1の糸のコースのグループ及び直前の第1の糸のコースのグループと重なり、中間の第1のグループの第1のコースは、直後の第1のグループの第3のコースであり、及び中間の第1のグループの第3の糸のコースは、直前の第1のグループの第1のコースである。
【0023】
様々な実施形態において、テキスタイル100は、テキスタイルに一体的に編成された抵抗器部であって、複数の第2の糸のコースのグループを含む抵抗器部を更に含み得る。特に、それぞれの第2の糸のコースのグループは、複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、複数の第2の誘電糸のコースであって、それぞれの第2のコースは、複数の編目を含む、複数の第2の誘電糸のコースと、複数の編目を含む第3の導電糸のコースとを含み、第1の導電糸のコースの複数の編目の各連続編目対の編目は、それらの間を1つ以上の誘電糸のウエールによって分離され、第3の導電糸のコースの複数の編目の各連続編目対の編目は、それらの間を1つ以上の誘電糸のウエールによって分離される。複数の第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及び前記それぞれの第2のコースは、抵抗器部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ抵抗器部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される。
【0024】
したがって、テキスタイルは、テキスタイルの伸張時に導電糸の接触点の形成を有利に防止する誘電糸を含むように構成され得る。
【0025】
様々な実施形態において、複数の第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及び前記それぞれの第2のコースは、抵抗器部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の各編目について、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されず、且つ抵抗器部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の各編目について、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、前記それぞれの第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される。
【0026】
様々な実施形態において、第1のコースの複数の編目のうちの編目、第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目及び前記それぞれの第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目は、抵抗器部の同じウエールに沿っている。
【0027】
様々な実施形態において、複数の第2のコースのそれぞれのヤング率に対する第1のコース及び第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である。すなわち、複数の第2のコースのそれぞれに関して、第2のコースのヤング率に対する第1のコース及び第3のコースのそれぞれのヤング率の比率は、10以上である。
【0028】
様々な実施形態において、抵抗器部が伸張状態にあるとき、抵抗器部は、ウエールに沿った方向に伸張される(例えば、伸張の少なくとも成分は、ウエールに沿った方向にある)。
【0029】
様々な実施形態において、第1のコース、複数の第2のコース及び第3のコースは、連続するコースである。
【0030】
様々な実施形態において、第1のコース及び第3のコースのそれぞれは、ニット-ミス-ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンに従って形成される。
【0031】
様々な実施形態において、複数の第2の糸のコースのグループのそれぞれの中間の第2のグループは、直後の第2の糸のコースのグループ及び直前の第2の糸のコースのグループと重なり、中間の第2のグループの第1のコースは、直後の第2のグループの第3のコースであり、及び中間の第2のグループの第3の糸のコースは、直前の第2のグループの第1のコースである。
【0032】
様々な実施形態において、テキスタイル100は、テキスタイルに一体的に編成された第1の相互接続部であって、複数の連続する導電糸のコースであって、導電糸の各コースは、ニット-ミスのステッチングパターンに従って形成された複数の編目を含む、複数の連続する導電糸のコースを含む第1の相互接続部を更に含む。
【0033】
様々な実施形態において、テキスタイル100は、テキスタイルに一体的に編成された第2の相互接続部であって、複数の連続する導電糸のコースであって、導電糸の各コースは、ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンに従って形成された複数の編目を含む、複数の連続する導電糸のコースを含む第2の相互接続部を更に含む。
【0034】
したがって、テキスタイルは、テキスタイルの伸張時に導電糸の元の接触点を有利に保持する誘電糸を含むように構成され得る。
【0035】
様々な実施形態において、ひずみ検知部及び抵抗器部は、第1の相互接続部及び第2の相互接続部の少なくとも一方に基づいて通信可能に結合されて、ひずみ検知部上のひずみに応じて検出されたひずみ検知部の抵抗の変化に基づいて、ひずみ検知部上のひずみを測定するための回路を形成する。
【0036】
様々な実施形態において、上記の実施形態のいずれかに記載のテキスタイルを含む編成ウェアラブルであって、対象の運動検知のために対象によって着用されるように構成される編成ウェアラブル(例えば、対象の膝に関連する運動検知のために対象の膝部に装着される膝装具)が提供される。
【0037】
したがって、様々な実施形態は、ステッチパターンにおける電気伝導性糸と誘電糸との機械的結合により、高度に伸縮可能な導電性テキスタイルを提供し、誘電糸は、以下の手法:誘電糸がテキスタイルの伸張時に導電糸の接触点の周期的な形成及び切断を可能にすること(例えば、ひずみ検知部として構成される場合)、誘電糸がテキスタイルの伸張時に導電糸の元の接触点を保持すること(例えば、抵抗器部として構成される場合)及び/又は誘電糸がテキスタイルの伸張時に導電糸の接触点の形成を防止すること(例えば、相互接続部として構成される場合)の構成された1つにおいて、導電糸の電気接触点を制御するように機能する。
【0038】
図2は、ひずみ検知のためのテキスタイルを製造する方法200の概略フロー図を示す。方法200は、テキスタイルに一体的に編成されたひずみ検知部を形成すること(参照番号202)であって、複数の第1の糸のコースのグループを編成することであって、それぞれの第1の糸のコースのグループは、複数の編目を含む第1の導電糸のコースと、複数の編目を含む第2の誘電糸のコースと、複数の編目を含む第3の導電糸のコースとを含み、第2のコースは、第1のコースと第3のコースとの間に配置され、及びひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触され、且つひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されないように、第1のコース及び第3のコースよりも高い弾性を有するように構成される、編成することを含む、形成することを含む。
【0039】
様々な実施形態において、方法200は、図1を参照して本明細書で上記したようなひずみ検知のためのテキスタイル100を製造するためのものであり、したがって、方法200は、様々な実施形態に従って本明細書に記載されるような、ひずみ検知のために構成されたテキスタイル100の様々な構成及び/又は構成要素/部分を提供又は形成することに対応する様々な工程を更に含み得、したがって、明確且つ簡潔にするために、そのような対応する工程は、方法100に関して繰り返す必要はない。換言すれば、ひずみ検知のためのテキスタイル100に関連して本明細書に記載される様々な実施形態は、(例えば、様々な実施形態に従って本明細書に記載されるような様々な構成及び/又は構成要素/部分を有する、ひずみ検知のためのテキスタイル100を製造するための)方法200に対して同じように又は同様に有効であり、その逆も同様である。
【0040】
図3は、様々な実施形態による、図1を参照して本明細書で上記したような、ひずみ検知のために構成されたテキスタイル100など、様々な実施形態によるひずみ検知のためのテキスタイルを製造するための編成装置300(例えば、コンピュータ数値制御(CNC)編機)の概略ブロック図を示す。システム300は、メモリ302と、少なくとも1つのプロセッサ304と、編成(又は縫製)を行うための1つ以上の針を制御するように構成された針コントローラ306とを含む。少なくとも1つのプロセッサ304は、メモリ302と針コントローラ306とに通信可能に結合され、様々な実施形態による、図1を参照して本明細書で上記したようなひずみ検知のために構成されたテキスタイル100を製造する方法を実施するように構成される。
【0041】
プロセッサ304は、必要な機能又は動作を実施するためにプロセッサ304によって実行可能な命令セット(例えば、ソフトウェアモジュール)を通して必要な機能又は動作を実施するように構成され得ることが当業者に理解されるであろう。したがって、図3に示すように、編成装置300は、様々な実施形態による、図1を参照して本明細書で上記したようなひずみ検知のために構成されたテキスタイル100を製造する方法を実施するように針コントローラ306を制御するように構成された編成モジュール(又は編成回路)308を含み得る。
【0042】
上述のモジュールは、必要に応じて又は適宜、1つの機能モジュール(例えば、回路又はソフトウェアプログラム)によって実現されるか、又は1つの機能モジュール(例えば、回路又はソフトウェアプログラム)として実装され得ることが当業者に理解されるであろう。例えば、編成モジュール308は、例えば、メモリ302に格納され、プロセッサ304によって実行可能であり得る、様々な実施形態に従って本明細書に記載されるような機能/動作を実施するための実行可能なソフトウェアプログラム(例えば、ソフトウェアアプリケーション又は単に「アプリ」と呼ばれる)として実現され得る。
【0043】
例えば、様々な実施形態において、メモリ302は、様々な実施形態に従って本明細書で上記したような編成モジュール308を格納し得る。編成モジュール308は、本明細書に記載されるような対応する機能/動作を実施するためにプロセッサ304によって実行可能である。
【0044】
本開示の様々な実施形態に従い、コンピューティングシステム、コントローラ(例えば、マイクロコントローラ)又は処理能力を提供する任意の他のシステムが提供され得る。例えば、本明細書で上記した編成装置300は、例えば、本明細書に記載されるような編成装置300で実行される様々な処理で使用されるプロセッサ(又はコントローラ)304及びコンピュータ可読記憶媒体(又はメモリ)302を含み得る。様々な実施形態で使用されるメモリ又はコンピュータ可読記憶媒体は、揮発性メモリ、例えばDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)又は不揮発性メモリ、例えばPROM(プログラマブル読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能なPROM)、EEPROM(電気的に消去可能なPROM)又はフラッシュメモリ、例えばフローティングゲートメモリ、電荷トラッピングメモリ、MRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)又はPCRAM(相変化ランダムアクセスメモリ)であり得る。
【0045】
様々な実施形態において、「回路」は、あらゆる種類の論理実装エンティティと理解され得、論理実装エンティティは、メモリ、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせに格納された特別な目的の回路又はプロセッサが実行するソフトウェアであり得る。したがって、一実施形態では、「回路」は、ハードワイヤード論理回路又はプログラム可能なプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ(例えば、複合命令セットコンピュータ(CISC)プロセッサ若しくは縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ)などのプログラム可能な論理回路であり得る。「回路」は、プロセッサが実行するソフトウェア、例えばいずれかの種類のコンピュータプログラム、例えばJavaなどの仮想マシンコードを用いたコンピュータプログラムでもあり得る。以下でより詳細に説明する各々の機能の任意の他の種類の実装も様々な代替的な実施形態に従って「回路」として理解され得る。同様に、「モジュール」は、本発明の様々な実施形態によるシステムの一部であり得、上記のような「回路」を包含し得るか、又はそれからの任意の種類の論理実装エンティティであると理解され得る。
【0046】
本開示のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータに対する操作のアルゴリズム及び機能的又は記号的表現の観点から明示的又は暗示的に提示される。これらのアルゴリズム的記述及び機能的又は記号的表現は、データ処理技術の当業者が自らの作業の実体を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。アルゴリズムとは、ここでは且つ一般に、所望の結果に導く自己矛盾のない一連の工程であると考えられる。工程は、記憶、伝達、結合、比較及び他の操作が可能な電気信号、磁気信号又は光学信号などの物理量の物理的操作を必要とするものである。
【0047】
更に、本明細書は、本明細書に記載される方法の個々の工程がコンピュータコードによって実行され得ることが当業者に明らかであろう点において、コンピュータプログラム又はソフトウェア/機能モジュールを少なくとも暗示的に開示する。コンピュータプログラムは、任意の特定のプログラミング言語及びその実装に限定されることを意図するものではない。本明細書に含まれる本開示の教示を実施するために、様々なプログラミング言語及びそのコーディングが使用され得ることが理解されるであろう。更に、コンピュータプログラムは、任意の特定の制御フローに限定されることを意図するものではない。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、異なる制御フローを使用することができるコンピュータプログラムの他の多くの変形形態が存在する。例えば、編成モジュール308は、必要な機能を実施するためにコンピュータプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム若しくは命令セットによって実現されるソフトウェアモジュールであり得るか、又は必要な機能を実施するように設計された機能ハードウェアユニットであるハードウェアモジュールであり得ることが当業者に理解されるであろう。ハードウェアモジュールとソフトウェアモジュールとの組み合わせが実装され得ることも理解されるであろう。
【0048】
更に、本明細書に記載されるコンピュータプログラム/モジュール又は方法の工程の1つ以上は、逐次的ではなく、並列で実施され得る。このようなコンピュータプログラムは、任意のコンピュータ可読媒体に格納され得る。コンピュータ可読媒体としては、磁気ディスク又は光ディスク、メモリチップなどの記憶デバイス又はコンピュータプロセッサとのインターフェースに適した他の記憶デバイスが挙げられ得る。コンピュータプログラムがこのようなコンピュータプロセッサにロードされ、実行されると、本明細書に記載される方法の1つ以上の工程を実施する装置又はデバイスが効果的にもたらされる。
【0049】
本明細書に記載されるソフトウェア又は機能モジュールは、ハードウェアモジュールとしても実装され得る。より具体的には、ハードウェアの意味において、モジュールは、他のコンポーネント又はモジュールと共に使用するように設計された機能ハードウェアユニットである。例えば、モジュールは、個別の電子部品を使用して実装され得るか、又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの電子回路全体の一部を形成することができる。他の多くの可能性が存在する。当業者であれば、本明細書に記載されるソフトウェア又は機能モジュールがハードウェアモジュールとソフトウェアモジュールとの組み合わせとしても実装され得ることを理解するであろう。
【0050】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明するためのみのものであり、本発明を限定することを意図するものではないことが当業者に理解されるであろう。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈で明確な指示のない限り、複数形も含むことが意図される。更に、本明細書で使用される場合、用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、明記された特徴、整数、工程、操作、要素及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるであろう。
【0051】
本明細書における「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素又は特徴に言及する場合、記載又は文脈上で必要とされない限り、そのような要素又は特徴の量又は順序を必ずしも限定するものではない。例えば、そのような呼称は、2つ以上の要素又は要素のインスタンス間を区別する便利な手法として本明細書で使用されることがある。したがって、記載又は文脈上で必要とされない限り、第1及び第2の要素への言及は、2つの要素のみが用いられ得ること又は第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを必ずしも意味するものではない。更に、項目のリスト「の少なくとも1つ」に言及する語句は、その中の任意の1つの項目又はその中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0052】
本発明が容易に理解され、実行に移され得るように、本発明の様々な例示的実施形態を以下で限定することなく単なる例として説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態又は構成で具現化され得、以下に説明する例示的実施形態に限定されるものと解釈されるべきではないことが当業者に理解されるであろう。むしろ、これらの例示的実施形態は、本開示が十分且つ完全であり、本発明の範囲を当業者に対して十分に伝えるように提供される。
【0053】
様々な例示的実施形態は、全体が編成されたソフトなウェアラブルにシームレスに組み込まれた伸縮可能回路を提供する。
【0054】
テキスタイルベースのソフトなウェアラブルは、高い伸縮性、通気性及びソフトな手触りを有し得、検知機能の開発及びソフトなウェアラブルへの組み込みのためのプラットフォームを提供し得る。ソフトなウェアラブルの構成要素は、(a)センサ、及び(b)信号を往復させる伸縮可能な電気構成要素のネットワークを含み得る。テキスタイルウェアラブルにおいて検知性能と電気回路との両方を示す既存の研究の大半では、縫製又は刺繍技術を用いて導電性生地又は導電糸を外側に組み込むことにより、これを実現している。その結果、センサ及び他の電気構成要素の電気的特性及び機械的特性は、多くの場合、その上にある導電性生地又は導電糸によって限定される。本発明の様々な実施形態によれば、編成された伸縮可能な導電性ニットが提供され、その巨視的電気的特性及び機械的特性は、糸の特性をマイクロスケールで変化させ、且つ単位セル内のステッチタイプの配置をメソスケールで変化させることによって調整され得る。単位セル内の糸及びステッチタイプの適切な配置により、ひずみに応じて電気抵抗の無視できるほどの変化を示す相互接続部及び抵抗器などの電気構成要素が編み込まれる。相互接続部は、140%までのひずみに対して、約0.4オームの非常に低い初期抵抗及び電圧の無視できるほどの変化を示し、抵抗器は、250%までのひずみで伸張された場合、25.71オームのその初期抵抗から約2.5オームの小さい変化を示す。高い感度(例えば、約8.96のゲージファクター)及び動作範囲(例えば、約68%)の伸縮可能なひずみセンサも様々な実施形態に従って開発されている。様々な例示的実施形態において、ひずみセンサ、抵抗器及び相互接続部は、関節運動検知のためのソフトなウェアラブル膝装具内の単一の全体的な部品として分布及び編成されている。抵抗器及び相互接続部など、編成される伸縮可能な電気構成要素のネットワークの開発及び編成導電性生地の単一片を形成する他の検知構成要素とのそれらの統合は、これまで示されていない。
【0055】
様々な例示によれば、あらゆる種類のソフトなウェアラブルのための全体が編成された伸縮可能回路が提供され得る。いくつかの例としては、運動検知(例えば、人間の関節又は他の可動部分)、生理学的信号(例えば、呼吸及び心拍数)のモニタリング、ヘルスケア状態の予後、疾患経過の追跡、リハビリテーション、姿勢追跡、言語障害の検知、ジェスチャ認識等のためのソフトなウェアラブルが挙げられる。
【0056】
様々な例示的実施形態は、コンピュータ数値制御(CNC)編成技術を使用して、導電性生地の幾何学的特性及び材料特性を変化させることにより、単一のニットとして最初から設計され得るウェアラブルデバイスを提供する。CNC(コンピュータ数値制御)編機は、複数の糸を様々なステッチパターン及びステッチ密度で任意の3D形状の単一テキスタイルにシームレスに組み込むことができるため、マルチマテリアル3Dプリンタに類似している。これにより、オーダーメイドのテキスタイルが単一の製造工程で作成され、裁断又は縫製などの後処理方法の必要性が最小限になる。編成導電性テキスタイルに関する以前の研究のほとんどでは、その抵抗を予測するための電気機械的モデルを開発すること又は導電性ニットの感度に対する編成パラメータの影響を調査することのいずれかにより、導電性ニットの電気機械的応答の背後にある物理を理解することに焦点が当てられてきた。いくつかの研究では、検知用途のための電気的に伝導性のテキスタイルの接触抵抗を最適化するための方法が提案されている。しかしながら、相互接続部及び抵抗器など、伸縮可能な電気構成要素の開発及び全体が編成されたソフトなウェアラブルへのそれらの組み込みは、これまで示されていない。埋め込み式のソフトな編成ウェアラブルの単一の全体的なニットでの開発に関する研究は、限定されている。
【0057】
様々な例示的実施形態において、(a)センサ、及び(b)相互接続部及び抵抗器のネットワークの高度に伸縮可能な編成電気構成要素並びに全体が編成されたソフトなウェアラブル、例えば関節運動検知のための膝装具へのそれらの組み込みが提供される。センサの望ましい特性並びに相互接続部又は抵抗器の望ましい特性は、ひずみセンサが、感度を高めるために、抵抗の大きい変化を生じさせることが好ましい点で非常に対照的である。一方、相互接続部又は抵抗器は、伸張するときに伝送される信号に対して無視できるほどの抵抗の変化を生じさせるべきである。更に、抵抗器は、より高い抵抗を有し得るが、相互接続部は、できるだけ小さい抵抗を有し得る。これらの大きく異なる電気機械的応答を、基礎となる糸及びステッチパターンのバリエーションの組み合わせによって導電性ニットの巨視的電気的特性を局所的に変化させることにより、同じ導電性生地内で得ることができる。
【0058】
導電性ニットの抵抗変化の原理
様々な例示的実施形態によれば、用いられる導電糸(例えば、ナイロン糸)は、それ自体では無視できるほどの伸縮性を示し、したがってこの糸を単独で伸縮させた場合に抵抗の限定的な変化を示す。しかしながら、この糸から形成される導電性ニットは、ループ構造の幾何学的形状及び接触抵抗を調整することにより、高い伸縮性と共に所望の抵抗変化を伴うように設計され得る。ニットが伸張すると、ループが互いに引っ張られ、これによりループが伸びて、それらの接触点が再構成される。Holm,R.,Electric contacts:theory and application.2013:Springer Science&Business Mediaに記載されるホルムの接触理論によれば、2つの導電性電極間の接触抵抗は、
【数1】
によって与えられ、式中、ρは、材料の抵抗率であり、Hは、材料の硬度であり、nは、接触点の数であり、及びPは、接触圧力である。硬度及び抵抗率は、変化しない材料特性である。しかしながら、伸張時、接触抵抗は、接触点の数及び接触圧力の変化によって変化する。
【0059】
図4Aは、様々な例示的実施形態による編目の概略図を示す。より具体的には、図4Aは、単純なパールステッチパターンの導電性ニットにおける単一の編目の構造を示す。図4Bは、静止状態におけるいくつかの編目の配置を示す。導電性生地の単一行は、コースと呼ばれ、単一列は、ウエールと呼ばれる。より具体的には、図4Bは、ステッチパターン内の様々な接触点を示す。ループは、噛み合った構造で編成されるため、コース(行)とウエール(列)とが互いに接する複数の接触点が存在する。編成導電性生地の巨視的電気的特性は、マイクロスケールでの糸材料の特性及びメソスケールでの編目のステッチパターンに依存することが理解される。所与の導電糸に関して、編地の電気的特性は、3つの因子:1)編目(又はステッチパターン)の幾何学的形状、2)ステッチ密度、及び3)接触抵抗に依存し得る。編目は、Tan,Ying Yi,“Graded Knit Skins:Design&Fabrication of Modular Membrane Facade Panels Using Bespoke Multi-Material Knitted Textiles Shaped by Bendable Rod Assemblies”,2020,PhD Thesis,Singapore University of Technology and Design:Singapore(https://sutd.primo.exlibrisgroup.com/permalink/65SUTD_INST/19hmrhl/alma999583164602406)に記載されるように様々なステッチパターンで配置され、更にループのステッチ密度を制御することにより変化させることができる。これにより、基礎となる糸材料、ステッチパターン及びステッチ密度によって編地の電気的特性を制御する固有の機能が提供され、したがって所望の機能のためにその物理的特性を最適化する方法が提供される。
【0060】
導電性編地の設計のこの柔軟性により、単一の編物片は、大きく変化する電気的特性及び機械的特性を有することができる。例えば、様々な例示的実施形態は、適切な糸とステッチパターンとの組み合わせを使用することにより、導電性生地をひずみセンサ、抵抗器又は相互接続部として設計できることを示す。様々な例示的実施形態は、これらの3つの構成要素を単一の編成されたソフトなウェアラブル片内に1回の編成作業で分布させ得ることを更に示す。
【0061】
伸縮可能回路:センサ、抵抗器及び相互接続部
上記のように、ホルムの理論は、接触抵抗と、接触点の数及び接触圧力変化との間の関係を与える。したがって、ステッチパターンに関して、接触点の数が多いほど、接触抵抗が低くなり、その逆も同様である。図5は、導電性ループを形成する基本的なステッチタイプを示す。より具体的には、図5は、組み合わされてステッチパターンを形成する、ニットステッチ、タックステッチ及びミスステッチなどの3つの基本的なステッチタイプを示す。ステッチパターンは、編成指示の単位セルであり、これらが周期的に繰り返されて編地が形成される。これらの基本的なステッチタイプは、ステッチパターンの基礎を形成するため、その配置は、導電性ニットの結果として生じる電気抵抗の決定において重要な役割を果たす。図5に示されるステッチタイプを有する導電性ニットに関して、ニットステッチ及びタックステッチの両方は、隣接するループ間に相当数の接触点をもたらすが、ミスステッチでは接触点の数が最少である。したがって、概して、全て導電性のニット内のニットステッチ及びタックステッチの数が増加するにつれて、導電性生地の全体的な抵抗が減少する。しかしながら、Liu,Su,“A study of the influence of different structures on resistivity of conductive knitted fabrics”.2017,PhD thesis,Hong Kong Polytechnic University(https://theses.lib.polyu.edu.hk/handle/200/8928)に記載されるように、接触点は、単位セル内のミスステッチに対する他のステッチタイプの配置にも依存するため、ミスステッチに関して一般化することができない。対照的に、全体的な抵抗を増加させるために、導電性ループを非導電性ループによって分離することができるか、又は代わりに隣接する導電性ループをミスステッチによって分離することができ、その結果、導電性ループ間の接触点の数が減少する。したがって、これらの例から、単位セルの設計における異なるステッチタイプの自由な分布及び糸の適切な組み合わせ(導電性及び非導電性(又は誘電性)の両方)により、導電性ニット内の接触点の分布を制御し、したがってその全体的な抵抗を制御するための特徴的な手法を提供する。様々な例示的実施形態に従い、同一導電性ニット内でそれぞれ相互接続部、抵抗器及びセンサとして使用される3つの異なるステッチパターンを説明する。したがって、抵抗器、センサ及び相互接続部は、図6に示される回路図に従い、ニットの単一の全体的な部品として分布及び編成され、非限定的な例において、関節運動検知のためのソフトなウェアラブル膝装具を形成する。より具体的には、図6は、様々な例示的実施形態による、相互接続部を介して接続された抵抗器及びセンサを示すソフトなウェアラブル膝装具の回路図を示す。
【0062】
ひずみセンサ
ひずみセンサに関して、センサは、伸縮させたときに抵抗の顕著な変化を示すことが望ましい。導電性ニットの接触点における接触抵抗は、その全体的な抵抗に大きい影響を及ぼす。したがって、導電性ニットの単位セル内における糸及びステッチタイプの標的分布により、接触点の数及び伸縮に応じたそれらの挙動を調整することができる。したがって、センサの感度を調整することができる。図7Aは、様々な例示的実施形態による編成指示の単位セルを示す。ステッチタイプの観点において、交互する表編み及び裏編みのウエールが単位セル内に配置される。図7Bは、交互する導電糸のコースと非導電糸のコースとを含む単位セルの編目のグラフィカルシミュレーションを示す。より具体的には、図7Bは、ウエール方向のひずみセンサのステッチパターンのグラフィカルシミュレーションを示す。灰色の線は、導電糸を示し、白色の線は、非導電糸(様々な実施形態に従って本明細書で上記したような誘電糸に相当する)を示す。表編みのみ又は裏編みのみのウエールを有するニットと比較して、表編みと裏編みとの交互配置(様々な実施形態に従って本明細書で上記したような「表編み-裏編みのステッチングパターン」に相当する)により、編成導電性生地を幅方向に折り返すことが可能になり、その結果、静止状態において表編みと裏編みとが部分的に重ね合わされる。図8A図8Bは、それぞれ編成プロセス中及び静止状態の表編み(濃い)及び裏編み(薄い)の概略図を示す。糸の観点において、単位セル内における導電糸と非導電糸との異なる分布を目標とし得る。より具体的には、図8A図8Bは、それぞれ編成中及び編成後の静止状態における導電性ニットの編目の概略図を示す。糸810は、導電糸を示し、糸820は、非導電糸を示す。
【0063】
図9Aは、交互する導電性ニット及び非導電性ニットの電圧対ひずみ応答のグラフを示す。より具体的には、図9Aは、伸縮時の、交互する導電性コースと非導電性コースとを有する組み合わせにおけるひずみセンサの電圧の変化を示す。見て分かるように、電圧は、最初に増加(動作範囲)し、その後、あるひずみ値の後に一定になる。これは、最初に、導電性ループがコース方向及びウエール方向の両方において互いに離れ、その結果、接触圧力の低下がもたらされ、最終的に接触点が切断されるためである。センサの更なる伸張により、ループがより長く、細くなり、新たな接触点が作られることはない。
【0064】
図9B図9Dは、それぞれ100%ひずみ及び125%ひずみにおける、静止状態の交互する導電性ニット及び非導電性ニットの顕微鏡画像を示す。図9Bは、静止状態におけるループの前面の配置を示す。見て分かるように、表側のウエールは、互いに押し合わされ、導電性編目の頭部が密接する。同様に、最も近い導電性コースの足部及び頭部が互いに接触する。センサが伸張するにつれて、最も近いコースが互いに離れ始め、表側のウエール(及び裏側のウエール)も離れ始める。図9Cは、100%ひずみまで伸張させたときの互いに離れたコースを示す。125%ひずみまで更に伸張させると、図9Dに示すように、ウエールの接触点が切断される。接触点の数及び接触圧力はひずみの増加に伴って変化するため、接触抵抗、したがって生地の全体的な抵抗の増加がもたらされる。
【0065】
様々な例示的実施形態において、超弾性誘電糸は、単位セル内の導電糸の隣接するコース間に交互に配される。緩和状態において、最も近い導電性ウエール及びコースは、誘電糸の高い弾性力により密接する。生地が伸張するにつれて、超弾性誘電糸のループは、大きく伸張する一方、またより長く、細くなる。導電糸ループは、その低い弾性によりほとんど伸張せずに長く細くなるため、ウエール方向の接触及びコース方向の接触が切断される(図9C及び図9D)。このサイクルは、生地が周期的に伸張されるときに繰り返される。
【0066】
図10は、異なる糸材料の組み合わせを有する導電性ニット間におけるセンサの性能の比較を示す。より具体的には、図10は、全て導電性コースのセンサを有する単位セルと、交互する導電性コースのセンサを有する単位セルとの間の性能の比較を示すグラフを示す。第1のケースにおいて、単位セルは、全て導電性コースからなる。第2のニット及び第3のニットは、交互する導電糸のコースと非導電糸のコースとを有する単位セルからなるが、第2のニットでは、より低弾性のアクリル糸(ARL)が非導電糸として用いられ、第3のニットでは、導電性コースを分離するために、高度に伸縮可能なエアカバースパンデックス(ACY)糸が用いられる。図10から分かるように、交互する導電性コースのセンサのゲージファクター1022及び動作範囲1024は、全て導電性コースのセンサよりも大幅に高い。これは、全て導電性コースのニットでは、導電性ループが互いに強固に噛み合い、伸張させたときに切断される可能性のある接触点が少ないためである。これに対して、非導電糸の交互するコースを有する単位セルは、伸張させたときに切断される(例えば、接触点をもはや形成しない)可能性のある接触点の数が多い(例えば、様々な実施形態に従って本明細書で上記したような「第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されない」ことに相当する)。これにより、導電性コースが非導電性アクリル糸によって分離される場合に2.4倍も増加するゲージファクターから明らかなように、抵抗のより大きい変化及びより高い感度がもたらされる。伸張時における接触点のより良好な分離は、全て導電性コースと比較してセンサの感度の5.52倍の増加及び動作範囲の1.86倍の増加をもたらす、高度に伸縮可能なエアカバースパンデックス糸(ACY)を使用することにより得られる。これは、ACYなどの高弾性糸が、その弾性的な引張りにより、静止状態における最も近い導電性コース及びウエール間の良好な接触を確実にする(例えば、様々な実施形態に従って本明細書で上記したような「ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触する」こと及び「ひずみ検知部が緩和状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の連続編目対及び第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対が、第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触する」ことに相当する)ためである。しかしながら、ACYなどの高弾性糸は、その高い伸縮性のために、伸張させたとき、同時に導電性コース間のより良好な分離を可能にする(例えば、様々な実施形態に従って本明細書で上記したような「ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目のうちの編目及び第3のコースの複数の編目のうちの対応する編目が、第2のコースの複数の編目のうちの対応する編目によって互いに接触されない」こと及び「ひずみ検知部が伸張状態にあるとき、第1のコースの複数の編目の連続編目対及び第3のコースの複数の編目の対応する連続編目対が、第2のコースの複数の編目の対応する連続編目対によって互いに接触されない」ことに相当する)。
【0067】
抵抗器
様々な例示的実施形態によれば、図6に示すように、センサにわたる電圧差を読み取るために、固定抵抗器とセンサとを備えた単純な分圧回路が使用され得る。回路が確実に機能するために、抵抗器は、伸縮下で既知の固定抵抗を維持することが望ましい。糸間のあらゆる接触は、その全体的な抵抗の低下につながるため、導電糸の抵抗率は、導電性ニットの全体的な抵抗率に上限を課すことに留意されたい。抵抗器を直線、例えばインレーとして設計すると、抵抗器の長さが減少し、その伸縮性も損なわれる。伸縮下で伸縮性と一貫した性能との両方を達成するために、導電性ニットのステッチを導電性生地の単位セル内で互い違いに配し得る。タックステッチを互い違いに配することは、多数のタックステッチを編成する際の信頼性の課題から回避される。図11Aは、編成指示の単位セルを示す。より具体的には、図11Aは、ミスステッチによって分離された導電性ニットのステッチを有する単位セルを示す。図示のように、図11Aは、ニット-ミス-ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンを含む。図11Bは、導電性ニットのステッチパターンのグラフィカルシミュレーションを示す。灰色の線は、導電糸を示し、白色の線は、非導電糸を示す。より具体的には、図11Bは、単位セルにおける編目のグラフィカルシミュレーションを示す。見て分かるように、導電性ニットのステッチ(灰色)は、非導電の周囲糸(白)によって分離される。
【0068】
導電性生地内の抵抗器は、伸縮下で既知の固定抵抗を維持することが望ましい。糸間のあらゆる接触は、その全体的な抵抗の低下につながるため、導電糸の抵抗率は、導電性ニットの全体的な抵抗率に上限を課すことに留意することも重要である。抵抗器を直線、例えばインレーとして設計すると、抵抗器の長さが減少し、その伸縮性も損なわれる。伸縮下で伸縮性と抵抗器の一貫した性能との両方を達成するために、導電性ニットのステッチは、図12Aに示される導電性生地の単位セル内に示されるように、コースとウエールとの両方で超弾性誘電糸により分離される。
【0069】
図12Aは、互い違いに配されたニットステッチを有するコース方向の抵抗器の概略図を示す。より具体的には、図12Aは、ニット-ミスのステッチを有するコース方向の抵抗器の概略図を示す。図12B図12Eは、非導電糸で編成されたコースにより、各抵抗器コースが隣接する抵抗器コースから絶縁された、抵抗器のステッチパターンのいくつかのコースの顕微鏡画像を示す。図12Bは、静止状態のコース方向の抵抗器を周囲光下で示す。次いで、サンプルは、図12Cに示すように、青色LED光のストリップでバックライト点灯させる(バックライト点灯状態)。青色光の吸収の差により、下にあるループの幾何学的形状をある程度見ることができる。図12D図12Eは、50%ひずみにおける抵抗器の伸張状態をそれぞれ周囲光下及びバックライト点灯状態で示す。図12C図12Eにおいて、ループの頭部及び脚部は、静止状態と伸張状態との両方で十分に分離されたままであることが分かる。更に、導電糸は、伸張させたときに直線になる傾向があるため、ニットステッチは、抵抗器の伸縮性を向上させるのに役立つ。
【0070】
図13は、コース方向の編成抵抗器の電圧対ひずみのグラフを示す。抵抗器の平均抵抗は、約25.71オームであることが判明している。抵抗器を250%超のひずみまで伸張させた場合でも、約2.5オームの小さい抵抗の変化を示す。
【0071】
相互接続部
相互接続部は、信号を往復送信し、電気回路のネットワークを形成する電気構成要素である。伸縮可能な相互接続部の要件のいくつかは、第1に、伝送される信号の変化を最小限にするための低い抵抗、第2に、伸縮させたときの無視できるほどの抵抗の変化である。これに対処するために、より多数の接触点を有する単位セルと共に高導電糸を使用して、生地の全体的な抵抗を低下させ得る。
【0072】
コース方向の編成相互接続部及びウエール方向の編成相互接続部の両方について説明する。コース方向の編成相互接続部は、水平接続を設けるように設計され得、ウエール方向の編成相互接続部は、垂直接続を設けるように設計され得る。
【0073】
コース方向の相互接続部
これまでの結果から、噛み合ったループ構造により、伸縮させたときに抵抗の変化が小さくなることに留意されたい。更に、全て導電性のニットステッチとミスステッチとの組み合わせを有する単位セルでは、ニットステッチのみを有する単位セルと比較して接触点の数が増加する。様々な例示的実施形態によれば、コース方向の相互接続部に関して、図14Aに示すように、全て導電性のニットステッチ及びミスステッチを用い得る。より具体的には、図14Aは、編成指示の単位セルを示す。図14Aは、ニット-ミスのステッチングパターンを示す。図14Bは、単位セルにおける編目のグラフィカルシミュレーションを示す。より具体的には、図14Bは、導電性ニットのステッチパターンのグラフィカルシミュレーションを示す。見て分かるように、全ての隣接するウエール及びコースは、導電糸(灰色)で編成される。更に、編目の下部のミスステッチは、隣接するコース及びウエール間の接触の強化をもたらす。図15Aは、接触点を示す単位セルの概略図を示す。より具体的には、図15Aは、コース方向の相互接続部の概略図を示す。図15B図15Cは、それぞれ静止状態及び50%ひずみにおけるコース方向の相互接続部の顕微鏡画像を示す。より具体的には、図15Bは、静止状態におけるコース方向の編成相互接続部の編目を示す。見て分かるように、これは、隣接するウエールの頭部間の最小限の接触を示す。図15Cは、50%ひずみにおける編目の伸張状態を示す。ウエールは、コース方向の伸張に応じて更に離れることが分かる。
【0074】
図16は、コース方向の編成相互接続部の電圧対ひずみのグラフを示す。導電糸の高い導電率及び接触点の数の最小限の変化により、非常に低い抵抗及び抵抗変化が認められる。相互接続部の平均初期抵抗は、約0.4オームであることが判明している。相互接続部を140%まで伸張させる際、相互接続部は、無視できるほどの抵抗の変化を示す。
【0075】
ウエール方向の相互接続部
図17Aは、ウエール方向の相互接続部の単位セルを示す。より具体的には、図17Aは、編成指示の単位セルを示す。図17Bの編目のグラフィカルシミュレーションによって示されるように、相互接続部は、ニット及び目移しを伴うミスのステッチの全て導電性コース(灰色)(例えば、様々な実施形態に従って本明細書で上記したような「ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターン」に相当する)を有する。より具体的には、図17Bは、導電性ニットのステッチパターンのグラフィカルシミュレーションを示す。灰色の線は、導電糸を示し、白色の線は、非導電糸を示す。目移しを伴うミスのステッチは、生地のテクニカル面上にミスステッチの浮き糸が現れるように、ミスステッチの前で針ループを反対側の針床に移すことによって作られる。相互接続部は、周囲の生地(白色)に組み込まれる。
【0076】
導電性生地内で信号を伝送するための媒体として機能する相互接続部は、生地と共に伸縮することが望ましいが、伝送される信号の変化を最小限にするために、伸縮させたときの抵抗の変化は、無視できるほどであるべきである。高導電糸を、より多数の接触点を有する単位セルと共に使用して、生地の全体的な抵抗を低下させ得る。相互接続部は、周囲の生地(白色)としての超弾性誘電糸に組み込まれる。図18Aは、接触点を示すウエール方向の相互接続部の単位セルの概略図を示す。見て分かるように、ミスステッチにより、隣接するウエール及びコース間の接触点の数が増加する。図18Bは、静止状態におけるウエール方向の編成相互接続部内の導電性ループを示す。導電性ループは、静止状態において、超弾性誘電糸の高い弾性力により押し合わされる。図18C及び図18Dは、それぞれ相互接続部が50%ひずみ及び75%ひずみで伸張したときのループを示す。見て分かるように、相互接続部がウエールに沿った方向に伸張した場合、隣接するウエールが近づき、良好な接触を確実にする。
【0077】
図19は、ウエール方向の編成相互接続部の電圧対ひずみのグラフを示す。非常に低い抵抗及び抵抗変化が認められる。相互接続部の平均初期抵抗は、約0.3オームであることが判明している。相互接続部を100%ひずみまで伸張させる際、相互接続部は、無視できるほどの抵抗の変化を示す。
【0078】
例示的用途:ソフトで伸縮可能な膝装具
様々な例示によれば、上述の電気構成要素は、CNC(コンピュータ数値制御)編機にプログラムされ、ソフトで伸縮可能なウェアラブル、例えば膝装具上に分布され得る。膝装具は、管状の形状であり、膝装具を使用者の膝の形状に適応させることができるように、伸縮性のための弾性スパンデックス糸で編成される。図20A図20Bは、ウェアラブル内のセンサ、相互接続部及び抵抗器の分布を示す膝装具の左側面図及び右側面図を示す。図20A図20Bに示すように、ひずみセンサは、変形を測定し、信号を相互接続部に伝送し、相互接続部は、この信号を、アナログデジタル変換器(ADC)と無線送信機とを有する回路基板に更に伝達する。編成抵抗器は、分圧器として使用され、したがって回路を完成させる。このウェアラブルにより、膝関節の動きが効果的に検知され、スマートフォン又は他のデバイスに無線で伝送され得る。
【0079】
膝装具の材料及び編成構造
様々な例示によれば、膝装具の大部分は、図21に示すように、白スパンデックスエアカバー糸(例えば、100Dスパンデックスと300DポリエステルDTY)から編成される。より具体的には、図21は、電気構成要素を単一の全体的なデバイスとして組み込んだ全体が編成されたソフトなウェアラブル膝装具を示す。例えば、編成されたソフトなウェアラブル膝装具は、縁が平らになり、カーリングを抑制するように、パール(ガーター)ステッチパターンで編成される。
【0080】
ウエール方向のひずみセンサ
ウエール方向のひずみセンサは、使用者が膝を曲げるときにセンサが大きいひずみを受けるように、膝の中央に沿って位置する。ひずみセンサは、2本の糸(導電性の銀コーティングポリアミド糸及び膝装具の残りの部分を編成するために使用されるものと同じ非導電性のスパンデックスエアカバー糸)で1×1リブステッチパターンを使用して編成される。この組み合わせにより、ひずみセンサが、膝関節の曲げを正確に検知することができるように、高いゲージファクター及び広い動作範囲を有することを可能にする。
【0081】
相互接続部
相互接続部は、非常に低い抵抗を有する銀クラッドを備えたPBO糸で編成される。コース方向の相互接続部は、ニット-ミスで編成され、ウエール方向の相互接続部は、リネンステッチで編成される。なぜなら、これらの2つのステッチパターンは、それぞれコース方向及びウエール方向に伸縮させたときに低いゲージファクターを有することが判明しているためである。低い抵抗と低いゲージファクターとの組み合わせは、相互接続部が、ひずみを問わず、低く且つ一定の抵抗を有することを意味する。
【0082】
抵抗器
抵抗器は、ひずみセンサを編成するために使用したものと同じ導電性の銀コーティングポリアミド糸で編成される。抵抗器が伸張したときの抵抗を増加させ、接触抵抗の変化を減少させるために、抵抗器は、導電糸ループ間に最小限の接触点を有するニット-ミス-ニット-目移しを伴うミスのステッチングパターンで編成される。回路に必要な抵抗を実現するために、抵抗器の複数のコースを、長さ、したがって抵抗を増加させるように編成することができる。
【0083】
プリント回路基板(PCB)への接続
様々な例示によれば、PCBに接続するために、ポケットが膝装具にシームレスに編み込まれる。編成相互接続部は、ポケットの外面上に編成され、PCBのグラウンド、電源及び信号ピン/パッチは、PCBがポケットに挿入されると、編成相互接続部に接触することができる。
【0084】
導電性生地(CF)又はeテキスタイル製のウェアラブルは、関節運動検知、呼吸モニタリングなどを含むいくつかの検知用途で関心が高まっている。これら用途のほとんどでは、CFは、その高い弾性特性のためにピエゾ抵抗センサで設計され、伸張されると固有の抵抗変化を呈する。これらのCFベースのセンサは、軽量で非侵襲的であり、衣服に組み込むことができ、着用者により高い快適性を提供する。これらの利点により、長期の連続的な検知又はモニタリングのためのCFセンサの潜在的な使用が可能になる。
【0085】
しかしながら、既存の手法では、CFを縫製又は熱溶着等の手作業の手法によって使用者の衣服又は他の基材に外から取り付ける必要がある。これにより、CFベースのセンサは、特定の位置からずれて置かれた場合にエラーになりやすい。更に、センサの感度も、多くの場合、上を覆うCFの均質なパッチによって制限される。
【0086】
縫製及び熱溶着の他に、eテキスタイルを他の電子部品と共にテキスタイル基材上に組み合わせるための代替として刺繍技術も使用されてきた。刺繍技術を使用して電子部品と導電糸とを組み込むテキスタイル回路基板の設計の試みは、あまりなされていない。刺繍技術を使用し、回路部品を、着用者の衣服の外側に組み込むことによって組み込み得るが、これらの手法では、下地の衣服によって制限されることの多い基材の形状及び特性(伸縮性、通気性など)に対する制御が最小限になる。
【0087】
この制限を克服するために、本発明の様々な例示的実施形態は、単一の全体的な編物片として形成された、シームレスに組み込まれたテキスタイルひずみセンサ、抵抗器及び相互接続部を有するソフトなウェアラブルを提供する。説明したように、センサ、抵抗器及び相互接続部の望ましい電気的特性は、非常に対照的であり、これは、マイクロスケールでの基礎となる糸のバリエーションと、メソスケールでのステッチパターンのバリエーションとの組み合わせによって導電性ニットの巨視的電気的特性を局所的に変化させることにより、単一の導電性ニットにおいて達成される。単位セル内の糸及びステッチタイプの適切な配置により、ひずみに応じて電気抵抗の無視できるほどの変化を示す相互接続部及び抵抗器などの電気構成要素が編成される。様々な例示的実施形態において、その後、ひずみセンサ、抵抗器及び相互接続部は、関節運動検知のためのソフトなウェアラブル膝装具内の単一の全体的な部品として分布及び編成される。様々な例示的実施形態によれば、多くの他のいくつかの潜在的用途の中でもとりわけ、生理学的信号のモニタリング、姿勢追跡、言語障害の検出又はジェスチャ追跡のために使用することができる様々な他の一体型のソフトなウェアラブルが得られ得ることが理解される。テキスタイルベースのソフトなウェアラブルは、スポーツ及びリハビリテーションのための関節運動検知、高齢者のモビリティヘルスケア状態の予後及び追跡、生理学的信号(例えば、心拍数、呼吸数)のモニタリング、ゲーム、手話、舞台芸術及びダンスで使用され得るジェスチャ認識のための触覚フィードバックを含む様々な検知目的のために使用され得る。ソフトなウェアラブルは、生地ベースのものであり得、その製造に使用される糸材料は、編成プロセスに適合すべきである。様々な例示的実施形態において、ひずみセンサの開発のためにポリマーベースの材料が使用され得る。
【0088】
したがって、様々な例示的実施形態は、ステッチパターンにおける高弾性(スパンデックス糸のヤング率(E約225KPa)に対する導電糸のヤング率(E約1535MPa)の比率、E/E>10)の電気伝導性糸と誘電糸との機械的結合により、高度に伸縮可能な導電性テキスタイルを提供する。超弾性誘電糸(440%超のひずみ)は、ステッチパターン内で導電糸に比べて大きく伸縮するが、以下の手法で導電糸の電気接触点を制御するようにも機能する。すなわち、超弾性誘電糸は、テキスタイルの伸張時、例えば高感度で高度に伸縮可能なひずみセンサ(8超のゲージファクター、150%超のひずみ)内の導電糸内の接触点の周期的な形成及び切断を可能にし、超弾性誘電糸は、テキスタイルの伸張時、例えば高度に伸縮可能な抵抗器(250%超のひずみ)内の導電糸の接触点の形成を防止し、及び/又は超弾性誘電糸は、テキスタイルの伸張時、例えば高度に伸縮可能な相互接続部(100%超のひずみ)内の導電糸の元の接触点を保持する。
【0089】
ウエール方向の編成ひずみセンサ及び相互接続部の電気的特性に対するステッチパターンの影響
異なるステッチパターンを使用することで、単一の導電糸が様々な電気的特性を有し、電気回路内で異なる機能を果たすことを可能にし得る。しかしながら、その関係は、利用できるステッチパターンが多岐にわたるため、あまりよく理解されていない。様々な例示的実施形態は、ひずみ検知の可能性を有する13の基本ステッチパターンを特徴付けることにより、この理解に寄与しようとするものである。ステッチパターンを変更すると、ゲージファクター(感度)が7.16倍、動作範囲が2.90倍、抵抗が3.50倍増加することが判明している。様々な例示的実施形態において、高い感度及び動作範囲を備えたひずみセンサに対して1×1リブ及び×2インターロックが使用され得、低感度の相互接続部に対してリネンステッチ及び両畦編が使用され得る。様々な例示的実施形態は、人の運動検知のためのウェアラブルセンサを提供する。
【0090】
編成センサは、柔軟であり、複数の糸材料及びニット構造を含むことができ、通常の衣服の質感及び外観を採用することができるため、広く受け入れられ始めている。これにより、編成センサは、長期的なヘルスケアモニタリングのための快適で目立たないウェアラブルセンサの製造に理想的である。
【0091】
機械編み生地は、糸を噛み合った編目に形成する針の行(針床)を備えた編機で作成される。3つの基本的なステッチタイプ(ニット、タック、ミス)と目移し操作とを組み合わせてステッチパターンを形成することができ、これは、編地を形成するために周期的に繰り返される編成指示のモジュールである。先行研究では、ステッチパターンを変えることで、インターロックループの線形抵抗、接触抵抗及びひずみに対する応答を変化させることにより、生地の電気的特性を変化させ得ることが示されている。
【0092】
数千のステッチパターンが存在することを考えると、1つの種類の導電糸を使用して回路内に異なる電気構成要素を編成することが可能となり得る。しかしながら、ほとんどの論文では、いくつかのステッチパターンのみが検討されている。したがって、ステッチパターンと電気性能との間の関係に関する理解を深めるために、13の基本ステッチパターンを比較し、編成ひずみセンサ及び相互接続部の候補を選択する。その長期目標は、人間の関節のための運動学的用途のためのウェアラブルひずみセンサ回路を編成することである。
【実施例
【0093】
方法
導電性サンプルの編成
4つの針床(2つの下床及び2つの上床)を備えたShima Seiki MACH2XS153 WHOLEGARMENT(登録商標)15ゲージ緯糸平床編機を使用し、各ステッチパターンに対して3つのサンプルを編成し、合計39個のサンプルを得た。13個のステッチパターンのうち、9つは、1つの下針床のみを要するシングル針床ステッチパターンであり、4つは、ループを両方の下針床で同時に編成することを要するダブル針床ステッチパターンである。全てのサンプルは、代わりとして44コースを有するインターロック及び両畦編とは別に、ウエールに沿った(垂直)方向の矩形の導電性パッチとして6ウエール(列)×88コース(行)で編成した。導電性パッチは、繰り返しひずみ試験を受ける前の寸法が約4.5~8.5mm×58~80mmであった。
【0094】
電気伝導性パッチは、銀コーティングポリアミド糸(Statex Shieldex(登録商標)235/36 dtex 2ply HC+B)で編成した。導電性パッチは、図22に示されるように、パール(ガーター)ステッチパターンを使用して編成した非導電性スパンデックス糸(Zhejiang Kangjiesiエアカバー糸、100Dスパンデックスと300DポリエステルDTY)によって囲まれた。より具体的には、図22は、線形繰り返しひずみ試験セットアップに取り付けられた編成導電性サンプルを示す画像(左)及び周囲のスパンデックス生地がパール(ガーター)ステッチパターンで編成され、導電性パッチが1×1リブステッチパターンで編成された編目の拡大図(右)を示す。
【0095】
線形繰り返しひずみ試験プロトコル
繰り返し伸張下での編地の電気機械的特性を理解するために、各編成サンプルに対して線形繰り返しひずみ試験を90%ひずみで50サイクル行った。実験セットアップは、リニアステージを含み、リニアステージは、ステッピングモータ(Oriental Motorの型式AZMA69AK)を使用して制御し、Arduino Unoに接続した。編成サンプルは、アクリル製固定具を使用して取り付け、Extech(382260)-80WスイッチングモードDC電源を使用し、接続ピンを介してサンプル全体に30mAの定電流を供給した。その後、90%のひずみ振幅及び3.33cms-1のひずみ速度を有する三角形のひずみプロトコルをArduino Unoにプログラムし、サンプルをそのウエール方向の軸に沿って伸張させた。編成サンプル全体で測定された出力電圧及びステッピングモータからのエンコーダデータは、NI myRioリアルタイム組み込み評価ボードに接続されたLabVIEWを使用して200Hz(5ms)で記録した。
【0096】
分析のために、測定された出力電圧及びエンコーダデータは、サンプルの初期電圧V及び初期長さLに従って正規化した。正規化された測定電圧は、
【数2】
により、正規化長さは、
【数3】
により与えられ、式中、ΔV及びΔLは、それぞれ伸張時の編成サンプルの電圧の変化及び長さの変化を表す。
【0097】
応答変数及び選択基準
電気性能は、以下に基づいて評価した。
ゲージファクター(GF):編成サンプルの感度を反映する無次元量。正規化長さに対する正規化電圧の比率、すなわち、
【数4】
と定義される。
動作範囲(WR):電圧の最大の正の変化量(ΔV)が生じるひずみセンサの実用範囲、すなわち編成サンプルの感度が最も高いひずみ範囲。2つの量、動作範囲の始点及び動作範囲の終点(%)によって示される。図23は、1回の負荷サイクルに関する動作範囲がどのように決定されるかを示す、1つの1×1リブサンプルの電圧-ひずみグラフを示す。線2310は、45回目の負荷サイクルである。動作範囲の大きさを比較するために、パーセンテージポイント(pp)で表される動作範囲の始点と終点との間の差を使用した。ゲージファクターと動作範囲との両方は、負荷サイクル、すなわち編成サンプルの長さが増加しているときに基づいて計算した。
抵抗:導電性パッチ内を流れる電流に対する抵抗。抵抗の測定は、繰り返しひずみ試験前にAgilent U1271A True RMS Multimeterを使用して行った。抵抗値は、繰り返しひずみ試験前に測定した導電性パッチの緩和長さで正規化した。
【0098】
理想的なひずみセンサは、幅広い可動域を正確に検知することができるように、高いゲージファクター及び広い動作範囲を有するべきである。理想的な相互接続部は、ひずみを問わず、無視できるほどの抵抗を有するように、低いゲージファクター及び低い抵抗を有するべきである。理想的には、センサと相互接続部との両方は、3つのサンプルにおいて一貫して機能すべきである。
【0099】
実験結果
図24は、各ステッチパターンのゲージファクター、動作範囲及び抵抗の測定値の平均及び標準偏差を示す表Iを示す。
【0100】
A.ゲージファクター
シングル針床ステッチパターンに関して、1×1リブ(GF:1.36)及び1×1ニット-ミス(1.17)は、最大GFを有し、リネンステッチ(0.25)及びピケラコステ(0.46)は、最小GFを有した。ダブル針床ステッチパターンに関して、×2インターロック(1.79)は、最大GFを有し、両畦編(0.47)は、最小GFを有した。
【0101】
リネンステッチと×2インターロックとを比較すると、後者のGFが7.16倍高かった。一元配置ANOVAによって決定された群平均間に統計的有意差があった(F(12,26)=7.210,p=1.377×10-5)。いずれの群平均が統計的有意差を有するかを具体的に確認するために、テューキーのHSD事後検定を使用して、実験ごとの誤差率を制御しながら、群平均の全てのペアを比較した。ペアごとの比較結果を、図25に示す表IIに示す。
【0102】
ウエール方向の横編生地ひずみセンサに関する他の研究と比較して、Xie et al.“High sensitivity knitted fabric strain sensors,”Smart Materials and Structures,vol.25,pp.1-7,2016では、単一のジャージサンプルが試験された。その銀コーティングナイロン糸サンプルは、0.05(ひずみ範囲0~30%)の非常に低いGFを有した。しかしながら、その綿-ステンレス鋼(SS)糸サンプルは、-20(ひずみ範囲0~5%)及び-1.52(ひずみ範囲5~40%)のGFを有した。同様に、Ehrmann et al.“Suitability of knitted fabrics as elongation sensors subject to structure,stitch dimension and elongation direction,”Textile Research Journal,84(18),pp.2006-2012,2014では、ポリエステルSS糸が使用され、その両畦編サンプルは、-8(ひずみ範囲0~10%)のGFを有した。高い絶対値のGF及びマイナスのGFは、糸が導電性繊維(SS)と非導電性繊維とのブレンドであるためである。糸間の接触抵抗が小さい銀コーティング糸と異なり、SS繊維混紡糸は、導電性繊維がランダムに分布することで糸間の接触抵抗が高い。張力がかかると、糸間の接触力及び接触面積が増加し、より多くの導電性繊維が互いに接触する。したがって、抵抗は、ひずみ範囲の始点で急激に低下する。
【0103】
B.動作範囲
シングル針床ステッチパターンに関して、シングルジャージ(WR:31.67pp)及び1×1ニット-ミス(29.54pp)は、最大WRを有し、ピケラコステ(14.69pp)及びパール(19.35pp)は、最小WRを有した。ダブル針床ステッチパターンに関して、×2インターロック(40.44pp)は、最大WRを有し、両畦編(13.93pp)は、最小WRを有した。
【0104】
両畦編と×2インターロックとを比較すると、後者のWRが2.90倍大きかった。一元配置ANOVAによって決定された群平均間に統計的有意差があった(F(12,26)=14.271,p=1.618×10-8)。
【0105】
C.抵抗
シングル針床ステッチパターンに関して、パール(4.38Ω/100mm)及びメッシュ(4.11Ω/100mm)は、最大の抵抗を有し、1×1リブ(2.61Ω/100mm)及びリネンステッチ(2.66Ω/100mm)は、最小の抵抗を有した。ダブル針床ステッチパターンに関して、両畦編(2.36Ω/100mm)は、最大の抵抗を有し、×2インターロック(1.25Ω/100mm)は、最小の抵抗を有した。全てのダブル針床ステッチパターンは、シングル針床ステッチパターンよりも低い抵抗を有した。
【0106】
×2インターロックとパールとを比較すると、後者の抵抗が3.50倍高かった。一元配置ANOVAによって決定された群平均間に統計的有意差があった(F(12,26)=8.101,p=4.754×10-6)(図25の表II)。
【0107】
D.ひずみセンサの候補
シングル針床ステッチパターンに関して、1×1リブが最良のひずみセンサ候補である。なぜなら、1×1リブは、2番目に高い感度及び中程度の動作範囲を有するためである。代替候補は、より低い感度を有するが、より広く且つより一貫した動作範囲を有する1×1ニット-ミスである。
【0108】
ダブル針床ステッチパターンに関して、×2インターロックが最良の候補である。なぜなら、×2インターロックは、最大のゲージファクター及び最大の動作範囲を有するが、サンプル間で中程度の一貫性を有するためである。代替候補は、3番目に高いゲージファクター及び2番目に広い動作範囲を有する×2両畦編である。
【0109】
E.相互接続部の候補
シングル針床ステッチパターンに関して、リネンステッチが相互接続部の最良の候補である。なぜなら、リネンステッチは、最低のゲージファクターを有し、これは、伸縮させたときにその抵抗があまり変化しないことを意味するためである。リネンステッチは、シングル針床ステッチパターンの中で2番目に低い抵抗も有した。
【0110】
ダブル針床ステッチパターンに関して、両畦編が最良の候補である。なぜなら、両畦編は、3番目に低いゲージファクターを有するが、ダブル針床ステッチパターンの中で最大の抵抗も有するためである。
【0111】
実用上の制約により、各ステッチパターンについて3つのサンプルのみを試験した。導電性パッチは、コース及びウエールの数で統一したため、異なる寸法も有した。測定値は、長さの差を補償するために長さで正規化したが、編成パッチの異なる幅及び厚みは、結果にも影響すると予想される。
【0112】
様々な例示的実施形態は、異なるステッチパターンを使用すると、編成導電性生地の電気性能を実質的に変化させることができ、単一の導電糸がステッチパターンに応じて異なる特性及び異なる電気的機能をとることが可能になることを示す。
【0113】
感度を調整可能な埋め込みセンサを有する編成ウェアラブル
eテキスタイルの分野では、ソフトなウェアラブルの開発に対して大きい関心が寄せられている。既存のテキスタイルベースのウェアラブルのほとんどは、縫製又は熱溶着による基材への市販の商用導電性生地の組み込みに依存する。その結果、センサの感度及び動作範囲は、上を覆う導電性生地によって制限されることが多い。様々な例示的実施形態において、センサの感度と動作範囲との両方は、導電性生地を最初から作成し、様々な編成パラメータ、例えばループ長、ステッチパターン又は異なる糸材料の配置を制御することにより、ニット構造を変化させることによって調整され得る。ソフトなウェアラブル、例えば膝装具内に望ましい感度及び動作範囲のセンサを分布させることにより、様々な例示的実施形態は、複数の運動度、膝のアライメント又は膝の半径などの複数の属性を検知するための新規な手法を提供する。更に、これらのセンサは、良好に分布した相互接続部を介して接続され得る。相互接続部は、センサと共にソフトなウェアラブルにシームレスに組み込まれ、センサと相互接続部との真に埋め込まれたネットワークを単一片の編成されたソフトなウェアラブル内に形成し得る。テキスタイルの伸縮性、通気性、軽量性及びソフトな質感により、テキスタイルは、予後、可動性の状態の追跡又はリハビリテーションモニタリングのために関節の運動学的な動きを長期連続モニタリングするために使用することができる。様々な例示的実施形態は、運動検知(例えば、人間の関節又は他の可動部分)、生理学的信号(例えば、呼吸及び心拍数)のモニタリング、ヘルスケア状態の予後、疾患経過の追跡、リハビリテーション、姿勢追跡、言語障害の検知のために使用され得る。
【0114】
長期連続モニタリングは、人間の集団の様々なヘルスケア状態を追跡するために不可欠である。これは、市販の様々なウェアラブルによって可能になる。しかしながら、これらのウェアラブルデバイスのほとんどは、金属及びプラスチックなどの剛性材料で作られる。最近では、ソフトなウェアラブルの開発においてeテキスタイルに大きい関心が寄せられている。eテキスタイルは、その伸縮性、通気性、軽量性及びソフトな肌触りにより、日常的なニットウェアに組み込むことができるソフトロボティクス及びソフトセンサの開発のための優れた材料選択肢としての役割を果たす。生地ベースのウェアラブルのいくつかは、呼吸モニタリング、関節運動検知等に関する文献で提案されている。これらの生地ベースのウェアラブルの主な欠点の1つは、それらが着用者の外衣に手作業で縫い付けられるか又は手作業のドロップキャスト法を用いて作製される市販の導電性生地に依存するため、そのスケーラビリティが大きく制限されることである。その上、センサの感度は、上を覆う導電性生地によって制限されることが多い。
【0115】
この制限を克服するために、様々な例示的実施形態は、コンピュータ数値制御(CNC)編機を使用して、導電性生地を形成する編糸の幾何学的形状、パターン及び材料を変化させることにより、最初から調整可能なセンサを提供する。CNC(コンピュータ数値制御)編機は、様々なステッチパターン、ステッチ密度及び糸材料を最小限の後処理で単一テキスタイルにシームレスに組み込む機能を有するマルチマテリアル3Dプリンタに類似している。ソフトな編成センサに関するこれまでの研究のほとんどは、抵抗を予測するための電気機械的モデルを開発すること又はセンサの感度に対する編成パラメータの影響を調査することのいずれかに重点を置いてきた。しかしながら、長期モニタリングのための真に埋め込まれたソフトな編成ウェアラブルの開発に関する研究は、限定されている。望ましい感度及び動作範囲のセンサを分布させることにより、様々な例示的実施形態は、複数の属性を検知するために使用することができるウェアラブルを提供する。更に、これらのセンサは、良好に分布した相互接続部を介して接続され得る。相互接続部は、センサと共にソフトなウェアラブルにシームレスに組み込まれ、センサと相互接続部との真に埋め込まれたネットワークを単一片の編成されたソフトなウェアラブル内に形成することができる。編成センサの調整可能な性質が実証され且つ生じ、可動性状態の予後、追跡又はリハビリテーションモニタリングのための人間の関節検知のために使用することができる、シームレスに組み込まれたソフトな編成膝装具が提供される。
【0116】
ソフトな編成膝装具は、可動性関連状態の長期連続モニタリングのために使用することができる。健康な人について、連続モニタリングは、スポーツ活動中などのリアルタイムの活動追跡のために使用することができる。予期される挙動に適合しない異常パターンの検出を容易にし、有害事象が発生する前に警告を発することもできる。高齢者について、人間の関節の長期連続モニタリングは、可動性の困難及び場合により障害を引き起こすサルコペニア、晩発性ポンペ病(LOPD)、パーキンソン病の初期又は変形性関節症などの状態の発症及び進行の追跡に大いに役立つ可能性がある。LOPDは、筋力の緩やかな低下に関連し、サルコペニアは、加齢による筋肉量の減少を指し、変形性関節症は、骨のクッションとなる軟骨が徐々にすり減ることに起因する。これらの状態は、時間の経過と共に進行するため、関節運動データは、これらの可動性関連のヘルスケア状態の進行の追跡に役立つ可能性があり、臨床的介入に必要な決定の支援に有用な可能性がある。
【0117】
生地ベースのソフトな編成膝装具により、長期間にわたる信頼性の高い関節モニタリングが可能になる。更に、様々な例示的実施形態は、生理学的信号のモニタリング、姿勢追跡又は言語障害の検出のために使用することができる他の様々なソフトなウェアラブルを可能にする。
【0118】
幅広い範囲のニット構造及び糸材料を用いて編地を自由に設計できることにより、所望の機能に適したCNC(コンピュータ数値制御)編機を使用して、調整可能な感度及び動作範囲を有するセンサを作成することができる。図26A図26Cは、それぞれウエール方向の編成センサ、導電性生地のシングルジャージステッチパターン及び周囲の生地のパールステッチパターンの概略図を示す。図26Aは、編成方向に対して直交方向に伸縮するように設計されたウエール方向の編成センサの概略図を示す。この編成センサは、様々な例示的実施形態による、スパンデックス糸を使用して編成された受動弾性生地2620によって囲まれた導電性センサ2610(中央)を含む。スパンデックス糸は、センサストリップの伸縮性を高めるために周囲材料に対して選択される。図26Bは、導電性生地のインターロックステッチパターンの拡大図を示す。導電性生地2630の単一行は、コースと呼ばれ、コース高さの観点で測定される。単一列は、ウエールと呼ばれ、ウエール幅で測定される。説明のために、導電性コースからなる単純なシングルジャージ(SJ)ステッチパターンを使用する。図26Bに示すように、単一ループ2640を編成するために使用される材料の量は、ループ長と呼ばれる。図26Cは、周囲の弾性生地のステッチパターンを示す。周囲の生地にはパールステッチパターンが使用される。パールステッチパターンの編成指示の単位セルも図26Cに示す。前床編みのみからなるシングルジャージステッチパターンと比較して、パールステッチパターンは、前床と後床とで交互に編成されたループからなる。シングルジャージ編は、前床で編成されたループの変形により縁でカールするのに対して、パール編は、前床と後床とで編成されたループの交互するコースのカールの性質が反対であることによりバランスが保たれるため、平らなままである。したがって、周囲の生地にはパールステッチパターンが使用され得る。
【0119】
用いられる導電性ナイロン糸は、それ自体では無視できるほどの伸縮性を示し、したがってこの糸を単独で伸縮させた場合に抵抗の限定的な変化を示す。しかしながら、センサは、接触抵抗の変化を引き起こすループ構造の伸縮可能な幾何学的形状により、高い伸縮性及び高い抵抗変化を示す。センサが伸張するにつれて、ループが互いに引っ張られ、それによりループが伸びて接触点が再構成される。導電性センサのステッチパターンにおいて、接触は、最初に、同じコースの隣接するループ間で起こり、2番目に、互いに噛み合った隣接するコースのループ間で起こる。
【0120】
Holm,R.,2013.Electric contacts:theory and application.Springer Science&Business Mediaに記載されるホルムの接触理論によれば、2つの導電性電極間の接触抵抗は、接触点の数と接触圧力とに反比例する。センサが伸張するにつれて、同じコースの隣接するループが最初に互いに離れ、その結果、接触圧力の低下、最終的に接触点の切断が生じるため、接触抵抗が増加する。センサの更なる伸張により、ループがより長く、細くなり、その結果、互いに近づき始めるため、接触抵抗が減少する。したがって、ウエール方向の編成センサでは、2つの異なる動作領域が認められ得る。
【0121】
調整可能な感度及び動作範囲
編目の幾何学的形状、ステッチパターンの設計及び異なる糸材料の配置を制御することにより、センサの感度及び動作範囲が調整され得る。更に、これらのセンサは、日常的なニットウェアにシームレス且つ容易に組み込まれ得る。この段落では、上記の編成パラメータを変化させ、センサの性能を2つの指標、ゲージファクターによって測定されるその感度及び単調に増加する抵抗で表されるその動作範囲で評価する。ゲージファクターは、
【数5】
によって与えられる無次元量であり、これは、正規化長さに対する正規化電圧応答の比率であり、動作範囲は、センサのひずみとして測定される。
【0122】
a)ループ長
ループ長を変化させると、編目のアスペクト比が変化し、したがって接触点の数及び接触圧力に影響し、それによりその感度に影響を及ぼす。図27は、センサのゲージファクター及び動作範囲に対するループ長の影響を示す。ゲージファクターは、最初にループ長と共に増加し、その後、減少する。したがって、隣接するループ間の接触面積の増加をもたらし、それにより感度の増加をもたらす最適なループ長が存在する。
【0123】
b)ステッチパターン
異なるステッチパターンを、編成構造内のニット、ミス及びタックの分布を変化させることにより得ることができ、これは、したがって、センサの動作範囲及び感度を決定する。図28は、様々なステッチパターンの編成センサを示す。異なるステッチパターンの設計及び全て導電性コースのウエール方向の編成センサに及ぼすその影響が示される。
【0124】
図29A図29Fは、編成センサ及びそのステッチパターンを示し、図29G図29Lは、各々のセンサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。
【0125】
図29Aは、シングルジャージ編成センサのステッチパターンを示す。これは、表編みステッチのみを使用して形成される最も単純なステッチタイプである。図29Gは、シングルジャージ編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。記号V及びLは、それぞれ静止状態における基準電圧及び長さを指す。動作範囲1(WR1-30.95%)は、負荷及び負荷解除の両方の軌跡中に単調に増加する抵抗を特徴とし、動作範囲2(WR2)は、負荷及び負荷解除の両方の軌跡中の単調な減少を特徴とする。更に、WR1の負荷曲線に関して、平均ゲージファクター(1.64)は、30サイクルのゲージファクターの平均をとることにより計算される。
【0126】
図29Bは、パール編成センサのステッチパターンを示す。パールステッチは、表編みステッチと裏編みステッチとの交互するコースによって形成される。図29Hは、編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。シングルジャージステッチパターンと比較して、パールステッチは、ゲージファクター1.74のより高い感度を提供するが、WR1は、より小さい(18.1%)。更に、その応答は、より小さいヒステリシスループ(WR1の負荷及び負荷解除軌跡)を特徴とし、その応答は、単純化される。
【0127】
両畦編(又はポルカリブ)は、図29Cに示すように、前床で編成されたループの1つのコース及び裏側のタックと、反対の配列を有する第2のコースとを有する。これにより、バランスの取れた1×1タックリブ構造が生じる。交互するニット-タック構造により、このステッチパターンは、他のほとんどのダブル床パターンよりも緩く、非常に伸縮性がある。図29Iは、編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。両畦編編成センサの30サイクルの平均ゲージファクターは、5.63と著しく高く、WR1は、42.57%である。見て分かるように、両畦編編成センサのヒステリシスの方が大きい。
【0128】
片畦編(又はロイヤルリブ)は、図29Dに示すように、交互するコース上の1つの床のみにタックしたループを有する。全てニットの側では、ループの一方のコースは、他方の側のタックループから糸を受け取ることから、非常に大きく丸みを帯びたループを有する。これに対して、ループの他方のコースは、他方の側の細長く保たれたループによって糸を奪われるため、極めて小さくわずかなループを有する。このパターンは、両畦編よりも弾性が低い。図29Jは、編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。片畦編編成センサの30サイクルの平均ゲージファクターは、3.02と両畦編よりも小さく、WR1は、27.44%である。
【0129】
メッシュステッチは、図29Eに示すように、典型的にはいくつかの針が空になり、他の針が複数のループを保持するように、ループを左又は右に移動させるために、選択したループを移し、振ることによって形成される。空の針は、生地に小さい穴を生じさせる。図29Kは、編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。メッシュ編成センサの30サイクルの平均ゲージファクターは、1.06であり、WR1は、19.36%である。見て分かるように、メッシュ編成センサのヒステリシスループは、小さい。
【0130】
ピケラコステは、図29Fに示すように、ニット及びタックのステッチの行と、ニットのみのステッチの行とを交互させることにより形成される。図29Lは、編成センサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。ピケラコステ編成センサの30サイクルの平均ゲージファクターは、1.55であり、WR1は、37.39%である。ピケラコステ編成センサのヒステリシスループは、小さい。
【0131】
図30は、様々なステッチパターンの編成センサ間の比較を示す。より具体的には、図30は、様々なステッチパターンで編成されたセンサのゲージファクター及び動作範囲の比較を示す。両畦編が最高の感度を有し、その次が片畦編である。両畦編、シングルジャージ及びピケラコステは、極めて広い動作範囲も提供する。更に、上記のように、両畦編、片畦編及びシングルジャージステッチパターンは、WR1に顕著なヒステリシスを示す。一方、パール、ピケラコステ及びメッシュステッチパターンは、WR1に小さいヒステリシスを示し、その応答を予測するためのモデルの開発が簡略化される。
【0132】
c)交互する導電性コース
全て導電性コースのセンサとは対照的に、交互する導電性コースを有するセンサが提供される。様々な例示的実施形態において、その単純な構造のため、パールステッチパターンが用いられる。図31A図31Bは、それぞれ全て導電性コースのセンサの設計及び交互する導電性コースのセンサの設計の画像を示す。図31Aに示される全て導電性コースのセンサと比較して、交互する導電性コースのセンサは、図31Bに示すように、非導電性テンセル糸によって分離された導電糸のコースを有する。例えば、非導電性コースの編成には、テンセルから作られたセルロース繊維ベースのサイロスパン15/1糸が使用される。図31Cは、全て導電性コースのセンサと、交互する導電性コースのセンサとの間の性能の比較を示すグラフを示す。図31Cから分かるように、交互する導電性コースのセンサのゲージファクター及び動作範囲は、全て導電性コースのセンサよりも大幅に高い。これは、交互する導電性コースのセンサを伸張させると、非導電性コースが導電性コースを分離することから、抵抗が増加するためである。これに比べて、全て導電性コースのセンサでは、隣接するコース内の導電性ループが噛み合う。全て導電性コースのセンサを伸張させると、同じコース内の互いに接触するループは、遠くに離れる傾向があるため、ホルムの接触理論によれば、抵抗が増加する。同時に、噛み合った隣接するコースは、互いに引っ張り合う傾向があるため、接触面積及び接触圧力が増加し、その結果、抵抗が減少する。これらの2つの相反する要因の結果、全て導電性コースのセンサの抵抗の変化、したがってその感度が低下する。
【0133】
ソフトな編成膝装具
様々な例示的実施形態によれば、ソフトなウェアラブル内にシームレスに組み込まれ、分布するセンサ及び相互接続部を備えたソフトな編成膝装具が提供される。複数の運動度、膝のアライメント又は膝の半径などの複数の膝関節属性を検知するために、望ましい感度及び動作範囲のセンサを分布させ得る。更に、これらセンサは、良好に分布した相互接続部を介して接続され、相互接続部は、センサと共に、センサと相互接続部との真に埋め込まれたネットワークを単一片の編成されたソフトなウェアラブル内に形成する。高水準の個人化を得ることができ、ソフトなウェアラブルは、着用者の形状に正確にフィットするように設計され得る。更に、センサの分布及び配置は、異なる機能に合うように高度にカスタマイズされ得る。
【0134】
図32A図32Bは、様々な例示的実施形態による膝装具の画像を示す。より具体的には、図32Aは、様々な例示的実施形態による、3つのセンサS1、S2及びS3を組み込んだ膝装具と、上部に共通グラウンドを形成する相互接続部とを示す。交互する導電性コースを有するパールステッチパターンは、その高い感度及び動作範囲のためにセンサパターンとして選択される。センサは、膝関節のアライメント及び膝が行う屈曲-伸展の程度をリアルタイムで追跡するために、膝の膝蓋骨領域の中央及び側部に配置される。センサS1の読み取り値とセンサS3の読み取り値とを比較することで、関節にかかる不均一な圧力の分布を生じさせ、その摩耗の差を生じさせることになる、膝が内側又は外側に寄っているかどうかの判断を容易にする。
【0135】
図32Bは、センサが、膝蓋骨領域の側部(S1及びS3)に加えて、膝の周囲に沿って分布する(S2)別の膝装具を示す。コース方向のセンサS2は、その高い感度及び動作範囲のために片畦編ステッチパターンで編成され、日常活動中の膝の半径の変化の測定を可能にする。収集された電気信号は、アーク長に処理することができ、膝装具の設計割当点からの角度(θ)を用いて使用者の膝の半径を推定することができる。
【0136】
同様に、センサは、屈曲-伸展に加えて、内転-外転、内旋-外旋などの他の可動域を検出するために、膝装具の他の領域に分布し得る。これらの追加的な角度測定値は、四節リンク設計機構又はパラレルマニピュレータプラットフォームを使用して最適なセンサ配置を見出すことにより、捕捉し、関連付けることができる。
【0137】
図32Cは、無線伝送のための電気回路を備えた膝装具を示す。膝装具センサの電圧を記録するために、3.7Vの小型Li-Poバッテリーで給電されるArduino Nanoボードが用いられる。図32Cに示すように、センサの端部を接続し、共通グラウンドを回路に接続するために、膝装具の外側に金属ボタンが取り付けられる。回路基板を取り付け、それが脱落することを防ぐために、ベルクロ(登録商標)の小片が膝装具に縫い付けられる(右下)。したがって、センサによって収集されたデータは、スマートフォン又はタブレットなどのスマートデバイスに無線で送信することができる。したがって、ソフトな編成膝装具は、関節の運動学的な動きの長期連続モニタリングのために使用することができる。
【0138】
膝装具の測定精度を確認するために、Vicon(Oxford,UK)システムを比較基準として利用した。図33Aに示すように、合計15個の反射マーカを対象の左下肢に取り付け、9個のモーションキャプチャカメラ及びソフトな編成膝装具によって屈曲-伸展活動を記録した。より具体的には、図33Aは、様々な例示的実施形態による、ソフトな編成膝装具及びViconモーションキャプチャシステムのマーカの分布を示す。データセットは、MATHEMATICAで処理し、矢状面に沿った膝の角運動を比較した。15個の反射マーカは、空間内のマーカの座標を提供し、したがって回転中心(COR)及び軸の計算を可能にする。電気信号は、膝の角運動に関連付けられるプーリモデルシステムを使用して処理した。最初に、多項式関数モデルを用いてひずみを計算する。次に、計算されたひずみ及び対象の人体計測的半径を用い、式L=RΘを用いて、屈曲-伸展サイクル中の矢状面に沿った膝の角運動が得られ得る。図33Bは、屈曲-伸展のいくつかのサイクルに関する、様々な例示的実施形態による、Viconシステムによって測定された膝角度と、ソフトな編成膝装具によって測定された膝角度との間の比較を示す。結果は、様々な例示的実施形態によるソフトな編成膝装具がVicon測定システムに近い性能を発揮し、したがって矢状面に沿った膝の運動を効果的に監視及び記録するために使用できることを示す。
【0139】
関節運動検知以外に、様々な例示的実施形態は、生理学的信号の長期連続モニタリング、姿勢追跡又は言語障害の検出のために使用され得る他の様々なソフトなウェアラブルも可能にし得る。
【0140】
機械的な予ひずみのための異なるコース設計
生地ベースのセンサは、図29A図29Lに示すような2つの異なる動作領域WR1及びWR2を示す。WR1は、埋め込まれたセンサによってその静止状態において実現することができるが、WR2を実現するために、センサは、ある量だけ予め伸張させる必要がある。これは、センサが周囲の生地よりも短くなるように設計することによって行われる。これは、センサ内のコースの数を周囲のニットのコースの数と比較して削減することによって達成される。コースの数の差に応じて、センサは、所望の予ひずみだけ伸張させる。
【0141】
深層学習を用いた非線形モデリング
基礎となる糸及びステッチパターンの高度に非線形の挙動により、生地ベースのセンサは、ドリフト及び遅延を伴った速度依存ヒステリシスなどの顕著な非線形性を示し、その応答の予測を困難にする。これらの挙動を説明するために、深層学習アプローチを用いたデータ駆動モデルが開発された。開発されたモデルは、これらの非線形挙動を効果的に補償し、各々の検知領域の全動作範囲(WR1又はWR2)に対するセンサ応答の予測を可能にすることができる。
【0142】
データ駆動モデルを開発するために、異なる伸張速度の負荷-負荷解除サイクル、数千サイクルの周期的伸張並びに階段及び段差状の様々な軌道を適用することにより、異なるプロトコルに対するセンサ応答が記録された。長短期記憶ネットワーク(LSTM)リカレントネットワークは、センサの電圧応答を所与として線形又は曲げひずみを予測するために、記録されたデータで訓練される。モデルは、訓練されると、その後、モデルの応答と、ランダムなひずみ入力に対してセンサで実験的に記録されたデータとを比較することによって検証される。
【0143】
実験セットアップ
伸張時のひずみセンサの抵抗変化を測定するために、カスタマイズ実験セットアップを開発した。図34A図34Dは、それぞれセンサの取付及び接続の分解図、組み立てられたセンサ、実験セットアップ及び実験セットアップのブロック図を示す。編成センサを取り付けるためのインターフェースは、図34Aに示され、編成センサを保持するための2つの矩形クランプを含む。クランプは、厚さ5mmの透明アクリルから作られ、次いで試験中に編成センサが滑ることを防止するために、4つのソケットねじ及び5つの接続ピンを用いて編成センサを固定する。電気機械的特性を測定するために小さい定電流をセンサに供給し、ひずみ下でその抵抗が変化する際の編成センサの出力電圧を測定する。図34Bは、センサの組立図を示す。
【0144】
次に、ひずみセンサは、図34Cに示すように、ステッピングモータを用いて必要なひずみ入力を提供するリニアステージを含む実験セットアップに取り付けられる。出力電圧は、ステッピングモータのエンコーダデータと共に編成センサで測定され、リアルタイム組み込み評価ボード(National Instrument:NI MyRio)を使用して200Hz(5ms)のサンプリング周波数で同時に記録される。2つのExtech (382260)-80WスイッチングモードDC電源も用いる。第1の電源は、編成センサに定電流(例えば、30mA)を提供し、第2の電源は、ロードセルに定電圧(例えば、24V)を提供する。図34Dは、実験セットアップのブロック図を示す。
【0145】
全ての試験は、上記の実験セットアップを使用して行い、測定電圧及びエンコーダデータは、基準電圧
【数6】
及び初期長さ
【数7】
(式中、V及びLは、初期電圧及びひずみ前の生地の長さを示し、Vは、電圧であり、Lは、伸張状態における生地の長さである)に従って正規化した。
【0146】
関節の可動域(ROM)解析システムは、ノンウェアラブルシステム(NWS)とウェアラブルシステム(WS)とに分類される。モーションキャプチャシステム(Mo-cap))及び地面反力プレートセンサは、NWSの古典的な例のいくつかであり、これらのシステムは、信頼性の高い結果を提供することができる。しかしながら、その測定は、制御された実験室環境で行わなければならず、デバイスの操作のために訓練された人員を要し、長期の関節モニタリング及び持続可能なリハビリテーション治療に不向きである。
【0147】
慣性測定ユニット(IMU)は、関節運動検知で使用される典型的なWSセンサである。しかしながら、関節運動を推定するために、四肢の相対的な角速度及び加速度の検知のために最低でも2つのIMUを必要とし、測定中の使用者の動作を妨げる可能性がある。これとは別に、IMUは、避けることのできないドリフトの課題を有し、望ましい運動データを得るために更なる計算作業が必要となる。
【0148】
導電性生地(CF)又はeテキスタイル製のウェアラブルセンサは、人間の関節の検知用途で関心が高まっている。これらのCFは、その高い弾性特性のためにピエゾ抵抗センサで設計することができ、伸張されると、固有の抵抗変化を呈することができる。これらのCFベースのセンサは、軽量で非侵襲的であり、衣服に組み込むことができ、より高い快適性を患者に提供するため、既存のNWS及びIMUデバイスよりも多くの利点を有する。これらの利点により、長期関節運動モニタリングのためのCFセンサの潜在的な使用が可能になる。
【0149】
しかしながら、既存の手法では、CFを縫製又は熱溶着等の手作業の手法によって使用者の衣服又は他の基材に外から取り付ける必要がある。これにより、CFベースのセンサは、特定の位置からずれて置かれた場合にエラーになりやすい。更に、センサの感度及び動作範囲も、多くの場合、上を覆うCFによって制限される。この制限を克服するために、様々な例示的実施形態によれば、CNC(コンピュータ数値制御)編機を使用して、着用者の幾何学的形状に合わせて個別化することができる、シームレスに組み込まれ、分布させたひずみセンサ及び相互接続部のネットワークを有するソフトなウェアラブルが提供され、長期間にわたる信頼性の高い関節モニタリングが可能になる。更に、様々な例示的実施形態は、編成パラメータ、ループ長、ステッチパターン及び異なる糸材料の配置などの調整によってニットの構造を変化させることにより、センサの感度と動作範囲との両方を調整することを可能にする。
【0150】
図35Aは、ソフトな編成センサの感度及び動作範囲と文献との比較を示すグラフを示し、図35Bは、文献の感度及び動作範囲を示す表を示す。
【0151】
膝の運動モニタリングのための埋め込みセンサを有するソフトなウェアラブル膝装具
eテキスタイルは、スポーツ及び関節損傷のリハビリテーション、ソフトロボティクス及び娯楽などの用途において人間の関節を追跡するためのソフトセンサの開発に関して大きい可能性を示している。しかしながら、既存の手法では、センサを基材又は衣服上の外側に取り付けることを必要とする。様々な例示的実施形態は、コンピュータ数値制御(CNC)機械を使用してセンサをウェアラブルに直接埋め込むことにより、この課題に対処する。センサを伸縮可能な周囲の生地と共に編成する機能が示される。次に、センサを特性評価し、センサの電気機械的特性のモデルが開発される。最後に、埋め込みセンサを有する完全に編成された膝装具が開発され、3つの異なる活動:屈曲-伸展、ウォーキング及びジョギングを1名の対象で実施することによって試験される。参照基準と比較したとき、スピアマンの係数(r)値が0.87であり、結果は、編成膝装具センサが対象の膝の運動をよく追跡できることを示す。
【0152】
人間の関節の長期連続モニタリングは、スポーツの怪我からの回復のモニタリング、卒中のリハビリテーション又は更に初期のパーキンソン病の検出支援のために使用することができる重要な情報を提供することができる。目視検査で関節運動の異常を特定することができるが、臨床医は、定量的且つ正確な測定システムを用いて異常を識別、特定及びモニタリングすることの方を好む。したがって、関節の可動域(ROM)に関する重要な情報を臨床医に提供することで、臨床医が患者の日常生活動作(ADL)に影響を及ぼす可能性のある身体的病変を検出し、パーキンソン病の早期介入又はリハビリテーションを提供するのに役立つ可能性がある。
【0153】
関節のROM解析の現在の基準は、ノンウェアラブルシステム(NWS)とウェアラブルシステム(WS)とに分類され得る。モーションキャプチャ(mo-cap))及び地面反力プレートセンサは、高度に繰り返し可能且つ再現可能な結果を提供するNWSの古典的な例のいくつかである。しかしながら、測定は、通常、制御された実験室環境で行われ、デバイスを操作するために訓練された人員が必要であり、長期の関節モニタリング及び持続的なリハビリテーション治療にとって実用的ではない。
【0154】
慣性測定ユニット(IMU)は、関節運動検知で使用される典型的なWSである。しかしながら、関節運動を推定するために、四肢の相対的な角速度及び加速度を検知するために最低でも2つのIMUが必要であり、測定中の使用者の動きを妨げる可能性がある。これとは別に、IMUは、避けることのできないドリフトの課題を有し、望ましい運動データを得るために更なる計算作業が必要となる。
【0155】
ソフトなウェアラブルeテキスタイルの開発に大きい関心が寄せられている。ソフトなウェアラブルeテキスタイルは、その伸縮性、通気性、軽量性及びソフトな質感により、日常的なニットウェアに組み込むことができるソフトセンサ及びアクチュエータの開発のための優れた材料選択肢としての役割を果たす。いくつかの研究では、市販の導電性生地(CF)は、その高い弾性特性及びひずみを受けたときの固有の抵抗変化のため、ピエゾ抵抗センサの作成に使用されている。これらのCFベースのセンサは、軽量で非侵襲的であり且つ目立たないため、既存のNWS及びIMUデバイスよりも多くの利点を有する。これにより、これらのCFベースのセンサが患者にとってより便利で快適となり、また長期ROMモニタリングのためにより実用的となる。
【0156】
しかしながら、既存の研究のほとんどでは、CFベースのセンサを使用者の衣服又は基材の外側に取り付けることが必要であり、センサがその意図した位置からずれた場合にエラーが発生しやすい。この制限を克服するために、様々な例示的実施形態は、コンピュータ数値制御(CNC)編機を使用して単一片として編成され得る埋め込みセンサを有するソフト編成衣服を提供する。
【0157】
CNC編成センサ及び特性評価
A.CNC編成及びセンサ製造
編地を作成するために、1つ以上の糸を編目に形成し、この編目を既存のループにループ状に通す。CNC編機により、各針及び糸キャリアの動作が個々に制御され、最小限の後処理で単一の編成対象のステッチパターン、糸材料及び幾何学的形状を変化させることが可能になる。これにより、センサと衣服とをシームレスに組み込む複数材料ウェアラブルセンサを作成する設計の自由がもたらされる。
【0158】
様々な例示的な実験において、膝の曲げ角度を検知するために使用することができる編成ひずみセンサが特性評価される。第1の実験セットでは、7つの独立したセンサをShima Seiki MACH2XS153 WHOLEGARMENT(登録商標)15ゲージ編機で編成した。センサは、電気伝導性銀コーティングポリアミド糸(供給元:Statex、製品:Shieldex(登録商標)235/36 dtex 2ply HC+B)と、非導電性テンセル(商標)糸(供給元:Lenzing AG、製品:15/1サイロスパン)との交互するコース(行)によって編成した。センサは、パール(ガーター)ステッチパターンを使用して編成し、緩和状態において約5×84mmであった。図36は、編成センサを糸及びステッチパターンを示す拡大図と共に示す。
【0159】
実際のウェアラブルセンサは、衣服内にセンサを組み込むため、センサは、2コースの非導電性スパンデックスカバーリング糸(供給元:Zhejiang Kangjiesi、製品:210Dスパンデックスと2×75Dポリエステル)と、2コースのアクリル糸(供給元:Miyama Tex、製品:Guanti 2/32)との間に交互に配置されるシングルジャージ(ストッキネット)生地のチューブ内に編成した。センサに予めテンションを与え、センサに皺が寄って見えることを防止するために、センサが周囲の非導電性生地により伸張されるように、非導電性生地をセンサの2倍のコース数で編成した。センサの実験セットアップ上への取り付けを容易にするために、チューブを側面に沿って切断し、ほどけることを防ぐために切り口をかがり縫いした。
【0160】
B.実験セットアップ及びセンサの特性評価
実験セットアップは、2つのExtech(382260)-80WスイッチングモードDC電源及びOriental Motor(型式AZM69AK)のステッピングモータを含む。第1の電源は、編成センサに定電流を提供し、第2の電源は、ロードセルに定電圧を提供する。ステッピングモータは、編成センサを指定した速度でリニアステージに沿って伸張させるようにArduino Unoによって制御され、測定された編成センサの出力電圧及びステッピングモータからのエンコーダデータは、リアルタイム組み込み評価ボード(National Instrument:MyRio)を使用して200Hz(5ms)で同時に記録した。センサの特性評価のための完全な実験セットアップを図37に示す。組み立てられたひずみセンサ3710を図37に示す。
【0161】
実験セットアップに編成センサを取り付けるためのインターフェースを図37に参照番号3710として示す。インターフェースは、センサの端部に取り付けられる2つの矩形クランプを含む。クランプは、厚さ5mmの透明アクリル板からレーザ切断され、次いで試験中に編成センサが摺動することを防止するために、編成センサを、4つのソケットねじ及び5つの接続ピンを用いて固定した。接続ピンを介して30mAの小さい定電流をセンサに供給し、ひずみ下でその抵抗が変化する際の編成センサの出力電圧を測定した。
【0162】
全ての試験は、自動化された実験セットアップを使用して行い、測定された出力電圧及びエンコーダデータは、初期電圧
【数8】
及び長さ
【数9】
に従って正規化した。V及びLは、初期電圧及びひずみ前の生地の長さを示し、Vは、電圧であり、Lは、特定の瞬間における生地の長さである。
【0163】
図38A図38Bは、それぞれ速度1.67cm/秒及び速度3.33cm/秒における30サイクルの負荷-負荷解除に対するセンサの正規化電圧対ひずみ応答を示す。より具体的には、図38A図38Bは、2つの異なるひずみ速度での最大35%ひずみの周期的負荷に対するセンサの応答を示す。センサは、30サイクルにわたって1.67cm/秒及び3.33cm/秒の速度で伸張させる。ヒステリシスループは、最初の数サイクル後に繰り返し可能になる。図38Aは、3番目のサイクル以降のセンサの応答を示す。見て分かるように、センサは、周期的負荷時にヒステリシス挙動を示す。図38Bは、速度3.33cm/秒で周期的負荷に曝されたときのセンサの応答を示す。
【0164】
様々な例示的実施形態において、センサ応答に適合させるために簡易三次多項式モデルを使用した。図39は、正規化電圧-ひずみ関係のグラフを示す。より具体的には、図39は、3.33cm/秒で伸張させたときの5番目のサイクルのセンサの応答を実線で示す。フィットさせた三次多項式モデルは、破線で示される。
【0165】
ウェアラブルセンサの設計及び膝関節のパラメータ化
様々な例示的実施形態による、特性評価されたセンサを埋め込んだカスタマイズ式膝装具が提供される。編成膝装具の設計は、5cm離して埋め込んだ3つのセンサを有し、左センサ及び右センサは、デバイスの精度を向上させるための冗長センサとして機能する。次いで、ウェアラブル膝装具を健康な対象の左膝で試験し、対象は、3つの活動:膝の屈曲-伸展、1.5km/hでのウォーキング及び5km/hでのジョギングを行った。全ての3つの活動は、AMTIトレッドミル上で約10~12秒間行った。
【0166】
図40A図40Cは、それぞれ編成膝装具及び反射マーカ、電気回路概略図及びプーリモデル概略図を示す。電気基板の設計及び回路概略図は、それぞれ図40A及び図40Bに示されている。3つのセンサ入力を読み取るために、3つの分圧器を並列で使用した。Teensyは、12ビットのアナログデジタル変換器を2つ有し、各ピンにおいて最大0.8mVの分解能で読み取ることが可能である。各ノードの電圧は、3.3Vであるため、各ピンにおけるアナログ読み取り値を使用し、以下の式(1)を使用して、センサの抵抗を計算することができる。出力電圧読み取り値は、3つの異なる活動中にSDメモリカードに記録した。
KS=(VAI×47Ω)/(3.3V-VAI) 式(1)
【0167】
本発明の膝装具の測定精度を確認するために、比較のための参照基準としてVicon(Oxford,UK)システムを使用した。合計15個の反射マーカを対象の左下肢に取り付け、9個のモーションキャプチャカメラで3つ全ての活動を記録した。Viconシステムからの運動データは、100Hzでサンプリングし、編成センサからのデータは、6Hzでサンプリングした。その後、両方のデータセットをMATHEMATICAで処理し、矢状面に沿った膝の角運動を比較した。15個の反射マーカの座標位置を用いて、回転中心(COR)及び基づく軸を計算した。計算に関する更なる情報は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるTanet al.,“Motion generation of passive slider multiloop wearable hand devices.”Journal of Mechanisms and Robotics 9.4(2017)において得られ得る。電気回路から収集したデータを膝の角運動に関連付けるために、図40Cに示すプーリモデルシステムを用いた。最初に、多項式関数モデルを用いてひずみを計算した。次に、計算されたひずみ及び対象の人体計測的半径を用い、式(2)を用いて、矢状面に沿った膝の角運動を得た。
L=rθ 式(2)
【0168】
結果
屈曲-伸展、ウォーキング及びジョギングにおける参照基準Viconと、中央の編成膝装具センサとの間の比較を図41に示す。より具体的には、図41は、(a)屈曲-伸展、(b)ウォーキング(1.5km/h)、及び(c)ジョギング(5km/h)におけるViconと中央の編成膝センサとの間の角度比較を示す。3つの活動から得られた結果は、矢状面に沿った膝の運動のモニタリングのために編成膝装具センサを使用できることを示す。膝の屈曲-伸展活動に関して、3番目のサイクルのピークで7.89°の最大ピーク誤差が発生する。ウォーキング歩行サイクルでは、最大ピーク誤差は、9.62°であった。ジョギング歩行サイクルに関して、最大ピーク誤差は、16.46°であった。ウェアラブル膝装具センサの精度を評価するために、3つ全ての活動に関してスピアマンの係数r値も計算する。r≧0.75の場合、2つの変数は、中程度の単調な関係を有すると考えられる。
【0169】
屈曲-伸展、ウォーキング及びジョギングの個々のr値は、それぞれ0.92、0.84及び0.86であり、平均rは、0.87であった。これらの値は、編成膝装具センサと参照基準との間に強い関係性があることを示す。
【0170】
したがって、編成膝装具は、ウォーキング活動及びジョギング活動に関して、矢状面上における膝の運動を妥当な精度で追跡する能力を示す。しかしながら、完全には無視できない誤差が依然として発生する。見て分かるように、誤差のほとんどは、ウォーキング試験及びジョギング試験の両方で立脚相時に発生する。立脚相時の角度差は、11.32~29.35°であり、これらの誤差は、以下の理由による可能性がある。第1に、電気基板の低いサンプリング周波数により、データの損失及び比較のための分解能の低下がもたらされる。第2に、モデルは、速度依存ヒステリシス及び異なる動作速度時におけるセンサの電気機械的特性に対する速度依存ヒステリシスの影響を考慮しない。最後に、対象が膝装具を着用するときに皺を認識した。これらの皺は、導電性生地に不均一な接触点を生じさせ、その結果、歩行立脚相時に誤差が大きくなる可能性がある。
【0171】
様々な例示的実施形態は、検知機能を衣服に直接組み込む方法を提供する。本発明者らは、本発明の編成センサ設計の電気機械的特性を評価し、3つの活動に関する矢状面に沿った膝の運動を追跡するために使用できることを示すことにより、その使用性を確認した。様々な例示的実施形態は、よりよい動作範囲及び感度を達成するために編成センサ設計を向上させることができると共に、ひずみ速度ヒステリシス効果を組み込むことによってモデルを向上させることができる。衣服設計レベルでは、皺を防ぎ、歩行サイクルの立脚相時の誤差を最小限にするために、センサに予荷重をかけることができる。
【0172】
図42は、様々な例示的実施形態によるステッチタイプの別の概略図を示す。図43は、様々な例示的実施形態によるシングル針床ステッチパターン及びダブル針床ステッチパターンの概略図を示す。図44は、線形繰り返しひずみ試験セットアップに取り付けられた編成導電性サンプルを示す別の画像及び糸の拡大図を示す。図45は、様々な例示的実施形態による、ウェアラブル内のセンサ及び相互接続部の分布を示す別の膝装具の概略図を示す。図46は、様々な例示的実施形態による、ウェアラブル内のセンサ及び相互接続部の分布を示す別の膝装具の画像を示す。
【0173】
本発明の実施形態を、特定の実施形態を参照して具体的に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、その形態及び細部に対する様々な変更形態がなされ得ることを当業者は理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって特許請求の範囲の意味及び均等な範囲内に入るあらゆる変更形態が包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4A-4B】
図5
図6
図7A-7B】
図8A-8B】
図9A
図9B-9D】
図10
図11A-11B】
図12A-12B】
図12C-12E】
図13
図14A-14B】
図15A-15C】
図16
図17A-17B】
図18A-18D】
図19
図20A-20B】
図21
図22
図23
図24
図25
図26A-26C】
図27
図28
図29A.29G】
図29B.29H】
図29C.29I】
図29D.29J】
図29E.29K】
図29F.29L】
図30
図31A-31B】
図31C
図32A-32B】
図32C
図33A-33B】
図34A-34C】
図34D
図35A
図35B
図36
図37
図38A-38B】
図39
図40A-40C】
図41
図42
図43
図44
図45
図46
【国際調査報告】