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特表2024-512285空中浮遊病原体を気体ボリュームから高効率でフィルタリング及び除去するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】空中浮遊病原体を気体ボリュームから高効率でフィルタリング及び除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/133 20210101AFI20240312BHJP
   F24F 8/142 20210101ALI20240312BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20240312BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240312BHJP
   B01J 19/12 20060101ALI20240312BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240312BHJP
   A61L 2/23 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F24F8/133
F24F8/142
F24F8/30
F24F8/80 100
B01J19/12 C
A61L2/10
A61L2/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552267
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022018229
(87)【国際公開番号】W WO2022183134
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/154,787
(32)【優先日】2021-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517361568
【氏名又は名称】フェイス インターナショナル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボイド クラーク ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フェイス ブラッドバリー アール.
【テーマコード(参考)】
4C058
4G075
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058BB07
4C058DD02
4C058DD04
4C058DD07
4C058JJ02
4C058KK02
4G075AA03
4G075AA45
4G075AA63
4G075AA65
4G075BB08
4G075CA02
4G075CA03
4G075CA33
4G075DA02
4G075DA05
4G075DA18
4G075EA06
4G075EB01
4G075EB32
4G075EC01
4G075FA11
4G075FB02
4G075FC20
(57)【要約】
気体ボリュームから、不要粒子と、限定されないがウイルスを含む病原体とを除去するシステム及び方法である。本システムは、空気流に対する抵抗が低く、処理対象の気体ボリュームが高流量かつ高速で流れることを可能にする。低温面が、入ってくる気体の温度を低下させ、それにより気体からの水の凝縮が生じる。凝縮液は、気体ボリュームから除去された不要粒子及び病原体を含む。凝縮液は、高温面上に通されるが、高温面は撥水性被膜を備え、かつ、感染を中和する抗ウイルス被膜を有する触媒面も備える。イオン化を組み入れられてもよい微小噴霧ノズルを使用して、捕集された水を、感染が利用され得る高温面上に噴霧してもよい。本システムはマルチステージを備えてもよい。本システムは、先行技術のシステムよりも良好な感染中和及びより高い流速をもたらし、一方で使用するエネルギーは少なく、発する騒音も少ない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な気体ボリュームから不要物質を除去するシステムであって、
筐体であって、前記筐体を通るように連続的な気体ボリュームを移動させるファンを備え、前記連続的な空気ボリュームが前記筐体に流入することを可能にする入口と、前記連続的な気体ボリュームが前記筐体から流出することを可能にする第2開口とを有し、前記連続的な気体ボリュームは温度によって特徴付けられる筐体と、
前記連続的な気体ボリュームよりも温度が低い少なくとも1つの低温面であって、気体が前記少なくとも1つの低温面と熱交換するときに、空気中の水分が凝縮して前記気体から析出することによって、前記不要物質を備えた凝縮液を生成するようにされた低温面と、
前記連続的な気体ボリュームよりも温度が高い少なくとも1つの高温面であって、前記気体が前記少なくとも1つの高温面と熱交換するときに、前記連続的な気体ボリュームを加熱する高温面と、
前記凝縮液と流体連通することで前記凝縮液を捕集する、少なくとも1つの捕集容器と、を備え、
前記連続的な気体ボリュームは、流出開口を通過するように移動し、前記流出開口を通って前記筐体から流出する前記連続的な気体ボリュームにおいては、前記筐体に流入した前記連続的な気体ボリュームよりも、気体ボリュームに対する不要物質の個数が少ないシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの低温面の温度は、0℃から15℃の間である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの高温面の温度は、40℃から70℃の間である、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの捕集容器は、病原体を中和する触媒物質を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの捕集容器内の前記凝縮液は、56℃以上の温度に保持される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの低温面は、さらに複数の低温面として定義され、前記少なくとも1つの高温面は、複数の高温面として定義され、
低温面の数、高温面の数、及び捕集容器の数は同じであり、
前記低温面及び前記高温面は、前記連続的な気体ボリュームが前記筐体を通過するときには、空気ボリュームがまず低温面と熱交換し、その後に高温面と熱交換し、それから低温面及び高温面と交互に熱交換するように配置される、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記入口と前記少なくとも1つの低温面との間に配置されるイオン化装置をさらに備え、前記イオン化装置は、前記連続的な気体ボリュームが前記イオン化装置を通過するときに、前記連続的な気体ボリュームが保持する不要物質をイオン化するように動作可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記筐体内に配置される少なくとも1つの紫外線光源をさらに備え、前記少なくとも1つの紫外線光源は、前記連続的な気体ボリュームの一部分が少なくとも10~20mJ/cmの照射量を受けるように、前記連続的な気体ボリュームの少なくとも一部分を照射する、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記連続的な気体ボリュームが保持する水分量を増大させるために、流体供給源と連通した少なくとも1つの噴霧器をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの低温面は、撥水性被膜を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの高温面は、触媒物質を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記噴霧器は、ネブライザである、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記ネブライザは、さらに超音波ネブライザとして定義される、請求項10記載のシステム。
【請求項14】
前記流体供給源は、前記少なくとも1つの捕集容器と連通するフラッシュボイラーであって、前記少なくとも1つの捕集容器からの凝縮液が前記フラッシュボイラーに伝わるフラッシュボイラーであり、前記凝縮液は前記凝縮液内の病原体を中和するように加熱され、加熱された凝縮液は、前記連続的な気体ボリューム内の水分量を増大させる噴霧器に送られる、請求項9記載のシステム。
【請求項15】
前記筐体は、少なくとも1つの流入ステージと少なくとも1つの流出ステージを含む複数の積み重ね可能なステージを備え、前記流入ステージは、連続的な気体ボリュームを受け入れて、前記連続的な気体ボリュームを複数の交互に並ぶ低温面及び高温面の近くに通して、前記連続的な気体ボリュームを、中間ステージ対の第1中間ステージ又は流出ステージであってもよい次のステージへと送出し、
前記次のステージが中間ステージ対の第1中間ステージである場合には、前記中間ステージ対において、前記連続的な気体ボリュームが、前記中間ステージ対を通過して、複数の交互に並ぶ低温面及び高温面と熱交換し、それにより、前記気体が前記中間ステージ対の前記低温面と熱交換するときに凝縮液の生成が生じ、さらに、前記連続的な気体ボリュームが、中間ステージ対の別の第1中間ステージ又は流出ステージであってもよい次のステージへと流出し、
前記次のステージが流出ステージである場合には、前記流出ステージにおいて、前記連続的な気体ボリュームが、前記流出ステージを通過して、複数の交互に並ぶ低温面及び高温面と熱交換し、それにより、前記気体が前記流出ステージの前記低温面と熱交換するときに凝縮液の生成が生じ、さらに、前記連続的な気体ボリュームが前記流出ステージ内の流出開口を通って前記筐体から流出する、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、流入ステージと流出ステージとを備える、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、流入ステージと中間ステージ対と流出ステージとを備える、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、流入ステージと複数の中間ステージ対と流出ステージとを備える、請求項15記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの低温面は、熱電モジュールの低温面であり、前記少なくとも1つの高温面は、熱電モジュールの高温面である、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
前記連続的な気体ボリュームは、複数の低温面が対向してその間に開放領域を形成するように配置される1対の熱電モジュールの前記複数の低温面の間を通るように導かれ、前記空気が前記領域を通過することで、前記空気が前記低温面と熱交換して前記空気の温度が低下し、凝縮液が生成される、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの低温面の温度は、0℃から15℃の間である、請求項19記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの高温面の温度は、40℃から70℃の間である、請求項19記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの捕集容器は、病原体を中和する触媒物質を備える、請求項19記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの捕集容器内の前記凝縮液は、56℃以上の温度に保持される、請求項19記載のシステム。
【請求項25】
前記入口と前記少なくとも1つの低温面との間に配置されるイオン化装置をさらに備え、前記イオン化装置は、前記連続的な気体ボリュームが前記イオン化装置を通過するときに、前記連続的な気体ボリュームが保持する不要物質をイオン化するように動作可能である、請求項19記載のシステム。
【請求項26】
前記筐体内に配置される少なくとも1つの紫外線光源をさらに備え、前記少なくとも1つの紫外線光源は、前記連続的な気体ボリュームの少なくとも一部分を、前記連続的な気体ボリューム内の病原体を中和するのに十分な強度で照射する、請求項19記載のシステム。
【請求項27】
前記連続的な気体ボリュームが保持する水分量を増大させるために、流体供給源と連通する少なくとも1つの噴霧器をさらに備える、請求項19記載のシステム。
【請求項28】
前記噴霧器は、ネブライザである、請求項27記載のシステム。
【請求項29】
前記ネブライザは、さらに超音波ネブライザとして定義される、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
前記流体供給源は、前記少なくとも1つの捕集容器と連通するフラッシュボイラーであって、前記少なくとも1つの捕集容器の凝縮液が前記フラッシュボイラーに伝わるフラッシュボイラーであり、前記凝縮液は前記凝縮液内の病原体を中和するように加熱され、加熱された凝縮液は、前記連続的な気体ボリューム内の水分量を増大させる噴霧器に送られる、請求項27記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも1つの低温面は、撥水性被膜を備える、請求項19記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つの高温面は、触媒物質を備える、請求項19記載のシステム。
【請求項33】
前記捕集容器の表面のうち前記凝縮液と接触する少なくとも一部分は、触媒物質を備える、請求項19記載のシステム。
【請求項34】
前記凝縮液は、前記捕集容器から圧送され、前記少なくとも1つの高温面上に噴霧される、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
前記凝縮液は、前記捕集容器から毛細管作用によって前記少なくとも1つの高温面上に吸い上げられる、請求項33記載のシステム。
【請求項36】
前記少なくとも1つの熱電モジュールは、偶数個の熱電モジュールの複数として定義され、2つの熱電モジュールが熱電モジュール対を構成し、前記熱電モジュール対を構成する前記熱電モジュールは、複数の低温面が互いに対向してその間に開放領域を形成するように配置され、前記空気が前記領域を通過することで、前記空気が前記低温面と接触して、又は前記低温面の近くを通過して、前記空気の温度が低下し、前記低温面上に凝縮液が生成され、前記凝縮液は前記空気から除去された不要粒子又は病原体を含む、請求項19記載のシステム。
【請求項37】
複数の熱電モジュール対と複数の捕集容器とを備え、各熱電モジュール対に対して1つの捕集容器があり、各捕集容器は特定の熱電モジュール対に関連し、前記捕集容器のそれぞれは、重力の力で前記関連する熱電モジュール対の前記低温面から移動した凝縮液を捕集するように配置される、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
前記低温面は、撥水性被膜を備える、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
前記高温面は、触媒物質を備える、請求項37記載のシステム。
【請求項40】
前記捕集容器のうちの少なくとも1つと流体連通する、前記捕集容器から前記凝縮液を圧送するための、少なくとも1つのポンプをさらに備え、前記ポンプと流体連通する噴霧器又は微小噴霧ノズルをさらに備え、前記ポンプは、前記捕集容器から前記凝縮液を圧送して、前記噴霧器又は前記微小噴霧ノズルを通して前記高温面上に噴霧するように構成される、請求項37記載のシステム。
【請求項41】
前記捕集容器のうちの少なくとも1つと流体連通する、前記捕集容器から前記少なくとも1つの高温面上に前記凝縮液を吸い上げるための、少なくとも1つの吸い上げ構造をさらに備える、請求項37記載のシステム。
【請求項42】
前記吸い上げ構造は、微小溝のある銅製チューブ配管である、請求項41記載のシステム。
【請求項43】
前記吸い上げ構造は、焼結銅である、請求項41記載のシステム。
【請求項44】
前記空気を、前記筐体内に及び前記筐体を通るように移動させ、それにより前記空気の少なくとも一部分を前記低温面と熱交換させるための、少なくとも1つのファンと、
前記ファンを制御するように動作可能であるコントローラと、をさらに備え、
前記コントローラは、前記ファン及び前記熱電モジュールへの電力を制御するための、非一時的にコンピュータが読み取り可能で実行可能な命令を備える物理メモリと連絡し、
前記コントローラは、ヒューマンユーザインターフェイス又は前記コントローラと通信するリモートユーザのうちの少なくとも1つを介して、前記ファン及び前記熱電モジュールへの電力を制御するためのユーザコマンドを受け取るように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項45】
前記コントローラはさらに、1つ以上の外部センサからセンサ情報を受信して、前記システムの筐体の外側の環境に不要物質が存在していると1つ以上のセンサが検知した場合には、本発明のシステムを制御して動作状態にするように構成される、請求項44記載のシステム。
【請求項46】
前記コントローラはさらに、1つ以上の内部センサからセンサ情報を受信し、前記ヒューマンユーザインターフェイスを介してユーザに前記センサ情報を送るように、又は、前記コントローラと通信するリモートユーザに前記センサ情報を送るように構成される、請求項44記載のシステム。
【請求項47】
連続的な気体ボリュームから不要粒子及び病原体を除去する方法であって、
(a)筐体を通すように前記連続的な気体ボリュームを移動させることと
(b)前記連続的な気体ボリュームをイオン化することと、
(c)前記連続的な気体ボリュームに水滴又は微小滴を加えることと、
(d)前記連続的な気体ボリュームを冷却することであって、気体内の水分を凝縮して、前記連続的な気体ボリュームから除去された不要粒子及び病原体を含む凝縮液を生成するように、前記連続的な気体ボリュームを冷却することと、
(e)前記連続的な気体ボリュームを加熱することと、
(f)前記冷却と加熱を交互に実施することと、
(g)前記凝縮液を捕集容器内に捕集することと、
を備える方法。
【請求項48】
前記連続的な気体ボリュームに、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、前記連続的な気体ボリュームが少なくとも10~20mJ/cmの照射量を受けるように、照射することを更に備える、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記連続的な気体ボリュームに、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、前記連続的な気体ボリュームが少なくとも10~200mJ/cmの照射量を受けるように、照射することを更に備える、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記捕集容器は、病原体を中和する触媒物質を備える、請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記捕集容器内の前記凝縮液は、56℃より高い温度に保持される、請求項47記載の方法。
【請求項52】
前記連続的な気体ボリュームを冷却することは、前記連続的な気体ボリュームを、0℃から15℃の間で低温面と熱交換させることによって行われる、請求項47記載の方法。
【請求項53】
前記連続的な気体ボリュームを加熱することは、前記連続的な気体ボリュームを、0℃から15℃の間で高温面と熱交換させることによって行われる、請求項47記載の方法。
【請求項54】
連続的な気体ボリュームから不要粒子及び病原体を除去する方法であって、
(a)前記連続的な気体ボリュームを冷却することであって、前記空気中の水分を凝縮して、前記連続的な気体ボリュームから除去された不要粒子及び病原体を含む凝縮液を生成するように、前記連続的な気体ボリュームを冷却することと、
(b)前記凝縮液を捕集することと、
(c)前記凝縮液を少なくとも1つの高温面に適用して、前記凝縮液を構成する水を気化させて、前記不要粒子及び病原体を前記高温面上に残すことと、
を備える方法。
【請求項55】
前記少なくとも1つの高温面は、50℃以上60℃以下の範囲の温度である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記高温面から前記不要粒子と中和された病原体を除去すること、を更に備える、請求項54記載の方法。
【請求項57】
前記連続的な気体ボリュームを冷却することは、前記連続的な気体ボリュームを、少なくとも1つの熱電モジュール対の対向する複数の低温面の間に通すことによって行われ、前記連続的な気体ボリュームの少なくとも一部分は、前記低温面のうちの少なくとも1つと熱交換する、請求項54記載の方法。
【請求項58】
前記低温面は、0℃以上10℃以下の範囲の温度である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つの高温面に前記凝縮液を適用することは、噴霧によって行われる、請求項54記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つの高温面に前記凝縮液を適用することは、吸い上げによって行われる、請求項54記載の方法。
【請求項61】
気体内の不要物質が前記凝縮液によって前記気体の外に運び出されやすくなるように、前記連続的な気体ボリュームをイオン化すること、を更に備える請求項54記載の方法。
【請求項62】
前記空気に、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、前記連続的な気体ボリュームが少なくとも10~20mJ/cmの照射量を受けるように、照射すること、を更に備える、請求項54記載の方法。
【請求項63】
前記空気に、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、前記連続的な気体ボリュームが少なくとも10~200mJ/cmの照射量を受けるように、照射すること、を更に備える、請求項54記載の方法。
【請求項64】
前記凝縮液を触媒物質と接触させることによって、前記凝縮液内に含まれる病原体を少なくとも部分的に中和すること、を更に備える、請求項54記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの高温面の少なくとも一部分は、触媒物質を備える、請求項54記載の方法。
【請求項66】
前記凝縮液を収容する凝縮液捕集容器は、触媒物質を備える、請求項54記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本非仮特許出願は、2021年2月28日に米特許商標庁(USPTO)に出願された「MULTIFACETED SYSTEM FOR HIGH EFFICIENCY FILTERING AND DESTRUCTION OF AIRBORNE PATHOGENS」と題する米国仮特許出願第第63/154,787号の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の開示を参照によりその全体を本願に援用する。
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
【0002】
該当なし。
[コンパクトディスクによる提出材料の参照による援用]
【0003】
該当なし。
[発明の背景]
[1.技術分野]
【0004】
本発明の技術分野は、広くは、空中浮遊粒子状物質、感染、及び他の不要物質のフィルタリング及び除去のためのシステム及び方法に関する。
[2.背景技術]
【0005】
空中浮遊病原体は感染を引き起こす可能性があり、空中浮遊粒子は人間と人間以外の両方にとって健康に深刻な影響を与える可能性があることは良く知られている。例えば、空中浮遊病原体や他の生物学的有害物質の伝播は、人間集団を介して急速に拡大するおそれのあるパンデミックやエピデミックを発生させる可能性があり、当該住民に深刻な健康問題や死をもたらし、長期にわたる厳しい経済的被害、さらには、国家安全保障への脅威すらももたらす。このような例としては、Covid-19疾患を起こすコロナウイルスの変異型の伝播が挙げられる。これは、2019年に世界規模で人間集団内において広がり始めて、2022年に入っても継続したままである。
【0006】
不要粒子の拡散も同様に、人間集団内で健康問題が発生する割合が増加して、同じマイナスの結果を引き起こす可能性がある。一例として、空中浮遊する発がん性物質が拡散すると、人間集団における発がん率が上昇して個人に深刻な健康問題を引き起こし、その結果長期にわたる経済的被害をもたらすおそれがある。
【0007】
屋内環境及び他の閉鎖空間では、このような空間の空気は一般的に暖房、換気、及び空調HVAC)システムや他のシステムを通じて再循環されているので、空中浮遊不要粒子や病原体により、疾病や他の健康へのマイナス影響のリスクが高まる。これらの閉鎖空間では、不要粒子又は病原体を、外部の風によって運び去ってくれる閉鎖空間外の環境や雰囲気へ逃がすことができる方法が全くない状態で、空気が再循環されている可能性がある。したがって、不要粒子又は病原体がこのような閉鎖空間内に持ち込まれると、数時間、数日、あるいはそれ以上の間にわたり空中浮遊したまま残り続けてしまい、その結果、閉鎖空間内にいる個人の健康リスクが高まる可能性がある。
【0008】
状況によっては、汚染された内部空気を汚染されていない外部の空気と入れ替えるために、空間内を通気することが可能であるかもしれない。しかしながら、多くの状況では、このような通気は不可能である。例えば、内部に閉鎖空間が多数存在する大きな建物では、この内部空間を通気することは通常不可能である。さらに、人が集まるほとんどの閉鎖空間では、空調や暖房を通じて空気の温度を制御する必要がある。よって、大部分の用途では通気の実施は不可能である。
【0009】
不要粒子や病原体に対する従来の微粒子フィルタリングも問題を抱えている。例えば、病原体ウイルスはサイズが非常に小さいので、使用されるボリュームのフィルタリングを、単に微粒子フィルタを用いるだけで行うのは非常に難しい。一例として、SARS-CoV-2ビリオンは、コロナウイルス疾患2019(ヒトコロナウイルス2019、HCoV-19、hCoV-190としても知られる、COVID-19パンデミックに関与した呼吸器疾患)を引き起こすウイルスであるが、直径が50~20ナノメートル程度の大きさである。大量の空気からSARS-CoV-2ビリオンを除去する際に使用するものとして、高性能微粒子空気(HEPA)フィルタが提案されている。しかし、空気等の気体からウイルスを除去できるほど細かいHEPAフィルタ等の微粒子フィルタの使用には、重大な難点がある。HEPAフィルタは、物理的に阻止するフィルタであるので、空気流に対する大きな抵抗が生じてしまい、空気を押し出してフィルタに通すために大型のブロアが必要になる。このブロアは騒音が非常にひどく、多量の電気エネルギーを消費する。この騒音の要因だけで、このようなシステムはほとんどの屋内閉鎖空間には使用できないおそれがある。さらに、SARS-CoV-2ビリオンの大きさはHEPAフィルタの適用範囲の下限近くに相当し、これは、SARS-CoV-2ビリオン等の病原体を空気ボリュームから除去するためには、マルチステージのHEPAフィルタリングを要し得ることを意味する。これはHEPAフィルタの既知の問題(騒音レベルが高い、エネルギー消費が多い)を悪化させる。HEPAフィルタのさらなる難点は、例えば小さいSARS-CoV-2ビリオンをフィルタリングするためには微小な開口が必要であるために、フィルタを頻繁に交換しなければいけないことであり、その結果、使用済みフィルタの要素は、活動性のあるウイルスを大量に含んでおり、規制基準に従って取り扱わなければならない生物学的有害物質であるため、ユーザに多大な費用と不便をもたらしてしまう。このような生物学的有害物質の使用済みフィルタの処分に、HEPAフィルタの使用に対して追加かつ過度なコストがかかることになる。
【0010】
したがって、当該技術分野に必要とされるものは、空気ボリュームから不要粒子と病原体を除去するように構成される装置及び/又は方法であって、エネルギー効率が良く、気が散るような騒々しい騒音を出さず、低コストで容易に製造可能で、他のシステムとは独立して動作可能で、生物学的有害廃棄物を生じず、幅広い種類の大小閉鎖空間で容易に展開可能な装置及び/又は方法である。
[発明の概要]
【0011】
本発明は、単独で、又は任意の組み合わせで、特許可能な主題を備え得る、以下の特徴及び/又はステップのうちの1つ以上を有する方法及びシステム、又はデバイスを備える。本発明は、以下に記載するように、先行技術の上述の難点を克服する。
【0012】
本発明の方法及びシステムは、このような空中浮遊不要粒子や病原体が人間と人間以外の両方の集団の個々に与える疾病の伝播や他の有害な影響への脅威を低減するために、複数の実施形態において継続的に、空気ボリューム(a volume of air)から不要粒子と病原体を除去する。本発明の方法及びシステムは、空中浮遊ウイルス又は他の生物学的有害物質が空気感染を特徴とするパンデミック状況において特に有用である。このような場合、本発明の方法及びシステムは、疾病を引き起こす病原体、例えばウイルス、細菌、又は他の生体物質の空気感染率を劇的に低減させるように動作可能であり、空気ボリュームから目的の病原体(例えば所与のウイルス)を除去することにより、一例として、しかし限定するものでなく、危険レベルの空中浮遊病原体が含まれる可能性のある建物の屋内といった閉鎖環境を、特定の病原体が空気感染によって伝染して結果病気になることへの恐怖もなく、個人が安全に使用できるようになる。このような閉鎖環境は、例えば、病院、診療所、手術センター、及び他の医療施設の部屋、教室、行政機関の建物、公共の建物、博物館、及び一般人がよく訪れる他の建物、飛行機、列車、バス、船舶、自動車等の交通機関の内部、スポーツ施設、家屋、ホテル、及び、人間又は人間以外が個々に集まる可能性がある事実上あらゆる閉鎖環境であり得る。これらは、本発明のシステム及び方法のいくつかの適用における非限定的な例である。
【0013】
本発明のシステム及び方法は、複数の実施形態において、空気等の気体ボリュームから不要物質を除去するように動作可能である。このような不要物質は、ダスト、花粉、かび、細菌、ウイルス、及び他の任意の種類の空中浮遊粒子を含み、基板や他の種類の機械的フィルタ材料は使用されない。
【0014】
本発明の方法及びシステムは、機械的フィルタリング、例えば高性能微粒子エア(High Efficiency Particulate Air:HEPA)フィルタや超低微粒子貫通性エア(Ultra Low Particulate Air:ULPA)フィルタを使用することなく、空気ボリュームから粒子及び病原体等の不要物質を除去することによって、先行技術の難点を克服する。本発明のシステムは、例えば陰圧室や陰圧設備を設けるために使用されるような、大型で騒音の大きい空気ブロアを使用しない。本発明の方法及びシステムの効果は、1)本発明のシステムは粒子状物質や病原体の物理的阻止によるものではないので、システム内での圧力低下が非常に小さく、大量の空気流を可能にすること、2)清浄や廃棄が必要な汚れや毒性のある空気フィルタがないこと、3)騒音がかなり小さいこと、4)所定量の空気を動かすために高めである上部圧力に対して稼働しなければならないHEPA、ULPA、又は陰圧システムと比べて、電気エネルギー電力消費要件が少ないこと、を特徴とする。本発明の方法及びシステムは、本システムの開放空気流設計の結果として、先行技術のシステムの圧力低下よりも低い圧力低下によって特徴付けられる。
【0015】
複数の実施形態において、本デバイスの方法及びシステムは、概して、(空気であってもよい)ある量の気体/気体ボリューム(a volume of gas)を移動させることによって動作する。気体は連続量であってもよく、典型的には、筐体を通って流れるが必須ではなく、筐体にはシステムの各要素が配置される。入ってくる気体ボリュームは、流入気体又は空気の温度によって特徴付けられ、流入空気が第1面と熱交換するように、第1温度を有する第1面の近くを、又は第1面と接触するように移動させられる。複数の実施形態において、空気ボリュームは次に、空気が第2面と熱交換するように、第2温度を有する第2面の近くを、又は第2面と接触して、移動し続けてもよい。空気ボリュームは、第3温度を有する第3面と熱交換するように移動し続けてもよく、複数の実施形態において、空気ボリュームは、第4温度を有する第4面と熱交換するように移動し続けてもよく、等々、任意の数の面に対して続いていき、各面はそれ自体の温度によって特徴付けられる。面の中には、同一の温度を特徴とする面もあってもよい。個々の面の温度は、気体内の水分の凝縮を引き起こして、ある量の凝縮液を生成する温度の任意の組み合わせであってもよく、凝縮液は面から遠ざかるように動かされ、気体ボリュームからの除去が望まれる病原体を含み得る不要物質をその中で運ぶ。その後、凝縮液は1つ以上の捕集容器内へと移動させられて、そこで処理されて、気体から除去され、容器(複数の容器)内への凝縮液の捕集によって容器(複数の容器)内に運ばれてきた病原体を中和してもよい。
【0016】
複数の実施形態において、筐体を通るように空気ボリュームを移動させる際に水分を凝縮させる温度によって複数の面が特徴付けられる限り、複数の面の温度は、入ってくる気体ボリュームよりも高くても低くてもよい。
【0017】
複数の実施形態において、入ってくる流入気体は、1つ以上の面と衝突すること(つまり熱交換すること)によって冷却されてもよく、これらの面は、衝突してくる気体よりも低い温度によって特徴付けられ、この気体ボリューム内の水分(HO)を凝縮させて析出させ、気体は冷却された空気になって、病原体を含んでもよい不要物質を含む、ある量の凝縮液を生成する。次に、凝縮液を捕集容器に移動させて、そこで処理して、不要粒子を除去、又は病原体を中和してもよい。気体は次に、冷却された気体よりも高温である面と熱交換させることによって加熱されてもよく、それにより、水を再吸収できる加熱された気体ボリュームが生成されてもよい。次に、加熱された気体ボリュームは、さらなる低温面に衝突(つまり熱交換)させることによって、再び冷却に晒されてもよく、加熱された気体ボリュームを冷却し、気体ボリューム内の更なる水分を凝縮させて析出させることにより、不要粒子及び病原体を含むさらなる凝縮液が生成されてもよい。さらなる凝縮液は、同じ容器、又は異なる容器に捕集されて、不要粒子を除去するために、又は病原体を中和するために、もしくはその両方のために処理されてもよい。この冷却-凝縮-析出-捕集-処理サイクルを、複数のステージ又は複数のサイクルの間繰り返してもよく、各連続ステージ又はサイクルの結果、ステージが次々と進んでいくにつれて、含まれる不要物質や病原体がより少なくなっていき、気体ボリュームが順次より清浄になっていく。
【0018】
使用目的に対して安全とみなす規格を空気が満たしているかどうかを判定するために、紫外線照射又は他の検出手段を用いて、各連続ステージ又はサイクルにおいて不要粒子及び病原体の残存レベルを把握してもよい。本発明のシステム(例えば筐体)内へ、システム内で、又はシステムの外へ移動するときに、空気ボリューム内の病原体をさらに中和するために、紫外線照射はいずれのステージで使用してもよい。
【0019】
複数の実施形態において、筐体100内へ、筐体100内で、及び筐体100の外へと流れる気体ボリューム002の運動と移動を実現し、かつ誘導するために、本発明のシステムは、ファン、筐体、ブロア、バッフル、構造物、開口、ハウジング、気体誘導面、筐体や構成要素の形状、又は他の特徴を、それぞれ任意の数だけ、本明細書にて教示したように、システムを通過する際に、気体ボリューム002が熱電モジュール104の低温面と高温面とに衝突して、空気ボリューム002から凝縮を介して不要粒子及び病原体を除去するように備えてもよい。
【0020】
複数の実施形態において、測定可能な電力消費を用いて目標を達成するために、熱電モジュール対の完全なステージを複数、任意の数で、及び任意の組み合わせで利用して、不要粒子又は病原体、あるいはその両方の除去率を上げてもよい。追加の完全熱電モジュール対ステージはそれぞれが、次の完全なステージに直接供給可能である。このようなマルチステージシステムの完全なステージの各々が同種又は同数のサブステージを備える必要はない。
【0021】
複数の実施形態において、流入フィルタは、例えば比較的粗い衝突フィルタであってもよいので、空気002を送るために少量の電力しか必要としないという特徴がある。HEPA型機械的フィルタリングは、本発明のシステム及び方法では必要とされない。したがって、必要な電力消費、コスト、及び保守が、HEPAや先行技術の他のフィルタと比較してかなり少ないことは、本発明のシステム及び方法の利点である。
【0022】
複数の実施形態において、本発明は連続的な気体ボリュームから不要物質を除去するシステムを備え、本システムは、筐体であって、筐体を通るように連続的な気体ボリュームを移動させるファンを備え、連続的な気体ボリュームが筐体に流入することを可能にする入口と、連続的な気体ボリュームが筐体から流出することを可能にする第2開口とを有し、連続的な気体ボリュームが温度によって特徴付けられる筐体と、連続的な気体ボリュームよりも温度が低い少なくとも1つの低温面であって、気体が少なくとも1つの低温面と熱交換するときに、空気中の水分が凝縮して気体から析出することによって、不要物質を備えた凝縮液を生成するようにされた低温面と、連続的な気体ボリュームよりも温度が高い少なくとも1つの高温面であって、気体が少なくとも1つの高温面と熱交換するときに、連続的な気体ボリュームを加熱する高温面と、凝縮液と流体連通することで凝縮液を捕集する、少なくとも1つの捕集容器と、を備え、連続的な気体ボリュームは、流出開口を通過するように移動し、流出開口を通って筐体から流出する連続的な気体ボリュームにおいては、筐体に流入した連続的な気体ボリュームよりも、気体ボリュームに対する不要物質の個数が少ない。
【0023】
複数の実施形態において、少なくとも1つの低温面の温度は0℃から15℃の間であってもよく、少なくとも1つの高温面の温度は40℃から70℃の間であってもよい。複数の実施形態において、捕集容器は病原体を中和する触媒物質を備えてもよい。複数の実施形態において、請求項1のシステムでは、少なくとも1つの捕集容器内の凝縮液は56℃以上の温度に保持される。
【0024】
ある実施形態において、少なくとも1つの低温面はさらに複数の低温面として定義されてもよく、少なくとも1つの高温面は複数の高温面として定義され、低温面の数、高温面の数、及び捕集容器の数は同じであってもよい。低温面及び高温面は、連続的な気体ボリュームが筐体を通過するときには、空気ボリュームがまず低温面と熱交換し、その後に高温面と熱交換し、それからは低温面及び高温面と交互に熱交換するように配置されてもよい。
【0025】
複数の実施形態において、本システムは、入口と少なくとも1つの低温面との間に配置されるイオン化装置をさらに備えてもよく、イオン化装置は、連続的な気体ボリュームがイオン化装置を通過するときに、連続的な気体ボリュームと連続的な気体ボリュームが保持する不要物質をイオン化するように動作可能である。複数の実施形態において、筐体内に配置される少なくとも1つの紫外線光源を備えてもよく、少なくとも1つの紫外線光源は、連続的な気体ボリュームの少なくとも一部分を、連続的な気体ボリュームの一部分が少なくとも10~20mJ/cmのUV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーの照射量を受けるように照射する。本システムは、連続的な気体ボリュームが保持する水分量を増大させるために、流体供給源と連通する、少なくとも1つの噴霧器をさらに備えてもよい。
【0026】
複数の実施形態において、少なくとも1つの低温面は撥水性被膜を備える。複数の実施形態において、少なくとも1つの高温面は病原体を中和するための触媒物質を備える。
【0027】
複数の実施形態において、噴霧器はネブライザであってもよい。
【0028】
複数の実施形態において、噴霧器への流体供給源は、少なくとも1つの捕集容器と連通するフラッシュボイラーであって、少なくとも1つの捕集容器からの凝縮液がフラッシュボイラーに伝わるフラッシュボイラーであってもよく、凝縮液は凝縮液内の病原体を中和するように加熱され、加熱された凝縮液は、連続的な気体ボリューム内の水分量を増大させる噴霧器に送られる。
【0029】
複数の実施形態、請求項1のシステムにおいて、筐体は少なくとも1つの流入ステージと少なくとも1つの流出ステージを含む複数の積み重ね可能なステージを備えてもよく、流入ステージは連続的な気体ボリュームを受け入れて、連続的な気体ボリュームを複数の交互に並ぶ低温面及び高温面の近くに通して、連続的な気体ボリュームを、中間ステージ対の第1中間ステージ又は流出ステージであってもよい次のステージへと送出する。次のステージが中間ステージ対の第1中間ステージである場合には、中間ステージ対において、連続的な気体ボリュームが、中間ステージ対を通過して、複数の交互に並ぶ低温面及び高温面と熱交換し、それにより、気体が中間ステージ対の低温面と熱交換するときに凝縮液の生成が生じる。連続的な気体ボリュームは中間ステージ対の別の第1中間ステージ又は流出ステージであってもよい次のステージへと流出してもよい。次のステージが流出ステージである場合には、流出ステージにおいて、連続的な気体ボリュームが、流出ステージを通過して、複数の交互に並ぶ低温面及び高温面と熱交換し、それにより、気体が流出ステージの低温面と熱交換するときに凝縮液の生成が生じ、さらに、連続的な気体ボリュームが流出ステージ内の流出開口を通って筐体から流出する。
【0030】
複数の実施形態において、本システムは流入ステージと流出ステージとを備えてもよい。
【0031】
複数の実施形態において、本システムは流入ステージと中間ステージ対と流出ステージとを備えてもよい。
【0032】
複数の実施形態において、本システムは、流入ステージと複数の中間ステージ対と流出ステージとを備えてもよい。
【0033】
複数の実施形態において、少なくとも1つの低温面は熱電モジュールの低温面であってもよく、少なくとも1つの高温面は、熱電モジュールの高温面であってもよい。
【0034】
複数の実施形態において、連続的な気体ボリュームは、複数の低温面が対向してその間に開放体積/領域を形成するように配置される1対の熱電モジュールの複数の低温面の間を通るように導かれてもよく、気体が領域を通過することで、気体が低温面と熱交換して気体の温度が低下し、連続的な気体ボリュームから除去されるのが望ましい不要物質を含む凝縮液が生成される。
【0035】
複数の実施形態において、少なくとも1つの低温面の温度は0℃から15℃の間であってもよい。複数の実施形態において、少なくとも1つの高温面の温度は40℃から70℃の間であってもよい。複数の実施形態において、少なくとも1つの捕集容器内の凝縮液は56℃以上の温度に保持されてもよい。
【0036】
複数の実施形態において、筐体内に配置される少なくとも1つの紫外線光源をさらに備えてもよい。少なくとも1つの紫外線光源は、連続的な気体ボリュームの少なくとも一部分を、連続的な気体ボリューム内の病原体を中和するのに十分な強度で照射する。
【0037】
複数の実施形態において、捕集容器の表面のうち凝縮液と接触する少なくとも一部分は、触媒物質を備える。
【0038】
複数の実施形態において、凝縮液は捕集容器から圧送され、少なくとも1つの高温面上に噴霧されてもよい。複数の実施形態において、凝縮液は、捕集容器から毛細管作用によって少なくとも1つの高温面上に吸い上げられてもよい。
【0039】
複数の実施形態において、熱電モジュールは、偶数個の熱電モジュールの複数として定義されてもよく、2つの熱電モジュールが熱電モジュール対を構成し、熱電モジュール対を構成する熱電モジュールは、複数の低温面が互いに対向してその間に開放体積/領域を形成するように配置され、空気が領域を通過することで、空気が低温面と接触して、又は低温面の近くを通過して、空気の温度が低下し、低温面上に凝縮液が生成され、凝縮液が空気から除去された不要粒子又は病原体を含む。
【0040】
複数の実施形態において、本発明のシステムは複数の熱電モジュール対と複数の捕集容器とを備え、各熱電モジュール対に対して1つの捕集容器があり、各捕集容器は、特定の熱電モジュール対に関連し、捕集容器のそれぞれは、重力の力で関連する熱電モジュール対の低温面から移動した凝縮液を捕集するように配置される。
【0041】
複数の実施形態において、本発明のシステムは、捕集容器のうちの少なくとも1つと流体連通する、捕集容器から凝縮液を圧送するための、少なくとも1つのポンプをさらに備えてもよく、ポンプと流体連通する噴霧器又は微小噴霧ノズルをさらに備え、ポンプは、捕集容器から凝縮液を圧送して、噴霧器又は微小噴霧ノズルを通して高温面上に噴霧するように構成される。
【0042】
複数の実施形態において、本発明のシステムは、捕集容器のうちの少なくとも1つと流体連通する、捕集容器から少なくとも1つの高温面上に、凝縮液を吸い上げるための、少なくとも1つの吸い上げ構造をさらに備えてもよい。吸い上げ構造は微小溝のある銅製チューブ配管、又は焼結銅である。
【0043】
複数の実施形態において、本発明のシステムは、空気を、筐体内に及び筐体を通るように移動させ、それにより空気の少なくとも一部分を低温面と熱交換させるための、少なくとも1つの制御可能なファンと、ファンを制御するように動作可能であるコントローラとをさらに備えてもよく、コントローラは、ファン及び熱電モジュールへの電力を制御するための、非一時的にコンピュータが読み取り可能で実行可能な命令を備える物理メモリと連絡し、コントローラは、ヒューマンユーザインターフェイス又はコントローラと通信するリモートユーザのうちの少なくとも1つを介して、ファン及び熱電モジュールへの電力を制御するためのユーザコマンドを受け取るように構成される。
【0044】
複数の実施形態において、コントローラはさらに、1つ以上の外部センサからセンサ情報を受信して、システムの筐体の外側の環境に不要物質が存在していると1つ以上のセンサが検知した場合には、本発明のシステムを制御して動作状態にするように構成されてもよい。コントローラはまた、1つ以上の内部センサからセンサ情報を受信して、ヒューマンユーザインターフェイスを介してユーザにセンサ情報を送るように、又は、コントローラと通信するリモートユーザにセンサ情報を送るように構成されてもよい。
【0045】
複数の実施形態において、本発明は、連続的な気体ボリュームから不要粒子及び病原体を除去する方法を備え、当該方法は、筐体を通るように連続的な気体ボリュームを移動させることと、連続的な気体ボリュームをイオン化することと、連続的な気体ボリュームに水滴、微小滴、又は分子を加えることと、連続的な気体ボリュームを冷却することであって、気体内の水分を凝縮して、連続的な気体ボリュームから除去された不要粒子及び病原体を含む凝縮液を生成するように、連続的な気体ボリュームを冷却することと、連続的な気体ボリュームを加熱することと、冷却と加熱を交互に実施することと、凝縮液を捕集容器内に捕集することと、を備える。
【0046】
本方法はさらに、連続的な気体ボリュームに、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、連続的な気体ボリュームが少なくとも10~20mJ/cmの照射量を受けるように照射することを備えてもよい。
【0047】
本方法はさらに、連続的な気体ボリュームに、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、連続的な気体ボリュームが少なくとも10~200mJ/cmの照射量を受けるように照射することを備えてもよい。
【0048】
本方法はさらに、捕集容器内の凝縮液を56℃以上の温度に保持することを備えてもよい。
【0049】
複数の実施形態において、連続的な気体ボリュームを冷却することは、連続的な気体ボリュームを、0℃から15℃の間で低温面と熱交換させることによって行われてもよい。複数の実施形態において、連続的な気体ボリュームを加熱することは、連続的な気体ボリュームを、0℃から15℃の間である高温面と熱交換させることによって行われてもよい。
【0050】
複数の実施形態において、本発明は、連続的な気体ボリュームから不要粒子及び病原体を除去する方法を備えてもよく、当該方法は、連続的な気体ボリュームを冷却することであって、空気中の水分を凝縮して、連続的な気体ボリュームから除去された不要粒子及び病原体を含む凝縮液を生成するように、連続的な気体ボリュームを冷却することと、凝縮液を捕集することと、凝縮液を少なくとも1つの高温面に適用して、凝縮液を構成する水を気化させて、不要粒子及び病原体を高温面上に残すことと、を含む。少なくとも1つの高温面は、50℃以上60℃以下の範囲の温度であってもよい。本方法はさらに、高温面から不要粒子と中和された病原体を除去することを、更に備えてもよい。
【0051】
複数の実施形態、請求項54の方法において、連続的な気体ボリュームを冷却することは、連続的な気体ボリュームを、少なくとも1つの熱電モジュール対の対向する複数の低温面の間に通すことによって行われてもよく、連続的な気体ボリュームの少なくとも一部分は、低温面のうちの少なくとも1つと熱交換する。
【0052】
複数の実施形態において、低温面は、温度が0℃以上10℃以下の範囲の温度であってもよい。
【0053】
複数の実施形態において、凝縮液を少なくとも1つの高温面に適用することは、噴霧によって行われる。
【0054】
複数の実施形態において、凝縮液を少なくとも1つの高温面に適用することは、吸い上げによって行われる。
【0055】
複数の実施形態において、本方法はさらに、気体内の不要物質が凝縮液によって気体の外に運び出されやすくなるように、連続的な気体ボリュームをイオン化すること、を更に備えてもよい。
【0056】
複数の実施形態において、本方法はさらに、連続的な気体ボリュームに、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、連続的な気体ボリュームが少なくとも10~20mJ/cmの照射量を受けるように、照射することを更に備えてもよい。
【0057】
請求項54の方法はさらに、空気に、UV-A、UV-B、又はUV-C光エネルギーを、連続的な気体ボリュームが少なくとも10~200mJ/cmの照射量を受けるように照射することを更に備えてもよい。
【0058】
請求項54の方法はさらに、凝縮液を触媒物質と接触させることによって、凝縮液内に含まれる病原体を少なくとも部分的に中和することを更に備えてもよい。
【0059】
請求項54の方法において、少なくとも1つの高温面の少なくとも一部分は触媒物質を備える。
【0060】
請求項54の方法において、凝縮液を収容する凝縮液捕集容器は、触媒物質を備える。
【0061】
先行技術のシステム及び方法に対する本発明のさらなる利点は、高温面上に残る不要粒子及び病原体が、廃棄される活性のある生物学的有害物質が生成されないように中和された状態にあることである。
【0062】
[図面の簡単な説明]
添付図面は、本明細書の一部に組み込まれて本明細書の一部を構成しており、本発明の1つ以上の実施形態を描写し、本明細書の記載とともに、本発明の原理の説明に役立つ。各図面はもっぱら本発明の例示的実施形態を描写するためのものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、本発明の例示的実施形態を図示したものであり、実施形態の要素を模式的に示している。
図2図2は、本発明は任意の数の高温及び/又は低温面を備え得ることを模式的に図示したものである。
図3図3は、一例として、暖房、換気、及び空調(HVAC)のダクトシステムでの使用に適する、本発明の一実施形態の斜視図を図示したものである。
図4図4は、本発明のマルチステージ実施形態の斜視図を図示したものであり、積み重ね可能な複数のステージを備え、任意の所望の数のステージを備える本発明の一実施形態の構築を可能にする。清浄対象の空気002に病原体等の不要物質が多数存在する場合において、特定ボリュームの気体内の病原体(又は他の目的物質)のレベルを結果として所望の低値に到達させるために、追加のステージが採用されてもよい。
図5図5は、図4に示された本発明のマルチステージ実施形態の流入ステージの例示的実施形態を図示したものである。
図6図6は、図4に示された本発明のマルチステージ実施形態の流出ステージの例示的実施形態を図示したものである。
図7図7は、図4に示された本発明のマルチステージ実施形態の中間ステージ対のうちの第1中間ステージの例示的実施形態を図示したものである。
図8図8は、図4に示された本発明のマルチステージ実施形態の中間ステージ対のうちの第2中間ステージの例示的実施形態を図示したものである。
図9図9は、図5に示された例示的流入ステージを通る空気流の多数の構成のうちの1つを図示したものである。
図10図10は、図7に示された中間ステージ対のうちの例示的第1中間ステージを通る空気流の多数の構成のうちの1つを図示したものである。
図11図11は、図8に示された中間ステージ対のうちの例示的第2中間ステージを通る空気流の多数の構成のうちの1つを図示したものである。
図12図12は、図6に示された例示的流出ステージを通る空気流の多数の構成のうちの1つを図示したものである。
図13図13は、本発明の方法を実施するための、筐体内部に配置される複数の熱電モジュールを備える、本発明のシステムの実施形態を図示したものである。
図14図14は、本発明の熱電モジュールの例示的かつ非限定的実施形態を図示したものである。
図15図15は、本発明の熱電モジュール対の例示的かつ非限定的実施形態を図示したものであり、本発明の凝縮-捕集-気化サイクルを示し、凝縮液109を高温面106に適用する噴霧方法を示している。
図16図16は、本発明の熱電モジュール対の例示的かつ非限定的実施形態を図示したものであり、本発明の凝縮-捕集-気化サイクルを示し、凝縮液109を高温面106に適用する吸い上げ方法を示している。
図17図17は、本発明のある実施形態の例示的かつ非限定的ブロック図を図示したものである。
図18図18は、本発明の方法の例示的かつ非限定的実施形態の方法ステップのフローチャートを図示したものである。
図19図19は、外部の病原体又は粒子センサがコントローラ402と通信可能なシステムの実施形態を図示したものであり、したがって、本発明のシステム001,004,又は005の外側の環境、例えば閉鎖領域、部屋、建物、空気ダクト、又は他の構造において、病原体又は粒子等の不要物質を検出すると、コントローラ402は、局所環境の空気から不要物質を除去するために、本発明のシステム及び方法を動作させ得る。センサがシステムに対してローカルである必要はない。
【発明を実施するための形態】
【0064】
各図において、同一項目の付記は同一要素を言及している。
【0065】
本発明の種々の実施形態は、本明細書に記載されている本発明の特徴のうちの任意のものを、又は、全てを、任意の数で、及び任意の組み合わせで備え得る。
【0066】
[発明の詳細な説明]
以下の文書は、本発明の詳細な説明を提供するものである。
【0067】
本願にて提供される詳細な説明には、例示の目的で多数の具体的な内容が含まれるが、当業者であれば、以下に続く詳細内容の変形や変更が本発明の範囲の範疇にあることを理解するであろう。したがって、以下の本発明の好適な実施形態は、請求項に記載の発明に対する一般性を全く失うことなく、かつ、発明に対して限定を課すことなく説明される。よって、本発明の範囲は、添付の請求項及びその法的な均等物によって決定されるべきであり、与えられた好適な実施例又は好適な実施形態のみで決定されるべきではない。
【0068】
本明細書で使われる「ペルチェ効果」は、その意味において、電流を熱電対の回路を通して流した時に、一方の接合部では熱を放出させ、他方の接合部では熱を吸収させることで生み出される効果を含む。ペルチェ効果とは、異なる2つの導体の通電接合で加熱又は冷却が存在することである。2つの導体AとBの間の接合部を通る電流を流すと、その接合部では熱が発生又は除去され得る。接合部で発生した単位時間当たりのペルチェ熱は次の式を特徴とする。
【数1】
ここでπ及びπは導体A及びBのペルチェ係数であり、Iは(AからBに流れる)電流である。発生した総熱量は、ジュール加熱や温度勾配の効果(下記参照)の影響も受ける可能性があるので、ペルチェ効果だけでは決まらない。ペルチェ係数とは、単位電荷あたりどれだけの熱が伝わるかを表している。接合部を越えるときに電荷電流は連続して流れているに違いないので、πとπが異なる値であれば、関連する熱の流れが不連続点を生じさせる。ペルチェ効果は、ゼーベック効果とは逆作用の現象とみなすことができる(磁気誘導における逆起電力に類似している)、つまり、単純な熱電回路を閉じた場合、ゼーベック効果が電流を生じさせ、それが今度は(ペルチェ効果によって)熱を常に高温接合部から低温接合部に移動させる。熱電ヒートポンプはこの現象を活用したものであり、冷蔵庫で見られる熱電冷却デバイスも同様である。
【0069】
本明細書で使われる「ペルチェ素子」は、その意味において、1つ以上の接合部を連続して備えてもよく、その接合部を貫通する電流Iが生じた結果、素子の第1外面と第2外面に温度差ができるデバイスを含む。複数の実施形態では、第1外面と第2外面には、60℃までの温度差や、60℃を超える温度差が発生することもある。つまり、例示的な素子では、電流Iが流れている場合において、第1面は0℃の温度を保持し、第2面は60℃の温度を保持することもあるし、もしくは本開示で規定されたようになる場合もある。第1面及び第2面は、金属等の熱伝導物質であってもよい。個々のペルチェ素子は連続で動作するように積み重ねてもよく、これにより、第1面と第2面とで得られる温度差が、単一のペルチェ素子で一般的に達成可能な値よりも大きくなる。このような場合、第1ペルチェ素子の第1面は第2ペルチェ素子の第2面と(例えば物理的接触によって)熱連絡しており、他も同様に(こちらも例えば物理的接触によって)熱連絡することで、一連の熱連絡構造のペルチェ素子の積み重ねを形成して、1つのペルチェ素子の高温側は隣接するペルチェ素子の低温側と物理的接触する等々のように構成することによって、第1外側面と第2外側面とにわたって、1つのペルチェ素子で一般的に達成可能な値よりも大きな温度差を達成できる。ペルチェ素子は可動部品がなく、このため、摩耗、疲労、環境による変質(例えば錆や腐食)及び他の故障モードを生じやすいピストン圧縮機、機械式リレー、高圧配管及び連系、及び機械機器を使用する従来の蒸気圧縮システムといった、他の温度差発生システムの故障メカニズムに影響されにくいことは、ペルチェ素子の利点である。
【0070】
本明細書で使われる「病原体」は、その意味において、人間又は人間以外にも疾病を引き起こす任意の細菌、ウイルス、又は他の微生物を含み、例えば、限定されないが、コロナウイルス疾患2019(coronavirus disease:COVID-19)を引き起こすコロナウイルスといったウイルス等の空中浮遊病原体を含む。
【0071】
本明細書で使われる「撥水性被膜」は、その意味において、水をはじく任意の被膜を含み、撥水性被膜を備えた表面から水を簡単に除去できる。「撥水性被膜」は、その意味において、一般に撥水性又は超撥水性として設計される全ての被膜を含む。撥水性被膜が塗布された表面に水をかけると、その水は水滴を形成し、例えば重力等の力の作用を受けたとき、又は、例えばファンやブロアからの強制空気の作用を受けたときに、水滴は表面に沿って簡単に動く。撥水性被膜の中には、一方の構成材が粗さをもたらし、他方の構成材が低い表面エネルギーをもたらす複合材料で構成されるものもある。非限定的な撥水性の基本原理の一つは、凹部を埋めることよりも、濡らすことの方がより多くのエネルギーを費やす凹領域を、表面に作ることである。このいわゆるWenzel効果の表面、又はロータス(花)効果の表面は、凹領域に比例した量の分だけ接触面積が小さくなり、この結果得られる接触角が大きくなる。この凹表面では、外部からの液体や固体を引き付ける力が、比例して減少していく。撥水性被膜としては、限定されないが、酸化マンガンポリスチレン(MnO2/PS)ナノ複合体、酸化亜鉛ポリスチレン(ZnO/PS)ナノ複合体、沈降炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ構造、シリカナノ被膜、フッ素化シラン及びフッ素重合体被膜、パラフィン、TFEテロマー、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロポリエーテル、RFプラズマ、ナノピンフィルム、任意の低エネルギー表面被膜が含まれる。
【0072】
本明細書で使われる「触媒物質」は、病原体の中和に有用で使用可能な任意の材料を意味する。本発明のシステム及び方法の異なる適用において、特定の病原体に対して様々な触媒物質を使用してもよい。例えばCovid-19への適用では、その毒性又は感染性を弱めるのでSARS-CoV-2ビリオンの中和に有効であると知られている特定の触媒物質を活用してもよい。他の病原体に向けた他の用途では、その病原体の中和に有効であると知られている他の触媒物質が本発明に活用され得る。触媒物質の例としては、限定されないが、ポリウレタンと結合した酸化第一銅(Cu2O)粒子を備えた物質や、銅、銀、銀イオン、チタン、亜鉛、及びこれらの酸化物が含まれる。
【0073】
「不要物質」は、清浄対象の気体002中に存在する任意の物質であり、懸濁生物製剤、有機又は無機粒子、病原体(例えばウイルスや細菌等)、煙粒子、ほこり、花粉、化学物質粒子、又は清浄対象の気体002からの除去を所望される他の任意の物質を含む。
【0074】
本明細書で使われる「気体」は、その意味において、任意の気体、又は複数の気体の組み合わせや混合気体を含み、空気も含む。よって、「気体」は、その意味において、限定されないが、空気を含む。本開示で使われる「気体」及び「空気」は、任意の気体又は気体の組み合わせを意味するものとして、同じ意味で使用されてもよく、限定されないが、空気を含む。
【0075】
本明細書で使われる「容器(reservoir)」は、その意味において、タンク、開放型でも閉鎖型でもよい容器(vessel)、及び任意の種類の容器(container)を含む。
【0076】
本明細書で使われる「連続的な気体ボリューム(continuing volume of gas)」は、システムの筐体内を通るように動かされる気体であって、空気であってもよく、そこから不要物質を除去したい気体を指す。
【0077】
ここで図1を参照すると、気体ボリューム(a volume of gas)から不要物質を除去する本発明の例示的実施形態001が図示されている。図1は、この具体的な実施形態の各要素を概略的に示しているが、これは本発明の法的な範囲内にある数多くの実施形態のうちの1つに過ぎない。不要物質を除去したい気体、002は、気体002に含まれるダストのうちのある程度の量、又はほとんどを除去する任意のフィルタ101を通過して、筐体100に入ってもよい。気体は、ファンやブロアの任意の組み合わせ、たとえばファン110によって、筐体100内を通るように動かされてもよい。次に気体002は、気体002内でイオンを生成させるイオン化装置103、例えばイオン化グリッドを通過してもよく、又は、そこに近接してもよい。一例として、イオン化装置103は互いに対向する導電プレートを備えてもよく、これらのプレート間には電圧がかけられた状態で、気体がプレートの間を、又はプレートを通って沿いを通過する。気体002内でイオンを生成させる任意の装置がイオン化装置103を備えてもよいが、イオン化グリッドは、気体002の移動を大きく妨げることなく、気体002をグリッドに通過させて効率的にイオン化させることが可能である。複数の実施形態において、筐体100内の気体002の体積の全体的な電荷が電気的に中性であるように、気体002内で正イオンと負イオンの両方が生成されてもよい。本発明のシステム及び方法の全ての実施形態において、イオン化装置103は必ずしも存在しなくてもよい。つまり、イオン化装置103は任意であるが、あると気体002からの不要物質の除去をより効果的に行うことができる。
【0078】
さらに図1を参照すると、次に、気体002には1つ又は複数の光源102から、紫外線(UV)光エネルギー、より詳細には、紫外-C(UVC、波長200nm~280nm)、UV-B(280nm~320nm)又はUV-A(320nm~400nm)光、もしくはこれらの任意の組み合わせを照射してもよい。光源102からの光エネルギーは、気体002内の病原体の効力をなくすように働く。この働きは、このような病原体の増殖する能力を破壊することによって、核酸(DNA及びRNA)内で光化学反応を引き起こすことによって、細胞死を生じさせるタンパク質と脂質の酸化を引き起こすことによって、あるいは光修復を阻害することによって、もしくは、その他の効果のうちの、上述の任意の組み合わせによって行われる。
【0079】
さらに図1を参照すると、気体002はまた、気体002が保持する液体量を増やすように動作する噴霧器、霧噴出器、超音波ネブライザ又は加湿器120によって加湿されてもよい。気体002が空気である場合、噴霧器又は加湿器120は、空気中で保持する液体量を増やすように動作する。一例として、噴霧器又は加湿器120は、任意の水又は液体の供給源から供給され、気体002内の水分量を増やすように動作する、超音波ネブライザであってもよく、これは、交番電界によって駆動される圧電性結晶の振動を用いて、キャビテーションを液体(水であってもよい)内に起こして液滴を発生させることにより、気体002内の水分量を増やすことによって行われる。次のステップにおいて、気体002は冷却されるが、これにより液体の保持能力が低下して凝縮液109が生成され、凝縮液に気体002内の不要物質粒子が付着し、凝縮液生成の際に気体から運び出されるように不要物質が気体002から除去される結果となる。したがって、噴霧、霧状化、又は同等な手段によって液体(水であってもよい)を気体002に加えることにより、次のステップで冷却した際に気体002から析出する液体量が増えるので、本発明のシステム及び方法の効果が高まる。
【0080】
さらに図1を参照すると、次に気体002は移動して、温度が気体002よりも低い「低温」面107に対し、気体が面107に近接して通過するか、又は面107に衝突したり衝撃を与えたりすることによって熱交換してもよい。気体002が低温面107と熱交換した状態になると、気体002の温度が下がり、液体保持能力が低下する結果、凝縮液109が生成されて凝縮液捕集容器108に送られ、捕集される。本発明の実施形態のうちのいずれかにおいて、凝縮液109は凝縮液捕集容器108内へと移動してもよく、これは、滴下1014や、概して1015として図示されている、吸い上げ、又は、チューブ配管やパイプ配管、もしくはプレート又は他の基板内のマイクロチャネルであってもよいチャネルによる搬送(前述は全て「流体連通手段」である)によって行われる。凝縮液109の生成時に、凝縮液には気体002内の不要物質が付着しており、したがって凝縮液が生成されて捕集されると、不要物質もともに運ばれる。よって、これらの物質は既に気体002からは除去されている(つまり気体002は「清浄された」状態である)。
【0081】
さらに図1を参照すると、次に気体002は移動して、温度が気体002よりも高い「高温」面106に対し、気体が面106に近接して通過するか、又は面106に衝突したり衝撃を与えたりすることによって、衝突、通過、もしくは熱交換してもよい。気体002が面106と熱交換すると、気体002の温度が上がり、例えば1つ以上の追加噴霧器又は加湿器120を用いて、気体を任意で再び噴霧又は加湿することが可能になり、そして、気体002を冷却して気体002から液体を凝縮することによって気体002内にまだ存在する可能性のある残存不要物質をさらに除去するプロセスを、図2に図示するように任意の回数の冷却-凝縮-加熱サイクルであって、各サイクルは気体002から不要物質をさらに除去するサイクルで繰り返してもよい。このプロセスは、気体002が、内部に存在する不要物質のレベルが所望の値に到達するまで、連続ステージを通じて繰り返されてもよく、到達した時点で清浄済み気体は、流出空気003として筐体から流出してもよい。
【0082】
さらに図1を参照すると、捕集容器108に捕集された凝縮液109は病原体を含有する可能性があり、中には濃厚なレベルである場合も考えられる。したがって、このような病原体が人間又は人間以外にも疾病を引き起こすことができないように、病原体を不活性又は活動不能にする、つまり中和することが望ましい。凝縮液109内の病原体を中和するために、触媒メッシュ材料又は被膜1012、例えば、病原体中和特性が知られている銅が、捕集容器108内に存在してもよい。このような触媒作用による病原体中和物質の効力は凝縮液の温度が上がるにつれて高まり、このため、本発明のシステムは、流体連通手段を介して捕集容器108と流体連通する第1ポンプ1009を備えてもよく、第1ポンプ1009は、凝縮液109を、流体連通手段を介して捕集容器108から流体加熱器1010を通って圧送(ポンプ)し、そこで凝縮液109は、流体加熱器1010に流入した時よりも高い温度で流体加熱器1010から流出してもよい。第1ポンプ1009は、流体連通手段を介して流体加熱器1010と流体連通してもよい。流体加熱器1010から流出する加熱済凝縮液は、加熱済凝縮液戻り流体連通手段1011を介して、捕集容器108に戻されてもよい。これにより捕集容器108内の凝縮液109は加熱されてもよく、それにより、触媒作用による病原体中和物質1012(例えば銅製のメッシュや裏地であってもよい)の効力を高めることによって、凝縮液109内の病原体を中和する効果を増してもよい。病原体の中和に有効な温度は56℃であるので、各実施形態において、病捕集容器108内の凝縮液109の温度は、56℃以上になるように、又は56℃~65℃の範囲内になるように制御されてもよい。捕集容器108内には、コントローラ402(図17参照)とデータ通信する温度センサ1013が存在してもよく、これにより、コントローラ402(図17参照)は、捕集容器108内の凝縮液109を所望の温度に到達させるために、第1ポンプ1009と加熱器1010とを制御するように、動作可能である。
【0083】
本発明のシステムの任意の実施形態において、低温面107は、面に衝突する気体002よりも低い任意の温度であってもよいが、理想的には0℃~15℃の範囲、又は0℃~10℃の範囲である。同様に、本発明のシステムの実施形態において、高温面106は、面に衝突する気体002よりも高い任意の温度であってもよいが、理想的には40℃~60℃もしくは50℃~70℃の範囲、又は40℃~70℃の全範囲である。
【0084】
さらに図1を参照すると、流体連通手段1004は、捕集容器108と流体連通してもよく、かつ、捕集容器108の頂部から距離「d」の位置に配置されてもよく、これにより、凝縮液が捕集容器108内において容器の頂部からの地点dに到達する位置まで蓄積されると、流体連通手段1004を介して捕集容器108と流体連通する第2ポンプ1005が動作して、凝縮液を、捕集容器108から流体連通手段(例えばチューブ配管やパイプ配管)1006を通ってフラッシュボイラー1007内へと圧送し、フラッシュボイラー1007を通過する凝縮液109の温度を150°F~210°Fに上げるが、180°F~190°Fに上げる場合もある。これらの温度は、フラッシュボイラー1007によって加熱された凝縮液109内に残存するあらゆる病原体を中和するように作用する。フラッシュボイラー1007の出口側は、流体連通手段1003を介して、噴霧器、加湿器、又は超音波ネブライザ120の入口ポートに流体連通し、流体連通手段1003は、病原体の中和を向上させるために例えば銅製チューブであってもよい。噴霧器、加湿器、又は超音波ネブライザ120に供給される凝縮液109は温度が高くなっているので、加熱済み凝縮液は、気体002内の流体量を増やすためにより容易に微小滴に変換される。噴霧器、加湿器、又は超音波ネブライザ120内に供給される加熱済み凝縮液109は、フラッシュボイラー1007によって加熱されているので、液内のいずれの病原体も中和されており、入ってくる気体002に噴霧/加湿/霧状化プロセスによって病原体が伝播することを防止できる。
【0085】
さらに図1を参照すると、本発明のシステム及び方法は、本明細書に記載されているように、凝縮によって気体002から不要物質を除去し、その後に中和する。よって、筐体100から出ていく流出空気003は、入ってくる状態における空気と比べて、許容可能な低レベルの不要物質しか残存しないような清浄された状態である。
【0086】
さらに図1を参照すると、低温面(複数の低温面)107と高温面(複数の高温面)106はそれぞれ、任意の既知の手段で冷却又は加熱されてもよい。例えば、低温面107は、このような冷却流体の循環を冷却する任意の手段と、熱交換器又は熱電冷却とを使用する、低温面モジュール1001の一部を構成してもよい。同様に、高温面106は、このような加熱流体の循環を加熱する任意の手段と、熱交換器又は抵抗性電熱要素とを使用する、高温面モジュール1002の一部を構成してもよい。低温面モジュール1001及び高温面モジュール1002は、各々が制御可能であってもよく、かつ、制御可能な電源と通じていてもよく、それにより、コントローラ402は、低温面(複数の低温面)107と高温面(複数の高温面)106の温度を制御するように動作可能であってもよい。
【0087】
次に図2を参照すると、本発明のシステム及び方法の各実施形態は、気体002内の不要物質の量を許容レベルに低減するのに必要な回数繰り返される、連続するステップを備えていてもよく、連続するステップは、気体002を低温面107を介して冷却し、その後、気体002を、高温面106を介して加熱するステップである。「許容レベル」は、気体002の使用目的や気体002内に存在する不要物質の種類によって変化し得る。
【0088】
次に図3を参照すると、一例として、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムのダクトシステムでの使用に適する、本発明の一実施形態の斜視図が図示されている。流入気体(例えば空気)002は、ダクト配管又はパイプ配管3000を介して筐体100に入ってもよい。本明細書に記載されているように、気体002は筐体100内部で処理されて、清浄済み空気003としてダクト配管又はパイプ配管3001を介して出ていく。例示的なユースケースとして、ダクト配管001,005は、任意の構成であってもよい設備、建物、構造物の戻りHVACダクト配管又は供給HVACダクト配管であってもよい。したがって、本発明のシステム及び方法は、不要物質を有する空気を清浄する任意のHVACシステムに設置されてもよい。一例として、空中浮遊病原体による疾病の伝播を低減又は阻止するために、図3に示されている本発明のシステムの実施形態を、医療施設、診療所、病院、リハビリテーション施設、介護施設、又は他の施設のHVACシステムに設置されてもよい。
【0089】
次に図4を参照すると、本発明の積み重ね可能なマルチステージ実施形態004の斜視図が示されており、実施形態004は、積み重ね可能な気体清浄ステージを備え、任意の所望の数の気体清浄ステージを備える本発明のある実施形態の構築を可能にする。清浄対象の空気002に病原体等の不要物質が多数存在する場合において、結果として気体002内の病原体(又は他の目的物質)のレベルを所望の低値に到達させるために、複数の気体清浄ステージが本発明を構成してもよく、各気体清浄ステージが気体002から不要物質を除去する。
【0090】
さらに図4を参照すると、4ステージ、つまり流入ステージ、中間ステージ対を構成する1対のステージ、及び流出ステージを備える、例示的な積み重ね可能なマルチステージ実施形態が図示されている。任意の数の中間ステージ対が積み重ね可能なマルチステージ実施形態を構成してもよいため、本実施形態は例示である。例えば、気体002の追加清浄を行いたい場合は、流入ステージ、第1ステージ対、第2中間ステージ対、及び流出ステージを備えた6ステージ実施形態が採用されてもよい。中間ステージ対は、第1中間ステージと第2中間ステージを備え得る。すなわち、各中間ステージ対は2つのステージを備え得る。図4では、中間の第1ステージ2002と中間ステージ2003を備える1つの中間ステージ対が示されている。本発明のシステム及び方法は任意の数の中間ステージ対を備え得る。
【0091】
さらに図4を参照すると、清浄対象の気体002は、流入ステージ2000上にある入口2013を通ってシステムに入り、図5及び9に例示的に図示されているように低温面107と高温面106の間で循環して、流入ステージ2000を出ていき、その結果第1中間ステージ2002に入る。中間ステージ2002内に入ると、気体002は図7及び10に例示的に図示されているように低温面107と高温面106の間で循環して、第1中間ステージ2002を出ていき、その結果第2中間ステージ2003に入る。第2中間ステージ2003内に入ると、気体002は図8及び11に例示的に図示されているように低温面107と高温面106の間で循環して、第2中間ステージ2003を出ていき、その結果流出ステージ2001に入る。流出ステージ2001内に入ると、気体002は図6及び12に例示的に図示されているように低温面107と高温面106の間で循環して、清浄済み気体(例示事例では空気でもよい)として第2中間ステージ2003を出ていく。追加の中間ステージ対を加えることにより、気体002からの不要物質除去が所望のレベルで達成可能であることがわかる。複数の実施形態において、中間ステージ対は、無くても1つでも2つでも、あるいは任意の数だけ存在してもよい。この観点から、図4~12に図示されている本発明の実施形態は「積み重ね可能」であり、中間ステージ対はなくてもよく、又は、任意の数だけ存在してもよいことを意味する。図4~12において、捕集容器108、流体連通手段、噴霧器120(超音波ネブライザであってもよい)、UV、UVA、UVB、及びUCV光102、イオン化装置103、第1ポンプ1009及び加熱器1010、並びに第2ポンプ1005及びフラッシュボイラー1007は、分かりやすくするために示されていない。これらの要素は、本明細書での開示に従っていずれかのステージの内部に、本明細書にて記載の目的を達成するために、任意の個数及び任意の構成で配置してもよいことは理解されよう。
【0092】
次に図5及び9を参照すると、流入ステージ2000の例示的実施形態の動作が示されている。清浄対象の気体002は、入口2013を通って流入ステージ2000に入り、矢印2005で示されている方向に流入ステージ2000内で循環した後、流入ステージ流出開口2004を通って流入ステージ2000を出ていってもよい。矢印2005の方向に流入ステージ2000内で循環している間、気体002は、より具体的には、図9により詳細に示されているように低温面107と高温面106の間でそこを通って循環し得て、それにより、気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107及び少なくとも1つ又は複数の高温面106と熱交換する状態に置かれてもよい。気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107によって冷却されると、空気中の水分が凝縮するので凝縮液109が生成され、凝縮液109は気体002内に存在していた不要物質(例えば病原体等)を保持する。凝縮液109は捕集され、本開示の他の箇所に記載されているように、凝縮液109内の病原体は中和され得る。よって、気体002が流入ステージ2000を通過すると、気体002から不要物質が除去される、つまり、清浄される。
【0093】
次に図7及び10を参照すると、第1中間ステージ2002の例示的実施形態の動作が示されている。気体002は、第1中間ステージ入口2008を通って第1中間ステージ2002に入ってもよく、流入ステージ2000と第1中間ステージ2002とが接続又は積層される場合に、第1中間ステージ入口2008は流入ステージ流出開口2004と位置合わせされてもよい。気体002は次に、矢印2010で示されている方向に第1中間ステージ2002内で循環した後、第1中間ステージ流出開口2009を通って第1中間ステージ2002を出てもよい。矢印2010の方向に第1中間ステージ2002内で循環している間、気体002は、より具体的には、図10により詳細に示されているように低温面107と高温面106の間で、そこを通って循環し得て、それにより、気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107及び少なくとも1つ又は複数の高温面106と熱交換する状態に置かれてもよい。気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107によって冷却されると、空気中の水分が凝縮するので凝縮液109が生成され、凝縮液109は気体002内に存在していた不要物質(例えば病原体等)を保持する。凝縮液109は捕集され、本開示の他の箇所に記載されているように、凝縮液109内の病原体は中和され得る。よって、気体002が第1中間ステージ2002を通過すると、気体002から不要物質が除去される、つまり、清浄される。
【0094】
次に図8及び11を参照すると、第2中間ステージ2003の例示的実施形態の動作が示されている。気体002は、第2中間ステージ入口2011を通って第2中間ステージ2003に入ってもよく、第1中間ステージ2002と第2中間ステージ2003とが接続又は積層される場合に、第2中間ステージ入口2011は第1中間ステージ流出開口2009と位置合わせされてもよい。気体002は次に、矢印2012で示されている方向に第2中間ステージ2003内で循環した後、第2中間ステージ流出開口2015を通って第2中間ステージ2003を出てもよい。矢印2012の方向に第2中間ステージ2003内で循環している間、気体002は、より具体的には、図11により詳細に示されているように低温面107と高温面106の間で、そこを通って循環し得て、気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107及び少なくとも1つ又は複数の高温面106と熱交換する状態に置かれてもよい。気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107によって冷却されると、空気中の水分が凝縮するので凝縮液109が生成され、凝縮液109は気体002内に存在していた不要物質(例えば病原体等)を保持する。凝縮液109は捕集され、本開示の他の箇所に記載されているように、凝縮液109内の病原体は中和され得る。よって、気体002が第2中間ステージ2003を通過すると、気体002から不要物質が除去される、つまり、清浄される。
【0095】
次に図6及び12を参照すると、流出ステージ2001の例示的実施形態の動作が示されている。気体002は、流出ステージ入口2007を通って流出ステージ2001に入ってもよく、第2中間ステージ2003と流出ステージ2001とが接続又は積層される場合に、流出ステージ入口2007は第2中間ステージ流出開口2015と位置合わせされてもよい。気体002は次に、矢印2006で示されている方向に流出ステージ2001を通って循環した後、流出ステージ流出開口2014を通って流出ステージ2001を出てもよい。矢印2006の方向に第2流出ステージ2001内で循環している間、気体002は、より具体的には、図12により詳細に示されているように低温面107と高温面106の間で、そこを通って循環し得て、気体002が少なくとも1つ又は複数の低温面107及び少なくとも1つ又は複数の高温面106と熱交換する状態に置かれてもよい。気体002を少なくとも1つ又は複数の低温面107によって冷却すると、空気中の水分が凝縮するので凝縮液109が生成され、凝縮液109は気体002内に存在していた不要物質(例えば病原体等)を保持する。凝縮液109は捕集され、本開示の他の箇所に記載されているように、凝縮液109内の病原体は中和され得る。よって、気体002が流出ステージ2001を通過すると、気体002から不要物質が除去される、つまり、清浄される。
【0096】
図4~12を参照すると、各ステージはそれぞれが、連続的な気体ボリューム002の流れを、各図に示されているように各ステージを通って移動・誘導するために、少なくとも1つのファン又はブロア、及び、1つ又は複数のバッフル、プレナム、又は他の構造を備えてもよい。
【0097】
次に図13を参照すると、熱電モジュールを備える本発明のシステムの実施形態005が図示されている。複数の実施形態では、ある体積の空気であってもよい、気体002が、本発明のシステムを通過してもよい。気体002は、筐体100内で、1つ以上のファン又はブロア110によって継続的に動かされてもよく、ここで気体002は、空気から不要物質を除去するように動作可能なシステムの様々な要素に衝突する。筐体100内での気体002の流れは、本明細書に記載されているように、気体002が本発明の様々な要素に衝突するような向きになり、図中の矢印で示されている。
【0098】
さらに図13を参照すると、一実施形態において、本発明のシステムは、気体002に含まれるダストのうちのほとんどを除去する流入フィルタ101を備えてもよい。このステップはシステム内部の粒子汚染を軽減するので、システム保守や清浄の処置の間隔を延ばすことに役立つ。流入フィルタ101は、粗粒子フィルタ又は衝突フィルタであってもよい。代替として、流入フィルタ101は、ダストや他の粗粒子が帯電されて帯電受取面上に捕集されるように、入ってくる気体002をイオン化することによって動作するイオンフィルタであってもよい。さらに、一実施形態において、イオン流入フィルタ101は、陽極と、その後に続くイオン化領域と、その後に続くドリフト領域と、その後に続く陰極とを備えてもよい。このような実施形態では、陽極と陰極の間に発生した電界によってイオンに作用する静電力のために、イオンは陽極から陰極に移動する。イオンは陰極の方向に移動するので、イオンが空気分子に衝撃を与えた結果、陰極方向の空気の流れが生じる。よって、流入フィルタ101のある実施形態において、イオンフィルタはまた、本明細書に記載されているように、筐体100内で空気002を動かして、低温面107に衝突して冷却されるように動作可能であるイオンファンも備えてもよい。
【0099】
さらに図13を参照すると、本発明の実施形態はさらに、本開示の他の箇所に記載されているように、気体003がイオン化要素103を通過する、又はイオン化要素103に近接して進むと、気体002内の不要物質に電荷が帯電するように、1つ以上のイオン化要素103を備えてもよく、これにより、不要物質は、凝縮液109に付着する親和性が高まって、さらに効率的に気体002から除去される。
【0100】
さらに図13を参照すると、本発明の各実施形態はさらに1つ以上の水噴霧器120を備えてもよい。水噴霧器120は、超音波ネブライザや他の任意の流体噴霧要素であってもよく、気体002が吸収する水分子と小滴を供給して、気体002内の水分量を増やすことによって、気体002が低温面107と熱交換したときに生成される凝縮液109の量を増やすのに役立つ。複数の実施形態において、水は、ベンチュリ効果によって、ほぼミクロンサイズの小滴を生成する噴霧器120を通って圧送(ポンプ)されてもよい。噴霧器又はネブライザ120はまた、本開示の他の箇所に記載されているように動作してもよい。湿度が低い場合、噴霧又は霧状化によって気体002に水分を加えることは、例えば乾燥環境で本発明が使用される場合になおさら重要になる。水を噴霧又は霧状化して気体002内に入れることは、筐体内部のいずれの場所でも行われてもよく、流入フィルタ101の後ろも含まれるが、これに限定されない。気体002はまた、任意の種類のイオン化要素、例えば高電圧プローブ、ワイヤ、もしくはナノテクスチャード加工された表面によって、又は本開示の他の箇所に記載されているように、イオン化されてもよい。このようにして、清浄対象の気体002の湿度が、気体002が低温面106と熱交換するときに高凝縮率又は高凝縮量を達成するのに十分なほど確実に高くなるようにしてもよい。超音波ネブライザ(複数のネブライザ)120は、空気ボリューム内に含まれる浮遊不要粒子又は病原体を吸着するための多数の(1立方フィートあたり少なくとも数百万)場所を与える空気ボリューム内に注入される微細水霧を発生させてもよい。システムは、任意の数の噴霧器又は超音波ネブライザ120を備えてもよい。各噴霧器又は超音波ネブライザは、液体(例えば水)供給源、ポンプ、及び、例えばパイプ配管、チューブ配管マイクロチャネル、吸い上げ材、又はある地点から別の地点へ流体を連通する他の任意の手段といった流体連通手段に接続されてもよい。
【0101】
さらに図13の実施形態を参照すると、空気002は、筐体100内部にあるバッフル、プレナム、経路、又は他の構造を任意の数又は組み合わせであってもよい、空気の流れ経路の物理的構成によって方向付けされてもよく、この方向付けは、本明細書に記載されているように、低温面107及び高温面106をもたらす熱流束を生じさせるために使用されてもよい熱電モジュール104(各実施形態では、例えばペルチェモジュールの場合のように、ペルチェ効果を用いて電気エネルギーを熱エネルギーに、又はその逆方向にも変換するモジュールであってもよい)の表面に、空気002が接触するように行われる。不要物質を除去したい気体002は、任意でまず始めに、第1熱電モジュール104aの高温面106a上を通過させることによって加熱されて、それが気体002の温度を上昇させてもよい。気体002は次に移動し、第1熱電モジュール104aの低温面107aと第2熱電モジュール104bの低温面107bの間を通って接触するように向けられ、そこで冷却されることによって、空気002中の水分を凝縮させて、凝縮液109の形態で低温面107a,107bの表面上又は付近に析出させる。気体002内の水分が凝縮すると凝縮液109になり、凝縮液109は滴下するか、そうでなければ第1熱電モジュール104aの低温面107a及び第2熱電モジュール104bの低温面107bから連通して、第1捕集容器108a内に捕集される。凝縮液109は、冷却前には気体002内で水分子に付着していた不要物質、例えば粒子や病原体を含有する。よって、凝縮液109が含有するのは、空気002内での水分子の凝縮によって気体002から除去された不要粒子と病原体である。熱電モジュール104a,104bは第1熱電モジュール対を構成する。
【0102】
さらに図13を参照すると、複数の実施形態において、各熱電モジュール対は専用の捕集容器108を有するので、気体002からの凝縮水から捕集した凝縮液109は、次の熱電モジュール対のステージに進むにつれて順次より清浄になっていく、つまり、空気体積あたりに含まれる不要物質が順次より少なくなっていく。
【0103】
さらに図13を参照すると、空気002は次に、熱電モジュール104bの高温面106bと熱電モジュール104cの高温面106cとに沿うように、及びその間を通るように方向付けられて移動し続けてもよく、そこで空気002は加熱される。この地点で、必須ではない微小水滴噴霧器又は超音波ネブライザ120を用いて、加熱時の空気002の湿度を高めてもよく、これにより、空気002内において、空気002に残存する不要粒子と病原体が付着できる水分子数が増えた結果、不要粒子と病原体を含有する凝縮液を冷却-凝縮-捕集するプロセスを、次のステージの熱電モジュール対において繰り返すことができる。空気002が、熱電モジュール104bの高温面106bと熱電モジュール104cの高温面106cとに沿うように、及びその間を通って熱交換するので、空気002は加熱される。次に空気は第2熱電モジュール対104c,104dの低温面107c,107dに向けて移動して、その間を通過して熱交換し、そこで、第2熱電モジュール対104c,104dの低温面107c,107dの間を通過するときの空気002の冷却時に、凝縮液109が再び生成される。凝縮液109は、捕集容器108b内に、複数の実施形態では重力下で滴下するが、複数の実施形態においては吸い上げや他の手段によっても捕集容器108b内に入る。同様に、任意の数の熱電モジュール対に対して行われていく。
【0104】
さらに図13を参照すると、不要粒子と病原体が除去された気体002は筐体100から出ていき、清浄で安全な空気を局所環境内に供給する。又は代替として、清浄済みの空気002は、別の部屋や閉鎖空間又は容積にダクト配管で送ってもよく、あるいは、既知のダクト配管気流管理デバイス及び方法を用いて所望の場所に誘導してもよい。
【0105】
さらに図13を参照すると、筐体100内部に任意の位置及び向きで配置され、数や種類が任意である、1つ以上のファン又はブロア110を利用して、気体002を筐体100内で移動させてもよい。
【0106】
さらに図13を参照すると、複数の実施形態において、本発明のシステムは、任意のn個の熱電モジュール対(熱電モジュール対は、図3に関連して以下で、及び本明細書の他の箇所で、詳細に記載されている)を備えてもよく、これにより、複数であるn個のステージの凝縮液の冷却-凝縮-捕集ステージを可能にし、各ステージで得られる空気は、含有する不要粒子や病原体が順次より少なくなっている。
【0107】
さらに図13を参照すると、システム及び方法の実施形態のうちのいずれかにおいて、センサ410~413を用いて複数の捕集容器108内の凝縮液109の液位(複数の液位)が判別されてもよく、これにより、例えば後述のように電流Iを制御することによって、熱電モジュール(又は熱電モジュールのない実施形態では高温面と低温面)の熱バランスを調整・制御して、空気002中の水を過度に凝縮したことによる水の溢流を防いだり、また、捕集容器108が乾き切ることを防いだりしてもよい。さらに、本発明のシステム及び方法は、任意の数の空気流決定センサ410と、任意の数の温度決定センサ411と、任意の数の湿度決定センサ412とを、筐体100内部の任意の場所又は任意の要素に備えてもよい。さらに、本発明のシステム及び方法は、空気002中又は筐体内部の任意の表面上にある粒子の粒子サイズ、形状、及び個数分布を決定する粒子センサ413を任意の数だけ備えてもよい。さらに、本発明のシステム及び方法は、凝縮液捕集容器領域内で紫外線、可視光線、又は赤外線分光を使用して、空気002から除去した粒子及び病原体の有無や化学的特性に関する情報を提供してもよい。
【0108】
次に図14を参照すると、熱電モジュールの例示的実施形態が図示されている。電流Iは、電力供給源であってもよい電流源200によって供給される。この熱電モジュール104の例示的実施形態では、交互に並ぶ半導体P部及びN部(PとNの材料は電子密度が異なる)の直列接続が、熱伝導板202,201の間に挟まれてもよい。連続する半導体のP-N接合は直列に電気的接続されるが、熱的には並列であるので、電流Iが半導体P-N接合を通過することにより、面106(高温面)と面107(低温面)の両端に温度差が生じる。ペルチェ効果は温度フラックスを発生させ、その結果、面106(高温面)と面107(低温面)との間に温度差が生じる。各実施形態において、非限定的例として、高温面106を56°Cまで、及び56°Cを超える任意の温度に保持してもよく、低温面107を0°Cまで下がって、及び0°Cを下回る任意の温度に保持してもよい。各実施形態において、いずれの高温面106の温度も20°C以上で100°C以下であってもよい。各実施形態において、いずれの低温面107の温度も20°C以下で0°C以上であってもよい。代替として、各実施形態において、いずれの高温面106もいずれの低温面107も、その温度が0°C以上で100°C以下の範囲内であってもよく、ここで熱電モジュール104の高温面106は同じ熱電モジュールの低温面107よりも高温である。高温面106と低温面107の温度は、熱電モジュール104の物理的構成によって、及び、例えば図17に示されているコントローラ402によって制御されるような制御可能電源401によって行う熱電モジュール104を通る電流Iの制御によって調整されてもよく、これにより、任意の所望の温度差に、又は、高温面106又は低温面107、あるいはその両方において任意の所望の温度に到達できる。熱電モジュール104は、上述の構成の代わりに、又は上述の構成と組み合わせて、P-N接合、異なる電子密度を示す任意の物質の接合、例えば金属や他の導電物質の接合を備えてもよい、他の構成を備えてもよい。熱電モジュール104が図14に示されているようなP-N接合を有する半導体物質を備える必要はない。図14に示されている構造は、本発明の熱電モジュール104を生み出すペルチェ効果の例示的実施形態にすぎない。本発明の範囲は、ペルチェ効果を示し、結果として面106と面107との間に所望の温度差をもたらす、熱電モジュール104の任意の構造を含むものとするが、これに限定されない。この所望の温度差は用途によって特有のものであってもよく、また、任意の所望の作動、例えば50℃から60℃の範囲のみ、あるいは、0℃から100℃の範囲であってもよい。複数の実施形態において、温度差は、一例として、本発明のシステム及び方法の任意の所定の用途において、空気002が低温面107に沿って伝わって低温面107と熱交換しているときに、空気中の水分の凝縮を発生させる任意の所望の温度差であってもよい。例えば異なる環境や異なる不要粒子又は病原体の負荷における異なる用途によって、入ってくる空気も様々で、異なる不要粒子や病原体負荷を含有し、異なる相対湿度や絶対湿度、異なる温度である可能性があることが理解される。不要粒子と病原体を含有する熱電モジュール104の1つの目的は、空気002中の水分を凝縮した結果、不要粒子と病原体を含有する凝縮液109を得ることであるので、本発明のシステムの電力消費を管理するとともに所望の量の凝縮液を生成するために、面106と面107の間の所望の温度差や所望の温度は、異なる環境における特定の用途間で異なっていてもよい。
【0109】
さらに図14を参照すると、本発明の1つの目的は、気体002からの水分の凝縮が所望どおりに達成されるように面106と面107の間の温度差を保持することであり、この温度差は、表面の温度を制御することで知られている任意の数のやり方及び任意の数の手段で達成可能であることも理解されよう。よって、本発明の範囲は、ペルチェモジュールの使用や、ペルチェ効果を利用して動作する熱電モジュール104に限定されない。熱電モジュール104、実際には低温面107又は高温面106のうちのいずれも、面106と面107の間で所望の温度差を発生させるように、又は面106と面107とに所望されるとおりの特定の温度を生じさせるように動作可能である任意の構造を備えてもよい。例えば、電気抵抗性加熱要素、熱交換器を通しての高温流体又は低温流体の循環、又は当該技術で公知である任意の他の手段を用いて、低温面107又は高温面106に所望の温度を生じさせてもよいが、これは限定のためのものではない。
【0110】
さらに図14を参照すると、複数の実施形態において、熱電モジュール104の高温面106は56°C以上であってもよい。複数の実施形態において、不要粒子又は病原体を放出して空気002中に戻ることを防ぐために、熱電モジュール104の高温面106の温度は、凝縮液109が高温面106と接触した時に、凝縮液109内の水分を沸騰させることなく気化させるような値であってもよい。
【0111】
さらに図14を参照すると、複数の実施形態において、低温面107は、凝縮液109が迅速に流れ落ちて捕集容器108内に滴下できるようにする撥水性被膜を有してもよい(図1参照)。捕集領域は、感染を消滅させる触媒(複数の触媒)が塗布されてもよく、加熱することによって、気化や凝縮の平衡に対する制御をさらに行ってもよい。熱電モジュールの低温面107は、各実施形態において、0℃を少し超える温度で保持されてもよいが、低温面は、所望の割合の凝縮を達成するために、清浄対象の流入気体002の温度よりも低い任意の温度に保持されてもよい。
【0112】
さらに図14を参照すると、複数の実施形態において、高温面106は、病原体を中和する触媒、例えば銅製や銀製の材料で構成されてもよい。面106の温度が上昇すると、触媒の作用を増大させるように機能して、病原体の中和に必要な時間が短縮される。
【0113】
さらに図14を参照すると、凝縮液109と接触する捕集容器108の表面は、病原体を中和する触媒で処理されてもよく、その触媒を備えてもよい。さらに、凝縮液109と接触する捕集容器108の表面を加熱して、塗布された触媒の作用を増大させてもよく、その結果、所定の量の病原体を中和する時間が短縮される。
【0114】
次に図15及び16を参照すると、凝縮液109を熱電モジュール104の高温面106に移動させる2つの代替可能システム及び方法が図示されており、以下で説明される。本発明のシステム及び方法は、凝縮液109を熱電モジュール104の高温面106と連絡させる要素の任意の組を備えてもよい。このような要素の2つの非限定的例示的実施形態は、図3及び4に記載されている。
【0115】
次に図15を参照すると、一実施形態において、本発明の熱電モジュール対の実施形態が図示される。例えばマイクロポンプ等のポンプ300は、例えばチューブ配管や他の流体連通手段302を通って捕集容器108と流体連通してもよい、あるいは捕集容器108内の凝縮液109の中に浸漬される。ポンプ300は、制御可能電源401によって制御されて、凝縮液109を、捕集容器108からチューブ配管又は他の流体流路301を通って微小噴霧ノズル303に圧送してもよく、ノズル303は、微小噴霧された凝縮液109を熱電モジュール104の高温面106上に向けて噴霧する。微小噴霧要素303にはイオン化も組み入れられることで、凝縮液噴霧の高温面106との相互作用が起こる確率を高めてもよい。高温面106には、感染(複数の感染)を効果的に中和する触媒物質又は触媒物質の組み合わせが塗布されてもよい。複数の実施形態において、熱電モジュールの高温面106は56℃以上に保持されてもよい。熱により、触媒の作用は増大し、感染中和にかかる時間が短縮される。熱は、制御可能電源401を介してコントローラ402によって、熱電モジュール104へ流れる電流Iを、熱電モジュール104の高温面106が噴霧された凝縮液109を沸騰させることなく気化させるように制御するように調整されることにより、粒子や病原体等といった除去した病原体や不要物質を放出して気体002(空気であってもよい)中に戻ることがないようにしてもよい。熱電モジュール104の低温面107は参考のために示されている。
【0116】
次に図16を参照すると、一実施形態において、凝縮液109はまた、毛細管作用、つまり吸い上げ(ウィッキング)作用を用いて、例えば限定されないが、マイクロエレクトロニク冷却用ヒートパイプにおいて採用されているように、捕集容器108から熱電モジュール104の高温面106上に移動してもよい。このような毛細管構造つまり吸い上げ構造は、例えば、吸い上げ構造を通って流体の吸い上げができる、微小溝のある銅製チューブ配管又は焼結銅、例えば多孔性の焼結銅粉末を含んでもよい。毛細管構造304は、第一端部で、捕集容器108に入れられた凝縮液109と接触してもよく、凝縮液109を、矢印Cの方向に、熱電モジュール104の高温面106上に吸い上げてもよい。高温面106上で、凝縮液109を構成する水分が高温面106から気化するが、本明細書に記載されているように、不要粒子と病原体を高温面(複数の高温面)106上に残存させる。吸い上げ構造は高温面106と、物理的接触又は熱連絡、あるいはその両方を行ってもよい。熱電モジュール104の低温面107は参考のために示されている。
【0117】
本発明のシステム及び方法は、必須ではないUVA、UVB、又はUVC光源を任意の数だけ備えてもよい。その目的は病原体を中和するためであり、病原体が中和される総線量の光エネルギーで、又は病原体が中和されるのに十分に高い出力密度率で照射することによって中和される。複数の実施形態において、UVA、UVB、又はUVC光源(複数の光源)は、オゾンを発生させない光源である。UVC光源は、UVA、UVB、又はUVC光を供給する電力を制御する制御可能電源401と連絡してもよい。
【0118】
複数の実施形態において、容器又は他の捕集領域内の流体の液位に比例するアナログ又はデジタルのいずれかの出力信号を生成することによって流体の液位の情報を通信する1つ以上の液位センサを用いて、捕集領域内の水/溶液、又は流体の液位を検出してもよい。この液位情報を用いて、各ステージの温度バランスを調整することによって、過度に凝縮したために水が少しでも溢流することを防いだり、捕集領域が乾き切る正反対の状況を防いだりしてもよい。極度に乾燥した周囲条件において、水を周期的に追加する必要がある場合もある。さらに、実施形態において、本発明は、コントローラ402と連通する周囲温度センサ及び/又は湿度センサを備えてもよい。
【0119】
複数の実施形態において、捕集領域のうちの1つ以上において粒子センサを用いることによって、粒子のサイズ、形状、及び個数分布を特徴付けてもよい。別の実施形態では、水捕集領域のうちの1つ以上において分光法を用いることによって、空気流から除去した感染/汚染物質の有無や化学的特性に関するデータを供給してもよい。
【0120】
いくつかの方法の効果を組み合わせると、同等のHEPAシステムや他のシステムと比べて電力消費が少なく、一方で、病原体の除去、中和、及び消滅に対する有効性が高いということによって、本発明のシステム及び方法を特徴付けることが可能になる。
【0121】
次に図17を参照すると、本発明のシステムの例示的実施形態のブロック図が図示されている。本発明のシステム及び方法は、空気002を筐体100内で動かす1つ以上のファン又はブロアと、温度センサと、熱電発生器と、流体液位センサ、電源と、コンピュータと、本明細書に記載されているように、また各図に示されているように互いに連通する他の電動構成要素と、全ての法的同等物とを備えてもよい。
【0122】
さらに図17を参照すると、本発明のシステム及び方法はコントローラ又はプロセッサ402を備えてもよい。プロセッサ又はコントローラ402は、システムの様々な要素への電力を制御する制御可能電源401と、本明細書に記載されているように物理的パラメータに関する情報をセンサから受信できるようにするためのセンサ400及び410~413と、そして、当該技術で公知の任意の種類の物理媒体記憶(半導体又は他のメモリであってもよい)要素又は複数の要素407、例えば、固体メモリ、不揮発性メモリ、磁気媒体、光学式媒体、又は情報を保存、検索、及び通信できる他のメモリデバイス等と連絡してもよい。非一時的コンピュータが読み取り可能かつ実行可能な命令を、プロセッサ402によって読み取り・実行できるように物理メモリ要素407内に常駐・保存してもよく、この結果プロセッサ402は、本明細書に記載されているような本発明の方法の各ステップを実行するとともに、記載されている本発明の特徴及び要素を実行してもよい。プロセッサ402はまた、ユーザや任意の既知のヒューマンインターフェイスデバイスからの入力を受け付けるように動作可能であるヒューマンユーザインターフェイス(Human User Interface:HUI)403と通信してもよく、ヒューマンユーザインターフェイス403は、限定されないが、キーボード、タッチスクリーン、音声コマンド404、又は当該技術で公知であるような他のヒューマン-コンピュータインターフェイスモダリティを含む。HUI403はさらに、プロセッサ402又はそのメモリ407からヒューマンユーザに情報を通信するように動作可能である、任意の数又は種類のヒューマンインターフェイス出力デバイス、例えば、ビデオモニタ、タッチスクリーン、スピーカ、ディスクリートライト、又は他のデバイス(それらをまとめて)405等を備えてもよい。
【0123】
さらに図17を参照すると、コントローラ又はプロセッサ402はまた、電子計算デバイスを用いて、リモートユーザからの入力と情報を受け取る、又はリモートユーザに情報を供給する、又はその両方を行う電子回路を備えてもよく、電子計算デバイスは、例えば、モバイルデバイス、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、電子タブレット、又は、当該技術で公知である任意の通信手段又はシステムを介してコントローラと通信する他のデバイス等であり、任意の通信手段又はシステムは、例えば、任意の無線又は有線インターフェイス407、インターネット406、ワールドワイドウェブ(world wide web)406、セルラー方式データ、又は、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、構内ネットワーク(Local Area Network:LAN)といった他の無線又は有線ネットワーク、又は、コントローラ又はプロセッサ402に対して通信、情報検索、及び情報やコマンドの供給を行う目的で、コントローラ又はプロセッサ402とリモートコンピュータ、サーバー、データベース、又はユーザインターフェイスとの間でデータ通信を行うように動作可能である他の有線又は無線インターフェイス(複数のインターフェイス)等である。また、コントローラ又はプロセッサ402は、直接接続、WAN、LAN、又は、他の通信手段やシステムを介して、ユーザと直接有線又は無線通信をしてもよく、ユーザがプロセッサ402と直接通信することで、情報やコマンドをプロセッサ402に供給し、情報をプロセッサ402から受け取り、又は本発明のシステム及び方法の操作や保守に必要な任意の情報をユーザ450とプロセッサ402との間で受け渡すことができる。
【0124】
さらに図17を参照すると、本発明のセンサは、システム上の多様な情報(データ)をリアルタイムで供給してもよく、コントローラによってメモリ内に保存又はログ記録してもよい。単純なPASS/FAILから、処理済みの数値データや完全な生データまで、様々なレベルのユーザデータ表現がプロセッサ402によって生成され、そして、HUI403/404/405を通じてユーザに提示されてもよい。全センサデータは、メモリ407内に記録され、タイムスタンプが刻印されてもよい。システムの遠隔制御、及びセンサ情報及び本発明のシステムが生成した他のデータの検索や判読は、アプリケーションを実行するモバイルデバイスやソフトウェアを実行するリモートコンピュータを使用することをよって実現してもよく、これらのデバイスやコンピュータは、本明細書に記載されているような任意のデータネットワーク及びこれらの全ての法的同等物を用いる任意の有線又は無線データインターフェイスを介して、本発明のコントローラと通信する。各実施形態において、本発明のシステムは、コンピュータ、モバイルデバイス、サーバー、コントローラ、又は、システムを制御する、もしくはステータスやセンサ情報を検索する他の電子デバイスによって、アドレス指定可能であってもよい。これは例えば、ワールドワイドウェブ又は他の通信ネットワーク経由でアクセス可能なウェブポータル経由で行われてもよい。
【0125】
さらに図17を参照すると、制御可能電源401は、熱電モジュール104と、又は、面106を加熱する加熱要素や面107を冷却する冷却要素(熱電冷却器、冷却流体循環ポンプ、加熱流体循環ポンプ、電気抵抗性加熱要素、及び他の任意の加熱及び冷却デバイス)と連絡してもよい。プロセッサ/コントローラ402は、これらの加熱要素又は冷却要素の各々を制御するように動作可能であってもよい。プロセッサ/コントローラ402は、各熱電モジュール104への電流Iを個別に、又は熱電モジュール対を構成する対といった1対ごとに、又は他の任意の組分けごとに制御するように動作可能であってもよい。さらに、プロセッサ/コントローラ402は、いずれかの面106又は107の温度を、これらの面を加熱又は冷却する要素を制御することによって制御するように動作可能であってもよい。例えば、本発明のシステム及び方法の実施形態のうちのいずれかにおいて、プロセッサ/コントローラ402は、高温面106を生じさせるために使用する電気抵抗性加熱要素を通じて電流を制御するように動作可能であってもよく、又は、面106を加熱、又は面107を冷却する熱交換器内を循環する液体の温度と流速を制御してもよい。したがって、ユーザ450は、プロセッサ402に対して行う制御又は命令を、このようなコマンドを、HUI403、ダイレクトユーザインターフェイス451、又は、リモートユーザ450がプロセッサ402にアクセスして命令してもよいように例えばワールドワイドウェブに無線又は有線接続可能なリモートユーザインターフェイスを通じて、プロセッサ402に渡すことによって行ってもよく、その手法は、1つ以上の熱電モジュール104に供給される電流Iを、制御可能電源401を通じてプロセッサ402によって制御するようにしたり、又は、高温面106又は低温面107の温度を別の方法で制御したりすることである。同様に、制御可能電源401は、本発明の様々なポンプ300と通信して、ポンプがオン状態であるように、オフ状態であるように、又は決められた流速で圧送するように、ユーザが命令したとおりに制御できるようになってもよい。また、同様に、電源401は、システムの様々なUVA、UVB、UVC、又は他の紫外線(UV)光102と連通して、光がオン状態であるように、オフ状態であるように、又はUVA、UVB、UVC、又はUVエネルギーを決められた強度で照射するように、ユーザが命令したとおりに制御できるようにされてもよい。制御可能電源401を用いて、いずれか、又は全てのシステム要素、例えば1つ以上のファン又はブロア110への電力を制御してもよい。したがって、コントローラ402は、命令されたとき、あるいは外部又は他のセンサデータがそうすべきと示した時に、本発明のシステムに命令して動作状態にすることができる。コントローラ402はまた、本発明のシステムに命令して、本発明のシステム内で移動している気体002がない動作休止状態にすることもできる。よって、コントローラ402は、低温面107や高温面106のいずれの温度、全ポンプの流速、捕集容器108内の凝縮液109の温度、筐体内を通る気体の流速、及び、システムの他の全ての動作パラメータを制御することができる。
【0126】
次に図18を参照すると、本発明の方法の一実施形態を示す例示的フローチャートが図示されている。図18に示されている方法ステップのフローは本質的に例示である。本発明の範囲は、ステップからなる冷却-捕集-中和シーケンスが含まれるステップの任意の組み合わせ又は任意のシーケンスを含むこととすることが理解されるべきである。複数の実施形態において、本発明の方法は下記のステップを任意の順序で備えてもよい。
【0127】
必須ではない最初のステップ601において、入ってくる清浄対象の気体002が、筐体100に入って、例えば1つ以上のファン又はブロア110、あるいは他の同等手段によって動かされてもよく、又は代替として、例えばHVACダクト配管系において空気を清浄するために用いられる場合、入ってくる気体002は、外部のファン又はブロアによって動かされてもよい。ダストや他の粒子を捕集することによってシステムの各要素が汚染されないようにするために、任意で、空気であってもよい気体002をダストフィルタ101に通過させて、大きめの粒子を空気から、例えばダストや花粉粒子を空気002から除去してもよい。
【0128】
任意のステップ602において、入ってくる気体002を、本明細書に記載されているように、任意のイオン化技術又はイオン化装置を用いてイオン化してもよい。例えば、帯電したイオン化グリッドを用いて、気体002がグリッドを通過するときに、入ってくる気体002、気体002内に保持されている不要物質、又はその両方をイオン化してもよい。複数の実施形態において、イオン化ステップは、1つ以上の高電圧プローブ、電圧又は電流が印加されたワイヤ、ナノテクスチャード加工された表面、又は当該技術で公知である得るような他のイオン化手段103によって実行されてもよい。
【0129】
任意のステップ603において、気体002内の病原体を中和するプロセスを開始するために、UVA、UVB、又はUVC光エネルギーの任意の供給源又は複数の供給源によって空気002が照射を受けてもよい。本発明のシステム及び方法において、ステップ603は、1回以上繰り返して、かつ任意の地点で行われてもよい。
【0130】
ステップ621において、気体002を水滴、微小滴、又は噴霧によって加湿してもよい。このように水分を気体002に加えることで、凝縮のための水が大量に供給され、気体002が低温面(複数の低温面)107と熱接触すると、空気から除去される不要物質もより多くなる。乾燥した環境では、あるいは入ってくる気体002の相対湿度が非常に低い場合、本発明のシステムが気体002から所望の量の不要物質を除去するために、噴霧(例えば噴霧器又は超音波ネブライザ120を用いた)が望ましい場合もある。
【0131】
ステップ604及び605において、気体002を本発明の第1低温面107上を、気体002が低温面107と熱交換するように通過させる。この通過は、例えば、熱電モジュール対を構成する1対の熱電モジュール2つの対向する低温面107の間に、空気002を通過させることでもよく、これにより気体002内の水分を凝縮させて、凝縮液109として捕集容器108内に捕集される。本発明は任意の数の低温面107を備えてもよく、その全てが同じ温度に、又は同じ温度範囲内に保持される必要はないが、複数の実施形態において、本発明の低温面は同じ温度に、又は同じ温度範囲内に保持されてもよい。一実施形態において、本発明の低温面は任意の温度、一例として0℃から+10℃で保持されてもよい。別の例として、本発明の低温面107は0℃又は0℃付近に保持されてもよい。凝縮液109は不要粒子状物質や病原体を含み、その中には空中浮遊している可能性のあるウイルス、例えばCovid-19関連の疾患を引き起こすウイルスが含まれると考えられるが、気体002からは既に除去されている。本発明を構成する低温面107のいずれかには、撥水性被膜が塗布されてもよく、これにより、凝縮液が迅速かつ効率よく低温面から捕集容器へと流れ出ることが可能になる。
【0132】
ステップ620において、既に冷却されている気体002を高温面(複数の高温面)106と熱交換するように動かして、より多くの水を吸収又は保持できるように気体002を加熱してもよく、これにより、より多量の凝縮液を次の冷却ステージで生成できるようになり、気体002からより多くの不要物質が除去される。システムに熱バランスを与えるとともに、清浄済み気体003を所望の温度で筐体100外部の環境に戻すために、高温面106は、気体002を清浄済み気体002として出ていく前に加熱するのにも有用であり得る。すなわち、流出気体003は室温、室温以上、又は室温以下であることが所望されてもよく、これは1つ以上の高温面106の温度を制御するコントローラ402によって制御可能である。
【0133】
本方法の実施形態において、ステップ606では、凝縮液109を高温面106、又は複数の高温面に連絡させてもよい。高温面は1つ以上の熱電モジュール104の高温面(複数の高温面)106であってもよく、熱エネルギーを凝縮液内の水に伝達させて、凝縮液の水を気化させるが好ましくは凝縮液109を沸騰させず、高温面106に付着した不要粒子や病原体を付着したままにする。複数の実施形態において、高温面106は、病原体を中和する目的で、抗細菌特性又は抗ウイルス特性等の病原体中和特性を有する触媒物質、又は被膜を有してもよい。このような被膜は、本明細書に記載されているような銅もしくは銀の混合物、又は他の触媒物質、及びこれらの全ての法的同等物から構成されてもよい。複数の実施形態において、非限定的な例として、高温面106を56°Cまで、及び56°Cを超える任意の温度に保持してもよく、低温面107を0°Cまで下の、及び0°Cを下回る任意の温度に保持してもよい。複数の実施形態において、いずれの高温面106の温度も20°C以上で100°C以下であってもよい。複数の実施形態において、いずれの低温面107の温度も20°C以下で0°C以上であってもよい。代替として、複数の実施形態において、いずれの高温面106もいずれの低温面107も、その温度が0°C以上で100°C以下の範囲内であってもよく、ここで熱電モジュール104の高温面106は同じ熱電モジュールの低温面107よりも高温である。高温面106と低温面107の温度は、熱電モジュール104の物理的構成によって、及び、例えば図5に示されているコントローラ402によって制御されるような制御可能電源401によって行う熱電モジュール104を通る電流Iの制御によって調整されてもよく、これにより、任意の所望の温度差に、又は、高温面106又は低温面107、あるいはその両方において、任意の所望の温度を達成することができる。
【0134】
ステップ607において、流出気体003内の不要物質のレベルを、コントローラ402と通信するセンサ400によって測定してもよい(図17参照)。流出気体003内の不要物質のレベルが許容できる値であれば、コントローラ402によってシステムを制御して動作休止状態にしてもよい。流出気体003内の不要物質のレベルが許容できる値でなければ、本システム及び方法は気体002内の不要物質のレベルが許容できる値になるまで動作し続けてもよい。
【0135】
最後のステップにおいて、本発明の高温面(複数の高温面)から、不要粒子及び中和された病原体を除去してもよい。本発明のシステム及び方法により、どんな病原体も中和された状態である、つまり、もはや活動も生存も不可能であるので、この廃棄物は、生物学的有害物質には相当しない。
【0136】
次に図19を参照すると、外部の病原体又は粒子センサS1~S4を備えた本発明のある実施形態が図示されている。このシステムの実施形態において、外部の病原体又は粒子センサはコントローラ402と通信し、したがって、本発明の筐体100の外側の環境、例えば閉鎖領域、部屋、建物、空気ダクト、又は他の構造において、病原体又は粒子等の不要物質を検出すると、コントローラ402は本発明のシステム及び方法を動作させて、筐体内で空気を低温面(複数の低温面)107と熱交換するように移動させてもよく、その結果、局所環境の空気から不要物質を除去するために、上述のように凝縮液109が生成される。センサS1~S4がシステムに対してローカルである必要はない。図19には4つのセンサS1~S4が図示されているが、任意の数の外部センサが本発明を構成してもよく、任意の所望の場所に設置されてもよい。センサS1~S4はコントローラ402と有線又は無線通信してもよい。複数の実施形態において、コントローラ402は、1つ以上の外部センサS1~S4からのセンサ情報を受信して、システムの筐体の外側の環境に不要物質が存在していると1つ以上のセンサが検知した場合には、本発明のシステムを制御して動作状態にするように構成されてもよい。「動作状態」とは、本明細書に記載されているように、本発明のシステムが、流入気体002を受け入れ、流入気体002を筐体100内で移動させて、気体002を低温面(複数の低温面)107及び高温面(複数の高温面)106と接触するようにし、気体002から不要物質を除去した凝縮液109を生成して、筐体から清浄済み気体003を送り出すことを意味する。
【0137】
本発明のシステム及び方法の実施形態のいずれかにおいて、本発明は、気体002を本明細書に記載されているように動かして誘導するように、筐体100内部で気体002の流れを動かして誘導するための、バッフル、プレナム、経路、ファン、ブロア、又は、当該技術で公知の他の構造及びデバイスを、任意の数で備えていてもよく、又は、それらの組み合わせを備えてもよい。
【0138】
本発明のシステム及び方法の実施形態のうちのいずれかにおいて、少なくとも1つの低温面(複数の低温面)107は撥水性被膜を備えてもよい。本発明のシステム及び方法の実施形態のうちのいずれかにおいて、少なくとも1つの高温面(複数の高温面)106は、病原体を中和する触媒物質を備えてもよい。
【0139】
複数の実施形態のうちのいずれかにおいて、連続的な気体ボリューム(例えば空気であってもよい)を本発明の筐体内で移動させる発生源は外部にあるものであってもよい。例えば、連続的な気体ボリュームがHVACシステムを通過している空気である実施形態において、例えば本発明の筐体が入口2013で連続ボリュームの空気を受け入れる時に、入ってくる空気はHVACシステムのファンやブロアによって既に動かされていることもある。この場合には、HVACのファンやブロアによって、筐体内を通る連続的な気体ボリュームを動かしてもよい。このような場合、ファン、ブロア、又は他の気体移動手段が本発明を構成することは必須ではなくてもよい。
【0140】
実施形態のうちのいずれかにおいて、非限定的な例として、高温面106を56°Cまで、及び56°Cを超える任意の温度に保持してもよく、低温面107を0°Cまで下の、及び0°Cを下回る任意の温度に保持してもよい。複数の実施形態において、いずれの高温面106の温度も20°C以上で100°C以下であってもよい。複数の実施形態において、いずれの低温面107の温度も20°C以下で0°C以上であってもよい。
【0141】
プロトタイプの単一ステージ式(つまり1つの低温面と1つの高温面しか含まれない)の本発明の実施形態は、実験環境で作製・試験が行われた。清浄対象の気体002は空気であった。システムは、毎分200立方フィートの空気流速を達成した。試験を行う目的で、空気002中に導入した不要物質はMS-2バクテリオファージ(ATCC 15597-B1)エアロゾルであった。試験は945立方フィートの測定室内で行われた。MS-2バクテリオファージは8E8pfu/mlに集菌・滴定された。次に、この微生物の懸濁液を、試験装置を電源投入する前にネブライザを用いてエアロゾル化して測定室内に導入した。測定室の空気を、15分間隔で、SKC BioStageカスケードインパクターを用いて、サンプリング周期1分でサンプリングした。カスケードインパクターは空気流速28.3リットル/分に較正されており、サンプリング用入口は測定室の中間点に位置していた。回収した微生物は24~72時間培養した後に計数された。試験環境状況は72°Fで相対湿度50%であった。試験装置の電源投入後15、30、45、及び60分において、試験装置によって清浄された空気を、測定室の空気(つまり清浄されていない空気)と比較した結果、以下の結果が得られた。1)15分で、本システムによって空気002から13.85%の不要物質が除去されていた。2)30分で、本システムによって空気002から50.31%の不要物質が除去されていた。3)45分で、本システムによって空気002から89.43%の不要物質が除去されていた。4)60分で、本システムによって空気002から97.6%の不要物質が除去されていた。
【0142】
本発明の様々な実施形態は、本明細書で示されて説明された本発明の個々の要素、限定物、及び方法ステップを、その法的等価物も含んで、任意の数、任意の組み合わせ、及び任意の順序で構成してもよい。
図1
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【国際調査報告】