(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】撚り同軸ケーブル伝送線路
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240312BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20240312BHJP
G01R 33/36 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 390
G01N24/00 580Y
G01R33/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551986
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2022055055
(87)【国際公開番号】W WO2022184669
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】フィンデクレー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ルッスラー クリストフ グンター
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB41
4C096AD10
4C096AD19
4C096CC13
4C096CC40
(57)【要約】
本発明によれば、データ及び電力を伝送する伝送線路10であって、第1の内部導体21及び第1の外部導体22を有する第1の同軸ケーブル20と、第2の内部導体31及び第2の外部導体32を有する第2の同軸ケーブル30とを有し、第1の同軸ケーブル20及び第2の同軸ケーブル30は、第1の同軸ケーブル20及び第2の同軸ケーブル30を取り囲む付加のシールドを有し、及び/又は、第1の同軸ケーブル20及び第2の同軸ケーブル30は、互いに縒り合されて撚り伝送線路10を形成し、第1の外部導体22及び第2の外部導体32が、互いにガルバニック絶縁されている、伝送線路10が提供される。このようにして、MRI装置内での使用に適合し、低コストで製造することができる、データ及び電力を伝送する伝送線路10が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ及び電力を伝送する伝送線路であって、
第1の内側導体及び第1の外側導体を有する第1の同軸ケーブルと、
第2の内側導体及び第2の外側導体を有する第2の同軸ケーブルと、を有し、
前記第1の同軸ケーブル及び前記第2の同軸ケーブルが、前記第1の同軸ケーブル及び前記第2の同軸ケーブルを取り囲む付加のシールドを有し、及び/又は、前記第1の同軸ケーブルと前記第2の同軸ケーブルは互いに撚り合わされて撚り伝送線路を形成しており、
前記第1の外側導体及び前記第2の外側導体は互いにガルバニック絶縁され、
前記伝送線路は、前記第1の同軸ケーブルの前記第1の外側導体と前記第2の同軸ケーブルの前記第2の外側導体との間に接続される少なくとも1つの付加のキャパシタを有する、
伝送線路。
【請求項2】
前記第1の同軸ケーブル及び前記第2の同軸ケーブルはそれぞれ、50Ωのインピーダンスを有する、請求項1に記載の伝送線路。
【請求項3】
前記第1の同軸ケーブル及び/又は前記第2の同軸ケーブルが、0.2~1.0mmの外径を有するマイクロ同軸ケーブルである、請求項1又は2に記載の伝送線路。
【請求項4】
前記伝送線路の両端にキャパシタが配されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の伝送線路。
【請求項5】
前記伝送線路は、第3の内側導体及び第3の外側導体を有する第3の同軸ケーブルと、
第4の内側導体及び第4の外側導体を有する第4の同軸ケーブルと、を更に有し、
前記第3の外側導体及び前記第4の外側導体は、互いに及び前記第1の外側導体と前記第2の外側導体からガルバニック絶縁され、
前記第3の外側導体は、キャパシタを介して前記第1の外側導体に接続され、及びキャパシタを介して前記第4の外側導体に接続され、
前記第4の外側導体は、キャパシタを介して前記第2の外側導体に接続される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の伝送線路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の伝送線路を有するMRI無線周波数コイル。
【請求項7】
伝送線路を動作させる方法であって、前記伝送線路が、第1の内側導体及び第1の外側導体を有する第1の同軸ケーブルと、第2の内側導体及び第2の外側導体を有する第2の同軸ケーブルと、を有し、前記第1の同軸ケーブル及び前記第2の同軸ケーブルは、互いに撚り合わされて撚り伝送線路を形成し、前記第1の外側導体及び前記第2の外側導体が互いにガルバニック絶縁されており、前記伝送線路が、前記第1の同軸ケーブルの前記第1の外側導体と前記第2の同軸ケーブルの前記第2の外側導体との間に接続される少なくとも1つの付加のキャパシタを有し、前記方法が、
前記第1の同軸ケーブルの前記第1の外側導体及び前記第2の同軸ケーブルの前記第2の外側導体を介して電力を伝導するステップと、
前記第1の同軸ケーブルの第1の内側導体及び前記第2の同軸ケーブルの前記第2の内側導体を介してデータを伝送するステップと、
を有する方法。
【請求項8】
第1の内側導体及び第1の外側導体を有する第1の同軸ケーブルと、第2の内側導体及び第2の外側導体を有する第2の同軸ケーブルと、第3の内側導体及び第3の外側導体を有する第3の同軸ケーブルと、第4の内側導体及び第4の外側導体を有する第4の同軸ケーブルと、を有する伝送線路を動作させる方法であって、前記第1の同軸ケーブル、前記第2の同軸ケーブル、前記第3の同軸ケーブル及び前記第4の同軸ケーブルが、互いに撚り合わされて撚り伝送線路を形成し、すべての外側導体が、他のすべての外側導体からガルバニック絶縁されており、前記伝送線路は、前記第1の同軸ケーブルの前記第1の外側導体と前記第2の同軸ケーブルの前記第2の外側導体との間に接続される少なくとも1つの付加のキャパシタを有し、前記方法が、
前記第1の同軸ケーブルの前記第1の外側導体、前記第2の同軸ケーブルの前記第2の外側導体、前記第3の同軸ケーブルの第3の外側導体、及び前記第4の同軸ケーブルの前記第4の外側導体を介して、電力を伝導するステップと、
前記第1の同軸ケーブル及び前記第4の同軸ケーブルを介して第1のデータ伝送方向にデータを伝送するステプと、前記第2の同軸ケーブル及び前記第3の同軸ケーブルを介して第2のデータ伝送方向にデータを伝送するステップと、
を有し、前記第1のデータ伝送方向及び前記第2のデータ伝送方向は少なくとも一時的に互いに反対である、方法。
【請求項9】
前記伝送線路のその長さの大部分に沿った断面において、各同軸ケーブルの各中心軸は、菱形の角の1つにアラインされており、前記第1の同軸ケーブル及び前記第4の同軸ケーブルの中心軸はそれぞれ、前記菱形の対角線上の対向する角にアラインされており、前記第2の同軸ケーブル及び前記第3の同軸ケーブルの中心軸はそれぞれ、前記菱形の他の対角線上の対向する角にアラインされている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記菱形が正方形である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記伝送されるデータがデジタルデータであり、及び/又は前記電力がDC電流である、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、MRI装置の無線周波数受信コイルのために使用される、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記外側導体が、1又は複数のキャパシタを介して互いに接続される、請求項7乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサ上で実行される場合、請求項7乃至13のいずれか1項に記載の方法を、MRI装置の無線周波数受信機システムに実行させるための命令を記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ及び電力を伝送する伝送線路の分野に関し、特に、MRI装置内でデータ及び電力を伝送するための伝送線路に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどすべての電子アプリケーションが、受信チェーンにおいてできるだけ早く信号をデジタル化する傾向がある。この主な理由は、外乱に対する感度の低下(電磁両立性、EMC)である。単一のMRIコイル素子によって受信されるデータの量は、以下のように概算することができる:24ビットの分解能は、144dBのダイナミックレンジをもたらし、これはMRIに十分である。500kHz帯域幅の場合、約25Mbit/sのデータレートを定義する1MHzのサンプルレートが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
受信コイルの従来のケーブル配線は、各プリアンプから分配ユニットへのケーブルを必要とする。デジタル出力を使用するだけでなく、1つ又は複数のデジタル入力を使用することによって、いくつかのチャネルからのデータが組み合わされて、単一の物理チャネルを介して伝送されることができ、それによって、受信コイル内のケーブルの数が低減される。USB3.0のような単一のツイストペアを使用する短い標準デジタルリンクは、約5Gbit/sのデータレートに達することができ、これは、圧縮なしで約200コイル素子のデータを転送するのに十分である。
【0004】
しかしながら、MRI装置内でこのデータを送信するためのケーブルは、MRIの分野では通常であるように、高磁場送信に適合する必要があり、すなわち、ケーブルは、励起パルスを伝送するときに送信身体コイルのB1磁場のための受信アンテナとして機能しないように保護される必要がある。更に、データは、取得中に非常に敏感な受信アレイアンテナに結合して戻らないように、十分に遮蔽される必要がある。データ送信に加えて、受信器及び制御電子回路を駆動するために、受信素子にも電力が供給されなければならない。
【0005】
本発明の目的は、上述の要件を満たす伝送線路を提供することを目的とする。特に、本発明の目的は、MRI装置内での使用に適合し、低コストで製造することができる、データと電力を同時に伝送するための軽量で可撓性伝送線路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、独立請求項の主題によって対処される。本発明の好適な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
従って、本発明によれば、データ及び電力を伝送する伝送線路であって、第1の内側導体及び第1の外側導体を有する第1の同軸ケーブルと、第2の内側導体及び第2の外側導体を有する第2の同軸ケーブルとを有し、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルが、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルを取り囲む付加のシールドを有し、及び/又は第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルが、互いに撚り合わされて撚り伝送線路を形成し、第1の外側導体及び第2の外側導体が互いにガルバニック絶縁されている、伝送線路が提供される。
【0008】
本発明の目的は、MRI装置用の高磁場に適合する伝送線路を提供することである。本発明によれば、撚り合わされた(ツイストされた)第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルを有する伝送線路を提供することができる。撚り合わされた同軸ケーブルは、MRIコイル内のデータ及び電力接続として機能することができる。外側導体間には、信号周波数の短絡のように作用し、特にコモンモードノイズ注入の減少である外側導体の影響を最小限に抑えることができるキャパシタを設けることができる。ケーブルをツイストすることによって、外側導体によって形成される電力線へのB1及び勾配磁場からの結合が低減されることができる。
【0009】
このようにして、例えばUSB、イーサネット(登録商標)、又は低電圧差動シグナリング(LVDS)で使用されるような従来のシールドツイストペア線と同様の方法でデータを伝送するが、磁気共鳴と互換性がある安価なデジタル伝送線路を達成することができる。
【0010】
好ましくは、両端において、両外側導体は、共通のAC接地に接続される。外側導体は、キャパシタを介して互いに接続されることが好ましい。そのようなキャパシタは、データ用のケーブルを接地するが、依然として電力を伝送することを可能にするように、ガルバニック接続を回避する。従って、一方の外側導体が接地に直接接続され、他方の外側導体がキャパシタを介して接続されてもよい。
【0011】
一般に、異なるインピーダンスを同軸ケーブルに使用されることができる。本発明の好適な実施形態によれば、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルはそれぞれ、50Ωのインピーダンスを有する。規格の50Ωケーブルの2倍を使用することによって、内側導体間の信号について得られるインピーダンスは100Ωによって与えられ、従って、ほとんどのシリアルデジタルデータ伝送線路について定義された規格によく適合する。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の同軸ケーブル及び/又は第2の同軸ケーブルは、特に0。2~1。0mmの外径を有するマイクロ同軸ケーブルである。そのような同軸線は、好ましくは、可撓性ケーブルを得るために非常に細いタイプによって選択されるべきである。2つのケーブルは、同じタイプであってもよいが、異なるタイプであってもよい。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の外側導体と第2の外側導体とを接続するキャパシタが提供される。好ましくは、このようなキャパシタは、伝送線路の両端にそれぞれ配置される。
【0014】
本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、第1の同軸ケーブルの第1の外側導体と第2の同軸ケーブルの第2の外側導体との間に接続された少なくとも1つの付加のキャパシタを有する。従って、キャパシタを使用して、少なくとも伝送線路の端部にあるが、中間にもある2つの外側シールドを接続することができる。
【0015】
本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、第3の内側導体及び第3の外側導体を有する第3の同軸ケーブルと、第4の内側導体及び第4の外側導体を有する第4の同軸ケーブルとを更に有し、第3の外側導体及び第4の外側導体は、互いに及び第1の外側導体及び第2の外側導体からガルバニック絶縁される。好ましくは、4つ全ての外側導体は、各伝送線路の対応する外側導体間に見られるインピーダンスが、全ての関連する信号周波数における特性インピーダンスよりも著しく低い低インピーダンスで接続されるように、キャパシタのセットを介して接続される。好ましくは、第3の外側導体は、キャパシタを介して第1の外側導体に接続され、キャパシタを介して第4の外側導体に接続され、第4の外側導体は、キャパシタを介して第2の外側導体に接続される。従って、伝送線路はまた、2つのシールドされたデジタル伝送線路を形成する4つの撚り合わせ同軸ケーブルから作製されてもよい。非常に低い周波数では、同軸ケーブルのシールドはあまり効率的ではない。結合を防止するために、チャネルを構築するための斜め近傍(diagonal neighbors)を使用することが好ましい。このようにして、結果として生じる場が直交するので、電気的及び磁気的結合が低減される。従って、伝送線路は、物理的に分離された線路を有する双方向伝送に使用されることができる。この設計に関して、本発明の好適な実施形態は、対応する斜めの伝送線路の外側導体間、又は両終端において各外側導体と共有接地面との間に、キャパシタを有することである。
【0016】
更に、本発明によれば、上述のような伝送線路を有するMRI無線周波数コイルが提供される。特に、伝送線路は、MRI装置用の無線周波数レシーバシステムのための無線周波数受信コイル内でデータを伝送するために使用される。伝送線路は、デジタルMRIコイル内で使用され、これは、MRI送信身体コイルのような非常にEMCが困難な環境で使用される。アプリケーションの他の例は、特に困難なEMC要求を伴う他の混合アナログ及びデジタルアプリケーションであってもよい。
【0017】
更に、本発明によれば、伝送線路を作動させる方法が提供され、伝送線路は、第1の内側導体及び第1の外側導体を有する第1の同軸ケーブルと、第2の内側導体及び第2の外側導体を有する第2の同軸ケーブルとを有し、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルは、互いに撚り合わされて撚り伝送線路を形成し、第1の外側導体及び第2の外側導体は、互いにガルバニック絶縁されるとともに、1つ又は複数のキャパシタを介して互いに接続され、前記方法は、第1の同軸ケーブルの第1の外側導体及び第2の同軸ケーブルの第2の外側導体を介して電力を伝導するステップと、第1の同軸ケーブルの第1の内側導体及び第2の同軸ケーブルの第2の内側導体を介してデータを伝送するステップとを有する。電力は、同軸ケーブルの外側導体を介して、例えばDC電流によって伝達される。信号のために、2つの内側導体が、従来のツイストペアケーブル又はツイナックスケーブルとして使用される。更に、本発明によれば、伝送線路を作動させる方法が提供され、伝送線路は、第1の内側導体及び第1の外側導体を有する第1の同軸ケーブルと、第2の内側導体及び第2の外側導体を有する第2の同軸ケーブルと、第3の内側導体及び第3の外側導体を有する第3の同軸ケーブルと、第4の内側導体及び第4の外側導体を有する第4の同軸ケーブルとを有し、第1の同軸ケーブル、第2の同軸ケーブル、第3の同軸ケーブル及び第4の同軸ケーブルは、互いに撚り合わされて撚り伝送線路を形成し、すべての外側導体は、他のすべての外側導体からガルバニック絶縁されている。好ましくは、外側導体は、同じ接地電位を共有するようにAC方向に接続される。更に、本発明の好適な実施形態によれば、この4ケーブルソリューションのためのDC電力供給は、1つの方向に対応する2つのケーブルのそれぞれの間に提供される。これにより、非定常DC電流から伝送線路への結合が軽減され、潜在的なEMC問題が更に軽減されます。好適には、第1の外側導体と第2外側導体とが互いにキャパシタを介して接続され、第3外側導体が、キャパシタを介して第1の外側導体に接続され、キャパシタを介して第4の外側導体に接続され、第4の外側導体は、キャパシタを介して第2の外側導体に接続され、前記方法が、第1の同軸ケーブルの第1の外側導体と、第2の同軸ケーブルの第2の外側導体と、第3の同軸ケーブルの第3の外側導体と、第4の同軸ケーブルの第4の外側導体とを介して、電力を伝導し、第1の同軸ケーブル及び第4の同軸ケーブルを介して第1のデータ伝送方向にデータを伝送し、第2の同軸ケーブル及び第3の同軸ケーブルを介して第2のデータ伝送方向にデータを伝送し、第1のデータ伝送方向と、第2のデータ伝送方向は、少なくとも一時的に互いに反対である。従って、伝送線路は、物理的に分離された線路を有する双方向伝送に使用されることができる。電力は、同軸ケーブルの外側導体を介して伝達される。信号は、同軸ケーブルの内側導体を介して2つの異なる双方向伝送方向に伝送される。
【0018】
代替として、4つの外側導体を使用して、3つの異なる供給又は制御信号を伝送することができる。好ましくは、制御信号は、患者の安全性を更に改善するために、例えば、コイル素子が送信パルス中に十分に離調されることを確実にするために、冗長性を追加することができる安全関連信号である。
【0019】
2つの同軸ケーブルのみを有する構成では、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルの伝送方向は同一である。4つの同軸ケーブルを有する構成では、信号の伝送方向は双方向であり、第1の同軸ケーブルと第4の同軸ケーブルの伝送方向は同一であり、第2の同軸ケーブルと第3の同軸ケーブルの伝送方向は同一である。
【0020】
本発明の好適な実施形態によれば、2つのケーブルのみを有する実現例が、双方向ラインとして使用されることができる。良好な端部の場合、原則として両端で両方の信号が分離されることができる。代替例として、各単一のケーブルは、信号を一方向に伝送することができる。
【0021】
本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路のその長さの大部分に沿った断面において、各同軸ケーブルの中心軸はそれぞれ、長方形の角の1つにアラインされており、第1の同軸ケーブル及び第4の同軸ケーブルの中心軸はそれぞれ、長方形の対向する角にアラインされており、第2の同軸ケーブル及び第3の同軸ケーブルの中心軸が、長方形の他の対向する角部にアラインされている。ここで、「その長さの大部分に沿う」とは、その長さの50%超を意味する。更に、「長方形の対向する角」とは、対角線上の対向する角又は角部(対角位置の角又は角部)を意味する。従って、このようにして、2つの高シールドデジタル伝送線路が形成される。低周波数での結合を低減するために、対角線上の対角位置にある同軸ケーブルは、デジタルチャネルを形成する。
【0022】
本発明の好適な実施形態によれば、矩形は菱形である。この点において、全ての同軸ケーブルが同じ直径を有し、上述のように配置される場合、菱形は正方形になる。
【0023】
本発明の好適な実施形態によれば、伝送されるデータはデジタルデータであり、及び/又は電力はDC電流である。デジタル伝送が上記で説明されたが、技術的には、本発明は、アナログドメインにおいても適切に機能する。電力は、DC電流によって同軸ケーブルの外側導体を介して伝達される。
【0024】
本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、好ましくは、ねじれ、屈曲、及び機械的引張力に対してケーブルバンドルをより強固にするために、可撓性の、好ましくは、弾性のある糸と組み合わされ、好ましくは、包まれる。本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、別個の単線又は光ファイバなどのさらなるケーブルと組み合わされることもできる。本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、RFプリアンプ又はセンサ間のアナログ又はデジタル接続を処理ユニットに提供するために、可撓性RF MRIコイルに統合されることができる。本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、心臓アブレーション又は他の診断目的のためにカテーテルに統合されることができる。本発明の好適な実施形態によれば、伝送線路は、処理ユニットまでの距離を迂回するためにデジタル出力データストリームを提供するセンサ(カメラ、LIDAR、RADAR)に適用されることができる。本発明の好適な実施形態によれば、センサは、超音波、温度、圧力、及び/又は加速度検知素子でありうる。
【0025】
本発明の好適な実施形態によれば、この方法は、MRI装置の無線周波数受信コイルに使用される。
【0026】
更に、本発明によれば、プロセッサ上で実行される場合に、MRI装置用の無線周波数レシーバシステムに上述の方法を実行させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0027】
図面の簡単な説明
【0028】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。しかしながら、そのような実施形態は、必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、従って、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲及び本明細書を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の好適な実施形態による伝送線路を断面図で概略的に示す図。
【
図2】本発明の好適な実施形態による伝送線路を斜視図で概略的に示す図。
【
図3】本発明の更に好適な実施形態による伝送線路を断面図で概略的に示す図。
【
図4】本発明の好適な実施形態に係る伝送線路を概略的に示す図であり、
【
図5】本発明の更に好適な実施形態に係る伝送線路を概略的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の好適な実施形態による伝送線路10を断面図で概略的に示す。伝送線路10は、第1の同軸ケーブル20と、第2の同軸ケーブル30とを有する。第1の同軸ケーブル20は、第1の内側導体21及び第1の外側導体22を有する。第2の同軸ケーブル30は、第2の内側導体31及び第2の外側導体32を有する。両方の同軸ケーブル20、30は、外装絶縁体60によって外部に対して電気絶縁されている。第1の外側導体22と第2の外側導体32とは、キャパシタC1を介して接続されている。
【0031】
図2は、
図1の伝送線路と同様の伝送線路を斜視図で模式的に示している。また、第1の同軸ケーブル20と第2の同軸ケーブル30とは、互いに撚り合わされている。ここで、伝送線路10の両端は、キャパシタC1a、C1bを介して互いに接続されている。
【0032】
図3は、4つの同軸ケーブル20、30、40、50を有する伝送線路10を断面図で概略的に示す。第1の同軸ケーブル20は、第1の内側導体21及び第1の外側導体22を有する。第2の同軸ケーブル30は、第2の内側導体31及び第2の外側導体32を有する。第3の同軸ケーブル40は、第3の内側導体41及び第3の外側導体42を有する。第4の同軸ケーブル50は、第4の内側導体51と第4の外側導体52とを有する。第1外側導体22と第2外側導体32とは、第1キャパシタC1を介して接続されている。第2外側導体32と第4外側導体52とは、第2キャパシタC2を介して接続されている。第4外側導体52と第3外側導体42とは、第3キャパシタC3を介して接続されている。第3外側導体42と第1外側導体22とは、第4キャパシタC4を介して接続されている。同軸ケーブル20、30、40、50は、正方形に配置される。第1の同軸ケーブル20及び第4の同軸ケーブル50が、正方形の対角線上の対向する角に配置され、第2の同軸ケーブル30及び第3の同軸ケーブル40が、正方形の他の対角線上の対向する角に配置される。
【0033】
図4は、本発明の好適な実施形態による方法を概略的に示す。
図1に示すように、2本の同軸ケーブル20、30のみを用いた構成では、第1のステップS1において、第1の同軸ケーブル20の第1の外側導体22と第2の同軸ケーブル30の第2の外側導体32とを介して電力が導通され、第2のステップS2において、第1の同軸ケーブル20の第1の内側導体21と第2の同軸ケーブル30の第2の内側導体31とを介してデータが伝送される。
図3に示すような4本の同軸ケーブル20、30、40、50を用いた構成では、第1の同軸ケーブル20の第1の外側導体22、第2の同軸ケーブル30の第2の外側導体32、第3の同軸ケーブル40の第3の外側導体42及び第4の同軸ケーブル50の第4の外側導体52を介して、電力が導通する。第2のステップS2では、第1の同軸ケーブル20の第1の内側導体21、第2の同軸ケーブル30の第2の内側導体31、第3の同軸ケーブル40の第3の内側導体41及び第4の同軸ケーブル50の第4の内側導体51を介して、データが伝送される。説明した両方の構成について、第1のステップS1及び第2のステップS2は、並行して実行される。
【0034】
図5は、
図3に示す4つの同軸ケーブル20、30、40、50を斜視図で概略的に示す。第1の同軸ケーブル20及び第4の同軸ケーブル50は、対角線上の対向する角に配置され、第2の同軸ケーブル30及び第3の同軸ケーブル40は、他の対角線上の対向する角に配置される。第1の同軸ケーブル20の第1の内側導体21及び第4の同軸ケーブル50の第4の内側導体51は、第1の伝送方向T1にデータを伝送する。第2の同軸ケーブル30の第2の内側導体31及び第3の同軸ケーブル40の第3の内側導体41は、第2の伝送方向T2にデータを伝送する。第1の伝送方向T1及び第2の伝送方向T2は、逆平行である。
【0035】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解され、及び実施されることができる。請求項において、単語「有する、含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。更に、明瞭にするために、図面中のすべての構成要素に参照符号が付されているわけではない。
【符号の説明】
【0036】
伝送線路 10
第1の同軸ケーブル 20
第1の内側導体 21
第1の外側導体 22
第2の同軸ケーブル 30
第2の内側導体 31
第2の外側導体 32
第3の同軸ケーブル 40
第3の内側導体 41
第3の外側導体 42
第4の同軸ケーブル 50
第4の内側導体 51
第4の外側導体 52
絶縁体 60
キャパシタ C1
キャパシタ C1a
キャパシタ C1b
キャパシタ C2
キャパシタ C3
キャパシタ C4
第1のデータ伝送方向 T1
第2のデータ伝送方向 T2
電力を伝導する S1
データを伝送する S2
【国際調査報告】